日銀「デジタル円」、3メガ銀と実証実験へ 23年春から

『日銀が「デジタル円」の発行に向け、3メガバンクや地銀と実証実験を行う調整に入った。2023年春から民間銀行などと協力し、銀行口座での入出金といったやりとりに支障がないか検証する。災害時などを想定し、インターネットの届かない環境でも稼働するか確かめる。2年間ほど実験を進め、26年にも発行の可否を判断する考えだ。

中銀のデジタル通貨はCBDC(Central Bank Digital Currency)と呼ばれる。デジタル化が進む中、世界の主要中央銀行は紙幣や硬貨に代わるCBDCの発行を模索している。

民間の電子マネーが普及し始めているが、CBDCはお金を即時にやりとりできるのが利点だ。クレジットカードなどは利用者の支払いからお店への入金まで通常、1カ月程度かかる。CBDCは支払いと同時に入金され、売掛金も発生しないため決済コストの低下が期待できる。夜間や休日でも銀行間で送金できるようになり、支払いの利便性が高まる。

使える場所の多さも特徴だ。企業などが提供する電子決済は、使えるお店や公共交通機関が限られる。CBDCは現金と同じ利便性を追求するため原則、日本のどこでも使える必要がある。日銀が実際に導入すれば、遅れていたキャッシュレス決済の起爆剤となり得る。

先行する中国は一部地域でデジタル人民元を試験発行し、実際に買い物などに使える。米連邦準備理事会(FRB)では11月からニューヨーク連銀がシティグループなど民間銀行と実証実験を行っている。欧州中央銀行(ECB)も米アマゾン・ドット・コムなどの企業とパイロット実験を進め、23年にも導入の是非を判断する。国際決済銀行(BIS)の調査では世界の中央銀行の約9割がCBDCの研究に着手している。

日本も米欧と足並みをそろえており、日銀が21年から発行や流通など通貨に必要な基本機能の検証などを内部で独自に進めてきた。23年から実施するのは実用化を見据えた最終段階にあたる「パイロット実験」で、3メガ銀や地銀などといった企業に参加意向の確認を始めている。企業は前向きな姿勢を示しているという。

パイロット実験では参加した銀行と連携し、銀行口座でCBDCのやりとりができるか検証する。停電時などに使えるようインターネットがない環境で機能するかも試す。フィンテック企業やIT(情報技術)ベンダーの参加も募り、本人確認などセキュリティー機能の開発も進める。実験にあたり、民間企業から日銀への出向者も受け入れる。

日銀は現時点ではCBDCの導入を決めておらず、実験の結果を踏まえて判断するとの立場だ。導入には国民的な合意が必要で、法改正やシステム整備にも時間がかかる。日銀の黒田東彦総裁は1月、CBDC発行の可否について個人的見解として「26年までに判断する」と話した。発行が決まったとしても当面は紙幣の発行を続け、CBDCと併用できるようにする。
世界ではビットコインなど、政府の監督が及ばない暗号資産(仮想通貨)が広がりつつある。ブロックチェーンなど技術を用いる仮想通貨は、国境をまたぐ決済にかかる時間やコストを大幅に圧縮できる利点がある。一方で、マネーロンダリングや、FTXトレーディングの破綻にみられるような不正のリスクも大きく、中銀によるデジタル通貨の発行を求める声が上がっている。

CBDCの導入にあたっては、ハッキングなどのリスクをゼロに抑える必要がある。プライバシーの観点から、中央銀行がどの程度の情報を管理するかという課題もあり、FRBやECBなどでも導入の最終判断は下っていない。

政府は骨太の方針に「22 年度中までに行う概念実証の結果を踏まえ、パイロット実験や発行の実現可能性・法制面の検討を進める」と記している。日銀は関連費用の予算計上に向け、財務省など関係機関との調整を進める。

中銀のデジタル通貨

中央銀行が発行するデジタル通貨で「CBDC(Central Bank Digital Currency)」とも呼ぶ。一般に①デジタル化されている②法定通貨建てである③中銀の債務として発行される――といった要件を満たす。発行により決済の効率性向上やキャッシュレス決済の普及などが期待される。

世界の中銀の約9割がCBDCの研究に着手している。米国では2022年3月にバイデン大統領が研究の加速を指示。ユーロ圏は26年以降の発行を見据えて研究を進めている。中国は北京五輪で「デジタル人民元」をお披露目した。銀行口座がなくてもスマホがあれば利用できるため、金融サービスが行き届いていない新興国が積極的に導入している。
日本では日銀がCBDCの実現可能性を探るために実証実験を進めている。実証実験は3段階に分かれており、21年4月に始めたCBDCの基本的な機能(発行や流通など)を試す第1段階は既に終了した。22年4月からの第2段階では、一括送金のような決済の利便性向上や外部システムの連携といった周辺的な機能の検証を進めている。

【関連記事】

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・NY連銀と米金融大手、デジタル通貨で実証実験
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・JCB、デジタル通貨を実証実験へ 日銀の動向にらむ
・デジタル円・デジタルドル・・・CBDCって何?

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ニューズレター

多様な観点からニュースを考える https://regist.nikkei.com/ds/setup/briefing.do?n_cid=DSREA_newslettertop 

※掲載される投稿は投稿者個人の見解であり、日本経済新聞社の見解ではありません。

白井さゆりのアバター
白井さゆり
慶應義塾大学総合政策学部 教授
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ひとこと解説

国内の個人・企業向けのリテールCBDCは、日本のように銀行が多くほぼだれでも銀行口座をもっており、クレジットカードや多様な電子マネーが普及しており、かつ現金を持ち歩いても犯罪が少ない国では、CBDCを利用するベネフィットがないため利用が広がらない可能性があります。中国でも前から実験していますが、電子マネーがかなり浸透していることもあり、利用があまり伸びていないようです。より将来性があるのは、ホールセールCBDCで特に国際間の資金移転でCBDCを使い手数料を下げて送金のスピードを高めることにあるように思います。

2022年11月23日 19:42

小黒一正のアバター
小黒一正
法政大学経済学部 教授
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分析・考察

このようなオープンの場で詳しいことは記載できませんが、CBDC(Central Bank Digital Currency)は、財政や日銀のバランスシート問題の改善にも利用できる可能性があると思います。
2022年11月23日 23:22 (2022年11月23日 23:24更新)』

ゆうちょ銀が500億円規模の出資検討、東芝買収案で-報道

ゆうちょ銀が500億円規模の出資検討、東芝買収案で-報道
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2022-11-19/RLKIKET1UM0W01?srnd=cojp-v2


『日本産業パートナーズ(JIP)が提出した東芝の買収案で、ゆうちょ銀行が500億円規模の出資を検討しているもようだと、19日付の朝日新聞朝刊が関係者への取材を基に報じた。

  同紙によると、第一生命保険や三井住友海上火災保険なども買収案に名を連ねている。ただ、正式な出資の決定に至っていない企業もあるとみられ、買収案には不透明さが残っているという。

東芝非公開化でJIPが約20社と連携、出資総額は約1兆円-関係者 』

トヨタの子会社の日野自動車製のメガクルーザー(HMV BXD10)を装備していた露軍部隊はブリヤートから来た第11空挺襲撃旅団。

トヨタの子会社の日野自動車製のメガクルーザー(HMV BXD10)を装備していた露軍部隊はブリヤートから来た第11空挺襲撃旅団。
https://st2019.site/?p=20635

『Defense Express の2022-11-18記事「The russians Got Japanese Toyota HMV BXD10. How It Could Have Happened」。

   トヨタの子会社の日野自動車製のメガクルーザー(HMV BXD10)を装備していた露軍部隊はブリヤートから来た第11空挺襲撃旅団。

 ロシアはこの「HMV BX10」を「雪上車」の名目で輸入している。買い手にはトラクターの免許が要求されるという。
 ロシアではこの手のSUVの市価は200万ルーブルというところ。

 ※重迫撃砲も牽引できるというので、中古とはいえなぜこんなものを日本がロシアに輸出させているのか、ウクライナ人がプンプン怒っていることが伝わってくる筆致だ。

なおまたこの記者は、陸自が使ったあとのサープラスが中古車輸出にまわされていると信じている模様である。』

機械受注7~9月1.6%減 製造業の回復に一服感

機械受注7~9月1.6%減 製造業の回復に一服感
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA15BE80V11C22A1000000/

『内閣府が16日発表した7~9月期の機械受注統計によると、設備投資の先行指標とされる民需(船舶・電力を除く、季節調整済み)は前期比1.6%減の2兆7438億円だった。2四半期ぶりのマイナスとなった。製造業が6四半期ぶりに減少に転じた。設備投資は新型コロナウイルス禍からの回復局面にあったが、足元で一服感が出てきている。

製造業が前期比2.0%減、船舶と電力を除く非製造業も1.4%減で2四半期ぶりのマイナスだった。

業種別では、製造業のうち半導体製造装置などを発注する電気機械で10.1%減少した。造船業では28.5%減、金属製品は19.6%減で、いずれも4~6月期はプラスになっていた。非製造業では建設業が25.5%、卸売業・小売業が14.7%それぞれ減少した。

9月末時点で調査した10~12月期の受注見通しは前期比3.6%増だった。世界経済の減速が先行きの大きな懸念材料になる。

同日発表した9月の民需(船舶・電力を除く、季節調整済み)の受注額は前月比4.6%減で、2カ月連続のマイナスとなった。内閣府は基調判断を「持ち直しの動きに足踏みがみられる」に下げた。

製造業は8.5%の減少。前月に核燃料サイクル関連の「原子力原動機」の大型受注があった反動で、非鉄金属が82.4%減った。船舶と電力を除く非製造業は4.4%の受注増だった。』

日本のGDP年率1.2%減 7~9月、4期ぶりマイナス成長

日本のGDP年率1.2%減 7~9月、4期ぶりマイナス成長
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA149200U2A111C2000000/

