グローバル化の終わり サプライチェーン見直し加速

グローバル化の終わり サプライチェーン見直し加速
Global Economics Trends 編集委員 太田康夫
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCD061HY0W2A400C2000000/

 ※ 『ウクライナ紛争を受けて、サプライチェーン(供給網)の混乱に拍車がかかっている。米国など主要7カ国(G7)とロシアによる制裁の応酬で、ロシアやウクライナからのエネルギー、農産物、半導体などの供給のほか、黒海やシベリア上空の物流に支障が出ている。また、米国のバイデン大統領が紛争を民主主義と専制主義の戦いと位置付けたため、欧米企業が西側民主主義と距離を置く国の供給拠点を見直そうとしている。中長期的に新興国の安価な労働力や資源の有効活用がしにくくなるため、冷戦後のグローバリゼーションは終わったとの指摘も出ている。』…。

 ※ 『「過去40年以上にわたるジャストインタイムの在庫とグローバルな製造への移行は、消費者、企業、政府に利益をもたらしたが、パンデミック(世界的大流行)で新たな課題が生じた。供給側で都市封鎖(ロックダウン)により生産現場が閉鎖され、需要側で消費者が耐久消費財への支出を増やした。企業は生産に必要な中間財や原材料を確保できず、サプライチェーンが混乱した」』…。

 ※ 『米国などはロシアが一方的に軍事侵攻したとして経済制裁を実施したため、ロシアは欧米が主導する国際経済から切り離され、制裁対象のロシアや戦場となっているウクライナを取り込んだサプライチェーンが機能しにくくなっている。』…。

 ※ 『最も懸念されているのはエネルギーで、とりわけロシア依存が高い欧州への影響が大きい。』…。

 ※ 『「ロシアの石油供給不足を解消できなければ、石油の過剰需要をなくすために、石油の価格を長期間大幅に上昇させる必要がある」と指摘している。影響として、欧州が経済活動を維持するため化石燃料依存を減らす計画一時停止、サプライチェーンの混乱によるインフレ圧力継続世界的な景気後退の3つを挙げている。』…。

 ※ 『食品の供給網にも暗い影を落としている。ロシア、ウクライナともに小麦の主要な輸出国であるためで、この面では小麦輸入の6割以上をロシアに依存するエジプトやスーダンなどアフリカが深刻だ。』…。

 ※ 『食品への不安を増幅しているのが、肥料の問題だ。』…。

  『ロシアが窒素肥料で世界1位、カリウム肥料で2位、リン肥料で3位の輸出国であることを明らかにしている。肥料の供給不足が起きれば、肥料価格が上がり、世界中の農産物価格に響きかねない。』…。

 ※ 『IT(情報技術)への影響も小さくない。』…。
 
 ※ 『世界的に半導体不足が鮮明になっているが、半導体のチップ設計作業時に使うレーザーの動力源であるネオンガスの大手輸出企業はウクライナにある。また、センサーやメモリーの製造に使用されるパラジウムは、ロシアが世界生産の37%を占めている。』…。

 『『ITソフトウエアの開発・保守はウクライナの有力産業で、国内総生産(GDP)の4%を占めている。ソフトウエアエンジニアリングの米EPAMは1万4000人のウクライナ人の従業員を抱えており、一時的にビジネスに影響が出るのは避けられそうにない。』…。

 ※ 『物流への打撃も大きい。』…。

 ※ 『「ロシアの港の回避と空域の相互閉鎖は、新たな非効率性と航空貨物容量の減少につながる。継続的なサプライチェーンのトラブルとインフレと輸送コストの上昇は、貿易に下振れリスクをもたらす」』…。

 『「ウクライナとロシアの緊張の高まりは、航海スケジュールを混乱させ、積み替え港間の貨物の迂回を引き起こし、サプライチェーンの問題を悪化させる可能性がある。港や駅など重要なインフラを標的としたサイバー攻撃のリスクは、グローバルなサプライチェーンにさらなる逆風をもたらす可能性がある」』…。

 ※ 『コロナ禍による混乱だけなら、感染が収束すれば正常化が期待できたが、バイデン大統領が紛争を民主主義絡める姿勢を鮮明にしていることで、企業は中長期的なサプライチェーンの再構築圧力にさらされている。欧州の企業関係者によると、ロシアに隣接し、反ロシア的な姿勢をとっている国は敬遠される可能性があるほか、開発独裁色が強い新興国への供給網展開は再点検を迫られることになる。』…。

 『「ウクライナ戦争が欧州の製造工程に大きな影響を与えたことで、グローバルサプライチェーンに関連するリスクが浮き彫りになった。欧州が国内製造業を強化する可能性がある。企業はサプライチェーンのストレステストを行い、リスクに対する耐性を高める戦略をとる必要がある」』…。

 『「米企業はサプライチェーンのレジリエンス(回復力)の強化に動いている。対応策として、海外から米国への生産回帰(リショアリング)、サプライチェーンの多様化、在庫を過剰に積むことがある。今のところ、リショアリングは限られているが、市場はいずれこの方向に進むと期待しているようだ」』…。

