日中外相テレビ会談内容の日中における発表の差異は何を物語るのか?

日中外相テレビ会談内容の日中における発表の差異は何を物語るのか?
https://news.yahoo.co.jp/byline/endohomare/20220519-00296736

※ 今日は、こんなところで…。

『5月18日、日中外相会談が行われたが、とても同じ会談とは思えないほど、自国に都合のいいことだけを並べており、日中双方で発表内容が大きく異なる。その差異から何が読み取れるか考察してみよう。

◆日本の外務省による発表

 5月18日、午前10時から約70分、林芳正外相と王毅外相がテレビ会談を行った。日本の外務省は、その会談内容に関して林外相が概ね以下のように言ったと発表している。リンク先に日本語があるので、要点のみ略記する。

 1.日中は「建設的かつ安定的な関係」という重要な共通認識を実現していくべき。

 2.日本国内の対中世論は極めて厳しい。互いに言うべきことは言いつつ対話を重ね、協力すべき分野では適切な形で協力を進め、国際社会への責任を共に果たしていくべき。その上で、尖閣諸島を巡る情勢を含む東シナ海、南シナ海、香港、新疆ウイグル自治区等の状況に対する深刻な懸念を表明。台湾海峡の平和と安定の重要性。在中国日本大使館員の一時拘束事案及び中国における邦人拘束事案について。日本産食品に対する輸入規制の早期撤廃を強く求めた。

 3.新型コロナによる様々な影響がある中で、在留邦人の安全の確保や日本企業の正当な経済活動の保護等について中国側の適切な対応を要請。

 4.ウクライナ情勢について、ロシアによるウクライナ侵略は国連憲章を始め国際法の明確な違反であり、中国が国際の平和と安全の維持に責任ある役割を果たすよう求る。北朝鮮については、非核化に向け国際社会が一致して対応する必要がある。拉致問題の即時解決に向けた理解と支持を含める。

◆中国外交部による発表

 一方、中国の場合は二段階に分けて発表し、実に激しい。

 まず18日の14:56の情報として、外交部は「王毅が日米の対中干渉に関して立場を表明した」というタイトルで、以下のように書いている。

 ――2022年5月18日、国務委員兼外相の王毅は、日本の林芳正外相とのビデオ会議で、日米の中国に対する否定的な動きについて立場を示した。

   日本は日米印豪「クワッド」首脳会談を主催しようとしている。警戒すべきは、アメリカの指導者(バイデン)がまだ来日する前から、日米が連携して中国に対抗していこうという論調がすでに悪意に満ちて騒々しく広がっていることだ。

   日米は同盟関係にあるが、日中は平和友好条約を締結している。日米二国間協力は、陣営の対立を扇動したりしてはならないし、中国の主権、安全保障、開発の利益を損ねたりすることなど、さらにあってはならない。日本側が歴史の教訓を学び、地域の平和と安定を目指し、慎重に行動し、他人の火中の栗を拾いに行くようなことをせず、隣国を自国の洪水のはけ口にする(自分の利益を図るために災いを人に押しつける)ような道を歩まないことを願っている。(引用ここまで)

 中国の外交部は、その15分後の15:11に、日中外相テレビ会談の全体に関して、以下のように発表している。

 ――王毅は、今年は日中国交正常化50周年であり、二国間関係の発展の歴史において重要な一里塚だと述べた。 両首脳は昨年、新時代の要求に合致した日中関係の構築を促進する上で重要な合意に達した。

   王毅は、目下の急務は、以下の3つのことを成し遂げることだと指摘した。

   一、二国間関係の正しい方向をしっかりと把握すべきである。 中国と日本の4つの政治文書は、二国間関係の平和的、友好的な協力の方向性を定め、両国がパートナーであり、相互に脅威をもたらさないという一連の重要な原則的合意を築いた。 両国の関係が複雑かつ深刻であればあるほど、中国と日本の4つの政治文書の原則の精神を揺るがすことなく、初心を忘れてはならない。 我々は、正しい認識を確立し、積極的に相互作用を行い、国交正常化50周年を計画し、あらゆるレベルの様々な分野での交流と協力を強化し、前向きな世論と社会環境を醸成すべきである。

   二、二国間関係の前進の原動力を十分に満たすべきである。 経済・貿易協力は、二国間関係の「バラスト(船底に置く重り)」と「スクリュー」である。中国が相互循環の新しい開発パターンの構築を加速することは、日本と世界にとってより多くの機会を提供するだろう。双方は、デジタル経済、グリーン低炭素、気候変動管理などの分野で協調と協力を強化し、より高いレベルの相互利益とウィンウィンの状況を達成するために、協力の可能性を深く掘り起こすべきである。

   三、干渉要因を迅速に排除すべきである。 台湾など、中国の核心的利益や主要な懸念に関する最近の日本の否定的な動きは、一部の政治勢力が中国を誹謗し、相互の信頼を著しく損ない、二国間関係の根幹を揺るがしている。 歴史の教訓を忘れるな。日本側は、これまでの約束を守り、両国間の基本的な信義を守り、日中関係を弱体化させようとする勢力を許さず、中国との国交正常化の50年で達成された貴重な成果を維持すべきである。

   林芳正(氏)は、日本と中国は広範な共通の利益を共有しており、協力の大きな可能性と幅広い展望を持っていると述べた。今年は日中外交正常化50周年を迎えるが、両国首脳の重要な合意に基づき、建設的かつ安定的な二国間関係の構築に努めなければならない。日本側は、中国と志を共にして、国交正常化の初心を忘れず、率直な意思疎通を維持し、誤解や誤った判断を軽減し、デリケートな問題には適切に対応して、政治的相互信頼の強化を図りたいと思っている。(中国外交部からの引用はここまで)

 中国の外交部が二つに分けて情報発信したことから読み取れるのは、ともかく一刻も早く「クワッド」に関する王毅の発言を公表したかったことと、これこそが中国側が今現在、最も言いたいことなのだろうということだ。

 日本の外務省の発表とは、何という相違だろう。

 とても、これが同じ会談の内容だとは思えないくらい異なる。

 一致しているのは日本外務省の「1」の部分だけくらいだろうか。

 中国側の発表を見ない限り、いま日中が、どのような関係にあるのかということは見えてこない。

◆中国は数回にわたり北朝鮮に警告している

 もう一つ、注目すべきことがある。

 実は中国は北朝鮮に数回にわたり警告を出していたのだ。

5月11日付の東京新聞は、以下のような報道をしている。

 ――韓国の情報機関・国家情報院トップの朴智元氏が韓国紙のインタビューに明かしたところによると、中国は最近、数回にわたり北朝鮮にICBMの発射や核実験を中断するよう促した。北朝鮮メディアは4日と7日のミサイル発射に言及しておらず、中国に一定の配慮をした可能性もある。

   中国の王岐山国家副主席は10日午後、尹氏(新大統領)と会い「朝鮮半島の非核化と恒久的な平和を推進する」との立場を伝えた。それでも、専門家の間では中国の北朝鮮への影響力にも限界があるとの見方が強い。朴氏は、バイデン米大統領が訪韓する20日までに北朝鮮が核実験に踏み切るとの見方を示している。(東京新聞からの引用はここまで)

 この情報に関して、中国大陸のネットで検索したが、ヒットする情報はなかった。つまり、中国では、「中国が再三にわたり、北朝鮮にICBMの発射や核実験を中断するよう促した」ことに関しては、公表しないようにしているということになる。

 林外相は、この事実を把握した上で発言しているのか否か分からないが、少なくとも王毅外相はこの事実に関して、会談でも何も言わなかったものと推測される。

 5月18日のコラム<中露は軍事同盟国ではなく、ウクライナ戦争以降に関係後退していない>に書いたように、中朝は軍事同盟を結んでおり、北朝鮮の無謀な軍事行動は、中国にとっては「迷惑な行動」で、中国は中朝友好協力相互援助条約を破棄したいと何度か望みながら、結局のところ破棄した場合のディメリットもあり、破棄できずに今日まで至っている。

 それでも北朝鮮が自暴自棄にならないよう、習近平は北への経済的支援を絶やしてない。

 習近平が、ロシアの軍事行動だけでなく、北朝鮮の軍事行動に関しても、何とか抑えたいと相当に窮地に追い込まれていることを、「日本では報道されない中国情報」(および東京新聞の情報)の中に垣間見ることができる。
遠藤誉
中国問題グローバル研究所所長、筑波大学名誉教授、理学博士

1941年中国生まれ。中国革命戦を経験し1953年に日本帰国。中国問題グローバル研究所所長。筑波大学名誉教授、理学博士。中国社会科学院社会学研究所客員研究員・教授などを歴任。著書に『ウクライナ戦争における中国の対ロシア戦略 世界はどう変わるのか』(4月16日出版、PHP)、『裏切りと陰謀の中国共産党建党100年秘史  習近平 父を破滅させた鄧小平への復讐』、『ポストコロナの米中覇権とデジタル人民元』、『「中国製造2025」の衝撃 習近平はいま何を目論んでいるのか』、『毛沢東 日本軍と共謀した男』、『卡子 中国建国の残火』、『ネット大国中国 言論をめぐる攻防』など多数。』

Quad、強まる結束の意義 対ロシアでインドどう動く

Quad、強まる結束の意義 対ロシアでインドどう動く
政界Zoom
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA080OY0Y2A500C2000000/

『日本、米国、オーストラリア、インドの各首脳は24日に東京で「Quad(クアッド)」の会議を開く。クアッドは安全保障や世界経済について意見交換する4カ国の枠組みで、対面での首脳会議は2回目となる。ロシアによるウクライナ侵攻をきっかけに結束の意義が強まる。

