米政府、ファーウェイへの輸出許可を全面停止 FT報道

米政府、ファーウェイへの輸出許可を全面停止 FT報道
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN310E60R30C23A1000000/

 ※ 今日は、こんな所で…。

『【ワシントン=飛田臨太郎】英紙フィナンシャル・タイムズ(電子版)は30日、バイデン米政権が華為技術(ファーウェイ)への輸出許可を停止したと報じた。すでに禁じている半導体などに加えて全面的に米技術・製品の輸出を取りやめる措置になる。

米政府は2019年5月に原則、輸出禁止の対象とする「エンティティー・リスト(禁輸リスト)」にファーウェイを加えた。その後も一部の品目については輸出許可を与えていたとみられる。完全に取引を遮断し、ファーウェイの経営に一段と打撃を与える。

米商務省の広報担当者は日本経済新聞に「エネルギー省や国防総省など各省の輸出管理担当者と緊密に協力しながら政策や規制を継続的に評価し、外部の関係者と定期的にコミュニケーションをとっている」と語った。そのうえで「特定企業の審議についてコメントはしない」と述べた。

バイデン政権は22年11月、ファーウェイの通信機器について米国内での販売を事実上、禁じた。米国内で販売する際に必要な認証の対象からファーウェイを外した。輸出入ともに厳しい制限をかけることになる。

22年10月からスーパーコンピューターなどに使われる先端半導体をめぐり、中国への技術・製造装置・人材などの輸出を事実上、禁止する措置を始めた。バイデン政権の対中輸出規制は最先端品は「面」で、重要企業は汎用品も含めて「点」で抑える戦略をとる。

【関連記事】

・米国、禁輸対象の中国企業・団体600超 供給網に影響
・[FT]米国の対中国禁輸リスト、新興半導体企業を狙い撃ち
・ファーウェイ、気づけば車部品メガサプライヤー視界に

ニューズレター https://regist.nikkei.com/ds/setup/briefing.do?n_cid=DSREA_newslettertop 

多様な観点からニュースを考える

※掲載される投稿は投稿者個人の見解であり、日本経済新聞社の見解ではありません。

柯 隆のアバター
柯 隆
東京財団政策研究所 主席研究員
コメントメニュー

分析・考察 

ブリンケンが北京訪問を前に、このニュースが飛び込んできた。これではブリンケンが北京を訪問しても、米中関係は改善しない。ただこのニュースをみて、正直に驚くことはない。5Gの技術を持つ中国のリーディングカンパニーのファーウェイを徹底的に制裁するのはアメリカの戦略。CFOがカナダで拘束されたことから始まった制裁はファーウェイを完全に無力化している。振り返れば、少し前まで、中国製造2025が謳歌されていた。清華大学の胡鞍鋼教授は北京で開かれたフォーラムで我が国の科学技術はすでに全面的にアメリカを凌駕していると豪語した。世界を知ってから発言したほうがいい
2023年1月31日 7:54

初割ですべての記事が読み放題
今なら2カ月無料! https://www.nikkei.com/promotion/?ak=https%3A%2F%2Fwww.nikkei.com%2Farticle%2FDGXZQOGN310E60R30C23A1000000&n_cid=DSPRM1AR08 

バイデン政権』

アメリカの対中半導体規制があまりにもエグい。

アメリカの対中半導体規制があまりにもエグい。中国の半導体産業は終了、韓国企業も大きな巻き添えを食らい、さらに台湾有事が早まる可能性も
https://rakukan.net/article/497081406.html

 ※ 世界情勢の「大きな流れ」が読めないと、こういうことになる…。

 ※ さんざん、警告されてたハズだ…。

 ※ 世の中のプライオリティは、安全保障>経済活動>文化活動(学術、スポーツ、芸能など)…、という順番となる…。

 ※ 安全保障と経済活動が衝突した場合、「安全保障」に軍配が上がる…。

 ※ 身の安全や財産の保全が保(たも)たれないなら、「経済活動(利益・儲けを追求する行為)」もへったくれも無いからだ…。

 ※ ドイツのノルドストリームも、しかりだ…。

『なぜTSMCが米日欧に工場を建設するのか ~米国の半導体政策とその影響(EETimes)

  2020年になってコロナの感染が拡大し、爆発的にリモートワーク、オンライン学習、ネットショッピングが普及したため、2021年に世界的に半導体が不足する事態となった。加えて、「半導体を制する者が世界を制する」というブームが到来し、世界中で半導体工場の建設ラッシュとなった。 (中略)

 本稿では、米国の半導体政策に焦点を当て、それが世界にどのような影響を及ぼしてきたか、または及ぼすと予測されるかについて論じる。

 結論を先取りすると以下のようになる。2022年10月7日に米国が発表した対中規制(以下、「2022・10・7」規制と呼ぶ)は異次元の厳しい措置であり、中国半導体産業に甚大なダメージを与えることになる。しかし、その報復措置として中国が台湾に軍事侵攻する、いわゆる「台湾有事」を誘発するかもしれない。そして、そのような時の保険として、TSMCが生産能力を分散するために米日独にファウンドリーを建設することにしたのではないか、と推測した。
(引用ここまで)

 Twitterで「これ読んで!」って先の数時間ほど騒ぎ続けていた記事。
 明日の本日の動向でピックアップするか、Twitterで完結させるか悩んでいたのですが。
 まあ、韓国についても言及があるので本編でも取り上げようかなということで。

 以前から楽韓Webでは「今回のアメリカによる対中国半導体輸出規制はすごい」「すごいうというかやばい」「これなんで日本のメディアは取り上げないの」と言い続けてきました。
 その内容を網羅して書き記すことすら一苦労なので羅列はしてきませんでしたが。
 本記事を見てもらえればそのやばさが一目瞭然であると思います。

 そもそも2020年5月にTSMCがHuaweiへの半導体出荷を取りやめた時点で「え、これを理由として中国の台湾侵攻くらいありえるぞ?」って思っていたのですが。
 これはまだ序章だったのですね。

 去年8月のCHIP法への署名が行われ、ついで10月に課されたCHIP法で補助金を受け取った企業は中国への工場投資一切を禁じるという発表がありました。
 もう、本当に微に入り細に入り。
 中国の半導体工場は息をすることも禁じるっていうレベルでの規制。

 これによって韓国企業のサムスン電子、SKハイニックスは中国に大規模投資したNANDフラッシュメモリとDRAM工場の競争力を奪われました。

TSMCにおける中国南京工場の割合は同社の10%にも満たないが、Samsungの西安工場で生産する3次元NANDは同社の約40%を占める。また、SK hynixの大連工場で生産する3次元NANDは同社の約30%、無錫工場で生産するDRAMは同社の約50%を占める。
(引用ここまで)

 半導体製造、特にメモリー製造においては最新プロセスを採用してなんぼの代物なので、アメリカの規制でこれらの工場は細々と古いプロセスでの製造をするしかなくなったのですね。

 一応、工場への納入は「許可制」ではありますが、基本的に拒絶されるものとなっています(ただし、1年間の猶予あり)。

 韓国メディアが「SKハイニックスはインテルの中国工場をつかまされた。だまし討ちだ」と言うのもまあ多少の理があるのではないかって感じられるほどのもの。
 まあ、もっと正直な話をすればアメリカ政府の方向性を見ていたらなんであんな投資したんだって話ですけどね。

 さらにアメリカは12月に長江メモリ(YMTC)を「中国人民解放軍と関係性が高い」として貿易禁止リストに入れる意向を示しました。

中国YMTCなど30社超を禁輸リスト 米商務省が発表(日経新聞)

 YMTCは積層NANDフラッシュメモリの開発に成功して、アップルが「安いならサプライメーカーに入れるかも」くらいに言っていたメーカー(でした)。

アップル、中国半導体の調達保留(日経新聞)

 この時の衝撃度はちょっと筆舌に尽くしがたいというか……「そこまでやるんだ」って感じでしたね。
 YMTCはもう廃業するしか手がないです。いや、本気で。

 「実を言うと中国の半導体産業はもうだめです。突然こんなこと言ってごめんね。
 でも本当です。2、3日後にものすごく黒いリストにYMTCが掲載されます。
 それが終わりの合図です。程なく大きめの反発が来るので気をつけて。
 それがやんだら、少しだけ間をおいて終わりがきます」

 石油禁輸どころじゃない。
 中国国内では28nmプロセスが作れるかどうか、主力は40nmプロセス以上っていう状況で5世代以上先を行っているTSMCと競わなければいけないとかね。
 その結果として冒頭記事の筆者は「台湾有事が早まったのではないか、そのリスク対策としてTSMCは工場を分散させたのではないか」と推測するのですが。
 まあ、その結論の是非はともかく。

 記事中のアメリカの本気度を読んでみてください。
 楽韓さんがこれまで「これやばいよ」と言い続けてきた理由が分かってもらえるかと思います。
 メンテすらできないんじゃ終わったも同然。

Twitterで更新情報をお伝えしています。フォローはこちらから→Follow @rakukan_vortex』

バイデン氏、対中半導体規制で日蘭を直接説得 連続で会談

バイデン氏、対中半導体規制で日蘭を直接説得 連続で会談
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN17DGO0X10C23A1000000/

『【ワシントン=飛田臨太郎】バイデン米大統領は17日、オランダのルッテ首相とホワイトハウスで会談し、先端半導体の対中輸出規制で協調するよう要請した。13日に岸田文雄首相に提起したのに続いた。バイデン政権が2022年10月に規制を導入してからおよそ3カ月がたち、日蘭との連携の遅れに焦りがにじむ。

米政府は昨年、半導体の先端技術や製造装置、関連人材について、中国との取引を事実上、禁じた。同盟国にも追随…

この記事は会員限定です。登録すると続きをお読みいただけます。

残り897文字

初割ですべての記事が読み放題
今なら2カ月無料! https://www.nikkei.com/promotion/?ak=https%3A%2F%2Fwww.nikkei.com%2Farticle%2FDGXZQOGN17DGO0X10C23A1000000&n_cid=DSPRM1AR07 』

『米政府は昨年、半導体の先端技術や製造装置、関連人材について、中国との取引を事実上、禁じた。同盟国にも追随を求め、製造装置に強みを持つ日本とオランダを最優先に閣僚や事務レベルで交渉を続けてきた。』

『バイデン氏はルッテ氏との会談の冒頭に「サプライチェーンを安全にする方法について議論することを楽しみにしている」と語りかけた。ロイター通信によると、ルッテ氏は会談後にオランダメディアのインタビューで「一歩一歩、協力の中で良い結果に到達できると思う」と述べた。

