中国、米国製ワクチンの受け入れ慎重「需要満たせる」

中国、米国製ワクチンの受け入れ慎重「需要満たせる」
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM21AH10R21C22A2000000/

『【北京=羽田野主】中国外務省の毛寧副報道局長は21日の記者会見で、新型コロナウイルスの米国製ワクチンの受け入れに否定的な見解を示した。「ワクチン接種を順調に進めており、全体的に(国民の)需要を満たすことができる」と強調した。

米国務省のプライス報道官は20日、新型コロナの感染が急拡大している中国に米国製ワクチンを供与する考えを示した。毛氏は「中国人が力を合わせて協力し、団結して対応する」と発言した。米国側の支援の申し出を事実上拒んだ。

新型コロナの世界的流行後、習近平(シー・ジンピン)指導部は「ワクチン外交」を展開し中国製のワクチンを東南アジアや南米などに提供してきた。安全保障や経済を巡り対立を深める米国のワクチンの受け入れに消極的になっているとみられる。

中国官製メディアはこれまで米国の新型コロナ感染者や死者数を大きく伝え、共産党の統治の優位性を誇示してきた。

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[FT]WHO、中国にコロナワクチン接種率向上求める

[FT]WHO、中国にコロナワクチン接種率向上求める
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB223LQ0S2A221C2000000/

『世界保健機関(WHO)は、中国での新型コロナウイルスによる重症者の急増について「非常に懸念」しているとし、同国政府にワクチン接種を強化するよう求めた。重症化しやすい人たちの接種を特に重視している。
中国の高齢者のワクチン接種は、依然進んでいない=ロイター

中国では政府が2年余にわたり「ゼロコロナ」政策を厳格に維持したが、大部分の制限が解除された今、多くの都市が急激な感染拡大と闘っている。
生データの提供求める

WHOのテドロス事務局長は21日の年末記者会見で、重症度や入院者数、集中治療室(ICU)の病床使用率など、もっとデータを提供してほしいと述べた。

WHOは中国に対してあまりに弱腰だと批判を受け、中国政府も2019年末に同国中部の武漢市で新型コロナが出現した当初、速やかに警告を出さなかったと非難を浴びた。WHOはかつて、感染拡大に関するデータの開示が不十分だと中国を非難したことがあるが、21日にテドロス氏は再度、ウイルスの起源に関する生データを提供するよう求めた。

中国は現在、制限解除によって広がった感染の「出口波」への対応に苦慮している。

WHOで緊急事態対応を統括するマイク・ライアン氏は「現在報告されているのは病院とICUの症例数で、比較的低い数字だ」と述べた。「しかし実際には、ICUが埋まりつつあると伝えられている」

「変化を追いきれていない状況だ」と同氏は続け、他の国々で感染者が激増した時期と同様に、報告が上がるまでの時間差が不一致の原因ではないかとした。
高齢者の接種率低く

ライアン氏は、特に高齢者などのワクチン接種率で中国政府は「後れを取っている」と述べた。高齢者は最も重症化リスクが高いが、ここ数カ月においても依然、接種は進んでいない。追加のブースター接種率も、中国は比較的低い水準にとどまっている。

その一方でライアン氏は、中国のワクチン接種への取り組みについて、広大な同国において防御効果は「十分とは言えない」ものの大きく進歩したと評価した。

その上で、「(新型コロナの)オミクロン型の波による影響を実際に抑えられるだけのワクチン接種を今後1、2週間で実施できるかどうかという問題が残っている」と付け加えた。

また、より高い有効性が研究結果で示され、米モデルナや独ビオンテックなどが製造しているメッセンジャーRNA(mRNA)ワクチンについて、WHOは中国の輸入を「促したい」ともした。

現時点で中国は、在留外国人を例外として同ワクチンの国内での使用を認めていない。

By Donato Paolo Mancini

(2022年12月22日付 英フィナンシャル・タイムズ電子版 https://www.ft.com/)

(c) The Financial Times Limited 2022. All Rights Reserved. The Nikkei Inc. is solely responsible for providing this translated content and The Financial Times Limited does not accept any liability for the accuracy or quality of the translation.

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オミクロン株対応ワクチン 発症防ぐ効果71%

オミクロン株対応ワクチン 発症防ぐ効果71%
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20221217/k10013925701000.html

 ※ 今日は、こんな所で…。

『2022年12月17日 4時55分

オミクロン株に対応したワクチンの効果を国立感染症研究所などが分析した結果、ワクチンの発症を防ぐ効果は71%だったことがわかりました。
研究グループは発症を予防する高い効果が示されたとしたうえで、今後、どのくらいの期間効果が持続するのかについても調べることにしています。

国立感染症研究所などはオミクロン株の「BA.5」が感染の主流となっていたことし9月から11月にかけて、関東地方の10の医療機関で新型コロナウイルスの検査を受けた16歳以上のおよそ4000人を対象に、検査で陽性だった人と、陰性だった人のワクチンの接種歴を比較してオミクロン株に対応したワクチンの効果を分析しました。

その結果、従来型のワクチンを2回以上接種したうえでオミクロン株対応ワクチンを追加接種した人での発症を防ぐ効果は71%でした。

ワクチンの種類ごとに分析した場合、

▽「BA.1」対応のワクチンを追加接種した人では73%、
▽「BA.4」と「BA.5」に対応したワクチンを追加接種した人では69%だったということです。

研究グループは、「BA.1」対応ワクチンと「BA.4」「BA.5」対応ワクチンとでは有効性に大きな差はなく、オミクロン株対応のワクチンには発症を予防する高い効果が示されたとしたうえで、今後、どのくらいの期間効果が持続するのかについても調べることにしています。』

mRNAワクチン、血管や臓器にダメージ「反論の余地のない証拠」

mRNAワクチン、血管や臓器にダメージ「反論の余地のない証拠」=研究結果
https://www.epochtimes.jp/2022/09/117855.html

『微生物学者のマイケル・パーマー博士とスチャリット・バクディ博士は、mRNA(メッセンジャーRNA)ワクチンが血管や臓器の損傷を引き起こすという「反論の余地のない因果関係」を発見したと述べた。一方、非営利団体Health Feedbackは「科学的根拠のない神話」だと反論している。

両氏の研究はドイツの病理学者アルネ・ブルクハルト博士とウォルター・ラング博士の知見に基づいている。

(※ 無料は、ここまで。)』

中国ワクチン輸出97%減 オミクロン型に効果低く

中国ワクチン輸出97%減 オミクロン型に効果低く
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM2105R0R20C22A4000000/

『中国製の新型コロナウイルスワクチンの輸出が急減している。国連児童基金(ユニセフ)によると、ピークだった2021年9月に比べて4月はわずか3%に落ち込んだ。感染力の強い変異型「オミクロン型」の感染予防効果が欧米製より劣ることが影響したとの見方もできそうだ。ワクチン提供と引き換えに途上国で展開している「ワクチン外交」の逆風となる。

中国医薬集団(シノファーム)、科興控股生物技術(シノバック・バイオテック)、康希諾生物(カンシノ・バイオロジクス)の輸出量を集計した。瓶詰めなど一部工程を海外でてがける量を含む。4月は計678万回分で昨年9月(2億2508万回分)から97%減った。英調査会社エアフィニティのデータでも同じ傾向が裏づけられる。

一方、米ファイザーと独ビオンテックが共同開発したワクチンは4月の輸出量が5569万回。昨年9月比の減少幅は71%で、輸出量は中国勢の8倍超。米モデルナも4月は同57%減の1649万回で、初めて中国3社を上回った。

エアフィニティによると、中国製ワクチンは1~2回目の接種では使われても3回目の追加接種(ブースター接種)では利用が激減している。パキスタンは1回目と比べて3回目が98%減、インドネシアは93%減、バングラデシュは92%減、ブラジルは74%減だった。北京の調査会社ブリッジ・コンサルティングによると、ブラジルとインドネシアは21年に終了した中国製ワクチンの購入契約を更新しなかった。

新型コロナワクチンは中国、欧米勢ともに20年末ごろに実用化したが、輸出では中国勢が先行した。東南アジア、中東、南米などにいち早く供給し、20年12月~21年3月は中国3社がファイザーを上回った。欧米製はまず先進国が大量確保し、新興国や発展途上国は中国製しか選べなかった事情もある。

いったんはファイザーに抜かれたが21年9月に再逆転した。習近平(シー・ジンピン)国家主席も「世界の防疫に貢献している」と自賛したが、勢いは続かなかった。

背景にあるのが昨秋からのオミクロン型の感染拡大だ。中国の衛生当局も「中国製ワクチンのオミクロン型への有効性は下がる」と認める。香港大などが3月に公表した論文では、香港でワクチンを2回接種後に感染した約4300人の調査で、シノバックを接種した人の重症者はファイザー製の3倍以上だった。

中国勢は「不活化ワクチン」という昔ながらの技術が中心。遺伝情報物質を投与する「メッセンジャーRNA(mRNA)」という新技術を使うファイザーやモデルナに比べて「有効性は低い」(米マサチューセッツ大医学部の盧山教授)との指摘はかねてあった。

ワクチンの需要は世界で減少傾向だ。英オックスフォード大の研究者らが集計した「アワー・ワールド・イン・データ」によると、足元の1日あたりの接種回数(7日移動平均)は約1050万回と、昨年末から71%減少した。

