電力自由化、骨抜きに「厳罰」 3社に課徴金1010億円

電力自由化、骨抜きに「厳罰」 3社に課徴金1010億円
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUE22C4M0S3A320C2000000/

『公正取引委員会が30日、中国電力、中部電力、九州電力に計1010億円の課徴金納付命令を出した。過去最高額の処分からは自社の利益を優先し、自由化政策の基となる市場競争に背を向ける姿勢が浮かぶ。中部電が同日、取り消しを求めて提訴すると発表しており、今後は「合意形成」の有無が焦点になる。

「代表者を含む幅広い層が電力自由化の理念をないがしろにした」。公取委の田辺治審査局長は30日の記者会見で、互いに営…

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日銀、地銀支援策終了へ 支給総額2000億円規模に

日銀、地銀支援策終了へ 支給総額2000億円規模に
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB275MG0X20C23A3000000/

 ※ 日銀準備預金に、一定の「付利」を付けていた…。

 ※ それは、一種の「補助金」的な機能を、果たしていた…。

 ※ それを、打ち切ることにした…。

 ※ そんなような話し、のようだ…。

 ※ まあ、総裁も変わることだし、「非伝統的緩和手段」も、徐々に「手仕舞い」に向かうということだろう…。

『日銀が3年間の「時限措置」として始めた地域金融機関への支援策が3月末に終了する。経営の合理化を進めた銀行へ上乗せ金利を支払う制度で、現在約90の地銀が支援を受ける。支給する付利の総額は2000億円規模となる見通しだ。地銀は不採算店舗の統廃合を進め、経営統合も加速したが、苦境は続く。付利は事実上の国民負担をもたらしており、負担に見合った効果が得られたか検証の余地は残る。
地銀の経費率5%強改善

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みずほ・LINEの新銀行、開業断念へ システム開発難航

みずほ・LINEの新銀行、開業断念へ システム開発難航
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB2781Y0X20C23A3000000/

 ※ 鳴り物入りだった「LINE銀行」も、開業する前にポシャリか…。

 ※ LINE利用者の「貸し倒れリスク」を、「AI使って判定する。そのノウハウを、持っている!」と、鼻息荒かったんだが…。

『みずほフィナンシャルグループ(FG)とLINEが共同で設立を目指してきた新銀行「LINEバンク」の開業を断念する方針を固めたことが29日、わかった。スマートフォン専業銀行で若者の取り込みを狙う新事業だったが、システム開発が難航し競争環境も大きく変化した。みずほにとってはデジタル戦略の仕切り直しになる。

両社は2018年11月にそれぞれ傘下のみずほ銀行とLINEフィナンシャルが共同出資し、新銀行を…

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JOLED、民事再生法申請 ソニーとパナの有機EL統合会社

JOLED、民事再生法申請 ソニーとパナの有機EL統合会社
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC277RY0X20C23A3000000/

『』パナソニックホールディングスとソニーグループの有機EL事業を2015年に統合して発足したJOLED(ジェイオーレッド)は27日、東京地方裁判所に民事再生手続き開始の申し立てをしたと発表した。同日、保全処分と監督命令を受けた。負債総額は337億円。事業の一部はジャパンディスプレイ(JDI)に承継する。日本は有機ELの技術で中国や韓国企業に先行しながら、ビジネスとして大きく立ち上げられなかった。

J…

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『JOLEDは能美事業所(石川県能美市)、千葉事業所(千葉県茂原市)を閉鎖する。製造部門などで働く約280人は解雇し、製造・販売ビジネスから撤退する。技術・開発部門についてはJDIに承継することで、基本合意書を結んだ。同部門では約100人が働く。

JDIは「JOLEDの人材やノウハウは当社の成長戦略に寄与する」とコメントした。同社は有機ELを使った小型パネルの生産を続けている。JOLED設立時に15%を出資していたが20年3月に全株式をINCJ(旧産業革新機構)に譲渡した経緯があった。

57%を出資する筆頭株主のINCJは投融資合わせ1390億円を投じていた。同機構として2番目の大型案件にあたる。勝又幹英社長はJOLEDの民事再生法申請について「誠に断腸の思い」とコメントした。「さらなる資金投下が必要な中で、関係者からの追加出資を望めなかった」ことで継続支援を断念したという。

【関連記事】INCJ社長、JOLED破綻「量産の課題 克服に時間」
JOLEDはソニーとパナソニックから有機ELの技術を引き継いだ。両社とINCJなどの出資を受け、独自の生産技術を使った有機ELの生産を目指していた。大型パネル化への対応や低コストによる量産に利点があるとされていた。

有機ELは液晶ディスプレーと異なりバックライトが不要で、軽量化などもしやすい。日本が技術開発で先行しながら、事業化で韓国企業に出遅れた経緯がある。日本の電機産業が投資を足踏みする間に、サムスン電子などは大型投資を繰り返し、市場シェアを押さえていった。

JOLEDは量産ライン立ち上げの資金確保にむけ、18年にデンソーや豊田通商、住友化学など国内事業会社からの出資を受け入れた。20年には中国・家電大手のTCL科技集団と資本業務提携を締結していた。

ただ、20年を目指していた量産稼働は、新型コロナウイルスの感染拡大などを受け21年春にずれ込んだ。半導体不足による供給難や、巣ごもり需要の剝落による市況悪化などで収益改善も遅れ最終赤字が続いた。22年3月期末時点で債務超過に陥っていた。

有機ELパネルを巡っては、サムスンや韓国のLGディスプレーが規模の大きいスマートフォン向けやテレビ向け市場で圧倒的に優位に立つ。JOLEDはパソコンのディスプレー向けなど中型パネルの生産技術しか持たず、有機ELシフトが進んだ市場を取り込めなかった。日本勢が手掛けるのはJDIの小型パネルなどにとどまる。

【関連記事】

・有機ELパネル3%安 10~12月、欧米でテレビ販売不振
・ディスプレー生産、有機ELも中国が猛追 シェア4割へ
・有機EL、テレビやスマホの主役に 薄く軽く上位機種で
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佐藤一郎
国立情報学研究所 教授
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ひとこと解説 日本は有機ELの開発では先行したが、ビジネスでは敗退となるであろう。
いろいろ要因があるだろうが、JOLEDは、経営破綻したエルピーダや、しばしば経営悪化が報道されるジャパンディスプレーと同様に、政府主導で設立した国策企業であり、しかも日の丸○○を標榜するなど、多く点で重なる。

今後、同じ失敗を繰り返さないためにも、国策企業が適切だったのかを総括をすべきだろう。

なお、昨年設立した、最先端の微細半導体製造を狙う国策企業、ラピダスがあるが、同じ流れを辿らないことを祈りたい。

2023年3月28日 2:00』

東芝TOBの応募焦点に 国内連合、業績悪化で提示額下げ

東芝TOBの応募焦点に 国内連合、業績悪化で提示額下げ
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC2345F0T20C23A3000000/

『日本産業パートナーズ(JIP)などの連合は7月下旬にも東芝に対してTOB(株式公開買い付け)を始める。成立には3分の2以上の応募が必要となる。TOB価格は4620円と足元の株価を1割上回る。交渉の過程では東芝の業績悪化を受け、価格が引き下げられていたことも明らかになった。TOB価格についてアクティビスト(物言う株主)など株主がどう判断するかが焦点となる。

TOB価格は23日終値(4213円)を1…

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『日本産業パートナーズ(JIP)などの連合は7月下旬にも東芝に対してTOB(株式公開買い付け)を始める。成立には3分の2以上の応募が必要となる。TOB価格は4620円と足元の株価を1割上回る。交渉の過程では東芝の業績悪化を受け、価格が引き下げられていたことも明らかになった。TOB価格についてアクティビスト(物言う株主)など株主がどう判断するかが焦点となる。

TOB価格は23日終値(4213円)を10%上回るが、直近6カ月の平均株価(4683円)とほぼ同じ水準だ。東芝の株価は21年4月に最初の買収提案が明らかになってから高値圏で推移している。それ以前の6カ月の平均株価は3195円でTOB価格は大きく上回る。

東芝の株主は5割強を外国人が占める。大量保有報告書を基にするとアクティビストはエフィッシモ・キャピタル・マネージメント(9.9%)、3Dインベストメント・パートナーズ(7.2%)、ファラロン・キャピタル・マネジメント(5.3%)など全体の3割程度いるとみられる。

大株主の多くは東芝が経営危機に陥った17年に約6000億円の増資を引き受けた投資家たちだ。当時の発行価格は1株あたり2628円で、TOB価格は8割近く高い水準だ。QUICK・ファクトセットによると主要株主の平均取得価格は30ドル前後で簿価が変わっていなければ、利益は出る計算になる。

アクティビストのうち、ファラロンとエリオット・マネジメントは幹部が東芝の社外取締役となっている。今回社外取締役を含めた取締役会で提案受け入れを決議したこともあり、アクティビストの多くはTOBに応じる公算が大きい。

外国人以外の株主は金融機関が26%、個人株主を含めたその他が17%いる。アクティビストを除いた7割程度の株主は売却によって利益がでるかで判断することになる。再編期待が高まる前から保有している場合は売却益がでる株主も多いとみられる。短期保有で株価が高いときに取得した株主がTOBに応じるかは不透明だ。

