米通信当局を提訴 「安保の脅威」に反発―中国ファーウェイ

米通信当局を提訴 「安保の脅威」に反発―中国ファーウェイ
2021年02月10日09時53分
https://www.jiji.com/jc/article?k=2021021000365&g=int

『【ワシントン時事】中国通信機器最大手の華為技術(ファーウェイ)は9日までに、米連邦通信委員会(FCC)が同社を「安全保障上の脅威」に当たる企業に指定したことを不服として、米連邦高裁に提訴した。訴状によると、FCCの決定は違法だとして取り消しを求めている。

ファーウェイ排除を強調 制裁緩和「理由ない」―次期米商務長官

 FCCは昨年、ファーウェイが中国政府・軍の影響下にあると判断し、安保上の脅威と正式に認定。ファーウェイの異議申し立てを却下し、連邦政府から補助金を受けた通信会社に対して同社製品の購入を禁じた。』

ルネサス社長「5G技術の穴埋める」 英半導体大手を買収

https://www.nikkei.com/article/DGXZQODZ088LL0Y1A200C2000000/

 ※ 英ダイアログの買収、本決まりになったようだ…。

『半導体大手のルネサスエレクトロニクスは8日、同業の英ダイアログ・セミコンダクターを6179億円で買収すると発表した。同社が開いたオンライン会見でルネサスの柴田英利社長兼最高経営責任者(CEO)は「不足していた技術を買収で強化する」と述べた。主なやり取りは以下の通り。

【関連記事】

ルネサス、英半導体ダイアログ買収合意 6179億円で
――ダイアログ買収の狙いは。

「自社に不足していた技術を買収で強化する。当社はエアコンなど白物家電向けの半導体に強みを持っていた。買収によって(高速通信技術…

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買収によって(高速通信技術の)5Gを含むIoTに必要な技術のピースが埋まる。近い将来はウエアラブルやヘルスケアでの貢献が大きい。車載向けは時間がかかるが、長期的に(買収の)相乗効果が見込める」

「(ダイアログが強みとする)電力制御ICは間違いなく重要な技術要素だと考えている。2050年の(温暖化ガス排出実質ゼロを意味する)カーボンニュートラルを待たずとも、爆発的に増える電力を効率的に使う重要性が高まっている。効率の高い電力制御の需要は非常に大きな拡大を続ける」

――買収の決め手と今後の買収戦略は。

「買収先は常に10社ぐらいの候補を見ており、ダイアログも何年も前からリストに入っていた。株価も一つの要因になるが、事業の構成変化が組み合わさって今回のタイミングで買収を決めた。買収対象の候補は今でもあるが、当面はダイアログとの統合をやらないといけない。ある程度規模の大きい買収をやるつもりはない。技術の獲得を目的とした小さな規模の買収はあり得る」

――米中摩擦などの地政学リスクで買収手続きに影響が出る可能性は。

「ダイアログを選んだ理由の一つにリスクが低いことがある。過去の買収と比べてもダイアログはセンシティブな製品を扱っていない。今回は安全保障のハードルは問題なく越えていけると考えている。当社とダイアログは補完関係にあるので、独占禁止法で問題になるほどのシェアを持つこともないと思っている」

――ダイアログの優秀な人材をどう維持するのか。

「優秀な人材の獲得は買収の理由の重要な一つだ。能力のある人材が意識高く働いてくれる環境を用意することに本気で取り組んでいる。これまでに買収した2社はうまくいっている。株価に連動した報酬の仕組みを用意している。経済的な理由だけで引き留めるのではなく、ルネサスの文化をもっと先進的にしようと本腰を入れている」

英半導体ダイアログ、ルネサスに会社売却協議 6220億円

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR080GR0Y1A200C2000000/

 ※ 様々な「ASIC」を、設計・製造・販売している会社のようだ…。

ASIC
https://ja.wikipedia.org/wiki/ASIC

https://www.dialog-semiconductor.com/ja

『【ロンドン=佐竹実】米アップルなどを顧客に持つ英半導体大手ダイアログ・セミコンダクターは7日、同業大手のルネサスエレクトロニクスへの会社売却について協議していると発表した。ルネサスが提示した買収額は約49億ユーロ(約6220億円)にのぼる見込み。ダイアログは交渉の進捗について「必要に応じて公表する」としている。