『内閣府が15日発表した7~9月期の国内総生産(GDP)速報値は、物価変動の影響を除いた実質の季節調整値で前期比0.3%減、年率換算で1.2%減だった。マイナス成長は4四半期ぶり。GDPの過半を占める個人消費は新型コロナウイルスの第7波などの影響で伸び悩み、前期比0.3%増にとどまった。

市場ではプラス成長が続くとの見方が大勢を占めていた。QUICKがまとめたGDP予測の中心値は年率1.0%増だった。

マイナス成長に転落した主因は外需だ。前期比の寄与度はマイナス0.7%。GDPの計算で差し引く輸入が5.2%増え、全体を押し下げた。特にサービスの輸入が17.1%増と大きく膨らんだのが響いた。

内閣府の担当者は「広告に関連する業務で海外への支払いが増えた」と説明した。「決済時期のずれも影響し、一時的だ」との見方を示した。

内需も低調で、寄与度は前期のプラス1.0%から0.4%に鈍化した。柱の個人消費は前期比0.3%増にとどまった。コロナの流行第7波が直撃し、交通や宿泊関連などのサービス消費が伸び悩んだ。

耐久財は3.5%減と2四半期ぶりにマイナスに沈んだ。家電やスマートフォンなどが物価上昇の影響もあって振るわなかった。

内需のもう一つの柱である設備投資は1.5%増で2四半期連続で伸びた。企業がコロナ禍で持ち越した分の挽回も含め、デジタル化や省力化の投資を進めている。

住宅投資は0.4%減で5四半期連続のマイナス。建築資材の高騰が影を落としている。公共投資は1.2%増と2四半期連続で増えた。21年度補正予算や22年度当初予算の執行が進んだ。コロナワクチンの接種費用を含む政府消費は横ばいだった。

名目GDPは前期比0.5%減、年率換算で2.0%減となった。円安で輸入額が膨らんでおり、実質でみるよりマイナス幅が大きくなっている。

国内の総合的な物価動向を示すGDPデフレーターは前年同期比0.5%低下とマイナスが続く。日本全体として輸入物価の上昇を価格転嫁できていない構図が浮かぶ。

家計の収入の動きを示す雇用者報酬は名目で前年同期比1.8%増えた。実質は1.6%減り、2四半期連続でマイナスとなった。物価上昇に賃金が追いついていない。
多様な観点からニュースを考える

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小黒一正のアバター
小黒一正
法政大学経済学部 教授
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分析・考察

2022年7月ー9月期における名目GDP成長率(季節調整済み)は、前期比▲0.5%(年率▲2%)ですが、円安や資源価格の高騰による、輸入コストの急増が成長の足枷になっている現実がデータから明らかに分かります。民間住宅の0%を除き、消費や設備投資、輸出など成長に寄与する項目が全てプラスの伸びにもかかわらず、輸入が前期比で11.4%の増加になっています。年率では54%の伸びに相当し、尋常ではない増加率に思います。現在は一時的に円安が修正されていますが、日米間の金利差は存在するため、再び円安が進行する可能性もゼロでなく、難しい問題ですが、この問題をどう制御するか、真剣に検討する必要があると思います。
2022年11月15日 11:23 (2022年11月15日 11:31更新)

白井さゆりのアバター
白井さゆり
慶應義塾大学総合政策学部 教授
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ひとこと解説

緩やかなプラス成長になると思っていたが、マイナスになり日本経済の基盤の弱さを感じています。輸入急増が主因で、特殊要因もあるとおもいますが近年設備投資との相関が強くなっているように思います。また消費は予想されたように弱かったですが、サービスが緩やかにかっくだいを続けており、今後もサービスを中心に消費回復がつづいていくとみています。ただサービス回復といっても、コロナ感染症危機以降、大きく落ち込んだところからの回復なので、まだ2019年始めの水準をかなり下回っています。耐久財は巣ごもり需要で大きく拡大したのち、現在は需要の下落が目立ちます。エネルギーや食料など価格が高騰した項目の消費低下がきになる。
2022年11月15日 11:09

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永浜利広
第一生命経済研究所 首席エコノミスト
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分析・考察

最大の下押し要因は実質輸入の増加であり、民間在庫もマイナス寄与なので、国内需要がそこまで悪くないというとらえ方をすれば、ヘッドラインの数字を見て額面通り悲観することもないという見方もできます。
しかし、構造的にはそれだけ輸入に頼らざるを得ない輸入依存度の高さが露呈されたとも見れます。
いずれにしても、国内自給率の向上が課題というのが良くわかる結果と言えるでしょう。
2022年11月15日 9:44

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滝田洋一
日本経済新聞社 特任編集委員
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ひとこと解説

①「生産」を物差しにするGDPは前期比年率▲1.2%でしたが、「所得」が物差しのGDI(国内総所得)やGNI(国民総所得)の落ち込みはもっときつい。前期比年率でGDIは▲3.9%、GNIは▲2.9%でした。

②資源・エネルギー価格の高騰で同じ量を輸入するにも、海外に余計におカネを支払わなければならない。「交易条件」の悪化が日本経済にズシリとのしかかっている姿が浮き彫りになっています。

③一方、「名目」でみるとGDPは▲2.0%と、「実質」の▲1.2%より減少幅が大きい。輸入デフレーターの上昇で、GDPデフレーターのマイナス幅が4~6月期に比べて拡大したことが響きました。

2022年11月15日 9:35 (2022年11月15日 9:44更新)

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AI処理で「100万円スパコン」使ってみた GPUからの移行は手間? 対話AIベンチャーが手応え明かす

AI処理で「100万円スパコン」使ってみた GPUからの移行は手間? 対話AIベンチャーが手応え明かす
https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2103/02/news007.html

『今、日本国内のスーパーコンピュータ事業が熱い。スパコンの性能を競う世界ランキング「TOP500」で1位(2020年11月時点)を獲った「富岳」や、省電力ランキング「Green500」で1位(20年6月時点)の「MN-3」はいずれも日本の製品だ。こうしたスパコンは大規模な物理演算などに使われるため、基本的には研究機関などが大きなプロジェクトで利用することになる。

 こう聞くと、多くの研究者やプログラマーにとっては縁遠いものと考えがちだが、最近は状況が変わってきた。スパコンの老舗メーカーであるNECが、並列計算を得意とするスパコン「SX-Aurora TSUBASA」のプロセッサ「Vector Engine」(ベクトルエンジン、VE)の単体販売を21年1月に始めたのだ。

NECの最新ベクトルプロセッサ「SX-Aurora TSUBASA Vector Engine」

 デスクトップサイズのタワー型サーバにVEを収めた小型モデルも18年から販売しているが、VE単体では価格が114万4000円(税別)とさらに低廉化。「100万円スパコン」と見出しにつけた報道もあり、注目を集めている。

 NECのSXシリーズはJAMSTEC(国立研究開発法人海洋研究開発機構)が運用するスパコン「地球シミュレータ」にも代々採用されており、21年3月に運用を始める次世代モデルはVEを5,472台搭載する予定だ。そんなVEを、大学の1研究室や中小企業が保有して自由に使える時代が来ている。

 しかし、こんな疑問もあるかもしれない。「これまでの計算環境と違うと、プログラムの移植にも手間がかかって使いこなしが難しいのではないか」──。

 すでにGPUからVEにAI処理を移行した、対話AIベンチャー ウェルヴィルの樽井俊行CTOはこう話す。「コードを修正することなくそのまま動き、計算も高速化できました」

 VEの使い勝手や有力な応用先について、樽井CTOに話を聞いた。

SX-Aurora TSUBASAに替えるだけで強化学習を高速化 コードの変更は一切なし

 ウェルヴィルは2018年に創業したAIベンチャー。樽井CTOは前職で基幹業務システム向けのソフトウェアの開発に長く携わっており、中でも自然言語処理を2010年ごろから担当していた。

ウェルヴィルの樽井俊行CTO

 創業以来、対話エンジンを主力製品としてパートナーと研究開発を進めている。特に東京大学医学部との連携が密で、工学系研究科と医学系研究科で教授を務める鄭(てい)雄一氏を顧問に迎え、自由な対話を可能にするエンジンを開発している。そのため、会社も東大医学部の研究棟内にある。

 樽井CTOがSX-Aurora TSUBASA(VEを1基搭載するエッジモデル)の応用先に選んだのは、コンテナへの荷物積み込みの最適化と、自由対話エンジンの計算全般だ。

 コンテナへの積み込みは深層強化学習(Deep Q Network)を使い、重い荷物を下に、軽い荷物を上に配置しながらできるだけ隙間なく荷物を詰め込むよう学習するプログラムをPythonで実装していた。重めのAI処理であることから、これをまずベンチマークに選んだと樽井CTOは話す。

 従来は法人向けGPUで計算を実行していたが、ハードウェアをSX-Aurora TSUBASAに変更。その結果、約1.5倍高速に計算を完了できた。

 「もともとの計算自体が数時間という単位でかかるものなので、1.5倍は相当な時間短縮になります」(樽井CTO)

荷物の積み込み最適化にSX-Aurora TSUBASAを利用したら学習速度が1.5倍に

 移植の際、プログラムのコードは一切変更しなかった。プログラムでは機械学習フレームワークの「TensorFlow」を利用していたが、NECがSX-Aurora TSUBASAでもこれらを使える環境を用意。

(参考:https://github.com/sx-aurora-dev/tensorflow)

 もともとNECのSXシリーズはSX-Aurora TSUBASA世代になってからLinux OS上での運用が可能になったため、GPUなどを使う従来の開発環境とは互換性が高い。こうした背景が、プログラムの修正なしの移植を可能としている。

 「GPUを使う際とは違う何かをする必要は全くありませんでした。例えば機械学習の入門書通りにプログラムを書いたとしても、そのままで動くと思います」(同)

ベクトルエンジンはなぜ速い?

