中国、対米の輸出入額最大 相互依存強まる

中国、対米の輸出入額最大 相互依存強まる
焦点はハイテク・人権に
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM13BGE0T10C22A1000000/

『【北京=川手伊織、ワシントン=鳳山太成】中国税関総署が14日発表した貿易統計によると、2021年の対米貿易総額は過去最大となった。輸出入ともに前年より3割増えた。中国の黒字拡大など通商摩擦は解消していないが、貿易での相互依存はむしろ強まっている。今後はハイテク分野や人権問題をめぐる対立が焦点となる。

対米貿易総額は前年比29%増の7556億ドル(約86兆円)で、3年ぶりに最大を更新した。20~21年はいずれも対米輸出の増加額が輸入の増加額を上回り、貿易黒字は拡大した。21年は25%増の3965億ドルと、過去最大を記録した。

輸出は米個人消費の回復でパソコンや玩具の出荷が好調だった。東南アジアなどで新型コロナウイルスの感染が再び広がり、サプライチェーン(供給網)が打撃を受けたことも供給元として中国への依存が強まった面もある。

輸入の拡大は資源高が一因だ。脱炭素に向けて、液化天然ガス(LNG)の調達を増やした。20年2月に発効した米中貿易協議の第1段階合意で、中国は米国から輸入するモノやサービスを20~21年に17年比で2000億ドル増やすと約束した。合意に基づき、工業製品の輸入も増えた。

それでも摩擦が消えたわけではない。中国が約束した輸入拡大の目標は未達に終わった公算が大きい。米ピーターソン国際経済研究所によると、21年11月までの中国のモノの対米輸入(購入拡大の対象品目ベース)は目標の6割どまりだ。

中国人民大学は21年12月に公表した研究リポートで「米国が仕掛けた貿易戦争は失敗に終わった」と指摘したが、中国側にも打撃はある。

米商務省が最先端半導体の禁輸措置を厳格化したため、華為技術(ファーウェイ)はスマートフォンの生産が落ち込んだ。21年12月期の売上高は前の期より3割減った。米国もハイテク制裁を緩めるそぶりは見せない。

「(22年は)第1段階合意に基づいて中国が義務を果たしているかどうかに焦点をあてる」。米通商代表部(USTR)のタイ代表は1日のビデオ演説でこう述べた。知的財産権の侵害停止や金融市場の開放を引き続き求めていく考えだ。

USTRは21年10月に中国との貿易交渉を再開したが、新たな協定を結んだり制裁関税を見直したりするかなど今後の方針を決めていない。中国に圧力を強めるため、同盟国とどこまで足並みがそろうかを踏まえて判断する構えだ。

米欧は人権問題での対中批判で歩調を合わせる。ハイテク分野などの経済安全保障や人権といった新たな焦点が、米中両国の通商政策に大きな影響を与えそうだ。

【関連記事】
・中国の貿易黒字最大 21年輸出3割増、米欧向け伸びる
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[FT]21年の中国GDPが17日発表 5つの注目点

[FT]21年の中国GDPが17日発表 5つの注目点
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB139F30T10C22A1000000/

『中国国家統計局は17日、2021年10~12月期と同年通年の国内総生産(GDP)成長率の速報値を公表する。共産党と軍、政府のトップとして異例の3期目を目指す習近平(シー・ジンピン)国家主席にとって、経済的にも政治的にも重要な節目となる。
中国・上海の路上で中国のGDP統計を示す電光掲示板(2021年10月16日撮影)=ロイター

中国共産党は21年12月に開いた中央政治局会議で、不動産部門の悪化で揺らいでいる経済と金融システムを安定させることの重要性を強調した。だが、中国恒大集団など不動産大手のデフォルト(債務不履行)につながった政策を放棄する方針は一切示さなかった。

劉鶴(リュウ・ハァ)副首相率いる習政権の経済チームにとって、今後数カ月は安定と財政規律のバランスを取れるかどうかが問われる。

GDPの発表に際して以下の5つのポイントに注目したい。(※ 数字は、オレがつけた)

1、10~12月期の前期比成長率はゼロ前後か、1%以上か?

中国のGDPは21年1~3月期と7~9月期にいずれも前期比で0.2%増にとどまり、4~6月期は1.2%増となった。

前期比の数字は、ニュースの見出しとなる前年同期比よりも経済の健全性をはるかに的確にとらえる。新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)の影響で、前年同期比は浮き沈みが激しくなっているためだ。

21年通年の成長率は、公式目標の6%を容易に超えるはずだ。だが、10~12月期も前期比で低成長が続けば、劉氏と中国人民銀行(中央銀行)には成長をさらに後押しするよう圧力がかかるだろう。同氏は国務院(政府)金融安定発展委員会のトップとして、中銀を実質的に支配している。

2、不動産部門の見通しは悪化が続くか、安定するか?

中国の主要70都市の不動産価格は21年11月に前月比で0.3%下落し、前月からの下落率は約6年ぶりの大きさとなった。

この傾向は、世界で最も富の分配が不平等な国のひとつで「共同富裕」を実現するという習氏の公約に沿ったものだ。しかし、不動産価格の下落が激しすぎると、経済に意図しない影響をもたらす可能性もある。

不動産部門は中国GDPの4分の1以上を占めるとみられる。ここ数カ月の不動産業界の苦境は固定資産投資の減速というかたちで表れている。21年1~11月の同投資額は前年同期比5.2%増となった。

この伸びは予想に届かず、1~9月の7.3%増も大きく下回った。9月には、不動産各社の借り入れを制限する20年の規制強化のあおりを受け、恒大集団がデフォルトに陥るおそれがあることが明らかになった。

3、共産党は「ゼロコロナ」政策を続けられるか、失敗して経済に打撃をもたらすか?

20年前半に新型コロナが事実上封じ込められて以来、中国の輸出部門は堅調に推移している。局所的なクラスター(感染者集団)を封じるために重要な製造拠点や大型港で断続的にロックダウン(都市封鎖)が敷かれたが、輸出全体の伸びは落ち込むことなく、一貫して堅調に推移している。

しかし、この状況は変わる可能性がある。感染力の強い変異型「オミクロン型」の流行でさらなるロックダウンが広がるおそれがあり、これが不動産不況とともに消費者心理を冷え込ませているためだ。11月の小売売上高は前年同月比で3.9%の増加にとどまり、市場予想の4.7%増を大きく下回った。

今週は、陝西省の省都である西安市(人口1300万人)と、2つの小都市が完全なロックダウン下に置かれている。規模の大きい天津市と広東省深圳市の2都市は、全市民を対象としたPCR検査を円滑に進めるため、部分的なロックダウンを実施している。

ただ共産党は、10月か11月の開催が見込まれる党大会で習氏の3期目就任が正式に承認されるまで、パンデミック対策に徹底して取り組む姿勢を崩さないだろう。

4、厳しい経済、中銀は金融政策で景気下支えを迫られるか?

人民銀行は21年12月、事実上の政策金利と位置づける最優遇貸出金利(LPR、ローンプライムレート)の1年物を20年4月以来初めて引き下げたが、利下げ幅は0.05%にとどまった。また、住宅ローン金利の目安とされるLPR5年物は据え置きとした。

人民銀は、債務の膨張を抑制しようとする近年の努力を台無しにする可能性がある「洪水のような刺激策」よりも、農業やハイテク製造業といったセクターに融資を振り向けるための照準を絞った預金準備率の引き下げを選好してきた。

5、中国の人口のピークの到来は予想より早まるのか?

国家統計局は、21年の出生率(人口1000人あたりの出生数)の速報値を発表するとみられている。20年には前年の10.5人から8.5人に減少し、初めて10人を割り込んだ。

中国の20年の出生数は1200万人と、約60年ぶりの低水準を記録した。

By Tom Mitchell

(2022年1月13日付 英フィナンシャル・タイムズ電子版 https://www.ft.com/)

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中国の貿易黒字最大 21年輸出3割増、米欧向け伸びる

中国の貿易黒字最大 21年輸出3割増、米欧向け伸びる
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM13CCC0T10C22A1000000/

『【北京=川手伊織】中国税関総署が14日発表した2021年通年の貿易統計(ドル建て)によると、輸出から輸入を引いた貿易黒字は6764億ドル(約77兆円)となった。前年から3割増え、過去最大となった。新型コロナウイルス禍からの出口へ向かう米欧景気の回復を背景に、パソコンや玩具の輸出が伸びた。

貿易黒字が最大を更新するのは15年以来6年ぶりだ。輸出は29.9%増の3兆3639億ドルだった。5年連続の増加で、伸び率はリーマン・ショック後の10年以来の大きさだ。パソコンが21%伸びたほか、労働集約的な玩具も前年を38%上回った。マスクを含む織物はコロナ需要が一巡し、6%減った。

米欧などでワクチン接種が進み、個人消費が力強く回復してきた。海外需要の拡大が中国の輸出を押し上げたほか、東南アジアなどで感染が広がりサプライチェーン(供給網)が打撃を受けたことも、中国からの出荷が堅調だった一因だ。

輸出先の国・地域別にみると、全体の2割近くを占める米国向けが27.5%増えた。欧州連合(EU)や東南アジア諸国連合(ASEAN)への出荷も3割前後伸びた。

輸入は30.1%増の2兆6875億ドルとなった。3年ぶりに前年を上回った。国際商品市況の回復で原油が4割、鉄鉱石が5割増えた。ただ輸入量はいずれも減少した。21年後半にかけての内需停滞で、資源の需要が伸び悩んだとみられる。最大の輸入品目である半導体は金額ベースで24%増えた。』

韓国造船、巨大統合が頓挫 再編停滞で過当競争続く

韓国造船、巨大統合が頓挫 再編停滞で過当競争続く
EU、現代重工の大宇買収認めず
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM13D8F0T10C22A1000000/

『造船世界2位の韓国・現代重工業による同4位の韓国・大宇造船海洋の買収計画が頓挫した。欧州連合(EU)当局が液化天然ガス(LNG)運搬船の寡占化を問題視し、買収を認めない判断を下した。造船業界は不況期の安値受注が尾を引き、足元で鋼材価格の高騰などで業績不振が続く。今回の買収破談で業界再編が停滞し、過当競争が長引く可能性がある。

