「法の支配」で公開討論 林外相主宰、中ロ反発―国連安保理

「法の支配」で公開討論 林外相主宰、中ロ反発―国連安保理
https://www.jiji.com/jc/article?k=2023011200812&g=int

『【ニューヨーク時事】国連安全保障理事会は12日、「法の支配」をテーマに公開討論を開いた。今月の議長国を務める日本の林芳正外相が主宰した。参加国から国連憲章などに基づく世界秩序の維持が重要だとの意見が相次ぐ一方、中国やロシアは「西側諸国が恣意(しい)的にルールを作っている」と反発した。

安保理改革へ問われる手腕 日本、年初から非常任理事国

 ロシアによるウクライナ侵攻は、国連加盟国間の分断深刻化を浮き彫りにした。中国も東・南シナ海で、力による一方的な現状変更の試みを続けている。
 林氏は演説で、法の支配が存在しなければ「世界は野蛮な力と威圧のジャングルになる」と警告。中ロを念頭に、国連決議や国際裁判所の判決などに従うことが肝要だと訴えた。

 その上で、国連に代わる組織はなく、安保理を含む国連機能の強化が必要だと強調。分断克服のためにも「法の支配という理念の下に結集しよう」と呼び掛けた。

 これに対し、ロシアのネベンジャ国連大使は「西側が作り出したルールに基づく秩序には同意できない」と主張。中国の張軍国連大使も「国際的なルール作りは、一部の国の特権ではない」と米欧をけん制した。 』

中国、対米関係再悪化を懸念 首脳会談の成果に冷や水

中国、対米関係再悪化を懸念 首脳会談の成果に冷や水
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM193CE0Z11C22A2000000/

『【北京=羽田野主】米議会が対中強硬姿勢を強めていることについて、中国の習近平(シー・ジンピン)指導部は一時的に緊張が緩んだ米中関係が再び悪化することを懸念している。2022年11月の習氏とバイデン米大統領との首脳会談の成果に冷や水を浴びせられかねないからだ。

習氏とバイデン氏は11月中旬、インドネシア・バリ島で約3時間にわたり対面会談した。中国側は首脳会談により米中関係は悪化に歯止めがかかったと評価してきた。

米中高官の往来も活発になり、12月には米国のクリテンブリンク国務次官補(東アジア・太平洋担当)らが訪中し、謝鋒外務次官と河北省で会談した。23年1月にはブリンケン米国務長官が訪中する予定だ。

習指導部はブリンケン氏の訪中が緊張緩和に向けた当面の山場とみてきただけに、米下院による特別委員会の設置には神経質になっているとみられる。中国共産党系メディアの環球時報は13日付の社説で「中米関係を本当によくしたいと思うのなら、米国は裏表のある行動をとることはできないはずだ」と主張した。

中国は共産党が立法、行政、司法のすべてを指導し、国会にあたる全国人民代表大会が習氏の意向と異なる決定をすることはありえない。米国の三権分立を頭では理解していても、腹の底では信じていないフシがある。

このため、米議会がバイデン大統領の方針と異なる行動を取ると「議会の裏では政権の意向が働いている」と疑いがちだ。実際、8月にペロシ米下院議長が台湾を訪問した際も、中国外務省の報道官は「米議会は連邦政府を構成する一部だ。米国の『一つの中国』政策を厳守せよ」とバイデン政権を批判していた。

【関連記事】米下院、中国特別委を年初設置 新委員長「共産党は敵」』

https://nkis.nikkei.com/pub_click/174/REchOH1XPgK5L9YtK2y_wM801vxiK7_p6WRes0I5dkAZ6l_xDpBRHOSnM35SMNUaffofXvRQopBqJZJ5oQIOh5eBOopUT0GhyEo4UdiMrRouSLeRV18y2KwZmplQBYdIt7MbRzgIQubZc-TFlSlUhEwRP1H1pI_Y6pkmpx0Iy3nSNbFXFAZE_hifwBRIgr4BWht6dFQuJZUqOBsEXBMYA_0pRv3nYfqEU4Zljupsk1tkXomI1pakHC1q8JxZEqBwAbIpyuOmi33hLGZzI09afo_1OHTJyUGce3UY7BlX5b6F5fc7nJC2sY5vh570hVLZHpT00Q5BHdKVoQ8_f-g0iRyvKx9glfhRxv4l_wD73xEqwHLDgSUAQPwXDrCNxEMgHaFK4_4STCwGElyWhfQDFx-t6GdcezJxyX-PLil6jLDhMwH9rpbtlGNQD4927WPk5kOFhNV7u-PVcSCRe5s4i2iDPlHxerci1tuVap8CmMfVlT1xnfaGwoumC6T3//113417/151711/https://www.nikkei.com/promotion/campaign/line_friend/?n_cid=DSPRM1DP01_2022linea

オランダ首相、奴隷制謝罪 「人道に対する罪」

オランダ首相、奴隷制謝罪 「人道に対する罪」
https://nordot.app/977689401321111552?c=302675738515047521

 ※ こりゃ、いよいよ「停戦間近」かもしれんな…。

『【ブリュッセル共同】オランダからの報道によると、同国のルッテ首相は19日、ハーグで演説し、オランダが過去に250年間にわたり奴隷制に関与したことについて「人道に対する罪」だと述べ、政府を代表して正式に謝罪した。

 ルッテ氏は、60万人以上のアフリカ人がオランダの奴隷商人によって主に植民地だった南米スリナムに「家畜のように」運ばれたと指摘。「醜く、恥ずべきものだ」と訴え「オランダ政府は奴隷にされた人々と子孫が受けた甚大な苦しみに責任を負う」と語った。

 奴隷制の問題に関する教育などのため2億ユーロ(約290億円)の基金を設立する予定だという。

© 一般社団法人共同通信社』

〔資本主義というものに対する理解〕(再掲)

〔資本主義というものに対する理解〕(再掲)
https://http476386114.com/2020/07/07/%e7%bf%92%e8%bf%91%e5%b9%b3%e3%81%af%e3%81%aa%e3%81%9c%e9%a6%99%e6%b8%af%e5%9b%bd%e5%ae%b6%e5%ae%89%e5%85%a8%e7%b6%ad%e6%8c%81%e6%b3%95%e3%82%92%e6%80%a5%e3%81%84%e3%81%a0%e3%81%ae%e3%81%8b%ef%bc%9f/ 

『「資本主義」ということが言われているので、オレの理解を語っておく…。

 「資本主義」とは、「資本自由主義」ということで、「生産手段」「利益を産出するもの」である「資本」の、自由な活動を「国家として」「法秩序」として「認める」ものだと、考える。平たく言えば、「自由に利益を獲得すること」を認める、「獲得した利益を、自分のものにする(私有する)こと」を、国家として、法秩序として認めるという制度だ、と考える。

 その前提として、人間の生存・生活にとって、「私有財産(自分のものである財産)」は、必要欠くべからざるものだ…、という認識がある…。

 そのさらに前提として、そういう「私有財産」は、「人間としての尊厳」には、必要欠くべからざるものだ…、という認識が横たわっている、と考える。

 しかし、現実社会においては、こういう「自由」を制度として肯定すると、「格差」が拡大してしまう…。「自由競争」の名の下に、「利益を獲得していく」能力に差異がある以上、それに長けている者とそうでない者の差異が生じてしまうからだ…。

