ispace、民間初の月面着陸に失敗 通信回復せず

ispace、民間初の月面着陸に失敗 通信回復せず
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC248480U3A420C2000000/

『宇宙スタートアップのispace(アイスペース)は26日、月面着陸船の月への着陸について、「通信の回復が見込まれず、完了が困難と判断した」と発表した。世界で民間初との期待があった月着陸は失敗した。着陸時に機体に何らかの異常が発生した可能性がある。
着陸船は2022年12月に米スペースXのロケットで打ち上げられ、宇宙空間を4カ月半航行して月に到着した。26日午前0時40分ごろ、月面から高度約100キロメートルの位置で着陸態勢に入った。順調に進めば着陸開始から1時間後の午前1時40分ごろに着陸する予定だった。

アイスペースによると、着陸直前までは着陸船との通信は確認できていたという。ただその後は着陸船との通信が途絶えていた。都内の管制室で通信の確立を試みてきたが断念した。月面着陸は軟着陸が最大のハードルとされる。着陸船が月面に衝突して故障した可能性もある。着陸船には宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開発した小型ロボットなど、7つの荷物を搭載していた。

【関連記事】

・ispace、月面着陸船と通信途絶える
・ispace、月面着陸へのポイント図解 』

H3失敗、宇宙の国際競争出遅れ必至 商業衛星開拓に壁

H3失敗、宇宙の国際競争出遅れ必至 商業衛星開拓に壁
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC139A10T10C23A2000000/

『大型ロケット「H3」初号機の打ち上げ失敗は、国の宇宙開発戦略や宇宙産業の育成に影を落とす。今後H3で予定していた日本版全地球測位システム(GPS)を担う人工衛星や宇宙基地への輸送機などの計画は修正を求められる。低コストと高い信頼性が求められる衛星打ち上げサービスの国際競争でも日本は厳しい位置に立たされる。

大型ロケットは国内宇宙産業の中核を担う。内閣府などによると、国内の宇宙産業の規模は人工衛星…

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『大型ロケットは国内宇宙産業の中核を担う。内閣府などによると、国内の宇宙産業の規模は人工衛星とその打ち上げを担うロケットなど宇宙機器関連が約3500億円、衛星データなどを使った利用関連が約8000億円、全体で約1.2兆円の産業規模がある。

政府はこれを2030年代の早期に倍増させる目標を掲げる。産業規模の大きい衛星データの利用を増やすには安価で使いやすいロケットが不可欠だ。調達がままならなくなれば、国内の宇宙産業の停滞につながる。』

「H3」打ち上がらず 補助ロケットに着火しなかったもよう

「H3」打ち上がらず 補助ロケットに着火しなかったもよう
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230217/k10013983201000.html

 ※ 今日は、こんな所で…。

『日本の新たな主力ロケット「H3」の初号機は17日午前10時37分、鹿児島県の種子島宇宙センターから打ち上げられる予定でしたが、ロケットは打ち上がりませんでした。補助ロケットに着火しなかった模様だということで、JAXA=宇宙航空研究開発機構が詳しい状況を調べています。

「H3」の初号機は、17日午前10時37分に種子島宇宙センターから打ち上げられる予定でした。しかし、ロケットの発射台から白い煙が上がりましたが、機体は打ち上がりませんでした。

種子島宇宙センターでは「メインエンジンには着火したが補助ロケットには着火しなかった模様だ。状況確認には時間がかかる見通しだ」というアナウンスが流れました。
補助ロケットは、「SRB-3」と呼ばれ、「H3」ロケット用に改良されました。長さはおよそ15メートルで直径2.5メートルの円筒に入った固体燃料を燃やし最も推進力が必要な打ち上げの初期段階に使用されます。

「SRB-3」は、搭載する衛星の重さに応じてロケット本体に取り付けますが、部品を減らし、軽量化や低コスト化につなげたほか、取り付けにかかる日数も2日と、これまでの半分で済むよう開発されたということです。

