Amazon、従業員9000人を追加削減 クラウド部門も

Amazon、従業員9000人を追加削減 クラウド部門も
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN20CCK0Q3A320C2000000/

『【シリコンバレー=佐藤浩実】米アマゾン・ドット・コムは20日、従業員9000人を追加削減すると発表した。1月までに約1万8000人の解雇を決めていたが、稼ぎ頭のクラウド部門や広告事業で新たに人を減らす。米メタも複数回の人員削減に踏み切っており、新型コロナウイルス下で拡大した米IT(情報技術)大手の人員整理が一段と目立ってきた。

アンディ・ジャシー最高経営責任者(CEO)が従業員向けのメールを自社…

この記事は会員限定です。登録すると続きをお読みいただけます。』

『アンディ・ジャシー最高経営責任者(CEO)が従業員向けのメールを自社ブログに投稿して明らかにした。今回の人員削減はクラウド基盤「AWS」や広告事業、ゲーム実況配信サービスの「Twitch(ツイッチ)」などを中心に実施する。4月中をめどに再編するチームなどの詳細を詰める。

アマゾンは2022年秋に人員削減を含む事業計画の見直しに着手し、23年1月には解雇の規模が1万8000人にのぼると公表していた。当時は主にインターネット通販や電子書籍などの端末事業で人を減らしたが、今回は対象をクラウドや広告といった事業にも広げる。同社の従業員数は22年12月末時点で約154万人だった。

ジャシー氏は追加の人員削減に踏み込む理由について「すべてのチームが22年秋の終わりに(適切な体制などの)分析を終えていなかったため」と述べた。「難しい決断だが、会社にとってベストだと考えている」とも説明した。

アマゾンはコロナ下でサービスの需要が拡大したことを受け、エンジニアから物流施設まで様々な部門で採用を加速していた。ただ、22年10〜12月期決算は売上高が前年同期比9%増にとどまり、本業のもうけを示す営業利益は同21%減った。利益成長を支えてきたクラウド事業の減速が目立っていた。

景気減速や金融不安など企業経営への逆風が続くなか、業務をさらに効率化する必要があると判断したもようだ。米IT大手ではメタも、3月中旬に1万人規模の追加人員削減を公表している。

【関連記事】

・米メタが1万人追加削減 成長鈍化、採用も中止
・物言う株主の提案件数、世界で最多に迫る テック標的に
・[FT]Amazon、しぼむ「アレクサ」の壮大な夢
・Amazonの10〜12月、21%営業減益 稼ぎ頭クラウド減速
ニュースレター登録

多様な観点からニュースを考える
※掲載される投稿は投稿者個人の見解であり、日本経済新聞社の見解ではありません。

山口真一のアバター
山口真一
国際大学グローバル・コミュニケーション・センター 准教授
コメントメニュー

ひとこと解説 Metaがコロナ禍で従業員数を2倍にまで膨れ上がらせていたように、IT大手各社は需要拡大に任せてどんどん規模を拡大しました。

しかしアフターコロナになると、確かにコロナ前と比べるとIT全般の需要は高まったものの、急速に市場成長が減速化しているのも事実です。加えて、ロシアのウクライナ進行や記録的なインフレにより、経済が冷え込んでいます。

よって、この流れは必然といえます。とはいえ、巨大IT企業がもうだめだという話ではなく、コロナで膨れすぎた企業体をスリム化しているといえるでしょう。
2023年3月21日 10:48 (2023年3月21日 10:55更新)』

GAFAM襲う「中年の危機」 米テック大手に地殻変動

GAFAM襲う「中年の危機」 米テック大手に地殻変動
米州総局編集委員 阿部哲也
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN301HK0Q3A130C2000000/

『米国のテック業界では、こんな見方が長く常識とされてきた。「テクノロジーにバブルは絶対起こりえない」。米カリスマ起業家、ピーター・ティール氏の言葉だ。しかし現実の各社はいま、長いバブルの後遺症ともいうべき厳しい冬の時代に直面している。
史上最悪ペースの人員削減

異変は史上最悪ペースの人員削減にあらわれる。グーグル、メタ、アマゾン・ドット・コム、マイクロソフト……。「GAFAM」と呼ばれる大手はほぼ…

この記事は会員限定です。登録すると続きをお読みいただけます。

残り2090文字

すべての記事が読み放題
有料会員が初回1カ月無料 https://www.nikkei.com/r123/?ak=https%3A%2F%2Fwww.nikkei.com%2Farticle%2FDGXZQOGN301HK0Q3A130C2000000&n_cid=DSPRM1AR07 』

『異変は史上最悪ペースの人員削減にあらわれる。グーグル、メタ、アマゾン・ドット・コム、マイクロソフト……。「GAFAM」と呼ばれる大手はほぼ総崩れとなり、2023年に入ってからもリストラ計画が止まらない。

世界のデータ経済の成長を引っ張り、米国の繁栄の象徴でもあったテック業界だ。いったい何が起きているのか。現象をひもとくキーワードが「midlife crisis(中年の危機)」である。

「最も興味深く重要な山を征服し、次を探して苦しんでいる」(米アトランティック誌)
「激しい気移りに、衝動的な決断、そしてひどい後悔にさいなまれている」(米ブルームバーグ通信)

中年の危機とは老いを自覚し、気力を失った精神状態をさす。人生の折り返し地点を過ぎ、生き方に揺れる。米国では昨年末以降、テック各社を惑う中年になぞらえ、論評する声が増えた。

「コロナブーメラン」響く
短期的にみれば、足元の相次ぐリストラは単に悪環境が重なったからだとする解釈は多い。

グーグルのピチャイCEOは大規模リストラについて、新型コロナ特需を見越した事業の急拡大が原因と釈明した(写真は22年10月、東京)
「過去2年間の劇的な成長に見合うよう、いま直面する現実とはまったく異なる判断を下してしまった」

1万2000人を削減するグーグルのスンダー・ピチャイ最高経営責任者(CEO)が釈明するように、とりわけ「コロナブーメラン」が各社を悩ます。新型コロナウイルス禍でリモートワークが普及し、各社は自社サービスの利用増を見越して競うように大量採用に踏み切った。だがその特需は過ぎた。

時を同じくして急ピッチの利上げが始まり、新事業に欠かせないイージーマネーも断たれた。業績は伸びが鈍り、株主のフラストレーションはたまる。経営者ともども長期への余裕をなくし、株価を保つには人件費をはじめとするコスト削減でしのがざるをえない。

3つの地殻変動

問題はなぜ、こうした負の連鎖が一斉に業界全体へ広がっているかにある。背景にはコロナやインフレだけでは片付けられない構造的な変化、各社を襲う中年の危機があるというのだ。

フェイスブックを展開するメタをはじめ、ビッグテックは大きな構造変化に悩まされている=ロイター

米テック業界、とりわけビッグテックをめぐっては、3つの地殻変動がその基盤を根本から揺らしている。

第1は市場の成熟だ。グーグルは世界の検索の9割を独占し、各国で普及するアップル端末は20億台を超す。メタのフェイスブックは月間30億人が使い、アマゾンだけで消費大国である米国のネット通販の4割を担う。

もはや各社とも大きくなりすぎて、互いの事業領域を食い合うカニバリズムも深刻になっている。ブルーオーシャン(未開拓市場)を謳歌できたこれまでのようにはいかない。

さらに内なる危機、巨大化に伴う文化の変容も強まる。

「従来型の企業にはならない」。共同創業者のラリー・ペイジ氏がこう言ってスタートしたグーグルも、いまでは兄弟会社含めて19万人が働く。

遊び場のようなオフィスに無料のカフェテリア、医療保険など福利厚生も手厚い。斬新な職場づくりで一世を風靡したが、現在は昼食の牛肉ひとつに異論が出る。人工知能(AI)やドローンで米国防総省と接近し、大規模な反対運動も招いた。多様化への対応と責任は膨らむ。

テック業界が存在感を増すにつれ、各国政府との関係も微妙になってきた。第3の逆風が世界的な監視網である。

グーグルに対し、ガーランド米司法長官は「15年にわたり反競争的な行為を繰り返してきた」と鋭く批判した=ロイター

包括的なテック規制で先行する欧州だけにとどまらない。米司法省もついにグーグルのネット広告事業に対し、分離分割を求めて訴訟に動いた。主要各社が過去最高額のロビー活動を展開していたにもかかわらずだ。

いまや各社のサービスは各国の政治や社会をも動かす。シリコンバレー流を前面に、自由奔放にやってこられた時期は終わった。

短命化する米主要企業

米コンサル会社、イノサイトの調べによると、S&Pの株価指数を構成する主要500社は短命化が進む。1970年代後半の「平均寿命」は30〜35年だったが、今後10年間は15〜20年にまで短くなる。

メタ19歳、グーグル24歳、アマゾン28歳、アップル46歳、マイクロソフト47歳……。主役交代の激しい米国経済にあっては、各社とも決して若くはない。むしろすでに全盛期を過ぎたと見られてもおかしくない局面にさしかかっている。

テック各社はスマートフォンとアプリによる新たな情報革命を推し進め、広告、娯楽、金融とあらゆる分野を一変させてきた。これまで成し得たものが大きいだけに、次に挑む山もなかなか見つからない。

アマゾン創業者のベゾス氏(左から2人目)は宇宙開発ビジネスへ転身した=ロイター
迷いは何より有力経営者の相次ぐ転身にも見て取れる。

アマゾン創業者のジェフ・ベゾス氏は宇宙開発のためにCEOを辞し、メタをネット広告の巨人に変えたシェリル・サンドバーグ氏も引退した。高く険しい山を登り切った経営トップらがテック各社を次々と離れていく。こうした傾向は業界全体が惑いのさなかにあることと無縁ではない。

消えるムーンショット

気になるのは、次代を担うはずのムーンショット事業も次々と消えている点だ。たとえばアマゾンは22年秋、社内の極秘研究所を大幅に縮小し、エネルギーや環境関連の一部プロジェクトを取りやめた。

「テック企業が夢と野心を失えば、何が残るのか」。グーグルのニューヨーク拠点に勤めていた元従業員は病気の家族を救うため、ヘルスケア関連の新興企業に転職するという。老いるビッグテックを去った人材が各地で新たな種をまけるか。米国のみならず、世界の経済の「次」にも関わってくる。

Nikkei Views
編集委員が日々のニュースを取り上げ、独自の切り口で分析します。
クリックすると「Nikkei Views」一覧へ
Nikkei Views
【関連記事】

・Google・Microsoft…米テック人員削減、年間最多ペース
・Google、1万2000人削減 持ち株会社社員の6%に相当
・米テック、「優等生」も人員削減 Microsoftが1万人
・米テック、拡大路線転換 AmazonやSalesforce人員削減
・Amazon、人員削減1万8000人に拡大 メタ上回る規模に

多様な観点からニュースを考える
※掲載される投稿は投稿者個人の見解であり、日本経済新聞社の見解ではありません。

堀越功のアバター
堀越功
日経BP 日経クロステック副編集長
コメントメニュー

分析・考察 今のビッグテックに起きている人員削減や分離分割を求める動きは、過去の歴史に照らし合わせると、1984年の米AT&Tの分割に匹敵する動きにつながるかもしれません。当時世界最大の企業で米国の通信市場を独占していたAT&Tの分割は、ベビーベルと呼ばれる地域通信事業者を生んだほか、その後のインターネット革命を生む土壌になったと言われています。現在のビッグテックを襲う地殻変動は、次の産業を生みだすという米国流のダイナミズムにつながる可能性があります。
2023年2月8日 9:16いいね
1
南川明のアバター
南川明
インフォーマインテリジェンス シニアコンサルティングディレクタ
コメントメニュー

