中国主席、TPP加入に改めて意欲 対中包囲網をけん制

中国主席、TPP加入に改めて意欲 対中包囲網をけん制
https://www.jiji.com/jc/article?k=2022111800942

『【北京時事】中国の習近平国家主席は18日、アジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議で演説し、環太平洋連携協定(TPP)への加入について、「引き続き推進する」と改めて意欲を示した。中国外務省が演説の内容を公表した。

環太平洋連携協定(TPP)

 中国は昨年9月にTPP加入を申請した。習氏は「より緊密なサプライチェーン(供給網)を構築する必要がある」と呼び掛け、経済連携を重視する考えを強調。半導体供給網からの中国排除に向けた米主導の新経済圏構想「インド太平洋経済枠組み(IPEF)」などをけん制した。 』

コスタリカ貿易相、TPP加盟26年までに「供給網に貢献」

コスタリカ貿易相、TPP加盟26年までに「供給網に貢献」
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB105Y50Q2A111C2000000/

 ※ 今日は、こんなところで…。

『中米コスタリカのトバル貿易相は8月に加盟を申請した環太平洋経済連携協定(TPP)について「2026年5月までの合意と批准を目指す」と表明した。医療機器などのアジア向けの輸出拡大に意欲を示し「サプライチェーン(供給網)の強靱(きょうじん)化に貢献できる」と強調した。

都内で12日までに日本経済新聞の取材に応じた。コスタリカは貿易額の約4割を米国が占める。米企業は生産地を消費地に近づける「ニアショアリング」を進め、インテルはコスタリカの半導体拠点への投資を増やしている。

トバル氏は友好国で供給網を再構築する「フレンドショアリング」推進にむけた米政府の動きを「注視している」と述べた。米政府が半導体分野に投じる補助金について、コスタリカに関連拠点を誘致しやすくするため、米国と協議しているとも明らかにした。

背景にある米中対立に巻き込まれることへの警戒もにじませた。コスタリカは07年に台湾と断交して中国と国交を結んだ。トバル氏とともに取材に応じたアンドレ外相は中国の影響力拡大への懸念は「ない」と言い切り、対中政策の見直しは不要だとの立場を強調した。

中国が国連安全保障理事会の常任理事国であることを理由に挙げ、中南米が中国と経済関係を深めようとするのは「自然な動きだ」とも主張した。

TPPには英国や中国、台湾が21年に加盟を申請した。中南米でもエクアドルが続き、ウルグアイも近く申請する方針を示している。トバル氏は「関税撤廃などの条件を満たす用意がある」と話し、現政権下での加盟実現を目標に日本などに働きかけていると説明した。

トバル氏とアンドレ氏は7日に西村康稔経済産業相と会談し、アジア太平洋地域の自由貿易の推進に取り組むことで一致した。林芳正外相とも8日に会談した。』

ベトナム、中国のTPP加盟申請支持 首脳会談で共同声明

ベトナム、中国のTPP加盟申請支持 首脳会談で共同声明
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB01DBK0R01C22A1000000/

『北京=共同】新華社電によると、中国とベトナムは1日、10月31日の首脳会談を受けて共同声明を発表した。ベトナムは環太平洋経済連携協定(TPP)を巡り中国の加盟申請を支持すると表明した。中国は加盟国に支持を働きかけており、アジア太平洋経済圏で主導権を握り、米国に対抗する狙いだ。

中国は昨年9月に加盟を申請。加盟交渉の参加には全加盟国の賛成が必要となる。

ベトナム最高指導者のグエン・フー・チョン共産党書記長は中国共産党の習近平総書記(国家主席)に早期訪問も要請し、習氏は受け入れた。』

日豪首脳「経済的威圧、TPPの目的に反する」 中国念頭

日豪首脳「経済的威圧、TPPの目的に反する」 中国念頭
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA221ZV0S2A021C2000000/

『【パース=上田志晃】岸田文雄首相とオーストラリアのアルバニージー首相は22日に発表した共同声明で環太平洋経済連携協定(TPP)の趣旨に言及した。「経済的威圧と不当な貿易制限慣行はTPPの目的と高い水準に反する」と強調した。加盟申請している中国が念頭にあるとみられる。』

チリ議会、TPPを承認 大統領署名には時間も

チリ議会、TPPを承認 大統領署名には時間も
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN120YK0S2A011C2000000/

 ※ 今日は、こんなところで…。

 ※ 『環太平洋パートナーシップ(TPP)協定とは、オーストラリア、ブルネイ、カナダ、チリ、日本、マレーシア、メキシコ、ニュージーランド、ペルー、シンガポール、米国及びベトナムの合計12か国で高い水準の、野心的で、包括的な、バランスの取れた協定を目指し交渉が進められてきた経済連携協定です。2015年10月のアトランタ閣僚会合において、大筋合意に至り、2016年2月、ニュージーランドで署名されました。日本は2017年1月に国内手続の完了を寄託国であるニュージーランドに通報し、TPP協定を締結しました。
 その後、2017年1月に米国が離脱を表明したことを受けて、米国以外の11か国の間で協定の早期発効を目指して協議を行いました。2017年11月のダナンでの閣僚会合で11か国によるTPPにつき大筋合意に至り、2018年3月、チリで「環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定(TPP11協定)」が署名されました。現在までに、メキシコ、日本、シンガポール、ニュージーランド、カナダ、オーストラリア、ベトナムの7か国が国内手続を完了した旨の通報を寄託国ニュージーランドに行っており、2018年12月30日に発効しました。2021年7月、ペルーが国内手続を完了した旨を寄託国ニュージーランドに通報し、9月19日に発効しました。(※ 外務省のHPより)』…。

 ※ 『CPTPPの発効

オーストラリアが2018年10月31日、CPTPPについての国内手続を完了した旨の通報をし、CPTPPの締約国が6か国になったことにより、CPTPPは2018年12月30日に、メキシコ、日本、シンガポール、ニュージーランド、カナダ及びオーストラリアの間で発効した[20]。

ベトナムは、2018年11月15日にCPTPPについての国内手続を完了した旨の通報[114]したので、ベトナムについてはその批准の60日後の2019年1月14日[21]に発効した。

ペルーは、2021年7月21日にCPTPPについての国内手続を完了した旨の通報[115]したので、ペルーについてはその批准の60日後の2021年9月19日[21]に発効した。

マレーシアは、2022年9月30日にCPTPPについての国内手続を完了した旨の通報をしたと10月5日に公表した[116][117]。マレーシアについてはその批准の60日後の2022年11月29日[21]に発効する。

残り未締結の2か国(ブルネイ及びチリ)はそれぞれの国がCPTPPについての国内手続を完了した旨の通報してから、60日後に個別に、当該国について協定は発効する[21]。(※ wikiより) 』…、ということのようだ…。

 ※ チリは、上記のように「目途がついた」状態なので、残りはブルネイ1カ国のみ…、という感じなのか…。

『【サンパウロ=宮本英威】南米チリの上院は11日、環太平洋経済連携協定(TPP)締結を賛成多数で承認した。下院は2019年4月に通過しており、議会の手続きを終えた。3月に就任した左派のボリッチ大統領は大統領選でTPPの批准に慎重な姿勢を示しており、署名には時間がかかる可能性がある。

チリでは19年10月、格差是正を求めるデモが拡大し、TPPを巡る上院審議が停滞していた。議会手続きが終わり、ボリッチ氏の署名が残る手続きとなったが、同氏は9月、「TPPは政府の計画に入っていない」と発言している。地元メディアによると、同氏が下院議員だった際にTPPの承認に反対票を投じた。政府は企業が政府を相手取って国際機関に仲裁を申し立てられるISDS(投資家と国家の紛争解決)条項を疑問視する。