ダイアログはロンドン郊外に本社を置き、独フランクフルト証券取引所に上場している。発表によると、ルネサスは現金による買収を提示した。1株当たり67.5ユーロで、5日の終値を約2割上回る水準だ。

ルネサスは8日、ダイアログの買収について「協議している」との声明を発表した。買収金額についても認めた。

ブルームバーグ通信が7日、ダイアログがルネサスから49億ユーロで買収提案を受けていると報じ、ダイアログは協議が進展していることを認めた。複数の買い手候補と交渉しており、スイスの半導体大手STマイクロエレクトロニクスとも協議していたという。

ルネサスはあらゆるモノがネットにつながる「IoT」やデータセンターなど成長分野を強化し、主力の車載事業への依存度を減らしている。2019年12月期の非車載事業の売上高比率は46%まで高まった。

ダイアログは足元で高速通信規格「5G」向けスマートフォンやタブレット向けの需要が好調だ。ルネサスは5Gの電波の送受信の技術開発も進めており、ダイアログの買収には5Gの基幹技術を取得する狙いもありそうだ。

一方、大型買収を懸念する見方もある。8日の東京株式市場でルネサス株は一時、前営業日比86円(7%)安の1162円まで下げた。

ルネサスは17~19年にかけて累計1兆円規模の買収を実施し、財務が悪化した経緯がある。「財務負担リスクを懸念する投資家もいるのだろう」(楽天証券経済研究所の今中能夫氏)との指摘があった。

【関連記事】
エヌビディアのアーム買収、EUも調査開始へ FT報道

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中国SMIC、米禁輸措置「先端技術の開発に影響」

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM202P40Q0A221C2000000

『【北京=多部田俊輔】中国の半導体受託生産最大手、中芯国際集成電路製造(SMIC)は20日、米商務省から受けた先端技術に関わる禁輸措置について「回路線幅が10ナノ(ナノは10億分の1)㍍以下の先端技術の研究開発や生産設備の建設に重大な不利な影響がある」との初期的な評価を発表した。

習近平(シー・ジンピン)指導部は米国企業に依存している半導体の国産化を目指しており、SMICはそのけん引役を担っている。政権交代前に中国の半導体国産化の阻止を目指すトランプ米政権の新たな措置で中国への影響は避けられない見通しだ。

米商務省は18日、安全保障上問題がある企業を並べた「エンティティー・リスト」にSMICを加えた。10ナノメートル以下の半導体生産に必要な製造装置などについて許可を原則出さない。同省は9月に特定企業からSMICに輸出する場合は許可制としたが、今回さらに踏み込み、日本を含む国内外企業に適用した。

SMICに対する先端技術に関わる禁輸措置について、同省は軍事企業と関係する証拠が見つかったためだとしているが、SMICは20日の声明文で「関係している国や地域の法律や規定を厳格に順守しており、いかなる軍事的な利用にもかかわっていない」と重ねて否定した。

SMICは10ナノメートル以下の技術を使った半導体の量産を実現していないことから「短期的な経営や財務には重大な不利な影響はない」としている。これから米国政府や当局と話し合いを進め、不利な影響を最小限とするよう努力することも示した。』

エヌビディア、アーム買収のなぜ(2)GAFAも半導体開発

エヌビディア、アーム買収のなぜ(2)GAFAも半導体開発
IoT機器向けは「適度なサボり」で省電力化
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO63962040X10C20A9I00000/

『米半導体大手のエヌビディアの手掛ける人工知能(AI)半導体は、米IT大手のGAFA(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン)も開発に乗り出している。技術開発競争の焦点は小型化や省電力化で、クラウドにデータを送らずに端末側でAI処理する「エッジAI」の普及の原動力となる。Q&A方式で現在の競争環境をまとめる。

【関連記事】
エヌビディア、アーム買収のなぜ(1)AI半導体
AI半導体、覇権狙うエヌビディア アーム買収

Q エヌビディアが手掛けるAI半導体の課題は何か。

A エヌビディアのGPU(画像処理半導体)は演算速度が速い一方で、消費電力量が比較的大きく、半導体チップを搭載するための部品も大型になってしまう。スマートフォンやパソコンに搭載するのは難しい。そこで、専用の用途に特化した「エッジAIチップ」とよばれる半導体の開発が世界で進んでいる。

