IMF、空前の70兆円配分 コロナ克服にどう活用

IMF、空前の70兆円配分 コロナ克服にどう活用
編集委員 西村博之
https://www.nikkei.com/article/DGXZQODK197DZ0Z11C21A0000000/

 ※ どこまで行っても、しょせんは「基金(ファンド)」なんで、「金(カネ)を貸す」という話しになる…。

 ※ 『新規の配分は高所得国が全体の6割、中所得国が4割弱を占めたが、低所得国は3%の210億ドルにとどまった。』出資額に応じて配分されるんで、こういう比率になる…。

 ※ そもそも、その各国の「出資」の原資は、各国の国民の「税金」だ…。

 ※ 「途上国・貧困国に必要なのは、”融資”じゃ無くて、”贈与”だ!」…。

 ※ お説ごもっともだが、その”贈与”にお宅の国民は、賛同しているのか?

 ※ そういうことで、最後はどうしても、「ご融資で…。」ということになってしまう…。

『新型コロナウイルス禍の克服へ国際通貨基金(IMF)がこのほど配分した6500億ドル(約71兆円)相当の特別引き出し権(SDR)が波紋を広げている。焦点はこの空前の額の「国際仮想通貨」を途上国の支援にどう有効に使うかだ。先進国からSDRを融通する新基金などの案が示されたが、課題も多い。感染拡大や経済危機を防ぐ切り札になるか。

Nikkei Views
編集委員が日々のニュースを取り上げ、独自の切り口で分析します。

SDRはIMF加盟国間の決済に使われる一種の仮想通貨で、IMFの決定を経て加盟国に配分される。ドルなど現実の通貨に交換でき、外貨が不足した国の資金調達の手段になる。

過去最大の「強力なカンフル剤」

IMFはリーマン・ショック後の2009年を含め過去に4度SDRを配分したが、今回の配分額は過去最大。コロナ禍を受けIMFがそれまでに決めた1000億ドル強の支援を大きくしのぎ、受け取る資金が国内総生産(GDP)の6%に達する国もある。

8月下旬に配分が行われた際、ゲオルギエバIMF専務理事は「未曽有の危機下にある世界経済にとって強力なカンフル剤だ」と期待を示した。

問題はSDRがIMFへの出資比率に応じ配分される点。米トランプ政権は出資額で3位の中国が多額の資金を使って途上国への影響力を強めると警戒しSDRの配分に反対した。バイデン政権は途上国支援を優先し方針転換したが、主要国ほどSDR配分で恩恵を受ける構図は変わらない。

新規の配分は高所得国が全体の6割、中所得国が4割弱を占めたが、低所得国は3%の210億ドルにとどまった。

途上国へのSDR融通に3案

先進国が受け取った使い道のないSDRを途上国に融通すれば配分の効果を高められる。そんな声が噴出し、IMFは具体策を探ってきた。

検討されている方法は3つ。第1は最貧困国向けに低利・長期の資金を貸す「貧困削減・成長トラスト(PRGT)」の規模拡大に使う案。第2は、IMFの新設する「強靱(きょうじん)性・持続可能性トラスト(RST)」を使う案。第3が世界銀行や地域の開発銀行などを通じてSDRを活用する案だ。

これらの枠組みに先進国がSDRを融通し、それを使って調達した資金を、困難に直面した国々の感染防止や経済の下支えに充てる構想だ。

途上国の「借金増」に懸念も

だが課題を指摘する声も相次ぐ。第1は資金が融資の形をとれば借り手の債務が膨らみ、先々の経済再生を難しくする、との声だ。米財務省で国際金融問題担当の副次官補だったマーク・ソベル氏は「低所得国に必要なのは贈与であり、借金増ではない」と言う。

もっともSDRは多くの国で外貨準備として扱われ、中央銀行の資産として計上される。国会で決めた援助資金などと違って贈与する場合の法律上の扱いが定かでなく、貸し出すほうが手続きが簡単だという実情もある。ここは途上国の負担を考慮した工夫が必要だ。

第2に資金の受け手に条件を課すべきか、との論点もある。IMFが融資の条件とする財政赤字の削減などは、むしろ借り手の経済の再生を遅らせたとの声もある。

新設するRSTでも融資に財政面などの条件を課す方向で、国際非政府組織(NGO)のオクスファムは「緊縮財政を求めれば貧困や格差の問題を悪化させるだけだ」とけん制している。

米カリフォルニア大学のアイケングリーン教授は寄稿で、融資条件の交渉は意見がぶつかり時間がかかるため多額の融資を迅速に実行できるかは疑問だと述べた。

代わりにコロナ対応に特化した基金を作ってごく有利な条件で融資し、資金がワクチンや医療品に適正に使われるかだけ監視する案を示す。

RSTは中長期の課題である気候変動への対応も掲げる。喫緊の課題であるコロナ禍への対応との食い違いは否めない。稼働も早くて22年末だ。

これを待つ余裕がない国も多い。チャドやボスニア・ヘルツェゴビナは100%、スリランカは85%……。外貨不足で医療品も買えずにいた国々は配分で手にしたSDRをすでに使い切りつつある。より迅速で柔軟な融通の仕組みを求める声が高まりそうだ。』

各国で紛争に発展するワクチン・パスポート : 机上空間

各国で紛争に発展するワクチン・パスポート : 机上空間
http://blog.livedoor.jp/goldentail/archives/27264133.html 

 ※ コロナがあぶり出したものとして、「厳然たる格差」「政府の無策」の他に、もう一つある…。

 ※ それは、「グローバル経済の知らないうちの浸透」だ…。

 ※ 世界は、知らないうちに、深く結びついて、「相互依存の世界」になっていた…。
 ※ 日本の誇る自動車産業も、東南アジアの部品供給に目詰まりを起こして、減産を強いられる…。もちろん、「半導体の供給不足の問題」もあるが…。

 ※ コンテナ輸送で、商品や部品を取り寄せていたものは、「物流網が機能しない」と、お手上げだ…。

 ※ こういう問題は、日本一国が「感染者の激減で、もはや収束だ!バンザーイ!」しても、何の解決にもならない…。

 ※ グローバルに収束するのを、待つ他はない…。

 ※ そういうことなんで、それまでは、ひたすら「国内経済回して」じっと耐え忍んで、時を稼ぐしかない…。

 ※ 「インバウンド需要の取り込み」なんてのは、一体いつのことになるのか…。

 ※ 「カジノを含む統合型リゾート構想」「大阪万博を、関西経済の起爆剤に!」なんてのは、全てポシャリだ…。

 ※ その前に、「東京オリパラを、日本経済の起爆剤に!」が、見事にポシャったしな…。

 ※ せいぜいが、「Go to トラベル」「Go to 飲食」「クーポン券」「ポイント還元」くらいのものか…。

 ※ 後は、「一律10万円!」の「カネ配り」か…。

 ※ まあ、財務省が許さんだろうしな…。

『除々に最悪から脱しつつある武漢肺炎。経済の復興も本格化してきました。休眠して錆びついていた設備を再稼働するがごとく、各所でシステム的な軋みが発生して、まったく潤滑に動いていません。一つには、国によってパンデミックの事情が、まったく違うという問題があります。そして、グローバル化で、物流が正常に動いている事を前提に組まれていたシステムが、目詰まりを起こして機能していません。

世界は、既に一国の中で全てが片付いていた時代ではなく、何か製品を一つ組み立てるにしても、その部品は、もっとも安く、品質の高い物を取り寄せられる地域から輸入する時代です。消費者は、その恩恵を受けていたわけですが、その前提として物流システムが滞りなく循環している事が条件です。一つでも止まれば、製品は完成せず、何かで代用すれば、コストの上昇に繋がります。

経済が停滞すれば、政権の命脈が断たれる事にもなるので、政府サイドからすれば、一日でも早くパンデミックを終息させなければなりません。その為に、手持ちの手札で、最も早く手が打てるのが、未だ製薬会社から何ら保証も出されていないワクチン接種です。緊急事態という事で、製薬会社に対して、ワクチン接種でどんな副作用が出ても、責任が免除される契約になっています。副作用が出た場合の訴訟の相手は、接種を進めた国になります。

イスラエルは、首相と製薬会社の個人的な伝手と、定価の2倍で買うという契約で、世界で最も早くワクチン接種を始めて、最速で70%の接種率を達成しました。しかし、一度低下した感染者数は、変異株が現れると増加し、ロックダウンの緩和によっても増えました。その為、3度目の接種(ブースター・ショット)を推進しています。

ワクチンの効果が思いの外に早く薄れてきた事に焦った政府は、囲い込むようにワクチンを打たないと生活に支障が出るような政策を打っています。目指しているのは、集団免疫の確保です。イスラエルもワクチン接種を強要できないのですが、ワクチン・パスポートを所持していないと、入れない場所、移動の制限、公務員では出勤制限などを行って、生活に支障が出るようにして、接種圧力を強めています。

ワクチンを打たなくて良い代わりに、PCR検査を2日に一回やって、結果を報告する義務を設けるなど、かなり面倒な制度も始めました。しかも、ワクチンを拒否して行う場合、この検査の費用は自費です。一回に1000円ほどの費用がかかるようです。

学校などでは、感染が確認されると、その学校が3週間閉鎖されるので、クラスの生徒の中で、ワクチン接種をしていない生徒に対する接種圧力が高まっています。「君たちのせいで、学校が閉鎖されて、学習が遅れる」という父兄を巻き込んだ同調圧力ですね。

状況は、バイデン大統領が、大統領令でワクチン接種の義務化を命じたアメリカでも起きています。内容は、イスラエルと同じで、従業員が100人を超える企業に対して義務化し、公務員の場合、接種を拒否すると解雇もありえるとしています。

これに対して、ワクチン接種に対する政策は、州の権限であるとする、いくつかの州が反旗を翻し、義務化に賛同した経営陣に対して、航空会社のパイロットがストライキで抗議をしています。便が欠航になった為、各空港では大混乱が発生して、乗り換えを便を探す旅客でロビーが一杯になりました。

はっきり言ってしまえば、政府の立場としては、強制的にワクチン接種を進めたいのです。どこの政府でもです。しかし、それを言い出す事は、自由主義社会としてタブーを犯す事になるので、世論や制度を総動員して、ワクチン接種圧力を高めていると言えます。

ただし、客観的な事実を言えば、安全性の確認も、可能な範囲でとれているし、感染率を下げた実績もありますが、現在、流通しているワクチンは、製薬会社が副作用に対して、何ら責任を取らない事が確定している物です。普及を急ぐ為の緊急処置として、特例で認められています。

因果関係が証明されていないものの、接種後に死亡した例も報告が出ています。多くの場合は、基礎疾患を持っていたり、高齢だったり、ワクチンが抗体を作る過程の負荷に体が耐えられなかったのではないかと推測されます。また、突貫製造の弊害で、異物混入なんてのもありました。

こういう状況ですので、ワクチンの接種は自由意志とされているのですが、社会生活を続ける上で、事実上、弊害が多すぎて、接種をせざるを得なくなっています。数字にしてしまえば、不都合が起きる確率は、全体に対して低く、集団免疫を得るほうが優先されるというのが、政府の考えです。

