〔その他の地域関連〕

欧米自動車8社、最終赤字1.7兆円 追加リストラ加速へ
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO62319520V00C20A8916M00/


『【フランクフルト=深尾幸生、ニューヨーク=中山修志、パリ=白石透冴】欧米自動車大手8社の2020年1~6月期の決算が5日出そろい、独BMWと仏グループPSAを除く6社が最終赤字になった。新型コロナウイルスで新車販売が約3割落ち込んだことが響いた。市場の本格回復には時間がかかるとみられ、各社は追加のリストラを加速している。』
『調査会社の英LMCオートモーティブによると、20年の世界の自動車工場の稼働率は5割を割り込む。6割強だった19年の水準に回復するのさえ23年までかかる。

独ダイムラーのハラルト・ウィルヘルムCFOは「今のコスト構造ではもたない。損益分岐点を下げることは今後10年続く課題だ」と危機感を示した。同社は2万~3万人規模の人員削減を検討しているほか、仏工場の売却を決めた。

ルノーは今後3年で全世界の従業員の8%に当たる約1万5千人を削減する。生産能力を18%削って年330万台とし、固定費を20億ユーロ以上減らす考えだ。

米ゼネラル・モーターズ(GM)は18年から進めてきた工場閉鎖などによるリストラ策のコスト削減の目標を年間38億ドル(約4千億円)から最大45億ドルに引き上げる。ディビア・スリヤデバラCFOは「広告費やイベント費、出張費などの削減は恒久的なものになる」と述べた。

独フォルクスワーゲン(VW)も内定していたトルコの新工場建設計画を撤回、BMWもハンガリー工場の開業を延期した。新車市場の継続的な成長を前提としてきた自動車大手の経営は明確な転換期に入った。』

茂木外相、日英通商交渉「議論に進展」 7日も交渉続く
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO62404430X00C20A8EAF000/

『茂木氏は残る論点に関しては明らかにしなかった。交渉関係者によると、日本が自動車や部品の関税撤廃時期の早期化を求める一方、英国は特定の農産品の市場開放を要求し、ぎりぎりの調整が続いているもようだ。

日英間の貿易では現在、日本と欧州連合(EU)の経済連携協定(EPA)の効果で優遇関税が受けられる。だが年末の英国のEU離脱の移行期間が過ぎると、優遇措置はなくなる。両政府は年末の移行期間切れの直後から協定を発効できるよう、早期に交渉を妥結させたい考えだ。』

英連邦、中国包囲へアジア関与 インド太平洋で日米連携(2020/8/6 20:41)
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO62372470W0A800C2EA2000/

日英外相、香港情勢に懸念 対中政策連携を確認(2020/8/6 6:31 (2020/8/6 6:58更新))
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO62348620W0A800C2000000/
『日本政府によると2人は約2時間、夕食を交えて会談した。高度の自治を脅かす香港国家安全維持法の施行を巡っては、香港市民や在住する外国人、企業の権利や自由が脅かされないよう連携して対応することを確認した。特に香港政府が民主主義のプロセスである9月の立法会(議会)選挙の1年延期を決めたことに、重大な懸念を共有した。

さらに沖縄県の尖閣諸島で中国の公船が連日、接続水域を航行している問題などを念頭に、中国による東シナ海、南シナ海での海洋進出について両国が緊密に連携することで一致した。両国は近年、自衛隊と英軍の共同訓練や、北朝鮮が洋上で積み荷を差し替えて密輸する「瀬取り」への対処で連携している。会談では安全保障分野でさらに協力を深めるとともに、早期に外務・防衛担当閣僚会議(2プラス2)を開催する方針でも一致した。』
『経済分野では茂木外相が、難航している欧州連合(EU)と英との通商交渉にも言及した。日英の企業への悪影響を最小限にするため、年末の「移行期間」までの英EU間の通商協定の締結に期待を示した。

英政府によるとラーブ外相は会談後、「日本は英国の親友であり、アジアの主要な安全保障のパートナーだ」と指摘。「新型コロナや香港問題への対応などで日英は並び立っており、協調関係がさらに深まることを楽しみにしている」とコメントした。茂木、ラーブ両氏の会談は2月の東京での戦略対話以来となる。』

豪、6月対中輸出が過去最高 中国は外交姿勢転換求める
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO62367870W0A800C2910M00/


『【シドニー=松本史】オーストラリアから中国への輸出額が増加している。6月の輸出額は中国向けが約146億豪ドル(約1兆1000億円)で過去最高だった。6割を占めるとみられる鉄鉱石の価格上昇が影響している可能性もあるが、外交や安全保障で中国と距離をとりながら、貿易ではなお対中依存が高い。』
『中国共産党系メディアの環球時報(電子版)は4日、学識者の見解を基に「(中豪の)通商関係が現時点で好調でも、豪州が(対中姿勢を)軌道修正しなければ、長期的には悪化する関係が豪州経済に与える影響は顕著になるだろう」という内容の記事を掲載した。豪州が中国との貿易を良好なまま保ちたければ外交や安保での対中姿勢を改めるべきだとの「警告」と受け止められている。』
『豪統計局が4日発表した貿易収支によると、中国向けのモノの輸出額は6月が全体の49%を占めた。19年度(19年7月~20年6月)を通しても1510億豪ドルで、前年度を12%上回った。けん引したのは鉄鉱石だ。19年度は世界への鉄鉱石輸出が1021億豪ドルに達した。7月の速報によると、19年度の鉄鉱石輸出の87%が中国向けだった。

