サウジ皇太子就任3年 「脱石油」に危うさ

サウジ皇太子就任3年 「脱石油」に危うさ
ライバル振り切り、収益化急ぐ
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO60638380S0A620C2FF1000/

『皇太子の絶大な力を支える資産は4つある。石油、イスラム教聖地、対米関係、国民の人気。いずれもが揺さぶられる。

コロナ危機で頼みの石油価格が急落。ロシアなどライバルの産油国を振り落とす増産戦略は米国の不信を買った。世界の信者を聖地に受け入れる7月のハッジ(大巡礼)は、コロナ感染で縮小や中止が取り沙汰される。』
『34歳の若き皇太子はサルマン国王の死後も長く指導者として君臨する可能性がある。だが、皇太子の改革は時間との戦いでもある。

プリンストン大学のバーナード・ハイケル教授は「原油資産のマネタイズ(収益化)を皇太子は急いでいる」と指摘する。石油市場の安定を担う調整役の役割を降り、しゃにむに利益を追う戦略に転じたという説だ。』
『「ピークオイル(石油時代の終わり)」は埋蔵資源の枯渇ではなく、需要の消失で起きるとの見方が強まっている。再生エネルギーの技術革新は石油離れを早め、ピークはコロナ危機前の2019年だった可能性すらある。』
『サウジがねらうのは、原油が「座礁資産」に転じる前の最終局面で、市場の支配者としての利益を最大化することだ。圧倒的に低い生産コストを誇るサウジは、高コストのロシアやシェール企業を振り切ることができる。原油安は再生エネや電気自動車の開発投資を遅らせる効果もある。』
『戦略遂行の武器は国営石油会社サウジアラムコと、政府系ファンドのパブリック・インベストメント・ファンド(PIF)の2つだ。皇太子は信頼する元投資バンカーのルマイヤン氏に両組織のトップを兼務させる。

アラムコに国営石油化学のサウジ基礎産業公社(SABIC)を買収させ、石油の上流から下流までを支配する巨大企業へと脱皮させた。PIFには1~3月期に、コロナ危機で大きく値下がりした英BPなどの石油株を取得させた。

「脱石油の看板とは裏腹に、現実は石油への依存を強めている」と在米のサウジ専門家、エレン・ワルド氏はいう。』
『石油に頼らない国づくりをめざした国内改革は誤算続きだ。期待した娯楽や観光事業の育成はコロナ危機で打撃を受け、産業多角化の道筋はみえない。

コロナ対策で各国が財政出動するなか、サウジは7月1日から付加価値税を3倍の15%に引き上げる。改革の利益が遠のくなか「痛み」ばかりが広がる。民主化は置き去りにされたままだ。

国際的な孤立も深まる。米民主党の大統領候補バイデン氏は18年のサウジ人記者殺害事件への皇太子の関与を指摘。「パーリア(嫌われ者)」という異常に強い言葉で批判した。隣国イランは、安全保障上の深刻な脅威となった。同じアラブのカタールへの一方的な断交通告は同国のイランへの接近をまねいている。』

ロシアが急速に進めるガス供給ルート多様化の背景に迫る

※ リンクとして貼れないので、テキストとして貼っておく…。( https://oilgas-info.jogmec.go.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/007/812/201907_19a_new_02.pdf ) 適当にコピペして、飛んでくれ…。と、思ったが、「ブロック」使わないと、貼れたようだな…。コピペするとNGなんで、いちいち手打ちした…。

世に「紛争のタネ」は、尽きまじ…

※ シンガポールでの新型コロナ対応から、マレー半島の歴史なんかを調べてたら、凄いサイトに当たったぞ…。
「世界の紛争」を、「資源争奪」の観点から、多角的に学問的に研究した論文なんかを集めているサイトだ…。

地球資源論研究室
http://earthresources.sakura.ne.jp/er/

『本ホームページ(地球資源論研究室)は広島大学大学院総合科学研究科を退職した福岡正人が運営しています。地下資源を中心とする地球資源全般および周辺分野の情報を集めています。』ということだ…。

資源紛争(戦争)とは(Resource Wars)
http://earthresources.sakura.ne.jp/er/Rres_SF.html

※ 目を引いたものを、二、三貼っておく…。

※ アフガニスタンでは、「宝石」を巡る争いがあるんだな…。「鉱物資源」だけで無く、そのものズバリの「宝石」を巡る争いもあるわけだ…。あとは、「麻薬」を巡る争いもだ…。莫大な「利権」なんだろうな…。農業には向かない「不毛の土地」なら、なおさらだ…。

