リーマン・ショックの時、中国は世界を救った?

https://www.mizuho-ri.co.jp/publication/research/pdf/asia-insight/asia-insight090105.pdf

『胡錦溝主席のG20及びAPEC出席を間近に控えた(2008年)11月9日、中国政府は、GDPの十数%に相当する事業総額『4兆元(57兆円 ※ 四捨五入して、「60兆円」と言われることが多い))』の経済対策を実施すると発表した。 その内容は、当初、主な事業分野と、各事業分野に対する方針しか決まっていなかったが、その後、事業を実施する政府各機関・各地方政府が競って具体的な事業を提案。
さらに、11月27日、取りまとめ役である国家発展改革委員会が各事業分野の大枠を発表し、実施への準備を進めている。一方、経済成長見通し等、どのような効果があるのかという評価については、漠然としたままで、また、財源の見通しについても、中央政府が1.18兆元を支出するということ以外、はっきりとしたことは示されていない。本稿は、この経済対策の背景、内容、効果を考察するものである。』という、みずほ総合研究所の「アジア調査部 中国室」ってとこが出したレポートだ。

6大用途
6大用途

10大措置
10大措置

公共投資の内訳
公共投資の内訳

見るからに不動産に偏ってて、しかも「都市のみ」かよ…って感じもするよな。

それで、肝心の効果のほどなんだが、様々なシミュレーションの結果が示されており、まあまあ一定の効果を上げるだろう…、という分析がなされている。

公共投資の動向
公共投資の動向

公共投資のシミュレーション
公共投資のシミュレーション

効果のシミュレーション
効果のシミュレーション

こんな風に中国は、リーマン・ショックの時に巨額の公共投資を実行して、世界経済の落ち込みをカバーしてくれたんだよ。
しかし、その時に巨大な生産設備を抱え込むことになり、今に通じる「過剰生産」の問題を抱え込むことになった…。
「一帯一路」は、その救済策という側面もあるんだよ。
しかし、中国以外の国からしたら、「非常時には、非常の策も認められるが、そろそろ平常に戻って来たろう。そろそろ、風呂敷を畳んで、平常運転に戻ってくれ。」という話しだろうよ。

これは、「アベノミクス」にも言えることだ。「いい加減、3.11の傷も癒えてきたんでは…。そろそろ、平常運転に戻ってくれ。」とあちこちで言われてるんじゃないのか?

そういう意味でも、安倍訪中は注目だ。どちらも非常時の策を実行して、「平常運転に戻れよな。」と言われてる者同士の会談だからな。

まあ、2020年に「東京オリ・パラ」があり、2022年に「石家荘(北京郊外)冬季五輪」があるんで、その頃までは、何とか景気も持つだろうと言われている。問題は、その後だ…。
特に日本は、来年消費税10%上げが控えているから、景気の腰折れが心配だ…。

国際金融のトリレンマの話し

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https://www.bing.com/images/search?q=%E5%9B%BD%E9%9A%9B%E9%87%91%E8%9E%8D%e3%80%80%E3%83%88%E3%83%AA%E3%83%AC%E3%83%B3%E3%83%9E&FORM=HDRSC2

