JAXAなどに大規模なサイバー攻撃 中国人民解放軍の指示か

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210420/k10012984761000.html

『JAXA=宇宙航空研究開発機構や防衛関連の企業など日本のおよそ200にのぼる研究機関や会社が大規模なサイバー攻撃を受け、警察当局の捜査で中国人民解放軍の指示を受けたハッカー集団によるものとみられることが分かりました。
警視庁は、日本に滞在していた中国共産党員の男がサイバー攻撃に使われたレンタルサーバーを偽名で契約したとして、20日にも書類送検する方針です。

捜査関係者によりますと、JAXA=宇宙航空研究開発機構が2016年にサイバー攻撃を受けていたことがわかり、警視庁が捜査したところ、日本国内にあるレンタルサーバーが使われ、当時日本に滞在していたシステムエンジニアで中国共産党員の30代の男が、5回にわたって偽名で契約していたことが分かりました。

サーバーを使うためのIDなどは、オンラインサイトを通じて「Tick」とよばれる中国のハッカー集団に渡ったということです。

また、中国人民解放軍のサイバー攻撃専門の部隊「61419部隊」に所属する人物が指示する形で、別の中国人の男も日本で偽名を使いレンタルサーバーを契約していたことが分かりました。

これまでの捜査で、サイバー攻撃はハッカー集団「Tick」が、中国の人民解放軍の指示で行ったとみられ、JAXAのほか防衛関連の有力企業など、およそ200にのぼる研究機関や会社が標的になったということです。

レンタルサーバーを契約した2人は、すでに出国していますが、警視庁は不正な行為を確認したとして、このうち30代の中国共産党員の男を私電磁的記録不正作出・供用の疑いで、20日にも書類送検することにしています。

警察当局は、中国が軍の組織的な指示で日本の機密情報をねらっている実態があるとして警戒を強化するとともに、サイバー攻撃を受けたおよそ200の企業などに連絡を取って、被害の確認や注意喚起を行ったということです。

JAXAの広報担当者は、NHKの取材に対し、「サイバー攻撃とみられる不正なアクセスを受けたのは事実だが、情報の漏えいなどの被害はなかった」としています。
中国関与の疑い突き止めた捜査の経緯
今回の捜査は、警視庁公安部に4年前に設置された「サイバー攻撃対策センター」が中心になって進められました。

センターには専門知識を持ったおよそ100人が所属していて、主に政府機関や企業などへの海外からのサイバー攻撃について捜査を行っています。

関係者によりますと今回は、2016年から翌年にかけて日本の防衛関連や宇宙・航空関連の企業や研究機関がねらわれたという情報をもとにまず、攻撃に使われたレンタルサーバーを特定しました。

サーバーは、日本国内にあり偽名で契約されていましたが契約した人物の割り出しを進め、日本に滞在していた中国共産党員の男らの存在が判明したということです。

さらに、中国人民解放軍でサイバー攻撃を専門に行っているとされる「第61419部隊」に所属する人物が関与していた疑いも分かり、警察当局は中国のハッカー集団が軍の指揮下で組織的に攻撃を行っている可能性が高いと判断しました。

サイバー攻撃は、発信元を分からなくするために特殊な技術などが使われるため捜査が難しく、今回のように国レベルの関与の疑いを日本の捜査機関が明らかにすることは極めて異例です。
中国の「61419部隊」とは
今回、関与の疑いが持たれている中国人民解放軍の「61419部隊」は、日本に対するサイバー攻撃を専門に担当する部隊だとみられています。

一方、同じ人民解放軍には、アメリカにサイバー攻撃を仕掛ける「61398部隊」という部隊も存在するということです。

アメリカのFBI=連邦捜査局などは、情報通信や宇宙関連の企業から機密データを盗み出したとして、中国のハッカー集団をこれまでに複数回起訴していて、いずれも軍や情報機関の指示を受けて活動していたと分析しています。
専門家「巧妙な攻撃 対策の徹底を」
サイバーセキュリティーに詳しい岩井博樹さんは、「中国では、人民解放軍や国家安全部など軍や、情報機関の指揮のもとで民間の業者などがサイバー攻撃を行っているとみられ、その中の一つが『Tick』というハッカー集団だ。2000年代前半から活動を始め、航空や宇宙に関する研究組織などをターゲットにして巧妙なサイバー攻撃を行っているとみられる」と話しています。

そのうえで、「宇宙開発をめぐっては国家間での競争が激しく、特に、人工衛星に関するものなど、軍用にも使える技術は、中国としては、のどから手が出るほどほしい情報であることは間違いない。今後も中国からのサイバー攻撃は続くとみられ、情報を盗み取られる危険性を事前に認識しておくことや、仮に被害を受けてもダメージを最小限にする対策が重要になる」と指摘しています。
機密情報ねらうサイバー攻撃相次ぐ
警察庁によりますと、去年1年間に国内で確認されたサイバー攻撃に関係するとみられる不審なアクセスは1日当たり6506件と、2016年の1692件に比べて5年間でおよそ4倍に増え、過去最多になっています。

去年には、三菱電機で会社のネットワークが大規模なサイバー攻撃を受け、8000人を超える個人情報のほか、研究開発中の防衛装備品に関する情報も外部に流出した可能性があることが明らかになっています。

また、NECでもサイバー攻撃によって社内のサーバーなどが不正なアクセスを受け、およそ2万8000件のファイルの情報が流出した可能性があることが分かっています。

関係者によりますと、いずれも中国のハッカー集団の関与が指摘されていて、セキュリティ対策が不十分な部署をねらって巧妙に攻撃が行われたとみられています。

サイバー攻撃を受けても機密情報の保護の観点から公表されないケースも多く、表面化していない被害は多数あるとみられています。
加藤官房長官 「緊張感を持って対応」
加藤官房長官は閣議のあとの記者会見で「報道があることは承知しているが、捜査に関することであり、コメントは控えたい」と述べました。

その上で「政府機関や重要インフラに対するサイバー攻撃は、組織化・巧妙化が進んでおり、こうした攻撃への対応は、政府としても重要な課題であると認識している。サイバーセキュリティー確保については関係機関で緊張感を持って対応していきたい」と述べました。』

金融、IT競争力が左右 みずほ障害で浮き彫り エンジニア比率は米30%、日本4%

https://www.nikkei.com/article/DGXZQODF051E60V00C21A4000000/

『みずほフィナンシャルグループの一連のシステム障害は、日本の金融機関に共通する課題を浮き彫りにした。システムの維持更新に追われ、中長期的な競争力を左右するIT運用の高度化や新たな事業モデル構築につながる投資は欧米金融機関に比べて手薄になっている。

坂井社長は5日の会見で基幹システムの運用について、最適な人員配置に課題があったことを認めた。2019年に稼働した基幹システムが軌道に乗るなかで、肝心の運用に緩みが出ていた構図が浮かぶ…

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2019年に稼働した基幹システムが軌道に乗るなかで、肝心の運用に緩みが出ていた構図が浮かぶ。

みずほは02年と11年に大規模なシステム障害を起こした反省を踏まえ、合併前の旧行の継ぎはぎだったシステムを一本化し、全面的に刷新する方針を12年3月に決めた。14年4月の時点で3100億円だった「MINORI」(ミノリ)の開発費は4500億円まで膨らみ、数度の延期を重ねて19年7月までに全面稼働した。

5日の会見で坂井氏は「一連の障害に直接的な因果関係は判明していない」と強調したが、運用が安定するなかでシステムの制御を担う専門の人材を減らしてきたことが明らかになった。

金融庁へ提出した報告書でも「制御系の知識や経験を有する人材」や「(システムの構築を担った)ベンダーの常駐サポート」が減っていた点を認めている。坂井社長は5日の会見で「横断的なチェックがおろそかになっていた面もある」と話した。

銀行の日常業務を支えるシステムは競争力そのものを左右する。戦略的な活用は国内銀行に共通した課題でもある。

金融庁によると、米国の大手行は全従業員に占めるITエンジニアの割合が約30%なのに対し、日本では4%弱にとどまる。たとえば米JPモルガン・チェースはビッグデータの専門家を含めて5万人のエンジニアを抱え、IT投資に年100億ドル(約1兆1000億円)規模の資金を投じている。

米国の銀行ではIT予算の約6割を既存のサービスを改良する目的で投じるのに対し、国内銀行では既存の金融サービスを維持する目的の投資が7割を占めるとの調査もある。

米の金融機関は新しい金融技術を持つベンチャー企業との連携もオープンな形で進めてきた。米国では「スーパー地銀」と呼ばれる大手行に次ぐ位置の銀行も、オンラインの住宅融資やセキュリティー関連など、相次ぎフィンテック企業に投資をしている。

半面、国内銀行は再編後のシステム統合に多額の費用を投じてきた。システム統合後も膨大な維持費がかかり、戦略的な分野に資金を投じる余地は乏しいとの指摘もある。

経済産業省はITシステムに関するリポートで、日本企業がデータ活用などによる事業モデルの変革を遂げられなければ、年間最大12兆円の経済損失が生じる「2025年の崖」を警鐘した。

リポートでは、日本企業がシステムの維持更新の費用負担が高いことや、保守運用の担い手不在を懸念している。みずほのような課題は日本企業全体に横たわっており、警鐘が現実のものとなる可能性は小さくない。

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山崎俊彦
東京大学 大学院情報理工学系研究科 准教授
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貴重な体験談

「IT競争力が左右」するのは金融業界に限ったことではありません。よくある笑い話に、「うちの会社はIT障害が何も起きない。IT部門には無駄に給料を払っているだけだ。くびに/縮小/解散しよう。」と決断したところ障害が起こりまくってしまって「君等がちゃんとやってくれていたお陰だったのか・・・」ということが分かったいうものがあります。「ごん狐」のような世界。

2021年4月6日 7:56

Oneみずほの落とし穴 システム障害、真の教訓は

Oneみずほの落とし穴 システム障害、真の教訓は
本社コメンテーター 上杉素直
https://www.nikkei.com/article/DGXZQODK010VS0R00C21A4000000/

『既視感に襲われた。みずほ銀行が2月末からの2週間で4度のシステム障害を起こした。そのドタバタを見ていて思い出したのは、2002年と11年の大規模なシステム障害よりもむしろ、13年に明るみに出た反社会的勢力への融資にまつわる不祥事だ。
反社会的勢力への融資の存在は当時の経営トップまで報告されていたにもかかわらず、「報告はなかった」と間違った説明をした。世間の視線が一気に厳しくなったきっかけは、そんな…

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世間の視線が一気に厳しくなったきっかけは、そんな事後対応の失敗であり、組織としての危機管理の甘さだった。

今回、2月28日に起きた最初のシステム障害は、一部の定期預金を紙の通帳のないデジタル口座へ移す作業が引き金になった。ふに落ちないのは翌3月1日におわびの記者会見に臨んだ幹部たちがデジタル口座という言葉にまったく触れなかった点だ。

素早く正確で丁寧な情報開示は不祥事対応のイロハのイ。翌日になっても状況をつかめずにいたなら問題だし、知っていて説明しなかったのだとしたらより深刻だ。こんな姿を目にすると、過去の失敗からいったいなにを学んだのかとがっかりする。

親会社のみずほフィナンシャルグループは第三者委員会を設けて原因を探り、金融庁は立ち入り検査で実態を洗い出すそうだ。一連のシステム障害をもたらしたプログラムの欠点や運用の課題は遠からずはっきりするだろう。それはそれで改めるしかない。

だが、今回のドタバタで浮かび上がった一番重要なポイントは、いざトラブルが生じたとき適切に対処できない組織の弱さやガバナンスの不具合にちがいない。発火点はシステム障害だったが、燃え上がらせてしまった原因は顧客をはじめとする関係者への対応のまずさ、感度の鈍さだ。

では、組織の風通しを悪くする問題の根はどこにあるのか。要因はさまざまに絡み合うが、新しいみずほを形づくる土台として16年にスタートしたカンパニー制という陣立てに目を向けたい。顧客のニーズをつかむ商品やサービスをグループ一体となって提供する「One(ワン)みずほ」戦略の要となる仕掛けだ。

カンパニー制のそもそもの理念に反対する人はいないだろう。5つのカンパニーは個人や企業など顧客の属性ごとに分かれ、銀行、証券会社、信託銀行の各組織に横串を通す形で存在する。それぞれのカンパニー長は収益責任を負い、あたかも会社のトップような指揮命令の権限をもつ。

もっとも、新しい試みが良いことばかりもたらす保証はなく、落とし穴がどこかに潜んでいると考えたほうがいい。カンパニー制を強力に進めるほど、副作用だって大きくなる。負の側面が今回の不祥事で垣間見えたのではないかという問いかけだ。

