Q.直径5mのトンネル2本、幅8mの川の下にどう収めた?

https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/00647/090200013/

『土木分野の知っておきたい知識をクイズ形式で紹介する「ドボクイズ」。
日経 xTECHや日経コンストラクションに掲載した記事などを基に出題します。あなたは土木にどれくらい精通しているでしょうか。

 東京都品川区を流れる幅8mの立会(たちあい)川。川の真下に外径5.85mのシールド機2台を使って、雨水放流管のトンネルを建設する工事が進んでいます。

立会川の下流側から上流側を見る。雨水放流管のシールド機は、川の真下を手前から奥に向かって掘り進む(写真:大村 拓也)
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2つの坑口が横に並んだ発進たて坑(写真:大村 拓也)
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 雨水放流管は立会川の下流から上流に向かって掘進します。その際、解決すべき課題が2つありました。

 1つは発進たて坑における高さ方向の制約です。発進たて坑のそばに既設の護岸杭があり、シールド機はその下を通過しなければなりません。一方、発進たて坑には下流側から既設の放流管が接続しており、新設する放流管の管底をたて坑の位置で既設管よりも高くしなければなりません。これらの条件下で要求される流下能力を確保するためには、内径5mのトンネルを2本、横に並べてたて坑から掘進する必要がありました。

 ところが、もう1つの課題が立ち塞がりました。横幅方向の制約です。雨水放流管の大部分は立会川の直下に築かなければなりませんが、シールド機の発進後、ほどなくして川幅は8mに狭まります。

 発注者や施工者は、どのような方法で課題を解決したでしょうか。

  1. 川幅が狭まる手前に中間たて坑を設け、中間たて坑から上流側は外径8mのシールド機1台で掘進した
  2. 川の両岸の地権者に補償金を支払い、川幅からはみ出してトンネルを掘進した
  3. 横2連で発進したシールド機が途中で回転し、縦2連になって掘進した

正解はこちら

  1. 横2連で発進したシールド機が途中で回転し、縦2連になって掘進した  立会川の雨水放流管は東京都が発注し、清水建設が施工しています。  周辺の市街地に整備されているのは合流式下水道。大雨が降ると、下水道で流しきれなくなった汚水混じりの雨水が立会川に放流され、川の水質悪化や悪臭を招いていました。立会川に放流していた雨水を地下の雨水放流管に取り込んで海に近い運河に直接、放流することで、立会川の水質改善や流域の浸水被害の軽減につなげます。

H&V工法によるスパイラル掘進のイメージ。直線で掘進する左シールド機に対して、右シールド機はらせん状に掘進する(資料:清水建設)
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 工事で採用したのは、横2連に連結した中折れ式シールド機で2本のトンネルを同時に掘る「H&V工法」でした。2台の外径は共に5.85mで、離隔はわずか9cm。超近接状態を保ったまま横2連の状態で発進したシールド機は、既設の護岸杭の下を通過した後、右シールド機は左シールド機が掘進するトンネルの外周に沿って反時計回りのらせんを描くように掘進し、上側に移動。137mを進む間に横2連から縦2連へと変化します。

2本のトンネルは下流側から上流側に向かって掘進。わずか137mを掘る間に、横2連から縦2連へと変化した(資料:清水建設)
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 2台の単独シールド機を使って、2本のトンネルを別々に掘進する案もありました。しかし、地盤改良しなければならない範囲が広くなることや、シールド機を発進する工程が2段階に分かれることなどで、工費や工期が不利になる恐れがありました。

 1990年に開発したH&V工法の施工は、実証実験を含め今回が7例目。シールド機を横2連や縦2連のまま掘進したり、途中で分岐させたりしたケースはあるものの、実際の工事で横2連から縦2連に変化させる「スパイラル掘進」を成し遂げたのは、今回が初めてです。

