米当局、ドル裏付け仮想通貨巡り協議 リスク見極め

米当局、ドル裏付け仮想通貨巡り協議 リスク見極め
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN19DC90Z10C21A7000000/

 ※ 「通貨」のキモは、人々の「信頼」だ…。

 ※ 全くのデジタル資産では、そこが「弱点」となる…。

 ※ それで、そこを「補う」ために、法定通貨の「信用力」を裏付けに発行するという発想が生じる(ステーブル・コイン)…。

 ※ しかし、そうすると、今度は、中銀や政府の通貨管理・通貨規制を脅かすことになる…。

 ※ 世の中、何でも、「こちら立てれば、あちら立たず。」なものだ…。

『【ニューヨーク=宮本岳則】米財務省や米連邦準備理事会(FRB)など米金融規制・監督当局は19日、米ドルなど法定通貨を裏付けにした仮想通貨「ステーブルコイン」について話し合う会合を開いた。今後数カ月以内にリスクや対応策を盛り込んだ提言を公表する。

イエレン米財務長官がバイデン米大統領の指示に基づき、金融市場に関する作業部会を招集した。19日の会合にはイエレン財務長官やFRBのパウエル議長に加え、米証券取引委員会(SEC)や米通貨監督庁(OCC)、連邦預金保険公社(FDIC)の各トップが出席した。

会合ではステーブルコインの利用拡大を受けて、利用者や金融システム、国家安全保障に対する潜在的なリスクについても議論した。イエレン長官は米国の適切な規制の枠組みを確保するために、迅速に行動する必要性を強調した。

パウエル議長は先週の議会証言でステーブルコインに言及し、決済で重要な役割を担うなら「適切な規制上の枠組みが必要だ」と指摘していた。』

デジタル人民元、132万カ所で実証実験 総額5800億円

デジタル人民元、132万カ所で実証実験 総額5800億円
人民銀が白書公表 正式発行時期は示さず
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM1699B0W1A710C2000000/

『【北京=川手伊織】中国人民銀行(中央銀行)は16日、デジタル人民元に関する白書を公表した。6月末までに飲食店や交通機関など132万カ所で実験し、試用した金額は345億元(約5800億円)に達した。具体的な発行スケジュールへの言及は避けた。

人民銀行は2019年末から広東省深圳、江蘇省蘇州や22年2月に開く北京冬季五輪の会場など5地域で実験を始めた。20年11月には上海や山東省青島など6地域を加えた。

デジタル人民元のお財布はスマホアプリのほか、ウエアラブル端末やICカードのなかにもつくれる。個人が開いたお財布は2087万超、法人など団体用のお財布は351万超に達した。

実験は消費者が買い物でデジタル人民元を使ったほか、公共料金や行政手続きの手数料の支払いにも試した。累計の取引回数は7075万回に達した。

具体的な発行スケジュールをめぐり、白書は「あらかじめ設けず公表しない」とだけ指摘した。関係者によると、人民銀行は冬季五輪開催時に現地で実験を重ねて、22年にも正式発行する方針だ。

当面は実証実験を拡大していく。実験地区における決済をすべてデジタル人民元でカバーできるようにし、取引の安定性を高める。中国人民銀行法の改正など法整備を進めて、デジタル人民元の発行に法的根拠を与え、データセキュリティーも強化する。金融政策や金融システムに及ぼす影響への研究も加速させる。』

デジタルユーロ、ECBが導入準備を発表 まず2年で調査

デジタルユーロ、ECBが導入準備を発表 まず2年で調査
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR148Q80U1A710C2000000/

『【ベルリン=石川潤】欧州中央銀行(ECB)は14日、独自の中銀デジタル通貨(CBDC)であるデジタルユーロの発行に向け、本格的な準備を始めると発表した。コロナ危機で現金離れに拍車がかかるなか、中銀として安全なデジタル決済手段の提供を目指す。金融システムが混乱しないように慎重に準備を進めるため、発行は2026年以降となるとみられる。
ECBのラガルド総裁は声明文で「ギアを上げ、デジタルユーロプロジェクトを開始する」と表明した。まずは2年間の調査局面に入る。使い勝手を高めながら、マネーロンダリング(資金洗浄)などの不法行為を防ぎ、金融システムや金融政策に悪影響を与えないためのデジタル通貨の設計などを進める。

その後、実用化に向けた作り込みを数年かけて実施する。担当のパネッタ専務理事はこれまで日本経済新聞の取材に、発行までに最短で5年程度かかるとの考えを示してきた。今回の決定は発行の最終判断ではなく、深刻な問題が生じれば、発行を取りやめることもあり得るというのがECBの立場だ。

ECBがデジタルユーロの本格準備に入る背景には、現金からデジタル決済への移行が加速していることがある。ラガルド総裁はデジタル時代に市民や企業が「もっとも安全なマネーである中銀マネー」を利用できるようにすることが目的だと指摘した。声明文では、デジタルユーロは現金を補完するもので、取って代わるものではないという考え方も明記した。

クレジットカードや民間のデジタル決済手段の利用が増えているが、寡占が進んで手数料が高止まりしたり、個人情報が乱用されたりするとの懸念がある。ビッグテックと呼ばれる米巨大IT企業による金融サービスの支配への警戒も強い。ECBはデジタルユーロを土台に民間金融機関が様々な金融サービスを提供できるようにして、開かれた競争を維持していく考えだ。

銀行預金からデジタルユーロへ大量の資金流出が起これば金融システムが不安定になるため、たとえば3000ユーロ(約40万円)程度の保有上限を設けることをECBは検討している。国際金融の混乱を避けるため、ユーロ圏外でのデジタルユーロの保有にも制限をかける見込みだ。

資金洗浄や脱税などの犯罪への対策も欠かせないが、当局が個人の資金のやり取りをすべて把握することには反発もある。公益とプライバシーのバランスも課題となる。

ECBが動き出したことは、ほかの主要中銀の背中を押すことになりそうだ。日銀は今年4月、システム上でお金の発行とやり取りをする実証実験を始めた。米連邦準備理事会(FRB)も論点整理した報告書を今夏にも公表する見込みだ。

中国は22年までにCBDCを導入する方針だ。各国のCBDCを連結して、いかに低コストで安全な海外送金を実現していくかも今後の焦点となる。

【関連記事】

・デジタルドル「実現に高いハードル」 FRB副議長講演
・デジタル通貨で日本出遅れ 半身の日銀、民間も後手

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伊藤さゆり
ニッセイ基礎研究所 経済研究部 研究理事

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ひとこと解説 EUは、トランプ政権期の対米関係の悪化、国家資本主義の中国の世界的な影響力の強まりを背景に、経済・産業の「戦略的自立」を掲げるようになり、「ユーロの国際化」についても、導入当初の中立姿勢から積極的に推進する方針に転じています。
デジタル・ユーロに向けた入念な準備も、こうした流れの一環と思われます。
国際的な規範化への影響力を重視するEU。中銀デジタル通貨の規範が、先行する中国の人民元となることを阻止するには、対案を提示する必要があるとの判断も働いていそうです。
2021年7月15日 13:05いいね
1 』

激動の金融業界 銀行も証券もお金そのものも変わる

激動の金融業界 銀行も証券もお金そのものも変わる
教えて山本さん!BizTechの基礎講座
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC096040Z00C21A7000000/

『日本の金融業界が劇的に変化しつつあります。その象徴といえるのが、米グーグルが日本で金融事業に本格参入するというニュースです。国内のスマートフォン決済会社を200億円超で買収し、2022年をめどに送金・決済サービスを始めると報道されています。

日本の大手銀行は、ネットでの振込手数料を10月以降に引き下げる予定です。その背景には、金融業界における新興企業の台頭や異業種からの参入があります。例えば、PayPayの登録ユーザー数は21年6月に4000万人を突破しています。入金規模は違いますが、メガバンクの個人口座数を抜きつつあります。

PayPayでは、ユーザーがスマホを使って無料で素早く送金できます。こうした強力な新規参入者に対抗するには、既存顧客を従来よりも効率的なサービスに誘導する必要があります。そこで預金通帳の発行などコストがかかるサービスには新たに手数料を設定し、代わりにネットの手数料を下げているのです。

証券と銀行の境目はなくなっていく

なぜ新規参入者は、既存大手よりも優れたサービスを実現できるのでしょうか。その理由はビジネスモデルとテクノロジーの進化にあります。

PayPayは、様々な機能を内蔵する「スーパーアプリ」を目指しています。実際にPayPayのアプリは、ウーバーイーツやショッピングなどの様々な機能を既に備えています。PayPayにとっては、決済で利益が出なくても、そうした備え付けの機能で利益が出ればよいのです。また送金コストも、クラウドなどの新しいテクノロジーを活用すれば、既存の勘定系システムよりも大幅に安くできます。

私はデジタルトランスフォーメーション(DX)を「お寺の改修」によく例えます。伝統あるお寺を残したままつぎはぎで改修しようとすると、ベテランの宮大工を確保したり特定の建築資材を用意したりする必要があるため、近代的な建物に建て替えるのに比べて大幅にコストや手間がかかります。文化的な遺産であればそうしたコストにも意味がありますが、ビジネスの競争では大きなハンディになります。

金融機関の勘定系システムは、インターネットが登場する前の1960年ごろに生まれました。そこから互換性を保ちつつ何度か大きな改修を受けています。一方、クラウドなどの新しいテクノロジーを利用してゼロからシステムを開発すれば、より高機能な機能を安価に実現できる可能性があります。

こうした背景から、日本の金融機関の競争力を上げようとする動きが出ています。その一つが、全国の金融機関をオンラインで相互接続する「全国銀行データ通信システム(全銀システム)」を運営する全国銀行資金決済ネットワーク(全銀​ネット)が銀行間の送金にかかる手数料を40年ぶりに引き下げたことです。これにより一般利用者が支払う銀行の振込手数料が下がる可能性が出てきました。

国際送金の仕組みも進化しています。インターネットの登場よりも前に作られたシステムでは、海外への送金に数日かかったり数千円の送金手数料を取られたりすることもありました。

一方、英フィンテック企業のワイズ(旧トランスファーワイズ)は、格安の手数料で送金サービスを提供しています。7月にロンドン証券取引所に上場し、時価総額は約1兆2100億円に達しました。また、米フェイスブックが提供するメッセンジャーは、米国など複数の国では送金にも使えます。ユーザーが国境を意識することなく簡単に送金できるのです。

7月には米大手証券会社ゴールドマン・サックス傘下の米銀行が日本で銀行業免許を取得しました。ゴールドマン・サックスは米アップルと組み、米国で「アップルカード」という独自のクレジットカードを提供するなど、個人向け金融サービスに力を入れています。
同社のデービッド・ソロモン最高経営責任者(CEO)は「既存のシステムを持ってないがゆえに、最新テクノロジーの活用で優位に立てる」と述べています。経済学でいうところの「後発性の利益」にも近い発想を持っているのです。こうした方向性は、システム部門だけでなく経営陣がテクノロジーをよく理解して決めるしかありません。