別の視点6万人強の人員削減は大規模であるが全社員220万人の3%である。株価維持の為には更なる人員削減が必要なほどに見える。GAFAMと言われる5社が次のプラットフォームを構築して全社が生き残れるとは思えないが、次のプラットフォーム構築に向けた開発は着実に進んでいると見ている。
近年のコンピューティング能力の向上で医療の進歩は急速に高まっているようだ。2035年にはほとんどの病気は治療可能とまで言われるようになってきた。そんな事を実現できるテック産業が終わるとは思えない。
2023年2月8日 8:51 』

米国防総省、米4社にクラウド分散発注へ 最大1.2兆円

米国防総省、米4社にクラウド分散発注へ 最大1.2兆円
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN082SW0Y2A201C2000000/

『【フェニックス=佐藤浩実】米国防総省は7日、軍事情報基盤の刷新のため、米クラウドサービス大手のグーグル、オラクル、マイクロソフト、アマゾン・ドット・コム子会社と契約を結ぶと発表した。2028年までで最大90億ドル(約1兆2300億円)にのぼる発注規模となる。もともとは1社に委ねる計画だったが、アマゾン子会社による提訴や政権交代などを経て調達方針を見直していた。

国防総省はトランプ前政権の時代に「JEDI」と呼ぶクラウド調達プロジェクトを立ち上げ、19年に発注先としてマイクロソフトを選んだ。10年間の発注額が最大100億ドルにのぼる大型案件だったものの、入札で破れたアマゾン子会社がトランプ氏による選定プロセスへの不適切な介入を主張。法廷闘争となった末、21年に契約を取り消して事業を仕切り直す方針を示していた。

今回発表したのはJEDIの後継プロジェクトとなる。クラウドの利用をめぐっては、民間企業でも1社に依存せずに複数社と契約を結ぶ動きが広がっている。

すべての記事が読み放題
有料会員が初回1カ月無料 https://www.nikkei.com/r123/?ak=https%3A%2F%2Fwww.nikkei.com%2Farticle%2FDGXZQOGN082SW0Y2A201C2000000&n_cid=DSPRM1AR08 』

【革新的企業の秘訣を学ぶ】-新型コロナ対策も気候変動問題解決も-Amazonの莫大な投資のヒミツに迫る

【革新的企業の秘訣を学ぶ】-新型コロナ対策も気候変動問題解決も-Amazonの莫大な投資のヒミツに迫る
https://legaltec.jp/amazon-info/

『目次 [非表示]

①Amazonの決算データ
    ①-1 最新期の売上/営業利益/EBITDA/当期純利益
    ①-2 売上・営業利益・営業利益率の推移
    ①-3 経営指標
②Amazonの事業内容
    ②-1 Amazonの理念・スローガン
    ②-2 セグメント別の事業内容/ビジネスモデル
③Amazonの主要KPIとその数値推移
    ③-1 EC事業とEC以外の事業の推移
    ③-2 EC以外の売上推移
    ③-3 EC市場の推移
④Amazonのコスト構造
    ④-1 Amazonの販売管理費
    ④-2 Amazonの営業利益の推移
⑤Amazonの投資領域
    ⑤-1 Amazonの買収戦略
    ⑤-2 AWSと知られざる研究機関「Amazon science」
    ⑤-3 最新の投資情報
⑥Amazonの株価・時価総額
    Amazonの株価・時価総額
    Amazonの初期のファイナンス
⑦Amazonの会社情報
    Amazonの基本情報
    Amazonの歴史

①Amazonの決算データ
①-1 最新期の売上/営業利益/EBITDA/当期純利益
決算年月(百万ドル) 19年12月(実績) 18年12月(実績) 前年比
売上高 280,522 232,887 +20.5%
営業利益 14,541 12,421 +17.1%
EBITDA 36,330 27,762 +30.9%
当期純利益 11,588 10,073 +15.0%

※EBITDAとは、営業利益に減価償却費を加えて計算された指標です。
①-2 売上・営業利益・営業利益率の推移

以下の図は、5期にわたるAmazonの売上高、営業利益及び営業利益率をグラフ化したものです。2020年5月期の通期の売上高は2805.2億ドル、営業利益は145.4億ドルであり、営業利益率は5.2%です。
Amazon 利益率

①-3 経営指標

2019年12月期の通期業績は以下の通りです。

売上高:2805.2億ドル(前年比+20.5%)
EBITDA:363.3億ドル(前年比+30.8%)
当期純利益:115.9億ドル(前年比+15.0%)

決算年月(百万ドル) 2018年12月期
2019年12月期
売上高 232,887 280,522
EBITDA 27,762 36,330
当期純利益 10,073 11,588
株主資本額 43,549 62,060
総資産額 162,648 225,248
営業キャッシュフロー 30,723 38,514
投資キャッシュフロー △12,369 △24,281
財務キャッシュフロー △7,686 △10,066
現金・現金同等物の期末残高 41,250 55,021

4Q業績ハイライト (2019年12月期)

以下は、2019年12月期の業績を4Qに分けた指標です。
売上が右肩上がりで上昇する一方、利益は売上に比例せず、最も売上の低い1Q目に最も高い利益であることがわかります。
期間 2019年12月期
1Q 2019年12月期
2Q 2019年12月期
3Q 2019年12月期
4Q
売上高 59,700 63,404 69,981 87,437
営業利益 4,420 3,084 3,157 3,880
当期純利益 3,561 2,625 2,134 3,268

経営指標(過去5年分)

5期の間に売上高は2.5倍以上の上昇をしています。
また、純利益に関しては5期の間に20倍に迫る勢いで増加をしています。
どの指標も右肩上がりであり、期を追うごとに成長し続けていることが読み取れます。
決算年月(百万ドル) 2015年12月 2016年12月 2017年12月 2018年12月 2019年12月
売上高 107,006 135,987 177,866 232,887 280,522
EBITDA 8,514 12,302 15,584 27,762 36,330
当期純利益 596 2,371 3,033 10,073 11,588
株主資本額 13,384 19,285 27,709 43,549 62,060
総資産額 64,747 83,402 131,310 162,648 225,248

②Amazonの事業内容
②-1 Amazonの理念・スローガン
理念

Amazonの理念
「地球上で最もお客様を大切にする企業であること」

創業者ジェフ・ベゾスの理念
「顧客は常に正しい」
スローガン

Amazonのスローガン
「biggest selection in the earth」
(世界最大のセレクション)
②-2 セグメント別の事業内容/ビジネスモデル

Amazonの年間を通しての売上は2805億ドルにのぼり、主な収益構造は以下の6つの事業に区分されています。
オンラインストアの直販サービスが、52.8%と全体の売上の約半数を占めています。
各事業ごとの数値や展開しているサービスは、以下の通りです。

 オンラインストアの直販 : 52.8%
    オンラインストアで、商品を顧客へ直販するサービスの売上が全体の売上の半数程度を占めています。
    オンラインストアでの直販サービスは、Amazonの屋台骨となるサービスです。
マーケットプレイスの第三者販売サービス : 18.4%
    オンラインストアでの直販サービスに次ぐ規模の収益源は、マーケットプレイスの第三者販売サービスです。全体の売上のおおよそ2割程度を占めています。
    マーケットプレイスでは、Amazonではない第三者である販売者が新商品や中古品をAmazonが運営するプラットホームで販売できるサービスです。
    販売者は、アマゾンの販売プラットホームを使用することで、Amazonの顧客層にアクセスすることができます。また、マーケットプレイスで商品が売れた場合、顧客への配送やカスタマーサービスはAmazonが請け負います。
    一方、Amazonは、自社サイト上での販売を在庫の追加投資をせずに拡大することができます。
    Amazonは、マーケットプレイスで販売を行う顧客から手数料などを収益として獲得します。
Amazon Web Service(AWS) : 11.0%
    Amazonの売上の中で3番目の規模を誇るのがAmazon Web Serviceです。
    このサービスは、クラウドコンピューティングというインターネットにアクセスするだけで使うことのできるサーバーを提供するサービスです。従来のサーバーに比べ、低コストで運用できるため、多くの企業で導入されています。
    このサービスは、Amazonが自社商品の在庫管理やデータ分析を行うため、 ITを駆使して構築したシステムを一般ユーザーにも公開したことで始まりました。
    クラウド市場にはMicrosoftやGoogleも参入していますが、市場シェアはAmazonがナンバー1です。
サブスクリプション : 6.1%
    Amazonのサブスクリプションは、Amazonが消費者である顧客向けに提供する「定額サービス」です。
    Amazon Primeが特に有名なサブスクリプションサービスですが、Amazonでプライム会員登録を行うことで、会員は様々なサービスを受けることができます。
実店舗 : 7.4%
    日本ではあまり馴染みがありませんが、AmazonはECだけでなく、リアル店舗でのビジネスも行っています。
    無人店舗として「Amazon Go」などが有名です。
その他 : 4.3%
    Amazonが展開するその他のサービスは、広告やクレジットカード契約などのサービスです。広告収益やクレジットカードの手数料収入はこのカテゴリに分類されます。
    以下の図がAmazonの収益構造をグラフ化したものです。

以下の円グラフはアマゾンの2019年12月期の収益の内訳を表したグラフです。
Amazonの収益構造

また、以下の図はAmazonの3期にわたる売上をセグメント別に色分けしたグラフです。
売上高は右肩上がりであり、それぞれのセグメントも売上の増加に伴い右肩上がりの増加を続けています。

アマゾン セグメント別売上
③Amazonの主要KPIとその数値推移
③-1 EC事業とEC以外の事業の推移

以下の図は、過去3年間のAmazonのセグメントをEC系のセグメントとそれ以外に分けてグラフ化した図です。
「EC系の事業」はオンラインによる直販とマーケットプレイスの第三者販売サービスの総計であり、「その他」はEC系以外のセグメントの売上を足し合わせた数値です。
また、折れ線グラフは総売上に占めるEC系以外の売上の割合を表しています。
どのセグメントの売上も上昇傾向にあるためわかりにくいですが、グラフ化してみると3期の間に総売上あたりのEC系以外に該当するセグメントの売上割合が10%近く伸長していることがわかります。
2019年12月期にはEC系以外の事業が全体の30%以上を占めるようになりました。
このグラフからAmazonが、EC以外の領域を拡大する、もしくはEC依存のビジネスモデルから徐々に脱却することを目指していることが推測できます。

EC以外の割合
③-2 EC以外の売上推移

下の図は、AmazonのEC系以外の事業のセグメント別の売上推移を示したグラフです。
このセグメントの中で頭一つ抜ける存在感を見せている事業は青い棒グラフのAWSです。
3期連続で右肩上がりの成長を続けており、2017年12月期と比較すると2020年12月期は2倍以上にまで成長しており、AmazonのEC以外の事業における牽引役となっていることがわかります。
EC以外の売上推移
③-3 EC市場の推移
EC市場の今後

上の図は、eMarketerという海外のリサーチメディアによる2017年から2023年までのEC市場の展望を示したグラフです。
EC市場自体の成長が止まるという見通しではないものの、4%前後の横ばいの成長が続く見通しが立てられており、急激な成長が見込まれる市場ではないことがわかります。
このようなデータから、仮にAmazonがECのみにフォーカスしたビジネスモデルを続けた場合、持続的な成長をこれまでのペースで続けることは難しいことが推測されます。
④Amazonのコスト構造
④-1 Amazonの販売管理費

以下の図は、Amazonのコスト構造の内訳と3期にわたる推移を示したグラフです。
売上原価が最も割合としては多く、フルフィルメント費用2番目に高いコストとなっています。
フルフィルメントとは、ECで発注された商品のピッキング、梱包、発送などに費やされるコストをまとめて計上した費用で、主にロジスティック業務に関連する費用を示しています。
また、あまり知られていませんが、Amazonは世界一研究開発費を投資する企業であり、インターネット企業として知られるGoogleやマイクロソフトをも上回る研究開発費用を毎年投下しています。
2019年12月期に研究開発費として投資された金額は359億ドルにのぼり、日本円に換算すると3.8兆円もの数値です。
日本を代表する企業であるトヨタ自動車の研究開発費が1.1兆円であるため、Amazonの研究開発費がいかに膨大な数値であるかがわかります。
研究開発費用に関しての詳しいデータや情報については後述します。
Amazon コスト構造
④-2 Amazonの営業利益の推移

