民主党政権の検証 (再掲)

民主党政権の検証 (再掲)
― 迷走の3年を総括 ― 平成24年8月
https://www.jimin.jp/policy/policy_topics/pdf/067_01.pdf

 ※ 過去の投稿を表示させている人がいて、自民党のサイトに行って、サイト内検索したら、ヒットした…。

 ※ 最近は、邪魔されていないもよう…。

 ※ 『政党支持率では立憲民主党が昨年12月の5.5%から2.5%となり、2020年9月の旧国民民主党との合流以来の最低値を更新した。半減を超える下がり方で、日本維新の会との「共闘」継続を打ち出したものの、有権者の期待になお応えられていない格好だ。

 自民党は前月比1.8ポイント増の24.6%。維新3.6%(同0.2ポイント減)、公明党3.4%(同0.3ポイント減)が続いた。5番手以下は、共産党1.8%、国民民主党1.5%、れいわ新選組と参政党が0.7%、NHK党0.4%、社民党0.1%。「支持政党なし」は58.7%だった。
 調査は全国18歳以上の2000人を対象に個別面接方式で実施。有効回収率は60.5%。』( https://www.jiji.com/jc/article?k=2023011900738&g=pol )

 ※ まあ、この体たらくではな…(自公以外全部足しても、8.8%。消費税率以下だ)。

 ※ テキスト抽出したものを貼っておく…。

『 参議院自由民主党

目次

はじめに ・・・ 1
Ⅰ 民主党政権の根源的問題

1.国家運営能力の欠如
(1)法治主義の欠如 ・・・ 2
(2)誤った政治主導 ・・・ 5
(3)政策決定一元化の失敗 ・・・ 8
(4)発言の軽さ ・・・ 10
2.党運営能力の欠如 ・・・ 11
3.経済運営能力の欠如 ・・・ 12
4.危機管理能力の欠如 ・・・ 14
5.予算管理能力の欠如 ・・・ 17
6.情報管理能力の欠如 ・・・ 19
7.外交能力の欠如 ・・・ 20
8.皇室の軽視 ・・・ 23
9.その他 ・・・ 25

Ⅱ 国民への裏切り
1.マニフェストの破綻 ・・・ 26
2.国民への説明の欠如 ・・・ 28
3.基本政策の方針転換
(1)普天間問題 ・・・ 30
(2)消費税増税 ・・・ 31
(3)TPP ・・・ 32
(4)温暖化対策 ・・・ 33
(5)原発政策 ・・・ 34
4.年金問題 ・・・ 36

Ⅲ 不祥事の続出
1.総理の不祥事 ・・・ 38
2.閣僚の不祥事 ・・・ 40
3.民主党議員の不祥事 ・・・ 42
4.不適切な人事 ・・・ 43

1
はじめに

本報告書は、平成 21 年 9 月の政権交代の後、現在まで 2 年 10 カ月にわたり
政権を担い、我が国の国政史上に大きな汚点を残してしまった民主党政権の失
敗について、事例をもとに検証するものである。
民主党政権の失敗は、政権交代以前からの、さらに遡れば結党当初からの、
政党としての本質的な欠陥に起因するところが大きい。「政権交代」だけを目標
に、政策理念もバラバラな政党・議員が集合して誕生したのが民主党である。
そして、国家観・憲法観を共有できず、党の綱領も作成できないまま、実現不
可能な政策を並べたマニフェストを掲げて選挙を戦い、国民を欺いて政権を取
ってしまった。その経緯をみても、民主党政権は、最初から失敗が運命付けら
れていたといってよい。
政権交代後は、その国家運営能力の絶対的な欠如によって、内政・外交上の
数々の失敗を引き起こし、国益を損ない続けてきた。また、都合の悪い事実を
隠蔽し、約束を簡単に反故にする体質によって、国民を裏切り続けてきた。さ
らに、総理・閣僚をはじめとする所属議員の度重なる不祥事によって、国民の
政治に対する信頼を失い続けてきた。
この 2 年 10 カ月間で、我が国が置かれた状況はますます厳しさを増しており、
再びこのような失敗を犯せば、即、国を滅ぼすことにもなりかねない。今後、
二度とこのような亡国政権が誕生することのないよう、本報告書において、民
主党政権の失敗を総括したい。

2
Ⅰ 民主党政権の根源的問題

民主党政権の根源的問題は、絶対的な能力不足である。国家運営・党運営を
はじめ、予算編成、国会運営、各種政策の遂行能力など、あらゆる面において、
政権党として求められる能力が絶対的に欠けている。
これは、民主党の政党としてのあり方そのものに端を発する問題であり、民
主党が民主党である以上、解決不可能な本質的な問題だと言わざるを得ない。

1.国家運営能力の欠如

(1)法治主義の欠如

民主党政権は、法治主義に対する理解が著しく欠けている。自らに都合の
いいように行政を動かすためには、法律の定めであっても無視して構わない
という考え方で政権を運営した。結果、法的根拠のない組織の乱立、法定の
手続を無視した人事や行政執行が横行し、行政に多大な混乱をもたらした。
○法的根拠のない組織の乱立
民主党政権では、国家の基本政策に関わる議論や危機管理に関わる事務
を、法的根拠のない本部・会議で行うことが常態化している。これらの本
部・会議の決定には法的拘束力がないため、政府・民主党内で容易に結論
が覆されてしまう状況にあり、意思決定過程が不明確となっている。
特に、東日本大震災に際しては、緊急災害対策本部、原子力災害対策本
部、安全保障会議といった、法令上の根拠と権限を持った組織を活用せず、
法的根拠のない本部・会議を乱立させたことにより、指揮命令系統が麻痺
した。その結果、迅速な事態対応や国民への適切な情報提供ができず、戦
後最大の「人災」を引き起こした。

【法的根拠のない本部・会議の例】

・国家戦略室(H21.9 総理大臣決定)
・新成長戦略実現会議(H22.9 閣議決定)
・国家戦略会議(H23.10 閣議決定)
・行政刷新会議(H21.9 閣議決定)
・行政改革実行本部(H24.1 閣議決定)
・行政改革に関する懇談会(H24.5 内閣府特命担当大臣(行政刷新)決定) ・震災・原発事故対応で設置された各種本部・会議
・福島原子力発電所事故対策統合本部(東電内に設置)(H23.3 設置根
3
拠なし)
・政府・東京電力統合対策室(H23.5 原子力災害対策本部の下に設置)
・原発事故経済被害対応チーム(H23.5 総理大臣決裁)
・原子力発電所事故による経済被害対応本部(H23.4 総理大臣決裁)
・原子力被災者生活支援チーム(H23.3 原子力災害対策本部長決定)
・被災者生活支援チーム(H23.3 緊急災害対策本部長決定)
・被災者生活支援各府省連絡会議(H23.3 設置根拠なし)
・電力需給に関する検討会合(H23.3 総理大臣決裁)
・電力改革及び東京電力に関する閣僚会合(H23.11 設置根拠なし)
・除染及び特定廃棄物処理に関する関係閣僚会合(H23.11 設置根拠な
し)
・エネルギー・環境会議(H23.6 新成長戦略実現会議決定)
・共済年金職域部分と退職給付に関する有識者会議(H24.4 設置根拠なし)

○法律・手続を無視した人事

民主党政権は、法令の根拠がない大臣・副大臣を任命したり、国会法に
違反して国会議員を仕分け人にしたりするなど、組織と人事のルールを理
解していない。
また、個人的な友人・知人を顧問・参与に任命する、民主党の職員を大
量に内閣官房職員に任命するなど、公私の区別がついていない。

【具体例】

・枝野法令解釈担当大臣(法的根拠なし、内閣法制局との関係も不明)
・松原拉致問題担当副大臣(内閣府の副大臣としての任命なし)
・国会議員を仕分け人に採用(国会法違反)
・友人・知人を政府職員に採用
内閣特別顧問:稲盛和夫氏など
内閣官房参与:平田オリザ氏など。震災後には原子力関係者が急増。
内閣官房専門調査員:民主党職員 27 人
内閣府本府参与:湯浅誠氏など
(※既に離職している者を含む。)

○法定の手続を無視した政策遂行

・浜岡原発の停止、大飯原発の再稼働
菅総理は、法律の根拠なく、民間企業である中部電力に対して浜岡
原発の停止を命じた。指示や命令ではなく要請だと言うが、中部電力
4
が要請を断ることは困難であり、事実上の命令に他ならない。
大飯原発の再稼働については、野田総理が、安全委員会を無視して
閣僚会合で再稼働を決定した。もちろん、安全委が現行法制上の職務
を放棄していることも問題である。

・八ツ場ダム建設中止
法律に基づいた建設基本計画では、(当然ながら)ダムを建設するこ
とになっている。それを変更せずに、前原大臣が勝手に中止を宣言し
た。計画の変更には地元自治体との事前協議が義務付けられており、
これを無視した形である。結局、H23.12 に建設再開を決定した。

・「地域主権」という語の使用
「地域主権」という、現行憲法と相反する政治的スローガンを、内
閣提出法案の題名にまで使用した(地域主権改革の推進を図るための
関係法律の整備に関する法律案)。
結局、自民党の指摘で法案名から「地域主権」を削除した(「地域の
自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の
整備に関する法律」に修正して成立)。
5

(2)誤った政治主導

政務三役等として政府の構成員となった政治家は、党の政権公約に基づき、
政治主導による政策運営を行うことが最大の課題である。そのためには、政
策決定の責任者として重要な決定を自ら行うだけでなく、必要に応じて官僚
を適切に使いこなす「官僚の管理・監督者」としての役割も求められる。
決定された政策について国民に説明責任を果たすとともに、それによる結
果責任を負うのは、当然のことながら、官僚ではなく政治家である。
民主党政権は、これらの仕組みを全く理解せず、「政治主導=官僚の排除」
だという誤解に基づいて、政府内の意思決定プロセスを機能停止させた。そ
の結果、意思決定は錯綜し、政と官の信頼関係は崩壊し、行政執行は停滞し
てしまった。

○官僚を敵視・排除し、業務の停滞・質低下を招く

・事務次官会議の廃止

事務次官会議は官僚主導の象徴として批判されたが、同時に政府全
体の情報共有機関でもあった。そのため、民主党政権による廃止後は、
各省の官僚が職務遂行に必要な他省庁の情報すら得られない「情報の
タコツボ状態」となった。
結局、民主党政権も、震災対応の「各府省連絡会議」という形で、
事務次官会議を復活せざるを得なかった。

・政務三役会議からの官僚の排除

各省の最終的な意思決定を政務三役会議で行うこと自体には意義が
あるが、その場からサポート役としての官僚を排除することは、意思
決定に必要な情報の取得、意思決定過程の記録、円滑な政策実施のた
めの意思疎通などを欠くことになり、行政の質を低下させてしまった。

・官僚の国会答弁禁止(特に内閣法制局長官)

国会質問は、国会議員の中核的な活動であり、国民主権を具現化す
るための憲法上の要請である。したがって、国会議員が、誰に対して、
どのような質問をするかは、国会議員の自由な裁量に委ねられる必要
があり、政府が制限すべき事柄ではない。
また、特に政治的恣意による安易な憲法解釈の変更を防止するため、
準司法的な性格を持った内閣法制局長官に対しては、国会議員の自由
な質問の機会が確保されるべきである。
民主党政権は、こうした内閣法制局長官答弁の意義を理解せず、た
6
だ官僚であるということだけで答弁を禁止し、法的根拠のない「法令
解釈担当大臣」の答弁という無責任な事態を招いた。

・官僚の記者会見禁止

記者会見は、各府省の政策責任者たる政務三役が原則として行なう
べきものであるが、技術的事項や細かなデータについての説明を官僚
が行うことは、国民の知る権利を保障する観点からも認められるべき
である。
民主党政権は当初、こうした事項を含む官僚の記者会見を一律に禁
止しようとしたため、混乱を生じさせた。

・総理や閣僚の独断・思いつきを止められない体制

民主党政権では、総理や閣僚が、将来に禍根を残す決定を独断で行い、
誰もそれを止められないという体制があったことは大きな問題である。
しかも、その責任は部下に取らせて恥じない態度は、政治家として無責
任と断ぜざるを得ない。

【具体例】

・朝鮮王朝儀軌引渡し(菅総理の独断)
・尖閣事件の船長釈放(仙谷官房長官の独断)→ 那覇地検の責任に ・運用3号通知(長妻大臣の独断)→ 担当課長の責任に ・国家公務員採用の大幅減(岡田副総理の独断)
・閣僚間の不一致が常態化
民主党政権では、菅総理と海江田大臣、岡田副総理と小宮山大臣など、
明らかに異なる方向性の発言や国会答弁が常態化した。自民党政権時代
であれば閣内不一致として問題化し、閣僚の罷免にもつながる事態であ
るが、民主党政権では、これを問題視するという感覚すら持たない。
憲法66条3項の「内閣は、行政権の行使について、国会に対して連
帯して責任を負う」という義務を果たせていない状況である。
・自ら「事業仕分け」を行いながら、その結果を無視・軽視
民主党政権の事業仕分けは、その法的根拠がないという致命的な問題
のほか、仕分け人の選定、対象事業の選定などに透明性を欠いており、
仕分けの結果には何ら正当性がなく、単なるパフォーマンス以外の何物
でもない。
そのため、仕分けの結果は、当然ながら政権内でも無視・軽視された。
野田総理自身が財務大臣時代に決定した朝霞公務員宿舎の建設再開はそ
の象徴である。ついには、仕分け結果が無視された事業の「再仕分け」
7
という、それ自体が無駄な作業まで発生した。

・ビジョンのない政策決定

民主党政権の政策決定は、中長期的なビジョンに欠けており、どうし
たらその場の喝采を得られるかというポピュリズム的視点に支配されて
いる。そのため、公務員採用の大幅減、科学技術の軽視(はやぶさ2の
予算激減)など、国益の観点からはあり得ない決定が次々となされてい
る。自ら国の衰退を招き寄せていると言っても過言ではない。

・違法交渉

現行法上、公務員には労働協約締結権がないにも関わらず、総務大臣
と組合が、自律的労使関係の「先取り」と称して、違法な「合意」を行
った。これにより、給与削減と労働基本権付与の引き換えが合意された。
現在は違法なものを、将来合法化される(という希望的観測)から「先
取り」で行ってもいいという論理は理解不能であり、明らかに法治主義
を逸脱している。

・情報の隠ぺい体質(都合の悪い情報は隠す)

民主党政権には、自らに都合の悪い情報は隠ぺいするという体質が染
みついている。それが、国民の政府に対する不信感を招いたばかりでな
く、原発事故対応に際しては不要な被ばくも引き起こすという、犯罪に
も等しい行為となって表れた。

【具体例】

・原発事故対応(SPEEDI、米実測値の非公表、議事録不作成など) ・温暖化対策の家計負担、年金改革の財政試算
・尖閣ビデオ、北朝鮮ミサイル発射への対応
8

(3)政策決定一元化の失敗

マニフェストの「5原則」の一つとして「政府と与党を使い分ける二元体
制から、内閣の下の政策決定に一元化へ」と明記していた。これは、イギリ
スの制度を模倣したものであった。

しかし実際には、政権発足当初から、党幹事長が入閣しないなど「不完全
な一元化」に過ぎなかった。そればかりか、逆に政策調査会を廃止したこと
で幹事長に党の権力が集中した。その結果、鳩山総理と小沢幹事長の二元体
制が定着することとなった。

結局、菅政権では政策調査会を復活させ、マニフェストの公約であった政
策決定の一元化は一度も実現することなく破綻することとなった。

○党政調の廃止

日本の国会議員は、英国の政府外与党議員(いわゆる「バックベンチャ
ー」と異なり、それぞれが「全国民を代表する」(憲法43条1項)存在と
して、個々の案件に関して自主的・自立的に判断することが求められてい
る。
民主党が行った党政調の廃止は、各議員が党内での「平場」の会議にお
いて自由闊達な議論を展開させる場や、与党が党内での議論を通じて政府
の活動を監視する場を奪うものであり、政府外の与党議員を、政府の意思
決定に無条件に従う単なる「採決要員」に貶めるものであった。

○請願・陳情窓口の一元化

憲法第16条は、何人も「平穏に請願する権利を有す」るものと規定し、
請願法第5条は、「請願は、官公署において、これを受理し誠実に処理しな
ければならない」と規定している。
陳情は、請願を補完するものであり、憲法・請願法の趣旨に照らせば、
国民が政府に対して陳情する権利は、保障されるべきものである。
民主党が行ったように、一政党が何らの法的根拠もなく、国民が陳情の
ために政府に接触することを制限するのは、憲法の趣旨に反するものと言
わざるを得ない。
特に、地方自治体や地方議会からの要望の途が狭められ、国民全般の声
を国政に届けることが大幅に制約されたことは、政権専横・政治の私物化
に他ならず、国政に大きな混乱をもたらす原因となった。
9

○超党派議連の停止

超党派議連は、国会議員が党派を超えて個々の自由な立場から政策を研
究し、議論する場であり、国政の活性化と、その可能性の拡大のために不
可欠の場と言える。民主党政権は自党の議員がこれに参加することを禁止
し、結果として超党派議連が有する効果の発揮を妨げ、国政への不利益を
もたらした。
10

(4)発言の軽さ

総理・閣僚等の発言が軽く、間違ったら取り消せばいい、謝ればいいと思
っている。自民党政権の場合であればすぐに罷免となるような事例ばかりで
あり、発言自体が国益を損なう、社会に影響を与える、ということに全く考
えが及んでいない。
民主党政権は、守るべきモラルを持っていない、責任を取る文化がない、
という点が、自民党政権との大きな違いであると言える。

【具体例】

○鳩山総理
・「私は愚かな総理かもしれません」と自ら認める(H22.4) →平野官房長官が「総理の謙虚さの表れ」と擁護
○仙谷官房長官
・「自衛隊は暴力装置」と発言(H22.11) →本人が撤回・謝罪
→菅総理:御本人が謝罪し訂正して変えられたわけでありますから、そ
れはそれで良かったのではないかと思っております
→菅総理:私からもおわびを申し上げたいと思います
○柳田法務大臣
・「国会答弁は2つだけ覚えておけばいい」と発言(H22.11) →辞任
○細川厚労大臣
・年金の運用3号通知について「当時は知らなかった」と発言(H23.3) →担当課長を更迭するが、自らは辞任せず(部下に責任を押し付け)
○丹羽中国大使
・東京都の尖閣購入は「日中関係に重大な危機をもたらす」と発言(H24.6) →本人が謝罪
→玄葉外相:深い反省の意を表していることを踏まえなければならない
(処分せず。注意のみ。)
11
2.党運営能力の欠如

民主党は、基本的な国家観を異にする議員の寄せ集めであり、綱領すら定
めることができていない。また、党内の意思決定手続が明文化されていない
ため、同じ議論が何度も蒸し返されて、物事を決めることができない。党運
営の基本的な能力を欠いているといえる。

○国家観・憲法観の不在

民主党は、保守系から旧社会党系まで党内がバラバラであり、未だに、
党としての国家観・憲法観をまとめることができていない。
そのため、国会での憲法論議にも非常に消極的であり、衆参両院の憲法
審査会に対しては、名簿提出を遅らせるなどして開催に抵抗した。
また、民主党内の憲法調査会は、昨年12月に政権交代後初の総会を開
催したが、出席者が所属議員の 1/10 に留まるなど、党内議論は低調である。

○綱領を持たない

民主党は、そもそも綱領を持っておらず、基本的な政策理念すら定まっ
ていない。これでは、全ての政策がその場しのぎの対応に留まり、大局観
を持ったブレない政策判断を行うことは無理である。これは、鳩山、菅、
野田という各総理の責任もあるが、民主党の成立過程に端を発する根源的
な問題であり、改善は不可能である。

