中国ワクチン輸出97%減 オミクロン型に効果低く

中国ワクチン輸出97%減 オミクロン型に効果低く
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM2105R0R20C22A4000000/

『中国製の新型コロナウイルスワクチンの輸出が急減している。国連児童基金(ユニセフ)によると、ピークだった2021年9月に比べて4月はわずか3%に落ち込んだ。感染力の強い変異型「オミクロン型」の感染予防効果が欧米製より劣ることが影響したとの見方もできそうだ。ワクチン提供と引き換えに途上国で展開している「ワクチン外交」の逆風となる。

中国医薬集団(シノファーム)、科興控股生物技術(シノバック・バイオテック)、康希諾生物(カンシノ・バイオロジクス)の輸出量を集計した。瓶詰めなど一部工程を海外でてがける量を含む。4月は計678万回分で昨年9月(2億2508万回分)から97%減った。英調査会社エアフィニティのデータでも同じ傾向が裏づけられる。

一方、米ファイザーと独ビオンテックが共同開発したワクチンは4月の輸出量が5569万回。昨年9月比の減少幅は71%で、輸出量は中国勢の8倍超。米モデルナも4月は同57%減の1649万回で、初めて中国3社を上回った。

エアフィニティによると、中国製ワクチンは1~2回目の接種では使われても3回目の追加接種(ブースター接種)では利用が激減している。パキスタンは1回目と比べて3回目が98%減、インドネシアは93%減、バングラデシュは92%減、ブラジルは74%減だった。北京の調査会社ブリッジ・コンサルティングによると、ブラジルとインドネシアは21年に終了した中国製ワクチンの購入契約を更新しなかった。

新型コロナワクチンは中国、欧米勢ともに20年末ごろに実用化したが、輸出では中国勢が先行した。東南アジア、中東、南米などにいち早く供給し、20年12月~21年3月は中国3社がファイザーを上回った。欧米製はまず先進国が大量確保し、新興国や発展途上国は中国製しか選べなかった事情もある。

いったんはファイザーに抜かれたが21年9月に再逆転した。習近平(シー・ジンピン)国家主席も「世界の防疫に貢献している」と自賛したが、勢いは続かなかった。

背景にあるのが昨秋からのオミクロン型の感染拡大だ。中国の衛生当局も「中国製ワクチンのオミクロン型への有効性は下がる」と認める。香港大などが3月に公表した論文では、香港でワクチンを2回接種後に感染した約4300人の調査で、シノバックを接種した人の重症者はファイザー製の3倍以上だった。

中国勢は「不活化ワクチン」という昔ながらの技術が中心。遺伝情報物質を投与する「メッセンジャーRNA(mRNA)」という新技術を使うファイザーやモデルナに比べて「有効性は低い」(米マサチューセッツ大医学部の盧山教授)との指摘はかねてあった。

ワクチンの需要は世界で減少傾向だ。英オックスフォード大の研究者らが集計した「アワー・ワールド・イン・データ」によると、足元の1日あたりの接種回数(7日移動平均)は約1050万回と、昨年末から71%減少した。

エアフィニティのマット・リンリー氏は「オミクロン型は重症化しにくく、人々はワクチン接種の繰り返しに消極的」と説明するが、それを考慮しても中国製ワクチンの減少ぶりは突出する。中国国内のワクチン接種率は非常に高く、国内で需要が増えて輸出に回せないわけでもない。

中国製ワクチンの急減は「ワクチン外交」にも影を落とす。中国は途上国にワクチン供与をちらつかせ、台湾問題などで自らの主張に賛同するよう迫ってきた。南米ガイアナは対外事務所開設で台湾といったん合意したが、中国のワクチン寄付表明を受けた後の21年2月、合意を破棄した。

アジアで新型コロナの新規感染者が減るなか、中国では上海などで感染が止まらない。「中国本土では有効性の低い国産ワクチンしか許可されていないことが一因」(大連市の30代の男性会社員)との不満も出ている。

(大連=渡辺伸、武田健太郎)

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Nikkei Asia https://asia.nikkei.com/Spotlight/Coronavirus/COVID-vaccines/China-s-vaccine-diplomacy-spoiled-by-omicron-variant?n_cid=DSBNNAR 

