【インテル・トリニティの生涯】ロバート・ノイス:ノーベル賞を「2度も」獲り損なった男

【インテル・トリニティの生涯】ロバート・ノイス:ノーベル賞を「2度も」獲り損なった男
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『インテルの創業と発展に寄与した三位一体(トリニティ)

 「インテル・トリニティ(Intel Trinity)」とは、インテル(Intel)の共同創業者であるロバート・ノイス(Robert Noyce)氏とゴードン・ムーア(Gordon Moore)氏、それからインテルの社員第1号であるアンドリュー・グローブ(Andrew Grove)氏をまとめた呼称だ。インテルの創業と成長を一体となって支えた3名(三位一体)を意味する。

 この呼称は、シリコンバレーで長年にわたって新聞記者をつとめたマイケル・マローン(Michael Malone)氏の著作「The Intel Trinity: How Robert Noyce, Gordon Moore, and Andy Grove Built the World’s Most Important Company」(Harper Business、2014年7月発行)により、米国では広く知られるようになった。邦訳書籍は「インテル 世界で最も重要な会社の産業史」(文藝春秋、2015年発行)である。邦訳タイトルには「インテル・トリニティ」が入っていない。このためか、日本における「インテル・トリニティ」の知名度はあまり高くない。

 本コラムの【インテル・トリニティの生涯】では、トリニティで最後の1人となったゴードン・ムーア氏が2023年3月24日に逝去した機会を捉え、トリニティの生涯を紹介する。本来であれば誕生年月順から言ってロバート・ノイス氏を始めに紹介すべきなのだが、逝去したばかりで読者の記憶に新しいであろうムーア氏を先に紹介した。

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「インテル・トリニティ」を構成するノイス氏、ムーア氏、グローブ氏の生涯(概略、文中敬称略)。公表資料から筆者がまとめたもの

日本語版がないノイス氏の伝記

 今回はムーア氏とともにインテルを創業したロバート・ノイス氏の経歴を述べる。ノイス氏の伝記として最も優れているとされるのは、シリコンバレーを専門とする歴史学者のレスリー・バーリン(Leslie Berlin)氏が著した「The Man Behind the Microchip: Robert Noyce and the Invention of Silicon Valley」(Oxford University Press、2005年6月10日初版発行)だろう。440ページというかなりの大著である。

 インテルのWebサイトでノイス氏を記念するページを閲覧すると、ノイス氏のバイオグラフィ(伝記)として同書へのリンク(厳密にはバーリン氏のWebサイトへのリンク)が張られている。インテルが公式に認めた伝記本ともいえる存在だ。なお、筆者が調べた限りでは、邦訳本(日本語版書籍)は出版されていない。

ロバート・ノイス氏の伝記へのリンク部分。インテルのWebサイトに置かれたノイス氏を記念するページから抜粋

包括的なキルビーの発明、製造技術に特化したホーニーとノイスの発明

 ロバート・ノイス氏(以降は一部を除いて敬称略)の経歴で日本でも知られているのは、フェアチャイルド半導体の共同創業者、インテルの共同創業者、日米半導体貿易摩擦における対日攻撃の急先鋒、モノリシック集積回路の発明者といったところだろうか。バーリン氏の著作「The Man Behind the Microchip: Robert Noyce and the Invention of Silicon Valley」を閲覧すると上記のほか、いくつかの興味深い事実が浮かび上がる。

 最も興味深かったのは、ノイスがノーベル物理学賞を2回も獲り損なったというエピソードだ。2回の中で1回は、集積回路(IC)の発明である。このことは、半導体の研究開発コミュニティではよく知られている。

 そもそも半導体コミュニティでは「集積回路の発明者」として、テキサス・インスツルメンツ(TI)のジャック・キルビー(Jack Kilby)氏、それからフェアチャイルド半導体のノイスとジーン・ホーニー(Jean Hoerni)氏の3名を挙げることが少なくない。

 キルビーは1958年7月に、半導体基板にトランジスタやダイオード、抵抗素子などをまとめて搭載するという「集積回路の概念」を着想した。ホーニーは1957年12月にシリコン酸化膜でシリコンのトランジスタを保護するプレーナ型プロセスを考案した。ノイスはホーニーの発明を発展させ、シリコンのプレーナ型プロセスを回路素子間の相互接続(導体配線)に拡張した、モノリシック集積回路を1959年1月に発明した。キルビーの特許は1959年2月、ホーニーの特許は1959年5月(2件)、ノイスの特許は1959年7月に出願されている。
キルビーの特許「Miniaturized Electronic Circuits」(特許番号3138743)に描かれた実施例(マルチバイブレータ回路)の図面。図面で配線は空中の金(Au)線となっている(試作したICと類似している)が、考え方としては半導体基板と配線は一体化させる。図面の出所:1986年11月27日付け特許出願公告「特公昭61-55256」の第1図と第2図(いずれも米国特許と同じ図面)

ホーニーの特許「Method of Manufacturing Semiconductor Devices」(特許番号3025589)および「Semiconductor Device」(特許番号3064167)に描かれた図面の例(いずれの特許も同じ図面を使用)。シリコン酸化膜をマスクと保護膜に利用する

ノイスの特許「Semiconductor Device-and-Lead Structure」(特許番号2981877)に描かれた図面の例。上が平面図、下が断面図。左側のpn接合ダイオードと右側のnpnトランジスタを配線(30番および31番のリード(Lead)で結ぶ

 キルビーの発明は最も包括的であり、「半導体集積回路の概念」に関するアイデアだった。請求範囲が広く、米国、日本、欧州を問わずに半導体メーカーにとってはかなり厄介な存在だった。このため手続きに時間がかかったとみられる。3名の中では特許の成立が最も遅く、1964年6月になっている(特許番号は3138743)。

 逆にノイスの特許は最も早く、キルビーの3年ほど前、1961年4月に成立した(特許番号は2981877)。1959年当時はトランジスタ全盛時代であり、集積回路の製品がまだ登場していなかったことが、特許の成立を早めたとみられる。プレーナ型トランジスタとダイオードの製造に関わるホーニーの特許2件はノイスよりも1年ほど遅く、1962年3月(特許番号は3025589)と1962年11月(特許番号は3064167)に成立した。

 ホーニーのプレーナ型プロセスとノイスのモノリシック集積回路プロセスはその後、シリコン集積回路とトランジスタ(バイポーラおよびMOS)、ダイオードの標準的な製造技術となった。特にMOS FETとその集積回路(MOS IC)は、ホーニーとノイスの発明によって実用化の道筋が開けたと言える。半導体産業の発展に与えた影響は、非常に大きい。

ノーベル賞の対象とは見なされなかった「集積回路」の発明

 ただし半導体の研究開発コミュニティでは、集積回路の発明はノーベル賞の対象とはなりにくいとの見方が少なくなかった。集積回路の考案は学問的な業績ではなく、工業的な業績とみなされたからだ。固体物理学における偉大な発見であるトランジスタ(1956年にノーベル物理学賞を受賞)とは、発明の性格が大きく異なる。

 たとえばゴードン・ムーアは1994年に、以下のように述べている。「トランジスタを発明したショックレー博士はノーベル賞を受賞したが、キルビー氏やノイス氏は受賞していない。ホーニー氏にいたってはきちんと評価されたとも言えない。その理由は2つあると思う。トランジスタは基礎的な物理研究と密接に関わっていた。ICはそれよりも技術問題だった。もう1つは少人数を特定して功績を断定することがより難しかった。キルビー氏、ノイス氏、ホーニー氏の3氏というのも1つの可能性なのだろうが、この点について明確な提案は残念ながらなかった」(玉置直司、「インテルとともに―ゴードン・ムーア 私の半導体人生―」、1995年6月発行、p.61)。

遅すぎた「集積回路」のノーベル賞授与決定

 ところが2000年10月10日、スウェーデン王立科学アカデミーは同年のノーベル物理学賞を、キルビーを含めた3名の研究者に授与すると発表した。授与の理由は、現代情報技術(Modern Information Technology)の構築に寄与したこと。2名は化合物半導体のレーザーと高速トランジスタの基本構造「ヘテロ接合」の開発に対してノーベル賞を与えられ、この2名が賞金の半分を折半するとした。賞金の残り半分は「集積回路の発明に関するキルビー氏の寄与」に対してキルビーに授与された。

2000年10月10日にスウェーデン王立科学アカデミーが発表した、2000年のノーベル物理学賞の授与に関するリリース(Webサイトのページを一部抜粋したもの)

 ノイスは、集積回路の発明に対してノーベル賞を授与されなかった。理由は2000年の時点で彼は鬼録に登っていたからだ。ノイスはこの10年前、すなわち1990年に亡くなっていた(ノーベル賞は生者のみに授与される)。ホーニーも1997年に亡くなっており、受賞資格を失っていた。なお同アカデミーが2000年のノーベル物理学賞の対象業績を解説したWebページは、ノイスの業績についてもふれている。

江崎玲於奈氏らよりも早期にトンネルダイオードを着想

 ロバート・ノイスが逃したノーベル賞クラスの発明はもう1つある。それは「負性抵抗ダイオード(トンネルダイオード)」を理論的に着想したことだ。「負性抵抗」とは、電圧を上げると電流が減少する状態を意味する。1950年代は量子効果の1つである「トンネル効果」が半導体素子で生じると固体物理学の世界で予想されてはいたものの、実証には至らなかった時期である。pn接合ダイオードにおけるトンネル効果の発見は、半導体における量子効果の実証を意味した。

 読者の多くがご存知のように、トンネルダイオードを発明したのはソニー(当時は東京通信工業)の江崎玲於奈氏らのグループである。以下の記述はソニーのWebサイトに掲載されたトンネルダイオード(別名:エサキダイオード)の発見にまつわるエピソードを参考にした。

 1957年夏にソニーはゲルマニウム(Ge)の高周波トランジスタを開発する過程で生じたトラブル(ボンディングによるpn接合破壊)に対処するため、不純物濃度を変えたpn接合の特性を調べていた。このときに江崎らのチームは偶然、高濃度にリン(P)をドープしたpn接合の電流電圧特性が異常なふるまいを示すという現象に遭遇した。逆方向バイアスでは電圧の上昇とともに電流が単調に増加する。順方向では電圧の上昇とともに電流がゆるやかに増加し、ある電圧から電流が減少する。さらに電圧を上げると電流は再び増加していく。

 トラブルはトランジスタのリン濃度を調節することで解決された。江崎は高濃度pn接合ダイオードで生じた負性抵抗をトンネル効果だと推測し、1957年10月に日本物理学会年会で発表した。残念ながら、反響はあまりなかったという。

江崎らの研究チームが1957年10月の日本物理学会年会で発表したpn接合ダイオードの負性抵抗に関する講演の予稿。出所:日本物理学会年会講演予稿集

ショックレーに潰されたノイスのトンネルダイオード

 ソニーの江崎らがpn接合ダイオードのトンネル効果を発見していたのとほぼ同時期に、ノイスはpn接合ダイオードの不純物濃度を極端に高めるとトンネル効果が生じることを理論的に発見した。1956年8月14日のことであり、江崎らの発見よりも1年ほど早い。当時、ノイスはショックレー半導体研究所につとめていた。ノイスによる発見の経緯を、前述のレスリー・バーリンとデューク大学名誉教授のクレイグ・ケーシー(H. Craig Casey Jr.)は共同で、「IEEE Spectrum」誌の2005年5月号に寄稿した(「Robert Noyce and the Tunnel Diode」、May 2005、IEEE Spectrum、pp.49-53)。

 ノイスは、通常の数千倍もの高い不純物濃度を有するpn接合ダイオードでは、順方向の電流電圧特性が以下のようになると予想した。

 順方向の印加電圧をゼロから少しずつ上げていくとしよう。印加電圧がわずかなときには、通常のpn接合ダイオードよりもやや高い電流が流れて増加し始める。このとき伝導電子はpn接合間の極めて薄い空乏層を「トンネル効果」によって通り抜ける。

 印加電圧をもう少し上げるとpn接合のエネルギー帯で空乏層が厚くなり、伝導電流(トンネル電流)が減少する。すなわち負性抵抗が生じる。印加電圧をさらに上げると空乏層の傾斜がゆるやかになり、通常のpn接合と同じように電流が増えていく。

ノイスが1956年8月14日にトンネルダイオードのアイデアを著した研究ノート。右上に日付がある。右下に電流電圧特性の予想曲線(順方向にトンネル電流と負性抵抗が生じる)が描かれている。出所:Computer History Museum, Department of Special Collections, Stanford University

 このエキサイティングなアイデアをノイスはまず同僚のムーアに話し、次に上司のショックレー(William Bradford Shockley Jr.)に報告した。若きノイスは、ショックレーがこのアイデアに感激してくれるものと期待した。

 ところがショックレーは、ノイスのアイデアに何の関心も示さず、このアイデアに基づく研究(ダイオードの試作や理論の検証など)への道を閉ざしてしまった。ショックレーは競争心が異常に強く、自分の部下が独自のアイデアで研究を進めることを許さない性格だった。失意に打ちのめされたノイスは、ショックレーの意図に沿った別テーマの研究に取り組んだ。

