米、ベネズエラ制裁を一部緩和 与野党協議の再開後押し

米、ベネズエラ制裁を一部緩和 与野党協議の再開後押し
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN1812T0Y2A510C2000000/

『【サンパウロ=宮本英威】米政府は17日、南米ベネズエラへの制裁の一部を緩和する方針を示した。米石油大手シェブロンがベネズエラ国営石油会社PDVSAと協議することを認める。米政府は、反米左派のマドゥロ政権と米国が支援する野党側との間で、対立緩和を目指す交渉の再開を促したい考えだ。

米政府高官は「基本的には両社が協議することのみを許可する」と述べた。ロイター通信は、米政府がPDVSAの元幹部であるエリック・マルピカ氏を制裁対象のリストから外すと報じた。同氏は、マドゥロ大統領の夫人であるシリア・フロレス氏のおいにあたるという。

ただ、米政府が現在禁止しているベネズエラ産原油の輸入再開に即座につながるわけではない。米国内には、ロシアによるウクライナ侵攻後に禁輸したロシア産原油の穴埋めとして、ベネズエラ産に期待する声もあるものの、議会内には反対の声も目立ち、制裁緩和がさらに進むかどうかは見通せない。

与党・民主党のロバート・メネンデス上院外交委員長は17日公表した声明で「米国は具体的な譲歩が示されない限り、経済制裁の再調整をすべきではない」と主張した。

ベネズエラのロドリゲス副大統領は「すべての国民に影響する違法な制裁をすべて取り除く道を開くことを求めている」とツイッターに投稿した。

マドゥロ政権は2021年10月、野党側との対話を停止した。マネーロンダリング(資金洗浄)などの容疑で米国に訴追されていたマドゥロ氏側近の実業家が、西アフリカのカボベルデ政府から米国に引き渡されたのに抗議したためだった。』

ブルガリアは、米国から2隻のLNGタンカーを6月に受け入れる。

ブルガリアは、米国から2隻のLNGタンカーを6月に受け入れる。
https://st2019.site/?p=19469

『ロイターの2022-5-11記事「Bulgaria to Receive US LNG Deliveries Starting in June」。
   ブルガリアは、米国から2隻のLNGタンカーを6月に受け入れる。

 ガスプロムはすでに4月27日に、ポーランド向けとブルガリア向けの天然ガス供給を止めている。ガス代金をルーブルで支払うことを拒否したというので。

 米国のLNGタンカーが届ける天然ガスの代金は、ガスプロムの料金よりも少し安いという。

 ブルガリアはもっか、アゼルバイジャンともLNG商談をしている。その天然ガスは、ギリシャとトルコまでパイプラインで運ばれ、その港からブルガリアへ、LNGタンカーで搬入される。』

サウジアラムコ、タイへの原油輸出拡大 両国関係修復で

サウジアラムコ、タイへの原油輸出拡大 両国関係修復で
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGS1281R0S2A510C2000000/

『【バンコク=村松洋兵】サウジアラビアの国営石油会社サウジアラムコは12日、タイ国営のタイ石油公社(PTT)とエネルギー協力を強化すると発表した。サウジアラビアからタイへの原油輸出などを拡大する。両国政府は約30年前に起きたタイ人によるサウジ王室の宝石窃盗事件で悪化した関係を1月に修復していた。

両社が11日にタイの首都バンコクで覚書に署名した。サウジからタイへの原油や石油化学製品、液化天然ガス(LNG)の供給を増やす方針だ。脱炭素に向けクリーンエネルギーの分野でも協力する。水素エネルギーや二酸化炭素(CO2)貯留、電気自動車(EV)を例に挙げた。

PTTのアタポン社長は「従来のエネルギーの枠を超えて協力を拡大する」と述べた。アラムコのイブラヒム副社長は「幅広い領域で関係を深める重要な一歩だ」と語った。

サウジとタイは1989年に起きた「ブルーダイヤモンド事件」を巡って関係が悪化した。サウジ王室の宮殿で働いていたタイ人労働者が、約2000万ドル(約26億円)相当とされる宝石類を盗み出したことを受け、外交関係を格下げした。

1月にタイのプラユット首相がサウジを訪れ、ムハンマド皇太子と関係修復と経済協力の強化を合意した。タイの貿易統計によると、同国の2021年の原油輸入は金額ベースでアラブ首長国連邦(UAE)が首位の約27%、サウジが2位の約18%だった。』

プーチンへのレクイエムとなった対独戦勝77周年軍事パレード

プーチンへのレクイエムとなった対独戦勝77周年軍事パレード
ロシア産原油は売り先失い国庫は火の車、独りほくそ笑む米国
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/70053

 ※ 長いんで、一部を紹介する…。

『 対独戦勝77周年軍事パレードの特徴(2022年5月9日)

 5月9日の軍事パレード最大の注目点は、S.ショイグ国防相による軍事パレード準備完了報告を受けた後のプーチン大統領訓示がどのような内容になるのかという点でした。

 事前予測では戦争宣言をするかも知れないと言われておりましたが、筆者は、それはないだろうと思っていました。

 プーチン大統領が対ウクライナに宣戦布告をして一番迷惑を受けるのが、軍事同盟(CSTO/計6か国)を締結しているカザフスタンやベラルーシなどです。

 軍事同盟ですから、ロシアが戦争宣言すれば、参戦しなければなりません。

 しかし、意味も意義も大義もない戦争にカザフスタンやベラルーシが参戦するのでしょうか?

 筆者は参戦しないと思います。この場合、ロシア軍事同盟国の中に亀裂が入ることでしょう。

 カザフスタン北部には大勢の(民族としての)ロシア人が住んでいます。シベリアの大草原を南下すれば、何の障害物もなく自然とカザフ領土に入ります。

 ですから、カザフスタンのトカエフ大統領は眠れぬ夜を過ごしていたことと思われます。

 本日5月9日の軍事パレードを過去の軍事パレードと比較すると、以下の点が特筆されます。

・軍事パレ―ド規模は例年より小ぶり(参加人員約11千人/軍用車両約130輌)。

・軍用車両行軍は10時46分から56分までの10分間のみ。

・悪天候で軍用機77機の飛行パレード中止。

・軍用車両行進後、軍楽隊退場して11時に終了。

 今回の軍事パレード最大の特徴は国家親衛軍が参加していない点です。ウクライナの首都キーウ(キエフ)攻略戦で大被害を蒙り、今回は参加不可能になったものと推測します。』

『 対独戦勝77周年軍事パレード/筆者の感想

 5月9日の軍事パレードを観た筆者の感想は以下の通りです。

 まず驚いたのが、ロシアの孤立です。例年必ず誰か外国からの元首・要人が参加するのですが、今回はゼロでした。

 次に驚いたのが、プーチン大統領の精気のなさです。

 精気なく、現在の戦況をそのまま反映している顔つきでした。精気ないプーチンを通じて、ロシアの未来が透けて見えてきたように思えます。

 約10分間の演説の途中で次頁の原稿がうまく開かず、言葉に詰まる場面もありました。従来のプーチンでは考えられないことです。

 プーチン大統領の演説は結局、戦争宣言もウクライナ東部2州併合宣言もなく、NATO批判とナチズムと戦っているという軍事作戦を正当化するプロパガンダのみで、内容は自分自身の保身演説でした。

 総じて戦意高揚の軍事パレードにはなっておらず、ロシア国民には対ウクライナ特別軍事作戦の行方を不安視させる軍事パレードになったと筆者は感じました。

 実際問題として、5月7日と8日の戦闘地図を見るとウクライナ東部2州の戦線は膠着状態ですが、ハリキウ(ハリコフ)周辺ではウクライナ軍が反撃に転じ、ロシア軍は東に押し戻されています。

 ウクライナ軍がハリキウから東進すると、イジュ―ムを攻撃しているロシア軍の北側補給路が断たれます。

 朝鮮戦争で言えば、南進した北朝鮮軍が釜山近郊まで南下した時、国連軍が仁川に上陸して補給路を断たれ袋の鼠になった戦史が想起されます。

 もしウクライナ軍が東進し国境を越えてロシア領に進撃すると、これは第2次大戦における第3次ハリコフ戦車戦で勝利したドイツ機甲部隊が東進して、クルスクまで進出。ここで、ドイツ軍と赤軍による史上最大の戦車戦が展開され、ドイツ軍が敗退した戦史を繰り返すことになるでしょう。

 ウクライナ側は負けなければよいのですから、ウクライナ軍は国境を越える必要がありません。

 近代戦は補給戦です。持久戦・長期戦になれば、欧米の支援を受けて兵站補給可能なウクライナ軍が有利になる一方、ロシア軍は在庫兵器・弾薬が尽きれば終わりです。』

『 第3部:プーチン・ロシアの近未来

ロシア経済のアキレス腱

 ロシアのアキレス腱、それは経済です。ロシア経済のアキレス腱、それは油価です。

 ロシア経済は天然資源依存型経済構造であり、そのような経済構造を筆者は≪油上の楼閣経済≫と呼んでおります。

 旧ソ連邦諸国の中の天然資源大国は皆、大なり小なり典型的な≪油上の楼閣経済≫にて、もちろん中東産油国もこの範疇に入ります。

 V.プーチン新大統領は2000年5月7日、故B.エリツィン大統領の後任として、新生ロシア連邦2人目の大統領に就任。

 大統領就任後、ロシア経済は2000年代前半に原油・天然ガスの価格上昇とともに輸出拡大と好調な内需などに支えられて成長しました。

 故B.エリツィン初代ロシア連邦大統領は油価低迷により失脚。後任のプーチン大統領は油価高騰を享受。油価高騰に支えられたロシア経済は油価依存型経済構造から脱却できず、逆にますます依存度を高めていきました。