多様な観点からニュースを考える

※掲載される投稿は投稿者個人の見解であり、日本経済新聞社の見解ではありません。

柯 隆のアバター
柯 隆
東京財団政策研究所 主席研究員
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ひとこと解説

ウィルスの感染力が強くなっているが、感染した場合の重症化リスクが低下していることから、ワクチンを接種するニーズが大幅に低下している。

もともとメッセンジャーワクチンと比べ、中国製不活化ワクチンの効果が低いといわれている。

中国は海外からワクチンの輸入を抑えているため、国内では、中国製ワクチンを接種されている。輸出にあたって、大幅に減少するのは想定内のことと思われる

2022年5月8日 7:36

滝田洋一のアバター
滝田洋一
日本経済新聞社 特任編集委員
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ひとこと解説

中国がゼロコロナ政策を軌道修正できないのも、中国製の不活化ワクチンの有効性が低いためです。

ならばmRNAワクチンに切り替えればよさそうですが、バイオ創薬はノウハウのかたまり。開発は容易ではありません。

第3臨床試験まで進んだmRNAワクチンは世界で9つ。うち6つはモデルナとファイザーによる今とは別のワクチン。残り3つのなかに中国製ワクチン(雲南沃森生物技術などが開発中)があります。

ところがそこで開発が難航しているのです。「中国、新技術ワクチン開発難航――低い有効性、信頼回復遠く」(3月10日付日経)はその辺の事情を掘り下げています。国産にこだわり時間を空費するのはもはや〝人災〟とも思えます。

2022年5月7日 21:44 (2022年5月7日 22:50更新)』

米、北朝鮮にワクチン支援打診 国連通じ6千万ダース

米、北朝鮮にワクチン支援打診 国連通じ6千万ダース
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM219K00R20C22A1000000/

『【ソウル=恩地洋介】米国が国連を通じ、北朝鮮に新型コロナウイルスのワクチン支援を打診していたことが21日、韓国の情報機関、国家情報院の国会報告で分かった。北朝鮮側は関心を示し、国連代表部が平壌の朝鮮労働党指導部に報告したという。

韓国国会の情報委員会の委員が明らかにした。米国は2021年12月に「国連と協力して6千万ダースのワクチンを提供できる」との意思を伝えたという。北朝鮮はかねて、英アストラゼネカ製や中国製の導入には難色を示し、米国製への関心をみせていた。

北朝鮮は中国との間で今月17日から鉄道による物資輸送を再開した。国家情報院によると、20両ほどの貨物車を使い中国から毎日、北朝鮮側に医薬品や食料品、建設資材などを運んでいる。物資は北朝鮮の検疫施設で消毒され、約20日間放置された後に目的地へ向かうという。北朝鮮からの物資の搬出は確認されていない。』

[FT]ロシア製ワクチン EUが治験の倫理性など調査へ

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB091080Z00C21A4000000/

『欧州連合(EU)の医薬品規制当局は、ロシア製の新型コロナウイルスワクチン「スプートニクV」の臨床試験(治験)において倫理的・科学的基準に反する行為がなかったか、来週から調査を開始する。

欧州医薬品庁(EMA)が調査するのは、スプートニクVの治験が「医薬品の臨床試験に関する基準(GCP)」に基づいて実施されたかどうかだ。EMAの承認プロセスに詳しい人物がフィナンシャル・タイムズ(FT)に語ったところ…

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EMAの承認プロセスに詳しい人物がフィナンシャル・タイムズ(FT)に語ったところによると、同ワクチンの治験は非倫理的な方法で進められた疑いがあるという。GCPは医薬品の臨床試験を適切に計画および実施するための国際的に認められた基準だ。
軍人らの治験参加を強制か

ロシアの説明によれば、スプートニクVは、同国の政府系ファンドであるロシア直接投資基金(RDIF)が資金を提供して国営研究所が開発し、治験には軍人と公務員が協力した。だがロイター通信の報道によると、一部の参加者は上司から治験に参加するよう圧力をかけられたという。

RDIFのドミトリエフ総裁は、強制があったことを否定し、FTの取材に対し「(治験参加者が)圧力をかけられた事実はなく、スプートニクVはすべての臨床基準を満たしている」と回答した。またEMAによる調査は来週から開始される予定であることも明らかにした。

