巨大台風でグアム米空軍基地に相当な損害か [米空軍]

巨大台風でグアム米空軍基地に相当な損害か [米空軍]
https://holyland.blog.ss-blog.jp/2023-05-27

『政府機関併せ緊急対処チーム200名以上緊急派遣
空母ニミッツ戦闘群も日本から派遣
風速62mを記録の「Category 4」
グアム国際空港は1週間以上の閉鎖か

Andersen Tyhoon5.jpg5月24日、超大型の台風(Super Typhoon Mawar:日本では台風2号)が、米国基準で5段階の2番目に大きい「Category 4 hurricane」の状態でグアム島を直撃し、気圧905HP・風速62m・降水量650㎜の暴風雨で同島のアンダーセン米空軍基地等に相当の被害を与えた模様で、米政府の連邦緊急事態管理庁(Federal Emergency Management Agency)が事前に約130人の対処組織を派遣し、米空軍も80名規模のNDRT(Natural Disaster Recovery Team)を向かわせている(26日現在)とのことです

Andersen Tyhoon.JPGグアム島では、国際空港(Won Pat International Aiport)が台風被害で少なくとも5月30日までは使用不能になっており、NDRTチームはハワイで民航機から軍用機に乗り換えグアムに向かっているとのことです。また米海軍は、日本近傍に所在していた空母ニミッツ戦闘群をグアムに向かわせており、29日到着見込みで被害復旧や人道支援任務に当たらせるとのことです

Andersen Tyhoon3.jpg米空軍のNDRTは、2018年のハリケーンMichaelで「壊滅的」被害を受けたTyndall基地事案等を受け約1年半前に米空軍施設部隊センター内に編制された組織で、自然災害が発生したり被害発生が予期される場合に対処チームの人員を各所から集めて編成(軍人と文民職員、更に民間契約業者で構成)する権限を持ち、主に被害の長期的&恒久的な復興施設作業をリードする視点から、現地入りから30日以内に被害状況や被害復旧に必要な施設工事の見積もりやコストアセスメントを行い、その後は必要な業者との契約や施工管理までフォローする組織です

NDRTは2021年下旬に設置され、同チームの緊急編成と派遣は2022年10月フロリダMacDill基地へのハリケーン被害対処と、同年12月の竜巻と豪雪被害対処におけるアーカンソー州Little Rock基地派遣の過去2回ですが、被害規模の大きかった2018年のTyndallと2019年のOffut基地復旧関連の工事立案&契約と施工管理も設置後支援してノウハウを大きく蓄積している模様です

Andersen Tyhoon4.jpgアンダーセン空軍基地の被害状況について具体的な情報は27日現在で不明ですが、ハリケーンに慣れているグアム島ではありますが、風速62mと650㎜の降水量により、滑走路や格納庫や基地内施設に被害がある模様で、水道や電量供給網など重要基礎インフラへの影響も少なくない模様です

幸い、事前に米軍航空機は島外に避難するか頑丈な格納庫内に入れられ被害ゼロで、米海軍艦艇も港湾外で難を逃れたようです。基地内施設への被害でけが人は出ているようですが、死亡者はないようです

Andersen Tyhoon6.jpgグアム島は米軍の対中国作戦の最前線基地の一つであり、最重要基地と申し上げても過言ではなく、米太平洋軍はグアム島の弾道&巡航ミサイル防衛防衛能力強化を最優先事業として要望し、米ミサイル防衛庁MDAも地籍確保や原住民聖地との兼ね合い調整に苦労しつつ、2026年頃までの態勢整備を目指して懸命な努力をしているところです(ちなみに、沖縄の嘉手納基地等に対するミサイル防衛強化計画は耳にしたことがなく、有事に期待されていないことの証左と考えられます)

その中でもアンダーセン空軍基地は台湾有事の重要軍事拠点であり、被害が発生していても、「安全保障上の秘密扱い」になる可能性が高いですが、軍事活動への影響が少ないことを祈るばかりです』

なぜ、急に春になったのか 今月上旬は「10年に一度の高温」可能性

なぜ、急に春になったのか 今月上旬は「10年に一度の高温」可能性
https://news.yahoo.co.jp/byline/katayamayukiko/20230303-00339625

 ※ 今日は、こんな所で…。

『片山由紀子
気象予報士/ウェザーマップ所属
3/3(金) 19:25

この先2週間も暖かい空気に覆われやすく、8日頃からは西日本から北日本にかけての広い範囲で、気温がかなり高くなる見通しです。気象庁はこの時期としては10年に一度の高温となる可能性が高いとして、早期天候情報を発表し、注意を呼びかけています。

あっという間に春本番

 暦にあわせるかのように、1日夜は関東地方で春一番が吹きました。急に暖かくなった印象です。例年ならば、春一番が吹いても、すぐに寒さがぶり返し、なかなかコートが手放せないことが多いのですが、今年は様子が違うようです。

 この先10日間の東京の気温を見てみると、来週以降、最高気温が20度の日が続く予想です。さらに、朝の気温が高いことも特徴で、暖房費が節約できてありがたいです。

【東京の10日間予報】気象庁の週間天気予報に、ウェザーマップ予報を加えたもの:ウェザーマップ作画

冬はぶり返すのか

 春への歩みは順調なのでしょうか。注目すべき現象が上空約22キロ、成層圏で起こりました。2月16日頃、北極の上空で、大規模な成層圏の突然昇温が始まり、気温が数日で30度以上も上昇したのです。

【30hPa高度と平年偏差図】上図は2023年1月中旬、下図は2023年2月下旬:気象庁ホームページより、筆者加工

 成層圏の突然昇温により、北極を取り巻く偏西風の流れが大きく変わります。偏西風は冷たい空気と暖かい空気の間を流れているため、気温が大きく変化する原因にもなるのです。

【5日間平均】500hPa高度偏差図(3/8~3/12):ウェザーマップ作画、筆者加工

 この先の予想図(3/8~12)によると、偏西風が欧米側に偏るため、英気象庁は今後、気温が低くなると注意を呼びかけています。

 一方、日本付近では北側を流れ、暖かい空気の影響の方が大きいでしょう。欧州とは対照的な天候となりそうです。

 2018年にも大規模な成層圏の突然昇温が起こり、英国はかなり寒くなったそうです。そのとき日本は気温が高く、全国的にサクラが早く開花しました。

 寒の戻りが全くないとは言い切れませんが、季節の進みは例年以上に早くなると思います。

【参考資料】

気象庁:高温に関する早期天候情報(西日本~北日本)、2023年3月2日14時30分発表

英気象庁(Met Office):Which weather drivers will affect the outlook for March?、 28 February 2023

記事に関する報告

片山由紀子
気象予報士/ウェザーマップ所属

民放キー局で、異常気象の解説から天気予報の原稿まで幅広く天気情報を担当する。一日一日、天気の出来事を書き留めた天気ノートは117冊になる。365日の天気の足あとから見えるもの、日常の天気から世界の気象情報まで、天気を知って、活用する楽しみを伝えたい。著作に『わたしたちも受験生だった 気象予報士この仕事で生きていく』(遊タイム出版/共著)など。』

温暖化より怖い寒冷化

温暖化より怖い寒冷化 低下続く太陽活動と異常気象の気になる関係 長辻象平
https://www.sankei.com/article/20190522-MJ5Y5A6TG5PV5MB6JCOU2ZATA4/

 ※ 今日は、こんな所で…。

『2019/5/22 08:45

近年、地球規模で続発する異常気象が気にかかる。

 温暖化防止を目指すパリ協定開始が迫る中、今冬の米国は大寒波に見舞われた。昨冬の北陸地方の豪雪では福井県内で大量の車が立ち往生している。

 昨夏は国内で40度超の猛暑が続くなどして熱中症での搬送が過去最多を記録。大型台風も相次ぎ、西日本豪雨では多くの命が奪われた。炎暑は海外でも発生し、カナダやインド、ギリシャなどを熱波が襲った。

 そのギリシャには今年1月、氷点下23度の寒波が押し寄せ、アテネに雪が積もった。
 地球の寒暑が、両極端に向けて暴走している印象だ。

 ◆増加続く二酸化炭素

 異常気象の背景には、二酸化炭素に代表される温室効果ガスの増加があるとするのが、科学界の大勢だ。国連の「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」がこの立場だ。
 大気中の二酸化炭素は20世紀を通じて増え続け、1960年ごろに315ppmだった濃度が今では400ppmを超えている。

 二酸化炭素には毛布のように地球を保温する力がある。

 世界の平均気温は100年間で0・7度ほど高くなっており、二酸化炭素などの増加が原因と説明されている。

 ◆200年ぶりの低下

 その一方で、太陽の活動は、この30年ほど低下中。1800年ごろ以来の異変だ。

 と言っても、太陽から地球に届く光のエネルギー量は、この間も安定していて変わっていない。変化が確認されているのは太陽表面の黒点数だ。

 中心部で核融合反応が進む太陽は、磁場の星。その磁力線が太陽表面を貫いている場所が黒点なのだ。だから、黒点数は太陽の活動度の「表示目盛り」となる。多いほど活発だ。』

