50万円の中国激安EV「宏光MINI」ブーム終えんか。3月の販売44%減

50万円の中国激安EV「宏光MINI」ブーム終えんか。3月の販売44%減
https://news.yahoo.co.jp/articles/848fc2e0b0ecac88e0ca3af2c46a0ca0661a3569

『中国の自動車メーカー「上汽通用五菱汽車(SGMW)」の超小型電気自動車(EV)「宏光MINI EV」は、2020年7月に市場に投入されて以降、長期間にわたって中国の新エネルギー車(NEV)市場のトップに君臨してきた。宏光MINI EVは、2万8800元(約57万円)からという格安価格に加え、全長3メートル未満・ホイールベース2メートル未満の小さなボディで、超小型EVブームを巻き起こし、「神車」と呼ばれた。公式発表によると、同車の最高月間販売台数は5万600台、NEV販売台数ランキングで28カ月連続1位を達成している。

ところが、宏光MINI EVの販売台数は22年末以降、減少に転じている。23年1~4月の販売台数は前年同期比26.5%減の8万7900台だった。うち、3月の販売台数は前年同月比44.8%減と、中国自動車市場で最大級の落ち込みを見せた。

市場全体の見通しも楽観視できない。中国で「A00クラス」と呼ばれる小型NEVセダンの23年1~3月期の販売台数は前年同期比55.1%減の13万1000台で、全クラスで最大の落ち込みとなっている。小型NEVに対する熱は冷め始めたようだ。

しかも、宏光MINI EVと競合する車種は多い。例えば、吉利汽車(Geely Automobile)の「熊猫mini」、長安汽車(Changan Automobile)の「Lumin」、BYDの「海鴎」などだ。

日本経済新聞によると、名古屋大学は同車を分解・調査したところ、SGMWがコスト抑制のため、エネルギー回収システムを採用せず、寿命が短いインバーターと、安価なコンシューマー向け半導体を搭載したことが明らかになった。それでも、車全体の基本コストは2万6900元(約53万円)に達し、1台あたりの利益はわずか88元(約1730円)しかなかったという。財通証券(Caitong Securities)による別の試算では、同車1台当たりの粗利益率は2~3%だという。

*2023年5月24日のレート(1元=約19.7円)で計算しています。

(36Kr Japan編集部)』

中国の不動産向け不良債権、4大銀6割増 直近10年で最大

中国の不動産向け不良債権、4大銀6割増 直近10年で最大
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM124EV0S3A410C2000000/

『【香港=伊原健作】中国の銀行で不動産業界向けの不良債権が増え続けている。2022年末時点で中国工商銀行など4大銀行の残高は前年比6割増え、直近10年で過去最大になった。不良債権を処理する政府系資産会社の業績悪化も鮮明で、中国恒大集団の経営危機から1年以上たつ今も火種がくすぶる。米地銀破綻や欧州のクレディ・スイス救済問題に続き、世界の金融システムを揺さぶるリスクになっている。

不動産投資は中国のG…

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『不動産投資は中国のGDPの3割程度を占めると言われ、経済への影響が大きい。香港証券取引所に上場する主要32行の22年12月期決算を集計したところ、不動産向け不良債権は2640億元(約5兆1千億円)と1年前に比べ7割弱増えた。うち長期で比較できる四大銀行では約1800億元と6割増え直近10年で最大となり、この数年は1?3%台で推移していた不良債権比率(不動産向け)も5.8%まで急速に悪化した。

一部の銀行が直近で発表した1?3月期決算でも傾向は不変だ。準大手の招商銀行が4月後半に開示した決算では、不動産向けの不良債権は152億元と昨年末に比べ15%増えた。

中国は20年に不動産大手を対象に負債額に厳しい上限を設けるなどの「3つのレッドライン」と呼ぶ規制強化を実施した。企業の資金繰りが悪化し、21年12月に恒大集団がデフォルト(債務不履行)に陥るなど危機が広がった。過剰債務の適正化を目指す施策だったが、銀行の不良債権が膨らむ結果を招いた。大手行以外も厳しく、地方地盤の貴州銀行は昨年6月時点で0%台の不動産向け不良債権比率が20%台に悪化した。

中国では主要70都市の新築マンション価格が2月に1年半ぶりの上昇に転じるなど楽観的な見方もある。ただ日本総合研究所の関辰一・主任研究員は「住宅購入意欲の強い25?34歳の人口は減少に転じ、市場が勢いを取り戻すのは構造的に難しい」と話す。「不動産は回復途上で問題解決にはより多くの時間を要する」(中国銀行のリスクマネジメント担当役員、劉堅東氏)との声もある。

各行は不良債権の圧縮を急ぐ。甘粛銀行の決算書によると昨年6月と12月にオークションを実施し、政府系資産管理会社などに総額27億元超の不良債権を売却した。21年末時点の不良債権残高全体の約7割に当たる規模だ。浙江省の浙商銀行も昨年に約28億元分の不良債権を証券化したほか、約49億元分を第三者に譲渡したと開示した。

もっとも「リスクが不良債権の受け皿会社に転嫁されている面がある」(日本総研の関氏)。中国ではAMCと呼ばれる資産管理会社が銀行から不良債権を買い取り、再生して転売する。大手の中国華融資産管理は22年12月期の最終損益は赤字に転落し、同業の中国信達資産管理も純利益が半減した。いずれも不動産価格下落の影響で多額の減損損失を計上した。

格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスは4月、AMC大手の華融の長期発行体格付けを「Baa3」(トリプルBマイナス相当)に1段階格下げした。今後も「多くの民間不動産会社はストレスを抱え、業界へのエクスポージャー(投資・事業資産残高)は圧力に直面するだろう」と指摘した。

華融など大手AMCは1990年代に四大銀の不良債権処理のため設立された。13年以降は多数の地方政府系AMCが設立され、後ろ盾となる地方政府自体の財政悪化が深刻だ。貴州省では4月、政府の公式ホームページに一時「財源は限られ、債務の救済作業を進めることは非常に困難」として中央政府の支援が必要とする文書が掲載された。現在は削除されている。

AMCにも資本の制約があり、不良債権を処理し続けるのには限界がある。不動産以外も含めた全体の不良債権比率(32行ベース)は平均1.6%台にとどまるが、政府は昨年末から不動産会社の資金調達規制を一部緩和し、市況が回復しなければ不良債権がさらに増える可能性がある。

S&Pグローバルは中国で不動産向け不良債権が24年まで増え続けるとみる。米欧でも米シリコンバレーバンク破綻などを機に商業用不動産に流れ込んでいたマネーが逆回転する懸念があり、世界的に不動産投資への警戒が強まっている。

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柯 隆
東京財団政策研究所 主席研究員
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分析・考察実態はもっと深刻なはずである。不動産向けの不良債権はいわれているより遥かに多い。デベロッパーの借り入れは焦げ付いているだけでなく、個人の住宅ローン返済も滞っているケースが急増。競売に出されている物件が増えている現実から簡単に想像できる。ゼロコロナ政策によってサービス業が直撃され、廃業に追い込まれている会社は急増した。これらの不良債権をいかにreperformしていくかについてテクニカルな問題だけでなく、政府の支援が求められているが、中央財政も地方財政も困窮している。AMCは簿価で不良債権を買い取る余力がない。時価で買い取ると、銀行のバランスシートに穴が開いてしまう
2023年5月15日 6:49』

習近平氏と徳川家康の分かれ道 力に頼る政治の限界

習近平氏と徳川家康の分かれ道 力に頼る政治の限界
風見鶏
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCD080TG0Y3A500C2000000/

『4月末に訪れた静岡県の浜松市は、大勢の観光客でにぎわっていた。お目当てはもちろん、大河ドラマで脚光を浴びる徳川家康が築いた浜松城である。

家康は29歳からの17年間をここですごし、天下人への足がかりをつかんだ。浜松城は江戸時代になってからも歴代の城主が相次いで幕府の要職に就き、いつしか「出世城」の異名を持つようになったという。

城内のあちこちで外国人の姿を見かけた。「入場券はどこで買えますか?」。1958年に再建された天守閣を支える石垣の前では、中国人の女性が係員に英語でたずねていた。

家康が中国で最も有名な日本人のひとりであると聞けば、驚く人もいるかもしれない。

2007年に出た山岡荘八の小説「徳川家康」の中国語版が、累計で200万部を超すベストセラーになり、人気に火をつけた。

小国のあるじにすぎなかった家康が戦乱の世を生き抜き、ついには天下を取る。何度もくじけながら耐え忍ぶその生きざまは、立身出世の物語を好む中国人の心を捉えて放さない。

中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席も「徳川家康」を読んだだろうか。ふたりはどこか似たところがあるような気がする。

まず、生い立ちだ。家康は岡崎城主の嫡男として生まれた。習氏は元副首相の習仲勲氏を父に持つ。ともに名門の出で、農村からはい上がった豊臣秀吉や毛沢東とは明らかにちがう。

若いころ苦労したのも同じだ。家康は6歳で人質に出され、異郷の地で育った。習氏は文化大革命のさなか、15歳で黄土高原の谷あいにある小さな村に送り込まれ、およそ7年間を洞穴式の住居ですごした。

権力を握ったあとのふるまいも似る。家康は1614〜15年の大坂の陣で豊臣家を滅ぼした。

たとえ天下を取っても、自らの支配を脅かすおそれがある勢力は徹底的にたたく。そうした姿勢は2022年の中国共産党大会で、当時の李克強(リー・クォーチャン)首相や胡春華(フー・チュンホア)副首相らを指導部から締め出した習氏にも通じる。

徳川の世が永遠に続くようにするにはどうすればいいか。家康はそこに知略のかぎりを尽くした。

中国共産党の指導を貫徹するには何が必要か。習氏はそれに心血を注ぐ。

ふたりの人物像は、やはり多くの点で重なるのではないか。日本総合研究所の呉軍華・上席理事に意見を求めると「家康と習氏には決定的な違いがある」との答えが返ってきた。

「家康が基礎を築いた徳川家の統治は、独立した藩を幕府が束ねる封建制(幕藩体制)のうえに成り立っていた。一方、習氏はあらゆる権限を自らに集めようとしている」

家臣の進言をよく聞き、細事にはこだわらなかった家康。党の指導を絶対と考え、社会の隅々にまで自身の意向を行き渡らせようとする習氏。呉氏の目には、ふたりが異なるタイプの指導者に映る。

国際日本文化研究センターの磯田道史教授は著書で家康を「織田信長のように『力の原理主義者』にはならなかった」と評す。

引き締めすぎず、緩めすぎず。力に頼るばかりでなかった家康流の統治がしみ渡っていたからこそ、江戸幕府は265年の長きにわたって続いたのだろう。

そういえば、岸田文雄首相も「徳川家康」の愛読者だと聞く。

岸田氏と習氏のどちらが家康により近いか。その答えは日本と中国だけでなく、混迷する世界の行方をも占うカギになる。

(編集委員 高橋哲史)』

【中国ウオッチ】元閣僚級らがまたも急死 習政権3期目も反腐敗厳しく

【中国ウオッチ】元閣僚級らがまたも急死 習政権3期目も反腐敗厳しく
https://www.jiji.com/jc/v8?id=2023-04-28-chinawatch

『2023年04月28日13時00分

中国で元閣僚級高官と次官級の現職幹部が同じ日に急死した。いずれも「不幸な他界」とされているが、実際には汚職捜査の対象になったことを苦にして自殺したとみられる。習近平国家主席(共産党総書記)が続投を目指していた昨年春から夏にかけて高官の自殺が相次いだが、習政権が3期目に入ってからも「反腐敗闘争」を口実とする党内の粛清は続いているようだ。(時事通信解説委員 西村哲也)

後任の李強首相と明暗

 上海市に隣接し、南京市を省都とする江蘇省は、域内総生産(GDP)が広東省に次ぐ全国2位で、これまで多くの中央指導者を輩出してきた。そのトップである省党委員会書記(閣僚級)を2010~16年に務めた羅志軍氏が4月1日、病気のため「不幸にも他界した」という訃報が翌2日に伝えられた。