 ※ 『効率的なサプライチェーンが重要な要素だったグローバリゼーション終わったではないかとの見方が出ている。』…。

 『「戦争が平和的に解決され、ロシアに対する制裁が撤回されたとしても、外国企業はこれまでと同じようには投資しないだろう」と、企業行動の変化に言及している。そのうえで「ウクライナでの戦争とロシアに対する西側の制裁が世界経済を(少なくとも)2つの部分に分割するだろう。経済貿易地政学的なレンズを通して認識されるようになると、効率や持続可能性よりも、安全と防衛が優先される可能性がある」』…。

 『「(制裁で)新しい鉄のカーテンが引かれ、それはグローバリゼーションの後退になる。グローバル化を支えてきた国際決済網の国際銀行間通信協会(SWIFT)は、今日、正しいか間違っているかはともかく、政治的罰の手段として使われている。(中略)これはウクライナについての単なる戦争ではなく、グローバリゼーションに対する世界的な闘争だ」』…。

 ※ 『「クレムリンは、西洋の基準に基づく統一という形でのグローバリゼーションを、国民のアイデンティティー固有の文化に対する脅威と見なしている。グローバリゼーションは一般的に前向きな現象だが、それは全世界西洋化と同等であってはならない。ロシアはBRICSの他の諸国や、エジプト、イラン、サウジアラビア、トルコなどの非西欧の国々と協力している」と強調している。実際、ロシアはウクライナ侵攻後に、インドのガス会社に石油を売っているほか、イランとはSWIFTを使わない決済を検討している。』…。

『ウクライナ紛争を受けて、サプライチェーン(供給網)の混乱に拍車がかかっている。米国など主要7カ国(G7)とロシアによる制裁の応酬で、ロシアやウクライナからのエネルギー、農産物、半導体などの供給のほか、黒海やシベリア上空の物流に支障が出ている。また、米国のバイデン大統領が紛争を民主主義と専制主義の戦いと位置付けたため、欧米企業が西側民主主義距離を置く国の供給拠点を見直そうとしている。中長期的に新興国の安価な労働力や資源の有効活用がしにくくなるため、冷戦後グローバリゼーション終わったとの指摘も出ている。

ウクライナ紛争を受けて、サプライチェーン混乱への懸念が高まっている(米ロサンゼルス、2021年10月)=AP

米中摩擦・コロナ、そしてウクライナ紛争

グローバルなサプライチェーンは、米中の貿易摩擦や新型コロナウイルスの感染拡大で混乱した。米大手金融機関、シティグループのリポート「グローバルサプライチェーン、通常に戻る複雑な道」(GLOBAL SUPPLY CHAINS: The Complicated Road Back to “Normal”)で、筆者のネイサン・シーツ氏らは「過去40年以上にわたるジャストインタイムの在庫とグローバルな製造への移行は、消費者、企業、政府に利益をもたらしたが、パンデミック(世界的大流行)で新たな課題が生じた。供給側で都市封鎖(ロックダウン)により生産現場が閉鎖され、需要側で消費者が耐久消費財への支出を増やした。企業は生産に必要な中間財や原材料を確保できず、サプライチェーンが混乱した」と指摘していた。

この混乱に、拍車をかけたのがウクライナ紛争だ。米国などはロシアが一方的に軍事侵攻したとして経済制裁を実施したため、ロシアは欧米が主導する国際経済から切り離され、制裁対象のロシアや戦場となっているウクライナを取り込んだサプライチェーンが機能しにくくなっている。

石油供給ショック 濃縮ウラン最大手もロシアに

最も懸念されているのはエネルギーで、とりわけロシア依存が高い欧州への影響が大きい。ロシアは世界の天然ガスの約17%、石油の約12%を生産しているほか、原子力発電に必要な濃縮ウランの業界ではロシアの国営原子力企業ロスアトム傘下のトベルフュエルが世界シェア約4割の最大手だ。

ロシアへの依存度が高い欧州のエネルギー調達は特に懸念されている(ロシア・サハリン、2021年10月)=AP

米ダラス連銀が公表したリポート「2022年のロシアの石油供給ショック」(The Russian Oil Supply Shock of 2022)で、筆者のルッツ・キリアン氏らは「ロシアの石油供給不足を解消できなければ、石油の過剰需要をなくすために、石油の価格長期間大幅に上昇させる必要がある」と指摘している。影響として、欧州が経済活動を維持するため化石燃料依存を減らす計画の一時停止、サプライチェーンの混乱によるインフレ圧力継続、世界的な景気後退の3つを挙げている。

アフリカを直撃した食料ショック

食品の供給網にも暗い影を落としている。ロシア、ウクライナともに小麦の主要な輸出国であるためで、この面では小麦輸入の6割以上をロシアに依存するエジプトやスーダンなどアフリカが深刻だ。

国連貿易開発会議(UNCTAD)はリポート「ウクライナ戦争の貿易と開発への影響」(Ukraine war’s impact on trade and development)で「ウクライナとロシアは農産食品市場の世界的プレーヤーで、ひまわり油種子の世界貿易の53%、小麦の27%を占めている。25ものアフリカ諸国が、両国から小麦の3分の1以上を輸入している」と懸念している。