○内部手続の不備

民主党の党則では、部門会議、調査会、政調役員会など、政策を議論す
る会議の意思決定方法(多数決、全会一致など)が決まっていない。また、
党議拘束についての定めもない。そのため、党議の決定方法や党議拘束に
違反した場合の措置などを、その時の執行部が恣意的に運用できてしまう
状態となっている。実際、困った時は強引に「一任」とする運用がまかり
通り、民主的な意思決定ができる状況ではない。

○国会運営の慣例無視

民主党は、与党になった途端、慣例を無視した一方的で強引な国会運営
を行い、国会審議を停滞させた。与野党一致が慣例であった事項を多数決
で決めようとする事態が続出したが、与野党の不要な摩擦を生じさせただ
けで、結局は国会審議を遅らせる原因となった。
12
3.経済運営能力の欠如

○成長戦略の欠如

成長戦略という名の文書は毎年のように発表するが、中身は変わり映え
がしない。実際には競争力を削ぐ政策ばかりで、国内企業は六重苦と言わ
れる状況。

【「六重苦」と言われる要因】

①極端な円高
②高すぎる法人税
③自由貿易協定の遅れ
④厳し過ぎる労働規制(派遣規制、最低賃金)
⑤環境規制の強化(CO2の25%削減)
⑥電力不足

○マクロ政策欠如で国富の喪失

マクロ経済政策の欠如により、民主党政権になってから50兆円のGD
Pが失われた。また、デフレ時にも関わらず事業仕分を行い、必要な公共
事業等を削減したことにより、経済を悪化させた。 「コンクリートから人へ」
という誤った政策は、地域社会までをも破壊した。

○円高・デフレ対策

民主党政権は、歴史的水準にまで達した円高を放置し、デフレを加速さ
せた。一方で、景気対策には全く関心を示さず、ただ「イノベーション」
を唱えるだけで、それ以外の成長戦略を持っていない。
国内的には無策である一方で、IMFへの出資(600 億ドル)、日韓通貨
スワップ協定(130 億ドル→700 億ドルへ拡充)、中国国債の買い入れ(100
億ドル)等、世界経済の下支え役ばかりをやらされ、失ったものは大きい。

○貿易赤字とエネルギー政策の不在

唐突な脱原発でエネルギー輸入が拡大し、平成23年は31年ぶりに貿
易赤字を記録した。貿易赤字は、震災から一年以上経っても改善していな
い。このままでは、慢性的な貿易赤字が定着しかねない状況である。
13

○国家戦略なきTPPの参加表明

TPP交渉に関しては、米国への配慮ばかりが優先され、国民や各業界
への説明が全く不足している。また、参加した場合の具体的な影響や、現
在の交渉状況についても、十分な情報開示は行われていない。
一方で、実際の協議は難航しており、カナダ・メキシコに先行されてい
る。これに焦った民主党政権が、国益をかえりみずに勝手な譲歩をする恐
れもあり(特に、自動車、保険、牛肉の分野)、注視が必要である。
交渉参加には前のめりである一方、参加した場合に大きな影響を受ける
農業の強化策は示されていない。デフレ時の自由貿易は、雇用喪失により
デフレを悪化させるという懸念にも、何も答えていない。
14

4.危機管理能力の欠如

○その場しのぎの対応

何かあると官邸に会議をつくり、マスコミの前でしゃべる、という対応
を繰り返して、それだけで仕事をしたつもりになっている。しかし、実際
には全く問題解決にはなっていない。その結果、官邸には、使い捨てられ
た不要な会議が多数残されている。
また、目標を決め、それに向けたスケジュール・工程表を作るという能
力がない。そのため、復興や原発事故対策も遅れに遅れている。

【具体例】
・復興庁設置の遅れ・不十分な指令塔機能
・補正予算の執行遅れ(15兆円中、5兆円繰越し・1兆円不用)
・被災者の生活再建・被災地の事業再建の遅れ
・がれき処理の遅れ
・原子力規制委員会の設置遅れ

○災害への備えの欠如

「コンクリートから人へ」という誤ったスローガンを掲げ、災害対策を
疎かにした結果、人命を含む重大な被害が生じている。また、そもそも民
主党政権は、通常業務の執行も覚束ない状態であるが、平常時を管理でき
ない政権が、非常時の管理などできるはずがない。

・ダム建設延期による人災

先日の九州豪雨で、大分県竹田市の災害現場では、ダム建設済みの
河川は氾濫していない。一方、民主党の事業仕分けによってダム建設
が延期になっている場所が氾濫した。

・緑のダム構想の誤り

民主党は「緑のダム」構想を打ち出しているが、これは整備に数十
年を要するし効果は不明である。昨今の大雨による洪水は従来の統計
では全く予想できない激しいものであり、民主党の悠長な治水対策が
既に国土に甚大な生命、財産の被害をもたらしている。

○原発事故対応の責任

国会事故調が「人災」と断定した福島第一原発事故については、規制当
局の体制や過度の安全神話など、自民党政権時代から継続した責任がある
15
ことは否定できず、我々も深く反省すべき点はある。

しかし、実際の事故対応に当たっての官邸の過剰介入や、情報の隠ぺい
(SPEEDI の予測結果、米エネルギー省の実測値)など、民主党政権の危機
管理能力の欠如が、事態をさらに悪化させ、不必要に被害を拡大させたこ
とは明らかであり、その責任は重大である。また、汚染水を事前の通告な
く海に放出し、諸外国から非難を受けるなど、国際的な信頼も失墜させた。
現在でも、賠償の遅れ、除染の遅れなど、民主党政権に対応能力がない
ことは明らかである。特に除染については、細野大臣は平成25年度末ま
でに終えると約束したが、現状では大幅に遅れており、地元に大きな失望
感と挫折感を抱かせている。現地の安全対策も、環境省が国民、地方自治
体用に作成した対策例は実現が困難なことが明らかになりつつあり、除染
が進むにつれ、かえって環境悪化が拡大する危険性が生じている。

○原発の再稼働

大飯原発の再稼働をめぐっては、政府の発言が二転三転し、住民や地元
自治体を混乱させた。
【大飯原発をめぐる混乱の例:いずれも枝野大臣の発言】
4/2 現時点での再稼働に反対だ 4/3 (積極的な反対とは)違う。今日は昨日の段階とは違う 4/13 原発への依存をゼロにしたい 4/14 今後とも引き続き重要な電源として活用する
再稼働の判断に当たっても杜撰な点が多く、国民の大きな不信を招いた。
その結果、再稼働に反対する大規模なデモを引き起こし、政権の正当性そ
のものが問われる事態が生じた。

【大飯原発再稼働の問題点】

・安全基準の甘さ(時間のかかる対策は、計画ができていればOK)
・福井県以外の避難計画が出来ていない
・専門家ではなく政治家が再稼働を判断
・夏の直前まで問題を放置
・再稼働してから活断層の調査を実施

○北朝鮮のミサイル発射

北朝鮮のミサイル発射時に、官邸が司令塔の役割を果たさず、防衛大臣
が官邸より先に記者会見をするなど、政府内が混乱し、有効な対応ができ
16
なかった。また、発射情報を速やかに国民に知らせなかったばかりか、「発
射を確認していない」という情報を流し、混乱を増幅させた。
なお、麻生政権時には、発射から2分で政府が発射を発表しており、当
時との対応の違いは歴然としている。
17

5.予算管理能力の欠如

○バラマキ政策による歳出額の膨張

自民党政権時代には、当初予算は80兆円台で推移していたが、民主党
政権になってから、90兆円台まで拡大してしまった。

【当初予算額の推移】
年度
総額
(兆円)
構成比(国債費除く)
社会保障
(%)
交付税
(%)
公共事業
(%)
文教科学
(%)
防衛
(%)
H19(自民) 82.9 34.1 24.1 11.2 8.5 7.8
H20(自民) 83.1 34.6 24.8 10.7 8.4 7.6
H21(自民) 88.5 36.4 24.3 10.4 7.8 7.0
H22(民主) 92.3 38.4 24.6 8.1 7.9 6.8
H23(民主) 92.4 40.5 23.7 7.0 7.8 6.7
H24(民主) 90.3 38.6 24.3 6.7 7.9 6.9

○国債発行額

国債発行に44兆円の枠を設定したが、守れないことがわかると、粉飾
工作を実施(補正予算への前倒し計上、交付国債への「飛ばし」)。
民主党政権になってから、当初予算の段階で国債発行額が税収を上回る
という異常事態が継続している。(平成22~24年度)

【国債発行額と税収の比較】

年度 国債発行(兆円) 税収(兆円)
H19(自民) 25.4 53.5
H20(自民) 25.3 53.6
H21(自民) 33.3 46.1
H22(民主) 44.3 37.4
H23(民主) 44.3 40.9
H24(民主) 44.2 42.3

○予算編成プロセス

スケジュール管理ができておらず、予算編成の準備が間に合っていない。
昨年度は、震災対応の補正予算が大幅に遅れたほか、本予算の概算要求も
1ヶ月後ろ倒しとなった。今年度も、未だに中期財政フレームの策定が行
18
われておらず、来年度予算へ向けた概算要求も形骸化して、国民生活のた
めの実のある予算編成が行われないおそれがある。

19
6.情報管理能力の欠如

○尖閣諸島中国漁船衝突事件ビデオの漏えい

事件現場を撮影したビデオの公開を民主党政権が拒んでいたが、海上保
安官によって動画投稿サイト(YouTube)に流出した。映像は、海上保安庁
のサーバの共有フォルダに保存されており、海上保安庁職員なら誰でも見
られる状態であった。

○GDP速報値の漏えい

直嶋経済産業大臣が、GDP速報値を会議の冒頭挨拶で正式発表より前
に漏らしてしまった。GDP速報値は、株価などにも影響を与える重要な
数値であり、発表時間より前に漏らすことはあり得ないが、大臣は「公表
の時間が決まっているということを、私自身がよく理解していなかった」
と無知をさらけ出した。

○農水省機密情報の漏えい

筒井農水副大臣が主導する対中輸出促進事業に関する文書が外部に流出
した。文書は、事業を手掛けている一般社団法人「農林水産物等中国輸出
促進協議会」の代表理事 (民主党衆院議員秘書)に渡っており、最も機密
性が高い「機密性3」の文書も含まれていた。

○原子力規制委員会人事の漏えい

原子力規制委員会の委員長・委員の人事案が事前にメディアで報道され
た。政権交代前、民主党が強く主張して、事前報道された人事案は国会へ
の提示を認めないというルールが形成されたが、民主党政権は自らそのル
ールを無視する形となった。
20

7.外交能力の欠如

民主党政権は、国の基本的な外交スタンスが定まらないまま、拙劣な外交
を繰り返した。その結果、最も重要な日米の信頼関係を大きく損なうととも
に、周辺諸国とのトラブルも頻発させた。
唯一、一貫した外交姿勢は、「言うべきことを言わず、言うべきでないこと
を言う」というものであり、これが全方位に適用されている。その結果、こ
れまで国益に与えた損失は計り知れない。

○日米関係

・インド洋での補給活動中止(H22.1) 対テロ戦争における重要な抑止力であり、我が国の国際的地位向上
にも大きく資する活動であったインド洋での燃料補給活動を中止。
・普天間問題の迷走(~H22.5) それまでの経緯を無視して県外・国外移設を主張し、散々迷走した
挙句、元の辺野古案に戻るという大失態を演じ、沖縄の信頼や米国の
信頼を大きく損なった。
・オバマ大統領放置(H21.11) 鳩山総理は、来日したオバマ大統領を日本に残したまま、シンガポ
ールのAPEC首脳会議に出発。来日中の外国首脳を残して総理が海
外に行くのは、極めて異例で失礼な対応である。
・野田訪米時に仕返し(H24.5) 野田総理が訪米し、オバマ大統領と会談したが、オバマ大統領はそ
のままアフガンを電撃訪問。オバマ大統領が訪日時に置き去りにされ
たことに対する仕返しをされた形になった。
・TPPをめぐる発表の齟齬(H23.11) TPP協議入りをめぐり、米側は「全ての物品・サービスを貿易自
由化交渉のテーブルに載せる」と野田総理が発言したと発表。日本側
はそれを否定したが、訂正は求めないという不可解な対応。
・オスプレイ配備に見る弱腰外交(H24.7) 国民から安全性を不安視されているオスプレイの配備をめぐり、「日
本側に配備を拒否する権限はない」として米側に対し何も言えず。一
方で森本防衛大臣は「地元を説得できる自信はない」とも発言。民主
党政権に当事者能力がないということを自ら示した。
21
また、先行きの展望のないまま岩国基地への陸揚げを行い、問題の
火の手を拡大させた。

○日中関係

・尖閣沖漁船衝突事件への対応

法に則って粛々と対処すべきところを、中国側の脅迫や報復措置に
屈して、船長を釈放、不起訴としてしまった。さらには、釈放の責任
を地検に押し付けた。また、証拠となるビデオの公開を拒否し、映像
がインターネットに流出するという不祥事を起こした。
あらゆる面で将来に禍根を残し、我が国の国益に甚大な影響を与え
る、歴史に残る外交失策である。
・立ち話で通訳なしの「首脳会談」(H22.10) アジア欧州会議(ASEM)の場で、菅総理と温家宝首相が立ち話
で「首脳会談」を行った。中国側には通訳がついていたが、日本側に
は通訳はなく、明らかに日本側に不利な形となった。

・丹羽中国大使の不適切発言

丹羽大使が、東京都の尖閣購入は「日中関係に重大な危機をもたら
す」と発言。国益を損なう重大発言であるにも関わらず、更迭しなか
った。

・尖閣諸島国有化の迷走

東京都が尖閣諸島購入を表明した直後、政府が国有化を検討すると
したものの、すぐにトーンダウン。後日再び国有化を表明するなど、
方針が迷走した。

・領海侵犯の頻発

中国の漁船や漁業監視船による領海への接近・侵犯が頻発している
にも関わらず、形式的な抗議を繰り返すのみで、何ら実効的な対策を
取らなかった。

○日韓関係

・竹島の不法占拠

韓国国会議員の訪問、海洋基地の建設など、韓国が着々と不法占拠
を強化する一方、民主党政権は有効な措置を取れていない。自民党政
権時代には明確に表現していた「不法占拠」という言葉さえ言えない
弱腰の態度は、現状を黙認しているに等しい。
22

・慰安婦問題

ソウルの日本大使館前への慰安婦像設置など、韓国側が攻勢を強め
るのに対して、野田総理は弱腰の対応を続け、押され続けるばかりで
あった。また、日韓首脳会談で「知恵を絞っていきたい」と発言し、
日本が譲歩するかのような誤解を与えてしまい、韓国側をさらに勢い
づかせる結果となった。

・不用意な譲歩

民主党政権は、朝鮮王朝儀軌の引渡し、通貨スワップ協定など、相
手を一方的に利する不用意な譲歩を重ねた。通常の外交であれば、相
手を利する場合は、引き換えにこちらも利益を得るのが当然であるが、
そうした発想が欠けていた。

○日ロ関係

民主党政権は、北方領土へのロシア大統領・閣僚の相次ぐ上陸を黙認
し、軍備・空港等の強化に対しても打つ手がないなど、弱腰の外交姿勢
を続けた。これによって、ロシア側の北方領土の不法占拠を強化し、返
還を遠ざけてしまった。

○北朝鮮問題

そもそも民主党は、北朝鮮関係団体と不適切な関係(献金・秘書派遣
等)にあり、北朝鮮問題に取り組む資格がなかった。実際に、民主党政
権になってから、拉致問題は全く進展しなかった。
一方で、延坪島砲撃事件やミサイル発射への稚拙な対応により、危機
管理体制のぜい弱さをさらけ出した。
23
8.皇室の軽視

民主党政権は、皇室行事での居眠り、野次、欠席など、皇室への非礼が相
次いでいる。また、皇室日程や慣例を無視し、皇室を政治的に利用して恥じ
ない。これだけ皇室軽視の事例が続出するのは、個々の議員の問題ではなく、
民主党としての体質の問題であるとしか考えられない。

○菅副総理が居眠り(H21.11) 国立劇場で開催された、「天皇陛下ご在位20年記念式典」で、式典実
行委員会副委員長だった菅副総理が居眠りをしていた。
○中国副主席との特例会見(H21.12) 天皇陛下と外国要人との会見は1カ月前までに申請するという慣例を
無視して、習近平副主席との会見をセット。小沢幹事長が鳩山総理に要
請したとされる。同時期に小沢幹事長は民主党議員 140 人を引き連れて
訪中し、胡錦濤国家主席と会談した。
○ご静養中に認証式を強行
菅総理の内閣改造に伴う認証式を、天皇陛下の葉山御用邸でのご静養
中に強行。陛下はご静養を一時中断して皇居に戻られ、お身体に負担を
かけることになった。
○中井議員が野次(H22.11) 中井前国家公安委員長が、国会で行われた議会開設120年記念式典
で、秋篠宮ご夫妻に「早く座れよ」と野次を飛ばした。
○仙谷官房長官が居眠り(H23.1) 皇居で行われた「講書始の儀」で仙谷官房長官が居眠りをしていた。
○天皇陛下を携帯で撮影(H23.9) 民主党会派(当時)の平山誠議員が、国会の開会式に出席する天皇陛
下を携帯電話で撮影した。
○宮中晩餐会の欠席(H23.11) 一川防衛大臣は、ブータン国王を招いた宮中晩餐会を欠席し、民主党
議員の政治資金パーティーに出席。パーティーの場で、「こちらの方が大
事だと思って来た」と発言した。
また、山岡国家公安委員長、川端総務大臣、細野環境大臣も同晩餐会
に欠席。蓮舫行政刷新担当大臣は、同晩餐会前のカクテルパーティー中
に携帯電話を使っていた。
24
○天皇陛下のご入退場時に不起立(H24.3) 東日本大震災一周年追悼式において、天皇陛下のご入退場時に「着席
しているように」という場内アナウンスを流した。国のトップの入退場
時に起立しないのは、世界の常識に反する。
また、この式典では、世界最多の 200 億円の義援金を拠出した台湾代
表を、2階席に座らせ、指名献花にも参加させないという非礼もあった。
25
9.その他

○エネルギー政策

民主党政権は、各総理の思いつきで、行き当たりばったりのエネルギー
政策を展開している。その結果、総理が変われば以前の方針はうやむやに
なってしまい、政策の一貫性を著しく欠いている。
【具体例】
・CO2 の 25%削減 鳩山総理は、国連気候変動サミットの場で、CO2 の 25%削減を突如国
際公約化した。しかし、実現のための方策は全く決まっていないまま
の見切り発車であった。当時の直嶋経産大臣は、「(実現のための方策
は)まだ具体的にまだ提示できるようなものにはなっていない」と明
言した。
・太陽光パネル 1000 万戸
菅総理は、G8の場で、太陽光パネルを 1000 万戸に設置すると突如
国際公約を行った。担当大臣との調整もなく、実現の見込みも全くな
いままであった。当時の海江田経産大臣は、「報道で知った。聞いてい
ない。」と絶句した。

○生活保護問題

H21.12 に「速やかな保護決定」を求める通知を発出。以後、受給者の際
限ない増加に歯止めがかからなくなってしまった。

○JAL再生

JAL再生支援をめぐっては、航空政策不在の、不公平・不透明な企業
再生が行われた。
まず、中小企業を支援するはずの企業再生支援機構に、真っ先にJAL
を支援させるという強引なやり方が問題である。さらに、100%減資という
株主の犠牲、5,200 億円の債権放棄という債権者の犠牲のもと、3,500 億円
の資金投入という過度な優遇を行った。健全に運営を行っているANAと
比較すると、潰れた会社の方が得をするという不公平がまかり通っている。
こればかりか、不透明な第三者割当増資で、京セラ、大和証券ら8社が、
再上場の際に濡れ手で粟のキャピタルゲインを得られる仕組みになってお
り、民主党が特定企業に利益供与を行っているに等しい。
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Ⅱ 国民への裏切り
民主党は、政権担当能力が欠如しているばかりでなく、国民に嘘をつき、都
合が悪くなるとすぐに方針を転換する体質がある。
政権交代時に大々的に掲げたマニフェストは、最初から実現不可能な項目が
並んでおり、事実、ほとんど達成できていない。また、普天間問題・消費税問
題に象徴されるように、大きな方針転換を簡単に行い、国民を裏切り続けてい
る。

