https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM135F60T10C21A1000000
※「災害」は、思わぬところに影響を与える…。
※ 3.11による「ルネサス東北工場」の被災が、世界的な「エンジン・コントロール用の半導体」不足を引き起こしたのは、記憶に新しい…。
※ 当時、同社の「世界シェア」は、確か7割くらいもあったはずだ…。
※ しかし、あの災害を機に、自動車各社はリスク分散を図り、同社のシェアは激減し、3割くらいになったはずだ…。
※ それで、同社は生き残り戦略として、「自前・独自設計の半導体」路線から、Arm系の汎用品の採用へと舵を切った…。
※ しかし、それがまた、今回の「コロナ禍」で仇(あだ)になっている…。
※ 汎用品だから、「ゲーム機」「サーバー用」なんかとの取り合いになったようだ…。
※ いずれ、各社は「リスク分散」に動くだろう…。そういうことの、繰り返しだ…。


※ スゲーな…。これが「車載用半導体の要求仕様書」だ…。
※ 温度、湿度、振動、耐静電気性…。
※ どれをとっても、「汎用品」のレベルをはるかに超えている…。
※ 無理もない…。ヒトの生命(いのち)を乗っけて、2トンの巨体が、時速100キロ超えて走るんだ…。しかも、「最低20年」の耐久性も要求される…。
『【台北=中村裕】世界で半導体不足が深刻になっている。発端は米政府による中国企業への制裁だ。受託生産大手の中芯国際集成電路製造(SMIC)などが標的となり、台湾勢などに注文が集中。自動車用の需要急回復が重なり、品薄感が広がった。世界最大手の台湾積体電路製造(TSMC)などを中心に対応を急ぐが、回復は2021年後半との見方がある。
「昨年10~12月に突然、車用の半導体の発注が膨れ、今の半導体不足を招…
この記事は会員限定です。登録すると続きをお読みいただけます。
残り1582文字
初割ですべての記事が読み放題
今なら2カ月無料!
ログインする
https://www.nikkei.com/login 』
・「昨年10~12月に突然、車用の半導体の発注が膨れ、今の半導体不足を招いている」
・14日に台北市内で開かれたTSMCの決算記者会見。魏哲家・最高経営責任者(CEO)は困惑気味に語り、半導体不足への対応が当面は困難との見方を示した。
自動車用の半導体需要も急回復
・新型コロナウイルスの影響で昨春、自動車業界は大幅な減産を余儀なくされた。ところが感染拡大を抑えた中国市場は、驚異の回復をみせる。6月には前年同月比で11%増えるまでに回復した。
・それでも自動車業界は当時、「向こう3カ月の半導体などの部品発注で、強気な生産計画は立てられなかった」(中国の車大手幹部)。コロナ感染が世界に広がっていたためだ。
・ただ同じ7月には、世界で全く別の動きが起きていた。トランプ米政権による華為技術(ファーウェイ)への制裁強化で、TSMCなど台湾半導体各社は7月から異例の繁忙期に突入した。新たな制裁が9月に始まるのを前に、ファーウェイが半導体を大量に確保しようとしたためだ。「猛烈なオーダーが入った」と関係者も振り返る。
・実際、台湾の輸出額は8月に単月で過去最高を記録。輸出の36%を半導体が占め、当局幹部も「ファーウェイ向けの輸出だけで8月は約2000億円に達した」と話す。
・新たなファーウェイ制裁が始まった9月中旬、「二の矢」が業界を襲う。今度は米制裁の矛先がSMICに向かうとの噂が広まった。早速動いたのは、米クアルコム。TSMC、聯華電子(UMC)など同業の台湾企業を相次ぎ訪れ、SMICから切り替えるべく大量の注文を出した。
・ただ状況は容易ではなかった。TSMCの受託生産の世界シェアは足元で5割強。UMCと合計すると台湾2社で約6割を占めるが、新型コロナの影響で在宅需要が膨らみ、パソコンやゲーム機、新型iPhone向けの仕事などが重なり、ただでさえ忙しかった。
・さらに問題となったのが、SMICが生産するものが技術レベルの低い一般的な半導体だったことだ。センサーや電源に使う半導体などで、利幅も薄くうまみが少ない。それでも製品には必要不可欠だ。台湾2社は結局、こうした半導体の注文をクアルコム以外からも大量に抱え、9月からさらに繁忙を極めた。
・こうした状況に追い打ちをかけたのが、車業界の動きだった。7月はまだ様子見だったが、世界最大の中国市場が8、9月に2ケタ成長を見せると、各社は一転して10月からの増産を決めた。だが、慌てたような発注に車載用の半導体メーカーは準備が整わなかった。独インフィニオンなどの企業だ。
・自社で造れない分は、TSMCやUMCなどに委託する方法がある。今回もそう望んだが、台湾勢は既にフル生産状態。まして車用の半導体も一般的な半導体が多く、利幅は薄い。生産は後回しにされ、今回の半導体不足を招くことになった。
「需給の正常化は21年後半以降」
・今後の見通しも明るくない。車用の半導体は利幅が薄いため、減価償却済みの設備を使い、追加投資は抑えて需給が緩むのを待つのが基本姿勢だ。TSMCも今年約3兆円の巨額投資をするが、付加価値の高い最先端品向けが大半となる。
・TSMC子会社で、自動車向け半導体を手掛ける世界先進積体電路の方略董事長は15日、「車業界の急な要求に応えるのは無理だ。ダブルブッキング(二重発注)も多く、本当にどれだけ半導体が必要なのか把握できない」と指摘した。
・もし仮に半導体を造りすぎれば値崩れを起こし、経営を直撃する。各企業が半導体を欲しいと言うだけで、今後需給が緩めば、注文はキャンセルされる恐れもある。半導体各社はそれが不安で、増産には簡単に踏み切れない。
・昨年12月には、米によるSMICへの制裁も正式に発表された。半導体に詳しい台湾民間シンクタンク、拓●(つちへんに僕のつくり)産業研究院の姚嘉洋アナリストは「半導体不足の解消は21年後半になる。楽観論で6月末だが、解決には年末まで時間がかかる」と指摘する。