薬剤師の店舗常駐義務を緩和へ 「アナログ規制」見直し工程表

薬剤師の店舗常駐義務を緩和へ 「アナログ規制」見直し工程表
https://www.47news.jp/politics/8719400.html

『政府のデジタル臨時行政調査会は21日、目視や常駐の義務付けなど「アナログ規制」が含まれる法律や政省令9669件の見直しに向けた工程表をまとめた。副作用リスクの高い第1類医薬品の販売では薬剤師の店舗常駐義務を2024年6月までに緩和し、テレビ電話を用いた説明での販売を認める。政府は、アナログ規制見直しの一括法案を来年の通常国会に提出する。

 先端技術の導入を通じて社会のデジタル化を進めるとともに、人手不足の解消につなげる。工程表には、マイナンバーカードを使って年齢確認し、23年1月からコンビニのセルフレジで酒、たばこを買えるようにすることも盛り込んだ。』

PayPayや楽天ペイ、デジタル給与「受取口座」参入検討

PayPayや楽天ペイ、デジタル給与「受取口座」参入検討
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB131MP013092022000000/

『2021年2月10日 2:00 (2021年2月10日 4:48更新)

スマートフォンアプリなどを使うデジタルマネーによる給与の振り込みが2023年春にも解禁される。スマホ決済会社のPayPayや楽天グループの「楽天ペイ」は、デジタル給与の受け取りサービスへの参入を検討していることを明らかにした。給与口座を銀行以外でも作れるようになり、フィンテックが消費者の人生設計に食い込むチャンスが広がる。

デジタル給与の受け取りサービスには、2023年にもスマホ決済を始めるJCBも参入を検討している。メルカリのメルペイも「前向きに検討する」という。スタートアップではKyash(キャッシュ、東京・港)のほか、デジタル通貨決済のソラミツ(東京・渋谷)が関連会社を通じて参入するとしている。

スマホ決済アプリをデジタル給与の受取口座として使えるようになれば、利用者はその都度お金をチャージする手間が省ける。スマホ決済企業は家族同士の送金や外国人労働者の口座開設需要を取り込める。金融商品なども提案しやすくなる。

ソラミツの宮沢和正社長は「サービスの設計次第では給与振り込みを月1回ではなく、週1回など細かく設計できるようになる可能性がある」と話す。デジタル給与の口座を獲得するためにポイント付与などの競争が激しくなりそうだ。

課題もある。政府はサービスを提供する企業が破綻した場合に備え、個人が預けた資金の残高の全額を保証する仕組みの導入を義務付ける。

銀行などの預金には、金融機関が預金保険料を預金保険機構に支払い、金融機関が破綻した場合、一定額の預金等を保護する預金保険制度という仕組みがある。預金者1人につき1金融機関ごとに普通預金や定期預金などの元本1000万円とその利息が保護される。

一方、スマホ決済アプリの口座でデジタル給与を受け取る場合、預金保険制度を使えない。もともとスマホ決済アプリなどにチャージしたお金は供託などで保全されているケースがあるが、取扱額が日々変動していることから、経営破綻時に必要な金額が確保されていないこともありうる。

東京海上日動火災保険などの損保大手4社は、スマホ決済アプリの口座で受け取ったデジタル給与を保証する保険の開発を検討する。ただ損保などが個別で商品を開発すれば「保険料率は1%は超える」(損保幹部)との声もあり、利用企業にとっては負担が大きくなる可能性がある。

あるスマホ決済企業の社長は「全額保証することを義務付けられるなら、デジタル給与の受け取りサービスへの参入を断念する」と話す。今後は複数の決済業者や業界全体で保証する枠組みをつくるなどの対応が求められそうだ。

(フィンテックエディター 関口慶太、手塚悟史、岩田夏実、四方雅之)

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ニューズレター https://regist.nikkei.com/ds/setup/briefing.do?n_cid=DSREA_newslettertop 』

リクルート、デジタル給与参入検討 中小企業の利用照準

リクルート、デジタル給与参入検討 中小企業の利用照準
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC304330Q2A830C2000000/

『2022年9月13日 20:59

リクルートホールディングス(HD)がデジタルマネーによる給与の支払いサービス参入の検討に入った。2023年春にも解禁されて仕組みなどが整い次第、提供を目指す。スマートフォン決済「PayPay(ペイペイ)」のソフトバンクグループなども参入を検討する。銀行口座でなくスマホで会社から給与を受け取れるサービスが広がる可能性が高まる。

デジタル給与では会社が従業員のスマホ決済アプリなどに賃金を振り込める。これまでは現金払いが原則で、銀行や証券総合口座への振り込みが例外的に認められていた。厚生労働省は省令を改正し、早ければ来春にもスマホ決済会社など資金移動業者の口座への支払いを解禁する。

事業会社リクルート社長の北村吉弘氏は「給与の銀行振り込みを簡単にするほか、デジタルマネーなどでの支払い方法も考えていきたい」と話す。中小企業に照準を合わせ、給与の計算を簡単にできる機能なども想定している。

リクルートHDは飲食店や小売店の業務効率化を支援するクラウドサービスを提供している。またキャッシュレス決済端末「Airペイ」のほか、4月には最大100万円まで運転資金をオンラインで提供する「Airキャッシュ」も開始。融資などを媒介する金融サービス仲介業の登録も完了している。

デジタルマネーで会社が従業員のスマホ決済アプリに給与を即座に送金できるようになれば、支払業務を効率化できる。従業員にとっても、ATMなどから給与を引き出す手間が省ける。銀行口座を持たない外国人などへも給与を支払いやすくなり、人手不足の解消にもつながる。

デジタル給与を受け取る口座を提供する企業としては、ペイペイのほか「楽天ペイ」の楽天グループや「メルペイ」のメルカリなど、スマホ決済各社が参入を検討している。23年にもスマホ決済を始めるJCBのほか、スタートアップのKyash(キャッシュ、東京・港)なども参入を検討している。

受取口座の選択肢の広がりに加えて、リクルートHDのように給与を支払う会社側の業務も効率化するサービスが登場すれば、デジタル給与の導入に拍車がかかる可能性がある

リクルートHDは2013年に、POS(販売時点情報管理)レジ機能をタブレット端末とアプリで実現する「Airレジ」の提供を開始。その後、レジの周辺業務にもサービスを広げてきた。デジタル給与はAirペイやAirキャッシュも含めた金融サービス拡充の一環となる。

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ニューズレター https://regist.nikkei.com/ds/setup/briefing.do?n_cid=DSREA_newslettertop 』

水面下で奔走するデジタル庁 知られざる司令塔の役割とは

水面下で奔走するデジタル庁 知られざる司令塔の役割とは
https://wedge.ismedia.jp/articles/-/27631

『水面下で奔走するデジタル庁 知られざる司令塔の役割とは
漂流する行政デジタル化 こうすれば変えられる

江﨑 浩 (デジタル庁 Chief Architect/東京大学大学院情報理工学系研究科 教授)
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日本のデジタル化というミッションを課され、発足したデジタル庁。チーフアーキテクトの江﨑浩氏に同庁の「現在地」を聞いた。

話し手・江﨑 浩
聞き手/構成・編集部(梶田美有)
江﨑 浩 Hiroshi Esaki
デジタル庁 Chief Architect/
東京大学大学院情報理工学系研究科 教授
1963年生まれ。九州大学工学部修士課程修了。東芝入社、米コロンビア大学客員研究員、東京大学大型計算機センター助教授などを経て現職。著書に『インターネット・バイ・デザイン 21世紀のスマートな社会・産業インフラの創造へ』(東京大学出版会)など多数。

 今、われわれが目指しているデジタル化はこれまでのものとは全く異なる。

 2000年代以降、日本が進めてきたのは今あるものを効率化するという「As-Is」のデジタル化であった。一方で、現在目指しているのは「To-Be」のデジタル化だ。これは、やり方を変えることによって、単なる効率化にとどまらず、それ以上の価値や可能性を見出すことを意味する。

 例えば、印鑑のデジタル化。単にデジタルの印鑑を使用するのは「As-Is」だ。一方、「To-Be」のデジタル化では印鑑が必要となる手順を整理することから始める。例えば支払い業務の決裁時、紙の書面に押印することがあるとしたら、その過程を見直すことで、そもそも押印という行為が不要となることもあるだろうし、オンライン決裁によって、決裁者がアイコンをクリックするだけで支払いまで完了されるように手順を変えることもできる。これが「To-Be」のデジタル化だ。

 デジタル庁がこれまで日本のIT戦略を担ってきた組織と大きく異なるのは「実行力」。かつての組織は司令塔として規定やガイドラインを策定し、自治体などへ「推奨」することが主たる業務だった。一方、デジタル庁ではIT分野に精通した民間人材を登用することによって、推奨するだけでなく、システム自体を自分たちで開発して提供することが可能となった。

 司令塔だけでなく、ベンダーとしての役割も担うデジタル庁に与えられたミッションはさまざまだ。

 自治体向けに与えられた最大のミッションは基幹業務システムの標準化・共通化・モダン化(デジタルネイティブ化)だ。自治体のシステムはこれまで、各自治体専用にカスタマイズされてしまっていた。標準化・共有化・モダン化によって、自治体間でのデータ連携が可能になるため、自治体の業務効率化や国民の利便性向上を図ることができる。

 この他にも、自治体同士が事例を共有し合える場を提供することにより、各自治体間でのデジタル化も後押ししている。例えばビジネスチャットツールを活用することで、気軽に「前例」を共有できるだけでなく、タイムリーなアドバイスも可能になった。現在、約5000人の自治体職員が参加し、日々活発な議論を交わしている。』

『デジタル庁に与えられた難題と国民への価値提供

 デジタル庁の重要な役割の一つに各省庁が持っているシステムの共通基盤化がある。通常の入れ替えだけでも5年程度かかるシステムを、相互利用が可能な形で連携させるには、10年あっても難しいと考えている。

 施策自体のコントロールを各所管省庁が担う中、共通基盤を構築・運用する側として、デジタル庁も各省庁と共通の考え方をもってシステムの仕様を決めていかなければいけない。ただ、デジタル庁内の人材も限られている中で、今後、多くの既存案件や新規案件にデジタル庁がどこまで関与するべきか、というのは目下検討中の課題だ。

 デジタル庁の取り組みとして国民の目に見える成果を出すことも重要である。厚生労働省と連携したワクチン接種記録システム(VRS)や、総務省と進めているマイナンバーカード機能のスマホ搭載がその例だ。政府や自治体向けの基盤構築という長期的な取り組みと並行して、これからも国民が実感できるデジタル化を各省庁と連携しながら進めていく。

 国民に対する価値提供として、今後は民間企業との情報連携を進めることも視野に入れている。国が持っているデータを民間企業が自由に正しく活用できれば、国民がメリットを享受することにつながると考えているからだ。

 発足から1年が経ち、日本のデジタル化に向けたさまざまな課題が見えてきた。解決までの道のりは長いが、デジタル化によって次の世代に何を残せるか──。そのことを常に考えながら日々の業務にあたっている。

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 コロナ禍を契機に社会のデジタルシフトが加速した。だが今や、その流れに取り残されつつあるのが行政だ。国の政策、デジタル庁、そして自治体のDXはどこに向かうべきか。デジタルが変える地域の未来。その具体的な〝絵〟を見せることが第一歩だ。

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ビットコインが有価証券化されたらどうなる?今後の影響について解説!

