[FT]ロシア製ワクチン EUが治験の倫理性など調査へ

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB091080Z00C21A4000000/

『欧州連合(EU)の医薬品規制当局は、ロシア製の新型コロナウイルスワクチン「スプートニクV」の臨床試験(治験)において倫理的・科学的基準に反する行為がなかったか、来週から調査を開始する。

欧州医薬品庁(EMA)が調査するのは、スプートニクVの治験が「医薬品の臨床試験に関する基準(GCP)」に基づいて実施されたかどうかだ。EMAの承認プロセスに詳しい人物がフィナンシャル・タイムズ(FT)に語ったところ…

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EMAの承認プロセスに詳しい人物がフィナンシャル・タイムズ(FT)に語ったところによると、同ワクチンの治験は非倫理的な方法で進められた疑いがあるという。GCPは医薬品の臨床試験を適切に計画および実施するための国際的に認められた基準だ。
軍人らの治験参加を強制か

ロシアの説明によれば、スプートニクVは、同国の政府系ファンドであるロシア直接投資基金(RDIF)が資金を提供して国営研究所が開発し、治験には軍人と公務員が協力した。だがロイター通信の報道によると、一部の参加者は上司から治験に参加するよう圧力をかけられたという。

RDIFのドミトリエフ総裁は、強制があったことを否定し、FTの取材に対し「(治験参加者が)圧力をかけられた事実はなく、スプートニクVはすべての臨床基準を満たしている」と回答した。またEMAによる調査は来週から開始される予定であることも明らかにした。

ロシアはスプートニクVを欧州のワクチン問題に対する解決策として売り込んでいる。だがEUの欧州委員会でワクチン接種プログラムを担当するブルトン委員は3月、欧州は「スプートニクVを全く必要としていない」と発言した。ロシア政府はこれに反発し、欧州委員会はロシア製ワクチンに偏見を持っていると批判した。

EMAはスプートニクVを審査中であり、EU圏内での使用を許可するか否かの結論はまだ出ていない。EMAは、臨床試験がGCPに合致していることを承認の条件としている。

EMAは「基準が順守されていれば、治験参加者の権利、安全や健康が守られており、臨床試験のデータが信頼できるという保証になる」と述べ、順守状況について懸念があれば、調査を命じる場合があると付け加えた。ロシアでの調査を含め、現在予定されている、または進行中の調査についてはコメントを控えた。
「59カ国で審査済み」とロシア側反論

ドミトリエフ氏は、すでにスプートニクVを承認した59カ国の規制当局は「治験データを非常に厳密に審査し、GCPの順守状況に満足している」と指摘した。

同氏は続けて、「我々はEMAがGCPについて懸念しているとの情報は把握していない。そのような情報をリークすることは、公平・無差別とされるEMAの承認プロセスの信頼性を損なおうとする人間がやりそうなことだ」と述べた。

またこれとは別に、EMAはロシアにあるスプートニクVの生産施設を5月に調査する計画だが、ドミトリエフ氏によれば、ワクチンを発注した国の調査官の視察を受け入れるため、数日間延期されるという。「我々はワクチンを購入すると約束した国の調査官を優先する。欧州委員会とは違う」

難航するワクチン接種プログラムを巡り、EUへの批判は高まりつつある。人口比で見たEUのワクチン接種率は英国や米国を大きく下回っており、当局はその原因の一つとして、ワクチンの不足問題をあげる。

EU加盟国であるハンガリーとスロバキアは、EMAの承認を待たず、緊急規則を利用してスプートニクVワクチンを購入した。だがスロバキアの首相は、ロシア製ワクチンの購入を決定したことで閣僚からの反発に遭い、3月に辞任に追い込まれた。

EU加盟国の大半が感染「第3波」への対応に追われ、欧州諸国の多くで新規感染者数、入院者数、死亡者数が増加するなか、ワクチン不足は切実な問題となっている。

By Donato Paolo Mancini and Henry Foy

(2021年4月7日付 英フィナンシャル・タイムズ電子版 https://www.ft.com/

(c) The Financial Times Limited 2021. All Rights Reserved. The Nikkei Inc. is solely responsible for providing this translated content and The Financial Times Limited does not accept any liability for the accuracy or quality of the translation.
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欧州、北朝鮮と距離開く アジア政策を見直し

欧州、北朝鮮と距離開く アジア政策を見直し
欧州総局編集委員 赤川省吾
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR2149O0R20C21A3000000/

『アジアへの関心を高める欧州が北朝鮮政策で強硬姿勢を明確にしている。在平壌大使館を大幅縮小するとともに、密輸やミサイル開発への警戒を強めた。米国とともに民主主義を支えてきた欧州は、対中国政策だけでなく、強権国が増えているアジア外交全般の見直しに動いている。

Nikkei Views
編集委員が日々のニュースを取り上げ、独自の切り口で分析します。

英国政府は3月中旬、外交・安全保障の新指針「統合レビュー」でアジアシフトを打ち出し…

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英国政府は3月中旬、外交・安全保障の新指針「統合レビュー」でアジアシフトを打ち出し、北大西洋条約機構(NATO)も年次報告書で「中国の台頭」を指摘した。欧州ではアジア外交の重要性が飛躍的に高まっている。

足元では欧州主要国がアジアに海軍を送る動きが相次ぐ。主眼は中国けん制だが、実は北朝鮮もにらむ。「北朝鮮の制裁回避に対する警戒監視活動」。在日フランス大使館は3月、フリゲート艦「プレリアル」を日本に派遣した理由を、こう説明した。

欧州各国は平壌に大使館を置くが、現在はほとんどがもぬけの殻。「外交官は全員待避した」(ポーランド外務省報道官)、「大使はストックホルムで勤務中」(スウェーデン外務省報道官)。取材によると、平壌での外交活動はほぼ停止した。

きっかけは2020年2月、新型コロナウイルスの感染拡大を懸念する北朝鮮当局からの通告だ。「外交官であっても移動を制限する」。各国大使館に書簡が届いた。

外交官の移動の自由をうたうウィーン条約の精神に反し、事実上の軟禁状態となって業務に支障が出るだけではない。大使館員が体調不良になっても、医療チームを平壌に送ることができない。

「人権を説く欧州が、ひどい労働環境で外交官を働かせることはできない」。匿名で取材に応じた欧州の政府高官は言う。前例をつくれば、似たようなことを要求する強権国が相次ぐ恐れもある。抗議の意味も込めて、20年末までにほとんどの欧州外交官が平壌を離れた。
欧州は北朝鮮とイランなどが技術者の交流を続けているとにらむ。写真は21年1月の軍事パレード、朝鮮中央テレビが放映した=共同

北朝鮮は以前、欧州でぜいたく品や外貨を調達していた。欧州は半ば黙認していたが、北朝鮮が2017年に核・ミサイル実験をエスカレートさせると方針を転換し、包囲網を狭めてきた。

ポーランドが北朝鮮の出稼ぎ労働者の受け入れを停止し、ルーマニア外務省報道官は「国連の北朝鮮制裁を厳格に守る」と取材に答えた。ドイツ政府は20年、在独北朝鮮大使館が敷地内で運営する宿泊施設を外貨獲得施設とみなして閉鎖させた。ドイツの情報機関、連邦憲法擁護庁は北朝鮮が欧州で核・ミサイル部材を買い付けているとにらんで警戒を強める。

居心地が悪くなった北朝鮮は正規の外交ルートを避け、直接、欧州の政治家に接触している。

英独仏の欧州議会議員(当時)3人は18年秋、欧州議会のマカリスター外務委員長の反対を押し切って訪朝した。「訪問にあたって外交ルートは使わなかった」。そのうちの一人、仏極右政党、国民連合の重鎮ゴルニッシュ氏は取材に証言した。5日間滞在し、農業施設などを見学した。

ドイツ野党・左派党の重鎮モドロウ氏(左)は、北朝鮮の金日成主席と一緒に遊覧船に乗り、会食した仲だ(写真は1996年、ロイター)

18年には旧東独の閣僚評議会議長(首相)で、いまはドイツ野党・左派党の長老会議長、モドロウ氏も訪朝した。同氏への取材によると李洙墉(リ・スヨン)党副委員長(当時)から招かれたという。モドロウ氏は1984年に金日成主席が訪欧した際、つきっきりで接待したことがあり、北朝鮮との縁は深い。19年にもドイツの与党議員らが訪朝した。

コロナ禍で平壌入りが難しくなったいまはビデオ会議などで欧州政界と北朝鮮の接触は続く。

北朝鮮の狙いは欧州政界に直接、アプローチできることを示し、強硬姿勢に傾く欧州の外交当局をけん制することだ。日本でも一部の国会議員らの訪朝が物議をかもした。独自外交を繰り広げる政治家は存在するが、欧州の外務当局者は異口同音に「北朝鮮の手口に動揺してはいけない」と述べ、甘い顔はみせない。

ストックホルムの閑静な住宅街にある在スウェーデン北朝鮮大使館(2018年に撮影)

もっとも、外交官らが接触を完全に遮断したわけではない。欧州に点在する北朝鮮大使館と、欧州各国の外務省は接点がある。「外交交渉こそが朝鮮半島の非核化に適切な手段」。英外務省報道官は取材に答えた。朝鮮労働党が党大会を開いた1月、ドイツなどが一斉に接触し、党大会の狙いを問うた。

欧州各国は収集した北朝鮮情報をEUの主要機関が集まるブリュッセルに持ち寄り、定期的に意見交換している。EUを離脱した英国も時折、情報交換の輪に加わっているとみられる。そもそも英独スウェーデンの3カ国は、ドイツが旧東独時代から平壌に持つ巨大な建物を大使館として共同利用している。

米朝対話の機運が再び盛り上がれば、欧州は交渉場所となる可能性がある。アジア政策を担当する欧州の政府高官は「すぐに動き出すとは思っていない」と語るが、潮目が変われば、交渉の下準備に応じる心づもりをしている。中立国スウェーデンが米朝の仲介役に乗り出す可能性もある。

これまで日本は自らの安全保障を考える際、米国とアジア太平洋諸国を主眼に置いてきた。これからは欧州との連携をもっと探ってもいい。軍事的な抑止力はともかく、国際世論を形成するうえで欧州の外交力は無視できない。

編集委員が独自の切り口で分析「Nikkei Views」一覧へNikkei Views https://www.nikkei.com/opinion/nikkei-views/

「一億総中流」もはや過去 成長と安全網、両輪で パクスなき世界 繰り返さぬために(4)

https://www.nikkei.com/article/DGXZQODL031FV0T00C21A4000000/

『コロナ禍で鮮明になった世界の分断は、日本にとって対岸の火事ですか――。

「女性や非正規労働の雇用に深刻な影響が出ている。自殺の増加や孤独・孤立の問題に真正面から向き合っていく」。菅義偉首相は3月16日、新型コロナウイルスの非正規雇用の緊急対策関係閣僚会議で訴えた。

【前回記事】
陰謀論に試されるネット 見識が生かす「利器」の真価

2020年に非正規雇用者は前年比で75万人減と比較可能な03年以降で最大の減少幅となった。一方で正規は35万人増えている。飲食・サービ…

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飲食・サービスなどを除けば大企業の正社員の多くには雇用危機が及ばず、コロナ禍で社会の断層は深まった。

特に影響が大きいのが女性だ。野村総合研究所はパート女性らのうち勤務シフトが5割以上減り、かつ休業手当を手にしていない「実質的失業者」は、20年末の90万人から21年2月に103万人に増えたと推計する。

労働力調査によると、母子世帯は20年10~12月に71万世帯と、前年同期から13万世帯も増えた。労働政策研究・研修機構の20年11月の調査では、ひとり親世帯の6割が20年末にかけ暮らし向きが「苦しい」と回答した。

過去30年の低成長で生活保護の受給者も増えていた。コロナ禍は、中間層の厚みを背景に社会の安定を誇った「一億総中流社会」が過去のものであることを鮮明にした。

断層は過去にもあった。大正期、農業から工業に産業の中心が変わる過程で「新中間層」と呼ばれるサラリーマンが都市に誕生。安定した賃金を得て豊かになった層が大衆文化をつくり、大正デモクラシーを生んだ。

だが波に乗れない農家や中小企業の労働者の生活水準は低いまま。くすぶる不満は1923年の関東大震災や29年の世界恐慌で高まった。国民は政党や財閥への不信を募らせ、軍国主義の台頭を招いた。