『黒点数には、約11年周期(サイクル)で増減を繰り返すという性質があるのだが、問題はその様子をグラフに描いたときの各サイクルの頂点が次第に低くなってきていることだ。

 1980年ごろにピークを迎えたサイクル21に比べてサイクル22のピークは低かった。そうした低下がサイクル23、24と連続して起きている。

 現在は、サイクル24の終盤期。2020年ごろから始まる次のサイクル25の規模が気がかりだ。

 ◆次周期も低調の予測

 「私たちの研究チームの解析からは、サイクル25での太陽活動は、サイクル24と同程度か、さらに弱くなる可能性が高いという結果が得られています」

 名古屋大学宇宙地球環境研究所の今田晋亮講師が教えてくれた。2025年ごろにピークを迎えるサイクル25でも黒点数の回復は望めないのだ。

 今田さんらは、太陽表面での磁場の輸送をコンピューターシミュレーションすることなどで次周期の太陽活動度の早期予測を可能にしている。

 4月には米海洋大気局(NOAA)などの太陽研究グループも同様の予測を表明した。

 ◆70年代には寒冷化論

 ピーク黒点数の減少で気になるのは、1645年からの70年間と19世紀初頭など、過去の太陽活動不活発期の気候は、いずれも寒冷であったことだ。

 団塊の世代以上の人なら覚えているはずだが、1960~70年代にも豪雨や気温低下などの異常気象が続き、世界中で地球寒冷化が心配されていた。

 1970年ごろにピークを迎えたサイクル20の黒点数は、サイクル19から一気に半減していたのだ。だが、サイクル21で黒点数は復活。それとともに80年代後半には気候に対する危惧も地球温暖化へと一変した。』

『◆多様な視点が必要だ

 太陽活動の低下による寒冷化と二酸化炭素による温暖化。両者のせめぎ合いが当今の気候のような気がしてならない。

 IPCCなどは地球に注ぐ太陽の光エネルギーが一定なことを理由に、気候変動に及ぼす太陽の影響を軽視しているが、それでよいのか大いに疑問だ。

 黒点の観測が始まった17世紀以降の歴史記録は、地球の寒冷期と黒点減少期の見事な一致を示しているではないか。

 平安時代は温暖だったが、そのころ二酸化炭素を排出する産業が活発だったのか。

 気温が上昇した20世紀は大気中の二酸化炭素濃度が増加した時代だったが、全般的に太陽活動が活発な時期でもあった。

 今のように太陽磁場が弱まると地球に注ぐ宇宙線が増加し、その作用で雲が増えて気温が下がったり、豪雨を促進したりするという研究報告もある。

 二酸化炭素のみしか見ない気候変動対策では、天に唾する結果にもなりかねないと思うのだが…。気候変動は温暖化よりも寒冷化の方がはるかに怖い。』

〔イラク、関連情報2〕

バグダード における年間の気候および平均気象
https://ja.weatherspark.com/y/103217/%E3%83%90%E3%82%B0%E3%83%80%E3%83%BC%E3%83%89%E3%80%81%E3%82%A4%E3%83%A9%E3%82%AF%E3%81%AB%E3%81%8A%E3%81%91%E3%82%8B%E5%B9%B4%E9%96%93%E3%81%AE%E5%B9%B3%E5%9D%87%E7%9A%84%E3%81%AA%E6%B0%97%E5%80%99

『 バグダードでは、夏はうだるように暑く、乾燥状態、快晴、冬は寒く、乾燥状態、ほぼ晴れです。 1 年を通して、気温は 5°Cから 45°Cに変化しますが、1°C 未満または 48°C を超えることは滅多にありません。

砂浜/プール点によると、年間でサマーアクティビティのためにバグダードを訪問する最適な時期は4月下旬から5月下旬まで、9月中旬から10月中旬までです。 』

中国最大の淡水湖が「川に干上がる」

中国最大の淡水湖が「川に干上がる」 長江の川底が「草原に」
https://www.visiontimesjp.com/?p=36227&

『長江流域で高温・少雨が続く影響で、長江の水位が急激に低下し続け、多くの水域の江水が干上がり、川底が露出している。

 中国の公式メディアによると、高温少雨が続き、長江からの水量も少ないことが重なり、江西省の鄱陽湖(はようこ)の水位が急激に低下した。

 国家衛星気象センターの観測データで、鄱陽湖の面積は明らかに「縮小」していることが分かった。18日の鄱陽湖の水域面積は約1113平方キロメートルで、7月10日の水域面積より約66%減少した。

 衛星図を見ると、中国最大の淡水湖である鄱陽湖は今、湖に見えず、主な湖面が消えて、むしろ川のように見える。

 鄱陽湖の水位低下に伴い、廬山水域の湖底にある「落星墩(らくせいとん)」古跡が全貌を現した。「落星墩」周辺の水はすべて干上がり、まるで草原にいるような状態になっている。落星墩は鄱陽湖に浮かぶ岩の島で、総面積約1800平方メートル、江西省廬山市のシンボルとなっている。

 ネットユーザーが投稿した俯瞰映像では、鄱陽湖の水位が急激に低下し、面積も大きな湖から川へと縮小していることがわかる。干ばつで多くの海岸がひび割れ、海岸に取り残された魚は干物になり、見るに忍びない。

鄱阳湖的水位下降得很厉害。面积也从一个大湖缩成了一条河。 pic.twitter.com/SceJ5gVGzT

— bridgeduan (@bridgeduan) August 21, 2022

8月20日,江西九江都昌县,鄱阳湖水位跌破10米创历史同期最低,干涸的湖水呈现树状奇观…小鱼被晒成鱼干。天降大旱,也不见英明猪头领导人亲自指挥,亲自部署了,反向视察,东边有事往西跑,南边大旱往北跑。活脱脱一头猪! pic.twitter.com/WuEMGrlfeG

— 老司机 (@h5LPyKL7TP6jjop) August 21, 2022

鄱阳湖流域大旱,水位告急,已跌破历史同期极值! pic.twitter.com/NN5ISDo7ob

— 全哥不吃鱼 (@JY33503792) August 20, 2022

(翻訳・藍彧)』

[FT]中国の干ばつ、温暖化による経済被害を浮き彫り

[FT]中国の干ばつ、温暖化による経済被害を浮き彫り
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB014PN0R00C22A9000000/

『ビザ(査証)コンサルタントのエル・フーさん(31)はほぼ毎日、中国南西部にある重慶市の高層ビルで働いている。だが、中国が過去数十年で最悪の干ばつに見舞われて重慶で森林火災が発生すると、バイクに飛び乗り、消火活動の物資運搬を手伝うために郊外へ走った。

干ばつのために亀裂が広がった川底(江西省南昌市)=ロイター

フーさんは「山には1000~2000人の消防隊員がいたが、バイクのボランティアも大勢いた」と言い、自動車は泥道を走るのに四苦八苦していたと話す。

四川省は8月28日から工場向けの電力供給を再開し始めたが、熱波が経済全体に与えた影響は深刻だ。熱波で重慶の気温は過去10年間の平均を7度上回った。中国南西部に広がった電力不足で産業がマヒ状態に陥り、科学者らはこれは恐らく気候変動が招いた危機だと言う。

干ばつで水力発電所に水を供給する河川が干上がった。これは中国で最も長く、最も重要な物流航路である長江も例外ではなく、水位が過去最低水準まで下がった。重慶近辺では水位が極端に下がったため、何世紀も水面下に沈んでいた約600年前の仏像が姿を現した。

気候学者で気候の歴史学者でもあるマキシミリアーノ・ヘレラ氏は「中国東部でのこの熱波の継続期間、範囲、激しさの組み合わせは世界の気候史上前例がない」と話す。「2022年以前は13年の熱波が最も厳しかったと考えられていたが、今回の熱波は期間が2倍に延び、格段に厳しく、より広範な地域に広がった」と同氏は説明する。
ジェット気流の蛇行が原因か

大気科学を専門とする香港城市大学のジョニー・チャン名誉教授は、この極端な気候の理由の一つは、気候変動がジェット気流(中緯度地域の気候を左右する風速の大きい気流の帯)を「蛇行」させたことだと推測する。

チャン氏は「ジェット気流が不安定だと、暖かい空気が南から北に流れ続けるブロッキング現象が生じることがある」と説明し、熱帯性の高気圧も以前よりも中国中部のより広い地域を覆ったと指摘する。「こうした高気圧は通常沿岸部にとどまるが、現在は内陸に大きく張り出している。中国中部では湖が干上がっている」という。

