〔議院内閣制〕

※ 議院内閣制の上位概念は、「三権分立制」だ。

※ この図は、中学三年の「公民」で習う内容だ…。何となく、見たような感じを抱く人が多いだろう…。

※ 議院内閣制は、下記の説明にもある通り、立法府と行政府の分立を厳格に追及せず、一応分離しつつ、両者が「連絡し合う」ことを公認して、「抑制・均衡」よりも、「法律の制定・実行の効率化」の価値を優先したものだ…。

議院内閣制
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%AD%B0%E9%99%A2%E5%86%85%E9%96%A3%E5%88%B6

『議院内閣制(ぎいんないかくせい、英: parliamentary government/cabinet system)とは、行政権の主体たる内閣を議会(特に下院)の信任によって存立させる政治制度[1][2][3][4][5]。』

『概説

議院内閣制は議会と政府との関係の点から見た政治制度の分類の一つで[6]、議会と政府(内閣)とが分立した上で、内閣は議会(特に下院)の信任によって存立する政治制度である[1][2]。議会制民主主義の発祥国でもあるイギリスで誕生した政治制度であり[1][7][8]、そこでは首相が内閣を、内閣は多数党を、多数党は議会を、それぞれ統率・指導・統制し、議会の多数党は国民の投票によって決定される[9]。

議院内閣制を他の政治制度と比較すると以下のような特徴によって表される。

・議院内閣制(parliamentary government / parliamentary cabinet system、イギリス型)

行政府の主体たる内閣は議会(二院制の場合には主に下院)の信任を得て存立する政治制度[6][10]。

権力分立の観点からみると、議会統治制とは異なり議会と政府は一応分立しているものの、大統領制のような厳格な分離はとられず、政府(内閣)は議会の信任によって存立する[1]。

また、民主主義の観点からみると、内閣の首班(首相)は議会から選出されること、内閣は議会(特に下院)の信任を基礎として議会は内閣不信任を決議しうること、首班には法案提出権が認められること、内閣の構成員たる大臣はその多くが議員であること、大臣には議会出席について権利義務を有することなどを特徴とする[11]。

また、内閣には議会解散権が認められているものの、議会解散権については議院内閣制一般に認められる本質的要素とみるか否かで、後述のように責任本質説と均衡本質説が対立する[11]。

・超然内閣制(※ 戦前の内閣は、これか…。)

政府(内閣)は君主に対してのみ責任を負うものとされ、議会に対しては責任を負わない政治制度[6]。

・大統領制(presidential system、アメリカ型)

今日では議院内閣制と並ぶ代表的な政治形態であり、立法権と行政権を厳格に独立させ、行政権の主体たる大統領と立法権の主体たる議会をそれぞれ個別に選出する政治制度[6][12][13]。

その特徴としては、大統領は議会選挙からは独立した選挙により国民から直接選出されること(アメリカ大統領選挙は制度上においては間接選挙であるが、実質的には直接選挙として機能しているとされる[10])、原則として大統領は任期を全うすること(弾劾制度が設けられているが、弾劾の事由は狭く限定されたものとなっている[10])、大統領には法案提出権や議会解散権が与えられていないこと、議員職と政府の役職とは兼務できないこと、政府職員は原則として議会に出席して発言できないことなどを特徴とする[14][10]。
・半大統領制(semi-presidential system、フランス型)

議院内閣制と大統領制の中間に位置する制度。議院内閣制の枠組みを採りながら、より権限の大きな大統領を有する政治制度。

・議会統治制/議会支配制(assembly government、スイス型)

政府は独立性を有さず、議会の指揮下におかれている政治制度(内閣不信任や議会解散権はない)[6][13]。

政治モデルとしては、アメリカ型大統領制が立法権と行政権を厳格に分離し権力の分散という点を強調し権力分立を指向するのに対し、イギリス型議院内閣制は立法権と行政権が政権党によって一元化され強力な内閣のもとに権力の集中を容認する制度であるとされる[15][16]。

議院内閣制の場合、一般的には議会で多数をしめる政党が政権を担当し与党となる[17]。
大統領制の場合には、議会の少数党であっても大統領が所属する政党が与党である。

議院内閣制の場合、立法権を持つ政党が行政権も担当していることから、厳格な権力分立を指向する大統領制に比して、強い政治権力を有している[18]。

したがって、議院内閣制には集権性・集約性がみられるとされ、特にイギリスでは首相統治制・二大政党制を背景に首相権力の強い議院内閣制となっている[9]。

国民による公選によって選出される大統領とは異なり、議院内閣制における内閣は国民から直接選ばれるわけではないため、自らの民主的正統性の根拠について議会からの信任に依拠することになる[19]。

議院内閣制の下では原理的には議会は内閣に優位することになり、アメリカ型の大統領制に比して権力分立という自由主義的側面は後退することになるが、国民(有権者)→議会(議院)→内閣(首相・大臣)→行政各部(官僚)という権限の委任と監督の連鎖と、内閣→議会(議院)→国民(有権者)という責任の連鎖を構築することによって行政権の民主的コントロールを確保するとともに、議会の多数党派が行政部の中枢機関を担うこととして政治上の責任の所在を明確にして民主主義的要請に応えようとする制度であるとされる[20][21][16]。

大統領制の下では大統領と議会とは別々に選出されるため民意は二元的に表れる二元代表制であるのに対し、議院内閣制では議会のみが選挙により選出されて内閣はそれを基盤として成立するため民意は一元的に表れる一元代表制である[22]。

そして、議院内閣制の下で議会と内閣の協働関係が破綻した際には、内閣不信任決議、内閣総辞職、議会解散権の行使のいずれかによって解決が図られる[23]。

議院内閣制では議会多数派が政権を握ることになるため、基本的に与党の分裂や連立与党の関係破綻などの問題を生じない限り首班が提出した議案は成立する[24]。

議院内閣制の下では立法及び行政の統治責任は、議会を支配し現に内閣を組織している政権党に一元化される。議会選挙では内閣与党の治績の良否、政策競争の優劣などの点から国民の審判を仰ぐことになる[24]。

以上の点は立法府と行政府の厳格な分離をとり、大統領の任期が定められる一方、議会解散権がなく、大統領の所属政党と議会多数派とが異なる場合も出現しやすいアメリカ型の大統領制と異なる点である。

議院内閣制の利点を実際に活かすことができるか否かは政治上の諸条件にかかっているとされ、議会や政党に頽落を生じる場合にはアメリカ型の大統領制よりも大きな構造的な問題を抱えることになるとされる[25]。

議院内閣制の問題点としては、政権与党が議会の圧倒的多数を占めると独裁化に近い状態になり、他方で政権与党が小政党の連立である場合には政権基盤は著しく不安定な状態になる点が挙げられる[26]。』

カナダ、正式に初の全国解放記念日を迎えます

カナダ、正式に初の全国解放記念日を迎えます
8月1日は現在、カナダ全土で解放記念日として認められ、1834年に大英帝国の奴隷制の終結を告げた。
https://www.aljazeera.com/news/2021/8/1/canada-marks-first-ever-nationwide-emancipation-day

 ※ 高々、200年前の話しだ…。

 ※ 日本だと「天保年間」で、次のようなでき事があった頃だ…。

「1833(天保4)年:天保の大飢饉が始まる(~36年)。
1833(天保4)年:安藤広重の「東海道五十三次」の浮世絵ができる。
1834(天保5)年:米価が上がったため各地で一揆や打ちこわしが起こる。
1834(天保5)年:水野忠邦が老中になる。
1837(天保8)年:大塩平八郎の乱が起こる。
1837(天保8)年:アメリカ船モリソン号が浦賀に来て砲撃される。」

 ※ しかし、世代で数えると(1世代=30年とする)、7世代または6世代経っている計算になる…。

 ※ それだけの世代を重ねても、「社会」の「深いところに」根を降ろしてしまっているんだろう…。

 ※ アフリカの場合は、それを「送り出した現地」の側にも、「他部族」を狩ったりしている歴史があったりするんで、余計に根は深い…。

『(※ 翻訳は、Google翻訳文)

黒人議員やコミュニティの支持者による長年の選挙運動の後、カナダは日曜日に正式に最初の全国的な解放の日に約200年前に奴隷制の廃止をマークしています。

カナダの国会議員は3月、カナダを含む旧英国植民地で奴隷制を禁止する行為が施行された1834年の同じ日の8月1日に、全国の解放の日を認める投票を行った。

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奴隷制度の賠償は全身人種差別を解体できるか?
ローマの奴隷制のために賠償金が支払われる時が
奴隷制度の終わりを告げた6月10日、全米で祝われました
写真で: ベナンは奴隷のモニュメントを復元します

ワンダ・トーマス・バーナード上院議員は、解放記念日の連邦政府の承認のための長年のプッシュの第一人者は、この日は「お祝いではない」ではなく、むしろ「反省の時、私たちの祖先を思い出す時間と私たちの祖先を称える時間」と言いました。

「解放記念日の国民的認識は、我々が次に行うことの始まりを示している」とトーマス・バーナードは日曜日に先に行われたオンラインイベントで述べ、黒人の歴史は一年中カナダ全土で教えられなければならず、謝罪と賠償について話し合う必要があると説明した。
「我々が集団的権力を行使すれば、解放の日と解放の日の認識は、私たちが非常にポジティブな方法で前進することを推進する必要があります」と、彼女が言いました。

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ジャスティン・トルドー首相は日曜日の声明の中で、「解放の日は社会活動、正義、そして公平な未来へのコミットメントの表しである」と述べた。

「今日、我々は、カナダのアフリカ系の人々が直面している反黒人人種差別、排外主義、人種差別、および関連する不寛容と戦うために自分自身を再コミットします」と、彼が言いました。

しかし、カナダにおける奴隷制度の歴史はほとんど知られておらず、6月に6月16日を練習の終わりを記念して国民の祝日となった米国の奴隷制度に対して、より多くの注意が払われ、より多くの教育が利用できる。

カナダでは、1833年に英国で奴隷廃止法が調印される前の200年間にわたって奴隷制度が行われました。この行為は1834年8月1日に施行された。

奴隷制度は後にカナダとなった初期の植民地で実践され、1人の歴史家は、1671年から1831年の間に4,200人がニューフランス(現代ケベック州)、その後カナダの上下と下層(ケベック州と近隣のオンタリオ州)で奴隷にされたと推定しました。

黒人と先住民の両方が現在のカナダの初期の植民地で奴隷にされました。

「イギリス植民地入植者がアッパーカナダを設立した後、奴隷化されたアフリカ人とその子孫の数は大幅に増加しました。「アフリカ系の3,000人の奴隷男性、女性、子供たちがイギリスの北米に持ち込まれ、最終的には奴隷の先住民を上回ると推定されています」と、カナダ政府はウェブサイトで述べています。

「多くの奴隷黒人は、18世紀後半に奴隷制を禁止していたバーモント州とニューヨーク州だけでなく、ミシガン州とオハイオ州を含むノースウエスト準州として知られる領土にアッパーカナダを逃れて奴隷制に抵抗しました。

カナダの自治体や州は、オンタリオ州、国内最大の州、歴史的な黒人コミュニティの本拠地であるノバスコシア州なども正式に解放の日を認めています。

日曜日には全国でいくつかのイベントが計画されています。

コミュニティの支持者はまた、当局が象徴的な認識を超えて、全身的な反黒人人種差別のようなカナダの奴隷制の長年の影響に対処することを推し進めています。

ビデオを再生

「解放の日とブラックの苦しみを認識する他の連邦の休日の作成は、平等への重要なステップです – しかし、行動と正義と認識を組み合わせる真の意志を伴う場合にのみ」と、学者、公共作家、小説家のサラ・ラウリーは、CBCニュースの7月31日のコラムに書いています。

「本当の進歩を続けるためには、カナダ人と政府からの暗黙の了解以上のものが必要です」と、カナダユネスコ委員会も今週のブログ記事に書いています。

「私たちの歴史の中で恥ずかしい歴史的瞬間を観察することは一つのことです。その遺産に対処するために積極的な何かをすることは別です。

出典:アルジャジーラ 』

[FT]EU、司法の独立めぐりポーランドに罰金警告

[FT]EU、司法の独立めぐりポーランドに罰金警告
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB214B20R20C21A7000000/

 ※ ちょっと分かりにくい記事だと思う…。

 ※ 「司法の独立」の話しと、「EU復興基金の配分」の話しが混ざっているからな…。
 ※ 「司法の独立」の観点から、語っておく…。

 ※ ここでは、「民主主義」と「三権分立」が対立する…。

 ※ 民主主義からすれば、どこまでも「国民の意思」が「国政」に反映されることが望ましい…。それは、さらには、「国家の組織機構」にまでも及ぶ…。

 ※ 他方、「国民の人権の尊重・保障」という観点から、国家権力の抑制・均衡を図る「三権分立」を貫きたい考えからすれば、「司法の独立」を堅持するべきだ…、という考えとなる…。

 ※ 『ポーランドの保守ナショナリズム政党「法と正義」は政権に就いた5年前からEUと対立を続けている。同党が司法制度改革を推進し、司法に対する広範な権限を政治家に与える一連の法律を成立させてきたからだ。

同党が司法改革を通じて最高裁判事の罷免したり、判決内容次第で裁判官の処罰を可能にする懲戒機関を設置したりしたのを受けて、EUはポーランド政府をECJに提訴した。』…。

 ※ ということで、保守ナショナリズム政党「法と正義」が前者の立場から一連の「司法制度改革法案」を成立させてきたのに対し、欧州委員(司法担当)側が後者の立場から「ポーランド政府をECJに提訴した。」という話しになる…。

 ※ ことが「LGBT(性的少数者)」の扱いに絡むんで、「慣習・宗教・世界観」なんてものが影響する…。

『レインデルス欧州委員(司法担当)は20日、どんな方法で判決に従うのか8月16日までに回答するようポーランド政府に書簡で要求したと発表した。何の対応もなければ「ポーランドに金融制裁を科すようECJに求める」と記者団に語った。

ポーランドの司法の独立をめぐるEUとの対立はこれを機にさらにエスカレートしそうだ。欧州委は同日、レインデルス氏とヨウロバー副委員長(価値・透明性担当)が加盟27カ国の「法の支配」に関する広範な報告書も公表した。この中ではポーランド、ハンガリーなどで司法制度や汚職撲滅の動きに対する脅威が増していると指摘した。