中国向けの鉄鉱石は新型コロナウイルスの感染拡大で需要が落ち、豪産価格は2月初旬、1トン80米ドル(約8400円)台に低下。だが、世界の生産減やいち早く感染を抑制した中国の需要回復で6月までには上昇に転じ、足元は同110~115米ドル前後で推移する。

一方、豪州は中国と外交や安保で緊張を高めている。モリソン豪首相が新型コロナの発生源などについて独立調査を求めると中国が反発。5月には豪産の食肉の輸入を一部規制し、大麦に80%超の追加関税を課した。

豪州は7月下旬、南シナ海で中国が主張する権益を認めないという内容の書簡を国連に提出。直後にワシントンで開いた米国との外務・防衛担当閣僚協議(2プラス2)の共同声明で中国の南シナ海進出に「深刻な懸念」を表明した。』

仏大統領、レバノンに改革要求「白紙の小切手渡せぬ」
近く国際支援会議
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO62403450X00C20A8EAF000/

『【イスタンブール=木寺もも子】フランスのマクロン大統領は6日、大規模な爆発が起きたレバノンの首都ベイルートを訪れ、近く国際支援会議を開く考えを示した。「白紙の小切手は渡せない」と述べ、支援の条件として政治腐敗や非効率な経済運営がはびこるレバノン政府に改革を要求した。

6日、ベイルート市内を視察して手を振るマクロン仏大統領=ロイター
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4日に起きたベイルートの爆発現場を訪れた外国首脳はマクロン氏が初めて。フランスは旧宗主国で、レバノンと政治・経済の結びつきが強い。

マクロン氏は6日、アウン大統領やディアブ首相らと会談した後、ベイルート市内で単独記者会見した。「世界銀行や欧州連合(EU)、国際社会と協力してレバノンを支援する」と述べた。支援は「腐敗した手」を介さず非政府組織(NGO)などに届ける必要があるとの認識も示した。』
『レバノンでは公共セクターなどに縁故主義や汚職がはびこる。マクロン氏は「支援の資金は用意されており、国内改革を待っている」として、支援の実行には改革が不可欠との認識を示した。中央銀行に対する監査が必要だとも述べた。

フランスや国際通貨基金(IMF)などは、3月に債務不履行(デフォルト)を宣言したレバノン向け支援の交渉をしていたが、レバノン側は放漫財政の改善などの条件に抵抗していた経緯がある。

マクロン氏は4日の爆発原因について「国際的な捜査が必要だ」との考えを述べた。』
『一方、ロイター通信によるとレバノン中銀は6日、爆発が起きた港の責任者や税関トップらの銀行口座を凍結した。危険物の硝酸アンモニウムが6年にわたり放置されていた問題を調べるとみられる。政府は5日、調査結果が出るまで関係者の身柄を自宅軟禁すると発表していた。

欧米メディアは6日、ベイルート市内を視察するマクロン氏を大勢のレバノン市民が取り囲み、政治の腐敗や窮状を訴える様子を大きく伝えた。

一方、欧州連合(EU)のフォンデアライエン欧州委員長は6日、レバノンの対EU貿易について、関税の減免など経済面での側面支援を行う考えを示した。』

レバノンで反政府デモ、治安部隊と衝突 爆発で不満高まる
https://www.bbc.com/japanese/53689325


『大規模爆発で多数の死傷者が出たレバノンの首都ベイルートで6日、反政府のデモがあり、参加者らと治安部隊が衝突した。

デモは国会近くで行われていた。治安部隊は参加者らに向け催涙ガスを使用した。

4日に発生した爆発による死者は137人超、負傷者は約5000人に上っている。さらに、多数が行方不明となっている。

多くのレバノン市民は、政府の腐敗や怠慢、管理のまずさが爆発を引き起こしたと訴えている。』

トルコリラ、対ドルで過去最安値を更新
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO62395670W0A800C2EAF000/

サウジ・中国の核協力精査 米情報機関が警告と報道
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO62363880W0A800C2000000/
『【ワシントン=共同】米紙ニューヨーク・タイムズは5日、米情報機関が、中国の協力を得てサウジアラビアが進める民生の核燃料開発計画が核兵器開発につながるかどうか精査していると報じた。機密扱いされた分析の中で、核兵器用の濃縮ウランとして転用することも可能なウラン処理の動きを秘密裏に進めている可能性があると警告しているという。

サウジアラビアの事実上の指導者はムハンマド皇太子だ=ロイター
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首都リヤド近郊に新たに建設された施設が未申告の核関連施設の一つである疑いが浮上している。まだ分析の結論は出ておらず、仮に核開発施設だとしても初期段階で、核弾頭1発を製造する能力を持つのは何年も先のことになるとみられる。

サウジは、敵対するイランが核兵器開発を進めれば核保有を目指すと公言している。サウジの核兵器開発が事実であれば、中東での核開発競争が激化し地域全体が一層不安定化する恐れがある。

サウジと中国は多くの民生分野での原子力協力計画を公表しているという。』

〔WSJより〕

メルケル氏、ワイヤーカードの中国進出後押し 独政界に波紋も
https://jp.wsj.com/articles/SB11864197385222703531604586522763185198354
 ※ ああ、この記事か…。

『【ベルリン】ドイツのアンゲラ・メルケル首相が昨秋中国を訪問した際、独決済サービス会社ワイヤーカードの不正疑惑を巡る調査が行われていたにもかかわらず、中国当局者にワイヤーカードを売り込んでいたという。メルケル氏の側近は当時、不正疑惑の調査が行われていることを認識していた。政府関係者が22日、明らかにした。その後経営破綻したワイヤーカードのスキャンダルがドイツ政界に波及する兆しが広がっている。

