「日本のCIA長官」になる男・北村滋とは何者か?

https://gendai.ismedia.jp/articles/-/67416?imp=0

 ※ さわりを、紹介しておく…。

『外務官僚がヤキモチを焼いている
邦丸:安倍総理が改造内閣を発足させましたが、ちょっと変わったことがありました。新聞でもかなり大きめに取り上げられたんですが、9月13日付で官邸の外交・安全保障政策の総合調整を担う国家安全保障局長が替わりました。

それまでの外務省出身の谷内正太郎(やち・しょうたろう)さんという方……これは佐藤さんの外務省の先輩に当たる方ですね。

佐藤:そうです。谷内さんは私も非常にお世話になった人で、優れた外交官であり、安全保障のこともよくご存知です。

邦丸:その谷内正太郎さんに代わって、北村滋(きたむら・しげる)さんという警察庁出身の官僚、前の内閣情報官、この方が国家安全保障局長に就任しました。

佐藤:北村さんのことは、みんな「おまわりさん」というイメージで見ているんだけれど、そういうふうに見たらダメです。この人はもう「日本のCIA長官」、それくらいに見たほうがいい。CIA──アメリカ中央情報局、イギリスのMI6──秘密情報部、ロシアの対外諜報庁、イスラエルのモサド──諜報特務庁、こういうところのトップとのカウンターパートで、裏外交の専門家です。

邦丸:ははあ。事実上、日本のCIA長官と考えていいんですね。

佐藤:そうです。それで英語が抜群にできて、フランス語も抜群にできる。能力もすごく高い。だから外務省は今回、大敗なんですよ。NSC、国家安全保障局長は外務省の指定席だと思っていたから、ヤキモチでおもしろくなくて、みんな北村さんの悪口を言っているんですけど。

邦丸:ふふふ。

佐藤:「あんな外交・安全保障がわからないヤツに外交なんかできるはずない」「ああ、お友だち人事だね」「日本の外交の先が思いやられる」……こういうようなことばかり話している。こういう話は今月の雑誌『Voice』で朝日新聞の牧野愛博さんが書いた記事にも出ているんだけど、それで全部官邸のせいにしている、とこういう感じですね。』

DXの壁は人材でもSIerでもなく雇用

https://comemo.nikkei.com/n/n360cc11aadea

 ※ これは、絶対読んでおいた方がいい記事だと思う。

 特に、『結局のところシステムをつくるのは生身の人間であって、中で抱えようがベンダーに切り出そうが簡単に切り捨てたりはできないのです。ベンダーロックインとは結局のところ、雇用し続けることのリスクをSIerに切り出したつもりがデータと業務を人質に取られて、手を切れなくなっている状態です。』という辺りは、噛みしめる必要がある…。

 そして、『国が従業員を雇用し続けることを義務づけている以上、とても合理的な経済行動です。法的義務がどうあれ腐れ縁と覚悟して継続的に新しいことを学び続けられる環境を提供するか、何かしら他に活躍の場を提供していく必要があります。ベンダーロックインが生じる理由はユーザー企業の丸投げでも悪徳SIerの陰謀でもなく「向う三軒両隣にちらちらするただの人」の仕事を守るために他ならないのです。』という辺りも…。

 さらに、『倒産企業の平均寿命が約四半世紀に対して、20過ぎで働き始めて70近くまで働かなければならない現代、ひとりひとりの職業人生は40〜50年です。ひとつの会社が抱え続けられることを前提に使い潰す働かせ方を認めては無責任でしょう。ひとりひとりが自分の知識をアップデートし続けて、キャリアを自己決定するためには計画と余裕が必要です。

これから政府がデジタル庁を創設するにあたって、人材確保や賃金水準の在り方など様々な課題に直面します。日本政府だけでなくユーザー企業、SIerも含めた「日本社会」として有為の人材を活かし、成長し続けられる機会を提供し、雇用の保護とデジタル変革とを如何にして両立させていくべきか、デジタル庁の挑戦は立ち上がる前から始まっているのではないでしょうか。』という辺りも…。

 考えてみれば、一人の人間が「職業人」として働く期間が40年~50年と伸長しているのに対して、技術革新の速度の方は加速して、5~10年毎に「革新」されて行くわけだ…。そこら辺のギャップを、どう「吸収」していくのか…。
 オレなんかの世代にとっては、若い頃は「ネット」も「スマホ」も、影も形もなかった…。パソコンすら、一部の「オタク」の遊び道具みたいなものだった…。あったのは、「メインフレーム」と「端末」だけだった…。その「端末」すら、どこに「設置してあるのか」、見たことすらなかった…。「某所に、設置してあるらしい…。」という話しを聞いただけだった…。「世の中には、コンピューターという凄いものがあるらしい…。」と、妄想を膨らませるだけだった…。

 そういう人間に、『ベンダー縦割りでOSからデータベース、ミドル、コンパイラから違うレガシーの世界では、そうそう外から人を引っ張ってこようにも難しいことは確かではありますが、現実のところPostgreSQLにJavaでSpringとか、当たり前な構成であっても、そうそうロックインから逃れることはできません。』とか、言われてもな…。

『日経のシリコンバレー支局からZoomでインタビューいただいた内容が新聞に載ったようです。支局の方はインタビューって現地でされるんだろうと思ってましたから不思議な経験というか、コロナ禍にあって色んなことが起こるんだなーって思います。

SI栄えてDX滅ぶ?
http://www.nikkei.com

どうもシリコンバレーでブイブイいわせてる直販モデルのSaaSベンダーが何故か日本でだけはSIer経由の間接販売になっていて、それってどーゆーこと?という疑問に答える過程で、いろんな話をしたんですけれども、なんか見出しだけみるとSIerが悪くてDXが上手くいかないように勘違いされてしまいかねないし、わたしのコメントだけ見ると、まるでSIerが時代から取り残されてるようにも読めちゃうんですけれど、伝えたかったことは、そんな話じゃないんです。

