菅・バイデン共同会見、3つの疑問点

https://wedge.ismedia.jp/articles/-/22785

『今回のテーマは、「菅・バイデン共同会見、3つの疑問点」です。菅義偉首相は4月16日、ジョー・バイデン米大統領とホワイトハウスでの会談を終了した後、共同会見に臨みました。

 そこで、菅首相は中国、台湾、イノベーション、コロナ対策、気候変動並びにアジア系住民への差別問題などで「一致した」と繰り返しました。合計11回も「一致した」と強調したのです。

 一方、バイデン氏は共同会見で中国の挑戦に対して日米が連携して対抗する重要性について言及しましたが、今夏の東京オリンピック・パラリンピック競技大会及び、日本の中国に対する人権侵害制裁の立場に関して明言を避けています。

 そこで本稿では、共同会見での菅・バイデン両氏のパフォーマンスと内容に関する3つの疑問点を挙げます。

(AP/AFLO)

【疑問点その1】

 なぜバイデン大統領は共同会見でこの夏の東京オリンピック・パラリンピック競技大会の支持を表明しなかったのか?

 共同会見で菅首相は、「今年の夏、世界の団結の象徴として東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催を実現する決意であることをお伝えしました」と語り、「バイデン大統領からこの決意に対する支持を改めて頂きました」と述べました。共同声明には確かに「バイデン大統領はこの夏の安全・安心な東京オリンピック・パラリンピック競技大会を開催するための菅首相の努力を支持する」と明記されました。

 東京オリンピック・パラリンピック競技大会は、今回の訪米で菅首相が重視していた議題のひとつであったことは間違いありません。というのは、帰国後菅氏はバイデン大統領から再度支持を得たと主張できるからです。バイデン氏は菅氏に「お土産」を持たせたと解釈できます。

 ただし、バイデン大統領は共同会見で東京オリンピック・パラリンピック競技大会への強い支持を表明しませんでした。

 共同会見の前日15日に行われた政府高官とメディアとの電話会議で、同高官はバイデン大統領が東京オリンピック・パラリンピック競技大会を巡る菅首相の置かれた政治状況に対して非常に神経質になっていることを明かしました。その上で、「大会開催まで数カ月あるので状況を見守ろう」と述べました。バイデン氏は東京オリンピック・パラリンピック競技大会に関する自身の発言が、菅政権の存続に影響を及ぼす可能性があると捉えており、軽々な発言をしないように控えているのです。

 20年米大統領選挙を振り返ってみると、バイデン大統領はドナルド・トランプ前大統領とは異なり、支持者の参加人数を制限した小規模集会を開いて、マスク着用及びソーシャルディスタンスを義務づけていました。さらに新型コロナウイルス感染が拡大すると、ドライブイン形式の集会を開催し、参加者は拍手喝さいの代わりに、車内からクラクションを鳴らして支持表明をしました。選挙期間中、バイデン氏は「コロナ対応型選挙」に徹し、それが有権者から支持を受けました。

 となると、菅氏との会談でバイデン大統領は東京オリンピック・パラリンピック競技大会に関して、かなり高いレベルの安全性の確保ができているのかを確認したとみて間違いありません。共同会見で支持を明言しなかった理由は、バイデン氏は100%確信をもっていないからです。

次ページ » バイデン大統領は菅首相の招待を受け入れたのか?』

『バイデン大統領は菅首相の招待を受け入れたのか?

【疑問点その2】 

 バイデン大統領は菅首相の招待を受け入れたのか?

 菅首相は3月26日の参議院予算委員会で、バイデン大統領を東京オリンピック・パラリンピック競技大会に招待する考えを示しました。この件に関しても、バイデン氏は共同会見で態度を明らかにしませんでした。

 外国人記者が共同会見で菅首相に対して、「公衆衛生の専門家が日本は準備ができていないと指摘しているのに、オリンピックを進めるのは無責任ではありませんか」という厳しい質問をしました。それに対して菅氏は回答をしなかったのです。ホワイトハウスでの共同会見に不慣れな菅氏は、外国人記者はバイデン氏のみに質問をぶつけてくると思い込んでいたフシがあります。

 この場面は今回の共同会見のポイントです。菅首相は明らかに東京オリンピック・パラリンピック競技大会に対する疑問を払拭する機会を逃しました。

 実は、東京オリンピック・パラリンピック競技大会に関する質問はホワイトハウスでの定例記者会見でも出ています。ある担当記者がジェン・サキ報道官にコロナ禍での東京オリンピック・パラリンピック競技大会へのバイデン氏招待について、「菅首相は大胆な発言(a big statement)をしたと思いませんか」と質問をしました。

 この「大胆な発言」には、「よくもそのような発言をしたものだ」という否定的な意味が含まれています。つまり、コロナ禍でのバイデン招待は、「困難」ないし「失礼」と言いたのです。

 バイデン氏の率直にもの言うパーソナリティを考えると、本当に東京オリンピック・パラリンピック競技大会を支持しているならば、共同会見で「強く支持する」「ヨシからの招待を受ける」と断言したはずです。共同声明の東京オリンピック・パラリンピック競技大会支持は、バイデン政権の対中国戦略においてこれから矢面に立つ菅首相に対する特別な配慮としか思えません。

次ページ » 中国の人権問題 』

『中国の人権問題

【疑問点その3】
 バイデン大統領は日本の中国に対する人権侵害制裁の立場を今後も理解するのか?

 政府高官はメディアとの電話会談で、中国に対して人権侵害制裁を課さない日本に一定の理解を示しました。その理由として日中両国の経済関係の緊密さを挙げました。中国に対する人権侵害制裁に関して、日本に欧米と一緒に制裁を課すように無理に押し付けないというシグナルを発信したのです。

 帝国データバンクによると、中国進出日系企業数は1万3646社(2020年1月時点)です。業種別では、製造業が5559社で全体の約4割を占めています。

 仮に日本が人権制裁法の法整備を行い、欧米と共に中国に制裁を課した場合、同国は報復措置に出る公算が高いことは言うまでもありません。具体的には日本製品の不買運動、日系企業を標的にした法人税増税、入管手続や日本からの輸入品の手続における嫌がらせなど、多岐にわたる報復措置が可能です。

 中国との経済関係を重視している日本は、人権問題で同国を刺激しないように注意を払っています。ただ、同盟国・友好国が束になって、中国に対して人権侵害の制裁を課してもらいたいというのが、バイデン大統領の本音です。人権はバイデン政権において内政と外交の双方の中核に位置づけられているからです。

 今後、人権を最優先しないグローバル企業は消費者及び投資家から見捨てられる可能性があることを、日本企業は理解しなければなりません。世界的に人権重視の風潮が高まる中で、「人権尊重の経営」が日本企業の存続に直結するときが間近まで来ているといっても過言ではないからです。

 米中の対立が先鋭化したとき、果たしてバイデン政権が日本の人権侵害制裁に対する消極的な立場に理解を示すかは予断を許しません。』

中国「一切の必要措置取る」 日米の台湾言及に対抗示唆

https://www.asahi.com/articles/ASP4M6F9PP4MUHBI01V.html

『中国外務省の汪文斌副報道局長は19日の定例会見で、日米首脳会談後の共同声明で「台湾海峡の平和と安定」に言及したことについて、「台湾は不可分の中国の領土だ。中国は一切の必要な措置を取り、国家主権と安全、発展の利益を断固守る」とし、日米が関与を強める場合は対抗措置を取ることを示唆した。

 声明で香港や新疆ウイグル自治区の人権状況に「深刻な懸念」を示したことについては、「人権問題では日米こそ負い目がある」と反論。日本の過去の侵略戦争や米国の21世紀以降の戦争を挙げつつ、「日米がすべきことは、自らの侵略の歴史と他国への人権侵害を反省して是正することであり、人権の看板を掲げて中国内政に干渉することではない」と断じた。

 共同声明全般については「日米は国際社会を代表しておらず、国際秩序を定義する資格も自らの基準を他人に押しつける資格もない」と指摘。「口では『自由で開かれた』と言いながら小グループをつくって対抗をあおることこそ、地域の平和と安定に対する真の脅威だ」などと批判した。

 日本には「周辺国や国際社会の懸念を直視すべきだ」とし、東京電力福島第一原発の処理水の海洋放出決定を取り消すよう改めて求めた。(北京=冨名腰隆)』

安保法制「台湾」に対応へ 存立危機事態などに備え

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA183RZ0Y1A410C2000000/

『菅義偉首相とバイデン米大統領は16日(日本時間17日)の会談後に公表した共同声明で、台湾海峡の平和と安定の重要性を訴えた。台湾で軍事的緊張が起こった際、米軍とともに自衛隊も対処するシナリオが現実味を帯びる。日本政府は安全保障関連法に基づく3つの事態への対応について検討を迫られる。