 ロシア国庫歳入案に占める石油(原油と石油製品)・ガス税収案は、プーチン大統領が誕生した2000年は約2割でしたが、油価がバレル100ドルを超える高騰時には、国庫歳入の半分以上とGDP(国内総生産)の約1割が石油と天然ガスからの税収になりました。

 油価と政府歳入に強い正の相関関係があります。

 ソ連邦が崩壊した背景も、1985年から続いた油価下落・低迷でした。ですから、油価下落・低迷はプーチン大統領にとり悪夢となります。

 2022年2月24日のロシア軍のウクライナ全面侵攻を受け急騰した油価は、その後急落。4月25~29日の週間平均油価は北海ブレント$103.92/bbl(前週比▲$1.80/スポット価格)、WTI $102.85(同▲$1.17)、ウラル原油(露黒海沿岸ノヴォロシースク港出荷FOB)$66.85(同+$0.49)となり、北海ブレントと露ウラル原油の価格差は従来のバレル$3~4から10倍に拡大。露ウラル原油はバナナの叩き売り状態となりました。

 これは露ウラル原油が欧米市場から敬遠されていることを示唆しており、ウラル原油のみならず、ロシア産軽油と重油も売り先に困るようになりました。

 安くなった露ウラル原油を中国とインドが追加購入しようとしていると言われていますが、中国大手国営会社は買い増ししておらず、中小私企業が買い増ししている模様です。

 インドも買い増ししていますが、ウラル原油はサワー原油ゆえ、製油所脱硫装置の能力が隘路になっています。

(油価:US$ / bbl)
(出所:米EIA、他資料より筆者作成)』

『 露ウラル原油と露国民福祉基金資産残高の関係

 ロシア財務省は従来、国民福祉基金資産残高を毎月公表してきました。

 これは一種の石油基金です。「ロシア連邦安定化基金」として2004年1月の法令に基づき、同年設立されました。

 露原油(ウラル原油)の油価が国家予算案で設定された基準を上回ると「安定化基金」に組み入れられ、国家予算が赤字になると、「安定化基金」から補填される仕組みでした。

 この仕組みを考案したのが、当時のA.クードリン財務相です。

 この基金は発足時の2004年5月の時点では約60億ドルでしたが、油価上昇に伴い、2008年1月には1568億ドルまで積み上がりました。

 この安定化基金は2008年2月、「予備基金」(準備基金)と「国民福祉基金」(次世代基金)に分割され、「予備基金」は赤字予算補填用、「国民福祉基金」は年金補填用や優良プロジェクトなどへの融資・投資用目的として発足。

 分割時、「予備基金」は約1200億ドル強を継承、残りを「国民福祉基金」が継承。この石油基金のおかげで、ロシアはリーマンショックを乗り越えられたと言えましょう。

 その後、「予備基金」の資金は枯渇してしまい、2018年1月に「予備基金」は「国民福祉基金」に吸収合併されました。

 露財務省は2022年3月1日現在の資産残高は1548億ドル(GDP比9.7%)と発表。2021年11月1日現在の資産残高1978億ドルから430億ドルも減少しました。

 しかし国民福祉基金の設立趣旨・構造からして、これはあり得ない数字です。

 2021年の露国家予算案想定油価(ウラル原油)はバレル$45.3ですが、実績は$69.0。22年の露政府想定油価は$62.2です。

 油価が$45.3以上で輸出される場合、想定油価以上の輸出税収は「国民福祉基金」に入りますので、基金残高は積み上がるはずです。

 今年2022年も油価は想定油価より高いので、基金資産残高は更に積み上がるはずでした。

 ご参考までに、発足時2008年2月1日から2022年3月1日現在までの資産残高は以下の通りです。
(出所:ロシア財務省統計資料より筆者作成)

 積み上がるはずの資産残高が減少している理由は只一つ、ウクライナ戦争用軍事費に流用されていること以外、考えられません。

 その証拠に、従来毎月公表されてきた資産残高が発表されなくなりました。』

『 プーチン・ロシアと欧米のエネルギー取引関係

 5月9日の軍事パレードに先立ち、8日に開催されたG7にてロシア産原油の段階的禁油措置を決定。これに基づき、日本の岸田文雄首相も原則的禁油措置を発表しました。

 EUの対露経済制裁措置第6次包括案の概要も発表されました。

 今回の特徴は船舶保険業務などのサービス業務も含まれているので、ロシア産石油(原油と石油製品)を輸送するタンカーの付保が不可能となります。

 これは実質、タンカー輸送が困難になることを意味するので、今後海上輸送によるロシア産原油・石油製品輸出はほぼ不可能になります。

 なお、ロシアは原油以外に石油製品も輸出しており、主要品目は軽油と重油(M-100)です。

 この包括案を受け北海ブレントと米WTIの油価は急騰しましたが、ロシア産原油(ウラル原油)は上述の通り別の動きをしていますので、この点は別途分析が必要です。

 露ウラル原油がバナナの叩き売り状態になっている点にご注目ください。

 露ウラル原油はサワー原油であり、誰でも精製できる原油ではなく、脱硫装置を備えた製油所でないと精製できません。

 ウラル原油の主要輸出先である欧州が禁油すれば、露石油会社の生産量・輸出量・油価・輸出金額等々に即影響が出て、年末には倒産する石油会社も出てくることでしょう。

 ご参考までに、露原油の輸出量と輸出先内訳は以下の通りです(2020年BP統計):

露原油輸出量:260百万屯

露原油輸出先:欧州向け53%/中国向け32%/日本向け2%/米国向け1.5%/インド向け1%/CIS諸国向け5.7%/他アジア諸国向け4.1%

 上記の通り、露産原油の半分以上が欧州向けですから、欧州が本当に露産原油の禁油を実行すれば、露産原油は暴落、他油種(北海ブレント/米WTI/中東産原油等々)は暴騰するでしょう。

 欧州最大の露産原油輸入国オランダは既に、今年年末までに露産原油輸入停止を発表しました。

 露財務省発表の4月度月次平均油価(ウラル原油)は3月度比大幅下落しており、これはすなわち、露国庫税収減少(=戦費用財源減少)を意味します。

 また、5月5日にはOPEC+原油協調減産会議が開催され、事前予測通り、6月度も5月度と同じ日量432千バレルの減産枠緩和(=その分追加増産)になりました。

 この場合、実質増産は少量ですので、これは油価上昇要因になると当方は予測します。

 ただし、繰り返しとなりますが露ウラル原油の油価動静は別途分析必要にて、ウラル原油の油価はさらに下落すると予測します。

 上記事情により、ロシアでは既に原油生産量と国内精製量が減少しています。

 量的減少と価格暴落により、ロシア石油各社は業績が悪化して、上述の通り、倒産する企業も出てくるかもしれません。

 欧州諸国はロシア産天然ガス輸入依存度低下を目指しており、ロシア産天然ガスの輸入量を減らし、他の供給源からのガス輸入を拡大するでしょう。

 かくして、天然ガスを政治の道具に使ったプーチン・ロシアは自滅の道を歩み始めることになります。』

『 エピローグ/黄昏のプーチン・ロシア

 ウクライナ大本営発表によれば、ロシア軍がウクライナに全面侵攻した2月24日から5月7日までのロシア軍の損害は以下の通りです。

(ロシア軍損害)

戦死者:約2万5100人(前日比+200人)

戦車1122輌(同+12)/装甲車2713輌(同+27)/火砲509門(同+7)

多連装ロケット発射台172基(同+1)/対空火器システム84基(同+1)他

軍用機199機(-)/ヘリ155機(-)/ドローン341機(同+17)/巡航ミサイル90発(-)
軍艦11隻(-)

 話半分としても、昔風に言えば丸々一個師団が消滅したことになり、現代風に言えば13個BTG(Battalion Tactical Group=大隊戦術戦闘群/1個BTG約1000人)が消滅したことを意味します。

 戦死者1に対し通常は2倍以上の戦傷者が出ると言われていますので、死傷者数で言えば3個師団相当となります。

 戦闘部隊は30%の死傷者が出ると戦闘不能と見做され、通常は後送されますが、戦闘継続すれば部隊全滅もあり得ます。

 既に全滅しているBTGも出ているのかもしれません。

 マリウポリのアゾフスタール製鉄所では白兵戦が展開されており、プーチン大統領が9日に勝利宣言できるかどうか注目されていましたが、結局、5月9日に勝利宣言はできませんでした。

 では、プーチン・ロシアの今後の運命やいかに?

