英、インドとFTA交渉開始 30年までに貿易額倍増

英、インドとFTA交渉開始 30年までに貿易額倍増
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR12DS80S2A110C2000000/

『【ロンドン=中島裕介】英政府は12日夜(日本時間13日朝)、インドと自由貿易協定(FTA)の交渉に入ると発表した。欧州連合(EU)離脱後の英国の外交方針である「インド太平洋地域への傾斜」の一環として、インドの経済成長の取り込みを狙う。英政府によると英印間の貿易は2019年時点で年間約239億ポンド(約3.8兆円)あり、両国は2030年までにこれを倍増させる方針だ。

17日の週から第1回の交渉を始める。訪印中のトレベリアン英国際貿易相がインドのゴヤル商工相らと会談し、交渉入りを確認する。

英国のジョンソン首相はFTAの交渉入りについて「成長著しいインドとの貿易協定は、英国企業や労働者、消費者に多大な利益をもたらす」と歓迎した。英政府はFTAが実現すれば関税の削減により最大で150%の関税がかかるウイスキーや自動車の輸出に追い風になるとみる。風力発電の部品など、インドでの需要が大きい環境関連の輸出の増加も見込んでいる。

EU離脱に伴い、新たに非関税障壁が発生したことなどから、英国の対EU貿易は新型コロナウイルスの影響からの回復が鈍い。21年1~10月のEU向け輸出は19年の同時期に比べて12%減った。逆にEU域外への輸出は8%増えている。今後もEU貿易の不調をEU域外で補う構図となる公算が大きい。

英政府はこの流れに沿って、環太平洋経済連携協定(TPP)への22年中の参加を視野に交渉を進めているが、最大の貿易相手の米国とのFTA交渉は難航している。関係が悪化する中国との貿易協定は選択肢に入っていない。英国の総貿易額に占めるインドの比率は1.5%と小さいが、英連邦としてのつながりの深さや将来の成長余力への英側の期待は大きい。
ただインドは自国産業保護の姿勢が強く、交渉が順調に進むかどうかは見通せない。インドはEUとのFTA交渉を07年に始めたが、自動車部品の関税引き下げなどを巡って対立し、13年に中断した。21年にEUの中国離れもあって、交渉再開を合意したばかりだ。東アジアの地域的な包括的経済連携(RCEP)への参加も、安価な農産物の流入の懸念などから見送った。

ジョンソン氏とモディ印首相はFTA交渉に向けた地ならしとして、21年5月に両国経済界からの新規の投資案件や貿易をまとめたパッケージで合意した。両国はこうした先例をテコにFTA交渉も円滑に進めたい考えだ。』

エクアドル、TPPに加盟を申請 輸出先多様化狙う

エクアドル、TPPに加盟を申請 輸出先多様化狙う
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN28CCP0Y1A221C2000000/

 ※ 今日は、こんなところで…。

『【米州総局=宮本英威】南米エクアドルが環太平洋経済連携協定(TPP)への加盟を申請した。原油に依存する経済構造を切り替え、アジア太平洋地域に輸出先を多様化することを狙う。現状の自由貿易協定(FTA)の相手は中南米地域が中心となっている。TPPの求める水準を満たすにはかなりの作業が必要になるとみられ、加盟がスムースに進むかは不透明だ。

エクアドル外務省の公式ツイッターが17日付けで明らかにした。文書は寄託国であるニュージーランド(NZ)政府に提出した。NZ外務貿易省は日本経済新聞に対し、「エクアドルから17日に正式な申請を受け取り、他の加盟国と共有した」と認めた。そのうえで「NZは長く、TPPの高い水準を満たす国・地域の加盟によるTPPの成長を支持してきた」と述べた。
ラソ大統領は9月、スペイン通信とのインタビューで「経済規模が世界で上位10番に入るような国や地域とFTAを結びたい。米国、中国、日本、韓国などだ」と述べていた。

TPPへの加盟を巡っては英国に加え、中国や台湾が加盟を相次いで申請するなど動きが活発になっている。中南米で新たな加盟に向けた動きが具体化するのはエクアドルが初めてとなる。TPPに署名した11カ国には中南米ではメキシコ、チリ、ペルーが含まれている。

エクアドルは2007年1月から17年5月までのコレア政権は反米左派色が強かった。社会保障を強化し、貿易も保護主義的な色彩が強かったため、FTA網はチリなどに限られている。

17年5月に就任したモレノ大統領は政策を転換して開放的な経済を目指した。21年5月に就任した元銀行頭取のラソ大統領はその路線を引き継いでいる。メキシコ、チリ、コロンビア、ペルーで構成する経済共同体「太平洋同盟」への加盟も目指している。

▼エクアドル 人口1764万人、国内総生産(GDP)は988億ドル(世界銀行、2020年)。主要輸出品は原油、バナナ、エビ。00年に自国通貨スクレを廃止し、法定通貨として米ドルを採用した。産油国だが20年に石油輸出国機構(OPEC)を脱退した。』

「高いレベル満たすべき」…韓国のCPTPP加入に対する日本の反応

「高いレベル満たすべき」…韓国のCPTPP加入に対する日本の反応
https://japanese.joins.com/JArticle/285682?servcode=A00&sectcode=A10

『(※ 中央日報日本語版)

日本政府が韓国の包括的および先進的なTPP協定(CPTPP)加入について、高いレベルの要件を満たすべきだと明らかにした。

松野博一官房長官は14日の定例記者会見で、韓国のCPTPP加入に関する質問に対し、「CPTPPは市場アクセスの面でも、電子商取引や知的財産、政府調達、国有企業等のルールの面でも高いレベルの内容」とし「こうした高いレベルを完全に満たす用意ができているか、まずは見極める必要がある」と答えた。

また松野官房長官は「わが国(日本)としては、新規加入に関心を示す国の動向を注視しつつ、戦略的観点や国民の理解を踏まえて対応していきたい」と明らかにした。

韓国のCPTPP加入推進に関しては「韓国とは今まで協議したことがなく、また現時点で(協議する)予定もない」と述べた。

CPTPPに加入するには、議長国の日本をはじめ全体加盟国が賛成しなければならない。韓国の洪楠基(ホン・ナムギ)経済副首相兼企画財政部長官は13日、「政府はCPTPP加入に関する世論を聞いて社会的な議論に着手する考え」とし「利害関係者との社会的議論に基づいて関連手続きを始める」と述べた。』

米商務長官「TPPに代わる経済連携を」

米商務長官「TPPに代わる経済連携を」
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM159S70V11C21A1000000/

 ※ これは、ちょっと注目しておいた方がいい動きだと思う…。

 ※ 「覇権国」の要件の一つに、「自国市場を開放して、他国の輸出品が入って来るのを認める。」というものがある…。

 ※ TPPは、そういう「自由貿易志向」の多国間協定の枠組みの一つだ…。

 ※ 米国は、「そういう多国間の枠組みよりも、二国間協定で行く(その方が、米国の要求を飲ませやすいから…。)」「遠くの国との間の協定よりも、近場の身近な国(メキシコ、カナダなんか)との協定で行く。」と言っているのも同然だ…。