【関連記事】EU当局、現代重工の大宇造船買収認めず 寡占を問題視

EUの欧州委員会は13日、「両社のLNG運搬船の合計シェアは少なくとも60%あり、価格競争が起こりにくくなる」として買収を承認しないと発表した。

欧州には造船業界の顧客である海運大手のA・P・モラー・マースク(デンマーク)やMSC(スイス)が本社を構えており、寡占による不利益を受ける可能性を考慮したもようだ。さらにLNG運搬船の建造価格が上がれば、エネルギー価格の上昇にもつながることから「(健全な競争は)域内のエネルギー安全保障に欠かせない」(欧州委員会)とした。

現代重工側は同日、ただちに声明を発表し、「造船市場では単純なシェアだけで市場支配力を評価するのは非合理的だ」と反発してみせた。それでも韓国公正取引委員会によると、現代重工は統合審査を撤回する意向を示しており、世界シェア首位奪還を目指した買収計画は発表から2年10カ月で白紙に戻る。

現代重工による大宇造船の買収は6つの国・地域の独禁法審査が必要だった。中国とシンガポール、カザフスタンでは承認を得られたものの、欧州と韓国、日本での審査が残っていた。欧州当局が不許可としたことで、韓国当局も14日に審査を終了すると発表した。

世界2位と4位の大型統合が幻となったことで、競合他社が安堵しているかといえばそうではない。

日本の造船大手幹部は「韓国2社の統合で再編が進めば船価上昇につながるはずだった」と肩を落とす。業界再編によって安値受注の過当競争が解消に向かうとの期待が大きかったという。競合巨大化によるデメリットよりも、業界全体の交渉力向上のメリットが大きいとの見立てだ。

EU当局の発表を受けて14日の韓国取引所では現代重工の持ち株会社の終値が前日比1.6%下げ、ライバルのサムスン重工業株も1.2%下げた。大宇造船株は前日と同水準で引けた。

英調査会社クラークソン・リサーチによると、世界的な物流停滞を背景としたコンテナ船の受注増などで2021年の船舶発注量は20年比2倍に拡大した。活況に見える造船業界だが、各社の足元の業績は苦しい。

業界2位の現代重工でも20年12月期通期の売上高は8兆3120億ウォン(約7980億円)、営業利益は330億ウォンと営業利益率はわずか0.4%だった。21年1~9月期の営業損益は3200億ウォンの赤字に陥った。

16~18年の造船不況期に造船所の稼働率維持のために赤字覚悟で受注した船舶の建造が続いており、21年には鋼材など材料価格の上昇が追い打ちをかけた。市況の振れ幅も大きく、造船会社の多さから過当競争に陥りやすい業界構造が長年解消されないままだ。

一足早く再編が進んだのが中国だ。ともに国有企業だった同国首位と2位の造船大手を政府主導で統合させて中国船舶集団(CSSC)が誕生した。顧客の多くは中国国内だったため、各国当局の承認を得やすかった事情もある。

ただ海外需要中心の韓国企業は中国のように再編が進まない。強みとしてきたLNG運搬船の高いシェアがあだとなり、買収計画が白紙に追い込まれた。

経営不振の大宇造船の再建を担う政府系の韓国産業銀行は「プランB」を模索するものの、現時点では妙案がないのが実情だ。買収が白紙となったことで産業銀行が保有する大宇造船株の56%分は塩漬けのまま。いずれは売却予定の政府保有株が、造船再編の火種として残ることとなった。

船舶、付加価値向上急ぐ

造船業界は日中韓の3カ国が世界シェアの9割を占め、日本から韓国、中国へと世界首位企業が変遷してきた経緯がある。2010年代以降はコスト競争力の高い中国勢の台頭によって、ほとんどの企業が十分な利益を生み出せない状況が続く。

過当競争から抜け出そうと各社は船舶の付加価値向上を急ぐ。新たな競争軸として浮上するのが「脱炭素」だ。日本首位の今治造船は26年メドに環境負荷の小さいアンモニア燃料の大型ばら積み船を建造する。中国船舶集団(CSSC)も経営資源をアンモニア燃料船の開発などに振り向けており、現代重工業は水素燃料船を開発する方針を打ち出す。

もう一つが、船員の負担軽減や安全性向上につながる自律航行船の開発だ。現代重工は1月上旬に開催された米先端テクノロジーの見本市「CES」に初参加し、3月までに大型船での太平洋横断を自律航行で実現すると発表した。サムスン重工業も年内の商用化を目指して人工知能(AI)開発を進めている。

(ソウル=細川幸太郎、東京=川崎なつ美、大連=渡辺伸)』

[FT]アルゼンチン、IMFとの債務再編が膠着

[FT]アルゼンチン、IMFとの債務再編が膠着 3月期限
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB126FP0S2A110C2000000/

※ 今日は、こんなところで…。

『アルゼンチンが国際金融市場から断絶され、孤立する恐れが再び高まっている。同国は国際通貨基金(IMF)に対する数十億ドルの債務を再編する期限が3月に迫っている一方で、左派の与党・正義党(ペロン党)政権が新たな取り決めについて議会の支持を得られないためだ。

グスマン経済相は一貫して、IMFの支援が海外への資本流出の穴埋めに使われ、民間債権者を救済したと主張してきた=ロイター
現政権で対IMF交渉を担当するグスマン経済相は先週、首都ブエノスアイレスで各州知事へのプレゼンテーションで、IMFとの1年半に及ぶ交渉は結論が出ておらず「何の合意も成立していない」ことを明らかにした。

グスマン氏が知事たちに提示した案では、2027年までの財政均衡を目指し、より迅速な支出・補助金の削減を求めるIMFの要請に抵抗している。同氏はまた、少なくともあと5年間は中央銀行の通貨発行によって財政赤字を補填する方針を示したが、これはインフレの加速につながる。

グスマン氏によると、IMFとは、財政収支を均衡させるための支出額と時期を決める「財政健全化への道筋」について意見が食い違ったという。27年までに財政均衡を実現する方法については詳細を明かさなかった。

米金融大手モルガン・スタンレーのエコノミスト、フェルナンド・セダノ氏は、このプレゼンについて「赤字を縮小するための支出削減に、アルゼンチン当局が消極的であることを裏付けている」と指摘した。「目標達成」のために埋めなければならない「ギャップがかなり大きい」ことも浮き彫りにしているという。

返済滞ればIMFの評判にも打撃

IMFとの協議が続いている一方で、政府はIMFに対する約400億ドル(約4.6兆円)の債務の再編計画を承認するよう、野党優位の新議会を説得する方法も見いださねばならない。この債務は、18年に合意した570億ドルという記録的な規模の金融支援の一環だ。

野党の有力政治家を話し合いの場に呼び出すことさえ難しくなっている。3人の州知事とブエノスアイレス市長は先週、債務借り換えに関する協議への政府の招待を断った。会合は経済相との記念撮影にしかならない、とフェルナンデス大統領を非難した。

アルゼンチンは3月下旬にIMFへ28億ドルを返済しなければならないが、政府には支払いに必要な外貨準備がないため、IMFと新たな取り決めを結ぶ以外に選択肢はないとアナリストらはみている。モルガン・スタンレーによると、同国の純外貨準備高は69億ドルを下回っており、そのうち流動性資金に分類されるのは4億ドルにとどまる。

大半のエコノミストは、IMFへの返済が滞れば壊滅的な事態になるとの見方で一致している。そうなれば、他の国際金融機関からアルゼンチンに割り当てられる融資枠は打ち切られ、信頼できる債権者としてのIMFの評判にも深刻な打撃が及ぶ恐れがある。

20年に一時的なデフォルト(債務不履行)に陥ったアルゼンチンはすでに個人投資家から敬遠されている。20カ国・地域(G20)に加盟する主要な穀物輸出国であり、60年間で21回も救済されている同国は、これ以上国際機関との対立が続けば、国際金融界で「のけ者」扱いされる可能性もある。

グスマン氏は一貫して、IMFの支援が海外への資本流出の穴埋めに使われ、民間債権者を救済したと主張してきたが、5日にも再びIMFを非難した。IMFは実体経済を立て直すことよりも、投資家の信頼を回復することに重点を置いていると責め立てた。

「もちろん、わが国は市場の信頼が高まるよう取り組んでいるが、何よりも優先すべきは、実体経済の状況を改善することだ」と同氏は強調した。

議会の野党、政権内の強硬派もハードル

41年償還の国債価格は、債務再編の合意が間近ではないことがグスマン氏のプレゼンで明らかになったことを受け、額面1ドルあたり33セントを割り込み、1週間の下げ幅は21年9月以来最大に達した。その翌日、アルゼンチン中央銀行は主要政策金利を1年ぶりに2ポイント引き上げ、40%に設定した。これはIMFに対するアピールと広く受け止められた。

フェルナンデス政権がIMFとの問題を解決できたとしても、昨年の選挙で躍進した野党が優位な議会の批准がさらなるハードルとなる。

合意の形成は一筋縄ではいかない。特に、正義党は18年のIMF支援に署名した野党を繰り返し攻撃しており、野党連合は再交渉の政治的コストを分担することに消極的であるためだ。

政府と議会の対立を示す一例として、下院は21年12月、政府の22年予算について、現実的な経済成長とインフレの目標が示されていないとして、19時間に及ぶ審議の末に否決した。

フェルナンデス政権はまた、支出や政府補助金の削減案に抵抗する政権内の強硬派とも戦わねばならない。強硬派は18年のIMF支援がIMFのルールを破るものであり(IMFはこれを否定している)、新たな取り決めにおいてIMFはアルゼンチンを優遇すべきだと考えている。

エコノミストらは審判の時が近づいているとみている。米金融大手ゴールドマン・サックスの中南米担当チーフエコノミスト、アルベルト・ラモス氏は、アルゼンチンのIMFへの返済が滞る可能性は今や「かなり高い」と指摘する。

適切な財政政策を巡り、フェルナンデス政権内で緊張がくすぶっていることから、IMFの信頼できる支援計画の基盤となる構造的な財政調整や改革の「余地は非常に限られている」ことがうかがえるとラモス氏は付け加えた。

