※ 以下は、「EE Times Japan/EDN Japan/MONOist共同編集」というメルマガからの紹介だ…。
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そうすると、毎日メルマガが送られて来る…。大抵は、業界の専門的な記事なんで、読まないことが殆んどだ…。
※ しかし、今回は、目を引く記事があった…。
※「リアル」と「バーチャル」ということについて、考えるのに参考になる…。特に、「バーチャルの限界」ということについてな…。
『モノづくり総合版 メールマガジン
2020/11/19
◇EE Times Japan/EDN Japan/MONOist共同編集◇
『編集後記 ┃ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄□
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●担当者も困惑した「人だかり」、久々のリアル展示会で感じたこと
2020年10月28~30日にかけて開催された、「第6回 組み込み/エッジ コンピュー
ティング展 秋」(幕張メッセ)の展示会取材に行ってきました。久しぶりのリアル
展示会取材です。その中で「オンライン展示会にはない、リアル展示会の面白いとこ
ろだな」と感じる出来事があったので、今回はそのことを書きたいと思います。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)を受けた自粛期間以降、従来のリアル展示会
は、ほとんどが延期か中止となるか、あるいは、開催場所をデジタル空間に移してオ
ンライン展示会として実施するものがほとんどでした。編集部でもリアル展示会への
参加を見合わせる状況が続いており、私個人も少なくとも半年以上、取材目的で展示
会には参加していません。
COVID-19を巡る社会状況は流動的です。またすぐに、リアル展示会開催が再び困難に
なる時期が訪れても不思議ではありません。そんな状況で久々に幕張メッセへと降り
立ったので、少し気合が入って「いつもより多めに展示ブースを回ろう」とさまざま
なブースを見て歩いていました。当日取材したブースの内容は、他編集部員の記事も
併せて下記の特集ページにまとめていますのでぜひご覧ください。
◆編集特集:「組込み/エッジ コンピューティング展」「IoT/5Gソリューション展」
https://re.itmedia.jp/n4VsaXg6
さて、しばらく会場内を歩いていると、とある展示物の周りに行列ができているのが
目に留まりました。KDDIが展示していた、中国のスタートアップ、nreal(エンリア
ル)が開発したスマートグラス「NrealLight」の試着体験展示です。試着すると手元
のスマートフォンをリモコンに見立てたUI操作や、動画コンテンツの視聴体験ができ
るというものでした。スマートグラスという最新ガジェットの響きも手伝ったのか、
KDDIブースの他展示物や他社ブースと比較してもかなりの人気を博しており、私が
ブースに滞在している間は、常に5~6人が2列に並んで順番を待っている状況でし
た。
MONOistではこれまでNrealLightについて報じていませんでしたので、良い機会だと
思い、ブース担当者の方に話を聞くことにしました。そしてNrealLightのスペックや
スマートフォンとの連携の仕組みなどについて詳しく教えていただいた後、行列を見
遣りながら「今回の展示ブースの目玉になっていますね」と何気無く話を振りまし
た。すると、担当者の方は「実はこんなに人気が出るとは想定しておらず……本当
は、他に見ていってほしい展示物もあるのですが」と困惑した面持ちを見せました。
そもそも、NrealLight自体は韓国で2020年8月に既に発売され、いくつかの国内展示
会でも過去に何度も披露された製品です。この意味で、全く目新しい製品というわけ
ではありません。また、NrealLightのデモ内容もシンプルで、率直に言って凝った内
容の展示というわけではありませんでした。
しかし、NrealLightは「予想外」の盛況を見せました。その要因の1つには「列が列
を呼ぶ」状況があったのではないかと思います。実際に列から少し離れてKDDIの展示
ブースを見てみると、周辺に来た人の中には(恐らく)列を見て足を止め、ふらりと
立ち寄る、というパターンもちらほら見かけました。
行列や人だかりが気になり、ついつい自分もその輪に加わってしまう。人間にこうし
た動機付けが生まれやすいことは経験則的に多くの人が実感しているでしょうし、改
めて指摘するまでもないと思います。ただ、ここで改めて実感したのは「展示会で
『人だかり』ってリアル展示会特有の現象なんだな」という点です。当然のことです
が。
「人だかり」は2つの側面があるんじゃないかと思います。1つは「列が列を呼ぶ」と
いう集客効果、もう1つはKDDI担当者の方が漏らしていたように、見せたいコンテン
ツから人を遠ざけてしまう効果です。後者のデメリットをうまく抑制しつつ、前者の
メリットを最大化できれば良いのですが、人員リソースもスペースも限られるリアル
展示会では対策がなかなか難しそうです。
ちなみに、担当者の方が見せたいと言っていたのは5GやIoT(モノのインターネッ
ト)の共創開発ラボ「KDDI DIGITAL GATE」(東京都港区)の紹介展示でした。こち
らにもVR(仮想現実)HMD(ヘッドマウントディスプレイ)を用いて、実際のラボ内
見学がリモートで行えるというデモ体験展示がありましたが。ただ、残念ながら、Nr
ealLightの注目度がラボを上回っていたようです。
昨今、オンライン展示会は急速な盛り上がりを見せています。時間や地理的条件に制
約されずに参加しやすいというメリットがありますが、一方で「リアル展示会と違っ
て参加者同士の交流が難しい」「盛り上がりに欠ける」など、さまざまな課題も指摘
されていることは周知の通りです。
個人的に、オンライン展示会自体はCOVID-19の収束後も、試行錯誤を続けながら展示
会プラットフォームの改良が進み、より大規模に発展していくと考えています。その
過程では、リアル展示会と共存しつつも、どのように差別化するかを考える必要があ
るでしょう。今回書いたリアル展示会の「学び」は、小さなものですが、こうした気
付きを大切にして蓄積していく必要もあるかと感じました。
(MONOist 池谷翼)』