以下の図は、Amazonの営業利益の推移と粗利益、販管費の関係性を表したグラフです。
2018年12月期を境に営業利益が大幅に増加しており、粗利益と販管費を示す折れ線グラフに着目すると、販管費の上昇曲線が、2018年12月期付近を境に粗利益の上昇と比較して緩やかになっていることがわかります。
Amazon コスト構造2

⑤Amazonの投資領域
⑤-1 Amazonの買収戦略

以下の図は、Amazonがこれまで1億ドル以上で買収した企業の一覧です。
特に2009年に行った靴専門のEC企業Zapposの買収や2017年に買収した高級スーパーWhole Foods Marketの買収はメディアでも注目され大きな話題となりました。

2009年7月 Zappos買収に関する記事

2017年8月 Whole Foods Marketの買収に関する記事
Amazonが買収した企業
⑤-2 AWSと知られざる研究機関「Amazon science」

この章でもう一度AmazonのEC以外の領域について注目していきます。
EC以外の売上推移

上のグラフは一度登場したグラフですが、このグラフを出す前後でAmazonの売上あたりのEC系以外の事業が増加傾向であることやEC市場の成長が鈍化すること、そしてEC以外の事業ではAWSが顕著な成長を見せていることについて説明しました。
Amazon AWSとは

Amazon AWSとはAmazonが提供するクラウドコンピューティングサービスです。

クラウドとは、従来ハードウェアとしてデータの保存などに使用されるサーバーをインターネット上の「クラウド」というサーバーを利用することによって保存することを可能にしたシステムです。
このクラウドが存在することで、クラウドシステムのユーザーはサーバーがなくてもインターネット環境さえあればいつでも保存しているデータにアクセスすることができます。
また、クラウドはシステムを利用した分だけ課金する仕組みとなっているため、必要以上の容量に対して費用がかかることがありません。

サーバーを購入するなどの初期投資が不要
インターネットに繋がっていればいつでもアクセスして利用することができる
必要な容量のみ購入して使用できる

上記のようなメリットがあるため、現在多くの企業や個人によってクラウドサーバーが利用されています。
また、AmazonのAWSを利用することで、ユーザーはAWSに付属されているAmazonが保有するAIシステムやメーリングサービスを同時に利用することができます。
クラウドコンピューターシステムは、Googleの「Googleクラウド」やマイクロソフトの「Azure」のように他のインターネット企業も提供していますが、クラウドサービスの世界シェアナンバーワンはAmazonのAWSとなっています。
興味深いことに、Amazonは自社の膨大な在庫管理をするシステムの空き容量を有効活用する目的でAWSを一般向けに公開したといわれています。
AWSは2002年から提供されており、現在では世界のクラウドサービスの30%以上のシェアを占めるサービスとなっています。
下の円グラフは2019年の世界のクラウドサービスのシェア割合を示した図です。

AWSシェア

Amazonの研究開発費

以下の図は、2016年からのAmazonとAlphabet(Google)の研究開発費用の推移です。
現在、Alphabetは、Amazonに次ぎ世界で2番目に研究開発費を投資している企業ですが、AmazonはそのAlphabet100億ドル近く上回る圧倒的な研究開発費を投入しています。
研究開発費

では、この莫大な研究開発費をAmazonはどこでどのように費やしているのでしょうか?
詳しい内訳については公表されていませんが、そのヒントがAmazonの成長株である事業「AWS」と知られざるAmazonの研究所「Amazon science」に隠されています。
「Amazon science」とは

Amazon scienceとは、Amazonが所有する研究機関で先端技術の研究や、世界トップレベルの大学とタッグを組んだ研究などが行われています。
Amazon scienceのミッションは、「Customer-obsessed science」とされており「顧客へこだわる科学」です。
研究所にまで世界一顧客を大切にする企業であるという思想が浸透しています。
AIや自動運転など様々な研究がなされていますが、主な研究プロジェクトとその概要は下の表にまとめている領域です。
Cloud and systems より大きなデータベース、より高速な接続、より高い利便性を達成するためのコンピューター技術の開発を行う研究。(AWSなど)
Computer Vision 人々が情報を可視化し、視覚情報をより理解できるようにするためのヴィジュアルデバイスを開発する研究。
Conversational AI and Natural language processing 家族や友人とコミュニケーションをとるように、人々がコンピュータと自然にコミュニケーションをとることができるようなソフトウェアやシステムを開発する研究。(Alexaなど)
Economics 最もリーズナブルなサービスやプロダクトを人々が選択できる洗練されたシステムを開発する研究。
Information and knowledge management 人々が、より豊富なソースから情報を選択できるようにする機械学習技術の開発を行う研究。(AI系)
Machine Learning 明確な指示がなくてもアルゴリズムや統計モデルに基づいたパターンや推論によって的確に作業ができるラーニングマシーンを開発する研究。(AI系)
Operations research and optimization より早く、より便利に、より経済的に注文品を運ぶために最適化されたシステムの開発する研究。(ロジスティックセンターの合理化など)
Robotics 言語認識、物体認識、機械学習など様々な技術を集積して便利で顧客体験に沿ったアプローチができるロボットの開発を行う研究。(ロジスティックセンターでのロボットの運用など)
Search and information retrieval 高度な分析能力を組み合わせ、顧客にとって最適な商品やサービスを的確に提案できる検索技術の開発を行う研究。
Security,privacy,and abuse prevention ハードウェア、ソフトウェア、およびサービスの安全なスイートを作成し、プライバシーを確保しながら、自分の情報をコントロールすることができます。
Sustainability 2040年までにCO2排出ゼロを達成するめの研究。

ジェフ・ベゾスが株主宛に公表した手紙

AmazonCEOジェフ・ベゾスは、2020年1月に株主宛に中長期的なAmazonの方針などを示した手紙を宛てています。
その中で、「Amazon science」の研究に関連した内容が8項目記されており、Amazonの未来やジェフ・ベゾスの思想をこの手紙を通して知ることができます。
以下で「Amazon science」の研究に関連した今後のAmazonの方針について紹介します。

ジェフ・ベゾスは、世界中のAmazon関係者を保護するため、新型コロナウイルスの感染に関するテスト定期的に実施するかもしれないと公表しています。世界規模でのテストを実施することで、人々の安全保護や経済の立て直しに役立つと考えているからです。
既に各チームから専門家を集め、専任チームを組織しています。
ジェフ・ベゾスは、AmazonがWHOに対し、新型コロナウイルスに関する情報を提供するためのクラウド技術を提供すると発表しました。
この取り組みは、WHOがAmazonのクラウドを活用し、新型コロナウイルスに関するデータ構築や医療トレーニングの多言語化を行う取り組みです。
この取り組みによって、世界規模で医療従事者が患者をより良く治療できるようになることが期待されています。
また、「AWS COVID-19」のデータを公開することも発表しています。
「AWS COVID-19」のデータベースは、専門家がウイルスについて最新の情報にアクセスして分析することができるようにしたシステムです。
また、ジェフ・ベゾスは「AWS 診療開発イニシアチブCOVID-19」というプログラムを立ち上げについて公表しています。
このプログラムは、新型コロナウイルス関連の診断ソリューションを提供することを検討している顧客を支援するプログラムです。
診断に使用される機器やシステムを提供する顧客をクラウドを活用してバックアップする取り組みであり、ジェフ・ベゾスはこのプログラムに2,000万ドルを投資することを約束しています。
また、このプログラムは今回、新型コロナウイルスに対応するために設立されたものですが、これを機会に、将来的に発生する感染症に対するプロジェクトに資金を提供する方針を示しています。
ジェフ・ベゾスは、Amazonがアメリカ疾病予防管理センターのガイダンスに従い、AlexaのヘルスチームがAlexaがコロナウイルスの症状や感染の可能性について回答ができるようなサービスを開発したことを発表しました。
このサービスは、Alexaに新型コロナウイルスに関する質問をすると自動的に回答してくれるサービスです。
また、日本でも厚生労働省のガイダンスに基づいて、同様のサービスが作成されています。
ジェフ・ベゾスは、昨年、「The Climate Pledge」という2050年までに実質CO2の排出をゼロにするというパリ協定を10年早送りし、2040年までにCO2排出ゼロを目標とする誓約に署名したことを発表しています。
Amazonは、この誓約に関する取り組みとして、ミシガン州に本拠地を置く電気自動車メーカーであるRivian社から10万台の電気配送バンを購入することで、この誓約の一部を達成する予定です。
このような取り組みは環境に対して良い影響を与えるだけでなく、グローバルな企業が低炭素経済への移行するための後押しをすることにも繋がるとジェフ・ベゾスは考えています。
ジェフ・ベゾスは、2024年までに自社のエネルギーの80%を再生可能エネルギーに切り替えることを約束したと発表しました。
さらに、2030年までには自社で使用するエネルギーの100%を再生可能エネルギーに代替する予定です。
さらに、Amazonは世界中に年間630万MWh以上のエネルギーを提供する能力を持つ太陽光発電と風力発電のシステムを所有していると発表しており、このエネルギーは、米国の家庭58万戸以上の消費電力に相当します。
また、ジェフ・ベゾスは、3年渡る研究によって、オンラインショッピングは店舗に車で行くよりも二酸化炭素の排出量が少ないことがわかったと発表しています。
この研究では、オンラインでの食料品の配達は、店舗での買い物に比べて1品目あたりの二酸化炭素排出量が43%少ないことがわかりました。
最後に、ジェフ・ベゾスは、AWSはエネルギー効率の向上に成功している事実を公表しました。
例えば、一部のデータセンターでは従来の空調ではなく、より効率的な蒸発冷却を使用するなど、施設や設備のエネルギー効率を向上させています。
AWSのインフラは、米国にある通常のデータセンターと比較して3.6倍もエネルギー効率が高く、再生可能エネルギーを併用することで、従来のデータセンターと同等の作業を、二酸化炭素排出量を88%削減して行うことが可能にしています。

ジェフ・ベゾスの手紙から読み取れること

短期では新型コロナウイルス関連の対応にクラウド、AWSのリソースを中心に注力する。
中長期的では、AWSを応用した将来的に発生する感染症のリスクや気候変動問題の解決に取り組む。
「クラウド」、「AWS」というワードが何度も出てきたことから、AWS事業の研究開発と短期及び中長期的なビジョンが強くリンクしている。

まとめ

このように中長期的な未来を見据えて毎年膨大な投資を行っているAmazonですが、AWS関連の投資は、手紙で公表されていたヘルスケアや気候変動問題の解決に関するもの以外にも、

広告
農業
自動運転
教育
金融サービス
メディア、エンターテイメント

など多岐に渡り、Amazonの最もホットな投資分野であり成長の起爆剤であることが推測できます。
また、「Amazon Echo」や、無人店舗「Amazon Go」、「ドローンによる空飛ぶ宅配」などAWS領域以外の投資も積極的に行われており、世界一研究開発費用を使う企業「Amazon」の投資は世界中が目を離せないトピックです。
⑤-3 最新の投資情報

Amazonは、2020年1月に2025年までにインドの中小企業向けに10億ドル(約1100億円)を投資することを表明しています。
インドの中小企業のデジタル化を後押しすることで、インドで生産された商品を世界中へ販売することがこの投資の主な目的です。
Googleも2020年7月にインドへ大規模な投資を行うことを発表しており、革新的企業のインド投資に注目が集まっています。