アルゼンチン国立銀行の元トップ、カルロス・メルコニアン氏は「経済相は自分が何をやるべきなのか、何を目標とすべきなのか分かっていない」と苦言を呈す。議会には「多くの連合勢力」が存在するため、今後2カ月の間に挙国一致して、信頼できる計画を策定する可能性はなくなったという。

コラムニストで教授のカルロス・パグニ氏は、アルゼンチン紙「ラ・ナシオン」への寄稿で、5日の政府のプレゼンは「国際機関が当局に課した制限よりも、政権内部が設けた制限」を反映しているとの考えを示した。

経済も低迷

国際政治リスクの調査会社、米ユーラシア・グループのダニエル・カーナー氏によると、アルゼンチン政府とIMFが合意を望んでいるとしても、「経済見通しに関して両者の間にはまだ重大な意見の相違がある」という。IMFは12月、「適切な」金融政策を実施するとともに、支出削減や赤字削減、年率50%を超えるインフレの抑制に取り組むよう同国に求めていた。

ブエノスアイレスを拠点とするエコノミストのフェルナンド・マルール氏は、12月に小さな進展の兆しが見られたと指摘する。アルゼンチン政府は同月22日、IMFに19億ドルを支払い、21年の返済額を上積みした。「これらの支払いに応じてきた政府にとって、デフォルトを決断すれば、非常に大きな痛手になるだろう」

正義党と野党の間のムードが冷え込むなか、経済も低迷している。

中央銀行のバランスシートは著しく悪化している。公式および市場のデータによると、準備預金は70億ドルを下回り、過去2カ月間だけで民間銀行システムから10億ドル余りが流出している。

推計によれば、21年の赤字の少なくとも70%は、IMFが同国に縮小を求める通貨発行でまかなわれている。ブエノスアイレスで英調査会社メドレー・グローバル・アドバイザーズの上級アナリストを務めるイグナシオ・ラバキ氏は「政府は時間も蓄えも尽きつつある」と語った。

By Lucinda Elliott

(2022年1月11日付 英フィナンシャル・タイムズ電子版 https://www.ft.com/)

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〔イギリスの自動車市場(生産、販売)〕

2019年の自動車生産、過去10年で最低水準に
(英国)
https://www.jetro.go.jp/biznews/2020/02/f00a34ee366fe5bb.html

『ロンドン発

2020年02月10日

英国自動車製造者販売者協会(SMMT)は1月30日、2019年の国内自動車生産台数を発表した。総生産台数は前年比14.2%減の130万3,135台となり、3年連続の減少で、2010年以降の最低水準となった(表1参照)。総生産台数の81%を占める海外輸出向け生産は前年比14.7%減、国内向け生産は12.3%減となっている。SMMTは、英国のEU離脱(ブレグジット)期限が複数回延期となり、企業が合意なき離脱(ノー・ディール)による影響を回避するために工場を一時停止したことを生産台数の減少の1つの要因として挙げている。また、SMMTのマイク・ホーズ会長は、自動車生産が過去10年間での最低水準に低下したことに懸念を示すとともに、国際的な競争力の回復が不可欠とし、そのために、EUとの間で全ての自動車製品に対して、関税やそのほかの負担がかからない野心的な自由貿易協定(FTA)を締結することが先決だ、とコメントした。

表1 自動車生産台数 
他方で、世界的な電動車への需要拡大を背景に、電気自動車(EV)などの代替燃料車の生産は前年比34.7%の増加になった。SMMTは、先進技術で高い優位性を誇る英国が、超低排出車やゼロエミッション車の普及・生産の主導権を握ることができる、としている。

2019年の国内の自動車産業に関する投資は、約11億ポンド(約1,562億円、1ポンド=約142円)で、これは過去7年間の平均となる27億5,000万ポンドを大きく下回る水準だ。また、生産活動の再編成のため、日産が2019年2月にスポーツ用多目的車(SUV)「エクストレイル」次期モデルの英国内での生産計画の撤回を発表したことに加え、ホンダも2021年中に国内生産を終了することを発表した(2019年2月20日記事参照)。こうした動きを受け、自動車関連の企業では、自動車ホースのニチリンや電子部品・空調部品を手掛けるケーヒンが英国拠点の閉鎖を決定したほか、自動車用シートのテイ・エス テックやモーター部品などのユタカ技研も拠点閉鎖に向けた労使間交渉を開始したことを発表している。

メーカー別の生産台数では、インドのタタ・モータース傘下のジャガー・ランドローバー(JLR)が最大で、日産が2位、トヨタが4位、ホンダが5位となった。

表2 各メーカーの生産台数

(木下裕之)』

イギリス自動車市場分析:231万台市場はじつはドイツ車の牙城?日本メーカーのシェアは?トヨタのシェアは何%
https://car.motor-fan.jp/article/10013752

『まずイギリスの乗用車市場の規模だ。欧州の自動車市場は、ドイツ、イギリス、フランス、イタリアの順に規模が大きい。2019年のイギリス乗用車新車登録台数は、231.1万台だ。
 リーマンショック後の2011年に194.1万台と200万台を割り込んだが、2016年の269.3万台に回復。そこからなだらかに販売台数が落ちていっている。Brexit(英国のEUからの離脱)が自動車販売台数、自動車業界にどんな影響を及ぼすのかは、いまのところわからないが注視していく必要があるだろう。
ブランド別では、フォードがトップ

 231万台の内訳をブランド別に見てみると、トップはフォードで23万6137台(10.2%)である。ここでいうフォードは、ドイツに本拠を置くヨーロッパ・フォードである。フィエスタ、フォーカス、クーガ(KUGA)の人気は非常に高い。2位はVW、3位メルセデス・ベンツ、4位BMWとドイツブランドが続く。

 グラフでは見にくい下位ブランドの販売台数とシェアは次の通りだ。

ダチア:3万951台 1.3%
フィアット:2万9890台 1.3%
三菱自動車:1万6199台 0.7%
レクサス:1万5713台 0.7%
ポルシェ:1万5257台 0.7%
MG:1万3075台 0.6%
ジープ:6193台 0.3%
DS:4299台 0.2%
スマート:4022台 0.2%
アバルト:3488台 0.1%
アルファロメオ:3413台 0.1%
スバル:2997台 0.1%
サンヤン:1930台 0.1%
ベントレー:1595台 0.1%
マセラティ:933台
インフィニティ:292台
ロータス:225台
アルピーヌ:171台
シボレー:62台
その他:2958台
その他インポート:1万4635台 0.6% 』

英、インドとFTA交渉開始 30年までに貿易額倍増

英、インドとFTA交渉開始 30年までに貿易額倍増
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR12DS80S2A110C2000000/

『【ロンドン=中島裕介】英政府は12日夜(日本時間13日朝)、インドと自由貿易協定(FTA)の交渉に入ると発表した。欧州連合(EU)離脱後の英国の外交方針である「インド太平洋地域への傾斜」の一環として、インドの経済成長の取り込みを狙う。英政府によると英印間の貿易は2019年時点で年間約239億ポンド(約3.8兆円)あり、両国は2030年までにこれを倍増させる方針だ。

17日の週から第1回の交渉を始める。訪印中のトレベリアン英国際貿易相がインドのゴヤル商工相らと会談し、交渉入りを確認する。

英国のジョンソン首相はFTAの交渉入りについて「成長著しいインドとの貿易協定は、英国企業や労働者、消費者に多大な利益をもたらす」と歓迎した。英政府はFTAが実現すれば関税の削減により最大で150%の関税がかかるウイスキーや自動車の輸出に追い風になるとみる。風力発電の部品など、インドでの需要が大きい環境関連の輸出の増加も見込んでいる。

EU離脱に伴い、新たに非関税障壁が発生したことなどから、英国の対EU貿易は新型コロナウイルスの影響からの回復が鈍い。21年1~10月のEU向け輸出は19年の同時期に比べて12%減った。逆にEU域外への輸出は8%増えている。今後もEU貿易の不調をEU域外で補う構図となる公算が大きい。

英政府はこの流れに沿って、環太平洋経済連携協定(TPP)への22年中の参加を視野に交渉を進めているが、最大の貿易相手の米国とのFTA交渉は難航している。関係が悪化する中国との貿易協定は選択肢に入っていない。英国の総貿易額に占めるインドの比率は1.5%と小さいが、英連邦としてのつながりの深さや将来の成長余力への英側の期待は大きい。
ただインドは自国産業保護の姿勢が強く、交渉が順調に進むかどうかは見通せない。インドはEUとのFTA交渉を07年に始めたが、自動車部品の関税引き下げなどを巡って対立し、13年に中断した。21年にEUの中国離れもあって、交渉再開を合意したばかりだ。東アジアの地域的な包括的経済連携(RCEP)への参加も、安価な農産物の流入の懸念などから見送った。

ジョンソン氏とモディ印首相はFTA交渉に向けた地ならしとして、21年5月に両国経済界からの新規の投資案件や貿易をまとめたパッケージで合意した。両国はこうした先例をテコにFTA交渉も円滑に進めたい考えだ。』

米欧、「一帯一路」対抗へ新戦略 構想先行の途上国支援

米欧、「一帯一路」対抗へ新戦略 構想先行の途上国支援
編集委員 西村博之
https://www.nikkei.com/article/DGXZQODK28ARB0Y1A221C2000000/

『主要国が途上国のインフラ支援へ相次ぎ新戦略を打ち出している。中国が2013年に広域経済圏構想「一帯一路」を始動して以来の政策の空白を埋める動きだ。日本のインフラ輸出への追い風も期待されるが、具体策はこれから。加えて各国に足並みの乱れもみられる。
欧州勢が打ち出す中国「債務のワナ」対策

「一帯一路への真の代替案だ」。21年12月1日、欧州連合(EU)のフォンデアライエン欧州委員長は、肝煎りのインフラ支援戦略「グローバル・ゲートウェー」を発表した。民主主義、法の支配、人権、環境といった価値観に沿って途上国を支援する内容で、27年までに官民で最大3000億ユーロ(約39兆円)の投資をめざす。

