防衛力強化 その財源は?

防衛力強化 その財源は?
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20221012/k10013855341000.html

 ※ 今日は、こんな所で…。

『ロシアによるウクライナ侵攻に台湾海峡をめぐる緊張、そして北朝鮮の相次ぐミサイル発射。日本の安全保障を取り巻く環境は急速に変化している。政府が5年以内の防衛力の抜本的強化を掲げる中、防衛省は敵基地への「反撃能力」を念頭にした武器の量産を盛り込んだ過去最大規模の予算要求を行った。9月30日に始まった政府の有識者会議では、従来の防衛費の枠組みを見直すという議論も浮上。日本の防衛が大きく変わろうとする中、防衛費、そしてその財源の負担はどうなるのか、水面下で進む政府・与党内の議論を取材した。(経済部記者 白石明大 政治部記者 瀬上祐介)

過去最大の概算要求

毎年恒例の来年度予算案の概算要求。

ことし最も注目されたのは、防衛省だった。
政府はことし6月に公表した骨太の方針に「防衛力を5年以内に抜本的に強化する」と明記した。

これに基づき防衛省は概算要求で、過去最大となる5兆5598億円(デジタル庁との重複計上分を除く)を要求。

敵の射程圏外から攻撃できる「スタンド・オフ・ミサイル」の量産をはじめ金額を明示しない「事項要求」を多数盛り込むという異例の要求方式をとった。

防衛費の増額議論

先月30日、総理大臣官邸で「国力としての防衛力を総合的に考える有識者会議」の初会合が開催され、政府内での防衛力強化の議論が本格的に始まった。

有識者として選ばれたのは、元防衛事務次官など防衛の専門家のほか、金融機関や科学研究、メディア関係者など以下の10人だ。

・上山隆大 総合科学技術・イノベーション会議・議員
・翁百合 日本総合研究所理事長
・喜多恒雄 日本経済新聞社顧問
・國部毅 三井住友フィナンシャルグループ会長
・黒江哲郎 三井住友海上火災保険顧問(元防衛事務次官)
・佐々江賢一郎 日本国際問題研究所理事長(元外務事務次官)
・中西寛 京都大学大学院法学研究科教授
・橋本和仁 科学技術振興機構理事長
・船橋洋一 国際文化会館グローバル・カウンシルチェアマン
・山口寿一 読売新聞グループ本社社長

この会議で、政府は抜本的な防衛力の強化のあり方や防衛費の増額の規模、財源の方向性などについて議論する。

防衛関係費の大幅な増額を検討するにあたって政府が参考にしているのがNATO=北大西洋条約機構の「国防関係支出」の算定基準だ。

NATOは2014年のロシアのクリミア半島の併合を受けて、加盟国間で10年以内に「国防関係支出」を対GDP比で少なくとも2%の水準まで引き上げることを目標に掲げた。

さらに、ことし2月のロシアによるウクライナ侵攻を機にドイツは1000億ユーロ、日本円で約14兆円規模の基金を新設して国防費を増額するほか、NATOへの加盟を申請しているスウェーデンも対GDP比2%規模まで防衛費を増額する方針を示している。

ただ、NATOの「国防関係支出」には、日本の防衛費には含まれていない沿岸警備費や国連平和維持(PKO)関連費、退役軍人らの年金なども含まれている。

日本の対GDP比は1%

一方、日本の防衛費は2022年度の当初予算で5兆4005億円。

対GDP比で0.96%となる。

さらに、NATO基準を参考に政府が算定した日本の「国防関連支出」は、海上保安庁の予算2231億円などを含めて約6兆1000億円、対GDP比で1.09%となる。

対GDP比で「2%以上」とするには、さらに5兆円以上、防衛費を上積みする必要があり、こうした観点からも防衛省は財務省に大幅な増額を求めている。

防衛の新たな枠組み検討へ

財務省といえば予算を厳しく査定し、歳出をできるだけ抑えることが職務だ。

ただ、防衛費の増額要求についてある幹部は「防衛力を抜本的に強化するために必要な予算をつけることにためらいはない」と述べ、安全保障をとりまく厳しい環境を踏まえ、一定の理解を示した。

その一方で、防衛省が要求する戦車配備などの要求には疑問を呈した。

財務省幹部

「これまでの防衛の考え方の延長線上で予算を増額することが、果たして抜本的な防衛力の強化につながるのか。政府全体として『安全保障』という観点から他省庁の事業も精査し、総合的な防衛力・国力の強化につながる枠組みが必要だ」

有識者会議を取りしきる内閣官房は、人材や財源など国の資源が限られる中で防衛省以外の他省庁が所管する事業にも安全保障の視点を取り入れる必要があると考えている。

その1つが「科学技術研究」だ。

令和4年度の当初予算で、科学技術関係の予算は4兆2198億円。

このうち文部科学省が48.8%、経済産業省が15.2%を占めている。

一方で防衛省は3.9%の1645億円と省庁別では6番目の規模だ。

防衛省はこの研究予算の中で人工衛星を利用した宇宙空間での情報収集能力の強化や最先端のサイバー攻撃に対応する技術研究を行っており、今回の概算要求でも研究予算の大幅な増額を求めている。

一方で、宇宙開発やAI=人工知能、量子コンピューターなどの最先端技術の研究開発は日本の大学などの研究機関や民間企業も行っている。

文部科学省や経済産業省はこうした先端技術の研究を支援する事業を行っているが、これらの研究分野での防衛省との連携はほとんどない。

政府はアメリカが国家安全保障の観点から巨額の国防予算を最先端の技術研究に投じ、軍事研究が民間の経済成長を促した仕組みを、日本でも導入できないか検討している。

たとえば、新型コロナウイルスの感染が世界的に拡大した2020年に当時のトランプ大統領が打ち出した「ワープ・スピード作戦」だ。

ワクチンの研究開発に国防費から巨額な研究予算を投じ、アメリカの製薬会社が異例の早さで新型コロナ用ワクチンを開発することに成功した。

アメリカは国内で感染症が拡大したり、化学兵器が国内で使われたりした際に迅速なワクチンや治療薬の開発ができなければ、国民の生命・財産を守れず治安や軍事面での対応にも支障をきたすとしてこうした薬の研究開発なども安全保障の一部としてとらえている。
政府は日本も安全保障分野の枠組みを科学技術に広げて大学や民間企業の研究開発が相互に連携できれば、防衛力の強化につながるだけでなく、最先端分野の科学技術の発展や派生してできた民生品の活用により日本の経済成長にもつなげられると考えている。

こうした考えは以前から政府内にあったものの、本格的な議論に発展することはなかった。

背景にあるのが軍事研究を忌避する学術機関の反対だ。

ことし7月、日本学術会議は、軍事にも転用可能な科学研究について「純粋な科学研究と軍事に転用が可能な研究について単純にわけることは難しく、扱いを一律に判断することは現実的ではない」という見解を示した。

これについて軍事研究への対応が変化したのではないかとの指摘があったが、日本学術会議は「1950年に公表した『戦争を目的とする科学研究は絶対に行わない』という声明を批判したり否定したりすることはできない」として、軍事目的の研究についての立場に変更はないという見解を改めて示した。

このように科学技術と防衛研究を隔てる壁は依然として高いままだ。

こうした分野に詳しい政府関係者も次のように話している。

政府関係者

「防衛と民間研究の相互活用は日本では決して簡単な議論ではなく、戦後以来の科学技術研究のパラダイムを変える議論だ。しかし、最先端分野の研究者と大量のノウハウを保有する大学や民間企業を活用せずに防衛力の抜本的な強化は考えられない。科学技術分野に限らず公共事業などの分野も有事を想定した公共インフラの活用など、安全保障という観点から再検討が必要で、抜本的な防衛力強化のためにすべての省庁でやらなければいけないことは何なのか、そういう議論を進めなければならない」

“増額”で食い違う認識

一方、こうした防衛費の増額を各省庁の取り組みも含めて議論するという考え方をめぐって「真水=歳出額を抑えたいという財務省の思惑だ」という反発も上がっている。

与党関係者

「有識者会議は財務省が防衛予算を増やさないためにつくったものだからつぶさないといけない」

防衛省関係者

「真水でどこまで増やせるかが重要であって、数字の寄せ集めとみられては元も子もない」
予算の“純増”をねらう防衛省も巻き返しに動くなど、政府内でも認識にずれが生じており、足並みをそろえるのは簡単ではない。

政府関係者

「防衛省は自分たちの予算を増やしたい、ミサイルを作りたい、それがすなわち防衛力だという考えが強すぎる。研究開発での民間との連携にも防衛省は自分たちの研究予算が増えないから乗り気ではない」

焦点となる財源論

防衛の「中身」の議論が進む中、最後に大きな焦点となるのが「財源」だ。

与党内では「赤字国債」や港湾整備などにあてる「建設国債」、あるいは将来の償還財源を決めたうえで発行する「つなぎ国債」という案も浮上している。

自民党の萩生田政務調査会長は、今月4日、記者団に対して防衛費増額の財源について「すべてをこれから先、国債で賄うのは非現実的だ」と述べている。

自民党 萩生田政調会長

「まさにこれから詰めていかなくてはいけないと思うが、防衛費の増額はことし1年の1ショットの話じゃないので、財源をすべて国債でまかなうというのは非現実的だと思っている。どういう形で恒久的な財源を確保するかということも含めて、党内や与党でしっかりと議論をしていきたい」

公明党の石井幹事長も先月30日の会見で防衛費増額のための増税も「選択肢の1つ」との考えを示すなど、今後財源のあり方をめぐって与党内で激論が交わされそうだ。

公明党 石井幹事長

「防衛力を着実に整備・強化していくことを今後、継続すると恒常的に予算が増えていく構造におそらくなる。それをすべて国債でまかなうことは、いまの国の財政状況からいっても難しく、一定の恒久的なしっかりとした財源が必要になる。増税を望ましいと考える人はあまり多くはないかと思うが、選択肢の1つではないか」

欧米では増税の動きも

世界を見ても国防費・防衛費の増額をめぐる財源確保の手法はさまざまだ。

スウェーデンは、酒・たばこ税の増税や大手金融機関に対して銀行税を導入することを決めたほか、アメリカはことし3月に公表した予算教書で国防予算を増額する一方、公的債務の拡大に歯止めをかけるために法人税率の引き上げや富裕層への増税などを実施して、財政赤字を今後10年で1兆ドル、日本円で140兆円以上、圧縮する計画を掲げている。

日本でも今後、有識者会議での議論に加えて自民党税制調査会でも財源のあり方について本格的に議論される見通しだ。

これについては法人税などの「基幹3税」やたばこ税などを引き上げる案も浮上しているが、このうち法人税引き上げ案については経団連や経済同友会が「国民全体で負担すべきものだ」として反発している。

関係者の利害が絡むだけに調整は難航しそうだ。

防衛費はいったん増額すると削減が難しい「恒常的経費」の側面が強く、大幅な増額分を国債でまかなえば、将来の国の予算編成への影響も大きい。

政府は何のために防衛費を大幅に増額するのか。

そして誰がそれを負担するのか。

こうした疑問に真摯に答え、国民に丁寧に説明しなければ理解や納得は得られないだろう。

終戦から77年。

日本の防衛費はこれまで目安としてきたGDPの1%を超えることになるのか。

いま大きな転換点を迎えようとしている。

経済部記者
白石 明大
2015年入局
松江局を経て現所属
金融庁や日銀担当を経て財務省を担当

政治部記者
瀬上 祐介
2005年入局
防衛省キャップ
長崎局、経済部、沖縄局での経験も 』

空自F35、函館に緊急着陸 三沢基地所属

空自F35、函館に緊急着陸 三沢基地所属
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUE084AD0Y1A201C2000000/

 ※ 空自も、「即応態勢」にあるようだ…。

『8日午後0時18分ごろ、北海道の函館空港に、航空自衛隊三沢基地(青森県三沢市)に所属するF35Aステルス戦闘機1機が緊急着陸した。函館空港を運営する北海道エアポートによると、この影響で滑走路が約9分間閉鎖され、民間航空機1便の出発が30分以上遅れた。けが人はなかった。

三沢基地によると、F35Aは午前11時15分に基地を離陸し、日本海上空で訓練中に機体に不具合が発生したという。トラブルの詳細は明らかにしていない。整備員を派遣し、原因を調査する。不具合が起きたF35Aの安全を確保するため、同型機1機も函館空港に着陸した。

岸信夫防衛相は8日、三沢市の小檜山吉紀市長との面会で、函館空港への緊急着陸に関し「不具合の原因の詳細は確認中だが、三沢基地周辺の方々に心配と迷惑をお掛けしたことを大変申し訳なく思っている。再発防止に努める」と謝罪した。面会は、米軍三沢基地のF16戦闘機の燃料タンク投棄の再発防止を要請するために設けられていた。