売買手数料無料の流れを作った米スマホ証券のロビンフッドは、うまくいかなかったもののかつては預金サービスの提供を目指していました。7月1日にはナスダック上場を申請し、時価総額は4兆円規模とされています。

日本では、銀行と証券の情報共有を制限する、いわゆる「ファイアウオール規制」が1993年に設定されました。米国での最近の動きを受け、金融庁がこの規制について改めて検討する動きになっています。

米小売り大手のウォルマートやアップルも金融事業を近年拡大しています。彼らは金融そのもので収益を上げなくても他の事業で収益を上げればいいため、手数料などを安くできます。

いずれは通貨もデジタルに

そもそも私たちはなぜ銀行口座を持っているのでしょうか。

多くの人にとっては、給与の振込先が必要だからでしょう。法律により、賃金は現金もしくは振り込みで渡すよう指定されています。しかし、法律が改正されれば、PayPayなどに直接入金できるようになるかもしれません。既に公共料金は最近は多様な支払い方法に対応しており、銀行振込である必要はなくなっています。

今後、大きな波になると思われるのがデジタル通貨です。中国は人民元をデジタル化する「デジタル人民元」の実験を繰り返しており、22年の北京冬季五輪の開催に合わせて準備しています。日本や欧州の中央銀行も、中央銀行が発行するデジタル通貨「CBDC(Central Bank Digital Currency)」の検討を始めています。フェイスブックは「ディエム(旧リブラ)」というデジタル通貨の開発を主導しています。

これまで物理的な通貨の取り扱いには、ATM網の整備や警備付きの現金輸送など、多くのコストがかかっていました。また、現金がどこで使われているかはすぐには把握できないため、詳細なデータに基づく経済対策はできませんでした。

通貨をデジタル化すれば、リアルタイムに近いデータに基づいて詳細な経済政策を打てるようになります。決済サービスなどの効率や使い勝手も向上するでしょう。これは、電子メールやメッセンジャーアプリが紙のファクスをほぼ不要にしたのと似ています。

24年には新しいデザインの日本円の紙幣が発行されます。その先には、まるで空気のようにデジタル通貨が使われる未来が待っているでしょう。

こうした世界を他国に先駆けて実現するには、これまでの投資を意味する「サンクコスト(埋没費用)」に惑わされてはなりません。現状のテクノロジーの延長で考えるのではなく、最新テクノロジーを理解して最適な仕組みを一から作っていく必要があります。

山本康正(やまもと・やすまさ)
京都大学大学院特任准教授
東京大学修士号取得後、米ニューヨークの金融機関に就職。ハーバード大学大学院で理学修士号を取得。卒業後グーグルに入社し、フィンテックや人工知能(AI)などで日本企業のデジタル活用を推進。著書に『次のテクノロジーで世界はどう変わるのか』(講談社現代新書)、『2025年を制覇する破壊的企業』(SB新書)がある。
【関連記事】Google、日本で金融本格参入へ 国内スマホ決済買収』

エルサルバドル、ビットコインを配布へ 9月に法定通貨

エルサルバドル、ビットコインを配布へ 9月に法定通貨
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN05CGW0V00C21A7000000/

『【メキシコシティ=宮本英威】中米エルサルバドルは暗号資産(仮想通貨)ビットコインを9月から法定通貨の一つにすると決め、準備を始めた。電子財布(ウォレット)を設け、登録者には30ドル(約3300円)相当のビットコインを配布する方針だ。当局は前のめりだが、国民には慎重な見方が多く、スムーズに導入できるかどうか不透明だ。

エルサルバドル政府は公式の電子財布「CHIVO(チボ)」の導入を発表した。名称は「かっこいい」を意味するスラングだ。国民はチボのアプリをダウンロードしたうえで、電話番号の登録や顔認証による本人確認を済ませた後、30ドル相当のビットコインを受け取れる。

ビットコインはもう一つの法定通貨、米ドルと交換できる。そのためのATMを1500台設置する計画も進められている。

エルサルバドルの人口は650万人で、政府はその約6割にあたる400万人程度の登録を見込んでいる。ビットコインの配布にかかる費用は1億2000万ドルと推定される。

ブケレ大統領は「ビットコインの使用は任意だ。米ドルは法定通貨であり続ける」と説明する。国民は給与や年金を米ドルで受け取れる。』

『ビットコイン普及のためのインフラ整備も民間企業の協力で進める。仮想通貨のATMを手がける米アテナビットコインは100万ドル以上を投じ、エルサルバドルに1500台のATMを設置する考えを示した。

エルサルバドルの就労機会は少ない。近隣の富裕国である米国で就労し、母国に送金する人々の家族が多い地域を優先して設置する考えだ。アテナビットコインのマティアス・ゴールデンホーン取締役(中南米担当)は「持続可能な速度で事業を展開していきたい」と話す。

ブケレ氏はビットコインを法定通貨に追加する理由を「送金する人を助けるため」と指摘する。一般に金融機関を介する送金に比べ、ビットコインの送金手数料が安いため、エルサルバドルへの送金増を期待する。

エルサルバドルへの海外からの送金額は2020年が59億ドルで、同国の国内総生産(GDP)の約2割に相当。これが増えれば、エルサルバドル経済のてこ入れにつながる。

当局の思惑通りにビットコインが普及するかどうかはなお不透明だ。エルサルバドル商工会議所が1668人の市民を対象に電子媒体で実施した調査によると、ビットコインでの給与支払いには93%が反対した。送金についても83%が否定した。

米州開発銀行(IDB)の調べでは、エルサルバドルの一般家庭ではインターネットの普及率が45%にとどまる。中南米地域の20カ国ではホンジュラス(39%)に次いで低い水準だ。

価値が変動するビットコインを法定通貨に加えることには国際機関からも慎重な意見が相次ぐ。中米経済統合銀行(CABEI)は技術面で支援する意向を示すが、世界銀行は「エルサルバドル政府から支援の要請はあったが、手助けはできない」と主張した。国際通貨基金(IMF)の報道官は「マクロ経済、金融、法的に多くの問題を引き起こすので慎重な分析が必要」と指摘した。

ブケレ氏は19年6月、大統領に就任した。まだ39歳で、国民の人気は高い。ただ強権的な姿勢が目立つ。ビットコインを法定通貨に加える法案は6月上旬に議会を通過したが、十分に議論を尽くしたとはいえない状況で、野党は批判している。 』

カンボジアで世界初のデジタル通貨を作った日本人が語る金融の近未来

https://www.nippon.com/ja/japan-topics/g01074/

『―スタートアップ企業のソラミツがアイデアを武器に一国の中央銀行のデジタル通貨を作り上げた過程は、スティーブ・ジョブズやビル・ゲイツがシリコンバレーの最初の頃を彷彿とさせます。デジタル通貨に目を向けた理由は?

ビル・ゲイツやスティーブ・ジョブズとは月とスッポンですけれども、私はソニーで長く勤めました。ソニーは世界初をやろうという文化がありましたから、とにかく世の中にないものをやりたいと思った。私はシリコンバレーでパソコンのVAIO1号機を開発したものの、大きな赤字を出した。これからはハードウェアの時代じゃない、サービスとかインターネットの時代だと思いまして、帰国して、電子マネーのEdyを始めました。

EdyはEuro、Dollar、Yenの頭文字から取り、世界の通貨を目指していた。ところが、技術の壁があって、海外で全然受け入れてもらえず、日本でしか普及しなかった。一方、ビットコインは出てすぐ、世界中で使われるようになった。これは悔しいと、ブロックチェーン(分散型ネットワークを構成する複数のコンピューターに、暗号技術を組み合わせ、取引情報などのデータを同期して記録する手法)の技術を持つソラミツに参加して、今は代表取締役をやっています。

―何かをやりたいというのをどんどん追求していったら、デジタル通貨を作るに至ったということですか。

本当に自分のライフワークになっていて。やっとこういう時代になったと。技術がやりたいことに追いついてきた時、たまたまカンボジアの中央銀行との出会いがあって、これこそ自分のライフワークだと思って取り組み始めました。

―Edyを作った頃にブロックチェーン技術があったら、Edyはデジタル通貨となったのでしょうか。

そうだと思います。Edyを始めた頃、大学の先生からずいぶん怒られたんです。『君たちは技術の使い方を間違っている』と。いわゆる転々流通(不特定の所有者に価値が引き継がれること)しないんです。これは学者さんから見ると、経済理論の見地からおかしい。単なるプリペイドカードでしかないし、電子マネーじゃないと。

ただ、当時は、転々流通できてセキュリティが高いという技術がなく、やむなく転々流通でない方式、「口座型」(利用者の口座間で振替決済)をやった。Suicaが口座型を真似して、さらにPay PayやLINE Payも真似した。だから、日本の金融業界が効率の悪い口座型になってしまって、転々流通ができなかった責任は私にもあると。私が最初に間違った方式でやって、学者さんの反対を押し切ってやっちゃったので。だからそこを直さなきゃいけないと思っていまして。要するに世直しですよね。それを何とかしなきゃいけないという気持ちは強いです。

詐欺かと思ったカンボジア国立銀行の誘い

―カンボジアの中央銀行(カンボジア国立銀行)からデジタル通貨のシステムを作って欲しいと言ってきたとき、パッと手を挙げたのは、スタートアップ企業だからこそ出来たのですか。

SNSで『国立銀行です』と名乗られて、『お宅の技術をちょっと試してみたい』と連絡してきた。最初は偽物だろうと思いました。国立銀行がスタートアップに連絡してくるわけがないと。これは絶対いわゆる詐欺じゃないかと。でも、いろいろやり取りしていると、どうも本物らしいということで、創業者と一緒にカンボジアへ行ってみたわけです。そうしたら、本当にカンボジア国立銀行だった。

私はソニーで、いろんな技術の盛衰を見てきました。昔、ベータマックスというビデオがあって、それがVHSに負けたとか、メモリースティックはSDカードに負けた。やっぱりIT技術って日本だけでやっていたら駄目だと。ガラパゴスでは絶対に勝てない。世界で勝負して、世界標準を目指していかないと残れないというトラウマを何回も経験した。

ソラミツ創業者の武宮誠はアメリカ国籍だったのですが、日本に来て日本が好きになって帰化した。彼もとにかく最初からグローバルで勝負しようということで、プロトタイプを開発していきなりスイスに行って、スイスのダボス会議に参加したりとか、ニューヨークでプレゼンしたりとか。そうしないと絶対に生き残れないという意識でやっていました。それがカンボジア国立銀行の目に留まったんだと思います。