クアッドは英語で「4つの」を意味する。4カ国はインド洋と太平洋を囲むように位置する。米国のバイデン大統領の来日に合わせた日本での開催となる。

自由や民主主義、法の支配といった共通の価値観を共有する。インド太平洋地域の安定を目指し、新型コロナウイルスや気候変動など幅広い課題を取り上げてきた。

クアッドの構想は安倍晋三元首相が第1次政権時の2006年に掲げた。4カ国で対話の枠組みを提唱し外交当局による事務レベルの会合にこぎ着けた。中国への距離感で一致点を見いだせず安倍政権も退陣したことから立ち消えになった。

12年に第2次安倍政権が発足し再び結束の機運が高まった。念頭にあるのは覇権主義的な行動を繰り返す中国の存在だった。

日本は中国海警局の船が頻繁に沖縄県の尖閣諸島周辺の領海に侵入することなどを警戒する。インドも国境地域で係争を抱える。

米国はバイデン大統領の就任以降、専制主義の国として中国を批判する。オーストラリアも新型コロナの発生源を解明するための国際調査を中国に求めたことなどをきっかけに関係が悪化した。中国は豪州からのワインや大麦に関税を上乗せした。

クアッドは17年11月にフィリピンで局長級会合を開いた。19年9月には初の外相会合を米ニューヨークで開催した。

新型コロナ禍の21年3月にオンラインで首脳会議を開いた。9月に米ワシントンで各首脳が対面で集まった。日本から菅義偉首相(当時)が参加した。

世界銀行によると、20年のクアッド4カ国合計の名目国内総生産(GDP)は30兆ドルほどで、中国の2倍くらいになる。ストックホルム国際平和研究所のデータで国防費の合計額を比較すると3倍超にのぼる。

インド太平洋地域を巡る多国間の枠組みには米国と英国、オーストラリアの3カ国が21年9月に立ち上げた「AUKUS(オーカス)」がある。安全保障での連携に軸足を置き、人工知能(AI)やサイバーセキュリティーなどの軍事技術で協力する。

クアッドの4カ国も合同の軍事演習を定期的に実施するなど安全保障面でも力を合わせる。ただ北大西洋条約機構(NATO)のような軍事同盟ではなく足元では経済分野での関係を重視する。

21年9月の首脳会議で宇宙分野での技術開発、水素エネルギーの活用、半導体のサプライチェーン(供給網)構築なども共同文書に盛り込んだ。22年4月には初めて4カ国共同で新型コロナのワクチンを供給した。カンボジアに32万5千回分を供与した。

林芳正外相は4月28日の記者会見で「日米豪印の取り組みは自由で開かれたインド太平洋の推進に中心的な役割を果たしている」と述べた。

5月24日に開く会議については「自由で開かれたインド太平洋の実現に向け力強いコミットメントを日本から世界に示す機会としたい」と強調した。

クアッドはロシアによるウクライナ侵攻を経て重要度が高まる。侵攻が始まった1週間後に4カ国でテレビ会議形式の会合を設け、1時間ほどロシアへの対応を議論した。

岸田文雄首相は5日、大型連休を使った東南アジアと欧州への外遊を締めくくる内外記者会見で「ウクライナは明日の東アジアかもしれない」と危機感を示した。

「ロシアの暴挙には高い代償が伴うことを示し、国際社会に間違ったメッセージを発することにならないようにする」と語り、同盟国・友好国同士で歩調を合わせることの重要性を訴えた。

ウクライナ危機を巡るインドの立場はロシアへの批判を強める日米豪と異なる。国連総会が3月2日に開いた緊急会合でもロシアを非難する決議を棄権した。

背景にはロシアとの軍事上の結びつきがある。旧ソ連時代から協力関係にあり、武器の調達先として最大の国でもある。

ジャイシャンカル外相は3月25日、電撃的にインドのニューデリーを訪れた中国の王毅(ワン・イー)国務委員兼外相と会談した。

会談後に記者会見したジャイシャンカル氏によると、両外相はロシアによるウクライナ侵攻を巡り、即時停戦と対話の継続を促す方針で一致したという。

岸田首相も王氏に先立ってインドを訪れモディ首相と会談した。力による一方的な現状変更を許さないことを確認したものの、共同記者会見でウクライナ情勢への直接的な言及はなかった。

今回のクアッド首脳会議でもウクライナ情勢は主要議題になりそうだ。インドが日米豪にならってロシアを非難する可能性は低いとみられる。

東京外国語大の篠田英朗教授(国際政治)は「インドに民主主義陣営に少しでも近づいてもらうためにクアッドというつながりは非常に重要になる。長期の目線で会合を重ね一体感を醸成すべきだ」と指摘する。

記者の目 つなぎとめが日本の役割

岸田文雄首相は大型連休にベトナムなど東南アジア各国の首脳と会談した。ロシアを巡る各国の態度はインドと似る。ロシアと結びつきの強いベトナムはロシアを非難する国連決議を棄権した。植民地政策に翻弄された歴史を持ち主要7カ国(G7)に肩入れするように映る行動には慎重だ。

ベトナムがウクライナへの人道支援で50万ドルの供与を表明するなど首相は会談で一定の成果を得た。首相周辺は「ウクライナ危機以降、米欧の日本を見る目がはっきりと変わってきた」と指摘する。アジア各国をつなぎとめる期待を強く感じるという。

首相は理想と現実のバランスを重視する「新時代リアリズム外交」を掲げる。アジア唯一のG7としてインドの理解を得る意味でも、クアッドで日本の役割の重みは増す。(上田志晃)』

中国、日米韓の連携を警戒 外交担当トップが警告

中国、日米韓の連携を警戒 外交担当トップが警告
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM192O00Z10C22A5000000/

『【北京=羽田野主、ワシントン=坂口幸裕】バイデン米大統領の日韓訪問を前に、中国が日米韓の連携に警戒を強めている。とくに日米首脳が台湾問題で関与を強める事態を懸念し、警告を発している。

「米側が台湾カードを行使するならば、必ず情勢を危険な境地に導く。中国は自身の主権と安全利益を守るために断固とした行動を取るだろう」。中国外交担当トップの楊潔篪(ヤン・ジエチー)共産党政治局員は18日、米ホワイトハウスのサリバン大統領補佐官(国家安全保障担当)との電話協議に応じ、こう伝えた。

中国の王毅(ワン・イー)国務委員兼外相も18日に林芳正外相とテレビ会議方式で協議し「日本側は最近、台湾など中国の核心的利益と重大な関心事に関わる問題で消極的な動きが目立つ」と批判した。

王氏は16日にも韓国の朴振(パク・ジン)外相とのオンライン協議で「新冷戦の危険を防ぐことが中韓両国の根本的利益に関わる」と語り、米中間で中立的な立場を維持するように促した。

中国側が意識するのは、5月20~24日に予定されるバイデン大統領の韓国と日本への訪問にほかならない。バイデン氏はインド太平洋地域で影響力を強める中国に対抗するため、米国が安全保障と経済の両面で地域に関与する姿勢を明確にする。

中国共産党系メディアの環球時報は19日付社説で「一つの大国(米国)がもう一つの大国(中国)の周辺国をけしかけ、陣営に組み入れるメカニズムを設計しようとしている」と警戒心をあらわにした。

もっとも日米韓の当局への電話攻勢だけでは手詰まり感は否めない。中国が影響力を強めてきた東南アジア諸国連合(ASEAN)の首脳らが5月にそろって訪米し、バイデン氏と対面で首脳会合を開いたのは中国にとって衝撃だった。

ロシア軍のウクライナ侵攻が泥沼化したことで、共産党内では習近平(シー・ジンピン)指導部の最大の目標である台湾統一の難しさも改めて認識されるようになった。

とはいえ、秋の党大会で異例の3期目を目指す習氏にとって、台湾統一が「後退」したと受け止められるのは避けたい。それだけに日米の台湾問題への関与には強く反発せざるをえない状況だ。』

台湾有事、日本は安保法に基づき対応

台湾有事、日本は安保法に基づき対応
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA198TY0Z10C22A5000000/

『中国が日本の航空自衛隊の早期警戒管制機(AWACS)「E767」を模した構造物を設けたのは、台湾有事の際に日米両国が一体で対処する事態を懸念しているためだ。日本は2015年に成立した安全保障関連法に基づき対応する。

自衛隊の行動は政府がどう事態を認定するかによって決まる。台湾だけでなく日本の領土の沖縄県・尖閣諸島などが攻撃を受ければ「武力攻撃事態」となり、相手の攻撃に反撃する。

それ以外のケースは明確な基準がなく、判断が難しい。

放置すれば日本への武力攻撃に至る恐れがある「重要影響事態」なら米軍への補給などの後方支援ができる。

密接な関係にある国への武力攻撃が発生して日本の存立が脅かされる明白な危険がある「存立危機事態」なら、集団的自衛権の限定的な行使を認める。

AWACSは空中からレーダーで日本周辺の状況を監視して情報を集め、自衛隊の戦闘機に指示を出す役割も持つ。政府が事態を認定しなければ平時の活動しかできない。

大中国の時代

中国を巡る世界情勢が新たな段階に入りました。変化の渦の中心にいるのが、異例の3期目をめざす習近平(シー・ジンピン)国家主席です。膨張を続ける「大中国」と、それに向き合う世界の動きを追います。

台湾有事、日本は安保法に基づき対応(5:00)
早期警戒管制機(AWACS)とは レーダーで全方位監視(5:00) 』

中国爆撃機が沖縄-宮古間通過 空母「遼寧」と連携か

中国爆撃機が沖縄-宮古間通過 空母「遼寧」と連携か―防衛省
https://www.jiji.com/jc/article?k=2022051801095&g=soc

