Twitter、CEOにヤッカリーノ氏 広告強化へマスク氏表明

Twitter、CEOにヤッカリーノ氏 広告強化へマスク氏表明
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN12E0H0S3A510C2000000/

『【シリコンバレー=渡辺直樹】米起業家のイーロン・マスク氏は12日、ツイッターの運営会社であるX社の最高経営責任者(CEO)に米メディア大手NBCユニバーサル(NBCU)の広告部門トップ、リンダ・ヤッカリーノ氏を迎えると明らかにした。広告主との太いパイプを持つ同氏の登用で収益基盤を立て直す。

マスク氏「ツイッターを万能アプリに」

マスク氏はツイッター上で「リンダはまず事業運営に集中し、私は製品デザインと新技術に専念する」と述べた。同時に「リンダとともにツイッターを『X』、すなわちすべての機能を持つ(万能)アプリに変えていく」と投稿した。

ヤッカリーノ氏はペンシルベニア州立大学を卒業後、米メディア複合企業のターナー・ブロードキャスティング・システムを経て2011年にNBCUに入社した。「グローバル広告・パートナーシップ」部門の会長として、国内外の広告販売やマーケティング戦略を取りまとめてきた。

広告付きで無料視聴できる動画ストリーミングサービス「ピーコック」の立ち上げに関与するなどデジタル関連事業に力を入れ、テクノロジーの知見も持つ。また公共広告の非営利団体で会長を務め業界で顔が広いとされる。

新CEO、広告立て直し担う

ツイッターはマスク氏による買収以降、イメージ悪化を恐れる大手企業を中心に広告離れが起きている。22年10〜12月にはツイッターへの米広告出稿上位10社のうち8社が前年同期比で広告費を減らした。米調査会社は23年のツイッターの広告収入は前年比で約3割減ると予測。デジタル広告市場のシェアは1割程度とグーグルやメタに遠く及ばないのが現状で、ヤッカリーノ氏の登用で立て直しを図る。

ツイッターは2021年まで2期連続で最終赤字だった。マスク氏は買収後に大規模なリストラに着手。コスト減のほか、有料サービス「ブルー」に新機能を加え課金サービスへの顧客誘導も進めてきた。さらに広告収入をてこ入れすることで、将来投資も含めた成長戦略を描ける企業への転換を急ぐ。

公共性や安全性の確保課題に

講演でマスク氏と話すリンダ・ヤッカリーノ氏(右)=AP

広告主が戻るためには交流サイト(SNS)としての公共性や安全性が欠かせない。マスク氏は「言論の自由の絶対主義者」を標榜してツイッターを買収した。マスク氏はツイッター上で自由奔放に発言し、明確な基準を示さないまま既存メディアや有名人の認証や表記などの仕様の変更も繰り返した。一部から「個人SNS」といった批判も出ている。

マスク氏は4月18日にメディアマーケティングのイベントでヤッカリーノ氏と対談し、ツイッターの今後について話した。ヤッカリーノ氏は「イーロンは誰でも継続的に(機能改善の)フィードバックにアクセスできるように約束した」と指摘。「言論の自由がこの国の根幹であるならば、どうすれば(ツイッターが)もっと良くなるのか、発言していくことがみんなの責務だ」と話していた。

【関連記事】

・マスク氏「新CEOを見つけた」 Twitter運営会社
・Twitterに通話機能 ビデオチャットも、マスク氏表明
・Twitter、本社機能を大幅縮小 リストラで4割貸し出し 』

アップル、米で預金口座サービス カード利用者対象、年利4.15%

アップル、米で預金口座サービス カード利用者対象、年利4.15%
https://www.jiji.com/jc/article?k=2023041800370&g=int

『【シリコンバレー時事】米アップルは17日、米国で展開している同社クレジットカードの利用者向けに普通預金口座を提供すると発表した。スマートフォンなどでの支払いのたびに得られるキャッシュバックが自動でたまり、利息も付く。主力のスマホ周辺のサービス充実を図り、収益基盤を強化する。

 口座は「アップルカード」を発行するゴールドマン・サックスが開設し管理する。利息は変動性で、現在は米国平均の10倍以上の年率4.15%。金利上昇局面でもカードを持つメリットがありそうだ。 』

Samsung、ChatGPTの社内利用で3件の機密漏洩

Samsung、ChatGPTの社内利用で3件の機密漏洩
https://pc.watch.impress.co.jp/docs/news/yajiuma/1490904.html

『韓国이코노미스트(Economist)は3月30日、Samsung Electronicsが社内でChatGPTの使用を許可したところ、機密性の高い社内情報をChatGPTに入力してしまう事案が発生したと報じた。少なくとも3件が確認されているという。

 報道によれば、Samsungの半導体事業などを担うDS(Device Solution)部門において、3月11日にChatGPTの使用を許可。その後、約20日間で少なくとも3件の事案が発生したという。内訳は、設備情報の流出が2件、会議内容の流出が1件。同社では、事故の経緯の調査を進めるとともに、緊急措置としてChatGPTへの1質問あたりのアップロード容量を1,024B(バイト)に制限。今後も同様の事案が発生するようであれば、接続を遮断する可能性もあるという。

 事案の詳細は、1件目が、半導体設備測定データベースのダウンロードソフトに関するエラーを解消するため、ソースコードをChatGPTに入力して解決策を問い合わせたもの。2件目が、歩留まりや不良設備を把握するプログラムに関するソースコードをChatGPTに入力し、コードの最適化を図ったもの。3件目が、社内会議の録音データを文書ファイルに変換後、ChatGPTに入力し、議事録を作成したものだという。

 ChatGPTでは、入力されたデータを学習データとして活用する場合があるため、機密性の高い内容を入力すると、不特定多数にその内容が流出する恐れがある。これについてはOpenAI側でも、ChatGPTを利用するユーザーに対し、機密情報を入力しないよう注意喚起している。

ChatGPTには機密情報を会話で入力しないよう注意を促すダイアログ 』

Amazon Managed Service for Prometheus とは何ですか?

Amazon Managed Service for Prometheus とは何ですか?
https://docs.aws.amazon.com/ja_jp/prometheus/latest/userguide/what-is-Amazon-Managed-Service-Prometheus.html

『翻訳は機械翻訳により提供されています。提供された翻訳内容と英語版の間で齟齬、不一致または矛盾がある場合、英語版が優先します。

Amazon Managed Service for Prometheus は Prometheus 互換のコンテナメトリクス用のサーバーレスモニタリングサービスで、コンテナ環境を大規模に監視することが容易になります。Amazon Managed Service for Prometheus を使用すると、現在使用しているものと同じオープンソースの Prometheus データモデルとクエリ言語を使用して、コンテナ化されたワークロードのパフォーマンスを監視できます。また、基盤となる作業を管理しなくても、スケーラビリティ、可用性、セキュリティを向上させることができます。インフラストラクチャ。

Amazon Managed Service for Prometheus は、ワークロードのスケールアップとスケールダウンに応じて、運用メトリクスの取り込み、ストレージ、クエリを自動的にスケーリングします。AWSセキュリティサービスと統合して、データへの高速かつ安全なアクセスを可能にします。

Amazon Managed Service for Prometheus は、複数のアベイラビリティーゾーン (マルチ AZ) デプロイを使用して高可用性を実現するように設計されています。ワークスペースに取り込まれたデータは、同じリージョン内の 3 つのアベイラビリティーゾーンにレプリケートされます。

Prometheus 向けアマゾンマネージドサービスは、Amazon Elastic Kubernetes サービスおよび自己管理型 Kubernetes 環境で実行されるコンテナクラスターと連携します。

Amazon Managed Service for Prometheus では、Prometheus で使用しているのと同じオープンソースの Prometheus データモデルと PromQL クエリ言語を使用します。エンジニアリングチームは、PromQLを使用してメトリックのフィルタリング、集計、アラーム処理を行い、コードを変更することなくパフォーマンスをすばやく可視化できます。Amazon Managed Service for Prometheus は、運用コストや複雑さを伴わずに柔軟なクエリ機能を提供します。

ワークスペースに取り込まれたメトリックは150日間保存され、その後自動的に削除されます。
サポートされるリージョン

Amazon Managed Service for Prometheus は現在、以下のリージョンをSupport しています。

米国東部 (オハイオ)

米国東部 (バージニア北部)

米国西部 (オレゴン)

アジアパシフィック (シンガポール)

アジアパシフィック (シドニー)

アジアパシフィック (東京)

欧州 (フランクフルト)

ヨーロッパ (アイルランド)

欧州 (ロンドン)

ヨーロッパ (ストックホルム)

料金

メトリクスの取り込みと保存には料金が発生します。ストレージ料金は、メトリックスサンプルとメタデータの圧縮サイズに基づいています。詳細については、Amazon Managed Service for Prometheus の料金

を参照してください。

AWSコストエクスプローラーとコストおよび使用状況レポートを使用して料金を監視できます。詳細については、「Cost Explorer を使用したデータの探索」および「AWSコストおよび使用状況レポートとは」を参照してください。
Premium Support

AWSいずれかのレベルのプレミアムサポートプランに加入している場合、プレミアムサポートは Amazon Managed Service for Prometheus に適用されます。』

SpaceXは無人機制御へのスターリンク使用を制限、ウクライナ側は問題ないと主張

SpaceXは無人機制御へのスターリンク使用を制限、ウクライナ側は問題ないと主張
https://grandfleet.info/european-region/spacex-restricts-use-of-starlink-for-drone-control-ukrainian-side-claims-there-is-no-problem/

『米SpaceXは「無人機制御にスターリンクを使用する行為は契約の範囲を越えているので制限を実施した」と明かしたが、ウクライナのフェドロフ副首相兼デジタル化担当相は「今のところスターリンクの運用に問題はない」と述べた。

参考:SpaceX’s Shotwell says Ukraine ‘weaponized’ Starlink network
参考:SpaceX forms ‘Starshield’ business unit to focus on national security
参考:Федоров о нововведении SpaceX: Проблем с работой Starlink не наблюдается

安全保障分野におけるスターリンクの使用を明確に禁止し、この分野の需要をスターシールドに誘導するのが狙いではないかと予想されている

SpaceXのショットウェル社長は8日「ウクライナ政府と締結した契約は侵攻で影響を受けた病院、銀行、民間人に高速通信を提供することを目的にしており、ロシアとの戦争に使用される無人機制御にスターリンクを使用する行為は契約の範囲を超えている。我々はスターリンクを兵器化する意図はなかったがウクライナは想定外の方法で、合意の一部ではない方法で無人機制御に使用した」と説明し、スターリンクを無人機制御に使用できないよう制限を実施したと明かした。

出典:Public Domain

SpaceXは国家の安全保障をビジネスターゲットにした新しい衛星通信サービス構想「スターシールド(サービス内容の詳細や開始時期などは不明)」を昨年12月に発表、最も厳しい政府の要求要件を満たすため高度な暗号化通信機能の追加提供や、軍事衛星と統合運用できるようシステムの相互運用性を確保すると説明しており、今回の措置は「安全保障分野におけるスターリンクの使用を明確に禁止し、この分野の需要をスターシールドに誘導するのが狙いではないか」と予想されている。

