「日本の守り」少子化の影 自衛隊、担い手不足深刻

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO66420940Z11C20A1000000/

『少子化が日本の守りに影を落としつつある。陸海空の自衛隊で任期制自衛官の採用は2019年度まで6年連続で計画を下回り、担い手不足が深刻だ。ミサイル防衛の要となるイージス艦を増備しにくくなるなど部隊の整備や運用にも影響が出てきた。

10月30日、衛藤征士郎元防衛庁長官ら自民党の国防議員連盟が国会内で岸信夫防衛相に新型イージス艦を2隻増備するよう求めた。中国や北朝鮮の軍事的脅威に備えるため「要員と予算が必要だ。大臣のリーダーシップでお願いしたい」と訴えた。

イージス艦は弾道ミサイルを打ち落とす能力を備える防御力の高い護衛艦である。計画を断念した地上配備型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」の代替策として浮上するものの、運用には1隻300人が必要となる。

海自は人員不足を理由に増備に後ろ向きで、見かねた議連が予算と合わせて増員も要請した。自民党内には「人手不足のせいで抑止力を強化できなくなりつつある」との危機感がある。

自衛隊の採用は幹部を養成する「幹部候補生」、部隊の中核となる「一般曹候補生」、任期制の「自衛官候補生」などに分かれる。このうち採用時の人数が最も多いのは高卒者が中心で任期2~3年の「自衛官候補生」だ。

自衛官候補生の採用者数は14年度以降、6年連続で計画を達成していない。19年度の採用数は海自と空自が計画を1割ほど下回った。18年度には陸海空全体の採用達成率が7割にとどまった。

50歳代の定年まで働く「一般曹候補生」と異なり、任期満了後に勤務継続か民間などへの就職を選べる自衛官候補生は民間企業とも競合する。「アベノミクス」による景気拡大が続き、雇用を増やした民間に人材が流れた面があるものの、採用難の根源的な問題は少子化にある。

自衛官の採用対象年齢は18年まで18~26歳だった。この人口は1994年の1743万人をピークに減少に転じ、2019年は1133万人と3割以上減った。自衛隊の応募者数は8万人程度で90年代のピーク時から半減した。

18年から採用対象年齢の上限を32歳に引き上げても、少子化はさらに加速する。18年に1903万人いる18~32歳は国立社会保障・人口問題研究所の予測では28年に1750万人、38年に1563万人に減る。10年ごとに200万人少なくなる。

人口が減っても守るべき国土は狭くならない。むしろ自衛隊の仕事は増え続けている。沖縄県尖閣諸島で領海侵入を繰り返す中国公船の背後には軍艦が控えていることが多い。中国の海洋進出が活発になるにつれて、万が一に備えて周辺海域に張り付かせる自衛艦も増やさざるを得ない。

北朝鮮を巡ってはミサイル発射への警戒や、国連決議で輸入を制限する原油や石炭の洋上取引「瀬取り」の監視にあたる。20年からは中東海域での民間船舶の安全確保のために護衛艦を派遣した。

新たな任務の多くが関係する海自の人手不足は特に深刻だ。18年度の採用達成率は6割に満たず、陸自や空自と比べて最も低かった。背景には海の上での生活が続く職場環境の厳しさがある。

10月に中東派遣から帰港した護衛艦の乗員は新型コロナウイルスの影響で一時上陸ができず乗員は5カ月も艦内での生活を続けた。海自はメールなどを使えるよう護衛艦内の通信環境の改善を進めており「海の仕事の魅力を伝えて人材を集めたい」と語る。

領空侵犯を監視する空自も似た悩みがある。日本列島の外側を囲むように置くレーダーサイトは都市部から遠いため若年層が嫌がる。

阪大准教授を経て15年まで在日米海兵隊の政務外交部次長を務めたロバート・エルドリッヂ氏は「グローバル化で若い優秀な人材は国内企業だけでなく海外企業にも引っ張られるようになった。自衛隊は以前にも増して人が集まりにくくなる」と話す。

「インターンシップ(就業体験)などで若者に自衛隊への関心を持ってもらう施策が必要だ」と指摘する。

海上自衛隊に初の女性潜水艦乗組員が誕生した(10月、広島県呉市)=海上自衛隊呉地方総監部提供・共同

■進む女性登用、潜水艦にも 米軍の取り組み参考に

自衛隊は少子化対策の一つとして女性登用を進める。岸信夫防衛相は自衛隊の人的基盤の強化策に「女性自衛官の活躍の推進」を挙げた。

これまで自衛隊に関心を持つ学生の多くは男子だった。応募者は多くの職種で8割超が男性だ。女子学生が関心を持てば裾野は一気に広がる。

自衛隊では女性の活躍の幅が広がっている。陸上自衛隊では今年3月、有事の際にパラシュートで最前線に投入される空挺(くうてい)部隊で女性初の隊員が誕生した。海上自衛隊でも初めて女性が潜水艦の乗組員になった。

防衛省は21年度予算の概算要求で女性自衛官の勤務環境を整えるために50億円を計上した。女性用のトイレや浴場を整備したり、艦艇のなかに専用の区画をつくったりするのに費用をかける。

2019年3月末時点で全自衛官に占める女性の比率は6.9%だった。10年間で2ポイント程度上昇したものの、民間企業などと比べると大きく下回る水準だ。逆に言えば増やす余地がまだある。

米軍は過去半世紀で女性比率を2%から16%に引き上げた。出世しやすい戦闘職を含め全ての職種で15年から女性にも門戸を開いた。防衛省内では米軍の取り組みを参考にする動きがある。

■〈記者の目〉不祥事防止、改革の前提に

戦後の日本は安全保障の議論をタブー視する風潮があった。自衛隊は「目立ってはいけない組織」とされ、転居してきた隊員の住民登録を市長が拒否する事件が起きたこともある。国際協力や災害対応を積み重ね、社会の認識を少しずつ変えてきた。

日本経済新聞社の2019年郵送世論調査で自衛隊の「信頼度」は60%だった。裁判所や警察、検察など8項目のなかでトップである。一定の信頼をすでに得ているにもかかわらず人手は集まらない。

一つの原因は度重なる不祥事だろう。イラク派遣部隊などで日報隠しが起き、パワハラや傷害暴行の懲戒処分件数が増加傾向にある。実力組織であるからこそ内部の不祥事防止策はより重要になる。それは無人機の導入や女性の登用といった改革を進めるための前提でもある。(甲原潤之介)』

