ドイツ脱原子力達成と市民の懸念

北の国から猫と二人で想う事 livedoor版:ドイツ脱原子力達成と市民の懸念
https://nappi11.livedoor.blog/archives/5431379.html

『2023年4月15日深夜、RWEなどドイツの大手電力会社3社は、ニーダーザクセン州のエムスランド原子炉など、最後の原子炉3基のスイッチを切った。ドイツは2011年に日本の福島第一原発で起きた西側最悪の原子炉事故をきっかけに、脱原子力政策を加速し、約62年間続いた原子炉の商業運転の幕を閉じた。今後は停止した30基超の後処理が続く。廃炉には10~15年かかる見通しで、高レベル放射性廃棄物の最終処分場の立地は決まっていない。専門家は全て終わるまでに「100年かかる可能性がある」と指摘している。

1193ベルリンやミュンヘンでは、環境保護団体などが脱原子力の完遂を祝った。ロベルト・ハーベック経済・気候保護大臣(緑の党)は、「原子炉が廃止されても、ドイツのエネルギー安定供給は確保される。わが国はロシアの天然ガス供給停止にもかかわらず、冬を乗り切った。脱原子力が後戻りすることはない」と語り、社会民主党(SPD)のサスキア・エスケン党首も「脱原子力を果たしたことを、うれしく思う」と述べた。

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だが市民の間では、脱原子力について批判的な意見が強まり、例えばドイツ公共放送連盟(ARD)のニュース番組が4月14日に公表した世論調査結果で、「脱原子力政策は間違っている」と答えた市民の比率は59%で、「正しい」(34%)を25ポイント上回った。ARDによると、18~34歳の市民の50%が脱原子力に賛成したのに対し、35歳以上の60%以上が脱原子力に反対した。

また脱原子力についての意見は、支持政党によっても異なる。緑の党支持者の82%、SPD支持者の56%が脱原子力に賛成した。一方、キリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)支持者の83%、ドイツのための選択肢(AfD)支持者の81%、自由民主党(FDP)支持者の65%が脱原子力への反対を表明した。

2011年の福島原発事故から3カ月後に行われた世論調査では、54%が脱原子力に賛成し、反対する市民の比率(43%)を上回っていた。これらの数字は、ドイツ市民の間で福島原発事故の記憶が薄れ、原子力を容認する市民が増えていることを示している。

さらに世論の変化を加速したのは、ロシアのウクライナ侵攻後の電力・ガス価格の高騰だ。ARDの世論調査では、回答者の66%が「エネルギー価格の高騰が心配だ」と答え、「心配していない」と答えた人の比率(32%)を大きく上回った。ウクライナ戦争勃発後、ガスと電力の卸売価格が高騰したために、エネルギー供給会社も、一時大幅な値上げを発表。昨年10~11月には、ミュンヘンの地域エネルギー会社SWMが電力・ガス料金の約2倍の引き上げを顧客に通告するなど、「異次元の料金改定」が市民や企業経営者に衝撃を与えた。

もちろん、実際に料金が2倍になったわけではない。独政府が1月1日以降、電力、ガス、地域暖房の価格に部分的な上限を設定する激変緩和措置を実施したため、エネルギー価格の上昇率は抑えられた。さらに2022年8月下旬以降はガスの卸売価格が下落し、これに連動して電力の卸売価格も下がったために、電力・ガス料金が倍増する事態は避けられた。SWMも2023年4月1日以降は電力価格を引き下げると発表している。

だが市民の心の中には、2022年のエネルギー価格値上げ通告の際のショックが刻み込まれ、ARDの世論調査結果は、「エネルギー情勢が不安定になっている時期に、使える電源を廃止するのは正しいのか」という市民の不安感を表している。

3基の原子炉の廃止後も、原子力エネルギーをめぐる議論は続き、ドイツ商工会議所(DIHK)のアドリアン会頭は「私は、脱原子力後に電力の安定供給が確保されるかどうかについて、疑問を持っている。本来は、エネルギー不足や価格高騰を防ぐために、使用可能な全ての電源を使うべきだ」と述べた。