今回の初号機には2本装着され、計画では、打ち上げの0.4秒前に点火して燃焼を始め、発射から1分56秒後、高度43キロでロケット本体から切り離される予定でした。

JAXAによりますと、初号機の打ち上げは17日は行わず、燃料を抜き取ったあと、ロケットの組み立て棟に機体を戻すことになる可能性が高いとしていて近く会見を開いて状況を説明したいとしています。

JAXA「失敗とは判断できない」

JAXAの広報担当者は報道陣の取材に対して、「メインエンジンには着火したもののロケットの両側についている補助ロケットのSRB-3には着火しなかった。どうしてこうなったかはまだ分からず若干時間がかかるようだ。今この状態ではきょう再び打てるということはないのではないか。まだ打ち上げてはいないので、失敗とは判断できない。打ち上がる前に分かったので、新しい打ち上げを目指すことになる」と話しました。

新型国産ロケットの仕様

【「H3」とは】
新型ロケット「H3」は、JAXA=宇宙航空研究開発機構と三菱重工業が9年前から開発しています。
日本の大型ロケットとしては「H2」以来となるおよそ30年ぶりの新規開発で、現在の日本の主力ロケット「H2A」の後継機として総開発費2000億円余りの国家プロジェクトとして進められています。

「H3」の全長は最長で63メートル、直径は5.2メートルあり、燃焼を終えると順次切り離す2段式ロケットで、第1段と第2段には、ロケットを飛ばすための推進剤に「液体水素」と「液体酸素」を使っています。

エンジンはいずれも新型で、
▽第1段のメインエンジンが「LE-9」。
▽第2段のエンジンが「LE-5B-3」。
▽さらに、「SRB-3」という固体燃料を使う補助ロケットを搭載することができます。

「H3」は、「H2A」に比べて、
▽エンジンの第1段では部品の数を、▽補助ロケットでは本体との結合点を減らすなど、独自の技術を採用して設計をシンプルにしています。

【発射台】

発射場は、鹿児島県の種子島宇宙センターですが、発射台も新たに開発していて、打ち上げ作業の効率化を図る工夫を施しています。

【搭載重量に応じて変更可能】

「H3」は、
▽メインエンジンを2基から3基に増やせるほか、
▽補助ロケットの本数も最大4本まで搭載可能です。
▽人工衛星を覆うカバー「フェアリング」の大きさも長短2種類あり、
搭載する人工衛星に応じて仕様を変えられるのも特徴です。

【初号機は】

今回打ち上げる初号機は、

▽メインエンジンが2基、
▽補助ロケットが2本、
▽フェアリングは短いタイプを使用するため全長は57メートルで、
▽人工衛星を含めない重量はおよそ422トンです。

地球観測衛星「だいち3号」を搭載します。

特徴は「安く大きく」

【パワー増強とコストダウン】

新型ロケット「H3」の最大の特徴は、▽パワー増強と、▽コストダウンの両立です。

【日本のロケット長所と短所】

現在の主力ロケット「H2A」は、打ち上げ能力を強化した「H2B」も含め、これまで55回打ち上げられ、失敗は2003年、「H2A」6号機の1回だけで成功率は98%を誇ります。

一方で、「H2A」は、打ち上げ1回当たり、およそ100億円かかります。

商業衛星の打ち上げ需要が高まり、世界中で新型ロケットの開発が進む中で、H2Aでは将来、価格競争の面で不利になると指摘されています。

【「H3」が掲げる目標】

「H3」は全長が最長で63メートルと、「H2A」より10メートル長いほか、直径も1.2メートル大きい5.2メートルで、国内のロケット史上最大。

打ち上げ可能な重量は、「H2A」のおよそ1.3倍に増強されました。

そしてコスト面では、打ち上げにかかる費用をおよそ50億円と、「H2A」の半分程度に抑えることを目指して開発。

独自の技術を採用してエンジン部品の数をこれまでの3分の1程度に減らしたほか、
ロケットの発射台も新たに開発していて、打ち上げ作業の効率化を図る工夫を施しています。