金融恐慌が発生した1927年、銀行では取り付け騒ぎが起きた=共同

原因の一つは組織優先の文化だ。「リーダーの劣化と組織の硬直化」。20年秋、民間経営者や若手国会議員ら有志の勉強会「プロジェクトT」は日本の課題をこう結論づけた。明治維新では西郷隆盛らが独創性を発揮した。途中から集団の論理を重んじる風潮が強まり、国家のかじ取りを誤り戦争の「転落の歴史」をたどったと指摘する。

個より組織を優先させる構造は、重厚長大な製造業が経済を引っ張る高度経済成長期に好都合だった。終身雇用、年功序列の制度を通じ、「豊かになるため組織の一員として忠実に働く」という労働者の思いと経済成長は軌を一にしていた。

00年以降、デジタル経済を中心に世界のゲームのルールが変わったが、官民とも時代に即した人材育成が遅れた。一橋大の森口千晶教授は「バブル崩壊後の30年、日本は多方面で静かに進む危機に抜本的な改革ができなかった」と話す。

政府は目下、官民で過去最大の計120兆円規模を投じ、科学技術の振興と若手研究者の育成を掲げる。同時にコロナ対策で、ひとり親や女性、非正規らを対象に合計200万円まで貸し付ける。誰もが安心し子育てできる環境をつくる。

変われる日本と変われない日本は過去に何度も姿を見せた。デジタル化の遅れなど日本の旧態依然ぶりを浮き彫りにしたコロナ禍。変えるべきものを変え、成長の道筋を取り戻す。それが忍び寄る分断を防ぐための前提になる。(おわり)

「パクスなき世界」取材班 加藤貴行、島田学、押野真也、大越匡洋、竹内弘文、生川暁、鳳山太成、松浦奈美、奥田宏二、江渕智弘、大島有美子、清水孝輔、高橋元気、佐伯遼、北川開、松田崇、宮沢翔、熊田明彦、天野由衣、塩山賢、森田英幸で構成しました。

北朝鮮、物資不足深刻に 外交官が相次ぎ脱出

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM023N80S1A400C2000000/

『【ソウル=恩地洋介】北朝鮮に駐在する各国の外交官や国際機関の職員が、相次いで北朝鮮外へ避難したことが判明した。新型コロナウイルスの流行を受けて中朝貿易を全面停止した影響で、食糧や医薬品などの物資不足が深刻なためだ。貿易再開に向け、中朝首脳による会談の準備が進んでいるとの観測もある。

トロッコで北朝鮮を脱出したロシアの外交官と家族ら(2月、ロシア外務省のテレグラムから)=共同

在北朝鮮のロシア大使館は1日、平壌駐在の各国外交官が大量に北朝鮮から脱出したとフェイスブックで明らかにした。英国、ベネズエラ、ブラジル、ドイツなど12カ国の代表部の建物に鍵がかけられ、国際人道組織の外国人職員も全員が離れた。

ロシア外務省は2月にも、同国大使館の外交官や家族がトロッコを使い、自力でロシアに越境する映像を公開したことがある。平壌ではロシアや中国、キューバなど9カ国の大使が残って業務を続けているもようだ。

年明け以降、各国の大使館などがSNS(交流サイト)を通じ、生活必需品が不足していると訴えてきた。ロシア大使館は医薬品の欠乏により「健康問題を解決する可能性がない」と投稿した。

2月に開かれた朝鮮労働党の会議では、金正恩(キム・ジョンウン)総書記が電力不足で炭鉱の生産が止まっていると説明した。交換用の部品がなく操業が止まった大規模工場もある。

韓国の国家情報院は、昨夏の水害も響き、北朝鮮の穀物が需要に対して100万㌧不足していると見積もった。韓国大統領直属の諮問機関副議長を務める丁世鉉(チョン・セヒョン)元統一相は「食糧が尽きかけており、5月には餓死者の発生が報じられるかもしれない」と指摘する。

北朝鮮が中国との境界を完全に閉じたのは2020年1月下旬。ウイルスの流入を恐れ、この間は中国からの物資受け入れを絶ってきたが、ここにきて4月中にも中朝貿易が再開されるとの観測が広がっている。

北朝鮮は2月、新たな中国大使に李竜男(リ・リョンナム)前副首相を任命した。3月下旬には金正恩氏が習近平(シー・ジンピン)国家主席に対米共闘を呼びかけるメッセージを送り、習氏は「中朝関係を強固に発展させたい」と応じた。

2日付の韓国紙・東亜日報は、韓国の徐薫(ソ・フン)国家安保室長が3月に訪韓したブリンケン米国務長官に「中朝首脳会談の準備が進められている」と伝えたと報じた。

北朝鮮指導部は市民に「自力更生」を唱え続けている。朝鮮中央通信の報道によると金正恩氏は3月下旬以降、3回にわたって住宅建設の着工式や現場を訪れ「自立経済の潜在力を誇示すべきだ」などと指導した。

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欧州でコロナ債務「帳消し」論 ピケティ氏ら提唱 ECB総裁「考えられない」と一蹴

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR31EWG0R30C21A3000000/

『【パリ=白石透冴】フランスを中心としたユーロ圏で、欧州中央銀行(ECB)や各国中銀が保有する国債約3兆ユーロ(約390兆円)の「帳消し」を求める議論が出ている。新型コロナウイルス対策で借金が積み上がっているためで、経済学者を中心にした賛成派は増税や緊縮を防ぐ唯一の方法と主張する。ECBは「考えられない」(ラガルド総裁)と議論を一蹴している。

「コロナ禍の借金の未来は?」(3月下旬の仏経済紙レゼコー…

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(3月下旬の仏経済紙レゼコー)。仏政財界やメディアは、コロナ禍で膨らんだ債務をいかに減らすかの議論が活発だ。きっかけは2月、ベストセラー「21世紀の資本」で知られるトマ・ピケティ氏ら仏独伊スペインなどの経済学者約150人が共同で「徳政令」を求める意見書を発表したことだ。

ユーロ圏各国が発行した国債の約3割を保有するECBや各国中銀が、償還を求めないことで、各国政府の財政を健全化すべきだとの提言だ。個人や機関投資家が保有する国債の扱いは変えない。

ピケティ氏らは、各国政府は自国の中銀とECBを直接・間接的に保有しており、ECBや中銀による国債買い取りは自分で自分に借金しているのと同じだと主張する。

賛成派の仏経済学者ジェザベル・クペスベラン氏は国債の償還を求めないことで「国が財政破綻を起こす可能性が下がり、国債の信頼性が高まる。市場の混乱は引き起こさない」と取材で語った。賛成派は経済学者が中心だが、欧州議会議長でイタリア人のサッソリ氏は2020年11月、伊メディアに「興味深い議論だ」と語った。

前例のない提案にECBや各国政府は否定的だ。ECBのラガルド総裁は2月、仏メディアの取材に「考えられない」と一蹴している。コロナ禍以前に発行した国債も対象とするのか、どのように意思決定するのかなど手続き上も不明点が多い。

反対の立場を取る仏景気経済研究所のアンリ・スタディニアク氏は「急なインフレも起きていない段階で国債の心配をする必要はない。見直すべきは財政規律を定めた欧州連合(EU)のルールだ」と語る。

議論が起きる背景には、コロナ禍で急激に増えた各国の借金がある。外出制限で影響を受けた業界への支援を繰り返し、21年の国内総生産(GDP)比累積債務はフランスとスペインがそれぞれ120%超、イタリアでは約160%に達する見通しだ。

フランスでは各党が債務の扱いについて意見表明する場面が増えており、22年大統領選で争点になる可能性がある。

マクロン大統領の与党「共和国前進」は3月下旬、「安易で非生産的な考えだ」とする声明を出して帳消し論を批判した。超低金利の市場環境では国債発行で集めた資金を成長戦略に充てるのが正しいなどと論じた。野党の中道左派社会党で前回大統領選に出馬したアモン氏らは帳消し論を主張している。

多様な観点からニュースを考える
※掲載される投稿は投稿者個人の見解であり、日本経済新聞社の見解ではありません。

伊藤さゆりのアバター
伊藤さゆり
ニッセイ基礎研究所 経済研究部 研究理事
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ひとこと解説 欧州の財政出動の規模は米英に比べて小さく、欧州域内では過剰債務国ほど対策規模が小さい。IMF(国際通貨基金)の「財政モニター」データ・ベースから、確認できる傾向です。
英米との差は、平時のセーフティーネットの厚さで説明できる部分もありますが、過剰債務国の慎重姿勢は、信用危機の再燃や、現在、停止中の財政ルールの再適用を意識せざるを得ないから。結果として危機対応として必要な対応が講じられず、傷痕がより深く、長く残る結果となることが懸念されています。

債務「帳消し」議論の背景は理解できるものの、ユーロ参加国政府の広い賛同を得ることは考えられません。
見直すべきはルール、という意見に賛成です。

2021年4月2日 15:34いいね

クリスティーヌ・ラガルド
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AF%E3%83%AA%E3%82%B9%E3%83%86%E3%82%A3%E3%83%BC%E3%83%8C%E3%83%BB%E3%83%A9%E3%82%AC%E3%83%AB%E3%83%89

『経歴
パリ9区にて、ロベール・ラルエットとニコル・カル夫妻の第1子として誕生。四人兄弟で3人の弟がいる[2][3]。幼年時代をル・アーヴルで過ごし、そこでカトリックの教育を受けた[4]。 10代の頃はアーティスティックスイミングの選手であり、フランスのナショナルチームに所属していた[5] [6]。16歳の時に父が亡くなり、以後母ニコルが1人で子供4人を育てた[7]。1974年にバカロレアを取得。パリ第10大学を卒業し、更に、グランゼコールの一つであるエクス=アン=プロヴァンス政治学院を卒業した。ENAの入学試験に2度失敗しているが、自身はこの失敗を後悔していないと述べている[8]。

卒業後の1981年、アメリカの国際ロー・ファームであるベーカー&マッケンジーのパリ・オフィスで弁護士として働き始める。1995年よりベーカー&マッケンジーのシカゴ本部でのエグゼキューティヴとなり、1999年よりチェアマンに選ばれた。

ジャン=ピエール・ラファランに発掘され、2005年にアメリカから帰国。ドミニク・ド・ヴィルパン内閣の農業・漁業相などを経て、2007年6月からフランソワ・フィヨン内閣の経済・財政・産業相(財務大臣に相当)に就任する。G8最初の女性財相でもある。

2006年には、アメリカの経済誌『フォーブス』が取り上げた世界最強の女性30に選出されている。反トラスト法、労働法専門の弁護士としても著名であり、ベーカー&マッケンジーの所長に女性で初めて就任した。

2011年6月28日、IMFの理事会にて専務理事に全会一致で選出された[9]。女性として初のトップ就任である。かつてラガルドと同じくフランス経済・財政相からIMF専務理事に転じたドミニク・ストロス=カーンが2011年5月に性的暴行容疑で逮捕・起訴されIMF専務理事を辞任したため、その後任の最有力候補として名が挙がっていた[10]。

2019年7月、欧州中央銀行次期総裁に就任が決定。同年11月1日に就任[11]。女性初の総裁となる。これに伴い、9月12日にIMF専務理事を退いた。』

途上国金融支援「8月実施」 IMFの外貨調達枠拡大―米財務省

『【ワシントン時事】米財務省は1日、新型コロナウイルス危機で打撃を受けた途上国の支援策として、国際通貨基金(IMF)が提案した外貨調達枠の拡充策が、8月に実施されるとの見通しを示した。途上国の回復は世界や米国経済にも貢献するとして、拡充策を支持する立場を強調した。

 IMFは、加盟国がドルや円などを調達できる権利「特別引き出し権(SDR)」を6500億ドル(約72兆円)相当拡大し、外貨不足にあえぐ途上国の資金繰りを支援する枠組みを検討。7日に開かれる20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議の議題となる。

 加盟国はSDRをIMFへの出資比率に応じて受け取る。現行計画では、最大出資国の米国に約17%、低所得国に3%、中国を除く新興・途上国に33%がそれぞれ配分される見通し。
 米財務省筋は、配分計画はIMFの最高意思決定機関である総務会で今夏に承認された後、8月に実施されるだろうと説明した。』