エアフィニティのマット・リンリー氏は「オミクロン型は重症化しにくく、人々はワクチン接種の繰り返しに消極的」と説明するが、それを考慮しても中国製ワクチンの減少ぶりは突出する。中国国内のワクチン接種率は非常に高く、国内で需要が増えて輸出に回せないわけでもない。

中国製ワクチンの急減は「ワクチン外交」にも影を落とす。中国は途上国にワクチン供与をちらつかせ、台湾問題などで自らの主張に賛同するよう迫ってきた。南米ガイアナは対外事務所開設で台湾といったん合意したが、中国のワクチン寄付表明を受けた後の21年2月、合意を破棄した。

アジアで新型コロナの新規感染者が減るなか、中国では上海などで感染が止まらない。「中国本土では有効性の低い国産ワクチンしか許可されていないことが一因」(大連市の30代の男性会社員)との不満も出ている。

(大連=渡辺伸、武田健太郎)

この記事の英文をNikkei Asiaで読む
Nikkei Asia https://asia.nikkei.com/Spotlight/Coronavirus/COVID-vaccines/China-s-vaccine-diplomacy-spoiled-by-omicron-variant?n_cid=DSBNNAR 

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柯 隆のアバター
柯 隆
東京財団政策研究所 主席研究員
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ひとこと解説

ウィルスの感染力が強くなっているが、感染した場合の重症化リスクが低下していることから、ワクチンを接種するニーズが大幅に低下している。

もともとメッセンジャーワクチンと比べ、中国製不活化ワクチンの効果が低いといわれている。

中国は海外からワクチンの輸入を抑えているため、国内では、中国製ワクチンを接種されている。輸出にあたって、大幅に減少するのは想定内のことと思われる

2022年5月8日 7:36

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滝田洋一
日本経済新聞社 特任編集委員
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ひとこと解説

中国がゼロコロナ政策を軌道修正できないのも、中国製の不活化ワクチンの有効性が低いためです。

ならばmRNAワクチンに切り替えればよさそうですが、バイオ創薬はノウハウのかたまり。開発は容易ではありません。

第3臨床試験まで進んだmRNAワクチンは世界で9つ。うち6つはモデルナとファイザーによる今とは別のワクチン。残り3つのなかに中国製ワクチン(雲南沃森生物技術などが開発中)があります。

ところがそこで開発が難航しているのです。「中国、新技術ワクチン開発難航――低い有効性、信頼回復遠く」(3月10日付日経)はその辺の事情を掘り下げています。国産にこだわり時間を空費するのはもはや〝人災〟とも思えます。

2022年5月7日 21:44 (2022年5月7日 22:50更新)』

セルビア、ジョコビッチ選手の国外退去に怒り

セルビア、ジョコビッチ選手の国外退去に怒り
大統領「嘘にまみれた茶番劇」
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR1703X0X10C22A1000000/

『【ウィーン=細川倫太郎】テニスのノバク・ジョコビッチ選手がオーストラリアから国外退去となった問題で、同選手の母国セルビアが猛反発している。ブチッチ大統領は16日、豪裁判所の判断を「多くの噓にまみれた茶番劇だ」と切り捨てた。スポーツ選手と新型コロナウイルスワクチンの接種をめぐる問題は他国でも起きる可能性がある。

ジョコビッチ選手は同日、参加をめざしていた全豪オープンテニスの開催地、メルボルンの空港から出国した。声明で「非常に失望した」と表明し「これからは私が愛する試合と大会に集中できることを願う」との言葉を残した。

セルビア側は豪政府への怒りが収まらない。ブチッチ氏は「彼らはこの10日間の嫌がらせでジョコビッチ選手に恥をかかせたと思っているが、実際には彼ら自身が恥をかいた」と強調した。

セルビアのブチッチ大統領はオーストラリアの対応が二転三転したことを非難している=ロイター

ジョコビッチ選手はワクチンの接種免除措置を受けたと主張して入国し批判を浴びたが、豪州のテニス協会とメルボルンがあるビクトリア州、連邦政府も連携を欠き、対応が二転三転した。

ジョコビッチ選手は少年時代にコソボ紛争を経験した。逆風下でコートを転々としながら練習を続け、世界的な選手に上り詰めた国民的スターだ。地元のタブロイド紙は16日「スポーツ史上、最大の恥がメルボルンで起きた」などと報じた。

ジョコビッチ選手はワクチン接種の有無を明確にしていない。日ごろから食生活を徹底的に管理し、小麦を使わない「グルテンフリー」の食事をとっていることで知られる。現代医学を敬遠し自然療法を好むとされ、以前から接種義務化に強く反対していた。

東欧諸国は、そもそもワクチン接種率が低い。英オックスフォード大の研究者らでつくる「アワー・ワールド・イン・データ」によると、14日時点で接種を終えた人はセルビアが47%、ルーマニアは41%で、欧州平均(62%)を下回る。汚職などを理由に国民の政治家に対する不信が根強く、政府が接種を呼びかけるワクチンへの懐疑心が強いのが一因だ。

男子テニス界では、ジョコビッチ選手とフェデラー選手(スイス)、ナダル選手(スペイン)が「ビッグ3」と呼ばれている。しかし、他の2人に比べると「ファンから愛されていない」との指摘もあり、米紙ニューヨーク・タイムズは「(セルビアでは)多くの人はジョコビッチ選手がもっと豊かな国の出身であれば、同じような扱いを受けなかっただろうと考えている」と伝えた。

ジョコビッチ選手は全豪オープンで、前人未踏の四大大会21度目の優勝がかかっていた。34歳という年齢もあって大会にかける思いは強かったとみられ、豪政府と2度も法廷で争ったが、道は閉ざされた。今後3年間は豪州への入国が禁止されることになり、偉業達成の雲行きは怪しくなっている。

新型コロナの変異型「オミクロン型」がまん延し、各国でワクチン接種を事実上義務化する動きがある。途上国を中心に接種が遅れている国は多く、他のスポーツでも選手の入国問題が再燃する可能性がある。

ジョコビッチ選手は5日にメルボルン空港に到着し、ワクチン接種の有無を明らかにせず大会の主催者らから「免除措置」を受けたと主張していた。豪政府は免除の証拠が不十分としてビザ(査証)を取り消したが、豪裁判所は10日に同選手の入国を認める判断を下した。ホーク豪移民相は14日に再び査証を取り消し、16日に裁判所は政府決定を支持した 。』

ジョコビッチ、全豪出場できず 査証取り消しで出国

ジョコビッチ、全豪出場できず 査証取り消しで出国
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM153P30V10C22A1000000/

『【シドニー=松本史】オーストラリアの裁判所は16日、豪政府がテニスのノバク・ジョコビッチ選手(セルビア)のビザ(査証)を再び取り消した決定を支持する判断を示した。これを受け同選手は国外退去となった。17日に開幕する全豪オープンテニスへの出場は不可能となった。

同選手は16日夕方「非常に失望した」との声明を出した。ロイター通信によると、16日夜のドバイ行きの便で出国した。同選手は全豪オープンでの4連覇と前人未到の四大大会21度目の優勝を目指していた。男子ツアーを統括するATPは16日「大会にとって損失」との声明を発表した。

同選手は新型コロナウイルスのワクチン接種の有無を明らかにせず大会の主催者らから「免除措置」を受けたと主張していた。一度は裁判所が査証取り消しは無効と判断したが、モリソン豪政権は強硬姿勢を堅持した。

新型コロナに関する厳しい規制下で生活してきた国民感情に配慮した。豪紙「エイジ」週末版などが実施した世論調査では、回答者の71%がジョコビッチ選手の豪州滞在を認めるべきではないと答えた。法律の規定で同選手は今後3年間の豪入国が禁じられる。

モリソン首相は16日の声明で「我々の国境(管理)を強固に保ち、豪州人の安全を守るものだ」と裁判所の判断を歓迎した。「豪州人はパンデミックの間、多大な犠牲を払ってきた。その犠牲がもたらした(低い死亡率などの)成果が守られることを求めている」と強調した。

ジョコビッチ選手はスペインからドバイ経由で5日深夜に豪メルボルンに到着した。豪政府は6日、同選手が主張する「免除」の証拠が不十分だとして査証を取り消した。同選手側が即日裁判所に処分取り消しを求め、10日に豪裁判所は同選手の入国を認める判断を示していた。これに対してホーク豪移民相は14日「公共の利益」などを理由に再度同選手の査証を取り消し、2度目の法廷闘争となっていた。

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鈴木一人
東京大学 公共政策大学院 教授
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ひとこと解説

豪州の裁判所の判断は「公共の利益」と言われているが、具体的にはテニスの世界的プレーヤーが反ワクチン主義を宣伝することが社会に対する脅威だという判断。

しかし、豪州政府の混乱により、世界的な話題になってしまったため、むしろジョコビッチ選手の反ワクチン姿勢がよく知られるところとなり、豪州だけでなく世界的に宣伝することになってしまった。

もともとはビクトリア州政府が感染経験のある人はワクチン接種を免除されるという、あまり科学的に根拠のない規制に基づいて入国許可を出したところから始まった大騒ぎ。

2022年1月17日 12:33』

カナダ・ケベック州、接種拒否なら「コロナ税」

カナダ・ケベック州、接種拒否なら「コロナ税」
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN1200T0S2A110C2000000/