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2台のシールド機同士をピン接合に
 「この工事のスパイラル区間は短くて急。従来のH&V工法のように接合部を剛結して右シールド機を中折れ装置だけでスパイラル掘進しようとすると、300mm以上の余掘りが必要になる」。清水建設の太田博啓所長はこのように話します。

 そこでスパイラル掘進に向けて、清水建設は2台のシールド機の接合部にピン構造を採用しました。

シールド機の平面図
(資料:清水建設)
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従来のH&Vシールド機
(資料:清水建設)
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スパイラル掘進用シールド機
(資料:清水建設)
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 左右機の後胴を剛結した状態では、右機前胴の掘進方向に対して、右機後胴が斜めを向いたまま引きずられるようになるので、大きな余掘りが生じます。ピン接合にすれば、左機の向きに関係なく右機の前胴に後胴が追随でき、余掘りは10mm程度に抑えられます。ただし、左右のシールド機で推進力が異なると、接合部に大きな負荷がかかるため慎重な掘進管理が必要でした。

右機内部から見たシールド機同士の接合部。セグメントで左半分が隠れている(写真:大村 拓也)
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接合部の挙動を常に監視
 太田所長は「接合部をピン構造にすると、シールド機の外殻に穴を開けることになる。そこを補強したうえで、掘進中は接合部に設けたレーザー距離計や変位センサー、ピンを固定するボルトにはひずみセンサーを取り付けて、挙動を監視した」と語ります。

H&V工法でスパイラル掘進したシールドトンネルの坑内。工法名のHはHorizontal(水平)、VはVertical(垂直)を意味する(写真:大村 拓也)
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シールド機内部。シールド機のローリングに応じて作業足場が回転する。排泥管も異なる高さに3本ある(写真:大村 拓也)
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雨水放流管は全長約778m。立会川に放流されている雨水を放流管に取り込む(資料:清水建設)
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位置図(資料:日経コンストラクション)
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多摩川に姿を現す羽田連絡道路

多摩川に姿を現す羽田連絡道路、台風で遅延していた台船架設が完了
大村 拓也 写真家
https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/00129/082000061/

『2019年10月の台風19号で多摩川に土砂が堆積した影響などで、進捗が遅れていた「羽田連絡道路」の台船による桁架設がようやく完了した。多摩川渡河部の長さ602.55mのうち、約半分以上を架け終わった。

多摩川左岸から見た台船架設の様子。架設した桁は長さ42.5m、重量681t。午前5時前に台船の移動を開始し、桁の荷重を午前8時までに架設済みの桁とベントに受け替えた。2020年7月21日撮影(写真:大村 拓也)
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 羽田連絡道路の事業は、再開発が進められる羽田空港跡地の「羽田グローバルウィングス」と、川崎市殿町地区の「キングスカイフロント」の連携強化や活性化につながると期待されている。多摩川渡河部と川崎市側のアプローチ部は、五洋建設・日立造船・不動テトラ・横河ブリッジ・本間組・高田機工JVが上下部一括で設計・施工を担っている。

羽田連絡道路の位置図(資料:川崎市)
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羽田連絡道路の完成イメージ(資料:川崎市)
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 橋は多摩川渡河部の鋼3径間連続鋼床版箱桁(複合ラーメン)と、川崎市側のアプローチ部の鋼2径間連続鈑桁から成る。台船架設は、多摩川渡河部の中央径間と左岸側の側径間で合計5回実施。1回目は3分割した中央径間のうちの1ブロックを19年9月に架設した。

 しかし、同年10月の台風19号の影響で多摩川に大量の土砂が堆積。東京湾から現場付近まで作業船が航行できなくなったため、五洋建設JVは河川内の架設工事を中断し、土砂を浚渫(しゅんせつ)した。これにより、2回目の台船架設は予定よりも約半年間遅れ、20年4月に再開したばかりだ。

