「正攻法」が「悪手」になってしまったら、僕たちは一体どうしたらいいのだろう?

https://comemo.nikkei.com/n/n1d73fe883b9c

『〔外食業界はみなさんが思っている以上に苦しい〕
多くの方がご承知の通り、コロナの影響で外食産業が大変なことになっています。僕自身、食の世界に身を置く者として、なかなか痺れる状況が続いています。以下の数字を見てください。企業の業績が軒並み壊滅的になっていることがよくわかります。』
『テイクアウト需要が旺盛だったハンバーガーや牛丼のチェーンをのぞけば、売上高の対前年比が50%程度の企業はざらで、大手居酒屋チェーンの中には6月の前年比が10%前後のところもあります(マイナス10%ではなく、マイナス90%です!)。

業界の中で、常に半歩先の手を打っていたロイヤルホールディングス(ファミリーレストランのロイヤルホストや天丼のてんやなどが傘下)でさえも、苦しい事態に追い込まれています。』
『ただし、会長の菊地さんは非常に明快に現状を分析しています。同社が一時的に大きな赤字を出すことは間違いないでしょうが、早期の判断と適切な対応によって、赤字幅を抑え込んだという見方のほうが正しい気がします。
インタビュー記事の発言を見ても、自らの過ちを率直に認めるというのは、とても勇気あることだと思います。

「自分たちはリスク分散できているという認識を持っていたということが、まず間違いだった。やはり常になにが起こるか分からない。もう少し違う事業の可能性を考えておくべきだった」』

『〔外食では「歯車の逆回転」が始まった〕
With/Afterコロナの世界では、多くの飲食店はその経営方法を変えざるを得ません。コロナ問題が顕在化してから、飲食店向け予約台帳サービスを提供する株式会社トレタ代表の中村仁さんと色々意見交換をしてきたのですが、僕たちの現時点での見解は、外食産業の世界では今、「歯車の逆回転が起きている」というものです。

注意していただきたいのは、「これまでのやり方が、通用しなくなった」のではないという点です。ひょっとすると「これまでのやり方は、今後やってはいけないものになってしまった」のかもしれないと考えているのです。ベクトルがずれてきたのではなく、ベクトルが一気に反対を向いてしまったとも言えます。』
『「歯車の逆回転」とは、具体的にはどういうことでしょうか。

【立地】これまではオフィスワーカーや来街者が多数いる「繁華街」であることが、出店立地の第一条件でした。しかし、リモートワークが進み、街に人がいなくなると、繁華街(だったところ)では商売が成り立ちません。今はむしろ昼夜を問わず「住宅地」にこそ人がいるので、飲食店を経営するにしても、そこに近い場所のほうが戦いやすくなってしまいました。

【店づくり】店のあり方も激変しています。店員の活気やお客同士の息遣いが店のシズル感(おいしそうな雰囲気)にとって大切な要素であったため、これまで飲食店の多くはテーブルを小さくし、席間を詰め、ギュウギュウの空間をつくってきました。それはまさに「密」そのものです。言うまでもなく、今はそれを避ける動きが急速に進んでいて、スカスカで間延びしていることこそが、安心感に繋がっています。それはこれまで繁盛店が培ってきた「色気」や「艶」を表現する店づくりとは無縁なものなのです。

【事業規模】ビジネスとしては(特に比較的カジュアルな業態の場合)、ある程度の店舗数を展開することで、ブランドの知名度を上げ、仕入れなどでスケールメリットを生かしていくことは、ひとつの王道でした。しかし、結果的には体が大きくなればその分融通が効かなくなり、突発的な状況変化に適応することが難しくなってしまいます。しばしば恐竜と哺乳類の喩えがされますが、フットワークの軽い事業者による「適者生存」は今後急速に進んでいくでしょう。

いくつか具体例を出しましたが、これらが「歯車の逆回転」の意味するところです。様々な要素が一気に正反対を向いてしまったことで、これまで飲食店にとって「正攻法」だったはずのものは、突如通用しなくなったどころか、場合によっては「悪手」に見えるようになってしまったわけです。』

『〔トランスフォームに本気で取り組むしかない〕
ではこうした環境変化において、すでにビジネスを展開している飲食店、外食企業はこれからどうすべきなのでしょうか。これは本当に悩ましい話ですし、僕にも明快な答えなどあるはずもありません。

一握りの人気店や実力のある店は、今後もきちんと集客できるのは間違いありません。しかしそうではない店(実際にはこちらがほとんどです)にとっては、生き残っていくためには「これまでのやり方」を根本的に変えるしかないのではないかと思います。流行りの言葉で言えば「トランスフォーム」とでも言えるでしょうか。

というのも、もしも従来の方法論が今後のビジネスにとっては「悪手」になってしまったのだとしたら、いくら改善や微調整をしても、俯瞰した際にはそれが悪手であることには変わりがないのですから。』
『多くの飲食事業者は何とか生き延びようと、様々な取り組みをしています。例えば、これまでやってこなかったテイクアウトやデリバリーに挑戦した店も数多く存在します。しかし冷たい言い方のようですが、多くの場合、それらの取り組みは「労多くして功少なし」だったように見えます。何より、当事者である飲食店自身がそれを痛感していることでしょう。

原因は色々ありますが、持ち帰り弁当や惣菜、そしてピザや寿司の宅配など強い競合がひしめく中食市場に、飲食店が料理だけを切り出して挑んでも、なかなか太刀打ちできなかったというのが大きな要因です。多くの飲食店にとってすぐにできることといえば、接客や場の魅力に頼らず「料理を切り売り」することしかなかったはずですから、そうなるのは仕方ありません。