因みにウクライナのフェドロフ副首相兼デジタル化担当相はSpaceXの制限について「数ヶ月前にジオフェンシングの機能に変化があったが、今のところウクライナのスターリンク運用に問題はない。イーロン・マスクは我々の勝利に貢献する最大の民間寄附者の一人だ。スターリンクは何千人もの命を救い、エネルギーインフラを稼働させ、複雑な手術を行う医師を助け、多くの一般市民にインターネットへの接続ポイントを提供している。SpaceXの貢献度は1億ドル以上で今後もスターリンクの安定した運用を期待している」と述べている。

出典:Public Domain

ウクライナ軍が戦いに使用するスターリンクの状況は不明だが、現在もウクライナ軍がスターリンクを使用して無人機を飛ばしているという報告もあるため、SpaceXの発表は表向きなものである可能性が高い。

関連記事:スターリンクに対するロシア軍の妨害、SpaceXが直ぐに対応して無効化
関連記事:ウクライナ軍が依存するStarlink、コスト負担の問題でサービス停止の危機
関連記事:米国とEUがStarlinkへの資金供給を検討、ウクライナ向けのコストを負担する可能性

※アイキャッチ画像の出典:Генеральний штаб ЗСУ
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投稿者: 航空万能論GF管理人 欧州関連 コメント: 2  』

GAFAM襲う「中年の危機」 米テック大手に地殻変動

GAFAM襲う「中年の危機」 米テック大手に地殻変動
米州総局編集委員 阿部哲也
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN301HK0Q3A130C2000000/

『米国のテック業界では、こんな見方が長く常識とされてきた。「テクノロジーにバブルは絶対起こりえない」。米カリスマ起業家、ピーター・ティール氏の言葉だ。しかし現実の各社はいま、長いバブルの後遺症ともいうべき厳しい冬の時代に直面している。
史上最悪ペースの人員削減

異変は史上最悪ペースの人員削減にあらわれる。グーグル、メタ、アマゾン・ドット・コム、マイクロソフト……。「GAFAM」と呼ばれる大手はほぼ…

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『異変は史上最悪ペースの人員削減にあらわれる。グーグル、メタ、アマゾン・ドット・コム、マイクロソフト……。「GAFAM」と呼ばれる大手はほぼ総崩れとなり、2023年に入ってからもリストラ計画が止まらない。

世界のデータ経済の成長を引っ張り、米国の繁栄の象徴でもあったテック業界だ。いったい何が起きているのか。現象をひもとくキーワードが「midlife crisis(中年の危機)」である。

「最も興味深く重要な山を征服し、次を探して苦しんでいる」(米アトランティック誌)
「激しい気移りに、衝動的な決断、そしてひどい後悔にさいなまれている」(米ブルームバーグ通信)

中年の危機とは老いを自覚し、気力を失った精神状態をさす。人生の折り返し地点を過ぎ、生き方に揺れる。米国では昨年末以降、テック各社を惑う中年になぞらえ、論評する声が増えた。

「コロナブーメラン」響く
短期的にみれば、足元の相次ぐリストラは単に悪環境が重なったからだとする解釈は多い。

グーグルのピチャイCEOは大規模リストラについて、新型コロナ特需を見越した事業の急拡大が原因と釈明した(写真は22年10月、東京)
「過去2年間の劇的な成長に見合うよう、いま直面する現実とはまったく異なる判断を下してしまった」

1万2000人を削減するグーグルのスンダー・ピチャイ最高経営責任者(CEO)が釈明するように、とりわけ「コロナブーメラン」が各社を悩ます。新型コロナウイルス禍でリモートワークが普及し、各社は自社サービスの利用増を見越して競うように大量採用に踏み切った。だがその特需は過ぎた。

時を同じくして急ピッチの利上げが始まり、新事業に欠かせないイージーマネーも断たれた。業績は伸びが鈍り、株主のフラストレーションはたまる。経営者ともども長期への余裕をなくし、株価を保つには人件費をはじめとするコスト削減でしのがざるをえない。

3つの地殻変動

問題はなぜ、こうした負の連鎖が一斉に業界全体へ広がっているかにある。背景にはコロナやインフレだけでは片付けられない構造的な変化、各社を襲う中年の危機があるというのだ。

フェイスブックを展開するメタをはじめ、ビッグテックは大きな構造変化に悩まされている=ロイター

米テック業界、とりわけビッグテックをめぐっては、3つの地殻変動がその基盤を根本から揺らしている。

第1は市場の成熟だ。グーグルは世界の検索の9割を独占し、各国で普及するアップル端末は20億台を超す。メタのフェイスブックは月間30億人が使い、アマゾンだけで消費大国である米国のネット通販の4割を担う。

もはや各社とも大きくなりすぎて、互いの事業領域を食い合うカニバリズムも深刻になっている。ブルーオーシャン(未開拓市場)を謳歌できたこれまでのようにはいかない。

さらに内なる危機、巨大化に伴う文化の変容も強まる。

「従来型の企業にはならない」。共同創業者のラリー・ペイジ氏がこう言ってスタートしたグーグルも、いまでは兄弟会社含めて19万人が働く。

遊び場のようなオフィスに無料のカフェテリア、医療保険など福利厚生も手厚い。斬新な職場づくりで一世を風靡したが、現在は昼食の牛肉ひとつに異論が出る。人工知能(AI)やドローンで米国防総省と接近し、大規模な反対運動も招いた。多様化への対応と責任は膨らむ。

テック業界が存在感を増すにつれ、各国政府との関係も微妙になってきた。第3の逆風が世界的な監視網である。

グーグルに対し、ガーランド米司法長官は「15年にわたり反競争的な行為を繰り返してきた」と鋭く批判した=ロイター

包括的なテック規制で先行する欧州だけにとどまらない。米司法省もついにグーグルのネット広告事業に対し、分離分割を求めて訴訟に動いた。主要各社が過去最高額のロビー活動を展開していたにもかかわらずだ。

いまや各社のサービスは各国の政治や社会をも動かす。シリコンバレー流を前面に、自由奔放にやってこられた時期は終わった。

短命化する米主要企業

米コンサル会社、イノサイトの調べによると、S&Pの株価指数を構成する主要500社は短命化が進む。1970年代後半の「平均寿命」は30〜35年だったが、今後10年間は15〜20年にまで短くなる。

メタ19歳、グーグル24歳、アマゾン28歳、アップル46歳、マイクロソフト47歳……。主役交代の激しい米国経済にあっては、各社とも決して若くはない。むしろすでに全盛期を過ぎたと見られてもおかしくない局面にさしかかっている。

テック各社はスマートフォンとアプリによる新たな情報革命を推し進め、広告、娯楽、金融とあらゆる分野を一変させてきた。これまで成し得たものが大きいだけに、次に挑む山もなかなか見つからない。

アマゾン創業者のベゾス氏(左から2人目)は宇宙開発ビジネスへ転身した=ロイター
迷いは何より有力経営者の相次ぐ転身にも見て取れる。

アマゾン創業者のジェフ・ベゾス氏は宇宙開発のためにCEOを辞し、メタをネット広告の巨人に変えたシェリル・サンドバーグ氏も引退した。高く険しい山を登り切った経営トップらがテック各社を次々と離れていく。こうした傾向は業界全体が惑いのさなかにあることと無縁ではない。

消えるムーンショット

気になるのは、次代を担うはずのムーンショット事業も次々と消えている点だ。たとえばアマゾンは22年秋、社内の極秘研究所を大幅に縮小し、エネルギーや環境関連の一部プロジェクトを取りやめた。

「テック企業が夢と野心を失えば、何が残るのか」。グーグルのニューヨーク拠点に勤めていた元従業員は病気の家族を救うため、ヘルスケア関連の新興企業に転職するという。老いるビッグテックを去った人材が各地で新たな種をまけるか。米国のみならず、世界の経済の「次」にも関わってくる。

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堀越功
日経BP 日経クロステック副編集長
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分析・考察 今のビッグテックに起きている人員削減や分離分割を求める動きは、過去の歴史に照らし合わせると、1984年の米AT&Tの分割に匹敵する動きにつながるかもしれません。当時世界最大の企業で米国の通信市場を独占していたAT&Tの分割は、ベビーベルと呼ばれる地域通信事業者を生んだほか、その後のインターネット革命を生む土壌になったと言われています。現在のビッグテックを襲う地殻変動は、次の産業を生みだすという米国流のダイナミズムにつながる可能性があります。
2023年2月8日 9:16いいね
1
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南川明
インフォーマインテリジェンス シニアコンサルティングディレクタ
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別の視点6万人強の人員削減は大規模であるが全社員220万人の3%である。株価維持の為には更なる人員削減が必要なほどに見える。GAFAMと言われる5社が次のプラットフォームを構築して全社が生き残れるとは思えないが、次のプラットフォーム構築に向けた開発は着実に進んでいると見ている。
近年のコンピューティング能力の向上で医療の進歩は急速に高まっているようだ。2035年にはほとんどの病気は治療可能とまで言われるようになってきた。そんな事を実現できるテック産業が終わるとは思えない。
2023年2月8日 8:51 』

米政府、ファーウェイへの輸出許可を全面停止 FT報道

米政府、ファーウェイへの輸出許可を全面停止 FT報道
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN310E60R30C23A1000000/

 ※ 今日は、こんな所で…。

『【ワシントン=飛田臨太郎】英紙フィナンシャル・タイムズ(電子版)は30日、バイデン米政権が華為技術(ファーウェイ)への輸出許可を停止したと報じた。すでに禁じている半導体などに加えて全面的に米技術・製品の輸出を取りやめる措置になる。

米政府は2019年5月に原則、輸出禁止の対象とする「エンティティー・リスト(禁輸リスト)」にファーウェイを加えた。その後も一部の品目については輸出許可を与えていたとみられる。完全に取引を遮断し、ファーウェイの経営に一段と打撃を与える。

米商務省の広報担当者は日本経済新聞に「エネルギー省や国防総省など各省の輸出管理担当者と緊密に協力しながら政策や規制を継続的に評価し、外部の関係者と定期的にコミュニケーションをとっている」と語った。そのうえで「特定企業の審議についてコメントはしない」と述べた。

バイデン政権は22年11月、ファーウェイの通信機器について米国内での販売を事実上、禁じた。米国内で販売する際に必要な認証の対象からファーウェイを外した。輸出入ともに厳しい制限をかけることになる。

22年10月からスーパーコンピューターなどに使われる先端半導体をめぐり、中国への技術・製造装置・人材などの輸出を事実上、禁止する措置を始めた。バイデン政権の対中輸出規制は最先端品は「面」で、重要企業は汎用品も含めて「点」で抑える戦略をとる。

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ニューズレター https://regist.nikkei.com/ds/setup/briefing.do?n_cid=DSREA_newslettertop 