基地司令の久保田隆裕空将補は「原因を究明して再発防止に努めるとともに、安全な飛行に万全を期してまいりたい」とコメントした。

F35Aは空自の最新鋭戦闘機で、レーダーで探知されにくいステルス性能が特徴。空自は2018年1月に三沢基地に初めて配備し、19年3月、飛行隊を新設した。〔共同〕』

〔沿岸警備隊〕

沿岸警備隊
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B2%BF%E5%B2%B8%E8%AD%A6%E5%82%99%E9%9A%8A

『沿岸警備隊(えんがんけいびたい、英: Coast Guard)は、海洋や内水域(河川・湖沼)での哨戒・警備救難活動を行う組織。

警備艦や警備艇と呼ばれる各種の哨戒艦艇や航空機を保有し、自国の港に活動拠点を構えるのが普通である。任務の関連性から海軍や警察、税関とは密接な関係を持つ事が多い。
アメリカ沿岸警備隊では哨戒任務に当たる艦艇はカッターと呼ばれ、台湾では巡防艦や巡防艇、韓国では警備艦や警備艇が領海警備などを行なっている。

日本の海上保安庁は巡視船や巡視艇と呼ばれる船舶が領海の巡視・監視や海上警察活動に従事し、救難活動なども行なうが、軍事的な機能は有していないため他国の沿岸警備隊とは一線を画している。

国によって沿岸警備隊の組織は異なり、沿岸警備隊を設けずに海軍が任務を遂行している国もある[1]。また、海軍の一部として設置する国もある。国境警備隊と同様に準軍事組織の一種として設置されることもあり、この場合には、平時には海軍に代わって領海内や内水域(河川・湖沼)での警備救難活動を行ない、戦時に海軍とともに戦闘を行う。また、新興国では海軍を設置せずに沿岸警備隊のみを設置する国もある。』

『任務
海軍が海上における防衛・軍事行動に注力するのに対し、沿岸警備隊は主として海域・水域における警備・警察任務を遂行する。

これは専門性の問題とともに、海軍の軍艦に代わって文民の海上警察組織などが警察任務を担当することで、周辺諸国との緊張を招かないようにするためである。ただし、純粋な文民の沿岸警備組織は少なく、通常は準軍事組織・軍事組織の性格を持つもの場合が多い。

外国との緊張関係に配慮する例として、日本の海上自衛隊は海上警備行動発令時などの有事でなければ逮捕権や捜査権は無く、海上において発生した事件を捜査し、容疑者を逮捕できるのは警察組織である海上保安庁の役割となっている。

世界各国において設置されている沿岸警備隊の基本的な任務は、次の3つに集約される:

1、領海内及び排他的経済水域(EEZ)、内水域における警備活動

2、領海内及び排他的経済水域(EEZ)、内水域における水難・遭難事故に対する捜索救難活動

3、領海内の水路啓開・測量・ブイ設置工事

ただし、これらのみに限られるのでは無く、アメリカ沿岸警備隊(USCG)のように海軍の支援部隊として戦闘地域における臨検活動といった軍事的任務に就く場合もあり、逆にイギリス王立沿岸警備隊の様に捜索捜索・救難活動のみに限定されている場合もある。

なお、イギリス海軍は沿岸警備を行なっており、民間船舶に対しても日本の海上保安庁と同様に密輸船・密漁船等などの臨検も行なう。

領海やEEZ内等における警備活動
以下の3つに分けられる:

密輸船・密漁船等の犯罪船舶の取締
領海内を航行中の船内における一般的刑事事件の捜査
航路における船舶交通の監視と取締等

  1. は沿岸警備隊の最も重要な任務の一つであり、たとえばアメリカ沿岸警備隊はカリブ海経由の麻薬密輸問題に最も力を入れている。日本においても麻薬・覚醒剤の密輸を水際で阻止する役割として海上保安庁は重要であり、さらに最近は不審船(工作船)問題や不法入国者を乗せた密輸船の取締対策が重要になりつつある。また、世界各国において重装備の海賊船が領海・公海を跋扈するケースが相次いでいるため、これらに対する商船の防衛と海賊船の取締も国際的な課題となっている(2004年現在)。

近年では海洋資源保護の必要性も高まっており、担当省庁と連携して、密漁や廃棄物の不法投棄などの監視・摘発の任務も重要なものとなっている。

  1. に比べ、3. は地味であるが省く事のできない任務である。航路の警戒のために各国の沿岸警備隊は哨戒艦艇の多くを割いており、安全で順調な航行を可能とするために努力を払っている。

領海内及び排他的経済水域における捜索救難活動(SAR, Search And Rescue)
領海を航行している船舶の海難事故に際して、捜索活動と適切な救助活動を行なう。多くの沿岸警備隊は、この捜索活動のために長距離飛行可能な大型固定翼機を保有し、事故を起こした船からの緊急信号も含めて事故の現場と規模の確認を行なう。 広い領海を持つ日本においては、海上保安庁のみでは困難なため、航空自衛隊と海上自衛隊で設けられた救難区域(Search and Rescue Region)を担当する航空自衛隊救難隊や海上自衛隊の救難部隊などが捜索救難活動に協力しており、陸上自衛隊は救難活動ではないが東シナ海の離島での第15ヘリコプター隊が医療支援活動として患者の緊急搬送に協力している。

タンカーの事故においては、石油製品や化学薬品が海洋の広範囲にわたって流出し、深刻な海洋汚染をもたらす場合も多い。流出した石油製品等の回収・中和等も沿岸警備隊の重要な任務である。

戦時における戦闘
戦時に領海を警備することはこれすなわち軍事行動であり、交戦資格を有する。指揮系統を一本化するために戦時に海軍に編入される事も多い。

領海内の水路啓開・測量・ブイ設置工事
領海内の水路啓開・測量・ブイ設置工事も、多くの国において沿岸警備隊の任務となっている。日本においては戦前は沿岸警備隊を設置せず海軍が測量任務を遂行していたが、戦後は軍事的な測量を別として、海図の作成、潮流の測定、海底地形の測定など海上交通に必要な調査は海上保安庁(海洋情報部)が行なっている。また、カナダやアメリカなど、一部もしくは全ての領海が流氷によって閉ざされる場合には、沿岸警備隊の保有する砕氷船が流氷を破壊して冬季の航路を確保する。

科学調査
一部の国では海洋調査の延長として領海内における海洋や島嶼部の生態調査など科学調査の支援として、科学者や機材の輸送を担当することもある。財政的な理由で海洋調査船を所有できない途上国だけでなく、コストカットのため稼働時間が少ない専用船を廃止し、必要時に沿岸警備隊の船を利用する先進国もある。

アメリカ沿岸警備隊は南極観測船の運用など領海外における科学調査の支援も担当している。

各国の沿岸警備隊

日本

詳細は「海上保安庁」を参照

第二次世界大戦後、旧大日本帝国海軍の残余艦艇と人員をもとに初期の海上保安庁が創設された。連合国軍による日本の非武装化政策により、当初の人員は1万名以内、船舶は125隻5万トン以下、武装も小火器のみに限られている[2]。

創設直後には掃海活動も重要な任務の一つとされ、その一部は朝鮮戦争に出動しており、作業中の事故で1名が殉職している。

1952年(昭和27年)4月26日に将来的な分離独立までの臨時的措置[3]として海上保安庁内に旧海軍軍人主体の海上警備隊(Maritime Safety Security Force)[4]が創設され、同年8月1日には掃海部隊も含めて保安庁の警備隊(Safety Security Force)となり[5]、1954年(昭和29年)7月1日の防衛庁設置に伴い海上自衛隊に改編された。

このとき、「海上公安局」へ再編される予定であった海上保安庁の本体部分(海上警備隊系統を除く部分)は、組織移行を免れそのまま海上保安庁として存続することとなった。
その後の海上保安庁(Maritime Safety Agency of Japan)は、運輸省の外局を経て、2001年の中央省庁再編後には国土交通省の外局となり、日本の領海および排他的経済水域上においての警察権を有する法執行機関となった。

現在では”JCG = Japan Coast Guard”と、準軍事組織であるアメリカ沿岸警備隊(”USCG = United States Coast Guard”)を連想させる英語名を称しているが、沿岸警備隊の分類の中では海上警察機関系(海上保安庁職員のうち海上保安官は、刑事訴訟法及び海上保安庁法に基づく特別司法警察職員である)に分類される[6]。

海上保安庁法第25条により軍隊としての活動を認められておらず、準軍事組織として運営されている他国のコーストガードとは法制上は一線を画している。

一方で自衛隊法80条により有事の場合は海保組織の全部または一部を防衛大臣の指揮下に置くことを認めている[7]が、あくまでも警察活動と解釈されており、軍事活動の規定は海上保安庁法にはない。

海岸線の長さは世界第6位、領海と排他的経済水域の合計面積も世界第6位、さらにG7の一角を担う世界第3位の経済大国であるなどという国状から組織の規模も大きく、2010年時点の人員は約12,000名、400隻を超える船艇と70機以上の航空機を保有している。

諸外国との共同訓練も積極的に行っており、その任務の遂行能力は高く評価され「世界有数のコースト・ガード」[8]と評される。 現在は、不審船問題などから高速で重装備の巡視船の配備、海上自衛隊との様々な面での連携強化などが課題[9]となっている。

アメリカ

詳細は「アメリカ沿岸警備隊」を参照

アメリカ沿岸警備隊 (USCG = United States Coast Guard) は国土安全保障省の傘下にある組織である。

連邦の法執行機関であり、警備及び捜索救難等を任務としている。

アメリカ軍の第五の軍(Armed Forces)[10]であるが、戦時には海軍の指揮下に入ることがある。

隊員は軍人として統一軍刑法の適用を受け[11]、海軍と同等の階級呼称を使用している。
第二次世界大戦やベトナム戦争はもちろん、合衆国が参戦した全ての戦争に派遣され、臨検活動、船団護衛等の任務を遂行した。

保有する船舶(警備艦)には76mm砲やCIWSなどを装備し、構造も抗堪性の高い軍艦構造となっている。有事には対艦ミサイルランチャーを装備可能な艦艇もある(日本の巡視船の場合、ほとんどは商船構造)。

海外で行なわれる合同軍事演習では海軍の参加艦艇としてハミルトン級カッターの姿を目にする事がある。平時の船舶数こそ日本の海上保安庁に劣るものの、長距離の海岸線を保有する事から航空機の整備に力を注いでおり、早期警戒機としての能力を有するC-130やP-3を装備して麻薬密輸に対する警戒に充てている。

このほか、運河や航行可能な河川・湖沼が多いため、こうした内水における救難ボートや測量ボート、ブイ設置船を数多く保有する。海岸・河川・湖水の護岸や港湾の整備に関しても沿岸警備隊が責任を持っており、専門の工事・管理部門を保有する。

イギリス

詳細は「イギリス沿岸警備隊」を参照

イギリスにおいては、コーストガードを統括する行政機関として海事沿岸警備庁が置かれ、沿岸警備隊(HM Coastguard)は、沿岸での海難事故の捜索救難活動を任務にしており、これらに使用する小型船舶と救難ヘリコプター等を装備するのみである。

また、必要な場合はイギリス空軍も海難救助に参加しており、海事沿岸警備庁がこれらの調整を行なっている。

領海警備や海上の治安活動などは、イギリス海軍が、大型哨戒艦(OPV)を用いて沿岸警備を行なっている。

このほかに内務大臣直轄のイギリス国境部隊内に税関監視艇隊が存在しており、領海上での密輸などの監視にあたっている。

韓国

韓国では国土交通部(省)の下に海洋警察庁(KCG = Korea Coast Guard)が設置され沿岸警備に当っている。

本庁は仁川広域市に置かれ、釜山、仁川、束草、東海、泰安、群山、木浦、莞島、麗水、統営、浦項、蔚山、済州、西帰浦の14か所に海洋警察署が設置されている。

韓国と日本は竹島(韓国名:独島)領有問題を抱えており、日本漁船を拿捕することがある。

そもそも、韓国海洋警察が発足した際の主任務は、竹島周辺の日本船舶(漁船や巡視船等)の駆逐による実効支配の強化であった。

李承晩ラインの宣言(1952年1月)直後から、韓国海軍や民間義勇組織である独島義勇守備隊、海洋警察(1953年12月設立)が竹島周辺で300隻以上の日本漁船を銃撃・拿捕し、それにより4,000人近い日本人漁師が韓国に拉致され、44人が死亡している。

拉致されたのち日本へ帰国できた者でも、病気になったり拷問によって重症を負った者がいた。

1961年には、済州島周辺の公海上で韓国の警備艇が日本の漁船を銃撃・拿捕するという事件が複数発生している。

たとえば、1961年3月15日には第二進栄丸が、同年3月20日には第二秋田丸がそれぞれ韓国警備艇に追跡・攻撃・拿捕されている。また、これらの事件の際、日本の海上保安庁の巡視船や水産庁の漁業取締船が漁船からの緊急連絡を受けて現場に急行し、漁船を追撃する韓国警備艇に警告を行ったが、警備艇は巡視船と監視船に対し銃撃を繰り返し、漁船を拿捕して韓国へ連行している[12]。