経済界にはTPPの批准を求める声が多い。経済団体の生産商業連盟(CPC)のフアン・スティル会長は「国の発展にとって重要な協定だ」と述べ、早期の承認を呼びかけていた。

ボリッチ政権発足前のチリは、自由貿易に積極的な国として知られ、中南米諸国のなかで屈指の自由貿易協定(FTA)網を持つ。TPPの前身となったFTAに参加していた4カ国の1つで、日本やオーストラリアなどと共にTPPに署名した11カ国に含まれている。』

オーストラリア貿易相、中国のTPP加盟「見込めず」

オーストラリア貿易相、中国のTPP加盟「見込めず」
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB102LX0Q2A011C2000000/

『オーストラリアのファレル貿易・観光相は都内で日本経済新聞に対し、中国の環太平洋経済連携協定(TPP)の加盟について「現時点で同国が参加できる見込みがあるとは思えない」と語った。中国が豪産品の輸入を制限していることを挙げ、加盟には公正な貿易ルールなど「(加盟国に課される)義務を果たす必要がある」と述べた。

中国は2021年9月にTPPに加盟申請したが、参加が実現するには全加盟国の支持が必要だ。マレーシアなど一部の加盟国は中国の参加に前向きだが、日本や豪州は慎重な姿勢を見せている。ファレル氏は5月の総選挙で政権交代したのを受け、貿易相に就任した。中国のTPP加盟問題は前政権の方針を踏襲している。

ファレル氏は加盟審査中の英国について「加盟を支持する」と語った。一方、中国は「豪中間の貿易には現在多くの障壁があり、加盟申請には懸念を抱いている」と指摘した。豪中両国の貿易摩擦解決に向けた議論の進捗などを通し、公正な貿易ルールを守れるかを見定める必要があるとの認識を示した。

両国関係は20年4月に豪州が新型コロナウイルスの発生源を調査するよう求めたことを発端に悪化した。中国は同年5月、豪産大麦に高関税を課した。これまでにワインや食肉、石炭といった豪産品にも輸入制限をかけており、豪州は関税を不当として世界貿易機関(WTO)に中国を提訴している。

ファレル氏は貿易摩擦の改善に向け協議を模索していく考えも示した。「直接顔を合わせることで、特定の貿易品目を巡る豪中間の違いについて整理できる」とし、2国間協議について「機会があれば開きたい」とした。時期などは特に決まっていないが、今月に中国で開催される共産党大会が「一段落した頃に機会が訪れることを期待している」と語った。

ファレル氏によると、中国側も2国間協議については前向きだという。

豪州も参加する米国主導の新経済圏構想「インド太平洋経済枠組み(IPEF)」では、資源大国としてサプライチェーン(供給網)強化やエネルギー安全保障といった分野で他の参加国と連携する姿勢を強調した。中国の海洋進出を念頭に「米国がアジア太平洋地域に関与することで安定につながり、島しょ国を含むパートナーの経済回復も支援できる」とも述べた。

(田口翔一朗)

この記事の英文をNikkei Asiaで読む
Nikkei Asia https://asia.nikkei.com/Editor-s-Picks/Interview/Australia-sees-no-prospect-of-China-being-accepted-into-CPTPP/?n_cid=DSBNNAR 』

“肉のないハンバーガー” IPEFはうまくいくのか?

“肉のないハンバーガー” IPEFはうまくいくのか?
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220922/k10013831021000.html

 ※ 今日は、こんなところで…。

『ますます激しくなるアメリカと中国の覇権争い。経済の分野でその争いが先鋭化しているのが、成長著しいアジア太平洋地域です。アメリカは中国に対抗するため、経済連携の枠組み、IPEF(アイペフ)=インド太平洋経済枠組みの閣僚級会合を9月初旬に開催し、4つの分野で交渉を開始することで合意しました。

ただ、経済連携にとって最も重要な関税の撤廃や引き下げが含まれず、日本のある政府関係者は“肉のないハンバーガー”と揶揄(やゆ)します。最近はパテに肉を使わないヘルシーハンバーガーでおいしいものにも出会いますが、IPEFバーガー、果たして“おいしく”なるのでしょうか?』

『 “肉のないハンバーガー”

「IPEFが“肉のないハンバーガー”と言われても仕方ない。ただ、この地域にアメリカが関与することが何より重要なんだ」
日本政府の担当者がそう打ち明けます。

9月8日から2日間、アメリカ・ロサンゼルスで開かれたIPEFの閣僚級会合。
IPEFの閣僚級会合(9月8日)

初めてとなる対面での会合で▽半導体など重要物資のサプライチェーンの強化や▽デジタル技術を活用した貿易の円滑化など4つの分野で閣僚声明を公表。
インドが「貿易」に参加しなかった以外は、すべての国が4つの分野で交渉を始めることになりました。

会合を終えたアメリカのタイ通商代表は記者会見で、その意義をこう強調しました。

タイ通商代表

「政治状況や優先順位などが異なる14もの国が参加することは困難なことだが、我々の野心と革新を示す閣僚声明をまとめることができ、うれしく思っている」

通商では関税撤廃・削減は常識

通常、経済連携協定といえば程度の差はあれ、関税撤廃や引き下げが含まれるのが常識でした。

TPP署名式前に各国の閣僚(2018年3月)

代表格でいえばTPP=環太平洋パートナーシップ協定です。

農林水産品など幅広い品目で関税を撤廃することで合意。2018年12月に11か国で発効しました。

2019年に発効した日本とEUの経済連携協定(EPA)も、2022年1月に発効した日本や中国、韓国などが参加するRCEP=地域的な包括的経済連携も関税撤廃や引き下げが大きな柱となっています。

しかし、IPEFには関税分野が含まれていません。

トランプ前大統領による離脱があだに

なぜ、IPEFには関税についての項目がないのでしょうか。その要因はアメリカのトランプ前大統領にあります。

TPPからの離脱の命令書を示すトランプ大統領

TPP交渉で日本は国内の反対意見もあるなか、厳しい交渉を経て合意にたどり着きました。

しかし、アメリカはトランプ政権になったとたん、「自由貿易はアメリカの雇用を奪う」として、いとも簡単に離脱。

ASEAN=東南アジア諸国連合の国々が多く参加するTPPからの脱退は、「アメリカのアジアからの撤退」とも受け止められました。

この離脱があだとなり、この地域での影響力を高めたい中国にとっては、まさに棚ぼた=棚から牡丹餅、願ってもない状況となりました。

就任式で演説するバイデン大統領(2021年1月)

こうした中、TPPを推し進めたオバマ政権で副大統領を務めていたバイデン大統領が就任。

TPPへの復帰が期待されましたが、関税撤廃や引き下げが含まれるこの協定は国内の労働者から反発の声が根強いとして慎重な姿勢を貫いています。

トランプ前大統領の離脱決断によって、反TPPの世論が労働者中心に根づき、中間選挙を前にとても動ける状況ではないというのが今のバイデン政権の実情です。

放置すれば中国の覇権に

しかし、そうこうするうちに中国も加わるRCEPも発効し、着実にアジア太平洋地域で中国の経済的な存在感は高まる一方です。

中国 習近平国家主席

焦ったアメリカがいわば苦肉の策としてひねり出したのが、IPEFです。国内世論の反発を最小限に抑えつつ、なんとかこの地域への経済的な関与を強めたいとの思いからです。

