改めて、プーチンがウクライナ侵略に狂った経緯をみる

北の国から猫と二人で想う事 livedoor版:改めて、プーチンがウクライナ侵略に狂った経緯をみる
https://nappi11.livedoor.blog/archives/5409133.html

『ウクライナに異常なまでの覚悟と執念を見せるプーチンの頭にある「完全体のロシア」とは一体何なのだろう?軍事侵攻が始まった2日後の2022年2月26日、そのヒントとなる、戦勝を祝う大本営発表文書がロシア国営通信から「誤配信」された。

「ロシアの侵攻と新世界の到来」(Наступление России и нового мира)と題されたその記事は、すぐに削除されたが、今もなおSNS上で拡散し続けている。参照翻訳記事 参照記事 以下は文書の概要。ウクライナ全土制圧が完了した前提で用意されていた、勝利宣言である。

071「新しい世界が目の前で生まれつつある。ロシアのウクライナでの軍事作戦は新しい時代を開いた(中略)ロシアは自身の一体性を回復しつつある──1991年の悲劇(ソ連崩壊)、我々の歴史における恐ろしい破局、その歴史の不自然な逸脱は克服されたのだ。、
、そう、大きな犠牲を払って、そう、実際の内戦という悲劇的な出来事を通して、、、

しかし、反ロシアとしてのウクライナは、もはや存在しない。ロシアは、ロシア世界、ロシア人、つまりヴェリコロス人(великороссов:Great Russians:モスクワを中心とする地域に分布)、ベラルーシ人、小ロシア人(筆者:Little Russians:ウクライナ、コサック人の蔑称で使われた事もある)の総体を一つにすることによって、その歴史的全体性を回復したのだ。

(左は帝政ロシア時代の国旗、ソ連崩壊後、1992年からのロシア国旗でもある) Novorossiya_2021_map_c_1参考:The nationalism in Putin’s Russia プーチン政権の帝国的ナショナリズムとロシア民族主義 *右の図は、2022年2月のウクライナ侵攻時、プーチンの構想したNovorossiya (Confederation 併合)=New Russiaを目指したとされる地域。クリミアはすでに2014年事実上併合済みで、東部では、ドネツク、ルハンスク州の一部2か所で親露派人民共和国が分離独立の闘争を今も継続しDonetsk People’s Republic (DPR) and the Luhansk People’s Republic (LPR)、今は露軍がその前線に居る。参照記事 参照記事

ウラジーミル・プーチン氏は、ウクライナの問題を後世に残さないという選択をしたことで、誇張なしに、歴史的な責任を負った、、

(それは)常に分裂した国家のコンプレックスであり、国家の屈辱のコンプレックスである。

ロシア家がまずその基礎の一部(キエフ)を失い、次に二つの国家の存在と折り合いをつけなければならなかったとき、もはや一つではなく、二つの民族の存在があった。

ウクライナを取り戻すこと、つまりロシアに戻すことは、10年を経るごとに難しくなっていくだろう。欧米によるウクライナの地政学的・軍事的支配が完全に固まれば、ロシアへの返還はまったく不可能となる–そのためには大西洋圏と戦わなければならない。今、この問題は解決した。ウクライナはロシアに戻ったのだ。」以上抜粋、編集
3b4c5b1-12putin、、、

あくまでも、ウクライナ全土制圧が成功した仮定で書かれたものだ。分かりにくい文章だが、簡単に言えば、プーチンは、ロシアが民族的、地政学的に分裂しているとの認識から、それが我慢できず、期を逸するとウクライナが欧米に完全に取り込まれてしまうと急いだ結果の侵略だった。

そこには独立国家ウクライナの主権や意思、国際法への尊重や配慮は全く無い。

すべては一方的なプーチンの偏狭な民族主義、復古主義、今の自分にしかできないという強迫観念、被害妄想から決断された侵略だった。

手こずった今は、目的遂行のために核使用までほのめかし、敢えて軍事的孤立を選択した。過去ブログ:2023年2月プーチンには最早、正常な歴史認識も無い  』

ロシアの原油の欧州における最良のバイヤーは、ブルガリアである。

ロシアの原油の欧州における最良のバイヤーは、ブルガリアである。
https://st2019.site/?p=20856

『Margarita Assenova 記者による2023-2-2記事「Bulgaria: Russian Oil and Perpetual Elections」。

   ロシアの原油の欧州における最良のバイヤーは、ブルガリアである。全世界でも、支那、インドに次ぐ量を買っている。すなわちトルコよりも多い。

 黒海の港「ブルガス」には、ロシア原油を精製する石油プラント。これを所有するのはロシア企業の「ルコイル」である。原油タンカーはノボロシスクからやってくる。処理能力は19万6000バレル/日。

 ブルガリアには選択肢は他にもあるのに、ロシアの工作員にすっかりやられていて、政府が動けない。
 すなわち、カザフスタン原油をカスピ海パイプラインでノボロシスクで積み取ることは可能なのである。同じくジョージア原油をスプサ港で積み取ることも。

 ようやく1月、暫定ブルガリア政権は、ギリシャとの間で、げんざい機能していない「ブルガス~アレクサンドロポリス」原油パイプラインの再建について相談する覚書を交わした。このパイプラインを使えばブルガリアは、トルコ海峡を迂回してギリシャ経由で原油を輸入できるようになる。

 その場合でも、露企業保有の精油所は問題だ。ドイツ政府はすでに、ロシアのロスネフト社がドイツ領内で保有していた精油プラントをドイツ政府の管轄下に置いた。それと同様の措置をブルガリア政府も早く取ることが西欧諸国から期待されている。

 しかしブルガリア国会内にロシアが操縦するロビイスト議員が多数混じっているため、話は前に進まぬ。

 ブルガリアは2022年のなかば、いちど、ロシア産の天然ガスの代金をルーブルで支払うことを拒否。そしたらプーチンがガスを止め、結果、内閣が崩壊してしまった。ポーランドは、同じ目に遭っても乗り切れているのだが、ブルガリアの政権は4党連立なので、外から揺さぶられると、はなはだ脆い。

 アゼルバイジャンおよび米国からガスを調達しようとした内閣は、ガスプロムの手先の国内企業によって倒壊させられた。

 また、ウクライナに、迂回的に武器と弾薬を提供しようとした内閣も、親露派の議員たちによって、やはり倒された。
 このように、めまぐるしく短命内閣が入れ替わってしまう。ブルガリアでは。

 現在、ロシアからの妨害にもかかわらず、ロシア原油を精製したガソリン、軽油(diesel oil)、エンジン潤滑油(motor oil)が、ブルガリアからウクライナへ有償で輸出されている。その額はブルガリア経済の1%を占める大きさ。
 ということはロシアは、「プライスキャップ」に加わる国へは原油は売らぬ、とイキリながら、淡々と、プライスキャップに加わっているブルガリアへ原油を届け続けているわけだ。

 とはいえ、ウクライナ軍の車両が、元をたどるとロシア原油を精製したブルガリア軽油だとプー之介が知ったら、どうなるだろうか。それは誰も知らない。』

ウクライナの歩兵が、対戦車擲弾をとっかえひっかえ、姿の見えない敵に向けて、無照準で無駄撃ちしている…。

ウクライナの歩兵が、対戦車擲弾をとっかえひっかえ、姿の見えない敵に向けて、無照準で無駄撃ちしている…。
https://st2019.site/?p=20856

『※ひどい動画を見た。ウクライナの歩兵が、対戦車擲弾をとっかえひっかえ、姿の見えない敵に向けて、無照準で無駄撃ちしているのだ。

敵には文字どおり何の損害も与えることがないだろう。このような火器の使用法が合理化されるのは、これから部隊が総退却するという場合だけである。

練度の低い軍隊にいたずらに高性能武器を与えても、ちっとも問題は解決しない。

今のウクライナ陸軍のレベルに最もふさわしい援助兵器は、迫撃砲だ。それは戦車砲より少し遠い間合いから、敵と交戦できる。ドローン観測とコンビで使えば、敵AFVも破壊できる。自動車を使えば陣地転換も速くできる。西側諸国は、4.2インチ=107mmの中型迫撃砲を使わなくなったが、その在庫がどこかにあるのではないか? それを送ってはどうか?

 ※雑報によるとアゼルバイジャンで2022年に製造された120㎜迫撃砲弾や、同国製の82ミリ迫撃砲「20N5」が、ウクライナ軍部隊によって使用されている写真がSNSに出てきた。アゼル人は、よく分かっている。』

武器弾薬を今のようにウクライナへ贈与し続けられるもんじゃない…。

武器弾薬を今のようにウクライナへ贈与し続けられるもんじゃない…。
https://st2019.site/?p=20856

『2023-1-26記事「British MP demands large armaments factory in Poland for Ukraine」。
   英国議会の国防委員会の委員長トビアス・エルウッドが『デイリー・テレグラフ』紙上で提案した。武器弾薬を今のようにウクライナへ贈与し続けられるもんじゃないから、このさいウクライナに隣接したポーランド国内に新工場を建設して、それによって長期的な供給体制を磐石化するのが合理的だろうと。

 英政府はすでにポーランド政府とそれについて協議し、法的な準備を始めている。

 可能性として、そこで「レオパルト2」のライセンス生産もするかもしれない。これは新聞記者の感想。』

ロシア軍は2月15日までに新たな攻勢準備が整う

ロシア軍は2月15日までに新たな攻勢準備が整う、本物の機械化旅団を用意
https://grandfleet.info/russia-related/russian-army-prepares-real-mechanized-brigade-ready-for-new-offensive-by-february-15/

『ルハンシク州のガイダイ知事は6日「2月15日以降にロシア軍は新たな攻勢を開始できるだろう」と明かし、ウクライナ軍関係者も「ロシア軍が準備しているのは本物の機械化旅団だ」と指摘している。

参考:Наступления россиян на Донбассе можно ожидать в любое время после 15 февраля – глава ОВА

ロシア軍の新たな攻勢開始はまもなく始まる可能性が高く、この攻撃には本物の機械化旅団を準備している

ウクライナのマリャル国防次官は「ロシア軍がリマン方面で強力な攻勢を開始した」と、英国のFinancial Times紙も「数週間前からロシア軍はルハンシク州のクレミンナ方面に戦力を集中させており、10日以内にウクライナ軍の反撃で失ったリマン奪回に出る可能性が高い」と言及していたが、ルハンシク州のガイダイ知事も「ロシア軍は2月15日までに本格攻勢の準備が整う」と指摘して注目を集めている。

