※ 今回、「サイトカイン」なんかの免疫関係の情報を調べていたら、本庶佑さんの業績に当たったんで、紹介しておく…。
それは、癌の「免疫チェックポイント阻害療法」の確立に関するものだ…。
免疫チェックポイント阻害剤
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%85%8D%E7%96%AB%E3%83%81%E3%82%A7%E3%83%83%E3%82%AF%E3%83%9D%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%83%88%E9%98%BB%E5%AE%B3%E5%89%A4
『作用機序
免疫チェックポイント阻害療法(CTLA4、PD-1)
少なくとも人間など脊椎動物のT細胞には、その生命個体自身の(T細胞以外の)細胞を攻撃しないように、自己の細胞の因子が結合できる部分がT細胞には幾つか存在しており、まるで鍵と鍵穴のような関係になっている。このように自己の細胞だけが結合できる部分のT細胞側の鍵穴側の因子として、人間の場合、T細胞のPD-1、CTLA-4,LAG-3,Tim-3,KLRG1 などが知られている。
いっぽう、鍵側の一般細胞にはPD-L1、CD80,MHC,Eカドヘリン などの因子があり、例えばPD-1にPD-L1が結合するなどのように、T細胞の鍵穴側の分子と結合することにより、一般細胞はT細胞からの攻撃を結果的に免れており、このような機構が免疫チェックポイントである。つまり、T細胞が接触している相手の細胞が、仲間かどうかを確認する機構である。
しかし、がん細胞もまた自己由来の細胞であること等から、PD-L1などの分子を持ってしまっているので、がん細胞は、この仕組みを悪用し、がん細胞のもつ鍵側の因子(PD-L1など)もまたT細胞に結合することにより、がん細胞は免疫細胞の攻撃をまぬがれてしまっている。
免疫チェックポイント阻害剤は、免疫チェックポイントのスイッチとなる分子どうしの、結合をなんらかの方法で妨害してしまうことにより、がん細胞の因子などがT細胞の鍵穴に結合できなくすることで、免疫細胞にがん細胞などを含め、多くの細胞を見境い無く攻撃させるように変質させる医薬品である。このため、副作用として、正常な一般細胞のもつPD-L1などもまたT細胞のPD-1に結合できなくなるため、自己免疫疾患などが発生するリスクもあるとされている。
免疫チェックポイントは過剰な免疫反応を抑制し、自己免疫疾患等の発生を抑える働きがある。この機構に関わる免疫チェックポイントタンパク質としては、樹状細胞等の抗原提示細胞の受容体 CD80/86 に応答する CTLA-4(英語版)、腫瘍細胞表面の PD-L1 リガンドに応答する PD-1 等が知られている[3]。いずれのタンパク質も、T細胞の細胞膜表面に存在する。これらのタンパク質に対する阻害抗体が免疫チェックポイント阻害剤である。このような免疫チェックポイント阻害剤を投与することにより、T細胞の免疫抑制が解除され、抗腫瘍免疫応答が増強される[6]。』





※ 極めて単純に要約すると、「免疫」とは、体内に生じた不都合な「異物(細菌、ウイルス、がん細胞、老化した細胞、死んだ細胞など)」を「排除」する仕組みなんだが、「不都合で無いもの」、言わば「味方・仲間」と「敵」を見分けることが重要になって来る…。
活性化したT細胞が、敵か・味方かを識別する「マーカー」として、PD1という物質を伸ばして、これを識別しようとするんだが、がん細胞もさるもので、「オレは、味方だよ…。」という印のPDL1と言う「鍵」をはめ込んで来るわけだ…。そうすると、味方だと誤認して、攻撃するのを止める…と言うわけだ…。
本庶さんの研究チームは、こういうメカニズムを解析して、そのPD1とPDL1の結合を阻害する薬品の研究なんかに道を開いたわけだ…。そういう業績が、高く評価されたわけだ…。
がんによってブレーキがかかった免疫の攻撃力を回復させる治療法:免疫チェックポイント阻害療法( https://www.immunooncology.jp/patient/immuno-oncology/step3_05.html )