IPEFの閣僚会合前、アメリカ政府の関係者からは「参加国の間には、IPEFに深く関わって中国が報復してきたら、アメリカが償ってくれるのかという思いが根底にある。強い熱意は感じられない」との声が漏れ聞こえてきました。

それでもアメリカはこだわっています。現状を放置すれば、世界のGDPの40%を占めるインド太平洋地域で中国の覇権を許すことにつながるからです。

日本の政府高官もこう語ります。

政府高官
「インド太平洋地域の大国が中国だけ、というのは“悪夢”だ。何としてもアメリカに踏みとどまらせないといけない」

ハードルを下げる

日米が神経質になっていたのは実際の交渉に加わる国の数です。

IPEFは、すべての分野の交渉に参加する必要がなく、国ごとに参加する分野を選択できるようにしています。経済連携としては異例の“緩い”枠組みです。
参加のハードルを下げるための措置ですが、多くの国が交渉に加わらない可能性を指摘されていました。

交渉参加国を少しでも増やすため、日米がテーマの1つとしたのが、世界が抱える構造的な課題=「サプライチェーンの強化」と世界で急速に進む脱炭素への取り組みでした。いずれも、各国に重くのしかかりながら、単独の国では解決が難しいテーマです。

日本の政府関係者は、過去のTPPやRCEPといった経済連携では想定されておらず、脱炭素などは中国が旗振り役を担うことが難しいとして、「うまいところを突いた」と満足げに語りました。

カギとなった大国インド+インドネシア

特に気を配ったのは、経済規模の大きいインドとインドネシアの参加でした。インドはTPP、RCEPともに、インドネシアはTPPに参加していないためです。

今回の閣僚級会合に先立ち、今月、アメリカのレモンド商務長官はインドに、西村経済産業大臣は、インドネシア・バリでのG20エネルギー相会合のあと、すぐにジャカルタに移動し、担当閣僚と会談しました。

そして、IPEF閣僚会合の前日・7日、ロサンゼルスに到着して両者は会談、それぞれの成果を持ち寄り、すりあわせを行いました。

西村経済産業相とインドネシアの経済担当調整相

その結果、インドネシアはほかの12か国とともにすべての分野への交渉参加を表明。

当初から一貫して「貿易」への不参加を表明していたインドもふたを開ければ「貿易」ではオブザーバーとして議論に参加したいと自ら提案するなど前向きな姿勢を示しているということです。

アジアから見るといまだ不信感も

ではIPEFの交渉は今後、うまく進むのでしょうか。

視点をアジアに変えると違った風景が見えてきます。特にIPEFの交渉に7か国が参加することになったASEANからの視点です。

まず、ASEAN10か国と中国との経済的な結びつきの強さです。

JETRO=日本貿易振興機構のまとめによると、ASEANの貿易総額の相手国構成比は中国が2010年に12%だったのが2020年には19.4%へと大幅に拡大したのに対して、アメリカは2010年に9.2%だったのが10年間で11.2%へと増えはしたものの、微増にとどまっています。

最大の貿易相手国として中国との経済関係が重みを増すなかで、どこまでアジア各国がIPEFを重視するか、懐疑的な見方も根強いのです。

また、アメリカへの不信感が拭い去れていないとの見方もあります。

トランプ前政権ではASEAN軽視ともとれる対応が続きました。

バイデン政権になって是正されるのかと思いきや、2021年12月にアメリカが主催した「民主主義サミット」ではASEANから招かれたのはマレーシア、インドネシア、フィリピンの3か国だけ。

世界100以上の国と地域が招待されたのにシンガポールやタイなどは招待されず、何を基準にアメリカに選別されたのかと不信感が強まったと指摘されています。

とりあえずの“入場券”か

ASEANの経済情勢に詳しい泰日工業大学の助川成也客員教授は次のように分析しています。
泰日工業大学 助川成也客員教授

助川教授

「IPEFの交渉分野の1つには労働や環境分野なども想定されているが、これらの分野はRCEPにも含まれておらず、ASEANがこれまで導入を回避してきた分野であるため、交渉は紆余曲折も予想される。

また、バイデン政権は通商交渉について議会から権限を与えられることが必要な大統領貿易促進権限(TPA)を有していない。IPEFについて議会の承認を得ず、行政協定によってこの枠組みの大部分を実施しようとしているが、非常に不確実だ。

ことし11月の中間選挙や2年後の大統領選挙の行方次第で、交渉結果自体が無に帰す可能性もある。IPEFへのASEAN各国の交渉参加はあくまでアメリカとの関係のうえで入場券を買っただけに過ぎないのではないか」

インド太平洋地域に空白は作れない

TPPからの脱退という、日本から見ればいわば失策を犯したともいえるアメリカ。こだわるのが具体的な形です。

アメリカ政府の元高官は、「バイデン政権の4年の任期が切れるまでには何らかの形で正式に発足させるだろう」と話します。

いまのアメリカには、経済成長が著しく、また中国の海洋進出もあって緊張感も高まるインド太平洋地域に空白は作れないという危機感があります。

日本もアメリカと危機感を共有しつつ、一方で中国との経済的結びつきも維持したいとの思いもあり、難しい対応を迫られています。

アメリカと中国、2つの大国の覇権争いの激化はこの地域を一段と不安定にしています。

「肉のないIPEFバーガー」がおいしくなるのか、そうでないのか。この地域における役割を冷静に、そして多様な角度から見ていくことが日本にとっても重要になりそうです。

IPEF交渉入り合意 中国念頭、4分野で対抗軸

IPEF交渉入り合意 中国念頭、4分野で対抗軸
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA09B6M0Z00C22A9000000/

『【ロサンゼルス=金子冴月】米国が主導する新経済圏構想「インド太平洋経済枠組み(IPEF)」の閣僚会合が9日(日本時間10日未明)に閉幕し、14カ国が正式な交渉入りに合意した。半導体など重要物資の供給網(サプライチェーン)やエネルギー安全保障といった4分野の声明で協議の方向性を示した。インド太平洋地域で影響力を強める中国に対抗する経済圏づくりが具体化へと進む。

【関連記事】IPEFとは? 対中国の経済枠組み、正式な交渉入りで合意

8、9両日に米ロサンゼルスで開いた初の対面による公式閣僚級会合で、各国が交渉入りを確認した。①貿易②供給網③エネルギー安全保障を含むクリーン経済④脱汚職など公正な経済――の4分野で、それぞれ閣僚声明を採択した。今後は声明に基づいて各分野で参加国が交渉を進める。

インドが貿易分野への参加を見送るほかは、すべての国が4分野に加わる。インドは貿易分野にオブザーバーとして関与する。

インドは国をまたぐ自由なデータのやりとりを目指す日米などとの隔たりが埋まらなかったとみられる。ゴヤル商工相は記者会見で「我々はデジタル経済を形成する過程にある」と述べ、データやプライバシーを巡るルールへの参加を求められることに警戒感を示した。「参加国がどのような利益を得られるのかまだ見えていない」とも語った。
閉幕後に記者会見するレモンド米商務長官㊧とUSTRのタイ代表(9日)

レモンド米商務長官は閉幕後の記者会見で、2023年初めに次回の閣僚会合を開くことに意欲を示した。「今後数カ月で米国や他国の経済的な利益を引き出すことに注力する」と語った。

供給網に関する声明では、供給の途絶時や混乱時に政府間で連携する「情報共有と危機対応のメカニズム」の構築を盛り込んだ。具体的には有事の際の情報収集や危機対応にあたる調整役を各国が任命し、半導体や医療品といった重要物資の在庫を融通できるようにすることもめざす。