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日米首脳会談を開いた17日、岸信夫防衛相は台湾に近い沖縄県与那国島を訪問していた。記者団に「我が国の安全保障はもとより…

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記者団に「我が国の安全保障はもとより、国際社会にも台湾の安定が重要だ」と語った。
防衛省・自衛隊が想定する最悪のシナリオは台湾周辺での武力衝突だ。中国が台湾を攻撃し、米国が参戦すれば在日米軍が最前線を担う。日米安全保障条約の6条は極東で有事があれば米軍が日本の基地を使用できると規定する。在日米軍基地は台湾への出撃拠点として攻撃対象になりかねない。

こうした局面で日本は要件を満たせば武力を行使できる。

①日本や密接な関係国への武力攻撃
②他に適当な手段がない
③必要最小限度の実力行使――の3要件だ。

安保関連法では外国軍の日本への直接攻撃は「武力攻撃事態」と分類する。閣議で認定し国会が承認する。上陸侵攻、ゲリラ部隊による攻撃、弾道ミサイル攻撃、航空攻撃を想定する。

首相が防衛出動命令を出せば、自衛隊が対処する。台湾に近い南西諸島に脅威が迫れば上陸阻止や離島の奪還に動く。ミサイルの迎撃もできる。

判断が難しいのは日本が直接攻撃を受けず、米軍が攻撃を受けた時だ。安保関連法は日本と密接な関係にある他国が攻撃され、日本の存立が脅かされる明白な危険がある場合を「存立危機事態」と規定する。集団的自衛権を限定的に行使できる事態だ。

これが台湾にどう適用されるのか、これまで政府は具体的に示していない。2014年には危険地域から邦人を輸送する米艦の防護、15年には中東ホルムズ海峡での機雷掃海、17年には北朝鮮が米国に発射したミサイルの迎撃を具体例に挙げている。

いずれも台湾を念頭においた例示ではない。台湾有事も同様に対処するのか、早急に整理する必要がある。

もう一つの分類は日本の平和と安全に重要な影響を与える時の「重要影響事態」だ。自衛隊は米艦への補給などの後方支援や捜索救助、船舶検査ができる。

他の2つとは違い、日本も米国も武力衝突に突入していない場合が多い。どういう時が「日本の安全に重要な影響がある」のか、判断は難しい。

問題になるのが、軍ではなく武装した民兵や漁船が侵攻するような「グレーゾーン」の状況だ。キヤノングローバル戦略研究所の宮家邦彦研究主幹は「中国によるグレーゾーンの攻撃への備えは重要だ」と語る。

台湾を臨む最西端の碑の前で記者団の質問に答える岸防衛相(17日、沖縄県与那国島)

グレーゾーンは沖縄県尖閣諸島でも懸念材料になる。防衛相経験者は「十分に準備ができていない」と話す。宮家氏は「海上保安庁と自衛隊、米軍が連携し作戦計画を立てておかなければならない」と指摘する。

米国を尖閣の危機に関与させるためにも、日米で台湾を含めたグレーゾーンでの協力体制を検討することが重要になる。

自衛隊も台湾対応が課題になる。拓殖大の佐藤丙午教授は「中国軍の台湾への着上陸の妨害が自衛隊の最大レベルの行動だろう」と話す。自衛隊機で台湾侵攻を水際で防ぐ対処が考えられるという。

高精度のレーダーとミサイル迎撃能力を持つイージス艦の活用も有力な手段になる。佐藤氏は「自衛隊が持つミサイル防衛システムの資産を台湾防衛に活用すべきだ」と話す。

(安全保障エディター 甲原潤之介)

「韓国引き込みクアッド拡大を」 兼原・元官房副長官補 日米共同声明を聞く(1)

「韓国引き込みクアッド拡大を」 兼原・元官房副長官補
日米共同声明を聞く(1)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQODE193Z80Z10C21A4000000/

『日米首脳の声明で台湾に触れたのは1969年の佐藤栄作首相とニクソン大統領以来となった。中国は当時、ソ連と国境で軍事衝突し、台湾に軍事力を割く余裕はなかった。日米は中国と国交正常化を果たし、中国を脅威と思わなくなった。

台湾有事は2030年ごろが一番危ない。国家は国力の衰退がはじまると軍縮交渉に応えるようになる。ソ連がそうだった。成長途上の中国の国力がピークアウトするのは20年も先であり、それまでは…

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成長途上の中国の国力がピークアウトするのは20年も先であり、それまでは軍拡がやまない。

中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席は伝統的なリーダーでない。胡錦濤(フー・ジンタオ)氏や温家宝氏のような文人タイプでなく、若い頃に文化大革命を経験した紅衛兵世代にあたる。共産主義が懐かしいのだろう。

中国はいまだに国民国家を完成させていない。共産主義は心の芯となる国民的アイデンティティーを確立できない。チベットやウイグルにこだわるのも、国がバラバラになるのを恐れるからだ。

習氏は香港への強引な介入を辞さなかった。武力による台湾の併合は絵空事でない。安全保障面で米国の支援を受ける台湾に手を出し始めているのだから相当な事態である。

中国は米国と四つに組む自信を付けつつある。米国が台湾周辺で頼れるのは日本しかない。韓国の文在寅(ムン・ジェイン)政権は米中双方にいい顔をしている。タイやフィリピンは軍事力が小さい。オーストラリアは頼もしいが遠すぎる。

今回の日米首脳会談は強大になりすぎた中国に対抗する最大のパートナーが日本であると証明した。菅義偉首相とバイデン大統領の関係は順調な滑り出しとなったが、10年、20年先を見据えればまだ1合目にすぎない。

外交の基本的な役割は力関係の維持で、味方を増やして敵を減らすのが鉄則だ。日米にオーストラリアとインドを加えた4カ国(クアッド)の枠組みだけでは足りない。

韓国は文氏の世代に北朝鮮への共感があり、世代交代が進まないと難しい。とはいえ民主主義国であり、60万の兵力を持つ軍事大国である。日本として「クアッド・プラスアルファ」に韓国を引き込まねばならない。

現在の米中対立は米ソ冷戦の類比で理解できない。むしろ第1次世界大戦前の英国とドイツの関係に似ている。英国は工業化の遅れたドイツに多大な投資をしていた。相互依存が進み「戦争は起きない」と言われていたが起きてしまった。

半導体の技術規制は始まったものの、中国に進出する日米欧の民間企業が撤退することはない。成長する中国市場はなかなか捨てがたい。それでも戦争はマーケットと異なる論理で始まる。

日本は中国を抑止するため防衛予算の拡大が必要だ。財政は厳しいが本当に国が危なくなったら出さないといけない。科学技術の進歩が国家安全保障に全く生かされていないのが日本の難点だ。改革が欠かせない。

日米首脳の共同声明について専門家に聞く。

日本、有事へ米と危機感共有 自立した防衛力急務

日本、有事へ米と危機感共有 自立した防衛力急務
新時代の日米㊥
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA16DKD0W1A410C2000000/

『台湾問題などに言及した日米首脳の共同声明を受け、中国外務省の副報道局長は19日の記者会見で「必要な措置をとり国家主権を断固守る」と強調した。示唆した対抗措置がどんなものになるかは見通せない。

沖縄県・尖閣諸島の周辺海域では日本領海の外側の接続水域を19日も中国海警局の船4隻が航行した。機関砲のようなものを搭載した船もあるという。尖閣周辺で中国公船を確認するのは連続65日を超える。

台湾海峡の南西空…

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台湾海峡の南西空域でも、中国の戦闘機や爆撃機が台湾の防空識別圏(ADIZ)に侵入するのが常態となっている。12日には最多の25機が飛来した。

南シナ海では4月上旬、米中の空母が同時期に展開する事態が起こった。米海軍の空母「セオドア・ルーズベルト」が南から、中国海軍の空母「遼寧」が北からそれぞれ海域に入った。

米国はこうした東アジアの軍事バランスの変化を踏まえ、世界に散らばる米軍の配置を最適化するための検証を始める。バイデン米大統領が日米首脳会談に先立ち、アフガニスタンの駐留米軍の9月までの撤収を表明したのもその一環だ。

中国をにらみ、インド太平洋地域に兵力や予算をシフトしていく。沖縄からフィリピンを結ぶ第1列島線に沿って中距離ミサイル網を築く案も浮上する。

「インド太平洋地域の軍事バランスは米国と同盟国に一層不利になる」。米インド太平洋軍のデービッドソン司令官は制海権を保つには戦力の向上が必須だと訴える。米軍は戦闘機や艦艇、ミサイルの数で米中の差がさらに開くと予測。同盟国に応分の役割を求める機会も増えるとみられる。