スウェーデンなど欧州で徴兵制復活の流れ

北の国から猫と二人で想う事 livedoor版:スウェーデンなど欧州で徴兵制復活の流れ
http://blog.livedoor.jp/nappi11/archives/5221489.html

『スウェーデンでは、2020年10月14日に新国防法案が提出され、過去70年間で最大の軍拡を予定している。理由は、暗殺から侵略まで、ヨーロッパにおけるロシアの脅威が増し、スウェーデン人の対露警戒心が高まっているからである。
ロシアは何の意図でスウェーデンの領海、領空を侵犯し、スウェーデンのような国の警戒心を高めているのか、理解できない。北方領土に軍を配備し、演習をして、日本から抗議されているのと同じような愚行ではないかと思われる。
ロシアの経済は、いまやIMF(国際通貨基金)のGDP統計で韓国以下であり、かつ石油価格は新型コロナ・ウィルス、温暖化対策等で今後回復しそうにもない。プーチン大統領は国際的に大国として大きな役割を果たしているロシアを演出するために、シリアやリビアに進出し、ベネズエラに傭兵を出すなど、やりすぎている。こういうことは、ロシアの衰退につながると思われる。、、スウェーデンは中立国であるが、ロシアの脅威を強く認識するに至り、軍拡路線にかじを切ったという興味深いエコノミスト誌の解説記事である。

近年、スウェーデンは、ロシアが領空と領海を頻繁に侵犯したとして非難してきた。それでスウェーデンは、NATO(北大西洋条約機構、注:スウェーデンは非加盟国)や、米国、他の北欧諸国と、軍事的関係を深めてきた。 新国防法案が成立すれば、国防予算を2021年~2025年の間に275億スウェーデン・クローネ(約31億ドル)増加することになる。

これは、軍隊の50%増も賄う。軍隊は、正規兵の他、徴兵兵士、地元の予備役を含め9万人になる見通しである。冷戦終結後、徴兵制は10年前に廃止されたが、ロシアの脅威の高まりによって2017年に男女ともに復活(実施開始2018年1月)した。スウェーデンの議会や国民から大きな反対はなかった。img_e5ce2536eba606716c2eb639b76496236926418歳以上の男女が年間8千人、徴兵される。また、上陸部隊がスカンジナビア最大の港、ゴーテンブルグ(筆者:ヨーテボリGöteborgの事と思われる.英語ではGothenburg;ゴセンバーグ)に再び置かれることになる。民間防衛では、サイバーセキュリティ、電力網、および保健の分野のために、より多くの資金が投じられるだろう。参照記事 図の参照記事(一部筆者編集)、、、中国も最近、実戦(戦争)を想定し軍事予算の大幅強化を行なった。記事では、ロシアが近隣国への脅威を高める意図が不明だと書いているが、筆者の個人的見方だが、中露のように国民向けの予算より軍事予算が急増するとき、その理由として外敵の脅威を理由にせざるを得ないからではないのか?こうすることで、国内の反政府デモや軍部の不満を反らしているとしか理解できない。徴兵制を敷く側もまた、同じような理由を掲げている。陸続きでない日本では、ミサイル防衛や海軍力、サイバーセキュリティの強化が決定事項となっている。』

威嚇に懸ける、中国爆撃機の性能と限界

威嚇に懸ける、中国爆撃機の性能と限界
太平洋に進出すればただの「標的」を必要以上に恐れるな
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/62209

 ※ 紹介、引用、転載に問題がある場合は、Word Press.comの方に連絡してください。

『爆撃機は、大型の機体であり、大量の爆弾を搭載して飛来し、その爆弾を落とす恐ろしい兵器だというイメージが強い。

 米空軍爆撃機が第2次世界大戦で、日本やドイツを爆撃した時やベトナム戦争で北ベトナムを爆撃した時の映像が頭に残っているからだろう。

 そのため、中国の爆撃機が西沙諸島に配備されたり、南西諸島の宮古海峡を越えて西太平洋に進出したり、台湾の防空識別圏に侵入したりしたことを写真つきでメディアに取り上げられると、国民は大きな衝撃を受ける。

 戦時であれば、中露の爆撃機は、相手国に接近するだけで撃墜されるだろう。

 しかし、平時には撃墜される恐れがないため、あからさまに接近して威圧する行動に出ることがある。

 メディアは、これらのことを「爆撃機の脅威」という文字で表わすことが多い。これを見た国民が不安や恐れを抱くことがある。

 このため、過剰な不安や恐れを抱かないために、これらが現実的に生起することなのか、脅しのために見せつける行動なのかを区別して理解する必要がある。

 現在の爆撃機の運用は、過去のイメージを変えている。

 図体がでかく飛行速度も遅い爆撃機は、防空ミサイルや戦闘機から容易に撃墜される。

 そこで爆撃機は、防空ミサイルの射撃を避けて、防空ミサイルの射程外(アウトレンジ)から大型で長射程のミサイルを撃ち込むように変更している。

近年では、射程を延伸して敵の戦闘機や艦艇のミサイルの範囲外、つまり友軍の掩護を受けた空域からミサイルを発射する能力を持つ。

 米空軍の「B2」ステルス爆撃機だけは、防空レーダーに映らないために、敵国の内陸部まで侵入し、約14トンもの超大型貫通爆弾を撃ち込むことができる。

 当然、長射程のミサイルも使用できる。

 中国空軍は、まだステルス爆撃機を保有していないので、友軍から掩護された空域から長射程のミサイルを撃ち込む戦略を採用せざるを得ない。

 では、中国空軍爆撃機の脅威とは、どのようなものなのか。

 特に中国本土や南シナ海の西沙諸島に展開する爆撃機が、日本、台湾、南シナ海を取り囲む国々およびグアム島に対してはどうかなどを分析し解説する。

旧式爆撃機の改良にとどまっている現実
 中国空軍は1994年頃、「H-5」爆撃機(旧ソ連名「Iℓ-28ビーグル」)を350機、「H-6」爆撃機(旧ソ連名「Tu-16バジャー」)を中国国内でライセンス生産し約120機を保有していた。