ロシアはスプートニクVを欧州のワクチン問題に対する解決策として売り込んでいる。だがEUの欧州委員会でワクチン接種プログラムを担当するブルトン委員は3月、欧州は「スプートニクVを全く必要としていない」と発言した。ロシア政府はこれに反発し、欧州委員会はロシア製ワクチンに偏見を持っていると批判した。

EMAはスプートニクVを審査中であり、EU圏内での使用を許可するか否かの結論はまだ出ていない。EMAは、臨床試験がGCPに合致していることを承認の条件としている。

EMAは「基準が順守されていれば、治験参加者の権利、安全や健康が守られており、臨床試験のデータが信頼できるという保証になる」と述べ、順守状況について懸念があれば、調査を命じる場合があると付け加えた。ロシアでの調査を含め、現在予定されている、または進行中の調査についてはコメントを控えた。
「59カ国で審査済み」とロシア側反論

ドミトリエフ氏は、すでにスプートニクVを承認した59カ国の規制当局は「治験データを非常に厳密に審査し、GCPの順守状況に満足している」と指摘した。

同氏は続けて、「我々はEMAがGCPについて懸念しているとの情報は把握していない。そのような情報をリークすることは、公平・無差別とされるEMAの承認プロセスの信頼性を損なおうとする人間がやりそうなことだ」と述べた。

またこれとは別に、EMAはロシアにあるスプートニクVの生産施設を5月に調査する計画だが、ドミトリエフ氏によれば、ワクチンを発注した国の調査官の視察を受け入れるため、数日間延期されるという。「我々はワクチンを購入すると約束した国の調査官を優先する。欧州委員会とは違う」

難航するワクチン接種プログラムを巡り、EUへの批判は高まりつつある。人口比で見たEUのワクチン接種率は英国や米国を大きく下回っており、当局はその原因の一つとして、ワクチンの不足問題をあげる。

EU加盟国であるハンガリーとスロバキアは、EMAの承認を待たず、緊急規則を利用してスプートニクVワクチンを購入した。だがスロバキアの首相は、ロシア製ワクチンの購入を決定したことで閣僚からの反発に遭い、3月に辞任に追い込まれた。

EU加盟国の大半が感染「第3波」への対応に追われ、欧州諸国の多くで新規感染者数、入院者数、死亡者数が増加するなか、ワクチン不足は切実な問題となっている。

By Donato Paolo Mancini and Henry Foy

(2021年4月7日付 英フィナンシャル・タイムズ電子版 https://www.ft.com/

(c) The Financial Times Limited 2021. All Rights Reserved. The Nikkei Inc. is solely responsible for providing this translated content and The Financial Times Limited does not accept any liability for the accuracy or quality of the translation.
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ワクチン輸出、中国が席巻 外交や経済で攻勢も

ワクチン輸出、中国が席巻 外交や経済で攻勢も
チャートは語る
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCA2950I0Z20C21A3000000/

新型コロナウイルスのワクチン不足が世界的に強まるなか、中国が輸出攻勢をかけている。中国製を承認・契約した国・地域は70に達した。国際往来再開を促す「ワクチンパスポート」でも中国は先手を打つ。自国の調達を最優先する先進国を尻目に、中国が外交・経済の両面で新興・途上国への影響力を一段と強める可能性がある。

中国政府の公式サイトや国連児童基金(ユニセフ)のデータなどをもとに中国製ワクチンの供給先を集計し…

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中国政府の公式サイトや国連児童基金(ユニセフ)のデータなどをもとに中国製ワクチンの供給先を集計したところ、少なくとも70カ国・地域が承認や契約をしたことが分かった。寄付を受けた国・地域は37にのぼる。マスク供給や医師派遣を含めると、中国のコロナ支援は100カ国以上に広がる。広域経済圏構想「一帯一路」沿線だけでなく、中南米の非署名国にも影響力を高めている。

英医療調査会社エアフィニティによると、中国は3月末までに1億1500万回分のワクチンを輸出した。インドはライセンス生産するアストラゼネカ製など6300万回分、英国や日本に輸出する欧州連合(EU)は5800万回分にとどまる。生産量も中国は約2億3千万回分と、米欧やインドを引き離す。

「中国はパンデミック(世界的流行)直後からワクチンに投資してきた」(エアフィニティのラスムス・ベック・ハンセン最高経営責任者=CEO)。中国は先駆けてワクチンの原材料生産を拡大。国内感染者が少なく海外供給を優先できる利点もある。国内では大都市での接種を優先し、人口2100万人超の北京市では900万人が接種した。全国では人口100人あたり8回程度にとどまるものの、輸出への反発は少ない。