よくよく注意しないとカンパニー制が生み出してしまう負の側面を2つ挙げたい。いずれも「カンケツ」が失われる現象だ。

まずは簡潔。銀行や証券という既存の組織の縦ラインに、カンパニーという横の軸が重なり合う。どれだけ縦と横の役割分担をうたっても、業務をとりまくややこしさや複雑さは明らかだ。

そして完結。かつてに比べて銀行は独立した組織として尊重されなくなった。頭取は銀行にまつわるすべての事柄を決める最終権限があるかといえば、そうでない。その裏返しとして、責任の所在もあいまいになりやすい。

半期に一度の部店長会議は以前は頭取が自分の思いを伝える舞台だった。しかし最近は持ち株会社のカンパニー長たちへと主役の座が移ったらしい。頭取人事よりカンパニー長人事のほうがグループにとって大事になった、と受け止める幹部は少なくない。

やや乱暴なたとえを示そう。安倍前政権は官邸主導を強めるため、省庁の幹部人事を掌握し、波長の合う役人を首相の周りに登用した。結果として政策の実行部隊であり専門家集団である役所の一部にしらけたムードが広がり、士気は下がったといわれる。

同じ構図で持ち株会社を官邸に、銀行を省庁に見立てたらどうだろう。一歩間違えば銀行の現場に近年の霞が関のような空気が忍びこまないか。最近、みずほの人たちと話していると、そんな心配が頭をよぎることがある。

もちろん、だからといってカンパニー制や持ち株会社主導のグループ運営をやめればよいという話にはならない。グローバルに戦っていくには銀行と証券の連動は必須の条件だ。要は、いかにバランスをとりながら、効果的に組織を回していくかという鉄則におのずと行き着くだろう。

どうすればよいか、答えはとっくにわかっている。「都合の悪い話であっても持ち株と銀行、証券の関係者が互いに腹落ちするまで意見を言い合おう」。カンパニー制を始めたころ、当時の経営陣の1人はそう話して回った。

縦に横にと組織を張り巡らせるだけでなく、コミュニケーションも縦横斜めに繰り返す。上意下達に偏らず、現場の息づかいをきちんと共有できなければ組織を的確に動かせるわけがない。みずほに限らず、業容を広げようと陣立てを見直すすべての銀行、あらゆる企業に当てはまる。

今度は見て見ぬふりをせず、組織のカルチャーにまで踏み込んでもらいたい。不祥事から学べるかどうかの分岐点にいる。

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上杉 素直

金融ビジネスや金融政策、税制・財政をはじめとする経済政策、社会保障の現場を取材してきた。2010年からのロンドン駐在では欧州債務危機に揺れる政治や行政、人々の暮らしをのぞいた。編集委員を経て18年から現職。

Oneみずほの落とし穴 システム障害、真の教訓は(11:30)
コロナ検査、岩盤を壊せ 経済のアクセル踏むために(2月27日)

Facebook流出データ再拡散 保存・複製に中長期リスク

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC051X50V00C21A4000000/

『米フェイスブックの利用者5億人以上の個人情報がインターネット上で閲覧可能となっていたことが5日までに分かった。同社は2019年に大規模な情報流出を起こしており、これらデータが再拡散したとみられる。新規の情報流出ではないため、専門家の多くは「フェイスブックの法的責任を問うのは難しい」と見る。保存や複製が容易なデータが中長期で悪用されるリスクがあらわになっている。

フェイスブックは「(今回ネット上で閲…

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フェイスブックは「(今回ネット上で閲覧可能になった)当該データは19年に報道された古いものであり、19年8月に既に問題は修復済みだ」と説明している。フェイスブックとしては情報が漏れないよう穴は塞いだとの立場。米連邦取引委員会(FTC)にも個人情報の管理不備で50億㌦(約5400億円)の制裁金を支払った。今回は漏れたあとのデータを同社の関与が及ばないハッカーがネットに上げたとの主張だ。

とはいえデータ再拡散により、メールアドレスなどがサイバー犯罪に悪用されるなど被害が広がる可能性がある。セキュリティー対策に詳しいS&J(東京・港)の三輪信雄社長によると、日本のユーザーと見られるデータは約43万件が流出しているもようだ。利用者のIDや氏名、所属先のほか、一部には住所情報も含まれているという。

一方で今回の問題でフェイスブックの責任を問うのは容易ではない。個人データに詳しい弁護士は「一度漏れてしまったものについて、食い止めるのは現実的に難しい。再拡散を理由に(フェイスブック)の責任を問うのは困難だ」と話す。

15年に発覚した利用者の同意がないまま顔写真などの生体データを利用した問題では、米国で約160万人の利用者を対象とした集団訴訟に発展した。21年2月に、約6億5千万㌦を支払うことで和解が成立した。ユーザー1人あたり345ドルを受け取ることになる計算だ。

ただ今回について海外の個人情報保護ルールに詳しい杉本武重弁護士は「生体データのような重要な個人情報を含んでいないため、同様の高額賠償を伴う集団訴訟になる可能性は低い」とみる。訴えが起こされた場合も、「データ流出によって具体的にいくらの損害が発生したか」という因果関係の証明が難しい。米国はカリフォルニア州などで厳しい個人情報保護ルールはあるものの、連邦法で個人情報保護を包括的に定める法令がなく、データ漏洩そのものの責任を問うハードルが高い。

裁判などで賠償を求める道が険しい以上、利用者はデータ漏洩の被害を最小限に防ぐ自衛を余儀なくされる。

フェイスブックは過去のデータ流出の度に、利用者にパスワードの変更などを呼びかけてきた。万が一、本人が変更しなかったために自分のパソコンなどに侵入され、サイバー犯罪の被害に遭った場合について、大井哲也弁護士は「全てが利用者の自己責任になるわけではなく、フェイスブックの損害賠償責任と利用者の過失が相殺されるのが法律上の考え方だ」と話す。ただ、そもそもフェイスブックの損害賠償責任が裁判所などで認められなければ、利用者は被害にあっても泣き寝入りしなければならないのが実情だ。

一方で当局が動いた場合はフェイスブックが再び責任を問われるとの見方もある。杉本弁護士は「(今回の再拡散で)被害が拡大したとしてFTCの追加調査が始まれば、19年よりも高額の制裁金が命じられる可能性がある」と指摘する。

日本の場合、個人情報保護法で個人情報を扱う事業者に安全管理の義務を定めている。今回の問題でフェイスブックが義務違反に問われる可能性があるが、罰金は軽微だ。日本の被害者が、自分のデータ流出に伴う損害賠償を求めて同社を訴えることもできるが、米国での裁判同様、因果関係の立証が大きな壁となる。「必要な資料を集めるなどの作業を、利用者ひとりひとりの力で行うのは相当難しい」(杉本弁護士)。

今回の問題は、容易に複製可能でいったん流出したら被害が終わらないデータ流出特有の問題を改めて印象づけた。日本プルーフポイントの増田幸美氏は「一度やられると何度でもやられる。 IDやパスワードは使いまわされることが多いため、こういったデータのリークが他の情報窃取事件へとつながることがある」と指摘する。「パスワード管理ツールを使うなどして使い回しを避け、セキュリティを維持しながらネットサービスを使うことが重要だ」と強調している。

(渋谷江里子)

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Facebook、流出の5億人情報が再び閲覧可能に 米報道

スパコン富岳、世界一の計算力で革新的AI開発に挑む

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOHD163KW0W1A210C2000000/

『スーパーコンピューターで膨大なデータを学ばせ、創薬や材料開発、自動運転車などの画期となる人工知能(AI)を実現しようとする研究が進む。理化学研究所は世界最高峰のスパコン「富岳」の全計算能力を使って技術革新を目指す。欧米でも同様の動きは盛んで、計算力がAI競争の行方を握っている。

理研は2022年度にも富岳の全ての計算能力を使い、世界最大のAIを試作する。富岳は16万個のCPU(中央演算処理装置)を…

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富岳は16万個のCPU(中央演算処理装置)を持ち、例えばAIに使うと、1秒間に約2エクサ(エクサは100京)回の計算ができる。これを全て使い、創薬や材料開発、自動運転など分野ごとに画期的なAIの実現を目指す。

AIの開発は一般に、創薬や自動運転など目的ごとに関係するデータを大量に計算機に入力して学ばせる。データ量を増やしても性能が高まらなかったり、間違った判断をしたりする場合があった。だが近年、学習法の研究が進んで、データ量や計算機を増やせば性能を高められることが機械翻訳などでみえてきた。

現在では、スパコンの計算能力、学ばせるデータ量、計算結果を左右する項目「パラメーター」の数が重要と注目されている。パラメーターとは例えば病院の診断用のAIならば性別や年齢、既往歴といった項目だ。

スパコンを使うのは、大量のデータを学ばせる必要があるからだ。例えば自動運転車を開発する場合、1台が1年間走ると、カメラや光センサーから約2ペタ(ペタは1000兆)バイトものデータが集まるといわれる。

松岡聡・理研計算科学研究センター長は「創薬や自動運転、翻訳などでは、ペタバイト以上のデータを扱うことが普通になった。それだけのデータを使ってAIを作るには、優れたスパコンが不可欠だ」と話す。

理化学研究所のスパコン「富岳」(理研提供)

目指すのは画期的なAIの開発だ。米マイクロソフトの支援を受ける研究企業、オープンAIが20年6月に公開したAI「GPT-3」は、人に近い自然な文章を作れてイノベーションを起こしたといわれる。1750億ものパラメーターを扱う大規模な計算モデルを使って性能を高めた。

富岳は計算能力では現在世界1位だ。GPT-3が学習に使ったデータの約114倍にもなる5120テラ(テラは1兆)バイトのデータを学習したAIを動かせる。パラメーターの数も同等以上にはなる見込みだ。

松岡氏は「画像や化合物の構造データを大量に作ったり、高速でAIに覚えさせたりする。スパコンで作ったAIでないと画期的な創薬研究などはできない」と話す。足りないデータをAI自体に作らせ、効率的に学ばせる手法は今の主流だ。

理研は富岳で、病気に関わる体内のたんぱく質の構造を詳細に解析し、薬の候補物質を探す。コンピューター断層撮影装置(CT)などの医療画像を使い、がんの早期診断を目指す。30年代に実現が見込まれる「レベル5」と呼ばれる完全自動運転車を実現するAIの開発にも取り組む。

スパコンをAI開発に使う取り組みは、11年に米グーグルと米スタンフォード大学が始めた。現在は米中が先頭を走り、企業も目立つ。「米エヌビディアやマイクロソフトは世界トップ10に入るスパコンを持つ。中国の百度も取り組んでいる」(松岡氏)

欧州では、イタリアの約100の大学と公的機関が構成する研究者の組織「CINECA(シネカ)」が、世界最速のAI向けスパコン「レオナルド」を作る。1秒間に10エクサ回計算できる能力で、22年に運用を始める予定だ。サンツィオ・バッシーニ・ディレクターは「新型コロナウイルス感染症の治療に既存薬を転用する研究や、豪雨や地震などの予測に役立つ」と話す。

期待は大きい。米アルファベット傘下の英ディープマインドは20年11月、半世紀にわたる生物学の難題を解くAIを開発した。創薬につながるたんぱく質の立体構造を短時間で予測した。

今後も競争は続く見込みだ。オープンAIの試算によると、AIを作るのに必要な計算能力は約3.5カ月ごとに2倍になるという。産業技術総合研究所の小川宏高・人工知能クラウド研究チーム長は「今後もスパコンを使ったAIの開発競争は激しくなる」と言う。

勝ち抜くには、スパコンへの投資と人材育成が必要だ。産総研などは講習会を開き、人材育成に取り組んでいる。小川チーム長は「国内企業はスパコンにほとんど投資していない」と話す。大規模なAIを作る潮流に乗り遅れれば、日本の産業競争力をさらに落としかねない。(草塩拓郎)

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山崎俊彦
東京大学 大学院情報理工学系研究科 准教授
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ひとこと解説 スパコンがなぜ必要かという実例を1つご紹介します。記事でも言及があるGPT3の学習には”It was estimated to cost 355 GPU years and cost $4.6m.”とされています。約5億円のコストをかけねばならず、1枚のGPUだと355年もかかってしまう膨大な計算が必要です。

How GPT3 Works – Visualizations and Animations
https://jalammar.github.io/how-gpt3-works-visualizations-animations/

2021年4月2日 12:55いいね
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竹内薫
サイエンスライター
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別の視点 京は計算速度をウリにした結果、社会からあまり支持が得られませんでした。富岳は、その名のとおり、広い裾野を意識し、さまざまな分野で実際に活用してもらおうという姿勢が鮮明ですね。日本のAI開発はいまだ周回遅れと言われていますが、オールジャパン体制で巻き返しを図ってもらいたいです。