こういう国際的な「マネー」の問題を考えるとき、絶対押さえておかなければならないのは、「国際金融のトリレンマ」理論だ。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9B%BD%E9%9A%9B%E9%87%91%E8%9E%8D%E3%81%AE%E3%83%88%E3%83%AA%E3%83%AC%E3%83%B3%E3%83%9E
『以下の3つの政策は同時に実現することができず、同時に2つしか実現できない 。
・自由な資本移動
・為替相場の安定(固定相場制)
・独立した金融政策』
つまり、
『固定相場制で自由な資本移動を実現すると、固定相場の対象としている国の金融政策に合わせる必要が生じるため独立した金融政策が行えなくなる(※ 資本は、金利の高い国に移動するんで、それを阻止するためには、こっちも金利を上げる必要に迫られる、って話し)。
逆に固定相場制で独立した金融政策を実現すると、自国の金融政策を拘束することになる外国との自由な資本移動は行えなくなる(※ 景気を刺激しようとして、自国の都合で金利を下げると、それを嫌って資本は他国に逃げ出す、って話し)。したがって先進国では、独立した金融政策と自由な資本移動を実現するために固定相場制を放棄することとなっていった』。
『たとえば、中国においては「為替の安定(管理フロート制)」、「中央銀行(中国人民銀行)による金融政策の自由度」を確保するかわりに外国との資本移動に制限を加えてきた。
日本やアメリカ合衆国では「自由な資本移動」と「中銀(日本銀行・FRB)による独立した金融政策」のかわりに為替の安定を表向き放棄している(変動相場制)。
一方、EU(ユーロ圏)においては「資本移動(国境・関税などの経済的障壁の撤廃)」と「単一通貨(ユーロ)の流通(複数国による固定相場制導入と事実上同義)」を両立させているが、金融政策は欧州中央銀行(ECB)に握られており、加盟各国が個別の政策を採ることはできない。』
『しかし、景気対策の手段として有効な金融政策の柔軟性を放棄するのは得策ではなく(※ 「リーマン・ショック」みたいな経済環境の激変が起こった時、すばやく金利を下げて(金融緩和して)大量の「マネー」を市場に流し込んで、事態の沈静化を図ったりする必要がある)、また経済のグローバル化が進む今日、資本移動を制限するのも現実的ではない。よって先進国においては3要素の中で、最も重要性の低い為替安定を断念する流れが比較的強まっている(ただし変動相場を採用しても、為替介入を行って事実上の為替安定を維持しようと動く国も多いー※ 例えば、K国とかな。トランプが、たびたび「為替操作国」に言及するのは、こういう背景がある)。』
『実際、中央銀行がなく各国で独自の金融政策がとれないユーロ圏諸国では、自国の景気対策のために金融的手段を用いることができず、専ら政府による財政出動に頼らざるをえないため、2008年のリーマン・ショック以降の世界的な景気後退に対して特に欧州諸国の財政が急激に悪化。ギリシャ経済危機をはじめとする南欧各国の経済危機を招き、ユーロ自体の信認も低下する事態となった。』
『一方、中国も国外資本の流入促進を加速させるため人民元の国際化を進めざるを得ず、中国人民銀行は2005年に管理フロート・通貨バスケット制への移行を表明。2007年からは人民元を対ドルレート変動を前日比0.5%に制限しつつ、容認する方針に変換し(人民元改革を参照)、これは事実上の変動相場制への移行と受け止められた。ただしその後も急激な元高を嫌う中国当局は(※ 中国経済の生命線は、対米輸出による対米貿易黒字だ。それを維持するためには、元安・ドル高に誘導する必要がある)、対ドルレートの維持を目的に莫大な米国債の購入などによる為替介入を続けたため、外貨準備が急激に膨張。2006年には日本(8,500億ドル)を超えて外貨準備額が世界一となる。その後も膨張を続け、2011年には3.2兆ドルもの巨額に達し、人民銀行の周小川総裁(※ 現在は、「易綱」って人に変わってる)が懸念を表明するなど、為替安定を維持するのが困難となっている。』

この文脈で「アベノミクス」を分析すればだ、形を変えた「円安政策」と評価できる。日銀の「異次元緩和」で大量に「円」を市場に流し、円の価値を下げて、大企業(大部分が輸出で稼いでる企業だ)の企業活動を側面から(為替の面から)援護した訳だ。
それが奏功し、企業業績は上昇、日経平均は上昇、雇用情勢は上向き(そのお陰で、お前らも内定まあまあスンナリ取れたろ? これがリーマン・ショック後のときは、まさに「就職氷河期」でひどかった…)。後は、消費の盛り上がりを残すのみ…、というところまでやっとこぎつけたんだよ。
もちろん、そういうことをやるに当たっては、国際的な各方面に説明・根回ししたんだろう…。そういう交渉力が、まさに「外交力」な訳だ。
3.11からの復興ということも「錦の御旗」になったんだと思う。あれだけの大災害だったし、惨状は、世界に発信されたからな…。
おそらく、「回復した暁には、世界経済に必ずや貢献致します。」てな約束をしてると思う。
だから、来年の「消費税10%上げ」の確率は、相当高いとオレは見てる…。

