対中結束「実利」示せるか IPEF参加国の中国依存強く

対中結束「実利」示せるか IPEF参加国の中国依存強く
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA06ACZ0W2A900C2000000/

『【ロサンゼルス=金子冴月】米国主導の新経済圏構想「インド太平洋経済枠組み(IPEF)」は9日に閉幕した閣僚会合で正式な交渉入りで合意した。サプライチェーン(供給網)強化など4分野で中国への対抗軸をつくる。ただ、どの国も中国との経済面での結びつきは強い。参加14カ国の結束を保ち、枠組みに実効性を持たせるには主導する米国が参加国の目に見えるメリットを示せるかが問われる。

【関連記事】IPEF、重要物資融通へ情報共有 14カ国交渉入り合意

14カ国は①貿易②供給網③クリーン経済④公正な経済――の4分野で、それぞれの閣僚声明を採択した。米国のレモンド商務長官は「今後数カ月で米国や他国に経済的な利益を引き出すことに注力する」と各分野での協力の具体化を急ぐ考えを示した。

インド太平洋で影響力を高める中国に対し、有志国と連携して対抗する経済圏を構築する――。これが米国がIPEFを主導する目的だ。

中国を切り離した経済圏をつくるのは簡単ではない。どの参加国も中国との貿易依存度が高く、経済面での結びつきは強い。米中対立が長引く状況で、各国は米国と中国、それぞれとの距離感が問われている。

2020年時点の参加国の貿易総額に占める中国の割合をみると、最も高いオーストラリアが35%で、ニュージーランドが25%、韓国が24%だった。ベトナムやインドネシアなどIPEF参加国の半分を構成する東南アジア諸国連合(ASEAN)諸国の7カ国も、それぞれ1~2割ほどを中国が占める。米国以外の13カ国の貿易依存度は、いずれも対米国よりも対中国の方が高い。

半導体やレアアース、蓄電池の生産に欠かせない鉱物などの重要物資は中国が大きなシェアを握る。米国が供給網の強化を目指すのは中国に重要物資を依存する状況を是正する狙いがある。

交渉開始の合意にはこぎ着けたものの、各国の結束には課題が残る。

参加国の一部には環境や人権、データ流通などバイデン米政権が重視する厳しいルールの導入を迫られかねないとの警戒がくすぶる。インドが貿易分野での交渉参加を見送った背景に、こうした事情があるとの見方がある。インドのゴヤル商工相は「参加国がどのような利益を得られるのかまだ見えていない」と語った。

参加国をつなぎ留めるために具体的な経済効果を示せるかが課題になる。

IPEFは既存の自由貿易協定(FTA)とは異なり関税の撤廃や引き下げなどを交渉の対象に含まない。世界最大の経済大国である米国の市場開放に期待する参加国からみると魅力的に映りづらい。

米国はメリットを強調する。閣僚会合の関連イベントでは女性がIT(情報技術)関連技術を習得できるよう支援すると表明した。米グーグルや米アップルなどの協力を得て、人工知能(AI)やロボット工学などに関して、今後10年間で700万人に教育や研修を提供することを目標とする。

アジアの経済圏の主導権争いで米中のつばぜり合いが続く。中国は広域経済圏構想「一帯一路」でインフラ投資などを進める。米国がトランプ前政権下で環太平洋経済連携協定(TPP)から離脱すると、中国は揺さぶりをかけるかのように昨年9月にTPP加盟を申請した。バイデン政権は中国の動きを警戒しアジア関与を強めている。

「米国がインド太平洋地域への経済的な関与を再び明確にしたことは大きな意味がある」。西村康稔経済産業相は会合後の記者会見で米国の姿勢を歓迎した。

米国の関与を維持するには同盟国であり、ASEANとの関係も深い日本の役割が重要になる。西村氏は「高いレベルのルールと協力関係の中でのメリットを感じてもらいながら全体としてバランスの取れた枠組みをつくる」と強調した。

この記事の英文をNikkei Asiaで読む
Nikkei Asia https://asia.nikkei.com/Politics/International-relations/Indo-Pacific/U.S.-carves-path-to-Indo-Pacific-framework-but-will-others-follow?n_cid=DSBNNAR 』

華流EV「デザインも悪くない」 世界に足場拡大

華流EV「デザインも悪くない」 世界に足場拡大
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC044BG0U2A400C2000000/

『ノルウェー王宮にほど近いオスロ市内の目ぬき通り。風変わりな自動車のショールームが開業したのは2021年10月のことだ。その名も「NIO(ニオ)ハウス」。中国の電気自動車(EV)新興、上海蔚来汽車(NIO)にとって初の海外進出の足ががりとなる店舗だ。

ショールーム開業と同時にNIOは新型多目的スポーツ車(SUV)「ES8」の受注を始めた。「ノルウェーは始まりにすぎない」。NIOノルウェーのゼネラルマネジャー、マリウス・ハイラーはこう語る。22年中には車大国のドイツにも進出する計画も明かす。

NIOだけではない。17年創業の愛馳汽車は、フランスを皮切りに既にドイツやオランダなどにも進出し、着々と欧州で販路を広げている。

中国で生産されるEVが国内を飛び出し、世界で広がる。中国政府によると21年のEV輸出台数(乗用車)は20年比で約3倍の49万9573台に急伸し、2位のドイツに2倍以上の差をつけて世界首位に立った。

英調査会社のLMCオートモーティブなどの調べでは21年の中国のEV生産台数は294万台と世界の6割を占めた。世界の7割弱を生産するスマートフォンに続き、中国はEVでも「世界の工場」の地位をうかがう。

中国勢が狙うのはEV先進地の欧州だけではない。3日までタイで開催されたバンコク国際モーターショー。会場中央にひときわ大きなブースを構えたのが、中国大手の上海汽車集団だ。

目玉は最低価格を約76万バーツ(約280万円)とこれまでから2割値下げしたワゴン型EV「MG EP」。トヨタ自動車が現地生産する「カローラ」よりも安い。会場を訪れた会社経営者は「価格だけでなく中国EVはデザインも悪くない」。ブースには人だかりが絶えず、タイで圧倒的なシェアを持つ日本車からショーの主役を奪った。

車両価格の2割が課税される日本製と異なり、中国から輸出するEVに関税はかからない。さらに上海汽車は将来の現地生産を条件にタイ政府から補助金も引き出した。中国勢はEVで主導権をうかがう現地政府も巻き込み、したたかに世界で足場を広げる。

「トヨタは09年からタイでハイブリッド車(HV)を手がけている電動車のパイオニアだ」。タイ法人社長の山下典昭は勢いづく中国勢をけん制する。シェア首位のトヨタも22年、初の量産EV「bZ4X」を投入するが、EVでは挑戦者だ。

21年に約2千台とタイのEV市場はまだ小さいが、上海汽車のシェアは5割に達する。EVが主役になれば、年300万台の東南アジアの主要市場で約8割のシェアを持つ日本車の牙城を中国勢に奪われかねない。

中国EVの競争力の源泉が産業集積だ。「規模の競争力」。車載電池で世界首位の寧徳時代新能源科技(CATL)董事長の曽毓群はこんな言葉を口にする。20年以降、3兆円近い投資計画を打ち出して生産能力を高め、正極材など主要材料の調達網も中国に築いてきた。日本の部品大手は中国でのEV生産コストは他の地域の半分程度で済むと試算する。

「素晴らしいと言わざるを得ない」。21年10月、独フォルクスワーゲン(VW)社長のヘルベルト・ディースは中国EVの性能に驚嘆の声を上げた。新型コロナウイルスの影響で中国への出張が途絶えるなか、ディースらVW幹部はNIOや比亜迪(BYD)などのEVをドイツまで持ち込み、実力を試してきた。

ディースは11月、従業員代表との協議の場で主力車「ゴルフ」を引き合いに、こう切り出した。「次の『ゴルフ』がテスラや中国から来たクルマになってはいけない」。安全性を疑問視する声も残る中国EVだが米テスラと並ぶ競合になると認め、危機感を募らせる。

環境規制は過去にも自動車産業の勢力図を一変させる引き金となった。1970年代に米国で施行された環境規制「マスキー法」はホンダが世界で初めて克服して日本車が世界を席巻する契機となった。中国EVは次の覇権を見据え、世界で膨張する。(敬称略)

                 ◇

世界最大のEV生産国となった中国。EVシフトが加速するなか、エンジン車で先行した欧米や日本勢を巻き込んだ競争の最前線を追う。

【関連記事】
・中国新興EVのNIO、22年に相次ぎ新型車
・中国EV、タイで値下げ攻勢 上海汽車など2割安く
・中国のEVとは 21年新エネ車販売352万台

多様な観点からニュースを考える

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深尾三四郎
伊藤忠総研 上席主任研究員
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別の視点

日本車にとっての牙城・東南アジア市場が中国勢に切り崩されるリスクに備える必要がある。

中国勢は低コストかつ高性能であるEVの新車投入スピードが速いだけでなく、自前でEVインフラの拡充にも積極的に取り組んでいる。

タイで上海汽車や長城汽車が急速充電器の設置や充電ステーションの開設を急いでいる。
中国勢のEV攻勢を後押ししているのが車載電池で世界最大手のCATLだが、同社はニッケル産出量が世界屈指のインドネシアでの工場建設を計画中。

日本勢は世界シェアが高い二輪車や産業用車両も含めた自動車の既存流通網を有効活用し、「都市鉱山」である車載電池をリユース・リサイクルで囲い込む戦略を早期に構築すべきである。

2022年4月12日 0:11』

クラシエ製薬、中国で漢方薬の新工場 生産能力1.4倍

クラシエ製薬、中国で漢方薬の新工場 生産能力1.4倍
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC11E840R11C21A1000000/

『クラシエホールディングス(HD)傘下のクラシエ製薬は、中国・山東省で漢方薬の素材となるエキスを生産する新工場を建設する。国内外の既存工場と合わせて生産能力は1.4倍の年間1300トンに高まる。高齢化などで国内の需要が拡大する見込みで、日本でも原料の保管機能などを拡張し供給体制を整える。総投資額は100億円。

漢方薬は原料の生薬を煮出してエキスを抽出し、乾燥して粉末にしてから、錠剤や顆粒(かりゅう)などの製品に仕上げる。クラシエ製薬は漢方の大衆薬で国内最大手だ。現在は中国・山東省青島市と大阪府高槻市の工場でエキス抽出を、富山県高岡市の工場で製剤を手がけている。