Nikkei Views
編集委員が日々のニュースを取り上げ、独自の切り口で分析します。

21年11月25日には英トラス外相が、政府系開発金融のCDCグループを「英国際投資(BII)」に衣替えし、国外でのインフラ支援体制を拡充すると発表した。アフリカや南アジアの英連邦の国々から東南アジアや太平洋の諸国まで支援対象も広げ、向こう5年にわたり年15億~20億ポンド(約2360億~3140億円)を投じる。

「専制的な国からの融資で借金漬けになった国に代替策を提供する」とトラス外相は言う。中国が借金のかたとして港湾などの重要施設を手中に収める「債務のワナ」を意識した発言だ。

21年サミットでインフラ支援連携も

米研究機関エイドデータによると、中国が165カ国で手がけた1万3400件の一帯一路事業のうち35%は汚職や環境汚染、労働問題などを抱える。主要国はこれらの問題に対応しつつ、途上国での経済、政治的な影響力を取り戻そうとしている。

2021年6月のG7サミットではバイデン米大統領主導で新たなインフラ支援の連携を決めた(英コーンウォール)=ロイター

21年6月の英コーンウォール・カービスベイでの主要7カ国(G7)サミットではバイデン米大統領が自らの看板政策の名を冠した「ビルド・バック・ベター世界版」(通称B3W)を提唱、債務の持続性や環境に配慮したインフラ支援で連携すると決めた。欧州勢の新戦略を踏まえ12月3日には改めて結束を確認する声明「インフラと投資のためのパートナーシップ」まで出した。

連携の先行例はある。南太平洋パラオ。沖合では海底通信ケーブルの敷設作業が進む。23年に米国とシンガポールを結ぶ幹線から100キロメートルの支線を延ばす事業だ。

国際協力銀行(JBIC)など日米豪の政府系機関は18年にインド太平洋地域のインフラ支援で連携する覚書を交わしており、その1号案件。パラオの経済発展に不可欠な通信インフラの構築を支える目的だが、同国への中国の影響力浸透をけん制する狙いも透ける。

インフラ支援〝大国〟日本に追い風

インド太平洋地域への一帯一路の伸長を警戒する米国は、支援強化へ19年に米国際開発金融公社(DFC)を新設した。豪政府も太平洋諸国のインフラを支援する新制度(AIFFP)を創設。日米豪は第2、第3の協調案件を検討中だ。

インフラ支援で外交上の得点と企業の需要創出を狙う一石二鳥の政策は日本のお家芸で、09年以降は成長戦略の柱にもなった。近年は中国に競り負ける場面も増えたが、各国との連携は追い風になりうる。贈与も含めた好条件の資金拠出が事業費を下げ、中国と競いやすくなるからだ。

主要国が唱えてきた「質の高いインフラ」を裏打ちする支援の枠組みが増えれば、中国への過度の依存を警戒する途上国を引き寄せられる、と期待する声もある。

各国の連携に課題

ただ、今のところ米欧やG7の構想は絵に描いたもち。米欧間の戦略をどう擦り合わせるかなど先行きは読みにくい。

6月のG7でも、裏では米主導の「B3W」をめぐる議論が紛糾し「一向にまとまらなかった」(政府関係者)。トランプ前政権が国際協調に背を向けた影響が尾を引き、各国とも米提案にどこまで乗るべきか測りかねているという。

主要国が一帯一路への有効な手立てを欠いたことが、中国の影響力を強めたのは否めない。これが資本主義とは異質の経済体制を浸透させる余地も生んだ。

インフラ支援は良くも悪くも「国の形」を左右する鋳型になる。支援の機運を保つためにも、ノウハウをもつ日本が各国と連携し成功例を重ねるのが大事な局面だ。』

米長期金利、再び1.8%台 「利上げ年4回」観測広がる

米長期金利、再び1.8%台 「利上げ年4回」観測広がる
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN103P50Q2A110C2000000/

『【ニューヨーク=斉藤雄太】金融市場で米連邦準備理事会(FRB)の早期の金融引き締めを織り込む動きが加速している。米欧の大手金融機関は金融政策の予測を相次ぎ見直し、利上げやFRBの保有資産縮小の開始時期を前倒しした。JPモルガン・チェースのジェイミー・ダイモン最高経営責任者(CEO)は2022年内に4回以上の利上げが起きうるとの見解を示した。急激な引き締めへの警戒感から10日の米株式相場は一時、大きく売り込まれた。
10日の米債券市場では長期金利の指標になる10年物国債利回りが一時、1.81%近くまで上昇(価格は下落)した。米国債売りが広がり、先週に続き約2年ぶりの高水準を記録した。上げ一服後は1.7%台後半で推移した。

FRBは先週公表した21年12月の米連邦公開市場委員会(FOMC)の議事要旨で、利上げや保有資産の削減を「より早期に、速いペースで」進める姿勢を鮮明にした。7日発表の21年12月の米雇用統計は就業者数の増加が鈍かった半面、失業率の改善や平均時給の伸びが目立ち「米経済は(FRBがめざす)最大雇用を超えつつある」(バンク・オブ・アメリカのスティーブン・ジュノー氏)との受け止めが広がった。

JPモルガンのエコノミストは先週、利上げ開始の予想時期を6月から3月に前倒しし、その後四半期ごとに利上げするとの見通しを示した。同社のダイモンCEOは10日の米CNBCの番組で「予想以上にインフレが悪化し、人々が思っている以上に利上げが進む可能性もある」と指摘した。「個人的には年4回だけの利上げなら驚きだ」とも述べ、それ以上の引き締めが進む可能性もあるとの認識を示した。

ゴールドマン・サックスのヤン・ハチウス氏は22年の利上げ回数を従来予想の3回から4回に引き上げ、保有資産の縮小を始める時期も12月から7月に前倒しした。FOMCの議事要旨からは「バランスシートの正常化の議論が想定したより緊急性が高い様子が伝わってきた」という。

ドイツ銀行も予想を見直し、利上げを3月に始めて年内に4回実施すると見込む。バークレイズは10~12月期とみていた保有資産の縮小開始予想を7~9月期に変えた。同社のマイケル・ガペン氏は「FRBが資産購入の終了を1月下旬のFOMCで発表する可能性も出てきた」とみる。6月から3月に前倒しした資産購入の終了時期をさらに早めて「3月に利上げするという強い合図」を示すシナリオを視野に入れる。

米金利先物市場の動きから金融政策を予測する「フェドウオッチ」によると、3月半ばのFOMCで利上げするとの予想が10日昼時点で8割近くに達した。1週間前から2割ほど高まった。22年中に4回以上の利上げ予想も過半を超えている。

10日は米長期金利の上昇を受け、米株にも売り圧力が強まった。急な金利上昇は米景気や企業収益に逆風になるためだ。ダウ工業株30種平均の前週末比の下げ幅は一時600ドル近くに達する場面もあった。終値は約160ドル安だった。

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※掲載される投稿は投稿者個人の見解であり、日本経済新聞社の見解ではありません。

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永浜利広
第一生命経済研究所 首席エコノミスト
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米国の利上げを考えた場合、特にコロナショック後の世界経済は、ワクチンや医療体制の格差などにより新興国の回復が遅れ気味ですから、米国の金融政策が出口に向かうことにより、これまでの景気回復期よりも深刻なレパトリが起こることで、新興国への懸念はより大きくなることには注意が必要でしょう。

2022年1月11日 7:48 』

カザフスタンが非常事態宣言 ロシアなどに部隊派遣要請

カザフスタンが非常事態宣言 ロシアなどに部隊派遣要請
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR05CUZ0V00C22A1000000/

『【モスクワ=桑本太】中央アジアのカザフスタンは5日、燃料高を受けた抗議デモの広がりに伴う非常事態宣言を全土に拡大した。インタファクス通信がカザフスタンの国営テレビの報道を引用して伝えた。トカエフ大統領は、ロシアが主導する旧ソ連諸国の集団安全保障条約機構(CSTO)の部隊派遣を要請した。

治安当局とデモ隊の衝突で、当局は200人以上を拘束した。ロシアメディアなどによると、警官ら8人が死亡、300人以上が負傷したという。

非常事態宣言の期間は19日までで、トカエフ大統領は先んじてアルマトイと西部マンギスタウ州、首都のヌルスルタンに非常事態宣言を出していた。年初に発生した抗議デモの動きが広がっており、デモ隊の一部は5日に同国最大都市のアルマトイの国際空港を占拠し、全便の運航が一時的にできなくなったという。

トカエフ氏は同日のテレビ演説で自身が安全保障会議の議長に就任し、これまで議長を務め2019年まで長期政権を敷いていたナザルバエフ前大統領を解任すると表明した。抗議デモは22年からの燃料高を契機に発生したが、デモ隊の一部はナザルバエフ氏を批判していた。デモが沈静化に向かうかどうかは不透明だ。

燃料として幅広く使われる液化石油ガス(LPG)の価格が年初から21年比で約2倍に引き上げられ、2日に西部で抗議デモが発生し、その後にアルマトイなどに広がった。

デモの沈静化と経済安定のため、カザフスタンはLPGに加えてガソリンなどにも一時的に統制価格を導入し、燃料価格を21年並みに抑制することを決めた。トカエフ氏はこのほか、生活必需品である食品の価格上昇を抑えるための規制の検討などを表明した。

CSTOの集団安全保障会議議長を務めるアルメニアのパシニャン首相はフェイスブックへの投稿で、CSTOの部隊をカザフスタンに一定期間派遣することを決めたと明らかにした。同国の「状況を安定させ正常化させるため」と説明している。

【関連記事】カザフスタン内閣総辞職 燃料上げでデモ、大統領宅占拠

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上野泰也のアバター
上野泰也
みずほ証券 チーフマーケットエコノミスト
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別の視点

旧ソ連の一員でありロシアと国境を接するカザフスタンの政変については、ウクライナ情勢などを巡り今週開催される米国とロシアの協議への間接的な影響も注目点になる。

英経済紙フィナンシャルタイムズは6日、モスクワのジャーナリストらが今回の政変に関し、西側との勢力画定をロシアが目指す協議を控える中で国外の勢力がカザフスタンの暴徒を扇動したと非難しているという。