上記Wikiの後半部分は、『世界経済の政治的トリレンマ
この国際金融のトリレンマに類似のものとして、「世界経済の政治的トリレンマ」という仮説が、ハーバード大学教授、ダニ・ロドリックによって2007年頃から提唱されている』というものになってる。
こっちのほうは、自分で読んで考えてみて…。

リーマン・ショックからもう10年か…  (その2)

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それで、この新金融商品を購入した人々(名だたる金融のプロも含まれてる)が、     なんで信用できるものだと判断したのかということを、検討してみようと思う。
その前提として、この新金融商品はどんな仕組みのものなのか、ということから検討しようと思う。
春山さんの本とか、サブプライムローン問題の解説とかで、よく出てくる用語から検討する。
、まず、MBSだ。Mortgage-backed securities のことだ。「不動産担保証券」と訳されている。Mortgage(モーゲージ)とは、抵当(もしくは、抵当権)のことだ。securitiesは、(複数形で)「有価証券」のこと。まあ、直訳すると、「抵当(もしくは、抵当権で)裏打ちされた有価証券」ってな感じのものだ。
この上位概念が、ABSで、Asset Backed Security の略称だ。「Asset」は、「資産」のこと。直訳すると、「資産で裏打ちされた証券」って感じか?「資産担保証券」と訳されている。
「証券」って何?って疑問も生じるだろうが、ちゃんとした定義は当然ある(法律用語として)が、まあ一般人的には、「いついつまでに、一定の行為を致します」という契約上の債務を「紙(証券)」に表章してる(その証券を呈示すると、四の五の言わずに履行してくれる)モン程度で、OKだ。
一定の金銭の支払い債務を表章してるモンが殆んどだが、「船荷証券」とか、「貨物証券」とか一定の「物」の引き渡し債務を表章してるモンもあるんだよ。
昔は、媒体が紙しかなかったが、今時はみんな「電子データ」化されている。それでも、用語としては「証券」だ。
「債権・債務」のところで検討したように、契約上の債務は、契約を交わした人が履行してくれるかどうかにかかっている。
それだと、履行の実効性の担保が弱いんで、いろんな形でその履行の実効性の担保を図るんだよ。それが、Asset Backedであり、Mortgage-backedであるって話しだ。
、次は、CDO。Collateralized Debt Obligation(コラテラライズド デット オブリゲーション)の略だ。Collateralizedは「裏打ちされた」、Debtは「債務」、Obligationは「証券」だ。
直訳すると、「債務で裏打ちされた証券」って感じか?「債務担保証券」と訳されている。
※ なお、日本語訳だと、どっちも「裏打ち」だが、BackedとCollateralizedは、当然ニュアンスの違いがあるんだろう。
また、同じく「証券」だが、SecurityとObligationにも、ニュアンスの違いがあるんだろう。(Obligationは、「約束したので、履行を強制される」というニュアンスがあるらしい…)。
しかし、別に「渉外弁護士」として外国人との契約の作成業務を行おうというものでもないから、一般素人が気にすることではなかろうよ…。
このCDOが、今回のサブプライムローン問題の主役だ。語の定義からして、「債務を債務で裏打ちして、履行の実効性が上がるのか? 」という点が疑問になるところだよな。
今回、Wikiで調べて分かったんだが、本来は「国や企業に対する貸付債権や公社債といった大口金銭債権を裏付資産とするもの」であったようだ。それが、選りにも選って「サブプライムローン債務」なんかで裏打ちして、それをまた、何で名だたる金融のプロ達がホイホイ購入したのか?
そこに、この問題の核心がある。
、そこで、いよいよ「騙し(表現を和らげれば、説得)」の手口・お膳立ての説明だ。
、「プライム」と「サブ・プライム」を混ぜて、新「証券」を作り出すんだが、その混ぜ方は「金融工学」を適用して、充分にリスク管理がなされている、と説明する。
オレが見たNHKの番組では、コリアン系のアメリカ人が出てきて、「ほら、流体力学の応用ですよ。こうやって、何種類かの液体を混ぜて、かき混ぜれば、いろいろな濃淡のある液体を、自在に作り出すことができるでしょ? 」とか、のたまってたよ…。