高所得国がワクチン確保に躍起となっていることも新興・途上国の中国依存に拍車をかける要因となっている。米デューク大学によると、英米など先進国は接種回数を加味した接種可能人数で人口の2倍以上のワクチンを契約する。EUの契約数は全世界の2割強にあたる10億人分以上に達する。中国製やロシア製が中低所得国の限られた選択肢となった面もある。

ワクチン輸出の遅れで、中国製に乗り換える動きもある。インドは国内供給を優先するため、国内生産するアストラゼネカ製の輸出中断を決めた。インドから供給を受けていたネパールはその後、中国から80万回分の寄付を受けた。EUではハンガリーが中国製を承認。同ワクチンを接種したオルバン首相は「恐れるべきでない」と呼びかけた。

中国製ワクチンには外交カードの側面もちらつく。南米ガイアナは中国の寄付表明を受けた後に台湾と対外事務所開設の合意を破棄。米調査会社ロジウム・グループのアナリスト、マシュー・ミンジー氏は「ワクチン供給を中国だけに頼れば外交リスクを抱えるおそれがある」と語る。

国際往来の再開が待たれるなか、中国は自由な渡航を促す「ワクチンパスポート」の導入でも先手を打つ。接種歴を示す「国際旅行健康証明」の発行や、中国製ワクチンを接種した外国人の入国手続き簡素化を相次ぎ発表。中国製を承認していない先進各国にとって、接種歴を相互承認するかが大きな課題となる。

EUでは欧州医薬品庁(EMA)が審査・勧告したワクチンの接種者に限り、EU規模の移動を認める構え。中国製は審査の段階に入っていない。中国製ワクチンを活用した「ワクチンパスポート」が世界に広がれば昨年春以来、世界でほぼ止まってきたビジネスや観光などの人の往来再開で中国が大きく先行。欧米などはこれに取り残されるおそれもでてくる。

(西野杏菜、北京=川手伊織、ブリュッセル=竹内康雄)

ワクチンパスポート 自由な移動・渡航へ布石

新型コロナウイルスのワクチンの接種歴やPCR検査の結果などを証明するもの。経済の正常化に向けて、国内での行動制限緩和や海外との自由な渡航を促すことを目的に各国で導入や議論が進んでいる。イスラエルではスポーツジムや飲食店の利用時に接種証明の提示が必要で、米ニューヨーク州もイベント中心に運用を始めた。欧州連合(EU)は今夏までに「デジタルグリーン証明書」の導入を目指しており、域内での自由な移動を再開したい考えだ。

国境を越えた自由な往来を目指すためには、接種したワクチンの相互承認が必要となる。中国は世界に先駆けて「国際旅行健康証明」を導入したが、先進国のほとんどで中国
製ワクチンは承認されていない。中国外務省が相互承認に向けた交渉を進めており、自由な渡航ルール作りに先手を打った形だ。

ワクチンパスポートには倫理上の懸念もくすぶる。妊娠やアレルギーなどの何らかの事情でワクチンの接種を控える人や、接種の優先順位が低い若年層への差別につながりかねないとの声も多い。日本は国内での導入は予定していないものの、海外渡航する際に接種証明が求められる場合を想定し、発行を検討している。

チャートは語る https://www.nikkei.com/theme?dw=19040301

日本経済新聞社はデータ分析を強化します。「チャートは語る」では様々なデータの分析で経済や市場、企業などの潮流を浮き彫りにします。

ワクチン輸出、中国が席巻 外交や経済で攻勢も(4日 更新)
EV充電器、日本では足踏み フランスは人口比で3倍(3月28日 更新)

インド、コロナワクチン輸出を制限 新興国に影響大きく

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM25DVK0V20C21A3000000/

『【ムンバイ=早川麗】インド政府が新型コロナウイルスのワクチンの輸出を制限していることが25日わかった。インドは世界最大規模のワクチン生産能力を抱え、低価格で生産したワクチンを新興国へ供給する計画だ。一大供給源であるインドの輸出制限によって新興国では接種が遅れる可能性が高く、影響は大きい。