EU復興基金の配分にも影響

ポーランドとハンガリーはコロナ禍からの経済再生を目的とする8000億ユーロ(約97兆円)のEU復興基金から計数百億ユーロの配分を求めており、報告書の内容が資金配分にも影響を及ぼしそうだ。

両国政府は申請に必要な復興計画を2カ月以上前に欧州委に提出したが、いまだに交渉中で最終承認を得ていない。ポーランドは復興基金から約240億ユーロ、ハンガリーは70億ユーロ強を配分するよう求めている。

ハンガリーはとりわけ厳格な審査を受けている。学校やメディアでLGBT(性的少数者)に関する描写や議論を禁じる法律を施行したためだ。ジェンティローニ欧州委員(経済政策担当)は先週、ハンガリーの復興計画承認には数週間かかるかもしれないと述べた。

ポーランドの保守ナショナリズム政党「法と正義」は政権に就いた5年前からEUと対立を続けている。同党が司法制度改革を推進し、司法に対する広範な権限を政治家に与える一連の法律を成立させてきたからだ。

同党が司法改革を通じて最高裁判事の罷免したり、判決内容次第で裁判官の処罰を可能にする懲戒機関を設置したりしたのを受けて、EUはポーランド政府をECJに提訴した。

司法改革はEU法違反

ECJは14日、裁判官の免責を剥奪する権限を懲戒機関に付与する規定などの執行差し止めをポーランド政府に命じた。翌日には同国の懲戒制度がEU法に違反するとの判決を下した。

ポーランド政府のミュラー報道官は20日、欧州委が示した文書について精査中としながら、「ポーランドで施行されている法的手続き」は他のEU加盟国とそう違っていないと述べた。

欧州委は報告書で、ポーランドの司法制度に対する国民や企業の認識がこの5年間で着実に悪化したと強調。「司法制度改革は様々な面で法の支配、特に司法の独立への重大な懸念を引き起こしている」と警告した。

報告書はハンガリー政府に対しても、政府高官の恩顧主義や身びいきの問題を放置していると強く批判し、同国の司法制度やバルガ・ジョルト・アンドラーシュ氏の最高裁長官任命に警鐘を鳴らした。

同氏の長官任命には裁判官の自治組織である全国司法評議会が経験不足を理由に反対していた。

報告書はハンガリー政府の汚職問題についても、独立した制御機構が十分に機能しておらず「組織的な検査体制」も欠けていると批判した。

一歩も譲るべきでない

欧州議会はEUの価値観を軽視し続ける加盟国にはEU基金の拠出を差し止めるなど、法の支配の侵害にもっと強い姿勢で臨むよう欧州委に迫っている。

欧州議会のリベラル会派「欧州刷新」のチョロシュ代表はハンガリーの復興計画承認に向けてEUは一歩も譲るべきではないと強調した。

チョロシュ氏はフォンデアライエン欧州委員長から「ハンガリーのオルバン首相が復興資金を不正流用しないと100%保証しない限り、復興計画を承認すべきでない」との言質を得たことを明らかにした。

欧州委の報告書はオーストリアやブルガリアの汚職、チェコ政府高官による利益相反行為についても問題視している。また、いくつもの加盟国でメディアの独立性が脅かされていると指摘し、7月にアムステルダムでオランダ人記者ピーター・デ・フリース氏が殺害された事件など、特に犯罪や汚職の調査報道に携わるジャーナリストへの襲撃も重視している。

By Sam Fleming & James Shotter

(2021年7月21日付 英フィナンシャル・タイムズ電子版 https://www.ft.com/)

(c) The Financial Times Limited 2021. All Rights Reserved. The Nikkei Inc. is solely responsible for providing this translated content and The Financial Times Limited does not accept any liability for the accuracy or quality of the translation.

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【関連記事】

・[FT]EU最高裁、ポーランドの裁判官懲戒制度は「違反」
・EU復興基金成立遅れ 「法の支配」条件、東欧反発
・ポーランド、中絶禁止の抗議運動が激化、政権批判強く
・東欧が揺さぶるEU コロナ禍で際立つすれ違い 』

「人権か自由貿易か」米国の対中規制、企業の対応難しく

「人権か自由貿易か」米国の対中規制、企業の対応難しく
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCD11DGF0R10C21A6000000/

『米国が人権をキーワードに、対中国の規制を強めている。「ユニクロ」のシャツの差し止めで注目された輸入規制が拡大し、企業はサプライチェーンの見直し検討などの難題を抱える。ただ米国の動きは、自由貿易を前提とする国際ルールの例外だ。中国側も対抗措置を取り始めており、日本企業は米中双方の動きに目を配る必要がある。

米国、ウイグル関連で制裁拡大

米国務省など6省庁は13日、米政権がこれまで導入してきた新疆ウイグル自治区での人権侵害を理由とする対中制裁を列挙し、関連する法令の順守を企業に促す勧告を出した。2020年7月の勧告を更新し高リスク分野の範囲を広げた。

米国は20年12月にウイグル産綿製品の一部を、21年1月には全てを輸入禁止。日本企業も「ユニクロ」製品が輸入を差し止められた。5月には中国の水産大手を、6月下旬には太陽光パネルに使うポリシリコンを扱う企業を一部輸入制限の対象とした。

これらの水際規制は、正式には「違反商品保留命令」といい、1930年関税法307条を根拠にする。強制労働により外国で生産された商品の輸入を制限する条項だ。2016年に適用範囲を拡大した改正法が施行されたほか、21年4月には民主党議員が当局の陣容を拡大するための予算措置を提案した。

6月には米商務省がポリシリコン部材を手掛ける中国の5社・団体への輸出規制もかけるなど、バイデン政権は強制労働を根拠とした規制執行を強化し続ける。

人権保護は重要だが、自由貿易の原則を曲げてまで、米国が規制を打ち出せる根拠はどこにあるのだろうか。

国際ルールの「例外」

関税貿易一般協定(GATT)11条1項は、輸出入の制限を原則禁じている。だが、例外が設けられており、上智大学の川瀬剛志教授は「強制労働による産品については、同20条の『公徳の保護のために必要な措置』と『刑務所労働の産品に関する措置』による例外規定が適用される可能性が高い」と説明する。「公徳」には人権が含まれる。「刑務所労働」は、犯罪を理由にしたものでなくても、自由を奪われた施設において労働が行われるのであれば該当するという。

とはいえ、例外として認められるには、米国に保護主義的な意図や中国を狙い撃ちする意図がないかという点をクリアする必要がある。ウイグル関連製品の禁輸措置については、「同様の強制労働や民族浄化が行われている他の国の製品についての対応が甘いとすれば、恣意的・不当な差別とみなされる可能性がある」(同教授)。

中国政府は現時点では、ウイグル関連の輸入規制について世界貿易機関(WTO)のパネルで争う姿勢は見せていない。だが仮に争われたら「WTOでは例外を認めるのは稀。輸入禁止措置が本当に人権保護という効果を生んでいるのかという点を厳しく精査するだろう」(経団連の森田清隆・統括主幹)という。

日本貿易振興機構(ジェトロ)ニューヨーク事務所の藪恭兵氏は「輸入を差し止められた企業側も個別に、米政府に不服を申し立てることは可能」と指摘する。強制労働で生産されたとされるステビアの粉末を輸入していた米国企業が罰金を命じられた件では、同社は当局と交渉し大幅減額にこぎつけた。

中国も対抗

米中の規制合戦は当初、国家安全保障を自由貿易原則への免責に使っていた。米国は「人権」は「安保」よりもさらに中国をたたきやすい道具とみているのかもしれないが、中国も変化球で対抗している。

6月に中国で施行された「反外国制裁法」は、中国企業に対する外国の差別的措置に協力することを禁止。「違反した場合は、外国企業であっても損害賠償請求の対象になるリスクがある」(石本茂彦弁護士)。

宇賀神崇弁護士は「日本企業は『踏み絵』を迫られている」と指摘する。米中の溝が深まり続ける以上、どちらかの国の規制に牴触する事態は生じうる。企業はいざとなったら平場で自らの行為の正当性を主張し、規制の矛盾を争うぐらいの心構え、準備が必要だ。また、国際的な政治問題に発展している以上、政府も企業単位では収集しきれない情報を提供するなどして日本企業を後方支援すべきだろう。

(編集委員 瀬川奈都子)』

〔日本国憲法の「通信の秘密」〕

 ※ 憲法21条が、ネックになっているとは、知らんかった…。

 ※ 2項後段の、「通信の秘密は、これを侵してはならない。」の部分だな…。

 ※ 何事も、「例外の無い”原則”は、無い…。」

 ※ 解釈で、クリアするとしたら、『(※ 憲法)第十三条
すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。』の、「生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。」辺りを理由とする制限か(「内在的制約」と解する…)…。

 ※ ただ、「…を保証する。」という形式では無く、「これを侵してはならない。」と、やや「強い表現で、保障している」点が、難点か…。

 ※ 「GHQの草案(英文)」でも、「No censorship shall be maintained, nor shall the secrecy of any means of communication be violated.」と、相当に「強い表現で」規定しているな…。

 ※ まあ、「占領行政」中に、「盗聴されること」を、厳禁したかったんだろう…。

 ※『(※ 日本国憲法)第二十一条
1、集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。

2、検閲は、これをしてはならない。通信の秘密は、これを侵してはならない。』

 ※『解説

いわゆる表現の自由ないしは言論の自由の日本における根拠条文である。なお、集会の自由ないしは結社の自由も、表現の自由に類するものとして本条により保障されている。

2項前段は、検閲を禁止する規定であるが、検閲が定義されていないため、制限される「検閲」の主体について争いがある。最高裁判所は、行政機関が行うものに限定すると判断している。裁判所の命令も検閲の主体には含まれないものとされている(北方ジャーナル事件参照)。

2項後段は、通信の秘密を保障する規定であり、検閲の禁止とあわせて、表現の自由を保障するための一つの施策として憲法上確保されているものである。

検閲の禁止ないしは通信の秘密を実現する規定としては、電気通信事業法第3条ないし第4条の規定がある。

大日本帝国憲法においても、表現の自由を認める規定があった(29条)。法律の留保が付せられていたこともあり、制約される場合もあった。』

『大日本帝国憲法
東京法律研究会 p.8

第二十六條
日本臣民ハ法律ニ定メタル場合ヲ除ク外信書ノ祕密ヲ侵サルヽコトナシ
第二十九條
日本臣民ハ法律ノ範圍内ニ於テ言論著作印行集會及結社ノ自由ヲ有ス』

『GHQ草案

「GHQ草案」、国立国会図書館「日本国憲法の誕生」。

日本語

第二十条
集会、言論及定期刊行物並ニ其ノ他一切ノ表現形式ノ自由ヲ保障ス検閲ハ之ヲ禁シ通信手段ノ秘密ハ之ヲ犯ス可カラス
第二十一条
結社、運動及住居選定ノ自由ハ一般ノ福祉ト抵触セサル範囲内ニ於テ何人ニモ之ヲ保障ス
何人モ外国ニ移住シ又ハ国籍ヲ変更スル自由ヲ有ス

英語

Article XX.
Freedom of assembly, speech and press and all other forms of expression are guaranteed. No censorship shall be maintained, nor shall the secrecy of any means of communication be violated.
 
(※ 機械翻訳文)
『スピーチと報道機関アセンプリの自由と表現の他のすべての形式が保証されます。

検閲が維持されるべきではありません、同様にどんな通信手段の秘密も違反されるべきではありません。』

Article XXI.
Freedom of association, movement and choice of abode are guaranteed to every person to the extent they do not conflict with the general welfare.

All persons shall be free to emigrate and to change their nationality.

(※ 機械翻訳文)
『(彼・それ)らが一般的な福祉と矛盾しない限りにおいて、住居の結社の自由、動きと選択がすべての人に保証されています。

すべての人々は移住して、そして(彼・それ)らの国籍を変えることが自由であるべきです。』

 ※ やたら、「国籍離脱の自由」を強調している辺りは、「某主義」との関連が疑われるところだ…。

フィリピンで頭をもたげる「マルコスの亡霊」

フィリピンで頭をもたげる「マルコスの亡霊」
アジア総局長 高橋徹
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM042WZ0U1A700C2000000/

※ ある意味、「開発独裁」の功罪だ…。

※ 人は、国家は、みんな「豊かになりたい…。」と願う…。

※ その一方で、「自由にものを考えたり、自由に考えたことを他者と交換したい(精神活動、言論の自由)。」とも、願う…。

※ 「精神活動の自由を、言論の自由を、ある程度抑制されても、豊かになる方が良いのではないか?」と誘われたとき、果たして、どちらを選択するのか…。

※ いわゆる「発展途上国」においては、「究極の選択」となるんだろう…。

『6月24日、ベニグノ・アキノ前大統領が腎疾患のため死去した。61歳だった。4日後の28日、76歳のロドリゴ・ドゥテルテ大統領は2022年5月の副大統領選への出馬を「悪くないアイデアだ」と語った。

フィリピンの大統領任期は1期6年で再選が禁じられている。16年の前回大統領選でアキノ氏が後継指名した候補を破ったのがドゥテルテ氏だ。同氏も来年の大統領選に出られないが、副大統領の座を狙って権力を保持する奇策が急浮上している。

若くして亡くなったアキノ氏と、高齢ながら意気軒高なドゥテルテ氏。2人の好対照ぶりは、いまに始まったことではない。』

『出自からしてそうだ。マニラの大サトウキビ農園主の一族に生まれたアキノ氏は、同名の父ベニグノ氏が1983年にマルコス独裁政権下で暗殺された元上院議員、母は86年の「ピープルパワー革命」でマルコス政権を倒し、大統領に就いたコラソン氏だ。一方のドゥテルテ氏は南部のミンダナオ島の出身。ダバオ市長を20年以上も務め、彗星(すいせい)のごとく大統領の座へ駆け上がった。

首都を地盤にするサラブレッドと地方出身のたたき上げは、主要政策も正反対だった。アキノ氏は汚職撲滅を掲げて法治の徹底を目指したが、ドゥテルテ氏の麻薬撲滅は人権無視の手荒な捜査で2万7千人ともいわれる犠牲者を出し「超法規的殺人」と形容される。最近も新型コロナウイルスのワクチンに及び腰な国民に向けて「接種を受けるか投獄されるかだ」と警告し、波紋を広げた。』