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柯 隆
東京財団政策研究所 主席研究員
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分析・考察 

ブリンケンが北京訪問を前に、このニュースが飛び込んできた。これではブリンケンが北京を訪問しても、米中関係は改善しない。ただこのニュースをみて、正直に驚くことはない。5Gの技術を持つ中国のリーディングカンパニーのファーウェイを徹底的に制裁するのはアメリカの戦略。CFOがカナダで拘束されたことから始まった制裁はファーウェイを完全に無力化している。振り返れば、少し前まで、中国製造2025が謳歌されていた。清華大学の胡鞍鋼教授は北京で開かれたフォーラムで我が国の科学技術はすでに全面的にアメリカを凌駕していると豪語した。世界を知ってから発言したほうがいい
2023年1月31日 7:54

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バイデン政権』

欧州委員会、TikTokがEU規則順守しなければ「禁止する」

欧州委員会、TikTokがEU規則順守しなければ「禁止する」
https://www.epochtimes.jp/2023/01/133089.html

『欧州委員会のティエリー・ブルトン氏は19日、中国動画投稿アプリ「TikTok」が利用者の基本的権利を保護するEU・デジタルサービス法(DSA)順守しなければアプリを「禁止する」と言明した。

TikTokの周受資・最高経営責任者(CEO)とのビデオ会談で、ユーザーが「有害で、時には生命を脅かすコンテンツ」に数秒でアクセスできることは「容認できない」と強調。EU規則を順守しなければ「市民を守るためにあらゆる制裁措置を取る」と発言した。』

(※ 無料は、ここまで。)

アップル、自社製スクリーンを24年に利用開始

アップル、自社製スクリーンを24年に利用開始-サムスンに痛手
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2023-01-11/ROAPMOT1UM0W01

 ※ 有機ディスプレイの「焼き付き問題」を、解消できなかったんだろうな…。

 ※ 値段が上がり過ぎて、みんな「中古でいいや。」となったことも、一因だろう…。

 ※ 「3年近く使って、焼き付いたiPhone」なんてものは、二束三文だろうからな…。

 ※ とりあえずは、ディスプレイの小さな「ウオッチ」系から始めるようだ…。

『 2023年1月11日 9:39 JST 更新日時 2023年1月11日 12:32 JST

アップル、初のカスタム・マイクロLEDの投入準備
Apple Watchの最上位モデルで移行開始、iPhoneでも利用へ-関係者

Apple’s screen development and manufacturing facility in Santa Clara, California.

Source: Bloomberg

米アップルはモバイル機器で自社製スクリーンを早ければ2024年から使い始める計画だ。事情に詳しい複数の関係者が明らかにしたもので、サムスンやLGなどのパートナーへの依存を減らし、自社製部品を増やす取り組みの一環。

  関係者によれば、アップルはまず、来年末までにスマートウオッチ「Apple Watch」の最上位モデルでディスプレーの切り替えを目指す。現行の有機EL(OLED)をマイクロLEDと呼ばれる技術を採用したディスプレーにアップグレードすることになり、いずれはこのディスプレーをスマートフォン「iPhone」など他の製品でも利用する計画だという。

EMBARGO-SH-01-Lede
カリフォルニア州サンタクララにあるアップルのスクリーン開発製造施設
Source:Bloomberg

  こうした変更は、部品を自社製に置き換え、製品の設計や機能の制御力を強める幅広い取り組みの一環。同社はパソコン「Mac」でインテル製チップから自社設計チップに移行を進めており、iPhoneでも主要なワイヤレス部品で同様のことを行う計画だ。

アップルの担当者はコメントを控えた。

  アップルによるスクリーンの移行は数年がかりで進められてきた。ブルームバーグは2018年に、アップルが独自のディスプレーを設計しApple Watchから使用する計画について報じていた。こうした動きは、Apple Watchのスクリーンを供給する主要サプライヤーであるサムスンディスプレイやLGディスプレイにとって打撃となる。

  11日のソウル株式市場では、ブルームバーグの報道を受け、LGディスプレイの株価は一時3.5%下落した。サムスン電子の株価は午前の取引で上げ幅を縮小した。

  アップルは現在、サムスンやLGに加え、ジャパンディスプレイやシャープ、京東方科技集団(BOEテクノロジー・グループ)などのメーカーからもスクリーンを調達している。

  サムスンとLGはコメントを控えた。ブルームバーグの集計データによると、アップルはLGディスプレイの売上高の36%を占める。サムスンの売上高に占めるアップルの割合は約6.6%。
Apple’s Big Bets

Display research is part of Apple’s quest for cutting-edge new products

Source: Apple

関連記事

アップル、ブロードコム製チップを自社製に切り替えへ-関係者 

原題:Apple to Start Using Own Screens in 2024 in Blow to Samsung (1) (抜粋)
(LGやサムスンの株価などを追加して更新します)』

もしかして、TikTok中毒になってない?専門家が注意喚起!

もしかして、TikTok中毒になってない?専門家が注意喚起!
ギャンブル並みの中毒性があるのだそう…!
https://www.cosmopolitan.com/jp/beauty-fashion/health/a40479955/tiktok-addiction-220701-hns/

『次のようなシーンを思い浮かべてみてほしい。仕事から帰ってきて、ソファに寝転びながら時計を見たら午後6時5分。「夕飯前に少しだけTikTokを見よう」と自分に言い聞かせ、パスタを茹でる前の5分間だけ自由時間を確保する。スクロールして、ダブルタップして、「いいね」ボタンを押している間に、気づくと外が暗くなっていて、時刻が午後7時45分になっていることに驚く…。

もしこんな状況に思い当たる節があるのなら、それはあなただけではない。新たな研究によると、TikTokの(少なくとも)月間世界ユーザー10億人のうち、6.4%(6400万人、つまり英国の人口とほぼ同じ)はTikTokに依存する「リスクあり」に分類された。いっぽう、25.4%は「リスク低め」に分類されたが、それでも依存する可能性はあるという。

では、私たちはどのタイミングで本格的なTikTok中毒に陥ってしまうのだろうか?そして、もし自分が中毒になってしまったらどうすればいいのだろうか?

【INDEX】

TikTokの中毒度をチェックする方法は?
TikTokに中毒性がある理由は?
TikTokはどのような取り組みをしている?
TikTokをお休みする時間を設ける

TikTokの中毒度をチェックする方法は?

TikTok中毒かどうかをテストする「診断」は存在しないが、『Addictive Behaviours Journal』に掲載された最近の科学的研究によると、TikTokと不健全な関係を築いていると思うならば、ある兆候に注意する必要があるという。

トリニダード・トバゴ大学の研究著者トロイ・スミス氏は、心理学・神経科学のニュースウェブサイト『PsyPost』で次のように語っている。「妻に冗談で、君はTikTokとWhatsAppに夢中になっていると話していたのですが、私はその後、実際に“SNS中毒”あるいは“ネット中毒”と思しき若者と関わりのある、2人の人物に話を聞きました」

「そのうちの1人は、息子がナーバスになっているように見え、食事を拒否し、制限されているときはSNSにアクセスするために嘘までつこうとしたと語りました」「私はこの話を聞いて、TikTokの使用に関連するこうした中毒のような行動が、どの程度一般的であるのかを把握し、根本的なメカニズムについての理解を深めたいと思いました」

スミス氏は研究結果を踏まえ、TikTok中毒の心配がある場合に注意すべき兆候について、次のように述べている。「中毒を示す最も明確な兆候は、SNSを奪われてアクセスできなくなったときに、ユーザーがナーバスになったり、イライラしたり、不安になったり、強い悲しみの感情を示すこと(離脱)、そして、SNSの使用を自制しようとする試みがうまくいかないこと(再発)です」
ADの後に記事が続きます
tiktok and facebook application on screen apple iphone xr
5./15 WESTGetty Images

それだけでなく、354人の大学生のデータを分析したこの研究では、TikTok中毒になるリスクと、性別やそれまでのメンタルヘルス上の問題との間に、相関関係があることがわかった。中毒の「リスクがある」と認定されたTikTokユーザーは、孤独感や外向性のスコアが高い傾向にあり、女性ユーザーは、男性ユーザーに比べて「リスクがある」可能性が高いことがわかった。

また、研究結果からは、SNSユーザーがある1つのプラットフォームに依存している場合、別のプラットフォームに依存している可能性がないことも明らかになった。
TikTokに中毒性がある理由は?

TikTokがなぜこれほどまでに中毒性があるのかを探ったところ、私たちが夜遅くまで延々とスクロールを続けてしまう理由はいくつもあるそう。デジタルカルチャーを専門とする社会学者のジュリー・オルブライト博士は、YouTubeの『Tech First』に出演し、こう説明している。

「画面をスクロールしていると、ときどき楽しい写真や何かが目に留まり、それがあなたの注意を引きます。すると、少量のドーパミンが脳の快楽中枢を刺激し、スクロールを続けたくなってしまうのです」

オルブライト博士は、TikTokの使用経験をカジノのスロットマシンになぞらえ、スクロールをしているうちに自分の目が好きなものとそうでないものを見極め、それがもっと続けたいという欲求につながると指摘している。

「心理学の世界では、これを“ランダム強化”と呼んでいます。つまり、勝つときもあれば負けるときもあるということです。TikTokのようなプラットフォームは、まさにスロットマシンのように設計されています。そして、誰もが知っているように、スロットマシンには中毒性があります。ギャンブル依存症という言葉をご存じだと思いますが、私たちが使っているデバイスやプラットフォーム、アプリにも、スロットマシンと同じような中毒性があるということはあまり知られていません」
スロットマシーンのような中毒性を持つtiktok
whyframestudioGetty Images
TikTokはどのような取り組みをしている?

