知財訴訟、大口客トヨタも的 日本製鉄「虎の子」保護へ

知財訴訟、大口客トヨタも的 日本製鉄「虎の子」保護へ
電磁鋼板めぐり事前交渉不調
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC148CS0U1A011C2000000/

『電気自動車(EV)など電動車のモーターに使う電磁鋼板に関し、日本製鉄が自社の特許権を侵害したとしてトヨタ自動車と中国の宝山鋼鉄を提訴した。同鋼板は電動車の基幹部品で、脱炭素が進むとともに知的財産保護が課題となっていた。大口ユーザーもまとめて訴えることで宝山製の電磁鋼板の流通をけん制する狙いがある。知財の重みが増す中で訴訟も新しい段階に入った。

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・日本製鉄、トヨタと中国・宝山を提訴 鋼板特許侵害で
・日本製鉄に迫る中国・宝山鋼鉄 「爆速」で研究開発

訴訟対象になった「無方向性電磁鋼板」は、EVやハイブリッド車(HV)に載せるモーターの部品だ。EVにはエネルギー効率に優れ、長い航続距離を走行できるモーターが求められる。モーターのエネルギー損失を抑えられ高回転にもつながる電磁鋼板は日鉄にとって「虎の子」素材だ。

英LMCオートモーティブによると、世界のEV市場は2030年に2891万台と、20年の13倍に広がる。需要の伸びを見込み、日鉄は電磁鋼板の増産に総額1千億円以上を投資する計画だ。

一方、トヨタは近年「電動車の普及が進んでおり調達先を多様化する」(幹部)として宝山からも電磁鋼板を仕入れ始めていた。日鉄は「特許侵害を看過できない」と判断し、宝山の電磁鋼板を使って電動車を製造・販売するトヨタも同様に訴える展開となった。

特許に詳しい牧野和夫弁護士は「侵害技術が組み込まれた製品を使用したり販売したりする場合も特許侵害に該当する」と話す。トヨタは「調達時に侵害がないことは確認済み」としているが、日鉄は「認識にかかわらず特許侵害品を使うのは違法だ」との立場だ。

自動車向けの鋼材需要は国内需要全体の約3割を占める。日鉄にとってトヨタは最大の顧客でもある。日鉄は提訴に先立ちトヨタと交渉を重ねたが不調に終わったという。玉井克哉・東大教授は「宝山だけを訴えて勝訴しても中国などでの製造を止めるのは簡単ではない。トヨタという大口販売先も訴えることで実効性の高い解決を目指したのではないか」とみる。
日本製鉄は中国・宝山鋼鉄の電磁鋼板を使って電動車を製造・販売するトヨタも訴えた

仮に宝山の特許侵害が認められても、各自動車メーカーが他の中国企業などから類似部品を調達すれば、日鉄にとって何の解決にもならない。

訴訟の争点は主に、①日鉄の特許が有効か②宝山やトヨタが特許侵害をしていたと認められるか――の2点になるとみられる。裁判ではまず権利侵害の有無を判断。侵害が認められれば損害賠償額の算定に移る流れになるもようだ。牧野弁護士は「和解ではなく徹底的に争うとなれば数年単位の時間を要することになるだろう」と指摘する。

日鉄はトヨタに対し、電動車の販売を差し止める仮処分を申し立てている。仮処分命令を下すかどうかは権利侵害の有無を判断してからとみられる。玉井教授は「申し立ての結果が出るのは半年から1年程度かかる可能性がある」と話す。

中国企業である宝山が敗訴した場合、原則的に判決の効力は日本国内にとどまる。同社が日本国内に持つ財産を差し押さえることなどは可能だが、中国で強制的に執行することはできない。ただその場合、トヨタの製品使用や販売が差し止められる可能性が高いため、日鉄は侵害リスクを防ぐことができる。

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日本製鉄、トヨタと中国・宝山を提訴

日本製鉄、トヨタと中国・宝山を提訴 鋼板特許侵害で
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC1466O0U1A011C2000000/

 ※ 「品質で日本勢にせまる…」って、しょせんは「特許侵害」か…。

 ※ トヨタも、脇が甘かったな…。

 ※ 自分で地道に「研究・開発」する…、ということをやらんから、困るよ…。

『日本製鉄は14日、電動車のモーターに使う電磁鋼板に関する自社の特許権を侵害したとして、トヨタ自動車と鉄鋼世界最大手の中国宝武鋼鉄集団の子会社、宝山鋼鉄を東京地裁に提訴したと発表した。両社にはそれぞれ200億円の損害賠償を求めるとともに、トヨタには国内で対象となる電動車の製造販売の差し止め仮処分を申し立てた。

鋼材の成分など日鉄の特許に抵触する製品を宝山がトヨタに供給し、同社が国内で販売する電動車に搭載していたため、提訴に至ったという。』

トヨタ、EVで中国製特殊鋼板採用 品質で日本勢に迫る
https://http476386114.com/2020/08/11/%e3%83%88%e3%83%a8%e3%82%bf%e3%80%81ev%e3%81%a7%e4%b8%ad%e5%9b%bd%e8%a3%bd%e7%89%b9%e6%ae%8a%e9%8b%bc%e6%9d%bf%e6%8e%a1%e7%94%a8%e3%80%80%e5%93%81%e8%b3%aa%e3%81%a7%e6%97%a5%e6%9c%ac%e5%8b%a2%e3%81%ab/

ベトナム初の都市鉄道、開業なお見えず 政治問題が壁に

ベトナム初の都市鉄道、開業なお見えず 政治問題が壁に
支払い遅延が主因、計画変更相次ぐ
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM29B8P0Z20C21A9000000/

『【ハノイ=大西智也】ベトナム初の都市鉄道の開業が宙に浮いている。日立製作所が車両を供給するホーチミン市の案件は2021年末の予定を断念し、2年以上先送りされる見通しだ。中国が支援する首都ハノイの計画は約10回の運行延期を繰り返している。ベトナム特有の政治的な問題による支払い遅延などが主因だ。21年7~9月期に初のマイナス成長に陥った経済発展の足かせになりかねない。

南部の最大都市、ホーチミン市の中心部から北東に延びる国道1号線に沿って、真新しい高架橋や駅舎の整備が進む。ホーチミン・メトロ1号線(全長約20キロメートル)は日本の政府開発援助(ODA)を活用し、総投資額43兆7千億ドン(約2100億円)の大型案件だ。
勝機とみて「オールジャパン」で参画した日本の鉄道関連企業は今、頭を悩ませる。日立のほか、工区や工事の中身で住友商事、三井住友建設、清水建設、前田建設工業などが施工を担当する。「様々な問題を克服し、できるだけ早く完成したい」。コンサルティング業務を請け負う共同事業体の中心である日本工営の担当者は強調する。

12年に着工し、最初は18年の運行開始を見込んでいた。ところが、ベトナム特有の事情が次々と日本企業を襲うことになった。

総事業費の大半は日本のODAだ。支払い遅延は生じないはずだが、設計変更などで事業費が当初計画の3倍近くに増えたことが問題を複雑にした。予算の修正は国会の承認が必要とされたが、政府側は公的債務残高の拡大を避けるため、国会審議がなかなか進まなかった。中央政府からの予算措置が遅れたことが、未払いにつながった。

「支払いが進まなければ工事を中止する」。18年に未払い金額が1億ドル(約110億円)を超え、梅田邦夫大使(当時)がベトナム指導部に対して書簡を送付する異例の事態に発展した。19年に入って徐々に解消したものの、7月には4年以上に及ぶコンサル業務への未払いを理由に、コンサル共同事業体が業務の停止に踏み切り、全体の工程がさらに遅れている。

背景にはベトナム政府の現行法令の問題がある。インフラ工事で当局の責任者が「ゴーサイン」を出した後、手続きのミスや事故などの問題が発覚した場合、遡って刑事罰に問われる可能性がある。党幹部が汚職と絡めて捜査されるケースがあり、「誰も最終責任を取りたがらない」。工事関係者は打ち明ける。

日立はすでに20年10月から車両の引き渡しを始めている。17編成(51両)のほか、信号システムや受変電設備などを一括して受注した。鉄道建設全体では9割弱の作業が完了したが、開業までにはなお障壁が残る。ホーチミン市当局は事業者側と今後のスケジュールの修正作業を進めている。

当局は開業遅れの理由について「新型コロナウイルスの感染拡大のため」と説明するが、複数の工事関係者は「ベトナム側の支払い遅延などの問題が主因」と言い切る。開業時期は23年末~24年にずれ込むもようだ。

首都ハノイでも、ハノイ・メトロ2A号線(全長約13キロメートル)の開業のめどがいまだに立っていない。中国のODAを活用した総投資額が約9億ドルの案件だ。現地メディアによると、11年に着工し、当初は15年に開業する予定だった。幾度となく延期を繰り返す事態になっている。