米政府が始めた規制には外国企業でも米国の技術を使っていれば、中国への輸出を認めない規則が入った。台湾や韓国の企業は米技術を扱うケースが多く、規制の網がかかりやすい。オランダと日本に矛先が向かったのは、両国の半導体製造装置企業は米技術に頼らない製品があり、規制が及ばないためだ。

米産業界からは「米企業だけが中国市場でビジネスチャンスを失った」との不満がくすぶる。バイデン政権が日蘭首脳を立て続けにホワイトハウスに招いたのは、直接交渉によって前進を図る狙いがある。首脳による話し合いを受け、3カ国は調整を急ぐ。』

『米国家安全保障会議(NSC)のカート・キャンベル・インド太平洋調整官は17日の講演で日米首脳会談での輸出規制のやりとりについて「非常に生産的な協議だった」と明らかにした。冨田浩司駐米大使は同じ講演で「数週間以内に進展すると期待している」と言及した。』

『世界の半導体製造装置市場は、首位の米アプライドマテリアルズ、2位のオランダ・ASML、3位の東京エレクトロンなどが競り合う。オランダ政府内で慎重な意見がでるのは、ASMLが対中規制に厳しい姿勢を崩していないためとみられる。

米国の要請に一国だけで追随すれば、中国の反発を一身に受けるリスクがある。日本とオランダは双方や欧州各国などの動向を注視しながら、着地点を探る見通しだ。ルッテ氏は「この問題は一国だけでなく、もっと広い範囲に及ぶ。米国とだけ話をするのではなく、多くのパートナーと話をするものだ」と指摘した。』

半導体規制、日オランダと協議へ 対中国、首脳会談で―米大統領

半導体規制、日オランダと協議へ 対中国、首脳会談で―米大統領
https://www.jiji.com/jc/article?k=2023011300467&g=int

『【ワシントン時事】バイデン米大統領は、ホワイトハウスを訪れる日本の岸田文雄首相、オランダのルッテ首相とそれぞれ会談し、先端半導体の対中国輸出規制を含めた経済安全保障分野について議論する見通しだ。独自の技術力を持つ日本とオランダに輸出管理の強化を直接求める。米メディアが12日に報じた。

今後10年が勝敗の分かれ目に 米中緊張、日本に試練―「半導体戦争」著者

 日米両国は13日の首脳会談に合わせて、経済安保に焦点を当てた「日米経済政策協議委員会」(経済版2プラス2)の次官級会合を開く。オランダとの首脳会談は17日に行われる。 』

ガリウム窒素は、それを半導体に使うと、小型軽量省電力にて高周波信号を増幅できる。

ガリウム窒素は、それを半導体に使うと、小型軽量省電力にて高周波信号を増幅できる。

https://st2019.site/?p=20781

『2023-1-9記事「Raytheon wins award for gallium nitride technology maturation」。
 ガリウム窒素は、それを半導体に使うと、小型軽量省電力にて高周波信号を増幅できる。レーダーの性能を高めてくれる筆頭選手だ。

 ペトリオットからSPY-6まで、レイセオン社はGaNチップに頼りまくりである。そこで同社は、ファウンドリーの規模を拡張し、自社内で一層、チップを自給できるようにする。

 工場はすでにマサチューセッツ州のアンドーヴァー市のある。ミリタリー・グレードのGaNチップを製造できる。』

[FT]米国の対中国禁輸リスト、新興半導体企業を狙い撃ち

[FT]米国の対中国禁輸リスト、新興半導体企業を狙い撃ち
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB221840S2A221C2000000/

『中国南部のハイテク産業拠点、深圳市で先週、新興半導体メーカーの鵬芯微集成電路製造(PXW)の従業員らがパニック状態に陥った。米政府が同社を事実上の禁輸リストに加えたからだ。

米政府は中国人民解放軍への技術供与が疑われる監視技術や半導体、ドローン(無人機)、スマートフォン関連のハイテク企業や研究機関を次々にELに追加してきた=ロイター

ある従業員は「チームリーダーと幹部のほぼ全員が緊急会議に招集されたが、残った平社員は『デリケート』な問題に関する議論を禁じられた」と話した。米政府は15日、安全保障上問題がある企業を並べた「エンティティー・リスト(EL)」にPXWなど計36社の中国企業を追加すると発表した。この従業員によれば、緊急会議は翌16日も続いたという。

米国のサプライヤーがELに載った企業に輸出するには米政府の許可が必要となり、申請しても却下される可能性が高い。米政府は10月、中国による最先端半導体やその製造装置、技術者の調達を大幅に制限する措置を導入している。今回の追加措置は10月の規制強化策の抜け穴を塞ぐための「保守管理作業」だとアナリストはみている。

もぐらたたきゲームの様相

コペンハーゲン・ビジネススクール(デンマーク)で中国半導体産業を専門とするダグラス・フラー氏は「もぐらたたきゲームのようだ」と表現する。「米政府が制裁を発動するたびに中国側が新たなプロジェクトを立ち上げ、米国がその阻止に動くという繰り返しだ」

米国が中国の技術的台頭を抑えるために輸出制限を課したのは、2019年5月に通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)をELに登録したのが最初だ。それ以来、米政府は中国人民解放軍への技術供与が疑われる監視技術や半導体、ドローン(無人機)、スマートフォン関連のハイテク企業や研究機関を次々にELに追加してきた。

15日の追加措置では半導体開発に乗り出したばかりのPXWなど、ファーウェイのような大企業と比べて制裁の影響を受けやすい新興企業が標的になった。

香港の調査会社カウンターポイントの台湾駐在アナリスト、ブレディ・ワン氏は「米政府は中国の半導体サプライチェーン(供給網)を熟知しており、優先的に標的にすべき企業や将来性の高い企業を見極めている」と指摘した。

PXWは深圳市政府から資金を受け、ファーウェイの元幹部が経営に参画するなど強力な後ろ盾がある。同社の2人の従業員によれば、複数の米企業に発注した半導体製造装置を23年に受け取る予定だったが、その可能性はついえた。

合肥兆芯電子も今回、期せずしてELに名を連ねた。同社は米インテル製に代わる国産のパソコン用プロセッサーの開発を目指し、台湾の半導体設計会社、威盛電子(VIAテクノロジーズ)の元社員によって設立された。合肥兆芯電子の技術者は今回の措置について「不快な驚きだ」と語った。「米政府の目に留まるとは誰も予想していなかった」

西側諸国のある貿易当局者は、合肥兆芯電子がスーパーコンピューター向けのプロセッサーの開発に携わっているか、中国の先端半導体開発を支援していることを米国が察知した可能性があると見ている。スパコンと先端半導体はいずれも10月の輸出規制強化の対象になった分野だ。

無名企業も有名企業もリスト入り

この当局者は「米国はこれまで無名だった企業を含め、中国のハイテク業界をより細部まで把握しつつある」と指摘した。

一方、今回の措置では著名な企業もELに加えられた。

中国の半導体大手、長江存儲科技(YMTC)は10月に輸出規制の対象になり、すでに大打撃を受けている。YMTCの上級技術者によれば、同社は生産拡張計画を中止し、米国の製造装置メーカーに発注済みの機器の頭金を返還するよう求めているという。

この技術者は「当初は最先端ではないチップの製造に戻ることも考えたが、今回の措置で逃げ場が完全になくなった」と話し、ELに加えられたことで生産拡大のための装置の輸入が許可される見込みはほぼ消えたとの見方を示した。

YMTCは中国国内で米アップルにスマホ「iPhone」向けのメモリーチップを供給する計画を進めていたが、10月に交渉が中断した。台湾の調査会社トレンドフォースによれば、YMTCは製造装置メーカーから必要な支援を受けられなくなれば最先端の3次元NAND型フラッシュメモリーの競争力を失い、24年までに同市場からの撤退を余儀なくされる可能性がある。

米政府は半導体製造装置を開発する有力企業もELに加えた。上海微電子装備(SMEE)は、現在オランダのASMLが独占している最先端の露光装置の国産化を託せる唯一の企業とみられている。

SMEEは半導体に回路を形成する露光装置の部品を輸入に依存しているうえ、大量生産の現場に導入した実績もない。SMEEの開発プロジェクトを指揮した上海市の当局者は「製品化はまだずっと先の話だ」と述べる一方、ASMLが派遣した現場作業員の仕事を担えるよう経験豊富な技術者のチームを社内に立ち上げていたと打ち明けた。だが、ASMLの作業員は米国の輸出規制を受けて引き揚げていった。

フラー氏は「一部の中国の半導体製造装置メーカーとは異なり、SMEEには米国人技術者はいない。そのため、10月の措置で追加された米国人技術者の移動規制による影響は比較的少ない」と述べた。

ファーウェイの国産半導体計画に関与

今回の追加制裁の対象の中で、もう1社見逃せないのが上海集成電路研発中心(ICRD)だ。同社はファーウェイによる国産半導体の増産計画に関与しているとみられるが、ファーウェイは否定している。

「ICRDをELに追加するのには時間がかかった」と西側の貿易当局者は話した。「2年前から禁輸リストに加わるだろうと予想していた。米国はファーウェイの半導体開発プロジェクトに関与している疑いのある企業を厳しく取り締まってきたからだ」

今回の記事で取り上げた中国企業にコメントを求めたが、回答は得られなかった。

米政府は中国の最先端半導体開発にも狙いを定め、人工知能(AI)向け半導体設計の中科寒武紀科技(カンブリコン)と9つの子会社をELに追加した。これらの企業とその母体となった中国科学院は「外国直接製品ルール」の対象となり、米国の技術を一定比率以上含む製品やサービスの提供を受けられなくなった。

カンブリコンは電子商取引(EC)大手のアリババ集団や上海市政府から資金を得て、20年に上海のハイテク新興企業向け市場「科創板」に上場した。英半導体設計大手アームの知的財産や、米ケイデンス・デザイン・システムズとシノプシスの半導体設計支援ソフトを利用しているほか、半導体の製造を台湾積体電路製造(TSMC)に委託している。

カンブリコンは最新の資金調達資料で「米中の貿易摩擦が激化すれば、今後の製品開発やサプライチェーンに深刻な悪影響が及ぶ可能性がある」と懸念を表明した。

アナリストは中国の他の新興企業にも同様の運命が待ち受けているとみている。フラー氏は「半導体設計の分野ではさらに多くの規制の動きがあるだろう」と述べた。

By Qianer Liu and Kathrin Hille

(2022年12月21日付 英フィナンシャル・タイムズ電子版 https://www.ft.com/)

(c) The Financial Times Limited 2022. All Rights Reserved. The Nikkei Inc. is solely responsible for providing this translated content and The Financial Times Limited does not accept any liability for the accuracy or quality of the translation.