23日にはJIPが交渉の過程でTOB価格を引き下げたことも明らかになった。

JIPが優先交渉権を得た22年11月に提示した価格は1株5200円だった。その後、東芝が業績見通しを下方修正したことを受け、23年2月には4710円に引き下げた。同月に東芝は再度見通しを下方修正し、2023年3月期の連結営業利益は前期比で約4割減る見通しとなった。
【関連記事】東芝、営業減益幅拡大 再編へ成長戦略課題

主力のデータセンター向け記憶媒体のハードディスク駆動装置(HDD)の販売が減っている。半導体メモリーもスマートフォン向けなど需要が減っており、関連会社のキオクシアの業績も落ち込んでいる。有利子負債の増加も踏まえ、JIPは3月に4610円まで提示額を下げた。その後の交渉で10円上積みし、4620円となった。

再編交渉が長引くなか、世界では利上げによって景気後退懸念が広がり、金融危機も現実味を帯びた。JIPは提示額は引き下げたが提案は取り下げず、金融機関も融資を確約した。

TOBが不成立となって再編期待がしぼんだ場合、株価は下落する可能性もある。株主は保有し続けることが利益につながるかどうかを考慮しながら応募を判断することになる。

TOBで発行済み株式の3分の2以上を取得できるかが焦点となる。3分の2以上を取得できれば、株主総会の特別決議によって残りの株主から強制的に株式を買い取ることができる。その結果、JIP連合による買収会社が東芝の唯一の株主となる。

投資ファンドによる買収は、買収資金として調達した負債が結果として買収された会社の負債となる。そのため買収後の東芝の有利子負債は膨らむことになり、財務改善は引き続き課題となる。

【関連記事】

・東芝、買収案受諾を決議 国内連合が1株4620円でTOB
・物言う株主の提案件数、世界で最多に迫る テック標的に
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森幹晴
弁護士・東京国際法律事務所 代表パートナー
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ひとこと解説 東芝の再編案が1株4620円のTOBで一区切りを迎える。不正会計問題が発覚した2015年から約8年、半導体やヘルスケア事業の売却、ファンドと経営をめぐる混乱と代償は大きかった。

今後の焦点は、TOBの成否はもとより、TOB成立後の東芝再建の道筋だろう。

買収陣営を取りまとめるのはJIPで、オリックス、ローム、中部電力など事業会社10数社、金融機関数社、投資ファンド等が普通株、優先株式、融資等の様々な形で資金を拠出する。各社の利害は様々で、これだけスポンサーが多い買収陣営も珍しい。

船頭多くして船山に登るとならぬよう、JIPは関係者をとりまとめる役割を果たせるか。東芝の再建を応援したい。

2023年3月24日 7:53 』

ガソリン車を「電池交換式EV」に改造 新興のFOMM

ガソリン車を「電池交換式EV」に改造 新興のFOMM
【イブニングスクープ】
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC098680Z01C22A1000000/

『電気自動車(EV)新興のFOMM(フォム、横浜市)は4月、ガソリン商用車を電池交換式EVに改造する事業を始める。電池を数分で入れ替えられる交換式EVは稼働率を高めたい物流会社に需要がある一方、電池の統一規格がないことなどを理由に事業化の動きは乏しかった。電池保管の規制緩和で市場が広がり、EV普及に弾みがつく可能性がある。

フォムは2013年、スズキの元技術者で、トヨタ車体の小型EV「コムス」の開…

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『一般的なEVの充電は通常10時間程度、急速充電でも30分〜1時間かかる。商用EVでは半日フル稼働すると残り半日を充電にあてることが多い。交換式EVは助手席後方に電池を配置し、2分程度で満充電のものと交換する。充電器は物流会社の配送拠点などに設置し、荷物の積み替え時に電池も交換して終日稼働できるようになる。

交換式EVへの改造は各地の自動車整備工場に委託する。自動車整備の業界団体と連携し、整備工場への研修も手掛ける。23年度に1000台の改造を目指す。

改造費用は180万円程度を見込む。中古車のEV改造は国や東京都が実施しているEV補助金事業の対象外で、補助金込みで新車を買うよりやや割高となる。物流会社などが繁忙期に終日稼働できる点を売り物にする。新車の供給難が続くなか、一般のEVより納期が早いのも利点だ。

交換式EVは電池の統一規格がないことや、消防法によるリチウムイオン電池の保管規制などの影響で普及が進んでいない。政府は保管規制について23年中に緩和する方針。これまで保管場所は原則、平屋に限られていたが、スプリンクラー設置などを条件に複数階の建物で保管できるようにして、電池交換スタンドを建てやすくする。』

異次元緩和は失敗だったのか 日銀批判の先へ

異次元緩和は失敗だったのか 日銀批判の先へ
金融PLUS 金融グループ次長 石川潤
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB030ZE0T00C23A3000000/

『日銀の黒田東彦総裁が進めた10年間の異次元緩和は失敗だったのか。黒田日銀の最後の金融政策決定会合が9〜10日に迫るなか、大規模緩和の乏しい効果や膨らむ副作用を指摘する論調が目立つ。市場機能が低下し、経済の新陳代謝が鈍り、財政規律が緩んだとされるが、金融政策の責任ばかりを強調すれば、問題の本質を見誤りかねない。この国の成長に何が必要か、批判を超えた議論が求められる。
誤解による大規模緩和

異次元緩…

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『白川方明前総裁は1日公表された短い論文で、各国中銀の大規模緩和の背景にあったデフレへの危機感について「根拠なき恐怖」と表現した。日本では緩やかなデフレ下にあっても、ほかの主要7カ国(G7)と比べて遜色のない1人当たり国内総生産(GDP)成長率を維持できた。恐怖に駆られて導入した非伝統的な金融緩和政策には問題があったというのが白川氏の見解といえる。

白川氏は日本の異次元緩和を「大いなる金融実験」と称し、インフレ率や成長への影響は「ささやか(modest)」だったと結論づけた。さらに、日本では高齢化や人口減による構造的な成長率の低迷が「循環的な弱さだと誤解された」とし、その結果、何十年も続く金融緩和につながったと分析した。』

『東大の渡辺努教授は著書「物価とは何か」で、デフレの問題として、企業が価格支配力を失ってコストカットなどの「後ろ向きの経営」に陥ることを挙げた。経済に壊滅的な打撃を与えるデフレスパイラルが起こらなくても、緩やかなデフレが続くこと自体に危険があるというわけだ。

異次元緩和は2013年春に始まったが「その時点ではすでに、価格据え置きという振る舞いが日本社会の奥深くにビルトインされてしまっていた」というのが渡辺氏の見立てだ。この考えを踏まえれば、もっと早く日銀が大規模緩和に動いていれば、金融緩和がより効果を発揮した可能性もある。』

『異次元緩和について、確かに言えることもある。当初2年程度の短期決戦のはずだった異次元緩和が10年も続き、市場機能低下などの副作用が想定外に膨れあがってしまったことだ。

岐路となったのが14年10月31日、黒田日銀が実施したハロウィーン緩和だ。日銀は13年4月に「戦力の逐次投入はしない」と大見えを切って異次元緩和を始めたが、当時すでに物価上昇圧力が衰え始めていた。サプライズの追加緩和で立て直しをはかったが、結果的には自らの退路を断ち、さらなる緩和へと追い立てられることになった。

長期国債の購入量を年50兆円から80兆円に引き上げたことで、いずれ日銀が国債を買い尽くして金融緩和が限界を迎えるとの思惑が広がった。限界論を打ち消そうとするあまり、黒田日銀はマイナス金利政策や長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)といった副作用の大きい政策の導入に傾いていった面がある。』

『もっとも、副作用とされる問題についても、冷静な分析が必要だ。

白川氏は論文で、金融緩和が長期化すれば「資金配分のゆがみを通した生産性向上への悪影響が深刻になる」との懸念をつづった。日銀の異次元緩和について、ゾンビ企業の延命により経済の新陳代謝の低下を招いたと指摘する論者も少なくない。

一方で、緩和的な金融環境は本来、スタートアップなどの成長にはプラスに働くはずだ。経済学者のダロン・アセモグル氏とジェイムズ・A・ロビンソン氏は著書「国家はなぜ衰退するのか」で、スタートアップが育った米国と育たなかったメキシコの20世紀初めごろの違いとして、競争が激しく低い金利で融資をしてくれる銀行の存在を挙げた。

金融が極めて緩和された日本でスタートアップが育たず、経済の新陳代謝につながらなかったのだとすれば、日銀の金融政策以外にその原因は求められるべきだろう。』

『財政についても、異次元緩和による超低金利が規律の緩みを招いたことは確かだ。だが、膨らむ財政赤字を問題にするのであれば、責められるべきは日銀ではなく、政府・与党だろう。日銀が利上げをすれば、成長や財政の問題が解決するわけではない。すべての責任を日銀に押しつけようとすることは、金融政策万能論の裏返しのようにもみえる。

次期日銀総裁候補の植田和男氏は2月24日、国会での所信聴取で「私の使命は魔法のような特別な金融緩和を考えて実行することではない」と語った。金融緩和の継続を約束する一方で、過度の日銀依存とは距離を置こうとする姿勢だ。

植田氏に政府の経済政策への注文など、金融政策以外での情報発信を求める声がある。もし日銀の新総裁に何らかの「正解」を求めているのだとすれば、それは日銀頼みから精神的に抜け出せていない証左だろう。日本経済を成長に導くために何が必要か。植田氏の知見に期待するだけでなく、私たち自身が考え、動くべきときだ。』

