中国式「ゼロコロナ」のカラクリ

住民の強制隔離で感染者ゼロ?中国式「ゼロコロナ」のカラクリ
習近平のこだわり、「社会面清零」号令の恐ろしさ
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/68333

『中国陝西省の省都、西安市の新型コロナ感染状況がかなり深刻なようだ。2022年1月2日、3日と連続して90人以上の新規感染者が出ており、累計1700人程度となった。陽性者数の数字でいえば、欧米諸国の状況と比較して微々たるものだ。だが、恐ろしいのはウイルスではなく、「社会面清零」と呼ばれる「ゼロコロナ政策」だろう。

 1月1日に行われた西安市のコロナ感染防止コントロール指揮部のビデオ会議で、1月4日までに西安市の新規コロナ感染者をゼロに抑えるゼロコロナ政策目標が打ち出された。2日には陝西省の書記、劉国中が、社会面清零(ゼロコロナ)目標をできるだけ早く実現せよ、と通達していた。

 だが1月2日、陝西省で新たに92人の新型コロナ感染者が出ている。うち90人が西安市の住人だ。3日には西安市だけで95人の感染者が出た。西安市では12月23日に都市封鎖(ロックダウン)が始まり、8日ぶりに新規感染者が100人を切ったという意味では徐々に落ち着いてきているわけだが、それでも1月4日までに新規感染者をゼロにするなど、非科学的・非現実的な通達ではないか。
僻地の隔離施設に送られる住民たち

 だが、インターネット上に流れた西安市の「強制隔離」風景の動画を見たとき、多くの市民たちは気づくことになった。「ゼロコロナ」とはコロナウイルスを徹底排除せよ、ということではなく、コロナ感染者を社会から徹底排除し、「ゼロ」とすることだったのだ。実際、感染拡大の可能性のある「小区」(集合住宅の集まる住宅区、団地)の住民が、数万人単位で「社会」と隔絶された僻地の「収容施設」に収容されていた。』

『たとえばある小区で1人の疑似感染者が出たとする。すると、何台ものバスがその小区の前にやってきて、いきなり子供も大人も老人も病人も一緒くたにバスに詰め込まれ、小区の住人全員が漢中や安康など市の郊外の隔離施設に連行されるのである。事前告知などほとんどないため、生活に必要なものも準備できないまま、どこに連れていかれるかもわからぬままバスに乗せられる。そして、ここで2週間隔離生活しなさい、と案内された場所は、水栓がたった1つ、暖房もない不潔な部屋にパイプベッドが並べてあるだけ。今の西安の最低気温は零下5度前後だ。感染予防のための隔離といいながら、複数の人間が同じ狭い部屋に詰め込まれ、食事も人数分がない、という。

 米国の政府系メディア「ラジオ・フリー・アジア」も、西安市疾病コントロールセンターから得た情報としてこんな報道をしていた。孫春蘭副首相が、学校などで発生したクラスターのコントロール強化を現場に指示したことを受けて、西安当局は西安航空学院の数千人の学生を陝西省南部の僻地に隔離した。安康市陽県の疾病コントロール当局が7つのホテルを徴用して400人の学生を収用していることが確認されたという。ほかにもいくつかの隔離施設に分けて、西安市内の感染可能性のある人たちの隔離を行っている模様だ。

 今のところ、隔離施設には鉄条網も武装警官による厳重な見張りもなく、隔離された人が逃げ出そうと思えば徒歩でも逃げ出すことができている。一部の人たちはこの施設から逃げ出した。だが外に出てみればバスも地下鉄もない郊外だ。自宅に帰るには、徒歩しかない。道路沿いを、隔離施設から脱出した人たちがぞろぞろと歩いて帰ろうとする様子がネット動画に流れていた。だが、隔離施設から逃げ出す人が多くなれば、やがて鉄条網もできるだろうし、武装の警備もつくかもしれない。
数値目標の達成、帳尻合わせが最優先

 ここで問題の本質は、中国でコロナ対策としての「社会面清零」モデルの概念が固まったことだろう。在カナダ華人の人気YouTuber文昭が、こうした「社会面清零」措置の例の動画などを挙げて、こう解説していた。』

『「社会面清零の概念は、人と社会を分離して、強制収容キャンプモデルで管理するということだ」

 市内の居住区に住民がおらず、空っぽであれば、そもそも人がいないのだから、ゼロコロナが達成されたことになる。仮に隔離施設内で新規感染者が発生しても、それは新規感染者にカウントされない。なぜなら、彼らは社会から隔絶されたところにいるからだ。

 これは問題発言した女子テニスプレーヤーを失踪させたり、あってはならない事故を起こした高速鉄道車両を穴を掘って埋めてなかったことにするのと同じといえば同じだ。

 重要なのは、政策として打ち出された「社会面清零」が、“中央からの無茶な指示を受けた現場官僚たちが、何とか帳尻を合わせるために人民を欺くロジック”として確立したことだ。

「社会面清零」政策は根本的な防疫対策とはかけ離れており、実際のところ、感染可能リスクの高い集団を密集させて連行し、密集させて収容しているのだから、むしろ交差感染が起きやすく、感染爆発が起きやすい状況を人為的に作っている。コロナをゼロにする、という数値目標を達成するために、いかなる犠牲もいとわない。人民の健康や暮しを犠牲にしても、経済成長を犠牲にしても、社会の安定を犠牲にしても、とにかく目標数値達成に向かって邁進する。これに異論を唱える者は、反動分子であったり、階級の敵とみなされる・・・。共産党の歴史を振り返ると、この種の政策はそういう風に発展していっても不思議ではない。』

『習近平政権になって、こうした共産党の伝統的な「運動式政策」は増えている気がしていたが、この「社会面清零」政策がもつムードは、なかでも毛沢東の「大躍進」に匹敵する非合理さを感じる。
閉じ込められた人々が食料不足に

 西安市で起きているのは、単に感染者強制排除・隔離の問題だけではない。家庭に閉じ込められている人々が直面する食料不足は、社会モラルの崩壊につながりそうな危機感を醸している。西安市のロックダウン1週間を超えたあたりから、ネットでは食料不足を訴える声があふれはじめた。

 家に食料の保存、備蓄がなく飢えを感じ始めた人々が、食料を手に入れるためにルールを破って外出、警察や当局者に見つかって暴力的に取り押さえられたりする事件が起きている。食料の値段は法外に引き上げられ、ある市民の微博(Weibo)への投稿によれば、わずかな野菜、果物、数パックの牛乳を何とか買うことができたが全部で1120元(1万7000円)かかったという。これは西安市都市民の平均月収の4分の1以上に相当する値段だろう。

 ある市民はネット動画の中で、200元で購入できたものを広げていた。ピーマン10個40元、トマト6個40元、白菜2つ40元、葉もの野菜3つで40元、玉ねぎ1個40元、大根4本40元・・・。「野菜を売る奴らが国難に乗じて金儲けしている!」と強い恨みを訴えていた。西安では今、手に入る野菜のほとんどはだいたい通常の10倍以上の値段がついているとも。

 購入したくても購入できない場合も多く、一部の市民は隔離されたマンションの中で、食料備蓄のある住民に高価なたばこを差し出し、引き換えにわずかな食料をもらったり、アップルのスマートフォンと米を交換するなどしているという。「この3日間、一粒の米もたべていない」と嘆く若い女性の微信(WeChat)投稿に対し、「私は童貞だ。一度セックスの相手をしてくれるなら食料を分けてあげる」といった返信がついていたりしていた。』

『ある老女が食べ物を求めて外に出ようとしたところ、警官にとがめられて押し問答をしている様子のネット動画があった。警官は「午後には米や油や塩は配給があるので、外に出てはなりません」と言うが、老女は「今、家の中に何も食べるものがまったくないんです」と泣いて訴えていた。

 12月29日午後に、西安市新城区の小区(居住区)に、野菜や果物や肉類をいっぱいに積んだトラックが入ったという。小区には180戸あり、野菜や肉5キロが詰め込まれた180個の大きな袋を小区の住民がリレー式に運び込んでいる様子などが報じられていた。だが、のちにネットユーザーたちが、この小区の住所を検索すると、そこが陝西省人民代表と陝西省政府公務員家族の宿舎であることが判明。コロナ禍の中で官僚たちが特権をフルに活用していると非難が沸き起こり、騒然となった。
ウィズコロナへの転換は「敗北」

 中国はなぜ、ここまで徹底したゼロコロナを目指すのか。しかも1月4日までに実現という無茶な期限を設けたのか。

 理由は簡単だ。1つは春節(2月1日)の人民大移動(春運)に悪影響を与えないため。そしてもう1つは、2月4日から北京で始まる冬季五輪への影響を与えないため。先に期限が設定され、現状分析もせずに、その数値目標が上層部から投下された。現場の官僚たちは、何がなんでもその目標を達成せねばならない、というわけだ。

 2020年の春節前に武漢でコロナが発生していた当初、武漢市当局は春節移動に影響を与えるな、という中央の指示に従うためにコロナ情報を隠蔽した。それと同じ理屈だ。』

『なぜ「清零」にこだわるかというと、これは習近平のこだわりであるらしい。2021年7月ごろ、党中央でも「清零」(ゼロコロナ)から、欧米式のウィズコロナ政策に転換すべきだ、という識者の声があった。だが、表だってそう訴えた上海の感染症専門家の張文宏は、中国メディアおよび習近平のインターネット上の親衛隊「ネット紅衛兵」たちから大バッシングを受けて黙らされた。ゼロコロナは習近平自身が自ら指示した政策であり、欧米を真似て政策転換することは、中国がコロナ政策において敗北したと認めるに等しい。習近平としては絶対受け入れられない。

 2020年の武漢のロックダウンは習近平にとって成功体験だ。欧米で第2次大戦の犠牲者に匹敵する死者が出たのを横目に見ながら、いち早くコロナを封じ込め、経済を回復基調に導いたという自負があった。その政策を今更、欧米式のウィズコロナに転換できるわけがない。

 前出のYouTuber、文昭は「欧米社会はコロナ陽性者数という数字より、経済や人々の暮しを重要視して政策を決める。中国は人民にどれだけ犠牲を強いても目標数字を達成することをますます重視するようになっている。2022年1月はコロナ政策における欧米社会と中国の徹底的な分岐点を示した」と語っていた。

 感染者(の可能性がある者を含む)全員をどこか僻地に強制移住させ、社会から排除してゼロコロナだと拍手喝采するのも、貧困農村の村民全体を強制移住させて「脱貧困」達成だと胸を張るのも、ウイグル人から信仰と言葉を奪ってウイグル人も中華民族の一員だとうたうのも、香港の異見・異論者を全員駆逐して香港には愛国者しかいない、というのも、実はだいたい発想が同じである。中国共産党に不都合なものは、力づくで存在しないことにする。習近平が気に入らないものは見えないところに隠すやり方だ。

 だから、そんな見せかけの平和と安定の中で、北京冬季五輪という平和とスポーツの祭典を楽しめるのか、楽しんでいいのか、ということをやはり一人ひとりが考えてほしいところである。五輪自体がすでにぼったくり男爵たちの利権運動会に成り下がっている、と言われてしまったら、何をかいわんや、だが。』

キリンのミャンマー合弁暗雲 従来型のリスク管理に限界

キリンのミャンマー合弁暗雲 従来型のリスク管理に限界
編集委員 渋谷高弘
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGH083EO0Y1A201C2000000/

 ※ 仲裁とは、お互いが納得する「仲裁人」をあらかじめ定めておき、その「仲裁人」の「仲裁判断」には、「従う」ということを「約束(契約)」しておくという形の「紛争解決方法」だ…。

 ※ こういう風に、「国と国とをまたぐ、”渉外案件”」は、紛争解決が相当に困難となる…。

 ※ 「裁判」「判決」至上主義的な発想をする人も多いと思うが、こういう”渉外案件”の場合、どの国の法律が適用されるのか、どの国のどの裁判所が管轄権を持つのか…、という「出発点」自体が、「紛争」となる…。

 ※ いずれ、あらかじめの「契約」が拠り所となるが、「想定外」「取り決め(契約)外」のことが生じることが多々ある…。

 ※ ましてや、このキリンの問題のように、「経済的な利益」以外のことが、「問題となること」は、「想定して」いないだろう…。

 ※ 「経済活動」とは、「互いに経済的な利益を得ること」が話しの中心で、「国際社会における、正義を追求すること」は、本来の活動目的ではなかったハズだ…。

『キリンホールディングス(HD)がミャンマーにおける国軍系企業との合弁解消で苦闘している。国軍系企業に持ち分を手放してもらうようシンガポールで国際仲裁に打って出たが、前途は険しい。国軍系企業は現地の裁判で先行している。国際仲裁は従来の事業リスクの回避策としては有効だったが、「人権」「環境」といった新たなリスクに対応するため、企業は意識改革や事前調査を強める必要がある。

Nikkei Views
編集委員が日々のニュースを取り上げ、独自の切り口で分析します。

「キリンとしては合弁を解消した上で事業を継続したい」(磯崎功典社長)。キリンは6日、シンガポール国際仲裁センター(SIAC)に仲裁を申し立てた。仲裁をテコに、キリンHDが51%、国軍系企業のミャンマー・エコノミック・ホールディングス(MEHL)が49%出資する現地の合弁ビール会社「ミャンマー・ブルワリー」について、MEHLの持ち分の売却を迫る戦略のようだ。

ミャンマーでは2月に国軍によるクーデターが発生した。キリンはMEHLとの交渉で、別の現地企業などにMEHLの持ち分の売却を促す考えだった。しかしMEHLは非協力的で、11月にはキリンに無断で合弁会社の清算をミャンマーの裁判所に申し立てた。キリンは「合弁契約などに違反している」と反発し、国際仲裁に踏み切った。

会社清算の司法手続きが先行

とはいえ、キリンにとって情勢は厳しい。17日には、ミャンマーの裁判所で第2回目の手続きが進むなど、合弁会社を清算する案件が先んじる。対する国際仲裁の手続きは一般には1~2年以上かかるため、現地の司法手続きが先行する。仮にキリンに不利な結論が出た場合、キリンは「(日本とミャンマー両政府が結んだ)投資協定に基づく政府間交渉という場も使わせてもらう」(磯崎社長)とする。