しかし今後、生き残りのために本気で事業の見直しを検討するならば、新たにテイクアウト商品を開発するというような、飲食店の延長線上にある取り組みは解決には繋がらないはずです。そうではなく、「まったくの新規事業開発」のスタンスで望まなければ、そこには明るい未来は拓けないのではないかと思うのです。』

 ※ 極めて明解な論だと思う…。
 論考も、1 現状分析 → 2 原因分析 → 3 対策の提示…、と展開していて、申し分ない…。

 あとは、そういう「論考」に基づいて、「実行」していけるのか…、という話しだ…。

外食のあり方、一気に変わる…。

外食のあり方、一気に変わる
アフターコロナを考える ロイヤルHD会長 菊地唯夫氏
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO61197340W0A700C2M13000/

『新型コロナウイルスの感染拡大に伴う外出制限や、店舗の休業要請はなくなった。それでも個人消費の回復には時間がかかりそうだ。日本経済新聞社が開催したウェブセミナー「アフターコロナを考える」に登壇したロイヤルホールディングス(HD)の菊地唯夫会長は、従来の外食産業の常識にとらわれない経営が必要になるとの認識を示した。』
『――新型コロナへの対策が必要と感じたのはいつごろですか。

「機内食事業やホテル事業などに、早く影響が出た。すぐ対応しなければいけないなと思ったのは2月下旬くらいだ。まずは資金繰りから着手した」

「今回のように広範囲に広がった災害に対するマニュアルというのはない。見通しを立てるのは難しかったが、危機になったときは優先順位をどうするかが大事なポイントだ」

――かつて経営破綻した日本債券信用銀行(日債銀)に在籍していました。その教訓はありましたか。

「1998年に破綻したときの頭取の秘書で、大きな経験だった。日債銀など長期信用銀行はもともと高度成長期に長期の資金を供給するためにつくられた特殊銀行で、破綻時には一定の役割を終えていたのだと思う」

「経営危機の時に問われるのは企業の存在意義だ。アフターコロナにおいて飲食店の存在意義とは何か、と考えることが何より重要だろう」

――店舗の閉鎖などリストラ策は早かったですね。

「3カ月我慢すれば元に戻るのだったら、そんなことまでやる必要はないと思う。しかしコロナが収束したとしても、社会が変化していく可能性があるので、打つ手は早ければ早いほど有効だ。それから従業員の不安を解消するため、オンラインでの対話を続けた」

――次は消費への影響についてです。視聴者アンケートを見ると、「仮にコロナが収束しても個人消費は元に戻らない」が45%を占めます。

「私の感覚とほぼ同じくらいかな。悩ましいのはここ数年、消費を支えてきたインバウンドがしばらく戻らないこと。それから企業が多くの借金を抱えて大きなロスを出している。負の遺産というものの処理には一定の時間がかかる」

「それから雇用や所得への不安から家計も縮む。この結果、消費をかなり抑制してしまうのではないかと感じる。デフレが再び強まる可能性も高い。固定費と価格のコントロールが難しくなるだろう。例えば外食はソーシャルディスタンスを守らなければいけない。席も減らすので、戻ったとしても10にはならない」

――改めて約5兆円の消費額があるインバウンドの回復が焦点になります。視聴者アンケートも厳しい結果が出ています。

「コロナが収束したとしても2年先になるとみている。やはりワクチンが広く行き渡らないと、人の往来は戻らない。当社の天丼店の『てんや』、空港のレストラン、機内食、ホテルとすべて影響しているので、経営のアクションが問われる」

「ホテルは東日本大震災やリーマン・ショックのときも、稼働率70%を下回っていなかった。実はインバウンドに依存していなかったからだ。さすがにこれだけ人が動かなくなってしまうと、今回は稼働率が激減してしまって、今も休業ホテルがある」

――経営危機についてのリスク対策は甘かったと思いますか。

「自分たちはリスク分散できているという認識を持っていたということが、まず間違いだった。やはり常になにが起こるか分からない。もう少し違う事業の可能性を考えておくべきだった」

――テレワークが進み、生活の分散化が進みそうです。しかし外食産業は都心部などに経営資源を集中していました。この流れは変わりますか。

「まさにその通りだと思う。売り上げが落ちてくると、高いコスト構造が最大の課題になる。外食はテークアウトやデリバリーにシフトすると、視認性の高いお店をつくる必要はなくなる。スマホの位置情報だけで認知されるわけだから。そうなると一等地の概念が大きく変わってくるのではないか」

「これが今回、大きな課題になっているので、投資も変わってくる。(持ち帰りや宅配に特化した)ゴーストレストランであるとか出張シェフであるとか。外食産業のあり方自体もどんどん多様化していく」

――視聴者に外食の回数についても聞きました。6割が「減らす」という厳しい結果が出ていますね。

「我々も、これから内食が増えるだろうということで、昨年12月からロイヤルデリというものを始めている。セントラルキッチンでつくっているいろいろな料理を、家庭向けに冷凍ミールとして届けている」

――視聴者から、「ウィズコロナ時代に求められるマネジメントスキルとは何か」との質問が届いています。

「過去の成功体験の延長線上にないことだけは間違いない。そうすると、これから大事なのは、ネットワーク力だと思う。新しいビジネスモデルを考えていくためには外の力を借りていかなければいけない。例えばデリバリーのためのウーバーイーツとか出前館とか。先ほどのロイヤルデリなどは、家電メーカーと組んでいる」

「だから、副業解禁だとか週休3日制というのはよく働き方改革で議論されるけど、むしろ外からいかに情報を吸収し、自分たちのビジネスを変革していくかという意味合いでの重要性が高まると思う。今までやっていなかったことにチャレンジすることによって、新たな気づきが得られる」