さらに、受注から打ち上げまでの期間を2年から1年に短縮するとともに年間6機の打ち上げを目標に掲げています。

【高い信頼性も維持】

「H3」は、これまで築いてきた日本のロケットへの高い信頼性を維持しながら、新しい宇宙開発時代に必要なパワー増強とコストダウンを両立させ、各国がしのぎを削る国際的な打ち上げビジネスに対抗するのがねらいです。』

「イプシロン」6号機 打ち上げ失敗 JAXA会見【詳細 Q&A】

「イプシロン」6号機 打ち上げ失敗 JAXA会見【詳細 Q&A】
2022年10月12日 18時59分
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20221012/k10013856281000.html

『日本の小型ロケット「イプシロン」6号機は、12日午前9時50分ごろに鹿児島県の内之浦宇宙空間観測所から打ち上げられましたが、ロケットに異常が発生したため機体を破壊する信号が送られ、打ち上げは失敗しました。

これを受けてJAXA=宇宙航空研究開発機構は、会見を開きました。

この中で山川宏理事長は「ロケットの姿勢が目標からずれ、地球を周回する軌道に投入できないと判断し『指令破壊信号』を送った。打ち上げの失敗については、地元をはじめ関係する皆さま、搭載された衛星に関係する皆さまの期待に応えられず、深くお詫び申し上げる」と述べ、陳謝しました。

そのうえでJAXAはこれまでに分かっている状況を説明しました。どのような異常が起きたのか、今後への影響は。会見のポイントをまとめました。

Q.どのような異常が起きたのか

A.
イプシロン6号機は予定通りの時刻に打ち上げられ、1段目の燃焼終了後、衛星を覆うフェアリングの分離、ロケットの1段目と2段目の分離、2段目の燃焼開始と終了までは計画どおりに飛行した。

その後、2段目と3段目を分離する前にロケットの姿勢が目標からずれ、地球を周回する軌道に衛星を投入できないと判断し、地上からの「指令破壊信号」を送った。

2段目と3段目の姿勢に異常があったことは分かっている。姿勢制御をつかさどるさまざまな機器を徹底的に調べて原因を究明する。

Q.指令破壊とはどのようなものか

A.
ロケットの飛行能力を失わせること。今回は2段目と3段目のロケットを同時に破壊する指令を出した。

2段目の表面に火工品が装着されていて、破裂させる形で破壊する。3段目は2段目に付いている火工品から3段目を破壊する仕組み。

飛行の安全に関する管制は種子島宇宙センターで行っていて、そこからコマンドを送信した。

破壊された機体はフィリピンの東の海上に落ちたと推定される。海の深いところに落ちたとみられ、回収は難しいのではないか。

JAXAのロケットでは、過去に1999年11月15日のH2ロケット8号機、2003年11月29日のH2Aロケット6号機で指令破壊を実施している。

Q.新型ロケット「H3」など今後への影響は

A.
H3を開発中であり、H2Aの運用も続けている段階なので、今後影響が出てくる可能性は否定できない。

まずは原因を正確に捉えて対策をうつということが、JAXAのロケットに対する信頼を取り戻すうえで最も重要だと思っているので、そこに力を注いでいきたい。』

日本のロケット「イプシロン」打ち上げ失敗

日本のロケット「イプシロン」打ち上げ失敗 地上から破壊指令
2022年10月12日 12時09分
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20221012/k10013856061000.html

『日本の小型ロケット「イプシロン」6号機は、12日午前9時50分ごろに鹿児島県の内之浦宇宙空間観測所から打ち上げられましたが、上昇中にトラブルが発生し、機体を破壊する信号が送られて、打ち上げは失敗しました。
「イプシロン」6号機は12日午前9時50分ごろ、鹿児島県肝付町にある内之浦宇宙空間観測所から打ち上げられましたが、JAXA=宇宙航空研究開発機構によりますと、打ち上げ後にロケットの安全な飛行ができないと判断し、機体を破壊する信号を送ったということです。JAXAはトラブルの詳しい原因を調べています。