ショックレーが「エサキダイオード」を称賛した不可解

 失意のノイスをさらに打ちのめす出来事が、1958年1月に起こる。著名な固体物理の論文誌「Physical Review」の1958年1月15日号に、「New Phenomenon in Germanium p-n Junctions」と題する江崎の論文が掲載された。試作したGeダイオードの順方向電流電圧特性で、トンネル効果による負性抵抗を観測したという報告だった。

 ノイスはこのとき、ムーアらとともにショックレー半導体を退社してフェアチャイルド半導体を共同で創業しており、同社で忙しく働いていた。ノイスは江崎論文のコピーをムーアに見せ、ノイスと江崎のトンネルダイオードを比較した。両者の構造と特性は非常によく似ていた。大きく違うのは、ノイスはダイオードを試作しなかったことだ。江崎はダイオードを試作して室温(300K)と低温(200K)で電流電圧特性を測定した。低温ではトンネル効果がより顕著に現れた。

 江崎は、続く1958年6月にベルギーのブリュッセルで開かれた国際固体物理学会(International Conference on Solid State Physics)で、高濃度に不純物をドープしたGeトンネルダイオードを発表することにした。ここで不可解なことが起こった。学会の冒頭に実施されたキーノートアドレスで、すでに固体物理学の権威となっていたショックレーが「東京から来た江崎がトンネルダイオードを発表する」と述べ、江崎の研究成果を高く評価したのだ。これには発表者の江崎本人が非常に驚いた。ショックレーが事前にアピールしたこともあり、江崎の発表には多くの聴衆が集まった。

 ノイスのトンネルダイオード「ノイスダイオード」をショックレーはすでに知っていた。「エサキダイオード」がノイスダイオードと本質的に同じものであることも理解していたはずだ。ショックレーは「ノイスダイオード」を無視し、「エサキダイオード」を称賛したのはなぜなのだろうか。

 先に紹介した「Robert Noyce and the Tunnel Diode」は、いくつかの可能性を挙げている。まず、ショックレーは意見や方針などを頻繁に変える傾向があったこと。ショックレーの部下の1人は、彼は会社をいつも「揺さぶっていた」とコメントした。別の部下は、ショックレーはトンネルダイオードに対する考えを変えたのではないかと述べた。また、1957年8月にショックレーを裏切った8名(ノイスを含めたフェアチャイルド半導体の共同創業者)に対する恨みが1958年6月の時点では癒えてなかったからだとする意見もある。いずれにせよ、今となっては本当の理由は分からない。

 ベルギーでの発表から15年後の1973年10月23日、スウェーデン王立アカデミーは1973年のノーベル物理学賞を「固体中のトンネル効果の発見」に関する業績で江崎玲於奈を含む3名に授与すると発表した。

1973年10月23日にスウェーデン王立科学アカデミーが発表した、2000年のノーベル物理学賞の授与に関するリリース(Webサイトのページを一部抜粋したもの)

米国半導体産業の復活に力を尽くす途上で急逝

 トンネルダイオードにノーベル物理学賞が授与されたとき、ノイスとムーアが共同で1968年7月に創業したインテルは、創立6年目に入っていた。インテルの1978年版年次報告書によると、1973年の売上高は6,620万ドル、従業員数は約2,500名(1973年末時点)、続く1974年の売上高は1億3,450万ドル、従業員数は約3,100名(1974年末時点)である。急激な成長ぶりがうかがえる。ノイスに過去を振り返っているヒマはなかっただろう。

ロバート・ノイスと2つのノーベル物理学賞。赤い文字はトンネルダイオード、青い文字は集積回路に関連する出来事

ロバート・ノイスの年譜

 ノイスの活動は1970年代半ば以降、ベンチャー企業の育成や米国半導体産業の保護・強化へと軸足を移していく。1975年にインテルの社長を辞して取締役会会長となり、1979年には取締役会副会長へとステップダウンする。この間、日本半導体メーカーのキャッチアップと対米販売攻勢に注意を払うようになる。そして業界団体である「米国半導体工業会(SIA)」の設立(1977年に発足)を主導する。

 1980年代には日米半導体貿易摩擦が起こり、米国半導体産業における製造技術の強化を真剣に考えるようになる。1988年には、半導体製造の要素技術開発を目的とする官民合同企業セマテック(SEMATECH)のCEOとなり、現役の経営者に復帰する。そして初めて、米国南部のテキサス州オースチンへと自宅を移す。セマテックの本社がオースチンにあったからだ。それまでノイスはシリコンバレーで暮らしていた。

 ノイスはヘビースモーカーだったが、健康診断では何の異常もなかった。しごく健康であり、1990年6月3日には注文していた自家用飛行機を受け取る予定だった。しかし朝に自宅のプールで泳いだあと、体調不良を訴え、病院に搬送されるも不帰の人となってしまう。死因は心不全だった。半導体関係者はノイスの急逝に驚き、悲しみ、落胆した。

 そして「インテル・トリニティ」のシリーズでは最後に、アンドリュー・グローブ氏の生涯について紹介する予定だ。ご期待されたし。 』

ゴードン・ムーア氏逝去の報に考える、ムーアの法則は死んだか、今でも生きているのか?

ゴードン・ムーア氏逝去の報に考える、ムーアの法則は死んだか、今でも生きているのか?
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『 笠原 一輝 2023年3月28日 06:16

Intelとゴードン・ベティ・ムーア財団から、Intelの共同創始者であるゴードン・ムーア氏が3月24日に94歳で他界されたことが発表された。既にムーア氏は実業から引退し、ハワイ州で余生を過ごされている中での死だったと発表されている。

 そうしたムーア氏は、1968年にシリコンバレーの創業期にフェアチャイルド・セミコンダクターで一緒に働いていてロバート・ノイス氏と共同でIntelを創業し、そしてフェアチャイルドで部下だったアンディ・グローブ氏を加えて、3人でIntelを世界最大の半導体メーカーに育てあげた。

ムーア氏の功績はまさに半導体産業を今の規模にしたことにあると言ってよく、その功績を心からたたえ、ご冥福をお祈りしたい。

 そのムーア氏の名前を一躍有名にしたのは、「ムーアの法則」と呼ばれる「半導体メーカーにとって、1年から2年でトランジスタの密度を2倍にすることが、経済的合理性がある」という経済原則を提唱したことだ。そのムーアの法則は、ムーア氏自身が語った「経済的な合理性」という意味を超えて、「2年でトランジスタが2倍になる」という法則だと解釈されて使われることが多い。

 ムーアの法則は今後も半導体産業の原則であり続けるのか、IntelのリーダーであるIntel CEO パット・ゲルシンガー氏は「ムーアの法則はまだ生きている」と言っており、その競合となるNVIDIAのジェンスン・フアンCEOは「ムーアの法則は死んだ」と言っている。そうした違いが出てくる背景には何があるのだろうか?

ロバート・ノイス氏とIntelを創業し、アンディ・グローブ氏とともにIntelを大きくしたゴードン・ムーア氏

Intel本社でかつての盟友の名前を冠した「ロバート・ノイス・ビルディング」に入るゴードン・ムーア氏(写真提供:Intel)

 ゴードン・ムーア氏は、シリコンバレー創世記に半導体メーカーとして知られていた「フェアチャイルド・セミコンダクター」で一緒に働いていたロバート・ノイス氏と共同で、1968年にIntelを創業した。

Intelという社名は「Integrated」(統合)、Electronics(電気)などの言葉から創造された(とされている)社名で、常に同社の半導体には、新しい機能を半導体に統合していく、そうしたビジョンがこめられている。

 1979年からは社長になり、1987年からはCEOとして1997年までIntelを引っ張ってきた。その時期にはフェアチャイルド・セミコンダクターで部下だったアンディ・グローブ氏が社長となり、テックカンパニーとしてのビジョンをムーア氏が、そして日々の会社の運営はグローブ氏がという形でIntelを引っ張ってきた。

 Intelの公式な社史ではノイス氏とムーア氏が共同創業者とされているが、実質的にIntelが現在のような巨大な企業になったのはムーアCEOとグローブ社長の時代で、グローブ氏を加えた「Intel三人衆」(Intel Trinity)を実質的な創業者と見なす人が多い。

その観点で創業時のIntelの社史を書いた書籍が「The Intel Trinity」(マイケル・マローン著、邦題:インテル 世界で最も重要な会社の産業史、文藝春秋刊)に詳しいので、ご興味がある方はぜひそちらを、お読みいただくことをおすすめしたい。

Intel三人衆(Intel Trinity)となるゴードン・ムーア氏(左)、ロバート・ノイス氏(中央)、アンディ・グローブ氏(右)(写真提供:Intel)

 ノイス氏、ムーア氏、そしてグローブ氏の3人(1987年にノイス氏が急逝されて以降は2人)がIntelをリードしていた時代に、Intelは何度か大きな危機を迎えている。

その代表的な例は、1980年代の前半にそれまでIntelの主力製品だったDRAMが、日本の半導体メーカーの勃興により競争力がなくなるという事態だ。

 Intelは創業期から、他社よりも大容量で高速なDRAMを最先端の製造技術を活用して製造して提供するというのがビジネスモデルだった。

しかし、DRAMは今でもそうだがコモディティ製品(誰にでも作れる一般的な製品)であったため、当時米国などに比べて人件費などが安かった日本の半導体メーカーに対して競争力を失いつつあったのだ。

 そこで、ノイス氏、ムーア氏とグローブ氏は、創業時の事業であったDRAM事業から大胆に撤退し、当時IBM PCに採用されるなどしていた「8086」などのロジック半導体に社運をかけることに決定した。

 その後8086の後継製品になる80286、Intel 386、Intel 486などをリリースしていき、MicrosoftのMS-DOS/Windowsの普及と一緒にIBM PC互換機市場で大きく市場していく中で、世界最大の半導体メーカーに成長していった。

そのため、両社の主力製品(Windows)と社名(Intel)を合わせて「Wintel」(ウインテル)と冷やかされるほど、強いプラットフォームを作り上げていったことは、PCの発展期をご存じの方には周知の事実だろう。

 ムーア氏、ノイス氏とグローブ氏の3人が下した「創業の事業であるDRAMから撤退する」という難しい決断は、その後のIntelの勢いを作っていったことを考えれば、グローブ氏が好んで使っていた「戦略的転換点(ストラテジック・インフレクション・ポイント、市場などで発生する環境変化のこと)」で企業の方針を急転換させるという難しい判断を迫られている中で、正しい判断を下したというのが、その後の歴史が示す事実だ。

 前出の「The Intel Trinity」の中で、奇抜ですぐに新しいことをやりたがるロバート・ノイス氏、そして自分にも部下にも厳しかったアンディ・グローブ氏とは対照的に、ゴードン・ムーア氏は論争を好まずいつもニコニコしていながら大胆な判断を下す時にはそれに賛成するというエンジニア出身の経営者として描かれている。

 以前、VMwareのCEOを務めていた時代のパット・ゲルシンガー氏(現Intel CEO)にムーア氏のことを伺ったときに「ゴードンはいつもボロボロの車をベティと2人で乗っていて、これで十分なのだと言っていた」と説明してくれたことがある。

そうした非常につつましい生活を、億万長者になった後でもしていたと聞いている。そうした姿勢が引退後の活動にも現われており、ゴードン・ベティ・ムーア財団(Gordon and Betty Moore Foundation)を設立し、未来を切り開く変化への投資、未来を作る若者への投資などを行なう社会奉仕活動などに資産を使っていった。

 スーパーカーを乗り回すよりも、未来を作る実現する活動に自分の資産を費やす、ムーア氏の人生とはまさに「ノブレス・オブリージュ」(高貴な立場が行なうべき徳のある行動)を体現したような人生だったと言っていいだろう。

ムーア氏が提唱した「ムーアの法則」と「ムーア氏が言っていないムーアの法則」があり、一般的には後者が流布されている

 そうしたゴードン・ムーア氏の名前を有名にしたのは、まだIntelを創業する前に同氏が当時の産業紙に寄稿した、後に「ムーアの法則」と呼ばれることになる経済原則だ。

この「ムーアの法則」に関する話でよく覚えているのは、2003年のISSCCだったと思うのだが、当時Intelの名誉会長職を務めていたムーア氏がISSCCの講演に登壇し、会場に詰めかけた半導体産業関係者の質問に答えていた時のことだ。

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 ムーア氏は「私は一度も2年で半導体の性能が倍になるなんていっていない、ただ、1年から2年の間にトランジスタが倍になるように計画していくことが、半導体メーカーにとって経済的な合理性があると言っただけだ」と述べ、会場を笑わせていた。

 さらに、「自分はムーアの法則なんてことは言っていないし、それはマーケティング関係者が都合よいからそう使っているだけだ」とも述べ、ほとんどが半導体産業のエンジニアであるISSCCの参加者を大いに沸かせた。

 というのも、一般的に流布されているムーアの法則というのは「2年で半導体の性能が倍になる」というものであって、2年で半導体の性能が倍になっていくことがムーア氏の予測だと受け取られているからだ(そしてそれは今も続いている)。

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 ムーア氏が言っていたのは、1年~2年の間に1つのチップに詰め込めるトランジスタの数(トランジスタの集積率)が倍になるように、製造技術(プロセスノード)を開発し、工場に投資していくことが、半導体メーカーの収益にとって合理的ということであって、決して2年で性能が倍になるなんてことはいっていないのだ。