――最後に企業経営の課題について。アンケートでも80%近くが「成長戦略の抜本的な見直しが必要である」と回答しています。

「中長期的にはインバウンドは成長戦略に入ってくると思う。ただ数年は難しいので、フードビジネスを進化させる必要がある。例えば、スマホの位置情報等によってどこにどういう人がいるか、お客さまを探すことができる。一気にフードビジネスのあり方が変わる可能性がある」

――どこもデジタル化を進めます。ロイヤルHDの強みを改めて明確にする必要があります。

「企業の本当の意味での価値というものが問われてくると思うのです。例えば、オンライン授業がどんどん進化していくと、『じゃあ、学校のキャンパスってどういう意味があるんですか』と」

「同じことが、たぶん、飲食店にも問われてくる。やはりリアルだったり、その場でしか絶対食べられない食事であったり。ここが飲食店の本源的な価値になってくるだろう」

(聞き手は 編集委員 中村直文)』

中小のテレワーク導入 弁護士が教える5つの対応

中小のテレワーク導入 弁護士が教える5つの対応
ブレークモア法律事務所パートナー 末啓一郎弁護士
https://style.nikkei.com/article/DGXMZO59924630T00C20A6000000?channel=DF220420206042

 ※ 正直、「こりゃあ、大変だ…。」というのが感想だ…。
 「テレワーク」と言うと、「ハード」や「ネットワーク」関係にのみ目が行きがちだが、「法務」はそれどころの話しじゃ無い…。
 素人が一読して、分かるようなものじゃ無いんで、ざっと目を通しておくくらいが、関の山だ…。
 しかし、最終的には「専門家」の知恵を借りるとしても、その「専門家」に相談を持ちかけたり、アドバイスを聞いたりするのも、ある程度は「当たり」がつけられる程度には、知識を仕入れておかないと、話しにならない…。
 大所帯では、そういう「部門」が存在し、「担当者」も置かれているんだろう…。しかし、「文系AI人材」でも見た通り、現在及びこれからずっと将来は、「何でもこなせる、一騎当千の強者(つわもの)」だけが、生き残っていける世の中になってしまったと思う…。
 努めて、「武芸百般」型、「オールマイティ人材」になるべく、全方向に自分の「能力開発」のビームを展開するようにしないとな…。

『新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、人の働き方が大きく変わってきた。在宅勤務などテレワークを今後も継続したいと考えるビジネスパーソンは多い。しかし、実際の運用では課題が山積している。特に中小企業では課題の多さにテレワーク導入に二の足を踏む企業もある。テレワークの法的問題に詳しい末啓一郎弁護士(ブレークモア法律事務所パートナー)は「中小経営者はテレワークのメリット・デメリットを把握して法的トラブルを回避する準備をすべきだ」と説く。もともとテレワーク導入は、人材確保などの面で中小企業にメリットが多いと言われてきた。就業規則運用経費労働時間賃金体系派遣社員といった5つのポイントについて末弁護士に聞いた。』
『〔テレワークと通常勤務 就業規則に違いは?〕
末弁護士はテレワークを「本来の事業場から離れた場所での勤務」と規定し、法規制において通常勤務と本質的な違いはないと説明する。新型コロナの感染拡大期に十分な準備もなく、拙速に在宅勤務態勢を実施した中小企業は少なくない。労働基準法89条は、労働者を常時10人以上雇用している会社の場合は就業規則の作成と届け出を原則として義務付けているが、テレワーク開始時点で記載されていなくても、のちのち法的トラブルはないのか。

末氏は「就業場所についての指示だけならば、通常の業務指示として対応できる」と説く。また就業規則の変更をするにしても、労働者にとって有利なものならば一方的に変更できるという。逆に不利益となる場合は、労働契約法10条により労働者からの個別の同意か変更に合理性があることが必要だ(※1)。』
『〔自宅のテレワーク環境は会社負担か?〕
次に、自宅にテレワーク環境を整える際の費用を負担するのは会社か社員か、という問題だ。実際に体験すると、会社から貸与されたパソコンや通信ツールだけでは足りないことに気づく。自然に専用の机、イス、クッション、照明などをそろえたくなるだろう。実際、外出自粛中には家具メーカーの店舗へ多くの購入客が集まり「3密」状態だったというケースもあった。日本テレワーク協会(東京・千代田)はホームページで、採光やグレア(まぶしさ)防止、騒音防止にも配慮を促している。