Q どのような企業が参入しているのか。

A エヌビディアのほかに、例えばグーグルはサーバー向けに機械学習に特化した「TPU(テンソル・プロセッシング・ユニット)」と呼ばれる半導体を開発している。さらに、グーグルはこのAI半導体を、監視カメラなどのIoT端末に組み込むとAI機能を持たせることができるエッジの領域に拡大し「エッジTPU」を外販している。エヌビディアのGPUに比べて消費電力が1桁小さいといい、検索エンジンに使っているという。

スマホ向けでは、コンピューターの頭脳を担うCPU(中央演算処理装置)やメモリーなどを1つのチップに搭載する「SoC(システム・オン・チップ)」にAI機能を搭載する動きが広がる。アップルはiPhone向けのチップに機械学習に対応した「ニューラルエンジン」を搭載し、顔認証などに使っている。アップルはチップを自社で設計し、台湾の台湾積体電路製造(TSMC)に製造を委託している。

画像の拡大
Q なぜ、エッジAIチップは省電力化できるのか。

A AIの機能は、大量のデータから解析モデルなどを作る「学習」と、そのモデルをもとに分析や予測をする「推論」の2つに大きく分けられる。例えば、スマホの顔認証機能は推論機能で、学習に比べて分析するデータは少ない。

エッジAIチップでは、推論の精度が保てるギリギリのラインまで半導体の計算速度を落としている。「適度にサボる」ことで、消費電力を小さくするという考え方だ。

Q エヌビディアはこうした流れにどう対抗しようとしているのか。

A その解の一つがスマホ向け半導体設計で高いシェアを持つアームの買収と言える。エヌビディアは英アームの買収後に、英国に大規模なAI研究施設を立ち上げる方針を示している。エッジAIチップの開発強化に向け、「適度なサボり」方のコツを知るアームの設計書をもとに、医療やロボット、自動走行など幅広い分野での半導体開発をスタートアップやパートナー企業と連携して目指していくとみられている。』

~ファーウェイへの「死刑宣告」、その意味するもの~

2020年08月26日17:30
ストラテジーブレティン(259号)~ファーウェイへの「死刑宣告」、その意味するもの~ハイテク市場で予想される地殻変動
https://www.data-max.co.jp/article/37296

『NetIB‐Newsでは、(株)武者リサーチの「ストラテジーブレティン」を掲載している。今回は2020年8月25日付の記事を紹介。

 米国は8月に入り、以下の苛烈な対中ハイテク企業バッシング政策を相次いで打ち出した。
 (1)ファーウェイに対する半導体供給完全遮断。
 (2)中国・中国共産党を世界のインターネットから完全に排除する、クリーンネットワーク構想の提起。
 (3)動画掲載アプリTikTokの米国事業禁止。
 いずれも、7月23日のポンペオ・スピーチで表明された中国敵視戦略の遂行のために打ち出されたものであり、これまでの対応とはレベルが異なっている。

 米国は中国・中国共産党を敵と定めた以上、中国を破る対中戦略を確立しているのではないか。米国が目的を達成するためには、(1)経済交渉と制裁、(2)産業・資財供給の封鎖、(3)金融封鎖、(4)Hot War(武力戦争)の4段階が考えられる。
 これまで米国が行なってきた(1)経済貿易戦争の交渉では埒が明かず、短期で効果を上げることは望めない。よって、(2)産業・資財の供給封鎖により、打撃を与えようとしている。あたかも現代の石油である半導体供給やネットワーク遮断は、額面通り実施されるならば、甚大なダメージを中国に与えるのではないか。
 ファーウェイの破綻、大手IT企業3社のBAT(バイドゥ・アリババ・テンセント)の衰退が起きたとき、習近平政権はどう反応するだろうか。米国が(3)金融封鎖、(4)Hot Warという手段に訴えるのは、(2)の効果が見えた後であろう。

(1)ファーウェイへの死刑宣告
ファーウェイへの半導体全面禁輸
 米国商務省は8月17日、ファーウェイに対して半導体の全面禁輸という苛烈な新政策を打ち出した。ファイナンシャルタイムズ(FT)紙はこれを、Death Sentence(死刑宣告)と形容している(8月22日付FT)。

 この政策は、米国のソフトウェア、テクノロジーを使用して開発または生産されたすべての半導体・電子部品へのファーウェイによるアクセス(※)を直ちに全面禁止するというもの(ただしライセンス取得が必要)。