トヨタ・メガクルーザー

トヨタ・メガクルーザー
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%88%E3%83%A8%E3%82%BF%E3%83%BB%E3%83%A1%E3%82%AC%E3%82%AF%E3%83%AB%E3%83%BC%E3%82%B6%E3%83%BC

『メガクルーザー(MEGA CRUISER)は、トヨタ自動車が生産していた多目的自動車である。陸上自衛隊向け高機動車の民生用として1996年(平成8年)1月に登場した。航空自衛隊と海上自衛隊は高機動車ではなく、この車種を採用している。

概要

登場時にはその大きさや外観から「和製ハマー」とも呼ばれた。

2170mmという車幅の数値は逆輸入ではない日本車(商用車を除く)としては最大である[3]。エアコン、オーディオ取り付け用2DIN スペース(センターコンソールにあり、運転席側を向いており、助手席側からは操作できない)など、ある程度の快適装備は有しているが、高価格にもかかわらずタコメーターすらないインストルメントパネルや、4速ATしか用意されないなど、開発の主眼が災害時の救援や人命救助などの任務を迅速に遂行する点に置かれており、いわゆる一般消費者向けのSUV的な自動車ではない。最終組み立ては岐阜県各務原市の岐阜車体工業で行われた。その関連もあってか、日本で唯一、岐阜県警察警備部機動隊に「災害用高性能機動力車両」の名で警察車両として導入されている[4][5][6]。

本車はバン型の貨物自動車として生産されており、通常1ナンバー車であるが、何らかの架装をしての納車が多いと見込まれたため型式指定は取得しておらず、新車登録時には運輸支局または自動車検査登録事務所への持ち込み登録車[7]となっていた。

リアに油圧作動の逆相(小回り)4WSを装備しており、最小回転半径は同社の3代目ヴィッツの「1.5 RS」、および「GRMN」と同じ5.6 mであるが、リアオーバーハングが大きい。センタリングスプリングによるフェイルセーフ機構を持ち、エンジン始動中のPレンジ時やサイドブレーキを引いた状態、油圧系統の異常時やエンジン停止時には中立を保つ。

定員は6名(前席2名、後席1列4名)となっている。RAV4(SXA10系)のものを流用した着脱式のサンルーフも選べるが、これも「作業用ハッチ」の意味合いが強い。このサンルーフに合わせるため、前部ルーフは不自然に膨らんでいる。最低地上高が高く、グリップに捕まりながらの乗降を要する。後部には高機動車と同じ格納式の乗降ステップが装着されている。運転席と助手席の間にはクーラーユニットが付いており、車内での行き来は出来ない。後部ヒータースイッチは助手席側に付いており、運転席からの操作はできない。

フレーム下やサスペンションアームの処理が非常に良く、ハブリダクションドライブを採用しているため、最低地上高の420 mmは実用数値である。通常、車体下部にあるプロペラシャフトやデフが大きな最低地上高を確保するために出来る限り上部に上げられたため、その一部が車内に入り込み運転席と助手席間が大きく離れた。(ハマーH1も同様)。ハブリダクションによってホイール内にブレーキを装着できないためインボード式ディスクブレーキを採用している。止まる直前に強くブレーキをかけているとハブリダクションのバックラッシュとサスペンションのたわみで船のようなピッチングが起こる。トルク感応型LSD(トルセンデフ)のほかにマニュアル・デフロックを持ち、さらに後輪のみではあるが、オプションでタイヤ空気圧調節機能まで備えるため、「このクルマでスタックするようなら、後はクローラ(履帯)付きの車両を使う以外に走行手段はない」とまで言われる。

走破性重視のため、タイヤ空気圧はフルタイム4WDにもかかわらず前1.4 kgf/cm2(140 kPa)、後2.4 kgf/cm2(240 kPa)と異なる。

ハブリダクションギアでも減速されるため、通常のSUVとは比べものにならないほどの減速比を得ており、急な上り勾配でもトルクコンバータのクリープで登坂できる。

高機動車と異なりランフラットタイヤ(タイヤ自体はマッドテレーンのブリヂストン・マッドデューラーで同じだが、高機動車はタイヤ内に鉄輪の中子が入っている)ではないため、スペアタイヤを装備するが、タイヤを動かす際には標準装備のウインチを使用する。地上高の高さもあいまってスペアタイヤキャリアの位置が非常に高いため、背面キャリアでありながら、トラックのフレーム下キャリアと同様なタイヤ引き上げ用のチェーンブロックが装備されている。ボンネットは一般的な積層FRPで、高機動車の真空成型品に比べ、ややグレードが落ちる。サスペンションは高機動車と同様、縦置きトーションバースプリングとダブルウィッシュボーンによる4輪独立懸架となっている。トーションバーが長く車重もあるため、乗り心地は良い。

発売当初は興味本位の一般ユーザーの購入や企業の広告塔[8]として利用された例も見られたが、後にJAFや消防、地方公共団体などが主なユーザーとなった。

価格は962万円(エンジンが変更された1999年以降は980万円)で、諸費用を含めると1,010万円(オプション別)となり、トラックやバスを除く日本車の中では、同社のセンチュリー(GZG50型・1997年4月発売で925 – 987万円)や、ホンダ・NSX(NA1型・1995年3月改良で830.7 – 995.7万円)とほぼ同等の最高価格帯クラスに位置していた。車体色は標準では白と紺の2色が用意されており、室内はビニールのセミトリムとされ、色はグレーであった。2001年(平成13年)8月で生産は終了となった。一時期、ホイールベースを変更して、スーパーダイナやコースター4WDにもこの高機動シャーシが使われていた。

メガクルーザーの生産は2001年8月[9]に終了し、12月に販売を終了した。販売期間中の新車登録台数の累計は133台[1]

カタログにはないハイルーフ仕様もあった。

車両重量が2850kgであるため一部は準中型自動車(5t未満)に分類されており、2017年3月12日以降に普通自動車免許を取得した場合、運転できない。
グレード構成

出典元:デアゴスティーニジャパン 週刊日本の名車第75号16ページより。
発売 ボディタイプ 仕様 車両型式 ミッション 全長×全幅×全高 ホイールベース 車両重量 エンジン名 排気量 最高出力 最大トルク 価格
1996年1月 5ドアワゴン ベースグレード BXD20V 4AT 5090x2170x2075mm 3395mm 2850kg 15B-FT 4104cc 155ps/3200rpm 39.0kg-m/1800rpm 962万円
1999年5月 5ドアワゴン ベースグレード BXD20V 4AT 5090x2170x2075mm 3395mm 2850kg 15B-FT 4104cc 170ps/300rpm 43.0kg-m/1600rpm 980万円

脚注
[脚注の使い方]

^ a b c d e f g h i j k l デアゴスティーニジャパン 週刊日本の名車第75号15ページより。
^ “メガクルーザー(トヨタ)のモデル・グレード別カタログ情報”. グー (2020年1月17日). 2020年1月17日閲覧。
^ From TAM Archives GM・ハマーH1 & トヨタ メガクルーザートヨタ博物館だより(No.77 2008年12月号)
^ “スキー場で救出訓練 県警山岳警備隊など 多目的自動車も登場 飛驒高山 /岐阜”. 毎日新聞 (毎日新聞社). (2020年11月7日) 2020年11月29日閲覧。
^ “北方警察署ニュース令和元年第2号 - 岐阜県警察 - 岐阜県公式ホームページ”. 北方警察署ニュース (岐阜県警察). (2019年6月27日) 2020年11月29日閲覧。
^ “全国で唯一、トヨタ メガクルーザーの 警察車両をモデル化! 12月7日から予約受付開始” (プレスリリース), 株式会社ヒコセブン, (2016年12月7日) 2020年11月29日閲覧。
^ 新型届出自動車
^ ナイキ・ジャパンが、朱色地に白でスウッシュ(同社のロゴ)とNIKEのレタリングを施したメガクルーザーを社用車として導入した例がある。
^ “メガクルーザー(トヨタ)のカタログ”. リクルート株式会社 (2020年1月17日). 2020年1月17日閲覧。』

トヨタの高機動車は、どういうわけか、ロシアの民間市場では一般的

トヨタの高機動車は、どういうわけか、ロシアの民間市場では一般的なのだという。
https://st2019.site/?p=20923

『Boyko Nikolov 記者による2023-2-25記事「Rare Japanese Toyota HMV BXD10s at Russian Army: delivery or prey」。

   「テレグラム」にウクライナ側がUpした動画にジャンビーが映っている。場所は露軍の車両修理廠だという。「トヨタ HMV BXD10」が、「スコルピオン LTA-2B」と同じガレージで修理されているのだ。

 トヨタの高機動車は、どういうわけか、ロシアの民間市場では一般的なのだという。
 動画からは、それが最初から市販されたモデルなのか、それとも自衛隊が廃車にしたものなのか、なんとも言えない。塗装はOD一色である。

 これをUpしたウクライナ人いわく。トヨタは軍用の装甲を施した「HMV BDX10」を133台、民間市場に売った記録があるという。
 しかしバイヤーはわからないという。

 「HMV BDX10」は、「トヨタ・メガクルーザー」の派生型である。

 HMVは、ハイ・モビリティ・ヴィークル=高機動車 である。

 メガクルーザーは1995年から2001年まで製造された。』

戦争をしているわけでもないのに 食料配布600食が24分ではけた

戦争をしているわけでもないのに 食料配布600食が24分ではけた
https://tanakaryusaku.jp/2023/02/00028415

『毎月第2・第4土曜夕方、東池袋公園で行われる食料配布(主催:TENOHASHI)には、今回も多くの人が食べ物を求めて列をなした。大蛇がうねっているような列である。