 ≪強いロシア≫を標榜して登場したプーチン大統領は今回、≪強いロシア≫を演出できませんでした。

 演説内容はウクライナ侵攻を正当化する内容ですが、論理的には支離滅裂。聞いていたロシアの側近や知識人たちも青ざめたことでしょう。

 既にプーチン大統領の支持率は低下していますが、5月9日の軍事パレードを受け、プーチン支持率は今後さらに低下するものと筆者は予測します。

 今回のプーチン大統領演説は黄昏の独裁者の近未来を暗示しており、本日の軍事パレード全体を一言で申せば、プーチン神話の崩壊と総括できましょう。

 筆者には、一人ほくそ笑んでいる、弱いロシアを目指す米バイデン大統領の姿が透けて見えてくるようです。』

[FT]イタリア、長く続いたロシアとの友好関係に終止符

[FT]イタリア、長く続いたロシアとの友好関係に終止符
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB091020Z00C22A5000000/

『ロシアが2014年にクリミア半島を一方的に併合した翌年、イタリアのベルルスコーニ元首相はこの半島を訪れ、ロシアのプーチン大統領と面談した。2人はクリミアのワイナリーで240年前に醸造された年代物のワインを開けたという。

ウクライナ政府が国の宝として大切にしていたワインだ。ベルルスコーニ氏はイタリアに戻ると、クリミア併合を支持し、ロシア政府に対する欧州連合(EU)の制裁措置を批判して、プーチン大統領の指導力を称賛した。

イタリアのドラギ首相は、ロシアのウクライナ侵攻を「欧州の安全保障に対する深刻な攻撃」と非難する=ロイター

ベルルスコーニ氏は当時すでに首相ではなかったが、同氏がクリミアに赴いたことは、イタリアの政治家やビジネスエリートとロシアとの間の強い絆を示すものだった。イタリア政府は伝統的に、EUと緊張関係にあるロシア政府に共感を抱いてきた。

しかし、2月24日のウクライナ侵攻以降、イタリアはロシア政府へのこのような気遣いを一切見せなくなった。

ドラギ首相のもと、イタリアはロシアに対して強硬な姿勢を示している。イタリア企業も懲罰的な対ロ制裁について沈黙を保っている。

ロシア軍による残虐行為への国民の反感

ロシアのウクライナへの侵攻と、ロシア軍による残虐行為に恐怖を覚えた国民の反感が、イタリアにこれまでとは違う厳しい対応を取らせている。これほど大きな外交方針の転換は、ドイツが防衛戦略の見直しを進めていることと並び、欧州の近年の歴史の中でも珍しいことだとアナリストは指摘する。

イタリアはロシアと、西欧諸国の中で最も友好的な関係を最も古くから築いてきた。そのため過去には欧州の外交関係者から、ロシア政府の攻撃的姿勢に対してEUが厳しい対応をとることを妨げていると非難されてきた。

しかし今、ドラギ首相のもと、イタリアは長年の友好国と袂(たもと)を分かった。欧州中央銀行(ECB)総裁を務めていたドラギ首相は、ロシアのウクライナ侵攻を、第2次世界大戦後の多国間秩序に対する攻撃だと非難した。

イタリアの元駐北大西洋条約機構(NATO)大使ステファノ・ステファニーニ氏は、「ロシアに対する融和的な姿勢で欧州の主流から外れ別の道を行くという、かつてのイタリアはもう見られない。イタリア外交におけるロシアへの見方は根本的に修正されつつある。断行したドラギ首相は称賛に値する。ドラギ政権後もこの方針は変わらないだろう」と語った。

ドラギ首相は、21年12月の時点では、ウクライナ侵攻の危険性は小さいとしてプーチン大統領と関係を保つことの重要性を強調していた。また、制裁を実施すればイタリアが被る打撃はほかのEU加盟国以上に大きくなると警告した。イタリアは天然ガスの輸入の40%をロシアに頼っている。

しかし、2月24日以降、ドラギ首相はウクライナ侵攻を欧州の安全保障に対する深刻な攻撃であると非難している。ウクライナのゼレンスキー大統領の勇気と抵抗を称賛した。さらにドラギ首相は、6430億ドル(約84兆円)にのぼるロシア外貨準備の多くを凍結するというロシア中央銀行に対する厳しい制裁の立案にも協力した。

イタリアの当局は、ロシアのオリガルヒ(新興財閥)が保有する大型クルーザーや海岸沿いの別荘など総額10億ユーロ(約1380億円)を超える資産を差し押さえた。当局が差し押さえに動いても、イタリアの有力者たちとのコネで守ってもらえるだろうと思っていた人たちにとって衝撃的な出来事となった。

ドラギ首相は、ウクライナ国民に対してふるわれる暴力に嫌悪感を隠さない。同時に、イタリア国民に対しても犠牲を覚悟するよう促す。4月には「私たちは平和を望むのか、それともエアコンをつけることを望むのか」と問いかけた。

ロシア大統領との対話は「無益で時間の無駄」

イタリア政府は、ほかのEU加盟国が同意するならロシア産エネルギーの禁輸に反対しないと明言している。また、ドラギ首相は最近、プーチン大統領との対話は「無益で時間の無駄だ」という意見に賛成するとイタリア紙に語った。

イタリアのテレビのトーク番組は今も、ロシア寄りの人々のために多くの放送時間を割いている。5月1日の晩にはロシアのラブロフ外相がイタリア最大手の民間放送局の番組に生出演したほどだ。この放送局のオーナーはベルルスコーニ氏だ。

しかし、ミラノの国際政治研究所が最近実施した調査によると、イタリア国民の約61%が紛争の責任はプーチン大統領にあると考えている。NATOに責任があるとする人は17%、わからないが17%だった。

かねてプーチン大統領を称賛しているイタリアの極右政党「同盟」のサルビーニ党首でさえ、同大統領から距離を置いている。ローマのウクライナ大使館前で献花して、憂慮の念を示した。

侵攻の1カ月前、ロシアの部隊がウクライナ国境沿いに集結していた段階でさえ、イタリアのビジネスリーダーたちはプーチン大統領とリモートで会談し、関係強化について話し合っていた。その彼らも、EUの対ロ制裁について口を閉ざしている。14年には制裁に対して不満を並べていたのとは対照的だ。多くのイタリア企業はロシアでの事業を縮小しようとしている。

イタリア国際問題研究所のナタリー・トッチ所長は、「取り返しのつかない事態が起きた」と指摘する。

イタリアとロシアの結びつきは東西冷戦期にまで遡る。その時代にイタリア企業は、石油・ガス大手のイタリア炭化水素公社(ENI)や自動車のフィアットを中心に、ソビエト連邦での事業を開始した。西欧最大の共産党を擁したイタリアは、ロシアと西側諸国との仲介役を自任していた。

1990年代初めのソ連崩壊後も、イタリアの主要銀行をはじめ、さらに多くの企業がロシア市場に参入し、両国の関係は深まっていった。ロシア人の間でイタリア製のぜいたく品への嗜好が急速に高まり、新興のロシアの起業家はイタリアの資産に投資した。ベルルスコーニ氏はイタリア首相在任中、NATOが旧ソ連の同盟国だった東欧諸国に拡大することを巡るロシア政府との摩擦を軽減するため、NATOロシア理事会の枠組みを擁護した。

最近では、ロシア政府はサルビーニ氏の同盟と左派「五つ星運動」というイタリアの2つの大きなポピュリズム(大衆迎合主義)政党との関係を深めていた。

ウクライナ侵攻前から見られた関係のひずみ

しかし、国際問題研究所のトッチ所長は、侵攻前でさえ両国関係にはひずみが生じていたと指摘する。ロシア政府がイタリアの内政に関与しているように見えることに国民が反発し、安全保障機関はロシアがリビアに野心を見せることを不快に感じていた。リビアはイタリアの元植民地であり、イタリア政府はエネルギーや移民問題の面で戦略的な懸念を抱いた。

アナリストは、イタリアの対ロ強硬姿勢はドラギ政権が終われば緩む可能性があると指摘する。とりわけ、ウクライナ紛争でイタリア国民の負担が重くなり、それが23年に予定される総選挙の主要な政治的争点となった場合には、その可能性は高まるという。

米ジョージ・ワシントン大学欧州ロシアユーラシア研究所の客員研究員ジョバンナ・デマイオ氏は、「制裁がイタリア経済にどう影響するか次第だ。戦争が続けば、誰が政権をとるにせよ、強硬な姿勢を貫くのは難しいだろう」と予測する。

しかし、大半のアナリストは、ウクライナ侵攻で損なわれたイタリア企業のロシアへ信頼感は元には戻らないと感じている。そうなれば両国の商業的なつながりは急速に失われ、旧来のロシア支持層の力は弱まるだろう。

「停戦になれば制裁の強化は止まる。しかし、ロシアへの依存を弱める流れは変わらない」とステファニーニ氏は言う。「ENIのような大企業は現実を受け入れている。天然ガスの禁輸は実施されるかもしれないし、されないかもしれない。しかし、24年、あるいは25年の冬には、イタリアはもはや天然ガスと電気をロシアに依存していないだろう」

By Amy Kazmin

(2022年5月2日付 英フィナンシャル・タイムズ電子版 https://www.ft.com/)

(c) The Financial Times Limited 2022. All Rights Reserved. The Nikkei Inc. is solely responsible for providing this translated content and The Financial Times Limited does not accept any liability for the accuracy or quality of the translation. 』

G7、ロシア産石油の輸入禁止 日本も原則禁輸表明

G7、ロシア産石油の輸入禁止 日本も原則禁輸表明
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN082F20Y2A500C2000000/

『【ワシントン=鳳山太成、ベルリン=南毅郎】米欧日など主要7カ国(G7)の首脳は8日、ウクライナのゼレンスキー大統領を招き、同国への支援やロシアへの追加経済制裁についてオンラインで協議した。共同声明でG7としてロシア産石油の輸入禁止に取り組むと表明した。日本も原則禁輸の方針を示した。米国は取引禁止や輸出規制などの経済制裁を強化する。英国もウクライナへの軍事支援を拡大する。