 その「弊害」「問題点」を鋭く抉り出したのが、カール・マルクスの「資本論」なんだろう(全部を読んではいない)…。

 「人間としての尊厳」に資するものだったはずの制度が、結局は「人間としての尊厳」を破壊してしまうことになるという、大矛盾だ…。

 さりとて、この「私有財産」を否定して、「共産革命」なるものを起こして、資本家・大地主を打倒し、彼らからその「私有財産」を実力で奪取したところで、次の問題が生じる…。

その「財産」を、どう「管理」していくのか、「誰が」管理していくのか、という問題だ…。

「国有財産」「公有財産」「共有財産」と呼称を変えたところで、「どのように・誰が管理していくのか」という問題は、消えて無くなるわけじゃない…。

 「財産」というものが、「人間の生存」にとって必要不可欠であるということは、消えて無くならないし、数が限られている以上、それの争奪戦、あるいは、「その管理権」の争奪戦は、消えて無くなるものじゃない…。

 人は、永遠にそういうことを、争っていく存在なんだろう…。』

市民的及び政治的権利に関する国際規約(B規約)

市民的及び政治的権利に関する国際規約(B規約)
https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/kiyaku/2c_001.html

『この規約の締約国は、

 国際連合憲章において宣明された原則によれば、人類社会のすべての構成員の固有の尊厳及び平等のかつ奪い得ない権利を認めることが世界における自由、正義及び平和の基礎をなすものであることを考慮し、

 これらの権利が人間の固有の尊厳に由来することを認め、

 世界人権宣言によれば、自由な人間は市民的及び政治的自由並びに恐怖及び欠乏からの自由を享受するものであるとの理想は、すべての者がその経済的、社会的及び文化的権利とともに市民的及び政治的権利を享有することのできる条件が作り出される場合に初めて達成されることになることを認め、

 人権及び自由の普遍的な尊重及び遵守を助長すべき義務を国際連合憲章に基づき諸国が負っていることを考慮し、

 個人が、他人に対し及びその属する社会に対して義務を負うこと並びにこの規約において認められる権利の増進及び擁護のために努力する責任を有することを認識して、

 次のとおり協定する。 』

経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約(A規約)

経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約(A規約)
https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/kiyaku/2b_001.html

『この規約の締約国は、

 国際連合憲章において宣明された原則によれば、人類社会のすべての構成員の固有の尊厳及び平等のかつ奪い得ない権利を認めることが世界における自由、正義及び平和の基礎をなすものであることを考慮し、

 これらの権利が人間の固有の尊厳に由来することを認め、

 世界人権宣言によれば、自由な人間は恐怖及び欠乏からの自由を享受することであるとの理想は、すべての者がその市民的及び政治的権利とともに経済的、社会的及び文化的権利を享有することのできる条件が作り出される場合に初めて達成されることになることを認め、

 人権及び自由の普遍的な尊重及び遵守を助長すべき義務を国際連合憲章に基づき諸国が負っていることを考慮し、

 個人が、他人に対し及びその属する社会に対して義務を負うこと並びにこの規約において認められる権利の増進及び擁護のために努力する責任を有することを認識して、

 次のとおり協定する。 』

世界人権宣言(仮訳文)(※ 外務省HPより)

世界人権宣言(仮訳文)(※ 外務省HPより)
https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/udhr/1b_001.html

『 世界人権宣言(仮訳文)

前  文

 人類社会のすべての構成員の固有の尊厳と平等で譲ることのできない権利とを承認することは、世界における自由、正義及び平和の基礎であるので、

 人権の無視及び軽侮が、人類の良心を踏みにじった野蛮行為をもたらし、言論及び信仰の自由が受けられ、恐怖及び欠乏のない世界の到来が、一般の人々の最高の願望として宣言されたので、

 人間が専制と圧迫とに対する最後の手段として反逆に訴えることがないようにするためには、法の支配によって人権保護することが肝要であるので、

 諸国間の友好関係の発展を促進することが、肝要であるので、

 国際連合の諸国民は、国際連合憲章において、基本的人権、人間の尊厳及び価値並びに男女の同権についての信念を再確認し、かつ、一層大きな自由のうちで社会的進歩と生活水準の向上とを促進することを決意したので、

 加盟国は、国際連合と協力して、人権及び基本的自由の普遍的な尊重及び遵守の促進を達成することを誓約したので、

 これらの権利及び自由に対する共通の理解は、この誓約を完全にするためにもっとも重要であるので、

 よって、ここに、国際連合総会は、

 社会の各個人及び各機関が、この世界人権宣言を常に念頭に置きながら、加盟国自身の人民の間にも、また、加盟国の管轄下にある地域の人民の間にも、これらの権利と自由との尊重を指導及び教育によって促進すること並びにそれらの普遍的かつ効果的な承認と遵守とを国内的及び国際的な漸進的措置によって確保することに努力するように、すべての人民とすべての国とが達成すべき共通の基準として、この世界人権宣言を公布する。

第一条
 すべての人間は、生れながらにして自由であり、かつ、尊厳と権利とについて平等である。人間は、理性と良心とを授けられており、互いに同胞の精神をもって行動しなければならない。

第二条
1     すべて人は、人種、皮膚の色、性、言語、宗教、政治上その他の意見、国民的若しくは社会的出身、財産、門地その他の地位又はこれに類するいかなる事由による差別をも受けることなく、この宣言に掲げるすべての権利と自由とを享有することができる。
2     さらに、個人の属する国又は地域が独立国であると、信託統治地域であると、非自治地域であると、又は他のなんらかの主権制限の下にあるとを問わず、その国又は地域の政治上、管轄上又は国際上の地位に基づくいかなる差別もしてはならない。

第三条
 すべて人は、生命、自由及び身体の安全に対する権利を有する。

第四条
 何人も、奴隷にされ、又は苦役に服することはない。奴隷制度及び奴隷売買は、いかなる形においても禁止する。

第五条
 何人も、拷問又は残虐な、非人道的な若しくは屈辱的な取扱若しくは刑罰を受けることはない。

第六条
 すべて人は、いかなる場所においても、法の下において、人として認められる権利を有する。

第七条
 すべての人は、法の下において平等であり、また、いかなる差別もなしに法の平等な保護を受ける権利を有する。すべての人は、この宣言に違反するいかなる差別に対しても、また、そのような差別をそそのかすいかなる行為に対しても、平等な保護を受ける権利を有する。

第八条
 すべて人は、憲法又は法律によって与えられた基本的権利を侵害する行為に対し、権限を有する国内裁判所による効果的な救済を受ける権利を有する。

第九条
 何人も、ほしいままに逮捕、拘禁、又は追放されることはない。

第十条
 すべて人は、自己の権利及び義務並びに自己に対する刑事責任が決定されるに当っては、独立の公平な裁判所による公正な公開の審理を受けることについて完全に平等の権利を有する。

第十一条
1     犯罪の訴追を受けた者は、すべて、自己の弁護に必要なすべての保障を与えられた公開の裁判において法律に従って有罪の立証があるまでは、無罪と推定される権利を有する。
2     何人も、実行の時に国内法又は国際法により犯罪を構成しなかった作為又は不作為のために有罪とされることはない。また、犯罪が行われた時に適用される刑罰より重い刑罰を課せられない。