 また、西南地方に位置する重慶市両江新区党工作委の張鴻星書記(次官級)も1日、「不幸にも他界した」ことが2日公表された。

 訃報に「死去」でなく、「不幸な他界」を使うのは自殺で、反腐敗を主導する党規律検査委の標的になったことを察知して自ら命を絶ったケースが多い。

 羅氏は江蘇省党委書記として李強氏(現首相)の前任者だったが、それ以上出世できずに第一線を退いて最後は自殺。李氏は習主席の側近として政権ナンバー2に昇進と極端に明暗が分かれた。

 羅氏は、胡錦濤前国家主席や李克強前首相、李源潮元国家副主席と同じく共産主義青年団(共青団)の元幹部。江蘇省党委書記だった李源潮氏の部下として重用されたが、習政権になると、共青団派は徐々に衰え、羅氏は同省を離れた後、全国人民代表大会(全人代=国会)や人民政治協商会議(政協)の名誉職を歴任した。李源潮氏は失脚説が何度も流れ、17年に早期引退。19年には羅氏の元秘書が服毒自殺していた。

 羅氏については、反腐敗闘争で打倒された江沢民元国家主席派の大幹部、周永康氏(元党中央政法委書記)や薄熙来氏(元重慶市党委書記)の権力奪取計画に関わっていたとのうわさもあった。共青団派にせよ、周元書記らのグループにせよ、習氏の政敵であることに変わりはない。

 一方、習氏がかつて勤務した浙江省の人脈に連なる李強氏は、江蘇省から上海市党委書記(党政治局員)に転じて、中央指導部入り。同市で習路線のゼロコロナ政策を断行した「功績」により、昨秋の第20回党大会と今春の全人代で党政治局常務委員・首相に大抜てきされた。

執念深く非主流派排除

 重慶市の張氏は、昨年まで副省長(副知事に相当)などの要職を歴任した江西省での反腐敗に引っかかったようだ。張氏は江西省時代に撫州市党委書記を務めたが、その前任だった肖毅氏は21年、反腐敗で失脚。一部の中国メディアから、元江西省党委書記、政協副主席で江派の有力幹部だった蘇栄氏(14年失脚)との関係を指摘された。同省では近年、その他にも多くの高官が同様に粛清されている。

 蘇氏の問題から芋づる式に肖氏、張氏らを摘発したとすると、9年にわたって江西省の江派人脈を調べていることになる。

 改革・開放の最先進地区として知られる深圳市(広東省)でも、4月7日に元局長級幹部が「転落死」した。地元メディアによると、死亡したのは同市政府の副秘書長だった盛斌氏。20日になって、ようやく訃報が伝えられた。盛氏は14年に早期引退していた。

 盛氏の上司だった陳応春氏(元深圳市副市長)も16年に転落死している。陳氏は、江元主席の腹心で同市トップ(市党委書記)だった黄麗満氏に近かった。黄氏も一時、失脚説が流れたが、江氏がかばったのか、結局、無傷だった。

 なお、盛氏が転落死したマンションは、日本企業駐在員など外国人居住者が多い深圳市南山区に位置する。1戸当たりの価格は日本円で3億~6億円である。

 これらの事例から、権力独占を追求する習派がいかに執念深く非主流派を排除しているのかが分かる。習氏は総書記・国家主席として異例の3期目入りを果たしたが、4期目もしくは終身制を実現するため、反腐敗闘争による党内の粛清を継続していくとみられる。
(2023年4月28日掲載)』

習近平政権の「思想学習」

現代中国96号
特集
建党-00年と「社会
毒」中国のゆくえ
習近平政権の「思想学習」
——社会の領域を中心に
中央大学及川淳子
https://www.google.com/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&source=web&cd=&ved=2ahUKEwiFsJ_40t_-AhXAglYBHfX6A00QFnoECAQQAQ&url=https%3A%2F%2Fspc.jst.go.jp%2Fcad%2Fliteratures%2Fdownload%2F12926&usg=AOvVaw0xgz8CEjAISc_PqayW65Wk 

 ※ .pdf→.txt変換した。

中国共産党の建党100年を迎えた中国は、今
後いかなる変貌を遂げていくのだろうか。

「社
会主義」を掲げる中国のゆくえを展望するため
には多様な専門領域からの考察が必要不可欠で
あり、党の思想宣伝工作に対する研究は現代中
国研究における古くて新しい課題といえよう。

党100年の歴史は、思想宣伝工作のあゆみでも
ある。政治権力の闘争は言わばイデオロギーを
めぐる対立と闘争でもあり、中華人民共和国の
建国から現在にいたるまで数多の政治運動は思
想宣伝工作と表裏一体である。

習近平政権は思想統制の強化や政治指導者に
対する個人崇拝など毛沢東時代との近似性が指
摘されているが、その実態はいかなるものだろ
うか。

「習近平新時代中国特色社会主義思想」
を掲げる現政権の思想宣伝工作に対する考察を
通して、「社会主義現代化強国」の建設を目指
す党と社会の関係性について、その特性や構造
的な変容を読み解くことは可能だろうか。

小論は以上の問題意識に基づき、習近平政権
の思想宣伝工作の現状について、その諸様相を
社会の領域から考察するものである⑴。

ここ
では、党内における思想教育とは視点を変えて、
党内外の社会全般に対する思想宣伝工作を「思
想学習」と定義して議論したい。

筆者が社会の
領域に着目するのは、近年の思想宣伝工作が社
会全般に向けて強力に推進されている傾向を重
視する所以による⑵。

2021年9月からは学校
教育における思想学習が強化され、新たなガイ
ドラインの制定や教科書の使用が日本のメディ
アでも取り上げられた⑶。

そこで、小論では
社会の領域、特に学校教育の現場における動向
に着目し、広範な社会の領域において展開され
ている思想学習の被覆性や浸透性の強化を「社
会実装」という視点で議論し、習近平政権下で
推進されている思想宣伝工作の意義およびその
機能的役割について検討する。

「社会主義」中
国のゆくえを展望する際の留意点として、習近
平政権の思想学習が中国社会全般に及ぼす中長
期的な影響についても指摘したい。

!習近平政権の思想宣伝工作

1.「習近平思想」の概要

2017年に開催された中国共産党第19回代表
大会において、中国共産党が長期にわたり堅持
しなければならない指導思想として「習近平新
時代中国特色社会主義思想」(以下、「習近平思想」
と略記)が「中国共産党党規約」に明記された⑷。

2018年の第13期全国人民代表大会では「中華
人民共和国憲法」にも記載され、「党と国家の
重要思想」として定義された。

習近平総書記の
報告や講話などを時系列で編纂した『談治国理
政』によれば、「習近平思想」とは「新時代の
中国共産党の思想の旗印であり、国家の政治生
33
活と社会生活の根本的な指針であり、現代中国
のマルクス主義、21世紀のマルクス主義であ
り、中華民族の偉大なる復興を実現させるため
の行動指針を提供する」と記されている⑸。

政治指導者の名前を付した指導思想の提起
は、「毛沢東思想」以来の重大な変化である。

また、「現代中国のマルクス主義、21世紀のマ
ルクス主義」という位置づけは、圧倒的な権威
性を象徴するものといえよう。

習近平総書記は、
自らの名前を刻んだ「習近平思想」を「21世
紀のマルクス主義」と規定するにあたり、いか
なる認識を有していたのか。

この点については、
習近平総書記が2018年にマルクス生誕200周
年記念大会で発表した談話を参照したい⑹。

「現代中国のマルクス主義、ニ^一世紀のマル
クス主義の新たな境地を絶えず切り開こう」と
題した講話で、習近平総書記は「マルクスの世
界観全体は教義ではなく方法である。

それが提
示したのは既成の教条ではなく、さらなる研究
への出発点とその研究に用いる方法である」と
いうエンゲルスの言葉を引用した上で、

「現代
中国の偉大なる社会変革は、中国の歴史・文化
の単純な延長でもなく、マルクス主義の原典の
著者が構想した枠に単純に当てはめることでも
なく、他国の社会主義をめぐる実践の重版でも
なく、海外の近代化の発展の模倣でもない」、
「理論の生命力は絶えざる革新にあり、マルク
ス主義の絶え間ない発展を推進することは中国
共産党員の神聖なる職責である。

我々はマルク
ス主義を用いて時代を観察し、時代を読み解き、
時代を先導することを堅持し、現代中国の生き
生きとした豊富な実践によってマルクス主義の
発展を推進する」と強調した。

このように、「習
近平思想」は「21世紀のマルクス主義」とし
ての権威性が確立されたのである。

「習近平新時代中国特色社会主義思想」を換
言すれば、その特性から「新時代思想」あるい
は「強国思想」と概括できる。

建国以来の毛沢
東時代を経て、登&小平、江沢民、胡錦濤が率い
た改革開放政策の時期とは明確に画期されたの
が「習近平の新時代」である。

第19回党大会
で三時間余りに及んだ習近平総書記の重要講話
では、「長期にわたる努力を経て、中国の特色
ある社会主義は新時代に入った」、

「近代以来、
長期にわたり苦難を味わった中華民族が立ち上
がり、豊かになり、強くなることで偉大な飛躍
を成し遂げ、中華民族の偉大な復興への実現に
向けて明るい前途を迎えたことを意味する」と
強調した⑺。

習近平総書記が自らの名を冠し
た「習近平思想」は、新たな時代に強い中国を
目指すための「党と国家の重要思想」として規
定されたのである。

2.思想宣伝工作の方針

習近平政権は、いかなる方針に基づいて思想
宣伝工作を展開しているのだろうか。

ここでは、
全国宣伝思想工作会議に注目したい。

政権発足
後の2013年に開催された全国宣伝思想工作会
議において、習近平総書記は重要講話を発表し
て以下のように述べた(8>。

思想宣伝工作を強化するには、必ず全党
を挙げて着手しなければならない。

各級の
党委員会は政治責任と指導責任を果たすべ
く、思想宣伝分野の重要な問題に対する分
析、研究、判断と重大な戦略的任務への包
括的指導を強化し、絶えず思想宣伝工作の
指導の能力とレベルを高めなければならな
い。

包括的宣伝という工作理念を打ち立て、
各戦線の各部門が共に取り組むように働き
かけ、思想宣伝工作と各分野の行政管理、
業種管理、社会管理をさらに緊密に結びっ
34
現代中国96号
けなければならない。

「包括的指導」と「包括的宣伝」の原文は、
それぞれ「統警指導」と「大宣伝」である。

「統
警」は「統合的な」という意味もあるが、ここ
では外文出版社の公式訳から「包括的」という
訳語を引用した。

2013年の重要講話から読み
取ることができるのは、党内にとどまらず社会
全般に対して思想宣伝工作を「包括的に」徹底
するという方針である。

第19回党大会後、2018年に開催された全国
宣伝思想工作会議では、「新たな情勢下におけ
る思想宣伝工作の使命と任務を自ら進んで担お
う」と題した重要講話が発表された(9>。

習近
平総書記は「中国の特色ある社会主義は新時代
に入り、思想を統一し、力を凝集させることを
思想宣伝工作の中心部分としなければならな
い」と強調した。

2013年の方針で「包括的指導」
と「包括的宣伝」が提起された点と比較すれば、
2018年の方針は「戦略的な任務」の実践が具
体化されたことが特徴だ。

重要講話では以下の
ように言及されている(10)〇

強い結束力と牽引力を備えた社会主義イ
デオロギーの構築は、全党とりわけ思想宣
伝戦線が必ずや担わなければならない戦略
的な任務である。

マルクス主義の宣伝教育
工作をしっかりと行い、とりわけ習近平新
時代中国特色社会主義思想の学習、理解、
実践に力を入れなければならない。

ここでは思想宣伝工作という「戦略的な任務」
の実践について、「学習、理解、実践」の各段
階で強調されている。

さらに注目すべきは、「思
想宣伝工作は人を対象とする仕事であり、民族
復興という大任を担う時代の新人育成を重要な
職責としなければならない」、「青少年の価値観
の形成と確立のカギとなる時期をしっかりとつ
かみ、青少年が人生の最初のボタンをきちんと
かけるように導く必要がある」という記述であ
る(11>。