 GPUもVEも、並列計算が得意な演算ユニットではある。GPUは画像処理の文脈から、今になっては一般的な並列計算にも利用されるようになっているが、VEは大規模な流体計算や気象の計算といった並列計算に以前から使われてきた。

 ベクトルエンジン自体も「ベクトル型」という命令方式で、複数の演算を一度に行えるよう作られている。メモリ帯域幅が大きいのも特長だ。最大1.53TB/sというスペックはPCIeボードサイズの他社の現行のフラグシップアクセラレータと比べても高速で、「世界トップクラスのアクセス性能」(NEC)としている。高い演算性能があっても、メモリ帯域が狭いとメモリと演算ユニット間のデータ転送でボトルネックになりうる。ベクトルエンジンを搭載するSX-Aurora TSUBASAは演算性能とメモリ帯域幅を両立することで効率的な計算を実現しているといえる。

 現在のAIが発展している要因の一つには「計算リソースの充実」が挙げられる。AIの計算は基本的に複数のノード(ニューロン)を同時に更新するため、並列計算が得意なSX-Aurora TSUBASAはAI処理にも向いているというわけだ。

自然言語処理もSX-Aurora TSUBASAで高速に 非接触の接客や自動問診システムへ応用目指す

 貨物積み込みの最適化でSX-Aurora TSUBASAの感触を得た樽井CTOが次に試したのは、同社のメイン技術である自然言語処理への適用だ。

 自然言語処理は強化学習ほど並列計算が多く出てくるわけではない。また、バッチ的に一度に数時間かかる重い処理とは異なり、ウェルヴィルの開発する言語モデルはコンマ数秒で応答するリアルタイムのシステムだ。

 そんなリアルタイムの言語処理システムを丸ごとSX-Aurora TSUBASAで実行したところ、AI的な処理ばかりではないにもかかわらず約8%の高速化を実現できたという。

 「処理全体で8%の高速化なので、特に並列計算が多い意味解析の部分に効いているのだと思います」と樽井CTOは話す。

 ウェルヴィルはSX-Aurora TSUBASAを活用して高速化した言語処理システムを、非接触の接客システムや事前問診システムなどに応用していきたい考えだ。

ウェルヴィルの業務向け対話エンジンを積んだ「AIアバターレジ」

 同社は業務向けの対話エンジンを積んだ製品としては「AIアバターレジ」をリリースしている。これは画面上に映ったアバターが接客し、画面に商品を映しながら客の要望を聞くことで注文を受け付けるシステムだ。開発時期の関係から本製品はGPUで計算しているものの、今後業務向け対話エンジンを実装するに当たってはSX-Aurora TSUBASAを使っていくとしている。

ベクトルエンジンの有効な応用先は?

 対話エンジンがメインの同社だが、東大とはさまざまなプロジェクトを共同研究している。中でも「汎用人工知能を作るプロジェクト」ではベクトル型に向いていると考える処理が多く出てくるため、SX-Aurora TSUBASAを使えば高速化できそうだと樽井CTOはみている。

 「ここまで使ってみた感覚では、ど真ん中で有効なのはやはり強化学習ですね」と樽井CTO。具体的な適用先には貨物積み込みのような最適化計算や、自動運転などが挙げられるという。

 もっとも、特に深層強化学習に関していえば人間を破った囲碁AI「AlphaGo」などにも使われている技術であることから、ポテンシャルは非常に高いといえる。どう使いこなすかは各企業や研究者のアイデア次第だろう。

SX-Aurora TSUBASA使いとしては“異端児” NEC「こんな例が出てくるのが共創の意義」

 NECによれば、SX-Aurora TSUBASA Vector Engine(ベクトルエンジン)はすでに1万7000枚が売れており、さまざまな研究機関や大学施設、企業などに導入されているという。多くは、JAMSTECの地球シミュレータのように流体や気象などの数値シミュレーションに使われているため、いわば「重い処理の高速化」に役立てられている。

NECの浅田さん(AIプラットフォーム事業部マネージャー)

 そんな中、リアルタイムに応答する言語処理システムにVEを使ったウェルヴィルはある意味“異端児”といえる。

 「われわれも想像していなかった、こんな応用例が出てくるのがまさにパートナーと共創する意義なのです」と、NECの浅田さん(AIプラットフォーム事業部マネージャー)は話す。

パートナーとの共創で、NECだけではできない領域もカバーしていく

 樽井CTOはSX-Aurora TSUBASAを使う中でこんな要望も持ったという。「クラウドサービスでの提供はありませんか?」

 「サービスによっては物理的に置く場所に制限もあります。ホスティングサービス、もしくはクラウドコンピューティングサービスなどが出てくると、さらに柔軟に使えそうです」(樽井CTO)

 これについては「間もなくご提供できます」と浅田さん。現在パートナー企業とともにホスティングサービスを準備中だ。これも、SX-Aurora TSUBASA Vector Engine単体やエッジモデルなど、SX-Aurora TSUBASAを柔軟な形でパートナーに提供できるようになったからこその取り組みだ。

 SX-Aurora TSUBASA Vector Engine単体の販売が20年11月に始まり、クラウドサービス開始も間近に迫るSX-Aurora TSUBASA。樽井CTOのような使い手の“異端児”は、これからどんどん増えそうだ。』

NEC SX-Aurora TSUBASA

NEC SX-Aurora TSUBASA
https://ja.wikipedia.org/wiki/NEC_SX-Aurora_TSUBASA

『SX-Aurora TSUBASAはNECのベクトル型スーパーコンピュータシリーズであるSXシリーズの、2017年に発売されたモデルグループである[1]。SX-ACE(SX-10相当)まではいずれも専用設計のインタフェースで、バックプレーンにベクトルノードや管理ノードなどが接続されていたが、このモデルグループでは「ベクトルエンジン」をPCI Expressカードとし、管理側の「ベクトルホスト」を同社の「スカラ型HPC」などと呼んでいるx86クラスタ機系統のものとしている[2][3]。このため最小構成(ベクトルカード1枚のA100)では、タワー筐体のデスクサイドPC状の空冷機となっている。また、2020年には水冷式とすることで高密度化・高性能化した機種を発表、最上位機種を置き換えた。[4]

ベクトルエンジンのベクトルプロセッサは、カード1枚に1個のプロセッサモジュールが搭載されている。1個のプロセッサモジュールには、1枚のプロセッサチップと、6枚のHBM2メモリチップが搭載されている[5]。1枚のプロセッサチップに、ベクトル演算プロセッサが8コア搭載されている。プロセッサモジュールは、1.6GHz のクロック周波数で動作し、コアあたり 307 GFLOPSで、メモリ帯域は 150GB/s である。以上の諸元により、1枚のカードで 2.45 TFLOPS の理論性能と 1.2TB/s のメモリ帯域となっている[6]。

OSについても前述のシステム構成の変更にともない、SUPER-UXからカスタム版Linux系へと変更された(OSが関わるのは管理側であり、計算システムとしてはあまり関係は無い)。システムソフトウェアは従来と(あるいは競合する他のHPCシステムと)同様に、ベクトルコンパイラや分散並列化ソフト、分散・並列ファイルシステム、ジョブスケジューラなど。

ローエンドからハイエンドの順で展開を述べると、タワー筐体で空冷の A100システム、ラックマウントの A300シリーズ(2, 4, 8プロセッサ)、そして64プロセッサ以上は従来と同様なラック型で液冷の計算センター用となり、1ラックあたりの理論性能は 156TFLOPS であるとしている。

Supercomputing 2019 にてアップグレードが発表された[7]。最上位のベクトルエンジン Type 10AE では動作周波数 1.584GHz 、コアあたり 304GFLOPS で、8コアのベクトルプロセッサにつき、倍精度の理論演算性能 2.43TFLOPS 、メモリ帯域1.35TB/s となっている[8]。

主な採用事例

2019年6月、ドイツ気象庁の気象予測システム[9]、高エネルギー加速器研究機構と国立環境研究所に採用されたと発表[10]。

2020年9月、当コンピュータを採用した次世代地球シミュレータを受注したと発表[11]。2021年3月より実運用開始[12][13]。

韓国『現代自動車』の日本市場再挑戦、1~10月累計※※※台 前年同期比「1,669%」の爆増

韓国『現代自動車』の日本市場再挑戦、1~10月累計※※※台 前年同期比「1,669%」の爆増
https://hosyusokuhou.jp/archives/48936680.html

 ※ 「1,669%」増と言えば、「16、7倍」増だ…。

 ※ そう聞けば、スゲー話しなんだが…。

トヨタやNTTが出資 次世代半導体で新会社、国内生産へ

トヨタやNTTが出資 次世代半導体で新会社、国内生産へ
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC09DWY0Z01C22A1000000/

『スーパーコンピューターや人工知能(AI)などに使う次世代半導体を国内で量産する体制作りが動き出す。トヨタ自動車やNTT、ソニーグループなど日本企業8社が新会社を設立し、2020年代後半に向けて製造技術の確立を目指す。政府も補助金を通じて支援する。台湾に生産を依存している半導体は、日米が経済安全保障の鍵と位置づける。日米で連携して進める次世代品の研究成果を生かし、国内での安定供給体制を築く。

新会社にはほかにNECやソフトバンク、デンソー、キオクシアホールディングスが、それぞれ10億円程度を出資する。三菱UFJ銀行も参加する。ラテン語で「速い」を意味する「Rapidus(ラピダス)」という新会社を設立済みで、今後も企業の出資や協力を募る見通しだ。東京エレクトロンの前社長、東哲郎氏らが設立を主導した。

「ビヨンド2ナノ」と呼ばれる次世代の演算用のロジック半導体の製造技術を確立し、2020年代後半に向けて製造ラインの構築を目指す。30年ごろには半導体を設計、使用する企業から製造を受託する事業への参入を目指す。

次世代半導体を巡っては、地政学リスクの高まりから、台湾などに偏在する製造能力を自前で確保する必要性が高まっている。次世代ロジックは素子の構造などを変える必要がある。技術的な移行期にあたるため、先行企業から巻き返しを図る機会として、必要な量産技術を確保する。