 2020年現在では、H-5爆撃機は、すでにすべて廃棄し、H-6爆撃機を約180機保有している。

 H-5爆撃機を使用しているのは現在、世界でも北朝鮮に80機あるだけだ。他の国では、軍事博物館に飾ってある。

 H-6爆撃機は、ロシアでは1993~94年頃には、旧式であることを理由に破棄された。ロシアが、この型の爆撃機を6機廃棄してから、約25年以上も経過している。

中国のH-6爆撃機でもかなり旧式であることから、「Tu-22M」超音速爆撃機(バックファイア)をロシアから導入しようとしたが、何らかの理由で、実現しなかった。

 2017年にTu-22M×1機が国際行事のために、中国の長春を訪問した。売買交渉が続いているのかもしれない。

 超音速爆撃機を導入できないためか、中国はロシアが廃棄したTu-16爆撃機を新たにH-5爆撃機として製造している。

 長射程のミサイル、特に、約2000キロの巡航ミサイルや約1500キロの弾道ミサイルを搭載し、長い槍で日米や周辺諸国を衝く空・海軍戦略を考えているようだ。

 中国空軍は、射程40キロの巡航ミサイルや射程250キロの対艦ミサイル搭載の「H/M型」を60機、長射程巡航ミサイル(射程1500~2000キロの「長剣-10」:「CJ-10A」)搭載のK型を100機、射程1500キロの「DF-21D」対艦弾道ミサイル搭載のN型を4機以上保有している。

 中国海軍は、射程約250キロの空対艦ミサイル「YJ-83A」を装備したG型を27機、射程400キロの超音速対艦巡航ミサイル「YJ-12」や射程250キロの対艦弾道ミサイル「CM-401」を搭載可能なJ型を8機保有している。

中国爆撃機はグアム島まで攻撃可能か
 中国沿岸部や南シナ海の西沙諸島からグアム島まで4000~5000キロである。

 H-6爆撃機は、戦闘行動半径3500キロと長射程巡航ミサイルの射程2000キロをプラスすれば、計算上は、空対空のミサイルがグアム島まで到達できる(図1参照)。

だが戦時ではどうなのか。

 H-6爆撃機は、最大速度が時速1050キロである。Tu-22M爆撃機は時速約2300キロ、「Su-27」戦闘機が2500キロであり、それらと比べると半分以下だ。

 大型で飛行速度が遅い爆撃機は、防空ミサイルの標的になる。

 遅い速度で、戦闘機の防空掩護なく、あるいは、あったとしても空中給油を受ける戦闘機だけの防空掩護で、南西諸島やフィリピンと台湾間のバシー海峡を通過して、3500キロを移動すれば、米空母の戦闘機や米海軍イージス艦の防空ミサイルに容易に撃墜されてしまう。

 日本が南西諸島に配備する防空ミサイルが残存していれば、そこを越えて飛行することはできないであろう。

 戦時では、図体がでかくのろまな航空機がミサイルの射程圏内に入って来れば、容易に撃墜される。

 同様に随伴する空中給油機も戦闘機も同じ速度で飛行するので、同様であろう。

 これは、自殺行為である。

 おとりために出て来る以外、戦時、みすみすやられるために西太平洋に出て来ることは有り得ない。

 では、中国爆撃機はどうするか。

 爆撃機は、撃墜されないために、中国の沿岸部から発進して上空に上がっても、Su-27戦闘機から掩護される空域から出ることはないであろう。

 そうなると、Su-27戦闘機の戦闘行動半径以内、おおよそ南西諸島のライン付近からは出られない。

 この範囲から、長射程巡航ミサイルが届く範囲の目標は攻撃できるが、それよりも遠方にあるグアムを攻撃できないことになる(図2参照)。

東シナ海での威嚇飛行の狙いは
 H-6爆撃機は、次の3つのパターンで飛行すると考えられる。

①沖縄本島と宮古島の間の宮古海峡を越えて、西太平洋に進出して中国に戻る。

②宮古海峡を越えて台湾の東に接近する。

③対馬海峡を越えて、日本海に進出する。

 この時、爆撃機を支援する戦闘機が、南西諸島まで掩護して随伴飛行をする。つまり、戦闘機の戦闘行動半径付近までは、戦闘機が爆撃機を掩護する。

 爆撃機のパイロットは、戦闘機の掩護がなければ、単独では行動できないことを知っている。

 爆撃機は、援護がなくなってから延々と単独飛行をして、爆撃機の戦闘行動半径の3500キロを飛行しているのかというとそうではない。

 西太平洋への単独飛行はせいぜい100キロ程度だ。台湾方面へは、単なる威嚇飛行であり、撃墜される可能性はないことを承知で、約300キロ単独飛行をしている。

 戦時の戦闘行動では、まず、南西諸島に配備されている防空ミサイルシステムを完全に破壊しない限り、南西諸島を通過して、西太平洋に出ることは不可能である。

 平時では、国際海峡の上空を通過するだけでは、その航空機を撃墜することはできないので、中国の爆撃機は日本や台湾を威嚇するために、堂々と飛行しているのだ。

 戦時には、中国爆撃機がこのような行動を取れば、直ちに撃墜されることになるであろう。

では、台湾有事になれば、日本はどうすべきなのか。

 日本は、中国軍機の行動を、見て見ぬふりをして沈黙するのではなく、南西諸島一帯での、中国軍機の飛行を禁止することを世界に宣言すべきである。

図3 平成28年9月25日中国軍機の行動概要

出典:防衛省統合幕僚監部プレスリリースに筆者コメント
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図4 平成28年12月10日中国軍機の行動概要

出典:防衛省統合幕僚監部プレスリリースに筆者コメント
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西沙諸島への爆撃機展開の狙い
 まず、中国による南シナ海の占拠の違法性についてである。

 南シナ海において一方的な海洋権限を主張する中国に対し、2016年、オランダのハーグに設置された南シナ海仲裁裁判所は、中国の主張を全面的に否定する裁定を下した。

 つまり、中国は南シナ海を不法に占拠しているのである。

 中国軍用機専門ブログ「CMA」は8月、中国人民解放軍海軍が、南シナ海のウッディー島(中国名・永興島)にH-6J×1機を展開したと伝え、関連写真を公開した。

 展開という表現は、一時的に着陸して短い期間滞在したものか、長期間の配備なのかを判断しなければならない。

 長期間の配備の可能性について検討すると、爆撃機を西沙諸島の永興島に長期間実戦的に配備するのであれば、この爆撃機を守るために、南沙方面の人工島に戦闘機を数十機配備しなければならなくなる。

 戦闘機の掩護の配備がなくて、爆撃機を配備することは、自滅行為に等しい。米海軍の艦対地ミサイルに簡単に破壊される恐れがあるからだ。

 よって、永興島への一時的で短時間の展開であったと見るべきであろう。では、その狙いは何か。

 中国による南シナ海領有の既成事実化であり、周辺諸国への軍事的恫喝である。

 実戦で、この爆撃機が周辺諸国に使用できるのかというと、米海軍が存在し、あるいは周辺諸国が防空ミサイル装備の艦艇を保有していれば、その行動は大きく制限されるであろう。