 ※ そういう「動き」に出られた場合、日本国の「戦略」としては、どうすべきなのか…。

 ※ 一方、対中国・北朝鮮では、「防波堤・不沈空母になれ!」と言われているわけだ…。

 ※ 台湾有事事態の時は、「後方支援しろ!」と言われているわけだ…。

 ※ あまつさえ、「そういう”東アジア有事”事態に備えて、ミサイル防衛網を整備しろ!」と言われているわけだ…。

『来日したジーナ・レモンド米商務長官は15日、テレビ東京番組「WBS(ワールドビジネスサテライト)」とのインタビューで、環太平洋経済連携協定(TPP)に代わる経済連携を目指す意向を明らかにした。

「米国は伝統的な自由貿易協定(FTA)より強健な経済枠組みを追求する」と語り、デジタル技術やサプライチェーン(供給網)など、広範な分野で日本など友好国との協調体制を構築する意欲を示した。

バイデン米大統領は東アジア首脳会議などで「インド太平洋地域での新たな経済枠組み作り」を表明している。レモンド氏はその具体策として、「この地域の強健な経済を持つ国々と合意を結びたい」と明言した。

米国が現在のTPPに復帰するよりも、米国主導の新たな枠組みを作る考えを強調した。

今回の訪日について「日米には相互に利益をもたらし、関心を寄せる分野が数多くある」と指摘。新たに締結した「日米商務・産業パートナーシップ」の重点分野として、サプライチェーンの目詰まり解消、半導体の供給体制、グリーンエネルギーなどを挙げた。

デジタル経済については「民主主義の価値観を共有し、プライバシーを保護しながら発展させる必要がある」との原則を提示した。

岸田文雄政権との間でも「グリーンエネルギー、半導体生産、サプライチェーンなどの分野で協力を深めたい」と語った。バイデン政権が進める米国内でのインフラ投資計画でも「今回の訪日で多くの企業関係者と会った。日本企業と提携できる方法を模索したい」と、日米協力への期待を示した。

鉄鋼やアルミニウムでの対日追加関税については「日米は同盟国であり、解決できるようにしたい」と指摘した。そのうえで「鉄鋼では中国の過剰生産が世界市場をゆがめ、日米の労働者に打撃を及ぼしている」と述べ、「日本と協力して中国の過剰生産能力に対抗していきたい」と提言した。(編集委員 滝田洋一)』

RCEP、22年1月1日に発効へ 豪政府発表

RCEP、22年1月1日に発効へ 豪政府発表
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM030NR0T01C21A1000000/

『【シドニー=松本史】日中韓や東南アジア諸国連合(ASEAN)各国など15カ国が参加する地域的な包括的経済連携(RCEP)協定について、オーストラリアとニュージーランド(NZ)が3日までに国内手続きを終了した。豪政府はこれにより、2022年1月1日にRCEPが発効すると発表した。

RCEPは、ASEAN10カ国のうち6カ国、その他5カ国のうち3カ国が事務局のASEANに寄託すると、その60日後に発効する。豪ペイン外相は2日付の声明でNZと豪州が批准したことで、この条件が整ったと説明した。NZも3日、批准を終えたと発表した。

RCEPは参加国の国内総生産(GDP)と人口の合計が、それぞれ世界の約3割を占める大型の自由貿易協定(FTA)だ。貿易自由化の水準は環太平洋経済連携協定(TPP)より低いが、約9割の品目で関税を段階的に撤廃する。

豪外務貿易省のホームページによると、RCEPの批准を終えたのはASEANではブルネイ、カンボジア、ラオス、シンガポール、タイ、ベトナム。ASEAN以外では豪州、NZ、日本、中国となっている。

【関連記事】

・TPP、中台加盟どうなる? 政治的要素絡み混迷も
・中国と台湾は加盟できる? 知っておきたいTPP
・RCEPでGDP2.7%押し上げ 政府試算、TPP上回る 』

TPP、中台加盟どうなる? 政治的要素絡み混迷も

TPP、中台加盟どうなる? 政治的要素絡み混迷も
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCD2232I0S1A021C2000000/

『「9月16日に中国、その6日後には台湾が環太平洋経済連携協定(TPP)への加盟をほぼ同時に申請したのはびっくりしたよ」「2017年には米国が離脱したし、TPPはこれからどうなるのかな」

TPPへの中台の加盟申請についてバーチャル・キャラクター、日比学くんと名瀬加奈さんが太田泰彦編集委員に聞きました。
ニッキィの大疑問トップページ

日比くん「中国はなぜこのタイミングで加盟を申請したのですか」

国際的な舞台に上がり、貿易のルールを決める側のプレーヤーになりたいからです。TPPは米オバマ政権が推し進めた構想ですが、その後トランプ大統領が「自由貿易で輸入が増えると米国の雇用を脅かす」と言って離脱しました。バイデン政権も保護主義に傾いたままです。

米国が抜けた後に中国が入れば、ルールを作る側になれるかもしれない――。習近平(シー・ジンピン)政権にはそんな期待があるようです。世界の市場へのつながりをよくすれば、輸出を増やせます。米国が動けないタイミングを狙って手を挙げ、「自由貿易の旗手」を目指しています。

もう一つ理由があるとすれば、経済成長を続けるには改革が必要だからです。TPPには関税を下げるだけでなく、国有企業や労働者の保護、環境配慮などについて様々な約束事があります。TPP加盟をテコとして使いたい改革派の声も習政権の判断に影響しているかもしれません。

名瀬さん「中国を追うような台湾の申請はなぜですか」

中国に先を越されれば台湾がTPPに入れなくなるからです。中国から見れば台湾は自国の一部なので、台湾が後から来ても加盟を認めないでしょう。とはいえ貿易の自由化は中国より台湾の方が進んでいます。台湾当局には「中国より先に加盟できる」という計算があります。

TPPに限らず、台湾はこれまで様々な自由貿易の枠組みに入れてもらえませんでした。折しも米中の対立が激しくなり、蔡英文総統が率いる台湾当局は中国と対決姿勢を強めています。先進国の多くが台湾を応援しています。

日比くん「加盟には何が必要なのでしょう」

TPPは既に完成した協定なので、加盟したければ、協定の中身に合わせて自分の国の制度や政策を改善しなければなりません。例えば国有企業が民間企業の競争力を奪わないようにする条項があります。国有企業が多い中国には高いハードルとなります。

労働者の保護についても、中国は新疆ウイグル自治区での強制労働の問題が指摘されています。そもそも自由に労働組合を結成できないので、TPPに盛り込まれた団体交渉権の確保などの条件をクリアするのは難しいでしょう。知的財産の保護に関しても、課題が少なくありません。