第十二条
 何人も、自己の私事、家族、家庭若しくは通信に対して、ほしいままに干渉され、又は名誉及び信用に対して攻撃を受けることはない。人はすべて、このような干渉又は攻撃に対して法の保護を受ける権利を有する。

第十三条
1     すべて人は、各国の境界内において自由に移転及び居住する権利を有する。
2     すべて人は、自国その他いずれの国をも立ち去り、及び自国に帰る権利を有する。』

世界人権宣言(法務省のHPより)

世界人権宣言(法務省のHPより)
https://www.moj.go.jp/JINKEN/jinken04_00172.html

 ※ と言うことで、「《人権デー》 12月10日 (世界人権宣言が採択された日)《人権週間》 12月4日~10日」の期間内に、「暴力で、デモを鎮圧」など実行しようものなら、世界中から「人権侵害国家」の「烙印」を、押されてしまうわけだ…。

『世界人権宣言とは

出典:UN Photo

世界人権宣言は,基本的人権尊重の原則を定めたものであり,初めて人権保障の目標や基準を国際的にうたった画期的なものです。

 20世紀には,世界を巻き込んだ大戦が二度も起こり,特に第二次世界大戦中においては,特定の人種の迫害,大量虐殺など,人権侵害,人権抑圧が横行しました。このような経験から,人権問題は国際社会全体にかかわる問題であり,人権の保障が世界平和の基礎であるという考え方が主流になってきました。

 そこで,昭和23年(1948年)12月10日,国連第3回総会(パリ)において,「すべての人民とすべての国とが達成すべき共通の基準」として,「世界人権宣言」が採択されました。

 世界人権宣言は,基本的人権尊重の原則を定めたものであり,それ自体が法的拘束力を持つものではありませんが,初めて人権の保障を国際的にうたった画期的なものです。

 この宣言は,すべての人々が持っている市民的,政治的,経済的,社会的,文化的分野にわたる多くの権利を内容とし,前文と30の条文からなっており,世界各国の憲法や法律に取り入れられるとともに,様々な国際会議の決議にも用いられ,世界各国に強い影響を及ぼしています。

 さらに,世界人権宣言で規定された権利に法的な拘束力を持たせるため,「経済的,社会的及び文化的権利に関する国際規約(A規約)」と「市民的及び政治的権利に関する国際規約(B規約)」の2つの国際人権規約が採択され,その後も個別の人権を保障するために様々な条約が採択されています。これらの条約が保障する権利の内容を理解し,広めていくことが一人一人の人権を守ることにつながるのです。
                                                                                ※外務省のホームページへリンクします。
◆世界人権宣言
◆主要な人権関係条約
・経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約(A規約)
・市民的及び政治的権利に関する国際規約(B規約)
・あらゆる形態の人種差別の撤廃に関する国際条約(人種差別撤廃条約)
・女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約(女子差別撤廃条約)
・拷問及び他の残虐な、非人道的な又は品位を傷つける取扱い又は刑罰に関する条約(拷問等禁止条約)
・児童の権利に関する条約(子どもの権利条約)
・強制失踪からのすべての者の保護に関する国際条約(強制失踪条約)
・障害者の権利に関する条約(障害者権利条約)
 
人権デー・人権週間

《人権デー》 12月10日 (世界人権宣言が採択された日)
《人権週間》 12月4日~10日

 国際連合は,昭和23年(1948年)12月10日に第3回総会で世界人権宣言が採択されたのを記念し,昭和25年(1950年)12月4日の第5回総会において,この12月10日を「人権デー(Human Rights Day)」と定め,加盟国などに人権思想の啓発のための行事を実施するように呼びかけています。

 我が国では,世界人権宣言が採択された翌年の昭和24年から毎年12月10日を最終日とする一週間を「人権週間」と定め,全国的に啓発活動を展開し,広く国民に人権尊重思想の普及高揚を呼びかけています。

人権週間の様子 人権週間の様子』

米最高裁、入学選考の人種考慮を審理 アジア系差別焦点

米最高裁、入学選考の人種考慮を審理 アジア系差別焦点
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN31D4B0R31C22A0000000/

 ※ この問題は、実は、「平等」と言う概念の、根源的な問題に関係しているので、ちょっと語っておく。

 ※ 「すべて国民は、法の下に平等であって、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。

② 華族その他の貴族の制度は、これを認めない。
③ 栄誉、勲章その他の栄典の授与は、いかなる特権も伴はない。栄典の授与は、現にこれを有し、又は将来これを受ける者の一代に限り、その効力を有する。』(日本国憲法第十四条)

 ※ 『すべて国民は、法の下に平等』であって、『差別されない』と規定されているわけだ。

 ※ この「大原則」に、異を唱える人は、いないだろう…。

 ※ しかし、直ちに「問題」は発生する。

 ※ 現実には、人は「平等(≒みんな、同じ)」じゃ無いからな…。

 ※ 持って生まれた「天賦の才」、「親の社会的な地位」、「親の財力」など、「厳然とした差異」が存在する…。

 ※ そういう「現実に存在する差異」と、「人は、みな平等に取り扱われるべきだ」という政治目標との間のギャップを、どう「調整」すべきなのか…。

 ※ その一つの「説明」が、「結果の平等」と「機会の平等」という考えだ。

 ※ 「結果の平等」(人々が、政策適用した結果、現実に平等となる)は、あくまで「理想」である。現実には、人々に行動する「機会」を平等に保障すれば、それでよしとする…、とか説明するわけだな。

 ※ 「機会」が平等に保障されているのに、「結果」がうまくいかなかったのは、「自己責任」です…、とか「突き放す」わけだな。

 ※ しかし、これをゴリゴリ推し進めると、いろいろ具合悪いことも、生じて来るんだよ。

 ※ その「うまく行かない」要因が、歴史的に長いこと、「差別的な、社会的な地位・立場」に置かれていたせいだとしたら、「自己責任」ですと突き放されてもなあ…、という問題だ。

 ※ そこで、そういう「社会的な地位・立場」の不均衡を是正するには、「機会の平等」の要請を後退させて、積極的にそういう立場の人を、優遇する(≒下駄を履かせる)ことも「許される」、いや、積極的に「そういう政策を、推進すべきだ!」という考えも生じてくる。

 ※ これが、「アファーマティブアクション(積極的差別是正措置)」というものだ。


 ※ しかし、これを推進し過ぎると、逆に、「機会の平等」を重視する立場からは、「逆差別だ!オレらの、平等権を侵害するのか!」という反発が出てくる…。

 ※ 極めて「政治的な話し」となるので、激しく争うわけだ…。

『【ワシントン=芦塚智子】米連邦最高裁は31日、大学が入学選考の際に人種を考慮することの是非を問う2件の訴訟について口頭弁論を開いた。多数派を占める保守派判事が制度の合法性に懐疑的な見方を示した。最高裁が過去の判断を覆して違憲判決を下せば、大学入学だけでなく奨学金や雇用などの選考に影響が広がる可能性も指摘される。最高裁は来年夏までに判断を下す。

訴訟は保守派団体「公平な入学選考を求める学生たち(SFFA)」がハーバード大とノースカロライナ大を相手取って起こした。ハーバード大については、選考がアジア系米国人を差別しているとして、人種差別を禁じた公民権法に反すると主張。ノースカロライナ大に関しては、人種を重視した選考過程が白人やアジア系を不利にし、公民権法や国民の平等な権利を保障する憲法修正第14条に反すると訴えている。