日本と米国は次世代半導体分野の研究開発での協力で合意している。2022年度の2次補正予算案では日米連携の研究拠点整備に約3500億円を計上した。拠点は年内にも設置され、国内外の企業や研究機関とも連携する見通し。萩生田光一前経済産業相が訪米し協力を確認した米IBMやベルギーの研究機関imecなどが候補にあがる。

新会社ラピダスはその研究成果を量産につなげる役割を担う。次世代品の生産に必要な技術の確立に取り組み、製造能力を確保する。新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が公募している先端半導体の製造委託事業として応募しており、700億円の支援が決まっている。

ロジック半導体はスマートフォンやデータセンターなどの処理性能を左右する。高度な通信網や完全自動運転にとっても、高い演算性能を持つ半導体や関連技術が重要になる。事業会社にとっては出資を通じ、先端分野の開発・製造技術に携わるのが将来の競争力にとっても有利に働くと判断したようだ。

ロジック半導体は回路幅が小さいほど性能が高く、先端品では数ナノ(ナノは10億分の1)メートル単位に微細化した。台湾積体電路製造(TSMC)と韓国サムスン電子は3ナノ品の量産技術を確立し、2ナノ品も25年に量産する計画だ。

日本で稼働するロジック半導体の製造ラインは最新でも40ナノ品で、10年代の先端開発競争では海外勢の巨額投資を前に、追従できなかった。熊本県に誘致し工場建設が続くTSMCの拠点では12~28ナノ品の製造を計画するなど、製造基盤の確保を急いできた経緯があった。

日本は研究や製造を巡る国際協調を進める一方、先端ロジックの開発や製造投資に主体的に携われる企業が不在だった。長く東京エレクトロンのトップを務め、米装置企業との統合交渉にあたった東氏や、米ウエスタンデジタルの日本法人トップを務めた小池淳義氏など、国際色の強い経営経験者が中心となって、先端開発の中心となる体制を整える。

焦点となるのはエンジニアの確保だ。先端技術や製造工程の経験を持つエンジニアが欠かせない。半導体関連企業などの協力を得る必要があり、すでに複数の企業が人材協力などで打診を受けているもようだ。

【関連記事】

・次世代半導体、日米研究拠点に3500億円 2次補正予算案
・岸田首相「次世代半導体に1.3兆円」 民間投資呼び込み
・「SiC」「GaN」次世代パワー半導体勃興 脱炭素のカギ

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中山淳史
日本経済新聞社 本社コメンテーター
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ひとこと解説

半導体の世界シェアが10%を割り込んでいる日本にとっては画期的な動きです。背景には台湾有事の懸念や中国のハイテク・防衛分野での急速な台頭があり、米国が日本の復活を望んでいるという点を見落とせません。「ビヨンド2ナノ」は性能が良すぎてスマホだけではもったいない技術です。日本に課せられているのは、アプリケーション、すなわち用途開発であることも間違いありません。
2022年11月10日 19:22 (2022年11月10日 19:23更新) 』

〔佐久間製菓とサクマ製菓〕

〔佐久間製菓とサクマ製菓〕

佐久間製菓
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BD%90%E4%B9%85%E9%96%93%E8%A3%BD%E8%8F%93#%E5%A4%96%E9%83%A8%E3%83%AA%E3%83%B3%E3%82%AF

『佐久間製菓株式会社(さくませいか)はドロップなどのキャンディ類を製造・販売する企業である。東京都豊島区池袋に本社を置き、東京都八王子市に工場を持つ。

2022年時点で存在するサクマ製菓株式会社と佐久間製菓株式会社の2社は、前身企業を同じくしているが、それぞれ独立した経営を行っている。その為、資本関係と人的関係はほとんどない。

沿革

1908年 - 佐久間惣次郎商店として創業。サクマ式ドロップスの製造を開始。
1913年 - 「缶入りドロップス」を発売。
1920年 - 佐久間製菓株式会社を設立。
1938年 - 山田弘隆が社長に就任。
1944年11月 - 企業整備令により廃業。
1948年11月10日 - 横倉信之助が東京都豊島区池袋に佐久間製菓株式会社を再興。
1958年 - 日本で初めての天然果汁入りキャンディ「キャンロップ・カクテル」を開発。
1962年 - 厚生省許可「佐久間の咳止めボンボン」を開発。
1969年 - 東京都八王子市に八王子工場を建設。
1988年
    東京都豊島区池袋に本社ビル完成。
    アニメ映画「火垂るの墓」の登場を記念して復刻版を発売。
    高果汁キャンディ「Newキャンロップ」発売。
2023年1月20日 - 廃業(予定)。2022年11月9日に明らかになったもので、安価製品との競合、新型コロナウイルスの感染拡大の影響による販売減、原材料・エネルギー価格の高騰、人員確保の問題などが要因であるとしている[2]。

事業所

本社 - 東京都豊島区池袋2-51-13
八王子工場 - 東京都八王子市東浅川町503
大阪営業所 - 大阪府大阪市中央区瓦屋町1-5-20

商品

サクマ式ドロップス
サクマ式ハッカドロップス
キャンロップ・ヨーグルト 』

サクマ製菓
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B5%E3%82%AF%E3%83%9E%E8%A3%BD%E8%8F%93

『サクマ製菓株式会社(サクマせいか)はキャンディを製造・販売する日本の企業。東京都目黒区に本社を置き、長野県佐久市に工場(浅間工場)を持つ。 』

『歴史
いちごみるく

旧・佐久間製菓株式会社(太平洋戦争中に廃業)の前社長である山田弘隆の三男・隆重により[1][2]、1947年(昭和22年)に東京都渋谷区恵比寿にて創業された。1948年(昭和23年)「サクマドロップス」の製造を開始し、1949年(昭和24年)に事業を法人化。1964年(昭和39年)には中心部にチョコレートの入ったキャンディ「チャオ」を発売し、テレビCMにて知名度を上げた[1]。

1970年(昭和45年)、噛み砕いて食べられるハードキャンディ「いちごみるく」を発売した。この商品は2006年(平成18年)時点でも同社の最主力商品[3]となっており、2007年(平成19年)には第一屋製パンから「サクマ いちごみるくパン」も発売されている[4]。なお、1993年度(平成5年度)には「Jリーグキャンディー」が同社売上高を前年比3割増へと押し上げるヒット商品となったが、翌年には人気が失速した[5]。

1985年(昭和60年)、恵比寿の工場内にパン窯を設けて高級レストラン向けフランスパンの製造・卸を始めた[6]。スクラッチ製法(生地を冷凍しない製法)による[7]手作りの[8]パンを、1986年(昭和61年)時点で有名店35店に納入[6]。1987年(昭和62年)に配達サービスを始めてからは得意先が急増したが、同社の浅間工場建設とほぼ同時期にパン部門は「株式会社パンテコ」として独立している[8]。
沿革

1908年(明治41年)- 佐久間惣治郎商店として創業。
1913年(大正2年)- 「缶入りドロップス」発売。
1944年(昭和19年)11月 - 企業整備令により廃業。
1947年(昭和22年) - 東京都渋谷区にて創業される。
1948年(昭和23年)3月 - 「サクマドロップス」製造再開。
1949年(昭和24年)3月 - 株式会社として組織変更。
1964年(昭和39年)9月 - チョコレートキャンデー「チャオ」発売。
1970年(昭和45年)8月 - クランチキャンデー「いちごみるく」発売。
1985年(昭和60年)8月 - 製パン業に進出する。
1994年(平成6年) - パン部門を「株式会社パンテコ」に譲渡する。
1995年(平成7年)6月 - 浅間工場の操業を開始する。
2008年(平成20年)6月 - 本社を渋谷区から目黒区へ移す。

備考

2022年時点で存在する佐久間製菓株式会社とサクマ製菓株式会社の2社は、前身企業を同じくしているが、それぞれ独立した経営を行っている。その為、資本関係と人的関係はほとんどない。

佐久間製菓は「サクマ式ドロップス」(容器として赤色の缶などが使われている)、「キャンロップ」等の発売元である。
サクマ製菓は「サクマドロップス」(容器として緑色の缶などが使われている)、「いちごみるく」等の発売元である。
一部の商品には、通常製品よりも内容量が少ない100円ショップ専用製品が存在する。

その他の製品

「れもんこりっと」 - レモン味のクランチキャンディ。
「炎天夏塩飴」 - ハワイ産の黒い塩が使われており、塩味が強い。期間限定発売。「炎天下」は誤記。
「春空のど飴」「夏空のど飴」「秋空のど飴」「冬空のど飴」 - シーズンごとに発売しているのど飴。
「太田胃散のど飴」 - 株式会社太田胃散との共同開発によるのど飴。
「ポンジュースキャンデー」 - 株式会社えひめ飲料との共同開発による飴。
「珈琲所 コメダ珈琲店キャンデー」 - 株式会社コメダホールディングスとの共同開発によるコーヒー飴。』

「サクマ式ドロップス」の佐久間製菓、23年1月廃業

「サクマ式ドロップス」の佐久間製菓、23年1月廃業
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC094120Z01C22A1000000/

『「サクマ式ドロップス」を製造販売する佐久間製菓(東京・豊島)が2023年1月20日で廃業することが9日、分かった。新型コロナウイルス禍による販売減や、原材料価格の高騰により財務状況が悪化していた。廃業後も法人格は残し、支払いなどに対応する。

佐久間製菓は1908年創業の老舗菓子メーカー。ロングセラーの「サクマ式ドロップス」を主力商品としていた。原材料のコストが上がった分の価格転嫁が進まなかったことも影響し、21年9月期は1億5173万円の最終赤字だった。

「サクマドロップス」や「いちごみるく」を製造販売するサクマ製菓(東京・目黒)は別会社。同社広報部は「佐久間製菓廃業による影響はない」としている。』

富士通、銀行勘定システム劣勢 ソニー銀行向け開発難航

富士通、銀行勘定システム劣勢 ソニー銀行向け開発難航
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC273FV0X21C22A0000000/