一方、台湾は現状でもTPPの要件をほぼ満たしています。台湾の加盟協議のスピードの方が速いはずですが、政治的な要素が絡むため、一直線には進まないでしょう。

名瀬さん「米国のTPP復帰はないのでしょうか。また、包括的経済連携(RCEP)の方が現実的なのでは」

バイデン政権はインフラ整備や政府債務上限など、重要な法案をたくさん抱えていて通商問題を議会に持ち込む余裕などありません。通商交渉の権限は議会が持つため、議会が大統領に権限を付与しない限り、交渉はできません。

RCEPは中国が加わる大きな枠組みですが、自由化の水準は中国が対応できる範囲にとどまっています。伝統的なモノの貿易ではそれなりの効力がありますが、データ貿易や国有企業改革、環境、労働問題などでは自由化の力は限定的です。

TPPもRCEPも10年以上も前にできた構想で、その後、貿易の姿は大きく変わりました。新しい発想の枠組みが求められます。

ちょっとウンチク 自由化の要は台湾

欧州連合(EU)は9月に公表したインド太平洋戦略で、台湾との経済連携を急ぐ方針を打ち出した。米国のバイデン政権と議会も、台湾との親交に傾斜を強めている。

ほんの数年前まで世界の自由貿易協定から疎外されていた台湾が、通商秩序づくりの中心に座っている。中国の脅威の中で半導体不足が世界の自動車産業を襲い、供給地として台湾の価値が高まったためだ。

主要国の通商政策の目標は、自由貿易から供給網の確保へとすり替わった。この流れを誰かが止めなければ、行き着く先は排他的なブロック経済だろう。(編集委員 太田泰彦)
太田 泰彦

TPP、中台加盟どうなる? 政治的要素絡み混迷も(8:20)
半導体の産業振興、なぜ今?需要増見越し復活期す(9月4日)』

中国、TPP加盟へ攻勢 ベトナム・マレーシアに秋波

中国、TPP加盟へ攻勢 ベトナム・マレーシアに秋波
ASEAN首脳会議
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM26B3O0W1A021C2000000/

『【北京=羽田野主、ワシントン=鳳山太成】中国が環太平洋経済連携協定(TPP)の加盟に向け東南アジア諸国連合(ASEAN)を切り崩している。新型コロナウイルスのワクチン供与や中国市場の開放をちらつかせ、中国のTPP参加に前向きな雰囲気をつくろうと躍起だ。米国も対抗してASEANへの関与を強めている。

「(中国とASEANの)経済の融合を深め、地域的な包括的経済連携(RCEP)協定をなるべく早く発効させよう」。26日の中国・ASEANのオンライン首脳協議で、李克強(リー・クォーチャン)首相は呼びかけた。気候変動対応、科学技術やイノベーションなどでの協力も提案した。中国国営新華社が伝えた。

李氏の「経済の融合」との発言はTPPも視野に経済の相互関係を深めるとの思惑がにじむ。ASEAN10カ国のうちTPPに加盟するのはベトナム、マレーシア、シンガポール、ブルネイの4カ国。中国にとって働きかけが欠かせない。

ベトナムとは南シナ海を巡って利害が対立する。李氏は「南シナ海の平和は中国とASEAN加盟国の共通の利益だ。双方が南シナ海での実務的な協力を実現し(紛争防止に向けた)行動規範で早期に合意することを希望する」と低姿勢だった。

9月にTPPに加盟申請してからの中国の動きは素早かった。習近平(シー・ジンピン)国家主席がベトナムの最高指導者グエン・フー・チョン共産党書記長やシンガポールのリー・シェンロン首相と電話協議。両国から中国の申請に前向きな反応を得た。

働きかけの「武器」となるのがワクチンだ。9月末には王毅(ワン・イー)国務委員兼外相がマレーシアのサイフディン外相と電話し、100万回分のワクチンを寄付すると表明。中国がマレーシアに提供したワクチンは寄付分だけで少なくとも合計150万回分になる。李氏も26日の会議で、中国とASEANの新型コロナの協力を提案した。

中国が4カ国に秋波を送るのは、国有企業が多いという共通点も理由とみられる。北京の大学教授は「TPP加盟は10年単位の時間がかかる。いまは仲間づくりが大事。国有企業が多いベトナムやマレーシアと協議して準備しておく」と明かす。

TPPは国有企業などで厳しいルールをもうけたが、国有企業が主体のベトナムには例外規定を認めた。中国が参考にしている可能性がある。

東南アジアで大使を務めた中国の元外交官は「(国有企業など)解決が非常に困難な問題は例外化を考えるべきだ。中国市場は他国には魅力的だ。相手に利益を示し、交渉を有利に進めることが大事」と主張する。

中国とASEANの貿易額は新型コロナにもかかわらず増え続ける。2020年の中国の対ASEAN輸入額は3013億ドル(約34兆円)と10年前の約2倍に膨らんだ。4カ国にとっても、中国のTPP参加による大幅な関税下げは経済効果が大きい。

中国の攻勢を目の当たりにし、バイデン米政権もトランプ前政権よりはASEAN関与に前向きだ。バイデン米大統領は26日、米ASEAN首脳会議にオンラインで出席した。米大統領の出席は4年ぶり。欠席を続けてきたトランプ前大統領から一転し、東南アジアを重視する姿勢を訴えた。

バイデン氏は新型コロナや気候変動対策などで、ASEANへ計1億200万ドル(約116億円)の支援策を発表した。米国の存在感を高めて中国に対抗する狙いだ。

もっともバイデン氏はTPPへの復帰には慎重だ。支持基盤である労働組合などが雇用流出を懸念して反対するためだ。東南ア諸国と経済関係を深めて、求心力を回復する道筋は描けていないのが実情だ。』

中国は静観、米の貿易協議再開方針 TPPで揺さぶり

中国は静観、米の貿易協議再開方針 TPPで揺さぶり
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN0527V0V01C21A0000000/

『【北京=川手伊織、ワシントン=鳳山太成】バイデン米政権が中国と貿易交渉を再開する方針を表明したことを巡り、中国は静観している。半導体の対中輸出規制の行方など米国の出方を見極めるためだ。米国不在の環太平洋経済連携協定(TPP)の加盟を正式申請するなど、米国への揺さぶりも見せる。

米通商代表部(USTR)のタイ代表は4日の演説で、数日以内に中国の劉鶴(リュウ・ハァ)副首相と電話で協議する方針を明らかにした。

タイ氏は「中国は国家主導の経済制度を強化している。有意義な改革をやるつもりがないのは一段と明らかだ」と批判した。一方で「直接対話以外に(懸念に)対処できる方法があるとは思えない」と語り、まずは対話で臨む姿勢を示した。

中国は国営新華社が5日午前にタイ氏の演説を伝えたのみで、政府は今のところ反応していない。1日から国慶節(建国記念日)を祝う大型連休に入っていることに加え、米国側の意向を見極めたいとの考えも透ける。

バイデン政権も青写真を描いているわけではない。米政府高官は「中国があっさりと変化するとは考えていない」と述べ、最初から期待値を下げている。「中国がどう反応するかを見て、我々の対応も修正する」と手探りだ。

米中貿易協議の第1段階合意は中国がモノやサービスの輸入を2000億ドル(約22兆円)増やす条項のほかに、知的財産の保護や金融市場の開放、技術移転の強制防止など7分野で構成する。