陸上や航空、水路、海運、港湾などのインフラを含めた物流の強化にも触れた。物流データの収集・利用を促進し、物流の改善に向けた投資や技術協力を進める。

貿易分野の声明では、デジタル経済や農業、貿易円滑化などの交渉事項を示した。農業では食料安全保障を重視しつつ、農産物の不当な輸出制限は避けるよう促す。

クリーン経済の声明では、再生可能エネルギーへの移行に必要なインフラ整備を進める考えを示した。公正な経済の声明では汚職の防止や犯罪収益の把握に取り組むことや、グローバル企業への二重課税を防ぐために協調することを明記した。

西村康稔経済産業相は閉幕後の記者会見で「多様な有志国が連携し、通常の通商協定を超えてサプライチェーンやクリーン経済など新たな課題にも応えていける枠組みに育つ可能性を秘めている」と期待を示した。

IPEFは日本、米国のほか韓国、オーストラリア、インド、インドネシア、シンガポールなど14カ国で構成する。

インド太平洋地域を中心とした経済枠組みにはすでに環太平洋経済連携協定(TPP)や東アジアの地域的な包括的経済連携(RCEP)がある。いずれも世界最大の経済大国である米国は参加していなかった。

交渉が順調に進むかは見通せない。IPEFは従来の貿易協定とは異なり、関税の引き下げや撤廃には踏み込まない。米国市場への参入機会の拡大というアジアの新興国にとっての最大の利点が欠けているとの指摘がある。データ流通や人権をめぐってはアジアの一部の地域で取り組みが遅れている。

【関連記事】

・米国、女性700万人のIT技能習得を支援 IPEF参加国に
・データ流通の信頼性確保に意欲 USTR代表、IPEF会合で

この記事の英文をNikkei Asiaで読む
Nikkei Asia https://asia.nikkei.com/Economy/Trade/Indo-Pacific-framework-objectives-take-shape-but-India-not-all-in?n_cid=DSBNNAR 』

対中結束「実利」示せるか IPEF参加国の中国依存強く

対中結束「実利」示せるか IPEF参加国の中国依存強く
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA06ACZ0W2A900C2000000/

『【ロサンゼルス=金子冴月】米国主導の新経済圏構想「インド太平洋経済枠組み(IPEF)」は9日に閉幕した閣僚会合で正式な交渉入りで合意した。サプライチェーン(供給網)強化など4分野で中国への対抗軸をつくる。ただ、どの国も中国との経済面での結びつきは強い。参加14カ国の結束を保ち、枠組みに実効性を持たせるには主導する米国が参加国の目に見えるメリットを示せるかが問われる。

【関連記事】IPEF、重要物資融通へ情報共有 14カ国交渉入り合意

14カ国は①貿易②供給網③クリーン経済④公正な経済――の4分野で、それぞれの閣僚声明を採択した。米国のレモンド商務長官は「今後数カ月で米国や他国に経済的な利益を引き出すことに注力する」と各分野での協力の具体化を急ぐ考えを示した。

インド太平洋で影響力を高める中国に対し、有志国と連携して対抗する経済圏を構築する――。これが米国がIPEFを主導する目的だ。

中国を切り離した経済圏をつくるのは簡単ではない。どの参加国も中国との貿易依存度が高く、経済面での結びつきは強い。米中対立が長引く状況で、各国は米国と中国、それぞれとの距離感が問われている。

2020年時点の参加国の貿易総額に占める中国の割合をみると、最も高いオーストラリアが35%で、ニュージーランドが25%、韓国が24%だった。ベトナムやインドネシアなどIPEF参加国の半分を構成する東南アジア諸国連合(ASEAN)諸国の7カ国も、それぞれ1~2割ほどを中国が占める。米国以外の13カ国の貿易依存度は、いずれも対米国よりも対中国の方が高い。

半導体やレアアース、蓄電池の生産に欠かせない鉱物などの重要物資は中国が大きなシェアを握る。米国が供給網の強化を目指すのは中国に重要物資を依存する状況を是正する狙いがある。

交渉開始の合意にはこぎ着けたものの、各国の結束には課題が残る。

参加国の一部には環境や人権、データ流通などバイデン米政権が重視する厳しいルールの導入を迫られかねないとの警戒がくすぶる。インドが貿易分野での交渉参加を見送った背景に、こうした事情があるとの見方がある。インドのゴヤル商工相は「参加国がどのような利益を得られるのかまだ見えていない」と語った。

参加国をつなぎ留めるために具体的な経済効果を示せるかが課題になる。

IPEFは既存の自由貿易協定(FTA)とは異なり関税の撤廃や引き下げなどを交渉の対象に含まない。世界最大の経済大国である米国の市場開放に期待する参加国からみると魅力的に映りづらい。

米国はメリットを強調する。閣僚会合の関連イベントでは女性がIT(情報技術)関連技術を習得できるよう支援すると表明した。米グーグルや米アップルなどの協力を得て、人工知能(AI)やロボット工学などに関して、今後10年間で700万人に教育や研修を提供することを目標とする。

アジアの経済圏の主導権争いで米中のつばぜり合いが続く。中国は広域経済圏構想「一帯一路」でインフラ投資などを進める。米国がトランプ前政権下で環太平洋経済連携協定(TPP)から離脱すると、中国は揺さぶりをかけるかのように昨年9月にTPP加盟を申請した。バイデン政権は中国の動きを警戒しアジア関与を強めている。

「米国がインド太平洋地域への経済的な関与を再び明確にしたことは大きな意味がある」。西村康稔経済産業相は会合後の記者会見で米国の姿勢を歓迎した。

米国の関与を維持するには同盟国であり、ASEANとの関係も深い日本の役割が重要になる。西村氏は「高いレベルのルールと協力関係の中でのメリットを感じてもらいながら全体としてバランスの取れた枠組みをつくる」と強調した。

この記事の英文をNikkei Asiaで読む
Nikkei Asia https://asia.nikkei.com/Politics/International-relations/Indo-Pacific/U.S.-carves-path-to-Indo-Pacific-framework-but-will-others-follow?n_cid=DSBNNAR 』

米提唱のIPEFに中国猛反発 「中国包囲の政治的枠組み」

米提唱のIPEFに中国猛反発 「中国包囲の政治的枠組み」
https://www.epochtimes.jp/2022/09/117403.html

『米国が提唱するインド太平洋経済枠組み(IPEF、アイペフ)は9日(日本時間10日)、正式な交渉入りに合意した。サプライチェーン強化などを通じて、重要物資をカードに他国を脅迫する中国への依存度を下げる狙いだ。いっぽう、中国は「実質上の中国包囲網」であるとして警戒を強めている。

「『経済協力』というペンキを塗ったが、その下地は中国包囲のための『政治的枠組み』だ」(※ 無料は、ここまで。)』

IPEF 半導体含む重要物資の供給網強化など4分野で交渉開始合意

IPEF 半導体含む重要物資の供給網強化など4分野で交渉開始合意
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220910/k10013811901000.html

『アメリカが提唱する新たな経済連携の枠組み、IPEF=(アイペフ)インド太平洋経済枠組みの閣僚級会合が終了し、半導体など重要物資のサプライチェーン=供給網の強化など、4つの分野についての閣僚声明をまとめ、交渉を開始することで合意しました。

IPEFは、影響力を拡大する中国を念頭に、日本やアメリカ、それにインドやオーストラリアなど14か国が参加する枠組みで、初めての対面での閣僚級会合に西村経済産業大臣が出席しました。

