なぜTikTokは、米議会で真剣に議論され、禁止されようとしているのか?

なぜTikTokは、米議会で真剣に議論され、禁止されようとしているのか?
https://forbesjapan.com/articles/detail/61973

『 米国で、中国発の動画共有アプリ「TikTok(ティックトック)が全面禁止になる可能性が取り沙汰されている。TikTokに仕掛けられたバッグドア(裏口)からユーザーデータに中国政府がアクセスしている可能性があり、安全保障上問題があるというのがその理由だ。

筆者は職業柄TikTokをよく閲覧するのだが、「全面禁止はデマ」であるという日本語の解説動画が、昨年からよく上がっているのを目にしていた。解説動画の主たちはTikTokが禁止されるのは政府職員など公的機関の人々が使う端末のみで、民間では禁止されるわけではないから、早とちりをするなと呼びかけていた。

彼らの主張が受容されたかのように、TikTokは米国でみるみるユーザー数を伸ばしていき、現時点(2023年3月)でのアクティブユーザーは1億5000万人もいるという。実に米国の人口の約半数が使っているということになる。

しかし、その頃からTikTok全面禁止の可能性は確かにあった。米国の政治をよく観察していればわかるのだが、TikTokの全面禁止は「ユーザーデータへのアクセス」という言葉からイメージされる軽いものではなく、その先にある世論操作まで想定されるものだからだ。
トランプの集会へ「空予約」の呼びかけ
TikTokで世論操作など本当にできるのだろうか? その可能性を想像させる事件が、2020年6月に起こっている。当時は、大統領選挙のキャンペーンの真っ最中。トランプ候補の集会が、TikTokユーザーによって空席だらけになるという出来事が発生したのだ。

オクラホマ州で行われるトランプの集会を「空予約しよう」という呼びかけがTikTokで行われた。集会の運営側は100万人以上の予約があったと意気揚々と事前に発表していたのだが、実際には約2万人規模の会場に空席が目立つほどの動員にとどまった。

会場に収容できない人々用にも追加の演説が予定さていたが、当然中止。3カ月ぶりに行われた集会は散々な結果となった。

公平を期すために言えば、トランプ陣営はTikTokによる影響を否定しているし、空予約も適切に排除していると主張している。当時は新型コロナウィルスの感染拡大もいま以上に懸念されていたこともあるし、Kポップファンによるトランプ反対運動が効いたという説もある。

しかしTikTokで空予約の呼びかけが行われて、それがかなり拡散したのは事実である。筆者もその影響は少なくないと考えている。

そしてその3カ月後の9月、意趣返しのように当時大統領であったトランプはTikTokの新規ダウンロード禁止の大統領令を発出した。やはり安全保障上のリスクがあるという理由によるものだ。

結局、TikTok側の異議申し立てを受け、裁判所が大統領令の一時差し止めの判決を下したため、実際には禁止措置は実行されず、その後バイデン政権になり、大統領令そのものが撤回された。』

『「認知戦」と言われる第6の戦争
しかし事ここに至り、再度、全面禁止が取沙汰されている。米中関係の急激な悪化によるものだ。今後「戦争状態」になったら、TikTokを通じて仕掛けられる米国内の混乱に対処するというのはよくわかる話だ。

さらに最近、気になる事件もあった。シリコンバレー銀行破綻に続いた複数の銀行の破綻及び取引停止の連鎖だ。預金者が一気に預金を引き出すことで起こる、いわゆる取り付け騒ぎが破綻のトリガーになったのだが、その原因としてイエレン財務長官も言及したソーシャルメディアでの噂の拡散だ。

例えば、米中が事を構えることになったら、ソーシャルメディアで米国内の金融不安を煽り、火力を用いずして米国社会に破壊的ダメージを与えることも可能だ。

もう少し具体的に言及すると、中国がフェイクニュースを複数作成し、ユーザーデータを用いて各ユーザーの心理に最も響くであろうものを1億人以上の米国民にピンポイントに届け、フェイクニュースを否定するような投稿に関しては届かないように工作するというようなことも想定できる。なんなら、影響力のあるインフルエンサーだけフェイクニュースを仕掛けて、陥れてもいい。

これは各国で真剣に検討されているリスクであり、陸、海、空、情報、宇宙に続く第6の戦場である人間の認知空間を舞台にした「認知戦」と言われるものだ。このようなこれまでの火力以外の争いも含めた現代の戦争をNATOでは「ハイブリッド戦」、中国では「超限戦」と呼んでいる。

つまり、TikTokがどの程度中国政府のコントロール下にあるのかは、国家安全保障の究極である戦争の問題として認識されているのだ。本当に独立している、なんならTikTokが米国政府のコントロール下に入るというところまでやらないと、この問題は解決しないということだ。

もちろん、そのようなことはTikTokも承知していて、用意周到にこのポリティカルリスクに備えていたのだろう。TikTokは米国文化により浸透し、クリエイターとして生計を立てる米国人も増えたので、これを禁止したら、経済に悪影響を与えるという説も言われるようになっていたし、TikTok側はユーザーデータの保護も約束している。

3月23日には周受資(ショウ・ジ・チュウ)CEOが米議会で証言に立ち、TikTokは中国とは既に切り離された米企業であり国家安全保障に悪影響を及ぼさないという主張を行った。
デジタルの技術や文化に明らかに疎い口調でTikTokを追求しようとする米議会議員たちに対し、彼らよりも明らかに20歳から30歳は若く見えるハンサムな周CEOが、5時間にも及ぶ議会公聴会で1人毅然と知的で冷静な返答を行っていく姿は話題になり、TikTokに対するシンパシーや彼自身のファンも生み出した。』

『周CEOは若干40歳。もとから若く見えるアジア系で、スリムということもあり、アメリカでは30代前半、下手したら20代のようにさえ見えるのだろう。

TikTokのメインユーザーはミレニアルやZ世代といった若者であり、公聴会をみていたTikTokユーザーの多くは、ソーシャルメディアに理解を示さず小うるさい話をする頭の固い「老人」たちよりも、自分たちに近くみえるTikTokの若きリーダーに感情移入するものも少なくないであろうことは容易に想像できる。その世代に色濃い、人種差別や外国人差別などマイノリティ差別への反対感情を味方にするという面もあるのだろう。

つまり今後、TikTok側は主に若い世代やユーザーをターゲットにした世論を盛り上げて対抗していくことが想定されているのだろう。周CEOは、たしかに経歴も実績も申し分のないエリートなのだが、立ち振る舞いやルックスなどが世論に与える影響も加味され選ばれたという可能性も高いと筆者は考える。彼がCEOに就任したのは、2021年のことだ。

一方、周氏は全ての質問に対しストレートに答えず、応酬が平行線をたどることも多かったこともあり、結局TikTokと政府の溝は埋まりそうもないという結果になった。筆者の印象としては冷静に真摯に答えているようには見えるが、はっきりと明言しきらなかったことが多いのも事実だ。

この一件で、今後、大統領令ではなく議会で禁止法案が進められるのは確定し、それに対しTikTok側が廃案にするか、骨抜きにするかというロビイングや世論を味方につける活動を行っていくと想像される。』

日本政府、半導体製造装置を輸出管理対象に 米が対中規制要請

日本政府、半導体製造装置を輸出管理対象に 米が対中規制要請
https://jp.reuters.com/article/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E6%94%BF%E5%BA%9C-%E5%8D%8A%E5%B0%8E%E4%BD%93%E8%A3%BD%E9%80%A0%E8%A3%85%E7%BD%AE%E3%82%92%E8%BC%B8%E5%87%BA%E7%AE%A1%E7%90%86%E5%AF%BE%E8%B1%A1%E3%81%AB%E3%80%80%E7%B1%B3%E3%81%8C%E5%AF%BE%E4%B8%AD%E8%A6%8F%E5%88%B6%E8%A6%81%E8%AB%8B-idJPT9N31N01I

『[東京 31日 ロイター] – 経済産業省は31日、軍事転用の防止を目的に、半導体製造装置を輸出管理対象に追加すると発表した。中国の台頭を懸念する米国は、製造装置に強い日本とオランダに輸出規制の強化を求めていた。日本は管理対象の仕向け地を中国に限らず全地域とし、高性能装置の輸出を事前許可制とする。日本メーカー10数社が影響を受ける。

外為法の省令を改正し、輸出には経産大臣の事前許可が必要になる。パブリックコメントの募集を経て5月に公布、7月の施行を予定している。対象の仕向け地は全地域だが、輸出管理体制の状況などを踏まえ米国など42カ国向けは包括許可に、中国を含めその他向けは輸出契約1件ごとの個別許可とする。

東京エレクトロンが手掛けるエッチング装置やニコンが手掛ける露光装置など6分類23品目が対象で、回路線幅14ナノ前後よりも微細な先端半導体を製造できる高性能装置が規制される。経産省によると、10数社が影響を受ける。