USTRの分析によると、第1段階合意は「特定の分野は約束が守られ、企業の利益も出ているが、不足している分野もある」(タイ氏)。具体的な分析結果は公表しないが、交渉の場で米中の意見の隔たりが浮き彫りになれば妥結は難しくなる。

中国は対米協議とは別に、TPP加盟に積極姿勢を示す。9月16日に正式に加盟を申請した。国有企業優遇の是正をはじめ、中国がTPPの要求水準を満たすのは容易ではない。それでも申請を急いだのはTPPに背を向ける米国を揺さぶるという意味合いが大きい。

「TPPには安全保障を理由にした例外規定がある」。中国の専門家には、例外規定を多用すれば改革をしなくても加盟できるとの論調も多い。中国商務省の束珏婷報道官も30日の記者会見で例外規定の積極活用について見解を問われると「さらなる情報があれば速やかに公表する」と言及を避け、否定しなかった。ハイレベルの貿易投資協定を骨抜きにしようという思惑も見え隠れする。』

中国、TPP申請アピール メキシコと外相会談

中国、TPP申請アピール メキシコと外相会談
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB29CXS0Z20C21A9000000/

『【北京=共同】中国の王毅(ワン・イー)国務委員兼外相は29日、メキシコのエブラルド外相と電話会談し、中国が環太平洋経済連携協定(TPP)に加盟申請したのは「対外開放を拡大する固い決意を示したものだ」とアピールした。TPP加盟国のメキシコが中国を支持するよう期待しているとみられる。

王氏は「中国は各国とともにTPPをより広範なものにするよう努力し、貿易と投資の自由化促進に積極的な役割を果たしたい」と述べた。

中国は16日にTPP加盟を申請した。TPPの交渉参加には全加盟国の賛成が必要となっている。』

米、TPP復帰しない意向 「国内投資が優先」

米、TPP復帰しない意向 「国内投資が優先」
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB251BO0V20C21A9000000/

『【ワシントン=共同】米国務省のプライス報道官は24日の記者会見で、日本が参加し、中国や台湾も加盟申請した環太平洋連携協定(TPP)について、現状では復帰しない意向を示した。「世界に通用する競争力を強化するために国内に投資することが最初の仕事だ」と述べた。

プライス氏は2016年に米国がTPPに署名した当時から世界の状況が大きく変化したと強調し「バイデン大統領は現状のままの協定なら参加しないと明言している」と語った。

中台の申請に関しては加盟国の意向を尊重するとした上で、中国は「非市場的な貿易慣行と他国に対する経済的な威圧が判断要素になるのだろう」と指摘。台湾については「世界貿易機関(WTO)の責任ある加盟国であり、民主主義の価値観を信奉していることも判断されるだろう」と語った。

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・中国と台湾は加盟できる? 知っておきたいTPP
・TPP、米国の復帰こそ先決 中台申請を機に決断促せ
・試される対中包囲網 TPPが覇権争いの場に 』

ベトナム、中国のTPP加盟支持を示唆

ベトナム、中国のTPP加盟支持を示唆
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM233G70T20C21A9000000/

『【ハノイ=大西智也】ベトナム外務省のレ・ティ・トゥ・ハン報道官は23日、定例のオンライン会見で中国の環太平洋経済連携協定(TPP)への加盟申請について「経験と情報を中国と共有する用意がある」と述べ、加盟支持を示唆した。

ベトナムにとって中国は輸出で米国に次いで2位、輸入で最大の相手国。中国に隣接していることもあり、経済面の結びつきは年々強まっている。ベトナムは中国と同じ社会主義国だが、TPP加盟のため国営企業改革を進めてきた経緯がある。中国がTPPに加盟した場合、貿易拡大の期待が見込まれている。

一方、中国と対立を深めている台湾のTPP加盟申請については「TPPはオープンな自由貿易協定であり、他の加盟国と緊密に協議していく」と述べるにとどめた。』

試される対中包囲網 TPPが覇権争いの場に

試される対中包囲網 TPPが覇権争いの場に 
日本は台湾申請「歓迎」
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA232DY0T20C21A9000000/

『環太平洋経済連携協定(TPP)は中国に加えて台湾も加盟を申請したことで、自由主義と権威主義の覇権争いの舞台の様相を呈してきた。茂木敏充外相は23日、台湾の申請を「歓迎したい」と表明したが、加盟国の対応には温度差がにじむ。本来は対中包囲網を期待されたTPPにとって試練となる。離脱した米国が身動きをとれない中、自由主義陣営の一角として日本は重責を担う。

訪米中の茂木氏は23日(現地時間22日)のオンライン記者会見で「台湾は自由、民主主義、基本的人権、法の支配といった基本的価値を共有し、密接な経済関係を有する極めて重要なパートナーだ」と強調した。「台湾がTPPの高いレベルを完全に満たすかどうかしっかりと見極める必要がある」とも説明した。

16日に加盟申請した中国には「歓迎」といった表現は使わず、「高いレベルを満たす用意ができているかしっかり見極める必要がある」と述べるにとどめていた。台湾への対応との差が浮き彫りになった。

TPPは高水準の自由化や透明性の高い投資ルールなどを共有する巨大経済圏をつくり、自国に都合の良いルールをめざす中国を押さえ込む狙いがあった。米国の離脱で盟主が不在となった隙をついて中国が加盟申請した。加盟が認められれば、その後の新規加盟に拒否権を持つ。

環太平洋連携協定(TPP)への加入申請の経緯などを説明する台湾行政院の鄧振中政務委員=23日、台北(行政院提供・共同)

台湾の通商交渉トップは23日の記者会見で、中国が先に加盟すれば台湾が「不利」になるとの判断が加盟申請につながったと表明した。

中国はオーストラリアが新型コロナウイルスの発生源について独立調査を求めたことに反発し、同国からの輸入品に高関税を課したり、輸入を制限したりした。自由な国際秩序を軽視する中国を受け入れれば、TPPの本来の役割がゆがむおそれがある。

台湾海峡を巡って中台対立が緊迫する中、安全保障の観点からの判断も問われる。TPP加盟には現メンバー国の全会一致の同意が必要となる。

加盟国の多くは様子見姿勢だ。カナダの外務省は22日、台湾の申請について日本経済新聞の取材に「参加には高い基準と野心的な市場アクセスの約束を満たし、順守することが求められる」との説明にとどめた。

オーストラリアのテハン貿易・観光・投資相も23日、「他の加盟国と協力し、総意に基づいて台湾の申請を検討する」と述べるにとどめ、姿勢を明確にするのは避けた。中国の加盟申請に歓迎の意向を表明したシンガポールとマレーシアは、台湾の申請に関しては態度を明らかにしていない。

中国側は中国大陸と台湾が1つの国に属するという「一つの中国」を唱える。台湾の加盟を阻止するため、関係国への外交的な圧力を強める公算が大きい。TPP参加国は自由なルールの堅持で結束を堅持できるかどうかが試される。