食品への不安を増幅しているのが、肥料の問題だ。国連食糧農業機関(FAO)は情報ノート(The importance of Ukraine and the Russian Federation for global agricultural markets and the risks associated with the current conflict)で、ロシアが窒素肥料で世界1位、カリウム肥料で2位、リン肥料で3位の輸出国であることを明らかにしている。肥料の供給不足が起きれば、肥料価格が上がり、世界中の農産物価格に響きかねない。

これに関連して、米国は3月24日に対ロシア制裁で対象個人を拡大する制裁強化を発表する一方、第三者への意図しない結果を最小限に抑えるためとして肥料・有機肥料についての輸入制限を事実上、解除している(Russian Harmful Foreign Activities Sanctions Regulations 31 CFR part 587)。

半導体不足に拍車も ネオンガス最大手はウクライナに

IT(情報技術)への影響も小さくない。世界的に半導体不足が鮮明になっているが、半導体のチップ設計作業時に使うレーザーの動力源であるネオンガスの大手輸出企業はウクライナにある。また、センサーやメモリーの製造に使用されるパラジウムは、ロシアが世界生産の37%を占めている。

センサーやメモリーの製造に使用されるパラジウム生産では、ロシアが高いシェアを占める=ロイター

米国に本部がある非営利の供給管理組織、サプライマネジメント協会(ISM)はブログの記事(Semiconductor Concerns Rise Amid Ukraine-Russia Conflict)の中で、ISMの役員であるジェフリー・ウィンセル氏の「ウクライナで起きていることが、多様化されていない企業の半導体サプライチェーンをさらに複雑にする可能性がある」との指摘を紹介している。

またITソフトウエア開発・保守はウクライナの有力産業で、国内総生産(GDP)の4%を占めている。ソフトウエアエンジニアリングの米EPAMは1万4000人のウクライナ人の従業員を抱えており、一時的にビジネスに影響が出るのは避けられそうにない。

ウクライナには小規模なIT関連スタートアップ企業も多く、同国のIT人材を活用してサービスを提供する欧米企業への影響が広がる恐れもある。

物流に迂回コストの重荷

物流への打撃も大きい。オランダの大手金融機関、INGのリポート「サプライチェーンの形を変え、世界貿易を打ちのめすロシアとウクライナの危機」(Russia-Ukraine crisis to reshape supply chains, flatten world trade)は「ロシアの港の回避と空域の相互閉鎖は、新たな非効率性と航空貨物容量の減少につながる。継続的なサプライチェーンのトラブルとインフレと輸送コストの上昇は、貿易に下振れリスクをもたらす」と指摘している。

また米金融大手、JPモルガンのリポート「コンテナ輸送の洞察+中国供給の混乱」のなかで、筆者のカレン・リー氏らは「ウクライナとロシアの緊張の高まりは、航海スケジュールを混乱させ、積み替え港間の貨物の迂回を引き起こし、サプライチェーンの問題を悪化させる可能性がある。港や駅など重要なインフラを標的としたサイバー攻撃のリスクは、グローバルなサプライチェーンにさらなる逆風をもたらす可能性がある」と分析している。
企業が戦略見直し、国内生産回帰や在庫積み増し

コロナ禍による混乱だけなら、感染が収束すれば正常化が期待できたが、バイデン大統領が紛争を民主主義絡める姿勢を鮮明にしていることで、企業は中長期的なサプライチェーンの再構築圧力にさらされている。欧州の企業関係者によると、ロシアに隣接し、反ロシア的な姿勢をとっている国は敬遠される可能性があるほか、開発独裁色が強い新興国への供給網展開は再点検を迫られることになる。

ロシアのウクライナ侵攻は、冷戦後のグローバル化に終わりを告げるきっかけになるのか(ウクライナ・ブチャ、4月1日)=AP

米経営学誌、ハーバード・ビジネス・レビューが公表した論文「ウクライナ戦争が世界のサプライチェーンをどう混乱させているか」(How the War in Ukraine Is Further Disrupting Global Supply Chains)で、筆者の米マサチューセッツ工科大学(MIT)のデイビット・シムチ・リーバイ氏は「ウクライナ戦争が欧州の製造工程に大きな影響を与えたことで、グローバルサプライチェーンに関連するリスクが浮き彫りになった。欧州が国内製造業を強化する可能性がある。企業はサプライチェーンのストレステストを行い、リスクに対する耐性を高める戦略をとる必要がある」と指摘している。

また、米投資銀行、ゴールドマン・サックスの米国経済リポート「サプライチェーンの頑健性の強化」(Strengthening Supply Chain Resilience)で、筆者のロニー・ワーカー氏は「米企業はサプライチェーンのレジリエンス(回復力)の強化に動いている。対応策として、海外から米国への生産回帰(リショアリング)、サプライチェーンの多様化、在庫を過剰に積むことがある。今のところ、リショアリングは限られているが、市場はいずれこの方向に進むと期待しているようだ」と分析している。

世界経済は2つに分割へ

効率的なサプライチェーンが重要な要素だったグローバリゼーション終わったではないかとの見方が出ている。ベルギーにあるゲント国際ヨーロッパ研究所が公表した論文「私たちが知っているグローバリゼーションの終わり」(The End of Globalisation As We Know It)のなかで、筆者のフェルディ・デ・ビル氏は「戦争が平和的に解決され、ロシアに対する制裁が撤回されたとしても、外国企業はこれまでと同じようには投資しないだろう」と、企業行動の変化に言及している。そのうえで「ウクライナでの戦争とロシアに対する西側の制裁が世界経済を(少なくとも)2つの部分に分割するだろう。経済貿易地政学的なレンズを通して認識されるようになると、効率や持続可能性よりも、安全と防衛が優先される可能性がある」と指摘している。

