米、TPP復帰しない意向 「国内投資が優先」

米、TPP復帰しない意向 「国内投資が優先」
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB251BO0V20C21A9000000/

『【ワシントン=共同】米国務省のプライス報道官は24日の記者会見で、日本が参加し、中国や台湾も加盟申請した環太平洋連携協定(TPP)について、現状では復帰しない意向を示した。「世界に通用する競争力を強化するために国内に投資することが最初の仕事だ」と述べた。

プライス氏は2016年に米国がTPPに署名した当時から世界の状況が大きく変化したと強調し「バイデン大統領は現状のままの協定なら参加しないと明言している」と語った。

中台の申請に関しては加盟国の意向を尊重するとした上で、中国は「非市場的な貿易慣行と他国に対する経済的な威圧が判断要素になるのだろう」と指摘。台湾については「世界貿易機関(WTO)の責任ある加盟国であり、民主主義の価値観を信奉していることも判断されるだろう」と語った。

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ベトナム、中国のTPP加盟支持を示唆

ベトナム、中国のTPP加盟支持を示唆
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM233G70T20C21A9000000/

『【ハノイ=大西智也】ベトナム外務省のレ・ティ・トゥ・ハン報道官は23日、定例のオンライン会見で中国の環太平洋経済連携協定(TPP)への加盟申請について「経験と情報を中国と共有する用意がある」と述べ、加盟支持を示唆した。

ベトナムにとって中国は輸出で米国に次いで2位、輸入で最大の相手国。中国に隣接していることもあり、経済面の結びつきは年々強まっている。ベトナムは中国と同じ社会主義国だが、TPP加盟のため国営企業改革を進めてきた経緯がある。中国がTPPに加盟した場合、貿易拡大の期待が見込まれている。

一方、中国と対立を深めている台湾のTPP加盟申請については「TPPはオープンな自由貿易協定であり、他の加盟国と緊密に協議していく」と述べるにとどめた。』

試される対中包囲網 TPPが覇権争いの場に

試される対中包囲網 TPPが覇権争いの場に 
日本は台湾申請「歓迎」
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA232DY0T20C21A9000000/

『環太平洋経済連携協定(TPP)は中国に加えて台湾も加盟を申請したことで、自由主義と権威主義の覇権争いの舞台の様相を呈してきた。茂木敏充外相は23日、台湾の申請を「歓迎したい」と表明したが、加盟国の対応には温度差がにじむ。本来は対中包囲網を期待されたTPPにとって試練となる。離脱した米国が身動きをとれない中、自由主義陣営の一角として日本は重責を担う。

訪米中の茂木氏は23日(現地時間22日)のオンライン記者会見で「台湾は自由、民主主義、基本的人権、法の支配といった基本的価値を共有し、密接な経済関係を有する極めて重要なパートナーだ」と強調した。「台湾がTPPの高いレベルを完全に満たすかどうかしっかりと見極める必要がある」とも説明した。

16日に加盟申請した中国には「歓迎」といった表現は使わず、「高いレベルを満たす用意ができているかしっかり見極める必要がある」と述べるにとどめていた。台湾への対応との差が浮き彫りになった。

TPPは高水準の自由化や透明性の高い投資ルールなどを共有する巨大経済圏をつくり、自国に都合の良いルールをめざす中国を押さえ込む狙いがあった。米国の離脱で盟主が不在となった隙をついて中国が加盟申請した。加盟が認められれば、その後の新規加盟に拒否権を持つ。

環太平洋連携協定(TPP)への加入申請の経緯などを説明する台湾行政院の鄧振中政務委員=23日、台北(行政院提供・共同)

台湾の通商交渉トップは23日の記者会見で、中国が先に加盟すれば台湾が「不利」になるとの判断が加盟申請につながったと表明した。

中国はオーストラリアが新型コロナウイルスの発生源について独立調査を求めたことに反発し、同国からの輸入品に高関税を課したり、輸入を制限したりした。自由な国際秩序を軽視する中国を受け入れれば、TPPの本来の役割がゆがむおそれがある。

台湾海峡を巡って中台対立が緊迫する中、安全保障の観点からの判断も問われる。TPP加盟には現メンバー国の全会一致の同意が必要となる。

加盟国の多くは様子見姿勢だ。カナダの外務省は22日、台湾の申請について日本経済新聞の取材に「参加には高い基準と野心的な市場アクセスの約束を満たし、順守することが求められる」との説明にとどめた。

オーストラリアのテハン貿易・観光・投資相も23日、「他の加盟国と協力し、総意に基づいて台湾の申請を検討する」と述べるにとどめ、姿勢を明確にするのは避けた。中国の加盟申請に歓迎の意向を表明したシンガポールとマレーシアは、台湾の申請に関しては態度を明らかにしていない。

中国側は中国大陸と台湾が1つの国に属するという「一つの中国」を唱える。台湾の加盟を阻止するため、関係国への外交的な圧力を強める公算が大きい。TPP参加国は自由なルールの堅持で結束を堅持できるかどうかが試される。

外務省の発表によると、茂木氏は記者会見に先立つブリンケン米国務長官との会談で米国にTPP復帰を促した。しかし今のところは望み薄だ。

バイデン米大統領が支持基盤として重視する労働組合はTPPに反対する。野党・共和党でも復帰に否定的な意見が根強い。与党・民主党の苦戦が予想される2022年秋の中間選挙を前に、あえて危険を冒す政治的な余力は乏しい。

サキ大統領報道官は再加盟の交渉段階には「明らかに達してない」と語る。加盟国が中台の間で中国側になびかないよう、外部から外交で働きかけるしかない。

主要7カ国(G7)の一角として自由主義陣営が主導する国際秩序を守る立場の日本は重責を負う。訪米中の茂木氏はTPP加盟交渉中の英国のトラス外相とも会談し、加盟交渉について話し合った。

伝統的に自由貿易の志向が強い英国の加盟交渉なども通じ、高水準の貿易自由化や透明性あるTPPのルールを強固にすることで、中国に対しても妥協しない姿勢が求められる。

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福井健策
骨董通り法律事務所 代表パートナー/弁護士

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分析・考察 一番避けるべきは、中・米といった非メンバーの大国の加入問題でゴタゴタして、現在のTPPの運営がおろそかになることでしょう。

TPP11は既にGDPは世界の13%、人口はEUをしのぎます。それが過去3年間で何を達成できたのか、この先どんな協力を進めて何を対外発信するのか、これが第一ではないでしょうか。