UK版『コスモポリタン』がTikTokの広報担当者に対して、依存症になるユーザーがいることを認識しているか、それに対して何らかの対策を行っているか、という質問を投げたところ、次のような回答が得られた。「当社では、ユーザーがTikTokの体験をコントロールできていると感じられるよう、ユーザーの幸福をサポートすることに注力しています」

「そのため、アプリを中断するためのフィード内のリマインダーを積極的に表示し、若年ユーザーに対しては、夜間のプッシュ通知を制限しています。また、“スクリーン・タイム・マネジメント”の設定により、時間制限を選択することで、誰もが理想的なスクリーンタイムを管理できるようにしています」
TikTokをお休みする時間を設ける

TikTok(やその他のSNS)の使用に不安がある人は、アプリの使用時間の制限を設定したり、長く休みたい場合はアプリを完全に削除したりするなど、スクロールする時間を減らすためにできることがたくさんある。

デジタル・ウェルビーイング・ムーブメント「Time To Log Off」の創設者であるターニャ・グッディン氏は、家庭内にスマホの「立ち入り禁止区域」を作るよう推奨している。「私たちは(スマホの立入禁止区域を)寝室にしようと考えがちですが、実際にはトイレが優先されるべきです」と語り、まずはトイレでの際限のないスクロールに終止符を打つことを勧めている。

また、TikTokをお休みしようと決めた場合は、誘惑されないように何か別のことに集中する必要があるという。グッディン氏は、「両手を使って何かに熱中することは、反射的にスマホを手に取って何の目的もなくスクロールし続けてしまうのを防ぐのに最適な方法です」と説明し、パズルやクラフト、パン作りなどを夜の新たな楽しみにすることを提案している。

※この記事は、海外のサイトで掲載されたものの翻訳版です。データや研究結果はすべてオリジナル記事によるものです。

Translation: Masayo Fukaya From COSMOPOLITAN UK 』

米下院の対中タカ派議員、中毒性高いTikTokは「デジタル薬物」

米下院の対中タカ派議員、中毒性高いTikTokは「デジタル薬物」
https://www.epochtimes.jp/2023/01/131238.html

『米国では、中国動画投稿アプリTikTok(ティックトック)に対する批判が議員や州政府から高まっている。マイク・ギャラガー下院議員は1日放送の米NBCの番組で、TikTokは中国政府が提供する依存度の高い「デジタル薬物(フェンタニル)」だと表現した。

ギャラガー氏はTikTokについて「非常に中毒性が高く、破壊的だ。継続的な利用は特に若い男女に悪影響を及ぼすとの懸念すべきデータがある」と述べた。』

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「世界最安」iPhone、1人数百台購入も Apple追徴課税

「世界最安」iPhone、1人数百台購入も Apple追徴課税
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC217A80R21C22A2000000/

『米アップルの日本法人が東京国税局から消費税を追徴課税されたことが判明した。1人で数百台購入するなど、免税の要件を満たさない不適切な販売が多数あったもようだ。主力製品のiPhoneは世界の主要国で日本が最も安い水準にある。日本で仕入れて海外転売すれば利益が出やすい構図で、転売業者が暗躍していた可能性もある。

アップルジャパン(東京・港)は税務調査を受け、2021年9月期までの2年間で約130億円の…

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アマゾン、近所のお店が配達員になる新配送プログラム

アマゾン、近所のお店が配達員になる新配送プログラム
https://www.watch.impress.co.jp/docs/news/1464707.html

『 臼田勤哉 2022年12月19日 12:00

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Amazonは、新たな独自配送プログラム「Amazon Hubデリバリーパートナー」を19日から開始する。ラストマイルの新たな配送モデルで、地域の中小企業にAmazon商品の配達を委託する仕組み。

現在、雑貨店や写真館、レストラン、新聞配達点、居酒屋、美容室、花屋、アパレルショップ、コーヒーショップなど数百の企業がパートナーとして参加しているという。

Amazon Hubデリバリーパートナーは、その日の営業スケジュールにあわせて、空き時間などに配送を行なえる。Amazonは決められた日にパートナーの事務所や営業所、店舗などにまとめて商品を配達。その商品をパートナー企業のスタッフが空き時間を利用して配達する。パートナーは本業の“スキマ時間”を使って副収入を得られるという。

同プログラムでは、すべてのパートナーが最長2km圏内で配達する。配達方法は自由に選択できるが、通常は自転車や徒歩で配達しているという。また配達する商品は通常1日30~50個で、数時間ですべての配達を完了できるという。参加の条件としては、オフピーク時に配達時間を確保できることと、商品保管のための十分なスペースを用意していること。

同プログラムの募集エリアは、現時点では東京・千葉・埼玉・神奈川・大阪・京都・兵庫・愛知・福岡の9カ所。今後全国の中小企業に向けてエリア拡大を目指す。なお。同プログラムは、インド、スペイン、メキシコでも運用している。
地域を知る配達パートナー。中小企業を支援

Amazonロジスティクス 事業本部長 本部長のアヴァニシュ・ ナライン・シング氏は、アマゾンの中小企業を支援する取り組みの一環として、「Amazon Hubデリバリーパートナープログラム」を紹介。ヤマト、佐川、日本郵便などの運送会社と、独自のデリバリーサービスプロバイダー、Amazon Flexに加え、“地域を知る”Hubデリバリーパートナーを加えることで、ラストマイル配送を強化していく。

左から写真館フォトショップダイヤの鈴木さん、大阪の居酒屋・卸の濱田さん、アマゾン アヴァニシュ・ ナライン・シング氏、柴犬専門店「オオノ」の大野さん

2020年の9月から試験運用していたが、全国9都道府県に拡大し、本格展開する。発表会に参加しているパートナーからは「空き時間を有効活用でき、健康維持しながら副収入を得られる」「居酒屋がコロナ禍で厳しい時に副収入が助けになった。町内会活動にも役立ち、居酒屋への新規の来店も増やせる」「本業を優先してスケジュールが決められる」といった評価が聞かれた。

店舗から半径2kmと小さな配達エリアを受け持つため、地域に詳しく配達効率が高い点も特徴。報酬の支払いは週払いとなる。

なお、プログラムの対象は中小企業のオーナーで実際の店舗を持つ人のみ。店舗を持たない人は対象外となる。また、店舗での引き取り(ピックアップ)には対応せず、配達員が家に配達を行なう。 』

東京暮らしのジャック・マー氏 たそがれの新自由主義

東京暮らしのジャック・マー氏 たそがれの新自由主義
経済部長 高橋哲史
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA138OX0T11C22A2000000/

『中国のネット大手、アリババ集団を創業した馬雲(ジャック・マー)氏に東京で会った関係者は「ちょっと疲れたようすだった」と印象を語った。

むりもない。馬氏が「すぐれたイノベーションは監督を恐れない」と発言し、中国共産党の怒りを買ったのは2年前の2020年秋。それ以降、馬氏は公の場に姿をみせなくなった。当局の監視下に置かれ、一時は出国もままならなくなったとうわさされた。

その馬氏が、半年近く東京で暮らしているという。中国では習近平(シー・ジンピン)指導部が「共同富裕」の名の下に、巨大なIT企業や富豪への締めつけを強める。馬氏の居場所はなくなった。

江沢民(ジアン・ズォーミン)元国家主席が11月30日に死去したニュースも、東京で聞いたかもしれない。

馬氏と江氏には浅からぬ縁がある。馬氏のような私営企業家はかつて「資本家」とみなされ、共産党員になれなかった。それを変えたのが江氏だった。

02年秋の党大会で「三つの代表」と呼ばれる思想を党規約に盛り込んだ。労働者や農民の政党である共産党を「人民の広範な利益の代表」と定義し直し、民間の企業家も入党できるようにした。

江氏の背中を押したのは「新自由主義派」と呼ばれる中国の経済学者たちだ。「社会主義市場経済」を発案した呉敬璉氏を筆頭に、官がコントロールする国有部門をできるだけ小さくし、市場の力をめいっぱい使って民の活力を引き出すべきだと訴えた。

オーストリア出身の経済学者ハイエクや、米シカゴ学派のミルトン・フリードマンに連なる思想だ。大きな政府を掲げたケインズ主義のほころびが目立ち始めた1980年代以降、サッチャー英政権やレーガン米政権が採り入れ、経済の再生に成功した。

鄧小平の主導で1978年に始まった中国の改革開放も、広い意味でこうした新自由主義の潮流に乗った動きと位置づけられる。

鄧の後を継いだ江沢民氏は、首相を務めた朱鎔基氏とともに経済の市場化と国有企業の改革を進めた。私営企業家の入党を認める「三つの代表」は中国式の新自由主義を新たな段階に押し上げ、中国を米国に次ぐ世界2位の経済大国に導いた。

その新自由主義がいま、世界で逆風にさらされる。一部の人に富が集中し、格差が許容できないほどに広がったからだ。

英国の欧州連合(EU)からの離脱(ブレグジット)や、米国でのトランプ大統領の誕生といったかたちでポピュリズム(大衆迎合主義)が台頭した。米欧は新自由主義を見直し、日本でも岸田文雄首相が「新しい資本主義」を掲げる。

中国は新自由主義そのものの否定にカジを切った。習近平国家主席は国有企業に大きな力を与え、経済のあらゆる分野に党のにらみをきかせる。まるで毛沢東時代の計画経済に戻ろうとしているかのようだ。

日本経済研究センターは14日、2030年代とみていた名目国内総生産(GDP)の米中逆転がもう起きないとする試算をまとめた。厳しい規制がイノベーションを阻みかねないのが理由のひとつだ。

新自由主義の申し子である馬雲氏が、中国で再び表舞台に立てる日は来るのか。その運命は、世界経済の未来にも影を落とす。

経済部長(経済・社会保障グループ長) 高橋哲史

大蔵省(現・財務省)を振り出しに霞が関の経済官庁や首相官邸、自民党、日銀などを取材。中国に返還される前の香港での2年間を含め、計10年以上に及ぶ中華圏での駐在経験をもつ。2017年4月からは中国総局長として北京を拠点に中国の変化を報じ、21年4月に帰国した。

日本経済新聞 経済・社会保障Twitter https://twitter.com/nikkei_keizai

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Amazonが約1万人の人員削減を計画 米報道、週内にも

Amazonが約1万人の人員削減を計画 米報道、週内にも
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN14CGE0U2A111C2000000/

 ※ 静かに、「景気後退の足音」が聞こえるようになって来たな…。

『米アマゾン・ドット・コムが約1万人の従業員の削減を計画していることが14日、明らかになった。ニューヨーク・タイムズなど複数の米メディアが関係者の話として伝えた。早ければ、週内にも人員整理を始める。同社はすでに新規採用を凍結しており、さらなる人件費の抑制に踏み込む。

【関連記事】Amazonのベゾス会長、私財17兆円の大半を寄付へ

報道によれば、アマゾンは小売りや人事、端末部門を中心に、事務職や技術職の従業員を減らす。音声アシスタント「アレクサ」を手がける部門も対象となる。最終的な解雇の規模については「流動的」としている。

アマゾンの従業員数は、物流施設で働く人も含めて9月末時点で約154万人だった。新型コロナウイルス下でインターネット通販の利用が急拡大したのに伴い、3年前と比べて2倍に増えている。コロナ下では人材の獲得競争も激しく、2022年初めには米国で技術職の基本給の上限を大幅に引き上げていた。

経済の正常化が進むなかでネット通販は減速が鮮明になり、クラウドコンピューティング事業も拡大ペースが鈍っている。一方で物流費やエネルギー価格は上昇し、人件費の負担も強まった。アマゾンは10〜12月期の売上高が前年同期比で2〜8%増えると予想し、前年同期に35億ドルだった営業利益は最大で40億ドルにとどまるとみている。

事業環境の悪化をにらみ、3日には今後数カ月にわたって人材採用を凍結する方針を公表した。翌週には不採算事業の見直しが報じられ、広報担当者が「現在のマクロ環境を考慮し、コストを最適化する機会を検討している」と説明していた。14日に明らかになった人員削減に関して、アマゾンからの回答は得られていない。