米国は昨年10月、中国が軍事転用する恐れがあるとして半導体の輸出規制を強化。先端半導体を作るのに必要な技術や製造装置の輸出に広く網をかけた。製造装置メーカー最大手の米アプライドマテリアルなどが影響を受ける中、米国は有力な製造装置メーカーを抱える日本とオランダにも足並みをそろえるよう求めていた。

3カ国は今年1月、先端半導体の製造装置輸出を規制することで合意。オランダは3月上旬、国家安全保障の観点から先端的な半導体技術の新たな輸出規制を計画していると表明したが、日本は「今般のオランダの動向も踏まえて適切な対応を検討していきたい」(西村康稔経産相)とするにとどめていた。』

日本政府、半導体製造装置を輸出管理対象に 米が対中規制要請
https://www.epochtimes.jp/2023/03/143878.html

『[東京 31日 ロイター] – 経済産業省は31日、軍事転用の防止を目的に、半導体製造装置を輸出管理対象に追加すると発表した。中国の台頭を懸念する米国は、製造装置に強い日本とオランダに輸出規制の強化を求めていた。日本は管理対象の仕向け地を中国に限らず全地域とし、高性能装置の輸出を事前許可制とする。日本メーカー10数社が影響を受ける。

外為法の省令を改正し、輸出には経産大臣の事前許可が必要になる。パブリックコメントの募集を経て5月に公布、7月の施行を予定している。対象の仕向け地は全地域だが、輸出管理体制の状況などを踏まえ米国など42カ国向けは包括許可に、中国を含めその他向けは輸出契約1件ごとの個別許可とする。』

日米比、安保協議創設へ 対中抑止、台湾有事備え

日米比、安保協議創設へ 対中抑止、台湾有事備え
https://news.yahoo.co.jp/articles/df14dda1deeabeeb4012a6060d161ea2e9ada152

 ※ 中国の戦狼外交は、ただ「敵」を増やし、「敵陣営の結束」を高めただけだったな…。

『【マニラ、ワシントン共同】日本、米国、フィリピン3カ国が安全保障担当高官による協議の枠組みを創設する方針を固めたことが28日分かった。4月にも初会合の開催を検討している。日米には東・南シナ海で軍事活動を活発化させる中国への抑止力を強化し、台湾有事への備えも進める狙いがある。フィリピンのアニョ国家安全保障補佐官(閣僚級)や米政府筋が明らかにした。

【写真】米軍偵察機U2から撮影した中国の偵察気球

 アニョ氏側近は岸田政権から提案を受けたと述べた。日米は台湾やシーレーン(海上交通路)に近い戦略的要衝のフィリピンを反中陣営に引き込もうと働きかけを強めている。「日米比のトライアングル防衛協力」(外交筋)に向けて将来的な共同訓練を模索しており、フィリピンに3カ国の安保連携合意も提案している。

 フィリピンのマルコス政権は中国と南シナ海問題で対立しつつも一定の関係維持を模索。微妙なバランスを取るためにも日米の後ろ盾を得る必要に迫られている。南シナ海での日米などとの共同巡回を目指すほか、防衛当局間の交流も加速させる考えだ。』

中国に入る、二人の馬(マー)

中国に入る、二人の馬(マー)
http://blog.livedoor.jp/goldentail/archives/31167599.html

『一時期は、日本に住んでいて、その後も世界各地を転々としていた、元アリババのCEOであるジャック・マー氏が、中国に呼び戻されたようです。もともと、ジャック・マー氏は、教育事業に興味があり、中国共産党に強制的にCEOを引退させられた後は、自分で中国国内に雲谷学校という私立の小~高までの一貫校を経営していました。そこを訪問するマー氏の姿が画像付きで記事になっています。

恐らく、御本人の希望では無いと思われます。何しろ、散々、事業を妨害させられた上、共産党の言い値で、自分の持ち株を売却させられて、アリババに対する代表権を失い、強制的に引退させられたわけですから、中国の敷居を跨ぎたくもないでしょう。呼び戻されたのは、結局、今度新首相に就任した、李強氏の要望だったと言われています。中国共産党は、アリババ・グループを支配下に置いたものの、そもそもITに明るい人材も無く、どう事業を発展させるかのアイデアも持っていません。なので、武漢肺炎騒動が収束した今になって、意見を聞く、業界にも知名度があり影響力のある人物が必要になったという事です。まぁ、もしかしたら、親族を人質に呼び戻されたかも知れません。(ご家族は、一緒に国外に出ているので、家族を人質にはできないはずです)

マー氏は、強制引退させられるまでの1年間で、腹心の部下に、現状維持の経営については、問題が起きない環境を整えて役員を降りたので、今のまま経営するには問題ありません。ただし、変化の激しいIT業界で、現状維持だけでは、衰退するのは目に見えています。殆ど国家公認レベルのITインフラになっている巨大企業のアリババとて、例外ではありません。そして、コントロール下に置いた共産党には、それが出来る人材がいないのです。巨額の資金を投入して、安い値段で売りまくれば、市場が奪えるといった単純な業種では無いからです。石炭や鉄鋼と同じ手は使えません。まぁ、都合が良すぎる他力本願ですが、マー氏は断れない圧力をかけられているのでしょうね。

マー氏が、ここまで攻撃された続けた原因は、一言で言うと、江沢民利権を財力で支えた中心だった事もありますが、単純に習近平氏の嫉妬ととも言われています。というのは、貿易で揉めて、トランプ元大統領と、なかなか会談できなかった時期、オンライン決済を行うアントの上場を予定していたジャック・マー氏は、アメリカ国内に100万人の雇用を生み出す事業進出をぶち上げて、単独で会談をしていたんですね。つまり、習近平氏を差し置いて、トランプ元大統領と会談し、約束までしてきたので、習近平氏が、その目立ち方に腹を立てたと言われています。後に、史上最大の370億ドル規模のIPOと言われていた、アントの上場も3日前に共産党から妨害が入って、取り止めさせられました。

もう一人、中国に入った馬(マー)氏がいます。台湾の野党・国民党の馬英九氏です。つい先日、ホンジュラスが多額の中国からの支援金と引き換えに、台湾との国交を断絶したニュースが流れましたが、台湾の親中国政党である国民党のマー氏を招いたのも、台湾包囲網の一つの動きと見られています。もともと、国民党は、中国共産党と戦って敗れた蒋介石の流れを汲む政党で、政党としての初代当主は、息子の蒋経国です。なので、当然、最初のうちは、反中国だったのですが、狭い国土で切り盛りする都合で、中国と妥協する事を余儀なくされ、そのうち、中国に毒されて、今やすっかり親中路線の政党です。今は、民進党の方が、反中国、独立路線です。蒋経国が党首だった時には、中国との付き合い方について、接する事はしない・談話はしない・話し合いもしない・妥協はないという方針を出していたのですが、今は見る影もありません。

台湾のマー氏は、中国の言う「平和的な台湾の中国への統合」の為、本人にその意図が無くても対外的に友好関係をアピールする為に呼ばれたのでしょう。つまり、台湾も中国と統合を希望する人達は、一定数いますよ。我々は、無理やり統合するわけではないですよという事です。

どちらのマー氏の中国入も、強権発動で動いてみても、結局は実力不足で妥協の道を歩まざるを得ない中国共産党のジレンマが見てとれます。戦闘機を飛ばして威嚇しても、相手が折れなければ、金を使って周りを懐柔して、有利に進めるしか無いのです。嫌いな経営者を追放してみても、事業を発展させる為には、創業者の人としてのカリスマに頼らなくてはならない。拳を振り回しても、本人に見合う徳が無ければ、現実が付いてこないのです。 』

米下院、中国共産党による臓器狩り禁止法案 圧倒的多数で可決

米下院、中国共産党による臓器狩り禁止法案 圧倒的多数で可決
https://www.epochtimes.jp/2023/03/143354.html

『米下院は27日、良心の囚人から強制的に臓器を摘出する中国共産党を罰する法案を賛成413、反対2の賛成多数で可決した。

「2023年強制臓器摘出停止法案(Stop Forced Organ Harvesting Act of 2023)」は、共和党のクリス・スミス議員が提出した。良心の囚人から生きたまま臓器を摘出する「臓器狩り」に加担した者に制裁を科し、国外で行われた臓器収奪について年次報告書を提出するよう国務長官に求める。上院からはトム・コットン議員などが同様の法案を発表している。

具体的には、臓器狩りに関与したことが判明した場合、最高25万ドル(約3300万円)の民事罰、最高100万ドル(1億3000万円)の罰金と懲役刑を受ける。

臓器狩りについて「残虐行為かつ人道に対する罪であり、中国の無実の人々に対する戦争犯罪だ。習近平国家主席は直接的な責任を負うが、これに進んで関与した者も責任を負うことになる」とスミス氏はエポックタイムズに語った。

