「厚労省のIT人材は片手ほどだった」、橋本前厚労副大臣がデジタル敗戦に反省の弁

https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/01451/102800004/?P=2

 ※ ヤレヤレな話しが、語られている…。

 ※ しかし、そういうところに、問題の本質があるんじゃ無い…、と思うぞ…。

 ※ 多くの人が、デジタルとか、ITとか、よく口にする…。

 ※ 結局は、「電子計算機」で処理しようとすれば、そういう「機械(電子仕掛けの機械)」が処理できる形にしてやる他は無い…。

 ※「電子計算機」ってのは、たかだか「四則演算(加算、減算、乗算、除算)」と、「論理演算」(「AND演算」,「OR演算」,「XOR演算」,「NOT演算」)のたった8つの「計算(演算)」しかできないシロモノなんだぞ…。

 ※ そりゃそうだ…。「回路」の「原理」からして、そうなっているからな…。それが、ある意味「電子計算機」の「実存」だ…。

 ※ 実存主義じゃ無いが、「本質」は、「実存」を超えられないんだよ…。そういう「実存」を超えた「仕事」をさせようとしたところで、ダメの皮に決まっている…。

 ※ かつて、オレが、やっとこNECのPC-98なんかで、DOSからPCを使い始めた頃の話しだ…。

 ※ 当時のそっち方面の師匠だと思っていた人から、「コンピューターってのは、たかだか「計算機」ですから…。」という発言を聞いて、衝撃を受けたことがあった(今※先生、あんたのことだよ。あんた自身は、もう忘れてしまったかも知れんがな…。時々、このブログも見てくれているようだな…。オレは、あの時の衝撃と、あんたの言葉を、ずっと覚えているよ…。今でも、「至言」だったと思っている…。事の本質を、「抉った(えぐった)」言葉だったと思っている…。)

 ※ だから、「電子計算機」に喰わせるためには、そいつが「喰える(処理できる)」形にしてやる必要がある…。

 ※ プログラムとか、ノーコードとか、シェルとか、どういう風に「皮をかぶせて」、見かけを取り繕ったところで、事の「本質」は、変わることはない…。

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『新型コロナウイルス対策の司令塔の1つである厚生労働大臣室はコロナ感染者の正確なデータをリアルタイムで把握できておらず、厚労省職員は医療機関や保健所に片っ端から電話をかけていた――。橋本岳前厚労副大臣は2020年3月の厚労省内部をこう振り返る。「IT人材は片手で数えられるほどしかいなかった」。厚労省の対策推進本部CIO(最高情報責任者)を務めた橋本氏が「デジタル敗戦」の軌跡を語る(2020年10月5日にインタビューを実施)。

(聞き手は外薗祐理子=日経クロステック/日経コンピュータ)

厚労省の新型コロナウイルス感染症対策推進本部でCIOを務めました。

 はい、そのポストを自分でつくったんです。そういう役割を果たす人がいなかったので。

 感染者情報を集約する「HER-SYS」や医療機関と情報共有する「G-MIS」といった新システムは、当時厚労政務官だった自見英子参院議員と私との発案です。

新型コロナ対策にIT活用が重要だと思ったのはなぜですか。

 2020年1月下旬から日本でも新型コロナ感染者が報告され始め、大臣室で対策会議を毎日開いていました。そこでは加藤勝信厚労相(現官房長官)が「濃厚接触者は何人か」などと聞くと、事務方の偉い人が後ろに座る若い官僚に尋ね、その官僚が調査のために走って出て行く風景が繰り返されていました。大臣が意思決定するのにどんな情報が必要なのかを事務方がまだよく分かっていなかったので、この時期にそうだったのは仕方なかったと思うんです。

 私は2020年2月11日から新型コロナの集団感染が発生した大型クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」に常駐し、3月半ばに厚労省に復帰しました。欧米では感染爆発が起こっていた時期と重なりますが、大臣室での会議は1月下旬と全く同じでした。

 ここに至っても、新型コロナ対策の司令塔の1つである厚労大臣室が正確なデータをリアルタイムで把握できておらず、非常にまずいと思いました。都道府県の報告と保健所の報告とで数字が頻繁に食い違ってもいました。

新型コロナ対策推進本部の中にも「縦割り」
 厚労省の新型コロナ対策推進本部では、職員が必要な情報を得るために全国の医療機関や保健所に片っ端から電話をかけていました。対策推進本部の中も、サーベイランス班や医療体制班、検査班などの「縦割り」が生じていたのです。しかし電話を受けるほうからすれば「厚労省として聞きたいことをまとめてから電話してほしい」と思うでしょう。