 主催者が用意した600食は24分間ではけた。全員に行き渡った。

 配布開始は午後6時。先頭の男性(70代)は午後2時から待った。

 午後4時から並んでいるという男性(62歳=写真・中段)に話を聞いた。

 食料配布(炊き出し)に並ぶようになったのは1年くらい前から。

 冷凍倉庫でコンテナ卸の仕事をしていたが、非正規社員だったこともあり、あっさりと解雇された。賃金の安い外国人労働者に取って代わられたのである。

食べ物を手にした男性の嬉しそうな表情が忘れられない。=25日夕、東池袋公園 撮影:田中龍作=

 男性は無収入となり食料配布や炊き出しのお世話になるようになった。ほぼ毎日、都内のどこかで炊き出しや食料配布があるため、食事にはありつける。電車には乗らず歩いて会場まで行く。

 蓄えを取り崩しながらのネカフェ暮らしだ。

 「非正規は簡単に仕事を失うからね」。無念そうな表情で語った。

 労働者を皆殺しにするような勢いで雇用破壊が進む。仕事を失えばカネがなくなる。カネがなくなれば食えなくなる。至ってシンプルだ。

 田中はウクライナにいた頃、ボランティア団体の炊き出しに並ぶ人々をよく目にしていた。戦争で仕事や住まいを失った結果、大勢の人が食えなくなる。戦争がもたらす惨劇である。

 戦争をしているわけでもないのに、人々が食えなくなる国ニッポン。この国は確実に滅亡に向かっているのではないだろうか。

用意した食料がもの凄いスピードではけていった。=25日夕、東池袋公園 撮影:田中龍作=

   ~終わり~

   ◇
『田中龍作ジャーナル』はかつてない財政危機に見舞われています。危急存亡の事態です。

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迫られる脱・日銀緩和頼み 政府は成長の約束果たすとき

迫られる脱・日銀緩和頼み 政府は成長の約束果たすとき
岐路の異次元緩和㊥
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA1314S0T10C23A2000000/

『【この記事のポイント】
・金融緩和の恩恵に甘え政府の財政規律は緩んだ
・成長戦略、財政健全化の政府約束は果たされず
・緊張感をもち履行を迫るのも新体制日銀の仕事

「補正予算が必要だ」。政府が新型コロナウイルス禍に始めた実質無利子・無担保の「ゼロゼロ融資」。ただでさえ異例の策だが、その返済に困る経営者にせがまれた与党議員が補助金を求め声を上げる。

【前回記事】植田日銀、10年緩和の出口担う 市場のゆがみ限界に

2023年度予算案を国会審議するさなか与党議員

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多様な観点からニュースを考える

※掲載される投稿は投稿者個人の見解であり、日本経済新聞社の見解ではありません。

永浜利広のアバター
永浜利広
第一生命経済研究所 首席エコノミスト
ひとこと解説

近年の成長戦略の世界的潮流は、財政政策を伴うものになっています。
代表的なのが、バイデン政権の元でイエレン米財務長官が進めているMSSE(モダンサプライサイドエコノミクス)です。
具体的には、財政健全性の見方を変えることにより、人的資本の蓄積やインフラ整備、R&D強化、温暖化防止面等での財政需要を拡大することでサプライサイドを強化し、長期の成長力を確保するというものです。
日本も見習うべきでしょう。』

『2023年度予算案を国会審議するさなか与党議員が補正予算に言及するのは本来ご法度だ。財務省も歯止め役を果たせない。

黒田東彦総裁が就任する直前、2013年1月に政府と日銀はそれぞれの役割を記した共同声明(アコード)を結んだ。日銀は2%のインフレ目標に向けて金融緩和に取り組み、政府は成長戦略を実現し財政健全化を進める。そんな相互努力の約束だった。

それから10年。市場機能の低下という副作用を生むほど金融緩和に突き進んだ日銀に対し、政府は約束を果たしたと言いがたい。

それどころか、金融緩和が生み出した恩恵に甘え、財政の規律は緩んだ。日銀が大量の国債を市場で買い、政府が簡単に借金を重ねられる状況は、事実上の財政ファイナンスだ。

黒田総裁の就任前の12年末に691兆円だった普通国債の残高は10年間で4割以上増え1000兆円を超えた。国内総生産(GDP)に対する政府債務の比率は主要国で突出する。

財政の大盤振る舞いは経済を強くするどころか、逆に衰えを招いた面もある。帝国データバンクによると実質破綻状態で事業を続けるゾンビ企業は21年度に18万8000社。ゼロゼロ融資が拍車をかけた。

ゾンビ企業は全体の12.9%に達する一方、廃業率は先進国平均の半分以下の3%どまり。産業の新陳代謝が進まず、変革は生まれない。デジタル投資はこの10年は微増にとどまり、3〜5割伸びた米欧に劣後する。潜在成長率は0.3〜0.5%に低迷する。

グリーン革命と呼ばれる脱炭素の社会づくりの停滞は象徴的だ。再生可能エネルギーへのシフトに逆行するガソリン補助金は3カ月の予定だったが延長を繰り返し、1年以上も続いている。使われる国費は当初の計画の70倍にあたる6.2兆円に膨らんだ。

米欧はコロナ対応から財政健全化にかじを切り、世界が日本に送る視線は厳しい。「金融支援策の対象は存続可能な企業に限定されるべきである」「エネルギー補助金はもっと対象を絞ることができたはずだ」。国際通貨基金(IMF)は1月に発表した声明で日本への注文を並べた。

英国債の投資家向け広報(IR)で来日した英債務管理庁長官が9日、財務省を訪れた。金融引き締めに動く中央銀行の国債売却と英政府の国債発行が重なって市場が混乱しないよう「中銀とよく連携している」と説明した。

市場の英国売りで政権が倒れた22年の出来事は関係者の記憶に生々しく残る。英国のような激しいショックに見舞われる前に、日本の財政を立て直し経済を成長に導けるかどうか。

共同声明でうたった約束を政府に迫る緊張感はこの10年、日銀にも足りなかった。独立性と適切な距離感を保ち政府と向き合うところから、植田和男氏の総裁としての仕事は始まる。

多様な観点からニュースを考える
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永浜利広
第一生命経済研究所 首席エコノミスト
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ひとこと解説近年の成長戦略の世界的潮流は、財政政策を伴うものになっています。
代表的なのが、バイデン政権の元でイエレン米財務長官が進めているMSSE(モダンサプライサイドエコノミクス)です。
具体的には、財政健全性の見方を変えることにより、人的資本の蓄積やインフラ整備、R&D強化、温暖化防止面等での財政需要を拡大することでサプライサイドを強化し、長期の成長力を確保するというものです。
日本も見習うべきでしょう。
2023年2月16日 8:33 (2023年2月16日 8:35更新)
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中空麻奈
BNPパリバ証券 グローバルマーケット統括本部 副会長
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今後の展望さまざまな捉え方は可能でも、日銀は2013年1月アコード以降、一貫して緩和をし、深掘りし、日本の景況感を下支えしてきたのは確か。この間に経済成長出来なかったのは、むしろ政府の経済対策に問題があったと言われても仕方がない。更に問題は財政再建が出来なかったどころか、悪化の一途を辿ったことだ。その意味で、日銀幹部が新しくなったところで、アコードの見直しをするのなら、政府のコミットメントは欠かせないものとなる。ただし、アコードはなくていいもの、である。それを設定するとすれば、何のために設定し、何があればアコードの終了となるか、も考慮しておくべきではないだろうか。
2023年2月16日 9:43いいね
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柯 隆
東京財団政策研究所 主席研究員
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ひとこと解説日本経済にとってもっとましな政策がなかったのか。これまでの30年間、景気が後退すると、いつも輸血しかされない。人、物、金のなかでいつも金に頼っている。しかし、そのツケがこれから回ってくる。物価は上昇している。デフレからインフレになっている。低所得層の生活が脅かされる。でも、財政は巨額の赤字。しかも、国家の債務はGDPを大きく上回っている。それでも、国家予算は毎年最多更新。そろそろ政策を転換しないといけないのでは。
2023年2月16日 7:03いいね
146 』

植田日銀、10年緩和の出口担う 市場のゆがみ限界に

植田日銀、10年緩和の出口担う 市場のゆがみ限界に
岐路の異次元緩和㊤
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB110YO0R10C23A2000000/

※ ここら辺の「異次元緩和(アベノミクス、第一の矢)」の功罪については、「金融と社会」第15回(最終回)が詳しい…。

『【この記事のポイント】
・政府、日銀総裁に植田和男氏を起用する案を国会に提示
・債券市場は「売り」で反応 異次元緩和の修正を予想 
・どう動く植田氏 昨年は「出口に向けた戦略必要」と指摘

政府は14日、経済学者で元日銀審議委員の植田和男氏を次期日銀総裁に起用する人事案を国会に提示した。10年続いた異次元緩和は発行済み国債の半分を日銀が買い占めるという異常事態を招き、市場のゆがみも限界に近づいてきた。市場…

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『10年続いた異次元緩和は発行済み国債の半分を日銀が買い占めるという異常事態を招き、市場のゆがみも限界に近づいてきた。市場や経済へのショックを避けつつ、どう政策を修正していくのか。金融政策の正常化に向けた「軟着陸」が新体制に託される。