2020年3月10日、米連邦議会議事堂で開催された「中国における臓器調達に関する政策フォーラム」に出席するクリス・スミス下院議員 (Samira Bouaou/The Epoch Times)

この法案は、超党派で支持を受けている。民主党のスーザン・ワイルド議員は米国が「この問題の大きさと広がりについて、十分な情報に基づいた評価」ができるようになると法案の意義を強調。「現在進行中の大量虐殺を考えると、中国共産党の言葉を鵜呑みにすることはできない。私たちは調査し、検証する必要がある」と付け加えた。

腹部には敷き詰められた氷

中国共産党による迫害から生き延び、米国に逃れてきた法輪功学習者、韓愈氏などにとって法案可決は、心強いものとなっている。

「真善忍」という3つの理念を指針とする中国の伝統的気功である法輪功は、1990年代に中国でその健康と道徳的な利点から人気を博したが、これを脅威とみなした当時の中国共産党総書記・江沢民が1999年に弾圧政策を実施。以降、学習者は拷問や臓器収奪の犠牲者となっている。

2019年に英国で開かれた国際人道犯罪を裁量する「中国民衆法廷」は、中国本土で長年にわたり移植手術を目的とした「強制的な臓器摘出が、相当な規模で行われて」おり、臓器狩りの主な犠牲者は法輪功学習者だと結論を下した。

中国共産党の迫害により父親を亡くした韓愈氏。2019年9月24日撮影 (Eva Fu/The Epoch Times)

首都北京出身の韓愈氏は2004年、迫害により法輪功学習者の父親を亡くした。中国共産党が秘密裏に行う臓器狩りの実態が初めて報道される2年前の出来事だった。

父の遺体は極端に痩せ細り、顔はあざに覆われていたという。不信感を抱いた叔父と叔母が取り囲む警官の隙を見て、遺体に着せられたシャツを引き裂くと喉から腹部まで切開した跡があった。太い黒糸で縫合されており、腹部には氷が詰められていたという。

しかし、韓愈氏がその真実を知ったのは3年後のことだ。中国共産党による臓器収奪を説明する記事を見つけ、父が臓器収奪の犠牲者だと確信した。ショックのあまり気を失ったという。

「この話をするたびに心が痛む」と韓愈氏。「しかし、父の死を無駄にできない。中国での臓器収奪を一刻も早く停止しなければならない」と語った。

大きな一歩

医療倫理団体「強制臓器摘出に反対する医師の会(DAFOH)」代表のトルステン・トレイ氏は「大きな前進」と法案を歓迎する一方、中国への移植ツーリズムを阻止するためにはさらなる対策が必要だと強調する。

米国に入国するすべての人(合法・不法移民、米国市民を問わず)に対して「強制的な方法で臓器を収奪する国(中国)で臓器移植を受けたかどうか」、また「臓器のために支払った金額」を答えることを義務づける必要があると言う。

「臓器狩りは犯罪だ。中国で法輪功学習者や他の良心の囚人が臓器のために殺されているなら、医療のプライバシーという名目でこれらの犯罪を隠蔽すべきではない」とエポックタイムズに語った。

現在、イスラエル、台湾、イタリア、スペインがすでに臓器移植ツーリズムを禁止している。一方で、欧州議会や米国議会、複数の地方機関も、中国共産党政権の臓器狩りを公に非難しているが、立法手段を採るには至っていない。

しかし、法案が法制化されればその変化に向けた一歩となると、法輪大法情報センターのリーバイ・ブラウデ事務局長は言う。

「この法案が成立すれば、わが国の議会は臓器のために無実の人々を殺害する(中国共産党の)蛮行を止め、それに加担する者を罰する法律を制定した国々と足並みを揃えることになる」と強調した。

Eva Fu
Eva Fu
エポック・タイムズのライター。米国政治、米中関係、信教の自由、人権にフォーカス。ニューヨークを拠点。』

台湾総統の米国立ち寄り、中国が過剰反応する理由ない=米高官

台湾総統の米国立ち寄り、中国が過剰反応する理由ない=米高官
https://www.epochtimes.jp/2023/03/143556.html

『[ワシントン 29日 ロイター] – 米政府高官らは、台湾の蔡英文総統が今週と来週、中米歴訪の際に米国に立ち寄ることに中国が過剰反応する理由はないとの政府の立場を示した。米国の「一つの中国」政策とも整合的だと訴えた。

中国側に対話チャンネルを開き続けるよう求めていることも明らかにした。』

90年代に米国の戦争マシーンに組み込まれた日本の政府は米国の命令通りに動く

90年代に米国の戦争マシーンに組み込まれた日本の政府は米国の命令通りに動く | 《櫻井ジャーナル》 – 楽天ブログ
https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/202303290000/

『アメリカの​ラーム・エマニュエル駐日大使は岸田文雄首相のウクライナ訪問を絶賛するコメントをツイッターに書き込んだ​。中国の習近平国家主席は3月20日から22日かけてロシアを訪問、ウラジミル・プーチン露大統領と会談しているが、それに合わせて21日に岸田はウクライナを訪れている。エマニュエルはバラク・オバマ政権で大統領首席補佐官を務めた筋金入りの親イスラエル派だ。

 中国とロシアの首脳会談は両国が強固な同盟関係にあることを世界に示すもので、アメリカを中心とする支配システムの終わりを告げているとも言える。アメリカ政府は自分たちが世界のリーダーだと叫んでいるが、岸田のウクライナ訪問はその虚しい努力を助けることが目的だったのだろう。

 ​中国政府は習近平がロシアを訪問する前、2月24日にウクライナ危機への立場を発表​している。すべての国の主権尊重、冷戦的な精神構造の放棄、敵対行為の終了、和平交渉の再開、人道危機の解決、市民と捕虜の保護、原発の安全維持、戦略的リスクの軽減、穀物輸出の促進、一方的制裁の中止、製造や供給の安全維持、紛争後の復興促進を掲げているが、​アメリカ政府はこうした提案やウクライナでの和平実現を拒否​している。

 ​エマニュエル駐日大使は3月6日、岸田の成果を挙げている​。確固たる新安全保障戦略の導入、防衛費の増額、経済政策、ウクライナへの支援、ロシアに対する政策の転換、防衛パートナーシップの構築、日本企業(大企業)から賃金を引き上げる約束の確保などだ。

 軍事力を増強し、アメリカの代理戦争を行なっているウクライナへの支援、そしてロシアとの関係を悪化させる政策を成果だとし、さらに韓国と手を組んで中国やロシアと戦う準備をするように求めている。

 岸田がウクライナを訪問したのはジョー・バイデン政権から命令されたからだと考えるのが自然だ。G7の首脳で岸田首相だけがウクライナを訪問しいないため、どうしてもウクライナを訪問したかったという考えは正しくないだろう。この訪問について「子どもじゃあるまいし」とコメントした人がいるようだが、国際情勢が見えていないようだ。

 アメリカでは国際問題をネオコンが取り仕切ってきた。そのネオコンには東ヨーロッパ系の人物が多く、一貫して反ロシア/ソ連だ。統合参謀本部のマーク・ミリー議長は昨年11月、ウクライナ軍がロシア軍に勝利することはないかもしれないとニューヨークの経済クラブで発言している。これは常識的な見方だが、ネオコンに操られているバイデン政権はこの事実を認めたがらない。

 歴史的に反ロシア感情が強い​ポーランドの大統領は昨年10月、アメリカに対して核兵器をポーランド領内へ配備するよう求めた​と伝えられているのだが、ベラルーシへロシアが核兵器を配備するという話が出てくると、その発表を強く批判している。自分たちは何をしても許され、相手は何も許されないと考えているようだ。

 習近平とプーチンとの会談では経済面だけでなく軍事面も話し合われたと見られている。言うまでもなく、軍事面はロシアが強い。日本は中国と戦争する準備を進めているが、ロシアが傍観するはずはない。開戦の前に高性能兵器を中国へ供与するだろう。その一つが対艦ミサイルだが、3月28日にロシア軍は日本海で超音速対艦ミサイルを100キロメートル離れた標的に向かって発射する実験を行った。日本はアメリカの戦争マシーンに組み込まれ、ロシアや中国から敵と認識されていることを日本人は自覚する必要がある。

TWITTER

最終更新日 2023.03.29 15:00:06 』

米軍高官、中国が台湾侵攻なら日本などが「姿見せるだろう」

米軍高官、中国が台湾侵攻なら日本などが「姿見せるだろう」
https://mainichi.jp/articles/20230329/k00/00m/030/030000c

 ※ まあ、こういう「認識」の延長線上に、岸田夫人の訪米要請とかも、あるんだろう…。

『米軍制服組トップのミリー統合参謀本部議長は28日、上院軍事委員会の公聴会で、中国が台湾に軍事侵攻した場合、日本を含む同盟国が米国と協力して台湾を支援するとの見解を示した。ミリー氏は「多くの国が米国と非常に緊密な関係にあり、危急の時には姿を見せるだろう」と述べた。