関連リンク

[FT・Lex]中国半導体カンブリコン、米制裁の影響深刻
中国YMTCなど30社超を禁輸リスト 米商務省が発表
米国が「禁輸リスト」、中国の関連株に売り
米商務長官候補、ファーウェイ禁輸継続を示唆 対中強硬
中国、輸出管理強化の新法 1日施行 米制裁に対抗

米中衝突

[FT]米国の対中国禁輸リスト、新興半導体企業を狙い撃ち(22日 15:00)
鉄鋼の脱炭素で新国際枠組み 米USTR代表が検討表明(20日 更新)』

https://nkis.nikkei.com/pub_click/174/iSU59FvHUo7HIQKFgmRub2Vb1zmJn8iXHNU28ik9XmDJomEFFRBPQcYiNlfwAUQgqNFlgG8bXhSYRDC7AWTfuZXPiCIYvaaS5IUEu5QjefFsZ6Ji5EVaFeLBEo7HSpzCoLoDKNg5mrMKCG3FQBgdun4CUWu6HtrMkmKT9-suYVGD0uJ8oxmJb9iFyZ1S6woRDQ_dSAitR0-EDBk3IJdrZ1BqMCgS6e0skva3wXXEC3HBIh4S7pMDl6026lraG2oMbf9IkKtfdHsn-J8XleBT_ewWbEXAoqJYMvjremOJq1XtN4VBFR3FXBMnDyqKmWjpR4pK4sV8GN2PlVXcgQHWARusFIx7az_DW03Ia40iYTnWa6LM1l9QNdaWMboFG8b4EnGfQV8tvQSBpFPfRiagZ37-wBRo9wAMeM0u-WyRZxxP3cRJAEKzpabOjJnmXag3T4vR27DSsNXj0kjKFcrJQWsBK9iqk6l9K9Tq2Q0WWO0UVfUEdlZO6lzyhJ6l//113417/151712/https://www.nikkei.com/promotion/campaign/line_friend/?n_cid=DSPRM1DP01_2022lineb

「半導体戦争」、10年かけて中国抑止 米連合の結束が要

「半導体戦争」、10年かけて中国抑止 米連合の結束が要
「CHIP WAR」著者、タフツ大のクリス・ミラー准教授に聞く
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN1402T0U2A211C2000000/

『「ゲームチェンジャーになり得る」。中国との競争の最前線でバイデン米大統領は断言した。半導体受託生産の世界最大手、台湾積体電路製造(TSMC)が巨費を投じるアリゾナ州の工場を訪れた6日のことだ。半導体を巡る米中競争を描いた「CHIP WAR」の著者、タフツ大学のクリス・ミラー准教授に「半導体戦争」の行方を聞いた。

――TSMC創業者の張忠謀(モリス・チャン)氏は6日のアリゾナ州での式典で「グローバリゼーションはほぼ死んだ。自由貿易もほぼ死んだ」と述べました。

「私は違うと思う。中国が世界の他の経済圏に結びついたことは過去30年以上にわたる重要な傾向だった。その特定の傾向が限界に達し、多くの国が中国のリスクに過度にさらされることや技術移転を懸念しているとの見方は正しい。だからといってグローバリゼーションが終わるとは思わない。変化しながらプロセスは続く」

「半導体は石油のように持つ国と持たざる国に分かれるわけではないが、生産は集中している。台湾は世界のプロセッサーチップの3分の1以上を生産し、オランダのASMLは最先端のEUV(極端紫外線)露光装置を100%生産している。その集中ぶりは半導体に石油以上の政治的要素をもたらしている」

――バイデン政権は10月に先端半導体の対中輸出を厳しく制限しました。中国を抑止できますか。

「短期的にはノーだ。10年単位の時間軸で考えるべきだ。10年かけて規制が効けば、米国と仲間ができることと中国ができることの差は広がる。コンピューティング、センシング、コミュニケーションのすべてが半導体に依存し、軍事技術に不可欠だ。米国が半導体技術で中国より優位に立てば、情報技術や軍事技術でも優位となる」

――経済の「相互依存の武器化」はどんな未来をもたらしますか。約80年前、米国による石油の禁輸を1つの要因として日本は米国との戦争に突き進みました。

「1941年の日本との比較はそぐわない。中国が輸入できなくなる先端半導体は全体の数パーセントで、中国は電話用やPC用などほとんどの半導体を輸入できる。中国が民生用に提供された技術を自国の軍事に利用しているため、米国は相互依存が乱用される状況を続けられないと判断した。私たちは今、危険な状態にある。 少なくとも今後2、3年は軍事的な力学が中国に有利な方向に変化し続けるからだ」

――中国が台湾に侵攻してもASMLの製造装置がなければ先端半導体は作れません。一方で中国共産党の目標は半導体製造能力の獲得ではなく、台湾統一そのものです。

「その通りだ。世界のほとんどの国にとって台湾は半導体を製造しているがゆえに重要だが、中国共産党は半導体の発明以前から台湾を支配しようと考えていた」

「中国が第2次大戦中のノルマンディー上陸作戦のような侵攻を考えるなら、コストが高すぎると判断するかもしれない。では中国が米国との戦争の引き金となる基準に満たない行動に出たらどうなるか。それを心配している。例えば台湾が統治する台湾海峡の無人島を中国が占拠したら、米国は次に何をするだろう。戦争に踏み切れば世界経済に莫大な損害がおよぶことを米国は考慮せざるを得ない。半導体産業における台湾の重要性が逆に、米国が台湾を助けることを抑止するかもしれない」

――米国が対中競争に敗れるとしたら、何が敗因となるでしょう。

「米中だけの競争ではなく、日本、オランダ、台湾、韓国が絡む。米国は仲間の十分な合意を得られるような連合を維持し、機能させる必要がある。今後10年、(半導体の性能が1年半から2年で2倍になる)『ムーアの法則』が続くと確信することも難しい。法則が働かなくなると(最先端の技術開発で先行しても性能の差が開かなくなるため)米国がライバルより速く走ることも難しくなる」

Chris Miller 米エール大で歴史学博士。10月に出版した新著は5年前に書き始めた。当初は冷戦時代の軍拡競争を書くつもりだったが、ミサイル技術の重要な進歩は誘導システムにあり、そのカギは半導体だと気づいて構想を膨らませた。

米中Round Trip https://regist.nikkei.com/ds/setup/briefing.do?me=B001&n_cid=DSREA_roundtrip 

多様な観点からニュースを考える

※掲載される投稿は投稿者個人の見解であり、日本経済新聞社の見解ではありません。

渡部恒雄のアバター
渡部恒雄
笹川平和財団 上席研究員
コメントメニュー

分析・考察

「米国は仲間の十分な合意を得られるような連合を維持し、機能させる必要がある」という部分が、極めて重要な指摘だと思います。米国は、半導体の対中デカップリング政策の目的を、明確に定義しないと、同盟国の協力を維持するのが難しくなります。「中国に対して米国の軍事的優位性を維持し、台湾への軍事的な冒険主義を抑止する」というのであれば、同盟国は支持すると思います。しかし単なる経済競争で米国の産業の優位性を追求する、というのであれば、そして同盟国の産業や経済が犠牲になるというのであれば、連合の維持は難しくなるはずです。このあたりが今後の難しい課題になりそうです。
2022年12月15日 7:20
柯 隆のアバター
柯 隆
東京財団政策研究所 主席研究員
コメントメニュー

ひとこと解説

少し前に、中国製造2025について大きく騒がれていたが、今は、中国の公式メディアでは、その言い方はまったく出てこなくなった。中国が技術覇権を握ろうとトランプ政権に見抜かれてしまい、制裁が始まった。バイデン政権になってから、米国の制裁に加え、半導体連合を作り、対中制裁をさらに強化している。それに中国はどうして対抗できない。WTOに提訴したが、WTOはもはや国際機関として役割を果たせなくなっている。ある意味では、半導体戦争の勝負はすでに明らかになっている。問題はその下流にある諸産業の行方である。半導体不足は様々な産業に影響するこれからも供給網は不安定になろう
2022年12月15日 6:44 』

https://nkis.nikkei.com/pub_click/174/rKKK7ug0Y5snsqsOvJLTV4s5Wyi1RcOc9r2Yv3lzD5A95HoJMF7iZ7R6KzBSkKWkq6Oc6_5hcZn1E_IVKBnezHRFNaTIY0N0yCnj_1J7g7-iS9Y_1XVDWrRxGEQP3XTXxQPHX5s2MLcE3WqjE5GLUUj6S0xgzuqZvBYT-rfE_NKd4hEvb17nnUzZENENMpBpYHrqrc28NJPep_F7o3NS86G_txnaVQ4kWPsR2uSUV3mN_b0pSZPKe5goD3XLPbiqKGG9TVGyCVe3iHIosrWIGrF7Iv_p8RjmW6rerabJO3KJDfkairFLdIeNfs0aazAqm1Q4vjk-mvoHaDLdfNzyN8deoYnUm0n_-ZK5hsBU2DmYDwTfc6Kf3A_imWR22uXtJ6GA2y3RviNJyYpgchS1gB0POacKOQnZF7HLPQVZZy2HTlLGDBHW3CI9huRZnPNbarAWJJkIjhhVaOVpZsPgyucKYFQLyhb1j012JyUKrL33YL1gq-x0DLQ64G8N//111571/149584/https://ps.nikkei.com/spire/

米政府、中国半導体YMTCなどを輸出禁止リストに

米政府、中国半導体YMTCなどを輸出禁止リストに
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN14DZV0U2A211C2000000/

『【ワシントン=飛田臨太郎】バイデン米政権は週内にも中国半導体メーカーの長江存儲科技(YMTC)を含む30超の中国企業・団体を事実上の禁輸リストに加える。中国は世界貿易機関(WTO)に米国の先端半導体を巡る対中輸出規制が不当だと提訴したばかりで、半導体関連の米中対立が激しさを増している。

米ブルームバーグ通信などが14日、報じた。米商務省は10月、米技術を使った半導体を軍事や兵器開発に転用する恐れがあるとし、YMTCなどを懸念先リストに指定した。一定の猶予期間を経ても懸念が消えない場合は輸出禁止リストに盛り込む措置で、米政府は改善がないと判断した。

