トヨタがロシア撤退 侵攻長期化、日本の車大手で初

トヨタがロシア撤退 侵攻長期化、日本の車大手で初
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOFD233BH0T20C22A9000000/

『トヨタ自動車は23日、ロシア事業から撤退すると発表した。ロシアのウクライナ侵攻を受け3月4日からサンクトペテルブルクにある工場を一時停止していた。日本の自動車メーカーが撤退方針を明らかにするのは初めて。ウクライナ侵攻の長期化と地政学リスクの高まりを受けて、事業の整理の決断を迫られる企業が増えそうだ。

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トヨタの長田准執行役員は23日、「ロシア現地法人は譲渡や売却をせずに清算する」とオンラインで記者団に語った。すでに販売している車の保守サービス事業は当面は続けるものの、新車の生産と販売はやめる。

トヨタは「(生産停止から)半年が経過しても生産再開の可能性は見いだせず、このままではトヨタが目指す製品づくりができない」とした。

同社は3月の工場停止以降も約2000人の従業員には設備の保守などに取り組んでもらい、給料を支払ってきた。生産再開が見通せないなか、従業員への退職金の積み増しや、再雇用の支援などに資金を十分に充てられるよう、早期に撤退を判断したという。具体的な手続きや従業員の処遇などの詳細は今後詰める。

トヨタはロシアで2021年、世界生産台数の約1%にあたる8万台を生産、11万台を販売していた。07年からロシア西部のサンクトペテルブルクで現地生産を始め、21年は多目的スポーツ車(SUV)「RAV4」などを生産した。

トヨタ以外では日産自動車がロシア工場の稼働休止を12月末まで延長することを決定。三菱自動車も同様に生産を止めているが、事業の一時休止にとどまり撤退の判断には至っていない。

日産、三菱自と連合を組む仏車大手ルノーは5月、保有するロシア最大手アフトワズの株式約68%を同国政府系機関に売却。ロシア事業から撤退した。6年間の買い戻しオプションが付いているものの、売却額はわずか1ルーブルだった。

飲食店では米マクドナルドや米スターバックスが撤退した。米エール大によると、これまでに1000社以上の企業がロシア事業の休止や縮小を明らかにしている。

【関連記事】

・日産、ロシア工場の稼働休止延長 12月末まで
・ルノー、ロシア撤退で財務悪化に拍車 重要性増す日産

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給与「デジタル払い」解禁へ 知っておきたい10の知識

給与「デジタル払い」解禁へ 知っておきたい10の知識
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOFK085NR0Y1A200C2000000/

 ※ 必ず、「被用者個人の承諾」が必要になるハズだ…。

 ※ 利害得失を、冷静に判断して、自分で決めよう…。

『銀行を介さない給与の「デジタル払い」は、キャッシュレスを加速させるか
日経ビジネス電子版

入社時に特定の金融機関の給与口座を指定され、そのまま普段使いの口座として利用する会社員も多いはず。そんな常識が変わろうとしている。企業が給与について銀行口座を介さず払えるようにする議論が厚生労働省の審議会で進んでいる。「○○ペイ」などを運営する資金移動業者が提供するスマートフォンのアプリでデジタルマネーとして給与を受け取り、即座にスマホ決済ができるようになる。キャッシュレスを加速させる好機になりそうだが、問題点はないのか。整理した。

◇  ◇  ◇

1:そもそも現在の給与支払いのルールはどんなもの?

労働基準法24条では「賃金は、通貨で直接労働者にその全額を支払わなければならない」と規定されている。モノなどの現物支給は禁止されている。細かくいえば、(1)「通貨」で(2)「直接」(3)「全額」を(4)「毎月1回以上」の頻度で(5)「一定期日」に、企業は労働者に給与を払わなければならない。この(1)~(5)は「賃金支払いの5原則」として労基法に定められている。

ただし例外的に、企業と労働者間の同意などがあれば、労働者が指定する銀行その他の金融機関の口座や、証券総合口座への振り込みなどで給料を支払うことが労基法の施行規則で認められている。今では当たり前となっている銀行口座への給与振り込みは、法律上では例外となっている。

2:デジタル給与払いになると、何が変わる?

政府は、給与支払いのデジタル化を解禁する方針を示している。1月28日から厚生労働省労働政策審議会で専門家による議論が始まっている。現在の施行規則を改正し、PayPay(ペイペイ)、LINEペイなどスマートフォン決済サービスなどを提供する「資金移動業者」の口座にも給与を振り込めるようにすることが想定されている。

3:具体的な方法は?

資金移動業者が発行するプリペイド(前払い)式の給与振り込み用カード「ペイロールカード」の導入が想定されている。企業は銀行などの金融機関を経由せずに直接ペイロールカードの口座に振り込むことができる。こうしたペイロールカードをPayPay、LINEペイ、メルペイなどといったキャッシュレス決済事業者のサービスと接続して、給与を残高として扱えるようになれば、買い物でスマホ決済がしやすくなる。ATMなどで現金を引き出すことも可能だ。ちなみに米国では、ペイロールカードがすでに普及している。

4:制度変更の背景は?

菅義偉政権が掲げる政策の目玉の1つに、行政サービスや社会全体のデジタル化の推進が挙げられる。給与は生活資金の基盤となるため、給与払いのデジタル化を解禁することで、社会のキャッシュレス化を加速させるとともに、国全体のデジタル化を促したい狙いがある。日常の買い物シーンでは、QRコードなどを使用したキャッシュレス決済が増えており、現状を踏まえた顧客の利便性を考慮した面もある。

5:メリットは?

利用者のメリットとしては、ATMで現金を引き出す手間を省くことができる。また、銀行口座開設のハードルが高い外国人労働者の報酬受け取り手段として活用できる。定期的な給与払いを求めない労働者の資金ニーズにも柔軟に応えることができる。働いてから報酬振り込みまでの期間が短い方を好む傾向にある、日雇い労働者やアルバイトなどの非正規労働者の利便性が向上する。

企業が導入するメリットも大きい。銀行に毎月給与振り込みをせずにすむため、業務効率の改善や手数料削減効果が期待できる。都度払いや少額払いもしやすくなり、従業員の受け取り手段の多様化に対応できる。また、スマホ決済事業者が実施するキャッシュバックなどの特典を間接的に提供できるようになる。

6:デメリット、問題点は?

最も懸念されているのが、資金移動業者が経営破綻したときの対応だ。どのような仕組みで利用者の資金を保全するかが課題となっている。1月28日に行われた労働政策審議会でも、「資金移動業者が経営破綻などした場合、スムーズな払い戻し、資金保全について懸念がある」と指摘され、論点整理が行われた。議論は始まったばかりだ。

銀行その他の金融機関の場合、破綻した際には預金保険制度が適用され、預金者の口座の元本1000万円が保護される。また、預金者へ速やかに払い戻しされる。一方、資金移動業者は供託などで利用者の資金の全額を保全しなければならないが、資金の取扱額が日々変動している資金移動業者の場合、経営破綻時に保全額が十分ではないこともあり、一部しか資金が戻ってこないケースもある。また、全額を払い戻せる場合でも、確定手続きに半年程度かかることが多い。

給与の確実な支払いを担保するために、本人確認をいかに徹底するかも課題となっている。ハッキングなどによる資金の不正流出やセキュリティー不備による不正送金が起きないようにするといった課題への対応、補償の枠組みの整備も必要だ。

7:銀行口座を介した給与支払いの現状は?

全国銀行協会によると、銀行口座の給与支払額の統計指標はない。国税庁の「民間給与実態統計調査」によると、2019年中に民間事業者が支払った給与の総額は前年比3.6%増の231兆6046億円で、給与所得者数は同1.3%増の5990万人(19年12月末時点)となっている。ほとんどが銀行などの金融機関の口座に振り込まれているとみられ、今回のデジタルマネーによる給与支払い解禁は、年間200兆円超、6000万人弱の給与口座の動向に影響を与える可能性がある。

8:給与口座からの出金のうち、キャッシュレス決済の比率は?

全国銀行協会が主要銀行(みずほ銀行、三菱UFJ銀行、三井住友銀行、りそな銀行、埼玉りそな銀行、ゆうちょ銀行)を対象に調べた「キャッシュレスによる払出し比率の調査」によると、集計対象銀行の口座から引き出された19年の出金額は112兆円。このうち、ATMなどの現金引き出しが全体出金額の48.9%、キャッシュレスによるものが51.1%で、キャッシュレスが現金引き出しを上回っている。キャッシュレスの内訳をみると、クレジット払いなどの口座振替が全体の33.7%を占め、インターネットバンキングでの振り込みが8.8%、ATMからの振り込みが4.1%。年々、キャッシュレス比率は増加傾向にある。

9:銀行界、労働団体の反応は?

顧客基盤の流出にもつながりかねない銀行界からは「顧客との接点機会を失いかねない」との声が上がる一方、「安心して預けられる銀行口座の優位性は変わらない」(メガバンク関係者)という見方や、「月何十万円もスマホアプリに給与として送金してほしいという労働者がそれほど多くいるとは思えない」(同)と冷静に捉える声も出ている。とはいっても資金移動業者が銀行の経営基盤を揺るがす脅威の存在となりうることから、危機感は大きい。

労働団体からは急速な制度変更に対する懸念の声が上がる。日本労働組合総連合会(連合)は1月28日に会見を開き、資金移動業者が経営破綻した際の顧客保護の整備が不十分としたうえで、「労働者の生活の糧である賃金の支払い方法は安全で確実な方法でなければならない」などと述べるなど、今回の制度改正に現時点で反対の立場を取っている。

10:資金移動業者を監督する金融庁はどうみている?

資金移動業者を監督する金融庁は「資金決済法に基づいて引き続きモニタリングする」として厚生労働省との連携を密にして対応する考えだ。利用者の資金保全については、現時点では、今の資金決済法のスキーム(供託などで全額保全)に基づいて監督していくとしている。20年の資金決済法改正によって現行類型(送金総額1件あたり100万円)に、少額類型(同5万円)、高額類型(上限なし)を加え、送金額に応じた規制を適用することになり、よりきめ細かく監督するようになった。資金移動業者の数は80(20年12月時点)。金融庁は「資金移動業者といってもさまざまある。今回のデジタルマネーによる給与振り込みに関しては、不正送金など何か起きたときのインパクトは大きい。こうしたリスクをみて、ペイロールカードを発行する業者についてはより重点的にみていくことはある」として、今後、監督を強化する可能性もあるとしている。

(日経ビジネス 小原擁、武田安恵)

[日経ビジネス電子版 2021年2月5日の記事を再構成]

【関連記事】

・給与デジタル払い21年春解禁、銀行口座介さず 政府方針
・銀行、「中抜き」に警戒感 給与のデジタル払い解禁 』

PayPayや楽天ペイ、デジタル給与「受取口座」参入検討

PayPayや楽天ペイ、デジタル給与「受取口座」参入検討
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB131MP013092022000000/

『2021年2月10日 2:00 (2021年2月10日 4:48更新)

スマートフォンアプリなどを使うデジタルマネーによる給与の振り込みが2023年春にも解禁される。スマホ決済会社のPayPayや楽天グループの「楽天ペイ」は、デジタル給与の受け取りサービスへの参入を検討していることを明らかにした。給与口座を銀行以外でも作れるようになり、フィンテックが消費者の人生設計に食い込むチャンスが広がる。

デジタル給与の受け取りサービスには、2023年にもスマホ決済を始めるJCBも参入を検討している。メルカリのメルペイも「前向きに検討する」という。スタートアップではKyash(キャッシュ、東京・港)のほか、デジタル通貨決済のソラミツ(東京・渋谷)が関連会社を通じて参入するとしている。

スマホ決済アプリをデジタル給与の受取口座として使えるようになれば、利用者はその都度お金をチャージする手間が省ける。スマホ決済企業は家族同士の送金や外国人労働者の口座開設需要を取り込める。金融商品なども提案しやすくなる。

ソラミツの宮沢和正社長は「サービスの設計次第では給与振り込みを月1回ではなく、週1回など細かく設計できるようになる可能性がある」と話す。デジタル給与の口座を獲得するためにポイント付与などの競争が激しくなりそうだ。

課題もある。政府はサービスを提供する企業が破綻した場合に備え、個人が預けた資金の残高の全額を保証する仕組みの導入を義務付ける。

銀行などの預金には、金融機関が預金保険料を預金保険機構に支払い、金融機関が破綻した場合、一定額の預金等を保護する預金保険制度という仕組みがある。預金者1人につき1金融機関ごとに普通預金や定期預金などの元本1000万円とその利息が保護される。

一方、スマホ決済アプリの口座でデジタル給与を受け取る場合、預金保険制度を使えない。もともとスマホ決済アプリなどにチャージしたお金は供託などで保全されているケースがあるが、取扱額が日々変動していることから、経営破綻時に必要な金額が確保されていないこともありうる。

東京海上日動火災保険などの損保大手4社は、スマホ決済アプリの口座で受け取ったデジタル給与を保証する保険の開発を検討する。ただ損保などが個別で商品を開発すれば「保険料率は1%は超える」(損保幹部)との声もあり、利用企業にとっては負担が大きくなる可能性がある。

あるスマホ決済企業の社長は「全額保証することを義務付けられるなら、デジタル給与の受け取りサービスへの参入を断念する」と話す。今後は複数の決済業者や業界全体で保証する枠組みをつくるなどの対応が求められそうだ。

(フィンテックエディター 関口慶太、手塚悟史、岩田夏実、四方雅之)

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・デジタル給与23年春解禁へ 口座上限100万円で全額保証
・給与「デジタル払い」解禁へ 知っておきたい10の知識

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リクルート、デジタル給与参入検討 中小企業の利用照準

リクルート、デジタル給与参入検討 中小企業の利用照準
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC304330Q2A830C2000000/

『2022年9月13日 20:59

リクルートホールディングス(HD)がデジタルマネーによる給与の支払いサービス参入の検討に入った。2023年春にも解禁されて仕組みなどが整い次第、提供を目指す。スマートフォン決済「PayPay(ペイペイ)」のソフトバンクグループなども参入を検討する。銀行口座でなくスマホで会社から給与を受け取れるサービスが広がる可能性が高まる。

デジタル給与では会社が従業員のスマホ決済アプリなどに賃金を振り込める。これまでは現金払いが原則で、銀行や証券総合口座への振り込みが例外的に認められていた。厚生労働省は省令を改正し、早ければ来春にもスマホ決済会社など資金移動業者の口座への支払いを解禁する。

事業会社リクルート社長の北村吉弘氏は「給与の銀行振り込みを簡単にするほか、デジタルマネーなどでの支払い方法も考えていきたい」と話す。中小企業に照準を合わせ、給与の計算を簡単にできる機能なども想定している。

リクルートHDは飲食店や小売店の業務効率化を支援するクラウドサービスを提供している。またキャッシュレス決済端末「Airペイ」のほか、4月には最大100万円まで運転資金をオンラインで提供する「Airキャッシュ」も開始。融資などを媒介する金融サービス仲介業の登録も完了している。

デジタルマネーで会社が従業員のスマホ決済アプリに給与を即座に送金できるようになれば、支払業務を効率化できる。従業員にとっても、ATMなどから給与を引き出す手間が省ける。銀行口座を持たない外国人などへも給与を支払いやすくなり、人手不足の解消にもつながる。

デジタル給与を受け取る口座を提供する企業としては、ペイペイのほか「楽天ペイ」の楽天グループや「メルペイ」のメルカリなど、スマホ決済各社が参入を検討している。23年にもスマホ決済を始めるJCBのほか、スタートアップのKyash(キャッシュ、東京・港)なども参入を検討している。

受取口座の選択肢の広がりに加えて、リクルートHDのように給与を支払う会社側の業務も効率化するサービスが登場すれば、デジタル給与の導入に拍車がかかる可能性がある

リクルートHDは2013年に、POS(販売時点情報管理)レジ機能をタブレット端末とアプリで実現する「Airレジ」の提供を開始。その後、レジの周辺業務にもサービスを広げてきた。デジタル給与はAirペイやAirキャッシュも含めた金融サービス拡充の一環となる。

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・デジタル給与23年春解禁へ 口座上限100万円で全額保証
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INPEX、新潟で新ガス田を開発へ 26年めどに商業化

INPEX、新潟で新ガス田を開発へ 26年めどに商業化
【イブニングスクープ】
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC13D7A0T10C22A9000000/

『INPEXは11月から新潟県内でガス田の探鉱を始める。商業化できる埋蔵量を確認できれば、2026年にも生産を始める計画だ。新規の天然ガス田が26年に稼働すれば同社として国内で16年ぶり。石油資源開発も23年に新潟県のガス田での増産を計画する。日本は天然ガス調達のほぼ全量を輸入に頼っている。ウクライナ危機を発端として資源価格が高騰するなか、国内での新規開発を通じて安定調達につなげる。

INPEXは国内最大級の生産量がある南長岡ガス田(新潟県長岡市)の北側にある南関原地区で天然ガスの埋蔵を確認しており、23年6月まで現地で試掘調査を実施する。採算性が見込めれば、商業生産に移行する考えだ。生産見込み量や投資額は非開示。採掘した天然ガスは既存のプラントで処理し不純物などを取り除く。INPEXは事業化のめどがたち次第、パイプラインの建設工事も本格化させる。

同社が新規ガス田で生産を始めれば、10年の「南長岡AF-13」ガス田以来となる。南長岡ガス田の生産量は21年度実績で11億立方メートル。液化天然ガス(LNG)換算では80万トン分と日本の年間LNG輸入量の1%強に相当する。だが生産開始から時間がたち、直近ピークだった08年度の15億立方メートルから減少している。新たなガス田の開発で、供給量の維持、拡大を狙う。

競合他社も国内での天然ガス田の開発に動く。石油資源開発は片貝ガス田(新潟県小千谷市)で22年7月から生産量を維持するための掘削を始め、23年後半から新たな井戸での生産を開始する予定だ。同社として国内での新たな井戸の稼働は3年ぶり。片貝ガス田では20年度で年間3億5000万立方メートルの天然ガスを生産しているが、新たな井戸により供給量を積み増す。

経済産業省は21年10月に閣議決定したエネルギー基本計画で、国内開発と日本企業が海外で権益をもつ割合を合わせた石油・天然ガスの自主開発比率を19年度の35%から40年に60%以上に高める目標を掲げた。

ウクライナ危機以降、調達不安が広がるLNGは世界で争奪戦となっており、価格も高騰している。貿易統計によると円安進行や資源高で足元のLNGの調達額は前年同期比2倍程度になった。スポット(随時契約)価格も1年前の数倍の水準で、家庭や法人向けの電力・ガス料金も上昇している。国内での増産や海外権益の拡大が進めば、家計や企業の負担軽減につながる可能性もある。

脱炭素の流れもあって世界では資源開発投資に逆風が吹く。天然ガスは化石燃料の中では二酸化炭素(CO2)排出が少なく、脱炭素への移行期の燃料として重要性が高まっている。