インドのワクチン製造会社セラム・インスティチュート・オブ・インディアは、インフルエンザワクチンなど多様な製品を年15億回分つくり、世界の約170カ国に輸出している。同社は英製薬アストラゼネカと英オックスフォード大が共同開発したコロナワクチンをインドでライセンス生産し、国内への供給のほか、アジアやアフリカ、南米などの国々へ輸出している。

【関連記事】
ワクチン分配のCOVAX、5月末まで142カ国2億3700万回

だが、インド政府は国内接種のワクチン確保を優先するため、一時的に輸出の停止を指示したもようだ。

世界保健機関(WHO)が主導し、途上国へのワクチン普及を進める国際組織「Gaviワクチンアライアンス」は25日、3月と4月に予定されていたセラム製のワクチンの到着が遅れる見通しだと発表した。同アライアンスの広報担当者は日本経済新聞に対し、「セラムへの輸出許可の遅れはインド国内でのワクチン需要の増加に伴うものだ」と指摘した。

新型コロナワクチンを共同購入し途上国などに分配する国際的な枠組み「COVAX(コバックス)」は、セラムからこれまでに2800万回分のコロナワクチンを調達した。追加で3月に4000万回分、4月に5000万回分の調達を予定していた。COVAXはインド政府と輸出再開に向けて交渉中だという。

インド政府は公式に輸出制限を明らかにしていない。ただ同国の外務省が1月から公表している国別のワクチンの輸出量のデータは、22日にCOVAX経由で南スーダンへの輸出が最後となっている。これまで77カ国に累計で約6058万回分を輸出した。

インドでは新型コロナの感染拡大が落ち着いていたが、3月に入り新規感染が再び加速し、「第2波」への警戒が強まっている。ワクチンは1月に接種が始まり、25日までに国内で約5460万回を接種した。

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トランプ前政権、ロシア製ワクチン巡りブラジルに圧力か

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN160730W1A310C2000000/

『【サンパウロ=外山尚之】トランプ前米政権がブラジルに対し、ロシア製のワクチン「スプートニクV」を購入しないよう圧力をかけていたことが明らかになった。ブラジル政府は米国の政権交代後にロシア製ワクチンを承認しており、米ロの緊張関係が第三国に影響を及ぼしていた可能性が高い。

ブラジルのネットメディア「ブラジル・ワイヤ」が15日までに米保健福祉省(HHS)の2020年版報告書をもとに報じた。報告書ではキューバやベネズエラ、ロシアが「米国の安全保障の不利益のために影響力を拡大している」と指摘、HHSが下部組織を通じて対抗していると説明した。具体例として、ブラジル政府に対し、ロシアの新型コロナワクチンを拒否するよう説得したことや、パナマに対してキューバからの医師派遣の申し出を受け入れないように求めたことを挙げた。

ブラジルのボルソナロ大統領はトランプ前米大統領との親密な関係で知られ、中国製やロシア製のワクチンについて否定的な見解を示していた。

ブラジルでワクチンの承認をつかさどる国家衛生監督庁(ANVISA)は1月、ロシア政府のワクチンについて「最低限の基準を満たしていない」として緊急利用の申請を却下していたが、バイデン政権の誕生後に態度を一転させ、購入する意向を表明。3月12日に購入契約を結んだ。

14日時点でブラジルの人口100人あたりのワクチン接種回数は5.37回にとどまる。第2波の感染拡大が深刻な状況ながら、ワクチン不足により各地で接種が中止や延期となっている。

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英・EU、ワクチンで対立 EU大統領「英が輸出禁止」

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR10E040Q1A310C2000000/

『【ロンドン=中島裕介】英国と欧州連合(EU)が新型コロナウイルスワクチンの供給を巡って対立を深めている。EUのミシェル大統領が9日、唐突に「英国がワクチン輸出を禁止している」と表明したところ、英政府が強く反論。駐英EU代表部の高官を呼んで抗議するなど、亀裂が深まっている。

発端となったのはミシェル氏が9日に配信したニュースレターだ。この中で「英国と米国は自国領土で生産したワクチンやその成分の輸出を全面的に禁止している」と指摘した。

これに英側は反発。ジョンソン首相は10日の英議会下院で「海外への販売阻止などしていない」と強調した。英外務省は同日午前に同省の政務次官が、駐英EU代表部の高官を呼び出したと発表した。ミシェル氏の発言に抗議し、訂正を求めたとみられる。