数年後に国際仲裁でキリンに有利な判断が出ても、MEHLが従う公算が大きいとはいえない。ミャンマーは仲裁判断を尊重することを定めた国際条約に加盟している。ただ、同国の仲裁法は「ミャンマーの国益に反する場合は、承認・執行を拒否できる」と規定する。MEHLはこの規定を盾に、仲裁判断に従わない可能性がある。いずれにせよ、キリンにとって先行きは極めて不透明だ。

従来の国際ビジネスの感覚でいえば、キリンのリスク管理に不備があったわけではない。SIACに仲裁を申し立てられたことがそれを証明する。合弁事業では紛争となった場合に備え、解決手段を契約で合意しておくのが一般的だ。現地の裁判では不利になりかねないからで、仲裁地はロンドンやシンガポール、香港などが選ばれることが多い。

日本貿易振興機構(ジェトロ)などによると、2020年にSIACに申し立てられた仲裁は1000件を超え、世界シェアはトップ級。国際仲裁に詳しいシンガポール在住の弁護士は「SIACの利用が盛んなのは、中立的な判断が期待できるからだ」と話す。シンガポールで仲裁に持ち込めたことで、キリンは合弁契約で紛争への備えを怠っていたわけではないといえる。

スズキやドコモも国際仲裁を利用

これまで合弁事業や国際的な資本提携で生じた紛争は、想定した利益やシナジー(相乗効果)が出ないなど案件の成否に関わる案件が多かった。紛争の解決に、国際仲裁の提起が奏功したケースもある。よく知られるのが、11年から16年にかけてのスズキと独フォルクスワーゲン(VW)との資本提携解消問題だ。

スズキと独フォルクスワーゲン(VW)との資本提携解消問題では国際仲裁の提起が奏功した(浜松市、スズキ本社)

スズキは経営の独立を求め、筆頭株主だったVWの保有するスズキ株19.9%の買い取りを巡りロンドンで仲裁を申し立てた。株の売却を渋るVWとの争いは激烈だったが、15年8月に「VWに保有するスズキ株の売却を命じる」などとの仲裁判断を得て、スズキは約4600億円(当時の為替レート換算)で自社株を買い戻すことができた。

NTTドコモも、14年からインドの財閥タタ・グループと合弁解消を巡って対立。不振の現地合弁会社に対する26%の出資分の買い取りをタタ側に求め、15年にロンドンで仲裁を申し立てた。17年に約1450億円(同)の損害賠償金を受け取り、和解した。

従来事例と異なる2つの点

いずれのケースも決着まで3年以上の歳月と労力がかかったが、不調に陥った合弁や外資との資本提携の解決に、国際仲裁が一定の効果があることを示す事例だった。ところが今回のキリンのケースは、従来と大きく異なる点が少なくとも2つある。

まず合弁解消に踏み切る理由だ。キリンのミャンマーでのビール事業は利益が出ている。理由は、国軍の行動が「キリンの人権尊重の考えに反する」(磯崎社長)ため、国軍系企業との合弁を続けられないと判断したことにある。国際的な非政府組織(NGO)や機関投資家からも「人権侵害に加担する国軍系企業との合弁は許されない」との強い圧力がある。

2つ目は、紛争相手が仲裁を尊重する可能性が低く、有利な仲裁判断が得られても効果を見込みにくいことだ。ミャンマー国軍系企業のような相手には、万全な合弁契約を結ぶとか中立が期待できる仲裁機関に持ち込むといった、従来の契約リスク管理手法が通用しにくい。つまり合弁を結んでしまえば、事後にリスクを低減することが難しい。

2015年の総選挙で民主派が圧勝し、ミャンマーの高度成長を期待して日本企業の投資熱は一気に高まったが…(15年の総選挙の結果に喜ぶミャンマーの市民ら)=AP

「キリンはミャンマーでの合弁を検討し始めた段階で、提携先の人権デューデリジェンス(調査)をすべきだった」。人権とビジネスの問題に詳しい蔵元左近弁護士は指摘する。キリンの合弁は15年スタート。18年に合弁会社から国軍への資金流出が疑われると国際人権団体の批判を受けた。キリンは20年に国際的な調査会社を起用して調査を続けたものの、疑義は払拭できなかった。すでに時機を失していたといえる。

「世界の空気」への感度磨け

国連は11年に「ビジネスと人権に関する指導原則」を公表した。企業に対して、自社やサプライチェーン(供給網)で人権問題が発生していないかデューデリジェンスを実施し、問題を是正することを求めた。しかし日本では、中国の香港や新疆ウイグル自治区における人権問題が注目された20年ごろまで、同原則の知名度は低かった。

キリンなど日本企業のミャンマーへの投資熱は、11年の民政移管、15年の総選挙の民主派圧勝で一気に火が付いた。当時、ミャンマーの高度成長を期待する声が強かったとしても、人権問題をはらむ国軍系企業との合弁には慎重に臨むべきだった。蔵元弁護士は「日本企業も当時からNGOと対話していれば、世界の空気が分かったはず」と指摘する。

国際ビジネスを始める前に現地の許認可制度や税制、独禁法制などを調べるのは法務部門として当然のリスク管理だ。しかし現在は、そこに「ESG(環境・社会・企業統治)関連リスク」が加わった。キリンの苦境は他山の石だ。グローバル企業は、ESGリスクを常に意識するサステナビリティー(持続可能性)経営が必須となっていることを、トップや法務部門は肝に銘じる必要がある。

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白井さゆり
慶應義塾大学総合政策学部 教授
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ひとこと解説

欧米を中心にESG投資が拡大し世界で影響力を高めている中で国連のガイドラインなどをもとに企業は環境・人権などで明確な方針を掲げ自社や自社の取引先で問題がないか定期的に調査し是正する必要がある。

問題が発覚すればキリンのように訴訟に持ち込み解決を求めることは適切だが相手が政府となると対応が複雑になる。

世界では権威主義的な体制が増えており、新興国でビジネスを展開する日本企業はESG観点からの経営改善と情報開示を急ぐ必要があるが、同時に環境・社会的な観点で訴訟に持ち込まれる事例も増えていくと予想される。

経営者や取締役会は重要な企業リスクとして世界の動向を把握しリスク管理体制を強化しなければならない。

2021年12月20日 7:26 』

[FT]「民主主義を兵器化」と米国を非難する中国

[FT]「民主主義を兵器化」と米国を非難する中国
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB131IG0T11C21A2000000/

『中国政府は、バイデン米大統領が主催した民主主義サミットを狙った広報キャンペーンを打ち出した。共産主義国家である中国も、世界の偉大な民主主義国家の一つとして認められるに値すると主張している。

中国は米国主導で開かれた民主主義サミットを鋭く批判した=ロイター

バイデン氏が9~10日に開いたサミットに先駆けて、中国の習近平政権は数々の白書やセミナーを通じて同国の政治制度の長所を自賛し、自らの民主的モデルを世界の他の国に押し付けようとしていると米国を批判した。

中国外務省の汪文斌副報道局長は、「公然と民主主義サミットと呼ばれるものを開いて地政学的な利益のために分裂と対立をあおり、それによって民主主義を兵器化しようとしている」と米国を非難した。

中国政府にとってさらに屈辱的だったのは、バイデン氏が招いた参加者のリストに中国が領土の一部と主張している台湾の代表や、中国が圧力を掛けている香港の民主化運動の関係者らが並んでいたことだ。

米ワシントンにあるシンクタンク、スティムソン・センターの中国外交政策専門家であるユン・スン氏は「中国が憤慨しているのは、サミットが中国を孤立させ、中国共産党の正当性を損なうものだからだ」と解説する。「そこには香港や台湾(の代表が出席していたこと)そのものではなく、もっと根深い問題がある」という。

共産党支持者は、民主主義は結局のところ手段ではなく目的だと主張する。そして新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)封じ込めやインフラ建設といった中国の成功例を挙げる。

「中国の制度は機能しており、中国を取り巻く環境にも即している」。元中国外交官で現在は北京にあるシンクタンク、全球化智庫(CCG)に務めるビクター・ガオ氏はそう指摘する。「混乱や不安定を公共の敵とみなし、経済発展のための安定を維持することで中国は幸運にも今日の体制を作り上げることができた」

国外で通用しないロジック

さらに中国の支持者は欧米、特に米国の権力の抑制と均衡の制度に重点を置いた民主主義はあまり市民の期待に応えていないと考える。

香港の親中派議員である葉劉淑儀(レジーナ・イップ)氏は、昨年民主派の議員が一斉に辞任して、立法会(議会)は変わったと指摘する。以前は議員らは多くの政府法案を阻止するべく投票していた。

葉氏は「反対派は立法会を拒否権の行使機関に変えた」と話す。「あらゆる法案を拒否し、中国に関係するものすべてに反対した。中国の一部として、香港は自国政府に反対して政府事業を差し止める議会を持つことは許されない」と同氏は説明する。

こうした主張は中国国内では評価されるが、アナリストらは政治的・市民的自由を欠く中国は海外で自国を売り込みにくくなっていると指摘する。

スティムソン・センターのスン氏は「民主主義は統治のプロセスではなく結果で定義されるべきだという考え方を中国がもてあそんでいることに海外の人は納得しないだろう。それは内輪のロジックであって、外向きには通用しない」と話す。

シンガポールの元外交官、ビラハリ・カウシカン氏は「(民主化への)政治的進化に至る道筋は1つしかないという考えは、事実上間違っている」とし、中国政府支持者に同調する。

一方で、「それを何と呼ぼうが、中国のやり方はそんなに魅力的なものとは思わない」と話す。

同氏は、習氏が「党やイデオロギー的な規律に関する自身の考えを党にのませることで、党の能力が損なわれている」間でさえ、中国の経済と人々は大きな変化を遂げていたと指摘する。

「経済が変化して人々も変わるなら、政治制度も進化しなければならない。それは私が中国に関して抱く長年の疑問の一つだ」とカウシカン氏は語った。

By Tom Mitchell

(2021年12月10日付 英フィナンシャル・タイムズ電子版 https://www.ft.com/)

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「この貴重な銀の燭台を使って、正しい人間となるのです」

司教「この貴重な銀の燭台を使って、正しい人間となるのです」
https://www.eiga-square.jp/title/les_miserables/quotes/1

『妹の飢えた子どものためにパンを盗み、19年に渡り徒刑場に入れられていたジャン。仮釈放となったジャンだが、世間の風当たりは強く、食べるものにも困っていた。そんなジャンに、司教が食べ物と宿を提供してくれる。だが、ジャンは司教の厚意を裏切り、銀食器を盗んで逃げ出す。警察に捕まって司教の前に連れ出されたジャンを許した上に、司教はさらに銀の燭台も渡す。司教の温かい心に触れたジャンは改心する。』

『重要な部分に触れている場合があります。

司教「だが、忘れないように、兄弟よ。神の御心です。この貴重な銀の燭台を使って、正しい人間となるのです。殉教者たちの証言と、イエスの苦難と血によって、神はあなたを暗闇から連れ出してくれます。私は神のためにあなたの魂を救うのです」

Bishop: But remember this, my brother. See in this some higher plan. You must use this precious silver to become an honest man. By the witness of the martyrs, by the passion and the blood, God has raised you out of darkness. I have saved your soul for God. 』

ジャン・バルジャンの真の改心~ミュージカルでは語られないプチ・ジェルヴェ事件
https://shakuryukou.com/2021/06/12/dostoyevsky369/

民主主義

民主主義
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B0%91%E4%B8%BB%E4%B8%BB%E7%BE%A9

『民主主義(みんしゅしゅぎ、英: democracy、デモクラシー)または民主制(みんしゅせい)とは、人民が権力を握り、みずから行使する政治思想や政治体制のこと[2]。

古代ではアテナイの民主政が有名であり、近代では市民革命により一般化した政治の形態・原理・運動・思想で[3][4]、民主主義に基づく社会は「市民社会」、「ブルジョア社会」、「近代社会」などと呼ばれる[5][6][7]。対義語は神権政治、貴族政治、寡頭制、独裁制、専制政治、全体主義、権威主義など[8]。 』

『デモクラシー

「デモクラシー」(democracy)の語源は古代ギリシア語の δημοκρατία(dēmokratía、デーモクラティアー)で、「人民・民衆・大衆」などを意味する δῆμος(古代ギリシア語ラテン翻字: dêmos、デーモス)と、「権力・支配」などを意味する κράτος(古代ギリシア語ラテン翻字: kratos、クラトス)を組み合わせたもので、「人民権力」「民衆支配」、「国民主権」などの意味である [9]。

この用語は、同様に「優れた人」を意味する ἄριστος(古代ギリシア語ラテン翻字: aristos、アリストス)と κράτος を組み合わせた ἀριστοκρατία(古代ギリシア語ラテン翻字: aristokratía、アリストクラティア。優れた人による権力・支配。貴族制や寡頭制などと訳される)との対比で使用され、権力者や支配者が構成員の一部であるか全員であるかを対比した用語である。

古代ギリシアの衰退以降は、「デモクラシー」の語は衆愚政治の意味で使われるようになった。古代ローマでは「デモクラシー」の語は使用されず、王政を廃止し、元老院と市民集会が主権を持つ体制は「共和制」と呼ばれた。

近代の政治思想上で初めて明確にデモクラシー要求を行ったのは、清教徒革命でのレヴェラーズ(Levellers、平等派、水平派)であった[10]。

近代の啓蒙主義以降は、「デモクラシー主義」は自由主義思想の用語として使われるようになった(自由民主制主義)。更にフランス革命後は君主制・貴族制・神政政治などとの対比で、20世紀以降は全体主義との対比でも使用される事が増えた。なお政治学では、非民主制(の政体)の総称は「権威主義制(権威主義制政体)」と呼ばれる。

日本語で「デモクラシー」は通常、主に政体を指す場合は「民主政」、主に制度を指す場合は「民主制」、主に思想・理念・運動を指す場合は「民主主義」などと訳し分けられている。なお政治学では、特に思想・理念・運動を明確に指すために「デモクラティズム」(英: democratism、民主主義(思想))が使用される場合もある。

なお、現代ギリシャ語ではδημοκρατία(ディモクラティア)は「民主主義」を表すと同時に「共和国(共和制)」を表す語でもあり、国名の「~共和国」と言う場合にもδημοκρατίαが用いられる。 』

