IOC会長、東京五輪観客の有無「4~5月に判断」

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR250450V20C21A2000000/

【パリ=白石透冴】国際オリンピック委員会(IOC)のバッハ会長は24日、東京五輪・パラリンピックの会場に観客を入れるかの判断は「4月か5月初めになる」との見通しを示した。新型コロナウイルスの感染拡大状況を見極めたい一方で、準備を円滑に進めるために7月の開催直前に決めることは避けたいとした。

バッハ会長は理事会後の記者会見で「ギリギリまで判断を遅らせるのは、チケットなどの準備に時間が必要なのでできない。4月か5月初めになるだろう」と語った。デュビ五輪統括部長は「4月の終わりが適切な時期だと思う。国内と国外の観客で別の判断をするかもしれない」との見解を示した。

東京五輪は観客を入れるかが焦点の一つになっている。無観客となれば900億円とされるチケット収入が組織委員会に入らなくなる恐れがあるため、日本側は慎重な判断を迫られている。一方バッハ氏は「参加者には安全な環境が用意される」と語り、開催するという考えに揺らぎがないことを強調した。

一方IOCは32年五輪の開催候補地として、オーストラリア東部ブリスベンと優先的に対話すると発表した。正式決定ではないが、候補地として関心を示したインドネシア、中国などを抑えて選ばれる可能性が高まった。

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長引くマイナス金利、綻ぶ「芸術作品」

https://www.nikkei.com/article/DGXZQODF232GD0T20C21A2000000/

 ※ 「マイナス金利の導入」…。最初聞いたときは、耳を疑った…。

 ※ なにしろ、お金を「預けると」、「金利を”取られる”」という話しだからな…。

 ※ 断片的には、その「カラクリ」を聞いていた…。

 ※ しかし、はっきり明言しているものには、お目にかからなかった…。

 ※ この記事で、そこの部分が明確になった…。

 ※ 『金融機関が日銀に預ける残高に適用する金利を3つに分け、マイナス金利の導入以前の残高の一部はプラス0.1%、法定準備額などはゼロ%、それ以外はマイナス0.1%とする仕組みだ。』

 ※ と言うことで、全部が「マイナス金利」になるわけじゃない…。

 ※ しかし、「マイナス金利」になる部分(各銀行の貸付にまわせる部分)については、「なんとか、汗をかいて、リスクを取って、極力貸付に回してくれ。」ということだろう…。

 ※ 『銀行が余剰資金を当座預金に積むのではなく投融資に回すよう促し、経済の活性化につなげる狙いがあった。』と、記事にもあるしな…。

『「金利誘導が近い将来うまくいかなくなるのではないか」。最近、市場関係者が懸念の入り交じった視線を向けている指標がある。無担保コール翌日物金利だ。

金融機関が短期の資金を貸し借りする際の代表的な金利で、ここのところ上昇基調にある。直近の1月の平均金利はマイナス0.01%台半ばと約1年ぶりの高水準となった。マイナス金利政策を導入した2016年以来、約5年ぶりの高さも視野に入る。

背景を読み解くうえで、日銀がマイナス金利政策とセットで導入した日銀当座預金の「3層構造」をおさらいする必要がある。金融機関が日銀に預ける残高に適用する金利を3つに分け、マイナス金利の導入以前の残高の一部はプラス0.1%、法定準備額などはゼロ%、それ以外はマイナス0.1%とする仕組みだ。銀行が余剰資金を当座預金に積むのではなく投融資に回すよう促し、経済の活性化につなげる狙いがあった。

その後、日銀は20年3月に新型コロナウイルス対応の特別オペ(公開市場操作)を導入した。金融機関がこの制度を使うとゼロ金利の適用枠が増える。マイナス金利で短期市場から資金を調達しゼロ金利で預けると、利ざやが稼げてしまう。この結果、短期の資金調達が活発になり、無担保コール翌日物金利が上がる構図が生まれた。

「金利がマイナス圏で推移している分には問題ない」というのが日銀内の一般的な見方だが、政策委員からは「緩和姿勢の後退といった誤ったメッセージと市場に受け取られないよう留意する必要がある」との意見も出ている。

3月からは地域金融機関の再編や経営改善を支援する制度も始まる。改革を促すため、一定の条件を満たした地銀などの当座預金に金利を0.1%上乗せする「あめ玉」も用意した。短期市場で有力なプレーヤーである地銀の資金需要が高まり、無担保コール翌日物金利がプラス圏に浮上する可能性もある。

日銀が金利上昇を抑えるにはオペで資金供給を増やすのが常道だが、「疲弊している市場機能が一段とゆがむ恐れもあり、実際は難しい」(短資会社)。日銀内外で3層構造の見直し論も取り沙汰され始めている。

「3層構造は考え抜かれた芸術作品」。マイナス金利の導入当時、こう評する市場関係者もいた。市場のゼロ金利制約を乗り越えつつ、金融機関に過度な負担がかからないよう配慮した制度設計だったからだ。導入から5年以上たち、複雑さを増したマイナス金利政策は、「芸術作品」に綻びを広げつつある。

(古賀雄大)

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「菅降ろし」の虚実 SNS時代の世論が焦点

「菅降ろし」の虚実 SNS時代の世論が焦点
ニュース・エディター 丸谷浩史
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGH226GM0S1A220C2000000/

『森喜朗元首相の東京五輪・パラリンピック組織委員会会長辞任が示したのは、デジタル化とグローバル化の波が、日本で最後に残った政治というムラ社会にも押し寄せている事実だった。

