民主主義、世界人口の3割未満に 新興国が離反

民主主義、世界人口の3割未満に 新興国が離反
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN16DIW0W2A910C2000000/

 ※ まあ、「この状況」で、曲がりなりにも「民主的な社会・政治体制」を保持して、機能させている国は、よほど「恵まれている」か、「余力を蓄えていた」、ということだろう…。

 ※ そういう意味じゃ、「民主主義」というものは、極めて「贅沢な」しろものだ…、ということもできるな…。

 ※ 昔から、「恒産無ければ恒心無し」とか、「貧すれば鈍する」とかよく言った…。

 ※ ある程度の「貯え」が無ければ、「危機を乗り切ること」もできない…。

『【ニューヨーク=吉田圭織】米ニューヨークで開催中の国連総会は3年ぶりの対面開催となったが、国連改革など具体的な成果は見えないままだ。混迷の背景には強権国家の攻勢に加え、民主主義の劣化とそれに失望した新興国の離反がある。

世界の10人に7人が強権国家に住み、民主主義はいまや3人未満――。英オックスフォード大の研究者らが運営する「アワー・ワールド・イン・データ」の調査でこんな傾向がわかった。

権威主義の台頭で、民主主義国家に住む人口はこの10年間で2割以上も減った。いまでは全体の29.3%と、強権派の70.7%の半分に満たない少数派に転じた。

スウェーデンの民主主義・選挙支援国際研究所(IDEA)によると、16年以降、ジンバブエやベネズエラなど20カ国が権威主義に変わった。民主化した国の3倍のペースで増え続けており「こうした傾向は(冷戦全盛期の)1975年以来だ」という。

9月の国連総会の一般討論演説では、欧米首脳から民主主義の「退潮」に懸念が相次いだ。

「欧州連合(EU)の仲間に、今後は中南米やアフリカに積極的に関わるよう呼びかけた」。EUの外相にあたるボレル外交安全保障上級代表は9月24日、危機感をあらわにした。「我々はナラティブ(物語)の戦いに挑まなければいけない」

歴史的、文化的な背景からいかに自陣営が正しく、敵対勢力が間違っているかを説く。これがいま、国際外交の場で注目を集めるナラティブだ。国際世論を動かす力となり、ときに侵略や虐殺をも正当化してしまう。

ナラティブに力を入れるのがロシアや中国など強権国家。欧米の植民地支配を受けてきたアフリカ諸国に、ロシアは旧ソ連時代から独立を支援した経緯を訴える。欧米勢は「自分たちが正しいと思い込み、他国を説得すらしない」(ボレル氏)

国連投票の結果でも民主主義陣営は押され気味だ。3月にはウクライナに侵攻したロシアを非難する決議に、加盟193カ国中141カ国が賛成した。しかし9月のウクライナによるビデオ演説を認める決議では賛成が101カ国にまで減った。とりわけアフリカ勢の「造反」が顕著だ。

米欧日はウクライナ支援は「民主主義を守る戦い」と強調するが、新興国には響いていない。新型コロナウイルスの大流行で、先進国が自国優先でワクチンを買い占め、新興国に配慮しなかったことも一因だ。

「13億人以上が住むアフリカは数百年にわたって植民地支配や搾取、軽視、そして開発不足を経験してきた」。南アフリカのパンドール外相は9月21日の演説で強調した。欧米に対する根強い不満にロシアや中国のナラティブが重なり、新興国の心は離れつつある。

肝心の米国や欧州で民主主義が後退している影響も大きい。英誌エコノミストの調査部門による世界の民主主義ランキングで、10年に19位だった米国は21年には25位にまで後退した。トランプ前政権が発足して以来深まった米社会の分断は「民主主義の失敗」として世界に失望を広げている。

豊かで自由な米欧日は世界の憧れの対象だったが、中国の台頭で大きく変わりつつある。開発独裁型の経済成長に加え、ハイテク監視など自国統治の優位性を誇り、中国モデルを支持する新興国が相次ぐ。民主陣営と強権国家との間で独自色を出そうと動く、トルコやインドといった第三勢力も増えている。

今回の国連総会で米欧日は安全保障理事会の拡大や拒否権の理由を求める新ルールの導入を訴えるが、実現には国際社会の理解が欠かせない。米欧日が自らの民主主義を鍛え直すことができなければ、国連の漂流も続きそうだ。
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川島真
東京大学大学院総合文化研究科 教授
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別の視点

民主主義が大きく後退していることは確かだが、果たして中国モデルが新興国や開発途上国から支持されているのかは疑問だ。

中国は確かにデジタル建設を推進し、監視システムを開発途上国などに提供する。ただ、それは中国型の社会主義輸出でも、党国体制輸出でもない。

ただ、経済発展し、治安も良く社会が安定しているように見えるものの、政治的、社会的人権が限定される状態が中国モデルだというなら、新興国それぞれが類似した形態を持つといえるかもしれない。

だが、それも相当に多様だろう。民主主義か専制か、というが、「専制」とされるものも相当に多様だ。そして民主主義も同様だろう。二分法ではなく多様性や広がりにも留意したい。
2022年10月1日 6:37』

コロナは小売りどう変えた? 消費者、商品の世界観重視

コロナは小売りどう変えた? 消費者、商品の世界観重視
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGH181XX0Y2A110C2000000/

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCD284TW0Y1A920C2000000/

『人工知能(AI)を活用したバーチャルなキャラクター、新「ニッキィ」が誕生しました。毎週月曜日の日本経済新聞夕刊紙面のコラム「ニッキィの大疑問」では「なぜこんなことが起きているの」といった疑問、好奇心をもとに、2人がベテラン記者に質問していきます。

「ニッキィ」は日本経済新聞を日ごろからよく読んでいる女性読者の愛称として生まれました。2代目にあたる新「ニッキィ」は日本経済新聞社の研究開発組織、日経イノベーション・ラボがAIスタートアップ企業のデータグリッド(京都市)の協力を得て作成しました。』

『「新型コロナウイルスの感染拡大が始まってから約2年が経過して、買い物の仕方も以前とかなり変わったな」「通販の利用が増えたけれど、対面で販売するお店にはどんな変化があるのかな」

コロナによる小売りの変化について、バーチャルキャラクターの名瀬加奈さんと日比学くんが田中陽編集委員に聞きました。

ニッキィの大疑問トップページ

名瀬さん「2年間で消費の傾向はどう変わりましたか」

時計の針が一気に進んだような気がします。それが顕著なのがネット通販です。総務省の家計調査によると、インターネットで買い物をした世帯の割合は、コロナ前の2019年は42.8%で18年と比べると3.6ポイントの上昇でしたが、コロナ下の20年は48.8%となり19年よりも6.0ポイント跳ね上がりました。直近の21年11月は54.4%です。15年は27.6%でしたから急激に拡大しています。

特に、ネット通販ではなじみの薄かった生鮮品を含む食料品は、19年(月平均)に1411円だったのが20年には2181円、21年11月は3290円にも増えています。

移動手段も変化がありそうです。例えばコロナ禍の前から広がりつつあったシェアリングサービスです。最近、週末に車のナンバープレートの「わ」ナンバー(レンタカーやカーシェアリング)の乗用車をよく見かけます。「密」となりがちな電車を避けたのだと思われます。逆に若者の間で人気の長距離バスの利用はまだ芳しくないようです。

日比くん「新たに登場した小売りや外食の特徴は」

「売らないお店」というショールームのようなお店の存在感が高まっています。来店客が実際に手に取って使い勝手を試したり、説明員から商品の使い方を教えてもらったりして、気に入ればネットなどで購入します。買い物に失敗したくない、体験を重視する若い消費者からの支持が高いです。娯楽(エンターテインメント)性の高い商品の場合は、小売り(リテール)と組み合わせて「リテールテインメント」と呼ばれています。

料理のデリバリーが広がる一方で、ゴーストレストランとかダークキッチンといった新しい外食が散見されます。お店の住所に行くと、別のレストランが営業していることがあります。レストランはディナータイムの営業だけで、昼間は別の外食業者に場所貸しをして、その店がデリバリー用の料理を作ります。また、来店を前提としないデリバリー専門の場合、繁華街に店を構える必要がなく、家賃の安い場所に調理場を置けます。

コロナ禍で新しい生活様式が定着し、物珍しさだけで終わることはないと思います。

名瀬さん「従来の小売業や飲食業の生き残りの条件は」

「世界観」だと思います。私たちはコロナ禍でいろいろなことを考えるようになりました。消費についても「この商品を買う意味は何なのか」「持続的な取り組みで作られているのか」などと考えます。そうした生活者の意識の変化に対応し、購入すること、使うことに意義のある世界観が明確に分かる商品やサービスが求められています。

「これ『で』いいや」で買うのではなく、「これ『が』いい」と自分が納得して買うスタイルです。「で」と「が」では大違いですね。

日比くん「リベンジ消費は起きているのでしょうか」

コロナが収束すれば、消費活動を控えていた消費者が支出を増やすといわれていました。しかし、小売りやサービス企業の経営者に取材すると「コロナ禍前には戻らない」との見方が大勢です。野村総合研究所の生活者へのアンケートでは、21年7月には「コロナ禍前の生活に戻る」と回答したのは全体の25%でしたが、同12月には19%です。コロナ禍で雇用環境などの変化もあり、日常の生活スタイルについても修正を余儀なくされているのかもしれません。

ちょっとウンチク 革新的な企業登場に期待

米国では経済社会が激変する時期に、新たな消費者向け企業が誕生する傾向がある。例えば2008年のリーマン・ショック。金融ビジネスに見切りをつけた優秀な人材が、ウーバーテクノロジーズやエアビーアンドビーなどの起業したてのシェアリングエコノミーの躍進を支えた。

米ウォルマートの創業は今から60年前の1962年。このとき、米ソ間の緊張が高まり、社会は混とんとしていた。経済活動は停滞し、消費者は低価格商品を求めていた。

コロナ禍の今、新しい生活様式を支える革新的な企業が現れても不思議ではない。(編集委員 田中陽)』

シンガポールGDP7.2%増 2021年

シンガポールGDP7.2%増 2021年
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM030CV0T00C22A1000000/