米ソ冷戦の最前線が欧州なら、日本を含む東アジアは米中対立のフロントライン。日本の防衛力は同盟国の対中抑止力を左右する。

日本の安全保障体制は自立した防衛力と日米同盟の2本柱だ。日米安保条約第5条は米国による日本防衛の義務を定めるものの、敵からの攻撃の第1波に米軍が間に合う可能性は極めて低い。その間は自衛隊だけで守るのが大前提となるが、持ちこたえられるのか。

尖閣諸島に中国軍が上陸して侵攻しようとした場合、それを阻止する陸上自衛隊の水陸機動団の拠点は長崎県内にある。尖閣諸島までおよそ1000キロで、新型輸送機オスプレイでも2時間かかる。中国の侵攻の意図が分かって部隊を派遣しても手遅れとなる。

現状では日本が相手国のミサイル発射の兆候をつかんでも、それを阻止するために敵のミサイル発射拠点を攻撃できない。政府が「敵基地攻撃能力」の保有を否定しており、ここも米軍に頼らざるを得ない。

仮に中国が台湾を武力で統一しようとすれば、台湾に攻め込む中国軍を止めるのも米軍だ。集団的自衛権を行使して米軍への攻撃に自衛隊が反撃できるようにするには「存立危機事態」に認定する必要がある。台湾有事がそれに当たるかはときの政権の判断となる。

「台湾海峡、また尖閣周辺でも厳しい状況が続いている」。菅義偉首相は日米首脳会談後、記者団に台湾問題と、台湾から170キロと近い尖閣諸島を巡る危機感を並列で語った。

会談から8時間後の17日昼。岸信夫防衛相は日本最西端の沖縄県与那国島を視察した。あいにくの曇天だったが、晴れていれば110キロ先の台湾が見える。台湾有事は対岸の火事で済まない。首脳会談で共有した危機感を防衛力の向上につなげることが急務となる。

(安全保障エディター 甲原潤之介)

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峯岸博
日本経済新聞社 編集委員・論説委員
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分析・考察 尖閣と台湾の有事を想定した備えを急ぐべきなのは記事の通りです。日本は世界5位と同9位といわれる防衛力と防衛費を持つ一方、憲法や財政などの制約があります。有事やグレーゾーン事態にできることとできないことを早急に整理し、米軍と連携した効率的な防衛態勢づくりが必要です。

台湾海峡が有事になればサプライチェーンなど日本経済への影響は米国とは比べものになりません。米国一本足打法ではなく、アジアに関心を強める欧州やASEANにも協調国の裾野を広げるのは中国へのけん制になります。対中外交をはじめ有事を起こさせないための交渉力が「防衛力」強化なのは言うまでもありません。

2021年4月20日 8:12いいね
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鈴木一人のアバター
鈴木一人
東京大学 公共政策大学院 教授
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分析・考察 台湾有事が他人ごとではないのは、台湾も尖閣諸島も中国が自らの主権を主張しているという点で共通しているから。中国がアメリカの抑止力を認めず、自らの軍事的優位を過信して武力を用いて台湾侵略を行うということは、すなわち尖閣諸島が日米安保条約第五条が適用されたとしても、中国がアメリカの抑止力を認めない以上、台湾と同じことが起きうるということ。そのためにも、台湾有事は起こしてはならないし、もっといえば中国がアメリカの抑止力を認めないという状況を作ってはならない。

2021年4月20日 7:50いいね

日米首脳ハンバーガー会談舞台裏…台湾明記で対中戦略は?バイデン政権内に不満も

https://news.yahoo.co.jp/articles/f09f98776082d87cc9e72e80c0fd3c8d6b1e75f0?page=1

『日米首脳は、ホワイトハウスの一室で、ハンバーガーを前に、マスクを着用したまま見つめ合っていた。

バイデン大統領が、初めての対面形式の会談相手として、菅首相を招いて行った日米首脳会談。共同声明では約半世紀ぶりに「台湾」を明記し、中国を強くけん制した。

「雰囲気はすごく良かった」と出席者が口を揃え、首相自身も「私と似ている」と“ベテラン政治家”同士の相性に手応えを語る一方、ある政府関係者からは「米中の事実上の軍拡競争に日本は巻き込まれている」との声も上がる。

いったい何が起きているのか。舞台裏を探った。(ワシントン支局長・矢岡亮一郎)

■食べない“ハンバーガー会談”

「いろいろ人生経験とかの話をして、ハンバーグ(注:ハンバーガー)も全く手をつけないで終わってしまった。それくらい熱中した」

会談終了後、菅首相は少し頬を緩めながら、バイデン大統領との「テタテ」と呼ばれる1対1の会談を振り返った。時間にしてわずか20分間。「たたき上げの政治家という共通点がある」と親近感を寄せるバイデン大統領とは、部屋に飾られた家族の写真を見ながら、孫などの話題で打ち解けたという。

「私と似ているような感じを受けたが、本人もそう思っているようで…」

とバイデン氏との信頼関係の構築に手応えを語った。しかし、この「食事に手をつけないランチ会」に至るまでには、紆余曲折があった。

■ホワイトハウス「幻の夕食会」

日本代表団ホテルに「坂井副長官のお土産」段ボール…「1ドルチョコ」も

「こんなにバタバタの首脳会談は初めてだ」

首相の訪米を翌々日に控えて、ある日本政府関係者はうめいた。ホワイトハウス側との調整が滞り、スケジュールは直前まで定まらなかった。今回、日本政府がこだわったのが、バイデン大統領、ハリス副大統領との食事会。特にバイデン大統領との「夕食会」開催に向けては最後まで粘り強く交渉を続けたというが、結局実現することはなかった。

バイデン大統領自身、コロナ禍での対面の会談にはかなり慎重だとされる。会談中は「常時マスク着用」、しかも高性能のN95マスクの着用が義務づけられた。

この徹底ぶりはハンバーガーを前にしてなお、マスクを外さない一枚の写真によく表れている。

次ページは:■台湾明記も…バイデン政権内に「落胆」』

『■台湾明記も…バイデン政権内に「落胆」

首脳会談では「N95マスクを常時着用」

首脳会談は、1対1のテタテ、少人数会合、拡大会合と3段階で計2時間半に及んだ。

今回の会談の最大の焦点は、共同声明に「台湾」の問題を明記するかどうかだった。そもそも日米首脳の共同文書に「台湾」が明記されれば、1969年の佐藤栄作首相とニクソン大統領以来、半世紀ぶりとなる。「台湾」の文言を盛り込みたいアメリカ側と、慎重な日本側との間で、事前調整はかなり難航したという。この対立構図を英紙フィナンシャル・タイムズが報じ、日本側が米側のリークを疑う場面もあった。

結局、共同声明には「台湾海峡の平和と安定の重要性を強調するとともに、両岸問題の平和的解決を促す」と明記された。日本政府の要請で後半に加えられたという「両岸問題の平和的解決を促す」という文言は、台湾問題に触れる場合の日本政府の定型見解で、外務省幹部は「この表現を後ろに付けることで、これまでの日本政府の姿勢と変わっていないというメッセージになる」と解説した。

一方で、あるアメリカ政府関係者は、「日本には共同声明でもっと強い表現に賛同して欲しかった」「落胆している」と不満を口にしている。

■日本「台湾明記」もなお米政府内に不満

「台湾の明記」を「内政干渉だ」とする中国は、共同声明に対し「強烈な不満と断固反対を表明する」と猛反発した。一方、アメリカ政府内には「台湾」を明記してなお、日本への不満が燻る。「日本は台湾有事への危機感が低い」との見方や、別のアメリカ政府関係者からは「日本は経済分野で中国と良い関係を保っていて、少しずるい」との声まで聞かれる。

アメリカが中国と貿易戦争をやって、経済面でも身を切る覚悟で向き合う中で、日本が尖閣など安全保障面で守ってもらおうというのは「不平等」との不満もあるようだ。

■菅首相「一番乗り」のワケ

菅首相訪米も「対中国のメッセージ」に

今回の菅首相の「一番乗り」は、日本重視と言えるのだろうか。ある日米外交筋はこう話す。
「バイデン大統領が菅首相を最初の会談相手に選んだのは、『日本』だからではない。対中国の最大の同盟国だからだ」

菅首相の訪米は、あくまでアメリカの対中国戦略の一環、一つのパーツとの位置づけだ。現にバイデン大統領は、同じタイミングで気候変動問題担当のケリー特使を中国に、台湾にも非公式の代表団を派遣して、台湾トップ蔡英文総統と会談させた。日米首脳会談に同席したブリンケン国務長官とオースティン国防長官は直前まで、欧州を歴訪していた。