【関連記事】

・INPEX・JOGMECなど、CO2貯留可能性を新潟県で研究
・INPEX、国内約30年ぶり海洋ガス田「事業性なし」

イブニングスクープ
翌日の朝刊に掲載するホットな独自ニュースやコラムを平日の午後6時頃に配信します。

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売上高純利益率、高い中堅企業は 1位は「手間いらず」

売上高純利益率、高い中堅企業は 1位は「手間いらず」
NEXT Company
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC02CBA0S2A900C2000000/

『日本経済新聞社は売上高300億円以下の中堅上場企業「NEXT Company」を対象に、稼ぐ力を示す売上高純利益率の3年平均を調べた。高い順にランキングしたところ、首位は宿泊施設向け予約管理システムを手掛ける手間いらずだった。デジタル化や先端技術を通じて顧客の生産性向上を支援する企業が上位に目立つ。未知の感染症や地政学リスクといった荒波を背に各社が変革に挑み、高収益の獲得につながっている。

「新型コロナウイルス下で旅行需要は急減したが、当社への引き合いは強いままだ」。手間いらずの渡辺哲男社長はこう力を込める。過去3年の売上高純利益率平均は47%と、コロナ下でも驚異的な数値をたたき出す。その秘密は、宿泊予約サイトを一元管理するソフトにある。

一般に、ホテルが複数の宿泊サイトに登録した場合、どのサイトでどれだけの予約があるのか確認する必要がある。ダブルブッキングや売れ残りは極力回避したいが、全てを管理すると作業が煩雑すぎる。この悩みを解消したのが「サイトコントローラー」と呼ばれるソフトだ。

各サイトの予約状況や在庫数を集約し、一つの画面で管理できる。在庫数に応じて自動で価格を調整するなど、顧客の利益を向上させる機能もある。デジタル化に伴う予約サイトの乱立や訪日観光客の急増を背景に導入が加速した。

コロナ禍に伴う観光客の激減は、手間いらずにとっても強い逆風となった。大きな波を乗り切るため、国内の予約サイトとの接続数を増やすなどの施策を講じ、顧客の裾野を広げる機会になった。

固定費の負担が軽いことも利益面での強みだ。従業員数は30人程度と小規模なほか、ソフトはクラウドで提供するためコストが膨らみにくい特性がある。

手間いらずは渡辺社長が2003年に設立した比較サイト運営企業を前身とする。利用施設数は約4000に達し、市場シェアは3割(同社推定)と国内でトップクラスだ。

今後はコロナ対策の緩和で事業環境が好転しそうだが、課題も横たわる。導入数の増大が処理システムを圧迫しているからだ。開発人材は不足気味で「1年先まで仕事が埋まっている状況」(渡辺社長)という。開発部門の増員や設備投資で機能に磨きをかけ、さらなる成長に備える。

3位のトリケミカル研究所は化学材料を手掛け、売り上げの大半を半導体材料が占める。スマホの高性能化や自動車の電動化などの需要を取り込み、22年1月期の連結純利益は40億円と過去最高を更新した。

コロナ下でも高い利益率を維持したが、道のりは平たんではなかった。半導体需要は堅調だったものの、その分他社との競争が厳しくなったほか、顧客からは一層の微細化を求められるなど要求が厳しくなった。こうした環境を背景に技術を磨き、競争力を向上したことが寄与した。

得意とするのが絶縁膜材料「High-k(ハイケー)」で、世界トップクラスのシェアを誇る。半導体ウエハーに近い一部の層で使われ、回路の線幅が縮小しても電流を通しにくい特性がある。値下げ圧力が働きにくいことも高利益率を支えている。

8位のMS-Japanは弁護士や公認会計士といった「士業」や経理・人事など企業の管理部門に特化した転職支援サービスを扱う。主力は法改正やセミナーなどの情報を発信する自社サイトだ。サイト経由で登録者を獲得し、広告宣伝費などを抑えて高い利益率を保つ。ニッチ市場ながら高いシェアを確保する。

専門人材の不足は深刻で、業界認知度の高い同社には追い風だ。求職者の利便性を高めるべく支援体制を整備しており、より効率的に業績を伸ばす考えだ。

戦略を聞く:エニグモの須田将啓CEO ブランド品EC、世界で勝負
エニグモの須田将啓CEO

エニグモは輸入代行サイト「BUYMA(バイマ)」を運営する。世界168カ国在住の20万人弱の個人がサイトに登録し、現地でブランド品を購入して日本の消費者に販売する。個人間取引のため、店舗販売の輸入品に比べて割安に購入できるのが特徴だ。会員数は7月末に1000万人の大台に乗せた。

須田将啓最高経営責任者(CEO)は博報堂を経て2004年に創業した。米国から輸入されたサーフボードの販売価格が現地に比べ数倍だった点に注目。海外の日本人が現地で購入し、それを国内の消費者に直接販売する仕組みで価格を抑えられると考えた。

22年1月期の取扱高は676億円と3年前から49%増えた。新型コロナウイルス下で巣ごもり消費が拡大している。仲介手数料が主な収益源で、取扱高が増えるほど採算性が高まりやすい。過去3期の売上高純利益率の平均は約29%に達した。

今後の成長戦略に掲げるのが米国を中心とした海外市場の開拓だ。顧客基盤を拡充するため、今期からM&A(合併・買収)や提携などを積極化する。須田CEOは「安定して利益を出せるようになり、グローバルで勝負できるベンチャーを目指す」と意気込む。
直近売上高が300億円以下の上場企業約2000社(決算期変更など除く)が対象。3期分の売上高純利益率を8月時点で算出。いずれかで最終赤字を計上した、ないしは直近に減収だった企業は除いた。

FOCUS注目企業:HYUGA PRIMARY CARE 訪問薬局、コンサルに商機

HYUGA PRIMARY CARE(ヒュウガプライマリケア)は福岡市や首都圏中心に調剤薬局を運営する。柱は薬剤師が患者の自宅に足を運ぶ訪問薬局事業で、依頼があれば24時間365日対応するのが特長。高齢化の進展も支えに業績を伸ばしており、2022年3月期の単独売上高は57億円と3年前に比べて70%増、税引き利益は3億円と20倍超に増えた。

同社は薬剤師で製薬会社に勤めていた黒木哲史社長が07年に設立した。高齢者が自宅でも調剤薬局のサービスを受けられるようにとの思いがあったという。21年12月に東証マザーズ(現グロース)に上場した。

強さの秘訣は同一地域に集中出店する戦略にある。3.5キロの半径を目安に出店し、地域の患者に切れ目なく対応する。通常よりも待合室を狭くする代わりに調剤室を広げ、薬を作る機械や人員などに余裕を持たすなどの工夫も凝らす。顧客ニーズを的確に取り込み、足元の店舗数は38店舗、在宅患者数は約8000人にのぼる。

中期経営計画として25年3月期に売上高90億円以上、経常利益率13%以上との目標を掲げる。訪問薬局事業のさらなる拡大に加え、他の薬局に経営助言するきらりプライム事業の成長がポイントになる。

訪問薬局で培った運営ノウハウや人材研修などを加盟店に提供し、同社は手数料を受け取る。薬局事業のように資産を持たないため収益率が高いのが特徴。3月末時点の加盟店舗数は約1100あり、これを25年3月期までに3000以上に拡大する算段だ。利便性の高いサービスをどれだけ提供できるのかが大きな課題となる。

NEXT Company https://www.nikkei.com/theme/?dw=18C31500

直近決算期の売上高が300億円以下の中堅上場企業約1900社(金融など除く)について、株式市場に成長を期待される企業をさまざまな切り口から探ります。(2022年5月、売上高100億円以下の「NEXT1000」からリニューアルしました)

売上高純利益率、高い中堅企業は 1位は「手間いらず」(18日 18:00)
メタバース、ライブ「触って」堪能 浸透促す中堅企業は(8月28日) 』

なぜAOKIは“うまみ”の少ない五輪のために、「危ない橋」を渡ったのか

なぜAOKIは“うまみ”の少ない五輪のために、「危ない橋」を渡ったのか
スピン経済の歩き方
2022年09月13日 10時57分 公開
https://www.itmedia.co.jp/business/articles/2209/13/news075.html

 ※ 今日は、こんなところで…。

 ※ 「タコ壺社会」からの、「圧力」に抗しきれなかったんじゃないか…。

 ※ 日本社会は、ある意味、無数の「タコ壺」から構成されているとも言える…。

 ※ ギョーカイとは、「タコ壺」により構成されている社会のことだ…。

 ※ 「タコ壺」及び「それを、取りまく界隈」は、あまりに「心地よく、ウットリするくらい安穏」だ…。

 ※ 「タコ」は、「タコ壺」に籠っている限り、惰眠を貪り続けられる…。

 ※ 外の世界に、どんなに「波風」が立とうと、「タコ壺」には影響しない…。

 ※ こういう「タコ壺」は、数限りなく存在する…。

 ※ 経済界、産業界、官界、政界、労働会、教育界、医師会、歯科医師会、獣医師界、介護業界…。

 ※ そういう「タコ壺」業界を、「票田」として組織化し、まとめ上げているのが、「某政党」だ…。

 ※ 選挙ともなれば、巨大な「集票マシーン」として機能する…。

 ※ 今日も今日とて、タコ達の惰眠の「寝息」が、聞こえてくるな…。

 ※ 「タコ壺化」は、別に「山岳地帯」の「専売特許」じゃ無いんだ…。

『先週、紳士服大手AOKIの前会長・青木拡憲氏が贈賄疑惑を認め始めた、とマスコミ各社が報じた。

 東京2020組織委員会の元理事・高橋治之氏に便宜を図ってもらうように依頼をして資金提供したことを認め、その理由を「組織委内で重要な立場にいたため」などと供述したというのだ。

贈賄容疑で逮捕されたことを受け、AOKIホールディングスがコメント(出典:AOKIホールディングス)

 「でしょうね」というリアクションの人も多いかもしれない。東京五輪は招致段階から多くの専門家が「裏金が飛び交う“利権の祭典”になる」と予想しており、ここにいたるまでさまざま「疑惑」が浮かんでは消えを繰り返してきたからだ。

 例えば、本連載でも『なぜ大手マスコミは「電通の疑惑」を報じないのか 東京五輪の裏金問題』(16年5月24日)で紹介しているが、英・ガーディアン紙が東京五輪の裏金疑惑を報じ、大手広告代理店・電通の関与も指摘された。同社は「スポーツビジネスの第一人者」と言われる高橋元理事の古巣だ。

 ちなみに、IOC幹部に日本の裏金が配られていたとされていたとき、JOCの副会長として存在感を示していたのは、田中英壽・日大前理事長。不透明な金銭授与が問題視され、東京地検特捜部に脱税で逮捕された「日大のドン」が絶大な影響力があったということからも、五輪の内幕でどういう類いの「カネ」が飛び交っていたのかは容易に想像できよう。
トラブルが続いた東京オリンピックは、閉幕後も(写真提供:ゲッティイメージズ)

 そんな「五輪汚職」の全貌については、これから少しでも明らかになっていくことを期待したいが、ビジネスパーソンとして気になるのは、そんな利権争奪戦の内情より、こんなシンプルな疑問ではないか。

 なぜAOKIは“うまみ”の少ない五輪ライセンス商品のために、企業の社会的信用を失墜させるような「危ない橋」を渡ろうと思ったのか――。』

『「費用対効果」の低い五輪ライセンス商品

 ご存じの方も多いだろうが、五輪ライセンス商品は言うほど「バカ売れ」するようなモノではない。例えば、五輪・パラリンピックの国内最上位スポンサーにあたる「ゴールドパートナー」だったスポーツ用品大手のアシックスは、日本選手団が表彰式で着用したウェアやボランティアのユニホーム、公式応援Tシャツなどを手がけたが、売れ行きは芳しくなく、オリパラ関連の収支が赤字だったと明らかにしている。

 もちろん、これは「無観客五輪」によって、会場周辺でTシャツやらを販売できなかった影響もあるのだが、そもそも日本の消費者が「五輪ライセンス商品」にそこまで思い入れがないことも大きい。

 野村総合研究所が閉会式直後に全国の20~60代の男女3564人に実施したアンケート調査では、オリンピックを機に「東京2020オリンピック大会関連グッズ(Tシャツ、キーホルダー、ポスターなど)」を購入したのはわずか2.6%しかいなかった。そして注目すべきは、実に91.7%が「東京2020オリンピック大会を機に購入した商品はない」と回答しているのだ。
東京2020オリンピックを機に買ったもの(出典:野村総合研究所)

 賛否はあったが、いざやったら国民の多くはメダルラッシュに大盛り上がりで「夢をありがとう」と感動をする人もたくさんいた。が、だからと言って、五輪エンブレムがついた商品を爆買したり、お祭りムードに浮かれて財布のヒモが緩んだりするほど、消費者は単純ではないのだ。

 このようなシビアな現実から、スポンサー企業の「費用対効果」の悪さも指摘されていた。IOCや組織委員会に多額のスポンサー料を払ったところで宣伝効果も微妙で、ブランドイメージが爆上がりするわけでもない。ましてや「実利」も少ないとなれば当然だろう。

 そんな「費用対効果の悪い五輪」に、「裏金」まで突っ込むAOKI経営陣の判断にモヤモヤする人も多いのではないか。
東京オリンピックのスポンサーになることのメリットは?(出典:野村総合研究所)

 国立競技場の工事を落札するとか、警備業務のすべてを受注するという超巨大事業ならば、決定権のある人間とズブズブに癒着することは、構図としては理解できる。許されることではないが、営利企業として「危ない橋」を渡るだけの見返りがあるからだ。

 ただ、AOKIが便宜を図ってもらおうとしたのは「スーツ」だ。正直、そこまで巨大なカネを生むものではない。また、スポーツアパレルならばアスリートの活躍でドカンと売れるかもしれないが、「メダルに感動したからスーツを買おう」という発想にはなりづらい。つまり、逮捕覚悟で汚職をするほど「うまみ」がないように見える。』

『五輪のスーツはビミョーな結果に

 実際、高橋元理事に販売期間の延長を依頼したという「東京2020オリンピックエンブレムスーツ」も汚職をしたわりには、かなりビミョーな結果となっている。

 AOKIでは19年8月から「東京2020オリンピックエンブレム ストレッチウォッシャブルスーツ」(3万9000円)などの”東京2020公式ライセンス商品”を発売しており、販売数は累計3万着を突破したという。特に盛り上がったのがやはり五輪本番だ。

 『東京2020オリンピックエンブレムスーツの受注が高まっており、開催前と比較し、販売着数は約1.2倍と大変ご好評をいただいております』(21年7月29日プレスリリース)
東京2020オリンピックエンブレム ストレッチウォッシャブルスーツ(出典:AOKI)
(出典:AOKI)

 ここだけ聞くと「汚職効果」があったように感じるだろうが、紳士服大手として真っ当に勝負をしているスーツと比べると、この「3万着」はかなり見劣りする。それは20年11月に発売以降、大ヒットをしている「パジャマスーツ」だ。

 これはパジャマの快適さとスーツのフォーマルさを兼ね備えたセットアップスタイルで、8000円台で購入できるという手頃さもあって、22年春までに累計販売数は10万着を超えている。高額なオフィシャルサポーター料や高橋元理事に賄賂を払うカネがあるのなら、「パジャマスーツ」のような時代に合わせた新商品の開発に投資をしたほうがはるかに堅実だし、費用対効果があるように思えてしまうだろう。

 「異業種参入組」の動きをみても、そのような結論にならざるを得ない。

 例えば、18年3月から販売され人気を博しているスーツ型作業着「ワークウェアスーツ(WWS)」はコロナ禍でも支持されており、21年5月には前年同月比1000%という売り上げとなり、これまでの累計販売数は15万着を超えた。
ワークマンの「リバーシブルワークスーツ」が売れている(出典:ワークマン)

 また、ワークマンは21年2月に同社初のスーツ「SOLOTEX 使用リバーシブルワークスーツ」(上下セットで4800円)、3月に「高通気」で夏向きの「DotAir 使用リバーシブルワークスーツ」(同4800円)を15万着限定で生産したところ、ともに店舗入荷後に即完売している。

 確かに、これらの機能性スーツよりも「東京2020オリンピックエンブレムスーツ」は高額だ。しかし、そのぶんだけ高額な五輪ライセンス料を払わないといけないし、高橋元理事に賄賂も払わないといけない。しかも、販売期間は決められている。

 社会的信用を失墜させる恐れのある汚職で高価格帯のスーツを3万着売るよりも、マーケティングや素材開発に投資して、廉価なスーツを10万着売っていくほうがどう考えても経済的だ。なぜAOKIの経営陣は、そんな当たり前の判断ができなかったのか。』

『「東京五輪」という妄想

 このような話をすると、「これだから素人は困る、五輪のオフィシャルサポーターをしています、という宣伝効果はカネには換え難いものがあるのだ」とか「グッズがそんなに売れなくてもブランドイメージや社会的信用度が増すことを考えれば安いと判断したのでは」と主張される方もいらっしゃるだろう。

 ただ、本件で筆者が理解に苦しむのは、まさしくそこなのだ。というのも、AOKIの元会長らは、東京五輪に対して国内外からダーティーなイメージが定着してから汚職に踏み切っているからだ。
(写真提供:ゲッティイメージズ)

 東京地検特捜部の逮捕容疑によれば、AOKIが高橋元理事にオフィシャルサポーター契約や公式ライセンス商品の販売契約で便宜を図って欲しいと依頼をしたのは17年1月からで、実際に「コンサル料」なる賄賂を払い始めるのは同年10月からだ。

 先ほども申し上げたように、16年5月から国内外のメディアがJOCや電通の「五輪裏金疑惑」を追及している。つまり、AOKIの元会長らは、世間に「五輪の裏にはきな臭い話が山ほどあるんだな」というイメージが急速に広まりつつあったタイミングに、疑惑の渦中にあった高橋元理事の汚職に本格的に関与し始めているのだ。

 「大胆不敵」というべきか、「自分たちは何をしても許される特権階級だ」などと思い込んでいるのでは、と不安になってしまうほどのモラルの壊れっぷりだ。

 AOKIほどの大企業の経営陣がなぜこんな大逆風の中、メディアからも疑惑の目を向けられていた高橋元理事に裏金を払おうと決断したのか。なぜ「うまみ」の少ないライセンス商品を、犯罪に手を染めてまで売ろうと思ったのか。

 これから捜査や司法の場で、ご本人たちの言葉で語られるだろうが、本質的なところで言ってしまうと、経営陣の皆さんが「昭和の妄想」を引きずっていたことが大きいのではないかと個人的には感じている。

 それは一言で言ってしまうと、「オリンピックをやると景気が良くなって日本経済も復活する」という妄想だ。学校の近代史の授業などでも、1964年の東京五輪というのは、日本が戦後の復興から、世界第2位の経済大国に成長をしたきっかけになったイベントとして教えられる。』