ひと昔前なら、座談の名手でサービス精神旺盛な森氏の発言は「あれが森さんだから」で終わったのかもしれない。しかし、森氏の発言はソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)を通じ、英語をはじめとした外国語でも直ちに広がり、大きな反…

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しかし、森氏の発言はソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)を通じ、英語をはじめとした外国語でも直ちに広がり、大きな反響を巻き起こした。世界中の人たちがリアルタイムで要人の発言を知り、反応する時代になっていたことが事態を動かした。

2000年11月、政権を担当していた森氏は、インターネット世論の後押しも受けて倒閣に動いた次の首相候補、加藤紘一氏を退けた。それから20年、ネットとは遠く離れていた日本の政界もデジタル化とグローバル化に無縁ではいられなくなった。

「加藤の乱」をしのいだ森氏に対し、夏に参院選を控えていた与党には「森首相では選挙を戦えない」との空気が充満していた。いわゆる「森降ろし」である。森氏は01年4月、予算成立を待って退陣を表明した。

この時の連想からか、昨年9月の政権発足当初からみると内閣支持率が大きく下落した菅義偉首相の命運を取り沙汰する声があがる。4月には衆参両院3つの補欠選挙、7月に都議選、秋までには衆院選と自民党総裁選もある。目白押しの選挙を前に「自分のために、党首を選挙で勝てる顔に代えたい」との議員心理が高まるだろうとの見立てだ。「菅降ろし」は起こり得るのだろうか。

森内閣は日本経済新聞の世論調査で、退陣直前の01年2月の支持率が15%、不支持率は70%だった。菅首相の支持率は4割で、危険水域の20%台を超えている。

野党に政権を奪われる恐怖も、自民党には薄い。

麻生太郎内閣の09年、政権交代となる衆院選の3カ月前に自民党の支持率は民主党に追い抜かれていた。現在の野党第1党、立憲民主党の支持率は1桁にとどまる。

世論調査からみると内閣支持率は危険水域にいたらず、政権交代の可能性も小さい。そこで自民党が「永久与党」だった55年体制下の故事が引き合いに出される。

1976年の三木武夫首相と91年の海部俊樹首相はともに小派閥出身で、衆院解散にたどりつけなかった。衆院議員の任期満了まであと8カ月、無派閥の菅首相と重なり合う部分が多いからという見立てだ。

三木氏と海部氏は大派閥の資金が豊富で所属議員への締め付けも強く、領袖が総裁候補として競い合う中選挙区時代に「結党以来の危機」を救うため、いわば緊急避難的に登板した総裁だった。三木氏はロッキード事件、海部氏は初の参院での自民党過半数割れという衝撃が弱まると、派閥の会長とその参謀たちが「つなぎの役割は終わり。次は我々の番だ」と立ち上がってきた。「俺の気持ちが分かる同業者は日本中を探してもほとんどいない」と小渕恵三氏が漏らしたように、子分を養う派閥領袖には「総理総裁」を目指す責任と、強烈な自負があった。

いま派閥と派閥トップには、かつてのような力と自負はない。そもそも無派閥の菅首相が総裁選で圧勝したのは、小選挙区時代になって派閥が衰えたからでもあった。その事情は菅内閣が発足した当初も今も変わらない。こうしてみると「菅降ろし」は話題として口の端にはのぼるが、自民党の内部から仕掛ける状況にはない。「この難局は俺に任せろ」との気概を示す候補も見あたらない。

菅首相も「このままでよい」とは考えていない。感情をこめた言葉で語り始めた発信方法の変化も、その一つだ。首相が施政方針演説で言及した梶山静六氏も自ら意識してモデルチェンジした。それまで寝業師、国対族とみられてきた梶山氏は晩年、金融問題の提言を連発し、政策通へとイメージを一新した。70歳前後での変身を、首相も試みる。

状況の変化とともに、政治家も変えるべき部分は変えなければならない。今後数カ月で最も大きな影響が政界にあるのは、デジタル化とグローバル化がもたらす新たな国内外世論の動きだろう。

森内閣の打倒を目指した「加藤の乱」が失敗し、派閥議員などになぐさめられる加藤紘一氏(中央、2000年11月)
誰もがスマートフォンを持ついまなら、森内閣を倒そうとした「加藤の乱」は成功していたかもしれない。デジタル空間での世論には極端なものもあるが、有権者が瞬時に自分の意見や考えを発信し、共有できる環境は、20年前にはなかった。

グローバル化は森氏の辞任が示すように、新型コロナウイルス禍での東京五輪のあり方に最も大きな影響を与える。菅首相が向き合うのは自民党の「菅降ろし」ではなく、デジタルとグローバルが絡み合った新しい世論になる。

「新たな世論」の支持率が危険水域になれば、首相が自らの判断で身を引かざるを得ない。世論の動向はいつの時代も大事だが、ムラ社会の理屈と動きではなく、世論こそが首相の進退を決める時代になった。

丸谷浩史ニュース・エディターが、菅義偉政権の今後について解説するオンラインイベントを開きます。3月1日(月)18:00~19:10。申し込みはこちらです。https://eventregist.com/e/nelive0301

ニュースを深く読み解く「Deep Insight」まとめへDeep Insight https://www.nikkei.com/opinion/deepinsight/

丸谷浩史(まるたに・ひろし)
1989年日本経済新聞社入社。政治部、経済部で自民党や旧大蔵省などを取材。米ワシントンにも駐在した。メディア戦略部長、編集局次長兼政治部長を経て、現在はニュース・エディター。