ビットコインが有価証券化されたらどうなる?今後の影響について解説!
https://zuu.co.jp/media/cryptocurrency/valuable-papers

 ※ 仮想通貨の取引を勧める記述や、オススメの取引所に関する記述、ビットコインは今後も高値を維持するだろうという記述なんかは、カットした…。

 ※ まあ、「参考」程度に読んでくれ。

『2017年あたりから多くの人たちに認知されてきた仮想通貨。その後、取引所のセキュリティをめぐる事故などにより下火となっていましたが、コロナ禍における各国の金融緩和などの影響により、再び注目が集まっています。

今回は、今後の仮想通貨の価値に大きく影響を与える「仮想通貨の有価証券化」の動向について解説していきます。また、仮想通貨と有価証券との違いをはじめ、有価証券化された場合の影響についても説明します。

仮想通貨は有価証券として認められる?

仮想通貨は当初、一部のITに精通している人々にのみ熱狂的に受け入れられ、一般の人々からは、その将来性や安全性が疑問視されていました。ただ、今では一般の人々にもその有用性が浸透しつつあり、有価証券として認めるべきだという議論が日本だけでなく、世界中でされています。ここからは、仮想通貨は本当に有価証券として認められるのか、についてみていきましょう。

仮想通貨と有価証券の違いとは

仮想通貨とは、電子データのみでやりとりされる通貨のことを言います。インターネットを通じて不特定多数の間で取引される商品やサービスの売買で使用でき、換金も可能です。仮想通貨の種類は、年々増加傾向にあり、代表的なものとして「ビットコイン」や「イーサリアム」「リップル」などが挙げられます。

仮想通貨は大きく以下の2種類に分けられます。

仮想通貨は大きく2種類に分けられる

ビットコイン
ビットコイン以外=アルトコイン

ビットコインは世界的な認知度も高く、多くの投資家に信頼されている仮想通貨です。一方、ビットコイン以外の仮想通貨、イーサリアムやリップルはアルトコインと呼ばれています。

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リップルの最新ニュースを紹介!今後の価格はどう動く?

仮想通貨を有価証券として認可?アメリカの動向

ここ数年、仮想通貨を有価証券として認めるべきという論争は世界中でされていますが、どの国においてもまだ仮想通貨を有価証券として認めている国はありません。

ここからは、世界の中でも先進的な動きを見せているアメリカの規制ルールについてみていきましょう。

  1. 米証券取引委員会(SEC)

米証券取引委員会は証券の取引を監視し監督するアメリカの組織で、Securities and Exchange Commission(SEC)と呼ばれます。そのSECにて、2018年11月、仮想通貨の調達方法であるICO(※注)を有価証券とみなし、規制する方向であることを発表しました。

ICOによって新規に公開された仮想通貨は「トークン」と呼ばれ、これらのトークンに対して、先見性を持った投資家が購入(出資)を行います。これが株式を使用した資金調達方法とかなり類似していることから、SECは仮想通貨を有価証券としてみなすべきだという見解を示しているのです。

※注)ICO(イニシャルコインオファリング)。新規通貨公開。株式で言うところのIPO(株式公開)とほぼ同義。

  1. 米国商品先物取引委員会(CFTC)

CFTCは2017年7月に仮想通貨「ビットコイン」の先物取引を認可しました。これがビットコインをコモディティ(商品)として判断したということで話題となりました。CFTCで取引されているコモディティは、以下です。

CFTCで取引されているコモディティ

エネルギー(ガス・原油)
貴金属(金、銀、プラチナなど)
穀物(小麦、大豆、とうもろこしなど)
非鉄金属(アルミ、銅など)

これまでは目に見える実物の資産のみがコモディティに該当していましたので、ビットコインのような目に見えない商品を取引対象としたことは、とても革新的な動きでした。

  1. 米国連邦地方裁判所

米国商品先物取引委員会(CFTC)はビットコインを含む仮想通貨は商品であり、監視下に置くべきだという主張をしています。この主張と合わせて、米国連邦地方裁判所でも同様に「仮想通貨はコモディティ(商品)である」という判決を下しました。

このようにアメリカでは、仮想通貨を有価証券として定める方向で準備が進んでいます。
ビットコインをはじめとした仮想通貨が有価証券として認められれば、株式のように証券取引所に上場させる動きも活発になるでしょう。そして、今以上に多くの投資家から注目を集め盛んに取引されることになるでしょう。また、アメリカに比べてスローペースな日本国内においても、アメリカでの動向はかなり大きな影響を与えることから、今後の動きに注目が集まります。

仮想通貨と有価証券の大きな違いとは?

2021年4月現在、日本国内においても仮想通貨は有価証券として認められていません。ここからは、仮想通貨と有価証券が具体的にどのように違うのかについて詳しくみていきましょう。

仮想通貨と有価証券の違い

仮想通貨:雑所得扱い

有価証券:財産として価値があると証明されるもの
 例)株式、国債、債券、手形、小切手

雑所得である「仮想通貨」は、課税の対象です。通常利益額の3割、場合によっては半分以上の金額を税金として支払わなければいけないことから、他の投資と比較して不利になることが多いとされています。特に日本の場合は累進課税のため、利益額が大きければ大きいほど支払う税金の額は増えていきます。

一方、有価証券は「財産権を示す証券」のことで以下の3種類に分類されます。

有価証券の種類

貨幣証券:手形・小切手・運送証券など、金銭と引き換えられる証券のこと

物財証券:商品券や船荷証券、証拠証券など、一定のサービスを受ける権利を有する証券のこと

資本証券:資本提供者の権利を表す証券のことをいい、株式や債券、投資信託など受益証券がある

資本証券は課税対象となっていますが、雑所得よりも税金はかなり抑えられているのが特徴です。株式に関しては、所得税15.315%と住民税5%の税金を納めることになっているので、仮想通貨よりもかなり節税できることがわかります。このため、投資家たちの間では仮想通貨を有価証券化すべきだという意見が多く出ており、議論がされているのです。

仮想通貨「リップル」に見る有価証券との違い

有価証券化問題で大きく打撃を受けているのが、仮想通貨の中でも世界的認知度の高い「リップル」です。証券に該当する可能性が、とても高い仮想通貨を独占的に販売したことで1,300億円の売り上げを出していたため、米国証券取引委員会(SEC)から提訴されています。

しかしリップル社は「有価証券に該当しない」と一貫して主張し、証券としてみなされることに強い危機感を表しているようです。その理由は、以下が考えられます。

リップルが証券ではないと主張する理由

規制当局の監督下に置かれることで規制が強化される
ICO(イニシャルコインオファリング)が作りづらくなる
仮想通貨取引所で取引しづらくなる

規制当局の監督下に置かれることで規制が強化される

様々な規制が強化されることで、今までのような柔軟かつ自由な取引ができなくなることを懸念していると言われています。特に取引ルールが厳格化されることで、ICO(イニシャルコインオファリング)での資金調達が難しくなると考えられており、企業にとっては死活問題ともなりかねません。

ICO(イニシャルコインオファリング)が作りづらくなる

仮想通貨が有価証券として取引されることで、管轄元から認可されていない仮想通貨取引所では取り扱うことができなくなります。

仮想通貨取引所で取引しづらくなる

仮想通貨が有価証券化された場合、証券取引所でしか取引ができなくなります。現状、仮想通貨取引所は24時間365日営業しているため、いつでもどこでも好きなタイミングで取引ができます。一方、証券取引所は限られた営業時間のなかでの取引となるため取引時間が限られてしまい、売買のチャンスを逃してしまうことも大いに考えられるのです。

上記3つの理由からリップル社は仮想通貨・リップルの有価証券化に対して前向きな姿勢を示していないのです。

金融庁が「有価証券ではない」と発言

リップルの証券化問題で話題となっている最中、日本の金融庁は2021年1月に「リップル社の仮想通貨XRPは有価証券に該当しない」という書面を世界に向けて発表しました。金融庁がXRP問題に関して法的な見地からコメントを発表したのは初めてだったことから、業界内外でもかなり話題となりました。

金融庁の発表を受け、国内大手の暗号資産取引所を運営するSBIホールディングス代表取締役の北尾氏は「日本の金融庁はXRPが証券でないことを明言しています。SBIホールディングスは引き続きRippleの確固たるパートナーとして、共にアジアで事業拡大に取り組みます」と発言しています。金融庁や大手企業の取締役の発言が今後アメリカでの訴訟問題に大きく関わってくると世界中から注目が集まっているのです。

ビットコインの今後の扱いはどう変わる?

ビットコインは仮想通貨の代表的な通貨として知られており、一度は耳にしたことがあるという方がほとんどでしょう。様々な仮想通貨が発行されていますが、ビットコインは常に時価総額首位をキープしてきました。ここからはそんなビットコインの有価証券化に向けての動きや今後の動向について解説していきます。

今後有価証券化される可能性はかなり大きい

ビットコインは、仮想通貨の中でもシェア率が最も高いこともあり、有価証券化がかなり有力とされています。しかし、2019年にはアメリカのSECが「ビットコインは有価証券でない」と見解を示しました。

この見解には明確な規制や法的拘束力があるわけではありませんが、SECがこのような考えを明確に示したことは世界に大きな影響を与えたのです。しかし、今後先進国で仮想通貨の有価証券化の流れが加速していけば、ビットコインに関しても同様の動きがあることでしょう。

仮想通貨の今後に注目が集まる

ビットコインをはじめとした仮想通貨の有価証券化について解説してきました。アメリカ国内では現在も議論がされていますが、アメリカの規制が世界に大きな影響を与えることは間違いありません。今後も最新の動向に注視しながら、上手に仮想通貨と付き合っていきましょう。

暗号資産(仮想通貨)と有価証券の関係に関するQ&A
 
Q. 暗号資産(仮想通貨)は有価証券ですか?

A:2021年現在、有価証券に暗号資産を含めている国はありません。
ここ数年、世界中で”暗号資産を有価証券とすべきか否か”が議論されています。
特にアメリカからは有価証券と認める方向性が見受けられます。
 
Q. 暗号資産(仮想通貨)と有価証券の違いは何ですか?

A:税法上の違いが大きく、暗号資産は雑所得としての課税対象です。

有価証券も課税対象ですが、雑所得と比較するとかなり低い税率です。
暗号資産に係る税率は約30%、場合により50%以上です。
株式の場合は税率が約20%なので、暗号資産と有価証券における税率の差はとても大きいです。
 
Q. 暗号資産(仮想通貨)は将来、有価証券とみなされる可能性がありますか?

A:現在は暗号資産を有価証券としている国はありませんが、将来的には認められる可能性があります。
特にビットコイン は暗号資産の中でも占有率が高く、有価証券化が有力視されれいます。
SEC(米証券取引委員会)の見解は「暗号資産を有価証券とみなすべき」というのも見逃せません。

CFTC(米国商品先物取引委員会)はビットコインの先物取引を許可し、米国連邦地方裁判所は「暗号資産は商品である」との判決を出しました。

日本はアメリカに比べ動きが遅い点は否めませんが、アメリカの動向に影響を受けると思われます。
 
NET MONEY, 編集部
著者 NETMONEY(ネットマネー)編集部 』

インフラ点検、目視不要 アナログ規制4000条項を改正へ

インフラ点検、目視不要 アナログ規制4000条項を改正へ
【イブニングスクープ】
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA017PJ0R00C22A6000000/

 ※ こういうことは、一気には難しい…。

 ※ ジワジワ、行かないとな…。

 ※ それでも、「コロナ」のおかげで、問題点が炙り出された形だ…。

 ※ 既存の制度は、「それなりの意味」があって「既存の地位」についている…。

 ※ もの事、何でも「両面」がある…。「プラス」を増やして、「マイナス」を減らす方向を探らないと…。

『政府は対面や常駐といったデジタル社会に適合しない「アナログ規制」を義務付ける法令について、およそ4000条項を改正する調整に入った。ダムや堤防といったインフラ点検で目視を求める規制などを撤廃する。ドローンなどデジタル技術の活用を認めて効率化につなげる。