【関連記事】日銀総裁に植田氏、政府提示 副総裁に氷見野・内田氏
歴代最長の10年間、日銀総裁を務めた黒田東彦氏の後継に、政府は初めて学者出身である植田氏を選んだ。異次元緩和の10年で日銀の国債保有額は4倍超となった。上場投資信託(ETF)購入で、日銀が多くの企業の主要株主になるというひずみも生まれた。

植田氏に期待されるのが、膨れあがった副作用を取り除くための異次元緩和の修正だ。だが、投機筋はそのタイミングを見計らって国債を売り浴びせようと構えている。植田氏は就任初日から市場との戦いに身を投じることになる。

「植田氏は経済情勢を見極め、就任後は長短金利操作(イールドカーブ・コントロール)の撤廃に踏み切るだろう」。日本国債の空売りを進めてきた英ヘッジファンド、ブルーベイ・アセット・マネジメントのマーク・ダウディング氏は取材にこう話した。日銀の緩和修正を見越し、国債売りを継続する姿勢を崩していない。

植田氏の起用が伝わると、債券市場は売りで反応した。長期金利の指標となる新発10年物国債の利回りは14日、連日で日銀が上限とする0.5%を付けた。英投資会社、Abrdnのジェームズ・エイシー氏は「信じられないほど金融緩和に積極的な黒田総裁ですら(昨年12月に)政策を修正した」と指摘し、植田日銀はさらなる政策修正に踏み込むと読む。

修正観測が高まっているのは、市場のゆがみが広がり、日銀も放置はできないと踏んでいるためだ。昨年12月の日銀の政策修正の直前には、これまで金利低下の恩恵を受けてきた財務省でさえ「市場機能の阻害が大きくなっている」との懸念を日銀に伝えた。

長短金利操作による10年物国債の利回り抑制が20年物や30年物国債の入札不調を招いていた。20年物など超長期債を買うときは10年物国債や先物を売って損失リスクを避けることが多い。流通する国債が少なくなり、10年債や先物の値動きが不安定になった結果、リスクヘッジできなくなった証券会社や投資家が超長期債を買い控えるようになった。

ゆがみは債券市場にとどまらない。昨年10月には日米の金利差の拡大を反映して円安・ドル高が止まらなくなり、円相場は1ドル=151円台と32年ぶりの安値を付けた。

市場の経済・物価見通しを映すはずの長期金利を無理やり固定しようとすると、マネーの圧力は外国為替市場に集中する。景気を支えるはずの金融緩和が、円安加速と物価上昇の連動を通じて経済を不安定にした。

植田氏はどう動くのか。昨年7月の日本経済新聞「経済教室」では「日銀は出口に向けた戦略を立てておく必要がある」と指摘。「多くの人の予想を超えて長期化した異例の金融緩和枠組みの今後については、どこかで真剣な検討が必要だろう」と記した。短期金利はゼロ近辺に据え置きながら、長期金利の柔軟性を高める方向で政策修正を探るというのが市場参加者の相場観だ。

もっとも軟着陸は簡単ではない。日本経済研究センターは昨年12月、日銀が長短金利操作を廃止した場合、長期金利は最大で1.1%まで上昇するとの試算を公表した。企業の利払い負担が増し、経常利益を最大で年3%程度、設備投資を9%程度押し下げる可能性がある。

金利上昇は財政の持続性への懸念も高めかねない。いまや日銀の国債購入は「日本国債の格付けを支える要因のひとつ」(大手格付け会社フィッチ・レーティングスの担当者)だ。財政健全化の道筋がみえないままに日銀の緩和が出口に向かえば、格下げと金利上昇の負の連鎖に入り込むリスクも否定はできない。

問われるのは、植田氏の対話力だろう。当面は緩和的な金融環境を維持していくと約束しながら、持続性の乏しい政策は修正し、サプライズに翻弄されてきた市場参加者に安心感を与えられるかどうか。金融政策だけでこの国の経済構造を変えられない以上、時には政府に必要な改革を求めていく大胆さも求められるはずだ。

【関連記事】

・サプライズの「植田日銀総裁」 国際性・専門性、世界の潮流
・「拙速な引き締め避けよ」 植田語録で占う日銀の針路

多様な観点からニュースを考える
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柯 隆
東京財団政策研究所 主席研究員
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分析・考察 まだ総裁に就任していないから、ほとんど記事はこれまでの植田氏の発言を踏まえ、推察したものである。実際に総裁に就任して、今の経済状況を鑑みて、単なる黒田政策を継承するだけでいいとは思えない。どれほど利上げするのではなく、金融政策の柔軟性を確保することで政策の正常化からスタートしなければならない。そして、中央銀行の独立性も確保する必要がある。あとは黒田時代の負の遺産をどのように処理するかである。負の遺産とはこれまで買い込んだ証券である
2023年2月15日 7:56 』

〔「金融と社会」第12回 デフレと非伝統的金融政策、紹介する。〕

 ※ 実は、去年の夏に、「衛星放送」導入した。

 ※ 「遅ればせながら」なんだが、これが非常に役に立つ。

 ※ 特に、「放送大学」は、ためになる。

 ※ 今さら、「大学生」になって、「単位」取ったりするつもりは、さらさら無い。

 ※ しかし、録画しておいて、暇なときに(メシ食いながらとか)、再生して視る分には、何の支障も無い。

 ※ 当代一流の先生方の「名講義」を、寝転がりながら、拝聴しても、問題は無い。

 ※ 調べたら、「印刷教材」(講義のテキスト)も、市販されているんだな。

 ※ 本格的に、学習するんだったら、そういうものを購入して、深く学ぶのも、いいだろう。

 ※ そういうことで、その一端を、紹介する。

※ 毎回、その回のポイントを、初めに示してくれる。

※ 日本のバブル崩壊後、日本経済は低迷し、「デフレ」と判断されるような状態に陥ったわけだが、その原因の考察だ。

※ ここでは、「貨幣乗数の低下」という観点から、説明している。

※ まず、GDPというものの概説から、説明している。

※ 「物価」の代表的な指標である「消費者物価指数」の推移だ。

※ 政府の定義では、「2カ月以上連続して、どうなったか」という観点で見るらしい…。

※ 過去の借金の、名目額は、変化しない(1000万円の借金の名目額は、1000万円のまま)。

※ しかし、デフレで「物価が下がる」≒「貨幣価値は上がる」だから、過去の借金の「実質負担」は増大する。生活実感としては、「生活がジワジワ苦しくなっているのに、借金返済額は重くのしかかる。」というような感じになる…。

※ 実質利子率という観点からも、同じ。

※ デフレが景気悪化を引き起こし、その景気悪化はさらなるデフレを呼ぶという「悪循環」に陥る…。

※ 「経済成長の、エンジン」という観点からの考察だ。

※ さまざまな「経済活動のリソース」を、効率よく「配分」する必要があるのだが、その「資源(リソース)の移動」が、妨げられる。

※ デフレの原因の考察。

※ よく言われるのが、供給過剰+需要不足。

※ 供給過剰の主因は、バブル期の「過剰設備投資」だろう、と言っていた。

※ マネタリスト的な観点からの、考察。

※ 本当に、貨幣流通量は、「少なかった」のかの考察。

※ このグラフによれば、「バブル期の7割」くらいの「貨幣量」は、供給されていた。

※ コールレートも、「1%」以下に引き下げられていた。

※ それでも、「デフレ傾向、物価の低迷傾向」は続いたんで、さらなる「緩和策」を模索することになる。

※ 従来からの「伝統的な緩和策」では、あまり効果が出ない原因の考察。

※ ここで、登場する「分析ツール」が、「貨幣流通速度」というものだ。

※ 「1万円」の貨幣を発行した場合、それが「1回」しか使用されない、というわけでは無い。

※ 例えば、4回使われたとすれば、結局、「4万円」の取り引きに使用されたという「計算」になる。

※ 名目GDPを、マネーストックM1で割ったものを計算すれば、大体、総計でどれくらいの「経済取引」に使われたのか、という「総量」を割り出すことができるだろう。

※ ごらんの通りの、低下傾向だ。

※ 「流動性の罠」≒通貨当局が、必死で「緩和策」を取り、貨幣をジャブジャブ流し込んでいるのに、さっぱり「物価上昇」が起きない現象、の原因の考察。

※ 「貨幣需要」と言っているが、「貨幣選好」だな。

※ 人々は、貨幣を獲得しても、それを物やサービスを購入したりする「経済活動」に使うことよりも、それを「貯め込んで」、胎蔵する方を選んでしまうという行動に出る。

※ そういう「人々の行動」を変えるための「政策」について、エライ学者先生であるポール・クルーグマン大先生(ノーベル経済学賞の受賞者だ)の「ご託宣」が、あったわけだ。

※ そういうことで、06年頃までゼロ金利政策を、続けたわけだ。

※ それを、やめたのは、GDP成長率がちょっと上向いたのと、こういう「未経験の政策」をずっと続けることを、「危惧する声」が上がったからだ、と言っていた…。

※ 政策目標と、その達成度合いの検証。

※ 金融システム不安の解消は、まあまあ、達成されただろうと言っていた。

※ 確かに、「金融機関」の大型倒産は、無かったからな…。

※ まあ、「金融再編」は、随分なされたようだが…。

※ 貨幣総量とか、コールレートとかは、日銀が操作しやすいもので、これは「短期金利」の低下に効果がある。

※ そういう「操作しやすいもの」に働きかけて、さらには「長期金利」の低下も狙っていく。

※ 長期金利は、国債や、株式、不動産なんかの「資産」へと「資金」の導入を誘導する側面がある。

※ 人々に「インフレ期待」を起こさせるために、日銀が「○○までは、この緩和策を続ける。」とアナウンスすることで、人々の「意識」を変えようとした。

※ 日銀当座預金については、ちょっと話しが複雑なんで、ここら辺でも見て( マイナス金利も関係する日銀当座預金とは?この仕組みをわかりやすく https://greenapple-investment.com/currentaccount-of-boj.html ) 