『銀行の基幹業務を担う勘定系システムを巡って、富士通が劣勢に立たされている。ソニー銀行向けに開発している新システムは稼働時期が2023年度以降になることが決定的だ。度重なるシステム障害からの再起を図るみずほ銀行や地方銀行への対応も、富士通に重くのしかかっている。日本のIT(情報技術)業界の雄は逆境をはね返せるか。

野心的な新システム、戦略見直し必至

「品質を確保するため、全体を再点検している」。ソニー銀行は富士通と開発中の新勘定系システムの状況をこう説明する。同行は22年度中の稼働を目指していたが、23年度以降にずれ込む見通しだ。

ソニー銀行と富士通が開発を進める新システムは、野心的な取り組みといえる。勘定系システムの動作プラットフォームに米アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)のパブリッククラウドを全面採用する予定だ。AWSのクラウド上で勘定系システムを全面稼働させた日本の銀行はまだない。

預金などの業務アプリケーションは、富士通が開発中の「FUJITSU Banking as a Service(FBaaS)」を採用する。FBaaSはアプリケーションを細かい単位で分割して保守性を高める「マイクロサービスアーキテクチャー」を採り入れ、安定稼働と開発効率を両立できるという触れ込みだった。

富士通は18年10月、FBaaSの開発に着手したと発表し、20年の提供開始を目指していた。しかし、ソニー銀行とのプロジェクトが難航し、提供開始時期は先延ばしになっている。「現在も鋭意開発を進めている。ただ、詳細はお客様に関わることなので回答は控える」(富士通広報)

FBaaSは富士通の銀行向けビジネスの先行きを左右する戦略的なサービスといえる。富士通はソニー銀行以外にもFBaaSを展開し、顧客基盤を広げる戦略を立てていた。中核の勘定系システムをFBaaSで押さえれば、周辺系システムの受注にも有利に働く。だが、肝心のFBaaSで開発に苦しんでおり、戦略の見直しは必至という状況だ。
地銀共同システムは利用行ゼロに

富士通が抱える難題はソニー銀行だけではない。地銀向けの勘定系システムも岐路に立たされている。

富士通が地銀向けに展開する共同化システムの「PROBANK」は利用行がゼロになる見通しで、もはや事業拡大は見込めない状況だ。富士通は営業店などのチャネル改革や融資業務改革の支援に軸足を移す方針だが、本丸の勘定系システムをNTTデータや日本IBMなどに押さえられた現状で、どこまでビジネスを拡大できるのか見通せない。

みずほへの対応も富士通が避けて通れない難題だ。みずほの勘定系システム「MINORI(みのり)」の開発で中心的な役割を果たした主要4社の一角であり、MINORIの安定稼働に向けて、富士通が果たすべき役割は大きい。

一方で、みずほに関しては「IBMカラーが濃くなってきている」(富士通の中堅社員)という見方もある。実際、みずほ向けのシステム運用などを手掛けるMIデジタルサービス(東京・中央)に日本IBMは出資しており、持ち株比率は65%に達する。

さらに、21年2月以降の度重なるシステム障害を受け、日本IBMで取締役副社長執行役員や取締役副会長などを歴任した下野雅承氏が22年4月1日付で、持ち株会社のグループ執行役員に就いた。銀行の非常勤取締役も務めている。

富士通は何を軸に、国内の銀行向けビジネスを伸ばしていくのか。戦略の再考は避けられない。立ち位置が定まらないままだと、縮小均衡に陥ることになる。

(日経クロステック/日経コンピュータ 山端宏実)

[日経クロステック 2022年10月27日付の記事を再構成]』

経団連会長「ベア中心で賃上げを」、物価高にらみ表明

経団連会長「ベア中心で賃上げを」、物価高にらみ表明
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA074R60X01C22A1000000/

『経団連の十倉雅和会長は7日の定例記者会見で、2023年の春季労使交渉で基本給を一律に上げるベースアップ(ベア)を中心とした賃上げを会員企業に呼びかける方針を表明した。「物価をにらんだ賃上げが大事だ」と述べ、物価高による働き手の実質賃金の目減りに対応する。取引価格の適正化などで中小企業にも波及させることが重要だと訴えた。

経団連は同日の正副会長会議で賃金交渉の基本姿勢に関する案を示した。議論を重ね、経営側の交渉指針を23年1月にまとめる。

十倉氏は来春の賃金交渉で「一番大きな特色は何十年かぶりに物価が上がりそうだということ。物価と賃金(上昇)の好循環にもっていきたい」と強調。会員企業には「ベアを中心に考えてほしいとお願いしたい」と語った。

指針案には物価上昇の影響を強く受ける可能性の高い層として、若年社員や子育て世代の社員、有期雇用社員を並べた。ベアを含めた基本給の引き上げでは「重点的に配分し、その生活の維持・安定に努めることも非常に大事だ」と盛り込んだ。

【関連記事】経団連、中途採用は「経験者採用」に 表記見直しへ

ニューズレター https://regist.nikkei.com/ds/setup/briefing.do?n_cid=DSREA_newslettertop 』

22年度税収が過去最高68兆円超に、2次補正で3.1兆円増額=政府筋

22年度税収が過去最高68兆円超に、2次補正で3.1兆円増額=政府筋
https://jp.reuters.com/article/japan-tax-revenue-idJPKBN2RU0BD

 ※ 「円安」の功罪について、いろいろ言われている…。

 ※ しかし、『主要税目のうち所得、法人税収などが堅調に推移している』ということも、厳然たる「事実」なんだろう…。

 ※ そういうことも「勘案」して、政府・日銀が「金融政策」全体を、舵取りしていくべき話しだ…。

『[東京 4日 ロイター] – 2022年度の一般会計税収が68兆3500億円余りと、過去最高だった21年度実績を上回る見通しであることが4日、分かった。複数の政府関係者が明らかにした。政府が近く閣議決定する22年度2次補正予算案で、昨年末の見積りを増額修正する。

主要税目のうち所得、法人税収などが堅調に推移していることを反映する。当初は22年度税収を65兆2350億円と想定していた。新たに3.1兆円上振れすると見込み、政府が先月28日に決定した総合経済対策の財源に充てる。

国の税収はコロナ禍でも伸び続け、20年度にそれまで最大だった18年度の60兆3563億円を抜き、一般会計税収が60兆8216億円となった。21年度は67兆0378億円と、再び過去最高を更新していた。想定通りに推移すれば3年連続で過去最高を更新することになる。

2次補正では、税収の上振れ分に加えて税外収入なども歳入に計上する。足りない分は新規国債を22兆8500億円余り追加発行することで補う。歳出総額は28.9兆で、世界的な景気減速に備えて創設する「ウクライナ情勢経済緊急対応予備費」には1兆円を計上する。

補正予算案は8日の概算閣議決定を想定する。20カ国・地域(G20)首脳会議などに出席する岸田文雄首相の帰国後に国会に提出し、年内の早期成立を目指す。』

ゼンリン

ゼンリン
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%BC%E3%83%B3%E3%83%AA%E3%83%B3

『株式会社ゼンリンは、地図情報の調査・制作・販売を行う日本の企業。日本国内で4社存在するデジタル地図調製業者のうちの1社で[2]、地図情報会社として日本国内最大手[3]。自社で調査した情報を基に住宅地図やGISなどを制作・販売するほか、他社に対してデジタル地図やカーナビゲーション用データなどを供給している。 』

『歴史

創業

大分県宇佐市出身の大迫正冨(1921年6月16日 – 1980年5月23日)が、1948年4月に別府市で友人と創業した観光文化宣伝社を前身とし、この年を創業としている。

別府市内で宣伝や観光案内などの事業を行い、正冨は専務取締役として出版部門を担当したが、翌1949年に独立して華交観光協会を設立。観光客向けに名所旧跡を紹介する小冊子『年刊別府』を制作したところ、巻末付録であった詳細な市街地図が土地勘のない観光客の間で好評で、地図への掲載要望が相次いだ[4]。これに手応えを感じた正冨は、翌1950年に社名を善隣出版社と改め、2冊目となる『観光別府』を制作する。『観光別府』では付録の地図情報が一層充実し、住宅地図に近いものとなった。

社名は正冨が好んだ言葉「善隣友好」から採られた。戦時においては地図は軍事機密となるため「平和でなければ地図づくりは出来ない」という思いが込められている[5]。
住宅地図の制作

これら2冊の成功を受け、1952年6月に『別府市住宅案内図』が販売された。江戸時代の古地図や戦前の町内案内図などから着想を得て、一軒一軒の建物の情報が記載された地図は、商店や官公庁など各方面で評価され、発行地域を広げた。

1954年3月には販路拡大を目指して福岡県小倉市下到津(現在の北九州市小倉北区)へ移転し、『住宅案内図』の名称も『住宅地図』へと改めた。
全国展開

以降、住宅地図の発行エリアを順次拡大を進め、1980年には47都道府県全てにおいて住宅地図の発行を開始。以後2018年現在に至るまで、住宅地図を全国展開しているのはゼンリンが唯一となっている。住宅地図全国展開の経過は、のち2004年10月にNHKのドキュメンタリー番組プロジェクトX〜挑戦者たち〜で「列島踏破30万人 執念の住宅地図」として放映・書籍化された。

1952年に大分県別府市で住宅地図の発行を始めてから29年目での全国制覇となったが、同年5月、それを見届けるかのように創業者の正冨が社長在職のまま59歳で病没。後任には正冨の長男である大迫忍が就いた。

電子化からカーナビへ

世界初のGPSカーナビが搭載されたユーノス・コスモ

1980年代に入ると2代目社長となった大迫忍の主導により他社に先駆けて地図のデータベース化に着手。1984年に日立製作所と「住宅地図情報利用システム」を開発した。これにより出版物だけでなく地図データの販売も可能となり、1988年にはCD-ROMに地図データを収録した『Zmap電子地図』を販売。1990年には、GPSに対応した世界初のカーナビゲーションシステムを三菱電機と開発し、ユーノス・コスモに搭載された[6]。