2021年4月2日 12:41いいね
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慎泰俊
五常・アンド・カンパニー株式会社 代表取締役
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別の視点 AIの構成要素はデータと演算性能とアルゴリズムであり、これらは相互補完的に強くなります。例えば、計算機の性能があがり、デジタル化されたデータが大量に集まったことで、アルゴリズムも進歩しているわけです。

ですので、演算性能が高いコンピューターがあるだけでは不十分で、大量のデータやアルゴリズムを開発する人材が必要なわけですが、この二点についてはすでに米中に大幅に遅れを取っており、現在のフェーズでのキャッチアップはもう難しいと思います。

ですので、次のフェーズで勝つために必要なものが何かを見極め、そこにリソースを割いていくべきではないでしょうか。

2021年4月2日 11:46いいね
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Microsoft、米陸軍に特注版ホロレンズ供給 最大2.4兆円

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN0102R0R00C21A4000000/

『【シリコンバレー=佐藤浩実】米マイクロソフトは3月31日、米陸軍にAR(拡張現実)端末「ホロレンズ」の特注版を供給すると発表した。陸軍によれば契約期間は最大10年で、契約額は218億8000万ドル(約2兆4000億円)に上る可能性がある。大型契約により、次世代のコンピューティング技術と目されるARへの投資に弾みがつく。

兵士が戦闘のリハーサルや訓練に使う「IVAS」と呼ぶシステムの供給契約を結んだ。ARヘッドセットとクラウドコンピューティングを組み合わせ、敵との交戦前の訓練などに利用する。基本契約期間は5年で、さらに5年の延長権を含む。米メディアによれば、供給するヘッドセットの数は12万台に上るという。

両者は2019年から、兵士の訓練でのAR端末の活用について検討してきた。当時マイクロソフトの従業員の間では軍への技術提供を批判する声も上がったが、サティア・ナデラ最高経営責任者(CEO)は米軍を民主主義のもとで選んだ機関とし「道義的な決断」と説明していた。

ARやVR(仮想現実)機器はコンピューターの世界で、メインフレーム、パソコン、スマートフォンに続く基幹製品になると見られている。マイクロソフトのほか、米フェイスブックや米アップルなどIT(情報技術)各社が研究開発に力を入れている。

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LINE立ち入り、業務超えた閲覧の有無焦点 実態解明へ

https://www.nikkei.com/article/DGXZQODG3142O0R30C21A3000000/

※ 大体、サーバーを韓国に置いている段階で、「お察し」というヤツだろう…。

※ しかも、ネットでは、ずっと「話題になっていたこと」だ…。

『LINE(ライン)の利用者の個人情報が中国の関連会社から閲覧できた問題で、個人情報保護委員会は31日、個人情報保護法に基づき、LINEや親会社のZホールディングスなど関係先の立ち入り検査を実施した。従業員らが業務の範囲を超えて閲覧していなかったかなどを焦点に、同社の情報管理体制の実態解明を進める。

同社などによると、中国・上海の関連会社の従業員が2018年8月から21年2月までの間、日本のサーバー…

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同社などによると、中国・上海の関連会社の従業員が2018年8月から21年2月までの間、日本のサーバーに保管されている氏名や電話番号などの個人情報にアクセスできる状態だった。これまでに少なくとも計32回のアクセスがあったことが確認されている。

また利用者から「不適切だ」などと通報があったメッセージに対し、中国・大連の業務委託先からアクセスしていた。

同社はこれまで中国の従業員が閲覧した情報は「業務上必要な範囲だった」などと説明する。ただ、委託先の従業員がどんな種類の個人情報にアクセスできるのか、必要な業務範囲とは何かーーといった運用ルールなど詳細を明らかにしていない。

個人情報に関する業務を委託する場合、企業などには委託先を監督する義務がある。個人情報に詳しい弁護士は「LINEの体制に不備があり、委託先を十分に監督できていなかった可能性がある」と話す。

そもそも個人情報に関する業務を、中国にある企業に委託していた点を疑問視する声も多い。背景にあるのは17年施行の国家情報法だ。中国では国が民間企業や個人に対し、情報提供を強要することができる。「一般データ保護規則(GDPR)」を定めプライバシー保護を強化した欧州連合(EU)などとは大きくルールが異なる。

海外に業務を委託すること自体は違法ではないが、「中国では情報漏洩など安全保障上のリスクは否定できない」(同弁護士)という。

同委員会は問題発覚後、LINEの委託先の業務内容や個人情報へのアクセス状況、個人データの扱いに関する社内ルールの順守状況などの調査を進めている。同社が中国からのアクセスを遮断したとする対応策についても、適切に遮断されているのか検証するという。

LINEの利用者は約8600万人に上る。プライバシー保護や危機管理を専門とする日置巴美弁護士は「個人データの厳格管理が求められる時代に、LINEは委託先をチェックする体制が整備されていたか疑問だ。個人情報を扱う企業として、安全や危機管理の意識が低かったと言わざるを得ない」と指摘する。委員会は立ち入り検査で同社の管理体制に不備が無かったかどうかなど実態解明を急ぐ。

みずほ障害「組織スキルが低下」 金融庁に報告書危機管理官を設置へ

https://www.nikkei.com/article/DGXZQODF316CT0R30C21A3000000/

『2月末から相次いだシステム障害を受け、みずほ銀行が31日に金融庁へ提出した報告書の概要が分かった。全国にある7割強のATMが一時動かなくなった2月28日のトラブルを念頭に「組織的なスキルが低下するとともに、横断的な統制が機能しなかった」と明記。障害時の迅速な対応に備える危機管理の担当者を設置することも盛り込んだ。

報告書では約2週間で4件起きた障害について「社会に広く不安を与え、極めて重く受け止め…

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報告書では約2週間で4件起きた障害について「社会に広く不安を与え、極めて重く受け止めている」と陳謝。「4つの事案に因果関係は確認されず、一つの障害がほかの事象を連鎖的に引き起こしたものではない」と結論づけた。2019年までに移行した新しい基幹システムについては「障害に対応する機能は想定通りに作動した」とし、システム自体に大きな問題はないとの認識を示した。

発端となった2月末の障害は、全体の73%にあたる4318台のATMが一時動かなくなるなど利用者に不信感を与えた。現金を引き出そうとした利用者のキャッシュカードや預金通帳を取り込んだ件数は5244件にのぼる。

引き金となったのは、1年以上にわたって記帳されていない定期預金の口座をデジタルに移す作業だった。データの処理量が事前に準備した容量を超えてパンクし、作業を復元する「自動取り消し処理」もできなくなる二重エラーが発生。ATMの取引をつかさどる区画に波及し、カードを取り込む事象につながった。

一般的にカードが吸い込まれると、利用者は備え付けの電話でオペレーターに問い合わせる。不正利用がないと確認できれば遠隔からの操作などを通じ、利用者にカードを返却する取り決めだ。

ところが障害の起きた28日は日曜日で、朝9時の時点でオペレーターは15人弱にとどまっていた。問い合わせが急増した午前10時以降に電話で応対できなかった割合は90%台で高止まりし、利用者をATMコーナーで長時間待たせる結果につながった。

緊急時の連携にも課題を残した。ATMが広範囲で止まっていると担当部へ情報が上がったのは午後1時過ぎ。幹部が全拠点に出勤を指示したのは午後2時半ごろだったが、休日でメールを閲覧できる端末を携行していない管理職が多かった。本部が顧客への対応で明確な指示を出したのも午後5時半と後手に回った。

こうした対応について「全体像を組織として早期に把握するに至らなかった」と指摘。「役員への報告が断片的な情報にとどまり、適切なタイミングで指示ができなかった」と振り返っている。

システムの運用面では「全体を俯瞰(ふかん)した確認が不十分だった」と総括した。新しい勘定系システムが安定的に稼働し、制御を手掛ける担当者も減少。システムを構築したベンダーからなる組織は解散していた。「制御などに関する組織的なスキルやノウハウが低下するとともに、横断的なチェックや統制が十分に機能しなくなっていた」という。

今後の対応策として、システムの改修にあたっては多層的に点検する態勢を整える。カードを取り込んだATMの仕様については、4月末から9月末にかけて順次見直すという。日常的に危機管理のノウハウを磨き、危機時の迅速な対応につなげる担当者も設置する。みずほはこうした方針を4月上旬をめどに開く記者会見で説明することにしている。

データ移転ルール厳格に 自民・甘利氏、LINE問題踏まえ「保護不十分な国認めず」

https://www.nikkei.com/article/DGXZQODE249AB0U1A320C2000000/

『自民党ルール形成戦略議員連盟の甘利明会長はLINE利用者の個人情報が中国から閲覧可能だった問題を受け、日本のデータ移転ルールを厳格にするよう提起した。移転先について「データ保護のレベルが日本と同等の国や地域に限るべきだ」と述べた。

違反した場合、企業名を公表する仕組みの導入も促した。

2022年春に施行する予定の改正個人情報保護法は移転先の国名を特定し、本人の同意をとることなどを盛り込んだ。甘利氏…

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甘利氏は「日本が間に立ってつなぐ役割を果たすべきだ」と説いた。

日米欧で共通の基準ができれば「国際標準をクリアした国同士でしかデータを出せなくなる」と話した。経済安全保障の観点で、データ移転先から中国を事実上外すことなどを想定する。

LINEは今回の問題を踏まえ、中国で日本で利用する人の情報を扱うサービス開発やデータの運用をしない方針に切り替える。

中国は17年に国家情報法を施行し、民間企業や個人にも情報活動への協力を義務づけた。LINE利用者のデータも中国の委託先を経由して中国当局にわたるおそれがある。

甘利氏は「これはLINE1社の問題ではない」と強調した。「データ処理やアプリ開発で中国に委託し、もっと深刻な問題を抱える企業もあるようだ」とも指摘した。

各省庁にそれぞれが所管する業界を通じ、中国の委託先企業の実態を調査するよう指示したと明らかにした。

現行の個人情報保護法は利用者が同意すれば個人情報を国外に移したり、日本にある情報を海外から見られるようにしたりするのを認める。

LINE側は利用者向けの指針で「パーソナルデータを第三国に移転することがある」と明記しており、法的な問題はないと主張している。甘利氏は「個人情報にかかわる重要な項目は真っ先に読まれるように改善を指導すべきだ」と訴えた。

日本は20年に個人情報保護法を改正した際、EUの「一般データ保護規則(GDPR)」を参考にした。GDPRはイラストなどを使って利用者に理解されないと同意を得たことにならないと定める。

LINEは日本発のプラットフォーマーとして期待されるIT(情報技術)大手だ。甘利氏は「プラットフォームは公的インフラであり、国益を意識してもらいたい」と呼びかけた。

グーグルやアマゾンなどGAFAにマイクロソフトを加えた米IT大手5社を意識したプラットフォーマーをめざすうえで「いい試練になったと捉えるべきだ」と言及した。LINE問題をきっかけに「日本全体で危機感が共有できる機会になった」と発言した。

データ流通のルールづくりを巡っては、安倍晋三前首相が19年の20カ国・地域首脳会議(G20大阪サミット)で、データ活用の分野で「大阪トラック」を提唱した。

プライバシーを尊重し信頼あるデータの自由な流通をめざす内容で、国家主導でデータを管理する中国に改善を求めた。

自民党のルール形成議連は経済と安全保障が密接に絡む経済安保のあり方を議論してきた。軍事転用可能な技術の流出防止や輸出管理などの強化策を考える狙いは中国への対応にある。

米国も先端技術が中国に流出するのを警戒し、企業や研究分野での中国政府の活動への監視を強めている。

多様な観点からニュースを考える
※掲載される投稿は投稿者個人の見解であり、日本経済新聞社の見解ではありません。

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今村卓
丸紅 執行役員 経済研究所長
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ひとこと解説 日本企業は業種を超えて、ビジネスが米中対立の影響を受けていないか、経済安全保障リスクに直面していないか、今後の恐れはないかの点検が必要です。グローバルに国を意識せずに、コストや機能の優劣だけを基準にパートナー、生産拠点、委託先などを選べた時代は終わりました。経済安全保障も重要な基準として選ぶ必要があります。

コンプライアンスだけでは企業を守れないという危機感も必要です。経済安全保障のルールは形成途上であり、ただ法整備を待つことはリスクの放置と同じです。日本企業も政府渉外活動を強化し、自社に影響するルールを予測し、自らルール形成に積極的に参加することが求められていると思います。

2021年3月25日 14:02いいね
0

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滝田洋一
日本経済新聞社 編集委員
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分析・考察 LINE問題は個人情報保護と同時に情報安全保障の問題です。中国が2017年に施行した国家情報法では、民間企業や個人にも情報活動への協力を義務づけている。LINEについても実際にデータが流出したかしないかの前に、法制度上、中国の委託先を経由して中国当局にわたるおそれがある。そこに問題があるのです。