ムーア氏が「自分はそもそも“ムーアの法則”なんて言っていない」と言っていたのはそういう意味だ(以下2年で性能が倍になるという一般的に信じられているムーアの法則を「ムーア氏は言っていないムーアの法則」と呼ぶことにする)。

 しかし、受け取る側、特にマーケティングの担当者にとっては「半導体の性能は2年で倍になるのです、だからそれに従って製品を開発しましょう」と自分の顧客に説明する方が、都合が良いのは言うまでもない。

 実際のところ、2010年代の前半ぐらいまでは、若干のズレはあっても、2年に1度は新しいプロセスノードを導入して、その度に必ず2倍と言わなくても、それに近いトランジスタの数を増やし続けてきた。その意味で、ムーア氏の言うところも「ムーア氏は言っていないムーアの法則」はその通りに実現されてきたのだ。

 しかし、2010年代に入って、「ムーア氏は言っていないムーアの法則」は機能しなくなる。プロセスノードの研究開発がやや停滞したこともあり、2年で性能が倍は実現されなくなっている。

 Intelのプロセスノードで言うと、22nmは2012年に出荷開始し、14nmは2015年に出荷を開始したので約3年、その14nmから10nmへ移行を開始したのは2019年と4年もかかってしまっている。

さらに、EUVの技術が導入される7nm(今ではIntel 4に改名されている)は、ようやく今年の後半に出荷されるMeteor Lakeで出荷開始されるため、こちらも4年かかっている。

このように、Intelの例で見れば、ムーア氏が言っていないムーアの法則はもはや実現されていないのが現実だ。

NVIDIAのフアンCEOは「ムーア氏は言っていないムーアの法則」はもはや死んだと強調
NVIDIA CEO ジェンスン・フアン氏(先週GTCの記者会見で撮影)

 先週開催されたNVIDIAの年次イベント「GTC」の会期中に、筆者などのメディア関係者からの質疑応答に応じたNVIDIAのジェンスン・フアン氏は「ムーアの法則は既に死んだ。これからはアクセラレーテッドコンピューティングがAIを実現するコンピューティング環境を進化させていく」と述べ、もはやムーアの法則は死に、これからはGPUのようなCPUとはことなる、別種類のプロセッサで10倍、20倍といった性能の向上を実現していく必要があると強調した。

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 フアン氏は「ムーアの法則を言い換えれば、同じコストで同じ消費電力であれば性能が2倍になるという考え方だったと言っていい。だが、もはやそのペースで製造技術は進化していない、その意味でムーアの法則は死んだのだ」と述べた。その上で、GPUのようなCPUとは異なるプロセッサを異種混合(ヘテロジニアス)に使っていくことが、今後も2倍上のペースで性能を伸ばしていく唯一の道だ、と強調した。

 ここで注意したいのはフアン氏が死んだといっているムーアの法則は筆者の定義するところの「ムーア氏は言っていないムーアの法則」の方だということだ。先ほどIntelのプロセスノードの例でも分かるように、既にプロセスノードの進化は4年に1度になっているのがこの10年だということは繰り返すまでもないだろう。2年に1度のペースでは進化できていないのだから、フアン氏が「ムーア氏は言っていないムーアの法則は死んだ」というのはまったくその通りだと思う。

 フアン氏が言いたいのは「半導体製造技術は前のようなスピードでは進化していない、それに頼っていては性能を上げることは難しくなっているから、アーキテクチャを劇的に変えて性能を上げていく必要がある、その答えが“GPU”だ」ということにあると考えられるだろう。

 Intelだってそう思うからこそ、Intel Data Center GPU Max(Ponte Vecchio)のような製品を開発し、CUDAの対抗になるようなoneAPIを開発して普及を目指しているのだ。

そのように、Intelでさえ、NVIDIAを後追いしているような現状を考えれば、HPCのような市場ではまさに「フアンの法則」(GPUのような異なるアーキテクチャで10倍、20倍を実現していくとフアン氏が説明していること)が支配しているといって過言ではないだろう。

IntelのゲルシンガーCEOは、4年間で5つのプロセスノードを投入するなど「ムーアの法則」に従ったロードマップで勝負
Intel CEO パット・ゲルシンガー氏(昨年5月のVisionで撮影)

 それに対して、そのムーア氏の直系の後継者となるIntel CEOのパット・ゲルシンガー氏は「ムーアの法則はまだ生きている(Moore’s law is still alive)。そしてより良くなっている」と昨年9月に語っている。「フアンの法則」で「ムーアの法則は死んだ」と言われているのに、なぜゲルシンガー氏はそれが生きているといっているのだろうか?

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 勘のいい人はもう分かったと思うが、ゲルシンガー氏が言っている「ムーアの法則はまだ生きている」は、ムーア氏が本当に言っていた「ムーアの法則」(1年から2年でトランジスタの集積率が倍になるのが経済的な合理性がある)の方だからだ。

 どういうことかと言うと、ゲルシンガー氏は2021年にIntelにCEOとして復帰して以来、新しい戦略をどんどん打ち出しており、それを着々と実行してきている。

そのゲルシンガー氏の新戦略の肝となるのが「IDM 2.0」という進化したIDM(Integrated Device Manufacturer)というビジネスモデルだ。

 IDMとは、Intelのように半導体の設計と製造の両方をやっている半導体メーカーを示す言葉だ。IDMの対義語となるのが「ファブレス・メーカー」で、NVIDIAやAMDのようにTSMCなどのファウンドリ(受託製造半導体メーカー)に委託して製造している半導体メーカーのことを意味している。

 IDM 2.0とは進化したIDMという意味で、その根幹をなしているのは「Intel Foundry Services(IFS)」と呼ばれる、Intelが自社製品向けだけでなく、他社の半導体を製造するファウンドリも兼ねるということにある。

自社だけでは製造する半導体の数に限界がある、それが従来のIDMの弱点だった。

IDM 2.0ではファウンドリビジネスを行なうことで、極端に言えば競合メーカーの製造をも行なうことで、「数」を確保して、他のファウンドリーとの競争に打ち勝っていく、それが基本戦略だ。

 このIFSにおいて、TSMCやSamsungといったほかのファウンドリとの差別化を実現するため、今Intelはプロセスノードの開発に力を入れている。

それが「4年間で5つのプロセスノードを導入する」という戦略で、Intel 7(従来の10nm Enhanced SuperFin)、Intel 4(従来の7nm)、Intel 3、Intel 20A、Intel 18Aという5つのプロセスノードを4年間で次々に投入するという意欲的なプランだ。

 Intel 4とIntel 3、Intel 20AとIntel 18Aは従来のIntelのプロセスノード世代の数え方だと同じ世代と言ってよいので、4年で2つの世代と換算すると、まさにムーア氏の言っていた「ムーアの法則」に従っている、つまりムーアの法則の復興にほかならない。

 この4年間で5つのノードという計画を計画通りに実行できれば、TSMCやSamsungをIntelが追い越して半導体製造技術でナンバーワンに返り咲き、ファウンドリーの顧客を増やして、再び規模でもIntelの製造部門がTSMCやSamsungを追い越していく……今Intelが取り組んでいるIDM 2.0というのはそういう壮大なプランなのだ。

そうしたプランを推進している、Intelのリーダーであるゲルシンガー氏が「ムーアの法則はまだ生きている、よりよくなっていく」と言うのはある意味当然だろう。
両者ともにゴードン・ムーア氏が実現しようとしていた未来を作ろうという姿勢では共通
 つまり、どちらも言っていることは正しいが、使っているレイヤー(アーキテクチャか製造か)の違いが「ムーアの法則は死んだ」(フアン氏)、「ムーアの法則は生きている」(ゲルシンガー氏)という違いにつながっていると考えられる。

 NVIDIAのフアン氏が言っているのは、半導体をファウンドリに製造してもらうファブレス半導体メーカーとしての立場で、「半導体を製造しているファウンドリやIDMは既に2年で性能が倍になることは実現できていないじゃないか」ということだ。

だからこそ、その上のレイヤーであるマイクロアーキテクチャを工夫することで、対処していかないと性能は上げられないし、電力効率も改善できない、そういうことだ。

 それに対してIntelのゲルシンガー氏が言っていることは、IDMとして、そしてこれからはファウンドリとして、TSMCやSamsungといった、いつのまにかIntelを追い越していったファウンドリから再び首位の座を奪い返すという目的のために、IDM 2.0を実現する「経済的な合理性がある法則」として「ムーアの法則」を手段として実現していくという話に他ならない。だからゲルシンガー氏が「ムーアの法則はまだ生きている」というのは当然だ。

 そこはファブレスのNVIDIAとIDMのIntelのビジネスモデルの違いと言えばいいだろう。
ただ、半導体業界の記者として両者を多数取材したことがある記者として感じることは、フアン氏にせよ、ゲルシンガー氏にせよ共に共通していることは、どちらもムーア氏の志である「半導体を使ってより良い未来を作る」という根本的なビジョンを共有していることだ。

 部下として直接薫陶を受けたゲルシンガー氏はもちろんのこと、Intelの競合メーカーを一代で構築したフアン氏も、生前のムーア氏が実現しようとしていた「技術で社会をより良くしていく、人々に幸せを提供する」という姿勢では首尾一貫している。

その手段は立場の違いもあって違う(ムーアの法則を肯定するか、否定するかの違い)が、目指すところはムーア氏が実現しようとしていた「未来」であることが、ムーア氏の生前の業績への、最大の称賛ではないか、と筆者は感じている。

 最後になるが、ゴードン・ムーア氏の逝去に、ご遺族の皆さまに心からお悔やみを申し上げ、ご冥福をお祈りし、この記事のまとめとしたい。』

中国、半導体企業を支援 「国家安全に影響」

中国、半導体企業を支援 「国家安全に影響」
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM034JR0T00C23A3000000/

『【北京=多部田俊輔】中国の劉鶴(リュウ・ハァ)副首相は2日、中国の半導体企業などを集めた会合を開いた。中国受託生産最大手、中芯国際集成電路製造(SMIC)の北京工場を視察し、米国の禁輸措置が事業運営に与える影響などを聴取した。劉氏は半導体は国家安全に関わる国内産業の核心だと指摘し、運営上の課題解消を支援する方針を打ち出した。

中国国営の新華社が伝えた。劉氏は会合で「習近平(シー・ジンピン)総書記…

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『劉氏は会合で「習近平(シー・ジンピン)総書記(国家主席)は半導体産業の発展を高く重視している」と述べた。米政府が中国の半導体企業を次々と禁輸対象にしていることを受け、政府として支援に乗り出す姿勢を強調した。

習指導部の下で企業や研究機関が総力を挙げて半導体産業を育成する「新型挙国体制」を構築する。政府と市場が連携して長期投資を引き出し、人材育成も支援する。外国籍の専門家にも中国国民と同等の待遇を与える。

劉氏は半導体産業を育成する利点として市場の大きさと用途の広がりを指摘。半導体サプライチェーン(供給網)もほぼ整ったと述べた。

米中対立の先鋭化により中国側の先端技術には影響が出ている。

半導体大手の長江存儲科技(YMTC)や長鑫存儲技術(CXMT)は米国の禁輸措置によって工場建設が遅れ、外国籍人材も流出した。SMICが建設中の新工場は成熟技術を用いた生産設備にとどまる。

中国の半導体業界団体は2月、米国がオランダと日本に同調を呼びかけている先端半導体の対中輸出規制について「現実になれば中国の半導体産業に深刻な被害を与える」と反対声明を出した。』

米国、中国の遺伝子企業など禁輸 ウイグル弾圧関与で

米国、中国の遺伝子企業など禁輸 ウイグル弾圧関与で
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN033KJ0T00C23A3000000/

 ※ 「竜芯中科技術も入った」か…。

 ※ これで、x86互換のCPUを「独自開発」する道は、ほぼ断たれたな…。

 ※ まあ、既に、パソコンのOSは、TPM絡みで、Windows11以降は、独自開発は、ほぼ閉ざされたも同然だったんだが…。

 ※ 半導体チップも、CPUも、OSも、全ては「米国の管理」下に置かれるわけだ…。

 ※ 他国が開発した「技術」を、使用する限り、こういうことになる…。

『2023年3月3日 22:35 [有料会員限定]

【ワシントン=飛田臨太郎】米政府は2日、原則輸出を禁止する企業リストに中国の遺伝子データやクラウドを扱う企業を加えた。ウイグル族など少数民族の弾圧や軍事転用に制裁を加える狙いがある。対中輸出規制の業種が拡大し、先端技術を巡る米中の分断は一段と加速する。

新たに28の中国企業や団体、個人を「エンティティー・リスト」に入れた。遺伝子解析大手の華大基因(BGI)の関連事業者BGIリサーチやBGIテック…

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『遺伝子解析大手の華大基因(BGI)の関連事業者BGIリサーチやBGIテック・ソリューションズ、サーバー大手の浪潮集団(インスパー)などが含まれる。CPU(中央演算処理装置)メーカーの竜芯中科技術も入った。

米企業が輸出する場合は米商務省の許可が必要となり、企業の申請は原則却下する方針だ。商務省のアクセルロッド次官補は「敵対国が人権侵害やその他の抑圧行為を行うために技術を悪用・乱用することを許すわけにはいかない」と強調した。