 ワイヤーカードは当時、北京を拠点とするオールスコア・ペイメンツ・システムズの買収を計画していた。首相報道官…』

メルケル独首相の大転換、EU復興計画を救う
 EUの92兆円規模の復興計画合意を実現した立役者は、長年倹約派の筆頭だった
https://jp.wsj.com/articles/SB12198070967903604140304586522022061532888
『欧州連合(EU)の7500億ユーロ(約92兆4000億円)に上る復興計画を実現した立役者は、予想外の人物だった。ドイツのアンゲラ・メルケル首相だ。同首相はこのような「施し」に長年反対してきたにもかかわらず、今回の合意の推進役となった。

 EU各国首脳は21日、メルケル氏に促されて、これまで何年間も避けてきた方向に一歩踏み出し、巨額のEU共通債を発行することで合意した。新型コロナウイルスによる経済危機から加盟諸国を立ち直らせるための資金を調達するためだ。

 今回の合意によって、EU加盟2…』

G20「V字回復」想定変えず

G20「V字回復」想定変えず
「財政・金融、必要な限り継続」 迫る第2波、協調欠く
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO61701990Z10C20A7NN1000/

『世界で新型コロナウイルス感染の第2波が懸念されるなか、20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議は新たな対策を打ち出さずに18日閉幕した。米国は追加対策を急ぎ、欧州も復興基金を議論する。危機対応に追われて新たな連携を描けず、世界経済がV字回復する想定を据え置くちぐはぐな対応となった。

「世界経済の見通しは不確実で、より大きな下方リスクにさらされている」。サウジアラビアを議長国にテレビ会議を開いた後、G20は声明で厳しい認識を示した。国際協調を巡っては、債務を抱えた発展途上国の返済猶予措置の期限を2020年末から延長する可能性に触れた程度だった。』
『日本からは麻生太郎財務相、日銀の黒田東彦総裁が参加。終了後の記者会見は開かなかった。

前回4月の会合から世界経済を取り巻く状況は変わった。4月にピークをつけたかにみえた米国の新規感染者数は再び増え、足元は4月の倍の1日7万人を超えるペースを刻む。日本も東京の新規感染者数が1日300人弱にのぼる日もある。

国際通貨基金(IMF)は6月、4月に下方修正した20年の成長率見通しをさらに引き下げた。米国はマイナス8%と第2次世界大戦の直後だった1946年以来の落ち込み。その後、米国の見通しを上方修正したが、新興国平均でも20年はマイナス3%を見込む。』
『各国の危機感は強い。ムニューシン米財務長官は「新型コロナで失業した2000万人が速やかに復職できる施策に注力する」と追加対策を急ぐ。すでに約3兆ドル(約320兆円)の財政出動に踏み切っている。7月中にさらに追加の財政出動を発動し、7月以降の支援策の期限切れなどに対応することをめざす。

欧州連合(EU)は南欧などを支援する復興基金案を巡って議論を続けている。中国は企業の負担軽減や金融支援などに機動的に対応する構え。日本も「(回復の)ペースは緩やかなものにとどまる」(日銀の黒田総裁)としており、各国は先行きへの警戒を続ける。

各国が危機対応に追われ、新たな連携にたどり着かない面もある。G20が4月にまとめた行動計画は「V字回復」を想定していた。実現性の低さから今回の会議では見直しを求める声が出た。結局、国ごとに感染の段階が異なることなどを理由に10月の次回会合まで据え置くことになった。

経済再開の時期をめぐる踏み込んだ議論もなく、国際協調の難しさが浮き彫りになった。債務の返済猶予措置を要請した国は18日時点で42カ国。20年に猶予される額は53億ドル(約5700億円)という。最大の債権者である中国が十分な情報開示をしていないとの疑念が各国に根強く、麻生氏も会議で「透明性が大前提だ」とけん制した。

「財政・金融政策は必要な限り実施され続ける」。G20は声明にこう明記し、対応の長期化を見据える。各国の政策余力の差が連携をさらに難しくする局面に入る。』

〔日経、その他の地域関連〕

世界の出稼ぎ送金25%減 失業や帰国、新興国に打撃
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO61702070Z10C20A7MM8000/

『【マニラ=遠藤淳、メキシコシティ=宮本英威】新型コロナウイルスの感染拡大が、出稼ぎ労働者の送金を直撃している。今年の新興国への送金額は前年比で25%落ち込む見通しだ。労働者が都市封鎖などで失業しているためだ。送金に頼る貧困層が多い新興国経済への打撃は深刻だ。

「配給される米や缶詰でしのぐしかない」。フィリピンの首都マニラに住むエドウィン・リゾンさん(54)はこう嘆く。長男がサウジアラビアの建設会社で働いていたが経済活動停止で、食費にあてていた月1万ペソ(約2万1千円)ほどの送金がほぼ途絶え、食べる物にも事欠く毎日だ。

出稼ぎ送金は新興国を中心に経済に大きな役割を果たしている。送金額の国内総生産(GDP)への貢献度は米への移民が多い中米エルサルバドルやホンジュラスではほぼ20%。中東レバノンやエジプトでも10%を超える。送金は自国の家族の生活を支え、経済面では消費のけん引役となっている。

衣料品やコーヒー産業のほか目立った産業のないエルサルバドルでは、国内で生活に十分な所得が得られる仕事を探すのは非常に難しく、米への出稼ぎで本国の家族を養う人が少なくない。毎年のように中米から米を目指す「キャラバン」と呼ばれる移民集団が発生するのも中米諸国で同じ状況があるからだ。