CDO仕組み2

※ 「ハンバーグ」、上手い表現だ。
サブ・プライムのハンバーグ

、その「金融工学」は、かのノーベル経済学賞を受賞した経済学者が発明したものだと、権威付けする。
実際、『スタンフォード大学教授だったマイロン・ショールズ氏と、ハーバード大学教授だったロバート・マートン氏という2人の経済学者が金融デリバティブの理論を解明し、デリバティブの評価基準を作り出した功績で、この功績が認められてショールズとこの方程式の厳密な定式化に成功したマートンは1997年のノーベル経済学賞を受賞した(ブラックは残念ながら2年前に病死していて賞の中には入っていない)。』という事実がある。
※ 画像元のサイトです。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%96%E3%83%A9%E3%83%83%E3%82%AF%E2%80%93%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%82%BA%E6%96%B9%E7%A8%8B%E5%BC%8F

ブラックショールズ式
ブラックショールズ式

ブラックショールズ式の解
ブラックショールズ式の解

※ しかし、『このブラック・ショールズ方程式はceteris paribus (セテリスパリブス). 「他の条件が等しいならば」という「与件」(上記でいう「完全市場」の前提のもとに「外部不経済=市場経済の不確実性」を排除したところに構築されたものであったためマイロン・ショールズとロバート・マートンが取締役会に加わっていたロングタームキャピタルマネジメント(略称:LTCM)による「ドリームチームの運用」は1997年に発生したアジア通貨危機と、その煽りを受けて1998年に発生したロシア財政危機によるデフォルト(債務不履行)を機に急速に破たんすることとなりました。』という不都合な真実もあるのだが、そっちのほうは、黙ってて、言わない。

、さらに、箔をつけるために、外部の「格付け会社」を利用する。
格付け会社が格付けした「AAA」」とか、「AAB」とかいう記号は、その格付け会社が国債や社債に対して付けたものと、表現としては同じ表現だったために、無意識に「同じような内容のもの」と認識してしまった。

格付け

、さらに、信用度を増すために、外部の保険会社に依頼して、一定の「保証」までつけて貰った…。

保険会社の保証

まあ、お膳立ては完全に揃ってる感じだよな。上記の詳しい説明は、A4用紙で500ページにもなったそうだ…。
それで、そういうオイシイ話し(ノーベル経済学賞の裏付けがあるローリスクで、ハイリターンな画期的な新金融商品)にみんな騙されて(または、説得されて)、全世界の金融機関がジャンジャン争って購入した訳だよ。

サブ・プライムローンの割合・推移グラフ

しかし、上記の話しには、ど素人のオレが考えても、様々な疑問点・問題点がある。
、「流体力学の応用」で、様々な濃淡のある液体を作り出す話しについての疑問:
そりゃ、「液体」だったら「流体力学」が適用できるだろう。
「液体」は、その性質が一定で、物理法則にいつでも従うからな。
しかし、債権・債務は、そうはいかんだろ。
人の財産状況や、その人の性質(律儀な性格か、いい加減な性格か)にも掛かるからな。
また、その時々の経済状況によって左右される。また、いつ何時病気になったりするかもしれん…。明日をも知れないのが、人の人生だよ…。
、「金融工学」についての疑問:
確率を関数的にとらえるって話しだが、様々な前提条件があっての話しのようだ。
実際に、ロングタームキャピタルマネジメント(略称:LTCM)は破綻している。
この手の理論は、所詮は机上の空論が多いんだよ。
経済学者で金持ちになった人は、いないって話しだ。
、格付け会社の格付けに対する疑問:
国債や社債の場合は、国家や会社がキチンと「財務諸表」を作成して、財産状況を公開してる。代表的な「財務諸表」が、「貸借対照表」と「損益計算書」だ。
「貸借対照表」で「資産」と「債務」を把握し、「損益計算書」で当期の「経費」と「利益」を把握している。
しかし、個人がこんなものを作成しているか? まあ、自営業だったら自分で帳簿を作成してるかもしれんが、せいぜいが家計簿くらいのモンだろ。
それで、どうやって「信用リスク」を格付けするんだ?
だから、彼らがやった手法は、「統計的にリスクを把握する」って手法だ。
要するに、一定期間に支払いを延滞したことがどれくらいあるかっていう指標だ。
しかし、例えば「5年間で、延滞回数が1回」と「5年間で、延滞回数が5回」の人がいたとする。前者よりも、後者が5倍リスクが高いと言えるか?
そうはいかんだろ。なぜなら、経済状況を考慮してないからだ。
特に、住宅ローンの場合は、住宅市場の推移の状況が大きくかかわってくる。これが右肩上がりの時は、リスクが低いが、住宅市場が悪化した場合、一気にリスクが高まる。
そういう事態の変化に、対応できてるのか?