国際通貨基金
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9B%BD%E9%9A%9B%E9%80%9A%E8%B2%A8%E5%9F%BA%E9%87%91

『出資額と議決権
IMFの融資財源の大半は、主に加盟国が払い込むクォータ(出資割当額)を原資としており、更に一部加盟国からの借り入れによってクォータ資金を補っている。低所得国向けの譲許的融資及び債務救済は、別途、拠出ベースの信託基金により賄われている。[35]

IMFでの議決権は一国一票ではなく、下記のクォータ(出資額)による。各加盟国は基礎票(約750票)に加え、出資額100,000SDRごとに1票が与えられる。[36]2010年のクォータ改革によって新興国の占める比率が大幅に高まり、BRICs4国は常時10か国入りした。出資比率は2018年1月現在下記の通り。現在第15次一般クォータ見直しの議論が進行中であり、2019年秋の年次総会までに見直しを完了することとしている。[37]』

「大きな政府」成長力底上げカギに バイデン米政権

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN31ENJ0R30C21A3000000/

『【ワシントン=大越匡洋】バイデン米大統領は3月31日、今後8年でインフラや研究開発などに2兆ドル(約220兆円)を投じる構想を表明し、「大きな政府」への傾斜をさらに強めた。日本も2021年度予算で過去最大の総額106兆円超を計上。危機対応で前例のない規模に政府債務が膨らむ財政を持続的に運営するには、成長力の底上げへ投資対象の重点化がカギとなる。

「底辺から経済をつくり上げる」。バイデン氏は東部ペン…

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バイデン氏は東部ペンシルベニア州ピッツバーグで計画を公表し、こう訴えた。3月中旬に民主党主導で1.9兆ドルの「米国救済計画」を成立させたばかり。それから間を空けず、経済政策の次の青写真を示した。

巨額の財政資金を一気に費やす「救済計画」と異なり、今回の「米国雇用計画」は投資が8年にわたる。新型コロナウイルス危機を脱するためだけでなく、平時も政府が経済に関わり、雇用を生むために財政を使う。そんな政権の基本路線を際立たせた。

老朽化した道路や橋の刷新などに6210億ドル、安全な水道網の整備に1110億ドル、高速通信網の普及に1000億ドル――。計画には気前のよいメニューが並ぶ。気候変動や災害に対応する投資を増やし、新たな成長につなげる考えも強調した。

財源は企業増税を想定する。17年のトランプ減税で35%から21%に下がった法人税率を28%に上げる。さらに多国籍企業の課税強化など、これまでの公約に沿った内容で15年かけて2兆ドルを賄うと提案した。

実現への道筋が見えているわけではない。米国の歳出入改革は議会の専権事項で、上院は民主、共和が各50議席で勢力が拮抗する。野党共和党は計画公表前から「計画は大増税につながる『トロイの木馬』」(マコネル共和党上院院内総務)と反対してきた。民主党内でも左派に「気候変動への対応が不十分」との不満がくすぶる。

たとえ財源を確保できても課題は残る。コロナ禍の財政出動により、2月時点の予測ですでに米連邦債務総額は国内総生産(GDP)の130%に膨らみ、第2次大戦直後の最悪期(1946年、119%)を上回る。一時的に景気をふかすだけでなく、中長期の成長軌道を描けなければ、膨張債務を超低金利で支える危機モードから抜け出せない。

シンクタンクのタックス・ファンデーションによると、法人税率の28%への引き上げは長期的にGDPを0.8%押し下げるという。その負の効果を打ち消すだけでなく、さらに新しく成長を生み出す目算はあるのか。バイデン氏は語っていない。

代わりにバイデン氏が付け加えたのは「中国との競争に打ち勝つ」という政治的な味付けだ。与野党を問わず、米国にとって対中戦略は最大のテーマ。人工知能(AI)など先端分野の研究開発に1800億ドル、半導体をはじめとするサプライチェーン(供給網)の強化や製造業の振興に3000億ドルを投じると計画に盛った。

バイデン政権は医療や育児などの支援策も詰め、近く公表する。まだ封印している富裕層への増税策も同時に打ち出す可能性がある。「パラダイムを変えたい」というバイデン氏の賭けは、政府の肥大化という非効率を社会全体に広げる恐れをはらむ。

日本も財政頼みに傾斜 民間主導路線 どう推進

新型コロナウイルス禍は、政府債務がもともと高水準だった日本にも、危機回避へ欠かせない財政出動の拡大を迫った。2020年度は大型の補正予算を3回組み、合わせると約70兆円だ。21年度の当初予算にも予備費5兆円を積み、一般会計は総額106兆円と過去最大になった。

だが財政頼みには限界もある。東京都立大学の宮本弘曉教授は、財政刺激が民間の需要を引き出す乗数効果は高齢化する経済で弱まる傾向にあると指摘する。経済刺激が長期化すれば、効果が切れた際に経済活動が冷え込む「財政の崖」への対処も難しくなる。

産業構造が大きく転換するなか、これから伸びる環境技術やデジタル化の分野で民間主導の技術革新を生み出せるかが潜在成長率を高めるカギになる。政府債務残高が国内総生産(GDP)比で米国の約2倍と先進国で突出する日本は、財政支援の「量」だけではない工夫が一段と求められる。

IMF、コロナで「貧富の差拡大」 ワクチン・教育に懸念

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN015XU0R00C21A4000000/

『【ニューヨーク=後藤達也】国際通貨基金(IMF)は1日、新型コロナウイルスが世界的に貧富の格差を拡大させたとの分析結果を公表した。所得格差だけでなく、国によって医療やワクチン接種、学校の運営にも大きな差が出ている。財政余地が限られる国も多く、IMFは歳出の効率化や分配が欠かせないと指摘している。

IMFによると、厳しい貧困のもとにいる人々は2020年に世界で9500万人増えた。特に財政に余裕が乏しい国では不平等が今後数年でさらに拡大する可能性が高いという。IT(情報技術)などの技術進展によりスキルの低い仕事が減り、所得格差が一段と広がるおそれもある。

コロナによる教育の寸断も深刻だ。新興国や発展途上国は先進国と比べ、学校が閉鎖された期間が長い。ワクチンの接種も先進国より遅れており、今後も学校の再開に時間を要するおそれがある。教育の機会を失った子供は長期間にわたって所得などの不平等を被るおそれがある。IMFは不平等拡大に対処するため、ワクチン接種や教育といった問題により焦点を当てて政策対応を考えるべきだと各国に訴えている。

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〔世の中が騒然とすると、流言飛語が飛び交うようになる…。〕

 ※ 世に流通する「風説」「流説」の本質は、二条河原の落書の頃から、殆ど変わっていないと思われる…。

 ※ 世の中が「騒然」とすると、人々は「将来の見通し」を希求する…。それで、少しでも「それの参考になること」を求め、時には、「思考を停止し」、そういう「流言」に縋ってしまうことも、生じる…。

 ※ また、「真相はこうだ!」式の、歯切れのよい「断定!」「一刀両断!」に惹きつけられることも、生じる…。

 ※ しまいには、下記「ええじゃないか」にもあるように、「奇妙奇天烈な」大衆運動に走ることも、起こる…。

 ※ ストレスに耐えきれなく、なるんだろうな…。

二条河原の落書
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BA%8C%E6%9D%A1%E6%B2%B3%E5%8E%9F%E3%81%AE%E8%90%BD%E6%9B%B8

『此頃都ニハヤル物 夜討 強盗 謀(にせ)綸旨
召人 早馬 虚騒動(そらさわぎ)
生頸 還俗 自由(まま)出家
俄大名 迷者
安堵 恩賞 虚軍(そらいくさ)
本領ハナルヽ訴訟人 文書入タル細葛(ほそつづら)
追従(ついしょう) 讒人(ざんにん) 禅律僧 下克上スル成出者(なりづもの)

器用ノ堪否(かんぷ)沙汰モナク モルル人ナキ決断所
キツケヌ冠上ノキヌ 持モナラハヌ杓持テ 内裏マシワリ珍シヤ
賢者カホナル伝奏ハ 我モ/\トミユレトモ
巧ナリケル詐(いつわり)ハ ヲロカナルニヤヲトルラム

為中美物(いなかびぶつ)[注釈 1]ニアキミチテ マナ板烏帽子ユカメツヽ 気色メキタル京侍
タソカレ時ニ成ヌレハ ウカレテアリク色好(いろごのみ) イクソハクソヤ数不知(しれず) 内裏ヲカミト名付タル
人ノ妻鞆(めども)ノウカレメハ ヨソノミル目モ心地アシ
尾羽ヲレユカムヱセ小鷹 手コトニ誰モスヱタレト 鳥トル事ハ更ニナシ
鉛作ノオホ刀 太刀ヨリオホキニコシラヘテ 前サカリニソ指ホラス

ハサラ扇[注釈 2]ノ五骨 ヒロコシヤセ馬薄小袖
日銭ノ質ノ古具足 関東武士ノカコ出仕
下衆上臈ノキハモナク 大口(おおぐち)ニキル美精好(びせいごう)[注釈 3]

鎧直垂猶不捨(すてず) 弓モ引ヱヌ犬追物
落馬矢数ニマサリタリ 誰ヲ師匠トナケレトモ
遍(あまねく)ハヤル小笠懸 事新キ風情也

京鎌倉ヲコキマセテ 一座ソロハヌエセ連歌
在々所々ノ歌連歌 点者ニナラヌ人ソナキ
譜第非成ノ差別ナク 自由狼藉ノ世界也

犬田楽ハ関東ノ ホロフル物ト云ナカラ 田楽ハナヲハヤル也
茶香十炷(ちゃこうじっしゅ)[注釈 4]ノ寄合モ 鎌倉釣ニ有鹿ト 都ハイトヽ倍増ス

町コトニ立篝屋(かがりや)ハ 荒涼五間板三枚
幕引マワス役所鞆 其数シラス満々リ
諸人ノ敷地不定 半作ノ家是多シ
去年火災ノ空地共 クソ福ニコソナリニケレ
適(たまたま)ノコル家々ハ 点定セラレテ置去ヌ

非職ノ兵仗ハヤリツヽ 路次ノ礼儀辻々ハナシ
花山桃林サヒシクテ 牛馬華洛ニ遍満ス
四夷ヲシツメシ鎌倉ノ 右大将家ノ掟ヨリ 只品有シ武士モミナ ナメンタラニソ今ハナル
朝ニ牛馬ヲ飼ナカラ 夕ニ賞アル功臣ハ 左右ニオヨハヌ事ソカシ
サセル忠功ナケレトモ 過分ノ昇進スルモアリ 定テ損ソアルラント 仰テ信ヲトルハカリ

天下一統メズラシヤ 御代ニ生テサマ/\ノ 事ヲミキクゾ不思議ナル
京童ノ口スサミ 十分ノ一ヲモラスナリ

注釈
^1 田舎から入ってくる美味しい料理・食べ物。
^2 粗放な風流絵(ばさら絵)を描いた派手な扇
^3 大口(下袴の一種)に精好地を用いること。この大口を上の袴を省略して着ることを「ばさら姿」と呼んでいた。
^4 十種類の茶を飲んで銘柄を当てる「十種茶」と、十種の香を聞いて銘柄を当てる「十種十炷(じっしゅじっしゅ)」を掛けたもの。

安国寺恵瓊
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%AE%89%E5%9B%BD%E5%AF%BA%E6%81%B5%E7%93%8A

『天正元年(1573年)12月12日付児玉三右衛門・山県越前守・井上春忠宛書状で、「信長之代、五年、三年は持たるべく候。明年辺は公家などに成さるべく候かと見及び申候。左候て後、高ころびに、あおのけに転ばれ候ずると見え申候。藤吉郎さりとてはの者にて候」と書いており、織田信長の転落と、その家臣の羽柴秀吉の躍進を予想し、結果的にそれが的中したことで恵瓊の慧眼を示す逸話としてよく引き合いに出される[12]。これより派生して、『太閤記』における恵瓊は、無名時代の秀吉に「貴方には将来天下を取る相がある」と予言し、後年予言通りに天下人となった秀吉から領地を与えられる役どころとなっている。』

ええじゃないか
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%81%88%E3%81%88%E3%81%98%E3%82%83%E3%81%AA%E3%81%84%E3%81%8B