 商務省は5月15日に、米国の製造装置や設計ソフトを使っている外国製半導体のファーウェイへの販売を禁止したが、米国製品の構成比が25%以下の場合は対象外という軽減措置や、迂回輸出という抜け道があり、猶予期間もあった。

 今回の措置はすべての製品に対して、迂回経路を遮断し、猶予期間なく即時に実施するという激烈なものである。

 これまで避難手段と考えられてきた、サムスン電子や台湾のメディアテックなどのファーウェイにとっての代替調達先からの購入や、メモリなど汎用品の購入にも米国政府の許可が必要になるため、事実上の禁止といえるだろう。

 この措置がいかに唐突で苛烈なものであるかは、中国への対応において政府と歩調を合わせてきた米国半導体工業会(SIA)が「米国政府の突然のシフトに驚きと懸念を抱いている。センシティブでない製品の中国への販売は米国の経済力と安全保障にとって重要である」と表明したことからも明らかである。

 ファーウェイは米国半導体企業にとって、最大手ユーザーの1つであるが、その状況に配慮してファーウェイへの供給が選択的に認められるとしても、限定的なものであろう。

ファーウェイの最先端通信機メーカーとしての命運、風前の灯火
 半導体の取得が絶たれれば、来年初めには6か月分といわれる半導体在庫が払底し、ファーウェイの売上の9割を占めるスマートフォンと通信基地局の生産は立ち往生する。

 新規ビジネスとして注力しているクラウドサービスも、サーバー、データセンターの95%がインテルのCPUを搭載しているといわれる「半導体の塊」であり、中国産の半導体では対応が困難である。米国の対応はさらに厳格化することはあっても、緩和することは考えられず、この窮地を抜け出す手はあるのだろうか。

 中国政府はファ―ウェイを支援するだろうが、その支援は中国国内ビジネスに限られるだろうし、世界最先端の通信機メーカーとしてのファーウェイの命運は断たれつつあるというべきかもしれない。

 ファーウェイはスマホビジネスでは、2020年4~6月に世界スマホシェアの20..2%を占めてトップに立ったが、これは断末魔の輝きともいうべきものだろう。

 ファーウェイのスマホは、2019年にすでにOSであるアンドロイドのアップデート制限とGoogleアプリの搭載が禁止されており、中国外での販売は大きく減少すると見られていた。このことに半導体の供給停止が加わるため、今後はシェアの急減が避けられない。ちなみにファーウェイのスマホは、2019年の世界出荷台数2.38億台のうち4割弱が海外出荷とされるため、相当大きなダメージを受けるだろう。

 米国は8月に入り、以下の苛烈な対中ハイテク企業バッシング政策を相次いで打ち出した。
 (1)ファーウェイに対する半導体供給完全遮断。
 (2)中国・中国共産党を世界のインターネットから完全に排除する、クリーンネットワーク構想の提起。
 (3)動画掲載アプリTikTokの米国事業禁止。
 いずれも、7月23日のポンペオ・スピーチで表明された中国敵視戦略の遂行のために打ち出されたものであり、これまでの対応とはレベルが異なっている。

米国は力ずくで5G基地局からファーウェイ排除
 次に5G基地局ビジネスについて。これまで技術的に先行し価格も圧倒的に安いファーウェイが、次世代ネットワーク5Gのメインプレーヤーとなる、という見方が世界の常識であった。しかし半導体の調達が困難になり、ファーウェイの製品供給が維持できなくなると、ファーウェイを軸とした5Gネットワーク構築を根底から見直さざるを得なくなり、米国によるファーウェイ排除要請に抵抗を示していたドイツのメルケル政権も、路線転換を余儀なくされるだろう。

通信機市場に新たな空白が
 従来はコア基地局の仕様が各国の通信企業ごとに異なるため、メーカーは個別に対応せざるを得ず、実績が豊富で高シェアをもつファーウェイが有利だった。しかしファーウェイに代替する企業の参入を容易にするための米国国防省による呼びかけもあって、O-RAN(Open Radio Access Network)と呼ばれる汎用的規格がつくられようとしており、より小規模の企業の新規参入が可能になりつつある。

 いち早くファーウェイ排除を決めた英国は、コア基地局でのシステム仕様をオープン化して、5Gの代替サプライヤーの参入を求め、日本政府に協力を要請している。こうしてNTTドコモと後発のNECや富士通(世界シェア1%未満)にも、チャンスがめぐってきたのである。