プノンペン市のカンボジア国立銀行 提供:ソラミツ

アンコールワットの遺跡を背景に。ソラミツの創業者である武宮氏(右から2人目)と宮沢氏(左から3人目)提供:ソラミツ

―最初からグローバルで勝負し、それを成し遂げたのは技術的な裏打ちもあった。

そうですね。武宮は本当に天才です。彼は大学卒業後に米陸軍に入隊し、脳科学とかAIとかをずっと研究していた。奈良県にあるNTTの先端技術研究所に転籍して働いていた時に、ビットコインというのが世の中で生まれた。彼は『すごいけど、もっといいものを作れると思った』と言い、実際作っちゃった。彼はスティーブ・ウォズニアック(アップル創業時の天才技術者)のように、最先端のものを作ってくれた。私はどちらかというとスティーブ・ジョブズ・タイプかもしれない。自分はコードも書きますが、そんなに得意ではないので、新しい技術を理解して、それをどうやって世の中に受け入れてもらうかを考えながらやっていた。

―ソラミツは独自に開発されたブロックチェーン技術「ハイパーレジャーいろは」をオープンソースとして開放し、周辺で利益を上げるというビジネスモデル。従来の日本企業のパターンと違う。

ブロックチェーンを開発した日本企業はあるが、われわれみたいにオープンソースにして世界で戦っている企業は本当に少ない。大手のブロックチェーン開発企業は日本国内で閉じていて、なおかつオープンソースではなくて、ライセンス料で収入を得るようなビジネスモデルなので、広がらない。閉じてしまっているというのは非常に残念ですよね。

このままでは世界に遅れる日本の金融界

―バコンの話に戻りますが、カンボジアはドルが自国通貨より流通し、中央銀行は困っていた。しかし、バコンを始めると自国通貨の割合のほうが多くなった。

カンボジアは国立銀行がしっかりしている。若い人が多く、みんなすごく勉強しています。金融の人だけれども、技術にも明るく、ある意味しがらみがない。日本の金融機関ってしがらみだらけで、既存のシステムを変えられないとか、失敗したくないと考えている人が役員に多いと思う。

この調子で行くと、ますます日本は遅れていく。日本の金融界の偉い方も、『カンボジアは金融インフラがないからできた』と言う。それだけではなく、先々を見る目とか、それに対して挑戦しようという気概があった。短期間でできたのも、彼らには既に概念設計が出来上がっていたから。中央銀行デジタル通貨(CBDC)はこうあるべきだというものが、全部出来上がっていた。

日本にはデジタル通貨の概念設計がないんです。中央銀行デジタル通貨はどうあるべきか、明確ではない。これから実証実験をちょっとずつやっていきます、みたいな感じ。一方、カンボジアは確固たる考え方を持っていた。リスクとか、こういうことをやると銀行に大きな影響を与えるとか、シミュレーションを行い、全部分かっていた。それが2016年です。5年前にカンボジアでは今の日本よりもはるかに明確になっていた。

カンボジアは自国通貨リエルよりも米ドルが流通していた。ドル比率が高いのを何とかしたいと。しかし、バコンを導入したことによって、自国通貨の割合が高くなった。

デジタル通貨「バコン」の開始式典であいさつするカンボジア国立銀行のチア・セレイ統括局長 2020/10/28 プノンペン(共同)

―カンボジア国立銀行は中国のデジタル人民元に対する危機感もあった? 

そう思います。やっぱりデジタル人民元の動きが気になるわけですよね。デジタル人民元は中国の中でしか使いませんというふうに言っていますけれども、それはたぶん方便だと思っていて。中国はUAEとかタイと研究会を開いて海外での利用の可能性を検討しているわけですよ。デジタル人民元の国際連携みたいな話で、一帯一路で使わせるとか、アジア圏に普及させるということを考えている。それが広がると、米国がドルのSWIFT(国際銀行間通信協会)を活用した経済制裁を出来なくなると思います。北朝鮮やミャンマーが経済制裁されても、デジタル人民元を使って中国から資金がどんどん行ってしまう。

デジタル通貨「バコン」の使用を呼びかける看板(プノンペン市内)提供:ソラミツ

デジタル人民元の脅威

―これからデジタル人民元をはじめ、各国でデジタル通貨が普及していくと、社会がどう変わっていくと思われますか。

3つぐらいのシナリオを思い描いています。日本の金融機関がうまく正常な形で進化して、新しいデジタル技術を取り入れていくというのが1番目のシナリオです。

2番目のシナリオは、それができなかった時に、新たなプラットフォーマーが金融機関に取って変わる。〇〇Payなのか、あるいはFacebookなのか。巨大プラットフォーマー企業が新しい技術で利便性の高いサービスを提供することによって、ユーザーが『そっちでいいや』となって、どんどん日本の金融機関のシェアが下がって、その分、銀行は淘汰される。これが2番目のシナリオ。

3番目は、中央集権的なプラットフォームが支配する世の中ではなくて、分散型金融の普及で、資産を分散的に所有し、民主的に配分が決まっていく。金融機関も必要なくなるかもしれません。例えばDEX(Decentralized Exchange)という分散型交換所では資産は人手を介さず自動的に交換される。為替交換とか全部できてしまう。そういうものがより安いコストでより普及していく。これら3つの勢力が、市場を拡大しながら共存していくのかなと思っています。

―宮沢さんは日銀のデジタル通貨分科会ラウンドテーブル委員を務めている。日本のデジタル通貨はどの方向が望ましいと思ってらっしゃいますか?

2番目のシナリオはよくないと思っています。プラットフォーマーが日本の金融界を牛耳ることになると、銀行は信用創造機能を制限されて経済活性化ができなくなる。なので、1番が良いですよね。3番の、ビットコインのような仮想通貨はこれからも発展していくと思いますが、多くの日本人は、銀行のサービスが便利になればそっちを使うかなと。で、私としては、1番を応援しているという立場ですね。

『ソラミツ 世界初の中銀デジタル通貨「バコン」を実現したスタートアップ』(宮沢和正著 日経BP)書影

日本銀行は民間デジタル通貨や決済手段と日銀が将来発行するCBDCが共存・連携することを大前提としています。そのためには日本の銀行預金の使い勝手がもっと良くならなければいけない。銀行が決済性預金としてブロックチェーンなどの最新の技術を活用した民間デジタル通貨を発行し、決済コストを今までの1/10以下に下げ、即時支払や転々流通に対応し、スマートコントラクトを活用して支払方法に様々なルールを設定できる金融システムを構築する必要があると思います。そうしないと利用者は新たな技術を活用したもっと利便性の高い決済手段に流れていってしまいます。

銀行や自治体などが全国共通の民間デジタル通貨を発行するためのプラットフォームを運営する会社があります。2020年4月に設立したデジタル・プラットフォーマーという企業です。この企業はカンボジア中銀デジタル通貨「バコン」と同じ技術を活用しており、全国の銀行や自治体を繋ぎ将来は日銀の発行するCBDCとも連携して国民に低コストで利便性の高いデジタル通貨を提供する新時代の決済システムを提供してゆくと思います。

バナー写真:カンボジアのデジタル通貨「バコン」を紹介する展示物 プノンペン 2020/10/28 共同 』

デジタル通貨、新興国が主導 世界の6割が実験へ デジタル通貨元年㊤

https://www.nikkei.com/article/DGXZQODF312L40R30C21A3000000/

『電子的にお金をやり取りするデジタル通貨の実用化が視野に入ってきた。世界の中央銀行の6割が実証実験に着手し、先行する新興国の動きに日米欧も重い腰を上げつつある。民間の金融機関も法人顧客や海外向けサービスでしのぎを削る。流通コストの低下につながるデジタル通貨のうねりは、米ドルを頂点にした通貨覇権を揺さぶる可能性も秘める。
クリックするとビジュアルデータへ https://vdata.nikkei.com/newsgraphics/digital-currency/

日銀が実験スタート よく分かる「デジタル通貨」

カンボジア全土のカフェでは「ここでバコンが使えます」と書かれた赤い看板が目に付くようになった。「バコン」は2020年10月に発行が始まったデジタル通貨だ。スマートフォンに専用アプリをダウンロードし、電話番号やQRコードを使って店頭での支払いに利用できる。個人と銀行口座間の送金も可能で、送金手数料はかからない。バコンは中央銀行が自ら発行・管理するデジタル通貨(CBDC)。現金と同じ法定通貨のため原則どこでも使える特徴がある。

国際決済銀行(BIS)が1月公表した65カ国・地域の調査で、20年時点でデジタル通貨を研究する中銀のうち実証実験の段階と答えた割合は約60%と1年前の42%から伸長した。実用化への歩みがさらに進む21年は「デジタル通貨元年」となる。

カリブ海8カ国・地域の金融政策を担う東カリブ中央銀行(ECCB)は3月末にデジタル通貨「Dキャッシュ」の発行を試験的に始めたと発表した。2年間の研究期間を経て、実用化に踏み込む。中銀主導のデジタル通貨は新興国の発行意欲が強い。固定電話の整備が遅れていた新興国で一気に携帯電話が普及したようにATMや銀行店舗など金融インフラが整っていない国ほど、デジタル通貨を導入する意義は大きい。その狙いには誰もが金融サービスを利用できるようになる「金融包摂」がある。

カンボジアは国民の7~8割が銀行口座を持たないとされる一方、携帯電話の普及率は150%に達する。銀行支店がない農村部でも、スマホを使った送金などができる。「金融政策のコントロールが効きやすくなる」。カンボジア国立銀行のチア・セレイ統括局長はこんな期待を寄せる。同国では預金の8割以上が信用力の高い米ドル建てだ。自国通貨の流通が少ないと、金利や通貨供給量の調節で景気・物価に働きかける金融政策の効力が弱まる。CBDCを通貨主権の回復につなげる思惑もちらつく。

長い人類の歴史で、通貨の形態がここまで劇的に変わったことはない。リアルのくびきから解き放たれた通貨のデジタル化は既存の秩序を揺さぶり、国民の暮らしから国際通貨の勢力図までを変える可能性がある。

昨年12月、中国の蘇州市で「デジタル人民元」の実証実験に10万人が参加した。通信環境が悪くても送金や決済に使えるかを試し、通貨としての機能を果たせるかを検証している。22年の北京冬季五輪までにCBDCを正式発行しようと実験を繰り返す中国。狙うのは国内の統制強化とされる。利用履歴やお金の流れを捕捉しやすいデジタル通貨を国が発行・管理すれば、国民の監視を強めることができる。

デジタル人民元はより高度な条件での実験を重ねている=ロイター
人民元の国際化という国家戦略にも沿う。中国人民銀行は2月、香港やタイ、アラブ首長国連邦(UAE)の中銀とデジタル通貨の共同研究を始めると発表した。目指すのは海外と相互にデジタル通貨を送金し、越境決済できるようにする仕組みづくり。基軸通貨のドル1強を突き崩す動きにも映る。

ドルを頂点にユーロや円など世界で流通する通貨を抱える日米欧はCBDCに慎重な姿勢を続けてきた。資金洗浄(マネーロンダリング)に使われるリスク、既存の銀行システムとの共存といった課題も多く、新興国ほどの利点を見いだせなかったためだ。

潮目が変わったのは19年。デジタル人民元に加え、世界で30億人規模が利用する米フェイスブックがデジタル通貨「リブラ」(のちにディエムに改称)の構想をぶち上げたのがきっかけだ。新たな「国際通貨」が生まれると、通貨主権が揺らぎかねない。中銀が独占してきた通貨発行益を奪われるリスクもある。