こうした効率主義的な政府の態度に対して、各地で暴動が起きています。イタリア、イスラエル、アメリカなど、積極的に報道されないので、なかなか様子が伝わってきませんが、SNSに投稿された現地の様子を撮影した動画などを見ると、結構、本格的な暴動です。

どこのメディアも、基本的にスタンスが政府よりなので、討論会でも結果ありきで進行していて、最終的には未接種の人間は、独りよがりの迷惑な人間という扱いになっています。その為、こうした暴動は、首都で起きない限り、報道すらされません。

ワクチン接種以外に短期で有効な手が無い以上、副作用や接種後死亡例との因果関係も、追跡調査される事も無いでしょうから、実は私達は判断する材料すら持っていません。』

「カップルの別れ話はご遠慮ください」 ドンキ店内の貼り紙

「カップルの別れ話はご遠慮ください」 ドンキ店内の貼り紙 狙いは
https://www.asahi.com/articles/ASPBJ63D0PBHPTIL022.html?ref=tw_asahi

 ※ 「カップルでの熱いチュー」とか、そーしゃるでぃすたんすの観点から、いかんだろう…。

『「店内でのご飲食及びカップルの別れ話はご遠慮ください」。量販店「ドン・キホーテ枚方店」(大阪府枚方市)の店内のはり紙が、ネット上で話題になっている。

 ツイッター上には「これめっちゃわかる」「過去に修羅場が?」といった反応。だが、実際に別れ話があったわけではなく、新型コロナ対応の呼びかけが目的だという。

 制作したのは大阪出身の東美保子さん。2005年の入社時から、各店舗内に掲示されるポップ広告を担当してきた。他にも「長時間のアイドリング、カップルでの熱いチューはご遠慮ください」などのポップを作ってきた。「笑いを取りたくなるのが関西人の性(さが)」と言う。

 ちなみに、愛の告白なら良いのだろうか。そう同社に尋ねてみると、広報担当者から「『密』になる恐れがあるので、やはりお控えください」と返ってきた。』

日本のコロナ感染減、英紙「サクセスストーリー」

日本のコロナ感染減、英紙「サクセスストーリー」
https://news.yahoo.co.jp/articles/8490cdff9fb18eae2ace17dc2b02076a9897cc32

『8月には新型コロナウイルスの感染者が過去最多を記録した日本だが、最近は急激な減少傾向が続いている。これについて、英紙「ガーティアン」が「崖っぷちからの復活:日本はどのようにしてコロナの驚きのサクセスストーリーになったか」と見出しをつけて報じている。

【画像】日本のコロナ感染減、英紙「サクセスストーリー」
イギリスは苦労しているのに

同紙は、8月13日に東京で新規感染者数が過去最多の5773人、全国では2万5000人超に達したことを挙げ、「東京五輪閉幕から数日後、日本は新型コロナウイルスの大惨事に向かって突き進んでいるように見えた」と、約2ヵ月前の状況を説明。

その後、緊急事態宣言が解除されて約2週間が過ぎた今週、日本全国で新規感染者数が減少し続けていることについて「2ヵ月間で日本では驚くべきことが起きた」と記している。

さらに「8月以降、世界的には緩やかな減少となっているのに、イギリスを含むヨーロッパの一部では、感染の食い止めに苦労している」と、日本の状況と対比させた。

同紙は、専門家はこの「異常な好転」を説明できる単一の要因はないとしていると断った上で、考えられる複数の理由を挙げている。

まずは現在のワクチン展開が順調という点。「日本は予防接種との複雑な歴史的関係があるにもかかわらず」、アメリカでワクチン展開が遅れる理由になったような反対運動がそれほどなかった、としている。

さらに、パンデミック以前からのマスク着用習慣も挙げられており、「他国では屋内などでの着用が義務ではなくなったが、今も多くの日本人はマスクなしでの外出という考えには身震いする」と記している。

反ワクチン、米国と対照的

反ワクチン運動がそれほど盛んでないという件は、他紙でも報じられている。

米紙「ニューヨーク・タイムズ」は9月末、「かつてワクチン展開が遅れていたアジアで接種が進んでいる理由」と題した記事を掲載。韓国、日本、マレーシアでは、今やアメリカを上回るペースで接種が進んでいる理由を分析した。

同紙は「アメリカとは対照的にアジア太平洋地域では、ワクチンは意見の対立を招く問題ではなかった」とし、各国で反ワクチン運動はあっても「それは比較的小さなもの」であり、誤った情報を広めるメディア、支持団体、政治家などの「エコシステム」の後押しもなかった、と説明。

さらに、全体的にこれらの国々の人の多くは政府が正しいことをしてくれると信じており、進んで個人の自由よりも地域社会のニーズを優先する、とも付け加えた。

記事では、日本人の専門家のコメントも紹介された。川崎医科大学の感染症学の教授、中野貴司が「通常、人々はワクチンについて、抵抗を感じるし、そんなに熱心ではない」ものの「政治的なコミットメントが強かったし、国民の本音は、感染症である以上、予防措置を講じる必要があるというものだった」と述べている。

まだまだ油断は禁物

「ガーディアン」は通信社「ロイター」の、日本の感染者数減を伝える報道も引用している。

「ロイター」は、夏の間の感染者数の急増とその後の減少は、休暇中の活動で説明できるとした京都大学の西浦博の意見や、「主に季節性、次いでワクチン接種、そしておそらく我々が知らないウイルスの特性」によるものとしたキングス・カレッジ・ロンドンの人口保健研究所の元所長の渋谷健司のコメントも紹介。

しかし、まだ油断は禁物だ。記事では冬にはまた増加するのではないかという専門家の懸念も伝えられている。』

東京都 新型コロナ 29人感染確認

東京都 新型コロナ 29人感染確認 ことし最少に
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20211018/k10013312121000.html

 ※ 原因は、「よく分からない。」が、感染者数は激減している…。

 ※ 重症者数、死者数ともに「激減している」んだから、「しゃあ、あんめぇ。」…。


 ※ あとは、「再拡大」に気を付けて、「経済回して行く。」だけだな…。

『東京都は18日、都内で新たに29人が新型コロナウイルスに感染していることを確認したと発表しました。

30人を下回るのは、去年6月22日以来、およそ1年4か月ぶりで、ことし、最も少なくなりました。

100人を下回るのは10日連続です。

1週間前の月曜日より20人減りました。

一方、都の基準で集計した18日時点の重症の患者は、17日より4人減って31人でした。

新型コロナウイルス 日本国内の最新感染状況マップ・感染者数
https://newsdigest.jp/pages/coronavirus/

コロナ感染者、120カ国で減少 欧米中心に経済再始動

コロナ感染者、120カ国で減少 欧米中心に経済再始動
供給制約解消、なお時間
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCA073ZO0X01C21A0000000/

『世界の新型コロナウイルスの新規感染者数が減少に転じ、感染力の強いデルタ型の猛威が和らいできた。感染者数が減少傾向にあるのは120カ国・地域に達し、デルタ型流行前の5月中旬以来の水準に戻った。個人消費は腰折れを回避し、欧米では小売りや外食が再び勢いづく兆しが出ている。東南アジアの工場停止に起因する製造業の供給制約解消にはなお時間がかかるとみられるが、デルタ型克服へ経済が再始動しつつある。

米ジョンズ・ホプキンス大によると、世界の新規感染者数(7日移動平均)は43万人と、8月のピークから4割弱減少した。2週間前と比較して感染者が減少傾向にある国の数は9月に増加傾向にある国の数を逆転し、足元では世界の3分の2近くに達した。

コロナワクチンの接種進展を背景に、先進国では春先からサービス業の景況感が大幅に改善した。その直後、デルタ型が急速に流行し、感染者が急増。各国はマスク着用の義務化など緩和した規制の再導入を迫られ、景況感の改善も急減速した。もっとも、重症患者数が抑制されているため、多くの国は厳しい規制には動かず感染症対策に配慮しながら慎重に消費活動の再開を促している。米国や英国は入国制限の緩和に動き始めた。

足元で再び拡大基調を取り戻しつつあるのが、消費関連などのサービス業だ。米グーグルがスマートフォン利用者の位置情報を分析したデータによると、欧米の主要都市では「小売り・娯楽施設」への人出の回復が続いている。フランスのパリでは10月初旬の人出がコロナ前の水準の8割近くまで戻った。レストラン予約サイト「オープンテーブル」によると、英国のレストランの予約数は2019年を2割近く上回っている。

国際民間航空機関(ICAO)によると、国際空港の出発便数はコロナ前の19年10月と比べて、渡航制限緩和の進む欧州と北米では6割まで回復している。厳しい往来制限を続けている国が多いアジアでは依然としてコロナ前の2割にとどまるものの、国際往来の正常化に道が開けつつある。

製造業は世界的なサプライチェーン(供給網)の制約などを受けて回復に頭打ち感が出ており、解消にはなお時間がかかりそうだ。もっとも、供給制約の主因となった東南アジアでは感染の一服で改善の兆しが出ている。東南アジア諸国連合(ASEAN)の製造業購買担当者景気指数(PMI)は半導体工場の生産中止などを受けて、7~8月に44台に落ち込んだ。9月は景気拡大・縮小の節目となる50まで回復し、最悪期を脱しつつある。

ベトナムのホーチミン市では今月から、都市封鎖(ロックダウン)の終了に伴い、工場の規制が緩和された。労働者が自宅から工場に通うことができるようになり、義務付けられているコロナ検査も「回数が大幅に減少した」(工業団地関係者)。物流の混乱は続いているものの、工場の稼働は段階的に正常化に向かうとみられている。

「世界的な需要の増加に対応するため、多くの半導体関連企業は既にフル稼働に戻っている」。マレーシア半導体産業協会のウォン・シューハイ会長は生産活動の回復に胸を張る。政府は従業員の接種率が8割を超える工場にはフル稼働を認めており、経済活動の再開が急ピッチで進んでいる。マレーシアの8月の輸出額は石油、化学製品などがけん引し、955億リンギ(約2兆5300億円)と前年同月比18%増加した。

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中国「発生時期」議論再燃も PCR機器、19年5月に急増

中国「発生時期」議論再燃も PCR機器、19年5月に急増
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA0518U0V01C21A0000000/

『オーストラリアに拠点を置くサイバーセキュリティー会社「インターネット2.0」主体の調査チームは新型コロナウイルスの発生源とされる中国の湖北省のPCR検査機器の調達を巡る報告書をまとめた。2019年5月以降に発注が急増しており、最初の感染例が12月に見つかったとの中国の説明に疑問を呈した。発生源や時期の議論が再燃する可能性がある。

同社が主体で、米国と豪州の元情報機関の職員や、英国の情報分析の専門家らで構成する「AUKUS(オーカス)調査チーム」と呼ぶチームが調査した。米英豪の安保協力の枠組み「AUKUS」にちなんだ。同社は中国から中国共産党員の名簿とされる200万人のデータを入手して解析するなど、独自の情報収集活動を展開してきた。

報告書は19年の湖北省でのPCR検査機器の調達額が約6740万元(約11.6億円)と18年と比べて2倍近くに増えたと言及。月別では5月にいったん発注が顕著に増え、7~10月にかけても大幅に増えた。