 しかし、ほとんどの関係企業は、情勢の急変に対応できていない。ファーウェイを5G基地局のサプライヤーと決めている多くの欧州通信業者はsuper painful(大きな痛手だ)というのみで、ファーウェイ破綻という不測の事態にまったく対応できていない(FT・8月22日付)。しかし他方で、スマホと基地局という世界の通信機市場で圧倒的プレゼンスを誇ったファーウェイが衰退するとなると、巨大な市場の空白が生まれ、関連企業にとっては大きなビジネスチャンスとなる。地政学が世界の産業地図を塗り替えていく、といえるだろう。

(2)クリーンネットワーク構想
あからさまな対中インターネット封鎖
 米国務長官は8月5日、新たなプログラム「Clean Network」を発表した。Clean Networkプログラムは悪意のある攻撃者(中国および中国共産党)から市民のプライバシーと企業の機密情報を守ることが目的とされ、中国・中国共産党をネットワークの各分野から排除することを意図している。

 究極的にはファーウェイのみならずOPPO(オッポ)など中国のスマホメーカー、およびBATなどのインターネットプラットフォーマー、移動体通信事業者などは、すべて国際的なインターネット空間から遮断されることになるかもしれない。中国国外では、アリペイやウィーチャットペイなどの電子決済もできなくなるだろう。

 Clean Networkプログラムには5つのカテゴリーがあり、各インターネット分野からの中国の追放を目的としている。

(1)クリーンキャリア
 信頼できない中国の携帯電話会社(キャリア)が、米国の通信ネットワークに接続することを禁止。

(2)クリーンストア
 米国のアプリストア(Google PlayストアやApp Storeなど)から信頼できない中国製アプリケーションを排除。

(3)クリーンアプリ
 信頼できない中国のスマートフォンメーカーがアメリカなどの信頼できるアプリをプリインストール(内臓)すること、あるいはダウンロードすることを禁止。

(4)クリーンクラウド
 アリババ、バイドゥ、テンセントなどの中国企業が提供するクラウドサービスに米国のデータを保存することを禁止。

(5)クリーンケーブル
 グローバルインターネットに接続している海底ケーブルが、中国による超大規模な情報収集のために侵害・破壊されないようにする。

 米国は同盟国や協力国の企業に呼びかけ、クリーンネットワーク(中国排除のグローバルネットシステム)を強化していく。

米国は8月に入り、以下の苛烈な対中ハイテク企業バッシング政策を相次いで打ち出した。
 (1)ファーウェイに対する半導体供給完全遮断。
 (2)中国・中国共産党を世界のインターネットから完全に排除する、クリーンネットワーク構想の提起。
 (3)動画掲載アプリTikTokの米国事業禁止。
 いずれも、7月23日のポンペオ・スピーチで表明された中国敵視戦略の遂行のために打ち出されたものであり、これまでの対応とはレベルが異なっている。

(3)TikTok米国での事業禁止
現代のアヘンになる可能性
 トランプ大統領は、欧米でも圧倒的な人気を誇る中国発の動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」が安全保障上の脅威になるとして、ハイテクユニコーンであるアプリ運営会社のバイトダンスに対して、米企業への事業売却か、米国市場からの撤退を迫っている。

 ティックトックの買収にはマイクロソフト、オラクルが名乗りを上げている。日本経済新聞編集委員・西村博之氏は「Global Economic Trends」の「TikTokは危険なのか、代わるデータと国家の関係」(8月23日付)のなかで、この背景を以下のように分析している。

「若者が歌や踊りを披露する娯楽アプリが、どう国民の安全を脅かすのか。そして米政府はなぜ、強硬な姿勢をとるのか。背景を探ると、何でもないデータを武器に変えうるデジタル技術の進化と、中国の台頭に危機感を抱く米国の姿が浮かび上がる」

「米中央情報局(CIA)はホワイトハウスの指示でティックトックを調査し、潜在的な危険は否定できないものの、今のところ中国の情報機関がデータを収集した事実はないとの結論に達したという(Is TikTok More of a Parenting Problem Than a Security Threat?)」