ロシアが第2次世界大戦の対ドイツ戦勝記念日を9日に迎えるのにあたり、一定の「戦果」を示そうと攻勢を強めている可能性がある。節目の日を前にG7として結束を示す狙いがある。議長国ドイツのショルツ首相は8日公表の談話で「侵略者と戦うウクライナを支援する」と強調し、ロシアへの圧力を強めた。

共同声明は「ロシア産石油の段階的な輸入停止か禁止など、ロシア産エネルギーへの段階的な依存脱却に取り組む」と明記した。欧州連合(EU)のフォンデアライエン欧州委員長は4日、年内に停止する案を公表した。米国や英国、カナダは表明済みで、G7として明確に打ち出す。

岸田文雄首相は9日未明、G7首脳とのオンラインでの協議に参加し、ロシア産石油を原則禁輸にする措置をとると表明した。これまで慎重な姿勢を示してきた日本も、G7各国と足並みをそろえて制裁強化に動く。

このほか共同声明では、ウクライナへの軍事支援の継続や、エネルギーや食糧の供給安定に向けた対応も盛り込んだ。ロシアの侵攻後、G7は240億ドル(約3兆円)を超える規模の追加的な支援を進めてきており、今後は具体的な復興対応も検討する方針だ。

招待を受けたゼレンスキー氏は「領土からロシアの軍隊と装備を完全に撤退させ、将来的に自衛能力を確保することがウクライナの究極の目的だ」と述べた。ウクライナ経済の安定に向けて、G7と緊密に協力していくことも確認した。

米国は対ロシア制裁を強める。米国企業がロシアの企業に会計やコンサルティングのサービスを提供するのを6月7日から禁じる。資産隠しなど、米欧日の経済制裁を避けるためのノウハウをロシア側に渡さないようにする。

ロシアの政府系テレビ局3社を制裁対象に加える。米国企業がカメラなどの放送機器を売ったり広告を出したりするのを禁じる。侵攻の正当性を主張するロシア政府のプロパガンダを食いとめる。

ロシアへの輸出規制品目も広げる。これまでは半導体やセンサーなどハイテク製品の輸出を事実上禁じてきたが、さらに産業機械用のエンジンやモーター、ブルドーザーなども加える。軍事品の生産や開発に打撃を与える狙いだ。

ロシアの政府高官や企業幹部など個人への制裁も拡大する。同国の最大手銀行ズベルバンクの幹部8人のほか、3位のガスプロムバンクの幹部27人を新たに資産凍結や取引禁止の対象とした。

他行に科している取引禁止の制裁をガスプロムバンクに適用するのは引き続き見送る。同行はエネルギー取引に強い。欧州の天然ガス調達に悪影響が及ぶリスクを考慮した。

一方、英政府はG7オンライン協議にあわせて、ウクライナへの継続的な軍事支援のために13億ポンド(約2100億円)を新たに準備したと表明した。ウクライナのニーズに応じて順次拠出する。累計の支援額は約30億ポンドとなる。英政府は2000年代初頭のイラクとアフガニスタンでの戦争以来の拠出額になるとしている。

【関連記事】
・ロシア、制裁で傷む経済 3月の製造業生産マイナスに
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多様な観点からニュースを考える

※掲載される投稿は投稿者個人の見解であり、日本経済新聞社の見解ではありません。

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赤川省吾
日本経済新聞社 欧州総局長
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ひとこと解説

欧米はエネルギーの「脱ロシア」を急速に進めており、日本の対応が後手に回っています。日本はロシアでの資源開発を続けていますが、もはや現実的ではありません。

「米国は日本に禁輸を要請していない」「日本がロシアから買わなければ中国が買うので制裁する意味がない」。日本政府は、こう主張してきました。

けれどもウクライナ侵攻以降、米国はもとより欧州も本気で「脱ロシア」に転じました。
今回は石油だけですが、遅くとも来年にはガス禁輸にも踏み込むでしょう。来年は日本がG7議長国。ロシアで資源開発を続ける唯一のG7加盟国になってはならないと思います。

2022年5月9日 3:38 (2022年5月9日 3:39更新)

松尾博文のアバター
松尾博文
日本経済新聞社 上級論説委員/編集委員
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分析・考察

日本のロシア産原油の輸入は全体の3.6%(2020年)。代替は可能でも、その調達先は高い確率で中東になる。

G7の輸入禁止への同調はやむを得ないが、1973年のオイルショック以降、日本が取り組んできた中東への依存度軽減と調達先分散の重要なソースを失うことでもある。日本の原油の中東依存度は92%。石油ショック時をも上回る高い依存率をさらに高めることがエネルギー安全保障上、好ましくないことは自明だ。

ウクライナ危機が突きつけた供給途絶のリスクは中東も例外ではない。石油危機をきっかけに加速した残る2つの選択肢、石油以外へのエネルギー多様化、エネルギー消費を減らす省エネが改めて求められることになろう。

2022年5月9日 3:24 (2022年5月9日 3:28更新) 』

ドイツは、依存を大幅に削減した後、ロシアの石油禁輸を支持する

ドイツは、依存を大幅に削減した後、ロシアの石油禁輸を支持する:報告書
ドイツはロシアのエネルギーへの依存度を35%から12%に引き下げた。
https://www.foxnews.com/world/germany-russian-oil-embargo?_x_tr_sl=auto&_x_tr_tl=ja&_x_tr_hl=ja

 ※ 『ベルリンがポーランドとバルト海の港の1つを介して石油を輸入する契約を結んだ』…。

 ※ そういう「手当」が、ついたらしい…。

 ※ 着々と、「外堀」は、埋められて行っているようだ…。

『(※ 翻訳は、Google翻訳)

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ビヨンドワーズ
ドイツは、ロシアの石油に対するヨーロッパの禁輸を支持し、ウクライナ侵略が続く中、ロシアの立場にもう一つの重要な転換をマークするだろう。

伝えられるところによると、大使は水曜日にブリュッセルで開催される大使サミットでこの提案を提出し、来週末までに禁輸措置を承認することを期待している。ドイツはそのような禁輸措置に抵抗してきたが、政府筋は日曜日にドイツの通信社dpaに、オラフ・ショルツ首相は禁輸措置を支持すると語った。

ロシアがウクライナに侵攻:ライブアップデート

ショルツ氏は以前、ドイツ経済と大陸全体に壊滅的な打撃を与えると信じていた結果への懸念から、いかなる全面的な禁止にも注意を促した。

しかし、ドイツは過去8週間でロシアの石油への依存を大幅に減らすことに成功したと伝えられている:ドイツはエネルギーの35%をロシアから奪ったが、エネルギー大臣ロバート・ハベックによると、それをわずか12%に落とした。

ドイツのオラフ・ショルツ首相(右)とイェンス・ストルテンベルグNATO事務総長は、2022年2月19日(土)にドイツのミュンヘンで開催されたミュンヘン安全保障会議で二国間会談を行う。 ((スヴェン・ホッペ/AP経由のプール))

その報告書によると、ロシアとの石油とガス貿易を断絶するEUの主要な反対者の1つであったドイツからの逆転は、ベルリンがポーランドとバルト海の港の1つを介して石油を輸入する契約を結んだ後に起こった。

DWによると、そうなればイタリア、オーストリア、ハンガリー、スロバキア、スペイン、ギリシャが、いまだに禁輸措置を公に支持していない残りの足かせとなるだろう。

ウクライナで私は統一、犠牲の愛、そして人々の途切れることのない精神を目の当たりにしました

ドイツは、ウクライナに重火器を送ることを躊躇するなど、ウクライナとロシアに対する様々な立場を変えるよう、計り知れない圧力にさらされ続けている。

しかしミュンヘンは、ドイツの有権者の支持を得て、ウクライナに「ゲパルト」対空戦車を送ることに同意した:ドイツ人の約55%が、ウクライナにそのような兵器を供給するべきだと言っている。

ロシアの対ウクライナ戦争は、アメリカの最初の挑戦にすぎない

ショルツは、スローロール支援の決定を擁護し、「性急な行動と異端のドイツの努力は疑わしい」と述べた。

ロイター通信によると、ドイツの有権者は同意せず、54%が首相の危機対応に満足していない。

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彼の党の左派政党員は、戦車や他の重火器を運搬することは、ロシアをさらに挑発し、軍事作戦を再び拡大するよう促すだけだと主張し続けている。

EU制裁の新たな波は、ロシア最大の銀行、スベルバンクと、何人かの著名なロシア人を標的にするだろう、と当局者は付け加えた。

Fox NewsのGreg Normanがこのレポートに貢献した。』

米エクソン、「サハリン1」で4400億円損失

米エクソン、「サハリン1」で4400億円損失
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN294NN0Z20C22A4000000/

『【ヒューストン=花房良祐】米石油大手エクソンモービルは29日、2022年1~3月期に極東ロシアの石油開発事業「サハリン1」で34億ドル(約4400億円)の損失を計上したと発表した。同時に公表した22年1~3月期決算は、純利益が前年同期の2倍となる54億8000万ドルだった。原油相場の上昇が高収益を支えた。