国内で十分に稼げる産業が育っていないフィリピンも伝統的に出稼ぎ労働者を送り出してきた。人口の1割にあたる約1000万人が米国など海外で働く。しかし新型コロナの影響で状況は一変した。ベリョ労働雇用相は6月下旬、「40万人の出稼ぎ労働者が職を失った」との見方を示した。

実際、フィリピンへの送金額は4月に20億4600万ドルと前年同月比16.2%減った。都市封鎖などで出稼ぎ先の職を失い8万人近くが帰国している。20年の送金額は19年ぶりの前年割れとなるのは確実だ。中央銀行は20年の送金額は301億ドルだった19年から5%減少し、GDPを0.4ポイント押し下げると予想する。

エルサルバドルも4月の送金額は前年同月比40%落ち込んだ。危機感を強めた政府は送金手数料を無料とする施策を導入したが、それでも5月も減少傾向は止まらず18%も落ち込んだ。大半が米国からの送金だが、多くの州で新型コロナの感染再拡大が起きており、経済の回復が遅れており送金額が増加に転ずるのは難しい。

新興国にとって出稼ぎ労働者からの送金は、輸出や観光産業に並ぶ重要な外貨獲得源であり、政府の外貨準備の積み上げにも寄与してきた。送金の減少も一因となり、エジプトでは3~5月にかけて外貨準備が減少した。国際送金の落ち込みが長引けば、新興国経済の成長だけでなく安定性、健全性にも影を落としかねない。』

キューバ、対米関係改善見えず 国交回復5年
大統領選に期待も
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO61702140Z10C20A7FF8000/


『メキシコシティ=宮本英威】キューバが米国と54年ぶりに国交を回復してから20日で5年を迎える。当時の”雪解け”ムードはトランプ政権による制裁強化で一転し、経済は停滞したままだ。米との関係改善のチャンスは11月の米大統領選で民主党政権への交代しかなさそうだ。

首都ハバナの西方に広がるマリエル開発特区。機械設備の輸入税免除などの優遇策で、キューバ政府が外資誘致の起爆剤として期待している場所だ。18年末時点で43の計画が承認されたが、政府の期待とは裏腹に稼働までこぎ着けたのは半分程度。19年から新規のプロジェクトの承認はないもようだ。

外国企業の事業中断も目立つ。欧州の航空機メーカーATRは航空機2機の納入を中止し、フランスの複合企業ブイグはハバナ国際空港の改築工事を中断した。ロドリゲス運輸相は「米制裁が直接的に影響を及ぼしている」と嘆く。』
『米国とキューバが国交正常化交渉を始めると発表したのは、オバマ前米大統領とカストロ前国家評議会議長時代の14年12月に遡る。15年7月には両国の大使館が開設され国交が回復した。オバマ前政権は航空便やフェリーの運航を許可し、両国の行き来は活発になり、成長に期待する「キューバブーム」も起きた。

それが17年1月のトランプ米大統領就任で状況は一変する。オバマ前政権が緩和した制裁を段階的に復活させた。キューバ政府が接収した資産に関しては、米国人が損害賠償を請求する訴訟をおこせる対象に外国企業も含め、欧州やカナダによる投資をけん制した。その結果、外国企業はキューバとの取引に及び腰になっている。

キューバでは国交回復を契機に、米からの訪問者の増加を当て込んで飲食や宿泊を中心に自営業者が大幅に増えた。19年時点で62万人と、14年比で3割増えた。トランプ政権による査証取得の厳格化で米国からの訪問者数は急減。現在は新型コロナウイルスの感染拡大で観光がストップし、自営業者は青息吐息だ。』
『キューバ政府は新型コロナの感染拡大抑制には比較的成功しているが、経済浮揚策は打ち出せていない。国民は11月の米大統領選の結果に期待を寄せている。

大統領選の世論調査では、米民主党のバイデン前副大統領が、現職のトランプ氏に対して優位に立つ。バイデン氏は国交を回復したオバマ前政権下で副大統領を務めており、キューバ国内では制裁緩和に期待を寄せる声は多い。

バイデン氏は4月、米CBSの取材に応じた際に対キューバ政策について「大部分では戻す」と述べた。米議会内でもキューバとの関係改善を求める声はあり、19年7月には米民主のパトリック・リーヒ上院議員らがキューバへの行き来の自由を求めた法案を出している。

国連ラテンアメリカ・カリブ経済委員会(ECLAC)は15日、キューバの20年の実質経済成長率を従来のマイナス3.7%からマイナス8%に下方修正した。かつては割安の石油輸出でキューバを支えた南米ベネズエラも自国の混乱で余力を失っており、厳しい状況が続いている。』

アサド政権20年、内戦「勝利」も深まる孤立
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO61666510X10C20A7FF8000/
『【イスタンブール=木寺もも子】シリア経済の苦境が深まっている。17日で20年を迎えたアサド政権は内戦の勝利者として地位を固めたものの、国内外に1000万人以上の避難民を生み、国土は荒廃した。国際的に孤立し、40兆円にも上るとされる国土再建のための経済支援は望めない。

「アサド政権は去れ」。6月、シリアの独立系メディアは、政権が支配する地域では異例のデモを報じた。背景には、急速に悪化するインフレがある。隣国レバノンの経済危機で同国からの外貨供給が滞ったことで、通貨シリアポンドの実勢レートは1ドル=2000ポンド台と1年前の3分の1で推移する。