例えば高い知的財産権保護と言いますが、実際にはメンバーのベトナムはオンライン海賊版の中心地で、海賊版対応の域内協力などまだまだです。

中国がどう宿題をクリアするかなどは中国側に考えさせて何度でも説明させれば良く、まずはTPP11がどう良いネットワークを構築するかだと思えます。

2021年9月24日 8:01 (2021年9月24日 8:29更新)
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渡部恒雄
笹川平和財団 上席研究員

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分析・考察 TPPが中国に対して持つ「戦略性」については米国内でも意見が分かれてきました。

TPP推進を進めたオバマ政権時代に、バイデン政権のキャンベルNSCインド太平洋調整官が、中国を念頭にTPPは戦略的なものと発言したところ、同じ政権のUSTRの次席がTPPに戦略性はないと反論したことがありました。

現在のバイデン政権はそこまで意見は割れていないにしても、民主党の支持組織の労組の立場を考えると参加は難しそうです。

米国離脱後のTPPを主導してきた日本が、米国の緊密な同盟国でTPP加盟国のオーストラリアやカナダなどと、本来の戦略的目標「中国の国際ルール尊重」を達成させる方向で動くことが重要です。

2021年9月24日 7:58いいね
20 』

台湾、TPPに加盟申請 中国の反発必至

台湾、TPPに加盟申請 中国の反発必至
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM22D0C0S1A920C2000000/

『【台北=中村裕】台湾当局が環太平洋経済連携協定(TPP)への加盟を22日に正式に申請したことが分かった。23日に当局者が詳細を発表する。すでに事務局の役割を担うニュージーランド政府に申請書類を提出し、すべての加盟国に参加への支持を要請した。

台湾の行政院(内閣)が22日夜、明らかにした。TPPを巡っては台湾の蔡英文(ツァイ・インウェン)政権と対立を深める中国が16日に加盟申請したと発表したばかり。台湾の加盟には中国が反発するのは必至で、加盟交渉は難航が予想される。

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TPPには現在、日本など11カ国が加盟しており、英国も2月に加盟を申請している。参加にはすべての加盟国の同意が必要となる。台湾は中国の参加のもとで2022年1月の発効をめざす東アジアの地域的な包括的経済連携(RCEP)には加わらず、TPP加盟と米国との自由貿易協定(FTA)締結を目指してきた。

台湾はTPP加盟国のうち、ニュージーランドとシンガポールの2カ国とすでにFTAを結んでいる。蔡政権はこれまで非公式にTPPへの加盟希望を関係国に伝えてきたが、中国の加盟申請の発表を受けて、作業を急いだ可能性が高い。

台湾のTPP加盟に向けたハードルは高い。中国大陸と台湾は1つの国に属するという「一つの中国」を唱える中国の習近平(シー・ジンピン)政権は、台湾の加盟阻止に向けた関係国への外交的な働きかけを強めるとみられる。

中国共産党系メディアの環球時報(電子版)は22日、台湾のTPP加盟申請について「かく乱だ」と批判した。国務院台湾事務弁公室の報道官が「中国と国交を結んだ国が台湾と協定を締結することに断固反対する」とコメントしたとも伝えた。

一方、台湾当局は民主主義の価値観を共有する日本などに加入を支持するよう強く働きかける方針。今後、中台のTPP加盟を巡る外交的な駆け引きが激しくなりそうだ。

中国からの圧力が強まるなか、蔡政権は米国とのFTA交渉にも動いている。6月には米国と1994年に署名した「貿易投資枠組み協定」に基づく協議の再開にこぎ着け、FTA交渉への準備作業を開始した。

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台湾のTPP加盟、根回し不足の申請に

台湾のTPP加盟、根回し不足の申請に 実現に難題多く
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM22EF30S1A920C2000000/

『【台北=中村裕】台湾当局が22日、環太平洋経済連携協定(TPP)への加盟を正式に申請したことを明らかにした。23日に詳細を公表する。ただ、中国は台湾の加盟に強く反対する方針。米国がTPPから離脱した現在、中国の圧力を受けながら台湾の加盟を強力に後押しできる国は乏しいのが実情だ。

TPPには現在、日本やオーストラリアなど11カ国が加盟している。参加するためには、加盟国すべての同意が必要となる。台湾の蔡英文(ツァイ・インウェン)政権はかねてより中国に依存した経済からの脱却を図るため、TPP加盟に意欲を見せていた。加盟国と水面下で協議も持ち、賛成票を得るための根回しを続けている段階にあった。

TPP加盟国には、中国と強い貿易関係で結ばれる南米のチリやペルーや東南アジアの国々が多く含まれる。台湾が拙速にTPP加盟申請を行えば、中国が加盟各国に圧力をかけることも予想された。そのため、台湾は慎重に各国と話を進め、大方の同意が得られてから、正式にTPPの加盟申請を行う段取りを描いていた。

しかし中国が突如、16日に台湾に先んじてTPPへの加盟を正式申請したと発表した。中国がTPPへの加盟手続きを進め、参加国との関係を強めれば、さらに台湾のTPP加盟へのハードルが高くなる。国際的な孤立が深まる恐れもあることから、台湾当局は加盟申請を急いだとみられる。

台湾のTPP加盟の実現には難題が多い。最大の問題は中国だ。22日夜、台湾のTPP加盟の正式申請の報道が伝わると、即座に中国共産党系メディアの環球時報(電子版)が「かく乱だ」などと批判した。

中国がTPPに加盟できなくても、台湾の加盟には大きな困難が伴う。加盟各国との根回しが十分に終わらないまま、TPPへの加盟申請を行うことになったためだ。今後、中国が台湾の加盟を阻止するために、経済力をテコに東南アジアなどの加盟国に対する働きかけを強める可能性が高い。

こうした中国の行動をけん制し、台湾の加盟を後押しすることも予想された米国がTPPに参加する意欲を失ってしまったことも台湾にはマイナスになっている。

TPPを主導する日本とも大きな問題を抱える。台湾は東日本大震災からの10年余り、福島県や茨城県など5県の農産品の輸入を全面禁止にしてきた。台湾では今でも5県産の農産品の輸入に対する市民の反対が根強い。TPPへの加盟のために輸入解禁を強行すれば、反対運動が起こって政権運営を揺るがしかねない事情がある。

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対中姿勢、迫られる踏み絵 台湾もTPP加盟を申請

対中姿勢、迫られる踏み絵 台湾もTPP加盟を申請
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA22DEE0S1A920C2000000/