YMTCは中国政府系ファンドから多額の資金を受け、データ保存に使う「NAND型フラッシュメモリー」などの量産で急成長したとされる。米議会は同社を禁輸対象にするよう要求していた。同社への米国製品の輸出申請は商務省に原則却下されることになる。

米国は10月、スーパーコンピューターなど先端技術の対中取引を幅広く制限する措置を発表した。半導体そのものだけでなく製造装置や設計ソフト、人材も含めて規制する。特定の企業でなく中国全体に網をかけた。中国商務省は12日夜の公表文で「典型的な貿易保護主義」だと批判した。

10月は主に先端技術が制限対象だったが、今回の措置により規制対象の製品・サービスが広がる。YMTCなど対象企業の経営環境はさらに厳しくなる。日本の半導体関連メーカーもYMTCと取引があったとされ、日本企業にも影響が及ぶ可能性もある。

米政府はすでに華為技術(ファーウェイ)や半導体受託生産の中芯国際集成電路製造(SMIC)への輸出を厳しく取り締まる。対象企業を広範囲にして、中国の半導体産業への効果を強める。

【関連記事】

・「半導体戦争」、10年かけて中国抑止 米連合の結束が要
・中国への半導体輸出規制、米国が拡大 先端技術を広範に

多様な観点からニュースを考える

※掲載される投稿は投稿者個人の見解であり、日本経済新聞社の見解ではありません。

柯 隆のアバター
柯 隆
東京財団政策研究所 主席研究員
コメントメニュー

分析・考察

先日、バリ島で実施された米中首脳会談では、両首脳が微笑んでいた。米中の和解が期待されていたが、バイデン政権は対中制裁をまったく緩めない。否、もっと強化しているようにみえる。このままいくと、中国企業はローエンドの産業ならできるが、ミドルエンド、とりわけ、ハイエンドの分野から完全に締め出されてしまう。どうやって、米国との相互信頼を取り戻すか、北京にとって重要な課題になっている。
2022年12月15日 6:51』

中国、米国をWTOに提訴 半導体輸出規制で

中国、米国をWTOに提訴 半導体輸出規制で
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN130250T11C22A2000000/

『【北京=川手伊織】中国商務省は12日夜、米国による半導体などの対中輸出規制が不当だとし、世界貿易機関(WTO)に提訴したと発表した。「米国による輸出規制措置の乱用は世界のサプライチェーン(供給網)の安定に脅威を与え、国際的な経済貿易の秩序を破壊している」と強調。そのうえで「典型的な貿易保護主義のやり方だ」と批判した。

米国は10月、スーパーコンピューターなどの先端技術を巡り、中国との取引を幅広く制限する措置を発表した。輸出管理の法律に基づく規制を改めた。半導体そのものだけでなく、製造装置や設計ソフト、人材も対象に含めて許可制とした。

中国は高性能な半導体や製造装置を輸入に頼ってきた。習近平(シー・ジンピン)指導部は「科学技術の自立自強」をめざし、半導体の自給率引き上げなどに力を入れる。米国の規制強化をうけ、中国の戦略には強い逆風が吹く。

【関連記事】

・米政府高官、対中半導体規制「日本やオランダと協議」
・半導体の中国輸出規制「最も厳しい運用を」 米共和幹部
・米商務長官、西村経産相と協議 輸出規制やIPEF巡り

ニューズレター
多様な観点からニュースを考える

※掲載される投稿は投稿者個人の見解であり、日本経済新聞社の見解ではありません。

柯 隆のアバター
柯 隆
東京財団政策研究所 主席研究員
コメントメニュー

ひとこと解説

WTOに提訴するのはメンバーであれば、だれでもできる。しかし、状況が変わるかというと、変わる可能性はほとんどない。半導体の問題をほんとうに深掘りすれば、中国にとって不利な結果になる可能性がある。今となって、WTOにとっても迷惑なことになる。アメリカにとって不利な判決を出すわけにはいかないし、世界最大の貿易国中国の訴えを無視するわけにはいかない。WTOの真価が問われる事案かもしれない
2022年12月13日 8:34』

https://nkis.nikkei.com/pub_click/174/X_dTqLQPEKYUcWilQIldqPWLkIaDpT8f4dHxEZWkCXwpHvcfLeTsKQLLKlPSwmeP0wKFnHu1wGIvYk8obpR7JZX1cuz_poVpE-LiGnorEGBLFbQMlUV2mKw5iT9_44dOubS1BVLO0Dw3-QXxXHDElWQXlC2jb1lyClBxm859Li7rsIrPThyXv9eLg9i2DfeRBvDg1sM03SG25zSOZgEJq8bKHRiuH4j69nbRqU0Y6EgH9xhGZpHbmlVJsHiIPmfXOXx_HlWQ_J6vbBDiI-fp-ScYPfdr1xwrhNzA0InFWFrX7Q1lcvZyvYc0wxW0vVPyl4W18lo_8nP4Iiel1VmEJr9cLgjb2mXvnn7LNK-BZDinRiiFVddnsL7_LN4jEqF9XweNAVSVIX-hpVj9LluO79GoKfjMYG4yp7qUGJOAftN9J132aaPuGMg7wV25glRGEDgY21TUzMhkM0GE-tpxwkEfG8QKBYgFphvBdnd5_EEpwfW7TmjVQwoREmmL//113417/151712/https://www.nikkei.com/promotion/campaign/line_friend/?n_cid=DSPRM1DP01_2022lineb

米政権の半導体戦略、中国を直撃

米政権の半導体戦略、中国を直撃 岩田一政氏
日本経済研究センター理事長
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCD17AFP0X11C22A1000000/

『バイデン米政権は10月7日、先端半導体分野を対象に新たな対中国輸出規制を公表した。台湾有事リスクが拡大する中、中国の関連産業をグローバルサプライチェーンから隔離する政策といえる。米中の「技術・人工知能(AI)卓越性」を巡る争い(テクノナショナリズム)は頂点に達しつつある。

先端半導体に関する中国隔離政策はアメとムチからなる。ムチは、外国企業も含め米国の技術を使用した関連製品・技術の輸出を禁止する措置だ。さらに、米政府の補助金を受けた企業が中国の先端分野製造施設の生産能力を高める新規投資を禁止し、米国籍を有する人材がその施設で就業することも禁止した。
岩田一政・日本経済研究センター理事長(日経センター提供)

米国輸出規制の専門家ケビン・ウルフ氏は、外国企業も対象とするのは、中国の軍民融合体制の下での華為技術(ファーウェイ)に対する制裁措置が不十分であるほか、米国企業が他国企業との競争上不利になることを回避するためとしている。しかし、米国の国内法・規制を外国企業に域外適用することは、国際法上問題がある。軍民両用技術に関する多国間合意を取り付けることが望ましい。

アメは、先に成立した「CHIPS・科学法」に盛り込んだ527億ドルの補助金供与で、米国で生産・技術開発する外国企業も対象となる。先端半導体は経済安全保障上の戦略物資だが、生産は台湾と韓国に集中しており、米国への誘致を目指す。

日本の半導体産業の世界市場シェアは10%程度だが、製造装置、素材の分野では存在感がある。外国企業も対象とした新規投資・人材に関する規制付き補助金供与は、国際ルールとの整合性で問題は残るが、日本にとっては半導体産業復権の機会となろう。

日本企業は今回の輸出規制に関連して、米国の先端技術が生産過程のどの部分で使われているか、必死で探っている。半導体分野では自社技術と補完的な他企業の特許を利用する必要がある。また、国境を幾度も越えるサプライチェーンが複雑に絡み合い、中国を含めたコンピューター関連産業の国際的な相互依存関係は極めて高い。今回の輸出規制実施は中国関連の半導体・コンピューター貿易を大幅に縮小させよう。

なお、バイデン政権は電気自動車(EV)購入の補助金対象を北米で最終的に組み立てた車両に限定した。韓国企業は米国と自由貿易協定(FTA)があるにもかかわらず、輸出EVが例外とされ怒りを爆発させている。欧州連合(EU)もEV車生産の北米シフトを懸念している。

バッテリー生産に不可欠な鉱物を「懸念される外国企業」からの輸入に依存することも禁止した。鉱物の生産・加工段階で中国の市場シェアは極めて大きい。この分野でもグローバルサプライチェーンの再構築は避けられまい。

外国企業を差別的に扱うようなEV補助金は、世界貿易機関(WTO)ルールに抵触する可能性が高い。アジア諸国とは「インド太平洋経済枠組み」(IPEF)、欧州諸国とは「貿易技術評議会」(TTC)での協議による撤廃を期待したい。

https://nkis.nikkei.com/pub_click/174/abWCtGm7E2DEdnTDkJy5D2Fv39cxqxYXnLptAZ7iAaHgSdhYdxYsg6HryJL41NETVGIy69zrQCUaGaTswhKRvaKjmAPOcJMj6Jjg-ZdY53gWye5T9PCD5dir_vr2bDJ1y34lDUJLnBq_R3X6_sUH9jj_e3o1SfLqKup7BPq-I4gfTvCeIN-Fc7qsXZ7s7hvP7DdnZTFz5h7pgZVLiE2EZDNlaFu5UZZEufl5OUYiXBP1xZZwIr4RddNj5-_ybc0RXxlY6VsF2TZXgEnYnrWK8LYTCQYzc6fgOE7ipQwpZRJjpbOMsp45qqhkdSXhAzYRlJHip64tHSOUeQO7w2732pc6anXIkxl8HEhYwiRmjGW6gsdL8jTGVjGRfyuADPvAd3rrv0p423jJgN4Ri-9vYVBtNud0geErPKoUBZeq11OakMQ_gtiunMANC3qmJ6j-BuxuTwacj6DCbB-H59RVQuTx36eU3Czd9ESnDGkQP09mGeqVTPE20gXjzz8//111571/149584/https://ps.nikkei.com/spire/

【社説】(※ 中央日報日本語版)刀抜いた日本の半導体ドリームチーム、冬眠する韓国のK-CHIPS法

『 ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2022.11.14 08:08

日本が刀を抜いた。半導体産業での主導権回復のためだ。この戦いに出た日本企業はそうそうたる顔ぶれだ。日本の半導体ドリームチームにはトヨタ、キオクシア、ソニー、NTT、ソフトバンク、NEC、デンソー、三菱UFJの8社が参加する。これら企業は各分野で世界1位であったり1位になったりしたことがある底力を持っている。