『主義

「主義」という漢語は、伝統的な中国語の語義によれば「主ノ義」すなわち君主の事であり書経や左伝に見られる用法である。これをdemocracyやrepublicに対置させる最初期のものはウィリアム・マーティン(丁韙良)万国公法(1863年または64年)であり、マーティンは a democratic republic を「民主之国」と訳した[11]。 しかしこの漢訳は、中国や日本でその後しばらく見られるようになる democracy と republic の概念に対する理解、あるいはその訳述に対する混乱の最初期の現れであった。

マーティンより以前、イギリスのロバート・モリソン(馬礼遜)の「華英字典」(1822年)は democracy を「既不可無人統率亦不可多人乱管」(合意することができず、人が多くカオスである)という文脈で紹介し、ヘンリー・メドハースト(麥都思)の「英華字典」(1847年)はやや踏み込み「衆人的国統、衆人的治理、多人乱管、少民弄権」(衆人の国制、衆人による統治理論、人が多く道理が乱れていることをさすことがあり、少数の愚かな者が高権を弄ぶさまをさすことがある)と解説する。

さらにドイツのロブシャイド(羅存徳)「英華字典」(1866年)は「民政、衆人管轄、百姓弄権」(民の政治、多くの人が道理を通そうとしたり批判したりする、多くの名のある者が高権を弄ぶ)と解説していた。

19世紀後半の漢語圏の理解はこの点で一つに定まっておらず、陳力衛によれば Democracy は「民(たみ)が主」という語義と「民衆の主(ぬし、すなわち民選大統領)」という語義が混在していたのである。

一方で日本では democracy および republic に対しては当初はシンプルで区別なく対処しており、1862年に堀達之助が作成した英和対訳袖珍辞書では democracy および republic いずれにも「共和政治」の邦訳を充てていた。これが万国公法の渡来とその強力な受容により「民主」なる語の併用と混用の時代を迎えることとなる。 』

 ※ 下記にあるとおり、歴史上さまざまな「勢力」が、自己の統治の「正統性」を主張するために、あるいは「学者」が真剣に「あるべき統治の姿」を導き出すために、「民主主義」を唱え、研究した…。

『民主主義の種類

民主主義の代表的な種類・分類には以下があるが、その分類や呼称は時代・立場・観点などにもよって異り、多くの議論が存在している。

直接民主主義
スイス・グラールス州の州民集会。2014年。
詳細は「直接民主主義」および「#ルソー」を参照

直接民主主義は、集団の構成員による意思が集団の意思決定に、より直接的に反映されるべきと考える。直接民主主義の究極の形態は、構成員が直接的に集合し議論して決定する形態であり、高い正統性が得られる反面、特に大規模な集団では物理的な制約や、構成員に高い知見や負担が必要となる。また議員など代表者を選出する形態でも有権者の選択が重視され、議員は信任されたのではなく有権者の意思を委任された存在であり、有権者の意思に反する場合はリコールや再選挙の対象となりうる。

古代アテナイや古代ローマでは民会が実施された。現代ではイニシアチブ(国民発案、住民発案など)、レファレンダム(国民投票、住民投票など)、リコール(罷免)が直接民主主義に基づく制度とされ、都市国家の伝統を受け継ぐスイスやアメリカ合衆国のタウンミーティングなどでは構成員の参加による自治が重視されている。

間接民主主義

2007年フランス大統領選挙で投票する女性
詳細は「間接民主主義」、「#代表制原理」、および「#代表制」を参照

間接民主主義(代表民主主義、代議制民主主義)は、主権者である集団の構成員が、自分の代表者(議員、大統領など)を選出し、実際の意思決定を任せる方法・制度である。主権者による意思決定は間接的となるが、知識や意識が高く政治的活動が可能な時間や費用に耐えられる人物を選出する事が可能となる。選挙制度にもより、議員の位置づけ(支持者や選挙区の代表か、全体の代表か)、選挙の正当性(投票価値の平等性、区割りなどの適正性、投票集計の検証性など)、代表者(達)による決定の正当性(主権者の意思(世論、民意)が反映されているか)などが常に議論となる。

自由民主主義

詳細は「自由民主主義」および「ブルジョワ民主主義」を参照

自由民主主義(自由主義的民主主義、立憲民主主義)は、自由主義による民主主義。人間は理性を持ち判断が可能であり、自由権や私的所有権や参政権などの基本的人権は自然権であるとして、立憲主義による権力の制限、権力分立による権力の区別分離と抑制均衡を重視する。古典的には、選出された議員は全員の代表であり、理性に従い議論と交渉を行い決定する自由を持つと考える。

宗教民主主義

宗教における民主主義。キリスト教民主主義、会衆制、仏教民主主義、イスラム民主主義など。

社会主義

社会主義における民主主義には、フェビアン協会等による社会民主主義の潮流、民主社会主義、マルクス・レーニン主義(いわゆる共産主義)によるプロレタリア民主主義、人民民主主義、新民主主義などがある。

ジェファーソン流民主主義

詳細は「ジェファーソン流民主主義」を参照

アメリカ合衆国大統領トーマス・ジェファーソン等による民主主義。共和制、自立を重視し、エリート主義に反対し、政党制と弱い連邦制(小さな政府)を主張した。

ジャクソン流民主主義

詳細は「ジャクソン流民主主義」を参照

アメリカ合衆国大統領アンドリュー・ジャクソン等による民主主義。選挙権を土地所有者から全白人男性に拡大し、猟官制や領土拡張を進めた。
草の根民主主義

詳細は「草の根民主主義」を参照

市民運動や住民運動など一般民衆による民主主義。ジェファーソン流民主主義を源泉とし、フランクリン・ルーズベルトが提唱した[13]。

戦う民主主義

詳細は「戦う民主主義」を参照

第二次世界大戦後のドイツ等、自由を否定する自由や権利までは認めない民主主義。 』

『歴史(※ 省略する)』

人の心はなぜ「壊れやすい」のか? 進化医学の観点から考える

人の心はなぜ「壊れやすい」のか? 進化医学の観点から考える
【橘玲の日々刻々】
(2021年12月2日)
https://diamond.jp/articles/-/289267

 ※ ただ、こういう説を「敷衍(ふえん)」していくと、「ヒトは、遺伝子に100%規定されている。」という結論に行きつき易い…。

 ※ そうすると、「人の自由意志」とは、あり得るのか?という、根本的な疑問につき当たる…。

 ※ 現行のいろいろな社会秩序を維持するための決まりや制度は、ある程度「人の自由意志」というものを前提としている…。

 ※ 例えば、「刑法上の犯罪」だ…。

 ※ 「殺人罪」「窃盗罪」なんかの「故意犯」は、「過失犯」よりも重く処罰されることになっている…。それは、「人を殺してはならない。」「他人の財物を奪ってはならない。」という「規範の問題」が与えられているのに、「あえて、それを破って、犯行に及んでいる。けしからん!」と「非難に値する」と考えるからだ…。

 ※ しかし、それが「生育環境」や、ひいては「遺伝」によって、100%左右されているのだ、と考える場合、そういう「犯行に及んだ人間」を、「非難すること」はできるのか?

 ※ そういう問題を、引き起こす可能性のある説なんだよ…。

『進化医学の大きな成果のひとつは、「ひとはなぜ老いるのか?」という疑問に、科学的に明快な答えを出したことだ。それは、「若いときにより多くの子どもをつくるため」になる。

 その前提にあるのは、リチャード・ドーキンスの「利己的な遺伝子」説だ。進化とは、より効率的に遺伝子を後世に残せる形質が自然選択されていく単純で強力な仕組みで、「利己的な遺伝子」にとっては、生き物はそのための乗り物(ヴィークル)に過ぎない。当然、ヒトというヴィークルも、わたしたちの幸福を実現するためではなく、遺伝子の都合によって「デザイン」されている。

 カブトムシやミバエの寿命の長さを交配によって変化させる数多くの研究では、若い時期に繁殖する個体を選択していくと、寿命が短くなっていく。逆に、寿命が長くなるように交配させると、とくに自然環境下では、顕著に子孫が少なくなる。』

『身体と心が病気に対して脆弱である理由を、ネシーは6つ挙げている。

1) ミスマッチ:わたしたちの身体や心が、現代的な環境に対応する準備ができてない。
2) 感染症:細菌やウイルスがわたしたちよりも速い速度で進化している。
3) 制約:自然選択には限界があり、欠陥(バグ)をただちに修正できるわけではない。
4) トレードオフ:身体と心の機能には利点(メリット)と難点(デメリット)がある。
5) 繁殖:自然選択は繁殖を最大化するのであり、健康を最大化するのではない。
6) 防御反応:痛みや不安などの反応は、脅威を前にした状況では有用だ。

 わたしたちの身体や心は、健康や寿命を最大化するようにできているのではなく、遺伝子の伝達(複製)を最大化するよう自然選択されている。すなわち、適応度を増すような機会があれば、たとえ健康と幸せを犠牲にしてでも非合理的な行動をとるように「設計」されている。これが身体的な病気と同様に、「心の病」を考えるときの前提になる。』

『自然選択の原理はきわめて明快で、「その種における平均的な個体は、子の数がもっとも多かった個体に似てくる」。これは単なる仮説ではなく、前提がすべて真であれば必然的に成立する演繹的結論で、自然選択がつくり出すのは、「繁殖まで生き残る子の数を最大化できるような脳」ということになる。』

『だとしたら問題は、「そのように“最適化”された脳が、なぜさまざまな不調を引き起こすのか」だろう。この疑問に対するもっとも単純な(そして身も蓋もない)答えは、「ネガティブな情動は有用だから」になる。「情動は私たちではなく私たちの遺伝子に有益なように形づくられている」のだ。

 2人の男がいて、1人はパートナーが他の男とつき合うことに激しい嫉妬を燃やし、妻(恋人)を支配しようとする「家父長制主義者」で、もう1人は「君の人生なんだから、好きにすればいいよ」という「リベラル」だとしよう。このとき、より多くの子どもを残すのがどちらだったかは考えるまでもないだろう。「利己的な遺伝子」は、政治イデオロギーではなく、「複製(コピー)の効率性」にしか興味も関心もないのだ。』

『“嫌な気分(bad feelings)”には、遺伝子にとっては役に立つ“よい理由(good reasons)”がある。それに輪をかけて(わたしたちにとって)やっかいなのは、自然選択が「煙探知機の原理」を採用したことだ。

 トーストをすこし焦がしただけで警報が鳴る探知機は煩わしいが、本物の火事でも警報を鳴らさない探知機より100倍もましだ。この単純な理由から、脳は致命的な事態を避けるために、わずかなことでも大音量で警報を鳴らすよう進化した。パートナーの些細な振る舞いに激怒するのは理不尽だが、他の男の子どもを育てさせられるという「最悪の事態」に比べれば、(「利己的な遺伝子」にとっては)どうでもいいことなのだ。

 ネシーはこれを、「人間の苦しみを生み出す防御反応のほとんどは、そのときだけに限ってみれば不必要だが、それでも完全に正常な反応なのである。このような防御反応はコストが低く、かつ起こり得る甚大な損害も防いでくれるからだ」と述べている。』

『だが「煙探知機」の感度が高すぎると、さまざまな不都合が生じる。不安障害のひとは、人込みを歩くなど、ごく当たり前のことに大きな不安を抱く。公式な診断基準に当てはまるほどの不安障害を一生のうちに体験する割合はおよそ30%で、「人前で発表するのが怖いという人の割合は50%近くにのぼり、その多くが助けを求めている」という。これは「陽気で楽天的」とされるアメリカ人のデータだから、日本人の不安障害はもっと多いにちがいない。

 パニック障害はストレス調整システムの不全で、視床下部から副腎皮質刺激ホルモン(CRH)が一度に大量に放出されると、パニックの症状とほぼ同じ生理学的覚醒が起きる。CRHは、脳の下部に位置する青斑核と呼ばれる部位の細胞を興奮させる。青斑核にはノルアドレナリン含有ニューロンのうち80%が集合しており、ここに電気刺激を加えると、典型的なパニック発作に似た症状が引き起こされる。

 たとえ誤報であったとしても、いちどパニックを経験すると、患者はさらに注意深くその兆候を探すようになり、興奮の度合いが上がり、探知システムの精度も上がっていく。この負のスパイラルによって、発作がさらに起きやすくなる。

 不安障害やパニック障害は「進化の適応」ではないが、なぜ不安やパニックになりやすいひとがいるのかは進化によって説明できるのだ。』

「強制労働者」は、「厚生年金」に加入していた…。

<W解説>「強制徴用」と「厚生年金」の矛盾=韓国の元勤労挺身隊員ハルモニの「死ぬ前に聞きたい一言」
https://www.wowkorea.jp/news/korea/2021/1208/10326301.html

 ※ 今日は、こんなところで…。

 ※ なんだかなあ…。

 ※ どーゆーこと?

 ※ しかも、「お城」の前で、「集合写真」なんか撮ってるし…(そして、「焼き増し」した写真、もらってるし。たぶん、全員に配布している)。「奴隷的強制労働に従事してた」んじゃ、ねーのか?