 その後、河川内に仮設したベントを併用し、20年6月に左岸側の側径間に当たる長さ66.9mの桁を架設。さらに7月21日には長さ42.5mの桁を継ぎ足した。残りの左岸側70.15mは、7月21日に架設した桁の端部からトラベラークレーンで張り出し架設する。この径間は堤防や環状8号線の上空に架かる計画だ。

羽田連絡道路の平面図(資料:川崎市)
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『工事費は約55億円増加
 右岸側の側径間173mは干潟が広がる「生態系保持空間」なので、台船架設ではなく、橋脚柱頭部からの張り出し架設と、右岸からの手延べ工法による送り出し架設を組み合わせる。今年度中に全ての径間の架設完了を目指す。

右岸側から見た多摩川渡河部。写真の右手は生態系保持空間で、トラベラークレーンで張り出し架設する。2020年8月4日撮影(写真:大村 拓也)
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 施行主体の川崎市は当初、20年7月の開通を念頭に置いていた。しかし、着工した17年に多摩川の河床に想定を上回る土砂が堆積していることが判明し、浚渫する必要が生じたので、橋脚工事の着手が遅れた。

 さらに、橋脚付近の地盤が想定以上に硬く、基礎工事に使用した鋼管矢板の施工に時間を要した。これらの遅れに、19年の台風の影響が加わり、現在、21年度中の開通を見込んでいる。20年8月時点で工事費も当初から約55億円増え、約272億円になった。多摩川渡河部の工事費は、事業主体である川崎市と東京都が折半する。

2020年8月上旬に、右岸のヤードで地組みした長さ54mの桁と長さ76.9mの手延べ桁を47.25m前進させた。今後、後方に長さ50m分の桁を地組みし、20年12月に河川内へ向けて送り出す(写真:大村 拓也)
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横浜港と東名が直結 地中から空へ駆ける

横浜港と東名が直結 地中から空へ駆ける
首都高横浜北西線
大村 拓也 写真・文
https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/mag/ncr/18/00020/072200013/ 

『開通直前の2020年3月、首都高横浜北西線の上り線から横浜港北ジャンクション(JCT)を望む。上り線は写真中央付近で第三京浜道路を越えた後、17年に開通した首都高横浜北線につながる。ランプ橋を含め最大3層に重なる同JCTの高架橋は、19年度の土木学会田中賞を受賞した。右奥の高層ビルの付近に新横浜駅がある

 道路が幾重にループを描く横浜港北JCT。写真右手は第三京浜道路の料金所。首都高速道路から第三京浜へ乗り継ぐ車は写真中央の赤いレーンを、一般道へ降りる車は青いレーンをそれぞれ進む。同JCTは第三京浜の出入り口を移設しながら15年以降、段階的に供用を始めた

 横浜港北JCTから横浜青葉JCT方面を望む。横浜北西線は1.4kmの高架区間を進んだ後、写真右奥の丘陵地帯からトンネルに入る。高架区間は大型クレーンによる大ブロック架設を多用して、工期を短縮した

 延長4.1kmのトンネル区間。内径は11.5mで直線区間が2kmほど続く。大断面の泥水式シールド工法で世界最速クラスとなる平均月進325mを記録した。トンネル掘削後のたて坑頂版の構築には、埋設タイプの吊り型枠を採用。設備工事と同時並行で進めた

 上り線トンネルを大成建設・佐藤工業・東洋建設JVが、下り線トンネルを安藤ハザマ・岩田地崎建設・土志田建設・宮本土木JVがそれぞれ施工した。2本のトンネルの離隔は約6m。途中にUターン路が2カ所ある

 東名高速道路とつながる横浜青葉JCT側の坑口は、鶴見川右岸の田園地帯にある。JCT付近の高架を過ぎた後、坑口から約300m先の鶴見川の直下まで5%の勾配で一気に下る