 ※ 導入されれば、「世界初」だろう…。

 ※ 「反ワク」は、「社会の敵」認定ということだ…。

『【ニューヨーク=野村優子】カナダのケベック州は11日、医療上の理由以外で新型コロナウイルスワクチンの接種を拒否した住民に対して、「健康負担金」を求めることを検討していることを明らかにした。

ケベック州が変異型「オミクロン型」の感染拡大で、深刻な医療従事者不足に陥っていることに対応する。会見した同州のフランソワ・ルゴー首相は「ワクチンはウイルスと戦う上で必要だ。医療上の理由以外で接種を拒否する成人に、健康負担金を検討している」と述べた。

特にワクチン未接種者が医療機関に負担を与えているとした。州内の未接種者の割合は約10%だが、集中治療室(ICU)の患者では50%を占めるという。一部の医療機関では、医療従事者を確保するために手術の80%が中止された。医療上の理由でワクチンを接種できない人は、免除されるという。』

ウイルス共存へ最低3年 レッドフィールドCDC前所長

ウイルス共存へ最低3年 レッドフィールドCDC前所長
コロナと世界 針路を聞く(1)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN23F090T21C21A2000000/

『感染が世界に広がり、3年目に突入した新型コロナウイルス。各界の第一人者や論客に意見を聞く。初回は米疾病対策センター(CDC)前所長のロバート・レッドフィールド氏。今後のワクチン接種や検査のあるべき姿、経済や教育を継続するための手法、事態収束への道筋などを示してもらった。さらなる感染症のリスクについても見解を求めた。

レッドフィールドCDC前所長

急速に広がるオミクロン型への対応で最も重要なのは依然としてワクチンの接種だ。ワクチンは時間の経過とともに効果が下がる。持続性の高い次世代ワクチンが開発されるまで、これから何度も打ち続けるのだろう。

いま開発を急ぐべきなのは信頼性の高い「免疫検査」だ。私と妻は同時に接種を受けたが、抗体の量を調べたら結果が大きく違った。追加接種を時期で判断するのは無意味だ。各個人が免疫の有無を年3~4回調べて、いつ次を打つか判断できるのが望ましい。

定期的な感染の検査が不可欠だ。無症状の陽性者をあぶりだし、感染の連鎖を止める必要がある。例えば学校で週2回の検査をして、陽性者は家に居てもらうといった具合だ。

安全で責任ある形で経済を回し、学校を開き続ける手段はある。飲食店であれば立食はなくし、席の間隔を空ける。唾が飛ぶような大声で話さずに済むよう音楽の音量を下げる。単純に店を閉めるのは間違いだ。

「集団免疫」は当初から新型コロナには通用しないと考えていた。感染したり、ワクチン接種を受けたりしても予防効果が長続きしないからだ。感染しにくい集団と感染しやすい集団が常に存在することになる。

このウイルスは人類が地球にいる限り、存在し続けるだろう。消えることはない。うまく共存する方法を学ぶことが大切だ。ワクチン、感染や免疫に関する知識、抗ウイルス薬など、我々は共存するなかで対抗策を見つけていくべきだ。

失望する必要はない。このウイルスは変化している。既にオミクロン型は発病の方法が大きく変わり、従来の肺ではなく気管上部で複製しているようだ。最終的に喉や鼻で複製するようになれば、普通の風邪と同じようになる可能性がある。

新型コロナと共存する手段をすべて手に入れるには3~5年かかるだろう。抗ウイルス薬の開発や検査能力が拡大すれば2022年はより平穏な年になる。ただ今後2~3年「新型コロナからどう自分を守るか」を考え続けることになる。

新型コロナは「大パンデミック(感染症の大流行)」ではない。いまできる最も重要なことは大パンデミックへの準備だ。より深刻な呼吸器系のパンデミックに直面する高いリスクがあり、それは鳥インフルエンザの可能性が高い。

幸い我々はメッセンジャーRNAの技術を獲得し、ワクチンを数年単位ではなく数週間で開発できるようになった。次のパンデミックに向けてワクチン、検査、抗ウイルス薬の生産能力を高めなければいけない。

(聞き手はワシントン=鳳山太成)

Robert Redfield 2018~21年にトランプ米政権でCDC所長。エイズウイルス(HIV)の臨床研究で知られる。米陸軍の医療部隊に20年間所属した。現在は公衆衛生当局に助言する会社AMの上級医療顧問

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上野泰也
みずほ証券 チーフマーケットエコノミスト
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分析・考察

レッドフィールド氏の「いま開発を急ぐべきなのは信頼性の高い『免疫検査』だ」という主張は傾聴に値する。

ワクチン接種で形成された抗体の持続期間には個人差があり、年齢が同じでもブースター接種が必要かどうかは変わってくる。個人の実情を把握する手法の普及が必要という主張である。

国内で24日に新型コロナウイルス経口治療薬が初承認されたが、重症化や死亡のリスクを減らす効果は30%程度にとどまり、医療の専門家からの評価は「ないより良い」といったものである。

有効性が高い経口治療薬の開発・普及までにはまだ時間が必要であり、それまでの間はワクチン接種をグローバルに展開することによる「時間稼ぎ」が必要になる。

2021年12月27日 8:41

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詫摩佳代
東京都立大学 法学部教授
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分析・考察

先週のWSJの記事でも、新型コロナのパンデミックはいずれエンデミックに移行するだろう、ウイルスのリスクをゼロにすることはできないが、感染が続いても社会が混乱することがない状態に持っていくことは可能であり、そのような状態がどれだけ早くに訪れるかは、ウイルスと社会の綱引きだという専門家のコメントが紹介されていました。

https://www.wsj.com/articles/covid-19-marches-toward-endemic-status-in-u-s-as-omicron-spreads-11640255407?page=1

そのためにも、社会のウイルスに対するコントロール能力を高めることが不可欠です。日本に関しては、検査の拡充やワクチン開発・量産体制など、多くの課題がありそうです。
2021年12月27日 9:50 (2021年12月27日 9:51更新) 』

モデルナ、3回目接種「オミクロン型に有効」

モデルナ、3回目接種「オミクロン型に有効」
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC20AP20Q1A221C2000000/

『米バイオ企業モデルナは20日、同社の新型コロナウイルスワクチンについて、3回目接種をした場合に新たな変異型「オミクロン型」に対する体内の抗体が大幅に増えたとする臨床研究の結果を発表した。

同社によると、2回接種を終えた人はオミクロン型の感染を防ぐ「中和抗体」の量が少ないが、3回目として1~2回目の接種量の半分にあたる50マイクログラム(マイクロは100万分の1)を接種したところ、29日後に中和抗体が約37倍に増えた。また、1~2回目と同等の100マイクログラムを接種した場合は約83倍に増えたという。

2回接種からどの程度経過した人を研究対象としたのかや、2回接種時点でのオミクロン型への予防効果は明らかにしていない。

3回目接種によりオミクロン型の感染や重症化に対してどの程度の予防効果が得られるかはまだ分かっていない。ただ、スティーブン・ホーグ社長は同日の投資家向け説明会で「中和抗体の増え方と感染や重症化、死亡への予防効果は相関関係にある」と、予防効果が期待できることを示唆した。

モデルナは既にオミクロン型に特化した新たなワクチンの開発に着手している。今後ウイルスの変異がさらに進み人の免疫を回避する可能性があることから、新しいワクチンの開発は継続する。同日、2022年初めにも臨床試験(治験)入りする計画を明らかにした。

オミクロン型へのワクチンの予防効果を巡っては、米ファイザーが8日、ワクチンを接種した人の血液を使った初期調査の結果を発表。3回目の追加接種を受けてから1カ月経過した人の血液は、オミクロン型を防ぐ抗体の量が2回接種した人の25倍に増えたという。ファイザーとモデルナの実験は前提条件が異なるため、単純比較はできない。

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・ここまで分かったオミクロン型 感染力は?ワクチンは?
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ここまで分かったオミクロン型 感染力は?ワクチンは?

ここまで分かったオミクロン型 感染力は?ワクチンは?
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC16DVQ0W1A211C2000000/

 ※ 今日は、こんなところで…。

『新型コロナウイルスの新たな変異型「オミクロン型」の感染が南アフリカだけでなく、英国やデンマークなど各国で急速に広がっている。日本でも入国者や濃厚接触者での感染確認が増えてきている。オミクロン型の性質について、これまでの分析や実験で明らかになってきたことをまとめた。

感染力は?

オミクロン型の感染力は非常に強く、デルタ型を上回る可能性がある。世界保健機関(WHO)によると、70を超える国・地域でオミクロン型の感染者が報告されている。海外渡航に関係した感染例だけでなく、市中感染が広がる国も増えている。

京都大学の西浦博教授らが11月1日~12月7日のデンマークのデータを分析したところ、オミクロン型の実効再生産数はデルタ型の約4倍だった。実効再生産数は1人の感染者から平均何人にうつるかを計算した値で、感染拡大スピードを表す。オミクロン型は累計感染者数が約1.4日で倍増するという猛烈なスピードで拡大している。

英保健安全局が10日に公表した初期報告によると、感染者から家庭内の接触者にうつる二次感染リスクはデルタ型の10.7%に対し、オミクロン型では21.6%と約2倍だった。家庭内の二次感染リスクは追跡しやすいため、ウイルスの感染力を調べる重要な指標とされている。ただ、今回の初期分析では感染者や接触者のワクチン接種歴や感染歴などを考慮していないため、免疫の影響は分からない。

ウイルスの真の感染力は、免疫を持たない集団で1人の感染者から平均何人にうつるかを示す「基本再生産数」で比べる。しかし、感染やワクチンによって免疫を持つ人が増えている現在の状況では基本再生産数の分析は難しい。デルタ型の基本再生産数は約5で、従来型の新型コロナウイルスの約2倍と推定されているが、オミクロン型の基本再生産数は今のところ不明だ。

重症度は?