1.マニフェストの破綻
民主党が政権交代の際にマニフェストで掲げた項目は、ほとんど達成されて
おらず、そもそも財源の見込みが甘かったことは民主党自身が認めている。マ
ニフェスト全体が破綻していることは既に客観的事実であるにも関わらず、頑
なに破綻を認めない姿勢は、真実を語らない民主党の姿勢の象徴とも言える。

①撤回済み・マニフェスト違反が確定した項目
・子ども手当、高速道路無料化:撤回(三党合意)
・暫定税率廃止:撤回
・八ツ場ダム建設中止:再開(前田大臣が表明)
・最低保障年金・後期高齢者医療制度廃止:事実上不可能
・消費増税

②明らかに破綻した項目
・16.8 兆円の財源捻出(事業仕分け):約 7 兆円のみ(ただし、大半は埋蔵
金から)
・温暖化ガス 90 年度比 25%削減:実現は絶望的 ・国家公務員人件費2割(約1兆円)削減:7.8%減のみ ・天下り根絶:日本郵政社長に元大蔵事務次官、現役出向は拡大
・幹部人事一元化(内閣人事局など):今国会での成立断念
・医学部定員 1.5 倍:8,486 人→8,991 人(505 人(6%)増のみ) ③検証・追及すべき項目(マニフェストの項目別)

(1)ムダづかい
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・天下り根絶、企業・団体献金廃止、国会議員の世襲禁止(党内ルール)、
公務員の労働協約締結権の付与
(2)子育て・教育 ・出産一時金引き上げ(55 万円)、希望者全員に奨学金(大学・専門学校)、
「子ども家庭省(仮称)」の設置
(3)年金・医療 ・年金記録問題(2年間で集中対応、「年金通帳」を全員に交付)、ヘルパ
ー給与4万円引き上げ、歳入庁の創設、年金保険料は年金給付だけに充

(4)地域主権 ・国直轄事業負担金の廃止、「ひもつき補助金」廃止、畜産・酪農・漁業所
得補償制度、国の出先機関の原則廃止
(5)雇用・経済 ・中小企業の法人税引き下げ(11%)、「中小企業いじめ防止法」制定、最
低賃金引き上げ(時給 1000 円)
(6)消費者・人権 ・「危険情報公表法」の制定、危機管理庁(仮称)の設置
(7)外交 ・日米地位協定の改定を提起

④実施済みの項目
・高校実質無償化 → 政策効果を要検証、所得制限の必要性 ・農業者戸別所得補償 → 政策効果を要検証 ・扶養控除廃止 → 子育て家庭の負担増 ・生活保護/母子加算復活(※生活保護制度自体を見直す必要)
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2.国民への説明の欠如

○公開質問状に対する回答拒否(政権交代前)
民主党の鳩山代表は、党首討論で「4500 の天下り団体に 2 万 5000 人の天下
りがいて、そこに国の予算が 12 兆 1000 億円流されている」と発言。
自民党がその根拠を問う公開質問状を発出したのに対し、民主党は明確に
回答できなかった。さらに、2回目の公開質問状に対しては回答しなかった。
H21.6.2
6.4
6.9
自民党(細田幹事長)から民主党(鳩山代表)宛に公開質問
状を発出
民主党(平野役員室担当)から自民党(細田幹事長)に回答
(「国会で議論すべき」という趣旨)
自民党(細田幹事長)から民主党(鳩山代表)宛に2回目の
公開質問状を発出
→ 民主党からの回答はなし(鳩山代表が 6.17 の党首討論で
「二度とこのようなことはなさらないでいただきたい」と
発言)

○国民に説明しないまま重要政策を国際公約化
歴代の民主党政権は、国内の意見が分かれる課題について、国民への説明
がないままに国際公約化する手法を連発している。国内の議論をまとめる能
力がないため、こうした手法に頼っているものと考えられる。
【具体例】
・温暖化ガス25%削減
鳩山総理は、国連気候変動サミット(H21.9)で、実現の方策もないまま
に温暖化ガスの 25%削減を国際公約とした。 ・太陽光パネル 1000 万戸設置
菅総理は、G8サミット(H23.5)で太陽光パネルを 1000 万戸に設置す
ると突如表明した。しかし、担当大臣との調整もなく、当然ながら実現の
方策も、そのための財源も未定である。
・消費税増税
野田総理は、G20首脳会議(H23.11)で消費税の10%への増税を国
29
際公約とした。しかし、一体改革大綱の閣議決定、法案の国会提出、民主
党内の調整、国民への説明は全て後回しであった。
・TPP協議参加
野田総理は、APEC首脳会議(H23.11)でTPP交渉参加に向けた協
議開始を表明した。その直前に記者会見を行ったが、とても十分な説明と
言えるものではなかった。

○沖縄への説明不足
民主党政権は、沖縄県に十分な説明がないままに在日米軍に関する重要な
政策決定・政策変更を繰り返し、政府と沖縄県との関係を決定的に悪化させ
た。
【具体例】
・普天間問題
政権交代前には「県外・国外移設」と言い、選挙の際も「最低でも県外」
と言っておきながら、結局、元の辺野古移設案に回帰した。その過程で、
鳩山総理は、「腹案がある」、「(最低でも県外というのは)党の考え方では
なく個人の発言」などと迷走した。一連の混乱や方針転換は、沖縄県民に
対する説明もないままに行われ、県民の激しい怒りと失望を買った。
・オスプレイ問題
オスプレイの普天間基地への配備について、沖縄県や山口県の反対にも
関わらず、全く意見を聞かずに決定し、実行しようとしている。これまで
の事故の原因やオスプレイの安全性について、政府から十分な説明はない。
○被災地への説明不足
野田総理は、所信表明演説で「震災復興が最大・最優先の課題」と言いな
がら、数カ月すると消費税増税に「政治生命をかける」として消費税問題に
集中し、復興は二の次という状況である。昨年度補正で計上した復興予算は
大量の使い残しが出ている(15兆円のうち、繰越が5兆円、不用が1兆円)
にも関わらず、復興の遅れについて政府からの説明はない。
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3.基本政策の方針転換

(1)普天間問題

県外・国外移設が政権交代前からの民主党の方針であった。しかし、「最低
でも県外」と発言していた鳩山総理は、移設先の目処が立たずに方針転換、
結局は元の案に戻らざるを得なかった。一連の迷走で民主党政権が失った信
頼はもはや回復不能である。
①民主党・沖縄ビジョン(H20) ・米軍再編を契機として、普天間基地の移転についても、県外移転の道を
引き続き模索すべきである。言うまでもなく、戦略環境の変化を踏まえ
て、国外移転を目指す。
②マニフェスト2009(H21.7) ・日米地位協定の改定を提起し、米軍再編や在日米軍基地のあり方につい
ても見直しの方向で臨む。(※ 普天間について具体的言及なし) ③鳩山総理発言
・「最低でも県外」の方向で、われわれも積極的に行動を起こさなければな
らない。(H21.7.19 那覇市(政権交代前)) ・Trust me.(H21.11.13 日米首脳会談) ・私には今、その腹案を持ち合わせているところでございます。(H22.3.31
党首討論)
<方針転換>
④鳩山総理発言
・学ぶにつけ、沖縄に存在する米軍全体のなかで、海兵隊は抑止力が維持
できるという思いに至った(H22.5.4) →後にこの言葉は「方便だった」と語る。
・(最低でも県外というのは)党の考え方ではなく、私自身の代表としての
発言だ(H22.5.4) ・日米共同声明で辺野古沖移設を発表(H22.5.28) ⑤マニフェスト2010(H22.6) ・普天間基地移設問題に関しては、日米合意に基づいて、沖縄の負担軽減
に全力を尽くします。
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(2)消費税増税

消費税増税について、政権交代時のマニフェストには言及がなく、鳩山代
表は政権を取っても4年間増税しないと明言していた。しかし、菅総理は1
0%への増税を表明、野田総理は消費税増税に「政治生命を賭ける」とまで
宣言して恥じない。
①鳩山代表発言(H21.6 国家基本政策委員会 両院合同審査会) ・四年間の間、我々が政権をとっても消費税の増税はしないということを
ここに明言をしておきます。
②マニフェスト2009
・消費税増税について言及なし
③野田議員演説(衆院選時)
・マニフェスト、イギリスで始まりました。ルールがあるんです。書いて
あることは命懸けで実行する。書いてないことはやらないんです。
④マニフェスト2010
・早期に結論を得ることをめざして、消費税を含む税制の抜本改革に関す
る協議を超党派で開始します。
<方針転換>
⑤菅総理発言
・具体的な税率について自民党案の10%を参考にする。
⑥閣議報告「社会保障・税一体改革成案」(H23.7) ・まずは、2010 年代半ばまでに段階的に消費税率(国・地方)を 10%まで
引き上げ、当面の社会保障改革にかかる安定財源を確保する。
⑦閣議報告「社会保障・税一体改革素案」(H24.1) ・2014 年4月1日より8%へ、2015 年 10 月1日より 10%へ段階的に引
上げを行う。
⑧野田総理発言(TV出演)(H24.1) ・(一体改革を)この国を守るために、政治生命をかけてやりぬく
⑨閣議決定「社会保障・税一体改革大綱」(H24.2) ・2014 年4月1日より8%へ、2015 年 10 月1日より 10%へ段階的に引
上げを行う。
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(3)TPP
マニフェストには全く言及のなかったTPPが、横浜でのAPEC首脳会
議を前に、突如として主要な政策課題に浮上。その経緯は、「菅総理の思いつ
き」という以外に説明できない。
①マニフェスト2009(H21.7) ・アジア・太平洋諸国をはじめとして、世界の国々との投資・労働や知的
財産など広い分野を含む経済連携協定(EPA)、自由貿易協定(FTA)
の交渉を積極的に推進する。その際、食の安全・安定供給、食料自給率
の向上、国内農業・農村の振興などを損うことは行わない。
②マニフェスト2010
・アジアをはじめ各国とのEPA・FTAの交渉などを積極的に進めると
ともに、投資規制の自由化・緩和などの国内制度改革に一体的に取り組
みます。
<TPPが急浮上>
③閣議決定「包括的経済連携に関する基本方針」(H22.11) ・環太平洋パートナーシップ(TPP)協定については、その情報収集を
進めながら対応していく必要があり、国内の環境整備を早急に進めると
ともに、関係国との協議を開始する。
④菅総理発言(横浜APEC CEOサミット)(H22.11) ・環太平洋パートナーシップ(TPP)については、国内の環境整備を早
急に進めるとともに、関係国との協議を開始します。
⑤閣議決定「新成長戦略実現 2011」(H23.1) ・環太平洋パートナーシップ(TPP)協定については、その情報収集を
進めながら対応していく必要があり、国内の環境整備を早急に進めると
ともに、米国を始めとする関係国と協議を続け、6月を目途に、交渉参
加について結論を出す。
⑥野田総理記者会見(H23.11) ・明日から参加するホノルルAPEC首脳会議において、TPP交渉参加
に向けて関係国との協議に入ることといたしました。
33

(4)温暖化対策
民主党政権は、マニフェストで温暖化ガス25%削減をうたい、政権交代
後、鳩山総理が国連で突如国際公約化した。震災後、目標達成が非現実的と
なったにも関わらず、一年以上目標撤回を認めず、今年6月になってようや
く方針転換を認めた。
①マニフェスト2009
・2020年までに温暖化ガスを25%削減(1990年比)するため、
排出量取引市場を創設し、地球温暖化対策税の導入を検討します。
・CO2等排出量について、2020年までに25%(1990年比)、2
050年までに60%超減(同前)を目標とする。
②鳩山総理演説(国連気候変動サミット)(H21.9.22) ・温暖化を止めるために科学が要請する水準に基づくものとして、1990 年
比で言えば 2020 年までに 25%削減をめざします。 ③閣議決定(地球温暖化対策基本法案)(H22.3.12) ・1990年比25%削減
<方針転換>
④エネルギー・環境会議決定(エネルギー・環境に関する選択肢) (H24.6.29) ・2020年:1990年比7~11%減
34

(5)原発政策
民主党政権は原子力発電を約5割にするという目標を立てたが、福島原発
事故により断念した。現在も、原発輸出は継続する姿勢であるが、それ以外
の方針は定まっていない。
①マニフェスト2009
・安全を第一として、国民の理解と信頼を得ながら、原子力利用について
着実に取り組む。
②新成長戦略(基本方針)(H21.12) ・安全を第一として、国民の理解と信頼を得ながら、原子力利用について
着実に取り組む。
③マニフェスト2010(H22.6)
・総理、閣僚のトップセールスによるインフラ輸出
政府のリーダーシップの下で官民一体となって、高速鉄道、原発、上
下水道の敷設・運営・海水淡水化などの水インフラシステムを国際的に
展開。国際協力銀行、貿易保険、ODAなどの戦略的な活用やファンド
創設などを検討します。
④2030 年のエネルギー需給の姿(H22.6) ・2030 年に原子力発電が発電電力量の約5割
⑤エネルギー基本計画(H22.6) ・電源構成に占めるゼロ・エミッション電源(原子力及び再生可能エネル
ギー由来)の比率を約70%(2020 年には約50%以上)とする。 (現状34%) ・原発の新増設(2020 年までに9基、2030 年までに 14 基以上)
<東日本大震災>
⑥菅総理記者会見(H23.5) ・2030 年に総電力に占める原子力割合が 50%以上としている現在のエネル
ギー基本計画はいったん白紙に戻して議論する必要がある
⑦閣議決定(質問主意書に対する答弁)(H23.8) ・諸外国が我が国の原子力技術を活用したいと希望する場合には、我が国
としては、相手国の意向を踏まえつつ、世界最高水準の安全性を有する
ものを提供していくべきであると考える。
35
⑧日本再生のための戦略に向けて(H23.8) ・原発への依存度低減へのシナリオを描く
・「反原発」と「原発推進」の二項対立を乗り越え国民的議論を展開
⑨ベトナムの原子力発電所建設に係る協力に関する日越政府間の文書
(H23.10) ・両政府は、両国の事業者による原子力発電所建設プロジェクトの円滑な
実施(注)のため、両国で必要な国内手続を完了した後に発効する日越
原子力協定や国内法令に従い、協力を実施する。
(注)原子力発電所の建設を日本の事業者が担うことも明記された。
36

4.年金問題

○消えた年金

マニフェストで大々的に掲げ、2年間で集中的に解決するとしていたが、
結局、満足に解決できていない。
マニフェスト2009の記述 進捗状況
「消えた年金」「消された年金」
問題の解決に、2年間、集中的
に取り組みます。(2009~2011) ・未達成。
・2年間で、「統合済」「一定の解決」
は 2,860 万件→3,174 万件(314 万
件増)。残りあと 1,922 万件。
「納めた保険料」「受け取る年金
額」をいつでも確認できる「年
金通帳」を、全ての加入者に交
付します。
・未達成。
・「年金通帳」は未だに交付されてい
ない。交付される予定もない。

○運用3号問題
国民の権利義務に関わる重要な問題を、安易に運用で解決しようとして、
かえって問題を大きくした。
【概要】
サラリーマンの配偶者(専業主婦)は、第3号被保険者(保険料納付が
不要)であるが、夫がサラリーマンを辞めた場合などには、第1号被保険
者(保険料納付が必要)に変わる。
しかし、この届出を行わなかった場合には、記録上は第3号のままにな
り、保険料を納めない期間ができてしまう。こうした人が多数存在してい
るという問題が判明した。
民主党政権は、周知が不徹底だったためとして、記録上の第3号の期間
をそのまま認める運用(課長通知)を行った。しかし、この措置が「不公
平だ」、 「正直者がバカを見る」などと批判されると、一転して運用を凍結。
現在、10 年分の追納を認める法案を提出しているが、未成立。
【経緯】
平成 21 年 11 月 社保庁職員へのアンケートで問題が判明
平成 22 年 12 月 「運用3号」通知発出
37
平成 23 年 1月 「運用3号」の取扱を開始
2月 「運用3号」の取扱を凍結
3月 「運用3号」通知の廃止
11 月 主婦年金追納法案閣議決定(現在未成立)
【問題点】
年金の加入・受給に関する問題は、国民の権利義務に関わる重要問題で
あるにも関わらず、立法ではなく課長通知で「運用3号」を認めてしまっ
た。
保険料を払った人と払わなかった人が同じ年金をもらえるというのは不
公平であり、運用で簡単に認められるべき話ではない。 結局、批判されて
方針転換したが、現在も、法改正による抜本的な解決はなされていない。
誤りを認めた以上、長妻大臣をはじめとする当時の政務三役は、誤った
判断をした責任を取るべきである。
38

Ⅲ 不祥事の続出

民主党政権の誕生以来、総理自身をはじめ閣僚からも問題が噴出しており、
問責決議や辞任が相次いでいる。
不祥事を起こしても、最初は極力隠ぺいしようとし、言い逃れできなくなっ
た後も、謝ればいい、一旦辞めればいいという発想が明らかである。

1.総理の不祥事

民主党政権になってからの3人の総理には不祥事が続いている。中には刑
事事件に絡むものもあり、辞任に値するものばかりであるが、誰一人として
責任を取っていない。
鳩山元総理、菅前総理については、総理を退いた後、事件自体をうやむや
にして逃げきろうとしているが、総理を辞めても追求すべき問題である。

○鳩山総理
・偽装(故人)献金問題(総額 2,117 万円)
・脱税問題(母親からの子ども手当:月額 1,500 万円)
・退任時「国民の皆様が聞く耳を持たなくなった」と発言
・退任時に任期限りの引退を表明。後に撤回。

○菅総理
・二つの献金問題
・外国人献金:領収書を国会提出せず
・北朝鮮関係団体への献金
・不信任決議を逃れて延命工作
・「顔が見たくなければ法案を通せ」という発言

○野田総理
・民団の選挙協力に対するお礼発言
・在日韓国人からの献金
・脱税企業からの献金
・脱原発デモに対し「大きな音だね」と発言
・前後援会長の診療報酬不正請求疑惑
・政策秘書の架空領収書発行疑惑
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○世論の不支持

世論調査(産経新聞ネット調査)では、「リーダーとして評価できない戦
後の首相」の1・2位は民主党政権の総理である(1位:鳩山総理 35.1%、
2位:菅総理 19.9%)。
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2.閣僚の不祥事

民主党政権の閣僚には、以下のとおり不祥事が続出し、数え上げればきり
がないほどである。中には辞任した閣僚もいるが、多くの場合、内閣改造に
紛れて目立たないように交代させており、責任問題があいまいになったまま
である。