※ いずれ、市中銀行が日銀に積み立てを要する「準備金の口座」みたいなもので、その額や「金利」を操作することで、世の中の金融の状況を、コントロールしていこうとするもの、のような感じのもののようだ…。

※ そういう目的で、「日銀当座預金」を操作したから、上記の図にある通り、「日銀当座預金」が増大すると、マネタリーベースも増大するという関係性が、見て取れる。

※ アナウンスメントの方も、「デフレ懸念が払しょくされるまで」というような、「あいまいな表現」から、さらに踏み込んで、「消費者物価指数の前年比上昇率が、安定的にゼロ以上となるまで」と、明確な基準を呈示した。

※ しかし、そういう「非伝統的な緩和策」を、長く続けることに「不安を覚える」声の方も、根強く存在した…。

※ それで、少し「上向きかげん」になったら、「ここで、打ち止めしといた方がいい。」となった…。

※ ここで、目を転じて、サブプライムショック後の、欧米の金融当局の非伝統的金融政策を見てみよう。

※ ご覧の通り、短期間で、ともかく短期金利を、限りなくゼロに近づけた…。

※ こういう「急激な政策」は、日本のバブル崩壊後の「デフレ没入経験」が、教訓となったと言う話しだ…。

※ 一旦、デフレに陥ると、そこから脱却するのは、あらゆる「緩和政策」をもってしても、「容易なことじゃない」ということを、各国の中銀首脳たちが深く学習していた、という話しだ…。

※ 金利の操作だけでなく、「資産の買い入れ」も行った。

※ MBSは、モーゲージ・バックト・セキュリティー(抵当担保証券?)、不動産関係会社が所有している資産性の証券だろう。

※ CPは、コマーシャルペーパー。企業の短期社債だ。

※ 日銀の言ってた、「時間軸効果」は、「フォワード・ガイダンス」と名前を変えて、行われた。

※ そういう欧米の緩和策も参考にして、2010年10月からは、「包括的な金融緩和政策」という名前の、「資産買い入れ策」も実施された。

※ ETFの買い入れは、証券市場に資金を流し込むことになり、REITの買い入れは不動産市場に資金を流し込むことになる。

※ 非伝統的金融政策とは、まとめると、上記の3つに要約される。

※ 物事には、必ず功・罪の両面がある。

※ こういう「超金融緩和策」にも、「負の側面」は、必ずある。

※ その一つが、ハイリスクハイリターン運用の傾向の増大だ。

※ 低金利になると、一般大衆から「巨額の資金」を集めても、伝統的な「貸し出し」策では、「利ザヤ」が稼げなくなる…。

※ それで、勢い、「利を追求する」ためには、「非伝統的な、危ない貸出先に貸したり」、「リスクを厭わずに、利を取りに行く」行動が誘発される…。

※ どうせ、「首脳部は、知らなかった。現場のファンド・マネージャーが、勝手に暴走した。」ということで、済まされる…(これは、オレの独り言)。

※ マクロプルーデンス政策とは、こういう金融危機への対処は、一国だけでは難しい。むしろ、各国が、初めから、「金融全体、世界の金融秩序全体」のことを考えて、「協調姿勢・共同歩調」を取って行くべきだ、というような話しのようだ…。

※ 第12回では、上記の3つを解説した。

※ 毎回、このように「まとめ」で、締めてくれる。

※ ありがとうございました。

日銀総裁なぜ辞退? 雨宮正佳副総裁の2つの信念

日銀総裁なぜ辞退? 雨宮正佳副総裁の2つの信念
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB110KR0R10C23A2000000/

『政府は日銀の黒田東彦総裁の後任に、経済学者である植田和男元審議委員を指名する人事を固めた。サプライズの人選となった理由は、本命とされた雨宮正佳副総裁が最後まで政府の打診を固辞したことにある。そこには植田氏起用にもつながる雨宮氏の2つの信念があった。
雨宮氏「私は適任ではない」

「(報じられている通りなら)次期体制は理想的な布陣になったんじゃないか?」。植田氏らを起用する日銀人事が報じられた10日…

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『ある関係者が雨宮氏に連絡をとると、そんな朗らかな声が返ってきたという。

雨宮氏は20年を超える長期緩和の制度設計を一手に担った「日銀のプリンス」。次期総裁の筆頭候補で、政府も同氏に総裁ポストを打診。長く調整作業が続けられてきた。

ところが雨宮氏は最後の最後まで固辞。人事の国会提示が迫る2月10日になって、植田氏の起用が固まった。なぜ雨宮氏は総裁ポストを固辞し続けたのか。そして、なぜ経済学者である植田氏に白羽の矢がたったのか。

日銀の雨宮副総裁は最後まで総裁ポストを辞退し続けた

「日銀の次期体制は長い金融緩和の点検と修正が求められる。私は緩和政策を実行してきた当事者中の当事者であり、客観的に公正な見直し作業ができるとは思えない」。雨宮氏が総裁ポストを固辞した一つの理由はこれだ。

確かに雨宮氏は、2001年の量的緩和から10年の包括緩和、さらには13年の異次元緩和、16年のマイナス金利政策まで、あらゆる実験的な金融政策の設計を主導してきた。長期緩和の点検作業は、雨宮氏が繰り出した一連の施策の自己批判でもある。

ただ、政府関係者らは「長期緩和のすべてを知るからこそ、その点検と修正もできるのでは」と雨宮氏を説得し続けた。雨宮氏は政府や市場関係者とのパイプも太く、異次元緩和からの出口を描く際の「対話力」で右に出る人物はいない。それでも雨宮氏は総裁ポストを辞退した。

実は雨宮氏にはもう一つの強い信念があった。「中央銀行のトップ人事の世界標準は、もはや中銀マンの内部昇格や官界からの登用などではない」

米連邦準備理事会(FRB)議長には後にノーベル経済学賞を受賞するバーナンキ氏や労働経済学者であるイエレン氏が起用され、欧州中央銀行(ECB)もドラギ前総裁は米マサチューセッツ工科大(MIT)出身のエコノミスト。中央銀行の首脳会議は単なる金融政策を語る場ではなく、複雑なマクロ経済分析を披露する場ですらある。

アジアをみても、中国人民銀行の易綱総裁は米イリノイ大で博士号を取得した経済学者であり、李昌鏞(イ・チャンヨン)韓国銀行総裁も米ハーバード大で経済学を学んでアジア開発銀行(ADB)チーフエコノミストなどを歴任している。世界の主要中銀では日銀と財務省(大蔵省)のたすき掛けのようなトップ人事はありえない。

主流派経済学者との長い闘い
政府は最終的に次期総裁に植田氏を起用する人事を固めたが、背景には雨宮氏の「世界的な経済学者を登用すべきだ」という一貫した主張があった。植田氏のMIT留学時代の指導教官は、世界の中銀の理論的支柱であるスタンレー・フィッシャー氏(FRB元副議長)。バーナンキ氏もドラギ氏も、フィッシャー氏の教え子である。

雨宮氏が総裁ポストを固辞した2つの主張は「きれい事すぎるのでは」と、うがった見方も残るだろう。同氏には難作業である異次元緩和の出口から「逃げ出した」との批判すら出るかもしれない。

それでも中央銀行と経済学界の融合を求める雨宮氏の信念は強かった。1990年代後半からの日銀のデフレとの闘いは、米国を中心とする主流派経済学者との闘いでもあったからだ。

2000年前後の日銀は、バーナンキ氏やポール・クルーグマン氏ら主流派経済学者から「日本がデフレから脱却できないのは、日銀がインフレ目標も設定せず、大量の資金供給もしないからだ」などと手厳しい批判を浴びた。その主張は日本の政界の日銀批判に発展して、雨宮氏ら日銀執行部は深く苦悩することになる。

逆にクルーグマン氏はECBのドラギ総裁(当時)を「現代における最も偉大な中央銀行家」などと持ち上げた。中銀にとって最も大事なことは世間の信認だ。その評価を左右する著名経済学者の理解がなければ、金融政策はスムーズに進んでいかない。黒田体制での異次元緩和は、米国の主流派経済学者の主張をそっくり採り入れて始まった。

もっとも「大量の資金供給でインフレ期待に働きかける」という異次元緩和の理論はうまく機能せず、バーナンキ氏もクルーグマン氏も今ではかつての日銀批判を修正している。現在のパウエルFRB議長とラガルドECB総裁は、ともに法律専門家でありエコノミストではない。08年の金融危機を予見できなかった主流派経済学者は力を落としており、米欧中銀にはエコノミスト偏重の組織運営に見直し機運がある。

雨宮氏は現在67歳。5年後の日銀総裁人事では、また雨宮氏の名前が有力候補として挙がるだろう。そのときに中央銀行のトップ人事の世界標準がまた変わっていれば、次こそ「雨宮日銀」の誕生が現実味を帯びる。