具体的に購入を命じた場合を除いて、こうした関連費用を会社側が提供する法的な義務は基本的にはない。しかし末氏は「会社側の負担とする制度を設けるなど配慮して、テレワークで効果的にできる業務を増加することは、社員のモチベーションを高め、優秀な人材を確保することにつなげられる」と唱える。特に現在は事業継続性の可否が、企業の信用性に直結している。金融機関の融資判断でも重視され、具体的な資金繰りに大きな影響を与えている。社員をつなぎ留めておくことは企業の命運にかかわる課題になってきている。』
『〔労働時間どう把握?〕
末氏が強調するのは、テレワーク時の労働時間に関して適切なチェックを欠かさないことの大切さだ。「働き方関連法により、労働安全衛生法66条8の3の規定が新設されたことは見逃せない」と指摘する。これまでも、賃金支払いの関係で把握義務はあった。新たに管理職や裁量労働制などの場合も、健康管理の観点から社員の労働時間の状況の把握を義務付けている。法律の定めによる以上に、安全配慮義務などの点から重要なポイントになっていると、末氏は指摘する。』
『実際の問い合わせが多いのは、労働基準法38条2第1項の「事業外みなし労働時間制」で、労働安全衛生法とは異なる経営上の注意が必要だ。会社にとって、原則として残業支払い義務がないというメリットに加え、社員の生産性向上を促しやすい面もある。(1)業務が自宅で行われる(2)パソコンが常時通信可能でない(3)随時・具体的な指示がない――などが、事業外みなし労働時間制の「労働時間が算定しがたい場合」として適用できる。ただ単純に「白か黒か」の判断は難しいと末氏はクギを刺す。「裁判例でもケースバイケースで判断されている」(末氏)としている(※2)。しかも、仕事のやり方が変われば結論も変わりうる。末氏は「専門家の意見を聞いて基準を設けておき、適宜見直すことが望ましい」とアドバイスする。』
『〔深夜手当や通勤費は?〕
テレワーク普及が、これまでの給与体系にも影響することは確実だ。末氏は、いずれ人事評価制度の見直しも必要になるとみる。みなし労働時間でも、社員からの申告を前提に「深夜割増賃金、休日割増賃金」を支払う必要はある。一時的に「在勤手当」や「リモートワーク飲み会代」を支出するケースも増えている。メルカリは4月、自宅での勤務環境構築やオンライン・コミュニケーションなどのために6万円(半年間)の在宅勤務手当の支給を決めた。

一方、通勤費は出社状況に応じて削減できる。在宅勤務中の水道光熱費なども公私の区別はつきにくい。末氏は「当面は社員負担になるケースが多いだろう」とみる。その一方で、オフィスコストの減少などを勘案して、新たな社員手当などでの配慮を促している。』
『〔派遣社員の処遇は?〕
新型コロナウイルスの感染でクローズアップされているのが、派遣社員の処遇だ。中小企業でも派遣社員を受け入れたり、フリーランスのデザイナーらに仕事を発注することは珍しくない。他方、自社が派遣元になっている中小も少なくない。出社が困難になり、テレワークによらず休業をさせる場合の休業手当の扱いなどは派遣元・派遣先・派遣労働者の利害対立が生じやすい。

とりわけ機械の保守・メンテナンスなど、現実的にテレワークになじまない業種での対応は難しい。さらに派遣先に常駐してシステム開発するエンジニアも、取り扱うデータのセキュリティー確保が悩ましいなどハードルは高い。末氏は「現状は労働法規と民法の交錯する問題をどう解決するかがポイントだ」と話す。

現実的には、派遣契約の解釈問題、労働基準法の60%の休業手当支払い義務、民法上の不可抗力の場合の給与請求権の消滅、使用者側に責任がある場合の100%の支払い義務などが、それぞれ錯綜しかねない。「派遣先、派遣元、派遣社員の三者で、将来的な見通しを踏まえた上で利害調整するほかない」と、末氏は一方的な法的解釈を戒めている。現在は個々の企業にとってのテレワークに関する課題が、浮き彫りになってきている時期だと末氏は説く。』
『中小企業のテレワーク導入は大企業に比べ遅れているとみられ、国や地方自治体は助成金制度など通じ導入を後押ししている。テレワークを導入できれば、生産性向上、離職防止、コスト削減、事業持続性の確保などが期待できる。しかし末氏は、テレワークのデメリットにも目を向ける必要があると指摘する。(1)公私の区別が曖昧になる弊害(2)出社しないことによる業務効率低下(3)組織の一体感の喪失(4)セキュリティー上の懸念――などだ。ウィズコロナの時代もテレワーク普及の流れは止まりそうにない。末氏は「経営トップはメリットの最大化とデメリットの最小化を常に考えて事業計画を策定すべきだ」と説いている。』
『※1 末氏は「は「最高裁の『平成28年(2016年)2月19日判決』(山梨県民信用組合事件)に示されているように、重要な労働条件の変更の場合、形式的な同意があるからといって、ただちに変更が有効になるわけではない。合理的な変更であることが肝要だ」と注意を促している。

※2 参考になるのが平成26年(14年)1月24日の最高裁判決(阪急トラベルサポート事件)だ。海外ツアー添乗員の場合を(1)添乗員の携帯電話が常時電源オン(2)詳細・正確な添乗日報(3)事後報告義務――などで「労働時間を算定し難い」とはいえないとした。他方、営業社員については情報通信機器などで労働時間の把握が可能であっても「過重な経済的負担を要する、煩雑に過ぎるといった合理的な理由がある場合」には、算定し難い場合にあたると判断された(東京地裁平成30年1月5日、控訴審東京高裁6月21日判決)。

(松本治人)』

コロナ禍でも売り切れ…。

コロナ禍でも売り切れ マルマン支えた文具のこだわり
https://style.nikkei.com/article/DGXMZO60691950T20C20A6000000?channel=DF220420206042

『「こんな数字は見たこともない」。4月の売上高を確認した井口社長は愕然(がくぜん)とした。小学校や中学校、高校、大学などが入学シーズンを迎える最も需要が伸びる時期だが、多くの取扱店舗は休業に追い込まれ、売り上げが大幅に落ち込んだ。

しかし5月に入ると、意外なグッドニュースも飛び込んできた。インターネット販売などを介して「連休中に絵を描きたいとスケッチブックを求める人が増えた」という。そして日本を代表する画材店「世界堂新宿本店」が店舗を再開すると、主力商品の「図案スケッチブック」が一気に売り切れになった。「お客さんは待ってくれていた」と井口社長は安堵する。2カ月遅れで売り上げは戻ってきた。』
『現在は宮崎県と神奈川県の2カ所の工場が主力生産拠点だ。中国や東南アジアなど人件費の安い地域での生産も考え、視察に出かけたが、「日本人は手先が器用で仕上がりが丁寧、均一な商品をつくれる。紙は植物繊維でできており、取り扱いが難しい。安定した品質が担保できない」と見送った。フランスなど欧州から一部の高級スケッチブックは輸入しているが、大半の商品は国産だ。