ミシェル氏はニュースレターとともに「輸出禁止や制限には様々な方法がある」ともツイートした。EU側の本音は英国で生産されたワクチンの輸出が少なすぎる点にあるもようだ。

英首相官邸の報道官は10日、この指摘に対して「英国内外への供給は、(各国政府などの)顧客と製薬会社など供給者との契約に沿って行われている」と記者団に述べた。実際に輸出が少ないかどうかは明言を避けた。

ワクチン接種の実績では英国が全人口の3分の1以上の接種を終えた。一方でEU主要国では10%前後と遅れており、加盟国や域内の市民から不満も漏れている。英EU間のワクチンを巡るさや当ては続く可能性がある。

EUが1月末にワクチンの輸出制限を発表した際にも、EUが加盟国アイルランドと英領北アイルランド間の輸送も止める方針を示して英EUは対立した経緯がある。英国のEU離脱の取り決めではアイルランド島に国境を設けないことになっていたため、英国が強く反発した。

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ロシア製ワクチン製造へ 伊、承認ならEU初―新型コロナ

『【パリ時事】イタリア・ロシア商工会議所は9日、スイスに本社を置く製薬会社がイタリア国内の工場でロシア製の新型コロナウイルスワクチン「スプートニクV」を製造する見通しとなったと発表した。当局の承認が得られれば、7月にも生産を開始するという。欧州でのロシア製ワクチン製造は初めて。』

ワクチン増産支援で合意へ 日米豪印の首脳会議―ロイター報道

『【ワシントン時事】ロイター通信は9日、米政権高官の話として、日米豪印4カ国の連携枠組み「クアッド」による12日のオンライン首脳会談で、新型コロナウイルスのワクチン増産支援で合意する見通しだと報じた。中国による「ワクチン外交」に対抗し、インドでのワクチン生産能力を増強する。

日米豪印首脳、12日に初会談 中国けん制、ワクチンで協調

 ロイターによると、米製薬大手ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)や米バイオ医薬品企業ノババックス開発のワクチンを製造するインド国内の企業が、支援対象の中心。このうちJ&Jのワクチンは2月、米当局から緊急使用許可が出ている。』

イタリア、豪州向けコロナワクチン輸出を阻止 EUで初

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR04DXW0U1A300C2000000/

『【ウィーン=細川倫太郎】イタリアが英製薬大手アストラゼネカの新型コロナウイルスのワクチンについて、オーストラリア向けの輸出を阻止した。4日、英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)などが報じた。1月末に欧州連合(EU)が域外へのワクチンの輸出制限措置を導入して以来、初めての発動となる。

対象はイタリアの工場で生産した25万回分のワクチン。輸出制限では、EUが事前購入契約を結んだ製薬会社に対し、域内で製造したワクチンの出荷計画を事前に申告し、輸出する際には製造している国の政府の許可を得る必要がある。欧州委員会もイタリアの判断を承認した。

2月にイタリアの首相に就任したドラギ氏は最優先事項として新型コロナ対策を掲げ、自国民へのワクチンの普及を急いでいる。EUが米英などに比べワクチン接種が大幅に遅れていることに不満を抱き、2月25日にオンラインで開いたEU首脳会議でも、EUはより厳しい輸出規制が必要との認識を示していた。

ロイター通信は4日、関係者の話としてEUが輸出制限を6月末まで延長することを検討していると伝えた。現時点では3月末で終える予定となっている。一方、世界保健機関(WHO)は「ワクチンの公平な分配を妨げる恐れがある」などとEUを批判している。世界各国でワクチン接種が始まったが、今のところは資金力のある先進国に偏っており、途上国にはほとんど行き渡っていない。』

コロナ変異型、抑制正念場 米は200億円投入

コロナ変異型、抑制正念場 米は200億円投入
EU、ワクチン強化 新規感染下げ止まり
https://www.nikkei.com/article/DGXZQODB26E190W1A220C2000000/

『日米欧で変異した新型コロナウイルスへの警戒が高まっている。経済活動の制限やワクチン接種の開始で、新規感染者はピーク時に比べて減少したが、感染力が強いとされる変異型の広がりが足元で目立ち始めている。米国では政府が2億ドル(約210億円)を投じて、変異型の監視態勢を強化。欧州連合(EU)も巨額予算を投じて対応ワクチンの開発支援を強化するなど対策強化を急いでいる。