オミクロン型に感染した場合の重症度については、まだ観察期間が短い初期データの段階で、はっきりしたことは分からない。感染から数週間たって重症化する場合もあることから、より長期のデータが集まるのを待つ必要がある。ただ、これまでに重症者の急増は確認されておらず、重症化リスクが高いというわけではなさそうだ。

欧州連合(EU)の専門機関である欧州疾病予防管理センター(ECDC)によると16日時点で、欧州では重症度のデータがある症例はすべて無症状か軽症で、死亡例は報告されていない。英国では14日までに1人が死亡している。

南ア最大の民間保険会社ディスカバリー・ヘルスが14日に公表した分析では、オミクロン型の流行が始まった時期の成人の入院リスクは、従来型の流行と比べて29%低いという。ただ、南アでは大半の人が感染によって免疫を獲得しており、免疫が重症化を抑えている可能性がある。

オミクロン型の重症化リスクが仮に高くないとしても、感染拡大スピードが著しく速いことから、医療や検査などの逼迫が懸念される。WHOのテドロス事務局長は14日の記者会見で「重症になることもありうる。症状が軽いと決めつける人がいることを懸念している」と危機感をあらわにした。

テドロス事務局長=ロイター

香港大学の研究チームは、人から採取した組織を使ってウイルスを培養する実験で、オミクロン型は気管支ではデルタ型や従来型の70倍以上に増殖するが、肺では増えにくいとする研究結果を公表した。オミクロン型の重症化リスクが本当に低いとすれば、肺で増殖しにくいことが関係している可能性もあるが、あくまで試験管レベルの培養実験にとどまる。東邦大学の舘田一博教授は「実際に人の肺の中で起こっているのかは分からない。今後の検証が必要だ」と指摘する。

再感染しやすい?

オミクロン型は免疫をすり抜けて感染する「免疫逃避」の性質が強い。過去に新型コロナに感染した人の免疫が突破されて再感染するリスクは高くなっているようだ。

英保健安全局が11月20日~12月5日のデータを調べた初期分析によると、オミクロン型の感染者361人のうち25人が新型コロナへの再感染、デルタ型では約8万5千人のうち336人が再感染だった。年齢や地域などの要因を統計処理すると、オミクロン型の再感染リスクはデルタ型の5.2倍(3.4~7.6倍)となった。

南アのステレンボッシュ大学と国立感染症研究所なども、オミクロン型による再感染はデルタ型や南アで見つかったベータ型よりも起こりやすいとの分析を出している。英オックスフォード大学のジェームス・ネイスミス教授は「過去に感染したことがあるだけでは、オミクロン型の感染に対する免疫力はほとんどない」と話す。

ワクチンの2回接種の効果は?

オミクロン型の免疫逃避によって、ワクチンの効果が下がっているとの分析が増えている。特に感染予防や発症予防の効果は大幅に低下している可能性が高い。一方、重症化や死亡を防ぐ効果はある程度高いまま維持されているとの見方が強い。

英保健安全局などの初期分析によると、米ファイザー製ワクチンの発症予防効果は2回目接種から2~9週間後の人では88%(65.9~95.8)だが、10~14週間後では48.5%(24.3~65)、15週間以上たった人では30%台まで下がっている。英アストラゼネカ製ワクチンではさらに低下が顕著で、2回目接種から15週間以上たった人では発症を防ぐ効果がみられなかった。

英国ではワクチン接種が進む=ロイター

南アの民間保険会社ディスカバリー・ヘルスはファイザー製ワクチンの2回接種について、オミクロン型の流行が始まった時期の感染予防効果は33%で、デルタ型の流行期の80%より低いとの分析を公表している。一方、入院予防効果は70%で、デルタ型流行期の93%と比べれば下がっているものの「非常に優れた防御」だとしている。

ワクチン接種を完了した人の「ブレークスルー感染」は各国で確認されている。米疾病対策センター(CDC)は10日、オミクロン型の感染者43人の症例を分析した報告を公表。43人のうち8割はブレークスルー感染で、そのうち14人は追加接種も受けていた。ノルウェーでは、クリスマスパーティーの参加者で100人近い規模のブレークスルー感染のクラスター(感染者集団)が発生している。

長崎大学の森内浩幸教授によると「ワクチンはもともと(新型コロナの流行が初めて確認された)中国・武漢のウイルスに合わせて作ってある。変異を繰り返すと、ワクチンによって作られる抗体のうちウイルスに結合できないものが増えてしまう」という。一方で「抗体とは別の免疫の仕組みである細胞性免疫はウイルスの変異に耐えやすく、重症化を防ぐ効果は保たれやすい」と指摘する。

追加接種の効果は?

オミクロン型に対しても、ワクチンの追加接種(ブースター接種)によって発症予防効果の回復が期待できるようだ。英保健安全局などの初期分析によると、ファイザー製かアストラゼネカ製の2回接種の後にファイザー製の追加接種を受けた人では、70~75%程度の発症予防効果があった。

ワクチン接種を受けた人の血液を使った試験管レベルの実験でも、感染防御で働く「中和抗体」の効果が追加接種によって高まることが確認されている。米モデルナ製についても、米マサチューセッツ工科大学などのグループ、米国立アレルギー感染症研究所などのグループがそれぞれ査読前の研究結果を発表している。従来型ウイルスに比べると中和抗体の効果は低いものの、2回接種後と比べて大幅に改善した。

一般に、追加接種では中和抗体を含む抗体の量が増えるだけでなく、ウイルスに感染した細胞を排除する免疫細胞の働きなども強化される。感染や発症だけでなく、重症化を防ぐ効果も高くなると考えられている。

バイデン米政権のファウチ首席医療顧問は追加接種が依然有効だと指摘し、オミクロン型に特化したワクチンは「現時点で必要ない」との見方を示している。東京農工大学の水谷哲也教授は「特化したワクチンが必要かどうかは、オミクロン型の病原性の高さによって変わる。高くなければ既存ワクチンの追加接種を続けたほうがよい。だが高いと分かれば、特化したワクチンを接種したほうがよいだろう」と話す。

治療薬の効果は?

まだ実験データは限られているが、薬の種類によってオミクロン型の影響はかなりの違いが出てきそうだ。飲み薬では一定の効果があると期待できる一方、一部の抗体薬では効果の低下が懸念される。

ファイザーが開発中の「パクスロビド」は2種類の飲み薬を合わせて服用する。同社の初期段階の実験では、このうち1剤がオミクロン型ウイルスの「プロテアーゼ」と呼ぶ酵素の働きを抑え、ウイルスの複製を阻止する効果を確認したという。

ファイザーが開発中の「パクスロビド」=ロイター

英グラクソ・スミスクライン(GSK)は抗体医薬「ゼビュディ(ソトロビマブ)」について、オミクロン型の疑似ウイルスで効果を確認した。

だが、2種類の抗体を使う米リジェネロン・ファーマシューティカルズの抗体カクテル療法「ロナプリーブ(カシリビマブ・イムデビマブ)」は、試験管レベルの実験でウイルスを無力化(中和)する活性がないとの研究が複数出ている。感染者に実際に投与した場合の効果はまだ分からないが、効きにくくなっている可能性がある。

抗体薬で影響に違いが出ているのは、抗体が標的とするウイルスたんぱく質の部位が異なるからだと考えられる。ウイルスの変異によって標的部位のたんぱく質の構造が変化し抗体が結合しにくくなれば、薬としての効果が下がる恐れがある。(越川智瑛、落合修平、尾崎達也)』

自分は優れていると信じ込んだ人は、「専門家の意見より自分の考えの方が正しい」と考えたりする…。

自分は優れていると信じ込んだ人は、「専門家の意見より自分の考えの方が正しい」と考えたりする…。

「人がワクチン接種を拒否するのは一体なぜ?」を心理学者が解説 – GIGAZINE
https://gigazine.net/news/20211205-delay-vaccinated-denial-covid/

『ワクチンの接種を受けることをためったり拒否したりする「ワクチン忌避」は、新型コロナウイルス感染症の発生前からWHOによって「世界的な健康に対する脅威」のトップ10の1つに指定されているほど、公衆衛生の重大な課題となっています。そこで、人がワクチン接種をためらう理由について、心理学の専門家が解説しました。

Why do some people delay getting vaccinated or pretend COVID doesn’t exist? Paradoxically, denial of death
https://theconversation.com/why-do-some-people-delay-getting-vaccinated-or-pretend-covid-doesnt-exist-paradoxically-denial-of-death-168485

