カーボンゼロの「最終兵器」、日本先行の宇宙太陽光発電

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『宇宙空間に広がった太陽光パネルで発電、電子レンジに使われるマイクロ波で地上に電気を送る「宇宙太陽光発電(SPS)」。1980年代に日本で研究を始めた京都大学の松本紘氏(現・理化学研究所理事長)から弟子の篠原真毅教授へ情熱は受け継がれ、2050年の実用化を目指し国も動き始めた。中国の猛追もある中、次世代エネルギーとして日本は果実を手にできるか。

電子レンジでテレビを動かす――。京都府宇治市にある京大…

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宇宙空間に広がった太陽光パネルで発電、電子レンジに使われるマイクロ波で地上に電気を送る「宇宙太陽光発電(SPS)」。1980年代に日本で研究を始めた京都大学の松本紘氏(現・理化学研究所理事長)から弟子の篠原真毅教授へ情熱は受け継がれ、2050年の実用化を目指し国も動き始めた。中国の猛追もある中、次世代エネルギーとして日本は果実を手にできるか。

電子レンジでテレビを動かす――。京都府宇治市にある京大・篠原教授の研究室では珍しい実験が話題を呼んだ。電波が漏れないようにトゲトゲの遮蔽構造に覆われた実験室。部屋の中央に置いたコンセントを差していないテレビに電子レンジを改良した設備からマイクロ波を飛ばすと、映像が映し出された。電波は通常、波に情報を乗せて飛ばすが、出力を上げることで電気そのものを送ることが可能だ。

各国で100年以上研究
ワイヤレス送電は米テスラが社名の由来にしたとされる米物理学者ニコラ・テスラが19世紀末に送電実験をしたり、旧日本軍がマグネトロンの軍事転用を実験したり、オランダのフィリップスが携帯電話を電子レンジで急速充電する特許を出願したりと100年以上にわたり有象無象の研究が続いてきた。

実用化は難しいとされ、基礎研究にとどまっていた電波で電気を送る技術だが、ついに実用化フェーズに入ってきた。総務省はワイヤレス給電と呼ばれ、コンセントがなくても電気を飛ばして機器を充電できる技術を企業などが事業に利用できるように電波を割り当てる。パナソニックやオムロンなどの企業が電池レスIoT端末を開発して商用化をにらんでいる。

米ではスタートアップが先行。その一つオシアはビームを反射させて障害物をよける独自の「COTA」技術を開発し、スマートフォンに取り付けたケースでiPhoneを充電できる技術を披露した。パワーキャストは「ワイヤレス・チャージング・グリップ」の名称で、任天堂のゲーム機「スイッチ」のコントローラーを無線で充電できる製品をアマゾンで約150ドルで販売した。

宇宙からビームで送電
電波による送電の可能性はデジタル機器にとどまらない。マイクロ波の出力を上げ、ビームとして照射し、送電線のように使う究極のクリーンエネルギープロジェクトが進む。宇宙空間の人工衛星からビームで飛ばして3万6千キロメートル先の地球のアンテナで受ける宇宙太陽光発電だ。

かつて都市開発ゲーム「シムシティ」で次世代発電所として登場したこともある未来の象徴とも呼べる技術。太陽で起きる核融合反応でエネルギーを取り出す核融合発電と並び、構想こそ優れるものの実用時期は見通せない夢のエネルギーとみられていた。ただ、近年ではカーボンゼロの流れを受けて、国が策定する宇宙基本計画に新たに宇宙太陽光発電の検討が記載されるなど再び実用化に向けた前進の兆しを見せている。

地球上で太陽光発電をした場合、夜間や曇りの場合には発電できないため、平均で太陽光パネルの稼働率は15%とも言われる。夜のない宇宙空間では24時間発電できる。送電線の代わりにビームで送れば地球でエネルギーを受けたり、月面の裏側や他の星に電気を送ったりといったことも理論上可能になる。

宇宙太陽光発電は文字通り夢のプロジェクトだ。日本では京大の松本氏が先鞭(せんべん)をつけ、ロケットを使って宇宙空間でマイクロ波を送電するMINIXと呼ぶ実験に1983年に世界で初めて成功した。松本氏は「もともと(別の)宇宙プラズマの研究をしてたが、人類はいずれ宇宙に出て行くはめになるだろうと思った」と話す。宇宙で電気を送ることは人類がいずれ地球外に生活圏を広げる際にも不可欠な技術だ。

京大で脈々と研究が引き継がれる
1990年当時に京大4年生だった篠原教授は、松本氏の壮大な計画に感銘を受けて弟子入りを決断。その後松本氏は08年に京大総長に就くなどアカデミアの世界のキャリアを駆け上り、10年に教授となった篠原氏は後継者として夢の技術の開発を引き継いだ。

宇宙太陽光発電は経済産業省、宇宙航空研究開発機構(JAXA)を中心に、宇宙システム開発利用推進機構や民間企業では三菱電機、三菱重工業、IHIなどが設備などを提供して実験プロジェクトを推進してきた。実用化のめどは当初2030年とも言われていたが、現在では2050年ごろになっている。