出典:Mil.ru/CC BY 4.0

ガイダイ知事は現地メディアに対して「部分的動員で集められたロシア人の訓練がほぼ完了し、これをウクライナの占領地域に移動させるの10日ほどかかるため『2月15日以降』なら新たな攻勢をいつでも開始できる。さらにロシア軍はルハンシクに多くの予備戦力を終結させて森や塹壕に隠しており、大量に持ち込んだ弾薬も控えめに使用しているので本格攻勢の準備を進めている兆候だ」と説明し、まもなく新たな攻撃が始まる可能性を示唆した。

因みにウクライナ軍関係者はロシア軍が準備している戦力について「侵攻当初と比べれば戦闘能力は落ちるものの本物の機械化旅団だ。これは空挺部隊や海兵隊部隊を強化したものでバスの運転手や学校の教師ではない」と明かしており、新たな攻勢はバフムートのような兵士の波ではなく「精鋭部隊で行われる可能性が高い」と見ているのが興味深い。

出典:Минобороны России

追記:国防省情報総局は「本格攻勢に出るポイントを隠すためロシア軍は様々な地域で攻撃を仕掛けてくるだろう」と予想、さらに春攻勢を確実なものにするため「新たに30万人~50万人を動員をする」と付け加えている。

関連記事:ロシア軍の狙いはリマン奪回? 10日以内にクレミンナ方面で本格攻勢が始まる可能性

※アイキャッチ画像の出典:Mil.ru/CC BY 4.0
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投稿者: 航空万能論GF管理人 ロシア関連 コメント: 14 』

煮え切らない中国、焦るプーチン 露中経済関係の実情

煮え切らない中国、焦るプーチン 露中経済関係の実情
服部倫卓 (北海道大学スラブ・ユーラシア研究センター教授)
https://wedge.ismedia.jp/articles/-/29339

『今を去ること約1年前、2022年2月4日の北京冬季オリンピック開会式には、30ヵ国ほどの国家元首が出席したと言われている。その中で、明らかにV.プーチン・ロシア大統領は別格の大物であった。欧米日等が外交的ボイコットを実施する中で、曲がりなりにも大国であるロシアの出席を得たことは、中国としても最低限の面目を保った形であった。
2018年8月、モスクワのモーターショーに出品された中国車HAVAL(筆者撮影)

 プーチン訪中の機会を捉え、習近平国家主席との首脳会談が開催された。会談後に出された共同声明には、「北大西洋条約機構(NATO)をこれ以上拡大しないことなどを法的に保証するよう、ロシアが米国などに求めていることについて、中国側は共感し、支持する」との文言があった。むろん、ロシア側も、「『1つの中国』の原則を改めて支持するとともに、台湾を中国の不可分の領土と確認し、いかなる形の『台湾の独立』にも反対する」と、中国の国益への最大限の配慮を示してみせた。

 このように、北京五輪の際には、露中がお互いの中核的国益を擁護し合っていた。国際場裏において両国が共同戦線を張っていることを、強く印象付けた。

 それからほどなくして、プーチン・ロシアは2月24日に、ウクライナへの軍事侵攻に踏み切った。欧米とは決定的に対立し、網羅的な制裁を科せられた。それでは、こうした難局でロシアは、当初期待したような支援を中国から受けられているだろうか? 今回のコラムでは、経済面から、露中関係の実情を考察してみたい。
輸出入とも確かに拡大

 ウクライナへの軍事侵攻開始後、ロシアは貿易統計を国家機密扱いとし、一切公表しなくなった。したがって、露中貿易の動向を知るには、中国側の統計を紐解くしかない。

 図1は、中国の貿易統計にもとづき、2021~22年の中国の対ロシア輸出入額を、月別に跡付けたものである。実は22年2月の開戦ショックで対露輸出が落ち込んだのは、中国も同じであった。
(出所)中国の貿易統計にもとづき筆者作成(以下図3まで同じ) 写真を拡大

 中国は対露制裁に加わらなかったものの、送金や輸送の不確実性が大きすぎ、多くの中国企業が出荷を見合わせたからだった。ようやく7月くらいから対露輸出が上向くようになった。一方、対露輸入は、侵攻直後の3月から増加に転じ、年間を通じて高い水準を維持した。

 結局、22年の中国の対ロシア輸出は761億ドルで、前年比12.7%増であった。対ロシア輸入は1141億ドルで、前年比43.9%増であった。確かに、国際的なロシア包囲網が形成される中で、中国は悪目立ちしている。しかし、中身を見ると、若干印象が変わってくる。』

『図2は、中国の対露輸出の商品構成を、21年と22年とで比較したものである。なお、図中でたとえば「84.機械・設備」とあるのは、国際的に用いられている商品分類のHSコードにおける第84類の商品であることを意味する。図2を見ると、主要品目の輸出で、目立って伸びているのは自動車くらいであり、他の品目の拡大はそれほど顕著ではない。

 自動車に関して言えば、22年にChery(奇瑞汽車)、Haval(哈弗)、Geely(吉利汽車)などの中国車がロシア市場で大幅な販売拡大に成功したことは事実である。ロシアの乗用車販売市場に占める中国ブランド車のシェアは同年、18.1%にまで拡大した。ただ、これは欧米日韓のブランドがロシアから撤退したため、消去法的に中国車が選択されたものである。

 先進国に制裁の包囲網を敷かれたロシアは、電子部品、とりわけ半導体の不足に苦しむことになった。注目されたのは、中国が抜け穴となり、ロシア向けの電子部品供給を拡大するのではないかという点であった。

 電子部品はHSコードでは第85類に分類される。図2を見ると、2022年に中国はロシアへの第85類の輸出をむしろ減らしている。今のところより詳細なデータが得られないので、断言はできないが、中国がロシア向けに電子部品輸出を大幅に増やした様子は見られない。
写真を拡大

 ハイテク分野で象徴的だったのは、中国の通信機器大手・ファーウェイの対応である。先進諸国の制裁で、ロシアにおける通信機器確保に不安が広がる中で、ファーウェイは22年末をもってロシアにおけるBtoB事業を打ち切ったのである。中国は対ロシア制裁に加わっていないにもかかわらず、ファーウェイは二次制裁の懸念などから自主的にロシアへの通信機器供給から手を引いた形であった。

 もっとも、米ウォール・ストリート・ジャーナルが今般報じたように、中国企業が水面下でロシアに軍需部品、汎用品を供給しているとの疑いは否定できず、それには第三国経由の輸出も含まれる可能性がある。今回のコラムで筆者は、公開された中露二国間の貿易統計から一次的な考察を試みたが、本格的な実態解明にはより多角的で精緻な分析が求められる。

 一方、中国の対露輸入の商品構造を21年と22年とで比べたのが、図3である。そもそも、中国の対露輸入は大部分が第27類エネルギーから成り、22年の輸入総額の急拡大をもたらしたのもまたエネルギーだったことが分かる。22年には、ロシアからのエネルギー輸入が59.5%も伸びたのに対し、エネルギー以外の品目は11.6%しか伸びなかった。
写真を拡大
バーゲン価格で石油を買った中国

 このように、22年の中国の対露輸入増は、ほぼエネルギー輸入増に尽きると言って過言でない。

 ロシアがウクライナ侵攻を開始すると、米国はすぐにロシアからの石油輸入を禁止し、欧州もロシア石油からの脱却を打ち出した。行き場を失った石油のはけ口となったのが、インド市場と並んで、中国市場であった。

 中国もロシアによる侵攻開始当初は、あからさまにロシアを支援しているように見られて自国の国営石油大手が制裁を食らうのを恐れ、ロシアからの石油購入を見合わせたようだ。しかし、しばらくすると、対応を変えた。ロシアのウラル原油は国際価格から1バレル当たり30ドルほどもディスカウントされて売られるようになり、中国としても価格の安さに抗えなかったのだ。』

『中国によるロシア原油のタンカー輸入は、21年には日量80万バレル、22年第1四半期には75万バレルだったが、それが5月には過去最高レベルの110万バレルに跳ね上がった。これ以外にも、元々中国は東シベリア太平洋(ESPO)パイプラインを通じて日量80万バレル程度の原油を輸入しており、両者を合わせると最盛期には日量200万バレル近くの石油がロシアから中国に向かうこととなった。

 結局、22年通年では、中国によるロシア産原油の輸入は8625万トンに上り(日量172万バレルに相当)、前年から8%拡大した。首位となったサウジアラビアの8749万トン(日量175万バレル)に次いで、ロシアは僅差の2位となった。

 ロシアから中国向けには、19年12月に天然ガスパイプライン「シベリアの力」が稼働し、それを利用したガス輸出が年々拡大してきている。輸出量は、22年に155億立法メートルとなり、ロシアのパイプラインガス輸出全体の15%ほどを占めるまでになっている。

 このほか、22年にはロシアから中国への石炭および液化天然ガス(LNG)の輸出も顕著に拡大した。
「シベリアの力2」は正式決定せず

 22年には、石油だけでなく天然ガスについても、ロシアは主力の欧州連合(EU)向けの輸出を激減させた。問題は、中国がそれに代わる市場になれるかであるが、タンカーによる海上輸送が可能な石油に比べて、液化しない限りパイプラインで運ぶしかないガスは、市場シフトの難易度がはるかに高い。

 露中が「シベリアの力」で合意しているピーク時の供給量は、年間380億立法メートルである。これまでその供給源はサハ共和国のチャヤンダ・ガス田のみであったが、22年12月にイルクーツク州のコビクタ・ガス田もこれに加わり、380億立法メートル達成に一歩近づいた。また、22年2月のプーチン訪中の際に、さらに100億立法メートルを追加で供給する旨の契約が結ばれたが、本件は供給源のサハリン沖のガス田が米国による制裁の対象となっており、先行きが不透明である。

 いずれにしても、ロシアの主力ガス産地は西シベリアのヤマロ・ネネツ自治管区であり、そこからアジア方向へのパイプラインを新規建設しない限り、ロシア産天然ガスの本格的な東方シフトは不可能だ。ロシアはヤマロ・ネネツから中国に至る「シベリアの力2」という新パイプラインを検討中で、年間500億立法メートルの輸送能力を予定している。

 ただ、本件は経由国となるモンゴルとは合意済みだが、肝心の中国はまだ最終的なゴーサインを出していない。おそらくロシアとしては、22年9月にウラジオストクで開催した「東方経済フォーラム」でシベリアの力2合意をぶち上げ、「ロシアは欧州ガス市場なしでもやっていける」とアピールしたかったのではないか。しかし、出席した中国共産党ナンバー3の栗戦書全国人民代表大会常務委員長は、本件につき明言を避けた。』

