〔「机上空間」さんのサイトより〕

 ※ 読んでおくべき記事と、考える…。
 敬意を込めて、全文を引用させていただきます…。

決戦! 北戴河会議 : 机上空間
http://blog.livedoor.jp/goldentail/archives/23147042.html

『中国経済の失速が、統計上でも出てきています。今年第一クォーターの経済成長率は-6.8%。武漢肺炎の影響ですが、40年ぶりに悪い数字です。そして、失業率が公式発表で5%。しかし、公然の秘密として、10%に達しているだろうと言われています。

こうなってくると、中国共産党の指導部の中でも波風が立ってきます。ちなみに、中国共産党の権力構造は、二重構造になっていて、行政と実務のトップが首相。共産党のトップが国家主席になります。序列としては、党が行政の上です。このあたりも、イスラム世界の宗教国家と良く似ています。それぞれ、現在は、李克強氏と習近平氏が就任していますが、ここの対立が激化していると言われています。

李克強氏は、いわゆるインテリ官僚出身(経済修士・博士号持ち)で、実務派です。習近平氏は、党内抗争を勝ち抜いて来て、漁夫の利を最大限に利用してトップに君臨しました。

李克強氏は、前国家主席の胡錦濤氏の右腕とされ、実際、胡錦濤氏の政治イベントには、ほとんど同行し、安倍晋太郎氏(安倍首相の父)、小沢一郎氏とも親交があり、まさに次世代を継ぐ為に育成されたサラブレッド的経歴の持ち主です。次期、国家主席は李克強氏と言われていたのですが、温家宝氏が権力闘争に最終的に負けた事で、軍部と保守派が押す習近平氏が就任しました。これが、後に党内派閥的には、とんでもない結果につながります。

経済政策は、行政の領分になるので、責任者は李克強氏になります。で、中小企業へのテコ入れ、起業支援など、極めてまともな事を言っているのですが、習近平氏側は批判しています。まともな批判なら良いのですが、「資本主義社会のマネをするのではなく、もっと社会主義的改革をやるべきだ」という、何の薬にもならない概念論なんですね。本気で言っているなら、党というものが、いかに実際の経済を見ていないか判ります。典型的な「~でなければならない」的政治です。

行政の長なので、ある意味当然ではあるのですが、天災や事故、今回の武漢肺炎などの疫病に対しても、陣頭指揮を取る事が多く、李克強首相は国民の人気も高い人物です。温厚な人柄と言われ、他人の悪口などは言わず、部下を怒鳴りつける事も無い為、そこが押しが弱いと判断されて、実績に比べて党内での出世が遅れた理由とも言われています。ある意味、毛沢東氏を師と仰ぐ習近平氏とは、真逆の人物です。

先日、終わった全人代で、習近平氏が「貧困は撲滅した(2020年までに貧困を無くす事は、習近平氏の経済目標)」と演説した後に、報告演説の中で「中国人民の労働者のうち、6億人は月収が1万5千円に満たない」と本当の事を話してしまった李克強氏。これは、習近平氏の暴政に対する抵抗と見られています。というのは、いわゆる長老派と言われる人々も、憲法を変えてまで、同一人物による国家主席の任期の制限を撤廃したり、報復的な人事や腐敗防止運動という名の党内粛清を行う習近平氏に、長老派も激怒していて、失脚の機会を狙っていると言われていて、必然的に抵抗勢力が李克強氏側に集約されてきているからです。

8月には、中国共産党の実力者だけで協議する北戴河会議が開催されます。これには、長老派も出席するので、今後の中国の政治の方向性を決める上で重要な会議です。経済の失速が李克強首相にとって、立場的に不利になる要因ですが、習近平氏側には外交の失策という要因があります。前オバマ政権でアメリカが大人しかった事もあり、ここ数年間は、強硬路線で外交を行ってきました。はっきり言えば、恫喝外交です。また、領土拡張の野心も隠しませんでした。しかし、その結果として、中国包囲網が形成されつつあります。中国国営のシンクタンクも「天安門事件以来、最も中国に対する国際感情が悪化している」と警告しています。

金と恫喝の「飴と鞭」で、外交は、どうにかなると考えていたようですが、武漢肺炎で自国民に死者が出始めると、各国の指導者は、今までの考えを改め始めています。』