『中国に続き、台湾が環太平洋経済連携協定(TPP)への加盟を正式に申請した。加盟が認められれば、その後の新規加盟に拒否権を持つため、日本などの加盟国は事実上、中国と台湾のどちらかを選ぶ踏み絵を迫られる。安全保障の観点も交えた難しい判断が求められる。

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「民主主義や法の支配を守る台湾の加入申請を政府として前向きに受け止める」。外務省幹部は22日夜、日本経済新聞の取材に対しこうコメントした。

台湾は日本とは自由貿易協定(FTA)を結んでいない。「協定の内容に特化した非公式協議をしたことがないため加盟のハードルは未知数」(日本政府の通商政策担当者)という。

それでも中国が申請した際に「高いレベルを満たす用意が本当にできているのかどうか見極めていく必要がある」などと閣僚が慎重姿勢を示したのとは対照的だ。

TPPは日本やカナダ、オーストラリアなど11カ国が参加する大型連携協定だ。新たに加盟する際には既存の参加国が全会一致で認める必要がある。対立する中台のどちらかが加盟すればもう片方の加盟は難しくなる。

既に加盟国の間で温度差が出ている。中国の加盟申請に対し、シンガポールとマレーシアは歓迎する立場を表明した。一方、メキシコは慎重な姿勢だ。中国が入れば、TPPを離脱した米国を引き戻すのが難しくなる。メキシコの最大の貿易相手は米国で、米中の摩擦が深まる中で、中国の加盟に支持は打ち出しにくい。

オーストラリアも難色を示す。同国が新型コロナウイルスの発生源に関して独立調査を求めたことに反発した中国は、豪産大麦やワインへの高関税や、石炭などの輸入制限の措置をとった。テハン貿易・観光・投資相は中国が高関税などの問題を解決しない限りは、中国の交渉入りを支持しない姿勢を示唆する。

TPPを巡っては、先に加盟申請した英国との調整が本格化している。英国との交渉入りの際には、加盟国の閣僚らで現行ルールを守ってもらう方針を確認した。中国や台湾も同様に、まずは高水準の貿易自由化や透明性あるルールを受け入れるのが前提となる。

6月の主要7カ国首脳会議(G7サミット)の共同宣言に「台湾海峡の平和と安定の重要性を強調し、両岸問題の平和的解決を促す」と盛り込むなど、台湾を巡る動きは米中対立の最前線といえる。

相次ぐ加盟申請でTPPがその重要な舞台の一つとなり、経済だけでなく安保面も考慮した外交面の駆け引きが激しさを増すことになる。

(江渕智弘、金子沙月)

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侮れない中国TPP「300日計画」

侮れない中国TPP「300日計画」 習主席と李首相も連携
編集委員 中沢克二
https://www.nikkei.com/article/DGXZQODK212C30R20C21A9000000/

『中国が環太平洋経済連携協定(TPP)への加盟を正式に申請した。一見、唐突にみえる習近平(シー・ジンピン)政権の行動だが、その裏には300日にわたる周到な計画と準備があった。日本政府には米国不在となったTPPを苦労してまとめあげた成功体験がある。しかし、中国の戦略的な動きを十分、把握したうえで、先回りできなければ、かつての大きな功績も雲散霧消しかねない。

中国はバイデン米大統領がTPP復帰を目指すと予測していた(20日、ニューヨーク)=AP

「(2020年11月中旬までに)米大統領選でバイデンの当選が確実になり、東アジアの地域的な包括的経済連携(RCEP)も妥結した時点で、21年秋を目指すTPP11への加盟申請計画が(中国)指導部内で大筋、共有された」。中国の対外経済政策に詳しい信頼できる関係筋はこう明かす。

バイデン政権に先手、NZとシンガポールに照準

この計画の肝は、新型コロナウイルス禍を克服したバイデン政権が22年にはTPP復帰に動く可能性を考え、その前の21年9月、または10月に中国が先手を打つべきだという政治判断だった。

国家主席の習近平が20年11月20日、オンライン開催だったアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議で「TPP11参加を積極的に考える」と公式に表明する直前、正式申請に向けた「300日計画」が始動していたことになる。ここにはTPP加盟に意欲をみせる台湾の蔡英文(ツァイ・インウェン)民主進歩党政権をけん制する思惑もあった。

中国の全人代の閉幕式を終え、李克強首相(右)と言葉を交わす習近平国家主席(3月11日、北京の人民大会堂)=共同

中国トップの表明は唐突ではなかった。対外経済政策としては、RCEP交渉を仕切った首相の李克強(リー・クォーチャン)ときちんと連携がとれていた。李は、習発言に先立つ20年5月の段階でTPP参加に「中国は前向きで、開放的な態度だ」と話していた。

習と李をつなぐキーマンは、習が信頼する副首相の劉鶴(リュウ・ハァ)と、商務省の次官で国際貿易交渉代表の兪建華である。司令塔は国務院(政府)に置かれ、重要事項を判断する際は必ず会議が開かれた。

「300日計画」の最初の標的はニュージーランド(NZ)だった。同国はTPPに発展した原協定の4当事国(ほかはシンガポール、ブルネイ、チリ)の一つで、現在も大きな役割を担っている。域外国が加盟意思を通知する際の寄託国で、中国が正式な加盟を申請した先もNZだ。21年のTPP委員会の議長国である日本ではないのもポイントだった。

中国は何かと関係がギクシャクしていたNZとの意思疎通を重視する方向にカジを切っていた。習によるTPP参加検討の表明から間もない21年1月には、NZ側のメリットが大きい2国間の自由貿易協定の改定に署名した。中国との関係が悪化してゆくオーストラリアとは対照的な対応なのが興味深い。

シンガポールのバラクリシュナン外相(右)と会談する中国の王毅・国務委員兼外相(シンガポール、13日)=AP

加盟申請直前の最後の根回しは、やはり原協定当事国のシンガポールだった。同国が22年にTPP委員会の議長国になることを見越した接触でもある。国務委員兼外相の王毅(ワン・イー)は9月中旬、シンガポールを訪問。現地報道によれば、外相会談で中国のTPPへの興味に対して「歓迎する」という言葉をシンガポール側から引き出した。

決め手はアフガン情勢

原協定4当事国のうち、ブルネイとチリは国内手続きが未完了である以上、中国としていまの段階でできる根回しは果たしたことになる。中国は、マレーシアが中国加盟に向けた交渉を支持したように、東南アジアの多くの国は交渉入りに反対しないとみている。驚くのは中国側が「最終的には日本も中国の交渉入りに真っ向から反対できない」と読んでいることだ。