直近では「21年4月に運行を始める」とアナウンスしていた。ベトナム政府は大幅な遅れについて「請負業者の中国鉄道第6グループに主な原因がある」と説明してきたが、工事はすでに終了し、フランスのコンサル会社による「安全性」も確認された。今年9月になり、追加コンサル費用の約780万ドルの未払いが判明した。コロナも影響し、交渉に一段と時間がかかっているもようだ。

ベトナムではホーチミン市とハノイの二大都市だけで、合計20弱の都市鉄道の計画があるが、スケジュールは総じて遅れている。大規模なインフラ案件の遅延は他の東南アジアの国でも度々起きるが、ベトナムの場合、一党支配する共産党や中央政府、市の権限が曖昧で「政府支出が絡む案件は特に時間がかかる。敬遠する動きも出ている」(外交関係者)という。

ベトナムはコロナ前まで年7%の成長が続いてきた。大都市の渋滞は年々悪化し、開業の遅れは環境問題や経済発展の阻害要因になる。21年7~9月期の実質国内総生産(GDP)は前年同期比6.17%減と、00年の四半期開示以降で初のマイナス成長になった。

政府が積極的に打開策を講じなければ、成長をけん引してきた外国企業の投資判断にも影響を与えることになる。』

日本製鉄、米国本社機能をヒューストンに移転

日本製鉄、米国本社機能をヒューストンに移転
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA306E20Q1A930C2000000/

『【ヒューストン=花房良祐】日本製鉄は米国の本社機能をニューヨークからヒューストンに11月1日付で移転する。これまで米国では両市とシカゴの3カ所に事業拠点があったが、ヒューストンに統合することで経済成長する米国南部を取り込む。

米国内の3カ所の従業員は現在約30人でヒューストンへの集約後は若干減少する見通し。日鉄は欧州アルセロール・ミタルと折半の合弁事業で米南部アラバマ州に工場を有し、米中部や南部の自動車工場向けに鋼板を生産する。米南部に顧客が多く、ヒューストンに事業所を一本化することで、営業を強化するほか同工場を支援する。

ヒューストンのあるテキサス州には、北部ダラスにトヨタ自動車が北米拠点をカリフォルニアから移転したほか、三菱重工業もニューヨークから移転した。個人所得税や法人所得税がゼロといった他州に比べた割安な税負担が魅力で、賃料など生活コストも西海岸や東海岸の大都市より安いため、米国のハイテク企業も移転先として注目している。

ヒューストンから空路4時間以内で東海岸や西海岸、メキシコの主要都市に出張できることも強み。』

トヨタ、米アラバマ州の新工場が稼働

トヨタ、米アラバマ州の新工場が稼働 新型SUVを生産
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN307PA0Q1A930C2000000/

『【ニューヨーク=中山修志】トヨタ自動車は30日、マツダと共同で建設した米アラバマ州の新工場が稼働したと発表した。トランプ前大統領の要請に応じるかたちで2017年に投資を決定した工場で、米国では5番目の完成車工場となる。米国の自動車市場の伸びは鈍化しており、新工場をグローバルの生産効率化に生かせるかがカギになる。

トヨタは同工場で新型の多目的スポーツ車(SUV)「カローラクロス」を生産する。マツダは2022年1月から未発表の新型SUVの生産を始める計画。生産能力は両社とも15万台の計30万台で、トヨタの米国の生産能力は約149万台に増える。

トヨタにとっては19年末に稼働したメキシコ第2工場以来の新工場となる。23億1100万ドル(約2500億円)をマツダと共同で投資し、計4000人を雇用する。

同工場の建設は、米国の自動車産業の復活をめざすトランプ前大統領の意向に沿うかたちで決まった。メキシコからの輸入車の増加に神経をとがらせていたトランプ氏がメキシコで完成社工場の建設を進めていたトヨタを名指しで批判し、「高い関税を払え」と迫った。トヨタとマツダが米国工場の建設計画を発表すると、トランプ氏は「グレートなニュースだ」と態度を一変した。

だが、トランプ氏は20年の大統領選挙で敗れ、アラバマ工場の完成を待たずに降板した。後任のバイデン大統領は電気自動車(EV)の普及促進を環境政策の柱に据え、米自動車メーカーはこぞってEVシフトを進めている。

トヨタは現時点で米国での具体的なEVの生産計画を示していない。アラバマでつくるカローラクロスもガソリン車だ。北米市場で人気が高いSUVで当面の需要に対応しつつ、いかに電動車両の生産につなげていくかが重要になる。』

中国、「車人材」厚待遇で招く 日本人技術者が流出

中国、「車人材」厚待遇で招く 日本人技術者が流出
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM179620X10C21A8000000/

『世界最大である中国の自動車市場に活躍の舞台を求める日本人技術者が増えている。中国の新興自動車メーカーなどが厚待遇で人材獲得を進め、7月にはトヨタ自動車の元チーフエンジニアも中国の国有自動車大手に移ったことが分かった。ホンダなど日本の大手が大規模な人員削減に踏み切るなか、技術者の流出がさらに膨らむ可能性もある。

「GAC(広州汽車集団)で世界をあっと驚かせる車を造っていきたい」。7月末、中国国有自動車大手の広州汽車が広東省広州市で開いた投資家向けのイベント。同社の研究所で独自ブランド車の企画や開発、品質管理まで全般を統括する首席技術総監に就任したばかりの勝又正人氏は、中国語での自己紹介も織り交ぜ抱負を語った。

勝又氏は1987年にトヨタに入社し、30年以上にわたって主に技術部門でキャリアを積んだ。多くの海外プロジェクトに関わり、主力セダン「カムリ」のチーフエンジニアとしてフルモデルチェンジの指揮を執った経験を持つ。トヨタでエース級だった技術者の中国大手企業への転身は、業界内で驚きを持って受け止められた。

広州汽車のほかにも中国では新興の電気自動車(EV)メーカーを中心に日本の人材獲得に積極的だ。2015年設立の小鵬汽車は19年2月、トヨタで40年近く品質管理に携わった宮下善次氏を「生産品質高級総監」として迎え入れた。

17年設立の宝能汽車集団も20年2月、日産自動車に在籍していたことのある大谷俊明氏ら複数の日本人技術者を幹部に採用した。

移籍する技術者にとって、待遇面と裁量の大きさが魅力となっている。中国企業の募集条件は年収が1000万円を超えるケースも珍しくない。マネジャークラスでは3000万円前後になることもある。入社後は多くの場合で専属の通訳や運転手が付き、中国語が話せなくても仕事や生活で不自由に感じる場面は少ないという。

日本で部下が数人だった技術者が中国では数十人のチームを任せられることもある。勝又氏は「若く、スピード感と活力にあふれた皆さんと一緒にやりたい。それが(広州汽車への)入社の決め手だった」と明かす。

中国の自動車各社は専門人材が不足している。中国政府はEVを基幹産業の一つと位置づけ、多額の販売補助金でメーカーの成長を支えてきた。

多くの新興メーカーが事業を急拡大させているが、生産面のノウハウが乏しい。市場拡大を見越し、技術陣の層を厚くしたいとの思惑がある。

広州汽車の曽慶洪董事長は「現役で活躍している海外人材を今後も積極的に採用していく」と公言する。中国企業に移る日本の技術者は、勤務経験が40年前後で退職を控えたベテランが多かったが、今後はより若い層に広がる可能性もある。

「ホンダの技術者を採りたい」。中国に駐在する日本の人材サービス大手の担当者は最近、中国の自動車メーカーから相談を受けた。ホンダが4月から募集した早期退職に2000人超が応募したことを受けてのことだ。日産も19年以降、世界で1万人超の人員削減に踏み切っている。電動化への対応を迫られた日本メーカーの構造改革は、中国勢にとって人材獲得の好機と映る。

およそ30年前の半導体産業を巡る状況に重なる部分がある。日本の半導体産業は1980年代に隆盛を極めたものの、90年代後半以降は多くの電機メーカーの半導体部門が多額の赤字を計上。技術者が大量に離職し、受け皿となった韓国のサムスン電子は貪欲に技術を取り込み、飛躍した。

自動車産業が同じ轍(てつ)を踏まないという保証はない。

(広州=川上尚志)

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EV特許の競争力、トヨタ首位

EV特許の競争力、トヨタ首位 優位の日本勢は販売に課題
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC05CR00V00C21A8000000/

『電気自動車(EV)の技術で日本の車業界が優位に立っていることが、米国における特許の分析から分かった。特許の重要度をスコア化し出願企業を順位付けしたところ、首位はトヨタ自動車だった。日本企業が上位50社の4割を占めた。ただ、EV販売では米テスラなどに出遅れている。技術力を販売につなげ開発投資の原資を確保する好循環を生み出せなければ、いずれ技術面でも逆転されかねない。

【関連記事】
・日本の車部品、EV特許で優位 テスラなど米国企業も追随

日本経済新聞が特許調査会社パテント・リザルト(東京・文京)と共同で、7月初旬の米国でのEV関連特許を調べた。競合他社によって類似特許として引用された回数や、他社から審判を申し立てられた回数などをスコア化した。回数が多いほど競争力のある重要な特許と評価できる。