2020年1月 Amazonのインド投資についての発表に関する記事
⑥Amazonの株価・時価総額
Amazonの株価・時価総額

Amazonの株価と時価総額を見ていきます。
下の図を見ると、2012年頃を境に株価が急激に上昇しはじめていることがわかります。
2018年にはAppleに次ぐ2番目の時価総額1兆ドル突破という驚異的な記録を成し遂げています。
現在では時価総額が1兆円を突破するモンスター企業に成長したAmazonですが、2010年頃までは株価の横ばいが続き、市場からの評価は決して高くありませんでした。
また、創業から初の黒字化までは7年もの月日を要しています。
Amazonの株価・時価総額

Amazonの2020年8月7日時点の株価は3,225ドル(340,536円)、時価総額は153.4億ドル(1.62兆円)です。
Amazonの初期のファイナンス

Amazonが創業初期に行ったファイナンスの流れを簡単に解説します。

Amazonを創業する際、ジェフ・ベゾスは60回投資家に会い、22人から100万ドルの出資を受けました。
創業当初、インターネットはまだ普及しておらず、インターネットで書籍を売るビジネスモデルはなかなか受け入れて貰えませんでした。
そのことから、出版業界について詳しい人ほどAmazonへの投資は行いませんでした。

その後、1997年にNASDAQへ上場したものの時価総額は5億ドル(株価2ドル)未満でした。また、上場後も4年半黒字化しなかったため、株式市場での評価は高いものではなかったといえます。

しかし、時を経てAmazonの株価は急上昇しました。
仮に、AmazonのIPO時に100万円分株を購入していれば、現在、約13億円の価値になっています。
⑦Amazonの会社情報

Amazonの基本情報を紹介します。
市場はNASDAQで、決算月は毎年12月です。
Amazonの基本情報
会社名 Amazon.com Inc
設立年月 1994年7月
上場年月 1997年5月
市場 NASDAQ
証券コード AMZN
業種 サービス
決算期 12月
ホームページアドレス http://www.amazon.com
発行済株式総数 500,889,651株(2020年8月現在)
最高経営責任者 ジェフ・ベゾス(CEO)
従業員数 798,000人

Amazonの歴史

Amazonは、1994年に創業者であるジェフ・ベゾスが前身サイトであるCadabra.comをガレージで創業し、事業をスタートさせました。
EC事業を中心としたビジネスを展開し、驚異的なスピードで世界トップクラスの時価総額1兆円以上の企業へと成長しました。
1994年 ジェフ・ベゾスが前身サイトCadabra.comを開始し、ガレージで事業をスタートさせる。
1995年 Amazon.comに名称変更し正式にサービスを開始。
1996年 デラウェア州で再登記し、「Amazon.Inc」が誕生。
1997年 NASDAQに上場。上場時の金額は5億ドル。
1998年 ミュージックストアを開設し、音楽配信事業に参入する。
英国とドイツでAmazonのサービスを開始する。
1999年 ユーザーが累計1000万人に達する。
「ワンクリック(1-Click)」が特許を取得する。
Alexaを2.5億ドルで買収する。
2000年 日本でのサービスを開始する。
航空宇宙企業ブルーオリジンを設立。
2001年 上場4年半で初の黒字を達成。
Amazonアソシエイトプログラムを開始する。
2002年 Amazon Web Service(AWS)を開始。
Amazonマーケットプレイスを導入する。
2003年 売上高10億ドルを突破。
商品の割引や無料配送サービスを拡充する。
2004年 年間全ての4半期において黒字に転換したと発表する。
2005年 サブスクリプションサービス「Amazon Prime」開始。
2006年 「お急ぎ便」の提供を開始。
Amazon e託販売サービスを開始する。
2007年 電子書籍リーダー「Amazon Kindle」と、電子書籍販売「Kindleストア」を発表。
2008年 在庫管理・商品配送代行サービス「フルフィルメント by Amazon」の提供を開始。
2009年 靴のネット販売大手「ザッポス」を買収。
「当日お急ぎ便」の提供を開始する。
2010年 配送料を完全無料化。
iPhoneアプリの提供を開始する。
2011年 時価総額1000億ドルを突破する。
電子書籍リーダー「Kindle Fire」を発表。
2012年 ロボットメーカーKiva Systemsを買収。
日本向けのKindleストアが開設する。
2013年 ジェフ・ベゾスが、個人で老舗メディアのワシントンポストを2.5億ドルで買収する。
2014年 スマートフォン「Fire Phone」を発表する。
ゲーム動画配信Twitchを9.7億ドルで買収する。
2015年 「プライム・ビデオ」「Prime Now」の提供を開始する。
2016年 年間売上が15兆円を突破し、日本での売上も1兆円を突破する。
2017年 高級スーパー、Whole Foods Marketを137億ドルで買収する。
2018年 Appleに続く2社目の時価総額1兆ドル突破を達成する。
2019年 AWSの四半期収益が初の100億ドル(1兆円強)を突破する。

豪裁判所、Googleに57億円支払い命令 位置情報収集で

豪裁判所、Googleに57億円支払い命令 位置情報収集で
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM126820S2A810C2000000/

『【シドニー=松本史】オーストラリア連邦裁判所は12日、米グーグルが位置情報収集に関して消費者に誤解を与える表現をしたとして、同社に6000万豪ドル(約57億円)の支払いを命じた。豪競争当局が2019年にグーグルを提訴していた。グーグル側は争わない姿勢を示している。

裁判所は、グーグルの基本ソフト(OS)「アンドロイド」を搭載したスマートフォンでの位置情報収集に関する画面表示が、17~18年にかけて「誤解を招くものだった」と認定した。

豪競争・消費者委員会(ACCC)は19年にグーグルを提訴した。グーグルが位置情報を収集できないようにするためには「ロケーション履歴」と「ウェブとアプリのアクティビティ」両方の機能を「オフ」にする必要があった。だがグーグルは適切な説明を行わず「『ロケーション履歴』だけが影響するとの誤解を与えた」という。

グーグルの広報担当者は12日、「17年から18年にかけての行為を解決することで合意した」と述べた。ACCCのキャス・ゴットリーブ委員長は「裁判所が課した重大な罰金は、デジタルプラットフォームやその他の企業がデータの収集・利用について消費者に誤解を与えてはならないという強いメッセージを送るものだ」との声明を出した。』

[FT]インドIT、早期に減速の見方 離職率高く賃金上昇

[FT]インドIT、早期に減速の見方 離職率高く賃金上昇
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB031XU0T00C22A8000000/

『インド経済の大きな原動力となってきたIT(情報技術)サービス業の減速見通しが、投資家の間で懸念されている。

インドIT(情報技術)サービス大手は経済のけん引役を果たしてきた=ロイター
IT関連のバックオフィス業務を受託するインド企業のうち、時価総額2位のタタ・コンサルタンシー・サービシズ(TCS)の株価は年初来14%安。インドの大手企業で構成する株価指数のニフティ50指数全体では6%安にとどまっている。

競合のインフォシスは、7月に好調な業績を発表するまで年初来20%安に低迷していた。

だがTCSのN・ガナパシー・スブラマニアム最高執行責任者(COO)は、フィナンシャル・タイムズ(FT)とのインタビューで、悲観的な見方を否定した。「世界にはハイテク人材が必要で、現時点では足りていない。インドには技術力の優れた人材が世界で最も多く集まっている」

ITサービスはインドの「外向き経済」を代表する存在で、巨大グローバル企業の数々を取引先としている。TCSの顧客には、英製薬大手アストラゼネカから米金融大手シティバンク、米マイクロソフト、英小売り大手マークス・アンド・スペンサー(M&S)までが名を連ねる。ITサービス業界全体が高技能人材にとっての主要な就職先でもあり、500万人以上が働く。TCSだけでも2022年3月卒業の新卒者を11万8880人採用した。

TCSの従業員数は60万人超と、民間企業の中で世界屈指の人員規模を抱える。独自動車大手フォルクスワーゲンの67万3000人には及ばないものの、米物流大手UPSの53万4000人をしのぐ。

離職率高く賃金負担が重荷に

ところが一部のアナリストは、とりわけ世界的に景気が後退する場合、ITサービスの力強い成長が続くか疑わしいと考えている。また、離職率の高さで賃金が押し上げられやすいことも不安視している。

野村は今年に入ってから、インドのITサービス業の成長鈍化時期が「当初より早まりそうだ」との見方を示し、「IT関連支出にとって厳しい日々が待ち受けている」と指摘した。米JPモルガンは、同業界の「成長のピークが過ぎた」と断定した。

TCSが7月上旬に発表した22年4~6月期決算で、売上高は前年同期比10%増の67億ドル(約9000億円)と、アナリスト予想に届かなかった。営業利益率は23.1%と、前年同期から2.4ポイント低下した。

同社のサミール・セクサリア最高財務責任者(CFO)は「コスト管理の観点で難しい四半期だった」と明かした。営業利益率の悪化は「年間給与引き上げの影響、人材の離職への対応で膨らんだコスト、徐々に正常化しつつある出張費を反映している」

他のITサービス企業も投資家の期待に応えられていない。ウィプロは複数の金融機関によって投資判断が下方修正され、株価が年初来40%安となっている。テック・マヒンドラは41%安だ。

インフォシスが7月に公表した22年4~6月期の売上高は17.5%増の44億ドルと、市場予想を上回った。ただ、業界の主要指標として注目される利益率は20.1%と、前年同期の23.7%から縮小した。

クラウドコンピューティングへの移行に活路

悲観的な見方ばかりではない。豪マッコーリーは最近、TCSやインフォシスなどが景気悪化を乗り切るのに有利な地位にあると分析した。「もてはやされても結局はコスト削減の打撃を真っ先に受ける人材派遣企業だった2000年代とは違い、インドのトップITサービス企業は戦略的パートナーになっている」

スブラマニアム氏も同様の見解で、顧客が「ある程度の再調整」を行うことはあり得るものの、「支出自体が減るとは思わない」と述べた。また「ハードウエアは売れないかもしれない」との認識を示しつつ、クラウドコンピューティングへの支出拡大の可能性を見込んでいる。

ただ懸念材料はある。スブラマニアム氏によると、TCSは生産性の向上と値上げがかなわない場合、為替差益を通じてコスト増の影響を埋め合わせてきた。しかし今回は「ルピーが対ドルで下落している半面、他通貨に対しては上昇している」ため難しいと話す。

ロックダウン(都市封鎖)の解除で出張費が再び増加したことに加え、人件費の膨張も営業利益率を圧迫している。22年3月期の営業利益率は25%と、TCSが目標とする26~28%に及ばなかった。

それでもスブラマニアム氏は、人件費の上昇が「一時的な変調」にすぎないと言明した。
「やがて落ち着くだろうというのがわれわれの感覚だ。ただ当面、少なくとも2~3四半期の間は、誰かを雇用しようとする時に今より30%多い報酬を支払うことを余儀なくされるだろう」

スタートアップとの人材獲得競争に

同氏は離職率もピークを迎えたとみる。だが新入社員の多くがリモート勤務で、「TCSの文化を知らずにいる」ことを憂慮している。

技術力を備えた新卒者にとって、TCSやインフォシスがかつては最も人気の高い就職先だった。ところが今では、ベンチャーキャピタル(VC)から資金を得て高い報酬を約束するスタートアップ企業と人材を奪い合っている。

データプラットフォームのフィントラッカーによると、インドのスタートアップ企業への投資額は21年に380億ドルとなった。これは前年の3倍に相当する。

スブラマニアム氏は「スタートアップ企業が提示する給与と同じ額は決して出せない」と語りながらも、今年はVCからの出資が鈍ることで雇用市場が「いくらか正常化する」だろうとの考えを示した。

こうした中、1968年創業のTCSは、より多くの柔軟性と選択肢を求める比較的若い世代の社員と、働き方の改革を議論している。

スブラマニアム氏は「在籍10年以上の役職者はオフィスに来たがるが、これより若い人々は『出社を強要しないでほしい』と思っている」と説明する。比較的若い世代は「自分の働き方と時間管理に関する柔軟性と決定権をもっと大幅に高めたがっている」ため、「(役職者の)考え方を変えなければならない」と強調した。