金融引き締めに伴うリセッション(景気後退)への警戒が強まるなかで、IT(情報技術)企業を中心に人件費を抑えるための雇用調整が広がっている。メタは9日、全社員の約13%にあたる1万1000人の削減を公表した。11月にはオンライン決済大手のストライプやライドシェア大手のリフトも従業員の1割を超える人数の解雇に踏み切った。

アマゾン創業者のジェフ・ベゾス氏は米CNNのインタビューに応じ、「今がリセッションでなくても、すぐにそうなる可能性が高い」と指摘していた。経済減速に対する懸念が膨らむにつれ、米企業では雇用調整がさらに広がる恐れがある。(佐藤浩実)

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・米テック、人員削減2.8万人 拡大路線が「逆回転」
・[FT]Amazonが不採算事業を見直し アレクサも対象
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ニューズレター https://regist.nikkei.com/ds/setup/briefing.do?n_cid=DSREA_newslettertop 』

メタバース不振で株暴落の米メタ、5つの疑問を直撃

メタバース不振で株暴落の米メタ、5つの疑問を直撃
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC104OF0Q2A111C2000000/

『米メタがフェイスブックから社名を変えて1年が過ぎた。新社名が表す通り、同社はメタバース(仮想空間)に力を注ぎ、多額の投資を継続してきた。その間、同社の株価は軟調に推移。社名変更した米国時間2021年10月29日の323.57ドルから丸1年で99.20ドルまで下落し、その価値は3分の1以下になった。

もちろんメタバースが先行投資フェーズであることは明らかだ。しかし、投資家は巨額投資にしびれを切らし始めている。

22年10月26日に同社が発表した22年7~9月期決算では、メタバース事業部門であるリアリティーラボが36億7200万ドル(約5366億円)の営業損失を計上。セグメント売上高は2億8500万ドル(約416億円)で、前年同期比から半減した。さらに23年度は同部門の営業損失が大幅に増加する見通しを示し、同社の株価は発表後の時間外取引で約20%急落した。

「一人負け」「期待はずれ」──。市場からこんな批判が漏れるなか、マーク・ザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)は決算会見で、メタバースへの巨額投資を継続する方針を示した。

もっとも、この数カ月は業績や株価ばかりに注目が集まり、肝心のメタバースの可能性について議論される機会は少なくなった。同社は10月25日に仮想現実(VR)端末のハイエンドモデル「Meta Quest Pro(メタクエストプロ)」を発売したばかり。米マイクロソフトとの提携も合わせて発表した。

足元の数字を見るだけでは、メタバースの真価を見逃す恐れがある。この新技術は私たちにどんな便益をもたらすのか。また、本当にメタの次代の主力事業になり得るのか。同社でメタバースにおける働き方やコラボレーションなどを統括するマイカ・コリンズ・ディレクターに「5つの疑問」をぶつけた。

◇   ◇   ◇

疑問(1)「セカンドライフ」のようにブームで終わらない?

――仮想空間の一種だった「セカンドライフ」のブームが数年で終わったことを理由に、メタバースも一過性のブームで終わるのではないかという指摘があります。どう考えていますか?

「当時はセカンドライフをVRで体験する方法を研究する機関がいくつかあっただけでした。でも、今は違います。バーチャルな3次元空間に人々が集まり、物をつくり、体験をし、参加し、共有する。こうした経験を通じて社会的なつながりが持てるプラットフォームが数多く出現しています」

Micah Collins(マイカ・コリンズ)氏 Meta Director of Product Management for the Home & Work team。米グーグルでグーグルネストのディレクターを務めた後、2019年に米メタ(当時はフェイスブック)入社。Meta Horizon Workplaceなどワークツールの戦略立案を担当する。オンライン取材の様子を撮影

「(セカンドライフが一過性のブームで終わったのは)セカンドライフの問題でしょう。(メタバースの)3次元空間は携帯電話やパソコン(PC)、ウェブインターフェースなどの2次元のデバイスからでも接続でき、ヘッドマウントデバイスで完全に没入できます。業務用のアプリを通じて、次第に真の価値や社会的なつながり、娯楽などを提供する多くの成功例が見えてくるでしょう」

「既に市場では多くの成功例が出てきていますし、業界は多くのことを学んでいます。セカンドライフ初期の基礎的なアイデアを基に、新しいサービスを構築している例もあります」

疑問(2)マイクロソフトとの提携で何が変わる?

――10月11日にマイクロソフトとの提携を発表しました。コラボレーションプラットフォーム「Microsoft Teams(マイクロソフトチームズ)」をクエストから接続できるようにするなど、アプリ連携に向けて動き出しています。同社との提携はどんな意味を持ちますか。

「Horizon Workrooms(ホライズンワークルーム、メタが提供しているバーチャル会議室)では、人々が集まって映像や音声などを共有することで、社会的な存在を実感できるような空間をつくりたいと考えています。私たちはこの空間をより多くの人に体験してもらいたい」

「VRで共同作業できる空間をつくり、バーチャルな世界にも戻って来られる場所がある。ここでポジティブな経験をしてほしいのです。そして、仮想と現実の境界をなるべく意識せずに空間を接続できるようにしたい。それが(この提携の)狙いの1つです」

「チームズとの連携で、バーチャルな会議室が現実の会議室と接続できるようになります。誰もが常にVRヘッドセットで参加できるわけではありません。2次元のビデオ会議で参加する人や電話で参加する人、オフィスに戻って会議室から参加する人もいる。私たちは誰にでも公平に会議室を提供したいと考えています」

マイクロソフトチームズとクエストのコラボレーションの例。写真奥にチームズのオンライン会議の場面が見える(資料:メタ)

「今後、どのような展開になるかは『お楽しみに』と答えておきましょう。私たちはまだ初期段階にいて、ユーザーが抱えている問題点を洗い出しているところですから」

「私たちはマイクロソフトとの提携に興奮しています。同社は多くの企業が採用する生産性向上ソリューションを幅広く取りそろえています。グーグルも米アップルも自社のハードウエアやソフトウエアで生産性アプリを持っていますが、(マイクロソフトが)競合する企業はそれほど多くありません」

疑問(3)メタバースと実際の空間はどう融合する?

――今の話題に関連して、メタはバーチャルな空間とリアルな空間の融合をどう考えていますか? いわゆるOMO(Online Merges with Offline、オンラインとオフラインの融合)はメタバースでどう実現されるでしょうか?

「私たちの目標は、VRをその場に適合させることです。邪魔されることなく、空間を超えて誰もが同じように接続できる技術を実現する必要があります」

「私たちは既に、メッセージやチャット、それらへの返信などの非同期型ツールで世界の反対側にいる同僚とも仕事をしています。例えば、食事に向かう途中でテキストメッセージを送ったりするでしょう。タイムゾーンが合っていれば同期型のコミュニケーションも取れる。夜中に帰宅するとき、ちょうど朝起きたばかりのロンドンの同僚と話すことができますから。非同期型でも同期型でも、人がつながることに価値があるんです」

「その価値をさらに高めたい。例えば聞き流すだけでいいなら、ビデオ会議で十分な場合もあるかもしれません。しかし、夢中になって(共同作業として)何かしたい場合には、ヘッドセットを手に取れば数秒後には同じ仮想空間で息を合わせた作業ができるんです。自分に合った方法を選んで参加できる。この点が重要なのです。そのためには、誰もが摩擦なくリアルとバーチャルの間を移動できる技術が欠かせません」

「ヘッドセットの価値を既存の仕事の流れに組み込んで、(仕事の仕方を)アップグレードする。既存の空間や既存の仕事の流れと融合する必要があります」

「マイクロソフトだけでなく、米アドビ、米オートデスクなどのアプリケーション開発会社がこのプラットフォームに参入してくるでしょう。アドビのツールを使っているデザイナーのワークフローにVRを組み込むことなどが今後、出てくると思います」
疑問(4)そもそもメタバースの中で経済活動は生まれる?

――これまで仕事の仕方をどう変えるかという視点でお話を伺いましたが、次にメタバースの市場について聞かせてください。メタバースの中で経済活動は生まれると思いますか? つまり、現実世界とは別の新たな市場が生まれるかどうか、どうお考えですか?

「それは、時間が教えてくれるでしょう」

――コリンズさんのお考えは?

「多数のユーザーがVRに集えば、実際に会議場に行ったり高価なホテルに泊まったりする必要はなくなります。企業にとって実質的な経費削減につながることで、サービスプロバイダーはさまざまな(新しいサービスの)検討をするはずです。投資が集まり、開発会社は事業化を繰り返し、メタバースはどんどん発展していくに違いありません」

「私たちは通常では困難な人々の結び付きを支援しようとしています。この技術はあらゆる業種に役立つと信じています」

疑問(5)メタバースでビジネスを展開するための鍵は?

――では、そのためのキーポイントは? どうすれば多くの消費者がメタバースの中で消費などの活動をするとお考えですか?

「さまざまな要素があると思いますが、まず明確なビジョンと長期的な投資が重要だと思います。進化には時間がかかります。一朝一夕にできるものではありません。開発会社との協力も必要です。ソフトウエアの開発キットやアプリケーション・プログラミング・インターフェース(API)の成熟も必要でしょう」

「投資をして一緒に学ぶパートナーを見つけ、多様なニーズを持つユーザーが増える。このプラットフォームでさまざまな問題解決ができることを示せば普及が進み、そうなればより多様な体験ができるようになると考えています」

(日経BPシリコンバレー支局 島津翔)

[日経ビジネス電子版 2022年11月9日の記事を再構成]
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マスク氏と外国の関係「注視に値する」=バイデン米大統領

マスク氏と外国の関係「注視に値する」=バイデン米大統領
https://jp.reuters.com/article/usa-biden-musk-idJPKBN2S008V

『[ワシントン 9日 ロイター] – バイデン米大統領は9日の記者会見で、ツイッターを買収した実業家イーロン・マスク氏と外国との協力関係や技術的な関係について「注視に値する」と述べた。マスク氏が国家安全保障に脅威をもたらすか、またサウジアラビアの複合企業から支援を受けてツイッターを買収したことについて政府が調査すべきか、との質問に答えた。

バイデン氏は「彼(マスク氏)が何か不適切なことを行っているかどうかについて示唆しているわけではない。注視に値すると示唆している」と付言した。

ホワイトハウスは先月、政府がツイッターを含むマスク氏の事業の一部について、国家安全保障の観点から調査を検討しているとの報道を「事実ではない」と否定していた。

マスク氏のツイッター買収は、インターネット上の言論を統制しようとする国々から同氏が圧力を受けるのではないかとの懸念を呼んでいる。同氏が経営する電気自動車(EV)大手テスラは、ネット検閲の厳しい中国を主要な販売・生産拠点としている。

またマスク氏は以前、台湾が中国に一部統治を譲ることで中台間の問題は解決できると発言したり、ウクライナがクリミア半島を永久にロシアに譲るよう提案するなど、物議を醸している。』

マスク氏「共和党に投票を」 無党派層に推奨、反発も

マスク氏「共和党に投票を」 無党派層に推奨、反発も
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN07CVY0X01C22A1000000/