米政府は遺伝子データがウイグル族の住民を追跡するのに利用されているとみる。商務省はBGIを「中国政府による監視にくみし少数民族弾圧に使われる危険性が高い」と断じた。インスパーは「中国の軍事力近代化を支援するため米製品を取得したり、試みたりした」と説明した。

中国株式市場では対中禁輸を嫌気する売りが膨らんだ。インスパーの主要上場子会社である浪潮電子信息産業(インスパー・エレクトロニック・インフォメーション・インダストリー)は3日の深圳株式市場で制限値幅の下限である前日比10%安まで売られた。

香港株式市場に上場する浪潮数字企業技術(インスパー・デジタル・エンタープライズ・テクノロジー)も一時同17%超安と急落した。

バイデン政権は昨年10月、先端半導体を巡り中国全体を対象に輸出規制を導入した。先端半導体が最新軍事品の開発競争に直結するためだ。

米政府は半導体以外でも対応を進める。エステベズ商務次官は「テクノロジーが軍事力の原動力となる世界にいる。バイオテクノロジーや量子で敵からの脅威を阻止する必要がある」と話す。

商務省によると2月末時点でエンティティー・リストに639を超える中国拠点の企業・団体を掲載している。2021年に発足したバイデン政権下で155を超える企業・団体を追加した。

エンティティー・リストは19年5月に華為技術(ファーウェイ)を禁輸対象に指定して以降に急増した。対象産業の範囲は拡大し、監視カメラ大手の杭州海康威視数字技術(ハイクビジョン)や太陽光パネル企業も加わった。スーパーコンピューターやドローン関連も対象入りした。

バイデン政権は人権弾圧や軍事転用の懸念がある場合、業態に限らず輸出規制の対象とする方針だ。レモンド商務長官は2日、米メディアのインタビューで年内の訪中を検討していると明かしたが、対話の機運は盛り上がっていない。

米政府は2日、中国以外にミャンマーやロシアなどの事業者を含む計約40の企業・団体をエンティティー・リストに加えた。』

英アーム、ロンドンに上場せず NY単独で株式公開へ

英アーム、ロンドンに上場せず NY単独で株式公開へ―通信社報道
https://www.jiji.com/jc/article?k=2023030200197&g=int

『【ロンドン時事】米ブルームバーグ通信は1日、ソフトバンクグループ(SBG)子会社の英半導体設計大手アームが、ロンドン証券取引所に当面は上場しないことを決めたと報じた。ニューヨーク市場への年内の単独上場を目指すという。複数の関係者の話として伝えた。

 アームを巡っては、SBGがハイテク株中心の米ナスダックで新規株式公開(IPO)を行う意向を示す一方、国を代表するハイテク企業を地元にとどめたい英政府がロンドン証取への上場を求めていた。 』

ファーウェイへの全面禁輸 米政府高官が検討示唆

ファーウェイへの全面禁輸 米政府高官が検討示唆
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN010HX0R00C23A3000000/

『【ワシントン=飛田臨太郎】米政府高官は28日、華為技術(ファーウェイ)への輸出を全面的に禁じる措置を検討していると示唆した。エステベズ商務次官が下院外交委員会の公聴会で規制の見直しに言及し「全て検証中だ」と語った。全面禁止が実現すれば、取引を続けている幅広い企業に影響が及ぶ。

米商務省はファーウェイを原則、輸出禁止とする「エンティティー・リスト」に加えているものの、安全保障の懸念が生じない品目は…

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『エステベズ氏は公聴会で「米国の機密技術が悪意ある人物の手に渡るのを防ぐために全力を尽くす」と強調した。「輸出管理政策の見直しを続け、脅威の環境を評価する」と説明した。

バイデン政権は中国の偵察気球が米領空を侵犯した問題を受け、通信傍受の技術流出に一段と神経をとがらせる。汎用品の半導体であってもスパイや軍事活動に使われる例がある。先端技術に焦点をあててきた米政府の輸出規制がさらに拡大する可能性がある。』

米政府、ファーウェイへの輸出許可を全面停止 FT報道

米政府、ファーウェイへの輸出許可を全面停止 FT報道
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN310E60R30C23A1000000/

 ※ 今日は、こんな所で…。

『【ワシントン=飛田臨太郎】英紙フィナンシャル・タイムズ(電子版)は30日、バイデン米政権が華為技術(ファーウェイ)への輸出許可を停止したと報じた。すでに禁じている半導体などに加えて全面的に米技術・製品の輸出を取りやめる措置になる。

米政府は2019年5月に原則、輸出禁止の対象とする「エンティティー・リスト(禁輸リスト)」にファーウェイを加えた。その後も一部の品目については輸出許可を与えていたとみられる。完全に取引を遮断し、ファーウェイの経営に一段と打撃を与える。

米商務省の広報担当者は日本経済新聞に「エネルギー省や国防総省など各省の輸出管理担当者と緊密に協力しながら政策や規制を継続的に評価し、外部の関係者と定期的にコミュニケーションをとっている」と語った。そのうえで「特定企業の審議についてコメントはしない」と述べた。

バイデン政権は22年11月、ファーウェイの通信機器について米国内での販売を事実上、禁じた。米国内で販売する際に必要な認証の対象からファーウェイを外した。輸出入ともに厳しい制限をかけることになる。

22年10月からスーパーコンピューターなどに使われる先端半導体をめぐり、中国への技術・製造装置・人材などの輸出を事実上、禁止する措置を始めた。バイデン政権の対中輸出規制は最先端品は「面」で、重要企業は汎用品も含めて「点」で抑える戦略をとる。

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・米国、禁輸対象の中国企業・団体600超 供給網に影響
・[FT]米国の対中国禁輸リスト、新興半導体企業を狙い撃ち
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柯 隆
東京財団政策研究所 主席研究員
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分析・考察 

ブリンケンが北京訪問を前に、このニュースが飛び込んできた。これではブリンケンが北京を訪問しても、米中関係は改善しない。ただこのニュースをみて、正直に驚くことはない。5Gの技術を持つ中国のリーディングカンパニーのファーウェイを徹底的に制裁するのはアメリカの戦略。CFOがカナダで拘束されたことから始まった制裁はファーウェイを完全に無力化している。振り返れば、少し前まで、中国製造2025が謳歌されていた。清華大学の胡鞍鋼教授は北京で開かれたフォーラムで我が国の科学技術はすでに全面的にアメリカを凌駕していると豪語した。世界を知ってから発言したほうがいい
2023年1月31日 7:54

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バイデン政権』

英首相、SBG首脳らと協議 半導体子会社の上場巡り―報道

英首相、SBG首脳らと協議 半導体子会社の上場巡り―報道
https://www.jiji.com/jc/article?k=2023010900544&g=int

『【ロンドン時事】英紙フィナンシャル・タイムズ(電子版)は9日、スナク英首相がソフトバンクグループ(SBG)の孫正義会長兼社長らと協議し、子会社の英半導体設計大手アームをロンドン証券取引所に上場させるよう求めたと報じた。相次ぐ首相交代による政治の混乱で中断していたSBGへの働き掛けを再開したという。

中間決算、1290億円の赤字 7~9月期は黒字―ソフトバンクG

 同紙によると、スナク氏は先月、アームのハース最高経営責任者(CEO)らと首相官邸で会談し、孫氏もオンラインで参加した。SBGはかねてアームの米市場への上場を目指しているが、英政府はロンドン証取への重複上場を促しているという。 』

米政権の半導体戦略、中国を直撃

米政権の半導体戦略、中国を直撃 岩田一政氏
日本経済研究センター理事長
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCD17AFP0X11C22A1000000/

『バイデン米政権は10月7日、先端半導体分野を対象に新たな対中国輸出規制を公表した。台湾有事リスクが拡大する中、中国の関連産業をグローバルサプライチェーンから隔離する政策といえる。米中の「技術・人工知能(AI)卓越性」を巡る争い(テクノナショナリズム)は頂点に達しつつある。

先端半導体に関する中国隔離政策はアメとムチからなる。ムチは、外国企業も含め米国の技術を使用した関連製品・技術の輸出を禁止する措置だ。さらに、米政府の補助金を受けた企業が中国の先端分野製造施設の生産能力を高める新規投資を禁止し、米国籍を有する人材がその施設で就業することも禁止した。
岩田一政・日本経済研究センター理事長(日経センター提供)

米国輸出規制の専門家ケビン・ウルフ氏は、外国企業も対象とするのは、中国の軍民融合体制の下での華為技術(ファーウェイ)に対する制裁措置が不十分であるほか、米国企業が他国企業との競争上不利になることを回避するためとしている。しかし、米国の国内法・規制を外国企業に域外適用することは、国際法上問題がある。軍民両用技術に関する多国間合意を取り付けることが望ましい。

アメは、先に成立した「CHIPS・科学法」に盛り込んだ527億ドルの補助金供与で、米国で生産・技術開発する外国企業も対象となる。先端半導体は経済安全保障上の戦略物資だが、生産は台湾と韓国に集中しており、米国への誘致を目指す。

日本の半導体産業の世界市場シェアは10%程度だが、製造装置、素材の分野では存在感がある。外国企業も対象とした新規投資・人材に関する規制付き補助金供与は、国際ルールとの整合性で問題は残るが、日本にとっては半導体産業復権の機会となろう。

日本企業は今回の輸出規制に関連して、米国の先端技術が生産過程のどの部分で使われているか、必死で探っている。半導体分野では自社技術と補完的な他企業の特許を利用する必要がある。また、国境を幾度も越えるサプライチェーンが複雑に絡み合い、中国を含めたコンピューター関連産業の国際的な相互依存関係は極めて高い。今回の輸出規制実施は中国関連の半導体・コンピューター貿易を大幅に縮小させよう。

なお、バイデン政権は電気自動車(EV)購入の補助金対象を北米で最終的に組み立てた車両に限定した。韓国企業は米国と自由貿易協定(FTA)があるにもかかわらず、輸出EVが例外とされ怒りを爆発させている。欧州連合(EU)もEV車生産の北米シフトを懸念している。

バッテリー生産に不可欠な鉱物を「懸念される外国企業」からの輸入に依存することも禁止した。鉱物の生産・加工段階で中国の市場シェアは極めて大きい。この分野でもグローバルサプライチェーンの再構築は避けられまい。

外国企業を差別的に扱うようなEV補助金は、世界貿易機関(WTO)ルールに抵触する可能性が高い。アジア諸国とは「インド太平洋経済枠組み」(IPEF)、欧州諸国とは「貿易技術評議会」(TTC)での協議による撤廃を期待したい。

https://nkis.nikkei.com/pub_click/174/abWCtGm7E2DEdnTDkJy5D2Fv39cxqxYXnLptAZ7iAaHgSdhYdxYsg6HryJL41NETVGIy69zrQCUaGaTswhKRvaKjmAPOcJMj6Jjg-ZdY53gWye5T9PCD5dir_vr2bDJ1y34lDUJLnBq_R3X6_sUH9jj_e3o1SfLqKup7BPq-I4gfTvCeIN-Fc7qsXZ7s7hvP7DdnZTFz5h7pgZVLiE2EZDNlaFu5UZZEufl5OUYiXBP1xZZwIr4RddNj5-_ybc0RXxlY6VsF2TZXgEnYnrWK8LYTCQYzc6fgOE7ipQwpZRJjpbOMsp45qqhkdSXhAzYRlJHip64tHSOUeQO7w2732pc6anXIkxl8HEhYwiRmjGW6gsdL8jTGVjGRfyuADPvAd3rrv0p423jJgN4Ri-9vYVBtNud0geErPKoUBZeq11OakMQ_gtiunMANC3qmJ6j-BuxuTwacj6DCbB-H59RVQuTx36eU3Czd9ESnDGkQP09mGeqVTPE20gXjzz8//111571/149584/https://ps.nikkei.com/spire/

トヨタやNTTが出資 次世代半導体で新会社、国内生産へ

トヨタやNTTが出資 次世代半導体で新会社、国内生産へ
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC09DWY0Z01C22A1000000/

『スーパーコンピューターや人工知能(AI)などに使う次世代半導体を国内で量産する体制作りが動き出す。トヨタ自動車やNTT、ソニーグループなど日本企業8社が新会社を設立し、2020年代後半に向けて製造技術の確立を目指す。政府も補助金を通じて支援する。台湾に生産を依存している半導体は、日米が経済安全保障の鍵と位置づける。日米で連携して進める次世代品の研究成果を生かし、国内での安定供給体制を築く。

新会社にはほかにNECやソフトバンク、デンソー、キオクシアホールディングスが、それぞれ10億円程度を出資する。三菱UFJ銀行も参加する。ラテン語で「速い」を意味する「Rapidus(ラピダス)」という新会社を設立済みで、今後も企業の出資や協力を募る見通しだ。東京エレクトロンの前社長、東哲郎氏らが設立を主導した。

「ビヨンド2ナノ」と呼ばれる次世代の演算用のロジック半導体の製造技術を確立し、2020年代後半に向けて製造ラインの構築を目指す。30年ごろには半導体を設計、使用する企業から製造を受託する事業への参入を目指す。