デジタル化と規制・行政改革を一体で進めるデジタル臨時行政調査会(臨調)が3日にも公表するアナログ規制の改革案に盛り込む。法令を改正する時期は原則明示せず、9月までの調整をめざす。期限を区切って実行に移せるかが問われる。

政府の調査によると日本の法律・政省令はアナログ規制に関する条項が5000程度あった。このうち8割についてデジタル技術を活用した手法で代替できるようにする。残りの1000条項の扱いは年内に判断する。

インフラ点検の規制は河川法などが定める。ドローンによる点検は道路やトンネルで可能だったものの、河川やダム、都市公園には使えなかった。デジタル機器の導入を促し、人手不足でも老朽設備の安全対策を進めやすくする。

デパートやホテルに設置する消火器具や火災報知機に関し、専門資格を持つ人が6カ月に1度点検することを求める消防法も改める。機器が正常に稼働すると自動で確認できる機能を設ければ、人による点検を不要にする方向で検討する。

国家資格の更新などで求める対面講習はオンライン受講を可能にする。介護施設で管理者の常駐が必要だった規制は、利用者のサービスにかかわらない業務であればテレワークへの切り替え容認を探る。

この記事の英文をNikkei Asiaで読む
Nikkei Asia https://asia.nikkei.com/Business/Technology/Japan-to-expand-drone-inspection-of-infrastructure-in-law-reform?n_cid=DSBNNAR 』

「デザインで行政に貢献していきたい」デジタル庁CDO浅沼尚さんのデザインプロセスとは?

「デザインで行政に貢献していきたい」デジタル庁CDO浅沼尚さんのデザインプロセスとは?
https://www.wantedly.com/companies/bcgdv/post_articles/357799

『今回のゲストは、今年9月に設立されたデジタル庁にてCDO(Chief Design Officer)に就任された、Japan Digital Design株式会社の浅沼尚さん。

これまでのデザイナーとしてのキャリアの変遷や、CDOやCXO(Chief Experience Officer)としての役割、普段から実践しているデザインのプロセスについてうかがいました。

■ プロフィール

浅沼 尚(あさぬま・たかし)

デジタル庁 Chief Design Officer、Japan Digital Design株式会社 Chief Experience Officer。

2018年から三菱UFJグループ戦略子会社においてCXO(Chief Experience Officer)としてデザインチームの組成、三菱UFJグループと協業による新サービス開発の体験デザイン、従業員体験デザインを中心とした組織開発に従事。

2021年9月からデジタル庁のCDOに就任。

大手企業のインハウスデザインとデザインコンサルティング経験を活かし、大規模プロジェクトにおいてデジタルプロダクトからハードウェアまで幅広い領域でデザインプロジェクトに参画。

IF Design Award、Red Dot Design Award、グッドデザインアワード等、国内外のデザイン賞を受賞。

花城 泰夢(はなしろ・たいむ)

BCG Digital Ventures, Partner & Director, Experience Design。

2016年4月、BCG Digital Ventures Tokyo の立ち上げから参画。東京拠点のExperience Designチームを牽引し、ヘルスケア、保険、消費財、金融などの領域で新規事業立ち上げやカスタマージャーニープロジェクトを実施。

日本のみならず、韓国でも金融や小売業界にて新規事業立案やカスタマージャーニープロジェクトを行ってきた。UI/UXを専門領域としている。

CXOとして一番大事なのは組織のカルチャーをつくること。

花城:デジタル庁でCDOに就任されたことをはじめ、浅沼さんのデザイナーとしてのキャリアの変遷が気になる方は多いと思います。

これまではどのようなキャリアを歩まれてきましたか?

浅沼:キャリアはちょっと特殊かもしれません。

デザインコンサルティングの仕事はここ5年ほどで、もともとはメーカーのインハウスデザイナーとして活動していました。

2017年頃からデザインファームで金融、航空、リテール、流通などでUXのコンサルティングに従事し、その後、MUFGの戦略子会社Japan Digital Design株式会社で新サービス開発や金融サービスの体験デザインを行っています。

そして今年の9月から政府の仕事を始めることになりました。

花城:政府の仕事を始める前に、金融業界を経験しているんですね。

金融サービスのデザインをしていた経験が行政に役立ったりもするのでしょうか?

浅沼:そうですね。

金融業界は、タイムラインや仕事の進め方が特徴的ですし、他の業界と比べると開発費も大きく社会インフラとしての責任も負っています。

そういう意味で、政府の仕事に近しいものはあるかもしれません。

花城:デザイナーとしての役割も、過去と比べて変わってきているんですか?

浅沼:はい、私は工業デザイナーからキャリアを始めているのですが、比較的歴史の長いクラシカルな領域なので、一人前になるまでに5年、10年は当たり前なんです。

当時はUXデザインの明確な定義がないなか、デザイナーはあたりまえのようにUXデザインと近似したアプローチでデザイン業務をしていました。

製品開発においてあたりまえのようにUXデザイン的なことをやりながら、デザインマネジメントやデザインディレクターとしての経験も積んできた。

大雑把に言うと、そんな感じのキャリアです。

花城:ちなみに「Chief Experience Officer」のような肩書きになったのはいつ頃からですか?

浅沼:ここ数年の話なので、2018年くらいからですね。

「CXO」のようなタイトルを設置すると、会社としてデザインに注力しているという姿勢を対外的に示せると思うんです。そういう意図もあり、戦略的につけたという背景がありました。

花城:浅沼さんの考えるCDOやCXOの役割はなんだと思いますか?

浅沼:これまでの自分の業務を俯瞰してみると、次の4つが挙げられるかなと思います。

組織に魂が宿るためには、3つ目の「カルチャー」の部分が特に大切だと思っています。

花城:僕も企業のインハウスデザインを支援したり、組織づくりの支援をしたりするのですが、取り組みの中でもとりわけ難しいのが「カルチャー」だと思います。

もともとあった企業文化や働き方も活かしながら、「アジャイル」や「ヒューマンセントリックなものづくり」といったトレンドも組み込もうとすると、組織内から思わぬ抵抗にあったり、周囲の理解を得ていくのがなかなか大変です。

カルチャーづくりのポイントはありますか?

浅沼:イレギュラーなのであまり参考にならないかもしれませんが、CXOになった翌年にコーポレートカルチャーのチームをつくり、そこのヘッドも兼任させてもらったですよね。

デザインチームとカルチャーチームの両方の権限を持たせてもらったかたちです。

「カルチャーは大切」ということを経営層に啓蒙することはとても重要です。

トップにカルチャーへの理解を促し、お金と人と時間をかけるべき経営資源であることを伝え続けました。

カルチャーづくりをするなら、ハイレイヤーなマネージャーたちを巻き込むことが必須だと思っています。

花城:なるほど!経営層にも理解を得ていく為にカルチャーチームをつくるのはいいですね。

カルチャーチームは何人くらいの規模だったんですか?

浅沼:チーム自体は3人だったのですが、大事なのは社長直下に部署をつくるということです。

「会社の方針」というメッセージになるので。やっぱりカルチャーがないと人材が定着しないし、プロダクトやサービスをつくる上で迷った時に拠り所になるものがなくなってしまうので。最近では、戦略つくるよりカルチャーつくったほうが早いなんて思ったりしています。

花城:それはめちゃくちゃ共感します。

カルチャーづくりには横断的に物事を見えるデザイナーがやるから相性がいいですよね。
それから、「つぎのCXOやCDOのポジションをつくる」というのはどういうことですか?

浅沼:今って「CXO」や「CDO」の存在が認知され始めた時期だと思うんですよね。

「CXOをつくってみたけど意味なかったね」とならないように、ポジションとしての価値や存在意義をきちんと示していくことが大切だと思っています。

まずは、つくってみる。デザインプロセスの考え方

花城:次は、浅沼さんのデザインのプロセスをお聞きしたいです。

普段どのようにプロジェクトに関わっているのか、秘伝のタレ(笑)を教えていただけますか。

浅沼:特殊なことはぜんぜんしていません。私はいわゆるデザインシンキングのプロセスに則っているのですが、「ダブルダイヤモンド」のプロセスを「トリプル」にしています。

金融サービスのような規模の大きなサービスを動かすとき、プロトタイプフェーズと開発フェーズを混同してしまうことってよくあると思うんですよ。

基本的にはプロトタイプでソリューション検証をしてから開発のフェーズに進まなければいけないんだけど、検証しないで本開発に着手してしまう。

花城:そこを一緒にしないためにダブルダイヤモンドにひとつ加えて「トリプル」に切り分けたんですね。

浅沼:そうです。

「お客さんのニーズを捉えていますね」「課題解決の検証もできましたね」という二つのゲートを通った上で初めて「開発して、グロースさせていきましょう」という段階を踏むべきだと思うんです。

それに、明確なプロセスにまとめることで、デザイナーが入るべきタイミングの見極めや適切なデザイン活動ができると思っています。

花城:BCGDVでも顧客への理解からはじまり、AsIs(現状の姿)とToBe(あるべき姿)を可視化しながら、プロトタイプで解決策をどんどん形にしていき、そこから開発へと繋げていくのでプロセスは非常に近いですね。

ちなみに、③(開発実装・評価)まで進んで「2マス戻る」みたいなこともあるんですか?

浅沼:さすがに「2マス」はないですね(笑)。

でも、②(ソリューション発想・検証)で検証してみたらビジネスとして成り立たなそうだと分かり、①(顧客理解・課題定義)に戻ることはあります。

それでも、実装してしまってから気づくよりはマシですよね。検証の結果「できない」と分かることは一つの知見だと思っています。

花城:それぞれの期間はどれくらいですか? 「顧客理解」に1ヶ月、「ソリューション検証」が1ヶ月、「実装・開発」が1年とか?

浅沼:いい線ですね。金融サービスは開発に1年くらいかかるものも多いですね。

花城:なるほど、金融となると基幹システムとの連携やセキュリティも含めると長期の開発期間がどうしてもかかりますね。

ソリューションを産み出していく際のデザインをするときに心掛けていることはありますか?

浅沼:「Thinking(仮説) ⇄ Doing(検証)」と書いたのですが、デザイナーの立場としては「まずはつくってみよう」という姿勢を大切にしています。

頭でっかちにならないで、まずは手を動かしてみる。

花城:プロトタイプ思考にはすごく共感します。

僕もプロジェクトにおいては「Thinking」と「Doing」の往復を高速で繰り返すようにしています。

リサーチと並行しながら、得た気付きをもとにDay1からプロトタイプをつくっていくことで「Thinking」の深みが増していくんじゃないかと思ってます。

エンジニアとデザイナーでイテレーションしながらプロダクトを進化させていくことで理想の顧客体験に近づくはずなので。

社会的意義が大きいのにビジネスになりにくい分野に、デザインの力で取り組んでいく

花城:普段は、どんなインプットをされているんですか?

