G7結束回復へまず一歩 財務相会議、中国を警戒

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR1201O0S1A210C2000000/

『【ロンドン=中島裕介】日米欧の主要7カ国(G7)は12日、財務相・中央銀行総裁会議をオンラインで開いた。バイデン新政権発足後、初めてのG7会合で、米国からはイエレン財務長官らが出席した。

新型コロナウイルスで苦しむ途上国の債務削減やデジタル通貨のルール作りなど、G7共通の課題は中国へのけん制が必要な案件が多い。会議はトランプ前政権で亀裂が深まった米欧が関係を修復し、結束を取り戻す一歩となる。…

この記事は会員限定です。登録すると続きをお読みいただけます。

残り1147文字

すべての記事が読み放題
有料会員が初回1カ月無料

有料会員に登録する
https://www.nikkei.com/r123/?ak=https%3A%2F%2Fwww.nikkei.com%2Farticle%2FDGXZQOGM010QT001022021000000&n_cid=DSPRM1AR07

無料会員に登録する
https://www.nikkei.com/r123/?ak=https%3A%2F%2Fwww.nikkei.com%2Farticle%2FDGXZQOGM010QT001022021000000&n_cid=DSPRM1AR07#free

ログインする
https://www.nikkei.com/login

2021年のG7議長国は英国で、スナク英財務相とイングランド銀行(中央銀行)のベイリー総裁が共同議長を務めた。英政府によると、会議ではコロナ危機からの経済再生について協議。スナク氏は「公平で迅速なワクチンの配布が重要だ」と呼びかけた。日本から麻生太郎財務相と日銀の黒田東彦総裁が参加した。

オンラインでG7財務相・中銀総裁会議に出席する麻生太郎財務相(12日夜、財務省)

前米連邦準備理事会(FRB)議長のイエレン氏は財務長官としては初参加となった。イエレン氏はすでにフランスやドイツの財務相らに経済協力開発機構(OECD)を軸とした国際課税協議への復帰を伝えた。バイデン政権の国際協調重視の姿勢を示す。

トランプ政権が発足した17年の5月のG7会議では、当時のムニューシン米財務長官が閉幕後の記者会見で「(米国は)保護主義を講じる権利がある」と主張。自国産業保護の輸入制限を正当化する発言は日米欧の協調の場だったG7に亀裂を走らせた。

一方、G7で結束して中国をけん制しなければならないテーマは増えている。

その一つが新型コロナによる経済低迷で債務返済に苦しむ途上国への対応だ。20年11月の20カ国・地域(G20)財務相・中銀総裁会議では困窮する途上国の債務を削減する場合の枠組み作りで合意した。

中国は広域経済圏構想「一帯一路」の参加国に、インフラ建設資金などの融資と引き換えに天然資源や港湾など重要施設を担保にとる「債務のわな」問題が指摘されている。中銀発行のデジタル通貨(CBDC)を巡っては、中国が22年の北京冬季五輪までの「デジタル人民元」発行に向けて実証実験中だ。G7各国よりもデジタル通貨導入に向けた動きは先行している。

利用する個人や企業の取引データが中国当局に筒抜けになる懸念も指摘される。麻生氏は9日の記者会見で「議論を詰めないといけない」とG7での対応を急ぐ考えを強調していた。

バイデン新政権が国際協調を重視するとはいえ、どこまでG7の足並みがそろうかは見通せない。

ここ数年の課題だった巨大IT(情報技術)企業へのデジタル課税の国際ルール作りを巡って、麻生氏は12日の会議終了後、記者団に「春くらいまでに目に見える形になっている可能性が出てきた」と述べ、米国の政権交代で協議が進展しつつあるとの評価を示した。自国企業への悪影響を警戒したトランプ前政権下で協議は停滞していた。

ただ国際課税協議への復帰を伝えたイエレン氏も、米国にとって不利な面もあるデジタル課税に前向きかは微妙だ。

G7各国の経済は新型コロナで深いダメージを受け21年に国内総生産(GDP)をコロナ禍前の水準に戻せるのは米国だけの見通し。その米国も財政依存の色は濃く、自律的な経済成長を取り戻せるかは不透明だ。経済再生が見通せず、各国が内向き志向に終始すれば国際社会のG7全体の影響力は取り戻せない。