延長7.1kmの首都高横浜北西線が2020年3月、開通した。事業費は2589億円。トンネルは横浜市の街路事業として整備した。17年に開通した首都高横浜北線とつながり、横浜港と東名高速道路を直結。保土ケ谷バイパスの混雑を分散する。計画初期の03年から住民の声を事業に反映するパブリック・インボルブメント(PI)方式を導入。これが功を奏し、用地取得が円滑に進んだ。施工でも工期短縮の工夫を凝らし、開通時期を事業当初の目標から2年も前倒しした。』

貨物ファースト? 海の森に現れた「裏方の花道」

https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/00110/00193/ 

『「東京港にできた海の森大橋へ向かってほしい」。こう頼まれて迷わず到着できる人はほとんどいないはずだ。カーナビの地図にもまだ登録されていない地点かもしれない。

 海の森大橋は、東京・お台場の先、中央防波堤内側埋立地(江東区海の森)と外側埋立地の間に架かる橋長249.5mのアーチ橋だ。2020年6月20日に開通した。工事期間中は東西水路横断橋と呼ばれていた。

海の森大橋。開通前日の2020年6月19日に撮影(写真:大上 祐史)
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 同日には、お台場に隣接する有明地区と内側埋立地を結ぶ海底トンネル「東京港海の森トンネル」も開通した。「海の森大橋」と「海の森トンネル」を含む道路の正式名は「東京港臨港道路南北線および接続道路」と呼ばれる。

 知る人ぞ知る場所にできた新しい橋とトンネルへ、開通前日に訪れてみた。

(資料:東京都)
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 中央防波堤地区はごみの埋め立て処分によって造成されたエリアだ。海の森大橋が架かる内側埋立地と外側埋立地との間の水路は、東京五輪でカヌーやボートの競技が催される「海の森水上競技場」となる。臨港道路南北線は五輪の大会期間中、選手や関係者の輸送路として活躍する見込みだ。

 ただし、国土交通省と東京都が臨港道路南北線を整備したのは、五輪のためではない。「貨物ファースト」ともいえる別の目的があった。

 東京港の沿岸部にはコンテナ埠頭が多数ある。外側埋立地の一画でも、新たなコンテナ埠頭の整備が続いている。

中央防波堤外側埋立地で整備が進むコンテナ埠頭を西側から望む。写真中央やや左奥に海の森大橋のアーチが見える(写真:日経クロステック)
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 中央防波堤地区からは、臨海トンネルや東京ゲートブリッジがある東京港臨海道路を使って東西に移動できる。また、都心部に向かう南北方向の移動は、既存の青海縦貫線を利用すればよい。

 ところが、貨物取扱量の増加に伴って近年、トラックやトレーラーなどによる深刻な渋滞が周辺で発生。臨港道路南北線は、こうした都市の物流機能を裏方で支える混雑緩和の切り札として整備されたのだ。臨港道路南北線および接続道路の概要は以下の通り。

・開通区間:10号地その2地区(江東区有明4丁目)-中央防波堤外側地区(同区海の森3丁目地先)
・延長:約3.7km
・車線数:往復4~6車線
・事業期間:2014~20年度
・総事業費:約1900億円
 前後のアプローチ道路を含めたトンネル区間を国土交通省が、海の森大橋や東京港臨海道路との接続部などを東京都がそれぞれ整備した。工事期間は15年10月から19年11月。海の森大橋や海の森トンネルといった名称は、一般公募で19年12月に決定した。

約4年の短工期で完成した海の森トンネル
 報道関係者に公開された開通前日、筆者はまず、中央防波堤内側埋立地から有明地区方面に向かってみた。

 内側埋立地の周辺に一般車はほとんど見かけない。代わりに大型トラックが目立つ。お台場との距離はそう遠くないものの、周辺に商業施設や観光地がないので、当然といえば当然だ。

 海の森大橋の北側から海の森トンネル方面を望む。左手には東京二十三区清掃一部事務組合が運営する中防不燃ごみ処理センター、右手には東京都建設発生土再利用センターがある。正面奥には、お台場のパレットタウンにある大観覧車も見える。