「イプシロン」は、小型の人工衛星を低コストで打ち上げようとJAXAが開発した全長およそ30メートルのロケットです。

今回の6号機には、福岡市のベンチャー企業が開発した2つの商業衛星や、公募で選ばれた企業や大学の実証実験を行う衛星などが搭載されていました。

今回の打ち上げは「イプシロン」としては初めてとなる商業衛星の打ち上げで、需要が高まる小型の人工衛星の打ち上げビジネスへの本格的な参入につながるのか注目されていました。

「イプシロン」の打ち上げ失敗は今回が初めてです。
イプシロンに搭載の衛星を開発した企業は
「イプシロン」には、福岡市のベンチャー企業、「QPS研究所」と久留米市の町工場などが開発した衛星が搭載されていました。

「QPS研究所」の大西俊輔社長は「九州でつくった衛星を九州で打ち上げるという意味で感慨深く、きょうを迎えましたが、やはりロケットは100%完璧なものではないと感じています。まずは詳細な報告を待ちたい」と話していました。

そのうえで「衛星の開発は喜びや悲しみ、さまざまなものが合わさってできるものだと思う。今回の経験も大きな財産になると思うので、よりいっそう力強い開発体制でさらにいいものをつくるという原動力に変えていきたい」と話していました。』

観測ロケット「S-520-RD1」号機を打ち上げ 日本

北の国から猫と二人で想う事 livedoor版:観測ロケット「S-520-RD1」号機を打ち上げ 日本
https://nappi11.livedoor.blog/archives/5358574.html

『宇宙航空研究開発機構(JAXA)は2022年7月24日午前5時、鹿児島県肝付町の発射場から観測ロケット「S-520-RD1」号機を打ち上げた。日本のメディアが報じた。

RD1号機は全長約9.2メートル、重さ2.6トンで、空気吸い込みエンジン(スクラムジェットエンジン)の試験用機材を搭載。空気吸い込みエンジンは、搭載不要となった酸素の代わりにより多くの貨物を搭載できることから、将来の宇宙往還機や大陸間高速輸送機への適用が期待されている。

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飛行試験用の供試体は長さ約1.8m、直径約0.52m、質量は約300kgで、音速の5~6倍の「極超音速」で飛行しながら国内初の試験を行い、収集した燃焼に関するデータを極超音速誘導弾の研究などに活用するという。

これより前、日本の警察庁は、災害時の被害の迅速な把握や警備などに活用するため、JAXAと共同で、無人航空機の開発に着手することを決定したと報じられていた。

参照記事 JAXA参照記事』

〔我が国の宇宙開発利用の現状 我が国の宇宙開発利用の現状〕

(データ集)
平成22年2月23日
内閣官房宇宙開発戦略本部事務局
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/utyuu/seisaku_kaigi/dai1/siryou1_3.pdf

 ※ 日本国の宇宙開発の現状は、どうなっているのか…。

 ※ 安全保障の観点、産業振興の観点、国民生活の利便性の向上の観点…、そのプライオリティの割り振りは、どうなっているのか…。

 ※ そういう問題を知り得るためには、どういう「資料」に当たったらいいのか…。

 ※ 何か、「全体の組織図」みたいなものは、ないのか…。

 ※ そういう問題意識で、探していたら、当たったものだ…。

 ※ ちょっと古いが、参考になるんで、貼っておく…。

※「気象庁」が、国交省の管轄ということは、知らんかった…。

※ JAXAは、文科省と総務省で綱引きしたようだ…。双方から人員を出す…、ということで決着したようだ…。

※ 一応、内閣官房内の「宇宙開発戦略本部」というところが、「司令塔」だ…。本部長は、「内閣総理大臣」…。「宇宙開発担当大臣」というものも、設置されているんだな…。