「うちは先生も学生もみんな同じ図案スケッチブックを使っていますね。紙の質がいいからじゃないですか」(武蔵野美術大学の大学院生)。美大生にとってマルマンのスケッチブックは必需品といわれる。同社製の画用紙は、表面はソフトで、「しぼ」と呼ぶ凹凸が表面にほどよくあり、吸水性もよいため、水彩画に最適といわれる。表面も強く、消しゴムを使った際のけば立ちもほとんどないのが特徴。井口社長は「他の企業にはまねできない長年の技術の結晶。プロの画家の意見を常に聞きながら、毎年のように技術を更新している」と胸をはる。』
『2000年代に入ると、デジタル化の波が押し寄せた。紙は不要というムードが高まったが、いまのところ業績にはほとんど影響していない。「テレビ局でも収録現場でうちのスケッチブックを使ってもらうなど、いまも紙を必要とする職場は少なくない。学校でも手書きを重視している」という。

遅れていたグローバル化にも光明が見えてきた。実は19年末に中国の上海に現地法人を新設した。デジタル化の進む中国で、マルマンのノートは書きやすいという評価が高まり、引き合いが急増したからだ。「うちの生産、加工、製本は独自に磨き上げたアナログ技術。改めて日本のものづくりに自信が持てた」と話す。』
『井口社長は「紙は感性の世界だから、デジタルでは容易に表現できない。お客さんが『これでいいや』という文具はつくりません。『これがいい』、そして『これじゃないと』という文具を提供してゆく。大手ではなく、中堅・中小の会社が生き残るにはそんなこだわりが必要ではないでしょうか」と語る。コロナ禍で、オンライン上で仕事したり、飲み会をしたりするビジネスパーソンが増えたが、そこでも図案スケッチブックを使い場を盛り上げる人が現れている。創業100年の老舗メーカーはデジタルの世紀にも確かな歩を進めそうだ。

(代慶達也)』

「ネットカフェ難民」漂流の危機

「ネットカフェ難民」漂流の危機-コロナ禍のしわ寄せ、若い世代にも
https://www.nippon.com/ja/in-depth/d00597/

『〔「嵐が来た」〕
NPO法人TENOHASI(てのはし)は、東京・池袋を拠点に主にホームレスの人々を支援している。主な活動は2週間に1度の炊き出し(現在は感染防止のため弁当配布)や生活相談のほか、毎週水曜夜に路上生活者を見て回り、おにぎりやパンフレットを配る「夜回り」だ。

路上生活者が減少傾向にあった矢先、「今年3月に突然嵐が吹き荒れた」と、代表理事の清野堅司さん(58)は振り返る。新型コロナウイルスの感染拡大とともに、経済活動が停滞。炊き出し参加者は3月から増え始め、4月は1回200人超、5月には同260人を数えた。相談件数は4月から6月半ばにかけて累計80件。前年同期の3倍に膨らんだ。

年配の長期路上生活者に加えて、「今まで炊き出しに並んだことがなかったようなインターネットカフェ難民系の若い人が参加し始めた」と、清野氏は驚く。建設業を中心に日雇いや派遣の仕事が急減、困窮者が増えたのに加え、4月の緊急事態宣言を受けネットカフェが営業自粛要請の対象(東京都は6月11日解除)となったことが追い打ちを掛けた。「住民」はいったん退去せざるを得なくなったのだ。

6月27日、炊き出し会場の東池袋中央公園を訪れると、開始時刻の午後6時よりも1時間以上前から混み始め、確かに20代から30代と思われる若い人たちや女性の姿がちらほら見えた。弁当配布の長い列に2回並び、両手いっぱいに弁当袋をぶら下げ持ち帰る人が多い。相談コーナーや鍼灸(しんきゅう)コーナーも盛況だ。

最近、相談に訪れた男性はネットカフェをねぐらとして、リサイクル家電を東南アジア向けにコンテナに詰め込む仕事をしていた。2月の時点では、「1日1万円で週3回来てくれ」と雇用主に言われていたのが、3月には「週1回」に減った。日本での感染拡大で相手国の検疫が厳しくなり、景気も悪化したためだ。掛け持ちの建設現場の仕事も急速になくなり、5月の月収は6万5000円に落ち込んだ。

〔仮の住まい〕
ネットカフェ難民は、日雇いや派遣など不安定で賃金の安い仕事に就きながら、平均で1日2000円程度の格安な24時間営業の店をねぐらとしている。東京都内だけで約4000人いると推計されるが、営業自粛で退去を余儀なくされた人々の一部は、東京都が4月から「受け皿」として借り上げたビジネスホテルに移った。都の説明では、これまでに延べ約1200人が利用した。

実際、6月24日の夜回りに同行させてもらうと、東池袋周辺では、公園や陸橋の階段下など薄暗く人目に付きにくい場所に16人の路上生活者の姿が確認できたが、若い人は1人だけ。ネットカフェ難民は全てとは言わないまでも、一定数はとりあえず路上生活を免れたように思える。

リサイクル家電と建設の仕事を掛け持ちしていた男性も、豊島区のビジネスホテルに無料で宿泊。月収から割り出し1日2000円程度の予算内で、食事代のほか職場までの交通費、日雇いの仕事探しに欠かせない携帯電話代をやり繰りできたのも、無料の住まいを確保できたからだ。