『韓国の市民団体「勤労挺身隊ハルモニ(おばあさん)と共にする市民の会」が日本共産党の衆議院議員・本村伸子氏の支援を受け「日本年金機構」を動かした。元勤労挺身隊員チョン・シニョンさん(91歳)の11か月間の厚生年金加入を認めさせたのだ。

市民団体としては一見、大きな成果を成し遂げたように見えるが、その解釈には色々な見方がある。

そもそも、韓国側は「日本は半島から強制徴用を実施した。被害者は未だに賃金をもらっていない。日本が謝罪と賠償をすべき」と要求する。

国家が非常時に国民に対して行う「徴用」はその歴史が長く、言葉の中に「強制」が含まれている。しかし、韓国では「強制」を強調するためなのか、「強制徴用」を好んで使う。最近は「強制徴用」の他、「強制動員」の言葉もよく使われている。

「強制動員」でも「強制徴用」でも良いが、「厚生年金」との矛盾は生じないのか。日本はヨーロッパから学び、1940年代から厚生年金制度を実施し、韓国の年金制度は日本から学んだものだ。「強制動員」されたとする労働者が「厚生年金」に加入していたことは、どうも違和感が残り、後味が悪い。

太平洋戦争中の日本は1944年9月まで、半島に対する徴用をためらい、朝鮮半島出身者の「徴用」が可能になったのは10か月間あまりだった。しかも、米軍の攻撃で釜山と下関との船便が途絶えたこともあり、実際、1945年の終戦まで日本への徴用が可能だった期間は6か月間あまりしかない。

91歳のチョンさんと一緒に名古屋の三菱工場で働いた94歳のヤン・グムドク(梁錦徳)さんは、勤労挺身隊員になった経緯を自伝「死ぬ前に聞きたい一言」に詳細に書いてある。

韓国南西部の全羅道ナジュ(羅州)出身のヤンさんは、小学校6年生の時の1944年5月、日本人の校長から「中学校に進学させてあげる」という言葉にだまされたと回顧している。韓国メディアはあまり言わないが、当時はヤンさんの17歳の時だ。

当時、「男尊女卑」の儒教的な慣習の上、貧しい家庭の娘は小学校の入学が遅れたり、途中休学をさせられたりしたので、17歳の小学6年生はあり得ることだ。少なくとも、その時のヤンさんは子どもではなかったとのこと。

ヤンさんは勉強と運動が優秀で学級長となった。日本に行って中学校に進学したい、貧しい環境でも未来を自分の力で切り開きたい前向きな少女だったようだ。

小学校で「日本行き」に手を挙げたが、家に帰ってそれを話したら父親は激怒した。ヤンさんは翌日「日本に行かない」と担任に話したが、「指名を受けてから行かないとなれば、両親が警察署に入れられる」と言われたという。ヤンさんはその言葉を聞いて怖くなり、「棚から父のハンコをこっそり取り出して担任教師に渡した」と回顧している。

こうしてヤンさんは勤労挺身隊の隊員として日本に渡った。同じ地域で合計288人の女性が「連れて行かれた」と表現されているが、少なくとも17歳の場合でも、保護者の判子は必要だったようだ。

ヤンさんは、三菱重工業の名古屋航空機製作所で働くようになった。名古屋城が背景になっている当時の「団体集合写真」を未だに持っている。強制動員された労働者に都合の悪い集合写真を渡した理由は分からない。

1944年12月7日、ヤンさんは工場で「東南海地震」に被災した。

「休み時間に10分先に入った故郷の先輩チェ・ジョンレと同期キム・ヒャンナムが崩れた壁の下敷きとなり、その場で死んだ」と自伝に記録されている。その地震で288人中、少女6人が亡くなった。崩れた壁の隙間に閉じ込められ命を救われたヤンさんは「その時、左肩を負傷し、今でも後遺症がある」と話している。

終戦から2か月後、1945年10月21日に故郷に戻るまで、ヤンさんは三菱重工業で「重労働をしても賃金を一切受けとれなかった」と話している。「『君たちの故郷の住所を知っているから間違いなく月給を送ってあげる』という日本人たちの言葉は全て嘘だった」とも話している。

しかし、その「日本人」の約束は20年後の1965年に果たされた。日韓国交正常化の時、日本政府は韓国政府に国家予算に匹敵する資金を提供し、ヤンさんのような韓国国籍になった「債権者」に金銭を支払おうとしたものの、韓国政府がそれをまとめて支払うと日本政府に約束していた。

11か月分の給料を貰っていないと、ヤンさんは1990年代に日本の裁判所に損害賠償請求訴訟を起こしたが、敗訴した。韓国で起こした裁判では勝訴した。そのため、韓国裁判所から三菱重工業に対してヤンさんら原告1人あたり慰謝料1億~1億5000万ウォン(約957万~1436万円)の支払いが命じられた状態だ。

この問題は日韓関係の大前提を覆す可能性があり、この10年間、韓国と日本の友好関係を願う日韓の人々を苦しめている。また、国家ぐるみで「強制動員」された労働者が福祉制度の「厚生年金」に加入していたなら、人類史に前例のない事である。

1945年、約束された給料が戦後の混乱で元勤労挺身隊ハルモ二の手に入らなかったなら、日本に非がある。しかし、20年後の1965年に、国交正常化と同時に約束を果たした日本から預かった金銭を、56年間も元勤労挺身隊ハルモ二に渡していない韓国政府は一体、何をしているのか?』

日本国憲法第10条

日本国憲法第10条
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E5%9B%BD%E6%86%B2%E6%B3%95%E7%AC%AC10%E6%9D%A1

『日本国憲法 第10条(にほんこくけんぽう だい10じょう)は、日本国憲法の第3章にある条文で、国民の要件について規定している。』

『条文

第十条
    日本国民たる要件は、法律でこれを定める。

解説

日本国民であること、すなわち日本国籍に関する要件をどう規定するかについては、日本国憲法は法律全て委任している。具体的には、本条を受けた国籍法により規定されている。

同法によれば、日本国籍を取得するのは、以下の場合である。

出生による取得
    出生時に両親の一方が日本国民である場合
    出生前に父が死亡した場合で、その死亡時に父が日本国民であった場合
    日本で生まれ、両親がともに不明あるいは無国籍の場合

認知による取得

帰化による取得
    帰化申請が提出され法務大臣の許可が下った場合

このほか、領土の変更に伴う国籍の変更について条約で定めることも認められる[1]。 』

「日本国は我々のもの」「帰れ」とブログ書き込み 在日女性が40代男性をヘイトと提訴

「日本国は我々のもの」「帰れ」とブログ書き込み 在日女性が40代男性をヘイトと提訴https://www.buzzfeed.com/jp/kotahatachi/kawasaki-hate22

 ※ 「言論の自由」と言っても、当然に「限界」はある…。

 ※ 「名誉棄損」や、「脅迫(害意の通知)」に該当しないように気をつけよう…。

 ※ 単に、「日本国は我々のもの」「帰れ」と言うくらいは、微妙だろうな…。

『訴えを起こしたのは、川崎に暮らす在日コリアン3世の崔江以子(チェ・カンイジャ)さん。弁護団によると投稿者は北関東在住の40代で、手紙を通じて自らの書き込みであることを認めた。』

『「愛する日本を取り戻す」とうたう匿名ブログやTwitterアカウントから繰り返しヘイトスピーチなどの被害を受けたとして、川崎市内の在日コリアンの女性が、投稿者の男性に対して損害賠償など計約300万円を求める裁判を11月18日に横浜地裁川崎支部に起こした。

(*この記事にはヘイトスピーチの文言が直接含まれます。閲覧にご注意ください)』

『訴えを起こしたのは、川崎に暮らす在日コリアン3世の崔江以子(チェ・カンイジャ)さん(48)。訴状によると、訴えの対象となったのはブログとTwitterに書き込まれたいくつかの言葉だ。

アーカイブサイトによると、男性は2016年6月、川崎で開かれたヘイトデモに抗議する崔さんを取り上げた記事を自身のブログで引用。「お前何様のつもりだ!」と名指しし、以下のように書き込んだ。

《日本国は我々日本人のものであり、お前らのものじゃない!『外国人(在日コリアン)が住みよい社会』なんて、まっぴらごめんだし、そんな社会は作らせない。思い上がるのもいい加減にしろ、日本国に仇なす敵国人め。さっさと祖国へ帰れ》

崔さん側は訴えで、「日本国に仇なす敵国人め。さっさと祖国へ帰れ」という言葉がヘイトスピーチ解消法が定める「地域社会から排除することを煽動する不当な差別的言動」にあたると指摘。人格権に対する違法な侵害行為であると主張している。

崔さんが法務局に人権侵犯被害を申し立てたことで、記事は同年10月に削除された。しかし、男性は「個人的に恨みがあります」として、その後もブログやTwitterで崔さんに対する書き込みを計70件続けたという。

それから2020年10月までに計5回、崔さんの行動を指して「差別の当たり屋」「被害者ビジネス」と記しており、崔さん側はこの言葉が事実ではなく、社会的評価を低下させる名誉毀損に当たると主張している。

崔さんの弁護団によると、ブログサイトへの発信者情報会請求を経て、提訴に至った。長期かつ複数回にわたって執拗に攻撃を受けたとして、記事削除の5年後に提訴に踏み切ったという。

男性はブログ上で「日本国が大好き」「反日マスコミ、反日外国人、売国奴と闘う」などと記載している。弁護団によると北関東在住の40代で、手紙を通じて自身の書き込みであることを認めた。精神的な不調を理由にあげたという。

「私にとって存在を否定する言葉」
Kota Hatachi / BuzzFeed 』

『崔さんはこのほかにも「極東のこだま」を名乗るTwitterの匿名アカウントに暴力を示唆する書き込みをされたり(川崎簡裁が罰金30万円の略式命令)、職場に脅迫状を送られる(脅迫罪で刑事告訴、現在捜査中)などしており、外出時には防刃ベストをつける生活を強いられている。

弁護団の師岡康子弁護士は同日開かれた会見で、これらの被害の根本に「ネットリンチ」が存在していることに触れ、「在日、しかも女性である崔さんが攻撃の的とされている。日常生活でも恐ろしい思いを続けており、家族にも影響が及んでおり、放置できない」と話した。

同じく弁護団の神原元弁護士は「日本では差別が不法行為であるということが必ずしもはっきりしていない。裁判を通じて社会的に確立させたい」と話した。包括的な差別禁止法の制定や、者が司法に頼らずとも申告できる制度、機関の必要性にも言及した。

一方、崔さんは会見で、「祖国へ帰れという言葉は、私にとって存在を否定する言葉です。この社会にいてはいけないんだと言われている言葉です」と語り、こうも訴えた。

「ネット上の差別、ヘイト書き込みと向き合うときは、本当に孤独です。人々の生活に欠かせないツールであるネット社会で、こうやって匿名に隠れて人を人とも思わない書き込みが野放しにされているということ、被害が生じていいるけれども、被害者がとる策がほとんどないということを、ぜひ知っていただきたい」

「一方で『帰れ』という言葉は、私だけではなく、路上のヘイト街宣などで子どもたちも向けられています。差別が違法であると司法の場で示されることによって、法律や条例の運用の大きな力となり、ヘイトスピーチが野放しにされない社会になってほしいと願っています」

いまだ、崔さんを匿名で攻撃している人は少なくない。現在、このほかにも発信者情報開示請求を並行して続けているという。』

WTA、「中国撤退も辞さず」 テニス選手の安否問題で

WTA、「中国撤退も辞さず」 テニス選手の安否問題で
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN19EF20Z11C21A1000000/

 ※ これは、ちょっと「幕引き」が難しくなってきた…。

 ※ 中国としては、「北京冬季五輪のボイコット」問題も絡んでくるんで、対応が難しいだろう…。

 ※ ただ単に、本人を登場させて、「私は、この通り無事です。」と言わせれば足りるという話しじゃ無いからな…。

 ※ 人権とビジネスが対立した場合には、「人権」を取る…、という「価値判断」に出られると、中国としては、打つ手が無くなる…。

『米CNNテレビの電子版は19日、中国共産党最高指導部メンバーだった張高麗元副首相と不倫関係にあったと告白した女子テニスの彭帥さんの安否が懸念されていることに関連し、女子ツアーを統括するWTAのスティーブ・サイモン最高経営責任者(CEO)が中国撤退も辞さないとの強い姿勢で適切な調査を求めたと報じた。

同CEOは「われわれはビジネスを引き揚げることも辞さない。なぜならこれはビジネスよりも大事なことだからだ」とし「女性は尊重される必要がある」と述べた。彭帥さんのものとするメールを中国国営メディアが公開したものの、内容の真偽を巡って疑問の声が上がっている。(共同)』

カナダ、正式に初の全国解放記念日を迎えます

カナダ、正式に初の全国解放記念日を迎えます
8月1日は現在、カナダ全土で解放記念日として認められ、1834年に大英帝国の奴隷制の終結を告げた。
https://www.aljazeera.com/news/2021/8/1/canada-marks-first-ever-nationwide-emancipation-day

 ※ 高々、200年前の話しだ…。

 ※ 日本だと「天保年間」で、次のようなでき事があった頃だ…。

「1833(天保4)年:天保の大飢饉が始まる(~36年)。
1833(天保4)年:安藤広重の「東海道五十三次」の浮世絵ができる。
1834(天保5)年:米価が上がったため各地で一揆や打ちこわしが起こる。
1834(天保5)年:水野忠邦が老中になる。
1837(天保8)年:大塩平八郎の乱が起こる。
1837(天保8)年:アメリカ船モリソン号が浦賀に来て砲撃される。」

 ※ しかし、世代で数えると(1世代=30年とする)、7世代または6世代経っている計算になる…。

 ※ それだけの世代を重ねても、「社会」の「深いところに」根を降ろしてしまっているんだろう…。

 ※ アフリカの場合は、それを「送り出した現地」の側にも、「他部族」を狩ったりしている歴史があったりするんで、余計に根は深い…。

『(※ 翻訳は、Google翻訳文)

黒人議員やコミュニティの支持者による長年の選挙運動の後、カナダは日曜日に正式に最初の全国的な解放の日に約200年前に奴隷制の廃止をマークしています。

カナダの国会議員は3月、カナダを含む旧英国植民地で奴隷制を禁止する行為が施行された1834年の同じ日の8月1日に、全国の解放の日を認める投票を行った。

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奴隷制度の賠償は全身人種差別を解体できるか?
ローマの奴隷制のために賠償金が支払われる時が
奴隷制度の終わりを告げた6月10日、全米で祝われました
写真で: ベナンは奴隷のモニュメントを復元します

ワンダ・トーマス・バーナード上院議員は、解放記念日の連邦政府の承認のための長年のプッシュの第一人者は、この日は「お祝いではない」ではなく、むしろ「反省の時、私たちの祖先を思い出す時間と私たちの祖先を称える時間」と言いました。

「解放記念日の国民的認識は、我々が次に行うことの始まりを示している」とトーマス・バーナードは日曜日に先に行われたオンラインイベントで述べ、黒人の歴史は一年中カナダ全土で教えられなければならず、謝罪と賠償について話し合う必要があると説明した。
「我々が集団的権力を行使すれば、解放の日と解放の日の認識は、私たちが非常にポジティブな方法で前進することを推進する必要があります」と、彼女が言いました。

