国民所得とは何か?

1-1.国民所得とは何か?
http://keizaigaku.jp/macro/macro1/macro101/

『(学習の目的)

ここでは、国全体の経済の状態をみる指標として国民所得の定義をまなびます。とくに「GDP(国内総生産)」が重要です。

関連動画「GDPとは何か? 国民所得統計」

景気と国民所得

よく「景気がよい」とか「景気がわるい」といいます。
「景気がよい」とは、経済が成長している状態のことです。
この経済の成長の目安となるのが、GDP(国内総生産)などの数値です。
計算のやり方によってさまざまな表し方があるので、まとめて「国民所得」といいます。
国民所得が前の年と比べて増えている場合、これを経済が成長した「景気がよい」と状態というのです。

国民所得とは付加価値

「生産」をすることによって、新たな価値を生み出します。これを「付加価値」といいます。

この生み出された付加価値を、一定の期間内で、一国単位でまとめて計算したものが国民所得です(※フローとストック)。

付加価値とは、新たに生み出された価値ですから、原材料や燃料は含めません。
もちろん、原材料や燃料を手に入れた最初の段階は、ゼロから新たな価値を生み出したのですから、これは付加価値に含まれます。
原材料や燃料を購入して、新たな商品を生産した場合、これらの原材料と燃料は「中間生産物」として、付加価値からは除外されます。

つまり、国民所得に関する付加価値は、

「総生産額 -(中間生産物額)」

の形で求められます。

GDP(国内総生産)とはなにか?

国内で、一定期間に生み出された付加価値を集計したものを、「国内総生産」Gross Domestic Productといいます。略称は「GDP」です。

これに対して、ある国の国民が、一定期間に生み出した付加価値を集計したものを「国民総所得」Gross National Incomeといいます。略称は「GNI」です。

この2つの関係を、日本を例にとってみていきましょう。

「国内」と「国民」の違い

GDPとは、日本国内で生産された付加価値です。
この中には、日本国内に住んでいる外国人の生み出した付加価値も含まれます。
でも、日本国外に住んでいる日本人の生み出した付加価値はふくまれません。
つまり、GDP(国内総生産)からGNI(国民総所得)を求めるためには、GDPから国内に住む外国人の生み出した付加価値を引いて、国外の日本人の生み出した付加価値を加えるのです。

国内の外国人の生み出した付加価値(GDPからマイナスされる分)と国外の日本人の生み出した付加価値(GDPにプラスされる分)の差を「海外からの純所得」といいます。

次の形で表されます。

国民総所得(GNI) =「 国内総生産(GDP) + (海外からの純所得) 」
「総生産」と「純生産」の違い

次に、「純生産」という考え方をまなびます。この「純」は「net」を和訳したものです。「正味の」という意味です。

生産されたものは、実はできあがった瞬間から価値が下がっていきます。
とくに、建物や機械などの「固定資本」は壊れたり古くなったりして価値が減っていきます。
この価値の減少分を「固定資本減耗」といいます。
そして、国内総生産(GDP)から、この価値の減少分をとりのぞいて、純粋にどれだけ付加価値が生み出されたのかを求めたのが、「国内純生産」(NDP)です。

次の形で表されます。

国内純生産(NDP)=「国内総生産(GDP)-(固定資本減耗)」

この他にも国民所得にはさまざまな種類がありますが、入門編では、国民所得とは「GDP」(国内総生産)のことだと覚えておけばいいでしょう。

→ 次は「三面等価の原則」です。国民所得を「生産面」「分配面」「支出面」からみていきます。

1.財市場
│国民所得とは何か?│三面等価の原則│有効需要の原理│国民所得の決定│乗数効果│「45度線」分析│インフレ・ギャップとデフレ・ギャップ│政府部門と海外部門をふくむモデル│
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2021/07/20 マクロ経済学「2.貨幣-債券市場」を整理。
2020/11/22 ミクロ経済学「8.貿易理論」に動画を追加。
2020/08/30 中学からの経済学の小テストを作成しました。』

米中GDP、33年に逆転 昨年時点より試算後ずれ

米中GDP、33年に逆転 昨年時点より試算後ずれ
日経センター予測
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB151710V11C21A2000000/