○千葉法務大臣(H22.9 内閣改造で交代)
・落選後も留任
○原口総務大臣(H22.9 内閣改造で交代)
・委員会に遅刻し、責任を部下になすりつけ
○川端文部科学大臣(H22.9 内閣改造で交代)(現総務大臣)
・家賃が不要の労組幹部宅等に事務所を置きながら、事務所費を計上。
・ニューハーフショーパブ、キャバクラなどの費用を政治資金で計上
○長妻厚生労働大臣(H22.9 内閣改造で交代)
・官僚と意思疎通ができず、職務が停滞
・「運用3号」を独断で決定
○中井国家公安委員長(H22.9 内閣改造で交代)
・銀座のホステスに議員宿舎の鍵を渡す
・金賢姫元死刑囚を豪遊をさせる
○荒井国家戦略担当大臣(H22.9 内閣改造で交代)
・家賃が不要の知人宅に事務所を置きながら、事務所費を計上。
・事務所費でキャミソール、マンガ本、CDなどを購入。
○柳田法務大臣(H22.11 辞任)
・国会軽視発言(答弁は二つ覚えておけば良い)
○仙谷官房長官(H22.11 問責可決、H23.1 内閣改造で交代)
・尖閣諸島中国漁船衝突事件(船長釈放、証拠ビデオ公開問題)
・「自衛隊は暴力装置」発言
○馬淵国土交通大臣(H22.11 問責可決、H23.1 内閣改造で交代)
・尖閣諸島中国漁船衝突事件(証拠ビデオ公開問題)
○岡崎国家公安委員長(H23.1 内閣改造で交代)
・北朝鮮による延坪島砲撃事件の際に登庁せず
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○前原外務大臣(H23.3 辞任)
・在日韓国人からの献金
○蓮舫行政刷新担当大臣(H23.6 解任)
・自宅を事務所としながら、事務所費を計上
・尖閣諸島について「領土問題」と発言
・国会内でのファッション雑誌撮影
○松本復興担当大臣(H23.7 辞任)
・被災地で「知恵を出さないやつは助けない」と発言
○高木文部科学大臣(H23.9 野田内閣成立で退任)
・SPEEDI の予測結果、米エネルギー省の実測値の隠ぺい
○鉢呂経済産業大臣(H23.9 辞任)
・「死の街」「放射能をうつす」と発言
○一川防衛大臣(H23.12 問責可決、H24.1 内閣改造で交代)
・「安全保障に関しては素人」などと発言
・ブータン国王の宮中晩餐会を欠席
・少女「乱交」事件と発言
○山岡消費者担当大臣(H23.12 問責可決、H24.1 内閣改造で交代)
・マルチ商法業者のイベントで応援演説
・マルチ商法業者からの献金
・実態のないコンサルタント料の受領
○田中防衛大臣(H24.4 問責可決、H24.6 内閣改造で交代)
・防衛に関する知識の著しい不足
・委員会の無断退席
○前田国交大臣(H24.4 問責可決、H24.6 内閣改造で交代)
・公選法違反(告示前の投票呼びかけ)
○小川法務大臣(H24.6 内閣改造で交代)
・脱税疑惑、国会審議中に競馬サイトを閲覧
○鹿野農水大臣・筒井農水副大臣(H24.6 内閣改造で交代)
・対中不正輸出疑惑、機密漏えい疑惑
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3.民主党議員の不祥事

○小沢元代表
・西松建設からの献金を関連の政治団体からの献金と虚偽記載したとし
て、公設秘書が逮捕され、有罪判決を受けた。
・小沢氏の資金管理団体「陸山会」に土地購入をめぐり、政治資金規正
法違反(虚偽記入)容疑で強制起訴された。現在も控訴審の手続が続
いており、小沢氏は刑事被告人である。
・平成24年7月、一体改革法案に反対し、結局、民主党を離党した。
○小林千代美議員
・平成21年の衆議院総選挙において、民主党公認の小林千代美議員陣
営の選対幹部(連合北海道札幌地区前会長)が公職選挙法違反で有罪
となり(買収の約束、事前運動)、議員には連座制が適用された。
・また、北海道教組からの違法献金が明らかになり、選対委員長を務め
ていた北教組委員長代理らが政治資金規正法違反で逮捕された。民主
党議員と支持母体である連合組織の違法な癒着の典型的な事例である。
・平成22年6月に議員辞職した。
○土肥隆一議員
・平成23年2月、日韓キリスト教議員連盟の日本側会長として、竹島
領有権の放棄を日本側に求める「日韓共同宣言」に署名するとともに、
韓国の国会で、韓国の議員らと竹島放棄を求める内容で記者会見を行
った。
・平成23年3月に民主党を離党した。
○横峯良郎議員
・賭けゴルフ、女性への暴行、恐喝事件への関与など、数多くの不祥事
が報道されている。ほとんどの事例は、関連する裁判で事実と認めら
れている、又は自ら事実と認めており、即刻議員辞職すべき事件ばか
りである。
・平山誠参議院議員とともに、実態と異なる住所を届け出て、東京・宮
崎間の航空券を不正受給していたが、故意ではなかったと釈明してい
る。
・平成23年12月に民主党を離党した。
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4.不適切な人事

○政府・党ポストのたらい回し

問題を起こした閣僚をすぐに党幹部に起用するなど、特定の政治家で政
府・党の重要ポストをたらい回ししている。これは、民主党の「責任を取
らない文化」の象徴であるとともに、党内の人材不足を物語っている。
岡田克也氏
H21.9 外務大臣(鳩山内閣・菅内閣) H22.9 民主党幹事長(~H23.9) H24.1 副総理(野田改造内閣)
枝野幸男氏
H22.1 行政刷新担当大臣(鳩山内閣) H22.6 民主党幹事長 H22.9 民主党幹事長代理 H23.1 内閣官房長官(菅第二次改造内閣) H23.9 経済産業大臣(野田内閣)
前原誠司氏
H21.9 国土交通大臣(鳩山内閣・菅内閣) H22.9 外務大臣(菅第一次・第二次改造内閣)(~H23.3) H23.8 民主党政調会長
仙谷由人氏
H21.9 行政刷新担当大臣(鳩山内閣) H22.1 国家戦略担当大臣(鳩山内閣) H22.6 内閣官房長官(菅内閣・菅第一次改造内閣) H23.1 民主党代表代行(~H23.9) H23.3 内閣官房副長官(菅第二次改造内閣) H23.9 民主党政調会長代行
一川保夫氏
H23.9 防衛大臣(野田内閣) H24.1 民主党参議院幹事長(野田改造内閣)

○少子化担当大臣のたらい回し

民主党政権になってから、少子化担当大臣は既に9人目であり、野田政
権になってからも4人目である。民主党政権がいかにこの問題を軽視して
いるか、また、いかに適材がいないかを如実に表している。
44
歴代の少子化担当大臣(民主党政権)
1 福島瑞穂 H21.9.16~H22.5.28
2 平野博文 H22.5.28~H22.6.8(事務代理)
3 玄葉光一郎 H22.6.8~H22.9.17
4 岡崎トミ子 H22.9.17~H23.1.14
5 与謝野馨 H23.1.14~H23.9.2
6 村田蓮舫 H23.9.2~H24.1.13
7 岡田克也 H24.1.13~H24.2.10
8 中川正春 H24.2.10~H24.4.23
9 小宮山洋子 H24.4.23~

○問題を起こした総理・閣僚の再起用

これまで問題を起こした総理や閣僚を、問題を起こした分野で起用する
という、冗談とも本気ともつかない人事が次々と行われている。
・党最高顧問
・外交失策の鳩山元総理を、外交担当の最高顧問に任命
・原発失策の菅前総理を、新エネルギー政策担当の最高顧問に任命
・皇室会議
・皇室軽視発言で問責決議を受けた一川元防衛大臣を、皇室会議予備
議員に起用。
・皇室の伝統・文化を守る議員連盟
・秋篠宮ご夫妻に暴言を吐いた中井元国家公安委員長が、民主党の「皇
室の伝統・文化を守る議員連盟」の会長に就任。
・予算委員長
・国会軽視発言で辞任した柳田元法務大臣を参議院予算委員長に起用。

○自民党時代の人材を活用せざるを得ない状況
民主党内の人材不足により、重要な案件には自民党時代の人材を活用す
る手法が定着しつつある。

・与謝野経済財政担当大臣
・森本防衛大臣
・森元総理(ロシア特使) 』

岸田首相、防衛増税前に衆院解散 具体的時期は言及せず

岸田首相、防衛増税前に衆院解散 具体的時期は言及せず
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA27BXT0X21C22A2000000/

『岸田文雄首相は27日、防衛費増額の財源を確保するための増税を始める前に衆院解散・総選挙に踏み切るとの見通しを示した。増税開始は2024~27年の適切な時期だと説明した上で「スタート時期はこれから決定するが、それまでには選挙はあると思う」と述べた。
BS-TBS番組で語った。具体的な時期への言及はなかった。いまの衆院議員の任期は25年まで。増税は法人、所得、たばこの3つの税が対象となる。27年度時点で年1兆円強を確保する方針は決定済みだ。

衆院解散に関しては自民党の萩生田光一政調会長が25日、増税前にすべきだと主張した。「7月の参院選で増税でまかなうと約束していない。明確な方向性が出たときは国民に判断いただく必要がある」と指摘した。

首相は自民、公明両党の連立政権の枠組みに国民民主党を加える可能性について聞かれると否定的に答えた。「具体的に連立の組み合わせが変わるような大きな変化はいま頭の中にはない」と言明した。

内閣改造を巡っては「年末年始その周辺での内閣改造はいま私の頭にはない」と話した。「何カ月先も考えていないという意味ではない」とも付け加えた。

【関連記事】

・復興相に渡辺博道氏就任 岸田首相、秋葉賢也氏を更迭
・秋葉復興相交代へ 場当たり閣僚更迭、岸田政権を痛撃
・自民党・萩生田政調会長、防衛増税前に衆院解散必要

ニューズレター https://regist.nikkei.com/ds/setup/briefing.do?n_cid=DSREA_newslettertop 

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立民、敵基地攻撃能力を限定容認

立民、敵基地攻撃能力を限定容認 「専守防衛と適合」が条件
https://www.47news.jp/politics/8717210.html

『立憲民主党は20日、安全保障政策に関する党見解を公表した。政府が「国家安全保障戦略」に明記した反撃能力(敵基地攻撃能力)保有に賛同できないと強調する一方、他国領域を打撃できるミサイル保有について「政策的な必要性と合理性を満たし、憲法に基づく専守防衛と適合する」との条件で限定容認した。

島しょ部などへの軍事侵攻を抑止し排除するため、ミサイルの長射程化は必要とも明記した。

 党見解は、安保戦略が示す反撃能力について「正確な攻撃着手の判断は困難で、先制攻撃となるリスクが大きい」と指摘し、米国が攻撃されることによる「存立危機事態」での反撃能力行使にも懸念を示した。』

日本の防衛を危機に!なぜ公明党は中国に配慮するのか?

日本の防衛を危機に!なぜ公明党は中国に配慮するのか?
https://news.yahoo.co.jp/byline/endohomare/20221214-00328306

『安保3文書案に関して公明党が中国に配慮し「わが国」を削除して「脅威」だけを残した。中国で絶賛されている公明党は、遂に「中国の戦友」とまで呼ばれるようになった。その動画を文字化してご紹介する。

◆中国の顔色を重視して日本の安保理念のレベルを下げる公明党

 日本の安全保障に関する「安保3文書(国家安全保障戦略、国家防衛戦略、防衛力整備計画)」の文案討議に当たって、政府が当初示したのは「中国が日本の排他的経済水域(EEZ)に弾道ミサイルを打ち込んだ事例」に触れた上で「わが国および地域住民に脅威と受け止められた」とする文案だった。

 しかし公明党が反対した。

 日本の多くのメディア(たとえば産経新聞)などによれば、公明党の言い分は「せっかく(11月17日にタイのバンコクで)日中首脳会談をやって安定的な関係を築こうと打ち出した矢先に、なぜ『脅威』などと書き込むのか。外交の妨げだ」ということだったという。9日の与党実務者ワーキングチーム会合で、公明党は一連の文言の削除を迫った。

 その結果、「わが国および」を削除して、「地域住民に脅威と受け止められた」とすることになった。

 脅威を受けているのは「わが国」=「日本」ではなく、「弾道ミサイルが着弾した地域住民だけ」という論理だ。

 そのような「中国の顔色を窺(うかが)ってばかりいる公明党」に妥協した岸田政権も許せない。

 北朝鮮の問題もあろうが、日本のEEZに中国のミサイルが着弾したのは日本を戦争に巻き込む危険性があるからこそ安保3文書が出てきているわけだし、防衛費の増額も図ろうとしているのではないのか。

 それなのに、「わが国および」を削除したら、「日本国は脅威を受けていない」ということになり、防衛費を増額する理由も立ちにくい。地域住民だけが脅威を受けているのに、日本国民全体の増税をするという論理も成り立ちにくくなる。

 このような矛盾した論理を平気で持ち込むほど、自民党にとって公明党は大切なのか?
 そして、公明党はそこまでして、なぜ中国の顔を立てなければならないのか?

 公明党が守ろうとしているのは日本国民ではなく、中国への配慮なのか?

◆中国では「戦友」とまで絶賛されている公明党

 中国のメディアでは、公明党が「わが国」を削除したことに関して礼賛の声が高く、「日本は結局、中国を脅威とは位置付けていない」というコメントがネットにも満ち溢れている。

 2021年10月7日のコラム<「公明党から国交大臣」に喜ぶ中国――「尖閣問題は安泰」と>や10月27日のコラム<日本を中国従属へと導く自公連立――中国は「公明党は最も親中で日本共産党は反中」と位置付け>などにも書いた通り、中国では公明党以上に親中的な政党はないと評価している。

 このたびはまた、「安保3文書」に関して、公明党を「中国の戦友」とまで持ち上げる動画を見つけたので、それを文字化して和訳し、ご紹介したい。

 動画を作成したのは劉曉非という論客で、今年10月22日の段階で「日本の公明党は公開で中国を力の限り支えている」というタイトルで、公明党を「中国の戦友」とまで讃えている。以下はその内容だ。

劉曉非氏のウェブサイトより

皆さん、こんにちは。私は劉曉非です。

 最近、日本の自公連立与党が作業グループを結成して会議を開き、国際情勢について議論しました。議論の内容は、国家安全保障戦略、国家防衛戦略、防衛力整備計画の3つの重要文書の改訂に関してです。

 両党は話し合いの中で、ウクライナ問題に関しては、ロシアの脅威が高まっていることで一致しましたが、中国に関しては一致しませんでした。自民党関係者は、中国の判断を重大な安全保障上の脅威のレベルにまで引き上げるべきだと言いましたが、公明党は「そんなことは言ってはならない。公明党は安全保障戦略において中国に対する強硬的な言葉を用いることには賛成できない。日中関係を重視しなければならない」と強く主張したのです。

 もっとも、今回の公明党の主張は意外ではありません。彼らはいつもそうだったからです。1960年代半ばの発足から現在に至るまで、この党の基本方針は、日本の軍国主義に反対し、日中友好と日韓友好を主張することにあります。この党の創始者である池田大作の教師の一人は、第二次世界大戦中に軍国主義に反対したため、刑務所で亡くなりました。池田の兄は、中国での作戦に参加させられましたが、帰国後、池田に中国における日本軍のさまざまな悪行を話して聞かせたので、池田は幼い頃から軍国主義に反対していました。したがって公明党はずっとこの考え方に沿って、こんにちまで歩んできました。

 1968年、中国が国連での法的地位を回復する前から、池田は公明党を代表して政策を発表し、日本は中華人民共和国を承認し、日中は外交関係を正常化し、国連は中華人民共和国の法的地位を回復させるべきだと主張していました。1969年、公明党は「台湾問題は中国の内政問題であり、日本人は干渉してはならない」と主張しました。1971年には、「一つの中国」を支持し、「二つの中国」に反対しました。そして過去における、いわゆる「日台条約は違法で無効であり、米軍は台湾と台湾海峡から撤退しなければならない」とも主張していたのです。

 その後、日本の一部の歴史教科書が戦争を美化した時には、公明党は基本的に私たち中国側に立って、中国の味方をしたのです。

 しかも、2015年、公明党党首の山口那津男が訪中したのは、中国人民抗日戦争記念館に行き、戦争に反対する意思を表明するためでした。靖国神社参拝についても、公明党は日本政府要人の参拝に一貫して反対してきました。今年4月に安倍晋三元首相が靖国神社を参拝したときにも反対表明をして、安倍晋三に釘を刺さなければならないと発言しています。

 だから今、日本の連立与党の一員として、公明党は自民党に対し、中国とアメリカの間で一方的な立場に立たないよう警告を発し続けなければならないし、またアメリカの共犯にならないように注意を喚起しなければならないのです。日本はアメリカの東アジア担当副保安官ではないのですから。

 結局のところ、日中間に横たわる多くの問題に関して、公明党は基本的に私たち中国と同じ立場に立っていると結論付けることができます。これこそが、わが国(中国)の指導者が、公明党を日本の政界との重要なコミュニケーションのチャネルとして積極的に利用する理由なのです(筆者注:こうして中国は公明党などを介して日本の政治をコントロールしている!)。

 では(中国)国内の外交界はどうみているでしょうか?

 一般に、公明党は刹車片(ブレーキ)とみなされています。つまり、日本の自民党や他の人々が歴史の車輪を戻し、極端な右翼に偏り軍国主義の方向への行動が出始めると、公明党が現れて、そういった動きにブレーキをかけるということなのです。少なくとも、この右翼傾向の趨勢を減速させることができます。

 もちろん、公明党の役割には限界があります。日本最大の政党ではなく、日本社会全体が右傾化傾向にある中で、公明党が動員できる人数は多数を占めているわけではないからです。

 したがって私たち(中国人)は、公明党が中国と完全に一致しているから公明党がいてくれさえすれば日本全体にブレーキを掛け、全ての問題を解決してくれると期待するわけにもいきません。

 しかし、日本にこういう一群の人たちがいるということは、限りなく重要なことです。(一部省略)公明党は今もなお、アメリカが日本を使って中国と戦わせようとしていることに反対し、日本の軍国主義に反対しているのです。

 ですから、彼ら(公明党)の声が大きくても小さくても、数が多くても少なくても、私たちは皆、彼ら(公明党)が成し遂げてきた成果を忘れてはなりません。私たちと同じ塹壕の中で戦ってくれている限り、どの国の人であれ、彼らは皆、私たちが尊敬しなければならない戦友なのです。

 以上が動画の内容だ。

 特に太字部分と、そこに書いた「筆者注」にご注目いただきたい。

◆自公連立は日本の国益にかなうのか?

 一部では、公明党の山口那津男氏が、年明けには訪中する予定があるから、「わが国および」を削除させたのだろうという見方もあるが、それはそれで正しいとしても、とてもそのようなレベルではなく、公明党そのものが、「中国のためにある日本の政党」のようなものなのである。

 それも、このような世界一「親中」の党が、日本の政権与党であるという現実を、日本人はどう解釈すればいいのだろうか?

 自民党がなぜ公明党と手を組んだかに関しては少なからぬ本が出版されており、筆者は勉学のために佐高信氏が著した『自民党と創価学会』を読んだ。その帯には「理念なき野合の内幕を暴く」とか「自民党 政権維持のために信義も捨てる」などという言葉が並んでいる。つまり、票集めをするために公明党と組んだのだということが、さまざまな証言を基に書かれている。

 となれば、目的は旧統一教会と組んだのと同じで、違いは、旧統一教会は政党を立ち上げていないということと、公明党は信者から強制的に寄付を集めるという反社会的行動はしていないということになろうか?