韓国海洋警察の任務には、北朝鮮ゲリラの浸透阻止や、海洋環境保全のための海洋汚染監視も含まれている。歴代庁長は警察庁出身者が任用され、人事的には陸の警察と交流が深い。

2014年4月16日に発生したセウォル号沈没事故の救助失敗を理由に朴槿恵大統領により海洋警察庁は解体され新たに国民安全処が設立されたが、政権交代で大統領に就任した文在寅によって2017年に海洋警察庁体制に戻された[13]。

台湾

詳細は「海巡署」を参照

中華民国(台湾)では、2000年1月に行政院海岸巡防署(CGA = Coast Guard Administration, Executive Yuan)が組織された。この組織は2004年には19,680名を擁し、日本の海上保安庁に勝るとも劣らない規模をもつ。

2018年、海洋委員会発足に伴い、海洋委員会の下部組織となり、名称も「海巡署」へと変更された。

中国

詳細は「中国海警局」および「中華人民共和国の海上保安機関」を参照

中国の海洋行政は、公安部が海上公安、国家海洋局が海洋資源、農業部が漁業管理、海関総署が税関業務の戦略を企画・立案し、国家海洋委員会が各機関の戦略を調整し、国家海洋局が公安部の指導を受けながら一元的に中国海警局の名称の下で公船や航空機を運用する体制がとられている[14]。

2013年3月に、初代の中国海警局の局長 兼 国家海洋局副局長に公安部の次官を兼務する孟宏偉が就任した[15]。

2013年7月に中国海警局の本格的な運用が開始された。ただし、船舶からの汚染物質流失への対応、水路業務などを担当する交通運輸部海事局(船体表示「海巡」)は独立して公船の運用を行う[16]。交通運輸部には捜索救助を専門とする救助打捞(救助サルベージ)局(船体表示「海救」)も存在する。

2013年3月までは、公安部辺防管理局(Border Control Department of Ministry of Public Safety)が所管する中国公安辺防海警部隊(CHINA COAST GUARD、船体表示「中国海警」)、国土資源部が所管する中国海監総隊(船体表示「海監」)、農業部漁業局(船体表示「漁政」)が、別々に公船や航空機の運用を行っていた [17]。

同年3月から7月にかけて漸進的に組織の統合が行われた。

トルコ

詳細は「トルコ沿岸警備隊」を参照

トルコにおいては、内務省の所属機関であるトルコ沿岸警備隊が、海上警察・遭難救助・海路保全などの任務にあたっている。

これらの任務のため、本部のほか、地中海方面司令部・エーゲ海方面司令部・マルマラ海方面司令部・黒海方面司令部・教育センター司令部・航空司令部がおかれている。

準軍事組織ではあるが、陸海空の3軍およびジャンダルマと比較して、国家安全保障評議会に司令官が参加しないなど格下の扱いを受ける。

有事には海軍の指揮下に入るものとされている。ただし、もっとも重武装の艦艇ですら機関砲程度の武装であり、大半は小型で非武装の艦艇である。

また、哨戒・救難任務のために固定翼機・ヘリコプターを保有しているがこれらも非武装である。

その他の国

カナダの沿岸警備隊は非軍事組織であり、任務は主にブイ設置や測量、砕氷船による冬季の航路啓開等に限定されている。

ドイツの沿岸警備隊は国境警備隊のほかに、税関など各々の官庁に分割されており、統一された組織は存在しない。

フランスにおいては海上憲兵隊が国家憲兵隊の中に組織され、各国の沿岸警備隊と同様の任務を行っている。また、海軍も沿岸警備隊の任務を行うことがある。

イタリアにも海事組織としてイタリア海軍傘下にイタリア沿岸警備隊は存在こそしているが、その規模および役割は歴史的経緯から限定的なものにとどまっており、代わりに財務警察が巡視船等を運用し、密輸犯、マフィア及び不法移民対策に従事している。

ロシアにおいてはロシア国境軍が沿岸警備隊の役割を担っている。

イスラエルの沿岸警備隊は海軍の一部であるが、その活動地域は死海やガリラヤ湖などの国境線を有する内水である。

死海を超えてイスラエル領に進入してくるパレスチナゲリラの密入国阻止を狙ったものである。所有するボートはアメリカ製の河川哨戒艇(PBR)などであり、小型だが重武装を施している。

東南アジア各国では、日本の海上保安庁をモデルとした沿岸警備組織の能力強化に力を入れている。

これは重要な国際航路が沿海に存在し以前から海賊行為が頻発してきたことと、南シナ海の自国管轄域で主として中国漁船による密漁が多発しているためである。

このため沖合において運用が可能な巡視船艇の装備が課題となっている。近年、日本からの船艇の供与が進んでいる。

インドネシア:インドネシア沿岸警備隊(英語版)(Indonesia Coast Guard/Badan Keamanan Laut Republik Indonesia, BAKAMLA)が創設され、現在は組織と装備の強化に取り組んでいる。

マレーシア:海上法執行庁(Malaysian Maritime Enforcement Agency)は、それまで多くの国内関連機関が沿岸警備任務を分担していたが、細分化されすぎた業務の非効率性が目立ったため、全く新たな組織としてマレーシア行政府(Malaysian Civil Service)の下に領海内と公海上での国内法・国際法の執行と捜索救助その他の任務を遂行するため、2005年2月15日設立・同年11月30日に活動を開始した。

国内6つの本支部を持つ。有事には大臣の命令で国軍の指揮下に入る。[1]

シンガポール:ポリスコーストガード(Police Coast Guard, PCG)はシンガポール警察軍の一部署である。

1993年にシンガポール共和国海軍から沿岸警備部門が移管された時点では、海兵警察(Marine Police)と呼ばれていたが、やがて組織の再編とともに沿岸警察(Police Coast Guard)と改名され、警察部隊として、水上警察活動と沿岸警備任務を併せもつ、世界的にも特殊な形態の法執行機関の一つとなった。

46t級のボート12艇が最大で他94艇の比較的小さな(艇長20-11m)警備艇を有する。[2]

ノルウェー沿岸警備隊(Kystvakten)は、ノルウェー海軍傘下の組織であるが、装備の扱いは独立している。平時には漁業保護を中心としている。

ルーマニアにおいては内務管理省傘下のルーマニア国境警察が沿岸警備隊と同様の役割を果たしている。

オーストラリアでは統一した組織はなくオーストラリア税関・国境警備局の沿岸監視隊やオーストラリア海軍の哨戒艇群が沿岸警備隊と同様の役割を果たしている。

現在、統一した組織を創設しようとしているが、実現のめどはたっていない。

パキスタンは、陸軍の指揮下にある沿岸警備隊(Pakistan Coast Guards)と、海軍の指揮下にある海上保安庁(Pakistan Maritime Security Agency)が並立して存在する。

前者は文字通りパキスタンの沿岸の防衛が主任務であり、この中に捜索救難任務も含まれており、多数の小型ボートや高速ボートを保有する。

一方、後者は遠洋及び近海の警備が主任務であり、旧米国製駆逐艦など大型の巡視船艇を保有する。

僅少の海岸線を持つボスニア・ヘルツェゴビナは2020年現在、海軍は保有しておらず、国境警備隊の水上部隊がネウム沿岸を警備している。

沿岸警備隊と同種組織の一覧

日本の旗 日本

Ensign of the Japanese Coast Guard.svg海上保安庁(Japan Coast Guard)
アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国

Seal of the U.S. Coast Guard.svg沿岸警備隊(USCG : United States Coast Guard)
カナダの旗 カナダ

Coastguard Flag of Canada.svg沿岸警備隊(CCG : Canadian Coast Guard)
ロシアの旗 ロシア

Russian Border Guard.svg連邦保安庁国境警備局(旧:連邦国境警備庁)
大韓民国の旗 韓国

海洋警察庁(KCG : Korea Coast Guard)
中華人民共和国の旗 中国

Emblem of China Coast Guard.svg中国海警局(CHINA COAST GUARD、略称「中国海警」)
中華民国の旗 中華民国(台湾)

Flag of the Coast Guard Administration of the Republic of China.svg海巡署(CGA : Coast Guard Administration, Executive Yuan)
イギリスの旗 イギリス

海事沿岸警備庁(MCA : Maritime and Coastguard Agency)、王立救命艇協会(RNLI : Royal National Lifeboat Institution)
フランスの旗 フランス

Emblème de la Gendarmerie Maritime.svg国家憲兵隊海上憲兵隊(Gendarmerie Maritime)
イタリアの旗 イタリア

Guardia Costiera.svg沿岸警備隊(Guardia Costiera)
ノルウェー

Norwegian Coast Guard Racing Stripe.svg沿岸警備隊 (Kystvakten)
スウェーデン

Kustbevakningens vapen.svg沿岸警備隊 (Kustbevakningen)
オランダの旗 オランダ

Netherlands Coast Guard flag.svg沿岸警備隊 (kustwacht)
インドの旗 インド

Indian Coast Guard Logo.svg沿岸警備隊(ICG : Indian Coast Guard)
バングラデシュの旗 バングラデシュ

বাংলাদেশ কোস্ট গার্ডের প্রতীক.svg沿岸警備隊(Bangladesh Coast Guard)
パキスタン

沿岸警備隊(Pakistan Coast Guard)
インドネシア

沿岸警備隊(英語版)(Indonesian Coast Guard)
マレーシアの旗 マレーシア

Crest of Malaysian Maritime Enforcement Agency.svg海上法執行庁(Malaysian Maritime Enforcement Agency)(2005年11月発足。旧:海上警察)
フィリピンの旗 フィリピン

Philippine Coast Guard (PCG).svg沿岸警備隊(PCG : Philippine Coast Guard)
パナマの旗 パナマ

Escudo actual.png国家海上保安隊(National Maritime Service)
シンガポールの旗 シンガポール

警察沿岸警備隊
ベトナム

Vietnam Marine Police insignia.jpg海上警察(Vietnam Marine Police)
タイ王国の旗 タイ

水上警察(Royal Thai Marine Police)
トルコの旗 トルコ

沿岸警備隊(Sahil Güvenlik)
ドイツの旗 ドイツ

ドイツ連邦警察局 (Deutsche Küstenwache)
グレナダの旗 グレナダ

沿岸警備隊 (Grenadian Coast Guard)
ギリシャの旗 ギリシャ

沿岸警備隊(Hellenic Coast Guard)
スリランカの旗 スリランカ

Sri Lanka Coast Guard Seal.svg沿岸警備隊(Sri Lanka Coast Guard)
トンガの旗 トンガ

Coat of arms of the Tonga Defence Services.svg防衛局(Tonga Defence Serevices)
アルゼンチンの旗 アルゼンチン

Logo de la Prefectura Naval Argentina.svg水上警察(Prefectura Naval Argentina)
ハイチの旗 ハイチ

沿岸警備隊(Haitian Coast Guard)
ニュージーランド

沿岸警備隊(Royal New Zealand Coastguard)
ポルトガルの旗 ポルトガル

COA pt garde nationale républicaine.svg国家警備隊(Guarda Nacional Republicana)
スペインの旗 スペイン

Emblem of the Spanish Civil Guard.svgグアルディア・シビル(Guardia Civil)
ブルガリア

ブルガリア内務省国家国境警察庁
フィンランド

Rajavartiolaitoksen logo.svg国境警備隊(Suomen rajavartiolaitos)
ジョージア (国)の旗 ジョージア

Flag of the Georgian Coast Guard.png沿岸警備隊(Coast Guard of Georgia)
欧州連合の旗 欧州連合

Frontex logo.svg欧州国境沿岸警備機関(European Border and Coast Guard Agency)

アメリカ沿岸警備隊
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%A1%E3%83%AA%E3%82%AB%E6%B2%BF%E5%B2%B8%E8%AD%A6%E5%82%99%E9%9A%8A

弾道ミサイル防衛能力備えた海自のイージス艦8隻体制が完成

北の国から猫と二人で想う事 livedoor版:弾道ミサイル防衛能力備えた海自のイージス艦8隻体制が完成
http://blog.livedoor.jp/nappi11/archives/5251534.html

『2021年3月19日に就役した海上自衛隊の最新鋭イージス艦「はぐろ」が、2021年4月5日、母港となる佐世保に初入港し、佐世保を母港とするイージス艦Aegis warship は4隻となる。はぐろ就役で、弾道ミサイル対処能力の向上に向け、北朝鮮のミサイル開発の進展を念頭に2013年に閣議決定された「防衛計画の大綱」による、弾道ミサイル防衛(BMD)能力を備えた海自のイージス艦8隻体制が整った。