また、投資情報サービス、アジア・ブリーフィングの創設者であるクリス・デボンシャー・エリス氏はリポート「2022年、グローバリゼーションの終わり」(2022: The End Of Globalization)で「(制裁で)新しい鉄のカーテンが引かれ、それはグローバリゼーションの後退になる。グローバル化を支えてきた国際決済網の国際銀行間通信協会(SWIFT)は、今日、正しいか間違っているかはともかく、政治的罰の手段として使われている。(中略)これはウクライナについての単なる戦争ではなく、グローバリゼーションに対する世界的な闘争だ」と論評している。

ロシアのシンクタンク、カーネギー財団モスクワセンターのドミトリー・トレーニン氏は論文「ロシア、グローバルシステムでの卓越性を求めて」(Russia: Looking for Prominence in the Global System)のなかで「クレムリンは、西洋の基準に基づく統一という形でのグローバリゼーションを、国民のアイデンティティー固有の文化に対する脅威と見なしている。グローバリゼーションは一般的に前向きな現象だが、それは全世界西洋化と同等であってはならない。ロシアはBRICSの他の諸国や、エジプト、イラン、サウジアラビア、トルコなどの非西欧の国々と協力している」と強調している。実際、ロシアはウクライナ侵攻後に、インドのガス会社に石油を売っているほか、イランとはSWIFTを使わない決済を検討している。

クリックすると「Global Economics Trends」へGlobal Economics Trends
https://www.nikkei.com/opinion/global-economics-trends/

【記事中の参照URL】
■GLOBAL SUPPLY CHAINS: The Complicated Road Back to “Normal”(https://marketinsights.citi.com/files/GPS-The-Complicated-Road-Back-to-Normal.pdf)

■The Russian Oil Supply Shock of 2022(https://www.dallasfed.org/research/economics/2022/0322)

■Ukraine war’s impact on trade and development(https://unctad.org/news/ukraine-wars-impact-trade-and-development)

■The importance of Ukraine and the Russian Federation for global agricultural markets and the risks associated with the current conflict(https://www.fao.org/3/cb9236en/cb9236en.pdf)

■Russian Harmful Foreign Activities Sanctions Regulations 31 CFR part 587(https://home.treasury.gov/system/files/126/russia_gl6a.pdf)

■Semiconductor Concerns Rise Amid Ukraine-Russia Conflict(https://www.ismworld.org/supply-management-news-and-reports/news-publications/inside-supply-management-magazine/blog/2022/2022-03/semiconductor-concerns-rise-amid-ukraine-russia-conflict/)

■Russia-Ukraine crisis to reshape supply chains, flatten world trade(https://think.ing.com/articles/russia-ukraine-crisis-to-disrupt-supply-chains-flatten-world-trade/)

■How the War in Ukraine Is Further Disrupting Global Supply Chains(https://hbr.org/2022/03/how-the-war-in-ukraine-is-further-disrupting-global-supply-chains)
■The End of Globalisation As We Know It(https://www.ugent.be/ps/politiekewetenschappen/gies/en/gies_papers/2022-ukraine/the-end-of-globalisation-as-we-know-it)

■2022: The End Of Globalization(https://www.asiabriefing.com/news/2022/02/2022-the-end-of-globalization/)

■Russia: Looking for Prominence in the Global System(https://carnegiemoscow.org/2022/02/17/russia-looking-for-prominence-in-global-system-pub-86386)

南アジアに混乱の火種 パキスタン緊急利上げ市場、「3つのルピー」注視

南アジアに混乱の火種 パキスタン緊急利上げ
市場、「3つのルピー」注視
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOFL00019_Y2A400C2000000/

『【NQNシンガポール=秋山文人】南アジアのパキスタンで、経済情勢の悪化を背景にした政情の先行き不透明感が増している。パキスタン中央銀行は7日、通貨ルピーを防衛するために緊急利上げを決定。近隣のスリランカと並び、混迷が深まっている。大国インドを含む南アジアに対する市場関係者の警戒心が高まってきた。


通貨安、金利上昇……経常収支も悪化

「もし必要なら、4月末に予定している次回の金融政策委員会を前倒し実施する」。パキスタン中銀は3月8日の会合のあとに発表した声明文でこう指摘していた。1カ月後の4月7日、同中銀は有言実行する。政策金利を従来の9.75%から2.5%引き上げ、12.25%にすると決めた。

中銀は声明文で、①通貨ルピーの下落②国内および外貨建て債券の市場金利の上昇③国債のクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)の保証料率の上昇――に直面していると説明する。ウクライナ情勢を含む内外の不透明感が物価高を促すとみており、インフレ率見通しは2022年度は11%強としている。

通貨安は激しい。パキスタンルピーはドルに対し、足元で1ドル=188ルピー近辺で推移している。中銀はかねて為替介入でルピー相場を維持してきた。17年までは100ルピー近くで推移していたが、徐々に切り下げていった。21年5月以降はタガが外れたように下落し、その後1年間で2割下げたことになる。