【関連記事】
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米ジョンズ・ホプキンス大学の集計による…

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米ジョンズ・ホプキンス大学の集計によると、米国の1日あたりの新規感染者数(7日移動平均)はピークだった1月上旬の約30万人から2月下旬は7万人程度まで7割強減少。英国やドイツ、フランスもピーク時と比べて6~8割減少した。

ただ足元では新規感染者数に下げ止まりの兆しも出てきた。米独仏では2月中旬以降、前日比で新規感染者が増加する日が目立ち始めた。背景にあるのが、変異型の感染の広がりだ。

「感染者が再び増える可能性がある。警戒をゆるめるときではない」。26日、米南部テキサス州のワクチン接種施設を視察したバイデン大統領も、変異ウイルスによる感染の再拡大リスクに警鐘を鳴らした。

米国ではこれまでに発見された「英国型」「南アフリカ型」「ブラジル型」の変異ウイルスに加え、新しい変異型がニューヨーク、カリフォルニアの両州で確認された。米国の研究者らによると、いずれも「米国型」の新しい変異ウイルスの可能性がある。

米メディアによるとニューヨークの変異型は入院患者の比率が従来より高いという。カリフォルニアの変異型についても、米疾病対策センター(CDC)のウイルス遺伝子分析の責任者が従来型より感染力が高い可能性があるとの見方を示した。

米政府は17日、2億ドルを投じて変異ウイルスの分析能力を高めると発表。CDCが分析できる変異型の件数を、従来の3倍にあたる週2万5000件に引き上げて監視を強めている。

米国よりも変異型の感染拡大が深刻なのが欧州だ。EUのミシェル大統領は25~26日にオンラインで開いた首脳会議に先立ち、加盟国首脳に送った書簡で「多くの加盟国で、変異型が最も支配的になっている」と指摘。従来型より感染力が高いとされる変異型の域内での感染拡大へ強い警戒をみせた。

新規感染者数が再び増加傾向を見せ始めたドイツでは現地メディアによると、新規感染に占める変異型の割合は3割程度にまで高まっている。フランスでも英国型が新規感染に占める割合がパリで約5割に達する。カステックス仏首相は25日の記者会見で「感染者数がここ1週間で増えている。原因としてもっとも明らかなのは変異ウイルスで、日増しに拡大している」などと警戒感をあらわにした。

EU首脳会議では変異ウイルスに対応するワクチンの開発や原材料調達、生産拡大の支援策を拡充するとの声明を採択。EUの執行機関である欧州委員会は少なくとも7500万ユーロ(約96億円)を変異ウイルスの検査手法の開発にあてるほか、1億5千万ユーロを研究開発に投じる。承認ずみの既存ワクチンをベースに変異型に対応できる改良をめざす場合には、欧州医薬品庁(EMA)が迅速に承認する制度も整える。

日本も監視体制拡充

国内での変異ウイルス感染例は26日時点で158件、17都府県に広がった。緊急事態宣言が解除されても変異ウイルスを抑え込まないと感染再拡大につながるおそれがあり、国などは監視体制を強化している。

変異ウイルスの判定は1月半ばごろまで、国立感染症研究所(感染研)が全国の地方衛生研究所(地衛研)などから陽性検体の1割程度を集め、ゲノム(全遺伝情報)を解析して実施していた。判明まで約2週間かかり、効率も良くなかった。

そこで感染研は、PCR検査とゲノム解析を組み合わせた新しい検査方法を開発し、ノウハウや試薬を全国の地衛研に伝えた。早ければ数日で変異ウイルスを検出できるといい、国は自治体と協力して感染者の5~10%を新たな検査方法で調べる方針だ。

厚生労働省によると、新しい検査方法は25日までに41都道府県で導入された。同日までに実施した検査数は東京の1742件が最も多く、静岡が387件、滋賀が374件で続く。菅義偉首相は3月から全都道府県で新しい検査方法を実施すると表明しており、検査数はさらに拡大する見通しだ。

民間の力も活用する。田村憲久厚労相は新しい検査方法を検査会社にも公開する方針を示した。感染研は第1弾として17日、臨床検査受託大手H.U.グループホールディングス傘下企業のSRLと契約。検体の検査からゲノム解析まで請け負ってもらう体制を整えた。同省は「今後も民間との協力を広げていきたい」とする。