人口が合計で1億7400万人を上回る四川省、重慶市、湖北省は、中国東海岸の製造業の拠点に電力を供給している。だが、コンサルティング会社ランタウ・グループのエネルギー市場アナリスト、デビッド・フィッシュマン氏によると、四川の水力発電所は今年、平均発電能力の20%程度で稼働している。同氏は電力需要が最低水準であることに触れ、「河川の流量が落ち込んでいる限り、四川の水力発電はベースロード電源として扱われるだけの能力がない」と語った。

熱波はエアコン使用と電力需要を急増させ、四川省ではピーク時の電力需要が過去最大を記録した。当局は製造業者に対し、2週間以上の生産停止を命じることを余儀なくされた。
操業停止強いられ生産減少

コンサルティング会社トリビアム・チャイナのアナリスト、イーブン・ペイ氏は「企業に対する影響はかなり広範に及ぶ。四川では災いが重なるパーフェクトストームの状況になった。どんなタイプの製造業も問題を抱えている」と話す。

トヨタ自動車や台湾・鴻海(ホンハイ)精密工業傘下の富士康科技集団(フォックスコン)のようなメーカーは生産を停止した。米電気自動車大手テスラの上海事業や中国国有自動車大手の上海汽車集団では、電力不足によってサプライチェーン(供給網)問題が生じた。国有自動車大手の重慶長安汽車は、計画停電で四川工場の操業停止を強いられ、8月の生産台数が当初目標より10万台減ると発表した。

四川はリチウムとポリシリコンの重要な産地でもある。どちらも電気自動車や太陽光パネルの生産に欠かせない素材だが、両業種は減速する中国経済で成長を回復させる起爆剤として中国政府が期待を寄せている。

電力制限は電池生産に使われるリチウムの生産減少につながる。情報会社の上海メタルズ・マーケットによると、8月の炭酸リチウムの生産量は1250トン、水酸化リチウムの生産量は3050トン減少すると推計されている。

生産減少で経済生産高は縮小したが、極端な気候の下で生活する人には特に大きな負荷がかかっている。当局がオフィスの管理者に対し、節電のためにエアコンの設定温度を上げるよう指示したため、従業員は暑さをしのごうと扇風機の前に氷を置いた。市が照明を落としたため、住民は車内が暗くなった地下鉄に乗った。そして中国政府の「ゼロコロナ」政策を徹底して順守するために、重慶市当局は8月24日、燃え盛る山を背景に市全体のPCR検査を実施した。

「自然災害の前では、なすすべもない」と冒頭のフーさんは嘆いた。

By Primrose Riordan, Gloria Li and Andy Lin

(2022年8月31日付 英フィナンシャル・タイムズ電子版 https://www.ft.com/)

(c) The Financial Times Limited 2022. All Rights Reserved. The Nikkei Inc. is solely responsible for providing this translated content and The Financial Times Limited does not accept any liability for the accuracy or quality of the translation. 』

[FT]水上供給網に気候リスク 渇水、航行を阻害

[FT]水上供給網に気候リスク 渇水、航行を阻害
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB221RT0S2A820C2000000/

『猛暑が数週間も続いたことで、フランス西部を流れるロワール川流域では乾ききった川底を散歩できるようになった。

ライン川では、水位が多くの船舶にとって操業が経済的に見合わない水準まで低下した=ロイター

欧州の重要な水路であるドナウ川も水位が下がった。流域の東欧諸国は貨物を運ぶはしけ船が航行できるように、川底の土砂を除去する浚渫(しゅんせつ)を余儀なくされた。

ドイツなどを流れるライン川では、航行の要衝において、水位が多くの船舶にとって操業が経済的に見合わない水準まで低下した。ただ、迫りくる課題のことを考えると、こうした事態はまだ準備期間にすぎないのかもしれない。

マレーシア、洪水で半導体供給に打撃

国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は、気候変動に伴い干ばつや洪水、激しい嵐といった異常気象が今後はより頻繁に発生し、規模も大きくなると明言している。そのため食料・製品の生産、製造、流通への世界的な影響は、途方に暮れるほど広範囲に及びかつ、複雑になる。

企業がまず懸念することは、高まる気候リスクに自社やサプライヤーのどの工場がさらされているかという点だ。各国政府はもっぱら食料供給に対する脅威に注目している。

だが、今年の干ばつは気候変動が激しくなるに従い、国際貿易の水上輸送インフラそのものが干上がったり、閉鎖されたりする危険性があることも浮き彫りにした。

事例は枚挙にいとまがない。アルゼンチンでは、南米の川としては全長がアマゾン川に次ぐパラナ川で、水位低下が深刻な状況がここ数年続いている。この川は穀物を輸出する際の主要水路だが、渇水が大豆の輸送に支障をきたしている。なお、アルゼンチンは大豆輸出で世界第3位だ。

マレーシアでは、昨年の洪水でマラッカ海峡沿いにあるクラン港が被害を受け、台湾製の高度な半導体の供給が深刻な打撃を受けた。こうした半導体の多くは、最終工程のパッケージングがマレーシアで施されてから世界各地に出荷される。

やはり昨年氾濫が被害をもたらしたライン川経由の貿易は今、過去5年間で2度目の深刻な渇水に苦しめられている。前に渇水があった2018年には、貨物の運搬が止まったことで、同年第4四半期のドイツの経済成長が0.4%下振れした。

炭素排出、一層増加の恐れ

オランダのデルフト工科大学のマーク・ファン・コニングスフェルト教授(港湾・水路学)は、こうした状況にもかかわらず、「輸送に対する気候の影響よりも気候に対する輸送の影響の方にはるかに大きな関心が寄せられてきた」と話す。

国際貿易の約8割はどこかの段階で船によって運ばれており、海上輸送の貿易量は20年までの30年間で3倍近くに膨らんだ。また気候変動以外の変化によっても、貿易システムは混乱に陥りやすくなっている。船舶は徐々に大型化し、問題が発生した場合の救援が困難かつ高コストになった。

干ばつが発生した場合の容易な代替ルートもない。内陸輸送用の船1隻が輸送できる量は約100~150台のトラックに相当するため、道路や鉄道では負担を背負いきれない。典型的な対応としては、船の積載量を減らすか、小型船で運航回数を増やすしかない。

河川の水位が低いと、船が進行しづらくなり、使用燃料が増えるため、二酸化炭素の排出は一層増えることになる。それだけでなく、水路と港湾システムを取り巻くコスト上昇と混雑にもつながる。

しかも、こうした対策が常に奏功するわけでもない。ファン・コニングスフェルト教授によると、18年の渇水のピーク時には、最善の努力を尽くしたにもかかわらず、輸送貨物の総量は約6割減少した。

世界3800カ所の沿岸部の港に対する気候変動の影響を研究している米ロードアイランド大学のオースティン・ベッカー准教授は、問題は「気候から生じるリスクは貿易システムのあらゆる側面に広がっているため、特定の組織が問題に対処しようとすることは難しい」と指摘する。

喫緊の課題は、こうした港の3分の1は熱帯低気圧が発生しやすい場所にあることだ。嵐の激しさの平均が少し変わっただけでも港の稼働停止期間が大幅に増えかねない。

独化学大手BASFのように、低い水位でも航行できるはしけ船を開発するなど、企業が独自に取り組んでいる事例も見受けられる。しかし、問題の大きさを考えると、こうした対応策は、技術またはコスト面から実現可能性の限界にぶつかる可能性が高いと専門家は指摘している。

より一般的に言えば、こうした異常気象は悪化し続ける構造的な問題ではなく、個別の非常事態として扱われる傾向がある。抜本的な対策が打たれないまま似たような問題が再発しがちで、国連防災機関(UNDRR)はこれを「災害・対応・復旧の繰り返し」サイクルと呼んでいる。

災害対策への投資、企業・国家レベルで増加

ビジネスにおいても同じことが言えるかもしれない。企業にはすでに、サプライチェーン(供給網)を感染症のパンデミック(世界的な流行)などで生じるような混乱から守り、高まる地政学的リスクに備えて全面刷新を迫る圧力がかかっている。

だが、サプライチェーンをより簡素にした場合、気候リスクが集中する恐れがある。レジリエンス(強じん性)を実現しようとすると、調達先の二重化や地理的な多角化、在庫の積み増しによって効率性が犠牲になる。災害に耐えられるように、各種資産への投資も必要になるかもしれない。

気候変動対策に取り組むオランダの財団グローバルセンター・オン・アダプテーションのパトリック・フェアコイエン代表は、これは「先送りして代償を払う」より望ましいと言い、気候変動に対するレジリエンスへの投資は国家レベル、企業レベルで金額が積み上がっていくと主張している。

政府と企業は今後、気候を新たなサプライチェーンが抱えるリスクとしても考慮しなければならないのだ。

By Helen Thomas

(2022年8月17日付 英フィナンシャル・タイムズ電子版 https://www.ft.com/)

(c) The Financial Times Limited 2022. All Rights Reserved. The Nikkei Inc. is solely responsible for providing this translated content and The Financial Times Limited does not accept any liability for the accuracy or quality of the translation.』

寒帯前線ジェット気流

寒帯前線ジェット気流
https://irokata7.com/2018/11/08/r5-kantaizensen-jet-stream/

『 寒帯前線とジェット気流を合わせた言葉って何?