実用化の課題はコスト
ネックとなるのがコストだ。篠原教授は「事業化できる電力単価を考えると、100万キロワットの発電容量が必要だが、太陽光パネルの大きさは長さが2キロメートルほどになる」と試算する。衛星は1万トン以上と、一般的な宇宙ステーションの100倍だ。衛星はロケットで静止軌道まで運ぶ必要があるが、これだけ巨大な設備になると複数回送って組み立てる必要がある。

特に日本では国産のH2Aロケットでも1発100億円とも言われ、運搬コストがかかる。100万キロワット級の建設にかかる総コストは1兆円超との見積もりもある。だが松本氏は「ロケットの打ち上げ費用が下がり、2050年のカーボンゼロの目標もあり、開発のスピードは進むだろう」と話す。実際、日本ではH3ロケット以降は低コスト化が焦点で、特に米ではロケット開発は米航空宇宙局(NASA)から民間委託が急激に進み、米スペースXをはじめとする新興勢がロケットの価格破壊をしている。

また、安全面での懸念もある。強力なマイクロ波は地上のアンテナで受信する必要があるが、設備の周辺は人から離す必要もあり、海上に設置する案などが検討されている。マイクロ波がそれた場合には火事になるとの推論もあるが、篠原教授は「アンテナからそれると分散してしまい、殺人ビームのようなことにはならない」と強調する。

核融合発電と並んで注目の的に
遅々として進まなかった開発だが、カーボンゼロと原子力発電の停止というジレンマの中で、宇宙太陽光発電は核融合発電と並び、急速に世界で注目を集める。宇宙開発を加速する中国では重慶大学などを中心に、国を挙げて一気に人工衛星による実験フェーズにもっていくという計画が出ているという。先行する日本の宇宙太陽光発電の教材などを中国に翻訳する動きもあるという。

篠原教授は「日本が開発を進める間に中国がどんどん追いついてくる可能性もある」と指摘する。巨額の研究開発費で下支えする米中、さらに民間のマネーも入り宇宙開発が進む中、日本が先行してきたはずの夢の技術の実現にはさらなる資金調達の仕組みや開発スピードの加速が必要になる。

(企業報道部 渡辺直樹)

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宇宙太陽光発電システム(SSPS)について
https://www.kenkai.jaxa.jp/research/ssps/ssps-ssps.html

試料「ごろごろ、どっさり」 はやぶさ2、目標超える大量採取

https://www.sankei.com/life/news/201215/lif2012150029-n1.html

『探査機「はやぶさ2」が地球に持ち帰ったカプセルに入っていた小惑星リュウグウの試料は、目標の0・1グラムをはるかに超える量だったとみられると、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が15日、発表した。

 JAXAの宇宙科学研究所(相模原市)で同日、1回目の着地で地表から採取した試料を収めた容器を開封し、大量の試料が入っていることを確認した。

 オンラインで会見した沢田弘崇主任研究開発員は「大きさ数ミリの黒い粒がごろごろ、どっさり入っていた。目標量を上回るのは確実だ」と述べた。

 科学に関する責任者を務める渡辺誠一郎名古屋大教授は「大きな粒子が取れたことで、成分だけでなく構造を調べることも可能になる」と、今後の分析に期待を膨らませた。

 リュウグウの試料は14日、容器のカバーの底から砂状のものが確認されていたが、分量は明らかにしていなかった。2回目の着地で地下から採取した試料が入っているとみられる容器は年明けに開封する予定。その後は顕微鏡で形や大きさなどを観察し、成分を調べてから大学などに提供、さらに詳しく分析を行う。

 またJAXAは同日、カプセルから採取したガスがリュウグウ由来と判断したことも正式に発表した。

 はやぶさ2は昨年、リュウグウの地表と地下から試料採取を行った。太陽系の成り立ちや地球の生命の起源に迫る研究成果が期待されている。』

H2B最終機、打ち上げ成功 「こうのとり」軌道に

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO59364860R20C20A5I00000/

※ 「コロナ騒動」絡みで、全ての医療関係従事者への感謝の意を込めて、「ブルー」にライトアップしたそうだ…。

※ うまいこと「打ち上げ成功」に終わって、よかった…。おめでとうございます…。今回は、コロナ騒ぎのおかげで、「見学会」は禁止になったそうだ…。屋外とは言え、「三密」になるからな…。やむを得ないところだ…。

※ こういう「打ち上げ成功」の陰には、当たり前の話だが、工場でのロケットのパーツの製作→その運搬→打ち上げ場所での、組み立て→発射台への、セッティング…、などなどが滞りなく行われること…、が存在している…。

ロケットの組み立てから打ち上げまで(※ Adobeのフラッシュ・プレイヤーが必要。Chromeだと、うまく再生されない。オレは、Edgeで観た。)
http://www.rocket.jaxa.jp/basic/knowledge/flow.html