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ジャスティン・トルドー首相は日曜日の声明の中で、「解放の日は社会活動、正義、そして公平な未来へのコミットメントの表しである」と述べた。

「今日、我々は、カナダのアフリカ系の人々が直面している反黒人人種差別、排外主義、人種差別、および関連する不寛容と戦うために自分自身を再コミットします」と、彼が言いました。

しかし、カナダにおける奴隷制度の歴史はほとんど知られておらず、6月に6月16日を練習の終わりを記念して国民の祝日となった米国の奴隷制度に対して、より多くの注意が払われ、より多くの教育が利用できる。

カナダでは、1833年に英国で奴隷廃止法が調印される前の200年間にわたって奴隷制度が行われました。この行為は1834年8月1日に施行された。

奴隷制度は後にカナダとなった初期の植民地で実践され、1人の歴史家は、1671年から1831年の間に4,200人がニューフランス(現代ケベック州)、その後カナダの上下と下層(ケベック州と近隣のオンタリオ州)で奴隷にされたと推定しました。

黒人と先住民の両方が現在のカナダの初期の植民地で奴隷にされました。

「イギリス植民地入植者がアッパーカナダを設立した後、奴隷化されたアフリカ人とその子孫の数は大幅に増加しました。「アフリカ系の3,000人の奴隷男性、女性、子供たちがイギリスの北米に持ち込まれ、最終的には奴隷の先住民を上回ると推定されています」と、カナダ政府はウェブサイトで述べています。

「多くの奴隷黒人は、18世紀後半に奴隷制を禁止していたバーモント州とニューヨーク州だけでなく、ミシガン州とオハイオ州を含むノースウエスト準州として知られる領土にアッパーカナダを逃れて奴隷制に抵抗しました。

カナダの自治体や州は、オンタリオ州、国内最大の州、歴史的な黒人コミュニティの本拠地であるノバスコシア州なども正式に解放の日を認めています。

日曜日には全国でいくつかのイベントが計画されています。

コミュニティの支持者はまた、当局が象徴的な認識を超えて、全身的な反黒人人種差別のようなカナダの奴隷制の長年の影響に対処することを推し進めています。

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「解放の日とブラックの苦しみを認識する他の連邦の休日の作成は、平等への重要なステップです – しかし、行動と正義と認識を組み合わせる真の意志を伴う場合にのみ」と、学者、公共作家、小説家のサラ・ラウリーは、CBCニュースの7月31日のコラムに書いています。

「本当の進歩を続けるためには、カナダ人と政府からの暗黙の了解以上のものが必要です」と、カナダユネスコ委員会も今週のブログ記事に書いています。

「私たちの歴史の中で恥ずかしい歴史的瞬間を観察することは一つのことです。その遺産に対処するために積極的な何かをすることは別です。

出典:アルジャジーラ 』

「人権か自由貿易か」米国の対中規制、企業の対応難しく

「人権か自由貿易か」米国の対中規制、企業の対応難しく
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCD11DGF0R10C21A6000000/

『米国が人権をキーワードに、対中国の規制を強めている。「ユニクロ」のシャツの差し止めで注目された輸入規制が拡大し、企業はサプライチェーンの見直し検討などの難題を抱える。ただ米国の動きは、自由貿易を前提とする国際ルールの例外だ。中国側も対抗措置を取り始めており、日本企業は米中双方の動きに目を配る必要がある。

米国、ウイグル関連で制裁拡大

米国務省など6省庁は13日、米政権がこれまで導入してきた新疆ウイグル自治区での人権侵害を理由とする対中制裁を列挙し、関連する法令の順守を企業に促す勧告を出した。2020年7月の勧告を更新し高リスク分野の範囲を広げた。

米国は20年12月にウイグル産綿製品の一部を、21年1月には全てを輸入禁止。日本企業も「ユニクロ」製品が輸入を差し止められた。5月には中国の水産大手を、6月下旬には太陽光パネルに使うポリシリコンを扱う企業を一部輸入制限の対象とした。

これらの水際規制は、正式には「違反商品保留命令」といい、1930年関税法307条を根拠にする。強制労働により外国で生産された商品の輸入を制限する条項だ。2016年に適用範囲を拡大した改正法が施行されたほか、21年4月には民主党議員が当局の陣容を拡大するための予算措置を提案した。

6月には米商務省がポリシリコン部材を手掛ける中国の5社・団体への輸出規制もかけるなど、バイデン政権は強制労働を根拠とした規制執行を強化し続ける。

人権保護は重要だが、自由貿易の原則を曲げてまで、米国が規制を打ち出せる根拠はどこにあるのだろうか。

国際ルールの「例外」

関税貿易一般協定(GATT)11条1項は、輸出入の制限を原則禁じている。だが、例外が設けられており、上智大学の川瀬剛志教授は「強制労働による産品については、同20条の『公徳の保護のために必要な措置』と『刑務所労働の産品に関する措置』による例外規定が適用される可能性が高い」と説明する。「公徳」には人権が含まれる。「刑務所労働」は、犯罪を理由にしたものでなくても、自由を奪われた施設において労働が行われるのであれば該当するという。

とはいえ、例外として認められるには、米国に保護主義的な意図や中国を狙い撃ちする意図がないかという点をクリアする必要がある。ウイグル関連製品の禁輸措置については、「同様の強制労働や民族浄化が行われている他の国の製品についての対応が甘いとすれば、恣意的・不当な差別とみなされる可能性がある」(同教授)。

中国政府は現時点では、ウイグル関連の輸入規制について世界貿易機関(WTO)のパネルで争う姿勢は見せていない。だが仮に争われたら「WTOでは例外を認めるのは稀。輸入禁止措置が本当に人権保護という効果を生んでいるのかという点を厳しく精査するだろう」(経団連の森田清隆・統括主幹)という。

日本貿易振興機構(ジェトロ)ニューヨーク事務所の藪恭兵氏は「輸入を差し止められた企業側も個別に、米政府に不服を申し立てることは可能」と指摘する。強制労働で生産されたとされるステビアの粉末を輸入していた米国企業が罰金を命じられた件では、同社は当局と交渉し大幅減額にこぎつけた。

中国も対抗

米中の規制合戦は当初、国家安全保障を自由貿易原則への免責に使っていた。米国は「人権」は「安保」よりもさらに中国をたたきやすい道具とみているのかもしれないが、中国も変化球で対抗している。

6月に中国で施行された「反外国制裁法」は、中国企業に対する外国の差別的措置に協力することを禁止。「違反した場合は、外国企業であっても損害賠償請求の対象になるリスクがある」(石本茂彦弁護士)。

宇賀神崇弁護士は「日本企業は『踏み絵』を迫られている」と指摘する。米中の溝が深まり続ける以上、どちらかの国の規制に牴触する事態は生じうる。企業はいざとなったら平場で自らの行為の正当性を主張し、規制の矛盾を争うぐらいの心構え、準備が必要だ。また、国際的な政治問題に発展している以上、政府も企業単位では収集しきれない情報を提供するなどして日本企業を後方支援すべきだろう。

(編集委員 瀬川奈都子)』

菅・バイデン共同会見、3つの疑問点

https://wedge.ismedia.jp/articles/-/22785

『今回のテーマは、「菅・バイデン共同会見、3つの疑問点」です。菅義偉首相は4月16日、ジョー・バイデン米大統領とホワイトハウスでの会談を終了した後、共同会見に臨みました。

 そこで、菅首相は中国、台湾、イノベーション、コロナ対策、気候変動並びにアジア系住民への差別問題などで「一致した」と繰り返しました。合計11回も「一致した」と強調したのです。

 一方、バイデン氏は共同会見で中国の挑戦に対して日米が連携して対抗する重要性について言及しましたが、今夏の東京オリンピック・パラリンピック競技大会及び、日本の中国に対する人権侵害制裁の立場に関して明言を避けています。

 そこで本稿では、共同会見での菅・バイデン両氏のパフォーマンスと内容に関する3つの疑問点を挙げます。

(AP/AFLO)

【疑問点その1】

 なぜバイデン大統領は共同会見でこの夏の東京オリンピック・パラリンピック競技大会の支持を表明しなかったのか?

 共同会見で菅首相は、「今年の夏、世界の団結の象徴として東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催を実現する決意であることをお伝えしました」と語り、「バイデン大統領からこの決意に対する支持を改めて頂きました」と述べました。共同声明には確かに「バイデン大統領はこの夏の安全・安心な東京オリンピック・パラリンピック競技大会を開催するための菅首相の努力を支持する」と明記されました。

 東京オリンピック・パラリンピック競技大会は、今回の訪米で菅首相が重視していた議題のひとつであったことは間違いありません。というのは、帰国後菅氏はバイデン大統領から再度支持を得たと主張できるからです。バイデン氏は菅氏に「お土産」を持たせたと解釈できます。

 ただし、バイデン大統領は共同会見で東京オリンピック・パラリンピック競技大会への強い支持を表明しませんでした。

 共同会見の前日15日に行われた政府高官とメディアとの電話会議で、同高官はバイデン大統領が東京オリンピック・パラリンピック競技大会を巡る菅首相の置かれた政治状況に対して非常に神経質になっていることを明かしました。その上で、「大会開催まで数カ月あるので状況を見守ろう」と述べました。バイデン氏は東京オリンピック・パラリンピック競技大会に関する自身の発言が、菅政権の存続に影響を及ぼす可能性があると捉えており、軽々な発言をしないように控えているのです。

 20年米大統領選挙を振り返ってみると、バイデン大統領はドナルド・トランプ前大統領とは異なり、支持者の参加人数を制限した小規模集会を開いて、マスク着用及びソーシャルディスタンスを義務づけていました。さらに新型コロナウイルス感染が拡大すると、ドライブイン形式の集会を開催し、参加者は拍手喝さいの代わりに、車内からクラクションを鳴らして支持表明をしました。選挙期間中、バイデン氏は「コロナ対応型選挙」に徹し、それが有権者から支持を受けました。

 となると、菅氏との会談でバイデン大統領は東京オリンピック・パラリンピック競技大会に関して、かなり高いレベルの安全性の確保ができているのかを確認したとみて間違いありません。共同会見で支持を明言しなかった理由は、バイデン氏は100%確信をもっていないからです。

次ページ » バイデン大統領は菅首相の招待を受け入れたのか?』

『バイデン大統領は菅首相の招待を受け入れたのか?

【疑問点その2】 

 バイデン大統領は菅首相の招待を受け入れたのか?

 菅首相は3月26日の参議院予算委員会で、バイデン大統領を東京オリンピック・パラリンピック競技大会に招待する考えを示しました。この件に関しても、バイデン氏は共同会見で態度を明らかにしませんでした。

 外国人記者が共同会見で菅首相に対して、「公衆衛生の専門家が日本は準備ができていないと指摘しているのに、オリンピックを進めるのは無責任ではありませんか」という厳しい質問をしました。それに対して菅氏は回答をしなかったのです。ホワイトハウスでの共同会見に不慣れな菅氏は、外国人記者はバイデン氏のみに質問をぶつけてくると思い込んでいたフシがあります。

 この場面は今回の共同会見のポイントです。菅首相は明らかに東京オリンピック・パラリンピック競技大会に対する疑問を払拭する機会を逃しました。

 実は、東京オリンピック・パラリンピック競技大会に関する質問はホワイトハウスでの定例記者会見でも出ています。ある担当記者がジェン・サキ報道官にコロナ禍での東京オリンピック・パラリンピック競技大会へのバイデン氏招待について、「菅首相は大胆な発言(a big statement)をしたと思いませんか」と質問をしました。

 この「大胆な発言」には、「よくもそのような発言をしたものだ」という否定的な意味が含まれています。つまり、コロナ禍でのバイデン招待は、「困難」ないし「失礼」と言いたのです。

 バイデン氏の率直にもの言うパーソナリティを考えると、本当に東京オリンピック・パラリンピック競技大会を支持しているならば、共同会見で「強く支持する」「ヨシからの招待を受ける」と断言したはずです。共同声明の東京オリンピック・パラリンピック競技大会支持は、バイデン政権の対中国戦略においてこれから矢面に立つ菅首相に対する特別な配慮としか思えません。

次ページ » 中国の人権問題 』

『中国の人権問題

【疑問点その3】
 バイデン大統領は日本の中国に対する人権侵害制裁の立場を今後も理解するのか?