※ 資源を巡る紛争を、また別の角度から「再検討」したものだ…。他国が介入したり、対外勢力を引き込んだりしているうちに、だいぶ紛争の様相が変わって行くというのは、よくある話しだ…。しかも、「内戦」になると、「難民」も発生し、周辺国に流入して行ったりするから、事態はより複雑化して行く…。

※ こういう「紛争形態」も、あるぞ…。「水(水利)」を巡る争いだ…。水が無ければ、人は生きて行けないからな…。水源を抑えられると、死命を制される…。そうなると、生命(いのち)を賭して戦う他は無くなる…。

※ 人は、希少な資源を巡っては、争いを繰り返して行く…。「進化」とか、「種の保存」とかも、そういうことなのか…。
 結局は、「欲」の大きい方が勝ち残って、「勝者の歴史」を刻んで行く…。敗れた方は、歴史の藻屑となって、埋もれて行く…。
 そういうことなのか…。

世界のメタンハイドレート開発の現状

アメリカに、「U.S.DEPARTMENT OF ENERGY」ってお役所がある            ( https://www.energy.gov/ )。

その傘下に、「The National Energy Technology Laboratory」という研究所がある( https://netl.doe.gov/ )。ここは、世界各国からエネルギー資源開発に関する研究や開発途中で得られたデータの論文なんかを受け付けて、定期的に刊行物(最近は、電子データ)にまとめて、世界各国の研究者や一般人がアクセスできるようにしている機関だ。むろん、自分自身でも研究・開発におけるデータを作成し、定期的に発表したりしている。

そこで、「Methane Hydrates」という検索をかけて、ヒットしたのが次のpdf だ。

・『2017-Methane-Hydrate-Primer[1].pdf』 

『Fire in the Ice, Volume 18 Issue 1』                             ( https://www.netl.doe.gov/node/6991 )

特に、1個目は、非常に参考になるんで、興味のある人は、自分で読んでみてくれ。一部を、紹介する。

まずは、お約束の「燃える氷」の画像と、原子モデルから。

次は、世界のメタンハイドレートの推定分布のマップ。

別に日本周辺にのみ分布する… 、というわけではなく、広く世界に分布していると推測されている。

特に注目点は、インドだ。人口13億人を抱え、おそらく中国を抜いて世界最大の人口を抱える国になるだろうと推測されている。だが、エネルギー資源という点では、日本同様「貧資源国」という位置づけだった。しかし、メタンハイドレートに関しては、アラビア海側(西海岸側)、ベンガル湾側(東海岸側)両者に分布しているだろう、と推測されている。これを開発できたら、エネルギー安全保障上の大きなアドバンテージとなる。日本に接近を図っているのも、うなずけるな…。

次は、そもそものメタンハイドレートや、石油や天然ガスの成り立ちの説明がこちら。

植物の堆積物や動物の死骸なんかの有機物が、地中に埋まって、地下の圧力と地熱によって、徐々に炭化水素物に変化して行き、ガスやなんかになって地層中を移動して行き、地層の形態によっては、石油になって溜まったり、天然ガスとして溜まったり、メタンハイドレートとして溜まったりする…、という話しのようだな…。

次は、その中でも特にメタンハイドレートについて、地層どういう形態の部分に溜まるのかという話し。ほぼ、水面下の話しのようだな…。

だと、砂や泥との分離が大変そうだ…。だと、肝心のメタンハイドレートの混じり具合が僅少で、商業ベースに乗りにくそうだ…。が、いわゆる「表層型」だろう。分離は容易そうだが、大量に存在する場所の探索が難しそうだ…。は、斜面に沿って濃集したもので、大量に存在することは見込まれるんじゃないか…。しかし、採集は、水平掘りの技術が必要となるだろうな…。は、睦土だから極地に近くて気温が低い場所じゃないと、ハイドレート状にはなかなか成ることが難しいだろう…。こうして見ると、大量に濃集し、かつ、採集も容易という場所は、なかなか難しいもののようだな…。