しかし、男性のように、少額でも所得のある生活困窮者の場合、借り上げホテルにいられるのは7月1日まで。彼はその後どこへ行ったのか。

〔届かぬ公的支援〕
借り上げホテルはあくまで仮住まいであり、そこで住民票登録ができるわけではない。住民基本台帳に載っていることを前提とした特別定額給付金(1人10万円)や住宅確保給付金などの公的支援は受けられず、「一番必要な人に公的支援が行き渡らない」と、TENOHASIの清野氏は嘆く。

10万円の給付金の書類申請期限は、都内なら8月下旬。それまでに自力でアパートを借りて、自立できる人はいったい何人いるだろうか。

労働条件も劣悪だ。労働基準法では、コロナ感染防止のため、休業を余儀なくされた場合、従業員に60%以上の休業手当を支給することになっているが、派遣労働や日雇いの場合は、休業手当が支払われないことがしばしばあるという。

労働問題に詳しい猪股正弁護士は、「先々まで予定されていた仕事について、派遣先が途中で『仕事がないから来なくていいよ』ということになったら、責任を負い、ある程度の金額を派遣会社に払わないといけない。そこから派遣社員に休業手当が支払われるべきだ」と話す。

厚生労働省の調査によると、新型コロナ感染に関連した非正規雇用者の解雇見込み者は6月26日時点で9009人。調査を始めた5月29日時点の3.8倍に急増した。派遣契約は3カ月単位が多く、区切りとなる6月末を控えて雇い止めが増えたとみられる。

〔心理的な壁〕
都の借り上げホテルは既に一部で入居期限が切れ、今後も段階的に退去を余儀なくされる。困窮者はネットカフェに戻るのか、それともその金すらなく、さまようのか。清野氏は、「仕事が回復するのを待っていても、現状では回復しそうにない。ネットカフェに戻してしまうのではなく、生活保護の支給を受けてアパートを借りながら、時間をかけて仕事を探していくしかない」として、困窮者の保護申請の手伝いに奔走している。

だが、その試みは一筋縄では行かない。

生活保護を受けるには、申請者の親族に扶養能力がないのかを調べる「扶養照会」という手続きがある。つまり、役所から故郷の親族に対し、申請したことが伝わってしまう。申請者の多くは「保護を受けるような人間は怠け者。自分はそんな人間になりたくない」と自分を追い詰め、親に知られたくない心理が働く。特にネットカフェ難民は「訳あり」で故郷から出てきた人が多く、なおさらだ。

40代の独身女性は、ネットカフェ暮らしをしていた物流関係の派遣社員。4月以降、仕事が減って行き詰まり、都の借り上げ住宅にやっとの思いで入居。期限切れを前に、保護申請するか迷っていた。そもそも親元を離れネットカフェ暮らしをしていたのは「家族との不和」が原因だっただけに、「家族に知られるのだけは絶対に避けたい」との思いが強い。

その心情をくんで、TENOHASIの相談員は「虐待などが原因ならば、親族への照会は控えてもらえるはず」と諭し、心理的な虐待がなかったかなど、申請窓口へ行くまでの戦略を共に探っている。

〔コロナ禍のセーフティーネット〕
もう一つの大きな壁は、生活保護に対する世間の目の厳しさだ。「働きもせず、税金で支援されるなんて」という冷たい視線が向けられることがある。

京都市の区役所で生活保護の実務経験がある相続・介護コンサルタントの小笹美和さんは、「外から見ても分かりにくいが、病で働けないということもあるし、本人が保護に頼らずに働きたくても仕事がないという現実がある」と話す。「ほんのごくわずかしかない」という不正受給のせいで、偏見が広がりがちだ。

コロナ感染は世界的にまん延し、第2波も予想されることから、さらに多くの人々の雇用に響いてもおかしくない。「派遣の方は真っ先に切られやすいし、大企業にいるからといってリストラされないとも限らない。いつ、どこで、どんなふうに働けない環境になるかは紙一重だとすごく感じる。生活保護はセーフティーネット(安全網)として本当に必要だし、需要は増えて来るだろう」。小笹さんはそう見ている。』

※ 世界的な統計上は、日本の「ネカフェ住民」みたいな人達は、「ホームレス」に分類されているそうだ…。

 ※ ああ、やっぱり「ネカフェ難民」生じていたか…。聞いたのは、「リーマン」以来だな…。今回は、その「ネカフェ」すら追い立てをくらったか…。
 「リーマン」の時とは、経路がちょっと違うようだが…。
 リーマン:世界的な「金融システム」の機能不全 →「世界経済」全体の悪化 → 日本経済へ波及 → ネカフェ難民の発生…
 コロナ禍:世界的な「パンデミック」の発生 → 旅行・飲食業界及びその関連業界の需要喪失 → そういう業界関係の労働者の大量解雇・休職 → ネカフェ難民の発生…
 いずれ、「経済が悪化」すると、一番弱い人達のところに、真っ先に「しわよせ」が行く…。
 「リスク覚悟で、経済再開」も、ある程度はやむを得ないところだろう…。

コロナ発、産業革命の鼓動…。

コロナ発、産業革命の鼓動 マネーは覇者交代を先取り
本社コメンテーター 梶原誠
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO60458680X10C20A6TCT000/