全国宣伝思想工作会議の重要講話を参照する
と、習近平政権の思想宣伝工作は、包括的かつ
戦略的な方針に基づいて推進されている点が明
瞭だ。

近年、社会全般に対する思想宣伝工作が
強化されている実態について、「習近平新時代
中国特色社会主義思想」という新たな思想を掲
げるだけでなく、その実践が極めて戦略的に展
開されている点を指摘したい。

π習近平思想の「社会実装」

1.「社会実装」の視点による議論の試み

習近平政権が包括的かつ戦略的に思想宣伝工
作を推進する中で、近年は特に党の内外を越え
た広範な社会の領域で思想学習が強化されてい
る。

社会の広範囲における思想学習の被覆性や
浸透性の強化について考察することが本節の課
題であり、社会の実像を構造的に理解し、その
特徴を解明するには多種多様な観点からの分析
が必要だと考える。

そこで、議論の試みとして
援用するのが「社会実装」の視点だ。

「社会実装(Social implementation) J は、最新科
学技術のイノベーションを社会で実用する際の
実証過程や社会的課題の解決を目指すための変
革について用いられることが多い用語である(12))

日本では、平成28年(2016年)に内閣府が公
表した「第5期科学技術基本計画(平成28〜平
成32年度)」において、科学技術イノベーショ
ン推進の必要性を強調した際に「社会実装」と
いう用語が多用されている(13)。国立研究開発
35

法人科学技術振興機構(JST)の社会技術研究
開発センター (RISTEX)では、企業の研究開
発で成果を確認するために行われる「現場実験」
を例にして、社会のための研究開発を実証する
過程を「社会実装」と定義している(14)〇

また、
テクノロジーによる社会変革に関する研究と実
践に取り組む東京大学産学協創推進本部の馬田
隆明の著作によれば、「テクノロジーそのもの
のイノベーションだけでなく、組織や法制度、
慣習といった社会的な仕組みにもイノベーショ
ンが必要」であるとして、「社会的な仕組みの
イノベーションとしての法整備や教育システ
ム」についての指摘がある。

「テクノロジーの
社会実装とは、テクノロジーの力によって社会
を変えようとする営みであると同時に、社会の
仕組みを変えることによってテクノロジーが活
用される社会を作り出す営み」でもあるという
指摘は極めて示唆に富むものだ(15)。

「社会実装」の類語としては、「社会実験」が
挙げられるだろう。

筆者の理解では、期間や地
域などの範囲を限定化して新たな技術や制度を
試行した上で、その有効性を検証して評価する
ことが「社会実験」であるのに対し、「社会実装」
は研究開発によって得られた新たな技術やシス
テムが機能するように社会に組み込んで実用化
や普及を図るという相違がある。

「組み込む」
と言えば、イメージとしては「インストール
(install)Jに近いところもあるが、ここで「社
会実装」を暫定的に定義すれば、何らかの社会
的課題の解決を目的とした研究成果や知的財産
の具現化や実用化、あるいは一般化といえるだ
ろう。

最新の科学技術やイノベーションに限ら
ず、例えばある思想を「社会実装」すると考え
た場合、思想を専門性の高い学術的領域に留め
るのではなく、社会の広範囲に普及させて社会
的な課題解決のために思想を実践するという意
味合いになる。

最新の科学技術やイノベーションなどと親和
性の高い「社会実装」を思想の領域に援用し、
さらには習近平政権の思想学習について検討す
ることの有効性については限界や批判もあるだ
ろう。

しかしながら、「社会実装」によって広
く社会全般に対して一般化されるという点につ
いて検討すれば、社会に対する被覆性や浸透性
という観点から、思想学習の目的やその機能的
役割について構造的にとらえることができるの
ではないだろうか。

2.「社会実装」としての思想学習

それでは、習近平政権が社会の領域における
思想学習を強化している現状を「習近平思想の
社会実装」と仮定した場合、その目的や方策と
はいかなるものだろうか。

まず、目的について筆者が想起するのは、「主
要な社会矛盾」の解決である。

習近平総書記は、
第19回党大会の重要講話で「中国の特色ある
社会主義が新時代に入り、我が国の主要な社会
矛盾は、人民の日ごとに増大する素晴らしい生
活への需要と不均衡で不十分な発展との間の矛
盾へと変化している」、「主要な社会矛盾の変化
は全体の局面に関わる歴史的な変化である」
と強調した(16)。

「主要な社会矛盾の変化」に
ついては、党の重要文献においても大きく取り
上げられており、習近平政権の重要な政策課題
として位置づけられている(17)。

新時代の主要
な社会矛盾を解決するのは習近平総書記率いる
中国共産党であり、社会矛盾の解決において重
要な成果が示されれば、それはすなわち中国共
産党による統治の正統性が確保され、現体制を
維持し、さらには党の求心力強化に繋がるだろ
う。それこそが習近平政権の最重要課題であり、
最終的な目的だといえよう。

広範な社会に対す
36
現代中国96号
る習近平思想の学習という「社会実装」は、強
力な実行力によって推進され、党の権威性を高
めるために社会に対する党の影響力を拡大し、
強化しているものと考えられる。

筆者が本稿で「社会実装」の観点から思想学
習について考察するのは、党と社会の関係性を
明らかにするためでもある。

習近平政権の発足
後、党は言論や思想に対する統制を強化し、AI
やビッグデータなどの最新科学技術を用いた社
会管理によって中国共産党が社会を一元的に管
理するという社会体制が確立され、「デジタル・
レーニン主義」、「ビッグデータ独裁」と言わ
れるように、さらに厳格化の傾向にある(18>。

一方、党と社会の関係性という構造に着目する
と、一定の変化が生じていると見ることもでき
る。

すなわち、党が社会を一元的に管理してい
ると同時に、中国共産党による統治の正統性を
確保し証明するという現政権の政治目的が、実
際のところ社会との関係性において追求され、
その為に規制や統制がさらに強化されていると
いう構造である。

ここで、前述した馬田隆明の指摘について再
考してみよう。

「テクノロジーの社会実装とは、
テクノロジーの力によって社会を変えようとす
る営みであると同時に、社会の仕組みを変える
ことによってテクノロジーが活用される社会を
作り出す営み」でもあるという指摘の部分だ。

逆説的に考えれば、新たなテクノロジーが活用
できない社会は、社会の側に変革が迫られると
同時に、テクノロジー自体の真価が問われ、イ
ノベーションを迫られ、場合によっては淘汰さ
れる可能性もあるだろう。

このように「社会実
装」の視点を援用して考察すると、習近平思想
の学習という「社会実装」の推進は、党が社会
を変革するだけでなく、党自体もまた変革を迫
られるという双方向性を有し、今後はその傾向
が次第に表出され、顕著になる可能性もあるの
ではないだろうか「。

習近平思想の社会実装」は、
社会に対する党の影響力を拡大させ、その被覆
性や浸透性を強化しているが、同時に、社会の
側は常に受け身の状態にあるばかりではなく、
党は社会の側からその真価が問われるという可
能性についても指摘しておきたい。

習近平政権
の徹底した思想統制は強権的な統治の象徴だ
が、視点を変えれば、思想学習が徹底されれば
徹底されるほど、党と社会の関係性に構造的な
変化が生じる可能性もあるといえよう。

m社会に対する「思想学習」の現状

1.「人民」に対する思想学習

前項では、習近平政権による思想学習強化の
現状を「習近平思想の社会実装」と仮定し、そ
の目的や今後の可能性について議論した。

ここ
では、習近平政権が広範な社会において推進し
ている思想学習の具体的な方針や方策について
検討する。

前述した全国宣伝思想工作会議の方針に基づ
き、近年は思想学習に関する重要文献が相次い
で発表されている(19)〇

中央宣伝部や中共中央
党校が発行した重要文献を概観して想起される
のは、重要文献の発行後に各級の党組織におい
て党員の思想学習が徹底的に実施されるという
キャンペーンの展開だ。

党員の思想学習ではス
マートフォンのアプリなども活用されており、
党員生活の変化も興味深い話題であるが、それ
らについてはいずれ稿を改めて論じたい。

ここ
では社会全般に対する思想学習に焦点を絞り、
その方針および方策について検討しよう。

2021年7月、中国共産党100周年を盛大に
祝う記念式典が開催された数日後、党中央と国
37
務院は「新時代における思想宣伝工作の強化と
改善に関する意見」(以下、「意見」と略記)を
公表した(20)〇

「思想宣伝工作の強化と改善」
とは、つまり具体的な方針と方策について言及
したものである。

「意見」では、思想宣伝工作
について「党を治め、国を治めるための重要な
方法とし、思想政治教育を深く掘り下げて展開
し、基層レベルにおける思想政治工作の質と水
準を引き上げ、新時代における思想政治工作の
正しさと革新的な発展を推進」するという方針
が強調され、以下のように記述されている(21)〇

人民を中心とする旨を堅持し、党の大衆
路線を実践し、人民のより良い生活に対す
る憧れを奮闘目標とし、大衆を組織し、大
衆を宣伝し、大衆を教育し、大衆に奉仕し、
自信を強め、民心を集め、人々の心を温め、
団結を築くことを堅持する。

「意見」の中で筆者が注目したのは、思想宣
伝工作が党と国を治めるための「重要な方法」
として規定されていることである。

つまり、思
想学習は「党を治め、国を治める」ことに加え
て社会を統治して管理するための「重要な方法」
でもあるということだ。

もうひとつ指摘してお
くべきは、「人民」という用語である。

思想宣
伝工作は「党員」のみならず「人民を中心とす
る」ものでなければならず、「人民のより良い
生活に対する憧れを奮闘目標」とすることが明
記されている。

「人民のより良い生活に対する憧れ」を党の
奮闘目標として掲げたのは、習近平総書記の就
任演説に遡る。

2012年開催の第18回党大会第
1期全体会議終了後、就任したばかりの習近平
総書記が内外記者会見で特に強調したものだっ
た(22>。

以下、当時の講話から「人民」につい
て言及した箇所を一部抜粋してみよう。

「人民
の幸せな生活への憧れこそ我々の奮闘目標であ
る」、「この大きな責任は、党に対する責任であ
る。わが党は誠心誠意人民に奉仕する政党であ
る」、「人民は歴史の創設者であり、大衆は真の
英雄である。人民大衆は我々の力の源である」、
「我々は必ず人民と心を一つにし、人民と苦楽
を共にし、人民と団結奮闘し、日々怠りなく勤
勉に働くことで、歴史と人民に対して合格点の
答案を示さなければならない」。

これらの発言
から、習近平政権が「人民」との関係性を極め
て重視していることが確認できる。

「国民」、「公民」、「市民」、「大衆」、「老百姓
(庶民)」とは異なり、「人民」は政治的な概念
だが、習近平政権は「人民」という存在をどの
ように認識しているのだろうか。

「人民」と言
えば、想起されるのはかって毛沢東が論じた「人
民内部の矛盾」である(23」。

毛沢東が指摘した
ように「人民内部の矛盾」は依然として存在し、
矛盾は拡大しているとも考えられるが、それ以
上に注視すべきは、「人民内部の矛盾」よりも「人
民と党の間の矛盾」ではないだろうか。

習近平
政権は、その点を熟知して警戒感を強めている
からこそ、「人民のより良い生活に対する憧れ
を奮闘目標」とする一方で、広範な社会におい
て「人民」を対象とした思想学習を徹底してい
ると考えられる。

2.学校教育における思想学習

習近平政権の思想学習が社会の領域で徹底さ
れる重要な契機となったのは、建党100周年を
迎えた2021年であり、同年9月の新学期にあ
わせた一連の改革である。

学校教育における新
たな方針として、国家教材委員会が「習近平新
時代中国特色社会主義思想をカリキュラムと教
材に組み込むガイドライン(以下、「ガイドライ
38
現代中国96号
ン」と略記)」を発表した(24)〇

ここでは「ガイ
ドライン」の記述を確認しながら、学校教育に
おける思想学習の動向について検討したい。

まず、「ガイドライン」が重要な意義として
強調しているのは、「習近平新時代中国特色社
会主義思想は、新時代における中国共産党の思
想の旗印であり、国家の政治生活と社会生活の
根本指針であり、現代のマルクス主義、21世
紀のマルクス主義である」という点だ。