同社はサハリン1から撤退するとすでに表明しており、人員を削減していることも明らかになっている。権益の売却先は決まっていないようだ。

ダレン・ウッズ最高経営責任者(CEO)は29日、サハリン1について「オペレーション(操業)を止めようとしている」と語った。ただ同事業の21年の持ち分生産量は日量6万5000バレルにすぎず、同社の世界全体の生産量の2%未満、営業利益ベースで約1%にすぎないとも強調。「米国政府と緊密に連携しており、経済制裁にもすべて従っている」と述べた。
一方、22年1~3月の原油指標価格「北海ブレント」は1バレルあたり約101ドルで、前年同期の約61ドルから大幅に上昇した。新型コロナウイルス禍から世界経済が立ち直ったことで原油需要が回復したほか、ロシアのウクライナ侵攻で高騰した。この結果、エクソンの営業キャッシュフローは同60%増の147億8800万ドルと稼ぐ力が急伸。サハリン1の関連損失を補い、大幅増益につながった。

同業のシェブロンの業績も好調だ。29日発表した22年1~3月期決算は、純利益が前年同期の4・5倍となる62億5900万ドルだった。マイケル・ワースCEOは「米国内での石油・天然ガスの生産量が前年同期比10%増えた」と言及した。けん引するのはテキサス州などに広がる「パーミアン鉱区」。同地域での生産量は22年、前年比15%増の日量70万~75万バレルになる見込みという。

【関連記事】サハリン1、米エクソンが撤退準備 人員縮小・減産開始 』

ブルガリアのエネルギー大臣は、予見し得る将来、天然ガスの備蓄は十分にある、と声明。

『2022-4-27記事「Bulgarian Ministry of Energy: We have Enough Gas for a Sufficiently Foreseeable Period」。
https://st2019.site/?p=19290

   ブルガリアのエネルギー大臣は、予見し得る将来、天然ガスの備蓄は十分にある、と声明。

 ブルガリアからはさらにパイプラインがセルビアとハンガリーへも延びている。そのガスを止めることもない、と大臣は確約。』

ロシア原油輸出に急ブレーキ、買い手つかず

ロシア原油輸出に急ブレーキ、買い手つかず
欧州はロシア産原油の全面禁止に向かうとの見方が背景
By Joe Wallace and Anna Hirtenstein
2022 年 4 月 27 日 10:34 JST
https://jp.wsj.com/articles/russia-tried-to-sell-a-huge-slug-of-oil-nobody-wanted-it-11651023231

『ロシアはこのほど大量の原油を入札にかけたが、買い手がつかず失敗に終わった。

国営石油大手に対して近く発動される制裁措置が足かせとなっており、ロシア経済の屋台骨であるエネルギー業界は苦境に追い込まれつつある。

 ロシアはウクライナへの侵攻を開始して2カ月間は、堅調なペースでエネルギー輸出を維持し、巨額の代金を受け取ってきた。

ウクライナはこれがロシアの戦費調達を支えているとして反発している。

米国の同盟国の多くは、石油・ガス輸出を対ロ制裁の対象とすることは見送り、インドなど他国の買い手はエネ価格が高騰する中で、安価なロシア産原油の輸入を大幅に増やしていた。

 ところが、ロシア国営石油大手のロスネフチはここにきてタンカー船を埋めるだけの十分な買い手を確保することができず、輸出に急ブレーキがかかった。

事情に詳しいトレーダーが明らかにした。ロスネフチは先週、企業を招いて原油を入札にかけていた。トレーダーへの取材やウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が確認した文書で分かった。(※ 無料は、ここまで。)』

[FT]欧州向けのアルジェリア産天然ガス 供給余力乏しく

[FT]欧州向けのアルジェリア産天然ガス 供給余力乏しく
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB211FP0R20C22A4000000/

『アルジェリアに好機が到来したはずだった。北アフリカに位置する同国にとって、ロシア産ガスから離れようとする欧州の動きは、輸出を最大限に増やして欧州のエネルギー市場でシェアを高める絶好のチャンスになるものだった。

3月には米国のブリンケン国務長官がアルジェリアを訪問した=ロイター

欧州がロシア産ガスへの依存度を減らそうとする中で、欧米がアルジェリアの石油・ガス資源に新たな関心を向けていることを示す動きがここ数週間のうちにあった。イタリアのドラギ首相や米国のブリンケン国務長官などの要人が首都アルジェを訪問し、エネルギー安全保障について協議している。

この化石燃料の輸出国への関心と石油・ガス価格の高騰は、2014年秋以降の原油価格急落を境に外貨準備を減らしてきたアルジェリアにいくらかの救いをもたらしている。

しかし、エネルギー専門家は、欧州への天然ガス供給で第3位、約8%のシェアを占めるアルジェリアに、早急に輸出に振り向けられる十分な量の余剰なガスはないと指摘する。

石油・ガス部門への外国投資が長年にわたり不足し、増産能力は限られているという。一部の専門家は、アルジェリアの最大の外貨獲得源である石油・ガスをめぐる政策がしばしば、透明性を欠く政治エリートの派閥抗争の焦点となり、頻繁なルール変更につながっていることも挙げる。

イタリアやスペインにガス供給

すでにイタリア石油・ガス大手のイタリア炭化水素公社(ENI)や仏エネルギー大手トタルエナジーズなどが、パイプラインでガスをイタリア、スペイン、ポルトガルに供給するアルジェリアに進出している。政治リスクコンサルタントのアンソニー・スキナー氏は「アルジェリアは潜在力をフルに発揮するチャンスを逃した」と語る。「困難な契約条件や、官僚主義と意思決定の遅さが特徴となっている全体的な操業環境のせいで、国際石油大手の投資が長年不足していることが原因だ」という。直近14年の石油・ガス開発のライセンスラウンドで、落札されたのは31鉱区のうちわずか4鉱区にとどまった。

英オックスフォード・エネルギー研究所のモステファ・オキ上級研究員は、「短期的にはアルジェリアは欧州へのガス供給を数十億立方メートルしか増やせない」と話す。

ドラギ氏が訪問中の11日、アルジェリア国営炭化水素公社(ソナトラック)とENIが交わした契約により、アルジェリア側は徐々に輸出量を増やし、23~24年に追加量は90億立方メートルに達する。イタリアは現時点で年間210億立方メートルを購入している。

オキ氏は「新たなエネルギー地政学により、アルジェリアの石油・ガス部門の川上に国際提携が戻るようになるだろう」との見方を示す。だが、新たなガス供給の共同開発は長いプロセスとなり、欧州の脱炭素化計画と矛盾をきたす可能性もある。オキ氏は、アルジェリア国内の天然ガス需要の増加が輸出拡大の足かせになるとも指摘した。

一部の専門家は明るい材料になりうる兆しとして、石油・ガスに関する政策の調整を目的に、テブン大統領が議長を務める国家エネルギー評議会が最近発足したことを挙げる。
投資環境の整備遅れる

シンクタンク国際危機グループ(ICG)で北アフリカプログラムを統括するリカルド・ファビアーニ氏は「アルジェリアがただ目先の利益に焦点を合わせるのではなく、長期的戦略について考えることに役立つ可能性がある」と話す。「絶え間ないルール変更で、アルジェリアは投資環境が安定しないという認識が固まっていた」

公式統計によると、石油・ガスの輸出額は20年の200億ドル(約2兆6000億円)から21年の350億ドルへと増えている。この増収で政府は国民に不評な増税と補助金改革の計画を棚上げし、「怒りを抱く若者をなだめる」(スキナー氏)ための月額90ドルの失業給付も新たに導入できた。世界銀行が引用している最新データでは、アルジェリアの若年失業率は20年時点で31.4%に及ぶ。

アルジェリアでは数十年来、専制支配を受け入れるのと引き換えに政府が国民に補助金と雇用を与えるという暗黙の取引が政治システムを支えてきた。だが、14年秋以降の原油価格急落でこの仕組みにほころびが生じた。

テブン氏の前任ブーテフリカ氏は19年、汚職や生活水準の低下、専制支配に嫌気が差した国民の大規模な反政府デモの波が広がり、辞任を余儀なくされた。デモは1年にわたり続いたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響と政府の弾圧の下で消えていった。

ファビアーニ氏は「誰が大統領になっても権力基盤は限定的で、財政状態が厳しく、そうすることがより難しい時期に困難な改革の決断を下そうとすることになる」と説明する。「ひとたび原油価格が上がれば、改革をやめて人気取りのために金をばらまき始める」

改革に消極的な政治体制

英王立国際問題研究所(チャタムハウス)の中東・北アフリカプログラムのアソシエートフェロー、アデル・ハマイジア氏によると、テブン政権は農業や起業などの分野で民間投資を促そうといくつかの改革に着手したが、まだ「混然とした状況で、政府は改革の道筋を見つけ出そうとしているが、すでに寿命が尽きた超過利潤の分配を核とする社会契約に固執している」という。

持続可能な開発の専門家で、アルジェでコンサルティング会社AHCを率いるアリ・ハルビ氏は、経済成長と雇用創出、外資及び民間部門による投資はアルジェリア経済に必要な改革に不可欠だと強調する。

「今の私たちが持っているチャンスは、追加的な歳入を構造改革に使うことだ」と同氏は言う。「補助金やこれまでと同じ国営企業に振り向けられるべきではない。しかし、これは政治的問題だ。この国は独裁体制で官僚と軍に支えられている。彼らはある程度まで民間部門による開発を許容するが、常に統制を失うことを恐れている」

By Heba Saleh

(2022年4月20日付 英フィナンシャル・タイムズ電子版 https://www.ft.com/)