浅沼:今回まとめてみて、コロナ禍でうまくインプットできていないなと改めて気付かされたのですが、個人的に心に残るインプットの手段は、人、本、実体験の3つくらいです。

やっぱり人と会って話した内容は、自分が行動するときに影響しますよね。

デザイナー同士でコミュニケーションするときも、そのときのトレンドを踏まえようとすると、やっぱり「話す」が一番早いんですよね。

花城:本だと、どうしても半年から1年くらい情報が遅いと感じることもありますよね。

その点、現場で活躍するデザイナーの生の声や意見は貴重ですよね。

浅沼:「本」は、体系化されているので学びやすいですよね。

デザインでも業界が変わると、かなり勉強しないといけないです。

一般的な業界のルールや、ビジネスの成り立ちのようなところを新たに学ばないといけない。

プロジェクトによってはビジネスコンサルティング会社が出しているようなレポートを3年分くらい読むこともあります。

花城:それから、実体験ですね。

浅沼:はい、自分の中に残るという意味で、実体験は影響力が大きいですよね。

最近って、物の売買がかんたんになりましたよね。気になったガジェットは一旦買って使ってみる。それで、ダメだったら数ヶ月で売っちゃうというやり方をしています。

花城:これから挑戦していきたいことは何かありますか?

浅沼:ここ数年は、デザインでどのように社会に貢献できるかについて考えています。

企業のなかで新規事業のデザインを行ってきましたが、企業にいるとそもそも取り組むのが難しい領域があることが分かってきました。

その一つが、社会課題の解決といわれる領域です。この図は、書籍『ビジネスの未来 エコノミーにヒューマニティを取り戻す(山口周著)』からの引用です。

出典:『ビジネスの未来 エコノミーにヒューマニティを取り戻す』山口周・プレジデント社

浅沼:横軸が「問題の普遍性」で、縦軸が「問題の難易度」です。

問題の普遍性が高いということは、解決するとスケールしやすいので、収益性が高くなりやすいですよね。

一方で、普遍性が低いということは個別対応になりでスケールしにくいので、収益性を上げるのが難しくなります。

そして縦軸は、問題が難しければ難しいほど必要な投資額が大きくなる。現在の資本主義活動のなかでは、必然的に「経済合理性限界曲線」という線の内側しか解決できなくなる傾向にあります。

企業活動においては、問題の普遍性が大きくて、難易度が比較的低いもの、図でいうと右下の部分はスイートスポットで、みんながやりたがる事業領域ですよね。

一方で、比較的少人数しか困っていなくて、解決するために多くの投資が必要な左上の部分は、現在の資本主義の考え方でいうと「儲からない」領域でなかなか手がつけられないんですよね。

でも、ここを本当に切り捨てていいのかというのは最近考えています。

花城:なるほど。「問題の難易度が高いけど、収益性が低い」領域で何か具体例はありますか?

浅沼:例えば、高齢者福祉や児童教育の世界ですよね。

個別性が高いのでみんなに同じものを渡してもなかなか解決できないけど、カスタマイズしようとすればお金がかかるので、本当はすぐにでも着手したほうがいいのに放置されがちなんです。

それから「難病」とか「地域の過疎化問題」などは、社会的意義が大きいのに、ビジネスにはなりにくい。

こういう領域での課題を解決できるような活動に携われるといいなと、最近は考えています。

花城:BCGDVでも、SDGsや企業の環境への取り組みをイノベーティブにサポートしていく”Green Ventures” という取り組みを始めました。社会課題に向けた動きは今後も加速していきそうです。

それでいうと、行政への取り組みも浅沼さんの中ではデザインで挑戦していきたい領域ということですね。。

浅沼:そうですね。

行政や社会課題解決の分野においてデザインで貢献するというのは、チャレンジングでありながらもやり甲斐があるデザイン領域だと思っています。

花城:今回、浅沼さんとお話してデザイナーのキャリアとしてCDOやCXOへの道があることや、まずは「カルチャー」に取り組むことへの重要性を伺うことができました。

デザイナーだからこそ部門を横断したり、カルチャーの基点づくりになっていけるのだと改めて思いました。

そして行政を含め、まだまだデザインの手が届いていない領域でのチャレンジで社会に貢献していく姿を感じることができたので、今後のご活躍も期待しています。

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「デザインで行政に貢献していきたい」デジタル庁CDO浅沼尚さんのデザインプロセスとは?

Akiko Tanaka
BCG Digital Ventures / Recruitment Manager
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BCG Digital Ventures / Recruitment Manager 』

石倉デジタル監の交代発表 事務方トップ、後任に浅沼氏

石倉デジタル監の交代発表 事務方トップ、後任に浅沼氏
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA260XR0W2A420C2000000/

 ※ 何回も、繰り返し言っていることだ…。

 ※ 「デジタル化」とは、「コンピュータ」の支援を受けるということだ…。

 ※ 日常の業務において、どこが「コンピュータの支援を受けること(≒コンピュータにやらせること)」が可能なのか、「絶えず、探ること」「絶えず、考えること」が必要不可欠となる…。

 ※ そのためには、「コンピュータとは、何なのか」「限界は、どこにあるのか」を把握していることが不可欠だ…。

 ※ 昨今では、これに、「インターネット」の仕組み、「ネットワーク」の知識なんかも、必須となる…。

 ※ そういう知識基盤の上に、前述のように、「絶えず、業務のコンピュータ化」を探っていく…。

 ※ そういう「ベクトル」が無いところに、ヒト・モノ・カネを注ぎ込んでも、ダメの皮だ…。

『デジタル庁は26日、事務方トップのデジタル監を交代する人事を発表した。2021年9月の同庁発足から務めた石倉洋子氏が4月26日付で退任する。チーフ・デザイン・オフィサー(CDO)を務める浅沼尚氏が後任に就く。

牧島かれんデジタル相は同日の記者会見で、石倉氏が退任する理由に言及した。「デジタル庁立ち上げという当初の役割を果たし次の世代に引き継ぐと本人から申し出があった」と説明した。

浅沼氏は商品やサービスのアイデアづくりから企画、開発などに一貫して関わるデザイン部門を歩んできた。直近は三菱UFJフィナンシャル・グループのフィンテック子会社に在籍した。デジタル技術を使った新サービスの開発などを担ってきた。

牧島氏は「国民目線のサービスの提供に必要な知見を備えている」と評価した。およそ600人の職員で発足したデジタル庁は700人規模にまで拡大した。

【関連記事】
・石倉デジタル監が退任へ デジタル庁の事務方トップ
・「原点は絶対に見失わない」 牧島かれん・デジタル相

【ルポ迫真「もがくデジタル庁」連載一覧】
・デジタル庁迷走「誰が決めているのか」 発足から半年
・「会議に出たくない」 デジタル庁、民間出身職員が反発
・「お手並み拝見だ」 デジタル庁、試される突破力
・「結局アマゾンか」 デジタル庁、クラウドで米2社選定

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多様な観点からニュースを考える

※掲載される投稿は投稿者個人の見解であり、日本経済新聞社の見解ではありません。

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柯 隆
東京財団政策研究所 主席研究員
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ひとこと解説

この人事が失敗した一番の原因は、年輩の方を差別するつもりはないが、デジタル庁といわれるぐらいだから、もっと若い方に託すべきではなかったのか。

かつての経歴は輝かしかったかもしれないが、体調もあまり優れないことを考えて、本人も苦しかったはずだった。

このポストは役所との折り合いも重要だが、同時に、国際社会と行き渡らないといけない。前政権の平凡さは明々白々

2022年4月26日 11:07

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梶原誠
日本経済新聞社 本社コメンテーター
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ひとこと解説

最近は毎日、海外出張から帰国した人から「帰国した際の日本の空港での手続きが外国より煩雑でかなわない」という不満を聞きます。

同じ事を何度も聞かれたり長い間待たされたり。

一時間半で解放された米企業のトップは、「短くて良かったですね」と日本人に言われて激切れしたそうです。

デジタル化の遅れが原因です。大型連休で海外旅行から帰った多くの人々の不満が爆発するかもしれません。立ち止まっている余裕はありません。

2022年4月26日 11:39

蛯原健のアバター
蛯原健
リブライトパートナーズ 代表パートナー
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ひとこと解説

任命責任云々という声もあまりメディアからも野党からも聞かれない。

本件がそれほどマスメディアで大きく取り上げられないこと自体が皮肉にも日本のデジタル化、DXの遅れを物語る象徴ではなかろうか。

2022年4月26日 11:22 』

国民には求めるオンライン会議も拒否…国会と国会議員のITスキルがゼロに等しい実態

国民には求めるオンライン会議も拒否…国会と国会議員のITスキルがゼロに等しい実態
https://biz-journal.jp/2022/04/post_290025.html

 ※ 『そこで、大久保議員の秘書に「ヤマダ電機あたりに行って、プロジェクターとスクリーンを買ってきてください」とお願いした。さらに講演当日は、かなり不安だったために、講演開始時間よりも1時間以上早く会議室に到着した。』

 ※ 『すると、案の定、プロジェクターもスクリーンも、買ってきたままの状態で箱に入ったままだった。仕方がないので、自分で開封し、自分でプロジェクターもスクリーンもセットアップし、加えて、会議室の座席も、それを見やすいように配置を変えた。』…。

 ※ そりゃ、使ったことない人だったら、そうなるわな…。

 ※ 『すると、最前列に陣取っていた多くの国会議員から「おお! すごいね、君、絵が動くじゃないか!」と歓声が上がったのである。こちらとしては、そんなことはどうでも良くて、内容に注目してほしいと思うのだが、約1時間の講演を行っている最中ずっと、アニメーションの動きに「おお、おお!」という声が上がり続けていたのである。この講演会終了後、大久保議員の秘書に「湯之上さん、あなたは国会で初めてプロジェクターとスクリーンを使って講演をした人になりました」と言われた。これが2013年秋のことである。』…。9年も前の話しだぞ…。

 ※ 『湯之上 「私は、パワーポイントでアニメーションを多用します。したがって、自分でPCの操作を行う必要があります。私の意見陳述の際、PCのそばに移動しますがよろしいですね?」

事務局 「ダメです。参考人は席から移動してはいけません」

湯之上 「なぜですか?」

事務局 「そういう決まりになっているからです」』…。悪しき「前例主義」の典型か…。

 ※ ヒデーもんだ…。ヤレヤレだ…

 ※ 桜田議員だけの話しじゃ、なかったんだ…。

 ※ まあ、「秘書さん」が、カバーしてるんだろうな…。

 ※ そういうヤカラが、「日本のITの未来」について議論したり、「ITの観点からの経済安全保障の国家戦略」なんかの、「企画・立案」に参画しているんだぜ…。

 ※ 「デジタル庁」なんか、大丈夫なのか…。

『2022年3月23日は歴史的な日となった

 2022年3月23日、ウクライナのゼレンスキー大統領が国会で初のオンライン形式の演説を行った。その演説内容はさておき、「国会でオンライン形式の演説が行われたこと」が歴史的であった。もちろん、喜んでいるのではない。今頃何をやっているだと嘆いているのである。

 新聞報道では、ゼレンスキー大統領からオンライン演説の申し入れがあった直後に、「前例がない」というネガテイブな意見が相次いでいたという(3月25日付日本経済新聞)。そして、その申し入れから1週間以上たった3月23日に、国会の本会議場ではなく、衆議院第一議員会館国際会議室及び多目的ホールにて、前掲のオンライン演説が行われたということである。恐らく、衆議院や参議院の本会議場に大型のスクリーンやパネルを設置することが難しいため、窮余の策として、そこに大きめのパネルを設置して、オンライン演説に漕ぎつけたのだろう。

 2020年に入ってコロナの感染が拡大するとともに、世界的にリモートワークが普及した。今や筆者の仕事は、ほぼすべてがオンラインだ。また、各種の国際学会やセミナーも、すべてオンライン、またはオンラインとハイブリッドで開催されている。にもかかわらず、国会では2022年3月23日に至るまで、オンラインでの会議が一切行われなかったわけだ。民間企業にオンラインを推奨しているにもかかわらず、その張本人たちがオンラインを行ってこなかったのである。これは、国会議員の怠慢といわざるを得ない。