ネットではアサド大統領の父ハフェズ前大統領の肖像が印刷された紙幣を手巻きして作ったたばこに火をつける画像が出回る。窮した政権は5月、アサド氏のいとこで大富豪のラミ・マクルーフ氏の資産を差し押さえるなど、体制側でも不協和音が響く。

11年に始まった内戦で、当初劣勢だったアサド氏はロシアとイランの支援を得て国内の主要地域をほぼ掌握し、軍事的な優位を固めた。政権の転覆を図っていた米国のジェフリー・シリア担当特別代表は6月「アサド政権を排除しなければいけない訳ではない」と方針転換を明言した。

問題は、国連や政権が2500億~4000億ドル(約27兆~43兆円)などとする巨額の復興費用をロシアやイランに捻出する力はないことだ。政権転覆は棚上げした欧米も、民主化や人権状況の改善といった政権自身の変革なしに対話に応じる気配はない。

米国は6月、新たな対シリア制裁法「シーザー法」を発動した。復興ビジネスへの参画に関心をみせていたアラブ首長国連邦(UAE)企業なども、シリアと取引すれば制裁対象になり、政権には打撃だ。

もっとも、米中東研究所のランダ・スリム上級研究員は「制裁でアサド政権を追い詰めても、それだけで体制内の変革は期待しにくい」と指摘する。むしろ、欧米から孤立した政権が飢えた国民を抱えたまま中長期にわたって存続する「北朝鮮化」のリスクがあるとしている。

かつてロンドンで眼科医を務め、ロンドン大卒の妻を持つアサド氏には「国際派」としての期待もあった。だが、アサド政権下で民主化や対米関係の改善は進まず、自国民への毒ガス攻撃などの残虐行為で独裁者としての評価を決定的にした。20年前は中所得国だったシリアでは、今や国民の大半が貧困状態にある。』

米コロナ対策、超富裕層に恩恵集中 株高で資産急増

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO61681560X10C20A7FF8000/

『【ニューヨーク=後藤達也】米国の新型コロナウイルス対策の恩恵が富裕層に集中している。金融緩和による株高でIT(情報技術)企業の創業者ら世界のトップ10に入る米国人の資産が年初から14兆円増えた。米の雇用全体の回復は遅れており、中間層との所得格差が目立っている。

米ブルームバーグ通信によると、世界の純資産額上位10人の内、首位でアマゾン・ドット・コムのジェフ・ベゾス最高経営責任者(CEO)ら8人が米国人だ。8人の純資産の合計額はサウジアラビアの国内総生産(GDP)に匹敵する7424億ドル(約80兆円)で年始から2割強増えた。

ベゾス氏の16日時点の資産は約1780億ドル。年初から630億ドル以上増え、過去最高を更新した。テスラのイーロン・マスクCEOも約690億ドルと2019年末比で2倍以上となった。

富裕層の資産急拡大の背景には株高がある。新型コロナを受けた大規模な経済対策や金融緩和で、多額のマネーが米株式相場に流れ込み、企業業績実態とかけ離れた上昇基調にある。

ナスダック総合指数は7月、連日のように史上最高値を更新し、ダウ工業株30種平均は3月の安値から5割近くも上昇した。11月の大統領選で再選を目指すトランプ氏は14日の記者会見でも株高をアピールし「米国に関して国民は心地よく感じている」と胸を張った。

ただ株高とは対照的に新型コロナの再拡大で多くの州が経済活動に再度の制限をかけるなど、米景気全体の「V字回復」は遠のいている。雇用状況を見ても、6月の失業率は11.1%と08年のリーマン・ショック直後を上回ったままだ。

政府は失業手当の拡充など対策を進めるが、低所得層の雇用の受け皿となってきた外食産業などの回復には時間を要するとの見方が広がる。失業保険給付の急増や企業向けの資金支援策など一連の経済対策と税収の落ち込みで、連邦政府の財政赤字は急拡大している。

新型コロナという危機的状況の中、株高で潤う富裕層と、雇用という生活基盤さえ失いかねない中間層は対照的だ。これまでも指摘されてきた様々な格差がより鮮明になってきており、恩恵が不十分と感じる中間層の不満が高まる恐れもある。

「即座に、大幅に、永続的に我々への税金を引き上げるよう求める」。米娯楽大手、ウォルト・ディズニー共同創業者の孫アビゲイル・ディズニー氏ら英米など80人以上の「億万長者」は、コロナ対策の財源に自らへの課税強化を各国政府に求める書簡を公表した。

表向きは富裕層が自らの資産をなげうちコロナ対策に取り組む姿勢に見えるが、格差問題で自らに寄せられる恐れのある批判をかわす狙いとも読み取れる。

「株価にばかり関心を払っている」――。大統領選の民主党候補が確実視されているバイデン前米副大統領はトランプ氏をこう非難する。当選すれば「労働者の家庭を徹底的に支援する」ため合計7000億ドルの政府支出案を明らかにした。格差問題が大統領選の争点になるとの意識からだ。

米エマーソン大学の調査では、有権者が投票時に最も重視する問題は「経済」との回答が31%で首位だった。2位の医療や3位の社会問題を大きく上回った。新型コロナ後の経済回復が急務の中、広がりつつある格差問題をどう解消するのか。大統領選や米国社会の重要なテーマになりそうだ。』