日米欧は中銀によるCBDCの共同研究グループなど国際協調の枠組みのなかで対抗策を練ってきた。デジタル通貨の技術や制度設計面で中国が国際標準を握り、後発組が不利になることへの危機意識も背中を押す。

日銀は5日から、CBDCがシステム上で機能するかを確かめる実証実験を始めた。3段階の実験の最初のステップと位置づける。欧州中央銀行(ECB)も年央をめどに「デジタルユーロ」事業を進めるかどうか結論を出す考えだ。もっとも、米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は3月に「プロジェクトを急ぐ必要はない」と語った。日米欧には既存の通貨システムを自ら崩すリスクをはらむCBDCをどこまで推進すべきか気迷いもある。

パウエルFRB議長はCBDCに慎重な姿勢をにじませる=ロイター
20カ国・地域(G20)の協議では、国境を越える送金のコストや利便性の改善に向けてCBDCを活用する案も浮上している。だが「新興国は乗り気な半面、国際通貨を抱える先進国は総じて消極的」と日銀関係者は打ち明ける。各国の思惑は交錯し、通貨覇権の行方は混沌としている。

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多様な観点からニュースを考える
※掲載される投稿は投稿者個人の見解であり、日本経済新聞社の見解ではありません。

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深尾三四郎
伊藤忠総研 上席主任研究員
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別の視点日本は民間デジタル通貨とのインターオペラビリティ(相互運用性)も確保したCBDCの社会実装を急ぐべき。

日本はデジタル化が急速に進む中国に加え、若者人口とSIMカードの普及枚数が多いアジアと近い。中国はCBDCとブロックチェーン(分散台帳技術)をスマートシティのインフラ基盤にしながら、サイバー空間を活用して自国民の経済活動を活発化させている。アジアでは若者が持つスマホを起点にした社会やビジネスのDXが進展し、キャッシュレスな民間デジタル通貨の普及が加速している。

暗号資産やデジタル通貨と相互運用可能なCBDCをワクチンパスポートと併せて普及させると、人の往来と経済を活性化することができる。
2021年4月6日 12:32 (2021年4月6日 13:38更新)

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梶原誠
日本経済新聞社 本社コメンテーター
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別の視点 「コロナ後、世界経済最大のリスクは主要通貨の暴落だ」。こんな話を米国の経営コンサルタントから聞きました。コロナ対策で各国の債務依存が強まり、通貨への信認が失われる恐れがあるとのこと。「ビットコインの高騰も、既存通貨に対する不信という側面がある」と顧客企業に話しているそうです。特定の通貨が暴落しても財産が守れるように、主要通貨のバスケットを裏付けにしたデジタル通貨の開発を進める民間研究者もいます。そんな通貨が普及すれば、中央銀行単独の影響力は落ちるでしょう。先進国の当局者もうかうかしていられません。

2021年4月6日 13:21 (2021年4月6日 13:33更新)
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急ピッチで進むデジタル人民元導入 中国の権威主義はますます強まる

https://www.epochtimes.jp/p/2021/03/70127.html

 ※ 「大紀元」発だが、よくまとまっている良記事だ…。

 ※ 特に、図がわかりやすいんで、紹介しておく…。

『3月8日、国際女性デーに合わせて、上海市の繁華街や百貨店でデジタル人民元の実証試験が行われた。中国の中央銀行・中国人民銀行は数年前よりデジタル通貨である「デジタル人民元」の導入を進めており、普及させれば主要国で初となる。いっぽう、強権的な政府が国民の財布の中身まで管理しうる点で、中国共産党による統制がさらに強化される懸念がある。
中国は政府主導で中央銀行発行のデジタル通貨が進む

中央銀行が発行するデジタル通貨は「中央銀行デジタル通貨(CBDC、Central Bank Digital Currency)」と呼ばれている。日本銀行によると、CBDCは中央銀行の債務として発行される法定通貨建てのデジタル通貨である。市中金融機関への影響等の問題から、日本を含む世界の主要国は導入に慎重だ。

いっぽう、「アリペイ」や「WeChat Pay」といったキャッシュレス決済が急速に普及した中国では、政府主導で人民元のデジタル化が推進されている。中央銀行である中国人民銀行が発行する「デジタル通貨電子決済(DCEP、Digital Currency Electronic Payment)」、すなわちデジタル人民元のパイロットテストは、中国の主要都市で行われている。市民に抽選でデジタル人民元を配布し、買い物で使用させるというものだ。これまで同行は1億元以上のデジタル人民元を配布した。2022年に開催される北京冬季オリンピックでは、さらに多くのデジタル人民元プログラムが計画されており、普及を着実に進めている。

中国人民銀行デジタル貨幣研究所の元所長である姚前氏は「中国法定デジタル貨幣原型構想」と題する文章の中で、デジタル人民元を「一つの貨幣、二つの保管庫、三つのセンター」と形容した。「一つの貨幣」はすなわちデジタル貨幣(デジタル人民元)、「二つの保管庫」はデジタル貨幣発行庫およびデジタル貨幣銀行庫、そして「三つのセンター」とは認証センター、記録センター、ビッグデータ分析センターのことだ。

デジタル人民元の運用の仕組図(大紀元)

デジタル人民元で強まる権威主義

デジタル人民元は中国人民銀行によって一元的に管理されている。さらに、デジタル人民元は共産党政権の中国政府が管理し、マネーロンダリングや汚職、そして国内での「テロ」の資金調達を排除する名目で、政府が監視を行うこともある。このため、デジタル人民元を通じて、政権による国民の統制がこれまで以上に強化される可能性がある。

世界初の社会主義国である旧ソ連では計画経済を導入したものの、国の財源の要となる国民の消費活動を正確に把握することはできなかった。21世紀に入り、デジタル化の波に乗り内外に力の膨張を続ける中国共産党は、旧ソ連が成し得なかった、国民の靴修理事情まで国家が把握する仕組みを完成させようとしている。

「ネット上で政府にとって好ましくない言論を発表したり、政府が望まない行動をとったりすると、中共が中央銀行を通して直接貯金を差し押さえることができるかもしれない。これでは一種の政治弾圧もしくは経済的な略奪になる」時事評論家の唐浩氏は、中国共産党が管理するデジタル通貨の危うさを指摘する。

米国のシンクタンクも同様の懸念を示している。新アメリカ安全保障センター(CNAS)は1月27日にデジタル人民元に関する報告書を発表、中国のCBDCシステムの内容とその問題について論じた。

「中国政府がデジタル通貨/電子決済(DCEP)と呼んでいるこのCBDCシステムにより、中国共産党はデジタル権威主義を国内で強化し、その影響力と基準設定を海外に輸出できるようになるだろう」と報告書は書いている。さらに、中国当局がデジタル人民元の取引から収集された情報を「社会信用システム」と組み合わせることで、一部の国民に懲罰を与えることも考えられるとした。

デジタル人民元のプライバシーリスク

デジタル決済は世界中で取引されているが、各国政府がその利用データを取得するためには、金融機関を経由する必要があり、一定のプライバシーは確保されている。いっぽう、デジタル人民元は中央銀行が直接発行し、管理するものであるため、プライバシー面が保護されないリスクがある。

前出のCNAS報告書によると、中国人民銀行が発行するデジタル人民元は「制御可能な匿名性」を持っている。つまり、中国人民銀行は、取引当事者間のプライバシーを維持しつつも、行われたすべての取引を監視することが可能になる。この作業を行うのがビッグデータ分析センターだ。

報告書は、世界の中央銀行や金融機関はこれほど詳細に日常の取引データを入手したことがないとし、「制御された匿名性」を持つデジタル人民元は、権威主義国家の新たな統治ツールになると警告を発している。

日本国内の動き

日本では中央銀行デジタル通貨の発行こそ計画されていないものの、国際的な技術革新を踏まえ準備を進めている。

日本銀行は2020年10月9日、「中央銀行デジタル通貨に関する日本銀行の取り組み方針」を発表、「技術革新のスピードの速さなどを踏まえると、今後、「中央銀行デジタル通貨(CBDC)」に対する社会のニーズが急激に高まる可能性」があるとした。そして「現時点でCBDCを発行する計画はないが、決済システム全体の安定性と効率性を確保する観点から、今後の様々な環境変化に的確に対応できるよう、しっかり準備しておくことが重要」だと示している。

また、NHKの3月16日付の報道によると、黒田日銀総裁は同日金融庁等が主催した会合にメッセージを寄せた。黒田氏は、現段階ではデジタル通貨を導入する計画はないという立場を維持しつつも、将来の環境変化に備えて準備をするとの考えを示した。

(王文亮)』

中銀デジタル通貨 米中競争激化の兆し

中銀デジタル通貨 米中競争激化の兆し 
編集委員 西村博之
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGH10ACT0Q1A310C2000000/

『中央銀行が発行するデジタル通貨をめぐり、バイデン米政権下で米中の競争が本格化する兆しが出てきた。中国は国内外でのデジタル人民元の利用をにらみ実験のアクセルを踏む。静観してきた米国も重い腰を上げつつある。世界の中銀の対応にも影響するのは必至だ。

Nikkei Views
編集委員が日々のニュースを取り上げ、独自の切り口で分析します。
「今年は重要な年だ。国民と活発に対話する」。2月24日の米下院金融サービス委員会。パウエル米連…

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パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長はかつてない前向きな表現でデジタルドルに言及した。前日の上院銀行委員会でも「非常に優先順位の高いプロジェクトだ」と発言。慎重姿勢を転換させた。

直前、香港の中銀にあたる金融管理局などの発表文が、金融関係者の注目を集めていた。中銀デジタル通貨の越境取引に関して香港とタイの中銀が進める実験に、中国人民銀行とアラブ首長国連邦(UAE)の中銀が加わるとの内容。「デジタル人民元を一帯一路に広げる布石か」(日銀OB)との声が上がった。

中国から西は中東、南は東南アジアをつなぎ、他の中銀も加えるというから確かに中国主導の広域経済圏構想と重なる。ブロックチェーン(分散型台帳)技術を使った企業間決済や資本取引の可能性をさぐるという。

中銀デジタル通貨は今回の実験のようなホールセール(大口)向けと一般消費者が使うリテール(小口)向けがある。

小口向けでも中国は2月の春節(旧正月)前後に北京市などの住人にデジタル人民元を配り使ってもらう実験を行った。2022年の実用化を視野に入れる。

北京市内でのデジタル人民元の実証実験(2月)

ただ小口向けは国内利用を想定した設計とされ、そのまま国外に広がるとみる専門家は少ない。一方、大口の越境取引は研究こそ初期段階だが、実現すれば元の国際化に弾みをつける。ここで中国は攻勢を強めている。

1月には人民銀が傘下のデジタル通貨研究所や人民元の国際銀行間決済システム(CIPS)とともに、送金情報を仲介する民間組織、国際銀行間通信協会(SWIFT)と合弁会社を設立。データや技術で協力する。