 何れにしても、「票集め」により「政権を維持するため」ということでは一致しているわけで、自民党がいつまでも「反日・親中・親韓」的傾向の強い政党と手を結んでいるべきではないと思うのは筆者ひとりではないだろう。

 自民党自身の中にも、二階俊博(としひろ)元幹事長や林芳正(よしまさ)外相のように、中国に高く評価されている親中派がいるので、もし「思想信条」で結ばれているのなら、自民党自身も二つに分けるべきではないかとさえ思うのである。 

 分けないのは、そうすれば「自民党内の右も左も」当選できるからで、政権与党を維持するために「思想信条」=「信義」を捨てたと言われても仕方ないだろう。

 これが日本の民主主義なのだから、何とも情けない。

記事に関する報告

遠藤誉
中国問題グローバル研究所所長、筑波大学名誉教授、理学博士

1941年中国生まれ。中国革命戦を経験し1953年に日本帰国。中国問題グローバル研究所所長。筑波大学名誉教授、理学博士。中国社会科学院社会学研究所客員研究員・教授などを歴任。日本文藝家協会会員。著書に『習近平三期目の狙いと新チャイナ・セブン』(2022年12月中旬発売。PHP新書)、『もうひとつのジェノサイド 長春の惨劇「チャーズ」』、『ウクライナ戦争における中国の対ロシア戦略』、『 習近平 父を破滅させた鄧小平への復讐』、『「中国製造2025」の衝撃』、『毛沢東 日本軍と共謀した男』、『ネット大国中国 言論をめぐる攻防』、『中国がシリコンバレーとつながるとき』など多数。』

自民党と国民民主党の連立政権構想、実現の可能性

自民党と国民民主党の連立政権構想、実現の可能性…岸田政権、財務省依存の末路
https://biz-journal.jp/2022/12/post_329602.html

『12月2日に時事通信が報じた「国民民主党、連立入り」報道が話題になっている。これは岸田文雄政権の窮余の一策として、自民党が公明党との連立政権に国民民主党を組み込もうと動きだしたというもの。報道によると自民、国民両党幹部はこれまで極秘に接触を重ね、岸田首相も連立構想に「ゴーサイン」を出し、玉木雄一郎・国民民主党代表も腹を固めたなどと報じられた。“死に体”の岸田首相の奥の手が国民民主党との連立だった、ということで永田町はちょっと騒めいたのだ。

 だが、騒めきが「ちょっと」だったのは、この奇手、タネがバレバレのへたくそなマジックみたいなものだったからなのだ。それは岸田政権、国民民主がお互いに秋波を送り合っているのは周知の事実だったからである。実際、今年に入ってから自民党は、ガソリン税を一時的に引き下げる「トリガー条項」の凍結解除を唱える国民民主に配慮。国民民主が自民案に賛成するなど、他の野党とは一線を画した行動を取っていたからだ。

 連立報道について、岸田首相は「まったく知らないし、考えていない」と否定し、国民民主の玉木代表も「報道のような事実はない。野党の立場で、是は是、非は非、ということでやっていく」と否定した。しかし前述のように国民民主が野党でありながら、今年度の本予算や第1次補正予算に続いて、第2次補正予算にも賛成しており、岸田政権と近くあろうとしていることは周知の事実なのだ。
財務省コネクション

 実は国民民主に対する連立打診も今回が初めてではない、と永田町ではいわれている。1年前くらいから、岸田首相の切り札は国民民主だということは知られた話だったのだ。

 なぜ、国民民主との連立なのか。要は単純な話なのである。岸田首相の懐刀といわれている木原誠二・官房副長官と玉木代表が東大法学部の同窓で、1993年に旧大蔵省(現財務省)入省の同期というつながりからコネクションが深いということなのだ。また、国民民主の古川元久氏(国対委員長)は88年に同省入省というつながりもある。つまりお友達に、この苦境を打開したいと相談しているということでしかない。財務省コネクションによる発案であり、岸田政権を下支えしている財務省本体もこの話をバックアップしているともいわれている。

 また。玉木氏は自民党の故・大平正芳の選挙区を継いだ議員でもあることもポイントとなる。大平氏は元大蔵官僚であり、政治家に転じてからは宏池会会長も務めた大物政治家だった。そして玉木氏とは縁戚関係にあり、地盤を引き継いだという関係がある。つまり玉木氏は財務省だけではなく、宏池会色もあるわけで、現在の宏池会の領袖でもある岸田首相にとってアレルギーがないともいわれている。

 口の悪い自民党関係者は「官僚出身者の浅知恵」と連立話をバッサリと斬り捨てる。つまり連立話は岸田首相の人脈、そして政治力のなさを浮き彫りにするものだからだ。そして「財務省政権」「官僚政権」などと呼ばれる岸田政権が、いかに財務省に依存しているかを示すものでしかないからだ。

 連立は岸田首相にとってどのようなメリットがあるのか。国会において数を少し増やすというメリットはある。もしかしたら岸田政権と距離を置きつつある公明党に対するけん制という意味合いもあるかもしれない。しかし、世間的には大きなインパクトはない。

 これまで自民党と連立を組んだ野党は、社会党をはじめ軒並み衰退したという歴史がある。生き残っているのは創価学会が母体となっている政党である公明党だけ。つまり国民民主にとっては、連立は党の存亡をかけた決断となる。それでも話が消えないのはナゼか。

「玉木代表は“大臣になりたい病”で連立に常に前向きだからです。岸田首相が重量級の大臣ポストを約束すれば、玉木氏が連立話に乗る可能性は極めて高いとみられています」(政治部記者)

利害が一致した国民民主と岸田首相

 議席数が少ない国民民主にとって、現状を打開するには2つの選択肢しかないとされてきた。「日本維新の会」と合流して強い野党として生き残るか、連立を組んで自民に合流するかの二択。かつての民主党として一緒だったものの、いくつかの禍根を残して袂を分かつことになった立憲民主党と協力するという案はないとされている。

 だが今年に入って玉木氏の与党への秋波が強まったせいで、維新サイドは国民民主との連携に興味を失って行く。2月には国民民主が衆院本会議で政府の新年度当初予算案に賛成したことについて、日本維新の会の松井一郎代表(当時)は「連立を目指しているんだなということがひしひしと伝わってきた。与党になるというなら、もう連携はできない」と厳しく批判したのだ。そして連立報道が出た後も、維新・現代表の馬場伸幸氏が「国民は、完全に与党としての動きをしている。中途半端なことはやめ、与党入りすればいいのではないか」と突き放した。つまり国民民主は常に与党に秋波を送っていたことで、彼らにとって残されたカードは連立入りしかなくなったともいえる状況下にあるのだ。

 一方で岸田首相も同じような苦境にある。山際、葉梨、寺田氏が相次いで沈没と大臣辞任ドミノとなり、支持率は30%台を切るのも時間の問題といわれている状態にある。

「政治とカネの問題で辞任した寺田総務大臣の後任が松本剛明氏だったことで、大臣のなり手がいないことが露呈した。松本氏は民主党出身の外様だったからです。菅義偉氏が入閣にまったく興味を示さないように、おそらく自民の重量級議員は泥船に乗るつもりがなく、岸田政権と距離を置き始めているので、松本氏しかいなかったとみられています。

 同じことが国民民主との連立案についてもいえます。もはや自民をコントロールする力は岸田首相にない。そこで大臣を餌に国民民主を呼び寄せれば、木原官房副長官の存在もあり当面は岸田首相のいうことを聞いてくれる便利な道具、コマとなってくれるわけです」(前出・政治部記者)

 つまり国民民主と岸田首相は利害が一致した関係にあるのだ。果たして国民民主との連立構想が、支持率の低迷に歯止めがかからないダッチロール中の岸田政権にとって、起死回生の一手となるか。本当に連立が実現するかも含めて注視していきたい。

(文=赤石晋一郎/ジャーナリスト)

赤石晋一郎/ジャーナリスト

南アフリカ・ヨハネスブルグ出身。講談社「FRIDAY」、文藝春秋「週刊文春」記者を経て、ジャーナリストとして独立。

日韓関係、人物ルポ、政治・事件など幅広い分野の記事執筆を行う。著書に「韓国人韓国を叱る 日韓歴史問題の新証言者たち」(小学館新書)、4月9日発売「完落ち 警視庁捜査一課『取調室』秘録」(文藝春秋)など。スクープの裏側を明かす「元文春記者チャンネル」YouTubeにて配信中

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首相に「黄金の3年」は来ない 総裁選と解散カレンダー

首相に「黄金の3年」は来ない 総裁選と解散カレンダー
編集委員 清水 真人
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCD143KP0U2A210C2000000/

『首相の岸田文雄が今夏の参院選で与党過半数を維持すれば、国政選挙の予定がない「黄金の3年」の安定期が到来する――。永田町に流れるこんな観測に現実味は乏しい。野党が力不足でも、政局カレンダーは甘くない。次の自民党総裁選と衆院解散・総選挙の順序をどう設定し、勝ち抜くか。新型コロナウイルス対策やウクライナ危機など目の前の懸案に追われる岸田。先を見据えた緻密な戦略も求められる。
「広島サミット」から次期衆院選にらむ
岸田首相にG7サミットの開催を要望した広島市の松井一実市長(左から2人目)=1月27日(広島市提供、共同)

「参院選が終われば、最長3年ほど大型国政選挙がない期間が続く。その間に憲法改正の国民投票を実施できればいい」

自民党憲法改正実現本部長の古屋圭司は日本経済新聞社のインタビューで、改憲への意欲をこう示している。今夏の参院選で与党が過半数を守れば、岸田は衆参両院で安定した権力基盤を手にする。次の参院選は3年後の2025年夏。衆院議員の任期4年の満了は25年10月だから、次の参院選まで解散しなければ、国政選挙のない「黄金の3年」がやって来るはずだ、というのだ。

国民民主党代表の玉木雄一郎もこの見解に同調している。岸田が衆参で自前の多数与党の基盤を固めることは、長期政権への一里塚にはなる。だが「黄金の3年」は幻になる公算が大きい。参院選から2年余り先の24年9月に岸田の再選がかかる自民党総裁選の壁が待つからだ。ここを突破しようとするなら、最大のカギとなるのは「首相の専権事項」とされる衆院解散・総選挙をいつに設定するかだ。解散風は必ず吹く。

カレンダーを足元から眺めてみよう。参院選で権力基盤を安定させると、岸田の目に入る次の重要な政権運営の節目は、23年初夏に日本が議長を務める主要7カ国首脳会議(G7サミット)だ。今年6月26~28日にドイツで開くエルマウ・サミットまでに開催地を決める。岸田の地元である広島市と名古屋市、福岡市が誘致に動く。

「米国に加え、英国やフランスといった核保有国のリーダーが被爆地に足を運ぶことには議論がある。いずれにせよ、これから各都市のアピールを比べて判断したい」

岸田は1月4日のBSフジの報道番組で、「広島サミット」には核保有国の理解など課題が多いとの言い回しで、逆説的だが意欲をにじませた。議長としてサミットを成功させれば、政権運営に追い風となる期待大。その余勢を駆って、前回衆院選から3年近くとなる24年9月の総裁選より前に解散する選択肢も出てくる。先に有権者の政権選択を仰ぎ、その勝利をテコにして総裁選を乗り切る戦略だ。
解散の前提に「1票の格差」是正
記者会見する自民党の茂木敏充幹事長(1月18日、党本部)

いまは党執行部を形成する幹事長の茂木敏充、政調会長の高市早苗、広報本部長の河野太郎ら「ポスト岸田」候補たち。総裁選で岸田に挑戦するつもりなら、遅くとも1年前の23年秋の内閣改造・党役員人事で無役に転じ、独自の政権構想を打ち出すのがセオリーだ。外相で岸田と同じ派閥の林芳正は、戦うより禅譲狙いだろう。岸田は総裁選情勢と内閣支持率を両にらみし、解散カードをいつ切るかを熟考するはずだ。

総裁選後に解散を持ち越し、任期満了を迎える25年に入ると夏の衆参同日選くらいしか有力な選択肢が見当たらない。政権運営が下り坂だと逃げ場のない「追い込まれ選挙」となるリスクもある。

岸田が解散権をいつでも行使できるようにしておく条件は2つだ。第1は、低くても40%超の内閣支持率を維持し、党内で「選挙の顔」として求心力を保つことだ。

そのためにはサミットなど外交・安全保障面の実績作りに加え、長期政権を狙う大義名分となる内政の重要課題への取り組みも必須だ。23年暮れには診療報酬と介護報酬の同時改定、24年には年金の財政検証が控える。コロナ禍で露呈した医療システムの非効率に切り込むなどの社会保障改革は待ったなしだ。脱炭素社会に向け、原子力発電の位置づけを含めた骨太なエネルギー戦略も欠かせない。
衆院選の「1票の格差」訴訟の判決を受け、札幌高裁前で「違憲状態」と書かれた紙を掲げる弁護士(2月7日午後)=共同

条件の第2は、衆院の1票の格差を最大2倍未満に抑える定数是正だ。21年の衆院選に対し「違憲状態」だったとの判決が高裁レベルで相次ぐ。衆院議員選挙区画定審議会(会長=帝京大教授の川人貞史)は20年国勢調査に基づき、都道府県ごとの小選挙区定数を「10増10減」とする区割り改定勧告をこの6月25日までに岸田に提出する。

定数は東京都で5、神奈川県で2、埼玉、千葉、愛知の3県で1ずつ増える。宮城、福島、新潟、滋賀、和歌山、岡山、広島、山口、愛媛、長崎の10県で1ずつ減る。元首相の安倍晋三と林芳正が対峙する山口、元幹事長の二階俊博がいる和歌山などが減員県に含まれ、次期衆院選の公認調整の難航を危ぶんで自民党に強い反対がくすぶる。

「10増10減」勧告は格差を2倍未満に抑えるため、「アダムズ方式」と呼ぶ定数配分を採用する現行の区画審設置法に従った手続きだ。だから、他党からは自民党内の異論に対する批判が相次ぐ。岸田内閣は1月28日に閣議決定した答弁書で「勧告に基づき、速やかに必要な法制上の措置を講ずることとなるものと考えている」と表明した。区割り改定法案を国会に提出するのは、参院選の後だろう。
「首相の権力」安倍氏と菅氏の明暗
自民党総裁選への出馬見送りの意向を明らかにする菅義偉首相(21年9月、肩書は当時)

「総裁選と解散カレンダー」の教訓として、前首相の菅義偉の退陣劇を振り返ろう。20年9月に登板した菅は21年9月に総裁選、同年10月に衆院議員の任期満了を控えていた。当初は内閣支持率も高く、早期の解散・総選挙で有権者の信任を勝ち取り、その勢いで総裁選を乗り切る選択肢もあったはずだ。ただ、コロナ対策に追われ、解散カードを切るタイミングをつかみ損ねた。

総裁選が迫った21年8月。コロナ禍の拡大で支持率は30%台に低迷し、菅は「選挙の顔」として不適任だ、との逆風が党内で急加速する。そこへ岸田が出馬を宣言し、菅は守勢に回った。土壇場になって内閣改造・党役員人事を実施し、すぐ解散・総選挙を断行して総裁選は先送りする選択肢も描いたが、総選挙で自民党が敗北しかねないと猛反発を招き、退陣に追い込まれた。

支持率が下落し、首相が「選挙の顔」としての信任を党内で失うと、政権には急激な遠心力が働く。解散カードもさびつく。それを避けるため、好機とみればためらいなく「小刻み解散」を連発し、衆院選で勝ち続けて史上最長政権を築いたのが安倍だ。
衆院が解散され、一礼する安倍晋三首相(17年9月、衆院本会議場、肩書は当時)

野党自民党の総裁だった安倍は12年12月の衆院選で大勝して首相に再登板した。13年7月の参院選でも与党で過半数を獲得し、16年夏の参院選まで「黄金の3年」か、とささやかれた。だが、14年11月に任期4年の半分以上を残して衆院を突然、解散し、総選挙で大勝する。15年の通常国会で、集団的自衛権の限定的な行使容認を含む安全保障法制の整備に取り組むための足場固めだった。

安倍は16年7月の参院選も勝って「改憲勢力」で衆参の3分の2超を制した。今度は18年12月の衆院議員の任期満了までの2年半の間に改憲を本腰で目指すとみられたが、17年前半に森友学園問題で支持率が急落した。それが底を打って反転し始めた同年9月、またも自民党すら想定外だった抜き打ち解散。与党3分の2超を維持する圧勝を収めた。その代わりに改憲論議は寸断され、停滞した。

参院選は3年ごとの半数改選だ。そのはざまに任期3年の自民党総裁選も巡ってくる。衆院議員は任期4年だが、時の宰相は解散権をいつでも行使できると解される。この「首相の権力」の使い方で安倍と菅は明暗を分けた。結果として毎年のように重要な選挙があるので「黄金の3年」は訪れな

い。改憲も含め、じっくり取り組むべき政策課題はなかなか進まない。=敬称略

政治アカデメイア https://www.nikkei.com/theme/?dw=17090313 

解散風吹く2023年 岸田首相に「サミット花道論」の壁

解散風吹く2023年 岸田首相に「サミット花道論」の壁
編集委員 清水 真人
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCD0946V0Z01C22A2000000/

『防衛費の大幅増額と増税案の骨格を何とか示した首相の岸田文雄。政局の長期カレンダーを眺めると、2023年5月の主要7カ国首脳会議(G7広島サミット)を成功にこぎつければ、その後は衆院解散・総選挙を考えてもおかしくない。半面、政権運営を安定させないと、むしろ岸田退陣を迫る「サミット花道論」が自民党から出かねない。

24年に自民総裁選の剣が峰

「国民の生命や暮らしを守る裏付けとなる安定財源の確保は将来世代に先送りせず、いまを生きる我々が対応すべきだ。将来の国民負担は明らかなので、誠実に率直にお示ししたい。未来の世代、未来の日本に責任を果たすため、ご協力をお願いしたい」

岸田は16日の記者会見でこう訴え、1兆円強の防衛増税案の実行に強い意欲を見せた。与党税制改正大綱で骨格は示したが、実施時期は玉虫色。この日は全閣僚と個別に面会し、異論を唱えた経済安全保障相の高市早苗や経済産業相の西村康稔にクギを刺した。増税を争点とする衆院解散・総選挙は「全く考えていない」と打ち消す。 

「岸田さんにとっては黄金の3年間ではなくなった。場合によっては、来年5月の広島サミットの後くらいに(衆院解散・総選挙の)チャンスを狙うしか方法がなくなってきている。このままジリ貧に陥るよりは何か(したい)と考えるだろう」

立憲民主党最高顧問で元首相の野田佳彦は11月2日のラジオ日本の番組で、内閣支持率が下落し、臨時国会でふらついた岸田の23年の政権運営をこう占って見せた。

3年後の25年7月の参院改選議員の任期満了と、同年10月の衆院議員の任期満了まで大型国政選挙の予定はない。その頃まで安定政権が見込める「黄金の3年」説もあったが、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)問題などで、マスメディア各社による世論調査の内閣支持率は総じて30%台で低迷。最近では「地獄の3年」(日本維新の会代表の馬場伸幸)の局面反転の切り札として、抜き打ちの解散を野党は警戒する。

そもそも「黄金の3年」を決め込み、任期満了の年まで衆院選を持ち越すのは、時の首相から見てハイリスクだ。25年まで衆院選を待てば、同年夏の参院選は決まっているため、選挙時期は夏の衆参同日選の一本に事実上、絞られてしまう。この年に内閣支持率の下落などで政権運営が下り坂をたどっていれば、もはや衆院選を先に延ばす逃げ道は封じられ、「追い込まれ選挙」になりかねない危うさをはらむ。

21年に前首相の菅義偉は衆院の任期満了を目前に退陣を強いられた。それも支持率下落でこの悪い流れにはまったためだ。俗に「首相の専権事項」と言われる解散。国民に信を問う大義名分は求められるが、衆院選の時期を自由に選べることこそ、最大の妙味だ。では、岸田はいつその機を狙うのが合理的なのか。

「現総裁任期中に改憲」の公約

茂木幹事長はポスト岸田の有力候補の一人だ(8日、東京・永田町)=共同

政局カレンダーを25年から逆算してみると、24年9月に自民党総裁選が控える。岸田が再選されれば、2期6年の在任が視野に入る。長期政権を見据えた剣が峰はここだ。たとえば、幹事長として今は岸田を支える茂木敏充は、65歳の岸田に対し、年長の67歳だ。次の総裁選に挑戦しなければ、第2派閥の領袖として後がない。