※ しかし、相場が崩れて、巨額の「損失」を出す場合もある…。そっちの方は、あまり報道しないからな…。

※ そういう「上がり、下がり」の波を掻い潜る「才覚」があればこそ、「富裕層」と呼ばれる地位に上り詰めている側面も、あるんだろう…。

※ しかし、「そういうものでも、無いんだ…。」と言っている説もある…。

※ そういう話しを、統計的に、「実証的に」調査・証明した…、とされているのが、次に紹介する「トマ・ピケティ」の論文だ…。

残高マイナス7800万円? 20歳の投資家自殺で証券アプリに厳しい目

『【7月10日AFP】証券アプリ「ロビンフッド(Robinhood)」で、73万ドル(約7800万円)を失ったと思い込んだ若者が自殺したことで、ミレニアル世代の間で人気を集める同アプリに厳しい目が向けられている。

 米シカゴ在住の証券アナリストで、ロビンフッドでオプション取引を行っていたアレクサンダー・カーンズ(Alexander Kearns)さん(20)は6月12日、自身のロビンフッドの口座残高がマイナス73万ドルとなっているのを見て、自らの命を絶った。

 家族は、実際には口座残高はプラスだったと考えており、ロビンフッドが複雑な取引について十分な説明を行わなかったため、カーンズさんが数字を誤解したと訴えている。

 ロビンフッドはカーンズさんの死について直接のコメントは避けている。だが、同社の手続きに詳しい関係者は6月25日、オプション取引では実際にはプラスでも表示はマイナスになることがあると説明した。

 ロビンフッドの共同創業者であるブラッド・テネブ(Vlad Tenev)氏とバイジュ・バット(Baiju Bhatt)氏はブログに6月19日、「個人的に非常にショックを受けた」と投稿。オプション取引の要件の見直しや教育の充実、アプリの使いやすさの向上を約束した。

 両氏はまた、全米自殺防止財団(American Foundation for Suicide Prevention)に25万ドル(約2700万円)を寄付すると発表した。

 2013年に設立されたロビンフッドは、米金融業界の民主化を掲げ、売買手数料無料をうたっていた。

 同社は5月上旬、新型コロナウイルスによるロックダウン(都市封鎖)によって、新規顧客が急増し、口座数が1300万件となったと発表していた。』
『■簡単すぎとの批判も

 しかしロビンフッドに対しては、カーンズさんの悲劇が起こる以前から疑問の声が上がっていた。

 最も多かった批判は、一般投資家に対する保護が十分ではないというものだ。

「ロビンフッドは若くて経験不足でお金も持っていない投資家が、十分な知識や経験があるとは言えない状態でリスクの高い投資を行うことを容易にし過ぎている」と、金融リテラシーサービス「ライズアップ(ReisUP)」の創業者で公認個人資産運用プランナー(CFP)のタラ・ファルコン(Tara Falcone)氏は指摘する。

 ロビンフッドは、それに伴うリスクを警告することなしにビットコイン(Bitcoin)のような仮想通貨での投資を認めたと、ファルコン氏は述べた。カーンズさんの自殺後に出された同社の声明は、改善がみられることを示唆しているものの、さらなる改善の余地があるという。

「投資へのアクセスの民主化という使命はすばらしい。ロビンフッドはその達成に向けて実際に素晴らしい働きをしてきた」とファルコン氏は語る。

「しかし、この種の自由には多くの責任が伴う。責任の一部は投資を行う個人投資家の肩に掛かっているものもある。しかしロビンフッドもまた、自社の利害関係者に対し責任を負っている」 (c)AFP/Daniel HOFFMAN』

コロナ後の国際エネルギー情勢…。

コロナ後の国際エネルギー情勢 小山堅氏
日本エネルギー経済研究所専務理事

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO61341590Z00C20A7TCR000/

『コロナ禍で国際エネルギー情勢は激変した。ここまで最も関心を集めたのは需要の劇的減少で、石油市場が大幅な供給過剰に陥り、原油価格が大暴落したことだ。今後も、原油・液化天然ガス(LNG)価格などの動向は世界の注目を集め続けよう。しかし今はコロナ禍による構造的・長期的変化に視線が向いている。ポストコロナの国際エネルギー情勢の行方だ。

コロナ禍は、いわゆる「エネルギー転換」を促進するのか、阻害するのか。以前から世界のエネルギー需給構造は転換期にあり、20世紀は「石油の世紀」だったが、21世紀はどのような世紀になるか、という問題意識があった。

この問題は、脱炭素化の取り組みに対するコロナ禍の影響という点から論ずることができる。欧州では、再生エネルギー・水素などクリーンエネルギーの普及促進を図ることで、経済復興を果たす政策が重視されている。これらの政策が奏功すれば、脱炭素化が進展し、エネルギー転換が促進されよう。

しかし同時にコロナ禍は、人類にとっての生存や安全が最優先される流れを作り出した。また、劇的に悪化した経済・雇用状況からの脱却も重要視されている。脱炭素化の取り組みがエネルギーコストを上昇させるようなことがあれば、その促進は容易ではなかろう。とりわけ、今後の世界のエネルギー需要増の中心となるアジア・発展途上地域での展開が重要だ。

エネルギー転換の先行きについては、化石燃料需要の行方が一つの鍵を握る。そこで注目されるのは、石油需要が構造的に抑制される可能性だ。テレワークの普及などに象徴される行動様式・経済活動の変容は、石油が担ってきた移動需要を構造的に低下させうる。数年前、電気自動車などの普及で石油需要ピークが来るのでは、という議論があった。ポストコロナでは、移動需要そのものがどうなるかが関心事項だ。