日本のドリームチーム「ラピダス」は、「速い」という意味のラテン語のように速度戦を予告した。2027年から先端チップ量産を目標にしてだ。1980年代に世界のメモリー半導体市場を掌握しただけに生産技術は持っている。カギは先端人材だが、ラピダスは台湾や米国などから日本人エンジニアを呼び戻して回路幅2ナノメートル(ナノメートルは10億分の1メートル)製品の先端半導体を生産することにした。2ナノメートル製品はサムスン電子、TSMC、インテルなど世界トップの企業が早ければ2025年から活用すると予想される製品だ。

要するに日本が韓国に奪われた半導体帝国の地位を取り戻すという野心にあふれた計画だ。こうした試みは初めてではない。1992年世界10大半導体企業のうち6社を占めた日本はサムスン電子とのチキンゲームで毎回倒れた。その後も日本企業は敗残兵のように力を集めてサムスン電子に挑戦したりもしたが、サムスン電子の果敢ながらも一歩速い投資攻勢に押され秋風落葉のように倒れいまは最初から存在感を失った。

だが半導体市場の地殻変動で日本企業に再び機会が訪れた。これまで半導体市場はメモリーチップが主導したが、いまは新たな技術環境が広がっている。第4次産業革命が導火線になり多様な用途のシステム半導体を柔軟に生産する委託生産方式のファウンドリーが半導体市場の核心に浮上してだ。自動運転車、スマートフォン用イメージセンサー、人工知能(AI)とスーパーコンピュータなど多様な用途のシステム半導体が必要になった。

DRAMとNAND型フラッシュなどメモリーチップに注力してきたサムスン電子が対応できなかったこの分野ではTSMCが出てきた。この数年間に台湾は島国の特性のため水不足に陥ると、水田への水を断ち半導体工場に用水を供給して半導体崛起に全力を注いだ。米国が半導体生産に拍車をかけており、今度は日本が半導体領土回復に袖まくりしている。

ところで韓国はどこへ向かっているのか。韓国も半導体クラスター許認可手続き簡素化などを含んだK-CHIPS(半導体産業競争力強化法)を立案したが、深い冬眠に陥っている。野党「共に民主党」が大企業への特恵として反対しているためだ。韓国唯一の経済の柱であり安保の武器が政争に巻き込まれさまよっている。尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権は野党を説得し超党派的にK-CHIPSを通過させなければならない。日本が再び半導体帝国建設に成功すれば韓国の未来はない。』

(社説)(朝日新聞デジタル)半導体新会社 国の主導で成算あるか

(社説)(朝日新聞デジタル)半導体新会社 国の主導で成算あるか
https://www.asahi.com/articles/DA3S15476022.html

『最先端の半導体開発を掲げる新会社が立ち上がった。国が多額の補助金をつぎ込むという。だが、政府のかけ声と税金頼みで成算が得られるほど、この分野の競争は甘くない。官民の役割分担をはきちがえた政策は、再考すべきだ。

 トヨタ自動車やソニーグループなど国内大手8社が、新会社「ラピダス」を設立した。次世代型のデジタル機器の頭脳にあたるロジック半導体を開発し、27年の国産化を目指すという。

 政府は、700億円の補助金を出すことを決めた。開発後、実際に生産する工場を建設するには、5兆円規模の投資が必要で、兆円単位の国費が追加投入される可能性がある。
 西村康稔経産相は「半導体はデジタル化、脱炭素化を支えるキーテクノロジーで、経済安全保障の観点からも重要性が増している」という。一般論としては理解できるが、「国策」としての目的や実現性には疑問が山積みだ。

 ロジック半導体の競争は熾烈(しれつ)を極める。最先端を走る台湾のTSMCは、今年だけで5兆円を投資する。日本の技術が「10年あるいは20年遅れている」(新会社の小池淳義社長)なか、民間企業が社運をかける姿勢で臨まなければ、遅れを取り戻すのはまず無理だろう。

 ところが、新会社への8社の出資額は計73億円しかない。うち7社が10億円ずつと横並びで、責任の所在もあいまいだ。往年の半導体大国の復活を夢想する政府や自民党議員への「おつきあい」で出資したのが実情ではないのか。

 経産省が主導した国策プロジェクトは多くが頓挫してきた。肝心な企業がこの姿勢では、失敗を繰り返す恐れが強い。

 企業側が及び腰なのは、現実的な使途が見通しにくいからだろう。新会社が手がける最先端の半導体は、主にパソコンやスマートフォン向けだ。しかし、こうした産業の国内生産基盤は既にほぼ失われている。

 経産省は将来の完全自動運転車に必要と主張するが、自動車は安全が最優先で、品質が安定した世代遅れの部品を使うのが一般的だ。

 政府は昨年度補正予算で、TSMCの国内工場誘致などに6千億円を投じた。今年度2次補正案にも半導体関連に1・3兆円を計上した。物価高で国民の暮らしが打撃を受けるなか、円安で潤う大企業を破格に優遇する政策に、納得感は乏しい。

 高齢化による社会保障費の増加で財政は火の車だ。子育て施策や脱炭素投資の財源確保にも四苦八苦している。成算なき事業に湯水のごとく国費を注ぐ余裕はないはずだ。

厳選ニュースが毎日届く!無料

朝日IDに登録することで【毎朝・金曜日】にニュースレターが届きます。 メールアドレスとパスワードを設定するだけ!2分で完了!
今すぐ登録する https://id.asahi.com/register/request_ID.html?iref=leadnewsletter 』

イラン製ドローン、部品の大半は西側製 ウクライナ分析ほぼ3分の1は日本企業によって製造

イラン製ドローン、部品の大半は西側製 ウクライナ分析
ほぼ3分の1は日本企業によって製造
https://jp.wsj.com/articles/ukrainian-analysis-identifies-western-supply-chain-behind-iran-s-drones-11668620220

 ※ やれやれ…。

 ※ またゾロ、「日本叩き」の再燃か…。

 ※ 3分の1は日本製、3分の1は中国製、3分の1は米国製…、というオチじゃね…。

 ※ イランが、ICチップ(その他の半導体部品)を内製できない以上、そういうような「比率」になるに決まっている…。

『ウクライナの情報当局が同国で墜落した複数のイラン製ドローン(無人機)を分析した結果、部品の大半は米欧など同志国の企業によって製造されていたことが分かった。事情に詳しい関係者やウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が確認した資料によると、西側当局者らはこの問題に対し懸念を強めており、米政府は調査に乗り出している。

 ウクライナ情報当局はWSJが確認した資料の中で、墜落したイラン製ドローンの部品のうち、4分の3は米国製との推定を示した。ウクライナ軍は複数のドローンを撃墜したほか、イラン製「モハジェル6」1機は当局が飛行中にハッキングし無傷で着陸させたという。

 部品の詳細はウクライナの軍情報部が特定し、首都キーウ(キエフ)を拠点とする非営利団体「独立反汚職委員会(NAKO)」が確認した。NAKOの報告書をWSJは閲覧した。
… 』

(※ 無料は、ここまで。)

「Rapidus(ラピダス)」設立 日の丸半導体、復活なるか

「Rapidus(ラピダス)」設立 日の丸半導体、復活なるか
https://wedge.ismedia.jp/articles/-/28544

『玉村 治 (スポーツ科学ジャーナリスト、科学ジャーナリスト)

トヨタ自動車やNTTなど国内企業主要8社が11月、人工知能(AI)、スパコンなどに使う次世代半導体の国産化を目指す新会社を設立した。かつて世界のトップを走った日本の半導体産業は、「失われた30年」と軌を一にするように凋落した。世界の冠たる技術力を誇りながら国際競争力で大きく取り残された日本。日本のモノづくり再興のけん引となるのか。過去の失敗を教訓とできるのか、今後を考える。
(Ismed Syahrul/gettyimages)

今や日本の半導体のシェアが6%となった背景

 新たな半導体製造会社は、ラテン語で「速い」を意味する「Rapidus(ラピダス)」。2社のほかにソニーグループ、NEC、ソフトバンク、キオクシアホールディングスに加え三菱UFJ銀行が参加する。

 現在、半導体の多くは、世界最大の生産拠点である台湾に依存している。有事があれば、多くの企業に甚大なる被害を与える可能性があるという、経済安全保障の観点が設立の背景にある。政府も補助金を出すなど官民一体となって支援し、さらに日米政府が連携を強化しながら、研究開発と量産を図っていく。

 果たして半導体産業の復興はなるのか。今後の日本のモノづくりの試金石となるのか、過去を振り返りながら展望したい。

 1980年代後半、バブルに沸いていた日本のモノづくりは、我が世の春のように世界を席巻した。その代表が、「産業のねじ釘」と言われた半導体だ。正式には集積回路(IC)という。

 半導体産業は、当時、世界トップを走っていた。1988年ごろの、半導体生産額世界トップ10社を見ると、NECを含め日本メーカーが名を連ね、日本のシェアは50%を超えていた。ところが、2020年時点の日本のシェアは10%にも満たない。現在は6%まで落ち込んだ。

 この間、半導体市場は4兆円(1998年)から60兆円(2020年)を超える巨大市場へと急成長した。ネット社会、デジタル社会の到来で、通信分野だけでなく、車をはじめ多くの製品に使われ、半導体需要が大きく膨らんだためだ。半導体不足が、車、電気製品の生産に影響しているように、今後も半導体市場は拡大することは間違いない。』

『しかし、日本は、この成長に大きく取り残された形だ。産業構造の変化に対応できなかった。市場が大きく変貌している様を見ずに、目先の価格競争やサプライチェーンの拡大ばかりに目を向けた。既存の製品のマイナーチェンジ、改良ばかりに目を奪われ、メモリからロジック(CPU)へと切り替わる時代の潮流をとらえることができなかったというわけだ。バブル崩壊の影響を受けて設備投資はほとんどなく、リストラなどが相次いだ。

 こうした凋落の背景を分析すると、いくつかの要因が考えられる。

凋落の教訓 日米半導体協定の足かせ

 一つ目は、米国の影響だ。1980年代半ば以降、車など日本製品が米国内でよく売れ、日米貿易摩擦が取りざたされた。日本車をハンマーで壊す映像が記憶に残る「ジャパン・バッシング」だ。

 半導体分野にも波及し、この摩擦を解消しようと1986年に締結されたのが、日米半導体協定だ。その前年には、プラザ合意で、日本からの輸入に不利な円高ドル安への為替介入が行われたが、日米半導体協定によって、日本は米製品の購入を迫られ、一方で日本製品に高い輸入関税などが課せられた。