 筆者は、国会に「リアルではなく、オンライン会議を行ってほしい」と要請したのに、「技術的に無理」と黙殺された経験がある。そこで本稿では、過去に筆者が国会との関りにおいて経験した内容をもとに、いかに国会ならびに国会議員たちのIT化が遅れているかを、実例を挙げて詳述したい。その上で、今回のゼレンスキーのオンライン演説を契機に、国会と国会議員が、せめて一般人レベルぐらいまではIT(PCも)を使えるようにするべきだということを、声を大にして言いたい。現状では、世界的に見て日本の国会議員の多くのITレベルは絶滅危惧種の水準である。

2013年に国会デビュー

 筆者は、当時与党だった民主党の経済産業常任委員長を務める大久保勉議員から、拙著『日本型モノづくりの敗北』(文春新書)の内容を民主党の政策会議にて講演してほしいと依頼を受けた。そして、2013年11月6日、衆議院第二議員会館地下1階 第8会議室にて、質疑を含めて90分の講演を行った。この講演に際しては、事前に大久保議員の秘書に「プロジェクターとスクリーンを用意してください」とお願いした。すると、「それは何ですか?」と言われ、愕然としてしまった。どうも国会のあらゆる会議は資料を紙で配布し、プロジェクターとスクリーンを使ってパワーポイントでプレゼンを行う文化がまったくなかったことが、このとき判明した。

 そこで、大久保議員の秘書に「ヤマダ電機あたりに行って、プロジェクターとスクリーンを買ってきてください」とお願いした。さらに講演当日は、かなり不安だったために、講演開始時間よりも1時間以上早く会議室に到着した。すると、案の定、プロジェクターもスクリーンも、買ってきたままの状態で箱に入ったままだった。仕方がないので、自分で開封し、自分でプロジェクターもスクリーンもセットアップし、加えて、会議室の座席も、それを見やすいように配置を変えた。その上で、十数人の国会議員と数十人の経済産業省の役人を前に、拙著と同じタイトルの『日本型モノづくりの敗北-零戦・半導体・テレビ-』で講演した。

 筆者は、講演にアニメーションを多用する。特に、定番となった自己紹介では、DRAMのシェアの低下とともに部署を転々とする技術者人生をコミカルなアニメーションで説明する(図1)。

ニュースサイトで読む: https://biz-journal.jp/2022/04/post_290025.html
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『すると、最前列に陣取っていた多くの国会議員から「おお! すごいね、君、絵が動くじゃないか!」と歓声が上がったのである。こちらとしては、そんなことはどうでも良くて、内容に注目してほしいと思うのだが、約1時間の講演を行っている最中ずっと、アニメーションの動きに「おお、おお!」という声が上がり続けていたのである。この講演会終了後、大久保議員の秘書に「湯之上さん、あなたは国会で初めてプロジェクターとスクリーンを使って講演をした人になりました」と言われた。これが2013年秋のことである。
2回戦は2021年6月1日

 国会での講演の2回戦は、昨年2021年6月1日となった。「衆議院 科学技術・イノベーション推進特別委員会」に半導体の専門家として参考人招致され、15分(実際は20分強)の意見陳述を行ったのである。この様子は、衆議院が撮影し、動画をYouTubeにアップしている。

 この頃は、東京ではコロナの第4波が到来しており、緊急事態宣言の最中にあった。そのような時に国会に呼び出されたわけであるが、違和感を覚えた筆者は、最初の要請のメールが来た際に、「オンラインではダメですか?」と聞いてみたところ、「国会でオンラインはない」と一蹴されてしまった。

 さらに、会議の開始時刻は午前9時だが、プロジェクターとスクリーンを使う場合は、8時20分までに会議室に到着するように言われていた。なるほど、2013年から8年の間に、国会の会議室にプロジェクターとスクリーンは設置されていたわけだ。しかし、プロジェクターとスクリーンを使う場合に、なんで40分も早く行かなくてはならないか、理解に苦しむ。さらに、もっとバカバカしい事態が、筆者を待ち受けていた。
参考人は席を移動してはいけません

 6月1日の2週間ほど前のことである。どのような意見陳述を行うか、頭を悩ませていたが、間違いなくパワーポイントを使うことになると思ったので、衆議院の事務局にその旨を伝えたところ、以下のようなやり取りを電話で行った。

事務局 「委員会には、PC、プロジェクター、スクリーンをこのように設置することになります(図2)」

国民には求めるオンライン会議も拒否…国会と国会議員のITスキルがゼロに等しい実態の画像3

湯之上 「私は、パワーポイントでアニメーションを多用します。したがって、自分でPCの操作を行う必要があります。私の意見陳述の際、PCのそばに移動しますがよろしいですね?」

事務局 「ダメです。参考人は席から移動してはいけません」

湯之上 「なぜですか?」

事務局 「そういう決まりになっているからです」

湯之上 「では、私の前に、PCを持って来てください」

事務局 「それもできません」

湯之上 「なぜです?」

事務局 「ケーブルが短くて届きません」

湯之上 「長いケーブルを買ってきてください」

事務局 「できかねます」

湯之上 「なぜですか(もう相当イラついている)」

事務局 「とにかくそういうことはできないことになっているのです」

湯之上 「じゃあ、私がPCのそばに行くしかないですね」

事務局 「だから参考人は席から動いてはいけない決まりになっていると、さっきから言っているでしょう(相手もイラついている)」

湯之上 「じゃあ、どうしたらいいんですか?」

事務局 「誰か助手はいないのですか? 助手に操作させればいいじゃないですか」

湯之上 「私は個人事業主です。1人で仕事をしています。助手などいません。それに、アニメーションの操作は複雑なので、私しか操作はできません。例え助手がいたとしても、自分でやります」

事務局 「とにかく席を移動してはいけません」

 激しくバカバカしいが、このような言い争いが本当にあったのである。マジにめげそうになった。そして、「参考人は席から移動してはいけない」ということは最後まで事務局が貫き通し、結果として筆者は、YouTubeの動画の通り、自席から移動できなかったのである(ただし、事務局も可能な限りPCを私に近づける努力はした)。国会において、かくも「前例がない」というパワーは強大なのだ。

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『幻に消えた第3回戦

 そして、この意見陳述から1週間たった6月7日(月)の午後、その委員会に参加していた山岡達丸衆議院議員から、国会が終了となる6月16日までに、もう1回、私を国会に呼び出して半導体の勉強会をやりたいという依頼が来た。このときの経緯は、拙著記事『衆議院議員の非常識な対応に呆れ返った…国会議員に半導体政策立案を行う資格なし』(2021年6月11日)に詳述した。

 ここでは、オンラインに関係する部分を抜き出して記載する。筆者としては、緊急事態宣言が出ている最中に何度もリアルの会議を行うのは、はっきり言って迷惑であった。そこで筆者からは、「コロナ禍でもあり、オンラインで行いたい」と連絡した。それに対する山岡議員の回答は以下の通りである。

<大会場のプロジェクターを設けてカメラとマイクを用意し、双方向で質疑応答を行うという機材を6月15日までに揃えることが難しいということが分かり、完全オンライン形式にするか、開催を先送りするかという点で、明日、企画の発起人で協議を行うことになっています>

 筆者は、奇しくも、ウクライナのゼレンスキー大統領と同じ要望を、衆議院に対して行ったわけである。そして、ゼレンスキー大統領のケースと同様に、「前例がない」という壁に直面した。結果的に、筆者が講師となる半導体の勉強会は開催されなかった。

 これが、国会および国会議員のITの(ないに等しい)実力である。国会議員たちは、オンライン会議一つできないのである。そういえば、6月1日の衆議院の意見陳述終了後、30人以上の国会議員と名刺交換をしたが、その名刺のほとんどにメールアドレスが書かれていなかった。そのため、もしかしたら国会議員のほとんどがPCを使えないのではないかと思ったほどだ。
国会と国会議員のIT音痴をなんとかしてくれ

 3月24日付日経新聞『オンライン国会、実現に向け議論』という記事が掲載された。ウクライナのゼレンスキー大統領のオンライン演説を契機に、日本の国会でもオンライン化を進めるべきかどうかの「勉強会」が開かれたそうだ。コロナの感染拡大は、第6波が収束せず、第7波に突入しようとしている。民間企業では、オンラインやリモートが当たり前になっている。ウクライナのゼレンスキー大統領も連日、オンラインで自説を世界中に発信している。

 それなのに、かの国は、いまだに「勉強会」のレベルである。国会議員たちは、その「勉強会」を一度、オンラインでやってみるといい。それができない国会議員は、議員の資格をはく奪したらどうだろう? 国会および国会議員のIT音痴は、それほど深刻である。

(文=湯之上隆/微細加工研究所所長)

●湯之上隆/微細加工研究所所長

1961年生まれ。静岡県出身。1987年に京大原子核工学修士課程を卒業後、日立製作所、エルピーダメモリ、半導体先端テクノロジーズにて16年半、半導体の微細加工技術開発に従事。日立を退職後、長岡技術科学大学客員教授を兼任しながら同志社大学の専任フェローとして、日本半導体産業が凋落した原因について研究した。現在は、微細加工研究所の所長として、コンサルタントおよび新聞・雑誌記事の執筆を行っている。工学博士。著書に『日本「半導体」敗戦』(光文社)、『電機半導体大崩壊の教訓』(日本文芸社)、『日本型モノづくりの敗北』(文春新書)。

・公式HPは http://yunogami.net/

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野村・大和、SBIとデジタル証券 不動産など小口売買

野村・大和、SBIとデジタル証券 不動産など小口売買
【イブニングスクープ】
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB07DA40X01C21A0000000/

 ※ 「小口化」「証券化」は、リーマンの時の「CDO」(コラテラライド・デット・オブリゲーション…。訳語は、「債権担保証券」だっけか…。もはや、忘れたな…。)にもあった通り、「大衆化」の常套手段だ…。

 ※ 何でも、「小口化」すれば、裾野を広げて、広く薄く「資本」を「糾合」できる…。FXしかり、リートしかりだ…。

 ※ ましてや、「デジタル証券」に仕立てれば、「オンライン」でいろいろな処理をすることが可能となる…。

 ※ ビットコインみたいな、「ブロックチェーン」技術を使うようだな…。

『不動産や社債などを小口売買できるデジタル証券をめぐり、野村ホールディングスと大和証券グループ本社は、SBIホールディングスが主導する取引所に資本参加する。東京証券取引所を通さない私設取引システム(PTS)と呼ぶしくみで、大手金融の合流でデジタル証券の普及に弾みがつきそうだ。これまで機関投資家が中心だった商業不動産などの金融取引に一般の個人投資家も広く参加できるようになる。

SBIが三井住友フィナンシャルグループ(FG)と設立したPTSの運営会社「大阪デジタルエクスチェンジ(ODX)」が11月をめどに35億円の第三者割当増資を実施し、SBIグループと三井住友FGに加え、野村と大和も引き受ける。野村と大和の出資比率は5%で、それぞれ取締役も派遣する。

ODXはまず2022年春から上場株を取り扱う計画で、23年をめどにデジタル証券の売買を始める。デジタル証券はブロックチェーン(分散型台帳)技術を使い、従来まとまった単位でしか取引できなかった商業不動産や社債などを小口に刻んで売買できるのが特徴だ。

商業不動産や非上場企業への投資は、機関投資家や一部の富裕層が中心だったが、小口にすることで一般の個人投資家もアクセスしやすくなる。デジタル証券はすでにSBI証券や三菱UFJ信託銀行が発行しており、ODXは流通市場という位置づけだ。上場株もODXで扱うようになれば、東証ではない選択肢ができることになる。