『【シンガポール=中野貴司】シンガポール貿易産業省は3日、同国の2021年の実質国内総生産(GDP、速報値)が前年比で7.2%増加したと発表した。電気製品の輸出が好調な製造業が12.8%増となり、景気回復をけん引した。新型コロナウイルスのワクチン接種完了率が9割近くに高まり、行動制限が緩和されたことで小売りや飲食業などのサービス業もプラスに転換した。

リーマン危機後の経済復調で14.5%の伸びを記録した10年以来、11年ぶりの高い成長率となった。20年はマイナス5.4%と1965年の独立以来、過去最悪の成長率に落ち込んだが、21年の急回復でGDPはコロナ前の19年の水準を上回るまでになった。政府は22年も3~5%と堅調な成長が続くと予測している。

21年の高成長の主因は輸出だ。世界的な半導体需要の増加を受け、21年11月の輸出が前年同月比で24.2%増と約10年ぶりの高い伸びとなるなど、年間を通じて増加が続いた。サービス業に加えて、20年は労働者不足で35.9%減だった建設業も21年は18.7%増に転換し、持ち直した。

リー・シェンロン首相は21年末の国民向け談話で、「我々の喫緊の課題は単に新型コロナに対処することを超えて、コロナ後の経済で雇用を創出し、繁栄を築くことだ」と強調。1日に発効した東アジアの地域的な包括的経済連携(RCEP)を活用して、貿易の拡大をはかる方針を示した。新たな変異型「オミクロン型」の動向を注視しつつ、国境を越える往来も一段と促進すると説明した。

21年通年の速報値と同時に3日に発表した21年10~12月期のGDP(速報値)は5.9%増だった。同年7~9月期(7.1%増)からは伸び率が鈍ったものの、回復基調が続いている。』

22年の10大リスク、「中国のゼロコロナ失敗」が首位

22年の10大リスク、「中国のゼロコロナ失敗」が首位
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN032ZX0T00C22A1000000/

『【ニューヨーク=宮本岳則】米政治リスクの調査会社ユーラシア・グループは3日、2022年の世界の「10大リスク」を発表した。1位に「No zero Covid」(ゼロコロナ政策の失敗)を挙げた。中国が新型コロナウイルスの変異型を完全に封じ込められず、経済の混乱が世界に広がる可能性を指摘した。

報告書は冒頭で、米中という2つの大国がそれぞれの内政事情から内向き志向を一段と強めると予測。戦争の可能性は低下する一方で、世界の課題対処への指導力や協調の欠如につながると指摘した。

国際政治学者のイアン・ブレマー氏が率いる同社は年頭に政治や経済に大きな影響を与えそうな事象を予測している。21年の首位にはバイデン米大統領を意味する「第46代」を選び、米国民の半数が大統領選の結果を非合法とみなす状況に警鐘を鳴らした。予測公表の2日後、トランプ前大統領の支持者らが選挙結果を覆そうと米連邦議会議事堂に乱入した。

22年のトップリスクには新型コロナとの戦いを挙げた。先進国はワクチン接種や治療薬の普及でパンデミック(感染大流行)の終わりが見えてくる一方、中国はそこに到達できないと予想する。中国政府は「ゼロコロナ」政策を志向するが、感染力の強い変異型に対して、効果の低い国産ワクチンでは太刀打ちできないとみる。ロックダウン(都市封鎖)によって経済の混乱が世界に広がりかねないと指摘する。

先進国はワクチンの追加接種(ブースター接種)を進めている。ブースター需要が世界的なワクチンの普及を妨げ、格差を生み出す。ユーラシア・グループは「発展途上国が最も大きな打撃を受け、現職の政治家が国民の怒りの矛先を向けられる」と指摘し、貧困国はさらなる負債を抱えると警告する。

2番目に大きいリスクとして挙げたのは、巨大ハイテク企業による経済・社会の支配(テクノポーラーの世界)だ。米国や欧州、中国の各政府は規制強化に動くが、ハイテク企業の投資を止めることはできないとみる。人工知能(AI)などテクノロジーの安全で倫理的な利用方法を巡って、企業と政府が合意できていないため、米中間、または米欧間の緊張を高めるおそれがあるという。

米議会の中間選挙後の混乱もリスクに入れた。11月の同選挙では野党・共和党による上下院の過半数奪還が「ほぼ確実視されている」と指摘する。与党・民主党は共和党系州知事が主導した投票制限法に批判の矛先を向ける一方、共和党は20年の大統領選で不正があったとの主張を強めると予想する。共和党がバイデン大統領の弾劾に動き、政治に対する国民の信頼が一段と低下する可能性にも言及した。

【関連記事】
・中国、「ゼロコロナ」にくすぶる不満 初感染から2年
・22年版「びっくり予想」 しぶといインフレ、利上げ4回

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野崎浩成
東洋大学 国際学部教授
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分析・考察 ユーラシア・グループが年初に発表するトップリスク・リストは、その年発生する重大イベントの予想というよりは、現時点で政治的、経済的に留意すべきポイントという位置づけで捉えたほうがいいと思います。

ちなみに、昨年のリストは、①米国の分断、②コロナ長期化、③グリーン化、④米中緊張関係、⑤データを巡る競争、⑥サイバーリスク、⑦トルコ危機、⑧産油国の経済財政的困難、⑨メルケル退陣、⑩中南米危機、でした。

その大半が今年も継続する留意点であることが確認できます。

2022年1月4日 7:27 (2022年1月4日 7:28更新)
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柯 隆
東京財団政策研究所 主席研究員
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ひとこと解説 ゼロコロナそのものの問題というよりも、ロックダウンにともなって、食料品の供給が間に合わなくて、とくに現場の幹部の「管理」は乱暴で逆に問題を大きくしてしまっている感じ。

公式メディアの報道が少ないが、SNSなどの情報をみると、現場では、行き過ぎた「法の執行」があったように見受けられる。

とくに、西安市の例をみると、1000万人以上の大都市を丸ごと封鎖してしまうやり方は明らかに行き過ぎ

2022年1月4日 8:14いいね
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滝田洋一
日本経済新聞社 編集委員
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ひとこと解説 西安で実施中の厳格な都市封鎖は、2年前の武漢の都市封鎖の記憶を呼び覚ましています。

オセロゲームの白石と黒石がひっくり返るような、中国のゼロ・コロナ政策の失敗。ユーラシア・グループが筆頭に挙げるリスクは、習近平指導部の体制リスクにほかなりません。

コロナの徹底的な封じ込めを政権の功績としてきたのですが、感染力の強いオミクロン型の登場でもはや限界に。

アキレス腱は中国製ワクチンの有効性の低さ。オミクロン型への効果が極めて低いとの研究報告が相次ぐなか、いったん市中感染が広まれば感染が爆発しかねない。

北京五輪まであと1カ月。ゼロ・コロナの自縄自縛に陥った政権は、土俵際に立たされています。

2022年1月4日 8:14 (2022年1月4日 9:47更新)
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菅野幹雄
日本経済新聞社 ワシントン支局長・本社コメンテーター
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ひとこと解説 目下の世界のリスクと言えば、米国と中国の2大超大国による「衝突」が時候のあいさつのように語られますが、ブレマー氏が率いるユーラシア・グループはそうした見方と一線を画します。

1位の「ゼロコロナの失敗」の余波を含め、一見して盤石に思える中国の習近平体制のもろさが世界で意識される年、ということでしょうか。

とはいえバイデン政権への支持率が低迷する米国も中間選挙で民主党が大敗し、混迷の時代に突入するとの見立てです。

少なくとも米中では軍事衝突のような表面的な大混乱の可能性は薄いが、世界秩序の不安定化はますます進み、摩擦を収拾する担い手を欠く。ランキングからは、そんな新年の構図が見えてきます。

2022年1月4日 9:18いいね
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高橋徹
日本経済新聞社 アジア総局長兼論説委員
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分析・考察 1位~4位がすべて米中モノで占められていることが、いまの世界の現状を投影しているように思います。

米中の対立を、バイデン米大統領は「民主主義と強権主義の闘い」と表現してきました。
1位の「(中国の)ゼロコロナ政策の失敗」は強権主義の、2位の「(米国の)巨大ハイテク企業による支配」は自由主義(民主主義)の限界と課題をそれぞれ如実に示しています。

2022年1月4日 8:47 (2022年1月4日 8:49更新)』

コロナ下で世界株高 時価総額、伸び最大の2000兆円

コロナ下で世界株高 時価総額、伸び最大の2000兆円
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB290ZD0Z21C21A2000000/

『2021年は世界的な株高の一年となった。新型コロナウイルス下でも経済活動の再開が進み景気回復期待が高まった。世界の株式時価総額の年間増加額は約18兆ドル(約2000兆円)と過去最大。22年は米連邦準備理事会(FRB)の総資産の縮小など金融引き締めが視野に入り、変調を懸念する声も増えている。

東京株式市場では30日の大納会で、日経平均株価が前日比115円17銭(0.4%)安の2万8791円71銭で取引を終えた。年末終値としては1989年のバブル期のピーク以来32年ぶりの高値水準となった。

世界全般に「財政出動・金融緩和・経済再開という3つの要因が重なり力強い株高となった」(JPモルガン・アセット・マネジメントの前川将吾氏)。「MSCI全世界株指数(ACWI)」を構成する48カ国・地域のうち21カ国で株価指数が最高値を更新した。

米国株の上昇が目立ち29日にはダウ工業株30種平均が最高値を更新した。低金利が住宅などの資産価格を押し上げ消費の力強い回復につながっている。フランス、オランダなど欧州や、インドや台湾といったアジアでも最高値が相次いだ。コロナ後もデジタル化の波や医薬への高い関心が続くとみて半導体やIT(情報技術)、医薬株にマネーが集中している。

経済再開が資源高をもたらし、カナダやノルウェーなどの株価も上がった。下落はインフレに悩むブラジルや、中国政府による統制強化でIT株が下落した香港など8カ国・地域にとどまる。

株式市場の活況ぶりは実体経済に比べても際立つ。世界の国内総生産(GDP)が年央にようやくコロナ前の水準を取り戻したなかで、今年末の時価総額は前年末比18%増の119兆ドルと、コロナ前に比べ4割多い水準となった。業況が苦しい飲食やサービスは中小企業が多い一方、上場企業はITや製造業が多く、インフレでもコスト高を価格転嫁し収益力を落としていない。