 こうした逆境にもめげず日本は、DRAM(半導体メモリ)の製造力増強で対抗したが、90年代に入ると、米国メーカーは知的財産権への侵害を理由に、日本メーカーにジャブ攻撃を与えてきた。日本メーカーは、数千億円ともいわれる特許料を支払ったとされ、ただでさえ、バブル崩壊で屋台骨が揺らいだ日本メーカーには大きな痛手となった。

水平分業の失敗

 二つ目は、水平分業の失敗だ。日本メーカーは、半導体製品の設計から製造までを一貫して自社で行う「垂直統合」に固執した。米国では、コスト削減の観点から80年代後半、設計から製造までを一貫して行う「IDM」(Integrated Device Manufacturer)を脱皮し、工場を持たずICの設計・販売を行う「ファブレス」と、製造に特化する「ファウンドリ」という業態(水平分業)にシフトする構造改革が起きていた。

 一方、日本企業は、「せっかく工場があるのだからもったいない」というスタンスで、垂直統合を維持するため、目まぐるしく変化する半導体に合わせて設備を準備することに追われた。

 これに対し、米国で起こった構造改革の流れに乗ったのが、台湾だ。70年代から国策として半導体産業育成を目指していた台湾に87年、世界初のファウンドリとして創立されたのがTSMC(台湾積体電路製造)だ。

 テキサス・インスツルメンツ副社長だったモリス・チャン(張忠謀)が設立した。当初は、下請け的な存在だったが、アップルやグーグルと手を組むことで、今日世界をリードする世界最大のファウンドリの地位を不動のものにした。』

『部品屋脱出できず

 三つ目は、個々の部品の技術力はすごいが、それを統合して魅力的な商品(最終製品)を世に送り出せなかったことだ。端的な例がアップル社のiPhoneだ。最大iPhoneの6割近くが、日本のメーカーが作った部品なのに、それを集めてiPhoneのようなスマホを作れなかった。

 日本メーカーの状況を端的に示すのが次のエピソードだ。84年に、当時東芝の技術者だった舛岡富士夫氏は、世界で初めてNAND型フラッシュメモリを開発した。しかし、その重要性は正当に評価されず、舛岡氏は、東芝を辞し、東北大学教授に転身した。

 フラッシュメモリは、一瞬にしてデータを消すことができるところからそのように名付けられたが、舛岡氏が発明して以来、デジタルカメラや携帯電話や携帯音楽プレーヤーの主要部品となって今日に至っている。用途を見出したのも海外企業である。

 東芝でフラッシュメモリ開発に携わった元技術者の竹内健氏(現在、東京大学大学院教授)は、著書『世界で勝負する仕事術』の中で、開発したフラッシュメモリを、どう活用していくか、日米の技術者の発想、姿勢の差を以下のような趣旨で指摘している。

 「アップル社は、箱屋(部品を集めて仕上げ。セットベンダー)と呼ばれるが、技術者自らが商品の打ち合わせに参加した。『アップルに技術はない』は誤解。半導体技術を深くまで理解し、どう部品を組み合わせて活用していけば、新しい製品が作れるかを常に考えていた。メーカーに注文を出すくらい開発をリードした」という。

 一方で、「日本の顧客であるソニー、松下電器、富士写真フィルム社は、技術者でなく、部品調達の部門の人しか現れない。どんな製品を作るより、安く買うしか頭になかった」と振り返った。

 デジタルカメラからiPodの登場で、フラッシュメモリの需要は飛躍的に伸びたという。
内向き志向のままだった日の丸企業

 四つ目は、国内にばかり目を向け、海外企業と連携がなかったことだ。韓国も80年代半ばから政府の支援を受けてサムスンなどの財閥が半導体製造に乗り出した。日本と異なるのは、国内市場だけでは生き残れないと早い時期からシリコンバレーなどの海外ベンチャー企業と連携を深めていたことにある。

 その結果、サムスンは91年に世界初の「16M DRAM」を発売、翌年には「64M DRAM」の開発に成功。92年にはDRAM市場では東芝を抜いて、世界一に躍り出た。日本は、バブル崩壊で多くの技術者がリストラされ、トップ企業にいた70数人の技術者が高給待遇の技術顧問としてサムスンに移籍したのは、よく知られている。

 94年から95年にかけて、日本のNEC、東芝などはサムスンとの共同開発・製品情報の供与契約を締結。さらに96年には、通産省(当時)が「日の丸半導体」の優位性維持を狙い、コンソーシアム「半導体先端テクノロジーズ」を創設。日本メーカー以外に、サムスンの加盟を認めた。

 しかし、日本企業の動き、通産省の施策は、皮肉にもその後のサムソンの躍進の礎となった。経済安全保障の観点からは外れた施策といっても過言ではない。

 サムスンは、97年にアジアを襲った通貨危機で、巨大企業へと変貌を遂げる足がかりを得た。韓国政府は、世界通貨基金(IMF)支援の下、多くの財閥系企業を整理するとともに、倒産寸前だったサムスンらに公的資金を投入した。海外に目を向ける改革を行う一方で、サムスンは2000年代に入ると液晶ディスプレイ(LCD)事業や携帯電話事業へ本格的に投資した。

 一方、日本は迷走した。国内大手企業は、半導体事業を切り離して連携し、エルピーダメモリ、ルネサンスエレクトロニクスなどを設立した。それら〝日の丸企業体〟は度重なる経済危機によって、撤退(倒産)やリストラに見舞われた。価格と開発スピードに勝る、韓国、台湾企業との競争に敗れた形で、再び、多くの技術者が転職を余儀なくされ、海を渡った人も少なくなかった。

 サムスンは2009年薄型テレビ、半導体メモリで世界トップとなり、世界最大のIT・家電メーカーとなった。携帯電話も2位のシェアを誇り、白物家電も上位を占め、日本のお株を奪った。

 この間、日本政府は、明確な施策を打ち出せなかった。韓国、台湾だけでなく中国も大規模な補助金、減税を実施、国内産業を育成した。日本企業も、バブル崩壊による、デフレマインドが長引き、新たな投資に資金を回せなかった。』

『日本政府は本気か?

 日本凋落の背景をみると、負けるべくして負けたといえる。後出しじゃんけんで言い訳は可能だが、その時は、状況を読めなかったということだ。こうした反省を踏まえ、復興に生かすのか。

 政府は21年6月に今後のデジタル、半導体の方針をまとめた「半導体戦略」を策定した。半導体はあらゆる産業に関連し、デジタル社会を支える重要基盤であり、安全保障にも直結する死活的に重要な戦略技術と位置づけ、政府として積極的に関わっていくことを強調した。米中技術対立が深刻化し、経済安全保障の観点から半導体の国産化への宣言である。

 政府は5月に成立した経済安全保障推進法を受け、日本の経済・社会の戦略的な「特定重要物資」に半導体を盛り込んだ。その流れの中で、経済産業省は6月、TSMCとソニーグループなどが熊本県に作る工場に、最大4760億円の補助金を出すことを決めた。さらに、政府はキオクシアや米マイクロン・テクノロジーの国内工場への投資計画にも支援を表明している。

 国内生産回帰は、半導体製造能力で、米国、韓国、台湾に大きく差をつけられる中、国内で半導体を自給的に安定確保できる体制作りをする狙いがある。

 7月には、米国と半導体分野で共同研究を進めることで合意した。産業技術総合研究所、理化学研究所、東京大学などと研究開発組織を創設する。米企業はIBMなどが参画する。

 政府は、11月初旬に発表した22年度の2次補正予算案で、この日米連携を後押しする意味で、研究拠点整備に約3500億円を計上した。今回設立されたラピダスは、AI、スパコンなどに使われる、回路の線幅2ナノメートルの最先端の半導体(ロジック半導体と呼ばれる)開発を目指す。

 まだ世界でどこも成功していないもので、再び世界の主導権を握る考えだ。政府は700億円を出資する。

 日本の半導体生産は、世界からみて遅れているが、日本の技術が決して世界に劣っているわけではない。生産体制のアップデート、部品を良質な最終製品につなげる橋渡し、国際連携など失われた30年時代の〝失敗〟をどう生かすか。世界の潮流を見極める洞察力も問われている。

 米国との連携を図りながら、内向きだった過去の轍は踏んではならない。ただ、米国も半導体産業の国内回帰を目指しており、これにつられ、日本の強みである半導体製造装置、材料部品工場が拠点を移すことも否定できない。懸念も山積するが、状況を見極めることも大事だろう。
モノづくり再興になるか

 省エネに貢献した日本の技術は、SDGs、GX(グリーントランスフォーメイション)の技術でも貢献できる、強い分野である。そういう意味で、モノづくりにこだわらない、モノづくりなど発想の転換、パラダイムシフトが必要なのかもしれない。

 先ほども触れたが、ラピダスは、「速い」を意味する。名前の意味するところを解すれば、かつて「速さ」を売りに世界市場にでていたのが、韓国、台湾。その速さを見習うと同時に、世界最速の小型の半導体を開発しようという意欲の表れでもある。

 大事なのは、政府を含め官民一体となって、日本のモノづくりを見直し、再考する絶好の契機をものにし、将来につなげることだろう。』

オランダASML、韓国に技術拠点 半導体装置の性能向上

オランダASML、韓国に技術拠点 半導体装置の性能向上
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM156W60V11C22A1000000/

『【ソウル=細川幸太郎】オランダの半導体製造装置大手ASMLは15日、韓国に技術拠点を設けると発表した。製造装置の性能を高める「再製造」と呼ぶ工程を担い、顧客企業への技術支援も施す。米中の技術覇権を巡る対立で半導体の先端分野が焦点となるなか、ASMLは台湾や韓国などに技術拠点を設けて顧客企業と綿密な協業体制を敷く。

ソウル郊外の華城(ファソン)市に計2400億ウォン(約250億円)を投じ、敷地面積1万6千平方メートル規模の技術拠点を建設する。16日に起工式を開き、ASMLの最高経営責任者(CEO)も出席する。2024年下半期の稼働を目指す。製造装置の修繕・改良のため顧客企業のほか、韓国のサプライヤーとの協力も進めるという。

ASMLにとってサムスン電子とSKハイニックスという大手メーカーを抱える韓国は足元の売上高で3割超を占める重要市場だ。台湾積体電路製造(TSMC)が生産拠点を持つ台湾(4割超)に次ぐ規模だ。ASMLは今後10年間で韓国で1400人を追加雇用する方針を示しており、研究開発拠点の新設も検討するという。