甘利氏がデータの移転先について「データ保護のレベルが日本と同等の国や地域に限るべきだ」と述べているのは重要です。中国はいわずもがなとして、政治的に中国への傾斜を深めている韓国などはどうなのか。事業者からの徹底的な聞き取りと早急な法制整備が望まれます。

2021年3月25日 12:46いいね
12

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村山恵一
日本経済新聞社 本社コメンテーター
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ひとこと解説 個人データの取り扱いについてLINEは日本で「優等生」とみられてきました。そういう会社がこのような状況に陥ったことは重く、改めて日本全体でデータに対する意識を高める必要があります。社会、経済のためにデータを活用する流れは不可逆的です。これを機にデータ保護の体制をしっかり整え世界に発信できるくらいにならないと、国としての存在感、競争力が失われてしまいます。

2021年3月25日 12:16いいね
7

中国ハッカー、ウイグル族をスパイ Facebook発表

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN250S50V20C21A3000000/

『【シリコンバレー=奥平和行】米フェイスブックは24日、中国のハッカー集団による在外ウイグル族の監視や追跡を目的としたスパイ活動を検知し、偽アカウントの削除などの対策を講じたと発表した。SNS(交流サイト)の不正利用への批判が広がるなか、バイデン米政権が重視する人権問題への対応を強める。

「アース・エンプーサ」「イービル・アイ」などの名前で知られる中国のハッカー集団が同社のSNSを利用したスパイ活動…

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「アース・エンプーサ」「イービル・アイ」などの名前で知られる中国のハッカー集団が同社のSNSを利用したスパイ活動に従事していた。トルコやカザフスタン、米国などに住むウイグル族を対象としていた。

偽アカウントを使い、新疆ウイグル自治区に関係する人権活動家やジャーナリストを偽ニュースサイトなどに誘導していた。偽サイトでマルウエア(悪意のあるソフト)をダウンロードさせたりし、情報端末を通じて所有者の行動を監視・追跡していたもようだ。

実在のアプリ配信サービスをまねた偽サービスを通じ、マルウエアを組み込んだスマートフォンのアプリをダウンロードさせる手法もとっていた。フェイスブックでセキュリティー政策責任者を務めるマイク・ドビリアンスキー氏は「一連の活動には十分な資金力がある強力な組織の形跡がある」としている。

フェイスブックはスパイ活動を封じるために偽アカウントを削除した。また、マルウエアのダウンロードにつながるウェブサイトをSNSで共有できなくしたほか、攻撃対象になった恐れがある利用者に注意喚起したと説明している。

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竹内薫
サイエンスライター
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分析・考察 正直、国家レベルで支援されている可能性のある黒ハッカー集団から身を守るのは、至難の業ですよね。昔のスパイ合戦はリアルでしたが、いまは完全に主戦場がネットになりました。私も中国系のアプリは怖いので、なるべく使わないようにしています。

2021年3月25日 12:42いいね
3

土屋大洋のアバター
土屋大洋
慶應義塾大学 総合政策学部学部長
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ひとこと解説 よくある手法とはいえ、露骨とも言えます。怪しいリンクをクリックしないと言っても、手の込んだものは怪しく見えないこともあります。まして広く情報を共有したいと思っている人たちはネットワークの拡大に積極的ですから、知らない人からのフレンド要請にも応じるでしょう。フェイスブックが対応してくれるのは良いことだとは思いますが、表現の自由との兼ね合いで過剰な取り締まりもできません。SNSは完全に自由で開かれたメディアとは言えませんが、アメリカ的価値観の下では、できるだけ自由で開かれている必要があるでしょう。中国はそれに乗じていると言えます。

2021年3月25日 12:23いいね
2

NYタイムズが「アップル・ニュース」から撤退( 2020/07/10 11:00 )

https://www.yomiuri.co.jp/world/nieman/20200708-OYT8T50023/

『ケン・ドクター(米ジャーナリスト)
激震か微動か
 ニューヨーク・タイムズ紙(以下タイムズ)が、アップル社のニュースフィード「アップル・ニュース」からの撤退を決めた。

 これだけだと、主要メディアと巨大プラットフォーム(サービス基盤)の間で、また何か駆け引きがあったようにしか見えないだろう。だが、これは何か大きな動きが起きる前触れなのかもしれない。今年中にもプラットフォームのニュースに対する力関係に地殻変動が起きるのか、それとも微動で終わるのかという話だ。

 (米国での人種差別抗議運動を発端に広がった)グローバル企業によるフェイスブック社への広告掲出ボイコットの動きも、この振動がより大きな揺さぶりにつながる可能性をうかがわせる。全米各州や連邦の司法当局が進める、GAFA(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾンのプラットフォーム4社)を念頭に置く反トラスト法(日本の独占禁止法に相当)違反追及の動きにしてもそうだ。

 「巨大プラットフォームとの関係を見直す時が来た」とタイムズの最高執行責任者(COO)メレディス・ルビーン氏は語り、三つの軸で再検討を進めていると明かす。

(1)その企業が、タイムズの記事に閲覧者を招き入れるのにどのような役割を果たしているか。

(2)タイムズの主目的は読者との直接的な関係を拡大し、(記事への)接触を習慣づけ、最終的に購読してもらうことだが、その企業はどのような役割を果たしているか。

(3)その企業が、タイムズがジャーナリズムのために行った投資から相当な利益を得ていることがわかっていても、なお割に合う関係なのか。

 ルビーン氏は3年前にCOOとなり、マーク・トンプソン最高経営責任者(CEO)の後継候補に広く目されている。その人物が「この時点でアップル・ニュースに参入し続ける意味はもう見いだせない」と言うのだ。

 タイムズがプラットフォームとの関係修正に乗り出すのは、これが最後でもないだろう。ルビーン氏は「過去18か月、我々はプラットフォームとの関係について真剣に考えてきた。生態系の中での現実に合わせ、自分たちをどこまで刈り込むかという計測を周到に進めた。我々は少しずつ、年々、改善してきたからこそ、このような変化を今、行えるようになった」と述べる。要するに、タイムズは2025年に購読者を1000万人まで増やすという目標を「独力で」達成できることが実証されつつあるというのだ。

コロナも転機に
 「新型コロナウイルスの危機的状況がピークだったころ、タイムズのニュース利用者は2億5000万~3億人に達した。3月には米国で、成人10人のうち6人がタイムズを利用していた。読者との関係を築く上で、これほど大きな機会はかつてなかった」とルビーン氏は指摘。さらに、「我々の最終目標は、より多くの人々の暮らしに、より大きな役割を果たすことだ。我々は年々、その目標に向け、自力でできることが増えている。だからと言って配給パートナーがいらないというわけではない。ただ、そうした企業を評価する方程式に変化が生じた」と今回の決断を巡る状況について説明した。

 つまり、タイムズはプラットフォームとの関係をすべて断つわけではないが、これが微震にとどまるような話でもないということだ。

危険なダンスは続く
 例えば、タイムズは、アップルとこれからもポッドキャストでは緊密に協力していくだろう。主力アプリ「ザ・デイリー」はその価値を増している。アップストアを通じて販売されるタイムズのアプリは、購読者との接触時間を固める鍵になっている。

 トンプソンCEOは、メディア発行人として巨大プラットフォームとの危険なダンス(駆け引き)は続けざるを得ないと率直に認める。トンプソン氏はわずか1年前、なぜタイムズがワシントン・ポスト紙のように雑誌読み放題アプリ「アップル・ニュース+」の立ち上げに加わらないかについて、「いろんなニュースを寄せ集めて、うわべだけ魅力的な混ぜ物を作ろうとしているからだ」と酷評していた。

 ニュースをどこから得ているかと問われて、「携帯電話から」と答える人は多いだろう。だがタイムズは、他の新聞社同様、購読料金の獲得を唯一の進むべき道とみており、ニュースを提供しているのは自分たちだと読者に認知してほしいのだ。タイムズは、読者と直接的な接触を持ち、可能ならば購読契約につなげたいと考えている。

 もちろん、ニュースを発行する側と集積する側との緊張関係は、インターネットの初期時代からあった。ヤフーニュースを巡っては20年以上、メディア各社の中で、加わるべきか、仮に加わるならどのような形で、という議論が続いてきた。

 タイムズは長年、アップル・ニュースに配信する記事を限定してきた。配信の見返りにタイムズが得たのは、ニュースレターや購読を募る広告などの呼びかけを行う場だった。アップル・ニュースでのニュース視聴回数はデジタル市場分析大手のコムスコア社によるインターネット視聴率測定に反映されるメリットもあった。ただ、これらは主にブランドイメージと到達率であり、直接の利益につながるルートではなかった。

アップルは静観
入り口に大きなロゴを掲げたニューヨーク5番街のアップルストア(2019年9月、ロイター)
 アップル・ニュースが実際は何であるのかを誤解している人は、ユーザーの中にもいる。多くの人にとって、それは「携帯に出てくるニュース」で、意図的にせよ、偶然にせよ、画面を操作することで特定のお知らせや記事のまとめが見られる。アップル・ニュースのユーザー数は今年4月現在で1億2500万人。ほんの3か月前の1億人から増えている。

 アップル・ニュースによれば、撤退したメディアはタイムズのほかにはほとんどない。アップルの広報担当は、「ニューヨーク・タイムズはアップル・ニュースに毎日数本しか記事を提供してこなかった」とする声明を発表。「我々は1億2500万のユーザーに最も信頼できる情報を届けるよう努めている。今後もウォール・ストリート・ジャーナルやワシントン・ポスト、ロサンゼルス・タイムズ、ヒューストン・クロニクル、マイアミ・ヘラルド、サンフランシスコ・クロニクルを含むメディア数千社と協力し、さらに多くのすばらしいメディアを加えていくことで読者への務めを果たす」と続けた。

 声明はさらに「我々は広告料や購読料などでの定評あるビジネスモデルを通じ、質の高いジャーナリズムを支えることにも尽くす」とした。

撤退への二つの計算
 タイムズによる撤退決断の背景にはもっぱら、ニュースを直接発行する者の力、すなわちジャーナリストと読者の関係があった。この関係こそが購読料収入を得るための核心であり、購読料獲得こそが今のメディア企業が前進する唯一の道なのだ。

 ただタイムズの行動は同社ならではのもので、大転換の先駆けになるかどうかは微妙だ。何しろタイムズは計600万人の読者を擁し、その数は紙の新聞がピークだった頃の3倍以上だ。

 より多くの読者と購読契約者がいればデータが集積され、どういった読者に何が有効かの分析もできる。その分析の結果が、タイムズにとってアップル・ニュースはプラスにはならないというものだった。

 二つの計算があった。第一は、タイムズが、今現在ニュースを見ている人たちをどうすれば購読契約者にできるかだ。

 ルビーン氏は「我々は、自社のプラットフォームを使って読者との関係を築き、拡大することに自信を深めている」と話す。その上で、「配給パートナーが何をもたらしてくれるか。その製品は主として、あるいは純粋に、タイムズのニュースに読者を引きつけるためのものであるのか」を問い続けているのだという。

 第二は、アップル・ニュース(あるいはタイムズのコンテンツを扱いたい他のプラットフォーム)が、忙しい読者にとって新聞の代替物になり得るかというものだ。

 ルビーン氏は「部分的にせよ、新聞の代替物になる製品があるのか、真剣に考えてきた。仮にそうならば、我々は(ニュースを提供することに対し)どのような対価を得られるのか。それはお金なのか、我々の方に視聴者が誘導されるのか、あるいは我々が読者と直接の関係を築くことを容易にするものなのか。こういったことを計算した」と話す。

ニュースがすべての基盤
 タイムズの撤退は、主要メディアとGAFAとの関係により広範な変化をもたらすのだろうか。

 グーグルとフェイスブックは最近、メディア支援に力を入れている。支援は実質を伴い、訓練や資金面での援助に加え、極めて選別的ではあるが、いくつかの社にはニュース素材への代価が支払われている。現時点では、地方紙の発行者からは「コンテンツに直接料金が支払われたことはない」との声が寄せられるが、それも変わるかもしれない。

 こうしたメディア支援プログラムの拡充は、少なくとも三つの大陸で同時に巨大プラットフォームへの圧力が強まっていることと無関係ではない。オーストラリア、カナダ、そして欧州ではプラットフォーム批判が強まり、規制が強化され、プラットフォーム側からすると、脅威は新局面に入りつつある。

 メディア側から聞こえる呪文は、「我々に金を払え」というものだ。

 プラットフォームに対し世界規模で高まる懸念やポピュリスト的反動、情報技術(IT)企業への反発を背景に、グーグル、フェイスブック両社のみならず、アップル、アマゾン両社に加えツイッター社も、少しは譲らなければならないことがわかってきた。

 だからプラットフォーム各社は、知的利益の最大化に企業としてできる貢献を行う。規制や反トラスト、課税を通じた情け容赦ない締め付けが強化されないよう、「自主的に」、何を差し出せるか計算しているのだ。

 ルビーン氏に、アップル・ニュースからの離脱はタイムズでなければできなかったかどうかを聞いてみた。同氏の答えは、「他社に成り代わって話すことはできないが、どの新聞社にも自社やフリーのジャーナリストの仕事を支えられるような財政基盤があるべきだ」というものだった。

 「我々がジャーナリズムに対して行っている投資は、増え続ける一方だ。(コロナ禍の)今年でさえ増え続けている。技術者とデータ分析者、製品管理とデザインの専門家も少なからず増やした。広告部門は今年、ますます厳しい状況にある。我々のしようとすることには常に投資が必要だ。好況の時も不況の時も、ニューヨーク・タイムズの投資はまずジャーナリズムのために行われる」

 デジタル・ニュースのビジネス上の成果を測る指標がいくつあっても、一番の基盤は元のニュースと解説の質だ。報道機関がいったい何人のジャーナリストや関連分野の技能を持つ人材を支えていけるのか。そしてプラットフォームとの個別の取引がその助けになるのか、ならないのか。それこそが、すべての鍵となる指標なのだ。

(6月29日配信、原文は こちら )』

LINE「利用者へ配慮なかった」 会話データ、国内移管へ

https://www.nikkei.com/article/DGXZQODZ239TW0T20C21A3000000/

 ※ ネットでは、ずっと言われ続けてきた話しだろ?