中国にとってTPP加盟申請は国際政治・経済戦略上、主導権を確保するための重要な手段である。英国に加盟申請で先を越されたとはいえ、時期の設定は中国の命運に関わる。そして9月中旬の正式申請に至る最後の決め手は、アフガニスタン情勢だった。

中国指導部は、アフガンからの米軍撤収に伴う混乱でバイデン米政権にTPP早期復帰を考える余裕がまだないと分析。20年からのスケジュールに沿い、11月にオンラインで開かれる予定のAPEC首脳会議の前に手を打った。

ここで問われるのは、習政権として、高いハードルを課すTPPに入るために徹底的な国内改革に踏み切る用意があるかどうか、である。

「皆、誤解している。(中国の)国内政治情勢を考えればいま、直ちに真心を持ってTPPに入る気などさらさらない。ギリギリの交渉をする用意もない。そもそも交渉入りさえ全加盟国の同意が必要なのだ。仮に交渉入りしても、肝心な部分はズルズルと引き延ばしになる」。中国の「本気度」に疑問を呈する識者の声は、一面の真実を言い当てている。

ここ数年、中国ではTPPの方向性とは逆の施策が次々と打ち出された。大きな国有企業同士の合併は典型例だ。民間の大企業には独占禁止などを理由に罰金を科したり、分割を迫ったりしているのに、国有企業への補助金問題には手がついていない。

1990年代からの世界貿易機関(WTO)加盟交渉は、国有企業を中心とした国内改革と同時進行の国運をかけた真剣勝負だった。今回のTPP加盟申請にはそこまでの覚悟がみえない。中国は、TPPが志向する企業や個人による国境を越えた自由なデータの流通には否定的で、国家安全を理由に規制強化に動いている。この流れで、9月にはデータ安全法を施行した。

TPPに反対してきた左派を利用する矛盾

習近平が進める「左旋回」の路線、統制強化を支える有力なグループは左派だ。過去、彼らは一貫してTPPに反対してきた。国有企業への補助規制といったTPPの規則は「主権の侵害につながる」という理屈だった。

全国政治協商会議の閉幕式に臨む劉鶴・副首相(左)と習氏(2019年3月、北京)=横沢太郎撮影

対外強硬策が特徴の「戦狼外交」を支持してきた中国内の学者らもTPPを「新型資本帝国統治」につながると批判してきた経緯がある。政治情勢を考えれば、いま中国がTPPに名乗りを上げるのはある種の自己矛盾だ。

一方、別の関係者は「(TPP加盟申請は)中国はあくまで『市場経済国家』としてとどまる、という(国の)内外へのアピールでもある」と指摘する。急激に社会主義へ傾斜する中国に疑問の目が向けられているのを強く意識した防御的な行動でもあるというのだ。

習近平がトップとしての続投を目指している2022年以降、さらに次の次の共産党大会がある27年まで見据えれば、TPP加盟申請と今後の交渉が国内改革へのテコに使える場面が出てくるかもしれない。

様々な側面を持つ中国のTPP長期戦略は決して侮れない。9月末の自民党総裁選を経て誕生する日本の新たな首相は就任早々、政治・経済両面で中国にどのように対処するのか決断を迫られる。(敬称略)

中沢克二(なかざわ・かつじ)
1987年日本経済新聞社入社。98年から3年間、北京駐在。首相官邸キャップ、政治部次長、東日本大震災特別取材班総括デスクなど歴任。2012年から中国総局長として北京へ。現在、編集委員兼論説委員。14年度ボーン・上田記念国際記者賞受賞。』

マレーシア、中国のTPP加盟支持

マレーシア、中国のTPP加盟支持 貿易拡大を期待
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM193PG0Z10C21A9000000/

『【シンガポール=中野貴司】マレーシア政府は中国の環太平洋経済連携協定(TPP)への加盟申請について「メンバーに迎えることを楽しみにしている」との声明を出し、支持する姿勢を示した。東南アジアの参加国ではシンガポールも歓迎の意向を表明している。慎重な立場の日本やオーストラリアとの温度差が鮮明になっている。

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日本経済新聞の取材にマレーシア貿易産業省が19日、回答した。同省は16日の中国の加盟正式申請の発表に「非常に元気づけられた」とした上で、加盟に向けた参加国との交渉が早ければ2022年にも始まるとの認識を示した。中国が実際に加盟すれば「両国間の貿易と投資はさらなる高みに到達する」とし、貿易拡大への期待が加盟支持の主な理由だと明らかにした。

マレーシアにとって中国は輸出、輸入ともに最大の相手国だ。マレーシアは現在、TPPの批准手続きを進めており、年内に国内手続きを終える可能性がある。

中国と地理的に近く、経済関係も密接な東南アジア諸国連合(ASEAN)のTPP参加国は、もともと中国の加盟に対する抵抗が小さかった。シンガポールのバラクリシュナン外相は13日、同国を訪問した王毅(ワン・イー)国務委員兼外相との会談で、中国がTPPへの加盟を検討していることを歓迎すると伝えていた。ASEANと中国は双方が参加する地域的な包括的経済連携(RCEP)協定の早期発効を目指す方針でも一致する。

一方、中国がアジアの貿易秩序を主導することを警戒する日本は、中国がTPPの高い基準を満たす用意ができているかを見極める姿勢だ。豪州も中国との貿易摩擦が解消しない限り、中国の交渉入りを支持しない姿勢を示唆している。中国が加盟するには全加盟国の支持が必要なため、日本や豪州などが難色を示せば加盟は実現しない。

ただ、マレーシアやシンガポールは日米など西側諸国だけでなく、中国とも多国間の貿易協定を通じて関係を強化したいとの思いが強い。通商問題に詳しいアジア貿易センターのデボラ・エルムス氏は「多くの参加国は中国と別のルールで競争するよりも、中国をTPPという一貫したルールの制約下に置きたいと思うはずだ」と指摘する。中国が今後TPPの基準を満たすための国内改革を約束した場合、中国の加盟に前向きな国が増える可能性がある。仮に日本が加盟を認めない立場を採るなら、説得力のある理由を参加国に示す必要がある。

中国の王毅氏はシンガポールを訪問した際、TPPやRCEP以外の貿易協定にも関心を示した。シンガポールが20年にニュージーランド、チリと合意したデジタル経済パートナーシップ協定(DEPA)だ。TPPの原型を作った3カ国によるこの協定は、国境を越えたビッグデータの移管や人工知能(AI)など先端分野の標準的なルール形成を目指している。中国が日米が不在のうちに、DEPAへの参加を決めれば、アジアが絡む多国間貿易協定で中国の存在感がさらに際立つことになる。