SFFAは、大学が学生の多様化のために入学選考過程で人種を考慮することを認めた最高裁の2003年の判決を覆すよう求めた。大学側は、人種は選考の1要素にすぎず、判決が覆れば黒人やヒスパニック(中南米系)の学生が大幅に減ると主張している。

人種を考慮した選考はアファーマティブアクション(積極的差別是正措置)と呼ばれ、白人より不利な立場にあるとされる黒人らに機会を保障するのが目的。入学選考については主に白人保守派が「逆差別」と批判してきたが、近年は教育に熱心なアジア系の間でも不満が高まっている。

口頭弁論では、判事9人のうち保守派6人から入学選考でのアファーマティブアクションの継続に懐疑的な発言が相次いだ。少数派のリベラル派3人は擁護の姿勢を示した。

ハーバード大によると、全米の大学の約40%が入学選考で人種を考慮している。米紙ワシントン・ポストの10月上旬の調査では、米成人の63%が大学入学選考での人種考慮を禁止すべきだと答えた。一方で64%が大学の学生の人種的多様化を促すプログラムを支持している。』

「普通の国」と戦後民主主義

「普通の国」と戦後民主主義
風見鶏
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA17AW00X11C22A0000000/

『「ウクライナはこんなひどい目に遭っているのに、なぜ日本は武器を支援しないんだ。普通の国(normal country)とはいえない。価値(value)の判断もできない国なのか」。欧州のある国の外交官は今春、日本の外務省幹部をこう非難した。

日本は防衛装備移転三原則や国内法の規定があり、殺傷能力がある武器は出せない。ヘルメットや防弾チョッキを送ったものの、海外からは「銃弾の雨を受け止めろ」と突き放したようにも映る。

外務省幹部は「価値判断という表現は『善悪すらわからない国』という意味に感じた」と振り返る。

苦い記憶がよみがえる。1990~91年にイラクがクウェートに侵攻した際、日本は総額130億ドルを拠出した。「カネで済ませる国」との評を受けた。すると93年、小沢一郎氏の著「日本改造計画」は普通の国への変革を訴えた。

「国際社会において当然とされていることを、当然のこととして自らの責任において行う」と訴えた。日本はそれから自衛隊の海外派遣や集団的自衛権の行使容認などを実現し、普通に近づいたはずだった。

冒頭の外交官は「ドイツですらやった」とも言及した。批判の根っこにはドイツとの比較があった。

90年の統一後、ドイツは北大西洋条約機構(NATO)内で軍事負担を期待され、海外派兵も始めた。普通の国も論点になった。一方で第2次大戦の敗戦国で周辺は軍備拡張を警戒する。日本と同様、平和主義で軽武装・経済重視の印象がある国だった。

今回、ドイツは多連装ロケットシステムや地対空ミサイル、りゅう弾砲の供与を決めた。ウクライナ侵攻直後には国防費の大幅増を表明し、世界を驚かせた。日米欧は「自由や民主主義、法の正義が大事」と国際舞台で唱えてきた。言行一致は当然、という感覚だ。
日本の岸田文雄首相らG7の首脳はウクライナのゼレンスキー大統領へ支援を表明してきた。(10月11日、オンラインでの協議。画面右はドイツのショルツ首相)=AP

遅ればせながら、日本はもうすぐ普通の国へかつてない一歩を踏み出す。年末の国家安全保障戦略などの改定だ。国内総生産(GDP)比でほぼ1%以内の防衛費は大幅に増やす。敵基地に反撃する能力を示し、防衛装備品の供与や輸出の基準も緩和を探る。

戦後日本の3つの自縄自縛を解く話だ。国民総生産(GNP)1%枠、専守防衛、武器輸出三原則といった昭和の用語は従来以上に「過去の遺物」になる。

世論も準備はできている。内閣府が3月に公表した世論調査では「国民全体と個人の利益のどちらが大切か」の質問に「国民全体」と回答した人は61%にのぼる。「国や社会か個人生活か」に「国や社会」と答えた人は58%だった。

調査は40~50年ほど前からしている。単純比較はできないものの、どちらも今回は過去最高値だった。かつて「戦後民主主義は個人主義」ともいわれたが地殻変動が起きている。

「国家は与えられるものではなく、われわれが作るもの」「主権者なら自分が国家の立場ならどうするかを絶えず考えなければ」。半世紀前、哲学者の田中美知太郎は説いた。

当時の「国や国家は論じることも悪だ」という戦後民主主義の空気に警鐘を鳴らす言葉だった。半世紀で空気は変わった。

報道各社の最近の世論調査では防衛費増額への賛成も多い。ウクライナ侵攻や中国・北朝鮮の脅威を踏まえ、主権者としての責任をもって考える人が増えているのかもしれない。

国家や防衛のあるべき姿、普通の国とは何か――。戦後史の節目になる議論は単なる賛成・反対では不十分だ。建設的な国家論を主権者は期待している。政治家は分かっているだろうか。(佐藤理)

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鈴木一人
東京大学 公共政策大学院 教授
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分析・考察

戦後民主主義は大戦中の反省から生まれたものではあるが、その時に前提とした問題、すなわち「権力やその権力の動力ベルトとなる国家は放っておけば悪となる」ということと、ゆえに「憲法による権力の制限と、その憲法を守ることを規範として定着させる」というプロジェクトが、ついに現実の世界の変化に直面し、変更を迫られるようになっている。国家や権力は悪なのか、それとも何らかの価値を実現するためのツールなのか。その価値とは何を指すのか。これまで考えずに済んできたことが改めて問われるようになっている。
2022年10月23日 23:13』

中国、国連の新疆報告書を批判「反中勢力の陰謀」

中国、国連の新疆報告書を批判「反中勢力の陰謀」
対抗措置には言及せず、党大会前に安定優先
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM0195P0R00C22A9000000/

『【北京=羽田野主】中国外務省の汪文斌副報道局長は1日、国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)が発表した新疆ウイグル自治区に関する報告書について「反中勢力の政治的陰謀に基づくずさんな報告だ」と批判した。「内容は完全に虚偽情報のごった混ぜだ」とも主張したが、対抗措置の可能性には言及しなかった。

汪氏は「国連人権高等弁務官事務所が米国と西側の手下に成り下がったことを改めて証明した」と強調した。

報告書では新疆ウイグル自治区の刑務所や拘禁施設などに収容されている全ての人々を解放するため、迅速な措置を取るよう求めている。汪氏は「米国などいくつかの西側勢力がたくらみでっち上げたものだ」と話し「中国は当然ながら完全に拒絶する」と続けた。

中国メディアは報告書の内容を詳しく伝えていない。汪氏も「報告書は国連(の見解)をまったく代表していない」と指摘し、批判の対象を国連人権高等弁務官事務所や米国に集中させた。国内で国連への反発が広がる事態を警戒しているとみられる。

汪氏は対抗措置の可能性にも触れなかった。中国では10月に共産党幹部の人事を決める5年に1度の党大会がある。習近平(シー・ジンピン)総書記の3期目入りが正式に決まるまで、対外関係を安定させておきたい思惑があるとみられる。』

中国新疆で「深刻な人権侵害」 国連が報告書

中国新疆で「深刻な人権侵害」 国連が報告書
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB011FI0R00C22A9000000/

『【パリ=時事】国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)は31日、中国新疆ウイグル自治区で「深刻な人権侵害」が行われていると指摘する報告書を公表した。報告書をめぐっては、中国政府が発表しないよう要求していたとされる。