米国個人債務の延滞率

、保険会社の「保証」についての疑問:
保険会社の財務は、大丈夫なのか? その保険会社は、まさかこの新金融商品を買ったりしてはいないんだろうな?
(実際には、購入していてAIG保険とかは、破綻した)

まあ、そんな訳で、右肩上がりの住宅市場は、いつまでも続かず、警鐘を鳴らす記事もチラホラ見られるようになり、疑念が生じて一気に流動性を失いました…。みんな投げ売りするようになり、値段もつかないような状況になりました…。
そういう話しだよ。

米住宅市場の推移

最後に、購入した金融機関がどれだけの額を買って、受けた傷がどれだけ深かったのかを見ておこう。

買った金融機関・イラスト

米系金融のサブ・プライム関連累積損失

リーマン・ショックからもう10年か…

『難問残すリーマン・ショック10年 双日総合研究所チーフエコノミスト・吉崎達彦』
http://www.sankei.com/economy/news/180831/ecn1808310006-n1.html

もう最近では、話題にするヒトも、世間に流通してる記事も殆んど無くなった感じだな…。
前にも紹介したが、当時は
・『サブプライム問題とは何か アメリカ帝国の終焉 (宝島社新書 254)』(春山
昇華)( https://www.amazon.co.jp/%E3%82%B5%E3%83%96%E3%83%97%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%A0%E5%95%8F%E9%A1%8C%E3%81%A8%E3%81%AF%E4%BD%95%E3%81%8B-%E3%82%A2%E3%83%A1%E3%83%AA%E3%82%AB%E5%B8%9D%E5%9B%BD%E3%81%AE%E7%B5%82%E7%84%89-%E5%AE%9D%E5%B3%B6%E7%A4%BE%E6%96%B0%E6%9B%B8-254-%E6%98%A5%E5%B1%B1/dp/4796661557/ref=asap_bc?ie=UTF8

・『サブプライム問題の正しい考え方 (中公新書)』( https://honto.jp/netstore/pd-book_02999398.html
)※ 「現在、お取扱いできません」になってる。
、の2冊で事態の把握に努めたんだよ。