実際お話しさせていただいたことというのは、いまさら内製回帰なんて流行ってるけれども、そう簡単に上手くいく訳ないじゃん?日本って1990年代の途中までは内製で、それの嫌なところをいっぱいみて1990年代に外部依存の道を選んだものの、そんな都合のいい話なんてどこにも転がってねーんだよって話をしたのですよ。

なぜ四半世紀前に自前主義を捨てたのか、そこをちゃんと振り返らない限り、また同じ失敗を繰り返すよーってエッセンスは、よくよく読むと記事の末尾の方に片鱗が残ってるんですけれども、限られた文字数の中で、これじゃ伝わらねーだろってなってしまっています。でも、そこまで載せようとしてくれているのは、すごいです。だいたい話としては理解できるんだけど、そこ触れちゃおしめーよってスルーされてしまう。

わたしは内製には一家言もっていて、3年前に炎上案件で苦しめられてからというもの、役所のWebサイトが軒並みイケてないのはSIerに丸投げしているからで、このままヤフーで諸々吸収しても電子政府をヤフー並の使い勝手にすることは絶対に無理、ちゃんとエンジニアを抱えて内製しないと無理、でも政府はそんなことやる気ないから、ここは一念発起してユーザー企業に移ってエンジニア部隊をイチから作るぞ!と今の会社の立ち上げに飛び込んだくらいで、DXとか何とかやり遂げたい訳ですよ、もちろん。

役所も何年か遅れでデジタル庁をつくって内製をやるとかやらないとか議論も出てきていて、この3年近く採用と組織作りで苦労した者としては、こりゃーとんでもなく茨の道じゃねーかと不安な気持ちにもなるのですが。イケてるUIやデータ分析をやるために内製が必要、SIer丸投げじゃ無理、だけど内製の組織なんかつくって大丈夫なの?というのは政府だけでなく日本中の数多あるユーザー企業の実情だろうし、ここで政府が塗炭の苦しみを通じて学ぶことができたならば、ちっとは議論も前に進むんじゃねーの?って期待もあったりします。

よくベンダー依存が問題になる時に、役人が技術を分からず丸投げしていることが問題だとか、悪徳SIerがロックインしているといった神話があります。まあ確かに仕様書ひとつ書けない調達原課がそれなりにあったりするのも事実ではありますが、それなりに中身が見えていたとしても、なかなか難しいものです。昔はレガシーシステムだから悪いという話もあって、まあ確かにベンダー縦割りでOSからデータベース、ミドル、コンパイラから違うレガシーの世界では、そうそう外から人を引っ張ってこようにも難しいことは確かではありますが、現実のところPostgreSQLにJavaでSpringとか、当たり前な構成であっても、そうそうロックインから逃れることはできません。

民間が技術を分かるエンジニアを抱えている情シス子会社がベンダーに発注する場合も、ベンダーをころころ変えたりはしないものです。複雑なシステムを理解するにはそれなりの時間がかかるし、学習曲線を考えたらそうそう変えるメリットがないからです。新しい案件は別の会社にやらせるとか、リプレースを機に合い見積もりを取るようなことはありますが、オープン系だからホイホイ発注先を変えられるものではありません。

それなりに仕様書が整備されている場合であっても、その背景にある設計思想まで、ちゃんと文書化されているとは限らないし、書き切るのは難しいものです。要件の定義までは準委任契約になっていると手間をかけただけ費用も請求される訳で、これで着手できるんだったらお願いします、細かいところは走りながら決めていきましょうという塩梅が合理的だったりもします。

内製であれ外注であれ、システムの開発が進めば、どうしても情報の非対称性が生じてしまう。受発注の関係があった方が少なくとも納品検収のプロセスが入るので折り目正しくはなるのですが、その文書が適切な粒度で記載されているか、何故そうなっているかまで読み解けるかというと、なかなか難しいものです。そうこうして複雑なシステムに属人性が入り込んでしまうことは、外注よりも内製においてより顕著ではあるのです。

1990年代にオープン系への切替を企図した際、日本の企業が苦労したのもここでしょう。いまのクラウドじゃないですが、経営者はオフコンなり汎用機からオープン系に切り替えれば費用を下げられるんじゃないかと考えます。ところが現場にしてみれば、これまで構築してきたシステムに愛着があるし、それらの技術を習得し、現行システムを構築してきた部下のキャリアパスまで考えると、そう簡単に頷く訳にはいかない。そうした際に米国では要員ごと入れ替えてしまう訳ですが、日本の雇用慣行ではそれも難しい。

オープン系で10年おきぐらいに技術を入れ替えていくのであれば、要員ごとバサッと入れ替えられるように中で人を抱えるのではなくベンダーに丸ごと頼んだ方がいいのではないか。折しもバブル崩壊後の不況期、固定費を変動費化したいという思いもあったでしょう。実際に蓋を開けてみると陳腐化したオープン系システムが塩漬けで残ったまま、法律上は契約を切ることができるけれども、データと業務を人質に取られて「ベンダーロックイン」されてしまった、コントロールを取り戻すためには内製に舵を切らなければならない、という訳でDXや内製への関心が高まっているのでしょう。

しかし思い出して下さい。そもそも日本が内製から外注に舵を切ったのは、レガシーシステムに固執する社内システム部隊を切り捨てることができず、オープン系への移行が遅れた反省からでした。ベンダー依存から内製に舵を切ったとしても当初こそ小気味よい成果が出てくるかも知れませんが、10年後、20年後には同じことが起こるでしょう。

結局のところシステムをつくるのは生身の人間であって、中で抱えようがベンダーに切り出そうが簡単に切り捨てたりはできないのです。ベンダーロックインとは結局のところ、雇用し続けることのリスクをSIerに切り出したつもりがデータと業務を人質に取られて、手を切れなくなっている状態です。そして国が従業員を雇用し続けることを義務づけている以上、とても合理的な経済行動です。法的義務がどうあれ腐れ縁と覚悟して継続的に新しいことを学び続けられる環境を提供するか、何かしら他に活躍の場を提供していく必要があります。ベンダーロックインが生じる理由はユーザー企業の丸投げでも悪徳SIerの陰謀でもなく「向う三軒両隣にちらちらするただの人」の仕事を守るために他ならないのです。

