Armの中国合弁企業がArmからの独立を宣言

Armの中国合弁企業がArmからの独立を宣言、一部ライセンスや中国市場の顧客をそのまま横取り – GIGAZINE
https://gigazine.net/news/20210831-arm-china-robbed-ip/

 ※ ソフバンがArmを買収した時から、米国はそれを注目していた…、ということを紹介したことがあった…。

アメリカはソフトバンクがArm社を買収した時点からマークしてた…、という情報があったんで、紹介しとく。
https://http476386114.com/2018/12/17/%e3%82%a2%e3%83%a1%e3%83%aa%e3%82%ab%e3%81%af%e3%82%bd%e3%83%95%e3%83%88%e3%83%90%e3%83%b3%e3%82%af%e3%81%8carm%e7%a4%be%e3%82%92%e8%b2%b7%e5%8f%8e%e3%81%97%e3%81%9f%e6%99%82%e7%82%b9%e3%81%8b/

 ※ その「危惧」の通りの「展開」になって来た感じだな…。

『半導体企業・Armが開発したArmアーキテクチャは、携帯電話や自動車、マイクロコントローラー、Amazon Web Services(AWS)のサーバーなどで使われる何十億ものチップで採用されています。Armはイギリスの企業でしたが、2016年にソフトバンクに買収されました。その後、NVIDIAへ売却されることが発表されたものの、中国国内でのライセンス権を持っていた中国合弁企業が一方的に独立を宣言し、知的財産権(IP)のライセンス権を横取りしたまま暴走を続けていると、半導体関連ブロガーのディラン・パテル氏が解説しています。

The Semiconductor Heist Of The Century | Arm China Has Gone Completely Rogue, Operating As An Independent Company With Inhouse IP/R&D – by Dylan Patel – SemiAnalysis
https://semianalysis.substack.com/p/the-semiconductor-heist-of-the-century

2018年6月にソフトバンクは、ArmのIP事業を中国で行うことを目的として、中国子会社であるArm Technologyの持ち株の51%を中国投資コンソーシアムに売却し、「安谋科技(Arm China)」として合弁企業化しました。Arm Chinaは中国国内でArmのIPをライセンス管理する独占権を持つこととなりました。

子会社(アーム)における中国事業の合弁事業化に関するお知らせ | ソフトバンクグループ株式会社
https://group.softbank/news/press/20180605

しかしその後、Arm Chinaのアレン・ウーCEOがArm Chinaの顧客に対してライセンス料の割引を持ちかけ、それと引き換えに自分の会社への投資を誘致していたことが発覚。2020年にArmと株主はウーCEOを追放することに合意し、Arm Chinaの取締役会は利益相反を理由に、賛成7:反対1でウーCEOの解任を可決しました。

しかし、社印をウーCEOが保持していたため、解雇を法的に実行することができなかったとのこと。中国は日本と同じく印鑑に法的な効力を持たせる実印社会で、会社で行われるさまざまな手続きは社印がなければ実行に移すことができません。つまり、取締役会がウーCEOの解任を決議したにもかかわらず、ウーCEOは解任を拒否しながら、会社を実質的に支配したままとなっているわけです。

ウーCEOは取締役会でArm側についた上級幹部を追い出し、Arm Chinaの名義でArm Chinaの取締役会を提訴しました。Armの影響が排除されてしまったことで、Arm Chinaは完全にArmの手から離れ、暴走することとなりました。

もちろんArm側も黙ったままではおらず、新規IPのライセンス委託を停止するという報復を行いました。たとえばArmのCPUであるCortex A77やAWS独自設計のGraviton、Neoverseシリーズなどの主要な技術はArm Chinaには送られていません。また、2021年5月に発表された新アーキテクチャのArmv9も、Arm Chinaに提供されていません。その上でArmは「Arm Chinaが中国の半導体産業に悪影響を与える」と中国政府に訴えようとしています。

新規ライセンスの停止によって、Arm Chinaの暴走も収まるかと思われました。しかし、Arm ChinaはArmからの独立を正式に宣言するイベントを開催し、「Arm Chinaこそ中国最大の半導体IPサプライヤーである」とアピールしました。さらに、Arm Chinaは独自に開発した「XPUライン」と呼ばれる新しいIPを発表。今後はスマートフォンなどのモバイル機器やIoT機器向けに独自のNPUやVPUをリリースすると宣言しました。

結果として、Arm ChinaはArmからの独立をうたいながら、Armの一部IPを奪い、世界第2位の規模を持つ中国市場をかすめとった形になります。パテル氏は「Arm Chinaは中国の合弁企業が暴走した最も有名な例です。中国では何十年にもわたってIPが奪われコピーされてきましたが、今回のArm Chinaの一件はこれまでで最も大胆な試みかもしれません」とコメントしています。

さらにパテル氏は「このArm Chinaの暴走がNVIDIAの買収にどのような影響を及ぼすのかは不明ですが、ソフトバンクの近視眼的な利益追求がこのような大規模な問題を引き起こしたことは明らかです」と述べ、ソフトバンクのやり方を批判しました。』

米国は30年前と同じ、半導体交渉当事者がみる米中対立

米国は30年前と同じ、半導体交渉当事者がみる米中対立
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO65263770R21C20A0000000/

『半導体をめぐる米中の対立の余波を分析する。今回は、歴史をひもときながら米中半導体戦争の本質を探る。歴史は繰り返すのか。

「このままでは中国は八方ふさがりだ。まるで30数年前と同じですよ」

こう話すのは元日立製作所専務の牧本次生氏。1986年から10年間続いた日米半導体協定の終結交渉で日本側団長を務めた、半導体産業の歴史の証人だ。米国と中国が繰り広げる半導体をめぐる対立に日米半導体摩擦を重ね合わせる日本人は多い。牧本氏は「ここで覇権争いに負けたら、中国は30数年前の日本のように競争力がそがれるだろう」と警鐘を鳴らす。

米国は2020年9月に華為技術(ファーウェイ)に対する輸出規制を発効し、中芯国際集成電路製造(SMIC)向けの製品出荷にも規制をかけた。「『一国の盛衰は半導体にあり』をよく理解している米国は、ファーウェイやSMICへの禁輸など、中国のエレクトロニクス産業の生命線を絶とうとしている」(牧本氏)

牧本氏は、最先端半導体の製造技術で中国に追いつかれないよう米国が神経をとがらせていることに注目する。微細化に欠かせない露光装置を手掛けるオランダの装置メーカー、ASMLの機器や技術が中国に渡らないよう、米国は19年からオランダ政府に働きかけてきた。

国防の観点から米国が警戒心
「米国の半導体関係者を刺激したのも日本の先端半導体開発プロジェクトだった」。牧本氏はこう記憶をたどる。

1970年代、米国ではIBMがICを大きく上回る性能の大規模集積回路(LSI)を使ったコンピューター「フューチャーシステム」の構想を進めていた。これに対抗すべく76年に日本で立ち上がったのが「超LSI技術研究組合」。富士通や日立製作所、三菱電機などが参加した官民連携計画で、コンピューターの中核となる超LSIを開発することが目標だった。シリコンウエハーに回路パターンを転写する露光装置など半導体製造技術の発展に大きく貢献し、その後の半導体材料や製造装置などの川上産業の強化につながった。その結果、「国防の観点から米国が日本の半導体産業に大きな警戒心を持つようになった」と牧本氏は分析する。

官民プロジェクトの成果もあり、日立製作所や富士通、NECなど「日の丸半導体」の中核製品だったDRAMは世界市場を席巻した。81年には64キロビットDRAMのシェアで日本メーカーは合計70%を占め、米国の30%を大きく上回った。米国の雑誌に「不吉な日本の半導体勝利」と題した記事が出るなど、日本脅威論が米国内に広がっていった。

「日本の半導体メーカーが不当に廉価販売している」。85年6月、米国半導体工業会(SIA)が日本製半導体をダンピング違反として米通商代表部(USTR)に提訴した。ここから日米政府間交渉が始まり、1年後の86年9月に締結したのが日米半導体協定だった。(1)日本市場における外国製半導体のシェア拡大、(2)公正販売価格による日本製半導体の価格固定――。協定で定められたこの2つの取り決めが「日本の半導体産業が弱体化する1つの引き金になった」と牧本氏は振り返る。

「85年は日米経済関係が一番緊張した時代に入った頃だった。米国が一番うるさかったのは、繊維、通信機器、自動車で、アメリカの財界が悲鳴をあげていた。日本からアメリカへの輸出過多の品目に一つ一つ手当てをしていった記憶がある」。故・中曽根康弘元首相はインタビュー形式の著書『中曽根康弘が語る戦後日本外交』でこう触れている。

公正販売価格でじわじわと競争力を失う
対日貿易赤字が拡大し米国企業の業績が悪化する中、高品質で低価格の「メード・イン・ジャパン」製品の勢いをどう食い止めるか。米国が狙い撃ちしたのが「日本の技術力の象徴だった半導体、しかも強いDRAM、巨大な日本市場だった」(牧本氏)。日本の半導体産業は世界で圧倒的な存在感があっただけに、持ちこたえられるだろうという甘い読みがあった。

その後の日本のDRAM産業は、気付かないまま競争力を失っていった。「日本の半導体産業は米国からたたかれたイメージが強いが、内部にいるとぬるま湯のようだった。(日米半導体協定の)公正販売価格がじわじわと麻薬のように効き、開発意欲が失われていった」。総合電機メーカーの半導体部門OBはこう証言する。

協定によって決めた最低価格以下では販売できないため固定価格になり、その価格が高く安定していたため各社のDRAM事業は「特段なにもしなくても高い利益率を得られる状況だった」(同幹部)。他社と新製品の技術開発で競争をしようというモチベーションがなくなった日本企業は、現状維持に甘んじるようになった。短期的にはマイナスの影響が見えづらかった日本製DRAMの価格安定は、後に韓国企業が安値で攻勢をかける要因にもなった。

100%の報復関税に衝撃受け半導体減産

日本市場における外国製半導体のシェア拡大という協定も半導体産業の競争力をむしばんだ。日本の電子機器メーカーは、半導体の調達額の5分の1程度は外国製を買わなければならなかった。協定締結の翌年には「日本が半導体協定を守っていない」として米政府が日本製のパソコンやカラーテレビ、電動工具に100%の報復関税をかけるなど、強硬な手段もいとわなかった。