そういう乏しい学習成果だが、なにがしかの教訓にはなるだろうから、ざっとまとめておこうと思う。

、まず、「サブプライムローン」って何? 、って話しからだ。
「プライム・ローン」ってのが、最上級の銀行(金融機関)ローンで、「プライム」とは「優良の」という意味だ。貸す相手の「信用度」が高く(取りっぱぐれのリスクが低く)、金融機関としては低い金利で貸し出してるものだ。
「サブ・プライム」とは、語義は「プライムに次ぐもの(サブ)」という意味なんだが、有り体に言えば、「プライム以外の、信用度の低いローン」っていう分類だ。貸す相手の「信用度」が低く(取りっぱぐれのリスクが高く)、金融機関としては高い金利で貸し出さざるを得ないものだ。
日本で言えば、「プライム」が充分な不動産なんかの担保を取ってる「住宅ローン」で、「サブ・プライム」が担保無しで貸す銀行ローンや消費者金融(いわゆる、サラ金。果ては、「闇金」)みたいなモン、って感じか?
、ここまでの話しでは、特に問題はない…。貸す相手の信用度が高ければ、低い金利で貸し出し、低ければ高い金利で貸し出す…。金融の常道の話しで、ごくごくフツーの話しだ。
問題だったのは、この「プライム」と「サブ・プライム」を混ぜて(混合して)、新たな金融商品(と、称するものを)を作り出したことだ。そして、それを大量に売った…。全世界にバラ撒いた…。世界の名だたる金融機関が、その新商品(と、称するものを)大量に購入して、自己の「貸借対照表」の「資産」の部に計上した…。
最初のうちは、購入した金融機関は、ウハウハだった…。何しろ、他の金融商品よりも利率が高かったからな…。決算も、「最高益」をたたき出し、CEOは十億円以上の報酬を受け取ったり、経営手腕を褒めたたえられたりした…。
、しかーし、そういうことは長くは続かない。ある時を境に、その新商品の資産としての価値に疑念が生じた…。あれほど囃し立てもてはやしていたのに、批判的な記事がちらほら見られるようになった…。
そして、一気に流動性を失った。誰も買ってくれなくなったんだよ…。買い手のつかない資産に、価値は存在しない…。
巨額のこの新金融商品を抱えた金融機関は、それまでの会計基準(「流動資産(債券や株式なんかの、長期間保有する訳でない資産)」の評価基準は、ある程度「時価評価」を強制してる)をそのまま適用すると、巨額の損失を計上する事態になるんで、これを変更する(「時価評価」を凍結・猶予する)ことまでやって、金融ショックを防止したりしたんだよ。
その金融機関の苦境の象徴が、当時全米第4位の投資銀行(まあ、日本だと証券会社みたいなモンか…。ただ、日本の場合は、一般国民保護の名目で、相当行政が監視・活動規制するんだが、アメリカだと全部自己責任ってことで、リスクを取れる範囲が違ってるんだろうだがな…。)だった「リーマンブラザーズ」が破綻した…、って訳だ。
※ 以下、全ての画像元のサイトです。
https://www.bing.com/images/search?q=リーマン・ショック&FORM=HDRSC2

看板はずし2

、そのことは、全世界の金融機関に波及した…。お互いに、「お前んとこは、大丈夫だろうな…。」「お前んとここそ、大丈夫だろうな…。」って疑心暗鬼になって、金融機関同士でもお金の貸し借りがスムーズに行かなくなった…。
それで、「リーマン・ショック」と言ったりするんだよ。
、金融ショックの怖いところは、必ず「実体経済」に波及するところだ。
日本だと、「金融機関に、公的資金を注入する。」と言うと、必ず「国民の税金で銀行を救済するのか! 銀行員は、高い給料・ボーナスを、ずっと貰い続けてきたろう? そいつらを、なんで税金で救済する必要がある!」とか言い出す人がいる。しかし、長引けば長引くほど実体経済が悪化するんだよ。
、まず、銀行は金を貸さなく(貸せなく)なる。いわゆる、「貸し渋り」だ。
、次に、銀行は融資の「借り換え」に応じなくなる。
通常、中小企業なんかは、事業の運転資金(原材料の購入、従業員への給料の支払いなんかに当てる資金)を金融機関から借りてる。もちろん、一定の利息を支払ってだ。
銀行側としても、キチンと利息の支払いがなされていれば、「優良債権」に分類できるし、融資先としての評価もAランクだから、融資したものの支払い期限が到来しても、新たな貸し付けを行って、「返済がなされた」という処理をして行く訳だ。
しかし、「銀行の融資方針が、変更になりました。新たに融資を行うには、融資した額の10%の返済を要することになりました。」とか、いきなり言われても困るだろ…。1億も借りてたら、1000万どっかから調達しなければならん、という話になる…。どこも貸してはくれなくて、泣く泣く闇金に手を出した…、なんてことにもなりかねない話しだ。
、さらには、銀行は貸した金を取り立てるようになる(いわゆる、「貸しはがし」だ)。上の例は、「10%返してくれ。」だったが、これが「全額、耳を揃えて返してくれ。」だったらどうだ?(別に、法律的には、違法な話しではない。)中には、首をくくらなければならない事態も起こり得る話しだろ?