倒産企業の平均寿命が約四半世紀に対して、20過ぎで働き始めて70近くまで働かなければならない現代、ひとりひとりの職業人生は40〜50年です。ひとつの会社が抱え続けられることを前提に使い潰す働かせ方を認めては無責任でしょう。ひとりひとりが自分の知識をアップデートし続けて、キャリアを自己決定するためには計画と余裕が必要です。

これから政府がデジタル庁を創設するにあたって、人材確保や賃金水準の在り方など様々な課題に直面します。日本政府だけでなくユーザー企業、SIerも含めた「日本社会」として有為の人材を活かし、成長し続けられる機会を提供し、雇用の保護とデジタル変革とを如何にして両立させていくべきか、デジタル庁の挑戦は立ち上がる前から始まっているのではないでしょうか。』

じわり「安倍離れ」:本格政権目指す菅首相

https://www.nippon.com/ja/in-depth/d00634/

『「安倍継承」看板が持つ2つの意味
目玉政策はケータイ料金値下げと不妊治療支援。現下の日本を取り巻く巨大な変化との落差に驚かされるが、マッチョで宣伝過剰な長期政権に倦(う)んでいた国民にはこれが受けた。方便として「安倍継承」カードを使いながら、新首相の菅は独自の王国を目指す。

「ポスト安倍」レースではダークホースだった菅が、自民党幹事長の二階俊博と組んで、電撃的な政権奪取を果たした。同じ参謀型の政治家として潜在的にライバル関係にあった2人の戦略的提携の成果だ。

この過程で菅が強調した「安倍継承」の看板には、2つの意味がある。

1つはマーケットを落ち着かせるため。異次元の金融緩和でひずみを蓄積した市場が、首相の交代をアベノミクス修正のサインと受け止めたら、予期せぬ混乱につながる危険がある。日本経済は麻薬のようなアベノミクスとおいそれとは縁を切れない。

もう1つは、党内の合従連衡用だ。安倍一強の権力秩序に安住してきた細田派や麻生派の有力派閥が自動的に菅に付くとは限らない。だから旧レジーム維持の保証書が必要だった。「石破茂政権」阻止が最優先の安倍晋三は、こうして菅政権誕生の小切手にエンドース(裏書き)した。

女性の支持率が高い理由
8年近くも政権の大番頭だった菅の権力は格段に増大した。同時に、その振る舞いにはトップに似つかわしくない陰湿さが付きまとう。ドイツのT-Onlineニュースは「気だるそうなまなざしを持つ菅は、面白みのない時代遅れの政治家」と伝えている。

ところが、9月16日に発足した菅内閣の支持率は64~74%に達した。政権スタート時としては小泉純一郎内閣、鳩山由紀夫内閣に次ぐ歴代3位の高水準という。特徴的なのは安倍内閣で一貫して「男性>女性」だった支持率構成が「女性>男性」になったことだ。

秋田の寒村出身に始まる菅の「苦労人」ストーリーが共感を呼んだことに加え、携帯電話料金の引き下げや不妊治療への保険適用という公約が女性に支持されたためだろう。

この結果、「安倍継承」の看板から後者の政治的なシンボル性は次第に薄らいでいくように思える。

最終目標は麻生派の遠隔操作か

すでに自民党総裁選の序盤から手応えを感じていた菅は、今回の組閣で布石を打っている。副総理兼財務相の麻生太郎や外相の茂木敏充、公明党枠の国土交通相・赤羽一嘉ら安倍内閣の骨格を引き継いだと言われるが、同じポストでの再任は閣僚20人中8人に過ぎない。逆に言えば、残る12人には安倍との非連続性がある。

菅の戦略は「横滑り」の3人に表れている。防衛相から行政改革担当相への河野太郎、防災担当相から総務相への武田良太、そして厚生労働相から官房長官への加藤勝信だ。

河野は麻生派に所属するが、同じ神奈川県選出議員として事実上、菅の強い影響下にある。党内で長く変人扱いされてきた河野が政権中枢に入ってきたのも、菅の後押しがあったからだ。その河野が今回、菅の決まり文句「役所の縦割りと悪しき前例主義の打破」を実践する切り込み隊長役になる。

菅は早速、告発窓口として「縦割り110番」の設置を河野に指示した。かつて鳩山内閣が官僚の内部告発を奨励して「ハトミミ・ドット・コム」なるサイトを開いたことがあったが、菅に鳩山的な甘ちゃん発想があるとは思えない。目的不明のまま動き出している縦割り打破を通して菅が狙うのは、首相官邸による省庁の完全掌握だろう。

外相時代に駐日韓国大使を面罵したり、総裁選の最中に米シンクタンク相手に「日本は大統領選の前に総選挙をやる」と明言したり、言動に安定感を欠く河野である。ただ、行革担当相としてそれなりの実績を残せば、首相候補が不在の麻生派を代表するようになり、菅が遠隔操作できる。最終目標は恐らくそこだろう。

加藤官房長官に政治取引の臭い
亀井静香の秘書出身である武田は二階派。前総務相の高市早苗は、かんぽ生命の不祥事処理などをめぐって総務省を直轄地とする菅との関係が微妙になったと言われる。そこでケータイ値下げという目玉政策を強引に進めるため、安倍に近い高市をあえて外し、二階の覚えがめでたく、かつ地元福岡で麻生にも遠慮をしない武田を抜擢したとみられる。

新官房長官には、菅に近い経済産業相の梶山弘志や国対委員長の森山裕の名前が挙がっていた。首相とは一心同体のポストだからだ。加藤は彼らほど菅と親しいわけではなく、起用には意外感もあった。