『自分たちが好むサクセスストーリーに

 東京五輪開催に合わせて、新幹線や高速道路などのインフラが整備されカラーテレビも普及したことで、景気が良くなった。それが高度経済成長期の起爆剤になった――というのが定番のストーリーだが、実はこれはまったくの妄想だ。日本人がよくやる「まったく関係のない2つの出来事を結びつけて、自分たちが好むサクセスストーリーにする」という悪い癖が出てしまった「後付けのストーリー」だ。

 そもそもオリンピックで経済成長するなんてムシのいい話があるのなら、世界は「経済大国」であふれているはずだが、現実はそうなっていない。むしろ、過去のオリンピック開催国を見れば、公共事業などの建設バブルと観光ビジネスを瞬間風速的に生むが、その後は反動で「五輪不況」に陥るのがお約束で、競技施設は大赤字を生んで廃墟になったりする。近年では、リオデジャネイロがいい例だ。
東京2020オリンピックエンブレム ストレッチウォッシャブルスーツ(出典:AOKI)

 マスコミはあまり触れないが、実は日本も1964年の東京五輪後に不況になっている。しかし、その4年後、1968年に西ドイツのGDPを抜いて、世界第2位の経済大国になった。これは「五輪の奇跡」でもなんでもない。

 このとき、日本のマスコミは技術大国として国際社会で知られた西ドイツを抜いたので、「日本の技術は世界一ィ」と狂喜乱舞したが、この年に抜いたのは人口だ。先進国やある程度の規模まで成長した国の場合、GDPは人口に比例をする。

 今、中国のGDPは日本の3倍程度まで成長しているが、これは中国の技術力が日本の3倍になったからだと思っている日本人はいないだろう。単純に人口が圧倒的に多いので、経済水準が上がるとGDPもドカンと跳ね上がっているだけだ。

 高度経済成長期の日本も同じことが起きただけに過ぎないが、多くの日本人は「自分たちは特別!」という思いが強いので、「人口増」という客観的な事実から目をそらし、「チームワーク」「技術力」「労働者が勤勉」という精神論と経済を結びつけてしまった。
「五輪の奇跡」はあったのか

 オリンピックもその一つだ。巨大スポーツイベントなので建設バブルや消費が瞬間風速的に膨らむが、薬物でドーピングしているようなものなので反動ですぐに不況に陥る。もちろん、このイベントに合わせて企業の技術革新や新しいビジネスが生まれるというメリットもあるが、それらは五輪が「マスト」というものでもない。事実、GAFAはアトランタ五輪で生まれたものではないし、中国経済の発展は北京五輪のおかげではない。

 しかし、前回の東京五輪を経験したあの時の「熱気」を体験した世代は、オリンピックをやれば日本全体が元気になって経済も良くなってあらゆる問題が解決をするという「幻想」を抱いてしまう。青木前会長もその1人だ。』

『ムシのいい話なんてない

 日立ハイテクが運営するWebメディア『minsaku』で連載された、ノンフィクション作家・野地秩嘉氏の「TOKYOオリンピック2020と技術レガシー」では、AOKIの公式ユニフォームについても紹介されており、そこでは若かりし日の青木前会長が1964年の東京五輪を観戦した際に、「いつか商売を成功させて、オリンピックの審判団の服を作りたい」という思いを抱いたことが紹介されている。

 『決勝の後、席を立つ観客もいたが、青木は審判団を見ていた。いや、審判が着る制服と帽子をじっと見ていた。

 「スマートで、かっこよかった。オレは今は行商だ。だが、いつか商売を成功させて、オリンピックの審判団の服を作りたい」』(参照リンク)

 断っておくが、このような夢を持つことが悪いことなどと言っているわけではない。これがAOKIを一代であれほど大きくさせた原動力のひとつになったわけなのだから、1964年の東京五輪は、当時の日本人に「夢」を抱かせる有意義なスポーツイベントだったのだとも感じる。

 が、その「夢」への強すぎる思いが、経営者としての目を曇らせてしまったのではないか、と指摘したいのだ。

 ここまで紹介したように、五輪にはその国が抱える構造的な不況を解決させるような神通力はない。そこにいくら大金を突っ込んでも利権を握る一部の人々が潤うだけで、国民の生活は豊かにならない。1964年のときのように、スポンサー企業が五輪をきっかけに急成長なんてムシのいい話もない。

 青木前会長のような有能な経営者がそれを分からないわけがない。にもかかわらず、あのように「うまみ」もない、リスクしかないような「汚職」に手を染めてしまった。「夢」への強い執着が状況判断を狂わせたとしか思えない。

 今回の事件からビジネスパーソンが学べることは、五輪、万博、IR(カジノを含む統合リゾート)、さらには経済安全保障なんていう「巨大利権」にいっちょかみをしたところで、苦労の割にはそれほど大もうけはできないということだ。』

『現時点の登場人物を見ると

 今では信じられないだろうが、10年前は立派な経済人たちが大真面目で「東京五輪で日本経済復活!」「東京五輪をきっかけに日本は再び高度経済成長期になる」なんて言っていた。だが、五輪をしても日本経済は何も変わっていない。「コロナが悪い」「五輪反対派のせいだ」といろいろ言い訳をする人もいるだろうが、シンプルに人口減少で国力が落ちている今の日本では、昭和のような「利権でメシを食う」というビジネスモデルが成立しなくなっているだけの話なのだ。

 “五輪汚職”がどこまで広がるかは分からないが、現時点の登場人物を見る限り、紳士服、出版、駐車場という「人口減」のあおりをモロに受けている企業ばかりだ。

 これが今の日本経済を象徴している。巨大利権に頼っても、経済は決して良くならないということだ。国民もいい加減そろそろ「五輪」に過剰な期待をのっけるのはやめるべきではないか。

窪田順生氏のプロフィール:

 テレビ情報番組制作、週刊誌記者、新聞記者、月刊誌編集者を経て現在はノンフィクションライターとして週刊誌や月刊誌へ寄稿する傍ら、報道対策アドバイザーとしても活動。これまで300件以上の広報コンサルティングやメディアトレーニング(取材対応トレーニング)を行う。

 近著に愛国報道の問題点を検証した『「愛国」という名の亡国論 「日本人すごい」が日本をダメにする』(さくら舎)。このほか、本連載の人気記事をまとめた『バカ売れ法則大全』(共著/SBクリエイティブ)、『スピンドクター “モミ消しのプロ”が駆使する「情報操作」の技術』(講談社α文庫)など。『14階段――検証 新潟少女9年2カ月監禁事件』(小学館)で第12回小学館ノンフィクション大賞優秀賞を受賞。』

京大スタートアップが拓く、核融合発電の時代

京大スタートアップが拓く、核融合発電の時代
https://www.technologyreview.jp/s/285517/kyoto-university-startup-pioneers-the-era-of-fusion-power-generation/

『究極のエネルギーと言われ、長年にわたって研究されてきた核融合発電。この実用化に向けて関連技術の開発に取り組むのが、京都大学発のスタートアップ企業、京都フュージョニリングだ。同社のビジネスモデルと展望について、長尾昂CEOに聞いた。

by Keiichi Motohashi2022.09.13 』

『融合の産業化が必ず来るのは間違いない。問題は誰がいつやるのか。もちろんこの『誰』と言うのは1つの企業や国ではなく複数です。そして、日本はその複数の中の1つとして、核融合を新たな産業として受け入れられるようにしたい」

脱炭素イノベーション
この記事はマガジン「脱炭素イノベーション」に収録されています。
マガジンの紹介

究極のエネルギーと言われる核融合技術のスタートアップ、京都フュージョニアリングの最高経営責任者(CEO)である長尾昂氏は、このように語る。技術開発の先に、核融合産業のエコシステムの構築があり、日本はその中で大きな役割を果たしていくようになる、というのが、長尾CEOの考える未来だ。

そもそも、なぜ核融合が究極のエネルギーと言われるのだろうか。原子力発電とは何が異なるのだろうか。

核融合は水素など軽い元素の原子核がぶつかって融合し、別の原子核になる反応で、この時に莫大なエネルギーを放出する。対して、原子力発電では、ウランなど重い元素の原子核が分裂して複数の原子核になるときに、やはり莫大なエネルギーを放出する(核分裂)。

「一般的に、核融合炉では、重水素と三重水素の原子核を衝突させて、ヘリウムの原子核にしますが、このときに中性子が放出されます」と長尾CEOは説明する。こうした反応が連続的に発生し、エネルギーを生み出していくということだ。一般的な水素の原子核は陽子1個で構成されているが、重水素の原子核は陽子1個と中性子1個、三重水素の原子核は陽子1個と中性子2個で構成されている。いずれも、水素の同位体である。これらが衝突して融合し、陽子2個と中性子2個で構成されているヘリウムの原子核となり、余った中性子が放出されるという仕組みである。

核融合で生み出されるエネルギーは核分裂と比較してもはるかに大きい。核融合炉の場合、燃料1グラム当たり石油8トン分のエネルギーを取り出せる。これは、一般家庭の約10年分に相当する。それに対し、ウラン燃料の核分裂では1グラム当たり石油1.8トン分にすぎない。

また、三重水素は、リチウムが核融合炉で核分裂すると発生する。したがって、実質的な燃料はリチウムということになる。リチウムはレアメタルに分類される希少金属だが、海水中には2330億トンものリチウムが存在すると言われている。このリチウムで核融合発電した場合、全人類の7万年分のエネルギーを生み出せるという。これが、核融合が究極のエネルギーと言われる所以である。

京都フュージョニアリングのラボに設置された真空装置。実際の核融合炉内は真空のため、その核融合環境をこの装置で再現する。この中を重水素と三重水素のプラズマが飛び交う。同社が強みとしているブランケットなどの機器の実験に利用されている。(同社提供)
核融合の歴史

核融合炉の研究の歴史は決して浅くはない。1900年代にはすでに核融合が発見されており、これは核分裂の発見よりも早い。太陽のエネルギーがまさに核融合によるものだということもあるだろう。太陽の場合、一般的な水素が融合してヘリウムに変化するので、核融合炉での反応とは少し異なるが、同じ核融合反応である。

「1930年代には、後にノーベル物理学賞を受賞する湯川秀樹博士も、日本でも核融合の利用について研究すべきだと発言されていました。本格的に核融合炉の研究が進むようになったのが、1950年代から60年代。旧ソ連や米国が研究を進めました。とはいえ、巨額の費用がかかり、国ごとに研究していくのは負担が大きい。そこで、1985年に国際熱核融合実験炉(ITER=イーター)という計画が持ち上がりました」

ITER計画はその後、2001年から2006年にかけて設計のための協議が進み、現在はフランス南部において建設中となっている。2025年に運転開始となり、2035年から発電の実証が始まる予定だ。

核分裂炉の研究開発の歴史はおよそ100年におよぶ。核分裂の発見から発電までは、およそ15年しかかかっていないのと比較すると、核分裂エネルギーの利用には長い時間がかかっていることになる。

一般的な原子炉(軽水炉)では、ウラン燃料を水に沈めて直接お湯を沸かす仕組みであるのに対し、核融合炉では、高温のプラズマとなった重水素と三重水素を衝突させるために、構造的にははるかに高い技術が必要とされる。プラズマを閉じ込めた上で、核融合によるエネルギーを熱として取り出す必要があるからだ。
「ITERなど、トカマク型と呼ばれる核融合炉では、磁力でプラズマを集めて閉じ込めます。重水素や三重水素が高密度で飛び回ることで、原子核の衝突が起こり、核融合が発生します。この時に中性子も発生しますが、これが炉を包むブランケットにあるリチウムの核分裂反応を引き起こし、熱を発生させます。この熱で蒸気を作り、タービンを回して発電するという点は、原子力発電と同じです。一方、リチウムは核分裂後にヘリウムと三重水素となり、このうち三重水素は核融合炉の燃料として回収して使われます」

トカマク型とは、強力な電磁石をドーナツ型の核融合炉に多数配置し、磁力でプラズマを閉じ込める形式のものである。同じく電磁石を核融合炉に巻き付けるように取り付けたものを、ヘリカル型という。他にもレーザー核融合炉があり、360度全方向からレーザーを照射して重水素と三重水素を球状に圧縮し、核融合を起こす仕組みだ。いずれにせよ、核融合によって発生した中性子を通じてエネルギーを熱に変え、その熱で発電する。

実用化に長い年月がかかってきた核融合だが、近年になって多くのスタートアップが登場し、活発な動きを見せている。そこにはもちろん、カーボンゼロを目指すという、気候変動対策がより重要になってきたということもあるだろう。

とりわけ目立つのが、米国のスタートアップだ。実は米国は近年までは核融合炉には積極的ではなかった。だが、ここ数年で巨額の民間マネーが流入。ビル・ゲイツが投資するMIT発のスタートアップ企業、コモンウェルス・フュージョン・システムズ(Commonwealth Fusion Systems)が18億ドルもの資金調達に成功するなど、民間主導で商用化を目指す動きが加速している。北海油田の枯渇が見えてきた英国も、エネルギー安全保障の観点から、核融合炉の開発には積極的になっている。こうした状況もあり、核融合炉関連は現在、投資を集めやすい状況だ。

「地道な研究開発を続けてきたにもかかわらず、ダイナミックな局面では、日本が乗り遅れるのが今までのパターンでした。我々としても受け継がれた技術があり、乗り遅れないようにようにしたい」

原子力発電ではせいぜい300°Cの熱を取り出して発電しているが、核融合炉ではおよそ1000°Cとなる。当然、物質の挙動や使用する部材も変わってくる。熱の媒体には水ではなく液体金属を使用し、配管の金属もステンレスではなく1000°Cに耐える素材を使う。

その点、日本はこれまで継続的に核融合炉の研究開発を積み重ねてきた実績がある。

「長い間、地道な研究開発を続けてきたにもかかわらず、世界におけるダイナミックな局面では、日本が乗り遅れるのが今までのパターン。ただ、我々としても受け継がれた技術があり、乗り遅れないようにようにしたい」と長尾CEOは強く思っている。

リーバイスのビジネスモデル

世界中で核融合のスタートアップが立ち上がる中、京都フュージョニアリングの強みとは何か。長尾CEOはマネタイズを意識した会社だと強調する。

「我々は科学技術にとどまらず、核融合という新たな産業を作っていきたいと考えています。これまでの研究開発は、B to G、いわゆる政府の研究開発の下請けでした。しかし我々はBtoB、すなわち政府をあてにすることなく事業として成り立つことを目指しています。我々のビジネスは、ゴールドラッシュにおけるリーバイスのビジネスモデルによく例えられます。つまり、核融合炉の中心部ではなく、前後の工程を支えていくコンポーネントを提供するということです」

19世紀後半のカリフォルニア州はゴールドラッシュで賑わった。そこで金を採掘するためには、丈夫なズボンなどの衣類が必要とされた。これを供給したのがジーンズ・メーカーのリーバイスである。金の採掘そのものではなく、その作業を支える製品を提供することで大きな利益を上げる仕組みがリーバイスのビジネスモデルと呼ばれるものであり、京都フュージョニアリングもこれにならうという。

「前工程では、ジャイロトロン・システムというプラズマを加熱する装置、後工程であれば核融合炉を取り囲むブランケットなどを開発しています。また、後工程の実証設備として、核融合炉による発電システムを実証するプラント『UNITY』の開発にも着手しました」

UNITY(Unique Integrated Testing Facility、独自統合試験施設)とは、核融合発電システムによる発電を実証するための世界で初めてのプラントだ。核融合そのものではなく、核融合炉からいかにして熱を取り出し、発電していくのか、ということが、実証のテーマとなる。海外の実証試験が核融合炉にフォーカスすることに対し、その先の発電にフォーカスした点でも、ユニークな実証プラントだ。

全体の構成(下図参照)は、核融合炉の環境を再現した炉内環境試験装置を中心に、熱を取り出す「ブランケット」、取り出した熱を輸送する「熱交換器」、プラズマを加熱する「ジャイロトロン」、プラズマを排気する「ダイバータ」、リチウムが核分裂してできた三重水素などを回収する「トリチウム循環装置」、そして核融合燃料の循環を試験する「燃料サイクル実証系」を備えたものとなる。

多くの核融合スタートアップ企業が核融合炉の設計・開発を進めているのに対して、京都フュージョニアリングはさらにプラズマ加熱および排気、熱取り出しを含む、すべての工程に取り組んでいる。(同社提供)

「UNITYを構成する装置は、どれ1つとっても、当社の一級品といえる技術の結晶です。たとえば、液体金属を通じてブランケットから高温の熱を取り出す熱交換器は、世界最高水準の技術だと考えています。それでも、各コンポーネントを組み合わせて1つのプラントにしたときに、どのように作動するのかは、やってみなければ分かりません」

プラントそのものは、国内複数のパートナー企業との連携によって建設される。すでに基本設計は完了しており、2024年末の発電試験開始に向かって進んでいる状況だ。

さらに長尾CEOは同社の特徴として、「技術陣がしっかりしている」点を強調。メンバーには教授レベルが4名、助教・准教授レベルまで含めると10名弱、メンバーの過半数が博士号取得者だ。

とはいえ、日本の核融合研究には大きな問題がある。それは技術者の多くが60歳から65歳の間に集中しており、若い世代があまり育っていないことだ。実際の核融合の産業化を託すのは次の世代である。そのため、技術継承もまた重要なテーマとなっている。

「フランスや中国など、他の国でも核融合炉の技術に追いつくために、人材育成にも資金を投入しています。日本はこれまでQST(量子科学技術研究開発機構)を筆頭とした研究機関が研究開発を続けてきたことで世界的にリードしていますが、このままでは抜かれてしまうでしょう」

日本において、核融合炉が自動車産業のように産業化されれば、インフラ輸出にもつながっていく。なにも、最終製品だけが産業ではない。「アップル製品における日本のサプライヤーのように、重要な部品を供給するという立場もある」と長尾CEOは述べる。さらに、産業のエコシステムが確立されると、ロボティクスやサプライチェーンの高度化などにもつながる。

「核融合はさまざまな技術の集合体なので、すり合わせの技術でもあります。これもまた、日本が得意とするものです。また、核融合は発電に使えるだけでなく、熱そのものを利用して、海水の淡水化や水素の生成、大気中の二酸化炭素を直接回収することも可能です。さらに、核融合ロケットエンジンが開発されれば、火星への有人探査も、従来の3年から、往復6カ月の移動を含む約1年半程度に短縮されるでしょう」

UNITYは基本設計を終え、2023年3月までに液体金属ループの一次建設を完工し、2024年末に発電実証試験の開始を予定している。このような核融合発電システムの試験設備はこれまで世界に例がなく、同社は世界初の偉業に挑む。(同社提供)

核融合でロケットエンジンというのも驚きだ。また、長尾CEOは炉型式にもこだわりがないという。

「トカマク型やヘリカル型の核融合炉は比較的巨大発電所に向いていると思います。これに対し、ロケット用であればレーザー型核融合炉が向いている。成功する炉型式は1種類ではないでしょう。核融合はただの手段にすぎません。大切なのは、何を実現したいのか、ということです。そのためにどのような技術を使うのかについては、我々は柔軟な考え方をしています」