 政府高官はメディアとの電話会談で、中国に対して人権侵害制裁を課さない日本に一定の理解を示しました。その理由として日中両国の経済関係の緊密さを挙げました。中国に対する人権侵害制裁に関して、日本に欧米と一緒に制裁を課すように無理に押し付けないというシグナルを発信したのです。

 帝国データバンクによると、中国進出日系企業数は1万3646社(2020年1月時点)です。業種別では、製造業が5559社で全体の約4割を占めています。

 仮に日本が人権制裁法の法整備を行い、欧米と共に中国に制裁を課した場合、同国は報復措置に出る公算が高いことは言うまでもありません。具体的には日本製品の不買運動、日系企業を標的にした法人税増税、入管手続や日本からの輸入品の手続における嫌がらせなど、多岐にわたる報復措置が可能です。

 中国との経済関係を重視している日本は、人権問題で同国を刺激しないように注意を払っています。ただ、同盟国・友好国が束になって、中国に対して人権侵害の制裁を課してもらいたいというのが、バイデン大統領の本音です。人権はバイデン政権において内政と外交の双方の中核に位置づけられているからです。

 今後、人権を最優先しないグローバル企業は消費者及び投資家から見捨てられる可能性があることを、日本企業は理解しなければなりません。世界的に人権重視の風潮が高まる中で、「人権尊重の経営」が日本企業の存続に直結するときが間近まで来ているといっても過言ではないからです。

 米中の対立が先鋭化したとき、果たしてバイデン政権が日本の人権侵害制裁に対する消極的な立場に理解を示すかは予断を許しません。』

日本、有事へ米と危機感共有 自立した防衛力急務

日本、有事へ米と危機感共有 自立した防衛力急務
新時代の日米㊥
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA16DKD0W1A410C2000000/

『台湾問題などに言及した日米首脳の共同声明を受け、中国外務省の副報道局長は19日の記者会見で「必要な措置をとり国家主権を断固守る」と強調した。示唆した対抗措置がどんなものになるかは見通せない。

沖縄県・尖閣諸島の周辺海域では日本領海の外側の接続水域を19日も中国海警局の船4隻が航行した。機関砲のようなものを搭載した船もあるという。尖閣周辺で中国公船を確認するのは連続65日を超える。

台湾海峡の南西空…

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台湾海峡の南西空域でも、中国の戦闘機や爆撃機が台湾の防空識別圏(ADIZ)に侵入するのが常態となっている。12日には最多の25機が飛来した。

南シナ海では4月上旬、米中の空母が同時期に展開する事態が起こった。米海軍の空母「セオドア・ルーズベルト」が南から、中国海軍の空母「遼寧」が北からそれぞれ海域に入った。

米国はこうした東アジアの軍事バランスの変化を踏まえ、世界に散らばる米軍の配置を最適化するための検証を始める。バイデン米大統領が日米首脳会談に先立ち、アフガニスタンの駐留米軍の9月までの撤収を表明したのもその一環だ。

中国をにらみ、インド太平洋地域に兵力や予算をシフトしていく。沖縄からフィリピンを結ぶ第1列島線に沿って中距離ミサイル網を築く案も浮上する。

「インド太平洋地域の軍事バランスは米国と同盟国に一層不利になる」。米インド太平洋軍のデービッドソン司令官は制海権を保つには戦力の向上が必須だと訴える。米軍は戦闘機や艦艇、ミサイルの数で米中の差がさらに開くと予測。同盟国に応分の役割を求める機会も増えるとみられる。

米ソ冷戦の最前線が欧州なら、日本を含む東アジアは米中対立のフロントライン。日本の防衛力は同盟国の対中抑止力を左右する。

日本の安全保障体制は自立した防衛力と日米同盟の2本柱だ。日米安保条約第5条は米国による日本防衛の義務を定めるものの、敵からの攻撃の第1波に米軍が間に合う可能性は極めて低い。その間は自衛隊だけで守るのが大前提となるが、持ちこたえられるのか。

尖閣諸島に中国軍が上陸して侵攻しようとした場合、それを阻止する陸上自衛隊の水陸機動団の拠点は長崎県内にある。尖閣諸島までおよそ1000キロで、新型輸送機オスプレイでも2時間かかる。中国の侵攻の意図が分かって部隊を派遣しても手遅れとなる。

現状では日本が相手国のミサイル発射の兆候をつかんでも、それを阻止するために敵のミサイル発射拠点を攻撃できない。政府が「敵基地攻撃能力」の保有を否定しており、ここも米軍に頼らざるを得ない。

仮に中国が台湾を武力で統一しようとすれば、台湾に攻め込む中国軍を止めるのも米軍だ。集団的自衛権を行使して米軍への攻撃に自衛隊が反撃できるようにするには「存立危機事態」に認定する必要がある。台湾有事がそれに当たるかはときの政権の判断となる。

「台湾海峡、また尖閣周辺でも厳しい状況が続いている」。菅義偉首相は日米首脳会談後、記者団に台湾問題と、台湾から170キロと近い尖閣諸島を巡る危機感を並列で語った。

会談から8時間後の17日昼。岸信夫防衛相は日本最西端の沖縄県与那国島を視察した。あいにくの曇天だったが、晴れていれば110キロ先の台湾が見える。台湾有事は対岸の火事で済まない。首脳会談で共有した危機感を防衛力の向上につなげることが急務となる。

(安全保障エディター 甲原潤之介)

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峯岸博
日本経済新聞社 編集委員・論説委員
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分析・考察 尖閣と台湾の有事を想定した備えを急ぐべきなのは記事の通りです。日本は世界5位と同9位といわれる防衛力と防衛費を持つ一方、憲法や財政などの制約があります。有事やグレーゾーン事態にできることとできないことを早急に整理し、米軍と連携した効率的な防衛態勢づくりが必要です。

台湾海峡が有事になればサプライチェーンなど日本経済への影響は米国とは比べものになりません。米国一本足打法ではなく、アジアに関心を強める欧州やASEANにも協調国の裾野を広げるのは中国へのけん制になります。対中外交をはじめ有事を起こさせないための交渉力が「防衛力」強化なのは言うまでもありません。

2021年4月20日 8:12いいね
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鈴木一人のアバター
鈴木一人
東京大学 公共政策大学院 教授
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分析・考察 台湾有事が他人ごとではないのは、台湾も尖閣諸島も中国が自らの主権を主張しているという点で共通しているから。中国がアメリカの抑止力を認めず、自らの軍事的優位を過信して武力を用いて台湾侵略を行うということは、すなわち尖閣諸島が日米安保条約第五条が適用されたとしても、中国がアメリカの抑止力を認めない以上、台湾と同じことが起きうるということ。そのためにも、台湾有事は起こしてはならないし、もっといえば中国がアメリカの抑止力を認めないという状況を作ってはならない。

2021年4月20日 7:50いいね

ミャンマー政変なぜ起きた? やさしい3分解説

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM094UN0Z00C21A4000000/

『東南アジアのミャンマーで国軍によるクーデター発生からもうすぐ3カ月となります。国軍は反発する国民に容赦なく銃口を向ける一方、自制を求める周辺各国の思惑が入り乱れ、混乱に拍車がかかっています。日本企業の主戦場であるアジアの政治情勢への理解はビジネスに欠かせません。ゆっくりながらも着実に民主化の道を歩んでいたと思われていたミャンマーで何が起きているのか。やさしく解説します。

Q:ミャンマーってどんな国?

インドシナ半島西部に位置します。面積は日本の約1.8倍にあたる68万平方キロメートルほどで、推計約5600万人の人口を抱えています。「建国の父」として今も国民の尊敬を集める故アウン・サン将軍(1947年に暗殺)の指導のもと、48年に英国の植民地から独立しました。当初は民主制を採用しましたが、62年に国軍がクーデターで政権を掌握し、89年には国名をビルマからミャンマーに変更しました。

ミン・アウン・フライン総司令官率いるミャンマー国軍はクーデターに抗議する民衆に銃口を向ける(3月27日、ネピドー)=ロイター

軍事政権下で経済成長が遅れ、民主化後は「アジア最後のフロンティア」として外国の投資を集めています。繊維産業などが育っていますが、日用品やガソリンなど多くの物資を輸入に依存しています。仏教徒が9割近くを占める一方、多民族国家でイスラム教徒の少数民族ロヒンギャへの迫害が国際問題になっています。

Q:なぜまたクーデターが起こったの?

民主化の流れが強まり国軍が影響力の低下に危機感を持ったからとみられています。軍事政権は民主化を求める国内外の声に押され、2010年に20年ぶりの総選挙を実施しました。当初、民主化運動の指導者、アウン・サン・スー・チー氏が率いる国民民主連盟(NLD)は国軍が主導した選挙をボイコットしましたが、15年総選挙に参加して圧勝、政権を獲得しました。20年11月の総選挙で、NLDはさらに議席を伸ばし、国軍系政党の不人気を浮き彫りにしました。焦った国軍は「選挙の不正」を理由にクーデターに打って出ました。

Q:アウン・サン・スー・チーさんはどんな人?

アウン・サン将軍の娘で、当初は英国で研究生活を送り、英国人男性と結婚して家庭を築くなど政治の表舞台からは離れて暮らしていました。軍事政権下、1988年に学生を中心に民主化運動に火がつくと、帰国していたスー・チー氏が先頭に立ち、NLDを結成しました。90年の総選挙でNLDは圧勝しましたが、軍は政権移譲を拒否し、民主化運動を弾圧し続けました。

スー・チー氏は89年から計3度、15年間自宅軟禁されました。その間、91年にノーベル平和賞を受賞しました。2015年の総選挙後、NLDは政権を握り、軟禁を解かれていたスー・チー氏は外相兼国家顧問として事実上、国のトップに就きました。軍事政権が08年に制定した憲法の規定で、英国籍の息子がいるスー・チー氏は大統領になれません。

抗議デモに参加する民衆と治安当局の衝突で煙が上がるミャンマー北部のタゼ。国軍のデモ弾圧でこれまでに全土で700人以上が死亡した(4月7日、タゼ)=ロイター

Q:日本を含む国際社会とのかかわりは?

映画「ビルマの竪琴」が描いたように、旧日本軍は第2次世界大戦中、当時のビルマを占領していた時期があります。戦後、日本は政府開発援助(ODA)を通じて積極的に国家建設を支援し関係を強めました。スー・チー氏も1980年代に京都大で研究経験があります。
97年、ミャンマーは東南アジア諸国連合(ASEAN)に加盟を果たしました。近年では中国が広域経済圏構想「一帯一路」の一環のインフラ支援などを通じて急速に影響力を強めています。中国とインド洋をつなぐ安全保障上の要衝だからです。

Q:弾圧は止められないの?これからの展望は?

国軍はクーデターに抗議する国民に武力による弾圧を続けています。死者は700人以上に達したとされ、事態は悪化の一途をたどっています。ASEANは盟主を自任するインドネシアが主導して対話による解決をめざしていますが、ASEAN内でも軍事政権の流れを組むタイや共産党独裁のベトナムなどは、内政不干渉の原則を持ち出して、静観を続け、一枚岩ではありません。国連は安全保障理事国内で米英仏と中ロの対立を抱え十分機能していないうえ、東南アジアへの影響力を確保しようとする大国の利害が絡み、ミャンマーの民主主義の回復への道筋は描けていません。=おわり

(ジャカルタ=地曳航也)』

ミャンマー国軍「友人」は8カ国 ロシアが兵器で急接近

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB151V70V10C21A4000000/

『【バンコク=ドミニク・フォルダー、ヤンゴン=新田裕一】ミャンマー国軍記念日の3月27日、首都ネピドーで開かれた式典に参加したのはロシア、中国、インド、バングラデシュ、ラオス、パキスタン、タイ、ベトナムの8カ国だけだった。それまでに国軍のソー・ウィン副司令官が国連のブルゲナー事務総長特使(ミャンマー担当)に述べた言葉の通りになった。欧米の非難を受けるなかで国軍は「わずかな友好国と歩むことを学ばなくて…

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欧米の非難を受けるなかで国軍は「わずかな友好国と歩むことを学ばなくてはならない」。

目立ったのは唯一、本国からの参加者としてフォミン国防次官を派遣したロシアだった。ミン・アウン・フライン国軍総司令官は式典での演説でロシアを「遠く離れているが、国軍への支援は多大だ」とたたえた。ロシアはミャンマーと地理上の距離があるからこそ、国軍には脅威を与えていない。

ロシアのショイグ国防相は2月1日のクーデターの約1週間前、ミャンマーへの兵器輸出契約に署名するためネピドーに滞在していた。ロシアはクーデター後、ミャンマーに経済制裁を発動しても市民が困るだけだと主張している。

クーデター後に配備された装甲戦闘車の多くはロシア製だ。ストックホルム国際平和研究所(SIPRI)によると、ミャンマーは2019年までに8億700万ドル(約880億円)のロシア製兵器を購入したと推定できる。ジェット戦闘機、戦闘ヘリ、地対空ミサイルシステムなどだ。

ロシアで科学や工学の学位を得た国軍将校は6000人を超える。ミャンマーはロシア製兵器への依存を強めており、中国の存在感は相対的に低下している。国軍は、中国がカチン族やワ族など一部の少数民族の武装組織に手を貸していると疑っている。

東部のシャン州復興評議会(RCSS)はクーデターを非難。タイ国境付近のカレン民族同盟(KNU)は3月27日の軍事パレードのさなかに国軍の拠点を襲撃し、兵士10人を殺害したもようだ。国軍は同日夜、KNUの支配地域を空爆し、数千人の住民が避難を余儀なくされた。KNUはクーデターに抗議する市民デモを支持し、参加者を保護している。

中国国境沿いのカチン独立軍(KIA)も3月下旬、中国国境近くの国軍の拠点を襲撃した。米国平和研究所(USIP)のジェイソン・タワー氏は、別の少数民族も加わり、国軍との武力衝突はさらに拡大するとみている。

ミン・アウン・フライン氏は全権掌握後、隣国タイのプラユット首相に書簡を送ってクーデターへの理解を求めた。プラユット氏は9日、日本経済新聞に「かねてミャンマーに人道支援を提供しており、今回もすでに実施した」と説明した。

ミン・アウン・フライン氏が政変後に表立って接触した外国首脳はプラユット氏だけだ。

ミャンマー情勢に詳しいタイの元外交官は「国軍は中国への全面的な依存を望まず、ロシアは遠い。(軍事政権の流れをくむプラユット政権の)タイを勝手口として維持する必要がある」と指摘した。

プラユット氏は19年、軍政下で制定された憲法に基づく総選挙を経て正式な首相に就任した。その前に、ミン・アウン・フライン氏はネピドーでタイ軍代表団の訪問を受けた。当時、事実上の政府トップだった民主化指導者アウン・サン・スー・チー氏との関係は冷え込んでいた。

タイ将校からクーデターを起こす可能性を聞かれたミン・アウン・フライン氏は「実行するなら、タイはプラユット首相でないと」と答えた。

プラユット氏は3月下旬、タイ国境付近のミャンマー国軍部隊にコメ700袋を供給したとの報道を強く否定した。コメは地域の住民向けで、従来の支援の一環だと主張した。タイの元外交官は「(ミャンマー国軍にとって)タイは重要だが、問題はタイが(ミャンマーに対して何らかの)行動を起こしたいと考えるかどうかだ」と話した。
この記事の英文をNikkei Asiaで読む https://asia.nikkei.com/Spotlight/The-Big-Story/Failed-state-Myanmar-collapses-into-chaos

“さらばミャンマー、日本企業はどうする?