By Chloe Cornish

(2022年8月2日付 英フィナンシャル・タイムズ電子版 https://www.ft.com/)

(c) The Financial Times Limited 2022. All Rights Reserved. The Nikkei Inc. is solely responsible for providing this translated content and The Financial Times Limited does not accept any liability for the accuracy or quality of the translation. 』

[社説]変調の兆し見える巨大IT企業の成長力

[社説]変調の兆し見える巨大IT企業の成長力
https://www.nikkei.com/article/DGXZQODK296JO0Z20C22A7000000/

『米巨大IT(情報技術)企業の4~6月期決算が出そろった。「GAFAM」と呼ばれる大手5社合計の四半期売上高は前年同期比7%増と、米中の景気が同時に足踏みしていた2016年半ば以来の低成長だった。

新型コロナウイルス禍でパソコン、オンラインサービス、ネット通販などの利用が広がった「特需」からの反動という特殊要因が大きいが、中長期的な成長力に変調の兆しもみえる。

2~3割成長は当たり前だった米IT大手に対する成長期待が曲がり角を迎えていると投資家は認識すべきだろう。

行動制限が世界各地で解除された今年は人々がオフィスや実店舗に戻るなど、特需がはげ落ちた。中国の都市封鎖による部品供給の混乱でアップルの増収率は2%未満にとどまった。

さらに、特需でかさ上げされた前年同期との比較になるため各社とも業績の伸び率は低かった。

成長を減速させているのは特殊要因だけではない。

個人の興味や消費行動に合わせた「標的型広告」で収入を得るSNS(交流サイト)の減速が目立つ。端末や閲覧ソフトのプライバシー保護が強化され、効果の高い標的型広告の配信が難しくなった。そんななか、景気減速で企業が広告出稿先の選別を強め、一部がSNSを離れた。

その結果、SNS最大手フェイスブックを運営するメタの4~6月期は12年の上場以来初の減収となった。同社は従来、景気に関係なく2~6割の高成長を続けてきたが、その段階は過ぎ去った。

ネット広告市場は全体で高成長が続く普及期が終わり、今後は優勝劣敗が進みそうだ。

ネット通販市場も、コロナ禍で高齢者や途上国まで利用が広がり成熟しつつある。アマゾン・ドット・コムは1997年の上場以来初めて3四半期続けて1ケタ増収にとどまった。同社は、ほぼ毎年2割以上の成長を維持してきたが、今年は2割をかなり下回る公算が大きい。

各社とも成熟する主軸事業の次の成長源の育成に力を入れる。アップルはサービス、アマゾンとアルファベットはクラウド基盤が育っている。それでも従来並みの高成長を続けるのは難しいだろう。

一方、低成長から脱却できない日本企業は米ITの成長重視経営から多くを学んでほしい。』

Microsoftの4〜6月、増益率2%どまり 強いドル響く

Microsoftの4〜6月、増益率2%どまり 強いドル響く
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN26EBE0W2A720C2000000/

『【シリコンバレー=佐藤浩実】米マイクロソフトが26日発表した2022年4~6月期決算は売上高が前年同期比12%増の518億6500万ドル(約7兆900億円)、純利益は同2%増の167億4000万ドルだった。いずれも市場予想を下回った。企業向けクラウドサービスの採用は堅調だったものの、ドル高が収益を押し下げた。

売上高は四半期ベースで過去最高を更新した。ただ市場予想(523億ドル)には届かず、会社予想の下限も下回った。純利益の伸び率は20年7~9月期以降で最も低い水準にとどまった。

業績に大きな影響を与えたのが「強すぎるドル」だ。マイクロソフトは米国外の売上高が約5割を占めており、円やユーロ建ての取引をドルに換算した価値が目減りした。例えば、投資家の関心が高いクラウド基盤「Azure(アジュール)」の増収率は前年同期比40%にとどまったが、為替影響がなければ46%のプラスだったという。

企業向けの業務ソフトをまとめた「Office365」は15%の増収だった。顧客情報管理(CRM)なども含めたクラウドサービス全体の売り上げは28%増の250億ドルで、19年以降で初めて伸び率が3割を下回った。

為替以外ではパソコン(PC)需要の減速が響き、PCメーカー向けの「ウィンドウズ」の販売額が2%減った。企業が広告投資を見直しているため、ビジネスSNS「リンクトイン」などの広告事業も伸び悩んだ。人員整理に伴い、4~6月期は従業員の退職関連費用として1億1300万ドルを引き当てた。

7月中旬から本格化した米企業決算ではコロナ禍で急拡大したサービスの停滞が目立ち、世界経済の減速見通しも広がっている。マイクロソフトは為替の逆風が大きいものの、エイミー・フッド最高財務責任者(CFO)は「需要は強く、シェアも獲得している」と指摘した。企業向けビジネスが主体で複数年の契約も多いため、個人向けサービスのような解約は目立っていない。

協業アプリの「Teams(チームズ)」やセキュリティー関連ではシェアの拡大も進んだ。説明会でフッド氏はクラウドの契約状況について「期待を上回っている」と話し、23年6月期は通期で「売上高、営業利益ともに2桁の成長が続く」と強調した。強気の見通しを受けて、軟調だった株価は米市場の時間外取引で約5%急伸した。

【関連記事】

・Netflix、Microsoftと提携 広告付き低価格プランで
・米IBMの4~6月、9%増収 大型汎用機が好調 』

アルファベットの4~6月、純利益14%減 ネット広告減速

アルファベットの4~6月、純利益14%減 ネット広告減速
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN26ECT0W2A720C2000000/

『【シリコンバレー=奥平和行】米グーグルの持ち株会社、米アルファベットが26日に発表した2022年4~6月期決算は、売上高が前年同期比13%増の696億8500万ドル(約9兆5300億円)、純利益が同14%減の160億200万ドルだった。景気の減速懸念が強まっていることを背景に主力のインターネット広告事業の成長が鈍化し、2四半期連続の減益となった。

1株利益は1.21ドル(前年同期は1.36ドル)だった。売上高、1株利益ともに市場予想に届かなかったが、26日の米株式市場の時間外取引で株価は一時、同日終値より4%超上昇した。

主力のネット広告事業の売上高は前年同期比12%増の562億8800万ドルだった。このうち、動画共有サービス、ユーチューブ関連は5%増の73億4000万ドルになった。

企業が広告費を見直す傾向が強まり、アルファベットと同様にネット広告を主力とする米ツイッターの4~6月期の売上高は前年同期を下回った。アルファベットはネット検索の結果に関係する内容を表示する検索連動型広告が強く、効果が高いことから企業が支出を絞り込む影響が小さかったもようだ。

26日の決算説明会で、フィリップ・シンドラー最高事業責任者は「旅行や小売りの分野の広告が好調で、夏の旅行先の検索回数は前年同期の2倍に増えた」と説明した。

ただ、全社の売上高の前年同期増加率は過去8四半期で最低になった。ユーチューブなどで売上高の前年同期比増加率が22年1~3月期を下回ったことについて、ルース・ポラット最高財務責任者(CFO)は「サプライチェーン(供給網)や在庫などの問題から、一部企業が広告出稿を手控えている」と述べた。

また、株価低迷などの影響で有価証券の売却損や評価損が拡大し、業績の足を引っ張った。ドル高の影響も受け、ポラットCFOは「為替は7~9月期にさらに強い逆風になる」と説明している。採用については22年末までペースを落とすことを決めており、「23年に採用活動を盛んにする」(ポラットCFO)としている。

スンダー・ピチャイ最高経営責任者(CEO)は説明会で「事業の焦点を絞る」と強調した。「企業が成長モードに入っているときは再調整が難しいが、現在のような時期はその好機になる」と指摘し、成長を見込む人工知能(AI)やクラウドコンピューティングなどに経営資源を集中させる考えを示した。
多様な観点からニュースを考える

※掲載される投稿は投稿者個人の見解であり、日本経済新聞社の見解ではありません。

白井さゆりのアバター
白井さゆり
慶應義塾大学総合政策学部 教授
コメントメニュー

ひとこと解説

ネット企業はコロナ危機による巣ごもり需要と電子商取引の拡大で大きく収益を伸ばし株価上昇をもたらしました。しかし巣ごもり需要はあるていど一巡していますし、インフレ上昇による消費者マインドの大幅な悪化と消費の伸びが大きく減速していることから企業による広告需要が減ってきています。昨年までのように利益が大きく伸びるという状況ではありません。企業利益が伸び悩む中、競争を維持するための設備投資やイノベーションのための支出や有力なスキル人材の採用と株主還元策の間で難しい経営判断が必要になっているようです。
2022年7月27日 7:45

すべての記事が読み放題
有料会員が初回1カ月無料
https://www.nikkei.com/r123/?ak=https%3A%2F%2Fwww.nikkei.com%2Farticle%2FDGXZQOGN26ECT0W2A720C2000000&n_cid=DSPRM1AR08 』

海外IT、法の網逃れ成長 各国が税・登記巡り対応

海外IT、法の網逃れ成長 各国が税・登記巡り対応
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA202IW0Q2A620C2000000/

『政府は海外IT大手に法人登記を求め、規制や監視を強める。SNS(交流サイト)上での中傷問題や偽情報への対応など、IT大手を巡る課題は多い。しかし海外のIT大手は現地での税負担や規制対応を避けており、各国の当局は課税だけでなく法的な権限すら行使できない状況が続いてきた。海外ITの存在感は日本でも大きく、監督を強める必要に迫られている。

海外IT大手はインターネットを通じて世界中にサービスを提供することができる。従来は法規制や税率の緩やかな国に拠点を置き、ビジネスを成長させてきた。SNSなどは人と人、企業と企業を媒介しているだけだとして、インターネットで起きる様々なトラブルに責任を負ってこなかった面もある。

一方、サービスを使う企業や消費者は、トラブルがあっても自国内で救済を受けにくい状況が続いていた。多くの利用者や広告収入がありながら、各国で見合うだけの税金を払わないことも問題視されていた。

各国は新たな規制のあり方を探ってきた。欧州連合(EU)が制定に動くデジタルサービス法は、ヘイトスピーチや海賊版対策などへの対応をIT大手に義務付ける内容だ。これまでは比較的寛容だった米国でも、偽情報対策などを巡りIT大手に責任を持たせる議員立法が相次ぐ。

政府が登記の徹底を求めたのも世界的な流れに沿ったものだ。日本で継続的にビジネスをする外国企業は日本で法人登記をする必要がある。日本での登記がないと、裁判やトラブルのときに海外に訴状を送ったり連絡したりする手間が生じる。消費者保護の支障になるとの指摘が専門家から出ていた。

政府では2021年施行のデジタルプラットフォーム取引透明化法で、サービスの利用条件などの情報開示を義務付けた。今回の登記要請の根拠となった電気通信事業法も外国法人に事業登録を義務付けており、徐々に規制の網をかけつつある。

海外IT大手については、各国の課税権が及ばないことも問題になっている。

日本の法人税は、事業拠点となる「恒久的施設(PE)」を国内に置いていれば外国企業にも課税できる仕組みを取っている。外国企業が日本で登記をして代表者を置くと、PEの一種の「代理人PE」と税務当局が認定し、課税される可能性がある。

海外IT大手は事業基盤を日本国外に持つ。日本に課税根拠となるPEを持つとの判断を避けることが、法人登記の壁になっていた。

法務省は今回、本社登記を求める一方で、当面の課税リスクを避ける手法は容認する方針だ。会社法は代表者に本社を代表して契約を結ぶなど幅広い権限を与えているが、IT企業が日本の代表者の権限に「制限」をかけるという提案を認める。