「ティックトックが大量のデータを集めているのは事実だ。詳細な検証を行ったサイバーセキュリティー会社によると、アプリはスマホ内蔵のカメラやマイク、写真や音声データのほか、全地球測位システム(GPS)機能を使った位置情報、IPアドレス、ネット上の閲覧・検索履歴、ほかの利用者と交わしたメッセージにもアクセスできる。ところが驚くことに、こうしたデータ収集は『ほかのアプリとそう変わらない』という。高性能の携帯端末が普及した今、誰もが便利さと引き換えに知らず知らずのうち大量のデータをばらまいているのが現状なのだ(Understanding the information TikTok gathers and stores)」

「ユーザーの属性や閲覧履歴など無数のデータから趣向をつかんで自動的にコンテンツを推奨する抜群のアルゴリズムは、他のソーシャルメディアの追随を許さないほどアプリの中毒性を高めているという(For Whom the TikToks)」

「これによりティックトックが強力な文化戦争の兵器になり得ると見るのが、著名な歴史家のニール・ファーガソン氏だ。ティックトックは『アヘン戦争以降の屈辱の100年に対する報復であるのみならず、デジタル版のアヘンそのものだ』と指摘。『我々の子どもたちが来る中国の支配を喜ぶよう地ならししている』と主張する(TikTok Is Inane. China’s Imperial Ambition Is Not)。実際、中国は大量のデータ獲得とAIを自国に好ましい『国際世論』醸成の重要な手段と位置づけている。自国内で用いている『社会操作』のグローバル版だという(Engineering global consent)」

 ジャーナリスト福島香織氏は、ネットメディア『現代ビジネス』に寄稿した「習近平は知らない・・アメリカが真っ先にTikTokを狙った本当のワケ」(8月22日付)のなかで、次のように分析している。

「2019年12月、米国防省は初めて、軍部に対しTikTokに安全リスクがあると警告し、今年1月から軍関係者の使用を禁止。7月に米上院国土安全保障・政府活動委員会で、米連邦政府官僚のTikTokダウンロードの禁止を求める法案が可決された」

「元ホワイトハウス国家安全保障委員会の官僚で、大西洋評議会デジタル・フォレンジック・リサーチラボ(DFRLab)のグラハム・ブルーキー主任はTikTokがもたらす米国の国家安全上の脅威を3つ挙げている。その3つとは、(1)中国政府にはTikTokからユーザーの個人情報提供を直接要請する能力がある、(2)ユーザーは個人情報をどのように利用されるか知るすべがない、
(3)投稿内容に対し中国が検閲できる、である」

「思うに、価値観、イデオロギーの異なる米中の戦において、TikTokの世論誘導力も、情報漏洩以上に脅威なのではないか。たとえば、トランプ大統領のオクラホマ州タルサ集会(6月20日)に100万人の参加申し込みがありながら、実際は6000人ほどしか出席せず、トランプのメンツ丸つぶれとなる事件があったが、これはTikTokユーザーの「ステージ上でトランプを1人ぼっちにさせよう」と呼び掛ける動画が広がったことが一因として挙げられていた」

米国は8月に入り、以下の苛烈な対中ハイテク企業バッシング政策を相次いで打ち出した。
 (1)ファーウェイに対する半導体供給完全遮断。
 (2)中国・中国共産党を世界のインターネットから完全に排除する、クリーンネットワーク構想の提起。
 (3)動画掲載アプリTikTokの米国事業禁止。
 いずれも、7月23日のポンペオ・スピーチで表明された中国敵視戦略の遂行のために打ち出されたものであり、これまでの対応とはレベルが異なっている。

(4)米中覇権争いの現局面、中国経済封鎖
米中敵対の新段階、経済封鎖へ
 これまで見てきたように、7月23日のポンペオ国務長官の対中敵対宣言から、米国の苛烈極まる政策が相次いで打ち出されている。米国は自ら進んで中国との敵対関係を強め、敵と認定する中国共産党の崩壊を狙う、宣言通りのアクションである。

 8月になって打ち出された上記3つのハイテク企業バッシング政策は、場あたり的なものではなく、遠大な対中敵対戦略の一環として十分に練られた上で打ち出されたものであろう。

 トランプ氏がいうように米国は対中関係を遮断することも、今や厭わない。関係を遮断・封鎖するとなると中国の経済力は衰弱し、「壊死」へと向かう可能性が高く、降伏または開戦という手段しかは残されなくなるだろう。