『日本経済研究センターは15日、中国の名目国内総生産(GDP)が2033年に米国を上回るとの試算をまとめた。逆転時期は早ければ28年とした昨年12月の試算より遅れる。さらに50年には米国が再び中国を上回る見通しだ。中国政府による民間企業の規制強化で生産性の伸びが鈍るほか、長期的には人口減少による労働力不足が成長の足かせになるとした。

【関連記事】1人あたりGDP、27年に日韓逆転 日経センター予測

アジア・太平洋地域の18カ国・地域を対象に、35年までの経済成長見通しをまとめた。このうち米中両国は、60年までの長期予測も示した。

20年12月時点の試算では、米中のGDP逆転は新型コロナウイルスの感染拡大が深刻になるケースで28年、標準ケースで29年としていた。逆転時期が4~5年遅れる一因は、中国政府による民間統制の強化だ。企業の技術革新を抑え、労働生産性の伸びを鈍らせかねないためだ。

中国の習近平(シー・ジンピン)指導部は、国内不動産の過剰投資を是正するため金融規制を強めている。中期的にみても投資を抑制し、成長率の低下につながる。バイデン米政権による大規模な財政支出で21年の米国経済が急回復したことも、逆転時期が遅くなる要因となった。

中国の経済規模は38年、米国を5%近く上回るまで拡大する。40年代には米中GDPの差は縮小に転じ、50年には米国のGDPが再び中国を上回る。日経センターが19年に公表した長期予測では、再逆転の時期を実質ベースで53年と試算していた。

日経センターは再逆転の背景について「中国経済が人口減と生産性の伸びの鈍化で、成長率が急減速する」と指摘する。中国の15~64歳の生産年齢人口は13年にピークに達したが、総人口も近く減少に転じる公算が大きい。21年の出生数は1949年の建国以来、最少になるとの見方もある。

少子高齢化への危機感を強める中国政府は、1組の夫婦に対して3人目の出産を認めた。家庭の教育費を削減するため、学習塾業界への規制を強めた。ただ都市部の不動産価格は高止まりしており、生活コストを膨らませている。長年の産児制限で「子は1人」という家庭観も根付いており、市民の出産意欲が高まるかは見通せない。

人口減少は働き手の減少を通じて、成長を下押しするだけではない。急速な高齢化に対応するための社会保障制度の整備も急務だ。年金などを支える硬直的な財政支出が増えれば、政府によるハイテク産業の支援などにも影響が出る可能性はある。

(北京=川手伊織、デジタル政策エディター 八十島綾平)』

中国、「2028年までにアメリカ追い抜き」世界最大の経済大国に=英シンクタンク
(2020年12月27日)
https://www.bbc.com/japanese/55457085

バイデン政権は米中貿易戦争を継続しない?コロナをきっかけに中国が米国を逆転すると考えられる理由
(2021年1月9日)
https://weekly-economist.mainichi.jp/articles/20210105/se1/00m/020/049000c

〔GDPの三面等価、需給ギャップの話し〕

GDPの話し(その1)
https://http476386114.com/2020/03/17/gdp%e3%81%ae%e8%a9%b1%e3%81%97%ef%bc%88%e3%81%9d%e3%81%ae%ef%bc%91%ef%bc%89/

三面等価の原則
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%89%E9%9D%A2%E7%AD%89%E4%BE%A1%E3%81%AE%E5%8E%9F%E5%89%87

『※ 「GDPの三面等価の原則(性質)」は、こういう「三角柱」としてイメージされ、それぞれの側面を「生産」「支出」「分配」の三方面から見たものとして、説明される…。

「作り出した付加価値」と言っても、それを「直接に」把握・算定することは、不可能だ…。

必ずや、「販売」され売り上げとして計上されたもの、を手がかりに計算に乗せていくことになる…。

「売り上げ」とは、「販売」ということで、必ずや、それを「購入」した者がいる…。購入者からすれば、それは「支出」だ…。また、そういう形で、「生産」したものが、首尾よく「販売」できれば、その作り出した付加価値は、生産した企業の所得や生産企業に雇用されていた人の賃金として分配されているハズ…、と考えるわけだ…。

※ この「三面等価の原則(性質)」は、経済原則というだけの話しではない…。「付加価値」ということを離れて、「経済現象の全体」を見ていく視点をも、提供している…。
それは、「経済全体」を見ていくとき、「生産」=企業活動、「分配」=企業と個人、「支出」=個人・企業・国及び公共団体…、という側面があるのだ、という視点だ…。