内閣府特命担当大臣(宇宙政策担当)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%86%85%E9%96%A3%E5%BA%9C%E7%89%B9%E5%91%BD%E6%8B%85%E5%BD%93%E5%A4%A7%E8%87%A3%EF%BC%88%E5%AE%87%E5%AE%99%E6%94%BF%E7%AD%96%E6%8B%85%E5%BD%93%EF%BC%89

カーボンゼロの「最終兵器」、日本先行の宇宙太陽光発電

https://www.nikkei.com/article/DGXZQODZ268P30W1A120C2000000/

『宇宙空間に広がった太陽光パネルで発電、電子レンジに使われるマイクロ波で地上に電気を送る「宇宙太陽光発電(SPS)」。1980年代に日本で研究を始めた京都大学の松本紘氏(現・理化学研究所理事長)から弟子の篠原真毅教授へ情熱は受け継がれ、2050年の実用化を目指し国も動き始めた。中国の猛追もある中、次世代エネルギーとして日本は果実を手にできるか。

電子レンジでテレビを動かす――。京都府宇治市にある京大…

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宇宙空間に広がった太陽光パネルで発電、電子レンジに使われるマイクロ波で地上に電気を送る「宇宙太陽光発電(SPS)」。1980年代に日本で研究を始めた京都大学の松本紘氏(現・理化学研究所理事長)から弟子の篠原真毅教授へ情熱は受け継がれ、2050年の実用化を目指し国も動き始めた。中国の猛追もある中、次世代エネルギーとして日本は果実を手にできるか。

電子レンジでテレビを動かす――。京都府宇治市にある京大・篠原教授の研究室では珍しい実験が話題を呼んだ。電波が漏れないようにトゲトゲの遮蔽構造に覆われた実験室。部屋の中央に置いたコンセントを差していないテレビに電子レンジを改良した設備からマイクロ波を飛ばすと、映像が映し出された。電波は通常、波に情報を乗せて飛ばすが、出力を上げることで電気そのものを送ることが可能だ。

各国で100年以上研究
ワイヤレス送電は米テスラが社名の由来にしたとされる米物理学者ニコラ・テスラが19世紀末に送電実験をしたり、旧日本軍がマグネトロンの軍事転用を実験したり、オランダのフィリップスが携帯電話を電子レンジで急速充電する特許を出願したりと100年以上にわたり有象無象の研究が続いてきた。

実用化は難しいとされ、基礎研究にとどまっていた電波で電気を送る技術だが、ついに実用化フェーズに入ってきた。総務省はワイヤレス給電と呼ばれ、コンセントがなくても電気を飛ばして機器を充電できる技術を企業などが事業に利用できるように電波を割り当てる。パナソニックやオムロンなどの企業が電池レスIoT端末を開発して商用化をにらんでいる。

米ではスタートアップが先行。その一つオシアはビームを反射させて障害物をよける独自の「COTA」技術を開発し、スマートフォンに取り付けたケースでiPhoneを充電できる技術を披露した。パワーキャストは「ワイヤレス・チャージング・グリップ」の名称で、任天堂のゲーム機「スイッチ」のコントローラーを無線で充電できる製品をアマゾンで約150ドルで販売した。

宇宙からビームで送電
電波による送電の可能性はデジタル機器にとどまらない。マイクロ波の出力を上げ、ビームとして照射し、送電線のように使う究極のクリーンエネルギープロジェクトが進む。宇宙空間の人工衛星からビームで飛ばして3万6千キロメートル先の地球のアンテナで受ける宇宙太陽光発電だ。

かつて都市開発ゲーム「シムシティ」で次世代発電所として登場したこともある未来の象徴とも呼べる技術。太陽で起きる核融合反応でエネルギーを取り出す核融合発電と並び、構想こそ優れるものの実用時期は見通せない夢のエネルギーとみられていた。ただ、近年ではカーボンゼロの流れを受けて、国が策定する宇宙基本計画に新たに宇宙太陽光発電の検討が記載されるなど再び実用化に向けた前進の兆しを見せている。