68b905ef542d8ad87a47bb2c631a8070746f0d45160b23dd47e6d650dc38c9fd はぐろは、最新のイージス艦「まや」型の2番艦で、基準排水量8200トン、全長170メートル、最大幅21メートル。建造費は約1700億円。2020年3月就役のイージス艦「まや」同様、早期警戒機などと巡航ミサイルや敵戦闘機の位置情報をリアルタイムで共有する共同交戦能力(CEC)システムを装備。日本と米国で共同開発した迎撃ミサイル「SM3ブロック2A」の発射能力も有する。参照記事 参照記事 

2021年3月16日に行われた日米の外務・防衛閣僚協議(2プラス2)後に発表された共同声明には「閣僚は、台湾海峡の平和と安定の重要性を強調した」という一文が入った。これは、日本が今後、台湾を巡る有事に関与していくという宣言にあたる。現実として日本は、海軍力を高めなければならない選択をしているのだ。参照記事 

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日本では、最新鋭のステルス護衛艦「FFM」の1番艦の命名・進水式が2021年3月3日、三菱重工業長崎造船所で行われ、「もがみ」と命名された。これ以前に、2020年11月19日、ステルス護衛艦2番艦「くまの」の命名・進水式が三井E&S造船の玉野艦船工場で行われ、2020年10月14日には、「たいげい:大鯨」と命名された海上自衛隊の3000トン型潜水艦の進水式が行われた:左(完成の遅れから1番艦、2番艦の進水式が逆となった)。

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「たいげい」は日本の主力潜水艦「そうりゅう型」の後継艦で、「おうりゅう」「とうりゅう」に続きGSユアサが開発したリチウムイオン電池を搭載しているほか、優れた静粛性が特徴の、ディーゼル電気推進方式の通常動力型潜水艦。 過去ブログ:2021年3月中露を警戒するNATO、日米同盟、クアッド 3月初のクアッド4各カ国首脳会談で反中結束の強化と中国国防費増強 3月クアッドでの首脳会談開催3月中旬の予定 外された韓国 3月最新鋭のステルス護衛艦など続々就航と日本の防衛 1月高まる中台間の軍事緊張と加速する両国の軍備強化と米国の介入 2020年12月台湾の軍備増強と米国による中国軍事力に関する年次報告書2020 11月韓国が技術移転のインドネシア潜水艦に関する不可解と日本の潜水艦 11月米日豪印によるクアッド同盟による海軍演習開始 2019年1月日米台を牽制する中国の発言と在外華僑 米国は台湾と国交回復 2018年4月IMF専務理事が北京で一帯一路構想に警告と非難 2012年10月中国によるアジア太平洋支配は重大 米国 2010年4月中国人 環境破壊なんて気にしない

〔「防衛白書」、改良された…。〕

 ※ 「防衛白書」、前に「これじゃ、とても使えない…。」と、文句を言ったことがあった…。

 ※ しかし、今回アクセスしてみたら、だいぶ改良・改善されていたので、紹介する…。


 ※ 前は、.pdfが中心で、全くリンクが貼られておらず、インデックス見ながら、自分で探して飛ぶ他は無かった…。

 ※ しかし、今回のバージョンは、ちゃんとリンクが貼られていて、ちゃんとインデックスから辿って、思いどおりに飛んで行くことができるようになっていた…。

 ※ 徐々に、「紙中心」から、「web中心」になって来ているようだ…。

 ※ 「人は堀、人は石垣、人は城…。」だ…。

 ※ 末端の国民でも、大体の「防衛方針」を把握することができるようにしておくことが、大切だ…。

http://www.clearing.mod.go.jp/hakusho_data/2020/w2020_00.html

※ 去年作成なので、防衛大臣は、まだ河野太郎さんだった…。

※ こういう感じで、ちゃんとリンクが貼られている…。クリックすると、ちゃんと飛ぶ…。

※ 「第Ⅰ部 我が国を取り巻く安全保障環境」のうちの、「中国の軍事情勢」の分析中心に、紹介する…。

※ 軍事パレードで、「無人潜水艦」まで披露していたことは、知らんかった…。

※ 第二空母「山東」だ…。現在、第三空母を建造中だと聞く…。

※ これは、けっこう重要な「情報」だ…。

※ いわゆる「海警」が、国務院の管轄下から、党の「中央軍事委員会」の管轄・指揮下に組織替えになった…。

※ 名実ともに、党所属の「第三海軍」となったわけだな…。

※ J20は、第5世代(F-35なんかと、同じ)に分類される戦闘機だ…。ステルス性能を備えている…、とされている…。

※ 核搭載可能な、「戦略爆撃機」だ…。

※ これは、某国の新型ステルス爆撃機の「そっくりさん」のようだな…。

※ ともかく、その「軍拡」のペースが、尋常じゃない…。グラフ化すると、凄いな…。

※ 海警の船体は、「世界最大級」らしい…。海保じゃ、持て余すわけだ…。

※ こういうものが、入れ替わり立ち替わり、「侵入」してくるから、対応に苦慮することになる…。

※ 中国側から見た、「侵入ポイント」だ…。ともかく、太平洋に出るためには、ここの「ライン」を突破する他は無い…。

 ※ 日本側から見た「要警戒行動」の回数のグラフ化だ…。その都度「対応を迫られる」ので、堪ったものじゃない…。人員も、疲弊して行く…。

※ 尖閣周辺の活動状況の、グラフ化…。もはや、「常態化」している…。

※ 南シナ海環礁の「軍事拠点化」の分析…。

※ これは、「弾道ミサイル」が発射された場合の対処の流れ図…。

※ 尖閣に限らず、「島嶼部」が「占領されそうになった」時の、対処のイメージ図…。

※ 機雷の掃海部隊なんかが、活躍することになるんだろう…。

※ なにかと批判も聞こえるオスプレイだが、この航続距離と「防衛範囲」は、圧倒的だ…。

 ※ 「自由で開かれたインド太平洋」の概念図…。この地域の「シーレーン」の確保が、国家の死命を制する…。

 ※ その点は、某国にとっても「同じこと」なんだが…。

 ※ あくまで「我を通して」、自国のことだけ考えて、他国と協調しないと、「自分の首を絞める」だけなんだが…。

「日本の守り」少子化の影 自衛隊、担い手不足深刻

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO66420940Z11C20A1000000/

『少子化が日本の守りに影を落としつつある。陸海空の自衛隊で任期制自衛官の採用は2019年度まで6年連続で計画を下回り、担い手不足が深刻だ。ミサイル防衛の要となるイージス艦を増備しにくくなるなど部隊の整備や運用にも影響が出てきた。

10月30日、衛藤征士郎元防衛庁長官ら自民党の国防議員連盟が国会内で岸信夫防衛相に新型イージス艦を2隻増備するよう求めた。中国や北朝鮮の軍事的脅威に備えるため「要員と予算が必要だ。大臣のリーダーシップでお願いしたい」と訴えた。

イージス艦は弾道ミサイルを打ち落とす能力を備える防御力の高い護衛艦である。計画を断念した地上配備型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」の代替策として浮上するものの、運用には1隻300人が必要となる。

海自は人員不足を理由に増備に後ろ向きで、見かねた議連が予算と合わせて増員も要請した。自民党内には「人手不足のせいで抑止力を強化できなくなりつつある」との危機感がある。

自衛隊の採用は幹部を養成する「幹部候補生」、部隊の中核となる「一般曹候補生」、任期制の「自衛官候補生」などに分かれる。このうち採用時の人数が最も多いのは高卒者が中心で任期2~3年の「自衛官候補生」だ。

自衛官候補生の採用者数は14年度以降、6年連続で計画を達成していない。19年度の採用数は海自と空自が計画を1割ほど下回った。18年度には陸海空全体の採用達成率が7割にとどまった。

50歳代の定年まで働く「一般曹候補生」と異なり、任期満了後に勤務継続か民間などへの就職を選べる自衛官候補生は民間企業とも競合する。「アベノミクス」による景気拡大が続き、雇用を増やした民間に人材が流れた面があるものの、採用難の根源的な問題は少子化にある。

自衛官の採用対象年齢は18年まで18~26歳だった。この人口は1994年の1743万人をピークに減少に転じ、2019年は1133万人と3割以上減った。自衛隊の応募者数は8万人程度で90年代のピーク時から半減した。

18年から採用対象年齢の上限を32歳に引き上げても、少子化はさらに加速する。18年に1903万人いる18~32歳は国立社会保障・人口問題研究所の予測では28年に1750万人、38年に1563万人に減る。10年ごとに200万人少なくなる。

人口が減っても守るべき国土は狭くならない。むしろ自衛隊の仕事は増え続けている。沖縄県尖閣諸島で領海侵入を繰り返す中国公船の背後には軍艦が控えていることが多い。中国の海洋進出が活発になるにつれて、万が一に備えて周辺海域に張り付かせる自衛艦も増やさざるを得ない。

北朝鮮を巡ってはミサイル発射への警戒や、国連決議で輸入を制限する原油や石炭の洋上取引「瀬取り」の監視にあたる。20年からは中東海域での民間船舶の安全確保のために護衛艦を派遣した。

新たな任務の多くが関係する海自の人手不足は特に深刻だ。18年度の採用達成率は6割に満たず、陸自や空自と比べて最も低かった。背景には海の上での生活が続く職場環境の厳しさがある。

10月に中東派遣から帰港した護衛艦の乗員は新型コロナウイルスの影響で一時上陸ができず乗員は5カ月も艦内での生活を続けた。海自はメールなどを使えるよう護衛艦内の通信環境の改善を進めており「海の仕事の魅力を伝えて人材を集めたい」と語る。

領空侵犯を監視する空自も似た悩みがある。日本列島の外側を囲むように置くレーダーサイトは都市部から遠いため若年層が嫌がる。

阪大准教授を経て15年まで在日米海兵隊の政務外交部次長を務めたロバート・エルドリッヂ氏は「グローバル化で若い優秀な人材は国内企業だけでなく海外企業にも引っ張られるようになった。自衛隊は以前にも増して人が集まりにくくなる」と話す。

「インターンシップ(就業体験)などで若者に自衛隊への関心を持ってもらう施策が必要だ」と指摘する。

海上自衛隊に初の女性潜水艦乗組員が誕生した(10月、広島県呉市)=海上自衛隊呉地方総監部提供・共同

■進む女性登用、潜水艦にも 米軍の取り組み参考に

自衛隊は少子化対策の一つとして女性登用を進める。岸信夫防衛相は自衛隊の人的基盤の強化策に「女性自衛官の活躍の推進」を挙げた。

これまで自衛隊に関心を持つ学生の多くは男子だった。応募者は多くの職種で8割超が男性だ。女子学生が関心を持てば裾野は一気に広がる。

自衛隊では女性の活躍の幅が広がっている。陸上自衛隊では今年3月、有事の際にパラシュートで最前線に投入される空挺(くうてい)部隊で女性初の隊員が誕生した。海上自衛隊でも初めて女性が潜水艦の乗組員になった。

防衛省は21年度予算の概算要求で女性自衛官の勤務環境を整えるために50億円を計上した。女性用のトイレや浴場を整備したり、艦艇のなかに専用の区画をつくったりするのに費用をかける。

2019年3月末時点で全自衛官に占める女性の比率は6.9%だった。10年間で2ポイント程度上昇したものの、民間企業などと比べると大きく下回る水準だ。逆に言えば増やす余地がまだある。

米軍は過去半世紀で女性比率を2%から16%に引き上げた。出世しやすい戦闘職を含め全ての職種で15年から女性にも門戸を開いた。防衛省内では米軍の取り組みを参考にする動きがある。

■〈記者の目〉不祥事防止、改革の前提に

戦後の日本は安全保障の議論をタブー視する風潮があった。自衛隊は「目立ってはいけない組織」とされ、転居してきた隊員の住民登録を市長が拒否する事件が起きたこともある。国際協力や災害対応を積み重ね、社会の認識を少しずつ変えてきた。

日本経済新聞社の2019年郵送世論調査で自衛隊の「信頼度」は60%だった。裁判所や警察、検察など8項目のなかでトップである。一定の信頼をすでに得ているにもかかわらず人手は集まらない。

一つの原因は度重なる不祥事だろう。イラク派遣部隊などで日報隠しが起き、パワハラや傷害暴行の懲戒処分件数が増加傾向にある。実力組織であるからこそ内部の不祥事防止策はより重要になる。それは無人機の導入や女性の登用といった改革を進めるための前提でもある。(甲原潤之介)』

スウェーデンなど欧州で徴兵制復活の流れ

北の国から猫と二人で想う事 livedoor版:スウェーデンなど欧州で徴兵制復活の流れ
http://blog.livedoor.jp/nappi11/archives/5221489.html