前回の記事の図で対流圏の顕著なジェット気流として寒帯前線ジェット気流と亜熱帯ジェット気流があることを示しました。

今回はそれぞれの言葉の定義と特徴をまとめながら寒帯前線ジェット気流を考えていきます。

上記図は縦を高度、横を南北方向とした大気の鉛直構造を表しています。

 1.ジェット気流

 ⇒ 偏西風帯における風速の極大域

 (A) 亜熱帯ジェット気流(Js)

● ハドレー循環とフェレル循環の境にある

● 蛇行が小さくほぼ定常的に存在

● 高度は12km以上(200hPa付近)

● 冬に強く吹く

● 夏には北緯50度以北に位置し、不明瞭になることが多い

 (B) 寒帯前線ジェット気流(Jp)

● 寒帯前線帯の移動に対応する

● 中緯度の低気圧の発生と関係が深い

● 時期的・空間的に変化が大きく蛇行が顕著

● 水平温度傾度が大きく、特に冬に著しくなる

● 出現高度  冬・・ 約 6~8km

 2.前線帯

 ⇒ 水平方向に温度傾度が特に大きくなっている領域

上記図では例として-45℃ の線を紺色で示しました。前線帯に差し掛かると急激に温度が変化します。(温度と高度はイメージです)

前線帯の意味をもう少し感覚的に言うと

 ⇒ 温度が異なる空気がぶつかり合う境目の地帯

 (A) 亜熱帯前線帯

● 上層のみ

(B) 寒帯前線帯

● 上層から下層まであり、前線帯の暖気側(前線面)が地表に達するラインが前線

● 雲が発生しやすい

 天気予報の解説で気象予報士がよく言っている「偏西風の蛇行」とは つまり、寒帯前線ジェット気流の蛇行のことなんですね。

寒帯前線ジェット気流と温帯低気圧の関係はまたの機会に・・難しいので』

大気の大循環 中緯度の熱輸送は難しい

大気の大循環 中緯度の熱輸送は難しい
https://irokata7.com/2018/11/06/r5-taikino-daijunkan-kaze/

『 大規模な大気循環の目的は熱輸送にあるということを思い出した上で、今回は3種類の大規模循環がどのように熱輸送をするのかに主眼を置いてイメージ図を作ってみました(北半球)。

 1.ハドレー循環と極循環

低緯度のハドレー循環と高緯度の極循環はイメージしやすいですね。

ハドレー循環は地球図の中央あたりにある赤い指輪の形で立体的に表しました。

極循環も同様に紺色の指輪の形で表現しました。

両循環は見た通り 直接 大気をぐるぐる回すことによって南北の温度差を解消しています。

それで両循環は直接循環と呼ばれます。

 2.フェレル循環

やっかいなのは中緯度のフェレル循環です。

フェレル循環は他の循環のように直接風を回しているわけではありません。あくまでトータルで南側の熱を北側に移しているように見えるという意味での循環です。

そのためフェレル循環は間接循環と呼ばれています。

3.偏西風と温帯低気圧

では実際には中緯度ではどのように熱が南北に伝えられているのでしょう?

それは偏西風波動、つまり偏西風の蛇行によってです。

偏西風の蛇行によって北側の寒気が下降しながら南側に入り、一方南側の暖気は上昇しながら北側に入ります。その結果、平均すると南北の温度差が小さくなります。このようにして熱輸送がされるという仕組みになっています。

大気の大循環

図では偏西風(寒帯前線ジェット気流)が南側に向かっているところを青い線で描いています。このライン付近で高気圧が生じます。

また、偏西風が北側に向かっているところを赤い線で描きました。このライン付近で温帯低気圧が発生、発達します。

 温帯低気圧は空気の入れ替えに重要な役割を果たしています。南側の暖気は温暖前線を境に上昇しながら北上し、北側の寒気は下降しながら南下して地上に達して寒冷前線を作ります。

 偏西風と温帯低気圧の関係はかなり複雑なので別の機会にじっくり取り上げるつもりです。

また、寒帯前線ジェット気流の「寒帯前線」は寒冷前線と紛らわしいですが、寒帯前線についても近いうちに取り上げる予定です。

あ、ジェット気流も2つ描いてありますが、それもまたの機会に。

何から取っかかればいいやら 🙄 』

[FT]経済の大動脈、世界の河川の水位が記録的な低下

[FT]経済の大動脈、世界の河川の水位が記録的な低下
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB230P10T20C22A8000000/

 ※ アメリカでもか…。

 ※ 山火事騒ぎは、聞いていたが、水運にまで支障が出ていることは、知らんかった…。

『工場は操業を停止し、農作物の収穫は壊滅的な打撃を受けている。貨物船は積載量を減らして運航せざるを得ず、停電のリスクに直面する住民は数百万人にのぼる――。米国、欧州、そして中国が干ばつに見舞われ、河川の水位が記録的水準にまで低下した結果、各地で深刻な影響が出ている。

米国では、南西部で「メガドラウト」と呼ばれる大規模な干ばつが長く続いており、地域の不可欠な水資源であるコロラド川流域の水位が過去最低水準に低下した。そのため、米政府は内務省開拓局を通じて今後1年間の割当水量をアリゾナ州は21%、ネバダ州は8%削減するよう指示した。

長江、中国では水力発電への影響で工場が操業停止

中国では水力発電の出力が低下し続け、トヨタ自動車や台湾・鴻海(ホンハイ)精密工業傘下の富士康科技集団(フォックスコン)などの企業が少なくとも1週間工場の操業を停止した。アジア最長の川、長江(揚子江)が流れる四川省は水力発電に大きく依存している。その長江は8月としては過去最低の水位を記録した。その結果、同国にとって最も重要な水路による貨物の輸送にも支障が出ている。

中国・重慶を流れる長江の支流では、水位の低下で川底が見えるところも出ている=ロイター

異常な暑さと乾燥に苦しむ欧州では、ドイツ、スイス、オランダの産業界が頼みとする大動脈ライン川の水位が低下している。貨物船は積載量を減らして運航せざるを得ず、運送費の上昇と物流の停滞を招いている。一部で恵の雨が予想されていたが、その影響は限定的と見られる。
ライン川、欧州の貨物船は積み荷を減らして運航

欧州宇宙機関によると「スイスアルプスを源流として北海にそそぐライン川は、穀物から化学製品、石炭など多くの製品を運ぶ重要な輸送ルートとなっている」という。「川の水位が下がると、貨物船は座礁しないように荷重を下げて運航しなくてはならない」

ドイツ・ライン川の水位低下で操業できなくなったフェリー=ロイター

イタリアでは深刻な干ばつは農業部門に打撃となっている。経済的に重要なポー川の水位が異例の低さを記録したためだ。

干ばつは複雑な事象で、時には農業あるいは水資源分野での現象を意味するなどさまざまな定義があり、必ずしも明確に気候変動の影響と関連づけることはできない。とはいえ、2022年は世界各地で異常な高温と乾燥が長期化し、それに伴って河川の水位が低下しているため、その影響はますます顕著になっている。

例えばアルプス地方では、氷河が溶けると温暖化の影響が大きくなる。黒っぽい岩が露出して乾燥すると太陽の熱を反射するのではなく、吸収してしまうためだ。

「干ばつの定義は簡単ではないし、すべての干ばつが同じというわけでもない」と英国王立気象学会の最高責任者であるリズ・ベントレー氏は指摘する。「気候変動によって降雨の変動幅が大きくなり気温が上昇するとみられ、今後水の管理が難しくなる可能性がある」
コロラド川、米国西部の水使用は「限界近い」

米国では、干ばつが数十年続いているためカリフォルニアなどの州ではここ数年、水の使用制限を課すなど苦闘が続いている。22年は、ネバダやアリゾナ、カリフォルニア州などにとって重要なコロラド川流域の水位が低下しているため、当局は水力発電の電力不足による停電の可能性について警告を発した。

米国南西部で長く続くメガドラウトの影響で記録的な低水位となったコロラド川流域のパウエル湖=ロイター

米内務省のトミー・ボードロー副長官は「米西部地域で長く続く干ばつは我々の市民社会と国家が直面する最大の課題の一つだ」と記者会見で述べた。

「干ばつの危機が高まっているのは、猛暑や異常降雨など気候変動の影響によるもの」と指摘し、米国西部の約93%が干ばつまたは異常な乾燥状態にあるとした。

米開拓局のカミール・カリム・トゥートン長官は、現在の水使用のシステムは「限界に近づきつつあり」、コロラド川水系に依存する州は水の使用量を大幅に削減する必要があると警告した。

米海洋大気庁によると、22年1~6月は上半期としては過去6番目に暑い期間となった。欧州連合(EU)の気象情報機関「コペルニクス気候変動サービス」によると、21年までの7年間は過去最高の暑さだったという。