「DRAMは需要がある分だけつくれ」。報復関税に衝撃を受けた日本側は、通商産業省(現経済産業省)が半導体メーカーに指示を出した。各社は減産を余儀なくされ、その結果、外国製半導体の日本市場でのシェアが拡大していった。

「何をやるにしてもがんじがらめだった。『もうDRAMをエース格の事業としては扱えない』との雰囲気が広がった」。牧本氏は、日立では日米半導体協定の締結後すぐに別の半導体に経営資源を移そうという議論が始まったと明かす。

企業側だけではない。日米半導体摩擦の心的外傷は大きく、超LSIプロジェクト終了後は半導体関連の大きな国家プロジェクトがなくなった。80年から90年代半ばまで大型の官民プロジェクトがなかった時期を牧本氏は「空白の15年間」と呼び、「その時期に米国や欧州、韓国などが産官連携による半導体産業の強化策を次々と打ったのも日本半導体の産業基盤の足腰が弱くなった要因」と指摘する。

十分に競争力をそいだはずなのに…

86年に日本は半導体の世界シェアで46%を取って米国を追い抜いたが、93年には米国が日本を逆転して首位に返り咲く。日本の競争力が十分にそがれた96年にようやく日米半導体協定は終結を迎えることになるが、牧本氏は米国が終結交渉で見せた執念深さに驚きを隠せなかったという。

96年2月にハワイで始まった交渉は、「日米の思惑が180度違った」(牧本氏)。日本側が「不公平な協定を一刻も早くきれいに終わらせたい」と交渉に臨んだのに対し、米国は「協定が完全になくなればまた日本がダンピングをするかもしれない。エッセンスを残そう」と主張。引き続き政府を関与させることを提案してきた。

5回に及ぶ会合を経て、牧本氏らは政府関与をなくすことを米国側に飲ませた。その一方で、日本市場での外国製半導体のシェア確保を目的とする協議会を3年間残すことを承諾せざるを得なかった。協定下の10年間で日本市場の外国製半導体シェアは20%を超えるまでに拡大していたが、米国側はどこまでも日本半導体の復活の芽をつもうとしていたのだ。

86年には世界の半導体メーカートップ10のうち6社を占めていた日本勢。しかし、最新の2019年にトップ10に入ったのは東芝から独立したフラッシュメモリーのキオクシアホールディングスのみ。日米半導体協定によって牙を抜かれた日本のDRAMは日立とNEC、三菱が事業を統合させてエルピーダメモリとして再出発したが、韓国や台湾との投資競争に敗れて経営破綻した。東芝はDRAMを捨ててフラッシュメモリーに集中し、世界2位を堅持してきたが、システムLSI事業からの撤退を9月に決めた。富士通やパナソニックも半導体事業や工場を海外企業に譲渡した。

1986年には半導体売上高トップ10のうち日本企業が6社を占めるほどの隆盛を誇ったが、各社の半導体部門は徐々に本体から離れ、規模も縮小。多くの事業が最終的に売却や撤退に追い込まれた
日本の半導体メーカーの衰退には3つの遅れが関係している。パソコン市場の急激な拡大に乗り遅れ、総合電機メーカーの1事業だったために設備投資の意思決定も遅れた。ファウンドリー(半導体受託製造)や設計専業などの水平分業への対応も遅れた。ただ、「日米半導体協定がトリガーとなって競争力がそがれたのはやはり大きかった。その後は冷え切った半導体への熱を取り戻せていない」と牧本氏は悔やむ。

「一国の盛衰は半導体にあり」。牧本氏は結局、この認識があるかないかが日本と米国の違いだったと振り返る。日本は半導体摩擦で敗れた結果、国内市場を開放し、産業振興も影を潜め、企業は巻き返しのすべを見つけられなかった。

「もっと一緒にできないか」

牧本氏は「中国はここで負けたら国の将来に関わるとして必死に反撃するだろう」と予測する。米国に反発する中国には復活シナリオがまだ残されている。

「米国の攻撃は終わりが見えないが、必ずアジアの時代が来る。もっと一緒に何かできないか」

ある国内半導体メーカーの経営幹部は最近、中国・清華大学の教授からこんな連絡をもらって驚いたと明かす。習近平(シー・ジンピン)国家主席の母校で、半導体を中心としたハイテク産業振興をけん引する清華大学。その姿勢から見えてくるのは、攻め手を止めない米国を前にしても、中国が決してあきらめていないということだ。

日米半導体摩擦からの学びが、中国を徹底抗戦へと向かわせたというのはうがち過ぎだろうか。技術の覇権争いであきらめない中国の姿勢こそ、今の日本が学ぶべきことなのかもしれない。

(日経ビジネス 岡田達也)

[日経ビジネス電子版2020年10月21日の記事を再構成]』

米通信当局を提訴 「安保の脅威」に反発―中国ファーウェイ

米通信当局を提訴 「安保の脅威」に反発―中国ファーウェイ
2021年02月10日09時53分
https://www.jiji.com/jc/article?k=2021021000365&g=int

『【ワシントン時事】中国通信機器最大手の華為技術(ファーウェイ)は9日までに、米連邦通信委員会(FCC)が同社を「安全保障上の脅威」に当たる企業に指定したことを不服として、米連邦高裁に提訴した。訴状によると、FCCの決定は違法だとして取り消しを求めている。

ファーウェイ排除を強調 制裁緩和「理由ない」―次期米商務長官

 FCCは昨年、ファーウェイが中国政府・軍の影響下にあると判断し、安保上の脅威と正式に認定。ファーウェイの異議申し立てを却下し、連邦政府から補助金を受けた通信会社に対して同社製品の購入を禁じた。』

ルネサス社長「5G技術の穴埋める」 英半導体大手を買収

https://www.nikkei.com/article/DGXZQODZ088LL0Y1A200C2000000/

 ※ 英ダイアログの買収、本決まりになったようだ…。

『半導体大手のルネサスエレクトロニクスは8日、同業の英ダイアログ・セミコンダクターを6179億円で買収すると発表した。同社が開いたオンライン会見でルネサスの柴田英利社長兼最高経営責任者(CEO)は「不足していた技術を買収で強化する」と述べた。主なやり取りは以下の通り。

【関連記事】

ルネサス、英半導体ダイアログ買収合意 6179億円で
――ダイアログ買収の狙いは。

「自社に不足していた技術を買収で強化する。当社はエアコンなど白物家電向けの半導体に強みを持っていた。買収によって(高速通信技術…

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買収によって(高速通信技術の)5Gを含むIoTに必要な技術のピースが埋まる。近い将来はウエアラブルやヘルスケアでの貢献が大きい。車載向けは時間がかかるが、長期的に(買収の)相乗効果が見込める」

「(ダイアログが強みとする)電力制御ICは間違いなく重要な技術要素だと考えている。2050年の(温暖化ガス排出実質ゼロを意味する)カーボンニュートラルを待たずとも、爆発的に増える電力を効率的に使う重要性が高まっている。効率の高い電力制御の需要は非常に大きな拡大を続ける」

――買収の決め手と今後の買収戦略は。

「買収先は常に10社ぐらいの候補を見ており、ダイアログも何年も前からリストに入っていた。株価も一つの要因になるが、事業の構成変化が組み合わさって今回のタイミングで買収を決めた。買収対象の候補は今でもあるが、当面はダイアログとの統合をやらないといけない。ある程度規模の大きい買収をやるつもりはない。技術の獲得を目的とした小さな規模の買収はあり得る」

――米中摩擦などの地政学リスクで買収手続きに影響が出る可能性は。

「ダイアログを選んだ理由の一つにリスクが低いことがある。過去の買収と比べてもダイアログはセンシティブな製品を扱っていない。今回は安全保障のハードルは問題なく越えていけると考えている。当社とダイアログは補完関係にあるので、独占禁止法で問題になるほどのシェアを持つこともないと思っている」

――ダイアログの優秀な人材をどう維持するのか。

「優秀な人材の獲得は買収の理由の重要な一つだ。能力のある人材が意識高く働いてくれる環境を用意することに本気で取り組んでいる。これまでに買収した2社はうまくいっている。株価に連動した報酬の仕組みを用意している。経済的な理由だけで引き留めるのではなく、ルネサスの文化をもっと先進的にしようと本腰を入れている」

英半導体ダイアログ、ルネサスに会社売却協議 6220億円

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR080GR0Y1A200C2000000/

 ※ 様々な「ASIC」を、設計・製造・販売している会社のようだ…。

ASIC
https://ja.wikipedia.org/wiki/ASIC

https://www.dialog-semiconductor.com/ja

『【ロンドン=佐竹実】米アップルなどを顧客に持つ英半導体大手ダイアログ・セミコンダクターは7日、同業大手のルネサスエレクトロニクスへの会社売却について協議していると発表した。ルネサスが提示した買収額は約49億ユーロ(約6220億円)にのぼる見込み。ダイアログは交渉の進捗について「必要に応じて公表する」としている。

ダイアログはロンドン郊外に本社を置き、独フランクフルト証券取引所に上場している。発表によると、ルネサスは現金による買収を提示した。1株当たり67.5ユーロで、5日の終値を約2割上回る水準だ。

ルネサスは8日、ダイアログの買収について「協議している」との声明を発表した。買収金額についても認めた。

ブルームバーグ通信が7日、ダイアログがルネサスから49億ユーロで買収提案を受けていると報じ、ダイアログは協議が進展していることを認めた。複数の買い手候補と交渉しており、スイスの半導体大手STマイクロエレクトロニクスとも協議していたという。

ルネサスはあらゆるモノがネットにつながる「IoT」やデータセンターなど成長分野を強化し、主力の車載事業への依存度を減らしている。2019年12月期の非車載事業の売上高比率は46%まで高まった。

ダイアログは足元で高速通信規格「5G」向けスマートフォンやタブレット向けの需要が好調だ。ルネサスは5Gの電波の送受信の技術開発も進めており、ダイアログの買収には5Gの基幹技術を取得する狙いもありそうだ。

一方、大型買収を懸念する見方もある。8日の東京株式市場でルネサス株は一時、前営業日比86円(7%)安の1162円まで下げた。

ルネサスは17~19年にかけて累計1兆円規模の買収を実施し、財務が悪化した経緯がある。「財務負担リスクを懸念する投資家もいるのだろう」(楽天証券経済研究所の今中能夫氏)との指摘があった。