東北新社、衛星放送業界で影響力 総務省幹部に接待攻勢

 ※ 菅正剛氏が、なにかと話題になっている…。

 ※ 彼の勤務する会社が、なんで電波行政を司る総務省の局長級の幹部と接触して、さかんに情報収集しようとしたのか…、その理由の一端が、語られている…。

『総務省幹部らが菅義偉首相の長男など東北新社関係者から接待を受けていた問題で、幹部らへの処分が24日、発表された。幹部らはこれまでの取材に対し、「誘いがあれば断るわけにはいかない重要な事業者だ」と釈明。武田良太総務相は記者会見で、同社に会食が集中した理由について「正直分からない」と歯切れが悪かった。放送行政における同社の一定の影響力がうかがえ、同省が検証する方針だ。

総務省幹部ら7人減給 接待受けた11人処分―武田氏は閣僚給与返納

 東北新社は1961年、首相と同じ秋田県出身の創業者が設立。番組やCM制作などを手掛ける老舗の映像制作会社だ。衛星放送事業には80年代に映画専門の「スター・チャンネル」で参入。2019年10月に死去した創業者が衛星放送協会会長を務めるなど、「業界で主導的な役割を果たしてきた」(関係者)とされる。

 ただ、近年は「ネットフリックス」などインターネット動画配信サービスに押され、放送各社の事業環境は厳しい。高精細な映像規格「4K」対応には投資がかさむため、及び腰な事業者が多い中、東北新社は4K放送でも業界をリード。チャンネル許認可権を持つ総務省と良好な関係を築いてきた。

 東北新社と同省幹部の会食は「情報交換」などが目的とされ、多額の費用を同社側が負担していた。衛星チャンネル運営元のある事業者は「日常的に接待を受けているとなると、許認可など行政に影響が及んでいると思われても仕方がないのではないか」と指摘する。

 接待問題を受け東北新社は同日、「重大な事態を招き、深くおわびする」との謝罪コメントを発表。今後、社内調査結果を公表するとともに関係者処分について「厳正に対処する」としている。』

インターンで青田買い? 学生の8割が就活制度に不満

インターンで青田買い? 学生の8割が就活制度に不満
就活探偵団
https://www.nikkei.com/article/DGXZQODZ158E80V10C21A2000000/

『「企業はウソをつく」「部活が忙しくて就活できない」――。就活探偵団が実施したアンケート調査で、学生の8割が今の就職活動の制度になんらかの不満を抱いていることが分かった。学生たちが社会への第一歩となる就活でつまずくことは、企業や社会の損失にもつながりかねない。具体的に何が問題なのか。取材と調査結果を基に学生の悲痛な叫びを紹介する。

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調査は1月下旬、日経電子版の会員と公式ツイッターで学生を対象にインタ…

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調査は1月下旬、日経電子版の会員と公式ツイッターで学生を対象にインターネットで実施した。有効回答数は289人。

まず、今の就職活動の制度・慣習に不満はあるか尋ねたところ、「ある」との回答は76%に達した。具体的に何に不満を感じているのか、複数の選択肢を用意し1つ挙げてもらった。最も多かったのは「選考状況が不透明」(18%)。次いで「インターンシップ(就業体験)が青田買いの場になっている」(17%)、「服装などの独特な就活ルール」「学業への支障」(ともに14%)だった。

実際に学生に聞いてみた。

「インターンが選考と関係ないというのはウソ。就活情報サイトで調べればすぐに分かる」。早稲田大3年の男子学生は不満げに語る。6社のインターンに参加し、その内5社はインターン後に接触があったという。

ある企業の採用ページには「インターンと本選考は関係ない」と書いてあったが、実際は既に3回の「面談」をしており「選考に関係ないわけがない」と笑う。「企業が言っていることを信じている学生はチャンスを失うことになる。企業の話は本当なのか疑いながら聞くようになった」

企業側の本音と建前が生まれるのは、政府が企業の採用活動に直結するインターンは認めないとの姿勢を示しているため。しかし、一度接点を持った有望学生をつなぎ留めたいのは企業のサガだろう。

部活で忙しく……
「『エントリー締め切り』の文字にがくぜんとした」。立命館大3年の男子学生は昨夏、日用品メーカーのサイトを見て肩を落とした。体育会系の部活に所属。部活と就活を両立しようとしていた。もちろん夏インターンがあることは知っていたが、部活の試合や練習の忙しさにかまけて、リサーチや自己分析が間に合わずエントリーができなかった。

夏や冬のインターンに本選考と企業によって採用活動が分散していてわかりにくい。「どこかの期間に一本化してほしい」と訴える。

就活スケジュールに不満を抱く学生も多い。特定の時期に卒業予定の学生を集中して選考し、在学中に内定を出す新卒一括採用。現在の政府が定めたルールは3月の説明会解禁、6月の選考解禁が軸だ。

しかし実態は3年生の夏インターンの選考が事実上の就活のスタートになっている。部活動や研究などに取り組んでいる学生にとって、就活に大学生活の多くの時間を奪われるのは痛手だ。

調査では就活で不安なことについても聞いた(複数回答)。最多は「個人面接」で構成比は16%、次いで「エントリーシート」(15%)、「集団面接」(14%)と続いた。ただでさえ、学生にとって大人と接する面接は緊張するものだ。それが従来の対面からオンラインになり、どう扱ったらよいのか戸惑っている人が多いようだ。

一方で「交通費・宿泊費」を挙げた人は3%にとどまった。例年はお金に関する悩みが出てくるが、オンライン化で金銭的な負担は限定的になったようだ。

コロナ禍で大学のキャンパス入構には制限があったり、飲み会がなかったりして、就活の情報を集めるのに苦労している人も多いだろう。就活の情報源は何なのか、複数回答で尋ねたところ、意外にも最も多かったのは「マイナビなどの就活サイト」で構成比は21%だった。次いで「企業のホームページ」(20%)、「友人」(13%)、「ツイッターなどのSNS」(11%)と続いた。