『スウェーデンでは、2020年10月14日に新国防法案が提出され、過去70年間で最大の軍拡を予定している。理由は、暗殺から侵略まで、ヨーロッパにおけるロシアの脅威が増し、スウェーデン人の対露警戒心が高まっているからである。
ロシアは何の意図でスウェーデンの領海、領空を侵犯し、スウェーデンのような国の警戒心を高めているのか、理解できない。北方領土に軍を配備し、演習をして、日本から抗議されているのと同じような愚行ではないかと思われる。
ロシアの経済は、いまやIMF(国際通貨基金)のGDP統計で韓国以下であり、かつ石油価格は新型コロナ・ウィルス、温暖化対策等で今後回復しそうにもない。プーチン大統領は国際的に大国として大きな役割を果たしているロシアを演出するために、シリアやリビアに進出し、ベネズエラに傭兵を出すなど、やりすぎている。こういうことは、ロシアの衰退につながると思われる。、、スウェーデンは中立国であるが、ロシアの脅威を強く認識するに至り、軍拡路線にかじを切ったという興味深いエコノミスト誌の解説記事である。

近年、スウェーデンは、ロシアが領空と領海を頻繁に侵犯したとして非難してきた。それでスウェーデンは、NATO(北大西洋条約機構、注:スウェーデンは非加盟国)や、米国、他の北欧諸国と、軍事的関係を深めてきた。 新国防法案が成立すれば、国防予算を2021年~2025年の間に275億スウェーデン・クローネ(約31億ドル)増加することになる。

これは、軍隊の50%増も賄う。軍隊は、正規兵の他、徴兵兵士、地元の予備役を含め9万人になる見通しである。冷戦終結後、徴兵制は10年前に廃止されたが、ロシアの脅威の高まりによって2017年に男女ともに復活(実施開始2018年1月)した。スウェーデンの議会や国民から大きな反対はなかった。img_e5ce2536eba606716c2eb639b76496236926418歳以上の男女が年間8千人、徴兵される。また、上陸部隊がスカンジナビア最大の港、ゴーテンブルグ(筆者:ヨーテボリGöteborgの事と思われる.英語ではGothenburg;ゴセンバーグ)に再び置かれることになる。民間防衛では、サイバーセキュリティ、電力網、および保健の分野のために、より多くの資金が投じられるだろう。参照記事 図の参照記事(一部筆者編集)、、、中国も最近、実戦(戦争)を想定し軍事予算の大幅強化を行なった。記事では、ロシアが近隣国への脅威を高める意図が不明だと書いているが、筆者の個人的見方だが、中露のように国民向けの予算より軍事予算が急増するとき、その理由として外敵の脅威を理由にせざるを得ないからではないのか?こうすることで、国内の反政府デモや軍部の不満を反らしているとしか理解できない。徴兵制を敷く側もまた、同じような理由を掲げている。陸続きでない日本では、ミサイル防衛や海軍力、サイバーセキュリティの強化が決定事項となっている。』

威嚇に懸ける、中国爆撃機の性能と限界

威嚇に懸ける、中国爆撃機の性能と限界
太平洋に進出すればただの「標的」を必要以上に恐れるな
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/62209

 ※ 紹介、引用、転載に問題がある場合は、Word Press.comの方に連絡してください。

『爆撃機は、大型の機体であり、大量の爆弾を搭載して飛来し、その爆弾を落とす恐ろしい兵器だというイメージが強い。

 米空軍爆撃機が第2次世界大戦で、日本やドイツを爆撃した時やベトナム戦争で北ベトナムを爆撃した時の映像が頭に残っているからだろう。

 そのため、中国の爆撃機が西沙諸島に配備されたり、南西諸島の宮古海峡を越えて西太平洋に進出したり、台湾の防空識別圏に侵入したりしたことを写真つきでメディアに取り上げられると、国民は大きな衝撃を受ける。

 戦時であれば、中露の爆撃機は、相手国に接近するだけで撃墜されるだろう。

 しかし、平時には撃墜される恐れがないため、あからさまに接近して威圧する行動に出ることがある。

 メディアは、これらのことを「爆撃機の脅威」という文字で表わすことが多い。これを見た国民が不安や恐れを抱くことがある。

 このため、過剰な不安や恐れを抱かないために、これらが現実的に生起することなのか、脅しのために見せつける行動なのかを区別して理解する必要がある。

 現在の爆撃機の運用は、過去のイメージを変えている。

 図体がでかく飛行速度も遅い爆撃機は、防空ミサイルや戦闘機から容易に撃墜される。

 そこで爆撃機は、防空ミサイルの射撃を避けて、防空ミサイルの射程外(アウトレンジ)から大型で長射程のミサイルを撃ち込むように変更している。

近年では、射程を延伸して敵の戦闘機や艦艇のミサイルの範囲外、つまり友軍の掩護を受けた空域からミサイルを発射する能力を持つ。

 米空軍の「B2」ステルス爆撃機だけは、防空レーダーに映らないために、敵国の内陸部まで侵入し、約14トンもの超大型貫通爆弾を撃ち込むことができる。

 当然、長射程のミサイルも使用できる。

 中国空軍は、まだステルス爆撃機を保有していないので、友軍から掩護された空域から長射程のミサイルを撃ち込む戦略を採用せざるを得ない。

 では、中国空軍爆撃機の脅威とは、どのようなものなのか。

 特に中国本土や南シナ海の西沙諸島に展開する爆撃機が、日本、台湾、南シナ海を取り囲む国々およびグアム島に対してはどうかなどを分析し解説する。

旧式爆撃機の改良にとどまっている現実
 中国空軍は1994年頃、「H-5」爆撃機(旧ソ連名「Iℓ-28ビーグル」)を350機、「H-6」爆撃機(旧ソ連名「Tu-16バジャー」)を中国国内でライセンス生産し約120機を保有していた。

 2020年現在では、H-5爆撃機は、すでにすべて廃棄し、H-6爆撃機を約180機保有している。

 H-5爆撃機を使用しているのは現在、世界でも北朝鮮に80機あるだけだ。他の国では、軍事博物館に飾ってある。

 H-6爆撃機は、ロシアでは1993~94年頃には、旧式であることを理由に破棄された。ロシアが、この型の爆撃機を6機廃棄してから、約25年以上も経過している。

中国のH-6爆撃機でもかなり旧式であることから、「Tu-22M」超音速爆撃機(バックファイア)をロシアから導入しようとしたが、何らかの理由で、実現しなかった。

 2017年にTu-22M×1機が国際行事のために、中国の長春を訪問した。売買交渉が続いているのかもしれない。

 超音速爆撃機を導入できないためか、中国はロシアが廃棄したTu-16爆撃機を新たにH-5爆撃機として製造している。

 長射程のミサイル、特に、約2000キロの巡航ミサイルや約1500キロの弾道ミサイルを搭載し、長い槍で日米や周辺諸国を衝く空・海軍戦略を考えているようだ。

 中国空軍は、射程40キロの巡航ミサイルや射程250キロの対艦ミサイル搭載の「H/M型」を60機、長射程巡航ミサイル(射程1500~2000キロの「長剣-10」:「CJ-10A」)搭載のK型を100機、射程1500キロの「DF-21D」対艦弾道ミサイル搭載のN型を4機以上保有している。

 中国海軍は、射程約250キロの空対艦ミサイル「YJ-83A」を装備したG型を27機、射程400キロの超音速対艦巡航ミサイル「YJ-12」や射程250キロの対艦弾道ミサイル「CM-401」を搭載可能なJ型を8機保有している。

中国爆撃機はグアム島まで攻撃可能か
 中国沿岸部や南シナ海の西沙諸島からグアム島まで4000~5000キロである。

 H-6爆撃機は、戦闘行動半径3500キロと長射程巡航ミサイルの射程2000キロをプラスすれば、計算上は、空対空のミサイルがグアム島まで到達できる(図1参照)。

だが戦時ではどうなのか。

 H-6爆撃機は、最大速度が時速1050キロである。Tu-22M爆撃機は時速約2300キロ、「Su-27」戦闘機が2500キロであり、それらと比べると半分以下だ。

 大型で飛行速度が遅い爆撃機は、防空ミサイルの標的になる。

 遅い速度で、戦闘機の防空掩護なく、あるいは、あったとしても空中給油を受ける戦闘機だけの防空掩護で、南西諸島やフィリピンと台湾間のバシー海峡を通過して、3500キロを移動すれば、米空母の戦闘機や米海軍イージス艦の防空ミサイルに容易に撃墜されてしまう。

 日本が南西諸島に配備する防空ミサイルが残存していれば、そこを越えて飛行することはできないであろう。

 戦時では、図体がでかくのろまな航空機がミサイルの射程圏内に入って来れば、容易に撃墜される。

 同様に随伴する空中給油機も戦闘機も同じ速度で飛行するので、同様であろう。

 これは、自殺行為である。

 おとりために出て来る以外、戦時、みすみすやられるために西太平洋に出て来ることは有り得ない。

 では、中国爆撃機はどうするか。

 爆撃機は、撃墜されないために、中国の沿岸部から発進して上空に上がっても、Su-27戦闘機から掩護される空域から出ることはないであろう。

 そうなると、Su-27戦闘機の戦闘行動半径以内、おおよそ南西諸島のライン付近からは出られない。

 この範囲から、長射程巡航ミサイルが届く範囲の目標は攻撃できるが、それよりも遠方にあるグアムを攻撃できないことになる(図2参照)。

東シナ海での威嚇飛行の狙いは
 H-6爆撃機は、次の3つのパターンで飛行すると考えられる。

①沖縄本島と宮古島の間の宮古海峡を越えて、西太平洋に進出して中国に戻る。

②宮古海峡を越えて台湾の東に接近する。

③対馬海峡を越えて、日本海に進出する。

 この時、爆撃機を支援する戦闘機が、南西諸島まで掩護して随伴飛行をする。つまり、戦闘機の戦闘行動半径付近までは、戦闘機が爆撃機を掩護する。

 爆撃機のパイロットは、戦闘機の掩護がなければ、単独では行動できないことを知っている。

 爆撃機は、援護がなくなってから延々と単独飛行をして、爆撃機の戦闘行動半径の3500キロを飛行しているのかというとそうではない。

 西太平洋への単独飛行はせいぜい100キロ程度だ。台湾方面へは、単なる威嚇飛行であり、撃墜される可能性はないことを承知で、約300キロ単独飛行をしている。

 戦時の戦闘行動では、まず、南西諸島に配備されている防空ミサイルシステムを完全に破壊しない限り、南西諸島を通過して、西太平洋に出ることは不可能である。

 平時では、国際海峡の上空を通過するだけでは、その航空機を撃墜することはできないので、中国の爆撃機は日本や台湾を威嚇するために、堂々と飛行しているのだ。

 戦時には、中国爆撃機がこのような行動を取れば、直ちに撃墜されることになるであろう。

では、台湾有事になれば、日本はどうすべきなのか。

 日本は、中国軍機の行動を、見て見ぬふりをして沈黙するのではなく、南西諸島一帯での、中国軍機の飛行を禁止することを世界に宣言すべきである。

図3 平成28年9月25日中国軍機の行動概要

出典:防衛省統合幕僚監部プレスリリースに筆者コメント
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図4 平成28年12月10日中国軍機の行動概要

出典:防衛省統合幕僚監部プレスリリースに筆者コメント
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西沙諸島への爆撃機展開の狙い
 まず、中国による南シナ海の占拠の違法性についてである。

 南シナ海において一方的な海洋権限を主張する中国に対し、2016年、オランダのハーグに設置された南シナ海仲裁裁判所は、中国の主張を全面的に否定する裁定を下した。

 つまり、中国は南シナ海を不法に占拠しているのである。

 中国軍用機専門ブログ「CMA」は8月、中国人民解放軍海軍が、南シナ海のウッディー島(中国名・永興島)にH-6J×1機を展開したと伝え、関連写真を公開した。

 展開という表現は、一時的に着陸して短い期間滞在したものか、長期間の配備なのかを判断しなければならない。

 長期間の配備の可能性について検討すると、爆撃機を西沙諸島の永興島に長期間実戦的に配備するのであれば、この爆撃機を守るために、南沙方面の人工島に戦闘機を数十機配備しなければならなくなる。

 戦闘機の掩護の配備がなくて、爆撃機を配備することは、自滅行為に等しい。米海軍の艦対地ミサイルに簡単に破壊される恐れがあるからだ。

 よって、永興島への一時的で短時間の展開であったと見るべきであろう。では、その狙いは何か。

 中国による南シナ海領有の既成事実化であり、周辺諸国への軍事的恫喝である。

 実戦で、この爆撃機が周辺諸国に使用できるのかというと、米海軍が存在し、あるいは周辺諸国が防空ミサイル装備の艦艇を保有していれば、その行動は大きく制限されるであろう。