PCR検査は遺伝子の配列を調べるものだ。コロナだけに使われるものではなく断定できないが、報告書は発注や調達の傾向を「コロナの感染拡大と関連づけられる」と分析。感染拡大の時期は「中国が世界保健機関(WHO)に通知するよりもはるかに早いと、高い確度で結論付けられる」と強調した。

米ブルームバーグ通信によると中国の外務省はこの調査結果に対して異議を唱えているという。

ウイルスの起源は中国と米欧の間で論争してきた。研究所からの流出説と、動物からの感染とする説が有力だが、十分な手がかりは得られていない。WHOは21年1~2月に湖北省の武漢で調査を実施し、動物のウイルスが人に感染した可能性が高いと結論づけた。

ただ、調査は感染が判明してから1年以上が経過しており、日米英韓など14カ国の政府は「調査は大幅に遅れ、完全な情報へのアクセスも欠いていた」などと共同声明で懸念を示した。中国はWHOの追加調査を受け入れない姿勢を示す。

今回、同社が調査したのは、コロナの起源を巡る中国の情報開示が不十分だとの問題意識がある。調査チームのデービッド・ロビンソン氏は「中国から意義のあるデータが提供されていないことで多くの仮説や誤情報がはびこる状況になった」と指摘している。

調査チームからデータ提供を受け分析した井形彬・多摩大大学院客員教授は「これだけでは断定的なことは言いにくいが、コロナの起源に関する議論を再燃させるきっかけになりうる」と話す。

【関連記事】
・19年夏にPCR機器を中国が大量発注 米英豪チームが解析
・米報告書、コロナ起源特定できず 中国に協力要求

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19年夏にPCR機器を中国が大量発注 米英豪チームが解析

19年夏にPCR機器を中国が大量発注 米英豪チームが解析
コロナ12月発生説を疑問視
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA233970T20C21A9000000/

『米国、英国、オーストラリアの民間研究者は、新型コロナウイルスの発生源となった中国の湖北省で2019年5月以降にPCR検査機器の発注が急増していたとの報告書をまとめた。同年秋までに新型コロナが広がっていた可能性が高いと指摘。同年12月に最初の感染例が見つかったとする中国の説明を疑問視した。

米英豪の元情報機関の職員らで構成する調査チームが、中国の公共調達の入札情報を集約したウェブサイトからデータを収集して分析した。

報告書は19年の湖北省でのPCR検査機器の調達額が約6740万元(約11.6億円)と18年と比べて2倍近くに増えたと言及した。発注機関別にみると大学が2倍、疾病予防管理センターが5倍で、動物の疾病対策機関の発注も10倍に増えた。病院は1割超減った。

PCR検査は遺伝子の配列を調べるもので、必ずしもコロナだけに使われるものではないが、湖北省の武漢周辺で新たな感染症の発生が認識されていた可能性が高いという。

湖北省の月別のデータでは、5月にいったん発注が顕著に増えた。疾病予防管理センターと人民解放軍の発注が目立ち、早ければ5月には初感染があった可能性があると分析している。

7~10月にかけても大幅に増加した。この間、発注が急増したのは武漢科技大学だ。総額は19年の1年間で892万元と前年の約8倍に増えた。調査チームは同大学が周辺の病院や衛生当局と連携しており、ウイルスの流行の初期に対応する機関とみている。

報告書はこうした発注や調達の傾向は「新型コロナの感染拡大と関連づけられる」と指摘。感染拡大の時期は「中国が世界保健機関(WHO)に新型コロナについて通知するよりもはるかに早いと、高い確度で結論付けられる」と強調した。

新型コロナの発生源や時期を巡っては米中で対立している。中国はWHOに19年12月8日に武漢で初めて症状のある患者が記録されたと報告しているが、米国内ではウイルス研究所から流出し、12月以前に感染が広がっていたとの指摘がある。

米ハーバード大などは衛星画像をもとに、武漢の病院の駐車場の利用率が19年8月に大幅に上昇したとの研究結果を公表している。

ただ、米国家情報長官室は8月に発生源を巡り①動物から人間に感染②中国のウイルス研究所からの流出――のどちらかを結論づける決定的な証拠を得られず、特定できなかったと発表した。

チームからデータ提供を受けて独自に分析した井形彬・多摩大大学院客員教授は「これだけでは断定できないが、コロナの拡大を武漢周辺で把握し始めたのが19年12月の半年~数カ月前だったと論じる上で有力なデータだ」と話す。「今回の報告書は、各国が改めて中国に情報開示を強く迫る契機になる可能性がある」と語る。

調査チームのデービッド・ロビンソン氏は「中国から意義のあるデータが提供されていないことで多くの仮説や誤情報がはびこる状況になった。技術を使って信頼性の高いデータを提供している」と調査の意義を説明する。
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『』多様な観点からニュースを考える

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福井健策
骨董通り法律事務所 代表パートナー/弁護士
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分析・考察

炎上的な状況は、「受け手における情報の重要性」と、「情報・状況の曖昧さ」の乗数が、大きい時に生じるとされます。

今回の指摘の真偽は全くわかりませんが、コロナは世界の人々にとってあまりに重要な惨事であり、その発生状況について中国の情報開示が極めて不十分だったことは紛れない事実でしょう。状況が曖昧な間はこうした指摘と厳しい反応は続くでしょうし、それは何より中国にとって致命的です。

十分な情報開示に踏み切る以外には、解決策はないように思えます。

2021年10月5日 8:01

鈴木一人のアバター
鈴木一人
東京大学 公共政策大学院 教授
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ひとこと解説

状況証拠でしかないが、中国がいつ感染に気が付いたのかを示唆するデータではある。

しかし、8月に感染が始まっていたとすると、年末までに感染を一定規模に抑えていたということになり、本当にそれが可能だったのか、疑問は残る。

中国が意図的に隠していたかどうかは国際政治上、重要な問題ではあるが、中国への攻撃材料として、何とか中国が隠ぺいしていた事実をひねり出そうとするようなことだけは避けなければならない。

大事なことは事実をきちんと確認することであり、パンデミックを繰り返さないようにすることであり、中国を攻撃することではない。

2021年10月5日 7:28 (2021年10月5日 7:29更新)』

コロナ飲み薬、米メルクから年内にも調達

コロナ飲み薬、米メルクから年内にも調達 厚労省協議
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA033GS0T01C21A0000000/

『米製薬大手メルクが新型コロナウイルスの軽症者向けに開発中の飲み薬について、厚生労働省が年内にも特例承認してすみやかに使えるよう調達協議を進めていることが3日わかった。飲み薬は既存の点滴薬と比べて自宅などで使いやすく、コロナ収束の切り札になると期待されている。

メルク製の経口薬「モルヌピラビル」は、臨床試験(治験)で重症化リスクのある軽度から中等症の患者の入院や死亡のリスクを約50%減らすことが確認されている。近く米食品医薬品局(FDA)に緊急使用許可を申請する見通し。厚労省は米国などで使用許可が下り、国内で承認申請されれば審査を簡略化する特例承認を検討する。

菅義偉首相は9月28日の記者会見で飲み薬について「早ければ年内を目指して開発が進められており、承認次第、投与できるよう交渉を進めている」と述べていた。

【関連記事】

・米メルクのコロナ飲み薬、入院・死亡リスク「5割減」
・飲み薬のスピード開発、コロナ収束のカギ 世界が注視
・コロナ飲み薬、年内にも実用化 軽症者治療の切り札に 』

緊急事態宣言・まん延防止の全面解除 政府が決定

緊急事態宣言・まん延防止の全面解除 政府が決定
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA2815S0Y1A920C2000000/

『政府は28日、新型コロナウイルス対策で発令中の緊急事態宣言と「まん延防止等重点措置」を期限の30日で全面解除すると決めた。宣言地域で禁止していた飲食店での酒類提供を全国で解禁する。1カ月ほど行動制限を残し段階的な緩和を探る。経済再開に向け新型コロナとの共存が試される。

政府が28日に首相官邸で開いた新型コロナ対策本部で決定した。これに先立ち、菅義偉首相は衆院議院運営委員会で「感染拡大に対する社会の対応力を高めながら、感染対策と日常生活の回復の両立に取り組んでいく」と強調した。

宣言地域は北海道、茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉、東京、神奈川、岐阜、静岡、愛知、三重、滋賀、京都、大阪、兵庫、広島、福岡、沖縄の19都道府県。重点措置は宮城、福島、石川、岡山、香川、熊本、宮崎、鹿児島の8県だ。

解除が決まれば4月4日以来およそ半年ぶりに全国で宣言と重点措置が発令されていない状況になる。沖縄県は5月、東京都は7月から宣言が継続していた。

宣言地域では飲食店の酒類提供を一律禁止し、営業時間は午後8時までと規定してきた。要請に従わない店舗には新型コロナに対応する新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づき命令や違反者に過料をかけることもできた。

政府は宣言を解除した地域で酒類提供する飲食店について、都道府県などの感染対策に関する認証を受けた店は営業時間を午後9時まで、それ以外は午後8時までとするよう要請する。酒類を出せる店舗や時間は都道府県がこの範囲内で判断する。

宣言や重点措置地域でなくても都道府県の時短要請などは特措法で認めている。命令や違反への過料を適用することはできない。

西村康稔経済財政・再生相は28日、内閣府で記者団に「飲食店に協力をいただけるようしっかりと協力金を支給する」と訴えた。

自治体が出す協力金は、国が必要額の8割を地方創生臨時交付金から財源支援する。自治体とともに店側へ要請を受け入れるよう対応を促す。宣言地域などで活用してきた支援措置を解除後も続ける。

政府は感染の再拡大を防ぐため、宣言解除後は行動制限を段階的に緩和する方針だ。当面は制限を残しつつ感染状況を見ながら経済活動を徐々に再開する。

飲食店の営業時間や酒類提供のほか、イベント開催についても1カ月の経過措置を置く。宣言や重点措置の地域では「定員50%以内かつ上限5千人」と制限してきた。解除後は「定員50%以内かつ上限1万人」を基準とする。

10月以降は接種証明を活用した飲食店などでの実証実験を進める。ワクチンの接種歴や検査での陰性証明を活用して制限をさらに緩和する仕組みだ。基本的対処方針では「技術実証に際しては行動制限の緩和は特例的に取り扱う」と明記した。

経過措置や実証結果を踏まえた緩和の進め方は首相の退陣後、10月4日にも発足する次期政権で判断する。首相は「次の政権にもしっかり引き継いでほしい」と話した。

冬の到来を念頭に第6波の備えも必要になる。基本的対処方針には「臨時の医療施設の開設」などが必要と記した。田村憲久厚生労働相は足元の感染動向について「また増えてくる可能性は十分にある」と指摘する。

行動制限が急に緩めばリバウンドを招きかねないと専門家は懸念する。無症状の人が感染を広げるリスクもあり、検査の拡充が必要になる。国と地方、医療現場、民間で総力をあげて新型コロナとの共存を可能にする体制づくりが求められる。

【関連記事】
・首相「宣言を全面解除」、30日の期限で 28日夕に決定
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・首都圏の酒提供、認証店で8時まで 4都県で最終調整
・東京ディズニーなど入場制限緩和検討 宣言解除で 』