これは
前述したように、党規約や憲法に明記された文
言と完全に一致するものだ。

それをふまえて強
調されているのが、以下の記述である。

習近平新時代中国特色社会主義思想を指
導思想として一貫して堅持し、教育教学力
リキュラムのすべての過程と段階において
貫徹させなければならない。

習近平新時代
中国特色社会主義思想を全てのカリキュラ
ムと教材において全面的に実行し、広範な
青少年がマルクス主義の信念を打ち立て、
中国の特色ある社会主義の道に対する自
信、理論の自信、制度の自信、文化の自信
を揺るぎないものとし、党の話を聞き、党
と共に歩むという志を立て、正しい世界観、
人生観、価値観を形成することに重大な意
義がある。

「国家の政治生活と社会生活の根本指針」と
して習近平思想が規定されたことにより、学校
教育の現場では思想学習を徹底して「党の話を
聞き、党と共に歩むという志を立て、正しい世
界観、人生観、価値観を形成する」ことが重要
な教育目標となった。

また、「ガイドライン」
では「習近平新時代中国特色社会主義思想を教
材に組み込み、教室へと前進させ、学生の頭に
浸透させ、系統的かつ全面的で生き生きとした
具体的なものにする」という記述もある(25」。

以前、学校教育の現場では主に「道徳」や「政
治」などの個別の科目で思想教育が行われてい
たが、前述した「意見」に続いて「ガイドライ
ン」が発表されたことにより、小学校から大学
院までのあらゆるカリキュラムと科目において
習近平思想の学習が重視されることになった。

3.教科書に見る「習近平思想」

学校教育における思想学習は、2021年9月
の新学期から新たな展開を迎えた。

その象徴と
して挙げられるのは、「習近平新時代中国特色
社会主義思想学生読本(以下、「学生読本」と略
記)」である。

小学校低学年用、高学年用、中
学校、高校用の合計4冊の教科書が発行され、
週1コマの授業が必修科目となった(26」。

これまで検討してきた思想宣伝工作の方針や
「ガイドライン」は、実際のところ教科書の中
でどのように具体化されているのだろうか。

4
冊の教科書はいずれもカラー刷りでイラストや
写真が多用されている。その中でも小学校用の
教科書は子どもたちのイラストや親しみやすい
デザインが特徴的だ。また、低学年の教科書で
はアクティブ・ラーニングの要素を取り入れて
いる点も興味深い。

ここでは、具体的に以下のニ点について教科
書の記述を確認しよう。

まず、2018年の全国
宣伝思想工作会議で習近平総書記が述べた「青
少年の価値観の形成と確立のカギとなる時期を
しっかりとっかみ、青少年が人生の最初のボタ
ンをきちんとかけるように導く必要がある」と
いう一文についてである。

小学校低学年用の教
科書では、第6講「新時代のよい少年になろう」
の単元で、次のようなイラストと記述がある(写
真2参照)。

教科書では「人生の第一ボタンをきちんとか
39
写真1「習近平新時代中国特色社会主義思想学生
読本小学低年級」表紙
人民出版社・人民教育出版社、2021年
写真2 「習近平新時代中国特色社会主義思想学生
読本小学低年級

人民出版社•人民教育出版社、2021年、47頁
ける」と題して、以下の説明がある(27)〇

「習
近平おじいさんは言いました。価値観を作り上
げるのは服のボタンをかけるのと同じです。も
しも初めのボタンをかけ違えたら、残りのボタ
ンも全部かけ違えてしまいます。人生のボタン
は初めからきちんとかけなければいけません」。

教室にいる子どもたちの様子を描いたイラスト
の吹き出しには、「もし初めのボタンをかけ違
えたら、服が歪んでしまって、カッコ悪いよね」、
「僕たちは人生の第一ボタンをどうやってかけ
るのか今から理解しなければいけません」とい
うコメントがある。

青少年に対する思想宣伝エ
作を「人生の最初のボタンをきちんとかける」
と例えた習近平総書記の言葉は、小学校低学年
の子どもたちにも分かりやすい事例として教科
書で大きく取り上げられた。

次に参照するのは、習近平総書記が第19回
党大会の重要講話で述べた「主要な社会矛盾」
についてである。

中学校の教科書では、「我が国
の社会の主要な矛盾の変化」について次の記述
が見られる(写真4参照)。

1981年の第11期
六中全会当時の「人民の日ごとに増大する物質
文化の需要と立ち後れた社会生産との間の矛
盾」という指摘から、2017年第19回党大会で
提起された「人民の日ごとに増大する素晴らし
い生活への需要と不均衡で不十分な発展との間
の矛盾」が併記され、「主要な社会矛盾」が変
化している点が図表で強調されている(28。。

高校教科書では、「主要な社会矛盾」に関す
るイラストや図表は見られないが、第19回党
大会の習近平講話の文言を引用して以下のよう
に記述されている(写真6参照)(29。。

中国の特色ある社会主義が新時代に入
り、我が国の主要な社会矛盾は人民の日ご
とに増大する素晴らしい生活への需要と不
均衡で不十分な発展との間の矛盾へと変化
しており、これは中国の特色ある社会主義
の新時代における重要な特徴である。

新時
代の我が国の主要な社会矛盾の変化は、全
体の局面に関わる歴史的な変化であり、我
が国の社会のニーズと社会生産の新たな特
40
現代中国96号
写真3 「習近平新時代中国特色社会主義思想学生
読本初中」表紙
人民出版社・人民教育出版社、2021年
写真4 「習近平新時代中国特色社会主義思想学生
読本 初中」
写真5 「習近平新時代中国特色社会主義思想学生
読本高中」表紙
人民出版社・人民教育出版社、2021年
人民出版社・人民教育出版社、2021年、17頁
写真6 「習近平新時代中国特色社会主義思想学生
読本高中」
徴を本質的に反映している

以上、学校教育における思想学習の新たな展
開について「ガイドライン」や実際の教科書に
注目したが、新カリキュラムの運用について
は、今後、教育現場についての考察やさらなる
分析が必要だ。

学校教育の現場で習近平思想の
人民出版社・人民教育出版社、2021年、5頁
学習が週1コマの必修科目になったため、他の
科目の学習や入試制度にいかなる影響が生じて
いるかという点も興味深い。

また、子どもたち
の学習負担と家庭の経済負担を軽減させるため
に宿題や塾を減らし、ひいては少子化問題の改
善も期待されているいわゆる「双減政策」との
関連など、学校教育における思想学習との関わ
41
りで議論すべき課題は多岐に及ぶといえよう。

2021年から新教科書で習近平思想を学ぶ学
生たちは、建国100周年を迎える2049年には
中国社会を担う年齢層となる。

習近平政権の思
想学習が中国社会に及ぼす中長期的な影響につ
いても、今後見極めていく必要があるだろう。

結びにかえて

小論は、習近平政権の思想宣伝工作の現状に
ついて社会の領域から考察した。

学校教育のガ
イドラインや新教科書が象徴するように、近年
の思想宣伝工作は社会全般に向けて強力に推進
されている。

広範な社会の領域で深化している
思想学習について、その被覆性や浸透性の強化
を「社会実装」という視点で議論するという試
みが果たして論理性や説得力をもつものであっ
たか否か、これについては読者からのご叱正を
乞うところである。

筆者が小論で指摘したのは、党と社会、党と
人民の関係性という構造的な問題の所在とその
変容についてである。

社会主義現代化強国を目
指す中国共産党政権のもと、党と社会、党と個
人は、いかなる関係を構築していくのだろうか。

思想学習の徹底は、強権的な政治手法によると
ころが大きく、社会に対する党の影響力拡大と
いう側面に目を奪われがちだが、社会の側は常
に受け身の状態にあるばかりでなく、党と社会
の関係性には常に構造的な変化が生じる可能性
も内包されている。

小論では「人民」という用語で議論したが、
もとより「人民」は個別具体的な「人」である。

中国の社会で逞しく、しなやかに、したたかに
生きる人々が、果たして思想学習を受容してい
くのか、あるいは面従腹背でやり過ごしていく
のか、中国社会の実相は極めて興味深い。

その
意味でも、中国社会の構造変容について考察す
る際に、社会を構成する人々の思想や行動につ
いて理解を深め、同時代を生きる隣人として中
国社会の諸様相に関心を寄せる視点を持ち続け
たいと考える。

注)

(1) 本稿は、2021年10月23日開催の日本現代中国学
会第71回全国学術大会共通論題「建党100年と「社
会主義」中国のゆくえ」における報告をもとに執筆
したものである。全国学術大会の開催校である西南
学院大学、全国理事会、西日本部会、共通論題のコ
メンテーター各位にあらためて感謝を申し上げたい。
また、投稿に際しては『現代中国』編集委員会、学
会事務局の各位より格別のご高配をいただいた。付
して感謝いたします。

(2) 思想宣伝工作に対する論考として、以下を参照さ
れたい。拙稿「『習近平時代』の思想宣伝工作——学
校教育と家庭教育における最新動向」(連載“習近平
の中国”:ヤヌス像のアナトミー 4)『東亜』一般財
団法人霞山会、2022年1月号。

(3) 例えば、以下など。「中国全教育課程で『習近平思
想』指導」『東京新聞』2021年8月26日。「小学校教
科書に登場する「習おじいさん」中国で進むある「変
革」」朝日新聞デジタル版、2021年10月4日。

(4) 外文出版社の刊行物や国営新華通訊社などの公式
日本語訳では、「習近平の新時代の中国の特色ある社
会主義思想」と記述されるが、小論では中国語の原
文「習近平新時代中国特色社会主義思想」のまま表
記し、本文中では「習近平思想」と略記する。

(5) 習近平『談治国理政第三巻』外文出版社、2020年、
巻頭「出版説明」より。なお、『談治国理政』の引用
箇所の日本語訳は筆者によるが、訳語については日
本語版『国政運営を語る』を適宜参照した。

(6) 「不断開辟当代馬克思主義、二十一世紀馬克思主義
新境界」(2018年5月4日)『談治国理政第三巻』外
文出版社、2020年、74-76頁。

(7) 「決勝全面建成小康社会、奪取新時代中国特色社会
主義偉大勝利」(2017年10月18日)前掲、『談治国
理政第三巻』外文出版社、2020年、8頁。

(8) 「把宣伝思想工作做得更好」(2013年8月19日)習
近平『論党的宣伝思想工作』中央文献出版社、2020年、
14-18頁。引用箇所は、18頁。なお、会議の名称は「全
国宣伝思想工作会議」のままとしたが、引用箇所で
は「宣伝思想工作」ではなく「思想宣伝工作」と訳
出した。

42
現代中国96号
(9) 「自覚承担起新形勢下宣伝思想工作的使命任務」
(2018年8月21日)前掲『論党的宣伝思想工作』337
-342 頁。

(10) 同上、340頁。

(11) 同上。

(12) 中国語では> Social implementationの訳語として「社
会実施」の使用例が見られる。例えば以下など。趙
紅梅「経済法的私人実施與社会実施(〇n Private and
Social Implementation in Economic Law)」『中国法学』
中国政法大学民商経済法学院、2014年第1期、177-
195 頁。

(13) JST-RISTEX [研究開発成果実装支援プログラム]
『社会実装の手引き——研究開発成果を社会に届ける
仕掛け』工作舎、2019年、8頁。「第5期科学技術基
本計画(平成28〜平成32年度)」(平成28年1月22
日閣議決定)は、以下を参照。

内閣府、(https://www8.cao.go.jp/cstp/kihonkeikaku/index5.
html>(2021年8月31日閲覧)。

14」同上『社会実装の手引き——研究開発成果を社会
に届ける仕掛け』8-9頁。

(15) 馬田隆明『未来を実装するテクノロジーで社会を
変革する4つの原則』英治出版、2021年、68-69頁。

(16) 前掲「決勝全面建成小康社会、奪取新時代中国特
色社会主義偉大勝利」(2017年10月18日)『談治国理
政第三巻』9頁。

(17) 例えば、以下など。中共中央宣伝部『習近平新時
代中国特色社会主義思想三十講』学習出版社、2018
年、65-73頁「第六講」。

(18) この点については、以下を参照されたい。拙稿「中
国『デジタル•レーニン主義』の思想的背景」『国際
問題』公益財団法人日本国際問題研究所、No.705、
2022年2月。