国連の科学者グループの報告書では、世界の平均気温は産業革命前に比べてすでに約1.1℃上昇しており、すべての国が明日から温暖化ガスの排出を実質ゼロにしても、しばらくは気温の上昇が続くという。
世界経済に大きな負担をかける異常気象の継続

科学者は異常気象が続くと予想しており、その結果として世界経済やインフラ設備は今後も大きな負担を強いられることになるとみられる。

ジェット気流が変化したことで北半球では熱波や山火事、干ばつが起こり、ラニーニャ現象が立て続けに起こるという異常気象のおかげで南半球の住民は洪水や季節外れの寒さを経験している。オーストラリアや南アフリカでは大きな洪水が起きた。ニュージーランドでは8月中旬の集中豪雨により推定1200人が避難を余儀なくされた。

スイス再保険の8月初旬の発表によると、22年上半期の自然災害による世界の推定損失補償額は350億ドル(約4兆8000億円)で、過去10年間の平均を22%上回ったという。気候変動の影響は異常気象の増加に明確に表れていると指摘した。

「過去6カ月の過酷な気象現象は、自然災害がすべての地域で、頻度及び深刻さがともに増していることを改めて示した」。同社で災害危機を担当するマージン・ベルトグ氏は結論づけている。

By Camilla Hodgson and Steven Bernard

(2022年8月20日付 英フィナンシャル・タイムズ電子版 https://www.ft.com/)

(c) The Financial Times Limited 2022. All Rights Reserved. The Nikkei Inc. is solely responsible for providing this translated content and The Financial Times Limited does not accept any liability for the accuracy or quality of the translation.』

列車が山火事に遭遇 観測史上最悪の熱波被害のスペイン

列車が山火事に遭遇 観測史上最悪の熱波被害のスペイン
https://nappi11.livedoor.blog/archives/5364666.html

『スペインは47年にわたる観測史上最悪の熱波に見舞われた。同国 のペドロ・サンチェス首相は、熱波により500人以上が死亡したと発表した。記録映像

最高気温が40度超えになるなど記録的な熱波に見舞われているスペインでこのほど、 列車が火災の起きている森林のそばを通過する出来事があった 。列車内からの映像
FireShot Webpage Screenshot #1860 – ‘Bejís

スペイン南東部バレンシア州のベヒスBejís, Valencian region, Spain近くで、乗客を乗せた列車に山火事が接近し、一部の乗客がパニックに陥って列車から降りた。そのうち20人が負傷、3人が重度のやけどを負った。ガーディアンが報じた。消息筋によると、サグントからサラゴサに向かっていた列車に山火事が接近し、停車した。運転士はギアをバックに入れたが、乗客の一部がパニックに陥り、窓を割って列車から降りた。

Jumping-off-the-train-because-of-the-forest-firenhay-khoi-tau-vi-chay-rung-1660736506

スペインの鉄道会社レンフェの代表者は「彼らは火に囲まれているのを見るとすぐに列車へ戻った。そのうち数人はやけどを負った」と語った。負傷者は、この列車で運ばれた。3人はヘリコプターで近くの病院へ搬送された。命に別状はないという。

17日報道では、スペイン東部のバレンシア地方では、落雷により山火事が発生。14日から道路が閉鎖され、約2000人が避難しているとされ、一方、フランスの首都パリで16日、大雨が発生し、地下鉄の複数の駅が洪水の影響を受けた。

FireShot Webpage Screenshot #1859SEC_115239677

フランスでは全土にわたり熱波が続いており、週内にも南部の大半が嵐に見舞われる可能性があるという。

8月6日に発生し14日にほぼ鎮火していたポルトガル中部の山火事は15日に再び燃え上がり、複数の村で避難を余儀なくされた。左下は、2022年7月中旬前後までの欧州での熱波と山火事の発生状況。 英文記事と画像 英文記事 英文記事  参照記事』

[FT]熱波があぶり出す労働格差

[FT]熱波があぶり出す労働格差
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB028KT0S2A800C2000000/

 ※ 『英国で観測史上最高の気温を記録した7月、スーパーの配送車はいつも通り一軒一軒、顧客に注文商品を届けていた。保冷機能が荷室にはあっても運転席にない配送車が多いのには驚く。』…。

 ※ それじゃ、運転席にも「エアコン」つければ、問題解決かと言えば、そうもいかない…。

 ※ 燃料(ガソリン、軽油)余計に消費するし、排ガス(二酸化炭素、NOx)も余計に排出される…。

 ※ それじゃ、EVに置き換えれば、問題解決かと言えば、そうもいかない…。

 ※ 今度は、その「電気」をどうやって作り出すのか、廃電池のリサイクルをどうするのかなどと言う問題が生じる…。

 ※ 事程左様に、この世の中、「彼方(あちら)立てれば此方(こちら)が立たぬ」という関係になっている…。

 ※ まあ、みんなが覚悟を決めて、「江戸の昔」の生活に戻るという手もあるにはあるが…。葦簀(よしず)、打ち水で涼を取り、朝夕の「涼しい時間帯」のみに、活動するという「原始的な生活」だ…。

 ※ しかし、そうすると、必ず「抜け駆けするヤツ」が出てくる…。

 ※ 金(かね)や、地位のあるヤカラだな…。

 ※ そうすると、「ビンボー人は、暑さで死ねと言うのか!」とか叫ぶヤカラも、生じてくる…。

 ※ どこまで行っても、そういうモンだ…。

『英国で観測史上最高の気温を記録した7月、スーパーの配送車はいつも通り一軒一軒、顧客に注文商品を届けていた。保冷機能が荷室にはあっても運転席にない配送車が多いのには驚く。

地球温暖化で熱波が起こりやすくなるにつれ、影響を受ける国や労働者、企業は増えていく=ロイター

暑い地域では以前から高温が建設作業員などの命取りになってきた。ところが地球温暖化が進んで熱波が起こりやすくなるにつれ、影響を受ける国や労働者、企業は増えていく。英気象庁によると、20世紀半ばに英国で最高気温が35度を超える確率は15年に1度だったが、今や5年に1度になった。

つまり、もっと多くの企業が安全・健康面だけでなく、生産性に関しても意識する必要がある。オランダの大手スーパー、アルバートハインは熱波のさなか「こんな時に配達員を働かせるのは無責任だ」と判断し、国内の宅配サービスをすべて一時停止した。

気温が高くなると手に汗をかいたり集中力が低下したりする。仕事場で事故が起こりやすくなるのも、おそらくそのせいだろう。米カリフォルニア大学がカリフォルニア州内の1100万件余りの労災申請について、現地の気象データと照合したところ、カ氏90度(セ氏約32度)を超えれば労働者がけがをする確率は6~9%高くなった。カ氏100度超なら10~15%も高い。

長期的な健康リスクもある。中米などでは、炎天下の農園で働く若年労働者の慢性腎臓病による死亡が異常な数に上っている。原因は特定されていないが、高温下での作業と脱水症が、どうやら農薬の影響も相まって要因ではないかと考えられている。

時給より出来高払いは熱中症リスクを高める危険

生産性の問題も忘れてはならない。国際労働機関(ILO)では気温が33~34度になると、労働強度が中程度で働いている人は能力が50%失われるとみる。暑すぎて仕事がはかどらず、2030年には世界の総労働時間の2%以上が毎年浪費されるようになるとも予想している。南アジアや西アフリカでは5%に達する恐れがあるという。

エアコンの設置といった単純な対策もあるが、簡単には解決できない問題もある。米国の農業労働者を対象にした研究では、休憩時間を増やし空調付きの休憩所を用意すれば一定の効果があるが「農場の生産性や労働者の報酬、もしくは人件費に悪影響」が及びかねないこともわかった。

英国や欧州連合(EU)の労働組合は、労働条件として働ける気温の上限を法律で定めるよう要求している。欧州では現在、ほんの数カ国しか法定上限を設定していない。それも28度から36度まで開きがある。ただ最も大きな危険にさらされているのは、雇用が不安定で労組とも縁遠い労働者たちだ。

気温の上昇が著しい地域では非正規雇用が中心で、雇用の安全網も弱い場合が多い。たとえ高所得国でも、働いた時間より作業の進捗に応じて報酬が支払われる農業労働者は熱中症にかかりやすいという調査結果がある。単発で短期の仕事に従事する「ギグワーカー」にも出来高制が浸透している。

感染症のまん延によって、仕事の世界は在宅勤務が可能な人とそうでない人に二分されたとよくいわれる。実際は既に存在していた格差が浮き彫りになった面が大きい。地球温暖化でも同じことが起きるだろう。

By Sarah O’Connor

(2022年8月2日付 英フィナンシャル・タイムズ紙 https://www.ft.com/)

(c) The Financial Times Limited 2022. All Rights Reserved. The Nikkei Inc. is solely responsible for providing this translated content and The Financial Times Limited does not accept any liability for the accuracy or quality of the translation. 』