会合は日本時間の10日未明に終わり、アメリカのレモンド商務長官とタイ通商代表は記者会見を開いて閣僚声明を発表しました。

IPEFでは▽半導体など重要物資のサプライチェーンの強化や、▽デジタル技術を活用した貿易の円滑化など、4つの分野が交渉の対象となります。

これまでの経済連携と異なり、国ごとに参加する分野を選択できましたが、インドが「貿易」に参加しなかった以外は、すべての国が4つの分野で交渉を始めることになりました。

日本としては、アメリカとともに各国に働きかけながら、実効性のある新たな枠組みの実現を目指すことにしています。

西村経産相「大きな一歩だがここからがスタート地点だ」

西村経済産業大臣は会合のあとの会見で「IPEFは、自由で開かれたインド太平洋の実現を経済面から取り組む枠組みだ。TPPに参加していないアメリカが、インド太平洋に経済的に関与する、戦略的な観点からも重要なものだ」と述べました。

そのうえで、今後の交渉で日本が果たす役割については「今回の閣僚声明は14か国が参加する大きな一歩だが、ここからがスタート地点だ。今回の熱気や勢いを生かしながら、成果があがるよう積極的に貢献したい」と述べました。

また西村大臣は、アメリカがTPPを離脱している現状について「TPPは高いレベルのルールのほか、微妙な品目もあるが、関税などをできるだけ引き下げて、自由で公正な経済圏を作っていくものだ。これまでも一貫してTPP復帰が望ましいとアメリカ側には伝えている」と述べ、IPEFの交渉と並行して、アメリカにTPPへの復帰を求めていく考えを示しました。

米レモンド商務長官「共通の利益を実現できる」

IPEFの閣僚級会合の終了後、記者会見を開いたアメリカのレモンド商務長官は経済連携で重要な関税の撤廃や引き下げが含まれないことを念頭に「IPEFは伝統的な貿易協定ではないので目に見えるメリットがあるのか当初から懐疑的な意見があったが、会合では楽観的で前向きな関与を示す雰囲気に満ちあふれていた。われわれは競争力や持続可能性といった明確な経済のロードマップを持っており、アメリカはパートナーとともに共通の利益を実現できる」と述べました。

またアメリカのタイ通商代表は「IPEFはインド太平洋の地域に公平な成長をもたらすために、どう進んでいくかを具体化したものだ。政治状況や優先順位の異なる14もの国の閣僚が集まっていることはとても困難だが、会合での議論を通じて目標に向かって大きく前進し、われわれの野心と革新を示す閣僚声明をまとめることができうれしく思っている」と成果を強調しました。』

中国と加盟交渉開始 デジタル貿易協定DEPA参加3カ国

中国と加盟交渉開始 デジタル貿易協定DEPA参加3カ国
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM187DW0Y2A810C2000000/

『【シンガポール=中野貴司】デジタル貿易に関する協定「デジタル経済パートナーシップ協定(DEPA)」に参加するシンガポール、チリ、ニュージーランドの3カ国は18日、中国と加盟に向けた交渉を始めると発表した。DEPAは人工知能(AI)やビッグデータなど先端分野の標準的なルール形成を目指しており、加盟が承認されれば中国のデジタル貿易分野での影響力が強まることになる。

中国は2021年11月にDEPAへの加盟を申請しており、3カ国は18日、中国と交渉にあたる作業部会の設置を発表した。作業部会の議長国を務めるチリを中心に3カ国は今後、中国の国内法や規制がDEPAのルールと整合的かどうかを審査する。

個人データ保護や国境を越えるデータの扱いなどの分野で、中国がDEPAの基準を満たせるかが焦点となる。シンガポールのガン・キムヨン貿易産業相は18日の声明で「シンガポールは中国の加盟申請を歓迎しており、作業部会の設置は喜ばしいことだ」と述べた。

DEPAの参加3カ国は、ブルネイと共に環太平洋経済連携協定(TPP)の原型をつくった実績があり、DEPAはアジア太平洋地域のデジタル貿易の標準ルールに育つ可能性がある。電子商取引などデジタル経済の市場規模は拡大し続けており、中国は加盟によって域内貿易での存在感を一段と高めたい考えだ。中国はTPPにも加盟申請している。

20年6月に3カ国が署名したDEPAには韓国も加盟申請しており、既に3カ国と参加に向けた交渉に入っている。』

コスタリカ、TPP加盟を申請 アジアとの貿易拡大狙う

コスタリカ、TPP加盟を申請 アジアとの貿易拡大狙う
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN130470T10C22A8000000/

 ※ 今日は、こんなところで…。

 ※ この図は、参考になった…。

 ※ TPPの自由化度は、FTAよりも高いんだな…。

 ※ 投資協定や、ISD条項なんかも含んでいるからだろう…。

 ※ 「外国の投資家や企業が、進出国において相手国政府の法律や行政上の不備等で損害を被った場合、協定に基づいて相手国政府に対する損害賠償を国際仲介機関に訴えることができる、という条項。ISDはInvestor-State Dispute」というようなものだ…。

『中米コスタリカが環太平洋経済連携協定(TPP)への加盟を申請した。コスタリカはコーヒー豆などの農産物や医療器具を生産しており、加盟によってアジア向けの輸出を増やしたい考えだ。中南米では2021年12月にTPPへの加盟を申請した南米エクアドルに続く動きとなる。

コスタリカは10日にTPP加盟を申請する書類を寄託国であるニュージーランド(NZ)政府に提出した。コスタリカ貿易省によると、申請書類は11日に受理されたという。中南米ではメキシコ、チリ、ペルーがすでにTPPに加盟しており、エクアドルが申請している。TPPは英国や中国、台湾が加盟をめざすなど動きが活発になっている。

コスタリカは人口約500万人の小国で、バナナやコーヒー豆など農業が主力産業だ。近年は義肢やカテーテルなどの医療器具の生産や開発に力を入れている。コスタリカは貿易額のうち約4割を米国が占めており、TPP加盟によってアジアへの輸出を増やしたい考えだ。
コスタリカのチャベス大統領は6月に米ロサンゼルスで日本経済新聞の取材に応じ、「成長のペースが速いアジアに我々の商品を輸出したい」とTPP加盟をめざす方針を明らかにした。7月にも、メキシコ、チリ、コロンビア、ペルーで構成する経済共同体「太平洋同盟」への加盟をめざすと表明している。

チャベス氏は5月8日に大統領に就任して以来、自由貿易の推進に力を入れてきた。TPPや太平洋同盟への加盟に加えて、エクアドルと自由貿易協定(FTA)の交渉に入るなど個別の貿易協定の締結にも意欲を示している。

【関連記事】コスタリカ大統領「TPP加盟めざす」 年内にも協議へ 』

TPP・EU「連結」の威力 焦り誘い米国を動かせ

TPP・EU「連結」の威力 焦り誘い米国を動かせ
 本社コメンテーター 西村博之
https://www.nikkei.com/article/DGXZQODK040SP0U2A700C2000000/

『FOMO(フォーモ)という言葉がある。Fear of Missing Out(取り残される不安)の略で、主にSNS(交流サイト)の最新情報を見逃したくない切迫感を指す。コロナ下の金融緩和で株価が急騰すると「買わないリスク」を意識した「フォーモ取引」なる言葉もはやった。

大勢にならう群集心理、孤立への恐れ、欲望、羨望――。様々な感情に根ざすフォーモは、国をも駆り立てるのだろうか。

トランプ政権下の2017年に米国が環太平洋経済連携協定(TPP)を離脱して以来、日本は折に触れて復帰を求めてきた。だが本気で期待を抱く関係者はいない。製造業の国外移転で困窮した米労働者が痛みを伴う関税撤廃などに猛反発するのは明らかだからだ。言葉だけで米国は動かない。