次世代半導体を巡っては、地政学リスクの高まりから、台湾などに偏在する製造能力を自前で確保する必要性が高まっている。次世代ロジックは素子の構造などを変える必要がある。技術的な移行期にあたるため、先行企業から巻き返しを図る機会として、必要な量産技術を確保する。

日本と米国は次世代半導体分野の研究開発での協力で合意している。2022年度の2次補正予算案では日米連携の研究拠点整備に約3500億円を計上した。拠点は年内にも設置され、国内外の企業や研究機関とも連携する見通し。萩生田光一前経済産業相が訪米し協力を確認した米IBMやベルギーの研究機関imecなどが候補にあがる。

新会社ラピダスはその研究成果を量産につなげる役割を担う。次世代品の生産に必要な技術の確立に取り組み、製造能力を確保する。新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が公募している先端半導体の製造委託事業として応募しており、700億円の支援が決まっている。

ロジック半導体はスマートフォンやデータセンターなどの処理性能を左右する。高度な通信網や完全自動運転にとっても、高い演算性能を持つ半導体や関連技術が重要になる。事業会社にとっては出資を通じ、先端分野の開発・製造技術に携わるのが将来の競争力にとっても有利に働くと判断したようだ。

ロジック半導体は回路幅が小さいほど性能が高く、先端品では数ナノ(ナノは10億分の1)メートル単位に微細化した。台湾積体電路製造(TSMC)と韓国サムスン電子は3ナノ品の量産技術を確立し、2ナノ品も25年に量産する計画だ。

日本で稼働するロジック半導体の製造ラインは最新でも40ナノ品で、10年代の先端開発競争では海外勢の巨額投資を前に、追従できなかった。熊本県に誘致し工場建設が続くTSMCの拠点では12~28ナノ品の製造を計画するなど、製造基盤の確保を急いできた経緯があった。

日本は研究や製造を巡る国際協調を進める一方、先端ロジックの開発や製造投資に主体的に携われる企業が不在だった。長く東京エレクトロンのトップを務め、米装置企業との統合交渉にあたった東氏や、米ウエスタンデジタルの日本法人トップを務めた小池淳義氏など、国際色の強い経営経験者が中心となって、先端開発の中心となる体制を整える。

焦点となるのはエンジニアの確保だ。先端技術や製造工程の経験を持つエンジニアが欠かせない。半導体関連企業などの協力を得る必要があり、すでに複数の企業が人材協力などで打診を受けているもようだ。

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中山淳史
日本経済新聞社 本社コメンテーター
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ひとこと解説

半導体の世界シェアが10%を割り込んでいる日本にとっては画期的な動きです。背景には台湾有事の懸念や中国のハイテク・防衛分野での急速な台頭があり、米国が日本の復活を望んでいるという点を見落とせません。「ビヨンド2ナノ」は性能が良すぎてスマホだけではもったいない技術です。日本に課せられているのは、アプリケーション、すなわち用途開発であることも間違いありません。
2022年11月10日 19:22 (2022年11月10日 19:23更新) 』

中国への半導体輸出制限、米国が拡大 先端技術を広範に

中国への半導体輸出制限、米国が拡大 先端技術を広範に
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN07DZ90X01C22A0000000/

『【ワシントン=飛田臨太郎】バイデン米政権は7日、半導体の先端技術をめぐり、中国への輸出制限を拡大する新しい措置を発表した。米国企業が人工知能(AI)やスーパーコンピューター向けの先端技術を中国向けに開発・輸出する場合、事実上の許可制とする。一部企業への輸出管理にとどまっていた措置を広範に広げる。

米中のハイテク分野を巡る覇権争いの一環だ。中国の産業競争力を弱め、米国の優位性を高める狙いがある。経済活動の分断が一段と深まる可能性がある。

中国との先端技術の取引には新しいラインセンスが求められる。米商務省は「(中国が)高度なチップを入手し、高度な半導体を製造する能力を制限するものだ」と説明した。安全保障上の脅威になる場合には、商務省が申請を拒否する可能性がある。

企業活動の混乱を防ぐため一定の猶予期間を設ける。2023年春までは現状と近い取引が続けられる公算が大きい。

これに加え、中国の31企業・団体を米技術を使った半導体を軍事や兵器開発に転用している恐れがあるとし、懸念先リストに加える。懸念が消えない場合は輸出禁止が視野に入る。

対象には、中国半導体メーカーの長江存儲科技(YMTC)を含む。同社は中国政府系ファンドから多額の資金を受け、メモリー量産で急成長を遂げたとされる。米議会はYMTCを禁輸対象にするよう要求していた。

米政府はすでに華為技術(ファーウェイ)や半導体受託生産の中芯国際集成電路製造(SMIC)などへの製造装置の輸出を厳しく規制している。今回の措置は半導体技術の流通をさらに制限する可能性があり、米国以外の関連企業にも影響を及ぼしかねない。

半導体の先端技術は次世代の高速計算機「量子コンピューター」や音速の5倍以上の速度で飛ぶ「極超音速ミサイル」に使われる。米政府は輸出管理の強化によって、軍事面での中国の脅威を抑える意図もある。

米商務省は声明で半導体の先端技術について「中国が大量破壊兵器を含む高度な軍事システムを製造し、人権侵害を行うために使用されている」と断じた。

米半導体の業界団体は「国家安全保障を確保するという目的は理解し、米政府が的を射た方法で規則を実施すると求める」と発表した。米インテルの広報担当者は「規制を検証中だ。すべての国際貿易法および関連する要件を遵守する」と述べた。

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ニューズレター https://regist.nikkei.com/ds/setup/briefing.do?n_cid=DSREA_newslettertop 』

[FT]中国、半導体の国産化を加速

[FT]中国、半導体の国産化を加速 米国の技術封鎖に対抗
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB071U60X00C22A9000000/

『米国が半導体技術の中国企業向けの輸出に新たな規制を課したことに対し、中国政府は強く反発した。だが中国は、うわべだけでなく本気で半導体の国内生産を強化するために、新たに多額の補助金を投じるとみられる。

半導体業界はグローバル化が進んでいるため、1国だけの競争力を高めることは困難との見方もある=ロイター

米政府は中国のハイテク業界に対して、最先端半導体の部品や製造装置の利用を制限する制裁を着実に強化してきた。最近では厳しいライセンス要件を導入したことで、米半導体大手のエヌビディアやアドバンスト・マイクロ・デバイス(AMD)が製造するハイエンドプロセッサーは輸出が阻止される公算が大きい。これらのプロセッサーは人工知能(AI)システムに使われる。

中国外務省は1日、米国は自らの技術的「覇権」を維持するために中国を「技術封鎖」しようとしており、国家安全保障の概念を拡大解釈していると非難した。一方、米国は自国の技術が中国に軍事利用されることへの懸念を表明している。

こうした「封鎖」を突破できないなかで、「輸出規制は中国が国産技術で代替する動きを加速させることになる」と中国半導体メーカーの幹部は指摘する。

中国政府はすでに多額の資金を半導体業界に投じており、国有投資ファンドは外国企業を代替すると約束する半導体スタートアップに重点的に投資してきた。だが、気前のよい資金投入はムダや腐敗、誤った経営判断のもとになったとの批判も浴びている。中国半導体大手、紫光集団は政府から数百億ドル規模の補助金を受けたにもかかわらず、2020年に社債の債務不履行(デフォルト)に陥った。

半導体自給をあきらめない中国

アナリストは、米政府がさらなる締め付けにより中国のハイテク業界に対する包囲を強める限り、中国政府は有名企業の破綻が相次いだとしても半導体自給への追求をあきらめることはないと考えている。

米政府はエヌビディアとAMDの最先端半導体の供給を阻止する措置を導入した数週間前にも、ハイエンド半導体の設計に必要なEDA(電子設計自動化)ソフトの中国向け輸出を禁止した。これらの動きを受けて、中国企業は海外サプライヤーからの切り離しに備えて国内半導体メーカーへの切り替えを急ぐだろうと、上海市に拠点を置くHWASアセッツは短信で指摘した。

米議会は7月、米国での半導体工場の建設に総額527億ドル(約7兆5000億円)の補助金を支給することを盛り込んだ画期的な「CHIPS・科学法(半導体法)」を可決した。中国でのハイエンド半導体の生産に投資しないことに同意した企業が対象となる。

スイス金融大手クレディ・スイス・グループのアジア半導体業界調査担当責任者、ランディー・エイブラムズ氏は短信で、中国での先端半導体への投資が禁止されることで「中国は国内の半導体産業を強化するために海外から人材や投資を獲得することが一層制限される」との見方を示す。

以前は、韓国のサムスン電子や米インテル、台湾の聯華電子(UMC)が中国で稼働させる半導体工場が「国内の半導体産業を発展させたい中国にとって知的財産、人材、資源の優れた供給源となっていた」とエイブラムズ氏は解説する。

現在は米国製ツールがリード

米投資銀行ジェフリーズのアナリストによれば、エヌビディア製品の顧客の中で今週の事実上の禁輸措置で最も影響を受けるのはクラウドサービス、インターネット、AIの企業だという。ジェフリーズは国産のGPU(画像処理半導体)に切り替える動きが出ると予測するものの、「AIのための基本ソフト(OS)」とされるエヌビディアのソフトウエアツール「CUDA(クーダ)」が普及していることから互換性の問題が生じるとみられる。

中国半導体メーカー幹部は、中国が機能的に申し分のないEDAソフトを独自に開発するのは時間の問題だと語った。米国製のツールは「信じられないほど複雑で洗練されているため、一朝一夕に模倣することはできないが、十分な資金と創意工夫があれば近づくことは可能だ」と強調する。

中国が半導体の自給を達成できるという予想には否定的な見方もある。米情報技術イノベーション財団(ITIF)のディレクター、スティーブン・エゼル氏は、中国は「クローズドループ(閉ざされた輪)の半導体エコシステム」を構築しようとする取り組みに失敗してきたと語る。

「ハイテク産業の国が何でも自前でやろうとするのは自滅的だ」と同氏は述べた。

米政府が20年に中国通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)に科した制裁がもたらした破壊的な影響は、世界的な半導体サプライチェーン(供給網)がもつ相互連結的な本質を浮き彫りにした。米国の技術を利用した半導体の輸入を禁止する措置により、ファーウェイのスマートフォン事業はまひさせられた。

かつては日本勢の優位を懸念し米半導体企業の連合体も

オランダも米政府の圧力に屈し、AIやブロックチェーン技術を動かす半導体の製造に必要なEUV(極端紫外線)露光装置の中国向け輸出を禁止した。中国半導体産業の専門家、ダグラス・フラー氏は「米国がオランダを追従させたが最後、中国はプレーヤーではなくなった」と説明する。

半導体業界の関係者は、中国による外国の半導体技術の利用を制限できたとしても、米政府が世界のサプライチェーン(供給網)から中国を完全に締め出すことは不可能ではないかと予想する。

米政府が対立国と競争しようとした前回の試みは、政治的な意欲の後退と資金の枯渇によって失敗したと、ある日本の業界でのベテランは話す。1980年代末、半導体での支配的な地位を日本に不当に奪われたという懸念を受け、米政府は半導体企業の連合体を立ち上げた。

「しばらくの間はおおむね成功していた。インテルをはじめとする大企業の強い支持があったことが大きい。しかし、政府の助成は変わりやすく、米政権が変われば干上がってしまう」とこのベテランは言う。

「半導体産業はグローバルだ。友好国や競争相手国に対して1つの国の競争力を高めようとする取り組みは困難だ」

By Eleanor Olcott and Anna Gross

(2022年9月4日付 英フィナンシャル・タイムズ電子版 https://www.ft.com/

(c) The Financial Times Limited 2022. All Rights Reserved. The Nikkei Inc. is solely responsible for providing this translated content and The Financial Times Limited does not accept any liability for the accuracy or quality of the translation. 』

英政府、アーム「流出」阻止へ一丸 SBG説得に首相動員

英政府、アーム「流出」阻止へ一丸 SBG説得に首相動員
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR20DZW0Q2A520C2000000/

『【ロンドン=佐竹実】英政府がソフトバンクグループ(SBG)傘下の英半導体設計大手アームのつなぎ留めに必死になっている。上場先として米ナスダックが有力視されているためで、ロンドン証券取引所への誘致にジョンソン首相も動員して説得にあたる。テック企業の集積は英国の成長シナリオに欠かせないほか、半導体は経済安保の要でもある。高いシェアを持ち、「クラウンジュエル(王冠の宝石)」と言われる英企業が流出すれば政権へのダメージになりかねない。

「我々はアームが英国の比類無い技術と資本を活用し、ここでビジネスを続けることを望む」。英政府の報道担当者は日本経済新聞の取材にこう答えた。4月以降、経済担当閣僚らを総動員してSBGの説得に当たっている。英政府はこれについて直接の言及は避けたが、「革新的な企業が成長して資金を調達するための最も魅力的な場所になることを約束する」とも指摘した。

あるSBG幹部は書簡を受け取り、目を丸くした。差出人にジョンソン首相の名があったためだ。英フィナンシャル・タイムズ(FT)などによると、政府は英国の投資家に上場した際にアームの株式を買うよう働きかけているとみられ、ロンドン証取上場の利点をアピールしているようだ。国のトップまで動員して一企業を自国市場に誘致するのは異例だ。