 ミリー氏は、中国の台湾侵攻が起きた場合に同盟国が「姿を見せると信じるか」を問われ、「国によって異なる方法ではあろうが、答えはイエスだ。全ての国が戦闘部隊(派遣)のような形というわけではないだろうし、各国は自国の戦略的利益に基づき、それぞれ活動する」と答えた。日本、韓国、フィリピン、タイ、オーストラリアの国名を挙げて「米国には、すばらしい同盟や友好のネットワークがあり、中国やロシアに対して戦略的な優位をもたらしている。中国には友人はほとんどいない」と指摘した。

 中国の海軍が艦船数で米海軍を上回っていることについても「日本の海上自衛隊、オーストラリア、英国、フランスの海軍を足し合わせれば、数で勝り、攻撃力でも勝る」と強調した。

 またオースティン国防長官は、平時は州知事の指揮下にある州兵が外国軍の訓練にあたる「州提携プログラム」を通じてウクライナ軍を訓練した実績を例に挙げて、台湾軍にも州兵が類似の訓練支援をしていると説明。「できる限りの支援を確実に進める方法を見いだしていく」と強調した。

 米国は1979年に台湾と断交したため公式な外交関係はないが、台湾関係法に基づいて「自衛に必要な武器」を供与してきた。米国に台湾の防衛義務はないが、バイデン大統領は中国の侵攻があれば、米軍が台湾防衛に関与する考えをたびたび示している。バイデン政権は中国の軍事力強化に見合った防衛態勢の構築を急ぐため、台湾への武器供与や訓練の強化、外交・安全保障当局間の交流を進めるとともに、日本やフィリピンなど周辺国との関係強化も重視している。【ワシントン秋山信一】』

台湾・蔡総統が米ニューヨークに到着 中国「断固反対」

台湾・蔡総統が米ニューヨークに到着 中国「断固反対」
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM2957X0Z20C23A3000000/

 ※ 米側の説明では、「米国に対する公式訪問」ではなく、あくまで、「中南米訪問」に向けた「経由地」としての訪問で、「非公式・私的」なものだ…、「過剰に反応」するべきでない…、ということなんだが…。

 ※ 中国側は、納得しないだろうな…。

『【台北=中村裕】台湾の蔡英文(ツァイ・インウェン)総統が日本時間30日早朝(米国時間29日)、米ニューヨークに到着した。訪米は約4年ぶり。中米諸国歴訪の経由地として、2日間滞在するものとみられる。米台の連携強化をアピールするのが狙いだ。米台のいかなる形の交流にも「断固反対」を表明する中国が、今後どのような対抗措置に出るかが一つの焦点となる。

蔡氏は29日に台湾を出発し、4月7日までの日程で外遊を…

この記事は会員限定です。登録すると続きをお読みいただけます。』

中露首脳会談で頻出した「多極化」は「中露+グローバルサウス」新秩序形成のシグナル

中露首脳会談で頻出した「多極化」は「中露+グローバルサウス」新秩序形成のシグナルhttps://news.yahoo.co.jp/byline/endohomare/20230325-00342754

 ※ 「多極化だ!」…、という「お題目」を唱えていれば、「多極世界が実現する」…、というものでもあるまいよ…。

 ※ まあ、「多極世界」が、本当に「実現」してから、ゆっくり、「国家戦略の修正」を考えても、遅くはなかろう…。

 ※ むろん、シミュレーションは、怠りなく、やっておくべきだがな…。

『中露首脳会談で頻出した「多極化」という言葉は、アメリカの一極支配的先進国価値観による秩序ではなく、中国がロシアやインドと共にグローバルサウスを包含した世界新秩序を形成するシグナルである。

◆中露首脳会談で頻出した「多極化」という言葉

 中露首脳会談では、両首脳の口から何度も「多極化」という言葉が飛び出した。

 会談後の中露共同声明でも、以下のような形で4個所も「多極化」という言葉が出て来る。たとえば

  ●世界情勢は劇的に変化しており、「和平、発展、協力、ウィン‐ウィン」という歴史的潮流を阻害することはできず、多極化という国際的局面は加速的に形成されており、新興市場や発展途上国の地位は普遍的に増強されている。それは全地球的な影響力を持っており、自国の正当な権益を守りたいという地域や国家は絶え間なく増加している。

  ●「普遍性、開放性、包括性、非差別」を支持し、各国・地域の利益を考慮し、世界の多極化と各国の持続的発展を実現すべきだ。

  ●世界の多極化、経済のグローバル化、国際関係の民主化を促進し、グローバル・ガバナンスが、より公正で合理的な方向に向かって発展することを推進する。

  ●中国は、ロシアが公正的な多極化国際関係を築くために努力していることを高く評価する。

といった具合だ。

 これらは何を意味しているかというと、アメリカの価値観だけが世界で唯一正しく、その価値観に合致しない国々は滅びるべきであるとして、アメリカが同盟国や友好国と小集団や軍事的ブロックを作り対中包囲網あるいは対露包囲網を形成して中露を崩壊させようとしていることへの、中露両国の強烈な怒りを表している。

 ウクライナに軍事侵攻しているロシアに、このような共同声明を出す資格はないとは思う。

 2022年5月1日のコラム<2014年、ウクライナにアメリカの傀儡政権を樹立させたバイデンと「クッキーを配るヌーランド」>や、同年5月6日のコラム<遂につかんだ「バイデンの動かぬ証拠」――2014年ウクライナ親露政権打倒の首謀者>で書いたように、たしかにアメリカのバイデン大統領は副大統領だった時に他国政府であるウクライナに内政干渉してクーデターを起こさせ、ウクライナの親露政権を転覆させた。その上でバイデンの意のままに動く親米政権(ポロシェンコ政権)を樹立させた。それまでウクライナはNATO加盟に関して「中立を保つ」として自国の平和を守ってきたのに、バイデンはウクライナ憲法に「ウクライナの首相にはNATO加盟への努力義務がある」とさえ書かせた。これは多くの国際政治学者が認めている事実で、国際法違反である。

 それゆえにプーチンがアメリカに抗議するのなら分かるが、ウクライナに軍事侵攻するのは間違っている。あってはならないことだ。習近平も軍事侵攻には反対の立場にいる。

 しかし、それを大前提としながらも、なぜ中露はここまで強烈に「多極化」を謳うのか?

 そこには習近平の壮大な野望がある。

 それは「中露+グローバルサウス」を中心とする新世界秩序の構築だ。

 かつて日中国交を正常化させるに当たって、毛沢東は周恩来に「大同小異」と言わせた。

 中国はロシアの軍事侵攻には反対であるものの、それを「小異」と位置付けて、「大同」に向かって突進し始めている。

◆共産中国誕生以来の発展途上国との結びつき

 共産中国である中華人民共和国誕生以来、毛沢東は発展途上国との提携を強化せよと指示した。中華人民共和国の国連加盟を目指すためだ。その指示に沿って1954年に中国の周恩来総理はインドのネール首相と会談し平和五原則を発表した。これに沿って1955年に開催したバンドン会議が、のちのアジア・アフリカ会議の軸になっている。バンドン会議の参加国の多くは第二次世界大戦後にイギリス、フランス、アメリカ、オランダあるいは日本(大日本帝国)などの「帝国主義」の植民地支配から独立したアジアとアフリカの29ヵ国で、その時すでに世界人口の54%を占めていた。

 以来、中国とアフリカの結びつきは尋常ではなく強固で、中国のどの大学にも「アジア・アフリカ研究所」があり、どの行政機関にも「亜非処(アジア・アフリカ部局)」というのが設立されていたほどだ。習近平政権になってからは、トランプ政権時代に黒人差別が激しかったために、中国とアフリカ53ヵ国との結びつきを、一層強化させることに貢献している。

 中国はまた「発展途上国77+China」という枠組みの国際協力機構を持っており、南米やASEAN諸国を含めた発展途上国の頂点に立っていることを自負している。

 「BRICS+」という新興国同士のつながりや、中央アジアを中露側に引き付ける「上海協力機構」という枠組みもある。

 残るは「中東」だけだった。

◆中国がイラン・サウジ和睦の仲介をしたことによって新秩序形成は決定的となって

 拙著『ウクライナ戦争における中国の対ロシア戦略』の【第二章 習近平が描く対露『軍冷経熱』の恐るべきシナリオ】で書いたように、ウクライナ戦争が始まる前から中国は中東諸国との緊密度を高め、石油人民元への移行を求めてきた。アメリカによる制裁が与えるリスクを回避するためだ。