『ロシアが息を吹き返す唯一のシナリオは……

 22年12月30日にプーチン大統領と習近平国家主席のリモート首脳会談があった。その席でプーチンは、22年の露中貿易は25%ほど伸びており、このペースで行けば24年までに往復2000億ドルの貿易額を達成するという目標を前倒しで実現できそうだと、手応えを口にした。

 しかし、上で見たとおり、22年の露中貿易の拡大は、国際石油価格が高騰する中で、中国が割安になったロシア産原油を積極的に買い増したという要因にほぼ尽きると言っていい。シベリアの力2をめぐる駆け引きに見るように、中国はプーチン・ロシアに救いの手を差し伸べているわけではなく、経済協力を進めるにしても、自国にとっての利益を最優先している。

 このように頼みの中国が積極的に支えてくれないとなると、筆者が以前のコラム「プーチンによる侵略戦争はいつ終わるのか」、「2023年ロシア経済を待ち受ける残酷物語」で論じたように、ロシア経済が中長期的に衰退に向かうことは、やはり不可避であろう。

 ただし、一部で警鐘が鳴らされているとおり、もしも近いうちに中国が台湾に軍事侵攻するような事態となれば、話はまったく違ってくる。その場合、中国はロシアとのより強固な同盟関係を構築するはずなので、経済面で相互補完性の強い中露が支え合って、ロシアが息を吹き返す可能性が出てくる。』

2022年中にウクライナの交通当局が改築またはオーバーホールした鉄道線路の総延長は470kmに達した。

2022年中にウクライナの交通当局が改築またはオーバーホールした鉄道線路の総延長は470kmに達した。
https://st2019.site/?p=20849

『2023-2-2記事「Record for Ukrainian Railways: 470 km of new railway in 2022」。
   2022年中にウクライナの交通当局が改築またはオーバーホールした鉄道線路の総延長は470kmに達した。
 それとは別に、82kmの区間を電化した。

 また2月の開戦いらい、69の鉄道橋を破壊されたが、そのうち25は年末までに架けなおした。

 ※この国民はどこかおかしい。現下のロシアの侵略戦争はぜんぜん終っておらず、もし停戦があるとしてもまた何年かすれば再三再四「奴らは来た」となることは必定なのである。

恒久的に隣国ロシアからの侵略や変電所空爆を予期しなければならない、エネルギー輸入国が、わざわざ鉄道を電化してどうするのだ? 水力発電ポテンシャルがありあまっているスウェーデンのような土地ならいざしらず……。 

それよりもまず欧州標準軌に改軌するのが先ではないのか。この国の鉄道関係者は、ごっそり交替させたがよい。敵の工作員かと疑うレベルである。』

土曜日の午後、オデーサの変電所が高負荷に耐えかねて燃え上がり、50万人近くの住民が電力を使えなくなった。

土曜日の午後、オデーサの変電所が高負荷に耐えかねて燃え上がり、50万人近くの住民が電力を使えなくなった。
https://st2019.site/?p=20849

『ロイターの2023-2-5記事「Fire at Odesa power substation leaves Ukraine port city’s grid on the brink」。

   土曜日の午後、オデーサの変電所が高負荷に耐えかねて燃え上がり、50万人近くの住民が電力を使えなくなった。修理には数週間かかるという。

 ウクライナ政府はトルコ政府に「発電船」を港へ派遣してくれるよう求めるとともに、国内に高性能発電機の在庫があったら1日以内にそれをオデーサへ搬入しろ、と指示している。

 ※火事になる前に計画停電できないというのはおかしな話だ。ユーザーに節電をよびかけていた風もない。この国には奇妙なエピソードが多い。

 土曜日のオデーサの気温はプラス2度であった。※真冬日が続いている函館市内よりも暖かいわけ。』

米軍のアフガンからの撤退はウクライナでの戦争準備のためだった可能性

米軍のアフガンからの撤退はウクライナでの戦争準備のためだった可能性
https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/202302050000/

『アメリカ軍やその影響下にある軍隊のアフガニスタンからの撤退はウクライナでの戦争と関連していると推測する人がいる。戦力をウクライナ周辺へ集中させたというのだ。当時から強引な撤退作戦に疑問を感じる人は少なくなかった。

 ドナルド・トランプ米大統領は2020年2月29日、ドーハでタリバンの代表と会い、アフガニスタンからアメリカやその影響下にある軍隊を撤退することをアフガニスタン政府を無視して決めた。ジョー・バイデン大統領もトランプ大統領の撤退方針を継承する。

 以前からカブールの周辺を除く地域はタリバーンが支配していたが、2021年8月15日には首都のカブールが陥落、混乱の中、脱出作戦は進められた。12万2000人以上が空輸されたという。最後のアメリカ兵がアフガニスタンを離れた2021年8月31日にバイデンは戦争の終結を宣言した。

 ドーハ会談の直前、2020年1月3日にバグダッド国際空港でイスラム革命防衛隊の特殊部隊とも言われているコッズ軍を指揮してきたガーセム・ソレイマーニーがPMU(人民動員軍)のアブ・マフディ・ムハンディ副司令官と共にアメリカ軍にUAV(無人機、ドローン)で暗殺された。この攻撃はイスラエルも協力していたと言われている。

 イラクのアディル・アブドゥル-マフディ首相によると、緊張緩和に関するサウジアラビアからのメッセージに対するイランの返書をソレイマーニーは携えていた。つまりイランとサウジアラビアは接近していたのだ。

 ソレイマーニーの喪が明けた直後の1月8日、イラン軍はアメリカ軍が駐留しているイラク西部のアイン・アル・アサド空軍基地やエル・ビルを含も2基地に対して約35機のミサイルで攻撃、犠牲者が出ているとも伝えられている。50分後にエルビル空港近くの米軍基地などに対して第2波の攻撃があったという。

 バイデンは2021年1月からアメリカの大統領を務めているが、それから間もない3月16日、ABCニュースの番組で司会者からロシア大統領のウラジミル・「プーチンは人殺しだと思うか?」と問われ、「その通り」と答えている。ロシアとの軍事的な緊張を高めていたバラク・オバマ政権の副大統領だったとはいえ、他国の大統領を人殺し扱いしたのだ。正気とは思えない。

 その後、バイデン政権はロシアに対して経済戦争を仕掛け、軍事的な挑発を繰り返す。ウクライナの問題を外交的に解決しようというロシア側の呼びかけにも応じなかった。

 そうした中、ドイツやフランスを仲介役としてウクライナの内戦を終わらせるために話し合いが行われ、「ミンスク合意」が成立するが、キエフ政権は合意を守らない。その間、アメリカ/NATOはキエフ側の戦力を増強するため、兵器の供給や兵士の訓練を進める。それによってキエフのクーデター体制はドンバスの反クーデター軍に対抗できるようになった。

 ミンスク合意については早い段階からアメリカ/NATOの「時間稼ぎだ」とする人が少なくなかったがそれが昨年、確認される。ドイツの​アンゲラ・メルケル元首相​が12月7日にツァイトのインタビューで、ミンスク合意はウクライナの戦力を増強するための時間稼ぎに過ぎなかったと語ったのだ。その直後、メルケルと同じようにミンスク合意の当事者だった​フランソワ・オランド元仏大統領​もその事実を認めている。

 アメリカ/NATOは2014年の段階からドンバスやクリミアへの軍事侵攻を計画、ロシア軍との戦いも念頭に置いていたのだろうが、そのためにもネオコンをはじめとする好戦派は2020年の大統領選挙でバイデンを勝たせなければならなかった。そのため、民主党だけでなくCIA、司法省、FBIがトランプ攻撃で手を組んでいる。2016年の大統領選挙ではヒラリー・クリントンを当選させるために同じ仕組みが動いたが、これは失敗した。

 失敗の一因を作ったのは内部告発を支援してきたウィキリークス。その象徴的な存在であるジュリアン・アッサンジは2019年4月11日、ロンドンのエクアドル大使館でロンドン警視庁の捜査官に逮捕された。彼は現在、イギリス版グアンタナモ刑務所と言われているベルマーシュ刑務所へ入れられている。

 1970年代に始まったアフガニスタンでの戦争もソ連/ロシアを弱体化させるためにアメリカが仕掛けたものだ。

 パキスタンのベナジル・ブット首相の特別補佐官を務めていたナシルラー・ババールによると、アメリカの情報機関がアフガニスタンの反体制派へ資金援助を始めたのは1973年頃(Robert Dreyfuss, “Devil’s Game”, Henry Holt, 2005)であり、本格的な秘密工作を始めたのはズビグネフ・ブレジンスキーである。この工作で彼はソ連の体制転覆を見すえている。

 ブレジンスキーは1977年1月にジミー・カーター大統領の国家安全保障補佐官に就任、その年にパキスタンでは軍事クーデターが引き起こされた。そのクーデターでベナジル・ブットの父親であるズルフィカル・アリ・ブットの政権が倒され、陸軍参謀長だったムスリム同胞団のムハンマド・ジア・ウル・ハクが実権を握る。ハクはアメリカのノースカロライナ州にあるフォート・ブラグで訓練を受けた軍人だ。(Thierry Meyssan, “Before Our Very Eyes,” Pregressivepress, 2019)

 工作の実動部隊はムスリム同胞団やサラフィ主義者(ワッハーブ派、タクフィール主義者)を中心に編成された。その多くはサウジアラビアで集められたが、募集活動の中心はサウジアラビアで教鞭を執っていたムスリム同胞団のアブドゥラ・アッザムで、その教え子であるオサマ・ビン・ラディンも協力していた。

 アッザムとビン・ラディンは1984年にパキスタンにMAK(マクタブ・アル・ヒダマト/礼拝事務局)のオフィスを開設するが、このMAKがアル・カイダの源流だと言われている。

 イギリスの外務大臣を1997年5月から2001年6月まで務めたロビン・クックが2005年7月にガーディアン紙で説明しているが、​「アル・カイダ」はCIAの訓練を受けた「ムジャヒディン(イスラム戦士)」の登録リスト​にほかならない。アラビア語でアル・カイダは「ベース」を意味、データベースの訳語としても使われる。

 アフガニスタンでの戦争はブレジンスキーの思惑通りに泥沼化、ミハイル・ゴルバチョフの命令で1989年2月にソ連軍は撤退、残されたアフガニスタンの政府は崩壊する。これ以降、アフガニスタンにおける女性の権利は大きく損なわれることになった。

 その後、アメリカの手先としてアフガニスタンを統治させるために作られたのがタリバーンだが、そのタリバーン政権は1998年1月にTAPIパイプラインの敷設計画でパートナーとしてアメリカのUNOCALでなくアルゼンチンのブリダスを選び、アメリカの支配層と敵対するようになった。

TWITTER

最終更新日 2023.02.05 00:01:40 』

プーチンはゼレンスキーを殺さないと約束した

プーチンはゼレンスキーを殺さないと約束した:元イスラエル首相
https://www.aljazeera.com/news/2023/2/5/putin-promised-not-to-kill-zelenskyy-former-israeli-pm

『(※ 翻訳は、Google翻訳)

イスラエルの元指導者は、ロシア大統領から「私はゼレンスキーを殺さない」という誓約書を受け取ったと言います。
2023 年 2 月 5 日に公開2023年2月5日

イスラエルのナフタリ・ベネット元首相は、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領から、ウクライナの首相を殺さないという約束を受けたと語った。

ベネットは、ロシアとウクライナとの 11 か月にわたる戦争の初期にありそうもない仲介者として登場し、昨年 3 月にモスクワを訪問して戦争中にプーチンに会った数少ない指導者の 1 人になりました。

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ロシアとウクライナの戦争: 重要な出来事のリスト、347 日目
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ゼレンスキーは、ウクライナ東部の状況が「厳しくなっている」と言います
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ウクライナの変電所の火災により、オデッサの配電網が瀬戸際に
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ロシアとウクライナ、バフムートをめぐる争いが激化する中、囚人を交換
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ベネットの調停の努力は進行中の流血を終わらせるのにほとんど役立たなかったように見えるが、彼の発言は、土曜日遅くに彼のYouTubeチャンネルに投稿されたインタビューで、紛争を解決しようとするために進行中の秘密の外交と緊急の努力に光を当てた.初期の迅速な結論。

他の多くの話題に触れた5時間のインタビューで、ベネットはプーチン大統領に、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領を殺すつもりかどうか尋ねた.