『防衛省統合幕僚監部は18日、中国空軍のH6爆撃機2機が沖縄本島と宮古島の間を通過したと発表した。爆撃機は東シナ海方向から南下し、沖縄南方の太平洋上を周回飛行して戻った。周辺の海域では、今月初めから空母「遼寧」など中国海軍の艦艇が活動を続けており、同省は関連を含め、詳しく分析している。

昨年度の緊急発進1000回超え 過去2番目、中国機増で―防衛省

 同省によると、中国機の沖縄―宮古間通過は2月以来。航空自衛隊の戦闘機が対応し、領空侵犯はなかった。爆撃機は対艦ミサイルのようなものを搭載していたという。
 遼寧は沖縄南方の太平洋上を移動しながら、艦載機の発着艦を200回以上実施。爆撃機は周辺を飛行しており、連携して探知や戦闘の訓練を行った可能性がある。 』

日米、中国を「共同抑止」 首脳声明へ明記調整

日米、中国を「共同抑止」 首脳声明へ明記調整
【イブニングスクープ】
https://www.nikkei.com/article/DGXZQODE174FY0X10C22A5000000/

『日米両政府は23日の首脳会談でまとめる共同声明に、中国の行動を共同で「抑止し対処する」方針を明記する調整に入った。米国の「核の傘」による日本防衛や両国の安全保障戦略の共有も打ち出す。米国はインド太平洋の新たな経済枠組みを発足すると表明しアジア関与を明確にする。

岸田文雄首相はバイデン米大統領の来日に合わせて会談する。日米首脳会談で中国抑止に言及する背景にはロシアのウクライナ侵攻がアジアへ波及するとの懸念がある。

米国はロシアに対処するため当面は欧州、中東、東アジアの3正面作戦を強いられる。こうした状況でも最優先に対処すべきは米国が唯一の競争相手と位置づける中国であることを内外に示す。

2021年に当時の菅義偉首相とバイデン氏が発表した共同声明は半世紀ぶりに「台湾海峡」の平和と安定の重要性について書き込んだ。地域における「抑止の重要性(the importance of deterrence)も認識する」との文言も入れた。

今回は中国による地域の安定を損なう行動を「抑止(deter)」し、協力して「対処(respond)」するとの表現に強める方向だ。「力による現状変更は許さない」と強調し、台湾を巡る書きぶりも踏襲する。

ロシアへの経済制裁を継続すると確かめ、核兵器による威嚇を非難する。北朝鮮には改めて完全な非核化を求める。

米国は「核の傘」で日本を守る姿勢を明確にする。ウクライナ侵攻ではロシアを思いとどまらせることができず、核抑止の有効性に不安が広がる。米国は核を含む戦力で日本を守る「拡大抑止」を堅持する意思を示し、共同声明に記す。

日米が年内にそれぞれ策定する国家安保戦略を見据え、目標や戦略を共有することも申し合わせる。首相は防衛費の増額や「敵基地攻撃能力」の検討状況を伝える。

日米は経済版の閣僚協議「2プラス2」の早期初開催でも一致する。半導体の安定した供給網をつくる基本原則を示す。

首相はバイデン氏が立ち上げる新たな経済圏構想「インド太平洋経済枠組み(IPEF)」へ参加する方針を伝える。韓国やオーストラリアなど10カ国以上が加わる見込みだ。

【関連記事】
・日米首脳会談「核抑止」再確認へ ロシア侵攻で懸念拡大
・日米首脳会談、米識者に課題を聞く

この記事の英文をNikkei Asiaで読む
Nikkei Asia https://asia.nikkei.com/Politics/International-relations/Indo-Pacific/U.S.-Japan-weigh-pledging-to-jointly-deter-China-at-Tokyo-summit?n_cid=DSBNNAR 』

尖閣沖 中国海警局の船4隻 日本の領海に侵入 海保が警告続ける

尖閣沖 中国海警局の船4隻 日本の領海に侵入 海保が警告続ける
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220514/k10013626021000.html

『 14日午前、沖縄県の尖閣諸島の沖合で中国海警局の船4隻が日本の領海に侵入し、海上保安本部は直ちに領海から出るよう警告を続けています。

第11管区海上保安本部によりますと、中国海警局の船4隻が14日午前10時30分ごろから45分ごろまでに相次いで尖閣諸島の沖合で日本の領海に侵入しました。

午前10時50分現在、4隻は南小島の沖合の日本の領海内を航行しているということです。

海上保安本部は直ちに領海から出るよう警告を続けています。』

ウクライナの次に「餌食」になるのは台湾と日本か?

ウクライナの次に「餌食」になるのは台湾と日本か?―米政府HPから「台湾独立を支持しない」が消えた!
https://news.yahoo.co.jp/byline/endohomare/20220512-00295668 

 ※ 『 北京の場合は「台湾独立」が中華人民共和国誕生以来の「最大の怒り」となることをバイデンは知っている。習近平が「反国家分裂法」を発動して台湾を武力攻撃するしかないところに追い込まれるかもしれない。

 その場合、アメリカ人は戦わないで、「台湾有事は日本有事」という概念を日本人に刷り込み、「アメリカは遥か離れた所にあるが、日本は台湾のすぐ隣なのだから、さらに尖閣問題だってあるから、これは日本の問題だ」として、「戦うべきは日本人」と主張し、日本国民を戦場に駆り立てる可能性がある。

尖閣に関しては日米同盟が対象としていると言っているが、中国は尖閣を狙って武力攻撃をするわけではないのでアメリカは回避する理由を見つけられるし、また日米安保条約も、米議会の承諾がなければ米軍を動かせないので、そこで否決すれば済むことだ。

 戦費も日本が出しなさいと、金を日本からむしり取ることもするだろう。

 アメリカにとって、日本人の命が犠牲になることは「痛くない」のだ。アメリカの言う通りに動くことに、日本は慣らされてきたので文句は言うまいと高を括っているだろう。1945年8月15日以来、その方向に日本を手なづけてきたのだから。』…。

 ※ そういう「可能性があること」は、常に念頭に置いておかんとな…。

『プーチンを怒らせるには「ウクライナのNATO加盟」を煽ることだったが、北京を怒らせるには「台湾独立」を煽ることだ。

台湾が政府として独立を叫べば北京は必ず武力攻撃をしてくる。独立を叫んでくれないと中国が武力攻撃してこない。戦争が永久に地球上で起きていないとアメリカの戦争ビジネスは儲からない。

 バイデンはウクライナと同じ構図を、今度は台湾と日本で築こうとしている。

 次にバイデンの餌食になるのは台湾と日本だ!

◆これまでの台湾関係の米政府文書

2022年5月3日付のアメリカ政府のウェブサイトには、台湾との関係のページで、以下の文言があった。( )内の日本語は筆者。

  Government of the People’s Republic of China as the sole legal government of China, acknowledging the Chinese position that there is but one China(一つの中国) and Taiwan is part of China(台湾は中国の一部). The Joint Communique also stated that the people of the United States will maintain cultural, commercial, and other unofficial relations with the people of Taiwan. The American Institute in Taiwan (AIT) is responsible for implementing U.S. policy toward Taiwan.

The United States does not support Taiwan independence(アメリカは台湾の独立を支持しない). Maintaining strong, unofficial relations with Taiwan is a major U.S. goal, in line with the U.S. desire to further peace and stability in Asia.(引用ここまで)

 バイデン大統領が習近平国家主席と電話会談するときも、ブリンケン国務長官が楊潔篪・中央外事工作委员会弁公室主任や王毅外相と会談するときも、必ずと言っていいほど「アメリカは台湾の独立を支持しない」という言葉を、決まり文句のように言っていた。だから、対中包囲網とかいろいろな連盟を結成しても、中国は決して本気で怒ることはなかった。

 台湾政府もまた、政府として「独立」を宣言すると、必ず中国の全人代で2005年に制定された「反国家分裂法」が火を噴くのを知っているので、民進党の蔡英文総統といえども、やはり「独立」を宣言することだけは避けている。

 だというのに、バイデンは今般、ウクライナでプーチンを軍事侵攻に持っていくことに成功したため、同じ手法を用いて、遂にその刃を台湾に、そして結局は日本に向け始めたのである。

◆5月5日の更新で消えた「台湾は中国の一部分」と「アメリカは台湾独立を支持しない」

今年5月5日に更新されたアメリカ政府のウェブサイトにおける台湾関係のページをご覧いただきたい。このページには、以下の二つの文言がない。

     ●Taiwan is part of China

     ●The United States does not support Taiwan independence

 すなわち「台湾は中国の一部」という言葉と「アメリカは台湾の独立を支持しない」という言葉が削除されてしまっているのだ。それでいて

     ●one China

という言葉だけは残っている。

これは何を意味しているかといえば、中国は「中華人民共和国」なのか、それとも「中華民国」なのかという違いはあるが、少なくとも「一つの中国」で、アメリカは場合によっては「中国=中華民国」として、「一つの中国」を認める可能性があることを示唆している。

 これが実際行動として起きたら、中国は必ず台湾を武力攻撃するだろう。

 それは「ウクライナはNATOに加盟すべき」と言ってプーチンを激怒させたのと同じことを、習近平に対しても仕向ける可能性を秘めている。

 習近平は本来、台湾を武力攻撃するつもりはない。

なぜなら、ウクライナと違い、統一した後に統治しなければならないので、武力攻撃を受けて反中感情が高まっているような台湾国民を抱え込んだら、一党支配体制が崩壊するからだ。したがって経済でがんじがらめにして、搦(から)め取っていこうというのが、習近平の基本戦略だ。

 しかし、バイデンは、それでは困る。

 戦争をしてくれないと、アメリカの戦争ビジネスが儲からない。

 戦争ビジネスで儲けていかないと、やがて中国の経済規模がアメリカを抜くことになるので、それを阻止するためにもバイデンには「戦争」が必要なのである。

◆中国は激しく反応

5月10日の18:24に公開された中国外交部のウェブサイトによれば、定例記者会見で、ロイター社の記者が趙立堅報道官に以下のように聞いている。

 ――アメリカ国務省のウェブサイトが最近「米台関係に関する事実のリスト」を更新し、「台湾は中国の一部である」や「米国は「台湾の独立」を支持していない」などの表現を削除したと、多くの報道が注目している。これに関して外交部はどのように考えているか?

