まさかの「黒田ライン」割れも 次期首相を襲う実質円安

まさかの「黒田ライン」割れも 次期首相を襲う実質円安
編集委員 清水功哉
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCD170XY0X10C21A9000000/

 ※ 『実質実効相場とは、様々な貿易相手国・地域に対する円相場を貿易額に応じて加重平均した名目実効相場を、海外との物価上昇率の違いに基づいて実質化した値だ。海外より日本のインフレ率が低ければ輸出の際に価格面で有利になると考え、円安になったと見なす。』…。『黒田ライン』…。

 ※ どちらも、知らんかった…。

 ※ 「円の番人」たる日銀は、こういう表には出ない様々な「裏指標」を駆使して、金融政策を舵取りしているんだろう…。

 ※ 世の中、何でも「中の人」じゃないと分からないことがある…。

 ※ そして、そっちの方が重要だったりするものだ…。

『黒田ライン――。外国為替市場にそんな言葉がある。2015年6月10日、黒田東彦日銀総裁が国会で円安けん制と受け止められる発言をした時の相場を指す。ドル・円相場では1ドル=124円台半ばから後半。円の下限と解釈されてきた。

「120円くらいに下がった頃からこれ以上の円下落は望ましくないという議論がメディアや政治家の間でも出ていた」(当時財務省国際局長だった浅川雅嗣アジア開発銀行総裁)。発言は当時のそうした空気とも合致し、相場を反転させた。

だが、話はそこでは終わらない。黒田ラインはもうひとつあり、足元でその水準に近づく「円安」が進んでいるのだ。下落しているのは円の総合的かつ実質的な価値を示すとされる実質実効相場(国際決済銀行が算出)。黒田氏の発言後いったん上昇したあと再び下がった。8月は71程度で黒田ライン(15年6月、68程度)に接近している。

実はこちらが本当の黒田ラインである。黒田総裁発言は、円の実質実効相場がさらに下がることはなさそうだという内容だったからだ。

実質実効相場とは、様々な貿易相手国・地域に対する円相場を貿易額に応じて加重平均した名目実効相場を、海外との物価上昇率の違いに基づいて実質化した値だ。海外より日本のインフレ率が低ければ輸出の際に価格面で有利になると考え、円安になったと見なす。
15年6月当時の実質実効相場は、ドル高(円安)修正を決めた1985年のプラザ合意の時を下回り、73年に為替が変動相場制に移行した頃とほぼ同水準だった。さすがに一段の下げはないだろう。それが黒田氏の発言の趣旨だったのだが、最近の動きはこの予測が外れかねないことを示す。同氏にとって「まさか」だろう。

名目実効相場はドル・円相場と同様に当時より上がっている。それでも実質実効相場がもとに戻ってきた原因は内外の物価上昇率格差。米国はじめ海外の大幅な物価上昇には新型コロナウイルス問題による供給制約など特殊要因もあり、いずれ状況は変わるだろうが、現状マイナス圏の日本の物価がすぐに海外に追いつく展開はなさそうだ。

黒田氏が実質実効相場の反転を予想したのは、異次元金融緩和で経済の体温が上がり物価に上昇圧力がかかると読んだためだろうが、緩和は空回りした印象もある。

実質円安は価格面で日本の輸出競争力を上げうるが、輸出数量の増加を通じて国内雇用を拡大するなどの効果は弱まっていると指摘される。企業の海外生産が増えているからだ。実は実質実効相場が黒田ラインに下がった2015年の日本の貿易収支は赤字だった。

一方日本が海外からモノを買う際の割高感は強まっている。商品相場上昇などで日銀公表の輸入物価指数(円ベース)は急激に上がっている。8月の上昇率は前年同月比29.2%。比較可能な1981年以降で最高という。製品価格に転嫁しにくく企業の体力を奪う。

17日告示された自民党総裁選では事実上次の首相が決まる。コロナ禍が長引く中、誰が選ばれても実質円安の裏側にある経済の低温状態への対処を求められそうだ。

日本経済の体温が上がらない背景には「過去20年間、主要国では平均年収が実質ベースでも15~45%程度伸びたのに日本では増えていない」(JPモルガン・チェース銀行の佐々木融氏)という現実がある。賃上げを可能にするのは経済の成長力で、「成長力強化には生産性の引き上げが重要だ」(ニッセイ基礎研究所の矢嶋康次氏)。日銀が緩和的な金融環境を維持し、それを支援する対応も当面必要だ。

新たな政権と日銀は、名目相場の円高リスクへの目配りを引き続き求められるだろうが、実質相場の黒田ライン割れの防止も重みを増しそうだ。

【関連記事】
・制限緩和、円売りに歯止め? 新政権政策で買い戻しも
・上がらぬ物価・成長率・賃金…チャートでみる空転の20年 』

6月の消費者物価0.2%上昇、2カ月連続プラス

6月の消費者物価0.2%上昇、2カ月連続プラス
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA200PC0Q1A720C2000000/

『総務省が20日発表した6月の消費者物価指数(CPI、2015年=100)によると、変動の大きい生鮮食品を除く総合指数は101.7と前年同月と比べて0.2%上がった。2カ月連続でプラスだった。上げ幅は5月の0.1%を上回った。携帯電話の料金値下げで通信料が大きく下落したが、原油価格の上昇でエネルギー項目で広く上がり、全体を押し上げた。

エネルギー全体では4.6%上昇し、上昇幅は5月(4.2%)から拡大した。ガソリンは17.9%、灯油は21.4%上がった。電気代は1.7%低下したが、原油価格の上昇に伴って5月(マイナス2.9%)と比べて下げ幅が縮んだ。

自然災害の増加などを受けた値上げにより、火災・地震保険料が16.4%上昇した。国産品の牛肉を含む肉類は0.3%上がった。5月と比べても0.4%上昇した。米国や中国での需要増やアルゼンチンによる輸出停止で、牛肉は世界的に供給不足の状態だという。

一方で通信は15.5%下がった。特に携帯大手各社などによる料金引き下げが続いている影響で、携帯電話の通信料は27.9%下がった。下げ幅は5月と同じだった。20年6月に需要が高まり価格が高騰していたマスクを含む保健医療用品・器具は、昨年の反動もあり1.0%低下した。 』

主な情報通信機器の保有状況

主な情報通信機器の保有状況(世帯)
https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r02/html/nd252110.html

『第2節 ICTサービスの利用動向
1 インターネットの利用動向
(1)情報通信機器の保有状況
ア 主な情報通信機器の保有状況(世帯)
●世帯におけるスマートフォンの保有割合が8割を超えた

2019年における世帯の情報通信機器の保有状況をみると、「モバイル端末全体」(96.1%)の内数である「スマートフォン」は83.4%となり初めて8割を超えた。「パソコン」は69.1%、「固定電話」は69.0%となっている(図表5-2-1-1)。』

『イ モバイル端末の保有状況(個人)
●個人におけるスマートフォンの保有率は67.6%となっている。

2019年における個人のモバイル端末の保有状況を見ると、「スマートフォン」の保有者の割合が67.6%となっており、「携帯電話・PHS」(24.1%)よりも43.5ポイント高くなっている。(図表5-2-1-2)。』