移動需要が抑制されれば石油需要が低下し、全体として省エネが進み、化石燃料比率が低下する。この進展は脱炭素化を促進する。他方、石油需要が抑制され、IT(情報技術)化、デジタル化も進むと、最終エネルギー消費全体に占める電力の重要性が高まる。その電力を、安定的・持続可能な形で、手ごろな価格で供給することが一層重要になる。

ポストコロナでは、戦略的に重要な財の供給チェーンを自国内、あるいは自国の影響下に置こうとする動きが強まるかもしれない。世界の産業配置が影響を受け、今後のエネルギー需要増の中心がどの国・地域になるかを注視する必要がある。

しかもエネルギー自給率向上を果たそうとする動きは、厳しさを増す世界のエネルギー地政学の下で、各国のエネルギー選択に影響を及ぼす可能性がある。これらは革新的エネルギー技術の開発を巡る技術覇権の観点からも注目される。ポストコロナのエネルギーの将来像には、大きな不確実性が存在する。様々な可能性・シナリオに対処できる、柔軟で戦略的な思考が求められる。』

飲食店、「持ち味」磨け…。

飲食店、「持ち味」磨け ミクニ流リスク管理の極意
https://style.nikkei.com/article/DGXMZO60305720S0A610C2000000?channel=DF220420206042

『「振り返ると、ほぼ10年おきにうちの店は危機に見舞われてきた」と三国シェフはいう。

今から約10年前の2011年には東日本大震災と東京電力福島第1原子力発電所の事故に見舞われた。約20年前の2003年には「ミクニマルノウチ」(東京・千代田)を舞台にした「食中毒」騒動が起き、それからさらに10年前は「バブルの崩壊」である。』
(※ オレの「日経平均の分析」でも、ほぼ「8年に1回」は、下げ局面が襲来している…)
『リーマン・ショック(2008年)なども含め、危機に直面する度、客足は落ち込んだが、時間の経過とともに、客足は回復。結果的に従業員の雇用や売り上げを確保し、創業以来、赤字を出さずにやってきた。』
『だが、今回ばかりは様相が違う。4月から約2カ月もの長期の間、休業を余儀なくされた経験は過去、一度もない。新型コロナウイルスの感染者や死者が世界中に一気に増えた今回のコロナ禍は「まさに前代未聞。見えない敵相手の戦争のよう」と語ってやまない。』
『オテル・ドゥ・ミクニの創業は1985年。三国シェフが30歳の時で、時はまさにバブル経済のはしりの時期。その翌年には「一億総グルメブーム」が起き、料理人が活躍するテレビのバラエティー番組などが人気を博す時代が続く。

右肩上がりできた経済が一気に崩壊し、バブル崩壊を迎えた1993年。その際のピンチを克服した三国シェフの手法がおもしろい。

「オテル・ドゥ・ミクニの隣にあった建物付きの不動産が売りに出されたので、即座に購入を決断。それまでの店舗面積を一気に3倍に拡大しようとした矢先のタイミングでのバブル崩壊でした。レストランや高級飲食店がバタバタと閉店していく中で、うちの『店舗拡大』が逆に話題を呼んだ。マスコミに取り上げられ、それで来店してくれた人たちのおかげで、何とか苦境を乗り切ることができた」と振り返る。』
『約10年前の東日本大震災と・福島第1原発事故の際はどうだったか。直後に三国シェフの脳裏にあるキャンペーンのことが浮かんだ。2001年秋の米同時テロ。その直後から地元レストランなどが取り組み始めた動きである。ニューヨークのレストランなどに2人で来店したら1人分の食事代はタダにし、その分を街の活性化や復興の原資に充てる、というもので、多くの市民が協力した。

それをヒントに、シェフは「2人で来店したら1人分はタダにし、さらに支払ってもらった料金の半額を被災地に寄付する」キャンペーンを独自に始めた。

キャンペーンを始めるにあたり、まずは当時の顧客約2万人に一斉にダイレクトメールを送付。その結果、顧客ら多くの賛同を得て、その年のオテル・ドゥ・ミクニの売り上げは「過去最高を記録」するに至る。』
『バブル崩壊やリーマン・ショック、阪神大震災や東日本大震災など過去、大規模不況や大規模災害に見舞われたが、いずれは景気も回復し、災害からの復興の道をたどってきたのが、これまでの歴史。だが、今回のコロナ禍は実態がいまだつかめておらず、特効薬やワクチンの開発もまだ。第2波、第3波の感染拡大への不安や、その備えも欠かせない。
見えないウイルスが悪さをし、人から人へと感染を広げる恐怖が付きまとい、収束する気配は現時点ではない。』
『〔「自社の強みとは何か」を念頭に〕
緊急事態宣言が解除されて以降、段階的にランチやディナーの営業を再開した。「予約客は少ないとはいえ、昼、夜とも来店してくれるだけありがたい。今年後半にかけて、閉店する店がどんどん出てくるはず」と三国シェフ。

打開策を練る上で、シェフが念頭に置くのは「自社の強みとは何か」。東京・四ツ谷の店の創業35年を筆頭に、横浜や名古屋、札幌などどこの店舗もそれなりの歴史を誇る。一定の顧客をしっかりとつなぎとめ、長らく営業してきたその実績こそが、コロナ戦に立ち向かう上での「最大・最強の武器」ととらえる。

『ウィズコロナの「新しい生活様式」に対応するため、料理や高級弁当の宅配サービスの充実化などにすでに乗り出している。一方、飲食店向けのコンサルタント業務という新たな領域にも手を広げる方針を打ち出す。「メニュー開発やスタッフ教育のノウハウ提供……。コンサル業務がうまく軌道に乗れば店のOBも呼び戻し、増員しないと」。コロナ禍と向き合いながら、三国シェフはじっとはしていない。