中国軍爆撃機の真の脅威とは
 中露の大型の爆撃機が、現実にわが国の周辺に接近飛行し、時には領空侵犯を行う。

 かつて、米ソ冷戦時代、旧ソ連空軍遠距離航空隊の爆撃機が日本に接近し、航空自衛隊のレーダーサイトを明らかに攻撃する航跡を取ったことが何度もあった。

 最近では、中露の爆撃機が東シナ海から日本海にかけて共同訓練を行った。

 中国の爆撃機が、台湾を威嚇する飛行も行い、南シナ海では、西沙諸島の永興島に一時的に展開し、周辺諸国を威圧し、領有の既成事実化を図っている。

 中国の習近平国家主席は、中国が保有する兵器を防衛的なものと言う。だが、これらの兵器の保有と行動は、中国が意図的に行っているものであり、極めて威圧的である。

「遼寧」などの大型空母、長射程のミサイルを搭載した爆撃機、大量の弾道ミサイルは、周辺国を脅かす兵器だ。

 だが、これらの兵器や行動を恐れるだけではいけない。存在自体に、また、白紙的な計算で攻撃される恐れがあるからといってむやみに恐れてはいけない。

 その兵器の実態、具体的には戦闘における強さ、運用の限度、弱点を知って、勝てる対策を講じることが必要である。

 戦闘の場面を考察し、どのような脅威があるのかを知っておくべきだ。

 ただむやみに恐れることは、中国の威圧的な宣伝戦に踊らされることである。

 これらは、防衛担当者や軍事専門家だけが、知っておけば良いものではない。日本国民全体が、メディアが、中国の宣伝戦に揺さぶられて、右往左往しないことだ。

 国を守るということは、国民が軍事力について恐怖を感じるのではなく、具体的な知識を持つことであり、そして防衛兵器を保有し、防衛政策に生かすということであろう。』

〔兵頭二十八氏のサイトからの情報〕

https://st2019.site/?cat=2

『陸自が発足するとき、情報部をつくることがゆるされなかった。米国のさしがねで。
 作戦、情報、兵站、人事の四大機能のうち、ひとつがなかったのだ。
 この大穴が、いまだに、埋まっていない。』

 ※ まあ、「自衛隊」というのは、そういう組織…。日本国というのは、そういう国家…。
 そういう体たらくなのに、「ファイブアイズに参加する…。」とか言っているわけだよ…。

緊急地震速報発表も体に感じる揺れ観測されず 気象庁 原因調査

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200730/k10012540411000.html?utm_int=news_contents_news-main_003

 ※ これも、「しわざ」くさい事件だ…。
 「しわざ」だとしたら、こっちの方が深刻だ…。
 日本社会の隅々に、「工…」が入り込んで、細工している…、という話しだからな…。
 それは、「機器の納入業者」「プログラミングを請け負った業者」なんかにも及ぶ…。
 
 そういう「社会」なんだ…。
 そういうことを前提に、自分の身を守っていくより他は無い…。

※ 人は、否応なしに、「世界情勢」に巻き込まれて行く…。

※ そして、そのことは、「日々の日常生活への影響」という点では、「消費税増税」なんかよりも、何倍も何十倍も、影響が大きいことがある…。

※ だから、常にアンテナを張り巡らせて、自分及び自分の家族の身に「災いが及ぶこと」を、少しでも回避することを考えておく必要があるんだ…。

福島 郡山で爆発音と通報 建物に被害 少なくとも11人けが 消防

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200730/k10012540391000.html

 ※ もう、始まっている…。
 そういうことへの、感度が鈍すぎる…。
 何故安倍さんが、公安関係の当局者と、頻繁に面談しているんだ…。
 ちょっと、考えれば分かるだろう…。
 自分の身は、自分で守るしか無いんだ…。
 感度の鈍いヤツは、生き残っていけない…。

『福島県の郡山消防本部によりますと30日午前9時前、福島県郡山市の島2丁目付近で、爆発音がしたと通りがかった人から通報がありました。少なくとも11人がけがをしていて、順次、病院に搬送しているということです。

11人のうち2人は自力で歩けない状態だということです。

意識があるかなどについては分かっていません。

また、近くに支店がある福島市に本店がある東邦銀行によりますと、銀行員2人とATMを利用していた客2人のあわせて4人がけがをしたということです。

支店は爆発の影響で店内が壊れ、営業できない状態になっているということで、銀行員と客は店の外に避難しているということです。

また銀行によりますと爆発があったのは近くの飲食店とみられるということです。郡山消防本部は救急車など12台を出して、けが人を病院に搬送しているほか、警察と消防が現場の状況を詳しく調べています。

「地震のような揺れと爆発音」
爆発音がした現場近くとみられる、郡山市島1丁目にあるガソリンスタンドの従業員は「午前9時前くらいに地震のような揺れとドンという大きな爆発音があり、道路上などにガラスが散乱していた。その後、消防が来て『ガスが漏れているので、近づかないでほしい』と言われた」と話していました。
午前9時半前にNHKが撮影した福島県郡山市の現場の映像では、爆発が起きたとみられる建物は外壁などがなくなり鉄骨の骨組みだけになっています。建物の周りには爆発で吹き飛んだとみられるがれきが散乱しています。

また周囲の住宅やビルも壁に穴があいたり、窓ガラスが割れたりしているのが確認できます。』

陸上自衛隊トップ、辞任覚悟の出動命令

陸上自衛隊トップ、辞任覚悟の出動命令
東日本大震災の発災からわずか30分で下した決断(2018年3月8日)
https://business.nikkei.com/article/interview/20150302/278140/022300001/?P=1

 ※ 白眉は、「火箱さんはこれだけの“作戦”をわずか30分で決めたのですね。事前に予感があってシミュレーションをしていたのですか。
火箱:いえ、そんなことはありません。会議をしていた11階の次官室から4階の自室に向かうため、階段を駆け下りながら考えました。エレベーターはとまっていましたから。」という部分だ…。


 その短い時間の間に(階段を駆け下りながら)、「使える戦力・部隊」と、「あり得る敵の侵攻」と「それに備えるべき戦力・部隊」、そして「兵站を担うべき戦力・部隊」…。そういうものを、一瞬のうちに弾き出す頭脳…。そして、「辞任(腹切り)」覚悟で「実行して行く」胆力…。
 そういう人材が、指揮官じゃ無いと、「いざという時」には役に立たない…。
 もちろん、「それができる」と判断されているからこそ、そういう「役職」に就いているわけだが…。
 
 どんな人でも、社会や組織においては、何らかの「役割」を振られていて、「いざという時」は「適切に行動すること」が期待されている…。
 構成員の全てが、「誰かが、やってくれる。」「自分以外の誰かが、やってくれるはず。」と思っていたら、そういう「社会」「組織」は機能するのか?「いざという時」に役に立つのか?
 
 どんな人でも、「いざという時」に備えるべく、頭脳と胆力を鍛錬しておくべきだと、思うぞ…。

 ちょっと長いが、全文を引用させていただきます…。
 
『2011年3月11日、午後2時46分。三陸沖を震源とする大地震が日本を襲いました。死者約1万6000人、負傷者約6000人、行方不明者約2600人(2011年9月11日時点)に及ぶ大惨事に発展した。

 こうした中、自衛隊は「10万人体制」を展開。約1万9000人を救助しました。救助された約2万8000人(2011年3月20日時点)の7割に相当します。これは、自衛隊が発災から72時間で3万人近い部隊を現地に集めたことが効を奏したから。その背後には、火箱さんが辞任を覚悟で決めた「即動」が大きな役割を果たしました。

火箱:当時、私は陸上自衛隊(以下、陸自)で幕僚長(以下、陸幕長)*を務めていました。救助部隊を少しでも早く現場に急行させるため各部隊に出動を命じました。災害に遭った人の生存確率が高いのは発生から72時間と言われています。危機的瞬間には手続きの万全さより迅速・実効性ある行動が勝ると思い、この間に大量の部隊を送り込むことが最も大事と考えました。
*:陸上自衛隊における制服組トップ。

火箱 芳文(ひばこ・よしふみ)
陸上自衛隊・元幕僚長。1951年生まれ。1974年に防衛大学校を卒業し、陸上自衛隊に入隊。第1空挺団長、第10師団長、中部方面総監を経て陸幕長に。2011年に退官。現在は三菱重工業で顧問を務める(写真:加藤 康)
でも、陸幕長は部隊の指揮権を持っていないのでは。

火箱:おっしゃるとおり、陸幕長は陸上自衛隊の部隊を指揮する権限を持ってはいません。自衛隊の部隊を指揮するトップは統合幕僚長(以下、統幕長)です。統幕長は、東北地方をカバーする東北方面隊の総監など、陸自に5人いる方面総監に命令を発する。陸幕長の役割は兵站、人事、教育、防衛力整備を司り、フォースプロバイダーとして統幕長の命令に応じて措置することです。

 ちなみに、統幕長は海上自衛隊では自衛艦隊司令官に、航空自衛隊では航空総隊司令官に発令します。

 また災害派遣時は原則的には、都道府県知事からの要請を受けて出動します。ただし、緊急時には自主的に防衛大臣から統幕長に災害出動命令を発することができます。しかし、それを待つこともしませんでした。

 午後3時前という時間のことを考えました。3月ですから、すぐに暗くなります。それに、いったん隊員が帰宅してしまうと、再び召集するにはさらに時間がかかる。』
『しかし、統幕長からの命令を待っていては、救える命が救えなくなってしまうかもしれません。「どの連隊が出動可能か」「どれだけ出せるか」といった確認のやりとりを陸自、海自、空自のそれぞれとして調整する必要があるからです。

 私がとった行動は「越権行為」「超法規措置」として処分されてもしかたありません。頭の片隅で辞任の弁まで考えました。「大臣からお叱りを受けるならば、大臣を補佐する幕僚としては失格です」と。しかし、先ほど申し上げた理由から、私の一存で部隊を現場に出すことを決めました。

阪神・淡路大震災の言われなき批判をそそぐ
なぜ、そのような決断ができたのですか。

火箱:一つは、1995年に起きた阪神・淡路大震災での苦い経験です。「自衛隊が現場に到着するのが遅かった」と批判を受けました。我々としては「言われなき批判」なのですが、我慢するしかなかった。

言われなき批判とは。

火箱:当時は、災害が起きても、都道府県知事からの要請がなければ部隊を派遣してはならない、とされていました。当時、第3師団はすぐに姫路や福知山の部隊などを神戸に向かわせていました。しかし、要請がないので神戸に入ることはできず、手前で待機することになった。そうこうするうちに道路は渋滞し、要請が出た時には動きが取れない状況に陥っていたのです。

 もう1つは能登半島地震の経験です。2007年3月25日に、能登半島を震度6の地震が襲いました。私は当時、能登半島をカバーする第10師団(名古屋市守山)の師団長。異動が決まって自宅で荷物を整理していると、家が大きく揺れた。とっさに「震源が近ければよいが、震源が遠ければ、現地は大変なことになっている」と考えました。

 自衛隊では震度5弱以上の地震が起きるとカメラを積んだヘリコプターが情報収集のため自動的に飛び立ちライブで映像を送るようになっています。よって震度5を超える地震は非常に大きな地震なのです。それが震度6。大きな被害が起きているのは間違いありません。

 すぐに走って駐屯地に行き、金沢の連隊を出動させました。金沢の連隊長もたまたま異動が決っており、翌日には離任式が予定されていたのですが、「離任式などない。すぐに出ろ」と命じました。

 間髪入れずに出動した偵察隊が、走行できない道の情報などをいち早く的確に伝えてくれたので、無駄な動きをすることなく救助に向かうことができました。

 この時の命令は師団長としての正規なものです。阪神・淡路大震災の教訓から自主派遣が可能になりました。』
『わずか30分で決めた部隊配置
東日本大震災に臨んで、部隊をどのように配置したのですか。

火箱:最初に連絡したのは東北方面隊です。状況を確認し直ちに出動を命じました。

次いで九州を担当する西部方面隊です。東北までの移動に最も時間がかかりますから。福岡にいる第4師団を出動させるよう指示しました(表)。ただし、北熊本の第8師団と沖縄・那覇に駐屯する第15旅団は動かさなかった。大災害が起きた非常時であっても、尖閣をはじめとする南西諸島への備えを疎かにはできません。第8師団は第15旅団の後詰めとして欠かせない存在です。
*:「師団」は陸自における作戦部隊の基本単位。中に、普通科、特科、機甲科や兵站部隊から構成される。「旅団」は師団の小規模なもの
 次に、東海・北陸・近畿・中国・四国を担当する中部方面隊(兵庫・伊丹)に連絡しました。中部からは第10師団(愛知・守山)を現場に投入する一方で、第3師団(兵庫・千僧)には残留を、第13旅団(広島・海田市)と第14旅団(香川・善通寺)には待機を命じました。

 第3師団は第10師団が抜けた穴を埋めるのに欠かせません。大都市・大阪が管轄内にあるし、北陸の原発を警戒する必要もあります。第13旅団は、日本海方面で北朝鮮が動いた場合に備えるため、第14旅団は四国で連動型南海地震が起きた場合に備えるためです。』
『北海道の北部方面隊からは旭川の第2師団と第1特科団等直轄部隊、東千歳の第7師団の一部を現場に送り、第5師団は帯広で待機、第11旅団は真駒内に残しました。