加藤は竹下派だが、実態は「安倍ファミリー」に近い。義父である加藤六月は安倍の父、晋太郎の側近であり、その縁から安倍の母洋子と六月の妻は姉妹のような付き合いをしている。このため、加藤は安倍が菅の「お目付け役」として官邸に送り込んだとの説があり、菅も「安倍継承」の担保として受け入れたのかもしれない。いずれにせよ、政権移行に伴う政治的な取引の臭いがする人事だ。

イデオロギー持たない強み
「官邸官僚」の人事では、よりはっきり菅色が出ている。

安倍政権で思うままの権勢をふるってきた首相補佐官兼首相秘書官の今井尚哉は非常勤の内閣官房参与になった。事実上の肩たたきであり、ラインからは完全に外れた。今井と同じく経産省出身の内閣広報官・長谷川栄一や、アベノマスクの発案秘書官として名をはせた佐伯耕三も去った。もはや安倍時代のように経産省が霞が関を牛耳ることはなかろう。

対照的に引き続き実権を握るのが、事務の官房副長官の杉田和博と、国交省出身の首相補佐官、和泉洋人だ。2人はもともと菅ラインで動いていた官邸官僚であり、今井ラインが消えたことでグリップ力はより強まるだろう。やはり安倍の秘書官だった国家安全保障局長の北村滋も残留組だが、菅との距離感に課題がある。

事務の首相秘書官は1増の6人になり、うち4人は官房長官秘書官からの異例の持ち上がりとなった。安倍チームからの続投は防衛省出身のみ。1増分は厚労省で、菅は官房長官秘書官を終えて本省に戻っていた鹿沼均を再び自分の元に置いた。不妊治療対策や新型コロナ対策で菅が厚労省に介入する場面が増えるためとみられる。

菅には安倍のような国粋的なイデオロギーはない。権力への執着は人一倍強いが、特殊な国家観を持たない分だけ時々の利害得失で政策を選べる強みがある。こうして「安倍継承」を掲げながらの安倍離れがじわじわと進んでいくのだろう。

衆院の解散・総選挙の時期について、菅は年明けまで待つかのようなニュアンスを出している。だが、冬場のコロナ再流行を避け、自民党内の解散待望論に応えるとしたら、やはり年内の可能性を完全に排除するべきではなかろう。もとより支持率低迷の野党は脅威にならない。菅は勝利を前提に本格政権への設計図を描き始めている。

(文中敬称略)

バナー写真:自民党の両院議員総会で新総裁に選出され、拍手に応える菅義偉官房長官=2020年9月14日午後、東京都港区(時事)』

菅政権の人材配置、関連…。

首相補佐官に共同通信前論説委員
柿崎明二氏
https://www.47news.jp/politics/5312799.html

『政府は29日の閣議で、首相補佐官に共同通信社前論説副委員長の柿崎明二氏(59)を充てる人事を決定した。10月1日付で就任し、政策の立案と検証を担う。これに先立つ9月30日付で共同通信社を退職する。首相官邸によると、国会議員を経ずに報道機関出身者が首相補佐官に就任するのは初めて。

 加藤勝信官房長官は記者会見で「これまでの知識、経験を踏まえて政策全般について評価、検証、改善すべき点を必要に応じて首相に進言を行っていただく」と述べた。

 柿崎氏は秋田県出身で早大卒。毎日新聞社を経て1988年に共同通信社入社。2019年から論説副委員長。9月16日から総務局付』

衆院予算委員長に金田氏 議運・高木氏、国家基本・浜田氏―自民内定
https://www.jiji.com/jc/article?k=2020092900979&g=pol

『自民党は29日の総務会で、衆院の常任・特別委員長、審査会長の人事を内定した。予算委員長に金田勝年元法相、党首討論を取り仕切る国家基本政策委員長に浜田靖一元防衛相をそれぞれ起用。議院運営委員長は高木毅氏が続投する。10月下旬に召集予定の臨時国会で選ばれる。』

自民、行革推進本部長に棚橋氏
衆院委員長候補も内定
https://www.47news.jp/politics/5313137.html


『自民党は29日の総務会で、行政改革推進本部長に棚橋泰文元科学技術担当相を起用するなどの党役員人事を決定した。衛藤征士郎元衆院副議長は憲法改正推進本部長に充てた。10月23日か26日の召集を軸に調整している臨時国会で選任される衆院の常任、特別委員長候補も内定した。

 幹事長代理は林幹雄、石井準一両氏を再任したほか、新たに柴山昌彦氏が就いた。党紀委員長には衛藤晟一氏の就任が決まった。

 衆院人事候補では、党憲法改正推進本部長だった細田博之氏を憲法審査会長に充てる。党首討論を開催する国家基本政策委員長には浜田靖一氏を内定した。』

自民、政治改革本部長に塩崎氏
改憲は衛藤征士郎氏
https://www.47news.jp/politics/5314081.html
『自民党は29日の総務会で、党・政治制度改革実行本部長に塩崎恭久元厚生労働相を再登板させるなどの党役員人事を決めた。衛藤征士郎元衆院副議長は憲法改正推進本部長に、棚橋泰文元科学技術担当相は行政改革推進本部長にそれぞれ就いた。拉致問題対策本部長と1億総活躍推進本部長は参院から起用する方向で調整を進める。』

青年局長に牧島氏、初の女性 自民
https://www.jiji.com/jc/article?k=2020092900928&g=pol

『自民党は29日の総務会で、青年局長に牧島かれん衆院議員(43)=当選3回=を充てる人事を決めた。青年局長への女性起用は初めて。同ポストは竹下登、麻生太郎、安倍晋三各氏などの首相経験者も務め、若手政治家の「登竜門」とされる。
【議員情報】牧島 かれん(まきしま かれん)

 牧島氏は同日、党本部で記者団に「次世代の女性、女子学生の皆さんにも青年局の活動に活発に参加してもらえるきっかけになればいい」と語った。』

国会議員情報
牧島 かれん(まきしま かれん)
https://www.jiji.com/jc/giin?c=syu&d=6773c548013e6785ded2d11fe31c89d0