【関連記事】
エヌビディアのアーム買収、EUも調査開始へ FT報道

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中国SMIC、米禁輸措置「先端技術の開発に影響」

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM202P40Q0A221C2000000

『【北京=多部田俊輔】中国の半導体受託生産最大手、中芯国際集成電路製造(SMIC)は20日、米商務省から受けた先端技術に関わる禁輸措置について「回路線幅が10ナノ(ナノは10億分の1)㍍以下の先端技術の研究開発や生産設備の建設に重大な不利な影響がある」との初期的な評価を発表した。

習近平(シー・ジンピン)指導部は米国企業に依存している半導体の国産化を目指しており、SMICはそのけん引役を担っている。政権交代前に中国の半導体国産化の阻止を目指すトランプ米政権の新たな措置で中国への影響は避けられない見通しだ。

米商務省は18日、安全保障上問題がある企業を並べた「エンティティー・リスト」にSMICを加えた。10ナノメートル以下の半導体生産に必要な製造装置などについて許可を原則出さない。同省は9月に特定企業からSMICに輸出する場合は許可制としたが、今回さらに踏み込み、日本を含む国内外企業に適用した。

SMICに対する先端技術に関わる禁輸措置について、同省は軍事企業と関係する証拠が見つかったためだとしているが、SMICは20日の声明文で「関係している国や地域の法律や規定を厳格に順守しており、いかなる軍事的な利用にもかかわっていない」と重ねて否定した。

SMICは10ナノメートル以下の技術を使った半導体の量産を実現していないことから「短期的な経営や財務には重大な不利な影響はない」としている。これから米国政府や当局と話し合いを進め、不利な影響を最小限とするよう努力することも示した。』

エヌビディア、アーム買収のなぜ(2)GAFAも半導体開発

エヌビディア、アーム買収のなぜ(2)GAFAも半導体開発
IoT機器向けは「適度なサボり」で省電力化
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO63962040X10C20A9I00000/

『米半導体大手のエヌビディアの手掛ける人工知能(AI)半導体は、米IT大手のGAFA(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン)も開発に乗り出している。技術開発競争の焦点は小型化や省電力化で、クラウドにデータを送らずに端末側でAI処理する「エッジAI」の普及の原動力となる。Q&A方式で現在の競争環境をまとめる。

【関連記事】
エヌビディア、アーム買収のなぜ(1)AI半導体
AI半導体、覇権狙うエヌビディア アーム買収

Q エヌビディアが手掛けるAI半導体の課題は何か。

A エヌビディアのGPU(画像処理半導体)は演算速度が速い一方で、消費電力量が比較的大きく、半導体チップを搭載するための部品も大型になってしまう。スマートフォンやパソコンに搭載するのは難しい。そこで、専用の用途に特化した「エッジAIチップ」とよばれる半導体の開発が世界で進んでいる。

Q どのような企業が参入しているのか。

A エヌビディアのほかに、例えばグーグルはサーバー向けに機械学習に特化した「TPU(テンソル・プロセッシング・ユニット)」と呼ばれる半導体を開発している。さらに、グーグルはこのAI半導体を、監視カメラなどのIoT端末に組み込むとAI機能を持たせることができるエッジの領域に拡大し「エッジTPU」を外販している。エヌビディアのGPUに比べて消費電力が1桁小さいといい、検索エンジンに使っているという。

スマホ向けでは、コンピューターの頭脳を担うCPU(中央演算処理装置)やメモリーなどを1つのチップに搭載する「SoC(システム・オン・チップ)」にAI機能を搭載する動きが広がる。アップルはiPhone向けのチップに機械学習に対応した「ニューラルエンジン」を搭載し、顔認証などに使っている。アップルはチップを自社で設計し、台湾の台湾積体電路製造(TSMC)に製造を委託している。

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Q なぜ、エッジAIチップは省電力化できるのか。

A AIの機能は、大量のデータから解析モデルなどを作る「学習」と、そのモデルをもとに分析や予測をする「推論」の2つに大きく分けられる。例えば、スマホの顔認証機能は推論機能で、学習に比べて分析するデータは少ない。

エッジAIチップでは、推論の精度が保てるギリギリのラインまで半導体の計算速度を落としている。「適度にサボる」ことで、消費電力を小さくするという考え方だ。

Q エヌビディアはこうした流れにどう対抗しようとしているのか。

A その解の一つがスマホ向け半導体設計で高いシェアを持つアームの買収と言える。エヌビディアは英アームの買収後に、英国に大規模なAI研究施設を立ち上げる方針を示している。エッジAIチップの開発強化に向け、「適度なサボり」方のコツを知るアームの設計書をもとに、医療やロボット、自動走行など幅広い分野での半導体開発をスタートアップやパートナー企業と連携して目指していくとみられている。』

~ファーウェイへの「死刑宣告」、その意味するもの~

2020年08月26日17:30
ストラテジーブレティン(259号)~ファーウェイへの「死刑宣告」、その意味するもの~ハイテク市場で予想される地殻変動
https://www.data-max.co.jp/article/37296

『NetIB‐Newsでは、(株)武者リサーチの「ストラテジーブレティン」を掲載している。今回は2020年8月25日付の記事を紹介。

 米国は8月に入り、以下の苛烈な対中ハイテク企業バッシング政策を相次いで打ち出した。
 (1)ファーウェイに対する半導体供給完全遮断。
 (2)中国・中国共産党を世界のインターネットから完全に排除する、クリーンネットワーク構想の提起。
 (3)動画掲載アプリTikTokの米国事業禁止。
 いずれも、7月23日のポンペオ・スピーチで表明された中国敵視戦略の遂行のために打ち出されたものであり、これまでの対応とはレベルが異なっている。

 米国は中国・中国共産党を敵と定めた以上、中国を破る対中戦略を確立しているのではないか。米国が目的を達成するためには、(1)経済交渉と制裁、(2)産業・資財供給の封鎖、(3)金融封鎖、(4)Hot War(武力戦争)の4段階が考えられる。
 これまで米国が行なってきた(1)経済貿易戦争の交渉では埒が明かず、短期で効果を上げることは望めない。よって、(2)産業・資財の供給封鎖により、打撃を与えようとしている。あたかも現代の石油である半導体供給やネットワーク遮断は、額面通り実施されるならば、甚大なダメージを中国に与えるのではないか。
 ファーウェイの破綻、大手IT企業3社のBAT(バイドゥ・アリババ・テンセント)の衰退が起きたとき、習近平政権はどう反応するだろうか。米国が(3)金融封鎖、(4)Hot Warという手段に訴えるのは、(2)の効果が見えた後であろう。

(1)ファーウェイへの死刑宣告
ファーウェイへの半導体全面禁輸
 米国商務省は8月17日、ファーウェイに対して半導体の全面禁輸という苛烈な新政策を打ち出した。ファイナンシャルタイムズ(FT)紙はこれを、Death Sentence(死刑宣告)と形容している(8月22日付FT)。

 この政策は、米国のソフトウェア、テクノロジーを使用して開発または生産されたすべての半導体・電子部品へのファーウェイによるアクセス(※)を直ちに全面禁止するというもの(ただしライセンス取得が必要)。

 商務省は5月15日に、米国の製造装置や設計ソフトを使っている外国製半導体のファーウェイへの販売を禁止したが、米国製品の構成比が25%以下の場合は対象外という軽減措置や、迂回輸出という抜け道があり、猶予期間もあった。

 今回の措置はすべての製品に対して、迂回経路を遮断し、猶予期間なく即時に実施するという激烈なものである。

 これまで避難手段と考えられてきた、サムスン電子や台湾のメディアテックなどのファーウェイにとっての代替調達先からの購入や、メモリなど汎用品の購入にも米国政府の許可が必要になるため、事実上の禁止といえるだろう。

 この措置がいかに唐突で苛烈なものであるかは、中国への対応において政府と歩調を合わせてきた米国半導体工業会(SIA)が「米国政府の突然のシフトに驚きと懸念を抱いている。センシティブでない製品の中国への販売は米国の経済力と安全保障にとって重要である」と表明したことからも明らかである。

 ファーウェイは米国半導体企業にとって、最大手ユーザーの1つであるが、その状況に配慮してファーウェイへの供給が選択的に認められるとしても、限定的なものであろう。

ファーウェイの最先端通信機メーカーとしての命運、風前の灯火
 半導体の取得が絶たれれば、来年初めには6か月分といわれる半導体在庫が払底し、ファーウェイの売上の9割を占めるスマートフォンと通信基地局の生産は立ち往生する。

 新規ビジネスとして注力しているクラウドサービスも、サーバー、データセンターの95%がインテルのCPUを搭載しているといわれる「半導体の塊」であり、中国産の半導体では対応が困難である。米国の対応はさらに厳格化することはあっても、緩和することは考えられず、この窮地を抜け出す手はあるのだろうか。

 中国政府はファ―ウェイを支援するだろうが、その支援は中国国内ビジネスに限られるだろうし、世界最先端の通信機メーカーとしてのファーウェイの命運は断たれつつあるというべきかもしれない。

 ファーウェイはスマホビジネスでは、2020年4~6月に世界スマホシェアの20..2%を占めてトップに立ったが、これは断末魔の輝きともいうべきものだろう。

 ファーウェイのスマホは、2019年にすでにOSであるアンドロイドのアップデート制限とGoogleアプリの搭載が禁止されており、中国外での販売は大きく減少すると見られていた。このことに半導体の供給停止が加わるため、今後はシェアの急減が避けられない。ちなみにファーウェイのスマホは、2019年の世界出荷台数2.38億台のうち4割弱が海外出荷とされるため、相当大きなダメージを受けるだろう。

 米国は8月に入り、以下の苛烈な対中ハイテク企業バッシング政策を相次いで打ち出した。
 (1)ファーウェイに対する半導体供給完全遮断。
 (2)中国・中国共産党を世界のインターネットから完全に排除する、クリーンネットワーク構想の提起。
 (3)動画掲載アプリTikTokの米国事業禁止。
 いずれも、7月23日のポンペオ・スピーチで表明された中国敵視戦略の遂行のために打ち出されたものであり、これまでの対応とはレベルが異なっている。

米国は力ずくで5G基地局からファーウェイ排除
 次に5G基地局ビジネスについて。これまで技術的に先行し価格も圧倒的に安いファーウェイが、次世代ネットワーク5Gのメインプレーヤーとなる、という見方が世界の常識であった。しかし半導体の調達が困難になり、ファーウェイの製品供給が維持できなくなると、ファーウェイを軸とした5Gネットワーク構築を根底から見直さざるを得なくなり、米国によるファーウェイ排除要請に抵抗を示していたドイツのメルケル政権も、路線転換を余儀なくされるだろう。