低コスト化と安全性

核融合炉の開発にあたって、課題はないのだろうか。

「ボトルネックとなる課題はないと考えています。技術的な課題はほぼクリアできます。問題があるとすれば、1つは低コスト化と安全性の確保です。そしてもう1つが、そのための資金の確保でしょう」

そのコストも、ITERに関して言えば、設計上では1キロワット時当たり100円と高い。初期の太陽光発電の発電コストもこのレベルだった。その後、太陽光発電などの再生可能エネルギーは、固定価格買取制度など仕組みでコストが低下し、普及していった経緯がある。また、英国には原子力を対象とした類似の制度があり、新たな原子力発電の建設が進められている。

「技術的な課題はほぼクリアできます。問題があるとすれば、低コスト化と安全性の確保、そして、そのための資金の確保でしょう」

「長期にわたるプロジェクトでは金利のほうが高くなってしまうこともあります。固定価格買取制度のようなコスト面での政府の介入が普及のために必要ですし、これは社会的な課題だと言えます」

核融合炉もまた、放射性物質を伴う技術だ。そのため廃棄物は問題とならないのだろうか。

「核融合は、原子力発電の核分裂とは本質的に異なる技術です。核分裂の場合、高レベル放射性廃棄物が出ます。これは、地層中に10万年間貯留することや、あるいは核燃料サイクルを通じて廃棄物を減らしていくといった対策がとられます。その点、核融合の場合、低レベル放射性廃棄物しか出ません。放射線のレベルでいえば、桁違いに小さいのです。したがって、原子力発電所とは異なる、核融合に対する合理的な安全設計が必要です。もちろん放射性物質ですから、医療用X線がそうであるように、規制は必要です。英国ではすでにそうした規制が導入されています。日本でもまずは議論が必要です」

また、運転時に発生する中性子は透過性がとても高く、その遮蔽も簡単ではない。そのため、ブランケットなどの核融合炉を取り囲む部材には特殊な材料を利用し、かなりの厚みをもたせているという。

今後の展開について、「英国の核融合炉開発を担う英原子力公社(UKAEA)からサプライヤーとして認定されたことを受け、2021年には英国子会社を設立しました。また、米国も研究開発が盛んで大きな市場となっているので、進出の準備を進めています。さらに、グローバル・ディープテック・カンパニーの道を突き進むため、現在は新規メンバーを募集中です」と長尾CEOは話す。2035年までには核融合プラント機器市場はおよそ1兆円になるとも言われている。人材確保は急務となりそうだ。

さらに2022年8月15日、英原子力公社が主導する核融合炉開発プログラム「STEP(Spherical Tokamakfor Energy Production)」の概念設計の中心的役割を担う「Engineering Delivery Partner(EDP)」の1社にも選出された。STEPは2024年までに核融合原型炉の概念設計を完成させ、2040年までに原型炉からの発電の実現を目指しているという。EDPは5社のメンバーで構成されているが、京都フュージョニアリングは唯一の欧州以外に本拠を置く企業である。このプロジェクトにおいては、ブランケットやダイバータの概念設計を中心に取り組む予定だ。

核融合炉が実用化されれば、カーボンゼロ社会がより現実味を帯びてくる。しかし、長尾CEOが考えているのはそれだけではない。

「かつて、日本はエネルギー資源を求めて戦争をしました。現在でも、ロシアによるウクライナ侵攻もエネルギー問題に関係しています。しかし、エネルギーの奪い合いがなくなれば、未来永劫、争いがなくなるかもしれません。何十年も先の平和を見据えて取り組んでいくことが必要だと考えています」』

冬の時代を迎えたソフトバンクグループ

冬の時代を迎えたソフトバンクグループ
https://www.nippon.com/ja/japan-topics/g02200/

『経済・ビジネス 2022.09.15

後藤 逸郎 【Profile】

2021年度の決算で純利益4兆9879億円を記録したソフトバンクグループ(以下、SBG)。だが、2022年4月~6月期の決算では、一転して最終損益が3兆1627億円と過去最大の大赤字に転落。SBGは即座にアリババグループ・ホールディング(以下、アリババ)株の大量売却で赤字を補填(ほてん)した形を取ったが、虎の子のアリババ株は減る一方。また、同社の外国人幹部の流出も止まらない。かつてない激震に見舞われているSBGはこの難局を乗り越えられるか。

孫正義氏の反省の弁

SBGがアリババ株を大量売却し、アリババを「持分法適用関連会社」から外すことになった。投資事業の打ち出の小づちを失うSBGは正念場を迎える。

2022年8月中旬から9月末にかけて最大2億4600ADR(米国預託証券=米国の投資家が米国以外の外国企業にドル建てで投資できるように作られたもの)を現物決済するもので、アリババ株におけるSBGの保有割合は23.7%から14.6%に減少。保有割合が20%に達しなくなったため、1999年に出資してから初めてアリババが関連会社から外れるが、株の売却で2022年7月~9月期に税引き前売却益約4兆6000億円を計上する。

売却発表の2日前の8月8日、SBGは第1四半期決算で過去最大の3兆1627億円の最終赤字を計上した。前四半期(2022年1~3月)に続く2四半期連続で計5兆円超の赤字について、孫正義会長兼社長は、徳川家康が三方ケ原の戦いで敗れた後、戒めのために描かせたと言われる肖像画「しかみ像」を背景に、「この6カ月間で約5兆円の赤字を出したことをしっかりと反省し、戒めとして覚えておきたい。今日はわれわれの実態がどういう状況であるかを反省を込めて語りたい」と述べたばかり。

SBGは21年3月期に日本企業最大の約5兆円の最終利益を出しており、良くも悪くも株式市場の浮き沈みに影響される投資会社だ。とはいえ、約5兆円の赤字を一気に取り戻すかのような動きに株式市場は反応し、年初来高値に迫った。

だが、SBGのアリババ株売却は投資事業のビジネスモデルの解体を意味する。SBGはこれまで「AI(人工知能)」を中心とした未上場株投資を行ってきた。投資会社の経営の最重要指標とするNAV(時価純資産)は、20年9月末の27兆3000億円がピークで、うち6割近くをアリババ株が占めた。

当時の株式市場は新型コロナウイルス禍から世界各国の中央銀行の金融緩和政策で急回復し、アリババ株は最高値圏にあった。SBGはこのアリババ株を市場で売却、現金化して投資するのではなく、デリバティブ取引(先物取引やオプション取引などの総称)を活用してきた。

株価が下落傾向にあるときは、固定価格で先渡し契約を結び、現物株で金融機関に支払いを行う。また、株価が一定水準以下に下回るリスクから守るオプション購入と組み合わせた「フロア取引」で、アリババ株が値上がりすれば利益が上がるようにした。

さらに、株価の下限と上限のオプションを組み合わせた「カラー取引」で、株価が下がっても損失を固定し、株価が上がっても利益を固定するようにした。それもこれも最初の投資から大きく膨らんだアリババ株があってこそで、これをテコに、投資資金の原資としてきたのだ。成長を続けるアリババのうなぎ上りの利益がSBGの連結決算に反映されることも大きかった。

アリババ株を取り巻く悪材料

もともと、アリババへの出資は1999年、孫氏がアリババ創業者のジャック・マー氏と10分足らずの面談で20億円出資を決めたのが始まりだ。アリババが2014年9月の米ニューヨーク(以下、NY)市場のADR上場を果たすと、SBGのアリババ株保有分は簿価で最大約4兆円に迫った。この間、ソフトバンクがコンピュータソフト卸からインターネット通信会社、携帯電話会社を経て投資会社になれたのもアリババ株のお陰だった。

そんな打ち出の小づちだったアリババ株の状況は一変した。1つは地政学リスクの高まりだ。米中経済対立を受け、中国企業を取り巻く環境は激変した。米政府は中国企業への監査を強化。アリババ株はNY市場で上場廃止の可能性が高まっている。

加えて、アリババを中国の政治リスクが直撃した。傘下の金融会社アント上場を巡り、マー氏の金融当局批判が習近平政権の不興を買い、上場寸前だったアントは、アリババから離れることを迫られている。貧富の格差是正を掲げる習政権の「共同富裕」政策に対し、アリババは政府に1兆7千億円もの資金を供出するなど、経営の自由度を失いつつある。

政府の度重なる締め付けもあって、右肩上がりだった業績は失速している。SBGがアリババを持分法適用関連会社にしておく利点は小さくなっていた。

さらに、世界的な金融引き締めが株式市場を冷やす。新型コロナ禍からの経済回復に伴う世界的なインフレを受け、米国の中央銀行に当たる米連邦準備制度理事会(FRB)などが連続利上げを実施。米NY株式市場は8月26日、1000ドル余り暴落した。

アリババは地政学リスクと自国の政治リスク、世界的な金融引き締めによる株式市場急落リスクのトリプルパンチを受けた。アリババ株は香港市場にも上場しており、米上場株と交換可能にもかかわらず、上場時の株価近くまで下落した。SBGの22年6月末時点のNAVは18兆5000億円となり、うちアリババ株の占める割合は21%に縮小した。

ソフトバンク・ビジョン・ファンドの惨状

このトリプルリスクは孫氏であれ誰であれ、コントロール不能だ。SBGの今回のアリババ株売却は、望むと望まないとに関わらず、打ち出の小づちを手放すよう強要されたに等しい。SBGはまだ14.6%のアリババ株を保有しているとはいえ、2四半期連続赤字で投資資金を絞っているSBGにとっては心もとない水準だ。

なぜなら、SBGはアリババに代わる被投資企業を見出せていないからだ。創業10年以内で10億ドル以上の評価額を持つ未上場企業をユニコーンと呼ぶ。SBGは保有する投資ファンド「ソフトバンク・ビジョン・ファンド(以下、ビジョン・ファンド)2(SVF2)」で、AIを中心としたユニコーン企業約300社に投資する「群戦略」を実行してきた。300社は世界のユニコーンの1割以上に相当する。

SBGの23年3月期第1四半期決算で、SVF2は1兆3387億円の投資損失を計上した。IT企業が主体の米ナスダック市場が3月末比で22%下落しており、未上場のユニコーン企業も評価額を下げたことが大きい。ただ、上場企業に投資したビジョン・ファンドの上場株インデックスは31%減と、ナスダックよりも落ち込みが大きい。孫氏は8月の会見で、「7兆円あったビジョン・ファンドの利益はほぼゼロになった」と述べる惨状だ。

ユニコーンの中には成長有望な企業もあった。スウェーデンの後払い決済大手「クラーナ」はそのひとつだ。利用者に金利ゼロで分割払いしてもらい、小売業者の手数料などで事業を展開するビジネスモデルで、SBGのSVF2などは21年6月、6億3900万ドル(当時の為替レートで約700億円)を追加出資した際、クラーナの評価額は456億ドル(約5兆円)に上った。

しかし、世界的な金融引き締めを受けて金利が上昇すると、クラーナは負債が急増。22年7月に8億ドル(約1074億円)の資金調達にこぎつけたものの、企業価値の評価額は67億ドル(約9000億円)に急落した。1年間で約7分の1となっている。この他、SBGが出資する米上場のシンガポール配車サービス大手「グラブ・ホールディングス」は8月末、年初来から半分以上値を下げた。

人員削減の断行と止まらぬ人材流出

孫氏は8月の決算会見で、ビジョン・ファンドの投資先が473社と説明した上で、「473社の中から将来のアリババ、あるいはアームに相当する会社が1社、2社、3社、出てくることを私は信じています」と述べたが、実現は容易ではないことを過去の実績が示している。

新規上場(IPO)の最後の切り札である英半導体設計会社アームも、株式市況悪化に加え、コンピューターやスマホの需要頭打ちが影を落とす。金融引き締めによる米景気後退が現実味を増しており、半導体需要が伸び悩む恐れが出ている。

孫氏はアームを米ナスダックとロンドン証券取引所への二重上場を計画していた。だが英上場を求めていたジョンソン首相の辞任に伴い、計画は中断したと、英フィナンシャルタイムズは報じた。「半導体業界市場最大の上場を目指す」とした孫氏にとってはある意味追い風だが、一方の米ナスダックは米景気後退懸念の広まりで下落局面にあり、IPOで高値を狙う状況にはない。

孫氏は業績悪化を受け、ビジョン・ファンドの人員削減を表明。「せっかくここまで大きくなった組織。人材もいるし、絆もある。つらい思いではある」と述べ、これまで蓄積した人的資源を放出せざるを得ない台所事情の厳しさを隠そうともしなかった。

というのも、最高執行責任者(COO)だったマルセロ・クラウレ氏が22年の年初に退任するなど、この2年間で10人近い幹部が離れた。8月31日には、ビジョン・ファンドを率いてきたラジーブ・ミスラ氏もSBG副社長を辞任した。SBGは18年に3人の副社長が就任し、孫氏の後継者候補と目されていたが、ミスラ氏の辞任で3人の副社長全員がいなくなり、人材流出も深刻だ。

SBGが置かれた状況について、孫氏は「冬の期間がどのくらい続くのかは分からない。上場株も冬の時代だが、ユニコーン企業の冬の時代の方が長く続くだろう」との認識を示した。アリババ株という打ち出の小づちを失ったSBGの苦難の道は始まったばかりだ。

バナー写真:決算説明会に臨むソフトバンクグループ(SBG)の孫正義会長兼社長。背景は徳川家康が描かせたとされる「しかみ像」=2022年08月08日、東京都港区(時事)

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後藤 逸郎GOTŌ Itsurō経歴・執筆一覧を見る

ジャーナリスト。1965年、富山県 生まれ。金沢大学法学部卒業後、 1990年、毎日新聞社入社。姫路支局、和歌山支局、大阪本社経済部、 東京本社経済部、大阪本社経済部次長、週刊エコノミスト編集次長、特別報道グループ編集委員などを経て、 地方部エリア編集委員を最後に退職。著書に『亡国の東京オリンピック』(文藝春秋)『オリンピック・マネー 誰も知らない東京五輪の裏側』(文春新書)。』

バタン発電所(インドネシア国)が商業運転を開始しました

バタン発電所(インドネシア国)が商業運転を開始しました
https://www.jpower.co.jp/news_release/2022/09/news220907.html

『電源開発株式会社(以下「Jパワー」、本社:東京都中央区、代表取締役社長 社長執行役員:渡部 肇史)は、伊藤忠商事株式会社(以下「伊藤忠商事」、本社:東京都港区、代表取締役社長COO:石井 敬太氏)、PT アダロパワー(以下「アダロパワー」、本社:インドネシア国ジャカルタ市、社長:ダルマ ジョジョネゴロ氏)と共に、事業会社 PT ビマセナ パワー インドネシア (以下「BPI」、出資比率:Jパワー34%、伊藤忠商事32%、アダロパワー34%)を通じて建設してきたセントラルジャワ石炭火力発電所(インドネシア国中部ジャワ州バタン県、100万kW×2基)2号機の試運転を完了し、すでに商業運転を開始している1号機と併せて、本年8月31日に全基での商業運転を開始しました。

同発電所は、大型発電所としてインドネシア国の急速な電力需要増に対応するため、同国財務省および同省傘下のIIGF(インドネシア・インフラ保証基金)による保証を活用した初のPPP(パブリック・プライベート・パートナーシップ)案件です。

更に、発電燃料にインドネシア国産の亜瀝青炭を活用すると共に、環境負荷が少ない超々臨界圧技術を使った大型ボイラー2基をインドネシア国において採用することで、同国の電力安定供給と環境負荷低減に貢献することが期待されます。

Jパワーグループは、2021年4月に公表した中期経営計画に基づき、海外発電事業の更なる拡大に取り組み、日本と世界の持続可能な社会の発展に貢献していきます。

なお、全号機運転開始を機に現地で広く認知されている、発電所所在県名を取り入れた「バタン発電所」をコミュニケーション用の呼称として採用しました。』

三木谷社長の醜聞を報道、海外の有力経済紙…楽天の経営リスク、資金調達に影響か

三木谷社長の醜聞を報道、海外の有力経済紙…楽天の経営リスク、資金調達に影響か
文=Business Journal編集部

ニュースサイトで読む: https://biz-journal.jp/2022/09/post_316545.html
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 ※ 今日は、こんなところで…。

 ※ 楽天三木谷、何をやっているんだ…。

 ※ 日本の「携帯事業に、革命を起こす!」という、壮大な計画は、単なる「大風呂敷」だったのか…。

 ※ 専用のネットワーク端末の代わりに、汎用のコンピュータを使って、「ソフトウエア的」に駆動する…、それで、「劇的に費用が、下がる。」というような話しだと思ったが…。

『2022.09.10 06:00

 イギリスの有力経済紙「フィナンシャル・タイムズ」は8月30日、“Rakuten founder embroiled in scandal as investors pile on pressure”と題する記事を掲載。楽天の会長兼社長、三木谷浩史氏がスキャンダルに巻き込まれたことで、投資家たちから同社に対するプレッシャーが強まっていると報じた。先月、三木谷氏とみられる人物がクラブのような場所で若い外国人女性らを含む参加者たちとパーティーに興じるなかで手に握ったシャンパンボトルを男性の口に入れて飲ませる様子などを収めた動画がSNS上で拡散され、一部で物議を呼んでいた。

 楽天をめぐる環境は厳しい。同社は2020年に子会社の楽天モバイルを通じて携帯電話事業のサービスを開始。どれだけ使っても月額で最大2980円(楽天回線エリアのみ/通話料等別)、さらに月間データ利用量が1GB以下なら基本料無料というプランを掲げ、翌21年には500万回線を突破するなど、順調に契約者数を増やしているようにみえる。
楽天モバイル、1年以内のプラチナバンド再割り当て要求…大手3社に費用負担も要求
楽天モバイルがプラチナバンドの再割り当てを求めて、既存の大手キャリア3社と激しく対立している。8月に開かれた総務省の会合には、楽天モバイルの矢澤俊介社長が出席し、1…
楽天モバイル、1年以内のプラチナバンド再割り当て要求…大手3社に費用負担も要求

2022.09.03
楽天G、楽天モバイルの巨額赤字を高収益の金融子会社の上場で穴埋めか
楽天モバイルが7月から通信容量1GB未満の場合に無料で利用できる現行プランを廃止するのを目前に、KDDIなどの競合他社が楽天モバイルからの離反ユーザーを狙い撃ちにし…
楽天G、楽天モバイルの巨額赤字を高収益の金融子会社の上場で穴埋めか

2022.06.14

 その一方、たびかさなる通信障害で総務省から幾度となく行政指導を受け、品質への不信も指摘されている。たとえば、今月4日に約130万回線に影響が及んだ障害では、寺田稔総務相が会見で「電気通信事業法上の重大な事故に該当するものと認識している」「迅速な周知広報が必要にもかかわらず、大変遅れたことも誠に遺憾だ」と強い口調で批判した。