仮にロシアの東側の国境が不安定化すれば、そちらも警戒する必要があり、ロシアは米国との妥協に傾くかもしれない。一方で、国境を巡る安保体制構築の重要性を再認識したロシアが西側への強硬姿勢を強める結果、妥協は難しくなるとも考えられる。動向を注視したい。

2022年1月6日 8:20

岩間陽子のアバター
岩間陽子
政策研究大学院大学 政策研究科 教授
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ひとこと解説

アルマトイの混乱が最もひどいようで、すでにロシアの空挺団が入っているという報道もあります。

ただ、ロシア側はこの件に関して公式には表明していないので、今のところはなんとか静かに処理したいのでしょうが、事態がその程度で収まるかどうかです。

カザフスタン国内ではインターネットや携帯が通じないところが多くなっているようで、正確な情報が伝わってきません。現地アメリカ大使館はアラート情報を出していますがhttps://kz.usembassy.gov/demonstration-alert-u-s-mission-kazakhstan-4/ 日本大使館の情報は年初より全く更新されていません。

場合によっては邦人退避などにつながる可能性もあり、外務省と現地大使館は、正確な情報の迅速な発信を心がけて頂きたいです。

2022年1月6日 18:46

秋田浩之のアバター
秋田浩之
日本経済新聞社 本社コメンテーター
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別の視点

カザフスタンで起きている反政府デモを一歩引いてみると、「ソ連帝国」の解体プロセスがいまも続いていると言えるでしょう。

ソ連という連邦国家は20年前に崩壊しましたが、盟主のロシアは今も旧ソ連諸国を自分の裏庭とみなし、時には軍事的に脅してでも影響下に置こうとしています。

典型例がウクライナです。そのロシアが最も嫌うのが、西側的な民主化運動が広がること。

今回の抗議デモがどこまで過熱するのかわかりませんが、ロシアとっては気が気ではないはず。

同時に、近隣の中国もカザフの民衆デモが自国民にどのような影響を及ぼすか、心配でしょう。今夜のBSテレ東『日経ニュース プラス9』でも詳しく解説します

2022年1月6日 17:23 (2022年1月6日 17:38更新)

志田富雄のアバター
志田富雄
日本経済新聞社 編集委員
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別の視点

カザフスタンは有力な産油・産ガス国です。

現在、原油相場が高止まりしている理由のひとつに「一部の産油国の生産能力が低下し、OPECプラスが計画通りに生産を増やせない」ことがあり、政情不安がカザフフスタンの原油の生産・輸出に影響してくるようだと、市場が強材料ととらえる可能性があります。

2022年1月6日 11:32 (2022年1月6日 11:39更新) 』

[FT]2022年の経済トレンド10 人口減からデジタルまで

[FT]2022年の経済トレンド10 人口減からデジタルまで
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB042G50U2A100C2000000/

『2年に及ぶ新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)は世界を大きく変化させた。全てを変えたわけではないが、人口減少からデジタル革命まで、多くの変化を加速させた。2022年を特徴付ける可能性がある潮流として以下の10のポイントに注目したい。
パンデミック前、中国経済は世界のGDP成長率の3分の1を占めていたが、2021年には4分の1に落ち込んだ。中国が成長エンジンとしてのピークを迎えたという見方も出ている=ロイター

筆者のルチル・シャルマ氏は、米モルガン・スタンレー・インベストメント・マネジメントのチーフ・グローバル・ストラテジストで、「The 10 Rules of Successful Nations(成功する国の10の法則)」(邦訳未刊)の著者。

少子化の加速:カップルには十分な機会があったが、閉鎖された世界に子どもを迎え入れる気にはならなかったようだ。世界的な出生率の低下は、世界経済の成長を鈍化させてきたが、パンデミック下で一段と加速した。なかでも中国が顕著だった。長期的にみれば、少子化の加速は世界の労働力人口をさらに縮小させることになる。生産年齢人口が減少している国の数は00年の17カ国からすでに51カ国に増加している。

ピークを過ぎる中国:少子化、債務の増加、政府の干渉が中国経済の足を引っ張り、全世界の国内総生産(GDP)の成長に占める中国の割合は、パンデミック前の3分の1から、21年には4分の1に低下した。中国は貿易から自給自足体制に急転換を進めるなかで、他国との経済的な結びつきを弱めている。5年前には中国と他の新興国とのGDP成長率は強く連動していたが、現在では相関関係が弱まっている。中国は世界の成長エンジンとして絶頂期を過ぎたのかもしれない。

債務の罠(わな):全世界の債務総額は過去40年増え続けてきたが、パンデミックの間に政府が借り入れを増やしたことで、急速に膨張した。GDPの3倍を超える債務を抱える国は1990年代半ばにはゼロだったが、今では米国や中国など25カ国に上る。中央銀行が刷った通貨は金融資産の価値を膨らませ、債務の罠を深刻化させ続ける。社会が債務に依存すると、倒産や波及効果への恐れから債務の縮小に踏み切ることが難しくなることは明らかだ。

70年代とは異なる:労働力人口の減少、財政支出の拡大、国債残高の増加はどれもインフレ率の上昇につながる。とはいえ、一部の専門家が危惧するような1970年代並みの2桁インフレにはおそらくならないだろう。22年は財政出動が落ち着き、技術革新が価格の上昇を抑制し続けるだろう。より大きなリスクをはらんでいるのは資産価格だ。金融市場の規模は世界の実体経済の4倍に膨れ上がっており、資産価格が急落した場合、その後デフレに陥ることが多い。

グリーンフレーション:地球温暖化対策が銅やアルミなど、脱炭素化に必要な「グリーンメタル」の需要を押し上げていることはよく知られている。その一方で、脱炭素政策があらゆる燃料や原材料の供給を減少させていることはあまり知られていない。炭鉱や油田への投資額はここ5年で大幅に減っている。その結果、コモディティー(商品)価格に「グリーンフレーション」が起こり、1973年以来で最高の年間インフレ率を記録した。

生産性のパラドックス:パンデミック期にデジタルサービスの導入が進み、世界の生産性が長年の低迷を脱するという期待は裏切られた。20年にみられた生産性の改善は米国に限られ、その勢いも21年末には衰えた。これまでの統計を読み解くと、在宅勤務の社員は(出社した社員に比べて)作業時間が長く、成果は小さいという傾向がみられる。技術革新の加速にもかかわらず生産性が向上しないというパラドックス(逆説)に変わりはないだろう。

データのローカル化:新型コロナは世界を内向きに変え、ヒト・モノ・カネを含むあらゆる往来を減らしたが、データだけは例外だ。22年のインターネットのデータ流通量は16年までの総量を上回る可能性が高い。ただ、逆の動きも見逃せない。インターネットは政府の統制に妨げられることなく発展するという期待に反して、当局がデータの越境を制限し始めている。最も厳格な規制の発信地は、中国、サウジアラビア、インドなどの新興諸国だ。

しぼむ「特定資産のバブル」:昨今はあらゆる資産の価値が高騰する「エブリシングバブル」の時代だと言われるが、一部の資産では、12カ月で価格が倍増したり取引が過熱したりといった典型的なバブルの兆候がみられる。こうした「特定資産バブル」の影響は暗号資産(仮想通貨)、クリーンエネルギー、黒字化していないIT(情報技術)企業、特別買収目的会社(SPAC)で顕著だ。いずれもこの1年で価値がピークから35%以上減少した。過去の経験則から、これを超えるとバブルの復活は望み薄とされる減少幅だ。明るい兆しがあるとすれば、こうしたITバブルとその崩壊を生き延びた企業の中から一握りの大企業が生まれる可能性があることだ。

冷める個人投資家熱:13年続いた世界的な上げ相場に個人投資家が殺到している。遅れてきた個人が押しかけるのはしばしば宴が終わる合図となる。米国や欧州では数百万人が初めて証券口座を開設し、多くが借金をして猛烈なペースで株式を買い漁った。この熱狂はまず続かない。株式市場全体がリスクにさらされているわけではないにしろ、個人投資家にもてはやされた銘柄はリスクが高いと考えるべきだ。

有形物の重要性:仮想空間「メタバース」が派手に宣伝され、物理的なモノの経済が衰退しそうな予感がある。しかし、現実の価格動向をみれば、そうではない。デジタルネーティブ世代も実際に住む場所は必要だ。21年は(20〜30代の)ミレニアル世代やZ世代の需要で住宅価格が上昇した。未来の技術も物理的な資源を不要にするわけではない。電気自動車(EV)にはガソリン車よりはるかに多くの銅が使われている。仮想空間上のアバター(分身)の裏には人間がいる。労働力不足は、自動化の脅威にさらされるトラック運転手のような職業の賃金すら押し上げている。形ある資産に鎮魂歌を捧げるのは時期尚早だ。

By Ruchir Sharma

(2022年1月3日付 英フィナンシャル・タイムズ紙 https://www.ft.com/)

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韓流エンタメ輸出急拡大 5年で倍増、21年1.3兆円

韓流エンタメ輸出急拡大 5年で倍増、21年1.3兆円
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM300J60Q1A231C2000000/

『韓流コンテンツの躍進が止まらない。動画プラットフォームやSNS(交流サイト)などオンラインで音楽やドラマが拡散し、2021年のコンテンツ輸出額は5年前の倍の115億ドル(約1兆3000億円)に達する見通しだ。製造業に偏った産業の多角化に向けて政府が取り組んだ育成策の結果、韓国のコンテンツ産業は日本を圧倒する勢いを示しており、食品や化粧品などの輸出にも好影響をもたらしている。

【関連記事】
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・韓国CJが米映画製作会社買収 880億円、コンテンツ拡充

政府機関の韓国コンテンツ振興院が21年のコンテンツ輸出額の試算を公表した。新型コロナウイルス禍による巣ごもり消費で躍進した20年比で7%増となり、過去5年間で92%増と大きく伸びた。一方の輸入額は19年時点で輸出の8分の1の水準で減少傾向が続いており、コンテンツ産業だけをみると大幅な輸出超過が続く。