 第7師団は機甲部隊*で災害派遣には向かないので、隊員だけを出動させました。
*:戦車などを中心とする部隊
 第5師団を待機させたのは、震源地が三陸沖であることを考えると、釧路・帯広に影響して津波が襲う懸念があったからです。第11師団は中心都市・札幌を守ると共に、第2師団の留守をカバーするため。

被災地を視察する火箱芳文陸幕長(当時)(写真=陸上自衛隊幕僚監部)
 関東甲信越を担当する東部方面隊からは第12旅団(群馬・相馬原)を派遣しました。中心をなす第1師団(東京・朝霞)は動かしづらい。首都・東京の防衛を疎かにするわけにはいきません。加えて、茨城と千葉は被災している。なので、関東以西から駆けつける他の部隊の兵站を担うよう命じました。

 普通科連隊だけでなく、福岡・小郡の第5施設団をはじめとする施設団も派遣しました。廃材を撤去するための重機を持っているし、道路補修もできる。彼らが保有しているボートは水上から救出もでき、川に並べれば橋を仮設することもできます。

 一連の指示は作戦基本部隊である師団もしくは旅団の単位で行いました。現場を偵察して、即、行動に移すことができるからです。師団には情報部隊や飛行隊があります。彼らがどこにどんな支援が必要かの情報を集め、各連隊が実行する。連隊単位で動かすと、連隊は飛行機を持っていないので、十分な情報を集めることができない可能性があります。

 一連の指示の甲斐があって、72時間後には3万人の部隊が被災地で活動していました。

火箱さんはこれだけの“作戦”をわずか30分で決めたのですね。事前に予感があってシミュレーションをしていたのですか。

火箱:いえ、そんなことはありません。会議をしていた11階の次官室から4階の自室に向かうため、階段を駆け下りながら考えました。エレベーターはとまっていましたから。』
『兵站で力を発揮した民の力
兵站の面では民間企業が協力してくれましたね。

火箱:そうですね。

 北海道に居る北部方面隊が東北に駆けつけるには海を渡る必要があります。「船は自分がなんとかする。小樽でも苫小牧でも、港に部隊を集結させておけ」と北部方面隊の総監に命じ、海自の杉本正彦・海上幕僚長(当時)に北部方面隊を輸送艦で運んでくれるよう依頼しました。

 しかし、不運なことに輸送艦は1隻は海外、2隻は修理のためドックに入っており出航に2日かかるという。これでは72時間に間に合いません。結局、新日本海フェリー、商船三井フェリー、太平洋フェリーの協力を得て運んでもらいました。

 陸上では日本通運の協力を得ました。自衛隊の部隊内の兵站は自分たちで賄うことができます。しかし、避難者も支援しなければならない。しかも、その数は30数万に上りました。避難者の支援は本来、自衛隊の役割ではありませんが、放り出すわけにはいきません。せっかく救助しても、避難所で飢えたり凍えたりするようでは元も子もありませんから。

 そこで陸・海・空自衛隊で「民生支援物資輸送」の仕組みを作り、陸上輸送は日本通運に避難者向けの物資輸送を依頼しました。岩手・宮城・福島にある同社の倉庫を借り、そこまで物資を運んでもらう。その先の輸送は陸自が担当しました。

 日通のトラックには帰りのガソリンを現物で渡しました。実はこの前に、政府が食料と油を整えて被災地に送ろうとしたのですが、トラック協会は送れないとしていました。往きはよいが、帰りのガソリンを調達できないからです。日通との協力ではこの点を解決しました。

 先ほど説明した施設団はこうした支援物資を運ぶトラックが行き来するための道を切り開くのに活躍しました。

シャワーの水をちょろちょろ出しつつご遺体をお清め
震災から1週間たった3月19日から、火箱さんは現場への視察に出ました。現場はどういう状況だったのですか。

被災地を視察する火箱芳文陸幕長(当時)(写真=陸上自衛隊幕僚監部)
火箱:海岸線は瓦礫の山。三陸のすべての海岸はまるで艦砲射撃を受けた後のように茶色に染まっていました。私はそれまでにイラクとアフガニスタンの戦場の映像を見たことがありました。しかし、あの時の東北の状況が最もひどかった。

 そんな中でも陸自の各部隊は頑張ってくれました。

陸幕長の目から見て、高く評価できる動きはありましたか。

火箱:どの部隊も本当によくやってくれました。本当に頭の下がる思いです。視察中に気になったことをお話します。第10師団でのことです。ご遺体の処置の仕方です。

 隊員がご遺体をみつけると、まず警察官に通報する。警察官が検死をして事件性がないことを確認した後、遺体安置所に搬送します。第10師団の隊員たちは、警察官がご遺体にひしゃくで水をかけるだけでまだ泥だらけのまま検死を済ませる中、師団長の指示で化学防護隊が保有するシャワーセットを使って泥やヘドロを落としていました。ご遺体が傷み始めると、勢いよくシャワーをかけると壊れてしまいます。なので、水圧を弱め、ちょろちょろ水を出しながらお清めしてご遺体を丁寧に収納していました。

 こうした姿勢の違いから第10師団の第35普通科連隊は警察と一悶着起こすことがありました。熱心な隊員たちは警察が引き上げた後も懐中電灯を持って捜索を続けていました。その途中で一人のご遺体を発見した。検死はできない。しかし、その場に放置するのは忍びない。そこでご遺体を移動し仮安置しました。これに対して警察から「なぜ動かしたのか」と問い詰められたのです。法律を執行する上で彼らの主張は正しい。しかし、場合が場合です。話を聞いて「お互い協力し合うべき立場なのでそんなこと言うなよ」という気持ちになりました。

 この時は、地元・宮城県名取市の市長さんが「逮捕するなら私を逮捕してください」と言って取りなしてくれました。

 福島県相馬市で活動した第13旅団も、被災した皆さんの気持ちをよくくみ取るとともに、地元自治体との調整をうまく進めました。彼らの行方不明者捜索は徹底していました。冠水した担当地域の水を抜き、すべての瓦礫を撤去した上で、行方不明者を探す。瓦礫が残った状態では、家族の方は「その下に埋まっているかもしれない」という懸念をぬぐい去ることができません。なので、奇麗にした状態で捜索をし、その範囲に行方不明者はいないことを地元の区長さんに確認してもらった。

行方不明者の捜索に取り組む第13旅団の第17普通科連隊(写真=陸上自衛隊幕僚監部)
 災害派遣において撤収は最も難しい仕事です。それを第13旅団は見事な撤収を果たしました。家族がみつかっていない被災民の方は自衛隊に帰ってほしくないのです。我々も助けたい。しかし自衛隊にはほかの任務もあります。新たな災害が発生したらどうするか。外敵が攻撃してきたらどうするか。テロが起きたらどうするか。緊急性、非代替性、公共性を軸に判断し、自衛隊でないとできないことを優先せざるを得ません。どこかで区切りをつけなければならない。

 ある被災地ではご遺体の埋葬を依頼されることがありました。穴を掘って埋めてほしいと。ご遺体は徐々に傷んできますから。しかし、これは厚生労働省の管轄なので、当時の厚労相から各自治体に自衛隊に依頼しないよう通知してもらいました。それでも被災地の現場は手がないので自衛隊に頼んでくる。自衛隊の使命は緊急性の観点から、行方不明者を捜索して家族の元に返すのが優先事項であることを説明しました。』
『幼な子を抱いた母親のご遺体が…
 各隊員のレベルで見ても頭が下がる行動がたくさんありました。3月の東北の水は氷のように冷たい。それでも腰まで水につかり、行方不明者を手作業で探す者。自分の食事を被災者に差し出す者。みな泥だらけ、汗まみれ。それでも風呂には入れない。着替えすらできません。夜はごろ寝です。

行方不明者の捜索に当たる第1空挺団(写真=陸上自衛隊幕僚監部)
 こうした環境ですから、隊員の健康には心と体の両面で注意を払いました。毎日、幾つものご遺体を目にするのです。中には、幼な子を抱いたまま亡くなった母親の遺体もある。

 宮城県石巻市の大川小学校では、ランドセルが隊員の目に入った。「ここか!」と思いヘドロをかき分けて捜索すると、子供さんの遺体が上がってくる。そうした光景が自分の家族と重なる。その悲しみがどんどん心の中にたまっていく。

 なので、隊員たちに気持ちを吐き出すよう勧めました。夜、班長を中心に車座になって、その日にあった出来事を話す。ある時はみなで祈る。ある時はみなで泣く。それだけでも気持ちが変わります。

 自衛官がいくら身体を鍛えていても肉体的に疲労します。それに食事はずっとパック飯と缶詰ですませていました。自衛隊は野外でも炊き出しの機能を持っていますが、野外炊事車はみな被災者に提供しました。そうすると、ビタミンが欠乏するのでしょう。口の中に吹き出物ができる隊員が多く出ました。「きゅうりを1本食わしてやりたい」と思いましたが、なかなかかないません。できぬこととは知りながら、衛生部長に「日本中のビタミン剤を全部集めて送ってやれ」と叫んだことがありました。

 隊員から配慮のなさを指摘されることがありました。食事が不足しないよう送った様々なものの中に、赤飯の缶詰があったのです。担当者は赤飯の方が腹もちがよいと思い良かれと思って送ったのだと思います。しかし、先ほどお話ししたように、現場は毎日ご遺体に接し心を痛める状態です。「こんなもん食えるか!」と怒りの連絡が入りました。「申し訳なかった」というしかありませんでした。

 現場はそんな中にあっても様々な工夫を凝らして対処してくれた。ある時、「金魚鉢を送ってくれ」とのリクエストがありました。

行方不明者を捜索するのに金魚鉢が役に立つのですか。

火箱:冠水した地域はボートに乗って捜索をします。その時に金魚鉢を水面につければ、ボートの上から水中をのぞくことができる。

 胴長の足の底に鉄板を入れるというアイデアもありました。胴長を履いて水中を捜索していると瓦礫の中の釘を踏むことがあるので。胴長自体も釘でずたずたになる。なので、業者に頼んで胴長に細工をしてもらいました。

 線香と塩を送ってほしいという依頼もありました。ご遺体をみつければ、手を合せ、お悔やみを言いたくなるのが人情です。その時に使う。』
『人が足りない
陸自のトップとして震災を経験されて、気付かれた課題は何でしょう。

火箱:やはり人が足りないことです。師団はかつては3~4個の単位で編成されていました。これなら2~3個の部隊が活動している時に、1~2個の部隊は休憩することができます。しかし、今は人が居らず、部隊単位が減らされ非常に窮屈な編成になっています。交代すらままならない。人の数が減れば、それに応じて車両も武器も減ることになる。

 第2は陸上総隊がなかったことです。総隊司令部ができると5つある方面隊を運用統制できます。私が震災の時に果たしたのは、実質的に陸上総隊司令官の役割でした。空自は既に北部・中部・西部の3つの航空方面隊と南西航空混成団を一人の総隊司令官が指揮できるようになっています。

 第3は統合任務部隊の運用です。陸海空の3つの自衛隊を統合的に運用するため、JTF(ジョイント・タスク・フォース)という仕組みを作りました。JTF東北の司令官は陸自の君塚栄治・東北方面総監で、彼の下に海自の横須賀地方総監と空自の航空総隊指令官が加わる形を取りました。ただ、君塚総監の元に実際に居たのは海自と空自の連絡将校(リエゾン・オフィサー)で、彼らが指示をそれぞれの上司に伝えていました。

 これでは密な統合はできない。やはり、陸自・海自・空自それぞれの状況をよく分かっていて、実際に部隊に指示できる幕僚をJTFの司令部に出すようにしないといけません。

 ただし、この時の教訓が生かされ、この3月に陸上総隊が新編されます。

第一空挺団で活躍した(写真=陸上自衛隊幕僚監部)

私も先輩から多くを学びました。第一空挺団の中隊長になった時、1985年に起きた日航機墜落事故(御巣高山)の時の経験を前任者から聞いたことがあります。たまたま部隊のマラソン大会があり部隊が集結していたため、即動につながった。第一空挺団はこの後、必ず一つの中隊を初動部隊として待機させるようになりました。

 東日本大震災での経験も語り継ぎ、後輩たちに残していくことが大事だと思っています。』

「令和2年版防衛白書」、出た…。

令和2年版防衛白書
https://www.mod.go.jp/j/publication/wp/index.html

 ※ しかしだ、相変わらず「読みにくい」…。
 .pdfなのは、やむを得ないよ…。Webと印刷用と、兼用だからな…。
 しかし、そのWeb版(.html版)の「目次」は、どうなんだ…。使いものになるのか?。
 .htmlのいいところは、「リンク」をたどって行くと、大体の内容の「大枠」は把握できるところだ…。「第〇章 第〇節」とか、羅列されても、内容がさっぱり分からんだろう? かと言って、.pdf版の方の「目次」には、「リンク機能」が無い…、と来てる…。
 これじゃあ、読もうとするのは、研究者、ジャーナリストなんかの「センセイ方」に限られてしまう…。素人、一般人で「読んでみよう。」とか思うのは、オレみたいな、よっぽどのヒマ人かつ酔狂モンだけのこったろうよ…。
 まあ、「素人、一般人」には、読ませたくは無いんだろうな…。ヘタすると、「餌食」になるだけだからな…。
 なにしろ、「コロナの世界的な流行が始まりかけていて、この先どういう手を打つのか」という事態を前にして、「それは、それとして、「桜の会」の問題を質問します…。」とかやっていたヤカラが相手だからな…。自ら、そのエサを提供したくは、無いわけだ…。