バイデン政権は「同盟」を重視しながら、複合的かつ戦略的な外交を展開している。その中の一番重要なパーツとして、日本のトップを米国に招き、首脳会談を通じて「強固な同盟」、台湾などをめぐる厳しい姿勢を中国に見せつけた。

ある日本政府関係者は「ホワイトハウスは今回、バイデン大統領と菅首相が2人で並んでの会見にこだわった。発信したかったのだろう」と打ち明ける。

■日米今後は?「総論はいいが、各論に入ると…」

「ジョー」「ヨシ」が描く対中国戦略は

ある日本政府関係者は「日米は総論はいいが、各論に入ると立場の違いが露呈してくる」と交渉の難しさを語っている。今回の台湾をめぐる文言の調整は「各論の立場の違い」の一つのケースになった。

別の日本政府関係者は「日本はすでに米中の事実上の軍拡競争に巻き込まれている」と語った。今後も中国をめぐる情勢が厳しさを増す中で、アメリカに立場の違いでどう理解を得ていくのか。日本外交の力が試される。』

日米首脳会談で菅首相が踏んだ踏み絵の意味

日米首脳会談で菅首相が踏んだ踏み絵の意味
米議会は超党派で「戦略競争法案」提出、後戻りできない日本
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/64976?utm_source=editor&utm_medium=mail&utm_campaign=link&utm_content=top

高濱 賛のプロフィール
Tato Takahama 米国在住のジャーナリスト

1941年生まれ、65年米カリフォルニア大学バークレー校卒業(国際関係論、ジャーナリズム専攻)。67年読売新聞入社。ワシントン特派員、総理官邸キャップ、政治部デスクを経て、同社シンクタンク・調査研究本部主任研究員。1995年からカリフォルニア大学ジャーナリズム大学院客員教授、1997年同上級研究員。1998年パシフィック・リサーチ・インスティテュート上級研究員、1999年同所長。

『出されたのはハンバーグ・ランチのみ

 菅義偉総理大臣とジョー・バイデン米大統領による初めての日米首脳会談が行われた。
 異例だらけの日米首脳会談で両首脳は何を話し、どんな約束をしたのか。菅氏は記者会見では「やり取りの詳細については外交上、明かさない」と突っぱねた。

 表に出ては国民向けにも中国向けにも支障が出るような発言や密約があるのだろうか。機密文書は30年経たねば解禁されない。ということは30年間国民は知らされないことになる。

 新型コロナウイルス感染症のパンデミックス禍で公式の昼食会も晩餐会もなし。ジル・バイデン夫人も顔を見せなかった。

 両首脳は2人だけでハンバーグ・ランチを食べた。

 異例と言えば、菅氏は大統領に会う前にカマラ・ハリス副大統領をホワイトハウスに隣接するアイゼンハワー行政府ビルの副大統領室に表敬訪問したことだ。

 何やら外国訪問など外交面でのハリス氏の今後の積極的な活動を暗示している。

 首脳だけのテタテ(1対1)会談、外務閣僚らを入れた少人数会議、拡大会合を合わせると2時間50分。

 会談後に発表された共同声明(U.S-Japan Joint Leaders’ Statement:”U.S.-Japan Global Partnership for a New Era”)は英文で2500字の長文。実務事項びっしりの外交文書だ。

 共同声明は共同宣言に次ぐ国家間の最重要文書だ。

https://www.whitehouse.gov/briefing-room/statements-releases/2021/04/16/u-s-japan-joint-leaders-statement-u-s-japan-global-partnership-for-a-new-era/

 これだけ詳細な実務事項を盛り込むには、事前に閣僚、事務レベルでの綿密なすり合わせがあったといっていい。

 内容は台湾海峡に始まり新疆ウイグル自治区…』

『内容は台湾海峡に始まり新疆ウイグル自治区、香港、尖閣諸島、半導体サプライチェーン、気候変動、東京五輪、普天間米空軍基地の辺野古移転まで、今後5年、10年の日米間の約束事を網羅している。

 首脳会談直前まで日本メディアの外交通と称する連中はこう見ていた。

「ウイグルや台湾、ミャンマーといった厄介な問題に深入りするのを避けて、半導体サプライチェーンや気候変動問題などで日米同盟が強固なことを世界(中国)にアピールすることでお茶を濁せるだろう」

 ところがどっこい。舞台裏では、米側は日本側に「中国の脅威」に対する危機感を大いに煽った。危機感は生半可なものではなかった。

 中国の脅威、特に台湾海峡周辺で中国が繰り広げている軍事威嚇行動に米国は神経をとがらせてきた。一触即発の危険性すらあるとみている。

 今回の共同声明では「台湾」は対中戦略の主軸となる最重要なパーツ(部品)だった。

 バイデン政権の外交当局者とは密接な関係にある主要シンクタンクの研究員、T氏は筆者にこう指摘している。

「バイデン氏が『台湾明記』に自信を深めたのは3月中旬だった。対中スタンスでは慎重な日本も乗って来ると確信したのは、3月16日の2プラス2(日米安全保障協議委員会)での日本の外務・防衛閣僚の対応だった」

「『台湾海峡の平和と安定の重要性についての認識を共有する』ことに合意したからだ。閣僚レベルでの合意事項が首脳同士で覆されることはあるまい、というわけだ」

「共同声明に『(台湾海峡)両岸問題の平和的解決を促す』という文言を入れるよう要求したのは日本側だが、これに米国が異議を申し立てる正当な理由はなかった」

「挑発しているのは中国なのだから、中国が矛を収めればこれに越したことはない」

人権、対中制裁は煙幕…』

『人権、対中制裁は煙幕
 もう一つは、菅氏を迎え入れたバイデン氏のきめ細かい受け入れ態勢だった。

 バイデン政権の最優先議題になっている人権問題をめぐっては米メディアは菅政権の対応に厳しい目を向けてきた。

 バイデン政権は、新疆ウイグル自治区での中国のウイグル族抑圧を「ジェノサイド」だとまで言い切り、制裁措置に踏み切っていた。欧州共同体(EU)はじめG7加盟国は日本以外全員が制裁に同調した。

 こうした中で、バイデン政権は政府高官による記者向けの事前説明などで日本には対中経済依存度などデリケートな理由があることを指摘するなど異例の根回し工作までしていた。

https://www.whitehouse.gov/briefing-room/press-briefings/2021/04/15/background-press-call-by-a-senior-administration-official-on-the-official-working-visit-of-japan/

 首脳会談後の記者会見も極端に記者の人数を制限するなど、通常の米国式記者会見とは趣を異にしていた。米記者団からは人権に対する質問は一切なかった。

 なぜ、そこまでバイデン氏は気を使ったのか。

 それよりも何よりもバイデン氏が菅氏をホワイトハウスに招き入れる最初の外国首脳に選んだ理由は何だったのか。

 ブルッキングス研究所東アジア政策研究センター所長のミレヤ・ソリス博士はこう指摘している。

「バイデン政権としては、日本が地域的、世界的なチャレンジに立ち向かう不可欠な同盟国としての地位を確固たるものにし、インド太平洋戦略が日本にとって最優先議題であることを再確認させようとした」

「日米は同盟関係を深化させており、責任分担する準備も整ってきた。中国のチャレンジを戦略的に抑え込むことでも両国は収斂している」

 先の2プラス2で日本が中国の独断的行動が国際秩序を不安定化させているという米国に同調、特に台湾海峡の安定の重要性を強調したことは多くの人々を驚かした」

https://www.brookings.edu/blog/order-from-chaos/2021/04/13/suga-biden-summit-to-rekindle-can-do-spirit-of-the-us-japan-alliance/

 外交専門家の間には、これまで国際政治を動…』

『外交専門家の間には、これまで国際政治を動かしてきた米国と中国を指す「G2」(Group of Two)という表現はいよいよ米国と日本に当てはまると主張する者も現れている。

https://www.japantimes.co.jp/opinion/2021/04/15/commentary/japan-commentary/china-u-s-quad-indo-pacific-development-aid/

 佐藤(栄作)・(リチャード・)ニクソン時代から日米首脳外交をフォローしてきた在米日系ジャーナリストG氏はこう見ている。

「日本人が日本重視を買いかぶりと失笑するかどうか。かつて日本は自分のことをを米国の『サイレント・パートナー』(日本語英語で何も言わずに黙ってついていくパートナーという意味)などと自虐的に言っていた時期がある」