中国軍爆撃機の真の脅威とは
 中露の大型の爆撃機が、現実にわが国の周辺に接近飛行し、時には領空侵犯を行う。

 かつて、米ソ冷戦時代、旧ソ連空軍遠距離航空隊の爆撃機が日本に接近し、航空自衛隊のレーダーサイトを明らかに攻撃する航跡を取ったことが何度もあった。

 最近では、中露の爆撃機が東シナ海から日本海にかけて共同訓練を行った。

 中国の爆撃機が、台湾を威嚇する飛行も行い、南シナ海では、西沙諸島の永興島に一時的に展開し、周辺諸国を威圧し、領有の既成事実化を図っている。

 中国の習近平国家主席は、中国が保有する兵器を防衛的なものと言う。だが、これらの兵器の保有と行動は、中国が意図的に行っているものであり、極めて威圧的である。

「遼寧」などの大型空母、長射程のミサイルを搭載した爆撃機、大量の弾道ミサイルは、周辺国を脅かす兵器だ。

 だが、これらの兵器や行動を恐れるだけではいけない。存在自体に、また、白紙的な計算で攻撃される恐れがあるからといってむやみに恐れてはいけない。

 その兵器の実態、具体的には戦闘における強さ、運用の限度、弱点を知って、勝てる対策を講じることが必要である。

 戦闘の場面を考察し、どのような脅威があるのかを知っておくべきだ。

 ただむやみに恐れることは、中国の威圧的な宣伝戦に踊らされることである。

 これらは、防衛担当者や軍事専門家だけが、知っておけば良いものではない。日本国民全体が、メディアが、中国の宣伝戦に揺さぶられて、右往左往しないことだ。

 国を守るということは、国民が軍事力について恐怖を感じるのではなく、具体的な知識を持つことであり、そして防衛兵器を保有し、防衛政策に生かすということであろう。』

〔兵頭二十八氏のサイトからの情報〕

https://st2019.site/?cat=2

『陸自が発足するとき、情報部をつくることがゆるされなかった。米国のさしがねで。
 作戦、情報、兵站、人事の四大機能のうち、ひとつがなかったのだ。
 この大穴が、いまだに、埋まっていない。』

 ※ まあ、「自衛隊」というのは、そういう組織…。日本国というのは、そういう国家…。
 そういう体たらくなのに、「ファイブアイズに参加する…。」とか言っているわけだよ…。

緊急地震速報発表も体に感じる揺れ観測されず 気象庁 原因調査

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200730/k10012540411000.html?utm_int=news_contents_news-main_003

 ※ これも、「しわざ」くさい事件だ…。
 「しわざ」だとしたら、こっちの方が深刻だ…。
 日本社会の隅々に、「工…」が入り込んで、細工している…、という話しだからな…。
 それは、「機器の納入業者」「プログラミングを請け負った業者」なんかにも及ぶ…。
 
 そういう「社会」なんだ…。
 そういうことを前提に、自分の身を守っていくより他は無い…。

※ 人は、否応なしに、「世界情勢」に巻き込まれて行く…。

※ そして、そのことは、「日々の日常生活への影響」という点では、「消費税増税」なんかよりも、何倍も何十倍も、影響が大きいことがある…。

※ だから、常にアンテナを張り巡らせて、自分及び自分の家族の身に「災いが及ぶこと」を、少しでも回避することを考えておく必要があるんだ…。

福島 郡山で爆発音と通報 建物に被害 少なくとも11人けが 消防

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200730/k10012540391000.html

 ※ もう、始まっている…。
 そういうことへの、感度が鈍すぎる…。
 何故安倍さんが、公安関係の当局者と、頻繁に面談しているんだ…。
 ちょっと、考えれば分かるだろう…。
 自分の身は、自分で守るしか無いんだ…。
 感度の鈍いヤツは、生き残っていけない…。

『福島県の郡山消防本部によりますと30日午前9時前、福島県郡山市の島2丁目付近で、爆発音がしたと通りがかった人から通報がありました。少なくとも11人がけがをしていて、順次、病院に搬送しているということです。

11人のうち2人は自力で歩けない状態だということです。

意識があるかなどについては分かっていません。

また、近くに支店がある福島市に本店がある東邦銀行によりますと、銀行員2人とATMを利用していた客2人のあわせて4人がけがをしたということです。

支店は爆発の影響で店内が壊れ、営業できない状態になっているということで、銀行員と客は店の外に避難しているということです。

また銀行によりますと爆発があったのは近くの飲食店とみられるということです。郡山消防本部は救急車など12台を出して、けが人を病院に搬送しているほか、警察と消防が現場の状況を詳しく調べています。

「地震のような揺れと爆発音」
爆発音がした現場近くとみられる、郡山市島1丁目にあるガソリンスタンドの従業員は「午前9時前くらいに地震のような揺れとドンという大きな爆発音があり、道路上などにガラスが散乱していた。その後、消防が来て『ガスが漏れているので、近づかないでほしい』と言われた」と話していました。
午前9時半前にNHKが撮影した福島県郡山市の現場の映像では、爆発が起きたとみられる建物は外壁などがなくなり鉄骨の骨組みだけになっています。建物の周りには爆発で吹き飛んだとみられるがれきが散乱しています。

また周囲の住宅やビルも壁に穴があいたり、窓ガラスが割れたりしているのが確認できます。』

陸上自衛隊トップ、辞任覚悟の出動命令

陸上自衛隊トップ、辞任覚悟の出動命令
東日本大震災の発災からわずか30分で下した決断(2018年3月8日)
https://business.nikkei.com/article/interview/20150302/278140/022300001/?P=1

 ※ 白眉は、「火箱さんはこれだけの“作戦”をわずか30分で決めたのですね。事前に予感があってシミュレーションをしていたのですか。
火箱:いえ、そんなことはありません。会議をしていた11階の次官室から4階の自室に向かうため、階段を駆け下りながら考えました。エレベーターはとまっていましたから。」という部分だ…。


 その短い時間の間に(階段を駆け下りながら)、「使える戦力・部隊」と、「あり得る敵の侵攻」と「それに備えるべき戦力・部隊」、そして「兵站を担うべき戦力・部隊」…。そういうものを、一瞬のうちに弾き出す頭脳…。そして、「辞任(腹切り)」覚悟で「実行して行く」胆力…。
 そういう人材が、指揮官じゃ無いと、「いざという時」には役に立たない…。
 もちろん、「それができる」と判断されているからこそ、そういう「役職」に就いているわけだが…。
 
 どんな人でも、社会や組織においては、何らかの「役割」を振られていて、「いざという時」は「適切に行動すること」が期待されている…。
 構成員の全てが、「誰かが、やってくれる。」「自分以外の誰かが、やってくれるはず。」と思っていたら、そういう「社会」「組織」は機能するのか?「いざという時」に役に立つのか?
 