採用の透明化を

コロナ禍ではOB・OG訪問の機会が少なく、自分の足で情報をつかむのが難しいようだ。こんな声もあった。

関東地方の大学に通う3年の男子学生は「福利厚生や給与については会社からの説明が足りない」と語る。例えば社宅に入るにはどのような条件があるのか、入る場合に住宅手当は出るのか。入社から5年後にはどのような役職に就いていて、どのくらいの給与が見込めるのか。「学生から福利や給与について質問するのは気が引ける。だからこそ企業には情報を提供してほしい」

大学名で説明会の参加を制限したり、面接で不合格にしたりするような「学歴フィルター」がしばしば話題になる。実際学生は学歴フィルターを感じたことはあるのか聞いたところ、「はい」は49%、「いいえ」は51%と拮抗した。

「はい」と答えた人に具体的にどんな場面で感じたか聞くと、「会社の働いている人の学歴を知って」が36%と最多。以降、「書類選考」(28%)、「エントリー」(27%)と続いた。

自由回答では「参加したインターンシップでMARCH(明治、青山学院、立教、中央、法政の各大学)、関関同立(関西学院、関西、同志社、立命館の各大学)より(偏差値で)下の大学の学生を見たことない」(関西学院大22年卒)、「選考を突破した人しか参加できないインターンなどでグループディスカッションで一緒になったのは有名大学の学生ばかりだった」(法政大22年卒)などの声が聞かれた。

就活

これまで経団連や政府などが音頭を取って就活ルールを定めてきた。しかし、優秀な学生を確保したいと一部の企業が青田買いを進めてきた。これに拍車をかけたのが2010年代に本格化したインターンだ。表向きは選考の機会ではないと強調するが、実態は選考の一部になっている例が多数ある。

ならば、「インターンは選考の一部にしてもよい」とルールを改めてはどうか。そのためには各社に「うちのインターンは選考直結」「うちは選考しない」などを明言させるなどの決まりがあってもよいだろう。

スケジュールも再考の余地がありそうだ。インターンが始まる3年生の夏は海外留学したり、ボランティアなど課外活動に精を出したりと、短い学生生活を満喫しているまっただ中だ。それをインターンが妨げてしまっているのが実情だ。

もちろん、夏休みというまとまった時期に職業体験ができるのは有意義だと考える学生もいるだろう。ならば、選考やインターンの時期を複数回用意して、様々な事情を抱える学生にもチャンスを与えてはどうか。もちろんそのためには、「この時期に○○人採用する」「昨年○○大学からは○人採用した」などの情報を開示して透明性を図る。そうすれば、疑心暗鬼になる学生は減るのではないかと考える。

経済のグローバル化が進み、かつて戦後の高度経済成長を支えた日本独特の採用慣行は曲がり角に来ている。様々な経験を積んだ学生に平等に選考の機会を与えることが、企業の活力にもなるはずだ。コロナ禍が図らずも選考のオンライン化を後押しし、わずか1年で就活の風景は様変わりした。今度は制度の根本部分にメスを入れるときだと言えそうだ。

(企業報道部 鈴木洋介、赤堀弘樹)

※アンケート調査のより詳細な内容を28日(日)に日経電子版で公開します。

日銀がETF買い抑制? 懸念が生む日本株伸び悩み

日銀がETF買い抑制? 懸念が生む日本株伸び悩み
証券部 佐伯遼
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGD222GR0S1A220C2000000/

 ※ 『日銀はETF買い入れの主目的をリスクプレミアムの縮小としている。市場の不安心理による株価の下押し圧力を意味する。日銀が従来のパターンを崩してまでETF買いを見送ったのは、「リスクプレミアムを縮小する必要がない割高な状態に株価が突入したと判断した」可能性があるというわけだ。』

 ※ これからすると、現状は、「日銀がわざわざ”下押し圧力”を、縮小に持っていく必要が無いくらい、十分に”下押し圧力”は、取り除かれている。」ということだろう…。

 ※ 「下押し」どころか、「もはや、バブルじゃないのか…。」という説も、ちらほら出てきてるくらいだからな…。

 ※ 「あとは、全くの自己責任で、やってくれ。」ということだろう…。

 ※ 日銀にすれば、「バブルの原因を作った!」と言われるのも、「(ETFの買い入れを止めて)バブル崩壊の引き金を引いた!」と言われるのも、イヤだろうからな…。

『2010年以降、日本株を支えてきた日銀の上場投資信託(ETF)に変化の兆しが現れている。前週18~19日には従来なら買い入れていたタイミングにもかかわらず日銀は買いに動かなかった。日銀が日本株を「割高」と判断したとの警戒感も浮上し、日本株の上値を抑えているようだ。

22日の東京市場で日経平均株価は232円(0.78%)高の3万250円で午前の取引を終えた。一時は上げ幅が400円を超えて3万458円に達…

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一時は上げ幅が400円を超えて3万458円に達し、16日に付けた終値ベースでの30年半ぶり高値(3万467円)に迫る場面もあった。ただ、午後の取引を始めると急速に伸び悩み、一時は3万100円を割り込む場面もあった。

日本株伸び悩みの主因は日本の取引時間中、米ダウ工業株30種平均の先物が米金利の上昇を嫌気して下落したことだ。ただ、需給面での支えに対する信頼の揺らぎも株価の重荷となっている。