行政デジタル化 青写真と今後の論点

https://comemo.nikkei.com/n/nf6bd76c562fd

※ 今日は、こんなところで…。

『新型コロナ感染症対策での様々な混乱を受けて、今後こうしたことが起こらないように、菅官房長官(当時)の肝煎りでデジタル行政サービスと自治体情報システムの在り方を見直すWGが6月に立ち上がり、この金曜朝に総理臨席のもと3回目の会合がありました。検討の叩き台となる行政情報システム改革のトータルデザインについて斎藤構成員から説明があり、私からも補足説明させていただいた他、戸籍へのカタカナ氏名の追加や、自治体標準化について討議が行われました。関連資料はこちらからダウンロードできます。

行政デジタル化を5年で達成 首相指示、年内に工程表
菅義偉首相は25日、首相官邸で開いた会議で、行政のデジタル化を今後5年で達成するよう各府省に指示した。

全体としては手続きのデジタル完結率を向上させて、新たなデジタルセーフティーネットの構築へ向けて、国と地方で一体となって推進していくことを目指しています。2022年までに突発事案に対して即応できる情報システムを整備する「足し算」、2025年へ向けて自治体の情報システム標準化を推進し、段階的なクラウド環境へと集約して各団体の情報システムがバラバラなため必要だった団体間の中間的なデータベースを一掃しAPI連携に移行する「引き算」の改革を提案しました。

まず2022年までに、仮に今回の新型コロナのような突発事案が発生した際、迅速に全国向けの共通システムを提供し、1週間以内で給付を完了できる仕組み。具体的には給付金の消込にも使える自治体共通SaaS、国民の銀行口座と直結して公金出納を集約する公金口座システムの整備を考えています。

特別定額給付金オンライン申請を振り返ると、郵送申請と違って世帯構成などの情報が事前に入力されていないことが問題でした。これは申請事務に用いられたマイナポータルが、申請書の受け渡しについては自治体と繋がっていたものの、自治体の住民システムとは繋がっていなかったからです。給付金を住民に対して実際に支払ったか等の消込は、各団体が個別にシステムを整備したり、Excelなどを使って目視で管理していました。

こうした突発事案の際に、急拵えでつくられた制度に合わせて突貫で業務を組み立ててシステムを構築することは大きな負担です。団体によっては整備が間に合わず、今回のような混乱に繋がりました。そこで突発事案が起こった際、政府が構築した共通のSaaSサービスを各団体向けに提供し、各団体は基準日時点の住民情報をSaaSに流し込んで、その上で給付の消込や電子申請の受付といった業務を回すようにすれば、各団体が個別にシステムを整備する必要はなくなって、電子申請サイトは流し込まれた情報を参照して、最低限の入力で電子申請を受け付けられるようになります。SaaSのデータベースを団体単位で分離すれば現行制度のまま対応できます。

同時に全ての住民に対して公金出納専用の口座を国が提供する「公金口座」の構想も打ち出しました。自治体が住民基本台帳にある誰に対していくら支払うかを台帳に書き込むだけで該当者に給付できる仕組みです。公的機関は今回のような給付に際して、申請書や口座番号の取得に煩わされることがなくなります。住民は「公金口座」と自身の銀行口座を紐付けることで給付を受け取るか、コンビニATM等でマイナンバーカードを使って直接出金できる仕組みを検討しています。

かねて給付の効率化には銀行口座とマイナンバーとを紐付ける「預金付番」が効果的とされていました。しかしながら金融機関の口座にマイナンバーを紐付けただけでは給付を効率化することはできません。金融機関が預金者のマイナンバーを取得するだけでなく、公的機関がどの口座に振り込めばいいか把握でき、その口座に対して給付を行うことについて、住民の同意を取得できている必要があります。公的機関は年金や児童手当、所得税・住民税の還付、水道料金の徴収などのために住民の銀行口座を把握している場合がありますが、給付金の支払いにその口座を用いる同意が取得できていないため、勝手に給付する訳にはいかず、申請書を受け取る必要がありました。

具体的に「公金口座」をどうやって実現するかは未定ですが、年金のように口座番号を登録して銀行口座に振り込む、公と住民との間で包括的な口座振替契約を結ぶといった手堅い方法から、CBDC(中央銀行発行デジタルマネー)など新しい基盤の構築まで、様々な方法が考えられます。

特別定額給付金では世帯単位の給付が不評であったことから、今後は個人単位の給付も視野に入れて検討する必要もあるでしょう。その場合に世帯主の後ろに隠れていた未成年者や成年被後見人の扱いをどうするか、手数料などの事務費をどこまで低減できるかも課題です。いずれにしても誰もが簡単に使えて、困ったときも適切に手を差し伸べてもらえる仕組みとする必要があります。

そして2025年へ向けて、自治体システムをクラウドに移行し、住基ネットや情報提供NWSの中間サーバーをはじめとした団体間のデータベースを廃止して、クラウド内でサービスメッシュを介した直接API連携に移行することを構想しています。

自治体システムの仕様を標準化するのか、それとも団体間のシステム統合まで踏み込むのか、報道も混乱していますし、関係者からもスケジュールが拙速過ぎるのではないかといったお叱りもいただいています。この点については実のところ構成員の間でも様々な意見があるところです。

わたしからは具体的な目標を設定せずに、無理に団体間の仕様を揃え、全ての業務をカバーすることにこだわると、日程的に無理がある中で似たようなシステムの作り直しになってしまって、十分な効果を得られないのではないか、まず目的や目標を明確にしてやるべきことを絞り込む、標準化のための標準化ではなく、具体的な住民メリットを実感できる施策に優先して取り組むべきではないか、といった意見を述べさせていただきました。

個人的な見解としては、住民管理について作成された標準仕様書を見ても、現段階ではSoRとSoEの切り分けが十分にできておらず、この状態で無理してシステム統合まで踏み込んでしまうと、今やっている自治体の事務を十分にカバーできないのではないかという危惧を持っています。