EV関連特許にはモーターや電池など車の構成部品に関するものや、充電設備などインフラの技術も含む。首位はトヨタで、3位にホンダが入った。上位50社中21社を日本の車メーカーとデンソーなど部品大手が占めた。

米国企業は2位になったフォード・モーターなど13社が入り、ドイツと韓国がそれぞれ5社だった。中国企業は32位のEV大手、比亜迪(BYD)など2社にとどまった。欧州連合(EU)での特許分析でも、米国と同様に日本企業の技術優位が浮かび上がった。

競争力の源泉はハイブリッド車(HV)で培った技術だ。モーターや電池などHVとEVは共通する部品が多い。トヨタは充放電など電池の制御技術などに強い。1997年に商品化した世界初の量産型HV「プリウス」以来の技術の蓄積が生きている。

自動車関連の特許はかつて米国企業が多く保有し、日本車メーカーは販売を伸ばす中でも多額の支払いを余儀なくされた。その後、技術面でも日本企業は世界の先頭集団に加わり、EV関連ではリードする立場になった。

知的財産権を確保する意味は、権利の使用料が得られるのにとどまらない。内田・鮫島法律事務所の永島太郎弁護士は「生産の差し止めや損害賠償などの請求を通じて他社製品を排除することができ、企業としての競争力も保てる」と指摘する。

だが、販売面で優位に立てなければいずれ、かつての米国勢と同様に技術面でも後退する恐れがある。

米調査サイト「EV Sales」などによると、EVとプラグインハイブリッド車(PHV)の20年の世界販売トップはテスラだった。中国勢はBYDなど7社が上位20社に入り、全体の2割を占めた。日本勢は日産の14位が最高でトヨタは17位だった。

中国勢は、中国本土での特許出願件数は7月時点で3万6800件と全体の67%を占める。引用回数などの競争力は公開データが不足しているため算定できないが、今後、国際的にも台頭する可能性がある。

日本の製造業はテレビやパソコンといった電機製品で世界市場を席巻した時期があるが、ほどほどの品質と低価格を両立させた韓国や中国の企業に逆転された。伊藤忠総研の深尾三四郎上席主任研究員は「日本車メーカーは早急に技術をビジネスにつなげなければEVで電機業界と同じ轍(てつ)を踏むことになりかねない」と指摘する。

この記事の英文をNikkei Asiaで読む 』

トヨタ、次期仮想人体モデルを自動運転対応へ

トヨタ、次期仮想人体モデルを自動運転対応へ 22年中投入
窪野 薫 日経クロステック
2021.08.24
https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/01537/00176/

 ※ こういうものを開発、データ収集・製品に反映…、ができなければ、そのメーカーの「自動車」は、骨折・負傷しまくりの「危険極まりないもの」となる…。

 ※ さらには、「死亡事故」頻発の剣吞なもの(走る”棺桶”)となる…。

 ※ 章夫さんが、「アップルカー」みたいな発想に対して、「”覚悟”を持って、開発して欲しい。」旨の発言をしたのは、そういう意味だろう…。

 ※ この記事の話しは、シミュレーション用の「バーチャル・モデル」だ…。
  何回実験しても、「壊れること」は、無い…(コンピューター上で、シミュレーションする)。

 ※ リアルの「ダミー人形」の方は、1体5億円くらいした…、と聞いたことがある…。
 ※ それだと、データ取る毎に「実車」を1台オシャカにするわけだから、その度に「販売価格300~500万円」の実車の価格が、積み上がって行く…。

 ※ 車の開発費については、諸説が言われているが、一説には一車種あたり、平均300億円~400億円とも言われている…。

 ※ まあ、ムリも無い話しだ…。

 ※ それで、「欠陥車」とか、「リコール頻発」とかになったら、「目も当てられない」ことになる…。

『トヨタ自動車は、車両の衝突シミュレーションなどに使う仮想人体モデル「THUMS(サムス)」の次期型で自動運転対応を強化する。日経クロステックの調べで分かった。座席の背もたれを一定の角度まで倒したり、座席自体を前後回転させたりした状態を想定。これら姿勢時の事故における乗員の動きやケガの程度を予測できる新モデルを現行型に追加して、自動運転車の開発で使えるようにする。2022年中に投入する可能性が高い。

トヨタ自動車は仮想人体モデル「THUMS(サムス)」の自動運転対応を強化
(出所:トヨタ自動車の資料を基に日経クロステックが「Version 7」について加筆)
[画像のクリックで拡大表示]
THUMSでのシミュレーション例
(出所:トヨタ自動車)
[画像のクリックで拡大表示]

 THUMSは、トヨタと豊田中央研究所(愛知県長久手市)が2000年に共同開発した当時「世界初」(トヨタ)の仮想人体モデルで、人間のコンピューター断層撮影装置(CT)スキャン画像を基に生成している。自動車業界で広く普及する衝撃・構造解析ソフトウエア「LS-DYNA」上で使用可能。繰り返しの衝突試験に耐えられる頑丈なダミー人形に対して、仮想人体モデルは実際の人間に近い脆弱な特性を設定できる点が強みだ。』

『2000年に投入したTHUMSの「Version 1」は骨折までしか予測できなかったが、世代を追うごとに対象部位を増やしながら解析の信頼性を高めてきた。現行型の「Version 6」では、筋肉や内臓の精密なモデル化によって、死亡に直結するような脳傷害や内臓損傷などを高精度で予測できるという。

 現行型までのTHUMSは、性別や年齢、体形といったモデルの身体特性は選択できるものの、運転中のモデルについては座席でステアリングホイールを握るという通常の姿勢を基本としている。昨今の自動運転水準の向上を受けて車内空間で様々な姿勢で乗車できることへの期待が高まっていることから、トヨタは「Version 7」に相当する次期型で姿勢の選択肢を増やす必要があると判断した。

 乗車中の姿勢が変われば、シートベルトやエアバッグといった安全装備の乗員保護性能も変わる可能性がある。例えば、自動運転中に座席の背もたれを大きく倒して読書をしていたとき、急減速した先行車に衝突したとする。その際、乗員がどの方向に動くかによってシートベルトやエアバッグの性能が変わってくる。

 トヨタが22年中の投入を見込む次期型のTHUMSは、こうした従来の延長線上では通用しない車両や部品の開発を支援するとともに、調査検討に必要な工数を減らす効果も期待できる。

 同社は21年1月、従来ライセンス販売としてきたTHUMSの無償公開を開始。同分野を協調領域と位置付けて、利用者の増加によるデータやノウハウの効率的な収集を狙う。トヨタはこれらを生かして、次期型以降のTHUMSの開発スピードを速めたい考えだ。

 無償公開の効果は既に出ている。19年4月時点で約100社だった利用企業や研究機関が無償公開によって5倍以上に急増した。特に中国の自動車関連メーカーや大学などの利用者が増加してきたという。トヨタとしても世界最大の自動車市場といえる中国で、THUMSがどのように使われるかは興味深いはずである。』

〔法人数(※ 国税庁の資料)〕

※ と言うことで、「資本金10億円以上」の会社(製造業、非製造業を含む)は、全体の0.3%くらいだ…。

※ そいつらが、巨額の「税金」を納めている…。

※ 国政上、何かと「優遇されている」のも、宣べなるかな…、だ…。

※ やはり、「10億円以上」は、「機械工業」が多いな…。「電気通信公益事業」とは、何だろう…。ドコモとか、ソフバンとかの「携帯キャリア」か…。

※「サービス業」とかは、漠然とし過ぎて、実態がよく分からんな…。

※ まあ、圧倒的に「株式会社」形態が多い…。

※ 「合名会社」も、2社あるな…。

パナソニック、ブラジルでテレビ生産撤退

パナソニック、ブラジルでテレビ生産撤退 拠点6割減
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUF121JE0S1A810C2000000/

『パナソニックは2021年内にブラジルでのテレビ生産から撤退する。19年には8カ所あったテレビの生産拠点を6割減の3カ所まで絞り込む。パナソニックは低価格機種については中国家電大手のTCLに生産委託する方針だ。低コスト体質を確立し、テレビ事業での黒字定着を目指す。

ブラジル北部アマゾナス州の工場で、11月をめどにテレビやオーディオ機器の生産を終了する。同工場はブラジル国内向けの生産拠点で、1981年にテレビ製造を開始。21年3月期には約22万台を生産していた。

関連する従業員は130人程度いるとみられ、年内に解雇する方針。同工場では電子レンジや電子部品の生産も手掛けているが、AV機器以外の生産は継続する。

一時は日本勢が席巻したテレビ市場だが、中韓勢による激しい価格競争に敗れてシェアを失った。パナソニックは2000年代に2桁シェアを確保していたが、15年までに二大市場の米中での生産から撤退。足元のシェアは2%に満たない。