世界シェア3割の自由貿易圏

そこで政策関係者がひそかに検討し始めた構想がある。欧州連合(EU)とTPPの「連結」だ。両者で協定を結び貿易・投資の自由化や基準の統一を進めるのだ。

世界最大の単一市場であるEUとTPP11カ国がまとまれば国内総生産(GDP)で世界の3割を占める巨大自由貿易圏が誕生する。ここで欧州企業が低関税でモノやサービスを取引し始めたら米国には不利だ。焦りを募らせた世論の風向きは変わりうる。少なくとも米政権は真剣に動く――。

まだ瀬踏み段階だが、各国関係者の反応は悪くないという。23年は日本が主要7カ国(G7)の議長国となる外交の年。合意に向けアクセルを踏む可能性がある。

米国はTPPに代わる経済秩序を探り、5月のバイデン大統領訪日時にはサプライチェーン(供給網)の強化に軸足を置いた新経済圏構想、インド太平洋経済枠組み(IPEF)を発足させた。国内世論がTPPを嫌う一方、中国に対抗する「仲間作り」の必要性は強く感じているからだ。

日本はIPEF自体に反対ではないが、急ごしらえの枠組みに、もの足りなさも感じている。勢いづく中国をけん制するためにも、米国には将来にわたって深く確実にアジア太平洋に関与してもらうのが日本の経済外交の肝だ。

米国が入ったTPPはその象徴であり、現実に米国と同地域の経済を接合するちょうつがいになる。国家資本主義的な手法を周辺に広げる中国をせき止め、自由や法の支配といった価値観を守る強力な防波堤の役割も期待できる。
対中関係にもメリット

むろんEUとTPPの連結は米国への「誘い水」にとどまらず、それ自体に大きな意義がある。

第一にEUは米国に並ぶ民主的な資本主義といった価値観の旗振り役だ。加えて、それを具体的なルールに落とし込むのにたけた交渉巧者でもある。そのEUがアジア太平洋地域への関与を増せば域内各国が中国流の規範になびくのに一定の歯止めをかけられる。

例えば中国は21年、米国が抜けた隙を縫ってTPPに加盟申請したが、協定が禁じる国有企業の優遇などに目をつぶるよう求めてくる可能性が高い。日本はTPPルールの順守が加盟の大前提という立場だ。EUが関係者として論戦に加われば頼もしい援軍になる。

第二に、4億5000万人の富裕な人口を擁するEUは、見方によっては米国をしのぐ魅力的な市場だ。米国抜きのTPPは、対米輸出を期待した国々を落胆させたが、EUと連結すれば当初の協定に劣らぬ求心力をもつ。

いわゆる「バンドワゴン(勝ち馬)効果」でTPP参加国の裾野が広がれば、中国が主導する15カ国の東アジア地域包括的経済連携(RCEP)を上塗りする形で経済のルールも高度化できる。

第三に勝ち馬効果をテコに、乗り遅れを恐れる中国に国内制度の改革を促せるかもしれない。
オンライン開催のRCEP署名式に参加し、各国首脳らが映る画面の脇で手を振るベトナムのグエン・スアン・フック首相(左)=20年11月、ハノイ(VNA=共同)

TPPは日本のソフトパワー

実現に向けた課題の一つは関税同盟のEUと自由貿易圏のTPPをどう連結させるか。先例はある。EUは07年から09年にかけて東南アジア諸国連合(ASEAN)との貿易協定を目指した。発展度合いが異なるASEANの足並みがそろわず交渉は凍結されたが、法技術面の蓄積は参考になる。

その後もEUはシンガポールやベトナムと個別に自由貿易協定(FTA)を結ぶなど東南アジアとの連携を強めている。より幅広い国々が高い水準の自由化で合意したTPPは、連携の加速に有用と映るはずだ。ロシアのウクライナ侵攻後は、同じ専制国家の中国から撤退を検討する欧州企業が増えており、その受け皿としてTPPの魅力は高まっている。

TPPとEUには一筋縄にいかない分野もある。例えばTPPは自由なデータ取引を重視するが、EUは個人情報の保護を優先する。知的財産権や検疫、紛争処理の仕組みも異なり、環境や人権問題を巡る温度差が政治問題になる可能性も否定できない。ここは両者が歩み寄り、違いを建設的に制度改善へ生かす知恵が不可欠だ。

「自由貿易か経済安全保障か」の議論が活発だが、資源が乏しい日本にとっては自由な貿易こそが経済の生命線。友好国と関係を深める「フレンドショアリング」は米中対立で特に重要性を増した。EUと米国の双方が加わりGDPで世界の過半を占める拡大TPPは、その究極の基盤になりうる。

日本は米離脱で崩壊しかけたTPPを救い、世界の信頼を得た。TPPは日本のソフトパワーの源泉だ。展望なく米復帰を願い、中国を拒み続けるだけでは、その威光は色あせる。ここは日本も切迫感を持って行動したい。

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前嶋和弘
上智大学総合グローバル学部 教授
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ひとこと解説

西村コメンテーターのご指摘に強く同意いたします。まずはアメリカに対してもこのTPPの優位性を粘り強く説明することかと思います。

一方で、雇用喪失だけでなく民主党の支持母体の一つである環境保護団体からも強い反発があるTPPはアメリカでは「憎まれ者」的存在。残念ながら現状ではTPP早期復帰はほぼ不可能なのかと思います。

議会に権限がある貿易交渉をすすめるためには、大統領はTPA(貿易促進法案、かつてのファストトラック)を議会で立法化してもらわないといけないのですが、そもそもバイデン政権は延長申請を議会にせず、昨年7月に失効しています(トランプ政権ですらTPA延長を議会に申請)。
2022年7月8日 11:58 』

EUとニュージーランド、FTAで大筋合意

EUとニュージーランド、FTAで大筋合意
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR30ECO0Q2A630C2000000/

『【ブリュッセル=竹内康雄】欧州連合(EU)とニュージーランド(NZ)は30日、自由貿易協定(FTA)を結ぶことで大筋合意した。フォンデアライエン欧州委員長とNZのアーダーン首相がブリュッセルで会談して発表した。民主主義陣営の結束を示し、供給網(サプライチェーン)の強化にもつなげる。

フォンデアライエン氏は記者団に「双方の企業、農業従事者、消費者に利益がある」と表明。アーダーン氏は「質の高いFTAだ」と、関税の引き下げだけでなく、環境や人権も網羅した内容だと力説した。

EUの発表文によると、FTAが発効すれば、お互いの貿易量が30%増え、関税の削減でEU域内の企業は年1億4000万ユーロ(約200億円)の負担が減るという。

NZによると、発効すると、EU向け輸出品でキウイやワインなど農林水産品を中心に91%の関税が撤廃され、最終的には97%になる。

EUの統計では、EUとNZの輸出入を合わせたモノの貿易額は21年で78億ユーロ。サービス分野は20年で37億ユーロだった。NZにとってEUは3番目に大きな貿易相手だ。NZからEUへの主力輸出品は農産品で、EUからは工業製品だ。

EUとNZのFTA交渉は2018年に始まった。この時期に合意したのは2つの背景がある。一つは経済的な面で、新型コロナウイルス禍で供給網が途切れたのを教訓として、双方の経済的な結びつきを強めるためだ。