 すると、趙立堅が眉間にしわを寄せて、概ね以下のように回答した(概略)。

――世界に中国は1つしかなく、台湾は中国の領土の不可分の一部であり、中華人民共和国政府は全中国を代表する唯一の合法的な政府だ。

これは国際社会が普遍的に認める共通認識で、国際関係の原則だ。歴史を改ざんすることは許されない。

アメリカは、3つの米中共同コミュニケにおいて、台湾問題と「一つの中国」原則について、厳粛な約束をした。今になってアメリカが米台関係を改訂することは、危険な火遊びをするようなもので、必ず大やけどをすることになる。

 バイデン大統領は何度も「アメリカは台湾の独立を支持しない」と誓ったではないか。
それを言葉通りに実行せよ。台湾問題を口実に政治的小細工を弄して、「台湾を以て中国をコントロールする」ような愚かな行為はやめることだ。(引用ここまで)

 5月11日06:47には、中国共産党機関紙「人民日報」の姉妹版「環球時報」が外交部のコメントを引用して激しい批判を展開している。そこでは

 ●2018年8月31日にアメリカ国務省の東アジア局が更新したウェブサイトには、「米国は、中華人民共和国政府が中国唯一の合法的な政府であることを認め台湾は中国の一部であり、米国は台湾の独立を支持しておらず、台湾との強い非公式な関係を維持することは米国の主要な目標であり、アジアにおける平和と安定の追求に対する米国の期待に合致している」と書いてあるが、それは今アーカイブ入りしてしまった。

 ●5月5日に更新されたヴァージョンでは、厳粛な中台間の約束事が削除され、「台湾は民主主義のリーダーであり、科学技術の要人であり、インド・太平洋地域における米国の重要なパートナーである」と書いてある。

 ●「台湾カード」を用いて、卑劣な小細工を弄することは絶対に許されない。

という趣旨のことが書いてある。

 さらに5月11日15:41、中共中央台湾工作弁公室と国務院台湾工作弁公室は同時に記者会見を開いて以下のようにアメリカを批判した。

 ――「台湾が中国の一部である」という事実を変えることはできない。 米政府に対し、「一つの中国」原則を空洞化させることをやめ、「一つの中国」原則と三つの米中コミュニケを遵守するよう要求する。

◆台湾のネット番組は

台湾のネット番組【頭條開講】が【台湾海峡は煉獄になったのか? ホワイトハウスはどうしても北京を怒らせたい(北京を怒らせるためには手段を択ばない)! 文字によるゲームは中国のレッドラインに挑戦しようとしている! 「台湾の独立を支持するか否か」がカードになってしまった! アメリカはかつての承諾を覆そうとしている!】といった、やたら長いタイトルの番組を報道した。

 コメントしているのは、元ニュージーランドの「中華民国」代表(大使級)の介文汲氏で、彼はアメリカの今般の台湾に関する変化を「戦争に誘うため」と解釈している。

 【頭條開講】は台湾の「中天新聞」傘下のニュースチャンネルで、国民党側のメディアだ。そのため中天新聞は民進党の蔡英文政権からテレビ局としての運営許可を2020年11月に取り上げられ、今のところはYouTubeチャンネルを運営している。その上でご紹介すると、介氏は概ね以下のように言っている

 ●これはほんの始まりに過ぎない。フルコースの料理で言うなら、前菜が出たといったところか。

 ●今は当該文章を削除しただけだが、そのうち明確に「台湾は中国の一部ではない」と書いてくるかもしれないし、「アメリカは台湾の独立を支持する」と明言するようになるかもしれない。

 ●そこまで行ったら、当然、戦争が始まる。

 ●そもそも、考えてみるといい。アメリカがちょっとした策を講じただけで、ロシアは見事に引っ掛かって手を出してしまったじゃないか。今度は似たような手で「台湾」を道具に使って中国に戦争を誘発させようとしている。GDP1.7兆ドルのロシアと比べたら、何と言っても中国はGDP17兆ドル!アメリカにしてみれば、この中国こそが本当の敵なんだ。

 ●アメリカにとっては、台湾海峡での緊張が高まれば高まるほど有利で、その分だけアメリカの懐にお金が転がりこむという寸法だ。

 ●アメリカは大臣クラスの人が台湾を訪問したり台湾に武器を売りつけたりして、できるだけ北京を怒らせ、台湾海峡の緊張を高めて、戦争に持っていこうと準備している。

 ●だから、台湾人自身が、自分たちの未来を、どのようにして決定し、どういう道を選ぶのかを考えなければならない。

◆ウクライナの次に「バイデンの餌食」になるのは日本か

 ウクライナ戦争をきっかけに、日本は軍備への意向が強くなっている。その方向に日本人の意識を醸成した上で、アメリカは「日本をNATOに加盟させる」雰囲気をちらつかせて、「餌」にしている。

 こうしておいて「台湾独立」という北京が激怒する「台湾カード」を用いて、武力を使って台湾統一をすることを避けようとしてきた北京を何とか怒らせ、武力を使わざるを得ない方向に持っていこうとしているのだ。

 これはミアシャイマーが「棒で熊(プーチン)の目を突いた」ことに相当する。   

 ウクライナの場合は「NATO加盟」を煽ればプーチンは動くと、バイデンは2009年から周到に計画して行動してきたことは、これまで何度も書いてきた通りだ(拙著『ウクライナ戦争における中国の対ロシア戦略』だけでなく、たとえば5月1日のコラム<2014年、ウクライナにアメリカの傀儡政権を樹立させたバイデンと「クッキーを配るヌーランド」>や5月6日のコラム<遂につかんだ「バイデンの動かぬ証拠」――2014年ウクライナ親露政権打倒の首謀者>など)。

 結果、獰猛なプーチンは愚かにもその手に乗って軍事行動に出てしまった。

 北京の場合は「台湾独立」が中華人民共和国誕生以来の「最大の怒り」となることをバイデンは知っている。習近平が「反国家分裂法」を発動して台湾を武力攻撃するしかないところに追い込まれるかもしれない。

 その場合、アメリカ人は戦わないで、「台湾有事は日本有事」という概念を日本人に刷り込み、「アメリカは遥か離れた所にあるが、日本は台湾のすぐ隣なのだから、さらに尖閣問題だってあるから、これは日本の問題だ」として、「戦うべきは日本人」と主張し、日本国民を戦場に駆り立てる可能性がある。

尖閣に関しては日米同盟が対象としていると言っているが、中国は尖閣を狙って武力攻撃をするわけではないのでアメリカは回避する理由を見つけられるし、また日米安保条約も、米議会の承諾がなければ米軍を動かせないので、そこで否決すれば済むことだ。

 戦費も日本が出しなさいと、金を日本からむしり取ることもするだろう。

 アメリカにとって、日本人の命が犠牲になることは「痛くない」のだ。アメリカの言う通りに動くことに、日本は慣らされてきたので文句は言うまいと高を括っているだろう。1945年8月15日以来、その方向に日本を手なづけてきたのだから。

 筆者がなぜ執拗にバイデンの動きを追いかけてきたかというと、実はこれがバイデンの行きつくところであろうことを最初から予感していたからだ。

 従って、「遂に来たか」という思いしかない。

 1945年からアメリカに飼いならされてきた(少なからぬ)日本人には到底信じられない「妄想」のように見えるかもしれないが、これが現実だ。嘘と思うならアメリカ政府のウェブサイトをしっかりご覧になるといい。

 ウクライナで起きたことは。必ず日本でも起きる。

 それをどのようにすれば防ぐことができるのかを考えることこそ、日本人の責務なのではないだろうか。』

遠藤誉
中国問題グローバル研究所所長、筑波大学名誉教授、理学博士

1941年中国生まれ。中国革命戦を経験し1953年に日本帰国。中国問題グローバル研究所所長。筑波大学名誉教授、理学博士。中国社会科学院社会学研究所客員研究員・教授などを歴任。著書に『ウクライナ戦争における中国の対ロシア戦略 世界はどう変わるのか』(4月16日出版、PHP)、『裏切りと陰謀の中国共産党建党100年秘史  習近平 父を破滅させた鄧小平への復讐』、『ポストコロナの米中覇権とデジタル人民元』、『「中国製造2025」の衝撃 習近平はいま何を目論んでいるのか』、『毛沢東 日本軍と共謀した男』、『卡子 中国建国の残火』、『ネット大国中国 言論をめぐる攻防』など多数。
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ウクライナ戦争における中国の対ロシア戦略 世界はどう変わるのか

米報道官「北朝鮮対処が中心議題」 バイデン氏日韓訪問

米報道官「北朝鮮対処が中心議題」 バイデン氏日韓訪問
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN100ME0Q2A510C2000000/

『【ワシントン=坂口幸裕】米ホワイトハウスのサキ大統領報道官は9日の記者会見で、バイデン大統領が5月下旬に日韓を訪問した際、弾道ミサイル発射を繰り返す北朝鮮への対処が議題の中心になるとの見方を示した。「地域の安定を脅かす行為を続ける現状を踏まえ、同盟国である韓国と日本の安全に対する米国の関与を明確にする」と述べた。