同社は約40億円を投資し、中国で2つ目となるエキス抽出用の新工場を山東省威海市に建設する。生産能力は年間400トンで、国内外の既存工場と合わせると1300トンに高まる。23年後半の稼働を目指す。

国内では高槻市のエキス抽出用工場に約30億円をかけて原料の保管機能を拡張し、容量を従来の1.5倍にあたる年間400トンにした。また、高岡市の製剤工場では25年までに約30億円を投じ、各工場から集まるエキスを製品に仕上げるラインの速度を上げる設備などを導入し、生産能力を高める。

クラシエHDの製薬事業は20年12月期の売上高が300億円規模だった。高齢化で国内市場の需要は今後も拡大すると見られている。供給体制の拡大に加え、医師やドラッグストアに製品情報を提供したり、消費者向けに専用アプリを用意したりして販売を促進する。』

トヨタが実験都市「ウーブン・シティ」を静岡に開発へ

トヨタが実験都市「ウーブン・シティ」を静岡に開発へ、ロボットやAI技術を駆使した“スマートシティ”
https://www.fashion-press.net/news/57048

 ※ 今日は、こんなところで…。

 ※ ちょっと、C(Connected)A(Autonomous)S(Shared & Service)E(Electric)どころの話しじゃ無い規模の構想だな…。

 ※ 実際のところ、どの程度が「建設済み」なんだろうか…。

 ※ なるほど、これが「100年に一度の変革」に対処するための、トヨタ流の「テスト・コース」か…。

 ※ 日本じゃ、到底、「公道でテスト」は許可されないからな…。

 ※ 「私有地内に(それとも、借りてるだけ?「東富士工場(静岡県裾野市)の跡地」と言ってるから、私有地くさいな)」、テストできる「公道(法的には、”私道”)」を作ったわけか…。

 ※ まあ、トヨタ以外のメーカーには、真似できない規模だろう…。

 ※ この「実験都市」を拠点に、あるゆる「モビリティ」の可能性を、探るわけだ…。

『トヨタ(TOYOTA)は、静岡県裾野市に「ウーブン・シティ(Woven City)」と呼ばれる、実験都市を開発するプロジェクト「コネクティッド・シティ」をスタート。

ロボットやAI技術を駆使、トヨタが作る未来都市
あらゆるモノやサービスを情報で繋ぐ

2020年1月7日(火)、アメリカ・ラスベガスで開催されている世界最大規模のエレクトロニクス見本市「CES 2020」において発表されたトヨタが開発する「ウーブン・シティ」。同プロジェクトの目的は、ロボット・AI・自動運転・MaaS・パーソナルモビリティ・スマートホームといった先端技術を人々のリアルな生活環境の中に導入・検証出来る実験都市を新たに作り上げることだ。

パートナー企業や研究者と連携しながら、技術やサービスの開発・実証のサイクルを素早く繰り返し、人々の暮らしを支えるあらゆるモノやサービスが情報で繋がることで生まれる、新たな価値やビジネスモデルを見出す。なお、NTTとのタッグにおいては、NTTの通信インフラにおける高い技術力を生かした、新たなサービスの開発も進めていくという。

東京ドーム約15個分の土地に2,000人が入居

トヨタが実験都市「ウーブン・シティ」を静岡に開発へ、ロボットやAI技術を駆使した“スマートシティ”|写真1

建設場所は、2020年末に閉鎖されたトヨタ自動車東日本株式会社 東富士工場(静岡県裾野市)の跡地。東京ドーム約15個分に値する175エーカー(約70.8万m2)の範囲で街づくりを進めていく。

2021年2月より着工し、プロジェクト初期はトヨタの従業員や関係者をはじめとする2,000名程度の住民の入居を想定。将来的には、一般入居者の募集や、観光施設としての運営も期待されるところだ。

建築家ビャルケ・インゲルスが都市設計を担当
トヨタが実験都市「ウーブン・シティ」を静岡に開発へ、ロボットやAI技術を駆使した“スマートシティ”|写真5

都市設計を担当するのは、世界最高の若手建築家として知られる、デンマーク出身の建築家ビャルケ・インゲルス。CEOとして建築事務所「ビャルケ・インゲルス・グループ(BIG)」を率いる同氏は、これまでにニューヨークの新たな第2ワールドトレードセンターやグーグルの新本社屋、レゴ本社に建てられたレゴハウスなど、革新的でユニークなプロジェクトの数々を手がけている建築界の新星だ。

実験都市「ウーブン・シティ」の構想

街を構成する3つの“道”

トヨタが実験都市「ウーブン・シティ」を静岡に開発へ、ロボットやAI技術を駆使した“スマートシティ”|写真4

プロジェクトの核となる実験都市「ウーブン・シティ」は、日本語に直訳すると「編まれた街」の意。これは、街を通る道が網の目のように織り込まれたデザインに由来する。

その道とは具体的に以下、3種類に分類される。

1:スピードが速い車両専用の道として、「e-Palette」など、完全自動運転かつゼロエミッションのモビリティのみが走行する道

2:歩行者とスピードが遅いパーソナルモビリティが共存するプロムナードのような道

3:歩行者専用の公園内歩道のような道

これらが、まるで血管のように、それぞれが街の交通や物流において重要な役割を担う。なお、人々の暮らしを支える燃料電池発電も含めて、この街のインフラはすべて地下に設置される。

ENEOSの知見を活かした、水素エネルギーの利活用を実現へ

2021年5月10日(月)には、ENEOSをコアパートナーに迎えて、水素エネルギーの利活用について検討を進めると発表。四大都市圏において商用水素ステーションを45カ所展開する、水素事業のリーディングカンパニーであるENEOSの知見を活かし、水素を“つくる”、“運ぶ”、“使う”という一連の流れを実現する。

ウーブン・シティ内に定置式の燃料電気(FC)発電機を設置し、ウーブン・シティおよびその近隣における物流車両の燃料電池化を推進を目指すだけでなく、水素需要の実用化に向けての検証および需給管理システムの構築といった目的も兼ねている。

トヨタ社長 豊⽥章男は、2021年10月6日(水)のトヨタイムズ放送部にて「裾野市全体がWoven Cityになるわけではない」と前置きし、「自動運転車の目的は安全。Woven Cityはクルマの安全とともに、道、人を加えた三位一体で安全を確保するためのテストコース。ヒト中心の街をつくらない限り、安全な自動運転はできないと思い、Woven Cityをつくろうと決断した」と、“街”という形のテストコースの必要性を強調した。』


サステイナビリティを前提とした街づくり
トヨタが実験都市「ウーブン・シティ」を静岡に開発へ、ロボットやAI技術を駆使した“スマートシティ”|写真8

街の建物は主にカーボンニュートラルな木材で建設、屋根には太陽光発電パネルを設置するなど、環境との調和やサステイナビリティを前提とした街づくりが基本。住民は、室内用ロボットなどの新技術を検証するほか、センサーのデータを活用するAIで健康状態をチェックするなど、日々の暮らしの中に先端技術を取り入れる。また、街の中心や各ブロックには、住民同士のコミュニティ形成やその他様々な活動をサポートする公園や広場も整備される。
トヨタが実験都市「ウーブン・シティ」を静岡に開発へ、ロボットやAI技術を駆使した“スマートシティ”|写真7
「ウーブン・シティ」発表時のコメント

■トヨタ社長 豊田章男コメント

「ゼロから街を作り上げることは、たとえ今回のような小さな規模であったとしても、街のインフラの根幹となるデジタルオペレーティングシステムも含めた将来技術の開発に向けて、非常にユニークな機会となります。バーチャルとリアルの世界の両方でAIなどの将来技術を実証することで、街に住む人々、建物、車などモノとサービスが情報でつながることによるポテンシャルを最大化できると考えています。このプロジェクトでは、将来の暮らしをより良くしたいと考えている方、このユニークな機会を研究に活用したい方、もっといい暮らしとMobility for Allを私たちと一緒に追求していきたい方すべての参画を歓迎します」

■ビャルケ・インゲルス コメント

「様々なテクノロジーにより、私たちが住む街のあり方は大きく変わり始めています。コネクティッド、自動運転、シェアリングのモビリティサービスは、現代の新しい暮らしの可能性を拡げるでしょう。Woven Cityは、トヨタのエコシステムによって幅広いテクノロジーや業界と協業することができ、その他の街も後に続くような新しい都市のあり方を模索するユニークな機会だと考えています」』

トヨタが挑むソフト発の製造業 新産業革命「SDX」

トヨタが挑むソフト発の製造業 新産業革命「SDX」
編集委員 杉本貴司
https://www.nikkei.com/article/DGXZQODK14EB90U1A211C2000000/

 ※ だんだん、「物つくり」の意味が違って来たんだろう…。

 ※ 人は、「物を買う」のでは無い、「物が提供してくれる”価値”をこそ、買うのだ。」という話しなんだろう…。

 ※ まあ、前々から「ぼんやり」とは、言われてきた話しだ…。

 ※ 『「サービス・ドミナント・ロジック」(SDロジック)という論理』という話しなんかは、そういうことを明確に記述したものなんだろう…。

『ソフトウエア・デファインド(SD)による変革の波が押し寄せている。ソフトがモノやサービスを定義するという発想で、伝統的な製造業では従来の常識が一変する可能性を秘める。日本の産業界は、あらゆるものをソフト発で再定義する「SDX」に対応できるか。

 (※ デファイン(define)とは、「定義する」という意味。ソフトウエア・デファインドとは、ソフトウエアによって定義された or ソフトウエアが定義した、特徴づけた…、くらいの意味なんだろう…。)

カイゼンも仮想空間で

純白に映える富士山頂を間近に見据える土地で、未来都市の建設が進んでいる。トヨタ自動車がつくる「Woven City(ウーブン・シティ)」だ。

ウーブン・シティのイメージ図(トヨタ自動車提供)

全容は公開されていないが、完成予想動画では自動運転車が行き交いドローンも飛ぶ。豊田章男社長は「未来のモビリティー用のテストコース」と表現するが、さらにクルマ作りという観点で語ったのが未来都市づくりを託された子会社、ウーブン・プラネットのジェームズ・カフナー最高経営責任者(CEO)の言葉だろう。

「ソフトウエアのプラットフォームで人・モノ・情報がつながった時、我々に何ができるのか。その実証実験の場だ」

未来都市でソフト主体のモビリティーを築こうとしているのだ。カフナー氏が「このプロジェクトを通じて広がる」と指摘するのが「ソフトウエア・ファースト」のクルマ作りだ。