『「コロナ禍は産業構造を一変する」。こう聞いて反論できる人が急速に減っているのではないか。少なくとも投資マネーは「一変」を前提に動いている。』
『そんな思惑が鮮明に表れるのが、不動産投資信託(REIT)の市場だ。3月を機にショッピングセンターなどの商業施設を保有する「日本リテールファンド投資法人」の価格が低迷する一方、倉庫などの物流施設を持つ「日本プロロジスリート投資法人」は買われ、明暗は分かれた。
 「3密」のリスクがある店舗の集客力が落ちる半面、密と無縁のネット通販は人気を集めて物流施設の需要が高まる――。マネーが読むのは産業の覇者交代だ。』
『産業構造はなぜ、どのように変わるのか。それを理解する上で欠かせない歴史が1760年ごろ、英ロンドンでの技術革新で始まった。その後の世界経済の持続的成長の起点となった産業革命だ。』
『産業革命には見逃せない要素が2つある。まず、ピンチをチャンスに変えたことだ。英国は「この難所さえ乗り越えれば大きな利益が得られる」というボトルネックを克服したからこそ、新たな産業構造の勝者になれた。

都市化が進んだロンドンは労働者の賃金が世界でも突出して高く、綿産業の競争力を落としかねなかった。ただ幸運にも炭鉱地帯が近く、動力源となる石炭は安く大量に手に入った。これが人力を動力に置き換えるためのイノベーションに人々を駆り立て、紡績の機械化や蒸気機関を生んだ。』
『もう一つは、変化に乗り遅れた側の末路は哀れで、国家の浮沈にすら響くという負の側面だ。

綿で英国のライバルだったのがインドだ。安い賃金に安住して人手に頼る生産を続けたが、やがてコストでも品質でも改良を進めた英国製品に駆逐され、産地は貧困に苦しんだ。歴史学者ポール・ケネディ氏の著書「大国の興亡」によると、世界の工業生産に占めるインド・パキスタンの比率は1750年の25%から1900年の2%へと存在感を失った。』
『日本の株式相場は捉えどころのない乱高下を続けているようにも見える。ところが「ピンチ」と「変われるか」を意識して目をこらすと、マネーがコロナ後の勝者と敗者を冷徹に選別していることが浮き彫りになる。

1月末と6月16日の時価総額ランキングを比べよう。わずか5カ月足らずにもかかわらず大きく順位を上げた企業は、コロナで生じたボトルネックに挑んでいた。』
『代表は43位から28位に上昇したSMCだ。主力製品の空気圧機器は、次世代通信規格「5G」の普及で需要が増しつつある世界の半導体工場で、オートメーション化に使われている。

コロナを機に生産現場でも持ち上がった「密」。この課題を乗り越えるために、同社の製品の導入が進むと市場は読んでいる。工場や物流施設の省力化に使うセンサーを生産するキーエンスも、6位から2位に浮上した。

65位から44位に上昇したエムスリーはソニーの関連会社だ。製薬会社が医師向けに医薬品情報を提供するサイトを運営する。登録する医師は国内の約9割に及ぶ。

同社は今、「健康」と「接触」という2つの難所に立ち向かっている。コロナ禍の今こそ医師はメーカーの医薬情報担当者(MR)との対話が必要なのに、接触を避けるために面会がかなわない。非接触のサイト利用は急増し、株価は今月、上場来高値を付けた。』
『順位を下げた企業の特徴は2つだ。まず規制業種。金融機関をはじめ規制に守られた結果、変化への貪欲さが弱いと見られている。

24位から31位に落ちた日本郵政は典型だ。歴代の経営者は政治家、労働組合、郵便局長との意見調整に追われ、企業価値を高める投資や合理化を打ちにくかった。「変わらなければ潰れるという危機感が乏しかった」。かつての経営幹部は今の株価低迷の理由を国営時代からの企業風土に求める。』
『もう一つは、業績悪化で変わる力を落とした企業だ。日産自動車の順位は53位から75位へと低下した。過剰設備を抱えていた同社への逆風は、コロナによる消費の低迷で一段と厳しくなった。』
『米コンサルティング会社のアリックス・パートナーズは、今年の世界の自動車販売が昨年比21%減の7050万台に落ち、昨年の水準を取り戻すのに6年もかかると予測している。

電気自動車や自動運転の普及など変革期にもかかわらず、多くのメーカーは開発に投じる財務的な力をコロナで落とした。首位のトヨタ自動車ですら時価総額を減らし、今や米電気自動車テスラの1.2倍しかない。完成車や部品メーカーは、資金の捻出に向け統合や提携の道を探っている。』
『産業構造の激変は割安株投資の前提を変える。経営環境が変わらないのに株価が安いからこそ反発が狙えるが、ニューノーマルの下で時代遅れになった企業の株価は戻らない。割安株投資の王者、ウォーレン・バフェット氏が保有株を大量に手放したのも、このワナに気付いたからではないか。

歴史が裏切らなければ、株式市場はコロナ発のピンチをチャンスに変える企業に報い、変化から目をそらす企業を見限るだろう。のし上がる英国になるかインドの末路をたどるのかは、経営者の決断にかかっている。産業革命は1世紀かけて選別を進めたが、市場は気長に待ってくれない。』

チャートで見る新型コロナショック

経済チャートで見る新型コロナショック
https://vdata.nikkei.com/newsgraphics/coronavirus-economy/

※ 株式市場では、ダウの一人勝ちだ…。米中摩擦、コロナによる死亡者数、暴動勃発…、にも関わらず、世界の「お金持ち」達は、アメリカ経済が回復する可能性が最も高い… と見ているということか…。

※ 上海市場が、それに次いでいる…。春山さんの分析では、「政府による腕力相場」ということだが…。日本市場も、健闘している…。今日も、上がったしな…。

※ 通貨では、新興国通貨は「総崩れ」だ…。立て直しには、相当の時間がかかるだろう…。

※ これを見ると、ニューヨーク、パリ、東京も、「リモートワーク」に相当に舵を切った…、ようだな…。それが、どの程度定着するのか、注目だ…。それには、「お役所」の対応がどの程度になるのか、が最大の要因となる…。