もう一つは地政学的な側面だ。民主主義陣営が中国やロシアとの対立を深めるなか、基本的な価値を共有するEUとNZが手を握り、結束を示す必要があると判断した。

発効には批准手続きが必要だ。EUにとってNZとの貿易額は大きくないが、同国からの農産品輸入が増えることに警戒感が強い加盟国もある。』

インドの意外なIPEF参画、貿易赤字を巡る損得勘定

インドの意外なIPEF参画、貿易赤字を巡る損得勘定
編集委員 高橋徹
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCD230Q40T20C22A6000000/

『米国が新経済圏構想「インド太平洋経済枠組み(IPEF)」を立ち上げ、アジアから13カ国が創設メンバーに名を連ねた。同盟国の日本、韓国、オーストラリアはもちろん、これまで地域の経済連携のハブ的存在だった東南アジア諸国連合(ASEAN)からも7カ国が参加した。意外だったのはインドが手を挙げたことだ。モディ政権下で保護主義が目立ってきた同国の利害得失をどうみればいいのだろうか。

インド参画の報が日本政府にもたらされたのは5月19日。バイデン米大統領が初来日してIPEF創設を発表する、わずか4日前だった。「ポジティブサプライズだ。入ってほしいとは思っていたが、まさか第1陣に加わるとは」と経済産業省関係者が打ち明ける。

その背景には3年前の苦い記憶がある。インドは2019年11月、16カ国による7年越しの協議が大詰めを迎えていた東アジアの地域的な包括的経済連携(RCEP)から離脱した。土壇場のちゃぶ台返しで全体の交渉妥結はさらに1年延び、インド抜きで協定発効にたどり着いたのは今年1月のことだ。

RCEP離脱のインド、米の新経済圏構想になびく

RCEP加盟の15カ国のうち11カ国はIPEFと共通だ。前者に背を向けたインドがなぜ後者になびくのか。貿易構造をみれば事情が浮かび上がる。

インドの最大の貿易相手国は13年度(13年4月~14年3月)から5年間は中国だった。その後、18~19年度は米国、20年度は中国、21年度は米国とめまぐるしく首位が入れ替わるが、対照的なのは貿易収支。対米は黒字、対中は赤字が定着し、昨年度は前者が328億ドル(約4兆4300億円)、後者は729億ドルといずれも過去最大だった。

直近で1900億ドルまで膨らんだ貿易赤字を改善したいインドは、中国からの輸入を減らし、米国への輸出を増やしたい。中国が中核のRCEPを離脱し、米主導のIPEFに参加する最大の理由だが、もうひとつ見逃せない要素がある。ASEANだ。

モディ首相は「自立経済圏」を掲げる=ロイター

対中は赤字全体の4割弱を占めるが、対ASEANの赤字も257億ドル、1割強とそれに次ぐ。かつてタイとの2国間の自由貿易協定(FTA)交渉で、成果を早く得ようと約80品目の関税を先行撤廃する措置を導入したところ、輸入急増で国内企業の経営破綻を招いた。そのトラウマからタイとは結局FTAを締結せず、10年に発効したASEANとの多国間FTAも自由化率は約77%と低水準にとどまる。その自由化率を引き上げるRCEPからの離脱は、中国に加えてASEANからの輸入増加も嫌った面があった。

ただ、RCEP加盟国との貿易赤字が全体の65%を占めるのに対し、IPEF加盟国とは10%にとどまる。IPEF加盟で仮に対ASEANの赤字が増えても対米黒字の拡大で十分に相殺は可能、との皮算用は働いただろう。

インドの参画で今後の交渉に火種も

「量」だけでなく「質」の違いも見逃せない。IPEFは米市場の開放を伴わないため、インドにすれば逆に米国をはじめとする他国からも市場開放を強要されない。また、貿易、供給網、インフラ・脱炭素、税・反汚職という4つの柱ごとにそれぞれ交渉し、先行して合意したものから実行に移す。特定の分野に絞った署名も可能で、供給網やインフラに関心が強いであろうインドには参加しやすい仕組みだ。

人口14億人を抱え、民主主義陣営の一角であるインドの参画は、中国抜きの経済圏づくりの性格を帯びるIPEFにとって大きい。ただ、経産省幹部は「RCEP交渉を思い起こせば、これからが大変だ」と身構える。この手の交渉は妥協なしには進まないが、RCEPでは参加国の間で何度も「またインドか」との声が上がるほど、同国のかたくなな姿勢が際立ったからだ。

インドはRCEP離脱後、国際経済からの孤立は避けようと、アラブ首長国連邦(UAE)や豪州とFTAを結んだ。ただ与党・インド人民党(BJP)の経済イデオロギーはいまも「国産優先」で、モディ政権は自立経済圏の構想を掲げる。インドとインド太平洋地域の経済圏は折り合えるのか。IPEF交渉は火種を抱えて走り出す。』

貿易ルール早期実現で一致 IPEF14カ国が閣僚級会合

貿易ルール早期実現で一致 IPEF14カ国が閣僚級会合
https://www.jiji.com/jc/article?k=2022061100534&g=int

『【ワシントン時事】米通商代表部(USTR)は11日、米主導の経済圏構想「インド太平洋経済枠組み(IPEF)」の非公式閣僚級会合をパリで開催したと発表した。日本を含め参加表明した全14カ国が出席。貿易分野の交渉目標について意見交換し、早期実現に向けて議論を加速することで一致した。

IPEF、夏までに正式交渉開始 ルール監視や罰則も検討―米通商代表

 USTRによると、バイデン米大統領が5月23日の訪日時にIPEF発足を表明した後、全参加国の閣僚級が集まるのは初めて。日本や韓国、インドなどが参加した。議長を務めたキャサリン・タイUSTR代表は「高水準で包括的、自由かつ公正な貿易枠組みを構築したい」と呼び掛けた。
 今回会合は、パリで行われた経済協力開発機構(OECD)閣僚理事会に合わせて開催された。日本からは広瀬直経済産業審議官、三宅伸吾外務政務官が出席。経産省によると、日本は会合で「協力とルール形成のバランスが取れた枠組み」の重要性を訴えた。 』

インド太平洋経済枠組み(IPEF)が13カ国で発足、台湾は含まれず
https://www.jetro.go.jp/biznews/2022/05/4ce04727563e0867.html

 ※ フィジーが、後から参加したようだ。

 ※ 台湾は、別途で米との二国間協議により参加するので、実質15か国となるもようだな。

 ※ ただし、4分野全部でなくても、その一部でも参加可能…、としているんで、その詳しい内訳は、この記事ではよく分からない…。

 ※ それすら、これからの交渉次第…、ということかもしれない…。

『米国のジョー・バイデン大統領は5月23日、日本を含む12カ国とインド太平洋経済枠組み(IPEF:Indo-Pacific Economic Framework for Prosperity)の立ち上げ外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発表した。発足段階での参加国は、米国、日本、インド、ニュージーランド、韓国、シンガポール、タイ、ベトナム、ブルネイ、インドネシア、マレーシア、フィリピン、そしてオーストラリアの13カ国となった(発足式に参加した各国首脳・閣僚は添付資料表のとおり)。

バイデン大統領は、同日午前に行われた岸田文雄首相との2国間の首脳会談や共同記者会見ののち、午後4時半過ぎからIPEFの発足式に臨んだ(2022年5月23日記事参照)。発足式冒頭で、バイデン大統領は「21世紀の経済の未来は、インド太平洋地域、つまりわれわれの地域で、大きく描かれることになる」とした上で、IPEF立ち上げの目的が「21世紀の経済のための新しいルールを書き、それによってわれわれ全ての国がより早く、公平に成長することを支援すること」だと述べている。