国内勢で世界と競争するのは上位機種に絞ったソニーと、台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業傘下で生産コストを引き下げたシャープなどにとどまる。

パナソニックは21年3月末までに日本、ベトナム、インドでのテレビ生産を止めた。19年にメキシコでの生産も撤退しており、2年間で5カ所で生産を終了することになる。

今後は主に上位機種を手がけるマレーシアと台湾、欧州の3拠点で自社生産を続ける見通し。21年3月期の生産台数は約360万台で、今後の自社生産は主に国内向けの有機ELテレビなど上位機種のみとなる見込みだ。

低価格機種はTCLに生産を委託する方向で調整している。中期的に開発も委託する考え。テレビはパネルが製造コストに占める割合が高く、規模拡大による調達メリットが大きい。テレビ販売で世界3位のTCLに生産委託し、価格競争力がある製品を供給できる体制の構築を目指す。

パナソニックのテレビ事業は20年3月期まで2期連続で赤字だった。足元
では「巣ごもり需要」にテレビの買い替えサイクルが重なった国内の堅調に助けられ、21年3月期に3期ぶりに黒字転換した。足元でも堅調だが黒字化定着にはさらなる固定費削減が必要と判断し、生産委託とともに自社生産拠点の整理も進める。

【関連記事】
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・パナソニックは変われるか 前会長・社長と社外取に聞く 』

ホンダ、早期退職2000人超

ホンダ、早期退職2000人超 EV見据え世代交代
【イブニングスクープ】
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC051GS0V00C21A8000000/

 ※ トヨタの章夫社長も獅子吼しているように、「100年に一度の変革に対応できない者は、去れ!」ということだろう…。

 ※ ガイシのところでも見たように、「時代の変化」に適応して、「自らの姿を、変えて行けないもの」は、生き残ることはできない…。

 ※ 生物も、ヒトも、会社も、それは同じだ…。

『ホンダが55歳以上の社員を対象に募った早期退職に2000人超が応募したことが5日、分かった。国内正社員の約5%に当たる。電気自動車(EV)シフトを見据え、担い手となる社員の世代交代を進める。自動車メーカーで内燃機関の生産・販売を主体とした従業員構成を見直す動きが広がる可能性がある。

【関連記事】ホンダ早期退職が映すEVの波 崩れる産業ピラミッド

ホンダが早期退職を募集するのは約10年ぶり。今回の早期退職優遇制度は55歳以上64歳未満が対象で、退職金に最大3年分の賃金を上乗せする。4月に募集を始めすでに締め切り、応募状況を労働組合に伝えた。ホンダは応募者の目標を設けなかったが、当初想定の1000人を大幅に上回った。同社の国内従業員数(期間従業員やパートなど除く)は制度対象の子会社を含め3月末時点で約4万人。

応募者は半分ほどが60歳未満で、すでに7月末から退職者が出ている。ホンダは2022年3月期に退職金の割増費用を数百億円程度計上する見通し。22年度以降も制度を続ける予定で、対象者は59歳未満に絞る。同社は日本経済新聞の取材に「退職する社員の転進を支援する狙いが主だ」とコメントした。

同社が人員削減に踏み切るのは、内燃機関から電動化や自動運転へシフトが急務となるなか、中高年層に偏った社員構成を見直すためだ。若手登用を進め、新技術への対応を急ぐ。ホンダは40年までに新車販売をEVと燃料電池車のみにする目標を4月に公表している。

ホンダは4日、22年3月期の連結純利益(国際会計基準)を上方修正し、前期比2%増の6700億円となる見通しだと発表した。米国などで販売が上向いているためだが、主力の四輪事業は営業利益率が前期で1%と低迷している。電動化や自動運転で研究開発などの投資負担が増しており、人件費削減による採算改善の効果もある。

自動車業界では19年に日産自動車が22年度までに世界で約1万人超の人員削減を実施すると発表した。ホンダは四輪を中心に国内外の工場を閉鎖するなど構造改革を進めており、業績が堅調な中での人員削減となる。

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室橋祐貴のアバター
室橋祐貴
日本若者協議会 代表理事

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ひとこと解説 EUでは産業転換(脱炭素化)を促すためにジャストトランジション(公正な移行=気候変動に対応する過程で発生する雇用問題・失業問題に対し対策を取ること)に注力し、例えば9兆円規模の社会気候基金を立ち上げていますが、日本はスピードも規模も小さく、官民が連携してもっと本腰を入れるべきです。
2021年8月5日 18:42いいね
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中西孝樹
ナカニシ自動車産業リサーチ 代表アナリスト
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貴重な体験談 7月末に過去からお世話になった数名のベテランHonda社員のかたから退職のご挨拶を受けていました。こういう背景だったわけですね。皆さん、ハッピー・アーリー・リタイアメントでした。

数年前、GMも好業績下にもかかわらず大構造改革を実施し我々を驚かせました。その痛みが現在の同社のEV化やデジタル転換への優勢を生み出しています。
2021年8月5日 18:26いいね
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大湾秀雄
早稲田大学 教授

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ひとこと解説 EVや自動運転へのシフトが加速する中、陳腐化した技能を持つ社員の早期退職だけでは不十分だし、残った社員のエンゲージメントも低下する。早急に社員が腹落ちする事業ビジョンを構築し、そのために必要な人材を確保するための、全社的なリスキリングと採用プラン作りに取り組まなければいけない。しかし、これまでホンダはエンジン技術の強みを軸に事業戦略を立ててきただけに、新たな強みをどこに置くのかというビジョンの構想は他社よりも難航するだろう。
2021年8月5日 18:35いいね
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風早隆弘
クレディ・スイス証券 株式調査部 株式調査共同統括部長

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ひとこと解説 小売り業界というと、販売という印象がありますが、企業の競争優位性を確保するためには、IT物流、在庫管理、商品開発などのビジネスの仕組みを進化させるための人材獲得と組織づくりも重要な経営テーマです。こうした観点で、本記事を捉えてみると、自動車メーカーの経営判断を受けて、業界の枠組みを超えた人材確保の機会が、小売り業界にも到来していると考えることも可能です。実際に、ベビー子ども用品専門店の西松屋チェーンは、一見すると小売り業界とは全く畑の違うパナソニックやシャープなど家電メーカーの人材を積極採用し、自社商品の開発力を引き上げることに成功しています。
2021年8月6日 8:08いいね
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杉本貴司
編集委員・論説委員

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別の視点 ホンダといえば2040年までの「脱エンジン宣言」が話題になりました。ご自身も内燃機関のエンジニアだった三部敏宏社長に先日、「エンジンなき後のホンダは競争力を失わないか」と単刀直入に聞きました。三部さんの答えは「エンジンを作ってきたエンジニアそのものがホンダの武器だ。エンジンを失ってもホンダがダメになるわけではない」、でした。

三部さんは研究所の出身。創る対象が変わっても同僚たちの能力は十分に通用する。そういう趣旨と受け取りました。「ゼロカーボンは極めて高い壁。(今から)やらないと間に合わなくなる」とも。早期退職というと後ろ向きなイメージもありますが、ホンダのシフトチェンジに期待です。
2021年8月5日 19:53いいね
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石塚由紀夫のアバター
石塚由紀夫
日本経済新聞社 編集委員

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ひとこと解説 内燃機関から電動化へ。クルマという外観は変わらずとも、必要とされる技術はガラリと変わります。どんなに内燃機関に詳しいエンジニアであっても、これまでに培った知識や情報を基に働き続けるのは困難です。それはホンダに限らず、自動車産業全体にいえることです。

働く側と会社側が双方納得したうえでの早期退職が理想的ですが、転職先が見つからないなど退社後の展望が開けず、会社にとどまざるを得ない社員もいるはず。技術・知識が陳腐化した社員のリスキリング(技術の習得し直し)を会社がどう支援するのか。今後の課題になるでしょう。
2021年8月5日 18:44いいね
68 』

EVが崩す「自動車ピラミッド」

EVが崩す「自動車ピラミッド」 部品産業、雇用1割減も
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC131TX0T10C21A7000000/

『ホンダが電気自動車(EV)への移行を見据えて2000人超の社員を早期退職で減らす。EVシフトでは複雑な加工が必要となるエンジンなどが不要になって部品数が半減する。国内の車部品メーカーで働く約70万人のうち、1割の雇用がなくなるとの試算もある。日本の製造業出荷額の2割を占める基幹産業に「脱炭素」の大波が構造変化を迫る。

【関連記事】ホンダ、早期退職2000人超 EV見据え世代交代
栃木県真岡市。ここにEVシフトによる産業構造の移り変わりを象徴する工場がある。エンジン部品やガソリン車の駆動部品を生産するホンダのパワートレインユニット製造部だ。
6月4日、2025年の閉鎖が発表された。約900人の従業員は他の拠点へ配置転換する。ホンダは4月に40年にガソリン車を全廃して新車をすべてEVなどにする方針を打ち出した。同工場の閉鎖も電動化でエンジン部品の生産量が減少することなどが背景にある。