武漢の科学者は洞窟のコウモリにコロナウイルス粒子を放出することを計画し、漏れた論文が明らかに

武漢の科学者は洞窟のコウモリにコロナウイルス粒子を放出することを計画し、漏れた論文が明らかに
文書は、研究者が2018年に論争のプロジェクトに資金を提供するために$14mを申請することを明らかにします

によって
サラ・ナプトン,
サイエンスエディター
2021年9月21日 17:48

https://www.telegraph.co.uk/news/2021/09/21/wuhan-scientists-planned-releaseskin-penetrating-nanoparticles/

 ※ 元記事は、これのようだ…。

『(※ 翻訳は、Google翻訳)

武漢と米国の科学者は、強化された空中コロナウイルス粒子を中国のコウモリ集団に放出して、人間に飛びつく可能性のある病気に対して接種することを計画していました。(※ 無料は、ここまで。)』

中国の研究者、2018年にコロナウイルスをコウモリに感染させることを計画=テレグラフhttps://jp.sputniknews.com/covid-19/202109228704704/

『テレグラフは、中国・武漢の研究者らは2018年に新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)を洞窟に生息するコウモリに感染させる計画だったと報じた。

研究者らはこのプロジェクトに1400万ドル(約15億3000万円)を割り当てるよう米国防総省高等研究計画局(DARPA)に依頼したが、DARPAは、武漢ウイルス研究所がある湖北省の住民にとってあまりにもリスクが高いと考え、研究資金の提供を拒否したという。

テレグラフが引用した文書によると、研究者らはコロナウイルスの新たなキメラスパイクタンパク質を構成成分とするナノ粒子を、コウモリの皮膚を通して注入する考えだった。
また、ヒトに感染しやすくするために、遺伝子組み換えされたキメラウイルスをつくる計画もあったという。

さらに武漢の研究者らは、コウモリのコロナウイルスに変更を加え、ヒトの細胞にウイルスをより簡単に感染させようとしていたとされる。

テレグラフ紙は事実確認のために、 すでに武漢ウイルス研究所にこの件についてのコメント要請を行っ ている。

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コロナ飲み薬、年内にも実用化

コロナ飲み薬、年内にも実用化 軽症者治療の切り札に
メルクやファイザー、治験最終段階
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC1744F0X10C21A9000000/

※ いよいよ、コロナ治療薬も「実用化」が、視野に入ったようだ…。

※ ワクチンの接種率も、6割くらいにはなったようだしな…。

※ この両者で、冬場の「寒さ」と「乾燥」による第6派を、乗り切れば、世の中もだいぶ落ち着きを取り戻すだろう…。

※ なんとか、「ピーク」は超えつつあるような感じだな…。

『新型コロナウイルスを治療する飲み薬が年内にも登場する見通しだ。米メルクや米ファイザーが軽症者に使える薬剤の最終段階の臨床試験(治験)を、日本を含む各国で進めている。点滴タイプの既存の治療薬と比べて投与しやすいうえ、量産が簡単なためコストも抑えられる。パンデミック(世界的な大流行)の収束につながると期待されている。

米メルクは米新興リッジバック・バイオセラピューティクスと共同で、抗ウイルス薬「モルヌピラビル」を開発中だ。全世界で治験をしており10月にも治験データを公表するとみられる。2021年中に米国で緊急使用許可を申請する見通しを明らかにした。その1~2カ月後に日本でも特例承認を申請する可能性がある。

もとはインフルエンザの治療用だったが、コロナにも効果が見込まれる。米保健福祉省(HHS)はメルクと170万回分を12億ドル(約1300億円)で購入する契約を結んだ。メルクは21年末までに1000万回分を生産するための量産準備を進めている。

米ファイザーも同様の抗ウイルス薬を手掛ける。02~03年に重症急性呼吸器症候群(SARS)向けに開発していたものを改良し、静脈注射タイプと経口タイプの2種類を開発中だ。入院していない軽症から中等症の患者を対象とする。21年10月~12月中に初期データを公表する見通しを明らかにしており、早期の実用化が見込まれている。

米国の緊急使用許可はバイオテロなどの非常時に未承認薬などの使用を一時的に許可する制度で、本来は半年から1年かかる審査期間も3週間程度に短縮する。いわば仮免許制度で本承認とは異なるため、安全性や有効性が不十分な場合は許可を取り消すことができる。
日本にも特例承認制度があり、米国や英国など日本と同水準の医薬品審査基準がある海外で使用される医薬品について、非常時の場合は特例として正式に承認し、輸入することができる。通常、半年から1年近くかかる審査期間を2カ月程度に短縮できる。

仮にメルク、ファイザーの治療薬候補への緊急使用許可が年内に米国で出れば、日本でも早ければ21年中、遅くても22年はじめには医療現場で使えるようになる可能性がある。

治療薬では重症化リスクが高い軽症患者に使用できる抗体カクテル療法などもあるが、点滴投与が必要で、問診や経過観察も含めて1回の治療に3~4時間近くかかることもある。コストも高く2種類の抗体を組み合わせる「ロナプリーブ」は米国では1回あたり2100ドル。一定の医療水準と財政的な余裕がある国や地域でしか使いにくい欠点がある。

インフルエンザ治療に使われるタミフルのような飲み薬タイプの抗ウイルス薬が登場すれば、こうした課題を解決できる可能性がある。処方や服用も簡単で在宅療養中の軽症患者の治療に使えるからだ。ウイルスの増殖を防ぐ仕組みのため、変異したウイルスにも効果が期待できる。化学合成で製造できるため既存の医薬品工場を転用でき、増産が簡単なため生産コストは抗体薬の10分の1以下に抑えられる。

錠剤タイプの開発は、塩野義製薬も7月に第1段階の治験を始めた。年内にも大規模な治験を始める予定で、22年中の実用化を目指すもようだ。スイスのロシュが全世界で開発中の抗ウイルス薬は中外製薬が日本での開発と販売権を取得し、22年に全世界で実用化する考えだ。

新型コロナによる感染者は全世界で2億人を超え、死者も470万人以上にのぼる。欧米を中心とした先進国ではワクチン接種が進み、英国では7割、米国や欧州でも6割を超える人が少なくとも1回を接種している。日本でも6割の人が1回を接種済みで、2回接種した人も5割を超える。

ただ、デルタ型など変異ウイルスの登場で、ワクチン接種後も感染する事例が相次ぐ。投与から時間がたつと効果が弱まるとの報告もあり、ワクチンだけでコロナを封じ込めるには限界もある。感染予防と重症化を抑えるワクチン、そして感染した場合、速やかに治療できる経口の抗ウイルス薬。パンデミック(世界的な大流行)に打ち勝つためにはワクチンと経口薬の両輪の戦略が求められている。

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多様な観点からニュースを考える
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花村遼
アーサー・ディ・リトル・ジャパン パートナー

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今後の展望 年内にも米国で緊急使用許可(EUA)が期待される経口薬は、有効性が出ればゲームチェンジャーになるかもしれません。

先行しているメルクが中心に開発しているモルヌピラビルは細胞内でのウイルスの複製を阻害する作用機序で、試験管レベルではアビガンよりも数十倍から数百倍活性が高いと報告されています。

治験の中間解析では、一定の効果が出ているという話もあり、メルク社のCEOは年内のEUAの可能性を示唆しています。

ただし、発症前や軽症患者は何もせずとも重症化する割合は非常に低いため、明確なエビデンス取得は非常に難しい。

同じ機序のレムデシビルも議論を呼んでいるように、この薬剤も際どい結果が出る可能性もありそうです

2021年9月24日 7:51いいね
21

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詫摩佳代
東京都立大学 法学部教授

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分析・考察 飲み薬タイプの治療薬は、コロナと共生していく上で、画期的なものとなりそうです。

適切に投与すれば、重症化を防ぎ、人命を救えるのみならず、医療への負担を軽減することにも繋がるからです。

ワクチンと治療薬を併用することで、インフルエンザのように、ウイルスとうまく共生していけるかもしれません。

他方、今後、事が円滑に進むかどうかは、治療薬の価格や供給量にもよるでしょう。また、比較的症状が重くない患者さんを診断し、飲み薬を処方する上で、小規模クリニックの役割も増すことになりそうです。

こうした変化にも適切にかつ柔軟に対応することが、治療薬を最大限活用する上では、併せて求められそうです。

2021年9月24日 7:49いいね
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梶原誠
日本経済新聞社 本社コメンテーター

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ひとこと解説 日本企業はやはり欧米企業に出遅れています。国産ワクチンの開発が出遅れたことを受けて「日本のもの作りのプライドが傷ついた」という声を聞きました。「ペスト菌を発見した北里柴三郎以来の伝統もあるのに」と。

感染症では「開発したときには収束している」事態がありえるので、経営者は巨額の研究開発投資が水の泡になるのを恐れます。そこは政府の出番。例えば開発や成果に対価を出すなど、企業がリスクを取れる仕組みを整える必要があります。企業が社会的役割を果たすための後押しでもあります。

2021年9月24日 7:42 (2021年9月24日 8:19更新)
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29 』

〔本当はヤバいウレタンマスク…。〕

ウレタンマスクの超アップ画像に「すかすかだ」「すごい説得力」 小5の夏休み研究にネットで称賛の声
https://maidonanews.jp/article/14418556?p=26312279&ro=14418556&ri=0

実験で新事実「ウレタンマスク」の本当のヤバさ
ウイルス専門家、西村秀一医師が徹底検証(2021/02/03 9:30)
https://toyokeizai.net/articles/-/409607

『昨年12月、国立研究開発法人「理化学研究所」(理研)のスーパーコンピューター「富岳」による、マスク素材ごとの飛沫防止効果のシミュレーションが発表された。

これによれば、感染していればウイルスを他者にうつす可能性のある「吐き出し飛沫量」のカットは、不織布マスクで約80%、ウレタンマスクは約50%。うつされるかもしれない「吸い込み飛沫量」は、不織布が約70%、ウレタンは約30~40%しかカットされないらしい。

以来、街中や電車内でウレタンマスクをしている人を注意する、「ウレタンマスク警察」と呼ばれる人まで現れていると報じられている。行き過ぎた”警察行為”は厳に慎みたいところだ。       

しかしながら、専門家からは「ピッタリ装着できるウレタンマスクは脇漏れしないものの、不織布は脇が開いている人が多いので(効果は)あまり変わらない」といった意見も。口元がゴワゴワせずつけやすく、色も選べてファッショナブルなのが気に入られたのか、依然として若者を中心にウレタン派は多いようだ。

そこに異を唱える人が現われた。

国立病院機構仙台医療センター臨床研究部ウイルスセンター長の西村秀一医師である。ウイルスセンターは国内では数少ない臨床ウイルス学の研究施設であり、全国の医療機関から依頼を受けたウイルス分離などの仕事のほか、独自の設備を用いた呼吸器系ウイルス感染の研究を行っている。

「『PCR検査せよ』と叫ぶ人に知って欲しい問題」(2020年5月12日配信)でもマスクの重要性を説いた西村医師、実は先頃、マスクの素材ごとに飛沫防止効果がどう違ってくるかという実験を行ったという。ウレタンマスクはOKなのか、はたまたNGなのか──。