「日銀のETF買い入れ動向に明確な変化が生じている」。野村証券の池田雄之輔チーフ・エクイティ・ストラテジストは22日付のリポートでこう指摘した。

日銀は従来、前場の東証株価指数(TOPIX)が0.5%超下落するとETF買い入れに動くという市場の経験知があった。日銀はルールを公表していないが、2016年4月以降、前場にTOPIXが0.5%超下落した局面では全てETFを買い入れてきた。それが18、19日と前場のTOPIXがそれぞれ前日の終値比で0.54%、0.76%下落したにもかかわらず、日銀の買い入れは出動しなかった。

「日銀が現在の株価水準を『割高』と受け止めているとの懸念が株式市場の雰囲気を悪くしている」。岡三証券の松本史雄チーフストラテジストは指摘する。日銀はETF買い入れの主目的をリスクプレミアムの縮小としている。市場の不安心理による株価の下押し圧力を意味する。日銀が従来のパターンを崩してまでETF買いを見送ったのは、「リスクプレミアムを縮小する必要がない割高な状態に株価が突入したと判断した」可能性があるというわけだ。

日経平均が30年半ぶりに3万円を回復して1週間が経過した。日本株最大の株主となった日銀の買いは、大台の回復に寄与した。だが、日銀は3月の金融政策決定会合での政策点検で、ETFの購入枠にとらわれず必要な時だけ買い入れる形に改める見通し。政策修正を目前に控え、日銀買い入れの変化は市場心理に一抹の不安を投げかけている。

「顔」と調整役 五輪組織委会長と五輪相って何が違うの?

https://www.tokyo-np.co.jp/article/87025

『東京五輪・パラリンピック組織委員会の会長に前五輪相の橋本聖子参院議員が選ばれました。五輪相の後任には丸川珠代氏が2度目の起用となりました。組織委トップと担当閣僚の役割はどう違うのでしょうか。

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就任あいさつを前に、職員から花束を受け取る東京五輪・パラリンピック組織委員会の橋本聖子会長(左)=東京都中央区で(代表撮影)

 Q 組織委会長の役割は。
 A 簡単に言えば「東京大会の顔」です。組織委は、仮設の競技施設の設置や選手らの円滑な輸送、大会ボランティアの募集、聖火リレーなど大会の準備や運営を担います。役員には経済界や東京都、競技団体など幅広い人材が名を連ねています。会長は、開会式と閉会式でスピーチも任されます。開催都市である東京都の小池百合子知事と並び、大会の成功に重い責任を負っています。

 Q 過去にはどういう人が選ばれたのですか。
 A 日本では、経済界からの選出が続きました。前回の1964年の東京大会は、九州電力会長を務めた安川第五郎氏。72年札幌冬季大会、98年長野冬季大会はいずれも経団連会長経験者でした。海外の大会では元アスリートが就いた例もあります。

 Q 国会議員が会長でも問題はないのですか。
 A 五輪憲章は政治的中立の原則を掲げていますが、政治家が組織委トップになることを禁じていません。閣僚による公益法人の役職の兼務を禁じる大臣規範があるため、橋本氏は五輪相は辞任しました。参院議員は続けますが、野党の指摘も踏まえ、自民党は離党しました。

衆院予算委で答弁する丸川五輪相=国会で

 Q 丸川氏が再び務める五輪相の役割は。
 A 政府は東京大会を主催する立場ではなく、いわばサポート役。担当相は、警備など各省庁の五輪関連施策を調整します。開幕まであと約5カ月。新型コロナウイルスへの対応も山積する中で、急きょ後任を選ぶ必要に迫られたため、政府は2016年8月から約1年間、五輪相を務めた丸川氏を再登板させました。 (木谷孝洋)

【関連記事】「女性蔑視を容認か?」一時辞意の森喜朗会長を慰留する五輪組織委に疑問の声が続出』

首相長男の接待問題 総務省、局長ら2人を更迭

https://www.nikkei.com/article/DGXZQODE190XQ0Z10C21A2000000/

 ※ 「会食時音声」って、それ誰が録音してたのか?

 ※ そもそも、「会食」って、「録音」されながらするものなのか…。

 ※ 相当に、ケッタイな話しだ…。

『武田良太総務相は19日の閣議後記者会見で、放送事業会社「東北新社」に勤める菅義偉首相の長男らから接待を受けていた問題をめぐり、総務省幹部の異動を発表した。秋本芳徳情報流通行政局長と湯本博信官房審議官を20日付で官房付とする。事実上の更迭となる。

武田氏は「法案審議などが控える中、諸情勢を鑑み、適所適材の配置とする」と述べた。「東北新社の問題にかかる処分は今回の異動とは関係ない」と語った。「懲戒処分が必要であれば国家公務員倫理審査会の承認を得て、速やかにする」と言明した。

秋本氏の後任に吉田博史官房総括審議官を、湯本氏の後任に藤野克官房審議官を充てる。

総務省は19日の衆院予算委員会理事会で、接待問題について文書で報告した。週刊文春が公開した接待時のやりとりに関して首相の長男が「自分だと思う」と話していると明らかにした。

秋本氏は理事会後に開いた衆院予算委で「BS、CS、スターチャンネル等に関する発言はあったのだろう」と話し、これまで「記憶にない」とした自身の見解を変更した。「(首相の長男から)誘いを受けた時点で利害関係者ではないと思い込んでいた。認識に甘さがあったと反省している」と語った。

週刊文春は秋本、湯本両氏ら総務省幹部4人が、首相の長男から国家公務員倫理規程に抵触する可能性のある接待を受けたと報じていた。同規程は省庁の許認可を受ける事業者を「利害関係者」とし、接待や金品の受領を禁じている。