この記事の英文をNikkei Asiaで読む 』

メキシコ、中国のTPP加盟に慎重

メキシコ、中国のTPP加盟に慎重
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN204EB0Q1A920C2000000/

『【メキシコシティ=宮本英威】メキシコ経済省は20日、中国による環太平洋経済連携協定(TPP)への加盟申請について慎重な姿勢を示した。TPPが「高い基準を順守するすべての国に門戸は開かれている」と指摘した。国有企業への補助などの中国の経済ルールが加盟に課題となることを暗に示唆した形だ。

声明では「協定の創設国として他の10カ国と共に、中国の加盟申請について迅速にフォローし、関連の活動に加わる」とも言及した。

メキシコは2020年7月に発効したUSMCA(米国・メキシコ・カナダ協定)を通じて、北米で一体となった経済圏を構築している。メキシコの最大の貿易相手は米国で、圧倒的な地位を占めている。米中の摩擦が深まる中では中国のTPP加盟支持を打ち出すことは容易ではない。

加えてUSMCAでは、非市場経済国との自由貿易協定には、交渉開始の意図を他国に知らせることが定められている。

一方で、メキシコにとって中国は、輸入で米国に次ぐ2番目の相手国でもある。新型コロナウイルスへのワクチンの供与を巡って関係が深まってきた事情もある。

TPPの交渉官を務めた経験を持つロベルト・サパタ氏は地元紙レフォルマの取材に「メキシコにとって、非常に複雑で敏感な多面的交渉が始まる」と指摘した。

中国のTPP加盟を巡ってはシンガポールやマレーシアが前向きな一方で、日本やオーストラリアは慎重な姿勢を示している。』

ペルーでTPP発効、8カ国目

ペルーでTPP発効、8カ国目 輸出増に期待
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN1933S0Z10C21A9000000/

※■東アジア
日本
■東南アジア(ASEAN)
シンガポール
ベトナム
ブルネイ
マレーシア
■オセアニア
オーストラリア
ニュージーランド
■北米
カナダ
メキシコ
■南米
ペルー
チリ

という11か国が参加国の陣容だ…。

日本、メキシコ、シンガポール、ニュージーランド、カナダ、オーストラリア、ベトナム、ペルーの8カ国が国内で批准・発効したわけだ…。

 ※ 残るは、ブルネイ、マレーシア、メキシコの3カ国だけだ…。

 ※ ここに、英国、中国が加盟しようとしている…(加盟承認には、他の11か国の承認が必要)。

『【サンパウロ=共同】南米ペルーで19日、環太平洋経済連携協定(TPP)が発効した。発効は8カ国目。7月14日に国会が批准を可決していた。ペルー政府は綿のTシャツやアボカド、乳製品などの輸出に弾みがつくと期待している。

TPPは関税撤廃や、知的財産などの統一的ルールにより自由貿易を推進する枠組み。2018年3月に11カ国で署名し、日本、メキシコ、シンガポール、ニュージーランド、カナダ、オーストラリア、ベトナムの7カ国で発効済み。

TPPには英国が今年2月に加入申請を行ったほか、中国も今月16日に加入を申請した。』

中国が放ったくせ球 TPP加盟申請、日米分断の思惑も

中国が放ったくせ球 TPP加盟申請、日米分断の思惑も
Angle 高橋哲史
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA1765G0X10C21A9000000/?n_cid=NMAIL006_20210917_Y

『中国が環太平洋経済連携協定(TPP)への加盟を申請した。実現のメドは立っていないのにこのタイミングで突然、一歩踏み出したのはなぜか。

「(中国がTPPに加盟申請すれば)日本にとっては試練になるだろう。断れば中国と敵対することになるからだ。かといって、簡単に受け入れるわけにもいかない。米国が絶対に同意しないからだ」

2020年11月、北京大学国際関係学院の賈慶国・前院長にインタビューしたときの発言だ。賈氏は国政の助言機関である全国政治協商会議の常務委員も務め、中国の外交政策に深く関わる。

インタビューの3日後、中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席がTPPへの参加を「積極的に考える」と表明した。賈氏はそれを事前に知ったうえで、「TPP参加」の思惑を語ったとみられる。

中国がTPPへの加盟を真剣に考え、準備を進めてきたのは事実だ。特に2017年に発足したトランプ米政権がTPPから離脱し、中国に貿易戦争を仕掛けてからその動きを加速させた。米国に対抗するため、アジア太平洋地域の貿易ルールづくりで主導権を握りたい。中国の真意はそこにあった。

中国の李克強(リー・クォーチャン)首相が初めてTPP参加に意欲を示したのは、20年5月だ。新型コロナウイルスの猛威が世界を襲い、4月に予定していた習氏の国賓訪日が延期になった直後だった。

米国をけん制するために習氏の訪日を何としても実現したかった中国は、それまで「TPP参加」を口にしてこなかった。日中首脳会談で話題にすれば日本が米国との板挟みになり、習氏の訪日に難色を示しかねないと判断していたからだ。

習氏訪日のメドが立たなくなり、日本に配慮する必要はなくなった。20年11月に習氏が検討を表明してからは、いつでも正式に参加申請できる状態だった。

中国自身、TPPの高いハードルをクリアし、すぐに加盟できるとは思っていない。それでも今のタイミングで申請したのは、米国が主導するかたちで中国包囲網の構築が進んでいる状況と無縁ではないだろう。

米国、英国、オーストラリアは15日、対中国を念頭に新たな安全保障協力の枠組みを創設した。米英は中国から圧力を受ける豪州に原子力潜水艦の技術を提供する。欧州連合(EU)は16日、「インド太平洋協力戦略」を公表し、台湾との関係強を打ち出した。

日本が主導する現在のTPPには11カ国が参加し、英国も加盟を申請している。経済面に限れば、巨大市場の中国を取り込むメリットは大きい。中国の参加に前向きな加盟国が現れるかもしれない。中国はTPP陣営の足並みを乱すつもりだろう。

日本の立ち位置は難しい。中国を門前払いすれば、習指導部が対日批判を強めるのは必至だ。かといって中国に甘い顔をみせれば、米国が反発する。中国のTPP加盟申請には日米分断の思惑も透ける。その真意を冷静に見極める必要がある。

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・中国のTPP加盟、データのルールなど実現に3つの壁
・中国、TPP加盟を正式申請 アジア貿易主導権狙う
・中国のTPP加盟申請 バイデン政権、身動き取れず後手に