 どんな人でも、「いざという時」に備えるべく、頭脳と胆力を鍛錬しておくべきだと、思うぞ…。

 ちょっと長いが、全文を引用させていただきます…。
 
『2011年3月11日、午後2時46分。三陸沖を震源とする大地震が日本を襲いました。死者約1万6000人、負傷者約6000人、行方不明者約2600人(2011年9月11日時点)に及ぶ大惨事に発展した。

 こうした中、自衛隊は「10万人体制」を展開。約1万9000人を救助しました。救助された約2万8000人(2011年3月20日時点)の7割に相当します。これは、自衛隊が発災から72時間で3万人近い部隊を現地に集めたことが効を奏したから。その背後には、火箱さんが辞任を覚悟で決めた「即動」が大きな役割を果たしました。

火箱:当時、私は陸上自衛隊(以下、陸自)で幕僚長(以下、陸幕長)*を務めていました。救助部隊を少しでも早く現場に急行させるため各部隊に出動を命じました。災害に遭った人の生存確率が高いのは発生から72時間と言われています。危機的瞬間には手続きの万全さより迅速・実効性ある行動が勝ると思い、この間に大量の部隊を送り込むことが最も大事と考えました。
*:陸上自衛隊における制服組トップ。

火箱 芳文(ひばこ・よしふみ)
陸上自衛隊・元幕僚長。1951年生まれ。1974年に防衛大学校を卒業し、陸上自衛隊に入隊。第1空挺団長、第10師団長、中部方面総監を経て陸幕長に。2011年に退官。現在は三菱重工業で顧問を務める(写真:加藤 康)
でも、陸幕長は部隊の指揮権を持っていないのでは。

火箱:おっしゃるとおり、陸幕長は陸上自衛隊の部隊を指揮する権限を持ってはいません。自衛隊の部隊を指揮するトップは統合幕僚長(以下、統幕長)です。統幕長は、東北地方をカバーする東北方面隊の総監など、陸自に5人いる方面総監に命令を発する。陸幕長の役割は兵站、人事、教育、防衛力整備を司り、フォースプロバイダーとして統幕長の命令に応じて措置することです。

 ちなみに、統幕長は海上自衛隊では自衛艦隊司令官に、航空自衛隊では航空総隊司令官に発令します。

 また災害派遣時は原則的には、都道府県知事からの要請を受けて出動します。ただし、緊急時には自主的に防衛大臣から統幕長に災害出動命令を発することができます。しかし、それを待つこともしませんでした。

 午後3時前という時間のことを考えました。3月ですから、すぐに暗くなります。それに、いったん隊員が帰宅してしまうと、再び召集するにはさらに時間がかかる。』
『しかし、統幕長からの命令を待っていては、救える命が救えなくなってしまうかもしれません。「どの連隊が出動可能か」「どれだけ出せるか」といった確認のやりとりを陸自、海自、空自のそれぞれとして調整する必要があるからです。

 私がとった行動は「越権行為」「超法規措置」として処分されてもしかたありません。頭の片隅で辞任の弁まで考えました。「大臣からお叱りを受けるならば、大臣を補佐する幕僚としては失格です」と。しかし、先ほど申し上げた理由から、私の一存で部隊を現場に出すことを決めました。

阪神・淡路大震災の言われなき批判をそそぐ
なぜ、そのような決断ができたのですか。

火箱:一つは、1995年に起きた阪神・淡路大震災での苦い経験です。「自衛隊が現場に到着するのが遅かった」と批判を受けました。我々としては「言われなき批判」なのですが、我慢するしかなかった。

言われなき批判とは。

火箱:当時は、災害が起きても、都道府県知事からの要請がなければ部隊を派遣してはならない、とされていました。当時、第3師団はすぐに姫路や福知山の部隊などを神戸に向かわせていました。しかし、要請がないので神戸に入ることはできず、手前で待機することになった。そうこうするうちに道路は渋滞し、要請が出た時には動きが取れない状況に陥っていたのです。

 もう1つは能登半島地震の経験です。2007年3月25日に、能登半島を震度6の地震が襲いました。私は当時、能登半島をカバーする第10師団(名古屋市守山)の師団長。異動が決まって自宅で荷物を整理していると、家が大きく揺れた。とっさに「震源が近ければよいが、震源が遠ければ、現地は大変なことになっている」と考えました。

 自衛隊では震度5弱以上の地震が起きるとカメラを積んだヘリコプターが情報収集のため自動的に飛び立ちライブで映像を送るようになっています。よって震度5を超える地震は非常に大きな地震なのです。それが震度6。大きな被害が起きているのは間違いありません。

 すぐに走って駐屯地に行き、金沢の連隊を出動させました。金沢の連隊長もたまたま異動が決っており、翌日には離任式が予定されていたのですが、「離任式などない。すぐに出ろ」と命じました。

 間髪入れずに出動した偵察隊が、走行できない道の情報などをいち早く的確に伝えてくれたので、無駄な動きをすることなく救助に向かうことができました。

 この時の命令は師団長としての正規なものです。阪神・淡路大震災の教訓から自主派遣が可能になりました。』
『わずか30分で決めた部隊配置
東日本大震災に臨んで、部隊をどのように配置したのですか。

火箱:最初に連絡したのは東北方面隊です。状況を確認し直ちに出動を命じました。

次いで九州を担当する西部方面隊です。東北までの移動に最も時間がかかりますから。福岡にいる第4師団を出動させるよう指示しました(表)。ただし、北熊本の第8師団と沖縄・那覇に駐屯する第15旅団は動かさなかった。大災害が起きた非常時であっても、尖閣をはじめとする南西諸島への備えを疎かにはできません。第8師団は第15旅団の後詰めとして欠かせない存在です。
*:「師団」は陸自における作戦部隊の基本単位。中に、普通科、特科、機甲科や兵站部隊から構成される。「旅団」は師団の小規模なもの
 次に、東海・北陸・近畿・中国・四国を担当する中部方面隊(兵庫・伊丹)に連絡しました。中部からは第10師団(愛知・守山)を現場に投入する一方で、第3師団(兵庫・千僧)には残留を、第13旅団(広島・海田市)と第14旅団(香川・善通寺)には待機を命じました。