外務省の発表によると、茂木氏は記者会見に先立つブリンケン米国務長官との会談で米国にTPP復帰を促した。しかし今のところは望み薄だ。

バイデン米大統領が支持基盤として重視する労働組合はTPPに反対する。野党・共和党でも復帰に否定的な意見が根強い。与党・民主党の苦戦が予想される2022年秋の中間選挙を前に、あえて危険を冒す政治的な余力は乏しい。

サキ大統領報道官は再加盟の交渉段階には「明らかに達してない」と語る。加盟国が中台の間で中国側になびかないよう、外部から外交で働きかけるしかない。

主要7カ国(G7)の一角として自由主義陣営が主導する国際秩序を守る立場の日本は重責を負う。訪米中の茂木氏はTPP加盟交渉中の英国のトラス外相とも会談し、加盟交渉について話し合った。

伝統的に自由貿易の志向が強い英国の加盟交渉なども通じ、高水準の貿易自由化や透明性あるTPPのルールを強固にすることで、中国に対しても妥協しない姿勢が求められる。

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福井健策
骨董通り法律事務所 代表パートナー/弁護士

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分析・考察 一番避けるべきは、中・米といった非メンバーの大国の加入問題でゴタゴタして、現在のTPPの運営がおろそかになることでしょう。

TPP11は既にGDPは世界の13%、人口はEUをしのぎます。それが過去3年間で何を達成できたのか、この先どんな協力を進めて何を対外発信するのか、これが第一ではないでしょうか。

例えば高い知的財産権保護と言いますが、実際にはメンバーのベトナムはオンライン海賊版の中心地で、海賊版対応の域内協力などまだまだです。

中国がどう宿題をクリアするかなどは中国側に考えさせて何度でも説明させれば良く、まずはTPP11がどう良いネットワークを構築するかだと思えます。

2021年9月24日 8:01 (2021年9月24日 8:29更新)
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渡部恒雄
笹川平和財団 上席研究員

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分析・考察 TPPが中国に対して持つ「戦略性」については米国内でも意見が分かれてきました。

TPP推進を進めたオバマ政権時代に、バイデン政権のキャンベルNSCインド太平洋調整官が、中国を念頭にTPPは戦略的なものと発言したところ、同じ政権のUSTRの次席がTPPに戦略性はないと反論したことがありました。

現在のバイデン政権はそこまで意見は割れていないにしても、民主党の支持組織の労組の立場を考えると参加は難しそうです。

米国離脱後のTPPを主導してきた日本が、米国の緊密な同盟国でTPP加盟国のオーストラリアやカナダなどと、本来の戦略的目標「中国の国際ルール尊重」を達成させる方向で動くことが重要です。

2021年9月24日 7:58いいね
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台湾、TPPに加盟申請 中国の反発必至

台湾、TPPに加盟申請 中国の反発必至
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM22D0C0S1A920C2000000/

『【台北=中村裕】台湾当局が環太平洋経済連携協定(TPP)への加盟を22日に正式に申請したことが分かった。23日に当局者が詳細を発表する。すでに事務局の役割を担うニュージーランド政府に申請書類を提出し、すべての加盟国に参加への支持を要請した。

台湾の行政院(内閣)が22日夜、明らかにした。TPPを巡っては台湾の蔡英文(ツァイ・インウェン)政権と対立を深める中国が16日に加盟申請したと発表したばかり。台湾の加盟には中国が反発するのは必至で、加盟交渉は難航が予想される。

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TPPには現在、日本など11カ国が加盟しており、英国も2月に加盟を申請している。参加にはすべての加盟国の同意が必要となる。台湾は中国の参加のもとで2022年1月の発効をめざす東アジアの地域的な包括的経済連携(RCEP)には加わらず、TPP加盟と米国との自由貿易協定(FTA)締結を目指してきた。

台湾はTPP加盟国のうち、ニュージーランドとシンガポールの2カ国とすでにFTAを結んでいる。蔡政権はこれまで非公式にTPPへの加盟希望を関係国に伝えてきたが、中国の加盟申請の発表を受けて、作業を急いだ可能性が高い。

台湾のTPP加盟に向けたハードルは高い。中国大陸と台湾は1つの国に属するという「一つの中国」を唱える中国の習近平(シー・ジンピン)政権は、台湾の加盟阻止に向けた関係国への外交的な働きかけを強めるとみられる。

中国共産党系メディアの環球時報(電子版)は22日、台湾のTPP加盟申請について「かく乱だ」と批判した。国務院台湾事務弁公室の報道官が「中国と国交を結んだ国が台湾と協定を締結することに断固反対する」とコメントしたとも伝えた。

一方、台湾当局は民主主義の価値観を共有する日本などに加入を支持するよう強く働きかける方針。今後、中台のTPP加盟を巡る外交的な駆け引きが激しくなりそうだ。

中国からの圧力が強まるなか、蔡政権は米国とのFTA交渉にも動いている。6月には米国と1994年に署名した「貿易投資枠組み協定」に基づく協議の再開にこぎ着け、FTA交渉への準備作業を開始した。

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この記事の英文をNikkei Asiaで読む 』

台湾のTPP加盟、根回し不足の申請に

台湾のTPP加盟、根回し不足の申請に 実現に難題多く
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM22EF30S1A920C2000000/

『【台北=中村裕】台湾当局が22日、環太平洋経済連携協定(TPP)への加盟を正式に申請したことを明らかにした。23日に詳細を公表する。ただ、中国は台湾の加盟に強く反対する方針。米国がTPPから離脱した現在、中国の圧力を受けながら台湾の加盟を強力に後押しできる国は乏しいのが実情だ。

TPPには現在、日本やオーストラリアなど11カ国が加盟している。参加するためには、加盟国すべての同意が必要となる。台湾の蔡英文(ツァイ・インウェン)政権はかねてより中国に依存した経済からの脱却を図るため、TPP加盟に意欲を見せていた。加盟国と水面下で協議も持ち、賛成票を得るための根回しを続けている段階にあった。

TPP加盟国には、中国と強い貿易関係で結ばれる南米のチリやペルーや東南アジアの国々が多く含まれる。台湾が拙速にTPP加盟申請を行えば、中国が加盟各国に圧力をかけることも予想された。そのため、台湾は慎重に各国と話を進め、大方の同意が得られてから、正式にTPPの加盟申請を行う段取りを描いていた。

しかし中国が突如、16日に台湾に先んじてTPPへの加盟を正式申請したと発表した。中国がTPPへの加盟手続きを進め、参加国との関係を強めれば、さらに台湾のTPP加盟へのハードルが高くなる。国際的な孤立が深まる恐れもあることから、台湾当局は加盟申請を急いだとみられる。

台湾のTPP加盟の実現には難題が多い。最大の問題は中国だ。22日夜、台湾のTPP加盟の正式申請の報道が伝わると、即座に中国共産党系メディアの環球時報(電子版)が「かく乱だ」などと批判した。