通信機市場に新たな空白が
 従来はコア基地局の仕様が各国の通信企業ごとに異なるため、メーカーは個別に対応せざるを得ず、実績が豊富で高シェアをもつファーウェイが有利だった。しかしファーウェイに代替する企業の参入を容易にするための米国国防省による呼びかけもあって、O-RAN(Open Radio Access Network)と呼ばれる汎用的規格がつくられようとしており、より小規模の企業の新規参入が可能になりつつある。

 いち早くファーウェイ排除を決めた英国は、コア基地局でのシステム仕様をオープン化して、5Gの代替サプライヤーの参入を求め、日本政府に協力を要請している。こうしてNTTドコモと後発のNECや富士通(世界シェア1%未満)にも、チャンスがめぐってきたのである。

 しかし、ほとんどの関係企業は、情勢の急変に対応できていない。ファーウェイを5G基地局のサプライヤーと決めている多くの欧州通信業者はsuper painful(大きな痛手だ)というのみで、ファーウェイ破綻という不測の事態にまったく対応できていない(FT・8月22日付)。しかし他方で、スマホと基地局という世界の通信機市場で圧倒的プレゼンスを誇ったファーウェイが衰退するとなると、巨大な市場の空白が生まれ、関連企業にとっては大きなビジネスチャンスとなる。地政学が世界の産業地図を塗り替えていく、といえるだろう。

(2)クリーンネットワーク構想
あからさまな対中インターネット封鎖
 米国務長官は8月5日、新たなプログラム「Clean Network」を発表した。Clean Networkプログラムは悪意のある攻撃者(中国および中国共産党)から市民のプライバシーと企業の機密情報を守ることが目的とされ、中国・中国共産党をネットワークの各分野から排除することを意図している。

 究極的にはファーウェイのみならずOPPO(オッポ)など中国のスマホメーカー、およびBATなどのインターネットプラットフォーマー、移動体通信事業者などは、すべて国際的なインターネット空間から遮断されることになるかもしれない。中国国外では、アリペイやウィーチャットペイなどの電子決済もできなくなるだろう。

 Clean Networkプログラムには5つのカテゴリーがあり、各インターネット分野からの中国の追放を目的としている。

(1)クリーンキャリア
 信頼できない中国の携帯電話会社(キャリア)が、米国の通信ネットワークに接続することを禁止。

(2)クリーンストア
 米国のアプリストア(Google PlayストアやApp Storeなど)から信頼できない中国製アプリケーションを排除。

(3)クリーンアプリ
 信頼できない中国のスマートフォンメーカーがアメリカなどの信頼できるアプリをプリインストール(内臓)すること、あるいはダウンロードすることを禁止。

(4)クリーンクラウド
 アリババ、バイドゥ、テンセントなどの中国企業が提供するクラウドサービスに米国のデータを保存することを禁止。

(5)クリーンケーブル
 グローバルインターネットに接続している海底ケーブルが、中国による超大規模な情報収集のために侵害・破壊されないようにする。

 米国は同盟国や協力国の企業に呼びかけ、クリーンネットワーク(中国排除のグローバルネットシステム)を強化していく。

米国は8月に入り、以下の苛烈な対中ハイテク企業バッシング政策を相次いで打ち出した。
 (1)ファーウェイに対する半導体供給完全遮断。
 (2)中国・中国共産党を世界のインターネットから完全に排除する、クリーンネットワーク構想の提起。
 (3)動画掲載アプリTikTokの米国事業禁止。
 いずれも、7月23日のポンペオ・スピーチで表明された中国敵視戦略の遂行のために打ち出されたものであり、これまでの対応とはレベルが異なっている。

(3)TikTok米国での事業禁止
現代のアヘンになる可能性
 トランプ大統領は、欧米でも圧倒的な人気を誇る中国発の動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」が安全保障上の脅威になるとして、ハイテクユニコーンであるアプリ運営会社のバイトダンスに対して、米企業への事業売却か、米国市場からの撤退を迫っている。

 ティックトックの買収にはマイクロソフト、オラクルが名乗りを上げている。日本経済新聞編集委員・西村博之氏は「Global Economic Trends」の「TikTokは危険なのか、代わるデータと国家の関係」(8月23日付)のなかで、この背景を以下のように分析している。

「若者が歌や踊りを披露する娯楽アプリが、どう国民の安全を脅かすのか。そして米政府はなぜ、強硬な姿勢をとるのか。背景を探ると、何でもないデータを武器に変えうるデジタル技術の進化と、中国の台頭に危機感を抱く米国の姿が浮かび上がる」

「米中央情報局(CIA)はホワイトハウスの指示でティックトックを調査し、潜在的な危険は否定できないものの、今のところ中国の情報機関がデータを収集した事実はないとの結論に達したという(Is TikTok More of a Parenting Problem Than a Security Threat?)」

「ティックトックが大量のデータを集めているのは事実だ。詳細な検証を行ったサイバーセキュリティー会社によると、アプリはスマホ内蔵のカメラやマイク、写真や音声データのほか、全地球測位システム(GPS)機能を使った位置情報、IPアドレス、ネット上の閲覧・検索履歴、ほかの利用者と交わしたメッセージにもアクセスできる。ところが驚くことに、こうしたデータ収集は『ほかのアプリとそう変わらない』という。高性能の携帯端末が普及した今、誰もが便利さと引き換えに知らず知らずのうち大量のデータをばらまいているのが現状なのだ(Understanding the information TikTok gathers and stores)」

「ユーザーの属性や閲覧履歴など無数のデータから趣向をつかんで自動的にコンテンツを推奨する抜群のアルゴリズムは、他のソーシャルメディアの追随を許さないほどアプリの中毒性を高めているという(For Whom the TikToks)」

「これによりティックトックが強力な文化戦争の兵器になり得ると見るのが、著名な歴史家のニール・ファーガソン氏だ。ティックトックは『アヘン戦争以降の屈辱の100年に対する報復であるのみならず、デジタル版のアヘンそのものだ』と指摘。『我々の子どもたちが来る中国の支配を喜ぶよう地ならししている』と主張する(TikTok Is Inane. China’s Imperial Ambition Is Not)。実際、中国は大量のデータ獲得とAIを自国に好ましい『国際世論』醸成の重要な手段と位置づけている。自国内で用いている『社会操作』のグローバル版だという(Engineering global consent)」

 ジャーナリスト福島香織氏は、ネットメディア『現代ビジネス』に寄稿した「習近平は知らない・・アメリカが真っ先にTikTokを狙った本当のワケ」(8月22日付)のなかで、次のように分析している。

「2019年12月、米国防省は初めて、軍部に対しTikTokに安全リスクがあると警告し、今年1月から軍関係者の使用を禁止。7月に米上院国土安全保障・政府活動委員会で、米連邦政府官僚のTikTokダウンロードの禁止を求める法案が可決された」

「元ホワイトハウス国家安全保障委員会の官僚で、大西洋評議会デジタル・フォレンジック・リサーチラボ(DFRLab)のグラハム・ブルーキー主任はTikTokがもたらす米国の国家安全上の脅威を3つ挙げている。その3つとは、(1)中国政府にはTikTokからユーザーの個人情報提供を直接要請する能力がある、(2)ユーザーは個人情報をどのように利用されるか知るすべがない、
(3)投稿内容に対し中国が検閲できる、である」

「思うに、価値観、イデオロギーの異なる米中の戦において、TikTokの世論誘導力も、情報漏洩以上に脅威なのではないか。たとえば、トランプ大統領のオクラホマ州タルサ集会(6月20日)に100万人の参加申し込みがありながら、実際は6000人ほどしか出席せず、トランプのメンツ丸つぶれとなる事件があったが、これはTikTokユーザーの「ステージ上でトランプを1人ぼっちにさせよう」と呼び掛ける動画が広がったことが一因として挙げられていた」

米国は8月に入り、以下の苛烈な対中ハイテク企業バッシング政策を相次いで打ち出した。
 (1)ファーウェイに対する半導体供給完全遮断。
 (2)中国・中国共産党を世界のインターネットから完全に排除する、クリーンネットワーク構想の提起。
 (3)動画掲載アプリTikTokの米国事業禁止。
 いずれも、7月23日のポンペオ・スピーチで表明された中国敵視戦略の遂行のために打ち出されたものであり、これまでの対応とはレベルが異なっている。

(4)米中覇権争いの現局面、中国経済封鎖
米中敵対の新段階、経済封鎖へ
 これまで見てきたように、7月23日のポンペオ国務長官の対中敵対宣言から、米国の苛烈極まる政策が相次いで打ち出されている。米国は自ら進んで中国との敵対関係を強め、敵と認定する中国共産党の崩壊を狙う、宣言通りのアクションである。

 8月になって打ち出された上記3つのハイテク企業バッシング政策は、場あたり的なものではなく、遠大な対中敵対戦略の一環として十分に練られた上で打ち出されたものであろう。

 トランプ氏がいうように米国は対中関係を遮断することも、今や厭わない。関係を遮断・封鎖するとなると中国の経済力は衰弱し、「壊死」へと向かう可能性が高く、降伏または開戦という手段しかは残されなくなるだろう。

 この政策には、1930年代末から41年までの米国の対日対応を彷彿とさせるものがある。ABCD包囲網・対日石油禁輸からドルの凍結による決済ネットワークからの排除まで、経済制裁ではなく経済封鎖であり、事実上の相手国の殲滅作戦であった。日本は開戦を余儀なくされた。ちなみにFTの中国死刑宣告の記事には、満身創痍のゼロ戦が機上砲撃をしているイラストが描かれている。

(5)アップルはトロイの木馬になる深謀遠慮が
中国に商機を見出すアップルとテスラ
 奇怪なのは、米国政府によるアップル、テスラの扱いである。米中デカップリング、EPN(Economic Prosperity Network)による国際サプライチェーンからの中国排除を構想していながら、アップル、テスラの中国事業は何ら制限していない。

 バー司法長官は、6月のスピーチで、「アップルは米国政府に同社の携帯アクセスを拒否した一方で、中国政府にはアクセスを許してきた」「アップルが中国で販売する携帯電話が中国政府に諜報されていないとでも思うか、もし諜報を排除できるならそもそも販売が認められるはずがない」と主張したのに、この結果である。

 アップルのクックCEOはかつて、「中国がテクノロジーに関する優れたエコシステムをもっているおかげで、技術ノウハウ、サプライヤー、労働力まで必要なだけ調達できる。そのことが可能なのは中国だけ」と述べ、中国を尊重する姿勢が顕著である。