欧州猛暑、エネルギー危機に拍車 物流停滞・電力低下

欧州猛暑、エネルギー危機に拍車 物流停滞・電力低下
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR062O80W2A800C2000000/

 ※ 渇水で影響を蒙るのは、ノルウェーの水力発電だけじゃ無かったな…。

 ※ 欧州は、河川を使った水運が盛んだから、河の水位が下がれば、「物流」に支障が出る…。

 ※ こういう感じで、渇水ともなれば、航行可能な範囲が激減してしまう…。

『欧州の猛暑と干ばつが、ウクライナ危機で加速するエネルギー需給の逼迫に拍車をかけている。6月から40度を超える記録的な暑さが続くなか、ドイツではライン川の水位低下により火力発電用の石炭の水上輸送が滞り、フランスは原発の出力低下を余儀なくされた。自動車工場などの操業にも影響が及ぶ可能性があり、経済や日常生活への被害拡大も懸念される。

欧州メディアによると、今年は北極側から欧州に流れる空気の温度が例年より高く、サハラ砂漠側からの熱い空気の影響を強く受けて熱波をもたらしている。地球温暖化の影響で、近年はこうした状況が頻繁に発生しているとみられる。スペインでは6月に40度超の気温が観測されたほか、7月に入ってからはポルトガルやフランス、英国でも40度を超えた。

ドイツでは水不足が深刻だ。スイスを源流にドイツを経てオランダに流れるライン川では、フランクフルトの西側に位置するカウプで12日に水位が40センチメートルを下回った。貨物船の場合、通常は1.5メートル程度の水深だと安全に運航できる。水位は日ごとに低下しており、回復の見通しは立たない中で貨物船の運航が停滞している。

懸念されるのは、ロシアが供給を絞った天然ガスの代替電源として依存度が高まる石炭火力への影響だ。ライン川は石炭を運ぶ重要ルートだが、ロイター通信によると水位の低下で西部フランクフルト近くなどの2カ所の火力発電所への石炭輸送が滞り、9月まで発電量が減る可能性がある。
石炭輸送の重要ルートであるライン川の水位の低下など、ドイツでは猛暑の影響が深刻になっている=AP

仏電力公社(EDF)は国内の原子炉数基の出力を下げた。周辺の川の温度が熱波で上昇するなか、加熱された原発の冷却用水を流せば生態系に悪影響が出るおそれがあるためだ。仏当局は一時的に河川の上限温度の規制を緩めるなどして発電量の確保を急いでいる。

「水位の回復を優先する」。ノルウェー政府はこのほど、水力発電用ダムの水位が一定以下になった場合、近隣諸国への電力輸出を制限する方針を打ち出した。英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)によると、南部の水力発電所の水量は49%で、平均の74%を大きく下回っている。イタリアやスペインでも水力発電の発電量が減っている。

不安定な電力供給は電力価格の上昇につながっている。米ブルームバーグ通信によると、ドイツの電力価格は一時、通常の約8倍に上がった。

猛暑の影響は製造業にも及ぶ。欧州自動車大手ステランティスの労働組合は7月、工場の労働環境が過酷になっているとして休憩時間を増やすよう求めた。国際労働機関(ILO)によると、気温が約33~34度になると生産効率は通常の半分になる。熱中症などの恐れも高まり、工場などの稼働率低下につながる。

国民生活にも影響が広がる。英水道会社のサウス・イースト・ウオーターによると、7月は1935年以降で最も雨が少なかった。同社はケント州やサセックス州を対象に、12日から庭の水やりや洗車のためのホースパイプの使用を禁止した。英BBCによると少なくとも100万人が影響を受け、守らなかった場合は1000ポンド(約16万円)の罰金を科される可能性がある。

「100以上の自治体で水道から水が出なくなっている」。フランスのベシュ環境相は、国民に節水を呼びかけた。水源が干ばつに見舞われ、住民は給水車に頼って生活用水をまかなっている。仏首相府は記録に残る限り最も深刻な干ばつだと説明する。

経済への悪影響は避けられない。過去に熱波が発生した年は欧州の域内総生産(GDP)が0.3~0.5%押し下げられたとの試算がある。今年は熱波の到来が早く、過去の例を上回る被害を懸念する声が出ている。

(パリ=白石透冴、ベルリン=南毅郎、ロンドン=佐竹実)

【関連記事】

・世界の気温、7月に史上3番目の暑さ 熱波が欧米襲う
・欧州で節電規制相次ぐ 石炭火力発電も再稼働
・[FT]ガス不足と熱波の欧州 冬のエネルギー逼迫が深刻に

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志田富雄
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別の視点

異常気象が影響を及ぼす商品(コモディティ)市場の分野は農産物だけではありません。昨年も水力発電の低下したブラジルなどが液化天然ガス(LNG)の輸入を増やし、相場上昇の一因になりました。
欧州市場の取引時間に入り、中国経済への不安などを材料に原油、穀物といった主要商品は大きく下落。その中で、欧州の天然ガス・スポット相場だけは上昇しています。エネルギー分野ではロシアからの供給減少や脱ロシアの動きに異常気象の影響が追い打ちをかけ、石炭も高値が続いています。
2022年8月15日 20:45 (2022年8月15日 20:51更新)

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ひとこと解説

まさに弱り目にたたり目という状況ですね。猛暑は欧州で毎年夏の新常態となった感がありますが、今年はそこにウクライナ危機によるエネルギー供給不安が加わります。
まさに命に関わる困難が襲う中、一般市民の間から「どうにかしろ」という不満が各国政府などに寄せられかねません。地球温暖化や、侵攻で混乱を招いたロシアを恨んでも、まさにのれんに腕押し。こんな時に大衆迎合的な勢力が弾みをつける可能性もあります。欧州経済はもちろん、欧州政治にも悩ましい不安定要因となりかねません。』

米国に「超酷暑帯」出現か 南部から中西部に、米調査

米国に「超酷暑帯」出現か 南部から中西部に、米調査
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN15AW20V10C22A8000000/

『【ニューヨーク=西邨紘子】米国で温暖化の問題が深刻になっている。熱波の多発などにより、夏季に体感温度がカ氏125度(セ氏51.7度)を超える地域が今後30年間で国土の4分の1にまで広がる見通しだ。穀倉地帯を中心に甚大な影響が及びかねない。

米非営利団体のファースト・ストリート財団(FSF)が15日、報告書をまとめた。南部テキサス州からカナダ国境に近い中西部ウィスコンシン州にかけての一帯では特に影響が大きく、米国内を南北に貫く「超酷暑帯(エクストリーム・ヒート・ベルト)」が形成されつつあると指摘した。

米国各地の地表温度や湿度、水辺からの距離データ、温暖化ガス排出の予測シナリオを組み合わせ、酷暑地帯の広がり具合を予測した。人体が感じる温度でセ氏51.7度を超し、熱中症誘発など極度の危険と判断される日を「超酷暑日」とし、各地域でどれだけ発生するかを調べた。

分析によると、米国内で「超酷暑日」が年間1日以上発生する恐れがある地域の居住人口は、2023年の800万人から53年には約1億800万人に増える見通しだ。中でも体感気温の上昇が著しい超酷暑帯は南部テキサス州から米国を南北に貫くように広がる可能性があり、セントルイス(ミズーリ州)やシカゴ(イリノイ州)など中西部地域の主要都市も含む。米国の農業地帯とも重なりが大きく、関連産業にも大きな影響が出そうだ。

東海岸のサウスカロライナやノースカロライナ、バージニアなどの各州でも、53年には「超酷暑日」が発生する可能性が高まっている。

米海洋大気庁がこのほど発表したデータによると、2022年7月は過去 130 年の記録中、3 番目に暑い7月となった。FSF創業者のマシュー・イービー最高経営責任者は報告書について「わが国の4分の1が超酷暑に直面するという、避けられない事態に向けた備えを進めるべきだ」と警鐘を鳴らした。
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別の視点

異常気象が天然ガスなどの相場を押し上げる構図は欧州だけではありません。米国の天然ガス先物は液化天然ガス(LNG)の拠点が火災事故を起こした影響で輸出が減り、国内需給が緩和するとの見方で6月末には一時100万BTU(英国熱量単位)あたり5ドル台まで下落しました。
しかし、そこから酷暑で電力需要が増え、7月下旬には9ドルを超えて14年ぶりの高値を記録。足元でも9ドル近い水準を維持しています。
ラニーニャ現象の長期化もあり、世界的な天候異変が天然ガスや石炭相場の波乱を拡大する可能性があります。今冬の厳冬リスクもちらつきます。
2022年8月16日 8:01 』

世界の気温、7月に史上3番目の暑さ 熱波が欧米襲う

世界の気温、7月に史上3番目の暑さ 熱波が欧米襲う
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN09DTH0Z00C22A8000000/