SWIFTはドル覇権の要で、米国が敵対国の資金源を断つ金融制裁にも使う。これを嫌い中国が15年に立ち上げたのがCIPSだ。なのに、なぜ手を組んだのか。

CIPSに参加する金融機関は足元で約100カ国の1000社ほど。SWIFTの約200カ国、1万社強に遠く及ばず、SWIFTがCIPSを補っているのが実情だ。中国はデジタル人民元の普及をにらみ、まずはSWIFTと組むのが有利と踏んだのだろう。

中国は似たような布石を随所で打っている。1月、モーリシャスとの間で発効させたアフリカ諸国との初の自由貿易協定(FTA)。そこにはデジタル金融の協力と「モーリシャス領内への人民元の清算・決済機関の設置」が盛られた。

むろん人民元の普及には資本規制や中国政府への信頼など課題も多く、ドルの地位が揺らぐ状況にはない。だが経済規模の米中逆転が迫るなか、基軸通貨国の米国は技術革新も踏まえた骨太な戦略が求められている。

イエレン米財務長官も中銀デジタル通貨構想を後押しする=AP

「デジタルドルは迅速で安全、安価な支払いに役立つ」。イエレン米財務長官は2月、国内の弱者対策の観点からFRBの背中を押した。

バイデン政権とその周辺にはほかにもデジタルドルの支持者が多い。大統領が米証券取引委員会(SEC)委員長への起用を決めたゲンスラー氏は、FRBと米マサチューセッツ工科大(MIT)が昨夏始めたデジタルドルの共同研究で窓口をつとめた。

FRBで中銀デジタル通貨の検討を主導するブレイナード理事は民主党に近く、次期FRB議長の有力候補。夫で新設の「インド太平洋調整官」に起用されたキャンベル氏は中国の台頭を警戒し、国務次官補(東アジア・太平洋担当)を務めたオバマ政権で「アジア回帰」を進めた立役者だ。

バイデン政権は国内と国外、政治と経済を通じ一貫性のある政策をめざしている。デジタルドルの検討が大きく前進する兆しを中国は察知しているのだろう。

編集委員が独自の切り口で分析「Nikkei Views」一覧へ https://www.nikkei.com/opinion/nikkei-views/

[FT・Lex]デジタル通貨、中銀による銀行支援の必要は

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM097H00Z00C21A3000000/

『みなさんは暗号資産(仮想通貨)が混乱をもたらすと思っているのではないか。実際、イタリアの投資銀行メディオバンカが描いた極端なシナリオによると、欧州中央銀行(ECB)が発行するデジタル通貨「デジタルユーロ」が大規模に採用された場合、ECBは金融機関を支援するために介入せざるを得なくなりそうだ。

歴史的に見て、小口資金の取引管理は手間がかかる。各国の中央銀行はおおむねその仕事を銀行に委託してきた。現金…

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各国の中央銀行はおおむねその仕事を銀行に委託してきた。現金を使用する場面が減り技術が進歩する中、デジタル通貨が導入されれば、中央銀行はこうした仲介が一部必要なくなるかもしれない。

欧州連合(EU)は、検討を始めたばかりのデジタルユーロの導入を戦略上の理由から急ぐ可能性が高い。その一つは、あるフランスの政治家の言葉を借りれば、ドルの「法外な特権」に挑むことだ。仮想通貨や他の中銀のデジタル通貨(CBDC)がユーロに取って代わるのを未然に防ぐ狙いもあるだろう。

中国人民銀行(中央銀行)はデジタル通貨で先行している。選ばれた都市では、スマートフォンを使ってデジタル人民元による支払いができる。来年、デジタル人民元による小口決済が開始されれば、続いて国境をまたいだ貿易決済もそうなるだろう。

約1兆ユーロが交換される可能性
 
現在のデジタルユーロ計画では、利用は小口決済に限られる。金利がマイナスまたは極めて低い水準にとどまるなら、現金をデジタルユーロに替えようと貸し出し原資の一部となる預金が口座から引き出され、資金が枯渇する恐れがある。アンドレア・フィルトリ氏らメディオバンカのアナリストは、仮にユーロ圏の世帯と非金融機関がデジタルユーロを上限額の3000ユーロ(約38万円)までそれぞれ保有した場合、1兆ユーロ近くがデジタル通貨に交換されると推定する。

それでも調達コストは小幅な増加で済むだろう。だが危機が起き、家計も企業も預金の大半を交換したとすれば、コストは膨らむ。ECBは市場が混乱し銀行の収益が激減しそうな事態に直面して、銀行を支えるために介入に動かざるを得なくなるはずだ。

こうしたシナリオを見て、陰謀論者は「超国家としての欧州」を恐れるのは正しかったと結論づけるかもしれない。現実には、中央銀行もそうした責任を背負わされる可能性を同じくらい恐れているに違いない。それでも仮想通貨が法定不換紙幣(政府が発行したお金)に置き換わる兆しがみられた場合、CBDCが代替通貨だと広く言い立てられるのは確実だ。

(2021年3月9日付 英フィナンシャル・タイムズ電子版 https://www.ft.com/

(c) The Financial Times Limited 2021. All Rights Reserved. The Nikkei Inc. is solely responsible for providing this translated content and The Financial Times Limited does not accept any liability for the accuracy or quality of the translation.

英フィナンシャル・タイムズ(FT)と日経新聞の記者が、アジアのテクノロジー業界の「いま」を読み解くニュースレター「#techAsia」の日本語版をお届けします。配信は原則、毎週金曜。登録はこちら。
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中銀デジタル通貨の越境決済 中国、タイやUAEと研究

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM2457X0U1A220C2000000/

『【北京=川手伊織】中国は、中央銀行が発行するデジタル通貨をめぐり国境をまたぐ決済システムの研究を加速する。中銀の中国人民銀行は24日、香港やタイ、アラブ首長国連邦(UAE)の中銀と共同研究を始めると発表した。外国送金や為替決済の仕組みも研究する。デジタル通貨のルール作りで先行する思惑がありそうだ。

中国は国内の主要都市でデジタル人民元の実証実験を重ねてきた。中国人民銀行法の改正で法定通貨にデジタル…

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中国人民銀行法の改正で法定通貨にデジタル通貨も加える方針を示し、法制面の準備も進める。2022年2月の北京冬季五輪までの発行をめざしている。

将来、中銀発行のデジタル通貨が広がることを想定し、外国との決済を巡る環境整備にも乗り出す。香港の中銀にあたる金融管理局(HKMA)とは、すでにデジタル人民元の越境決済について技術的テストを始めた。

タイとUAEも加え、残高や交換の記録をインターネット上で分散管理するブロックチェーン(分散型台帳)技術を研究する。海外と相互にデジタル通貨を送金し、為替決済できる仕組みを築く。

国際決済銀行(BIS)の調査では、デジタル通貨を研究する中銀の約6割が実証実験の段階と答えた。タイの現地紙によると、タイ中央銀行は国内卸売りの大口決済でデジタル通貨「インタノン」を試験的に使っている。20年には小売りにも対象を広げることを決めた。UAEも17年からサウジアラビアと実験してきた。

人民銀はアジアなど他の中銀にも参加を呼びかける。中国を中心にした多国間の決済システムの研究を進め、国際標準を巡る議論で主導権を握る思惑がある。国境をまたぐデジタル通貨のインフラ整備は、人民元の国際化にもつながる。

中国は1月、国際的な決済インフラの国際銀行間通信協会(SWIFT)と合弁会社を設けた。中国側は人民銀のデジタル通貨研究所や人民元の国際銀行間決済システム(CIPS)などが参加する。SWIFTが合弁会社の55%の株式を保有する。

関係者によると、デジタル通貨普及時の国際送金を巡る研究が主要事業の1つだという。SWIFTのシステムはコンピューターと通信回線を使って銀行間で電文を送信し、貿易決済や個人の資金移動を実施しているが、通貨そのものがデジタル化すれば「電文の発信機能の意義がなくなる」(金融市場関係者)との声も多い。

中国は国際標準であるSWIFTの影響力を生かし、デジタル人民元の国際化を進めたい考えだ。

この記事の英文をNikkei Asiaで読む https://asia.nikkei.com/Business/Markets/Currencies/Thailand-and-UAE-join-China-s-global-digital-currency-push?n_cid=DSBNNAR
Nikkei Asia

中国、春節のデジタル通貨実験 アジアの導入試金石に

中国、春節のデジタル通貨実験 アジアの導入試金石に
Nikkei Asiaから
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM165ML0W1A210C2000000/

『【プノンペン=ショーン・タートン、シンガポール=岩本健太郎】新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)で「非接触」のニーズが高まり、各国は通貨のデジタル化に乗り出した。中国では12日の春節(旧正月)前後の休暇に実証実験を実施し、カンボジアはデジタル通貨を運用し始めた。

北京市での実証実験では、200元(約3270円)分のデジタル人民元という「紅包」(お年玉)が5万人に配られた。オンラインでの…

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オンラインでのショッピングでも使える。2022年に予定される北京冬季五輪(の会場)での使用を想定している。

中国ではすでにデジタルマネーが一般に広がっている。何億人もの消費者が現金の代わりにスマートフォンのQRコードで決済している。テンセントの「微信支付(ウィーチャットペイ)」やアリババ集団傘下のアント・グループが運営する「支付宝(アリペイ)」が代表例だ。デジタル人民元も似たような役割を果たす。

カンボジア国立銀行(中央銀行)は20年10月、デジタル通貨「バコン」を導入した。ブロックチェーン(分散型台帳)技術を持つ日本のフィンテック企業ソラミツと共同で開発した。

カンボジアでは大半の取引で米ドルが使われる。ソラミツの宮沢和正社長は「カンボジアは(バコンによって)自国通貨リエルの存在感を高める考えだ」と指摘する。

タイ中央銀行も20年に企業向けにデジタル通貨を使った決済システムの実証実験に踏み切った。同国の素材最大手サイアム・セメント・グループの資材調達や財務管理システムとの接続を試す。中銀は「資金移動の柔軟性を高め、企業間での迅速な決済を実現することが目標だ」と説明する。

プノンペンの市場では(最近まで)多くの商人がバコンの知識を持ち合わせていなかった。中銀主導のデジタル通貨の普及にはなお課題がある。中国では20年12月に(上海に近い)江蘇省蘇州市の商業施設で実験をした際、デジタル人民元を使ったのは1日に1人か2人だけだった。

この記事の英文をNikkei Asiaで読むNikkei Asia
https://asia.nikkei.com/Spotlight/Asia-Insight/China-s-New-Year-digital-yuan-tests-hasten-Asia-e-currency-race