 その続きとして今年3月10日に中国の仲介でイランとサウジアラビアを仲直りさせたのである(参照:3月12日のコラム<中国、イラン・サウジ関係修復を仲介 その先には台湾平和統一と石油人民元>)。これほど大きな地殻変動はなく、事態は石油人民元や台湾平和統一へのメッセージを超えて、世界秩序を変える方向に動き出しているのだ。

 このことに注目しなければならない。

◆シリア大統領が間髪入れずにモスクワを訪問しプーチン大統領と会談

 このときに見落としてならないのは、まるでスタンバイしていたように3月15日にシリアのアサド大統領がモスクワを訪問し、プーチン大統領に会ったことだ。

 シリアはアメリカが敵視する国の一つで、アサドとプーチンは仲が良い。

 一方、トルコのエルドアン大統領も、NATOに加盟しながらも、個人的にはプーチンとは昵懇(じっこん)の仲である。

 シリア内戦ではシリアの反政府勢力をトルコが支持していたので、シリアとトルコは国交断絶状態だった。ところが2022年12月28日、トルコとシリアの高官がモスクワを訪問して「ロシア・トルコ・シリア」の3ヵ国会談が行われ、プーチンが3カ国間の機構設立を提案したとのこと。これはちょうど、2022年12月13日のコラム<習近平、アラブとも蜜月 石油取引に「人民元決済」>に書いた2022年12月7日の習近平によるサウジアラビア訪問と呼応した動きだ。

 シリア内戦は、もともとアメリカのネオコン(新保守主義者)の根城である全米民主主義基金会(National Endowment for Democracy=NED)が2010年~2011年にかけて起こした「アラブの春」(カラー革命)と言われる民主化運動でにより始まった内戦だ。NEDは1983年に「他国の民主化を支援する」という名目で設立された。実際は多くの国をアメリカの一極支配下に置くというのが目的だ。

 アラブの春により、エジプトでは30年続いたムバーラク政権が、リビアでは42年続いたカダフィ政権が崩壊した。しかしシリアではアサド独裁政権が40年にも渡って続いており、まだ打倒されていない。だからアメリカはアサドを目の敵にしているが、アサドの背後にはロシアやイランなどがいる。

 そのイランとアメリカの同盟国だったはずのサウジアラビアを中国が仲介して和睦させたように、実はプーチンが仲介してシリアとトルコを和睦させようとしている。

 今年3月15日のアサドとプーチンの会談では「トルコとシリアの和睦」に関しても話し合われたようだ。

 アメリカができなかったことを、中露が実現する。

 これはとてつもない地殻変動を招く。

◆実はアフリカの多くの国はプーチンを支持している

 冷戦時代、旧ソ連はアフリカの多くの国に軍事支援や経済支援を提供していた。冷戦終結後のロシアにとってアフリカの重要性は薄れ、影響力が弱まった時期もあったが、ウクライナのクリミア半島を併合した後、ロシアは再びアフリカに注目し、20ヵ国前後のアフリカ諸国と次々と軍事協定を締結してきた。アメリカの干渉はアフリカに混乱を招き、今となってはロシアこそが自国を助けてくれるというアフリカ諸国は少なくない。

 そのため、2022年3月2日における「ウクライナからのロシア軍即時撤退の国連決議案」では、アフリカの国は「反対1、棄権17、不参加8」で合計26ヵ国がロシアを非難しなかった。

 また、習近平が訪露してプーチンと会った今年3月20日、実は同時に「多極世界におけるロシア・アフリカ会議」がモスクワで開幕していた。その閉幕式でプーチンは「今後もアフリカとの協力関係を深め、200億米ドルを超える国際組支払いを免除する」と表明している。

 こうして、中露共同声明の舞台は準備されていたのである。

◆「中露+グローバルサウス」新世界秩序形成の動きに鈍感な岸田政権

 このような動きを知っているのか否か定かではないが、おそらく、そのような大局的動きは目に入っていないであろう岸田首相は、習近平がプーチンと会談しているその時を狙ったようにウクライナを訪問した。

 ウクライナはアメリカを中心としたNATOの武器提供によってロシアと戦っている。NATOのメンバー国でない日本は、中立的な立場で停戦交渉を促すことができる数少ない国の一つだが、岸田政権はその大きな役割を放棄して、あくまでも戦争を継続させる方向にしか動いていない。

 「必勝しゃもじ」をゼレンスキー大統領にプレゼントしたことから考えて、「戦いを続けることは、ウクライナ国民の命をより多く奪うことだ」ということも考えずに、和平に向かって動こうとはしてないのである。せっかく果たせるはずの、日本の大きな役割を自ら放棄したのに等しい。

 かつてアメリカに原爆を落とされる寸前まで、日本人の命を奪ったあの戦争で「欲しがりません勝つまでは」と叫ばされた標語を忘れたのか――。
記事に関する報告
遠藤誉
中国問題グローバル研究所所長、筑波大学名誉教授、理学博士

1941年中国生まれ。中国革命戦を経験し1953年に日本帰国。中国問題グローバル研究所所長。筑波大学名誉教授、理学博士。中国社会科学院社会学研究所客員研究員・教授などを歴任。日本文藝家協会会員。著書に『習近平三期目の狙いと新チャイナ・セブン』、『もうひとつのジェノサイド 長春の惨劇「チャーズ」』、『ウクライナ戦争における中国の対ロシア戦略』、『 習近平 父を破滅させた鄧小平への復讐』、『「中国製造2025」の衝撃』、『毛沢東 日本軍と共謀した男』、『ネット大国中国 言論をめぐる攻防』、『中国がシリコンバレーとつながるとき』など多数。』

米海軍は、1隻の最新型LCSにコーストガードを陪乗せしめ、それを南太平洋に送り込む。

米海軍は、1隻の最新型LCSにコーストガードを陪乗せしめ、それを南太平洋に送り込む。
https://st2019.site/?p=21005

『The Maritime Executive の2023-3-26記事「U.S. Navy Deploys an LCS to Enforce Fishing Rules in Western Pacific」。

   米海軍は、1隻の最新型LCSにコーストガードを陪乗せしめ、それを南太平洋に送り込む。違法シナ漁船の密漁船団を粉砕するためだ。

 『インディペンデンス』級を送り出す。』

岸田首相、防衛大卒業式で訓示「今日のウクライナは明日の東アジアかもしれない」強い危機感示す

岸田首相、防衛大卒業式で訓示「今日のウクライナは明日の東アジアかもしれない」強い危機感示す
https://news.yahoo.co.jp/articles/b28b8ba6cc65d3ef2ca43f0e99639c8976497cab

 ※ 今日は、こんな所で…。

『3/26(日) 12:00配信

岸田首相は防衛大学校の卒業式で訓示し、「今日のウクライナは明日の東アジアかもしれない」と述べ、強い危機感を示しました。

岸田首相「我が国の周辺国、地域においても核、ミサイル能力の強化、急激な軍備増強や力による一方的な現状変更の試みがいっそう顕著になっている。今日のウクライナは明日の東アジアかもしれない」

岸田首相はまた、先週のウクライナ訪問に触れ、「ロシアによる侵略の惨劇を直接、目の当たりにした。これを繰り返さないために、侵略を一刻も早く止めなければならない」と強調しました。

一方、自衛隊でセクハラ事件が起きたことなどを受けて、「人の組織である自衛隊でハラスメントはその根幹を揺るがすものだ」と訓示しました。

今年の卒業生は446人で、このうち民間企業への就職などを理由に自衛官になるのを辞退した「任官辞退者」は46人でした。

防衛省は、2013年度以降、任官辞退者の卒業式への参加を認めていませんでしたが、今年は10年ぶりに参加を認めました。』

関与強化、中国けん制へ アフリカ歴訪を開始―米副大統領

関与強化、中国けん制へ アフリカ歴訪を開始―米副大統領
https://www.jiji.com/jc/article?k=2023032600197&g=int

『【ワシントン時事】ハリス米副大統領は26日、アフリカ歴訪の最初の訪問国となる西部ガーナに到着した。歴訪は4月2日までの日程で、ガーナのほか、タンザニアとザンビアも訪れる。アフリカ諸国には中国が影響力拡大を図っており、バイデン米政権はハリス氏歴訪で関与強化の姿勢を印象付ける狙いがある。

岸田首相、インフラ支援を表明 「親中ロ」アンゴラ大統領と会談

 ハリス氏はガーナ入り後、首都アクラのコトカ国際空港で演説し、「今回の訪問では投資の拡大や、経済的な成長と機会の促進に集中する」と語った。 』

ホンジュラス、台湾と断交 中国が国交結び米台にくさび

ホンジュラス、台湾と断交 中国が国交結び米台にくさび
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM260MI0W3A320C2000000/

 ※ 画像は、ネットで拾った。( https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN2625G0W1A021C2000000/ )