マスク素材で「飛沫防止効果」はこんなに違う

──「富岳」もマスク素材ごとの飛沫防止効果を調べていますが、コンピューター上のシミュレーションです。実際に実験をされたのですね。

(図)西村秀一医師より提供

クリーンルームの中で、喘息などの治療薬吸入器具として使われているネブライザーからヒトの出すエアロゾルを模したものを発生させて、それをそれぞれのマスク素材がどれくらい通すかを試しました。』

『喘息治療や気管支炎の治療でシューシューと出てくる薬剤のミスト(蒸気)を吸い込みますよね。あの状態がミストの発生側です。一方、ミストの受け取り側は、人がつけた状態のマスクではなく、各素材そのものを切り出し、筒の片方に隙間なく張り、反対側から空気を吸わせ、素材を通過してくるエアロゾルの粒子の径(粒子の大きさを表現するもの)ごとの濃度をレーザー粒子計測器で測りました。

(図)西村秀一医師の実験結果より

──上図の「マスク別除去性能」がその結果ですね。衝撃でした。ウレタンマスクの素材である「ポリウレタン」は、5um(マイクロメートル)以下の粒子だと除去率1%以下。ほぼ効果がないことがわかります。

(図)西村秀一医師の実験結果より

そうなんです。逆に不織布マスクは一番小さい0.3~0.5umで90.8%、最大の5.0以上の粒子は99.1%の除去率が確認されました。医療従事者がつけるN95や医療用サージカルマスクはそれ以上に高い値ですが、一般の方が生活圏で使うのは、この程度の不織布マスクで十分機能すると考えます。

ちなみに実験で使用したマスクは、医療用サージカルマスクが当院で使用しているもの。不織布マスクは、VFE(ウイルス濾過効率)が99%カットの表示があった一般的なものです。ポリエステル、ポリウレタンマスクは、一層式でインターネットなどで買えるもの。いずれも、素材表面や内部に特殊な加工がされていないものを選択しました。

不織布マスクを上下左右に、顔に密着させれば、エアロゾルをほとんど吸い込まずに済みます。エアロゾルは科学用語で、口から呼気や咳とともに出て空中にある粒子のすべてを指します。それを出さないこと、吸い込まないことが感染の伝播防止に重要です。

今回は「吸い込み」しか実験はできませんでした。が、互いに不織布マスクであれば出す側も出す粒子が少なく、また吸込み側も吸い込みがかなり少ないわけです。これに2メートルのソーシャルディスタンスがあれば、感染はかなりの確率で防げるでしょう。ただ、マスクの付け方が悪いと、素材のせっかくの性能を生かせません。

マスクのずれや隙間は、過敏になりすぎなくていい

西村秀一(にしむら・ひでかず)/国立病院機構仙台医療センター臨床研究部ウイルスセンター長・臨床検査科長兼ウイルス疾患研究室長。1984年山形大学医学部医学科卒。医学博士。アメリカ疾病予防管理センター(CDC)客員研究員、国立感染症研究所ウイルス一部主任研究官などを経て、2000年より現職。専門は呼吸器系ウイルス感染症。『史上最悪のインフルエンザ―忘れられたパンデミック』(みすず書房)、『感染爆発―見えざる敵=ウイルスに挑む』(金の星社)、『ワクチン いかに決断するか――1976年米国リスク管理の教訓』(藤原書店より今月再出版の予定)などの訳書や論文多数(写真:西村秀一氏提供)

──布(ガーゼやポリエステル)マスクは、10~20%台の除去率でやはり心もとないですね。

ガーゼマスクは、アベノマスクを使いました。咳や呼気などが体内から運んできて口から出たばかりの飛沫の粒子は大きいので、布やガーゼマスクでも止まります。でも、一方で防御にはあまり役立ちません。まあ、2割でも3割でも阻止してくれることを考えれば、何もしないよりはましですが。

──不織布でも、マスクが不意にずれたり、脇に隙間ができやすいものもあります。

つけ方が大事ということはそのとおりですが、一般生活ではあまり神経質にならなくてもいいです。特別なことをしない限り漏れをゼロにすることは不可能です。確かに顔面とマスクの隙間から入るものもあるけれど、密着の意識を持って着けているのであれば入ってくるのはそう大量ではなくなります。患者が出す1回の咳の中の生きているウイルスの量もそんなに多くはないので、あとは運でしょうか。』

『ただし、周りを多くの人に囲われている状況では、エアロゾル濃度が高くなり、もしその中にウイルスを出している人がいたら、どんなマスクをしていてもリスクは高くなるし、密着度が悪ければなおさらです。そうなると、大事なのは換気です。

居酒屋やテレビなどで顔の高さくらいまでパーテーションを設置していることがありますが、パーテーションの高さ云々の問題ではありません。とにかく頻繁に換気をして、空気、すなわちその中にあるエアロゾルを滞留させないことです。

──ところで、なぜこの実験をしてみようと思われたのですか? 理由を教えてください。

「富岳」による飛沫防止効果の映像が昨年発表されましたが、僕らがテレビなどで再三観ていたものは、あくまでシミュレーションなわけです。それが真実である保証が必要です。コンピューターがはじき出しているものなので、計算式もわからないしそれだけでは確認しようがない。私は、理論科学者ではなく実験科学者なので、実際にやった結果を重んじます。

それに、映像の粒子はエアロゾルなのに、すべてウイルスのように受け取られる向きもあった。例えばインフルエンザを例にとっていえば、スーパースプレッダーに相当する患者でも一度の咳で何十個も生きているウイルスを出すような人はいません。ましてやあそこに示された大量のエアロゾルがウイルスなわけがありません。

映像として、また計算された数値としてわかりやすいけれど、わかりやすいということはむしろ科学的には危険なこともあります。実証できる実験データが必要だと思ったのです。

今回私たちがやったのは、人がマスクをつけた状況ではないし、吸い込みだけ、それも素材の性質だけに限られるのですが、それでも実測データとしてある程度参考になるはずだと考えました。これが1つ目の理由ですね。

ウレタンマスクはスカスカ
──その結果、ウレタンマスクの防御性能がわかりました。これは想定内でしょうか?

想定の範囲内です。ただ、ここまで(除去性能が)低いとは、という驚きはありました。ウレタンは着け心地はいいのですが、呼吸がしやすい。それは言い方を変えればスカスカだということで、実はずっと心配していました。

それに、昨年12月に発表された富岳のシミュレーション結果でウレタンマスクは吐き出しも吸い込みもカット率が低かったのに、若者たちを中心にみなさんまだ使い続けています。ここに警鐘を鳴らしたいという考えはありました。

それはシミュレーションの計算結果として出された数値がまだ甘いからかもしれない。そうだとしたら、もしかしたらこれが、若者たちの間の感染が多い理由の1つになっているのかもしれない。それをあらためてほしい。今回の実験をするに及んだ2つ目の理由です。

そもそもマスクの性能を考えると、人々がマスクに期待することは、まず「自分がかからないこと」、要するに防御です。これがまったくダメとなると、どんな人だって少しは考え直すでしょう。一方、公衆衛生の面から願うのは「ほかの人みんながかかってほしくない、広がってほしくない」から、マスクをつけましょうということです。』

『──なるほど。今現在、第3次感染がなかなか収まらないのは、人々の「コロナ慣れ」があるかと思います。今までかからなかったのだから、大丈夫だろう、と。無論、過度に恐れることはありませんが、今一度「感染の防御」を注意喚起しなくてはいけませんね。

テレビなどを観ていると、出演者がマウスガードをつけています。それを見かけてしまうと「あれでいいんだな」と感染対策の見本と勘違いしてしまうかもしれません。しかし、断言します。マウスガードはマスクの代用にはなりません。エアロゾルを介した感染に対する防御には無力です。感染対策にはなっていません。

──改めてお話をまとめると「うつらないマスク」の最強は不織布マスクなんですね。わが家も今日から不織布に切り替えようと思いますが、ウレタンの着け心地も手放しがたいです。また、不織布だと肌がかぶれるという声もネット上で見かけます。ウレタンの上に不織布をつける二重マスクでもいいでしょうか?

構わないと思います。戸外でウォーキングをするときなど、他人とほぼ会わないときはウレタンや布マスクでいい。というか、堂々とマスクを外していいです。ウレタンマスクを寒さ対策とか、すっぴん隠しの目的で使うことには異論ありません(笑)。それに、つねにマスクをつけなくてはいけないわけではありません。運動や移動などで外を歩いているときは、マスクをポケットに入れてもいい。自転車での移動も同じですね。

「使ったマスクを触らないように」は都市伝説

──よく見かける「鼻マスク」はどうでしょうか? マスクを下げて鼻を出している状態ですね。

理屈からいえば、感染を広げない目的なら鼻マスクの状態でも、万が一ご自分が感染していても、よほどのことがない限り周囲に広げはしません。ただし、防御という意味では、口呼吸でない限り無防備状態と同じで、自分は吸ってしまうので感染者と接触した際に感染してしまうリスクは高いです。せっかく不織布マスクをつけていたとしても、防御になりませんね。

また、「使ったマスクを触らないように」というのは都市伝説です。あれは、咳をしている患者と対峙する医療現場での話で、一般生活の中に落とし込む話ではありません。普通に社会生活をしていてマスクの表面にウイルスがついたりはしません。たとえマスクで捉えたとしてもそれは表面ではなく、マスクの断面のどこかです。

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また、一般の人たちに対して「ドアノブに触るな」などというけれど、ドアノブで感染している証拠も出てきてはいません。気になるなら消毒すればいいですが、学校などで椅子などをあんなに拭く必要もありません。

とにかく、うつさない・うつらないマスクを正しくつける。換気をする。そして、密を避ける。これで乗り切ってください。アリバイ気味で的を外した対策に惑わされることなく、また過剰な怖れにおののくことなく、正しく防御することは、自分でやりようがあります。自分の知識と努力でできるのです。』

英仏海峡の不法移民で両国対立

英仏海峡の不法移民で両国対立 英、仏への強制送還も
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR13CMF0T10C21A9000000/

『【ロンドン=中島裕介】ドーバー海峡を渡ってフランスから英国に入る難民や不法移民への対応をめぐり、両国の対立が深まっている。足元での移民らの急増を受け、英国は自国海域内から押し戻す方針を表明。フランスはこれに猛反発している。

英BBCによると、年初からこれまでに1万2500人以上の不法移民がゴムボートや小型船などでフランスから英国に渡った。2020年は年間で約8500人、19年は2000人ほどだったため、21年は異例の多さになっている。

移民らは内戦や紛争が続くイエメンやソマリア、イラクなどの出身で、アフガニスタン人も含まれる。密航業者に大金を支払い、数時間かけて英仏海峡を渡る。仏北部沿岸の町グランドサントなどには英国への渡航希望者が集まってテントを張り、不法な出航の機会を待っている状況だ。

これに対応するため、英政府は9日までに、パテル内相の承認がある場合に、英海域に入ってきたボートをフランス側に押し返す方針を決めた。措置発動は安全で限られた場合にのみとしているが、方針そのものは政府内で保守系の議員を中心に不法移民の急増に懸念が強まっていることが背景にある。