 また、契約者数でも勢いに陰りが見え始めている。今年7月から1GB以下の0円プランを終了すると5月に発表した影響で、6月までで契約者数が約22万減少。これまで右肩上がりだった契約者数が初の減少となり、成長を疑問視する見方も出ている。

 そして市場関係者の間で何より注視されているのが、その財務的な重荷だ。携帯電話事業は当初から赤字が続いており、22年4~6月期のモバイルセグメントの営業損失は1243億円に上り、好調なEC事業や金融事業などの利益を打ち消し、楽天グループ全体で1766億の最終赤字(22年12月期中間決算)に沈む要因となっている。

株価は約半減

「三木谷社長は、無料ユーザーがいなくなりARPU(一ユーザー当たりの平均売上)が上昇し、加えて来期以降は基地局整備などネットワーク関連費用やKDDIから借りている回線のローミング費用が減少するため、収益は改善すると説明しているが、それを真に受ける市場関係者は少ない。たとえば携帯基地局の建設費用一つとっても、これまでの設備投資は当初計画の6000億円を大きく上回る1兆円規模にまで拡大しており、今後も多額の設備投資が発生する可能性は否定できない。こうしたマイナス要因も重なり、楽天の株価は今年に入り下落基調で、昨年末から約半減している。

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『 楽天は楽天銀行と楽天証券の上場準備を始めたと発表したが、グループ内で高収益を誇る金融子会社2社から上がってくる利益を犠牲にしてまで、上場益で携帯事業の赤字を穴埋めしなければならないほど切羽詰まった状況にあると市場では評価されている」(金融業界関係者)

楽天の焦り

 その三木谷浩史氏といえば、8月には前述のパーティー動画がSNS上で拡散。フィナンシャル・タイムズ記事は、楽天が楽天銀行の上場をめぐり市場から疑問を持たれている最悪のタイミングで三木谷氏が不祥事に見舞われたという、株主たちの証言を紹介している。
 大手キャリア関係者はいう。

「『高すぎる日本の携帯料金を下げるべき』という三木谷さんの理念は理解できるが、相次ぐ障害やそれらへの対応をみている限り、社会インフラとして安定したサービス品質の提供が求められる通信事業者としては心許ないという評価は否めない。携帯電話サービスのノウハウを持っていなかった楽天としては、当然ながら外部から入れた人材なり技術に頼ることになり、さらにグループ内の企業から人材をかき寄せて“急ごしらえ”でつくった組織でやっているが、その綻びが随所に出てきている。

 多額の赤字解消のメドがみえず、このまま株価低迷が続けば、グループ全体の資金調達にも支障が出てくる。最近ではプラチナバンドの再割り当てを求めて既存の大手キャリア3社と激しく対立するなど、楽天の焦りが見え始めている」

 また、金融業界関係者はいう。

「問題となっている動画がどれだけ信憑性のあるものなのかは不明だが、経営トップである三木谷氏のこういう動画が流れること自体、微妙な状況下にある今の楽天にとっては経営リスクといえる」

(文=Business Journal編集部)

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孫正義氏のソフトバンクG、巨額損失でビジネスモデルのほころび露呈

孫正義氏のソフトバンクG、巨額損失でビジネスモデルのほころび露呈
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2022-08-23/RH1SKNT0G1KW01

 ※ 米中対立の激化も、微妙に影を落としていると思うよ…。

 ※ ITベンチャーが、「業界1位」を獲得して、「巨額の利益」を手中にするというモデルは、「グローバル市場」があればこその話しだ…。

 ※ その肝心の「グローバル」が、「分断」されて「縮小」するんでは、「利益」の「根底」「前提」事態が、崩壊していく…。

 ※ そして、「経済」と「安全保障」が衝突した場合には、必ず「安全保障」に軍配が上がる…。

 ※ 「巨額の利益」もへったくれも、「生命(いのち)」あればこその話しだ…。

『 黎明期にある業界に巨額資金を投じることで支配しようという戦略
孫氏の投資は、ベンチャーキャピタル市場をゆがめた

孫正義氏

Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg

振り返ってみれば、懐疑的になる理由はあった。ソフトバンクグループのビジョン・ファンドがシリコンバレーのトップベンチャーファンドと肩を並べようとする試みは、極めて積極的な独占資本主義に基づくビジネスモデルだ。

  ウィーワークやウーバー・テクノロジーズ、ドアダッシュなどに巨額の出資を行ってきた孫正義氏の戦略は、こうしたスタートアップが何年にもにわたる赤字に耐えるようにした上で、市場の寡占状態を確立し、長期的利益を得るというものだ。

理論上はそうだが、ソフトバンクGが8日に発表した4-6月期決算は3兆円を超える創業以来最大の赤字となった。この赤字の一部は円安が原因だが、2兆円余りがビジョン・ファンドの損失だった。前四半期も巨額の損失を計上。孫氏は2022年のこれまでの業績により、21年以来の利益を事実上失ったと認めた。

  英半導体設計会社アームや日本の通信事業者ソフトバンクを傘下に置くソフトバンクGは、投資先を減らし全般的に人員を減らす方針だ。孫氏によると、ソフトバンクGは「徹底した守り」に入っている。同社は市場の混乱とバリュエーションバブルの犠牲になったと説明したが、テクノロジーバブルが生じていたとすれば、そうしたバブルを膨らませる上で重要な役割を演じたのは孫氏自身だった。

  孫氏は2016年、ビジョン・ファンドの売り込みをかけるために中東に向かう機上で、300億ドルと計画していたファンドの規模を1000億ドルに拡大。小さく考えるには人生は短か過ぎると側近に語ったという。

単純なアプローチ

  ソフトバンクGは技術革新に関する期待に加え、出資先企業が相互に支え合うという考えに基づく洗練された投資哲学を持っているように振る舞っているが、実際のアプローチはもっと単純で、黎明期にある業界に巨額資金を投じることにより支配しようという戦略だ。17年以降、孫氏は有望と思われる起業家を見つけると、求められる2倍、3倍以上の資金を提供しようと持ちかけた。創業者が言葉を濁すか、交渉しようとすれば、競合他社に投資すると圧力をかけた。

  こうした戦略が、滴滴グローバルやウィーワーク、ウーバーへの巨額投資につながった。ソフトバンクGは17年から18年前半にかけ3社にそれぞれ55億ドル、44億ドル、77億ドルを投資。犬の散歩サービスのワグやビザのロボット配達のズーム、インドのホテルチェーン、オヨなどにも資金を投じた。

  ある意味で、これはビジョン・ファンドが投資を開始したころの標準だった発展戦略の延長上にあった。ペイパル共同創業者のピーター・ティール氏が先駆者であるこの戦略は、インターネット市場は1社によって独占されやすいという考えに基づいていた。それによれば、例えばスターバックスは赤字であっても集客を続ければ独占を確立した際に値上げをし利益を得られることになる。

  こうした論理は、一部のテクノロジー企業が長年の赤字を経て黒字に転じる説明になる。しかしそこには、消費者に悪影響をもたらし最終的に規制当局と衝突するというリスクがあるほか、確固たる経済理論に基づく本物のテクノロジー企業でなければならないという条件がある。
ウィーワーク

  孫氏が誤ったのはここだ。ソフトバンクGのアプローチは、伝統を変革するというだけで、ほぼ利益のない事業に光を当てることだった。配車サービスも食品デリバリーも犬の散歩もピザもそうだし、特にウィーワークで顕著だ。

  孫氏の投資は出資先企業を水膨れさせただけではなく、ベンチャーキャピタル市場をゆがめた。他のベンチャーキャピタルは、多めの資金を集めなければならなくなり、膨らんだバリュエーションでの投資を強いられた。

  亀裂は19年にウィーワークの新規株式公開(IPO)が頓挫した時に始まった。投資家がウィーワークのビジネスに疑念を抱いたためだが、孫氏はさらに95億ドルを投じて同社を救済することで幻影を保とうとした。20年にはテクノロジー株関連のデリバティブ(金融派生商品)に多額の資金を投じ、さらにその市場を支えた。

【コラム】巨額損失でビリオネア、ニューマン氏強運続くか-レビーン

  こうした取引が株式市場を刺激する中でビジョン・ファンドの出資先企業によるIPOが進み、21年のビジョン・ファンドの累積利益は500億ドルを超えた。

  だが、ソフトバンクGは今、2四半期連続の記録的赤字を経てウィーワークなど不採算企業を切り離そうとしている。ビジョン・ファンド出資先企業の公開株を買った投資家は劇的な損失を被った。20年に株式公開した食料品配送のドアダッシュは21年のピークから70%余り下落。孫氏はそのころにドアダッシュ株約20億ドル相当を売却していた。オープンドア・テクノロジーズは昨年前半に比べ約85%値下がりしている。

孫氏のライバル

  孫氏も投資に関する反省を示し決算発表時にはより選択的な投資を約束した。長くビジョン・ファンドを率いてきたラジーブ・ミスラ氏がもはやファンドの主要な投資決定を行わないとも発表。ビジョンは変わらないが、向こう見ずにそれを追求すれば大きな損失もあり得ると孫氏は述べ、コントロールしていく必要性に触れた。

  一方、ベンチャーキャピタリストのチャマス・パリハピティヤ氏はソフトンバンクGの決算発表後に孫氏を擁護。「巨額資金を活用するのは容易ではなく、孫氏はそれを行った」とたたえた。オープンドアのIPOを可能にした特別買収目的会社(SPAC)の支援者である同氏が孫氏の側に立つのは驚くに当たらないが、SPAC市場も現在は低迷している。

  とはいえ、孫氏が自身のビジネスモデルから遠ざかろうとしているにもかかわらず、同氏のライバルはまい進気味だ。ソフトバンクGの損失発表後、ベンチャーキャピタルのアンドリーセン・ホロウィッツはウィーワークを創業したアダム・ニューマン氏の新たな不動産事業に3億5000万ドルを投じると発表した。

原題:SoftBank’s Losses Reveal Masayoshi Son’s Broken Business Model(抜粋)

(原文は「ブルームバーグ・ビジネスウィーク」誌に掲載) 』

日本政策投資銀行

日本政策投資銀行
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E6%94%BF%E7%AD%96%E6%8A%95%E8%B3%87%E9%8A%80%E8%A1%8C

『株式会社日本政策投資銀行(にっぽんせいさくとうしぎんこう、英称:Development Bank of Japan Inc.、略称:DBJ、または政投銀)は、株式会社日本政策投資銀行法に基づき設立された、財務省所管の特殊会社、日本の政策金融機関である。

前身は、復興金融金庫、日本開発銀行、北海道東北開発公庫、(旧)日本政策投資銀行であり、今日は民営化されている。 同じく2008年10月1日に設立された株式会社日本政策金融公庫(JFC、旧・国民生活金融公庫、農林漁業金融公庫、中小企業金融公庫)とは、全く別の法人である。 』

『概要

旧本店ビル

出資と融資を一体的に行う手法その他高度な金融上の手法を用いることにより、長期の事業資金に係る投融資機能を発揮し、長期の事業資金を必要とする顧客に対する資金供給の円滑化及び金融機能の高度化に寄与することを事業目的とする[1][注 2]。 資金の流れを「官から民」に移し経済を活性化する政策金融改革の一環で、2008年(平成20年)10月1日に、特殊法人の日本政策投資銀行(旧DBJ)を解散し、特殊会社たる株式会社日本政策投資銀行(新DBJ)として新たに発足した(旧DBJの全財産の出資により新DBJが設立され、新DBJ設立と同時に旧DBJは割当を受けた新DBJ全株式を政府に無償譲渡し、旧DBJは解散)。

旧日本政策投資銀行との差異

資金調達において、預金の受け入れや民間企業からの借り入れが可能となった。

完全民営化

当初は、2012年(平成24年)~2014年(平成26年)を目途に、日本国政府保有株式の全てを処分し完全民営化する予定であった。しかし2008年(平成20年)からの世界金融危機および、2011年(平成23年)に発生した東日本大震災の災害復旧に対応するため、政策金融機関に対する日本国政府の関与を維持する方向での見直しが行われた。

まず、2009年の株式会社日本政策投資銀行法の一部を改正する法律(平成21年法律第67号)により、完全民営化の時期が2012年(平成24年)4月1日から5~7年後に延期された。その後、2011年(平成23年)に施行された東日本大震災に対処するための特別の財政援助及び助成に関する法律(平成23年法律第40号)において、2015年(平成27年)4月1日から5~7年後を目途に完全民営化するものとされた。また、政府は、2014年度(平成26年度)末を目途として、日本国政府による株式保有のありかたを含めたDBJの組織等を見直すこととなり、それまでの間、DBJの株式を処分しないと定められている[2]。

ただし、簡素で効率的な政府を実現するための行政改革の推進に関する法律(平成十八年法律第四十七号)六条により「日本政策投資銀行は、完全民営化するもの」とされており、同法を所管する内閣官房では定期的に同銀行に対するヒアリングを実施している。 』

『業務内容

投融資一体型の特色ある金融サービスを提供している。

融資部門:中長期融資、仕組み金融(ストラクチャードファイナンス等)、劣後融資等の提供
    評価認証型融資(DBJ環境格付、DBJ BCM格付、DBJ健康経営格付)
    DBJ Green Building認証
投資部門:リスクマネー(メザニンファイナンス、エクイティ)の提供
コンサルティング/アドバイザリー部門:仕組み金融のアレンジャー、M&Aのアドバイザー、産業調査機能や環境・技術評価等のノウハウの提供

平成27年DBJ法改正により、危機対応業務が義務付けられ、特定投資業務が創設された。

プロジェクト・ファイナンス、PFI、事業再生、ベンチャー、産学官連携、国際協力、社会・環境活動など、政策性が高いプロジェクトを支援するための融資や投資が基本となる。また、旧北海道東北開発公庫の業務を引き継いでいる経緯より、投融資枠の一部が「北東枠」として設けられ、主に北海道・東北地域への投融資に向けられている。[要出典]

投融資例

1998年 中山共同発電株式会社 - 日本初のプロジェクトファイナンス(旧三和銀行と共同幹事)
2002年 株式会社ダイエー - 当時の主力取引行などと共に「企業債権ファンド」を組織し、100億円の融資を実行する。
2003年 株式会社ペンシル - 知的財産権担保融資として、ポータルサイト「髪ナビ!」[1]を担保とする日本初の融資を受ける。
2010年 不動産市場安定化ファンドに対するメザニンローン 』

『沿革
組織の変遷

1947年(昭和22年)1月 - 復興金融金庫設立。初代理事長に伊藤謙二が就任[3][4]。
1951年(昭和26年)4月20日 - 日本開発銀行法(1951年3月31日公布、1952年1月16日全面施行)に基づき、当時の大蔵大臣・池田勇人によって日本開発銀行が設立される。復興金融金庫(1951年12月26日復興金融金庫解散・業務引継令公布(政令))の貸付債権を承継(池田勇人#講和・独立後の政権運営)。5月15日開業。開銀は恒常的に外債を発行した。
1952年(昭和27年)8月30日 - 電源開発に49億5000万円出資。9月14日見返資金特別会計の債権を承継(8月30日同政令公布)。
1954年(昭和29年)4月15日 - 日本航空のチェース・ナショナル銀行からの借入れを外貨保証。
1956年(昭和31年)6月 - 北海道開発公庫法に基づき、北海道開発公庫が設立される。
1957年(昭和32年) - 法改正により、北海道開発公庫から北海道東北開発公庫に改組。
1967年(昭和42年)2月1日 - 日産自動車に40億円を貸付、体制金融の第1号。

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1999年(平成11年)
    6月11日 - 日本政策投資銀行法(平成11年法律第73号)公布。同日施行。
    10月1日 - 日本開発銀行及び北海道東北開発公庫の一切の権利義務を承継し、日本政策投資銀行設立(これに伴い日本開発銀行及び北海道東北開発公庫がそれぞれ解散)。
2007年(平成19年)6月13日 - 株式会社日本政策投資銀行法(平成19年法律第85号)公布。同日施行。
2008年(平成20年)
    10月1日 - 特殊法人の日本政策投資銀行を解散し、特殊会社たる株式会社日本政策投資銀行設立。
    12月 - シンガポール事務所を現地法人化し、DBJ Singapore Limited設立。
2009年(平成21年)6月 - ロンドン事務所を現地法人化し、DBJ Europe Limited設立。
2012年(平成24年) - 大手町フィナンシャルシティ完成に伴い、本店移転。

拠点・関連
拠点

本店(東京)
北海道支店(札幌)
東北支店(仙台)
新潟支店(新潟)
北陸支店(金沢)
東海支店(名古屋)
関西支店(大阪)
中国支店(広島)
四国支店(高松)
九州支店(福岡)
南九州支店(鹿児島)
函館事務所
釧路事務所
青森事務所
富山事務所
松江事務所
岡山事務所
松山事務所
大分事務所
ニューヨーク駐在員事務所

関係会社

連結子会社

株式会社日本経済研究所
株式会社価値総合研究所
DBJ証券株式会社
DBJ事業投資株式会社
DBJキャピタル株式会社
DBJアセットマネジメント株式会社
DBJ Singapore Limited(シンガポール)
DBJ Europe Limited(ロンドン)
DBJ投資アドバイザリー株式会社
DBJリアルエステート株式会社
政投銀投資諮詢(北京)有限公司

その他11社。

持分法適用関連会社

その他20社。

関連財団

一般財団法人日本経済研究所 』

(※ その他は、省略。)

富士通、国産量子計算機を初の実用化へ 理研と共同

富士通、国産量子計算機を初の実用化へ 理研と共同
【イブニングスクープ】
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC122B90S2A810C2000000/

 ※ 『量子コンピューターは計算の基本単位となる「量子ビット」の数が進化の目安で、富士通が23年度に開発する計算機は64量子ビットにのぼる。グーグルが量子超越を達成した際の53量子ビットを上回る。IBMが21年に開発した127量子ビットなどに次ぎ、現状では世界でも競争力の高い性能になる。富士通は26年度以降に1000量子ビット超も実現する見通しだ。』、と言っているんで、「量子ゲート方式(汎用的なもの)」なんだろう…。


『富士通は理化学研究所と共同で次世代の高速計算機である量子コンピューターの実用化に向け、2023年度に企業への提供を始める。金融市場の予測、新素材や薬の開発への活用を見込む。米グーグルなど海外勢が開発を主導しており、幅広い分野の計算ができる汎用型を国内企業が手掛けるのは初めてになる。産業競争力や安全保障を左右する次世代技術開発の起爆剤になる可能性がある。

富士通は21年4月に埼玉県和光市に理研との連携センターを設置し、約20人の研究者が参加して量子コンピューターを開発してきた。23年度に実機をつくり、企業に公開して研究に生かしてもらう。

量子コンピューターはスーパーコンピューターに比べて計算速度が飛躍的に速い。素材開発などに革新をもたらす可能性を秘めており、化学や製薬、自動車、金融など幅広い産業の競争力を左右する見通しだ。富士通は4月から富士フイルムと材料設計に関する共同研究を始めた。連携先を広げ、協力して将来の活用に向けた知見を蓄える。