そういうことで、の海底の傾斜面に濃集したものを、さらに説明したのがこちらだ。

採集方法は、結局のところ、在来型の資源である石油や天然ガスを採集するように、縦坑を掘ってパイプ突き刺して、採集を図る…という方法が、最も現実的、ということになる。

その方法と、ハイドレートの形態との組み合わせを、検討したのがこちら。

こういう風に、垂直に縦坑を掘って、パイプを突き刺すやり方だと、ハイドレートの層が相当に厚みがあるものでないと、回収できる量が僅少で、なかなか商業ベースには乗りにくい…、と言う話しになってくる…。

そこで、シェールガス・オイルの採集に使ったような水平堀りを応用する、という構想も生じてくる。実際、そういう水平堀りマシンのようなものも、構想されているようだ…。

ただ、シェールの場合は、薬剤を注入して頁岩の中にある生成途上の炭化水素物を、溶かして、その液体と一緒に吸引する…、という方法を採る。

この時、パイプの周辺は、強力に薬剤まみれになって、環境汚染の懸念が生じるんだが、地中のことだから、まあ大丈夫だろう…、とされている。

しかし、同様のことを海中でやっても、大丈夫なものだろうか…。周辺海域で漁をしたり、養殖をしたりしている人達は、強力に反対するだろうな…。

せいぜい、近隣の海水を汲み上げて、注入するというところまでだろう…。そうすると、今度は、そうやって溶かしたハイドレートの中に、メタンは充分に存在するのか…、なんてことが問題になってくるだろう…。

こんな風に、メタンハイドレートと言う新エネルギー資源は、確かにそこに存在し、試掘に成功する事例も生じているが、存在形態多種・多様で、一つの採掘技術だけで攻略できると言うものでも無いもののようだ…。

しかし、机上の計算では、大量に存在するエネルギー資源で、在来型のエネルギー資源が枯渇する事態に備え、あるいは、枯渇を先延ばししようとして各国が競って、開発に走り出しているのが現状だ。

こんな風に、計算上は、大西洋太平洋メキシコ湾に大量のメタンハイドレートが眠っている…、と見積もられている(meanって、この場合、「平均」という意味のようだ)。

各国での取り組みを示したマップが、こちら。民間主導で、企業連合で取り組む例が多いようだ。

むろん、韓国の研究者達も、参戦して来ている。

次は、JOGMEC南海トラフ試掘に成功した時の、画像だ。

アメリカも、工程表を作成して、鋭意、開発に取り組んでいる。

アメリカの場合、海底では無く、アラスカの陸上で、取り組んでいるようだ…。

ここまでが、1個目の『 2017-Methane-Hydrate-Primer[1].pdf 』からの紹介だ。

次からは、2個目の『 Fire in the Ice, Volume 18 Issue 1 』(https://www.netl.doe.gov/node/6991  )から、紹介する。

日本国は、エネルギー資源大国になるのか…。

特に注目は、例のメタンハイドレートだ…。

「燃える氷」とか言われている。見かけは、シャーベット状の雪塊みたいなものだが、中にメタンガスが閉じ込められていて、火を付けると、燃える…。

パイプで採取されると、こんな感じ…。

分子構造は、こんな感じ。

メタン分子は、水分子と非常に親和性が高く、水分子が一定の高圧・低温状態でシャーベット状になると、こんな風に、中に閉じ込められるらしい…。

特に珍しいものではなく、一定の条件が揃えば、必ず存在するものらしい…。

商業ベースに乗せるとなると、メタンハイドレートが固まって存在し、大きな群となって存在しているようなところを発見し、ローコストで採集しないといけない、と言う話しになってくる…。いわゆる、「濃集帯」と言われているものだ…。

上記のパイプで採取されたメタンハイドレートの画像は、そういう「濃集帯」をうまく探索・発見できて、そういう場所にパイプを刺したから採取できた例だ。

しかし、実際には、そういう風にうまくいくものでもない。

現実には、砂の層に混じっていたり、砂と泥の層に、ほんの僅かばかりのメタンが混ざりこんでいたりしている…。

こうなってくると、10トンの岩石から、ほんの数グラムの金を採取する、のと同じような話しになってくる。しかも、「メタンガス」の価格は、到底「金」の価格には、及ばない…。到底、商用ベースには乗らない…、という話しになる…。