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会食時音声、一部は総務省局長の声 首相長男による接待
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森氏辞任に考える 日本社会に残る無意味な風習

森氏辞任に考える 日本社会に残る無意味な風習
ドーム社長 安田秀一
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 ※ これは、見といた方がいい記事だ…。

 ※ 「森さんが備えていた実力」というものの”形態”が、よく分かる記述が綴られている…。

 ※ (日経の編集方針にも、ちょっと感心した…。こういう記事を載せることで、ある意味、バランスを取っているんだろう…。)

 ※ キーワードは、「十数人規模の取り巻き」「大名行列」「赤絨毯(じゅうたん)」「豪華な椅子」「スポーツ業界ではお金を稼ぐ人材じゃなくて政府の金を持ってこられる人が偉い」などだ…。

 ※ 日本国は、不思議な国で、「前近代の尻尾」をつけながら、「近代化に成功し」「世界に冠たる経済的な成功(未だに、GDP基準では、国別で世界第三位)」を成し遂げてしまった…。

 ※ しかし、その「尻尾」は、ついたままだから、いろいろな側面で、顔を出すことになる…。

 ※ 最後に、ちょっと付言する…。

 ※ この人、やたら「ユベロス氏」を持ち上げているが、その人こそが、今の五輪の「商業主義」「利益追求主義」の道を開いた人なんじゃないのか?

 ※ いつもいつも言ってることだが、もの事すべて「光と影」「陰と陽」両面を備えている…。その「両方の面」に、絶えず意識を向け続けることが大切だ…。

『今夏に迫った東京五輪・パラリンピック。その組織委員会の会長辞任劇は国内だけでなく世界からも注目されました。低迷する開催機運のさらなる逆風にもなっています。この騒動に米スポーツブランド「アンダーアーマー」の日本総代理店、ドームで社長を務める安田秀一氏は大会組織委の問題から、日本社会に残る無意味な風習にまで考察を広げています。

◇   ◇   ◇

東京五輪・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長が辞任しました。森氏の女性蔑視発言についてはすでに散々批判されており、ここで取り上げるつもりはありません。僕がむしろ考えこんでしまったのは、森氏を擁護する意見として、その「功績」がまことしやかに語られてしまうことです。

具体的にどんな功績があったというのでしょう。国際オリンピック委員会(IOC)と太いパイプを築いた? 国内企業から五輪史上最高額の協賛金を集めた? それらは森氏でなければできなかったことでしょうか。文句が言いたいのではなく、誰の何と比べての功績なのか。僕には、同じポジションにいれば、彼を凌駕(りょうが)するような圧倒的な仕事ができた人材は国内外にいくらでもいると思ってしまいます。日本代表チームの監督ですら、外国人がやる時代です。日本人にこだわる必要も限りなく少ないと思います。

過去の五輪のどの都市と比べて、そしてどの大会組織委員会会長と比べて、具体的にどのくらいの功績があったのか。もっとも大きなステークホルダー(利害関係者)である都民にどんなメリットとデメリットをもたらしたのか。そんな検証もせずに「あなたたちはわかってはいないと思いますが」「この人脈と調整力は」などいう政治通のポジショントークとして功績を語られても、違和感しか覚えません。

よく言われる「コロナに打ち勝った証しとしての五輪」にも同じような感覚を覚えます。「コロナに打ち勝った証し」と聞けば美しく勇ましいとは思いますが、それはいったいどういう状態なのか。世界で患者がここまで減ったらとか、ワクチンの接種がどこまで進んだらとか、具体的な判断基準は何も示されていません。フワリとした雰囲気だけで物事を流そうとしてしまうのは、近年の日本社会の大きな課題だと感じています。

一連の騒動を見ながら、僕は37年前の五輪とそれを取り仕切った人物のことを考えていました。五輪の歴史に関心があれば、1984年ロサンゼルス五輪の組織委員長を務めたピーター・ユベロス氏の名前は聞いたことがあるでしょう。彼は五輪に商業主義を導入した存在として知られています。でも、彼がどんな経歴を持ち、どんな経緯で五輪と関わるようになり、具体的に五輪、スポーツをどう変えたのかまで知っている人は少ないと思います。 結論から言うと、ユベロス氏は「税金を一銭も使うことなくロス五輪を黒字化させた」という実績を持っています。これが本来、語られるべき功績の具体的な定量性であると思っています。すなわち、他の五輪の定量的な指標と比較して、功績を評価すべきでしょう。

米ロサンゼルス市が招致した際、当時の五輪は経費が膨れ上がって瀕死(ひんし)の状態でした。84年大会招致に立候補したのはロサンゼルス市のみ。しかもロサンゼルス市は財務保証はしない、赤字の補填も責任も負わないという条件でした。もし84年大会が失敗していれば、五輪の歴史は終わっていたはずです。では、当時の五輪組織委員会であった南カリフォルニア・オリンピック委員会(SCCOG)と、ユベロス氏の具体的な足跡をみてみましょう。

1984年ロス五輪は公的資金を使わなかった
ロス五輪はすべて民間資金で賄うとして、SCCOGは民間企業として大会組織委員会を設立、そのリーダーを「公募」しました。条件は①40歳から55歳②南カリフォルニア在住③起業経験者④スポーツ好き⑤経済的に独立⑥国際情勢に精通――。約600人の候補者から選ばれたのが、当時42歳のユベロス氏でした。