吉野直也政治部長と高橋哲史経済部長が自民党総裁選、衆院選とその後の経済・外交の行方を展望するライブ配信イベントを27日午後6時から開きます。お申し込みはこちらです。
https://www.nikkei.com/live/event/EVT210820001

経済・社会保障グループ長(経済部長) 高橋哲史
大蔵省(現・財務省)を振り出しに霞が関の経済官庁や首相官邸、自民党、日銀などを取材。中国に返還される前の香港での2年間を含め、計10年以上に及ぶ中華圏での駐在経験をもつ。2017年4月からは中国総局長として北京を拠点に中国の変化を報じ、21年4月に帰国した。』

包囲網にらみ先手か 中国TPP参加申請

包囲網にらみ先手か 中国TPP参加申請
https://www.jiji.com/jc/article?k=2021091700206&g=int

『【北京、ワシントン時事】中国が環太平洋連携協定(TPP)の参加申請に踏み切った背景には、米国のバイデン政権主導で構築が進む対中包囲網をにらみ、先手を打つ思惑があるとみられる。

中国の姿勢、見極めへ TPP加入申請、閣僚発言相次ぐ

 昨年11月に習近平国家主席が参加を「積極的に検討する」と表明して以降、中国はTPP参加国の一部と非公式に接触するなどして準備を進めてきた。

世界2位の経済大国として、来年1月の発効を目指す日中韓や東南アジア諸国連合(ASEAN)による地域的な包括的経済連携(RCEP)協定では突出した存在感を示す。米国不在のTPPでも大きな影響力を確保できるとの目算も申請を後押ししたとみて間違いない。

 TPP参加に関心を示す台湾をけん制する意図もうかがえる。米国の元TPP交渉官は「中国はTPP参加で台湾に圧力をかけている」と分析。台湾よりも先に参加を果たせば、中国の反対で台湾の参加は事実上、不可能となる。

 ただ、参加交渉の先行きは予断を許さない。参加国のオーストラリアとの間では豪州産ワインへの制裁関税導入など通商摩擦が激化。既に交渉入りしている英国との間でも香港問題などをめぐって緊張関係が続く。

 米英豪の3カ国首脳は15日、中国への対抗を視野に新たな安全保障の枠組み「AUKUS(オーカス)」を立ち上げると表明。こうした動きと中国のTPP申請は「偶然の一致ではない」(元米交渉官)との見方もあり、中国の参加交渉は経済だけでなく、安保問題も絡んで難航する可能性が高い。 』

中国の姿勢、見極めへ TPP加入申請、閣僚発言相次ぐ

中国の姿勢、見極めへ TPP加入申請、閣僚発言相次ぐ
https://www.jiji.com/jc/article?k=2021091700468&g=pol

『中国が環太平洋連携協定(TPP)に加入申請したことを受け、17日には閣僚から発言が相次いだ。TPP担当の西村康稔経済再生担当相は閣議後記者会見で、「中国が高いレべルのTPPルールを満たす用意ができているか、見極める必要がある」と指摘した。
中国、TPP参加を正式申請 通商交渉で主導権狙う

 正式な交渉に入るには、最高意思決定機関「TPP委員会」の決定が必要で、日本は今年議長国を務める。西村氏は「TPPは知的財産保護、政府調達などで極めてレベルの高いルールがある」と強調。「他の参加国と相談し、対応していきたい」と語った。

 梶山弘志経産相は「データ流通の公平性、強制労働の問題などで懸念を抱かれないようにしないといけない。国有企業への補助金や政府調達の在り方でも透明性を維持する必要がある」と指摘した。

 米国はトランプ政権時代の2017年にTPP離脱を表明。中国の申請には米国をけん制する狙いもあるとみられるが、加藤勝信官房長官は「アメリカ政府自体がTPPに対しどう考えるかだ」と述べるにとどめた。』

米、インド太平洋への関与強化 TPPには慎重―バイデン政権

米、インド太平洋への関与強化 TPPには慎重―バイデン政権
https://www.jiji.com/jc/article?k=2021091700296&g=int

『【ワシントン時事】バイデン米政権は16日、中国政府が環太平洋連携協定(TPP)への参加を正式に申請したことに対抗し、インド太平洋地域で経済や安全保障分野の関与を強化していく方針を示した。日米豪印4カ国の連携枠組み「クアッド」をはじめとした対中包囲網の構築を本格化させる構えで、経済圏の拡大をめぐる米中のせめぎ合いが激しくなりそうだ。

中国、TPP参加を正式申請 通商交渉で主導権狙う

 バイデン政権は中国を「最大の競争相手」と位置付け、クアッドや先進7カ国(G7)、20カ国・地域(G20)など多国間の枠組みを通じて対中圧力を強めている。米国務省の報道官は16日、中国の巨大経済圏構想「一帯一路」を念頭に「中国の非市場的な貿易慣行と他国への経済的な圧力」を強く批判。中国がTPP参加11カ国から加入の承認を得ることは難しいとの見方を示した。』

中国のTPP「正式加盟、可能性十分」 ペルー元貿易相

中国のTPP「正式加盟、可能性十分」 ペルー元貿易相
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB170PR0X10C21A9000000/

『【サンパウロ=共同】環太平洋経済連携協定(TPP)加盟国ペルーのバスケス元貿易・観光相は16日、共同通信に、中国が複数のTPP加盟国の主要貿易相手国であることから正式加入は「難しいかもしれないが、可能性は十分ある」と話した。

加入申請は中国にとって「大胆な動き」と指摘。米バイデン政権が「国際貿易の最前線への注意をおろそかにしている隙に、中国がうまく利用した」と述べた。

一方、ペルー国立サンマルコス大のカルロスアルベルト・アキノ教授は、中国がTPPに加入するには「多くの内部改革をしなくてはいけないだろう」と指摘し、国による経済統制を軽減することなどが必要だとの考えを示した。自身のフェイスブックで述べた。

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・中国のTPP加盟申請 米「経済的な威圧、判断要素に」』

中国のTPP加盟申請、米専門家「米国の関与強化必要」

中国のTPP加盟申請、米専門家「米国の関与強化必要」
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN16EYP0W1A910C2000000/

『【ワシントン=鳳山太成】中国政府は16日、環太平洋経済連携協定(TPP)への加盟を正式に申請したと発表した。アジアで米中の主導権争いが激しくなるなか、米国のオバマ政権でTPP交渉を率いた米通商代表部(USTR)のウェンディ・カトラー元次席代表代行は、米国がアジアで経済関与を強化すべきだと指摘した。