資源高を背景とする輸入額の増加、貿易赤字が続く。国際収支をみると、経常収支は20年7~9月期では8億6500万ドル(約1070億円)の黒字だった。それが、21年10~12月期には55億6600万ドルの赤字になった。通貨防衛に要した資産も大きく、外貨準備は21年8月末に270億ドルだったのが半年で16%減った。軍資金が乏しいだけに介入は焼け石に水で、足元でルピー安は一段と進んでいる。


下院解散、最高裁は「違憲」

パキスタンの混乱を象徴するのは、1人の政治家の動静だ。カーン首相に世界の目が向けられている。

経済政策運営の失敗とインフレで国民生活を脅かしたとし、パキスタン野党は国会・下院にカーン首相への不信任案を提出した。首相は下院の解散・総選挙を表明し対抗。野党は最高裁判所に解散決定の無効化を求めて提訴していた。

最高裁は7日、解散は違憲との認識を示した。カーン首相は近く辞職を迫られる可能性があるとも伝えられている。パキスタン中銀の緊急利上げは経済情勢もさることながら、政治の不透明感に突き動かされたものでもある。
スリランカ、インドにも懸念

視線をパキスタンから南アジア全域に広げてみよう。新型コロナウイルスの感染拡大を背景に始まった世界的なインフレは、ウクライナ情勢を触媒として一段と悪化した。経済・財政運営が盤石ではない南アジアの政治・経済を揺らしている。

スリランカは観光資源に依存した経済が災いし、債務不履行(デフォルト)の瀬戸際に来ている。

大国インドも例外ではない。足元で株価、通貨は比較的安定している。だが、懸案は外交にある。ロシア産原油の購入のほか、7日の国連人権理事会でのロシアの理事国資格停止の決議を棄権するなど、ロシアとの政治的なつながりの深さが懸念される。

3国とも通貨は「ルピー」だ。「3つのルピー」の動きは、国際政治、経済、市場の混乱の導火線となりかねず、注視が必要だ。インド洋を巡る情勢分析は、米中のパワーバランスを考えるうえでも欠かせないだけに、短期間では終わらない。』

気候変動とコロナで食料不足深刻 20年飢餓人口8.1億人

気候変動とコロナで食料不足深刻 20年飢餓人口8.1億人
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR1900S0Z10C21A7000000/

『【ウィーン=細川倫太郎】気候変動と新型コロナウイルス禍が世界で深刻な食料不足をもたらしている。国連によると、2020年は世界人口の1割に相当する最大8億1100万人が飢餓に苦しんだ。農作物の不作や輸出制限で食料価格が高騰しており、飢餓人口は一段と増える恐れがある。

アフリカの島国マダガスカル南部では過去40年間で最悪の干ばつに見舞われ、農作物の収穫が困難になっている。国連世界食糧計画(WFP)によると、114万人以上が食料不足に陥り、このうち1万4000人は深刻な飢餓の危機に直面している。何千人もの人々が食料を求めて移住したり、樹木の皮などを食べて飢えをしのぐといった状況が続く。

6月に現地を訪問したWFPのビーズリー事務局長は「この地域は気候変動の引き金になることをしていないのに、最も高い代償を払っている」と警鐘を鳴らしている。同国の緊急の食料支援のため、8000万ドル(約88億円)近くが必要と訴える。

ホンジュラスやニカラグアなど中米4カ国では、飢餓人口が18年の220万人から直近では800万人近くまで増加している。20年11月に大型ハリケーン「エタ」と「イオタ」が中米を直撃し、農場や住居が破滅的な被害を受けた。ブラジルやアルゼンチンも天候不順に悩まされ、トウモロコシなどの生産に悪影響が及ぶ。

大型ハリケーンによって甚大な被害を受けたバナナ農園(ホンジュラス西部のラ・リマ)=AP

コロナ禍も飢餓の大きな原因だ。社会保障制度が不十分な途上国では、多くの国民がコロナ禍で所得の減少や失業に見舞われている。航空便の減少や移動制限で食料支援も行き届きにくい。世界有数の穀物輸出国であるロシアは国内消費者を保護するため小麦などの貿易を制限し、国際的なサプライチェーン(供給網)も不安定になっている。

国連5機関が7月にまとめた報告書によると、地域別の飢餓人口はアジアが4億1800万人と最も多く、アフリカが2億8200万人、中南米が6000万人。アフリカは人口の21%が栄養不足で、他地域の2倍以上いる。国連は30年までに「飢餓ゼロ」を掲げるが、このままでは同年でも約6億6000万人は飢餓状態にとどまると警告する。

天候不順による需給逼迫などから、食料価格は高騰している。国連食糧農業機関(FAO)が算出する世界の6月の食料価格指数(14~16年=100)は平均124.6と、1年前より3割以上高い水準だ。特に穀物や植物油の値上がりが目立つ。主食のパン価格の高騰に苦しむ民衆の不満が背景にあった中東の民主化運動「アラブの春」が起きた11年の130台が視野に入っている。