バーチャル空間を利用したデジタルツインと呼ばれる手法により、リアルではなしえない大量のシミュレーションで設計の効率を大幅に高めていく。常にネットワークとつながり文字通り走りながらカイゼンを加えていく――。そんな未来のクルマ作りの先陣を切るのが、この未来都市というわけだ。

ソフトがクルマの価値を生むソフトウエア・デファインド・ビークル(SDV)。自動車産業は100年に一度の大変革にさらされていると言われる。いわゆる「CASE(つながる、自動、シェア、電動化)」で語られることが多いが、SDVはその先にある自動車の本質的な価値変容と言える。

米テスラがソフトのアップデートという概念を自動車に持ち込んだが、クルマ作りそのものをソフト発に切り替える試みはまだ始まったばかりだ。トヨタはその難題に挑もうとしている。14日に公表した急速なEV(電気自動車)シフトに株式市場は目を奪われがちだが、その先にある自動車の本源的な価値を巡る競争を勝ち抜こうとしていることが分かる。
iPhone再現、鴻海は水平分業のクルマ作り意識

巨大産業のトップに立つトヨタの戦略転換は、部品などサプライヤーのピラミッド構造にも大きな衝撃を与える。それを先取りしたのが台湾・鴻海(ホンハイ)精密工業だ。

自動車の価値がハードからソフトに移るなら、ハードはコモディティー化していくだろう。ならば業界横断で共通化してはどうか――。そんな発想で打ち出したのが「MIH」というEVコンソーシアムだ。発足からわずか1年で2000社以上が加盟した。3万点もの部品の「擦り合わせの妙」を強みとしてきた自動車産業に、iPhoneで実現した水平分業モデルを持ち込もうとしている。

鴻海を巨大企業に育てたアップルもまた、自動車への参入を企てる。詳細は語らないが5年ほど前に始めた「タイタン計画」がいよいよ実用化を見据える段階に来ているようだ。
米アップルはiPhoneで起こしたイノベーションを自動車に持ち込めるか

アップルは自動車産業に何をもたらすのか――。ヒントになるのが他ならぬiPhoneだろう。07年、故スティーブ・ジョブズ氏は「電話を再発明する」と言ってiPhoneを世に知らしめた。

多くの人々がそのハードの完成度の高さに心を奪われたが、ジョブズ氏の本当の狙いが美しいデバイスにあったわけではないことを、我々は後に思い知ることになった。モバイルインターネットが生み出す巨大なアプリ経済圏を手中にするため、ジョブズはiPhoneを世界中にばらまいたのだ。

では、アップルがトヨタなどと競うのはEVの販売台数だろうか。答えは言うまでもない。巨大産業の価値の源泉となるソフトに、その照準が定められていると考えるべきだろう。
日立の社名から「製作所」が外れる日

ソフトウエア・デファインドは2010年代前半からIT(情報技術)業界で使われ始めた言葉だ。ネットワークならソフトウエア・デファインド・ネットワーク、略してSDN。ストレージならSDSとなる。

その多くが複数のハード機器をソフトによって統合的に動かす「仮想化」という技術を利用したものだ。米シリコンバレーのヴイエムウエアが先鞭をつけて世界に広がった技術だ。

楽天グループが20年に携帯の回線を提供する「キャリア」に参入する際、通信インフラの汎用設備の一部をソフトで置き換えて価格破壊を実現した。これは仮想化技術を活用した成果が大きい。インターネットの世界で戦ってきた楽天ならではのアイデアで、このシステムを海外に輸出する計画だ。

ソフトウエア・デファインドへの転換は、仮想化に限らず「ソフト主導」という、より広い概念で産業界に広がりつつある。人工知能(AI)など新しいテクノロジーの台頭が後押ししている。本稿ではこの動きを「SDX」と呼ぶ。トヨタが目指すソフトウエア・ファーストのクルマ作りが好例だが、自動車業界にとどまらない。
ファナックの「賢い機械」の根幹は「エッジヘビーコンピューティング」の技術だ

ファナックが17年から展開するフィールドシステム。ロボットや工作機械をネットワークでつないで制御したり故障を未然に防いだりする。いわば「賢い機械」の根幹をなすのが「モノ」、つまり機械やロボットの側で大量のデータを即時処理する「エッジヘビーコンピューティング」の技術だ。ファナックはその後に対応アプリを展開しており、工場の機械をソフト主導に変えたと言える。

SDX的な発想は製品やサービスだけでなく企業経営そのものの変革も迫る。

ユニクロを展開するファーストリテイリングの柳井正社長は「情報製造小売業」への転換を掲げる。自社で服をデザインし、生産を協力工場に委託する製造小売業(SPA)に進出したのが1980年代末のことだ。重要なのは、我々が足を運ぶ店舗がアジアを中心に展開する広大なサプライチェーン網の末端に位置していたということだ。「こんな服が売れるだろう」が最初にあり、それをアジアで作ってお客に届けていた。

柳井氏はこのサイクルを、店舗から入るデータをリアルタイムにサプライ網へ落とし込んで服をつくるという逆回転に変えるという。大量のデータを服づくりに生かすソフト主導の経営への転換を進めているのだ。

日立製作所はかつて「御三家」と呼ばれた化成、電線、金属を売却する一方で、1兆円で米システム企業を買収した。背景にあるのがネットワーク基盤のルマーダに軸足を置くソフト主導経営への転換だ。御三家のなりわいがいずれもソフトとの相乗効果が低いことを考えれば、大胆な事業入れ替えの狙いが透けて見えるだろう。

1910年に鉱山で使う「5馬力誘導電動機」から始まった日本のものづくりの雄もまた、ソフト主導の経営に舵を切っているのだ。いずれ日立の社名から「製作所」が消える日が来ると予言して本稿を終えよう。

[日経ヴェリタス2021年12月19日号]
多様な観点からニュースを考える

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鈴木智子
一橋大学 准教授
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ひとこと解説

近年、「サービス・ドミナント・ロジック」(SDロジック)という論理が提唱されています。

SDロジックの世界観では、経済活動のすべてはサービスです。

製造業と呼ばれている企業は「モノを伴うサービス」を、サービス業は「モノを伴わないサービス」を提供していると捉えられます。

また、サービスとは、自らの能力(知識やスキル)を他者・自身の便益を生み出すために活用すること、と考えられています。

企業活動の目的は価値の創出ですが、そのためには、製造業も情報や知識を蓄え、活用していくことが重要であるということを示しています。

2021年12月21日 10:33 (2021年12月21日 10:34更新) 』

米EV補助案に日欧勢が反発 労組工場の優遇は「不公平」

米EV補助案に日欧勢が反発 労組工場の優遇は「不公平」
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN02D6N0S1A101C2000000/

『【ニューヨーク=中山修志、ワシントン=鳳山太成】米国が検討する米自動車大手の電気自動車(EV)を優遇する法案に対し、トヨタ自動車や独フォルクスワーゲン(VW)など日欧自動車メーカーが反発している。従業員が労働組合に加盟するメーカーのEVのみに手厚い税控除を設ける内容で、労組に加盟しない日本メーカーなどが不利になる。世界貿易機関(WTO)ルールに抵触するとの指摘もある。

トヨタは2日、ウォール・ストリート・ジャーナルなど米主要紙に米大手メーカーを優遇する法案に反対する意見広告を掲載した。「フォード、ゼネラル・モーターズ(GM)、クライスラー以外のEVを購入する消費者は4500ドルを追加で支払う必要がある」と主張し、「これは不公平で正しくない」と撤回を求めた。

トヨタなどが問題視しているのは、バイデン政権と与党・民主党が1.75兆ドル(約200兆円)の歳出・歳入法案の枠組みに盛り込んだEV普及策の中身だ。従来のEV購入補助金の7500ドルに加え、従業員が労組に加盟する工場で生産したEVの購入者に4500ドルの所得税を控除する優遇策を設ける。

法案はGMなど米大手メーカーが本社を置く中西部ミシガン州選出のキルディー下院議員(民主)が提案した。GMとフォード・モーター、米クライスラーの流れをくむ欧州ステランティスの3社の従業員は全米自動車労組(UAW)に加盟しているが、日本や欧州、韓国メーカーとEV専業の米テスラは非加盟だ。22年1月に制度を導入すれば、米大手とその他のEVで購入補助に約50万円の差がつくことになる。

フォードのミシガン州のEV生産工場=ロイター

労組加盟に加え、26年もしくは27年以降は米国外で組み立てられたEVが税控除の対象外になる案も審議されている。

これまでにホンダも「不当な提案だ」と反論し、労組加盟を優遇条件から外すよう議会に求めた。VWの米国トップは独紙のインタビューで「米国工場の従業員のことを考えると、(UAWかどうかで)異なる優遇策は不公平で間違っている」と述べた。

日本や欧州連合(EU)、カナダ、メキシコなど25カ国・地域の駐米大使も議会指導部にあてた10月29日付の書簡で「労組加入の権利は税制優遇(の条件)に使うべきではない」として取り下げるよう求めた。国産品の優遇を禁じたWTOルールに違反すると指摘して再考を促した。

一方、UAWのレイ・カリー会長は「組合員の雇用を保護し、創出する提案を称賛する。この内容が超党派の支持を得ることを望む」と歓迎コメントを出した。

UAWの加盟工場は非加盟の工場に比べ従業員の時給が2割程度高いとされる。日本や欧州メーカーは生産コストを下げるために組合の勢力が強い中西部を避け、ケンタッキーやミシシッピなど南部州に米国工場を建設した経緯がある。

労組加盟を条件とする優遇案が成立すれば、外国メーカーがEVを米国で生産するメリットが薄れ、結果的に米国への投資を冷ますことにつながりかねない。

米ピーターソン国際経済研究所のゲイリー・ハフバウアー氏は「確実にWTOルール違反だ。中国など(国内企業を優遇する)外国の補助金に反対する米国の姿勢とも矛盾する」と指摘する。

歳出・歳入法案は政権と民主党が早期採決をめざして細部を詰めている。トヨタのエンジン工場がある南部ウェストバージニア州出身で法案成立のカギを握るマンチン上院議員(民主)はまだ支持していない。法案の中身は成立時に変わる可能性がある。』