(写真:大上 祐史)
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 海の森トンネルの入り口が見えてきた。陸上のアプローチ道路を含む総延長は2459.5mある。

(写真:大上 祐史)
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 掘割になったアプローチ道路を進み、海底トンネルへ向かう。

(写真:大上 祐史)
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 海の森トンネルの海底部は沈埋工法で施工した。沈埋函と呼ぶ巨大な箱型のトンネルを海底に沈めて設置する工法だ。約1年前の19年7月には沈埋函の完成を披露する見学会が催された。沈埋函の据え付けから1年足らずで道路が供用されたことになる。
(関連記事:お台場の先で海底トンネルひそかに貫通、五輪の輸送路にも)

(写真:大上 祐史)
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 沈埋工法には以下のような特徴がある。

海底の浅い場所に設置できるので、前後のアプローチ道路を含めた総延長を短くできる
海底の大きな支持力を必要としないため、軟弱地盤にも対応できる
造船所のドックなどで製作するため、水密性が高く高品質なトンネルを築造できる
 海の森トンネルの沈埋函は、7つの函(1~7号函)で構成されている。1つの函は長さ約134m、幅約27.8m、高さ約8.35mで、これまでに国内で製作した沈埋函の中では最長だ。ドックなどで製作した後、現地へ曳航(えいこう)して海底に沈めた。7つの函の延長は合計で930.8mになる。

(資料:国土交通省)
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 この規模の沈埋トンネルは通常、8年から10年の工期を要する。しかし、海の森トンネルは約4年という短い工期で完成した。工期を短くするため、以下のような工夫を盛り込んだ。

・沈埋函の数を減らす
・陸上部のアプローチ道路の勾配を大きくして、施工延長を短くする
・沈埋函の最終接合の継ぎ手を省略できる「キーエレメント工法」を採用する
・沈埋函の製作場所をドックと海上に分散する
 道路の側面には消火設備や非常口がある。非常口の扉を開けると、安全な避難通路を通って地上へ避難できる。

(写真:大上 祐史)
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 トンネル内を車で走行していると、いくつかの継ぎ目がある。これは沈埋函の接合部ではなく、沈埋函のクラウンシール継ぎ手部分の舗装面伸縮装置になる。

(写真:大上 祐史)
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 クラウンシール継ぎ手は、沈埋トンネルの不等沈下や地震動に伴う大変形に追従できるように、函体内部に設けた可とう性の継ぎ手だ。従来の一般的な沈埋函の端部に設ける継ぎ手よりも、2倍以上の変形吸収性能を持つ。

五輪で世界にお披露目できるか
 折り返して、今度は臨港道路南北線を有明地区から中央防波堤地区方面へ戻る。

(写真:大上 祐史)
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 海の森トンネルを抜けると、中央防波堤内側埋立地に出る。直進して海の森大橋を渡ると、外側埋立地へ行ける。外側埋立地では、臨港道路南北線が東西方向に走る東京港臨海道路に接続する。

(写真:大上 祐史)
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 海の森大橋は、内側埋立地と外側埋立地の間にある東西水路をまたぐ。橋長249.5m、幅員34.3m、鋼量約6300t。アーチ橋の一種で、厳密には鋼単純ニールセンローゼ橋と呼ばれる。

(写真:大上 祐史)
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 海の森大橋の架設は、長大なアーチを海上に浮かべた台船から一括架設するという難しい工事だった。
(関連記事:アーチを台車ごと船に載せ一括架設)

 まず、架設地点から400mほど離れた場所でアーチを地組みする。次に、アーチを載せた多軸台車ごと台船に移動。「ロールオン」と呼ぶ手法だ。その後、台船で架設地点まで運び、潮位変化などのタイミングを見計らってアーチを橋台に据え付けた。