中国がTPPに加盟できなくても、台湾の加盟には大きな困難が伴う。加盟各国との根回しが十分に終わらないまま、TPPへの加盟申請を行うことになったためだ。今後、中国が台湾の加盟を阻止するために、経済力をテコに東南アジアなどの加盟国に対する働きかけを強める可能性が高い。

こうした中国の行動をけん制し、台湾の加盟を後押しすることも予想された米国がTPPに参加する意欲を失ってしまったことも台湾にはマイナスになっている。

TPPを主導する日本とも大きな問題を抱える。台湾は東日本大震災からの10年余り、福島県や茨城県など5県の農産品の輸入を全面禁止にしてきた。台湾では今でも5県産の農産品の輸入に対する市民の反対が根強い。TPPへの加盟のために輸入解禁を強行すれば、反対運動が起こって政権運営を揺るがしかねない事情がある。

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対中姿勢、迫られる踏み絵 台湾もTPP加盟を申請

対中姿勢、迫られる踏み絵 台湾もTPP加盟を申請
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA22DEE0S1A920C2000000/

『中国に続き、台湾が環太平洋経済連携協定(TPP)への加盟を正式に申請した。加盟が認められれば、その後の新規加盟に拒否権を持つため、日本などの加盟国は事実上、中国と台湾のどちらかを選ぶ踏み絵を迫られる。安全保障の観点も交えた難しい判断が求められる。

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「民主主義や法の支配を守る台湾の加入申請を政府として前向きに受け止める」。外務省幹部は22日夜、日本経済新聞の取材に対しこうコメントした。

台湾は日本とは自由貿易協定(FTA)を結んでいない。「協定の内容に特化した非公式協議をしたことがないため加盟のハードルは未知数」(日本政府の通商政策担当者)という。

それでも中国が申請した際に「高いレベルを満たす用意が本当にできているのかどうか見極めていく必要がある」などと閣僚が慎重姿勢を示したのとは対照的だ。

TPPは日本やカナダ、オーストラリアなど11カ国が参加する大型連携協定だ。新たに加盟する際には既存の参加国が全会一致で認める必要がある。対立する中台のどちらかが加盟すればもう片方の加盟は難しくなる。

既に加盟国の間で温度差が出ている。中国の加盟申請に対し、シンガポールとマレーシアは歓迎する立場を表明した。一方、メキシコは慎重な姿勢だ。中国が入れば、TPPを離脱した米国を引き戻すのが難しくなる。メキシコの最大の貿易相手は米国で、米中の摩擦が深まる中で、中国の加盟に支持は打ち出しにくい。

オーストラリアも難色を示す。同国が新型コロナウイルスの発生源に関して独立調査を求めたことに反発した中国は、豪産大麦やワインへの高関税や、石炭などの輸入制限の措置をとった。テハン貿易・観光・投資相は中国が高関税などの問題を解決しない限りは、中国の交渉入りを支持しない姿勢を示唆する。

TPPを巡っては、先に加盟申請した英国との調整が本格化している。英国との交渉入りの際には、加盟国の閣僚らで現行ルールを守ってもらう方針を確認した。中国や台湾も同様に、まずは高水準の貿易自由化や透明性あるルールを受け入れるのが前提となる。

6月の主要7カ国首脳会議(G7サミット)の共同宣言に「台湾海峡の平和と安定の重要性を強調し、両岸問題の平和的解決を促す」と盛り込むなど、台湾を巡る動きは米中対立の最前線といえる。

相次ぐ加盟申請でTPPがその重要な舞台の一つとなり、経済だけでなく安保面も考慮した外交面の駆け引きが激しさを増すことになる。

(江渕智弘、金子沙月)

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侮れない中国TPP「300日計画」

侮れない中国TPP「300日計画」 習主席と李首相も連携
編集委員 中沢克二
https://www.nikkei.com/article/DGXZQODK212C30R20C21A9000000/

『中国が環太平洋経済連携協定(TPP)への加盟を正式に申請した。一見、唐突にみえる習近平(シー・ジンピン)政権の行動だが、その裏には300日にわたる周到な計画と準備があった。日本政府には米国不在となったTPPを苦労してまとめあげた成功体験がある。しかし、中国の戦略的な動きを十分、把握したうえで、先回りできなければ、かつての大きな功績も雲散霧消しかねない。

中国はバイデン米大統領がTPP復帰を目指すと予測していた(20日、ニューヨーク)=AP

「(2020年11月中旬までに)米大統領選でバイデンの当選が確実になり、東アジアの地域的な包括的経済連携(RCEP)も妥結した時点で、21年秋を目指すTPP11への加盟申請計画が(中国)指導部内で大筋、共有された」。中国の対外経済政策に詳しい信頼できる関係筋はこう明かす。

バイデン政権に先手、NZとシンガポールに照準

この計画の肝は、新型コロナウイルス禍を克服したバイデン政権が22年にはTPP復帰に動く可能性を考え、その前の21年9月、または10月に中国が先手を打つべきだという政治判断だった。

国家主席の習近平が20年11月20日、オンライン開催だったアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議で「TPP11参加を積極的に考える」と公式に表明する直前、正式申請に向けた「300日計画」が始動していたことになる。ここにはTPP加盟に意欲をみせる台湾の蔡英文(ツァイ・インウェン)民主進歩党政権をけん制する思惑もあった。

中国の全人代の閉幕式を終え、李克強首相(右)と言葉を交わす習近平国家主席(3月11日、北京の人民大会堂)=共同

中国トップの表明は唐突ではなかった。対外経済政策としては、RCEP交渉を仕切った首相の李克強(リー・クォーチャン)ときちんと連携がとれていた。李は、習発言に先立つ20年5月の段階でTPP参加に「中国は前向きで、開放的な態度だ」と話していた。

習と李をつなぐキーマンは、習が信頼する副首相の劉鶴(リュウ・ハァ)と、商務省の次官で国際貿易交渉代表の兪建華である。司令塔は国務院(政府)に置かれ、重要事項を判断する際は必ず会議が開かれた。

「300日計画」の最初の標的はニュージーランド(NZ)だった。同国はTPPに発展した原協定の4当事国(ほかはシンガポール、ブルネイ、チリ)の一つで、現在も大きな役割を担っている。域外国が加盟意思を通知する際の寄託国で、中国が正式な加盟を申請した先もNZだ。21年のTPP委員会の議長国である日本ではないのもポイントだった。

中国は何かと関係がギクシャクしていたNZとの意思疎通を重視する方向にカジを切っていた。習によるTPP参加検討の表明から間もない21年1月には、NZ側のメリットが大きい2国間の自由貿易協定の改定に署名した。中国との関係が悪化してゆくオーストラリアとは対照的な対応なのが興味深い。

シンガポールのバラクリシュナン外相(右)と会談する中国の王毅・国務委員兼外相(シンガポール、13日)=AP

加盟申請直前の最後の根回しは、やはり原協定当事国のシンガポールだった。同国が22年にTPP委員会の議長国になることを見越した接触でもある。国務委員兼外相の王毅(ワン・イー)は9月中旬、シンガポールを訪問。現地報道によれば、外相会談で中国のTPPへの興味に対して「歓迎する」という言葉をシンガポール側から引き出した。