OHCHRは報告書で「身柄拘束の劣悪な環境に加え、度重なる拷問や虐待の疑惑は信ぴょう性が高い」と指摘。ウイグル族らが置かれる状況は「国際犯罪、特に人道に対する罪に当たる可能性がある」と強調した。

一方、OHCHRは中国側の声明も同時に公表した。中国は今回の報告書について「発表に断固として反対する」と表明。人権状況の評価が「反中国勢力が捏造(ねつぞう)した偽情報などに基づいており、中国に非があることを前提にしている」と説明し、「中国の法律や政策を歪曲(わいきょく)し、誹謗(ひぼう)中傷している」と主張した。

欧米諸国は、中国が同自治区で少数民族ウイグル族らを収容所に送って洗脳したり、強制労働させたりしていると非難。日本でも、大手アパレル企業が自治区で生産された「新疆綿」の使用を中止する動きが広がっている。

バチェレ国連人権高等弁務官は5月に同自治区を視察したが、視察内容は全て非公開で、人権侵害の実態は全く明らかにされなかった。人権団体は、バチェレ氏が人権侵害を否定する中国に融和的な姿勢を取ったと批判していた。

バチェレ氏は任期満了に伴い、31日付で退任した。

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中国・新疆で「深刻な人権侵害あった」 国連人権高等弁務官が報告書公表

中国・新疆で「深刻な人権侵害あった」 国連人権高等弁務官が報告書公表
https://www.cnn.co.jp/world/35192610.html

『(CNN) バチェレ国連人権高等弁務官は8月31日、中国・新疆ウイグル自治区でのウイグル族や他のイスラム系少数民族の待遇に関する報告書を公開した。報告書の発表は以前から待望されていた。

報告書はこの地域で「深刻な人権侵害が行われてきた」と結論付けた。その原因として、中国政府のウイグル族や他のイスラム系少数民族の地域社会を対象とした「対テロ、対過激主義の戦略の適用」を挙げた。

報告書は「強制的な医療行為や収容の悪条件を含め、拷問や虐待のパターンに関する主張は信頼できる。性的及び性差に基づく暴力の個別事案の主張も同様だ」と記した。

中国は報告書の公開に反対してきた。中国の駐ジュネーブ国連代表団は、報告書が「偽の情報とうそ」に基づいたもので、中国の法と方針を「曲解している」と述べた。

代表団はさらに「ウイグル族を含むすべての民族集団は中国国民の等しい構成員だ。新疆は法令に従ってテロと過激主義と闘う措置を実行し、テロリストによる活動の頻繁な発生を効果的に抑えている」と主張した。』

『国連の専門家委員会は4年前、100万人以上のウイグル族と他のイスラム系少数民族が「再教育」と洗脳を目的に新疆の超法規的な収容所に入れられたとの信頼できる報告があるとして、注意を呼びかけていた。

中国は当初、収容所の存在を否定していたが、その後「過激主義」への対抗手段として「職業教育訓練センター」を立ち上げていたと説明した。中国は同地域での人権侵害やジェノサイド(集団殺害)、強制労働を訴える主張を「世紀のうそ」と呼んだ。

今年5月にはバチェレ氏が訪中し、中国政府から「職業教育訓練センター」のシステムは「解体された」と断言されたことを伝えていた。同氏の訪中は人権関連の国連高官の訪問としては17年ぶりで、訪中に対する厳しい批判も起きた。

この報告書が公表された31日はバチェレ氏の退任日だった。』

米インディアナで中絶制限州法 最高裁判断後で初めて

米インディアナで中絶制限州法 最高裁判断後で初めて
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB062M00W2A800C2000000/

『米中西部インディアナ州議会は5日、人工妊娠中絶を大幅に制限する州法案を可決した。共和党のホルコム州知事が署名して成立した。米メディアによると、米連邦最高裁判所が6月に中絶の禁止を認める判断を示して以降、新たに規制を強化した州法が成立するのは初めてという。

成立した州法は性的暴行によって妊娠した場合などを除き、中絶を厳しく制限する内容で、9月半ばに施行される。

保守派の判事が多数を占める連邦最高裁は6月、中絶を憲法上の権利と認めた1973年の判決を覆した。中絶の是非は米国内で論争の的になり、11月の中間選挙の争点のひとつに浮上しつつある。

中西部カンザス州で2日に実施した住民投票では、6割が中絶規制に反対した。バイデン大統領は、中絶を禁止または制限する州に住む女性が、他州で中絶手術を受けやすくするための大統領令に署名するなど、中絶の権利保護に向けた取り組みを急ぐ考えを示している。

中絶の是非をめぐる判断は各州に委ねられている。一部の州では最高裁が判断を下せば、自動的に発効する法律が事前に成立していたため、中絶を制限する州法がすでに発効している。全米50州の半数ほどが中絶の禁止・制限措置を講じる見込みとされ、インディアナ州と同様に、最高裁判断を受けて新たに規制強化に動く州が増える可能性がある。』

参院選後、静かな環境で発議を 自民・古屋圭司改憲実現本部長―与野党インタビュー

参院選後、静かな環境で発議を 自民・古屋圭司改憲実現本部長―与野党インタビュー
https://www.jiji.com/jc/article?k=2022050200493&g=pol

『―憲法改正の現状は。

 昨年の衆院選で、われわれは政権公約に改憲を目指すとはっきりうたい、信任を得た。今は憲法改正実現本部の中にタスクフォースをつくり、数多くの改正への正しい理解増進の集会開催を進めている。

 ―集会開催の反響は。

 やっぱりウクライナの問題がある。緊急事態に何をしなければいけないか。ウクライナは外出制限などをしているが、日本はできない。憲法上の規定がないからだ。自分たちの国を守るために努力しなければいけないことを、みんな皮膚感覚で分かりかけている。憲法は不磨の大典ではないことを理解してもらうことが必要だ。

 ―衆院憲法審査会で、緊急時のオンライン国会審議は現行の憲法上認められるとの報告書を決定した。

 かつて憲法審は全く動かなかったが、今は様子が変わった。報告書を採決で取りまとめた。これは大きな一歩だ。憲法審では国会議員の任期について、大規模な災害が発生した場合にどういう対応ができるかという議論もしている。公明党も、これは明文規定だから改正する以外にないと言っている。

 ―立憲民主党が主張するCM規制の議論に関しては。

 憲法審の議論に委ねたい。どうするかは憲法審の幹事会で決めてもらう。CM規制がなくては国民投票ができないということではない。

 ―自民党などが提出した改憲の国民投票法改正案の扱いは。

 これは既に改正された公職選挙法の項目を反映させたもので、中身的には何の問題もない。ただ、この国会で成立させるかどうかは参院の状況もあるので、よく見極めて対応していく。国会は与野党協議だ。われわれがこうしたいと言って、全部通用すればこんな楽なことはないが、それはできない。

 ―参院選に向けて改憲の必要性をどう訴えるか。

 全国で集会を開催しているので、改憲に関する意識は高まる。おのずから参院選のテーマの一つになってくることは間違いない。

 ―参院選後、衆院解散がなければしばらく国政選挙がない。改憲発議のタイミングは。
 全く個人的な考えだが、参院選で自民党が一定の評価を頂ければ、当面、常識的に考えて国政選挙はない。この間に発議するのが、静かな環境でできると思う。 』