仮想通貨「NEM」不正交換容疑で約30人摘発 200億円分

https://www.nikkei.com/article/DGXZQODG21AIF0R20C21A1000000

 ※ デジタル・データは、これがあるからな…。

 ※ CBDC(中央銀行発行デジタル通貨)も、こういうことからは逃れられない…。

 ※ しかも、大規模停電、大規模ネットワーク障害に脆弱…、ときてるからな…。

 ※ 「正規の資産との交換に応じたヤツ」なんて、世界中に散らばっているから、現国家単位の警察力では、対応できるはずも無い…。

『暗号資産(仮想通貨)交換事業者「コインチェック」から2018年1月、約580億円相当の暗号資産「NEM(ネム)」が流出した事件で、警視庁がこれまでにNEMの不正な交換に応じたとみられる約30人を組織犯罪処罰法違反(犯罪収益収受)容疑で逮捕や書類送検したことが捜査関係者への取材で分かった。不正交換の摘発総額は約200億円分に上るという。

一方、流出に関与した首謀者らの摘発には至っていない。

事件では…

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事件では、何者かがサイバー攻撃で同社のシステムに侵入し、NEMを外部に送金。その後、匿名性の高い闇サイト群「ダークウェブ」上で約580億円相当を相場より15%安いレートでほかの暗号資産との交換を持ちかけた。

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流出「NEM」を不正交換容疑 警視庁、男2人逮捕

関係者によると、捜査当局は流出したNEMを追跡し、通常のインターネット上の暗号資産取引所で交換された際に、そこに登録された利用者の身元を特定するなどして捜査を進め、これまでに約30人を摘発したという。

暗号資産は利用者の氏名など個人情報を登録した取引所を介さなければ、所有者や受け取り手を特定するのが難しい。通常の通貨と比べ匿名性が高く、マネーロンダリング(資金洗浄)に悪用されるケースも多い。

この記事の英文をNikkei Asiaで読む https://asia.nikkei.com/Spotlight/Cryptocurrencies/Japan-police-target-about-30-people-linked-to-huge-cryptocurrency-heist?n_cid=DSBNNAR
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山本由里
日本経済新聞社 マネー編集センター マネー・エディター
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別の視点マネーロンダリングの温床になりがちな暗号資産(仮想通貨)を巡る不透明性は変わっていませんが昨年は価格が大きく上昇。久々に利益をあげた人、新しく取引を始めた人も多いのではないでしょうか? 仮想通貨で20万円超の所得があれば会社員でも確定申告が必要です。含み益ではなく売買した場合ですが、要注意なのは日本円にして口座に戻した場合でなく、仮想通貨間の交換(例えばNEMからビットコイン)でも所得発生となります。確定申告期間は2月16日~3月15日。忘れないようにしましょう。
2021年1月22日 8:05いいね
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デジタル人民元に透ける中国政府の思惑

デジタル人民元に透ける中国政府の思惑
FTグローバル・チャイナ・エディター ジェームズ・キング
https://www.nikkei.com/article/DGXZQODZ058MI0V00C21A1000000

 ※ なるほど、鋭い視点だ…。

 ※ 案外、この見方が正鵠かもしれんな…。

 ※ 中国国内市場に限っては、「スマホ決済」だろうが何だろうが、「デジタル人民元」で100%コントロールすることができるという考えか…。上位の階層の「人民元」そのものをコントロールするわけだからな…。

 ※ アリババのジャック・マーが姿を見せていないことも、この文脈から理解可能なのかもしれんな…。

『中国に古くから伝わる「兵法三十六計」に、敵に勝つ手段の1つとして「借刀殺人」という手法がある。自分の目的を達成するため他の人の力を利用するという策略だ。

中国政府が計画しているデジタル人民元の実用化は、この格好の事例だ。中国共産党は強力になった民間企業への支配を再び利かせる基盤づくりに、技術的進歩を「借用」しようとしているのだ。

デジタル人民元は既に中国の複数の都市で試験導入されており、2022年…

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・デジタル人民元は既に中国の複数の都市で試験導入されており、2022年の北京冬季五輪開催前に正式に実用化される予定だ。目的はいくつかある。最も明確なのは、世界で2番目の経済大国において完全なデジタル決済システムを先導することだ。欧州中央銀行(ECB)のラガルド総裁は、デジタル金融の未来に向けた準備で中国は他の大国をリードしていると述べた。

・デジタル人民元にはアリババ集団の「支付宝(アリペイ)」と騰訊控股(テンセント)の「微信支付(ウィーチャットペイ)」を服従させる潜在力もある。両サービスへの脅威は明らかだ。デジタル人民元はアリペイやウィーチャットペイの運用基盤からは独立しており、銀行に口座を作ることで利用できる。

・中国金融業界のある幹部は「デジタル人民元はアリペイとウィーチャットペイにとって明確な競合だ」と話す。「中国政府はデジタル人民元を行政の力を高めるための道具とみており、テクノロジー企業とこの力を共有することを望んでいない」

・デジタル人民元は政府による監視能力の強化ももたらす。現在、中国の電子取引データの多くはアリババやテンセントが握っている。政府によるデジタル通貨が普及すれば、少なくとも理論的には、中央銀行である中国人民銀行が豊富な商業データを利用できるようになる。悪徳行為の取り締まりが進むほか、機敏な金融政策につながる可能性もある。

・リアルタイムの監視能力は重大な欠点にもなり得る。デジタル人民元は国際決済における米ドルの覇権を崩し得るという中国の一部のアナリストの主張は大げさだろう。中国がいずれ貿易相手国とデジタル人民元で取引する可能性はある一方、データの取り扱いに対する懸念がデジタル人民元の普及を妨げるということもありそうだ。

・米国やその他の西側諸国はプライバシーの問題を理由に、高速通信規格「5G」で華為技術(ファーウェイ)製品の採用に消極的な態度をとっている。自国経済のリアルタイム取引を中国の中央銀行に把握されるデジタル通貨を受け入れることに対して、5Gと同様に敏感になる可能性が高いとアナリストは指摘する。

・その観点ではデジタル人民元の展開は、中国と西側諸国の溝を深めることになるかもしれない。利用者のプライバシーは、デジタルドルとデジタルユーロの設計で重要な考慮すべき事項だが、現段階では今後の保護規定ははっきりしていない。

ジェームズ・キング氏
James Kynge 中国を中心にアジア情勢を25年以上にわたり取材するFTのグローバル・チャイナ・エディター。2016年に英財団が選ぶ金融分野のジャーナリスト・オブ・ザ・イヤーに。06年出版の「China Shakes the World」は19カ国語に翻訳された。香港駐在。
日経と英FTはアジアのテクノロジー情報に特化したニューズレター「#techAsia」を発行しています(日本語版の登録はこちらhttps://s.nikkei.com/techAsia)。新聞ではアジアBiz面向けに書き下ろしたコラムを月1回掲載します。

アリババ包囲網の深謀

アリババ包囲網の深謀
中国、デジタル人民元普及へ本腰 決済の仲介役は不要に?
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO67910520W1A100C2EA1000

 ※ 昨日疲れて、貼れんかったものを貼っておく…。

 ※ この手の「デジタル通貨(デジタル人民元もその一つ)」に関する記事を読む場合、属する「階層」が異なる話しが、ごちゃごちゃになるんで、注意が必要だ…。

 ※ 1、まず「通貨」というものの話しの階層がある。
     定義は知らんが、その「機能」は押さえておくべきだ。
    (1)価値の確定
    (2)価値の運搬
    (3)価値の貯蔵
    (4)そして、これは経済の教科書には、あまり書かれていないが、実際には最も重要だ…。
     価値の「創造」

   2、次に、「デジタル通貨」というものの話しの階層がある。
    大きく分けて、2種類ある。
    (1)トークン型
    (2)口座型

   3、「ブロックチェーン」という話しの階層は、「デジタル通貨」のさらに上層の、「デジタル資産(ビットコイン、リブラなんか)」一般に関する、その「資産性」を支える、「耐改ざん性」に関する話しの階層だ…。
 「分散台帳方式だから、改ざんするのは、現実には「不可能」だ。」とか、論ずるわけだな…。

『中国政府がかつて保護していた巨大IT(情報技術)企業のアリババ集団や騰訊控股(テンセント)の事業拡大阻止に動き始めた。金融業にも手を伸ばし、既存の金融システムを脅かし出したからだ。こうしたなかでデジタル人民元がIT企業から決済事業を奪い、拡大に歯止めをかけるとの見方が浮上する。

中国金融当局は昨年12月26日、アリババ傘下の金融会社アント・グループを聴取し、規則に反した信用貸し付けや保険、資産運用…

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・中国金融当局は昨年12月26日、アリババ傘下の金融会社アント・グループを聴取し、規則に反した信用貸し付けや保険、資産運用などの金融業務を見直すよう求めた。アントはアリババのキャッシュレス決済サービスのアリペイを運営する。

「反独占を強化」

・これに先立ち、中国共産党・政府は18日に閉幕した中央経済工作会議で「独占に強く反対し、無秩序な資本拡張を防ぐ」との方針を決めていた。11月にはアントの株式上場を延期させている。

・アリババ創業者の馬雲(ジャック・マー)氏は10月、上海で開かれた金融会合で、規制強化の動きについて「昨日の手法で未来を管理できない」と反発していた。アリババはアリペイを使った消費者ローンに乗り出しており、人工知能(AI)による与信審査も手がける。中国政府はアントの上場延期でアリババをけん制し、その間にIT企業の膨張を抑える策を導入する狙いとみられる。

・当初、中国政府はアリババが始めたキャッシュレス決済を流通や金融を革新するテクノロジーとして保護し、都市部では現金が使われなくなるほどに浸透。電子決済のシェアはアリババのアリペイが55%、テンセントのウィーチャットペイが39%と2社の寡占状況を生んだ。新興企業や消費者も借り入れを銀行ではなく、IT企業の金融事業に頼るようになった。

・なかでも銀行の脅威となったのがアリババの投資ファンドだ。アリペイ型の電子決済では銀行口座などのお金をアリペイに移して使う。アリババは利用者が使い切れなかった資金を銀行に戻さずに、アリペイから投資できる「余額宝」というMMF(マネー・マーケット・ファンド)をつくった。解約はスマホで簡単にでき、戻された資金は再び支払いに使える。銀行預金より高い利回りで提供したため、アリペイの利用者は銀行口座から余額宝に資金を移した。

・国有銀行などを脅かし始めると、中国政府はIT企業の金融事業に対して徐々に規制を強め、急成長していたネットを媒介とする小口融資に網をかけた。銀行と同じように準備預金を中国人民銀行(中央銀行)へ積むことを義務付けた。

銀行・証券危うく

・金融当局の力の及ばないところでIT企業の金融事業が拡大すれば金融政策は効力を失い、既存の銀行・証券業も危うくなる。中国証券監督管理委員会の姚前・科技監管局長は12月に入り、IT企業に対し「デジタルサービス税の課税を検討すべきだ」と発言している。

・だがIT企業の力を一気にそぐことはリスクが大きい。スマホ決済は庶民の生活インフラになっており、過度に規制すれば小売業やネット通販など実体経済が落ち込む。中国政府がこの状況を変えるゲームチェンジャーとして期待するのがデジタル人民元だ。