(c) The Financial Times Limited 2022. All Rights Reserved. The Nikkei Inc. is solely responsible for providing this translated content and The Financial Times Limited does not accept any liability for the accuracy or quality of the translation. 』

「世界各国の電力事情」

電気の豆知識 第6回 「世界各国の電力事情」<前編>
https://jumbo-news.com/12876/

『 2019/5/23 2019/11/7 ・ 特集 電気の豆知識

世界各国の電力事情を比べてみる(1)

 日本の電気普及率は100%です。

 どんな山奥の村でも、また洋上遥かな離島であっても、管轄の電力会社から途切れることなく電気が供給されます。私たちはそれを当然のことと受けとめて日々の生活を送っています。ところが世界には、電気の通っていない地域がまだ数多く残っているのです。

  そこで今回と次回の2回に分けて、世界各国の電力事情、また電気に関するさまざまな問題点などをご紹介したいと思います。

  まず今回は「世界の電力格差」から。

 宇宙から見た地球の夜の写真があります。

 気象衛星が撮影した数百枚の画像をつなぎ合わせると、地球全体の夜の光景が現れます。その美しさはまるで光り輝く宝石のようです。

 とくに明るい場所は人口が集中している大都市。ほかにも住宅地であったり、幹線道路を走るクルマ、あるいは鉄道に沿って光が続いています。

 ヨーロッパの沿岸、アメリカ大陸の都市部、日本や韓国、中国などアジア諸国の都市部も明るく輝いています。

 その反面、まったく光のない地域があります。南アメリカ、アフリカ、アジアなどの内陸部は闇に包まれています。光の量は人口の多さや経済活動の活発さを表すバロメーターなのです。

  世界各地の「電力普及率」を見てみましょう。

 ヨーロッパ・北アメリカ・ロシア・アジアの先進国・オセアニア・北アフリカなどは99%、また中東や南アメリカでも90%以上に電気が普及しています。

 一方、アジアの発展途上国は83%、アフリカ大陸のサハラ砂漠より南の地域になると、なんと32%の地域しか電気が通っていません。

  世界の無電化地域(電気が供給されていない地域)の人口は約13億人だといわれています。つまり世界の全人口の約20%(5人に1人)が、いまだ電気のない暮らしを送っているのです。

 ではなぜアフリカでこれほど電気の普及が遅れたのでしょう?

 電力に限らずこの地域のインフラ整備が遅れている理由は、過酷な自然環境以外にも、紛争や内戦、また宗教上の対立などさまざまな要因が挙げられています。この地域の経済成長と治安の安定は、電力の普及と切り離せない重要課題となっているのです。

 私たち日本人も遠い国のことと思わず、関心を持って見守っていきたいものです。

 出典:資源エネルギー庁ウェブサイト(https://www.enecho.meti.go.jp/category/others/tyousakouhou/kyouikuhukyu/fukukyouzai/sk/p-1.html)

  次に世界各国の「電力消費量」についてご紹介しましょう。

 世界全体の電力消費量は23兆kWh(2016年)です。電力消費量が多い国ランキングは、1位・中国、2位・アメリカ、3位・インド、4位・日本、5位・ロシア…。以下はドイツ、韓国、カナダと続きます。

 電力消費量が突出しているのは中国とアメリカで、なんと世界の約40%を消費しています。

 それ以外は人口の多い国や主要先進国が顔を揃え、順当といったところでしょうか。ところが一人あたりの電力消費量を比較すると、少し違った順位になります。

 1位・カナダ、2位・アメリカ、3位・韓国、4位・日本、5位・フランス…。以下はドイツ、ロシア、イタリア、イギリス、中国。

 なぜカナダが1位なのかと意外に思うかもしれませんが、カナダは湖や河川など豊富な水資源に恵まれており、電気料金がきわめて安いのです。

 一方、中国は人口が多いため全体の電力消費量はトップですが、一人あたりの電力消費量は世界平均程度です。この中国、近年は経済成長が著しいため、電力不足が深刻化しているともいわれています。

 電力消費量に関して、話をアフリカ諸国に戻してみましょう。アフリカの電力事情を示した数字です。

 2時間ドラマを観る(5kWh)> ケニア人の1日分の電力消費量

ドライヤーの1回分(3kWh)= ガボン人の1日分の電力消費量

冷蔵庫の1日分(4.3kWh)> ボツワナ人の1日分の電力消費量

エアコンの1日分(11kWh)= モロッコ人の1日分の電力消費量

電気ヒーター1日分(36kWh)> ナイジェリア人の3ヶ月分の電力消費量

いかがでしょうか。驚くことにこれが世界の現実なのです。

  お次は「世界各国の電気料金」についてです。

 日本では2016年の電力自由化によって電気代の値下がりが期待されていますが、現在のところ全国平均で1kWhあたり約24円程度となっています。

 一番安いのが東北電力で約22円、一番高いのは北海道電力で同じく30円となっています。

 これを基準にして、世界各国の電気代を見ていきましょう。

 世界でもっとも電気代が高い国はデンマークで1kWhあたり約37円。

 アメリカは国が広いため地域によってバラつきがありますが、平均すると1kWhあたり約10~12円くらいで、なんと日本の約半分。しかしアメリカは家が広く、大量に電気を消費するので、毎月の電気代は日本と同じくらいなんだとか。

 イギリスは日本より若干安めの1kWhあたり約23円ほど。

 ドイツは先進国の中でかなり高く1kWhあたり約36円。なぜ高いのかというと、再生エネルギーへの取り組みと原子力発電の縮小が原因といわれています。

 フランスは電気料金が安く、1kWhあたり約17~19円程度。安い理由は原子力発電の割合が高いから。

 韓国はアメリカよりさらに安く、1kWhあたりなんと約8~10円程度。その理由は電力会社の株を国が保有しており、日本円に換算して毎年500億円以上の赤字を国が補填しているため。また原子力依存度が高く生産コストが安いという理由もあります。

 グラフにはないですが、中国の電気料金は1kWhあたり約9~11円。韓国ほどではないが、日本よりはるかに安い値段に設定しています。これは石炭や天然ガスなどの資源が豊富なうえ、国策として国民に安価な電気料金を提供しているからです。

  こうしてみると、日本の電気代は先進国の中ではけして高額ではなく、ほぼ平均程度といえるでしょう。世界に先駆けてクリーンエネルギーを追求しながら、それに掛かったコストを電気料金に上乗せするというシステムは、それなりに評価できるかもしれません。

  次回は世界各国の「発電供給の割合(火力・水力・原子力・自然エネルギーなど)」と、「今後の電気エネルギーが抱える課題」などについてご紹介したいと思います。

出典:ヒロスケさんによる写真ACからの写真 』

中国で原発建設6基承認 総投資2兆4000億円

中国で原発建設6基承認 総投資2兆4000億円
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM218C70R20C22A4000000/

『【北京=多部田俊輔】中国政府は20日、原子力発電所3カ所の建設プロジェクトの認可を出した。中国メディアによると、3カ所にそれぞれ2基、合計6基を建設し、総投資額は1200億元(約2兆4000億円)に達する見通し。2030年には原発の発電能力を現状の2倍以上に増やして「脱炭素」を加速する。

政府が原発の新設を認可したのは、中国国有原子力大手の国家電力投資集団が運営する海陽原発(山東省)、中国核工業集団が運営する三門原発(浙江省)、中国広核集団が運営する陸豊原発(広東省)。

陸豊原発では、米仏の加圧水型軽水炉(PWR)をベースに、中核集団と中広核が独自に開発したと主張する第3世代原子炉「華竜1号」を採用する。海陽原発と三門原発はそれぞれ、米ウエスチングハウスが開発したPWR「AP1000」をベースとする「CAP1000」を導入する。

中国では21年末時点で53基の原発が稼働する。発電能力は約5500万キロワットで、世界では米国、フランスに次ぐ規模だが、国内の発電能力の2%強にとどまる。21年の発電量でも、原発は全体の5%を占める規模だ。

習近平(シー・ジンピン)指導部は60年までに二酸化炭素(CO2)排出量を実質ゼロにする目標を掲げる。排出量世界1位の中国が脱炭素社会に移行するには、石炭が中心の火力発電からの依存脱却が不可欠で、その一環として原発の活用を進める。

中国政府は25年に原発の発電能力を7000万キロワットまで増やす計画で、30年には1億2000万キロワットから1億5000万キロワットを視野に原発の建設認可を進めており、フランスと米国を追い抜く可能性もある。

この記事の英文をNikkei Asiaで読む
Nikkei Asia https://asia.nikkei.com/Business/Energy/China-greenlights-6-new-nuclear-reactors-in-shift-away-from-coal?n_cid=DSBNNAR 』

インドネシアの石油産業

坂口安紀編『発展途上国における石油産業の政治経済学的分析―資料集―』調査研究報告書 アジア経済研究所 2008 年

第4章
インドネシアの石油産業
-産油国から消費国へ、国家独占から市場競争へ- 佐藤百合
https://www.ide.go.jp/library/Japanese/Publish/Reports/InterimReport/pdf/2007_04_16_04.pdf

G20議長国インドネシア、ロシア産石油の輸入再開検討

G20議長国インドネシア、ロシア産石油の輸入再開検討
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB20DP70Q2A420C2000000/