EV化を見据えて今春に募った55歳以上の社員を対象とする早期退職には2000人超が応募した。国内の正社員の約5%に当たる規模だ。

崩れる自動車ピラミッド

ガソリン車で3万点ある部品数はEVになると4~5割減るとされる。中でも車の最重要部品であるエンジンがなくなる影響が大きい。

世界の大手自動車メーカーはこれまで一貫してエンジンを自社で開発、生産して乗用車に搭載してきた。車大手が関連部品を生産する多数のメーカーを束ねて産業ピラミッドをつくり、利益を部品会社と囲い込むことで競争力を維持してきた。東京商工リサーチによると、自動車メーカーに直接部品を納入する国内の一次取引先は7500社、一次に部品を納める二次取引先は1万5000社に達する。

EVの駆動部品はモーターやインバーター、それらを一体化した「eアクスル」などの駆動装置に置き換わる。いずれも構造はエンジンよりも単純だ。車メーカーが部品会社を囲い込む巨大な産業ピラミッドの重要性は薄れ、異業種からの参入障壁も大幅に下がる。新規参入組を含む「自動車メーカー」は車の設計やデザイン、ソフトウエアなどの開発に専念し、生産は別の企業に任せるデジタル家電と同様の「水平分業」モデルが広がる可能性がある。

電子機器の受託生産世界最大手の台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業はEVの受託生産を始めることを決めた。鴻海に委託すれば、工場を設けて生産設備を持たなくても自社ブランドのEVが容易に造れるようになる。スズキの鈴木修前会長は水平分業が進むと「既存の産業ピラミッドは崩れ去る」と語る。

雇用1割減も

EVへの移行で懸念が大きいのが雇用への影響だ。コンサルティング会社のアーサー・ディ・リトル・ジャパンによると、国内で68万6000人の自動車部品に関連する雇用のうち、EV化で50年までに8万4000人の従業員が減る可能性がある。エンジン関連などの基幹部品ほど国内で生産している企業が多く、雇用への影響が大きくなる。

エンジンがなくなることで雇用が減る

日本と並ぶ自動車大国のドイツでは早くもEVシフトで雇用が減り始めた。独Ifo経済研究所は5月、EVシフトが進むと、30年までに少なくとも同国で21万5000人の雇用に影響が出るとの調査をまとめた。内燃機関にかかわる雇用は19年に61万3000人だったとし、約4割に影響が及ぶことになる。

独ボッシュのフォルクマル・デナー社長は「エンジンの燃料噴射装置の生産に10人が必要だった。モーターは1人だ」と話す。同国の車大手ではフォルクスワーゲン(VW)やダイムラーなどがすでにEVへの移行を見越して工場従業員の整理を決めた。

EV市場の拡大を見込み素材価格が上昇している

素材価格は高騰

EV化はサプライチェーン(供給網)の上流にある原材料の価格にも影響を及ぼす。電池の材料に使う希少金属(レアメタル)の「リチウム」は、最大輸入国である中国で炭酸リチウムの取引価格が4月に9万元と2年半ぶりの高値を付けた。

モーターなどに使う銅もEV向けの需要などを見込んだ投機マネーが流入し、指標となるロンドン金属取引所(LME)の3カ月先物価格が5月、10年ぶりに最高値を更新した。モーター用磁石などに使われる希土類(レアアース)の「ネオジム」の国際価格も高い。国際エネルギー機関(IEA)の予測ではEV関連のネオジムの需要は40年に20年の6倍になる。

リチウムや銅などは家電などにも幅広く使われている。EVへの移行が生活に欠かせない様々な家電製品の価格を引き上げる可能性もある。

(山田遼太郎、阿部晃太朗)』

IT・電子部品、進む中国依存

IT・電子部品、進む中国依存 15品目でシェア3割超
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC13BY10T10C21A7000000/

『世界のIT(情報技術)・電子部品で中国依存が一段と強まっている。日本経済新聞が主要な製品・サービスの市場シェアを調べたところ、中国企業が3割超のシェアを占めた品目は液晶パネルや電池部材など15に上った。米政権が先端製品の自国生産強化を打ち出すなどしているが、中国に頼らない供給網構築の難しさが浮き彫りになった。

【関連記事】世界シェア、日本勢首位は7品目どまり
世界の経済活動で重要な最終製品やサービス、中核部品、材料の計70品目を対象に、2020年の「主要商品・サービスシェア調査」を実施した。脱炭素の流れで需要が伸びる太陽光パネルや車載電池などの環境分野や、クラウドサービスなど企業の業務革新につながるデジタルトランスフォーメーション(DX)関連などが含まれる。

新型コロナウイルスの感染拡大に加え、米中の経済安全保障を巡る対立が激しくなり、世界経済の分断の動きが広がる。米国は政府調達で米国製の原材料などの使用を増やすよう促すほか、半導体などの自国生産の拡大に乗り出している。日本も半導体などの供給網強化を進める。

だが、調査結果からは重要製品で中国企業に大きく依存する姿が浮かび上がる。中国勢が3割以上のシェアを占めるのはスマートスピーカーやスマートフォン、監視カメラ、パソコン、家庭用エアコン、洗濯機など15品目。そのうち13品目で中国企業がシェア首位だ。
太陽光パネルはロンジソーラー、中大型トラックは中国第一汽車集団が20年に首位になった。IT製品に使われる中小型液晶パネルと大型液晶パネルはいずれも京東方科技集団(BOE)が首位だ。電気自動車の基幹部品の車載電池では寧徳時代新能源科技が韓国LG化学の猛追をかわした。

15年に日本勢が8割のシェアを占めたリチウムイオン電池向け絶縁体も上海エナジーが22.3%で首位。旭化成は14.5%にとどまる。

高速通信規格「5G」の通信網整備に不可欠な携帯基地局では華為技術(ファーウェイ)がシェア首位だ。米国が強い警戒感を示し、同盟国で調達見直しの動きが広がるが、シェアは4割近くに伸びた。中国ハイテク企業は部品調達や欧米での売り込みが難しくなるとの見方もあったが、影響は軽微だった。

米国勢はサーバーやルーターといったITの主要インフラなど24品目で首位だった。一方、日本勢の首位は7品目にとどまる。複写機・複合機やデジタルカメラなど市場が縮小傾向の品目が目立つ。成長分野での顧客獲得で後手に回り、産業の新陳代謝が進まない。

デロイトトーマツグループの岡野敬介パートナーは重要製品の調達が一部の国に依存することについて「事故や災害、外交問題による調達リスクが高く価格交渉などでも立場が弱くなる」と警鐘を鳴らす。重要部材の争奪戦は激しく、足元でも半導体不足でホンダが一部工場の稼働を止めている。「日本企業は不測の事態を想定したサプライチェーンを作り上げる必要がある」と指摘する。

【関連記事】
・米、国産品の政府調達を拡大へ 製造業保護へ条件厳しく
・製造業の米国回帰は困難 米中分断下の供給網

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コロナ下回復でトヨタ先行 4~6月最高益

コロナ下回復でトヨタ先行 4~6月最高益、米販売で首位
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOFD038VS0T00C21A8000000/

『トヨタ自動車が新型コロナウイルス禍からの業績回復で先行している。2021年4~6月期の連結営業利益(国際会計基準)は4~6月期で6年ぶりの最高益。多目的スポーツ車(SUV)をテコに主要市場でシェアを伸ばし、米国では四半期単位で初の首位となった。だが販売店では新車在庫が減り、感染力の強いインド型(デルタ型)の流行や半導体不足のリスクも高まる。

【関連記事】

・トヨタ、4~6月純利益5.7倍で過去最高 世界販売が好調
・ホンダが一転最終増益 22年3月期、米国販売が好調
世界の自動車販売は大きく回復している。米コンサルティング会社アリックス・パートナーズによると、コロナ禍前の19年には届かないが21年は前年比8%増の8300万台に回復する見通しだ。中でもトヨタの伸びは先行しており、4~6月期にグループ販売台数は前年同期より49%増えて275万台。同35%増の254万台だった独フォルクスワーゲン(VW)を突き放した。

特に米国では「トヨタ」「レクサス」ブランドの販売が68万台と、コロナ禍が直撃した1年前を73%上回った。半導体不足で減産を強いられた米ゼネラル・モーターズ(GM)を約600台とわずかな差でかわし、4~6月期のトヨタのシェアは15.2%。2年前より1.9ポイント上がっている。

4~6月期は主要市場でそろってシェアを伸ばした。中国販売は49万台でシェア7.8%と同0.7ポイント上昇。35万台だった日本は34.1%と3ポイントも上がった。「世界的なSUV人気を取り込んでいる」(三菱UFJモルガン・スタンレー証券の杉本浩一氏)のが一番の要因だ。