オーストラリアで行われた調査の結果、「ワクチンの接種を受ける可能性はない」もしくは「可能性は低い」と回答したオーストラリア人はわずか9%だったことから、同国のメディアは「ワクチンに対して恐怖を覚える人は記録的な少なさとなった」と報じました。
しかし、オーストラリアのシドニー工科大学で心理学を教えているロス・メンジーズ教授と、同校の臨床心理士であるレイチェル・メンジーズ氏によると、オーストラリアでは医療従事者をはじめ教師や建設労働者など幅広い職業でワクチン接種が義務づけられているため、前述のアンケートでは「ワクチンの接種に忌避感を覚える人が少なくなった」とは言えないとのこと。

またオーストラリアでは、ワクチンの接種が済んでいない人がジム・プール・小売店・美容院・ネイルサロン・パブ・動物園・映画館・劇場・美術館・ギャラリーなどに立ち入ることが禁止されています。こうした厳しい制限措置は、そこまでしなければオーストラリアでワクチンの接種者が増えないことの裏返しだと、メンジーズ氏らは指摘しています。
WHOは、ワクチン忌避が発生する原因の1つは「現状に対する満足感」であるとしています。2021年11月の時点で、新型コロナウイルス感染症により世界で500万人が命を落としているという現状は、とても満足できるようなものではないように思えますが、この矛盾は「恐怖管理理論(Terror management theory)」という理論で説明がつくとのこと。

「恐怖管理理論」とは、死という耐えがたい恐怖から逃れようとしている人は、「自分は正しくて優れている特別な存在だ」と考えるという理論です。例えば、恐怖管理理論について検証した164件の論文をメタアナリシスにより分析した2010年の研究では、死について考えた人は自分の自由や文化的・宗教的信念を守ろうとする防衛反応を見せることが分かっています。

自分は優れていると信じ込んだ人は、「専門家の意見より自分の考えの方が正しい」と考えたり、「他人は死ぬかもしれないが自分はきっと死なないはず」と思ったりします。実際に、新型コロナウイルス感染症の被害が最も大きいアメリカで実施された調査により、何らかの宗教を信じているアメリカ人の55%が、程度の差はあるものの「神がウイルスから自分を守ってくれる」と考える傾向を持っていることが判明しました。

死への恐怖を紛らわせるために自分の正しさや特別さに固執した結果、その人はワクチン接種の重要性を説く科学者の意見が受け入れられなくなり、死のリスクを低減させるはずのワクチンに対しても拒否感を覚えるようになります。このことからメンジーズ氏らは、「人々が自分自身の本当の姿を見ようとしない限り、ワクチン接種へのためらいは公衆衛生上の問題であり続けるでしょう」と結論づけました。』

オミクロン株 南ア医師“デルタ株と症状異なり 呼吸困難ない”

オミクロン株 南ア医師“デルタ株と症状異なり 呼吸困難ない”
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20211203/k10013373951000.html?utm_int=news-new_contents_list-items_024

『 オミクロン株 南ア医師“デルタ株と症状異なり 呼吸困難ない”

2021年12月3日 20時41分

新型コロナの新たな変異ウイルスオミクロン株の存在を最初に発表した南アフリカでは、感染が急速に拡大しています。

NHKの取材に応じた地元の医師は、オミクロン株とみられる感染者はデルタ株とみられる感染者と多くが症状が異なり、呼吸困難に陥っていない、などと証言しました。

南アフリカでは、2日に確認された新型コロナウイルスの新規感染者が1万1535人とこの2週間ほどで30倍以上に増えています。

NHKの取材に応じた首都プレトリア近郊の医師、モゼセ・ポアーネさんは保健当局によるウイルスのサンプル調査で、ことし9月には全体の91%がデルタ株だったのに対し、先月には74%がオミクロン株だったことから、ことし9月以前に診察した患者はデルタ株に感染し、この1週間余りで診察した7人の患者はオミクロン株に感染していたとみています。
ポアーネさんは以前のデルタ株とみられる感染者と最近のオミクロン株とみられる感染者は多くが症状が異なると指摘し「冬の間やことしの始めごろ、患者は頭痛、めまい、食欲の減退、体力の低下、せきなどを訴えていたが、せきは肺の奥深くからだった。だから多くが酸素が必要で、入院治療が必要だった。私が今、目にしている傾向は、のどにとどまっているせきで、入院治療の必要がない」と証言しました。

また、ポアーネさんは「先週、診察した感染者のうち、何人かはワクチンを接種済みだった」と述べ、オミクロン株でいわゆるブレイクスルー感染が起きた可能性があるとしています。

一方でその感染者たちの症状は軽いと述べ、オミクロン株に感染してもワクチンが重症化を防いでいるのではないかとの見方を示しました。

オミクロン株の感染力やワクチンの効果に及ぼす影響などはまだ分かっておらず、世界各国の科学者が調査を進めています。』

[FT]3回目接種で明暗 加速した英、出遅れた欧州大陸

[FT]3回目接種で明暗 加速した英、出遅れた欧州大陸
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB260Q60W1A121C2000000/

『欧州で新型コロナウイルスの感染が再び急拡大している一方、秋に西欧諸国の中で最悪の感染状況に見舞われていた英国では、ワクチンの追加接種(ブースター接種)の効果で事態が好転の兆しが見えている。

欧州諸国に先駆け、英国は9月からブースター接種を始めた=ロイター

欧州大陸では新規感染者数や入院患者数が最近急増しているが、ブースター接種をいち早く開始した英国は、欧州で最悪という状況を脱しつつある。

政府発表のデータをフィナンシャル・タイムズ(FT)が分析したところ、日別の人口10万人当たりの新規陽性者数で、英国はベルギーやギリシャなどを含む欧州の上位10カ国のリストから外れた。人口10万人当たりのコロナ関連の死亡率では、英国は欧州平均より40%低くなっている。

英の感染増加率は仏の10分の1

西欧諸国の中には新規感染者率が英国より低い国もあるが、過去1週間の増加率をみると、ドイツの30%、スペインの59%、フランスの83%などと比べて英国は8%増にとどまっている。

英国における感染状況改善の最大の要因はブースター接種キャンペーンの成功だ。専門家や政府関係者によると、他の多くの欧州諸国で感染が再び急増しているのは、ワクチン接種率の低さ、感染によって免疫を獲得した人の割合の低さ、ロックダウン(都市封鎖)解除のタイミングが遅れたことなどの要因が重なったためだ。

フランスの元保健相で現在は国連の高官であるフィリップ・ドストブラジ氏は、FTの取材に、英国が「他の欧州諸国より早くブースター接種に取り組んだ」ことは「賢明な政策」だったと述べた。

英国では対象となる60歳以上の人口の80%近くがブースター接種を受けたことで、過去2週間に医療機関の逼迫状況がかなり改善した。2回目のワクチン接種から6カ月以上たっている人のおよそ70%がすでにブースター接種を受けた。ドイツではこの割合が52%、イタリアでは43%となっている。

「英国は長く、幅の広い感染のピークを選んだのに対し、大部分の欧州諸国は期間は短いが高いピークになるような政策を採っている」とベルギーのハッセルト大学のイエルーン・ファン・デル・ヒルスト准教授(免疫病理学)は言う。

「いつかの時点で、ワクチン未接種の人に感染が広がったり、(ワクチン投与後でも感染する)ブレークスルー感染の拡大などの状況に立ち向かわなければならなくなる。英国は、夏に感染が比較的落ち着いていた時期にこれをやったことが功を奏した。他の欧州諸国では現在それをやっている最中だ」

英エジンバラ大学のマーク・ウールハウス教授(感染症疫学)は、「英国ではデルタ株の感染拡大と、ワクチンの免疫効果の低下、そして(冬期の)屋内における対人接触の増加という問題がそれぞれ別々に発生した」と指摘する。

「オーストリアのような国では、それらがすべて同時に発生しており、パーフェクトストーム(複数の災厄の同時襲来)状態になっている」

英国ではワクチンの1回目の接種を受けた人の割合も、深刻な感染状況に陥っている欧州諸国よりも高い。英国では12歳以上のワクチン未接種の人の割合は13%にすぎないが、ドイツやオーストリアでは20%を超える。

英のコロナ戦略にも「マイナス面」

しかし、英ロンドン大学衛生熱帯医学大学院で感染症の数理モデルを研究するジョン・エドマンズ教授は、英国のコロナ戦略は「マイナス面がなかったわけではない」と指摘する。

英国が夏にコロナウイルス対策の規制を全面的に解除してからの死者数は1万5000人に達し、10万人以上が入院した。

7月中旬から10月に欧州での感染急拡大が始まるまでの期間、英国における人口当たりの死者数は欧州で5番目に高かった。ただし、その後東欧で死者数が急増した結果、この順位はいくつか下がった。

スペインやポルトガルなど、ワクチン接種率がより高く、感染率が低く、マスク着用などの規制がまだ実施されている国は「はるかに良い状況にある」とエドマンズ氏は言う。

ウールハウス氏は、夏以降に感染が広がった結果、英国では「自然にウイルスにさらされた人の数が非常に多い」とし、免疫を獲得した人の割合が欧州で「最高水準」に達していると語る。

ドイツのゲッティンゲンにあるマックス・プランク動力学および自己組織化研究所の研究員、ビオラ・プリーゼマン氏は、英独の対応が対照的だったのは「異なるリスク計算」によるものだと言う。