・姚前氏は中国人民銀行デジタル通貨研究所長の時代に「デジタル通貨の決済では仲介機能に依存しなくとも済む」と主張していた。現段階の構想では、デジタル人民元の利用者は預金口座を持つ銀行にデジタル人民元口座(デジタルウォレット)を設定し、必要な額を換えて使う。スマホに入れたウォレットからデジタル人民元を相手側に直接支払うことができる。ネットを使わずにスマホを相手のスマホに近づける方法でも支払いが可能だ。アリペイのような仲介役の第三者の決済機関にお金を移す必要はない。これなら預金は銀行にとどまる。

・中国がデジタル人民元を導入すれば、直ちにアリペイとウィーチャットペイの牙城を崩すには至らないにしても、2社の寡占状況は変わるかもしれない。通貨を巡る政府と企業の攻防は世界各地で激しさを増している。アリババ帝国にも逆風が吹き始めている。

(編集委員 村山宏)

中国「デジタル人民元」構想について

野村資本市場研究所
北京事務所首席代表
関根栄一
2019年12月3日
https://www.fsa.go.jp/singi/chuukinken/siryou/1203nomuracap2.pdf

デジタル人民元 「大陸国家」初の基軸通貨狙うか

デジタル人民元 「大陸国家」初の基軸通貨狙うか
編集委員 清水功哉
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO65397870T21C20A0000000

『2020年10月26日 2:00 [有料会員限定]

「あれほど力を入れた報告書を出すほど、差し迫った話なのか」。日米欧の中央銀行グループが10月上旬、中銀デジタル通貨(CBDC)に関する報告書を出したことについて、ある日本の金融当局OBが漏らした感想だ。

確かに中銀デジタル通貨がすぐに日本で発行されることはないだろう。技術面などで詰めるべき点はなお少なくない。どの程度のニーズがあるのかという問題もある。ただ、中銀デジタル通貨は単にそうした点だけで論…

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・中銀デジタル通貨は単にそうした点だけで論じるべき話ではない。この分野で先行する中国への対抗という地政学的な意味も持つ話だからだ。

・そこで、本稿では、国家の地理的な条件に着目して国際情勢を分析する地政学の知見を踏まえつつ、中国が計画するデジタル人民元が持つ意味を考える。浮かび上がるのは、歴史的にシーパワー(海洋国家)優位だった通貨覇権の構図をデジタル人民元が崩すシナリオだ。ランドパワー(大陸国家)から初めて基軸通貨が生まれる可能性も意識されやすくなりそうだ。どういうことか。

・シーパワーやランドパワーは地政学の概念だ。前者は海で囲まれていたり、海に接する部分が多かったりする国。米国、英国、日本などだ。後者はユーラシア大陸の中国、ロシア、ドイツなど。以下では前者を海洋国家、後者を大陸国家と記すが、地政学には両者の対立を軸に国際情勢を見る視点がある。そして近代以降、強い経済的な覇権を確立し、世界で幅広く使われる通貨(基軸通貨)を握ったのは海洋国家の側だった。かつては英国、今は米国だ。

「海洋国家」優位だった従来の通貨覇権

・なぜ海洋国家が基軸通貨国となったのか。様々な理由があるだろうが、海を渡った活動により世界に張り巡らせた植民地や同盟国などのネットワークで貿易を活発化。自国通貨の利用を広げた面がありそうだ。

・自国通貨が貿易、投資、決済などで世界的に使われるようになると、様々なメリットを享受できる。貿易で為替変動リスクを気にしなくてすむ。対外赤字が膨らんだ場合の不安感も小さい。海外流出した自国通貨は投資の形で戻ってくる可能性が高いからだ。自らに脅威になる国があれば、決済をできなくする制裁もできる。こうした利点により、通貨覇権の裏付けとなる国力が一段と強まる好循環が起きる。

・もちろん、歴史を振り返ればロシアやドイツのように大陸国家の中にも大きな存在感を持った例はあった。だが基軸通貨を持つには至らなかった。独仏主導で導入した欧州単一通貨ユーロも大陸国家が基軸通貨を持とうと狙った例と言えるが、ドル覇権を揺るがす存在になっていない。貿易、投資、決済の国際的なネットワークづくりで大陸国家は見劣りする。

・そこに登場するのが中国のデジタル人民元だ。2022年までに発行する方針で、実証実験も始めている。日米欧をリードしているのは事実だろう。ただ、過去の法則を当てはめれば、大陸国家、中国が基軸通貨を持つのは難しいことになる。実際、現時点ではドルと比べた人民元の存在感はかなり小さい(グラフ参照)。

・だが、従来の「常識」はアナログ時代のものにすぎないかもしれない。デジタル通貨を手にした国家がどのような影響力を持つのか。明らかになっていない部分も多いのだ。

・ここで重要な意味を持つのは、デジタル技術に高い関心を持つ新興国の間で、この分野の研究・開発に力を入れる中国の影響力が高まっている点である。伊藤亜聖東大准教授は近著『デジタル化する新興国』(中公新書)で「デジタルの領域に目を向けた場合、新興国(あるいは第三世界)における中国の影響力は製造業や一般的なインフラ建設よりも強く現れる可能性がある」と指摘する。

中国はデジタル技術を武器に新興国に進出

・似たことは通貨にも言えそうだ。デジタル人民元は、「アナログ人民元」では見られなかったような新興国への普及を実現させる可能性がある。デジタル通貨は国民の経済活動を監視しやすく、権威主義的な政権が多い新興国には魅力的な面もあるかもしれない。中国と欧州をつなぐ巨大な経済圏をつくる「一帯一路」構想にそって、新興国を中心にデジタル人民元が行き渡るシナリオも絵空事とはいいにくい。デジタル人民元が基軸通貨になるかはともかく、「ドル通貨圏とは独立の通貨圏が形成される可能性は十分にある」(元財務官で現アジア開発銀行総裁の浅川雅嗣氏)。

・いずれにせよ、従来、国際的なネットワークづくりで海洋国家と比べて劣勢だった大陸国家の弱点をデジタル技術が補う可能性に注意が必要だ。一概には言えないが、海洋国家は外との交流を重視してきた「開かれた体質」により、自由貿易、市場経済、民主主義といった価値観との親和性が高かった印象があるのに対して、大陸国家には違った傾向もあるのではないか。権威主義的な政治体制を持ち、金融政策の独立性も低い中国が、デジタル通貨を武器に経済圏を形成・拡大するなら、日本の経済安全保障にいかなる意味を持つのか。こうした点に関する議論も深めるべきだろう。

中国、デジタル人民元が阻むアリババ帝国

中国、デジタル人民元が阻むアリババ帝国
編集委員 村山宏
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGH201QV0Q0A221C2000000

 ※ この手の問題(中央銀行が発行するデジタル通貨の問題。 英語表記「Central Bank Digital Currency」の頭文字をとって「CBDC」と呼ばれる。デジタル人民元も、その一つ)を考えるときの、「視点」を提示しておく…。

 ※ と言っても、「素人」なんで、視点を提示することくらいしか、できん…。

 ※ まず、大きく分類して、「口座型」と「トークン型」に分かれるようだ…。
 
 ※ 「口座型」は、従来からの延長で、銀行なんかに「口座」を開設して、そこを「基点」に、ものごとを処理していくやり方のようだ…。

 ※ 「トークン型」は、そういう「口座」を前提にせず、現在ある「紙幣」「硬貨」の置き換えとして、デジタル・データをやり取りするというやり方のようだ…。

 ※ それぞれに長所・短所があるようなんで、それを挙げておく…。

 ※ 「口座型」:
 (長所)
  ・従来通り、「本人確認」「認証」業務を、銀行(金融機関)さんに「お任せ」できる…。
  ・従来通り、「監督権限」「監督官庁」も、従来通りの「金融庁」みたいな組織で行うことが可能である…。

 (短所)
  ・上記の「長所」の裏返しだ…。
  ・「通貨」の流通に関わる「利益」は、銀行(金融機関)に吸い上げられる…。
  ・相変わらず、「送金」「振り込み」なんかの「手数料」は、高止まりのままだろう…。
  ・銀行(金融機関)に口座開設できない層の「民衆」は、置き去りにされる…。

 ※ 「トークン型」:
 (長所)
  ・理屈上は、金融機関が強く関与しない形で制度設計が可能なんで、「利益」がみんな金融機関に行く…、ということは無いだろうと、予測される…。

 (短所)
  ・大前提として、「お金」を使うのにも、スマホやPCが必須となる…。特に、発展途上国だと、大問題だな…。
  ・大規模停電、大規模ネットワーク障害が発生すると、経済活動自体が止まってしまう…。

 ※ まあ、そういう長短を考えながら、「社会実験」みたいなものも積み重ねて、徐々に決めていくべきものなんだろう…。

 ※ そしてまた、「ドラスティック」に一気に変えるべきものではなく、少しずつ、様子や経過を観察しながら、徐々に導入をはかっていくべきものなんだろう…。

『中国政府がかつて保護していた巨大IT(情報技術)企業のアリババ集団や騰訊控股(テンセント)の事業拡大の阻止に動き始めた。金融業にも手を伸ばし、既存の金融システムを脅かし出したからだ。とはいえ中国政府は影響力の大きさから全面規制はできない。こうしたなかでデジタル人民元がIT企業から決済事業を奪い、拡大に歯止めをかけるとの見方が浮上する。ITから流通、金融へと「領土」を拡大してきたアリババ帝国にも斜陽…』

・国共産党・政府は18日に閉幕した中央経済工作会議で「独占に強く反対し、無秩序な資本拡張を防ぐ」との方針を決めた。

・これに先立ち、中国の規制当局は14日に独占禁止法違反でアリババとテンセントの子会社に罰金を科したと発表。

・11月には、アリババ傘下のアント・グループの株式上場を延期させた。アントはアリババのキャッシュレス電子決済サービスのアリペイを運営する金融会社。上海と香港に上場し、345億ドル(約3兆6000億円)を調達する計画だった。

・アリババ創業者の馬雲(ジャック・マー)氏は10月24日、上海で開かれた金融会合での演説で、規制強化の動きについて「昨日の手法で未来を管理できない」と反発していた。

・アリババはアリペイを使った消費者ローンに乗り出しており、AI(人工知能)による与信審査も手がける。アント上場で巨額の資金を調達すれば銀行以上の存在になり得る。

・中国政府はアントの上場延期でアリババをけん制し、その間にIT企業の膨張を抑える策を導入する狙いとみられる。実際、12月中旬にはアントなどが手がけるスマートフォンで銀行預金を仲介するサービスを停止させた。中小銀行がIT企業と提携し、高い金利で預金を集めていた。

・当初、中国政府はアリババが始めたキャッシュレス決済を流通や金融を革新するテクノロジーとして保護し、都市部では現金が使われなくなるほどに浸透した。しかし電子決済のシェアはアリババのアリペイが55%、テンセントのウィーチャットペイが39%と2社の寡占状況を生んだ。銀行の発行するデビットカード(銀聯カード)やクレジットカードの利用は大きく増えず、新興企業や消費者も借り入れを銀行ではなく、IT企業の金融事業に頼るようになった。