とはいえ現行構成のようにバラバラな自治体システム、業務単位で縦割りの団体間連携システムが相互に足を引っ張って、手を付けられない膠着状態にはメスを入れる必要があります。少なくとも団体間連携に使われている中間的なデータベースと業務ロジックを、サービスメッシュ上でのAPI連携に置き換えて、部分的な改善を積み重ねられる疎結合構造へと解していく必要があるでしょう。

システム統合による割り勘効果と、独占やシステム運営の主体が曖昧になることの弊害とを見極め、廃止できるシステムは廃止して、標準化・共通化を通じて統合運用できるところは集約しつつ、環境の変化に柔軟に適応でき、現場の創意工夫を引き出して、適切に市場競争が働くエコシステムを目指して、現実的かつ住民が便利になったと実感できる目標を設定すべきです。

年内の工程表策定へ向けて、いよいよ検討は大詰めとなりますが、叩き台となる青写真を出したことで、今後は自治体やベンダーなど多くの方々との対話を通じて、効果的かつ実現性の高いロードマップへと磨き込んでいくフェーズとなります。

引き続き皆様よりご指導ご鞭撻のほど何卒よろしくおねがいします。』

安倍前首相「菅氏、ずいぶん前から後継資格者」

安倍前首相「菅氏、ずいぶん前から後継資格者」
安倍前首相インタビュー詳報(上)
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO64309070Y0A920C2SHA000/

『安倍晋三前首相は日本経済新聞のインタビューで菅義偉首相に関し、後継候補として「ずいぶん前から有資格者だと思っていた」と明かした。総裁選で敗れた自民党の岸田文雄前政調会長については「『時、利あらず』ということだったのだろう」と述べた。菅政権への期待なども聞いた。

【関連記事】
安倍外交、同盟強化が起点 安倍前首相インタビュー
――体調はその後、いかがでしょうか。

「新しく使い始めた薬が非常に良く効いて、順調に快復している」

――後継に菅首相が就きました。

「私の健康上の理由で急なことになった。後継者はリリーフかつ先発投手という立場になる。安倍政権の官房長官としてすでに政策の中枢にいて、すべてを把握する菅氏にやってもらうのは非常に安心できると思った」

――菅首相が後継候補だと考え始めたのは7、8月の頃でしょうか。

「ずいぶん前、ある程度前から有資格者だと思っていた。あとは菅氏にその意思があるかどうかだった」

「今から思うと(来年9月の総裁任期末まで)あと1年と少しとなって『ポスト安倍』ということが言われ始め、菅氏もそういう選択肢を考えたのかもしれない。(菅氏を支持するという)そういう声が高まれば(総裁選に出馬する)気持ちが出てくるのは当然だ。政治家なら常に思うことだ」

――菅首相を巡っては新元号「令和」を発表したころから知名度が高まりました。

「総裁選で国会議員が1票を入れる場合、議員の心理は世論で反応のある人へと動く。そこが昔と、小選挙区制になった現在で異なる」

――菅首相の出馬の決断は素早いものでした。

「割り切りが良かった。私が辞めると言った段階でアベノミクスを継承すると言った。そういうところが菅氏の強みだ。(安倍氏の出身派閥である)細田派も菅氏でいいじゃないかとなった」

――安倍氏の意中の人は岸田氏ではないかと言われてきました。

「岸田氏は政治家として本当に誠実な人だ。外相としても大きな業績を残した。政治家にありがちな『自分が自分が』というのも全くない。確かに発信力が弱いと指摘する人もいる」

「私が急に辞めるという短期的な政局となり、残念ながら『時、利あらず』ということだったのだろう。ただ総裁選後半のパフォーマンスは良かった」

――菅首相は政権発足当初から具体的な政策を次々に打ち出しています。

「秋田県から出てきて、横浜市という浮動票の多い都市部の小選挙区で勝ち続けてきた人だ。人々が何を考えているのか、気持ちをすくい取るのが非常にうまい」

「携帯電話料金が家計に占める割合が多くなっているとみるや料金の引き下げを求める。出生率を上げなければならないときに、不妊治療の費用が大きな負担になっていると聞くと負担軽減に取り組む。アンテナを高くして、そういう声に応える具体的な政策を打ち出している。テンポは非常に良い」

――菅首相の首脳外交の手腕は未知数だとの見方もあります。

「菅氏は各国首脳と順調に電話協議を進めている。トランプ米大統領との電話も非常に気の合った協議になったと菅氏本人から聞いた」

「官房長官時代に駐日米大使らと頻繁に朝食会などで意見交換し、様々な交渉もしていた。すでに外交の要諦はおさえている。米側からも信頼されている。2019年には訪米してペンス副大統領らにも会った」

「安倍政権において7年8カ月超、一貫して官房長官を務めたという経歴は、ずっと政権の中枢にいたということで相手側には安心感となる。外交でそれは財産だ」

――北朝鮮による日本人拉致問題などは菅政権に残された課題となりました。

「菅氏は官房長官時代に拉致問題担当相も兼任し、日本にとっての問題の重要性や難しさは十分理解している。拉致被害者のご家族の気持ちにも寄り添ってくれていると思う。全く安心して任せられる。菅氏なら間違いない」

――あえて助言するとすれば何でしょうか。

「菅氏は本来、非常に強い改革志向をもっている。改革は政権ができた当初の勢いがあるときが一番進めやすい。今の勢いを生かして、向こう傷を恐れずに思い切ってやってほしい」

――内閣支持率が高いうちに早期の衆院解散を求める声があります。

「解散は首相が下す最も難しい判断だ。たった1人で下す判断であり、これだけは誰にも相談できない。政権の命運がかかる勝負となる。研ぎ澄まされた『政治家・菅義偉』の判断、培ってきた勝負勘で決めてもらえれば良いと思う」』