「私は「これは何ですか?」と尋ねました。ゼレンスキーを殺すつもりですか?」彼は「私はゼレンスキーを殺さない」と言った。それから私は彼に「ゼレンスキーを殺さないという約束を私に与えていることを理解しなければならない」と言いました. 彼は『ゼレンスキーを殺すつもりはない』と言った」

ベネット氏はその後、ゼレンスキー氏に電話してプーチン氏の約束を伝えたと述べた。

「聞いてください、私は会議から出てきました、彼はあなたを殺すつもりはありません。」彼は「よろしいですか?」と尋ねます。私は『100%彼はあなたを殺さないだろう』と言いました。」

平和への努力

ベネット氏は調停中に、プーチン氏はウクライナの軍縮を求める要求を取り下げ、ゼレンスキー氏はNATOに加盟しないと約束したと語った。

ロシアがゼレンスキー暗殺を意図していたというウクライナの主張を以前に否定したクレムリンからの即時の反応はなかった。

ウクライナ大統領補佐官は、ベネットのコメントに異議を唱えた。

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ミハイロ・ポドリャク氏はツイッターで、「プーチン大統領が『殺さないという保証』を与えたとされる『仲介』に関する元当局者の主張と、『西側が有望な交渉を妨害した』という主張はフィクションである」と述べた。

ポドリャク氏は、ロシアの「特別軍事作戦」は、NATOの拡大、安全の保証、または制裁に関するものではなく、「ウクライナを破壊し、ウクライナ人を殺す」というロシアの願望に基づいていると述べた.

ウクライナのドミトロ・クレバ外相も、プーチンは「うそつきの専門家」だとコメントした。

「過去に、プーチンはクリミアを占領しない、ミンスク合意に違反しない、ウクライナを侵略しないと約束したが、彼はこれらすべてを実行した。だまされてはいけません…彼が何かをしないと約束するたびに、それはまさに彼の計画の一部でした.
パワー短命

ベネットは、2022 年 2 月に戦争が勃発したとき、わずか 6 か月間首相を務めていたが、ほとんどテストされていない指導者であり、ロシアとウクライナの間の不快な中間地点にイスラエルを配置した後、予期せず国際外交に身を投じた。

イスラエルは、クレムリンとの良好な関係をイランからの脅威に直面した戦略として見ていますが、西側諸国と連携し、ウクライナへの支持を表明しようとしています。

観察力のあるユダヤ人であり、国際的にはほとんど知られていないベネットは、ユダヤ教の安息日にプーチン大統領と会談するためにモスクワに飛び、宗教上の約束を破り、戦争を止めるための世界的な取り組みの最前線に立ちました。

しかし、彼の平和構築の努力はうまくいかなかったようで、彼の権力の時代は短命でした。現在のベンジャミン・ネタニヤフ首相を短期間の政治亡命に追い込んだイデオロギー的に多様な組合であるベネット政権は、 2022年6月に内紛をめぐって崩壊した。

ベネットは政治から離れ、現在は私人です。

出典:通信社

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日本から見た米国選挙の“分かりにくさ”:「文化戦争」と「予備選」そして「党内対立」

日本から見た米国選挙の“分かりにくさ”:「文化戦争」と「予備選」そして「党内対立」
https://www.nippon.com/ja/in-depth/d00879/

『 2023.01.18

渡辺 将人 【Profile】

人口妊娠中絶が主要な争点となった米中間選挙。キリスト教と政治の関わりや「草の根政治」の構造、二大政党制における党内対立など、日本人には分かりにくい米国特有の政治文化を解説しながら現状を分析する。

米国で第118議会が始まった。民主党は上院では多数派を維持したが、下院では少数派に転落した。それにもかかわらず民主党内の空気が明るいのは、大統領政党の敗北が常の中間選挙で「赤い波」(共和党大勝)を阻止したからだ。これは決してサプライズではない。中間選挙の緒戦段階から筆者の耳に入る民主党内部の声を聞く限り想定内だった。民主党の内部の目標は、上院で2増めどの多数派維持、下院で一桁台の僅差持ち込みだったが、これをほぼ実現している。

ニューヨークタイムズ紙が最も正確な予測と評した民主党戦略家のサイモン・ローゼンバーグ氏も赤い波は来ず、僅差であることを当初から繰り返してきた。そもそも2022年は民主党に有利な改選条件が揃っていた。連邦上院では民主党の改選数が共和党20に対して14と少なく、現職引退数も共和党5に比して民主党1だった。しかも共和党引退州のうち3つが接戦州で、現にペンシルバニア州で民主党は勝利した。下院も国勢調査に基づく選挙区改正で、民主党優勢区が増したとの分析が世論調査サイト「ファイブサーティエイト」などで注目を集めていた。ただ、今回の中間選挙は、日本から観察する上で、見えない日米差が浮き彫りになった選挙でもあった。

「中絶の権利」が主要争点となる理由

第1に、米国における文化戦争や価値問題の分かり難さだ。象徴的だったのは、人工妊娠中絶が主要争点になったことだ。中間選挙では政権政党に「奪われた」被害者意識の強調が王道で、2010年の共和党は、オバマケアで市民の自由な医療が「奪われる」恐怖を有権者に訴えた。22年の民主党は人工妊娠中絶を選ぶ権利が「奪われた」と唱えた。

狭義の女性争点を超え、人工妊娠中絶の権利を米国人の自由への防衛と位置づけて、民主党支持層の男性、LGBTQ、無党派層にも共感を拡大した。中絶の権利防衛が州政治に移行する中、5州で住民投票が同時に行われたことも州知事選、州議会選の善戦に寄与した。米国の州議会で大統領側の政党の多数派が一つも覆らない1934年以来初めての中間選挙となった。

これだけインフレが激しくバイデン大統領の支持率も低迷している中、人工妊娠中絶をめぐる連邦最高裁のドブス判決への反発で民主党が善戦することには、米国外からはある種の違和感もあっただろう。日本も歴史的にキリスト教は浸透しているが、進化論教育に異論を持つような原理的キリスト教にはなじみが薄いし、中絶は政治を分断するような争点になっていない。日本では昨年来、統一教会と政治家の深い関係性が国会でもメディアでも大きく取り沙汰されているが、日本における政教分離の感覚からは、米国におけるキリスト教と政治の密接な関係性は想像を超えている。

特定の宗教や宗派が国教として信仰を国民に押し付けないという米国の政教分離の概念は、日本の政教分離の感覚からは相当に緩い。しかも、宗教と関係があるのはキリスト右派が支持する共和党だけではなく、リベラルなカトリック信徒や黒人教会など民主党側でも信仰基盤の票田が根強い。そもそも公民権運動やリベラルな政治変革の指導者は牧師など聖職者だった。

さらに日米差があるとすれば、フェミニズムやLGBTQの解放運動の対立軸の違いだ。ジェンダーやセクシュアリティの多様性をめぐる解放運動は日本にも定着し活性化しているが、その背景には家父長制や男性優位社会の打破があり、同性婚にしても中絶にしても、それらに対するキリスト教からの反発が政治的な争点になる米国社会とは異質だ。

同じ共和党大統領でもトランプ前大統領は、ジョージ・W・ブッシュ元大統領のように本人が敬虔なボーンアゲイン・クリスチャン(※1)というわけではない。しかし、連邦判事に保守的な判事を指名する約束を実現し、キリスト教保守派から極めて強い支持を受けた。銃所持の権利、人種や移民を巡る問題は米国政治特有の経緯があるが、最高裁の中絶をめぐる判決がトランプ政権の成果として社会保守を喜ばせ、他方で民主党支持層を活性化した構造を米国の外から把握するには、米国の「文化戦争」理解が欠かせないことを今回の選挙は鮮明にしたと言えよう。

予備選が象徴する「草の根政治」

第2に、予備選挙と本選挙の質的な違いである。これは候補者を誰が決めるかという比較制度論的な問題に帰着する。日本には予備選挙がない。これは党幹部の権力の大小と関係している。米国では政党は有権者がローカルで運営するもので、候補者を予備選挙で決めるのは当たり前のことだが、日本では公示日に特設掲示板に貼られるポスターを見て候補者を初めて知る。選挙期間は極めて短く支持政党が決まっている人は候補者個人の資質ではなく政党で選ぶので、選挙区でも比例代表的な投票行動が混入する。選挙区で敗北しても比例復活という制度もある。

こうした日本の政治に関心がある外国人にお薦めできる日本の政治ドキュメンタリーは少なくないが、映画『なぜ君は総理大臣になれないのか』(2020年)は政党幹部の力の強さを知る上で大いに参考になる。バラク・オバマの選挙戦に密着したHBOドキュメンタリー『By The People:The Election of Barack Obama』(2009年)あたりと比較して視聴するとキャンペーンの力点の日米差が一目瞭然である。

『By The People』は08年のオバマの選挙戦の記録だが全体の大半が予備選過程、しかも初戦のアイオワ州での党員集会に絞られている。いかに若者の政治参加の情熱の注ぎ口の受け皿が党内抗争や党内改革にあるかが分かる。米国外での大統領選挙報道は2党競馬競争の本選挙が主だが、米国特有の草の根政治の真骨頂は、次期政権や議会の政党内勢力図を定義する予備選にある。