 アップルは500万人以上の中国人を雇用しており、中国最大の雇用主という立場が、中国における販売プレゼンスを政治的に支えているという面は大きい。トランプ大統領による中国生産の他国へのシフト要請もあり、アップルとその受託生産会社である鴻海はインドでの生産を開始するという動きはあるが、他社に比べて動きはスローである。中国以外で生産すると、その厳しい品質基準になかなか達しないためと言われている。

 今後、中国のスマホ市場でGoogleによるOSやアプリの提供が抑制されていくと、中国市場でのアンドロイド系製品開発に遅れが出る可能性がある。iOSを独占しているアップルの製品開発力が大きくものをいう時が来るかもしれない。

 米中貿易戦争のさなかに上海工場を立ち上げたテスラも同様であるが、米中敵対関係にあっても優れたビジネスモデルは「その荒波を乗り越える力をもっている」といえるのかもしれない。

(了)』

エヌビディアへの売却は「最悪」、事業モデル崩壊=アーム創業者

https://jp.reuters.com/article/arm-holdings-m-a-nvidia-britain-idJPKBN2650Z1

『[ロンドン 14日 ロイター] – 英半導体設計大手アーム・ホールディングスの共同創業者ハーマン・ハウザー氏は14日、ソフトバンクグループ(SBG)9984.Tがアームを米半導体大手エヌビディアNVDA.Oに売却すると発表したことについて、「最悪の事態」であり、アームのビジネスモデルが崩壊するとの認識を示した。

ハウザー氏はロイターとのインタビューで「(アームの本社がある)ケンブリッジにとって、英国にとって、欧州にとって最悪の事態だ。グローバルな重要性を持つ欧州最後のテクノロジー企業が米国人に売却されようとしている」と述べた。

同氏は、今回の売却により「半導体産業のスイス」としてのアームのビジネスモデルが崩壊すると発言。エヌビディアはアームの顧客と競争している。

同氏は英政府に対し、売却に3つの条件を付けるよう要求。(1)英国内の雇用の保証(2)アームのオープンなビジネスモデルの維持(3)顧客との関係について米国の安全保障上の見直しの対象から除外する──ことを求めた。

同氏はその上で「(こうした条件が満たされない場合)英政府は、ロンドン証券取引所でのアームの新規株式公開の実現を手助けし、アームを英国企業とすべきだ」と発言。英国がコーナーストーン(中核的)投資家となって株式上場を支援すべきだとの認識を示した。』

孫氏、「水晶玉」英アーム売却へ 米エヌビディアに

孫氏、「水晶玉」英アーム売却へ 米エヌビディアに
高値提案で戦略転換
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO63790730T10C20A9I00000/

『ソフトバンクグループ(SBG)が傘下の英半導体設計アームを米半導体大手エヌビディアに売却する。売却額は最大400億ドル(約4兆2000億円)。SBGは約6.7~8.1%のエヌビディア株を取得し、同社の大株主になる。SBGの孫正義会長兼社長はアームをグループの「未来を見通す水晶玉」と位置づけてきたが、高額の買収提案を受けて戦略転換する。

【関連記事】
ソフトバンクG、半導体アームをエヌビディアに売却へ
インテル超えのエヌビディア、革ジャンCEOが狙う盟主

「アームについてはSBGを支えるグループとして成長戦略を持っていた。しかし、ここまで良い条件なら(売却を)検討しなければならない」。8月下旬、SBG幹部はこう話していた。

7月から本格化したアームを巡るSBGとエヌビディアとの交渉。SBGはアームの新規株式公開(IPO)も検討してきたが、エヌビディアが高値のアーム買収を提案してきたという。

SBGは「(高値での売却を前提に)枠組みを交渉したい」と応じ、エヌビディア株の取得などに向け、株式交換の協議を始めた。この仕組みであれば、エヌビディアは現金支出を抑えられる。SBGは結果として4兆円規模でアーム株を売却し、その対価として現金に加え、エヌビディア株の一部を取得し、大株主になれる。

アームの設計技術が9割以上のスマホに使われている

SBGは2016年、アームを約240億ポンド(約3.3兆円)で買収した。買収は長年、孫会長兼社長が心に温めてきた宿願だった。アームにはSBG本体が75%を出資し、残り25%は10兆円ファンド「ソフトバンク・ビジョン・ファンド(SVF)」が出資する。

孫氏はアームを「未来を見通す水晶玉」と評した。スマホの半導体設計で約9割のシェアを握るアームは他の分野にも進出する。アームに集まる情報を駆使し、データが作る未来を予想する――。こんな期待から、同社をSBGに欠かせない事業会社と位置づけてきた。

そのアームを手放すのは大きな戦略転換となる。それだけに単純にアーム株を売却するのではなく、投資会社のSBGが今後さらなるリターンを得られる仕組みにする必要があった。

今回、エヌビディアは契約時にアームに20億ドルを支払ったうえで、その後、SBGとビジョン・ファンドに現金100億ドルとエヌビディア株215億ドル分を支払う。投資先である米シェアオフィス大手ウィーワークがコロナで苦戦するビジョン・ファンドの下支えになる。

さらにアームとの相乗効果でエヌビディアの業績や株価が一段と上向けば、SBGは保有株の価値向上も期待できる。投資会社の様相を強めるSBGにとって、エヌビディアへの再投資は必然とも言える。

エヌビディアのジェンスン・ファンCEO

「アーム買収直後に一度、エヌビディアとの連携は視野に入れた」。あるSBG関係者は話す。アームを買収した後の17年、SBGはビジョン・ファンドを通じエヌビディア株を保有したことがある。その後、同社株が大幅下落したことで手放した経緯があるが、当時から検討した連携に再挑戦するかたちにもなる。

ただ裏を返せば、英アームはSBG傘下では利益面で成長できなかったということだ。SBG幹部も同社傘下のままでは「アームの成長を100%保証はできない」と打ち明ける。

設計した半導体チップの出荷数は伸びたが、事業拡大の投資がかさみ、19年度の調整後EBITDA(利払い・税引き・償却前利益)は2億7600万ドル(約295億円)と16年度の約3割にとどまる。ビジョン・ファンドの苦戦で財務改善を進めるSBGにしてみれば、固定費の重いアームを抱える余裕はなくなっていった。

エヌビディアはアームを傘下に収め、画像や音声認識の広がりで需要が拡大する人工知能(AI)計算用の半導体を強化できる。この分野でエヌビディアは高速計算が得意な「GPU」と呼ぶ半導体を手掛けるが、アームを手に入れれば精緻な計算に必要なCPUへの参入が視野に入る。

課題は少なくない。中国政府系ファンドなどが株式を持つ中国合弁と英本社の間で問題が生じている。6月には英本社が「不適切な行為が確認された」として中国合弁のアレン・ウー最高経営責任者(CEO)の解任を発表したが、合弁側は否定した。国家間のテック競争が激しくなるなか、グローバルにデータや技術を集め、活用する余地は狭まっている。

アームのサイモン・シガースCEO

アームは米クアルコムや同ブロードコムなど多くの半導体メーカーを顧客に抱える。同じ半導体メーカーであるエヌビディアがアームを買収することで中立性が失われ、顧客離れが起きるとの見方がある。米企業の傘下に入ることでアーム自身が米中摩擦の矢面に立つ懸念もくすぶる。

米中摩擦などを背景に、当初SBGが描いていたアームの「水晶玉」としての魅力は薄れてきた。「投資会社として価値を最大化していくには、過去の思い入れを捨てるドライな決断をしないといけない」。あるSBG関係者はこうつぶやいた。』

Linuxも実時間処理もOK、Armが64ビットのCortex-Rコア

Linuxも実時間処理もOK、Armが64ビットのCortex-Rコア
小島 郁太郎 日経クロステック/日経エレクトロニクス
2020.09.07
https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/news/18/08677/

※ 「5nmプロセスで実装した場合の性能」とあるのは、これが「企画・設計」にすぎないからだ…。

※ TSMCみたいな「ファウンドリー」企業が、この「ライセンス」を購入して、自社の「ファブ」で、実際に製造していくことになる…。

※ ただし、現在「5nm」で製造できるファウンドリーは、あるのか…。TSMCかサムスンくらいのものか…。インテルは、確か14nmで足踏みしていたと思ったが…。

アキレス腱を抑えられたファーウェイの行方

アキレス腱を抑えられたファーウェイの行方
台湾TSMCの強みとは
高口康太 (ジャーナリスト)
https://wedge.ismedia.jp/articles/-/20586?page=2

『「米国企業の部品は買わせないというので代替部品を自社開発して入れ替えた。そうしたら今度は自社開発の部品は量産させないが、米国企業の部品は買ってもいいと変わり、それに合わせて設計し直すことになった」。華為(ファーウェイ)技術日本法人の王剣峰(ジェフ・ワン)会長は米国の制裁が与えている影響についての取材でそう話し、苦笑した。

 米商務省傘下の産業安全保障局は2019年5月、ファーウェイをエンティティー・リストに指定した。これにより米企業はファーウェイとの取引が禁止されたほか、米国以外の企業であっても米国由来の技術や部品を一定比率以上含む製品をファーウェイに輸出することが禁止された。

 ファーウェイは中国随一のテクノロジー企業ではあるが、その製品は米国や日本などから輸入した部品を数多く含んでいる。エンティティー・リスト指定は大打撃をもたらすかと思われた。しかし、19年の決算では、売り上げは8588億元(約13兆円)と、前年比19.1%増の高成長を記録した。制裁によって、主力商品のスマートフォンは米グーグルの諸機能が搭載できなくなり、海外市場での売り上げが落ち込んだが、中国国内市場ではもともと検閲によりグーグルの機能は排除されていたため影響はなかった。

 ファーウェイの事業のもう一つの柱である携帯電話基地局事業でも、中国は巨大市場だ。招商銀行研究院の報告書によると、23年までに中国携帯キャリアが必要とする5G基地局は400万局に達する(日本の設置目標数は21万局)。現時点でファーウェイのシェアは約50%とみられる。ここでも米国の制裁は痛手ではあるが、巨大な中国市場があるかぎり、致命傷とはならない。