21年も堅調だったのが音楽分野だ。K-POPは欧米市場でも一つのジャンルを確立。BTS(防弾少年団)を筆頭に、ブラックピンクなどが続く。ユーチューブやファンサイトなどでの無料視聴で広くファンを増やし、楽曲購入やオンラインライブのチケット販売につなげている。

「イカゲーム」は米ネットフリックスの歴代最多視聴記録を塗り替えた
輸出増の流れに拍車をかけたのが「イカゲーム」に代表される韓国ドラマだ。米ネットフリックスで配信開始から28日間で1億4200万世帯が視聴し、歴代最多視聴記録を塗り替えた。

ネットフリックスでは10月中旬以降、非英語の番組の視聴ランキングでトップ10に韓国作品が3〜4本ランクインし続けている。特に日本や東南アジア、中東などで韓国ドラマの視聴が多い。

日本のお家芸だった漫画も今や韓国勢がプラットフォームを握りつつある。ネット大手のネイバーとカカオが、スマートフォンで読みやすく縦にコマ送りする「ウェブトゥーン」で覇権争いをしており、両社のプラットフォームに世界の漫画家が作品を投稿する傾向が強まっている。

韓国コンテンツ産業の特徴は、オンラインのプラットフォームを活用して世界でファンを獲得する点だ。創作段階から人口約5200万人の国内市場ではなく、世界市場を狙って作品を制作する傾向も顕著だ。人口減少が始まった国内にとどまれば成長は難しいという危機感が強い。

他産業への波及効果も大きく、韓国製品の輸出拡大につながっている。21年の食品輸出額は初めて100億ドルを突破。化粧品の輸出額は10月までで既に前年を上回って過去最高を更新した。

韓国では1998年に金大中(キム・デジュン)政権が「文化は21世紀の基幹産業になる」とし、各大学に関連学科を整備するなどコンテンツ産業育成に乗り出した経緯がある。新設学科出身者が音楽プロデューサーや俳優として活躍する。こうした長期的視点での人材育成も韓流の躍進を支えている。

韓国はコンテンツ産業で日本をはるかにしのぐ勢いをみせている。詳細な定義が異なるので単純比較は難しいが、韓国の放送コンテンツ輸出額はすでに19年時点で6億6800万ドル(約770億円)と日本(530億円)を上回っていた。音楽分野では、K-POPアーティストの所属事務所の韓国内売上高は3~4割程度で海外比率が高く、日本の音楽産業との違いは鮮明になっている。(ソウル=細川幸太郎、シリコンバレー=佐藤浩実)』

東南アジア、経済回復へ輸出主導 22年5.1%成長予測

東南アジア、経済回復へ輸出主導 22年5.1%成長予測
オミクロン型拡大で下振れも
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM23BUO0T21C21A2000000/

『【シンガポール=中野貴司】東南アジア経済は2022年、輸出主導の回復基調が続く見通しだ。主要国の中央銀行も相次ぎ政策金利の引き上げに踏み切る可能性が高まっている。ただ新たな変異型「オミクロン型」など新型コロナウイルスの感染状況次第では成長率が下振れするほか、利上げの遅れで通貨安を招くリスクもある。

「直近の洪水の半導体業界への影響は極めて限定的だった。22年は21年に比べ、業況はさらに良くなる」。マレーシア半導体産業協会のウォン・シューハイ会長は先行きに自信を示す。

マレーシアの21年11月の輸出額は1122億リンギ(約3兆円)と前年同期比で32%増加した。輸出全体の4割弱を占める電機・電子製品に加え、石油製品や化学製品の輸出が大きく伸び、単月としての輸出額が過去最高だった10月に続いて力強さが目立った。シンガポールの11月の輸出が前年同月比で24.2%増と、約10年ぶりの伸び率を記録するなど、東南アジアの主要国で輸出が景気回復をけん引する構図が鮮明になっている。

アジア開発銀行(ADB)は東南アジアの22年の成長率が5.1%と、21年の3%から高まると予測する。21年夏には新型コロナの感染拡大を契機としたマレーシアやベトナムの工場の生産停止や減産が世界のサプライチェーン(供給網)混乱の一因になった。

その後、ワクチン接種率が高まり、新規の感染者数も減少に転じたため、各国は経済活動の正常化を進めた。証券会社メイバンク・キムエンは「東南アジアでロックダウン(都市封鎖)のリスクは薄れ、22年は新型コロナとの共生に転換する年になる」と指摘する。

景気回復の見通しを受け、東南アジアの中銀は政策金利の据え置きから利上げへの転換を模索する。シンガポールのユナイテッド・オーバーシーズ銀行(UOB)は22年中に、インドネシア、マレーシア、フィリピン、タイの中銀が利上げを決めると予想する。中でもインドネシア中銀は22年後半に計4回利上げし、政策金利は今の3.5%から22年末には4.5%に上がるとみる。

21年10月に為替レートの誘導目標を通じて、いち早く金融引き締めに転じたシンガポールも、22年4月に再び引き締めに動く可能性がある。UOB以外でも22年後半に東南アジアの主要中銀が利上げを検討すると予測するエコノミストが増えている。

東南アジアの中銀の多くは新型コロナの感染が世界で拡大した20年に連続して利下げに踏み切った後、21年は政策金利をほぼ据え置いてきた。それが22年に利上げに転じるのは、先進国で今後金利の上昇が進むことが大きい。米連邦準備理事会(FRB)が22年中に3回程度の利上げに踏み切る見込みとなり、英国の中銀も21年12月に利上げを決めた。

金利上昇によって、先進国の金融商品の魅力が高まれば、投資マネーが東南アジアから流出し、各国通貨の下落を招く恐れがある。通貨安は輸入品価格の上昇を通じてインフレを誘発し、国内消費を冷やす要因にもなる。

タイ中銀は21年12月下旬の声明で「タイバーツの変動率は先進国の金融政策などの要因で、引き続き大きい」とバーツ安への警戒感を示した。調査会社フィッチ・ソリューションズはマレーシアリンギが22年平均で1ドル=4.20リンギと、21年(1ドル=4.15リンギ)より通貨安が進むとみる。先進国との金利差縮小で通貨安が加速する事態を防ぐために、東南アジアの中銀は利上げを検討せざるをえなくなる構図だ。

ただ、こうした景気回復や金融政策のシナリオは、オミクロン型の感染拡大が長期化すれば変更を余儀なくされる可能性がある。東南アジアは今のところ、欧米に比べオミクロン型の感染者数は少ないものの、各国は感染拡大を防ぐために隔離なしの入国制度の停止などに踏み切っている。観光関連産業の回復の遅れは21年の成長率を下げる要因となったが、国境を越える移動の再開が遅れれば、22年も輸出増加による押し上げ効果をそぐことになりかねない。

ブラジルやロシアなどインフレ基調が続く新興国は既に21年から、繰り返し利上げに踏み切っている。ADBの予測では東南アジアの物価上昇率は22年も2.5%と比較的低く、インフレが利上げを急ぐ主因にはならないとみられる。中銀は自国通貨の相場や新型コロナの状況を注視することになる。』

「心の資本」は十分ですか さらばテイラーシステム

「心の資本」は十分ですか さらばテイラーシステム
成長の未来図②
https://www.nikkei.com/article/DGXZQODL066RJ0W1A201C2000000/

『「他人のいいところを探しましょう」「15分だけ昼寝をしてみては」。毎朝、スマートフォンやスマートウオッチにメッセージが届く。日立製作所の子会社、ハピネスプラネット(東京都国分寺市)のサービスだ。

ベースになるのは「人の幸福度を測る」という独自技術。人が幸せを感じているかは呼吸や心拍数、筋肉の微妙な伸縮など無意識の変化に表れる。スマホアプリに搭載したセンサーが10秒ごとにデータを取得する。

幸福度を改善

約15年間にわたって集めた延べ1千万日分の実証データを活用する。人工知能(AI)が個人別にはじきだす幸福度に応じ、その改善に役立つメッセージを自動的に作成して送信する。

実証実験では「心の資本」と呼ぶ指標が平均33%向上した。米ネブラスカ大のフレッド・ルーサンス名誉教授らが編み出した指標で「自信を持つ」「楽観的に考える」など複数の要素を数値化する。指数の33%向上は営業利益の10%ほどの押し上げに相当する。

自動車などに代表される大量生産手法の確立により歴史上でも類を見ない経済成長を謳歌した20世紀。原動力の一つとなったのが同世紀初頭に米経営学者フレデリック・テイラーが提唱した「科学的管理法」だ。ストップウオッチなどを用いて生産工程を科学的に分析し、運営者や作業員の経験と勘に頼っていた工場運営を大幅に効率化させることを提唱した。

「テイラーシステム」とも呼ばれる手法の導入で製造業の生産性は飛躍的な改善を遂げた。しかし経済の主役がモノからアイデアやノウハウといった「知」に移るにつれ従来のやり方では成長の実現が困難になった。

典型が20世紀の製造業の競争で優位に立っていた日本だ。モノづくりの現場が中国など新興国に移る中、「知」の競争に対応できる企業システムの構築に出遅れた。

熱意を持って仕事をする社員は5%。米ギャラップの調査で日本は世界の最低水準に沈む。30%を超える米国、20%前後の北欧諸国を大幅に下回る。「考える力」が問われる時代に社員が仕事に情熱を持てない状況では企業の成長は望めない。

パーソル総合研究所と慶応大の前野隆司研究室の調査では幸せの実感が低い人が多い企業は減収が多かった。社内の幸福度の低さが企業の成長を阻み、それが社員の不満をさらに高めかねない。

そうした状況を避けようと、三菱UFJ銀行など有力企業が相次ぎ社内の幸福度を調べる仕組みを取り入れ始めた。従業員の「気持ち」の領域にまで踏み込むことに賛否はあるかもしれないが、「心の資本」の再構築なしには成長の未来図が描けないという危機感がある。
知の競争へ改革

知の競争の時代にふさわしい職場のあり方や社員の働き方、報酬体系をどう確立していくか。求められるのはテイラーシステムに代わる21世紀のシステムの構築だ。

米グーグルは一人ひとりの働く喜びを重視するよう唱えたアリストテレスにちなみ、「プロジェクト・アリストテレス」と呼ぶ社内調査を10年前から実施して企業風土改革を進めてきた。