『東南アジアの大国インドネシアがロシア産石油の輸入再開を検討し始めた。ウクライナに侵攻したロシアへの米欧の制裁で国際市場では原油が大幅に値上がりし、インドネシアの燃料価格へも上昇圧力が強まる。ロシア産を割安に入手できれば、ジョコ政権の安定につながるが、20カ国・地域(G20)の議長国として「制裁逃れを助けた」と非難を受けるのは必至だ。

インドネシアのエネルギー・鉱物資源省によると、同国はこの数年、ロシアから石油を輸入していない。だが、インドネシア国営石油プルタミナの社長は3月下旬、「手ごろな価格」でロシア産の石油を輸入する許可を国会で求めた。社長は「制裁を受けていない(ロシアの)会社を相手にすれば、政治上の問題はない」と主張。「インド経由での決済の可能性についてもすでに協議を始めた」と明らかにした。

ウクライナ側が「ブラッディオイル(血みどろの石油)」と呼ぶロシア産石油の輸入構想について、ジャカルタのシンクタンクの専門家はインドネシア政府に慎重な対応を促す。「親ロシア」とみなされ、国際社会で孤立する可能性があるという。

一方、インターネット上ではロシア産の輸入を支持する意見が目立つ。「インドネシアの主権を示せる」という表現で、米欧の制裁に従う必要がないと主張もある。
原油価格の上昇がインドネシアにも波及してきた(2018年、ジャカルタのガソリンスタンド)

プルタミナの担当者は日本経済新聞に対し、構想は「プルタミナの内部で検討している段階」で、インドネシア政府からロシア産の輸入許可は得ていないと述べた。

プルタミナは2016年から、首都ジャカルタのあるジャワ島の東部で、ロシア石油大手のロスネフチと合弁の製油所を建設する計画を進めてきた。合弁会社の幹部はこの事業が「石油製品の輸入依存を下げることで国益につながり、急務だ」と語った。当初の合意によれば、(製油所の稼働後に)インドネシアは原油輸入の5分の1近くをロシアから調達することになる。

インドネシアの指導者は物価高への対応に神経をつかってきた。通貨危機がインドネシアに波及した1998年には当時のスハルト大統領が燃料価格の値上げに踏み切り、ジャカルタを中心に市民らの激しい反発を受け、退陣につながった。

最近では市民らが、ジャカルタのロシア大使館の近くでウクライナ侵攻に抗議する集会を開催。主要都市ではガソリンなどの値上がりに抗議する学生らが目立つ。ジョコ政権は補助金予算の拡大にはある程度、目をつぶり、燃料価格の抑制に努める構えだ。
ジャカルタのロシア大使館の近くでウクライナ侵攻に反対する市民ら(3月30日)=ロイター

インドネシアは11月、議長国としてG20首脳会議(サミット)を開く予定だ。米欧は「ロシア排除」を求めるが、ジョコ氏は3月の日本経済新聞のインタビューでG20サミットは「経済協力(の枠組み)だ」と指摘した。政治とは切り離すべきだとの構えで、ロシアの扱いは明言していない。

ロシア産のエネルギー資源の輸入を模索するアジアの国はほかにもある。3月下旬のロイター通信によると、スリランカはロシア企業のシンガポール法人から割安な価格で石炭を輸入していた。インドメディアによると、同国に対してはロシアが安値での原油輸出を提案し、インド側も検討している。

(柴田奈々、ジャカルタ=エルウィダ・マウリア)
この記事の英文をNikkei Asiaで読む
Nikkei Asia https://asia.nikkei.com/Spotlight/Asia-Insight/Indonesia-in-spotlight-as-it-weighs-buying-Russia-s-blood-oil/?n_cid=DSBNNAR 』

[FT]米LNGの対欧輸出、コスト高と脱炭素で視界不良

[FT]米LNGの対欧輸出、コスト高と脱炭素で視界不良
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB194KF0Z10C22A4000000/

『米ルイジアナ州の港の桟橋に横付けされたタンカーは、液化天然ガス(LNG)を積み込んでいた。テキサス州やペンシルベニア州のガス田から掘削されて液化されたこの超低温燃料は、海外への出荷に向けて、凍り付いた配管を通り、断熱材で覆われた船倉に注入されていた。

米国の液化天然ガス(LNG)輸出拠点、サビンパス輸出ターミナル(米ルイジアナ州)でえい航されるLNGタンカー=ロイター

米LNG大手シェニエール・エナジーのサビンパス輸出ターミナルは、米国で稼働している7つのLNGターミナルの1つだ。エネルギーを喉から手が出るほど欲しがっている世界の市場に供給するため、どのターミナルもフル稼働している。

ロシアのウクライナ侵攻を受けて欧州がロシア産天然ガスへの依存度引き下げを迫られるなかで、世界最大のガス産出国である米国のLNG輸出企業がブームにわいている。投資家は関連企業に積極的に投資、LNG貿易を専門とするシェニエールの株価は過去最高値を更新した。

もっとも、十数に上る米国の液化設備の新規プロジェクトの先行きは依然として不透明だ。建設コストの上昇や米ガス価格の急騰に加え、気候変動対策から政策立案者らが長期的には化石燃料からの脱却と温暖化ガス排出量の削減を目指していることがその理由だ。最も進展しているプロジェクトでも、世界に追加供給できるまでには数年かかるだろう。

米国は6年前、シェールガスから生産したLNGの輸出に乗り出した。水圧破砕(フラッキング)を使って新たなガスを供給できるようになったことで、シェニエールは輸入貨物を扱うために設計されたサビンパスに、輸出インフラを整備した。

現在の米国のLNG生産能力は年1200億立方メートルだ。2025年までに新たに3つのプラントが稼働する予定で、そうなれば年産能力は700億立方メートル増える。さらに計2060億立方メートル相当の生産能力を持つプラントが連邦政府の認可を得ており、出資者の賛同を待っている。

フォンデアライエン・バイデン合意に沸く業界

欧州連合(EU)のフォンデアライエン欧州委員長は3月、バイデン米大統領とエネルギー協力の拡大で合意したと発表した。この合意により、EUは長期的には年間500億立方メートルのLNG需要を保証する。EUは21年にロシアから1550億立方メートルのガスを輸入したが、その一部を代替する計画だ。

トランプ前米政権でエネルギー長官を務め、現在は米センプラ・インフラストラクチャーの社長に就くダン・ブルイエット氏は「誰もがこの3~4週間で大いに高揚感を味わったと思う」と語った。センプラはルイジアナ州にあるキャメロンLNGプラントの過半数株を保有する。米国の化石燃料に対する欧州の姿勢は「180度転換した」とも述べた。

米LNG各社の幹部は今や、新たな建設ラッシュが迫っていると確信している。

ヒューストン南部の輸出ターミナルを運営する米フリーポートLNGのマイケル・スミス最高経営責任者(CEO)は「米LNGの未来は上振れしている」と話す。「欧州は再生可能エネルギーだけで現状(エネルギー危機)を脱却できると考えるのではなく、LNGが必要だと認めている。これは大きな前進だ」

ヒューストンに拠点を置くシェニエールのジャック・ファスコCEOは、欧州が環境に配慮したグリーンな経済活動を定める「EUタクソノミー」に一部の天然ガスを加え、エネルギーの脱ロシア依存を決めたのは、エネルギー安全保障とクリーン資源への移行に果たすLNGの役割について「現実的な見方」ができるようになったという意味で、「明るい」兆しだと指摘する。

米国の新規プロジェクト案が全て実行に移されるとはみられていない。LNGプラントは建設コストが高く、投資を回収するのに数年かかるからだ。開発各社は通常、計画を実行に移す前に顧客と20年以上のLNG購入契約を確保し、生産能力の80%以上に売り先を手当てしておかなくてはならない。

脱化石燃料の取り組みを考えると、EUがLNG購入を保証し、LNG価格が世界的に急騰しても、結局は開発各社が期待するほど需要は増えないとアナリストはみている。欧州委員会が3月に発表したエネルギー政策方針「リパワーEU」は脱ロシア依存を掲げる一方で、全般的な「化石燃料の利用削減の加速」にも言及している。

米LNG支持派は、LNG生産には石炭発電よりも二酸化炭素(CO2)排出が少ない電源が使われており、一部の国では急速な排出量削減に寄与すると主張する。だが、ガスのインフラから漏れ出るメタンやLNG輸出プラントの(生産から廃棄の過程を含む)ライフサイクル全体でのCO2排出量を考慮すると、この主張の説得力は弱まる。

プロジェクト開発各社はCO2回収技術を活用すれば排出量を削減できると強調する。フリーポートは天然ガスの液化プロセスに電動システムを導入している。それでも、欧州の電力・ガス会社の長期需要はなお見通せないとアナリストは指摘する。

LNGに詳しい米戦略国際問題研究所(CSIS)のニコス・ツァフォス氏は、欧州について「LNGを求めている大口顧客がいるが、需要がどの程度続くのかはよく分からない」と指摘する。「いずれにせよ、欧州はガス事業自体からの早期脱却を図っている」
高騰するプラント建設費

開発各社はサプライチェーン(供給網)の混乱と労働市場の逼迫もプラント新設の足かせになる可能性があると認める。米ベンチャーグローバルのルイジアナ州にある最新のプラント「カルカシューパス」はわずか2年5カ月で稼働にこぎ着けたが、他の新規プロジェクトの進展はもっと遅い。インフレが米経済を直撃しているため、コストは上昇しつつある。