『外交でもアキノ氏は米国との新軍事協定で米軍再駐留に道を開き、南シナ海で領有権を争う中国を国際的な仲裁裁判所に提訴して全面勝訴をもぎ取った。対するドゥテルテ氏は駐留米兵の法的地位を定めた「訪問軍地位協定」の破棄を通告し、現在も中ぶらりんのまま。仲裁裁判決は「紙くず」と呼び、経済支援を求めて中国に近づいた。』

『2人の因縁めいた関係に目を凝らすと、見えてくるのは1965~86年に21年間在任したマルコス元大統領の影だ。かつて大統領任期は旧宗主国の米国に倣って2期8年だった。ところがマルコス氏は任期終盤の72年に戒厳令を布告して憲法を停止し、長期独裁へ道を開いた。87年制定の現憲法で任期を1期6年に短縮したのはその反省からだ。

6年の月日は、大統領が無能だと長く、有能なら短い。インフラ整備もミンダナオ和平も、アキノ氏は時間切れで未完のまま退任せざるを得なかった。ドゥテルテ氏が継承したものはまだいい。外交での「親米反中」から「反米親中」への急旋回は、フィリピンが日韓豪タイと共にインド太平洋地域で5つしかない米同盟国の一角だけに、アジアの安全保障情勢を不安定にした。』

『アキノ氏は飾らない人柄で国民に慕われ、いまのドゥテルテ氏ほどではないが、任期終盤も比較的高い支持率を保った。なのに有権者はなぜ、彼の後継者ではなく、対極にあるドゥテルテ氏を望んだのか。「マニラのエリートによる政治・経済支配の打破」という姿勢への共感、というポピュリズムだけでは説明がつかない面がある。

それは強い指導者への待望論だ。ドゥテルテ政権誕生の2年前の14年、アジア・バロメーターが実施した世論調査は示唆に富む。「議会や選挙を排して強い指導者が物事を決定すべきだ」という主張をどう思うかを尋ねたところ、上流階層に属する人たちの50%が「同意する」と答えた。30%台の中・下流階層よりむしろ多かった。

日本貿易振興機構(ジェトロ)アジア経済研究所の川中豪上席主任調査研究員は「民主化して国が本当に良くなったのか、という疑念が生じている。マルコス時代の人権侵害の記憶は風化し、戒厳令下の規律と秩序は案外悪くはなかったと再評価する風潮すらある」と分析する。アジア民主化の嚆矢(こうし)と持ち上げられるものの、そのせいで自国が「負け組」になっているのではないか、といういら立ちが、強権的なドゥテルテ氏を大統領の座に押し上げ、衰えない支持につながっている、との見立てだ。』

『フィリピンだけではない。21年間に及んだスカルノ、32年間のスハルトというかつての長期独裁政権への反省から、98年の民主化後に大統領任期を2期10年に制限したインドネシアでも、ジョコ大統領の3選を画策する動きがにわかに台頭している。

フィリピンにしろ、インドネシアにしろ、大統領を直接選挙で選ぶ仕組み自体は目下のところ揺るがない。選挙は水ものだ。いまは高い人気を誇る大統領が、憲法の規定をないがしろにして権力への執着をみせたとき、民意が受け入れる保証はない。

それでもずっとタブー視されてきた権力の長期化が堂々と議論され始めたのが、足元の両国の状況だ。それは民主主義の成熟の証しか、それとも後退する予兆なのか。』

幻想だった司法権の独立

幻想だった司法権の独立
憲法のトリセツ
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCD289F50Y1A620C2000000/

 ※ 「日本国憲法は、米国、と言うより「米軍の占領行政に」強く影響されて、成立した。」とは、憲法を少しかじった人なら、誰もが聞く話しだ…。

 ※ そういう話しの「細部」が語られていて、参考になる…。

 ※ さらには、一旦は、「ファシズム勢力」対策で手を結んだ、「連合国」陣営が、伊・独・日の敗戦後、すぐに「仲違い」して、激しい主導権争い、覇権の争奪戦に入ったことも…。

 ※ そして、日本国は、激しい「社会主義陣営」による「工作」の「草刈り場」となったことも…。

 ※ 今、この年(とし)になって考えることは、「憲法秩序も、司法権の独立も、国(くに)そのものの成立・生存が保全されていなければ、しょせんは意味のないことだ…。」というものだ…。

 ※ それと、この問題を論じるのに「駆り出されている」「有識者」は、たいがいは「学者さん」だ…。

 ※ 頭脳優秀、論理明解で、すこぶる歯切れがいい…。

 ※ しかし、事は「国家存立の礎(いしずえ)」に関わる事がらだ…。

 ※ 一億人以上の「日本国民の行く末」がかかっている…。

 ※ たとえ、歯切れ悪く、格好悪くても、「国(くに)の行く末」の存立を、図っていかないと…。

 ※ 論理明解、旗幟鮮明で「進め、一億火の玉だ!」で突っ込んで、「国破れて、山河のみ。」になった、どっかの国があっただろう…。

『米軍が日本に駐留することの是非が問われた砂川事件の2回目です。1959年3月、東京地裁が米軍の駐留は憲法違反と判断した「伊達判決」は、当時の岸信介首相だけでなく、米アイゼンハワー政権にも衝撃を与えました。米軍が日本から撤退せざるを得なくなった場合、冷戦下における米国とソ連のパワーバランスが大きく変動しかねなかったからです。
暫定条約だった旧安保

日本は51年9月、サンフランシスコ平和条約に調印した際、日米安全保障条約(旧安保条約)も締結しました。当時の日本は50年8月に警察予備隊を創設していたものの、まだ軍事力と呼べるほどの存在ではなく、米軍がいなくなると極東に軍事的な空白が生じるおそれがありました。日本が独立を回復したあとも米軍が日本に居続ける法的な根拠が必要でした。

1951年9月、日米安全保障条約に調印した首席全権の吉田茂首相。後ろは確認する米首席全権のアチソン国務長官(右)とダレス全権(中)= 米陸軍撮影・共同

こうした経緯は条約の前文に明確に書いてあります。

「日本国は、武装を解除されているので固有の自衛権を行使する有効な手段をもたない」
「無責任な軍国主義がまだ世界から駆逐されていないので、日本国には危険がある」
「日本国は米国との安全保障条約を希望する」
わかりやすく言えば、日本が「米軍さん、見捨てないで」とすがりついたわけです。

これに対する米国の回答も書いてあります。

「米国は、若干の自国軍隊を日本国内及(およ)びその付近に維持する意思がある」
「米国は、日本国が自国の防衛のため漸増的に自ら責任を負うことを期待する」
要するに「しばらくは守ってやるけど、いずれは自前でやれ」ということです。

1951年に締結された旧日米安全保障条約(外交史料館所蔵)

この条約の特徴のひとつは、期限の定めがあいまいなことです。「国際連合の措置又(また)はこれに代(かわ)る個別的若(も)しくは集団的の安全保障措置が効力を生じたと日本国及(およ)び米国の政府が認めた時はいつでも効力を失う」と書いてあるので、国連に常備軍ができるか、北大西洋条約機構(NATO)軍のような集団的安全保障の枠組みができることを前提にした暫定条約的な書き方です。

動き出した再軍備

日本は52年4月にサンフランシスコ平和条約が発効すると、再軍備をめざして動き出します。10月には警察予備隊を保安隊に、54年7月には自衛隊に格上げしました。

54年12月に首相に就いた鳩山一郎は、翌55年2月の衆院選では「自主憲法制定」「再軍備」を掲げ、日本民主党を第1党に押し上げました。米国には安保条約の改定を申し入れています。

ちなみに、日本と同じ敗戦国だった西ドイツは54年10月に米英仏とパリ協定を結び、再軍備してNATO軍に加わることで合意しました。

米国は54年9月、アジア版のNATOともいうべき東南アジア条約機構(SEATO)をオーストラリア、フィリピンなどとつくりました。日本が憲法改正、再軍備していたら、その一員になっていたかもしれません。

鳩山首相は就任直後の54年12月に自衛権に関する政府統一見解を示しました(鳩山発言とされることがよくありますが、読み上げたのは大村清一防衛庁長官です)。

「自衛権は独立国である以上、当然に保有する権利である。武力の行使が放棄されるのは『国際紛争を解決する手段として』ということ。国土を防衛する手段として武力を行使することは憲法に違反しない」

この見解は、現在に至るまで日本政府の自衛権に関する基本的な憲法解釈です。専守防衛のための自衛隊であれば合憲という考え方です。

とりあえず、この憲法解釈により、憲法改正がすぐに実現しなくても事実上の再軍備は可能となりました。問題は安保条約改定です。サンフランシスコ平和条約に加わらなかったソ連との国交正常化に動いた鳩山首相を容共と見た米国は安保改定に非協力的でした。

それでも55年11月に保守合同によって自民党が誕生し、57年2月に岸信介が首相に就くと、米国も安保改定に応じる姿勢に転じました。日本がお願いして米軍にいてもらうのではなく、日米が対等な同盟国として相互に役割分担する、というのが岸のめざす安保の姿でした。

正式な日米交渉が58年10月に始まると、社会党を中心に激しい反対運動が起きます。59年3月に一般市民も取り込んだ安保阻止国民会議が結成されました。当時の社会党は非武装中立を唱えており、米国と安保条約を結んでいること自体が許せないという立場でした。砂川事件は、単なる米軍基地の拡張反対運動ではなく、米軍出て行け運動でした。

この安保阻止国民会議の結成と伊達判決が同時だったことが、裁判の行方に大きく影響しました。岸首相としては、米軍の駐留は合憲という司法判断が必要であるのみならず、裁判が長引くだけでもマイナスでした。米軍の駐留が合憲か違憲かがはっきりしないと、新安保条約をつくりようがなかったからです。

危機感を抱いた米大使
岸首相以上に危機感を抱いたのが、米国のダグラス・マッカーサー2世・駐日大使でした。GHQ(連合国軍総司令部)を率いたダグラス・マッカーサー最高司令官の兄アーサーの三男に生まれ、57年2月から東京で大使を務めていました。

ダグラス・マッカーサー2世=共同

布川玲子・新原昭治編著「砂川事件と田中最高裁長官」などによると、大使は伊達判決の翌朝、ひそかに藤山愛一郎外相に会うと、「東京地裁判決を正すことの重要性」を強調します。それだけでなく、一刻も早く”正す”ため、刑事訴訟法406条の適用まで求めました。

406条は「最高裁は法令の解釈に関する重要な事項を含むものと認められる事件については、自ら上告審としてその事件を受理することができる」という規定です。一般人には意味不明な文章ですが、要するに一審判決後に高裁を経ずに最高裁で審理することもあるということです。裁判用語では跳躍上告と言います。高裁を省けば、最高裁が最終結論を出すまでの時間が短くて済みます。ちなみに、跳躍上告は戦後日本でこの1例しかありません。

米政府の公文書によれば、外務省はその日の夕方には大使に「跳躍上告するかは検討中」と知らせています。翌4月1日には今度は藤山外相が大使を訪ね、①支持されてきた憲法解釈が上訴審で維持されることに確信を持っている②跳躍上告の方法を法務省が検討中③最高裁には係争中の案件が3000件もあるが、砂川事件を最優先で扱うと信じている――と経過報告しました。

跳躍上告が決まったのは4月3日でした。建前でいえば、決める主体は東京地検ですが、大使から国務省への公電によれば、伝えてきたのは岸首相の側近として知られた福田赳夫自民党幹事長であり、政府・与党で決めたと告げています。

最高裁長官自ら情報漏洩

田中耕太郎最高裁長官は米大使館に手の内を明かしていた
跳躍上告が決まると、米大使館は最高裁にも接触を始めます。8月にはウィリアム・レオンハート首席公使が、なんと田中耕太郎最高裁長官とじかに話しています。米公文書によれば、田中長官は①弁護団は裁判の引き延ばしを図っているが、12月には判決を出す②世論を揺さぶる要因となりかねない少数意見を封じるため、判決は15人の裁判官の全員一致にする――などの手の内まで明かしています。

なぜ判決時期が12月なのかといえば、日米の安保改定交渉の決着目標が60年1月だったからです。何が何でも「米軍の駐留は合憲」に向け、日本の行政と司法と米政府が一体となっていたことがうかがえます。司法権の独立は幻想でした。

田中長官が情報漏洩した通り、最高裁は59年12月に合憲判決を出しました。次回は、その理屈づけを分析します。

編集委員兼上級論説委員 大石格

1961年、東京都生まれ。政治部記者、那覇支局長、政治部次長、ワシントン支局長を歴任。現在の担当は2面社説、コラム「風見鶏」(2004年5月~現在)など。著書に「アメリカ大統領選 勝負の分かれ目」(単著)、「コロナ戦記」(共著)。慶応義塾大学特別招聘教授。ツイッターは@OishiItaru 』

最高裁、夫婦別姓認めず

「いつになったら選べますか」 最高裁、夫婦別姓認めず
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOFE22CDF0S1A620C2000000/

『夫婦同姓を定めた民法と関連する戸籍法の規定について、最高裁大法廷(裁判長・大谷直人長官)は23日、家事審判の特別抗告審決定で「合憲」とする判断を示した。合憲判断は2015年以来だ。婚姻や家族のあり方は時代と共に変わっていくと思っていたが、最高裁の判断は6年を経ても変わらなかった。私たちは120年以上前に作られた枠組みの中でこれからの時代を生きることになる。

すでに日本は国際社会の中で異質な存在だ。夫婦同姓を強いる国など世界中でほかに見当たらない。独メルケル首相も夫婦別姓を選択しており、今の夫の姓はザウアー氏だ。ニュージーランドのアーダーン首相とパートナーであるゲイフォード氏との間に生まれた娘は両方の姓を持つ。

日本では社会的な圧力からほとんどの妻が夫姓に変えているとして、国連は再三にわたって是正勧告を出している。名前は個人を特定するものであり、生まれたときからの名はアイデンティティーでもある。平均初婚年齢が30歳前後となった現在では男女とも婚姻前にキャリアや信用、人脈、資産を積んでおり、改姓に伴う負担は大きい。

こうした問題に対して政府が提案するのは、別姓ではなく旧姓の通称利用だ。

職場で共に働く仲間が旧姓を利用していれば、本名はなかなかわからない。だから子どもの緊急時に保育所から勤め先に親の戸籍名で問い合わせが入っても、つながりにくくなる。海外の学会に参加しようにもパスポート名と一致しない。同一人物であると証明するためには多大な手間が求められる。特に研究者など国際社会で活躍する人ほど不利益を被る。