『ええじゃないかは、日本の江戸時代末期の慶応3年(1867年)8月から12月にかけて、近畿、四国、東海地方などで発生した騒動。「天から御札(神符)が降ってくる、これは慶事の前触れだ。」という話が広まるとともに、民衆が仮装するなどして囃子言葉の「ええじゃないか」等を連呼しながら集団で町々を巡って熱狂的に踊った。

伊勢神宮の御札が降るおかげ参りと違い、ええじゃないかの御札は地域で信仰されている社寺の御札が降ったため、現地で祭祀が行われる事が多かった[1]。降札があると、藩に届け出た上で屏風を置く、笹竹で家を飾る、酒や肴を供えるなどして町全体で札を祀った。名古屋の場合、降札後の祭事は7日間に及び、その間は日常生活が麻痺した。』

『目的
その目的は定かでない。囃子言葉と共に政治情勢が歌われたことから、世直しを訴える民衆運動であったと一般的には解釈されている。これに対し、倒幕派が国内を混乱させるために引き起こした陽動作戦だったという噂を紹介するものもある[2]。』

『歌詞
岩倉具視の『岩倉公実記』によると、京の都下において、神符がまかれ、ヨイジャナイカ、エイジャナイカ、エイジャーナカトと叫んだという。八月下旬に始まり十二月九日王政復古発令の日に至て止む、とあり、明治維新直前の大衆騒動だったことがわかる。また、ええじゃないか、の語源は、京の都下で叫ばれた言葉であったようだ。

歌詞は各地で作られ、例えば「今年は世直りええじゃないか」(淡路)、「日本国の世直りはええじゃないか、豊年踊はお目出たい」(阿波)といった世直しの訴えのほか、「御かげでよいじゃないか、何んでもよいじゃないか、おまこに紙張れ、へげたら又はれ、よいじゃないか」(淡路)という性の解放、「長州がのぼた、物が安うなる、えじゃないか」(西宮)、「長州さんの御登り、えじゃないか、長と醍と、えじゃないか」(備後)の政治情勢を語るもの、などがあった。』

眞相はかうだ
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%9C%9E%E7%9B%B8%E3%81%AF%E3%81%8B%E3%81%86%E3%81%A0

『眞相はかうだ[注釈 1](真相はこうだ、しんそうはこうだ)は、大東亜戦争(太平洋戦争)敗戦後の被占領期、連合国軍最高司令官総司令部 (GHQ/SCAP) の占領政策の一環として、1945年(昭和20年)12月9日より10回に亘(わた)りNHKラジオ第1放送及び第2放送で同時放送された宣伝番組[1]。』

『概要
1945年(昭和20年)12月9日放送開始。毎週日曜の夜8時からの30分番組で、その前後に当時人気の番組が配置、編成されていた。再放送を含めほぼ毎日のように放送された。

登場人物は、軍人とその親友である民主主義者の文筆家というのが主な設定であった。軍人が「太郎」という男の子となっていたという情報もある[1]。

「脚本は、その中心をアメリカ人が占めたGHQ内部部局の民間情報教育局(CIE)ラジオ課が担当し、1931年(昭和6年)の満州事変から終戦(日本の降伏)に至るまでの15年間に軍国主義者の犯罪や国民を裏切った人々を白日の下に、偽りない事実を、などという論評で、叙情的な音楽や音響効果音を駆使しながら、ドキュメンタリー形式を装ったドラマ仕立てに編成された番組であった」という[2]。

「眞相はかうだ」の元となったのは「Now It can be told(今だから話せる)」と題した第二次世界大戦中のイギリスの番組を、GHQ上層部が民間情報教育局へ企画として持ち込み、「日本の変革をするため」に実施をされた[3][4][5]。

当番組は、日本人の精神構造から軍国主義的な精神を排除するようコントロールすることを目的としていた。その為ならば、真珠湾攻撃や原爆投下などの罪を日本側に押し付けるといった事実の捏造も行われていた[1]。

番組の内容を巡って、これらはGHQ作成であることが隠蔽されたためにNHKへ手紙、電話などが殺到した[2]。その中には「あの放送は面白い、軍部の罪悪をもっと徹底的にたたいてくれ」と好意的に捉える意見もあったが、それらが抗議や非難などの批判的な内容が大半であることを知ったGHQは、その成果を取り入れてより巧妙にそれに続く番組を作成[2]、昭和21年(1946年)2月以降「眞相箱」、「質問箱」などへ形を変えながら1948年(昭和23年)1月まで放送された[1]。

「眞相箱」は、疑問に回答するという形式を取り、また、日本の短所だけでなく長所の面も随所に挿入されるなど、国民への聴き心地の良さも取り入れられた[2]。真実の中に巧妙に織り交ぜられた虚偽等々の手法が用いられたこれらの番組の思想は、プレスコードやラジオコードなどのGHQの指令により言論統制されていた実情もあり、次第に国民の間に押し広められていった[2]。これを批評した雑誌の対談記事は、民間検閲支隊(CCD)による検閲により「占領政策全般に対する破壊的批判である」という理由で「全文削除」に処されている[6]。

『眞相はかうだ』は『太平洋戦争史』を劇化したもので、これらGHQによるプロパガンダは「各層の日本人に、彼らの敗北と戦争に対する罪、現在及び将来の苦難と窮乏に対する軍国主義者の責任、連合国の軍事占領の理由と目的を、周知徹底せしめること」を眼目として開始され、「大東亜戦争」という用語(1941年/昭和16年12月12日、東條内閣閣議決定、「今次戦争ノ呼称並ニ平戦時ノ分界時期等ニ付テ」第1項「今次ノ對米英戰爭及今後情勢ノ推移ニ伴ヒ生起スルコトアルヘキ戰爭ハ支那事變ヲモ含メ大東亞戰爭ト呼稱ス」)の抹殺(使用禁止)及びそれに代る「太平洋戦争」という用語の導入によってそれが持つ意味、価値観が入れ替えられることとなった[7]。

(「大東亜戦争#GHQによる使用禁止」も参照)

櫻井よしこや保阪正康が、「これら一連のGHQによる歴史観は、現在主流の根底を占めることになっている」との見解を示している[2][8]。』

陰謀論に試されるネット 見識が生かす「利器」の真価 パクスなき世界 繰り返さぬために(3)

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN17CMH0X10C21A3000000/

『あなたは正しい情報をもとに世界を見ていると思いますか――。

「新型コロナウイルスのワクチンは生物実験だ」。3月20日、米国やオーストリア、スイス、カナダなど、世界各地で同時に政府のコロナ対策に抗議するデモが開かれた。陰謀論を信奉する集団「Qアノン」やワクチン反対論者、トランプ前大統領の支持者らが各地でデモを繰り広げた。

【前回記事】
労働者襲う新たな産業革命 デジタルの富、社会に広く

メディアの格付け機関、ニュースガードによると、米動画サイト「オディシー」で2020年11月~21年2月にフランス語の動画本数が英語を上回った。仏語圏の主要SNS(交流サイト)から排除された陰謀論者らが活動の場を米企業が運営するサイトに移したとみられている。サイト上では過激な言葉や真偽不明の情報が飛び交う。

メディア史に詳しい京都大学の佐藤卓己教授は人々の間で情報が拡散する仕組みについて、「語り手と受け手の相互作用で増殖する構造は同じ…

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メディア史に詳しい京都大学の佐藤卓己教授は人々の間で情報が拡散する仕組みについて、「語り手と受け手の相互作用で増殖する構造は同じだが、拡散する範囲・速度が上がっている」と指摘する。

情報を伝達する技術はこの100年で様変わりした。米国で4人に1人が電話を使うまでに要した時間は35年。テレビは26年、携帯電話は13年それぞれかかり、インターネットは7年だった。今後も情報を伝達するツールは多様化し、急速な勢いで消費者に浸透する。この流れは戻ることはない。

技術の進歩は生活を便利で豊かなものにする「利器」として機能してきた。コロナの発生が確認されてから1年もたたぬうちに複数のワクチンが開発され、量産化された。かつて黒死病(ペスト)やスペイン風邪の流行では原因の特定ができずに多くの死者を出したのと比較すれば、人類は確実に進歩を遂げているといえる。

一方で、誰かが意図的に虚偽情報を流したり、根拠のない噂話が広まったりする社会構造は今も昔も変わらない。19世紀末から広まった「シオン賢者の議定書」。ユダヤ人が世界を支配しようとしていると記した偽の書物は、人々の反ユダヤ主義の感情をたき付けた。大虐殺に行き着いた過去を経た今でも、憎悪犯罪を引き起こしている。

米マサチューセッツ工科大学が300万人が拡散したツイッターの投稿を分析したところ、フェイク(虚偽の)ニュースは根拠が確かなニュースと比べて6倍の速さで拡散することが分かった。一般的に、虚偽のニュースは人々の好奇心を刺激する内容を含むことが多いため、瞬く間に拡散する傾向があるという。

陰謀論などのフェイクニュースは瞬く間に拡散する(米ラスベガスでQアノンのプラカードを掲げる男性)=ロイター

急速なデジタル技術の発展は国家統治のあり方をも変えた。中国は人工知能(AI)や顔認証などの技術で14億人を監視する「デジタル権威主義」を確立した。アジアやロシア、アフリカなどへの監視ノウハウの輸出も進む。監視の対象は他国にも及び、民意形成への介入も試みる。

米国家情報長官室は昨年の米大統領選でロシアのプーチン大統領が、トランプ前米大統領を有利にするための情報工作を承認した可能性が高いとの報告書を発表した。

欧州の中でもメディアリテラシーの高い国と評される北欧フィンランド。画像がどう加工されるか、プロパガンダとは、ニュースの信ぴょう性は……。旧ソ連やロシアの脅威に直面し続けてきたこの国では、小学校から情報やデジタル技術への対応策を学ぶ。

自由な情報の流通は民主主義の根幹だ。私たちは日々押し寄せる新たな情報や技術を使いこなし、自由や民主主義を守る知恵が試される時代に生きている。

労働者襲う新たな産業革命 デジタルの富、社会に広く パクスなき世界 繰り返さぬために(2)

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGG180SZ0Y1A310C2000000/

『あなたは進歩を歓迎しますか――。

「壊滅的な打撃だ」。英西部ウェールズのスケーツ経済相は危機感をあらわにした。約40年にわたって地域経済を支えてきた米フォード・モーターのエンジン製造拠点、ブリジェンド工場が2020年9月に閉鎖になったときのことだ。

【前回記事】
酷似する危機の予兆 豊かさ90年ぶり低迷

18世紀後半から始まった産業革命。ウェールズは産炭地としてエネルギー供給で貢献した。フォードは100年前に世界初の量産車を世に出した20世紀を代表する…

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フォードは100年前に世界初の量産車を世に出した20世紀を代表する企業だ。産業構造の転換期、ともに岐路に立つ。

大量生産を通じ物質的な豊かさをもたらした製造業は、社会の安定と繁栄を支える力を失いつつある。英国では1960~70年代に雇用全体の3割近くを占めたのが近年は1割未満だ。

グローバル化やデジタル化、そして脱炭素。次々起こる変化に企業は揺れる。19世紀後半に生まれた内燃機関で動く車は電動化の潮流にもまれる。エンジン生産の見直しは世界の自動車業界が向き合う課題だ。

かつての産業革命も世界のありようを根本から変えた。繊維産業から始まった機械化は生産性を劇的に向上させ、経済成長をもたらした。激しい変化ゆえに「痛み」も大きかった。手工業で生計を立てていた働き手は自らの技能が役に立たなくなる苦境に直面。中程度の賃金の仕事は減り、富は工場経営者に集中して格差が拡大した。

18世紀後半から始まった産業革命は経済成長をもたらした一方で、労働者に「痛み」を強いた=ゲッティ共同

英オックスフォード大のカール・フレイ氏は庶民が工業化の恩恵を享受するまで「70年を要した」と話す。当時の労働者の苦悩を調べ、栄養状態の悪化で1850年に生まれた人の身長は1760年生まれの人より低い傾向にあったと指摘した。

社会が不安定になった19世紀の英国では「ラッダイト」と呼ばれる機械破壊運動が起きた。それでも政府などは労働者の不満を押さえ込み技術を採用。英国は競争力を高め覇権国家になった。