さらには、「作り出した付加価値」を、個人・企業・公共団体の間で、どういう比率で「分配」することが、「一国の作り出す付加価値」を最大にすることになるのか…、などという考察にも発展していく出発点になる…。』

※ まあ、そういうことで「一国の付加価値の総体を一応算出したもの」であるGDPは、そういう「三面」の見方があるわけだ…。

※ しかし、「資本」や「労働」などの「生産の要素」を投入しても、狙った通りに「付加価値」の増大に結びつかないこともある…。

※ そういう場合、どこに問題点があって、どこを改善すればよいのかを探る必要がある…。

※ それが、「GDPギャップ」の問題だ…。

付注1-2 GDPギャップの推計方法について(※ 内閣府の資料)
https://www5.cao.go.jp/j-j/wp/wp-je07/07f61020.html

『1. 推計方法

GDPギャップの定義は、(現実のGDP-潜在GDP)/潜在GDP。その算出には、潜在GDPの推計が必要となる。潜在GDPの推計は、生産関数を想定し、

(1) 現実の成長率から資本と労働の寄与以外の部分(ソロー残差)を算出し、全要素生産性を推計。

(2) 潜在的な資本・労働の寄与に(1)で推計した全要素生産性を加え潜在GDPを計測する方法で行った。

具体的には、

推計式(コブ・ダグラス型生産関数)

Y=A(KS)a(LH)(1-a)

ただし、Y :生産量(実質GDP)

KS:稼動資本量(K:資本ストック、S:稼働率)

LH:稼動労働量(L:就業者数、H:労働時間)

A :TFP(全要素生産性)

a :資本分配率

を想定。両辺をLHで割り、対数変換した下記の式のaに0.33を代入して1nAを求め、HP(Hodrick‐Prescott)フィルタにより平滑化した値を全要素生産性として使用した。

1n(Y/LH)=1nA+a1n(KS/LH)

なお、資本分配率(0.33)は、「1-雇用者所得/(固定資本減耗+営業余剰+雇用者所得-家計の営業余剰)」の80年以降の平均値とした。
2. 具体的変数について

(1) 資本投入量

現実投入量:民間製造業資本ストック(取付ベース前期末値)に製造工業稼働率を乗じたものと、民間非製造業資本ストック(同)に非製造業の稼働率を乗じたものの合計。民間非製造業の稼働率には、「第3次産業活動指数/非製造業資本ストック」からトレンドを除去したものを試算し使用。

なお、民間企業資本ストックは、実質化手法に連鎖方式が導入されて いないため、94年以降の資本ストック系列を次の方法で新たに作成した。まず、94年第1四半期の民間企業資本ストックをベンチマークに連鎖方式QEの民間企業設備投資を積み上げ、次式で算出。

民間企業資本ストック(94年第2四半期以降、試算値)(新)

  =(94年第1四半期のK(旧)+投資の累積(新))×乖離率

※Kは民間企業資本ストック、(新)は連鎖方式、(旧)は固定基準年方式。

※乖離率は、各期の民間企業資本ストック(旧)を、94年第1四半期の民間企業資本ストック(旧)をベンチマークに固定基準年方式QEの民間企業設備投資(旧)を積み上げたもので割ったもの。

また、資本ストックの93年以前は、68SNAベースの系列と接続。

NTT・JRの民営化、新幹線の民間売却については断層を調整。

潜在投入量:製造業・非製造業の稼働率を被説明変数として、おのおの「日銀短観」の「生産・営業用設備判断DI」で回帰し、景気要因を除去したものを潜在稼働率とし、潜在投入量を求めた。

(2) 労働時間

現実投入量:総実労働時間=所定内労働時間+所定外労働時間の合計(30人以上の事業所データ)

潜在投入量:総実労働時間にHPフィルタをかけたものを潜在労働時間とした。

(3) 就業者数

現実投入量:就業者数。

潜在投入量:「(15歳以上人口×トレンド労働力率)×(1-構造失業率)」。

なお、トレンド労働力率は、労働力率にHPフィルタをかけたもの。構造失業率は、失業率と欠員率の関係から推計。
3. 推計結果

潜在成長率の計算結果については、計算方法や何を潜在投入とするかによって異なることなどに注意する必要があるが、推計された潜在成長率は以下の図のように推移している。TFP(全要素生産性)の貢献分は、97年を底に増加傾向にある。