【関連記事】

・異次元緩和を「普通の緩和」へ 植田和男氏、慎重に検討
・日銀の異次元緩和どうなる? 植田和男氏らの語録や横顔
・植田和男氏「経常収支、高齢化の影響これから」
・市場「植田氏なら緩やかに緩和出口模索」 日銀次期総裁
・日銀新総裁に植田氏起用へ 海外から評価と驚きの声
ニューズレター

多様な観点からニュースを考える
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村上芽
日本総合研究所創発戦略センター シニアスペシャリスト
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別の視点中央銀行のトップ人事の世界標準、というフレーズから思いつくのは、文中にはありませんがマーク・カーニー氏です。民間投資銀出身で、2008-13年までカナダ銀行総裁、2013‐20年までイングランド銀行総裁、そしてその間、「金融安定と気候変動」に焦点をあて、いまのTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)の生みの親です。イングランド銀行総裁の時に、化石燃料への投資が「座礁」するリスクについて警鐘を鳴らしたスピーチは印象的でした。日銀の総裁にもそういう顔を(いずれ)期待したいです。
2023年2月13日 8:16いいね
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上野泰也
みずほ証券 チーフマーケットエコノミスト
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別の視点副総裁として黒田路線にコミットしすぎており政策の改革に適任でないと自分で考えること(日銀OBの強い批判も意識しているかもしれない)、アカデミックなバックグラウンドのある人が日本でも中央銀行総裁になるべきだという強い信念に加え、趣味人としてこのあたりで自由な時間が欲しいという思いも、雨宮氏の心中にあるのではないかと、勝手に推測している。政策当局のトップになると、自由な時間はますます限られるだろう。日経ヴェリタスの元旦号に掲載された清水功哉編集員のコラムには、「『自由な身』になったら、やりたいことは色々あるよ」との数年前の雨宮氏の言葉が紹介されていた。ワークライフバランスは、偉い方でも重要である。
2023年2月13日 8:36いいね
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柯 隆
東京財団政策研究所 主席研究員
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ひとこと解説中央銀行総裁と聞いてなりたい人がいっぱいいるはず。なりたくないといって断る人は皆無ではないが、多くはない。今の経済状況をみて、だれが総裁になっても、尻拭いは簡単なことではない。単なるゼロ金利を続けるならば、総裁を変える意味はない。金融政策の柔軟性を高めるのは経済を正常化する重要な措置である。しかし、拙速に利上げすると、経済は失速してしまう恐れがある。いずれにせよ、雨宮氏の冷静さを褒めたい
2023年2月13日 7:36 』

日銀新総裁に植田氏起用へ 海外から評価と驚きの声

日銀新総裁に植田氏起用へ 海外から評価と驚きの声
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN110530R10C23A2000000/

『政府は日銀の新たな総裁に元日銀審議委員の植田和男氏を起用する人事を固めた。海外の有識者や市場関係者からは新体制への期待とともに、黒田東彦総裁が推し進めた大規模緩和策の修正がどのように進むかに強い関心が集まった。
植田氏は適任、23年中に政策変更も

アレン・サイナイ氏(ディシジョン・エコノミクス社長) 

植田和男氏は学術の実績と実務経験を両方持つ、非常に適した人物だと思う。特に(1999年のゼロ金…

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『特に(1999年のゼロ金利政策や2001年の量的緩和政策の導入などの)金融緩和政策に携わった経験が生きるだろう。

日本のデフレは終わった。黒田東彦総裁率いる日銀は勝利宣言すべきだ。インフレは目標の2%を大きく上回り、日本経済は回復している。新総裁の仕事はインフレを制御し、超緩和的な金融政策を終わらせることだ。日本のように機関決定がゆっくり進む国では、一夜にしてできることではない。植田氏がまず黒田路線を引き継ぐと発言するのはうなずける。

植田氏の就任後1?2回の会合で変更が出てくるとは思わないが、23年中には金融政策の変更があるだろう。日本の金融政策の新たな章の始まりだ。物価目標を2%に据える限り、植田氏に利上げ以外の選択肢はないと思う。米国が利上げを終えるころに日本が利上げに動き、為替は円高に振れるだろう。円は1ドル=120円台になるとみている。

市場の政策変更圧力続く

ロバート・ティップ氏
ロバート・ティップ氏(PGIMフィクスト・インカムのチーフ投資ストラテジスト)

日銀の正副総裁候補は経歴と組み合わせを見る限り、非常にバランスの取れたチームといえる。総裁候補の植田和男氏は(日銀審議委員を務めていた)1990年代後半から2000年代前半における低インフレ・デフレがその後も続いたことを知っており、かつて早すぎる利上げに反対したこともある。時期尚早な(緩和的な)政策からの出口には敏感だろう。

副総裁候補の内田真一理事は政策設計に長く携わってきたため、今後の円滑な政策変更を探るうえで理想的だ。もう一人の副総裁候補の氷見野良三前金融庁長官は、銀行規制の幅広い経験を持つという点で他のメンバーと補完的で、政策変更時の金融機関への影響にも目配りできる。

日銀の政策の先行きに決定的な影響を及ぼすのは、国内要因よりも世界の経済情勢やインフレの行方だろう。日本はインフレが定着したとしても、物価上昇率は0?2%の間でとどまるとみている。一方、世界の金利が高止まりすれば、昨年の急速な円安進行時に見られたような内外の大きな金利差を放置できないかもしれない。長期金利の変動幅は一段と拡大される運命にあり、年内に金利誘導を終了する可能性もある。

日銀の首脳陣交代というタイミングと足元の物価上昇率が2%の目標を大幅に上回っていることを考えれば、市場は日銀に政策変更の圧力をかけ続けるだろう。金利の変動幅の上限を守るため、日銀は(国債の大量購入という)市場介入を迫られる。新体制は金利の上昇抑制を終えられる状況か半年から1年間は様子をみたいと思うかもしれないが、望むよりも早く行動を起こすかもしれない。

超緩和策脱し、日銀に新風も

マイケル・アシュレイ・シュルマン氏
マイケル・アシュレイ・シュルマン氏(ランニング・ポイント・キャピタル・アドバイザーズの最高投資責任者)

世界が金利上昇に向かう中で日本の金融政策は身動きが取れないワナにはまった状態で、日本の金融市場にとっては将来危機的な状況になる可能性があった。学界出身の植田和男氏が新総裁になることで極端に緩和的な政策から脱し、日銀に新風をもたらせるかもしれない。

日銀は昨年12月に長期金利の誘導幅の上限を引き上げた。これはある意味で、長期的な市場の安定を維持するために新総裁が新しい政策に移行することの黙認ともいえるだろう。

植田氏が新総裁に起用されるとの報道を受けて円相場が上昇した。市場関係者の承認と、金融政策が引き締め方向にシフトして金利が上昇するとの思惑を反映している。

インフレ低下で超緩和政策続く

マーク・チャンドラー氏
マーク・チャンドラー氏(バノックバーン・グローバル・フォレックス チーフ市場ストラテジスト) 

2022年12月の日銀の政策修正に続き、またしても日本からのサプライズだ。植田和男氏の姿勢が未知数ということもあり、外国為替市場では円高に振れ、日本国債市場では金利が上昇した。植田氏の起用以上に驚いたのは、雨宮正佳副総裁の辞退だ。政策の見通しが大きく変わるのか、不透明になった。

金融政策は最終的にはファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)で動く。日本では今後数カ月で物価上昇率が低下するだろう。植田氏は22年、早期の利上げをけん制する持論を展開している。日銀の新たなチームは、超緩和的な政策がまだ適切だと判断し、政策に継続性が出てくるだろう。

翌日物金利スワップ(OIS)市場では、(黒田氏の任期満了後となる)4月に短期金利がプラスになると予想されているが、これは行き過ぎだ。長短金利操作は継続されると思う。日本のマイナス金利政策は24年まで続く可能性がある。

不本意な引き締めが任務に
ジェースン・ベラミー氏(米コンサルタント会社ベラミー創業者) 

経済学者である植田和男氏の総裁起用は市場関係者にとって驚きのニュースとなった。市場のコンセンサスでは雨宮正佳副総裁か中曽宏前副総裁が有力視されていただけに不意を突かれた格好だ。

ジェースン・ベラミー氏
新総裁が黒田東彦総裁の緩和的な政策から方向転換するのかどうかはわからない。外国為替市場では報道の直後に円が上昇した後は再び下落しただけに、今のところそうは見ていないようだ。ただ、日本の物価上昇率が4%を超えた現在、日銀が金融引き締めに動くのは時間の問題だ。植田氏は金融引き締めという自身にとっては不本意な任務を背負うことになるだろう。

(ニューヨーク=斉藤雄太、大島有美子、伴百江)』

日銀異次元緩和、出口へ重責 総裁候補に理論派・植田氏

日銀異次元緩和、出口へ重責 総裁候補に理論派・植田氏
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB150FV0V10C23A1000000/

『【この記事のポイント】
・10年続いた大規模緩和からの出口が次期総裁に託される
・国債市場の機能低下、混乱のなかの難しいかじ取り
・日銀が政府と結んだ共同声明の見直しの行方も焦点

政府が日銀の次期総裁に起用する方針を固めた植田和男氏を待ち受けるのは、10年続いた異次元緩和の手じまいという重責だ。マイナス金利政策や国債の大量購入を続けてきたが、成長と物価上昇の好循環は実現できず、市場機能の低下などの副作用…