ドイツでは、日々の新規感染者数が英国の水準に近づいており、引退するメルケル首相が現在の措置では「不十分」だと今週警告する事態となっている。対照的に英ジョンソン首相は今週、「プランBに移行しなければならないことを示唆するデータはない」と強気の姿勢を示した。

英、独で異なる医療逼迫に対する姿勢

「医療機関の逼迫状態に対する姿勢が根本的に違う」とプリーゼマン氏は言う。

英製薬大手アストラゼネカのパスカル・ソリオ最高経営責任者(CEO)は今週、英国における入院患者の数が多くの欧州諸国より低いことについて、同社とオックスフォード大学とが共同で開発したワクチンは、高齢者が重症化することを防ぐ効果がより長く持続すると主張した。

しかし、英インペリアル・カレッジ・ロンドンのダニー・アルトマン教授(免疫学)は、「英国とドイツなどとの違いをたった1つの要因で説明しようとするのは無謀だ」と話す。

プリーゼマン氏は、オックスフォード大学とアストラゼネカが開発したワクチンでは、「免疫効果がより劇的に弱まる」ことも、おそらく、英国がブースター接種キャンペーンから「より多くの効果を得られる」理由だろうと語った。

英キングス・カレッジ・ロンドンのティム・スペクター教授(遺伝疫学)は、ブースター接種を受けた人の中でこの冬にコロナ感染で入院する人の数は「ごく少数」だろうと予測する。

英国保健安全保障庁によると、最初にアストラゼネカのワクチンを接種し、米製薬大手ファイザーと独バイオ医薬品企業ビオンテックとが共同開発したワクチンのブースター接種を受けた50歳以上で発症の予防効果は2週間後に93.1%、ファイザーのワクチンを最初に接種した場合は94%だった。

「(ブースター接種者の治療を)考慮する必要がなくなれば、医療システムにとって非常に大きいだろう」とスペクター氏は話した。

ベルン大学の疫学研究者でスイス政府のコロナ対策専門家チームのメンバーであるニコラ・ロー氏は、パンデミックの急性期を克服するのには「極めて長い時間がかかるので、3回目の接種は非常に重要だ」と語る。

「実のところ、もはやブースターという言葉を使うのをやめて、3回目の接種と言い換えるべきだろう。3回接種はウイルスから身を守るのに必要だということになる可能性が高いからだ」

By Oliver Barnes, John Burn-Murdoch and Sam Jones

(2021年11月24日付 英フィナンシャル・タイムズ電子版 https://www.ft.com/)

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各国で紛争に発展するワクチン・パスポート : 机上空間

各国で紛争に発展するワクチン・パスポート : 机上空間
http://blog.livedoor.jp/goldentail/archives/27264133.html 

 ※ コロナがあぶり出したものとして、「厳然たる格差」「政府の無策」の他に、もう一つある…。

 ※ それは、「グローバル経済の知らないうちの浸透」だ…。

 ※ 世界は、知らないうちに、深く結びついて、「相互依存の世界」になっていた…。
 ※ 日本の誇る自動車産業も、東南アジアの部品供給に目詰まりを起こして、減産を強いられる…。もちろん、「半導体の供給不足の問題」もあるが…。

 ※ コンテナ輸送で、商品や部品を取り寄せていたものは、「物流網が機能しない」と、お手上げだ…。

 ※ こういう問題は、日本一国が「感染者の激減で、もはや収束だ!バンザーイ!」しても、何の解決にもならない…。

 ※ グローバルに収束するのを、待つ他はない…。

 ※ そういうことなんで、それまでは、ひたすら「国内経済回して」じっと耐え忍んで、時を稼ぐしかない…。

 ※ 「インバウンド需要の取り込み」なんてのは、一体いつのことになるのか…。

 ※ 「カジノを含む統合型リゾート構想」「大阪万博を、関西経済の起爆剤に!」なんてのは、全てポシャリだ…。

 ※ その前に、「東京オリパラを、日本経済の起爆剤に!」が、見事にポシャったしな…。

 ※ せいぜいが、「Go to トラベル」「Go to 飲食」「クーポン券」「ポイント還元」くらいのものか…。

 ※ 後は、「一律10万円!」の「カネ配り」か…。

 ※ まあ、財務省が許さんだろうしな…。

『除々に最悪から脱しつつある武漢肺炎。経済の復興も本格化してきました。休眠して錆びついていた設備を再稼働するがごとく、各所でシステム的な軋みが発生して、まったく潤滑に動いていません。一つには、国によってパンデミックの事情が、まったく違うという問題があります。そして、グローバル化で、物流が正常に動いている事を前提に組まれていたシステムが、目詰まりを起こして機能していません。

世界は、既に一国の中で全てが片付いていた時代ではなく、何か製品を一つ組み立てるにしても、その部品は、もっとも安く、品質の高い物を取り寄せられる地域から輸入する時代です。消費者は、その恩恵を受けていたわけですが、その前提として物流システムが滞りなく循環している事が条件です。一つでも止まれば、製品は完成せず、何かで代用すれば、コストの上昇に繋がります。

経済が停滞すれば、政権の命脈が断たれる事にもなるので、政府サイドからすれば、一日でも早くパンデミックを終息させなければなりません。その為に、手持ちの手札で、最も早く手が打てるのが、未だ製薬会社から何ら保証も出されていないワクチン接種です。緊急事態という事で、製薬会社に対して、ワクチン接種でどんな副作用が出ても、責任が免除される契約になっています。副作用が出た場合の訴訟の相手は、接種を進めた国になります。

イスラエルは、首相と製薬会社の個人的な伝手と、定価の2倍で買うという契約で、世界で最も早くワクチン接種を始めて、最速で70%の接種率を達成しました。しかし、一度低下した感染者数は、変異株が現れると増加し、ロックダウンの緩和によっても増えました。その為、3度目の接種(ブースター・ショット)を推進しています。

ワクチンの効果が思いの外に早く薄れてきた事に焦った政府は、囲い込むようにワクチンを打たないと生活に支障が出るような政策を打っています。目指しているのは、集団免疫の確保です。イスラエルもワクチン接種を強要できないのですが、ワクチン・パスポートを所持していないと、入れない場所、移動の制限、公務員では出勤制限などを行って、生活に支障が出るようにして、接種圧力を強めています。

ワクチンを打たなくて良い代わりに、PCR検査を2日に一回やって、結果を報告する義務を設けるなど、かなり面倒な制度も始めました。しかも、ワクチンを拒否して行う場合、この検査の費用は自費です。一回に1000円ほどの費用がかかるようです。

学校などでは、感染が確認されると、その学校が3週間閉鎖されるので、クラスの生徒の中で、ワクチン接種をしていない生徒に対する接種圧力が高まっています。「君たちのせいで、学校が閉鎖されて、学習が遅れる」という父兄を巻き込んだ同調圧力ですね。

状況は、バイデン大統領が、大統領令でワクチン接種の義務化を命じたアメリカでも起きています。内容は、イスラエルと同じで、従業員が100人を超える企業に対して義務化し、公務員の場合、接種を拒否すると解雇もありえるとしています。

これに対して、ワクチン接種に対する政策は、州の権限であるとする、いくつかの州が反旗を翻し、義務化に賛同した経営陣に対して、航空会社のパイロットがストライキで抗議をしています。便が欠航になった為、各空港では大混乱が発生して、乗り換えを便を探す旅客でロビーが一杯になりました。

はっきり言ってしまえば、政府の立場としては、強制的にワクチン接種を進めたいのです。どこの政府でもです。しかし、それを言い出す事は、自由主義社会としてタブーを犯す事になるので、世論や制度を総動員して、ワクチン接種圧力を高めていると言えます。

ただし、客観的な事実を言えば、安全性の確認も、可能な範囲でとれているし、感染率を下げた実績もありますが、現在、流通しているワクチンは、製薬会社が副作用に対して、何ら責任を取らない事が確定している物です。普及を急ぐ為の緊急処置として、特例で認められています。

因果関係が証明されていないものの、接種後に死亡した例も報告が出ています。多くの場合は、基礎疾患を持っていたり、高齢だったり、ワクチンが抗体を作る過程の負荷に体が耐えられなかったのではないかと推測されます。また、突貫製造の弊害で、異物混入なんてのもありました。

こういう状況ですので、ワクチンの接種は自由意志とされているのですが、社会生活を続ける上で、事実上、弊害が多すぎて、接種をせざるを得なくなっています。数字にしてしまえば、不都合が起きる確率は、全体に対して低く、集団免疫を得るほうが優先されるというのが、政府の考えです。

こうした効率主義的な政府の態度に対して、各地で暴動が起きています。イタリア、イスラエル、アメリカなど、積極的に報道されないので、なかなか様子が伝わってきませんが、SNSに投稿された現地の様子を撮影した動画などを見ると、結構、本格的な暴動です。

どこのメディアも、基本的にスタンスが政府よりなので、討論会でも結果ありきで進行していて、最終的には未接種の人間は、独りよがりの迷惑な人間という扱いになっています。その為、こうした暴動は、首都で起きない限り、報道すらされません。

ワクチン接種以外に短期で有効な手が無い以上、副作用や接種後死亡例との因果関係も、追跡調査される事も無いでしょうから、実は私達は判断する材料すら持っていません。』

緊急事態宣言・まん延防止の全面解除 政府が決定

緊急事態宣言・まん延防止の全面解除 政府が決定
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA2815S0Y1A920C2000000/