 ※ なんで、今さら大騒ぎしているんだ?

 ※ LINE使うヤツは、個人情報抜かれてもヘーキな、「情弱」と言われ続けてきただろ?

 ※ 使っているヤツは、それを承知で使っていたんじゃ、ないのか?

 LINE (企業)
https://ja.wikipedia.org/wiki/LINE_(%E4%BC%81%E6%A5%AD)

『概要

法人としては韓国最大のインターネットサービス会社であるネイバー(NAVER、1999年設立)が2000年にオンラインゲームサイト「ハンゲーム」の日本運営法人「ハンゲームジャパン」として設立したのが最初である[5]。2011年6月にハンゲームジャパン改め NHN Japan が始めた「LINE」の爆発的普及により業績を伸ばし、2013年には法人名自体を「LINE株式会社」に改め、2018年時点で子会社であるLINEはNAVERグループ全体の総資産の40.1%、売り上げ高の37.4%を占めた[6]。

2019年にソフトバンクグループでYahoo! JAPANを運営するヤフー(2020年に持株会社化しZホールディングスに商号変更)との経営統合を発表し、複数回の株式移転を経て2021年3月1日にZホールディングスと経営統合[7]。旧LINE株式会社はZホールディングスとの合弁会社とした上で「Aホールディングス株式会社」に法人名を改めた。現在のLINE株式会社は2019年の経営統合発表後に設立された分割準備会社を元としており、2021年に事業譲受後にZホールディングスの完全子会社となっている。』

『沿革
2000年(平成12年)
10月 – ハンゲームジャパン株式会社として設立。
12月 – ハンゲーム日本版の正式サービスを開始。
2003年(平成15年)
8月 – NHN Japan 株式会社に商号変更。
2004年(平成16年)
7月 – NAVERブログのサービスを開始(現在は終了)。
2005年(平成17年)
6月 – CURURUのサービスを開始(現在は終了)。
2006年(平成18年)
5月 – アソブログのサービスを開始(後にサービス終了)。
12月 – マルチタームを完全子会社化。
2007年(平成19年)
1月 – ISMS認証(ISO/JISQ27001規格準拠)を取得[8]。
6月 – 日本オンラインゲーム協会に入会。
10月9日 – 代表取締役社長が千良鉉から森川亮へ異動[9]。
11月 – 検索関連事業を行う子会社ネイバージャパン株式会社を設立。
2008年(平成20年)
2月 – 韓国メディアウェブ社との共同出資で株式会社メディエーターを設立。
3月 – ケータイハンゲームのサービスを終了。同月にハンゲ.jpのサービスを開始(現在は終了)。
2009年(平成21年)
12月 – モバイルコンテンツ審査・運用監視機構のコミュニティサイト運用管理体制認定制度の審査に合格[10]。
2010年(平成22年)
1月 – ハイチ地震で被害を受けたハイチ共和国に義援金100万円を贈呈[11]。
5月 – ポータルサイト運営の株式会社ライブドアを完全子会社化[12]。
2011年(平成23年)
1月 – オリックス・バファローズのユニフォームスポンサーとなり、ヘルメット・パンツ左にハンゲームのロゴマークを掲出。
2012年(平成24年)
1月 – NHN Japan株式会社、ネイバージャパン株式会社、株式会社ライブドアが経営統合。株式会社ライブドアのメディア事業[13]とネイバージャパン株式会社を吸収合併[14]、データセンター事業および通信関連事業の残った株式会社ライブドアは株式会社データホテル(現・NHNテコラス株式会社)に商号変更(吸収せず子会社のまま存続)。
7月3日 – KDDI株式会社との業務提携に合意[15]。
10月1日 – 本社を渋谷ヒカリエに移転[16]。
11月8日 – グリー株式会社、株式会社サイバーエージェント、株式会社ディー・エヌ・エー、株式会社ドワンゴ、株式会社ミクシィなどと共に一般社団法人ソーシャルゲーム協会を設立[17]。
2013年(平成25年)
2月26日 – ノキア・コーポレーションと戦略的業務提携を締結[18]。
3月28日 – ヤフー株式会社(現・Zホールディングス株式会社)との業務提携に基本合意[19]。
4月1日
LINE株式会社に商号を変更[20]。
ゲームに関する事業を新設分割によりNHN Japan株式会社(現・NHN JAPAN株式会社)に承継[20]。
子会社のジェイ・リスティング株式会社がLINE Business Partners株式会社に商号を変更[20]。
11月7日 – ブイグテレコムとパートナー契約を締結[21]。
11月14日 – クレオンモバイルと戦略的提携を締結[22]。
12月2日
結婚支援サイト「youbride」等の事業を、新設分割により株式会社Diverseに承継[23]。
株式会社Diverseの全株式を株式会社ミクシィに売却[23]。
2014年(平成26年)
2月5日 – テレフォニカS.A.とパートナーシップを締結[24]。
4月1日
出澤剛が代表取締役COOに就任[25]。
静岡大学と小中学生向け情報モラル教材開発の共同研究を開始[26]。
6月10日 – セールスフォース・ドットコム・インクとパートナーシップを締結[27]。
8月7日 – 株式会社gumiとの資本業務提携に基本合意[28]。
9月9日 – 投資ファンドとしてLINE Game Global Gateway投資事業有限責任組合を設立[29]。
9月30日 – 株式会社データホテル(現・NHNテコラス株式会社)の全株式をNHN PlayArt株式会社(現・NHN JAPAN株式会社)に譲渡[30]。
10月8日 – 株式会社講談社、株式会社小学館、株式会社メディアドゥとの合弁会社としてLINE Book Distribution株式会社を設立[31]。
10月31日 – グリー株式会社との共同出資会社としてEpic Voyage株式会社を設立[32]。
12月11日 – エイベックス・デジタル株式会社、株式会社ソニー・ミュージックエンタテインメントとの共同出資会社としてLINE MUSIC株式会社を設立[33]。
2015年(平成27年)
2月2日 – 株式会社インテリジェンスホールディングスとの共同出資会社として株式会社AUBEを設立[34]。
2月4日 – 投資ファンドとしてLINE Life Global Gateway投資事業有限責任組合を設立[35]。
2月13日 – 国際連合児童基金(UNICEF)とグローバルパートナーシップ契約を締結[36]。
2月23日 – 株式会社イーコンテクスト、ベリトランス株式会社との業務提携に基本合意[37]。
3月3日 – サイバーソース・コーポレーション(英語版)と戦略的提携に基本合意[38]。
4月1日 – 代表取締役社長CEOの森川亮が退任し、出澤剛が代表取締役社長CEOに就任[39]。
6月30日 – LINE MUSIC株式会社の株式の一部を、株式会社ソニー・ミュージックエンタテインメントと共同でユニバーサル ミュージック合同会社に譲渡[40]。
8月中旬 – LongTu Koreaとの共同出資会社としてLantu Games Limitedを設立[41]。
10月2日 – インテル株式会社との提携に合意[42]。
11月11日 – 株式会社スタートトゥデイ(現、株式会社ZOZO)との業務提携を締結[43]。
2016年(平成28年)
1月 – 株式会社フリークアウト(現・株式会社フリークアウト・ホールディングス)の連結子会社のM.T.Burn株式会社と資本業務提携し連結子会社化[44]。
2月26日 – 子会社としてLINEモバイル株式会社を設立。
4月1日 – LINE公式キャラクターのライセンス管理業務を委託先の株式会社小学館集英社プロダクションから自社に移管[45]。
7月14日 – ニューヨーク証券取引所(ティッカーシンボル:LN)に上場[46]。
7月15日 – 東京証券取引所市場第一部(証券コード:3938)に上場[46]。
8月3日 – 渋谷区とシブヤ・ソーシャル・アクション・パートナー協定を締結[47]。
10月12日 – ワークスモバイルジャパン株式会社と事業提携契約を締結[48]。
10月下旬 – Snow Corporationへの出資に参加し、同社を持分法適用会社化[49][50]。
2017年(平成29年)
4月1日 – 本社を東京都新宿区新宿4丁目のJR新宿ミライナタワーに移転[51]。
4月19日 – 富士ゼロックス株式会社と協業提携契約を締結[52]。
5月1日 – 連結子会社のLINE Plus株式会社が、カメラアプリケーション事業を吸収分割によりSnow Corporationに承継[53]。
6月14日 – 連結子会社としてLINE GAMES株式会社を設立[54]。
6月15日
トヨタ自動車株式会社と協業で基本合意[55]。
伊藤忠商事株式会社、株式会社ファミリーマートとの業務提携に基本合意[56]。
9月1日 – LINE Friends Store事業を、簡易新設分割によりLINE Friends Japan株式会社に承継[57]。
11月8日 – NAVERまとめ事業を、簡易新設分割によりネクストライブラリ株式会社に承継[58]。
12月11日 – 連結子会社のLINE Pay株式会社がLINE Business Partners株式会社を吸収合併[59]。
12月中旬 – ファイブ株式会社の全株式を取得し完全子会社化[60]。
2018年(平成30年)
1月5日 – 資本業務提携により、モバイク・ジャパン株式会社の株式を一部取得[61]。
1月10日 – 完全子会社としてLINE Financial株式会社を設立[62]。
1月15日 – 大阪府大阪市北区梅田2丁目の桜橋御幸ビルに大阪オフィスを開設[63]。
4月1日 – パーソルキャリア株式会社との合弁会社の株式会社AUBEの出資比率を変更し、連結子会社とする[64]。
4月2日 – LINEモバイル株式会社が、ソフトバンク株式会社への第三者割当増資を行い連結子会社から持分法適用会社へ異動[65]。
4月16日 – エン・ジャパン株式会社との合弁会社としてLENSA株式会社を設立[66]。
6月1日
LINE Financial株式会社の完全子会社としてLINE証券設立準備会社を設立。
完全子会社としてLINE Growth Technology株式会社を設立[67]。
7月2日 – LINEマンガ事業及びLINEコミックス事業を、簡易新設分割によりLINE Digital Frontier株式会社に承継[68]。
8月1日 – 資本業務提携により、株式会社ベンチャーリパブリックの株式を一部取得[69]。
12月5日 – スターバックスコーヒージャパン株式会社と包括的業務提携を締結[70]。
12月10日 – 京都市と包括連携協定を締結[71]。
12月12日 – 東京都渋谷区にある区立コンサートホール「渋谷公会堂」の命名権を取得[72]。
12月18日 – 株式会社CyberACE、GMOアドパートナーズ株式会社、ソウルドアウト株式会社との戦略的パートナーシップ契約を締結[73]。
2019年(平成31年・令和元年)
1月4日 – エムスリー株式会社との共同出資会社としてLINEヘルスケア株式会社を設立[74]。
1月10日 – LINE Pay株式会社と株式会社デイリー・インフォメーション北海道との合弁会社としてLINE Pay北海道株式会社を設立[75]。
1月16日 – LINE証券設立準備会社が、LINE Financial株式会社及び野村ホールディングス株式会社への第三者割当増資を行い両社の共同出資会社とする[76]。
4月1日 – 慎重扈が代表取締役CWO (Chief WOW Officer)に就任[77]。
4月15日 – Global Network Initiative(英語版)にオブザーバーとして加盟[78]。
5月27日 – LINE Financial株式会社と株式会社みずほ銀行との共同出資会社としてLINE Bank設立準備株式会社を設立[79]。
6月24日
連結子会社のLINE証券設立準備会社が、関東財務局による第一種金融商品取引業の登録を完了[80]。
LINE証券設立準備会社がLINE証券株式会社に商号を変更[80]。
6月27日
スカパーJSAT株式会社、伊藤忠商事株式会社との協業に基本合意[81]。
弁護士ドットコム株式会社と業務提携を締結[82]。
7月16日 – 障害者雇用に関する事業を、簡易新設分割によりLINEビジネスサポート株式会社に承継[83]。
7月30日 – 台湾におけるインターネット専業銀行業の認可を金融監督管理委員会より取得[84]。
9月6日 – 連結子会社のLVC株式会社が、資金決済に関する法律に基づく仮想通貨交換業者として関東財務局への登録を完了[85]。
11月18日 – Zホールディングス株式会社と経営統合で基本合意[86]。
11月25日 – LINEバイト株式会社を吸収合併[87]。
12月13日 – 完全子会社としてLINE分割準備株式会社を設立[88]。
12月20日 – 一般財団法人LINEみらい財団を設立[89]。
12月23日 – Zホールディングス株式会社との経営統合に関して、ソフトバンク株式会社、ネイバー株式会社を含む4社間で経営統合の最終合意を締結[88]。
2020年(令和2年)
1月9日 – UUUM株式会社と業務提携を締結[90]。
9月24日 – 株式公開買付けにより、ソフトバンク株式会社及びNAVER J.Hub株式会社が議決権所有割合ベースで各6.41%の株式を取得[91]。
12月28日 – ニューヨーク証券取引所上場廃止[92]。
12月29日 – 東京証券取引所市場第一部上場廃止[92]。
2021年(令和3年)
1月4日 – 株式併合により、株主がNAVER Corporationのみとなる[91]。
2月26日 – 株式公開買付けなどにより汐留Zホールディングス合同会社が保有するZホールディングス株式会社の株式を取得するとともに、汐留Zホールディングス合同会社を吸収合併。ソフトバンクとネイバーの折半出資となる[93]。
2月28日 – LINE分割準備株式会社に事業を承継させ、Aホールディングス株式会社に商号変更[94]。
3月1日 – LINE株式会社(2代、旧LINE分割準備株式会社)が、株式交換によりZホールディングス株式会社の完全子会社化。』