まず、株価が急落する。
日米共に、急落して、阿鼻叫喚の事態だった。
NY市場の様子

号外2

日米欧の株価の推移・比較

大体、こういう金融危機が生じた時は、資産価格の下落(まず、株。徐々に、土地やマンション価格なんかに波及する)→ 企業業績の悪化 → 雇用の悪化 → 消費の悪化…という順番で悪化していくモンなんだよ。
そして、それぞれの価格の低迷が長く続くのが特徴だ。

日経平均の推移・06から14まで
日経平均の推移・06から14まで

土地価格の推移
土地価格の推移

分譲マンション着工件数の推移
分譲マンション着工件数の推移

企業の損益率の推移
企業の損益率の推移

中小企業向け貸し付けと資金繰りDIの推移
中小企業向け貸し付けと資金繰りDIの推移

有効求人倍率の推移
有効求人倍率の推移

個人消費の推移
個人消費の推移

こうなってくると、経済活動の三主体ー国・企業・個人が全滅になるから、手の施しようが無くなる…。
各企業は、生き残りをかけて「人減らし」に走るから、契約社員なんかバンバン雇い止めすることになる。契約を更新してもらえなかった人が、3時間くらいもテクテク歩いて、「正月テント村」の無料の炊き出しに群がった…なんて、覚えていないか?

社会的セーフティーネットの機能不全
社会的セーフティーネットの機能不全

企業活動全般が低調になるから、いろんな物(特に、資源)の価格が低迷する。そして、そのことが資源国(大体が途上国だ)の経済の低迷を招く。

国際商品価格の推移
国際商品価格の推移

株価・原油価格・為替の推移
株価・原油価格・為替の推移

だから、金融危機が生じた時は、傷口が広がらないうちに政策を総動員して、事態の沈静化を図るのがベストの対策なんだよ。
リーマン・ショックの時も、EUではECB(ユーロの発行主体)が、アメリカではFRB(ドルの発行主体)が中心になって、強力な金融緩和を行って、事態の沈静化を図ったんだよ。
これは、両者ともに、日本の「バブル崩壊」の時の事例を、充分に検討・研究済みだったから、という話しだ。
日本では、金融機関はそれほど傷を受けなかったと言われている。その理由は、各金融機関がバブル崩壊後の公的資金注入なんかの影響で、金融庁(2000年に成立だ)が各金融機関を指導・監督中だったから…、と言われている。「サブ・プライムローンとか、怪しげな金融商品などは、購入していませんね?」「はい、購入してございません…。」という話しだ…。
それでも、どっかの有名私立大学(F澤Y吉にゆかりが深いヤツ)の資産運用担当の業務執行理事が、巨額の損失を出して辞任したり、企業年金の資産運用で失敗して巨額の損失を出したり、結構余波はあったんだよ。

邦銀の傷は、浅かった
邦銀の傷は限定的

まあ、事態の推移は、ざっとこんな感じだ。
次回は、「人々(それぞれ、金融のプロだ)が、なぜこの新金融商品が信用できるものだと判断したのか? 」という核心部分(ある意味「騙し」の仕掛け・手口)を、検討する予定だ。
「シーレーン」の話しは、ちょっとお休みする。
構想では、「シーレーン」の話しに次いで、「ランド ・パワー」の検討をする予定だ。
さらには、「コンピューター関係」なるカテゴリーを作って、「CPUは、どういうことをしているのか」「AIは、どういうことをやっているのか」「GPUとAIの関係」「C言語と脆弱性(バッファー・オーバーラン)」「Windowsの歴史」なんてことを記述したいと考えている。
構想は雲が湧く如く生じて来るんだが、いかんせん記述が伴わない…。
まあ、脳のリハビリとお前への「遺言」代わりに始めたブログなんで、のんびりやって行くさ…。