水素エンジンに革新、驚異の熱効率54%

水素エンジンに革新、驚異の熱効率54% 続けマツダ・ロータリー
(最終回)カーボンニュートラル自動車の衝撃
古野 志健男
SOKEN兼デンソー
https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/00878/072500011/

※ マツダの「ロータリー・エンジン」が、「水素エンジン」として、再び脚光を浴びている…、という記事は読んだことがある…。

※ その後も、研究プロジェクトは、継続していたのか…。

※ ディーゼルエンジンで使われる「インジェクション(燃料噴射)方式」の技術だ…。

※ ここが「実用化」できると、現行の「エンジン車」+部品産業は、全て「救済」される…。

※ 現行のエンジン車に、「燃料噴射装置」取りつけるだけで、済むからな…。

※ ただし、「水素」は、「重油」や「軽油」と比較すると、格段に「燃えやすい」んで、記事にもある通り「過早着火(バックファイア)」の制御が技術的な課題となる…。

※ 上記の図だと、未だ空気と混合しない状態で、着火させる…、というアイディアのようだ…。

※ しかし、それだと、今度は「未着火(ミスファイア)」の問題が、発生するしな…。

※ そこら辺の「折り合い」を、探っていくんだろう…。

※ あと、それから、下記の記事にもある通り、「レンジエクステンダー(日産のeーPowerみたいに、”内燃機関”を、”動力”としてでは無く、「発電機」としてのみ使う方式。エンジンぶん回して、もっぱら「発電」して、その電気を「蓄電池」に蓄えて、モーター回して走る方式)」としての利用だと、「ロータリー・エンジン」と、至極相性がいい…、とも聞いた。

※ もっとも、果たして「水素(液体水素)」を「安価に、大量に」生産して、それを今のガソリン並みに、運搬・保管できるか、に掛かっている話しなんだが…。

※ 果たして、本当に「水素社会」なるものが、やって来ることになるのか…、ということに掛かっている…。

※ その「壮大な社会実験」を行う予定だったのが、「東京2020」だった…。

※ コロナ騒ぎで、そういう話しも、「全てポシャリ」になったのが残念だ…。

『再び脚光を浴び始めた水素エンジン――。技術面で最大の課題が、過早着火(バックファイア)†と冷却損失である。同時に解決する手段はあるのか。

†過早着火(バックファイア)=可燃範囲の広い水素と空気の混合気が、吸排気バルブなど高温部品に接すると、自着火してしまうこと。レシプロ型の水素エンジンがなかなか普及できない原因の1つになっている。

第1回「EVからディーゼルへ、欧州水素50兆円構想で狙うアジア封じ」
第2回「テスラ・トヨタ外し、欧州グリーン水素でディーゼル再生の真意」
第3回「ホンダが出した欧州炭素中立への答え、HEVは過渡期にあらず」
第4回「再び水素エンジン特許増加 BMW転出企業が狙うディーゼル超え」

 有力な手段と考えるのが、ディーゼルエンジンのような水素噴流火炎の拡散燃焼だ。水素ガスを予混合しないで筒内に高圧直噴し、圧縮自着火させる。あるいは、水素ガスを噴射しながら点火プラグで火を付けるなど、燃焼火炎が燃焼室や気筒壁面にできるだけ衝突しないようにすることが重要になる。

 技術的な難度は高いが、研究は盛んだ。熱効率40%くらいでよければ前回紹介した独Bosch(ボッシュ)の予混合過給リーンバーンコンセプトで十分だが、それ以上を狙うのであれば拡散燃焼を本気で検討する必要があると思う。

 最近の拡散燃焼の研究例で驚異的なのが、産業技術総合研究所が主体となり、川崎重工業らと確立した大型商用水素エンジンの新しい燃焼方式「PCC(Plume Ignition and Combustion Concept:過濃混合気点火)燃焼」である。高出力・高熱効率・低窒素酸化物(NOx)を実現する。内閣府の総合科学技術・イノベーション会議(CSTI)が主導した戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)の1つである「エネルギーキャリア」で実施された。

 燃焼室内に噴射された水素ガス噴流が拡散する前の塊に点火して燃焼させる。火炎の壁面衝突を抑えて、冷却損失を低減できる。点火による拡散燃焼といえるようなものだ(図1)。

図1 水素ガス噴流が拡散する前の塊に点火して燃焼

産総研や川崎重工らが開発した大型商用水素エンジンの新しい燃焼方式。産総研の資料を基に日経クロステック作成
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 NOx低減には、噴射と点火間隔の最適制御とEGR(排ガス再循環)で対応している。EGRを増やすと燃焼温度が下がり、NOxが減る方向。加えて、予混合ではないためにバックファイアが生じにくい。研究段階ではあるが、最大正味熱効率で54%、NOx排出量で20ppmに達した。これはすごいことである。ぜひ実用化にこぎ着けてほしい。 』

『水素生成にも革新、驚きの100%近い変換効率

 水素エンジンの最大の課題は、エンジンそのものの技術的な難度もさることながら、やはり水素生成と供給だろう。安く大量に水素を生成し、水素ステーションで安価に供給する方法は、いまだ確立していない。再生可能エネルギーからの生成法としては水の電気分解が最も知られているが、効率は低く大きな電気エネルギーがいる。

 加えて、水素ステーションの建設費(約5億円)や維持費が高く、水素製造コストを上乗せした販価となってしまう。ただ、現状の水素ステーションでは、政策上1000~1100円/㎏とガソリンHEV並みの燃費と同程度の価格に抑えられている。

図2 水素ステーションのコストは高い

岩谷産業が東京都港区に設置したイワタニ水素ステーション芝公園(出所:トヨタ)
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 産業界で大量に水素を生成する手段として、化石燃料やバイオマスに水を加えて高温に加熱分解して水素を取り出す方法が一般的である。ただし、CO2やNOxが発生する課題がある。

 もっとも製鉄所や化学プラントからは副産物として大量の副生水素が発生する。だが生成量が安定しないし、だいたい各社で再利用されているので、あまり期待できない。

 効率的な水素の生成法については、世界中で研究が進んでいる。最近、筆者が所属するSOKENが名古屋大学と共同で画期的な水素生成の論文を発表したので、紹介したい。

 電気化学セル(2次電池のようなもの)のアノードに廃棄バイオマスを溶かしたリン酸溶液を流し、そのセル両端にわずか約0.5Vという低電圧をかけるというものだ。なんと反対側のカソードから100%近い変換効率で水素が生成される。分解しにくいセルロースがいとも簡単に分解した。驚きである。もちろんアノードからCO2も生成されるが、簡単に回収して再利用できる。

水素ロータリーはバックファイアなし

 日本では、マツダが水素ロータリーエンジンを開発していた。前々回の「エンジン完全燃焼」コラムで少し触れたが、ロータリーエンジンは水素燃料と相性がよく、バックファイアが発生しないからだ。水素燃料を噴射する部屋と燃焼する部屋が異なるため、水素を噴射する部屋の壁温が低く、着火しない。

 マツダの水素ロータリーエンジンは、吸気ポートから空気を吸入した吸気室内に、ローターハウジングに設置されたインジェクターで直接水素を噴射する。その混合気をローターで混ぜながら燃焼室に移動し、2本の点火プラグで燃焼を開始する。燃焼ガスは排気室に移動して排出する。

 マツダは2009年、「プレマシーハイドロジェンREハイブリッド」を国内の官公庁や企業にリース販売した。水素ロータリーエンジン(RE)を専用発電機としたシリーズHEVだが、水素燃料がなくなっても走れるように、ガソリン噴射にスイッチできるデュアルフューエルシステムまで採用していた。

図3 ロータリーは水素エンジンに使いやすい

マツダがかつて開発した水素エンジン搭載車「プレマシーハイドロジェンREハイブリッド」。後ろも水素エンジン搭載の「RX-8ハイドロジェンRE」(出所:マツダ)
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 前々回は、BEV用レンジエクステンダーとしてロータリーエンジンは総合的に最適ではないと記したが、水素ロータリーならばありだ。もちろん水素ロータリーといえども冷却損失の課題を解決できるわけではなく、熱効率面では厳しいかもしれない。それでもCO2排出量がゼロであるならば、十分といえる。

関連記事:対向ピストンやガスタービンは不向き、BEV用発電エンジン

 21年発売予定のマツダ2のBEVに、ぜひともレンジエクステンダーとして水素ロータリーエンジンの復活を切に期待したい。今のマツダならば、それくらいやってくれるのではないか。もちろん、水素エンジンには課題が多く簡単ではない。それでも近い将来、大型商用車や電動車にとって欠かせないパワートレーンの1つと確信している。

古野 志健男
SOKENエグゼクティブフェロー兼デンソーフェロー
ふるの・しげお。1957年生まれ。滋賀県出身。78年福井高専卒、82年豊橋技科大電気電子工学専攻修了。同年トヨタ自動車工業(現・トヨタ自動車)入社、東富士研究所先行エンジン技術部。2000年エンジン制御システム開発部主査、05年第2パワートレーン開発部部長。12年、デンソー子会社の日本自動車部品総合研究所(現・SOKEN)常務、13年同社専務、20年同社エグゼクティブフェロー兼デンソーフェロー。14年~19年3月まで内閣府SIP革新的燃焼技術サブプログラムディレクター。日本自動車部品工業会技術顧問。』

燃料電池車と水素エンジン車はどこがどう違うのか?

燃料電池車と水素エンジン車はどこがどう違うのか?
https://www.webcg.net/articles/-/44517

 ※ どちらも、「水素」を「燃料」とする点では、同じ。

 ※ 燃料電池車→ゆっくりと、空気中の「酸素」と、積んでるボンベ内の「水素」を反応させて、「電気」を作り出す。その「電気」を、「蓄電池」に蓄えておいて、「モーター」を回して、動力を得る。電気でモーターを回す、「電気自動車」の一種。

 ※ 水素エンジン車→ガソリンエンジン車と、ほぼ同じ。エンジン(内燃機関)内で、積んでるボンベ内の「水素」を、「シリンダー」内で「燃焼」させて、動力を得る。「内燃機関(エンジン)車」の一種。

 ※ この区別ができない人が多いので、要注意。

『 燃料電池車と水素エンジン車はどこがどう違うのか?