1990年代にはカーナビゲーションやパソコンが一般化。80年代に行ったデジタル化への先行投資が実を結んで売上を伸ばし、1994年(平成6年)9月には福岡証券取引所へ、1996年(平成8年)9月には東証・大証各2部への上場を果たした。

地方の地図出版社であったゼンリンをデジタル化の推進によって国内最大手の地図情報会社へと飛躍させた2代目社長の大迫忍は「年を取ると老害になる。55歳で引退する」[7]として2001年をもって20年間務めた社長を勇退し経営から退いた。同時に「同族経営は弊害を生む」として同族企業から脱却させ、後任には創業家以外から原田康が就任した。

媒体の多様化

2000年代には携帯電話・ノートパソコン・携帯ゲーム機・スマートフォンなどの普及に伴い、これらのデバイスに対して地図サービスの提供を行った。

2000年4月、インターネットの普及を受け、ネットワーク配信事業を行うゼンリンデータコムを設立。同年6月には携帯電話向け地図閲覧サービス『ゼンリン携帯マップ』を開始。当初はラスター形式による地図配信であったが、翌年には携帯電話上での地図描画として世界初となるベクター形式による配信を実現した[8]。

2001年8月、3D地図を開発するジオ技術研究所を設立。

2005年7月、Google マップの日本向けサービス開始と同時にデータ提供を開始 [9]。 同年8月、住宅地図のネット配信サービス『ZNET TOWN』を発売開始[10](2019年3月まで)。

2006年4月、PlayStation Portable用の地図ソフト『みんなの地図』を発売。

2006年に東証一部に上場を果たすと、「経営環境の変化に対応するため、若い経営陣に任せたい」として2008年に原田が57歳で退任[11]。初の生え抜きとして高山善司が45歳の若さで4代目社長に就任した。

近年の動向

2010年代に入ると、自動運転やドローン、雑貨などの新たな分野へ地図データを活用した商品化が進んだ。

自動運転

2008年から社内で先進運転支援システム(ADAS)のための高精度地図データの研究開発を開始し、国内外の関連企業との協業を行う。

2016年5月、三菱電機らと6社でダイナミックマップ基盤企画を共同設立。自動運転の実現に必要となる高精度3次元地図の検討を進める事で合意[12]。

2017年1月、NVIDIAと自動運転向けのソリューションについて共同研究することで合意[13]。

2017年10月、オランダのTomTomと日本におけるトラフィックサービスの共同開発で合意[14]。

2018年1月、日産自動車・Mobileyeと共同でレベル3の自動運転向けの高精度地図の共同開発を発表[15]。
ドローン

2015年9月、一般社団法人日本UAS産業振興協議会・ブルーイノベーションと共同でドローン用飛行支援地図サービスの開発に着手。翌2016年5月には飛行禁止区域を地図上で示す『SORAPASS』を発表[16]。

2017年3月、東京電力ホールディングスとドローン用3次元地図分野で提携し、電線網の上空をドローンの安全な飛行経路として活用する「ドローンハイウェイ」の実現を目指して共同開発を進めると発表[17]。

3D地図データ

国内の主要都市の街並みを再現したカーナビゲーション向けの3D地図データを汎用性の高いFBXに変換し、2014年9月より一部をUnityアセットストアで公開している。2018年7月には、グランゼーラが開発中のPlayStation 4用ゲームソフト『絶体絶命都市4Plus_-Summer_Memories-』において、ゲーム内の街のグラフィックに採用されると発表された[18]。

生活雑貨

保有する地図データを活用した新たな市場開拓を進め、2016年に地図を柄として用いた雑貨シリーズ『mati mati』を発売。第59回大阪インターナショナル・ギフト・ショー春2018の販促品部門で大賞を受賞[19]。お茶の水女子大学との産学連携による地図柄文具の商品開発や[20]、アパレルブランドのマスターバニーエディションのポロシャツへの地図データの採用など[21]、広がりを見せている。

2018年には社内のビジネスコンテストで最終選考に残ったアイデアをもとに、夏休みの自由研究向けキットを発売[22]。

地図づくり

創業以来、現地で実際に目視し状況を確認するのがゼンリンの調査の特徴となっており、その様子は「現代の伊能忠敬」とも例えられる[23]。2018年現在も全国に約70の調査拠点と約1000名の調査スタッフを有し、都市部で毎年、他の地域でも最大5年周期で徒歩による現地調査を実施している[24]。

2012年9月に発生したアップルの純正地図アプリに「パチンコガンダム駅」などの不正確な情報が多数表示される不具合の際には、グーグルが採用していたゼンリンのデータがアップルで使われていなかったため、結果的にゼンリンの地図データが再評価された[25][26]。

製品

住宅地図データ

住宅地図は建物一軒一軒の住所・建物名・入居者名・形状・階数等を収録した地図。刊広社などの競合も存在するが、日本国内すべての自治体の住宅地図を調査・製造しているのはゼンリンが唯一となっている。調査員が目視で現地調査した情報を使用しており、データベースは属性で分けられた約1000のレイヤーを持つ[27]。 消防・救急の指令システムをはじめとする行政サービス、電気・ガスなどのインフラ企業、宅配業者や不動産業者などの民間企業に対してデータを供給している[28]。

主な自社商品

    ゼンリン住宅地図 - 冊子版。B4・A4の2つのサイズを発売。
    ブルーマップ - B4判の住宅地図に公図と都市計画図の情報を加えたもの。
    ゼンリン住宅地図出力サービス - オンデマンド版。
    ゼンリン住宅地図プリントサービス - コンビニエンスストアのマルチコピー機で印刷出来るA3サイズの住宅地図。
    電子住宅地図デジタウン - DVD版。
    ゼンリン住宅地図スマートフォン - スマートフォン版。
    ZNET TOWN - クラウド版。
    ZENRIN GISパッケージ - クラウド版。業種別のGIS機能を追加したもの。
    らくらく販促マップ - 中小企業・個人事業主向け。ポスティング用の機能を追加したもの。
    自主防災マップ - 自主防災組織・自治会・町内会向け。
    mati mati(マチマチ) - 住宅地図のデータを加工して柄として用いたステーショナリーシリーズ。

ナビゲーションデータ

カーナビゲーション

主な自社商品

    JAPAN MAP - パナソニックのカーナビ「ゴリラ」用の更新用データ。

歩行者ナビゲーション

歩行者用の経路ネットワークを「高密度エリア」「低密度エリア」「道路ネットワーク流用エリア」の3つに分けて整備している[29]。「高密度エリア」は1日の利用客数が5万人以上の駅と周辺を対象とし、階段の勾配情報やエスカレーターの稼働方向、屋根の有無などを調査し、階段が少ないルートや雨天時に濡れにくいルートといったきめ細やかな案内を実現している。

主な自社商品
    いつもNAVI

ADAS

ドローンハイウェイ

3D地図データ

主要都市部の建物をポリゴンで作成したデータ。範囲は東京23区・大阪市の全域と、全国政令指定都市(19都市)の中心部で、更新は年1回。オブジェクト毎に数百種類もの属性を持つ。カーナビゲーション用に製作されてきたが、近年はゲームソフトやBIMなど、異なる分野への活用も進む。

主な自社商品
    3D地図データ

観光情報

カーナビゲーション用データとして、全国の主要な観光地・施設の案内文や画像データを収集。

主な自社商品

    道の駅 旅案内全国地図

CSR
ゼンリンミュージアム
ゼンリンミュージアムが入居するリバーウォーク北九州

創業家二代目社長の大迫忍が収集した国内外の古地図コレクションを公開するため、本社所在地である福岡県北九州市に2003年7月に企業博物館「ゼンリン地図の資料館」を開館。

本店所在地を兼ねてリバーウォーク北九州の最上階に位置し[30]、所蔵する8250点の一部のほか、地図制作の歴史やスポンサードする選手・団体などに関する展示を行っていた[31]。

しかし「ゼンリン地図の資料館」を中心に続けてきた地図文化振興の取り組みを一層拡大するため、同資料館は2019年11月15日をもって一旦閉館、同地に新たに「ゼンリンミュージアム」をオープンすることとした[32]。「ミュージアム」開業は「地図の日」にあたる2020年4月19日を予定していたが、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、同年6月6日に延期された[33]。

なお「資料館」時代から、小倉の街並みを見渡す展望カフェスペースも設置されている。
災害時支援協定

東日本大震災を契機として非常時における紙の地図の重要性が認識されたことに伴い、自治体に対し災害時用の地図を贈呈し備蓄する取り組みを行っている[34]。

ゼンリン陸上競技部

実業団活動として1990年より陸上競技部を設けており、2018年現在では藤光謙司、高山峻野、城山正太郎らの選手が在籍している。

スポンサード

ギラヴァンツ北九州
地元北九州市を拠点とするプロサッカーチームであるギラヴァンツ北九州を支援。2010年から2012年は背中上部、2013年以降はパンツのユニフォームスポンサーとなっている。
片山右京 / チームUKYO
元レーシングドライバーの片山右京と、片山が率いるチームUKYOのメインスポンサーとなっている。

木戸愛
2012年2月よりプロゴルファーの木戸愛と所属契約を結んでいる。

テレビ番組
タモリ倶楽部(テレビ朝日)2019年1月時点でも関東ローカルにて提供中。
モヤモヤさまぁ〜ず2(テレビ東京)過去にテレビ東京系列にて提供していたテレビ番組。放送開始から現在でも、いつもNAVIによる地図データ提供行っており、提供していた時期は、いつもNAVIのテレビCMを流していた。
がっちりマンデー!!(TBSテレビ)- 2021年1月17日よりTBSテレビ系列にて複数社の1社として提供開始。

事業所

本社 - 福岡県北九州市戸畑区中原新町3番1号 北九州テクノパーク
第一事業本部など - 東京都千代田区西神田一丁目1番1号 オフィス21ビル
第二事業本部など - 東京都千代田区神田淡路町二丁目101番地 ワテラスタワー
テクノセンター - 福岡県北九州市戸畑区中原新町3番1号
ゼンリンミュージアム(旧・ゼンリン地図の資料館) - 福岡県北九州市小倉北区室町一丁目1番1号 リバーウォーク北九州

