中国のエネルギー資源の考察

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まず上記の図を見て欲しいのだが、中国が中東から石油を運搬しようとすれば、必ずや米国が管理する(影響力を持つ)チョークポイントを通過する必要がある、ということになっている。

しかし、中国ってそんなに石油の輸入依存度が高い国だっけ? ターチン油田とかあって、自前の油田がけっこうあるような印象を持ってたがな…。

それで、調べてみたんだが、なかなかストレートには情報が出てこない感じだった。

これが日本なら、「日本の国別原油輸入先」みたいなものが円グラフつきですぐにヒットするんだが、中国の場合はそうはいかないようだった。

それで、公表されてる情報から間接的に推測するという手法を取った(まあ、「インテリジェンス」の一種ですな)。

その際の「切り口」は、「エネルギー」だ。

「エネルギー」に関しては、なぜか結構な量の情報が出てくるようだった。条約でも締結して、情報交換の義務を負わせてでもいるんだろう。

まず、一人あたり電力消費量だ。
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国別では、世界の消費割合の4分の1を占めてるが、一人当たりだと日本の半分くらいだ。沿岸部と内陸部の格差が酷いから、内陸部だともっと差が広がるだろう。

次は、一次エネルギーの構成だ。どういう熱源からエネルギーを取り出しているのかという話しだ。

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2016年のデータだが、その6割石炭から得ている。石油・ガスからは、25%くらいだ。

まあ、これじゃあPM2.5とかで、大気汚染も生じるわな…。

AIIBがうまくいかない理由の一つに、世界の金融関係者が北京に住むことに二の足を踏むことも数えられている。中華系の米国大使が任期途中で逃げ出したことも、記憶に新しい…。

次は、肝心の輸入依存度。まだ2割くらいだが、じんわり増えているのが注目点だ。日本の依存度が高いのは、昔からで、今にはじまったことじゃない…。
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恐ろしいのは、次のグラフだ。

一人当たりエネルギー消費量の推移の予測…。

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2030年から2035年で、中国の数字は24%で増加していないが、世界全体では5年間6%くらいの増加率だ。

年々1.2%くらい増加して行くって話しだ。10年で12%、20年で24%、30年(一世代)で36%増加するって話しだ。

自国の増加率をいくら抑えても、世界全体では増加するんで、エネルギー資源の争奪戦になる、って話しだ。

しかも、恐ろしい話しはまだ続くぞ。

世界の石炭産出量の推移の予測だ(石炭と言ってるが、エネルギーの石炭換算の話しかもしれないんで、そこは含んで見てくれ)。

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2020年頃がピークで、後はダダ下がりになるという予測だ。

一方、電力なんかの消費量は、年々増加して行く訳だ…。

大気汚染の観点からは、石炭の使用を止めて、石油・ガスに転換していく必要があるが、それを賄うには国内生産だけでは、到底追いつかない…。輸入に頼る他ない…。

しかし、主要なチョークポイントは、全て米に押さえられている…、って話しだ。

お前が中国の指導者だったら、どうする?

幸い、隣国にはロシアがある。パイプラインを敷設して、ガスを供給してもらう手が、あるにはある…。

実際、やってるようだ。

しかし、パイプラインだと固定施設だから、ずっと依存することになって、供給してもらったり・止めたりと状況の変化に対応するのが難しいんだよ。

それから、代金の支払いの問題がある。

中国は、どの通貨で輸入代金を支払うんだ? 人民元を、ロシアは際限なく受け取ってくれるのか? 受け取ったとして、どう使うんだ? せいぜい、中国の安物の雑貨や、化学肥料まみれの食料か、中国人労働者の賃金くらいのモンだろう。

最後のものは、実はロシアが最も警戒してることだ。シベリアは広大だが、人口密度が低いから、中国人が押し寄せてきたら乗っ取られかねないんだよ。

だから、トランプ政権は、中国がもっとも恐れるタイミング中国叩きをしかけてきた、とも評価できる。

そういう知恵を付けた軍師が、いるんだろう…。

実際、そういう風な分析もある。

エネルギーの観点からは、四面楚歌だな…、としか言いようがないな…。