『【ニューヨーク=白岩ひおな】欧州連合(EU)の気象情報機関「コペルニクス気候変動サービス」は9日、世界の今年7月の気温が7月として史上3番目に暑かったと明らかにした。1991~2020年の過去30年間の平均値より約0.4度高かった。欧州の一部で気温が40度を超え、米国も同月として史上3番目の暑さを記録するなど熱波に見舞われた。電力需給の逼迫や山火事の発生も報告されている。

コペルニクス気候変動サービスは91~20年を基準とし、世界の人工衛星や船舶、航空機、気象観測所のデータを分析している。7月はポルトガル、スペイン、フランス、英国の一部で40度を超えた。フランスが7月として史上最も乾燥し、ポルトガルや英国などで山火事が発生した。フランスとドイツの電力価格は8日に過去最高水準に達した。

米テキサス州は7月として最も高い気温を記録した。米国立環境情報センターは、7月に日中の気温がカ氏100度(37.8度)を超える熱波が米国の大部分で発生し、猛暑によるエネルギー需給の逼迫や熱中症の要因となったと指摘する。8月2日時点で米国本土の51.4%が干ばつに見舞われたほか、1~7月の山火事で約2万3000平方キロメートル以上が焼失した。焼失面積は同期間平均の約1.5倍だった。

世界気象機関(WMO)のペッテリ・ターラス事務局長は「より頻繁に、激しく、長く続く熱波がニューノーマル(新常態)になってきている」とみて、健康への影響に注意を呼びかけている。』

[FT]世界各地を襲う熱波、ジェット気流の蛇行が一因

[FT]世界各地を襲う熱波、ジェット気流の蛇行が一因
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB220PN0S2A720C2000000/

『7月に入って猛烈な熱波が欧米や中国を襲い、火災を起こし物流の混乱を招いている。その熱波には共通項が1つある。「ウエーブナンバー5」と呼ばれるジェット気流(偏西風)の特殊な形状である。

19日、酷暑のローマで涼を求める人々=ロイター

中緯度地域では、ジェット気流という風速の大きい気流が天候を左右している。ジェット気流の変化が熱波の頻発と(同じ場所での)停滞をもたらしているのかどうか、科学者は解明を急いでいる。

「ジェット気流は天候を決める主要因になっている」と言うのは、英レディング大学で大気科学を専門とするポール・ウィリアムズ教授だ。「ジェット気流はコンベヤーベルトのようなもので、次々と嵐をもたらしている」

ジェット気流が大きく蛇行してU字型の流れになれば、熱波をもたらすこともある。この現象はギリシャ文字のオメガ(ω)に似ていることから「オメガブロック」と呼ばれている。

現在では世界で5つの大きなオメガブロックが生じ、世界各地で熱波が同時発生している。このいわゆるウエーブナンバー5現象は数週間続くこともあり、熱波に見舞われた地域では長期間にわたって高温が持続する。

中国では9億人以上が熱波を経験し、7月に入って70を超える測候所で観測史上最高気温を更新した。米国では、テキサス州とオクラホマ州で日中の最高気温を更新し、20州以上が高温警報や高温注意報を発令している。

世界5カ所での熱波の同時発生 出所:Met Office/FT

英国も今週、史上最高の40.3度を記録した。フランスやスペインでは異常な高気温が数週間続き各地で過去最高を記録、山火事も発生している。

英気象庁の首席科学者ステファン・ベルチャー氏は「大気ではよくみられるのだが、すべてがつながっている。1つの地域で発生した極端な事象は、別の場所で生じた極端な事象と関連づけられる」と言う。「気象庁では、このウエーブナンバー5現象がどのくらい続くのか予報士が細心の注意を払って観測している」

ベルチャー氏は欧州に襲来している熱波の発生要因は3つあるという。ジェット気流のウエーブナンバー5現象、世界的な平均気温の上昇、そして土壌の乾燥だ。特に地中海周辺諸国では高気温が長引いたことで、土壌がカラカラに乾いている。

オランダ・アムステルダム自由大学の気象学者ディム・クモウ氏は、夏のジェット気流の流れにはウエーブナンバー5とウエーブナンバー7という2つの重要なパターンがあり、発生すれば1カ所に長期間停滞しがちだと指摘する。「そうした気流の流れが停滞し持続すれば、熱波が同時に複数箇所で発生することが多い」

ジェット気流が地球温暖化によって具体的にどう変わっているのか、それは将来の気候パターンにどう影響するのかという疑問に答えを出そうとする研究が広がっている。世界の平均気温は産業革命以前に比べて、人間活動の影響ですでに約1.1度上昇している。

北大西洋上空のジェット気流 出所: Noaa/NWS/ Met Office/ESA/FT

ジェット気流そのものは長い間に動きを変え、夏には動きが鈍化するようだ。そのためにオメガブロック現象が発生しやすくなっている可能性がある。

米ウッドウェル気候研究センターの大気科学者ジェニファー・フランシス氏は、北極圏の急激な温暖化がジェット気流の鈍化の原因ではないかと分析する。

フランシス氏は「夏は全般的に風が減る」と言う。「そもそもジェット気流が発生するというのは、北に冷気があり、南に暖気があるために気温差が生じて(ジェット気流の発生条件となる)」

北極圏は他の地域より格段に速く温暖化が進んでいるため、そうした気団間の温度差が今は小さくなっている。

ジェット気流の動きにはまだ解明されていない部分もある。「ジェット気流」の著書があるオックスフォード大学の大気物理学者ティム・ウーリングス教授は、「大西洋上空では、夏にジェット気流が南下してきたが、気候変動の影響で北上すると予測されていた」と説明する。

英国に高温をもたらした要因 出所: Met Office/BBC Weather/ Netweather/FT

英国は最近、熱波に見舞われたが、それは他の欧州各国が経験したことを「ほんの少し味見したにすぎない」と同氏は言う。「本当の酷暑を経験しているのはスペインやフランスだ」

英国では18日から19日の2日間にわたって異常な高気温が続き、その後やや落ち着いたが、スペインとフランスでは高温が数週間続いている。

気候モデルでは、世界の平均気温が上昇するのに伴い熱波の温度はが年々高くなると予測されている。しかし、地球温暖化がジェット気流の流れにどのような影響を与えているかを研究者が正確に突き止めるには何年もかかりそうだ。

ウィリアムズ氏は「きわめて長期にわたる観測記録が必要だ。何らかの変化を確実に検知するまでには数十年分、あるいは数世紀分の記録すら必要になるかもしれない」と話す。

By Leslie Hook

(2022年7月21日付 英フィナンシャル・タイムズ電子版 https://www.ft.com/)

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北南米で異常気象、カナダで氷点下51度 ブラジルで洪水

北南米で異常気象、カナダで氷点下51度 ブラジルで洪水
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN27CNE0X21C21A2000000/

『【ニューヨーク=野村優子】北南米で相次ぎ異常気象が確認されている。カナダから米北西部にかけて寒波が襲来し、カナダ北部で今季の最低気温となるマイナス51度を記録した。ブラジル北東部では大雨による洪水が発生し、少なくとも18人が死亡した。

カナダの気象情報サービス、ザ・ウェザー・ネットワークによると、北極からの寒気の影響によりカナダ北部ノースウェスト準州のラビット・ケトルで26日、マイナス51度を記録した。寒波は1週間にわたって続く見込みで、現地当局は極寒警報を発令して住民に警戒を呼び掛けている。

寒波の影響は、米北西部にも広がっている。オレゴン州は23日、気温低下や大雪の影響を踏まえて緊急事態宣言を発令した。アラスカ州やカリフォルニア州では大雪などの影響で大規模な停電が発生した。

一方、南米ブラジルでは大雨による洪水被害が広がっている。北東部バイア州の当局によると、11月から続いた大雨の影響で同州の少なくとも18人が死亡し、280人以上が負傷した。25日には2つのダムが決壊し、さらなる被害を引き起こしている。』

トルネードはどのように生まれ、なぜアメリカを襲うのか?