(19) 主要な文献として、以下などを参照されたい。中
共中央宣伝部『習近平新時代中国特色社会主義思想
学習綱要』学習出版社•人民出版社、2019年。中共
中央党校(国家行政学院)『習近平新時代中国特色社
会主義思想基本問題』人民出版社・中共中央党校出
版社、2020年。中共中央宣伝部『習近平新時代中国
特色社会主義思想学習問答』学習出版社、2021年など。

(20) 中共中央、国務院印発「関於新時代加強和改進思
想政治工作的意見」2021年7月12日、<http://www.
gov.cn/zhengce/2021-07/12/content_5624392.htm) (2021
年8月31日閲覧)。

21」同上。

(22) 「人民対美好生活的向往就是我イ門奮闘的目標」(2012
年11月15日)『談治国理政』外文出版社、2014年、
3-5頁。「人民」に関する引用箇所はこれによる。

(23) 毛沢東『人民内部の矛盾を正しく処理する問題に
ついて』外文出版社、1968年。

(24) 「国家教材委員会関於印発『習近平新時代中国特
色社会主義思想進課程教材指南』的通知」中華人民
共和国教育部、2021年7月21日、
(2021年8月31日閲覧)。以下、「ガイドライン」の
引用はこれによる。

(25) 同上。「教材に組み込み、教室へと前進させ、学
生の頭に浸透させ」の原文は、「進教材、進課堂、進
頭脳」。

(26) 「学生読本」の編集、審査、発行については、前
掲の拙稿「『習近平時代』の思想宣伝工作——学校教
育と家庭教育における最新動向」を参照されたい。
27。「習近平新時代中国特色社会主義思想 学生読本 小
学低年級」人民出版社•人民教育出版社、2021年、
47頁。

(28) 「習近平新時代中国特色社会主義思想学生読本初
中」人民出版社•人民教育出版社、2021年、17頁。

(29) 「習近平新時代中国特色社会主義思想学生読本高
中」人民出版社•人民教育出版社、2021年、5頁。
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柴田哲雄『習近平の政治思想形成』渓流社、2016年
石川禎浩『中国共産党、その百年』筑摩書房、2021

高橋伸夫『中国共産党の歴史』慶應義塾大学出版会、
2021年
JST-RISTEX [研究開発成果実装支援プログラム]『社
会実装の手引き——研究開発成果を社会に届ける
仕掛け』工作舎、2019年
馬田隆明『未来を実装するテクノロジーで社会を変
革する4つの原則』英治出版、2021年
〔拙稿〕
「『習近平時代』の思想宣伝工作——学校教育と家庭
教育における最新動向」(連載“習近平の中国”:ヤ
ヌス像のアナトミー 4)『東亜』一般財団法人霞山会、
2022年1月号
「中国『デジタル•レーニン主義』の思想的背景」『国
際問題』公益財団法人日本国際問題研究所、
No.705、2022 年 2 月 44

〔四臣(ししん) 千里を照らさんとす…。〕

中国通史で辿る名言・故事探訪(四臣 千里を照らさんとす)
 「四臣(ししん) 千里を照らさんとす」

                     ◇ 戦国時代 ◇
https://gonsongkenkongsk.blog.fc2.com/blog-entry-310.html 

 ※ 「宝物(ほうもつ)」自慢の話しを聞くと、いつもこれを思い出す…。

  『四人の優れた将軍が、それぞれの所定の国境地帯で守備に就き、

 よく外敵を防いで国家の平安に寄与するとともに、また敵国に対しても

 その余影を与える事が出来たという故事。

  ※ 千里とは距離の実数ではなく、方千里の国という「国の異称」で

    ある。

 《 斉の威王と魏の惠王の国宝問答 》

   斉王と魏王が城外で相互親善の狩猟をした時のこと、魏王が斉王に

  問うた。

   「斉にはどんな宝がありますか」と。

   問いを受けて斉王は、

   「あると言えるほどの宝はありません」と。

   魏王は其の言葉を聞いて、自慢げに言った。

   「私の国は小さいとはいえ、直径が一寸ほどの宝玉があり、

  その輝きたるや車の前後 十二乗の距離を輝き照らす事が出来ます」

  と。

   だが斉王は悠然として言った。

   「私の宝は、王のものとは異なります。  

   我が臣に壇子と言う者がいますが、南の城を守らしてからというもの、

  楚は敢えて領土の泗上を侵攻しなくなり、十二諸侯まで来朝するよう

  になりました。

   肦子(はんし)と言う者に高唐を守らせたところ、

  趙の人たちは敢えて東の河を侵略しなくなりました。

   黔夫(けんぷ)と言う者に徐州を守らせたところ、

  燕は吾が北門に、趙は吾が西門に来て攻められないように祈り、

 祭礼をするようになりました。

   種首(しょうしゅ)という者を盗賊に備えさせれば、

  当に道 遺ちたるを拾わず、と言う治安状態となりました。

   この四臣、将に千里を照らさんとす、

   豈に特(ただ) 十二乗のみならんや」と。

   これを聞いた魏王は、恥じ入った態であった。

                 「十八史略 戦国・斉」』

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(※ Z会の教材の一つらしい…。)

 ※ 「原文」を読みたくて検索したが、なかなかヒットしなかった…。

 ※ かろうじて、これくらいのものだ…。

中共の武警用に新兵器が登場した

中共の武警用に新兵器が登場した
https://st2019.site/?p=21111

 ※ 「とある科学の超電磁砲」かよ…。

 ※ 「漫画やアニメで取り上げられた話しは、次々と「現実化」していく。」とオレに言ってた職人さんがいたが、ホントだな…。

 ※ 「鉄腕アトム」しかり、「空母いぶき」しかり…。

 ※ アトムなんて、「人工知能(AI)」の先駆けだ…。

『ストラテジーペイジの2023-5-3記事。
   中共の武警用に新兵器が登場した。「CS/LW21」という。隊員が手持ちで使える「レールガン」だという。重さは3kg。

 ほとんど音を立てずに、コイン形の「弾丸」を数百発、電動で連射することができる。威力は、厚さ3ミリの板を貫通するレベル。

 これなら民衆に向けてためらいなく乱射できるので、暴動も鎮圧しやすい。

 この銭形弾丸は、最大で50m飛ぶ。
 もっと殺傷性を高めたくば、円盤状ではない、流線型の弾丸を飛ばすこともできる。その場合、レンジも延びるという。』

英紙『ガーディアン』によると中共はこの月曜日にあたらしい法令を成立させた。

英紙『ガーディアン』によると中共はこの月曜日にあたらしい法令を成立させた。
https://st2019.site/?p=21111

『Ines Kagubare 記者による2023-5-2記事「China updates military conscription rules with eye on space, cyberwarfare」。

    英紙『ガーディアン』によると中共はこの月曜日にあたらしい法令を成立させた。
 げんざいは市井人であるところの予備役兵を、一朝にして急速動員するのが目的だ。

 殊に、サイバー系や宇宙系の技能を有している「元兵隊」は、まっさきに赤紙招集される。』

中国の貴州省、財政破綻の第一号になるか?

中国の貴州省、財政破綻の第一号になるか?
http://blog.livedoor.jp/goldentail/archives/31400456.html

『中国の貴州省は、少数民族が多い、人口4000万人の省です。もともと、貧しい内陸部の省で、習近平氏の政策で、「最後に貧困を脱した」と公式発表されている場所です。それから、2年で、どうやら省の財政が破綻しそうなようです。中国の貴州省政府発展研究センターは2023年4月12日、中国のソーシャルメディアに、貴州省が深刻な地方債務問題を抱え、自力で回収することができず、中央政府に助けを求めているという内容の文章を掲載しました。

これは、直訴に近い、極めて異例の事で、当然ながら、こういう嘆願は、正規のルートで、周りに悟られないように中央政府に伝えられるのが筋です。しかし、既に中央政府は、「地方政府を救済しない。自力で何とかしろ」というお達しを出しているので、衆目の目に晒す事で、無理矢理にでも中央政府から、なにがしかの解答を得ようとしたものと思われます。この投稿は、3日間にわたって、中国のインターネットで拡散され、今は検閲で削除されています。

まぁ、そもそも、習近平が「貧困を脱した」とした事自体が、予定調和の作文なので、実態をまったく反映していないわけです。その上、政策として観光などの目玉の産業を作る為に、歳入に見合わない、無茶な借金をして箱物を作ったあげく、武漢肺炎で人の移動が制限され、殆どがプロジェクトごと駄目になっています。既に返すあての無い借金で、貴州省はクビが回らない状態と思われます。

今、貴州省などで、ある歌が流行っています。題名は、「理想を持たない人は悲しまない」です。若者を中心に、人の輪ができると、合唱が始まる、日本で言うと、ある時期の「反戦フォーク」みたいな感じで路上パーフォマンスで歌われる歌です。歌詞を書きます。

敬うべき神殿は無知な者の心の中にしか存在しない。

自分の居場所は豚小屋

この夜は眠れない

私は敗北と孤独の中で死にたくない

ずっと地下で暮らしたくない

物質的ペテンが溢れている

私達は急ぎ足で行き来する蟻だ

文化の無い者は悲しまない

彼は悲しまない

この歌が生まれる背景には、博士号を持つ青年が、工場でネジを締める仕事に就くにも苦労するのに、学校を卒業したばかりの共産党幹部の娘が、既に9桁の貯金を持っていて、それをSNSで自慢している現実があります。親・金・人脈がモノを言う社会であり、それが共産主義を主張する滑稽さが、若者には例えようもない無力感を感じているのです。

まぁ、実際には、面子にかけて、貴州省を破綻させないでしょうが、それが状況が改善される形で行われるとは限りません。破綻させないだけで、塗炭の苦しみを味わう事になる可能性の方が高いです。そもそも、中央政府にも、余計な金は無いのです。』

データの改竄・操作が続々発覚 世界から疑惑の目を向けられる中国「論文工場」

データの改竄・操作が続々発覚 世界から疑惑の目を向けられる中国「論文工場」、専門家は「今後はChatGPTが不正の担い手になる」と指摘
https://www.dailyshincho.jp/article/2023/04281110/?all=1

『中国人による不正論文の“大量生産”疑惑が科学界を揺るがしている。中国人研究者が発表した論文内に、エビデンスの偽造や捏造の“痕跡”が次々と見つかり、対策を講じる動きが加速。しかし専門家らは、その背景に広がる中国社会の過酷な“チキンレース”の是正が進まないかぎり「問題根絶は不可能」と警鐘を鳴らす。

 ***

【写真を見る】中国で話題の的となっている“エリート報道官”の現在の変わり果てた姿
 本当は実験などしていないのに、あたかも検証してデータが得られたかのように装い、学術誌に論文として投稿する――。こういった手口で偽造や捏造された「中国発」の論文の存在に注目が集まっている。

「今春、英経済紙『フィナンシャル・タイムズ(FT)』などが報じたもので、中国人研究者による不正な論文が大量生産されている疑惑に焦点を当て、偽造された論文を量産する中国の“論文工場”の存在も指摘。いまや科学研究分野において中国の論文発表数はアメリカに次ぐ2位となり、昨年には論文引用数で初めてアメリカを上回った。そのため欧州の科学界を中心に重大な懸念が示されています」(全国紙外信部記者)

 不正の手口として、仮説を証明するエビデンスの画像データをデジタル操作したり、別の実験に使われた画像の色彩や抽出部分を変えて使い回すなどといったケースが報告されているという。

 不正横行の背景として指摘されるのが、中国の行き過ぎた競争社会だ。医師や研究者らは論文を発表することが昇進に繋がるだけでなく、ノルマと化して「質より量」が重視される傾向にあるという。』

『大卒・院卒でも就職困難

「論文工場」とは、論文の代理作成を請け負う専門業者のことで、1本につき数万~数十万円の報酬で代筆を受注しているという。

「米国の調査チームによると、2020年以降、世界で10を超える論文工場と2000本以上の捏造論文が発見されたといい、その中心地が中国とされます。論文工場を利用するのは、論文掲載数が評価に直結する大学の研究者や病院勤務の医師など。特に多忙を極め、論文を書く時間もない臨床医などを筆頭にカネを払って論文作成を外注するケースが後を絶たないと伝えられます」(同)

