https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR160770W0A211C2000000
※ この人、フェンシングの金メダリストなんだな…。弁護士資格も有するんだ…。
※ ワクチン開発は、まず見込みが立ったし、治療薬も承認待ちのようだ…。何が何でも、開催の方向に、持っていく流れなんだろう…。
『【パリ=白石透冴】国際オリンピック委員会(IOC)のバッハ会長はオンラインで日本経済新聞のインタビューに応じ、新型コロナウイルスの影響で延期となった東京五輪・パラリンピックが成功裏に実施されるとの感触を得ていると語った。コロナ発生後初の世界的イベントとなるため「大会を通じて、日本が世界の歴史を記すことになる」と意義を強調した。
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バッハ氏は11月に来日し、菅義偉首相らと五輪開催について意見交換した。五輪がうまくいくとの感触を来日時に得たかとの問いに「そう思っている。私は常々、東京は最も準備のできている都市だと言ってきた」と述べ、予定通りの開催を目指す立場を強調した。
日本側は感染対策を徹底し、選手には原則試合など以外で選手村を出ないことを求める方針だ。観客に対しては、会場での大声の会話を禁じるなどの措置を取る。「日本式の入念かつ丁寧な準備が進んでいる。日本政府や東京の決意を目の当たりにした」と準備状況を歓迎した。
東京五輪の開催は2021年7月23日を予定するが、コロナは依然米国や欧州などで猛威を振るう。日本でも感染拡大が続き、開催を疑問視する声も根強い。バッハ氏は「現在はあす飲食店に行けるかどうかもわからない状況だ。確かに8カ月後の五輪がどうなるか分からないという声はある」と一定の理解を示した。
そのうえで「日が近づくにつれて、そういう受け止めは変わっていくだろう」と自信を示した。背景にはワクチン開発の進展などがある。米国や英国、カナダなどは米製薬大手ファイザーと独ビオンテックが開発した新型コロナワクチンを承認している。
IOCは選手にワクチンの強制的な接種は求めないものの、周囲の安全を守るためなどとして実施を呼びかける方針だ。11月に日本で開かれた体操の国際大会で、大規模な感染拡大は防げたとみられることも自信の根拠になっているようだ。
バッハ氏は東京五輪がコロナ発生後最初の世界的イベントになるとの意義を繰り返し強調した。国際会議やスポーツの国際大会は既に開かれているが、全世界から人が集まる場としては初めて。「日本の皆さんは誇りと自信を持って、わくわくしながら五輪の開催国を務めてほしい」と呼びかけた。
コロナ禍でマスクやワクチンの確保を巡り国家間で競争が起き、国際協調が後退したとの見方がある。バッハ氏は「人類の連帯、復興に向けた団結といったメッセージが日本から世界に発信されることになる」と語り、東京五輪が世界融和に向けた象徴的な役割を果たすとの見解を示した。
「私は『歴史的』という言葉はよく注意して使うことにしている。だが東京五輪は歴史的だ。大会を通じて、日本が世界の歴史を記すことになる」と説明した。東京五輪が実現すれば、延期、感染症対策など異例づくしのイベントとなる。
バッハ氏は新型コロナによって世界でスポーツの価値が再認識されたとみている。「これまではみな運動やスポーツの大会を当たり前のものだと考えていた。だが失ってみて、スポーツの価値がさらに認識されるようになった」と振り返った。
コロナ禍による外出制限期間中でも運動で外に出ることは認めていたフランスを例に挙げ「社会におけるスポーツの重要さがわかる」との見方を示した。「東京五輪はこうした価値を再確認する大会となる」と付け加えた。
バッハ氏は元フェンシング選手で、1976年モントリオール五輪の金メダリスト。「IOC会長というのは試練の多い仕事だが、(我々)アスリートは試練を好む。私は職務に情熱を感じているし、試練に立ち向かうことに幸福を感じる」と開催に向け意気込みを語った。
Thomas Bach 1953年旧西ドイツ生まれ。幼少の時にフェンシングを始め、76年モントリオール五輪フェンシング男子フルーレ団体で金メダル。IOC運営に早くから関わり、副会長など経て2013年から現職。21年総会で任期4年の再任が決まる見通し。弁護士資格も持つ。66歳』