「だが今や日本は米国の『ポジティブ・パートナー』(積極的に参画するパートナー)になった。今回の首脳会談はそれを再確認するターニング・ポイントになった」

「『台湾明記』はただ中国を激怒させただけでなく、米国、そして世界に日本の存在の大きさを見せつけたと言っていいかもしれない」

 バイデン政権が欲しかったのは、新疆ウイグル自治区でのウイグル族や香港の人権問題でも、そのための対中制裁措置でもなかった。

 どうしても日本に台湾問題について米国の危機感を共有してもらいたかったのだ。その「証文」が欲しかった。

 日本はその「証文」に判を押した。

香港は台湾併合シナリオのタイムライン… 』

『香港は台湾併合シナリオのタイムライン
 米国がいかに台湾海峡情勢に危機感を抱いているか。その好例が米議会の超党派の対中スタンスだ。

 上院外交委員会は中国に対応するための包括法案を4月24日に採択し、直ちに本会議に上程、可決・成立させる。

「米議会の認識」(Sense of Congress)を示すという位置づけで、法的拘束力はないが、バイデン政権の対中政策に少なからぬ影響を及ぼすことは間違いない。

 法案名は「2021年戦略的競争法案」(Strategic Competetion Act of 2021)。

 ボブ・メネンデス外交委員長(民主、ニュージャージー州選出)とジェームズ・リッシュ筆頭委員(共和、アイダホ州選出)が共同提案した民主、共和両党が超党派で提出する初の本格的な対中政策法案だ。

https://www.foreign.senate.gov/imo/media/doc/DAV21598%20-%20Strategic%20Competition%20Act%20of%202021.pdf

 同法案は台湾については、こう指摘している。

「中国の香港での人権弾圧は、台湾併合に向けたシナリオのタイムラインを実践している。台湾防衛は今やより緊急を有する優先事項だ」

「台湾防衛は、①台湾の人々を守り②中国軍を対米防衛線である第1列島線内に抑止し③日本の領土保全を防衛④中国軍の広範囲にわたる軍事的野望を阻止し⑤台湾の自由市場体制と民主的価値観を守る擁護者としての米国に対するクレディビリティ(信頼性)を堅持する――といった目的にとって死活的に重要である」

 本法案には何と「台湾」が47回も出てくる。

民間の軍事技術開発を促進、日米基金構想… 』

『民間の軍事技術開発を促進、日米基金構想
 2プラス2を受けて首脳会談で合意した「台湾海峡の平和と安定の重要性」について認識を共有したバイデン大統領と菅首相。

 台湾情勢が緊迫し、在日米軍が出動すれば、日本は何をするのか。日本も安全保障関連法に基づき、米軍の後方支援を行うことになる。

 日本が米軍に補給できる「重要影響事態」の要件は、日本の平和と安全に重要な影響を及ぼす状況だ。

 前述の「2021年戦略的競争法案」には、日本に何を期待するかについての記述がある。バイデン政権が今後、具体的にどのような対日要求をしてくるか、を示唆している。

一、インド太平洋戦略での米国のパートナーシップを強化するステップとして、日本が以下の分野での自主開発を促進させることをサポートする。

①長距離精密火力(LRPF)

②弾薬

③対空、対ミサイル防衛能力

④全領域での米軍とのインターオペラビリティ

⑤インテリジェンス・偵察・索敵能力

二、日米安全保障目的のために資する民間セクターによる新技術開発を促進させる「日米技術刷新基金」の創設。

 菅バイデン首脳会談で署名された共同声明の文言の行間には、「40年来の米国の曖昧な対中戦略に終止符を打ち、中国に力で対抗すべきだ」(リチャード・ハース外交問題評議会会長)とする米国の意気込みがにじみ出ているとみるべきだろう。

https://www.foreignaffairs.com/articles/united-states/american-support-taiwan-must-be-unambiguous)』

日米韓外相会談見送りへ 関係悪化が長期化、失われる改善機運

https://news.yahoo.co.jp/articles/1692a92ee51d15161f682306cb32d78bee63b2ac

『4月下旬にワシントンでの開催を調整していた日米韓外相会談が見送られる見通しとなった。複数の政府関係者が15日、明らかにした。3カ国会談を機に実現を模索していた日韓外相会談のめどが立たなかったためとみられる。日本側が東京電力福島第1原発の処理水の海洋放出を決定したことを韓国政府は強く批判しており、日韓関係改善の機運は失われている。

 関係悪化が長期化する日韓両国は、外相レベルの協議も困難な状況となっている。茂木敏充外相は韓国の鄭義溶(チョンウィヨン)外相が2月に就任した後、電話協議を含めて一度も会談していない。バイデン米政権は北朝鮮問題などへの対応で日米韓3カ国による連携を重視しており、自然な形で両外相が向き合えるよう、3カ国会談の開催を呼び掛けていた。

 しかし、日本側は徴用工問題などで受け入れ可能な措置を講じない韓国政府への不信感が強い。鄭氏が3月31日の記者会見で、日韓外相会談の早期開催に意欲を示すと、外務省幹部は「日本を悪者にしようとする韓国国内向けのアピールだ」として、協議ができない責任を日本に押し付けていると不快感を示していた。

 一方、韓国側は今夏に予定している東京オリンピック・パラリンピックを舞台にした南北関係改善を狙い、対日関係の修復も図っていた。ところが北朝鮮は4月5日付の記事で、五輪不参加を表明。13日に日本政府が処理水の海洋放出を決定すると、韓国の文在寅(ムンジェイン)大統領は法的措置を講じるよう指示した。こうした現状で会談しても非難の応酬となるとみて、双方とも当面会談は見送るべきだと判断した模様だ。【佐藤慶】』

「すべて米国同調ではない」日本、対中国「距離感」に腐心 日米首脳会談

https://mainichi.jp/articles/20210417/k00/00m/010/284000c

『菅義偉首相とバイデン米大統領による初の日米首脳会談で、両国は緊張が高まる台湾情勢を明記した共同声明をまとめた。安全保障から経済分野まで台頭する中国に対する警戒感がにじむ。

 バイデン氏は会談後の共同記者会見で「日米は中国からの挑戦に力を合わせて立ち向かう」と述べ、「日米はこの地域の強い民主主義国だ」と強調した。首相も「世界の平和と繁栄に対して中国が及ぼす影響について真剣に議論を行った」と歩調を合わせた。

 共同声明では「台湾海峡の平和と安定の重要性を強調するとともに、両岸問題の平和的解決を促す」と明記した。3月の外務・防衛担当閣僚による日米安全保障協議委員会(2プラス2)の共同文書に盛り込まれた「台湾海峡の平和と安定の重要性」を踏襲した。

 米国は香港の統制強化を着々と進めた中国が台湾周辺で軍事的行動を強めたことで危機感を強めている。急速に軍事力を拡大する中国に対し、民主主義国との連携で対抗する姿勢を打ち出した。日米同盟をその中心に据えた形で、声明で台湾に言及することで、日本と一体で台湾情勢に関与する姿勢を鮮明にした。

 日本にとっても、沖縄県・尖閣諸島周辺への進出を強める中国への警戒感は強く、米国との同盟強化は喫緊の課題だった。声明で明記した日米安全保障条約第5条(米国の日本防衛義務)の尖閣への適用は日本の要望によるものだ。その一方で米側が強く求める台湾情勢への関与は応じざるを得なかったのが実情だ。

 だが、日本にとって隣国・中国とは経済面を中心につながりが深まっている。中国が「核心的利益」と位置づける台湾情勢に米国と足並みをそろえて関与を強めれば、中国を強く刺激し大きな影響を受けかねない。政府高官は「米国より中国に距離が近く、経済的な影響も大きい。日本がすべてで米国に同調できるわけではない」と漏らした。

 声明で盛り込まれた「両岸問題の平和的解決を促す」の文言は、05年と11年の2プラス2の「対話を通じた(台湾問題の)平和的解決を促す」の文言がベースだ。過去…

この記事は有料記事です。 残り1384文字(全文2224文字)』

踏み込む日米、中国猛反発「台湾に手を出す意味考えよ」

踏み込む日米、中国猛反発「台湾に手を出す意味考えよ」
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北京=冨名腰隆 台北=石田耕一郎 北京=高田正幸

2021年4月18日 5時00分
https://www.asahi.com/articles/ASP4K71J7P4KUHBI02T.html

『日米首脳の共同声明に「台湾」が明記された。中国の台頭に強い危機感を抱く米国に引きずられるように、日本が足並みをそろえるとのメッセージを発信する形になった。人権侵害に示した「懸念」を含め、中国側は猛反発しており、関係諸国に与える今後の影響は、見通せない。

 「米日の発言はすでに二国間関係の正常な発展という範囲を完全に超えており、第三者の利益を損ない、地域国の相互理解と信頼を損ない、アジア太平洋の平和と安定を損なっている」。在米中国大使館の報道官は日米首脳会談を受けた談話を発表し、「強い不満と断固反対」を表明した。在日中国大使館も同様の談話で「台湾、新疆ウイグル自治区などの問題は中国内政であり干渉は許さない。日米が何を言っても、何をしても釣魚島(尖閣諸島の中国名)が中国に属する客観的事実は変えられない」と続いた。