 前出のFT紙では最も多く不正論文を生み出している大学として吉林大学の名が挙がるが、中国事情に詳しいジャーナリストの中島恵氏がこう話す。

「吉林大学は中国の大学ランキングでも常に上位に入る、中国教育部直属の“国家重点大学”です。研究分野によっても違ってきますが、論文発表のノルマは過酷とも聞き、切羽詰まっている研究者などが多いのは事実でしょう。もともと科挙のお国柄ゆえ、中国では『学歴』が非常に重視され、大卒や院卒などの高学歴化が急速に進んでいます。実際、修士・博士はゴマンといますが、名門とされる北京大学や清華大学などで博士課程を修了しても、研究者としてどこかの大学ですぐに職を得るのは難しく、さらにキャリアに箔を付けるため、欧米の一流大学への海外留学も当たり前になっています」

 それでもポスト募集のタイミングと合わなければ、帰国して就職することは困難という。
「スナイパー」と呼ばれる代筆者

 有名大学を出ても「いい仕事」にありつける確率は低く、運よく大学や病院などの高給職を得ようものなら、そのポストを手放すまいと誰もが必死な状況という。そのため仕事のプレッシャーやライバルとの足の引っ張り合いなどから、心身を病み「うつ」になるエリート中国人も増えているそうだ。

 実は中国国内でも「不正論文」の横行は以前から問題視され、18年には党中央が論文などの代理・代筆投稿を禁ずる方針を発表。中国問題に詳しい拓殖大学海外事情研究所教授の富坂聡氏が補足する。

「不正論文が問題化する前には、大学入試における不正が横行し、社会問題化しました。当時、入試の答案などを代筆する者は“スナイパー”と呼ばれ、頭はいいが貧乏な大学生や医者の卵などを業者がリクルートして代筆させていた。しかし習近平政権になってから、入試不正が社会の安寧を脅かしかねないとして、取り締まりを強化。以降、入試現場での不正行為は激減した経緯があります」

 今回の論文問題でも、習政権が同様の強権措置を取る可能性も囁かれているという。

「ただし“上”から力ずくで押さえつけても、中国の熾烈な競争社会という“根っこ”の部分を変えないかぎり、一掃するのは難しいでしょう。不正入試の時には“告発されれば必ず捕まる”という状況をつくりだし、悪徳業者などを駆逐した。しかし今後は摘発を逃れるため、人間の手による代筆から“ChatGPTを駆使した不正へとシフト”するとの観測が早くも流れています」(富坂氏)

“イタチごっこ”は終わらない。

デイリー新潮編集部 』

中国当局者、大卒者の就職厳しいと指摘 今年過去最高の1158万人

中国当局者、大卒者の就職厳しいと指摘 今年過去最高の1158万人
https://jp.reuters.com/article/china-economy-employment-idJPKBN2WO088

『[北京 27日 ロイター] – 中国人事社会保障省の兪家棟次官は27日、雇用情勢は依然厳しく、特に大卒者の就職が難しくなっていると指摘した。

中国国務院(内閣)は26日、大卒者や失業中の若者を雇用する企業への補助金などの雇用促進策を発表した。

兪氏は会見で「雇用は安定しているが圧力を受けている。大卒者への圧力はなお非常に強い」と述べた。

政府は今年の雇用創出目標の達成に努めるとする一方で、世界経済の先行きに不透明感があると指摘した。

政府は、2023年に都市部で約1200万人の雇用創出を目標としている。

3月の調査に基づく失業率は5.3%だったが、16─24歳では19.6%と過去最高近くだった。

今年は過去最高の1158万人の大卒者が就職市場になだれ込む見込み。国内各地の寺院には週末になると長蛇の列ができ、若者が就職祈願をする姿が多く見られるようになった。』

『43: ウィズコロナの名無しさん 2023/04/28(金) 01:04:06.92 ID:17i6DzN50.net

中国の大学の定員は1998年に約108万人であった

1999年は約150万人、2000年には約221万人、2002年には約268万人と急増していき
2019年には610万人を突破して増え続ける

大学・大学院の在学生は3000万人以上となっている

そして2021年の大卒・院卒は909万人

2022年の大卒者、大学院卒者は1076万人

2023年は1158万人

2024年は····

2022年の時点ですでに文系学生の就職率はなんと12.4%と極めて低水準で
理系でも理学系が29.5%、エンジニア系が17.3%で

2023年にはこの数値がさらに低くなるとみられ、さらに年々悪化するのが確実という

地獄の就職難である。こんなにたくさんの四大卒はいらないのでござる

62: ウィズコロナの名無しさん 2023/04/28(金) 02:32:14.49 ID:17i6DzN50.net

就職できなかった大卒者は15年前の時点でも
2007年に100万人、2008年に150万人、2009年に80万人以上

蟻族と呼ばれて問題になっていたが、その後状況はますます悪化

いまや約1200万人が大学・大学院を卒業するのに就職率29%ではな

就職がヤバいので院に行ったり留学したりして時間稼ぎしても
2021年卒業 909万人→2023年卒業 1158万人と年々競争が激しくなる

望まない仕事をしてるとか、非正規に甘んじているというレベルをこえて
そもそも仕事がない 』

中国「反スパイ法」改正 対象範囲拡大 取締り強化に懸念

中国「反スパイ法」改正 対象範囲拡大 取締り強化に懸念
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230426/k10014050321000.html

『中国で、スパイ行為を取り締まる「反スパイ法」が改正され、国家の安全と利益に関わる情報を盗み取る行為が、新たにスパイ行為の定義に加わるなど対象範囲が拡大されました。中国では日本人がスパイ行為に関わったなどとして拘束されるケースが相次ぎ、取締りのさらなる強化が懸念されています。

中国の全人代=全国人民代表大会の常務委員会で26日、スパイ行為を取り締まる「反スパイ法」の改正案が可決・成立し、7月1日に施行されることになりました。

中国メディアによりますと、この中でスパイ行為の定義について、「国家の安全と利益に関わる文書やデータ、それに資料や物品」を盗み取る行為が新たに取締りの対象になるなど範囲が拡大されました。

また、国家機関や重要な情報インフラへのサイバー攻撃なども、新たにスパイ行為の定義に加えられ、サイバー対策を強化するねらいもあるとみられます。

中国の反スパイ法は、スパイ行為の定義があいまいだとして、国際社会では、法律が恣意的(しいてき)に運用されるおそれがあると指摘されてきました。

9年前に施行されたあと、これまでに少なくとも17人の日本人がスパイ行為に関わったなどとして当局に拘束されていて、今回の法律の改正をきっかけとした取締りのさらなる強化が懸念されています。

松野官房長官 “中国側に説明求め 在留邦人には注意喚起”

中国で「反スパイ法」が改正され、取締りの対象範囲が拡大されたことについて、松野官房長官は、中国側に詳しい説明や法執行・司法プロセスの透明性確保を求めるとともに、在留邦人に対しては注意喚起を行う考えを示しました。

中国でスパイ行為を取り締まる「反スパイ法」が改正され、中国メディアによりますと、スパイ行為の定義について「国家の安全と利益に関わる文書やデータ、それに資料や物品」を盗み取る行為が新たに取締りの対象になるなど、範囲が拡大されました。

これについて松野官房長官は、記者会見で「これまでも中国側に詳細な説明を求めるとともに、法執行や司法プロセスの透明性を求めてきている。同時に在留邦人への注意喚起を行っており、今後も、そうした取り組みを続けていく」と述べました。』

誰も幸せにならない、中国のデフレ

誰も幸せにならない、中国のデフレ
http://blog.livedoor.jp/goldentail/

『中国では天候不順による不作が伝えられ、色々なものが物不足でインフレしていそうですが、実はデフレの真っ最中です。その原因は、収入の減少。最近、中国の工場が募集した工員の時給は、120円程度です。武漢肺炎前の1/6程度まで給料が減っているので、買いたくても食料が買えません。その為、保存の効かない野菜や食料品を中心に、売るために値下げが起きてます。つまり、デフレ・スパイラルというやつです。

投資対象であり、中国のGDPの源泉である不動産価格も、とうとう役所が「参考価格」と称する公示価格を、不動産開発業者の希望販売価格と別に表示するようになり、その価格が大体、半額程度なのだそうです。役所は土地を貸し出した時に、販売予定価格で計算した税金を徴収しているので、不動産の高騰を抑える為に、無理矢理統制価格を付け始めたのです。この価格で買う義務はありませんが、銀行で不動産ローンを組む時に、貸出の基準になるのが、この「参考価格」になります。つまり、頭金を今までの何倍か積まないと、そもそもローンが組めません。これによって、不動産投機を抑制しようというのが、役所の狙いです。

再稼働を始めた、各種工場も、状況は同じで、仕事が減っているので、利益がでなくても、経費分を稼ぐ為に安い価格で仕事を請けます。これが、日常化すると、工員の賃金も、雇用を維持する為に、下げざるを得ません。他所の工場も、こっちの都合に関係なく値下げして、仕事を請けるからです。つまり、今、中国は、物凄く悪性のデフレに見舞われています。それと、同時に、何かしらの利権を持っていて、そもそも金持ちの階級は、武漢肺炎対策が終息したので、今までのストレスを発散するよに、高価な買い物に走っています。それを、SNSで見せびらかすので、度々炎上します。調子に乗ったバカ息子やバカ娘が、親が不正行為をして稼いでいる事を、自慢げにSNSで暴露してしまい、官憲に捕まって、人生が終了してしまうケースも出ています。

つまり、モノの値段が下がっているのに、それ以上に生活の基盤が壊れているので、安いものしか売れず、利益を度外視して、売るために値下げをせざるを得なくなっています。これは、誰も幸せになれないデフレです。気に入らなければ、工場を辞めても、すぐに次の就職先が見つかった、10年くらい前とは、社会の状況が一変しています。日雇いの仕事を求めて、都会に出てきた人達は、そのままホームレスに。そもそも、宿泊費なんて持っていないからです。昔は、それでも、直ぐに手配師から仕事を貰えて、寮に住み込みで働けました。今は、手配師がいません。

中国全体で、宅配などフリーターとして働く人数は8000万人とも言われ、不安定な非正規の仕事で、日々の生活費を稼いでいます。女性ならば、お客さんと一緒にカラオケ・ボックスで歌を歌う、ホステスのような仕事に「大卒以上」の学歴を募集しています。宅配も、おしなべて学歴は、高いです。学歴が高ければ、人生の競争で有利に立てると考えた親が、無理を重ねて、子供を大学へ入れたからです。それでも、卒業即失業者になる大学生が多いので、文化大革命の時のように、若者を農村に送り込んで、農業をやらせる政策を進めています。昔と違うのは、強制ではなく、一応、選択肢として勧めている点です。

また、中国の銀行が、預金者の金を勝手に使ったり、行員が使い込んで無くなっても、責任を取らなかったり、それを裁判所が認めたりした為、国内の金融において、信用不安が起きています。買ったはずの不動産が、途中で工事が放棄されたり、新築のマンションの床が、叩いたら割れたり、社会のあらゆる場面で、信用が崩れています。よって、投資して産業を起こすようなリスクを冒す人も減っていて、社会の活力も失われています。そして、度重なる傲慢な発言や、国際協定を自分の都合で守らない態度から、海外からの信用も失っています。金をばら撒けば、馳せ参じる国はありますが、そりゃ、金の力で集めた家来であって、友好国じゃありません。

まぁ、それでも鼻息だけは荒いのが、思想が優先する共産国の特徴です。「~でなければ、ならない」で、政治を行うので、報告書は捏造した数字だらけになって、まったく信用ができなくなります。捏造がバレれば、処罰されますが、悪い数字を正直に書いても処罰されので、どっちでも同じだからです。それなら、嘘を突き通して、出世できるなら、した方が良い。ある程度の地位までいけば、何をしても文句を言われなくなるので、バレる心配すらする必要が無くなります。

例のフランス駐在の中国大使みたいに、マクロン大統領がちょっと甘い態度を見せると、すぐに調子に乗って大言壮語するのが、チンピラ気質の中国外交です。本国の連中も大差無いので、甘い顔は禁物です。その代わり、基本的に芯が無いので、相手が手強いと感じると、絶対に手を出してきません。中国の強さというのは、相手との相対的な位置で決まるので、発展途上国には、やたら傲慢で、武力で叶わない国には、実にへりくだった態度を取ります。まぁ、それが大陸風という奴なのでしょう。それで、自分が偉いと思えるから始末に悪いのです。』

どこで何に使ったか一目瞭然…中国の地方政府、5月から「デジタル人民元」導入

どこで何に使ったか一目瞭然…中国の地方政府、5月から「デジタル人民元」導入
https://www.epochtimes.jp/2023/04/147377.html

『中国の一部地方政府で5月から職員給与支払いに、中国人民銀行が数年前より進めてきたデジタル法定通貨「デジタル人民元(e-CNY、数字人民币)」が使用される。これにより個人の監視はますます進むと専門家らは警鐘を鳴らす。

江蘇省常熟市政府は今月20日来月からの公務員や国営企業職員への給与を全額「デジタル人民元」で支払うと公表。地方政府としての使用は初めてとなる。』

(※ 無料は、ここまで。)

デジタル人民元による給与の支給 その使用感は?