バイデン政権は北朝鮮が5月中にも核実験の準備を完了する可能性があると分析している。サキ氏は23日に予定する岸田文雄首相との日米首脳会談では「安全保障問題、経済関係の強化、気候変動なども話し合う」と語った。

バイデン氏は21日、10日に韓国大統領に就く尹錫悦(ユン・ソクヨル)氏と初の首脳会談に臨む見通しだ。サキ氏は「地域の安全保障、朝鮮半島の非核化について対話するのを楽しみにしている」と話した。』

「台湾問題でとやかく言うな」中国、岸田首相発言に反発

「台湾問題でとやかく言うな」中国、岸田首相発言に反発
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM069NZ0W2A500C2000000/

『【北京=羽田野主】中国外務省の趙立堅副報道局長は6日の記者会見で、岸田文雄首相が台湾を念頭に「ウクライナはあすの東アジアかもしれない」と発言したことに反発した。「日本は台湾問題でとやかく言う資格はない」と述べた。

趙氏は「台湾は中国領土の不可分の一部で、台湾問題は完全に中国の内政だ。ウクライナ情勢と同列に論じることは全くできない」と主張した。岸田首相は台湾問題が「対話により平和的に解決されることを期待する」とも語っているが、これには触れていない。

東・南シナ海で進む中国の海洋進出に関しては「中国は断固として領土主権と海洋権益を守る」と強調。「日本が東アジアの平和と安定を望むなら、大国を挑発して対抗することをやめよ」と話した。』

独ショルツ首相が就任後初めてのアジアの訪問先日本に到着

独ショルツ首相が就任後初めてのアジアの訪問先日本に到着
https://nappi11.livedoor.blog/archives/5337987.html

 ※ ドイツは、明確に親米日に舵を切り、中・ロとは距離を置く方向に向かうようだ…。

 ※ 日本にだけ寄って、中国を訪問しないとは、エライさま変わりとなったものだ…
 ※ 独中蜜月は、遠い昔の話しとなるのか…。

『2022年4月29日、中国共産党機関紙・人民日報系の環球時報は、G7議長国ドイツのオーラフ ショルツOlaf Scholz首相が初めてのアジア訪問先として「日本だけ」を選んだと報じた。

記事は、ショルツ首相が28日、首相就任後初めてのアジア地域の訪問先となる日本に到着し、同日午後には岸田首相と会談を行ったと紹介。岸田首相が会談の中でロシアへの制裁とウクライナへの支援の強化を協調すると、ショルツ首相が「制裁はロシアに大きな打撃を与えている。各国が歩調を合わせて制裁を科すことが大切だ」と語ったことを伝えた。

その上で、独国際放送局ドイチェ・ヴェレが28日、ショルツ首相が今回日本のみを訪問したことについて、これまで長く首相を務めてきたメルケル氏はアジア訪問時に決まって中国を優先的に考慮してきたと伝えた上で「中国がゼロコロナ政策や、ロシアとのパートナーシップを続けていることで、ドイツと日本との緊密ぶりが加速した」との見解を示したことを紹介した。

また、ドイチェ・ヴェレの分析として、日本とドイツが極めて類似した地政学的環境、国防環境にあることにも言及。ウクライナへの軍事行動に対してロシアを非難し、制裁を発動する一方でエネルギー輸入は停止せず、ウクライナに対して物資を提供する意向を示しつつも殺傷性のない装備にとどまっている点で共通しているとした。参照記事
(※ ドイツは、「ゲパルト対空戦車(スティンガーも、装備可能)」の供与を、決定している)

FOREIGN201407081056000541053807773、、、メルケル氏は中国との経済関係を重視し、首相在任中12回中国を訪問したが、今の中国への接近は親ロシアと見られかねないので避けて当然だろう。

ショルツ氏は、2022年4月19日に西側諸国指導者が参加したビデオ会議の結果についての記者会見で、「欧州連合(EU)並びにNATOにおけるパートナーと共にわれわれは、この戦争でロシアが勝ってはならないとの見解で完全に一致している」と述べ、プーチン露大統領に「ウクライナの都市への攻撃をやめなさい。直ちに和平を実現し、兵士を引き揚げなさい。この恐ろしい戦争をやめなさい」と呼びかけた。

また注目すべきは、覇権主義的な動きを強める中国を念頭に、「自由で開かれたインド太平洋」実現に向けた緊密な協力を確認し、日独両政府は外務・防衛担当閣僚による安全保障協議(2プラス2)の第2回会合を早期に開催するとした事だ。

中国は一貫して、ロシアのウクライナでの活動を侵略と表現することを拒否し、ロシアは今も自国の行動を「特別作戦」と呼んでいるが、5月9日の戦勝記念日には「戦争」と表現すると言われている。 

参照記事 参照記事 過去ブログ:2022年3月仏、独、中首脳が3月8日会談>中国、ロシア制裁に反対表明 2月G7の外相会合で露非難>露はウクライナ東部の独立承認 2月露独首脳、協議継続の確認と、露軍一部演習地から撤収 1月ドイツが海底ライン「ノルドストリーム2」停止を検討』

米国の軍事戦略に組み込まれ、露国や中国と対決する道を進む日本

米国の軍事戦略に組み込まれ、露国や中国と対決する道を進む日本 | 《櫻井ジャーナル》 – 楽天ブログ
https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/202204250000/

『岸田文雄政権はウクライナ向けの物資を自衛隊機で輸送する計画を立て、インドに着陸許可を求めたが、拒否されたと伝えられている。4月後半から6月末にかけて10回、アメリカのウクライナに対する軍事作戦に協力してきたポーランドやルーマニアへ輸送する予定だったのだが、インドは軍用機の着陸を認めなかった。民間機の使用を求めたようだ。軍用機を使う段階で軍事作戦であり、アメリカのロシア非難に同調しないインドをそうした日本の作戦に巻き込みたかったのかもしれない。

 アメリカは2018年5月に「太平洋軍」を「インド・太平洋軍」へ作り替え、日本を太平洋側の拠点、インドをインド洋側の拠点、そしてインドネシアを両海域をつなぐ場所だとされた。このうちインドネシアはロシアへ接近、インドもアメリカと一線を画している。
 インドと同じようにロシアとの関係を重視していたパキスタンでは4月10日、内閣不信任決議案が可決されてイムラン・カーン政権は倒された。カーンによると、アメリカのドナルド・ルー国務次官補はパキスタンのアサド・マジード公使に対し、カーン政権が継続されたなら、アメリカとの関係に影響が出ると脅したという。

 次の首相、シェバズ・シャリフは軍との関係が強く、アメリカとの軍事同盟強化を主張していた。アメリカ政府はパキスタンを押さえたと考えたかもしれないが、シャリフは首相に就任した後、イランとの関係強化を打ち出している。カーンが首相の座から引きずり下ろされた後、大規模な抗議活動があったが、これもシャリフ政権に影響しているのかもしれない。

 岸田首相は3月19日から20日にかけてインドを公式訪問、その際、ナレンドラ・モディ首相に対し、ウクライナを支持するよう圧力をかけたが成果が出なかったという。ジョー・バイデン政権のメッセンジャーを務めたということだろう。日本とインドはアメリカやオーストラリアと「クワド」を構成している。

 この集まりは2008年に消滅したが、2017年に復活した。アメリカは2021年9月にオーストラリアやイギリスとAUKUSなる新たな軍事同盟を創設したと発表している。AUKUSはアングロ・サクソン系の国で構成されているわけで、アヘン戦争を連想させる。

 アヘン戦争があった19世紀にイギリスの支配層はユーラシア大陸の周辺部を支配して内陸部を締め上げるという長期戦略を立てた。この計画を20世紀初頭にまとめた人物がハルフォード・マッキンダー。

ジョージ・ケナンの「封じ込め政策」やズビグネフ・ブレジンスキーの「グランド・チェスボード」はマッキンダーの理論に基づいている。

 この戦略はスエズ運河をイギリス系の会社が所有するようになってから可能になったと言えるだろう。1882年にイギリスは運河地帯を占領している。

 マッキンダーはユーラシア大陸の周辺部を三日月になぞらえているが、その西端がイギリスであり、東端が日本だ。その途中にあるインドは東インド会社時代からイギリスの植民地。そこから東へ侵略して行くのだが、中東は穴が空いていた。その穴を埋めるためにサウジアラビアとイスラエルを作り上げている。明治維新も同じ文脈の中にある。

 AUKUSに加盟しているアメリカとオーストラリアは別のアングロ・サクソン国のニュージーランドとANZUSを組織している。1951年9月8日に日本はサンフランシスコのオペラハウスで「対日平和条約」に調印しているが、同じ日の午後、プレシディオで「安保条約」に調印。その1週間前、同じプレシディオでアメリカ、オーストラリア、ニュージーランドの3カ国はANZUS条約を結んだ。

 そのニュージーランドで首相を務めているジャシンダ・アーダーンは4月21日に東京で会談、​政治、治安、軍事での協力関係を強めることで合意​したという。その矛先はロシアと中国に向けられている。日本はアメリカの手先としての役割を果たしていると言えるだろう。』

法も備えも穴だらけ 安全保障「最悪の事態」想定せずニッポンの統治 空白の危機感①

法も備えも穴だらけ 安全保障「最悪の事態」想定せず
ニッポンの統治 空白の危機感①
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA07COV0X00C22A4000000/

『ロシアのウクライナ侵攻は自分の国が突然、戦場になる現実を国際社会に突きつけた。中国や北朝鮮の脅威に直面する日本も例外ではない。最悪の事態を想定する危機意識を欠いてきた日本は安全保障の備えに穴がある。