耐久性や車体デザインが評価される「RAV4」が米国や中国で、「ハリアー」が日本で、それぞれ売れ行きが良い。人気の高さから「他社と比べてもリセールバリュー(中古車価格)が高く、決め手になっている」(ロサンゼルスの販売店)という。米国では1台あたりの販売奨励金が約20万円と、1年前より3割減った。コストをかけずに車が売りやすくなっている。

ワクチンが普及して経済活動が再開したことも追い風だ。販売店に入荷するとすぐに売れる過熱ぶりで、北米のトヨタ幹部も「まるで生鮮品のキャベツのようだ」と驚く。GMをはじめ世界の自動車メーカーは半導体不足が長引いているが、トヨタはライバルに比べ供給網も安定していた。

ただ先行きにはリスク要因もある。

関係者によると、米国での月ベースの在庫回転率は通常なら35~40%だが、最近は80%まで上がっている。商品の入荷から販売までのサイクルが何回転するかという指標で、値が高いほど回転が速いことを示す。品不足が厳しくなるようだと、好調な販売に水を差しかねない。

トヨタは「出荷前や輸送中の時点で、納期の情報を顧客と共有している」という。ただ米サンディエゴの販売店は「米国のお客さんは店の駐車場で車を見て選ぶ人がほとんどで、在庫がないと話にならない」という。

デルタ型の流行もすでに東南アジアのサプライチェーンに影響を及ぼしている。トヨタはタイやマレーシアで現地工場を停止中だ。ベトナムからの部品供給が滞り、日本でも一部工場の一時休止を余儀なくされた。

半導体不足による減産リスクも引き続き高いままだ。生産台数が少ない時期も安定的に調達するなど関係を深めてきた部品メーカーの協力を得て、これまでは影響を抑えてきた。ただ半導体はコロナ禍でデータセンターやパソコンの需要も急増している。

トヨタは高岡工場(愛知県豊田市)で6日まで5日間一部ラインを止め、約9千台に生産の遅れが出る。年300万台強の国内生産は、うち6割を輸出しており世界販売に影響しかねない。22年3月期の業績見通しに「数十万台の前半ほど」(幹部)の減産リスクを織り込んでいる。

電動化をめぐる環境も大きく動いている。

先月には欧州連合(EU)が、ハイブリッド車を含むガソリン車の販売を35年に事実上禁止する方針を打ち出した。トヨタは5月に、欧州の電気自動車(EV)と燃料電池車の比率を30年に40%に引き上げる計画を発表したばかりで、戦略の練り直しは避けられない。世界のライバルはEVシフトを加速させている。中国では1台約50万円のEVが普及する。

「EVが普及するほど、ライバルとの競争を考えるとトヨタが現在の採算性を保てなくなる可能性がある」(外資系証券アナリスト)懸念もある。トヨタの行く手には難路が待ち構えている。』

〔eアクスル〕

電動車の注目技術「eアクスル」、急展開…人とくるまのテクノロジー2019
(2019年5月23日)
https://response.jp/article/2019/05/23/322634.html

※ と言うことで、こういうゴツイものだ…。

※ カットモデルやスケルトンモデルを見れば分かる通り、モーターの駆動力を伝達する機構は、「複雑なギア」の固まりだ…。

※ 到底、そこいらの「モーター屋」が製造できるようなシロモノじゃ無い…。

※ 年季の入った「自動車部品屋」だけが、製造できるようなシロモノだ…。

※ 異業種から参入とか言っているが、その参入してきた新参者は、世界中のあらゆる道路、あらゆる気候における「走行データ」を、持っているのか?

※ しかも、何年、何十年にも渡るデータを、持っているのか?

※ 「机上の空論」言ってるだけの話しじゃないのか?

『ボッシュ、コンチネンタル、ZF、マグナ、ボルグワーナー、ブルーイーネクサス、それにジヤトコなど、名だたるサプライヤーが一気に出してきた技術。それが「eアクスル」だ。

簡単に説明すると電気自動車やPHEVなどにこれまで使われてきた、モーターやインバーター、それにアクスル自体など、これまでは個別ばらばらにレイアウトされていたものを全部統合してコンパクトにまとめたもの。

この技術自体は今に始まったことではなく、数年前から個別には展示されていたという。しかし今、この技術が一気に開花して量産モデルに搭載されてデビューしようとしている。

ブルーイーネクサスというサプライヤーは聞き慣れないものだと思うが、この会社、あのデンソーとアイシン精機が、eアクスルの適合設計、販売のために2019年4月に設立した会社。つまり、それだけを目的にする会社が設立されるほど、ホットな技術と言っても過言ではない。

eアクスルは、モーターの出力次第で、これがピュアEVになりもすれば、PHEVのアシストにも使え、さらにはFWDの場合これをリアに搭載することで、電動四駆としても活用できるという汎用性の広いもの。ブルーイーネクサスの説明では、ハイブリッドにも、さらにはFCVにも活用できると書いていた。

で、このシステム、出力によってだいぶサイズが異なるし、さらにはシステムもいくつかのアプローチがある。主流となっているのは同軸上にプラネラリギアとデフ、モーターを並べる一軸式だが、高出力を求めてモーターを別の軸上で駆動する二軸式、さらには間にギアをかましてドライブシャフトとモーター間のスペースに余裕を持たせた三軸式など色々。作っているサプライヤーの話を総合すると、コンパクトさを追求するなら一軸式、パワーを求めるなら二軸式が良いようである。

ボッシュ、コンチネンタル、それにZFなどによれば、早ければ年内もしくは来年早々にも、この技術を搭載した市販ピュアEVが中国で生産されるという。勿論自動車メーカーが中国だとは限らない。話のニュアンスを勝手に解釈すれば、それは中国製以外の自動車メーカーが作るピュアEVを中国で販売するということのようである。

このおまとめ式のeアクスル、メリットとしてはスペース効率の向上や、コンパクト化と軽量化による性能の向上にある。具体的には同じバッテリー容量を搭載したクルマなら、EV走行の距離が延びるということだ。

これまでは個別に散発的な展示となっていたが、人とくるまのテクノロジー2019では7社がこれを展示。ピュアEVに限らず、電動四駆としての可能性や、シリーズハイブリッド車の性能向上を求めての使用など、現実的に使える技術として来年あたり、一気に花開きそうな気配である。 』

EV基幹装置で主導権争い 異業種参入

EV基幹装置で主導権争い 異業種参入、勢力図一変も
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC315N20R30C21A5000000/

『自動車メーカーが電気自動車(EV)の心臓部の動力装置を部品会社から一括調達する動きが出てきた。動力装置は産業ピラミッドの頂点に立つ車メーカーが自ら開発・製造するというエンジン車時代の枠組みが崩れ、EV部品にシフトする既存の部品大手や新規参入企業の商機が膨らむ。EVが世界で普及期に入るなか、基幹部品を軸に業界の勢力図が変わる可能性がある。

外部調達が始まったのは、モーターやギアを一体化した動力装置「eアクスル」。EVの航続距離や走行性能に直結する。車大手はEVの動力装置でも内製を軸とし車づくりの主導権を譲らない構えだが、内製が唯一の選択肢ではなくなっている。

韓国の現代自動車グループは2023年から生産する小型EVの動力装置を米部品大手ボルグワーナーから調達する。欧州ステランティス傘下のプジョーは小型EV用に、独部品大手コンチネンタルから独立したヴィテスコ・テクノロジーズから調達している。

動力装置はEVの生産原価の5~10%を占めるとされる。外部調達で部品会社にとって新市場が生まれる。エンジン部品の供給などで従来の車を支えてきた部品会社が商機を見いだしている。

日産自動車系の変速機メーカー、ジヤトコは25年までにeアクスルの量産を始める。日産など国内外のEVメーカーに販売する。旧カルソニックカンセイがイタリア企業と経営統合したマレリは25年に年100万基の供給をめざす。

内製、既存の部品会社に続く第3勢力といえるのが、EV化を機に車ビジネスの拡大を狙う日本電産のような企業だ。EV化で先行した中国にeアクスル工場を設け、広州汽車集団や吉利汽車に供給を始めている。

動力装置の市場は拡大する見通し。英調査会社LMCオートモーティブによると20年の世界のEV販売は新車全体の3%の214万台だった。30年には2330万台と比率は24%に上がる。富士経済はeアクスルの35年の市場規模を年約1250万基と予測する。

マレリは24年までに中国とフランスに工場を設け、eアクスルを量産する
先に外部調達が進んだのは電池だ。中国の寧徳時代新能源科技(CATL)、韓国LG化学、パナソニック、韓国サムスンSDIで75%の世界シェアを占める。電池はEVの原価の3~5割を占めるとされ、EV市場での取り分は大きい。

EVには米アップルなど異業種の参入も取り沙汰される。eアクスルを使うと難易度が高い動力装置の開発負担が減り、新興勢力がEV市場に参入しやすくなる。

EVでは従来の垂直統合型の車づくりへの対抗軸として、パソコンなどのように開発と生産を別々の企業が担う水平分業型の企業連携が広がる見通し。電子機器の受託生産大手、台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業は車の受託生産に進出する。