 第3師団は第10師団が抜けた穴を埋めるのに欠かせません。大都市・大阪が管轄内にあるし、北陸の原発を警戒する必要もあります。第13旅団は、日本海方面で北朝鮮が動いた場合に備えるため、第14旅団は四国で連動型南海地震が起きた場合に備えるためです。』
『北海道の北部方面隊からは旭川の第2師団と第1特科団等直轄部隊、東千歳の第7師団の一部を現場に送り、第5師団は帯広で待機、第11旅団は真駒内に残しました。

 第7師団は機甲部隊*で災害派遣には向かないので、隊員だけを出動させました。
*:戦車などを中心とする部隊
 第5師団を待機させたのは、震源地が三陸沖であることを考えると、釧路・帯広に影響して津波が襲う懸念があったからです。第11師団は中心都市・札幌を守ると共に、第2師団の留守をカバーするため。

被災地を視察する火箱芳文陸幕長(当時)(写真=陸上自衛隊幕僚監部)
 関東甲信越を担当する東部方面隊からは第12旅団(群馬・相馬原)を派遣しました。中心をなす第1師団(東京・朝霞)は動かしづらい。首都・東京の防衛を疎かにするわけにはいきません。加えて、茨城と千葉は被災している。なので、関東以西から駆けつける他の部隊の兵站を担うよう命じました。

 普通科連隊だけでなく、福岡・小郡の第5施設団をはじめとする施設団も派遣しました。廃材を撤去するための重機を持っているし、道路補修もできる。彼らが保有しているボートは水上から救出もでき、川に並べれば橋を仮設することもできます。

 一連の指示は作戦基本部隊である師団もしくは旅団の単位で行いました。現場を偵察して、即、行動に移すことができるからです。師団には情報部隊や飛行隊があります。彼らがどこにどんな支援が必要かの情報を集め、各連隊が実行する。連隊単位で動かすと、連隊は飛行機を持っていないので、十分な情報を集めることができない可能性があります。

 一連の指示の甲斐があって、72時間後には3万人の部隊が被災地で活動していました。

火箱さんはこれだけの“作戦”をわずか30分で決めたのですね。事前に予感があってシミュレーションをしていたのですか。

火箱:いえ、そんなことはありません。会議をしていた11階の次官室から4階の自室に向かうため、階段を駆け下りながら考えました。エレベーターはとまっていましたから。』
『兵站で力を発揮した民の力
兵站の面では民間企業が協力してくれましたね。

火箱:そうですね。

 北海道に居る北部方面隊が東北に駆けつけるには海を渡る必要があります。「船は自分がなんとかする。小樽でも苫小牧でも、港に部隊を集結させておけ」と北部方面隊の総監に命じ、海自の杉本正彦・海上幕僚長(当時)に北部方面隊を輸送艦で運んでくれるよう依頼しました。

 しかし、不運なことに輸送艦は1隻は海外、2隻は修理のためドックに入っており出航に2日かかるという。これでは72時間に間に合いません。結局、新日本海フェリー、商船三井フェリー、太平洋フェリーの協力を得て運んでもらいました。

 陸上では日本通運の協力を得ました。自衛隊の部隊内の兵站は自分たちで賄うことができます。しかし、避難者も支援しなければならない。しかも、その数は30数万に上りました。避難者の支援は本来、自衛隊の役割ではありませんが、放り出すわけにはいきません。せっかく救助しても、避難所で飢えたり凍えたりするようでは元も子もありませんから。

 そこで陸・海・空自衛隊で「民生支援物資輸送」の仕組みを作り、陸上輸送は日本通運に避難者向けの物資輸送を依頼しました。岩手・宮城・福島にある同社の倉庫を借り、そこまで物資を運んでもらう。その先の輸送は陸自が担当しました。

 日通のトラックには帰りのガソリンを現物で渡しました。実はこの前に、政府が食料と油を整えて被災地に送ろうとしたのですが、トラック協会は送れないとしていました。往きはよいが、帰りのガソリンを調達できないからです。日通との協力ではこの点を解決しました。

 先ほど説明した施設団はこうした支援物資を運ぶトラックが行き来するための道を切り開くのに活躍しました。

シャワーの水をちょろちょろ出しつつご遺体をお清め
震災から1週間たった3月19日から、火箱さんは現場への視察に出ました。現場はどういう状況だったのですか。

被災地を視察する火箱芳文陸幕長(当時)(写真=陸上自衛隊幕僚監部)
火箱:海岸線は瓦礫の山。三陸のすべての海岸はまるで艦砲射撃を受けた後のように茶色に染まっていました。私はそれまでにイラクとアフガニスタンの戦場の映像を見たことがありました。しかし、あの時の東北の状況が最もひどかった。

 そんな中でも陸自の各部隊は頑張ってくれました。

陸幕長の目から見て、高く評価できる動きはありましたか。

火箱:どの部隊も本当によくやってくれました。本当に頭の下がる思いです。視察中に気になったことをお話します。第10師団でのことです。ご遺体の処置の仕方です。

 隊員がご遺体をみつけると、まず警察官に通報する。警察官が検死をして事件性がないことを確認した後、遺体安置所に搬送します。第10師団の隊員たちは、警察官がご遺体にひしゃくで水をかけるだけでまだ泥だらけのまま検死を済ませる中、師団長の指示で化学防護隊が保有するシャワーセットを使って泥やヘドロを落としていました。ご遺体が傷み始めると、勢いよくシャワーをかけると壊れてしまいます。なので、水圧を弱め、ちょろちょろ水を出しながらお清めしてご遺体を丁寧に収納していました。

 こうした姿勢の違いから第10師団の第35普通科連隊は警察と一悶着起こすことがありました。熱心な隊員たちは警察が引き上げた後も懐中電灯を持って捜索を続けていました。その途中で一人のご遺体を発見した。検死はできない。しかし、その場に放置するのは忍びない。そこでご遺体を移動し仮安置しました。これに対して警察から「なぜ動かしたのか」と問い詰められたのです。法律を執行する上で彼らの主張は正しい。しかし、場合が場合です。話を聞いて「お互い協力し合うべき立場なのでそんなこと言うなよ」という気持ちになりました。