ウクライナの首都キーウ(キエフ)の地下鉄はロシアの侵攻が始まって間もなく運行を停止した。列車の代わりに駅構内に広がったのは毛布やテント。深いところで地下105メートルになる駅が臨時シェルターとなった。

ウクライナのゼレンスキー大統領は16日、CNNのインタビューで「ロシアの核使用をただ待つべきではない。各国はシェルターなどで備える必要がある」と呼びかけた。

日本の地下鉄は浅い場所を走っている場合が多くシェルターとして使いにくい。危機管理に詳しい日大の福田充教授は「都内の避難施設で安全性が高いのは地下40メートル超の駅がある都営大江戸線など一部だけだ」と語る。

武力攻撃を受けたときの避難場所として都が指定した施設のなかに地下鉄駅はない。大阪府などが指定した地下鉄駅は深くても地下30メートル程度にすぎない。

「地下シェルターの強化に加えて、既存の地下空間を活用して緊急避難場所を確保」。自民党は2017年の衆院選でこんな公約を掲げた。

内閣官房によると21年4月時点でコンクリートの頑丈な建築物を指す「緊急一時避難施設」は全国に5万1994カ所。爆風被害を抑えやすい「地下施設」は1278カ所しかない。都内には1つもない区もある。

北朝鮮のミサイル飛来を想定した住民の避難訓練も今は実施していない。政府は18年6月、避難訓練を当面停止すると発表した。その10日前に北朝鮮が米国と非核化で合意したためだ。

それから4年。北朝鮮は再びミサイル発射を繰り返す。中国も軍備拡大を進め、米国防総省によれば中距離弾道ミサイルを1250発以上持つ。政府は4月15日に避難訓練の再開を表明したものの、実施時期は未定だ。

台湾有事に対処する法整備には不安があり、万全とはいえない。たとえばウクライナ侵攻でみられた戦争の前触れ段階だ。中国は開戦前に戦力を台湾近海に集め、米国も大規模な軍隊を周辺に派遣する公算が大きい。

このとき米軍が日本で部隊を展開するには制約がある。壁となるのは日米地位協定だ。政府内には米軍が民間空港で離着陸するだけでなく拠点として使うことまで可能と解釈するのは難しいとの見解がある。

米軍を後方支援できるのは安保関連法の「重要影響事態」に認定してからだ。該当するのは放置すれば日本への武力攻撃の恐れがある場合で、米中が戦力を集め始めた段階では適用しにくい。

集団的自衛権は行使できるだろうか。法律上の要件は「密接な関係にある他国」が攻撃され、日本の存立が脅かされる「存立危機事態」のときになる。仮に米中が衝突して米国が攻撃を受ければ使える場合がある。

台湾に関しては中国が中国大陸と台湾を1つの国とする「一つの中国」原則を掲げており、日本は台湾を国家と認めていない。

緊急時は台湾を国際法上の「国」とみなして支援する解釈が可能との意見はある。あらゆる事態を想定して最善の手を打てるようシミュレーションしておくことが欠かせない。

台湾有事に巻き込まれる恐れがある先島諸島の住民を避難させる法制度もこころもとない。国や地方自治体が避難に動く「国民保護法」は武力攻撃が予測される事態にならないと適用できない。

元陸上幕僚長の岩田清文氏は電子戦やサイバー戦などの法整備の遅れを指摘し「日本の法体系は国際環境や戦争形態の変化に追いついていない」と警鐘を鳴らす。

日本は戦後、軍事に関する議論をタブー視してきた。長く野党第1党だった社会党が自衛隊を合憲と認めたのは自衛隊創立から40年後。それも党首の村山富市氏が首相に就いた事情があった。

ロシアのウクライナ侵攻はデジタルと古典的な陸上戦が同時に進み、核の使用まで示唆された衝撃が大きい。

日本は前例のない危機に立ちすくみがちだ。最悪の事態に目をつむり、必要に迫られるまで動こうとしない。有事を回避することを最優先にすべきだとしても、外交や米国との同盟強化、防衛力と法の整備などを進めておく必要はある。それが結果として有事を抑止する手段にもなる。

【過去の連載はこちら】連載「ニッポンの統治」』

ウクライナ避難民だけなぜ ミャンマーで日本への失望

ウクライナ避難民だけなぜ ミャンマーで日本への失望
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC113ZV0R10C22A4000000/

 ※ 今日は、こんなところで…。

 ※ これは、絶対に言われるな…、と思っていた…。

 ※ 『日本がミャンマー問題に対し、ウクライナ問題と同じ姿勢で臨むのは難しいという見方はできる。前者は「内政問題」とも捉えられる一方、後者は世界秩序を揺るがす戦争に発展している。しかもロシアは隣国で領土問題も抱える。西側諸国と歩調を合わせ、その脅威に立ち向かう必要はあるだろう。』…。

 ※ そういう「抗弁」が、どこまで「説得力」を有するものか…。

 ※ しかし、「国益」の観点からは、プーチン政権の崩壊、そこまで行かなくても、ロシアの国力の減退は、「北方領土」交渉を「日本側有利」に持って行く、「千載一遇のチャンス」であることも確かだ…。

 ※ それで、外務省も財務省も「チャンス!」とばかりに、「どっと乗っかって」「前のめり」になっている側面があるんだろう…。

 ※ しかし、ミャンマー人、ひいてはアジア人の眼には、「どう写っているのか」ということを忘れては、ならんだろう…。

『ウクライナからの避難民の受け入れに日本政府が積極的に動いている。日本は難民認定のハードルが非常に高いとされるが、政府は今回「避難民」という特例的な扱いで受け入れており、3月30日時点で337人が来日。4月5日にはポーランド入りした林芳正外相が20人の避難民を伴って帰国した。

その様子を複雑な思いで眺めているのがミャンマーの人々だ。同国では昨年2月、国軍によるクーデターが発生。国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)によれば、50万人以上が実権を握った国軍に追われ国内避難民となった。

「ウクライナ人は日本に行けるのに、なぜ私は駄目なのか」。あるミャンマー人の男性はこう心境を吐露する。この男性はかつてミャンマーの最大都市ヤンゴンに住み、ミャンマーや日本が関係する仕事で長年活躍していた。だがクーデターを機に状況は一変。反国軍活動に関与したとして逮捕される恐れが強まり、当局の目をかいくぐってヤンゴンを脱出した。

男性は日本に難民として受け入れてもらうよう要請。日本側も当初は前向きな姿勢を示していた。だが手続きは遅々として進まない。男性は追い詰められていった。国軍と、これに反発する少数民族武装勢力や反国軍組織との間で激しい衝突が続き、戦火の足音は避難先の目前まで迫る。

ようやく受け入れの条件が固まったが、その内容は非常に厳しく、乗り越えることは困難だった。「実質的には拒否されたようなもの」だと男性は振り返る。もう日本を頼りにはできない。そう悟った男性は、避難先を米国に変えることを決めた。

日本と異なり、米国の対応は驚くほど早かった。男性の元には米国本土の担当者から連絡が入り、スムーズに渡米が決まる。米国に飛ぶまで安全に過ごすことができる「隠れ家」まで確保された。今、この男性は隠れ家に身を寄せながら、渡米のタイミングを待つ。

正確な数も手段も公表されていないが、この男性のように、国軍に迫害を受ける恐れのある多くのミャンマー人が米国の庇護(ひご)を受け、次々と渡米しているとみられる。一方、日本で難民として認められたミャンマー人はほとんどいない。
制裁には及び腰

ミャンマー問題とウクライナ問題で日本の姿勢には大きな差がある。

ロシアに対し、日本は西側諸国と歩調を合わせ早い段階で制裁に動いた。欧米はミャンマー国軍にも制裁を科す。だが日本は国軍に対する制裁には慎重な立場を崩さない。

3月27日、欧米など21カ国・地域は国軍に対し暴力停止や民主主義の回復を求める共同声明を発表したが、ここにも日本は加わっていない。政府開発援助(ODA)にしても、新規案件は停止されているものの、既存の案件については一部再開している。

制裁に及び腰であること、もともと日本と国軍との関係が深いことから、「日本は国軍寄り」との見方は当初からあった。加えて、日本企業が多く加入する日本ミャンマー協会の幹部がクーデター後も国軍幹部と面会していたり、日本が国軍の士官候補生の受け入れを継続していたりすることから「国軍寄り」という印象はより強まった。「日本にはがっかりしている」。あるヤンゴンに住むミャンマー人はこう不満げにつぶやく。
ミャンマーの国軍記念日の軍事パレードで閲兵するミンアウンフライン総司令官(3月27日、首都ネピドーで)

日本がミャンマー問題に対し、ウクライナ問題と同じ姿勢で臨むのは難しいという見方はできる。前者は「内政問題」とも捉えられる一方、後者は世界秩序を揺るがす戦争に発展している。しかもロシアは隣国で領土問題も抱える。西側諸国と歩調を合わせ、その脅威に立ち向かう必要はあるだろう。

だからといって、ミャンマーで国軍に対し融和的な姿勢を取り続けることが得策とも言えない。
ダブルスタンダードが招くリスク

「日本は国軍から侮られている」と冒頭の男性は言う。例えば国軍は日本の支援でタイ国境近くにつくられた村を複数回にわたって爆撃した。また国軍に近い関係者は、今回のロシアのウクライナ侵攻について、「かつて米国が日本を非武装化したのと同じ目的がある」としてロシアを正当化する見方を内外に示している。