『【台北=龍元秀明】台湾の外交部(外務省)は26日、中米ホンジュラスと断交したと発表した。ホンジュラスは同日、台湾に代えて中国と国交を樹立した。台湾の蔡英文(ツァイ・インウェン)総統は29日から、約4年ぶりに米国や外交関係のある中米2カ国を訪問する。その直前の動きで、中国が米台連携にくさびを打つ形となった。

ホンジュラス政府は25日(現地時間)「中華人民共和国が中国の唯一の合法政府と認め、台湾とはいかなる関係や接触も持たないと約束する」との声明を発表した。中国外務省は26日の声明で「ホンジュラスの立場を称賛する」とした。

台湾の蔡総統は26日、断交について「大変残念だ」とのコメントを発表した。その上で「中国はここ数年、様々な方法で台湾を抑え込み、地域の平和と安定に影響を及ぼしてきた」と述べた。

台湾の呉釗燮・外交部長(外相)は同日、記者会見を開き「(ホンジュラスは)長年の支援や友好関係を無視した」と批判した。80年以上続いた外交関係が終わることを「深く悲しみ、落胆している」とした。

さらに呉氏は、断交のタイミングが蔡氏の中米外遊直前となったことについて「中国が(水面下で)意図的に動いた疑いがある」と指摘した。外交部によると、ホンジュラスは台湾との断交を決める直前、唐突に約24億5000万ドル(約3200億円)もの経済援助を求めてきたという。

その中身について呉氏は「(経済支援というより)直接の金銭要求に感じ、それは賄賂と同じだ」と批判した。

台湾はホンジュラスへの経済支援などの協力プログラムを即刻打ち切り、大使館を撤収する。
ホンジュラスでは2022年1月、親中派のシオマラ・カストロ氏が大統領に就任した=ロイター

ホンジュラスでは2021年、親中派とされるカストロ氏が大統領に当選したのを機に、風向きが変わった。22年1月に開いた大統領の就任式には、ハリス米副大統領と台湾の頼清徳副総統をそろって招待し、当初こそ米台に配慮をみせた。だが、カストロ氏の親中姿勢はその後も変わらなかった。米台連携による必死のつなぎ留めにもかかわらず、今回、中国の攻勢に米台が敗れる形となった。

対中強硬路線をとる民主進歩党(民進党)の蔡政権が16年にスタートして以降、中国は台湾と外交関係のある国に対し、攻勢に出た。台湾に代えて中国と国交を樹立するよう呼びかけ、急ピッチで動いた。

台湾が外交関係を維持するのは南米パラグアイなど世界で残り13カ国となった。蔡政権発足後の約7年間で9カ国減った。

直近では19年に南太平洋のソロモン諸島とキリバス、21年に中米ニカラグアが相次ぎ台湾と断交した。「断交ドミノ」に歯止めがかかっていない。

蔡氏は29日から、米国を経由する形で、ホンジュラスの近隣にある中米グアテマラ、ベリーズの訪問を予定する。数少なくなった外交関係のある中米諸国を訪問し、米台で連携して、引き続きつなぎ留めを図る狙いだ。

米国の台湾窓口機関である米国在台湾協会(AIT)は26日の声明で、「中国は各国との約束をないがしろにした例があまりに多い。米国は台湾との交流を引き続き深化させ、拡大する」とコメントした。

親中路線をとる台湾の最大野党・国民党は26日、「断交は深く遺憾だ。(蔡氏の与党)民進党の誤った外交政策により、台湾の利益が損なわれた」との声明を発表した。

台湾は24年1月に次期総統選を控えている。対中政策や米国との連携が焦点となる見通しで、外交を巡る与野党間の攻防も激しくなっている。

【関連記事】

・中米ホンジュラス、中国と国交準備 台湾総統の歴訪前に
・台湾、ホンジュラス大使召還 中国との国交交渉に反発

ニュースレター登録
多様な観点からニュースを考える

※掲載される投稿は投稿者個人の見解であり、日本経済新聞社の見解ではありません。

神保謙のアバター
神保謙
慶應義塾大学総合政策学部 教授
コメントメニュー

分析・考察

台湾が残された外交関係を維持するコストは年々高まっており、中国の攻勢に対して踏みとどまらせることができなかったもう一つのケースといえる。中国は残りの13カ国にも徹底攻勢をかけ「一つの中国」原則の完成形を目指すだろう。ただ、台湾の地位をめぐる焦点はもはや台湾が主権国家であるかではなく、中国の一国二制度による平和的統合が難しいことにこそある。仮に台湾が全ての外交関係を失ったとしても、国際社会が台湾の特別な地位に対する見方を変えるわけではない。
2023年3月27日 4:15 』

中国、中米諸国に台湾断交迫る ホンジュラスに照準
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN2625G0W1A021C2000000/

『2021年11月2日 19:17

【メキシコシティ=清水孝輔、台北=中村裕】中国がカリブ海・中米諸国に台湾との断交を迫っている。次の標的は11月28日に大統領選を予定するホンジュラスだ。世界で台湾を国家承認する15カ国のうち8カ国がこの地域に集まる。中国は2022年、北京冬季五輪、共産党大会という重要行事を控え、軍事だけでなく外交でも台湾への圧力を強める。米欧は警戒している。

ホンジュラス大統領選で最有力候補に浮上した最大野党LIBREのシオマラ・カストロ氏は、当選した場合「即座に中国と外交・通商関係を結ぶ」と繰り返す。ホンジュラスは台湾と外交関係を維持しているが、カストロ氏は中国に乗り換える方針だ。

大統領選は当初、首都の市長で与党・国民党のナスリー・アスフラ氏が先行し、テレビ司会者のサルバドル・ナスララ氏、カストロ氏が追う構図だとされた。だが、ナスララ氏が出馬を取りやめてカストロ氏を支持すると表明し、同氏とアスフラ氏の一騎打ちの様相になった。

ホンジュラスの民間団体CESPADの直近の世論調査で支持率は、カストロ氏が38%に伸び、アスフラ氏の21%を引き離した。

断交を明言するカストロ氏の伸長に、台湾は強い危機感を示した。台湾とホンジュラスは21年、外交関係の樹立から80年を迎えた。台湾外交部(外務省)はカストロ氏の発言について「中国は私たちの外交関係が不安定だとの誤った印象を与えるため民主的な選挙を利用している」と訴え、カストロ氏の背後に中国が存在すると示唆した。

中国外務省の汪文斌副報道局長は9月の記者会見でホンジュラス大統領選を念頭に「台湾は中国と不可分だ。(ホンジュラスなどと関係を強めても)台湾独立の動きは必ず行き詰まる」と主張した。当時はカストロ氏の勢いが弱かった。

台湾が警戒するのは、中国が「台湾独立派」とみなす蔡英文(ツァイ・インウェン)総統が就任した16年以降、カリブ海・中米諸国への影響力を強めているからだ。17年にパナマ、18年にはエルサルバドル、ドミニカ共和国がそれぞれ台湾と断交し、中国と国交を結んだ。

中国の武器はインフラ建設を含む経済支援だ。最近では新型コロナウイルスのワクチン提供を加え、この地域の国々に食い込んでいる。

中国の企業連合は18年、15億ドル(約1700億円)でパナマ運河にかかる4本目の橋の建設案件を落札した。中国はパナマに新型コロナ対策として20年2月~6月、ヘルスケア関連として計200万ドルの支援を実施した。

中国は19年、エルサルバドルに対し、競技場、国立図書館などの建設に計5億ドルを投じると約束した。今後、左派の独裁政権のニカラグア、大統領が暗殺されたハイチなど、経済や政情が安定しない国に台湾との断交を働きかける可能性がある。

これに対し、台湾は「資金力で中国に勝ち目がないとみている」(外交関係者)といわれる。18年には台湾の呉釗燮・外交部長(外相)が「ドル外交はしない」と明言した。中国のように、多額の経済支援を相手国に約束して外交関係を維持する手法はとらない、というわけだ。

台湾は2月、中国と国交のある南米のガイアナに代表機構「台湾事務所」を設立すると発表した。ガイアナは当時、中国と距離を置き始めていた。だが、発表の翌日、ガイアナ外務省は「台湾といかなる外交関係もない。(台湾事務所の設立は)誤解だ」と説明し、事務所の開設計画を撤回した。中国の「台湾封じ込め」は徹底している。

窮地の台湾を側面支援するのは米国だ。7月にホンジュラスを含む中南米諸国へワクチンの追加提供を決めた。10月にはワクチン供給の国際的枠組み「COVAX(コバックス)」を通じ、ニカラグアにも約30万本分のワクチンを提供した。

ワクチンを製造する中国はこの地域で外交関係のある国に積極提供した。だが、台湾はワクチンを十分に確保できず、台湾を承認する国は不満を募らせていた。

カリブ海・中南米諸国は米国の「裏庭」と呼ばれ、同国のサプライチェーン(供給網)や安全保障を確保するうえで地政学上の要衝といえる。米国のトランプ前政権は明確に軽視したが、バイデン政権はこれを改め、ブリンケン国務長官らを派遣してきた。