 この時は、地元・宮城県名取市の市長さんが「逮捕するなら私を逮捕してください」と言って取りなしてくれました。

 福島県相馬市で活動した第13旅団も、被災した皆さんの気持ちをよくくみ取るとともに、地元自治体との調整をうまく進めました。彼らの行方不明者捜索は徹底していました。冠水した担当地域の水を抜き、すべての瓦礫を撤去した上で、行方不明者を探す。瓦礫が残った状態では、家族の方は「その下に埋まっているかもしれない」という懸念をぬぐい去ることができません。なので、奇麗にした状態で捜索をし、その範囲に行方不明者はいないことを地元の区長さんに確認してもらった。

行方不明者の捜索に取り組む第13旅団の第17普通科連隊(写真=陸上自衛隊幕僚監部)
 災害派遣において撤収は最も難しい仕事です。それを第13旅団は見事な撤収を果たしました。家族がみつかっていない被災民の方は自衛隊に帰ってほしくないのです。我々も助けたい。しかし自衛隊にはほかの任務もあります。新たな災害が発生したらどうするか。外敵が攻撃してきたらどうするか。テロが起きたらどうするか。緊急性、非代替性、公共性を軸に判断し、自衛隊でないとできないことを優先せざるを得ません。どこかで区切りをつけなければならない。

 ある被災地ではご遺体の埋葬を依頼されることがありました。穴を掘って埋めてほしいと。ご遺体は徐々に傷んできますから。しかし、これは厚生労働省の管轄なので、当時の厚労相から各自治体に自衛隊に依頼しないよう通知してもらいました。それでも被災地の現場は手がないので自衛隊に頼んでくる。自衛隊の使命は緊急性の観点から、行方不明者を捜索して家族の元に返すのが優先事項であることを説明しました。』
『幼な子を抱いた母親のご遺体が…
 各隊員のレベルで見ても頭が下がる行動がたくさんありました。3月の東北の水は氷のように冷たい。それでも腰まで水につかり、行方不明者を手作業で探す者。自分の食事を被災者に差し出す者。みな泥だらけ、汗まみれ。それでも風呂には入れない。着替えすらできません。夜はごろ寝です。

行方不明者の捜索に当たる第1空挺団(写真=陸上自衛隊幕僚監部)
 こうした環境ですから、隊員の健康には心と体の両面で注意を払いました。毎日、幾つものご遺体を目にするのです。中には、幼な子を抱いたまま亡くなった母親の遺体もある。

 宮城県石巻市の大川小学校では、ランドセルが隊員の目に入った。「ここか!」と思いヘドロをかき分けて捜索すると、子供さんの遺体が上がってくる。そうした光景が自分の家族と重なる。その悲しみがどんどん心の中にたまっていく。

 なので、隊員たちに気持ちを吐き出すよう勧めました。夜、班長を中心に車座になって、その日にあった出来事を話す。ある時はみなで祈る。ある時はみなで泣く。それだけでも気持ちが変わります。

 自衛官がいくら身体を鍛えていても肉体的に疲労します。それに食事はずっとパック飯と缶詰ですませていました。自衛隊は野外でも炊き出しの機能を持っていますが、野外炊事車はみな被災者に提供しました。そうすると、ビタミンが欠乏するのでしょう。口の中に吹き出物ができる隊員が多く出ました。「きゅうりを1本食わしてやりたい」と思いましたが、なかなかかないません。できぬこととは知りながら、衛生部長に「日本中のビタミン剤を全部集めて送ってやれ」と叫んだことがありました。

 隊員から配慮のなさを指摘されることがありました。食事が不足しないよう送った様々なものの中に、赤飯の缶詰があったのです。担当者は赤飯の方が腹もちがよいと思い良かれと思って送ったのだと思います。しかし、先ほどお話ししたように、現場は毎日ご遺体に接し心を痛める状態です。「こんなもん食えるか!」と怒りの連絡が入りました。「申し訳なかった」というしかありませんでした。

 現場はそんな中にあっても様々な工夫を凝らして対処してくれた。ある時、「金魚鉢を送ってくれ」とのリクエストがありました。

行方不明者を捜索するのに金魚鉢が役に立つのですか。

火箱:冠水した地域はボートに乗って捜索をします。その時に金魚鉢を水面につければ、ボートの上から水中をのぞくことができる。

 胴長の足の底に鉄板を入れるというアイデアもありました。胴長を履いて水中を捜索していると瓦礫の中の釘を踏むことがあるので。胴長自体も釘でずたずたになる。なので、業者に頼んで胴長に細工をしてもらいました。

 線香と塩を送ってほしいという依頼もありました。ご遺体をみつければ、手を合せ、お悔やみを言いたくなるのが人情です。その時に使う。』
『人が足りない
陸自のトップとして震災を経験されて、気付かれた課題は何でしょう。

火箱:やはり人が足りないことです。師団はかつては3~4個の単位で編成されていました。これなら2~3個の部隊が活動している時に、1~2個の部隊は休憩することができます。しかし、今は人が居らず、部隊単位が減らされ非常に窮屈な編成になっています。交代すらままならない。人の数が減れば、それに応じて車両も武器も減ることになる。

 第2は陸上総隊がなかったことです。総隊司令部ができると5つある方面隊を運用統制できます。私が震災の時に果たしたのは、実質的に陸上総隊司令官の役割でした。空自は既に北部・中部・西部の3つの航空方面隊と南西航空混成団を一人の総隊司令官が指揮できるようになっています。

 第3は統合任務部隊の運用です。陸海空の3つの自衛隊を統合的に運用するため、JTF(ジョイント・タスク・フォース)という仕組みを作りました。JTF東北の司令官は陸自の君塚栄治・東北方面総監で、彼の下に海自の横須賀地方総監と空自の航空総隊指令官が加わる形を取りました。ただ、君塚総監の元に実際に居たのは海自と空自の連絡将校(リエゾン・オフィサー)で、彼らが指示をそれぞれの上司に伝えていました。

 これでは密な統合はできない。やはり、陸自・海自・空自それぞれの状況をよく分かっていて、実際に部隊に指示できる幕僚をJTFの司令部に出すようにしないといけません。

 ただし、この時の教訓が生かされ、この3月に陸上総隊が新編されます。

第一空挺団で活躍した(写真=陸上自衛隊幕僚監部)

私も先輩から多くを学びました。第一空挺団の中隊長になった時、1985年に起きた日航機墜落事故(御巣高山)の時の経験を前任者から聞いたことがあります。たまたま部隊のマラソン大会があり部隊が集結していたため、即動につながった。第一空挺団はこの後、必ず一つの中隊を初動部隊として待機させるようになりました。