現代もヒトに置き換わる技術が広がる。調査会社リサーチ・アンド・マーケッツの予測では、産業用ロボットの市場は27年に1017億ドル(約11兆円)と20年の2.3倍に膨らむ。人工知能(AI)の進化もめざましい。

価値の源泉がモノからデータやソフトウエアに移り、「GAFA」に代表されるIT(情報技術)企業が力を握る時代。労働者は勤勉さでは評価されず、優れた頭脳とスキルをもつ一握りの人材が「高評価」を得る。

生み出す付加価値の差は賃金に反映される。米労働省の19年の統計によるとコンピューター・情報関連の職種の年収(中央値)が8万8千ドルにのぼるのに対し、製造部門の職種は半分以下の3万6千ドルと大差がついた。

激動期、労働者の痛みがいつ収束するかは見えない。だが技術の進歩を拒んだ国家や社会は衰退の道をたどる。

自動車産業の黎明(れいめい)期を引っ張った欧州。業界団体や独フォルクスワーゲン(VW)などの企業、有力大学は産業競争力に加え、「経済的・社会的責任を果たすため、労働力の再教育に多大な投資が必要」との考えで一致した。毎年労働者の5%にデジタル関連などのスキルを習得してもらう投資を始める。数年で対象は70万人、総額70億ユーロ(約9100億円)との試算もある。

富を社会に広く行き渡らせることができない「勝者総取り」のゲームはどこかで行き詰まる。個々人のスキルを21世紀仕様に高めつつ、誰もがデジタル革命の恩恵を享受できるような枠組みをどう構築していくか。政府や企業の知恵が問われている。

「パクスなき世界」第5部
(1)酷似する危機の予兆 豊かさ90年ぶり低迷

格差と不平等が常態となり、富の再配分が弱まった社会はもろい。公共心や他者への寛容さを失い、異質なものを安易に排斥するムードが漂う…続きを読む

「パクスなき世界」第1部~第4部を読む

不連続の未来へ 「パクスなき世界」第1部まとめ https://www.nikkei.com/article/DGXMZO63110190X20C20A8000000/?n_cid=DSREA001

世界は変わった。新型コロナウイルスの危機は格差の拡大や民主主義の動揺といった世界の矛盾をあぶり出した。経済の停滞や人口減、大国…第1部まとめを読む
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO63110190X20C20A8000000/?n_cid=DSREA001

自由のパラドックス 「パクスなき世界」第2部まとめ https://www.nikkei.com/article/DGXMZO65020570V11C20A0EA8000/?n_cid=DSREA001

民主主義が衰えている。約30年前、旧ソ連との冷戦に勝利した米国は自国第一に傾き、自由と民主主義の旗手の座を退いた。かつて自由を希求…第2部まとめを読む
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO65020570V11C20A0EA8000/?n_cid=DSREA001

大断層の先に目を凝らす 「パクスなき世界」第3部まとめ https://www.nikkei.com/article/DGXMZO67368890W0A211C2EA8000/?n_cid=DSREA001

新型コロナウイルスの危機は低成長や富の偏在といった矛盾を広げ、世界に埋めがたい深い断層を刻んだ。過去の発想で未来は描けない…第3部まとめを読む
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO67368890W0A211C2EA8000/?n_cid=DSREA001

いまは夜明け前 「パクスなき世界」第4部まとめ https://www.nikkei.com/article/DGXZQODF108JQ0Q1A210C2000000/?n_cid=DSREA001

持つ者と持たざる者の差が開き、世界を切り裂く「K字」の傷。衰える米国と、力を増す中国。豊かさが行き渡らず、人の声に耳を傾けない不寛容…第4部まとめを読む
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岩間陽子
政策研究大学院大学 政策研究科 教授
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分析・考察 イギリスは幸い、上からと下からの改革主義が結びついて、選挙権を拡大し、労働組合の声を政党が吸い上げ、既存の体制を改革して乗り切ることができました。しかし同時期、フランスを発端にヨーロッパ中をくりかえし革命の波が襲い、最終的にはロシアで共産革命が起こります。都市労働者層の増大に、政治が対応しきれなかったからです。20世紀に入り、社会民主主義が議会制度の中で、労働組合の声を政治に反映し、労働者の生活を改善していく方法が見出されました。しかし今、産業構造の激変により、労組が衰退し、社会民主党が力を失っています。底辺の人々の声を吸い上げる新しい仕組みが見出されなければ、再び政治の大変動がやってきます。

2021年4月1日 2:19いいね
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鈴木一人
東京大学 公共政策大学院 教授
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別の視点 技術は進歩しても、人間社会はすぐに劇的に変化するわけではない。貧富の格差による生活苦だけでなく、感情的な反発が人種差別やヘイトクライムにつながるというのも過去に繰り返されてきたこと。こうした問題を解決していくのが技術ではなくガバナンス。しばしば貧富の格差を覆い隠すためにナショナリズムに訴え、他国民に対しての優越感でごまかすということもなされてきたが、今もまさに同じようなことが起こりつつある。技術の進歩により生まれた格差を埋めていくには政治的な再分配と、技術がカバーできない分野に雇用を生み出すこと。それを支えるガバナンスのイノベーションが求められている。

2021年3月31日 19:41いいね
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22年春の大卒採用4.4%増、12年連続プラス 本社調査

https://www.nikkei.com/article/DGXZQODZ16DGG0W1A310C2000000/

 ※ リーマンの時と、全く様相が違っているのは、「企業の採用計画」の側面からも、見て取れるな…。

 ※ これが、2~3年後には、ジワジワとマイナスの影響が及ぶという可能性も、無いわけではない…。

 ※ しかし、各国上げての緩和策・財政拡大の大盤振る舞い、ワクチン接種の進展具合なんかを見ると、そういう可能性は低い…、というのが、大方の見方だろう…。

 ※ むしろ、過熱や、軟着陸に失敗しての「世界的崩壊」を心配した方がいいような状況なんでは…。

『日本経済新聞社が21日まとめた2022年春入社の新卒採用計画調査(1次集計)で、大卒採用計画は21年春実績見込み比4.4%増となった。新型コロナウイルスの影響により旅行や鉄道などが採用を抑える一方、電機は2桁増を計画する。自動車も増やす方針で、デジタル化や脱炭素に必要な人材への強い採用意欲が鮮明になった。

【関連記事】

採用、巣ごもり需要で明暗 スーパーのライフ25%増 
主要企業4878社の採用計画を聞き、3月4日までに未確定と回答した企業も含め2213社を集計した。大卒の採用計画総数は約8万9600人とリーマン・ショック後に採用数が回復した11年度以降12年連続で増えた。増加幅も前年の2.6%から拡大した。

前年の当…

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前年の当初計画は4.2%増だったが増加幅が縮んだ。22年春も事業環境や学生の応募状況によっては下振れる可能性がある。

リーマン危機の影響が強く出た10年度は19.6%減。新型コロナの影響を多くの企業が受けるなか、当時と異なるのは一定の新卒を確保しようとする動きだ。企業によってはリーマン危機後の採用抑制により、世代別の人員構成に偏りが出た。その反省から「極端な採用減には慎重になり、新卒獲得の意欲は底堅い」(浜銀総合研究所の遠藤裕基主任研究員)。

リーマン危機後とのもう一つの違いは、電気自動車(EV)といった環境分野やデジタルなど新たな事業領域を伸ばそうとする企業の動きだ。理工系は8.4%増と、文科系の2.9%増を大幅に上回る。

業種別では電機が10.8%増を計画し、なかでも電子部品は13.8%増だ。半導体大手のロームは32.8%増の約170人とする。電力を制御するパワー半導体などの需要がEV向けに高まるとみて「エンジニアを中心に積極的に採用する」。

日本電産グループも理工系学生を増やし、全体で2割増の139人とする。EV用駆動モーターの需要が増えており、理系人材を確保して事業拡大につなげる。

ほかの電機大手も高水準の採用を続ける。日立製作所は600人、ソニーグループは1100人とそれぞれ前年並みの新卒確保を目指す。ソニーは稼ぎ頭のゲームや画像センサー事業を中心に積極的に採用する。京セラグループはスマホ用電子部品に加えて「システム関連の採用を増やす」ために全社で12.8%増の約580人を計画する。

自動車・部品は5.4%増だ。EVの開発競争が激しくなるなか、有望な人材の確保にむけ企業が採用を増やす。

デジタルなど専門人材への採用意欲は非製造業でも強い。パソナグループは2割多い約180人を計画する。「企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)需要を開拓するためにエンジニアなどを増やす」という。大和証券グループも18.5%増の385人を採用する。個人向け営業の人員に加え、ITやリスクマネジメントなど専門性の高い学生を確保する。

クリックするとビジュアルデータへ https://vdata.nikkei.com/newsgraphics/research-starting-salary/

コロナ禍で事業環境が大きく変わり、採用を控えざるを得ない企業も多い。鉄道・バスは外出自粛や訪日客需要の蒸発をうけ、29.1%減を計画する。

「経営環境の激変により事業全般の構造改革が必要」「厳しい経営状況を踏まえた効率化などを勘案した」。JR東日本とJR東海はそれぞれ採用数を38.8%、19.7%減らす理由をこう説明する。JR東はチケットレス化や保守・点検の機械化も合わせて進め、スリム化を急ぐ。

旅行需要が激減したJTBグループは採用を見送る。21年3月期の連結経常損益は過去最悪の約1000億円の赤字を見込む。早期退職などに合わせ採用も見合わせる。

在宅勤務の普及により、アパレルを含むその他小売業は5.8%減だった。青山商事グループは80人と前年度から4割減らす。オフィス着のカジュアル化でスーツ販売が苦戦しており、22年3月期までに全店の2割にあたる160店を閉じる計画。事業縮小にあわせて採用も抑える。

22年春入社の採用活動は3月から本格化している。就職情報大手のディスコ(東京・文京)によると、1日時点の内定率は21.1%と前年同月を5.2ポイント上回っており、有望な学生を前倒しで囲い込む動きが強まっている。

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永浜利広
第一生命経済研究所 首席エコノミスト
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別の視点 マクロで見た新卒採用計画調査といえば、日銀短観にも注目でしょう。
6月調査と12月調査の年2回しか実施されませんが、日銀短観の中に新卒採用計画というのがあり、細かい業種別のみならず、中堅・中小企業も含めた企業の規模別の調査結果も公表されます。
短観で22年度の採用計画が公表されるのは、7月頭に公表される6月調査まで待たなければなりませんが、今回の日経調査と比較してみたら面白いと思います。
2021年3月22日 8:56 (2021年3月22日 8:58更新)

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大湾秀雄
早稲田大学 教授
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ひとこと解説 旺盛な採用需要の背景には二つの要因がある。まず、大手企業の多くに見られるいびつな年齢構成である。バブル期世代の大量退職を控え、新卒・中途両面で人財を補いながら若手登用を急ぐ必要がある。二つ目に、DXの進行に伴い事業モデル、業務プロセスの変革が進んでおり、会社が求めるスキルと現存するスキルの乖離が生じている。このスキルギャップを埋めるため、新しいスキルを身につけた新卒や中途の採用を急いでいる。しかし、高技能人財の供給は限られ、今いる従業員に新しいスキルを身につけさせるリスキリングに力を入れざるを得ない。タレントマネジメントに注力し、スキルギャップを認識した企業ほど、採用・育成における動きは早い。

2021年3月22日 11:19いいね
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上杉素直
日本経済新聞社 本社コメンテーター
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ひとこと解説 コロナ禍で新卒採用も大きく減るのかと心配されましたが、実際には企業の人材確保への意欲は依然として旺盛です。記事に指摘されているように専門分野向けのニーズが強いことに加え、バブル期の大量入社組の定年退職が近づいてきた事情もあるでしょう。気になるのは、業績と同じく、採用でも二極化がはっきりしてきたことです。日本の産業構造や競争力にどんな影響を与えるのか注視したいと思います。

2021年3月22日 8:05いいね
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米200兆円経済対策が成立 バイデン氏が署名

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN11E330R10C21A3000000/

 ※ ある意味、究極の「バラマキ政策」だ…。

 ※ あれだけの、経済大国・内需主導経済国で、ここまでの「バラマキ政策」を実行した例は、無いだろう…。

※ 日本の国家予算→約90~100兆円 ただし、「一般会計」。「特別会計」を、合わせると、300兆円くらい。 米国の国家予算→大体、500兆円くらい。そこから、「200兆円をばら撒く。」という話しになる…。まあ、5分の2くらいか…。