サムスンを一世代先行する
台湾TSMCの製造技術
 そんな中、今年5月に新たな制裁が導入された。ファーウェイが設計した半導体を、海外のファウンドリ(半導体受託製造企業)が量産することを禁じるという内容だ。ファーウェイの子会社である半導体設計企業ハイシリコンはスマートフォン向けSoC(システム・オン・チップ、CPUなどスマートフォンの中核機能を統合したチップ)の「Kirin」や5G基地局コアチップの「TIANGANG」の開発を担当してきた。自社の製品に最適化された、高性能の半導体を独自設計できることがファーウェイの強みだ。

 ただし、設計まではできても、量産する能力はファーウェイにはない。製造については多くを世界最大のファウンドリであるTSMC(台湾積体電路製造)に委託してきた。米国はTSMCへの依存こそファーウェイのアキレス腱だと見抜き、両者の分断を図る新たな制裁を実施したわけだ。

 微細加工技術をはじめとして、TSMCの製造技術は、半導体受託製造で第二位のサムスンと比べて「一世代は先行する」(半導体企業の幹部)と言われ、米アップル、クアルコム、アドバンスト・マイクロ・デバイス、NVIDIAなど世界のトップ企業の受託製造を受け持ってきた。台湾調査会社トレンドフォースによると、TSMCの20年第2四半期の売り上げは101億ドルで、2位のサムスンの37億ドルに2.5倍もの大差をつけている。

なぜ、TSMCはそれほどまでの地位を得たのか。台湾の電子機器産業に詳しいアジア経済研究所地域研究センターの川上桃子センター長は「製造設備、EDAツール(電子設計自動化)、IP(知的財産)、設計など半導体産業の重要なポジションは今でも米国が抑えています。半導体技術の進展に伴い、TSMCが担う製造工程は莫大な設備投資が必要な分野となり、少数のプレイヤーに寡占されていきました。この過程で圧倒的な存在感を示すようになりました」と話す。

 TSMCの強みは規模、最先端製造技術、設計サポートの三点に集約できる。さらに性能と省電力化の鍵を握る微細化でも他社をリードしているうえに、強力な開発サポート体制を構築している。元エルピーダメモリ社長で現在は中国・清華紫光集団傘下・IDTの坂本幸雄社長は「ファーウェイ、ハイシリコンほどの技術者を抱えた企業であっても、TSMCの設計環境を活用することで、より効率的な開発ができ、きわめて重要だ」と指摘する。

 この三つの強みを持つファウンドリはTSMC以外には存在しない。かろうじて代替の可能性があるのはサムスンだが、スマートフォンで競合関係にあり、かつ米国との関係を考えれば、ファーウェイに協力することは難しい。

ファーウェイは窮地を
どう乗り越えるのか
 この窮地をファーウェイはどのようにして乗り越えようとしているのか。スマートフォンに関しては独自SoCによる差別化という武器は失われてしまうとはいえ、台湾メディアテック、またはクアルコム製の汎用品を採用することが可能だ。むしろ困難なのは5G携帯基地局のコアチップだ。製造企業ごとにコアチップはまったく別物なだけに汎用品は存在しない。「TIANGANG」は最先端の7nm(ナノメートル)プロセスで製造されているため、全量をTSMCが量産しているとみられる。

TSMCはファーウェイの5G基地局コアチップ・「TIANGANG」の製造も担っているようだ (AP/AFLO)
 ファーウェイが必要とする量を製造できるファウンドリがもし見つかったとしても、再設計は不可避となる。最悪の場合は基地局の設計そのものをやり直す必要がある。ファーウェイとはいえ、自動的に中国国内の受注が与えられるわけではない。国内でのZTE、大唐電信科技との競争は激しい。基地局コアチップが再設計に伴い品質を落とせば、シェアを落としかねない。

 もっともファーウェイは昨年から制裁に備えて在庫を備蓄しており、短期的には供給に大きな問題はないとみられる。さらにTSMCも9月14日まではファーウェイへの出荷が可能で、この間に大量の駆け込み納品があることは間違いない。その在庫量は1年分にも達すると噂されており、この間に解決策を探ることになりそうだ。

 米国の制裁にファーウェイが大きな痛手を負ったことは間違いないが、中長期的に見れば軍配はどちらに上がるかわからない。「トランプ大統領のおかげで、全部自分でやるという覚悟ができた」と話す中国人経営者もいると漏れ伝わってくる。また、将来的に中国がTSMCのような能力を持った企業を立ち上げる可能性もゼロではない。米国がファーウェイのアキレス腱を抑えたのは間違いないが、今後はどうなるのか。米中対立の行方から目が離せない。』

息を止められたファーウェイ…

息を止められたファーウェイ…米国の半導体「死の攻撃」にサムスンも緊張(中央日報/中央日報日本語版 2020.08.21 11:34)
https://japanese.joins.com/JArticle/269450?sectcode=320&servcode=300

『気道をふさいだ。呼吸はできない。残りの酸素をすべて使えば本当に終わりだ。ファーウェイ(華為技術)、正確に言えばファーウェイの半導体のことだ。トランプ政権がファーウェイの「半導体呼吸」を止めようと血眼になっている。

米商務省は18日、「ファーウェイが米国のソフトウェアや技術で開発または生産された外国製チップ(半導体)を購入するのを制限するため規定を改正した」と明らかにした。致命打だ。

なぜか。ファーウェイと米国政府の制裁「鬼ごっこ」を対話にすると分かりやすい。

ファーウェイ=米国の半導体を買って使うなということか。

米国=そうだ(2019年5月)

ファーウェイ=なら、我々が自ら設計した半導体を外国企業に生産してもらって使えばよい。

米国=それもいけない(2020年5月)

ファーウェイ=わかった。半導体の生産をあきらめる。米国以外の半導体製品を買って使う。

米国=それもだめだ。米国の技術が入った製品は買ってはいけない。(2020年8月)

ファーウェイ=米国の技術が入っていない半導体などどこにあるのか。我々に半導体を使うなということか。

米国=ビンゴ。

ファーウェイ=話にならない。そんなことはあり得ない。

米国=不満なら米国の技術0%の半導体を作って使えばいい。

詳しく見るとこうだ。昨年5月、米国はインテルやクアルコムなど自国の半導体企業がファーウェイに製品を供給できないようにした。「ファーウェイが米国人の個人情報を中国共産党に渡す」という理由だった。

するとファーウェイは別の方法を考えた。子会社「ハイシリコン」を通じて半導体を独自設計し、台湾のファウンドリー(半導体委託生産)企業TSMCで生産した。これに対し米国は今年5月、TSMCなどファーウェイの半導体を委託生産する企業も制裁対象にした。

ファーウェイは対策を講じた。中低価格半導体企業の台湾「メディアテック」を通じて半導体を購入した。一方で自社のスマートフォン向けアプリケーションプロセッサ(AP) 「Kirin」の生産中断を宣言した。その代わりトランプ政権にファーウェイとの取引を許可してほしいと働きかけるクアルコムとの協力を期待した。

18日の米商務省の措置は、こうしたファーウェイの期待に冷や水を浴びせた。むしろ制裁の範囲を拡大し、メディアテックとの取引までも遮断したのだ。半導体の基礎技術、半導体生産装備とソフトウェアの大部分が米国産であるため可能だった。米国はこうした「既得権」を徹底的に活用した。ロス米商務長官は「ファーウェイは第3者を経由する形で(米国産技術が入った部品を購入する)措置を取った。これからはその穴をふさぐ」と述べた理由だ。使用を望むならライセンスを受ければよいというが、こうした雰囲気でファーウェイに取引を許可する確率はほとんどない。

結局、ファーウェイの半導体供給ルートは事実上すべてふさがった。自国のファウンドリーSMICはまだ高品質半導体生産技術がない。しかもSMICも米国の技術と装備を使用しなければならない。制裁から自由でないということだ。

ファーウェイは会社の存亡まで心配する状況を迎えた。高品質APを安定的に受給できなければ、スマートフォンの競争力はサムスンやアップルはもちろん、OPPOやvivoなど中国企業よりも劣る。さらに5G通信網、サーバーなどに入るプロセッサも供給網が崩壊する。来年または再来年ごろ在庫がなくなれば本当に事業を整理することになるかもしれない。

フィナンシャルタイムズ(FT)が「今回の制裁はスマートフォンと通信装備を生産するファーウェイに『死』を意味する」と報道し、「米国がファーウェイに『核オプション』『致命打』を放った」(ブルームバーグ通信、CNN)という分析が出てくる理由だ。

米国としても容易な決定ではない。自国の半導体業界が苦しむ。米半導体産業協会(SIA)は18日、「半導体取引に対する広範囲な規制は産業に莫大な混乱を招く」とし「中国に敏感でない商用半導体を販売するのは、米国の半導体研究と革新を促進し、米の国経済力と国家安保の核心」と主張した。

FTによると、エヌビディア、テキサス・インスツルメンツ、クアルコム、インテル、ブロードコムの米国半導体5社の売上高の25-50%は中国に依存している。それでもトランプ大統領のファーウェイ枯死作戦に歯止めがかかる兆しは見えない。ポンペオ米国務長官はツイッターで「ファーウェイと抑圧的な中国共産党に直接的な打撃を与えた」とコメントしている。

心配されるのは韓国だ。ファーウェイはサムスン電子とSKハイニックスのメモリー(NAND型フラッシュメモリーとDRAM)分野の主要顧客だ。その間、ファーウェイ制裁は非メモリー(システム)中心に進行した。しかしFTは「今回の制裁対象にはメモリー半導体も含まれる」と予想している。

自国企業の負担も甘受してファーウェイたたきをする米国だ。5月にTSMCに見せたように、米国がサムスンとSKにファーウェイと手を切ることを要求する可能性がある。

やすやすと引き下がる中国ではない。楊潔チ共産党政治局員が訪韓すれば「ファーウェイ支援」に韓国の参加を要求する可能性がある。習近平主席が訪韓すれば見返りを要求するだろう。ファーウェイたたきが他人事でない理由だ。選択の瞬間が近づいている。』

ファーウェイの「kirin」チップの歴史が終了か

米国の制裁により、ファーウェイの「kirin」チップの歴史が終了か(8月8日(土)15時30分 Record China)
https://news.biglobe.ne.jp/international/0808/rec_200808_7471139822.html

『2020年8月7日、第一財経は、中国通信機器大手・華為技術(ファーウェイ)の関係者が「米国の制裁により、自社のKirinチップが絶版になるかもしれない」と語ったことを報じた。