他方、映画『なぜ君は総理大臣になれないのか』は民進党(当時)の小川淳也衆院議員が、17年衆院選において党内事情で希望の党からの出馬を余儀なくされ、選挙区で惨敗する実録である。希望の党への合流は小川氏としても本意ではなく、政策面でも香川1区の地元支持者への説明がつかない様子が赤裸々に描かれている。

永田町で政党がトップダウンで次々と生まれては消え、党幹部が候補者を決めていく過程では、党内力学に有権者はほとんど関与できない。突然、自分が支援している候補者が別の新しい党から出ることになり、選挙カーや駅頭の連呼で再び支援を頼まれる。比例復活議員でも辞職の義務がないように、当選してしまうと離党に有権者の許可は要らない。

予備選と本選で異なる政治の力学

予備選挙に馴染みがない日本では、米国の予備選は「予選」のようなものと思われがちだが、党の候補者を決める党のまつりごとであり、そこでの支持の獲得は本選での勝利とは力学が違う。米国でも中道や超党派の政治の時代には、予備選での勝利と本選の勝利の乖離(かいり)幅は小さかった。しかし、今日の激しい分極化のなかでは、党内を納得させる選挙戦と、無党派を含む本選での競り勝ちは、違うセオリーの方程式になる。逆に言えば、予備選で勝てる候補と、本選で勝てる候補の乖離がますます激しくなっているわけで、米政党の選挙戦略家には難儀な時代になりつつある。

2022年中間選挙の本選でトランプ派候補が圧勝できなかったことは、トランプ流の政治を無党派を含む米国のマジョリティが拒絶した証拠ではあるが、これ自体は共和党内でトランプが完全否定された証拠を意味しない。予備選ではトランプが支持表明をした候補のほとんどが共和党内では候補に選ばれ、チェイニー元副大統領の娘の下院議員まで落選した。本選での共和党の苦戦を経て日和見派はトランプ個人からは離れつつあっても、主流派の安泰と同義ではない。トランプ的な反エスタブリッシュメントのマグマは消えない。マッカーシー下院議長の選出に最後まで抵抗したフリーダム・コーカスを中心とした議員はトランプ個人に忠誠を誓っているのではなく、草の根主義を貫き、党幹部に抵抗することを美学としている。

下院議長が決まらない事態を民主主義の敗北と考える理解も米国外にはあったが、投票や説得に要した一連の過程が政策とりわけ外交を停滞させるほどの甚大な実害を生んだわけでもなく、むしろ政党内に多様な意見があることを可視化したと言える。ものごとを拙速に決めないことを民主主義と考えるか、効率を重視するか、政府の役割や民主主義の定義に国際的な感覚差がある以上、海外からの米民主主義評価は揺れる。政党の規律や幹部の制度的な違いも忘れてはいけない。米国には日本的な意味での党本部もなければ党首も存在しない。分極化時代に党をまとめるのはよほどの強力な仮想敵が必要になる。

民主、共和ともに抱える党内抗争

そこで第3に重要なのが、2大政党の内部の分裂だ。特に水面下で深刻化する党内抗争とその質的変化は米国外からは見えにくい。議会で大規模に議席を持つ本格的な第三政党が生まれにくい米国では、二大政党の内部の微妙な路線対立がむしろ重要だ。かつて民主党内の派閥争いの軸は中道派とリベラル派だったが、現在は新世代の左派勢力が活性化している。運動としてはBLM、選挙戦としてはバーニー・サンダース支援の活動家から派生しているグループだ。

彼らは政党への帰属意識が薄いが、安易に第3政党化しない。民主党の内部改革が現実的だと考えている。実際、中間選挙2週間前、ロシアとの早期停戦への踏み込んだ役割を政権に要求する「書簡」が、進歩派議連の一部から大統領宛てに提出された。ウクライナ支援に関してはバイデン政権の方針通りで民主党は一致しているはずだったが、内部には異論が存在している。それが中間選挙期間に噴出したのは民主党には「事件」だった。それでも彼らを民主党連合につなぎとめているのは、皮肉にもトランプの存在だ。

中間選挙後、2024年大統領選挙にトランプ前大統領が早々に出馬を表明したが、これを受けてさっそく、アル・フランケン元民主党上院議員はMSNBCでこう語った。「バイデン再選にとっては最高の展開だが、国にとっては悪いこと」。アンカーはこれに対して「それではあまりに悲しい。(米政治は)病んでいる」と吐露した(2022年11月16日、MSNBC “11th Hour”)。このシニカルなやりとりほど今の米民主党の現在地を象徴しているものはない。

たしかに「反トランプ」の接着剤と起爆剤は強力で、中間選挙での善戦も人工妊娠中絶の争点化もトランプの存在が原因だ。極めて皮肉なことにトランプが継続的に政治的な存在感を示すことは、民主党の党内抗争の抑止力でもある。

一方、これまで共和党の団結の仮想敵だったペローシ前下院議長が交代した今、バイデン大統領への憎悪だけでは団結には弱い。16年大統領選挙の反ヒラリー・クリントンのような共通の仮想敵のわら人形を作り出せなければ、共和党は分裂の火種を抱えたままの運営が続くことになろう。他方で、あまりに民主党への憎悪を増せば、超党派運営を困難にさせる。共和党は多数派とはいえ僅差に過ぎず、抵抗勢力まで抱える中、マッカーシー議長のジレンマは続く。

バナー写真:米中間選挙の開票作業が進む中、ワシントンでの集会で話をするバイデン大統領=2022年11月10日(ゲッティ=共同)

(※1) ^ 精神的な生まれ変わり(新生)体験をしたキリスト教徒のことで、ブッシュ元大統領のボーン・アゲイン体験を宗教保守派は高く評価し、マイケル・ガーソンらホワイトハウスのスピーチライターは巧妙に宗教的なレトリックを大統領演説に盛り込んだ。しかし、宗教保守派はブッシュ政権に幻滅し、大統領本人の敬虔さよりも、行動が大切なのだと認識し後にトランプ前大統領を評価した。Gerson, Michael J., Heroic Conservatism: Why Republicans Need to Embrace America’s Ideals (And Why They Deserve to Fail If They Don’t), New York: HarerCollins, 2007.

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北海道大学大学院メディア・コミュニケーション研究院准教授。専門は米国政治外交。1975年生まれ。シカゴ大学大学院国際関係論修士課程修了。早稲田大学大学院政治学研究科にて博士(政治学)取得。コロンビア大学、ジョージワシントン大学、台湾国立政治大学、ハーバード大学にて客員研究員を歴任。主著に『現代アメリカ選挙の変貌』(名古屋大学出版会、2016年)=大平正芳記念賞受賞、『大統領の条件』(集英社文庫)など多数。
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opinion 3/11
DIGIMARC 』

米韓、対北朝鮮で抑止力強化 台湾安定の重要性確認

米韓、対北朝鮮で抑止力強化 台湾安定の重要性確認
https://nordot.app/994418949942886400?c=302675738515047521

『【ワシントン共同】ブリンケン米国務長官は3日、韓国の朴振外相と国務省で会談し、核・ミサイル開発を続ける北朝鮮に対する抑止力を強化する方針で一致した。台湾海峡の平和と安定が重要との認識も確認した。

 ブリンケン氏は「米韓同盟はインド太平洋地域の平和と安定の核心軸であり、力強く成長し続ける」と述べ、日米韓3カ国の連携強化への意欲も示した。ロシアが侵攻するウクライナへの韓国の支援を称賛した。

 朴氏は北朝鮮による国連安全保障理事会の制裁逃れを防止する取り組みを強化することで合意したと明らかにし、北朝鮮と関係が近い中国には「影響力を行使する能力と責任がある」と語った。

c 一般社団法人共同通信社 』

ウクライナ侵攻:AIが戦争の道具化、かつてないサイバー戦争

ウクライナ侵攻:AIが戦争の道具化、かつてないサイバー戦争…AI人格が偽投稿も
https://biz-journal.jp/2022/03/post_283843.html

『2022.03.11 05:50

ロシアのウクライナ侵攻が始まって12日ちょっとの時点で執筆しています。まずはじめに、国連発表の死者数の公式数値の数倍、数千人に達すると思われる民間人犠牲者に心から哀悼の意を表します。ならびに、いくら覚悟をし、命令で赴いたとはいえ、死亡した両側の兵士にも哀悼の意を表します。公開時点、お読みいただく時点で、傀儡政権、亡命政権ができてしまっているか、停戦が成立しているか、はたまたロシアのプーチン大統領が失脚または(この世から)姿を消しているか、予断を許しません。

 2020年1月の連載で、AI兵器、特に無人ドローンについて書きました。同年に米国がイランの革命防衛隊司令官ソレイマニを殺害した際に使ったものよりは小型のようですが、トルコ製の無人戦闘ドローンをウクライナが入手し、実戦投入を準備していたのは紛れもない事実です。対戦車砲のジャベリンは、肩に担いで戦車のいる方向へ向けて発射すれば、目標を正確にとらえ、装甲の分厚い側面ではなく、一旦上空に舞い上がり戦車上部の弱いところに落下して爆発するとのこと。ほぼAI兵器といえるほど自動化されているといって良いのではないでしょうか。このような代物が400万円と、戦闘機や戦車に比べてはるかに安価で、多数導入され、ウクライナ軍や民間志願兵に大量に供給されています。

情報戦、心理戦、サイバー攻撃

 双方のサイバー攻撃もし烈さを増しています。聞くところによると、侵攻前の2月、ロシアのハッカーがウクライナの原発にハッキングして、オペレーションに障害を与えようとしていたとのこと。おそらくは旧ソ連時代のコンピュータが古すぎて、また、肝心な部分がネットワークにつながっていなかったりして失敗し、ミサイル攻撃に切り替えたのではないでしょうか。なんとしてもウクライナの民衆の生活インフラ(病院や公共サービス)を破壊、コントロールしたかったからと考えられます。

 対するウクライナ側を、国際匿名ハッカー集団、その名もアノニマス(Anonymous=姓名不詳)が全面支援しています。ロシア軍のデータベースに侵入し、ロシア軍人・兵士10万人分の個人情報を暴いたり、ロシア国営放送をハッキングして西側諸国発のウクライナでの戦闘シーンを流したりするなど、瞠目すべき成果を上げています。かつて、ここまでのサイバー戦争、情報戦があったでしょうか。