米ローズ・カレッジのチェンカイ・チェン准教授は「中国が今後、中南米で台湾承認国の多くを切り崩していけば、米国にも大きな打撃だ」と指摘する。

米国と近い欧州諸国にとっても国際社会における中国の勢力拡大と台湾の後退は食い止めたい流れだ。台湾外交部の呉氏は最近、ほぼ2年半ぶりに欧州諸国を歴訪した。欧州側からもフランス議員団が10月に台湾を訪れ、関係強化を試みた。』

米国務省「台湾と交流拡大」 ホンジュラス断交に危機感

米国務省「台湾と交流拡大」 ホンジュラス断交に危機感
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN2709D0X20C23A3000000/

『【ワシントン=中村亮】米国務省の報道担当者は26日の声明で、中米ホンジュラスと台湾の断交に関連し「米国は台湾と交流を深めて拡大する」と断言した。各国に「民主主義や優れた統治、透明性、法の支配の味方であるよう求める」と訴え、台湾の外交的孤立に危機感を示した。

ホンジュラスは26日に中国と国交を樹立し、80年間以上続いた台湾との外交的関係を打ち切った。

国務省の報道担当者は「ホンジュラスの行動は主権国家の決定だが、中国が外交的承認と引き換えにたびたび最終的に履行されない約束をすることがあると注意するのは重要だ」と指摘した。「中南米や世界中で最近または現在進行形の多くの事例がある」と言及し、中国に不信感をあらわにした。

「台湾は信頼でき、志を同じくする民主主義のパートナーであり、世界中で(台湾との)パートナーシップが各国の市民に重大かつ持続可能な恩恵をもたらしている」と訴えた。台湾が外交関係を持つ残りの13カ国に現状維持を促す思惑が透ける。

台湾の蔡英文(ツァイ・インウェン)総統は3月末から4月上旬にかけて中米2カ国を訪れる。訪問直前に中国はホンジュラスと国交樹立を実現し、国際社会での台湾の孤立を印象づけようとした可能性がある。

蔡氏は米国を経由して中米を訪問する。米国家安全保障会議(NSC)のカービー戦略広報調整官は26日、CBSテレビのインタビューで「とくにこの(蔡)総統に関してはこうした経由は普通だ」と語った。中国が台湾への圧力を一段と強めるきっかけとして使わないよう念押しした。

英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)によると、マッカーシー米下院議長は西部カリフォルニア州で蔡氏と会談する計画だ。』

米国・カナダ、領空にレーダー配備 中国気球問題受け

米国・カナダ、領空にレーダー配備 中国気球問題受け
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN250CH0V20C23A3000000/

『【ワシントン=坂口幸裕、ニューヨーク=大島有美子】バイデン米大統領とカナダのトルドー首相は24日、カナダの首都オタワで会談した。両国の領空に中国の偵察気球が飛来した問題を受け、北米航空宇宙防衛司令部(NORAD)の監視体制を強化する最新鋭のレーダーを配備すると合意した。

バイデン氏はカナダ議会で演説し「カナダとの緊密なパートナーシップを維持し、両国民が安心して暮らせるようにする」と強調した。米国とカナダが共同運営しているNORADの防衛能力を増強するため、海底監視システムや最新鋭の戦闘機の受け入れ施設も整備する。

トルドー氏も「数十年にわたってカナダの防衛能力を強化するものだ。国境をより安全にし、人々の安全を守る努力を続ける」と訴えた。米軍は米国とカナダの領空に侵入した中国の偵察気球を米領空で2月に撃墜。これとは別に、米国・カナダ領空で飛行物体を撃ち落とした経緯がある。

首脳会談では中南米などからの不法移民対策で協力すると申し合わせた。不法移民が米国経由でカナダに渡るのを防ぎやすくする。米国は移民の難民申請を制限する方針を打ち出し、カナダでも社会問題になりつつある不法移民の急増に対応する。

双方の国境を越えようとする不法移民をそれぞれの国境で追い返すのを可能にする。カナダは1万5000人の移民を新たに合法で受け入れる人道プログラムを提供し、米国の受け入れ負担を軽減する狙いがある。バイデン氏は「米国とカナダは不法な越境を阻止するために協力する」と明言した。

首脳会談後に発表した共同声明では、中国による経済的な威圧や人権侵害などを挙げ「国際秩序への長期にわたる深刻な挑戦」に危機感を示した。「台湾海峡の平和と安定を維持する重要性を確認した。両岸の問題の平和的解決を促す」とも記した。

ウクライナ侵攻を継続するロシアを非難した。「ロシアに経済的代償を科し続け、ウクライナへの揺るぎない支援を必要な限り維持する」と指摘した。

【関連記事】

・北米、飛行物体の撃墜相次ぐ 偵察気球と特徴異なる
・国境管理、迷うバイデン政権 落胆の民主左派と板挟み 』

中国の一撃、米国の中東回帰促す

中国の一撃、米国の中東回帰促す デーブ・シャルマ氏
元駐イスラエル豪州大使
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCD204XZ0Q3A320C2000000/

『イランとサウジアラビアの外交正常化を中国が仲介したことは予期せぬ一撃であり、中東に新しい権力秩序をもたらした。

米国は10年以上、中東における安全保障と外交の負担を減らしてきた。中国と競争するため、アジアにより多くの資源を集中するためだ。今回、中国が中東で存在感を高めたことで、米国のアジア重視政策は複雑になる。

サウジとイランの外交正常化は双方にとって百八十度の方針転換だ。中東における主導権争い…

この記事は会員限定です。登録すると続きをお読みいただけます。』

『外交正常化の動きは、両国の戦略や相対的な立場の見直しを反映しているようにみえる。どちらも競争のコストが高くなりすぎたことを理解するに至った。

Dave Sharma 豪ディートン大修士(国際関係論)。豪議会の外交・援助合同小委員会の委員長、首相府の主席外交顧問を歴任

サウジは正常化により、イランが石油施設へのさらなる攻撃を停止するなどの約束をとりつけた。またムハンマド皇太子の下、中東の重要なプレーヤーとしての立場を固めることもできた。皇太子にとって、イランとの合意は米国に対して自らの影響力を高めることにつながる。

イランはサウジとの関係改善によって投資格付けが向上し、経済的利益につながることを期待している。イランは通貨安やインフレによる生活費の上昇、反政府デモの拡大に苦しんでおり、外交・経済面で一息つく余裕ができる。

中国は今回の合意実現に向けて周到な外交面での投資を行った。習近平(シー・ジンピン)国家主席は22年12月に中東を訪問し、湾岸諸国とイランとの首脳会議を提案。今年2月にはイランのライシ大統領を北京に迎えた。中国は今回の合意により、米国だけが世界の和平調停を独占しているわけではないと威信を示した。エネルギーを依存する地域の紛争リスクの低下は直接の国益にもなる。

イスラエルにとっては、今回の合意は大きな後退だ。サウジは湾岸諸国の中で最も声高にイランの封じ込めを呼びかけてきた。関係修復の動きに小国が追随するのは確実で、イスラエルが目指すイラン孤立のための地域連合に亀裂が生じる。イスラエルはイランの核開発に対抗する努力を強めなければならず、長年追求してきたサウジとの国交正常化の可能性は低くなった。

1956年のスエズ危機以来、米国は中東における不可欠なアクターだった。しかし今回の合意により権力の序列に変化が生じている。米国はアジア重視政策により、中東問題の解決は中東自身に委ねようとしていた。

安易な願い事はしない方がいいということだ。中国が米国の間隙を突いたことで、中東は米中間のグローバル競争の一部になった。米国が中東から手を引こうとしても、再び引き戻される場合がある。今回も同じだろう。』

『イスラエルがカギ握る

2013年9月、当時のオバマ米大統領はシリア内戦をめぐる演説で、「米国は世界の警察官ではない」と語った。その後、外交や安全保障政策の軸足を中東からアジアに移す動きは共和党のトランプ政権になっても変わらなかった。安保戦略のアジアシフトは中国を念頭に置いたものだが、中東に生じた空白をその中国に突かれたのは皮肉な話だ。

米国が今後中東に戻ってくることがあるとすれば、カギを握るのはイスラエルではないか。シャルマ氏が指摘するように、イスラエルにとってイランは最大の仮想敵だ。外交正常化の動きにより、イラン包囲網が緩む事態は看過できない。戦略の見直しは不可避だろう。イスラエルの次の動き次第で、同盟国である米国は中東に引き戻されることになりかねない。