パスポートなどを旧姓併記にしても旧姓と戸籍姓の連続性が国際的に証明できるわけではない。外務省によると旧姓を併記する国は少なく、入国時に入国管理当局から説明を求められるケースがあるという。世界的に本人認証が厳格化する中、「私は田中花子ですが、佐藤花子も私です」と言えば〝なりすまし〟と疑われても仕方がない。

企業の負担も大きい。内閣府が17年に公表した調査では旧姓使用を認めている企業は45.7%にとどまった。企業経営者らは「名字の変更や使い分けに対する負荷をビジネスの現場に押しつけており、企業の生産性を下げる一因となっている」などとしてこの春、「選択的夫婦別姓の早期実現を求めるビジネスリーダー有志の会」を発足させた。

少子化で一人っ子の多い時代、婚姻によって実家の名前は次々と消滅していく。家族や先祖を大切に思い、実家の姓を守りたい一人っ子同士が結婚できないという問題は地方で深刻だ。別姓を通すため事実婚を選択するカップルも少なくない。

だが事実婚で家族をつくることに日本の制度は十分対応できていない。先進国の中でも出生率の高いフランスなどは婚外子が半分以上を占めるが、日本は婚外子の割合が著しく低く、出生数の減少スピードは加速している。家族を守るための法律が、家族を守り継承させたいと願う人の未来を奪ってはいないだろうか。

法務省の法制審議会が選択的夫婦別姓制度の導入を答申して四半世紀。当時うまれた子どもたちは大人になり、親世代が先送りしてきた問題に直面している。

30歳未満の若者でつくるプロジェクト「#男女共同参画ってなんですか」は昨年、第5次男女共同参画基本計画策定に向けて若者の意見1000件以上をとりまとめた。最も多かったのが「選択的夫婦別姓の早期導入」だ。「現行制度ではお互いの姓のままでいたい人が結婚できない」と主張する。署名活動は5日間で3万筆を集めた。

6年前に最高裁は選択的夫婦別姓について「合理性がないと断ずるものではない」「国会で論ぜられ、判断されるべきだ」とした。だが昨年末の基本計画は、自民党内からの強い反対によって「選択的夫婦別氏(姓)」の文言が削除された上で閣議決定した。

「いつになったら選べますか」。これからの時代を生きる若い世代の問いに、一体誰が答えるのだろうか。

(編集委員 中村奈都子)』

夫婦別姓
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%AB%E5%A9%A6%E5%88%A5%E5%A7%93

『民法および戸籍法の規定
日本では以下の民法および戸籍法により、日本人間の婚姻の場合、夫婦は同氏と定められている。

民法 第750条(夫婦の氏)
夫婦は、婚姻の際に定めるところに従い、夫又は妻の氏を称する。

戸籍法 第74条
婚姻をしようとする者は、左の事項を届出に記載して、その旨を届け出なければならない。
一.夫婦が称する氏
ニ.その他法務省令で定める事項

これに対し、アイデンティティ喪失、間接差別、改氏の不利益[15]などの理由から、別氏のままの婚姻を選択できる制度の導入が検討され、訴訟も起きている[16][17][18][19]。
一方で、改氏する者の不利益は改善されない、別氏の間接強制になりえる、などの主張[20][21]、親子別氏の問題が発生するという主張[22]や、旧姓の通称使用拡大で十分との主張[23]、簡易に氏名変更できるようにする方が先決[24]などの反対論・消極論がある。(「#賛否の論点」参照)』

菅・バイデン共同会見、3つの疑問点

https://wedge.ismedia.jp/articles/-/22785

『今回のテーマは、「菅・バイデン共同会見、3つの疑問点」です。菅義偉首相は4月16日、ジョー・バイデン米大統領とホワイトハウスでの会談を終了した後、共同会見に臨みました。

 そこで、菅首相は中国、台湾、イノベーション、コロナ対策、気候変動並びにアジア系住民への差別問題などで「一致した」と繰り返しました。合計11回も「一致した」と強調したのです。

 一方、バイデン氏は共同会見で中国の挑戦に対して日米が連携して対抗する重要性について言及しましたが、今夏の東京オリンピック・パラリンピック競技大会及び、日本の中国に対する人権侵害制裁の立場に関して明言を避けています。

 そこで本稿では、共同会見での菅・バイデン両氏のパフォーマンスと内容に関する3つの疑問点を挙げます。

(AP/AFLO)

【疑問点その1】

 なぜバイデン大統領は共同会見でこの夏の東京オリンピック・パラリンピック競技大会の支持を表明しなかったのか?

 共同会見で菅首相は、「今年の夏、世界の団結の象徴として東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催を実現する決意であることをお伝えしました」と語り、「バイデン大統領からこの決意に対する支持を改めて頂きました」と述べました。共同声明には確かに「バイデン大統領はこの夏の安全・安心な東京オリンピック・パラリンピック競技大会を開催するための菅首相の努力を支持する」と明記されました。

 東京オリンピック・パラリンピック競技大会は、今回の訪米で菅首相が重視していた議題のひとつであったことは間違いありません。というのは、帰国後菅氏はバイデン大統領から再度支持を得たと主張できるからです。バイデン氏は菅氏に「お土産」を持たせたと解釈できます。

 ただし、バイデン大統領は共同会見で東京オリンピック・パラリンピック競技大会への強い支持を表明しませんでした。

 共同会見の前日15日に行われた政府高官とメディアとの電話会議で、同高官はバイデン大統領が東京オリンピック・パラリンピック競技大会を巡る菅首相の置かれた政治状況に対して非常に神経質になっていることを明かしました。その上で、「大会開催まで数カ月あるので状況を見守ろう」と述べました。バイデン氏は東京オリンピック・パラリンピック競技大会に関する自身の発言が、菅政権の存続に影響を及ぼす可能性があると捉えており、軽々な発言をしないように控えているのです。

 20年米大統領選挙を振り返ってみると、バイデン大統領はドナルド・トランプ前大統領とは異なり、支持者の参加人数を制限した小規模集会を開いて、マスク着用及びソーシャルディスタンスを義務づけていました。さらに新型コロナウイルス感染が拡大すると、ドライブイン形式の集会を開催し、参加者は拍手喝さいの代わりに、車内からクラクションを鳴らして支持表明をしました。選挙期間中、バイデン氏は「コロナ対応型選挙」に徹し、それが有権者から支持を受けました。

 となると、菅氏との会談でバイデン大統領は東京オリンピック・パラリンピック競技大会に関して、かなり高いレベルの安全性の確保ができているのかを確認したとみて間違いありません。共同会見で支持を明言しなかった理由は、バイデン氏は100%確信をもっていないからです。

次ページ » バイデン大統領は菅首相の招待を受け入れたのか?』

『バイデン大統領は菅首相の招待を受け入れたのか?

【疑問点その2】 

 バイデン大統領は菅首相の招待を受け入れたのか?

 菅首相は3月26日の参議院予算委員会で、バイデン大統領を東京オリンピック・パラリンピック競技大会に招待する考えを示しました。この件に関しても、バイデン氏は共同会見で態度を明らかにしませんでした。

 外国人記者が共同会見で菅首相に対して、「公衆衛生の専門家が日本は準備ができていないと指摘しているのに、オリンピックを進めるのは無責任ではありませんか」という厳しい質問をしました。それに対して菅氏は回答をしなかったのです。ホワイトハウスでの共同会見に不慣れな菅氏は、外国人記者はバイデン氏のみに質問をぶつけてくると思い込んでいたフシがあります。

 この場面は今回の共同会見のポイントです。菅首相は明らかに東京オリンピック・パラリンピック競技大会に対する疑問を払拭する機会を逃しました。

 実は、東京オリンピック・パラリンピック競技大会に関する質問はホワイトハウスでの定例記者会見でも出ています。ある担当記者がジェン・サキ報道官にコロナ禍での東京オリンピック・パラリンピック競技大会へのバイデン氏招待について、「菅首相は大胆な発言(a big statement)をしたと思いませんか」と質問をしました。

 この「大胆な発言」には、「よくもそのような発言をしたものだ」という否定的な意味が含まれています。つまり、コロナ禍でのバイデン招待は、「困難」ないし「失礼」と言いたのです。

 バイデン氏の率直にもの言うパーソナリティを考えると、本当に東京オリンピック・パラリンピック競技大会を支持しているならば、共同会見で「強く支持する」「ヨシからの招待を受ける」と断言したはずです。共同声明の東京オリンピック・パラリンピック競技大会支持は、バイデン政権の対中国戦略においてこれから矢面に立つ菅首相に対する特別な配慮としか思えません。

次ページ » 中国の人権問題 』

『中国の人権問題

【疑問点その3】
 バイデン大統領は日本の中国に対する人権侵害制裁の立場を今後も理解するのか?

 政府高官はメディアとの電話会談で、中国に対して人権侵害制裁を課さない日本に一定の理解を示しました。その理由として日中両国の経済関係の緊密さを挙げました。中国に対する人権侵害制裁に関して、日本に欧米と一緒に制裁を課すように無理に押し付けないというシグナルを発信したのです。

 帝国データバンクによると、中国進出日系企業数は1万3646社(2020年1月時点)です。業種別では、製造業が5559社で全体の約4割を占めています。

 仮に日本が人権制裁法の法整備を行い、欧米と共に中国に制裁を課した場合、同国は報復措置に出る公算が高いことは言うまでもありません。具体的には日本製品の不買運動、日系企業を標的にした法人税増税、入管手続や日本からの輸入品の手続における嫌がらせなど、多岐にわたる報復措置が可能です。

 中国との経済関係を重視している日本は、人権問題で同国を刺激しないように注意を払っています。ただ、同盟国・友好国が束になって、中国に対して人権侵害の制裁を課してもらいたいというのが、バイデン大統領の本音です。人権はバイデン政権において内政と外交の双方の中核に位置づけられているからです。

 今後、人権を最優先しないグローバル企業は消費者及び投資家から見捨てられる可能性があることを、日本企業は理解しなければなりません。世界的に人権重視の風潮が高まる中で、「人権尊重の経営」が日本企業の存続に直結するときが間近まで来ているといっても過言ではないからです。

 米中の対立が先鋭化したとき、果たしてバイデン政権が日本の人権侵害制裁に対する消極的な立場に理解を示すかは予断を許しません。』

日本、有事へ米と危機感共有 自立した防衛力急務

日本、有事へ米と危機感共有 自立した防衛力急務
新時代の日米㊥
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA16DKD0W1A410C2000000/

『台湾問題などに言及した日米首脳の共同声明を受け、中国外務省の副報道局長は19日の記者会見で「必要な措置をとり国家主権を断固守る」と強調した。示唆した対抗措置がどんなものになるかは見通せない。

沖縄県・尖閣諸島の周辺海域では日本領海の外側の接続水域を19日も中国海警局の船4隻が航行した。機関砲のようなものを搭載した船もあるという。尖閣周辺で中国公船を確認するのは連続65日を超える。

台湾海峡の南西空…

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台湾海峡の南西空域でも、中国の戦闘機や爆撃機が台湾の防空識別圏(ADIZ)に侵入するのが常態となっている。12日には最多の25機が飛来した。

南シナ海では4月上旬、米中の空母が同時期に展開する事態が起こった。米海軍の空母「セオドア・ルーズベルト」が南から、中国海軍の空母「遼寧」が北からそれぞれ海域に入った。

米国はこうした東アジアの軍事バランスの変化を踏まえ、世界に散らばる米軍の配置を最適化するための検証を始める。バイデン米大統領が日米首脳会談に先立ち、アフガニスタンの駐留米軍の9月までの撤収を表明したのもその一環だ。

中国をにらみ、インド太平洋地域に兵力や予算をシフトしていく。沖縄からフィリピンを結ぶ第1列島線に沿って中距離ミサイル網を築く案も浮上する。

「インド太平洋地域の軍事バランスは米国と同盟国に一層不利になる」。米インド太平洋軍のデービッドソン司令官は制海権を保つには戦力の向上が必須だと訴える。米軍は戦闘機や艦艇、ミサイルの数で米中の差がさらに開くと予測。同盟国に応分の役割を求める機会も増えるとみられる。

米ソ冷戦の最前線が欧州なら、日本を含む東アジアは米中対立のフロントライン。日本の防衛力は同盟国の対中抑止力を左右する。

日本の安全保障体制は自立した防衛力と日米同盟の2本柱だ。日米安保条約第5条は米国による日本防衛の義務を定めるものの、敵からの攻撃の第1波に米軍が間に合う可能性は極めて低い。その間は自衛隊だけで守るのが大前提となるが、持ちこたえられるのか。

尖閣諸島に中国軍が上陸して侵攻しようとした場合、それを阻止する陸上自衛隊の水陸機動団の拠点は長崎県内にある。尖閣諸島までおよそ1000キロで、新型輸送機オスプレイでも2時間かかる。中国の侵攻の意図が分かって部隊を派遣しても手遅れとなる。

現状では日本が相手国のミサイル発射の兆候をつかんでも、それを阻止するために敵のミサイル発射拠点を攻撃できない。政府が「敵基地攻撃能力」の保有を否定しており、ここも米軍に頼らざるを得ない。

仮に中国が台湾を武力で統一しようとすれば、台湾に攻め込む中国軍を止めるのも米軍だ。集団的自衛権を行使して米軍への攻撃に自衛隊が反撃できるようにするには「存立危機事態」に認定する必要がある。台湾有事がそれに当たるかはときの政権の判断となる。

「台湾海峡、また尖閣周辺でも厳しい状況が続いている」。菅義偉首相は日米首脳会談後、記者団に台湾問題と、台湾から170キロと近い尖閣諸島を巡る危機感を並列で語った。

会談から8時間後の17日昼。岸信夫防衛相は日本最西端の沖縄県与那国島を視察した。あいにくの曇天だったが、晴れていれば110キロ先の台湾が見える。台湾有事は対岸の火事で済まない。首脳会談で共有した危機感を防衛力の向上につなげることが急務となる。

(安全保障エディター 甲原潤之介)

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米の対中圧力、重層的に 孤立主義から同盟を前面
日米共同声明、台湾明記ぶれず 「平和」強調で対中配慮

多様な観点からニュースを考える
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峯岸博のアバター
峯岸博
日本経済新聞社 編集委員・論説委員
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分析・考察 尖閣と台湾の有事を想定した備えを急ぐべきなのは記事の通りです。日本は世界5位と同9位といわれる防衛力と防衛費を持つ一方、憲法や財政などの制約があります。有事やグレーゾーン事態にできることとできないことを早急に整理し、米軍と連携した効率的な防衛態勢づくりが必要です。

台湾海峡が有事になればサプライチェーンなど日本経済への影響は米国とは比べものになりません。米国一本足打法ではなく、アジアに関心を強める欧州やASEANにも協調国の裾野を広げるのは中国へのけん制になります。対中外交をはじめ有事を起こさせないための交渉力が「防衛力」強化なのは言うまでもありません。

2021年4月20日 8:12いいね
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鈴木一人のアバター
鈴木一人
東京大学 公共政策大学院 教授
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分析・考察 台湾有事が他人ごとではないのは、台湾も尖閣諸島も中国が自らの主権を主張しているという点で共通しているから。中国がアメリカの抑止力を認めず、自らの軍事的優位を過信して武力を用いて台湾侵略を行うということは、すなわち尖閣諸島が日米安保条約第五条が適用されたとしても、中国がアメリカの抑止力を認めない以上、台湾と同じことが起きうるということ。そのためにも、台湾有事は起こしてはならないし、もっといえば中国がアメリカの抑止力を認めないという状況を作ってはならない。

2021年4月20日 7:50いいね

ミャンマー政変なぜ起きた? やさしい3分解説

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM094UN0Z00C21A4000000/

『東南アジアのミャンマーで国軍によるクーデター発生からもうすぐ3カ月となります。国軍は反発する国民に容赦なく銃口を向ける一方、自制を求める周辺各国の思惑が入り乱れ、混乱に拍車がかかっています。日本企業の主戦場であるアジアの政治情勢への理解はビジネスに欠かせません。ゆっくりながらも着実に民主化の道を歩んでいたと思われていたミャンマーで何が起きているのか。やさしく解説します。

Q:ミャンマーってどんな国?