記事は、ファーウェイのコンシューマー業務CEOを務める余承東(ユー・チョンドン)氏が7日に中国で行われた情報化に関するイベントで「米国の制裁により、ファーウェイが世界をリードするKirinチップが9月15日以降作れなくなる。これは非常に大きな損失であり、あまりに残念だ」と語ったことを紹介。余氏がその理由として「現在、中国国内の半導体技術が追い付いていない」ことを挙げ、現在同社のスマートフォンMate 40に搭載されるKirinチップが「最終世代」になる可能性が高いとの認識を示したと伝えている。

余氏はまた、現状として中国の端末産業の重要技術は米国に大きく後れを取っていると指摘。米国がハードウエア、ソフトウエアいずれにおいても主導権を握る状況が続いているとし、「第2世代半導体から第3世代半導体の時代に入りつつある中で、われわれは新たな時代における主導権を握りたい。端末に必要な多くの部品について、当社は現在投資を進めている。そして、当社は他の中国企業の成長も後押ししているのだ」と述べた。

さらに、中国企業はハード・ソフト双方の技術革新を実現する必要があるとの認識を示した上で、現在同社が手掛けるオペレーションシステム「鴻蒙OS」の導入端末を増やす取り組みを進めていると説明。「米国から締め出しを受けた以上、わが社は自力でチップと生態環境問題を解決する他ない。HMS(Huawei Mobile Service)を発展させ、米国の封鎖を突破するよう努力する」と語っている。(翻訳・編集/川尻)』

アームの中国合弁、揺らぐ企業統治 ファーウェイに傾斜

アームの中国合弁、揺らぐ企業統治 ファーウェイに傾斜(2020/6/16 19:57)
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO60423920W0A610C2TJ2000/?n_cid=DSREA001

『ソフトバンクグループ(SBG)傘下の英半導体設計大手・アームで、中国の合弁会社の制御が困難になっている。英本社は合弁の経営トップの解任を表明したが、株式の過半数を中国の国有企業などが握る。最大顧客は中国の通信機器最大手・華為技術(ファーウェイ)だ。米中ハイテク摩擦の激化を背景に、両国の利害が絡む敏感な存在として注目を集める。

アームはスマートフォンなどモバイル機器向けプロセッサーの設計情報で世界シェア9割超を誇り、先端半導体開発のカギを握る存在だ。中国合弁アーム・チャイナはアーム本体のあらゆる知的財産にアクセスでき、中国企業への技術ライセンスの供与を担う。

英本社は9日に「不適切な行為が確認された」として合弁のアレン・ウー最高経営責任者(CEO)の解任を発表したが、合弁側は否定。内部対立の様相を呈している。

「ウーCEOは偉大なリーダーだ」。中国最大の対話アプリ「ウィーチャット」上で15日、合弁の公式アカウントが同氏への支持を表明した。幹部10人の署名入りで「業績は力強く成長している」とし、解任に抵抗する姿勢を鮮明にした。

英アームは2018年、中国広東省深圳に設立した現地子会社の株式の計51%を中国国有の銀行やネット大手などに売却した。同社幹部は合弁に切り替えた狙いについて、「現地で欧米企業に閉ざされていたチャンスにアクセスできる」と話した。

米国籍のウー氏は合弁設立時からトップとして中国事業をけん引する。関係者によると、特に「ファーウェイが最大の顧客として成長に貢献している」と話す。

日本経済新聞が入手した内部文書によると、合弁会社の董事会(取締役会)は9人で構成され、英本社が指名できるのは4人にとどまる。合弁は、自らは法的には中国の事業体であり、英本社にCEOを解任する権限はないと主張している。

トラブルの原因は明らかになっていない。ただアームに近い関係者は、米中摩擦が激化するなかで「中国での成長を追求する合弁の野心が、英本社を不安にさせている」と話す。

トランプ米政権は19年にファーウェイへの事実上の禁輸措置を打ち出した。これを受けアームは一時的に中国合弁への技術供与を見合わせた。ただ中核技術は英国由来のため米の規制対象にはならないと判断し、取引を再開している。

アームは日本経済新聞に対し、「地政学的な緊張と(米の)輸出管理規則は、ウー氏の解任などに関係していない」とし、貿易摩擦との関連を否定している。

一方で台湾の大手シンクタンク、資訊工業策進会産業情報研究所(MIC)の施柏栄シニアアナリストは「アームがあらゆる技術ライセンスの供与と運営を担う子会社を中国に設立し、それを制御できないというのは異常だ」と指摘する。

中国政府は革新のカギを握る半導体産業の育成を急ぐ。アームの中国合弁は業界では「中国にとって突破口になる」とみなされてきた。施氏は米中摩擦が激化するなか、合弁は「アームを二大国の板挟みの立場に追いやることになる」と話した。

(台北=鄭婷方、黎子荷、香港=陳綺●(あめかんむりに文))』

英アーム中国合弁、経営混乱「中国政府に解決望む」

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO62015330Y0A720C2FFJ000/

『【広州=川上尚志】英半導体設計大手アームの中国合弁の経営の混乱が続いている。合弁会社のトップ人事を巡る英本社と合弁会社の対立が長引いており、合弁会社は28日に中国のSNS(交流サイト)上で、混乱の収束を望む約200人の社員のものだとする声明を掲載した。声明では「(中国の)政府の関係部門に関心を持ってもらい、紛争が解決されることを望む」と訴えており、中国当局を巻き込む事態に発展する可能性がある。

アームの中国合弁アーム・チャイナを巡っては6月、英本社が「不適切な行為が確認された」として、合弁のアレン・ウー最高経営責任者(CEO)を解任すると発表した。ただ合弁側は「ウー氏は職務を続ける」とする食い違う発表をし、混乱が続いている。

アーム・チャイナは28日公表した声明で、「(当社は)中国側が51%、外国側が49%の株を保有している。中国の法律を順守し中国の社会的な責任を履行すべきだ」とし、英本社の決定にあらためて反対する考えをにじませた。約200人の社員のものだとする署名も掲載し、「私たちは普通の従業員として紛争の解決を望む」と訴えた。

アームはソフトバンクグループ(SBG)傘下で、スマートフォンなどモバイル機器向けプロセッサーの設計情報で世界シェア9割超を握る。アーム・チャイナはアームの中国子会社だったが、アームが2018年に持ち分51%を中国政府系ファンドなどでつくるコンソーシアムに売却し合弁会社として新設された。』

半導体設計メーカーのArmがライセンス料の4倍値上げを要求か

https://gigazine.net/news/20200716-arm-price/

独占:アームは一部の顧客のためにチップ技術の価格を引き上げると情報筋は言う
https://www.reuters.com/article/us-softbank-group-arm-exclusive/exclusive-arm-raises-prices-on-chip-technology-for-some-customers-sources-say-idUSKCN24G1RM

『(グーグル翻訳文)
(ロイター通信)-ソフトバンクグループが所有する(9984.T)半導体技術サプライヤーであるArm Ltdは、最近の交渉で一部の顧客のライセンス料を引き上げようとしていると、この件に詳しい4人がロイターに語った。
Armの営業担当者は最近の会談で、一部の顧客のライセンス全体の費用を最大4倍に引き上げる価格引き上げを強く求めていると、この問題に詳しい2人は述べています。

ライセンスコストはさまざまですが、複雑なコンピューティングコアなどの重要な設計には数百万ドルかかる場合があります。引き上げにより一部のライセンシーは非アーム代替案を検討するよう求められ、2人がロイターに非公開交渉について話し合うよう匿名性を要求したと語った。

Armは価格交渉についてコメントしないと述べた。

同社は、Marvell Technology Group(MRVL.O)などの顧客がデータセンターなどの新しい市場に参入できるように、新しいテクノロジーに多額の投資を行ってきました。昨年、アームは「フレキシブルアクセス」プログラムを開始し、顧客は先行技術コストを抑えながら幅広いテクノロジーにアクセスできるようになりました。

アームは、チップ内の知的財産を供給する最もアップル社(からのものも含め、世界のスマートフォンの電源AAPL.O)と、サムスン電子のCo株式会社(005930.KS)。それは、他の市場の中で、自動運転車とネットワーク技術のためのチップに拡大しています。

SoftBankは2016年にイングランドに本拠を置くArmのケンブリッジを320億ドルで購入し、これまでで最大の購入となりました。

ウォールストリートジャーナルは今週、ソフトバンクがアームの完全または部分的な売却を含む代替案を検討するためにゴールドマンサックスグループインクを雇ったことを今週報告しました。SoftBankの最高執行責任者Marcelo Claureは、火曜日にここフィナンシャルタイムズに、SoftBankがチップ会社から「ほとんどの価値」を認識したときにArmは上場すると発表しましたが、 」

チップ企業の25%が銀行の968億ドルのビジョンファンドによって保有されているため、アーム上場の結果はSoftBankにとって非常に重要になる可能性があります。ソフトバンクの最新の財務によれば、ファンドの投資額は3月31日現在で173億ドルの損失でしたが、2019年末の7,273億円(68億ドル)の損失額と比較しています。ビジョンファンドの減少は、 Uber Technologies Inc(UBER.N)およびWeWorkとして。

チップ設計者がArmのテクノロジーにアクセスするために支払うライセンス料は、収益の成長を牽引しています。このような収益は、直近の会計年度で6.4%増加して5億8,200万ドルになりましたが、Armテクノロジーで作られたチップのロイヤルティからの収益は1.5%減少して10億8千万ドルになりました。

SoftBankは部分的にArmを買収し、信号機から冷蔵庫までの日常的なデバイスがインターネットに接続することが期待されるモノのインターネットまたはIoTで期待されるブームを利用しました。

しかし、IoTでは、チップ設計者に低価格を請求するライバルや、チップ設計者自身が無料で使用できるRISC-Vと呼ばれる「オープンソース」テクノロジーとの競争に直面しています。調査会社のIDCによると、新しいコロナウイルスのパンデミックによって、IoTへの支出計画も鈍化している。