もっとも、市場の「フロス(泡)」と呼ばれた過熱した資産からは資金流出がみられる。
米国の家計貯蓄率はコロナ前に戻り、給付金を元手にSNS(交流サイト)で結託した個人が特定の株を買い上げる動きは鳴りを潜めた。コロナ下の株高の象徴だった電気自動車の米テスラ株も11月以降、下落に転じた。債券市場では投資家が企業の債務不履行(デフォルト)を警戒するようになり、低格付けの「ハイイールド債」の価格が11月下旬に約1年ぶりの安値をつけた。

インフレで各国は金融引き締めに転じた。野村総合研究所の木内登英氏は「行き過ぎた金融緩和が株式の膨張を生み出してきたが、この前提が変わりつつある」とみる。

FRBは来年に利上げを見据える。市場では、FRBは利上げ開始からあまり期間を空けずに保有資産を減らす「量的引き締め」に入り、短期から長期まで金利全体の押し上げにつながるとの警戒感が高まり始めた。量的引き締め局面にあった2017~19年は株価が乱高下した経緯がある。

英シュローダーのヨハナ・カークランド氏は世界経済を「よろめく自転車」にたとえ、「財政出動など各国政府が与えた『補助輪』は22年に外される」と指摘する。

米モルガン・スタンレーは「雇用コストの上昇が長引くことを考慮すると、企業の利益率は低下する可能性がある」として22年は米国株の下落を見込む。緩和や財政の支えが弱まり、こうしたショックへの耐性は低下が避けられない。

(古賀雄大、北松円香)

【関連記事】

・日経平均、年間で5%上昇 年末終値32年ぶり高値
・世界株2割高、医薬・EV・半導体けん引 中国株は不振
・世界の市場、記録ずくめの1年に インフレに揺れる 』

ウイルス共存へ最低3年 レッドフィールドCDC前所長

ウイルス共存へ最低3年 レッドフィールドCDC前所長
コロナと世界 針路を聞く(1)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN23F090T21C21A2000000/

『感染が世界に広がり、3年目に突入した新型コロナウイルス。各界の第一人者や論客に意見を聞く。初回は米疾病対策センター(CDC)前所長のロバート・レッドフィールド氏。今後のワクチン接種や検査のあるべき姿、経済や教育を継続するための手法、事態収束への道筋などを示してもらった。さらなる感染症のリスクについても見解を求めた。

レッドフィールドCDC前所長

急速に広がるオミクロン型への対応で最も重要なのは依然としてワクチンの接種だ。ワクチンは時間の経過とともに効果が下がる。持続性の高い次世代ワクチンが開発されるまで、これから何度も打ち続けるのだろう。

いま開発を急ぐべきなのは信頼性の高い「免疫検査」だ。私と妻は同時に接種を受けたが、抗体の量を調べたら結果が大きく違った。追加接種を時期で判断するのは無意味だ。各個人が免疫の有無を年3~4回調べて、いつ次を打つか判断できるのが望ましい。

定期的な感染の検査が不可欠だ。無症状の陽性者をあぶりだし、感染の連鎖を止める必要がある。例えば学校で週2回の検査をして、陽性者は家に居てもらうといった具合だ。

安全で責任ある形で経済を回し、学校を開き続ける手段はある。飲食店であれば立食はなくし、席の間隔を空ける。唾が飛ぶような大声で話さずに済むよう音楽の音量を下げる。単純に店を閉めるのは間違いだ。

「集団免疫」は当初から新型コロナには通用しないと考えていた。感染したり、ワクチン接種を受けたりしても予防効果が長続きしないからだ。感染しにくい集団と感染しやすい集団が常に存在することになる。

このウイルスは人類が地球にいる限り、存在し続けるだろう。消えることはない。うまく共存する方法を学ぶことが大切だ。ワクチン、感染や免疫に関する知識、抗ウイルス薬など、我々は共存するなかで対抗策を見つけていくべきだ。

失望する必要はない。このウイルスは変化している。既にオミクロン型は発病の方法が大きく変わり、従来の肺ではなく気管上部で複製しているようだ。最終的に喉や鼻で複製するようになれば、普通の風邪と同じようになる可能性がある。

新型コロナと共存する手段をすべて手に入れるには3~5年かかるだろう。抗ウイルス薬の開発や検査能力が拡大すれば2022年はより平穏な年になる。ただ今後2~3年「新型コロナからどう自分を守るか」を考え続けることになる。

新型コロナは「大パンデミック(感染症の大流行)」ではない。いまできる最も重要なことは大パンデミックへの準備だ。より深刻な呼吸器系のパンデミックに直面する高いリスクがあり、それは鳥インフルエンザの可能性が高い。

幸い我々はメッセンジャーRNAの技術を獲得し、ワクチンを数年単位ではなく数週間で開発できるようになった。次のパンデミックに向けてワクチン、検査、抗ウイルス薬の生産能力を高めなければいけない。

(聞き手はワシントン=鳳山太成)

Robert Redfield 2018~21年にトランプ米政権でCDC所長。エイズウイルス(HIV)の臨床研究で知られる。米陸軍の医療部隊に20年間所属した。現在は公衆衛生当局に助言する会社AMの上級医療顧問

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上野泰也
みずほ証券 チーフマーケットエコノミスト
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分析・考察

レッドフィールド氏の「いま開発を急ぐべきなのは信頼性の高い『免疫検査』だ」という主張は傾聴に値する。

ワクチン接種で形成された抗体の持続期間には個人差があり、年齢が同じでもブースター接種が必要かどうかは変わってくる。個人の実情を把握する手法の普及が必要という主張である。

国内で24日に新型コロナウイルス経口治療薬が初承認されたが、重症化や死亡のリスクを減らす効果は30%程度にとどまり、医療の専門家からの評価は「ないより良い」といったものである。

有効性が高い経口治療薬の開発・普及までにはまだ時間が必要であり、それまでの間はワクチン接種をグローバルに展開することによる「時間稼ぎ」が必要になる。

2021年12月27日 8:41

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詫摩佳代
東京都立大学 法学部教授
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分析・考察

先週のWSJの記事でも、新型コロナのパンデミックはいずれエンデミックに移行するだろう、ウイルスのリスクをゼロにすることはできないが、感染が続いても社会が混乱することがない状態に持っていくことは可能であり、そのような状態がどれだけ早くに訪れるかは、ウイルスと社会の綱引きだという専門家のコメントが紹介されていました。

https://www.wsj.com/articles/covid-19-marches-toward-endemic-status-in-u-s-as-omicron-spreads-11640255407?page=1

そのためにも、社会のウイルスに対するコントロール能力を高めることが不可欠です。日本に関しては、検査の拡充やワクチン開発・量産体制など、多くの課題がありそうです。
2021年12月27日 9:50 (2021年12月27日 9:51更新) 』

変容する米軍の運用体制とパンデミック:日米同盟への影響

※ これも、あまり「クローズアップ」されていないが、今般のコロナ騒ぎは、一時、米軍の「世界展開能力」に対する「疑問符」の問題も招来させた…。

※ なにしろ、空母を含む軍艦は、典型的な「密閉空間」だからな…。ダイプリ騒動でも露わになったように、「軍艦」というものは、「感染症」には、思いのほか「脆弱」だということを、まざまざと示したわけだ…。

※ 米軍の兵員は、早い段階から「ワクチン接種」体制取って、感染症対策に遺漏なきように、最大限の対策を取ったにも関わらずだ…。

※ 米海軍の「空母10隻体制」及びそれに付随する「打撃群」体制こそが、「世界中に戦力を投射できる力(ちから)」の源泉だ…。それこそが、「パクス・アメリカーナ」を支えている…。ここが揺らぐと、「米国の世界支配」システムが揺らいで来る…。

国問研戦略コメント(2020-8)
変容する米軍の運用体制とパンデミック:日米同盟への影響
2020-04-30
小谷哲男(明海大学教授/日本国際問題研究所主任研究員)
https://www.jiia.or.jp/strategic_comment/2020-8.html

『「われわれは戦争状態になく、水兵たちが死ぬ必要はない」――3月に洋上任務中の艦内で新型コロナウイルスの感染が広がった米空母セオドア・ルーズベルトの艦長は、海軍上層部に宛てた異例の書簡でこのように述べ、乗組員の上陸と感染者の隔離を求めた。米海軍は機微な情報を含む書簡を不必要に拡散したとしてこの艦長を解任したが、その後艦長を含めた900名以上の乗組員の感染が確認され、1名の死亡者が出ている。その間、解任された艦長を不適切な形で批判した海軍長官代行も辞任に追い込まれ、新型肺炎のパンデミックが起こる中で、軍の指揮統制とリーダーシップのあり方に一石が投じられた1。

新型コロナウイルスの感染拡大は、米軍が導入する新たな運用体制にも影響を与えるかもしれない。中ロとの大国間競争を追求するため、トランプ政権が2018年に策定した国防戦略は、従来の定期的なローテーションに基づく戦力展開ではなく、戦略的には予測可能だが、作戦上は予測不可能な「動的戦力運用」(Dynamic Force Employment:DFE)を打ち出した2。DFEは、従来のルーチン化された米軍の運用を廃止し、戦力の即応能力を高めることを重視している。つまり、米軍はDFEによって、必要に応じて”神出鬼没”な形で戦力を運用し、潜在的敵国の戦略目標や軍事計画を無効とする一方、米国に有利な状況を生み出すことを目指しているのである3。しかし、集団行動を原則とする軍では、感染症のクラスターが発生しやすい。第一次世界大戦中に流行したスペイン風邪は、1年間に3度にわたって米軍を襲い、即応能力を低下させた4。新型肺炎に関しても、少なくともワクチンと治療薬が開発されるまで、即応能力の維持は米軍にとって大きな課題となる。