企業税務に詳しい平川雄士弁護士は、「制限を守る限りは、税務当局が日本国内で代理人PEを認定して課税することは難しくなるはずだ」と話す。

PEを基本とする課税ルールは、約140カ国・地域が21年に合意した「デジタル課税」で修正が図られる見通しだ。巨大IT企業を念頭に、一定の利益率を超える部分の利益への課税権を各国が分け合う。24年にもデジタル課税が導入されれば、日本にPEがないと主張するIT大手も日本での税負担を迫られる。

一連の問題は、税や登記など異なる分野が結びついた課題だ。グローバルでビジネスを拡大するIT大手のような業種が存在感を増すなか、日本政府も省庁の垣根を越えて課題を共有し、対応する必要に迫られている。

(デジタル政策エディター 八十島綾平)

【関連記事】

・未登記の海外ITに罰金へ 政府、メタ・Twitterなど監視強化
・巨大ITの独禁法違反、審査初期から社名公表 公取委

多様な観点からニュースを考える

※掲載される投稿は投稿者個人の見解であり、日本経済新聞社の見解ではありません。

田中道昭のアバター
田中道昭
立教大学ビジネススクール 教授
コメントメニュー

ひとこと解説

昨年のデジタル課税合意の背景となったのは米大手IT企業によるダブル・アイリッシュ&ダッチ・サンドイッチスキーム等を活用しての市場国・税収なしという税務戦略でした。同戦略のスキームでは、無形資産を軽課税国の子会社に移転し税負担軽減、市場国である日本では物理的拠点がないため課税できないといったことが問題とされてきました。背景は、企業の競争力の源泉が無形資産に転化、サービスがデジタルで提供されていること。ここに市場国に拠点をもたない真因がある。私自身、公正取引委員会・独占禁止懇話会メンバーを務めていますが、日本ではGAFAMに対抗するような企業を育成することと規制の両面が求められていると思います。
2022年6月21日 7:27
柯 隆のアバター
柯 隆
東京財団政策研究所 主席研究員
コメントメニュー

ひとこと解説

ITサービスの現状についてたとえていえば、道路ができたが、信号システムは完成していない状況。事故が起きたら、警察が来て、どうして?と調べる。日本のネットはまだおとなしい。海外のサイトはなんでもあり。それを取り締まるインターポールのような国際機関がない。ましてやハッキング活動の背後に外国政府が見え隠れする。まあ、アメリカの情報機関はEU首脳の電話を盗聴していたぐらいだから、ほんとうになんでもあり。あとは、利用者は自衛するしかない
2022年6月21日 7:31 』

EU、スマホ充電器「USB-C」に統一 iPhoneも対応か

EU、スマホ充電器「USB-C」に統一 iPhoneも対応か
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR07DJB0X00C22A6000000/

『【ブリュッセル=竹内康雄】欧州連合(EU)は7日、スマートフォンやノートパソコンの充電機器の規格を統一することで大筋で合意した。EU内で販売される電子機器について充電機器の端子を「USBタイプC」とするよう義務づける。米アップルのスマホ「iPhone」も対応を迫られる。

欧州議会と、EU加盟国からなる理事会が大筋で合意した。技術的な詳細を詰めたうえで、議会と理事会の承認を経て、2024年秋にも実施される見通しだ。ノートパソコンはさらに猶予期間が設けられる。

対象となるのは、スマホなど携帯電話のほか、タブレットやデジタルカメラ、ゲーム機、キーボードなど幅広い電子機器だ。規制はEU内で効力があるが、日本を含む他の地域でも標準となる可能性がある。

さらに消費者が製品を購入する際に充電器の付属の有無を選べるようにする。ワイヤレス充電についても規格の統一に取り組む方針を確認した。

EUは電子機器関連のごみが減り、より持続可能な社会の実現に近づくと主張している。EUのブルトン欧州委員(域内市場担当)はこのルールが「消費者のためにも地球のためにもなる」とツイッターに投稿した。

【関連記事】欧州委、iPhoneにUSB-C採用迫る 「10年戦争」に転機 』

米Twitterに制裁金190億円 個人情報を追跡広告に流用

米Twitterに制裁金190億円 個人情報を追跡広告に流用
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN261US0W2A520C2000000/

『【シリコンバレー=白石武志】米ツイッターは25日、セキュリティー目的で集めた個人情報をユーザーの属性や興味に基づいて配信するターゲティング広告に不正に流用していたとされる問題で、米連邦取引委員会(FTC)に1億5000万ドル(約190億円)の制裁金を払うことで和解した。同社の2021年の年間売上高の約3%に相当し、業績の負担となるおそれがある。

FTCによると、ツイッターは14~19年にアカウント保護の名目で1億4000万人超のユーザーから電話番号や電子メールアドレスを取得し、収益源であるネット広告事業に流用した疑いが持たれていた。FTCのリナ・カーン委員長は25日付の声明で「セキュリティーのために利用するという口実で取得したデータを、広告でユーザーを追跡するためにも使っていた」と述べ、同社の行為を非難した。

ツイッターでプライバシー保護を担当する幹部のダミアン・キエラン氏は25日付のブログ投稿で、指摘を受けた個人情報について「不注意に広告に使用された可能性がある」と認めた。「問題は19年9月時点で対処済みだ」と述べ、個人情報保護の取り組みでFTCと足並みをそろえるために和解を選んだと説明した。

ツイッターは09年に起きたアカウント乗っ取り事件を調査したFTCと、個人情報の管理を厳格にすることで11年に和解していた。FTCは今回の個人情報の不正利用は11年の合意内容に違反するとして調査を進めていた。ツイッターは20年の段階で罰金などの支払いのために最大2億5000万ドルの損失を計上する可能性があると開示していた。

プライバシー侵害行為にからむFTCの過去の制裁としては、最大8700万人分の個人情報が漏洩した問題をめぐって19年に米フェイスブック(現メタ)に科した約50億ドルの制裁金が過去最大とされている。

【関連記事】
・Twitter、880億円支払いで和解 業績開示めぐる集団訴訟
・ツイッター、個人情報不正で罰金 最大260億円の損失も
・フェイスブックに制裁5400億円 米当局、過去最大の額 』

マスク氏にセクハラ疑惑 3200万円で口止めか、本人否定

マスク氏にセクハラ疑惑 3200万円で口止めか、本人否定
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN20EN80Q2A520C2000000/

 ※ この人、やたら叩かれ出したな…。

 ※ こういう場合は、その背景、どういう力学が働いて、そういう現象が生じているのか…、を考えた方がいい…。

『【シリコンバレー=白石武志】米ツイッターの買収などで注目を集める米起業家のイーロン・マスク氏にセクハラ疑惑が浮上した。米ネットメディアのインサイダーが19日、同氏が率いる宇宙開発スタートアップの米スペースXで働いていた女性が被害を訴えたあと、会社側が口止め料として25万ドル(約3200万円)の退職金を払ったと報じた。本人は否定している。

インサイダーは女性から相談を受けた友人の証言などを基に報じた。報道によると、女性はスペースXのビジネスジェット機の客室乗務員として働いていた2016年に被害に遭った。機内の個室に呼ばれてマスク氏に全身のマッサージを施術した際に、性的な要求と引き換えに馬を買い与えると持ちかけられたという。

女性は要求を拒んだことでスペースXでの仕事が減らされたと感じ、米カリフォルニア州の弁護士を雇って18年に同社の人事部門にセクハラ被害を申告した。スペースXとマスク氏、女性の3者は同年、被害について訴えを起こさないという約束を条件に、会社側が女性に25万ドルを支払う退職契約を結んだ。

インサイダーによると退職契約のなかには女性に対してマスク氏に関するいかなる情報も開示しないよう制限する条項が含まれていた。同メディアに情報を提供した被害女性の友人はスペースXとの守秘義務契約には縛られない立場だという。

セクハラ被害の有無などについて、スペースX側のコメントは得られていない。マスク氏は19日、ツイッター投稿のなかで「私に対する攻撃は政治的なレンズを通して見るべきで、これは彼らの標準的な(卑劣な)脚本だ」と述べ、今回の報道が政治的な意図をもった動きであると主張した。

マスク氏は1970年代にニクソン米大統領(当時)が辞任に追い込まれた米ウォーターゲート事件になぞらえて自らのスキャンダルを「Elongate(イーロンゲート)」と名付け、「これはちょっとできすぎだ」と悦に入るような態度もみせている。

【関連記事】

・マスク氏、買収提案前から前CEOと連携 Twitterが開示
・「劇場化」に警戒感 マスク氏、Twitter買収を保留
・SEC、マスク氏と弟をインサイダー疑いで調査 米報道 』

マスク氏、買収提案前から前CEOと連携 Twitterが開示

マスク氏、買収提案前から前CEOと連携 Twitterが開示
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN17DFP0X10C22A5000000/

『【シリコンバレー=白石武志】米ツイッターは17日、米起業家のイーロン・マスク氏による買収案への賛否を問う臨時株主総会の予備的な招集通知を米証券当局に届け出た。開催日は未定としている。両者の交渉の経緯を詳述した通知のなかで、マスク氏が買収提案前からツイッター共同創業者で前最高経営責任者(CEO)のジャック・ドーシー氏と緊密に連絡を取り合っていたことが判明した。

ツイッターは4月25日にマスク氏による総額約440億ドル(約5兆7000億円)の買収提案を受け入れることで合意した。同氏はその後、偽アカウントの割合が利用者全体の5%未満だと推定する開示情報に疑念を示し、ツイッター側が証拠を示すまで買収手続きを保留すると表明している。

マスク氏は実際の利用者数が公表数値よりも少ないと主張することで、買収額の引き下げなど自らに有利な条件を引き出す狙いとみられている。ツイッターは合意後に揺さぶりをかけようとする同氏の動きに反発しており、5月17日付の開示文書のなかでは「合意した価格と条件で可能な限り速やかに取引を終えることを約束する」と強調した。

発端はドーシー氏への接触

230ページ超に及ぶ招集通知によると、両者の話し合いは3月26日にマスク氏がドーシー氏に「ソーシャルメディアの将来の方向性について話し合う」ために連絡を取ったことから始まった。マスク氏は3月26~27日にツイッター取締役を務める米投資ファンド幹部にも接触し、5%超のツイッター株を取得したと明らかにした上で自らが取締役会に参加する可能性などを議論した。

ドーシー氏は経営不振の責任をとって21年11月にツイッターCEOを退任した=ロイター

マスク氏は3月27日には、ツイッターのブレット・テイラー会長とパラグ・アグラワルCEOと話し合いの場を持った。マスク氏は議論の一環として、取締役会への参加や株式の非公開化、競合企業の立ち上げなど様々な選択肢を検討していると伝えた。

ツイッターが大株主となったマスク氏を取締役会に迎えると発表した4月5日にマスク氏は再びドーシー氏に連絡をとり、同社の経営について意見を求めている。この際、ドーシー氏は「非公開企業であれば事業の遂行により集中できる」という「個人的な見解」をマスク氏に伝えた。

ドーシー氏は経営不振の責任をとって21年11月にツイッターCEOを退いた。22年5月下旬開催の定時株主総会で取締役も退任することが決まっている。マスク氏は4月4日の話し合いのなかでドーシー氏に取締役会にとどまる意向があるかどうかを尋ねている。マスク氏は残留を期待したとみられるが、ドーシー氏は断っている。

マスク氏はその週末の4月9日にツイッターのパラグ・アグラワルCEOらに取締役就任を辞退すると伝え、代わりにツイッター株の非公開化を提案する考えを通知した。非公開企業であることが望ましいとするドーシー氏の意見が、マスク氏の買収提案を後押しした可能性がある。

買収後は株式共同保有の構え

5月17日付の予備的な招集通知では、ツイッターがマスク氏の買収提案を受け入れた経緯も明らかになった。同社の取締役会は4月15日に買収防衛策を導入して一時は時間稼ぎを狙ったが、最終的には1株当たり54ドル20セントという同氏の買収提案が「ツイッターが合理的に得られる最高の価値」である可能性が高いとの結論に至ったとしている。