「コロナで影響力拡大」 防衛白書、中国を警戒

「コロナで影響力拡大」 防衛白書、中国を警戒
尖閣での領海侵入「執拗」
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO61476690U0A710C2MM0000/

『河野太郎防衛相は14日の閣議で2020年版防衛白書を報告した。中国の活動に触れながら新型コロナウイルス問題を機に「自らに有利な国際秩序の形成や影響力の拡大」を目指す動きがあると警戒感を示した。

コロナ対応を巡り中国が「感染拡大に伴う社会不安や混乱を契機に、偽情報の流布を含む宣伝工作もしている」と指摘した。各国の軍事活動に影響し「国家間の戦略的競争を顕在化させ得る」と分析した。

沖縄県尖閣諸島周辺での領海侵入は「現状変更の試みを執拗に継続している」と批判した。従来の防衛白書になかった「執拗」との表現を初めて使った。中国の軍拡は「安全保障上の強い懸念」だと強調した。

北朝鮮については19年5月以降に発射した新型ミサイルが低空で飛来すると説明し「ミサイル防衛網の突破を企図している」と分析した。発射兆候の把握や迎撃が難しくなっており、多様な攻撃への対応が「課題」だと訴えた。

地上配備型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」については配備計画を断念した経緯を記した。代替策は国家安全保障会議(NSC)の議論を踏まえて検討するとの説明にとどめた。

抑止力の強化に向けて「新しい方向性を打ち出す」という安倍晋三首相が6月の記者会見で表明した方針を明記した。

20年から開始したシーレーン(海上交通路)の安全確保を目的とする自衛隊の中東派遣の概要も盛り込んだ。イランを含む中東各国から「理解を得ることが重要だ」として説明に取り組んでいることを強調した。

米国以外の国・地域との安全保障協力に関する章で、韓国の記載順はオーストラリア、インド、東南アジア諸国連合(ASEAN)に続く4番目だった。従来の2番目から引き下げた19年版の記載順を踏襲した。』

地上イージスの代替案検討 政府、敵基地攻撃も議論へ

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO60734420U0A620C2EA2000/

『政府は24日、国家安全保障会議(NSC)を開き、地上配備型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」の配備計画の停止を確認した。代替となるミサイル防衛の検討に入る。攻撃を受ける前に相手の拠点をたたく敵基地攻撃能力の保有の是非に関しても、政府で議論する見通しだ。

安倍晋三首相も出席して首相官邸でNSC4大臣会合を開いた。河野太郎防衛相が陸上自衛隊の新屋演習場(秋田市)とむつみ演習場(山口県萩市、阿武町)への配備計画を停止すると報告した。

政府は人家近くへのブースター落下を防ぐ改修に巨額の費用と時間がかかると説明する。政府高官は計画に関し「事実上の撤回だ」と指摘する。政府は代替策の検討を進め、米国などと契約済みの1700億円超の費用の扱いも協議する。

代替策にはイージス艦の拡充や、海上に人工浮島(メガフロート)を建設してイージス・システムを運用する案がある。いずれも巨額の追加費用がかかるのが問題だ。

各国はミサイルの高性能化を図っている。事前に発射の兆候をつかみにくい固体燃料を採用したり、通常より高速で飛行して経路を変化させたりするミサイルの開発が進む。飛行経路を予測しにくいため防衛関係者からは「ミサイルを迎撃する防衛方法は困難になる」との声が上がっていた。』
『浮上するのが敵基地攻撃能力の保有論だ。

ミサイルが発射された後に空中で撃ち落とすのは不確実性が高く、コストも膨大だ。発射される前の発射場所をたたく方が容易で費用も少なくて済む、という論理だ。

自民党は2013年や18年の防衛大綱の改定議論に合わせ保有を提言してきた。首相は18日に「党から提案が出ている。受け止めていかねばならない」と表明した。

日米の同盟関係は日本が守りの盾、米国が攻撃の矛、との役割分担だった。茂木敏充外相は23日「単純に『盾と矛』と性格づけられる安保環境ではない」と指摘した。

自民党は近く敵基地攻撃能力を含めた安全保障戦略を検討するチームをつくる。7月中に政府に提言する。並行して政府も検討に入る見通しだ。』
『地上や海上から発射する巡航ミサイルを保有すべきだとの意見も自民党内にはくすぶる。

政府は憲法9条の下でも敵基地攻撃は可能との見解だ。1956年の鳩山一郎首相の「座して自滅を待つべしというのが憲法の趣旨とは考えられない」との答弁に基づく。国際的にも国連憲章51条で認める自衛権の範囲内との解釈が一般的だ。

政府は「もっぱら他国に打撃を与える戦力」は保持しないとの立場を取ってきた。大陸間弾道ミサイル、戦略爆撃機、攻撃型空母が具体例だ。菅義偉官房長官は24日「専守防衛という考え方の下でしっかり議論していきたい」と語った。』

防衛の最後の要(かなめ)は、結局は「人」だ

※ 画像元のサイトは、こちらです。
https://www.alamy.com/search.htmlhttps://www.alamy.com/search.html?ps=100&pn=6&cbstore=0&qt=22nd-infantry#BHM=foo%3Dbar%26st%3D0%26sortby%3D2%26qt%3D22nd%2520infantry%26qt_raw%3D22nd%2520infantry%26qn%3D%26lic%3D3%26edrf%3D0%26mr%3D0%26pr%3D0%26aoa%3D1%26creative%3D%26videos%3D%26nu%3D%26ccc%3D%26bespoke%3D%26apalib%3D%26ag%3D0%26hc%3D0%26et%3D0x000000000000000000000%26vp%3D0%26loc%3D0%26ot%3D0%26imgt%3D0%26dtfr%3D%26dtto%3D%26size%3D0xFF%26blackwhite%3D%26cutout%3D%26archive%3D1%26name%3D%26groupid%3D%26pseudoid%3D%26userid%3D%26id%3D%26a%3D%26xstx%3D0%26cbstore%3D0%26resultview%3DsortbyPopular%26lightbox%3D%26gname%3D%26gtype%3D%26apalic%3D%26tbar%3D1%26pc%3D%26simid%3D%26cap%3D1%26customgeoip%3D%26vd%3D0%26cid%3D%26pe%3D%26so%3D%26lb%3D%26fi%3D0%26langcode%3Den%26upl%3D0%26cufr%3D%26cuto%3D%26howler%3D%26cvrem%3D0%26cvtype%3D0%26cvloc%3D0%26cl%3D0%26upfr%3D%26upto%3D%26primcat%3D%26seccat%3D%26cvcategory%3D*%26restriction%3D%26random%3D%26ispremium%3D1%26flip%3D0%26saveQry%3D%26editorial%3D1%26t%3D0%26edoptin%3D%26ps%3D100%26pn%3D6%26cbstore%3D0

『自衛官の採用上限、32歳に引き上げ 人材確保の司令塔部署も新設 少子化で迫る「静かな有事」対応』
http://www.sankei.com/politics/news/180807/plt1808070002-n1.html
『 防衛省は、自衛官の採用年齢の上限を現行の26歳から32歳に引き上げる方針を決めた。関連規則を改正した上で今年10月から施行する。少子化などの影響で自衛官の確保が困難になっていることを踏まえた措置で、平成31年度には人材確保に関する政策立案の司令塔となる部署も新設する。複数の政府関係者が6日、明らかにした。
自衛官のうち「自衛官候補生」と「一般曹候補生」の現行の募集対象は18~26歳で、上限を6歳引き上げる。今週中にも採用年齢を定めた省令を改正するための意見公募(パブリックコメント)を開始する。自衛官の採用年齢を変更するのは2年以来で、当時は24歳だった上限を26歳に広げた。…』

どんな最新の兵器を揃えたとしても、防衛の最後の要(かなめ)は、結局は
「人」だ。

オレは、「国家」とか、「祖国」とか言うものは、多くの人(国民、市民、住民…)を乗っけてる『器(うつわ)』みたいなモンだと、思ってる。

しかも、今現在そこに生きてる人達だけの話しでは、ない。
今現在そこに生きてる人達は、過去の祖先達の”生存”の恩恵を、受け継いでいる…。

過去と現在のことで終わる話し、でもない。
この先ずーっと、オレらの子供や孫…、そのまた子供や孫達の”生存”の基盤を、提供していくものだ。

だから、どの国でも、「侵攻してきたら、反撃するぞ。」という気概を、常に示しているんだよ。
そういう「精神性」を失ったら、直ぐに亡国だ…。
国が亡んで行くのは、軍備の備えが不足だったからではない。
「自分たちの子や孫に、受け継いでいくための「くに」を、絶対に守り抜くぞ。」という精神性を失ったときに、亡んで行くんだよ…。

『石破、そりゃダメだろ…』

※ 画像元のサイトです。
 https://www.sankei.com/politics/news/180810/plt1808100037-n3.html 
 
 『私は(防衛庁)長官のときに、人民解放軍の陸海空の青年将校が参りました。私は自衛隊に対し、機密以外はすべてみてもらうように命を下しました。それを見た上で、日本が中国が侵略しようとしているか判断してくれと申し上げました。そういうような相互理解、認識の共有、国益を踏まえた上でのそういう信頼関係の構築は、日中間に限らず必要なことだと承知をしております』
 
 総裁選への立候補表明でこんなこと言ってるとは…。
 自分のやってることの危険性に、皆目気付いて無いんだな…。
 そういうヤツが、防衛大臣やってた訳だ…。
 
 日本、終わってるな…。

『超小型衛星で尖閣監視 政府が検討 中国船の追跡可能に』

 http://www.sankei.com/life/news/180815/lif1808150002-n1.html
 (※ 画像元のサイトです)
 
 前にも言ったと思うが、尖閣は中国が台湾侵攻に出る時の、「要石」だ。
 明らかに、アメ(のトランプ政権)と示し合わせてのことだと思うぞ。
 
 最近は、ウイグル人の人権侵害も言い立てているしな。
 「人権」を持ち出されると、中国は対応のしようが無いんだよ。
 だから、「人権」を言ってる限り、「お前とは、妥協する余地は、無い。」と言うメッセージになるんだよ。
 つまり、アメとしては、「妥協する余地の有る、経済の問題で、大幅に譲歩しろ!」という意味になる。
 
 しかし、どうも最近の流れを見てると、米中は「技術冷戦(技術分野における、中国封じ込め)」に突入したようにも、思われる。
 前に、イージス艦の民間船との衝突の時に、「ハッキングされた説」を紹介したが、その後の調査で、中国製の電子部品が原因だった…とでも判明したのかなあ…。
 そういうあたりは、軍事機密だろうから、情報は、一切出てきてはいないがな…(オレの収集能力ではな…)。
 あと、この小型衛星は、北朝鮮の「瀬取り」対策にも使うつもりなんだろう。
中露は、制裁を緩和する方向で動いているようだから、動かぬ証拠を突きつけようと言うんだろう(衛星画像は、軍事機密になるんで、提供できないだろうが、連絡して艦船が接近して、写真でも撮ろうと言うんだろう)。
『政府は7月24~26日、大量破壊兵器の拡散阻止を目的とした多国間訓練を千葉県房総半島沖などで実施した。目玉となったのは、大量破壊兵器の関連物資を積んだ疑いがある船舶に海上自衛隊員らが乗り込み、立ち入り検査を実施した実動訓練だった。特定の国を想定した訓練ではなかったが、北朝鮮による洋上での違法な物資の移し替え「瀬取り」を抑止するための次なる一手を示唆する意味もあった。
 一連の訓練は、2003年に米国のブッシュ政権が提唱した「拡散に対する安全保障構想(PSI)」に基づいて行われた。現在は日本、米国、韓国、豪州、ニュージーランド、シンガポールの6カ国が1年ごとに持ち回りで開催しており、日本が主催するのは4回目。日本を含め計26カ国が参加した。
 実動訓練では、日米豪の哨戒機が大量破壊兵器の関連物質を積んだ疑いがある国籍不明船を伊豆半島沖で捜索・追跡。空の動きと連動して、海自と米韓の沿岸警備隊が房総半島沖で容疑船舶に乗り込み、立ち入り検査を行うまでの手順を確認した。』なんてなことも、やってるしな。
( http://www.iza.ne.jp/kiji/politics/news/180814/plt18081412040007-n1.html