『政府は28日、新型コロナウイルス対策で発令中の緊急事態宣言と「まん延防止等重点措置」を期限の30日で全面解除すると決めた。宣言地域で禁止していた飲食店での酒類提供を全国で解禁する。1カ月ほど行動制限を残し段階的な緩和を探る。経済再開に向け新型コロナとの共存が試される。

政府が28日に首相官邸で開いた新型コロナ対策本部で決定した。これに先立ち、菅義偉首相は衆院議院運営委員会で「感染拡大に対する社会の対応力を高めながら、感染対策と日常生活の回復の両立に取り組んでいく」と強調した。

宣言地域は北海道、茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉、東京、神奈川、岐阜、静岡、愛知、三重、滋賀、京都、大阪、兵庫、広島、福岡、沖縄の19都道府県。重点措置は宮城、福島、石川、岡山、香川、熊本、宮崎、鹿児島の8県だ。

解除が決まれば4月4日以来およそ半年ぶりに全国で宣言と重点措置が発令されていない状況になる。沖縄県は5月、東京都は7月から宣言が継続していた。

宣言地域では飲食店の酒類提供を一律禁止し、営業時間は午後8時までと規定してきた。要請に従わない店舗には新型コロナに対応する新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づき命令や違反者に過料をかけることもできた。

政府は宣言を解除した地域で酒類提供する飲食店について、都道府県などの感染対策に関する認証を受けた店は営業時間を午後9時まで、それ以外は午後8時までとするよう要請する。酒類を出せる店舗や時間は都道府県がこの範囲内で判断する。

宣言や重点措置地域でなくても都道府県の時短要請などは特措法で認めている。命令や違反への過料を適用することはできない。

西村康稔経済財政・再生相は28日、内閣府で記者団に「飲食店に協力をいただけるようしっかりと協力金を支給する」と訴えた。

自治体が出す協力金は、国が必要額の8割を地方創生臨時交付金から財源支援する。自治体とともに店側へ要請を受け入れるよう対応を促す。宣言地域などで活用してきた支援措置を解除後も続ける。

政府は感染の再拡大を防ぐため、宣言解除後は行動制限を段階的に緩和する方針だ。当面は制限を残しつつ感染状況を見ながら経済活動を徐々に再開する。

飲食店の営業時間や酒類提供のほか、イベント開催についても1カ月の経過措置を置く。宣言や重点措置の地域では「定員50%以内かつ上限5千人」と制限してきた。解除後は「定員50%以内かつ上限1万人」を基準とする。

10月以降は接種証明を活用した飲食店などでの実証実験を進める。ワクチンの接種歴や検査での陰性証明を活用して制限をさらに緩和する仕組みだ。基本的対処方針では「技術実証に際しては行動制限の緩和は特例的に取り扱う」と明記した。

経過措置や実証結果を踏まえた緩和の進め方は首相の退陣後、10月4日にも発足する次期政権で判断する。首相は「次の政権にもしっかり引き継いでほしい」と話した。

冬の到来を念頭に第6波の備えも必要になる。基本的対処方針には「臨時の医療施設の開設」などが必要と記した。田村憲久厚生労働相は足元の感染動向について「また増えてくる可能性は十分にある」と指摘する。

行動制限が急に緩めばリバウンドを招きかねないと専門家は懸念する。無症状の人が感染を広げるリスクもあり、検査の拡充が必要になる。国と地方、医療現場、民間で総力をあげて新型コロナとの共存を可能にする体制づくりが求められる。

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[FT]デルタ型急増で高まる中国製ワクチンへの懸念

[FT]デルタ型急増で高まる中国製ワクチンへの懸念
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB113JT0R10C21A8000000/

『中国では新型コロナウイルスの感染が再拡大し、湖北省武漢市で最初の感染が確認されて以来、最悪の状況に陥っている。国産ワクチンの有効性に関するデータが不足するなかで、その品質を巡る懸念も高まっている。

中国製ワクチンの変異ウイルスに対する持続的な有効性は現時点で証明されていない=ロイター

中国国家衛生健康委員会が9日発表した新型コロナの新規市中感染者数は94人となり、中国本土で確認された感染者数は計1603人に達した。

このうち数百人は7月に東部の江蘇省南京市の国際空港から広がったインド型(デルタ型)の変異ウイルスの感染が疑われている。中国ではこの1年間、クラスター(感染者集団)を小規模かつ局所的に抑え込んできたが、ここに来て新たな感染が全土に急拡大している。

中国では国有医薬大手の中国医薬集団(シノファーム)と民間の中国科興控股生物技術(シノバック・バイオテック)の2社が新型コロナワクチンを製造しているが、急増するデルタ型ウイルスに対する有効性を証明する厳密な研究は公表されておらず、実際に効くのかどうかに注目が集まっている。

新たに出現する変異ウイルスに対する有効性が低下するとなれば、すべてのワクチンにとって問題だ。だが、「独ビオンテック・米ファイザー」や「英オックスフォード大・アストラゼネカ」、米モデルナ製のワクチンと異なり、中国製ワクチンのデルタ型への有効性に関する研究結果は専門家の厳格な査読を受けた国際的学術誌には発表されていない。
公の場での議論は禁物
武漢市では再び感染者が確認されたのを受け、全住民への抗体検査が実施された=ロイター

しかも中国ではこの問題を公的な場で議論することがタブー視されている。

中国共産党の機関紙、人民日報の記者は先週の記者会見で南京市の保健当局に対し、最近発生した感染者のうちワクチン接種後に感染する「ブレイクスルー感染」は何件あったか質問した。

当局はその内訳を公表しなかったばかりか、事情に詳しい関係者によると、この記者はそれから1時間もたたないうちに上司から懲戒処分を受けた。

米外交問題評議会(CFR)のグローバルヘルス担当上席研究員、黄厳忠氏は南京市当局が当該データを保有していたはずだと指摘する。中国政府はワクチンの接種状況を詳細に追跡し、個人の行動履歴情報をデジタルで管理する「健康コード」システムとリンクさせているからだ。

「デリケートな話題」だからこそ、当局が質問への回答を避けたと黄氏はみている。

発症予防率は低下

中国の公衆衛生の専門家は中国製ワクチンについて新たな変異ウイルスにも有効だと主張する。だが一方で、発症予防率が低下している点は認めているため、今後の接種推進活動に支障を来す恐れもある。

黄氏は「有効性の低下を示すデータを公表すれば、集団免疫を獲得する時期が遅れるかもしれないとのメッセージを国内に発信することになる」と語った。

中国の感染症専門家である張文宏氏は先週、上海の空港で最近発生した感染にブレイクスルー感染者が含まれていることを認めた。ただ、濃厚接触による感染者が出なかったため、引き続きワクチンはまん延防止に有効だと強調した。

中国国務院(政府)高官によると、過去1年以内にワクチン接種を受けた人には3度目の接種(ブースター接種)はほぼ必要ないことがこれまでの研究で示されている。とはいえ、高齢や基礎疾患など高いリスクを抱える人には追加接種を検討するという。

中国のワクチン接種率は当初低調だったが、政府のインセンティブや感染再拡大への不安を背景に足元では急速に進み、7日時点で17億7000万回分が投与された。

5億7000万回分を100カ国に輸出

北京を拠点とする調査会社ブリッジ・コンサルティングによると、世界保健機関(WHO)がシノバック製とシノファーム製のワクチンを今年承認したのを機に、5億7000万回分が100カ国以上に出荷された。

しかし、新たな変異ウイルスに対する持続的な有効性が証明できていないため、途上国にワクチンを供給する中国政府の取り組みが頓挫する可能性もある。中国本土以外で行われた初期の研究をみても一致した結論は出ていない。

7月に米医学誌ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシンに掲載されたチリのワクチン接種に関する研究によると、シノバック製ワクチンはブラジルで最初に確認されたガンマ型を含む変異ウイルスに対して66%の発症予防効果、88%の重症化予防効果を発揮した。

一方、査読を経ずに発表されたスリランカの別の研究では、シノファーム製ワクチンを282人の被験者に接種したところ、デルタ型については自然感染と同程度の抗体反応が得られた。

それ以外の研究結果は望み薄だ。中国政府の委託で香港大学が医療従事者を対象に実施した最近の研究では、ビオンテック製ワクチンを2回接種した方が、シノバック製を2回接種したより約10倍の中和抗体を獲得できた。

接種戦略を修正する国も

インドネシアではシノバック製ワクチンの接種を受けた医師数百人が感染したのを受け、モデルナ製の追加接種を開始した=ロイター

確実なデータが十分に得られないなかで、ワクチン接種計画の大半を中国製が占める一部の国では接種戦略の修正に動き始めている。

7月に公表された査読前の研究論文によると、シノバック製ワクチンによって体内で作られた中和抗体は6カ月後に著しく減少した。基準値を上回る抗体量を検出できた被験者は全体の約3分の1にとどまったという。