(資料:国土交通省)
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 ロールオン作業はまず、あらかじめ編成しておいた多軸台車を台船に載せて海上から運搬し、地組みしたアーチの下へ滑り込ませる。次に、アーチを多軸台車で支え、台船に移動した。

(資料:国土交通省)
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 海の森大橋の銘板は、小池百合子東京都知事による揮毫(きごう)だ。漢字と平仮名の2種類が橋の両側に設置されている。

(写真:大上 祐史)
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 海の森大橋が架かる東西水路は、両端を締め切って「海の森水上競技場」として整備した。東京五輪ではカヌーやボートの競技を実施する。五輪後も国際大会が開催できる競技場や選手の育成拠点として使われる計画だ。

海の森水上競技場のイメージ図。図の左上に海の森大橋が見える(資料:東京都オリンピック・パラリンピック準備局)
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 海の森大橋を外側埋立地に向かって進む。

(写真:大上 祐史)
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 東京港臨海道路との交差点に着いた。直進すると中央防波堤外側コンテナふ頭、左折すると東京ゲートブリッジへ向かうことができる。

(写真:大上 祐史)
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2012年に開通した東京ゲートブリッジを東側から望む。写真奥が中央防波堤地区(写真:日経クロステック)
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 海の森大橋や海の森トンネルの開通によって、物流機能の効率化や国際競争力の強化などが期待できる。東京五輪が開催され、各国のメディアを通して世界の人々の目に入ることを願うばかりだ。』

シールド4機で掘った“らせん”を味わう

シールド4機で掘った“らせん”を味わう、首都高馬場出入り口
https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/00110/00175/

『横浜市の臨海部を通る首都高横羽線の生麦ジャンクション(JCT)から、内陸にある第三京浜道路の横浜港北JCTまでをつなぐ首都高横浜北線が開通したのは2017年3月のこと。それから3年ほど遅れて20年2月27日、同線の中間付近に馬場出入り口が完成し、供用が始まった。』
『1カ月後の20年3月22日には、横浜港北JCTから東名高速道路の横浜青葉JCTまで首都高横浜北西線が開通。横浜港から日本の大動脈である東名までつながるルートが完成した。』

【 横浜北西線( 横浜北線~ 東名高速)の概要】
https://www.shutoko.co.jp/-/media/pdf/corporate/company/press/2019/12/18_besshi.pdf

※ この図を見れば、この「横浜北西トンネル」開通により、横羽線と第三京浜と東名高速がここのエリアで、行き来できるようになった…、ということなんだが…。

※ 東京及び首都圏で、道路の問題を考えるときは、「環状線」とそこから放射状に伸びていく線をイメージしておくといい…。

※ 右の図だ…。環状線として、「中央環状線」「外環道」「圏央道」の3つが同心円状にある…。そこに、「都心」を中心に、そこから「放射状」に地方へとラインが伸びている…。

※ これは、江戸の昔(むかし)からの話しだぞ…。

※ 江戸の昔(むかし)には、中心は江戸城(現皇居)があったので、中心は巨大な「空(くう)」になっている…。そこから、放射状に五街道が各地方に伸びている…。

※ なにせ「参勤交代」制だったから、各大名は「江戸に」「大名行列」を仕立てて、「参勤」する必要があった…。その道中の、各街道の「整備 」も、「各大名」のお役目の一つだったわけだ…。

※ まあ、今では大名もいなくなり、「道路インフラ」の整備は、国や地方公共団体が、オレら「日本国民」から取り立てた「税金」で行っているわけだが…。

※ こういうものが、「整備 」により「狙っている効果」だ…。

ラジエイト|国土と交通に関するイベントアーカイブ
https://radiate.jp/

『ラジエイトについて
ラジエイト(Radiate.jp)とは…
国土と交通に関するイベントアーカイブです。道路や河川など公共施設の「今」を記録しています。
インフラが「radiate : 放射状に伸びる」という意味から名づけました。2005年8月から運営しています。