『【シリコンバレー=白石武志】米ツイッターを買収した起業家のイーロン・マスク氏は7日、8日投開票の米中間選挙で米野党・共和党に投票するよう同社のSNS(交流サイト)上で無党派層に呼びかけた。同氏は買収契約を結んだ4月末時点ではツイッターは政治的な中立性を保つべきだと表明していた。従来の約束に反するかのような言動は、波紋を広げそうだ。

【関連記事】トランプ氏のTwitter復帰判断、米中間選挙後に持ち越し

マスク氏は7日、「無党派層の有権者へ」と題する投稿のなかで「権力の共有は、両党の最悪の行き過ぎを抑制する。したがって大統領職が民主党であるならば、私は共和党の議会に投票することをおすすめする」と述べた。

続く投稿では「筋金入りの民主党員や共和党員は決して反対側には投票しないので、誰が実際に政治を担うかを決めるのは無党派層の有権者だ」と強調した。マスク氏は一連の投稿を自らのアカウント画面の最上部に固定し、多くのフォロワーらが閲覧しやすい状態にしている。

マスク氏はツイッターと買収に合意した直後の4月下旬には「ツイッターが社会の信頼に値するためには、政治的に中立でなければならず、それは事実上、極右と極左を等しく動揺させることを意味する」と述べていた。ツイッター利用者の間では、マスク氏の7日付の投稿はこうした従来の約束に反するのではないかとの指摘も出ている。

マスク氏は自らの政治的立場を無党派だと強調した。6月の米南部テキサス州の連邦下院補欠選挙で共和党候補者に初めて投票するまで、各種選挙では民主党候補者に票を入れ続けてきたという。同氏は6月の投稿では11月の米中間選挙は共和党が大勝するとの予想も示していた。

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米中間選挙2022
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蛯原健
リブライトパートナーズ 代表パートナー
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別の視点

商売である以上は事業は中立というのが同社に必ず一般論だろうが、それとは別に経営者ないしは会社が個別の政策是々非々で、ある政党を支援したり献金したりは一般的であるし他ビッグテックも行っている。
ただそうした行為と今回の氏の発言とは趣旨が異なり議論を巻き起こして然るべきと読める。いずれにせよ同氏の独特の言動のユニークさと存在感や影響力の強さにつきメディアが過度にレバレッジし過ぎている感は否めず、それゆえに承認欲求に憑き動かされ余計な発言を繰り返しているある意味でSNS時代を地で行っている人物が最大手SNS一角のオーナー経営者になってしまった事は、改めて剣呑な出来事である。
2022年11月8日 8:05 (2022年11月8日 8:06更新)

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菅野幹雄
日本経済新聞社 上級論説委員/編集委員
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ひとこと解説

これはいけません。絶大な影響力を持つSNSのCEOが、よりによって選挙前日に、特定政党への投票を「推奨」する投稿を自社のプラットフォームで目立つように掲げるとは。選挙管理委員会が「○○党に投票しましょう」と呼びかけるようなもの、いや、それをはるかに上回る影響があります。
大統領の党と違う党に議会を支配させる「チェック•アンド•バランス」を理由に掲げてはいますが、ならばSNS企業のトップはきちんと政治的中立を保つべきです。マスク氏は気まぐれのように、今後も選挙前日の推奨を繰り返すのでしょうか。もっとも、今の米国ではこの件への賛否も民主•共和両党の支持者の間で真っ二つに割れるのかもしれませんが。
2022年11月8日 7:44

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柯 隆
東京財団政策研究所 主席研究員
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ひとこと解説

時代の寵児になっているマスク氏は何かが違う。天才といわれる氏は気まぐれなところがある。政治に関心を払っているが、そのための責任を取らない。出る杭が打たれるが、マスク氏はもう出過ぎたので、打たれることはなかろう。これからは大きく暴れるかもしれない。世界にとって攪乱要因になるかどうかは気になる
2022年11月8日 7:27』

[FT・Lex]Apple、容易でない中国依存脱却

[FT・Lex]Apple、容易でない中国依存脱却
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB040K30U2A101C2000000/

『別れるのは難しい。米アップルに聞いてみればいい。アップルは、同社にとって3番目に重要な市場で、ほとんどの製品が組み立てられている中国への依存度を引き下げようとしている。新型コロナウイルスによるロックダウン(都市封鎖)がサプライチェーンに大きな混乱をもたらしたことから、すでに一部の製品の生産をベトナムとインドに移管した。
アップルが中国依存を下げるべき理由は多くあるが、実行は容易ではない(北京)=ロイター

それでも、米国で時価総額が最大のアップルは、中国に過度に依存しているというのが現実だ。中国当局が「ゼロコロナ政策」に固執していることから、同国におけるアップルの問題は繰り返される恐れがある。

アップルの主要サプライヤーのひとつ、台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業傘下の富士康科技集団(フォックスコン)の従業員が工場で集団隔離されたため、まるで脱獄するようにフェンスを乗り越えて逃げ出す動画は、このことをタイムリーかつ鮮明に思い起こさせる。

世界生産の10%以上に影響か

アナリストによると、河南省鄭州市にある「iPhoneシティー」として知られる製造施設は、フォックスコンのiPhone組み立て能力の約60%を占める。

フォックスコンは、他の工場に生産を移管する準備をしていたと言う。この混乱は、アップルが新製品の「iPhone14」を発売した直後、最も重要な年末商戦の前に発生した。ある推計によると、iPhoneの世界生産能力の10%以上に影響を及ぼした可能性がある。

アップルの2022年7~9月の決算を見て、最近のサプライチェーンの混乱は何でもないと考える向きもあるだろう。大手テクノロジー企業にとっては厳しい四半期決算となったが、アップルの売上高と利益の伸びはともに予想を上回った。だがこの伸びのかなりの部分は、前四半期の販売に支障をきたした生産のボトルネックによってもたらされた。

人件費の上昇、中国経済の減速、貿易や台湾をめぐる米国との緊張の高まりは、中国への依存度を引き下げる多くの理由をアップルに与えた。公平を期して言えば、アップルはすでに多くの部品を他国から調達しているが、製品の大部分は今でも中国で組み立てられている。

中国の信頼できるエネルギー網と効率的な輸送インフラ、そして言うまでもなく現地サプライヤーのネットワークは、アップルが中国と縁を切るのを特に難しくしている。

(2022年11月1日付 英フィナンシャル・タイムズ電子版 https://www.ft.com/)

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【革新的企業の秘訣を学ぶ】-新型コロナ対策も気候変動問題解決も-Amazonの莫大な投資のヒミツに迫る

【革新的企業の秘訣を学ぶ】-新型コロナ対策も気候変動問題解決も-Amazonの莫大な投資のヒミツに迫る
https://legaltec.jp/amazon-info/

『目次 [非表示]

①Amazonの決算データ
    ①-1 最新期の売上/営業利益/EBITDA/当期純利益
    ①-2 売上・営業利益・営業利益率の推移
    ①-3 経営指標
②Amazonの事業内容
    ②-1 Amazonの理念・スローガン
    ②-2 セグメント別の事業内容/ビジネスモデル
③Amazonの主要KPIとその数値推移
    ③-1 EC事業とEC以外の事業の推移
    ③-2 EC以外の売上推移
    ③-3 EC市場の推移
④Amazonのコスト構造
    ④-1 Amazonの販売管理費
    ④-2 Amazonの営業利益の推移
⑤Amazonの投資領域
    ⑤-1 Amazonの買収戦略
    ⑤-2 AWSと知られざる研究機関「Amazon science」
    ⑤-3 最新の投資情報
⑥Amazonの株価・時価総額
    Amazonの株価・時価総額
    Amazonの初期のファイナンス
⑦Amazonの会社情報
    Amazonの基本情報
    Amazonの歴史

①Amazonの決算データ
①-1 最新期の売上/営業利益/EBITDA/当期純利益
決算年月(百万ドル) 19年12月(実績) 18年12月(実績) 前年比
売上高 280,522 232,887 +20.5%
営業利益 14,541 12,421 +17.1%
EBITDA 36,330 27,762 +30.9%
当期純利益 11,588 10,073 +15.0%

※EBITDAとは、営業利益に減価償却費を加えて計算された指標です。
①-2 売上・営業利益・営業利益率の推移

以下の図は、5期にわたるAmazonの売上高、営業利益及び営業利益率をグラフ化したものです。2020年5月期の通期の売上高は2805.2億ドル、営業利益は145.4億ドルであり、営業利益率は5.2%です。
Amazon 利益率

①-3 経営指標

2019年12月期の通期業績は以下の通りです。

売上高:2805.2億ドル(前年比+20.5%)
EBITDA:363.3億ドル(前年比+30.8%)
当期純利益:115.9億ドル(前年比+15.0%)

決算年月(百万ドル) 2018年12月期
2019年12月期
売上高 232,887 280,522
EBITDA 27,762 36,330
当期純利益 10,073 11,588
株主資本額 43,549 62,060
総資産額 162,648 225,248
営業キャッシュフロー 30,723 38,514
投資キャッシュフロー △12,369 △24,281
財務キャッシュフロー △7,686 △10,066
現金・現金同等物の期末残高 41,250 55,021

4Q業績ハイライト (2019年12月期)

以下は、2019年12月期の業績を4Qに分けた指標です。
売上が右肩上がりで上昇する一方、利益は売上に比例せず、最も売上の低い1Q目に最も高い利益であることがわかります。
期間 2019年12月期
1Q 2019年12月期
2Q 2019年12月期
3Q 2019年12月期
4Q
売上高 59,700 63,404 69,981 87,437
営業利益 4,420 3,084 3,157 3,880
当期純利益 3,561 2,625 2,134 3,268

経営指標(過去5年分)

5期の間に売上高は2.5倍以上の上昇をしています。
また、純利益に関しては5期の間に20倍に迫る勢いで増加をしています。
どの指標も右肩上がりであり、期を追うごとに成長し続けていることが読み取れます。
決算年月(百万ドル) 2015年12月 2016年12月 2017年12月 2018年12月 2019年12月
売上高 107,006 135,987 177,866 232,887 280,522
EBITDA 8,514 12,302 15,584 27,762 36,330
当期純利益 596 2,371 3,033 10,073 11,588
株主資本額 13,384 19,285 27,709 43,549 62,060
総資産額 64,747 83,402 131,310 162,648 225,248

②Amazonの事業内容
②-1 Amazonの理念・スローガン
理念

Amazonの理念
「地球上で最もお客様を大切にする企業であること」

創業者ジェフ・ベゾスの理念
「顧客は常に正しい」
スローガン

Amazonのスローガン
「biggest selection in the earth」
(世界最大のセレクション)
②-2 セグメント別の事業内容/ビジネスモデル

Amazonの年間を通しての売上は2805億ドルにのぼり、主な収益構造は以下の6つの事業に区分されています。
オンラインストアの直販サービスが、52.8%と全体の売上の約半数を占めています。
各事業ごとの数値や展開しているサービスは、以下の通りです。