ASMLはシリコンウエハーに半導体の回路パターンを形成する「露光」と呼ぶ重要工程を担う製造装置の世界最大手。キヤノンやニコンなど日本勢との技術競争に打ち勝ち、先端半導体の製造工程に不可欠な装置を一手に手掛ける。

米アプライドマテリアルズや米ラムリサーチ、日本の東京エレクトロンなど半導体製造装置の世界大手も次々と韓国に研究開発拠点を設けている。サムスンやSKなどの生産技術の開発部隊と共同で先端技術の開発プロジェクトに取り組む。

これら半導体装置メーカーが持つ先端技術について、米政府は中国への流出に目を光らせている。日米欧の装置メーカーとしては中国への輸出が難しくなる中で、中国以外の顧客との関係を深めて中国向けの減収分を補う狙いもある。

この記事の英文をNikkei Asiaで読む
Nikkei Asia https://asia.nikkei.com/Business/Tech/Semiconductors/ASML-plans-new-chip-equipment-hub-in-South-Korea2?n_cid=DSBNNAR 』

https://nkis.nikkei.com/pub_click/174/jzzK0w_5tKYcXx9cmlxElaUFI2dpkV4_wYHMK7RX23joPVV-2w57U9YOqoUKyzBsfuMx57aQAF9J49i4nkR7e2c_3ZlSL9l1VRCKAvCcFNFYlu-5IQwEnCNKAvRNp58Lz0CaN7XNFelD_4JL65a-23mF21gKBOIe4qG0DLSMLGgc-RMVk2Y_lZSJwDSlZZ6Si4h0MIQaRNPMko1Ttx2AeTrkmAwA8wRRpMfVZ_0jcSy8jPcGYJFAsy3PHvE3_L_SzR4pWAa9kbykGIIGFFdQrE6f-wowI1zqxzQfa-9-vhJv40yaslPhP2IylaToWgffUO569FkaKh0Hj2pK8VLMJYQtAPGBqrA-8cPOEZ-0_HObgBX3oFf_Tp2roRlTP0Jd4WLast4jaCiAe8A3ZeuUCw1dDgUlTNF_AxZ6TUS-yrqWcxQWesyKaM3HrWan5vKzkKK0f_VmtykcXQgkSqwdOKt419Lbum1m3PE_JIiGy7ZFEthdLc3lEABsFt0//117478/146499/https://www.nikkei4946.com/studyum/?waad=KhIY4Ffy 

トヨタやNTTが出資 次世代半導体で新会社、国内生産へ

トヨタやNTTが出資 次世代半導体で新会社、国内生産へ
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC09DWY0Z01C22A1000000/

『スーパーコンピューターや人工知能(AI)などに使う次世代半導体を国内で量産する体制作りが動き出す。トヨタ自動車やNTT、ソニーグループなど日本企業8社が新会社を設立し、2020年代後半に向けて製造技術の確立を目指す。政府も補助金を通じて支援する。台湾に生産を依存している半導体は、日米が経済安全保障の鍵と位置づける。日米で連携して進める次世代品の研究成果を生かし、国内での安定供給体制を築く。

新会社にはほかにNECやソフトバンク、デンソー、キオクシアホールディングスが、それぞれ10億円程度を出資する。三菱UFJ銀行も参加する。ラテン語で「速い」を意味する「Rapidus(ラピダス)」という新会社を設立済みで、今後も企業の出資や協力を募る見通しだ。東京エレクトロンの前社長、東哲郎氏らが設立を主導した。

「ビヨンド2ナノ」と呼ばれる次世代の演算用のロジック半導体の製造技術を確立し、2020年代後半に向けて製造ラインの構築を目指す。30年ごろには半導体を設計、使用する企業から製造を受託する事業への参入を目指す。

次世代半導体を巡っては、地政学リスクの高まりから、台湾などに偏在する製造能力を自前で確保する必要性が高まっている。次世代ロジックは素子の構造などを変える必要がある。技術的な移行期にあたるため、先行企業から巻き返しを図る機会として、必要な量産技術を確保する。

日本と米国は次世代半導体分野の研究開発での協力で合意している。2022年度の2次補正予算案では日米連携の研究拠点整備に約3500億円を計上した。拠点は年内にも設置され、国内外の企業や研究機関とも連携する見通し。萩生田光一前経済産業相が訪米し協力を確認した米IBMやベルギーの研究機関imecなどが候補にあがる。

新会社ラピダスはその研究成果を量産につなげる役割を担う。次世代品の生産に必要な技術の確立に取り組み、製造能力を確保する。新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が公募している先端半導体の製造委託事業として応募しており、700億円の支援が決まっている。

ロジック半導体はスマートフォンやデータセンターなどの処理性能を左右する。高度な通信網や完全自動運転にとっても、高い演算性能を持つ半導体や関連技術が重要になる。事業会社にとっては出資を通じ、先端分野の開発・製造技術に携わるのが将来の競争力にとっても有利に働くと判断したようだ。

ロジック半導体は回路幅が小さいほど性能が高く、先端品では数ナノ(ナノは10億分の1)メートル単位に微細化した。台湾積体電路製造(TSMC)と韓国サムスン電子は3ナノ品の量産技術を確立し、2ナノ品も25年に量産する計画だ。

日本で稼働するロジック半導体の製造ラインは最新でも40ナノ品で、10年代の先端開発競争では海外勢の巨額投資を前に、追従できなかった。熊本県に誘致し工場建設が続くTSMCの拠点では12~28ナノ品の製造を計画するなど、製造基盤の確保を急いできた経緯があった。

日本は研究や製造を巡る国際協調を進める一方、先端ロジックの開発や製造投資に主体的に携われる企業が不在だった。長く東京エレクトロンのトップを務め、米装置企業との統合交渉にあたった東氏や、米ウエスタンデジタルの日本法人トップを務めた小池淳義氏など、国際色の強い経営経験者が中心となって、先端開発の中心となる体制を整える。

焦点となるのはエンジニアの確保だ。先端技術や製造工程の経験を持つエンジニアが欠かせない。半導体関連企業などの協力を得る必要があり、すでに複数の企業が人材協力などで打診を受けているもようだ。

【関連記事】

・次世代半導体、日米研究拠点に3500億円 2次補正予算案
・岸田首相「次世代半導体に1.3兆円」 民間投資呼び込み
・「SiC」「GaN」次世代パワー半導体勃興 脱炭素のカギ

この記事の英文をNikkei Asiaで読む
Nikkei Asia
多様な観点からニュースを考える

※掲載される投稿は投稿者個人の見解であり、日本経済新聞社の見解ではありません。

中山淳史のアバター
中山淳史
日本経済新聞社 本社コメンテーター
コメントメニュー

ひとこと解説

半導体の世界シェアが10%を割り込んでいる日本にとっては画期的な動きです。背景には台湾有事の懸念や中国のハイテク・防衛分野での急速な台頭があり、米国が日本の復活を望んでいるという点を見落とせません。「ビヨンド2ナノ」は性能が良すぎてスマホだけではもったいない技術です。日本に課せられているのは、アプリケーション、すなわち用途開発であることも間違いありません。
2022年11月10日 19:22 (2022年11月10日 19:23更新) 』

ドイツ、中国による国内半導体企業への投資を阻止

ドイツ、中国による国内半導体企業への投資を阻止
https://jp.reuters.com/article/germany-china-idJPKBN2S0078

『[ベルリン 9日 ロイター] – ドイツ政府は9日、国内半導体メーカー2社に対する中国の投資を阻止したと明らかにした。ドイツでは中国からの投資を巡り、重要な技術の中国への流出や国家安全保障を巡る懸念が強まっている。

政府が阻止した案件の1つは、中国のサイ・マイクロエレクトロニクス(賽微電子)の子会社であるスウェーデンのシレックスによるエルモスの半導体工場の買収。エスモスはドルトムントを拠点としている。

政府筋がロイターに語ったところによると、もう1つの案件は、バイエルン州を拠点とするERSエレクトロニックに対する中国の投資。ERSの広報担当者は、自社を売却する計画はないが、中国のプライベートエクイティ(PE)会社から投資を受ける選択肢を検討していたと話した。

ドイツのハーベック経済・気候保護相は声明で企業買収について、重要なインフラが対象となっている場合や、技術が欧州連合(EU)以外の国へ流出する恐れがある場合には、入念に審査する必要があると指摘。「特に半導体部門では、ドイツと欧州の技術的かつ経済的な主権を守ることが重要だ。無論、ドイツは投資に開かれた姿勢を維持するが、無邪気ではない」と表明した。

中国外務省の報道官は定例の記者説明で、エルモスとERSの具体的な件については承知していないとした上で、「ドイツを含む全ての国々は、中国企業が通常の事業を行える、公平で開かれ、差別のない市場環境を提供すべきであり、通常の経済・貿易協力を政治化することは控えねばならない。国家安全保障を根拠とする保護主義については言うまでもない」とけん制した。』

中国への半導体規制 米国の照準、まず日本とオランダ

中国への半導体規制 米国の照準、まず日本とオランダ
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN050I10V01C22A1000000/

『【ワシントン=飛田臨太郎】米国が同盟国に導入を求める先端半導体の対中輸出規制について、レモンド米商務長官は「日本とオランダが私たちに追随するだろう」と明言した。両国に照準を合わせ、早期に同調するよう圧力をかけた。

3日の米CNBCのインタビューで語った。具体的な中身は触れなかった。米政府高官が対中輸出規制で個別の国を名指しして連携を求めるのは初めてとみられる。

バイデン米政権は10月から半導体の先端技術や製造装置、関連人材について、中国との取引を事実上、禁じた。この規制には、外国企業でも米国の技術を使っていれば半導体の輸出を認めない措置が入った。

米国企業は先端半導体を作るためのソフトウエアや設計ソフトに強い。韓国や台湾の企業はこうした米技術を使った製品を扱うケースが多く、すでに規制の網が一定程度、かかっている。

矛先が日本とオランダに向かったのは、米の規制が及ばない半導体製造装置で強みを持つためだ。両国の企業は米技術に頼らず造れる製品があるとみられる。

世界の半導体製造装置市場は、首位の米アプライドマテリアルズ、2位のオランダ・ASML、3位の東京エレクトロンなどが競り合う。

東京エレクトロンは半導体ウエハーに特殊な薬剤を塗って回路を形成する機器で世界シェアの9割、ウエハー表面に薄い膜をつくる機器でも4割近いシェアがある。2022年3月期の連結売上高約2兆円のうち、中国向けは4分の1(5135億円)と、韓台を上回る最大の顧客だ。