水平分業の動きはeアクスルを開発する企業に従来の車メーカー以外の取引先をもたらす可能性がある。eアクスルで業界標準となる製品を生み出せれば、成長するEV市場で高いシェアを獲得できる。

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深尾三四郎
伊藤忠総研 上席主任研究員

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ひとこと解説 電池同様に製造ライフサイクルでの脱炭素化が競争力を左右する。
スマホ・タブレットやPCで成功したメーカーがEVに参入している。CATLはiPad向け電池で成功したTDKの子会社ATLの車載電池部隊から誕生。HDDに搭載される精密小型モーターや家電向け中型モーターで成長した日本電産は、車向けモーターにインバーターとギアを一体化させてeアクスルを開発した。スマホやPCのように水平分業ビジネスを展開するメーカーは規模の経済性を獲得するまで赤字を承知でシェア拡大を急ぐ。今後はCO2排出量が多いeアクスルの鋳造部品の脱炭素化が競争力を左右する。再エネが豊富な欧州のメーカーが地の利を活かして攻勢をかける。
2021年8月3日 7:38いいね
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日本電産、鴻海とEVで合弁

日本電産、鴻海とEVで合弁 「車」核に売上高4兆円へ
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUF215HP0R20C21A7000000/

『日本電産は21日、台湾の鴻海科技集団と合弁会社の設立に向け検討に入ったと発表した。鴻海が参入を計画する電気自動車(EV)向け駆動モーターを開発・生産する。EV事業に一段とシフトすることで、2026年3月期に売上高を4兆円に引き上げる。既存の自動車メーカーだけでなく、EVの低価格化を進める異業種との協業も深め主力のモーターの出荷増につなげる。

【関連記事】
・日本電産の関社長「永守・関体制で持続的に成長させる」
・日本電産の4~6月期、純利益67%増

「EV向けモーターは成長の最大の柱だ」。関潤社長兼最高経営責任者(CEO)は同日開いた決算説明会で強調した。鴻海科技は、部材メーカーなど1200社が参加する鴻海グループのEV生産・開発プロジェクトを主導する。

日本電産は既に同プロジェクトに参加。今回の合弁で米アップル向けにEV供給が取り沙汰される鴻海との関係を一段と強化する。量産時に鴻海向けモーターで高シェアを狙う。日本電産は30年にEV用駆動モーターの生産台数を1千万台とする目標を掲げるだけに、低価格を武器にEVで量的拡大を急ぐ異業種取り込みは欠かせない。

鴻海以外の新興メーカーの取り込みも急ぐ。15日にはSGホールディングス傘下の佐川急便が国内配送で採用予定の広西汽車集団が生産する小型EVトラックに、日本電産製の駆動モーターとインバーターが採用されたと発表した。中国で日本電産製の駆動モーターが先行して普及しており、新たに吉利汽車系のEV車種への採用も明らかになった。

駆動モーターを含めた車載事業は、以前から目標とする30年の連結売上高10兆円に向けた重点事業となる。同日、発表した中期経営計画では、26年3月期に目指す連結売上高4兆円のうち車載事業だけで1兆円超を見込む。駆動モーターはこのうち3千億円程度を占める見通しだ。

課題もある。EVは部品の点数が少なくエンジン車より簡単に組み立てができるとされるが、車体枠や車輪駆動などの部位では部品同士の緻密な調整や加工といった「すり合わせ」の高い技術がなお要求される。乗り心地や安全性など品質を同時に達成できなければ、鴻海でも期待したほど供給が伸びない懸念もある。

さらに欧州などの大手自動車部品メーカーとの競争激化も予想される。中国や台湾などでも関連サプライヤーの育成が進みモーターでも新規参入が相次ぐ可能性がある。EVと同様に価格競争が想定以上に激しくなるリスクがある。

このため永守重信会長や関社長は25年をEV市場が急速に拡大する「分水嶺」と位置づけ、先行の優位性を生かす。積極投資で量産体制を整え、市場の爆発的な拡大に合わせて受注を一気に獲得する戦略を描く。かつてパソコン普及でハードディスクドライブ(HDD)用モーターの需要を獲得し、永守会長は今日の経営基盤を築いた。同様の成長シナリオを関CEOはEV駆動モーターで実現することが求められている。

純利益67%増 4~6月期 巣ごもりで家電向けモーター好調 
日本電産が21日発表した2021年4~6月期の連結決算(国際会計基準)は、純利益が前年同期比67%増の334億円だった。巣ごもり需要で伸びる家電向けのモーターやコンプレッサーが好調だったほか、コスト削減も寄与した。拡大する米国や中国の経済にも支えられ、国内主要製造企業の堅調な業績動向が明らかになった。

売上高は33%増の4474億円だった。四半期ベースで過去最高となった。車載向け事業は世界の自動車メーカーの工場稼働率が前年同期から回復したことを受け、売上高は72%増の977億円となった。半導体供給不足の影響もあったが、電気自動車(EV)用の駆動モーターでも採用車種が増えている。

世界的な「脱炭素」の流れが追い風となり、家電・商業・産業用の省エネモーターなどは49%増の1864億円となった。欧州や米国市場では搬送用ロボットなどの機器装置の需要も堅調だ。

部品の内製化や生産ラインの統合など収益改善活動も進んだ。営業利益は445億円と60%増え、売上高営業利益率は10%と2㌽弱改善した。

22年3月期通期の業績予想は据え置いた。売上高は前期比5%増の1兆7000億円、純利益は15%増の1400億円を見込む。 』

キヤノン、工場従業員にDX教育 成長職種へ配置転換

キヤノン、工場従業員にDX教育 成長職種へ配置転換
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC079NS0X00C21A6000000/

『事業構造改革に向けて社員にデジタル関連などの再教育をする企業が増えてきた。キヤノンは工場従業員を含む1500人にクラウドや人工知能(AI)の研修を実施する。医療関連への配置転換などを通じ成長につなげる。三井住友フィナンシャルグループ(SMFG)はグループ従業員5万人にデジタル教育を進める。デジタル技術の進化に対応した「リスキリング(学び直し)」に世界各国が取り組むなか、政策の後押しも課題になる。』

『キヤノンは就業時間を使い、半年程度の専門教育をする。プログラム言語やセキュリティーなど、デジタル知識のレベルごとに14系統の190講座を用意した。必要に応じ統計や解析、代数などの基礎知識も学べるようにして、幅広い人材の職種転換を後押しする。

講師は社内の技術者のほか、クラウド技術などは米マイクロソフトなど外部からも招く。
まず1500人を対象とする。2021年春の新卒採用数の4.6倍に相当する。』

『取り組みは既に一部で始めている。プリンター開発をしていた20代の社員は3月から新たに医療機器部門で働き始めた。コンピューター断層撮影装置(CT)など医療機器の検査精度を高めるため、機械学習と画像認識を組み合わせる商品開発をしており、先輩社員についてソフトウエア開発を担当している。』

『今後は生産職向けの研修も増やす。医療機器にクラウド技術を組み合わせ、遠隔地の専門医が脳卒中患者のCT画像を解析するといった「スマート医療」を進める人材などの育成を目指す。

主力だった事務機やデジタルカメラは市場が縮小している。医療機器などメディカル事業の売上高を2025年12月期に6000億円と5年で約4割増やすなど、事業の入れ替えを急ぎたい考えだ。御手洗冨士夫会長兼社長最高経営責任者(CEO)は「教育を通じて縮小部門から戦略部門に人材を振り向け、競争力を高めたい」と話す。』

『SMFGは三井住友銀行などの従業員5万人を対象に「デジタル変革プログラム」を始めた。eラーニングなどを通じ、デジタルツールの活用法や取引先のデジタルトランスフォーメーション(DX)を支援する手法などを身につけてもらう。

銀行は店舗を拠点にした対面サービスの見直しを迫られている。送金や決済はスマートフォンでも可能になり、企業向け融資ではクラウドファンディングなどの新手法も広がっているためだ。既存のノウハウだけでは競争力を維持できない。』

『電機や金融に限らず、AIやデジタル領域に代表される成長分野は慢性的な人材不足に陥っている。欧米では転職やキャリアアップのための再教育を政府が積極的に後押しする。

日本政府も支援を拡充しているが、まだ遅れており、企業は主体的に内部での再教育に踏み切る。ただ、中堅・中小企業にできることは限られる。講師の育成なども含め、学び直しを支援する公的な仕組みの拡充が必要だ。』

ディーゼル、脱炭素でも粘る 建機や農機でなお強み

ディーゼル、脱炭素でも粘る 建機や農機でなお強み
編集委員 竹田忍
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGH23E4K0T20C21A6000000/