『LINEは23日、海外への業務委託やデータ管理をめぐり個人情報の保護を強めるための対策を発表した。個人データについて中国からのアクセスを遮断するほか韓国で保管するデータも国内に移す。サービスのグローバル展開を進めるなかで、プライバシー保護がこれまで以上に重要になっており欧米などが先行する個人データの徹底管理に歩調を合わせる。

記者会見で頭を下げるLINEの出沢剛社長(23日、東京都港区)
今回、LINEが見直しを表明した事業のひとつが中国への業務委託だ。

大手のIT(情報技術)企業は業務を海外に委託することは珍しくなく、楽天もシンガポールに委託先がある。ただ、中国の場合は国家情報法により民間企業を通じて利用者のデータが当局に渡るリスクがある。業務委託そのものは個人情報保護法に抵触しないが、記者会見したLINEの出沢剛社長は「信頼回復が第一なので、明確な対応をする必要がある」と発言。「法的にどうこうではなく、ユーザーへの配慮がなかった」と述べた。

韓国でのデータ管理も取りやめる。LINEは対話アプリ上で投稿した画像・動画やキャッシュレス決済「LINEペイ」の決済情報などのデータを韓国のサーバーで保管してきた。これらについても2021年9月までに順次国内のサーバーに移転する。利用者には海外へのデータ移転については説明していたが「具体的にどの国でデータ保管をしているのかは説明してこなかった」として国内管理に切り替える。

中韓での業務をめぐり不正アクセスや個人情報の漏洩は「現時点で確認していない」(LINE)。それでもビジネスのあり方を見直すのは同社を含めたデータ企業に対する当局の厳しい目線がある。

22年施行の改正個人情報保護法では、移転先の国名を特定した上で本人同意をとることなどが盛り込まれる予定だ。欧州連合(EU)は利用者による完全な理解を前提とするなど同意取得に高いハードルを課す。改正個人情報保護法は厳格なプライバシー保護ルールを定めた欧州の一般データ保護規則(GDPR)を参考にしている。

出沢社長は「説明がミスリーディングだった」と認めたうえで、急成長が続くなかで「データについては利用者に明確なコミュニケーションをしてこなかった」と述べた。LINEは海外展開を重要戦略に掲げており今後はデータ管理を国際水準並みに厳しくする。

LINEは11年6月にサービスを始め、無料で使える対話アプリとして広く普及した。利用者は約8600万人。SNS(交流サイト)に加え決済や広告など多様なサービスを提供しており、国や自治体の情報発信や行政手続きの申請でも利用されている。

対話アプリでは圧倒的な国内シェアを持つなど「社会インフラになりつつある」(東京大学の宍戸常寿教授)。同社は3月にZホールディングス(HD)と統合し、プラットフォーマー戦略をさらに強めている。ネットサービスのなかでの存在感が高まるなかで利用者への説明責任の重みも増している。

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石川温
スマホジャーナリスト
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ひとこと解説 なぜ、画像や動画データを韓国に置いていたのか。記者会見で質問したところ、LINEの舛田淳CSMOは「日本だけではなく、アジア圏、中東、ロシアに向けて、データの遅延が少なくなる場所を探した。セキュリティが担保され、人材がいる。コスト面も条件だった」という。LINEが韓国NAVER社の子会社だったことから韓国のデータセンターが選ばれた。立地、技術、コスト面で韓国が選ばれたということは、LINE以外で個人情報を扱う企業も韓国のデータセンターを使っている可能性が高い。アメリカのSNSがアメリカにデータを置いているとは限らない。今回はLINEが問題視されたが、他のSNSも情報開示が求められそうだ。

2021年3月24日 8:22いいね
45

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今村卓
丸紅 執行役員 経済研究所長
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別の視点 LINEの米国でのユーザーが多ければ、問題はもっと早く発覚して深刻になっていたと思います。米国政府は中国政府が米国人の個人データにアクセスするリスクを非常に警戒しています。LINEを通じて多くの米国人のデータを中国政府が入手する恐れがあると米国政府が認識したなら、安全保障上の大問題として経路の遮断に動いていたでしょう。

LINEは個人情報保護を厳格化する対策を発表しましたが、「ユーザーへの配慮」に、グローバルに事業を展開する企業として、米中対立の先鋭化や安全保障の観点からの事業の検証も含まれていることを強く期待します。

2021年3月24日 11:36いいね
11

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竹内薫
サイエンスライター
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貴重な体験談 個人的な感想です。数年前、LINEの経営母体である某企業と支払いトラブルが生じ、弁護士に解決してもらうまで半年を要した苦い経験があります。企業間の吸収合併のせいで、顧客情報・請求業務が、システム的にうまく引き継げなかったのが原因だと私は考えていますが、いまだに原因は判明していません。企業が急成長するにつれ、現場が混乱し、以前は守られていた内規が崩れ、情報の扱いがずさんになる恐れは大きいと思います。今回は表沙汰となりましたが、氷山の一角ではないかと感じています。第三者委員会による徹底した調査を望みます。

2021年3月24日 10:17いいね
30

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杉本貴司
日本経済新聞社 編集委員
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別の視点 LINEは東日本大震災を機に誕生した。検索のネイバージャパンが進めていた新規事業のひとつでしかなかったチャットツール。震災を目の当たりにして「大切な人とつながれる」ことの大切さを重く受け止め、社会を支えるこの機能に集中した結果の大ヒットでした。

それから10年。LINEはこの国の社会インフラになりました。
今回の問題をLINEは説明不足としていた。確かに法的に問題はない。ただ、いまやLINEは社会インフラです。法律の枠内に留まらない責任を背負うはず。その点、出沢社長も反省の弁を繰り返していました。今回の問題を重く受け止め、真に信頼される存在になってもらいたい。10年前、そう志したように。

2021年3月24日 4:37いいね
28 』

政府、LINEに報告要求 個人情報保護委や総務省 国民向けサービス運用停止相次ぐ

https://www.nikkei.com/article/DGXZQODE195FW0Z10C21A3000000/

※ 何周遅れの話しなんだ…。

※ 前々から、ずっと言われ続けてきたことだろう…。

※ LINEの親会社が、韓国資本である限り、こういう問題は起こり続ける…。

『政府はLINE利用者の個人情報が中国の関連会社で閲覧可能だった問題への対処に乗り出した。個人情報保護委員会は19日、LINEと親会社のZホールディングスに対し、個人情報保護法に基づく報告を求めたと発表した。

これまでも任意の報告を受けてきたが、強制力のある調査に切り替え実態解明を急ぐ。総務省も同日、電気通信事業法に基づき、LINEに事実関係とセキュリティー確保体制などについて4月19日までに報告するよう促した。

個人情報保護委は業務委託の範囲や、委託先の中国からどのような個人情報を閲覧できたかなど詳しい報告を要求する。

個人情報保護法は海外に個人情報を移転する際は本人の同意を得ることなどを条件としている。委託先で個人情報が安全に管理されているかを監督する必要もある。こうした規定が守られていたかどうか調べる。

閣議後、記者会見する武田総務相(19日、国会内)

虚偽の報告をした場合や必要な書類を出さなかった場合に50万円以下の罰金を科せる。調査の結果、違反の疑いがあれば指導や勧告などで是正を促す。

LINEは中国の関連会社の従業員4人が国内にサーバーがある利用者データにアクセスできる状態にしていた。

個人情報保護委の福浦裕介事務局長は3月19日の衆院内閣委員会で、中国の4人が日本国内のサーバーに計32回アクセスしたと説明した。「中国共産党から情報提供を求められたことはなく自ら提出したことはないと説明を受けている」と述べた。

他の事業者でも「海外委託先の従業員が日本国内のデータセンターのデータにアクセスして委託業務を行う事例は多い」と指摘した。「実態調査について前向きに検討したい」と語った。

政府内ではLINEを使った国民向けサービスの運用を一部停止する動きが相次ぐ。加藤勝信官房長官は19日の記者会見で「内閣官房で個人情報などの管理上の懸念が払拭されるまでは利用停止などの対応を予定している」と話した。

武田良太総務相は記者会見で、総務省がLINEを通じて実施する採用活動や意見募集などを止めると表明した。すべての自治体に利用状況を26日までに報告するよう求めた。千葉県市川市は17日に住民票の写しの交付申請などでLINEの利用を一部停止した。

厚生労働省は新型コロナウイルス感染症対策として海外から帰国した人への健康調査に使っているLINEの運用を20日に停止する。メールでの聞き取りに切り替える。

自民党は19日、党本部で総務部会など合同会議を開き、LINEや親会社のZホールディングスから事情を聞いた。LINE側は「権限がある人しかアクセスできない」と不適切な事案はなかったと弁明した。

会合でデータの取り扱いなどを定めたプライバシーポリシーの記述が十分ではなかったとの認識を共有し、政府側に調査の徹底を求めた。安全保障の観点から対応策を検討すべきだとの意見もあった。

【関連記事】
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LINE、個人データ管理不備で謝罪 中国委託先で閲覧可能
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LINEの情報管理、安保上の懸念も 国際分業に潜むリスク

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滝田洋一のアバター
滝田洋一
日本経済新聞社 編集委員
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分析・考察 社名はLINEですが、個人情報の取り扱いで一線を越える(cross a line)ようなことはご法度です。海外に個人情報を移転する際は本人の同意を得る必要がありますし、委託先で個人情報が安全に管理されているかを監督する必要もあります。
コロナワクチン接種に際しLINEを活用する自治体も多いのですが、万が一にも情報が中国に漏洩するようなことがあれば何をかいわんや。行政サービスにLINEが組み込まれている場合には、個人に選択の余地は乏しい。それだけに徹底的な調査が望まれます。

2021年3月19日 21:32いいね
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LINEでの行政サービスを停止 総務省 政府、各省庁で利用状況を調査

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『武田良太総務相は19日の閣議後の記者会見で、総務省が対話アプリ「LINE」を通じて提供している行政サービスの運用を停止する考えを示した。国内利用者の個人情報が中国でアクセスできる状態になっていた問題を受けた措置だ。

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LINEの情報管理、安保上の懸念も 国際分業に潜むリスク

停止の対象となるのは意見募集や問い合わせの対応など。LINEのような外部サービスで業務上の情報を扱わないよう、職員に注意喚起した。

全国の自治体がLINEをどう活用しているか調査に乗り出したことも明らかにした。自治体では粗大ゴミの収集や保育所入所などの申請に活用しているケースがある。26日までに報告を求め、セキュリティー面での対応を検討する。