 いわゆるプロパガンダ合戦も過熱、進化しています。ドネツク人民共和国に侵入を試みたウクライナ兵との銃撃戦とされる親ロ派が流した映像は、日本経済新聞調べで日付が10日前のものとわかり、ファクトチェック団体ベリングキャットは10年にユーチューブに投稿されていた動画の「爆発音」と酷似した爆発音であることを突き止めました。

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『今後はAIがフェイクに多用されてしまう悪い予感

 今回はまだ使われたとの情報も確証もありませんが、米国のオバマ元大統領にでたらめな演説をしゃべらせても本物と見分けがつかなかったり、女優の首から上を挿げ替えてもなかなか気づかれない水準の人工知能、DeepFakeが使われていく可能性も大いにあると思います。このあたり、匿名による投稿、とくに緊急投稿は数時間以内のネットからの削除など不可能であり、今後とも、相手の心を折ったり、挑発したりする情報戦、心理戦はエスカレートせざるを得ないでしょう。好むと好まざるとにかかわらず、フェイクのためのAIや、それを見破るAIが使われていくことになるでしょう。

 いつの時代も戦争は技術開発を急加速させてきましたが、今回はせいぜい汎用のAI技術が応用されるだけで、AI自身が戦争によって進化を加速させたりはしないとは思いますが。

SNS上にAIによる偽人格が登場

 プーチン大統領はツイッターなどのSNSをしていないようですが、ウクライナ首脳はもちろん、ロシア幹部にもSNSへの投稿を行う人がいます。外交で、諸外国首脳との緊急会談などにおける仮合意の内容を相手国が持ち帰って承認する前にツイッターに流されて既成事実にされちゃったり、それを追認したり、という出来事が起きるのも、今日的な外交、戦争の風景といえるでしょう。それほど恐ろしい影響をおよぼすSNSや外国のインターネット発信源へのアクセス遮断(自国側も相手国側も)、そして、正義の騎士イーロン・マスクによる衛星インターネット接続の復活、提供なども話題になりました。

 3月初めの「Gigazine」記事『反ウクライナの主張を繰り返すSNSアカウントは偽物でプロフィール画像もAI製、さらにそのフォロワーもニセのAI製だったことが明らかに』は衝撃的でした。GPT-3が、チューリングテストの基準、30分どころか3カ月もの間、自然な記事投稿とコメントでの他人とのやり取りで、対話相手、読者に人間だと信じられ続けていましたが、今度は、実在しない人物画像入りです。GAN(敵対的生成ネットワーク)などのAI技術を駆使して作られたこれら自然な画像がFacebook上で友人ネットワークを作っていたけれども、それらもAI製のフェイクだったと気づいたメタ社が、反ウクライナの発言群をアカウントごと削除しました。

 SNS上のAI人格によるフェイク投稿で反ウクライナ・プロパガンダが行われていた。これを知っただけで、自然言語処理や画像生成という、兵器には直接応用されそうにないAIをも戦争の道具に使うのかと知って、暗鬱たる気持ちになりました。

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『ひとつの救いは、無料の架空人物生成サービスの開発者や運営者の良心です。彼らは悪用を戒めるため、わざとフェイク顔画像独特の特徴を残してくれていたようです:

「架空のプロフィール画像がAI製のものであると見破るための根拠は複数ありますが、そのひとつとしてコリンズ記者は『特徴的な耳』を挙げています。この耳はThis Person Does Not Existという架空の人物の画像を作成するサービスを使用した際に出てくる特徴のひとつだそうです」(「Gigazine」記事より)

 すべての業者がこのように良心を核に活動しているか、まったく心もとないながら、ならず者プーチン氏相手と違って、IT業界には法規制も効きます。巨大SNSやメタバースの事業者自身、高度なAI開発企業なので、小規模な犯罪グループのAI悪用に、より高度なAIを迅速に開発して、対抗していくことも十分可能でしょう。

 長くなったので、予定していた「■B級メディアの現地情報発信力が機械翻訳の進化で劇的に向上?」については、次回以降に回したいと思います。劇的に向上した機械翻訳の能力、精度のおかげで、B級メディアが、マイナー言語の一次情報を素早く正確に翻訳すると、ファクトチェック、裏取りに時間をかけるメジャーメディアが有事には太刀打ちできなくなりつつあるのでは? という指摘です。こんなところにも、AIによる時代の変化がみてとれるようになりました。

(文=野村直之/AI開発・研究者、メタデータ株式会社社長、東京大学大学院医学系研究科研究員)

●野村直之

AI開発・研究者、メタデータ株式会社社長、東京大学大学院医学系研究科研究員。

1962年生まれ。1984年、東京大学工学部卒業、2002年、理学博士号取得(九州大学)。NECC&C研究所、ジャストシステム、法政大学、リコー勤務をへて、法政大学大学院客員教授。2005年、メタデータ(株)を創業。ビッグデータ分析、ソーシャル活用、各種人工知能応用ソリューションを提供。この間、米マサチューセッツ工科大学(MIT)人工知能研究所客員研究員。MITでは、「人工知能の父」マービン・ミンスキーと一時期同室。同じくMITの言語学者、ノーム・チョムスキーとも議論。ディープラーニングを支えるイメージネット(ImageNet)の基礎となったワードネット(WordNet)の活用研究に携わり、日本の第5世代コンピュータ開発機構ICOTからスピン・オフした知識ベース開発にも参加。日々、様々なソフトウェア開発に従事するとともに、産業、生活、行政、教育など、幅広く社会にAIを活用する問題に深い関心を持つ。 著作など:WordNet: An Electronic Lexical Database,edited by Christiane D. Fellbaum, MIT Press, 1998.(共著)他

野村直之/AI開発・研究者、メタデータ株式会社社長、東京大学大学院医学系研究科研究員):外部執筆者

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ウクライナ国防省「ロシアが3月の制圧指示」 東部2州

ウクライナ国防省「ロシアが3月の制圧指示」 東部2州
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR038RB0T00C23A2000000/

『【ロンドン=中島裕介】ウクライナ国防省の情報総局は2日、ロシアのプーチン大統領が3月中にウクライナ東部のドネツク、ルガンスク両州の全域を制圧するよう軍に指示を出したとの見解を明らかにした。ロシア側に、新たな大規模攻撃や2州の完全な占領に向けた準備をしている兆候があるとしている。

情報総局の高官がウクライナメディアのインタビューで語った発言を伝えた。高官は「ロシアの占領軍が(2州制圧に向けた)追加…

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『高官は「ロシアの占領軍が(2州制圧に向けた)追加の部隊、装備を再配備していることを注視している」と警告した。

ロシア軍の兵士が隣国ベラルーシの領土内で訓練を受けているとも指摘した。一方で数週間以内にベラルーシ方面から大規模な攻撃が始まる戦力は整っていないとも分析。「現段階ではベラルーシがウクライナへの全面的な侵略に関与する脅威はないが、考慮に入れるべきリスクでもある」との見方を示した。

ウクライナでは軍事侵攻1年となる2月24日にあわせてロシアが大規模な攻撃をしかけるとの警戒感が強まっている。

レズニコフ国防相は1日、フランスのテレビ局のインタビューでロシアが侵攻1年の節目に「何かを試みる可能性がある」と述べた。ロシアが動員した予備役は公式には30万人とされているが、実際には50万人にのぼる可能性があるとの見解も示した。

ロシアは軍事会社ワグネルとともにドネツク州ソレダルを制圧したが、それ以降は支配地域は広がらず戦況は膠着している。ロシア軍の攻撃は続いており、ウクライナ軍参謀本部の2日夜の発表によると、ウクライナ東部と南部でロシア軍による5回の空爆を受け、学校などの民間施設に被害が出た。

欧州連合(EU)とウクライナは3日に同国の首都キーウで首脳会談を開く。EUのミシェル大統領らとウクライナのゼレンスキー大統領との会談では、同国のEU加盟問題も議題になるとみられる。これに先立ちEUのフォンデアライエン欧州委員長は2日、キーウでゼレンスキー氏と会談し、新たな追加制裁パッケージでロシアに打撃を与えると約束した。制裁の対象や詳細は明らかにしなかった。

EUのフォンデアライエン欧州委員長(右)を出迎えるウクライナのゼレンスキー大統領(2日、キーウ)=AP

プーチン大統領は2日、ロシア南部ボルゴグラードでの演説で「ナチズムが現代的な装いで現れ、ロシアの安全保障に直接的な脅威を再び生み出している」と述べ、ウクライナ侵攻の正当性を改めて訴えた。ボルゴグラードは第2次世界大戦の独ソ戦の激戦地。ロシアによる今回の侵略をかつての祖国防衛にすり替えて、欧米のウクライナへの軍事支援を非難した。』

米国、ウクライナに長距離兵器供与へ クリミアが射程に

米国、ウクライナに長距離兵器供与へ クリミアが射程に
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN040320U3A200C2000000/

『【ワシントン=芦塚智子】米政府は3日、ウクライナに約21億7500万ドル(約2850億円)相当の武器を追加供与すると発表した。国防総省は地上発射型小直径弾(GLSDB)と呼ばれる長射程のロケット弾が含まれると明らかにした。米メディアによるとGLSDBは射程が約150キロメートルとこれまでに供与した兵器の約2倍で、ロシアが併合したウクライナ南部クリミア半島が射程範囲に入る。

米国がウクライナに長距離兵器を供与するのは初めて。国防総省のライダー報道官は3日の記者会見でGLSDBの供与について「ウクライナが自国を防衛する作戦を実行し、ロシア占領地域の主権領土を取り返すための、より長距離の発射能力を提供する」と説明。クリミア攻撃を支援する意図があるのかとの質問に対しては「ウクライナの作戦計画は彼らの決断だ」と回答を避けた。

GLSDBは高機動ロケット砲システム「ハイマース」などから発射する兵器。ウクライナ側は射程が約300キロメートルとさらに長い地対地ミサイル「ATACMS」などの供与を求めていた。米政府は長射程の兵器供与について、ロシア領土内の攻撃に使用されれば事態をエスカレートさせかねないと慎重な姿勢を取ってきた。

米政治サイトのポリティコは、米軍は現在GLSDBを保有しておらず、本来は空中発射型で改造には最高で9カ月かかると報じている。ウクライナ軍が計画しているとされる春から夏にかけての大規模な反攻作戦には間に合わない可能性がある。

供与を発表した武器にはこのほか、ハイマース用の追加の砲弾や、携帯型対戦車ミサイル「ジャベリン」250基、路上爆弾への耐性を強化した新型装甲車「MRAP」181台が含まれる。

バイデン米大統領は1月25日に主力戦車「エイブラムス」31両をウクライナに供与すると発表。戦車の提供に慎重だった姿勢を転換した。ウクライナが求めている米戦闘機「F16」の供与については否定している。ウクライナ支援の姿勢を強調しつつ、緊張の激化を防ぐための難しいかじ取りを迫られている。