 オンラインストアの直販 : 52.8%
    オンラインストアで、商品を顧客へ直販するサービスの売上が全体の売上の半数程度を占めています。
    オンラインストアでの直販サービスは、Amazonの屋台骨となるサービスです。
マーケットプレイスの第三者販売サービス : 18.4%
    オンラインストアでの直販サービスに次ぐ規模の収益源は、マーケットプレイスの第三者販売サービスです。全体の売上のおおよそ2割程度を占めています。
    マーケットプレイスでは、Amazonではない第三者である販売者が新商品や中古品をAmazonが運営するプラットホームで販売できるサービスです。
    販売者は、アマゾンの販売プラットホームを使用することで、Amazonの顧客層にアクセスすることができます。また、マーケットプレイスで商品が売れた場合、顧客への配送やカスタマーサービスはAmazonが請け負います。
    一方、Amazonは、自社サイト上での販売を在庫の追加投資をせずに拡大することができます。
    Amazonは、マーケットプレイスで販売を行う顧客から手数料などを収益として獲得します。
Amazon Web Service(AWS) : 11.0%
    Amazonの売上の中で3番目の規模を誇るのがAmazon Web Serviceです。
    このサービスは、クラウドコンピューティングというインターネットにアクセスするだけで使うことのできるサーバーを提供するサービスです。従来のサーバーに比べ、低コストで運用できるため、多くの企業で導入されています。
    このサービスは、Amazonが自社商品の在庫管理やデータ分析を行うため、 ITを駆使して構築したシステムを一般ユーザーにも公開したことで始まりました。
    クラウド市場にはMicrosoftやGoogleも参入していますが、市場シェアはAmazonがナンバー1です。
サブスクリプション : 6.1%
    Amazonのサブスクリプションは、Amazonが消費者である顧客向けに提供する「定額サービス」です。
    Amazon Primeが特に有名なサブスクリプションサービスですが、Amazonでプライム会員登録を行うことで、会員は様々なサービスを受けることができます。
実店舗 : 7.4%
    日本ではあまり馴染みがありませんが、AmazonはECだけでなく、リアル店舗でのビジネスも行っています。
    無人店舗として「Amazon Go」などが有名です。
その他 : 4.3%
    Amazonが展開するその他のサービスは、広告やクレジットカード契約などのサービスです。広告収益やクレジットカードの手数料収入はこのカテゴリに分類されます。
    以下の図がAmazonの収益構造をグラフ化したものです。

以下の円グラフはアマゾンの2019年12月期の収益の内訳を表したグラフです。
Amazonの収益構造

また、以下の図はAmazonの3期にわたる売上をセグメント別に色分けしたグラフです。
売上高は右肩上がりであり、それぞれのセグメントも売上の増加に伴い右肩上がりの増加を続けています。

アマゾン セグメント別売上
③Amazonの主要KPIとその数値推移
③-1 EC事業とEC以外の事業の推移

以下の図は、過去3年間のAmazonのセグメントをEC系のセグメントとそれ以外に分けてグラフ化した図です。
「EC系の事業」はオンラインによる直販とマーケットプレイスの第三者販売サービスの総計であり、「その他」はEC系以外のセグメントの売上を足し合わせた数値です。
また、折れ線グラフは総売上に占めるEC系以外の売上の割合を表しています。
どのセグメントの売上も上昇傾向にあるためわかりにくいですが、グラフ化してみると3期の間に総売上あたりのEC系以外に該当するセグメントの売上割合が10%近く伸長していることがわかります。
2019年12月期にはEC系以外の事業が全体の30%以上を占めるようになりました。
このグラフからAmazonが、EC以外の領域を拡大する、もしくはEC依存のビジネスモデルから徐々に脱却することを目指していることが推測できます。

EC以外の割合
③-2 EC以外の売上推移

下の図は、AmazonのEC系以外の事業のセグメント別の売上推移を示したグラフです。
このセグメントの中で頭一つ抜ける存在感を見せている事業は青い棒グラフのAWSです。
3期連続で右肩上がりの成長を続けており、2017年12月期と比較すると2020年12月期は2倍以上にまで成長しており、AmazonのEC以外の事業における牽引役となっていることがわかります。
EC以外の売上推移
③-3 EC市場の推移
EC市場の今後

上の図は、eMarketerという海外のリサーチメディアによる2017年から2023年までのEC市場の展望を示したグラフです。
EC市場自体の成長が止まるという見通しではないものの、4%前後の横ばいの成長が続く見通しが立てられており、急激な成長が見込まれる市場ではないことがわかります。
このようなデータから、仮にAmazonがECのみにフォーカスしたビジネスモデルを続けた場合、持続的な成長をこれまでのペースで続けることは難しいことが推測されます。
④Amazonのコスト構造
④-1 Amazonの販売管理費

以下の図は、Amazonのコスト構造の内訳と3期にわたる推移を示したグラフです。
売上原価が最も割合としては多く、フルフィルメント費用2番目に高いコストとなっています。
フルフィルメントとは、ECで発注された商品のピッキング、梱包、発送などに費やされるコストをまとめて計上した費用で、主にロジスティック業務に関連する費用を示しています。
また、あまり知られていませんが、Amazonは世界一研究開発費を投資する企業であり、インターネット企業として知られるGoogleやマイクロソフトをも上回る研究開発費用を毎年投下しています。
2019年12月期に研究開発費として投資された金額は359億ドルにのぼり、日本円に換算すると3.8兆円もの数値です。
日本を代表する企業であるトヨタ自動車の研究開発費が1.1兆円であるため、Amazonの研究開発費がいかに膨大な数値であるかがわかります。
研究開発費用に関しての詳しいデータや情報については後述します。
Amazon コスト構造
④-2 Amazonの営業利益の推移

以下の図は、Amazonの営業利益の推移と粗利益、販管費の関係性を表したグラフです。
2018年12月期を境に営業利益が大幅に増加しており、粗利益と販管費を示す折れ線グラフに着目すると、販管費の上昇曲線が、2018年12月期付近を境に粗利益の上昇と比較して緩やかになっていることがわかります。
Amazon コスト構造2

⑤Amazonの投資領域
⑤-1 Amazonの買収戦略

以下の図は、Amazonがこれまで1億ドル以上で買収した企業の一覧です。
特に2009年に行った靴専門のEC企業Zapposの買収や2017年に買収した高級スーパーWhole Foods Marketの買収はメディアでも注目され大きな話題となりました。

2009年7月 Zappos買収に関する記事

2017年8月 Whole Foods Marketの買収に関する記事
Amazonが買収した企業
⑤-2 AWSと知られざる研究機関「Amazon science」

この章でもう一度AmazonのEC以外の領域について注目していきます。
EC以外の売上推移

上のグラフは一度登場したグラフですが、このグラフを出す前後でAmazonの売上あたりのEC系以外の事業が増加傾向であることやEC市場の成長が鈍化すること、そしてEC以外の事業ではAWSが顕著な成長を見せていることについて説明しました。
Amazon AWSとは

Amazon AWSとはAmazonが提供するクラウドコンピューティングサービスです。

クラウドとは、従来ハードウェアとしてデータの保存などに使用されるサーバーをインターネット上の「クラウド」というサーバーを利用することによって保存することを可能にしたシステムです。
このクラウドが存在することで、クラウドシステムのユーザーはサーバーがなくてもインターネット環境さえあればいつでも保存しているデータにアクセスすることができます。
また、クラウドはシステムを利用した分だけ課金する仕組みとなっているため、必要以上の容量に対して費用がかかることがありません。

サーバーを購入するなどの初期投資が不要
インターネットに繋がっていればいつでもアクセスして利用することができる
必要な容量のみ購入して使用できる

上記のようなメリットがあるため、現在多くの企業や個人によってクラウドサーバーが利用されています。
また、AmazonのAWSを利用することで、ユーザーはAWSに付属されているAmazonが保有するAIシステムやメーリングサービスを同時に利用することができます。
クラウドコンピューターシステムは、Googleの「Googleクラウド」やマイクロソフトの「Azure」のように他のインターネット企業も提供していますが、クラウドサービスの世界シェアナンバーワンはAmazonのAWSとなっています。
興味深いことに、Amazonは自社の膨大な在庫管理をするシステムの空き容量を有効活用する目的でAWSを一般向けに公開したといわれています。
AWSは2002年から提供されており、現在では世界のクラウドサービスの30%以上のシェアを占めるサービスとなっています。
下の円グラフは2019年の世界のクラウドサービスのシェア割合を示した図です。

AWSシェア

Amazonの研究開発費

以下の図は、2016年からのAmazonとAlphabet(Google)の研究開発費用の推移です。
現在、Alphabetは、Amazonに次ぎ世界で2番目に研究開発費を投資している企業ですが、AmazonはそのAlphabet100億ドル近く上回る圧倒的な研究開発費を投入しています。
研究開発費

では、この莫大な研究開発費をAmazonはどこでどのように費やしているのでしょうか?
詳しい内訳については公表されていませんが、そのヒントがAmazonの成長株である事業「AWS」と知られざるAmazonの研究所「Amazon science」に隠されています。
「Amazon science」とは

Amazon scienceとは、Amazonが所有する研究機関で先端技術の研究や、世界トップレベルの大学とタッグを組んだ研究などが行われています。
Amazon scienceのミッションは、「Customer-obsessed science」とされており「顧客へこだわる科学」です。
研究所にまで世界一顧客を大切にする企業であるという思想が浸透しています。
AIや自動運転など様々な研究がなされていますが、主な研究プロジェクトとその概要は下の表にまとめている領域です。
Cloud and systems より大きなデータベース、より高速な接続、より高い利便性を達成するためのコンピューター技術の開発を行う研究。(AWSなど)
Computer Vision 人々が情報を可視化し、視覚情報をより理解できるようにするためのヴィジュアルデバイスを開発する研究。
Conversational AI and Natural language processing 家族や友人とコミュニケーションをとるように、人々がコンピュータと自然にコミュニケーションをとることができるようなソフトウェアやシステムを開発する研究。(Alexaなど)
Economics 最もリーズナブルなサービスやプロダクトを人々が選択できる洗練されたシステムを開発する研究。
Information and knowledge management 人々が、より豊富なソースから情報を選択できるようにする機械学習技術の開発を行う研究。(AI系)
Machine Learning 明確な指示がなくてもアルゴリズムや統計モデルに基づいたパターンや推論によって的確に作業ができるラーニングマシーンを開発する研究。(AI系)
Operations research and optimization より早く、より便利に、より経済的に注文品を運ぶために最適化されたシステムの開発する研究。(ロジスティックセンターの合理化など)
Robotics 言語認識、物体認識、機械学習など様々な技術を集積して便利で顧客体験に沿ったアプローチができるロボットの開発を行う研究。(ロジスティックセンターでのロボットの運用など)
Search and information retrieval 高度な分析能力を組み合わせ、顧客にとって最適な商品やサービスを的確に提案できる検索技術の開発を行う研究。
Security,privacy,and abuse prevention ハードウェア、ソフトウェア、およびサービスの安全なスイートを作成し、プライバシーを確保しながら、自分の情報をコントロールすることができます。
Sustainability 2040年までにCO2排出ゼロを達成するめの研究。