食料インフレの加速は家計を直撃し、主食を輸入に頼る途上国にとっては大打撃となる。飢餓は社会不安や紛争を引き起こし、それがさらなる貧困をまねく悪循環に陥りやすく、国際社会の対策は急務になっている。国連は9月、世界各国の首脳を集めて「食料システムサミット」を開催し、食料の生産や流通の安定について議論する。 』

7月の米穀物需給 トウモロコシ生産見通しを引き上げ

7月の米穀物需給 トウモロコシ生産見通しを引き上げ
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN12CWS0S1A710C2000000/

『【シカゴ=野毛洋子】米農務省は12日発表の7月の穀物需給で、米国のトウモロコシの生産見通しを前月比445万㌧増の3億8521万㌧に引き上げた。作付面積の増加を見込んだ。期末(2022年8月末)在庫は前月比190万㌧増の3637万㌧を見込んだ。いずれもロイター通信が集計したアナリスト予想平均を上回った。

小麦は干ばつによる春小麦の減産が響き、生産量は前月比414万㌧減の4752万㌧を見込んだ。期末在庫は286万㌧減の1809万㌧と推定した。いずれもアナリスト予想平均を下回った。

大豆については生産及び期末在庫ともに前月から据え置いた。市場には「今回は小麦以外に目立った修正がない。農務省は天候を見定めて8月、9月分で大幅に修正する可能性がある」(米穀物アナリスト)との声が聞かれた。』

〔オガララ帯水層〕

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AA%E3%82%AC%E3%83%A9%E3%83%A9%E5%B8%AF%E6%B0%B4%E5%B1%A4

『オガララ帯水層(オガララたいすいそう、英語:Ogallala Aquifer)は、アメリカ合衆国中部、グレートプレーンズの地下に分布する浅層地下水層。ハイ・プレーンズ帯水層(High Plains Aquifer)とも呼ばれる。世界最大級の地下水層で、総面積は450,000km²(日本の国土の約1.2倍)におよび、同国中西部・南西部8州にまたがる。この帯水層は1899年にニューヨークの地学者ネルソン・ホラティオ・ダートン(Nelson Horatio Darton)によって命名された。名称はネブラスカ州西部の町オガララ(Ogallala)に由来している[1]。』

『概要

現在アメリカ合衆国中部の大平原となっているこの地域に帯水層が形成されたのは中新世後期から鮮新世初期にかけてのことである。この頃、この地域の西に位置するロッキー山脈における造山活動が活発化し、西から東へ、あるいは南東へと大小の河川が形成されていった。やがてロッキー山脈において侵食が起こり、川や風で運ばれた土砂がこの地域に積もって古い流路を埋め、大量の地下水を含む地層を生み出した。この地層の深さは形成前の地形によって異なる。もともとが谷間だったところは、地下深くまでこの地層が形成されている。この地層の下部では粗い岩が主になっており、上部ほどその粒が細かくなっている[2]。

地下水を含む層(帯水層)の厚さは数mから160mまで幅があり、北部ほど厚くなっている。地表から地下水面までの深さは北部では120mほど、南部では30-60mほどである。現在、帯水層への淡水涵養のペースは遅くなってきている。このことから、地層中に存在する地下水の大部分は、氷期に蓄えられた化石水であると言える。

この帯水層はアメリカ合衆国中西部・南西部の以下8州におよんで広がっている。グレートプレーンズと呼ばれる大平原が広がるこの地域はほぼ全域がステップ気候に属し、全体的に降水量が少なく、河川や湖沼などの地表水が少ない。そのため、この帯水層の地下水が重要な水道水源、農業用水源となっている。』

『流出

オガララ帯水層の地下水を利用し、センターピボットによって灌漑されたカンザス州の農場。ASTERによる衛星写真。

オガララ帯水層の位置しているグレートプレーンズはアメリカ合衆国有数の穀倉地帯である。小麦をはじめ大豆やとうもろこしを多く生産するこの地域は、しばしば「アメリカのパンかご」(Breadbasket of America)と呼ばれる。また、全米有数の畜産地域でもある。降水や地表水の少ない乾燥地帯にありながら大規模な農業開発に成功したのは、ひとえにオガララ帯水層の地下水を用いた灌漑によるものである。

この地域における灌漑農業が始まったのは1911年のことである。1930年代に入ると電力やポンプが整備され、本格的に灌漑が行われるようになった。大規模な灌漑は1950年代まで続いた。こうした大規模な灌漑により、オガララ帯水層からの地下水の流出量は一気に増加した。

オガララ帯水層からの地下水流出の要因として最も大きいものは前述のような灌漑によるものであるが、それに加えて自然に流出する地下水もある。この地域の何本かの川は地下水面よりも低いところを流れている。そのため、水がこれらの川に流れ込み、結果としてオガララ帯水層への地下水涵養にはならず、むしろ帯水層から流出することになってしまう。』

『水量の変化

気象条件や地層の構造により地下水の涵養量が少ないこと、その一方で大規模な灌漑によって帯水層からの揚水量が増加したことによって、オガララ帯水層の各所で地下水位の低下が見られるようになった。1980年の時点では、オガララ帯水層からの揚水量は地下水涵養量の3倍に達していた。年間1.5mにもおよぶ水位の低下が見られた地域もあった。水量確保のために深くした井戸や、涸れてしまった井戸も少なくない。