決め手はアフガン情勢

原協定4当事国のうち、ブルネイとチリは国内手続きが未完了である以上、中国としていまの段階でできる根回しは果たしたことになる。中国は、マレーシアが中国加盟に向けた交渉を支持したように、東南アジアの多くの国は交渉入りに反対しないとみている。驚くのは中国側が「最終的には日本も中国の交渉入りに真っ向から反対できない」と読んでいることだ。

中国にとってTPP加盟申請は国際政治・経済戦略上、主導権を確保するための重要な手段である。英国に加盟申請で先を越されたとはいえ、時期の設定は中国の命運に関わる。そして9月中旬の正式申請に至る最後の決め手は、アフガニスタン情勢だった。

中国指導部は、アフガンからの米軍撤収に伴う混乱でバイデン米政権にTPP早期復帰を考える余裕がまだないと分析。20年からのスケジュールに沿い、11月にオンラインで開かれる予定のAPEC首脳会議の前に手を打った。

ここで問われるのは、習政権として、高いハードルを課すTPPに入るために徹底的な国内改革に踏み切る用意があるかどうか、である。

「皆、誤解している。(中国の)国内政治情勢を考えればいま、直ちに真心を持ってTPPに入る気などさらさらない。ギリギリの交渉をする用意もない。そもそも交渉入りさえ全加盟国の同意が必要なのだ。仮に交渉入りしても、肝心な部分はズルズルと引き延ばしになる」。中国の「本気度」に疑問を呈する識者の声は、一面の真実を言い当てている。

ここ数年、中国ではTPPの方向性とは逆の施策が次々と打ち出された。大きな国有企業同士の合併は典型例だ。民間の大企業には独占禁止などを理由に罰金を科したり、分割を迫ったりしているのに、国有企業への補助金問題には手がついていない。

1990年代からの世界貿易機関(WTO)加盟交渉は、国有企業を中心とした国内改革と同時進行の国運をかけた真剣勝負だった。今回のTPP加盟申請にはそこまでの覚悟がみえない。中国は、TPPが志向する企業や個人による国境を越えた自由なデータの流通には否定的で、国家安全を理由に規制強化に動いている。この流れで、9月にはデータ安全法を施行した。

TPPに反対してきた左派を利用する矛盾

習近平が進める「左旋回」の路線、統制強化を支える有力なグループは左派だ。過去、彼らは一貫してTPPに反対してきた。国有企業への補助規制といったTPPの規則は「主権の侵害につながる」という理屈だった。

全国政治協商会議の閉幕式に臨む劉鶴・副首相(左)と習氏(2019年3月、北京)=横沢太郎撮影

対外強硬策が特徴の「戦狼外交」を支持してきた中国内の学者らもTPPを「新型資本帝国統治」につながると批判してきた経緯がある。政治情勢を考えれば、いま中国がTPPに名乗りを上げるのはある種の自己矛盾だ。

一方、別の関係者は「(TPP加盟申請は)中国はあくまで『市場経済国家』としてとどまる、という(国の)内外へのアピールでもある」と指摘する。急激に社会主義へ傾斜する中国に疑問の目が向けられているのを強く意識した防御的な行動でもあるというのだ。

習近平がトップとしての続投を目指している2022年以降、さらに次の次の共産党大会がある27年まで見据えれば、TPP加盟申請と今後の交渉が国内改革へのテコに使える場面が出てくるかもしれない。

様々な側面を持つ中国のTPP長期戦略は決して侮れない。9月末の自民党総裁選を経て誕生する日本の新たな首相は就任早々、政治・経済両面で中国にどのように対処するのか決断を迫られる。(敬称略)

中沢克二(なかざわ・かつじ)
1987年日本経済新聞社入社。98年から3年間、北京駐在。首相官邸キャップ、政治部次長、東日本大震災特別取材班総括デスクなど歴任。2012年から中国総局長として北京へ。現在、編集委員兼論説委員。14年度ボーン・上田記念国際記者賞受賞。』

マレーシア、中国のTPP加盟支持

マレーシア、中国のTPP加盟支持 貿易拡大を期待
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM193PG0Z10C21A9000000/

『【シンガポール=中野貴司】マレーシア政府は中国の環太平洋経済連携協定(TPP)への加盟申請について「メンバーに迎えることを楽しみにしている」との声明を出し、支持する姿勢を示した。東南アジアの参加国ではシンガポールも歓迎の意向を表明している。慎重な立場の日本やオーストラリアとの温度差が鮮明になっている。

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日本経済新聞の取材にマレーシア貿易産業省が19日、回答した。同省は16日の中国の加盟正式申請の発表に「非常に元気づけられた」とした上で、加盟に向けた参加国との交渉が早ければ2022年にも始まるとの認識を示した。中国が実際に加盟すれば「両国間の貿易と投資はさらなる高みに到達する」とし、貿易拡大への期待が加盟支持の主な理由だと明らかにした。

マレーシアにとって中国は輸出、輸入ともに最大の相手国だ。マレーシアは現在、TPPの批准手続きを進めており、年内に国内手続きを終える可能性がある。

中国と地理的に近く、経済関係も密接な東南アジア諸国連合(ASEAN)のTPP参加国は、もともと中国の加盟に対する抵抗が小さかった。シンガポールのバラクリシュナン外相は13日、同国を訪問した王毅(ワン・イー)国務委員兼外相との会談で、中国がTPPへの加盟を検討していることを歓迎すると伝えていた。ASEANと中国は双方が参加する地域的な包括的経済連携(RCEP)協定の早期発効を目指す方針でも一致する。

一方、中国がアジアの貿易秩序を主導することを警戒する日本は、中国がTPPの高い基準を満たす用意ができているかを見極める姿勢だ。豪州も中国との貿易摩擦が解消しない限り、中国の交渉入りを支持しない姿勢を示唆している。中国が加盟するには全加盟国の支持が必要なため、日本や豪州などが難色を示せば加盟は実現しない。

ただ、マレーシアやシンガポールは日米など西側諸国だけでなく、中国とも多国間の貿易協定を通じて関係を強化したいとの思いが強い。通商問題に詳しいアジア貿易センターのデボラ・エルムス氏は「多くの参加国は中国と別のルールで競争するよりも、中国をTPPという一貫したルールの制約下に置きたいと思うはずだ」と指摘する。中国が今後TPPの基準を満たすための国内改革を約束した場合、中国の加盟に前向きな国が増える可能性がある。仮に日本が加盟を認めない立場を採るなら、説得力のある理由を参加国に示す必要がある。

中国の王毅氏はシンガポールを訪問した際、TPPやRCEP以外の貿易協定にも関心を示した。シンガポールが20年にニュージーランド、チリと合意したデジタル経済パートナーシップ協定(DEPA)だ。TPPの原型を作った3カ国によるこの協定は、国境を越えたビッグデータの移管や人工知能(AI)など先端分野の標準的なルール形成を目指している。中国が日米が不在のうちに、DEPAへの参加を決めれば、アジアが絡む多国間貿易協定で中国の存在感がさらに際立つことになる。