マスク氏とドーシー氏はともに暗号資産(仮想通貨)の熱心な支持者として知られ、盟友関係にあるとされる。ツイッターの投稿の表示順序などを決めるアルゴリズムを公開するアイデアでも足並みをそろえている。

マスク氏は自らが全額出資する企業を通じてツイッターを買収すると公表しているが、5月5日にはドーシー氏を含む一部の既存株主と買収後の株式の継続保有について話し合っていると開示した。ドーシー氏も株式を持ち続ける可能性があることをツイッター側に伝えており、買収後の経営に両氏はそろって関与する可能性がある。

【関連記事】
・マスク氏、Twitterの買収額引き下げ示唆 米報道
・TwitterのCEO、マスク氏による買収「成立を期待」
・「劇場化」に警戒感 マスク氏、Twitter買収を保留 』

Amazon創業者、バイデン大統領を批判 法人増税巡り

Amazon創業者、バイデン大統領を批判 法人増税巡り
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN1507Z0V10C22A5000000/

『【シリコンバレー=白石武志】米アマゾン・ドット・コム創業者のジェフ・ベゾス氏が13日夜、ツイッター上でバイデン米大統領にくってかかる場面があった。米国で約40年ぶりの水準となったインフレの対策として収益性の高い企業への課税強化を呼びかけたバイデン氏のツイートに直接返信するかたちで、「ミスディレクション(誤った指図)だ」と批判した。

発端となったのはバイデン氏が13日午後に投稿した「インフレを倒したいのか?(ならば)最も裕福な企業に公平な負担を払わせよう」とのツイートだ。政権の命運を左右する米中間選挙が半年後に迫り、インフレ抑制策が最優先課題となるなか、有権者に聞こえのいい法人増税をほのめかしたとみられる。

米メディアによるとアマゾンは2017年と18年の米連邦所得税を払っていない。バイデン氏は20年の米大統領選の最中から度々、同社をやり玉に挙げてきた。21年3月の米東部ペンシルベニア州での演説では「様々な抜け道を利用し、連邦所得税を1ペニーも払わずに済んでいる」と強い表現で非難している。

バイデン氏の13日付のツイートはアマゾンを直接名指ししなかったものの、ベゾス氏には見過ごせる内容ではなかったようだ。同氏は同日夜、バイデン氏の投稿への返信のなかで「法人税の引き上げを議論するのは良いことだ。インフレを抑えることは重要な議論だ。(ただし)これらを一緒にするのは、単なるミスディレクションだ」と書き込んだ。

ベゾス氏は投稿のなかで「新しくできた偽情報委員会はこのツイートをよく調べるべきだ」とも指摘した。バイデン米政権がネット上などで流布する偽情報対策を強化するために4月末に米国土安全保障省に設置すると発表した「ディスインフォメーション・ガバナンス・ボード(DGB)」を指しているとみられる。DGBは米民主党側に有利な言論統制を推進する組織だとして、米共和党から批判を浴びている。ベゾス氏はこうした政権批判に乗っかった格好だ。

ベゾス氏は「あるいは代わりに『不合理な推論』委員会を新たに設立する必要があるかもしれない」とも述べ、インフレ退治と法人増税の議論を混同するかのようなバイデン氏の投稿を痛烈に皮肉った。一般にはインフレ抑制には法人税ではなく金利が重要であると考えられている。

【関連記事】
・Amazon、バイデン政権の企業増税計画支持 批判封じか
・[FT]米富豪の納税記録暴露 「富裕税」論議に拍車も
・「米富裕層、税金ほぼ払わず」 ベゾス氏らの納税記録暴露

多様な観点からニュースを考える

※掲載される投稿は投稿者個人の見解であり、日本経済新聞社の見解ではありません。

滝田洋一のアバター
滝田洋一
日本経済新聞社 特任編集委員
コメントメニュー

ひとこと解説

ベゾス氏とバイデン氏の論争を評価する前に、確認すべきはアマゾンを含むGAFAMの税負担率です。日経「チャートは語る」(2021年5月9日)によれば、GAFAの4社の18~20年平均で15.4%。トヨタの24.8%など、世界平均の25.1%を10㌽近く下回っています。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC074PW0X00C21A5000000/

もうひとつ気になるのは、上の記事に寄せられたアマゾン側のコメント。「20年のグローバルでの税引前利益242億ドルのうち、約202億ドルが米国で生まれた」とあります。記事中には、無形資産を基にした利益は国境を越えて移動させやすい、との指摘もあります。それにしても、税引前利益の83%が米国で発生という会計処理は、どんなものでしょう?

2022年5月15日 13:59 (2022年5月15日 14:00更新) 』

米FTC、民主党委員が多数派に 巨大IT規制を実行へ

米FTC、民主党委員が多数派に 巨大IT規制を実行へ
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN12EJ60S2A510C2000000/

『【ワシントン=鳳山太成】米連邦取引委員会(FTC)が巨大IT(情報技術)企業への規制強化に乗り出す。与党・民主党系の委員が多数派になることが決まった。M&A(合併・買収)の審査を厳しくするほか、米アマゾン・ドット・コムへの提訴に踏み切る可能性もある。

空席となっていたFTC委員に、バイデン大統領が指名したプライバシー保護の専門家アルバロ・ベドヤ氏が就く。議会上院が11日、人事を承認した。ようやく委員5人のうち3人が民主党系になる。

多数派を握る意味は大きい。反トラスト法(独占禁止法)を所管するほか、消費者保護を担うFTCは企業の提訴や規制の変更を投票で決める。産業界に近い野党・共和党の反対を押し切って、左派色の濃い政策を進められるようになる。

FTCはアマゾンについて反トラスト法違反がないか調査してきた。既に提訴したメタ(旧フェイスブック)に続き、アマゾンとも法廷闘争に発展する可能性がある。

M&Aの審査も厳しくする構えだ。民主党は大企業による新興企業の買収などに神経をとがらせており、FTCは司法省と共同で審査指針の見直しを進める。グーグルなどM&Aを駆使して事業領域を広げてきた企業は経営戦略の見直しを迫られる。

バイデン氏は2021年9月、ベドヤ氏をFTC委員に指名したが、議会の承認が遅れていた。同氏は顔認証技術に人権や性別の偏りが生じていると問題視し、IT企業も批判してきた。プライバシー保護の観点からも企業への視線が厳しくなる。

米スタンフォード大学のダグラス・メラメド教授は「FTCは民主党の急進左派の意向に沿って、労働者や中小企業を保護する名目で(大企業を)提訴していく可能性がある。非常に活動的なFTCになりそうだ」と指摘する。

政権の狙い通りに進むかは見通せない。全米商工会議所は「FTCが企業に戦争を仕掛けている」と主張し、法廷闘争も含めて対抗する構えだ。保守的な裁判所がFTCの急進的な法執行に待ったをかける可能性もある。

バイデン政権は巨大ITに批判的な新進気鋭の法律家リナ・カーン氏をFTC委員に指名した。21年6月に委員長に就いた同氏は規制強化に意欲を示してきたが、与野党の委員数が2対2で拮抗する期間が長かったため、独自色の強い政策をまだ打ち出せていなかった。

イーロン・マスク

イーロン・マスク
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A4%E3%83%BC%E3%83%AD%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%83%9E%E3%82%B9%E3%82%AF

 ※ 『ドナルド・トランプとの関係

ドナルド・トランプにも、政府の政策と補助金、公共投資の影響を大きく受けるために蜜月な関係を築き[38]、トランプを間接的に擁護しており、 バイデン米大統領の息子ハンター・バイデン氏に関するスキャンダルを報じた右派寄りメディアであるニューヨーク・ポストのアカウントを停止させたTwitter社に苦言を示している[39]。』…。

 ※ こういう辺りが、今、「逆風」が吹いている、一因でもあるようだ…。

『イーロン・リーヴ・マスク(Elon Reeve Musk, 1971年6月28日 – )は、南アフリカ共和国・プレトリア出身のアメリカの実業家、エンジニア、投資家である。

宇宙開発企業スペースXの創設者およびCEO、電気自動車企業テスラの共同創設者[4][5]、CEOおよびテクノキング[6]、テスラの子会社であるソーラーシティの会長等を務める。

2021年10月31日、推定保有資産は3020億ドル(約34兆4106億円)[7]。2016年12月、フォーブスの世界で最も影響力のある人物ランキング21位に選出された[8]。

2019年にフォーブスが発表した「アメリカで最も革新的なリーダー」ランキングでアマゾンCEOのジェフ・ベゾスと並び第1位の評価を受けた[9]。PayPal社の前身であるX.com社を1999年に設立した人物でもある。 』

『見解

政治観

アメリカの実業家としては珍しく、右派寄り。 「極左」としてTwitter社やリベラルの人々を批判している[24][25]。例えば、英紙デイリーメールで「Twitterはリベラルな権威主義者によるいじめの巣窟と化し、議論は死に絶えた」と言う発言をしている[26]。

また、ポリティカル・コレクトネスやトランスジェンダーを嫌悪しており、「ポリティカル・コレクトネスでNetflixは駄目になった、日本や韓国はまだ無事だ」と発言している。

また、ウォール・ストリート・ジャーナル紙によれば、イーロン・マスクがTwitterを買収することを決めたきっかけは、トランスジェンダー女性を「今年の男だ」などと言って嫌がらせをしていたアカウントが規約違反で凍結されたことである[27]。

また同紙によれば、日常的にLGBTへの差別的なジョークを投稿するバビロンビーという右翼サイトがレイチェル・レヴィーンというトランスジェンダーの政府職員への差別的な投稿をして凍結された後、マスクは個人的にこの右翼サイトに電話をしてTwitter買収を検討すると伝えたという。

更にマスクにTwitterを買収するように唆したのは、Facebookの役員でもあり、共和党巨額献金者のピーター・ティール、Twitter創業者ジャック・ドーシーらを始めとする億万長者と、右翼活動家とも報じられている。

少子化問題への言及

2022年5月8日に、ツイッターへの投稿で日本の出生率低下への危機感を表明し、何も手を打たなければ「日本はいずれ消滅する」「日本の消滅は世界にとって大きな損失になる」と訴えた[28]。

フィンランドやイタリア、台湾などの日本より出生率が低下している国もある[29]が、それらの国々を心配する様子は見られない。

ウィグルでの人権問題

2021年12月31日、新疆ウイグル自治区のウルムチにテスラのショールームを開設したことを微博の公式アカウントで発表した。米イスラム関係評議会(CAIR)は虐殺を支援しているとして非難し[30]、人権団体だけでなく米製造業提同盟(AAM)からも批判が上がっている[31]。

これまで、テスラの中国部門は習近平国家主席(党総書記)の経済政策目標と歩調を合わせ、良好な関係を保つことで発展してきた[32]。現時点で米議会や人権団体からの批判に応じる姿勢を示せていないのも、習近平との連携で進めてきたことが背景にあるのではとの指摘がある[33]。

これはマスクが100%の自社資本、いわゆる「独資」の形態で中国国内での子会社設立に執着し「ゴマすり」を行ったからだと指摘されている。中国当局は、通常独自動車メーカーのフォルクスワーゲンなど、中国に進出する世界有名企業の多くに対して、現地企業との合弁を要求している[34]。

一般的に、中国に進出する外国企業は、元企業が49%、中国企業が51%の出資率で合弁会社を設立する。董事会(取締役会)会議において、重要事項に関して中国側が否決権を持つ。

また、多くの外資メーカーにとって、合弁会社では外資企業にとって財産となる重要技術を、中国側に譲渡するという大きなデメリットを被るが、テスラはそれを回避することに成功している。

中国との対立

しかし近年では中国政府自身がテスラと距離を置き、テスラ車を政府施設から「出禁」とするなど、その関係は冷え込んでいる[35]。

米紙「ウォール・ストリート・ジャーナル」は「中国政府は軍関係者と、主要な国営企業の従業員などがテスラ車を利用することを制限している。なぜなら、テスラ車が(中国にとって脅威となる)安全保障に関わるような情報を収集している懸念がある」からだという[36]。