国内では21年に米IBMが自社開発の量子コンピューターを川崎市に設置した事例があるものの、海外勢に比べ日本としての開発は遅れていた。富士通は理研から技術やノウハウの提供を受けて日本企業として初の実機をつくる。グーグルやIBMと同様、極低温に冷やして電気抵抗をなくす「超電導」の回路で計算する方式を採用する。

量子コンピューターの製造には高度な技術が必要だ。世界の開発競争はこれまで米テック企業が主導してきた。グーグルは19年にスパコンで1万年かかる問題を約3分で解き「量子超越」と呼ぶ成果をあげた。近年は中国勢の技術も向上し、新興企業の台頭も目立つ。

一方で現在の量子コンピューターは開発途上で、解ける問題は限られる。計算に伴うエラーの克服も難題だ。グーグルは創薬や新型電池の開発などへの応用を視野に29年の実用化を目指すが、今後の開発の壁は高い。最終的に誰が勝者になるかは見通せず、強みを持つ超電導の制御技術などを生かせば日本勢にも巻き返しの余地はある。

量子コンピューターは計算の基本単位となる「量子ビット」の数が進化の目安で、富士通が23年度に開発する計算機は64量子ビットにのぼる。グーグルが量子超越を達成した際の53量子ビットを上回る。IBMが21年に開発した127量子ビットなどに次ぎ、現状では世界でも競争力の高い性能になる。富士通は26年度以降に1000量子ビット超も実現する見通しだ。

量子コンピューターはスパコンで何億年もかかる計算を数分や数時間で実行する可能性を秘める。ボストン・コンサルティング・グループは40年ごろに新素材の開発などで最大8500億ドル(約110兆円)の経済効果を生むと予測している。

(AI量子エディター 生川暁、山田彩未)
イブニングスクープ
翌日の朝刊に掲載するホットな独自ニュースやコラムを平日の午後6時頃に配信します。

この記事の英文をNikkei Asiaで読む
Nikkei Asia https://asia.nikkei.com/Business/Technology/Fujitsu-to-offer-1st-Japan-made-quantum-computer?n_cid=DSBNNAR 

ニューズレター https://regist.nikkei.com/ds/setup/briefing.do?n_cid=DSREA_newslettertop 

【関連記事】

・量子コンピューターに第3の方式急浮上 日本も先頭集団
・量子コンピューター、半導体製造技術で巻き返す日本
・量子計算機、Google・IBMに挑む イオン方式で新興台頭

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浅川直輝
日経BP 「日経コンピュータ」編集長
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ひとこと解説

理研は量子コンピュータ研究センター(RQC)の中村泰信センター長を中心にゲート型量子コンピューターの開発を進めており、2022年度中に64量子ビット機を稼働させる予定です。国内外の研究者などにもオンラインで公開する考えとのこと。

https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/01158/061500037/

一方、富士通と理研は2021年4月に連携センターを設置し、1000量子ビット級の超電導量子コンピューターおよびソフトウエアの共同開発を進めています。富士通は量子の発想をデジタル回路に生かした「デジタルアニーラ」で顧客企業とPoC(概念実証)を進めており、富士通が産業界のニーズを吸い上げる形で理研の量子コンピューターの用途開拓に乗り出す可能性があります。
2022年8月22日 19:16

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竹内薫
サイエンスライター
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分析・考察

「量子コンピューターはスパコンで何億年もかかる計算を数分や数時間で実行する可能性を秘める。ボストン・コンサルティング・グループは40年ごろに新素材の開発などで最大8500億ドル(約110兆円)の経済効果を生むと予測している」。そんなに大きな経済規模になるのですか。たしかに、アルゴリズムが発見されていて、計算できるものは限られていますが、今後、新たなアルゴリズムも発見されるでしょうし、われわれには想像もつかないような超計算社会が出現するのだと思います。これまで、アメリカや中国に開発面で遅れを取ってきたイメージがありますが、日本の頭脳を結集して、巻き返しの第一弾となるでしょうか。期待が大きいです。
2022年8月22日 18:40』

日野自動車不正、販売不能の異常事態 信頼回復険しく

日野自動車不正、販売不能の異常事態 信頼回復険しく
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC2263K0S2A820C2000000/

『日野自動車の不正に終わりが見えない。小型トラックまで広がったことで、国内向けはほぼ全車が出荷停止となり、売る商品がなくなる異常事態に追い込まれた。すぐに経営基盤が揺らぐ状況にはないが、企業統治(ガバナンス)軽視による信頼失墜は大きい。日野自だけでなく親会社のトヨタ自動車を含めたグループとしての信頼回復が急務だ。

「顧客に信頼してもらう土俵に上がっていない」。小木曽聡社長は22日にオンラインで開いた会見でこう述べた。

生産や販売への影響は深刻だ。東南アジアなど海外向けや電気自動車(EV)トラックなど一部は生産を継続するが、2022年3月期の国内販売5万8千台のうち99%に当たるトラック・バスが出荷停止となった。

業績にも響く。市場予想の平均であるQUICKコンセンサス(16日時点)では、23年3月期の連結最終損益が496億円の赤字(前期は847億円の赤字)と3期連続の赤字予想で損失はさらに膨らみそうだ。外資系証券の一部では23年3月期に最終赤字が2000億円規模になるとの見方もある。

東海東京調査センターの杉浦誠司氏は「国内の収益源がなくなるほか、新たな不正で追加の補償費用など特別損失がさらに増える」とみる。同社株は22日、一時前営業日比6%安の611円と年初来安値をつけた。

出荷を停止した「日野デュトロ」=共同

日野自の22年3月期末の連結純資産は5160億円で自己資本比率は36%と高い。有利子負債額は1709億円といすゞ自動車など同業と比べても低く、一連の不正ですぐに資金繰りが立ちゆかなくなる状況ではない。小木曽氏も会見で「資金調達がすぐに必要な差し迫った状況ではない」としている。

日野自の不正拡大を受けて、50.1%を出資するトヨタの豊田章男社長は「ステークホルダーの期待や信頼を再度大きく損なう事態に至ったことは極めて残念だ」とのコメントを発表した。トヨタも日野自からOEM(相手先ブランドによる生産)供給を受ける車両の出荷を停止している。

トヨタの長田准執行役員は22日、オンラインで報道陣の取材に応じ「気持ちを新たにやってきたばかりで心から残念でならない」と語った。

トヨタは不正問題の発覚以降、技術者を日野自に派遣するなどの支援を始めた。検査時の工程などの分野でトヨタ式のチェック体制導入を促している。ただ乗用車とトラックなど商用車の違いは大きく、長田氏は「トヨタの知見だけでは再生は難しい」と課題は多いとの認識を示した。

トヨタは日野自を01年に子会社化した。同年以降、4代続けてトヨタ出身者が日野自の社長に就くなど、経営幹部を送り込んできた。トヨタグループの商用車部門の中心に位置付けてEV展開も加速する矢先の不正発覚だった。

「トヨタグループだから大丈夫というおごりの意識」――。日野自が2日公表した調査報告書には、物言えぬ企業風土や社内チェック体制の不備、トヨタに寄りかかった社内意識などが不正の背景にあると指摘した。ガバナンスの不備を長年放置してきたツケはメーカーとして「物を売れない」という最悪の事態になった。

顧客や市場などの視線はトヨタグループとしての日野自がどう信頼を回復していくかに注がれる。日野自とトヨタはエンジン不正を巡って損害賠償などを求める訴訟を米物流企業などから起こされた。米国では北米市場向けのエンジンで排ガス試験が適切だったか、米司法省の調査がまだ続いており新たな火種もくすぶる。

信頼回復は日野自だけでなくトヨタにとっても険しい道のりになる。

【関連記事】

・日野自動車の小木曽社長「経営責任、3カ月以内に精査」
・日野、国内向けトラック全量出荷停止 小型でも不正発覚
・トヨタ社長「極めて残念」 日野自動車エンジン不正受け

BSテレ東「日経ニュース プラス9」でこのニュースを解説
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中西孝樹
ナカニシ自動車産業リサーチ 代表アナリスト
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ひとこと解説

再建には長い時間が必要だと感じます。いみじくもトヨタの長田執行役員のコメントにあるよう「トヨタの知見だけでは再生は難しい」という状況は本音でしょう。もともと、商用車事業をマネージすることは困難であるという認識がトヨタ内に過去からありました。出資比率51%をとって以降、連結子会社化しながらも、ダイハツ工業のように100%子会社化し事業一体化を日野で目指さず中途半場が長期化したのはそういった背景があります。それにも関わらず、トヨタ社員の天下りの温床ともなり、経営は迷走しました。トヨタの責任は重く、「放置」したつけを今になって支払うことになります。
2022年8月23日 8:43 』

ソフトバンクG、繰り返す法人税ゼロ 税制見直し議論も

ソフトバンクG、繰り返す法人税ゼロ 税制見直し議論も
2007年3月以降の15年間で課税は4回
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC030BU0T00C22A1000000/

 ※ プラットフォーマーなんかの巨大IT企業にも、通じる話しだ…。

 ※ さんざん、通信インフラとか、電力とか、公共インフラとか利用しておいて、それを維持・保守するための「原資」には、ちーとも貢献しない…。

 ※ 大体、企業の利益獲得活動というものは、それの「原資」となっている「国民」の生活・活動あっての話しだ…。

 ※ そこに「貢献」しないのでは、「白い眼」向けられても仕方がない…。

 ※ 徐々に、「排除の力学」が作用していくだろう…。

『ソフトバンクグループ(SBG)に2007年3月期以降の15年間で、法人税が生じたのは4期だったことが日本経済新聞の取材で分かった。「法人税ゼロ」の年が繰り返されたのは、税法で非課税となる配当が多いためとみられる。合法な税務処理だが、税負担の軽さについて、現在の税制が妥当なのかなど議論を呼ぶ可能性もある。
ソフトバンクグループの孫正義会長兼社長(6月24日)=同社サイトより
税負担、利益の0.25%

関係者によると、直近15年でSBG単体に法人税が課されたのは10年3月期、12年3月期、13年3月期、17年3月期だった。法人税額は計約170億円で、この間のSBG単体の税引き前利益(計約6兆6千億円)の約0.25%だった計算となる。

連結純利益が日本企業で史上最高の約5兆円となった21年3月期も、単体の法人税はゼロだった。SBGは22年3月期は連結、単体とも大幅な赤字を計上するなど足元の業績は苦戦している。

SBGは有価証券報告書に法人税に関するデータも記載しているが、これは「会計上で税負担とみなす分」などを示したもので、税務上のSBG単体の法人税額とは異なる。SBGは傘下企業とは別に単体で税務処理し、法人税額などは開示されていない。

課税が少ない理由は、収益の大半が税法上は非課税となる傘下企業などからの配当だからとみられる。税法では一定条件を満たす国内子会社からの配当金は全額が、海外子会社からの配当金は95%が非課税となる。

一連の税務処理は合法だ。法人間の配当に課税しない制度も、欧米など海外でも一般的といえる。

ただ今回のように会計上の利益と実際の法人税額が極端に開いた例が明らかになるのは珍しい。一部の専門家は「税負担が軽すぎるとの不公平感から、税制や納税状況の説明が十分かという議論につながる可能性がある」と話す。

【関連記事】法人税ゼロは妥当か ソフトバンクGと税、識者の見方

欧州やオーストラリアでは、大企業の税負担が合法的に少ないことが問題視され、納税情報を透明化する制度作りが進んだ。
財務諸表にのぞく納税状況

各企業が支払っている法人税額は通常は外部にわからない。税務会計は決算短信などを作成する企業会計とは計算方法が異なるうえ、納税額などを記す確定申告書も公表義務がない。

上場企業が公表する決算短信は法人税に関する複数の項目を含むが、大半は会計上の税負担とみなされるもので実際の納税額とは違う。ただし損益計算書の「法人税、住民税及び事業税」の項目は、数値の動き方が法人税の有無の目安となる。同じ数値が何年も続く場合は、資本金などの外形的な条件で決まる地方税分のみが反映され、業績で増減する法人税が生じていない可能性が高い。

SBGの場合、「法人税、住民税及び事業税」は過去15年のうち13の期間で同じ「500万円」だった。SBGの関係者は日本経済新聞による20年の取材時、この項目が500万円で固定されている場合について「法人税が生じていない」と認めていた。別の複数の関係者によると、修正申告などを経て課税された年もあり、最終的に税負担が生じたのは10年3月期など4回だった。

課税がわずかな理由は、収益の大半が子会社などからの配当金という、純粋持ち株会社として独特の収益構造の影響が大きいとみられる。21年3月期の開示資料によると、SBG単体の営業収益(約1兆6千億円)は、ほぼ全てが国内外の関係会社からの受取配当金だった。現行の日本の税法では原則、3分の1超の株式を持つ国内子会社からの配当金には税金がかからず、海外子会社からの配当金も95%が非課税となる。
税務と会計で2つの顔

SBGは非課税収入が多いだけでなく、税務上の赤字(欠損金)が積み上がっているのも特徴的だ。同社の資料などによると、20年3月末時点で約3兆4千億円(連結ベース)の繰越欠損金を保有し、その多くがSBGのものとされる。

この欠損金の多くは、16年に約3.3兆円で買収した英アーム・ホールディングス株を巡る取引などで生まれたとみられる。18年3月期に中核事業を担う同社子会社「アーム・リミテッド」株を配当として受け取り、価値が下がったアームHD株の大半を「ソフトバンク・ビジョン・ファンド」(SVF)などに譲渡した。この取引で約2兆円の税務上の欠損金が生じた。

一連の取引を巡って国税当局は約4000億円の申告漏れを指摘し、SBGも修正申告した。だが税務上の欠損金が多かったため、追徴課税は発生しなかった。また税務と会計ではルールが違い、会計上の損失は計上されなかった。

こうした手法には「税制の抜け穴」との指摘も上がった。国税当局や財務省はその後、「ソフトバンク税制」と呼ばれるルール改正に着手。20年度税制改正で子会社からの配当と子会社株式の譲渡を組み合わせた節税策を封じた。

現在、税務上の繰越欠損金は10年間有効だ。SBGに今後、課税所得が発生しても当面は欠損金と相殺され、税額が圧縮される。SBGは過去に長らく会計上で多くの利益を計上してきたが、税務上は巨額の赤字会社という全く別の顔を持っている。
専門家から「違和感」

専門家の中には「もともと持ち株会社は非課税の収益が多い性質がある」(企業税務に詳しい税理士)や、「グローバル企業が最適な税負担を求めて様々な仕組みを検討するのは当然だ」(企業の税務戦略に詳しい山田典正税理士)などの声もある。

一方で、財務省で法人税制の改正に長く携わった朝長英樹税理士は「適法でも兆円単位の利益のある会社が何年も法人税額がゼロなのは違和感がある。制度に問題がないか検討すべきだ」とみる。

企業税務に詳しい弁護士も「SBGは日本に本社を置き、株式市場などの公共サービスを利用している。株主には配当を行い、自社株買いなども実施している」と指摘したうえで、「これほど法人税が少ないと、自社の株主には還元するが日本国には還元しないとも解釈でき、バランスが悪いと感じる」と話す。

こうした「違和感」や「不公平感」の声が高まれば、法人税の負担を巡るルール見直しの議論につながる可能性もある。

SBGの税負担を軽くしている要素のうち、賛否を呼びそうなのは海外子会社の配当金の95%を非課税とする制度だ。リーマン・ショック後、日本企業の海外資金を国内に戻しやすくする狙いなどで導入された。海外での納税の有無を問わないため「国内外で二重の非課税となる恐れもある」との指摘がある。現制度では海外子会社への課税の詳細について、日本の国税当局も直接の把握は難しい。

SBGは21年2月、英国子会社から40億ドル(当時のレートで約4200億円)の配当を受けたことを公表するなど、海外子会社からの配当利益も発生している。

投資会社を巡る税制の見直し議論に発展する可能性もある。国際税制に詳しい弁護士は「一般的に投資会社は積極的な節税策で税負担が軽い例が多いといわれる」と話す。米国が大企業への課税強化にかじを切るなど、海外でも法人税制の強化が目立つ。業種による税負担の不公平感の解消も課題となっている。
税制や透明性に議論も

納税情報の開示を巡る課題も浮かぶ。ESG(環境・社会・企業統治)重視を受け、納税額などを自主公表する企業が増えている。しかしSBGの手法はグループの一部のみの開示で「都合のいい部分のアピール」と指摘される可能性がある。

SBGの場合、会計上の利益が多い自社単体の納税情報はほぼ非公開とする一方、傘下で事業会社のソフトバンクや同社の関連30社分などはまとめて開示している。20年度の日本での税前利益は計8451億円で、法人税等支払い額は計3894億円だった。「納税が多い企業分だけ開示している」とみられる可能性もある。

企業税務に詳しい筑波大学の本田光宏教授は「大企業がなるべく多くの納税情報を明かすことは適切な納税を示す『税のガバナンス』の一貫といえる。公平な税制に向けた建設的な議論にもつながる」と話している。

SBGは課税回数や税額、税負担が軽い理由などの日本経済新聞の取材に「有価証券報告書に記載のSBG単体の法人税の欄以外に開示しているものはない。(日経の質問には)間違いが散見されるが、これ以上の回答は控える」と答えた。その後日経は課税回数などを再取材で確かめ、再びSBGに質問したが同社は「(前回以上の)回答はない」とした。国税庁は「個別企業の納税状況については回答できない」としている。

(企業税務エディター 川瀬智浄、宮川克也、鈴木亘)
この記事の英文をNikkei Asiaで読む https://asia.nikkei.com/Spotlight/The-Big-Story/The-mystery-of-SoftBank-s-zero-tax-bill?n_cid=DSBNNAR
Nikkei Asia
ソフトバンクGに対する取材の経緯

日本経済新聞は2021年末にソフトバンクグループ(SBG)の法人税の納税などについて同社に取材を依頼した。質問要旨と回答は以下の通り。

(注)実際に日経がSBGに送った質問の一部には納税額など未確認の数字も含まれているため、質問は要旨のみ示します。

【質問1】SBGが税務上の所得が生じた期がいつかについての質問

【質問2】日本企業として過去最高の連結純利益(会計上の数値)となった21年3月期にも、SBGに税務上の所得、法人税が生じていないという事実確認を求める質問

【質問3】SBGに課税所得が発生したとみられる2010年3月期、12年3月期、13年3月期、17年3月期の法人税額(課税額)の合計についての質問

【質問4】上記4期間での、実際の法人税の納税額についての質問

【質問5】課税が少ない理由について、SBG単体は子会社や海外子会社からの配当が多いことが要因だという日経による分析に対する、SBGとしての見解を求める質問

【質問6】SBG単体に法人税負担が少ないことについての、会社としての考えを求める質問

【質問7】SBGは会計上と税務上の見え方が大きく異なることについての、会社としての意見を求める質問
SBGの回答

ソフトバンクグループ株式会社(以下「SBG」)の法人税については、有価証券報告書に記載のSBG単体の法人税の欄をご覧ください。この他に開示しているものはございませんので、いただいた個別のご質問に対する回答は控えさせていただきますが、間違いが散見されますので、ご留意いただければと思います。また、本件について、これ以上の回答は控えさせていただきます。