SBIと野村、大和という国内の大手証券が「呉越同舟」で新たな市場づくりに乗り出すのは、相互に顧客基盤の先細り懸念を抱えているためだ。SBIは株式の売買手数料の引き下げ競争を主導し、すでに口座数で最大手の野村証券を抜いた。ただネット証券同士の値下げ競争で売買手数料は大幅に下がり収益の多角化が急務となっている。

預かり資産残高でなお優位に立つ野村は、主要顧客の高齢化が進むなか、現役世代の獲得が課題となっている。商品設計の自由度が高いデジタル証券を、個人にあわせた金融商品の品ぞろえを増やす手段と考えている。三井住友FG傘下のSMBC日興証券や大和は、投資家の注文をODXに取り次ぐことなども検討する。

国内外の企業や投資家とのネットワークを持つ野村や大和が参画することで「公的なPTSとして運営体制を強化できる」(ODX幹部)とみる。各社は流通市場の整備に必要な当局とのルールづくりでも連携する。

【関連記事】

・デジタル証券普及へ国内連合 三菱UFJ信託、SBIと
・デジタル証券でインフラ小口投資 三井物産がファンド

イブニングスクープ
翌日の朝刊に掲載するホットな独自ニュースやコラムを平日の午後6時頃に配信します 。』

平井氏、デジタル庁への影響否定

平井氏、デジタル庁への影響否定
発足3日目に生みの親、首相辞意
https://nordot.app/806445429529329664?c=39546741839462401

『デジタル庁は発足から3日目に、生みの親である菅義偉首相が退陣の意向を表明する事態に見舞われた。平井卓也デジタル相は、どの内閣でも行政手続きのオンライン化などは重要課題であり、大きな影響はないとの見解を示した。

 退陣の一報は、初代デジタル相に就いた平井氏に対し、報道各社が合同でインタビューする直前に舞い込んだ。平井氏は「お考えがあって決断されたと思う。閣僚として重く受け止めたい」と厳しい表情で語った。

 その上で「国の方針を国会が決めた。政治状況に左右されずに前へ進む。この路線は、いかなる状況になったとしても変わらない」と述べた。』

ソフトウエアの「中の人」が消える

ソフトウエアの「中の人」が消える、日本企業が犯した愚かな過ちの本質
2021.9.2
5件のコメント

木村 岳史=日経クロステック/日経コンピュータ
https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00322/082300009/?n_cid=nbpnb_mled_mre

『普通ならブラックボックスには必ず「中の人」がいるものである。何の話かと言うと、ソフトウエアのことだ。ソフトウエアはとても便利だが、それを利用する人を「無知」にする。なぜ無知になるかは単純な話で追々説明するが、利用者が無知になっても大丈夫なようにするのが、中の人である。ところが日本企業や官公庁のシステムでは往々にして、その中の人がいなくなる。これはもう真夏の夜の怪談より恐ろしい。

 ソフトウエアによってブラックボックスが生じるというのは、企業システムでは常識だと思っていたが、どうやらそれも分からない「非常識」な人も多いようだ。なぜそう言えるのかというと、これも後で改めて触れるが、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)の一大ブームが日本企業の間で続いているからだ。本当に後が怖いのに、後先を考えずに導入を進めるIT部門などの愚かさを見せつけられると、ブラックボックス化の問題を認識していないのだと思わざるを得ない。

 そんな訳なので、まずはソフトウエアが生み出すブラックボックスについて説明しよう。ソフトウエアによるブラックボックス化は3つの領域で起こる。1つ目はコンピューターシステム自体のブラックボックス化だ。もっと正確に言えば、ソフトウエアは自分より下位レイヤーのハードウエアやソフトウエアをブラックボックス化する。

 つまりこういうことだ。今、業務アプリケーションなどを開発している技術者は、コンピューターが「なぜ動くのか」について分かっているだろうか。恐らく分かっている技術者はほとんどいないだろう。つまり、自分がつくっている業務アプリがなぜ動くのかも分かっていないはずだ。コンピューターのハードウエア上では全てのソフトウエアがデータと共に、0と1のビットとして論理回路などで処理されるが、そうしたコンピューター処理の原理をしっかり説明できる人は少ない。

 ソフトウエアの領域でもそれは同じことだ。業務アプリを開発する技術者は、いわゆるOSやミドルウエアがどんな働きをするかという概要と、それを利用するためにはどうすればよいかを知っていればよく、その中身(ソースコード)は知らなくてよい。ITベンダーの製品なら全く知らないし、オープンソースソフトウエア(OSS)でも中身を知る人は限られている。業務アプリを開発する技術者でさえこうであるから、業務アプリを利用するユーザーに至っては全く知るよしもない世界である。

 だがコンピューターの黎明(れいめい)期には、そうではなかった。業務アプリを書く技術者もハードウエアやOSなどに精通している人が多かったし、中にはユーザー企業の技術者なのに独自のプログラミング言語を開発してしまう人もいた。時代は下ってインターネットが普及し始めた頃は、ネットワーク技術者でもないのに通信プロトコルを熟知する人がごろごろいた。そして今、その辺りの下位レイヤーは全てブラックボックス化され、業務アプリの技術者は知るよしもない。つまりその分、技術者は無知になったのである。
パソコン画面の「こちら側」までブラックボックス化

 さて、2つ目のブラックボックスだ。こちらは1つ目のテクノロジーサイドと違って、業務サイドのブラックボックス化だ。こちらは極めて分かりやすい話だ。例えば、企業そして官公庁などの基幹系システムは、その組織の業務のやり方や業務プロセスなどをソフトウエアの機能として組み込んでいる。以前に人が紙とペンとそろばんなどで行っていた個々の業務や、一連の業務の流れ(プロセス)がシステムによって機械化されている。

 随分前の話だが、日本企業にコンピューターシステムが導入され始めた頃を知るシニア技術者から、当時の話を聞いたことがある。昔、企業には社内の業務に精通した「生き字引」みたいな人が何人かいた。初めてシステムを導入する際には、そうした生き字引たちの協力も得て、自社の業務プロセスなどをほぼ全てあぶり出したそうだ。

 あぶり出した業務プロセスは紙に書いて、システム導入プロジェクトの推進室の壁一面に貼り出したとのこと。で、壁に貼り出された業務プロセスを眺めながら、会計処理など各業務のプロセスのどの部分を機械化(システム化)するのかを、業務担当者やITベンダーの技術者などを交え、かんかんがくがくの議論をして決め、会計などのシステムを順次構築していったという。

 そんな訳なので、企業システムの黎明期には、多くの日本企業で業務プロセスが完全に見える化されていた。それを基に業務の一部をソフトウエアによりシステム化したものだから、システム導入によって業務はものすごく効率化された。ただ、業務プロセスなどがソフトウエアの機能として組み込まれた途端、ブラックボックス化も進んだ。業務担当者は時を経るに従って、システム化する前にやっていた業務を忘れてしまうからだ。

 しかも半世紀近くの時を経て、今やソフトウエアでブラックボックス化された業務の範囲は広大になった。特に大企業では、従業員はパソコン画面の「向こう側」で処理されている業務プロセスについてほとんど無知と言ってよい。そういえば、システム化の進んだ大企業では、従業員が自社の業務を知らな過ぎることにIT部門が危機感を持ち、ソフトウエアのブラックボックスの中で粛々と処理されている業務プロセスを、何らかの形で従業員に「見せよう」というプロジェクトを進めていると聞いた。

 このソフトウエアによる業務のブラックボックス化は、もう行き着く所にまで行き着いた感があったが、さらに「延長戦」があった。それが日本で一大ブームのRPAの導入である。RPAではご存じの通り、システムからデータを「コピペ」して他のシステムに入力するなどの作業を自動化するソフトウエアロボットを多数つくり出す。これによりパソコン画面の向こう側だけでなく、「こちら側」に残されていた業務までをブラックボックス化してしまうわけだ。

 ソフトウエアロボが代行する作業の多くは、単純作業だけれどもシステム化できなかった領域だから、目先の業務の効率化への貢献度は大きい。人海戦術でデータ入力などをしてきた企業では、コンピューター黎明期のシステム導入に匹敵するくらいの効果があったりする。だから、業務の変革でも何でもないのに「我が社のDX(デジタルトランスフォーメーション)の成果だ」と悪ノリする経営者は多い。しかも、既存のシステムだけでなくRPAで業務を二重にブラックボックス化する恐ろしさに気づいていないのだ。

ブラックボックス化しても「中の人」さえいれば

 ソフトウエアによるブラックボックス化の3つ目の領域は、ソフトウエア自身のブラックボックス化だ。これは1つ目に挙げた「下位レイヤーのハードウエアやソフトウエアのブラックボックス化」とは意味合いが全く違う。抽象度を高くして述べたので「何のことだ」と不審がる読者もいると思うが、種明かしをすれば「何だ、そのことか」と言うだろう。例のトホホなブラックボックス化である。

 つまり、基幹系システムなどのソフトウエアが長年の改修作業でスパゲティ化して、改修を担当する技術者以外はプログラムコードを「解読」できなくなる現象である。そういえば、「2025年の崖」で有名になった経済産業省の「DXレポート」では、基幹系システムでのこのブラックボックス化を、企業のDXを阻む深刻な問題として取り上げていたな。

 こちらのブラックボックス化が深刻な問題となるのは、2つ目に挙げた業務のブラックボックス化ともつれ合うように進むからだ。業務のブラックボックス化が進行するのは、単に業務担当者がシステム化以前の業務を忘れてしまうからだけではない。その後の業務の変化もブラックブックス化に寄与する。業務の変化は、新商品の発売に伴ってのことかもしれないし、法制度対応のためかもしれない。はたまた何らかのカイゼン活動の「成果」を取り入れたのかもしれない。いずれにせよ、そのたびにソフトウエアは改修されていく。

 結果として、業務はどんどん変わり複雑になっていくが、その複雑さの大半はソフトウエアの機能として、つまりシステムで処理されるから、従業員の仕事が複雑になっていくわけではない。ただし業務プロセスなどはますます分からなくなっていく。しかも、こうした業務の変更に伴うソフトウエアの改修などによって、ソフトウエアもどんどん訳が分からなくなる。技術者不足や緊急の改修要求などのせいで場当たり的な改修が繰り返されるケースが多いから、いつの間にか担当の技術者以外には理解できないスパゲティ状態となる。

 ただし、ソフトウエアによるブラックボックス化は、ただちに大きな問題になるわけではない。記事の冒頭で書いた通り、ブラックボックスには「中の人」がいるからだ。中の人とは、ハードウエアやOS、ミドルウエアなどの場合で言えば、それらの製品を開発・保守しているITベンダーの技術者たちだ。一方、2つ目と3つ目、つまり業務のブラックボックス、そしてスパゲティ化によるソフトウエア自体のブラックボックスでは、システムの保守運用を担う技術者が中の人に相当する。

 中の人がいるからといって、安心してよいというわけではない。中の人が突然いなくなることもあるからだ。あっ、そうだ。「突然いなくなる」というのは表現がおかしいな。十分に時間があったにもかかわらず、事の重大性を認識しようとせずに放置し、そのうちに中の人がいなくなるケースがほとんどだ。3つの領域のブラックボックスの全てで中の人がいなくなり、「このシステム、どうするんだ」とぼうぜんとしている企業もあるから、まさに中の人の消滅は真夏の夜の怪談より恐ろしいのだ。