潜在成長率

なお、潜在GDP成長率の推計に際し、連鎖方式の系列を利用したが、連鎖方式に基づく資本ストック系列が存在しないため、暫定的に簡便法を用いて推計を行っている。そのため、今後公表され得る新系列による資本ストック系列を用いた推計結果とは異なる可能性があることに留意する必要がある。
4. データの出典

実質GDP:内閣府「国民経済計算」

資本ストック:内閣府「民間企業資本ストック」

稼働率:経済産業省「生産・出荷・在庫指数」「第3次産業活動指数」、日本銀行「全国企業短期経済観測調査」

就業者数:総務省「労働力調査」

労働時間:厚生労働省「毎月勤労統計調査」』

※ そういうことで、「潜在GDP(一定の「生産要素」から、産出されるハズの「付加価値」)」を「推計」して、それと「現実のGDP」とを比較して、問題点・改善点を探っていくわけだ…。

※ よく「お役所仕事」と言うが、「お役所」とは、本来そういう仕事を割り振られている部署なわけだ…。

※ 「GDP」関係は、「財務省」では無く、「内閣府」が管掌している…。

※ 各省庁から「すべての情報・資料」が上がってくるからだろう…。

〔GDPの話し〕

GDPの話し(その1)
https://http476386114.com/2020/03/17/gdp%e3%81%ae%e8%a9%b1%e3%81%97%ef%bc%88%e3%81%9d%e3%81%ae%ef%bc%91%ef%bc%89/

GDPの話し(その2)
https://http476386114.com/2020/03/17/gdp%e3%81%ae%e8%a9%b1%e3%81%97%ef%bc%88%e3%81%9d%e3%81%ae%ef%bc%92%ef%bc%89/

GDPの話し(その3)
https://http476386114.com/2020/03/18/gdp%e3%81%ae%e8%a9%b1%e3%81%97%ef%bc%88%e3%81%9d%e3%81%ae%ef%bc%93%ef%bc%89/

GDPの話し(その3)

※ GDPというものが、そういう「推計」にすぎなく、「限界」があるものだとして、コロナショックの世界経済への影響、ひいては日本経済への影響を探っていこうとするとき、一定程度は有用なものではあるだろう…。

※ 特に、「三面等価の原則(性質)」により、「生産」額だけで無く、「支出」額、「分配(=購買)」額を示している側面もあると知ったからには、「どれくらい、経済活動が減速することになるのか」を探ろうとするときには、役に立つものと思われる…。

※ まず、世界経済全体における各国GDPの占める割合(ランキング)から、見てみよう…。

こういう割合だ…。今回のコロナ騒ぎは、世界経済の17%くらいを占める中国が震源となった…。そして、ヨーロッパ諸国に飛び火し、ドイツ、フランス、イタリア、イギリスなんかが多大な感染者を出す騒ぎとなってしまった…。

こっちの棒グラフにおいては、韓国、スペイン、オランダ、スイス、スエーデン、ベルギーなんかも、名前が挙がっている…。

※ あと残るは、「ASEAN」とかの「東南アジア」だ…。それで、「ASEAN全体の世界のGDPに占める割合」みたいな資料を探したんだが、ちょっと見つけられなかった…。

かろうじて、「株屋」が販促に使う、「成長著しい新興国の成長を取り込んだ、ファンドがお勧めです!」みたいなものしか、探せなかった…。それでも、なにがしかの参考にはなろうから、貼っておく…。

まず、「2011年」だから、資料が古い…。

※ しかたがないので、自分で作った…。

世界の名目GDP 国別ランキング・推移(IMF)(※2018年のデータ。単位は、百万米ドル)
https://www.globalnote.jp/post-1409.html

ここの数字を参考にして、AOO(Apache OpenOffice)に数字を入力して、作った…。もう老眼だから、目がショボショボしたよ…。もう、こういう数字の入力仕事は、やれなくなったな…。

国名の前にある数字は、ランキングの順位だ…。D列は、日本のGDPを1とした場合の比率…。

グラフ化すると、こんな感じ…。ASEAN各国は、1国だと小さいので、フィリピン、マレーシア、シンガポール、インドネシアを加えて、足した数字を出した…。それでも、やっと日本1国の半分くらいだ…。