 今回の会談で、中国が重く見るのが台湾への言及だ。建国以来、中台統一は共産党政権の悲願であり、歴代指導者の課題だった。とりわけ台湾海峡を隔てて台湾と向き合う福建省や浙江省で政治キャリアを積んだ習近平(シーチンピン)国家主席にとって、統一は「最大の使命」(党関係者)とも言える重要テーマだ。

 習氏は2015年、当時の馬英九(マーインチウ)総統と中台分断後初となる首脳会談に臨み、「一つの中国」原則を確認。翌年の総統選で中国と距離を置く民進党の蔡英文(ツァイインウェン)氏が当選した後も、19年の演説で包括的な台湾政策を打ち出し「一国二制度」の導入を正式に呼びかけた。台湾への武力的な圧力を強める現在でも、この方針は変更していない。

 それだけに習指導部にとって、日米が台湾情勢への関与を示した点は重い。特にこれまでの政治文書で「台湾は中国の不可分の領土」とする中国の立場に理解を示し、「専守防衛」の方針からも中台問題に深く関わってこなかった日本の変化に不満を抱いている。

 党機関紙・人民日報系の環球…

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残り:1581文字/全文:2392文字』

中国、日米共同声明に「断固とした反対」表明 対日圧力強化へ

中国、日米共同声明に「断固とした反対」表明 対日圧力強化へ
2021年04月17日15時42分
https://www.jiji.com/jc/article?k=2021041700412&g=int

『【北京時事】中国の在米大使館報道官は17日、「台湾」に言及した日米首脳共同声明に「強烈な不満と断固とした反対を表明する」との談話を発表した。習近平政権は、香港や新疆ウイグル自治区の人権状況にも「深刻な懸念」を示した共同声明に反発しており、菅義偉政権に対し強硬な態度に転じる可能性がある。

 談話は「台湾、香港、新疆ウイグル自治区に関する問題は中国の内政であり、東・南シナ海は中国の領土主権に関わり、干渉は受け入れられない」と強調。沖縄県・尖閣諸島周辺や南シナ海への強引な海洋進出を含め、中国が関係する問題を幅広く取り上げた共同声明を「2国間関係の正常な発展の範囲を逸脱しており、第三国の利益や地域の相互理解と信任、アジア太平洋の平和と安定を損なう」と指弾した。

 また、「中国は国家主権、安全、発展の利益を確実に守る」と述べ、日米に対抗していく構えを示した。』

日米首脳会談へ…焦点は「中国」

https://news.yahoo.co.jp/articles/fdcbb9af5c88e72559a28705317a0d287592f125

『菅首相とバイデン大統領の日米首脳会談が、まもなく始まります。コロナワクチンや東京オリンピックなど気になることはいろいろありますが、一番の焦点は中国への対応です。ワシントンの山崎記者に聞きます。

    ◇

Q.中国をめぐってどのような話し合いになりそうですか?

注目の台湾問題については首脳会談の共同文書に「台湾海峡の平和と安定の重要性」が明記される見通しです。

台湾問題は中国がかねて、「核心的利益」と位置づけ最も重要で敏感な問題だとしています。

それだけに日本としては1972年の日中国交正常化以来、首脳会談の共同文書に台湾を明記することを避けてきました。

しかし、バイデン政権は台湾情勢に強い懸念を示していて、先月行われた日米の外務・防衛閣僚協議に続いて、今回の首脳会談でも共同文書に台湾を明記することを求めてきました。

日本の外務省内では、「閣僚と首脳の共同文書は重みが違う」として、共同文書には明記せず会見で台湾について発言する案などを検討していましたが、結局、アメリカ側に押し切られた形で明記することになりました。外務省幹部も「最後は政治判断だった」と話しています。

    ◇

Q.中国が反発していますが、今後の日中関係への影響は?

外務省幹部は「日米が毅然とした態度で発信する」と話しています。

ある政府関係者が「経済的な報復も十分考えられる。日系企業が多く進出しているので、どういう影響が出るのか」と懸念を示すなど、政府内には中国が何らかの報復措置に出るのは確実との見方が広がっています。

外務省幹部は「中国の反発を受けて態度を変える方がよくない。今後、海上保安庁の体制の拡充など、日本が具体的な行動をとれるかが重要だ」と指摘しています。

こうした中、菅首相はさきほど、ケネディ元駐日大使と朝食会を行いました。

ケネディ氏とは菅首相が官房長官時代から定期的に面会をする気心しれた関係で、首脳会談に臨むにあたり意見交換をしたものとみられます。

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緊迫高まる台湾問題、「対処措置はたくさんある」=日本自衛隊制服組トップ

https://www.epochtimes.jp/p/2021/04/71680.html

『インド外務省およびシンクタンクORFが開催する多国間フォーラム「ライシナ・ダイアローグ(Raisina Dialogue)2021」は13〜16日の日程でオンライン形式で行われた。緊迫が高まる台湾問題に対して、参加者の間で懸念が広がっている。

会議に参加した自衛隊制服組トップの山崎幸二統合幕僚長は15日、「台湾周辺で生じるいかなる不測の事態も日本の防衛に影響が出る」とし、「日本に対処措置はたくさんある」と述べた。

山崎幕僚長は、中国による台湾への嫌がらせについて、「東シナ海、尖閣諸島海域、台湾海域および南シナ海など、近年の日本周辺での中国(共産党)の行動は航行の自由の原則に違反している」と述べたうえ、「中国が今年から施行した『海警法』は国際法を弱体化させ、日本をはじめとする各国の利益を侵害し続けている」と指摘した。

また「中国による現状変更を試みるこれらの行動は非常に危険で、インド太平洋地域の不安定性をもたらすため、日本としては非常に懸念している。まったく容認できないことだ」と述べた。

さらに、中国は日本をはじめとするインド太平洋地域の国々の正当な利益を認めず、一方的に国際秩序を変え、地域の緊張を高めている」と中国側の行動を非難した。

「インド太平洋地域の安定のためには、ルールベースの秩序強化が必要だ。志を同じくする国々が協力しあい、(中共の)「グレーゾーン戦術」に反撃する必要があるため、日本は米、印、豪と協力している」と山崎幕僚長は述べた。

中国が台湾に対してどのような行動を取れば日本の「レッドライン」に触れるのかとの質問に対して、「台湾周辺で生じるいかなる不測の事態も日本の防衛に影響が出る」とし、「日本に対処措置はたくさんあるが、詳細は説明できない」と答えた。

同氏は、「台湾問題は中台自身で解決しなければならないが、日本もインド太平洋地域のメンバーとして、ルールに基づく国際秩序とインド太平洋地域の安定の維持に努めていく」としている。

山崎幸二統合幕僚長のほか、印国防参謀長ビピン・ラワット(Bipin Rawat)陸軍大将と豪国防軍司令官アンガス・キャンベル(Angus Campbell)陸軍大将、米ロッキード・マーティン社ティム・ケーヒル(Tim Cahill)上席副社長らも会議に出席した。

豪国防軍司令官のキャンベル氏は、「民主主義の時代では、衝突は最後の手段である」とし、「中台の将来は必ず平和的に解決されなければならない」と同国政府の立場を表明した。

キャンベル氏はまた、中国の「グレーゾーン戦術」が「領土を蚕食する」方法であると呼び、南シナ海で見られるそのような状況に対し、衝突せずに対応するのは、非常に困難だ」と明かした。

インド国防参謀長のラワット氏は、「私の(中国への)やり方に従え、さもなくば、他の方法はない」というメッセージを発し、世界秩序の再構築を試みる中国を批判した。

同氏はまた、「中国はハイテク技術の優位性を利用して、他の国を脅して、服従させようとしている」と指摘した。中国はネットを麻痺させたり、銀行、電力網、交通輸送、通信システムを崩壊させることが可能だとしている。

「中国は、インドがその技術的優位性の圧力に屈すると考えていたが、そうはならなかった。インドは(中国との)国境をしっかり守っている」と述べた。

(大紀元日本ウェブ編集部)』

首相「台湾海峡、平和解決を最優先」

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA170EJ0X10C21A4000000/

『【ワシントン=重田俊介】訪米中の菅義偉首相は16日夜(日本時間17日午前)、台湾海峡や尖閣諸島をめぐる情勢について言及した。「厳しい状況が続いているのは事実だ。平和裏に解決することを最優先にしていく」と述べた。