ジェフ・ベゾスが株主宛に公表した手紙

AmazonCEOジェフ・ベゾスは、2020年1月に株主宛に中長期的なAmazonの方針などを示した手紙を宛てています。
その中で、「Amazon science」の研究に関連した内容が8項目記されており、Amazonの未来やジェフ・ベゾスの思想をこの手紙を通して知ることができます。
以下で「Amazon science」の研究に関連した今後のAmazonの方針について紹介します。

ジェフ・ベゾスは、世界中のAmazon関係者を保護するため、新型コロナウイルスの感染に関するテスト定期的に実施するかもしれないと公表しています。世界規模でのテストを実施することで、人々の安全保護や経済の立て直しに役立つと考えているからです。
既に各チームから専門家を集め、専任チームを組織しています。
ジェフ・ベゾスは、AmazonがWHOに対し、新型コロナウイルスに関する情報を提供するためのクラウド技術を提供すると発表しました。
この取り組みは、WHOがAmazonのクラウドを活用し、新型コロナウイルスに関するデータ構築や医療トレーニングの多言語化を行う取り組みです。
この取り組みによって、世界規模で医療従事者が患者をより良く治療できるようになることが期待されています。
また、「AWS COVID-19」のデータを公開することも発表しています。
「AWS COVID-19」のデータベースは、専門家がウイルスについて最新の情報にアクセスして分析することができるようにしたシステムです。
また、ジェフ・ベゾスは「AWS 診療開発イニシアチブCOVID-19」というプログラムを立ち上げについて公表しています。
このプログラムは、新型コロナウイルス関連の診断ソリューションを提供することを検討している顧客を支援するプログラムです。
診断に使用される機器やシステムを提供する顧客をクラウドを活用してバックアップする取り組みであり、ジェフ・ベゾスはこのプログラムに2,000万ドルを投資することを約束しています。
また、このプログラムは今回、新型コロナウイルスに対応するために設立されたものですが、これを機会に、将来的に発生する感染症に対するプロジェクトに資金を提供する方針を示しています。
ジェフ・ベゾスは、Amazonがアメリカ疾病予防管理センターのガイダンスに従い、AlexaのヘルスチームがAlexaがコロナウイルスの症状や感染の可能性について回答ができるようなサービスを開発したことを発表しました。
このサービスは、Alexaに新型コロナウイルスに関する質問をすると自動的に回答してくれるサービスです。
また、日本でも厚生労働省のガイダンスに基づいて、同様のサービスが作成されています。
ジェフ・ベゾスは、昨年、「The Climate Pledge」という2050年までに実質CO2の排出をゼロにするというパリ協定を10年早送りし、2040年までにCO2排出ゼロを目標とする誓約に署名したことを発表しています。
Amazonは、この誓約に関する取り組みとして、ミシガン州に本拠地を置く電気自動車メーカーであるRivian社から10万台の電気配送バンを購入することで、この誓約の一部を達成する予定です。
このような取り組みは環境に対して良い影響を与えるだけでなく、グローバルな企業が低炭素経済への移行するための後押しをすることにも繋がるとジェフ・ベゾスは考えています。
ジェフ・ベゾスは、2024年までに自社のエネルギーの80%を再生可能エネルギーに切り替えることを約束したと発表しました。
さらに、2030年までには自社で使用するエネルギーの100%を再生可能エネルギーに代替する予定です。
さらに、Amazonは世界中に年間630万MWh以上のエネルギーを提供する能力を持つ太陽光発電と風力発電のシステムを所有していると発表しており、このエネルギーは、米国の家庭58万戸以上の消費電力に相当します。
また、ジェフ・ベゾスは、3年渡る研究によって、オンラインショッピングは店舗に車で行くよりも二酸化炭素の排出量が少ないことがわかったと発表しています。
この研究では、オンラインでの食料品の配達は、店舗での買い物に比べて1品目あたりの二酸化炭素排出量が43%少ないことがわかりました。
最後に、ジェフ・ベゾスは、AWSはエネルギー効率の向上に成功している事実を公表しました。
例えば、一部のデータセンターでは従来の空調ではなく、より効率的な蒸発冷却を使用するなど、施設や設備のエネルギー効率を向上させています。
AWSのインフラは、米国にある通常のデータセンターと比較して3.6倍もエネルギー効率が高く、再生可能エネルギーを併用することで、従来のデータセンターと同等の作業を、二酸化炭素排出量を88%削減して行うことが可能にしています。

ジェフ・ベゾスの手紙から読み取れること

短期では新型コロナウイルス関連の対応にクラウド、AWSのリソースを中心に注力する。
中長期的では、AWSを応用した将来的に発生する感染症のリスクや気候変動問題の解決に取り組む。
「クラウド」、「AWS」というワードが何度も出てきたことから、AWS事業の研究開発と短期及び中長期的なビジョンが強くリンクしている。

まとめ

このように中長期的な未来を見据えて毎年膨大な投資を行っているAmazonですが、AWS関連の投資は、手紙で公表されていたヘルスケアや気候変動問題の解決に関するもの以外にも、

広告
農業
自動運転
教育
金融サービス
メディア、エンターテイメント

など多岐に渡り、Amazonの最もホットな投資分野であり成長の起爆剤であることが推測できます。
また、「Amazon Echo」や、無人店舗「Amazon Go」、「ドローンによる空飛ぶ宅配」などAWS領域以外の投資も積極的に行われており、世界一研究開発費用を使う企業「Amazon」の投資は世界中が目を離せないトピックです。
⑤-3 最新の投資情報

Amazonは、2020年1月に2025年までにインドの中小企業向けに10億ドル(約1100億円)を投資することを表明しています。
インドの中小企業のデジタル化を後押しすることで、インドで生産された商品を世界中へ販売することがこの投資の主な目的です。
Googleも2020年7月にインドへ大規模な投資を行うことを発表しており、革新的企業のインド投資に注目が集まっています。

2020年1月 Amazonのインド投資についての発表に関する記事
⑥Amazonの株価・時価総額
Amazonの株価・時価総額

Amazonの株価と時価総額を見ていきます。
下の図を見ると、2012年頃を境に株価が急激に上昇しはじめていることがわかります。
2018年にはAppleに次ぐ2番目の時価総額1兆ドル突破という驚異的な記録を成し遂げています。
現在では時価総額が1兆円を突破するモンスター企業に成長したAmazonですが、2010年頃までは株価の横ばいが続き、市場からの評価は決して高くありませんでした。
また、創業から初の黒字化までは7年もの月日を要しています。
Amazonの株価・時価総額

Amazonの2020年8月7日時点の株価は3,225ドル(340,536円)、時価総額は153.4億ドル(1.62兆円)です。
Amazonの初期のファイナンス

Amazonが創業初期に行ったファイナンスの流れを簡単に解説します。

Amazonを創業する際、ジェフ・ベゾスは60回投資家に会い、22人から100万ドルの出資を受けました。
創業当初、インターネットはまだ普及しておらず、インターネットで書籍を売るビジネスモデルはなかなか受け入れて貰えませんでした。
そのことから、出版業界について詳しい人ほどAmazonへの投資は行いませんでした。

その後、1997年にNASDAQへ上場したものの時価総額は5億ドル(株価2ドル)未満でした。また、上場後も4年半黒字化しなかったため、株式市場での評価は高いものではなかったといえます。

しかし、時を経てAmazonの株価は急上昇しました。
仮に、AmazonのIPO時に100万円分株を購入していれば、現在、約13億円の価値になっています。
⑦Amazonの会社情報

Amazonの基本情報を紹介します。
市場はNASDAQで、決算月は毎年12月です。
Amazonの基本情報
会社名 Amazon.com Inc
設立年月 1994年7月
上場年月 1997年5月
市場 NASDAQ
証券コード AMZN
業種 サービス
決算期 12月
ホームページアドレス http://www.amazon.com
発行済株式総数 500,889,651株(2020年8月現在)
最高経営責任者 ジェフ・ベゾス(CEO)
従業員数 798,000人

Amazonの歴史

Amazonは、1994年に創業者であるジェフ・ベゾスが前身サイトであるCadabra.comをガレージで創業し、事業をスタートさせました。
EC事業を中心としたビジネスを展開し、驚異的なスピードで世界トップクラスの時価総額1兆円以上の企業へと成長しました。
1994年 ジェフ・ベゾスが前身サイトCadabra.comを開始し、ガレージで事業をスタートさせる。
1995年 Amazon.comに名称変更し正式にサービスを開始。
1996年 デラウェア州で再登記し、「Amazon.Inc」が誕生。
1997年 NASDAQに上場。上場時の金額は5億ドル。
1998年 ミュージックストアを開設し、音楽配信事業に参入する。
英国とドイツでAmazonのサービスを開始する。
1999年 ユーザーが累計1000万人に達する。
「ワンクリック(1-Click)」が特許を取得する。
Alexaを2.5億ドルで買収する。
2000年 日本でのサービスを開始する。
航空宇宙企業ブルーオリジンを設立。
2001年 上場4年半で初の黒字を達成。
Amazonアソシエイトプログラムを開始する。
2002年 Amazon Web Service(AWS)を開始。
Amazonマーケットプレイスを導入する。
2003年 売上高10億ドルを突破。
商品の割引や無料配送サービスを拡充する。
2004年 年間全ての4半期において黒字に転換したと発表する。
2005年 サブスクリプションサービス「Amazon Prime」開始。
2006年 「お急ぎ便」の提供を開始。
Amazon e託販売サービスを開始する。
2007年 電子書籍リーダー「Amazon Kindle」と、電子書籍販売「Kindleストア」を発表。
2008年 在庫管理・商品配送代行サービス「フルフィルメント by Amazon」の提供を開始。
2009年 靴のネット販売大手「ザッポス」を買収。
「当日お急ぎ便」の提供を開始する。
2010年 配送料を完全無料化。
iPhoneアプリの提供を開始する。
2011年 時価総額1000億ドルを突破する。
電子書籍リーダー「Kindle Fire」を発表。
2012年 ロボットメーカーKiva Systemsを買収。
日本向けのKindleストアが開設する。
2013年 ジェフ・ベゾスが、個人で老舗メディアのワシントンポストを2.5億ドルで買収する。
2014年 スマートフォン「Fire Phone」を発表する。
ゲーム動画配信Twitchを9.7億ドルで買収する。
2015年 「プライム・ビデオ」「Prime Now」の提供を開始する。
2016年 年間売上が15兆円を突破し、日本での売上も1兆円を突破する。
2017年 高級スーパー、Whole Foods Marketを137億ドルで買収する。
2018年 Appleに続く2社目の時価総額1兆ドル突破を達成する。
2019年 AWSの四半期収益が初の100億ドル(1兆円強)を突破する。