緊急時こそ国会機能維持 公明・北側一雄憲法調査会長―与野党インタビュー

緊急時こそ国会機能維持 公明・北側一雄憲法調査会長―与野党インタビュー
https://www.jiji.com/jc/article?k=2022050200564&g=pol

『―現行憲法の評価は。

 日本国憲法は非常に優れている。国民主権、基本的人権の尊重、平和主義の三原則は時代が変わろうと堅持すべきだ。ただ、脱炭素や地球環境問題、急速なデジタル化など当初想定していないものもある。必要な改正はしなければならない。

 ―今後の党内議論は。

 党内では当面、環境問題とデジタル化、緊急事態で詰めた議論を行う。

 ―緊急事態の議論が国会の憲法審査会で活発だ。

 大いに評価していい。日本は災害が多く、新型コロナウイルス感染は3年目だ。ウクライナ情勢もあり、緊急時にどう国会機能を維持するか議論できている。最初の議論は「オンライン国会が憲法上可能か」だったが、これをまとめたのは非常に大きな成果だ。

 ―国会議員の任期延長は。

 多くの党派共通の問題意識だ。東日本大震災で首長や地方議員の任期を延長したように、長期間、国政選挙ができない場合、厳格な要件が必要だが、任期延長は認め、憲法改正するしかない。

 ―野党に異論もある。

 論点は二つだ。一つは参院の緊急集会。この大前提は「今、衆院議員はいないが、近い選挙で新しい衆院が構成される」ということだ。二院制が大原則なので、参院だけの議決でいいとはどこにも書いていない。法律も予算も首相指名も両院の議決だ。緊急集会はあくまで暫定的な措置だ。

 また、東日本大震災では、被災3県で選挙ができなかった。3県だけ繰り延べ投票の場合、被災選挙区選出の議員がおらず、比例投票も確定できない。

 ―議論の取りまとめ時期は。

 参院選後になると思うが、論点は出尽くしつつある。党として条項手前のものは作りたい。

 ―内閣の緊急政令の是非は。

 憲法に書いて済む話ではない。ウクライナでは、法律の成立状況など議会のホームページが毎日更新されている。ウクライナの議会が戦乱中も機能を果たしているのに、緊急時だから国会を吹っ飛ばして政令で決めていいという憲法規定には賛成できない。

国会は唯一の立法機関、国権の最高機関だ。緊急時こそ役割を果たさなければいけない。
 例えば、災害対策基本法はあらかじめ、緊急時に国民の権利や自由を政令で一定の制約ができる規定がある。個別法で詳細に規定を書くしかない。 』

改憲ありきでなく論憲 立民・奥野総一郎衆院憲法審幹事―与野党インタビュー

改憲ありきでなく論憲 立民・奥野総一郎衆院憲法審幹事―与野党インタビュー
https://www.jiji.com/jc/article?k=2022050200500&g=pol

『―立憲民主党は「論憲」を掲げている。

 とにかく憲法改正ありきが「改憲」だ。

論憲はきちんと理詰めで議論して、変える必要があれば変えていこうということだ。

憲法審査会で議論して、憲法を改正しなくてもオンライン審議ができるという結論を導き出した。まさに論憲の例で、変えなくて済むところは解釈あるいは法律で補っていく。

 ―自民党の改憲4項目((1)自衛隊明記(2)緊急事態条項創設(3)参院選の合区解消(4)教育の充実)に対するスタンスは。

 全く必要がない。自衛隊は合憲だし、今の9条の枠内でも十分国を守ることはできる。
9条のいいところは世界レベルでの戦争に巻き込まれないことだ。(自民案は)その良さを失わせる。

 災害対策基本法、新型インフルエンザ対策特別措置法、有事法制など法律レベルで制度ができている。議会を経ないで何でもできるようにするのはやり過ぎだし、世界的に見てもそういう例は少ない。

 合区については、(自民案では)1票の格差の問題が解消できない。(格差を)5倍でも6倍でもいいとするならば、参院の権限を衆院に比べて弱くしなければいけない。

 教育の無償化は、憲法に書く必要は全くない。

 ―新型コロナウイルス禍やウクライナ危機を踏まえ、緊急事態条項創設を急ぐべきだとの主張もある。

 何度も言っているように冷静な議論が必要で、憲法改正ありきではない。現行の制度でたいていのことは対応できる。

 ―立民は国民投票法のCM規制をめぐる議論を優先すべきだと主張している。

 外国政府の介入が現実に起こり得る。制度的になるべく起きないような仕組みをつくっておく必要がある。

 ―国民投票法の問題は避けて通れないか。

 国民投票法ができた当時はテレビCM中心だったが、今はネットが普及しSNS(インターネット交流サイト)の情報戦になっている。そういったところも視野に入れながら、どういう制度をつくっていくのか考えなければいけない。

 ―国会での憲法論議をどう見るか。

 どれだけ改憲に熱心かということをPRする場になってしまっている。改憲ありきで進めるのは反対だ。憲法の議論は腰を据えてじっくりやっていくのがいい。』

緊急事態条項、具体的議論を 維新・馬場伸幸共同代表―与野党インタビュー

緊急事態条項、具体的議論を 維新・馬場伸幸共同代表―与野党インタビュー
https://www.jiji.com/jc/article?k=2022050200505&g=pol

『―緊急事態条項創設の必要性は。

 不測の事態が起こったとき、国会議員の任期延長は憲法の中に規定を置かなければできない。全く国会が機能しないとなると、国民の安心、安全が確保できない。規定を置くことが必要だ。テロや内乱、戦争、大規模な災害、感染症の流行と、緊急事態とは何かということは、かなり絞り込まれてきている。そういう状況になったとき、人権の制約が大きな課題として出てくる。個人的には、緊急事態宣言下でも「こういうことはできない」というリストを作るべきだと思う。

 ―憲法9条改正については。

 われわれは自衛隊を憲法上位置付けるべきだという基本的な考えがある。どういう憲法改正をすればいいのか、党内で議論を行っていく。

 ―自民党も緊急事態条項の創設を掲げている。

 不測の事態が起これば国会議員の任期延長やむなしという部分は、もう議論が収れんされていると思う。最大で何日間延長できるのか、誰に決定権があるのか、誰が要請するのかという細部の議論をしていく段階に入っている。この部分は自民党も全く議論が進んでいないと思う。

 ―議論のスケジュール感は。

 具体的に各党が考え方を出していくことになっていると思うから、国会の憲法審査会で議論を行うよう提案していきたい。

 ―与党とまとめた国民投票法改正案をどうすべきか。

 公職選挙法の改正がなされているので、(それに合わせて)一刻も早く国民投票法も改正すべきだ。

 ―国会での憲法論議をどう見るか。

 お城で言えば外堀で泳いでいるというのが今の姿だ。早く本丸の中に入って議論していくことが肝心だ。

 ―夏の参院選と合わせた憲法改正国民投票の実施を主張している。

 松井一郎代表は「国民投票をいつやるか、時期的な目標を設定して議論しなければ前に進まない」というのが本音だ。

個人的な意見を言えば、参院選時に国民投票を行うとルール化すれば、改憲の議論も前に進む可能性が高まってくるのではないか。

国民主権をうたっている憲法が、一度も国民投票を経ていないことは非常に問題だ。国民投票を行うことは非常に重要なことだ。 』

憲法記念日、各党が談話

憲法記念日、各党が談話
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA287HY0Y2A420C2000000/