最大派閥の安倍派も不安定要因だ。総裁選に向けて政調会長の萩生田光一、経産相の西村康稔、参院幹事長の世耕弘成らが次の領袖の座を争う。元首相の安倍晋三の「遺志」に誰が最も忠実かを競うあまり、防衛増税で反対論の震源地となった。最大派閥を維持して総裁候補を立てるのか、割れて党内秩序が流動化するのか。これも第5派閥の領袖にすぎない岸田の権力基盤を揺るがす。

最大派閥の安倍派では自民総裁選に向けて萩生田政調会長らによる後継領袖争いが続く(11日、台北市)=共同

そんな総裁選での再選に向け岸田が主導権を握る一手。それは総裁選前に解散権を行使し、衆院選で自民党を勝利に導くことだ。勝利の後に総裁選となれば、「岸田おろし」の大義名分は探しづらくなる。そう考えると、24年前半の衆院解散・総選挙が浮かぶかに見えるが、さらに考慮を要するのは憲法改正に関する岸田の「公約」だ。

「時代の変化に対応した憲法改正を進めていくべきだ。自民党が掲げている自衛隊の明記などの4項目は、どれも現代的な意味で重要な課題で、次の総裁任期中に改正の実現を目指し、少なくともメドはつけたい」

これは21年9月17日、総裁選の候補者による共同記者会見での岸田の発言だ。今年7月の参院選直後の会見で「できる限り早く改憲発議に至る取り組みを進めていく」と強調。10月18日の衆院予算委員会で「私自身、総裁選を通じて、任期中に憲法改正を実現したいと申し上げてきた。その思いは全く変わっていない」と繰り返した。

これだけ現総裁任期中の「改憲の実現」を口にしながら、具体的な成果がゼロでは党内保守派などから「公約違反」を問われかねない。24年9月の総裁選までに最終関門の国民投票までは行けなくても、目に見える「メド」が求められる。24年前半の通常国会で改憲発議にこぎつけるか、少なくとも、改憲原案を提出するなどの取り組みだ。ここまで前進すれば、保守派からの「岸田おろし」への抑止効果も期待できる。

迫り来る防衛増税や高齢者負担増

このように改憲論議を加速するにも、先に衆院解散・総選挙で国民に信を問うことが必須だとの声が党内で根強い。衆参両院で改憲発議に必要な3分の2以上の勢力を確保したうえで、事と次第では立民や共産党など改憲に慎重・反対の野党を押し切ってでも動く。そう腹をくくるには、衆院選での信任が不可欠というわけだ。

この改憲シナリオに従えば、24年前半の通常国会で改憲原案の提出や発議を目指すために、その前の23年中にも衆院解散・総選挙を断行する選択肢が浮かび上がる。

さらに最終決着を持ち越す防衛増税も「24年以降」の段階的実施を想定する。24年度からは全世代型社会保障改革の一環で、一定以上の収入がある75歳以上の後期高齢者の医療保険料の引き上げを見込む。65歳以上の介護保険料の一部上げも検討。これらの負担増も、それに先立つ23年中の衆院解散・総選挙の誘因となりうる。

ここまで政局カレンダーを逆算してきた。次に足元から23年の政治日程を見てみよう。岸田は1月召集の通常国会で、23年度予算案の3月中の成立に全力を挙げる。春闘での賃金引き上げは「新しい資本主義」の核心だ。4月8日に任期満了となる日銀総裁の黒田東彦の後任を、国会の同意を得て任命する。4月には岸田の求心力を左右しかねない統一地方選も控える。5月19~21日の広島サミットまで息つくいとまもない。

4月のこども家庭庁発足を踏まえ、岸田は年央に閣議決定する予算編成の指針「骨太の方針」で「こども予算の倍増を目指すための道筋を示す」という。これら外交、内政両面での政策課題の推進と並行して、自民党内では衆院の「10増10減」の定数是正に伴う公認候補の調整作業も急ぐ。衆院議員は解散をいや応なく意識する。

「国際賢人会議」の閉会セッションに出席後記者団の質問に答える岸田首相㊧(11日、広島市)=共同

野党陣営の立民と維新は国会では共闘するものの、政権交代を目指して大同団結するまでの迫力は見えない。岸田がサミットまでたどりつけば、その後はいつ解散を考えても不思議のない「常在戦場」となる。ただ、政権運営を立て直せず、支持率の低迷も続くようなら、もはや「選挙の顔」たりえないとして「サミット花道論」が与党内から強まりかねない。綱渡りの政権運営が続く。=敬称略 』

連合会長「許容できない」 国民民主の連立政権入り

連合会長「許容できない」 国民民主の連立政権入り
https://www.47news.jp/politics/8696204.html

『連合の芳野友子会長は15日の記者会見で、国民民主党が自民、公明両党の連立政権に加わるとの見方を否定した。「今の段階では(連立政権参加を)許容できない」と述べた。自民が公明との連立政権に国民を加える案を検討しているとの一部報道に関連し答えた。国民にとって、連合は最大の支援組織。

 国民の榛葉賀津也幹事長から「誤報だ」と連絡が来たことを明かし「関係者全てが否定しており、それを受け止めたい」と強調。「立憲民主、国民両党とは連携方針を確認している」として、来春の統一地方選や将来の国政選挙では協力していく考えを示した。』

岸田総理「全く知らない、考えてない」国民民主との連立

岸田総理「全く知らない、考えてない」国民民主との連立
https://news.livedoor.com/article/detail/23309188/

 ※ 「平和の党」を標榜する、公明党に対する脅しだろうな…。

 ※ 国民民主、維新との「連立」「政策合意」は、公明党に対する「カード」となる…。

『自民党が公明党との連立政権に国民民主党を加える案を検討しているとの一部報道について岸田総理大臣は、「全く知らない、考えてない」と否定しました。

岸田総理「どこからそういった情報が出たのか知りませんが、私は全く知りませんし、私自身は考えてはおりません」

岸田総理はこのように述べ、否定しました。

一方、国民民主党の玉木代表も、連立政権に加わることを否定しました。

国民民主党・玉木代表「まず報道には大変驚いております。岸田総理も否定されたようですけれども、報道されたような事実はございません」

複数の総理周辺も否定しているほか、国民民主党の幹部も「本当にあり得ない」などと一様に否定しています。

ただ、国民民主党は今年度の予算に異例の賛成をしたほか、第1次と第2次の補正予算にも相次いで賛成するなど、政府与党寄りの姿勢も目立っていました。
このため、与野党からはいずれ連立政権に加わるのではないかとの見方が出ていて、引き続き臆測を呼ぶことになりそうです。 』

止まらぬ「辞任ドミノ」 寺田総務相更迭、政権に打撃

止まらぬ「辞任ドミノ」 寺田総務相更迭、政権に打撃
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA201EU0Q2A121C2000000/

『岸田文雄首相が寺田稔総務相を事実上更迭したことにより、閣僚の辞任はこの1カ月で3人となった。国会で21日から始まる2022年度第2次補正予算案の審議に影響するのは避けられない。止まらぬ「辞任ドミノ」は首相の政権運営に打撃となる。

【関連記事】

・岸田首相が寺田総務相を更迭 後任に松本剛明元外相
・寺田総務相が辞任、岸田文雄首相の発言詳報
・寺田総務相の発言詳報「審議の差し障りにならぬよう」

首相は20日夜、首相公邸で寺田氏の辞表を受理した。その後、記者団に補正予算や世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の被害者救済などを挙げて「重要課題に答えを一つ一つ出すべく努力する」と語った。「正念場を迎えていると感じ、辞任を認めた」と述べた。

寺田氏の更迭により、政府・与党が11月中の成立を目指す第2次補正予算案への影響は避けられない見通しだ。

国会は21日に衆参両院で鈴木俊一財務相が財政演説し、24日からは衆院予算委員会での実質審議に入る予定だった。野党は首相に寺田氏の辞任について国会で説明するよう求めており、予定通りに審議を始められるかは見通せなくなった。

補正予算の成立後には旧統一教会の被害者救済を巡る法案の審議を控える。政府が提出予定の新法の内容を巡り、寄付金の規制のあり方など与野党の間にはなお溝がある。

今国会の会期は12月10日まで。補正予算の成立が遅れると、被害者救済に関する法案に充てる時間は短くなり、会期延長が視野に入る。会期を延長すれば、12月以降に本格化する23年度の税制改正や予算編成も遅れる恐れがある。

野党は山際大志郎前経済財政・再生相、葉梨康弘前法相を更迭した際と同様に「首相の決断が遅れた」と批判を強めた。

日本維新の会の藤田文武幹事長は取材に「政治資金を所管する総務相が疑惑を指摘されたのは不適切だ。説明責任を果たすべきだ」と強調した。

国民民主党の玉木雄一郎代表は「後手後手の印象は否めない。なぜ葉梨氏と一緒に辞めさせなかったのか疑問だ」と指摘した。

与党内には1カ月弱で3人の閣僚が相次ぎ辞任した事態を受け、23年1月召集の通常国会の前に内閣改造・党役員人事に踏み切るべきだとの意見もある。

首相は19日の記者会見で内閣改造に関して「適切なタイミングを判断したい」と含みを持たせた。

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ついにレッドラインとみられてきた3人目の更迭となった。自らの派閥である岸田派からは2人連続。首相の自民党内での求心力は一段と低下することが避けられそうにない。第1次安倍内閣や麻生内閣のように短命に終わるのだろうか。今後の節目となるイベントは、23年3月末近くの23年度予算成立、4月の統一地方選、5月の広島サミット。22年度2次補正を含め、予算を編成している内閣である以上、年度内は続投するのが自然だろう。それまで政権を持たせる場合、一部で報道されている通り、1月の内閣改造・党役員人事で刷新感を出すのが1つのカード。閣僚候補の「身体検査」は入念に行われるだろう。安倍派の萩生田政調会長の去就も焦点。

2022年11月21日 7:26

柯 隆のアバター
柯 隆
東京財団政策研究所 主席研究員
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ひとこと解説

岸田首相にとって外遊は気晴らしになるというと、不謹慎だが、外交が得意で内政は不得意のようにみえる。1年で3人の大臣が辞任・罷免。しかも、いずれも後味の悪いやめ方。安内攘外、すなわち、外交を展開する前に、内政を落ち着かさないといけない。岸田首相は安内できなければ、攘外どころか、政権が危うくなるかもしれない

2022年11月21日 7:10』

岸田政権 https://article-image-ix.nikkei.com/https%3A%2F%2Fimgix-proxy.n8s.jp%2Ftopic%2Fog%2F21092903-4.jpg?ixlib=js-2.3.2&auto=format%2Ccompress&fit=max&ch=Width%2CDPR&s=9a6b24c2cf82433c9f94d40877d193bc

https://nkis.nikkei.com/pub_click/174/-RoSMoVfcBPpr82oZzDgZuWuxqZQRD6OK3j9eLl32-l-yo3KAno7foNLaZTsAGvu60OKy1XMgJGxe5RzPF6gQVQ3rRFEvCp9TojlaMVujM-t8EfT9mlLKFs2v6QSpr6i_epD_FnuwmCnRIWbUpVWT9OY-jgDxAdZGGQW83VL5Spqif3jMgkH1s8rUlYKsRUxflk_LLsrWyJevaJvL_JiR4kLivvqQcgU3fLFuLmACzGBL9eWOJpfVDPQQSZozO7PRPzbFyhSsluxBdD-eIUSd8Lt53O9_PpHE8eq1rdc_jh9CwQ6vI1ZFFJoBciAXXuxIYvPI7UR6Rch0IdK6BmjbSTVRD7W6oupzueJvmjsmBMKE60rCQNLSiOSy5etvbHxItwIfXBTul0mTv61kdd0OoEdQyD9a2-QLufo6sdNMUWdK-3pce_B2qgti4sEKcag3t4_R6bBr0N30F834rsQuNNNxH-XArzypQjAYx3-ClNFy2MMy-TWTU3Jwbac//117740/156821/https://ps.nikkei.com/tu/furusatonouzei2022/index.html

お布施の刑事罰化を恐れる公明党

お布施の刑事罰化を恐れる公明党、独断で動く河野大臣 揺れる統一教会問題、カギを握る“意外な人物”とは?
https://www.dailyshincho.jp/article/2022/11180557/?all=1

 ※ なるほど…。

 ※ 統一教会問題は、公明党に「飛び火する」可能性があるわけだな…。

『「野党との協議会が政局に利用されるのは明白。岸田総理の“お花畑的場当たり対応”ここに極まれりです」

【写真を見る】問題のカギを握る”クセ者”とは?

 自民党中堅議員は憤りを隠さない。野党をなだめるために設置された、旧統一教会の被害者救済法案を検討する自民・公明・立憲・維新の4党による協議会が行き詰まっているからだ。

 最大の焦点は悪質な高額献金を規制する新法(以下、新法)の内容。岸田文雄総理は急転直下、新法を今国会に提出することを決めたが、マインドコントロールの定義や、法令違反に刑事罰を設けるかなどを巡って、議論はまったく進んでいない。

刑事罰化を恐れる公明党

音喜多駿

音喜多駿政調会長(他の写真を見る)

 協議会の行方に神経を尖らせているのが公明党。山口那津男代表は周囲に「デリケートな問題を拙速に決めるものじゃない」「岸田政権には思いが届かない」と不満を口にしている。

 協議会関係者が解説する。

「公明党の支持母体・創価学会にとり、彼らが“財務”と呼ぶお布施や仏壇・仏具の購入が刑事罰の対象になることがあれば影響は計り知れない。一方、自民党は抑止力として刑事罰導入もやむなしとの考え。明らかに温度差があります」

 温度差が生まれる理由――。それは岸田総理が“前門の虎、後門の狼”の状態にあるからだ。

 総理周辺が語る。

「岸田総理が教会の問題に本腰を入れ始めたのは、河野太郎消費者担当相の影響です。河野大臣は独断で消費者庁に検討会を設置し、法案整備と質問権の行使を求める報告書を出してきた。支持率低下にあえぐ中、岸田総理は負けじと“私が責任をもって旧統一教会の問題を解決していきたい”と国会でたんかを切ったんです」

 さしずめ河野氏は後門の狼。では、前門の虎とは。

「もちろん公明党。旧統一教会問題に弱腰だとは見られたくない半面、厳しい法律ができれば死活問題。取りあえず新法は年明けに先送りして、今国会は消費者契約法の改正でお茶を濁したいと考えていました」』

『カギを握るクセ者・音喜多駿政調会長

 岸田総理としては与党内の亀裂は避けたいところだ。

「くれぐれも足並みをそろえて」と協議会メンバーに厳命している。が、厄介なことに前門には虎がもう一頭いる。かつての文教族のドン・森喜朗元総理だ。

 清和会幹部が明かす。

「森さんは一貫して献金の制限に反対の立場。最大派閥の実質的オーナーとして、陰に陽に総理にプレッシャーをかけているようです」

 無論、野党は黙っていない。新法の内容によっては協議会の席を蹴る構えを見せる。焦点は自民党議員が「最終的にどう判断するか分からない」と話す維新の動き。カギを握るのが、時に立憲より強硬な姿勢を見せ、与党から「クセ者」と呼ばれる音喜多駿政調会長だ。

 本人は語気を強める。

「いわゆるマインドコントロール被害に一定の歯止めがかかる内容でなければ、野党案の成立を求め、(協議会でなく)国会審議で与党の姿勢を厳しく批判することになるでしょう」

 内容次第では「総理はやる気がない」と責め、マインドコントロールや刑事罰が盛り込まれれば野党の成果と訴える。どちらでも自公にくさびを打ち込み、世論の支持も得られるとの算段だ。

 被害者を救う実効性のある法整備は、果たしてできるのか。その場しのぎの「聞く力」の代償が、岸田総理に重くのしかかる――。

青山和弘(あおやま・かずひろ)

政治ジャーナリスト 星槎大学非常勤講師 1968年、千葉県生まれ。元日本テレビ政治部次長兼解説委員。92年に日本テレビに入社し、野党キャップ、自民党キャップを歴任した後、ワシントン支局長や国会官邸キャップを務める。与野党を問わない幅広い人脈と、わかりやすい解説には定評がある。昨年9月に独立し、メディア出演や講演など精力的に活動している。

週刊新潮 2022年11月17日号掲載 』

旧統一教会が牛耳る「日本の選挙の民主」と「中国の民主」

旧統一教会が牛耳る「日本の選挙の民主」と「中国の民主」_中国「わが国は民主的だ」世界ランキングで1位
https://news.yahoo.co.jp/byline/endohomare/20220828-00312339

 ※ 中○が、「民主国」とか、何のブラックジョークだよ…。

 ※ まあ、共産主義では、「国民主権」の代わりに「人民主権」、「三権分立」の代わりに「民主集中制」とか、言ってるからな…。

 ※ そもそも、「民主」の概念が違っているんだろう…。

 ※ かの国では、「英語教育」も禁止(「間違った」知識を習得してしまう危険性があるので)らしいからな…。

 ※ そういう「人民」対象にアンケート取って、何の意味があるんだ…。

 ※ 『選挙は「民意の表現」ではなく「民意の消滅とリセット」へと導くのが「日本の選挙と民主」だ。』…。

 ※ ちょっと、何を言っているのか、よく分からない…。

 ※ 民意の「消滅」とは、何を指しているのか…。

 ※ 民意は、その時その時で、変化する…。よって、衆議院は、「解散」という制度があって、平均「2.3年くらい」で「総選挙」がある…。参議院は、「良識の府」として、解散が無く、6年の任期(3年毎に、半数が改選)を与えられて、「政治の安定」「アンカーの役割」が与えられている…。

 ※ 選挙結果によって、「前の選挙」での「支持」はチャラになり、新たな「民意」で上書きされる…。

 ※ まさに、「民意のリセット」が制度に組み込まれている…。

 ※ そうやって、常に「民意の支持」があるのか否かを問い、制度として取り込んでいるんだ…。

 ※ そこが、まさに「民主主義の根幹」だ…。

 ※ 文句があるなら、とっとと「導入して」やってみればいいだけの話しだ…。

 ※ それともう一つ言っておきたいのは、「アンケート」と「選挙結果」は、全然別物…、ということだ。

 ※ 「アンケート」は、単なる「ご意見伺い」に過ぎない。

 ※ 「選挙」は、「政権選択」の国民の意思決定だ(主権者国民の、主権行使の一つ)…。

 ※ 「選挙」を「アンケート」で代替することは、「できない」…。

 ※ 「アンケート」結果、「世論」なんてものは、「選挙」で政権取った「政策担当者」が、「政策実行」の「ご参考」にすれば足りる程度のものだ…。

『53ヵ国を対象としたNATO傘下の世論調査「あなたは自国が民主的だと思うか?」で、中国が世界一となった。その背景には米中関係があるが、統一教会に牛耳られている「日本の選挙と民主」とを比較考察したい。

(本稿では、旧統一教会は「統一教会」と略記する。)
◆「わが国は民主的だ」 世界ランキングで中国が1位

 日本では統一教会と自民党議員などとの長きにわたる深い癒着が次々と暴かれ、まるで日本の政治が統一教会によって動かされていたような不気味さが漂っている。

 そのような中、8月23日にEUメディアのウェブサイトmodern diplomacyに調査研究歴史家のエリック・ズエッセ氏が<53カ国のNATO所属(機関)の世論調査で、中国人が最も「自国を民主的だ」と思っていることが判明>という見出しの論考を公開した。

 それによればNATO傘下の「民主主義同盟」が53ヵ国を対象に世論調査を行ったところ、中国人の83%が「自国は民主的だ」と考えていることがわかり、これは調査対象となった53ヵ国の中で最も高い割合だったというのである。第2位はベトナムで77%、3位と4位は同点のフィリピンと台湾で、75%だった。

 53ヵ国すべての平均は 56%だが、アメリカは平均よりも低い49%で、順位はコロンビアと同点で並び、第40位&41位だったという。

 対ロシアのアメリカ軍事同盟であるNATOが、敵対国家として排斥しなければならない標的リストの中に入れることを検討している中国が、NATO傘下の民主主義同盟が調査した53ヵ国の中で、「自国は民主的だ」と考えている「民主化度」において第1位で、中国を非民主的国家として排斥しようとしているアメリカが、民主化度認識において第40(もしくは41)位というのは、いったいどういうことかと、エリック・ズエッセ氏は皮肉っている。

 したがって、「その国に住んでいない人々が保持しているその国についての見解は、与えられた外国の報道機関の表現ミスによるものかもしれない」と考察し、その報道は「特定の敵国」に対する「期待的見解」であるかもしれないと警告を発している。

 それを筆者なりの言葉で表現すると、以下のようになろうか。すなわち、

 ――現在、アメリカや日本には「民主主義国家vs.専制主義国家」という価値観外交の概念があり、特に「中国の国家運営が不透明で、非民主的である」という批難を基本とした対中包囲網がアメリカを中心とした西側諸国によって形成されている。では、その批判対象となっている「中国はどれくらい非民主的か」ということを考察すると、データとして表れたのは、中国人が世界で最も「自国は民主的だ」と思っているという結果で、民主の旗頭として世界をリードしていこうとしているアメリカの国民は「自国は民主的だ」と思っている人が半数以下しかいない。したがって、他の国が特定の国を「非民主的だ」と非難したとしても、その国の国民が自国を非民主的だと考えていない場合には正当性を欠く。自国民が自国をどう考えているかに関しては、客観的なデータで把握しなければならない。

 こんな感じになろうかと思う。

◆日米は、どれくらい「自国は民主的だ」と思っているのか?