竜巻のできる仕組み
https://www.jma-net.go.jp/sendai/knowledge/kyouiku/yoho/trnd.pdf

※ 一般的な、「竜巻発生のメカニズム」は、こういうものだ…。

※ 局所的に、大気のバランスが崩れ、「上昇気流」が発生する…。

※ そこへ、その「生じている上昇気流」に向かって、「横風」が吹く…。

※ ある一定の条件が揃うと、その「生じている上昇気流」は、「くるくるっと、渦を巻いて、周囲の大気を巻き込んで」、「大規模な渦を巻いた上昇気流」へと変化する…。

トルネードはどのように生まれ、なぜアメリカを襲うのか?
https://logmi.jp/business/articles/135540

『我々は本当に知るべきことを知りません。科学者は新たなトルネードの発生源を、ロッキー山脈とアパラチア山脈の間の平原に発見しました。晩春から初夏が、トルネードがもっとも発生しやすい環境であることもわかっています。

発生しやすい環境要因としては、大量の湿気が低く留まることです。アメリカには湿気を含んだ空気がメキシコ湾から運ばれてきます。大陸に運ばれた湿気は低地に留まり、太陽で温められます。湿気は南西の砂漠からくる暖かい空気層に押さえつけられ、上昇し雲を形成することができません。この「コンベクションキャップ」と呼ばれる乾燥した暖かい空気の層が、沸騰したお湯を閉じ込める鍋の蓋の役割をします。水蒸気は上昇することができないんです。

コンベクションキャップの上では、ロッキー山脈から冷たい空気が流れ込みます。暖かな空気は上昇し、冷たい空気は下降するようになります。』

『そしてコンベクションキャップは弱まり、エネルギーが蓄積されます。トルネード発生に必要なのは、高気圧の湿気を急激に上昇させるトリガーです。トリガーは寒冷前線の場合もあれば、低地での収束風の場合もあります。いずれにせよ、トリガーによりキャップが取り除かれると、時速160キロメートルの突風が発生します。そして空気は舞い上げられ、回転を始めます。

ほとんどのトルネードは、スーパーセル型雷雨から生まれます。メソサイクロンと呼ばれる繰り返し上昇する巨大な対流嵐です。

暖かな空気が急激に上昇すると、パワフルで不安定な上昇気流が発生します。高さ1万5,000メートルに達する嵐がたった数分で発生するんです。我々は上昇気流と、直径2~6マイルにもなるメソサイクロンの複雑な関係性を解明中です。

わかっているのは、上昇気流が続き、メソサイクロンの中央の渦が固まることでトルネードが発生するということです。内側と外側の風のバランスが保たれれば、漏斗雲が発生することもあります。』

『アメリカ中央部が完璧なトルネードの発生源になる理由は2つあります。ひとつは、赤道から北緯30~50度の中緯度では、空気の流れるスピードと方向がまちまちになることです。すると、スーパーセルが回転を始めるのです。

2つめの理由は、トルネードアレイ(注:竜巻が頻発するアメリカの地域の俗称)の地形のユニークさです。赤道付近で湿気を含んだ空気が流れ込む場所、そして、トリガーとなる寒冷前線を発生させる、南北に連なった山脈がある場所は他にありません。

つまりオクラホマ、テキサス、カンザス、ミズーリ州はトルネードの発生源になるんです。自然の驚きと脅威と言わざるを得ませんね。』

※ アメリカの場合、大規模な「トルネード」に見舞われるのは、その「地形」が原因となっている…。

※ イメージ的には、西にロッキー山脈、東にアパラチア山脈、その間が平坦な「大平原」という地形になっている…。

※ 南に向かって、「口を開けている」ような地形になっているんで、南のメキシコ湾のほうから、暖かく湿った大気が、流れ込み易い地形になっている…。

※ そうした「流れ込んだ大気」が「上昇気流」を形成しているところへ、西のロッキー山脈降ろしの「冷たく乾いた大気」が「横風」となって「吹き付ける」と、その「大規模上昇気流」は、「渦を巻いて」、大規模「トルネード」へと発展する…。

※ 平坦な「大平原」だから、遮る(さえぎる)地形は、「何もない」…。ずっと北のカナダ国境の方まで、移動したりすることになる…。

※ その間、「渦を巻いた上昇気流(トルネード)」は、周囲のものを巻き込んで、移動していくから、「大被害」となる…。

How Do Tornadoes Form? | The Science of Extreme Weather
https://youtu.be/wUNAXGSWVv4

アメリカで竜巻 5州で死者 専門家 “スーパーセルで発生か”

アメリカで竜巻 5州で死者 専門家 “スーパーセルで発生か”
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20211212/k10013385081000.html?utm_int=detail_contents_news-related_002

『アメリカ南部や中西部の竜巻について、発生のメカニズムに詳しい専門家は「スーパーセル」と呼ばれる巨大な積乱雲によって多くの竜巻が起きたとみられると指摘しています。

「スーパーセル」は非常に強い上昇気流によってできる巨大な積乱雲で、空気が回転しながら上昇し建物に大きな被害を及ぼすような破壊力の強い竜巻をいくつも引き起こすのが特徴です。
竜巻の発生メカニズムに詳しい防衛大学校の小林文明教授は今回、アメリカ南部や中西部の広範囲で竜巻の被害が相次いだことに注目し「スーパーセルによって複数の竜巻が次々に生み出されたとみられる。スーパーセルは巨大なためなかなか衰弱しないのが特徴で、今回も長時間にわたって州をまたいで移動し、広い範囲に被害がでた」と指摘しました。

アメリカ南部や中西部では南のメキシコ湾から湿った空気が流れ込み、西にあるロッキー山脈を越えて乾いた風が吹くため、低気圧が発達する際に強い上昇気流が発生しやすく、過去にも竜巻による被害が相次いでいるということです。

一方、竜巻の発生は春先が多く、12月など冬の時期に今回のように多くの竜巻が発生するのは非常に珍しいということです。

小林教授は「この時期にこれだけ多くの竜巻が起こるとは現地でも想定していなかったのではないか。発生が夜間だったため、竜巻に気づきにくく、地下シェルターなどへの避難も難しかったと予想される」と話していました。

また、小林教授は気象条件によっては日本でも同じような竜巻が発生するおそれはあるとした上で「日本では、低気圧が急速な発達に合わせて冬でも竜巻が起きるので、決してひと事と思わないでほしい。急発達する低気圧が近づく際には、ベランダにあるものを家の中に入れるなど備えをするほか、雷の音が聞こえたり冷たい風が吹いてくるなどしたら竜巻が起こるサインと思って気をつけてほしい」と話していました。』

大平原が生むトルネードの脅威 米竜巻、死者100人超か

大平原が生むトルネードの脅威 米竜巻、死者100人超か
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUE113YH0R11C21A2000000/

『米国で10日夜から11日にかけて数十の竜巻が発生し、複数の州にまたがって甚大な被害をもたらした。米中部に広がる大平原では寒気と暖気が遮るものなく衝突するため、積乱雲が発達しやすい。強大な「トルネード」による被害が毎年のように起きており、深刻な脅威となっている。

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「クアッド・ステート・トルネード」。アーカンソー、ミズーリ、テネシー、ケンタッキーの4州を中心に大きな被害をもたらした今回の竜巻を、米メディアはこう表現している。被災地では家屋や倉庫が倒壊し、列車の脱線も発生。犠牲者は100人を超える可能性があるとみられている。

竜巻の強さを示す指標「改良藤田スケール」(EF0~5)では最大のEF5級だとする見方もある。米国立気象局が正式にEF5と評価すれば、2013年5月にオクラホマ州で250人以上の死傷者を出した竜巻以来となる。

今回の竜巻は、温帯低気圧が米国の中部から北東へ移動し、寒冷前線の前面にスーパーセルと呼ばれる巨大な積乱雲が発生したことで起きた。米南部では記録的な高温が続いており、ここに低気圧に伴う寒気がぶつかって大気が不安定になったとみられる。

一般的な積乱雲は1時間程度で弱体化するのに対してスーパーセルは数時間にわたって継続するため、竜巻が複数発生したり強大になったりしやすい。

今回被害が出た米中部は、竜巻による被害が毎年のように発生することから「竜巻街道」と呼ばれている。西部のロッキー山脈と東部のアパラチア山脈との間に大平原が広がり、寒気と暖気が遮るものなく衝突することで巨大な積乱雲を生むことが多い。

米海洋大気局(NOAA)によると、米国で20年に発生した竜巻は1075個(速報値)。最も古い公式の記録が残る1950年は201個だったが、90年代にドップラーレーダーが導入されたことで観測数が劇的に増えた。

米国では竜巻の強さを示す指標として、藤田哲也シカゴ大教授が考案した「藤田スケール」をベースにした改良藤田スケールを2007年から採用している。

11年5月にミズーリ州で発生した竜巻は単一の竜巻として最大規模の被害をもたらし「あり得ないほどの激甚な被害」を示すEF5と評価された。犠牲者は158人に上った。

過去に遡ると、1925年3月にミズーリ、イリノイ、インディアナの3州にまたがり約350キロ移動した竜巻があり、 695人が死亡したとの記録が残っている。

日本でも、台風シーズンの7~10月に竜巻が発生することは多いが、米国のような規模で被害をもたらすことは少ない。大陸の日本海沿岸の山々や日本アルプスなどが寒気と暖気の衝突を緩和するためだ。

気象庁によると、国内の竜巻は平均で年間25個程度。観測が始まった1961年以降で人的被害が最も大きかったのは2006年11月に北海道佐呂間町を襲った竜巻で、工事現場のプレハブ小屋が吹き飛ばされて工事関係者9人が死亡した。

竜巻の発生と地球温暖化による気候変動との間に関連性があるのではないかとの見方もあるが、竜巻のメカニズムの複雑さや、局地的で短時間な現象であることなどからまだ明確なつながりは示されていない。

(矢野摂士、都市問題エディター 浅沼直樹)』