・なかでも銀行の脅威となったのがアリババの投資ファンドだ。アリペイ型の電子決済では銀行口座などのお金をアリペイに移して使う。アリババは利用者が使い切れなかった資金を銀行に戻さずに、アリペイから投資できる「余額宝」というMMF(マネー・マーケット・ファンド)をつくった。解約はスマホで簡単にでき、戻された資金は再び支払いに使える。銀行預金より高い利回りで提供したため、アリペイの利用者は銀行口座から余額宝に資金を移した。

・18年6月には余額宝系ファンドの資金規模が1兆8602億元(約30兆円)に上り、四大国有銀行の一角である中国銀行の個人の普通預金、1兆7986億元(17年末)を超えた。IT企業が国有銀行など既存の領域を脅かし始めると、中国政府はIT企業の金融事業に対して徐々に規制を強め、急成長していたネットを媒介とする小口融資に網をかけた。さらにアリペイやウィーチャットペイに銀行と同じように準備預金を中国人民銀行(中央銀行)へ積むことを義務付けた。

・それでも余額宝系ファンドの規模は20年6月で約2兆5400億元に膨らんだ。金融当局の力の及ばないところでIT企業の金融事業が拡大すれば金融政策は効力を失い、既存の銀行・証券業も危くなる。

・中国政府内ではIT企業の膨張に対する強硬論も台頭する。中国証券監督管理委員会の姚前・科技監管局長は12月に入り、IT企業に対し「デジタルサービス税を課すべきだ」と発言している。

アリババ集団の創業者のジャック・マー氏はIT企業の金融事業に自信を見せていた(2018年6月、香港)=ロイター

・だがIT企業の力を一気にそぐことはリスクが大きい。スマホ決済は庶民の生活インフラになっており、過度に規制すれば小売業やネット通販など実体経済が落ち込む。

・中国政府がこの状況を変えるゲームチェンジャーとして期待するのがデジタル人民元だ。

・姚前氏は中国人民銀行デジタル通貨研究所長の時代に「デジタル通貨の決済では仲介機能に依存しなくとも済む」と主張していた。

・現段階の構想では、デジタル人民元の利用者は預金口座を持つ銀行のデジタル人民元口座(デジタルウォレット)を設定し、必要な額を換えて使う。スマホに入れた銀行のアプリからデジタル人民元を相手側に直接支払うことができる。ネットを使わずにスマホを相手のスマホに近づける方法でも支払いが可能だ。アリペイのような仲介役の第三者の決済機関にお金を移す必要はない。これなら預金は銀行にとどまる。

・デジタル通貨とは異なるが、インドは第三者の決済機関を用いないスマホ決済で中国に先行した。16年に導入したUPI(統合決済インターフェース)という仕組みで銀行口座とスマホ決済を結びつけた。利用者がスマホでお店のQRコードを読み取り、支払いの操作をすると利用者の銀行口座から支払先の口座に資金が移動し、買い手と売り手の双方のアプリで結果を確認できる。スマホによるデビットカードといっても良い。

・インドでも当初は「Paytm」(ペイティーエム)というアリペイのようにあらかじめ資金を移しておくアプリがシェアを伸ばした。アントやソフトバンクが出資したインドのIT企業だ。

・ところがUPIの利用が広がるとPaytmは勢いを失った。インドではUPIを使って銀行からの資金移動を指示する、米ウォルマート傘下の「PhonePe」(フォンペ)、米グーグルの「Google Pay」(グーグルペイ)などの決済アプリが主流となった。

・中国がデジタル人民元を導入すれば決済を補助する新たなアプリも登場するだろう。直ちにアリペイとウィーチャットペイの牙城を崩すには至らないにしても、2社の寡占状況は崩れるかもしれない。

・もっともインドではPaytmの独占を阻止したものの、今度はUPIをサポートするグーグルなど米2社のアプリが寡占傾向を強めている。インド政府は単一アプリの取引を総取引件数の3割に制限する方針だ。

・通貨を巡る政府と企業の攻防は世界各地で激しさを増している。アリババ帝国にも逆風が吹き始めている。

中国が導入を急ぐデジタル人民元 : 机上空間

http://blog.livedoor.jp/goldentail/archives/23535072.html

 ※ 米ドルというもの、米国の金融力というものの本質に触れていると思われるので、見といた方がいい…。

『世界の金融は、米ドルを中心に回っています。というのは、海外へ送金したり、決済をする場合、必ずSwiftコードというISOで標準化された銀行機関コードを使用します。主に送金業務のさいに、送金元と送金先の資金を移動を確実に行う為に、現状では使用せざるを得ないシステムです。

これが良く誤解されやすいのですが、Swiftコードというのは、単に銀行機関にコードを割り当てただけではなく、資金移動を担保する信用システムも兼ねているという事です。確実に送金元から、指定された金額を出金して、送金先へ入金するという作業を、第三者的に保証するシステムも兼ねています。

その送金の過程で、どの国からどの国へ資金移動するにしても、多くの場合一度は米ドルに換金されます。そして、自国通貨から、相手の国の指定の通貨で送金されるわけです。つまり、銀行というのは、国際業務を行うに当たって、米ドルを一定の額をキープしていないと、国際決済業務が行えません。つまり、アメリカ政府から、その金融機関に対して米ドルの供給を止めれば、実質的に破綻する事になります。

送金の過程で、目に見えない通貨変換が起きるので、実は、その時の通貨為替レートによって、送金中の資金の価値が変化します。その為、送金してみないと、相手が現地通貨で請求している金額が正確に送れるかどうか判らないという、随分とアナログな決済方法でもあります。しかも、どこの銀行を送金の過程で経由するかも、送金した時々で変わるもので、固定されていません。

米ドルが基軸通貨である為に、事実上、世界の金融業界は、どこの国であろうと、アメリカ政府の管理下にあると言っても過言ではありません。その為、どこの国の銀行であろうと、アメリカ政府の指示を無視できないのです。米中摩擦で、アメリカが台湾の人権弾圧に関係した人間の金融資産の締め付けを始めて、中国本土の銀行まで、対象者の口座の解約や、口座開設の拒否を始めたのは、銀行本体が潰れるからです。日本の銀行で、海外送金しようとすると、用途をしつこく聞かれたり、場合によっては、送金を拒否されるのは、マネーロンダリングに対するアメリカ政府の規制が厳しいからです。違反を指摘され、ペナルティーが課せられると、銀行業務の一部が死ぬ可能性が常にあります。中東あたりの銀行は、普通にこれで潰されてます。

上記の説明で判るように、手数料や実質的に到着する送金金額が、送金経路や通貨為替で変化するので、正確なところが送金してみないと判らないという、信じられないくらい原始的なシステムでもあります。手数料も複数の金融機関を経由して、その度に発生するので、とても高いものにつきます。

BitCoinを始めとする仮想通貨は、この欠点を克服する大いなる可能性を秘めた社会実験でした。送金や決済に当たって、一切、銀行の助けがいらないのです。問題は、法定通貨と違って、その価値を担保する裏付けが無い事です。つまり、皆が仮想通貨に価値があると信じないと、存在できない通貨という事です。結局のところ、普及させるに当たって、価値の吊り上げが始まり、通貨というよりは、金とかレアメタルのように、所有して価値が上がるのを待って売るという金融商品に成り下がってしまいました。

BitCoinの裏付けは、ブロックチェーン技術という強力なセキュリティーシステムです。そして、何人と言えど、取引に介入できない透明性の担保です。仮想通貨で取引されている場合、アメリカ政府といえど、例えどんな非合法な取引でも介入して取り締まる事は不可能です。その為、テロリストや犯罪者は、わざわざ仮想通貨で取引をしています。

さて、仮想通貨には、そのシステムの透明性自体を信用の担保にしたものと、具体的な価値の裏付けを持った、現行の法定通貨の代用になるものと2種類が存在します。BitCoinは前者ですが、中国政府が普及を進めているデシタル人民元は、後者になります。

仮想通貨は、基本的に管理者がおらず、システムが完全に公平に取引を行いますが、デシタル人民元のような仮想通貨は、価値を担保する組織が、その全てを管理する事になります。つまり、中国共産党です。それは、口座の一つ一つを完全に共産党が管理し、外部からの干渉を受け付けない通貨システムを持つ事を意味します。

これが普及すると、中国にとっては大きなメリットがあります。

・国内に対して、個人の口座を担保にして脅しや操作ができるようになる。(口座を凍結した場合、現金で持ち歩く場合以外は、経済的に標的になった個人が破産します)

・通貨を現物で発行する莫大な費用が必要なくなる。通貨の発行というのは、管理も含めて、とてもお金がかかる事です。実際、流通している通貨の量は、実際に発行を決めた通貨の総量ではなく、実需を満たす量しか発行されてません。印刷するのにも、古い通貨を回収して入れ替えるのも、大変な手間です。

・米ドルの影響を完全に排除できる。相手がデジタル人民元での決済と送金を、認めたらという条件付きですが、海外送金や国際決済で、米ドルの影響を完全に排除できます。

・個人の購買履歴を全て把握する事ができます。共産党が、個々人が何を買ったか監視する事が可能です。その結果として、反革命分子として理由を付けて逮捕もできるでしょう。また、特定の口座を決済不能にする事で、買えるものと買えないものを共産党が管理する事が可能です。

・莫大な金額になると言われている官僚の裏金や資金洗浄の監視。現在、中国共産党の幹部が所持している裏金は、総額で莫大な金額になると言われています。もし、このお金が、何かのパニックで、表に出てきた場合、それだけでインフレになると言われているくらいです。これを、防ぐ事ができます。不正蓄財や、資金の海外流出をシャットアウトできます。

中国共産党が国内向けにデジタル人民元を普及させるのは、独裁国家なので簡単ですが、対外取引となると、かなり限られます。相手国の経済を既に人民元が握っていて、無理やりデジタル人民元での決済を認めさせるか、ロシアなどアメリカを共通の敵としている国との間に限って、取引に利用するしかないでしょう。

それは、仮想通貨の担保になっている人民元自体が、為替操作や政治的な影響を受ける不安定な通貨だからです。つまり、法定通貨の中でも、信用が無い方に入ります。なので、いくら便利だからといっても、それ以外の国が敢えて導入しないでしょうし、アメリカが黙っていないでしょう。

しかし、既に中国国内では、総数4億人程度になる、いくつかの都市で、デジタル人民元の導入を進める計画をたてています。しかし、執行部が宣言しているように、米ドルに挑戦する意図は無いようです。国内だけの流通でも、十分な見返りがあります。

以上の理由から、フェィスブックが立ち上げようとしたLibraなどの、民間主体の仮想通貨が、国家に潰されるわけです。一部の仮想通貨が活発に取引されているのも、法定通貨の取引に比べれば、実需がオモチャ程度の規模しかないからです。つまり、お目溢しされているだけです。』