インドシナ半島西部に位置します。面積は日本の約1.8倍にあたる68万平方キロメートルほどで、推計約5600万人の人口を抱えています。「建国の父」として今も国民の尊敬を集める故アウン・サン将軍(1947年に暗殺)の指導のもと、48年に英国の植民地から独立しました。当初は民主制を採用しましたが、62年に国軍がクーデターで政権を掌握し、89年には国名をビルマからミャンマーに変更しました。

ミン・アウン・フライン総司令官率いるミャンマー国軍はクーデターに抗議する民衆に銃口を向ける(3月27日、ネピドー)=ロイター

軍事政権下で経済成長が遅れ、民主化後は「アジア最後のフロンティア」として外国の投資を集めています。繊維産業などが育っていますが、日用品やガソリンなど多くの物資を輸入に依存しています。仏教徒が9割近くを占める一方、多民族国家でイスラム教徒の少数民族ロヒンギャへの迫害が国際問題になっています。

Q:なぜまたクーデターが起こったの?

民主化の流れが強まり国軍が影響力の低下に危機感を持ったからとみられています。軍事政権は民主化を求める国内外の声に押され、2010年に20年ぶりの総選挙を実施しました。当初、民主化運動の指導者、アウン・サン・スー・チー氏が率いる国民民主連盟(NLD)は国軍が主導した選挙をボイコットしましたが、15年総選挙に参加して圧勝、政権を獲得しました。20年11月の総選挙で、NLDはさらに議席を伸ばし、国軍系政党の不人気を浮き彫りにしました。焦った国軍は「選挙の不正」を理由にクーデターに打って出ました。

Q:アウン・サン・スー・チーさんはどんな人?

アウン・サン将軍の娘で、当初は英国で研究生活を送り、英国人男性と結婚して家庭を築くなど政治の表舞台からは離れて暮らしていました。軍事政権下、1988年に学生を中心に民主化運動に火がつくと、帰国していたスー・チー氏が先頭に立ち、NLDを結成しました。90年の総選挙でNLDは圧勝しましたが、軍は政権移譲を拒否し、民主化運動を弾圧し続けました。

スー・チー氏は89年から計3度、15年間自宅軟禁されました。その間、91年にノーベル平和賞を受賞しました。2015年の総選挙後、NLDは政権を握り、軟禁を解かれていたスー・チー氏は外相兼国家顧問として事実上、国のトップに就きました。軍事政権が08年に制定した憲法の規定で、英国籍の息子がいるスー・チー氏は大統領になれません。

抗議デモに参加する民衆と治安当局の衝突で煙が上がるミャンマー北部のタゼ。国軍のデモ弾圧でこれまでに全土で700人以上が死亡した(4月7日、タゼ)=ロイター

Q:日本を含む国際社会とのかかわりは?

映画「ビルマの竪琴」が描いたように、旧日本軍は第2次世界大戦中、当時のビルマを占領していた時期があります。戦後、日本は政府開発援助(ODA)を通じて積極的に国家建設を支援し関係を強めました。スー・チー氏も1980年代に京都大で研究経験があります。
97年、ミャンマーは東南アジア諸国連合(ASEAN)に加盟を果たしました。近年では中国が広域経済圏構想「一帯一路」の一環のインフラ支援などを通じて急速に影響力を強めています。中国とインド洋をつなぐ安全保障上の要衝だからです。

Q:弾圧は止められないの?これからの展望は?

国軍はクーデターに抗議する国民に武力による弾圧を続けています。死者は700人以上に達したとされ、事態は悪化の一途をたどっています。ASEANは盟主を自任するインドネシアが主導して対話による解決をめざしていますが、ASEAN内でも軍事政権の流れを組むタイや共産党独裁のベトナムなどは、内政不干渉の原則を持ち出して、静観を続け、一枚岩ではありません。国連は安全保障理事国内で米英仏と中ロの対立を抱え十分機能していないうえ、東南アジアへの影響力を確保しようとする大国の利害が絡み、ミャンマーの民主主義の回復への道筋は描けていません。=おわり

(ジャカルタ=地曳航也)』

ミャンマー国軍「友人」は8カ国 ロシアが兵器で急接近

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB151V70V10C21A4000000/

『【バンコク=ドミニク・フォルダー、ヤンゴン=新田裕一】ミャンマー国軍記念日の3月27日、首都ネピドーで開かれた式典に参加したのはロシア、中国、インド、バングラデシュ、ラオス、パキスタン、タイ、ベトナムの8カ国だけだった。それまでに国軍のソー・ウィン副司令官が国連のブルゲナー事務総長特使(ミャンマー担当)に述べた言葉の通りになった。欧米の非難を受けるなかで国軍は「わずかな友好国と歩むことを学ばなくて…

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欧米の非難を受けるなかで国軍は「わずかな友好国と歩むことを学ばなくてはならない」。

目立ったのは唯一、本国からの参加者としてフォミン国防次官を派遣したロシアだった。ミン・アウン・フライン国軍総司令官は式典での演説でロシアを「遠く離れているが、国軍への支援は多大だ」とたたえた。ロシアはミャンマーと地理上の距離があるからこそ、国軍には脅威を与えていない。

ロシアのショイグ国防相は2月1日のクーデターの約1週間前、ミャンマーへの兵器輸出契約に署名するためネピドーに滞在していた。ロシアはクーデター後、ミャンマーに経済制裁を発動しても市民が困るだけだと主張している。

クーデター後に配備された装甲戦闘車の多くはロシア製だ。ストックホルム国際平和研究所(SIPRI)によると、ミャンマーは2019年までに8億700万ドル(約880億円)のロシア製兵器を購入したと推定できる。ジェット戦闘機、戦闘ヘリ、地対空ミサイルシステムなどだ。

ロシアで科学や工学の学位を得た国軍将校は6000人を超える。ミャンマーはロシア製兵器への依存を強めており、中国の存在感は相対的に低下している。国軍は、中国がカチン族やワ族など一部の少数民族の武装組織に手を貸していると疑っている。

東部のシャン州復興評議会(RCSS)はクーデターを非難。タイ国境付近のカレン民族同盟(KNU)は3月27日の軍事パレードのさなかに国軍の拠点を襲撃し、兵士10人を殺害したもようだ。国軍は同日夜、KNUの支配地域を空爆し、数千人の住民が避難を余儀なくされた。KNUはクーデターに抗議する市民デモを支持し、参加者を保護している。

中国国境沿いのカチン独立軍(KIA)も3月下旬、中国国境近くの国軍の拠点を襲撃した。米国平和研究所(USIP)のジェイソン・タワー氏は、別の少数民族も加わり、国軍との武力衝突はさらに拡大するとみている。

ミン・アウン・フライン氏は全権掌握後、隣国タイのプラユット首相に書簡を送ってクーデターへの理解を求めた。プラユット氏は9日、日本経済新聞に「かねてミャンマーに人道支援を提供しており、今回もすでに実施した」と説明した。

ミン・アウン・フライン氏が政変後に表立って接触した外国首脳はプラユット氏だけだ。

ミャンマー情勢に詳しいタイの元外交官は「国軍は中国への全面的な依存を望まず、ロシアは遠い。(軍事政権の流れをくむプラユット政権の)タイを勝手口として維持する必要がある」と指摘した。

プラユット氏は19年、軍政下で制定された憲法に基づく総選挙を経て正式な首相に就任した。その前に、ミン・アウン・フライン氏はネピドーでタイ軍代表団の訪問を受けた。当時、事実上の政府トップだった民主化指導者アウン・サン・スー・チー氏との関係は冷え込んでいた。

タイ将校からクーデターを起こす可能性を聞かれたミン・アウン・フライン氏は「実行するなら、タイはプラユット首相でないと」と答えた。

プラユット氏は3月下旬、タイ国境付近のミャンマー国軍部隊にコメ700袋を供給したとの報道を強く否定した。コメは地域の住民向けで、従来の支援の一環だと主張した。タイの元外交官は「(ミャンマー国軍にとって)タイは重要だが、問題はタイが(ミャンマーに対して何らかの)行動を起こしたいと考えるかどうかだ」と話した。
この記事の英文をNikkei Asiaで読む https://asia.nikkei.com/Spotlight/The-Big-Story/Failed-state-Myanmar-collapses-into-chaos

“さらばミャンマー、日本企業はどうする?

“さらばミャンマー、日本企業はどうする?:世界を読み解くニュース・サロン(1/4 ページ)”
https://www.itmedia.co.jp/business/articles/2104/15/news023.html

『ミャンマーでクーデターが起きてから、早くも2カ月半になる。

 2月1日にクーデターが発生した朝から、筆者は現地の知り合いたちに取材を続けてきた。今振り返ると、当初はまだ、まさか10年前まで続いていた暗黒の軍事政権時代に逆戻りするとは現地の人たちも思っていなかったようだ。しかし、国軍側からの取り締まりが暴力的になり、徐々に死者数が増えるにつれ、「戦意喪失」といった感じになってきている。

 メディアで先日、ミャンマーでは死者数が合計700人を超えたと報じられた。悪化の一途をたどるミャンマー情勢のなかで、実は日本企業も対処に苦慮している。本連載でミャンマーを取り上げた際にも触れたが、2020年末の段階でミャンマー日本商工会議所に加入している日系企業は433社に上るという(関連記事)。ただこうした企業も、国軍の締め付けが強まり、欧米諸国から非難の声が高まっていることで、難しいポジションに置かれているのだ。

ミャンマー日本商工会議所の理事一同声明文(出典:ミャンマー日本商工会議所)
 そもそも、なぜ国軍がクーデターをしなければならなかったのか。また、ミャンマーに進出している日本企業は、どんな状況に置かれているのかなどについて見ていきたい。

なぜこのタイミングで 』

『なぜこのタイミングで
 今回のクーデターでいまだに疑問なのは、なぜ国軍がこのタイミングでクーデターをしなければならなかったのか、だ。表向きは20年11月に実施された総選挙で、民主活動家でもあるアウンサン・スーチー国家顧問が率いる与党が圧勝したが、国軍はそれが不正選挙だったと主張してクーデターを行なったというものだ。だが、現地で暮らす知人らに聞いたところ、話はそれほど単純ではなさそうだ。

 メディアでよく言われているのが、民主活動家だったスーチー国家顧問の政治的な影響力が強くなりすぎたために潰そうとした、というものだ。だがそれなら16年に行われた前回の選挙でも、スーチー側が圧勝していることを考えると、それが理由だと結論付けるには違和感がある。

ミャンマー最大の都市ヤンゴン(写真提供:ゲッティイメージズ)
 またスーチー国家顧問の経済のかじ取りがダメすぎたので、国軍が権利を奪い、ミャンマー経済を握ったという説も聞かれる。だが国軍がクーデターのようなことを行えば、国際社会から非難され、経済制裁が課されるのは明らかで、国軍が国内経済を向上できる可能性は限りなく低い。それは独裁政権時代のミャンマー経済のひどさを見れば容易に想像できるし、そもそも主要産業は国軍の影響力が残ったままになっている。

 では、なぜクーデターが行われたのか。現地の元国軍関係者などに見解を求めたところ、理由はいくつもあるだろうが、次の要因が大きのではないかという。

 国軍のトップであるミン・アウン・フライン司令官の保身である。フライン司令官は今年7月に65歳で定年を迎える予定になっていたが、トップから離れたくないというのがクーデターを引き起こした理由の一つだという。彼は16年に本来の定年である60歳を迎えているが、5年間延長をしている。これは、軍事独裁政権でミャンマーを率いていた悪名高い独裁者のタン・シュエもやらなかったことだ(彼は終身国家元首になったが、司令官の職は辞して、権力を手放している)。

 しかしフライン司令官が任期を延ばした5年間、特に国際社会からミャンマーへの批判が一気に高まった。同国で迫害されているイスラム教徒のロヒンギャ族をめぐる問題が、国際司法裁判所(ICJ)や国際刑事裁判所(ICC)などで国軍の犯罪行為が協議されることになった。さらにジュネーブに本部を置くミャンマーの重大犯罪を調査する国連の「ミャンマーに関する独立調査メカニズム(IIMM)」でも、フライン司令官をはじめとする軍幹部らは、「ジェノサイド(大量虐殺)」の罪で起訴されるべきだとも指摘している。