デジタル人民元による給与の支給 その使用感は?
http://j.people.com.cn/n3/2023/0425/c94476-20011098.html

『人民網日本語版 2023年04月25日16:06

「江蘇省常熟市は現役の公務員を対象に、給与を全額デジタル人民元で支給する」というニュースが、広く議論を引き起こした。「デジタル人民元の形で給与をもらうのはどんな感じだろう」と、多くのネットユーザーは興味津々だ。

デジタル人民元で給与を支給するとは、雇用機関が従業員の給与をデジタル人民元の形で従業員個人の仮想通貨ウォレットに送金することを指す。実際、昨年から複数の都市でこうした試みが行われている。江蘇省太倉市は昨年からデジタル人民元で給与を支給しており、蘇州市の複数の管轄エリアもデジタル人民元で給与を支給している。

デジタル人民元の給与を受け取るのは、これまでと何が違う?

湖南省出身の亦菲さんは、「自分の勤め先がデジタル人民元での給与を支給するようになってすでに1年がたつ。デジタル人民元でもらっても難しい操作はなく、デジタル人民元アプリをダウンロードするだけでいい」と話した。

蘇州市のある事業機関の取材対象者は、「デジタル人民元で給与をもらった後、デジタル人民元を手数料なしで銀行口座に移し替えることができる。これまでと同じように、デジタル人民元で直接消費することもできれば、支付宝(アリペイ)や微信(WeChat)でデジタル人民元を使うこともできる」と話した。

多くの人の目には、応用シーンが絶えず広がるにつれ、デジタル人民元で支給された給与の使用感はより便利でスピーディなものになったと映っている。

たとえば同省揚州市では、市民がデジタル人民元ウォレットで子どもの学校の給食費を直接払うことができるようになった。蘇州市でもガス・水道・電気料金の一部がデジタル人民元で払えるようになった。複数の大型の公共駐車場ではデジタル人民元による決済が実現した。蘇州久光百貨など複数の大型商業施設ではデジタル人民元決済業務が行われている。

また、各地がデジタル人民元の応用推進に力を入れるにつれ、デジタル人民元の使用シーンがますます増えている。

北京市出身の雨朝さん(仮名)は、「以前に銀行で個人のデジタル人民元ウォレットを開設した時に銀行から20元の紅包(ラッキーマネー)をプレゼントされた」と述べた。多くの都市が「仮想通貨のラッキーマネー」を打ち出し、複数の消費シーンで使えるようになった。また、デジタル人民元を使って商業施設で買い物をすると、お得なキャンペーンが行われていることも多い。(編集KS)

「人民網日本語版」2023年4月25日

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中国・政治ビジネスの内幕本著者に聞く「コネがすべて」

中国・政治ビジネスの内幕本著者に聞く「コネがすべて」
編集委員 飯野克彦
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB0730A0X00C23A4000000/

『中国の女性実業家・段偉紅氏は2000年代、株式投資や不動産開発などで富を築いた。成功の最大の原動力は温家宝首相(当時)の夫人・張培莉氏との緊密な関係で、温首相が引退してしばらくすると段氏は当局に拘束された。そういった中国のビジネス模様を生々しく描いた書籍が、段氏の前夫でビジネスパートナーだったデズモンド・シャム(沈棟)氏による「レッド・ルーレット」(邦訳は22年に草思社から)である。来日したシャ…

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『来日したシャム氏に、中国の政治とビジネスの関係などを聞いた。

――英語版が出て1年半、「レッド・ルーレット」(以下RR)の販売実績は。

「英語版で6万部ほどと聞いている」

「レッド・ルーレット」著者のデズモンド・シャム氏

――RRには共産党政権の本質に迫るような表現がいくつも出てきます。「中国共産党にはマフィアに似たところがあり、独自のオメルタ(沈黙のおきて)を持っている」「紅い貴族は懲役刑ですみ、平民は頭を打ち抜かれる」「党の主な目的は、革命家たちの息子や娘の利益に奉仕することだ」などです。状況は将来も変わりませんか。

「共産党が政権にある限り変わらない。彼らのDNAだ」

――胡耀邦や趙紫陽のように、開明的で人間性のある指導者も共産党にはいました。今の習近平氏が退けば変わる可能性があるのでは。

「胡と趙は失脚した。彼らがトップだったのはごく短い時間だった。共産党では習氏のような指導者が標準で、胡や趙は例外だ。すでに習氏は胡と趙を合計したより長くトップの座にある。しかもなお、終わりは見えない」

――重慶市のトップだった薄熙来氏の摘発は習氏が言い出した、とあなたは書いています。こうした情報は広く共有されていたのでしょうか。

「そうだ。中国では政治がすべてで、ビジネスに関する会話も政治の話が中心だ。ビジネス会話という表現は適切でない。政治について話すことこそビジネスだ」

――RRには「2005年、党は元国家指導者の家族それぞれに1200万ドルを支給した」とありますが、元国家指導者とは。

「引退した党政治局員のことだ。現金や銀行への振り込みといった形式での支給を意味しているわけでは必ずしもなくて、ボディーガードやドライバーの雇用、医療や介護など様々な面で中国政府が1年間に負担する経費の総額だ。20年近くたった今ではもちろん、一段と膨らんでいるだろう」

――習氏が登場して腐敗は抑え込まれたのでは。

「そうではない。習氏が反腐敗運動を始めた後でも、指導者の親族たちのスキャンダルはいくつも表面化してきた。そして彼らは罰則を受けていない」

――中国大陸の人間関係はベタベタしている、とあなたは書いていますが、段氏がトラブルに陥った後の人々は冷淡です。

「中国はルールベースの社会ではなく、グワンシ(関係=コネ)がすべてを決める。そしてグワンシには機能主義的なところがある」

――段氏の近況は。

「割合に自由なようだ。国内は移動できるらしい。監視され海外には出られないし、資産はほとんど没収されたようだが」

――没収は強制でしたか。

「拘束された状態で、資産を国に渡すという書類を目の前に置かれたとき、それに署名する以外の選択肢はないだろう」

――中国当局が世界各地で展開しているとされる海外警察の存在を感じることは。

「私にとって安全という面で問題なのは確かだ。今回の来日では経由地として香港とドバイを避けた。現在リッチな中国人たちがたくさん日本に滞在しているのは安全だからだ」
――不動産大手のSOHO中国のビジネスモデル、つまり公開入札を通じて不動産を手に入れるビジネスモデルをあなたは評価しています。そういった透明性の高い方向、ルールベースの方向へ中国経済は向かわないのでしょうか。

「中国経済があれほど巨大になった一因は市場に基づく経済運営があったことだ。しかし、経済においても社会においても究極の決定をする力は政治力だ。共産党が支配する限り、ルールベースの社会にはならない。彼らは権力分立に反対し、自由民主主義の価値に反対し、西側の価値に反対し、司法の独立に反対している。司法の独立に反対していて、どうしてルールベースの社会になるのか」

――中国軍が27年にも台湾に侵攻するとの見方があります。

「27年は人民解放軍創設100周年に当たる。一方で習氏は(中国の数え方=数え年で)74歳になる。いまや彼にとって最大の関心事はレガシー(遺産)だ。彼が年をとればとるほど危険は高まる」

――ロシアのプーチン大統領が経済面でレガシーを手にできないのに対し、習氏は「世界一の経済大国」のトップを望める立場にある。習氏には待つという選択もあるのでは。

「中国経済が米国経済をしのぐとは思えない」

Desmond Shum中国名は沈棟(シェン・トン)。1968年上海生まれ。78年に母親に連れられ香港移住。米ウィスコンシン大学卒。北京で知り合った山東省出身の女性実業家・段偉紅氏と2004年に結婚。ビジネス面でもパートナーとなり、中国平安保険への投資や北京空港の保税区の開発事業などで成功した。08年には人民政治協商会議(政協)北京市委員会委員という公職に就いた。15年に段氏と離婚し英国移住。段氏は17年に当局に拘束された。
将来の変化の可能性に布石を

「中国の体制は(中略)もっと透明でオープンなものになると、大多数の人は本当に信じていた」。「レッド・ルーレット」のなかでシャム氏はこう書いている。シャム氏自身、いずれ民主的な政治改革が進むとの希望を抱いた時期があったのである。

それが幻滅に転じたのは、2008年のリーマン・ショックの前後から共産党政権が民間企業への締め付けを急速に強めたからだという。いまやシャム氏は共産党政権に対する断固とした批判者であり、習近平氏が退場した後も政治改革は期待できないと考えていることが、インタビューではひしひしと伝わってきた。

中国共産党政権に対する見方は海外でも急速に厳しくなってきたので、珍しくもない印象を受けるかもしれない。ただ、シャム氏の場合は、共産党政権下で半ばインサイダーとして成功した人物ならではの凄みがある。「ビジネス会話という表現は適切でない。政治について話すことこそビジネスだ」といった指摘からは、一党独裁体制の下でのビジネスの実態が鮮やかに伝わってくる。そうした知見・経験を総括した結果として、共産党政権に絶望した印象なのである。

では、今後、どう中国と向き合っていけばいいのか。シャム氏のようにポスト習近平の時代にも変化は望めないと決めつけるのは、早計だろう。将来の変化の可能性を見込んだ布石も求められる。

[日経ヴェリタス2023年4月16日号]』

「アイス事件」怒り続ける中国、BMW不買運動も…抗議のため自ら買った大量のアイス配る来場者

「アイス事件」怒り続ける中国、BMW不買運動も…抗議のため自ら買った大量のアイス配る来場者
https://news.yahoo.co.jp/articles/38a512c392aad0ee5ecf58db35f8c23d7f81456a?page=1

『【北京=山下福太郎】中国の上海モーターショーで起きた独BMWによるアイスクリーム配布を巡る騒動で、中国国内では一部で不買も呼びかけられた。自社の車を巨大市場にアピールする好機だった世界最大級の自動車展は、BMWへの強い批判を招く場に一変した。

【写真】頭から黒い布をかぶせられ、警備員に連行される女性。BMWを批判する動画中継をしていた

不買呼びかけ 車に落書き

BMWのブース前でアイスを配る男性(中央)に殺到する来場者(21日)=山下福太郎撮影

 中国紙は「アイス事件」として一連の騒動や余波を大きく報じている。ショーの会場で取材する官製メディアの記者は「国民はみんな怒っている」と本紙に述べた。

 中国でBMWは、同じ独自動車大手のベンツ、アウディの頭文字を取った「BBA」と称される独高級車の代表格だ。BMW車に乗ることが成功者の証しと言われていた。

 同社のブース前では連日、抗議の意思を示すために自ら買った大量のアイスを配る来場者の姿が見られる。出展する中国企業もアイスの無料配布を始め、主催者が「禁止」を通達する事態となった。

 江蘇省のある企業は21日、BMW車を保有する社員向けに「1か月以内に売却する誓約書を書いてください。応じない従業員は解雇します」との通知を出した。代わりに2万元(約40万円)の補助金を出し、国産の最高級車「紅旗」を購入するようにも求めている。事実上の不買運動の強制ともいえ、中国メディアによると労働契約法に違反する疑いがある。