この記事の英文をNikkei Asiaで読む 』

メキシコ、中国のTPP加盟に慎重

メキシコ、中国のTPP加盟に慎重
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN204EB0Q1A920C2000000/

『【メキシコシティ=宮本英威】メキシコ経済省は20日、中国による環太平洋経済連携協定(TPP)への加盟申請について慎重な姿勢を示した。TPPが「高い基準を順守するすべての国に門戸は開かれている」と指摘した。国有企業への補助などの中国の経済ルールが加盟に課題となることを暗に示唆した形だ。

声明では「協定の創設国として他の10カ国と共に、中国の加盟申請について迅速にフォローし、関連の活動に加わる」とも言及した。

メキシコは2020年7月に発効したUSMCA(米国・メキシコ・カナダ協定)を通じて、北米で一体となった経済圏を構築している。メキシコの最大の貿易相手は米国で、圧倒的な地位を占めている。米中の摩擦が深まる中では中国のTPP加盟支持を打ち出すことは容易ではない。

加えてUSMCAでは、非市場経済国との自由貿易協定には、交渉開始の意図を他国に知らせることが定められている。

一方で、メキシコにとって中国は、輸入で米国に次ぐ2番目の相手国でもある。新型コロナウイルスへのワクチンの供与を巡って関係が深まってきた事情もある。

TPPの交渉官を務めた経験を持つロベルト・サパタ氏は地元紙レフォルマの取材に「メキシコにとって、非常に複雑で敏感な多面的交渉が始まる」と指摘した。

中国のTPP加盟を巡ってはシンガポールやマレーシアが前向きな一方で、日本やオーストラリアは慎重な姿勢を示している。』

ペルーでTPP発効、8カ国目

ペルーでTPP発効、8カ国目 輸出増に期待
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN1933S0Z10C21A9000000/

※■東アジア
日本
■東南アジア(ASEAN)
シンガポール
ベトナム
ブルネイ
マレーシア
■オセアニア
オーストラリア
ニュージーランド
■北米
カナダ
メキシコ
■南米
ペルー
チリ

という11か国が参加国の陣容だ…。

日本、メキシコ、シンガポール、ニュージーランド、カナダ、オーストラリア、ベトナム、ペルーの8カ国が国内で批准・発効したわけだ…。

 ※ 残るは、ブルネイ、マレーシア、メキシコの3カ国だけだ…。

 ※ ここに、英国、中国が加盟しようとしている…(加盟承認には、他の11か国の承認が必要)。

『【サンパウロ=共同】南米ペルーで19日、環太平洋経済連携協定(TPP)が発効した。発効は8カ国目。7月14日に国会が批准を可決していた。ペルー政府は綿のTシャツやアボカド、乳製品などの輸出に弾みがつくと期待している。

TPPは関税撤廃や、知的財産などの統一的ルールにより自由貿易を推進する枠組み。2018年3月に11カ国で署名し、日本、メキシコ、シンガポール、ニュージーランド、カナダ、オーストラリア、ベトナムの7カ国で発効済み。

TPPには英国が今年2月に加入申請を行ったほか、中国も今月16日に加入を申請した。』

中国が放ったくせ球 TPP加盟申請、日米分断の思惑も

中国が放ったくせ球 TPP加盟申請、日米分断の思惑も
Angle 高橋哲史
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA1765G0X10C21A9000000/?n_cid=NMAIL006_20210917_Y

『中国が環太平洋経済連携協定(TPP)への加盟を申請した。実現のメドは立っていないのにこのタイミングで突然、一歩踏み出したのはなぜか。

「(中国がTPPに加盟申請すれば)日本にとっては試練になるだろう。断れば中国と敵対することになるからだ。かといって、簡単に受け入れるわけにもいかない。米国が絶対に同意しないからだ」

2020年11月、北京大学国際関係学院の賈慶国・前院長にインタビューしたときの発言だ。賈氏は国政の助言機関である全国政治協商会議の常務委員も務め、中国の外交政策に深く関わる。

インタビューの3日後、中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席がTPPへの参加を「積極的に考える」と表明した。賈氏はそれを事前に知ったうえで、「TPP参加」の思惑を語ったとみられる。

中国がTPPへの加盟を真剣に考え、準備を進めてきたのは事実だ。特に2017年に発足したトランプ米政権がTPPから離脱し、中国に貿易戦争を仕掛けてからその動きを加速させた。米国に対抗するため、アジア太平洋地域の貿易ルールづくりで主導権を握りたい。中国の真意はそこにあった。

中国の李克強(リー・クォーチャン)首相が初めてTPP参加に意欲を示したのは、20年5月だ。新型コロナウイルスの猛威が世界を襲い、4月に予定していた習氏の国賓訪日が延期になった直後だった。

米国をけん制するために習氏の訪日を何としても実現したかった中国は、それまで「TPP参加」を口にしてこなかった。日中首脳会談で話題にすれば日本が米国との板挟みになり、習氏の訪日に難色を示しかねないと判断していたからだ。

習氏訪日のメドが立たなくなり、日本に配慮する必要はなくなった。20年11月に習氏が検討を表明してからは、いつでも正式に参加申請できる状態だった。

中国自身、TPPの高いハードルをクリアし、すぐに加盟できるとは思っていない。それでも今のタイミングで申請したのは、米国が主導するかたちで中国包囲網の構築が進んでいる状況と無縁ではないだろう。

米国、英国、オーストラリアは15日、対中国を念頭に新たな安全保障協力の枠組みを創設した。米英は中国から圧力を受ける豪州に原子力潜水艦の技術を提供する。欧州連合(EU)は16日、「インド太平洋協力戦略」を公表し、台湾との関係強を打ち出した。

日本が主導する現在のTPPには11カ国が参加し、英国も加盟を申請している。経済面に限れば、巨大市場の中国を取り込むメリットは大きい。中国の参加に前向きな加盟国が現れるかもしれない。中国はTPP陣営の足並みを乱すつもりだろう。

日本の立ち位置は難しい。中国を門前払いすれば、習指導部が対日批判を強めるのは必至だ。かといって中国に甘い顔をみせれば、米国が反発する。中国のTPP加盟申請には日米分断の思惑も透ける。その真意を冷静に見極める必要がある。

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吉野直也政治部長と高橋哲史経済部長が自民党総裁選、衆院選とその後の経済・外交の行方を展望するライブ配信イベントを27日午後6時から開きます。お申し込みはこちらです。
https://www.nikkei.com/live/event/EVT210820001

経済・社会保障グループ長(経済部長) 高橋哲史
大蔵省(現・財務省)を振り出しに霞が関の経済官庁や首相官邸、自民党、日銀などを取材。中国に返還される前の香港での2年間を含め、計10年以上に及ぶ中華圏での駐在経験をもつ。2017年4月からは中国総局長として北京を拠点に中国の変化を報じ、21年4月に帰国した。』