(編集委員 松尾博文)』

フィリピンに米空軍F-22が初展開

フィリピンに米空軍F-22が初展開
https://holyland.blog.ss-blog.jp/2023-03-23

『テニアン島へのF-22初展開に続き
フィリピン4空港への米軍アクセスも合意

F-22 FA-50.jpg

3月13日、1951年から米国と軍事同盟を結んでいるフィリピンに初めて第5世代機である米空軍F-22戦闘機が展開し、同14日にかけて展開先のクラーク空軍基地からフィリピン空軍FA-50(韓国製でF-16ベースの攻撃機)と南シナ海上空で訓練を実施しました。

2月にはオースチン国防長官がフィリピンを訪問し、フィリピン軍クラーク空軍基地以外のフィリピン国内4か所の飛行場への米軍アクセスに合意しており、これら4飛行場の利用には今後施設整備等が必要になるとのことですが、対中国最前線であるフィリピンと米国との関係が、2022年6月のMarcos Jr大統領就任後に改善されつつあるようでうれしい限りです

F-22 FA-50 4.jpg

フィリピンのクラーク基地に展開したF-22の機数を米空軍リリースや報道は言及していませんが、米空軍が多数公開した写真からすると2機で、フィリピン展開直前までグアム島近傍のテニアン島に初展開していたアラスカ州エレメンドルフ基地所属の第525戦闘飛行隊のF-22だそうです

稼働率の低下から、2030年頃からの退役が予期されているF-22ですが、ここに来て様々な場所に「第5世代機として初展開」し、米国と相手国との対中国団結のシンボルとして活躍しています

F-22 FA-50 5.jpg

フィリピン展開中には、フィリピン空軍が保有する最新型機である韓国製FA-50(F-16をベースにロッキードの技術支援も得て製造&輸出している練習機T-50の攻撃機タイプ)と南シナ海上空で共同訓練を実施し、F-22が空中戦をデモしたり、F-22による航空優勢確保の中での対地対艦攻撃訓練をFA-50が行ったようです

また、嘉手納基地所属のKC-135空中給油機が南シナ海に飛来し、展開中のF-22に空中給油を行って、南シナ海で「有事」発生の際は、直ちに駆けつける体制にあることをアピールしたようです。

//////////////////////////////////////////

F-22 FA-50 3.jpg

中国に押されっぱなしだった昨年までとは少し雰囲気に変化が見え始め、米海兵隊の海兵沿岸旅団MLRが2025年までに沖縄に編制され、日本が400発程度のトマホーク巡航ミサイル購入を決断し、豪州に2030年以降に攻撃原潜が提供されることが発表され、気球対処などなど米国による対中国攻勢が強化されつつあります。

ドゥテルテ大統領時代には、枝葉末節なフィリピンの「人権問題」に米国政権がこだわって米比関係がギクシャクしましたが、この面でも米国が柔軟性を示し始めたのか、フィリピン側が対中姿勢を変化させたのか把握していませんが、変化の兆しを感じます 』

米国防長官「州兵が台湾軍訓練」 ウクライナ参考に推進

米国防長官「州兵が台湾軍訓練」 ウクライナ参考に推進
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN23DWD0T20C23A3000000/

『【ワシントン=中村亮】オースティン米国防長官は23日の議会公聴会で、州政府所属の軍隊である「州兵」が台湾軍に訓練を実施していると明らかにした。州兵の訓練を受けたウクライナ軍が効果的にロシア軍へ対処する成功例を踏まえ、台湾軍と協力を深めるとした。

オースティン氏は下院歳出委員会の国防小委員会で「州兵が台湾のパートナーと協力し、多くの分野で技能を向上させている」と話した。「州兵の取り組みを最適化する。それは台湾との他の全ての取り組みを補完する」と強調した。

ロシアによる2014年のウクライナ領クリミア半島併合を受け、米国は州兵を活用してウクライナ兵2万人以上を訓練した。オースティン氏は「ウクライナは州兵のあらゆる取り組みから大きな恩恵を受けた」と言及し「台湾での州兵の継続的な取り組みはとても重要になる」と断言した。

オースティン氏は中国による台湾侵攻に関して「差し迫っていないし、避けられないものだと思わない」と重ねて証言した。「我々は確実にしっかりと戦える部隊でなければならない」とも語り、台湾侵攻の抑止に向けた米軍の態勢強化を急ぐ姿勢を鮮明にした。

米軍制服組トップのミリー統合参謀本部議長も公聴会で「我々が現在や今世紀半ば、もしくは今世紀全体を通して直面する最も深刻な地政学上の敵はおそらく中国だろう」と述べた。

州兵は米各州がそれぞれ保有し、平時は州知事の指揮下にある。災害対策や治安維持を担い、海外で戦争が起きれば連邦軍に組み込まれて戦闘や後方支援の任務にあたる。アフガニスタン戦争やイラク戦争にも参加した。

【関連記事】米国、台湾軍の訓練拡大 中国抑止へ「州兵」活用 』

米中、秩序の支配争う局面に カギ握るグローバルサウス

米中、秩序の支配争う局面に カギ握るグローバルサウス
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN180RE0Y3A310C2000000/

『米中対立は国際秩序の支配を争う様相を強めた。中国は米国の勢力圏である中東でサウジアラビアとイランの7年ぶりの外交正常化を仲介し、ロシアが侵攻するウクライナでも仲裁役として振る舞い始めた。米国は一方的な現状変更を許さず、同盟強化を急ぐ。競争はグローバルサウス(南半球を中心とした途上国)を巻き込んで広がる。

「民主主義国家が我々のためだけでなく、世界全体のために安全と繁栄を実現できることを改めて示す…

この記事は会員限定です。登録すると続きをお読みいただけます。』

『バイデン米大統領は13日、いまは向こう10年の世界を左右する「変曲点」だと強調した。

その1週間前、中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席は米国を名指しで批判するためらいを捨てた。「米国が主導する西側諸国は全面的な封じ込め、包囲、抑圧を実施し、我々の発展にかつてない厳しい試練をもたらした」

その日、北京で始まったサウジとイランの協議は中国の仲介を経て、2カ月以内の外交正常化に合意した。米国が強い影響力を保ってきた中東で、しかもバイデン政権がサウジとイスラエルの関係改善に注力していた頭越しに中国は「主役」を演じた。

米外交の失点か。ブリンケン米国務長官の助言役、デレク・ショレ顧問に聞くと「そうではない。我々は中東の緊張を和らげるすべての動きを歓迎する」と反論。イランが本当に合意を守るか「脚注付き(評価を留保する)で見守る」と付け加えた。

「ロシアや中国のために中東に空白を残すつもりはない」。バイデン氏は2022年7月のサウジ訪問でこう宣言したが、中国はまさに米外交の隙を突いた。

確かに米海軍第5艦隊は中東の海を支配し、サウジの米軍駐留は約2700人に上る。だが20日でイラク戦争の開戦から20年たち、米国の疲弊感は濃い。エネルギー自給率の上昇で中東の戦略的価値が薄れ、サウジとの関係はこじれ、イランと敵対する。

「米国がルールに基づく国際秩序の擁護者であることを巡り、中国は戦略的に矛盾を指摘してきた」と米エール大学の中国専門家モリッツ・ルドルフ氏はいう。「国連憲章の起草に関わったアフリカやアジアの国はわずかだといった話法でグローバルサウスの支持を集め、米国を批判し、国際秩序を内部から変えようとしている」

中国は他国が台湾問題など中国共産党の体制に関わる領域に触れない限り、その国が人権を後回しにしても「内政問題」として気にせず経済で結びつく。世界最大の原油輸入国である中国はサウジに輸入全体の2割近くを依存する。イランの最大の輸出相手でもある。「和平」は中国に原油の持続的な安定調達という実利をもたらす。

「仲裁者」への布石は続く。中国外務省は2月、国際紛争の解決をめざす「国際調停院」の設立準備を表明した。パキスタン、カンボジア、スーダンなどと協議する。ルドルフ氏は「国際紛争解決に中国が努力してきたというシナリオ作り」とみる。

米国は中国を「唯一の競争相手」とみなし、日本や韓国、オーストラリア、フィリピン、欧州との同盟強化を急いできた。世界中の同盟網は米国の強み。南シナ海や台湾海峡を巡る中国の一方的な現状変更を抑止するために同盟の強化は欠かせない。

問題は同盟外の国も含めた幅広い信頼を得ることだろう。米単独で世界のあらゆる問題を差配する力はなく、インドを筆頭に存在感を増すグローバルサウスが国際世論を左右する。米国か中国かという選択を拒み、米国とも中国とも関係を結ぶ現実路線を好む国々と連携するには、日本などと組んだ経済支援が重要になる。

いまの中国に他地域に継続して関わる十分な外交力や軍事力は備わっていない。習氏はロシアの侵攻を批判しないウクライナ危機の「仲裁案」を携えてプーチン大統領と会い、21日の共同声明で「多極化する世界」を掲げた。ルドルフ氏は「終戦と戦後の復興、国際秩序改革を巡る交渉で良い席を確保しておく狙いだろう」と分析する。

(ワシントン支局長 大越匡洋)』