RPA導入が恐ろしい理由は「中の人」の不在

 基幹系システムなどを利用する業務担当者から自身の絡む業務プロセスが見えなくなっても、保守運用を担当する技術者はブラックボックスの中の人として、少なくとも自身の担当する範囲の業務を把握している。プログラムコードがスパゲティ化して他の技術者にはソフトウエアがブラックボックスになっても、担当の技術者は自身がぐちゃぐちゃにしてきたコードだから、そのコードに手を入れられる。

 そんな訳なので、これらのブラックボックスの中の人である技術者は、本来ならとても貴重な存在だ。ところが、その価値はあまり認知されておらず、中の人が「外の人」だったりする。何の話かと言えば、IT部門が丸投げ体質で、システムの保守運用をITベンダーの常駐技術者に頼り切っているケースだ。これは企業だけでなく官公庁でもおなじみの話。自分たちの業務もシステムも「外の人」しか知らないのだから本当に恐ろしい。

 で、この中の人ならぬ外の人がいなくなるという事件が起こる。例えば、企業なら毎年のように保守運用料金の値下げをITベンダーに要求し続けた場合に起こり得る。ITベンダーは当初、値下げ要求をのんで常駐技術者の人数を減らすなどして対応するのだが、そのうち採算面で耐えられなくなり、常駐技術者の疲弊や不満も限界に達する。ついにITベンダーが撤退を通告し、ブラックボックスの中の人は誰もいなくなる。これは「本当にあった怖い話」だ。

 ちなみにRPAによる業務のブラックボックス化の場合、そもそも初めから中の人がいない。RPAの導入前にデータの入力業務などを担っていた人は、派遣など非正規雇用の人が多く、RPA導入から時を置かずにいなくなってしまう。正規雇用の従業員も別の業務に就くから中の人ではない。RPA導入を支援した技術者も中の人を続けることはない。かくして中の人がいないままソフトウエアロボは動き続ける。さて将来、何が起こるか。乞うご期待、である。

 もう1つのブラックボックス、つまりハードウエアやOS、ミドルウエアなどの中の人がいなくなるというのは、なかなか想定しにくいかもしれない。だが、これは極めて頻繁に発生する。何せ日本企業は最新の製品、最新バージョンのソフトウエアを使いたがらない。古い製品、古いバージョンのソフトウエアを使い続けているうちに、ITベンダーが製品に対する保守サポートを停止し、開発や保守に携わった中の人である技術者も担当を外れていなくなるというわけだ。

 企業によっては、3つのブラックボックスの全てで中の人がいなくなったという悲惨な話もある。中堅クラスの企業での悲話だが、随分前に構築した基幹系システムを延々と使っているうちに、ハードウエアやOSなどはサポートが切れた。それでも問題ないと判断して使い続けているうちに、今度は基幹系システムのブラックボックスの中身を知る唯一のIT担当者が退社し、中の人は消滅してしまった。社長が事の重大性に気づいたときは、まさに後の祭りだったという。

 さて、いかがだったであろうか。この「極言暴論」ではブラックボックス化問題を何度か取り上げているが、今回は「中の人問題」の観点でまとめてみた。結局のところ、企業が何もしなくても、いつまでも中の人として献身的に尽くしてくれる技術者やITベンダーなどいないということだ。付加価値の少ない基幹系システムにはITベンダーに中の人が大勢いるパッケージソフトウエアやクラウドなどをそのまま使い、どうしても独自システムが必要ならば自社で中の人を育てるしかない。そう思うが、いかがか。』

河野氏要請の省庁ファクス全廃 反論殺到で断念

河野氏要請の省庁ファクス全廃 反論殺到で断念
https://news.yahoo.co.jp/articles/723363984320fff62f4697606b320ee2c1c33b3b

※ まず、インターネット環境が、各省庁の「情報収集先」全部に備わっているのか、という問題がある…。

※ さらに、仮に備わっていたとして、「セキュリティ対策」は、確保できるのか、という問題がある…。

※ さらには、「災害時にも」、機能し得るのかという問題がある…。

※ ドラスティックには、いかんだろう…。

※ ジワジワと、できるところからやって行って、当分は「複線体制」にして、十分「見極め」たら、

「旧体制」を止めていく…、という策だろうな…。

『河野太郎行政改革担当相が先月、霞が関の全省庁に要請したファクス廃止に対し、「できない」との反論が数百件寄せられ、政府が全廃を事実上断念したことが分かった。情報漏えいの懸念や通信環境への不安などが理由で、一定程度の使用を認める方針だ。

【動画】住宅街でクマに襲われ4人けが 札幌・東区

 政府関係者が明らかにした。河野氏はファクスをテレワークを阻害する要因の一つとみて6月末で原則利用をやめ、電子メールに切り替えるよう求めていた。道内を含む各地の出先機関も対象だった。

 しかし、内閣官房行政改革推進本部事務局によると、各省庁から400件程度の反論が寄せられた。民事裁判手続きや警察など機密性の高い情報を扱う省庁でファクスは多用されており、メールに切り替えると「セキュリティーを確保する新システムが必要」との懸念が出されたという。

 また、「通信環境が十分ではない」「危機管理上、複数の回線確保が必要」など、メールへの一本化に難色を示す声も相次いだ。

 当初は防災関連など一部業務についてのみ使用を認める方針だったが、情報漏えいの懸念や通信環境への不安などがある場合は利用を認める。同事務局の担当者は「ファクス利用をやめた省庁も多いだろうが、胸を張って大部分を減らせたとは言えない」と話した。』

「知識乏しくテストせず」 接触確認アプリ「COCOA」不具合

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210416/k10012977841000.html

 ※ 毎度毎度、同じような話で、ウンザリだが…。

 ※ 日本には、「デジタル化」とか、「コンピューティング」とかの基盤が、全く無い…、ということだ…。

 ※ 賢い人々が集結しているハズの、国家公務員の世界にしてコレだ…。

 ※ 一体、どこに問題があるのか…。どこに、どんな「壁」があるのか…。

 ※ いずれ、黙って放置しておいても、成り行きに任せておいても、問題は解決されなさそうだ…。

 ※ ある程度、外部から強力に、「力(ちから)を注入する」他は、無さそうだな…。


 ※ さりとて、「現実」から遊離しては、「実効性を持たせること」はできない…。

 ※ 気長に、ジワジワやって行く他ない…。

『新型コロナウイルスの接触確認アプリで一部の利用者に通知されていなかった問題で、厚生労働省が調査結果を公表しました。
原因について、アプリの開発などに関する職員の知識が乏しく、不具合を見つけるためのテストを実施していなかったなどと指摘しています。

接触確認アプリ「COCOA」をめぐっては、グーグルの基本ソフト「アンドロイド」の利用者に感染者と濃厚接触した可能性があっても、ことし2月までのおよそ4か月間、通知がされず、把握もできていなかったことが明らかになっています。

厚生労働省の調査チームによる報告書が16日公表され、不具合が見逃された原因について、去年6月に運用を始めた時点で動作確認のテストを行う環境が整備されず、10月に環境が整ってからも優先的な課題とせずにテストを実施していなかったなどと指摘しました。
その背景として、アプリの開発や運用に関する厚生労働省の職員の知識や経験が乏しく、専門的な判断ができる人材が不足していたうえ、頻発する別の不具合の対応や改修に追われ、適切に管理できない状態に陥っていたことなどを挙げています。

また、技術者などが意見を交わすサイトで、問題が発覚する前から不具合の可能性が指摘されていたことについては、サイト上の意見を管理するよう去年9月ごろに委託業者に依頼していたものの、業務の流れや分担があいまいで、具体的な対応が検討されていなかったと指摘しました。

厚生労働省が不具合を隠していた事実は、確認されなかったということです。

今回の問題を受け、厚生労働省は、樽見事務次官と正林健康局長に管理責任があったとして、16日付けでいずれも文書による厳重注意の処分にしました。

厚生労働省は「相次いだ不具合の修正に集中した結果、本来、最優先すべき指摘を見逃していた。業者任せにせず、重要な指摘を見逃さないリテラシーを職員全体で身につける必要がある」としています。

田村厚労相「管理できず反省」

田村厚生労働大臣は記者団に「アプリの開発、運用にあたって厚生労働省の知識や経験が非常に乏しく、人員体制も不十分だった。発注者としてこのプロジェクトを適切に管理できなかったことは非常に反省しなければいけない。専門知識を持った人の力をかしてもらいながら、しっかりと運用していきたい」と述べました。』

健康保険証 「誤り3万件」が映すマイナンバーの不思議 知っ得・お金のトリセツ(45)

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB056F00V00C21A4000000/

『菅義偉首相肝煎り、「デジタル庁」の発足が間近だ。関連法案は6日に衆院を通過し月内にも成立する見通し。デジタルガバメント成否のカギを握るのはいわずと知れた個人番号、通称・マイナンバー。日本に住む1億2000万人超の全員に割り振られている12ケタの数字だ。1960年代まで遡る国民的な侃々諤々(かんかんがくがく)を経て制度そのものは5年以上も前に発足したにもかかわらず、いざ使いこなそうとすると必要になるプラスチック製のICチップ付きカード(マイナンバーカード)の普及率は1割前後の低空飛行を続けてきた。皮肉にも新型コロナウイルス禍での10万円給付金の配布を巡るドタバタで必要性が認識され、税金によるキャッシュバック、マイナポイント事業も相まってようやく3割弱まで普及が進んだ。

個人情報の誤り3万件

だが、問題は依然山積み。最近ではマイナンバーカードを健康保険証として利用できるようにする「マイナ健康保険証」の稼働が予定の3月下旬から半年程度の延期を余儀なくされた。”好例”という言葉は適切ではないが「なんでそんな問題が起きるの?」と素朴に疑問を持つと、マイナンバーを取り巻く課題が浮かび上がってくる。

本来であれば3月下旬には準備ができた病院・薬局の受付に顔認証用のカードリーダーが設置され、マイナンバーカードを読み取らせれば瞬時に本人確認ができるシステムの本格導入が始まるはずだった。だが昨年10月以降、健康保険組合など公的医療保険の保険者が持つデータとマイナンバーを突き合わせる作業を進める中で、氏名・年齢など本人の基本情報とマイナンバーとが合致しないケースが多数発見されたのだ。その数は2月には最大3万件に達した。マイナ保険証は受付だけでなく医療データの収集・閲覧も可能な機能を持つため、このまま本番に突入すれば最悪の場合、自分の特定健診データや薬剤情報などが他人の目に触れる恐れさえあった。

データ扱う保険者は約3000 随所にヒューマンエラーの可能性

一体、なぜ? 原因は保険者が持つデータにマイナンバーを加える際の誤りとみられる。国民皆保険の日本では全員が何らかの公的医療保険に加入している。自治体が運営する市町村国保や公務員が入る共済組合の他に民間企業が母体の組合健保や協会けんぽなど計3000以上が存在する。ザックリ割ると1保険者平均10の誤入力があった計算だ。多いか少ないかは微妙だが、保険者によるマイナンバー収集過程を考えると確かに随所に誤りが起きる可能性を内包している。

マイナンバーは「番号法」という法律にガチガチに縛られ運用される。企業や団体はむやみに個人に対して番号の提供を求めてはならず、その取得や保管・管理にも罰則規定のある厳しいルールが課されている。健保は個人から直接マイナンバーの提供を受けられる主体でないため、通常企業を経由して番号を入手する。そして企業の場合の入手方法は会社員個人からの自己申告だ。