地球上で太陽光発電をした場合、夜間や曇りの場合には発電できないため、平均で太陽光パネルの稼働率は15%とも言われる。夜のない宇宙空間では24時間発電できる。送電線の代わりにビームで送れば地球でエネルギーを受けたり、月面の裏側や他の星に電気を送ったりといったことも理論上可能になる。

宇宙太陽光発電は文字通り夢のプロジェクトだ。日本では京大の松本氏が先鞭(せんべん)をつけ、ロケットを使って宇宙空間でマイクロ波を送電するMINIXと呼ぶ実験に1983年に世界で初めて成功した。松本氏は「もともと(別の)宇宙プラズマの研究をしてたが、人類はいずれ宇宙に出て行くはめになるだろうと思った」と話す。宇宙で電気を送ることは人類がいずれ地球外に生活圏を広げる際にも不可欠な技術だ。

京大で脈々と研究が引き継がれる
1990年当時に京大4年生だった篠原教授は、松本氏の壮大な計画に感銘を受けて弟子入りを決断。その後松本氏は08年に京大総長に就くなどアカデミアの世界のキャリアを駆け上り、10年に教授となった篠原氏は後継者として夢の技術の開発を引き継いだ。

宇宙太陽光発電は経済産業省、宇宙航空研究開発機構(JAXA)を中心に、宇宙システム開発利用推進機構や民間企業では三菱電機、三菱重工業、IHIなどが設備などを提供して実験プロジェクトを推進してきた。実用化のめどは当初2030年とも言われていたが、現在では2050年ごろになっている。

実用化の課題はコスト
ネックとなるのがコストだ。篠原教授は「事業化できる電力単価を考えると、100万キロワットの発電容量が必要だが、太陽光パネルの大きさは長さが2キロメートルほどになる」と試算する。衛星は1万トン以上と、一般的な宇宙ステーションの100倍だ。衛星はロケットで静止軌道まで運ぶ必要があるが、これだけ巨大な設備になると複数回送って組み立てる必要がある。

特に日本では国産のH2Aロケットでも1発100億円とも言われ、運搬コストがかかる。100万キロワット級の建設にかかる総コストは1兆円超との見積もりもある。だが松本氏は「ロケットの打ち上げ費用が下がり、2050年のカーボンゼロの目標もあり、開発のスピードは進むだろう」と話す。実際、日本ではH3ロケット以降は低コスト化が焦点で、特に米ではロケット開発は米航空宇宙局(NASA)から民間委託が急激に進み、米スペースXをはじめとする新興勢がロケットの価格破壊をしている。

また、安全面での懸念もある。強力なマイクロ波は地上のアンテナで受信する必要があるが、設備の周辺は人から離す必要もあり、海上に設置する案などが検討されている。マイクロ波がそれた場合には火事になるとの推論もあるが、篠原教授は「アンテナからそれると分散してしまい、殺人ビームのようなことにはならない」と強調する。

核融合発電と並んで注目の的に
遅々として進まなかった開発だが、カーボンゼロと原子力発電の停止というジレンマの中で、宇宙太陽光発電は核融合発電と並び、急速に世界で注目を集める。宇宙開発を加速する中国では重慶大学などを中心に、国を挙げて一気に人工衛星による実験フェーズにもっていくという計画が出ているという。先行する日本の宇宙太陽光発電の教材などを中国に翻訳する動きもあるという。

篠原教授は「日本が開発を進める間に中国がどんどん追いついてくる可能性もある」と指摘する。巨額の研究開発費で下支えする米中、さらに民間のマネーも入り宇宙開発が進む中、日本が先行してきたはずの夢の技術の実現にはさらなる資金調達の仕組みや開発スピードの加速が必要になる。

(企業報道部 渡辺直樹)

