5Gの意外なキラーアプリ、新型コロナがあぶり出す ITジャーナリスト 石川 温
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO58636190Q0A430C2000000/



『4Gでは、月間60ギガバイトまでの大容量プランであるギガホを選ぶユーザーは「二十数%にとどまっていた」(吉沢社長)。つまり、8割弱のユーザーは大容量プランではなく、月々の支払いを安価に抑えられる従量制プランを選んでいたことになる。
一方、5Gサービスの契約者の約半数は「5Gギガホ」という料金プランを選択している。5Gギガホは、月間100ギガバイトまでの通信を利用できる契約だが、現在はキャンペーンとして無制限でネット接続できるようにしている。』
『新型コロナの影響により、人と人が距離をとって働くことを余儀なくされた。結果として、多くの打ち合わせや会議がテレワークによるオンラインでの開催でも支障がないことが分かってきた。ここ数年、「働き方改革」が叫ばれ、在宅勤務が推奨されてきたが、ほとんど普及しなかった。だが、外出自粛により強制的にテレワークが導入されたことで、結果的に働き方改革が進んだ。
今後、新型コロナの問題が収束しても、オフィスへの出勤は減り、オンラインのビデオ会議への参加が増えるだろう。外出先からビデオ会議に参加する際に必要なのがモバイル通信環境だ。1時間のビデオ会議に参加すれば、数百メガバイトから1ギガバイト以上のデータ容量を消費する。1日に何回もビデオ会議に参加するとなれば、月間で相当なデータ容量が必要になる。
そこで求められるが、月間のデータ容量に制限がない料金プランだ。その点、NTTドコモの5Gギガホはスマホだけでなく、スマホとテザリングでつないだパソコンも容量無制限で使える。』
『各キャリアは、5G開始に向けて様々なサービスやソリューションを開発してきた。しかし、いずれも4Gで既に可能になっているもので、5G時代のキラーアプリケーションには程遠い印象があった。
しかし、新型コロナによってビデオ会議が5G時代のキラーアプリ候補に浮上してきた。5Gスマホを契約すれば、データ容量は無制限であり、臨場感のある映像、安定した音声を送受信できる。
Zoomなどのビデオ会議アプリは、仕事だけに使われているわけではない。自宅などからZoomで接続して複数人で飲む「Zoom飲み会」も増えてきている。
2011年に起こった東日本大震災の際にはSNS(交流サイト)のTwitterが注目を浴びた。有事の際には、人々は「誰かとつながっていたい」という気持ちが強くなる。11年はTwitterがその欲求に応えたが、20年はZoomなどのビデオ会議アプリがその役目を担うことになるだろう。
人々がリアルに会える機会が減っていく中、5Gはビデオ会議アプリと共に普及していくことになりそうだ。』