米国半導体工業会(SIA)のグッドリッチ副会長は4日「米国企業が海外の競争相手に市場シェアを奪われないように、同盟国にはすぐに賛成してほしい」と訴えた。日本とオランダの2社が念頭にあるとみられる。

レモンド氏は「ホワイトハウスは同盟国を取り込むために懸命に動いている」と強調した。欧州連合(EU)や韓国も含め幅広く協力を求めていく構えだが、日本とオランダが最優先となる。

米紙報道によると商務省の高官が今月中にオランダを訪問する。近く日本とも本格的な協議に入る可能性が高い。

半導体製造装置の対中輸出を制限すれば日本経済への影響は大きい。半導体製造装置の輸出額は1~9月におよそ3兆円となり、前年同期比3割近く増えた。10年前からは3倍に急拡大した。

自動車部品(約2.8兆円)を上回り、鉄鋼(約3.5兆円)に次ぐ規模に成長した。輸出全体の4%超を占める。そのうち中国向けは9700億円ほどで10年前の7倍超に増えている。

米国の半導体規制の目的は安全保障だ。先端半導体の優劣は「極超音速ミサイル」や精密誘導兵器など最新軍事品の開発競争に直結する。レモンド氏は「我々は中国に先んじる必要がある。彼らの軍事的進歩に必要なこの技術を与えてはならない」と説明した。

「これまでにおこなった中で最も戦略的で大胆な行動だ。完全な遮断だ」と強調した。日本は米国と同盟関係にあり、安全保障上の中国の脅威の認識を共有する。台湾で有事があれば共同で対処する可能性がある。

経済産業省は米国の規制の影響などに関して日本企業へのヒアリングを進めるとともに、今後とりうる選択肢を協議している。同省関係者はレモンド氏の発言を受け「米国とは日常的に意見交換している」と述べた。

米国からの打診の有無については「外交上のやりとりなのでコメントできない」と述べるにとどめた。西村康稔経済産業相は4日の記者会見で今後の対応を問われ「適切に対応していきたい」と語っていた。
この記事の英文をNikkei Asiaで読む
Nikkei Asia
クリックするとビジュアルデータへ
半導体が分かる 3 「ムーアの法則」の先へカギ握る製造装置
多様な観点からニュースを考える

※掲載される投稿は投稿者個人の見解であり、日本経済新聞社の見解ではありません。

鈴木一人のアバター
鈴木一人
東京大学 公共政策大学院 教授
コメントメニュー

分析・考察

「バイデン米政権は10月から半導体の先端技術や製造装置、関連人材について、中国との取引を事実上、禁じた」とはあるが、これは原則米国市民や米国企業を対象としたものであり、日本の企業に直接影響する規制ではない。ゆえに米国は日本にも同様の措置を求めているわけだが、それは対中半導体輸出規制を徹底するだけでなく、米国企業と同じ競争条件で中国に関わるようにする、という話でもある。
2022年11月5日 21:57 』

米商務長官、対中半導体規制「日本も追随するだろう」

米商務長官、対中半導体規制「日本も追随するだろう」
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN04D3L0U2A101C2000000/

『【ワシントン=飛田臨太郎】米国のレモンド商務長官は米国政府が始めた先端半導体の対中輸出規制について日本も追随するとの考えを示した。「日本とオランダが私たちに追随するだろう」と述べた。3日の米CNBCのインタビューで明らかにした。

米政府高官が対中輸出規制での連携について具体的な国名を明言したのは初めてとみられる。日本政府は米国からの打診を受けて、どのような内容なら追随できるか議論している。レモンド氏は具体的な中身については言及しなかった。

米国は10月から半導体の先端技術をめぐり中国との取引を幅広く制限する措置を始めた。製造装置や関連人材も含めて中国との事業を事実上、できなくした。レモンド氏は「これまでにおこなった中で最も戦略的で大胆な行動だ。完全な遮断だ」と強調した。

先端半導体の優劣は「極超音速ミサイル」や精密誘導兵器など最新軍事装備品の開発競争に直結する。レモンド氏は「我々は先んじる必要がある。彼らの軍事的進歩に必要なこの技術を否定する必要がある」と意義を説いた。

米産業界からは米国企業だけが不公平な競争環境に置かれるとして不満がでている。レモンド氏は「他の国も続くだろう」と理解を求めた。「国家安全保障のミッションを成し遂げ、米国企業を罰することのないよう的を絞っている」と説明した。

【関連記事】米国、対中半導体規制に追随求める 日本など同盟国に

すべての記事が読み放題
有料会員が初回1カ月無料 https://www.nikkei.com/r123/?ak=https%3A%2F%2Fwww.nikkei.com%2Farticle%2FDGXZQOGN04D3L0U2A101C2000000&n_cid=DSPRM1AR08 』

中国半導体、米規制で自立に逆風 先端品欠き成算見えず

中国半導体、米規制で自立に逆風 先端品欠き成算見えず
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM01AW50R01C22A1000000/

『【上海=多部田俊輔】中国の半導体関連メーカーが、技術開発の加速や増産対応を相次ぎ表明している。米国による輸出規制の強化を受け、習近平(シー・ジンピン)総書記(国家主席)は「ハイテクの戦いで勝利せよ」と強調。半導体自給率の引き上げに力を入れる。ただ規制対象は人にも及び、足元では米国籍の企業幹部の流出が始まった。習氏が目指す「科学技術の自立自強」への道のりは容易ではない。

「スマートフォンに使う半導体でシェアを拡大し、次世代の超高速通信規格『6G』の核心技術でも世界の先進レベルを持続していく」。中国のスマホ向け半導体大手、紫光展鋭の呉勝武・董事長は1日、今後の成長に強い意欲を示した。

紫光展鋭によると、スマホ向け半導体のシェアは約11%。台湾の聯発科技(メディアテック)、米クアルコム、米アップルに次ぐ4位。設計に関して、半導体の回路線幅が6ナノ(ナノは10億分の1)メートルの先進技術も保有し、米国が警戒する。

半導体業界の国際団体「SEMI」の中国組織が上海で1~2日に開いた国際会議。例年は3月に展示会を開くが、新型コロナウイルス禍で、今年は会議だけが開かれた。会場には、呉董事長をはじめ中国半導体関連企業の幹部が参加し、熱弁を振るった。

習指導部が、ハイテク産業の振興策「中国製造2025」を発表し、10%にとどまっていた半導体自給率の向上を掲げたのは15年のこと。米調査会社インターナショナル・ビジネス・ストラテジーズ(IBS)が6月にまとめた報告書によると、半導体自給率は21年に24%まで向上。その後も上昇を続け、30年には50%を突破すると予測されていた。

だが米政権が打ち出した半導体の対中規制の強化により、そのシナリオには強い逆風が吹く。設計分野では、紫光展鋭など回路線幅が10ナノ以下の最先端商品の開発に成功していたが、米政権は中国国内での製造を食い止める方針だ。

製造分野では半導体受託製造最大手、中芯国際集成電路製造(SMIC)は14ナノ程度まで実用化し、半導体製造設備大手の中微半導体設備も5ナノに対応した設備の納入を実現。拓荊科技も10ナノ以下の技術開発を進めており、米政権の危機感は募っていた。

そんななか、インパクトのある規制が課された。米政権は10月、先端半導体を生産する中国企業に製造装置や部品、技術を提供することを制限したのだ。中国の半導体関連企業で、米国民と米国の永住権保持者が働くことも審査の対象とした。

実は、中国の半導体分野の企業では米国籍や永住権を持つ中国人の存在感が大きい。一部メディアによると、SMICの創業メンバーで現在は半導体大手の幹部を務める張汝京氏は米国籍として知られる。半導体業界に詳しい政府幹部は「半導体人材は米国の大学院、米国企業を経て中国に帰国する例が多かった」と存在感の大きさを語る。

すでにSMICをはじめ中国の半導体企業では、米国籍や台湾籍などの幹部の退任が相次ぐ。米中対立の先鋭化を受けて「中国の半導体企業から米国籍など海外の優秀な人材が離れてしまう恐れがある」(同)との懸念が現実のものになり始めた。

中国国内の有力半導体工場が調達する設備での国産比率は2割にとどまる。半導体の増産や先端技術開発は、海外の装置や技術、人材に依存してきたのが実態だ。今後、半導体製造装置の調達に支障が出れば、半導体の増産そのものがおぼつかなくなる事態に陥る。
多くの中国企業が半導体製造装置を手掛けている(10月28日、江蘇省無錫)

米国側の戦略は、軍事などへの転用が可能な最先端半導体の現地生産を許さないことを最重視する。この領域で覇権を握る限り、米国は中国よりも優越的な地位を堅持できるからだ。ヒト・モノを抑えられた中国が短期的に巻き返すことは現実的ではない。

「半導体は米国との科学技術の戦いの最前線だ」。中国の半導体業界団体幹部の葉甜春・秘書長は10月下旬のイベントでこう強調した。現時点で中国が米国に打ち勝つシナリオは想定しにくいが、産業・軍事の核となる半導体でしのぐことなしに、米中逆転は成し遂げられない。「自立自強」に近道はなく、長い時間をかけて技術に磨きをかける必要がありそうだ。

この記事の英文をNikkei Asiaで読む
Nikkei Asia https://asia.nikkei.com/Politics/International-relations/US-China-tensions/U.S.-tech-curbs-threaten-China-s-quest-for-chip-independence?n_cid=DSBNNAR 

多様な観点からニュースを考える

※掲載される投稿は投稿者個人の見解であり、日本経済新聞社の見解ではありません。

鈴木一人のアバター
鈴木一人
東京大学 公共政策大学院 教授
コメントメニュー

分析・考察

確かに中国が人もモノも新しく獲得できなければ、半導体分野の飛躍的な進展というのは期待出来ないだろう。しかし、それは中国がジワジワと技術力を身につける機会を胎教することにもなる。短期的には中国の成長を抑え、その間に西側諸国の技術を進歩させることで格差を開くことは出来るが、長期的には中国の研究開発能力を一層強化させるという可能性もある。まあ、半導体の世界は栄枯盛衰と言うところもあるので、そうした循環の中でいずれ中国も台頭してくるだろうけど。
2022年11月4日 1:40 』