冒頭の地図はオガララ帯水層における1980-95年の地下水位の変化を示したものである。地図中、テキサス州北西部やカンザス州南西部では、水位が著しく低下していることを示す赤や濃いオレンジになっているところが多い。降水量の比較的多いネブラスカ州東部など、水位が上昇している(地図中水色や紫になっている)ところもあるが、全体的にはオガララ帯水層の地下水位は低下傾向にある。

こうした事態に対し、オガララ帯水層上の各地では段々畑を導入したり、交代で休耕させたり、灌漑にセンターピボットを用いたり、あるいは灌漑面積を減らしたりと、水を効率よく利用する工夫をしている。こうした努力によって水位低下量は少なくなりつつあるが、依然として低下が続いている。』

※ 今一つ、よく分からんところがあるんで、画像を収集した…。

※ 位置は、こんな場所…。いわゆる、グレートプレーンズの真下だな…。地下60mから、160mくらいのところにあるらしい…。

『現在アメリカ合衆国中部の大平原となっているこの地域に帯水層が形成されたのは中新世後期から鮮新世初期にかけてのことである。この頃、この地域の西に位置するロッキー山脈における造山活動が活発化し、西から東へ、あるいは南東へと大小の河川が形成されていった。やがてロッキー山脈において侵食が起こり、川や風で運ばれた土砂がこの地域に積もって古い流路を埋め、大量の地下水を含む地層を生み出した。この地層の深さは形成前の地形によって異なる。もともとが谷間だったところは、地下深くまでこの地層が形成されている。この地層の下部では粗い岩が主になっており、上部ほどその粒が細かくなっている[2]。』

※ 上記の記述だと、「造山運動」によって、「大小の河川」が地下に埋められて、形成された…という話しのようだな…。

巨大な米国オガララ帯水層、枯渇の危機

巨大な米国オガララ帯水層、枯渇の危機、穀物生産が困難に…日本の畜産に深刻な打撃
https://biz-journal.jp/2021/06/post_233800.html

『オガララ帯水層
 さらに、米国のオガララ帯水層の枯渇問題が世界的に問題になっており、日本の食糧安全保障を直撃しようとしている。オガララ帯水層は、北アメリカの大穀倉地帯(ロッキー山脈の東側と中央平原の間を南北に広がる台地上の大平原に位置)の地下に分布する浅層地下水帯で、日本の国土面積を超える広さを持っている。

 この帯水層に依拠している米国のカンザス州では、650万頭の肉牛が飼育され、270万トンの牛肉が生産され、日本にも米国産牛肉として輸入されている。牛肉1キロ当たり6〜20キロのトウモロコシなどの穀物が生育のため必要である。2億5000トンのトウモロコシなどの穀物生産のうち、3分の1が肉牛生産に使われている。

 穀物生産には膨大な量の水が必要で、カンザスの穀倉地帯はオガララ帯水層の地下水に頼って生産されているが、このオガララ帯水層の地下水が枯渇しつつあることが明らかになっている。現在、この帯水層は地表から100メートルの地点にあるが、この50年間で水位は60メートルも下がり、あと30メートルしかないとされている。そして、早ければあと10年でオガララ帯水層の地下水はなくなるともいわれ、遅くとも50〜70年には枯渇すると推定されている。

 東京大学大学院農学生命科学研究科教授の熊谷朝臣氏の研究発表「地下水資源から占う穀物生産の未来」でも「何の改善もされることなく現在のオガララ帯水層からの取水ペースにより灌漑農業を続ければ、ハイプレーンズ南部域の穀物生産は崩壊し、それは世界の食糧安全保障にまで影響します」としている。

 カンザス州、オクラホマ州、テキサス州、ニューメキシコ州をカバーしているオガララ帯水層が枯渇すれば、米国穀倉地帯でのトウモロコシなどの年間5000万トンの穀物生産が困難になり、日本の家畜の飼料とされている米国産トウモロコシの輸入が困難になることになる。それは、米国産輸入飼料に依存している日本の家畜生産や酪農生産が厳しくなることを意味している。また、米国産牛肉や米国産豚肉の輸入も途絶することになるであろう。

(文=小倉正行/フリーライター)

●小倉正行

1976 年、京都大学法学部卒、日本農業市場学会、日本科学者会議、各会員。国会議員秘書を経て現在フリーライター。食べ物通信編集顧問。農政ジャーナリストの会会員。

主な著書に、『よくわかる食品衛生法・WTO 協定・コーデックス食品規格一問一答』『輸入大国日本変貌する食品検疫』『イラスト版これでわかる輸入食品の話』『これでわかる TPP 問題一問一答』(以上、合同出版)、『多角分析 食料輸入大国ニッポンの落とし穴』『放射能汚染から TPP まで一食の安全はこう守る』(以上、新日本出版)、『輸入食品の真実!! 別冊宝島』『TPP は国を滅ぼす』(以上、宝島社)他、論文多数。

ニュースサイトで読む: https://biz-journal.jp/2021/06/post_233800_2.html
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〔オガララ帯水層〕
https://http476386114.com/2021/06/30/%e3%80%94%e3%82%aa%e3%82%ac%e3%83%a9%e3%83%a9%e5%b8%af%e6%b0%b4%e5%b1%a4%e3%80%95/