燃料電池車と水素エンジン車はどこがどう違うのか?
2021.05.19 デイリーコラム

どこにでもある水素

水素といえば燃料電池車(FCV)が想起されるが、いま話題になっているのは水素を燃料として使う水素エンジン車だ。ROOKIE Racingは5月21日から始まる「スーパー耐久(S耐)シリーズ2021 第3戦 富士24時間レース」に、「カローラ スポーツ」をベースとした水素エンジン搭載車両で参戦すると発表。どのような走りを見せるのか、注目を集めている。いまのところトヨタは水素エンジン車を市販する予定はないとしているが、将来的にその可能性はあるのか、市販されるとしたらどういった利点があるのかを考えてみたい。

水素(H)は宇宙で最も多く、かつ地球上にもありふれた元素で、そのほとんどは水(H2O)として存在する。人体にも水素は必要不可欠で、体内では水やさまざまな化合物の形態で存在し、質量比にすると約10%を水素が占めている。

モビリティーの観点から見れば、水素は軽くて反応性が高く、フレキシビリティーがあり、理論的には二酸化炭素(CO2)を出さないクリーンなエネルギー源だといえるが、これらの特徴はそのまま技術開発の課題にもなり得る。個別に見ていこう。

トヨタが「スーパー耐久シリーズ2021」の第3戦に送り込む水素エンジンを搭載した「カローラ スポーツ」。 トヨタが「スーパー耐久シリーズ2021」の第3戦に送り込む水素エンジンを搭載した「カローラ スポーツ」。拡大

メリットは既存技術を生かせること

FCVの心臓部は言うまでもなく燃料電池で、水素と酸素を反応させて電気をつくる。言い換えると、水素と酸素の化学エネルギーを電気エネルギーに変換するということ。あるいは水を水素と酸素に分ける電気分解の逆の反応だともいえる。この反応には炭素(C)や窒素(N)が関与しないため、発電時には水素と酸素の反応による水(H2O)が出るが、二酸化炭素(CO2)や窒素酸化物(NOx)といったものは生じない。これがFCVは環境にいいと言われるゆえんだ。

一方の水素エンジン車はエンジンで水素を燃焼させる。燃焼とは酸化のこと。燃料の化合物や元素に酸素が結びつく際に熱と光が生じるので、その熱エネルギーを動力として使用するのがエンジンの基本原理だ。化石燃料はそもそも炭素を含むので、燃焼時にCO2が発生するのを避けられないが、燃料が水素ならば、ごく微量のエンジンオイル燃焼分を除き、CO2は発生しない。

加えて、水素には燃焼速度が速いという特徴がある。トヨタによれば、水素はガソリンの約8倍と応答が速く、低速のトルクの立ち上がりも早く、トルクフルでレスポンスがいいという。ただし、この特性は技術開発のハードルでもある。水素エンジンでは吸排気バルブなどの高温部品に水素が接すると自着火してしまう、バックファイアという意図しない燃焼が起こりやすい。それをいかにして制御しながら、最高出力を引き出すのかが腕の見せどころだ。

また、トヨタの水素エンジンはガソリンエンジンから燃料供給系と噴射系を変更したものだという。このように長年蓄積してきた技術やノウハウを生かせるのは大きなメリットだ。例えば、水素エンジン車でも燃焼時に空気を取り込むため窒素酸化物(NOx)が発生するが、後処理には既存技術を取り入れればいい。また、水素貯蔵タンクや水素補充の仕組みにはFCVの技術が使われる。

こうした有形無形の資産が生かせれば、価格優位性や市場競争性が期待できる。FCVの「トヨタ・ミライ」は最安値のモデルでも710万円。いずれ量産効果で値段が下がる可能性は否定しないが、燃料電池が劇的に値下がりしない限り、同格のエンジン車並みの価格になるとは考えにくい。それに対して、水素エンジン車はFCVよりも安価に設定できそうだ。しかも、エンジンで使用する水素はFCVほど高純度でなくてもよく、ハイオクとレギュラーのような使い分けがあり得る。つまり、水素エンジン車はFCVと比べるとイニシャルコストもランニングコストも抑えられた、比較的庶民のクルマになる可能性がある。
トヨタの燃料電池車「ミライ」のカットモデル。水素と酸素の反応によって発電し、その電気でモーターを駆動する電動モデルである。

トヨタの燃料電池車「ミライ」のカットモデル。水素と酸素の反応によって発電し、その電気でモーターを駆動する電動モデルである。拡大

スーパー耐久に参戦する「カローラ スポーツ」は「GRヤリス」と同じ1.6リッター(1618cc)の直3ターボエンジンを搭載。水素はシリンダー内で燃焼させる。 スーパー耐久に参戦する「カローラ スポーツ」は「GRヤリス」と同じ1.6リッター(1618cc)の直3ターボエンジンを搭載。水素はシリンダー内で燃焼させる。拡大

社会全体で水素とどう付き合っていくのか

既存技術が生かせるとはいっても、新しいモビリティーの商用化は簡単ではない。過去にはマツダが水素ロータリーエンジン搭載の「プレマシー」や「RX-8」を、BMWが「Hydrogen 7」をそれぞれ市場に出そうと試みたが、大きなムーブメントには至らなかった。そういった背景もあって、水素エンジンの議論はどこか置き去りにされていたように思う。

しかし、社会全体として水素を生かそうという動きは活発になる一方だ。菅内閣の描く「2050年カーボンニュートラル」では水素が重要な役割を担う。ざっくり説明すると、目指す方向性は需要の電化と電源の低炭素化だ。需要の電化とは、いまはガスやガソリン、灯油などを使用場面に応じて選択しているが、基本は電気に置き換える。

この需要地まで電気エネルギーを届ける方法として、水素が注目されている。電気自動車(EV)は電源から電気エネルギーを得るが、FCVは水素を介して電気エネルギーを得ると見ることができる。いうなれば、水素はエネルギーを運ぶための“キャリア”だ。

社会としては需要の電化と同時に、発電部分の低炭素化を図る。水素エンジンのように、天然ガスではなく水素ガスによる火力発電もひとつの案だ。需要の電化はガソリンエンジンやディーゼルエンジンにとって完全な逆風だが、水素あるいは100%バイオフューエルのようなサステイナブルな燃料ならば、2050年もエンジン車に乗れる可能性はある。

ただし、これらはすべて未来の話で、実現にはあまたのハードルがある。例えば、水素はキャリアとして社会の隅々にまでエネルギーを届ける役割を果たせるかもしれないが、物性上、非常に軽くてエネルギー密度が低いため、貯蔵・管理・運搬にはコストがかかる。液化水素やアンモニアなど、扱いやすい形態が検討されているが、現時点では決定打になっていない。加えて、現状の社会システムでは水素の製造にも多大なコストが必要だ。副次的に発生する水素の活用も検討されているが、十分な社会的インパクトがある施策には至っていない。これら根本的な課題をどう解決していくのか、産官学連携で道筋を探していくことになるだろう。

(文=林愛子/写真=トヨタ自動車、BMW、マツダ/編集=藤沢 勝)
かつてBMWがラインナップしていた「Hydrogen 7」。ガソリンと水素のいずれも燃焼可能な6リッターV12エンジンを搭載していた。 かつてBMWがラインナップしていた「Hydrogen 7」。ガソリンと水素のいずれも燃焼可能な6リッターV12エンジンを搭載していた。拡大
「マツダRX-8ハイドロジェンRE」も燃料をガソリンと水素から切り替え可能なロータリーエンジンを搭載。最高出力は水素使用時が109PS、ハイオクガソリン使用時が210PSとされていた。 「マツダRX-8ハイドロジェンRE」も燃料をガソリンと水素から切り替え可能なロータリーエンジンを搭載。最高出力は水素使用時が109PS、ハイオクガソリン使用時が210PSとされていた。拡大 』

トヨタ、ケンタッキー工場に520億円投資 エンジン追加

トヨタ、ケンタッキー工場に520億円投資 エンジン追加
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN29EP50Z21C21A0000000/

『【ニューヨーク=中山修志】トヨタ自動車は29日、米南部ケンタッキー州の工場に4億6100万ドル(約520億円)を追加投資すると発表した。設備を更新して新型エンジンを生産する。人材確保のために、派遣会社を通じて雇用している従業員1400人を直接雇用に切り替える。

ケンタッキー工場はトヨタ単独の米国工場としては最も古く、主力セダン「カムリ」や多目的スポーツ車(SUV)「RAV4」、複数のエンジンを生産している。追加投資によって新型SUVなどに搭載する2.4リットルターボエンジンの生産ラインを設ける。設備更新に伴ってセダン「レクサスES」の生産を日本に移し、将来の生産車種の入れ替えに備える。

1400人を直接雇用に切り替えることで、同工場の従業員は約9000人に増える。』

テスラ、時価総額1兆ドル 米ハーツからEV10万台受注

テスラ、時価総額1兆ドル 米ハーツからEV10万台受注
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN25CGZ0V21C21A0000000/

 ※ 単なる、「フリート販売」だろう…。

 ※ これをやりだすと、「台数」は稼げるが、「利幅」は極端に薄くなるので、収益は確実に悪化する…。

 ※ 大量に引き取った「中古品」の販路も、確保しないといけなくなるしな…。

 ※ それがまた、コスト圧迫要因ともなる…。

 ※ 「中古市場」に大量に自社の「商品」が流れるので、新車買った人が、次に売る時の「価値が下がる」…。そうすると、新車の購入もためらわれることになる…。

 ※ そういう、「負のスパイラル」の入り口…、という側面がある…。

 ※ トヨタの「高収益」の秘密は、新車を購入した「顧客」が、次に「売る」時に、中古市場の「値崩れ」が起きにくい構造を保持しているから…、という側面がある…。

『米株式市場で25日、米テスラの時価総額が一時1兆ドル(約113兆円)の大台を初めて突破した。レンタカー大手の米ハーツ・グローバル・ホールディングスがテスラから10万台の電気自動車(EV)を購入すると表明したのが好感された。10万台は2020年のテスラの世界販売台数(約50万台)の2割に相当し、ハーツが所有するレンタカーは2割以上がEVとなる。

【関連記事】

・テスラ、HP本社を賃借 脱シリコンバレーでも拠点拡張
・最高益テスラ、半導体危機しのいだソフト開発力

25日の取引時間中にテスラ株は一時、前週末比14.9%高の1045ドル02セントを付け、上場来高値を更新した。終値は12.7%高の1024ドル86セントだった。終値ベースの時価総額は自動車メーカーとして初めて1兆ドルを超え、米企業ではアップルとマイクロソフト、アルファベット(グーグル親会社)、アマゾン・ドット・コムに次ぐ5番手となっている。