上記のやりとりを受け日本経済新聞は、SBG単体の法人税額などを追加取材で確認し、2022年2月にSBGに再び取材を依頼した。そのときの質問要旨と回答は以下の通り。

【質問1】2007年3月期以降でSBG単体に法人税負担が生じた(課税所得が発生した)期間は、10年3月期、12年3月期、13年3月期、17年3月期の4つの期だったということを確認する質問

【質問2】上記の4つの期の法人税の合計は約170億円だった(ただし税額控除などが行われる前の数字)ということを確認する質問

【質問3】法人税が課されていない(課税所得が発生していない)年が多い理由のひとつは、SBGの収益の多くが子会社からの配当など非課税(益金不算入)であるからということを確認する質問
SBGの回答

先日回答差し上げた以上の回答はございません。

日本経済新聞は、SBG単体の法人税額に関する質問とは別に、SBGに対して2022年2月、納税額の開示姿勢を巡っての見解も求めた。この点に関する日経側の質問要旨とSBGの回答は以下の通り。

【質問】SBG傘下のソフトバンクは、サステナビリティリポートで税務戦略を開示され納税額なども開示されている一方、SBG単体は納税情報に関する開示はない。子会社の税負担が生じている部分だけ開示し、実際に税負担が生じていない親会社は開示をしないのは、「都合の良い情報だけを発信している」とみられる可能性があると考えるが、その点についてSBGの見解をうかがいたい。
SBGの回答

当社は適切な開示を行っております。税務ポリシーについては 2〜3カ月以内に当社Webサイトで開示する方向で検討中です。なお、子会社の開示については、各社の判断で実施しているものです。

さらに日本経済新聞はSBGに対して7月26日、その後、税務ポリシーについて開示したのか質問した。するとSBGは7月29日、同社のホームページの中で、法令順守や適切な納税と税コストの適正化などについての方針を明示した「税務ポリシー」を開示し、同日より施行したと回答した。
国税庁への質問と回答(2022年2月)

質問:ソフトバンクグループ(SBG)について、15年間で4回しか法人税負担が生じていないと承知しております。連結会計で約5兆円の純利益を計上する企業に対して、このようなことが生じることに対して、どのようにお考えでしょうか。
回答:個別にわたる事柄は守秘義務が課されている関係上、お答えすることは差し控えさせていただきたい。一般論で申し上げれば、企業会計と税務会計では差異が生じることがあり、会計上で利益が生じていたとしても、必ずしも法人税が課されるとは限りません。いずれにしても国税当局としては個別の事実関係に基づいて、法令等に照らして適正に取り扱っていきたいと思います。

質問:税制などの問題点もあると思いますが、どうお考えでしょうか。
回答:国税当局としては、税務調査などにより、適正公平な課税に努めているところであり、個々の実態を見極めた上で、税制上の問題点を把握した場合には財務省主税局に対して、税制改正意見を申し入れるなどの対応を行っていきたいと考えています。

質問:過去にはソフトバンク税制とよばれる税制改正も行われました。何か具体的な対応などご検討されているようなことがあれば、教えてください。
回答:過去の改正により導入された税制については、法令に基づき的確に執行していきます。繰り返しになりますが、税制の問題点を把握した場合には、財務省主税局に対して、税制改正意見を申し入れるなどの対応を行っていきたいと考えています。
ビジネスセクション
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蛯原健
リブライトパートナーズ 代表パートナー
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分析・考察

記事で言及される違和感とは主にPL上の巨大な損益とのバランスだがその点が同社の、と言うより会計制度上のミスリーディングな点、つまり持株評価額の短期の上下動がそのまま損益にヒットする故巨額となるがその殆どは未実現の帳簿上の損益に過ぎない点でしょう。無論実現益もあるがそれは法人税ではなくキャピタルゲイン課税がされているはず。同社は投資会社と持株会社の2つの性質を有するが前者ビジョンファンドにかかる税は主にキャピタルゲイン課税、但しファンド管理報酬が少なからずあるはずにてそれが最大の法人税源泉でしょう。一方後者ソフトバンクKKやTモバイル、アリババ、ARM等の保有においては法人税はほぼ発生し得ない。
2022年8月20日 9:06』

スマホ決済「d払い」一部端末で使いづらい状態 NTTドコモ

スマホ決済「d払い」一部端末で使いづらい状態 NTTドコモ
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220819/k10013778501000.html

『NTTドコモによりますと、スマホ決済のサービス、「d払い」で、19日午前10時すぎから一部の端末で利用しづらい状態になっているということです。

復旧の見込みはたっていないということで、現在、会社が影響の広がりや原因を調べています。

「d払い」の利用者は4500万人余りで、NTTドコモでは「お客様にご迷惑をおかけして申し訳ありません。復旧まで今しばらくお待ちいただきたい」とコメントしています。』

中国の銀行の怪しい動き

中国の銀行の怪しい動き
http://blog.livedoor.jp/goldentail/archives/29458798.html

 ※ みずほの話しは、たぶん、お上からの「指導」が入ったんだろう…。

 ※ マネロン対策なんだろう…。

 ※ そうやって、「頻繫に、本人確認してくれ。」ということなんだろう…。

 ※ この頃じゃ、「会社の役員は、されていませんか?(インサイダー取引対策)」「「政府系法人の役員は、されていませんか?」なんてことまで聞かれるぜ…。

 ※ 「自分の金」を送金したり、引き落としたりするのにだ…。

 ※ なんか、「確認書」みたいな書類を作っていた節(フシ)もあったな…。

『私は、銀行口座の一つを、みずほ銀行に持っているのですが、正確に何年前か確認できないのですが、突然口座の一回の送金の上限を、設定していた500万から50万に下げられました。口座を新規に作った場合は、仮の設定として50万が適用されるのですが、申請する事で上限を上げる事ができます。既に、一回申請を出していて、500万に設定していたわけです。

それが、メールで通知が来て、一度、一律で50万に戻すので、不都合がある人は、再申請してくれという内容の案内があり、実際に、こちらの都合に関係無く50万に下げられたのですね。この上限を上げる手続きというのは、申請者の居住確認を含む、そこそこ手間のかかる手続きが必要で、書類のやりとりも含めて、2週間程度かかります。みずほ銀行と言えば、システム・トラブルを何回も起こしているので、某かのトラブルが起きた時の被害を抑える為に、送金の上限を一律で抑えて、申請があった人だけ元に戻す事をしているのかなと疑いました。

銀行が個人の口座に対して、一律で何かをする場合、背後には何かしらの銀行の都合の問題があります。単にセキュリティー上の確認を改めてしたいという場合もありますが(いわゆる持ち主から忘れられている口座や、持ち主が死亡して放置されている口座は、多いのでリスクを最小にする為に上記の事を行う場合もある)、深刻な理由が隠れている場合もあります。

そして、中国の銀行で、法人口座を含む、大量の口座を凍結するという事件が置きました。全ての銀行ではなく、シンセンなどの一部の銀行です。個人口座でも問題ですが、取引や決済に使用している法人口座まで凍結されるとなると、これは大問題です。その理由は、公安部からの要求で、凍結したと銀行は説明しています。そして、公安部は、オレオレ詐欺のような犯罪を防止する為に、口座を凍結したと説明しています。つまり、一律に口座を凍結して、必要としている人から申請して、口座を再開する事で、犯罪のリスクを減らす為の処置だというわけです。

しかし、巷で噂されているのは、「銀行に資金が無くなったので、流動的な資金の流れを止める為に、一律の口座凍結をしたのではないか」と言われています。このブログでも、複数回記事にしましたが、中国の地方銀行で、8000億円の資金が消失して、口座が機能しなくなり、政府が立て替えるという対策が取られました。まぁ、預金者保護は、法律でうたっている義務なのですが、法律で決まっていても、実行されるか判らないのが中国社会です。恐らく、3000人の人々が立ち上がって、デモを起こし、話題にならなかったら、何もされなかったと思われます。

つまり、経営がうまくいっていない銀行は、実際に増えていて、預金者の払い戻しに応じる能力が疑われているという事ですね。これが、信用不安につながって、「取り敢えず、預金をおろして、手元に現金として措いておこう」となると、いわゆる取り付け騒ぎになります。銀行は、預かった資金を金利をつけて貸し出す事で、利益をあげてますから、実際、一斉に預金をおろされた場合、どんな銀行でも現金が足らなくなります。つまり、銀行の運営を信じて、常に預けられた金額が流動的な資金を上回っていないと、銀行は破産します。信用不安が一番怖いので、政府が上限付きの預金者保護などの保証を付けているわけです。取り付け騒ぎが拡大すると、金融システムが維持できなくなります。

詐欺犯罪対策で、法人口座まで凍結するのは、意味が判らないですし、個人でも銀行口座と紐づいた決済サービスを利用している場合、いきなり支払いができなくなるので、大問題です。特に、海外旅行などに出ていて、口座が凍結されたら、身動きが取れなくなります。どう考えても、公安部の言っている理由は、影響と天秤にかけた場合、対策として、おかしいですね。』

オルタナ

オルタナ ; サステナブル・ビジネス・マガジン
https://www.alterna.co.jp/

株式会社オルタナ: 会社概要
https://www.alterna.co.jp/about/

『社名:株式会社オルタナ
代表取締役社長: 森 摂
設立:2006年9月26日
資本金:2909万円
東京本社:
〒153-0041 東京都目黒区駒場1-26-10 ドミナーレサクマ304 
tel:03-6407-0266 アクセス
お問い合わせ受け付け時間: 平日午前10時から午後6時まで

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オルタナの書き手たち
■論説委員

論説委員: 原田 勝広(はらだ・かつひろ)
1974年上智大学外国語学部イスパニア語学科卒業後、日本経済新聞社入社。社会部、国際部、サンパウロ支局、米州総局(ニューヨーク)などを経て明治学院大学教授。2018年6月から現職。

論説委員:井田 徹治(いだ・てつじ)
共同通信社編集委員。1959年、東京生まれ。東京大学文学部卒。環境と開発、エネルギーなどの問題を長く取材。著書に『ウナギ 地球 環境を語る魚』(岩波新書)など。2020年8月からオルタナ論説委員。

論説委員:町田 徹(まちだ・てつ)
経済ジャーナリスト、ラジオ番組キャスター、ノンフィクション作家。1960年大阪生まれ。新聞社、雑誌社を経て、独立。2007年3月「編集者が選ぶ雑誌ジャーナリズム賞」大賞を受賞。著書に『電力と震災 東北「復興」電力物語』、『巨大独占 NTTの宿罪』など
■客員論説委員

客員論説委員:竹村 眞一(たけむら・しんいち)
京都芸術大学教授、NPO法人ELP(Earth Literacy Program)代表理事、東京大学大学院・文化人類学博士課程修了。人類学的な視点から環境問題やIT社会を論じつつ、デジタル地球儀「触れる地球」の企画開発など独自の取り組みを進める。著書に『地球の目線』(PHP新書)など。

客員論説委員:小林 光(こばやし・ひかる)
1949年、東京生まれ。73年、慶應義塾大学経済学部を卒業し、環境庁入庁。環境管理局長、地球環境局長、事務次官を歴任し、2011年退官。以降、慶應SFCや東大駒場、米国ノースセントラル・カレッジなどで教鞭を執る。社会人として、東大都市工学科修了、工学博士。上場企業の社外取締役やエコ賃貸施主として経営にも携わる。

客員論説委員:藻谷 浩介(もたに・こうすけ)
山口県生まれ。平成合併前の全3200市町村、海外1 1 4 ヶ国を自費で訪問し、地域特性を多面的に把握。地域振興、人口成熟問題、観光振興などに関し研究・著作・講演を行う。 2012年より現職。著書に『デフレの正体』、『里山資本主義』(KADOKAWA)、完本『しなやかな日本列島のつくりかた』(新潮社)など。近著に『進化する里山資本主義』 (Japan Times 、 世界まちかど地政学 Next 文藝春秋)

客員論説委員:岡田 千尋(おかだ・ちひろ)
認定NPO法人アニマルライツセンター代表理事・日本エシカル推進協議会理事。2001年からアニマルライツセンターで調査、戦略立案などを担い、2003年から代表理事を務める。主に畜産動物のアニマルウェルフェア向上や動物性の食品や動物性の衣類素材の削減、ヴィーガンやエシカル消費の普及に取り組んでいる。

客員論説委員:佐藤 暁子(さとう・あきこ)
弁護士。人権方針、人権デューディリジェンス、ステークホルダー・エンゲージメントのコーディネート、政策提言などを通じて、ビジネスと人権の普及・浸透に取り組む。認定NPO法人ヒューマンライツ・ナウ事務局次長・国際人権NGOビジネスと人権リソースセンター日本リサーチャー/代表・Social Connection for Human Rights共同代表。一橋大学法科大学院、International Institute of Social Studies(オランダ・ハーグ)開発学修士(人権専攻)。

客員論説委員:井出 留美(いで・るみ)
ジャーナリスト。奈良女子大学食物学科卒、博士(栄養学/女子栄養大学大学院)修士(農学/東京大学大学院農学生命科学研究科)。ライオン、青年海外協力隊を経て日本ケロッグ広報室長等歴任。3.11で廃棄に衝撃を受け誕生日を冠した(株)office3.11設立。食品ロス削減推進法成立に協力。近著『捨てないパン屋の挑戦』『食料危機』『あるものでまかなう生活』『賞味期限のウソ』他。第二回食生活ジャーナリスト大賞食文化部門/Yahoo!ニュース個人オーサーアワード2018/令和二年度 食品ロス削減推進大賞消費者庁長官賞受賞。「メディアが報じない世界の食品ロス情報 SDGss世界最新レポート」連載中。

客員論説委員:財部明郎(たからべ・あきら)
ブロガー(「世界は化学であふれている」公開中)。1953年福岡県生れ。78年九州大学大学院工学研究科応用化学専攻修了。同年三菱石油(現ENEOS)入社。以降、本社、製油所、研究所、グループ内技術調査会社等を経て2019年退職。技術士(化学部門)、中小企業診断士。ブログでは、エネルギー、自動車、プラスチック、食品などを対象に、化学や技術の目から見たコラムを執筆中、石油産業誌に『明日のエコより今日のエコ』連載中。

■オルタナ総研フェロー一覧
影山 摩子弥(かげやま・まこや)

横浜市立大学商学部教授を経て、現在、同国際総合科学学術院教授、横浜市立大学CSRセンターLLPセンター長。専門は経済原論、経済システム論、地域CSR論。国内外の行政機関、企業、NPOなど様々な組織からのCSRの相談にも対応。著書『なぜ障害者を雇う中小企業は業績を上げ続けるのか?』(中央法規出版)、『地域CSRが日本を救う』(敬文堂)、『世界経済と人間生活の経済学』(敬文堂)ほか。CSR検定委員会委員長。
町井 則雄(まちい・のりお)

株式会社シンカ 代表取締役社長/一般財団法人 22世紀に残すもの 理事長/
株式会社オルタナ オルタナ総研フェロー/岩手町政策アドバイザー など
1993年日本財団に入会。「日本財団図書館」・「日本財団公益コミュニティサイト『CANPAN(カンパン)』」の企画・開発を行うと共に、企業のCSRの取り組みを可視化するデータベース「CANPAN CSRプラス」の企画・開発に携わる。「世界を変えるデザイン展」、「未来を変えるデザイン展」の企画・総合プロデューサー。日本財団を2016年9月に退職、企業の社会課題解決型ビジネス創出のサポートやCSR支援を行うため株式会社sinKA(シンカ)を立ち上げ、現在に至る。経産省 地域新成長産業創出促進事業審査委員、内閣府「新しい公共推進会議」情報開示・発信基盤に関するワーキング・グループ委員、G4マルチステークホルダー委員会委員、CSR検定委員会 委員等を歴任。著書(共著) 「CSR検定テキスト」 、「企業と震災(木楽舎刊)」 など。

下田屋 毅(しもたや・たけし)

ロンドン在住CSRコンサルタント。サステイナビジョン代表取締役。日本と欧州のCSRの懸け橋となるべく同社を英国に設立。大手重工メーカーで人事・労務・総務・労働安全衛生などを担当。イースト・アングリア大学環境科学修士、ランカスター大学MBA修了。2012年より英国IEMA認定サステナビリティ(CSR)プラクティショナー資格講習を日本で定期開催。BBT大学講師。

室井 孝之(むろい・たかゆき)

1975年4月~2017年11月、味の素株式会社勤務。同社では、CSR・人事・労務・総務・監査・法人運営などに従事。CSRでは、CSRニュース、組織浸透、DJSIなどのESG投資指標、東北復興などを担当した。2014年、日本食品業界初のダウ・ジョーンズ・ワールド・インデックス選定時にプロジェクト・リーダーを務めた。2017年12月からオルタナ総研コンサルタント、21年1月からオルタナ総研フェロー。1975年上智大学文学部英文学科卒。オルタナ総研では、サステナビリティ全般のコンサルティングを担当。
【主なコンサルティング実績】
・2018年2月,2019年4月、大手不動産、GPIF採用のESG指数「FTSE」、2019年度同社は「FTSE」に選定さる
・2018年10月、大手飲料メーカー、「フィジビリティ・スタディ」
・他に2018年2月オルタナ「CSR/ESG強化セミナー」、2019年2月、2020年2月「サステナビリティ部員塾」にて「ESG情報開示とCSRアンケート」の講師を務める

村木 真紀(むらき・まき)

認定NPO法人虹色ダイバーシティ代表(理事長)。社会保険労務士。茨城県生まれ、京都大学総合人間学部卒業。日系メーカー、外資系コンサルティング会社等を経て現職。当事者としての実感とコンサルタントとしての経験を活かして、LGBTに関する調査研究や社会教育を行う。著書「虹色チェンジメーカー」(小学館新書)

佐藤 暁子(さとう・あきこ)

弁護士。人権方針、人権デューディリジェンス、ステークホルダー・エンゲージメントのコーディネート、政策提言などを通じて、ビジネスと人権の普及・浸透に取り組む。認定NPO法人ヒューマンライツ・ナウ事務局次長・国際人権NGOビジネスと人権リソースセンター日本リサーチャー/代表・Social Connection for Human Rights共同代表。一橋大学法科大学院、International Institute of Social Studies(オランダ・ハーグ)開発学修士(人権専攻)。

竹村 伊央 (たけむら・いお)