新しい検査方法は万能ではない。英国や南アフリカで見つかったタイプには対応するが、国内外で確認されている「E484K」という変異をもつタイプは検出できず、ゲノム解析で見分けるしかない。専門家によると、このタイプに感染すると既存ワクチンが十分効かない可能性がある。次々に登場する変異ウイルスに対応した検査方法の開発も必要になっている。

ファイザーとモデルナ、供給ペースを倍増へ 米国向け

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN240740U1A220C2000000/

『【ニューヨーク=野村優子】米国で新型コロナウイルスワクチンの供給ペースが加速している。米製薬大手ファイザーと米バイオ製薬モデルナは23日、米国向けの新型コロナワクチンの供給ペースを倍増させる方針を示した。足元のワクチン不足解消に向け、バイデン政権も週間の供給量を増やすと表明している。

23日に米議会下院のエネルギー・商業委員会が開いたワクチンの供給を巡る公聴会で、ファイザーとモデルナの幹部が明らかにした。ファイザーはワクチンの供給量を3月中旬までに週1300万回分と、2月初旬の週400~500万回分から2.5倍超に増やす方針だ。モデルナも4月までに月4000万回分と、足元から倍増させるという。

ホワイトハウスの新型コロナ対策本部も同日、ワクチンの供給量を週1450万回分に引き上げると発表した。これは1月後半に比べて、7割高い水準だという。バイデン政権は7月末までに、約3億人の米国民全員分のワクチンを供給すると表明。ファイザーとモデルナからそれぞれ3億回(1.5億人)分のワクチンを購入しており、両社も7月末までに供給するとしている。

また、米食品医薬品局(FDA)の緊急承認を待つジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)も23日、供給時期について言及した。26日に開かれる第三者委員会を踏まえてワクチンが承認されれば、3月末までに2000万回分のワクチンを供給する見通しだという。

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独バイエル、キュアバクのワクチン生産 他社支援相次ぐ

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『【フランクフルト=深尾幸生】独医薬・農薬大手のバイエルは1日、新型コロナウイルスワクチンを開発する新興企業の独キュアバクのワクチンを生産すると発表した。ワクチンの供給量不足が指摘されるなか、バイエルのほかノバルティス(スイス)など「メガファーマ」と呼ばれる製薬大手が相次いで他社のワクチン生産を支援する。

キュアバクはすでに接種が始まっているバイオ医薬の独ビオンテックや米モデルナのワクチンと同様、「メッセンジャーRNA(mRNA)ワクチン」と呼ばれる新しいタイプを開発している。現在は臨床試験(治験)中で、すでに欧州連合(EU)と4億500万回分の契約を結んでいる。

バイエルは2021年中にドイツ西部ヴッパータールの工場で生産を開始し、22年には1億6千万回分を生産する。バイエルは1月にキュアバクと治験や承認手続きなどで協力する提携を結んでいた。

一方、ノバルティスはビオンテックと米製薬大手ファイザーが共同開発したワクチンの生産を請け負うことで合意した。ノバルティスはスイスの工場でバイアル(注射剤の容器)に充てんする工程を担う。4~6月期に生産を始める。

ワクチン生産は厳しい温度管理や設備の清浄度が求められ短期間での立ち上げは容易ではない。ノバルティスやバイエルは新型コロナワクチンを実質的に手掛けていないが、製薬大手としてのノウハウと設備を世界的なワクチン供給拡大のために活用する。

仏製薬大手サノフィもビオンテックとファイザーのワクチンをドイツの自社工場で生産する。2021年夏から1億2500万回分以上を生産し、欧州に供給する。サノフィは英製薬大手グラクソ・スミスクライン(GSK)と新型コロナのワクチンを開発しているが、実用化が当初予定の21年半ばから21年10~12月期に遅れると発表していた。

コロナワクチンをめぐっては、変異ウイルスが猛威を振るうなか供給力不足が世界的に懸念されている。EUではファイザー製や英製薬大手アストラゼネカの供給の遅れでフランスやドイツなどでは接種が一時止まった。

ファイザーとビオンテックはベルギーの工場の増産準備のための減産が終了し、供給体制は正常化したとしている。2月半ばにはドイツの新しい工場が稼働し世界で年間20億回分を供給できるようになるという。アストラゼネカもEUに対し、生産能力の増強を約束した。』