※ 3日もかけて、運ぶんだな…。

※ 運搬・搬入したパーツを、現地で「再組み立て」しているんだな…。どっか一つでも、「失策」があれば、それが「失敗」の原因となる…。そういう「前提」で「設計・デザイン」しているんだろうが、それにしても、細心の注意を要する作業だろう…。

※ こうやって、「下から順に」組んでいくわけだ…。ブースターが、「液体燃料」と「固体燃料」の2種類使っていることは、知らんかった…。

※ 「HTV」というのが、「こうのとり」本体だ…。その中に、宇宙ステーションで必要な、様々な物資を詰め込んで、送り届けるわけだ…。それを、また「フェアリング」という防御壁で、くるんで防御する構造になっている…。

※ 先端部分が取り付けられると、「組み立て完成!」となるわけだ…。

※ この一個上の画像から分かるように、「ロケット全体」は相当な高さがあるから、その組み立てには何階建てもの「ロケット組み立て棟」みたいな「建物」が必要となる…。そこでは、「発射」するわけにいかないから、「発射場」へと「しずしずと」運んで行くんだろう…。

※ 周囲の「人」と比較して、凄い「デカさ」だな…。ただ、「中身」は、殆んどが「燃料」と、「燃焼装置」だろう…。先端の「こうのとり」を、「地球の引力」から脱却させるためには、これだけの大がかりな「装置」を必要とする…、というわけだ…。

※ この人達も、もはや「自分の役割」を果たすしかない…。後は、「仲間の仕事」を信じて、「自分の仕事」をやるだけだ…。

※ 「バンザーイ!打ち上げ成功、となりましたあ!」となるわけだ…。

※ 世の中、何でもそうだが、「何かを成し遂げる」ということは、多くの人々の「それぞれの持ち場」における、「その職務を果たしていくこと」に支えられている…。そういう「構造」になっていることの「認識」を、忘れないようにしないとな…。陰で支えてくれている人達への、「感謝」と「目配り」を、忘れないようにしないとな…。

国際水星探査計画「BepiColombo」/水星磁気圏探査機「みお」(MMO)

『(※)国際水星探査計画「BepiColombo」(ベピコロンボ)
JAXA担当の水星磁気圏探査機「みお」(MMO:Mercury Magnetospheric Orbiter)とESA担当の水星表面探査機(MPO:Mercury Planetary Orbiter)の2つの周回探査機で水星の総合的な観測を行う日欧協力の大型ミッションです。2つの探査機を搭載したアリアン5型ロケットは、2018年10月19日(金)22時45分28秒(現地時間)(10月20日(土)10時45分28秒(日本標準時))に、フランス領ギアナのギアナ宇宙センターから打ち上げられました。ロケットは正常に飛行し、打上げから約26分47秒後に両探査機を正常に分離したことを確認しました。
BepiColomboは、約7年かけて水星に到着し、世界初となる2機の探査機の周回軌道への投入を行います。役目を終えた電気推進モジュールを分離した状態で水星周回軌道投入を行い、まず「みお」を投入し、その後MPOを投入し、科学観測を行います。』

国際水星探査計画「BepiColombo」/水星磁気圏探査機「みお」(MMO)
https://www.jaxa.jp/projects/sas/bepi/index_j.html

JAXA|早川 基 水星探査で地球の起源と進化を解明
view-source:https://www.jaxa.jp/article/interview/vol38/index_j.html

水星探査機「みお」スイングバイ行ったか…。

水星探査機「みお」スイングバイ行ったか 地球の映像公開
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200410/k10012379671000.html?utm_int=detail_contents_news-related_001

水星磁気圏探査機「みお」の地球スイングバイ実施結果について
https://www.jaxa.jp/press/2020/04/20200421-1_j.html

『国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)および欧州宇宙機関(European Space Agency, ESA)は、国際水星探査計画「ベピコロンボ(BepiColombo)※」の水星磁気圏探査機「みお」の地球スイングバイ後の軌道計測と計算を行い、「みお」が目標としていた軌道上を順調に航行していることを確認しました。

 「みお」は、地球スイングバイにおいて、地球の重力を利用して目標どおり約5km/sの減速を行いながら、2020年4月10日(金)13時24分57秒(日本時間)に地球に最接近し、南大西洋上空の12,689kmを通過しました(図1)。ESA深宇宙ネットワーク局の探査機運用により、現在「みお」の状態は正常であることを確認しています。
 「みお」に搭載した低エネルギー電子観測器(MPPE/MEA)によって太陽風および磁気圏の観測も行いました(図2)。2020年4月9日(木)22時~10日(金)1時頃(UTC)の観測結果からは、太陽風中から磁気圏へと入っていく様子がはっきり捉えられています。
 また、地球スイングバイの前後では「ベピコロンボ」に搭載された多くの装置で観測が実施されました。電気推進モジュール(Mercury Transfer Module: MTM)に搭載されたモニタカメラ(MCAM)では美しい地球の姿が撮影されました(図3)。

 今後は定期的な機能確認に加えて、2020年10月15日に予定している金星スイングバイのような惑星スイングバイや惑星間空間巡航時の科学観測運用を実施していく予定です。』