「中国に対して言うべきことははっきり言っていく。地域の安定と平和に寄与していきたい」と強調した。ワシントンで記者団の質問に答えた。

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日米首脳 「台湾」有事へ協力探る 軍事挑発の中国抑止

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA155EY0V10C21A4000000/

『菅義偉首相とバイデン米大統領の16日午後(日本時間17日未明)の会談で台湾海峡の安定が主要議題の一つになる。北東アジアの軍事バランスは中国優位が鮮明になってきた。台湾で軍事的な挑発を続ける中国の抑止を念頭に、日本政府は有事に備えた米軍との協力のあり方を探る。

台湾は日本最西端の沖縄県与那国島から110キロ、同県尖閣諸島から170キロに位置する。不測の事態が起これば日本への影響は避けられない。…

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バイデン氏が就任後初めて対面で会談する相手に首相を選んだ背景には威圧的に振る舞う中国に近い日本の戦略的価値の高まりがある。

中国は台湾への威嚇を続ける。12日に中国軍の戦闘機など25機が台湾の防空識別圏(ADIZ)に進入した。台湾国防部が中国機の動向を公表し始めてから最多だった。

台湾の蔡英文(ツァイ・インウェン)総統は15日、訪台した米国のアーミテージ元国務副長官らと会談した。挑発行為の阻止へ米国と連携する考えを表明した。

アーミテージ氏は共和党のブッシュ政権(第43代)で国務副長官を務め、北東アジア情勢に精通する。民主党のバイデン氏が超党派で台湾問題に臨む姿勢を明確にした。

岸信夫防衛相は16日の記者会見で「台湾は地理的にも日本に非常に近い。台湾海峡の情勢を高い関心を持って注視したい」と述べた。

中国が台湾で力による現状変更の試みをエスカレートさせれば、尖閣周辺を含む東シナ海での領海侵入や軍事演習などを一段と活発化させる恐れがある。最近も実施している日米の訓練が中国の行動に歯止めをかけているとは言い難い。

台湾海峡を巡っては、1996年の中国のミサイル訓練を発端に中台の軍事的緊張が高まった。米政権が空母を派遣して危機が収まった当時と比較すると中台の軍事バランスは様変わりした。

96年時点で中台の国防費はほぼ同規模だった。2000年代に入ると、中国は経済成長をテコに急増させた。20年は公表ベースで中国が台湾の16倍を投じている。

各国が主力と位置づける「第4世代」以降の戦闘機や近代的な駆逐艦の保有数は00年時点で台湾が大きく優勢だった。足元では戦闘機、駆逐艦の数ともに中国が台湾の3倍に達する。

台湾で軍事的緊張が発生すれば米軍も最前線に立つ。中国軍とアジア前方に展開する米軍との戦力も開く一方だ。

米国は中国が台湾を射程に収める短距離弾道ミサイルを750~1500発保有すると分析する。95年には50発ほどしか持っていなかったとされる。中国は空母建造に動き、現在は2隻を保有する。米領グアムを射程に入れる中距離弾道ミサイルの増備も進める。

半導体の最大の生産地である台湾で有事が起きればサプライチェーン(供給網)が混乱し、電子機器や自動車の生産に支障をきたす。台湾への依存リスクも米政権が焦りを募らせる要因だ。

台湾有事に日本はどう対処するのか。15年に成立した安全保障関連法に基づき米軍を補助する役割を米国から要請される可能性がある。

政府は日本の安全を脅かす状況になった際は「重要影響事態」に認定する。自衛隊は米艦への補給など後方支援ができるようになる。

土屋貴裕京都先端科学大准教授は「シーレーン(海上交通路)の重要な場所にある台湾で緊張が長期化すれば、日本経済の大きな打撃になる」と話す。重要影響事態の認定はあり得ると見る。

米艦が攻撃を受けるなど危機の度合いが高まれば「存立危機事態」の認定も選択肢になる。安保法は日本と密接な関係にある他国が攻撃を受け、日本の存立が脅かされる明白な危険がある場合と定める。集団的自衛権の限定的な行使ができる。

政府は14年に集団的自衛権の行使を容認する憲法解釈の変更をした際、具体的な対処事例を一つ示した。有事の際、危険地域から邦人を輸送する米艦を自衛隊が防護するケースだ。台湾有事でも排除はされない。

安保法成立後の17年には当時の小野寺五典防衛相が北朝鮮が米領グアムに向け撃ったミサイルの対処に言及した。存立危機事態に認定し、イージス艦で迎撃することは法的に可能だとの認識を示した。

政府は国会などで北朝鮮や中東のケースを中心に見解を示した。中国による台湾攻撃が現実になれば、重要影響事態や存立危機事態を迅速に認定できるか懸念が残る。土屋氏は「実務レベルや日米間のオペレーションの整理が必要だ」と語る。

(安全保障エディター 甲原潤之介)

首相、米ファイザー社にワクチン追加供給要請へ

首相、米ファイザー社にワクチン追加供給要請へ
【イブニングスクープ】
https://www.nikkei.com/article/DGXZQODE1643V0W1A410C2000000/

『【ワシントン=重田俊介】米国訪問中の菅義偉首相は米製薬大手のファイザーに新型コロナウイルスワクチンの追加供給を要請する調整に入った。17日、ファイザー幹部と電話協議する。日本が確保するワクチン量を増やす。

複数の同行筋が明らかにした。政府はファイザーと1億4400万回(7200万人)分、英アストラゼネカと1億2000万回(6000万人)分、米モデルナと5000万回(2500万人)分の契約を結んでい…

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https://www.nikkei.com/article/DGXZQODE1643V0W1A410C2000000/

政府はファイザーと1億4400万回(7200万人)分、英アストラゼネカと1億2000万回(6000万人)分、米モデルナと5000万回(2500万人)分の契約を結んでいる。

このうち現時点で承認を終えたのはファイザー製だけだ。同社製以外は接種開始の時期のメドはたっていない。田村憲久厚生労働相は3月、アストラ、モデルナの両社のワクチンについて「早ければ5月、6月に薬事承認が出る可能性がある」との見方を示した。

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アストラのワクチンは欧州で接種後に血栓ができる事例が報告されている。ドイツ政府が原則として60歳以上に使用を限定する方針を示すなど、日本への供給日程も見通せなくなってきた。

首相は6月までに全国民分のワクチンを確保すると約束している。アストラやモデルナの承認が遅れれば計画に狂いが生じるとの懸念が広がる。

首相はワクチン担当に河野太郎規制改革相を指名した。首相が民間企業に直接働きかけることには政府内で慎重論もあったものの、訪米の機会をいかすべきだと判断した。

これまではファイザーから6月末までに1億回(5000万人)分を供与される予定だった。65歳以上の全ての高齢者が2回接種できる量を6月までにまかなえる算段がついた。その後に控える一般向け接種の確実な道筋は描けていない。

ファイザーが日本への追加供給を認めれば、基礎疾患者や一般の人への接種開始の時期が早まる可能性がある。

新型コロナに関し、変異ウイルスの拡大などで収束の兆しが見えていない。首相は訪米前も愛知県などにまん延防止等重点措置の適用方針を決めた。ワクチンの早期普及を収束の「切り札」と期待している。

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鈴木亘
学習院大学経済学部 教授
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分析・考察

ワクチンに関しては、政府から、うまくいっているという情報しか出てこないが、そのどれもが不確定な情報であり、本当のところどうなっているのか皆目わからない。しかし、渡米した首相が、バイデン大統領に会うと同時にファイザー製薬に直談判しなければならない状態では、とても順調だとは思われない。

アストラゼネカやモデルナのワクチンについて、厚労省の承認手続きがうまく進まないのであれば、「緊急使用許可」を政治決断するべきではないか。他国では既に使用されているわけであるから、緊急事態として時限的に承認すればよい。ただ、厚労省が後で責任を取らされるのでは役人たちは動かなくなるので、政治が決断する必要がある。

2021年4月16日 19:06 (2021年4月16日 22:46更新)

バイデン氏「クリーンエネで日本と協力」、脱炭素で協調

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN1702F0X10C21A4000000/

『バイデン米大統領は16日の日米首脳会談後の記者会見で「気候変動の脅威に立ち向かうため積極的な行動をとることを約束した」と述べ、脱炭素で協調することで合意したと明らかにした。菅義偉首相も気候変動を巡り「2国間の協力と連携を強化することを確認した」と述べた。

バイデン氏は「我々はクリーンエネルギー技術の促進で協力する」と説明した。インド太平洋で途上国の再生エネルギー開発を支援するという。首相は「『日米気候パートナーシップ』を始めることで合意した。極めて意義があり、大事だ」と強調した。

ハイテク分野でも連携を確認した。バイデン氏は日米が取り組む技術に関して、中国を念頭に「専制主義国家ではなく、民主主義国家によって共有されたやり方で管理されている」と指摘して、両国が協力する必要性を訴えた。