その他
「ゼンノ」を冠するゼンノロブロイ

全国各地の産業などが物件として登場しているテレビゲーム『桃太郎電鉄シリーズ』では、小倉駅の物件としてゼンリンをモデルとした「住宅地図制作会社」が登場する。なお、ゼンリンは同ゲームシリーズを開発・販売しているハドソンと共同でパソコン用地図ソフト「MaPiVi」を開発していた[35]。
二代目社長の大迫忍は馬主であり、自身の所有する競走馬の冠名として、社名に由来する「ゼンノ」を付けた。例として2004年のJRA賞年度代表馬のゼンノロブロイがいる。

関連会社

株式会社ゼンリンプリンテックス
株式会社ダイケイ
株式会社ジオ技術研究所
株式会社ゼンリンインターマップ
株式会社ゼンリンマーケティングソリューションズ
株式会社ゼンリンデータコム
株式会社Will Smart
ZENRIN USA,INC.
ZENRIN EUROPE GmbH
Abalta Technologies, Inc.
上海大計数据処理公司
Abalta Technologies EOOD
C.E.Info Systems Private Limited
INFOTRACK TELEMATICS PTE. LTD. 』

地図のゼンリン、中国子会社休止 表札の漢字入力廃止で

地図のゼンリン、中国子会社休止 表札の漢字入力廃止で
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOJC284J50Y2A021C2000000/

『地図大手ゼンリンの高山善司社長は28日、日本の住宅地図の製作に関わる中国子会社を3月末に休止したことを明らかにした。日本の調査員が紙の調査票に書き込んだ表札のデータを上海市の拠点で受け取り、名前の漢字をシステムに入力する業務を担っていた。従業員数十人の退職に伴い2億円の子会社整理損を計上した。

ゼンリンが調査員に携帯情報端末を配布し、紙の調査票を廃止したことが理由。表札の名前をシステムに入力する工程が無くなった。ゼンリンの住宅地図製作は、北九州市と沖縄県の2拠点体制になる。調査員をのぞく、従業員数は北九州が約400人、沖縄は約100人。

高山社長は「デジタルトランスフォーメーション(DX)の一環として、新型コロナウイルスの感染拡大で上海がロックダウン(都市封鎖)になる前から計画していた」と述べた。中国人従業員の賃金が上昇し、コスト削減効果が見込めなくなったことが背景にある。

同日発表した2022年4~9月期連結決算は、最終損益が7億円の赤字(前年同期は8000万円の赤字)だった。赤字幅の拡大について高山社長は「自動車の生産調整の影響などでカーナビゲーションシステム用の地図データ販売が減少した」と説明した。

売上高は微増の259億円。カーナビ向けのオートモーティブ事業の売上高は、前年同期より5億円少ない62億円。利益率の高い同事業の減収が響き、営業損益は9億円の赤字(同4億円の赤字)となった。』

モノ売りから電力事業者に変身した日本ガイシ

モノ売りから電力事業者に変身した日本ガイシ
NAS電池を絶滅危惧種と呼ばないで(上)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC213NB0R21C22A0000000/

(過去の投稿)「日本ガイシ」という会社…。
https://http476386114.com/2020/08/27/%e3%80%8c%e6%97%a5%e6%9c%ac%e3%82%ac%e3%82%a4%e3%82%b7%e3%80%8d%e3%81%a8%e3%81%84%e3%81%86%e4%bc%9a%e7%a4%be%e3%80%82/

『※ そう聞いても、あまり知らない人が殆んどじゃないか…。世間的には、あまり有名とは言えないからな…。

※ しかし、この会社は、その時その時の「社会状況」「経済状況」に応じて、収益の柱となる事業を見つけ、自らの姿を変えて、生き延びてきた「見本」みたいな会社なんだ…。

※ そういうことで、紹介しておく…。』

『自ら機会を創り出し、その機会によって自らを変えよ――。リクルート創業者の故・江副浩正氏は、かつて社員らにこんなメッセージを残した。リクルートとは縁もゆかりもないが、この金言を地で行くような企業がある。日本ガイシだ。同社はセラミックを電解質に使う大容量蓄電池「NAS電池」のメーカー。かつて電力会社から重宝された世界唯一の技術に頑なまでにこだわるが、この10年はいかんせん稼げなかった。苦悩の末にたどり着いたのが、NAS電池というモノ売り一辺倒からの決別。その先には自ら電力小売事業者に変身することで、新たな収益機会を創出するというメーカーらしからぬ悟りがあった。

岐阜県東部、人口約4万8000人の山あいの街、恵那市。今年4月、日本ガイシが75%、恵那市と中部電力子会社が12.5%ずつ出資する地域新電力の恵那電力(同市)が産声を上げた。市内10カ所の公共施設に敷き詰めた総出力1200キロワットの太陽光パネルで発電。62カ所の公共施設と同社工場に電力を供給している。

リチウムイオン電池に比べ大容量、長寿命
恵那電力は恵那市の電力需要の半分を賄う

恵那電力は供給量の10%を自然エネルギーで賄い、残りの90%は中部電力の小売り子会社から調達しており、恵那市の約半分の電力需要を担うようになった。一見、どこにでもありそうな地産地消型の新電力にみえるが、さにあらず。この電力ネットワークには陰の主役がいる。日本ガイシの専売特許ともいえる大型蓄電池「NAS電池」だ。

NAS電池は、電解質に同社十八番のセラミックを使い、負極にナトリウム、正極に硫黄を使った2次電池。硫黄とナトリウムイオンの化学反応で充放電を繰り返す。日中や土日の太陽光発電所の余剰電力を電池に蓄えたり、逆に曇天で出力不足に陥った時に放電したりする「調整役」を担う。

最大の特徴は1200キロワット時という容量の大きさだ。定格出力200キロワットで約6時間分の電気を充放電できる。最大のライバルである定置型リチウムイオン電池だと一般的に、同じ定格出力で3~4時間しか充放電できない。日本ガイシによると、キロワット時当たりのコストや製品寿命でもリチウムイオン電池に対し競争力があるという。一方で常温ではなく、加温しなければ稼働しない短所があるのも事実だ。

NAS電池の特徴はほかにもある。自然エネルギーの秒単位の変動にも追随できるレスポンスの良さだ。なかでも電力業界が一目置くのは、その時々でどれくらい充電、放電できるかが精緻に分かることだ。

「供給先に『あと何キロワット時の供給ができそう』ではなく、『供給できる』と確約できる2次電池はNAS電池くらい」と、恵那電力社長で日本ガイシエナジーストレージ事業部の村本正義管理部長は優位性を訴える。電気は需要と供給を常時一致させる「同時同量」が鉄則。それを実現する上でも発電所にとって頼りになる相棒といえる。

では、NAS電池の開発・製造がコアコンピタンスの日本ガイシがなぜ、新電力に進出したのか? そもそもNAS電池は、日本ガイシにとってどういう位置付けの事業なのか。そこには同社の苦闘の歴史がある。

昼夜の価格差を利用し電気代削減に貢献

日本ガイシの祖業は、社名にもある変電所や送電設備に取り付けられるセラミック製品の「碍子(がいし)」。戦前、超高圧・超高強度の碍子の国産化にいち早く成功し、日本で碍子のリーディングカンパニーとなった。戦後は電力需要の増大に合わせ、電力大手と強固な関係を築いた。

「水力(揚水)発電のように都市部でも電気をためて、需要が出れば発電するような技術はないものか」。1980年代、通商産業省(現経済産業省)と東京電力は充放電が自在にできる新たな「電源」の開発を模索。67年に米自動車大手フォードが基本原理を発明したNAS電池に注目し、セラミックに一日の長がある日本ガイシに声がかかった。

84年に東電との共同開発が始まり、日本ガイシはセラミックの電解質部材を完成させた。部材を電池メーカーに供給したが、電池メーカーは部材と電極をモジュール化してセルにする技術の確立に難儀した。東電が求める安全性や性能を満たせなかったことから、撤退する企業が相次いだ。

日本ガイシはセラミックの高精度な加工など独自技術を持つ(写真:吉田伸毅)

それならと、日本ガイシは電極も含めてオールインワンで電池を開発。送配電設備などでの実証試験でも98%の確率で需給調整に成功したことから、2002年に世界で初めてNAS電池の量産を始めた。ポスト鉛蓄電池として今や飛ぶ鳥を落とす勢いのリチウムイオン電池が、電力業界でまだ台頭していなかったころだ。

蓄電池というより、「ためる、放流する」を繰り返す水力発電のような新電源として一躍、注目株となったNAS電池。発送電設備に組み込んで需給調整に使われるようになったが、思わぬところで市場が広がった。工場や商業施設など電力会社の顧客だ。

蓄電池火災事故で暗転

2000年代、日本の総発電量の3割前後は原子力発電所になっていた。だが、原発は火力発電と違い出力の調整がごくわずかしかできない。需要動向にかかわらず発電しっぱなしで電気をどんどん出し続ける。東電と日本ガイシは、これを逆手に取った。

夜間、あふれてくる割安な電気をNAS電池で蓄電し、電気料金の高い昼間に放電することで「ピークカット」するビジネスモデルだ。東電がNAS電池とセットにした法人向け料金引き下げプランを打ち出すと、多くの顧客が飛びついた。主力の小牧事業所(愛知県小牧市)の生産量は尻上がりに伸び、09年には生産能力の上限に達した。

2000年代、小牧事業所では右肩上がりに出荷が増えたが、火災事故後に急変した(写真:吉田伸毅)

だが11年、日本ガイシは地獄に突き落とされる。NAS電池が顧客の三菱マテリアル筑波製作所(茨城県常総市)で火災事故を起こしたのだ。「運転を止めてください」。営業部隊は全国各地の顧客におわび行脚。活況を呈していた工場から従業員が消えた。技術開発から生産担当まで日夜、原因究明に追われた。