“さらばミャンマー、日本企業はどうする?:世界を読み解くニュース・サロン(1/4 ページ)”
https://www.itmedia.co.jp/business/articles/2104/15/news023.html

『ミャンマーでクーデターが起きてから、早くも2カ月半になる。

 2月1日にクーデターが発生した朝から、筆者は現地の知り合いたちに取材を続けてきた。今振り返ると、当初はまだ、まさか10年前まで続いていた暗黒の軍事政権時代に逆戻りするとは現地の人たちも思っていなかったようだ。しかし、国軍側からの取り締まりが暴力的になり、徐々に死者数が増えるにつれ、「戦意喪失」といった感じになってきている。

 メディアで先日、ミャンマーでは死者数が合計700人を超えたと報じられた。悪化の一途をたどるミャンマー情勢のなかで、実は日本企業も対処に苦慮している。本連載でミャンマーを取り上げた際にも触れたが、2020年末の段階でミャンマー日本商工会議所に加入している日系企業は433社に上るという(関連記事)。ただこうした企業も、国軍の締め付けが強まり、欧米諸国から非難の声が高まっていることで、難しいポジションに置かれているのだ。

ミャンマー日本商工会議所の理事一同声明文(出典:ミャンマー日本商工会議所)
 そもそも、なぜ国軍がクーデターをしなければならなかったのか。また、ミャンマーに進出している日本企業は、どんな状況に置かれているのかなどについて見ていきたい。

なぜこのタイミングで 』

『なぜこのタイミングで
 今回のクーデターでいまだに疑問なのは、なぜ国軍がこのタイミングでクーデターをしなければならなかったのか、だ。表向きは20年11月に実施された総選挙で、民主活動家でもあるアウンサン・スーチー国家顧問が率いる与党が圧勝したが、国軍はそれが不正選挙だったと主張してクーデターを行なったというものだ。だが、現地で暮らす知人らに聞いたところ、話はそれほど単純ではなさそうだ。

 メディアでよく言われているのが、民主活動家だったスーチー国家顧問の政治的な影響力が強くなりすぎたために潰そうとした、というものだ。だがそれなら16年に行われた前回の選挙でも、スーチー側が圧勝していることを考えると、それが理由だと結論付けるには違和感がある。

ミャンマー最大の都市ヤンゴン(写真提供:ゲッティイメージズ)
 またスーチー国家顧問の経済のかじ取りがダメすぎたので、国軍が権利を奪い、ミャンマー経済を握ったという説も聞かれる。だが国軍がクーデターのようなことを行えば、国際社会から非難され、経済制裁が課されるのは明らかで、国軍が国内経済を向上できる可能性は限りなく低い。それは独裁政権時代のミャンマー経済のひどさを見れば容易に想像できるし、そもそも主要産業は国軍の影響力が残ったままになっている。

 では、なぜクーデターが行われたのか。現地の元国軍関係者などに見解を求めたところ、理由はいくつもあるだろうが、次の要因が大きのではないかという。

 国軍のトップであるミン・アウン・フライン司令官の保身である。フライン司令官は今年7月に65歳で定年を迎える予定になっていたが、トップから離れたくないというのがクーデターを引き起こした理由の一つだという。彼は16年に本来の定年である60歳を迎えているが、5年間延長をしている。これは、軍事独裁政権でミャンマーを率いていた悪名高い独裁者のタン・シュエもやらなかったことだ(彼は終身国家元首になったが、司令官の職は辞して、権力を手放している)。

 しかしフライン司令官が任期を延ばした5年間、特に国際社会からミャンマーへの批判が一気に高まった。同国で迫害されているイスラム教徒のロヒンギャ族をめぐる問題が、国際司法裁判所(ICJ)や国際刑事裁判所(ICC)などで国軍の犯罪行為が協議されることになった。さらにジュネーブに本部を置くミャンマーの重大犯罪を調査する国連の「ミャンマーに関する独立調査メカニズム(IIMM)」でも、フライン司令官をはじめとする軍幹部らは、「ジェノサイド(大量虐殺)」の罪で起訴されるべきだとも指摘している。

一方的に不透明な理由を公表』

『一方的に不透明な理由を公表
 こうした罪の責任者は、フライン司令官にほかならない。彼は現在、国軍トップであるため国際機関などの手は届かないが、定年を迎えて軍トップの地位から離れ、国内でスーチー率いる民主化勢力が影響力を高めていくと、フライン氏が戦争犯罪で逮捕され、裁かれてしまう可能性もある。

 それを避けるために、クーデターを行なったというのである。この元軍関係者によれば、「そういった思惑の可能性は高く、軍の内部でも密かに同様の認識が広がっている」という。現状、国際社会がフライン氏に手出しすることは不可能になった。

国軍は経済的な既得権益を守るために、クーデターを行ったという説も
 とにかく、一方的に不透明な理由を公表して、権力を再び奪い返した国軍は、国際社会から強い批判を浴びている。特に国軍との親密な関係や、国軍に利益をもたらしているような外国企業は、国際的に厳しい批判にさらされている。大手ビールメーカーのキリンは、クーデターを受けて国軍と関係のある地元複合企業との連携を解消した。

 ロイター通信は3月25日に、「ヤンゴン市内都市開発(Yコンプレックス)」と呼ばれる事業が、ミャンマー国防省の利益につながっていたとして、批判されたと報じている。国軍につながりのある企業は国際的な非難を受けるため、この事業もやり玉に上がっている。そして同事業には「日本政府が95%を出資する海外交通・都市開発事業支援機構(JOIN)」や日本の民間企業なども参画していたが、国軍の人権蹂躙を理由に、つい最近、一時中止に追い込まれたという。

 またAFP通信は3月1日に、北東部シャン州で水力発電用ダム建設事業を進めていた国際企業連合が、国軍によるクーデター発生を受け、プロジェクトを一時中止したと報じた。理由は、国軍と関わるプロジェクトだからだ。同記事によれば、このダム建設事業には、日本の丸紅も参加していた。そんなことから、丸紅も批判の対象になった。

ミャンマー市場と距離を 』

『ミャンマー市場と距離を
 米国のアントニー・ブリンケン国務長官は、国軍を支援する事業や外国企業に、事業などへの関与を「見直すべきだ」と発言しているため、欧米諸国はこの流れには逆らえないかもしれない。

 英監視団体の「ビルマリポート」は、国軍と関係している企業を名指しで公開しており、日本企業も数多く登場する。そこにはここまでに触れた、キリンや丸紅、さらに中小企業も批判の対象になっている。

 もちろん、11年の民政移管の際に開かれた市場として、世界からの期待は大きく、これまで日本企業が進出してきたことは批判されるべきことではない。しかもミャンマー国内で大きな事業をするとなれば、国軍の存在は無視できないため、軍との関係が避けられない場合もあったはずだ。

 だが、クーデターで状況は一変した。そして、クーデター前のような状況に戻る可能性は当面ないだろう。ミャンマーでビジネスを展開すれば、国際社会からの批判がついて回る。またこれから、米バンデン政権や欧州各国が、対中政策などで人権問題を取り上げる場合が増える。そうなれば、ミャンマー国内の人権問題も俎上(そじょう)にのせるだろう。

 日本企業は、残念ながらミャンマー市場と距離を置いていくしかないだろう。国軍が引き起こしたクーデターによる混乱はあまりに大きいということだ。』

ウイグル問題制裁対象で西側の本気度が試されるキーパーソン

ウイグル問題制裁対象で西側の本気度が試されるキーパーソン:その人は次期チャイナ・セブン候補者
https://news.yahoo.co.jp/byline/endohomare/20210415-00232885/

 ※ 相当踏み込んだ「情報」だ…。

 ※ しかし、首筋がひんやりするんで、あえて、引用は止めておく…。

 ※ これで、オレも、まだ自分の首が惜しい…。

 ※ まだまだ、果たさなきゃならん役割も、あるんでな…。まだちょっと、取られるわけにも、いかんのだ…。

 ※ 興味のある人は、飛んで、自分で読んでくれ…。

〔ミャンマー情勢の混沌…。〕

ミャンマー  市民と少数民族の共闘の可能性 「どんな道を選んでも待つのは血まみれの未来だ」 – 孤帆の遠影碧空に尽き
https://blog.goo.ne.jp/azianokaze/e/43dd7fd1dec9367b56a519833e85552d

『【雑草を除去しなければならない 迫撃砲などの重火器を使用 見たものすべてに発砲】

ミャンマー情勢の混迷は報道のとおり。

****ミャンマー治安部隊が迫撃砲で攻撃、包囲された抗議デモの82人死亡****
ミャンマーの地元メディア「ミャンマー・ナウ」は10日、中部バゴーで9日に治安部隊が抗議デモ参加者らを銃撃などで鎮圧し、市民の少なくとも82人が死亡したと報じた。
3月27日に全土で市民100人以上が殺害されるなど、デモ鎮圧の犠牲者が増加する中、単独の地域での1日の犠牲としては最悪の規模とみられる。

 報道によると、鎮圧は9日早朝に始まった。治安部隊は地域を包囲し、迫撃砲などの重火器を使用して攻撃した。爆発音を聞いた住民もいたという。

目撃者によると、近くの学校やパゴダ(仏塔)に遺体や負傷者が集められた。僧侶らが治療を申し出たが、治安部隊は許可しなかったという。行方不明となっている人もいるといい、死者数はさらに増える可能性がある。

 クーデターを強行した国軍は、国際社会からの非難も顧みずに弾圧を続けている。国内の人権団体「政治犯支援協会」は、デモ鎮圧などによる死者は、9日時点で618人としていた。

国軍の報道官は9日の記者会見で、「木が育つためには、雑草を除去しなければならない」と述べ、市民への武力行使をためらわない姿勢を鮮明にしていた。【4月11日 読売】

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迫撃砲というのは下のような武器です。常識的には抵抗市民に使用するような武器には思えませんが・・・。

(ウィキペディア)

国軍報道官は、「雑草を除去しなければならない」とか、害虫を駆除するには殺虫剤をまく必要があるとか・・・。

同じ国民を「雑草」「害虫」と表現する発想には驚きを禁じえません。

市民の抵抗を抑えるというより、敵を殲滅する内戦の発想のようにも。

軍は抑制的に対応しているとも主張していますが、下記のような報道を見ると、「(治安部隊は)見たものすべてに発砲・・・」とか、あまり抑制的でもなさそうです。

****「見たもの全てに発砲」ミャンマー市民の死者700人超****

クーデターで国軍が権力を握ったミャンマーで、市民の犠牲が700人を超えた。国軍側は9日に中部バゴーで80人以上を殺害。その方法は残虐さを増している。国軍への反発は少数民族武装組織にも広がり、10日には複数の地域で国軍との戦闘が起きた。

 現地の人権団体「政治犯支援協会」によると、2月1日のクーデター以降、4月11日までに706人の市民が犠牲になった。「国軍記念日」の3月27日には、全土で100人以上が殺害された。4月9日にはバゴーで82人が殺害され、一地域での1日あたりの犠牲としては最悪とみられている。

 地元メディアによると治安部隊は9日、バゴーの四つの地域を襲撃。弾着後に炸裂(さくれつ)する小銃てき弾などの重火器が使われたという。

住民の一人は「(治安部隊は)見たものすべてに発砲し、抗議を取り締まる行動ではなかった。ジェノサイド(集団殺害)を犯していた」と語った。

積み上がる遺体、うめき声…住民は治療もできず

地域の仏塔(パゴダ)の入り口付近には遺体が積み上げられ、中には負傷者も交じり、うめき声が聞こえていたという。住民らは負傷者の治療も遺体の引き取りもできなかった。
治安部隊はまた、地域を捜索して市民らを連行。翌日に遺体で見つかるケースもあった。11日夜の時点で、多くの住民が地域から逃げ出しているという。

 国軍の報道官は9日の会見で「機関銃や自動小銃を使えば、数時間で500人を殺せるが、実際には(500人が犠牲になるのに)何日もかかっている」と話し、国軍側は対応を自重していると強調。武力による弾圧を正当化しており、今後、さらに対応が激化する恐れがある。それでも市民らは、各地でデモを続けている。

 一方、地元メディアによると、10日午前に北東部シャン州で少数民族武装組織が警察署を襲撃し、警官ら14人が死亡した。西部ラカイン州を拠点とするアラカン軍などによる攻撃とみられている。アラカン軍は3月30日、他の二つの武装組織と声明を発表し、市民への弾圧をやめるよう国軍に求めていた。

 10日午後にはインド国境にある北西部タムで、別の少数民族武装組織の攻撃で少なくとも治安部隊18人が死亡した。軍車両に手投げ弾が投げ込まれたという。治安部隊が市民を殺害したことへの報復とみられる。

 東部カレン州の「カレン民族同盟」(KNU)や、北部カチン州の「カチン独立軍」(KIA)も国軍と戦闘を続けている。国軍側は空爆などで反撃し、多くの住民が家を焼け出される事態となっている。ミャンマーは独立以来、内戦が続いているが、クーデターを機に混迷がさらに深まる可能性が指摘されている。【4月12日 朝日】

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「機関銃や自動小銃を使えば・・・・」

実際に“1988年の民主化運動のはじまりから鎮圧に至る過程で軍は学生・仏僧を含む数千人の市民を殺害したといわれる(軍事政権は、犠牲者数は20~30人にすぎないと主張している)。”【ウィキペディア】という過去がありますので、国軍の大量犠牲者を厭わない対応が懸念されます。

その他にも

“襲撃後に銃強奪とミャンマー国軍 市民19人死刑判決”【4月10日 共同】

“死刑判決、さらに7人=反国軍勢力への弾圧強化―ミャンマー”【4月14日 時事】

と、一切の歩み寄りを拒否し、武力で封じ込める姿勢が強まっています。

【抵抗市民勢力と少数民族武装勢力の共闘の可能性 弾圧されて知る差別されるものの痛み】

そうしたなかで、現実味を増してきているのが、4月1日ブログ“ミャンマー 少数民族武装勢力と国軍の衝突・対立、抵抗市民勢力との共闘で内戦の危険性も”でも取り上げた、抵抗勢力と少数民族武装勢力の共闘による内戦の可能性。

中国・ロシアの消極姿勢もあって、国際的圧力による解決が期待できない以上、徹底武力鎮圧に進む国軍に対抗するには、そうした方向しかない・・・という考えも。

ただ、抵抗市民勢力とはいっても、その多くはこれまで少数民族を差別して側。その両者が連携できるのか?

あるいは、少数民族側からすれば、そういう抵抗市民を信用できるのか?

仮に国軍を取り除けたとして、その後にどういう政治体制を想定しているのか?