また、採集に大がかりな装置を必要とする、となると、ドンドンとコストは、かさんでくる…。

現在、メタンハイドレートのコストは、通常の天然ガスの価格の10倍以上と言われている。 http://www.mh21japan.gr.jp/mh/06-2/

しかしまあ、エネルギー資源価格は、世界情勢の激変でいつ高騰するか分からないものだ。また、エネルギー安全保障の面から言っても、キチンと予算をつけて地道に研究・開発しておくべきものだろう…。

そこで、国の支援の下、独立行政法人なんかで基本計画を立てて、工程表を策定して、鋭意、研究・開発を推進することにしている。

注目してほしい点が、2点ある。

第一に、1枚目には「砂層型」というものにしか言及していなかったのが、2・3枚目では、「表層型」というものにも言及していることだ。「砂層型」とは、文字通り砂の層にメタンハイドレートが混ざり込んでいるタイプだ。これだと、砂と一緒にメタンハイドレートを吸って、後に分離する…ということになって、装置も大がかりになり、技術的な難易度も高くなる…。

しかし、メタンハイドレートの存在タイプには、「表層型」と言われるものもあり、文字通り、海底面(あるいは、湖底面)上に、ゴロゴロと雪塊状のメタンハイドレートが転がっているようなものだ。こんな感じのものだ。

日本海側の佐渡周辺の海底には、こういう表層型のメタンハイドレートが存在しており、例の青山繁晴さんが、早くから注意を喚起していて、早く開発に取りかかるように長いこと促していた。

しかし、政府はなかなか重い腰をあげようとせず、何故か太平洋側ばかり探索・開発していた…。一説には、中○や韓○に気兼ねして、その顔色を伺っていたと言われている…。しかし、青山氏は、2016年6月に参議院議員(比例区)に立候補表明を行い、当選し参議院議員となり、同年11月に委員会質疑も行った( https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%9D%92%E5%B1%B1%E7%B9%81%E6%99%B4 )。そういうことで、2016年からやっと日本海側のメタンハイドレートの探査・開発・研究にも予算がつくようになったんだよ。そういうことが反映されているのが、2、3枚目の工程表というわけだ。

実は、こういう「表層型のメタンハイドレート」の採取には、大手ゼネコンの清水建設が2009年3月に、ロシアのバイカル湖で成功しているんだよ( https://www.shimz.co.jp/company/about/news-release/2009/753.html )。

左上の筒みたいなもの(チャンバー)に、その下の画像では、白っぽいものがギッシリ詰まっているだろう。それが、湖底の表層面にあったメタンハイドレートだ。

こういうタイプにおいては、水面上にリグを建設し、パイプを突き刺す…、というのでは無く、潜水艇でメタンハイドレート群を探索し、潜水艇からマニピュレータを操作して採取する…、という採取方法になる。その存在形態に応じて、多様な技術が必要になってくる…。

そんなわけで、またまた日本国は、潜在的なエネルギー資源大国になる可能性も出て来た…、というわけだ。

去年、安倍さんが国連で演説したとき、国内メディアはこぞって「ガラガラで、閑散としていた。」とクサした。

しかし、演説後の通路では、行列を作って殺到して、大変だったらしいぞ…(皆さん、目が光っていて、ちょっと怖いが…)。

そりゃそうだ…。従前からの技術大国だったのが、それだけでなく、潜在的な鉱物資源大国、潜在的なエネルギー資源大国、おまけに低利の金利でお金も貸せる金融大国…、ともなれば各国が殺到するだろう…。

しかし、こういう新エネルギー資源は、現状の地政学的な秩序をも一変させる可能性を秘めている。アメリカにおけるシェールガス・オイル革命に見るとおりだ( https://http476386114.com/s=%E3%82%B7%E3%82%A7%E3%83%BC%E3%83%AB )。

上記工程表に、「国際情勢をにらみつつ、技術開発を進める。」とあるのは、そういうことも考えながら慎重に進めて行く…、ということだ(これが、注目点の第二だ)。

現資源国側としても、「自前の資源が採掘できることになったから、もう貴国からは、購入しません。」と言われても、困るだろ?

また、アメリカのシェールガスだって、日米の安全保障での協力関係を考えたら、一定程度は購入せざるを得ないだろ?日本側の巨額の貿易黒字なわけだしな…。

いずれにせよ、充分慎重に考慮して、日本国及び日本国民にとっての国益が最大になるように、うまいこと舵取りして行って欲しいものだ…。

トランプの強気(中国叩き)の背後には「シェール革命」があるのか?