【関連記事】

・米、ウクライナに主力戦車「エイブラムス」31両を供与
・ドイツが主力戦車を供与決定 米国も提供、欧州安保強化
・日米欧防衛費2ケタ増 ウクライナ侵攻後、中ロ脅威に備え

ニューズレター 』

ロシア、大学で「軍事作戦」教育 政権史観を浸透

ロシア、大学で「軍事作戦」教育 政権史観を浸透
https://www.47news.jp/world/8899385.html

『ロシア科学高等教育省は3日、今年9月から国内の大学で必修科目となる歴史の授業で、ウクライナでの「特別軍事作戦」も指導対象になると発表した。ロシアのプーチン政権の史観に沿った内容を国民に浸透させる狙いとみられる。

 144時間以上が割かれる歴史の講義では、古代ロシアからウクライナ侵攻開始までが対象の期間となり「軍事作戦の目的や西側諸国による制裁圧力」を学ぶという。ロシア独立系メディアによると、2014年にウクライナで親欧米派が親ロ政権を崩壊させた政変について「憲法違反の転覆」と指導。ウクライナは「反ロシア」に変貌したと教育する。』

「私たちが生まれ育った国はもう存在しない」

「私たちが生まれ育った国はもう存在しない」
露メディアの痛烈な皮肉 「ロシアを破壊するというプーチンの“目的”は果たされた」
https://courrier.jp/news/archives/315278/

『2023.2.3

ウラジーミル・プーチン大統領は、米国に勝ち、ロシアがリーダーとなる新たな世界秩序を確立することが自分の使命だと考えているのだろう。

しかし、彼は間違っている。彼の使命はロシアを壊滅することだったのだ。そして彼はそれをやってのけた。これで、彼は安心して引退できるはずだと独立系メディア「ノーバヤ・ガゼータ欧州」は書いている。

あの戦争絵画を連想させる所業

ウラジーミル・プーチン大統領はロシアを壊すことしかやっておらず、それ以上のことは何もできていない。

落ち込み続ける経済、減り続ける人口、技術開発の遅れの深刻化、徹底的な偽善──これはすべて彼の統治の結果だ。戦争も、ヴァシーリー・ヴェレシチャーギンの絵画『戦争の結末』を思わせるような大量虐殺もそうだ。

ヴァシーリー・ヴェレシチャーギンの絵画作品『戦争の結末』

ヴァシーリー・ヴェレシチャーギン 『戦争の結末』(モスクワ・トレチャコフ美術館蔵)

私たちが生まれ育った国はもうない。国は土ではなく、それ以上のものだ。土地はどこへも消えたりしないし、人びとも基本的にはそこに留まるだろう。今もロシアから出る人は多数派ではない。

国とは、文化であり、生活様式であり、自意識であり、世界における在り方である。国とは、現在と過去との関係。つまり継承するものだ。

かつての雷帝のような暴君

我が国ロシアは、過去に一度消滅しかけたことがある。ボルシェヴィキ(註:ウラジーミル・レーニンが率いた左派グループ)に破壊されたときだ。

彼らが十月革命を起こした後には、ある種の無分別なことがまかり通る国になってしまった。しかしそれは、イヴァン雷帝の治世のときのようなロシア史のもっとも病的な時期をのぞけば、ロシアという国家や文化、歴史にはもう何の関係もない。

『自ら殺した息子の遺骸の傍に座るイヴァン4世』(ヴャチェスラフ・シュワルツ画)の画像

「イヴァン雷帝」と恐れられたイヴァン4世。「ノヴゴロド虐殺」など残忍な作戦を指示した。作品は『自ら殺した息子の遺骸の傍に座るイヴァン4世』(ヴャチェスラフ・シュワルツ画)

イヴァン雷帝の暴政は、ロシアの歴史も文化も否定し、かつての国を象徴する人たちを殺害し、追放した。それは、1917年以前に亡くなった人々の記憶を忘却へと追いやり、歪曲した。

文化までが失われていく

今、それとよく似たことが起きている。つい最近までは、「ロシア」という語には良いイメージも悪いイメージも含まれていた。独裁、スターリン、収容所を思わせるけれども、ロシア文化、宇宙飛行、勝利も連想させた。しかし、それもすべて過去のことだ。

かつて「ドイツ」や「ドイツ人」という語が、ゲーテや偉大なドイツの学者たちでなく、ナチスの親衛隊や狂気の総統、アウシュヴィッツやトレブリンカ強制収容所の窯を連想させたように、今日「ロシアの」という形容詞にふさわしいのは、死、破壊、侵略、嘘だけだ。しかも、それが長く続いているのだ。

国がなくなった。それだけではない、80年代後半から築いてきたものすべてが破壊されてしまった。ロシア文化はなくなった。

Il tempio della lirica, l’evento musicale dell’anno, l’emozione del grande spettacolo. Dal Teatro alla Scala di Milano, Ildar Abdrazakov è #BorisGodunov
Mercoledì 7 dicembre ore 17.45 su @RaiUno e @Radio3tweet pic.twitter.com/HncpLvF1NK
— raicultura (@RaiCultura) November 30, 2022

ウクライナ政府の批判はあったものの、スカラ座は文化と政治を切り離す方針をもとに、ロシア音楽の作品を使用した

伊ミラノのスカラ座はモデスト・ムソルグスキーで幕を開け、アントン・チェーホフは世界のありとあらゆる劇場で上演されている。

かつて、彼らの名の背後には偉大なるロシア文化と呼ばれたものが想起されていたかもしれない。だが今は、詩人のアレクサンドル・プーシキンや作曲家のピョートル・チャイコフスキーは、何かしらの文化的な土壌とは無関係に、彼らの名だけで存在しているかのようだ。彼らは存在するが、その背後には何もない。

ロシアという言葉で思い浮かべるのは…

ロシア軍も、もはや存在しない。あるのは、ウクライナに死をもたらしている危険な武装集団だ。

軍隊は自国を守るものであって、漠然とした自分の幻想を叶えることのほかに何の目的もないのに、隣国で悪事を働くものではない。現代的な軍隊というのは統一されているものであり、私兵で成ってはいない。

現代的な軍隊には規律がある、行き過ぎた行為もあるが、強姦や略奪をした兵士は罰せられる。ほしいままに略奪させ、犯罪者の部隊に近衛の称号を与えて鼓舞するなどしない。

ロシアという語は、ピョートル大帝時代から巨大な軍事力を想像させてきた。いまプーチンは、全世界に向けて、巨大な力など何もないことを見せつけた。

これは、ロシアの安全保障の観点からしても危険なことだ。旧ソ連の最高指導者であったヨシフ・スターリンが冬戦争(フィンランドへの侵攻)で失敗し、ヒトラーのソ連侵攻を促したように。

側近でさえ声をかけない

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ワグネルより正規軍、ロシアが精鋭「空挺軍」集中投入…総司令官交代で積極攻勢に

ワグネルより正規軍、ロシアが精鋭「空挺軍」集中投入…総司令官交代で積極攻勢に
https://news.yahoo.co.jp/articles/f4391722a35bc26ed1af814b8c30ce04739ac90b

『ロシア軍が年明け以降、精鋭の空挺(くうてい)軍を、ウクライナ東部ドネツク州の要衝バフムトなど激戦地に投入している。制服組トップのワレリー・ゲラシモフ参謀総長の総司令官就任を機に、戦況を好転させるための集中投入のようだ。これまでの主戦力だった露民間軍事会社「ワグネル」の雇い兵に代わり、正規軍を再び重視し始めたとの指摘も出ている。

【動画】道路に置かれた地雷に気づかなかった?…ロシア軍の戦車が爆発
ワグネル依存 転換

(写真:読売新聞)

 バフムト防衛にあたるウクライナ軍部隊の報道官は25日、露軍がバフムト市内に侵入しようと試みており、1日に40回近い戦闘があったと指摘した。露軍はここへ来て、バフムト攻防戦での積極攻勢が目立つ。

 その背景にあるのが、空挺軍の投入とみられている。地元ニュースサイト「ウクライナ・プラウダ」は今月下旬、「1月2日に空挺軍の兵士がバフムトに入ってから砲撃の質が一変した」と伝え、露軍の戦法が効率的になったと指摘した。

 露軍はドネツク州の全域制圧への足がかりをつかむため、バフムト攻略を約半年前から試みてきた。本来はパラシュート降下などによる緊急展開が専門である空挺軍を歩兵として、カギとなる戦闘に従事させているとみられる。空挺軍は陸海空軍から独立した存在で、侵略前は4万5000人規模とされてきた。陥落させたばかりの近郊ソレダルの攻略にも加わり、投入は効力を発揮している模様だ。

 米政策研究機関「戦争研究所」は25日、露軍指導部が、兵員補充のため依存してきたワグネルよりも正規軍を重視した用兵を進めていると指摘。今月11日に総司令官にゲラシモフ氏が就任したことが関係しているとの分析を明らかにした。

 露軍は、ドネツク州との州境に近くウクライナ軍が領土奪還を目指すルハンスク州クレミンナの戦線にも最近、空挺軍の兵士を派遣している。重要な戦場には空挺軍を投入する方針を鮮明にしているようだ。

 ゲラシモフ氏の就任と同時の、セルゲイ・スロビキン前総司令官ら3人の副司令官の任命は大規模攻撃に向けた布陣とみられている中、戦争研究所は露軍の大規模攻撃はドンバス地方(ドネツク、ルハンスク両州)の制圧を最優先するとの見方を示している。』

『ただ、空挺軍主体の用兵が今後も効果を上げるかどうかは不透明だ。英国防省は24日、空挺軍で経験豊富なミハイル・テプリンスキー司令官が最近、解任されたとする分析を明らかにした。空挺軍の展開を巡るゲラシモフ氏との意見対立が原因とみられている。

 露軍では、昨年秋に実施した予備役の部分的動員で招集した30万人超のうち、約15万人は最前線に未投入とされている。ただ、露軍は兵員と装備の不足で侵略当初のような大隊戦術グループ(BTG=推計900人規模)を中心とした大規模な攻撃は不可能になっている。空挺軍の集中投入も効果は限定的とみられる。』

中露で手一杯の米国 だが中東は無視するには重要すぎる

中露で手一杯の米国 だが中東は無視するには重要すぎる
https://wedge.ismedia.jp/articles/-/29233

 ※ 安全保障の観点からは、「地中海ダイアローグ(7か国)」と「イスタンブール協力イニシアティブ(4か国)」という枠組みで、影響力を保持する体制だ…。

『米バード大学のミード教授が、1月9日付け米ウォールストリートジャーナル紙掲載の論説‘The Peril of Ignoring the Middle East’で、米国の中東における影響力が低下しているが、中東は無視するには重要すぎるとし、米国が影響力を回復するためには、米国が武力に訴えてもイランの覇権主義や核開発を阻止する用意があるというメッセージを伝えるべきであると主張している。要旨は次の通り。