一方的に不透明な理由を公表』

『一方的に不透明な理由を公表
 こうした罪の責任者は、フライン司令官にほかならない。彼は現在、国軍トップであるため国際機関などの手は届かないが、定年を迎えて軍トップの地位から離れ、国内でスーチー率いる民主化勢力が影響力を高めていくと、フライン氏が戦争犯罪で逮捕され、裁かれてしまう可能性もある。

 それを避けるために、クーデターを行なったというのである。この元軍関係者によれば、「そういった思惑の可能性は高く、軍の内部でも密かに同様の認識が広がっている」という。現状、国際社会がフライン氏に手出しすることは不可能になった。

国軍は経済的な既得権益を守るために、クーデターを行ったという説も
 とにかく、一方的に不透明な理由を公表して、権力を再び奪い返した国軍は、国際社会から強い批判を浴びている。特に国軍との親密な関係や、国軍に利益をもたらしているような外国企業は、国際的に厳しい批判にさらされている。大手ビールメーカーのキリンは、クーデターを受けて国軍と関係のある地元複合企業との連携を解消した。

 ロイター通信は3月25日に、「ヤンゴン市内都市開発(Yコンプレックス)」と呼ばれる事業が、ミャンマー国防省の利益につながっていたとして、批判されたと報じている。国軍につながりのある企業は国際的な非難を受けるため、この事業もやり玉に上がっている。そして同事業には「日本政府が95%を出資する海外交通・都市開発事業支援機構(JOIN)」や日本の民間企業なども参画していたが、国軍の人権蹂躙を理由に、つい最近、一時中止に追い込まれたという。

 またAFP通信は3月1日に、北東部シャン州で水力発電用ダム建設事業を進めていた国際企業連合が、国軍によるクーデター発生を受け、プロジェクトを一時中止したと報じた。理由は、国軍と関わるプロジェクトだからだ。同記事によれば、このダム建設事業には、日本の丸紅も参加していた。そんなことから、丸紅も批判の対象になった。

ミャンマー市場と距離を 』

『ミャンマー市場と距離を
 米国のアントニー・ブリンケン国務長官は、国軍を支援する事業や外国企業に、事業などへの関与を「見直すべきだ」と発言しているため、欧米諸国はこの流れには逆らえないかもしれない。

 英監視団体の「ビルマリポート」は、国軍と関係している企業を名指しで公開しており、日本企業も数多く登場する。そこにはここまでに触れた、キリンや丸紅、さらに中小企業も批判の対象になっている。

 もちろん、11年の民政移管の際に開かれた市場として、世界からの期待は大きく、これまで日本企業が進出してきたことは批判されるべきことではない。しかもミャンマー国内で大きな事業をするとなれば、国軍の存在は無視できないため、軍との関係が避けられない場合もあったはずだ。

 だが、クーデターで状況は一変した。そして、クーデター前のような状況に戻る可能性は当面ないだろう。ミャンマーでビジネスを展開すれば、国際社会からの批判がついて回る。またこれから、米バンデン政権や欧州各国が、対中政策などで人権問題を取り上げる場合が増える。そうなれば、ミャンマー国内の人権問題も俎上(そじょう)にのせるだろう。

 日本企業は、残念ながらミャンマー市場と距離を置いていくしかないだろう。国軍が引き起こしたクーデターによる混乱はあまりに大きいということだ。』

〔ミャンマー情勢の混沌…。〕

ミャンマー  市民と少数民族の共闘の可能性 「どんな道を選んでも待つのは血まみれの未来だ」 – 孤帆の遠影碧空に尽き
https://blog.goo.ne.jp/azianokaze/e/43dd7fd1dec9367b56a519833e85552d

『【雑草を除去しなければならない 迫撃砲などの重火器を使用 見たものすべてに発砲】

ミャンマー情勢の混迷は報道のとおり。

****ミャンマー治安部隊が迫撃砲で攻撃、包囲された抗議デモの82人死亡****
ミャンマーの地元メディア「ミャンマー・ナウ」は10日、中部バゴーで9日に治安部隊が抗議デモ参加者らを銃撃などで鎮圧し、市民の少なくとも82人が死亡したと報じた。
3月27日に全土で市民100人以上が殺害されるなど、デモ鎮圧の犠牲者が増加する中、単独の地域での1日の犠牲としては最悪の規模とみられる。

 報道によると、鎮圧は9日早朝に始まった。治安部隊は地域を包囲し、迫撃砲などの重火器を使用して攻撃した。爆発音を聞いた住民もいたという。

目撃者によると、近くの学校やパゴダ(仏塔)に遺体や負傷者が集められた。僧侶らが治療を申し出たが、治安部隊は許可しなかったという。行方不明となっている人もいるといい、死者数はさらに増える可能性がある。

 クーデターを強行した国軍は、国際社会からの非難も顧みずに弾圧を続けている。国内の人権団体「政治犯支援協会」は、デモ鎮圧などによる死者は、9日時点で618人としていた。

国軍の報道官は9日の記者会見で、「木が育つためには、雑草を除去しなければならない」と述べ、市民への武力行使をためらわない姿勢を鮮明にしていた。【4月11日 読売】

*************************

迫撃砲というのは下のような武器です。常識的には抵抗市民に使用するような武器には思えませんが・・・。

(ウィキペディア)

国軍報道官は、「雑草を除去しなければならない」とか、害虫を駆除するには殺虫剤をまく必要があるとか・・・。

同じ国民を「雑草」「害虫」と表現する発想には驚きを禁じえません。

市民の抵抗を抑えるというより、敵を殲滅する内戦の発想のようにも。

軍は抑制的に対応しているとも主張していますが、下記のような報道を見ると、「(治安部隊は)見たものすべてに発砲・・・」とか、あまり抑制的でもなさそうです。

****「見たもの全てに発砲」ミャンマー市民の死者700人超****

クーデターで国軍が権力を握ったミャンマーで、市民の犠牲が700人を超えた。国軍側は9日に中部バゴーで80人以上を殺害。その方法は残虐さを増している。国軍への反発は少数民族武装組織にも広がり、10日には複数の地域で国軍との戦闘が起きた。

 現地の人権団体「政治犯支援協会」によると、2月1日のクーデター以降、4月11日までに706人の市民が犠牲になった。「国軍記念日」の3月27日には、全土で100人以上が殺害された。4月9日にはバゴーで82人が殺害され、一地域での1日あたりの犠牲としては最悪とみられている。

 地元メディアによると治安部隊は9日、バゴーの四つの地域を襲撃。弾着後に炸裂(さくれつ)する小銃てき弾などの重火器が使われたという。

住民の一人は「(治安部隊は)見たものすべてに発砲し、抗議を取り締まる行動ではなかった。ジェノサイド(集団殺害)を犯していた」と語った。

積み上がる遺体、うめき声…住民は治療もできず

地域の仏塔(パゴダ)の入り口付近には遺体が積み上げられ、中には負傷者も交じり、うめき声が聞こえていたという。住民らは負傷者の治療も遺体の引き取りもできなかった。
治安部隊はまた、地域を捜索して市民らを連行。翌日に遺体で見つかるケースもあった。11日夜の時点で、多くの住民が地域から逃げ出しているという。

 国軍の報道官は9日の会見で「機関銃や自動小銃を使えば、数時間で500人を殺せるが、実際には(500人が犠牲になるのに)何日もかかっている」と話し、国軍側は対応を自重していると強調。武力による弾圧を正当化しており、今後、さらに対応が激化する恐れがある。それでも市民らは、各地でデモを続けている。

 一方、地元メディアによると、10日午前に北東部シャン州で少数民族武装組織が警察署を襲撃し、警官ら14人が死亡した。西部ラカイン州を拠点とするアラカン軍などによる攻撃とみられている。アラカン軍は3月30日、他の二つの武装組織と声明を発表し、市民への弾圧をやめるよう国軍に求めていた。

 10日午後にはインド国境にある北西部タムで、別の少数民族武装組織の攻撃で少なくとも治安部隊18人が死亡した。軍車両に手投げ弾が投げ込まれたという。治安部隊が市民を殺害したことへの報復とみられる。

 東部カレン州の「カレン民族同盟」(KNU)や、北部カチン州の「カチン独立軍」(KIA)も国軍と戦闘を続けている。国軍側は空爆などで反撃し、多くの住民が家を焼け出される事態となっている。ミャンマーは独立以来、内戦が続いているが、クーデターを機に混迷がさらに深まる可能性が指摘されている。【4月12日 朝日】

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「機関銃や自動小銃を使えば・・・・」

実際に“1988年の民主化運動のはじまりから鎮圧に至る過程で軍は学生・仏僧を含む数千人の市民を殺害したといわれる(軍事政権は、犠牲者数は20~30人にすぎないと主張している)。”【ウィキペディア】という過去がありますので、国軍の大量犠牲者を厭わない対応が懸念されます。

その他にも

“襲撃後に銃強奪とミャンマー国軍 市民19人死刑判決”【4月10日 共同】

“死刑判決、さらに7人=反国軍勢力への弾圧強化―ミャンマー”【4月14日 時事】

と、一切の歩み寄りを拒否し、武力で封じ込める姿勢が強まっています。

【抵抗市民勢力と少数民族武装勢力の共闘の可能性 弾圧されて知る差別されるものの痛み】

そうしたなかで、現実味を増してきているのが、4月1日ブログ“ミャンマー 少数民族武装勢力と国軍の衝突・対立、抵抗市民勢力との共闘で内戦の危険性も”でも取り上げた、抵抗勢力と少数民族武装勢力の共闘による内戦の可能性。

中国・ロシアの消極姿勢もあって、国際的圧力による解決が期待できない以上、徹底武力鎮圧に進む国軍に対抗するには、そうした方向しかない・・・という考えも。

ただ、抵抗市民勢力とはいっても、その多くはこれまで少数民族を差別して側。その両者が連携できるのか?

あるいは、少数民族側からすれば、そういう抵抗市民を信用できるのか?

仮に国軍を取り除けたとして、その後にどういう政治体制を想定しているのか?

等々の疑問も。

そうした疑問に答える活動家や少数民族幹部へのインタビュー記事が。

長い記事ですが、非常に興味深い点が含まれていますので全文を引用します。

****ミャンマー市民が頼るのは、迫害してきたはずの少数民族 「内戦勃発」が最後の希望****

<国際社会に幻滅した市民らが一縷の望みを託す「少数民族連合軍vs国軍」の構図。当事者たちが語るその可能性>

国軍による弾圧が激しさを増すミャンマー(ビルマ)で抵抗手段を奪われた国民たちは今、少数民族の軍隊と国軍との全面戦争を求め始めている。

かつては敵視すらしていた少数民族を救世主扱いするほど期待は高いが、どれくらい現実味がある戦略なのか。

ミャンマーのエリート軍家系出身で民主活動家のモンザルニ、

少数民族であるカチン民族機構(KNO)ロンドン本部のクントイラヤン事務局長、

在日ビルマ・ロヒンギャ協会のゾーミントゥット副代表の3人に、本誌・前川祐補が聞いた。

――少数民族軍連合vs国軍という対立構図が浮上した経緯を教えてほしい。

モンザルニ デモを行っていた市民らは当初、諸外国からの外圧を期待していた。軍事的圧力でなくとも、国軍が弾圧から手を引くような効果的な懲罰を求めていた。

だが(アメリカなどが部分的に制裁を発動したものの)ミャンマー国民を満足させるような動きは起きていない。国軍への制裁を決議できなかった国連安全保障理事会も含めて国民は外圧に幻滅し、よりどころを少数民族の軍隊にシフトさせた。国民の中には少数民族軍を救世主と呼ぶ者もいる。

クントイラヤン われわれカチン族は都市部でのデモ弾圧とは別に国軍から攻撃を受け、彼らを返り討ちにした「実績」もあった。

――少数民族軍の連合はどのように形成されるのか。

モンザルニ 1つは、「統一政府」の樹立を目指す民主派議員らで構成する連邦議会代表委員会(CRPH)が、少数民族の軍隊を「連邦軍」として取りまとめる方法だ。

だが、少数民族側はCRPHの中心にアウンサンスーチーや彼女が率いる国民民主連盟(NLD)を据えることに対して非常に否定的だ。彼らはクーデターを防ぐこともできず、その後の対応でも失敗したからだ。

CRPHは国民の支持を得ているが、将来的な政府組織においてスーチーとNLDの影響力をどれだけ排除できるかがカギになる。

クントイラヤン 少数民族の間では、CRPH憲章は現在の憲法から国軍の議会枠(国会議員定数の4分の1は軍人)を定めた条項を取り除いただけ(つまりNLDの影響力が色濃く残る)との批判が多い。

私たちはこれまで少数民族に差別的だった「ビルマ人愛国主義者」たちへの警戒を解いておらず、NLDに対する不信感も根強い。

――統一政府の将来像は時間のかかりそうな議論だ。CRPHと少数民族の交渉がまとまらなければ全面戦争のシナリオは消える?

モンザルニ そうでもない。既にCRPHを抜きにした少数民族による「連合軍」構想が持ち上がっている。実際、シャン州軍の創設者であるヨートスックが、ワ州連合軍などと共に独自の連合軍の立ち上げを呼び掛けている。

クントイラヤン CRPHが少数民族の要求を断ったところで軍事的には空っぽの政府組織が生まれるだけだ。連邦軍は構想段階だが、カチン族だけでなくカレン族の居住地域を含めて局地的には既に戦いが始まっている。

ゾーミントゥット 国民は、これまでさげすんできたアラカン・ロヒンギャ救世軍ですら歓迎している。CRPHがどう判断するかは分からないが、何らかの形で内戦が始まるのは不可避だと思う。

――「連邦軍」であれ「連合軍」であれ、国軍と対峙する軍事力はあるのか?