「シェール革命」。最近は、あまり聞かなくなったが、一頃は随分耳にしたよな。

それで、「トランプ強気の背後には、アメリカのエネルギー資源戦略に根本的な影響を与えたシェール革命もある」みたいなネット情報も、目にしたことがあったんで、調べてみた。

テキスト・データ中心なら、このサイトがよくまとまってる感じだ。
学べる「シェールガス」

オレの方は、例によって、ネットで集めた画像中心に構成したいと思う。
※ 画像元のサイトです。
https://www.bing.com/images/search?q=%E3%82%B7%E3%82%A7%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%82%AA%E3%82%A4%E3%83%AB%E3%81%A8%E3%81%AF&FORM=HDRSC2

まず、「シェール」って何? って話しからだ。
頁岩(けつがん)」というものらしい。
こんな感じのものだ。
頁岩、写真_s

素人的には、黒っぽい石炭みたいな岩石で、何やら白っぽいものが挟まっているようだな…、程度の感想しか持てない代物だ。
しかし、この白っぽいものがくせ者で、「油母」というものらしい。閉じ込められた有機物が、まだ充分に油分にまではなっていないが、その原料(または、形成途上の石油・ガス)みたいな感じで封じ込められてる、って感じのものらしい。
「頁岩」自体は、岩石の名称で、別に石油の元たる「油母」が封じ込められていない物のほうが、多いらしい。何か、「硯(すずり)」の材料になったりもするらしい。
石油の元が封じ込められてるものは、特に「オイル・シェール」と言うらしい。

素人的には、「石油が多くある場所には、その石油が染みていって、オイル・シェールというものになることもあるのか…」と、思うが、話しは逆で、「オイル・シェール」に封じ込められた石油の元が、年月や温度・圧力の影響で原油や天然ガス(あるいは、その形成途上のもの)に変化し、徐々に移動して、特殊な地層に貯まっていく…、って話しらしい。

シェール・ガス層、図_s
上記の図で、黒いのがシェール層だ。その上の、黄色の部分が、砂岩の層。灰色が、硬い岩盤の層だ。
シェール層に閉じ込められていた有機物は、ガスやオイルに変化し(あるいは、その形成途上の物質に変化し)砂岩の層の中を移動していって、硬い岩盤の層のすぐ下まで移動する。これ以上は、上には行けない。そして、うまいこと褶曲があれば、その頂点付近の山のてっぺんのところに大量に貯まる…、って話しだ。

そこら辺を説明してる図があるんで、見てみよう。
シェールガス・オイルの成り立ち、説明の図_s

次は、その採掘方法の話しだ。今までの採掘方法(在来型)と比較した、この図が分かり易いんで、これで説明する。

在来型との比較、説明_s

在来型の石油・ガスだと、褶曲の山のてっぺんに溜まってるものをターゲットにするんで、垂直に掘って行って、首尾良く溜まってる部分に当たれば、地層の圧力が掛かっているんで、自噴する。まさに、「ビュー」っと言う感じで、吹き出す訳だ。
これに対して、シェールだと、そうは行かない。一旦は、垂直に掘り進むが、シェール層まで到達すると、今度はその層の中を、水平に掘り進んで行く。
そして、パイプの中に水や化学薬品を混ぜた液体を送りこむんだ。その水圧で、シェール層の岩石にヒビを入れ、岩石に含まれている石油やガス(あるいは、その形成途上のもの)を取り出す、という仕掛けらしい。

そこら辺を説明した拡大図があったんで、これを見てみよう。

シェールガス・オイルの堀方、細部_s

送りこんだ液体の水圧で、シェール層には多くのヒビがはいり、その隙間には液体が入り込んでいるわけだ。そして、その液体には、シェール層に含まれていた石油やガス(あるいは、その形成途上のもの)が溶け込んでドロドロ状態になっている。
すると、今度は液体を送りこんだポンプを逆回転させて、そのドロドロ状態のものを「ズズズー」っと吸い込んで、回収するわけだ。
それを地上まで吸い上げて、地上のタンクローリーに積んで、付近に建設しておいたプラントまで運んで、分離・処理するという、段取りだ。

それだけで、話しは終わらない。プラントで分離・処理した後の「廃水」の地下への埋め戻しの作業も、やらないといけない。下手に河川に流したりすると、新たな公害の元だからな。
採掘のイメージ、廃水の戻し_s