ロス五輪の成功はスポーツビジネスを変えた(1984年、開会式で入場行進する日本選手団)=共同
ユベロス氏は旅行会社を起業して成功した実績はありましたが、IOCやスポーツ界に人脈はありません。後に彼を取材した日本の記者にこう語っています。「小さなオフィスを借り、段ボール1箱のファイルと20人のボランティア、100ドルで開いた銀行口座。それがすべての始まりだった」

IOCはすでに74年に五輪憲章からアマチュア規定を撤廃していましたが、アマチュアリズムの考え方は組織内に根強く残っていました。彼は五輪にビジネスを導入することに反対するIOCと闘い、1業種1社に独占的な権利を与えるスポンサー協賛金制度を導入し、テレビ放映権も米ABCに独占契約で販売。こうした手法で五輪を「稼げる大会」に変えました。

ロス五輪は商業主義ばかりが強調されますが、同時に徹底的な経費削減にも取り組んだことはもっと重要です。競技会場は既存施設を活用して新設は必要なものだけに絞り、選手村は大学の学生寮を活用しました。そして公的資金を一銭も使わない五輪を実現し、2億1500万ドルの黒字を出したのです。息も絶え絶えだった五輪において、まさに「ゲームチェンジ」を行ったのです。

こうしてユベロス氏は五輪の救世主となりました。その手法はその後、IOCが積極的に取り入れ、五輪だけでなくスポーツ界全体に広がり、スポーツビジネス全体を急成長させました。これこそ功績と呼ぶべきものでしょう。彼は五輪やスポーツの未来を輝かせる新たなアイデアを考案し、具現化したのです。ユベロス氏は学生時代、水球選手として五輪の代表候補になりましたが、出場はしていません。スポーツ界とは無縁の業界にいたので、IOCはもちろん、国内のスポーツ団体にも行政にもなんらコネもなく、それこそ知恵を絞り、徒手空拳で保守的なIOCを説得していったのです。つまり、五輪が巨大な商業イベントである以上、評価されるべきは能力であり、政治力ではありません。

後の五輪は、商業主義は引き継ぎましたが、経費削減の努力は怠り、再び莫大な経費が開催都市を苦しめています。デジタルなど新たな技術の登場で、従来のビジネスモデルからの転換も迫られています。五輪が再びピンチに陥り、変革が避けられなくなったときに、東京が五輪を開催することになりました。ユベロス氏のように、次の未来を築く革新的な五輪のあり方を提示することに取り組むべきだったように思います。

ところが、ボタンの一つ目から掛け違えてしまいました。実際の執行機関である組織委のトップに据えたのは、昭和の臭いがプンプンする、旧来の利益誘導型の政治家でした。人脈やコネ、貸し借りなどを使った根回しによって物事を関係者だけで決定し、利益は限られた狭いサークルに分配していく。村社会感が全開の過去のやり方をなぞっただけに感じました。そもそも、どのようにこの人事が決定したのか、その経緯も密室そのものです。かくして、五輪は「復興五輪」などとは名ばかりの利害関係者だけの関心事となり、大会が終われば赤字を垂れ流すだけの無計画な施設が次々造られ、開催に関わる経費は莫大な金額に膨れ上がりました。

スポーツの現場で見た不思議な光景

森氏の功績を評価する意見は、僕には体罰教師への批判に対して「彼はそれでも教育熱心だから」と言って擁護しているのと同じように聞こえます。僕もスポーツの現場で何度となく森氏と遭遇したことがあります。いつでも十数人規模の人に取り巻かれて、登場するとその場にいた人々が一斉に引き下がり、ひたすら首(こうべ)を垂れて迎えるという「大名行列」のような光景です。

一番印象的だったのは、プロ化を果たしたバスケットボール男子Bリーグの開幕戦です。当時、僕の経営する会社が男子バスケ日本代表のスポンサーや、Bリーグチームのスポンサーをいくつかやっていたことから、客観的に見たら僕はかなりのVIPという存在でした。でも、僕にあてがわれた席は後方気味のコーナーで、試合の展開が見えづらいごく普通のシートでした。

特等席に座っていたのは政治家がほとんどだったという(2016年9月、Bリーグの開幕戦)

でも、会場の客席の特等席には赤絨毯(じゅうたん)が敷かれていて、その上には豪華な椅子が並べられていました。ここからは想像の通りですが、この赤絨毯に座っていたのは、それこそ年配の男性ばかり、政治家がほとんどでした。そして、その一番格式の高そうなシートに向かって、森氏が例のごとくに登場して、今度は周囲を囲んでいた赤絨毯の人々が一斉に立ち上がって、ひとつの方角に向けて深々とおじきをしてお出迎えをしていました。なにか悪いコメディーを見ているような気分にすら思いました。「この人たちの給料は僕らが払ってきた税金なんだけどな」と心の中で叫ぶのが精いっぱいでした。

僕の扱いに文句があるわけではありません。でも、同じような「記念試合」に米国でも何度か招待されているのですが、政治家よりもスポンサーの扱いが低いということはあり得ません。こんなことをあえて記述する必要があるのかと馬鹿らしく思えるくらいの常識です。政治家は税金を配分するのが仕事ですので、どこかで「俺が持ってきたお金」という勘違いをしてしまうのだと思います。そしてスポーツ団体側も補助金を配分してくれる政治家におもねるようになり、大小さまざまな利権が生まれてしまうのです。

日本オリンピック委員会(JOC)関連の会議に参加している若い関係者からよく愚痴を聞きました。

「安田さん、こんなに日本の財政がピンチなのに、いまだに『東京五輪に向けて予算を獲得しよう! えいえいおー!』ですよ。結局、スポーツ業界ではお金を稼ぐ人材じゃなくて政府の金を持ってこられる人が偉いんです。これじゃ世界に勝てるはずがないです」