カトラー氏は中国の加盟申請について「自動的に加盟国になることを意味しない。むしろTPPの高水準のルールを守る覚悟があることを示す義務が生じる」と語った。「包括的な市場開放を約束する」のも同時に必要だと説明する。

加盟の可能性を巡っては「中国経済で国家の役割がより大きくなるなか、中国は市場に基づく高水準のTPPルールからむしろ遠ざかっているように見える」と指摘し、難しいとの見方を示した。

バイデン政権はTPPへの復帰に慎重だ。カトラー氏は「中国の正式申請は、なぜ米国が貿易などの経済的な関与をインド太平洋で強めなければいけないのかを表している」と強調し、中国に対抗して米政権にも行動を促した。

カトラー氏は米国がTPPに復帰したり、デジタル貿易や環境対策でアジア各国との連携を深めたりするよう訴えてきた。

【関連記事】米新政権の対アジア政策、環境・デジタルで再関与 』

中国のTPP加盟申請 米「経済的な威圧、判断要素に」

中国のTPP加盟申請 米「経済的な威圧、判断要素に」
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN16ES60W1A910C2000000/

『【ワシントン=鳳山太成】米国務省の報道官は16日、中国が環太平洋経済連携協定(TPP)への加盟を正式に申請したことについて「中国の非市場的な貿易慣行と他国に対する経済的な威圧が(加盟を認めるかどうかの)加盟国の判断要素となるだろう」と述べ、厳しい交渉になるとの見方を示した。

【関連記事】中国、TPP加盟を正式申請 アジア貿易主導権狙う

サキ大統領報道官は「インド太平洋で経済連携を強化するためにあらゆる選択肢を検討している。貿易は唯一の選択肢ではない」と語った。アジアで米中の主導権争いが激しくなるなか、貿易以外で関与を強める方策を探る考えだ。

サキ氏は米国のTPP復帰を巡り「バイデン大統領は現状のままでは再加盟しないと明言してきた」と指摘し、再加盟するのであれば環境や労働の条項で再交渉が必要になるとの立場を改めて説明した。現時点では「明らかに(再交渉の時機に)達していない」と早期復帰に慎重な姿勢を重ねて示した。

トランプ前政権はTPPから離脱した。国務省報道官は「米国はTPPの加盟国ではないので、中国が加盟する可能性については加盟国の意見を受け入れる」と説明した。

米政府は中国のTPP加盟が難しいとみている。国有企業を補助金で優遇するなど市場をゆがめる慣行がハードルになる。加盟国のオーストラリアに輸入規制で圧力をかけるなど威圧的な行為も反発を招いている。』

中国のTPP加盟、データのルールなど実現に3つの壁

中国のTPP加盟、データのルールなど実現に3つの壁
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA16E7K0W1A910C2000000/

『中国が16日夜、環太平洋経済連携協定(TPP)への加盟を正式に申請した。同国はこれまでもTPP参加を検討する構えをみせてきたが、実際に申請したことに日本の通商関係者には驚きが広がる。協定にはデータを巡るルールなどで中国にとって高いハードルがあり、日本を含めた加盟国との交渉が難航するのは必至だ。

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「TPPの水準守らないなら加盟させない」と交渉関係者

TPPは多国間の大型連携協定の1つ。モノの関税だけでなく、サービスや投資の自由化を進めるもので、データを扱う電子商取引や知的財産などの分野でもルールを定めて貿易の活性化をめざしている。

米国はトランプ前政権により離脱したものの、残る日本やカナダ、オーストラリア、シンガポールなど11カ国が2018年3月に署名。21年に入ってからは新たに加入を希望する英国との調整が本格化していた。

複数の日本の通商関係者は、中国がTPPに加盟するのはかなり難しいとの見方を示す。既存の参加国全会一致で認める必要があるからだ。英国の加盟交渉でも、既存の参加国は今のルールを受け入れるよう迫る。「中国に対しても同じで、TPP水準を守らないなら加盟させない」と日本の交渉関係者はけん制する。
労働巡るルールでウイグル問題に飛び火も

特に障害となりそうなのがデータを巡るルールだ。TPPはデータ流通の透明性や公平性を確保する原則を定めている。これは既存の多くの自由貿易協定(FTA)が盛り込めなかったもので、専門家の間では「TPPスタンダード」と呼ばれている。例えば、ある国が外資企業に対しサーバーを自国内に設置するのを義務付けることや、ソフトウエアの設計図にあたる「ソースコード」の開示要求を禁止している。

実際、日中韓や東南アジア諸国連合(ASEAN)など15カ国が参加し、20年11月に署名した地域的な包括的経済連携(RCEP)協定では、TPP水準のデータのルールはつくれなかった。妥結を急ぎ、厳しい規制に慎重姿勢を示す中国に配慮した面もあるからだ。

中国は、企業や個人による国境を越えた自由なデータの流通には否定的だ。データ安全法(データセキュリティー法)などで統制を強化する同国は「RCEPレベルが限界だ」と上智大の川瀬剛志教授は指摘する。

2つ目は強制労働の撤廃や、団体交渉権の承認など、労働に関するルールだ。ウイグル族への人権侵害が国際世論の反発を招く中で、中国はTPPの加盟交渉で難しい立場に置かれかねない。

3つ目として、国有企業への補助金や政府調達の手法など、中国国内の制度改革が必要なテーマも難しい分野だ。TPPは競争をゆがめるとして国有企業を補助金などで優遇することを禁じる。習近平(シー・ジンピン)指導部が進めてきた国有企業の増強を続けるなら、交渉はつまずく。TPPは政府調達でも国内外企業の差別を原則的になくすよう求めるが、中国は安全保障を理由に外資系の排除を進めてきた経緯がある。

11カ国でスタートしたTPPに中国が加盟を申請した(2018年3月にチリのサンティアゴで開かれたTPPの署名式)

地域貿易の主導権拡大狙う中国、日本は本気度探る展開に

中国の加盟申請について、上智大の川瀬教授は「国際的なルール形成の場で、より存在感や発言力を強めていこうとしている」と分析する。国際的な通商などのルールづくりに積極的に参画して影響力を発揮し、自国の政治や経済、産業に有利な仕組みを広げる狙いとみられる。

貿易を巡る米中対立が背景にあるとの見方も根強い。日本は米国のTPP復帰を望むが、バイデン政権も消極的な姿勢を崩していない。そんな隙に中国が加盟申請し交渉に臨めば、米国の復帰はより困難になる可能性が高い。仮に中国が加盟し、その後に米国が加入交渉をする展開になれば、全会一致の原則から米国の加入への拒否権を中国が持つことにもなる。