 この政策には、1930年代末から41年までの米国の対日対応を彷彿とさせるものがある。ABCD包囲網・対日石油禁輸からドルの凍結による決済ネットワークからの排除まで、経済制裁ではなく経済封鎖であり、事実上の相手国の殲滅作戦であった。日本は開戦を余儀なくされた。ちなみにFTの中国死刑宣告の記事には、満身創痍のゼロ戦が機上砲撃をしているイラストが描かれている。

(5)アップルはトロイの木馬になる深謀遠慮が
中国に商機を見出すアップルとテスラ
 奇怪なのは、米国政府によるアップル、テスラの扱いである。米中デカップリング、EPN(Economic Prosperity Network)による国際サプライチェーンからの中国排除を構想していながら、アップル、テスラの中国事業は何ら制限していない。

 バー司法長官は、6月のスピーチで、「アップルは米国政府に同社の携帯アクセスを拒否した一方で、中国政府にはアクセスを許してきた」「アップルが中国で販売する携帯電話が中国政府に諜報されていないとでも思うか、もし諜報を排除できるならそもそも販売が認められるはずがない」と主張したのに、この結果である。

 アップルのクックCEOはかつて、「中国がテクノロジーに関する優れたエコシステムをもっているおかげで、技術ノウハウ、サプライヤー、労働力まで必要なだけ調達できる。そのことが可能なのは中国だけ」と述べ、中国を尊重する姿勢が顕著である。

 アップルは500万人以上の中国人を雇用しており、中国最大の雇用主という立場が、中国における販売プレゼンスを政治的に支えているという面は大きい。トランプ大統領による中国生産の他国へのシフト要請もあり、アップルとその受託生産会社である鴻海はインドでの生産を開始するという動きはあるが、他社に比べて動きはスローである。中国以外で生産すると、その厳しい品質基準になかなか達しないためと言われている。

 今後、中国のスマホ市場でGoogleによるOSやアプリの提供が抑制されていくと、中国市場でのアンドロイド系製品開発に遅れが出る可能性がある。iOSを独占しているアップルの製品開発力が大きくものをいう時が来るかもしれない。

 米中貿易戦争のさなかに上海工場を立ち上げたテスラも同様であるが、米中敵対関係にあっても優れたビジネスモデルは「その荒波を乗り越える力をもっている」といえるのかもしれない。

(了)』

エヌビディアへの売却は「最悪」、事業モデル崩壊=アーム創業者

https://jp.reuters.com/article/arm-holdings-m-a-nvidia-britain-idJPKBN2650Z1

『[ロンドン 14日 ロイター] – 英半導体設計大手アーム・ホールディングスの共同創業者ハーマン・ハウザー氏は14日、ソフトバンクグループ(SBG)9984.Tがアームを米半導体大手エヌビディアNVDA.Oに売却すると発表したことについて、「最悪の事態」であり、アームのビジネスモデルが崩壊するとの認識を示した。

ハウザー氏はロイターとのインタビューで「(アームの本社がある)ケンブリッジにとって、英国にとって、欧州にとって最悪の事態だ。グローバルな重要性を持つ欧州最後のテクノロジー企業が米国人に売却されようとしている」と述べた。

同氏は、今回の売却により「半導体産業のスイス」としてのアームのビジネスモデルが崩壊すると発言。エヌビディアはアームの顧客と競争している。

同氏は英政府に対し、売却に3つの条件を付けるよう要求。(1)英国内の雇用の保証(2)アームのオープンなビジネスモデルの維持(3)顧客との関係について米国の安全保障上の見直しの対象から除外する──ことを求めた。

同氏はその上で「(こうした条件が満たされない場合)英政府は、ロンドン証券取引所でのアームの新規株式公開の実現を手助けし、アームを英国企業とすべきだ」と発言。英国がコーナーストーン(中核的)投資家となって株式上場を支援すべきだとの認識を示した。』

孫氏、「水晶玉」英アーム売却へ 米エヌビディアに

孫氏、「水晶玉」英アーム売却へ 米エヌビディアに
高値提案で戦略転換
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO63790730T10C20A9I00000/

『ソフトバンクグループ(SBG)が傘下の英半導体設計アームを米半導体大手エヌビディアに売却する。売却額は最大400億ドル(約4兆2000億円)。SBGは約6.7~8.1%のエヌビディア株を取得し、同社の大株主になる。SBGの孫正義会長兼社長はアームをグループの「未来を見通す水晶玉」と位置づけてきたが、高額の買収提案を受けて戦略転換する。