英政府がここまで必死になるのは、アームの上場先として米ナスダックが有力視されているからだ。SBGの孫正義会長兼社長は2月、アームの新規株式公開(IPO)について「おそらくハイテクの中心であるナスダックになるのではないか」と述べた。5月12日には「いつでも上場できる体制は整いつつある」と年内にも上場させることを示唆。早ければ今夏にも上場先などが決まる可能性がある。

英国が欧州連合(EU)離脱後の成長シナリオの一つとしてテック企業のハブとなることを掲げていることも背景にある。

英金融規制当局は企業を呼び込むため、ロンドン証取への上場に必要な浮動株比率を引き下げるなど要件を緩和した。21年には英国際送金フィンテックのワイズなど地元有力スタートアップを上場させている。

世界のスマートフォンの約9割にはアームが設計した半導体が使われている。今後の技術革新を陰で支えるアームをなんとしてでも自国市場に上場させたいとの思いがある。

SBGが米半導体大手エヌビディアへのアームの売却で合意(後に断念)した21年時点で、アームの企業価値は約400億㌦(約5兆3600億円)。ロンドン証取に上場すれば過去最大級の規模となる。

そのアームがナスダックに流れてしまえば、政治問題にも飛び火しかねない。SBGは16年、上場企業だったアームを約3兆円で買収した。当時のメイ政権が日本企業による「クラウンジュエル」の買収を阻止しなかったとして、後に批判も出た。

それから5年がたち、人工知能(AI)やサイバーセキュリティーなどの成長産業に欠かせないアームは、経済安全保障の面からも重要度が増している。英政府としては国内にとどめたいとの思いが強いほか、与党・保守党内にはアームに政府が出資すべきだとの声すらある。

SBGは「上場先は決まっておらず、様々な可能性を検討している」(広報室)としている。投資先の株価下落で業績が落ち込むSBGにとってアームは虎の子だ。アーム上場による業績の回復やさらなる資金調達を期待する。市場規模や投資家の数を考えればナスダックの方が高い企業価値を期待しやすい一方、首相のラブコールを断って米国を選べば英政府とのしこりが残る。SBGは難しい判断を迫られている。

EU離脱後に物流が混乱するなどし、離脱は間違っていたとの批判もくすぶる。大型上場を逃すことは、EU離脱後のロンドン証取の地盤沈下を印象づけかねない。負けられない誘致合戦にメンツをかけて臨む英政府が、今後どんな条件をSBGに提示するのかが注目だ。

【関連記事】
・ソフトバンクG、最終赤字1兆7080億円 22年3月期
・ソフトバンクG、続く「テックの冬」 孫氏の打開策は
・英アームの中国合弁トップ解任 混乱収束か、なお対立か 』

Intel第14世代MeteorLake-SデスクトップCPUがリークされたドライバーで確認され、主流のPCビルダー向けのタイルチップ

Intel第14世代MeteorLake-SデスクトップCPUがリークされたドライバーで確認され、主流のPCビルダー向けのタイルチップ
https://wccftech-com.translate.goog/intel-14th-gen-meteor-lake-s-desktop-cpus-confirmed-in-leaked-drivers-tiled-chips-for-mainstream-pc-builders/?_x_tr_sl=auto&_x_tr_tl=ja&_x_tr_hl=ja&_x_tr_pto=op

 ※ 2023年上半期に登場予定のIntel第14世代CPUからは、「チップレット方式(完全タイルチップ設計、と言っている)となるもようだ…。

『(※ 原文は、英文。翻訳は、Google翻訳)

HassanMujtaba 著
2022年6月3日10:08EDT
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Intel、AMD、NVIDIAの高性能CPUおよびGPUにより、2022年に最大20%の値上げが見込まれます

Fab42のIntelMeteorLakeテストチップ。(画像クレジット:CNET)

Intelの最新のManagementEngineInterfaceドライバーは、第14世代Meteor Lake CPUが来年発売されるときに、実際にデスクトッププラットフォームに登場することを確認しています。
2023年にデスクトップに登場するタイルアーキテクチャを備えたIntel第14世代MeteorLake-SデスクトップCPU

最近、Intelの第14世代Meteor Lake CPUはモビリティプラットフォームにのみ限定され、デスクトップ上でアクションがゼロまたは制限されたBroadwell、Cannonlake、TigerLakeチップと同様の方法で終わる可能性があるという噂や憶測が飛び交っていました。プラットホーム。しかし、最新のMEI(Management Engine Interface)ドライバーは別の言い方をしており、これらのチップは実際に消費者向けデスクトップPCセグメントに向かうようです。

Intel Arc A370M GPUを搭載したラップトップは、北米、ニュージーランド、オーストラリアの市場向けに予約注文できます

Intel MEIドライバーは、消費者向けPC向けの第14世代MeteorLakeデスクトップCPUを確認しています。 (画像クレジット:Momomo_US)

Intel Meteor Lake CPUは、消費者向けの最初の完全タイルチップ設計であり、EMIBおよびFoverosテクノロジーを介して接続された同じパッケージで最大4タイルを提供します。このチップは、さまざまなCPU、GPU、I / O、およびキャッシュダイをホストし、すべてチップレットと同様に相互に接続され、パフォーマンスと効率を飛躍的に向上させます。現在、Intelは実際にMeteor Lakeのプロトタイプと初期のユニットをモビリティフレーバーで最初に示しましたが、それは単に発売までデスクトップチップを差し控えていることを意味します。

MeteorLakeが同じLGA1700/1800ソケットプラットフォームでサポートを提供するのか、タイルチップの設計がAlderLakeとRaptorLakeのハイブリッドCPUとは大きく異なることを考慮して、最終的に別のソケットを使用するのかは不明です。今日。

Intel第14世代MeteorLakeのComputeTileは、テープアウトしてパワーオンを実現したチップの最初のセクションの1つでした。それ以来、チップ全体がパワーオンを達成し、2023年のリリースが予定されています。

2023年に発売されたIntel第14世代MeteorLakeCPU、2024年に発売された第15世代ArrowLakeCPUデスクトップLGA2551ソケット
Intel第14世代MeteorLakeCPU:Intel 4プロセスノード、タイルアークGPU設計、ハイブリッドコア、2023年発売

第14世代MeteorLakeCPUは、まったく新しいタイルアーキテクチャアプローチを採用するという意味で、ゲーマーチェンジャーになるでしょう。「Intel4」プロセスノードに基づいて、新しいCPUはEUVテクノロジーによってワットあたりのパフォーマンスを20%向上させ、2022年下半期までにテープアウトする予定です(製造準備完了)。最初のMeteorLakeCPUは、2023年上半期までに出荷される予定であり、同じ年の後半に利用可能になる予定です。

Intelによると、第14世代Meteor Lake CPUは、まったく新しいタイルアーキテクチャを備えており、これが基本的に意味することは、同社が完全なチップレットを採用することを決定したということです。MeteorLakeCPUには3つのメインタイルがあります。IOタイル、SOCタイル、およびコンピュートタイルがあります。計算タイルは、CPUタイルとGFXタイルで構成されます。CPUタイルは、Redwood CovePコアとCrestmontEコアで構成される新しいハイブリッドコア設計を利用し、グラフィックタイルがこれまでに見たものとは異なる一方で、より低い電力でより高いパフォーマンスのスループットを提供します。CPUは5から125Wまで拡張できます。これは、超低TDPモバイルからハイエンドデスクトップPCまでです。

Intel Meteor Lake CPUは、Appleチップと同様のVPU「ニューラルエンジン」アクセラレーションを備えている可能性があります

Raja Koduriが述べているように、Meteor Lake CPUは、タイル状のArcグラフィックスを搭載したGPUを利用するため、チップ上のまったく新しいクラスのグラフィックスになります。これはiGPUでもdGPUでもありません。現在、tGPU(Tiled GPU / Next-Gen Graphics Engine)と見なされています。Meteor Lake CPUは、まったく新しいXe-HPGグラフィックスアーキテクチャを利用し、既存の統合GPUと同じレベルの電力効率でパフォーマンスを向上させます。これにより、DirectX 12 UltimateおよびXeSSのサポートも強化されます。これらの機能は、現時点ではAlchemistのラインナップでのみサポートされています。

2023年にデスクトップに登場するタイルアーキテクチャを備えたIntel第14世代MeteorLake-SデスクトップCPU
IntelメインストリームデスクトップCPU世代の比較:
IntelCPUファミリー プロセッサプロセス プロセッサーコア/スレッド(最大) TDP プラットフォームチップセット プラットホーム メモリサポート PCIeサポート 発売
Sandy Bridge(第2世代) 32nm 4/8 35-95W 6シリーズ LGA 1155 DDR3 PCIe Gen 2.0 2011
アイビーブリッジ(第3世代) 22nm 4/8 35-77W 7シリーズ LGA 1155 DDR3 PCIe Gen 3.0 2012年
Haswell(第4世代) 22nm 4/8 35-84W 8シリーズ LGA 1150 DDR3 PCIe Gen 3.0 2013-2014
ブロードウェル(第5世代) 14nm 4/8 65-65W 9シリーズ LGA 1150 DDR3 PCIe Gen 3.0 2015年
Skylake(第6世代) 14nm 4/8 35-91W 100シリーズ LGA 1151 DDR4 PCIe Gen 3.0 2015年
カビーレイク(第7世代) 14nm 4/8 35-91W 200シリーズ LGA 1151 DDR4 PCIe Gen 3.0 2017年
Coffee Lake(第8世代) 14nm 6/12 35-95W 300シリーズ LGA 1151 DDR4 PCIe Gen 3.0 2017年
Coffee Lake(第9世代) 14nm 8/16 35-95W 300シリーズ LGA 1151 DDR4 PCIe Gen 3.0 2018年
コメットレイク(第10世代) 14nm 10/20 35-125W 400シリーズ LGA 1200 DDR4 PCIe Gen 3.0 2020
ロケットレイク(第11世代) 14nm 8/16 35-125W 500シリーズ LGA 1200 DDR4 PCIe Gen 4.0 2021年
アルダーレイク(第12世代) Intel 7 16/24 35-125W 600シリーズ LGA 1700 DDR5 / DDR4 PCIe Gen 5.0 2021年
Raptor Lake(13th Gen) Intel 7 24/32 35-125W 700シリーズ LGA 1700 DDR5 / DDR4 PCIe Gen 5.0 2022年
流星湖(第14世代) Intel 4 TBA 35-125W 800シリーズ? LGA 2551 DDR5 PCIe Gen 5.0 2023年
アローレイク(第15世代) Intel 20A 40/48 TBA 900シリーズ? LGA 2551 DDR5 PCIe Gen 5.0 2024年
月の湖(第16世代) Intel 18A TBA TBA 1000シリーズ? TBA DDR5 PCIe Gen 5.0? 2025年
ノヴァ湖(第17世代) Intel 18A TBA TBA 2000シリーズ? TBA DDR5? PCIe Gen 6.0? 2026年

ニュースソース:Momomo_US
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台湾半導体、米牙城の「設計」も崩す 依存リスク一段と

台湾半導体、米牙城の「設計」も崩す 依存リスク一段と
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM266DT0W2A420C2000000/

『【台北=中村裕、龍元秀明】世界の半導体業界で「台湾リスク」が一段と増している。

米国が独占していた「設計」の分野に台湾勢が大きく食い込んできた。大手民間調査会社の調べによると、設計に特化した世界企業の2021年売上高ランキングで、上位10社のうち4社が初めて台湾勢で占めた。従来の強みである生産に加え、上流の設計でも影響力を強めており、台湾への過度な半導体依存が今後さらに進む流れだ。

半導体は産業のコメといわれ、軍事・宇宙関連からスマートフォン、車、パソコン、炊飯器などの家電に至るまで、あらゆる製品に搭載され「頭脳」の役割を果たす。

高性能な頭脳を持つ半導体を搭載すればするほど、製品性能は上がる仕組みだ。高性能な半導体を造るには、複雑で高度な設計技術を要する。

設計は半導体製造工程の中核で、米国が「半導体大国」といわれるのは、まさにこの設計分野で他国を圧倒してきたためだ。この分野では米クアルコム、米ブロードコム、米エヌビディア、米アドバンスト・マイクロ・デバイス(AMD)など優良企業が並ぶ。

だが、ここに来て状況が変わりつつある。

台湾の調査会社トレンドフォースは3月末、工場を持たない半導体設計に特化した世界企業の売上高ランキングを公表した。

それによると、4位に聯発科技(メディアテック)が入ったほか、6位に聯詠科技(ノバテック)、8位に瑞昱半導体(リアルテック)、10位に奇景光電(ハイマックス・テクノロジーズ)と、計4社の台湾企業がランクインした。

残る6社は、米企業が守ったが、上位10社に台湾企業が4社も入るのは異例だ。1980年代から米国が主導してきた半導体のファブレス業界で、実に初めてのことになる。

もともと半導体の設計に特化した工場を持たないファブレス企業は、米国の発想で誕生した。設計から生産までをすべて手掛ける半導体メーカーでは、経営資源が分散され、工場建設に伴う巨額投資は最大のネックになる。