ハーツの発表によると同社は22年末までにテスラ車10万台を注文し、欧米の営業拠点を中心に量販車種「モデル3」を配置する。同社は投資額を明らかにしていないが、米メディアによるとEVの購入費用はおよそ42億ドル(約4700億円)とみられる。

法人需要の大部分を占めるレンタカー業界で採用が進めば、EVの本格普及に一段と弾みがつく可能性がある。

テスラは世界的な排ガス規制の広がりを追い風にEVの販売を伸ばしている。21年通年の販売目標は75万台超とまだ自動車大手の年間販売の10分の1以下だが、高い成長力への期待から20年7月に時価総額でトヨタ自動車を抜き、自動車業界で首位に立った。

21年10月20日に発表した21年7~9月期決算は売上高が前年同期比57%増の137億5700万ドル、純利益が4.9倍の16億1800万ドルとなり、そろって過去最高を更新した。米中の既存の2つの完成車工場に加え、21年内にはドイツと米南部テキサス州で建設中のEV工場が稼働を予定する。(ニューヨーク=中山修志、シリコンバレー=白石武志)

多様な観点からニュースを考える

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深尾三四郎
伊藤忠総研 上席主任研究員
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ひとこと解説

残価率上昇がEVの本格普及を後押しする。

米自動車専門誌CAREDGEが昨年末に実施した調査によると、2017年に発売したモデル3の購入後3年目の再販売価格は新車価格の77%で、残価率が米国の非高級車の中で最も高かった(平均62%)。

レンタカー会社は数年経過した保有車両を中古車市場で売却するので残価率の高さに特に注目する。

一般的にフリート車両は大量購入によるディスカウント価格で取引されるが、今回ハーツが調達するモデル3の購入単価は最量販グレードの小売新車価格に近く、残価率の高さが評価されている。

欧英でもEVの残価率が上昇中だが、電池の性能向上で航続距離が落ちにくくなってきたことが背景にある。
2021年10月26日 7:05

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竹内薫
サイエンスライター
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別の視点

テスラの成長を見ていて感じるのは、やはり創業者の未来を読む力ですね。

実際に読んでいるというよりは、実現可能な夢を持っていると言った方がいいかもしれません。

アップルもそうでしたが、若い創業者が、科学技術の未来に賭けて「こういう社会を実現したい」と強く願う…夢と実現性のバランスがあって始めて世界的な企業へと成長するのでしょうね。

ちなみに、イーロン・マスクさんは大学で経済学と物理学を専攻していて、高エネルギー物理学の大学院を2日でやめて起業、そして、プログラミングは10歳のときに独学で習得したそうですね。
2021年10月26日 10:28

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小平龍四郎
論説委員・編集委員
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別の視点

レンタカーやカーシェアの企業は相当多くのガソリン車を保有しており、脱炭素の流れがさらに強まると、会計的には減損処理をしなくてはならなくなると聞いたことがあります。

ハーツのEV購入も、ガソリン車減損を避ける目的があると思われます。ポイントはレンタカー料金に転嫁されるEVの価格。ガソリン車に比べて競争的な料金になるのだとしたら、日本勢を含め世界中のレンタカー会社の買い替え需要が顕在化するのではないでしょうか。
2021年10月26
日 8:06』

知財訴訟、大口客トヨタも的 日本製鉄「虎の子」保護へ

知財訴訟、大口客トヨタも的 日本製鉄「虎の子」保護へ
電磁鋼板めぐり事前交渉不調
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC148CS0U1A011C2000000/

『電気自動車(EV)など電動車のモーターに使う電磁鋼板に関し、日本製鉄が自社の特許権を侵害したとしてトヨタ自動車と中国の宝山鋼鉄を提訴した。同鋼板は電動車の基幹部品で、脱炭素が進むとともに知的財産保護が課題となっていた。大口ユーザーもまとめて訴えることで宝山製の電磁鋼板の流通をけん制する狙いがある。知財の重みが増す中で訴訟も新しい段階に入った。

【関連記事】
・日本製鉄、トヨタと中国・宝山を提訴 鋼板特許侵害で
・日本製鉄に迫る中国・宝山鋼鉄 「爆速」で研究開発

訴訟対象になった「無方向性電磁鋼板」は、EVやハイブリッド車(HV)に載せるモーターの部品だ。EVにはエネルギー効率に優れ、長い航続距離を走行できるモーターが求められる。モーターのエネルギー損失を抑えられ高回転にもつながる電磁鋼板は日鉄にとって「虎の子」素材だ。

英LMCオートモーティブによると、世界のEV市場は2030年に2891万台と、20年の13倍に広がる。需要の伸びを見込み、日鉄は電磁鋼板の増産に総額1千億円以上を投資する計画だ。

一方、トヨタは近年「電動車の普及が進んでおり調達先を多様化する」(幹部)として宝山からも電磁鋼板を仕入れ始めていた。日鉄は「特許侵害を看過できない」と判断し、宝山の電磁鋼板を使って電動車を製造・販売するトヨタも同様に訴える展開となった。

特許に詳しい牧野和夫弁護士は「侵害技術が組み込まれた製品を使用したり販売したりする場合も特許侵害に該当する」と話す。トヨタは「調達時に侵害がないことは確認済み」としているが、日鉄は「認識にかかわらず特許侵害品を使うのは違法だ」との立場だ。

自動車向けの鋼材需要は国内需要全体の約3割を占める。日鉄にとってトヨタは最大の顧客でもある。日鉄は提訴に先立ちトヨタと交渉を重ねたが不調に終わったという。玉井克哉・東大教授は「宝山だけを訴えて勝訴しても中国などでの製造を止めるのは簡単ではない。トヨタという大口販売先も訴えることで実効性の高い解決を目指したのではないか」とみる。
日本製鉄は中国・宝山鋼鉄の電磁鋼板を使って電動車を製造・販売するトヨタも訴えた

仮に宝山の特許侵害が認められても、各自動車メーカーが他の中国企業などから類似部品を調達すれば、日鉄にとって何の解決にもならない。

訴訟の争点は主に、①日鉄の特許が有効か②宝山やトヨタが特許侵害をしていたと認められるか――の2点になるとみられる。裁判ではまず権利侵害の有無を判断。侵害が認められれば損害賠償額の算定に移る流れになるもようだ。牧野弁護士は「和解ではなく徹底的に争うとなれば数年単位の時間を要することになるだろう」と指摘する。

日鉄はトヨタに対し、電動車の販売を差し止める仮処分を申し立てている。仮処分命令を下すかどうかは権利侵害の有無を判断してからとみられる。玉井教授は「申し立ての結果が出るのは半年から1年程度かかる可能性がある」と話す。

中国企業である宝山が敗訴した場合、原則的に判決の効力は日本国内にとどまる。同社が日本国内に持つ財産を差し押さえることなどは可能だが、中国で強制的に執行することはできない。ただその場合、トヨタの製品使用や販売が差し止められる可能性が高いため、日鉄は侵害リスクを防ぐことができる。

【関連記事】
・知財訴訟、攻める中国勢 逆転の構図で日本企業も標的
・企業統治指針、次は知財 ブリヂストンなど先行 』

日本製鉄、トヨタと中国・宝山を提訴

日本製鉄、トヨタと中国・宝山を提訴 鋼板特許侵害で
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC1466O0U1A011C2000000/

 ※ 「品質で日本勢にせまる…」って、しょせんは「特許侵害」か…。

 ※ トヨタも、脇が甘かったな…。

 ※ 自分で地道に「研究・開発」する…、ということをやらんから、困るよ…。

『日本製鉄は14日、電動車のモーターに使う電磁鋼板に関する自社の特許権を侵害したとして、トヨタ自動車と鉄鋼世界最大手の中国宝武鋼鉄集団の子会社、宝山鋼鉄を東京地裁に提訴したと発表した。両社にはそれぞれ200億円の損害賠償を求めるとともに、トヨタには国内で対象となる電動車の製造販売の差し止め仮処分を申し立てた。

鋼材の成分など日鉄の特許に抵触する製品を宝山がトヨタに供給し、同社が国内で販売する電動車に搭載していたため、提訴に至ったという。』

トヨタ、EVで中国製特殊鋼板採用 品質で日本勢に迫る
https://http476386114.com/2020/08/11/%e3%83%88%e3%83%a8%e3%82%bf%e3%80%81ev%e3%81%a7%e4%b8%ad%e5%9b%bd%e8%a3%bd%e7%89%b9%e6%ae%8a%e9%8b%bc%e6%9d%bf%e6%8e%a1%e7%94%a8%e3%80%80%e5%93%81%e8%b3%aa%e3%81%a7%e6%97%a5%e6%9c%ac%e5%8b%a2%e3%81%ab/

ベトナム初の都市鉄道、開業なお見えず 政治問題が壁に

ベトナム初の都市鉄道、開業なお見えず 政治問題が壁に
支払い遅延が主因、計画変更相次ぐ
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM29B8P0Z20C21A9000000/

『【ハノイ=大西智也】ベトナム初の都市鉄道の開業が宙に浮いている。日立製作所が車両を供給するホーチミン市の案件は2021年末の予定を断念し、2年以上先送りされる見通しだ。中国が支援する首都ハノイの計画は約10回の運行延期を繰り返している。ベトナム特有の政治的な問題による支払い遅延などが主因だ。21年7~9月期に初のマイナス成長に陥った経済発展の足かせになりかねない。

南部の最大都市、ホーチミン市の中心部から北東に延びる国道1号線に沿って、真新しい高架橋や駅舎の整備が進む。ホーチミン・メトロ1号線(全長約20キロメートル)は日本の政府開発援助(ODA)を活用し、総投資額43兆7千億ドン(約2100億円)の大型案件だ。
勝機とみて「オールジャパン」で参画した日本の鉄道関連企業は今、頭を悩ませる。日立のほか、工区や工事の中身で住友商事、三井住友建設、清水建設、前田建設工業などが施工を担当する。「様々な問題を克服し、できるだけ早く完成したい」。コンサルティング業務を請け負う共同事業体の中心である日本工営の担当者は強調する。

12年に着工し、最初は18年の運行開始を見込んでいた。ところが、ベトナム特有の事情が次々と日本企業を襲うことになった。

総事業費の大半は日本のODAだ。支払い遅延は生じないはずだが、設計変更などで事業費が当初計画の3倍近くに増えたことが問題を複雑にした。予算の修正は国会の承認が必要とされたが、政府側は公的債務残高の拡大を避けるため、国会審議がなかなか進まなかった。中央政府からの予算措置が遅れたことが、未払いにつながった。