こうして見ると、「6億人の市場」とか、「成長著しい」とか囃し立てても、まだまだ力不足という感じだな…。と言うより、米中日がでか過ぎなんだが…。

ということで、世界経済へのインパクトを探るという点においては、米国、中国、日本国、ドイツ、フランス、イタリア、イギリス、スペイン、オランダ、スイス、スエーデン、ベルギーなどの国の、「感染拡大」が収束に向かっているのか、収束するのはいつ頃なのかがポイントになる…、という話しのようだ…。

GDPの話し(その2)

※ 「みかんジュース」の例では、ごくごく単純に説明されていた…。しかし、実際のGDPの作成(計算)方法は、そんな生易しいものでは無いぞ…。

※ 何しろ、純粋に「新たに作り出した付加価値」のみを算出する…、という話しだ…。ありとあらゆる「中間投入」額を、控除していく必要がある…。

※ まずは、こういう「V表」なるものを作成する…。

※ 次に、こういう「U表」なるものを作成する…。

※ そして、「産業別国内総生産」なるものを、とりあえず計算する…。

※ 「推計する」と言っているだろう…。あくまで、「推計」にすぎないんだよ…。作成している人は、どの程度の「経済指標」なのか、十分に分かって作成している…。

※ そして、V表やU表を駆使して、こういう「フロー・チャート」に従って、計算していく…。

※ それで、やっと「一つの」産業の、「産業別国内総生産額」というものがはじき出されるわけだよ…。

※ 「中間投入比率推計の手順」だ…。もはや、その流れを追っていくことすら、イヤになるようなシロモノだな…。

※ その「中間投入比率推計」に用いる資料のリストだ…。こういうものが、「一国のすべての産業」に渡って続くわけだ…。

※ 今まで語ってきたことは、「基準年次処理」というものの話しだったらしい…。

※ ここから、いよいよ、「基準年以降の年次推計(各その年次における推計)」を、行う…、という段取りに突入するらしい…。

※ 「基準年次処理」では、修正しきれなかったもの(それから、大きくはみ出すようなもの)を、「差額調整」という形で、計算していくようだ…。

※ まあ、実際のGDPの作成方法とは、こういうものだ…。今では、電子計算機(コンピューター)があるから、計算自体は「機械」がやってくれるんだろう(入力さえ、間違わなければな…)…。この作業を、紙の資料(帳簿の類い)と算盤 or 電卓しか無い状態でやるのは、さぞや大変だったろうな…。

※ 上記の「資料」からも分かる通り、「集計」の資料は、各所管省庁から提出される…。だから、最終的には、それを「集計」することになる「内閣府」が、この「一国のGDP」を、計算・発表しているんだよ…。

※ 別に、全員が「専門家」になる必要は無い…。そういう「職務」を果たす任務の人が、ちゃんといる…。

※ 素人・一般国民として、わきまえておくべきことは、以下のようなことだろう…。

1、GDPは、単なる一つの「経済指標」にすぎない。一国の「作り出した付加価値」を、各種の統計(特に、売り上げ額)から、「推計」したものにすぎない。

2、GDPは、単なる「推計」額で、それで「測れる事柄」には、限界がある。ストックや、経済活動から生じる「負の側面」については、何ら語っていない。

3、本来は、自国において「基準年次」と比較して、「本年度」がどうだったのかを、調べるための「統計資料」で、他国と較べてどうこう言ったりすべきものじゃ無い…。基準年次よりも、「本年度」の経済統計が思わしく無かった場合に、その原因を探り、どういう対策を打てばいいのか…、という考察に役立てるべく使うべきものだ…。

4、ましてや、「GDPの額が、2倍だから、オレの方が2倍エライ!」とか、主張したりすることは、その意義を分かっていない輩が言う「愚の骨頂」だ…、ということになる…。

※ ここいら辺を、誤解している人が多いんで、オレとしては困惑する…。

GDPの話し(その1)

※ コロナショックの世界経済への影響、ひいては日本経済への影響…、なんてことを考えるとき、どうも最終的には「GDPへの影響がどれくらいになるのか」ということに、集約(収斂)する感じなんだよ…。

※ それで、「GDPというもの」について、検討することにする…。

※ 以下のサイト及び.pdfを参考にした…。

国民経済計算の作成方法(※ 85ページもある)
https://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/data/reference1/h17/pdf/sakusei_houhou17-2.pdf

第3章 国内総生産(生産側)の推計(※ 54ページある)
https://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/data/reference1/h23/pdf/chap_3.pdf