不満の矛先はフランスにも向く。パテル氏は7月に合意した移民対策向けの約5400万ポンド(約82億円)のフランスへの資金提供の凍結も示唆した。

フランスの反発は強い。ダルマナン内相は8日、ロンドンでパテル氏と会談したが、この問題での進展は得られなかったもようだ。ダルマナン氏は9日には自身のツイッターに「海洋法に反する(英国の)行動や金銭的な恐喝は容認できない。私はそれをパテル氏に告げた」と投稿した。

事態が混迷する背景には英国の欧州連合(EU)離脱の影響もある。国際法や国連の難民条約に基づけば、各国は海域内や領土内にいる不法移民らの保護を求められる。ただEUの「ダブリン規則」では、EU域内で最初に到着した国で難民審査を行うルールがある。このため英国はEU加盟中は、フランスに合法的に不法移民を送還できた。

だが英国は21年1月にEUを完全離脱したためダブリン規則のルールは使えない。英メディアによれば、まだ代わりの難民申請に関する取り決めをフランスやEUと合意できていない。

今後、イスラム主義組織タリバンが制圧したアフガニスタンから流出する市民がさらに増えることも予想される。英仏海峡での不法移民を巡る対立はさらに深まる恐れもある。』

[FT]スペイン、減税で家計支援

[FT]スペイン、減税で家計支援 欧州覆う電力高騰に対応
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB155740V10C21A9000000/

『スペイン政府は、エネルギー企業の利益から30億ユーロ(約3880億円)を徴収し、消費者向けに減税を行うと発表した。欧州の各国政府を圧迫している電力・ガス価格高騰が引き起こした政治的なダメージの抑制を目指す。

スペインのサンチェス首相は、エネルギー企業の利益水準について「容認できない」と話す=ロイター

一連の対策は14日、サンチェス首相率いる内閣が閣議決定したが、エネルギー企業側からは怒りの声が上がった。スペインの原子力産業は、計画が実行に移されたら、操業が停止する可能性があると述べた。

電力料金は1年で35%上昇

この夏を通して電力卸売価格は史上最高値を更新し続け、サンチェス氏の中道左派の少数与党政府にとってエネルギー価格高騰が喫緊の問題になった。消費者向け電力料金は8月までの1年間で35%上昇した。

スペイン政府は、天然ガスを使わないにもかかわらず、ガス価格上昇が電力価格上昇をもたらす仕組みから恩恵を受けた公益企業の「超過利益」26億ユーロを対象にしていると述べた。この措置に先駆け、7月には、炭素価格が上昇したために収入が増えたエネルギー企業から約6億5000万ユーロを徴収する同様の対策が発表されている。

政府は、徴収した資金を本来なら消費者の負担になるインフラ整備費用の支払いに充て、それによって家計における電力料金を減らすと話している。

また、サンチェス氏は2021年末まで、電力にかかわる消費者の税負担を14億ユーロ分削減すると述べた。「我々は、すべての市民が18年と同水準の電力料金を(21年に)払うようにすることを固く誓う」。サンチェス氏はこう語り、エネルギー企業の利益水準を「容認できない」とした。

エネルギー業界からは反発も

しかし、再生可能エネルギーを手がけるスペインの電力大手イベルドローラは、この計画は消費者にとって、さらに多くの問題を生み出すと述べた。「また、野心的な気候変動目標を支えるプロジェクトを実現するためにスペインが何十億ユーロもの民間投資を必要としている肝心な時期に、国に対する投資家の信頼感も損なうことになる」としている。

スペイン原子力産業協会は、「法案が(現在の)過剰な税負担の圧力と重なると、すべての原子力設備が運転停止に追い込まれる」と話している。

多くの消費者が固定料金ではなく変動料金を払っているため、スペインの電力小売価格は同国の電力卸売市場と密接に連動している。

エネルギー価格高騰は欧州全体に影響を及ぼしている。石炭に代わる燃料として液化天然ガス(LNG)に向かう中国の需要、炭素価格の上昇、ロシアからの供給減少といった要因によって生じた現象だ。

「スペインでは市民が家計で窮状を感じているが、これはスペインだけの問題ではない。世界中で問題になってはいないにしても、欧州では問題となっている」。英調査会社オックスフォード・エコノミクスの欧州経済部門を率いるアンヘル・タラベラ氏は、こう話す。「スペインの仕組みが他国と異なるために、世界の大部分はまだ気づいていないが、遅かれ早かれ似たような状況が他国でも生じるだろう」

実際、ここ数日で、フランス政府が燃料支払いに対する直接補助金の給付延長を検討すると述べたほか、ギリシャは最近の電力料金上昇を補填するために1億5000万ユーロ規模の基金設立を発表した。

ドイツでは先週、ベンチマークとなる22年引き渡しの電力卸売価格が1メガワット時あたり90ユーロ台を突破した。年初の水準のほぼ2倍で、08年夏に記録した史上最高値を更新した。

フランスの電力大手エンジーの分析部門エナジースキャンを率いるジュリアン・オアロ氏は、この冬の欧州向けのロシア産ガスの供給量がはっきりしないと、市場は今後も逼迫し、価格が高止まりすると警鐘を鳴らす。「9月でこの状況なので、暖房用のガス需要が高まる今後数カ月がかなり心配だ」と話す。

イタリアでも電力料金4割上昇の可能性

イタリアのチンゴラーニ環境相は13日、ガス価格と炭素価格が上昇しているため、イタリアの電力料金が次の四半期に最大で40%上昇する可能性があると警告した。

エネルギー価格の上昇は、欧州連合(EU)の執行機関である欧州委員会にも圧力をかけた。欧州委は7月、自動車燃料と建物の暖房に対する炭素価格の設定を含む温暖化ガス削減に向けた包括案を提案したばかりだ。

この提案はスペインやフランスなどからの反発を招いた。こうした国は、一連の方策は、環境に優しく炭素排出量が少ない燃料に簡単に切り替えられない貧しい人たちを直撃すると主張している。

「エネルギー分野で今生じている価格高騰のためにまひ状態に陥ったり、物事の進め方を遅らせたりするのではなく、すべての人が手ごろな価格の再生可能エネルギーを利用できるように再生可能エネルギーへの移行を加速させるべきだ」。欧州委のティメルマンス上級副委員長(気候変動担当)は、この問題に関して14日開かれる欧州議会の議論に先駆け、こう語った。

欧州委は批判をかわすために、新たな炭素価格制度によって最も大きな影響を受ける世帯を支援するために、数十億ユーロ規模の社会基金を立ち上げることを提案している。

By Daniel Dombey, Mehreen Khan and Tom Wilson

(2021年9月15日付 英フィナンシャル・タイムズ電子版 https://www.ft.com/)

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[FT]中道左派、ノルウェーの政権も奪取

[FT]中道左派、ノルウェーの政権も奪取 独でも高支持率
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB1558H0V10C21A9000000/

『これまで20年ほどの北欧諸国での有権者の行動をみると、社会民主主義の砦(とりで)という評判は有名無実になりつつあった。ところが、13日投開票のノルウェー議会選で最大野党の労働党(中道左派)が勝利したことで、情勢は変わった。

ノルウェー議会選で勝利し、次期首相に就く見通しになった労働党のストーレ党首(13日、オスロ)=AP

北欧のノルウェー、デンマーク、スウェーデンの3カ国がいずれも社会民主主義を標榜する政党の首相を擁するのは2001年以降で初めてだ。この流れを受け、中道左派の指導者たちは次の大きな勝利の可能性を視野に入れている。ドイツの次期首相が決まる連邦議会選(総選挙)だ。26日の投票を前にした世論調査では、ドイツ社会民主党(SPD)の首相候補、オラフ・ショルツ財務相が支持率でトップに立っている。

ノルウェー議会(一院制)のアンニケン・ハイトフェルト議員(労働党)は取材に対し、「スウェーデン、デンマーク、フィンランドの次はノルウェーだった。何かが起きている。2週間後にドイツの政権がどうなるのか見届けないといけない。新型コロナウイルスの感染拡大が続くなか、人々はこぞって福祉に期待しているのだと思う。社会の格差がずっと広がってきた。それも欧州全域で」と主張した。ハイトフェルト氏はノルウェーの次期外相の有力候補だとされる。

ドイツの次期首相候補として支持率トップのショルツ財務相(14日)=AP

独SPDの戦略担当は以前から、北欧の状況がいずれドイツでも起こり得ると指摘してきた。だが、北欧で社会民主主義が復活している背景はその認識とはやや異なる。

労働党は第1党でも得票率伸びず

今回のノルウェー議会選では、1924年以降のすべての議会選と同じく、労働党が第1党となった。しかし、得票率は26.4%にすぎず、この97年間で下から2番目の低さだった。次期首相に就くとみられる労働党のストーレ党首が「大きな失望」と評した2017年の前回議会選での得票率さえも、わずかだが、下回った。

同様に、18年のスウェーデン議会選では、社会民主労働党が政権の維持には成功したものの、得票率は1908年以降で最も低くなった。

その理由は難しくない。北欧でも、ほかの欧州諸国と同じく、多数の政党が乱立する状況が進んでいるからだ。ノルウェー議会では10党が議席を持つ。

連立政権の政策調整は難題に

ノルウェーで労働党が勢力を回復した大きな理由は、友党が伸長したからだ。地方を基盤とする中央党、社会主義左翼党を含めた3党の連立政権になる可能性が高い。中道左派が得た100議席のうち、労働党より左寄りの政党が得たのは24議席だった。

スウェーデンの中道右派政権を率いたカール・ビルト元首相は「一般的な傾向として、かつての社会民主主義はいまよりもはるかに強大な政治勢力だった。だが、いまでは総じて多党化が進み、もはや巨大政党はみあたらない。ドイツの選挙はよい例だ。以前はSPDとキリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)の二大勢力が政界を支配し、ともに得票率は40%台だったが、最近では20%台前半で競り合っている」と指摘した。

多党化は「社会の多様化が進展している表れ」で、「階級を背景にした過去の政治のやり方はまったく機能しなくなった」のが現状だと、ビルト氏は強調した。

北欧の社会民主主義への圧力は、デンマークとスウェーデンで左派から支持者を奪った右派ポピュリスト(大衆迎合主義者)政党の台頭で強まった。だが、ノルウェー議会選では、ポピュリスト政党の進歩党が93年以降で最悪の結果となった。

デンマークでは、19年に就任した中道左派の社会民主党のフレデリクセン首相が、ポピュリスト政党であるデンマーク国民党の主張に歩み寄り、政策を移民抑制へと大きく変更した。

フレデリクセン氏は19年の選挙前の取材でこう話していた。「社会民主主義政党として最も重要なことは、実質的な存在意義を有することだと考えている。人々が直面する様々な問題について解決策を提示できるかどうか、ということだ」

ノルウェーのストーレ氏は同国で広がる格差の是正を目指しており、労働党の支持者に「この国の普通の人たちがようやく、日の目を見られるだろう」と語りかけた。

ストーレ氏が直面するのは、一致団結した政権の樹立という困難な仕事だ。労働党主導が主導する連立政権は議会で過半数を確保するが、西欧最大の産油国ノルウェーの石油産業の将来や、欧州における同国の役回りを含む様々な課題を巡り、3党の間には大きな意見の相違が生じるとみられている。