12ケタもある個人番号を手書きで提出すれば誤記の可能性は常にある。しかも家族で1番号の健康保険証に対し、マイナンバーは個人ごとの番号だから5人家族なら誤記の可能性も5倍に。原本(マイナンバーカード、もしくは通知書のコピー)との突き合わせ確認をしているはずだが、現場でどこまで徹底できているかは疑問も残る。さらに大企業では外部のデータ入力会社に作業を委託するケースも多い。会社→委託会社→健保と関係者が増えれば、誤入力や情報漏洩の危険性は増大する。

強制と任意のはざま 定まらぬ覚悟

問題のあった3万件については厚生労働省がそれぞれの保険者に伝え、担当者が人海戦術で潰していった結果、現時点では問題はほぼ解消しているという。今後は「ヒューマンエラーが起こりうることを前提にシステム対応を強化する」(厚労省)。この手のことに百%ミスなしがあり得ないのは当然だが、効率化のための仕組みづくりなのに逆説的に膨大な作業量が生じているのは皮肉な現状だ。

それも「なぜ?」と考えるに、行政と国民の間で土台となる共通認識が欠如している現実に行き着く。マイナンバーとはどういう数字で、どう生かし、どう規制するか――。議論の整理を避けたまま運用の拡大は続く。マイナンバー自体は日本に住む全員に好むと好まざるとにかかわらず、いわば強制的に付番されている。にもかかわらず「自己情報コントロール権の侵害」という批判を恐れてか、運用プロセスにおいては随所で「任意」を組み込むことで不要なヒューマンエラーを呼び込んでいるようにもみえる。任意でつくるマイナンバーカードの低普及率しかり、健保の情報収集の誤りしかりだ。問題の在りかについて同志社大学の北寿郎教授は「政府側にマイナンバーを使う覚悟ができていないという根本的な問題があり、利用者側にも誤解を含めてそんな政府を信用していないという事情がある」と指摘する。

山本由里(やまもと・ゆり)

1993年日本経済新聞社入社。証券部、テレビ東京、日経ヴェリタスなど「お金周り」の担当が長い。2020年1月からマネー編集センターのマネー・エディター。「1円単位の節約から1兆円単位のマーケットまで」をキャッチフレーズに幅広くカバーする。

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「マイナ健康保険証」医療機関の導入が進まない理由

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 ※ まあ、リモート・ワークが進まないのと、状況は一緒のような感じだな…。

 ※ 「デジタル革命だ!」と、かけ声は勇ましい…。

 ※ しかし、それを実現するとなると、業務環境→コンピューター環境→ネットワーク環境…、の全てが「機能を果たしている」必要がある…。

 ※ コンピューター環境:ハード環境→コンピューター本体+周辺機器
     
             ソフト環境→OS+アプリケーションソフト

 ※ 大体、コンピューターの「起動スイッチ、オン」で、PC/ATアーキテクチャだと、まずBIOSが周辺機器の情報を読み込んで、続いて起動ドライブ(SSD、HDD)の特定部分を読みに行って、BIOSとOSが連動して、メインメモリにドライバなんかをセットして、徐々にOSの起動体制を構築していく…、なんていう段取りを、理解している人間が何割いる?

 ※ ネットワーク環境とは、物理的な「ファイバー・ケーブル」網と、「プロバイダー」網とに分かれていて、NTT東・西は前者に相当する仕事をしていて、OCNとかプララとかは、後者に相当する仕事をしているなんてことを、正確に理解している人間が何割いる?

 ※ IPアドレスには2種類あって、「グローバルなもの」と「ローカルなもの」があって、それぞれ役割が異なっているなんてことを、正確に理解している人間が何割いる?

 ※ 日本のデジタル環境なんてものは、殆ど存在していないに等しい…。

 ※ あるのは、「業務環境」+「パソコン、使ってま~す。」と言ってるだけの話しだ…。

 ※ だから、いざトラブルとなると、「原因」すら掴めずに右往左往する他は無くなる…。

 ※ まあ、あまり人のことは、言えない…。

 ※ オレも、旧機、結局起動させることができなくて、ほぼ「パーツ全取っ換え」でしか解決できんかった…。やれやれな話しだった…。

『医療機関などで健康保険証としてマイナンバーカードを利用するプレ運用が3月4日に始まった。政府は3月末に医療機関など全施設の6割に関連システムの導入を目標としているが、2月時点で申し込み施設は全施設の3割と目標の半分にとどまり、早くも暗礁に乗り上げつつある。

見積もりが補助金上限額を上回る

健康保険証としてマイナンバーカードを利用できるようにするには、医療機関などが顔認証付きカードリーダーを導入する…

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健康保険証としてマイナンバーカードを利用できるようにするには、医療機関などが顔認証付きカードリーダーを導入するほか、ネットワーク環境の整備や診療報酬明細書(レセプト)を作成するコンピューター(レセコン)などのシステム改修も必要だ。医療機関はレセコンを通じて請求のための閉域ネットワークである「オンライン請求ネットワーク」にアクセスし、患者の保険資格を確認する。こうした一連の仕組みを「オンライン資格確認」と呼ぶ。

厚生労働省はオンライン資格確認の普及促進のため、顔認証付きカードリーダーを無償で提供するほか、システム改修などの費用を補助している。もともとは上限額の半額などを補助するとしていたが、3月末までの申し込みで全額補助に引き上げるとして導入を促している。

だが、2月21日時点で顔認証付きカードリーダーの申込数は、全施設の32.8%にとどまる。政府は3月末までに全体の6割程度、2023年3月までにほぼ全ての施設で導入すると19年9月のデジタル・ガバメント閣僚会議で決定しているが、目標にはほど遠い。

厚労省は導入が進まない理由の1つとして、システム改修を担うIT(情報技術)ベンダーの見積もりが過大になっていると指摘する。

「パソコンやルーターの購入で77万9400円、設定やセットアップに20万円で合計97万9400円。そこに37万9400円を値引きするとして、60万円という見積もりが診療所に対してあった」(厚労省医療介護連携政策課)。診療所向けの補助金上限額42万9000円を大きく上回る。

厚労省は事前のITベンダーからのヒアリングをもとに補助金の上限を決めており「標準のパッケージなら、上限額で収まるはずだ」(同)とする。

日本医師会が会員医療機関にITベンダーの見積もりをヒアリングしたところ「診療所全体では50万~60万円が多かったが、高いところでは80万円以上のケースもあった」(日本医師会でIT施策を担当する長島公之常任理事)

福井県医師会会長で池端病院(福井県越前市)の池端幸彦院長は県医師会として導入を推進している。池端病院でも、普段から付き合いのある地元ITベンダーに見積もりを依頼した。

池端病院のレセコンはオープンソースの基本ソフト(OS)Linux(リナックス)で動いており、パソコンOSのWindows(ウィンドウズ)よりも追加の費用がかかるとして、見積もりは合計約500万円だった。病院向けの厚労省の補助金上限額210万1000円の2倍以上だ。「補助金額を大幅に上回っているので、どうしようかと様子見になっている」(池端院長)

北陸地方を中心に70~80件の医療機関のシステムを担当するミタスにはこれまで約60件の問い合わせや見積もり依頼があったが、同社による見積もり結果の多くは厚労省の補助金額の上限を上回る。

「そもそも外部とのネットワーク環境がない医療機関もある。ネットワークを構築して、そのうえでレセコンのシステム改修が必要となってくる」(立石正治専務取締役)。同社が担当する医療機関で実際に導入までこぎつけた医療機関はまだないという。

「ITベンダーには同情する」

厚労省は富士通や医療機器販売のPHC(東京・港)などの大手ITベンダーに対して「見積もりの適正化」を依頼したほか、個別医療機関からの相談に対応していくと説明する。「見積もりを下げてほしいと言っているわけではなく、内訳を明確にするなどしてちゃんと医療機関が納得するように説明してほしいと依頼している」(厚労省医療介護連携政策課)

ただ、日本医師会の長島常任理事は、「ITベンダーには同情する」と話す。医療機関のレセコンの導入率はほぼ100%近いものの、オンライン請求ネットワークで外部に接続するのは月1回の請求時のみという診療所も少なくない。マイナンバーカードの保険証としての利用には、まずはオンライン請求ネットワークの常時接続が必要となる。

「これまで医療機関は外部とネットワーク接続しないのが常識だった。常時接続になると、今までと全く変わる。医療機関だけでなくITベンダーにとっても未知の世界だ」(長島常任理事)

医療機関ごとに状況が異なるうえ、これまでにない改修やシステム構築では、実際にかかる費用を見極めにくい。安全をみて多めに見積もっているケースもあるとみられる。これらを一律に「適正化」するのは無理があるというわけだ。

その上で長島常任理事は、「プレ運用があと3カ月や半年あれば、そこで出た課題をもとに、環境を整えられる。ITベンダーがやることも見えてくる」として、プレ運用期間をより長くとるべきだと指摘する。

厚労省の当初の計画では、20年秋から医療機関のシステムを順次改修し、秋から冬にかけて医療機関で運用テストを行い、テスト後に順次運用を開始する予定だった。だが、厚労省が本格稼働前のプレ運用の参加機関を募集し始めたのは21年1月末。約500機関を募ったものの、設備の導入などが遅れ、3月4日にプレ運用を開始したのは19機関にとどまった。

マイナンバーカード普及が課題

オンライン資格確認は、マイナンバーカードを保険証として利用できるだけでなく、オンライン請求ネットワークを介して、全国の医療機関などが連携する医療情報連携のプラットフォームとなる。患者自身も薬剤情報や健康情報などを閲覧できるようになる。

長島常任理事は、「今後必要な仕組みだ」としながらも、「医療機関にとっては今すぐに導入するだけのメリットがあるものではない」と話す。

厚労省はオンライン資格確認の医療機関側のメリットとして、患者の保険資格を正確に確認できるようになり、資格過誤によるレセプトの払い戻しが発生しにくくなるとする。ただ、厚労省が試算する医療機関や薬局の事務コスト削減効果は年間で約50億円と、全体からすればごくわずかにすぎない。今導入するだけのインセンティブにならないのが実情だ。

「オンライン資格確認の普及には、何よりもマイナンバーカードの普及が第一だ」と長島常任理事は話す。マイナンバーカードの交付実施済み数は2月時点で人口の25.9%(有効申請受付数は人口比29.6%)。健康保険証としての利用申し込みをしているのは約270万件と、マイナンバーカード交付枚数のわずか8.2%だ。

池端院長は「患者から『なぜここでは保険証としてマイナンバーカードを使えないのか』と言われるのが一番こたえる」と打ち明ける。それでも「まだマイナンバーカードが十分に普及していないので今すぐ導入するとならない」と指摘する。マイナンバーカード普及率が約56%と全国屈指の石川県加賀市近辺の医療機関では、「導入の機運が高い。患者のためになるなら医療機関は導入する」(ミタスの立石専務)という。

「(医療者の間で)積極的に導入を進めていこうというムードが出来上がっていない。ITベンダーの営業活動もあまりない。皆がもう少し様子見をする空気感になっている」と池端院長は言う。医療機関の中には、「いまは新型コロナウイルス対策やワクチン接種でそれどころではない」という声もある。会員向けにオンライン資格確認の導入告知をしていない地域の医師会もあるという。

3月末の申請をもって医療機関などへの導入の全額補助が終了する。4月以降は病院などは半額補助、診療所などは4分の3補助となるが、全額補助が終了することで、導入の足かせになりかねない。厚労省がオンライン資格確認を本気で使えるようにしたいなら、まずはプレ運用期間と全額補助申請期間の延長が必要となりそうだ。

(日経クロステック/日経コンピュータ 長倉克枝)

[日経クロステック2021年3月8日付の記事を再構成]