『日本国憲法は3日、1947年の施行から75年を迎えた。各党は3日付で談話などを発表した。

自民党 近年、わが国を取り巻く国際環境さらに社会構造や国民意識は大きく変化している。新型コロナウイルス感染症による危機はじめ国難とも言うべき厳しい状況に直面し、緊急事態に対する切迫感が急速に高まっている。

衆参の憲法審査会において喫緊のテーマについて議論を重ねている。国会での議論と国民の理解を車の両輪とし広く国民の議論を喚起していくことは、国会議員の責務だ。

立憲民主党 世界中の人々の平和と日常生活が危機にさらされている時こそ、安易に強権的な政治体制を求めるのではなく、国民の「自由」「権利」を守るべきだ。

立憲民主党は真に国民が必要とする憲法課題について論じるべく議論に参画している。特に手続き規定の整備なくして憲法改正はありえない。恣意的な衆院解散臨時国会の開会拒否などはさらに議論を進めるべきだ。

日本維新の会 遅滞なく改正議論を進めるべきだ。日本維新の会は教育無償化、統治機構(地方分権)改革、憲法裁判所の設置の3項目について改正条文を示している。緊急事態条項の創設や9条改正についてもとりまとめ作業を進めている。

公明党 憲法の価値をさらに高める政治に取り組んでいく。憲法9条1項、2項を維持し専守防衛を堅持する。国会を国家の危機下でも機能させることは極めて重要だ。時代の課題に向き合い、憲法論議に真摯に取り組む。

国民民主党 「国民主権」「基本的人権の尊重」「平和主義」を守り、次世代に継承する。一方で憲法の不断の議論と見直しは必要だ。緊急事態での国会議員任期延長の特例創設などに取り組む。

共産党 ウクライナ危機に乗じて改憲勢力が「9条で平和が守れるか」などと大合唱しているのは重大だ。9条生かした外交に力を尽くし、平和な東アジアをつくるのが政治の責任だ。

れいわ新選組 憲法を一言一句変えてはいけないという立場ではない。必要があれば議論すればよい。最も優先すべき政治課題は憲法改正ではない

社民党 今国会では衆院憲法審査会が毎週開かれる事態だ。7月の参院選で勝利し、改憲勢力3分の2以下に抑え、平和憲法を擁護し暮らしに生かす。

NHK党 テレビを持っているだけで見てもいないNHKと契約しなければならないことが合憲と判断されるならば、直ちに契約の自由明文化した条文へ改正すべきだ。

主張 憲法施行75年 今こそ9条の力を生かす時だ
https://www.jcp.or.jp/akahata/aik22/2022-05-03/2022050302_01_0.html 

『日本国憲法が1947年5月3日に施行されてから、75年を迎えました。アジア諸国民と日本国民に甚大な犠牲をもたらした侵略戦争への深い反省の上に憲法は制定されました。前文で「政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうにする」と決意し、9条で戦争放棄・戦力不保持を掲げています。ロシアのウクライナ侵略という暴挙によって第2次世界大戦後の国際秩序が大きく揺らぐ中、75年前に日本が世界に向かって発信した平和主義の原点に立ち返り、改憲を許さず憲法を守り生かす取り組みを強めることが一層重要になっています。

憲法学者の記した覚悟

 戦後日本を代表する憲法学者の一人、芦部信喜(あしべ・のぶよし)・東京大学名誉教授(1923~99年)が、憲法公布(46年11月3日)直後に執筆した論文「新憲法とわれらの覚悟」が昨年、見つかりました。同氏の出身地・長野県駒ケ根市内の農家の土蔵に保管されていたことを信濃毎日新聞(昨年7月16日付)が「『幻の原稿』発見」と報じ、雑誌『世界』が今年5月号に論文の全文を初めて掲載しました。

 「(国民の責務は)この憲法を生かすことを真剣に考えることである。そしてそれは我々の『主体的意識の覚醒』の一語につきる」「誠に平和日本の建設の成否したがって新憲法の成否は、一にかかって国民の資質にある」

 芦部氏は東大入学直後に学徒動員され、敗戦後は郷里で過ごし46年秋に復学しました。論文はその頃のもので、新憲法を国民が主体となって生かす努力が欠かせない点を繰り返し強調しています。

 意識にあったのは、戦前のドイツです。民主的で先進的とされたワイマール憲法がナチスによって破壊されたことを挙げ、「この歴史の悲劇を対岸の火災視することはできない」と警告しています。これらの記述は、現在の日本への重い問いかけになっています。

 憲法12条は「この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によつて、これを保持しなければならない」と明記しました。憲法施行以来、国民は自由・人権保障だけでなく、憲法の各条文を生かす「不断の努力」を重ねてきました。9条を守り生かす世論と運動は、日本が直接戦闘行為に参加することを許さず、自衛隊は一人の戦死者も出していません。

 ロシアのウクライナ侵略に乗じた9条改憲と大軍拡加速の動きは、国民が戦後築いてきた平和の努力に真っ向から逆らう企てです。「軍事力には軍事力」の発想は、歯止めのない軍拡競争への道です。国家間の争いを絶対に戦争にしない―これが9条を持つ国の責任であり、そのために知恵と力を尽くすのが政治の使命です。東アジアに平和をつくるため、9条を力にした積極的・能動的な外交への切り替えが必要です。

崇高な理想達成にむけて

 「全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する」。憲法前文の一節は、世界が大きな岐路にある今だからこそ心に刻みたい言葉です。二つの世界大戦の惨禍を経てつくられた国連憲章に基づく平和秩序を回復するために、日本は役割を果たさなくてはなりません。憲法前文のめざす「崇高な理想と目的」達成に向けて力を尽くす時です。』

憲法記念日アピール
https://sdp.or.jp/statement/constitution/

『2022年5月3日

社会民主党

党首 福島みずほ

 ロシア軍によるウクライナ侵攻が始まって2カ月余りが経過するなかで施行75周年となる憲法記念日を迎えました。ロシア軍の行為は、国際法を無視する暴挙であり、直ちにウクライナから撤退すべきです。

 一方、日本国内ではウクライナでの戦争に乗じて「専守防衛」をはるかに超える軍事大国への動きが平和憲法が存在するもとで起きています。

 自民党の安全保障調査会(会長=小野寺五典元防衛相)は4月21日、敵のミサイル拠点をたたく「敵基地攻撃能力」について名称を「反撃能力」と変えた上で保有するよう政府に求める提言案をまとめました。

いかに言葉を言い換えようと、本質は先制攻撃であり、断じて認められません。

安倍元首相らに至っては「核共有」を主張し、国是である「非核3原則」を否定しています。

また防衛費について提言案は「5年以内に…必要な予算水準の達成をめざす」としてGDPの2%以上を目標にするとしています。国民生活への影響は甚大ですが、眼中にありません。

 連日の報道からも戦争がどれだけ悲劇と損害をもたらすものか、誰の目にも明らかです。これ以上犠牲を拡大させないためにも一刻も早く戦争をやめさせる外交努力こそ求められています。ウクライナでの戦争の現実を見たとき、非武装・非戦の日本国憲法の先見性は明らかです。