12年3月期の連結決算では電池事業で特別損失を計上、日本ガイシとして創業以来初の赤字に陥った。基本設計を一から見直し、大型蓄電池を構成する一本一本のセル(単電池)の耐熱・耐火用シートを三重にして防護力を高めるなどした。1年以上かけて対策品を開発し出荷を再開したが、その先に再び不遇が待っていた。

11年の福島第一原発事故だ。全国で原発の稼働ができなくなり、NAS電池を使って電気料金を引き下げるという勝利の方程式が崩れ去ったのだ。出荷再開後、アラブ首長国連邦のアブダビやイタリアなどで蓄電池を使った需給調整の実証試験向けに需要が出た結果、電池事業の売上高は13年3月期の1億円から16年3月期に262億円まで回復。しかし、こうした需要が一回りすると、国内の原発再稼働の遅れが響いて売上高は10億強~30億円前後と再び低迷。累積赤字は膨らんでいった。

他方、10年代半ばからは太陽光や風力など再生可能エネルギーが普及期に入った。出力変動を補う蓄電池の出番かと思いきや、市場はNAS電池を求めなかった。一体何が起きていたのか。

(日経ビジネス 上阪欣史)

[日経ビジネス電子版 2022年10月20日の記事を再構成]
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政府・日銀が円買い介入 7円急騰、151円台から144円に

政府・日銀が円買い介入 7円急騰、151円台から144円に
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA273UO0X20C22A9000000/

『【この記事のポイント】

・政府・日銀が円買い・ドル売りの為替介入に踏み切った
・日米の金利差拡大で151円90銭台まで円安が進んでいた
・円相場は短時間で一時144円台まで7円ほど急騰した

政府・日銀が円買い・ドル売りの為替介入に踏み切ったと関係者が22日未明、明らかにした。21日に一時1ドル=151円90銭台となり、32年ぶりの安値を更新していた。通貨当局として過度な動きを阻止する姿勢を改めて示した。政府・日銀は9月22日にも約24年ぶりに円買い介入を実施していた。

21日のニューヨーク外国為替市場で円相場は一時1ドル=144円台までわずか1時間ほどで7円程度戻したが、介入後の急変動の一巡後は円売りも出て、147円台後半で取引を終えた。

神田真人財務官は記者団に対して「介入の有無についてはコメントしかねる」と話した。

【関連記事】

・NY円終値、147円台後半 介入「前回より積極的」の見方
・岸田首相、過度な為替変動認めず 介入「コメントせず」

欧州中央銀行(ECB)の広報担当者は21日、日本経済新聞の取材に「ECBは外国為替市場で介入していない」と明らかにした。為替介入は日本が夜間や休日の場合は海外市場でも実施できる。各国の中央銀行に委託する形で、欧州ではECBなどが対応する。政府・日銀が9月22日に実施した為替介入でもECBは為替介入の実施を否定していた。

日本時間21日夜に円安・ドル高が進んだのは、27~28日に日銀の金融政策決定会合を控えていたためだ。日米の金融政策の方向性の違いを意識した円売り・ドル買いが膨らんでいた。

9月22日に実施した円買い介入では、円相場が1ドル=146円近くから一時140円台まで上昇した。今回の追加介入について、市場では「値動きの速さと大きさは前回の介入よりも積極的だったことを示唆している」(米資産運用会社ニューバーガー・バーマンで通貨戦略を統括するウーゴ・ランチオーニ氏)との声が上がった。

9月22日は日銀の金融政策決定会合で金融緩和の維持が決まり、1ドル=146円目前まで円安が進んだ。政府・日銀は同日夕に24年ぶりの円買い・ドル売り介入に踏み切り、一時1ドル=140円台まで円高に動いた。

その後は日米の金利差が拡大するとの見方から円を売ってドルを買う動きが強まり、足元では9月22日の前回介入前よりも円安・ドル高になっていた。

【関連記事】

・円150円、円安招いた「日本病」 賃金低迷・低成長のツケ
・32年ぶり円安「円、さらに下げ余地」 市場関係者に聞く
・物価上昇31年ぶり3% 9月、円安が押し上げ

この記事の英文をNikkei Asiaで読む
Nikkei Asia https://asia.nikkei.com/Business/Markets/Currencies/Japan-stages-new-forex-intervention-to-stop-falling-yen?n_cid=DSBNNAR 

多様な観点からニュースを考える

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小黒一正
法政大学経済学部 教授
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分析・考察

財務省の公式見解通り「為替介入は急激な変動を均すもの」で、中長期的なトレンドを変えることではないことも注意する必要があると思います。一時的に円安の流れを逆転しても、①アメリカと日本の金利差や、②構造的な貿易赤字(輸出入取引でのドルに対する超過需要)など、ファンダメンタルな要因は一切変わっておらず、為替レートに関する今後の動きを注視する必要があると思います。
2022年10月22日 9:35 (2022年10月22日 9:49更新)

滝田洋一のアバター
滝田洋一
日本経済新聞社 特任編集委員
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ひとこと解説

①為替介入はタイミングが勝負。市場参加者のドルの買い持ちが溜まった。そんな局面をとらえての円買い介入だったと思います。円売り勢の損切りを誘い、円相場を一気に上昇させる――いわば「押し上げ介入」です。
②バイデン大統領やイエレン財務長官の「ドル高容認」発言で、日本が介入しづらくなった。そんな思惑を打ち消すことも、今回の介入は狙っているようにみえます。
③折しも米WSJ紙が21日朝、「FRBは11月のFOMCで、その次の12月会合での利上げ幅縮小について協議する」と報道。この日は米長期金利が4.3%台から4.2%スレスレへ低下したことも、円買い介入の効果を高めたはずです。
2022年10月22日 1:28 (2022年10月22日 6:33更新)』

政府・日銀が円買い介入 7円急騰、151円台から144円に

政府・日銀が円買い介入 7円急騰、151円台から144円に
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA273UO0X20C22A9000000/

『【この記事のポイント】

・政府・日銀が円買い・ドル売りの為替介入に踏み切った
・日米の金利差拡大で151円90銭台まで円安が進んでいた
・円相場は短時間で一時144円台まで7円ほど急騰した

政府・日銀が円買い・ドル売りの為替介入に踏み切ったと関係者が22日未明、明らかにした。21日に一時1ドル=151円90銭台となり、32年ぶりの安値を更新していた。通貨当局として過度な動きを阻止する姿勢をあらためて示した。政府・日銀は9月22日に約24年ぶりに為替介入を実施しており、今回は追加介入となる。

【関連記事】NY円終値、147円台後半 介入「前回より積極的」の見方

外国為替市場では日本時間21日夜に円安・ドル高が進んだ。27~28日に日銀の金融政策決定会合を控え、日米の金融政策の方向性の違いを意識した円売り・ドル買いが膨らんでいた。

円相場は一時1ドル=144円台までわずか1時間ほどで7円程度戻した。神田真人財務官は記者団に対して「介入の有無についてはコメントしかねる」と話した。21日のニューヨーク外為市場では介入後の急変動が一巡した後、円売りも出て147円台後半で取引を終えた。

9月22日は日銀の金融政策決定会合で金融緩和の維持が決まり、1ドル=146円目前まで円安が進んだ。政府・日銀は同日夕に24年ぶりの円買い・ドル売り介入に踏み切り、一時1ドル=140円台まで円高に動いた。

その後は日米の金利差が拡大するとの見方から円を売ってドルを買う動きが強まり、足元では前回介入前よりも円安・ドル高になっていた。

【関連記事】

・円150円、円安招いた「日本病」 賃金低迷・低成長のツケ
・32年ぶり円安「円、さらに下げ余地」 市場関係者に聞く
・物価上昇31年ぶり3% 9月、円安が押し上げ

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円、一時149円台に下落 32年ぶり安値を更新

円、一時149円台に下落 32年ぶり安値を更新
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB163CZ0W2A011C2000000/

『【ニューヨーク=竹内弘文】17日のニューヨーク外国為替市場で円が対ドルで下落し、1ドル=149円台を付けた。14日に付けた32年ぶりの安値(148円86銭)を更新した。米長期金利が再び4%台に乗せたことで日米の金利差拡大に注目して円売り・ドル買いの動きが加速した。

英国のハント財務相が17日、トラス英政権が9月に掲げた大規模減税策のほぼすべてを撤回すると表明し、世界の金融市場を揺らした英国の財政規律を巡る市場の懸念はやや和らいだ。英国債利回りが低下(債券価格は上昇)した流れを引き継いで、米10年債利回りも米国東部時間の17日午前に3.92%程度まで低下した。

ただ、インフレを抑えるために米連邦準備理事会(FRB)が大幅利上げを継続するとの大方の見方は変わらず、米長期金利には上昇圧力がかかったまま。じりじりと金利は上昇して午後には4%台に乗せた。日銀が緩和姿勢を緩めないなか、日米の金融政策の方向性の違いが際立ち、円安・ドル高が進んだ。

米国のバイデン大統領がドル高を容認する姿勢を示していることも、投資家のドル買いを支えている。バイデン氏は15日に「ドルの強さを懸念していない」と述べ、市場の一部で浮上していた、急速に進むドル高を各国が協調して是正するとの期待感を打ち消した。

もっとも、記録的な円安・ドル高が進んでいることで、市場では政府・日銀が円買い・ドル売り介入に踏み切るとの警戒は根強い。政府が秘密裏に介入を実施しているとの見方もある。

【関連記事】

・トラス政権、異例の「Uターン」減税撤回も続く退任圧力
・英財務相、大規模減税策「ほぼ全て撤回」
・NYダウ反発、550ドル高 企業の業績懸念が後退

この記事の英文をNikkei Asiaで読む
Nikkei Asia https://asia.nikkei.com/Business/Markets/Currencies/Yen-weakens-past-149-to-dollar-in-new-32-year-low?n_cid=DSBNNAR 』