 ※ 日本の一般会計予算にあてはめると、40兆円くらいに該たることになる…。自衛隊の予算規模が、5兆円くらいだから、自衛隊を8個運用する…、というくらいの規模に該たることになる…。そういう規模(自衛隊8個分)の国家予算を、「ばら撒く」という話しになる…。

 ※(ちなみに、かの民主党政権においては、「9兆円の埋蔵金」をひねり出す…、という話しだった…。それを聞いたときは、「どうやって、自衛隊の予算2個分相当を、ひねり出すんだろうな…。」と思ったものだった…。結果は、みなさんご存じの通りだ…。)

 ※ 『リーマン危機後の回復局面でオバマ政権のとった控えめな経済対策が不興を買い、2010年の中間選挙で民主党が敗北したことの反省が、当時副大統領だったバイデン氏を突き動かしています。』

 ※ ここが、「トランプ政権誕生」の原動力となった…。

 ※ ただ、「危機」の性質が大分違っていると思う…。

 ※ リーマン危機は、「金融危機」で、「金融機関」のバランスシートが痛んでしまった…。バランスシートが痛むと、それを「回復」するのは、もの凄く時間がかかる…。コツコツ、乏しい「利益」の中から、積んで行く他は、無いからな…。

 ※ このコロナ・ショックでは、「需要が、消えてしまった。」…。旅行・飲食業界で、「需要」が消滅した…。航空運輸業界もそうだ…。イベント関係、スポーツなんかの興行業界もそうだ…。

 ※ なにしろ、「密になっては、ならん!」ということだからな…。

 ※ よって、「策」としては、ワクチン接種を促進しつつ、「消滅した需要を喚起する」というものになる…。

 ※ しかし、経済政策というものは、「ちょうど、良い加減」というものが、難しいものなんだよ…。過熱、減速自体も把握するのが難しい…。そして、「策を講じて」も、それが効果を生じるまでには、タイム・ラグがある…。策を打った時は、もう手遅れ…、後手後手ということが、よくある…。

 ※ 米国は、「世界の基軸通貨国」だから、影響は「世界経済全体」に広がることになる…。

 ※ 各国は、そういう「波」をモロにかぶって、右往左往することになる…。

 ※ こういう「劇薬」が、どういう結末を迎えることになるのか、明確に予測できる人は、いないだろう…。

『【ワシントン=鳳山太成】バイデン米政権が提案した1.9兆ドル(約200兆円)規模の新型コロナウイルス経済対策法案が11日、成立した。バイデン大統領が署名した。家計を支援するため、1人当たり最大1400ドルの現金給付を週内にも始める。新政権で初めてとなる財政出動で経済再建を急ぐ。

【関連記事】
米の現金給付、恩恵は業種で濃淡 ローン返済や必需品購入

バイデン氏はホワイトハウスで「米国救済計画」と名付けた新対策に署名した。「この歴史的な法律は我が国の根幹を立て直すものだ」と述べ、公約実現の意義を強調した。

法案は上下両院が10日までに可決した。バイデン氏は12日に署名する予定だったが、支援を速やかに実行に移すため1日前倒しした。今後は同氏やハリス副大統領らが全米各地を回って、新対策の成果を有権者に直接訴える予定だ。

新対策は家計への現金給付が柱で、総額4000億ドル規模に上る。年収8万ドル以上の所得層は対象外とした。サキ大統領報道官は11日の記者会見で、早ければ今週末にも銀行口座への振り込みが始まると説明した。

3月14日の失効が迫っていた失業給付の特例加算も9月まで延長する。州政府の支給に加えて、連邦政府が週300ドルを積み増す。

コロナ対策として、ワクチンの接種や検査の拡大に必要な予算も盛り込んだ。飲食店や航空などの企業支援ほか、コロナ対策の実務を担う州・地方政府への財政支援も実施する。

コロナ下で2020年3月以降に実施した米国の財政出動は今回で第5弾だ。総額は約6兆ドル弱に上る。経済成長や雇用回復を促すとの期待が大きい一方、インフレを引き起こしたり、長期金利が上昇したりして市場が混乱するリスクを懸念する声もある。

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永浜利広
第一生命経済研究所 首席エコノミスト
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分析・考察 緊急性の低いグリーンやデジタル向け支出の割合が高い日本の緊急経済対策と異なり、家計向け現金給付や失業給付加算といった家計向け絵の支援が柱となっているところが日本の経済対策と大きく異なります。
それだけ景気刺激効果も強いということになりますから、サマーズ氏やブランシャール氏など一部の主流派経済学者がやりすぎに心配するのも頷けます。
2021年3月12日 8:21いいね
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中空麻奈
BNPパリバ証券 グローバルマーケット統括本部 副会長
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別の視点 世界中で債務残高が増えている。新型コロナウイルス以降、米国で出動した財政総額は約6兆ドルというのだから、そりゃそうだ。必要な財政措置は必要に違いないが、債務総額が積みあがって金利が上昇すれば、金利支払いだけで大きな負担になることは自明である。7月31日には、米国で債務上限問題回避の期限切れも来る。これについては、回避を継続か、上限引き上げの対応ができると見られるものの、まだわからない。財政出動しているうちは金融緩和が欠かせないが、正常化がちらつく中、どうバランスを取るか。悩ましい。
2021年3月12日 9:01いいね
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菅野幹雄
日本経済新聞社 ワシントン支局長・本社コメンテーター
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ひとこと解説 リーマン危機後の回復局面でオバマ政権のとった控えめな経済対策が不興を買い、2010年の中間選挙で民主党が敗北したことの反省が、当時副大統領だったバイデン氏を突き動かしています。
記事にあるようにバイデン大統領やハリス副大統領は全米各地を行脚し、今回の巨額対策の成果を米国民に売り込む構えです。インフラ増強策など「攻め」の手を続けて繰り出し、2022年の中間選挙に向けてとにかく勢いを保ちたいのでしょう。とはいえ、今回の対策で共和党からの賛同は皆無でした。バイデン氏が突き進むほど、米国の政治的分断も一段と進む恐れがあります。

2021年3月12日 7:35いいね
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日系女性が石で顔面殴られ鼻の骨折などの負傷

日系女性が石で顔面殴られ鼻の骨折などの負傷-米シアトルの中華街
https://www.recordchina.co.jp/b873051-s25-c30-d0198.html

『中国メディアの亜太日報(アジア太平洋デーリー)は5日付で、日系米国人の女性が米シアトルの中華街の路上で顔面を殴られて負傷したとする記事を発表した。

事件発生は2月25日午後9時半ごろ。記事によると、女性は白人のボーイフレンドと一緒で、同市内でアジア系住人が集中するインターナショナル・ディストリクトの中華街近辺にいた。警察側の記録によると、容疑者は石を詰めているとみられる靴下で女性の顔面を殴った。女性は意識を失った。女性は鼻の骨を折り、歯も砕けてしまった。それ以外の箇所でも8針を縫う必要があったという。

女性のボーイフレンドである男性は、米国ではアジア系住人への襲撃事件が増えており、2人もその対象になったのではないかと言う。女性が大けがをしたのは、まず女性に狙いを定めていたからだ。男性は、襲撃者は意図的に対象を絞っており、「私たちを本当に殺そうと思っていたに違いない」とも話した。

シアトル市警によると、同市で発生したアジア系人への襲撃事件は、2018年には6件、19年には8件が記録されているが、20年には14件と増加した。襲撃の際などに「アジア人は自分のいるべき場所にいろ!」「自分の国に帰れ!」と怒鳴られることもあるという。

記事によると、現地の検察関係者は襲撃が増えている原因について、アジア系住人が新型コロナウイルスを伝播しているとの誤った情報のためだろうとの見方を示したという。(翻訳・編集/如月隼人)』

新型コロナ長期化と新たな危機 イアン・ブレマー氏 米ユーラシア・グループ社長

https://www.nikkei.com/article/DGXKZO69186830X10C21A2TCT000/

『2021年2月18日 2:00 [有料会員限定]

新型コロナウイルスの感染が世界に拡大してから約1年がたつ。公衆衛生上の影響は明らかだ。世界全体の感染者は1億人を超え、死者は200万人に達する。有効なワクチンの接種が進んでいるのは朗報だが、少なくともあと1年は政治、経済、社会全般における活動全てが、開始と停止を繰り返す回復となるだろう。

もちろん、一部の国やその国の一定の層は、次に何が起きても対処できる態勢を整えている。世界がニューノーマル(新常…

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世界がニューノーマル(新常態)に向けてそろり踏み出すなか、まさにそこが問題となる。株式市場で上位と下位の分断が進む「K字回復」も懸念材料だが、国単位のK字回復は、はるかに悪い事態を引き起こす恐れがあるからだ。その理由について説明しよう。

まず、回復に差が出ることで各国内の分断が広がる。先進国では、コロナは主に低所得層とサービス業従事者の収入に打撃を与えている。これは多くの場合、女性と有色人種が影響を受けているという意味でもある。国民を支援できる資金力がある国は恵まれているが、世界で最も豊かな国である米国でさえ、景気刺激策は政治闘争によって何度か妨げられている。

バイデン米大統領と与党・民主党が議会で刺激策の成立にこぎ着けても、生活困窮者を十分に支援できる保証はない。欧州はコロナ復興基金の設立で早々と合意したが、資金の本格的な供給は今年後半になる。欧米ではここ数年、既成政治への不満と不確実性が増す未来への不安に伴うポピュリズム(大衆迎合主義)が台頭している。必要な層にただちに十分な支援を届けられなければ、こうした闘争はさらに長期化しかねない。

発展途上国でも経済的な打撃は弱者に集中している。多くの国で階級や民族、宗派間の緊張が一段と高まるだろう。しかも、発展途上国には大規模な刺激策を講じ、強固なセーフティーネット(安全網)を張り巡らせる資金力がない。これは中南米や中東などの国に特に大きな問題をもたらす。各国はコロナによる喫緊の課題を乗り切るために資金を借り入れたくなるだろうが、その資金を適切に使わなかったり、世界経済の回復に予想以上に時間がかかったりすれば債務危機に陥りかねない。変異ウイルスの広がりを考えれば、その可能性は十分にある。

各国間の回復の差も問題をはらんでいる。ワクチンを自国で生産できない国や、製薬会社から直接購入する手段がない国はワクチン確保が難しくなる。世界保健機関(WHO)が共同購入して発展途上国などに配る「コバックス」は有用な枠組みだが、途上国への配分が本格化するのは豊かな国が大半の国民への接種を済ませてからになるとみられる。接種が遅れれば、貧しい国への渡航制限は長引き、こうした国が経済的苦境から脱するのは一段と難しくなる。ワクチン接種を順調に進められない国の多くは観光地としての魅力も薄れる。国の経済を外国人観光客に依存する東南アジアなどでは、この点が問題となるだろう。

こうした懸念は世界全体ではなく、特定の国の問題だと切り捨てようとする向きもあるかもしれない。だがグローバル化が進んだ現在の世界では、発展途上国の苦境は世界全体に波及することを忘れてはならない。全ての国で感染が制御されるまで、世界経済はコロナ前の状態を回復できない。

2020年の世界はパンデミック(世界的大流行)との闘いという点では深刻な状況にあったが、経済対策はほぼ一様に徹底していた。だが景気回復が進み、公衆衛生上の危機を脱すると、国によって経済や政治への対応に差が出てくる。そうなれば各国の国内政治だけでなく、地政学も複雑化する。政策立案者はこの点をそろそろ考慮に入れておくべきだ。

看過できぬ不平等

新型コロナはときに「不平等のウイルス」と呼ばれる。未知の疫病との闘いは強者よりも弱者に厳しい試練を課し、先進国と途上国、富裕層と貧困層との格差を助長してきた。人命と経済の両方を救うのが容易ではなく、「感染して死ぬ」か「飢えて死ぬ」かのジレンマに陥る人々さえいる。

苦境にあえぐ途上国を置き去りにしたままでは、世界的なコロナ退治も景気の本格回復もおぼつかない。困窮する人々の不満や怒りを放置すれば、各国の分断や亀裂を深める恐れがある。危機下で「自国第一」や「自分第一」に傾きすぎるのを抑え、国内外の不平等を和らげる安全網の構築に知恵を絞るべきではなかろうか。