仮にストーレ氏が共産主義の赤色党、石油開発に反対する緑の党といった、労働党よりも急進的な左派政党の協力を求めれば、連立協議は一段と困難になる。それでも13日の議会選で最も大きく躍進したポピュリストの中央党の協力は仰がなければならないはずだ。

13日のノルウェー議会選で投票するソールバルグ首相=AP

ビルト氏は「多党化で国の統治の難しさはさらに増すことになる。ヨーナス(ストーレ氏)は中央党とうまくやっていかないといけないだろう。幸運を祈る」と語った。

北欧諸国では社会民主主義が巻き返す一方、次の選挙では中道右派が手ごわい挑戦者になりそうだ。

ノルウェーの現首相で中道右派のソールバルグ氏は今年、取材に対し、1980年以降は中道と右派の政権が、左派とちょうど同じ期間、権力を握ってきたと説明した。2015~17年に北欧の5カ国で政権を担当した社会民主主義の政党は、1つだけだった。

中道左派のスウェーデン現政権の高官の一人は「足元で私たちに波が来ている」と認めた。「だが、これがずっと続くと思ったら、それは間違いだ」

By Richard Milne

(2021年9月14日付 英フィナンシャル・タイムズ電子版 https://www.ft.com/)

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中国景気に減速感、8月生産伸び鈍く

中国景気に減速感、8月生産伸び鈍く 世界経済変調映す
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM155380V10C21A9000000/

『【北京=川手伊織】中国景気の減速感が強まっている。8月の工業生産は前年同月比5.3%増にとどまった。国際物流の停滞や半導体不足に直面するグローバル経済の変調を映す。7月下旬から新型コロナウイルスが再び広がる中、大規模な行動制限を繰り返す対応手法が消費の頭を押さえる。中国景気のもたつきが世界に波及するリスクが高まりつつある。
中国国家統計局が15日発表した8月の工業生産は、新型コロナの打撃から復調し始めた2020年7月(4.8%)以来の低い伸びとなった。季節の変動要因をならした前月比伸び率は0.31%とより鈍い。

背景の1つが海外経済の頭打ちだ。米欧では8月の購買担当者景気指数(PMI、総合、速報値)が悪化した。デルタ型の感染拡大が消費に及ぼす影響に加え、港湾の人手不足など供給網の混乱が長引いている。

浙江省寧波・舟山港の輸出コンテナ価格指数は新型コロナがまん延した昨年から上昇が続く。20年初と比べ4倍超に跳ね上がっている。

港湾手続きも遅れ気味だ。「米ロサンゼルスの港で陸揚げした輸出品が2週間足止めされたままだ」。天津市の貿易会社経営者は気をもむ。顧客が待つメキシコへの鉄道輸送のメドが立たない。

中国では新型コロナの再拡大を背景に港湾の検査が厳しくなっており、生産や輸出入の重荷となっている。「鉄道で欧州などに運び、そこから転送する荷主も出始めた」(物流コンサルタントの趙小敏氏)という。

世界的な半導体不足の影響も深刻だ。8月の自動車生産は前年同月より2割近く落ち込んだ。減少は4カ月連続だ。「半導体の供給拠点であるマレーシアなどで新型コロナの感染が広がり、減産圧力が強まっている」(中国汽車工業協会幹部)。21年の中国国内の販売台数は、前年比7%増の約2700万台とした予測を下回る可能性が大きくなっている。

加えて企業の体力をじわじわと奪うのが原材料高だ。投機資金の流入もあって一部の商品価格が高騰し、中国の中間財や素材に波及している。8月の卸売物価指数は前年同月比9.5%の上昇と、13年ぶりの水準を記録した。中小零細企業の収益を圧迫し、増産投資などを見送る動きもある。

液晶パネルや電池部材などで高い世界シェアを持つ中国の生産減速はグローバル経済の変調を映し出す。PMIの新規海外受注を示す指数は、8月まで4カ月連続で好不調の境目である50を下回る。3~6カ月後の輸出停滞を示唆する。

就業者の8割が働く中小零細企業は資金繰り難に苦しむほどで、雇用や賃金の足かせになっている。1~8月の都市部の新規雇用は938万人と、コロナ前の19年の同時期を5%近く下回る。

振るわない雇用、賃金は内需に波及する。消費動向を反映する社会消費品小売総額(小売売上高)は8月、前年同月比2.5%増にとどまった。全体の1割を占める飲食店が4.5%減と落ち込んだことが響いた。宿泊や運輸を含むサービス業の生産活動指数の上昇率も4.8%に縮まり、7%前後だったコロナ前の水準を下回った。

また、中国は感染者が出た地区の封鎖などでコロナ拡大を徹底して封じ込める「ゼロコロナ」政策を採ってきた。今夏の感染拡大でも省をまたぐ移動の制限や観光地の閉鎖が相次ぎ、接触型消費の重荷になった。

警戒態勢の強化と解除の繰り返しで消費は勢いを取り戻せない。丸紅中国の鈴木貴元・経済調査総監は「瞬間風速でみれば、内需の成長はほぼゼロになった」と語る。

追い打ちをかけるのが政府の規制強化だ。価格高騰に庶民の不満が強い不動産は、住宅ローンの総量規制やマンション取引の制限策を導入してきた。主要70都市の中古住宅価格は8月、前月比で下落した都市が上昇した都市を上回るなど需要は冷え込み始めている。

中国政府は地方政府のインフラ債発行を加速させて、公共事業で21年後半の景気を下支えする構えだ。ただ、グローバル景気の変調を背景にした踊り場から抜け出せなければ、影響はまた世界経済に跳ね返りかねない。

【関連記事】中国生産、8月5.3%増に減速 コロナ再拡大が重荷

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中空麻奈
BNPパリバ証券 グローバルマーケット統括本部 副会長

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ひとこと解説 中国の景気回復が冴えないが、背景にはいろいろありそうだ。

「共同富裕」を第二の100年目標として掲げ、不動産バブルを封じ込めるためデベロッパーには財務内容で厳格な縛りをかける。

金融システムの健全性を確保することも進めるなど、構造改革にも着手している。

いくつか大手の企業経営が不安視されているが、中国はこれまでも、CITIC、ITICなどの問題、理財商品の問題、華融資産管理の問題など、さらに大きな問題に発展しそうな局面でも乗り切ってきた。目先のリスクをどこまでコントロールするか、が鍵なのではないか。

2021年9月16日 9:01いいね
24

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永浜利広
第一生命経済研究所 首席エコノミスト

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ひとこと解説 中国は8月の総合PMIで見ても拡大縮小の分岐点である50を下回ってましたからね。

記事中にある不動産セクターの調整に加えて、炭素削減を背景とする生産規制も景気減速に大きく加担している模様です。

特に、個人消費については、コロナ感染拡大が収まってこないと厳しい状況が続くかもしれません。

2021年9月16日 8:10いいね
15

志田富雄のアバター
志田富雄
日本経済新聞社 編集委員

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分析・考察 感染の再拡大に加え、中国政府が不動産市場の過熱を抑制したり、環境問題への対応を強めたりする政策(意図)的な影響も大きいと思います。生産量を抑えるよう求められた鉄鋼の原料、鉄鉱石の国際スポット価格は5月に記録した最高値から4割以上も急落しました。

商品市場全体を見れば米国の生産減の影響で原油相場が1バレル70ドルを再び超え、銅やアルミなどの非鉄金属も将来の需要増への期待や電力不足の影響で高値にあります。記事にある原材料高の影響は当面解消しそうにありません。

2021年9月16日 7:28 (2021年9月16日 7:31更新)
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白井さゆり
慶應義塾大学総合政策学部 教授

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ひとこと解説 世界経済は今年4-6月期に比較的強い回復力を示していたが、7月からデルタ株の感染拡大もあって回復にもたつき感が見られる。

世界的にサービス産業の景況感が低下しているが、中でも中国では夏場の水害台風の影響と厳しい感染対策もあり、中小企業の景況感が製造業・サービス業ともに悪化が目立つ。
高騰するコモディティ価格を十分消費者物価に転嫁できず利益が下押しされる企業も多い。今後インフラ投資を増やしたり、銀行による中小企業支援を拡充する予定だが、開発不動産業者の債務不履行問題もありシステミックな債務も問題に発展しないか注目している。

2021年9月16日 7:28いいね
23 』

[FT]世界経済のけん引役から外れる中国(社説)

[FT]世界経済のけん引役から外れる中国(社説)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM0298W0S1A900C2000000/

『パンデミック後の世界経済の停滞は、もとより避けられなかった。経済活動の回復は段階的に進むことが多く、起きるのは一度限りだ。ロックダウン(都市封鎖)後の経済再開の勢いは猛烈だが、それが繰り返されることはない。多少の規制緩和をしても再開時のような景気押し上げは望めない。それでも、最近の主要経済指標の軟化は懸念材料だ。感染力の強いインド型(デルタ型)変異ウイルスの拡大やサプライチェーンの問題だけでなく、中国経済の減速を反映している。

8月の財新製造業購買担当者景気指数は中国の生産活動の縮小を示している=ロイター
2008年の金融危機後は、政府の景気刺激策を受け、工業化を進めた中国が急速に成長し、世界経済の回復を助けた。20年には再び中国の鉱工業生産は急回復し、世界でもまれな経済成長を実現した。ところが今、その復調の勢いに陰りが見えている。以前から懸念されていた消費者や企業の債務問題が再浮上しているうえ、中国共産党の政策の優先順位が変容していることが背景にある。

中国メディアの財新と英調査会社IHSマークイットが1日発表した8月の製造業購買担当者景気指数(PMI)は、世界各地でロックダウンが始まった20年4月以来初めて好不調の境目である50を割り込み、生産活動の縮小を浮き彫りにした。この民間版PMIは、中国経済の実態を示す指標として注目度が高い。

中国経済を減速させているマイナス要因には他国に通じる部分もある。デルタ型ウイルスの感染拡大により、中国の多くの地域でロックダウンや移動制限が再導入された。サプライチェーンの問題からメーカーは受注増に対応し切れなくなっている。半導体やコンテナが世界的に不足しているうえ、主要製造拠点であるベトナムで感染が拡大し、工業生産の足かせになっている。

米国でも、デルタ型の広がりが経済減速の原因になっている。感染者数が増える中で、消費意欲が低下しているためだ。欧州では、サプライチェーンの乱れがインフレにつながっている。欧州連合(EU)統計局が先日発表したユーロ圏の7月の物価上昇率は、ほぼ10年ぶりの高水準を記録した。比較対象の前年同月の物価が異常に低かったせいもあるが、部品の供給不足でメーカー各社の生産が進まなかったのは中国と同様だ。

この他、中国独自の要因もある。債務問題に加え、長年の住宅ブームが終わる可能性が懸念されている。同国の不動産開発会社の中で最も重い債務を抱える中国恒大集団は、債務不履行(デフォルト)の危機にある。中国の不動産業者は軒並み、利払い負担の増加に直面している。中国共産党が昨年、経済の不動産への依存度を下げ、不動産開発会社の借り入れを制限する政策に転じたことが影響している。

概して、中国政府はかつての成長最優先の政策から転じ、IT大手による支配や、貧富の差の拡大など、放縦な資本主義の手綱を締めようとしている。それも理解できなくはない。例えば、アルミニウムの減産は政府が環境対策を強化した結果とされる。だが、中国の方針転換は、中国が世界経済にとって、08年の金融危機後のような成長エンジンにはならないことを意味する。世界は今、中国に代わる景気けん引役を探す必要に迫られている。

(2021年9月2日付 英フィナンシャル・タイムズ電子版 https://www.ft.com/)

(c) The Financial Times Limited 2021. All Rights Reserved. The Nikkei Inc. is solely responsible for providing this translated content and The Financial Times Limited does not accept any liability for the accuracy or quality of the translation.