日本にとっての東京五輪・パラリンピックは本来、人口が減少して縮小化する時代に向けて、効率的で無駄のない最適化した社会やシステムを構築する契機にすべきものでした。それを世界に向けてアピールする絶好のチャンスでもあったと思っています。

スポーツ業界に身を置く僕が、なにか批判的なコメントをすることに、なぜかある種の恐怖を感じてしまいます。日本は憲法の下、法の下の平等が大原則の立憲国家です。そこには当然ながら男女差別も、年齢による上下関係もあってはなりません。大名行列は江戸時代の遺品であって、時代劇の中だけで十分です。

そんな意味でも、今回の騒動は今夏の開催の是非を論じるにとどまらず、最初のボタンの掛け違いから全体を検証し直す絶好の機会だとも思っています。それは、東京五輪の問題にとどまらず、日本における憲法と伝統文化や価値観とのギャップを検証し直す機会にもつながると感じています。

五輪やスポーツを超え、これからの日本が再び輝くには、どんなリーダーを選び、どんな社会を築いていくべきなのか。男だから、女だから、年下のくせに……なんていう無意味な風習や価値観が廃れていき、自由闊達な議論が盛り上がる風通しのよい社会へ。前回のコラムでも記したスポーツがけん引する「フラットな社会」の実現が、思ったより早く訪れそうで、なんとなくワクワクしてしまいます。

パリ五輪で、などと悠長なことをいわず、東京五輪がそんな「フラットな社会」、つまりダイバーシティー(多様性)など真の社会変革のきっかけになったとしたら、それこそが一番のレガシー(遺産)といえるのではないでしょうか。

安田秀一

1969年東京都生まれ。92年法政大文学部卒、三菱商事に入社。96年同社を退社し、ドーム創業。98年に米アンダーアーマーと日本の総代理店契約を結んだ。現在は同社代表取締役。アメリカンフットボールは法政二高時代から始め、キャプテンとして同校を全国ベスト8に導く。大学ではアメフト部主将として常勝の日大に勝利し、大学全日本選抜チームの主将に就く。2016年から18年春まで法政大アメフト部の監督(後に総監督)として同部の改革を指揮した。18年春までスポーツ庁の「日本版NCAA創設に向けた学産官連携協議会」の委員を務めたほか、筑波大の客員教授として同大の運動部改革にも携わる。』

五輪の透明性を世界注視 橋本氏、固辞から一転

https://www.nikkei.com/article/DGXZQODG17D3V0X10C21A2000000/

『東京五輪・パラリンピック大会組織委員会の新会長に橋本聖子氏の就任が18日決まった。女性を蔑視した森喜朗氏の発言や後任人事をめぐる「密室」批判などで傷ついた信頼の回復が新会長の責務となる。大会実現に向けた課題が山積する中、透明性の高い運営を実現できるか、世界の注目が集まる。

「一連の経緯は国民や都民の気持ちを困惑させるものだったのではないか。私が問題解決するために努力しなければならない」。橋本氏は1…

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橋本氏は18日の就任会見でこう話し、組織委の信頼回復と透明性の確保に全力を挙げると強調した。

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五輪の申し子・橋本聖子氏 スポーツも政治も「調整型」
IOC会長、橋本組織委新会長就任は「最適な人選」
[社説]新会長に望む現実踏まえた五輪の準備

関係者によると、会長候補は当初から橋本氏と日本オリンピック委員会(JOC)の山下泰裕会長の2人を軸に選考が進んでいた。ただ橋本氏は16日まで固辞する姿勢を崩さず、議論は一時、山下氏に傾きかけた。山下氏も要請があれば受ける覚悟を決めていたという。

だが多様性を重視する観点や、橋本氏の五輪での経験の豊富さなどを踏まえ、17日の審議では一転、橋本氏への一本化が決まった。候補者選考にあたった御手洗冨士夫氏は「17日午後6時ごろに橋本氏に電話で打診した。(翌18日の)午後0時半ごろに(受諾の)連絡がきた」と明かした。

御手洗氏は「アスリート出身者から熱烈な推薦があった」とし、御手洗氏を含む8人で構成する候補者検討委員会では、6人が橋本氏の名前を挙げたという。御手洗氏は「橋本氏が(特に)女性だからという議論はなかった」とも述べたが、問題の発端が女性蔑視発言だったこともあり、橋本氏の下で組織委が混乱を収拾できるとみた関係者は多かったとみられる。

新会長が率先して取り組むべきは、開催に向けた機運を取り戻すことだ。森氏の発言以降、ボランティアの1000人以上が辞退した。大会時には1日当たり医師が最大300人、看護師が同400人必要とされる。感染状況次第では協力を得るのが難しくなる可能性もある。

今回の新会長の選考過程では、組織委の透明性の欠如が改めてあらわになった。森氏は独自に水面下で川淵三郎氏に後任を打診して批判を浴び、その後の候補者の選定過程でも検討委のメンバーや審議内容は伏せられたまま議論が進んだ。18日に御手洗氏が一定の説明をしたものの、傷ついた信頼の回復はこれからだ。

新型コロナ対策をはじめ、橋本氏が直面する課題に対処するには、国内外の多くの関係者の協力が欠かせない。大会まで残り5カ月という限られた時間の中、組織委は開かれた運営を通じて世界の信頼を取り戻す必要がある。

Tokyo Olympic and Paralympic 特設サイトはこちら https://r.nikkei.com/tokyo2020