また、マスクの経営する「スターリンク」が中国政府が行う検閲の回避手段となっていることも習政権を怒らせている[37]。

ドナルド・トランプとの関係

ドナルド・トランプにも、政府の政策と補助金、公共投資の影響を大きく受けるために蜜月な関係を築き[38]、トランプを間接的に擁護しており、 バイデン米大統領の息子ハンター・バイデン氏に関するスキャンダルを報じた右派寄りメディアであるニューヨーク・ポストのアカウントを停止させたTwitter社に苦言を示している[39]。』

マスク氏、Twitter株取得めぐりSECが調査 米報道

マスク氏、Twitter株取得めぐりSECが調査 米報道
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN120960S2A510C2000000/

 ※ この人、いろんな「顔」を持っているんだな…。

 ※ EVで世界を席巻する「テスラ」社のCEOという顔、民間での宇宙開発を手掛ける「スペースX」社のCEOという顔、そしてそれらを支える「大富豪」≒投資家としての顔…。
 ※ ともかく、「やりたいこと」が多すぎ、大きすぎて、「金がいくらあっても、足りない」んだろう…。

 ※ そういうことになると、人間、「錬金術」に走るし、「危ない橋」も渡るようになって行く…。

『【シリコンバレー=白石武志】米テスラ最高経営責任者(CEO)で起業家のイーロン・マスク氏による米ツイッター株取得をめぐり、米証券取引委員会(SEC)が調査に乗り出したことが11日、明らかになった。SECは同氏による株式の大量保有報告が期限よりも遅れたことを問題視しているとみられる。

米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が11日、関係者の話として報じた。日本経済新聞の問い合わせにSECの広報担当者は「コメントは控える」と述べた。過去の訴訟でマスク氏の代理人を務めた弁護士にもコメントを求めたが、回答は得られていない。

米国では5%を超える上場株などの保有について、取得から10日以内にSECへの届け出を義務づけるルールがある。マスク氏は2022年1月からツイッター株を買い進め、3月14日に5%を超えたとみられている。その場合、3月24日までに報告する必要があったが、同氏が約9%の株式取得を届け出たのは期限を11日過ぎた4月4日だった。

テスラやスペースXといった米有力企業を率いるマスク氏の影響力は大きく、大量保有が明らかになった4月4日の米国市場でツイッター株は前週末比で27%値上がりした。マスク氏は意図的に開示を遅らせることで、5%を超える部分の株式について安値で買い進めることができた可能性がある。

マスク氏はSNS(交流サイト)上の検閲的な行為がいきすぎているとの問題意識からツイッター株の取得に乗り出し、4月25日には同社取締役会と総額440億ドル(約5兆7000億円)の買収で合意した。22年内の買収手続きの完了を目指している。
18年には証券詐欺の疑いで訴訟も

SECはツイッター上で奔放な発言を続けるマスク氏とたびたび衝突してきた。同氏が18年にテスラ株の非公開化を表明して3週間足らずで撤回した際には、有力な資金の出し手が見つからないまま「資金は確保した」とツイートしたことを問題視し、証券詐欺の疑いで訴えを起こしている。

マスク氏は18年の訴訟についてはテスラの会長職を退くことなどでSECと和解したが、その後も両者の確執は続いている。同氏側は22年2月に米裁判所に提出した文書のなかで、ツイッター投稿への監視を強めるSECについて「常軌を逸している」と批判している。

マスク氏はツイッター株の大量保有の開示遅れによって損失を被ったと主張する一部の投資家からすでに集団訴訟を起こされている。また、米南部フロリダ州の年金基金は同氏がツイッターの「利害関係株主」であったことを理由に、株式取得から3年が経過する25年までは買収手続きを完了できないと異議を申し立てる集団訴訟を起こしている。

【関連記事】

・Twitter株主、マスク氏提訴 「開示遅らせ180億円節約」
・SEC、マスク氏と弟をインサイダー疑いで調査 米報道
・テスラ、SECを批判 Twitter投稿監視「常軌逸する」
・テスラCEO、ツイッターで米証券当局を挑発 』

マスク氏「日本はいずれ存在せず」 出生率低下に警鐘

マスク氏「日本はいずれ存在せず」 出生率低下に警鐘
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN081QC0Y2A500C2000000/

『【シリコンバレー=白石武志】米テスラ最高経営責任者(CEO)のイーロン・マスク氏は7日、ツイッターへの投稿で「当たり前のことをいうようかもしれないが、出生率が死亡率を上回るような変化がない限り、日本はいずれ存在しなくなるだろう」と述べた。かねて世界の出生率の低下傾向に警鐘を鳴らしてきた同氏だが、日本に言及するのは珍しい。

2021年10月1日時点の日本の総人口が前年から64万4000人減の1億2550万2000人となり、過去最大の落ち込み幅となったことを伝えるニュースに反応してコメントした。テスラは電気自動車(EV)向けの電池でパナソニックと提携するなど、日本との関わりが深い。マスク氏は「世界にとって大きな損失となるだろう」と付け加えた。

マスク氏は17年ごろから「世界の人口は崩壊に向かって加速しているが、ほとんどの人は気にもとめていないようだ」と度々指摘してきた。19年に中国で開かれたイベントで対談したアリババ集団創業者の馬雲(ジャック・マー)氏とも人口減をめぐる議論で意気投合している。

新型コロナウイルスのパンデミック(世界的流行)により、一部の国では出生者数が歴史的な減少をみせた。マスク氏は米ネットメディアが21年9月に米ロサンゼルスで開いたイベントに登壇した際には「人類の文明にとって最大のリスクは急速に低下する出生率だ」と述べている。

文明レベルの危機を嗅ぎとり、社会に課題解決策を示すのがマスク流の起業術だ。人口減や高齢化に備え、21年にはテスラの新たなプロジェクトとして人に代わって雑用をこなすヒト型ロボット「オプティマス」の開発に乗り出した。株式市場では実現可能性や収益性を疑問視する向きもあるが、マスク氏は「経済の根幹にあるのは労働力だ」と大真面目だ。

テスラでは23年のヒト型ロボットの試作品の完成をめざし、人工知能(AI)分野の人材採用に力を入れている。マスク氏は22年4月の決算説明会では「オプティマスは最終的に自動車事業よりも価値があることが理解できるだろう」と述べている。

【関連記事】
・子どもの数、最少の1465万人 15歳未満41年連続で減少
・AI、脅威論越えヒトと共生 9700万人雇用生み成長率2倍
・少子化克服は「百年の計」 出生率1.5の落とし穴
・[FT]「日本化」する世界人口

多様な観点からニュースを考える

※掲載される投稿は投稿者個人の見解であり、日本経済新聞社の見解ではありません。

上野泰也のアバター
上野泰也
みずほ証券 チーフマーケットエコノミスト
コメントメニュー

ひとこと解説

このくらいショッキングな警告を発していかないと、人口問題への危機感は日本国内で高まらないのかもしれない。

「人あっての経済」と強く認識している筆者は、生産年齢人口ひいては総人口の減少トレンドが日本の経済・社会・財政などに及ぼす甚大な悪影響について、長く警告を発してきた。

だが、人口減・少子高齢化というのは、いわば「クライマックスのない危機」である。日々じわじわと事態が悪化していくので気づかれにくく、危機感に裏付けられた果断な政策対応がとられにくい。

人口問題に正面から取り組まない時間がずいぶん長くなってしまった。外国人材へ門戸を開こうとしたものの、コロナ禍で止まった。マスク発言への反響に注目したい。

2022年5月9日 7:20

福井健策のアバター
福井健策
骨董通り法律事務所 代表パートナー/弁護士
コメントメニュー

分析・考察

まさに「ニュースとは何を言うかではなく、誰が言うかだ」を地で行く世間の反応ですね。

彼は本当は日本に特化した話をしている訳ではないはずですが、これが「急速な人口減少は世界の危機だ」というツイートなら、日本では記事にもならず、日本人は誰も反応しなかったでしょう。「マスクが日本が消滅と言った」から反応する。そして、それで終わりです。

絡みあう要因や、(恐らくは)もっと複雑なその影響評価をそぎ落とした軽い言葉ばかりが急速に広まり、なにか短絡的な反応を生む。それは短絡的ゆえに、よい結果は何も生まない。

「当たり前のことをいうよう」ですが、記事を読みながら、そんなことを考えました。

2022年5月9日 7:37 』

Twitter買収に米年金が異議 「25年まで完了できず」

Twitter買収に米年金が異議 「25年まで完了できず」
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN06B750W2A500C2000000/

『【シリコンバレー=白石武志】米起業家のイーロン・マスク氏が2022年内の完了を目指す総額440億ドル(約5兆7000億円)の米ツイッター買収をめぐり、米南部フロリダ州の年金基金が6日、異議を申し立てる訴えを起こした。原告側はマスク氏が同社の「利害関係株主」であったことを理由に、株式取得から3年が経過する25年までは買収手続きを完了できないと主張している。

ツイッター株を保有するフロリダ州のオーランド警察年金基金が6日、同社が登記上の本社を置く米東部デラウェア州の裁判所に集団訴訟を起こした。被告にはマスク氏や法人としてのツイッターのほか、共同創業者のジャック・ドーシー氏を含む同社取締役会メンバーが含まれる。

原告側はツイッター取締役会が4月25日に買収提案を受け入れる前の段階でマスク氏はドーシー氏を含む他の大株主から提案について合意や理解などを取り付けていたと主張。こうした取り決めによってマスク氏が実質的に同社の15%超の株式を保有し、デラウェア州の法律が定める利害関係株主に該当していたと認定するよう裁判所に求めている。

原告側はマスク氏がツイッター取締役会との合意前から利害関係株主であったと認められた場合、同州の法律では利害関係株主を除く3分の2超の株主の賛成を得ない限り、株式取得から3年が経過する25年までは買収手続きを合法的に完了できないと主張している。

ツイッターはマスク氏側との合意文書のなかで同氏が過去3年間、同社の利害関係株主ではなかったと記載し、買収提案については同氏を含む過半数の株主の賛成によって承認されると説明している。原告側は取締役会が一般株主に誤った情報を与えたとして、責任を追及する構えを示している。

日本経済新聞の問い合わせに対し、ツイッターの広報担当者は「ノーコメント」と述べた。別の裁判でマスク氏を担当する弁護士にもコメントを求めたが、回答は得られていない。

マスク氏は米証券当局へのツイッター株の大量保有報告が期限より遅れたことについても、一部の投資家から別の訴えを起こされている。原告側はマスク氏が大量保有報告を遅らせることで株価上昇を防ぎ、株式を買い進める際に約1億4300万ドルを節約したと主張している。

【関連記事】
・マスク氏、Twitter臨時CEOを買収後に兼務方針 米報道
・マスク氏、Twitter買収へ9000億円調達 ファンドなど
・マスク氏、Twitter有料化を示唆 政府や企業の利用に
・Twitter株主、マスク氏提訴 「開示遅らせ180億円節約」

多様な観点からニュースを考える

※掲載される投稿は投稿者個人の見解であり、日本経済新聞社の見解ではありません。

ロッシェル・カップのアバター
ロッシェル・カップ
ジャパン・インターカルチュラル・コンサルティング 社長
コメントメニュー

分析・考察

イーロン・マスクはツイッターを良くする具体的な計画を示しておらず、彼が経営しているテスラなどに管理問題がとても多いのに、邦銀を含め沢山の金融機関や投資家が彼をバックアップするように急いでいるのは私から見ればとても不思議です。

何かがちょっとおかしいのではないかと感じます。

やはり、この訴訟が指摘するように、プロセス的に問題があったかも知れません。続きを注視したいですね。

2022年5月7日 9:44 』