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【関連記事】
・中国リスク、通貨に波及 豪・アジア「関係国」に売り
・中国輸入、内需関連伸び悩み コロナ再拡大背景に
・中国「コロナ特需」縮小 資源高で減速リスク
・[FT]供給網への圧力、アジアの製造業回復の脅威に
・中国7.7%成長どまり 4~6月予想、現地エコノミスト調査
・世界貿易、4~6月22%増 需要急回復も先行きは減速懸念 』

新型コロナウイルス発生起源に関する調査結果を読む

新型コロナウイルス発生起源に関する調査結果を読む
深まる疑惑と今後の見通し
小谷哲男 (明海大学外国語学部教授)
https://wedge.ismedia.jp/articles/-/24105

『2021年8月27日に、バイデン政権が新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の発生起源に関する調査結果を公表した。5月に、バイデン大統領が情報機関に対して90日以内の報告書の提出を指示したことを受けたものである。

 調査結果は、SARS-CoV-2が生物兵器として生成されたものではないとしたが、予想されていた通り、生物を介して自然にヒトに感染したのか、あるいは武漢ウイルス研究所から事故で流出したのかについては、結論を出すことはできなかった。

(gopixa/gettyimages)

 調査結果の要点は以下の3点である。

① SARS-CoV-2の最初のヒトへの感染は遅くとも19年11月で、武漢で同年12月にクラスターが確認される前と考えられる。生物兵器ではないが、ワクチンや治療薬開発のため、武漢ウイルス研究所によってヒトに感染しやすいように遺伝子操作(機能獲得)された可能性については、ほとんどの情報機関が考えにくいとしたが、2つの情報機関は十分な判断材料がないとした。また、中国当局は事前に新型コロナの蔓延を把握していなかったと推測される。

② 自然発生、研究所流出、どちらの可能性もある。4つの情報機関は中国当局が事前に把握していなかった点を重視して自然発生説を、情報機関の1つは武漢ウイルス研究所における作業の危険性を重視して流出説を主張したが、前者の確信度は低く、後者のは中程度となっている。3つの情報機関は情報が不十分なため、断定できないとした。

③ 発生初期の臨床データなどが入手できなければ断定は難しい。中国の協力は必要、しかし中国は調査を妨害し、米国などに責任を転嫁しようとしている。中国も再調査がどのような結論になるかわからないからであり、また国際社会が本件を政治利用しようとしていることへの不満もあるだろう。

トランプ政権による調査との比較

 バイデン政権の調査結果を、トランプ政権が21年1月に公表したファクトシートの内容と比較してみよう。

 トランプ政権のファクトシートも、自然発生なのか研究所からの流出なのかわからないとしながら、人民解放軍が生物兵器禁止条約に違反する形で武漢ウイルス研究所において秘密裏に生物兵器を開発していた可能性を排除していなかった。バイデン政権はこの点については否定したことになる。

 一方、トランプ政権は武漢ウイルス研究所の職員3人が19年11月に新型コロナ感染症に似た症状で病院に運ばれたことを明らかにしているが、バイデン政権の報告書が最初の感染を遅くとも19年11月としたのは、最初の感染確認が同年12月とする中国の主張を否定し、11月の時点で武漢ウイルス研究所の職員が新型コロナウイルスに感染したと結論づけたと考えられる。』

『最大の焦点は、武漢ウイルス研究所での機能獲得実験がSARS-CoV-2を生み出したのかどうかである。13年に雲南省で鉱山労働者がSARS肺炎の症状で死亡する事案があり、武漢ウイルス研究所はそこで採取されたコウモリウイルス(RaTG13)がSARS-CoV-2と96.2%類似していると20年1月に発表した。

 トランプ政権は、同研究所が16年以降RaTG13を使って集中的に機能獲得実験を行っていた事実を明らかにしたが、同研究所はこれを否定し、保有するウイルスのデータベースも19年9月からオフラインにしたままである。

 CNNによれば、バイデン政権はハッキングによってこのデータベースを入手したようだが、今回の調査結果ではその分析結果には触れられておらず、どこまで機能獲得説に信憑性があるのか不明なままである。今後公開される報告書でより詳しい情報が明らかになる可能性はあるが、いずれにせよ中国の協力なしに真相を解明することはできない。

米中対立の中で真相解明にいたるのか

 今回の調査結果の公表に当たって、バイデンはパンデミックの起源に関する重要な情報は中国国内にあると指摘し、他国と協力して中国に再調査の受け入れとすべてのデータの共有を要求すると強調した。しかし、中国はワシントン郊外にある米軍の研究所がウイルスの発生源であると根拠のない主張を繰り返しており、再調査に応じる見込みはない。

 SARS-CoV-2の発生起源の解明は、次のパンデミックを防ぐためにも重要である。しかし、2003年のSARSについては起源が解明されているが、エボラ出血熱など起源が解明されていない感染症もある。

 より重要なのは、感染症対策には国際協力、特に米中の連携が不可欠であるということである。SARS発生時に、米国内では中国に対する批判が高まったが、当時のブッシュ大統領は側近の反対を押し切って、胡錦濤政権の対応を賞賛した。

 それが米中の感染症対策での協力につながり、武漢ウイルス研究所は両国の協力の最前線となった。その研究所が新型コロナの発生源として米中対立を深める結果になったのは、最大の皮肉であり、仮に発生源であることが判明すれば最大の悲劇である。

米国内でも軋轢が起きる調査の進展

 中国による情報の開示が期待できない中、次に考えられるのは米連邦議会による調査委員会の立ち上げである。議会共和党を中心に独立委員会の立ち上げを求める声が強まっており、9・11同時多発テロに関する調査委員会を率いたフィリップ・ゼリコウは所属するヴァージニア大学で調査を引き受ける用意があると表明している。

 しかし、議会による調査委員会の立ち上げは、米国内政治の影響を強く受けることになるであろう。武漢ウイルス研究所には、米国立衛生研究所(NIH)から、非営利団体エコヘルス・アライアンスを通じて資金提供が行われており、米国民の税金で武漢ウイルス研究所が危険な機能獲得実験を行っていた可能性が指摘されている。

 とりわけ、議会共和党は、NIH傘下のアレルギー感染症研究所のファウチ所長が、エコヘルス・アライアンスのダシャック理事長と共謀して、武漢ウイルス研究所にコウモリウイルスの危険な機能獲得研究を委託した事実を隠蔽しようとしていると批判を強めている。議会民主党は、コロナの発生起源をめぐる問題が政治利用されることを警戒しているため、調査委員会の立ち上げに慎重な姿勢を崩していない。

 中国の隠蔽体質、深まる米中対立、そして米国内政治が、新型コロナウイルスの発生起源の解明を遠ざけている。しかし、次のパンデミックを防ぐために行うべきことはある。
 SARS-CoV-2の発生起源が何であれ、野生動物の売買は禁止されるべきであるし、危険なウイルスの機能獲得に関する規制も強化されるべきである。加えて、国際的な監視体制や情報共有制度、ワクチンや治療薬の開発と配布の枠組みもさらに効果的かつ効率的なものにしていく必要がある。

 バイデン政権による調査に区切りがついたことを機に、これら喫緊の課題により力を入れるべきである。』

中国、ワクチン改良急ぐ

中国、ワクチン改良急ぐ 供給先で接種回避の動き受け
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM175NM0X10C21A8000000/

『中国が自国製の新型コロナウイルス向けワクチンの改良を急いでいる。中国で再び感染が拡大傾向にあることに加え、有効性への不安から、供給した東南アジアや南米などの新興国で接種を避ける動きが広がっている。信頼性を高めなければ、これまで進めてきた「ワクチン外交」にも響きかねないとの焦りが背景にある。

中国の科興控股生物技術(シノバック・バイオテック)は6日、感染力の強いインド型(デルタ型)の変異ウイルス向けに改良したワクチンの臨床試験(治験)と緊急使用を、供給先の国の薬品当局に近く申請する方針だと発表した。3回目の追加接種(ブースター接種)では中国の治験で「強い免疫反応を確認した」という。

中国医薬集団(シノファーム)もデルタ型のワクチンを開発中だ。中国紙・長江日報が16日、報じた。同社の研究所長の段凱氏は「できる限り早く研究を終え、緊急使用を申請したい」と語った。

中国本土でのワクチン接種回数は20億回を超えた。9億人弱が接種を完了したものの、7~8月にはデルタ型の感染者が急増しており、対応が急務だ。

中国は100カ国以上に同国製のワクチンを供給してきたが、相手の国ではいま、欧米製の接種を希望する人が急増しているようだ。

「ファイザーが入荷したと聞いて飛んできた」。22日午後、ブラジル最大の都市サンパウロの薬局に大勢の市民が列をつくり、その中の一人が明かした。同市があるサンパウロ州は接種の直前までワクチンの製造元を明かしていないが、米ファイザー製を扱う接種会場がどこかという情報はSNS(交流サイト)で広がる。この日もファイザー製がなくなると、シノバック製には目もくれず会場を離れる人が目立った。

シノファーム製のワクチン接種が10日に始まったベトナム・ホーチミン市でも、接種会場でシノファーム製を拒否する人々の様子がSNSで拡散する。13日には同市トップのグエン・バン・ネン氏が「本人の同意がなければ(中国製を)接種しない」と表明し、接種を受ける人がワクチンの製造元を選べないというルールを撤回した。

世界保健機関(WHO)によると、いまのシノファーム製ワクチンの有効性は約78%、シノバックは50~84%。90%を超えるファイザーや米モデルナのワクチンに及ばない。中国の感染症専門家、鍾南山氏は20日の国際フォーラムで「中国の(既存)ワクチンはデルタ型への有効性が60%近い」と指摘し、デルタ型に対しては有効性が低下する可能性を示唆した。

インドネシアが調達したワクチンの約8割はシノバック製だ。医師の大半が接種したが、それでも感染による死者が確認された。7月には医療従事者向けにモデルナ製の追加接種を始めた。タイもシノバック製を接種した医療従事者にファイザー製などを追加接種する方針だ。

欧州諸国の多くが入国時に求める「ワクチン証明書」でシノバック製は対象外になっている。トルコでは16日から、中国製を2回接種した人でも、追加でファイザー製を2回接種できることになった。中国製を接種した後で欧州への渡航を求める市民に配慮する。(マニラ=志賀優一、サンパウロ=外山尚之、大連=渡辺伸)』