DFEは、主に空母打撃群のより効率的な運用を念頭に置いている。しかし、新型コロナウイルスによって、すでに空母の運用に支障が出ている。セオドア・ルーズベルトは現在グアムに停泊しているが、乗組員約4800人のうち4000人が陸上で隔離されており、任務復帰の目処は立っていない。加えて、米西海岸に配備されているニミッツとカール・ビンソン、そして横須賀に配備されているドナルド・レーガンの3隻の空母でも、乗組員の感染が確認されている。セオドア・ルーズベルトが作戦遂行不能になったため、現時点において太平洋で作戦任務についている空母は皆無である5。6月までにレーガンが西太平洋での定期的なパトロール任務に就く予定であるが、それまでにニミッツがセオドア・ルーズベルトの代理として西太平洋に向かえるかどうかが、DFEの当面の課題となる。ニミッツは、乗組員を2週間艦内で隔離し、全員が陰性であることを確認した上で、4月27日に展開に向けた最終訓練を開始した。

DFEが導入される背景には、作戦期間の長期化に起因する米空母の稼働率の低下が指摘できる6。米海軍は、36か月を1周期とする艦船の運用を行っており、最初の16か月をメンテナンスと訓練に、次の7か月を作戦展開に、そして残りの13か月を必要に応じて展開(surge)するための待機期間(sustainment training)としている。しかし、中東での対テロ戦争やイスラム国掃討作戦が長引いたことに加え、中国の海洋進出や北朝鮮による挑発に対応するため、空母打撃群の作戦展開期間は7〜9か月に及ぶことが常態化した。その結果、十分なメンテナンスが行えず、そのまま作戦を行うと、その後のメンテナンスに必要以上に時間がかかるという悪循環が繰り返されてきた。たとえば、空母ドワイト・アイゼンハワーは、2017年8月に6か月の予定でメンテナンスに入ったが、実際の作業には18か月かかった7。DFEは空母の展開期間の削減につながり、メンテナンスと訓練期間の十分な確保と、即応能力の向上につながることが期待される。

しかし、米空母の稼働率が下がっているのは、メンテナンスの予算と能力が十分でないことも影響している8。加えて、新型コロナウイルスの感染拡大を阻止するために米国の経済活動が停止される中、民間企業のメンテナンス能力や造船能力、さらには国防産業基盤の維持が困難になる懸念が高まっている9。国防関連企業は重要インフラと位置づけられ、休業の対象とはなっていないが、実際には経済の停滞による業績悪化とサプライチェーンの停滞は不可避とみられている10。このため、新型肺炎のパンデミックによって、空母だけでなく、核抑止の柱の1つである戦略ミサイル原子力潜水艦を含めた、米軍全体の即応能力の維持が長期的にさらに難しくなるかもしれない。

各国がパンデミック対応に忙殺され、太平洋で作戦を行える米空母が皆無となる中、中国が空母を東シナ海から太平洋、そして南シナ海に展開したため、周辺国への強硬姿勢を強めることへの懸念が高まっている11。しかし、これまでのところ、中国の行動は感染拡大の前後で大きく変わっていない。中国の空母が春に太平洋に出るのはここ数年繰り返されてきた動きである12。また、尖閣諸島周辺の中国政府公船の数は、昨年の同時期と比べれば倍増したが、その傾向は昨年4月以降から続いているものであり、領海侵入の頻度に変化はない13。航空自衛隊による中国機への緊急発進回数も、昨年の同時期と比べてほぼ同じである14。2月に中国海軍の艦船がフィリピン海軍の艦船に射撃管制レーダーを照射し、3月には中国政府公船がベトナムの漁船を沈没させたが、これらの国際ルールに違反する行動もパンデミック以前から繰り返されてきたことである。

2月に中国機が台湾海峡の中間線を越えて飛行したことや、4月に南シナ海に新たな行政区を設定したことは、新型コロナウイルスの感染拡大に乗じた動きともいえる。また、いち早くコロナウイルスへとの闘いでの「勝利」を宣言した中国は、「マスク外交」を通じた支援を国際社会に表明する一方で、コロナウイルスに関する偽情報を欧米で流布するなど、各国のパンデミック対応を妨害している15。これら一連の行動が示すのは、パンデミックの最中であっても、中国は自らに有利な国際環境の形成を続けるということである。その一方で、中国は偵察活動(probing)を通じて、パンデミックにおける周辺国の対応や米軍の即応能力を常に試しつつ、その長期的な影響を見極めようとするであろう。仮に、米軍の中でさらに感染が拡大し、米国の防衛産業基盤も十分なメンテナンスを提供できなくなった結果、米軍の即応能力の低下にともなって力の真空が発生したと判断した中国が、尖閣諸島や南沙諸島、さらには台湾に対して、力に基づく現状変更を行う可能性が高まることが懸念される。

このため、DFEの導入によって、米軍が今後も即応体制を維持できるかどうかは、地域の平和と安定にとって重要な要素となる。太平洋で空母が不在の間も、米軍はF-35を搭載した強襲揚陸艦を中心とする遠征打撃群を東シナ海や南シナ海に展開して、日豪などの同盟国と合同訓練を行い、沿岸戦闘艦によるパトロールも南シナ海で行っている。また、米軍は台湾海峡への艦船の派遣も継続しており、4月には中間線を越えて中国側を航行した。これらに加えて、ニミッツがDFEの下で西太平洋に急派されれば、力の真空の発生は当面回避できるであろう。さらに、米空軍も、16年間続けられてきたグアムへの爆撃機の常時配備をとり止め、米本土からの不定期な運用に切り替えた。実際に、グアムからの撤収直後に、米本土から西太平洋に飛来した爆撃機が、航空自衛隊と共同訓練を行っている16。これは米空軍によるDFEの実践例である。

では、米軍のDFEは、日米同盟にどのような影響を与えるであろうか。在日米軍は前方展開戦力として極めて高い即応能力を有しており、日本と地域の安全保障にとって重要な役割を果たしている。在日米軍はハワイや米本土からの増援を受け入れることでさらなる能力を発揮することができるが、中国との大国間競争を追求するため、DFEの下で米インド太平洋軍には優先的に能力の高い戦力が振り分けられることが期待される。また、DFEによって米本土からの戦力の展開を予測することが難しくなれば、日米の合同演習の準備にかけられる時間も短くなるため、自衛隊にも即応能力の向上が求められることになる。このように、DFEによって同盟協力のさらなる深化の機会がもたらされることが期待できる。

一方、即応能力を重視するDFEは、前方プレゼンスの削減につながる可能性がある。その結果、米軍の平時のプレゼンス作戦が縮小されるとすれば、日本を含めた同盟国にとって懸念材料となり得る17。つまり、トランプ大統領が米国第一主義を押し進める中、同盟国も中国も、DFEによる米軍のプレゼンスの削減を、米国が世界から撤退していくシグナルと誤解する可能性があるのである。そうなれば、地域の安定にとってはマイナスになる。また、ペンタゴンでは、空母を2隻削減する一方、多くの無人化または省人化された小型の戦闘艦を導入することが検討されているという18。これはDFEで空母を運用することが前提となっているが、小型艦によるプレゼンス強化には限界がある一方、空母の削減によって米軍のパワープロジェクション能力の低下につながる可能性がある。

加えて、新型コロナウイルスの影響で、米軍のプレゼンスがさらに低下することも考えられる。すでに、米韓および米比では合同軍事演習が延期または中止となっており、日米でも同様の措置が必要となる可能性は否定できない。また、セオドア・ルーズベルトでの感染拡大の原因は不明だが、ベトナムへの寄港がきっかけになった可能性が指摘されているため、友好国との連携の強化のための戦略的な寄港など、安全保障協力活動が縮小することも避けられない。さらに、艦内での感染症の拡大防止の観点から、すでにふれた空母を削減して無人の小型艦を導入することがさらに検討されることになるであろう。

抑止を維持する上で、プレゼンスと即応能力は本質的にトレードオフの関係にある。DFEがこのジレンマに最適なバランスをもたらすことができるのか、さらに目下のパンデミックがその最適解を求める上でどのような影響を及ぼすのか。これらは、今後の日本と地域の安全保障を考える上で重要な課題である。感染症拡大のために、米国と同盟国の間の戦略対話も停滞しているが、米軍の新たな運用体制とパンデミックの影響に関する真剣な対話を早急に始める必要がある。同盟国間に社会的距離があってはならないのである。』

〔ベーシックインカムの社会実験〕

 ※ 雑用に見舞われたんで、今日はこんなところで…。

 ※ けっこう、各国で「実証実験」がなされているんだな…。

 ※ 特に、「ドイツの実験」は、3年間追跡調査するということなんで、結果の報告が楽しみだ…。

 ※ いずれにせよ、この手の話しは、「他人の納めた税金(お金)を、使う。」という話しなんで、その「納税(納付)した国民の、理解が得られるのか」という点が、ポイントだ…。

 ※ 「明日は我が身だから、しょうがないよね…。」という「合意」が得られるかだ…。
 ※ 厚生年金、国民年金、健康保険、失業保険、介護保険なんかは、みんなその「合意」を形成することに、曲がりなりにも”成功”した…。

 ※ 政府は、「打ち出の小づち」を持っているわけじゃ無い…。

1からわかる!ベーシックインカム(2)各国の事例を見てみよう
2021年01月20日 (聞き手:伊藤 七海 勝島 杏奈 )
https://www3.nhk.or.jp/news/special/news_seminar/jiji/jiji82/

米国初のベーシックインカム実験に関する結果報告書が発表、その成果は……
2021年3月8日(月)18時30分
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2021/03/post-95775.php

『これによると、受給者におけるフルタイム労働者の割合が2019年2月時点の28%から1年後には40%まで大幅に増加した一方、非受給者でのフルタイム労働者の割合は2019年2月時点の32%から1年後には5%増の37%にとどまった。

受給者は、毎月500ドルの追加収入を得ることで、よりよい給与を求めてパートタイムの仕事からフルタイムの仕事へと転職に向けた活動がしやすくなったり、失業中、交通費など、求職活動に必要な資金をまかなうことができ、就職につながりやすくなったとみられる。

受給者のうち借金を清算した割合は2019年2月時点の52%から1年後には62%に増加。不意の出費を貯金でまかなえる割合も2019年2月時点の25%から1年後には52%に増加した。一定の収入が毎月得られることで、受給者の経済状況がより安定したことがうかがえる。