中国はRCEPを足がかりにASEANとの結びつきを強めようともしている。日中韓とASEANの経済担当相は13日の会合後の共同声明に、RCEP発効時期を巡り「22年1月」を目標にすると明記した。この目標は3月に中国が訴えていたものだ。RCEPやTPPにこれまで以上に関与し、地域貿易の主導権を強めていこうという姿勢がにじむ。

TPPは域内の人口が約5.1億人 、 国内総生産(GDP)が約11.2兆ドル(約1200兆円)と、RCEPや日本と欧州の経済連携協定(EPA)などと並んで世界有数の大型協定だ。中国の加入でその規模はさらに大きくなり、加盟すればメリットも大きい。

日本は現在、TPPの議長国を務める。高度な外交・通商戦略にも映る中国の相次ぐ動きの本気度をどうはかるか。半導体などで米国と共同歩調をとる日本にとっては、難しい判断を迫られる展開といえる。

(辻隆史、金子沙月)

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中国、TPP加盟を正式申請 アジア貿易主導権狙う

中国、TPP加盟を正式申請 アジア貿易主導権狙う
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM16DYS0W1A910C2000000/

『【北京=川手伊織】中国商務省は16日夜、中国が環太平洋経済連携協定(TPP)への加盟を正式に申請したと発表した。王文濤商務相が寄託国ニュージーランドのオコナー貿易・輸出振興相と電話協議し、申請書類を提出した。アジア・太平洋地域の貿易で主導権を握りたい考えだが、加盟に向けたハードルは高い。

【関連記事】中国のTPP加盟、データのルールなど実現に3つの壁

習近平(シー・ジンピン)国家主席は2020年11月、TPPへの参加を「積極的に考える」と表明した。米国が新たな自由貿易協定(FTA)などに消極的な中、22年1月の発効をめざす東アジアの地域的な包括的経済連携(RCEP)に続き、経済的な影響力の拡大を狙う。

加盟交渉が円滑に進むかは不透明だ。現在のTPP加盟国は11カ国で、英国も加盟を申請している。中国の参加には加盟国すべての同意が必要だ。だが、TPPには中国と通商摩擦を抱えるオーストラリアや南シナ海の領有権問題で対立するベトナムが加盟している。

中国国内の制度改革も避けては通れない。TPPは、政府が国有企業を補助金などで優遇して競争をゆがめることを禁じる。習指導部が国有企業の増強を前提としたままなら、交渉は最初からつまずきかねない。

中国は9月に施行したデータ安全法(データセキュリティー法)などでデータの統制を強化している。データの国外持ち出しの禁止などは加盟国の反発を招く可能性もある。

TPPは、データ流通の透明性や公平性を確保する3原則も盛り込む。その一つが「『ソースコード』の開示要求の禁止」だ。中国では外資系企業が許認可の取得などで、ハイテク技術の開示を地方政府などから迫られる例が後を絶たない。

TPPは政府調達でも国内外企業の差別を原則的になくすよう求める。中国は安全保障を理由に「安可目録」などと呼ぶリストを作り、外資系の排除を進めてきた。自国の都合を優先する姿勢では、加盟に向けた道は険しい。

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鈴木一人
東京大学 公共政策大学院 教授
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ひとこと解説

これは大変興味深い話。中国はTPPに参加することに大きなメリットを見いだしているが、そのためにはTPPが求める高い水準の自由貿易ルールを受け入れる覚悟が必要。

つまり、中国がTPPに入りたいという願望を持つ限り、中国は国際交渉において劣位にある。

TPPは中国の加入を優先して妥協することなく、中国なしのTPPを想定しながら、中国があらゆる点で高い水準のルールを受け入れることを条件に交渉しなければならない。その中国を入れるかどうかを決めるのは現在TPPに参加している国。日本が中国に持ちうる最大のレバレッジなので、これを活かして中国を変えていくという意識で交渉してもらいたい。
2021年9月17日 4:24
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菅野幹雄
日本経済新聞社 ワシントン支局長・本社コメンテーター
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今後の展望

偶然の産物なのでしょうが、米国と英国、オーストラリアによる「AUKUS」の安全保障協力が発表された直後に投げられた中国のくせ玉と言えます。

習近平体制の本気度を計りかねます。台湾がTPPに入りたいというなら分かりますが。本当にTPPに入りたければ、国有企業や補助金をはじめ米国などから散々指摘される問題に自ら進んで手をつけねばなりません。それほどの覚悟が中国にあるのか、はなはだ疑問です。

やはりトランプ政権でTPPを抜け、バイデン政権も不人気を恐れて及び腰の米国を揺さぶる意図が第一ではないでしょうか。
中国参加の可能性は低いですが、バイデン政権がどんな動きに出るかに興味があります。
2021年9月17日 7:24 』

〔RCEPの概要〕

地域的な包括的経済連携(RCEP)協定
https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/000231134.pdf

https://www.meti.go.jp/policy/trade_policy/epa/epa/rcep/#:~:text=%E5%9C%B0%E5%9F%9F%E7%9A%84%E3%81%AA%E5%8C%85%E6%8B%AC%E7%9A%84%E7%B5%8C%E6%B8%88%E9%80%A3%E6%90%BA,%28RCEP%29%E5%8D%94%E5%AE%9A%20%E5%9C%B0%E5%9F%9F%E7%9A%84%E3%81%AA%E5%8C%85%E6%8B%AC%E7%9A%84%E7%B5%8C%E6%B8%88%E9%80%A3%E6%90%BA%EF%BC%88RCEP%EF%BC%89%E5%8D%94%E5%AE%9A%E3%81%AF%E3%80%812012%E5%B9%B411%E6%9C%88%E3%81%AB%E4%BA%A4%E6%B8%89%E3%82%92%E9%96%8B%E5%A7%8B%E3%81%97%E3%80%812020%E5%B9%B411%E6%9C%8815%E6%97%A5%E3%81%AB%E7%BD%B2%E5%90%8D%E3%81%95%E3%82%8C%E3%81%BE%E3%81%97%E3%81%9F%E3%80%82

※ このイラストは、共同通信社のもの。

※ 参加国ベースで捉えると、日中韓+ASEAN(10カ国)+オーストラリア・NZ…と言った感じのものだ…。

※ インドも参加予定だったが、国内産業の保護がネックとなって、最後に離脱した…。

※ 中国の安価な工業製品がなだれ込んでくるという事態を、危惧したと言われている…。

※ まあ、コロナによる経済低迷もあって、合意できる国だけででも合意を急いだ…、という側面もあるようだ…。