また、IPEFを構成する4つの柱(注)それぞれについては、「ある国で企業がビジネスを行うために独自技術を渡す必要がないように、デジタル財・サービスの貿易を管理する新しいルールから始める」「重要なサプライチェーンのボトルネックを解消するために、サプライチェーンに関するこれまでにないコミットメントをつくり、問題が発生する前に発見できるように早期警告システムを開発する」「クリーンエネルギーと脱炭素化に関する、ほかに類を見ないコミットメントを追求する」「公的資源を奪う汚職に手を染めるための抜け穴を防ぐ」といった、「最も深刻な問題」に取り組む姿勢を明らかにしている。

なお、米国連邦上院議員は台湾をIPEFメンバーに含めることを要請していたが(2022年5月19日記事参照)、ジェイク・サリバン国家安全保障担当大統領補佐官が5月22日の記者ブリーフィングで明らかにしたとおり(2022年5月23日記事参照)、発足メンバーには含まれなかった。

今回加盟しなかった国・地域に対して、バイデン大統領は「もし加盟を希望し、目標を達成し、そのために働くのであれば、将来的な参加を希望する他国にオープンだ」とし、今後の枠組み拡大に対して歓迎の意を示した。

(注)(1)公平で強靭(きょうじん)性のある貿易、(2)サプライチェーンの強靭性、(3)インフラ、脱炭素化、クリーンエネルギー、(4)税、反腐敗の4つ。

(滝本慎一郎)

(米国、日本、インド、ニュージーランド、韓国、シンガポール、タイ、ベトナム、ブルネイ、インドネシア、マレーシア、フィリピン、オーストラリア、台湾)

ビジネス短信 4ce04727563e0867 』

IPEF、ルール順守監視へ罰則も USTR代表

IPEF、ルール順守監視へ罰則も USTR代表
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN0703E0X00C22A6000000/

『【ワシントン=鳳山太成】米通商代表部(USTR)のタイ代表は6日、米国主導の新経済圏構想「インド太平洋経済枠組み(IPEF)」を巡り、ルールを守らない企業に罰則を科す可能性を示唆した。デジタル貿易などの分野で設けたルールを順守させるための仕組みを検討する。

米首都ワシントンで開かれたイベントで明らかにした。IPEFは日米や韓国、インド、東南アジア諸国など14カ国が参加し、環境や労働などの分野で高水準のルールをつくる。実効性を高めるために、ルールを守っているか監視する仕組みづくりが焦点だ。

タイ氏は「夏までに正式な会合を開きたい」と述べ、閣僚級会合を経て正式に交渉を始める意向を改めて示した。

バイデン政権は高インフレを抑えるため対中制裁関税の引き下げを検討している。タイ氏は「インフレの対処は関税よりも複雑な問題であることを認識しなければいけない」と指摘し、関税引き下げに慎重な姿勢を貫いた。

バイデン政権内では対中関税の引き下げを巡って意見が割れている。USTRのタイ氏は国内産業を保護したり中国への交渉カードを温存したりするため、関税を維持すべきだとの立場だ。イエレン財務長官はインフレ対策の一環で引き下げを訴えている。

【関連記事】
・IPEFのルール順守を監視 USTR代表、夏までに交渉開始
・USTR代表、対中関税下げに慎重「中長期の視点で」』

韓国通商トップ「IPEFルールづくりで役割果たす」

韓国通商トップ「IPEFルールづくりで役割果たす」
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM0374M0T00C22A6000000/

『【ソウル=細川幸太郎】韓国の安徳根(アン・ドクグン)通商交渉本部長は3日、日本経済新聞などの取材に応じ、米国主導で発足したインド太平洋経済枠組み(IPEF)において「デジタル貿易のルールづくりで積極的な役割を果たす」と強調した。サプライチェーンや脱炭素分野でも「韓国は途上国とのつなぎ役を担える」とした。

安氏が5月に就任して以降、メディア取材に応じたのは初めて。尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権は米韓同盟を重視する姿勢を強く打ち出しており、通商政策でも対米関係を柱に据える考えを示した。

IPEFには日本やインド、東南アジア諸国などが参加する。IPEFの立ち上げには、中国に対抗する形の緩やかな経済連携を構築する狙いがある。韓国にとって中国は最大の貿易相手国のため、安氏は「外交政策と通商交渉政策は別の次元。中国との貿易安定にも注力する」と話し、韓中の2国間協力を探る考えも示した。

韓国は前政権が環太平洋経済連携協定(TPP)への加入方針を打ち出したものの、任期末までに加入申請できなかった経緯がある。尹政権の米国傾倒によって米国のいないTPPへの参加議論は後回しになっており、申請書の提出のメドは立っていない。

安氏はTPP加盟のためには日韓関係の改善が必要との認識を示し、「近いうちに合理的な解決方法を見いだし、韓日関係を正常化した上でTPPに加入申請したい」と話した。』

イスラエル、UAEと自由貿易協定 対アラブで初

イスラエル、UAEと自由貿易協定 対アラブで初
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR319WH0R30C22A5000000/

『【カイロ=久門武史、ドバイ=福冨隼太郎】イスラエルは5月31日、アラブ首長国連邦(UAE)と自由貿易協定(FTA)に署名した。イスラエルがアラブ諸国とFTAを結ぶのは初めて。2020年に国交を樹立した両国が経済面でも関係を一段と強める。

UAEで5月に就任したばかりのムハンマド大統領は対イラン強硬派で知られる。大統領に就く前からUAEの事実上の指導者としてイスラエルとの国交樹立を主導した。ともに安全保障上の脅威とみなすイランへの対抗でも連携を深める可能性がある。

イスラエル政府は31日発表した声明で、両国間で取引する製品の96%について即時または段階的に関税が撤廃されると説明した。農産物、化粧品、医療機器、医療品などが対象になる。両国は4月にFTA締結で合意していた。

声明によると、21年の両国間の貿易額は8億8500万ドル(約1100億円)に「急増」した。イスラエルとUAEはトランプ米政権(当時)の仲介で国交を結び、企業間の取引や協力を拡大してきた。FTAは両国間の貿易の活性化に追い風となる。

イスラエルのベネット首相は「これほどの広い範囲に及ぶFTAをアラブの国と結ぶのは初めてだ」とツイッターで歓迎した。署名式はUAEのドバイで開かれた。出席したイスラエルのバルビバイ経済産業相は「この合意は両国に無限の機会を開く」と強調した。

両国間のビジネスを促進するUAEイスラエルビジネスカウンシルは31日、両国間の貿易額が22年に20億㌦を超え、UAEで活動するイスラエル企業が同年、1千社に達するとの見通しを示した。「ドバイは南アジアや中東、極東を目指すイスラエル企業のハブになりつつある」と強調した。

イスラエルは20年、UAEだけでなく、バーレーン、スーダン、モロッコとも国交正常化で合意した。こうしたアラブ諸国は従来、パレスチナ問題の解決をイスラエルと国交を結ぶ条件だとしていたが、トランプ前米政権の後押しで、方針を転換した。

このうちUAEとの経済協力をイスラエルは先行させた。同国は今後、UAEとのFTA締結を「実利」の象徴として、ほかのアラブ諸国とも外交関係の正常化を目指すとみられる。

一方、UAEは2月、インドと包括的な経済連携協定(CEPA)の締結で合意したばかりだ。インドはイスラエルとのFTA交渉を再開しており、中東からアジアにまたがる経済連携が具体化し始めている。インド、イスラエル、UAE、米国の4カ国は21年10月、オンラインで外相会談を開き、関係強化を確認した。』