受給者は、抑うつや不安が少なくなり、健康状態も向上した。受給者のケスラーの心理的苦痛測定指標(K-10)の平均値は、実験開始当初の「軽度のメンタルヘルス障害」から1年後には「精神的に健康」へと改善している。』

ベーシックインカムはどうだったのか? フィンランド政府が最終報告書を公表
2020年5月11日(月)17時00分
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2020/05/post-93377.php

『ベーシックインカムが雇用にもたらす影響は限定的だった。2017年11月から2018年10月までの平均就業日数はベーシックインカムの受給者のほうがわずかに多く78日であったのに対し、失業手当受給者では73日であった。フィンランド経済研究所(VATT)の主任研究員カーリ・ハマライネン氏は「ベーシックインカムが雇用にもたらす影響は小さかった」と述べている。

ただし、フィンランドでは、実験期間中の2018年1月に失業手当の給付要件を厳格化する「アクティベーション・モデル」が導入されたため、今回の社会実験では、ベーシックインカムが雇用にもたらした影響のみを検証することは難しい。』

ドイツでベーシックインカム社会実験へ 月無条件15万円 働く?働かない?3年調査
毎日新聞 2020/8/26 18:11(最終更新 9/6 14:01) 有料記事 834文字
https://mainichi.jp/articles/20200826/k00/00m/030/206000c

『1カ月1200ユーロ(約15万円)を3年間、無条件であげます――。

 こんな社会実験がドイツで始まることになった。所得や仕事の有無を問わず、すべての国民が生活に困らないだけの一定額を受け取る「ベーシックインカム(最低限所得保障)」の有効性を調べるのが目的だ。新型コロナウイルスの影響で失業問題も深刻化する中、新たな貧困対策となり得るか注目される。

 実験を主導する有力シンクタンクのドイツ経済研究所などは8月18日、ドイツ在住の18歳以上を対象に被験者の募集を始めた。希望者は受け付け開始からわずか70時間で100万人に達し、関心の高さをうかがわせた。今後、現金給付を受ける120人と給付なしの比較対象となる1380人を選抜する。給付は2021年春に開始し、財源は寄付で賄う。被験者の労働状況や時間の使い方を3年間調査し、給付が労働意欲や精神面に与える影響を調べる。

 ベーシックインカム制度の下では貧困層も最低限の生活を保障されるため、格差是正に有効とされてきた。将来、人工知…』

IMF、空前の70兆円配分 コロナ克服にどう活用

IMF、空前の70兆円配分 コロナ克服にどう活用
編集委員 西村博之
https://www.nikkei.com/article/DGXZQODK197DZ0Z11C21A0000000/

 ※ どこまで行っても、しょせんは「基金(ファンド)」なんで、「金(カネ)を貸す」という話しになる…。

 ※ 『新規の配分は高所得国が全体の6割、中所得国が4割弱を占めたが、低所得国は3%の210億ドルにとどまった。』出資額に応じて配分されるんで、こういう比率になる…。

 ※ そもそも、その各国の「出資」の原資は、各国の国民の「税金」だ…。

 ※ 「途上国・貧困国に必要なのは、”融資”じゃ無くて、”贈与”だ!」…。

 ※ お説ごもっともだが、その”贈与”にお宅の国民は、賛同しているのか?

 ※ そういうことで、最後はどうしても、「ご融資で…。」ということになってしまう…。

『新型コロナウイルス禍の克服へ国際通貨基金(IMF)がこのほど配分した6500億ドル(約71兆円)相当の特別引き出し権(SDR)が波紋を広げている。焦点はこの空前の額の「国際仮想通貨」を途上国の支援にどう有効に使うかだ。先進国からSDRを融通する新基金などの案が示されたが、課題も多い。感染拡大や経済危機を防ぐ切り札になるか。

Nikkei Views
編集委員が日々のニュースを取り上げ、独自の切り口で分析します。

SDRはIMF加盟国間の決済に使われる一種の仮想通貨で、IMFの決定を経て加盟国に配分される。ドルなど現実の通貨に交換でき、外貨が不足した国の資金調達の手段になる。

過去最大の「強力なカンフル剤」

IMFはリーマン・ショック後の2009年を含め過去に4度SDRを配分したが、今回の配分額は過去最大。コロナ禍を受けIMFがそれまでに決めた1000億ドル強の支援を大きくしのぎ、受け取る資金が国内総生産(GDP)の6%に達する国もある。

8月下旬に配分が行われた際、ゲオルギエバIMF専務理事は「未曽有の危機下にある世界経済にとって強力なカンフル剤だ」と期待を示した。

問題はSDRがIMFへの出資比率に応じ配分される点。米トランプ政権は出資額で3位の中国が多額の資金を使って途上国への影響力を強めると警戒しSDRの配分に反対した。バイデン政権は途上国支援を優先し方針転換したが、主要国ほどSDR配分で恩恵を受ける構図は変わらない。

新規の配分は高所得国が全体の6割、中所得国が4割弱を占めたが、低所得国は3%の210億ドルにとどまった。

途上国へのSDR融通に3案

先進国が受け取った使い道のないSDRを途上国に融通すれば配分の効果を高められる。そんな声が噴出し、IMFは具体策を探ってきた。

検討されている方法は3つ。第1は最貧困国向けに低利・長期の資金を貸す「貧困削減・成長トラスト(PRGT)」の規模拡大に使う案。第2は、IMFの新設する「強靱(きょうじん)性・持続可能性トラスト(RST)」を使う案。第3が世界銀行や地域の開発銀行などを通じてSDRを活用する案だ。

これらの枠組みに先進国がSDRを融通し、それを使って調達した資金を、困難に直面した国々の感染防止や経済の下支えに充てる構想だ。

途上国の「借金増」に懸念も

だが課題を指摘する声も相次ぐ。第1は資金が融資の形をとれば借り手の債務が膨らみ、先々の経済再生を難しくする、との声だ。米財務省で国際金融問題担当の副次官補だったマーク・ソベル氏は「低所得国に必要なのは贈与であり、借金増ではない」と言う。

もっともSDRは多くの国で外貨準備として扱われ、中央銀行の資産として計上される。国会で決めた援助資金などと違って贈与する場合の法律上の扱いが定かでなく、貸し出すほうが手続きが簡単だという実情もある。ここは途上国の負担を考慮した工夫が必要だ。

第2に資金の受け手に条件を課すべきか、との論点もある。IMFが融資の条件とする財政赤字の削減などは、むしろ借り手の経済の再生を遅らせたとの声もある。

新設するRSTでも融資に財政面などの条件を課す方向で、国際非政府組織(NGO)のオクスファムは「緊縮財政を求めれば貧困や格差の問題を悪化させるだけだ」とけん制している。

米カリフォルニア大学のアイケングリーン教授は寄稿で、融資条件の交渉は意見がぶつかり時間がかかるため多額の融資を迅速に実行できるかは疑問だと述べた。

代わりにコロナ対応に特化した基金を作ってごく有利な条件で融資し、資金がワクチンや医療品に適正に使われるかだけ監視する案を示す。

RSTは中長期の課題である気候変動への対応も掲げる。喫緊の課題であるコロナ禍への対応との食い違いは否めない。稼働も早くて22年末だ。

これを待つ余裕がない国も多い。チャドやボスニア・ヘルツェゴビナは100%、スリランカは85%……。外貨不足で医療品も買えずにいた国々は配分で手にしたSDRをすでに使い切りつつある。より迅速で柔軟な融通の仕組みを求める声が高まりそうだ。』

各国で紛争に発展するワクチン・パスポート : 机上空間

各国で紛争に発展するワクチン・パスポート : 机上空間
http://blog.livedoor.jp/goldentail/archives/27264133.html 

 ※ コロナがあぶり出したものとして、「厳然たる格差」「政府の無策」の他に、もう一つある…。

 ※ それは、「グローバル経済の知らないうちの浸透」だ…。

 ※ 世界は、知らないうちに、深く結びついて、「相互依存の世界」になっていた…。
 ※ 日本の誇る自動車産業も、東南アジアの部品供給に目詰まりを起こして、減産を強いられる…。もちろん、「半導体の供給不足の問題」もあるが…。

 ※ コンテナ輸送で、商品や部品を取り寄せていたものは、「物流網が機能しない」と、お手上げだ…。

 ※ こういう問題は、日本一国が「感染者の激減で、もはや収束だ!バンザーイ!」しても、何の解決にもならない…。

 ※ グローバルに収束するのを、待つ他はない…。

 ※ そういうことなんで、それまでは、ひたすら「国内経済回して」じっと耐え忍んで、時を稼ぐしかない…。

 ※ 「インバウンド需要の取り込み」なんてのは、一体いつのことになるのか…。

 ※ 「カジノを含む統合型リゾート構想」「大阪万博を、関西経済の起爆剤に!」なんてのは、全てポシャリだ…。

 ※ その前に、「東京オリパラを、日本経済の起爆剤に!」が、見事にポシャったしな…。

 ※ せいぜいが、「Go to トラベル」「Go to 飲食」「クーポン券」「ポイント還元」くらいのものか…。

 ※ 後は、「一律10万円!」の「カネ配り」か…。

 ※ まあ、財務省が許さんだろうしな…。

『除々に最悪から脱しつつある武漢肺炎。経済の復興も本格化してきました。休眠して錆びついていた設備を再稼働するがごとく、各所でシステム的な軋みが発生して、まったく潤滑に動いていません。一つには、国によってパンデミックの事情が、まったく違うという問題があります。そして、グローバル化で、物流が正常に動いている事を前提に組まれていたシステムが、目詰まりを起こして機能していません。

世界は、既に一国の中で全てが片付いていた時代ではなく、何か製品を一つ組み立てるにしても、その部品は、もっとも安く、品質の高い物を取り寄せられる地域から輸入する時代です。消費者は、その恩恵を受けていたわけですが、その前提として物流システムが滞りなく循環している事が条件です。一つでも止まれば、製品は完成せず、何かで代用すれば、コストの上昇に繋がります。

経済が停滞すれば、政権の命脈が断たれる事にもなるので、政府サイドからすれば、一日でも早くパンデミックを終息させなければなりません。その為に、手持ちの手札で、最も早く手が打てるのが、未だ製薬会社から何ら保証も出されていないワクチン接種です。緊急事態という事で、製薬会社に対して、ワクチン接種でどんな副作用が出ても、責任が免除される契約になっています。副作用が出た場合の訴訟の相手は、接種を進めた国になります。