主要国のGDPをグラフ化してみる(最新)
http://www.garbagenews.net/archives/1335765.html

日本の経済成長率をグラフ化してみる……(下)グラフ化とオマケ(最新)
http://www.garbagenews.net/archives/1060924.html

三面等価の原則
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%89%E9%9D%A2%E7%AD%89%E4%BE%A1%E3%81%AE%E5%8E%9F%E5%89%87

【今更聞けないGDP①】そもそもGDPってなに?〜GDPから三面等価の法則まで!ちゃらっとさらっとEasy解説!〜
http://www.suwila.com/?p=386

どもどもな経済政策ブログ
https://domodomo.net/keizaiseisaku/gdp/3mentouka/gdp.html

※ 「国の経済力を測るものさし」と言っているが、あくまで「一つの経済指標」なんで、当然限界(それでは測れないもの)もある…。

※ 例えば、この指標は「一単位年度」の「フロー」を測るものなので、その国にどれだけ「ストック(下水道、上水道、二酸化炭素排出抑制設備など)」が備わっているか…、なんてことは、測れない…。

※ それから、「経済活動に伴う負の側面」、例えば「大気汚染」「土壌汚染」「PM2.5による呼吸器系の疾患の発症率」「発がん性の程度」なんてことは、測れない…。その程度のものだ…。

※ 定義は、こういうものだ…。経済的に「一国が生産した総付加価値」を集計したい…、という要請から考え出された指標だ…。

※ GDPの計算は、基本的には「売り上げ額」から計算する…。しかし、単純に、各段階での「売り上げ額」を算出して足し合わせて行くと、「産出した付加価値」という観点からは、1回計算したものが、何回もカウントされてしまう…、という不都合が生じる…。

※ そこで、そういう「中間投入されたもの」を控除して、各段階で「純粋に価値を付加したと考えられる額」を計算していきたい…、という話しになる…。

※ 一国において経済活動している経済主体は、「国及び公共団体」「企業」「個人」の3主体だ…。特に、「福祉国家」においては、「公共部門」が提供する「公共サービス」が、経済活動全体の大きな割合を占める…。したがって、これを「統計に乗せない」となると、大変なことになる…。そこで、「そのサービスを提供するのにかかった費用」で計算して、乗せることにしてある…。そして、少子化・高齢化に伴って、その「公共サービス」の費用が増大し、国家財政を圧迫することになっているのは、ご存じの通りだ…。

※ これも、この統計が「産出した(新たに作り出した)付加価値」を集計するもの…、ということから来る話しだ…。メーカーから出荷され、流通過程を経て、消費者に販売された段階で、既に1回カウントされている…。これをまた、「付加価値」としてカウントすると、二重計算になってしまうんだよ…。

※ しかし、「仲介手数料」のほうは、「仲介業者・仲介企業」が、「新たに作り出した付加価値」と言える…。それで、計算に加える…、という話しだ…。

※ 三面等価の「原則」と言っているが、むしろ、三面等価の「性質」と言った方がいいかもしれない…。

※ 「GDPの三面等価の原則(性質)」は、こういう「三角柱」としてイメージされ、それぞれの側面を「生産」「支出」「分配」の三方面から見たものとして、説明される…。

「作り出した付加価値」と言っても、それを「直接に」把握・算定することは、不可能だ…。必ずや、「販売」され売り上げとして計上されたもの、を手がかりに計算に乗せていくことになる…。「売り上げ」とは、「販売」ということで、必ずや、それを「購入」した者がいる…。購入者からすれば、それは「支出」だ…。また、そういう形で、「生産」したものが、首尾よく「販売」できれば、その作り出した付加価値は、生産した企業の所得や生産企業に雇用されていた人の賃金として分配されているハズ…、と考えるわけだ…。

※ この「三面等価の原則(性質)」は、経済原則というだけの話しではない…。「付加価値」ということを離れて、「経済現象の全体」を見ていく視点をも、提供している…。

それは、「経済全体」を見ていくとき、「生産」=企業活動、「分配」=企業と個人、「支出」=個人・企業・国及び公共団体…、という側面があるのだ、という視点だ…。

さらには、「作り出した付加価値」を、個人・企業・公共団体の間で、どういう比率で「分配」することが、「一国の作り出す付加価値」を最大にすることになるのか…、などという考察にも発展していく出発点になる…。