 中東地域全体が流動化している。エネルギー価格の高騰により膨大な資金が域内に流れ込み、その結果、産油国の指導者達は自信を深め、その一方で中国は中東地域での経済的、政治的なプレゼンスを高めている。

 アラブ首長国連邦(UAE)、トルコ、ロシアは、シリアのアサド政権を強化する方向で米国のシリア政策を妨げている。また、長年のイランに対する欧州の憧憬は、イラン国内での残酷な弾圧で冷めてきており、イランによるロシアのウクライナ侵攻への支援は、欧州のイランとの平和的かつ有益な関係を築くという期待を打ち砕いている。他方、カタールの欧州議会に対する大がかりな贈賄スキャンダルは、欧州連合(EU)を驚愕させた。

 この15年間、米国の中東地域に対する影響力が低下し続けており、イスラエル、アラブ諸国、イラン、トルコは、昔ほど米国を重く見ていない。オバマ政権の優柔不断さとトランプ政権の支離滅裂な政策の後、域内の指導者達は米国の知恵や一貫性に疑問を持っている。

 バイデン政権はジレンマに陥っている。米国は、ロシアのウクライナ侵攻とインド太平洋地域での中国の野心により、既に手一杯になっており、中東方面への関与は最小限にしたい。しかし、中東は無視するには重要すぎる。米国が中東から手を引けば、それだけ米国の世界的な影響力も低下する。

 バイデンが中東で米国の影響力を回復したいのであれば、まだ可能である。米国は、アラブの隣国を脅かすイランの能力を妨害するための断固とした効果的な政策と、イスラエルとその友好国がイランの核開発計画を阻止するために軍事行動をとれるようにするための措置を組み合わせることで、再び中東の秩序の中心に戻れるだろう。

 影響力回復のコストは高いが、無気力は長期的にはより高くつく。バイデンが以上のラインで真剣に協議する用意があるとのメッセージを伝えることができれば、イスラエルとその他諸国は米国の懸念により大きな注意を払うだろう。

 そうでなければ、イスラエルとその近隣の諸国は米国の利益に構うことなく決定をし続け、バイデン政権はその結果の管理に苦闘することとなろう。

*   *   *

 中東地域に関する時宜を得た論説である。確かに「米国は、ロシアのウクライナ侵攻とインド太平洋地域での中国の野心により、既に手一杯になっており、中東方面への関与は最小限にしたいところである」というのが米国の本音であろうが、同時にミードが指摘する通り、中東地域は無視するには重要すぎる。

 脱炭素化が進んでいるが、しばらくの間、化石燃料への依存は続き、ペルシャ湾地域はその間、石油・天然ガスの安価かつ安定した、代替のきかない供給源であり続ける。

 米国は世界最大の石油・天然ガスの生産国になり、米国にとってはペルシャ湾地域の石油・天然ガスの戦略的価値はなくなった。しかし、日本を初めとした米国の同盟国の多くは、中東の石油・天然ガスに依存しているので、米国が中東への影響力を失うことはこれらの諸国の失望を招くことになる。その結果、米国が中東から手を引けば、それだけ米国の世界的な影響力も低下する。』

『しかし、ロシアのウクライナ侵攻や中国の台頭に目を奪われて中東が視野の外に追いやられているのは米国だけではない。

いつの間にか日本のホルムズ海峡依存度(日本のエネルギー源の37%を占める原油の内、中東のホルムズ海峡を通る割合)が過去最高の95%に上昇しているのにも関わらず、日本で中東に対する関心は全くと言って良いほどない。しかし、ペルシャ湾地域からの石油の安定供給が止まれば、日本経済に致命的なダメージを与えるのは間違いない。

武力行使以外のカードがそもそもあるのか?

 ミードの主張は、パレスチナ問題や中東の人権や民主化の問題も含め、まずはこの地域における米国の影響力を回復させることが先決であり、そのためには、イランの覇権主義、とりわけ核武装の危険性を孕むイランの核開発を、武力を使ってでも阻止するということである。

 しかし、「イランが近隣のアラブ諸国を脅かすことを断固として止めさせなければならない」と言うのは易しいが、米国は、既に制裁カードを切ってしまっており、軍事力の行使しか残されていないのではないか。

 イラン核合意(JCPOA)再開交渉は、昨年夏前、米国の中間選挙後まで中断されたが、その後、イラン国内の反政府デモ、イランのロシアへのドローンを供与から、バイデン大統領自身、「JCPOAは、ほとんど死んだ」と発言しているように、とても交渉を再開出来る状況とは思われない。

 イランの核問題の外交的解決が米国の一貫した立場だが、既にイランは、核爆弾製造に必要な濃縮ウランを手に入れている。米国に何か良い手立てはあるのだろうか。ミードは、「オバマ政権の優柔不断さ」と書いているが、同じ民主党政権のバイデン政権も手をこまねいて、ますます事態を悪化させるのであろうか。

 その場合、直接の脅威を受けるイスラエルやアラブ諸国は納得するとは思われない。やはり、「不作為はもっと高くつく」ことになろう。』

ジョンソン元英首相がNATOに苦言を呈す

北の国から猫と二人で想う事 livedoor版:ジョンソン元英首相がNATOに苦言を呈す
https://nappi11.livedoor.blog/archives/5408034.html

『ジョンソン(Boris Johnson)元英首相は、西側諸国がウクライナを北大西洋条約機構(NATO)へ加盟させる勇気と一貫性を持っていたら、ロシアの対ウクライナ全面侵攻は回避できたであろうとの見方を示し、米ワシントンポスト紙への2023年1月30日の寄稿にて指摘した。

ジョンソン氏は、「数十年にわたり、私たちは、NATOとウクライナの題目につき、外交的二枚舌を利用してきたのであり、それは完全な災難の結果で終わった。

私たちは、ウクライナ人に対して、私たちはNATOにて『オープンドア』政策を採っており、彼らは『自らの運命を選ぶ』権利がある、ロシアは拒否権を行使すべきでないと伝えてきた。

その間ずっと、私たちは、ウクライナは決してNATOには加盟することはない、なぜなら非常に多くのNATO加盟国が自らの拒否権を自分に対して行使しているからだと、モスクワに対してはっきりと伝えていたのだ」と指摘した。

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そして同氏は、その結果、欧州における過去80年間で最悪の戦争が生じたのだとし、プーチン(Vladimir Putin)露大統領が数え切れない人の命、家、希望、夢を破壊していることを喚起した。

さらに同氏は、「プーチンは、ウクライナがNATOに加盟しようとしていると考えたから侵攻したのではない。彼は常に、それが蓋然性(がいぜんせい:ある事柄が起こる確実性や、ある事柄が真実として認められる確実性の度合い)の低いことだと知っていた。

彼は、私たちがウクライナの防衛にあまり真剣に向き合っていないと思ったから、ウクライナを攻撃したのだ。それには多くの証拠がある」と述べ、「仮に私たちがウクライナをNATOへ入れるだけ十分に勇気があり、一貫していたら、仮に私たちが話していたことを本当に思っていたのなら、この完全な災難は回避できたであろう」と強調した。

同氏はまた、世論調査では、現在ウクライナにおけるNATO加盟支持は83%と非常に高いと指摘し、「現在、ウクライナの人々はNATO加盟国からの目の眩むような大量の多種多様な装備を極めて上手に、かつ勇気を持って利用している。

NATOがウクライナ人たちに戦争の戦い方について教えれることは全く何もないだろう。実際には、彼らが私たちに教えれるであろうことがたくさんあるのだ」と主張した。

そして「ウクライナ人は、この戦争をできるだけ迅速に終わらせるために必要なあらゆるものを与えられるべきだ」と強調した。参照記事 参考:プーチン氏から「ミサイル」の脅し ジョンソン元英首相が回想   

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このような発言がこれまでNATO向けされなかったのは、ロシアという大国を背負ったプーチンの攻撃的な態度に、大方の政治家が委縮した結果だろう。

プーチンの独断的カリスマ性に、何をするか分からないと恐懼(きょうく)した政治家も多かっただろう。

実際、裏工作や暗殺に長けた相手であり、ジョンソン元首相にプーチンは、「ボリス、あなたを傷つけたくはないが、ミサイルならたった1分で済む」と脅したと回想録にある(ロシア側は嘘と言っているが)。

相手がそんな狂った妄想家であるからこそ、なんらかの先手を打つことが暴走を止める策だったのだが、多くはドイツのように、プーチンになびくことで対立を避ける策に出た。
それをジョンソン氏は今喝破した。思っていたように太っ腹で、明晰な人のようだ。
FireShot Webpage Screenshot #577 – ‘

プーチン氏から「ミサイ以前に同じような発言をしたのは、フィンランドのマリン首相Finnish PM Sanna Marin、ゼレンスキー(Volodymyr Zelensky)大統領位だ。

マリン首相は過去に「容赦なく正直に申し上げる必要がある。今の欧州は力が足りない。、、欧州は長いこと対ロ戦略を築いていた(中略)ロシアからエネルギーを買って、経済関係を緊密にすれば、戦争が防げると思っていたものの、_127871466_882cf9d981e53f79f7eafeこの考えは、まったく間違っていたと証明されてしまった」と述べた。

またマリン首相は、プーチン氏には戦争を終結させる能力が無いとも語っている。

ジョンソン氏は回想録で述べたが、マリン首相は現職で述べ、覚悟をもって中立を捨てた。りっぱな人だ。

相手が勝手な被害妄想で攻めてくる中で、平和は、待っていても自ら歩いては来ないのだ、、。
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世界は誰もロシアを取ろうなどと思っていない。浮き上がったロシア軍は、現代のドンキホーテよろしく、勝手に「大祖国戦争(防衛戦争)」とやらへ向かって行けばいい。

現実は一目瞭然、プーチンは防衛では無く、無謀にも21世紀に侵略を行っている。

 参照記事 過去ブログ:2022年12月フィンランド首相、欧州の防衛力強化の必要性を強調  12月ロシアによる送電網への攻撃は「ジェノサイド」 ウクライナ 11月:スウェーデンが国内への核兵器配備容認もありえると、、?? 過去ブログ:2022年9月プーチン大統領のリムジンに暗殺未遂と露の「汚い戦争」 7月黒海のイルカ5000頭が戦争が原因で死亡?とドンキホーテ 』