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『リモートワークが続いている中で、とある大手企業の人事担当役員の方が「この環境になって、仕事で価値を出せる人と、出せない人が、より鮮明に可視化され始めている」とおっしゃっていました。
これまで自分の役職や立場に依拠して仕事をしていた人は、会議室の座る位置で威厳を示すこともできないですし、小さな画面では眉をしかめることで強要していた忖度も発動できなくなっています。また、音声ボリュームの調整ができるため、大きな声で威圧することも、ままなりません。』
『また、リモート会議の特性として、集まって和気あいあいといった雰囲気が形成しづらいために、どうしても雑談や余談が消えがちで、より目的的、事務的になっていく傾向にあります。
社内で信頼関係が構築できている間柄での打ち合わせならまだ良いのですが、お客さまとの商談であったり、初対面の場合は、対面と比べると、どうしてもストレスが高くなってしまいます。』
『リモート会議を上手く進めるために、事前に会議の目的、議題や資料を準備することは、対面の会議でも実施すべきことですし、生産性を高めていくことは誰にとっても良いことですので、当たり前に実施されるようになるべきです。』
『実際に会うことができれば、服装や身のこなし、また表情や声色などの雰囲気から、相手が信頼できるかどうか判断することができます。
しかし、リモート会議では、こういった、これまでの判断に用いてきた感覚を活かすことができません。
そのため、効率だけに重きを置くのではなく、会議相手との信頼関係をいかに築くかへの配慮も必要になります。
昔からリモート会議が日常的に実施されている米国企業に勤める友人から、「みんな、会議の最初に、服装でも髪型でも、何でも良いので相手を褒める習慣があるよ」と聞きました。
褒められて相手を悪く思う人はいません。ここでは、関係構築に配慮がなされていることがわかりますし、我々も取り入れることができるポイントになります。』
『また、会議体の始めには、アイスブレイクを入れることもできます。
「昨日、何か良いことありました?」といったポジティブになれる内容を話すのも一定役に立つはずです。』
『小さい画面の中から、他の参加者の表情を読み取るのは困難です。
発言者は、自分へのフィードバックを得づらいため、みんなに聞こえているのか、はたして発表内容は妥当なのか、理解してくれているのかなど、不安な気持ちになりがちです。
参加者は、きちんと聞こえていたり、内容を理解して賛同できる場合には、対面の2倍程度でオーバーにうなずくなど、意図的に賛同の意を示したいところです。』
『オンライン会議システムでは、複数の人が被せて話すと、上手く聞こえなくなってしまうことが多いため、言葉でのあいづちではなく、できる限り視覚的に伝達しましょう。
また、話し終わった後に、質問によって相手の話した内容を再度確認することで、理解していることを明確に示すこともできます。
もし、理解が間違っていたとしても、それはそれで意味のある質問になるため、問題ではありません。
話者が安心して話ができるように心がけることは、リモート会議の成功における重要観点になりますので、自分の映像をしっかり映しだ出せるように環境を整えた上で、オーバーリアクションを行っていきましょう。』
『誰が、誰に対して発言しているのか、わからなくなってしまう場合があります。
まず、最初に話す際にはしっかり名乗ってから話すようにします。そして、明確に誰かに対して話す場合は、相手の名前を呼んでから話し始めましょう。』
『また、話が途切れた時に、それがネットワークの不調なのか、話が終了したのかわからなくなる場合があります。話を終了する際には「以上となります」といったように、意思を明確に示すようにします。』
『リモート会議の特性上、対面の会議以上に、他の参加者への気遣いが必要になります。
しっかり信頼関係を維持、構築することを目指しながら、相手の立場に立った会議進行を行っていきましょう。』