生産性が高くイノベーションを生む職場とそうでない職場との違いや要因を調べると「心理的安全性」が影響するとわかった。自由にものが言えたり組織に認められて安心感を覚えたりすることを指す。グーグルは社員のパフォーマンスに関係するこうした要素を重視する仕組みを磨いた。

企業収益が低迷し社員の賃金も増えない。それが社員の仕事への意欲を萎えさせ生産性も上がらない――。そんな悪循環から抜け出す第一歩は挑戦が報われる仕組みを整え働き手のやる気を覚醒させることから始まる。

【前回記事】資本主義、創り直す 解は「フレキシキュリティー」に

【ビジュアルデータ】豊かさの現在地 経済成長、日本と世界

成長の未来図特集ページはこちら https://www.nikkei.com/theme/?dw=21122702&n_cid=DSREA_NY2022 』

資本主義、創り直す 解は「フレキシキュリティー」に

資本主義、創り直す 解は「フレキシキュリティー」に
成長の未来図①
https://www.nikkei.com/article/DGXZQODL065U70W1A201C2000000/

『資本主義が3度目の危機にぶつかっている。成長の鈍化が格差を広げ、人々の不満の高まりが民主主義の土台まで揺さぶり始めた。戦前の大恐慌期、戦後の冷戦期と度重なる危機を乗り越えてきた資本主義は再び輝きを取り戻せるのか。成長の未来図を描き直す時期に来ている。

【ビジュアルデータ】豊かさの現在地 経済成長、日本と世界

北欧の新陳代謝

スウェーデン北部シェレフテオ。静かな町に新産業が立ち上がる。立役者はノースボルトという名の新興電池メーカー。今年は大規模工場を本格稼働させ、豊富な水力発電を生かしたグリーンな電池を量産する。

北欧は医療や教育の無償化など福祉国家のイメージが強いが、国民が挑戦しやすい環境も備える。ピーター・カールソン最高経営責任者(CEO)はスウェーデンのエリクソンや米テスラなどを経て2016年にノースボルトを設立。こうした人材を生み出す土壌が北欧にはある。

【関連記事】「心の資本」は十分ですか さらばテイラーシステム

代表はデンマークの「フレキシキュリティー」。「柔軟性(フレキシビリティー)」と「安全性(セキュリティー)」を組み合わせた政策は解雇規制が緩やかで人員削減がしやすい一方、学びなおし(リスキリング)や再就職の支援など保障を手厚くする。1990年代にデンマークが導入し2000年代後半から欧州各国に広がった。

北欧の失業率は5~8%で推移し2~3%の日本より高いが、次に働く機会が見通しやすいため不安は小さい。いま貧しくても豊かになれるチャンスも多い。所得下位20%の家庭に生まれた人の最終的な所得水準をみると、生まれたときより上位に上がれる人の割合はスウェーデンで73%と、米国(67%)より高いといった研究もある。

00年から19年の実質国内総生産(GDP)の年平均成長率をみると、スウェーデンは2.2%、フィンランドは1.4%、デンマークは1.3%伸びた。一方、所得格差の大きさを示すジニ係数(最大は1)は直近で0.26~0.28にとどまる。「個人主義と共助がよいバランスにある」(京都大学の内田由紀子教授)。競争を促しつつ再挑戦を容易にすることで格差を抑えながら成長する好循環だ。

一方、米国は矛盾を抱える。GDP成長率は2.0%だが、ジニ係数が0.40と高く格差が広がる。所得別人口の上位1%が稼いだ額の合計が全体の所得に占める比率は過去30年で14%から19%にまで上昇した。それに対し、下位50%は16%から13%に下がった。富める者が富み、持たざる者が貧しくなる結果、幸福度は北欧を下回る。

寿命の延びが止まったのは象徴的だ。薬物・アルコール中毒や関連自殺で10年以降、計100万人以上が「絶望死」に至った。寿命は14年の78.9歳で頭打ち。アンガス・ディートン米プリンストン大学教授は製造業の衰退が「人々のプライドと自尊心を奪った」とする。絶望死の4割弱は30~50代の白人男性。製造業を支えた中間層が多い。

世界の資本主義は歴史的に何度も危機に見舞われた。初めは1929年の米株価暴落を引き金とする大恐慌だ。英経済学者ケインズの理論に沿って「大きな政府」が需要を作り出し、景気を刺激する方法で乗り切った。

米国とソ連の対立を軸とする冷戦期に「第2の危機」に襲われる。財政膨張や過度な規制など「大きくなりすぎた政府」が経済の活力を奪い、ベトナム戦争など共産主義勢力に対抗するコストが資本主義の疲弊に拍車をかけた。新自由主義が登場し、レーガノミクスやサッチャリズムの「小さな政府」が民間の競争を促して成長力を取り戻すと、ソ連は崩壊し民主主義に勝利をもたらした。

「第3の危機」に

いま直面するのが「第3の危機」だ。過度な市場原理主義が富の偏在のひずみを生み、格差が広がる。格差は人々の不満を高め、それが民主主義の危機ともいわれる状況を生み出した。資本主義と民主主義の両輪がうまく回らなくなり、世界では中国を筆頭とする権威主義が台頭する。

混沌とする世界で日本は生き残れるのか。現状は心もとない。GDP成長率は年平均0.7%と北欧を下回るのに、ジニ係数は0.33と北欧より高く、幸福度は低い。

「何度も聞かれてバカバカしい」「私は好奇心にフタをしています」

将来の夢を聞くと、こう答える若者が多い。ときに「ドリハラ(ドリーム・ハラスメント)だ」と不快感を示す。中高生を調査する多摩大学勤務の高部大問氏は「多くの若者は人生を窮屈に生きている」と話す。

バブル崩壊から30年、日本経済は低空飛行が続く。雇用の安全を重視しすぎた結果、挑戦の機会を奪われた働き手はやる気を失う。行き過ぎた平等主義が成長の芽を摘み、30年間も実質賃金が増えない「国民総貧困化」という危機的状況を生み出した。

それなのに民間企業を縛る多くの規制が温存され、社会保障改革の遅れで財政膨張にも歯止めをかけられない。日本は世界から周回遅れで「第2の危機」にはまり込んだままだ。北欧のフレキシキュリティーと比べれば、安全性はあっても柔軟性が決定的に欠ける。この弱点の改革にこれから進むべき道がある。

資本主義の苦悩を横目に中国は急成長を遂げてきた。GDP成長率は日米欧をはるかにしのぐ年平均9.0%に達する。だが成長の裏で格差が広がり、幸福度は日米欧を下回っている。習近平(シー・ジンピン)指導部は文化大革命をほうふつとさせる「金持ちたたき」に動き、最新のデジタル技術も総動員した「統制」で資本主義と一線を画そうとし始めた。

一人ひとりの個人が自由に富と幸福を追求することで社会全体の発展を支えてきた資本主義は21世紀の新たな挑戦に打ち勝てるか。世界は大きな岐路に立っている。

西岡貴司、江藤俊也、押野真也、北爪匡、茂木祐輔、高橋元気、松井基一、村岡貴仁、松尾洋平、井上孝之、藤田祐樹、松浦奈美、真鍋和也、須賀恭平、宗像藍子、鈴木菜月、加藤宏志、吐田エマ、大島裕子、仙石奈央、木原健一郎、横山龍太郎、前田健輔、斎藤一美、松島春江、湯沢華織、碓井寛明、小滝麻理子、清水石珠実、芦塚智子、川手伊織、花田亮輔、深尾幸生が担当します。

【関連インタビュー】

・三密から「三散」の時代へ 作家・五木寛之氏
・幸福度は社会の「体温」 キャロル・グラハム氏
・成熟社会の土台づくり 内科医・占部まり氏

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多様な観点からニュースを考える

※掲載される投稿は投稿者個人の見解であり、日本経済新聞社の見解ではありません。

今村卓のアバター
今村卓
丸紅 執行役員 経済研究所長
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分析・考察

労働集約型の製造業は質の高い雇用を創出しやすいために、各国が育成に力を入れ国家間の競争を招きやすく、労働コストが上昇した先進国ほど敗れやすい。

国や労働者にとってはこの製造業は安定的でなく、むしろ持続性を欠く。米国、日本、韓国と製造業の拠点が移り、最近の中国も賃金上昇から競争力を失いつつあると聞くと、そう考えます。

2010年代に米国の労働者の苦難の議論を現地で頻繁に見聞きしたため、ディートン氏の主張には納得します。ただ、持続性を欠く製造業に頼る社会の安定も無理だったと思います。米国も日本も製造業復活を求める主張は郷愁も混じり支持を得やすいですが、その持続性の欠如を厳しく問うべきだと思います。

2022年1月1日 15:42 (2022年1月1日 15:44更新)

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竹中治堅
政策研究大学院大学 教授
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分析・考察

日本の低成長・所得伸び悩みの原因として他の方々の指摘に歴史的要因と政治構造的要因を加えたい。

歴史的遠因としては85年のプラザ合意以降のバブルと崩壊、その後の金融不況、デフレがある。不況・デフレは財政赤字を悪化させ、財政支出組み替えによる、職業訓練などの現役世代向け社会保障の充実や科学技術研究関連予算などの投資予算の増額を困難にした。
政治構造的要因としては、日本の国会は一部利益集団が新規の政策立案を阻止することを容易にする仕組みになっており、このため、成長につながる様々な規制緩和が困難になっている。

また国政選挙の頻度が諸外国に比べあまりにも多く、税制改革や社会保障制度改革を困難にしている。

2022年1月1日 17:40 (2022年1月1日 22:38更新)

永浜利広のアバター
永浜利広
第一生命経済研究所 首席エコノミスト
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別の視点

日本経済はかねてから総需要の低迷から生じる低インフレ・低成長の問題を抱えており、コロナ化はそれをさらに悪化させ、回復には他国よりも時間がかかっています。

このため、政府は効果的な需要喚起策を実現して、マイルドなインフレを目指すことを明確にする必要があり、そのために財政収支改善のペースを落としてでも、効果的な財政政策で総需要とインフレを後押しすることを優先すべきでしょう。