 また新型コロナウイルスの感染は3年目に突入しました。「まん延防止等重点措置」は全面的に解除されたものの、新規感染者は高止まりの状況が続いています。

 医療崩壊が各地で発生し、助かる命が奪われるという悲惨な事態が相次ぎました。

しかし、政府は公立病院や保健所の統廃合をいまだにやめようとしません。さらにコロナ禍のもとで非正規労働者の多い女性労働者を中心に解雇が相次ぎ、生活に困窮し、餓死者も発生するという事態が〝先進国日本〟で発生しています。憲法が求める「国の社会的使命」が果たされていません。

 昨年秋の衆院選で改憲勢力が4分3を超えました。今通常国会では衆院憲法審査会が毎週開かれる事態となっています。

いま改めるべきは日米地位協定であり、政治が全力をあげなければならないのはコロナ禍への対処とウクライナ戦争の停戦を求める外交努力です。

 憲法施行から75周年にあたり、社民党は7月の参院選で立憲野党との協力を深めながら勝利し、改憲勢力の議席を3分の2以下に抑え、平和憲法の擁護と暮らしに活かす政治を実現することを決意します。』

 ※ この内容じゃ、取材すらされないのも「ごもっとも。」だ…。

 ※ それとも、あまりに国会議員の数が少なくて、「泡沫政党」と認識され、「パス」されたものか…。

 ※ 調べたら、共産党10人、社民党1人のようだな…。

私が考える憲法「危機時の自衛隊」「緊急事態条項」

私が考える憲法「危機時の自衛隊」「緊急事態条項」
私が考える憲法(上)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM189OO0Y2A410C2000000/

 ※ 「立憲主義」「人権尊重」もけっこうだが、「憲法(人権)出でて、国滅ぶ。」じゃ、本末転倒だろう…。

 ※ 「国家」の本体は、そこに生きて生活している個々の「国民」だ…。

 ※ この人たちの食いぶちを確保し、身の安全を図り、次代へとつないで行く…。

 ※ そういう「国民」が生き残っている限り、たとえ、一時的に「攻撃」されて、「犠牲」が出ても、またいつの日にか「復活」「復興」を遂げることができる…。

 ※ そういうことのためには、どういう「策」を打ったらいいのか…。どういう「制度設計」にしたらいいのか…。

 ※ そういうことを考えるのが、「国家戦略」だ…。

 ※ 憲法、自衛隊、緊急条項も、そういうものの「延長線上」にある…。

『「自衛隊、緊急時の行動に限界」 香田洋二氏(元自衛艦隊司令官)

――憲法に自衛隊を明記すべきだという議論があります。

「戦後の社会党は『自衛隊は憲法違反』と唱えていた。1994年に村山富市氏が首相に就き『自衛隊は憲法の認めるものだ』と答弁した。私は自衛隊勤務の半分以上の期間、野党第1党に『憲法違反』と言われる組織に属していたことになる」

「自衛隊は国家を守る任務のために武器の使用が認められている。命をやりとりする唯一の組織と言える。自衛官も人間であり、家族もいる。この存在が『憲法違反』と言われてきたのは健全ではない」

「今の日本は戦前の日本とは違い、シビリアンコントロール(文民統制)が徹底している。憲法に自衛隊を明記しても全く問題は生じない」

――災害支援などで自衛隊の役割は広く認められています。それでも憲法への明記が必要でしょうか。

「目に見えない障害はたくさんある。例えば安全保障関連の研究開発について大学はいまだに及び腰だ。防衛省との共同研究を認めなかったり、自衛官を修士課程に入学させなかったりする」

――ロシアのウクライナ侵攻で憲法改正の必要性は高まりましたか。

「ロシアは核を使ってウクライナを脅している。戦後の国際社会は米ロと英国、フランス、中国の5大国以外の核兵器保有を禁止し、5大国は立場を利用した他国の侵害はしないという前提があった。今回、ロシアは一方的にこれをぶち破った」

「現実を認めて憲法論議を始めないといけない。国際社会の平和という憲法の前提は明らかに崩れた。平和の理念は重要だが、現実もみなければいけない。現在の日本の状況は自国の理想ばかりみて国際協調の現実に目を配らず判断を誤った戦前の日本にも重なる」

――どのような事態に備えて憲法論議をすべきでしょうか。

「沖縄県・尖閣諸島に中国の漁船が接近して上陸した場合、日本は警察権で対応するだろう。ただ、警察や海上保安庁の任務は国を守ることではなく、軍事活動はできない」

「自衛隊は防衛出動が下令されるまで国境を守るための活動は認められない。9条の縛りが強く、政府は簡単には防衛出動を出せない。危機時に部隊の行動規定と首相の命令に基づいて活動措置をとれるようにしておかなければ、対応の遅れで国益を損ないかねない」
こうだ・ようじ 1972年防衛大卒、海上自衛隊へ。海上幕僚監部防衛部長、自衛艦隊司令官(海将)などを歴任。著書に「北朝鮮がアメリカと戦争する日」など。徳島県出身。

「緊急事態、9割の国で規定」 ケネス・盛・マッケルウェイン氏(東大教授)

――ウクライナ侵攻によって日本の憲法上の課題が浮かび上がりましたか。

「本当に戦争が起こるとは思っていなかった。衝撃的な状況だ。日本でも安全がいつまで保たれるのか誰も保証することができない。予期せぬことが起きた時にどう対処するかを考えた時、緊急事態条項を徹底的に議論する必要性が改めて明確になった」

「緊急事態条項とは戦争や内乱、災害などの有事に、政府に平時の枠組みを超える権限を一時的に与えることを規定するものだ。人権制限などの政府の権力を拡大する側面と、議会の任期延長など政治手続きを簡略化する2つの側面からなる」

――海外の憲法では緊急事態条項を盛り込むことが多いのでしょうか。

「世界の憲法の9割が緊急事態条項を規定している。そのうち民主主義国家の憲法では緊急事態を宣言できる状況として『戦争・外部攻撃』を規定しているのが74%と最も多い。次に多いのが『内乱』と『災害』でそれぞれ50%となっている」

「宣言の効果として8割近くの憲法が『人権の制限』を規定している。『議会任期延長・非解散』は52%。政府が法律と同等の緊急政令を制定できるとしているのは17%だ」

――日本が緊急事態条項を議論する場合、どんな点が重要ですか。

「日本は議院内閣制で行政府と立法府の境目が比較的薄く、他国に比べて緊急時の対応で政策手続き面が障害にはなりにくい。どのような権限を政府に与えるかが議論の中心となるべきだ」

「詳細について憲法に『法律に定める』と書く方法もあるが、法律は議会の過半数の賛成で変えることができてしまう。緊急事態条項はあくまで有事の例外的な適用になる。『いつ、誰が発動するか』など憲法に詳しく規定しておくべきだ」

――有事といえども人権を制限することには賛否があります。理解を得るにはどういった仕組みが必要ですか。

「緊急事態を宣言する際、本当に要件を満たしているかどうか精査する仕組みも欠かせない。与党が過半数を占めている場合、立法府が行政府をきちんとチェックできるかという課題が残る」

「司法に審査を委ねるという考え方もある。現時点では最高裁にそのような役割は想定されていない。緊急事態の審査に特化した『憲法裁判所』を設置するのも選択肢の一つだ」
けねす・もり・まっけるうぇいん スタンフォード大博士(政治学)。専門は比較政治制度。1789年以降にできた各国の憲法をデータに基づき分析。東京育ち、アイルランド国籍。

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