ここまでの話しだけでも、これがノウハウの塊だってことが、分かるだろう。
水圧かけてヒビを入れる時も、どれ位の間隔で穴をあけたらいいのか…、その穴はどれ位の大きさなら一番効率的なのか…、。注入する液体の成分は、どんなものにしたらいいのか…。そうそう、脱けていくガスでできた空間を充填する粒子みたいなものも、混ぜ込むらしいぞ…。そうでないと、地盤沈下したりして危険らしい…。回収した石油・ガス混じりの液体を、分離・処理するやり方…。
なんか見た情報では、石油・ガスに変化させて行くには、バクテリア(嫌気性のと、好気性のと二種類あるらしい…)が関与するんだが、そいつらが働いて空いてる穴を詰まらせこともあるんで、その対策とかも必要らしいぞ…。
そして何より、そこの地層の構造に関する深い知識が必要だ…。なにせ地面の下の話だ…。何本もボーリングして確認してたら、コストが掛かって採算に乗らなくなる…。

それで、シェールガス・オイルは在来型のガス・オイルとは異なり、地下深くのシェール層から新技術で液体を注入して回収するガス・オイルだ…、って話しは、まあ理解できたと思う。

しかし、オレらの関心は、そういう新技術で回収されたガス・オイルが、結局のところ世界アメリカの国家戦略にどういう影響を与えるのか、っていうことだ。

それには、まず、このような新技術で獲得された新たなエネルギー資源が、エネルギー資源大国アメリカの姿をどう変えていくことになるのか、ということから検討してみよう。

まず、ストレートに、アメリカの原油・ガスの生産量の推移から見てみよう。

アメリカの原油・ガスの生産量の推移_s

1980年代半ばから、ずっと右肩下がりだった石油の生産量、ほぼ横ばいだったガスの生産量ともに、シェールガス・オイルの採掘技術が確立された2008年頃から、上昇に転じている。特に、ガスの生産量は、急上昇だ。

こうなって来ると、アメリカは国外から石油・ガスを、あまり輸入する必要がなくなって来るんでは…、という話しになってくる。

次に、アメリカの原油生産と輸入量の推移を見てみよう。

米国の原油生産と輸入量の推移_s

2013年の7月(オバマ政権の2期目がスタートしてから、6か月くらい経った頃だ)以降、生産量が輸入量を上回って、石油を輸入する必要がなくなっている。

そして、2014年には、あのサウジアラビアを抜いて、石油の生産量世界一になるんだよ。

原油生産量、アメリカがサウジを抜く_s

そういうことになったモンだから、大変だ。「オレらの国は、あのサウジアラビアを抜いて、石油大国になったぞー。」って大騒ぎだ。アメリカ人、「世界一」が好きだからな…。
石油の輸入をずっと中東に頼っていて、ちょっと頭が上がらなかった…、っていう鬱屈も大分あったんじゃないのか…。

サウジ以上の石油大国になる、という楽観論_s

なんか、大油田も発見されたって話しのようだな…。

そうすると、各国と比較したアメリカエネルギー資源における優位性は、次のようなものとなる。

石油・ガスの輸入依存度のトレンド、アメの一人勝ち_s

EUとか、中国とか、インドとか、ASEANとか、みんなエネルギー資源の輸入依存度が増すだろうと予測されてる中で、一人アメリカだけがドンドン輸入依存度を下げて行くだろう、という予測だ。まさに、「アメリカ一人勝ち」状態だ。
こういう状況を指して、「シェール革命」と言ってるわけだよ。

何かアメリカばかりが「ラッキー」って話しのようだが、次は、シェール層世界的な分布は、どうなっているのか…、他の国にはそういう「ラッキー」話しは、縁が無い…、ってことなのか、という話しだ。