先週、Armは2つのIoTソフトウェア事業をスピンオフしてSoftBankに戻り、コアチップテクノロジーに焦点を当てました。

IoTの収益は競争と経済的な逆風に制約されているため、Armは、より複雑なチップで使用されるテクノロジーの価格を引き上げることになりました。

「それは私たちにとって多くの緊張を引き起こしました」とあるアームのライセンシーはロイターに語り、技術の向上と釣り合いが取れていないように思われたと語った。

サンフランシスコのスティーブン・ネリスによる報告。グレッグ・ミッチェルとリチャード・チャンによる編集

当社の基準:トムソン・ロイター・トラスト原則。』

 ※ まあ、「商法」だ…。くり返し使われて来た「手口」だ…。
 ある程度の期間は、「お安く」提供して、「競合他社」が価格競争に敗れて、「死んだ」ら、それを見計らって「値段を上げて行く」…。
 x86系は、十分に「死んだ」と、判断されたんだろう…。
 (インテルから、ぼろぼろ「キー・エンジニア」が脱出しているからな…。そういう点では、「会社」「企業」は、「死んでも」、「セル(細胞)」の系譜は、生き続ける…)。
 ただ、こういう「テクノロジー」系の競争には、「ゲーム・チェンジ」「プラットフォームの大転換」が絡む…。
 今回のは、IoTにおいては、「高性能」よりも、「低電力消費」の方が、重要視されるという「大転換」があった…。


 x86系は、そこを乗り損なった…。


 まあ、栄枯盛衰、諸行無常、盛者必衰の理(ことわり)だ…。
 ARMの先行きも、知れたものじゃ無い…、ってことだ…。
 既に、RISC-Vとか、そういう「萌芽(ほうが)」が見えている…。

ファーウェイ包囲の切り札…。

ファーウェイ包囲の切り札 米半導体設計ツール断絶
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO61231450X00C20A7000000/

『米国が中国通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)への規制を強化している。包囲網の切り札として浮上してきたのが、最先端半導体の開発に不可欠な「EDA(電子設計自動化)」ツールだ。』
『同社が強みとするプロセッサーや通信用ベースバンドICなどの設計には、米企業製のEDAツールが欠かせない。米企業が提供するEDAツールが業界標準となっているからだ。このEDA分野での圧倒的な優位性を生かすことで、ファーウェイに揺さぶりをかけてきた。

米商務省産業安全保障局(BIS)は5月15日、ファーウェイへの規制強化を目的とした輸出管理規則(EAR)の改正を発表した。その狙いは、同社独自開発の半導体のサプライチェーンにおいて、米企業のソフトウエアや製造装置を利用できなくすることにあるとみられる。』
『EARに基づいた禁輸対象(エンティティーリスト)にファーウェイおよび関連企業が追加されたのは、2019年5月16日である。同日以降、「米国で造られた製品(米国製品)」「米国外で造られた製品(非米国製品)のうち、米国で造られた部品(米国製部品)や米国由来技術の価値が金額ベースで25%を超えるもの」をファーウェイに供給することが禁じられた。裏を返せば、米国産部品や米国由来技術の割合が25%以下の非米国製品ならば供給できるということだ。

エンティティーリスト入り後もファーウェイが独自開発のプロセッサーなどを確保できていたのは、この条件のおかげだろう。同社はこれらの半導体について、傘下の海思半導体(ハイシリコン)で設計し、台湾積体電路製造(TSMC)をはじめとする半導体受託製造会社(ファウンドリー)に造らせてきた。

エンティティーリスト入りでファーウェイがこのサプライチェーンを維持できるかどうかに関心が集まったが、大きな影響はみられず、同社はむしろ独自開発の対象を高周波(RF)半導体などにも広げてきた。だからこそ、米政府は新規制でさらなる強化に踏み出したわけだ。

〔■わずかな可能性も潰す〕

新規制の効果は、まず製造面に表れた。新規制の発表直後、TSMCが米アリゾナ州に半導体前工程工場を建設することを明らかにしたのである。併せて、「ファーウェイからの新規受注を停止」とも報じられた。TSMCはファーウェイからの受託が新規制に抵触すると判断したもようだ。

ファーウェイの最新プロセッサーや次世代通信規格「5G」対応ベースバンドICは、7ナノ(ナノは10億分の1)メートルプロセスを前提に設計されている。現時点で7ナノメートルプロセスの量産能力を持つのは、TSMCの他には韓国サムスン電子だけ。そのサムスンも、米国の狙いを鑑みればファーウェイの依頼を受けるとは考えにくい。とはいえ、数々の技術を取り込んできた中国が、将来的に最先端半導体の量産体制を構築する可能性も完全には捨てきれない。

そこで、米政府はそのわずかな可能性をも潰すために、EDAツールの利用についても規制を強化したのだ。EDAツールの上位3社は、シノプシス、ケイデンス・デザイン・システムズ、メンターといずれも米企業である。

18年秋に明るみに出たファーウェイ「核心的サプライヤー」のリストにもシノプシスとケイデンスの名前があった。ファーウェイやハイシリコンがプロセッサーやベースバンドICなどの設計に米企業のEDAツールを使っているのは間違いない。

そもそも、米企業のEDAツール自体が米国製品の一種であり、エンティティーリスト入りの時点で何らかの影響が出ていてもおかしくなかった。ファーウェイやハイシリコンが既に購入していた分は引き続き使えたとしても、新規に購入したり、アップデートを受け取ったりすることはできなかったはずである。

しかし、実際には前述の通り、大きな影響はみられなかった。このことから、ファーウェイやハイシリコンはグループ外の企業に技術者を出向させるなどして、規制を回避していたのではないかという見方もある。今年5月にBISが打ち出した新規制は、こうした「抜け道」も封じる狙いがありそうだ。

ここで考えられるファーウェイ側の対策は2つある。第1に、米国製以外のEDAツールを中国など米国外で開発すること。第2に、これまでのように何らかの抜け道を探して米国製のEDAツールを使い続けるということもあり得る。ただ、EDAによってつくり出された強固で複雑な半導体設計チェーンを考えると、いずれの試みもほぼ不可能である。

〔■複雑なEDAチェーン〕

EDAと一言で言っても、例えば業務用ソフトは文書作成にWord(ワード)、表作成にExcel(エクセル)、プレゼンテーション作成にPowerPoint(パワーポイント)があるように、用途や機能が異なるツールがある。複数のEDAツールを使うことで、欲しい半導体の仕様を、半導体製造装置向けのデータに変換することができる。

EDAツールは大きく2種類に分類できる。1つが設計そのもの、すなわち仕様などの抽象的なデータを実物に近いデータにする作業を実行するツール(設計系ツール)。もう1つが設計結果を検証するツール(検証系ツール)だ。

現在、EDAツールが扱える抽象的なデータは、欲しいデータの処理内容を表した動作記述で、ソフトウエアプログラミングでおなじみのC言語やC++で表現する。

ただし、この動作記述を、半導体製造装置向けのデータに一気に変換できるEDAツールは存在しない。複数の設計系ツールを使って、順繰りに、抽象度を下げる。抽象度を下げた設計結果が得られると、検証系ツールを使ってその設計結果が正しいかどうかをチェックする。結果が正しければ、次の設計系ツールを使って抽象度を下げる、そして検証するという繰り返しになる。

〔■全ツールを提供できるのは2社〕

市場にある、論理ICの設計系ツールは、主に3種類。動作記述をRTL(レジスター転送レベル)記述に変換する「高位合成ツール」、RTL記述をネットリスト(接続情報)に変換する「論理合成ツール」、ネットリストを製造装置で使うマスクのデータに変換する「配置配線ツール(レイアウト設計ツールとも呼ばれる)」である。

検証系のツールは種類が多いが、代表的なツールとしては、論理回路の機能を動的に解析する「論理シミュレーター」、論理回路の遅延時間を静的に解析する「スタチック・タイミング・アナライザー」、マスクデータを検証する「レイアウト検証ツール」を挙げられる。

ここまでの説明で登場したEDAツールをすべて提供できる企業は、現在、シノプシスとケイデンスの2社だけである。先端プロセスの論理ICを受託製造できる2社、すなわちTSMCとサムスンは、シノプシスとケイデンスのツールを使って設計したICを製造できる体制を築いている。

なお、独シーメンスの傘下に入ったメンターもいくつかのEDAツールを提供しているが、レイアウト検証ツールや論理シミュレーター、高位合成ツールを除くと、シノプシスやケイデンスに比べて影が薄い。

EDAツールとともにIC設計で使われるIPコア(回路の設計情報)について触れておく。英アームが提供するCPU(中央演算処理装置)コアはIPコアの代表例で、論理合成ツールに入力可能なRTL記述として提供される。IPコアを購入することで、そのIPコアの設計をしなくて済む。

〔■中国での開発は無理〕

ほぼすべてのEDAツールは米国製であることから、ファーウェイの機器で重要な役割を担う先端論理ICを、米国由来のソフトウエアなしで設計することは不可能といえる。

EDAツール企業で実際に開発しているのは中国系やインド系のエンジニアが多く、中国系エンジニアが中国に戻ってEDAツールを開発すれば大丈夫だという声がある。実際、中国内でEDAツールを開発するプロジェクトは進行している。こうして、米企業のEDAツールの初期バージョンと等価なEDAツールは開発できるかもしれない。とりあえず動けばいいというICはその初期バージョンで設計できるだろう。

しかし、競合するICに勝るどころか、同じような性能で動くICを設計するのさえ、ほぼ不可能だと思われる。

先端論理ICの設計に使われるEDAツールは、EDA企業、スタンダードセル(基本的な回路)を手掛けるアームなどの企業、ICの受託製造企業、半導体メーカーや大手機器メーカーといった世界中の半導体設計者が協力して最適化作業をして、第2、第3バージョンを仕立てている。中国で開発したEDAツールに対して、こうした最適化が行われることは難しく、そのツールでは市場競争力のある先端ICは設計できないといえる。

EDAツールに関しては、もう1つ留意しておきたいことがある。EDAツールはソフトウエアなので、製造装置と比べて、どこで誰が何のために使ったかは分かりにくい。このため、EDAツールの規制は製造装置のそれに比べて網をかけるのが難しいとの声がある。

しかし、米政府が本気になると、設計結果を得るために使ったツールの情報は比較的簡単に割り出せる。デジカメで撮った写真に付加されるカメラの機種や撮影日時のような情報は、EDAツールで得られた設計データにも存在するのが普通である。設計結果本体は業界標準データ形式で表されるため、どのツールを使ったかは分からないかもしれない。しかし、「付加データを見せろ」と言われれば、一発で分かってしまう。

上述したように、EDAツールは初期バージョンから次々に改良されていく。バージョンが異なると、設計結果に差が生じる。このため、ある設計データがどのバージョンで設計したかが分からないと、品質管理面で問題が起こる恐れがある。設計データの付加データは意外に重要で、設計者がそれを保存しないことはあり得ない。「付加データはないです」とは答えられない。

つまり、抜け道経由で米国製EDAツールを使って設計・検証することは、ほぼ不可能に近いのだ。

(日経クロステック 小島郁太郎、高野敦)

[日経クロステック2020年7月6日付の記事を再構成]