イスラエルは、首相と製薬会社の個人的な伝手と、定価の2倍で買うという契約で、世界で最も早くワクチン接種を始めて、最速で70%の接種率を達成しました。しかし、一度低下した感染者数は、変異株が現れると増加し、ロックダウンの緩和によっても増えました。その為、3度目の接種(ブースター・ショット)を推進しています。

ワクチンの効果が思いの外に早く薄れてきた事に焦った政府は、囲い込むようにワクチンを打たないと生活に支障が出るような政策を打っています。目指しているのは、集団免疫の確保です。イスラエルもワクチン接種を強要できないのですが、ワクチン・パスポートを所持していないと、入れない場所、移動の制限、公務員では出勤制限などを行って、生活に支障が出るようにして、接種圧力を強めています。

ワクチンを打たなくて良い代わりに、PCR検査を2日に一回やって、結果を報告する義務を設けるなど、かなり面倒な制度も始めました。しかも、ワクチンを拒否して行う場合、この検査の費用は自費です。一回に1000円ほどの費用がかかるようです。

学校などでは、感染が確認されると、その学校が3週間閉鎖されるので、クラスの生徒の中で、ワクチン接種をしていない生徒に対する接種圧力が高まっています。「君たちのせいで、学校が閉鎖されて、学習が遅れる」という父兄を巻き込んだ同調圧力ですね。

状況は、バイデン大統領が、大統領令でワクチン接種の義務化を命じたアメリカでも起きています。内容は、イスラエルと同じで、従業員が100人を超える企業に対して義務化し、公務員の場合、接種を拒否すると解雇もありえるとしています。

これに対して、ワクチン接種に対する政策は、州の権限であるとする、いくつかの州が反旗を翻し、義務化に賛同した経営陣に対して、航空会社のパイロットがストライキで抗議をしています。便が欠航になった為、各空港では大混乱が発生して、乗り換えを便を探す旅客でロビーが一杯になりました。

はっきり言ってしまえば、政府の立場としては、強制的にワクチン接種を進めたいのです。どこの政府でもです。しかし、それを言い出す事は、自由主義社会としてタブーを犯す事になるので、世論や制度を総動員して、ワクチン接種圧力を高めていると言えます。

ただし、客観的な事実を言えば、安全性の確認も、可能な範囲でとれているし、感染率を下げた実績もありますが、現在、流通しているワクチンは、製薬会社が副作用に対して、何ら責任を取らない事が確定している物です。普及を急ぐ為の緊急処置として、特例で認められています。

因果関係が証明されていないものの、接種後に死亡した例も報告が出ています。多くの場合は、基礎疾患を持っていたり、高齢だったり、ワクチンが抗体を作る過程の負荷に体が耐えられなかったのではないかと推測されます。また、突貫製造の弊害で、異物混入なんてのもありました。

こういう状況ですので、ワクチンの接種は自由意志とされているのですが、社会生活を続ける上で、事実上、弊害が多すぎて、接種をせざるを得なくなっています。数字にしてしまえば、不都合が起きる確率は、全体に対して低く、集団免疫を得るほうが優先されるというのが、政府の考えです。

こうした効率主義的な政府の態度に対して、各地で暴動が起きています。イタリア、イスラエル、アメリカなど、積極的に報道されないので、なかなか様子が伝わってきませんが、SNSに投稿された現地の様子を撮影した動画などを見ると、結構、本格的な暴動です。

どこのメディアも、基本的にスタンスが政府よりなので、討論会でも結果ありきで進行していて、最終的には未接種の人間は、独りよがりの迷惑な人間という扱いになっています。その為、こうした暴動は、首都で起きない限り、報道すらされません。

ワクチン接種以外に短期で有効な手が無い以上、副作用や接種後死亡例との因果関係も、追跡調査される事も無いでしょうから、実は私達は判断する材料すら持っていません。』

英仏海峡の不法移民で両国対立

英仏海峡の不法移民で両国対立 英、仏への強制送還も
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR13CMF0T10C21A9000000/

『【ロンドン=中島裕介】ドーバー海峡を渡ってフランスから英国に入る難民や不法移民への対応をめぐり、両国の対立が深まっている。足元での移民らの急増を受け、英国は自国海域内から押し戻す方針を表明。フランスはこれに猛反発している。

英BBCによると、年初からこれまでに1万2500人以上の不法移民がゴムボートや小型船などでフランスから英国に渡った。2020年は年間で約8500人、19年は2000人ほどだったため、21年は異例の多さになっている。

移民らは内戦や紛争が続くイエメンやソマリア、イラクなどの出身で、アフガニスタン人も含まれる。密航業者に大金を支払い、数時間かけて英仏海峡を渡る。仏北部沿岸の町グランドサントなどには英国への渡航希望者が集まってテントを張り、不法な出航の機会を待っている状況だ。

これに対応するため、英政府は9日までに、パテル内相の承認がある場合に、英海域に入ってきたボートをフランス側に押し返す方針を決めた。措置発動は安全で限られた場合にのみとしているが、方針そのものは政府内で保守系の議員を中心に不法移民の急増に懸念が強まっていることが背景にある。

不満の矛先はフランスにも向く。パテル氏は7月に合意した移民対策向けの約5400万ポンド(約82億円)のフランスへの資金提供の凍結も示唆した。

フランスの反発は強い。ダルマナン内相は8日、ロンドンでパテル氏と会談したが、この問題での進展は得られなかったもようだ。ダルマナン氏は9日には自身のツイッターに「海洋法に反する(英国の)行動や金銭的な恐喝は容認できない。私はそれをパテル氏に告げた」と投稿した。

事態が混迷する背景には英国の欧州連合(EU)離脱の影響もある。国際法や国連の難民条約に基づけば、各国は海域内や領土内にいる不法移民らの保護を求められる。ただEUの「ダブリン規則」では、EU域内で最初に到着した国で難民審査を行うルールがある。このため英国はEU加盟中は、フランスに合法的に不法移民を送還できた。

だが英国は21年1月にEUを完全離脱したためダブリン規則のルールは使えない。英メディアによれば、まだ代わりの難民申請に関する取り決めをフランスやEUと合意できていない。

今後、イスラム主義組織タリバンが制圧したアフガニスタンから流出する市民がさらに増えることも予想される。英仏海峡での不法移民を巡る対立はさらに深まる恐れもある。』

[FT]スペイン、減税で家計支援

[FT]スペイン、減税で家計支援 欧州覆う電力高騰に対応
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB155740V10C21A9000000/

『スペイン政府は、エネルギー企業の利益から30億ユーロ(約3880億円)を徴収し、消費者向けに減税を行うと発表した。欧州の各国政府を圧迫している電力・ガス価格高騰が引き起こした政治的なダメージの抑制を目指す。

スペインのサンチェス首相は、エネルギー企業の利益水準について「容認できない」と話す=ロイター

一連の対策は14日、サンチェス首相率いる内閣が閣議決定したが、エネルギー企業側からは怒りの声が上がった。スペインの原子力産業は、計画が実行に移されたら、操業が停止する可能性があると述べた。

電力料金は1年で35%上昇

この夏を通して電力卸売価格は史上最高値を更新し続け、サンチェス氏の中道左派の少数与党政府にとってエネルギー価格高騰が喫緊の問題になった。消費者向け電力料金は8月までの1年間で35%上昇した。

スペイン政府は、天然ガスを使わないにもかかわらず、ガス価格上昇が電力価格上昇をもたらす仕組みから恩恵を受けた公益企業の「超過利益」26億ユーロを対象にしていると述べた。この措置に先駆け、7月には、炭素価格が上昇したために収入が増えたエネルギー企業から約6億5000万ユーロを徴収する同様の対策が発表されている。

政府は、徴収した資金を本来なら消費者の負担になるインフラ整備費用の支払いに充て、それによって家計における電力料金を減らすと話している。

また、サンチェス氏は2021年末まで、電力にかかわる消費者の税負担を14億ユーロ分削減すると述べた。「我々は、すべての市民が18年と同水準の電力料金を(21年に)払うようにすることを固く誓う」。サンチェス氏はこう語り、エネルギー企業の利益水準を「容認できない」とした。

エネルギー業界からは反発も

しかし、再生可能エネルギーを手がけるスペインの電力大手イベルドローラは、この計画は消費者にとって、さらに多くの問題を生み出すと述べた。「また、野心的な気候変動目標を支えるプロジェクトを実現するためにスペインが何十億ユーロもの民間投資を必要としている肝心な時期に、国に対する投資家の信頼感も損なうことになる」としている。

スペイン原子力産業協会は、「法案が(現在の)過剰な税負担の圧力と重なると、すべての原子力設備が運転停止に追い込まれる」と話している。

多くの消費者が固定料金ではなく変動料金を払っているため、スペインの電力小売価格は同国の電力卸売市場と密接に連動している。

エネルギー価格高騰は欧州全体に影響を及ぼしている。石炭に代わる燃料として液化天然ガス(LNG)に向かう中国の需要、炭素価格の上昇、ロシアからの供給減少といった要因によって生じた現象だ。

「スペインでは市民が家計で窮状を感じているが、これはスペインだけの問題ではない。世界中で問題になってはいないにしても、欧州では問題となっている」。英調査会社オックスフォード・エコノミクスの欧州経済部門を率いるアンヘル・タラベラ氏は、こう話す。「スペインの仕組みが他国と異なるために、世界の大部分はまだ気づいていないが、遅かれ早かれ似たような状況が他国でも生じるだろう」

実際、ここ数日で、フランス政府が燃料支払いに対する直接補助金の給付延長を検討すると述べたほか、ギリシャは最近の電力料金上昇を補填するために1億5000万ユーロ規模の基金設立を発表した。

ドイツでは先週、ベンチマークとなる22年引き渡しの電力卸売価格が1メガワット時あたり90ユーロ台を突破した。年初の水準のほぼ2倍で、08年夏に記録した史上最高値を更新した。