モンザルニ 少数民族の武装勢力は最大で14ほどが参加し得るが、それでも「通常の戦闘」を想定するなら国軍を打ち破ることは難しいだろう。兵力の差は数字以上に大きい。

だが少数民族軍の戦略はいわゆるpositional war(陣地戦)ではなく都市型ゲリラ戦だ。例えばヤンゴンには軍事訓練を受けた「見た目は普通の人」が数千人もいるとされる。彼らは特定の日時に集まり、標的とする軍事施設に攻撃を加える準備ができている。

連合軍の戦いは内戦と言うよりは革命抗争だ。革命軍はたいてい武器に乏しく兵士の数も少ない。キューバ革命の時、フィデル・カストロはわずか82人の同志を率いて革命抗争を始めた。数の比較で戦闘を考えると展望を見誤る。

クントイラヤン ミャンマーの内戦にアメリカが軍隊を派遣することはないだろうが、資金提供やロジスティクスなどの側面支援は交渉可能なはずだ。それができれば、カチンやカレンの軍隊は地上戦で国軍をしのぐことができる。

「統一政府」の議論がまとまらないにせよ、国軍による虐殺を止めるためにCRPHの国連大使に選ばれたササは早急に欧米諸国へ支援要請をするべきだ。

――少数民族はこれまで差別や迫害を受けてきた。少数民族の軍隊に期待する国民は今だけ軍事力にすがり、後で裏切るという懸念はないのか?

ゾーミントゥット 今回のクーデターに対して抵抗を続ける中心はZ世代と呼ばれる若者世代だ。彼らは1988年のクーデターを戦った当時の若者世代とは違い、教育水準も高く多様性に対して寛容だ。

実際、クーデターが勃発してからこんなことがあった。ある商業系と医科系の大学の学生自治会が、過去のロヒンギャ弾圧に対して公に謝罪声明を発表したのだ。虐殺を知りながら声を上げなかったことへの謝罪だ。

自らも軍の弾圧の犠牲者となって初めてロヒンギャの置かれた状況を知ったからなのかどうか経緯は分からないが、彼らの謝罪は誠実なものと受け止めている。

(編集部注:CRPHで広報担当も務めるササはCRPHの国家構想でロヒンギャを国民として認めると4月9日の記者会見で断言した)

クントイラヤン 同じ思いだ。繰り返すが、われわれ少数民族はこの状況下でも愛国主義的ビルマ人への警戒心は強い。それでもZ世代への期待は大きい。

弾圧を受け行き場を失った若者世代は今、少数民族軍を支持するだけでなく自ら参加しようとしている。実際、カチン軍は彼らに対する軍事訓練を行っており、(カチン)軍幹部の話によれば訓練し切れないほどの若者たちが集まっている。

――周辺国は内戦に対してどう反応するだろうか?

モンザルニ 中国、インド、タイがその中心だが、彼らは基本的にミャンマー国軍を支持しているので懸念するだろう。

だが彼らはあくまで勝ち馬に乗るはずだ。今のところ国軍に賭けているが、「革命抗争」で少数民族軍連合やCRPHが優位な立場になれば、考えを変える可能性はある。周辺国とミャンマー国軍の関係に定まった「方程式」は存在せず、流動的だ。

クントイラヤン カチン族の主な居住地域は中国と国境を接しているが、今回の騒乱はカチン族が引き起こしたのではない。中国がミャンマーで安定した経済活動を行いたいのなら、彼らが国軍を支援し続けるのは得策でないはずだ。

モンザルニ CRPHは「連邦軍」構想を進めると同時に、国軍に影響を及ぼす中国に対して立場を表明するべきだ。つまり、CRPHは中国を重要な国家として認めると。

その上で、現在の国軍に対する無条件の支援をやめるよう求めるのだ。中国が応じなければ、世論の圧倒的支持を受けるCRPHが実質的な政権を取ったときに、ミャンマーはアメリカや日米豪印らで構成するクアッドに強く傾倒し、中国がこれまでミャンマーで進めていた石油のパイプライン事業をはじめとする経済活動が思うようにいかなくなるという「警告」も忘れずにだ。

――内戦や革命抗争はミャンマーにとって本当に望ましいシナリオなのだろうか?

モンザルニ 望ましいシナリオでもなければ、最も前向きな目標でもない。

だが今のミャンマーには連邦軍(やその他の連合軍)構想以外にいいシナリオがない。国民はデモに参加しようが家でおとなしくしていようが殺されている。5400万人の国民が人質になっているというのが現実で、「向こう側」を殺すしかないという機運が高まっている。

クントイラヤン 今の状況を変えるためには、国民は国軍に対して強いメッセージを出す必要がある。軍幹部らに対して弾圧から手を引くことを促すような、強固な心理戦を展開する必要がある。

少数民族連合軍による「宣戦布告」はその意味で強いメッセージになる。軍幹部が動じずとも、兵士らを可能な限り多く投降させることができれば弾圧を弱める効果は期待できる。
モンザルニ 投降した兵士らを受け入れる新しい軍組織がなければ、ミャンマーはサダム・フセイン亡き後のイラクになり、兵士らは過激派イスラム組織「イスラム国」(IS)のようになってしまう。その意味でも連邦軍は必要だ。

ゾーミントゥット 革命抗争は起きた後の状況が懸念されるが、不可避だと思う。そのなかで望むとすれば、CRPHはできるだけ構成民族に共通認識を持たせてほしい。

――非常に複雑な思いだ。

モンザルニ それは私たちも同じだ。残念ながら、どんな道を選んでもミャンマーを待つのは血まみれの未来だ。【4月13日 Newsweek】

************************

両者の共同戦線の実現の可能性は別にしても、

“大学の学生自治会が、過去のロヒンギャ弾圧に対して公に謝罪声明を発表”

“CRPHで広報担当も務めるササはCRPHの国家構想でロヒンギャを国民として認めると4月9日の記者会見で断言”

というのは、これまでのロヒンギャに対するミャンマー国内の冷淡な対応を考えると驚くべき変化です。

弾圧されて、始めて知る差別されるものの痛みでしょうか。

ロヒンギャ対応を含めて、少数民族との和解が国民一般にどこまで共有されるのかについては、まだ疑問もありますが。

中国などが“勝ち馬に乗る”というのは、そのとおりでしょう。もともと国軍には中国への警戒感が強く、中国はどんな政権にしても、自分たちの権益が保護されればいいという考えでしょうから。

それにしても、“どんな道を選んでもミャンマーを待つのは血まみれの未来だ”というのは重苦しい結論です。』

ミャンマー混迷、国内に2つの「政府」 政変3カ月

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB142Q20U1A410C2000000/

『【バンコク=ドミニク・フォルダー、ヤンゴン=新田裕一】ミャンマーはクーデターから3カ月目を迎えた。全権掌握を主張する国軍と警察は市民の抗議デモを重火器も使って弾圧。死者は計700人を超えた。一方、民主化指導者アウン・サン・スー・チー氏の政権を支持する勢力は「臨時政府」をつくり、国軍と対峙する。難民が周辺国に逃れ、混乱は地域に広がる。混迷するミャンマーを追う。

砲撃は夜10時ごろまで続いた。中部の古都バゴーで9日、国軍側がデモ参加者を攻撃し、少なくとも80人以上が死亡した。ミャンマーで尊敬される仏教の僧侶が負傷者の介抱を申し出たが、拒否されたという。

軍事法廷は8日、最大都市ヤンゴンで国軍兵士を殺害したとして19人に死刑判決を下した。

バチェレ国連人権高等弁務官は13日の声明でミャンマー情勢について「2011年にシリア内戦が始まった当時の状況を思わせる」と指摘。今後、シリアのような状態に陥る可能性があると示唆する。

ブリュッセルに本部を置くシンクタンク、国際危機グループ(ICG)の上級顧問リチャード・ホーセイ氏は9日、国連安全保障理事会で「ミャンマーは破綻国家への瀬戸際だ」と報告した。

5年間のスー・チー氏の政権は、2月1日の政変で終わった。15年の総選挙でスー・チー氏の政党、国民民主連盟(NLD)が圧勝。同氏は16年、国家顧問兼外相に就き、事実上の政府トップになった。20年の総選挙で連邦議会の議席数を伸ばしたNLDを警戒した国軍のクーデターは経済発展も台無しにしようとしている。

クーデター直後にスー・チー氏の政権の正統性を主張する15人の連邦議会議員が設けた連邦議会代表委員会(CRPH)は「臨時政府」の装いだ。外相を含む多くの閣僚ポストで大臣代行を任命し、軍政下で制定された現行憲法の廃止を宣言した。国軍が設立した最高意思決定機関、国家統治評議会を「テロ組織」と非難する。

国軍はクーデター当日、スー・チー政権の閣僚を解任し、新たな大臣を任命した。クーデターは「憲法に則した正当な措置」と言い張り、4月上旬の記者会見では「2年以内の総選挙実施」を表明したが、デモに加わる市民の多くは懐疑的だ。

ミャンマー国内は2つの「政府」が並立する分裂状態だ。

国軍は欧米諸国の強い非難を受けるが、国際社会での孤立を意に介さない。人口の7割を占めるビルマ族による支配を固めることが責務だと考えている。

国際軍事情報大手IHSジェーンズの軍事アナリスト、アンソニー・デービス氏はバンコクで記者団に「ミャンマー国軍の兵士は残忍」と指摘する一方、国軍がまとめないとミャンマーもアフガニスタンと同じような混乱した国家になりかねないと主張した。

ヤンゴンの民間団体「責任あるビジネスのためのミャンマー・センター(MCRB)」は「事態への懸念を強めている」という内容の共同声明を作成し、外国の68社と国内の164社が署名した。人権の尊重と民主主義への回帰、法の支配を求めた。

仏エネルギー大手トタルは、CRPHの要請に従わず、ミャンマー沖で天然ガスの産出を続け、納税している。ガスの輸出はミャンマーにとって重要な外貨獲得源だ。ガス全体の輸出額は20年が33億ドル(約3600億円)で、ミャンマーの総輸出額の2割を占めた。輸出先はいずれもミャンマーと国境を接するタイと中国だ。

非政府組織(NGO)「国際法律家委員会」のサム・ザリフィ事務局長は「市民殺害のペースは、シリアのアサド政権よりも速い」と指摘した。シリア難民は世界最悪の水準だ。ロヒンギャなど少数民族が多いミャンマー難民の総数は減る傾向だったが、国内の混乱を受け、タイとの国境地帯などで再び目立ってきた。

この記事の英文をNikkei Asiaで読む https://asia.nikkei.com/Spotlight/The-Big-Story/Failed-state-Myanmar-collapses-into-chaos

国軍の独善、ミャンマー混迷 樋口建史前大使に聞く

国軍の独善、ミャンマー混迷 樋口建史前大使に聞く
日本政府は最悪見据え、企業と情報共有を
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCD058I30V00C21A4000000/

『国軍によるクーデターから2カ月あまり。ミャンマーでは市民らの抗議活動が続き、すでに500人を超える市民が殺害されるなど混迷が深まっている。ミャンマー情勢はどう推移していくのか。日本はどう向き合えばいいのか。前駐ミャンマー大使(元警視総監)の樋口建史氏に話を聞いた。(聞き手は編集委員 坂口祐一)

国民民主連盟(NLD)を率いるアウン・サン・スー・チー氏と、国軍のミン・アウン・フライン総司令官。大使在…

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大使在任中に2人の「当事者」と何度も会談するなど、双方の事情に通じた樋口氏が発したのは「事態は悪化の一途をたどっており、好転する展望は持てない。それを前提にした決断が必要になる」という厳しい言葉だった。

――市民に対する残虐な行為が、なぜここまでエスカレートしているのか?

「国軍は本気で自分たちが正義だと思い込んでいる。武器で鎮圧する以外の術(すべ)も知らない。2014年にタイで起きたクーデター後の対応処理をモデルにした甘い見込みが外れ、先鋭化しているように見える。1988年の民主化運動を軍が鎮圧したときでさえ外国人には手を出さなかったが、今回はNLD政権に協力したオーストラリア人が拘束され、アメリカンセンターに銃弾が撃ち込まれるなど、一線を越えている」

「ミン・アウン・フライン総司令官とは大使在任中、個別の会談を含め20回近く会った。政治的野心は感じたが、ロヒンギャ迫害問題で話した際には現場の写真を示しながら国軍の立場を丹念に説明するなど、良識のある信用できる人物だと思っていた。だが今回の事態を見れば、国軍にも彼自身にも国を率いる資格がまったくないことは明らかだ。見抜けなかった不明を恥じている」

――この先の展開をどう見ているか?

「残念ながら、明るい展望は描けない。想定される事態の一つは、国軍が弾圧と殺りく、大量の身柄拘束で抵抗する民衆に恐怖を植え付け、ねじ伏せてしまうというものだ。そのうえで経済対策と次の総選挙の日程を打ち出すつもりだろう」

「総選挙を経て国軍と一体の政権をつくってしまえば、欧米や日本も『民主政権』としてある程度認めざるを得なくなる――そう読んでいると思う。もちろん選挙で勝つためには、スー・チー氏を排除しNLDを非合法化するといった手段をとるはずだ。それまでは国際社会からいくら非難されようと断固譲らず、隣国や東南アジア諸国連合(ASEAN)を融和的な姿勢に引き込みながら、耐えしのごうと考えているのだろう」

駐ミャンマー大使当時の樋口氏(右端)とアウン・サン・スー・チー氏(左から2人目、2018年3月、ネピドーの外務省)=一部画像処理しています

――総選挙を実施すると表明したところで、事態が収まるとは思えないが?

「総選挙を経て国際社会に認められるというのは、『予測される事態』というより、国軍がその可能性にすがりついているシナリオ。そこでもう一つのあり得る予測は、国家統治が機能しない混迷状態。市民の抵抗がさらに拡大すると40万人の国軍と7万人の警察では制御し切れなくなる。10年間も民主社会の空気を吸ってきた国民は、何をされようと軍政を受け入れないのではないか。加えて国境地域の少数民族武装勢力も反国軍の姿勢を取り始めており、今後、戦闘が頻発する可能性がある」

「こうして国軍が完全に手詰まりとなり、総司令官の求心力が低下していけば、軌道修正を図るか、退役するか、軍内部でクーデターが起きるか。最悪のケースとして、かつての軍政時代のような鎖国状態に向かうこともあり得る」

――日本はどう対応していけばいいのか?

「甘い見通しや客観性を欠いた思い込みを捨てるのが大前提。一般論ではなく、国軍の偏狭な本質や現地の情勢をよく見て事態の推移を冷静に見通す必要がある。その分析のうえに立って、対応を判断しなければならない」

「対処にあたって日本が大事にすべきなのは、もちろんミャンマーの人たちの人権であり、命。ミャンマー国民は日本に圧倒的な信頼を寄せている。政府はミャンマー国民の命をどうやったら救えるか、そのために何ができるかを最優先で考える。そのうえで、日本の国益を守るための対応が求められる」

ミン・アウン・フライン国軍総司令官と会談する当時の樋口大使(2017年10月、ネピドーの国軍迎賓館)

――日本の国益とは、具体的には?