 実は、この世論調査の結果自身は今年5月30日に<民主主義認識指数2022>として公開されている。

 この報道によれば、民主主義認識指数(DPI)は、民主主義に関する世界最大の年次研究で、50ヵ国以上を対象とし、世界人口の75%以上の民意を代表しているとのこと。そこで、5月30日に公開されたデータを基本として、<民主主義認識指数 2022>に付記してある過去3年のデータから、米中日3ヵ国のデータを拾って以下のような図を作成してみた。

「民主主義認識指数2022」のデータを基に筆者作成

 アメリカ国民(青色)は総じて自国が民主的だとは思っておらず、日本(黄色)も類似の情況にはあるが、2022年になってやや上向きであるのは、2021年の情況を反映しているので、2020年あるいは2021年に何が起きたかを考えると、自民党総裁選挙なのに国民に向かって必死で主張を展開したからかもしれない。

 驚くべきは、やはり、中国人民(赤)がこんなに高い割合で「わが国は民主的だ」と思っているという事実だ。しかも年々増加している。

◆中国人民は、なぜ「わが国は民主的だ」と思っているのか

 それではなぜ、中国人民は「わが国は民主的だ」と思っているのかを考察してみよう。

 残念ながら2018年以前のデータを得ることができなかったが、少なくとも2019年のデータを見る限り、まだ57%ではあるものの、日米を抜いて抜群に大きい。これは2018年の世相を表したもので、何と言ってもアメリカの対中制裁が始まった年であったことが最も大きな要因であろう。

 対中制裁は2017年末から始まったが、誰の目にもアメリカ経済が中国経済に抜かれないようにするための制裁であることは歴然としている。特に習近平が2015年に発布したハイテク国家戦略「中国製造2025」の「危険性」を感知した当時のトランプ大統領が、宇宙領域やハイテク産業領域で中国がアメリカを追い抜こうとしていることに気づき、それを徹底して抑え込もうとしたものであることは明らかだろう。

 そのとき同時にアメリカで進行したのが黒人に対する人種差別問題だった。

 最も大きかったのは、2021年1月6日、大統領選挙による不正を訴えたトランプ支持者が、アメリカの議事堂に乱入した事件で、それまでまだ中国の若者の間にいくらか残っていたアメリカへの憧れ、「アメリカは民主的な国家だ」と信じていた気持ちを、一気に挫(くじ)かせてしまった。どれだけ多くの中国人民がアメリカの「民主」に幻滅し、「アメリカの民主など、少しも良くない」と痛感したかしれない。

 2022年のデータは、2021年の世相を反映しているので、アメリカ民主への幻滅と、バイデン政権になってから陰湿になってきた対中包囲網に対する反感も手伝い、2022年のデータは、「83%」と、大きく跳ね上がったものと解釈できる。

 中国では中国共産党による一党支配体制という明確な大原則があり、その上での国家運営に対して、中国人民は「他国と比べれば比べるほど、自国は民主的だ」と思うようになっているのである。

 特に8月26日のコラム<和服コスプレ女子拘留 習近平政権は反日を煽っているのか? 日経新聞が中国ネットを炎上させた大連京都街>にも書いたように、ネットの力によって当局を動かすことができるという現象は、10億を超えるネットユーザーの心を一定程度満足させている。中国では赤ちゃんや超高齢者以外のほとんどすべてがスマホなどを通してネットにアクセスしているので、ネットの民意は全人民の民意に近いと解釈できる側面も持っている。

 普通選挙がない分だけ中国政府はネット民意に敏感で、一党支配を維持するために「民意の反乱」が起きないように、非政治的なものであれば民意に即応する傾向を持つ。そうでないと一党支配体制が覆る危険性を孕んでいるからだ。

 事実、2018年の民主主義同盟の調査では、以下のような考察が述べられている。

 ――調査データによると、厄介なのは、「国民の自国政府に対する幻滅」が、非民主主義国家においてよりも、民主主義国家における方が大きいという発見だ。驚くべきことに、民主主義国家の国民の64%が、政府が国民の公共の利益のために行動することは「めったにない」あるいは「まったくない」と回答している。アメリカやイギリスなどは長いこと自由世界のリーダーとみなされてきたが、国民の3分の2以上が、自国の政府は自国の利益のためにさえ行動していないと考えている(概略引用以上)。

 では、誰のために行動しているのか。

 自分自身のためにしか行動していないという典型的な例が、今般の統一教会と自民党議員を中心とした、長い期間続いてきた深い癒着だ。

◆選挙を「民意の消滅とリセット」に持っていったのは誰か?

 信じがたいほどの闇が、いま日本の政治を覆っている。

 それは戦後政治の大半を覆してしまうような、恐ろしい闇の世界だ。

 岸信介元総理が、統一教会の開祖・文鮮明氏と1968年辺りに会って「反共・勝共」で意気投合して以来、自民党と統一教会の関係は脈々と続いてきた。

 特に岸元総理とも懇意にしていた統一教会初代会長・久保木修己氏の遺稿集『美しい国日本の使命』が2004年に出版され、2006年に安倍晋三元総理が『美しい国へ』を出版したことのアナロジーや、自民党が提案している憲法改正案が統一教会の教義に酷似していることなどを考えると、日本の政治の骨格が統一教会によって形成されているのではないかという不気味さを覚える。

 何よりも衝撃的なのは、選挙において統一教会が強力な集票の役割を果たしていたことで、国会議員などの立候補者は、何としても当選したいために統一教会のサポートにすがり、統一教会は国会議員の後ろ盾を得て布教を強化していくという「悪循環(相互補助?)」が出来上がっていることだ。

 日本は「普通選挙」をしている国として、「民主主義国家」の範疇に入っているわけだが、選挙そのものが統一教会という集票マシーンで成り立っているとすれば、国民がどんなに政治に不満を抱いたとしても、「選挙をすればリセットされる」という「民意の消滅」が選挙によって具現化される。

 選挙は「民意の表現」ではなく「民意の消滅とリセット」へと導くのが「日本の選挙と民主」だ。

 これが「民主主義同盟」の世論調査の結果に表れている「自国は民主的だ」と思っている国民の割合の数値の低さの原因を示しているのではないだろうか。

 少なからぬ国会議員が、国家のためでも国民のためでもなく、自分の利益のために立候補し、自分が当選するためなら手段を選ばない日本と化してしまった。

 おまけに「反共勝共」から出発したはずの統一教会は、実は日本は朝鮮半島を侵略した原罪があるので、日本人から金を巻き上げ韓国に還元させるのは当然という、何やら「反日色」に基づいた霊感商法がまかり通っているようだ。その「反日的要素を持つ」統一教会に、嫌韓の自民党議員が支えられているという、この捻じれた関係のおぞましさよ!

 自民党議員がどんなに「今後は関係を持ちません」と誓ったところで、「選挙」を「民意の消滅とリセット」に追い込んでいった「日本政治の責任」を徹底して追求し、それを許してしまったた日本の精神的土壌と社会構造を根本的に見直さない限り、日本人の悲劇は続くだろう。
遠藤誉
中国問題グローバル研究所所長、筑波大学名誉教授、理学博士

1941年中国生まれ。中国革命戦を経験し1953年に日本帰国。中国問題グローバル研究所所長。筑波大学名誉教授、理学博士。中国社会科学院社会学研究所客員研究員・教授などを歴任。日本文藝家協会会員。著書に『もうひとつのジェノサイド 長春の惨劇「チャーズ」』、『ウクライナ戦争における中国の対ロシア戦略』、『 習近平 父を破滅させた鄧小平への復讐』、『ポストコロナの米中覇権とデジタル人民元』、『「中国製造2025」の衝撃 習近平はいま何を目論んでいるのか』、『毛沢東 日本軍と共謀した男』、『ネット大国中国 言論をめぐる攻防』、『中国がシリコンバレーとつながるとき』など多数。』

電力確保・脱炭素へ原発活用にカジ 再稼働7基追加

電力確保・脱炭素へ原発活用にカジ 再稼働7基追加
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA242O10U2A820C2000000/

『政府は電力の安定供給と脱炭素の実現に向け、原子力発電所の再稼働や運転延長、次世代型の建設などの検討に入る。東日本大震災後、安全審査や地元同意のハードルで再稼働は遅れてきたが、現時点で目標を両立できる電源は他にない。ウクライナ危機もエネルギー調達の課題を浮かび上がらせた。再生可能エネルギーを含めた供給網を早急に整える必要がある。

【関連記事】原発新増設へ転換、次世代型の建設検討 再稼働7基追加

日本は東日本大震災前、総発電量の3割ほどを原発に頼っていた。東京電力の福島第1原発での事故を受けてすべての原発が稼働を止め、原子力規制委員会による安全審査に合格した原発から再稼働を進めてきた。

しかし審査を通過した17基のうち、現在稼働するのは6基のみ。審査が10年近くの長期にわたり、結論の出ない原発もある。2020年度の総発電量のうち原発の割合は4%にとどまる。

原発の稼働が少ない状況は、電力の安定供給を危うくしている。夏場の電力は夕方に逼迫する傾向にあり、季節外れの猛暑に見舞われた6月下旬には強い節電要請が出た。電力各社は古い火力発電所を稼働してしのいでいるが、トラブルのリスクは拭えない。

石炭や液化天然ガス(LNG)に頼る電源構成は、ロシアによるウクライナ侵攻で問題が浮き彫りになった。原油や天然ガス価格は高騰し、ロシアからパイプラインで天然ガスを輸入する欧州の指標価格のオランダTTFは、8月中旬に1メガワット時当たり250ユーロ台と、侵攻直後の3月より高い値段をつけた。

欧州ではエネルギー安全保障の観点から原発の活用にカジを切る国が出てきた。英国は30年までに最大8基を新設する方針を掲げた。フランスも50年に向け大型原発を最大14基建設する方針だ。

日本の状況も欧州と共通点がある。LNG輸入のうち1割ほどがロシアからだ。日本の商社が出資するLNG開発事業「サハリン2」から有利な価格で調達しているが、ロシア次第で供給が途絶する恐れがある。

原発は化石燃料を使わずに安定して電力を供給できる。発電時には二酸化炭素(CO2)をほぼ排出しないことから、各国とも「脱炭素」を両立できる電源として意識せざるを得ない。

日本政府は30年度の温暖化ガス排出量を13年度から46%減らす目標を掲げている。達成には発電量のうち再生エネを36~38%に、原発を20~22%に高める必要がある。建設中の原発を含めて、電力会社が稼働を申請した27基すべてが運転しなければならない計算だ。

さらに温暖化ガスの排出を50年に実質ゼロにする目標は、原発の再稼働だけでは不十分との見方が多い。政府は再生エネを主力電源として伸ばす方針だが、天候に左右される特性などを考えれば、火力以外に安定した電源が必要になる。

岸田文雄首相が表明した「運転期間の延長など既設原発の最大限活用」は再生エネへの移行を見据えたつなぎとして有力な手段といえる。いずれ寿命となる既存の原発の後継としては、安全性や経済性の高い次世代型原発の開発が欠かせない。

【関連記事】次世代型原発とは 安全性向上、効率よく発電

もっとも、新設や再稼働は簡単には進まない。公明党は7月の参院選で将来的に原発に依存しない社会をめざすと掲げた。新設にも慎重な姿勢だ。政府が新設を打ち出しても、電力会社の投資判断につながるかは不透明だ。東京電力柏崎刈羽原発はテロ対策の不祥事で信頼が失墜している。

使用済み核燃料を再利用する核燃料サイクル事業も未完成のまま停滞が続く。高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の処分場もめどはついていない。原発をめぐる後始末の部分にも、政府は道筋を付けなければならない。

【関連記事】

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分析・考察

「現実主義」と「前のめり」の違いは、姿勢が前のめりになると左右や全体像が見えなくなることですね。
各国のグリーントランスフォーメーション政策の中心にありつつ、こうした個別議論でしばしば抜け落ちる項目があります。「かしこいエネルギー消費の抑制」です。例えば夏場の電力消費の主役はエアコンですが、まずは女性社員を凍えさせるような温度設定をやめて、環境省推奨の温度にすることではないでしょうか。
ウクライナ危機は、「軍事標的化」という原発の新たな脆弱さを浮き彫りにしました。高い安全確保のコスト、合意形成のコストと、無理のないエネルギー需要の抑制を俯瞰的に論ずるような記事も、期待したいと思います。
2022年8月25日 7:41 (2022年8月25日 7:43更新) 』

狙われる自民党総裁選 世論分断に中国・ロシアの影

狙われる自民党総裁選 世論分断に中国・ロシアの影
風見鶏
https://www.nikkei.com/article/DGXZQODE125X70S2A810C2000000/

『「日本の政治に本気で影響を与えようと思ったら、日本国籍を取得するより自民党員になる方が簡単だ」。中国共産党員の一人は真顔で話す。

もし与党・自民党の党員になって総裁選に参加すれば事実上、首相選びに関わることができる。

自民党は入党資格として「満18歳以上で日本国籍を有する方」と掲げる。実際は身分証明書の提示といった厳格な確認をしない例もあるという。過去には党員になった覚えのない人に総裁選の投票用紙が届く「幽霊党員」問題が指摘された。

いま自民党は国会議員1人あたり年1000人以上の新規党員の獲得をノルマとして課す。党勢拡大のための活動も行き過ぎれば危うさをはらむ。

中国は民主主義の脆弱な部分を突く。それは権威主義的な国の特徴でもある。トランプ氏が勝った2016年の米大統領選はロシアの介入が取り沙汰された。

「オルタナ右翼の台頭、ブレグジット国民投票の可決、トランプ大統領の誕生。16年の主要イベントは裏ですべてつながっていた」

SNS(交流サイト)などのデータを駆使してトランプ氏が当選するよう大がかりな世論誘導をしたと内部告発したクリストファー・ワイリー氏は著書「マインドハッキング」で明かす。

同氏は16年6月の英国での欧州連合(EU)離脱を巡る国民投票について、半年後に迫った米大統領選の予行演習のような位置づけだったと告白する。トランプ氏支持へと誘導する過程で、ロシア情報機関が関わったとも証言する。

事実なら16年や20年の大統領選での米国社会の分断状況をみるにロシアの情報戦は成功したといえる。

日本でも21年の自民党総裁選は異様な盛り上がりをみせた。

SNS上で高市早苗氏と河野太郎氏の支持者とみられる人が互いに批判し合う書き込みが目立った。党内が分裂しかねないと懸念した高市氏自身が「(総裁選は)たとえ正反対の意見であっても尊重し合う場です」と沈静化を呼びかける事態になった。

公安調査庁の元幹部は「証拠は見せられない」と断った上で、党内対立をあおる投稿は中国発が多かったと語る。発信は北京時間の午前9時から午後5時の間が目立ち、組織的な関与を裏付けると話す。

次の総裁選は岸田文雄首相が党総裁の任期を終える24年9月までにある。

この年は東アジアの民主主義を混乱させたい勢力にとって標的にしやすい時期に当たる。1月に台湾総統選、4月に韓国で国会議員を決める総選挙、11月に米大統領選があるからだ。

自民党は次期総裁選前に外国籍の人の不正な入党を防ぐ本人確認システムの導入を検討する。首相官邸も外国の諜報(ちょうほう)活動から守るカウンターインテリジェンスに力を入れ始めた。

それでも悪意を持って日本を狙う勢力への防波堤として十分とはいえない。

新型コロナウイルス禍で露呈したように、権威主義的な体制に比べて民主主義は意思決定に時間がかかる課題もある。「それでも民主主義には価値がある」と説くには備えが必要だ。

SNSが身近になるほど外国勢力による世論の分断工作は人ごとでなくなってきた。どんな人の心にも社会を分断する芽は潜む。あおられやすい環境だと個々が自覚し冷静さを保つことが第一歩になる。

(島田学)

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分析・考察

中国やロシアが日本の国会議員選挙に介入しようと思った場合、何をどうすればいいかなかなか判断がつかないだろう。無論、「親中派」を当選させるようにし、「嫌中派」を非難したり、あるいは与党を混乱に陥れるようなスキャンダル映像なり言説なりを流すことはあろう。しかし、大統領選に比べれば、議会制民主主義を採る日本への選挙介入は容易ではない。だとすれば、もっとも簡単なのは自民党総裁選になる。中国に都合のいい候補を応援するとか、あるいは混乱させるとか、様々な工作がフェイクニュース、議論誘導、さまざまな方法で行われる可能性がある。中国による智能化戦争、ハイブリッド戦は日常生活の中でなされることを意識すべきだ。
2022年8月20日 14:05
鈴木一人のアバター
鈴木一人
東京大学 公共政策大学院 教授
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分析・考察

社会を混乱させるために偽情報を提供し、それで陰謀論者などが騒ぎ立つといったことは外部勢力でも可能だろう。ただ、日本は米英よりははるかに政治的に保守的で、組織が有効に機能し、少々のスキャンダルや噂で自民党総裁選が揺さぶられることはない。むしろマスコミが世論の方向性を誘導し、それによって大きな流れが作られることが多い。大統領選やBrexit投票のように「Yes/No」の二項対立なら煽りやすいだろうが、自民党総裁選となると、派閥や支持団体などの動きが重要で、二項対立になりづらい。こんな中で中ロが介入しようとしても、何をすれば有効なのか、見えないのではないだろうか。
2022年8月21日 18:32』

岸田改造内閣、初入閣は9人 女性閣僚は2人のみ

岸田改造内閣、初入閣は9人 女性閣僚は2人のみ
「派閥均衡色」強く 平均年齢は62.65歳
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA1002S0Q2A810C2000000/

『10日発足の第2次岸田改造内閣は9人が初入閣した。うち8人が議員経験が比較的長い「入閣待機組」からの登用だ。岸田文雄首相(自民党総裁)は「派閥均衡型」で挙党体制の構築を目指す。閣僚19人のうち女性は改造前と変わらず2人だった。

首相は10日の記者会見で「数十年に一度ともいわれる難局を突破するため、経験と実力に富んだ新たな連立政権を発足させた」と述べた。「約束してきた政策を本格的な実行に移す段階となる」とも語った。

今回の内閣改造では党内の「入閣待機組」80人ほどの処遇が焦点だった。衆院当選5回以上、参院当選3回以上で閣僚経験がない議員を指すことが多い。日本経済新聞社の調べによると衆院で50人ほど、参院でおよそ30人の国会議員が該当する。