2022年1月1日 15:23

岩間陽子のアバター
岩間陽子
政策研究大学院大学 政策研究科 教授
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ひとこと解説

日本はいろんな面で、アングロサクソンの自由主義と北欧系の保障政策がごった煮になっているのですが、北欧系のセキュリティーを実現するためには、税制改革も必要です。

北欧諸国では軒並み間接税は20%以上です。それを自分たちの住みたい社会を維持するコストとして受け入れるだけの社会的コンセンサス形成が必要です。

いいとこどりのばら撒き政策で将来世代につけを回すのではなく、コストとベネフィットをきちんと議論して、パッケージとして国民の合意を促していく政治過程を望みます。

2022年1月1日 12:27

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白井さゆり
慶應義塾大学総合政策学部 教授
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今後の展望

世界では感染症、気候変動、格差、インフレ、高齢化、債務拡大など沢山の課題を抱え、経済構造は大きく変化している。

そのため経済政策もフレキシビリティが重要になっている。従来の考え方にこだわり過ぎて根本的な変化をとらえきれない政策では民間活動を下押しすることになりかねない。

今後の世界で重要になる政策は、「財政政策」では気候変動・環境に対応する税・補助金体系・公共投資・環境債の発行、およびコロナ危機のような危機時に迅速に発動できるターゲットを絞ったデジタル型の給付であろう。

「金融政策」では物価安定化のもとで気候変動対応とサステナブル市場の拡大のために中央銀行として最大限努力していくべきでしょう。

2022年1月1日 11:39

室橋祐貴のアバター
室橋祐貴
日本若者協議会 代表理事
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分析・考察

「フレキシキュリティ」の特徴としては、柔軟な労働市場(低水準の雇用保護)、包括的な社会保障制度(寛大で高水準の所得保障)、そして積極的労働市場政策(職業訓練と再教育)という三つの要素の積極的な相互関係、「ゴールデン・トライアングル」にあると言われています。

端的に言うと、経営者が被雇用者を解雇しやすく、競争力を失った企業は守らないが、失職者には生活保障の上で多種多様なタイプの職業訓練などを用意し、次の職に移れるよう手厚く支援するというものです。

これが日本で受け入れられるかは、財源はもとより、一定の「失業」と「倒産」を認められるか、一時的な失業率や企業倒産数で一喜一憂しないのがキーでしょうか。

2022年1月1日 11:52 』

人民元、21年も上昇 輸出拡大、投資流入で―中国

人民元、21年も上昇 輸出拡大、投資流入で―中国
https://www.jiji.com/jc/article?k=2021123100351&g=int

『【上海時事】2021年の中国人民元の対ドル相場は、好調な輸出や投資流入に支えられ、2年連続で上昇した。31日は大方の取引が終わる午後4時半時点で1ドル=6.3730元と、前年末比2.6%高の水準。中国株価も続伸し、代表的な株価指数の上海総合指数は同4.8%高で年内最後の取引を終えた。

テスラ、中国でも20万台リコール

 世界経済が新型コロナウイルスの打撃から立ち直る中、中国の輸出は好調な外需に支えられ、20年10月から2桁の伸びが続く。海外投資家の間では高利回りの中国国債も人気で、人民元は21年12月、3年7カ月ぶりの高値を記録した。

 ただ、中国の金融当局は急激な元高が輸出企業の経営を圧迫する事態を警戒。脱コロナに向かう主要国で巣ごもり需要が落ち込み、中国からの輸入品に対する購買意欲が低下する可能性も指摘される。「人民元相場は今がピークだ」との見方は増えている。

 厳しいコロナ対策が続く中国では、個人消費など内需が低迷。巨額債務を抱えた不動産大手の経営破綻も相次ぎ、景気の先行きに不透明感が強まっている。当局は12月、1年8カ月ぶりの利下げに踏み切った。

 22年は米連邦準備制度理事会(FRB)による利上げも予想され、市場では「中国からの資本流出や元安の圧力が高まる」(邦銀筋)との声が聞かれる。 』

テスラ、中国で20万台リコール 米でも47万台超

テスラ、中国で20万台リコール 米でも47万台超
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN3049T0Q1A231C2000000/

『【シリコンバレー=白石武志】米運輸省高速道路交通安全局(NHTSA)は12月30日、電気自動車(EV)大手の米テスラが小型車「モデル3」と高級セダン「モデルS」のトランク開閉に関連する不具合に対処するため計47万台超をリコール(回収・無償修理)すると発表した。同社が一度に実施するリコールとしては過去最大で、2020年の年間世界販売台数に匹敵する規模となる。同31日には中国の当局も同じ2車種で計約20万台のリコールをテスラが届け出たと発表した。

【関連記事】
・テスラ、画面不具合で13.5万台リコール
・米当局、テスラの運転支援システムを正式調査

米国でのリコール対象台数の内訳は17~20年式のモデル3が35万6309台、14~21年式のモデルSが11万9009台。NHTSAは不具合に関連する衝突や負傷、死亡事故をテスラは認識していないと説明している。

理由は車種によって異なる。モデル3については後方トランクの開閉によってケーブルが損傷し、運転席のディスプレーに後方カメラの画像が表示されない可能性がある。モデルSでは前方トランクの掛けがねに不具合があり、走行中にフードが警告なしに開いて運転手の視界を妨げ、衝突の危険性を高めるおそれがある。

中国の国家市場監督管理総局も31日、同じモデル3とモデルSについて、テスラが計約20万台のリコールを届け出たと発表した。中国で生産されたモデル3の約14万4000台に加え、輸入したモデル3とモデルSが約5万5000台にのぼる。』

マスク氏、テスラ株売却手続き完了 1.8兆円相当

マスク氏、テスラ株売却手続き完了 1.8兆円相当
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN3004Z0Q1A231C2000000/

 ※ 事前に、「リコール」の情報を得ていたものか…。

『【シリコンバレー=白石武志】ロイター通信は29日、米テスラのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)が11月上旬に表明した自ら保有するテスラ株の約10%分の売却手続きが完了したと報じた。ストックオプション(新株予約権)の行使に伴う納税義務などを果たすための措置で、売却額は計160億ドル(約1兆8000億円)超に達した。

【関連記事】
・マスク氏、テスラ株一部売却提案「Twitter投票で決定」
・マスク氏、テスラ株揺らす Twitterで2.2兆円分売却問う
・テスラCEO「21年の納税額1.2兆円」 米国で過去最大か

マスク氏はインサイダー取引を回避するためのルールに沿ったテスラ株の取引計画を9月に策定。11月上旬から段階的にストックオプションの行使とテスラ株の売却を繰り返してきた。12月28日に最後の部分の取引を終え、同日付の米証券当局への届け出で「取引計画が完了した」と明らかにした。

期間中に約2280万株相当のストックオプションを株式に転換する一方、源泉徴収義務などを果たすために約1570万株のテスラ株を売却した。QUICK・ファクトセットによると11月上旬時点で17.22%だったマスク氏の出資比率は足元では17.63%に高まった。

マスク氏は11月6日、自ら保有するテスラ株の10%分を売却するかどうかをツイッター上の投票によって決めると表明。1日で約350万票の投票を集め、売却への賛成が多数だったことから11月8日から段階的に株式を放出してきた。

当初は株式を売ってでも納税すべきかどうかの判断をツイッター上の「民意」に委ねると説明していたが、マスク氏は後に米メディアとのインタビューのなかで22年に失効することになっていたストックオプションを行使するために必要な株式売却だったと明らかにしている。

マスク氏は9月に策定した取引計画の完了をもって保有株の売却も打ち止めにする方針を示しているが、これまでに売却した株式数は11月上旬時点の保有株式数の9.2%にとどまる。厳密にはツイッター上で「公約」していた10%分には達していないが、今後の追加売却の可能性についてテスラ側の見解は得られていない。

現役CEOによる大量の株式放出は、21年夏以降、ほぼ一本調子で上昇基調を維持していたテスラ株の値動きにも影響を与えた。12月29日のテスラ株の終値は1086ドル19セントと、マスク氏が株式売却を提案する直前の11月5日の終値に比べ10%超低い水準だ。

マスク氏はテスラの株価上昇によって21年に「世界一の金持ち」になったが、一部の米議員からは資産規模に応じた税金を負担していないとの批判を浴びている。同氏はストックオプションの行使などに伴って21年の自らの納税額が110億ドルを超え、単年の個人の納税額として米国で過去最大になると反論している。

多様な観点からニュースを考える

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白井さゆり
慶應義塾大学総合政策学部 教授
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ひとこと解説

米国の資産格差は非常に大きい。

富裕層は節税手段も多く十分納税をしていないとの不満が高まっている。

このためウォーレン民主党上院議員らが今年10月に株式保有の評価益に課税する富裕税を導入し教育・低所得者支援などのバイデン政権の歳出拡大案の財源に充てる提案をしたが一部民主党上院議員の反対で実現しなかった。

同法案に世界トップの純資産をもつテスラのマスク氏は反対したが、投資家のソロス氏は支持を表明した。

今年1月に世界食糧計画事務局長のビーズリー氏がマスク氏のごく一部の資産を寄付してくれれば世界の飢饉を解決できると訴えたが、富裕層のSDGsなど世界的課題に対する貢献が増えていくことを強く期待したい。

2021年12月30日 11:51 (2021年12月30日 14:04更新)』

米失業保険申請、19万8000件 3週ぶり減少

米失業保険申請、19万8000件 3週ぶり減少
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN304440Q1A231C2000000/

『【ワシントン=長沼亜紀】米労働省が30日発表した失業保険統計(季節調整済み)によると、19~25日の週間の新規失業保険申請件数は19万8000件で、前週の改定値から8000件減った。3週ぶりの減少で、約52年ぶりの低水準となった12月上旬の水準(18万8000件)に近づいた。

ダウ・ジョーンズまとめの市場予測(20万5000件程度)を下回った。足元で新型コロナウイルス感染が再び急増しており、経済への影響が出始めているが、今のところ解雇増加にはつながっていないことを示した。

総受給者数は12~18日の週は171万6000人で前週の改定値から14万人減った。3週連続の減少で、コロナ感染が本格化した2020年3月以来の低水準となった。』