「支払いが進まなければ工事を中止する」。18年に未払い金額が1億ドル(約110億円)を超え、梅田邦夫大使(当時)がベトナム指導部に対して書簡を送付する異例の事態に発展した。19年に入って徐々に解消したものの、7月には4年以上に及ぶコンサル業務への未払いを理由に、コンサル共同事業体が業務の停止に踏み切り、全体の工程がさらに遅れている。

背景にはベトナム政府の現行法令の問題がある。インフラ工事で当局の責任者が「ゴーサイン」を出した後、手続きのミスや事故などの問題が発覚した場合、遡って刑事罰に問われる可能性がある。党幹部が汚職と絡めて捜査されるケースがあり、「誰も最終責任を取りたがらない」。工事関係者は打ち明ける。

日立はすでに20年10月から車両の引き渡しを始めている。17編成(51両)のほか、信号システムや受変電設備などを一括して受注した。鉄道建設全体では9割弱の作業が完了したが、開業までにはなお障壁が残る。ホーチミン市当局は事業者側と今後のスケジュールの修正作業を進めている。

当局は開業遅れの理由について「新型コロナウイルスの感染拡大のため」と説明するが、複数の工事関係者は「ベトナム側の支払い遅延などの問題が主因」と言い切る。開業時期は23年末~24年にずれ込むもようだ。

首都ハノイでも、ハノイ・メトロ2A号線(全長約13キロメートル)の開業のめどがいまだに立っていない。中国のODAを活用した総投資額が約9億ドルの案件だ。現地メディアによると、11年に着工し、当初は15年に開業する予定だった。幾度となく延期を繰り返す事態になっている。

直近では「21年4月に運行を始める」とアナウンスしていた。ベトナム政府は大幅な遅れについて「請負業者の中国鉄道第6グループに主な原因がある」と説明してきたが、工事はすでに終了し、フランスのコンサル会社による「安全性」も確認された。今年9月になり、追加コンサル費用の約780万ドルの未払いが判明した。コロナも影響し、交渉に一段と時間がかかっているもようだ。

ベトナムではホーチミン市とハノイの二大都市だけで、合計20弱の都市鉄道の計画があるが、スケジュールは総じて遅れている。大規模なインフラ案件の遅延は他の東南アジアの国でも度々起きるが、ベトナムの場合、一党支配する共産党や中央政府、市の権限が曖昧で「政府支出が絡む案件は特に時間がかかる。敬遠する動きも出ている」(外交関係者)という。

ベトナムはコロナ前まで年7%の成長が続いてきた。大都市の渋滞は年々悪化し、開業の遅れは環境問題や経済発展の阻害要因になる。21年7~9月期の実質国内総生産(GDP)は前年同期比6.17%減と、00年の四半期開示以降で初のマイナス成長になった。

政府が積極的に打開策を講じなければ、成長をけん引してきた外国企業の投資判断にも影響を与えることになる。』

日本製鉄、米国本社機能をヒューストンに移転

日本製鉄、米国本社機能をヒューストンに移転
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA306E20Q1A930C2000000/

『【ヒューストン=花房良祐】日本製鉄は米国の本社機能をニューヨークからヒューストンに11月1日付で移転する。これまで米国では両市とシカゴの3カ所に事業拠点があったが、ヒューストンに統合することで経済成長する米国南部を取り込む。

米国内の3カ所の従業員は現在約30人でヒューストンへの集約後は若干減少する見通し。日鉄は欧州アルセロール・ミタルと折半の合弁事業で米南部アラバマ州に工場を有し、米中部や南部の自動車工場向けに鋼板を生産する。米南部に顧客が多く、ヒューストンに事業所を一本化することで、営業を強化するほか同工場を支援する。

ヒューストンのあるテキサス州には、北部ダラスにトヨタ自動車が北米拠点をカリフォルニアから移転したほか、三菱重工業もニューヨークから移転した。個人所得税や法人所得税がゼロといった他州に比べた割安な税負担が魅力で、賃料など生活コストも西海岸や東海岸の大都市より安いため、米国のハイテク企業も移転先として注目している。

ヒューストンから空路4時間以内で東海岸や西海岸、メキシコの主要都市に出張できることも強み。』

トヨタ、米アラバマ州の新工場が稼働

トヨタ、米アラバマ州の新工場が稼働 新型SUVを生産
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN307PA0Q1A930C2000000/

『【ニューヨーク=中山修志】トヨタ自動車は30日、マツダと共同で建設した米アラバマ州の新工場が稼働したと発表した。トランプ前大統領の要請に応じるかたちで2017年に投資を決定した工場で、米国では5番目の完成車工場となる。米国の自動車市場の伸びは鈍化しており、新工場をグローバルの生産効率化に生かせるかがカギになる。

トヨタは同工場で新型の多目的スポーツ車(SUV)「カローラクロス」を生産する。マツダは2022年1月から未発表の新型SUVの生産を始める計画。生産能力は両社とも15万台の計30万台で、トヨタの米国の生産能力は約149万台に増える。

トヨタにとっては19年末に稼働したメキシコ第2工場以来の新工場となる。23億1100万ドル(約2500億円)をマツダと共同で投資し、計4000人を雇用する。

同工場の建設は、米国の自動車産業の復活をめざすトランプ前大統領の意向に沿うかたちで決まった。メキシコからの輸入車の増加に神経をとがらせていたトランプ氏がメキシコで完成社工場の建設を進めていたトヨタを名指しで批判し、「高い関税を払え」と迫った。トヨタとマツダが米国工場の建設計画を発表すると、トランプ氏は「グレートなニュースだ」と態度を一変した。

だが、トランプ氏は20年の大統領選挙で敗れ、アラバマ工場の完成を待たずに降板した。後任のバイデン大統領は電気自動車(EV)の普及促進を環境政策の柱に据え、米自動車メーカーはこぞってEVシフトを進めている。

トヨタは現時点で米国での具体的なEVの生産計画を示していない。アラバマでつくるカローラクロスもガソリン車だ。北米市場で人気が高いSUVで当面の需要に対応しつつ、いかに電動車両の生産につなげていくかが重要になる。』

中国、「車人材」厚待遇で招く 日本人技術者が流出

中国、「車人材」厚待遇で招く 日本人技術者が流出
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM179620X10C21A8000000/

『世界最大である中国の自動車市場に活躍の舞台を求める日本人技術者が増えている。中国の新興自動車メーカーなどが厚待遇で人材獲得を進め、7月にはトヨタ自動車の元チーフエンジニアも中国の国有自動車大手に移ったことが分かった。ホンダなど日本の大手が大規模な人員削減に踏み切るなか、技術者の流出がさらに膨らむ可能性もある。

「GAC(広州汽車集団)で世界をあっと驚かせる車を造っていきたい」。7月末、中国国有自動車大手の広州汽車が広東省広州市で開いた投資家向けのイベント。同社の研究所で独自ブランド車の企画や開発、品質管理まで全般を統括する首席技術総監に就任したばかりの勝又正人氏は、中国語での自己紹介も織り交ぜ抱負を語った。

勝又氏は1987年にトヨタに入社し、30年以上にわたって主に技術部門でキャリアを積んだ。多くの海外プロジェクトに関わり、主力セダン「カムリ」のチーフエンジニアとしてフルモデルチェンジの指揮を執った経験を持つ。トヨタでエース級だった技術者の中国大手企業への転身は、業界内で驚きを持って受け止められた。

広州汽車のほかにも中国では新興の電気自動車(EV)メーカーを中心に日本の人材獲得に積極的だ。2015年設立の小鵬汽車は19年2月、トヨタで40年近く品質管理に携わった宮下善次氏を「生産品質高級総監」として迎え入れた。

17年設立の宝能汽車集団も20年2月、日産自動車に在籍していたことのある大谷俊明氏ら複数の日本人技術者を幹部に採用した。

移籍する技術者にとって、待遇面と裁量の大きさが魅力となっている。中国企業の募集条件は年収が1000万円を超えるケースも珍しくない。マネジャークラスでは3000万円前後になることもある。入社後は多くの場合で専属の通訳や運転手が付き、中国語が話せなくても仕事や生活で不自由に感じる場面は少ないという。

日本で部下が数人だった技術者が中国では数十人のチームを任せられることもある。勝又氏は「若く、スピード感と活力にあふれた皆さんと一緒にやりたい。それが(広州汽車への)入社の決め手だった」と明かす。

中国の自動車各社は専門人材が不足している。中国政府はEVを基幹産業の一つと位置づけ、多額の販売補助金でメーカーの成長を支えてきた。

多くの新興メーカーが事業を急拡大させているが、生産面のノウハウが乏しい。市場拡大を見越し、技術陣の層を厚くしたいとの思惑がある。

広州汽車の曽慶洪董事長は「現役で活躍している海外人材を今後も積極的に採用していく」と公言する。中国企業に移る日本の技術者は、勤務経験が40年前後で退職を控えたベテランが多かったが、今後はより若い層に広がる可能性もある。

「ホンダの技術者を採りたい」。中国に駐在する日本の人材サービス大手の担当者は最近、中国の自動車メーカーから相談を受けた。ホンダが4月から募集した早期退職に2000人超が応募したことを受けてのことだ。日産も19年以降、世界で1万人超の人員削減に踏み切っている。電動化への対応を迫られた日本メーカーの構造改革は、中国勢にとって人材獲得の好機と映る。

およそ30年前の半導体産業を巡る状況に重なる部分がある。日本の半導体産業は1980年代に隆盛を極めたものの、90年代後半以降は多くの電機メーカーの半導体部門が多額の赤字を計上。技術者が大量に離職し、受け皿となった韓国のサムスン電子は貪欲に技術を取り込み、飛躍した。

自動車産業が同じ轍(てつ)を踏まないという保証はない。

(広州=川上尚志)

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EV特許の競争力、トヨタ首位

EV特許の競争力、トヨタ首位 優位の日本勢は販売に課題
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC05CR00V00C21A8000000/

『電気自動車(EV)の技術で日本の車業界が優位に立っていることが、米国における特許の分析から分かった。特許の重要度をスコア化し出願企業を順位付けしたところ、首位はトヨタ自動車だった。日本企業が上位50社の4割を占めた。ただ、EV販売では米テスラなどに出遅れている。技術力を販売につなげ開発投資の原資を確保する好循環を生み出せなければ、いずれ技術面でも逆転されかねない。