人手不足産業に「出向」 政府、労働移動支援に軸足

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO64263370V20C20A9EA3000/

 ※ こういう政策は、人材派遣業界に与える影響が、けっこう大きいと思うぞ…。

 ※ 今まで、「民間にお委せ」だったものが、似たようなことを「官もやる」ということだからな…。

 ※「官業の民業の圧迫」にならないようにする、「官・民の棲み分け」なんてことが、問題になるだろう…。

 ※ なんか、「ゆうちょ」に関して、聞いたような話しだな…。

『雇用政策の軸足が、これまで働いてきた企業での雇用維持から、人手不足の産業への移動支援に移り始める。政府は2021年1月から雇用調整助成金の特例措置を段階的に縮小するのに合わせ、業種を超えた出向や新たなスキルの習得を後押ししていく。「失業なき労働移動」に成功するかどうかが経済回復のカギを握る。

新型コロナウイルスの感染拡大による経済活動の収縮で、企業が内部に抱える休業者は一時600万人近くに膨らんだ。政府は従業員に休業手当を支払う企業を支援する雇用調整助成金の特例措置で雇用維持を図ってきたが、人手不足の産業への労働力移動を妨げるとの指摘も出ていた。

このため、厚生労働省は25日に決めた21年度予算の概算要求に労働力移動を支援するメニューを盛り込んだ。

国と都道府県の職業能力開発施設や、NPOが運営する教育訓練機関の教育費用を負担する。職を一時的に失った人が無料で職業スキルを学び、すぐに再就職できるように後押しする。要求額は990億円超とし、政府が予算案を決める年末の段階で積み増すこともできるようにした。

経営が厳しく雇用が過剰になった企業から人手不足の企業に向け、人材が在籍出向の形で移るのを支援する予算も求める。公益財団法人の産業雇用安定センターが人手の過剰業種と不足業種の両方から情報を集め、無料でマッチングする。同センターは47都道府県に事務所をおき、地域の業界団体と協力していく。

経済産業省は若い世代を中心に、ものづくりを担う地方の中小企業などに人材が移るのを後押しする。概算要求で30億円を計上し、人材の確保やデジタル技術の活用に積極的な企業を支援する。

同省も社会人の学び直しを支える予算を盛り込んだ。問題解決の能力を高め、新規事業を生み出せるようにするプログラムを始めるという。

厳しい情勢の続く雇用も、業種別にみるとばらつきが大きい。宿泊や外食などで就業者数の落ち込みが続く一方、人手不足が常態化している介護の有効求人倍率は7月に3.99倍に達した。

自宅から近い小売店やインターネット通販への消費シフトにより、スーパーや物流でも人材の需要は大きい。通販や在宅勤務を支えるデジタル人材のニーズも高く、情報通信業の7月の就業者数も前年水準を上回る。

第一生命経済研究所の田中理氏は「コロナによる社会の変化は長期化する」と指摘する。そのうえで「政府による特定企業での雇用維持策が長引くと、急ぐべき産業構造の転換が進まない」と語り、労働力移動に軸足を移していくことを主張する。

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社会人の再教育により、デジタル人材を育てる取り組みでは欧米に後れをとっている。日本の再教育は産学官の連携が乏しく、労働市場のニーズとの開きが大きい。厚労省と経産省は教育内容の改善を急ぐ。

英国は休業者の給与や所得の80%を支援してきたが、10月に60%に減らす。欧州各国はデジタル技術の学び直しへの支援策を充実することで、コロナ後の成長力を高めようとしている。

厚労省は中小企業に最大100%助成し、支給上限額も日額1万5千円に引き上げた雇用調整助成金の特例について、21年1月から縮小する方針をすでに示している。

日本の7月の失業率は2.9%と前月から0.1ポイント悪化し、年末にかけてさらに上昇していくとみられる。厚労省の集計では、コロナ関連の解雇・雇い止めは見込みを含めて6万人を超えた。

雇用調整助成金による支援を急速に縮小すれば失業率の急上昇や社会不安を招く恐れもある。厚労省は雇用情勢や労働力移動の状況を見ながら、慎重に進める考えだ。』

テレワークで地方移住、最大100万円補助 政府21年度から

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO64223980V20C20A9MM0000/

『政府は2021年度から、テレワークで東京の仕事を続けつつ地方に移住した人に最大100万円を交付する。地方でIT(情報技術)関連の事業を立ち上げた場合は最大300万円とする。新型コロナウイルスの感染拡大で高まった働き方の変化を踏まえ、地方の活性化につなげる。

21年度予算の概算要求に地方創生推進交付金として1000億円を計上する。これまでも首都圏から移住して地方で起業する場合の支援制度があったが、新たに東京の仕事を地方で続ける人も対象に加える。

新型コロナの感染拡大によって暮らしや働き方に変化が生じ、企業のオフィスに行かず自宅からテレワークする人も増えた。東京一極集中の課題も浮き彫りになり、勤務先や仕事は変えず住居を地方に移す人を財政面で支える。

地方のデジタル化を進めるため、IT事業の立ち上げも支援する。人工知能(AI)の開発やビッグデータ分析など、先端技術を使った仕事が対象になる。

政府は21年度以降、地方公共団体が住民のテレワーク環境を整えるための交付金制度も新設する。費用の最大4分の3を助成する。21年度予算の概算要求に関連費を150億円計上する。

企業の本社から離れた場所に設置するサテライトオフィスやシェアオフィスの確保に充てる。東京でのこれまでの働き方を変えず、地方で仕事を続ける環境を整える。

菅政権は地方創生を優先課題の一つに挙げる。地方で働ける環境を整え、人口減少や少子高齢化の対応につなげる。』

本人確認の難題、揺らぐ「総本山」総務省

本人確認の難題、揺らぐ「総本山」総務省
経済部 広瀬洋平
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO64161420T20C20A9EE8000/

『キャッシュレス決済で銀行預金が不正に引き出されていた問題は本人確認の甘さが穴だった。では、そもそも一体どうすれば本人であると確認したことになるのか、あるいは確認できたとみなしうるのか。本人確認の総本山が根本的な問いを突きつけられる事態が生じている。9月10日、総務省が東京地裁に提訴されたのだ。