菅義偉首相は19日午前の参院予算委員会で、LINEに関して各省庁で職員の利用状況の調査を始めたと表明した。民間アプリを使って機密情報を扱わないルールがあると紹介し「改めて確認している。引き続きセキュリティー確保に努めたい」と強調した。

自民党の山田宏氏はフェイスブックなど民間メッセージアプリの多くが外国製だと指摘し、国産アプリの開発支援を政府に求めた。梶山弘志経済産業相は「経済安全保障のひとつだと認識している」と述べた。

加藤勝信官房長官は19日の閣議後の記者会見で「内閣官房で現在、利用状況について改めて確認している。個人情報などの管理上の懸念が払拭されるまでは利用停止などの対応を予定している」と述べた。

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国内サーバーに32回アクセス LINEの中国関連会社

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プログラミング、つまずいたから つまずかせない 教育を変革 EdTechの旗手(4)

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOFK246OV0U1A220C2000000/

※ こういう統計が、出てるんだな…。

※ オレは、レベル1とレベル2の間くらいか…。

※ レベル3で、やっとスクリプト使ったり、Linux系でサーバ立てたりとかか…。情シス受かったりとかか…。

※ 政府が、やたら「プログラミング教育」を言っているから、小学校教員も、情シス必須…、ということになるだろうな…。

※ 現行、小学校教員は、女子の「文学部」「教育学部」出身者が多いだろう…。

※ 源氏物語、枕草子大好き乙女に、ゴリゴリ「プログラミング」「コンピューティング」を、強制するのか…。

※ ヤレヤレな話しだ…。

『わかりにくいところを熟知

「プログラミングで僕もつまずいたから、あきらめずに学習できるシステムが必要だと思った」。Progate(プロゲート、東京・渋谷)社長の加藤将倫(28)は、柔らかなビーズクッションに座りながら語る。東京大学の学生時代、プログラムを学ぶ「ゲート」(入り口)を創りたいと志して起業した。遊び心あふれるオフィスには卓球台やゲーム機器も置いてあり、柔軟な発想で学習ソフトを開発している…

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遊び心あふれるオフィスには卓球台やゲーム機器も置いてあり、柔軟な発想で学習ソフトを開発している。

加藤は「初心者がつまずくハードルをとにかく下げた」と笑顔を見せる。同社のオンライン教材は現在、国内外で200万人超が利用している。2020年から小学校でプログラミング教育が必修となり、親も「子供に聞かれたときのために」と学び始めた。学び直しをする社会人の需要もあり、この教材をきっかけにアイドルからエンジニアに転職した人もいる。新型コロナウイルスの影響で巣ごもりの時間が増えた影響もあり、会員数の伸び率は従来の2倍になった。

ふつうプログラムのコードはパソコンで書いていくが、「スマートフォンのほうが親しみやすい人もいる」。ブラウザだけでなく、アプリでも学べるようにした。Python(パイソン)やJavaScript(ジャバスクリプト)などのプログラミング言語ごとに細かくレベル分けしてある。レベルアップすると、いやし系キャラの「にんじゃわんこ」が祝福してくれる。

例えばウェブサイト制作につかう言語、HTMLを学ぶとする。サイト内の文字の大きさや関連ページへのリンクなど、コードを書き込むときは機能ごとに「開始タグ」と「終了タグ」を指定していく。リンクを貼るときは次のような具合だ。

Progate

まず開始タグとしてと打ち、参照を表すhrefという属性とリンク先のURLをここに盛り込む。さらに画面上でクリックしてもらう文言(ここではProgate)を指定し、終了タグのと書く。このとき、どこでスペースを空けるかや、ダブルクオーテーション(”)をつける場所などもイラストで丁寧に図示してある。
Progateのアプリは、初心者でもプログラミングを独学しやすいよう丁寧に設計している

「何のために学んでいるか、実感を得やすくした」というのもポイントだ。たとえば演習問題で、検索エンジンのGoogleにリンクを貼るためのコードを書く。このシステム上のプレビューで「Googleへ」と青文字で表示される。これをクリックすると、本当にそのサイトへ飛ぶようになっていて、身につけた技術が役立つんだと達成感がある。コードを書くときに分からなくなっても、別のいやし系キャラ「ひつじ仙人」がヒントを出してくれる。学習者の心が折れないような仕掛けが満載だ。

大学の授業にモヤモヤ感

加藤がコンピューターと向き合うようになったのは、母親の影響が大きい。父親の仕事の都合で、小学校から中学校のほとんどをオーストラリアで過ごした。そこで母が現地の大学で学び直すことを決め、専攻したのはコンピューターサイエンス。家でもパソコンで課題をこなし、簡単なゲームをつくると息子にも遊ばせた。加藤は「こんなのつくれちゃうんだ?」と、わくわくしたという。

ところが帰国して自分が大学生になると「挫折の連続だった」。東大工学部の電子情報工学科で、コンピューターの原理やプログラミングについて学んでいた。周りの学生を見渡すと、アルゴリズム(コンピューター上の計算手法)やソフトウエアのつくり方について、小中学生のころから学習してきた猛者も少なくない。「僕は文系脳」という加藤。「彼らはなぜすぐに講義内容を理解できるんだ」と焦りながら、なんとか食らいついている状況だった。

「実社会にどう役立つか」という成果が見えにくい授業も多かった。加藤はフェイスブックの創業者、マーク・ザッカーバーグの半生を描いた映画「ソーシャル・ネットワーク」をみて、彼が学生時代にSNSを開発した姿に刺激を受けた。だが、大学の授業は「どうしたらフェイスブックみたいなサービスにつながるのか?」という加藤のモヤモヤ感を置き去りにして進んでいった。

日本のIT(情報技術)エンジニアは約109万人。世界4位ながら米国など上位3カ国との差は大きい。経済や社会の急速なデジタル化でIT人材の需要は高まり、日本は今後10年で約45万人の不足に陥るという経済産業省の予測もある。実社会は即戦力を渇望しているのに、大学の授業は対応できていないのではないかと加藤は疑問を抱いた。

そんなとき、のちにProgateの共同創業者となる同級生、村井謙太がプログラミングを学ぶための学生サークルを立ち上げた。村井は東大工学部の社会基盤学科で学んでおり、コンピューターサイエンスが専門ではなかった。サークルはあえてプログラミング技術が「バリバリな人」(加藤)ではなく、今は苦戦しているけれど飛躍したいと思う人が集まった。加藤も加わり、同じ悩みを持つ仲間たちと前進できることを喜んだ。

ただ、テキストを見ながら実験的にプログラムを組むだけでは、やはり実社会で役立つという手応えは感じられない。そこで「実際に仕事を受注してみればいい」とサークルのメンバーらで企業に営業をかけた。あるITベンチャー企業から受注したのはフリーランスの営業員らに営業活動をアウトソーシングするためのシステム開発。顧客企業との受発注や営業人材を管理するための画面が求められた。

勢い込んだ加藤の前に壁が立ち塞がった。この案件を仕上げるには、ウェブ制作に合うHTMLやPHPといったプログラミング言語を使う必要があると気づいた。加藤がもともと授業で習っていたのはロボット制御やアプリ開発にも利用するC言語やJavaなど別の言語だった。

せっかく受注した仕事。なんとしても完成させたい――。加藤は外部のエンジニアから即席の技術指導を受けつつ、寝る間も惜しんでシステムをつくり上げた。眠い目をこすりつつ、納入時には安堵の思いと達成感に包まれた。身につけた技術が社会とつながる実感も得られた。

プロゲートの加藤将倫CEO(東京都渋谷区)

渡米きっかけ、起業決心

自信をつけた大学3年の終わりごろ、起業へと踏み出すきっかけが訪れた。サークル活動を通じて知り合った起業家が、米国で開かれるテクノロジーと音楽・映画の祭典「サウス・バイ・サウスウエスト(SXSW)」に参加するという。「英語がしゃべれるなら、君も行ってみる?」と誘われ、すぐさま渡米の準備をした。

米国ではその起業家にIT関係者を紹介してもらうなかで、フェイスブックの創業初期のメンバーにも出会えた。案内してくれた自宅の豪邸ぶりに「度肝を抜かれた」。話を聞くと、創業時の社員の多くはすでに同社を離れ、ストックオプションで巨万の富を得ていた。大金持ちになったことに満足せず、新事業に挑戦する人もいる。加藤は「テクノロジーを駆使するこんな格好いい人たちがいるんだ」と起業家たちの生き方に衝撃を受けた。

その豪邸に集まっていた起業家から「ところで君はどんなプロダクトをつくっているの?」と質問されたのが忘れられない。日本の起業家の1人だと思われていたのだ。加藤は言葉に詰まった。どうにかプログラミングで仕事を受注できるようになったが、オリジナリティーのあるシステムで勝負しているわけではない。「あの時の自分が悔しくて、自分も世の中に役立つものを生み出したいと思った」。

大学4年になるとき、進路選択で悩んだ。どこかの研究室に入って、さらに大学院も目指すべきか。それとも……。脳裏に焼き付いて離れないのは米国の情景だった。「やりたいのは、いま起業することだ」と決心。プログラミングサークルの村井と共に、14年7月にProgateを立ち上げた。高校時代の友人らも誘い入れ、シェアハウスを借りて「一緒に飯を食いながらプログラミング教材をつくり込んでいった」。

試作品の段階から出資を決めたのは、ベンチャーキャピタルのイーストベンチャーズだ。同社マネージングパートナーの松山太河は「出会ったときから、加藤くんは社会を変えたいというエネルギーを持っていた」と語る。当初、利益が出なかった時期をイーストベンチャーズは資金面で支えた。成長したProgateが20年に合計4億円を資金調達したときも第三者割当増資に応じた。
高校の授業でも活用

先進的な理数系教育に取り組む「スーパーサイエンスハイスクール」の一つ、東京都立立川高校はProgateの教材を採用している。1年生の川崎哲平は素早いブラインドタッチで、Pythonのコードを打ち込んでいった。身につけた技術でいずれ、書籍を丸ごと翻訳するソフトを作りたいと目を輝かせる。同級生の柳沢大志はC#(シーシャープ)というプログラミング言語で、神経衰弱のゲームを一からつくり上げた。
都立立川高校では、ゲームのプログラミングを楽しむ生徒もいる

学校に使ってもらうなかで予期しない反応も返ってきた。立川高校の教諭、佐藤義弘は手取り足取り教えるProgateの教材に「とても丁寧に作ってある」と感心する。それと同時に「生徒を一段と成長させるには失敗から学ばせることも重要だ」と挫折の機会を与える必要も説く。加藤も「初心者を脱した人が、さらに自立できる教材にすることが次のステップだ」と考えている。教材の改善に終わりはないのかもしれない。

日本人のITスキルを向上させたいという思いは強い。小学校、中学校と豪州の現地校に通い、日本の存在感が低下していくのを肌で感じた。小学生のころは、日本のMDプレーヤーのような製品が「クールだ」ともてはやされた。ところが「次第にハードウエアじゃなくてソフトウエア、アイデア勝負の世界に変わり、日本が話題になることが減った」。

経産省はIT人材を7つのレベルに区分し、主要国の状況を分析している。「高度な知識・技能」に相当するレベル4以上の人材は、米国だと7割、インドで6割、中国は5割だった。日本は4割弱にとどまるという。若い頃からITに慣れ親しむとともに、世界で競争すべく厳しさに接することも必要かもしれない。
目指すはグローバル展開

加藤は世界にも目を向ける。18年、進出先に選んだのはアフリカだった。1990年代の内戦による打撃からの復興を遂げてきたルワンダと、かつてクーデターが頻発していたウガンダ。ともに経済の伸びしろが大きいと踏んだ。

だが「まだ成長初期のベンチャー企業が挑戦するには、やや時期尚早だった」。オンラインの課金ビジネスで採算をとるには、まだ難しい市場だと判断して撤退した。「もっと会社が成長したら戻りたい」と再挑戦の決意を胸に秘める。

同年にはインドでも市場開拓を始めた。IT企業が集まる南部のベンガルールに拠点を置き、学生を中心に20万人超までユーザーが増えてきた。小中学校から熱心にIT教育に取り組む親も多いなか、中途半端な理解のまま進学して困る人もいる。大学生を中心に、学び直すニーズがあるという。

さらに20年にはインドネシアに現地法人を設立し、インドネシア語のプログラミング教材を展開している。人口2億7000万人の同国はスマホの普及でデジタルサービス市場が急拡大し、スタートアップ企業も次々と登場してきたことで「エンジニアが不足している」。インドネシアの会員も10万人が目前という。