今回の内閣改造は9人が初入閣した。うち8人が待機組だ。

最大派閥の安倍派は衆院当選6回の西村明宏氏が環境相、参院当選4回の岡田直樹氏が地方創生相で入閣した。第2派閥の茂木派は衆院当選7回の秋葉賢也氏が復興相、参院当選4回の野村哲郎氏が農相に入った。麻生派は衆院当選6回の永岡桂子氏が文部科学相に就いた。

総裁派閥の岸田派は寺田稔氏が総務相、葉梨康弘氏が法相に就任した。いずれも衆院当選6回を数える。

組閣前は安倍派会長代理の塩谷立氏が2回にわたり首相と面会した。二階派の事務総長を務める武田良太氏も官邸に首相を訪ねて人事の要望を伝えた。それぞれ派閥を率いる麻生太郎副総裁、茂木敏充幹事長は首相と事前に人事を協議した。

内閣改造では各派閥が入閣を要望する議員リストを首相側に事前提出するのが通例だ。実現の可否は派閥の求心力に直結する。首相は待機組の登用で派閥に一定の配慮を示した。
派閥への配慮は19ある閣僚ポストの配分からもうかがえる。

安倍派と麻生派が4つずつ、茂木派と岸田派がそれぞれ3つだった。2021年の総裁選で野田聖子氏を推す動きがあった二階派にも前回同様2つを配した。大枠は前回21年11月の組閣時とほとんど変わらない。

首相が各派閥へ配慮を示すのは政権基盤を固める狙いがあるためだ。岸田派は党内で第4派閥で、安定した政権運営には安倍派をはじめ他派閥の支援が欠かせない。

留任と再入閣はともに5人で、経験者を重用した。新型コロナウイルス対策を指揮する厚生労働相は3回目の登板となる加藤勝信氏を充てる。山際大志郎経済財政・再生相は留任する。食料品やエネルギーなどの物価高も喫緊の課題になる。

外交・安保担当の閣僚は浜田靖一氏が2回目の防衛相で、林芳正外相も続投する。「国家安全保障戦略」「防衛計画の大綱」「中期防衛力整備計画」を年末までに改定する。

首相を含む新内閣の閣僚の平均年齢は62.65歳で、前回組閣時の61.66歳から1歳ほど上回った。二階派で41歳の小倉将信氏を少子化相に抜てきし年齢構成に配慮したものの、過去5年で発足した内閣の中では2番目に高い。

女性閣僚は永岡氏と高市早苗経済安全保障相の2人にとどまった。現憲法下の女性閣僚は小泉、安倍両政権の5人が最多だ。岸田政権は21年秋の発足時は3人だった。閣僚枠が1つ減るのに伴って今春、堀内詔子氏がワクチン担当相を辞任し2人になった。

男女格差に関する国際ランキングで日本は146カ国中116位(22年版)と低迷を続ける。特に政治分野は139位と低い。』

安倍晋三元首相が中国を翻弄した秘策「狂人理論」 「中国が最も恐れた政治家」が使ったアメとムチ

安倍晋三元首相が中国を翻弄した秘策「狂人理論」 「中国が最も恐れた政治家」が使ったアメとムチ
https://toyokeizai.net/articles/-/606101

 ※ 山本五十六の時と同じことを、言おう…。

 ※ 彼の頭脳と行動は、失われて、二度と戻っては来ない…。

 ※ それを前提に、次の策を立案・実行すべきだ…。

 ※ オレ個人としては、「情勢」に与える「力学」としては、「個人の力量」よりも、「地理と歴史の力」の方が、遥かに大きいと思っている…。

『安倍晋三元首相の突然の死により、その外交手腕があらためて注目されている。これから「安倍外交」はさまざまな角度から検証されることになるだろう。しかし、今後の日本外交についてどういう戦略を持っていたかを本人が語る機会はもうない。安倍氏に外交・安全保障について定期的にレクチャーしてきた識者に、日本外交の最大の課題である対中関係にフォーカスして安倍氏の外交構想を描き出してもらった。

「どうも安倍晋三です。アメリカにある中国人女性の『愛人村』と『妊婦村』のルポはとても衝撃的でした」

2016年8月、ワシントン特派員をしていた筆者の携帯が鳴った。電話の向こうは、安倍晋三首相(当時)だった。リオデジャネイロ・オリンピックの閉幕式に出席した帰路、トランジットで立ち寄ったロサンゼルスの日本総領事館から連絡をもらった。

安倍氏は閉会式で、任天堂のゲームキャラクター、スーパーマリオになって登場するというサプライズをやったばかりで少し興奮気味だったのだろうか。直に会話を交わしたのは、このときが初めてだった。国会の答弁や記者会見のときよりも少し声のトーンが高く早口に感じた。

安倍氏はリオデジャネイロ行きの機内で、その1年前に出版した拙著『十三億分の一の男 中国皇帝を巡る人類最大の権力闘争』(小学館)を読んだそうだ。同著では、習近平氏が中国共産党トップに上り詰めるまでの過程について、権力闘争をキーワードに読み解いている。
安倍氏の質問は詳細で具体的だった

しかし、安倍氏の関心事は、権力闘争ではなかった。本で紹介したロサンゼルス郊外にある中国の政府や高官の愛人が暮らしている「愛人村」や、有力者の夫人らが生まれてくる子どもにアメリカ国籍を取らせるために出産目的で一時渡米して住む「妊婦村」に興味があったようだ。

また、同著の冒頭で記したハーバード大学に留学していた習氏の長女のことについても詳しく尋ねられた。「彼女たちが住む家の価格は」「資金はどのように米国に運ぶのか」「学費をどのように賄っていたのか」……質問は実に詳細で具体的だった。

初めて対面したのは、安倍氏が首相を退任した2020年末のことだ。安倍氏から「中国情勢について意見を聞きたい」と旧知の自民党代議士を通じて連絡があったのがきっかけだった。安倍氏の議員会館を訪れると、あいさつもそこそこに4年前の筆者との電話でのやりとりを振り返った。』

『「あのとき教えてもらった『愛人村』や習近平氏の長女のエピソードは、国際会議の場で本当に役に立ちました。中国共産党や習氏の抱える問題点として説明をする材料となったからです。実は、欧米諸国の首脳には、習氏に対して理解不足による過大評価をする傾向があります」

「ドイツのメルケル首相がその筆頭で、『習主席は反腐敗キャンペーンを展開していてクリーンな政治家だ』と、ある国際会議の場で持ち上げて、中国擁護論を展開していました。そこで私が『習氏の給料は長女のハーバード大学の学費より安いのに、どうやって補填しているのでしょう』と指摘したうえで『愛人村』の話をすると、その場にいた首脳たちは中国の腐敗の現状を知り、会議の流れが変わりました」

欧米首脳による習氏への不自然なまでの評価の高さに、安倍氏は違和感を覚えていたそうだ。それとは対照的に、日本の歴史問題を中心に誤解や過度な批判が広まっていた。その理由が明らかになったのが、アメリカのトランプ大統領が雑談中に発したある一言だった。

「『世界で一番残虐なのは日本兵だ』とナチスドイツの軍人が言っていたそうだ。その日本に100年も支配されていたのだから、中国人が反日感情を持つのも無理はないだろう」

あまりにデタラメな内容に安倍氏が「誰からそんなことを聞いたのか」とトランプ氏に尋ねると、「習主席が先日言っていた」と答えたという。

安倍氏は習氏についてこう評した。

「中国共産党が得意な『心理戦』と『世論戦』を始めとする権謀術数に長けている人物だと感じました。あのまま反論しなければ、政治経験が乏しいトランプ氏らはあっさりと習氏に篭絡されていたでしょう。私がいたるところで中国のネガティブキャンペーンを張っていたから、習氏は私のことを強く警戒していたようですが」

地理的に遠い中国に対する欧米諸国の政治家の理解は必ずしも深くない。アメリカの議会でも、中国と台湾の区別をよくわかっていない議員や議会スタッフを散見する。中国を理解して警戒もしていた安倍氏は、習氏にとっては面倒な存在だっただろう。
対中強硬一辺倒ではなかった

一方、安倍氏は中国に強硬一辺倒だったわけではなかった。

2006年に首相に就任して初めての外遊先として選んだのは中国だった。さらに第2次政権でも18年には日本の首相として約7年ぶりの訪中を果たした。

このときは「日中新時代の到来」を掲げ、「競争から協調」という新たな関係を打ち出した。習政権の肝いり政策、シルクロード経済圏構想「一帯一路」にも一転して支持を表明した。人事面でも、自民党ナンバー2の幹事長に中国共産党と関係が深いといわれる二階俊博氏を据えていた。

安倍氏に対中外交の基本姿勢を尋ねた。

「中国は力の信奉者だと思っています。と同時にメンツを非常に重んじる。硬軟織り交ぜた外交が必要です。私は自ら『嫌われ役』を買って出て安全保障分野では中国に圧力をかけつつ、党内の対中強硬派も説得してきた。一方で、二階さんやほかの閣僚には中国側の顔を立ててもらい、経済分野を中心に協力を持ちかけてもらったことが結果としてうまくいったのだと思います」』

『まさに中国が得意とする「アメとムチ」を使い分ける外交の意趣返しともいえるやり方だ。こうした「安倍外交」について、長年対日政策に携わっている中国政府当局者は振り返る。

「戦後初めて、対米追随ではなく、独自の戦略を持った外交を打ち出した日本の指導者だと評価しています。小泉純一郎氏ばりのイデオロギー色を発しながら、田中角栄氏のように実利的なアプローチも仕掛けてくる。なかなか手の内が読めずに苦労しました。ある意味で、われわれが最も恐れた日本の政治家でした」

この説明を聞いて、中国語の「務実(ウーシー)」という言葉が頭に浮かんだ。「実務的なことを重んじる」「現実的で実りのある」という意味で、中国人が最も好む言葉の一つだ。

事実上の中国包囲網につながる「自由で開かれたインド太平洋構想」や、日米豪印戦略対話(クアッド)を提唱しつつも、「務実」に経済関係を強めたことで、2012年の沖縄県の尖閣諸島の国有化以降、どん底まで落ちていた日中関係を好転させたのだろう。

2020年9月の首相退任後も、中国政府が最も警戒していたのは、時の首相ではなく、安倍氏だった。安倍氏は退任後、台湾問題について積極的な発言を続けていた。安倍氏と筆者との意見交換でも、台湾有事についての質問が最も多かった。

筆者は北京特派員時代から、中国軍の内部資料を元に台湾有事について取材を進めており、ハーバード大学の研究員時代にはアメリカ海軍大学校やシンクタンクで研究を進め、独自に台湾侵攻シナリオをつくっていた。そこでは、台湾有事が起こる前から、中国軍がどのように事態をエスカレーションさせていくのかを精緻に分析した。

① 中国公船による台湾海峡の船舶取り締まり。中国海軍による東シナ海一帯での海上封鎖

② 日本の南西諸島の一部を含めた空域での「飛行禁止区域」の設定

③ 日本や米領グアムの近海への弾道ミサイルの威嚇射撃

こうしたシナリオの概要について、筆者は2021年11月に安倍氏に解説する機会があった。安倍氏はしばらくうつむいてから、つぶやいた。
「台湾有事は日本有事だ」

「日本は望む望まざるに関わらず、確実に巻き込まれますね。国を挙げて対策を考えなければならない。台湾有事は日本有事だ」

安倍氏は翌12月に台湾の民間シンクタンクが開いたシンポジウムで、「台湾有事は日本有事であり、日米同盟の有事でもある」と語った。これに対し、中国外務省報道官は「中国人民の譲れない一線に挑む者は誰であれ、必ず頭をぶつけ血を流すだろう」と、異例の猛反発をした。

その後も中国側は安倍氏に翻弄され続けた。中国政府は、安倍氏が台湾をいつ電撃訪問するかどうか警戒していたようだ。安倍氏は振り返った。』

『「私に具体的な訪台の計画がない段階から、中国外務省が北京の日本大使に抗議したり、東京の中国大使館幹部が外務省に申し入れたりして右往左往していたそうです。放っておけばいいんです。私が『狂人理論(マッドマン・セオリー)』をやれば、中国も日本を挑発しづらくなるし、外交交渉も優位に立てるから」

「狂人理論」とは、何をするか分からないと見せかけ、相手を怖がらせて屈服させるやり方で、アメリカのニクソン大統領がベトナム戦争期に使った。安倍氏があえて「狂人」を演じることで、対中牽制をしていたのだ。
安倍氏は「瓶のふた」であり重しだった 

こうして振り返ってみると、安倍氏は二つの意味で、「瓶のふた」であり、重しであったのだと思う。自他ともに認める対中強硬派だったからこそ、存在自体が中国に対して牽制となった。と同時に経済交渉を進める際に、自民党内や世論の「右派」を説得することができた。

この重しを失った今、日本の対中外交が漂流することを筆者は懸念している。岸田政権が安易な対中融和に傾くこともあるかもしれない。そうなれば、足元を見た習近平政権が日本に対して強硬に出てくる可能性がある。抑えが利かなくなった自民党などの右派が対中強硬に一気に傾くことも考えられる。

議員会館の安倍氏の部屋では、何度か岸田文雄首相とニアミスした。外交を中心に安倍氏に助言を求めていたそうだ。2021年9月の自民党総裁選で最終的に岸田氏を支持した理由を問うと、安倍氏はこう答えた。

「外相として4年8カ月の長期にわたって、安倍外交を支えてくれたことを感謝しているからです。自分の手柄にする政治家が多い中で、岸田さんは常に謙虚に懸命に支えてくれました」

「安倍外交の後継者」として、対中外交を含めたかじ取りをしていくのか。岸田氏の真価が問われている。

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峯村 健司(みねむら けんじ) Minemura Kenji
青山学院大学客員教授

朝日新聞で北京、ワシントン特派員を歴任。「LINEの個人情報管理問題のスクープ」で2021年度新聞協会賞受賞。「ボーン・上田国際記者記念賞」受賞。2022年から現職。北海道大学公共政策学研究センター上席研究員も兼ねる。』

首に二つの銃創・心臓の壁に穴、輸血と止血に4時間半

首に二つの銃創・心臓の壁に穴、輸血と止血に4時間半「できること尽くしたが…」
https://www.yomiuri.co.jp/national/20220708-OYT1T50257/

『安倍元首相の死亡を受け、搬送先の奈良県立医科大付属病院(橿原市)の吉川公彦院長と治療にあたった福島英賢教授が、8日午後6時過ぎから大学施設で記者会見した。

安倍元首相の国葬、9月27日に日本武道館で開催…政府が閣議決定
記者会見で安倍元首相の状態を説明する福島英賢・奈良県立医科大学教授(右)(8日午後6時20分、奈良県橿原市で)=枡田直也撮影

 福島教授によると、安倍元首相は午後0時20分に病院に到着。すでに心肺停止状態だった。大量の出血があったため、病院側は20人以上で開胸手術を実施。約4時間半にわたって輸血と止血を続けた。

 銃の傷は正面の首のほぼ中央部分と、5センチほど右側の2か所にあり、体内に2発の弾丸が入ったとみられる。

 心臓の壁に穴が開いており、1発が心臓に達していた。左肩の前部にも傷があり、首から入った弾丸が貫通していった可能性がある。

 福島教授は「いろいろなところから出血しており、完全な止血ができなかった」と振り返り、吉川院長は「病院としてできるだけのことを尽くしたが、本当に非常に残念だ」と話した。

安倍元首相が銃撃を受けた事件を伝える本紙号外を求める人たち(8日午後1時32分、東京都中央区で)=沼田光太郎撮影 』

“計画的な犯行”で元首相を銃殺した山上徹也容疑者(41)の“正体”とは

《安倍元首相銃撃》「家を全然出たがらない子だった」「挨拶しても俯いたり、目をそらす」“計画的な犯行”で元首相を銃殺した山上徹也容疑者(41)の“正体”とは
https://bunshun.jp/articles/-/55801

野党第1党、立民17議席で過去最少 維新は12議席に倍増

野党第1党、立民17議席で過去最少 維新は12議席に倍増
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA1078L0Q2A710C2000000/

 ※ 「小異を捨てて大同につく」ということができない限り、野党勢力は「野党勢力」のままにとどまるだろう…。

 ※ もっとも、自民党の「派閥争い」も、似たようなものだが…。

 ※ しかし、彼らは「政権だけは、握り続けて、けっして離さない。」という一点では団結可能で、土壇場になれば「矛を収める」ことができる…。

 ※ 「野党」は、この「ベクトル」が働かないからな…。

 ※ 「野党勢力」内、もっと言えば、「自党勢力」内の「権力闘争」に明け暮れている限り、「政権取る」ということは、まあ、ムリだろうな…。

『立憲民主党は10日投開票の参院選で17議席にとどまった。選挙前から6議席減らし、野党第1党として過去最少に並んだ。日本維新の会は改選6議席から倍増の12議席を獲得し、比例代表でも野党として最多の8議席を得た。野党内の勢力の伯仲は自民党に一段と優位な政治情勢をもたらす。

野党は32ある改選定数1の「1人区」で4勝28敗と負け越した。与党との一騎打ちの構図をつくれずに政権批判票が分散したことが要因だ。次期衆院選に向けて、野党再編を探る動きが出る可能性がある。

これまでの参院選で野党第1党の最少は2013年の旧民主党の17議席だった。19年の立民も同じ議席だった。

今回の参院選で立民は1人区で青森と長野でしか勝利できなかった。かつて「民主王国」と呼ばれた北海道(改選定数3)でも1議席で、2議席を得た自民に競り負けた。

立民の泉健太代表は10日の記者会見で「次の勢力拡大に向けた努力をしたい」と代表辞任を否定した。執行部の刷新に関しても「現時点で何か考えていることはない」と語った。

維新は改選議席を倍増する12議席を確保し、17議席の立民に迫った。次期衆院選で野党第1党になることを目標にしており、そのためのステップとして「参院選は比例で立民を上回る票を得たい」(松井一郎代表)と公言していた。この目標は達成したことになる。

衆院選に続き、野党第1党の立民が議席を落とし、維新が伸ばす構図となった。衆参ともに野党第1党と第2党の勢力が接近したことで、立民の影響力の低下は避けられない。両党は安全保障などの政策面で距離があり、野党間の連携でもつまずく恐れがある。

国民民主党は5議席で選挙前から2議席減らした。選挙区では山形と愛知で議席を得たものの大分で落とした。比例は3議席で1つ減らした。玉木雄一郎代表は「国民のために政策本位で与野党を超えて、連携していく方針はこれからも掲げたい」と強調した。

連合は労働組合出身の候補9人を推薦した。支持政党を一本化できず、立民から5人、国民民主から4人が出馬した。国民民主から立候補した電機連合出身の現職議員が落選した。電機連合は前回19年参院選に次ぐ落選で、参院の組織内議員はゼロになる。

共産党は現有の6から4議席に減らした。選挙区は東京だけで、比例は伸び悩んだ。れいわ新選組など政策が近い政党に票を奪われたのが主因とみられる。志位和夫委員長は10日の記者会見で、他党との連携について「課題を残したのも事実だ」と話した。』

参議院選挙 2022 開票速報:日本経済新聞

※ 選挙のとき、いつも言ってることだが、「47都道府県」全て合わせて「日本国」だ…。

※ 決して、東京、神奈川、千葉、埼玉の「首都圏」、名古屋を中心とする「愛知圏」、大阪を中心とする「近畿圏」、福岡を中心とする「北九州圏」の大都市圏だけが、「日本国」では無い…。

※ 特に、「テレビメディア」、新聞・雑誌なんかの「オールド・メディア」中心に情報取ってる人は、そこを間違える…。

※ 「メディア」を作成・発信してる人たちが、「集住」しているからな…。

※ 実際に投票するひとは、そこ以外にもたくさん生活してるのよ…。