フランスの電力大手エンジーの分析部門エナジースキャンを率いるジュリアン・オアロ氏は、この冬の欧州向けのロシア産ガスの供給量がはっきりしないと、市場は今後も逼迫し、価格が高止まりすると警鐘を鳴らす。「9月でこの状況なので、暖房用のガス需要が高まる今後数カ月がかなり心配だ」と話す。

イタリアでも電力料金4割上昇の可能性

イタリアのチンゴラーニ環境相は13日、ガス価格と炭素価格が上昇しているため、イタリアの電力料金が次の四半期に最大で40%上昇する可能性があると警告した。

エネルギー価格の上昇は、欧州連合(EU)の執行機関である欧州委員会にも圧力をかけた。欧州委は7月、自動車燃料と建物の暖房に対する炭素価格の設定を含む温暖化ガス削減に向けた包括案を提案したばかりだ。

この提案はスペインやフランスなどからの反発を招いた。こうした国は、一連の方策は、環境に優しく炭素排出量が少ない燃料に簡単に切り替えられない貧しい人たちを直撃すると主張している。

「エネルギー分野で今生じている価格高騰のためにまひ状態に陥ったり、物事の進め方を遅らせたりするのではなく、すべての人が手ごろな価格の再生可能エネルギーを利用できるように再生可能エネルギーへの移行を加速させるべきだ」。欧州委のティメルマンス上級副委員長(気候変動担当)は、この問題に関して14日開かれる欧州議会の議論に先駆け、こう語った。

欧州委は批判をかわすために、新たな炭素価格制度によって最も大きな影響を受ける世帯を支援するために、数十億ユーロ規模の社会基金を立ち上げることを提案している。

By Daniel Dombey, Mehreen Khan and Tom Wilson

(2021年9月15日付 英フィナンシャル・タイムズ電子版 https://www.ft.com/)

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[FT]中道左派、ノルウェーの政権も奪取

[FT]中道左派、ノルウェーの政権も奪取 独でも高支持率
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB1558H0V10C21A9000000/

『これまで20年ほどの北欧諸国での有権者の行動をみると、社会民主主義の砦(とりで)という評判は有名無実になりつつあった。ところが、13日投開票のノルウェー議会選で最大野党の労働党(中道左派)が勝利したことで、情勢は変わった。

ノルウェー議会選で勝利し、次期首相に就く見通しになった労働党のストーレ党首(13日、オスロ)=AP

北欧のノルウェー、デンマーク、スウェーデンの3カ国がいずれも社会民主主義を標榜する政党の首相を擁するのは2001年以降で初めてだ。この流れを受け、中道左派の指導者たちは次の大きな勝利の可能性を視野に入れている。ドイツの次期首相が決まる連邦議会選(総選挙)だ。26日の投票を前にした世論調査では、ドイツ社会民主党(SPD)の首相候補、オラフ・ショルツ財務相が支持率でトップに立っている。

ノルウェー議会(一院制)のアンニケン・ハイトフェルト議員(労働党)は取材に対し、「スウェーデン、デンマーク、フィンランドの次はノルウェーだった。何かが起きている。2週間後にドイツの政権がどうなるのか見届けないといけない。新型コロナウイルスの感染拡大が続くなか、人々はこぞって福祉に期待しているのだと思う。社会の格差がずっと広がってきた。それも欧州全域で」と主張した。ハイトフェルト氏はノルウェーの次期外相の有力候補だとされる。

ドイツの次期首相候補として支持率トップのショルツ財務相(14日)=AP

独SPDの戦略担当は以前から、北欧の状況がいずれドイツでも起こり得ると指摘してきた。だが、北欧で社会民主主義が復活している背景はその認識とはやや異なる。

労働党は第1党でも得票率伸びず

今回のノルウェー議会選では、1924年以降のすべての議会選と同じく、労働党が第1党となった。しかし、得票率は26.4%にすぎず、この97年間で下から2番目の低さだった。次期首相に就くとみられる労働党のストーレ党首が「大きな失望」と評した2017年の前回議会選での得票率さえも、わずかだが、下回った。

同様に、18年のスウェーデン議会選では、社会民主労働党が政権の維持には成功したものの、得票率は1908年以降で最も低くなった。

その理由は難しくない。北欧でも、ほかの欧州諸国と同じく、多数の政党が乱立する状況が進んでいるからだ。ノルウェー議会では10党が議席を持つ。

連立政権の政策調整は難題に

ノルウェーで労働党が勢力を回復した大きな理由は、友党が伸長したからだ。地方を基盤とする中央党、社会主義左翼党を含めた3党の連立政権になる可能性が高い。中道左派が得た100議席のうち、労働党より左寄りの政党が得たのは24議席だった。

スウェーデンの中道右派政権を率いたカール・ビルト元首相は「一般的な傾向として、かつての社会民主主義はいまよりもはるかに強大な政治勢力だった。だが、いまでは総じて多党化が進み、もはや巨大政党はみあたらない。ドイツの選挙はよい例だ。以前はSPDとキリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)の二大勢力が政界を支配し、ともに得票率は40%台だったが、最近では20%台前半で競り合っている」と指摘した。

多党化は「社会の多様化が進展している表れ」で、「階級を背景にした過去の政治のやり方はまったく機能しなくなった」のが現状だと、ビルト氏は強調した。

北欧の社会民主主義への圧力は、デンマークとスウェーデンで左派から支持者を奪った右派ポピュリスト(大衆迎合主義者)政党の台頭で強まった。だが、ノルウェー議会選では、ポピュリスト政党の進歩党が93年以降で最悪の結果となった。

デンマークでは、19年に就任した中道左派の社会民主党のフレデリクセン首相が、ポピュリスト政党であるデンマーク国民党の主張に歩み寄り、政策を移民抑制へと大きく変更した。

フレデリクセン氏は19年の選挙前の取材でこう話していた。「社会民主主義政党として最も重要なことは、実質的な存在意義を有することだと考えている。人々が直面する様々な問題について解決策を提示できるかどうか、ということだ」

ノルウェーのストーレ氏は同国で広がる格差の是正を目指しており、労働党の支持者に「この国の普通の人たちがようやく、日の目を見られるだろう」と語りかけた。

ストーレ氏が直面するのは、一致団結した政権の樹立という困難な仕事だ。労働党主導が主導する連立政権は議会で過半数を確保するが、西欧最大の産油国ノルウェーの石油産業の将来や、欧州における同国の役回りを含む様々な課題を巡り、3党の間には大きな意見の相違が生じるとみられている。

仮にストーレ氏が共産主義の赤色党、石油開発に反対する緑の党といった、労働党よりも急進的な左派政党の協力を求めれば、連立協議は一段と困難になる。それでも13日の議会選で最も大きく躍進したポピュリストの中央党の協力は仰がなければならないはずだ。

13日のノルウェー議会選で投票するソールバルグ首相=AP

ビルト氏は「多党化で国の統治の難しさはさらに増すことになる。ヨーナス(ストーレ氏)は中央党とうまくやっていかないといけないだろう。幸運を祈る」と語った。

北欧諸国では社会民主主義が巻き返す一方、次の選挙では中道右派が手ごわい挑戦者になりそうだ。

ノルウェーの現首相で中道右派のソールバルグ氏は今年、取材に対し、1980年以降は中道と右派の政権が、左派とちょうど同じ期間、権力を握ってきたと説明した。2015~17年に北欧の5カ国で政権を担当した社会民主主義の政党は、1つだけだった。

中道左派のスウェーデン現政権の高官の一人は「足元で私たちに波が来ている」と認めた。「だが、これがずっと続くと思ったら、それは間違いだ」

By Richard Milne

(2021年9月14日付 英フィナンシャル・タイムズ電子版 https://www.ft.com/)

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[FT]世界経済のけん引役から外れる中国(社説)

[FT]世界経済のけん引役から外れる中国(社説)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM0298W0S1A900C2000000/

『パンデミック後の世界経済の停滞は、もとより避けられなかった。経済活動の回復は段階的に進むことが多く、起きるのは一度限りだ。ロックダウン(都市封鎖)後の経済再開の勢いは猛烈だが、それが繰り返されることはない。多少の規制緩和をしても再開時のような景気押し上げは望めない。それでも、最近の主要経済指標の軟化は懸念材料だ。感染力の強いインド型(デルタ型)変異ウイルスの拡大やサプライチェーンの問題だけでなく、中国経済の減速を反映している。

8月の財新製造業購買担当者景気指数は中国の生産活動の縮小を示している=ロイター
2008年の金融危機後は、政府の景気刺激策を受け、工業化を進めた中国が急速に成長し、世界経済の回復を助けた。20年には再び中国の鉱工業生産は急回復し、世界でもまれな経済成長を実現した。ところが今、その復調の勢いに陰りが見えている。以前から懸念されていた消費者や企業の債務問題が再浮上しているうえ、中国共産党の政策の優先順位が変容していることが背景にある。

中国メディアの財新と英調査会社IHSマークイットが1日発表した8月の製造業購買担当者景気指数(PMI)は、世界各地でロックダウンが始まった20年4月以来初めて好不調の境目である50を割り込み、生産活動の縮小を浮き彫りにした。この民間版PMIは、中国経済の実態を示す指標として注目度が高い。

中国経済を減速させているマイナス要因には他国に通じる部分もある。デルタ型ウイルスの感染拡大により、中国の多くの地域でロックダウンや移動制限が再導入された。サプライチェーンの問題からメーカーは受注増に対応し切れなくなっている。半導体やコンテナが世界的に不足しているうえ、主要製造拠点であるベトナムで感染が拡大し、工業生産の足かせになっている。

米国でも、デルタ型の広がりが経済減速の原因になっている。感染者数が増える中で、消費意欲が低下しているためだ。欧州では、サプライチェーンの乱れがインフレにつながっている。欧州連合(EU)統計局が先日発表したユーロ圏の7月の物価上昇率は、ほぼ10年ぶりの高水準を記録した。比較対象の前年同月の物価が異常に低かったせいもあるが、部品の供給不足でメーカー各社の生産が進まなかったのは中国と同様だ。

この他、中国独自の要因もある。債務問題に加え、長年の住宅ブームが終わる可能性が懸念されている。同国の不動産開発会社の中で最も重い債務を抱える中国恒大集団は、債務不履行(デフォルト)の危機にある。中国の不動産業者は軒並み、利払い負担の増加に直面している。中国共産党が昨年、経済の不動産への依存度を下げ、不動産開発会社の借り入れを制限する政策に転じたことが影響している。