※ スーパー・ドラッグストア関係では、東京の落ち込みはそれほどでも無かったようだ…。「巣ごもり」でも、食材調達に出かけた…、ということか…。パリ、ニューヨーク、ロンドンの落ち込みは、凄いな…。どうやって、食材調達したのか…。「保存食品」「冷凍食品」の比重が高かったのか…。こういうあたりに、日本人の「生鮮食料品」志向が見てとれるな…。「外資系スーパー」が、悉く「定着しなかった」要因でもある…。

※ 日本の「輸出」は、総崩れだ…。マクロの経済統計を見ると、日本国は「内需国」ということになっているんだが、「製造業」は、「外需頼み」企業が多い…。特に、「上場企業」は…。そして、その「上場企業」に多くの「中小・零細企業」がぶら下がっている…。前に、「自動車産業」が「製造業」全体に占める割合についての投稿を上げたことがあったが、日本経済全体に占める「自動車」の割合は、非常に大きいものがある…。今回のコロナで、どの程度の影響を受けることになるのか、注目だ…。

レナウン業績不振 コロナ追い打ち 親会社と対立も痛手

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO59201450V10C20A5EA1000/ 

※ やや詳しい記事が載っていたので、紹介しておく…。

※ リーマンショック以来、ずっと業績(株価)は低迷していたんだな…。どうにかこうにか、事業継続していたが、今回のコロナが、とどめを刺す形になったわけだ…。

『名門アパレルのレナウンが法的整理手続きに入る。1990年代には世界最大の事業規模を誇ったが、近年はブランド力の低下やファストファッションの台頭などで不振が続いていた。そこに新型コロナウイルスによる需要蒸発で4月の販売が8割減まで落ち込み、行き詰まった。親会社の山東如意科技集団との関係悪化も目立っており、スポンサー探しなど再建は難航も予想される。』


『新型コロナの感染拡大以降、販売は急速に落ち込んでいった。主要販路である百貨店やショッピングセンターの休業を受け、3月の既存店売上高は前年同月比42.5%減と急減、4月は同81%減まで落ち込んだ。資金が入らず、5月中旬以降の債務支払いができなくなった。』
『比較的高価な百貨店中心のブランドに依存するレナウンは、米アマゾン・ドット・コムなど電子商取引(EC)の拡大や、「ZARA」などファストファッションに押され、顧客層を崩されていた。最近は新たな販路開拓を続けていたが、若者向けブランドの育成がうまくいかず、再建に向けた有効な戦略が見いだせなかったところに、新型コロナが直撃した形だ。』

『ただ、業績悪化は販売不振だけではない。19年12月期は2期連続の最終赤字となったが、主因は山東如意グループである香港企業からの売掛金の回収が滞ったためだ。「回収がいつになるのか不透明だ」(毛利憲司社長)として貸倒引当金を計57億円計上した。』

『山東如意も近年は事業環境が厳しくなっていた。中国の景気減速や米中貿易摩擦に加えて、新型コロナで苦戦していたとみられる。レナウンによると、山東如意が売掛金を補償する取り決めもあったというが、実現しなかった。山東如意も経営が厳しくなっていた様子がうかがえる。

山東如意とは取締役選任でも対立した。3月の株主総会では神保佳幸社長と北畑稔会長の再任が山東如意の反対で否決され、取締役だった毛利氏が社長に就任した。』
『今回の法的整理は子会社が債権者として民事再生法の適用を申請するという異例の手続きをとった。民事再生を巡ってレナウンの取締役会の意見がまとまらず、子会社を通じた手法になったとみられ、東京地裁は経営陣が主体となって再生手続きを進める「監督型」ではなく、管財人のもとで進める「管理型」を選択した。』

『再建へはスピード感を持って、2つの壁を乗り越えなければならない。親会社である山東如意との対立は残っており今後、山東如意出身の取締役が不服として、民事再生手続きの停止を求めてくる可能性も残る。手続きが停止すれば、再建が難しくなる恐れがある。』

『さらに難しいのが、スポンサー探しだ。法的手続きとなり、消費関連企業にとって重要なブランド価値の毀損は免れない。店舗の閉鎖が長引き、社員やアルバイトが減ると、店舗の運営すら難しくなる。』

『ある投資ファンドは「消費者の価値観の変化やECの拡大など、アパレルは構造的に厳しい業種だ。新型コロナの影響でいつ平常通り運営できるか分からない。ここでスポンサーに名乗り出るのは難しい」と話す。』

※ リーマンショック以降、ずっと経済は低成長が続いている(この先も、ずっと続いていくだろう)…。「可処分所得」が増大しないから、各業種・業界は、その増えない「可処分所得」の取り合いになる…。アパレル業界の「敵」は、ライバル企業というよりは、「コンテンツ業界」だったり、「通信・携帯業界」だったりするわけだ…。

※ そして、アパレル業界内部でも、ユニクロに代表される「低価格」路線とか、前澤友作氏のZOZOに代表されるEコマースとか、入り乱れて、この少ない需要を取り合うわけだ…。

※ 低価格路線内部でも、「しまむら(最近、聞かなくなったな…)」とか一時隆盛になったり、最近ではワークマンが「作業着を着るのが、かっこいいのだ。」路線で参入したりしているわけだ…。

※ そういう「群雄割拠」のところに、このコロナが襲いかかったので、「力尽きる」老舗組も、まだまだ出てくることだろう…。