そこで米国は、付加価値が低いと考えた「生産」は日本や韓国、台湾などのアジアに委託し、付加価値が高い「設計」は米国に残す戦略を取り、ファブレス企業を次々に誕生させた。85年にはクアルコム、93年にはエヌビディアなどが誕生し、その後に大きな成功を収めた。

台湾出身の米エヌビディアのジェンスン・ファン(黄仁勳)CEO。米屈指のハイテク企業に導いた=同社提供

だが、その米国が牙城を築いた設計に今、台湾企業が食い込み始めている。米国からみれば、脅威だ。かつて下請け的な扱いで生産を委託した台湾企業に、今度は設計という「母屋」まで取られかねない逆流現象が起きているためだ。

台湾勢がなぜここまで設計分野にまで侵食し、ファブレス企業が台頭しているのか。まずは、受託生産で世界最大手の台湾積体電路製造(TSMC)と同3位の聯華電子(UMC)の地元台湾2社の存在が大きい。

ファブレス企業にとって、設計した半導体を実際に生産できるかは、生産委託先との綿密な擦り合わせが欠かせない。その点、台湾企業の場合、TSMCやUMCは同じ台湾企業同士で、物理的にもコミュニケーションが取りやすく、優位性を持つ。特に新型コロナウイルス禍で、国境をまたいだ移動が長期間制限され、その優位性はさらに磨かれた。

こうして築いた関係性は強固だ。現在の世界的な半導体不足下で、世界からTSMCやUMCにはひっきりなしに供給要請が続いたが、2社は、普段から結びつきが強い台湾のファブレス企業への供給を優先し、それが結果として、台湾の設計ファブレス企業の地位を高めることにつながった。

例えばスマートフォン向けの半導体は分かりやすい。TSMCと太いパイプを築いた台湾ファブレス企業の代表格、メディアテックはライバルのクアルコムを退け、今や世界首位に立つ。クアルコムもこの1年の半導体不足下で、TSMCに救いを求めたが、メディアテック以上の関係性は築けずシェアを落とし続けている。

今回、ファブレス企業の売上高ランキングで上位に入った台湾4社の半導体の主力調達先は、いずれもTSMCやUMC。生産に強い地元2社からの強力な後押しを受け、「地の利」を存分に生かした躍進といえる。

台湾大手シンクタンクの資訊工業策進会産業情報研究所(MIC)の洪春暉所長代理は「台湾にはあらゆる工程の半導体産業が集積し、各社の距離が物理的に非常に近い。設計に特化しファブレス企業にとっては、それは業務の効率化に非常に役立つものだ」と、台湾勢躍進の背景を指摘する。

米AMDのリサ・スー(蘇姿豊)CEOも台湾出身。台湾のTSMCの後押しで成長を遂げた=同社提供

台湾の設計分野における影響力拡大は、米国企業の中にも見て取れる。

今回のランキングで2位に入ったエヌビディア、5位のAMD、9位のザイリンクスの経営トップは、いずれも台湾出身者で占められた。

しかも3社の半導体の主力調達先はいずれも台湾のTSMC。いかに今の半導体業界が台湾中心に回り、それに関わる人脈でつながり、業界での優位性も形成されているのかがよくわかる。上位10社のうち、実に7社のトップは台湾出身者だ。こうした人脈は、今後の業界再編やM&A(合併・買収)でも台湾優位に働くのは間違いない。

そんな台湾に今、中国が熱い視線を送る。台湾へのこれ以上の一極集中は、有事リスクをさらに高めることにもなるが、今の世界に止められる力はない。選択肢はさらに限られる方向に突き進んでいる。』

中国半導体・紫光集団の再建案、債権者会議が承認

中国半導体・紫光集団の再建案、債権者会議が承認
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM293LF0Z21C21A2000000/

『【北京=多部田俊輔】経営再建中の中国半導体大手、紫光集団の債権者会議が29日に開かれ、事業継承先に投資ファンド2社を中心とする連合を選ぶ再建案を承認した。中国メディアによると、最先端の半導体メモリーを手掛けるグループ企業は政府系投資会社の傘下に入ることが決まった。

紫光集団の継承先には、国有企業系投資ファンドの北京建広資産管理と、投資ファンドの北京智路資産管理を中心とする連合が選定された。中国メディアによると、この連合には湖北省科技投資集団(湖北科投)など政府系投資会社4社も含まれる。

債権者会議の承認を受け、資産管理人は近く再建計画を裁判所に提出する。裁判所の認可に加え、中国政府の独占禁止法や国家安全保障上の審査を経て、最終的に事業継承が確定する。事業を継承する連合は2022年3月末までに600億元(1兆1000億円)を支払う。

今回の再建案は紫光集団と傘下企業など合計7社を一括して継承先を決める仕組み。大半の事業は連合が作る受け皿会社に引き継がれるが、中国共産党機関紙の人民日報系の証券時報によると、最先端の半導体メモリーを手掛ける長江存儲科技(長江メモリー・テクノロジーズ、YMTC)は湖北科投が引き継ぐ。

YMTCは米国に依存する半導体の自給率向上を狙って設立した国策3社の一角。データの保存に使うNAND型フラッシュメモリーを生産している。湖北科投はYMTCの大株主でもあることから、今回の紫光集団の再建を契機にYMTCを傘下に入れる。

紫光集団は習近平(シー・ジンピン)国家主席の母校、清華大学が51%を出資する。買収や出資でYMTCを抱えるなど中国の半導体大手に成長した。資産は3000億元近いとされるが、巨額の負債を背負って数回の社債の債務不履行(デフォルト)を起こした。

今回の再建案を巡っては、紫光集団に49%出資する北京健坤投資集団(健坤)は資産管理人の再建案では734億元の国有資産の流出につながると試算して異議を唱えた。しかし、29日の債権者会議で、健坤は最終的に賛成に回った。

再建案策定の過程では、中国ネット大手、アリババ集団を中心とする連合が継承先の有力候補となったこともあった。しかし、政府系投資会社が参画する連合が選ばれることになった。弁済率の高さなどが評価されたとされるが、国有企業を重視する習近平指導部の意向に沿ったとみられる。

【関連記事】中国センスタイム、香港上場 米制裁による延期経て 』

中国紫光集団の事業継承先、政府系ファンド連合に決定

中国紫光集団の事業継承先、政府系ファンド連合に決定
アリババ集団の陣営は敗れる
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM10D6P0Q1A211C2000000/

『【北京=多部田俊輔】経営再建中の中国半導体大手、紫光集団の事業継承先が10日夜、明らかになった。政府系企業などが関与する投資ファンドの連合に決まった。継承先は10月に7陣営に絞られたが、中国インターネット通販最大手のアリババ集団などは敗れ、政府が関与する格好で再建が進むことになった。

紫光集団が出資し、中国国内に上場する紫光股份と紫光国芯微電子がそれぞれ、「紫光集団の(資産)管理人から裁判所の監督と指導を受け、(事業を継承する)戦略投資者を選んだとの通知を受けた」と発表した。

2社によると、紫光集団の事業継承先に選ばれたのは、中国国有企業系の投資ファンドである北京建広資産管理と、投資ファンドの北京智路資産管理の連合だ。両社は北京を本拠地とし、ハイテクのハード分野への投資を手掛けている。

中国メディアによると、ともに「中国のシリコンバレー」と呼ばれる中関村を拠点に、半導体受託生産大手の中芯国際集成電路製造(SMIC)などが関与するIT(情報技術)産業の投資を手掛ける。2つのファンドの半導体分野の累計投資額は600億元(約1兆1000億円)を超え、豊富な投資実績を裁判所が評価したとみられる。

紫光集団は習近平(シー・ジンピン)国家主席の母校で、ハイテク人材を輩出する名門の清華大学が51%を出資する企業だ。大規模な買収や投資で、傘下に最先端の半導体メモリーを手掛ける長江存儲科技(YMTC)を抱えるなど有力企業に成長した。資産は3000億元近いとされるが、巨額の負債を背負って、20年末までに数回の社債の債務不履行(デフォルト)を起こしている。

YMTCなど傘下企業は日常業務を継続しているものの、紫光集団の債権者は7月、北京市の裁判所に破産や再編を進めるように申請した。裁判所の主導で紫光集団と傘下企業など合計7社を一括して再建する手続きがスタートし、10月の債権者会議で、7陣営を事業継承先となる戦略投資者の候補に選んだ。

7陣営には、半導体分野に最近力を入れているアリババの連合が民営企業として唯一、選ばれたほか、国有のIT大手、中国電子信息産業集団(CEC)や広東省政府が出資する投資会社も含まれた。7陣営は最終的に、アリババ連合と、今回選ばれたファンド連合の2つに絞られていたとされる。

事業継承先に選ばれたファンド連合は、半導体分野の投資実績が豊富で、2ファンドともに清華大に近い中関村の政府関係者や国有企業との関係が深いとみられる。「昨年来、政府と緊張関係のあるアリババより、政府とパイプが太いファンドを選んだのではないか」。半導体業界の関係者はこう指摘する。

ファンド連合は紫光集団の傘下企業など合計7社の再生計画の草案に基づき、手続きを進めるもようだ。すでに20億元の保証金を支払ったとみられる。今後、開催する債権者会議で戦略投資者を正式に決定し、裁判所の認可を得る必要があるという。』

〔紫光集団関連の投稿〕

韓国、ホワイト外しの背景を考える(その4)
https://http476386114.com/2019/08/05/%E9%9F%93%E5%9B%BD%E3%80%81%E3%83%9B%E3%83%AF%E3%82%A4%E3%83%88%E5%A4%96%E3%81%97%E3%81%AE%E8%83%8C%E6%99%AF%E3%82%92%E8%80%83%E3%81%88%E3%82%8B%EF%BC%88%E3%81%9D%E3%81%AE%EF%BC%94%EF%BC%89/

※ 紫光集団破産の裏話を解説する…、というネット動画を視た…。

※ それによると、トップ企業は「HD(ホールディングス)」形態を取っていて、傘下に「事業会社」がぶら下がっている…。それで、「半導体製造部門」もあるにはあるんだが、まだ技術力は低いままなんで、「低・中級品」しか製造できない…。それでも、中国国内やアフリカなんかの途上国向けには、十分「間に合う」んで、需要はある…。

※ トップのHDは、国家からの支援もあって、潤沢な資金を有している…。それにものを言わせて、世界の半導体企業を「買いまくって」いた…。

※ 一時は、「飛ぶ鳥を落とす勢い」だったが、各国に警戒されて、うまくいかなくなった…。

※ 資金環境も悪化して、資金繰りがうまく回らなくなって、「破産申請」した…、というような話しだったな…。

Armの中国合弁企業がArmからの独立を宣言

Armの中国合弁企業がArmからの独立を宣言、一部ライセンスや中国市場の顧客をそのまま横取り – GIGAZINE
https://gigazine.net/news/20210831-arm-china-robbed-ip/

 ※ ソフバンがArmを買収した時から、米国はそれを注目していた…、ということを紹介したことがあった…。

アメリカはソフトバンクがArm社を買収した時点からマークしてた…、という情報があったんで、紹介しとく。
https://http476386114.com/2018/12/17/%e3%82%a2%e3%83%a1%e3%83%aa%e3%82%ab%e3%81%af%e3%82%bd%e3%83%95%e3%83%88%e3%83%90%e3%83%b3%e3%82%af%e3%81%8carm%e7%a4%be%e3%82%92%e8%b2%b7%e5%8f%8e%e3%81%97%e3%81%9f%e6%99%82%e7%82%b9%e3%81%8b/

 ※ その「危惧」の通りの「展開」になって来た感じだな…。

『半導体企業・Armが開発したArmアーキテクチャは、携帯電話や自動車、マイクロコントローラー、Amazon Web Services(AWS)のサーバーなどで使われる何十億ものチップで採用されています。Armはイギリスの企業でしたが、2016年にソフトバンクに買収されました。その後、NVIDIAへ売却されることが発表されたものの、中国国内でのライセンス権を持っていた中国合弁企業が一方的に独立を宣言し、知的財産権(IP)のライセンス権を横取りしたまま暴走を続けていると、半導体関連ブロガーのディラン・パテル氏が解説しています。

The Semiconductor Heist Of The Century | Arm China Has Gone Completely Rogue, Operating As An Independent Company With Inhouse IP/R&D – by Dylan Patel – SemiAnalysis
https://semianalysis.substack.com/p/the-semiconductor-heist-of-the-century

2018年6月にソフトバンクは、ArmのIP事業を中国で行うことを目的として、中国子会社であるArm Technologyの持ち株の51%を中国投資コンソーシアムに売却し、「安谋科技(Arm China)」として合弁企業化しました。Arm Chinaは中国国内でArmのIPをライセンス管理する独占権を持つこととなりました。

子会社(アーム)における中国事業の合弁事業化に関するお知らせ | ソフトバンクグループ株式会社
https://group.softbank/news/press/20180605

しかしその後、Arm Chinaのアレン・ウーCEOがArm Chinaの顧客に対してライセンス料の割引を持ちかけ、それと引き換えに自分の会社への投資を誘致していたことが発覚。2020年にArmと株主はウーCEOを追放することに合意し、Arm Chinaの取締役会は利益相反を理由に、賛成7:反対1でウーCEOの解任を可決しました。