シェール・ガス、分布図_s

これを見ると、世界的に分布していて、別にアメリカだけにある、ってことではないようだ。
しかし、前述したようにこれの採掘技術は、ノウハウの塊りだ。
アメリカで確立できたのは、在来型の油田が枯れてきた時に、再採掘するために水平掘りの技術が発達したり、地質調査の技術の蓄積があったり、最新のIT技術を取り入れて計算できたりしたからだ。
それと、アメリカ資源に関する法体系も関係したようだ。というのは、通常こういうエネルギー資源や鉱物資源は、法律で国家が所有権を有する、と定められてることが多い。
しかし、アメリカの法体系では、個人の所有権を認めているらしい。つまり、土地の所有者に地下資源の所有権や採掘権を認めているらしい。
だから、シェールの採掘業者が第一にやることは、そういうシェール層がありそうな土地の所有者と採掘の交渉をすることらしい。「お宅の土地を掘らせて下さい。うまく当たれば、利益は折半しましょう。億万長者になれるかもしれませんぜ。」「ほー、そうかね。ウハウハかね…。」って感じなんだろうな…。
実際、当たって億万長者になった人が、ゴロゴロいるようだ…。採掘業者でも、そうなった人がゴロゴロいるようだ…。
人間、欲に突き動かされていると、寝食を忘れて取り組むからな…。
この採掘技術も、石油メジャーが開発したものではなく、中小の業者が開発し、確立したものだ。一山当ててやろうと思って、人生掛けたんだろう…。

それで、シェール層はある、と判定された各国取り組みを貼っておこう。

各国の取り組み_s

こんな風に、検討中とか研究中とか、ばっかりだ。メキシコの「憲法改正」を検討中ってのは、シェール開発に関してはアメリカみたいな法体系にするってことなのか…(調べてないので、分からん)。
肝心の中国だが、埋蔵量では世界一と判定されている。しかし、弱点は、水資源に乏しいことだ。上記の採掘技術の説明からも分かる通り、これの採掘には大量の水資源を必要とする。中国のシェール層があるとされている地域は、内陸で、水資源に乏しいんだよ。
2か月くらい前だったかな、日経オンラインに、「中国で、シェールの採掘に成功!」みたいな記事が載ったんだが、すぐに削除された。裏付けの取って無い飛ばし記事だったんだろう。
だから、当分の間は、商業ベースで採掘されるのは、アメリカとカナダだけ、という状況が続くだろう。

それで、アメリカ国内シェール層の分布を見ておこう。

アメリカ、全土における、分布図_s

右上の図を見ると、シェール層が何枚も重なっていることもあるようだな。こういう部分のところに当たると、「ラッキー」だ。縦坑が1本で済むのに、何回も資源を回収できるからな…。そういう所を狙うのかも、知れないな…。

次は、カナダも含んだ北米全体の分布図を、見ておこう。

北米のシェール層、分布図_s

カナダにも、広く分布しているようだ…。

次は、アメリカの経済政策の予測だ。シェール革命と言ったところで、エネルギー安全保障の観点から他国(特に、中東)への依存度が低下したというだけで、それが国内の景気拡大に直結する、というわけでは無いからだ。極端な話し、シェール採掘業界及びその関連業界が潤うだけ、ということもあり得る話しだ。

そこで、アメリカの雇用者数の推移のグラフを見てみよう。

アメリカ、雇用者数の推移_s

問題点は、明かだ。リーマン・ショック後、非農業部門雇用者数は順調に回復しているのに、製造業雇用者数の回復は、不十分だ。
製造業は、国内を見捨てて、中国やメキシコや東南アジアなんかの賃金の安い国に、移転してしまったのか…、という話しだ。日本でも、プラザ合意後に起きた「空洞化」現象だ。
上の図では、それを中国のWTO加盟を原因にしているが、もちろんそれもあるだろう…。それだけの原因では、無いんだろうがな…。例えば、若者が額に汗して働くのを嫌う風潮になってきた…、とかな…。

しかし、まあ、政策課題としては、何とか製造業を復活させ、一定数の労働者を製造業で雇用できるようにする…、というのは求められていることだろう。
産業の「第三次産業化」が言われるが、世の中の人には向き不向きというものがある。昨日まで黙々と工場で働いてた人に、明日からは「接客業だ。お客様には、極力愛想良く振る舞うんだぞ。」とか言われても、そりゃムリってものだろう…。
また、重い荷物を担いで働いてた人に、「今日からは、介護職だ。お年寄りは、骨がもろいから、気をつけて取り扱うんだぞ。」とか言われても、そりゃムリってものだろう…。
だから、国内に一定数の製造業を確保しておくと言うのは、雇用対策としては、必要なことだと思う。例え、グローバル経済主義には反することになってもだ…。
それで、トランプ政権も中国製品に関税を掛けて、アメリカ企業が中国よりもアメリカ国内で製造するように誘導する政策を取ったり、日本に対してFTAまがいのTAG交渉したりしてるんだろう。
自動車会社では、マツダがちょっとピンチのようだな。今までは、北米市場がドル箱だったが、アメリカ内には工場を設置して来なかったからな…。