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宇宙太陽光発電システム(SSPS)について
https://www.kenkai.jaxa.jp/research/ssps/ssps-ssps.html

試料「ごろごろ、どっさり」 はやぶさ2、目標超える大量採取

https://www.sankei.com/life/news/201215/lif2012150029-n1.html

『探査機「はやぶさ2」が地球に持ち帰ったカプセルに入っていた小惑星リュウグウの試料は、目標の0・1グラムをはるかに超える量だったとみられると、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が15日、発表した。

 JAXAの宇宙科学研究所(相模原市)で同日、1回目の着地で地表から採取した試料を収めた容器を開封し、大量の試料が入っていることを確認した。

 オンラインで会見した沢田弘崇主任研究開発員は「大きさ数ミリの黒い粒がごろごろ、どっさり入っていた。目標量を上回るのは確実だ」と述べた。

 科学に関する責任者を務める渡辺誠一郎名古屋大教授は「大きな粒子が取れたことで、成分だけでなく構造を調べることも可能になる」と、今後の分析に期待を膨らませた。

 リュウグウの試料は14日、容器のカバーの底から砂状のものが確認されていたが、分量は明らかにしていなかった。2回目の着地で地下から採取した試料が入っているとみられる容器は年明けに開封する予定。その後は顕微鏡で形や大きさなどを観察し、成分を調べてから大学などに提供、さらに詳しく分析を行う。

 またJAXAは同日、カプセルから採取したガスがリュウグウ由来と判断したことも正式に発表した。

 はやぶさ2は昨年、リュウグウの地表と地下から試料採取を行った。太陽系の成り立ちや地球の生命の起源に迫る研究成果が期待されている。』

H2B最終機、打ち上げ成功 「こうのとり」軌道に

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO59364860R20C20A5I00000/

※ 「コロナ騒動」絡みで、全ての医療関係従事者への感謝の意を込めて、「ブルー」にライトアップしたそうだ…。

※ うまいこと「打ち上げ成功」に終わって、よかった…。おめでとうございます…。今回は、コロナ騒ぎのおかげで、「見学会」は禁止になったそうだ…。屋外とは言え、「三密」になるからな…。やむを得ないところだ…。

※ こういう「打ち上げ成功」の陰には、当たり前の話だが、工場でのロケットのパーツの製作→その運搬→打ち上げ場所での、組み立て→発射台への、セッティング…、などなどが滞りなく行われること…、が存在している…。

ロケットの組み立てから打ち上げまで(※ Adobeのフラッシュ・プレイヤーが必要。Chromeだと、うまく再生されない。オレは、Edgeで観た。)
http://www.rocket.jaxa.jp/basic/knowledge/flow.html

※ 3日もかけて、運ぶんだな…。

※ 運搬・搬入したパーツを、現地で「再組み立て」しているんだな…。どっか一つでも、「失策」があれば、それが「失敗」の原因となる…。そういう「前提」で「設計・デザイン」しているんだろうが、それにしても、細心の注意を要する作業だろう…。

※ こうやって、「下から順に」組んでいくわけだ…。ブースターが、「液体燃料」と「固体燃料」の2種類使っていることは、知らんかった…。

※ 「HTV」というのが、「こうのとり」本体だ…。その中に、宇宙ステーションで必要な、様々な物資を詰め込んで、送り届けるわけだ…。それを、また「フェアリング」という防御壁で、くるんで防御する構造になっている…。

※ 先端部分が取り付けられると、「組み立て完成!」となるわけだ…。

※ この一個上の画像から分かるように、「ロケット全体」は相当な高さがあるから、その組み立てには何階建てもの「ロケット組み立て棟」みたいな「建物」が必要となる…。そこでは、「発射」するわけにいかないから、「発射場」へと「しずしずと」運んで行くんだろう…。

