コロナ支援手続き、対面や押印見直し 首相が27日指示へ 助成金受給、オンラインで

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO58509250V20C20A4MM8000/

『安倍晋三首相は新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、行政手続きに必要な対面や押印といった慣習や法規制を早急に見直す方針だ。緊急経済対策に盛り込んだ助成金や給付金を窓口に並ばなくても受け取れるようにする。』
『在宅勤務や遠隔教育を妨げる要因を取り除き、「人との接触8割減」に向けた取り組みを後押しする。27日に首相官邸で経済財政諮問会議を開き、首相が関係閣僚に見直し作業を指示する。

規制改革推進会議も近く開催する。具体的な慣行や法規制の洗い出し作業をはじめる。撤廃可能なものから順次見直し、関連法の改正案の国会提出をめざす。』
『首相は新型コロナの感染防止に向け、全国に緊急事態宣言を発令するとともに「最低でも7割、極力8割の接触削減」を国民や企業に要請してきた。現時点ではこの目標に到達しておらず、一段の協力を求めている。

政府は目標に達しない一因について、行政手続きの対面、押印、書面の3原則にあると分析する。例えば休業手当の費用を賄う雇用調整助成金はハローワークで手続きを相談するケースが多い。休業協定書や休業計画届など申請書類に押印が求められる。

ハローワークに多くの企業が駆け込めば、密閉・密集・密接の「3密」の環境が生じてしまう。
在宅勤務で働く社員が押印をするために会社に出社すれば、それだけで8割減の取り組みに水を差す。必要書類をそろえるのに時間がかかれば、給与の支払いや企業の資金繰りに影響がでる恐れがある。』
『政府はまず雇用調整助成金など緊急経済対策に関連する規制の見直しを急ぐ。2020年度補正予算は30日にも成立し、支給が間近に迫るためだ。

売り上げが減少した中小企業に最大200万円を給付する持続化給付金が迅速に手元に届く体制整備や、地方税の納税猶予、事業者向け融資などの手続き簡素化を急ぐ。』
『諮問会議の民間議員は会議で、在宅勤務や遠隔教育の推進にかかわる課題解決も政府に求める。

例えば、宅地建物取引業法は契約締結時に押印した書面の交付を義務付けている。押印は民間契約の慣習となっていることも多く、法規制と慣習を総合的に見直す。

休業・失業中の教育訓練講座も事実上、停止しており、求職活動が停滞する恐れがある。民間議員はネットやテレビ電話なども活動できるように促す。』
『中期的な課題としてマイナンバーカードの普及加速や銀行口座との結びつけの検討を促す。カードと銀行口座がつながれば、一律10万円の給付金などを素早く口座に振り込むことが可能になる。年内に結論を出すべきだと主張する。』

※ 感染症の流行は、「大きな歴史の転換点」になることが多い…。
 ヨーロッパでの「ペストの大流行」は、それによる「民衆の死」に無力だった「教会の権威」を失墜させ、その後の「市民革命」なんかに繋がり、「近代の扉」を開いた…、と言われている…。
 日本でも、根強い「ハンコ・書面慣行」がある…。
 今般の「コロナ騒ぎ」においても、テレワークがそれほど進まず、基本、在宅勤務なのに、文書にハンコを押すために出社せざるを得ない…、という話しも聞く…。本末転倒の最たるものだ…。
 ハンコ・書面慣行を支えていることは、次のようなことか…。
 1、ハンコを押印することによる、本人の「意思確認」…。
 2、後日の「証拠」のために「文書」を残しておきたいという、訴訟に備えようとする役所・金融機関・企業側の要望…。
 そして、これは、オレが考えているだけかもしれないことだが、
 3、日本人の心の奥底にある、朱で押印された印影への「権威」「ありがたさ」を感じる心情…。
 これは、「御朱印状」「御朱印船」とか、四国霊場巡りの「御札(おふだ)」の収集とか、神社・お寺巡りで「御朱印」を収集したりする行動に表れている…、と見受けられる…。果ては、現代では「スタンプラリー」とかにも、繋がっているもの…、と見受けられる…。
 行政手続は、どうしても「本人確認手続き」を必要とする…。
 そのためには、「電子証明」で足りるはずなんだ…。
 しかし、そこがなかなか世の中に浸透して行かなかったのは、3の「みんなの心情」が絡んでいたからじゃないかと思う…。
 今般の「コロナ騒ぎ」が、そこを突き破る「ブレークスルー」となるのか…。
 いずれ、行政側も「重い腰」を上げたようだ…。それが、「みんなの心情」の変化へと結びついて行くのか、注目だ…。