「『アジア最後のフロンティア』といわれたミャンマーには400社を超える日本企業が進出している。日本政府もそれを後押ししてきた。そのことは私自身責任を感じている。今回のことで、ミャンマーはいつでもクーデターが起き得る、カントリーリスクの高い国になってしまった。まずは、いま困難に直面している企業をどう守れるか、だ」

「現状は、すでに健全なビジネスができる状況にない。もちろん判断するのはそれぞれの企業だが、撤退まで視野に入れ決断を迫られている企業の相談に対しては、政府も大使館もできる限りの対応をしてもらいたい。最悪を見据えた掛け値のない情勢認識が共有されるべきだと思う」

「政府開発援助(ODA)の見直しも避けられない。2011年以降、積み上がった円借款は1兆円規模に達している。新規案件は凍結するとして、進行中の案件をどうするか、またどうやって資金を回収するか。いずれも難しい問題だが、支援する前提条件が覆った今、抜本的な見直しが迫られる。国軍との防衛交流なども再検討せざるを得ないだろう。現地に残っている邦人約1600人の安全も、帰国を含めて見極めを急がなければならない」

――日本政府は国軍にも独自のパイプがあるので、それを生かして調停すべきだ、といった指摘もあるが?

「現状では、日本は国軍の存続計画から外れているのだと思う。仮に会談を申し入れたとしても、宣伝に利用されるだけで聞き入れるとは考えにくい。逆にいきり立たせることになりかねない。だが国の運営が破綻し国軍が追い詰められる事態になれば、接触し、プランを示すことができるのではないか。そのためにも米国と認識を共有し、制裁面でも足並みをそろえておく必要がある」

――厳しい態度で臨むと、国軍を中国側に追いやる結果になる、と懸念する声もあるが?
「それほど単純な構図ではない。中国にとって内政不干渉は絶対譲れない一線だが、今回のクーデターは中国にとってはむしろ迷惑で、苦々しく思っているはず。国軍の背後に中国がいると信じるミャンマー国民は多い。このため反中感情が高まり、石油、ガスのパイプラインなどミャンマー国内の中国の権益が危うくなっている。中国にとっては自国の権益を確保することがすべて。そのためには手段を問わないが、目的に照らして合理的な行動をとるはずだ」

「中国の動きをあえて読めば、国際的な非難が集中する市民の殺害をやめさせ、国軍がもくろむ次の総選挙を国際社会が受け入れざるを得ない環境を整えようとするだろう。そのためには内政不干渉になじみのあるASEANを取り込み、中国に歩調を合わさせようとするのではないか。少数民族武装勢力への影響力の行使も考えられる」

「ただ忘れてならないのは、国軍自身が、中国以外の選択肢がない状況に戻りたいとは考えてはいないということだ。日本も国際社会も、この点を念頭において行動すべきであろう」

樋口 建史(ひぐち・たてし)
1953年生まれ。愛媛県出身。78年東大法卒、警察庁入庁。北海道警本部長、警察庁生活安全局長、警視総監などを歴任。DNA型データベースや携帯電話の本人確認、防犯カメラを使った捜査などの仕組みを導入した。2014年~18年、駐ミャンマー大使を務める。現在、カジノ管理委員会委員。

対ミャンマーODA全面停止に慎重 政府、中国を警戒

https://www.nikkei.com/article/DGXZQODF026NJ0S1A400C2000000/

『日本政府はミャンマーへの政府開発援助(ODA)の全面的な停止に慎重な立場だ。茂木敏充外相は2日の記者会見でミャンマーの国連大使が日本に投資中断を求めたことについて「事態の推移や関係国を注視しながら、どういった対応が効果的かよく考えていきたい」と述べるにとどめた。

日本によるミャンマーへのODAは2019年度で1893億円にのぼる。支援額を明らかにしていない中国を除けば、最大の支援国とされる。政府は新規案件は当面、見合わせる方針で、国軍に事態の改善を促す。全面停止すれば中国によるミャンマーへの影響力が強まると警戒する。

加藤勝信官房長官は記者会見で経済協力について「事態の沈静化や民主的な体制の回復に向けてどのような対応が効果的か具体的に検討していく」と語った。日本は国軍との対話も維持しており、欧米が実施する国軍関係者への制裁はしていない。』

軍の空爆にミャンマー国内の武装勢力も対決姿勢、市民も参加

北の国から猫と二人で想う事 livedoor版:軍の空爆にミャンマー国内の武装勢力も対決姿勢、市民も参加
http://blog.livedoor.jp/nappi11/archives/5250149.html

『現在軍に拘束されているアウン・サン・スー・チーAung San Suu Kyi氏が率いる与党NLD=国民民主連盟等の議員らで組織する「連邦議会代表委員会」は、国内の少数民族の武装勢力にデモ隊の側に立ってともに戦うよう呼びかけた。
Map-of-the-Karen-State-それに応じた武装勢力が市民に加勢する動きが出て、タイ国境に近い東部カイン州 (Kayin State、カレン州Karen Stateは旧称)で2021年3月27日午前、カレン民族同盟(KNU)の傘下組織が国軍拠点を制圧したのに対し、国営テレビは3月28日夜「停戦協定に署名している勢力の一部が協定に違反して軍の拠点を攻撃した(反政府組織カレン民族同盟(KNU:Karen National Union)と政府は2012年1月12日停戦合意)」と伝え、軍が南東部カレン州の武装勢力から27日に攻撃を受けたことを認めた。

FireShot Webpage Screenshot #311 – ‘Thousands flees3.reutersmedia.net

即座に軍は27日夜、20年ぶりとなる同州への報復空爆を実施し、空爆は27日に続き28、29日も続いた。KNUによると、27日夜に空爆を受けたのはKNU第5旅団の支配地域にある7つの村で、3人が死亡した。
空爆を避け、約1万人の住民が避難を強いられ、このうち約3000人がタイに越境し、ミャンマー情勢は緊迫の度合いが増している。タイのプラユット首相兼国防相は29日、ミャンマーからの避難民の流入拡大に備えていると明かした。記者団に「避難民流入は好ましくないが、人権の観点から状況を注視している」と述べた。写真は3月28日、ミャンマー南東部カイン州で空爆から非難した少数民族カレン族の住民。参照記事

FireShot Webpage Screenshot #310 – ‘ミャンマー軍の空爆逃れ3000人カレン族の団体は声明を出し、ミャンマー軍による空爆を受けて住民3000人以上が隣国のタイに向けて避難を始めたと訴えている。ミャンマー東部の川を挟んだ国境付近では、非難する住民がタイ側へ小舟などで越境したが、タイ軍は負傷者以外をミャンマー側へ送り返している。デモの行き詰まりから、武装勢力に参加する市民も出始めていると言う。写真右、ミャンマー東部カイン州で空爆を受け、サルウィン川を越えタイのメホンソンMae Hong Son(メーホンソン)に避難した少数民族カレンら。

kokang2FireShot Webpage Screenshot #315 – ‘【解説】同国に多数存在する少数民族系武装勢力のうち、タアン民族解放軍(TNLA)、ミャンマー民族民主同盟軍(MNDAA)、アラカン軍(AA)の3勢力も30日、報復を警告する共同声明を発表。「もし(国軍が弾圧を)やめずに市民の殺害を続けるならば、われわれは抗議デモ参加者らと協力し反撃する」と表明した。国際人権連盟(FIDH)Screen-Shot-2018-05-04-at-2.25.01-PM-900×401は、もしこうした武装勢力が武器を取れば、事態は悪化し内戦に陥る恐れがあると懸念を示している。 参照記事 参照記事
ミャンマーの人権監視団体「政治囚支援協会(AAPP:Assistance Association for Political Prisoners )」は3月30日、同国で続く国軍の弾圧により死亡したデモTNLA-on-parade-e1494579713291参加者が510人に上ったと発表した。ただし実際の死者数は、これよりも大幅に多い可能性があるという。過去ブログ:2021年3月ミャンマー軍がデモ隊に向けロケット弾RPGを発射か?映像 2月ミャンマー国軍がクーデター 指導者、大統領拘束と経緯 2019年12月ミャンマー復興の日本の支援歓迎される 2011年10月「中国の勝手は許さない!」とミャンマー国民が中国に反発 2010年11月中国の影がちらつくミャンマー情勢とカレン族

FireShot Webpage Screenshot #313 – ‘解任されたミャンマー国連大使2021年4月2日:政情混乱が続くミャンマーで、紛争が激化するリスクが高まっている。民主派は国軍に対抗するため、国内の少数民族武装勢力に接近している。ミャンマーのチョー・モー・トゥン(Kyaw Moe Tun)国連大使:右 は4月1日、日本経済新聞のインタビューで、武器を持たない市民が犠牲になっていると指摘した。民主派が少数民族武装勢力とともに、将来的に国軍に代わる「連邦軍」の創設をめざす考えを明らかにした。だが国軍の兵力40万人に対し、最大勢力のワ州連合軍でも2万人にとどまる。内戦は主に山間部でのゲリラ戦で、少数民族武装勢力に国軍の本拠地を制圧する能力はない。

ミャンマー軍事政府は4月2日、国連の警告に答え、停戦を表明したと報道されたが、詳細は不明 英文記事
https _cdn.cnn.com_cnnnext_dam_assアウンサンスーチー(Aung San Suu Kyi)

国家顧問が率いる国民民主連盟(NLD)による文民政府を代表するミャンマーのチョー・モー・トゥン国連大使は2021年2月26日、国連でクーデターを非難し、ミャンマーの国営放送は翌27日、同国外務省がチョーモートゥン国連大使を解任したと報じた。この後国連で、ミャンマー政府を代表する国連大使が誰かをめぐる対立が起き、2人が正統な「大使」と主張する事態になっている。1人は国連総会でミャンマー国軍のクーデターに抗議し、国連大使を解任されたチョー・モー・トゥン氏。もう1人は、解任後に代理大使に任命されたティン・マウン・ナイン国連次席大使だ。 参照記事 参照記事 参照記事

2021年4月3日:軍は、デモ隊に協力して基地を攻撃した少数民族の武装勢力に対し、4月1日から1か月間の停戦を呼びかけていたが、1日、みずから停戦を無視して南東部のカレン州で空爆を行った。軍はさらに地上部隊も派遣して砲撃を行い、カレン族の武装勢力が、これに反撃を開始して戦闘になっているもよう。現地の人権団体によると治安部隊による発砲などでこれまでに550人が死亡した。参照記事』

中国、ASEANとミャンマー情勢協議

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM0141N0R00C21A4000000/

『中国がミャンマー情勢を巡り、東南アジア諸国連合(ASEAN)との連携強化に動いている。王毅(ワン・イー)国務委員兼外相は2日までの日程で、ASEAN4カ国の外相を招いて会談している。米国や欧州各国によるミャンマーへの干渉をけん制し、中国の影響力を確保する狙いだ。米国も取り込みに動いており、米中による引き抜き合戦の様相もみせる。

中国・福建省を訪問しているのは、シンガポール、インドネシア、マレーシア、フィリピン4カ国の外相。訪問に先立ち、中国外務省の華春瑩報道局長は3月30日の記者会見で「中国とASEAN関連国との関係を新たな高みに押し上げ、地域の平和と安定をよりよく維持したい」と話した。

王氏は31日にシンガポールのバラクリシュナン外相と会談。「ASEANが内政干渉しない原則を堅持し、ASEANのやり方でミャンマー情勢の安定を促進することを支持する」と伝えた。

今回訪問した4カ国は、ミャンマー国軍によるクーデターで米欧が制裁に動いていることを懸念している。制裁でミャンマーがさらに混乱すれば、ASEAN全体に影響が及びかねないためだ。

ASEANは自らが仲介する形での問題解決を目指しており、3月上旬にインドネシアが主導して非公式の外相会議を開いた。

ミャンマー国軍がデモの弾圧を強めたことで、米欧は制裁を強化したが、状況は悪化している。王氏の発言はASEANが解決を探る姿勢を容認するとともに、欧米をけん制した格好だ。

タイのドーン外相は3月30日、インドネシアのジョコ大統領が開催を提唱する首脳会議が4月に実現するとの見通しを示した。4カ国の外相にとっては首脳会議を前にミャンマーに影響力を持つ中国の支持を取り付ける狙いがあるとみられる。

中国にとっても、3月中旬の米中外交トップによる協議が物別れに終わり、米欧が対中制裁を発動した後にASEAN4カ国の外相を訪中させた意味は大きい。

中国と米欧の溝が広がる中で東南アへの影響力を誇示できるためだ。ASEANと連携して中国大陸からインド洋に陸路で抜けられる交通の要衝に位置するミャンマーの情勢を巡り主導権を握り続ける戦略だ。

バイデン米政権も手をこまねいていない。マレーシアのヒシャムディン外相は3月31日、自身のフェイスブックで、ブリンケン米国務長官から電話があったと明かした。ミャンマーと南シナ海の情勢を巡り意見を交換したという。

ロイター通信によると、米国務省のプライス報道官は31日に「中国はその影響力を利用して、ミャンマーでの軍事クーデターの責任者に責任を取らせるべきだ」と批判した。

(北京=羽田野主、ジャカルタ=地曳航也、シンガポール=中野貴司)

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国連安保理、ミャンマー国軍を「強く非難」

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN020CI0S1A400C2000000/

『【ニューヨーク=吉田圭織】国連の安全保障理事会は1日、前日に見送ったミャンマー情勢を巡る報道発表を出した。「(ミャンマー国軍による)平和的なデモ参加者に対する暴力行使や、女性と子供を含む数百人もの市民の殺害を強く非難する」と強調した。

「報道発表」は理事国15カ国の全会一致が必要だが、公式文書として出される報道声明より影響力は小さい。

安保理はデモ参加者による死者数が増加していることを受け、「急激に悪化している状況を深く懸念している」とし、国軍に対して最大限の抑制を求めた。国連のブルゲナー事務総長特使(ミャンマー担当)による東南アジア訪問も歓迎し、「特使の一刻も早いミャンマー訪問を願う」とした。

安保理は3月31日に非公開の緊急会合を開き、制裁の可能性や報道発表について協議した。安保理外交筋によると、中国がさらなる時間を要請したため発表が遅れた。

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