 東日本大震災での経験も語り継ぎ、後輩たちに残していくことが大事だと思っています。』

「令和2年版防衛白書」、出た…。

令和2年版防衛白書
https://www.mod.go.jp/j/publication/wp/index.html

 ※ しかしだ、相変わらず「読みにくい」…。
 .pdfなのは、やむを得ないよ…。Webと印刷用と、兼用だからな…。
 しかし、そのWeb版(.html版)の「目次」は、どうなんだ…。使いものになるのか?。
 .htmlのいいところは、「リンク」をたどって行くと、大体の内容の「大枠」は把握できるところだ…。「第〇章 第〇節」とか、羅列されても、内容がさっぱり分からんだろう? かと言って、.pdf版の方の「目次」には、「リンク機能」が無い…、と来てる…。
 これじゃあ、読もうとするのは、研究者、ジャーナリストなんかの「センセイ方」に限られてしまう…。素人、一般人で「読んでみよう。」とか思うのは、オレみたいな、よっぽどのヒマ人かつ酔狂モンだけのこったろうよ…。
 まあ、「素人、一般人」には、読ませたくは無いんだろうな…。ヘタすると、「餌食」になるだけだからな…。
 なにしろ、「コロナの世界的な流行が始まりかけていて、この先どういう手を打つのか」という事態を前にして、「それは、それとして、「桜の会」の問題を質問します…。」とかやっていたヤカラが相手だからな…。自ら、そのエサを提供したくは、無いわけだ…。

「コロナで影響力拡大」 防衛白書、中国を警戒

「コロナで影響力拡大」 防衛白書、中国を警戒
尖閣での領海侵入「執拗」
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO61476690U0A710C2MM0000/

『河野太郎防衛相は14日の閣議で2020年版防衛白書を報告した。中国の活動に触れながら新型コロナウイルス問題を機に「自らに有利な国際秩序の形成や影響力の拡大」を目指す動きがあると警戒感を示した。

コロナ対応を巡り中国が「感染拡大に伴う社会不安や混乱を契機に、偽情報の流布を含む宣伝工作もしている」と指摘した。各国の軍事活動に影響し「国家間の戦略的競争を顕在化させ得る」と分析した。

沖縄県尖閣諸島周辺での領海侵入は「現状変更の試みを執拗に継続している」と批判した。従来の防衛白書になかった「執拗」との表現を初めて使った。中国の軍拡は「安全保障上の強い懸念」だと強調した。

北朝鮮については19年5月以降に発射した新型ミサイルが低空で飛来すると説明し「ミサイル防衛網の突破を企図している」と分析した。発射兆候の把握や迎撃が難しくなっており、多様な攻撃への対応が「課題」だと訴えた。

地上配備型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」については配備計画を断念した経緯を記した。代替策は国家安全保障会議(NSC)の議論を踏まえて検討するとの説明にとどめた。

抑止力の強化に向けて「新しい方向性を打ち出す」という安倍晋三首相が6月の記者会見で表明した方針を明記した。

20年から開始したシーレーン(海上交通路)の安全確保を目的とする自衛隊の中東派遣の概要も盛り込んだ。イランを含む中東各国から「理解を得ることが重要だ」として説明に取り組んでいることを強調した。

米国以外の国・地域との安全保障協力に関する章で、韓国の記載順はオーストラリア、インド、東南アジア諸国連合(ASEAN)に続く4番目だった。従来の2番目から引き下げた19年版の記載順を踏襲した。』

地上イージスの代替案検討 政府、敵基地攻撃も議論へ

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO60734420U0A620C2EA2000/

『政府は24日、国家安全保障会議(NSC)を開き、地上配備型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」の配備計画の停止を確認した。代替となるミサイル防衛の検討に入る。攻撃を受ける前に相手の拠点をたたく敵基地攻撃能力の保有の是非に関しても、政府で議論する見通しだ。

安倍晋三首相も出席して首相官邸でNSC4大臣会合を開いた。河野太郎防衛相が陸上自衛隊の新屋演習場(秋田市)とむつみ演習場(山口県萩市、阿武町)への配備計画を停止すると報告した。

政府は人家近くへのブースター落下を防ぐ改修に巨額の費用と時間がかかると説明する。政府高官は計画に関し「事実上の撤回だ」と指摘する。政府は代替策の検討を進め、米国などと契約済みの1700億円超の費用の扱いも協議する。

代替策にはイージス艦の拡充や、海上に人工浮島(メガフロート)を建設してイージス・システムを運用する案がある。いずれも巨額の追加費用がかかるのが問題だ。

各国はミサイルの高性能化を図っている。事前に発射の兆候をつかみにくい固体燃料を採用したり、通常より高速で飛行して経路を変化させたりするミサイルの開発が進む。飛行経路を予測しにくいため防衛関係者からは「ミサイルを迎撃する防衛方法は困難になる」との声が上がっていた。』
『浮上するのが敵基地攻撃能力の保有論だ。

ミサイルが発射された後に空中で撃ち落とすのは不確実性が高く、コストも膨大だ。発射される前の発射場所をたたく方が容易で費用も少なくて済む、という論理だ。

自民党は2013年や18年の防衛大綱の改定議論に合わせ保有を提言してきた。首相は18日に「党から提案が出ている。受け止めていかねばならない」と表明した。

日米の同盟関係は日本が守りの盾、米国が攻撃の矛、との役割分担だった。茂木敏充外相は23日「単純に『盾と矛』と性格づけられる安保環境ではない」と指摘した。

自民党は近く敵基地攻撃能力を含めた安全保障戦略を検討するチームをつくる。7月中に政府に提言する。並行して政府も検討に入る見通しだ。』
『地上や海上から発射する巡航ミサイルを保有すべきだとの意見も自民党内にはくすぶる。

政府は憲法9条の下でも敵基地攻撃は可能との見解だ。1956年の鳩山一郎首相の「座して自滅を待つべしというのが憲法の趣旨とは考えられない」との答弁に基づく。国際的にも国連憲章51条で認める自衛権の範囲内との解釈が一般的だ。

政府は「もっぱら他国に打撃を与える戦力」は保持しないとの立場を取ってきた。大陸間弾道ミサイル、戦略爆撃機、攻撃型空母が具体例だ。菅義偉官房長官は24日「専守防衛という考え方の下でしっかり議論していきたい」と語った。』