しかし、社印をウーCEOが保持していたため、解雇を法的に実行することができなかったとのこと。中国は日本と同じく印鑑に法的な効力を持たせる実印社会で、会社で行われるさまざまな手続きは社印がなければ実行に移すことができません。つまり、取締役会がウーCEOの解任を決議したにもかかわらず、ウーCEOは解任を拒否しながら、会社を実質的に支配したままとなっているわけです。

ウーCEOは取締役会でArm側についた上級幹部を追い出し、Arm Chinaの名義でArm Chinaの取締役会を提訴しました。Armの影響が排除されてしまったことで、Arm Chinaは完全にArmの手から離れ、暴走することとなりました。

もちろんArm側も黙ったままではおらず、新規IPのライセンス委託を停止するという報復を行いました。たとえばArmのCPUであるCortex A77やAWS独自設計のGraviton、Neoverseシリーズなどの主要な技術はArm Chinaには送られていません。また、2021年5月に発表された新アーキテクチャのArmv9も、Arm Chinaに提供されていません。その上でArmは「Arm Chinaが中国の半導体産業に悪影響を与える」と中国政府に訴えようとしています。

新規ライセンスの停止によって、Arm Chinaの暴走も収まるかと思われました。しかし、Arm ChinaはArmからの独立を正式に宣言するイベントを開催し、「Arm Chinaこそ中国最大の半導体IPサプライヤーである」とアピールしました。さらに、Arm Chinaは独自に開発した「XPUライン」と呼ばれる新しいIPを発表。今後はスマートフォンなどのモバイル機器やIoT機器向けに独自のNPUやVPUをリリースすると宣言しました。

結果として、Arm ChinaはArmからの独立をうたいながら、Armの一部IPを奪い、世界第2位の規模を持つ中国市場をかすめとった形になります。パテル氏は「Arm Chinaは中国の合弁企業が暴走した最も有名な例です。中国では何十年にもわたってIPが奪われコピーされてきましたが、今回のArm Chinaの一件はこれまでで最も大胆な試みかもしれません」とコメントしています。

さらにパテル氏は「このArm Chinaの暴走がNVIDIAの買収にどのような影響を及ぼすのかは不明ですが、ソフトバンクの近視眼的な利益追求がこのような大規模な問題を引き起こしたことは明らかです」と述べ、ソフトバンクのやり方を批判しました。』

米国は30年前と同じ、半導体交渉当事者がみる米中対立

米国は30年前と同じ、半導体交渉当事者がみる米中対立
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO65263770R21C20A0000000/

『半導体をめぐる米中の対立の余波を分析する。今回は、歴史をひもときながら米中半導体戦争の本質を探る。歴史は繰り返すのか。

「このままでは中国は八方ふさがりだ。まるで30数年前と同じですよ」

こう話すのは元日立製作所専務の牧本次生氏。1986年から10年間続いた日米半導体協定の終結交渉で日本側団長を務めた、半導体産業の歴史の証人だ。米国と中国が繰り広げる半導体をめぐる対立に日米半導体摩擦を重ね合わせる日本人は多い。牧本氏は「ここで覇権争いに負けたら、中国は30数年前の日本のように競争力がそがれるだろう」と警鐘を鳴らす。

米国は2020年9月に華為技術(ファーウェイ)に対する輸出規制を発効し、中芯国際集成電路製造(SMIC)向けの製品出荷にも規制をかけた。「『一国の盛衰は半導体にあり』をよく理解している米国は、ファーウェイやSMICへの禁輸など、中国のエレクトロニクス産業の生命線を絶とうとしている」(牧本氏)

牧本氏は、最先端半導体の製造技術で中国に追いつかれないよう米国が神経をとがらせていることに注目する。微細化に欠かせない露光装置を手掛けるオランダの装置メーカー、ASMLの機器や技術が中国に渡らないよう、米国は19年からオランダ政府に働きかけてきた。

国防の観点から米国が警戒心
「米国の半導体関係者を刺激したのも日本の先端半導体開発プロジェクトだった」。牧本氏はこう記憶をたどる。

1970年代、米国ではIBMがICを大きく上回る性能の大規模集積回路(LSI)を使ったコンピューター「フューチャーシステム」の構想を進めていた。これに対抗すべく76年に日本で立ち上がったのが「超LSI技術研究組合」。富士通や日立製作所、三菱電機などが参加した官民連携計画で、コンピューターの中核となる超LSIを開発することが目標だった。シリコンウエハーに回路パターンを転写する露光装置など半導体製造技術の発展に大きく貢献し、その後の半導体材料や製造装置などの川上産業の強化につながった。その結果、「国防の観点から米国が日本の半導体産業に大きな警戒心を持つようになった」と牧本氏は分析する。

官民プロジェクトの成果もあり、日立製作所や富士通、NECなど「日の丸半導体」の中核製品だったDRAMは世界市場を席巻した。81年には64キロビットDRAMのシェアで日本メーカーは合計70%を占め、米国の30%を大きく上回った。米国の雑誌に「不吉な日本の半導体勝利」と題した記事が出るなど、日本脅威論が米国内に広がっていった。

「日本の半導体メーカーが不当に廉価販売している」。85年6月、米国半導体工業会(SIA)が日本製半導体をダンピング違反として米通商代表部(USTR)に提訴した。ここから日米政府間交渉が始まり、1年後の86年9月に締結したのが日米半導体協定だった。(1)日本市場における外国製半導体のシェア拡大、(2)公正販売価格による日本製半導体の価格固定――。協定で定められたこの2つの取り決めが「日本の半導体産業が弱体化する1つの引き金になった」と牧本氏は振り返る。

「85年は日米経済関係が一番緊張した時代に入った頃だった。米国が一番うるさかったのは、繊維、通信機器、自動車で、アメリカの財界が悲鳴をあげていた。日本からアメリカへの輸出過多の品目に一つ一つ手当てをしていった記憶がある」。故・中曽根康弘元首相はインタビュー形式の著書『中曽根康弘が語る戦後日本外交』でこう触れている。

公正販売価格でじわじわと競争力を失う
対日貿易赤字が拡大し米国企業の業績が悪化する中、高品質で低価格の「メード・イン・ジャパン」製品の勢いをどう食い止めるか。米国が狙い撃ちしたのが「日本の技術力の象徴だった半導体、しかも強いDRAM、巨大な日本市場だった」(牧本氏)。日本の半導体産業は世界で圧倒的な存在感があっただけに、持ちこたえられるだろうという甘い読みがあった。

その後の日本のDRAM産業は、気付かないまま競争力を失っていった。「日本の半導体産業は米国からたたかれたイメージが強いが、内部にいるとぬるま湯のようだった。(日米半導体協定の)公正販売価格がじわじわと麻薬のように効き、開発意欲が失われていった」。総合電機メーカーの半導体部門OBはこう証言する。

協定によって決めた最低価格以下では販売できないため固定価格になり、その価格が高く安定していたため各社のDRAM事業は「特段なにもしなくても高い利益率を得られる状況だった」(同幹部)。他社と新製品の技術開発で競争をしようというモチベーションがなくなった日本企業は、現状維持に甘んじるようになった。短期的にはマイナスの影響が見えづらかった日本製DRAMの価格安定は、後に韓国企業が安値で攻勢をかける要因にもなった。

100%の報復関税に衝撃受け半導体減産

日本市場における外国製半導体のシェア拡大という協定も半導体産業の競争力をむしばんだ。日本の電子機器メーカーは、半導体の調達額の5分の1程度は外国製を買わなければならなかった。協定締結の翌年には「日本が半導体協定を守っていない」として米政府が日本製のパソコンやカラーテレビ、電動工具に100%の報復関税をかけるなど、強硬な手段もいとわなかった。

「DRAMは需要がある分だけつくれ」。報復関税に衝撃を受けた日本側は、通商産業省(現経済産業省)が半導体メーカーに指示を出した。各社は減産を余儀なくされ、その結果、外国製半導体の日本市場でのシェアが拡大していった。

「何をやるにしてもがんじがらめだった。『もうDRAMをエース格の事業としては扱えない』との雰囲気が広がった」。牧本氏は、日立では日米半導体協定の締結後すぐに別の半導体に経営資源を移そうという議論が始まったと明かす。

企業側だけではない。日米半導体摩擦の心的外傷は大きく、超LSIプロジェクト終了後は半導体関連の大きな国家プロジェクトがなくなった。80年から90年代半ばまで大型の官民プロジェクトがなかった時期を牧本氏は「空白の15年間」と呼び、「その時期に米国や欧州、韓国などが産官連携による半導体産業の強化策を次々と打ったのも日本半導体の産業基盤の足腰が弱くなった要因」と指摘する。

十分に競争力をそいだはずなのに…

86年に日本は半導体の世界シェアで46%を取って米国を追い抜いたが、93年には米国が日本を逆転して首位に返り咲く。日本の競争力が十分にそがれた96年にようやく日米半導体協定は終結を迎えることになるが、牧本氏は米国が終結交渉で見せた執念深さに驚きを隠せなかったという。

96年2月にハワイで始まった交渉は、「日米の思惑が180度違った」(牧本氏)。日本側が「不公平な協定を一刻も早くきれいに終わらせたい」と交渉に臨んだのに対し、米国は「協定が完全になくなればまた日本がダンピングをするかもしれない。エッセンスを残そう」と主張。引き続き政府を関与させることを提案してきた。

5回に及ぶ会合を経て、牧本氏らは政府関与をなくすことを米国側に飲ませた。その一方で、日本市場での外国製半導体のシェア確保を目的とする協議会を3年間残すことを承諾せざるを得なかった。協定下の10年間で日本市場の外国製半導体シェアは20%を超えるまでに拡大していたが、米国側はどこまでも日本半導体の復活の芽をつもうとしていたのだ。

86年には世界の半導体メーカートップ10のうち6社を占めていた日本勢。しかし、最新の2019年にトップ10に入ったのは東芝から独立したフラッシュメモリーのキオクシアホールディングスのみ。日米半導体協定によって牙を抜かれた日本のDRAMは日立とNEC、三菱が事業を統合させてエルピーダメモリとして再出発したが、韓国や台湾との投資競争に敗れて経営破綻した。東芝はDRAMを捨ててフラッシュメモリーに集中し、世界2位を堅持してきたが、システムLSI事業からの撤退を9月に決めた。富士通やパナソニックも半導体事業や工場を海外企業に譲渡した。

1986年には半導体売上高トップ10のうち日本企業が6社を占めるほどの隆盛を誇ったが、各社の半導体部門は徐々に本体から離れ、規模も縮小。多くの事業が最終的に売却や撤退に追い込まれた
日本の半導体メーカーの衰退には3つの遅れが関係している。パソコン市場の急激な拡大に乗り遅れ、総合電機メーカーの1事業だったために設備投資の意思決定も遅れた。ファウンドリー(半導体受託製造)や設計専業などの水平分業への対応も遅れた。ただ、「日米半導体協定がトリガーとなって競争力がそがれたのはやはり大きかった。その後は冷え切った半導体への熱を取り戻せていない」と牧本氏は悔やむ。

「一国の盛衰は半導体にあり」。牧本氏は結局、この認識があるかないかが日本と米国の違いだったと振り返る。日本は半導体摩擦で敗れた結果、国内市場を開放し、産業振興も影を潜め、企業は巻き返しのすべを見つけられなかった。

「もっと一緒にできないか」

牧本氏は「中国はここで負けたら国の将来に関わるとして必死に反撃するだろう」と予測する。米国に反発する中国には復活シナリオがまだ残されている。

「米国の攻撃は終わりが見えないが、必ずアジアの時代が来る。もっと一緒に何かできないか」

ある国内半導体メーカーの経営幹部は最近、中国・清華大学の教授からこんな連絡をもらって驚いたと明かす。習近平(シー・ジンピン)国家主席の母校で、半導体を中心としたハイテク産業振興をけん引する清華大学。その姿勢から見えてくるのは、攻め手を止めない米国を前にしても、中国が決してあきらめていないということだ。

日米半導体摩擦からの学びが、中国を徹底抗戦へと向かわせたというのはうがち過ぎだろうか。技術の覇権争いであきらめない中国の姿勢こそ、今の日本が学ぶべきことなのかもしれない。

(日経ビジネス 岡田達也)

[日経ビジネス電子版2020年10月21日の記事を再構成]』

米通信当局を提訴 「安保の脅威」に反発―中国ファーウェイ

米通信当局を提訴 「安保の脅威」に反発―中国ファーウェイ
2021年02月10日09時53分
https://www.jiji.com/jc/article?k=2021021000365&g=int

『【ワシントン時事】中国通信機器最大手の華為技術(ファーウェイ)は9日までに、米連邦通信委員会(FCC)が同社を「安全保障上の脅威」に当たる企業に指定したことを不服として、米連邦高裁に提訴した。訴状によると、FCCの決定は違法だとして取り消しを求めている。

ファーウェイ排除を強調 制裁緩和「理由ない」―次期米商務長官

 FCCは昨年、ファーウェイが中国政府・軍の影響下にあると判断し、安保上の脅威と正式に認定。ファーウェイの異議申し立てを却下し、連邦政府から補助金を受けた通信会社に対して同社製品の購入を禁じた。』