1982年名古屋市生まれ。一般社団法人unisteps co-founder / ファッションスタイリスト。高校卒業後渡英し、エシカルファッションムーブメントを作り上げたブランドの1つ、 JUNKY STYLINGに勤務。同時にスタイリストとしてもエシカルを中心としたスタイリングも手がける。 2010年帰国後、2012年にエシカルファッションのPR活動をする団体:ETHICAL FASHION JAPAN(EFJ)を設立。 エシカルの啓発を含めたイベントや講演活動をしながら、2016年よりファッションレボリューションジャパンカントリーコディネーターを務める。

鎌田 安里紗(かまだ・ありさ)

一般社団法人unisteps共同代表。衣服の生産から廃棄の過程で、自然環境や社会への影響を意識する”エシカルファッション”に関する情報発信を積極的に行い、ファッションブランドとのコラボレーションでの製品企画、衣服の生産地を訪ねるスタディ・ツアーの企画などを行っている。暮らしのちいさな実験室Little Life Labを主宰。慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科後期博士課程在籍。環境省「森里川海プロジェクト」アンバサダー。

潮崎 真惟子(しおざき・まいこ)

認定NPO法人フェアトレード・ラベル・ジャパン事務局長
一橋大学経済学部卒。一橋大学大学院経済学研究科修士課程修了(比較経済・地域開発)。デロイト トーマツ コンサルティングを経てオウルズコンサルティンググループにてマネジャーを務める。コンサルタントとしては事業戦略立案などに加え、サステナビリティ・SDGs・人権関連のコンサルティングや政策立案、ルール形成戦略立案、人権デュー・ディリジェンス、NPO/NGO向けコンサルティングなどを多数担当。「児童労働白書2020 ―ビジネスと児童労働―」執筆。労働・人権分野の国際規格「SA8000」基礎監査人コース修了。准認定ファンドレイザー

石田 建一(いしだ・けんいち)

工学博士(建築環境)及び一級建築士。1985年に積水ハウスに入社。パッシブソーラーハウスなどの快適で省エネ住宅の研究を行う。積水ハウスでは、1999年に未来のために良い環境を伝える“環境未来計画”、2008年には”2050年脱炭素宣言“を提案。この実現に向け2009年からCO2排出を1990年比で50%以上削減するグリーンファーストモデル、2013年にはゼロエネルギーハウスであるグリーンファーストゼロモデルの開発を行い、2019年度の新築戸建て住宅の87%をZEHに引き上げる。さらに賃貸住宅やマンションなど全事業のゼロエネルギー化も推進。2021年3月末に積水ハウスを退社。現在、JCLP顧問、工学院大学評議委員

木村 則昭(きむら・のりあき)

1982年上智大学外国語学部英語学科卒業後、2021年5月まで39年間カシオ計算機株式会社に勤務。初めの約27年間はシステム商品の海外営業を担当。その間オーストラリアに約2年、米国に約4年の駐在を経験。その後の約12年間はCSR推進室(後にサステナビリティ推進室)室長としてコンプライアンス及びCSR(サステナビリティ)のグループ内への浸透を推進。グローバルコンパクトの原則に基づき、ISO26000をガイダンスとして、特に「人権」を重点課題として取り組みを進めた。また、2015年にCSRリーダー組織を立ち上げボトムアップによるCSRのグループ内浸透を図った。
2018年度よりオルタナが主催するサステナビリティ(SUS)部員塾の講座「CSR検定3級試験過去問演習と解説」の講師を担当。特定非営利活動法人環境経営学会理事。

井出 留美(いで・るみ)

食品ロス問題ジャーナリスト。奈良女子大食物学科卒、博士(栄養学/女子栄養大大学院)修士(農学/東京大大学院農学生命科学研究科)。ライオン、青年海外協力隊を経て日本ケロッグ広報室長など歴任。311食料支援で廃棄に衝撃を受け誕生日を冠したoffice3.11設立。食品ロス削減推進法成立に協力。食品ロスを全国的に注目されるレベルに引き上げたとして第二回食生活ジャーナリスト大賞食文化部門/Yahooニュース個人オーサーアワード2018受賞。令和二年度食品ロス削減推進大賞消費者庁長官賞受賞。

松下 修(まつした・おさむ)

地域の環境・社会・経済を捉え直し持続可能な地域へ再構築する専門家。行政の地域づくりに関り35年。熊本県山都町SDGs未来都市・自治体SDGsの支援や話題の甲佐町古民家活用事業、FSC宮崎県諸塚村の村づくり事業、鹿児島県屋久島町木造庁舎基本構想や林業振興等他多数。自治体や関係者からの信頼も厚く、コンサルティングは10年、20年と続き「一次産業で一喜一憂する村から誇りと意欲を取り戻せた」「今ある資源でできることを考えてくれる」など喜びの声が届く。公共政策学博士、総務省地域創造力アドバイザー、林野庁九州森林管理局・日本製紙(株)等との共同プロジェクト「木になる紙」事務局。合同会社松下生活研究所代表社員

吉水 由美子(よしみず・ゆみこ)

マーケティングクリエイティブディレクター/消費者のライフスタイルのリサーチスペシャリスト
立教大学卒業後、(株)アサツーディ・ケイなど数社の広告代理店で、マーケティングプランナーとして消費者調査やマーケティング戦略・広告戦略に携わった。2000年伊藤忠ファッションシステム(株)に入社後はマーケティングディレクターとして様々なクライアントの商品/ブランド開発を行うかたわら、消費者のライフスタイル・価値観を研究し、その成果を書籍や講演・セミナーにより発表してきた。2021年立教大学大学院21世紀社会デザイン研究科修士課程修了(社会デザイン学)。現在はフリーランスのマーケティングクリエイティブディレクターとして、ワークショップデザイナー/ファシリテーターとして、クライアントの課題解決を社会デザインの観点も踏まえながら始めている。著書:「漂い系」 の若者たち~インスピレーション消費をつかまえろ!(ダイヤモンド社)、シニアビジネスの新しい主役 Hanako世代を狙え!(ダイヤモンド社/共著)

戸成 司朗(となり・しろう)

一般社団法人中部SDGs推進センター代表理事
1948年生まれ長野県出身、35年間セゾングループ㈱西友に勤務、07年執行役副社長を最後に退任、この間に日本チェーンストア協会初代社会貢献委員長を務める。自宅の在る日進市に戻り、第二の人生を社会に貢献したく、同年住友理工㈱に入社、CSR部長、アドバイザーとして、価値創造型CSRを推進してきた。又、2013年中部圏の企業人の社会参加を目指し、NPO法人中部プロボノセンターを設立し共同代表理事を務める。又、中京大学大学院にて客員教授としてソーシャルビスネスを教える。2019年一般社団法人中部SDGs推進センターを設立、代表理事に就任しSDGsの普及啓発、実践指導を行っている。

大喜多 一範(おおきた・かずのり)

株式会社Future Vision代表取締役
YKK株式会社に30年間勤務し、新規事業開拓をはじめ、グローバル市場に向けてブランディング、マーケティング、知財戦略、商品戦略を担当。また通算15年の海外勤務では、新興国での現地法人・工場設立や経営にも携わる。 現在は、企業の新規事業創出・販路拡大・マーケティングのコンサルティングのほか、サステナブル経営の導入・推進事業も行う。また、国立・私立の大学及び大学院で外部講師として「新規事業創出」「マーケティング」「サステナビリティ」などの講義も受け持つ。

郷原 信郎(ごうはら・のぶお)

郷原総合コンプライアンス法律事務所 代表弁護士
1955年、島根県生まれ。東京大学理学部卒。東京地検特捜部、公正取引委員会事務局審査部付検事、長崎地検次席検事、法務省法務総合研究所総括研究官等を経て2006年弁護士登録。08年、郷原総合コンプライアンス法律事務所開設。
不二家信頼回復対策会議議長、日本郵政ガバナンス検証委員会委員長、九州電力第三者委員会委員長等、不祥事企業の第三者委員会委員長を数多く務める。
著書に『「法令遵守」が日本を滅ぼす』(新潮新書)、『検察の正義』・『告発の正義』(ちくま新書)他。

■経営者・従業員

株式会社オルタナ代表取締役社長・「オルタナ」編集長:森 摂(もり・せつ)
武蔵野大学大学院環境学研究科客員教授。大阪星光学院高校、東京外国語大学スペイン語学科を卒業後、日本経済新聞社入社。編集局流通経済部などを経て 1998年-2001年ロサンゼルス支局長。2006年9月、株式会社オルタナを設立、現在に至る。主な著書に『未来に選ばれる会社-CSRから始まるソーシャル・ブランディング』(学芸出版社、2015年)、『ブランドのDNA』(日経ビジネス、片平秀貴・元東京大学教授と共著、2005年)など。環境省「グッドライフアワード」実行委員、環境省「地域循環共生圏づくりプラットフォーム有識者会議」委員、一般社団法人CSR経営者フォーラム代表理事、日本自動車会議「クルマ・社会・パートナーシップ大賞」選考委員ほか。 講演実績

共同創業者・顧問:新樂 智夫(にいら ともお)
1955年東京生まれ。1977年獨協大学卒。東急ハンズ創業期メンバーとして、同社の企画開発・経営部門の基礎を築き、その後主に流通業・コンサルティング企業で多くの大型プロジェクトを担当。2006年9月オルタナを創業し社長・会長・発行人を務めた。現在2009年設立オフィス アコール代表として、企業の出店戦略・立地調査等のコンサルティング活動に専念。

取締役(関西支社長): 松永 健一(まつなが・けんいち)
大阪市生まれ、電鉄系旅行代理店、広告代理及び制作会社を経てオルタナへ経営参画。主に関西の企業や団体へソーシャル・ビジネスの提案と支援を行う。現在、グロービス 経営大学院で経営戦略・マーケティングを学び、2021年よりCSR検定(サステナビリティ経営とSDGs)サポート事務局長を兼務。

取締役(オルタナS編集長): 池田 真隆(いけだ・まさたか)
2011年立教大学文学部卒業後、株式会社オルタナ入社。大学在籍時からオルタナ編集部オルタナS担当、2011年オルタナS副編集長、2017年オルタナS編集長に就任。2020年7月、株式会社オルタナ取締役。環境省「エコアクション21」オブザイヤー2021審査員、社会福祉HERO’S TOKYO 最終審査員、Jリーグ「シャレン!」審査委員、日本財団学生ボランティアセンター主催PR力コンテスト「v-1」審査委員など。

監査役(公認会計士): 大塚 勝弘(おおつか・かつひろ)大阪星光学院高校、早稲田大学商学部を卒業後、日本電気株式会社を経て旧青山監査法人/プライスウォーターハウスに入所。2001年、ファイブタランツ・コンサルティング株式会社を設立。現在は、M&AやIPOなどエクイティトランザクションの支援サービスを中心に活動している。

編集部・副編集長(オルタナ本誌/オンライン):吉田 広子(よしだ・ひろこ)大学卒業後、米国オレゴン大学に1年間留学(ジャーナリズム)。日本に帰国後の2007年10月、株式会社オルタナ入社。2011年~副編集長。

編集部・副編集長(オルタナ本誌/オンライン):長濱慎(ながはま・しん)都市ガス業界のPR誌で約10年、メイン記者として活動。エネルギー業界のオピニオンリーダーへのインタビューや、全国各地の都市ガス事業者の省エネプロジェクトを取材する。2019年フリーランスに。環境、エネルギー、サーキュラーエコノミーなど、取材ジャンルを広げてサステナブルな社会の実現に向けた情報発信を行う。

経営企画室: 松前 ひかり(まつまえ・ひかり)

オルタナ総研・事務局長/アシスタントプロデューサー:金子 愛子(かねこ・あいこ)


顧問(前取締役): 葉坂 廣次(はざか・ひろつぐ)1975年、東北工業大学・工業意匠学科卒業。デザイン事務所等を経て1978年に起業、1983年に株式会社オークジャパンを設立、現在に至る。2013年、東日本大震災を契機に宮城大学大学院・事業構想学研究科に入学、プロジェクトデザインを学ぶ。現在は海岸林再生や震災復興に関わる事業、経営革新等支援機関として新事業創出、異分野連携、農林水産業の6次産業化等を支援する活動をしている。


共同創業者:新樂 智夫(にいら・ともお)
デザイナー:安保 瑞枝(あぼう・みずえ)

■CSR検定委員会

CSR検定委員長: 大久保和孝(おおくぼ・かずたか、大久保&アソシエイツ代表取締役)
CSR検定委員: 町井則雄(まちい・のりお、株式会社シンカ代表取締役)
CSR検定委員: 赤羽真紀子(あかばね・まきこ、CSRアジア東京事務所長)
CSR検定委員会顧問: 鈴木 均(すずき・ひとし、元NEC、元国際社会経済研究所社長)
CSR検定委員会顧問: 影山摩子弥(かげやま・まこや、横浜市立大学教授)
CSR検定委員会顧問: 関 正雄(せき・まさお、明治大学特任教授)
CSR検定委員会顧問: 川村 雅彦(かわむら・まさひこ)
CSR検定サポート事務局: 諸見 昭(もろみ・あきら、元JETRO)
CSR検定サポート事務局: 大島 浩司(おおしま・こうじ、元ソニー)
CSR検定サポート事務局: 土屋 悦則(つちや・えつのり、元日経BP社)
CSR検定サポート事務局: 橋上 恵美子(はしがみ・えみこ)』

「第一人者」影響力頼み AOKI、五輪公式商品販売狙う

「第一人者」影響力頼み AOKI、五輪公式商品販売狙う
五輪汚職㊤
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUE021R00S2A800C2000000/

『東京五輪・パラリンピックから1年。東京地検特捜部が大会を巡る不透明な資金の本格解明に乗り出した。大会組織委員会元理事の高橋治之容疑者(78)は容疑を否認し、徹底抗戦の構えだ。大会スポンサーだったAOKIホールディングス(HD)前会長の青木拡憲容疑者(83)から高橋元理事は何を依頼され、どう動いたのか。汚職事件の背景を追った。

【関連記事】

・5100万円のコンサル料、五輪組織委元理事への賄賂と認定
・五輪組織委・高橋元理事を逮捕 受託収賄容疑で東京地検
・五輪組織委元理事、なぜ逮捕? 祭典の裏で疑惑絶えず

「公式ライセンス商品の早期審査」「選手団の公式服受注のための人脈紹介」――。2018年9月のある日、東京都内の飲食店。高橋元理事とAOKI側の会食の席で、AOKI側から元理事に、五輪を巡って尽力を期待する内容が伝えられた。高橋元理事は黙って聞いていたという。

逮捕容疑となったのは、高橋元理事がAOKI側から理事という職務に関して依頼を受け、五輪スポンサー契約とライセンス商品の製造・販売に便宜を図る見返りに巨額の資金を受領した疑いだ。浮かび上がったのは、広告大手電通の専務を務め「スポーツビジネスの第一人者」とされる高橋元理事と大会スポンサーだったAOKIの特異な関係。両者の親交はいつ始まったのか。

東京五輪・パラリンピック大会組織委員会の理事会に出席した高橋治之理事(当時)=2015年9月28日、東京都内

原点は09年にさかのぼる。AOKIが著名なゴルフ大会に協賛した際の契約を仲介したのが高橋元理事だった。自社のジャケットを身にまとった優勝選手や企業のロゴマーク。反響に喜んだ青木前会長は契約話を持ち込んだ高橋元理事との関係性を吹聴したという。

両者の関係は13年にAOKIが東京五輪招致活動に協賛金を出したことで更に深まる。招致に貢献した年下の元理事を「師」と呼び称賛する前会長、元理事が経営する東京・六本木のステーキ店での定期会合――。関係者は「五輪事業参入は青木前会長の悲願だった。高橋さんの力は魅力的だったのだろう」と話す。

高橋元理事は17年1月、大会スポンサー契約を青木前会長に持ちかけた。青木前会長が前向きな反応を示すと、高橋元理事は後日、契約に必要な具体的な金額を提示したという。
その8カ月後、互いに信頼を寄せていた2人は一線を越えていく。17年9月12日、両者間でコンサルティング契約が結ばれ、毎月100万円ずつ支払われることが決まった。同年10月から4年半に渡って支払われた計5100万円が逮捕容疑の「賄賂」に当たる。同じ時期、コンサル契約とは別にAOKI側が計約2億3千万円を支払うことも合意に至った。

コンサル契約を機に、AOKI社内で高橋元理事に「尽力を期待する事項」(同社関係者)をリストアップする作業が動き出した。少数の幹部で検討が重ねられ、専務執行役員が要望書にまとめた。主力の紳士服事業が頭打ちとなるなか、五輪事業を「ブランド力」の強化につなげたいAOKI側の〝本音〟が詰め込まれていた。

高橋元理事に要望が伝えられた18年9月以降、電通出向者が多い組織委マーケティング局に元理事から苦情や指導の檄(げき)が飛ぶようになった。「何をぐずぐずしているんだ」「それじゃ商売にならない」。AOKI側の要望に含まれていた商品審査などを担当していたのが同局だった。

東京五輪選手団ユニホームの発表会に出席したAOKIホールディングスの青木拡憲会長(当時)=2020年1月、東京都内

国内外のスポーツ界に顔が広く、海外の要人に広い人脈を持っていた高橋元理事。02年のサッカー・ワールドカップ(W杯)日韓大会や五輪招致を巡るロビー活動でも中心的役割を担ったという。電通関係者は「スポーツ分野で高橋さんの意見は絶対」と影響力の強さを明かす。AOKI側の要望は実現し、審査を通過したAOKIのライセンス商品は19年夏に発売。計3万着以上売り上げ、PR効果も高かったとみられる。

「AOKIに便宜を図ったとしか考えられないでしょ」「コンサル業務なんて実態がない」。東京・霞が関の法務・検察合同庁舎の一室。22年7月から断続的に続いた特捜部検事の調べに、高橋元理事は一貫して容疑を否定してきた。

経費総額が1兆4238億円にのぼった東京大会。巨額の資金が動いたスポーツの祭典の舞台裏で何が起きていたのか。特捜部は22年春ごろから捜査に乗り出し、関係先を幅広く家宅捜索して関連証拠を押収した。容疑を巡って高橋元理事らと全面対決の構図となる中、特捜部はスポーツビジネス界の大物とカリスマ創業者による汚職事件の解明に向け、捜査を本格化させる。

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森幹晴
弁護士・東京国際法律事務所 代表パートナー
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ひとこと解説

五輪が不正疑惑に発展した。偉い人が利権を不正に使って利益を得たとするならば、いかがわしさしか感じない。検察側の筋立てが真実か否か、全面対決となりそうだ。本件は、単純収賄でなく、受託収賄での嫌疑で、検察側の立証のハードルは高い。コンサル料が賄賂に該当するか、組織委員会の職務との関連性、請託の内容を特定できるか等、争点は多岐にわたる。一昔前は、贈収賄のような密室での犯罪は、客観証拠が残らず、当事者の供述が頼りだった。特捜部の調べは7月頃から始まって、1か月余りと短期間での逮捕となった。高橋氏は一貫して否認とあるので、関係者のメール等の記録などの証拠が存在する可能性がある。全容解明を期待したい。
2022年8月18日 8:13 』