加藤は「日本の底力を発揮し、グローバルに価値を届けられる企業になりたい」と力を込めて語る。日本の「失われた30年」の間に米国のGAFA、中国のアリババ集団や騰訊控股(テンセント)などの海外企業が飛躍を遂げた。豪州で「日本が埋没していく」と感じた加藤は世界に勝負を挑み続ける。

=敬称略、つづく
連載記事一覧はこちら

自民・甘利氏「中国委託の企業リスク洗い出しを」 LINE問題で

https://www.nikkei.com/article/DGXZQODE1731W0X10C21A3000000/

※ 「謎の種子(タネ)」送り付けられ事件の記憶も新しい…。

『自民党ルール形成戦略議員連盟の甘利明会長は17日、LINEの個人データ管理に不備があった問題について「これを機に政府は中国企業に業務委託している全ての企業のリスクを洗い出すべきだ」と提起した。日本経済新聞の取材に答えた。

【関連記事】
LINE、個人データ管理に不備 中国委託先で閲覧可能に

「外国企業との取引を法律で禁止するのは難しいが、中国に機微データを抜かれることで米欧のサプライチェーン(供給網)から外される可能性があるとの危機感が足りない」と指摘した。

「国…

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「国も企業もそうしたデカップリング(分断)のリスクにどう向き合うか真剣に検討すべきだ」と述べた。外国企業と取引するルールを定めるガイドライン(指針)が必要との認識も示した。

LINEの問題に関しては「心配していた事態が現実になり衝撃を受けている。これは氷山の一角だろう。無防備に人材・コスト面から中国企業に委託している日本企業は多く存在する」と話した。近くルール議連や新国際秩序創造戦略本部を開いて党としての対応策を議論する方針だ。

LINEの個人データ管理を巡っては、システム開発を委託する中国の関連会社で、現地の技術者が国内利用者の個人情報にアクセスできる状態になっていたことが17日に明らかになった。

キユーピー、ロボも作る 中小食品の人手支える データ集め自動で盛り付け

https://www.nikkei.com/article/DGXZQODZ1043D0Q1A310C2000000/

『キユーピーが生産性の低い食品業界を変えようとしている。画像データを駆使した総菜の自動盛り付けロボット、原料の検査装置を開発し、人手が足りない地方の中小食品会社に提供する。食料品製造業は従業員数で製造業最大の産業だが労働生産性が低い。マヨネーズだけでなくロボも作り、食品だけを売る会社からの脱却を目指す。

「ウィーン」。平底のケースに積まれた山盛りのポテトサラダに向かってロボのアームが伸びる。器用にポテトサラダ…

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器用にポテトサラダをつかむとプラスチックの容器に次々と盛り付けし、量もほぼ均等になった。これはキユーピーが東京都府中市の研究施設で開発を進める総菜の自動盛り付けロボットだ。

ロボの動きをよくみると、アームがつかむのは山盛りのポテトサラダの一番高く積み上がった部分だ。ケースの上に小型カメラが設置され、人工知能(AI)でポテトサラダの容量を3次元(3D)で把握する。これなら闇雲にポテトサラダをつかむことなく、個別の容器に盛り付けることができる。

ドレッシングなど液体の食品は、定量を注ぐだけなので自動化は簡単だ。一方で総菜のように形状が一定でない食品の盛り付けは難易度が高く、人手に頼らざるを得ない。キユーピーによると、ポテトサラダの場合、ジャガイモの皮むきなど様々な工程があるが、盛り付けにかかる作業人員は全体の6割程度を占める。これをロボに置き換えようとしている。
ポテサラで学習

キユーピーはAIに、ポテトサラダだけで数百の画像データを学習させた。まず大きなケースの中をポテトサラダで満杯にし、人手で盛り付けて総菜がどんどん減っていく様子を何度も撮影した。キユーピーは調味料だけでなく総菜事業もてがけており総菜作りの知見がある。撮影する角度や明るさを変え、数百種類の画像データを集めた。

さらにAIにデータを学ばせる「アノテーション」と呼ぶ作業で、白くてわかりにくいポテトサラダとケースの境界を把握できるようにした。数百のデータと3Dカメラを連動させ、山積みのポテトサラダの形が変わっても狙った場所をアームでつかめるようにした。

総菜の盛り付けは自動化が難しく手作業で行っている(キユーピーの工場)

1つの容器に盛り付ける時間は十数秒で、現時点でロボは試作機だが、誤差は10グラム程度で済んでいる。「人手じゃないと無理だと思っていた作業だが、容器によっては人手よりも早く盛り付けられる」(キユーピーの生産本部未来技術推進担当の荻野武テクニカル・フェロー)

2021年度にはラインを使った本格的な実証実験に入り、ロボの低コスト化に挑む。22年度にはキユーピーの総菜工場に導入する。キユーピーは300種類の総菜を作っており、いずれはポテトサラダ以外の総菜でも活用する方針だ。

キユーピーがポテトサラダなどを盛り付ける自動ロボに挑むのは理由がある。マヨネーズなどの調味料の販売を伸ばすには、調味料を使う食品会社の生産性改善が不可欠と考えている。

食品業界では味の素のような大手上場企業は自ら生産性改善を進めるが、多くの中小は人手不足が深刻で生産性も低い。キユーピーの業務用調味料を使う中小などがじり貧になれば、連結売上高(21年11月期予想で4000億円)の9割近くを国内で稼ぐキユーピーの事業基盤も揺らぎかねない。新たな収益源を模索する必要がある。

検査装置を外販

キユーピーは調味料や総菜だけでなく、データを活用した自動化のノウハウ提供に動く。17年には原料を自動で検査する装置も開発した。ベルトコンベヤーで流れる野菜のデータが必要なため、ジャガイモだけでも100万通りの良品の画像を撮影し、データを蓄積した。変色や変形といった不良品を発見すると空気を吹き付けて取り除くことで、原料検査を自動化できる。装置価格を海外製の10分の1と割安にし、外販もする。

いずれは原料検査装置、盛り付け自動ロボを組み合わせ、中小の食品会社に割安な自動化システムを提案する。システムには総菜など日配品の受発注履歴や天候、イベントによる需要予測をするためのデータも使う。

キユーピーは総菜について、購買履歴などの約30万件のデータを保有している。ここに中小食品会社を含めた様々なデータを組み合わせ、多くの企業が共有できるようにする。

人手不足の食品業界全体の生産性改善を実現できるかどうか。盛り付けロボなどデータを活用したキユーピーの自動化ビジネスが試金石になる。

生産性、製造業平均の5割

経済産業省の2019年の工業統計調査によると、食料品製造業の従業員数は114万人と製造業で最も多く、製造業全体の15%を占める。製造品出荷額も29兆円超で、輸送用機械器具製造業(70兆円)などに次ぐ規模となっている。
一方、18年度の企業活動基本調査をみると、食料品製造業の労働生産性は654万円となっており、製造業平均(1170万円)の5割強にとどまる。食品メーカーは中小企業が多く、導入コストの高いロボットによる自動化などが進んでいない。

厚生労働省によると、求人してもどのくらい必要数に足りないかを示す欠員率は「食料品、飲料・たばこ・飼料製造業」が2.1%と全製造業の(1.7%)より高く、人手不足感は強い。いかに安いコストで自動化を進め、生産性を上げられるかが長年の課題となっている。(逸見純也)

LINE、個人データ管理に不備 中国委託先で閲覧可能に

https://www.nikkei.com/article/DGXZQODZ1709O0X10C21A3000000/

『LINEがシステム開発を委託している中国の関連会社で、国内利用者の氏名など個人情報に現地の技術者がアクセスできる状態になっていたことが17日、分かった。データの取り扱いなどを定めたプライバシーポリシーでも、海外からのアクセスについて十分な説明をしていなかった。LINEは政府の個人情報保護委員会に報告した。既に関連会社で閲覧ができないように対応済みとしており、近く調査のための第三者委員会を立ち上げる。

上海の関連会社の従業員4人が2018年8月から、国内にサーバーがある利用者データにアクセスできる状態だった。データには利用者の名前、電話番号、IDなどのほか、一部暗号化していなかった「トーク」の内容も含まれていたとみられる。LINEはこの関連会社について「業務に必要な範囲でアクセス権限をつけて管理していた。不適切なアクセスは把握していない」としている。

LINEは国内で8600万人が利用する。一部自治体で住民票や給付金などの申請窓口になっているほか、新型コロナウイルスワクチンの予約システムも提供するなどインフラとしての性格を強めている。同社や親会社のZホールディングスが、一連の経緯について17日に発表する。

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アプリ自作、私もできた 子育てママや学生などが公開

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『プログラムの知識がなくてもスマートフォンなどのソフトウエアを開発できる技術「ノーコード」を使い、アプリやサービスを作る例が増えている。子育てママは飲食店の紹介、学生は大学の情報を提供するアプリを作った。コロナ禍に促された格好で、誰でもサービスを自作できる時代が訪れている。

「飲食店も近所のママも困っていて助けたかった」。西脇智子さんはノーコードを使い、東京都稲城市の持ち帰りができる飲食店などを紹介…

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西脇智子さんはノーコードを使い、東京都稲城市の持ち帰りができる飲食店などを紹介するアプリ「いなぎお弁当マップ」を自作した。2月、地域の課題解決をテーマにした音声交流サイト(SNS)「クラブハウス」の集いで取り組みを話すと注目を集めた。その後も話を聞きたいという依頼が届く。1月の緊急事態宣言の後には「何度も使っていると声をかけられた」と言う。

2020年2月、新型コロナウイルスの感染が広がり、飲食店の客は激減した。学校が休校し、主婦の食事を作る負担が増したころ、西脇さんは知人からノーコードを使いアプリを自作できるソフト「グライド」があると聞いた。アプリ開発の経験はないが、考えるよりも先に試すと半日で原型ができたという。3日後には公開した。

人口約9万人の稲城市で最大で月1万人が利用した。西脇さんは「もっと良いものはいくらでも作れるが、求められるものをいち早く出すことだけを考えた」と強調する。

ノーコードとはその名の通り、コンピューターへの命令文であるコードを書かずに、あらかじめ用意されたプログラムのパーツやツールを組み合わせるだけでアプリなどを自作できる技術だ。対応するソフトが公開されており無料のものもある。

専門知識がなくても使える手軽さが売りだ。初心者がプログラミングスクールに通って、アプリを開発できるようになるまでに半年かかるといわれる。ノーコードを使えば難しい場合で1~2カ月、簡単な場合は数日で作れるようになるという。

コロナ禍の不便や不自由を補おうとノーコードの利用は広がった。企業がサービスを開発するのを待っていては時間がかかるし、利用者の細かい要望にまで目が届かない。当事者がすぐ開発できることが重要だった。

明治大の学生、菅沢孝平さんはコロナ禍で大学に行けず、情報を得られない新入生などに、サークルや授業、ゼミなどの情報を紹介するアプリを20年10月までに公開した。

プログラミングは「学んだが挫折した」経験があり、苦手意識があった。それでもグライドならば使えそうに感じて取り組むと、1週間でアプリができた。菅沢さんは「開発にかかる時間が短いので利用者を増やすのに時間を割けた」と話す。

仕事に役立つ例もある。兵庫県加古川市の職員、多田功さんは特別定額給付金を申請する独自システムを開発し、20年5月に同市が採用した。政府の専用サイトと異なりマイナンバーカードが不要で、事務処理が楽になった。同市では政府専用サイトの3倍以上使われた。多田さんは申請業務を担っており「当事者が開発すれば使いやすいものを生み出しやすい」と言う。

ノーコードのオンラインサロン「NoCodeCamp」を運営する森岡修一さんは「今後はノーコードのようにコンピューターが人に合わせるようになる」と指摘する。優れたアプリを開発するには、プログラム技術よりも課題を解決する発想力が必要になるという。

開発ソフト、内外に300種、数年後には主流の手法に
ノーコードを使い、アプリなどを開発できるソフトウエアは、米バブルといった海外のスタートアップが2015年ごろから先行して提供を始めた。20年には米グーグルが専門業者の米アップシートを買収。米アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)が業務アプリを開発できるサービスの提供を始めるなど大手が参入した。ウェブサービス開発の基盤ソフトになろうとしている。

日本でも、スマホアプリを簡単に開発できるソフトを提供するヤプリが20年12月に上場するなど注目を集める。ノーコードを利用した開発ソフトは、国内外合わせて300以上あるという。企業が自社のエンジニアのプログラミング技術などを生かして改良できる仕様のものもあり、利用は広がっている。
調査会社の米ガートナーによると、24年までに世界のアプリ開発の65%がノーコードなどの手法になると予測する。デロイトトーマツミック経済研究所の予測では、ノーコードなどの国内の市場規模は23年度に4560億円になる見通しだ。(大越優樹)