『世界的な脱炭素の潮流や2015年の独フォルクスワーゲン(VW)によるディーゼル車の排ガス不正発覚で、燃費効率の高さを売り物にしてきたディーゼルエンジンのイメージは著しく傷ついた。様々な領域で電動化が加速し、電気自動車(EV)はエンジンを積んだ自動車を脅かす存在になりつつある。産業用ディーゼルの独擅場だった農業機械や建設機械でも電動化の試みが進むが、クボタの鎌田保一常務執行役員は「乗用車、トラック、産業用の順で電動化は難しくなる」と語る。

中大型の農機・建機は蓄電容量足りず
農地や工事現場で使う農機や建機は多くの電気を消費する。さらに最寄りに充電できる場所が少なく、充電切れは大問題だ。対策として着脱式のバッテリーパックを使い、電気を使い切るとフル充電したパックに交換する仕組みの開発が始まったが、小型機が対象だ。中大型の農機・建機に使うにはバッテリーの蓄電容量がまだ足りない。

Nikkei Views
編集委員が日々のニュースを取り上げ、独自の切り口で分析します。
「新型コロナウイルス禍によるロックダウンで在宅時間が増えた結果、米国ではトラクターの需要が増えた」とクボタの土屋賢司エンジン事業推進部長は語る。住宅の庭が広い米国ではトラクターに作業機を取り付け、芝刈り機として使う。

こうした用途なら充電インフラの問題もなく、電動化しやすい。クボタは19年にフランス・パリの公園で、草刈りや資材運搬に使う小型電動トラクター試作機の評価試験を済ませた。追加の評価試験はコロナ禍で遅れ、今年10月の実施を予定している。また小型の電動ミニショベルを23年から日本かドイツで生産する。

パリの公園で評価試験中の電動トラクター試作機(2019年11月)
だが大半の農機や建機は低速で土や粘土を耕したり、掘削したりするのが仕事で、大きなトルク(駆動力)が必要だ。「電動化はできてもトルクが足りない」とヤンマーホールディングスの田尾知久執行役員は話す。大きな負荷がかかる産業用ディーゼルには独特の粘り強さが求められている。

ディーゼルエンジン、高い燃費効率で普及
ディーゼルエンジンは、ドイツのルドルフ・ディーゼル博士が1892年に発明した。シリンダー内の空気を圧縮したときの温度上昇を利用して燃料に着火し爆発させるディーゼルエンジンは、点火プラグを使う他のエンジンよりも燃費効率が高い。ただし大きくて重いのが難点だった。

世界中の機械メーカーが小型化に挑み、初めて成功したのがヤンマー創業者の山岡孫吉氏だ。1933年に完成した「横形水冷ディーゼルエンジンHB形」は3馬力で高さ95センチ、横120センチ、奥行き74センチで重さは500キロだった。

世界初の小型ディーゼル、ヤンマーの「横形水冷ディーゼルエンジンHB形」
ヤンマーの尼崎工場(兵庫県尼崎市)には、現存する世界最古のディーゼルエンジン2機のうちの1機が展示されている。ディーゼル博士ゆかりの独MAN社が小型化の功績を高く評価して57年に寄贈した。1899年製で高さ3・2メートル、20馬力で重さは5・8トンある。HB形に比べて馬力は6倍以上出るが、重量は11倍を超えており重い。

小型化の成功でディーゼルを農機や建機に搭載する下地が整った。英国で蒸気トラクターが発明されたのは59年、米国でガソリンエンジンを積み、前後進もできるトラクターが登場したのは92年だ。その後、エンジンはディーゼルに切り替わっていった。

1957年、独MAN社からヤンマーホールディングスに寄贈された現存する世界最古の実用ディーゼルエンジン(兵庫県尼崎市)
日本では1950年代半ばに北海道で欧米製大型トラクターの利用が始まった。クボタは60年に日本初の純国産トラクター「T15」を発売した。15馬力のディーゼルエンジンを搭載していた。

ヤンマーはより高性能のエンジンを求め、61年にドイツのNSU、ヴァンケル両社と提携し、ロータリーエンジンの技術を導入した。専門の「ロータリー内燃機研究所」を設けるほどで、一時は船舶やチェーンソー向けで精力的な商品化を進めたが撤退。ディーゼルに回帰した格好だ。

農機にも求められる環境対応
農林水産省の予測によれば、世界の食料需要は2000年に約45億トンだったが、50年には約69億トンまで増加する見通しで、農機に対する需要は大きい。ただ化石燃料の利用に対する環境規制は年々厳しくなり、環境負荷の少ない農機が必要だ。

エンジン効率を引き上げるカギの一つは、独ボッシュやデンソーなどが開発した「コモンレール」だ。タイミングをきめ細かく電子制御し、燃料を高圧噴射する。燃料の粒子が細かくなって燃え残りが減り、粒子状物質(PM)の発生を抑え、燃費も良くなる。

ターボチャージャー(過給器)も欠かせない。エンジンの排気で回るタービンから高圧の空気を送り込み、エンジンの出力と燃焼効率を高める。少ない排気量でパワーが大きい「ダウンサイジングターボ」が可能になる。モーターと蓄電池を併用するハイブリッド化とコモンレール、過給器の3点セットは今後の産業用ディーゼルに必須となる。クボタはハイブリッド化した産業用ディーゼルを23年をめどに実用化する。

ディーゼルは軽油、重油、天然ガスなど使える燃料の種類が多いのも利点だ。ヤンマーの山岡氏は資源に乏しい日本の国情を考え、石炭を細かく砕いた微粉炭を使うアイデアも温めていたという。

次世代ディーゼル、決め手は合成燃料
ディーゼルの存続には、環境負荷の小さい燃料への切り替えも考えねばならない。ヤンマーの田尾執行役員は「二酸化炭素(CO2)排出量が少ない圧縮天然ガス(CNG)を使う農機の開発を進めている」という。ただCNGは石油に比べてエネルギー密度が低く、大きな負荷がかかる作業だと厳しい場面もある。水素も同様にエネルギー密度が低い。

クボタの木股昌俊会長は「決め手は合成燃料ではないか」とみる。再生可能エネルギーで水を電気分解して得た水素と、様々な産業から回収したCO2を触媒で反応させてメタンを作り、さらに水素を添加して液状の合成燃料「eフューエル(燃料)」を作るのである。

これは温暖化ガス排出量を実質的にゼロにする「カーボンニュートラル」につながる。液状で従来の燃料と混合でき、既存のパイプラインや給油所、エンジンも流用できる。

合成燃料は100年前からある技術だ。CO2と水素からメタンを合成する技術は1911年に仏の化学者サバティエが発見した。20年代、ドイツの技術者フィッシャーとトロプシュは、一酸化炭素と水素に熱と圧力をかけ、触媒で反応させて液体炭化水素を合成する方法を開発した。コストが高く、なかなか普及しなかったが、温暖化ガス排出に対する課税や助成金交付などが進めば、実現可能性は増す。

ヤンマーの田尾執行役員は「創業者は農家の仕事を楽にするために小型ディーゼルを開発した経緯があり、今後もエンジン事業の重要性は高い」と語る。クボタの鎌田常務執行役員は「エンジン工場の新建屋に280億円をかけ、増産対応を含めると320億円を投資した」と話す。脱炭素の大きなうねりの中にあってもなお産業用ディーゼルには果たすべき役割があり、そこに注力する企業がいる。』

住友電工に忍び寄る「テスラ方式」の不安

住友電工に忍び寄る「テスラ方式」の不安
佐藤遼太郎
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUF245KG0U1A620C2000000/

 ※ 「住友電工」って、社名との乖離が激しいが、実は「自動車関連銘柄」なんだよね…。

 ※ 一応、C(Connected)A(Autonomous)S(Shared & Service)E(Electric)関連では、「ワイヤー・ハーネス事業」は、廃れず、生き残っていくだろう…、という評価が多い…。

 ※ しかし、EVシフトで、テスラみたいな「ハーネス」を極力使わない、使っても「最短」で済ませる設計が浸透していくと、不安が生じてくる…。

 ※ そういう話しだ…。

『背景にはテスラの存在がある。テスラはブレーキやエンジンを制御する車載コンピューターの配置を工夫し、局所的にしかワイヤハーネスを使わないとされる。SMBC日興証券の山口敦シニアアナリストは「使用量はガソリン車の半分以下」と分析する。同方式がEVの主流になる可能性もある。

ワイヤハーネスは車の部品に電力を供給するいわば「血管」だ。住友電工は世界シェア首位。前期は新型コロナウイルス禍の影響を受けたが、自動車生産の回復で22年3月期の受注高は前期比15%増を見込む。しかし先行きは楽観視できない』

※ 以下は、確か、株主向けの「株主総会」の説明資料…、みたいなものからキャプチャしたものだ…。

※ 上記にある通り、「自動車関連事業」が売り上げ・収益の5割以上を占める…。

※ 各地域、まあまあ万遍なく売り上げている…。

※ こういうものも、「銘柄研究する」時に、キチンと見といた方がいい…。

※ 海外比率は、6割近いんで、「為替変動」に相当影響されることになる…。

※ これだけの人数の人々を、雇用している…。