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『国内屈指の金融政策の研究者である植田氏のかじ取りに市場の注目が集まる。

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・日銀新総裁に植田和男氏を起用へ 初の学者、元審議委員
・日銀総裁候補の植田和男氏、審議委員を7年
・日銀総裁候補の植田氏「金融緩和の継続必要」 記者団に

歴代最長となった黒田東彦総裁の後任選びは難航した。政府が本命視していた雨宮正佳副総裁が、今後の金融政策には新しい視点が必要だと就任を固辞したためだ。政府が最終的に頼ったのが植田氏だった。経済学者でありながら実務経験もあり、現在の金融政策に精通していると判断した。

日銀の異次元緩和は前例のない実験だった。国債の大量購入で、日銀の国債保有額は13年3月の125兆円から23年1月の583兆円へと4倍超に拡大。発行済み長期国債の5割以上を買い占めた。上場投資信託(ETF)の保有額(簿価ベース)も1.5兆円から36.9兆円に増え、多くの上場企業の主要株主になる異常事態となった。

22年12月に日銀が副作用を解消するために長期金利の上限を引き上げると、金融政策の出口を見込んだ市場との攻防が激化した。1月の国債購入額は23兆6902億円と過去最多に達した。次期総裁は異例の混乱のなかで就任を迎える。

植田氏はマサチューセッツ工科大学で経済学の博士号を取得し、金融政策の理論に精通する。1999年のゼロ金利政策や2001年の量的緩和政策の導入に審議委員として関わった。異例の政策の導入を理論的に支えたのが植田氏だった。

植田氏は22年7月の日本経済新聞の「経済教室」で「異例の金融緩和枠組みの今後については、どこかで真剣な検討が必要だ」との考えを示した。一方で拙速な引き締めには警鐘を鳴らすバランス感覚をあわせ持つ。

10年目の異次元緩和政策には課題が多い。物価上昇率は22年12月に4.0%となり、日銀の物価目標の2倍に達した。ただ、エネルギー価格の上昇や円安などの要因が大きく、賃上げを伴いながら物価が持続的・安定的に上昇していくという日銀の目指した姿はいまだに実現できていない。

政策の限界が近づくなか、海外の投機筋は金融緩和の縮小を見込んで国債を売り続けている。日銀の国債購入の副作用で「(債券市場の)流動性の低下などは続いており、日銀はこの点を無視できない」(米ニューバーガー・バーマンのフレディリック・レプトン氏)との見方がある。

日銀が13年に政府と結んだ共同声明の見直しも焦点だ。物価2%目標を「できるだけ早期に実現する」という文言が、緩和一辺倒の硬直的な政策運営につながったとの指摘がある。岸田文雄首相は「見直すかどうかも含めて新しい日銀総裁と話をしなければならない」との立場だ。植田氏の判断に注目が集まる。

政策修正を探るにしても、経済・物価への影響を見極めながら慎重に進めざるを得ない。金利上昇は家計や企業の負担増に直結するためだ。国債残高が1000兆円規模に膨らむ財政への影響も大きい。金融政策の正常化は「狭い道」で、一歩踏み外せば金利上昇や円下落を招きかねない危うさもある。

【関連記事】

・日銀新総裁に植田和男氏 急激な政策変更は回避か
・日銀新総裁に植田氏起用へ 株・為替・金利、市場の見方
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この記事の英文をNikkei Asiaで読む https://asia.nikkei.com/Economy/Bank-of-Japan/BOJ-governor-pick-Ueda-faces-disentangling-decade-of-ultraloose-policy?n_cid=DSBNNAR 』

三菱重工、国産ジェット旅客機撤退へ 開発会社も清算

三菱重工、国産ジェット旅客機撤退へ 開発会社も清算
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC023ED0S3A200C2000000/

『三菱重工業が国産ジェット旅客機の事業から撤退する方針を固めたことが6日、分かった。2020年秋に「三菱スペースジェット(MSJ)」の開発を事実上凍結していたが、今後の事業成長を見通せないと判断した。開発子会社の三菱航空機(愛知県豊山町)も清算する方針。累計1兆円の開発費を投じながら納期を6度延期するなど空回りが続いた。新たな産業育成に向けた官民による国産旅客機の構想は頓挫した。

7日にも発表する。20年秋に「いったん立ち止まる」(泉沢清次社長)と開発を事実上凍結した。その後も商業運航に必要な型式証明(TC)取得に向けた作業を続けてきた。新型コロナウイルス禍から航空市場が回復した後も、座席が100未満の小型ジェット旅客機「リージョナルジェット」市場の成長は見通せないと判断したとみられる。

三菱航空機は三菱重工側を含めて外国人技術者など最盛期に1000人規模がいたが、足元では10分の1の100人規模になっていた。凍結後は21〜23年度の開発費は200億円程度と、18〜20年度(3700億円程度)から大幅に圧縮した。22年3月には試験飛行をしていた米国ワシントン州の拠点を閉鎖するなど縮小を進めていた。国産旅客機は1962年に初飛行した「YS-11」以来の開発だった。

MSJは2008年に事業化が決定した。当初は「三菱リージョナルジェット(MRJ)」の名称で90席クラスの機体として開発が始まった。民間企業の主導で日本の航空機産業の育成を目指す一大プロジェクトだった。13年にも最初の顧客である全日本空輸への納入を予定していた。技術力の不足などでトラブルが相次ぎ6度も開発期限の延期を余儀なくされた。

当初1500億円としていた開発費は1兆円規模に膨らんだ。20年3月期にはMSJ関連の資産などを対象に1224億円の減損損失を計上することなどにより、減損は「一巡している」(三菱重工)という。日本の航空機産業を育成する官民肝煎りのプロジェクトとして経済産業省も500億円を支援していた。

三菱重工は今後は日本と英国、イタリアの3カ国で35年の配備に向けて次期戦闘機の開発を目指している。国産ジェット機の開発で得られた知見を生かしていく。

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柳沢幸雄
北鎌倉女子学園学園長・東京大学名誉教授
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分析・考察

日本の失われた30年を象徴的に表す出来事である。ホンダジェットとの対比でみると、なぜ日本の経済は失速したのかが分かる。リーダーシップの欠如である。そしてそのリーダーにとことん任せる最高意思決定者の覚悟である。
 主翼の上にエンジンを乗せるという奇抜な設計の妥当性を理論的に証明し、実証機を作ることに奔走したエンジニアを、ホンダの最高意思決定者は支えた。今や小型ジェット機カテゴリーにおける出荷数で2017年から4年連続で世界一を達成している 。
 船頭が多ければ船は陸に上がる。多様性、シナジー効果と言う呪文で、リーダーシップの欠如したプロジェクトは、MSJのように飛び立つことはできない。
2023年2月6日 20:19 (2023年2月7日 7:54更新) 』

日産・ルノー、出資「対等」へ声明発表 「15%を相互に保有」

日産・ルノー、出資「対等」へ声明発表 「15%を相互に保有」
https://www.jiji.com/jc/article?k=2023013000744&g=eco

 ※ 今日は、こんな所で…。

『日産自動車と仏自動車大手ルノーによる出資比率見直し交渉で、両社は30日、「15%の株式を相互に保有」する新たな提携関係について共同声明を発表した。両社首脳は、ルノーによる日産株式の保有比率を現行の43.4%から、日産が保有するルノー株の比率と同じ15%まで引き下げる。

 今後開催される両社の取締役会での承認を経て、正式決定する見通し。

 バブル崩壊後の経営難で1999年にルノーの支援を受けた日産だが、出資比率が対等になることで、両社の提携関係は新たな段階を迎える。 』

日銀決済システム、一時不具合 短期国債の入札延期も

日銀決済システム、一時不具合 短期国債の入札延期も
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB1031Z0Q3A110C2000000/

『日銀は10日、電子決済システム「日銀ネット」が一部利用できない状況になったと発表した。既に不具合を解消したと発表しており、詳しい原因は調査中だという。今回の不具合で財務省の国庫短期証券(短期国債)の入札が延期されるといった影響が出ている。

日銀ネットは民間金融機関と日銀をつなぐ決済システムで、短期金融市場での取引や国債取引にかかる資金決済などに使う。過去には2022年9月に外国為替取引や日銀との国債取引で遅れが生じたほか、07年12月にも1時間ほど日銀ネットに接続できなくなる不具合が生じた。

財務省によると、国庫短期証券の入札が急に延期となるのは、東日本大震災直後の11年3月中旬以来。財務省は「日銀ネットの不調の影響が見極め切れておらず、いつ入札するかは未定」としている。』

英首相、SBG首脳らと協議 半導体子会社の上場巡り―報道

英首相、SBG首脳らと協議 半導体子会社の上場巡り―報道
https://www.jiji.com/jc/article?k=2023010900544&g=int

『【ロンドン時事】英紙フィナンシャル・タイムズ(電子版)は9日、スナク英首相がソフトバンクグループ(SBG)の孫正義会長兼社長らと協議し、子会社の英半導体設計大手アームをロンドン証券取引所に上場させるよう求めたと報じた。相次ぐ首相交代による政治の混乱で中断していたSBGへの働き掛けを再開したという。

中間決算、1290億円の赤字 7~9月期は黒字―ソフトバンクG

 同紙によると、スナク氏は先月、アームのハース最高経営責任者(CEO)らと首相官邸で会談し、孫氏もオンラインで参加した。SBGはかねてアームの米市場への上場を目指しているが、英政府はロンドン証取への重複上場を促しているという。 』