※ 周囲の「人」と比較して、凄い「デカさ」だな…。ただ、「中身」は、殆んどが「燃料」と、「燃焼装置」だろう…。先端の「こうのとり」を、「地球の引力」から脱却させるためには、これだけの大がかりな「装置」を必要とする…、というわけだ…。

※ この人達も、もはや「自分の役割」を果たすしかない…。後は、「仲間の仕事」を信じて、「自分の仕事」をやるだけだ…。

※ 「バンザーイ!打ち上げ成功、となりましたあ!」となるわけだ…。

※ 世の中、何でもそうだが、「何かを成し遂げる」ということは、多くの人々の「それぞれの持ち場」における、「その職務を果たしていくこと」に支えられている…。そういう「構造」になっていることの「認識」を、忘れないようにしないとな…。陰で支えてくれている人達への、「感謝」と「目配り」を、忘れないようにしないとな…。

国際水星探査計画「BepiColombo」/水星磁気圏探査機「みお」(MMO)

『(※)国際水星探査計画「BepiColombo」(ベピコロンボ)
JAXA担当の水星磁気圏探査機「みお」(MMO:Mercury Magnetospheric Orbiter)とESA担当の水星表面探査機(MPO:Mercury Planetary Orbiter)の2つの周回探査機で水星の総合的な観測を行う日欧協力の大型ミッションです。2つの探査機を搭載したアリアン5型ロケットは、2018年10月19日(金)22時45分28秒(現地時間)(10月20日(土)10時45分28秒(日本標準時))に、フランス領ギアナのギアナ宇宙センターから打ち上げられました。ロケットは正常に飛行し、打上げから約26分47秒後に両探査機を正常に分離したことを確認しました。
BepiColomboは、約7年かけて水星に到着し、世界初となる2機の探査機の周回軌道への投入を行います。役目を終えた電気推進モジュールを分離した状態で水星周回軌道投入を行い、まず「みお」を投入し、その後MPOを投入し、科学観測を行います。』

国際水星探査計画「BepiColombo」/水星磁気圏探査機「みお」(MMO)
https://www.jaxa.jp/projects/sas/bepi/index_j.html

JAXA|早川 基 水星探査で地球の起源と進化を解明
view-source:https://www.jaxa.jp/article/interview/vol38/index_j.html

水星探査機「みお」スイングバイ行ったか…。

水星探査機「みお」スイングバイ行ったか 地球の映像公開
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200410/k10012379671000.html?utm_int=detail_contents_news-related_001

水星磁気圏探査機「みお」の地球スイングバイ実施結果について
https://www.jaxa.jp/press/2020/04/20200421-1_j.html

『国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)および欧州宇宙機関(European Space Agency, ESA)は、国際水星探査計画「ベピコロンボ(BepiColombo)※」の水星磁気圏探査機「みお」の地球スイングバイ後の軌道計測と計算を行い、「みお」が目標としていた軌道上を順調に航行していることを確認しました。

 「みお」は、地球スイングバイにおいて、地球の重力を利用して目標どおり約5km/sの減速を行いながら、2020年4月10日(金)13時24分57秒(日本時間)に地球に最接近し、南大西洋上空の12,689kmを通過しました(図1)。ESA深宇宙ネットワーク局の探査機運用により、現在「みお」の状態は正常であることを確認しています。
 「みお」に搭載した低エネルギー電子観測器(MPPE/MEA)によって太陽風および磁気圏の観測も行いました(図2)。2020年4月9日(木)22時~10日(金)1時頃(UTC)の観測結果からは、太陽風中から磁気圏へと入っていく様子がはっきり捉えられています。
 また、地球スイングバイの前後では「ベピコロンボ」に搭載された多くの装置で観測が実施されました。電気推進モジュール(Mercury Transfer Module: MTM)に搭載されたモニタカメラ(MCAM)では美しい地球の姿が撮影されました(図3)。

 今後は定期的な機能確認に加えて、2020年10月15日に予定している金星スイングバイのような惑星スイングバイや惑星間空間巡航時の科学観測運用を実施していく予定です。』