アジアのコメ、輸出価格高騰 ベトナム産は9年ぶり高値

アジアのコメ、輸出価格高騰 ベトナム産は9年ぶり高値
コロナで食糧確保広がる、コンテナ船運賃高響く アジアマーケットウオッチ
https://www.nikkei.com/article/DGXZQODJ124LE0S1A210C2000000/

『アジアでコメの輸出価格が高騰している。輸出大国タイが天候不順で生産が減る一方、最大の輸入国フィリピンを中心に消費は底堅い。食糧安全保障の観点から調達を増やす動きも広がり、需給の逼迫感が強まった。ベトナム産は9年ぶり高値をつけ、外貨を稼ごうと自国の高品位米を輸出して安価なコメを輸入する動きが目立っている。

輸出価格の上昇は、主食用米の輸出市場で存在感が強いタイ産の輸出減少が一因だ。タイ産米の輸出価格…

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タイ産米の輸出価格は現在、1トン537ドル前後(5%破砕米)。20年4月に567.5ドルと約7年ぶりの高値をつけた後いったん下落したが再び上昇し、高止まりしている。

産地での高温乾燥や水不足で生産量が減り、輸出余力が急激に低下した。海上貨物輸送量のバランスが崩れてコンテナ不足に陥り、運賃が上昇したことも響いた。米農務省によれば20年のタイのコメ輸出量は過去24年間で最低だった。

一方、アジアでのコメ消費は底堅い。特に、世界最大のコメ輸入国フィリピンでは人口増加を背景に積極的な調達が続いている。新型コロナウイルス禍の収束に時間がかかっており、食糧安全保障の観点からアジア各国で備蓄量を増やす動きが広がった。

タイ産の供給減で商機を得たのがベトナムだ。

「我々がベトナムにコメを輸出するのは初めて」。インドのコメ輸出業者協会のクリシュナ・ラオ会長は1月、ロイター通信の取材にこう話した。業界関係者によると、ベトナムはインドから1月と2月に合計7万トンの100%破砕米を輸入する契約を結んだ。価格は1トンあたり310ドルという。

正確なデータはないが、ベトナムがコメ輸出の競争相手で輸出首位のインドからコメを調達するのは数十年ぶりとみられる。

インドからわざわざ輸入する背景にあるのがベトナム産の高騰だ。調査会社リフィニティブによると、ベトナム産の輸出価格(5%破砕米)は2月上旬に1トンあたり512.50ドルと2011年12月以来の高値をつけ、足元も507ドル程度と高値が続く。

インド産の輸出価格はベトナム産より2割ほど安い。高価で売れるコメを輸出して外貨を稼ぐ一方、「安価なインド産のコメを輸入して加工品や家畜の飼料の原料にしている」(農林中金総合研究所の阮蔚理事研究員)とみられる。

実際、ベトナムは自国の品質の高いコメをフィリピンなどに積極的に輸出している。米農務省によると20年の輸出量は617万トン。輸出量が落ちたタイ(567万トン)を抜き輸出世界2位に浮上した。

ベトナムは10年代以降、メコンデルタ地域などでコメの高付加価値化を進めている。機械化も大幅に進み、収量も上がった。農林水産政策研究所の古橋元氏は「20年初めからの輸出価格上昇で農家の生産意欲が高まり、輸出の増加が続いている」と指摘する。

コロナ禍が続くなか、食糧の安定確保への備えとコンテナ船の運賃高騰も相まって、アジアのコメ輸出価格は高値が続く可能性がある。品種も用途も異なり、価格もはるかに高い日本産米の輸出への影響は軽微にとどまりそうだ。(黒瀬幸葉、ハノイ=大西智也)

アフリカ、南アジアにバッタ襲来 食糧危機も

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO60820460W0A620C2000000/

『アフリカ東部からインドに及ぶ一帯で大量繁殖したバッタの襲来が続き、食糧被害が深刻化している。有数の農業大国を抱える南米でも発生し、世界の食糧事情に影響が出る懸念が拡大。地球温暖化が一因だと指摘する声もあり、国連食糧農業機関(FAO)は「新型コロナウイルスと合わせ、甚大な結果となり得る」と警鐘を鳴らしている。

5月29日にパキスタン中部で撮影されたバッタの一群=AP

FAOの担当者は「コロナの影響で航空便が激減し、殺虫剤の供給が遅れた」と説明。被害地域の大半では例年より多い降雨が見込まれ、繁殖が加速して個体数が現在の8千倍に増大するとの予測もある。1平方キロに広がる群れの場合、1日当たり約3万5千人分の作物を食い尽くすという。

2018年にアラビア半島で発生した群れが各地へ広がった。サイクロンの多雨で繁殖環境が整い、爆発的に増えたとみられる。ケニアは過去70年で最悪の事態に発展。雨期を迎えたインド西部ラジャスタン州では5千平方キロ超の土地が被害を受け、住宅街にも侵入した。今夏、世界で約490万人が飢餓に直面する危険がある。

小麦やトウモロコシなど穀物の一大生産地として知られるアルゼンチンには、今年5月下旬、隣国パラグアイから大群が飛来した。農産物や家畜の飼料への被害が懸念されており、群れはブラジル南部に到達する可能性もある。(共同)』