 厚労省の情報ツールは電話とファクスとせいぜい電子メールでした。様々なシステムの必要性を感じました。そこで、新型コロナ対策推進本部のCIOとして、HER-SYSやG-MISなどの開発について進捗を管理し、部署間やシステム間で連携できるようにする体制を設けました。

HER-SYSを新たにつくろうと考えたのはなぜですか。感染者情報を集計するシステムにはもともと「感染症サーベイランスシステム(NESID)」があります。

 NESIDには2つの課題がありました。1つは集計や報告のミスが生じがちだったことです。医療機関は感染症法に基づく発生届を手書きとファクスで保健所に送り、保健所や自治体がそれをNESIDに入力していましたが、医療機関にも保健所にも入力の負担が重く、ミスにつながりがちでした。

 もう1つは感染者や濃厚接触者が自らスマホアプリやWebサイトで入力するようにしたかったのですが、その機能がNESIDにはなかった。保健所は自宅療養をしている感染者や濃厚接触者を健康観察しています。そのために保健所職員が電話をかけていたので、これもかなりの負担でした。

そのため、発生届の入力から健康観察のフォローアップまでをクラウドベースで一貫して管理できるシステムをつくりたかったのです。じゃあ今、これらをHER-SYSでうまくできるようになったかと言われると、全部はできるようになっていないのですが。

ITベンダーとの付き合いが少なく、IT人材にも乏しい
原課ではなくて、橋本さんたちが積極的に提案して動いた案件だったということですか。

 新型コロナ対策推進本部にいる厚労省職員は目の前の仕事をやるので一生懸命でした。私や自見議員の役割は全体を見渡すことです。

 例えばHER-SYSは健康局結核感染症課、G-MISは医政局の所管になります。しかし、各原課は忙しいうえに、普段からITベンダーとの付き合いは少なく、IT人材にも乏しい。厚労省は今後この点を改善すべきだと思います。

 システムの提案を広く募集して、それを評価し、構築していく能力は原課にはありませんでした。そこでG-MISは内閣官房IT総合戦略室に、HER-SYSは厚労省情報化担当参事官室にそれぞれ私から頼んで手伝ってもらったのです。

政府内の他の部局と連携しながら、システム開発がどのくらい進捗しているかをチェックする。それが厚労省の新型コロナ対策推進本部CIOとしての橋本さんの役割だったわけですね。

 そうです。(例外的に)原課任せにしたのが雇用調整助成金(雇調金)のオンライン申請システムでした。

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 原課から「付き合いのあるベンダーと相談してやります」という報告はありました。私は他の仕事で忙しかったものだから「じゃあそうしたらいい」と、それ以上何もコミットせずに放っておいた。結果的に(2020年5月20日に稼働を開始したが、2度不具合が発生し、2020年8月25日に稼働を再開した)トラブルにつながったので個人的にはそれが敗因だったと思っています。

 何でも私に相談しないと組織が動かないのはよくないけれど、たまたまそういう扱いをしたものが、ああいう結果になってしまったことを遺憾に思っています。これまでの政府システムと同じ発注方法を取ってしまったという反省事例です。

職員全員にプログラミング研修を
新型コロナで得た教訓を教えてください。

 一言で言うのは難しいですね。原課が普段から仕事をシステム的にやろうという発想を持って、自分たちでシステムの発案や企画ができると、今回のような不測の事態にも対応しやすかったのではないでしょうか。片っ端から電話するのではなく、クラウド上に調査システムをつくったほうがいいと誰も考えず、新型コロナとの戦いに臨んでいました。

 厚労省の職員は全員簡単なプログラムを書けるように研修すべきです。新しい制度や行政サービスにどうITを絡ませるかという発想には、ITの原理を知っていることが欠かせません。厚労省でそうした発想をできるIT人材は当時、片手で数えられるほどしかいませんでした。

平井卓也デジタル改革相は、ITを使った新型コロナ対策がもたらした混乱を「デジタル敗戦」と呼んでいます。

 2000年のIT基本法制定から20年。これではデジタル敗戦と言われても仕方ないですよね。とはいえ敗戦と気付いたのは大きいです。次はどうすれば「勝てる」のかを考えるフェーズだと思います。』