等々の疑問も。

そうした疑問に答える活動家や少数民族幹部へのインタビュー記事が。

長い記事ですが、非常に興味深い点が含まれていますので全文を引用します。

****ミャンマー市民が頼るのは、迫害してきたはずの少数民族 「内戦勃発」が最後の希望****

<国際社会に幻滅した市民らが一縷の望みを託す「少数民族連合軍vs国軍」の構図。当事者たちが語るその可能性>

国軍による弾圧が激しさを増すミャンマー(ビルマ)で抵抗手段を奪われた国民たちは今、少数民族の軍隊と国軍との全面戦争を求め始めている。

かつては敵視すらしていた少数民族を救世主扱いするほど期待は高いが、どれくらい現実味がある戦略なのか。

ミャンマーのエリート軍家系出身で民主活動家のモンザルニ、

少数民族であるカチン民族機構(KNO)ロンドン本部のクントイラヤン事務局長、

在日ビルマ・ロヒンギャ協会のゾーミントゥット副代表の3人に、本誌・前川祐補が聞いた。

――少数民族軍連合vs国軍という対立構図が浮上した経緯を教えてほしい。

モンザルニ デモを行っていた市民らは当初、諸外国からの外圧を期待していた。軍事的圧力でなくとも、国軍が弾圧から手を引くような効果的な懲罰を求めていた。

だが(アメリカなどが部分的に制裁を発動したものの)ミャンマー国民を満足させるような動きは起きていない。国軍への制裁を決議できなかった国連安全保障理事会も含めて国民は外圧に幻滅し、よりどころを少数民族の軍隊にシフトさせた。国民の中には少数民族軍を救世主と呼ぶ者もいる。

クントイラヤン われわれカチン族は都市部でのデモ弾圧とは別に国軍から攻撃を受け、彼らを返り討ちにした「実績」もあった。

――少数民族軍の連合はどのように形成されるのか。

モンザルニ 1つは、「統一政府」の樹立を目指す民主派議員らで構成する連邦議会代表委員会(CRPH)が、少数民族の軍隊を「連邦軍」として取りまとめる方法だ。

だが、少数民族側はCRPHの中心にアウンサンスーチーや彼女が率いる国民民主連盟(NLD)を据えることに対して非常に否定的だ。彼らはクーデターを防ぐこともできず、その後の対応でも失敗したからだ。

CRPHは国民の支持を得ているが、将来的な政府組織においてスーチーとNLDの影響力をどれだけ排除できるかがカギになる。

クントイラヤン 少数民族の間では、CRPH憲章は現在の憲法から国軍の議会枠(国会議員定数の4分の1は軍人)を定めた条項を取り除いただけ(つまりNLDの影響力が色濃く残る)との批判が多い。

私たちはこれまで少数民族に差別的だった「ビルマ人愛国主義者」たちへの警戒を解いておらず、NLDに対する不信感も根強い。

――統一政府の将来像は時間のかかりそうな議論だ。CRPHと少数民族の交渉がまとまらなければ全面戦争のシナリオは消える?

モンザルニ そうでもない。既にCRPHを抜きにした少数民族による「連合軍」構想が持ち上がっている。実際、シャン州軍の創設者であるヨートスックが、ワ州連合軍などと共に独自の連合軍の立ち上げを呼び掛けている。

クントイラヤン CRPHが少数民族の要求を断ったところで軍事的には空っぽの政府組織が生まれるだけだ。連邦軍は構想段階だが、カチン族だけでなくカレン族の居住地域を含めて局地的には既に戦いが始まっている。

ゾーミントゥット 国民は、これまでさげすんできたアラカン・ロヒンギャ救世軍ですら歓迎している。CRPHがどう判断するかは分からないが、何らかの形で内戦が始まるのは不可避だと思う。

――「連邦軍」であれ「連合軍」であれ、国軍と対峙する軍事力はあるのか?

モンザルニ 少数民族の武装勢力は最大で14ほどが参加し得るが、それでも「通常の戦闘」を想定するなら国軍を打ち破ることは難しいだろう。兵力の差は数字以上に大きい。

だが少数民族軍の戦略はいわゆるpositional war(陣地戦)ではなく都市型ゲリラ戦だ。例えばヤンゴンには軍事訓練を受けた「見た目は普通の人」が数千人もいるとされる。彼らは特定の日時に集まり、標的とする軍事施設に攻撃を加える準備ができている。

連合軍の戦いは内戦と言うよりは革命抗争だ。革命軍はたいてい武器に乏しく兵士の数も少ない。キューバ革命の時、フィデル・カストロはわずか82人の同志を率いて革命抗争を始めた。数の比較で戦闘を考えると展望を見誤る。

クントイラヤン ミャンマーの内戦にアメリカが軍隊を派遣することはないだろうが、資金提供やロジスティクスなどの側面支援は交渉可能なはずだ。それができれば、カチンやカレンの軍隊は地上戦で国軍をしのぐことができる。

「統一政府」の議論がまとまらないにせよ、国軍による虐殺を止めるためにCRPHの国連大使に選ばれたササは早急に欧米諸国へ支援要請をするべきだ。

――少数民族はこれまで差別や迫害を受けてきた。少数民族の軍隊に期待する国民は今だけ軍事力にすがり、後で裏切るという懸念はないのか?

ゾーミントゥット 今回のクーデターに対して抵抗を続ける中心はZ世代と呼ばれる若者世代だ。彼らは1988年のクーデターを戦った当時の若者世代とは違い、教育水準も高く多様性に対して寛容だ。

実際、クーデターが勃発してからこんなことがあった。ある商業系と医科系の大学の学生自治会が、過去のロヒンギャ弾圧に対して公に謝罪声明を発表したのだ。虐殺を知りながら声を上げなかったことへの謝罪だ。

自らも軍の弾圧の犠牲者となって初めてロヒンギャの置かれた状況を知ったからなのかどうか経緯は分からないが、彼らの謝罪は誠実なものと受け止めている。

(編集部注:CRPHで広報担当も務めるササはCRPHの国家構想でロヒンギャを国民として認めると4月9日の記者会見で断言した)

クントイラヤン 同じ思いだ。繰り返すが、われわれ少数民族はこの状況下でも愛国主義的ビルマ人への警戒心は強い。それでもZ世代への期待は大きい。

弾圧を受け行き場を失った若者世代は今、少数民族軍を支持するだけでなく自ら参加しようとしている。実際、カチン軍は彼らに対する軍事訓練を行っており、(カチン)軍幹部の話によれば訓練し切れないほどの若者たちが集まっている。

――周辺国は内戦に対してどう反応するだろうか?

モンザルニ 中国、インド、タイがその中心だが、彼らは基本的にミャンマー国軍を支持しているので懸念するだろう。

だが彼らはあくまで勝ち馬に乗るはずだ。今のところ国軍に賭けているが、「革命抗争」で少数民族軍連合やCRPHが優位な立場になれば、考えを変える可能性はある。周辺国とミャンマー国軍の関係に定まった「方程式」は存在せず、流動的だ。

クントイラヤン カチン族の主な居住地域は中国と国境を接しているが、今回の騒乱はカチン族が引き起こしたのではない。中国がミャンマーで安定した経済活動を行いたいのなら、彼らが国軍を支援し続けるのは得策でないはずだ。

モンザルニ CRPHは「連邦軍」構想を進めると同時に、国軍に影響を及ぼす中国に対して立場を表明するべきだ。つまり、CRPHは中国を重要な国家として認めると。

その上で、現在の国軍に対する無条件の支援をやめるよう求めるのだ。中国が応じなければ、世論の圧倒的支持を受けるCRPHが実質的な政権を取ったときに、ミャンマーはアメリカや日米豪印らで構成するクアッドに強く傾倒し、中国がこれまでミャンマーで進めていた石油のパイプライン事業をはじめとする経済活動が思うようにいかなくなるという「警告」も忘れずにだ。

――内戦や革命抗争はミャンマーにとって本当に望ましいシナリオなのだろうか?

モンザルニ 望ましいシナリオでもなければ、最も前向きな目標でもない。

だが今のミャンマーには連邦軍(やその他の連合軍)構想以外にいいシナリオがない。国民はデモに参加しようが家でおとなしくしていようが殺されている。5400万人の国民が人質になっているというのが現実で、「向こう側」を殺すしかないという機運が高まっている。

クントイラヤン 今の状況を変えるためには、国民は国軍に対して強いメッセージを出す必要がある。軍幹部らに対して弾圧から手を引くことを促すような、強固な心理戦を展開する必要がある。

少数民族連合軍による「宣戦布告」はその意味で強いメッセージになる。軍幹部が動じずとも、兵士らを可能な限り多く投降させることができれば弾圧を弱める効果は期待できる。
モンザルニ 投降した兵士らを受け入れる新しい軍組織がなければ、ミャンマーはサダム・フセイン亡き後のイラクになり、兵士らは過激派イスラム組織「イスラム国」(IS)のようになってしまう。その意味でも連邦軍は必要だ。

ゾーミントゥット 革命抗争は起きた後の状況が懸念されるが、不可避だと思う。そのなかで望むとすれば、CRPHはできるだけ構成民族に共通認識を持たせてほしい。

――非常に複雑な思いだ。

モンザルニ それは私たちも同じだ。残念ながら、どんな道を選んでもミャンマーを待つのは血まみれの未来だ。【4月13日 Newsweek】

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両者の共同戦線の実現の可能性は別にしても、

“大学の学生自治会が、過去のロヒンギャ弾圧に対して公に謝罪声明を発表”

“CRPHで広報担当も務めるササはCRPHの国家構想でロヒンギャを国民として認めると4月9日の記者会見で断言”

というのは、これまでのロヒンギャに対するミャンマー国内の冷淡な対応を考えると驚くべき変化です。

弾圧されて、始めて知る差別されるものの痛みでしょうか。

ロヒンギャ対応を含めて、少数民族との和解が国民一般にどこまで共有されるのかについては、まだ疑問もありますが。

中国などが“勝ち馬に乗る”というのは、そのとおりでしょう。もともと国軍には中国への警戒感が強く、中国はどんな政権にしても、自分たちの権益が保護されればいいという考えでしょうから。

それにしても、“どんな道を選んでもミャンマーを待つのは血まみれの未来だ”というのは重苦しい結論です。』

ミャンマー混迷、国内に2つの「政府」 政変3カ月

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB142Q20U1A410C2000000/

『【バンコク=ドミニク・フォルダー、ヤンゴン=新田裕一】ミャンマーはクーデターから3カ月目を迎えた。全権掌握を主張する国軍と警察は市民の抗議デモを重火器も使って弾圧。死者は計700人を超えた。一方、民主化指導者アウン・サン・スー・チー氏の政権を支持する勢力は「臨時政府」をつくり、国軍と対峙する。難民が周辺国に逃れ、混乱は地域に広がる。混迷するミャンマーを追う。

砲撃は夜10時ごろまで続いた。中部の古都バゴーで9日、国軍側がデモ参加者を攻撃し、少なくとも80人以上が死亡した。ミャンマーで尊敬される仏教の僧侶が負傷者の介抱を申し出たが、拒否されたという。

軍事法廷は8日、最大都市ヤンゴンで国軍兵士を殺害したとして19人に死刑判決を下した。

バチェレ国連人権高等弁務官は13日の声明でミャンマー情勢について「2011年にシリア内戦が始まった当時の状況を思わせる」と指摘。今後、シリアのような状態に陥る可能性があると示唆する。

ブリュッセルに本部を置くシンクタンク、国際危機グループ(ICG)の上級顧問リチャード・ホーセイ氏は9日、国連安全保障理事会で「ミャンマーは破綻国家への瀬戸際だ」と報告した。

5年間のスー・チー氏の政権は、2月1日の政変で終わった。15年の総選挙でスー・チー氏の政党、国民民主連盟(NLD)が圧勝。同氏は16年、国家顧問兼外相に就き、事実上の政府トップになった。20年の総選挙で連邦議会の議席数を伸ばしたNLDを警戒した国軍のクーデターは経済発展も台無しにしようとしている。

クーデター直後にスー・チー氏の政権の正統性を主張する15人の連邦議会議員が設けた連邦議会代表委員会(CRPH)は「臨時政府」の装いだ。外相を含む多くの閣僚ポストで大臣代行を任命し、軍政下で制定された現行憲法の廃止を宣言した。国軍が設立した最高意思決定機関、国家統治評議会を「テロ組織」と非難する。

国軍はクーデター当日、スー・チー政権の閣僚を解任し、新たな大臣を任命した。クーデターは「憲法に則した正当な措置」と言い張り、4月上旬の記者会見では「2年以内の総選挙実施」を表明したが、デモに加わる市民の多くは懐疑的だ。

ミャンマー国内は2つの「政府」が並立する分裂状態だ。

国軍は欧米諸国の強い非難を受けるが、国際社会での孤立を意に介さない。人口の7割を占めるビルマ族による支配を固めることが責務だと考えている。

国際軍事情報大手IHSジェーンズの軍事アナリスト、アンソニー・デービス氏はバンコクで記者団に「ミャンマー国軍の兵士は残忍」と指摘する一方、国軍がまとめないとミャンマーもアフガニスタンと同じような混乱した国家になりかねないと主張した。

ヤンゴンの民間団体「責任あるビジネスのためのミャンマー・センター(MCRB)」は「事態への懸念を強めている」という内容の共同声明を作成し、外国の68社と国内の164社が署名した。人権の尊重と民主主義への回帰、法の支配を求めた。

仏エネルギー大手トタルは、CRPHの要請に従わず、ミャンマー沖で天然ガスの産出を続け、納税している。ガスの輸出はミャンマーにとって重要な外貨獲得源だ。ガス全体の輸出額は20年が33億ドル(約3600億円)で、ミャンマーの総輸出額の2割を占めた。輸出先はいずれもミャンマーと国境を接するタイと中国だ。

非政府組織(NGO)「国際法律家委員会」のサム・ザリフィ事務局長は「市民殺害のペースは、シリアのアサド政権よりも速い」と指摘した。シリア難民は世界最悪の水準だ。ロヒンギャなど少数民族が多いミャンマー難民の総数は減る傾向だったが、国内の混乱を受け、タイとの国境地帯などで再び目立ってきた。

この記事の英文をNikkei Asiaで読む https://asia.nikkei.com/Spotlight/The-Big-Story/Failed-state-Myanmar-collapses-into-chaos