国軍からは侮られ、ミャンマーの人々からは不信を招く日本の曖昧な姿勢は、東南アジアにおける立場も危うくする。ミャンマー国軍はロシアを明確に支持している。それにもかかわらず国軍に融和的な姿勢を取っていてはダブルスタンダードだと見られかねず、周辺国に対しても示しがつかない。

「日本は国軍にもっとプレッシャーをかけるべきではないか。ミャンマー政策を誤った場合、東南アジア全体における日本の戦略が再考を迫られかねない」(タイ・チュラロンコン大学のティチナン・ポンスディラック教授)

ミャンマーでは国軍に反発する人々が各地で武装し、少数民族武装勢力とも連携して激しい抵抗を繰り広げている。人々がいつか国軍の手から実権を取り戻したとき、日本は歓迎されるのか。このままではアジアの重要なパートナーを失いかねない。

(日経BPバンコク支局長 飯山辰之介)

[日経ビジネス電子版 2022年4月8日の記事を再構成]』

防衛相、陸自オスプレイに初搭乗本格運用へ準備状況視察

防衛相、陸自オスプレイに初搭乗
本格運用へ準備状況視察
https://nordot.app/859994232828116992?c=39546741839462401

『岸信夫防衛相は29日、陸上自衛隊木更津駐屯地(千葉県木更津市)を訪れ、暫定配備されている輸送機V22オスプレイの本格運用に向けた準備状況を視察した。オスプレイに自ら搭乗。自衛隊のオスプレイに防衛相が搭乗したのは岸氏が初めて。米軍のオスプレイには2016年に当時の稲田朋美防衛相が試乗した例がある。

 陸自のオスプレイは20年7月、木更津駐屯地に暫定配備された。米国製の機体で無線機など日本独自仕様の装備品が適切に機能するかどうかの試験を昨年末に終えた。』

先鋭化する米中対立、経済安保で衝突回避を

先鋭化する米中対立、経済安保で衝突回避を
学び×国際紛争(4)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOKC069IM0W2A100C2000000/

『世界中の様々な紛争をテーマにした話題の漫画「紛争でしたら八田まで」を監修する、東京海上ディーアール主席研究員の川口貴久さんに聞く「国際紛争」の現状。最終回のテーマは「経済安全保障」です。

近年、経済安全保障への関心が劇的に高まっています。経済安保とは、経済的手段で安全保障上の目標を達成することとされ、非常に幅広い分野が含まれます。日本政府も対策に本腰を入れています。

岸田内閣で担当相新設

岸田文雄首相は2021年10月に発足した内閣で、新たに経済安全保障担当の閣僚を置きました。17日に召集された通常国会で経済安保推進法案を提出します。同法案は①サプライチェーン(供給網)の強靱(きょうじん)化②基幹インフラの安全性・信頼性の確保③先端的な技術分野の官民協力④特許の非公開制度――という4本柱の構成です。

このタイミングで経済安保の推進を打ち出す背景には先端技術、貿易や人権などで対立が先鋭化する米国と中国との関係があります。

トランプ前米大統領は中国通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)の機器に安全保障上のリスクがあるとして、高速通信規格「5G」からの排除を同盟国に求めました。その後も供給網や先端技術を中国に握られるのを避けるため、輸出・投資規制の強化など矢継ぎ早に対抗手段を打ちだしました。バイデン大統領の現政権も基本的にこの方針を引き継いでいます。米国の対中政策については超党派の合意が形成されているからです。

中国もまた「国家安全」を掲げて戦略物資の輸出管理を強化し、中国向け投資の規制を強めます。中国建国100周年の2049年までに、社会・国家、軍事、経済・産業などのあらゆる面で米国を追い越そうとする長期戦略も背景にあります。

日本企業は米中間で板挟み

多くの日本企業にとって米中両国は重要な開発・製造拠点であり、巨大な市場でもあります。日本政府は経済安保の推進を掲げて対応を加速させていますが、企業の間では米中の板挟みとなることへの危機感も高まっています。焦点の一つは先端技術の保護です。

米中は、先端技術の獲得が将来の技術・軍事覇権を決定づけるという認識の下、開発や輸出規制に力をいれています。米国では従来よりも幅広く、今後実用化される「新興技術」とすでに広く実用化されている「基盤技術」の輸出管理の強化を進めようとします。習近平(シー・ジンピン)指導部も15年に、民間資源の軍事利用や軍事技術を民間転用する「軍民融合」を国家戦略に引き上げ、軍事利用可能な先端技術をあらゆる手段で収集しているとみられます。

米中の対立が深まるなか、経済安全保障の重要性が高まっている(1月21日、首相官邸でバイデン米大統領とテレビ会議形式で会談する岸田首相)=内閣広報室提供
情報収集・分析で危機回避

業種にもよりますが、企業が取れる自衛の策はあります。一つが技術の世代管理です。最先端の技術・製品を日本や米国のような同盟国で開発・生産し、数世代遅れたものを中国で生産し、先端技術の流出を防ぐ手法です。半導体などを手がけるメーカーなどがこういった手法を採用しています。

今後どのような品目が重要視され、米中による規制競争に巻き込まれる恐れがあるのか。情報収集を手がける専門部署を設けることも危機を回避する有効な手段です。ポイントは輸出管理に関わる政策動向のみならず、日本をとりまく安全保障環境や米中関係の将来について公開情報を集め、分析することです。政策の大きな方向性や論点が把握できるはずです。

防衛産業、金融機関や商社など一部のリスクマネジメント先進企業はすでにこういった部署を持っていますが、ほとんどの企業では導入が遅れています。人的資源の制約から情報収集が難しいのであれば、外部の専門家を活用するなどの方法があります。

データを守る規制・法整備を

現在の経済安保議論であまり触れられていないのは「21世紀の石油」ともいえるデータです。事業で蓄積される膨大な産業データや個人データに対する各国の関心は高いです。そのため近年では、各国政府が企業の保有するデータに強制的にアクセスすること、いわゆる「ガバメントアクセス」への懸念が高まっています。

その手段の一つは、外国企業に対して、データを現地国内に保存することを義務付けたり、データの第三国移転に制限を課したりすることです。こうした法整備はデータローカライゼーション規制と呼ばれます。データが自国内にあれば、物理的に法執行権限を及ぼすことができます。

海外で先端技術を研究する際には細心の注意が必要だ=ロイター

しかし日本国内にデータがあれば安心というわけではありません。外国の開発・運用委託先を通じた国内へのアクセスにも注意が必要です。

21年3月に対話アプリ「LINE」の中国関連会社から日本国内に保管されている個人データにアクセスしていたことが明らかになって以降、国境を越えた外国からのアクセスへの注目が高まりました。中国国家情報法(17年6月施行)は中国企業に対する「国家情報工作」への協力を求めるため、安全保障上のリスクが懸念されました。

コストや利便性より重要なリスク管理

データの物理的保管場所やクラウドサービスを含む委託先企業の選定にあたり、コストや利便性を重視した判断は安全保障上のリスクを見落とすこともあります。

先端技術の開発拠点やデータの保管場所、委託先企業を選ぶ際には米欧などが主導するいくつかの枠組みも参考になるでしょう。米英豪などで機密情報を共有する「ファイブ・アイズ」や、日米豪印の4カ国による「Quad(クアッド)」などが有力です。いずれの国も民主主義陣営に属し、ビジネス環境としての信頼度は相対的に高いといえます。

ただし、委託先企業の所在国だけでの判断にも危うい部分は残ります。企業支配の構造、株主や経営者のデューデリジェンス(調査・査定)も必須です。

米中の国力差が縮むなか、米中関係が急に改善に転じることは考えづらいです。日本国内でも経済団体による動きが活発になっていることから分かるように、経済安保への対応は企業にとって新たな常識となっています。

=おわり

(井上航介が担当しました)

グラフィックス 藤沢愛

連載記事一覧はこちら https://www.nikkei.com/stories/topic_story_22010601?n_cid=DSST001

多様な観点からニュースを考える

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柯 隆
東京財団政策研究所 主席研究員
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分析・考察

この問題について完璧な回答がない。

この難題に対処するならば、何かの犠牲を払わないといけない。

岸田首相はスピーチなどでいつも、リアリティ外交やしたたかな外交を連発するが、じゃ、具体的に何をするの、について答えを明らかにしていない。

現実問題として、アメリカに歩調を合わせなければならないが、中国との経済関係を考えて、ほんとうにその一部を犠牲にする覚悟があるのかがとわれている。

自動車産業を例にあげれば、中国はもっとも大きな自動車市場になっている。かといって二股外交を展開すると、米中のいずれにも相手にされなくなる可能性がある。かなりの覚悟が必要だ

2022年1月27日 7:54 』

[FT]中国海軍、日本南方と台湾東方に常時展開態勢で圧力

[FT]中国海軍、日本南方と台湾東方に常時展開態勢で圧力
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB254K00V20C22A1000000/

※ 今日は、こんなところで…。

『中国海軍は日本南方、台湾東方の両海域で艦艇が常時展開する態勢を整えている。中国は将来戦場になりうる両海域に焦点をあて海軍力を大幅に増強している。

誘導ミサイルを搭載した中国の駆逐艦を警護する人民解放軍海軍の兵士。台湾をめぐる緊張は島の西側だけでなく東側でも急速に高まっている=ロイター

台湾、日本、米国の国防関係者によると、中国人民解放軍海軍は少なくとも6カ月前から南西諸島最南端の東側および南側に駆逐艦と小型ミサイル艦を展開させている。

中国海軍はこの1年、南西諸島と台湾の間の海域でプレゼンスを拡大してきた。米国防総省高官によると、現在艦艇1隻が常駐し、多くの場合もう1隻が随行しているという。

第1列島線の外側に艦艇を継続配備

日本からフィリピンに連なり、中国と太平洋を隔てる第1列島線の外側に中国海軍が艦艇を継続的に配備するのは初めてだ。

中国はこの海域で自由航行能力を備えることで海軍力は飛躍的に向上するとみている。軍事アナリストによると、中国が台湾を攻撃した場合、この海域が米中の主戦場になる可能性が高い。