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「アームについてはSBGを支えるグループとして成長戦略を持っていた。しかし、ここまで良い条件なら(売却を)検討しなければならない」。8月下旬、SBG幹部はこう話していた。

7月から本格化したアームを巡るSBGとエヌビディアとの交渉。SBGはアームの新規株式公開(IPO)も検討してきたが、エヌビディアが高値のアーム買収を提案してきたという。

SBGは「(高値での売却を前提に)枠組みを交渉したい」と応じ、エヌビディア株の取得などに向け、株式交換の協議を始めた。この仕組みであれば、エヌビディアは現金支出を抑えられる。SBGは結果として4兆円規模でアーム株を売却し、その対価として現金に加え、エヌビディア株の一部を取得し、大株主になれる。

アームの設計技術が9割以上のスマホに使われている

SBGは2016年、アームを約240億ポンド(約3.3兆円)で買収した。買収は長年、孫会長兼社長が心に温めてきた宿願だった。アームにはSBG本体が75%を出資し、残り25%は10兆円ファンド「ソフトバンク・ビジョン・ファンド(SVF)」が出資する。

孫氏はアームを「未来を見通す水晶玉」と評した。スマホの半導体設計で約9割のシェアを握るアームは他の分野にも進出する。アームに集まる情報を駆使し、データが作る未来を予想する――。こんな期待から、同社をSBGに欠かせない事業会社と位置づけてきた。

そのアームを手放すのは大きな戦略転換となる。それだけに単純にアーム株を売却するのではなく、投資会社のSBGが今後さらなるリターンを得られる仕組みにする必要があった。

今回、エヌビディアは契約時にアームに20億ドルを支払ったうえで、その後、SBGとビジョン・ファンドに現金100億ドルとエヌビディア株215億ドル分を支払う。投資先である米シェアオフィス大手ウィーワークがコロナで苦戦するビジョン・ファンドの下支えになる。

さらにアームとの相乗効果でエヌビディアの業績や株価が一段と上向けば、SBGは保有株の価値向上も期待できる。投資会社の様相を強めるSBGにとって、エヌビディアへの再投資は必然とも言える。

エヌビディアのジェンスン・ファンCEO

「アーム買収直後に一度、エヌビディアとの連携は視野に入れた」。あるSBG関係者は話す。アームを買収した後の17年、SBGはビジョン・ファンドを通じエヌビディア株を保有したことがある。その後、同社株が大幅下落したことで手放した経緯があるが、当時から検討した連携に再挑戦するかたちにもなる。

ただ裏を返せば、英アームはSBG傘下では利益面で成長できなかったということだ。SBG幹部も同社傘下のままでは「アームの成長を100%保証はできない」と打ち明ける。

設計した半導体チップの出荷数は伸びたが、事業拡大の投資がかさみ、19年度の調整後EBITDA(利払い・税引き・償却前利益)は2億7600万ドル(約295億円)と16年度の約3割にとどまる。ビジョン・ファンドの苦戦で財務改善を進めるSBGにしてみれば、固定費の重いアームを抱える余裕はなくなっていった。

エヌビディアはアームを傘下に収め、画像や音声認識の広がりで需要が拡大する人工知能(AI)計算用の半導体を強化できる。この分野でエヌビディアは高速計算が得意な「GPU」と呼ぶ半導体を手掛けるが、アームを手に入れれば精緻な計算に必要なCPUへの参入が視野に入る。

課題は少なくない。中国政府系ファンドなどが株式を持つ中国合弁と英本社の間で問題が生じている。6月には英本社が「不適切な行為が確認された」として中国合弁のアレン・ウー最高経営責任者(CEO)の解任を発表したが、合弁側は否定した。国家間のテック競争が激しくなるなか、グローバルにデータや技術を集め、活用する余地は狭まっている。

アームのサイモン・シガースCEO

アームは米クアルコムや同ブロードコムなど多くの半導体メーカーを顧客に抱える。同じ半導体メーカーであるエヌビディアがアームを買収することで中立性が失われ、顧客離れが起きるとの見方がある。米企業の傘下に入ることでアーム自身が米中摩擦の矢面に立つ懸念もくすぶる。

米中摩擦などを背景に、当初SBGが描いていたアームの「水晶玉」としての魅力は薄れてきた。「投資会社として価値を最大化していくには、過去の思い入れを捨てるドライな決断をしないといけない」。あるSBG関係者はこうつぶやいた。』