バイデン氏は具体的な協力分野として「安全で信頼できる高速通信規格5Gのネットワークを後押ししたり、半導体など重要分野のサプライチェーン(供給網)で協力を拡大したりする」と説明した。人工知能(AI)や遺伝子、量子コンピューターなどの共同研究にも注力すると表明した。

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ハリス米副大統領「インド太平洋で協力」 首相を表敬

https://www.nikkei.com/article/DGXZQODE16EJN0W1A410C2000000/

『菅義偉首相は16日午前(日本時間17日未明)、ワシントンでハリス副大統領の表敬を受けた。ハリス氏は冒頭「インド太平洋地域の平和、繁栄について共に協力したい」と強調した。首相は「自由、民主主義、法の支配といった普遍的価値で結ばれている日米同盟はかつてないほど(緊密)だ」と述べた。

アーリントン国立墓地で献花

米国訪問中の菅義偉首相は16日午前(日本時間16日夜)、バイデン米大統領との首脳会談に先立ち、ワシントン近郊のアーリントン国立墓地で無名戦士の墓に献花した。

ケネディ元駐日米大使と朝食

米国訪問中の菅義偉首相は16日午前(日本時間16日夜)、ワシントンでキャロライン・ケネディ元駐日米大使と朝食会を開いた。首相はこれまでの日米同盟への貢献に謝意を伝えた。米国情勢や日米間の学生交流を巡って意見を交わした。
ケネディ氏が駐日米大使を務めた2013~17年、首相は官房長官だった。両氏は月に1度のペースで会食を重ね、離任後も関係を保った。首相が官房長官時代の19年に訪米した際も面会した。

ブレアハウスに宿泊

米ワシントン滞在中の菅義偉首相は現地時間の15日夜(日本時間16日)、大統領迎賓館ブレアハウスに宿泊した。米大統領の賓客として宿泊するための施設で過去にも日本の首相が滞在してきた。
バイデン米大統領との会談の場となるホワイトハウスからほど近く、感染対策を考慮したとみられる。
ブレアハウスはもともと1824年に建てられた陸軍軍医総監の邸宅だった。当時のフランクリン・ルーズベルト大統領のもとで政府が1942年に買収し、賓客施設にした。安倍晋三前首相は第2次政権の発足以降、計4回宿泊した。
同施設は4月上旬まで、ハリス副大統領が仮住まいとしていた。副大統領公邸の改築作業が遅れ、入居できなかったもようだ。

ワシントン到着

菅義偉首相は15日夜(日本時間16日午前)、政府専用機でワシントンに到着した。
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日米「台湾海峡の平和と安定」確認、首脳会談

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN1707E0X10C21A4000000/

『【ワシントン=重田俊介】訪米中の菅義偉首相は16日午後(日本時間17日未明)、ホワイトハウスでバイデン米大統領と初めて会談した。バイデン氏は「私たちはインド太平洋地域で重要な2つの民主主義国家で、日米協力は重要だ」と語った。首相は「会談を通じて日米の強固な絆を確認したい」と呼びかけた。

首相は会談後の共同記者会見で、日米首脳会談で「台湾海峡の平和と安定の重要性を改めて確認した」と明らかにした。バイデン氏は「とても生産的な議論ができた。日米同盟、共通の安全保障への強固な支援を確認した」と語った。

首相によると、会談では沖縄県・尖閣諸島への日米安全保障条約第5条の適用を改めて確認。東シナ海や南シナ海における力による現状変更の試み、地域の他者に対する威圧に反対することでも一致した。

バイデン氏は「中国の新たな脅威、東シナ海、南シナ海の問題や北朝鮮に連携して対処すると約束した」と述べた。「人権や法の支配を含めた共通の価値を守り、促進すると確認した」と語ったうえで「21世紀に民主主義がまだ勝利できることを私たちはともに証明していく」と強調した。

会談では北朝鮮による日本人拉致問題を日米が連携して即時解決を北朝鮮に求める方針を申し合わせた。米軍普天間基地(沖縄県宜野湾市)移設問題など米軍再編の着実な推進で一致した。夏の東京五輪・パラリンピックの開催について首相は「世界の団結の象徴として開催する決意をバイデン氏に伝え、支持を得た」と明らかにした。

バイデン氏が就任後に対面式で外国首脳と会うのは首相が初めて。会談はまず通訳だけを交えて約20分話し合い、少人数会合、拡大会合に移った。首相は拡大会合の冒頭で「初の外国首脳の訪問として受け入れてくれて心から感謝したい」と伝えた。「同盟の重要性はかつてなく高まっている」としたうえで「自由で開かれたインド太平洋の実現に向けた協力、地域の様々な課題、新型コロナウイルス、気候変動など国際社会に共通する課題に対応するため、じっくり議論したい」と語った。

首相は中西部インディアナ州で15日におきた銃乱射事件の死者に哀悼の意を伝えた。

拡大会合にはそれぞれ7人ずつが出席した。米国からブリンケン国務長官、オースティン国防長官、イエレン財務長官ら、日本側は坂井学官房副長官、阿達雅志首相補佐官、北村滋国家安全保障局長らが同席した。

日米首脳会談に先立ち、菅首相はハリス副大統領と会談した。

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日米首脳会談、注目のポイント 議題や人物像は

日米首脳会談、注目のポイント 議題や人物像は
菅首相訪米、バイデン大統領と対面へ
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA051820V00C21A4000000/

『菅義偉首相とバイデン米大統領は現地時間16日午後(日本時間17日未明)、米ワシントンで初めて対面での首脳会談にのぞむ。首相には就任後初めての訪米で、大統領にとっては就任後に最初に対面で会う外国のリーダーになる。中国への向き合い方が大きなテーマになる訪米で注目すべきポイントをまとめた。

首相は「とんぼ返り」
首相は米東部時間の15日夜に現地に到着した。主な行事は16日のみで、同日午後に首脳会談を開き…

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主な行事は16日のみで、同日午後に首脳会談を開き、翌日午前には帰国の途につく。ワシントンへのとんぼ返りでも対面での開催にこだわったのには、日米同盟の盤石さを世界に示す狙いがある。

新型コロナウイルスの感染のリスクを最小限に抑えるため、首相と同行する人数は絞る。日米首脳会談に同行するケースも多い外相は日本にとどまる。
共通課題は中国

日米の共通の課題が中国への対処だ。米国はトランプ前政権時代から中国との覇権争いが表面化し、バイデン政権になってから競争は一層激しくなっている。3月に米アラスカ州で開いた米中外交トップの会談では新疆ウイグル自治区や香港の人権問題で応酬を繰り広げた。

日本は沖縄県の尖閣諸島の周辺海域における中国海警局の動きに神経をとがらす。中国は2月、同局を準軍事組織に位置づける海警法を施行した。

日本は米国と同盟を強化し、対中国で共同歩調をとる構えだ。安全保障やサプライチェーン(供給網)、新型コロナウイルスのワクチン外交などの分野で結束を強め、世界で存在感を強める中国に対峙する。
安保戦略、供給網、脱炭素を議論

主要議題になるのがアジア太平洋地域の安全保障だ。軍事力を高める中国や北朝鮮を巡り、共通の戦略を話し合う。米国で台湾有事のリスクも指摘され、沖縄県尖閣諸島などの防衛が重要だ。日米同盟における日本の役割強化が論点になる。

日米はインドとオーストラリアを加えた4カ国による枠組み「Quad(クアッド)」の協力も重視してきた。両首脳は推進していく姿勢を強調する。新疆ウイグル自治区や香港の人権問題には、日米が一致して「懸念」のメッセージを発信する見通しだ。

気候変動問題も大きなテーマになる。バイデン政権は世界をリードしていく方針を掲げ、日本も歩調をあわせる。22~23日に米国が主催する気候変動サミットが迫る。2030年の脱炭素をめぐる数値目標への考え方を日米で擦り合わせる。
共通点が多い両首脳

首相とバイデン氏には共通点が多い。まず両氏とも政治家一家や都会の裕福な家庭の出ではない点だ。首相は「たたき上げ」、バイデン氏は「ミドルクラスのジョー」と自称する。両氏ともそんな経歴を前面に出して総裁選や大統領選に勝利した。

過去の政権でトップの右腕として活躍した点も共通する。首相は12年発足の安倍晋三政権で7年8カ月、官房長官を務めた。バイデン氏も09年から8年間のオバマ政権の副大統領だった。ともに実務型のリーダーといえる。

好物や趣味も似る。首相もバイデン氏も甘いもの好き。健康管理が習慣で、首相は朝の散歩を日課とし、バイデン氏はフィットネス機器を愛用するという。

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