中国海軍の増強を受けて、日米両国は台湾危機に備えた共同作戦計画の策定を急いでいる。

台湾と日本の防衛専門家は中国海軍の動きについて、中国が台湾有事に向けた重要な訓練をしているのは明らかだと話す。地下格納庫を備えた台湾東部の空軍基地を攻撃し、日本やグアムからの米軍部隊の援軍を遮断するための訓練も含まれるという。

「中国海軍は主に尖閣諸島(中国名・釣魚島)有事を想定してこの地域に展開しているという狭い解釈も過去にはあった」と日米共同作戦計画の内容を知る高官は語った。「だが、リスクは南西諸島と台湾で高まっていることがより明確になってきた」

この高官によると、日米共同作戦計画では高機動ロケット砲システム「HIMARS(ハイマース)」を装備した米海兵隊を南西諸島へ緊急展開することを優先事項に盛り込んでいる。共同通信も最近同じ内容を報じた。

南西諸島の近くに展開する中国艦艇がハイマースの射程に入る。この件に詳しい別の人物は「これは有事に向けて共同作戦計画を練った際に出た案の1つだ」と語った。
中国軍は「台湾の東側の海域を戦場に想定」

台湾軍の元高官は「中国軍は素早く決定的な勝利を収めようとするだろう。そのためには台湾が島の東海岸側に退避させる戦闘機や戦艦を破壊する必要がある」と話す。

中国軍が従来の想定通りに台湾島の西側から攻撃してきた場合、台湾は島の東側に艦艇を移動させるという有事作戦を描いている。戦闘機も東部・花蓮県にある基地の山岳地帯のトンネル内に避難させる。

台北の中華戦略及兵棋研究協会(CSWS)の研究員、スー・イェンチ氏は「我々は中国人民解放軍の台湾南西部や南東部への展開ばかり議論しているが、中国軍は東側の海域を戦場に想定した訓練をしている」と述べた。

昨年11月、中国海軍の071型ドック型揚陸艦2隻が台湾東部沖と、150キロ離れた沖縄県与那国島の間の海域を通過した。揚陸艦は部隊やヘリコプター、上陸用舟艇を積載でき、上陸用舟艇は花蓮にある空軍基地への攻撃に使用される可能性が高い。

台湾をめぐる緊張の高まりを示すように、台湾の国防部(国防省)は23日、中国の戦闘機39機が台湾の防空識別圏に相次ぎ侵入する挑発行為を行ったと発表した。

前日には米海軍が原子力空母2隻などをフィリピン海に派遣し、日本との合同演習を実施したばかりだった。

By Kathrin Hille and Demetri Sevastopulo

(2022年1月24日付 英フィナンシャル・タイムズ電子版 https://www.ft.com/)

(c) The Financial Times Limited 2022. All Rights Reserved. The Nikkei Inc. is solely responsible for providing this translated content and The Financial Times Limited does not accept any liability for the accuracy or quality of the translation.
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・バイデン氏「台湾防衛に責任」 直後にまた訂正 』

日本海で「特異な動き」 中ロ接近、軍事同盟の様相

日本海で「特異な動き」 中ロ接近、軍事同盟の様相 
編集委員 高坂哲郎
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM192PM0Z10C22A1000000/

 ※ 今日は、こんなところで…。

 ※ 激しく、雑用に見舞われている…。

 ※ バタバタと、一日中走り回った…。世界情勢分析の”ネタ”となる「情報収集」している時間すら無かった…。

 ※ 世界情勢緊迫で、じっくり「情勢分析」していたいところだが、巡り合わせでそうもいかないのが、世の中だ…。

『中国軍とロシア軍が日本周辺で進める軍事協力が、新たな段階に入っている。両軍は特に日本海北部海域を重視しているようだ。東アジアの秩序を揺るがす潜在力を秘めており、北朝鮮の最近のミサイル連射の背景にある生き残りの思惑まで読み取れる。
Nikkei Views
編集委員が日々のニュースを取り上げ、独自の切り口で分析します。

「特異な動きだ」。日米の防衛当局が驚きをもって受け止めた動きが、2021年11月19日に起きた。日本海北部で中ロ両空軍の爆撃機計4機が南下を始めていた。両空軍の日本周辺での合同飛行は、19年7月、20年12月に続いて3回目とみられるが、今回が過去と大きく異なるのは中国軍機の飛行ルートだった。

19年と20年の際、中国軍機は中国領から対馬海峡などを経由して日本海上空に達し、ロシア軍機と合流して東シナ海や太平洋で合同飛行を実施した。こうした動きに対し21年の飛行時は、中国領北部から洋上に出ずに直接ロシア極東部に入り、ロシア領内で同国空軍機とともに日本海上空に出ている。
並んで航行する中国(右側)とロシアの海軍艦艇(2021年10月、長崎県男女群島の南南東海域)=防衛省提供

軍事訓練には、有事の予行演習の意味合いがある場合もある。ロシアが有事に自国領を経由した外国軍機の作戦行動を容認し始めたとすれば、中ロの関係は単なる「軍事面での協力」の段階を過ぎ、事実上の「軍事同盟」のレベルに達し始めたともいえる。中ロ両軍は21年10月にも、計10隻の艦艇を投入し、津軽海峡から本州沿いを経て東シナ海に至る艦隊機動訓練というもう一つの「特異な動き」をみせた。
「接近阻止戦略の一環」

海空両戦力を動員したこうした動きは何を狙うのか。「日本海北部海域に米軍や自衛隊を近づけさせないようにする接近阻止戦略の一環だ」とある防衛省情報部局OBは断言する。

日本海北部に面する北朝鮮東岸に羅津(ラジン)という港湾都市がある。かつては旧日本海軍も使っていた羅津から少し沖合に出れば一気に水深が深くなり、潜水艦が隠れるのに非常に適した海域となる。中国海軍は現在、新型の潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)巨浪(JL)3と、搭載する「唐級」新型戦略原子力潜水艦を開発中だ。日米防衛当局者たちは、中国軍が唐級原潜をいずれ日本海北部に配備するだろうと以前からみていた。日本海北部の海域からなら、ワシントンを含む米東海岸を攻撃できるとみられるからだ。

当然、米軍も日本海での中国の接近阻止戦略を防ぎ、JL3を無力化しようと手を打ち始めている。北海道の小樽港には、19年2月には米第7艦隊の旗艦ブルーリッジが寄港し、22年2月には米海軍艦艇としては3年ぶりにミサイル駆逐艦ストックデールが寄港する予定だ。中国海軍だけでなく、宗谷海峡を経由して日本海とオホーツク海を往来するロシア海軍艦艇に対するけん制でもある。

百戦錬磨の米軍に現代戦の経験がほとんどない中国の海空軍が対抗するには、ロシア軍に共同訓練などを頼み、技量の向上を図ることが欠かせない。中国の思惑が一連の海空での中ロ両軍の動きにあらわれる。ロシアは近年、地下資源や武器など自国産品を中国に買ってもらうことで自国経済を維持しているのが実情で、中国から合同訓練を頼まれれば断れない。

21年11月に日本海などでロシア軍と合同飛行をした中国軍の爆撃機H6には核兵器を搭載できるタイプもある。中国軍は、自らの「虎の子」兵器であるJL3を無力化するため米軍が日本海北部に突入してくるなら、戦術核兵器でこれを排除することも辞さないとの強烈な威嚇を合同飛行を通して示したともいえる。

日米豪欧各国が最近、東アジアで多国間の艦艇機動訓練をしきりにしていることにいらだつ中国としては、ロシアとの合同訓練には「自国が孤立しているわけではない」と国民に訴えかけられる内政上の利点もある。
北朝鮮が実施したミサイルの発射実験(1月17日)=朝鮮中央通信・共同
焦燥感募らせる北朝鮮

中国軍の日本海シフトに焦燥感を募らせているとみられるのが、北朝鮮である。中国軍にとってJL3と唐級原潜は対米軍事戦略上、最重要の兵器システムだ。突き詰めれば、唐級の母港として最適な羅津港を含む北朝鮮の日本海側を中国領にしてしまうのが望ましいだろう。北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)総書記は中国の思惑を強く警戒しており、中国海軍艦艇が北朝鮮領に寄港した事例は近年、ほとんど確認されていない。

長年にわたる中国やロシアの北朝鮮支援には、米軍の関心を引き付ける「おとり」を育てる意味合いがあったといえる。北朝鮮を使って朝鮮半島有事を引き起こさせれば、米軍の関心が向かう。中国には台湾侵攻、ロシアにはウクライナ攻略といったそれぞれの国益追求の機会が訪れるだろう。朝鮮半島有事の末に現体制が崩壊したとしても、すかさず中国軍が北朝鮮を占領し、羅津一帯も押さえられるというわけだ。

こうした状況下で金正恩体制が今後も北朝鮮の地で存続するには、米国と衝突する事態はぎりぎりで回避する一方、中国軍の米軍への対抗行動に同調することで中国に存続を容認してもらうしかない。北朝鮮が日本海に向けてしきりにミサイル発射し、接近する米軍をけん制する能力を誇示している背景には、いままで各国の軍関係者の間でしか認識されてこなかった「中国軍の日本海シフト」を受けた北朝鮮の生き残り戦略という意味合いもあるのだ。北朝鮮は21年の中ロ艦隊の機動訓練の際も、応援するかのようにミサイル発射をしている。

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