訴えたのはインターネットサービスのスタートアップ、BotExpress。東京都渋谷区で4月から始めたLINEによる住民票交付サービスについて適法性の確認を求めた。「なりすましの恐れがある」と疑問視する総務省に対して「なりすましの恐れはない」と真っ向から反論している。

焦点のサービスは、申請者がスマートフォンで撮影した自らの写真と免許証などの写真付き本人確認書類の画像を送信すると、人工知能(AI)が画像を照合する。同一人物と判定されれば、住民票記載の自宅住所に郵送で住民票が届く。スマホで顔認証をする「eKYC」と呼ぶ手法は金融機関でも導入されており、免許証のコピーを同封する郵送申請に比べて「格段に安全性が高い」とBot社はみている。しかも住民票記載の住所にしか送付しない仕組みだ。渋谷区は現在も提供を続ける。

総務省は4月、自治体向けの通知で待ったをかけたはずだった。所管する住民制度課の担当者は提訴に困り顔だ。区側とも「新型コロナウイルス対応で忙しいとのことで会えていない」まま今に至る。

提訴を受けて9月15日、当時の高市早苗総務相は「住民基本台帳法上の本人確認がなされていない」と改めて強調した。免許証などの写真自体が偽造の可能性があるのはもちろん、サービスの形式に法的な不備があるとの主張だ。

住基台帳法は住民票の交付について「現に請求の任に当たっているものは(中略)当該請求の任に当たっている者が本人であることを明らかにしなければならない」と原則対面での本人確認を求めている。郵送申請も認めており、署名と押印を本人であることの担保とする。オンライン申請については電子署名法に基づく電子署名を用いると定める。

4月の通知も業者独自の認証ではなくマイナンバーカードに搭載する電子署名を使うよう求める内容だった。住民制度課は「住民票は様々な行政サービスに使われる。最も厳格な本人確認が必要だ」と説く。カードをつくるには申請時か受取時に自治体の窓口を訪れて対面で本人確認を受ける必要がある。「基礎の部分でしっかり確認して交付しているからこそ、その後のオンライン申請が可能になる」というわけだ。引っ越し時に転入先の自治体に提出する転入届についても「住民記録は行政サービスの根幹をなす」との立場から窓口での受理しか認めていない。

問題は公的な本人確認の基礎となるマイナンバーカードが普及が進んでいないことだ。2016年の交付開始から4年が過ぎた9月1日時点で交付率は19.4%にとどまる。対面取得が面倒などの不満は後を絶たない。便利な民間サービスが広がっているのに、生活に浸透していない手段をあえて使うインセンティブは乏しい。

郵送申請は署名と押印があれば本人とみなす。それ自体は民事訴訟法に基づく扱いだ。しかし政府が一方でデジタル化の旗を振りながら、民間で普及しつつある顔認証の電子技術「eKYC」についてなりすましの危険性があると断じる運用は理解を得にくい。住民記録は地方が権限を持つ「自治事務」の代表格でもある。一部の自治体は総務省から「指導」を受ける筋合いはないと不満をくすぶらせる。「マイナンバーカードを普及させたいだけではないか」とうがった見方さえ出ている。

もとより完全無欠な本人確認は難しい。さらに今はデジタルサービスの広がりという変数も加わる。堅固なはずの銀行預金のシステムが揺らぎ、総務省がつかさどってきたはずの真正性それ自体が問い直されている。目先の混乱を収拾するだけに終わらない解が求められている。』

課題山積みのデジタル庁 権限・予算で綱引き

『菅政権が看板政策に掲げる「デジタル庁」創設に向けた議論では、権限や予算をどう位置付けるか課題は山積みだ。省庁の縦割りを打破してデジタル化の断行を目指すが、今後、衆院選もにらんで成果としたい首相官邸と権限を握る各省庁の綱引きが予想される。
菅首相、デジタル庁「官民から人材」 基本方針、年末取りまとめ

 「デジタル庁創設はわが国の経済・社会の大きな転換につながる改革で、今までにないスピードで取り組む必要がある」。菅義偉首相は23日の閣僚会議で改革に全力を挙げる考えを強調した。
 デジタル庁創設は、新型コロナウイルス感染拡大を機に顕在化したデジタル化の遅れを受けたもの。マイナンバーカードの普及率は2割に満たず、10万円の現金給付などで現場の混乱を招いた。首相の思いは強く、内閣官房、総務省、経済産業省などに散らばるデジタル政策を集約し、権限を一元化したい考えだ。
 焦点はデジタル庁が予算要求や配分、実施権限を一括して担えるかどうかだ。現在は、省庁ごとに政策の実施を担っており、平井卓也デジタル改革担当相は20日の民放番組で「予算要求段階からデジタル庁でやろうと思っている」と意欲を示した。ただ、権限を実際にデジタル庁に移すことになれば、各省庁の反発は必至。政権の思惑通りに運ぶかは不透明だ。
 組織の在り方も課題だ。政府内には、設置期間を定めた時限組織が望ましいとの意見がある。政権幹部の一人は「機能的には恒久的に必要なものではない」と指摘。期限を区切ることで集中的にデジタル化に取り組む狙いがあるとみられる。
 時限組織の事例としては、東日本大震災からの復興を目的に2012年2月に発足した復興庁がある。政府関係者は「イメージは復興庁。デジタル庁に司令部を集め、実務部隊は各省庁に置く」と解説する。ただ、平井氏は23日、記者団に対し「課題は時限的に解決できるような問題ではない」との考えを示しており、政府内の調整が難航する可能性もある。
 菅政権は国と地方のシステム統一化も目指すが、「地方を縛ることはできない」(政権幹部)ため、地方自治体の理解を得ながら進めることが不可欠だ。また、政府が個人情報を把握することへの国民の抵抗感は根強く、丁寧な説明が必要となる。』