米スタンフォード大学のウォルター・シャイデル教授は自著「暴力と不平等の人類史」で、戦争、革命、国家の崩壊、疫病を平等化の「4騎士」と評した。より公平な社会の実現を目指す大胆な改革は、得てして壊滅的な状況から生まれるという。この危機はどちらに転ぶのか。コロナ禍を奇貨として、様々な格差是正の道を探れればいい。

(編集委員 小竹洋之)

英、大企業法人税25%に上げ 半世紀ぶり、23年から

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR03E1D0T00C21A3000000/

 ※ コロナの後には、「大増税時代」が待っているのか…。

 ※ この流れで考えてみれば、「脱炭素」「グリーン電源」も、大増税の口実、高等戦術の「隠れみの」かも知れんな…。

『【ロンドン=中島裕介】英政府は3日、2023年4月から大企業向けの法人税率を現行の19%から25%に引き上げると発表した。経済が完全に再開するまで休業者支援など新型コロナウイルス対策を続ける一方、大規模な財政支出に対応した財源確保にも着手する。休業者の給与の80%を補塡する対策は9月末まで延長する。

ロイター通信によると、法人税率の引き上げは1974年以来、約50年ぶり。引き上げは3日に英政府が発表した21年度の予算案に盛り込まれた。英国は金融危機後、企業の投資を呼び込むために10年時点の28%から足元の19%まで法人税率を下げてきた。コロナ危機をきっかけに法人税の引き下げ促進の方針を大きく転換した。

政府の説明によると、23年度から年間の利益が25万ポンド(約3700万円)以上の企業の税率が25%に上がる。利益が5万ポンド以下の企業は19%の税率を据え置く。利益がその間の企業には19%超から25%未満の税率が課される。政府は中小企業を中心に英国の7割の企業の税率は19%のままと説明するが、大企業はほぼ25%への引き上げとなる見通しだ。

政府は3月から6月下旬にかけて段階的にロックダウン(都市封鎖)を解除する方針を掲げる。予算案にはそれまでの支援策も盛り込まれた。

20年3月から続く休業者の給与を80%補塡する対策は9月末まで延長する。7~9月は企業に1~2割の負担金を求める。飲食や宿泊、娯楽業を対象にした日本の消費税にあたる「付加価値税」の引き下げも9月末まで続ける。通常の20%から5%への引き下げが維持される。温暖化対策向けの投資資金を集めるため、個人向け環境債の発行も発表した。

コロナ対応への財政出動の結果、20~21年の政府の借入金の合計は約5900億ポンド(約88兆円)に達する見通し。英予算責任局は政府債務の残高が当面は同国の国内総生産(GDP)を超えた状態が続くと予測する。

スナク財務相は3日の演説で法人税率の引き上げなど負担増を伴う政策について「それをやりたい財務相はいないし、人気がない政策だとわかっている」と強調した。そのうえで「政府債務の問題を未来へ放置するのは責任ある財務相のやり方ではない」と理解を求めた。

【関連記事】
G20、財政金融「拙速な縮小回避」 デジタル課税前進

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伊藤さゆり
ニッセイ基礎研究所 経済研究部 研究理事
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別の視点 今回の予算は、ポスト・コロナであるとともにポスト・ブレグジットの予算でもあります。設備投資額の130%を課税控除する「スーパー控除」(4月からの2年間)、イングランドの8カ所への経済特区「フリーポート」の新設など、投資喚起の政策も盛り込まれており、その効果が注目されます。

英国は,今年、国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)の主催国として脱炭素化でのグローバルなリーダーの役割を果たすことにも意欲的で、「緑の産業革命」題する10項目の行動計画を示しています。移行の財源としてグリーン債の発行を予定していますが、一部は世界初の個人向けのグリーン貯蓄国債とする計画です。

2021年3月4日 9:04いいね
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赤川省吾
日本経済新聞社 欧州総局編集委員
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分析・考察 世界の法人税制に大きな影響を及ぼす決定。グローバルな法人減税の動きをリードしてきた英国が減税競争から離脱し、税率上げに転じます。EU諸国でも「しばらくは財政拡張だが、コロナ禍から完全回復すれば増税局面にならざるを得ない」と取材に答える政治家が少なくなく、ポスト・コロナの課題のひとつが増税になる気配です。

焦点は副作用。英国では増税を見越して昨年からファンド・企業経営者らの間で、欧州大陸に不動産を買うのがちょっとしたブーム。税負担を見極め、拠点を移せるように準備中。
⑴相対的に物価が安いドイツ
⑵節税できるモナコやスイス
⑶リゾート地の南仏
の3カ所が人気。

今後は欧州の税財政論議に注目です。

2021年3月4日 4:58いいね
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小平龍四郎
日本経済新聞社 編集委員
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分析・考察 直接のきっかけはコロナ危機への対応ですが、やや引いてみれば、経済政策の重心が「成長」一辺倒から「分配」の方向に傾き始めたとも見ることができるのではないでしょうか。これまで各国政府は企業を引き止めたり誘致したりする目的で、法人税を引き下げてきました。けれど永遠の減税はあり得ないのですし、いくら下げても内部留保や株主還元に回るばかりで、投資や研究開発に十分にお金が回りにくくなっている現実があります。そこで、法人税の形で一度お金を吸い上げ、最適と思われる分野に再分配する政府の役割が、重要になっています。

政府の小ささを競ってきた資本主義の変質を、強く感じます。

2021年3月4日 8:12 (2021年3月4日 8:22更新)
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菅野幹雄
日本経済新聞社 ワシントン支局長・本社コメンテーター
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ひとこと解説 キャメロン元首相時代に先進国の低税率競争を先導した英国の方針転換。ブレグジットを経て大陸EU諸国に対する企業立地の優位が問われる段階で、しかも保守党の政権が税率上げを決めたところが興味深いです。

バイデン米大統領もトランプ時代に下げた法人税率の再引き上げを公約し、経済協力開発機構(OECD)を舞台とする法人税の共通最低税率づくりも意識していると言われます。12.5%の低税率を敷く隣国アイルランドはどう動くのでしょうか。

新型コロナ対策、そしてポストコロナの支出増をどう賄うかは世界共通の課題です。英国は今年、G7サミットの議長国。税制がテーマのひとつに浮上するかもしれません。

2021年3月4日 8:00いいね
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米、過熱覚悟の財政出動 200兆円対策を下院で可決

米、過熱覚悟の財政出動 200兆円対策を下院で可決
市場の混乱回避が課題に
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN270RA0X20C21A2000000/

『【ワシントン=河浪武史】米下院は27日未明、1.9兆ドル(約200兆円)の新型コロナウイルス対策法案を、民主党単独で可決し、3月中旬の対策発動へ前進した。金融市場は巨額の財政出動による経済過熱を警戒して動揺している。その中での下院通過には、コロナ禍からの経済回復を優先させるバイデン政権の姿勢が映る。市場混乱を避けつつ、雇用や経済活動の立て直しにつなげられるかが課題となる。

バイデン大統領は政権のス…

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バイデン大統領は政権のスタートダッシュを印象づける経済対策法案を重視し、「米国の結束」を求めて超党派合意を探っていたが、与野党分断は埋まらなかった。格差是正を求める低中所得層の底上げを優先した。

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追加対策は名目国内総生産(GDP)の9%分に当たる。米経済の潜在成長率は2%弱。米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は23日の議会公聴会で、21年の成長率が6%程度になる可能性があると指摘した。

米実質GDPはすでに危機前の97.5%まで戻っている。名目GDPの9%分の巨額対策は需要不足を大きく上回る。米議会予算局(CBO)の試算では24年までの累計需給ギャップは約7000億ドル。1.9兆ドル対策は景気を過熱させかねず、「過大でインフレリスクがある」(サマーズ元財務長官)との指摘も出てきた。

追加対策の柱は現金給付だが、既に議会は2回の給付で1人あたり1800ドルを支給済みだ。ニューヨーク連銀の調査では消費に回ったのは26%にすぎない。ゴールドマン・サックスの試算では、21年半ばまでの「過剰貯蓄」は2.4兆ドルに達するという。名目GDPの11%分にも相当し、コロナ禍が収束に向かい経済活動が強まれば、消費が一気に過熱する可能性がある。

サマーズ氏の指摘通り、既に物価には部分的に過熱感がある。1月の消費者物価指数をみると主要家電は価格が1年前から15.8%も上昇。宝石・時計も3.9%上昇するなど、家計支出は耐久財や高級品の価格を押し上げ始めている。

FRBのパウエル議長は「物価上昇は一時的で長続きしない」と繰り返す。物価の基調を左右するのは、消費の6割強を占めるサービス分野で、決め手は人件費だ。雇用回復の遅れで賃金は上昇しにくく、パウエル氏は安定的に2%のインフレ目標を維持できるまで「3年以上かかるかもしれない」と言う。

金融市場も一時的な過熱を警戒し、長期金利の上昇など波乱含みとなってきた。株価が下落に転じるなど市場に持続的な成長期待があるわけではない。ゴールドマンは21年の米成長率を7%と見込むが、23年には再び2%を切る水準まで大きく減速すると予測する。

サマーズ氏らの「財政出動は過大(Too Big)」との批判に対し、バイデン氏やイエレン財務長官は「経済対策は大胆に(Go Big)」と反論する。

背景には戦後最悪の水準にある経済格差がある。富裕層が異例の金融緩和の恩恵で潤ってきたのとは対照的に、コロナ禍で低所得層は雇用危機に直面している。バイデン政権が雇用回復へ巨額対策を急ぐ背景には、ここで経済支援の手を緩めれば米政治の分断を再加速し、禍根を残しかねないとの焦りがある。

ワクチン接種を急ぐ米国でも接種が行き届くのは「夏の終わりか秋の初め」(バイデン氏)。感染拡大が止まる「集団免疫」にめどをつけられるのは秋以降だ。

それまでは休業を強いられるサービス業などの雇用を財政で下支えし続ける必要がある。一方で財政頼みの長期化は景気過熱の懸念を通じ、市場のインフレ警戒を一段と刺激しかねない。格差是正と市場の混乱回避のバランスが問われる難しい局面に入った。

世界貿易量コロナ前水準に 10~12月、オランダ当局集計

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR25EJ40V20C21A2000000/

『【ブリュッセル=竹内康雄】新型コロナウイルスの感染拡大で打撃を受けてきた世界貿易が回復してきた。オランダ経済政策分析局が25日発表した2020年10~12月の世界の貿易量は前期比4.0%増えた。10月以降、コロナ前の水準を取り戻しつつある。

同分析局の世界貿易モニターは速報性が高く、世界の貿易状況をみる指標として各国政府や中央銀行、投資家が注目する。

四半期ベースでは、4~6月に11.7%減少したのち、7~9月はその反動で11.5%増加した。地域別の輸出をみると、日米欧など先進国が主にけん引したほか、中国もプラス幅が大きかった。

貿易量は輸出入の取引量を合算し、10年を100として指数化する。20年2月は122.4で、10月以降はこの水準を上回っている。12月は125.2だった。

21年は新型コロナの感染は世界の多くの地域でなお深刻な状況が続くが、製造業などがけん引する形で貿易量は回復している。同分析局によると、20年10~12月の世界の鉱工業生産は前期比3.5%増えた。