前記シェール革命との関連で言えば、関連産業の振興を促進していく経済政策が、考えられる。
パイプラインの敷設の振興とか、シェールガス関連の化学産業の振興とかだ。
シェールガスと聞くと、すぐに燃料 → 火力発電所、とかを連想するが、化学製品の原料という側面もあるんだよ。アメリカの化学産業は、原料の値段が下がって非常に競争力を増してきてる、って話しだ。
日本からも、その安価なガスを狙って、化学製品の製造企業が進出して行ってる、という話しだ。

トランプ政権承認したパイプライン計画の図があったんで、貼っておく。

トランプが承認した原油パイプライン計画_s

後、死角はこのシェール革命が、いつまで継続できるのか、という点だ。
様々な予測を言う人がいる。中には、極端に否定的で「シェール革命と言う話しは、資源あるある詐欺だ!」と言ってる人もいる。
あとは、懐疑的に、「10年と持たないだろう」なんて言ってる人もいる。
確かに、在来型の油田と違って、産出量が低下するのは早いようだ。
まあ、考えてみれば、その地層及び石油の成り立ちからして、石油に成りかけて、未だ石油にまでは成っていない途上のものを、ムリクリ採取してるわけだからな。しかし、この先何千年も何万年も、石油に成るまで待て、と言っても無理な話しだろう。

そういう事で、この先の予測に関する画像を、貼っておく。

米シェールオイル生産見通し_s

これによれば、シェールオイルに関しては、2020年頃がピークで、後はなだらかに減少していくだろう、という予測だ。
それでも、その15年後の2035年頃でも、2013年頃の水準だろう、という予測だ。2014年に、サウジを抜いて産出量世界一になったわけだから、その水準くらいは、維持するだろう、という予測になってる。

シェールガスの方の予測も、見ておこう。

ガス、在来型・非在来型の比較、予測_s

こっちは、凄いな。2040年頃までは、増加し続けるだろう、という予測だ。

もちろん、これらの情報はアメリカの政府機関発表のデータに基づくものなんで、割り引いて見る必要はあるだろう。
しかし、自国の国家戦略の礎になる情報なんで、全くの嘘っぱち、というものでも無かろうよ。
自国に都合の良い情報ばかり見て、不都合な真実には目を塞いで、国家戦略を誤って、「国破れて山河あり」になったどっかの国家みたいなヘマは、やらんだろうよ。

後、懸念としては、環境汚染問題だな…。そこら辺を心配する画像もあったんで、貼っておく。

環境に対する影響、イラスト_s

ブルーの部分は、地下水脈だ。
アメリカが農業大国なのは、西のロッキー山脈と東のアパラチア山脈にぶつかって降った降水が、何千年、何万年も続いて生じた巨大な地下水脈があるからだ。
これを、安価な石油を動力として汲み上げて、灌漑農業をやってるわけだよ。
それに対して、シェールを採掘するときに注入する液体(化学物質のかたまりだ。おそらく、人体には、有害なものだろう)が流れ込んで、この農業用水を汚染することはないのか…。
あるいは、分離・処理した後で埋め戻す廃水が、流れ込んで、汚染することはないのか…、という懸念だ。
懸念は分かるが、「一定の基準を設置して、問題は生じないようにやってます。」と言うしか無い話しだろうな。どんな経済活動にも、つきまとうことだ…。

後は、CO2増加の懸念だが、シェールの採掘が他の産業に比較して、取り立ててCO2を多く排出するという科学的なデータも、示されてはいないようだ。

そういうことで、プラスの側面とマイナスの側面を両方勘案しながら、やっていくしかない、という何にでも共通する話しに、落ち着くわけだな…。

最後に、このシェールの採掘技術は、液体を注入してガス混じりの液体を収集して、分離・処理する、という技術なんで、メタン・ハイドレートからのガスの取り出しにも応用可能なもののようだ。

それで、メタン・ハイドレート関連の画像を貼って、終わりとする。
メタ・ハイ、採取試験、イメージ_s