だが、2回目を接種した約6カ月後に3回目を接種したグループの抗体量は、追加接種を受けなかったグループの5倍に上昇した。

アラブ首長国連邦(UAE)とトルコは一部の人を対象に中国製ワクチンの3回目接種を実施済みで、モンゴルも同じ戦略を今月採用する方針だ。

フィリピンとタイはこれに追随するか、または中国製と他のワクチンの混合接種にするかを近く決定する。

インドネシアでは、シノバック製ワクチンの接種を受けた医師数百人がその後に感染したのを受け、医療従事者を対象にモデルナ製の追加接種を開始した。マレーシアは7月、シノバック製の使用を供給分がなくなり次第打ち切ると発表した。

香港政府のコロナ対策顧問を務める許樹昌(デビッド・ホイ)氏は、シノバック製ワクチンを2回接種した人を対象に追加接種の影響を調査することを明らかにした。許氏は英フィナンシャル・タイムズ(FT)の取材に対し、「追加接種をシノバック製とビオンテック製のどちらにすべきか、これから実証していく」と語った。

By Christian Shepherd and Primrose Riordan

(2021年8月10日付 英フィナンシャル・タイムズ電子版 https://www.ft.com/)

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接種7割では集団免疫難しく

接種7割では集団免疫難しく デルタ型で目安8割超に
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC029TZ0S1A800C2000000/

『新型コロナウイルスのインド型(デルタ型)の広がりで、ワクチンによる集団免疫の獲得が遠のいている。従来型ウイルスでは人口の6~7割の接種が目安とされたが、デルタ型は8~9割に上がった公算が大きい。接種率を最大限に上げる努力を続けつつ、コロナとの共存も視野に入れた出口戦略が必要になる。

「国民の70%が接種しても、恐らく残りの30%が防護されることにはならない」。政府の新型コロナ対策分科会の尾身茂会長は7月29日、こう述べた。実際、人口の6~7割が2回接種したイスラエルやアイスランドでもデルタ型の感染者が増えている。

日本政府によると国内で9日までに2回接種した人の割合は34%。月内の4割到達をめざす。
集団免疫とは免疫を持つ人が一定以上の割合になって感染の連鎖が起きにくくなり、流行が収束していく状態。無防備な集団で感染者1人が何人にうつすかを示す基本再生産数から、集団免疫に必要な接種率の目安(しきい値)をはじける。

仮に集団免疫が達成できなくても、接種率を高める意義は大きい。入院や死亡を防ぐワクチンの効果はデルタ型でも90%以上と高い。完全ではないが感染を減らす効果も確認されている。

達成が難しくなった最大の理由はデルタ型の感染力の強さだ。その基本再生産数を英インペリアル・カレッジ・ロンドンは5~8程度、米疾病対策センター(CDC)は5~9程度と推定する。

おたふく風邪(基本再生産数4~7)や風疹(同5~7)並みか、水ぼうそう(水痘、同8~10)に近い。5と仮定するとしきい値は80%、6なら83%に上がる。英国の有力医学誌ランセットの呼吸器内科専門誌も、ロンドン大学衛生熱帯医学大学院のマーティン・ヒバード教授の「基本再生産数が6~7であれば集団免疫のしきい値は85%程度」との見解を報じた。

従来型ウイルスの基本再生産数は2.5~3程度と推定されていた。2.5ならしきい値は人口の60%、3なら67%となる。これが集団免疫を獲得できる接種率の目安が「人口の6~7割」とされてきた根拠だった。

デルタ型に対してはワクチンの効果が下がる性質も影響する。イスラエルや英スコットランドでの調査によると、感染予防効果は米ファイザー製ワクチンの2回接種後で「64~79%」と英国型(アルファ型)の「90%以上」より低い。接種から時間がたつと感染や発症を防ぐ効果が下がる可能性も指摘されている。

京都大学の古瀬祐気特定准教授(感染症学)は「8割でコロナを撲滅できると思っていたが、ゴールが変わった」と指摘。逆に「6~7割の接種率では、緊急事態宣言が出る世の中が続いてしまう」と警鐘を鳴らす。

日本ではファイザーや米モデルナのワクチンの接種対象年齢は12歳以上。接種率8割を達成するには、12歳以上の9割近くに接種しなくてはならない。これに近い水準まで接種が進められれば、コロナの流行を小規模で散発的なものに抑えられる可能性があるが、ハードルは高い。

国立国際医療研究センターの氏家無限・予防接種支援センター長は「接種率を高めるのは難しい。ワクチン接種で先行する米国でも完了した人は18歳以上の6割にすぎない。接種を忌避する人にどう働きかけるかが政府など関係者の課題になる」と話す。

国全体の接種率だけでなく、年齢別や地域ごとの接種や感染・入院などの状況を分析し、接種の促進策を練ることが重要になる。東京大学の稲葉寿教授(数理人口学)は「流行の中心に優先的に接種することは有効」と指摘。活動範囲が広くて接触の機会も多い若年層や「3密」の環境で働く人らが想定される。

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米、ワクチンで中国に対抗 東南アジアへ供給拡大

米、ワクチンで中国に対抗 東南アジアへ供給拡大
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM0428V0U1A800C2000000/

『【ワシントン=永沢毅、ジャカルタ=地曳航也】米国は新型コロナウイルスのインド型(デルタ型)が猛威を振るう東南アジア諸国連合(ASEAN)各国にワクチンの供給を拡大する。地域では中国製のワクチンが広く普及しているが、効果に対する不安も広がっている。デルタ型に対しても比較的高いとされる欧米製の有効性をテコに、中国のワクチン外交に対抗する戦略だ。

ブリンケン米国務長官は4日のASEANとのオンラインによる外相会合で、バイデン政権としてASEANへのワクチン支援を加速する考えを示した。地域には計2400万回分を供与済み。これに加え、米国として世界に提供を約束している5億回分の一部をASEAN加盟国に振り向ける方針だ。

意識するのは中国だ。米国務省高官は「コロナとの戦いで(ASEANの)信頼できるパートナーになりたい。私たちは無料でワクチンを提供し、見返りを期待していない」と話した。

中国は東南アジアでの影響力を高める戦略の一環として、ASEAN各国に積極的にワクチンを提供してきた。王毅(ワン・イー)国務委員兼外相は3日のASEANとの外相会合でこれまでに地域に1億9000万回分以上のワクチンを提供したと述べ、実績を強調した。人口規模が大きいインドネシアやフィリピンでは国内調達済みの半数超が中国製だ。

ASEAN各国は、接種を完了した人の割合が相対的に低く、中国製のワクチンの効果を示す明確なデータはない。ただ、ここに来て効果を不安視する人も増えている。

インドネシアの医師団体によると、同国ではワクチンの国民接種が始まった1月から7月27日までの間、医師348人が新型コロナにより死亡した。国内調達済みのワクチンの8割超を中国科興控股生物技術(シノバック・バイオテック)製が占め、医師の大半が接種を受けていただけに、中国製の有効性を巡る不安感が広がった。

中国製ワクチンが5割を占めるタイでも、保健省が4月から7月10日の間にシノバック製の接種を完了した医療従事者のうち618人がコロナに感染したとのデータを公表した。その中には死者や重篤者も含まれる。

インドネシア政府は7月からワクチン接種を済ませた医療従事者に米モデルナ製のワクチンを追加接種する措置を始めた。マレーシア政府は7月に予定していたシノバック製の調達を終え次第、米ファイザーや英アストラゼネカ製の確保を急ぐ方針を決めた。

タイでは医学会で追加接種の必要性の議論が始まった。ASEAN内の指導者でも特に中国寄りとされるカンボジアのフン・セン首相もアストラゼネカ製を接種した。接種完了率が高い英国やイスラエルでは、ファイザー製やアストラゼネカ製はデルタ型にも有効とのデータがあり、ASEAN各国も欧米製に期待を寄せる。

インドネシアのルトノ外相は今週、ワシントンを訪れ、コロナ対応の支援を引き出すためホワイトハウス高官や製薬関連企業幹部との会談を重ねている。2日には製薬大手のイーライ・リリーや、バイオ企業アークトゥルス・セラピューティクスの幹部と会談したと自身のツイッターで明らかにした。

中国もワクチンの質で逆風に立たされていることを意識している。シノバックの広報担当者は7月下旬、マレーシアの国営ベルナマ通信の取材に同社製ワクチンは重症化を防ぐなどの点で変異ウイルスにも有効だとの見解を示した。一方、追加接種に対応するため、デルタ型への効果がさらに高い製品の開発を進めていると表明した。

中国は6月時点で21種類の新たなワクチンの臨床試験を実施している。王氏は3日のASEANとの外相会合で地域へのワクチン支援を継続する考えを示したうえで、巻き返しを狙う米国を念頭に「科学上の課題の政治化に断固反対する」と訴えた。』

中国シノファーム製ワクチン、高齢者の半数が抗体反応ゼロ

中国シノファーム製ワクチン、高齢者の半数が抗体反応ゼロ
https://www.newsweekjapan.jp/amp/stories/world/2021/07/post-96769.php?page=1

『中国医薬集団(シノファーム)の新型コロナウイルスワクチンの有効性を年齢層別に調べたハンガリーの研究で、高齢者に形成される抗体レベルが他の年齢より低いことが示された。

同ワクチンを2回接種した450人を調査。50歳未満では約90%の人に一定以上の抗体ができたが、60歳では抗体反応ゼロが約25%、80歳ではこれが約50%だった。一部の高齢者が抗体をまったく作れないことは、高齢者間の流行発生を防ぐ手だてが別に必要なことを示しているとしている。』