ラジエイトに掲載した記事の一部は、再編集して土木 | 日経 xTECH(クロステック)(日経コンストラクション)に掲載されています。
記事はこちらにまとめられています。

ラジエイト(Radiate.jp)に掲載している記事や写真は、ラジエイトの著作物です。著作権者であるラジエイトの承諾を得ずに、ラジエイトの記事・写真・図表をコピー・転載・インターネット送信などの方法で利用することはできません。
記事・写真・図表を利用される場合は、一部の例外を除き、お申し込み手続きが必要になります。著作権などの権利を第三者が保有する場合は、その許諾が必要になることもあります。
記事・写真・図表を利用されたい場合は、利用条件や注意事項をご確認のうえ、下記までご連絡ください。

代表:大上祐史
contact(アットマーク)radiate.jp』

 ※ 問題がある場合は、Word Press.comの方に連絡してください。

※ 東京2020に向けて、着々と「トンネル掘ったり」して来たわけだ…。延期になったのは、残念だったが、なーに…。一旦予算がつけば、「こっちのもの」だ…。延期になろうが、中止になろうが、淡々粛々と「やるべきこと」をやっていくだけの話しだ…。

銀座線渋谷駅の新駅舎にある「M形アーチ」の建設秘話

https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/00649/051400029/

『020年1月から運用を始めた、東京メトロ銀座線渋谷駅。新駅舎は長さが110mで、全体がアルミパネルとガラスに覆われています。

 銀座線の高架橋をつくり直し、7本あった橋脚を3本に集約。架け直した鋼製桁の上に、新しい駅舎を建てました。JR山手線をまたぎ、東急百貨店東横店西館3階にあった旧駅舎から、東に約130m移動したことになります。

 新駅舎で目を引くのが、頂部をへこませた「M形アーチ」がもたらす無柱空間です。そのM形アーチについて、正しい記述はどれでしょうか。』

『正解はこちら
1.45本あるM形アーチは全て、違う形をしている』

『アーチの形状が一般的な円弧ではなく、あえてM形にしたのには訳があります。新駅舎を取り巻く様々な条件を合理的に解く構造の在り方を追求した結果、M形になりました。M形鉄骨アーチの利点の1つは、異なる幅や高さに柔軟に対応できることです。

 新駅舎は複雑な形をしています。長さ110mの上屋の幅は、線路の線形の関係で、西から東に向けて25mから20mまですぼんでいます。

 断面も変則的です。東側は西側に比べてホームの位置が低いため、東側屋根のアーチは高く、幅は狭くなります。一方、西側屋根のアーチは低く、幅広です。東西で生じる、最大で高さが約1.8m、幅が約5mの差を、約2.5m間隔で並べた45本の鉄骨フレームの形を少しずつ変えることで調整したのです。』
『線路の勾配に屋根が合っていないのは、将来、渋谷駅の真上にある超高層ビル「渋谷スクランブルスクエア」の中央棟と、その東側にある超高層ビル「渋谷ヒカリエ」(12年完成)をつなぐ歩道「スカイウェイ」を整備するためです。

 「断面形状が連続的に変化していく屋根に歩道の荷重がかかるという条件が、アーチ形状を選択する決め手になった」。構造設計を担当した、KAP(東京都千代田区)代表の岡村仁氏はそう振り返ります。

 歩道のレベルや荷重、電車の建築限界などを踏まえて解析すると、シンプルな円弧状のアーチを成立させるのは難しいことが判明しました。「色々な検討をした結果、円弧の頂部をへこませると、うまく力を処理できることが分かった」(岡村氏)

 岡村氏が行き着いたM形アーチの案に、新駅舎の設計を手掛けた内藤廣建築設計事務所(東京都千代田区)代表の内藤廣氏も、「頂部が張弦梁(はり)のような構造になり、合理的と思った。東京メトロのマークである『M』にも通じて面白い」と賛同したそうです。』