【関連記事】
・日本の車部品、EV特許で優位 テスラなど米国企業も追随

日本経済新聞が特許調査会社パテント・リザルト(東京・文京)と共同で、7月初旬の米国でのEV関連特許を調べた。競合他社によって類似特許として引用された回数や、他社から審判を申し立てられた回数などをスコア化した。回数が多いほど競争力のある重要な特許と評価できる。

EV関連特許にはモーターや電池など車の構成部品に関するものや、充電設備などインフラの技術も含む。首位はトヨタで、3位にホンダが入った。上位50社中21社を日本の車メーカーとデンソーなど部品大手が占めた。

米国企業は2位になったフォード・モーターなど13社が入り、ドイツと韓国がそれぞれ5社だった。中国企業は32位のEV大手、比亜迪(BYD)など2社にとどまった。欧州連合(EU)での特許分析でも、米国と同様に日本企業の技術優位が浮かび上がった。

競争力の源泉はハイブリッド車(HV)で培った技術だ。モーターや電池などHVとEVは共通する部品が多い。トヨタは充放電など電池の制御技術などに強い。1997年に商品化した世界初の量産型HV「プリウス」以来の技術の蓄積が生きている。

自動車関連の特許はかつて米国企業が多く保有し、日本車メーカーは販売を伸ばす中でも多額の支払いを余儀なくされた。その後、技術面でも日本企業は世界の先頭集団に加わり、EV関連ではリードする立場になった。

知的財産権を確保する意味は、権利の使用料が得られるのにとどまらない。内田・鮫島法律事務所の永島太郎弁護士は「生産の差し止めや損害賠償などの請求を通じて他社製品を排除することができ、企業としての競争力も保てる」と指摘する。

だが、販売面で優位に立てなければいずれ、かつての米国勢と同様に技術面でも後退する恐れがある。

米調査サイト「EV Sales」などによると、EVとプラグインハイブリッド車(PHV)の20年の世界販売トップはテスラだった。中国勢はBYDなど7社が上位20社に入り、全体の2割を占めた。日本勢は日産の14位が最高でトヨタは17位だった。

中国勢は、中国本土での特許出願件数は7月時点で3万6800件と全体の67%を占める。引用回数などの競争力は公開データが不足しているため算定できないが、今後、国際的にも台頭する可能性がある。

日本の製造業はテレビやパソコンといった電機製品で世界市場を席巻した時期があるが、ほどほどの品質と低価格を両立させた韓国や中国の企業に逆転された。伊藤忠総研の深尾三四郎上席主任研究員は「日本車メーカーは早急に技術をビジネスにつなげなければEVで電機業界と同じ轍(てつ)を踏むことになりかねない」と指摘する。

この記事の英文をNikkei Asiaで読む 』

トヨタ、次期仮想人体モデルを自動運転対応へ

トヨタ、次期仮想人体モデルを自動運転対応へ 22年中投入
窪野 薫 日経クロステック
2021.08.24
https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/01537/00176/

 ※ こういうものを開発、データ収集・製品に反映…、ができなければ、そのメーカーの「自動車」は、骨折・負傷しまくりの「危険極まりないもの」となる…。

 ※ さらには、「死亡事故」頻発の剣吞なもの(走る”棺桶”)となる…。

 ※ 章夫さんが、「アップルカー」みたいな発想に対して、「”覚悟”を持って、開発して欲しい。」旨の発言をしたのは、そういう意味だろう…。

 ※ この記事の話しは、シミュレーション用の「バーチャル・モデル」だ…。
  何回実験しても、「壊れること」は、無い…(コンピューター上で、シミュレーションする)。

 ※ リアルの「ダミー人形」の方は、1体5億円くらいした…、と聞いたことがある…。
 ※ それだと、データ取る毎に「実車」を1台オシャカにするわけだから、その度に「販売価格300~500万円」の実車の価格が、積み上がって行く…。

 ※ 車の開発費については、諸説が言われているが、一説には一車種あたり、平均300億円~400億円とも言われている…。

 ※ まあ、ムリも無い話しだ…。

 ※ それで、「欠陥車」とか、「リコール頻発」とかになったら、「目も当てられない」ことになる…。

『トヨタ自動車は、車両の衝突シミュレーションなどに使う仮想人体モデル「THUMS(サムス)」の次期型で自動運転対応を強化する。日経クロステックの調べで分かった。座席の背もたれを一定の角度まで倒したり、座席自体を前後回転させたりした状態を想定。これら姿勢時の事故における乗員の動きやケガの程度を予測できる新モデルを現行型に追加して、自動運転車の開発で使えるようにする。2022年中に投入する可能性が高い。

トヨタ自動車は仮想人体モデル「THUMS(サムス)」の自動運転対応を強化
(出所:トヨタ自動車の資料を基に日経クロステックが「Version 7」について加筆)
[画像のクリックで拡大表示]
THUMSでのシミュレーション例
(出所:トヨタ自動車)
[画像のクリックで拡大表示]

 THUMSは、トヨタと豊田中央研究所(愛知県長久手市)が2000年に共同開発した当時「世界初」(トヨタ)の仮想人体モデルで、人間のコンピューター断層撮影装置(CT)スキャン画像を基に生成している。自動車業界で広く普及する衝撃・構造解析ソフトウエア「LS-DYNA」上で使用可能。繰り返しの衝突試験に耐えられる頑丈なダミー人形に対して、仮想人体モデルは実際の人間に近い脆弱な特性を設定できる点が強みだ。』

『2000年に投入したTHUMSの「Version 1」は骨折までしか予測できなかったが、世代を追うごとに対象部位を増やしながら解析の信頼性を高めてきた。現行型の「Version 6」では、筋肉や内臓の精密なモデル化によって、死亡に直結するような脳傷害や内臓損傷などを高精度で予測できるという。

 現行型までのTHUMSは、性別や年齢、体形といったモデルの身体特性は選択できるものの、運転中のモデルについては座席でステアリングホイールを握るという通常の姿勢を基本としている。昨今の自動運転水準の向上を受けて車内空間で様々な姿勢で乗車できることへの期待が高まっていることから、トヨタは「Version 7」に相当する次期型で姿勢の選択肢を増やす必要があると判断した。

 乗車中の姿勢が変われば、シートベルトやエアバッグといった安全装備の乗員保護性能も変わる可能性がある。例えば、自動運転中に座席の背もたれを大きく倒して読書をしていたとき、急減速した先行車に衝突したとする。その際、乗員がどの方向に動くかによってシートベルトやエアバッグの性能が変わってくる。

 トヨタが22年中の投入を見込む次期型のTHUMSは、こうした従来の延長線上では通用しない車両や部品の開発を支援するとともに、調査検討に必要な工数を減らす効果も期待できる。

 同社は21年1月、従来ライセンス販売としてきたTHUMSの無償公開を開始。同分野を協調領域と位置付けて、利用者の増加によるデータやノウハウの効率的な収集を狙う。トヨタはこれらを生かして、次期型以降のTHUMSの開発スピードを速めたい考えだ。

 無償公開の効果は既に出ている。19年4月時点で約100社だった利用企業や研究機関が無償公開によって5倍以上に急増した。特に中国の自動車関連メーカーや大学などの利用者が増加してきたという。トヨタとしても世界最大の自動車市場といえる中国で、THUMSがどのように使われるかは興味深いはずである。』

〔法人数(※ 国税庁の資料)〕

※ と言うことで、「資本金10億円以上」の会社(製造業、非製造業を含む)は、全体の0.3%くらいだ…。

※ そいつらが、巨額の「税金」を納めている…。

※ 国政上、何かと「優遇されている」のも、宣べなるかな…、だ…。

※ やはり、「10億円以上」は、「機械工業」が多いな…。「電気通信公益事業」とは、何だろう…。ドコモとか、ソフバンとかの「携帯キャリア」か…。

※「サービス業」とかは、漠然とし過ぎて、実態がよく分からんな…。

※ まあ、圧倒的に「株式会社」形態が多い…。

※ 「合名会社」も、2社あるな…。

パナソニック、ブラジルでテレビ生産撤退

パナソニック、ブラジルでテレビ生産撤退 拠点6割減
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUF121JE0S1A810C2000000/

『パナソニックは2021年内にブラジルでのテレビ生産から撤退する。19年には8カ所あったテレビの生産拠点を6割減の3カ所まで絞り込む。パナソニックは低価格機種については中国家電大手のTCLに生産委託する方針だ。低コスト体質を確立し、テレビ事業での黒字定着を目指す。

ブラジル北部アマゾナス州の工場で、11月をめどにテレビやオーディオ機器の生産を終了する。同工場はブラジル国内向けの生産拠点で、1981年にテレビ製造を開始。21年3月期には約22万台を生産していた。

関連する従業員は130人程度いるとみられ、年内に解雇する方針。同工場では電子レンジや電子部品の生産も手掛けているが、AV機器以外の生産は継続する。

一時は日本勢が席巻したテレビ市場だが、中韓勢による激しい価格競争に敗れてシェアを失った。パナソニックは2000年代に2桁シェアを確保していたが、15年までに二大市場の米中での生産から撤退。足元のシェアは2%に満たない。

国内勢で世界と競争するのは上位機種に絞ったソニーと、台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業傘下で生産コストを引き下げたシャープなどにとどまる。

パナソニックは21年3月末までに日本、ベトナム、インドでのテレビ生産を止めた。19年にメキシコでの生産も撤退しており、2年間で5カ所で生産を終了することになる。

今後は主に上位機種を手がけるマレーシアと台湾、欧州の3拠点で自社生産を続ける見通し。21年3月期の生産台数は約360万台で、今後の自社生産は主に国内向けの有機ELテレビなど上位機種のみとなる見込みだ。

低価格機種はTCLに生産を委託する方向で調整している。中期的に開発も委託する考え。テレビはパネルが製造コストに占める割合が高く、規模拡大による調達メリットが大きい。テレビ販売で世界3位のTCLに生産委託し、価格競争力がある製品を供給できる体制の構築を目指す。

パナソニックのテレビ事業は20年3月期まで2期連続で赤字だった。足元
では「巣ごもり需要」にテレビの買い替えサイクルが重なった国内の堅調に助けられ、21年3月期に3期ぶりに黒字転換した。足元でも堅調だが黒字化定着にはさらなる固定費削減が必要と判断し、生産委託とともに自社生産拠点の整理も進める。

【関連記事】
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