(堀威彦)』

コロナ発、産業革命の鼓動…。

コロナ発、産業革命の鼓動 マネーは覇者交代を先取り
本社コメンテーター 梶原誠
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO60458680X10C20A6TCT000/

『「コロナ禍は産業構造を一変する」。こう聞いて反論できる人が急速に減っているのではないか。少なくとも投資マネーは「一変」を前提に動いている。』
『そんな思惑が鮮明に表れるのが、不動産投資信託(REIT)の市場だ。3月を機にショッピングセンターなどの商業施設を保有する「日本リテールファンド投資法人」の価格が低迷する一方、倉庫などの物流施設を持つ「日本プロロジスリート投資法人」は買われ、明暗は分かれた。
 「3密」のリスクがある店舗の集客力が落ちる半面、密と無縁のネット通販は人気を集めて物流施設の需要が高まる――。マネーが読むのは産業の覇者交代だ。』
『産業構造はなぜ、どのように変わるのか。それを理解する上で欠かせない歴史が1760年ごろ、英ロンドンでの技術革新で始まった。その後の世界経済の持続的成長の起点となった産業革命だ。』
『産業革命には見逃せない要素が2つある。まず、ピンチをチャンスに変えたことだ。英国は「この難所さえ乗り越えれば大きな利益が得られる」というボトルネックを克服したからこそ、新たな産業構造の勝者になれた。

都市化が進んだロンドンは労働者の賃金が世界でも突出して高く、綿産業の競争力を落としかねなかった。ただ幸運にも炭鉱地帯が近く、動力源となる石炭は安く大量に手に入った。これが人力を動力に置き換えるためのイノベーションに人々を駆り立て、紡績の機械化や蒸気機関を生んだ。』
『もう一つは、変化に乗り遅れた側の末路は哀れで、国家の浮沈にすら響くという負の側面だ。

綿で英国のライバルだったのがインドだ。安い賃金に安住して人手に頼る生産を続けたが、やがてコストでも品質でも改良を進めた英国製品に駆逐され、産地は貧困に苦しんだ。歴史学者ポール・ケネディ氏の著書「大国の興亡」によると、世界の工業生産に占めるインド・パキスタンの比率は1750年の25%から1900年の2%へと存在感を失った。』
『日本の株式相場は捉えどころのない乱高下を続けているようにも見える。ところが「ピンチ」と「変われるか」を意識して目をこらすと、マネーがコロナ後の勝者と敗者を冷徹に選別していることが浮き彫りになる。

1月末と6月16日の時価総額ランキングを比べよう。わずか5カ月足らずにもかかわらず大きく順位を上げた企業は、コロナで生じたボトルネックに挑んでいた。』
『代表は43位から28位に上昇したSMCだ。主力製品の空気圧機器は、次世代通信規格「5G」の普及で需要が増しつつある世界の半導体工場で、オートメーション化に使われている。

コロナを機に生産現場でも持ち上がった「密」。この課題を乗り越えるために、同社の製品の導入が進むと市場は読んでいる。工場や物流施設の省力化に使うセンサーを生産するキーエンスも、6位から2位に浮上した。

65位から44位に上昇したエムスリーはソニーの関連会社だ。製薬会社が医師向けに医薬品情報を提供するサイトを運営する。登録する医師は国内の約9割に及ぶ。

同社は今、「健康」と「接触」という2つの難所に立ち向かっている。コロナ禍の今こそ医師はメーカーの医薬情報担当者(MR)との対話が必要なのに、接触を避けるために面会がかなわない。非接触のサイト利用は急増し、株価は今月、上場来高値を付けた。』
『順位を下げた企業の特徴は2つだ。まず規制業種。金融機関をはじめ規制に守られた結果、変化への貪欲さが弱いと見られている。

24位から31位に落ちた日本郵政は典型だ。歴代の経営者は政治家、労働組合、郵便局長との意見調整に追われ、企業価値を高める投資や合理化を打ちにくかった。「変わらなければ潰れるという危機感が乏しかった」。かつての経営幹部は今の株価低迷の理由を国営時代からの企業風土に求める。』
『もう一つは、業績悪化で変わる力を落とした企業だ。日産自動車の順位は53位から75位へと低下した。過剰設備を抱えていた同社への逆風は、コロナによる消費の低迷で一段と厳しくなった。』
『米コンサルティング会社のアリックス・パートナーズは、今年の世界の自動車販売が昨年比21%減の7050万台に落ち、昨年の水準を取り戻すのに6年もかかると予測している。

電気自動車や自動運転の普及など変革期にもかかわらず、多くのメーカーは開発に投じる財務的な力をコロナで落とした。首位のトヨタ自動車ですら時価総額を減らし、今や米電気自動車テスラの1.2倍しかない。完成車や部品メーカーは、資金の捻出に向け統合や提携の道を探っている。』
『産業構造の激変は割安株投資の前提を変える。経営環境が変わらないのに株価が安いからこそ反発が狙えるが、ニューノーマルの下で時代遅れになった企業の株価は戻らない。割安株投資の王者、ウォーレン・バフェット氏が保有株を大量に手放したのも、このワナに気付いたからではないか。

歴史が裏切らなければ、株式市場はコロナ発のピンチをチャンスに変える企業に報い、変化から目をそらす企業を見限るだろう。のし上がる英国になるかインドの末路をたどるのかは、経営者の決断にかかっている。産業革命は1世紀かけて選別を進めたが、市場は気長に待ってくれない。』