スミス氏は「これは主に鉄鋼を使うプロジェクトだ。鉄鋼(価格)はこの2年で2倍に跳ね上がった」と嘆いた。

同氏はさらに、プロジェクトの建設コストはLNG生産能力100万トン当たり約5億ドルだったが、今や10億ドルに迫っていると示唆した。

米天然ガスの価格はなお欧州やアジアよりも割安だが、このところは08年以来の水準に急騰し、100万BTU(英国熱量単位)当たり7ドルを超えている。輸出ターミナルに振り向けられるLNGが増えたのが一因だ。

米エネルギー経済・財務分析研究所(IEEFA)のアナリスト、クラーク・ウィリアムス・デリー氏は、LNGの供給が逼迫しているのは「豊かな先進国がLNGの小さなパイを奪い合っている」ためだと指摘する。LNG業界が成長のけん引役になると期待されていたアジアの新興国は、LNGの輸入計画を見直す可能性があるとも語った。

欧州に向かうべき米LNGのほとんどは出荷済みで、22年の輸出量全体の約70%を占めている。EUは特に次の冬に向けて備蓄に力を入れており、米国はロシア産の突然の供給寸断をただちに代替できる立場にはない。

ファスコ氏は「欧州にもっと朗報を届けたいのはやまやまだが、これほどの規模の供給を増やすにはもう5年はかかる」と語った。

By Derek Brower

(2022年4月18日付 英フィナンシャル・タイムズ電子版 https://www.ft.com/)

(c) The Financial Times Limited 2022. All Rights Reserved. The Nikkei Inc. is solely responsible for providing this translated content and The Financial Times Limited does not accept any liability for the accuracy or quality of the translation.

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リビア最大油田が停止、NY原油109ドル台に上昇

リビア最大油田が停止、NY原油109ドル台に上昇
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR18D2C0Y2A410C2000000/

『【カイロ=久門武史】北アフリカの産油国リビアは18日、同国最大のシャララ油田で一時的に売り手への出荷義務を免れる「フォースマジュール(不可抗力)」条項を宣言した。前日にエルフィール油田でも操業を停止した。供給不足の懸念からニューヨーク市場の原油先物は18日、一時1バレル109㌦台と前週末比3%上昇し、3週間ぶり高値をつけた。

リビア国営石油会社は声明で、集団が施設に侵入し生産を妨げていると明らかにした。集団が何者かは特定していないが、ロイター通信によると暫定政権のドベイバ首相の退陣を求めているという。

リビアでは2011年にカダフィ長期独裁政権が崩壊後、東西の勢力に分かれて内戦が続いた。20年の停戦合意後も政治の混乱が長引き、東西に「2人の首相」が併存する事態になっている。今年2月に東部を拠点とする代表議会が新首相にバシャガ元内相を指名したが、西部出身のドベイバ氏は続投の構えを崩していない。

国際エネルギー機関(IEA)によるとリビアの産油量は3月に日量110万バレルと世界の1%強を占めた。ウクライナに侵攻した主要産油国ロシアの原油輸出が米欧日の制裁で滞るなか、原油相場に上昇圧力をかける可能性がある。中国での新型コロナウイルス感染拡大で、上昇基調には一服感が出ていた。

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小山堅
日本エネルギー経済研究所 専務理事 首席研究員
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原油相場は3月初の130ドル台突破から、様子見の展開が続いてきた。中国・上海のロックダウンや、IEAの備蓄放出もあって100ドルを切る状況も現れたが、G7/EUのロシア産石炭禁輸決定のあたりから、また市場には緊張感が戻っている。

ロシアの石油が禁輸対象になるのでは、との観測が広がり、そこにリビアでの供給支障のニュースが重なった。場合によっては、市場は再び上げ相場となる材料探しに向かう可能性もある。

2022年4月19日 7:49

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志田富雄
日本経済新聞社 編集委員
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ひとこと解説

米国や日本などは石油備蓄を協調放出して供給量を上積みしている間に、米国のシェール企業や中東などの産油国が増産し、ロシア産原油が国際市場から排除される分を穴埋めしてくれることを期待しています。

有力産油国であるリビアの供給減少は、米政府などが考えるシナリオが綱渡りであることを改めて認識させられます。

米国の先物市場ではファンドなどの原油先物の買い越しが昨年10月の直近ピークから3割近くも減少しています。売り残高、買い残高ともに大きく減っています。これが、今後の相場変動にどう影響するかも気になります。

2022年4月19日 7:01 (2022年4月19日 7:07更新)』

プーチン氏、エネルギー輸出先の多様化指示 欧米以外に

プーチン氏、エネルギー輸出先の多様化指示 欧米以外に
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR14EJH0U2A410C2000000/

『【ロンドン=篠崎健太】ロシアのプーチン大統領は14日、石油・天然ガス部門の現状に関する政府の会議に出席し、エネルギー資源について「輸出先を多様化しなければならない」と述べた。欧米諸国がロシア依存の脱却を急ぐなか、売り先としてアジアや中東・アフリカに力点を移すよう指示した。

大統領府によると会議はオンラインで開かれ、閣僚や大統領府高官、エネルギー企業の代表者のほかロシア中央銀行のナビウリナ総裁らが参加した。

プーチン氏は「急成長している南方や東方の市場に一歩ずつ輸出の方向を変えていくという、近年の傾向を固めることが重要だ」と語った。西側へのエネルギー供給は当面減っていくとの認識を示し、売り先を広げるべきだと訴えた形だ。アジア向けの輸出インフラを整備する必要性にも言及した。

ウクライナへの侵攻後、欧米を中心にロシアからのエネルギー調達の中止や依存脱却の表明が広がった。国際エネルギー機関(IEA)は4月の石油市場リポートで、ロシアの石油供給量は5月以降に3月比で日量300万バレル減る可能性があるとの見通しを示した。石油・ガスはロシアの歳入の約4割を占めており、プーチン氏の指示には収入源維持への危機感がにじむ。

欧米を補う形でアジアなどへの輸出が増えれば、戦争の原資を干上がらせることを狙う経済制裁の抜け穴が広がりかねない。ウクライナ侵攻で欧米がロシア産の石油の調達見合わせに乗り出す一方、割安感に着目したアジアなどから引き合いが強まった。IEAによると3月のロシアの原油出荷量は欧米向けが落ち込む一方、ほぼゼロだったインド向けは日量31万バレルに増えた。

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上野泰也
みずほ証券 チーフマーケットエコノミスト
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この記事にある会議の様子はテレビ放映されたようであり、ロイターによると、「現時点で欧州には合理的な(ガスの)代替品は存在しない」とプーチン大統領は発言。

欧州はロシア産エネルギー供給を断ち切ると発言することによって、価格を押し上げ、市場を不安定にしているという見方を示した。

欧州経済がエネルギー調達におけるロシア依存脱却を一朝一夕に実現出来ないことを見越した強気の発言である。

自国に対する経済制裁は上記の欧州要因ゆえに踏み込み不足のものにとどまらざるを得ないという点で、自信を持っているようにも見える。

販売を今後増やしていく「急成長している南方や東方の市場」には、インドと中国が含まれているのだろう。

2022年4月15日 13:09 (2022年4月15日 14:02更新)

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白井さゆり
慶應義塾大学総合政策学部 教授
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ロシア産の原油や石炭は欧州に代わる代替先を時間をかけて模索する可能性がある。

ただ天然ガスはパイプライン供給の場合、すぐ代替先がみつけることができず設備投資に時間がかかるだろう。

LNG供給の増加についても設備投資が必要ですぐに増やすのは難しいのではないか。

欧州にとって当面の代替先をノルウェー、米国、カタール、アフリカなどに求めるとしてもやはり追加投資が必要になるのではないか。

いずれにしても欧州が代替先をみつけると、将来的にはエネルギー価格は供給過剰となり価格が大きく低下する可能性もある。そうしたことを予想して設備投資資金があつまるのかどうかにも注目している。

2022年4月15日 12:05 』

イタリア、アルジェリアと天然ガス供給拡大で合意

イタリア、アルジェリアと天然ガス供給拡大で合意
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR11CX50R10C22A4000000/

『【ウィーン=細川倫太郎】イタリアのドラギ首相は11日、北アフリカのアルジェリアと同国からの天然ガスの供給拡大で合意したと発表した。ウクライナに侵攻したロシアの天然ガスへの依存を減らし、代替調達先の確保を急ぐ。他の欧州各国も追随する可能性がある。

ドラギ氏は同日、アルジェリアの首都アルジェでテブン大統領と会談し、エネルギー分野での2国間協力の覚書に署名した。イタリアの石油・ガス大手エニとアルジェリア国営炭化水素公社(ソナトラック)の間で契約を結んだ。ドラギ氏は今回の合意について、ロシアへの依存を減らすという「戦略的目標に対する重要な答えだ」と述べた。

イタリアは天然ガスの約4割をロシアに頼っている。AP通信によると、アルジェリアからの追加調達で、同国産ガスがロシア産の量を上回ることになる。ドラギ氏は、再生可能エネルギー由来の電気を使って製造した「グリーン水素」などの開発でもアルジェリアと協力する用意があると表明した。

他の欧州連合(EU)加盟国では、バルト3国の1つ、リトアニアがロシアからの天然ガスの輸入を停止した。ドイツは有力生産国のカタールと長期の調達契約を結んだ。ロシアは欧州向けガスの供給を急に絞るリスクもあるほか、エネルギー購入はロシア経済を下支えして侵攻継続を可能にする。ロシア離れを模索する動きが広がっている。』