概して、中国政府はかつての成長最優先の政策から転じ、IT大手による支配や、貧富の差の拡大など、放縦な資本主義の手綱を締めようとしている。それも理解できなくはない。例えば、アルミニウムの減産は政府が環境対策を強化した結果とされる。だが、中国の方針転換は、中国が世界経済にとって、08年の金融危機後のような成長エンジンにはならないことを意味する。世界は今、中国に代わる景気けん引役を探す必要に迫られている。

(2021年9月2日付 英フィナンシャル・タイムズ電子版 https://www.ft.com/)

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米でのアジア系への憎悪犯罪、コロナ後累計9000件

米でのアジア系への憎悪犯罪、コロナ後累計9000件
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN13C320T10C21A8000000/

『【ニューヨーク=西邨紘子】米国でアジア系を狙うヘイトクライム(憎悪犯罪)がやまない。アジア・太平洋諸島系でつくる民間団体「ストップAAPIヘイト」が13日公開した直近の被害報告まとめによると、新型コロナウイルス流行が本格化した2020年3月から21年6月までの期間に寄せられた被害報告は、累計で9000件を超えた。21年は前半6カ月で既に4533件の報告があり、20年(通年で4548件)を上回るペースで増えている。

被害報告の多くは「言葉による嫌がらせ」(63.7%)、わざとらしく避けたり、無視したりする「排斥」(16.5%)が占める。だが、より被害が深刻な「身体への暴行」も13.7%あり、21年は全体に占める割合(16.6%)が前年比で5ポイントほど増加した。

被害者は中国系が43.5%と最も多く、韓国系(16.8%)、フィリピン系(9.1%)が続く。日系の被害報告は8.1%で、4番目に多い。アジア系の高齢者女性が突然、暴力被害を受けるような動画が米メディアでも取り上げられた。

米国でのアジア系を狙った憎悪犯罪は、新型コロナの流行をきっかけに報告が急増した。3月には米南部ジョージア州アトランタでアジア系6人が死亡する銃撃事件も発生し、各地で差別解消を目指す取り組みや抗議デモが広がるきっかけとなった。5月には同問題への対策として「新型コロナウイルス憎悪犯罪法案」が成立、米連邦政府も取り組みを強化する姿勢を見せている。

ストップAAPIヘイト共同設立者のマニューシャ・クルカルニ氏は米メディアに対し、21年に報告件数が急増している理由として、アトランタでの銃撃事件の余波や被害報告先としての認知の高まりなどを挙げた。憎悪犯罪の背景にある人種差別的な考え方は「長年にわたり人々のなかに存在し、急になくなることはない」として、直近の報告件数増が憎悪意識の悪化を示すとの解釈には慎重な姿勢を見せている。

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米情報機関、コロナ解明へ武漢研究所のデータ入手

米情報機関、コロナ解明へ武漢研究所のデータ入手 CNN
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGV060AY0W1A800C2000000/

『【ワシントン=共同】米CNNテレビは5日、米情報機関が新型コロナウイルスの起源解明に向け、中国・武漢のウイルス研究所が扱っていたウイルスのサンプルの遺伝子情報を含む膨大なデータを入手したと報じた。起源を解明する鍵になる可能性があるとみて解析を進めているという。ハッキングで得た可能性があるとしている。

ウイルスの起源を巡り、バイデン米大統領(民主党)は5月下旬、研究所漏えい説と動物を介した感染説があるとして追加調査の上で90日以内に結果を報告するよう情報機関に指示していた。中国は反発しており、今回入手したデータで調査が進展するかどうか注目される。

中国はデータの提供を拒否しており、今回の情報入手の方法や時期は明らかになっていない。ウイルスの遺伝子情報を解析する機器は通常、外部サーバーとつながっていることが多いことなどを、関係者がハッキングの可能性の根拠として挙げた。

米下院外交委員会ナンバー2のマコール議員(共和党)は2日、コロナ起源に関する報告書を発表し「武漢のウイルス研究所から流出したことを示す多くの証拠が見つかった」と主張した。』

中国シノファーム製ワクチン、高齢者の半数が抗体反応ゼロ

中国シノファーム製ワクチン、高齢者の半数が抗体反応ゼロ
https://www.newsweekjapan.jp/amp/stories/world/2021/07/post-96769.php?page=1

『中国医薬集団(シノファーム)の新型コロナウイルスワクチンの有効性を年齢層別に調べたハンガリーの研究で、高齢者に形成される抗体レベルが他の年齢より低いことが示された。

同ワクチンを2回接種した450人を調査。50歳未満では約90%の人に一定以上の抗体ができたが、60歳では抗体反応ゼロが約25%、80歳ではこれが約50%だった。一部の高齢者が抗体をまったく作れないことは、高齢者間の流行発生を防ぐ手だてが別に必要なことを示しているとしている。』

気候変動とコロナで食料不足深刻 20年飢餓人口8.1億人

気候変動とコロナで食料不足深刻 20年飢餓人口8.1億人
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR1900S0Z10C21A7000000/

『【ウィーン=細川倫太郎】気候変動と新型コロナウイルス禍が世界で深刻な食料不足をもたらしている。国連によると、2020年は世界人口の1割に相当する最大8億1100万人が飢餓に苦しんだ。農作物の不作や輸出制限で食料価格が高騰しており、飢餓人口は一段と増える恐れがある。

アフリカの島国マダガスカル南部では過去40年間で最悪の干ばつに見舞われ、農作物の収穫が困難になっている。国連世界食糧計画(WFP)によると、114万人以上が食料不足に陥り、このうち1万4000人は深刻な飢餓の危機に直面している。何千人もの人々が食料を求めて移住したり、樹木の皮などを食べて飢えをしのぐといった状況が続く。

6月に現地を訪問したWFPのビーズリー事務局長は「この地域は気候変動の引き金になることをしていないのに、最も高い代償を払っている」と警鐘を鳴らしている。同国の緊急の食料支援のため、8000万ドル(約88億円)近くが必要と訴える。

ホンジュラスやニカラグアなど中米4カ国では、飢餓人口が18年の220万人から直近では800万人近くまで増加している。20年11月に大型ハリケーン「エタ」と「イオタ」が中米を直撃し、農場や住居が破滅的な被害を受けた。ブラジルやアルゼンチンも天候不順に悩まされ、トウモロコシなどの生産に悪影響が及ぶ。

大型ハリケーンによって甚大な被害を受けたバナナ農園(ホンジュラス西部のラ・リマ)=AP

コロナ禍も飢餓の大きな原因だ。社会保障制度が不十分な途上国では、多くの国民がコロナ禍で所得の減少や失業に見舞われている。航空便の減少や移動制限で食料支援も行き届きにくい。世界有数の穀物輸出国であるロシアは国内消費者を保護するため小麦などの貿易を制限し、国際的なサプライチェーン(供給網)も不安定になっている。

国連5機関が7月にまとめた報告書によると、地域別の飢餓人口はアジアが4億1800万人と最も多く、アフリカが2億8200万人、中南米が6000万人。アフリカは人口の21%が栄養不足で、他地域の2倍以上いる。国連は30年までに「飢餓ゼロ」を掲げるが、このままでは同年でも約6億6000万人は飢餓状態にとどまると警告する。

天候不順による需給逼迫などから、食料価格は高騰している。国連食糧農業機関(FAO)が算出する世界の6月の食料価格指数(14~16年=100)は平均124.6と、1年前より3割以上高い水準だ。特に穀物や植物油の値上がりが目立つ。主食のパン価格の高騰に苦しむ民衆の不満が背景にあった中東の民主化運動「アラブの春」が起きた11年の130台が視野に入っている。

食料インフレの加速は家計を直撃し、主食を輸入に頼る途上国にとっては大打撃となる。飢餓は社会不安や紛争を引き起こし、それがさらなる貧困をまねく悪循環に陥りやすく、国際社会の対策は急務になっている。国連は9月、世界各国の首脳を集めて「食料システムサミット」を開催し、食料の生産や流通の安定について議論する。 』

中国、WHO再調査を拒否

中国、WHO再調査を拒否 研究所対象に反発
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM2233K0S1A720C2000000/

『【大連=渡辺伸】中国国家衛生健康委員会の曽益新副主任は22日の記者会見で、新型コロナウイルスの発生源を探るために世界保健機関(WHO)が提案した中国での追加調査を拒否する意向を表明した。調査計画は湖北省武漢市の中国科学院武漢ウイルス研究所も対象としているが、同研究所から漏洩した可能性はないと強調した。

【関連記事】
・コロナ発生源、再び火種に 米大統領が追加調査指示
・コロナ対応「中国や国際社会の初動に誤り」 WHO調査委

曽氏は「追加調査は常識を尊重せず、科学に反する」と非難した。WHOのテドロス事務局長は16日、加盟国に対して武漢の研究所や海鮮市場を含めた第2段階の調査計画を提案した。WHOは2021年1~2月、武漢で現地調査を行い、公表した調査結果でウイルス研究所からの流出説はほぼ否定していた。

中国が感染拡大初期のデータの提供を拒否しているとの批判について、WHOとの共同調査に当たった中国側のリーダー、梁万年氏は22日の会見で「データは調査期間中に示した」と説明。「ただし病人のプライバシー保護のため提供に同意せず、コピーも認めなかった。(WHOの)専門家チームは理解を示していた」と説明した。 』

デモ隊、コロナ対策に抗議 警察がゴム弾発射

デモ隊、コロナ対策に抗議 警察がゴム弾発射―タイ
https://www.jiji.com/jc/article?k=2021071800409&g=int

『【バンコク時事】新型コロナウイルスの感染が広がるタイのバンコク中心部で18日、プラユット政権の感染症対策に抗議するデモが行われた。警察はゴム弾や放水車を使って鎮圧に当たり、複数のけが人が出た。

 タイの18日の新規感染者は1万1397人で、過去最多を3日連続で更新した。ワクチン接種を2回終えた人は5%程度にとどまっており、デモ隊は調達の遅れを批判。新型コロナの犠牲者を模し、布袋に包んだ人形を路上に並べた。』