 23日には、ボンネットに「ドイツへ帰れ」と落書きされたBMW車の写真がSNSに投稿されるなど、ショーが閉幕する今月27日までの沈静化は難しい状況だ。

 BMW側の対応も後手に回り、火に油を注ぐ形となった。20日、公式SNS上に「社内管理の不足とスタッフの怠慢が原因」との謝罪コメントを掲載した。だが、不十分との声が強まると、翌日には3倍の分量で経緯の詳しい説明や再度の謝罪に追い込まれた。

 20日には、ブース前でBMWを批判する動画中継をしていた中国人女性が連行された。同社側が依頼し、当局も騒動の拡大を抑えるために応じたとみられる。しかし、十数人の警備員が頭から黒い布を強引にかぶせて連れ去る様子がSNSで拡散して反発を招いた。』

『業績への影響が懸念され、騒動後に欧州市場でBMWの株価は3%超下落した。時価総額では21億ユーロ(約3100億円)に相当し、一部の中国メディアは「市場価値がとけた分で、5億個のアイスが購入できたはず」と皮肉まじりに報じた。

 中国は、生産と販売の両面で世界最大の自動車大国となる。BMWも21年の世界販売252万台のうち、中国が85万台と3分の1を占め、ドイツを含めた欧州に並ぶ最重要市場と位置づけてきた。ショー開幕日の18日、ツィプセ会長は「BMWの心は中国にある」と会場で演説し、投資を拡大する方針を示したばかりだった。

 今回の騒動は、中国共産党の意向で近年強まる愛国主義の矛先が、わずかなきっかけで外資企業に向かうリスクを改めて浮き彫りにした。
外資の投資に影響も

 一連の騒動により、BMWの本拠となるドイツをはじめ、外資による対中投資への影響が避けられそうにない。

 今年の上海モーターショーには、電気自動車(EV)最大手の米テスラが出展を見送った。前回開催となる2年前、自社の展示車に来場者の女性が上り、安全性を強く批判し、同調する世論が中国国内に広がったことが影響した。中国メディアの記者は「今後、同様の動きが拡大する可能性がある」と話す。

 ドイツにとって中国は最大の貿易相手だ。昨年11月にはショルツ首相がコロナ禍以降、先進7か国(G7)首脳として初めて訪中し、習近平国家主席と会談した。BMWの経営トップも同行していた。

 進出する独企業も投資に積極的で、昨年12月に公表されたアンケート調査(回答586社)では、今後の中国事業は「増加」が77%、「縮小」が23%だった。

 中国経済は、3年弱続いた「ゼロコロナ」政策の深刻な後遺症に直面している。3月の全国人民代表大会(全人代=国会)では、経済政策の柱の一つに外資の投資拡大が打ち出された。

 反面、経済安全保障を巡る対立の激化で、欧米に対する国民世論は先鋭化し、弱腰の対応と判断されれば矛先が党や政府に向かう可能性がある。共産党機関紙傘下の環球時報は23日、外国メディアを引用する形で「特定ブランドに対する批判がエスカレートすれば、『友より敵』になってしまう」と冷静な対応を呼びかけた。

 ◆上海モーターショー=上海市で今月18~27日に開催し、1000社超が出展する。BMWの騒動は、小型車ブランド「MINI」のブースで発生。中国人女性が19日にお土産のアイスを求めた際、中国人の女性スタッフは「終了した」と断ったのに、直後に来た外国人男性には渡す動画がSNSなどで拡散し、中国人差別との批判が広まった。』


『中島恵
中島恵
3時間前

ジャーナリスト
報告

記事中にある「今回の騒動は、中国共産党の意向で近年強まる愛国主義の矛先が、わずかなきっかけで外資企業に向かうリスクを改めて浮き彫りにした」という一文が、非常に的を得ていると感じます。 

外資企業にとって、中国リスクは、ありとあらゆるところに転がっています。現地トップや幹部がいくら注意していても、現場のスタッフの対応によって、いつ何が起こるかわからない。中国ビジネスに取り組む日系企業にとっても他人事ではない、難しい問題だと感じます。』

上海モーターショーで「中国人差別」騒動、BMW車の破壊に発展…株価も下落

上海モーターショーで「中国人差別」騒動、BMW車の破壊に発展…株価も下落
https://www.epochtimes.jp/2023/04/147375.html

『中国・上海で開催中の自動車展示会「上海国際モーターショー」で、独自動車大手BMWのブースに差別的な対応があったとして批判が集まっている。一部暴徒が同社車両を汚したりフロントガラスを叩き割るなどの暴力事件を引き起こした。騒動によって同社株価は20日、前日比で3%下落した。

騒動のきっかけは19日、「BMW傘下ミニの出展ブースで若い中国人女性の案内役2人が、外国人だけにアイスクリームを無料配布した」とする動画がSNSなどで拡散されたためだ。

(※ 無料は、ここまで。)

立法情報【中国】反スパイ法の制定

立法情報【中国】反スパイ法の制定
主任調査員 海外立法情報調査室 岡村志嘉子
https://dl.ndl.go.jp/view/download/digidepo_8896333_po_02620109.pdf?contentNo=1

 ※ 例によって、テキスト変換した。

『・より強固な国家安全体制の構築を目指す習近平政権の下、スパイ行為の取締り強化を目的と
して、国家安全法をその題名を含めて改正した反スパイ法が2014年11月1日に施行された。

1経緯

2013年11月12日、中国共産党第18期中央委員会第3回全体会議(三中全会)にお
いて、国家安全体制と国家安全戦略を強化し国家の安全を確保するために国家安全委
員会を創設する方針が決定され、習近平総書記が中央国家安全委員会主席に就任した。

2014年4月15日に招集された同委員会の第1回会議では、近年の国内の社会情勢及び
国際情勢の変化を踏まえ、「政治の安全、国土の安全、軍事の安全、経済の安全、文化
の安全、社会の安全、科学技術の安全、情報の安全、生態系の安全、資源の安全、核
の安全を一体化した国家安全体系を構築する」とする新たな理念が提示された。

このような新たな方針の下に、より強固な国家安全体制を構築するための法整備の
一環として、国家安全法(注1)の改正が行われることになった。

1993年2月22日に
制定された同法は、国家の安全を守り、中華人民共和国の政権と社会主義制度を擁護
し、改革開放と社会主義現代化建設の順調な進展を保障することをその立法目的とし、
全34か条から成る。

2014年8月、第12期全国人民代表大会常務委員会(以下「全人
代常務委」)第10回会議に提出された同法改正案は、法律の題名を「反スパイ法」と
改め、現行規定の内容を基礎としつつ、スパイ取締りという立法目的を明確に打ち出
した。

法執行上の実効性を高めるため、規定内容がより具体化されたほか、刑法、刑
事訴訟法、行政強制法、行政処罰法等の関係規定との整合性も図られた。改正案は審
議後、意見公募を経て、当初の法案にはなかったスパイ行為についての5項目の具体
的な定義規定が加えられ、2014年11月1日、全人代常務委第11回会議で再度審議さ
れた後、可決、成立した。

成立した反スパイ法(注2)は全40か条から成り、2014年11月1日公布、同日施
行された。

2反スパイ法の構成と主な内容

(1) 構成

第1章:総則(第1条〜第7条)、第2章:スパイ取締り活動における国家安全機関
の職権(第8条〜第18条)、第3章:国民及び組織の義務及び権利(第19条〜第26
条)、第4章:法的責任(第27条〜第37条)、第5章:附則(第38条〜第40条)。

(2) 立法目的と適用範囲

スパイ行為の防備、制止及び取締りにより、国家の安全を守ることを目的とする(第
外国の立法(2015.1)

国立国会図書館調査及び立法考査局
立法情報
1条)。中国大陸外の機関、組織及び個人(以下「機関等」)が行い(他人を指図若しく
は資金援助して行うものを含む)、又は中国大陸内外の機関等が結託して行う中華人民
共和国の安全に危害を及ぼすスパイ行為は、いずれも法律に基づいてその責任を追及
する(第6条)。

(3) スパイ行為の定義

①スパイ組織及びその代理人が行い、又は中国大陸内外の機関等が結託して行う中
華人民共和国の安全に危害を及ぼす活動、②スパイ組織への参加又はスパイ組織及び
その代理人の任務引受け、③スパイ組織及びその代理人以外の中国大陸外の機関等が
行い、又は当該機関等と中国大陸内の機関等が結託して行う国家秘密若しくは情報を
窃取、偵察、買収若しくは不法に提供する活動、又は公務従事者に国家を裏切るよう
扇動、誘惑、買収する活動、④敵に対する攻撃目標の指示、⑤その他のスパイ活動、
の5項目をスパイ行為として定義する(第38条)(注3)。

(4) スパイ取締り活動の基本方針と実施主体

スパイ取締り活動は、中央政府による統一的な指導を堅持し、公開活動と秘密活動
の連携、専門要員の活動と大衆路線の連携、積極的な防御、法に基づく取締りを原則
とする(第2条)。国家安全機関がスパイ取締り活動を主管し、公安その他の関係機関
及び軍の関係部門は、法に基づいて適切な業務分担と相互協力を行う(第3条)。

(5) スパイ取締り活動に対する国民の権利及び義務

中華人民共和国の国民は、国家の安全、栄誉及び利益を守る義務を有し、それらに
危害を及ぼす行為をしてはならない(第4条)。スパイ取締り活動は、法に基づいて行
い、人権を尊重及び保障し、国民及び組織の合法的な権利利益を保障しなければなら
ない(第5条)。国民及び組織はスパイ取締り活動に便宜提供又はその他の協力を行わ
なければならず、スパイ取締り活動への協力により本人又は親族の身に危険が生じた
場合、国家安全機関に保護を求めることができる(第20条)。

⑹スパイ取締り活動における守秘義務

国家安全機関及びその職員が法に基づいてスパイ取締り活動を行う過程で取得した
組織及び個人の情報や資料は、スパイ取締り活動にのみ用いることができ、国家秘密、
営業秘密及び個人のプライバシーに属するものについては、その秘密を守らなければ
ならない(第1?条)。

注(インターネット情報は2014年12月11日現在である。)

(1) 「中^人民共和国国家安全法」国^院法制ふ公室
(2) 「中^人民共和国反]、司^法」同上
(3) 第5項目については、定義が曖昧なため拡大解釈される可能性があるとの指摘がある。「反間諜法通
過 専家指除異己」『明報』2014.11.2. ; 「中国、『反スパイ法』を施行」『日本経済新聞』2014.11.2.
外国の立法(2015.1)

国立国会図書館調査及び立法考査局 』

中国、「反スパイ法」改正案を審議 定義拡大で摘発強化

中国、「反スパイ法」改正案を審議 定義拡大で摘発強化
https://www.jiji.com/jc/article?k=2023042400744&g=int

『【北京時事】中国の全国人民代表大会(全人代、国会に相当)常務委員会は24日から「反スパイ法」改正案を審議する。スパイ行為の定義を拡大し、摘発を一層強化する内容で、恣意(しい)的な運用への懸念が強まっている。審議は今回で3回目となり、26日にも採択される可能性がある。

拘束の邦人男性に領事面会 健康状態問題なし―中国

 改正案はスパイ行為について、従来の「国家機密の提供」に加え、「国家の安全や利益に関わる文書、データ、資料、物品」の窃取などを盛り込んだ。「国家の安全や利益」の具体的な説明はなく、当局の解釈や運用次第で摘発が増える恐れがある。

 「重要な情報インフラ施設のサイバーセキュリティーの脆弱(ぜいじゃく)性に関する情報の提供」もスパイ行為と定義。また、スパイ活動の摘発に科学技術を活用することも明記した。

 摘発を担当する国家安全当局の権限も強化する。スパイ行為の疑いがある人物への手荷物検査が可能になるほか、個人や組織の「電子機器、施設、プログラムやツール」の調査や差し押さえができるようになる。「国家の安全」に危害を与え得る国民の出国や、外国人の入国を禁じることもできる。

 反スパイ法は2014年に施行され、改正は初めて。今年3月には北京で、同法に違反した疑いで50代の日本人男性が国家安全当局に拘束される事案が発生した。法施行後、これまでにこの男性を含め日本人17人が同法違反などで拘束されているが、容疑の具体的な内容は不明だ。 』