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永浜利広
第一生命経済研究所 首席エコノミスト
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分析・考察 裏を返せば、グローバルな財の経済は元に戻っているということですね。
ただ、あくまで貿易は財市場しか見てませんので、コロナで大きなダメージを受けたサービス経済も含めれば、まだコロナ前に戻っているとは言えないでしょう。
さらに日本に限って言えば、財の市場ですらコロナ前に戻っていませんし、仮にコロナ前に戻ったとしても、日本はコロナ前から消費増税で不況でしたので、日本経済の回復は海外から相当遅れることが予想されます。
2021年2月26日 9:33 (2021年2月26日 9:34更新)
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鈴木一人
東京大学 公共政策大学院 教授
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ひとこと解説 新型コロナによって国境が閉じられたときは「グローバル化の終わり」などと言われたが、それはあくまでも人の移動が一時的に止まっただけであり、モノのグローバル化が止まったわけではない。多くの国で需要が落ち込んだにもかかわらず、貿易量が戻ってきているということは、それだけ国際的な分業が進み、グローバルサプライチェーンの存在感が高まっているということ。こんな中でバイデン政権が進める脱中国の試みは上手く行くのだろうか。
2021年2月26日 9:12いいね
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梶原誠
日本経済新聞社 本社コメンテーター
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分析・考察 グローバル化は健在といったニュース。コロナは保護主義由来の反グローバル化に拍車をかけるといわれてきただけに、世界経済にとってほっとする事実でしょう。米長期金利の上昇の背景でもあるインフレの論議にも影響します。価格が安い地域からの輸入を可能にするグローバル化はインフレを抑制するからです。昨夜は長期金利の上昇を理由に米国株相場が急落しました。市場関係者こそ注目すべきニュースです。
2021年2月26日 7:53いいね
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志田富雄
日本経済新聞社 編集委員
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ひとこと解説 米調査会社によれば、中国などのアジア地域から米国向けのコンテナ輸送量は今年1月も前年同月比で16%強増えました。1月単月としては過去最多で、6カ月連続での2桁増になっています。「巣ごもり消費」需要に加え、自動車部品などの輸送が増えています。コンテナ輸送では「コンテナ」(箱)の不足も深刻になっており、海上輸送できない分が航空貨物に押し寄せる動きも出ています。
2021年2月26日 7:34いいね
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高学歴は賃金2倍に 格差埋める教育アップデート

高学歴は賃金2倍に 格差埋める教育アップデート
パクスなき世界 夜明け前(4)
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『教育は万人に開かれていますか――。

「もうログインしたくない」。米西海岸シアトル市のアドリエン・マックイアンさんの娘、アリアさん(9)は2020年9月、学校のオンライン授業初日で打ちのめされた。生徒同士のあいさつもなく朝から画面を見続ける6時間は苦痛でしかなかった。マックイアンさんは私的な学習活動「ポッド」の利用を決めた。

【前回記事】
中国買い、通貨覇権揺らす 膨張続く「戦時財政」

信頼の置ける隣人や友達同士で教師を雇い、超少人数の授業を受ける。新型コロナウイルスの感染拡大で対面授業が規制された米国で台頭し、情報交換のためのフェイスブックページの参加者は4万人に達した。

アリアさんは午前7時40分から午後2時半まで授業を受けている。教師1人を雇う1家庭あたりの費用は月800ドル。マックイアンさんの家計では食費や光熱費を上回る出費だが、「成長には大事な時期。勉強の質と友人関係を考えれば払う価値がある」。

コロナ禍は各国で一般市民の教育への不安を増幅させた。所得に余裕がある層は教育への支出をためらわない。

米マサチューセッツ工科大の分析では、1963年からの54年間で大学院卒男性の実質賃金は約2倍となる一方、学歴が低いほど賃金も伸びなか…

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米マサチューセッツ工科大の分析では、1963年からの54年間で大学院卒男性の実質賃金は約2倍となる一方、学歴が低いほど賃金も伸びなかった。同大のデービッド・オーター教授はIT(情報技術)産業など「技術の進歩の恩恵は高度教育を受けた者に偏った」と指摘する。

米国の哲学者ジョン・デューイは「教育は社会の進歩と改革の基本的な方法」だと説いた。社会が求める人材は時代とともに変わる。デジタル化の急速な進展に既存の教育システムは追いつかない。高度な教育の裾野をどう広げるか。模索する動きが出始めている。

全米科学財団(NSF)は大手IT企業などと組んで、中高生の段階から次世代テクノロジーの量子技術に触れる人材「量子ネーティブ」の育成を始めた。通常、量子技術にかかわる専門知識は大学で学ぶが、若い世代にも先端の教育機会を広げ、「将来の労働参加の幅を広げる」と意義を強調する。

米IBMは多くの黒人が通う大学で100億円超を投じて量子教育などを充実させる。デジタル時代に続く「量子時代」の到来を見据え、スキルを持つ高度人材育成での格差縮小を狙う。

世界経済フォーラム(WEF)は25年までに自動化で8500万人の雇用が機械に置き換わる一方、9700万人分の新たな仕事が創出されると分析する。日々進歩する技術に対応するには、学び直しができる環境の整備も急務だ。

「必要なスキルを身につけ、より良い仕事を」ロックダウン(都市封鎖)で1億人以上の出稼ぎ労働者の雇用が危機にひんしたインドで、主に低所得者層に職業訓練などを行う施策「スキル・インディア」に人々の関心が集まっている。

オンラインで職業訓練を施し、地域別の労働需要を細かく分析するなどして就労を促す。都市で廃棄物処理の仕事を失った20代の若者は訓練を受け、郊外の地元で携帯電話の修理店を開いた。

より豊かな生活への希望を諦めなければ学びの活力となる。コロナの空白を断絶とするか、新たなスタート地点として転換点とするかは私たち次第だ。

「パクスなき世界」第4部 記事一覧
(1)世界裂く「K字」の傷 民主主義・資本主義の修復挑む

世界は転機にある。20世紀の繁栄の礎となった民主主義と資本主義という価値の両輪は深く傷つき、新型コロナウイルスの危機は超大国・米国の衰えに拍車…続きを読む

(2)コロナが迫る国際協調 反グローバリズムの限界

ブレグジットという保護主義がかえって自由貿易を要求する声を増幅させ、分断がさらなる分断を招く。米ソ冷戦の終結から30年たった世界で「国際協調疲れ」…続きを読む
(3)中国買い、通貨覇権揺らす 膨張続く「戦時財政」

カネ余りとSNSが「狂乱」を生む。コロナ禍で政府の借金は積み上がった。米政府債務は2020年に国内総生産(GDP)比で100%を超し、第2次大戦時に並ぶ…続きを読む
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鈴木一人
東京大学 公共政策大学院 教授
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別の視点 日本では大学院を出ても学部生と一緒に就職活動をすることになり、初任給こそ多少の違いはあるが、人事で大きな格差が生まれるわけではないという「格差の解消」がなされている。大学院を出た人ほど昇進するようにできていれば、教育格差が所得の格差につながるが、それがないため、積極的に高等教育を受けるインセンティブになっていないという側面もある。格差を認めれば階級の固定化が進み、格差を縮めればインセンティブが低くなる。そのバランスをどうとるかは各国の社会事情や雇用慣行などを含めて考えていくしかないのだろう。
2021年2月24日 12:35いいね
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山本康正のアバター
山本康正
DNX Ventures インダストリーパートナー
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別の視点 ハーバード等では家庭の所得が一定水準以下であれば奨学金を出すなど教育機会の格差を無くそうという動きが出てきています。大学院卒のところの賃金の格差は大学院での専攻と就職先の業界で見た方が良いかと思います。賃金が上昇しているのは、業界の利益が上昇しているわけですから。また、米国ではそもそも上昇志向の人が奨学金を使ってでも大学院に行く傾向があるため、擬似相関の可能性も否定できないかと思います。日本のデータを見たいです。日本では大学院=モラトリアムの様に扱われていますが、変化が激しい時代では、リスキリングという働きながら学ぶ機会を増やさなければ対応しづらくなります。今ならリモートで大学院に通えますし。
2021年2月24日 14:29いいね
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高井宏章のアバター
高井宏章
日本経済新聞社 編集委員
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分析・考察 「教育は原則、すべて無償に」が長年の持論です。

学歴による所得格差自体は本来、公平性の観点から望ましいもののはずです。出自や人種、性別などで生じる格差と違い、本人の努力と能力で「上」を目指せる。人材配置の最適化で経済全体の成長も促される。

それはあくまで「機会の平等」が確保された上での話ですが、現状はそこからほど遠い。
親の所得が子供の学歴と強い相関を示しているのは、学歴と社会階層の固定化を招きます。すでにその傾向はがっしりと社会に根を下ろしています。

教育は、働き手としてだけでなく、「良き市民」を育む土壌でもあります。長期では社会に大きなリターンをもたらす最高の投資です。
2021年2月24日 12:22 (2021年2月24日 13:33更新)
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中国買い、通貨覇権揺らす 膨張続く「戦時財政」パクスなき世界 夜明け前(3)

https://www.nikkei.com/article/DGXZQODL085D00Y1A200C2000000/

『あふれるマネーで「安定」を買えますか――。

Tシャツにバンダナの青年がウォールストリートのプロに打ち勝った。キース・ギル氏。ファンドが空売りしていた株の買いをSNS(交流サイト)で呼びかけた。個人の参戦で株価は急騰し、ファンドは巨額の損失を被った。「歴史的な1日だ」。1月、ギル氏は動画配信で勝利を祝った。

【前回記事】

反グローバリズムの限界 コロナが迫るEU協調
同じ頃、暗号資産(仮想通貨)ビットコインの価格が急騰した。テスラ最高経営責任者(CEO)のイーロン・マスク氏がツイッターのプロフィルを「#bitcoin」としたのがきっかけだ。

2人の「ヒーロー」の背景に政策がある。マスク氏は脱炭素の時流に乗り、ギル氏を取り巻く個人は新型コロナウイルス対策で現金給付などを手にした。カネ余りとSNSが「狂乱」を生む。

コロナ禍で政府の借金は積み上がった。米政府債務は2020年に国内総生産(GDP)比で100%を超し、第2次大戦時に並ぶ「戦時財政」にある。米連邦…

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米連邦準備理事会(FRB)が緩和策で長期金利を1%程度に抑え、GDP比の利払い負担こそ増えない。だが債務膨張は基軸通貨ドルの覇権を静かにむしばむ。

「中国債は米国債よりずっといい」。世界最大のヘッジファンドを率いるレイ・ダリオ氏は20年11月、米メディアに言い放った。20年もプラス成長だった中国の長期金利は3%台で、海外勢が持つ中国の債券は20年に2.9兆元(約47兆円)と1年で5割増えた。ロシアは5年前に外貨準備の約半分だったドルを半減し、中国の人民元をドルに次ぐ12%に増やした。

戦時中の1944年に開かれたブレトンウッズ会議はドルを基軸通貨として認め、国際通貨基金(IMF)と世界銀行を柱とする戦後の国際金融秩序を定めた。20世紀後半の民主主義と資本主義の繁栄は、経済開発のために世界に出回ったドルを媒介にして広まった。

その秩序を民主主義に染まらない中国が揺さぶる。世界銀行によると20カ国・地域(G20)から途上国への2国間融資で中国は19年に63%を占める最大の貸し手で、13年から18ポイント上昇した。「内政不干渉」を掲げ、支援先に民主化や人権重視を求めない中国に強権体制の多い途上国はなびく。

もっとも中国の融資金利は高く、平均4%強と国際機関の2倍との推計もある。返済に窮したスリランカは99年間の港湾の運営権を中国に事実上譲渡した。借金漬けで影響下に置く「債務のわな」への警戒感は世界で高まった。人民元を使おうにも国境をまたぐ取引が制限され、使い勝手は悪い。ドルに代わって秩序の中心となる道は遠い。

「きのうではなく、きょうとあすの課題に取り組む」。バイデン米大統領はいう。トランプ前政権は国際協調を傷つけただけでなく、財政規律や説明責任と向き合う真摯さを政治から奪った。バイデン政権は野放図な政治に一線を画し、富裕層の課税強化など負担増の是非を問う道を探る。

戦時の英首相チャーチルは大勢に流されず「治療法」を示すことが指導者の役割だと説いた。米国がコロナ禍で膨らんだ「戦時債務」をいかに制御し、ドルの信認を保つか。怠れば米国の衰退は速まる。民主主義、資本主義の盟主として米国がいつまで機能し続けるかという、21世紀の世界を左右する挑戦になる。

「パクスなき世界」第4部 記事一覧
(1)世界裂く「K字」の傷 民主主義・資本主義の修復挑む

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(2)コロナが迫る国際協調 反グローバリズムの限界

ブレグジットという保護主義がかえって自由貿易を要求する声を増幅させ、分断がさらなる分断を招く。米ソ冷戦の終結から30年たった世界で「国際協調疲れ」…続きを読む
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世界の外貨準備に占める人民元の割合、過去最高の2.02%に
タグ:人民元
発信時間:2020-07-07 16:20:09
http://japanese.china.org.cn/business/txt/2020-07/07/content_76246394.htm

資本規制下の人民元の国際化の限界
― 内外市場間の裁定取引によって歪められた資金の流れ ―
https://www.rieti.go.jp/users/china-tr/jp/170807-2world.html