連立与党内の意見も分かれ、緑の党とSPDは脱原子力に賛成しているが、財界寄りのFDPは、原子力エネルギーという選択肢を放棄するべきではないと主張してきた。FDPのヴォルフガング・クビツキWolfgang Kubicki副党首は「脱原子力は、大きな誤りだ。外国ではドイツのエネルギー政策は世界で最も愚かだと批判されており、われわれはこの汚名を返上しなくてはならない」と語った。参照記事、参照記事、、、日本では、まずは社会の無駄な消費を抑え、持続可能なエネルギーの製造と製造効率を高め、廃棄物、ゴミ資源の再利用を国が率先して行うべきと思っている。長く、開発優先で来た土木行政は、自然再生の方向へ舵を切り直し、自然環境は分散、点在する開発で分断されることなく連なっているべきだ。』

中共政府は今年、石炭火発をガンガン運転させる方針に転じた。これをグリーンピースは非難している。

中共政府は今年、石炭火発をガンガン運転させる方針に転じた。これをグリーンピースは非難している。
https://st2019.site/?p=21084

『AFPの2023-4-24記事「China approves coal power surge despite emissions pledge」。
   中共政府は今年、石炭火発をガンガン運転させる方針に転じた。これをグリーンピースは非難している。

 昨年、中共は電力の6割を石炭火発から得ていた。これをフル稼働させないでは、経済は回らないのである。』

社会問題が政治課題になると起きる喜劇

社会問題が政治課題になると起きる喜劇
http://blog.livedoor.jp/goldentail/archives/31335408.html

『ドイツが完全に原発を止めました。3基だけ残っていた原発を止めて、全ての原発が廃炉プロセスに入りました。原発の場合、スィッチを切るように止めるわけにはいかないので、正確に言うと、原発を送電網から切り離して、発電した電気が送電されなくしたという事ですね。これから、長い期間をかけて、原子力燃料からでる放射線が消えるまで、ただただ無用の施設として見守る事になります。これにも、費用はかかるんですけどね。まぁ、反原発派の人にとっては、おめでたい事です。

これからドイツは不足する電力を、石炭火力発電所やら、外国から買うなどして補いながらエネルギーを調達する事になります。そうなんですよ。石炭火力発電所は、原発の廃止によって、活用されるようになる予定です。この前、環境活動家のグレタ・トゥーンベリさんが、ドイツの炭鉱の敷地を、活動家仲間と不法占拠して逮捕されていましたが、原発の廃止で石炭採掘が活況を迎えています。まぁ、イギリスと同じですね。気象条件で発電量が変わる自然エネルギー発電では、安定して電力が確保できないのです。反原発は、環境問題の他にも、そもそも安全保障の面で、危険だという意見もあるので、一概に環境問題とバーターにするわけにもいかないのですが、せっかくクリーンネエルギーにねじ込んだのに、ドイツに限って言えば、何の恩恵にもなりませんでしたね。

これで、また問題になるのが、白眼視されて技術開発が止まっている欧州の石炭火力発電所って、一昔前の施設が殆どなんですよね。つまり、煤烟やら二酸化炭素を出しまくりです。日本の石炭火力発電所は、エネルギー源を分散させる方向で管理してきたので、今でも煤烟と二酸化炭素排出の低減の研究を進めて、恐らく最先端を走っています。環境活動家の皆様が、ヒステリックに日本を吊し上げて、「石炭火力発電所を止めろ」とか、環境問題に消極的だとして侮辱的な賞を贈呈して溜飲を下げている間に、地道に石炭火力発電所を使わざるを得ない時に、環境に対する影響を極力抑える対処をしていたわけです。口じゃなくて、手を動かせって事です。完全に脱化石燃料が達成できる見通しが立っているならともかく、そうじゃない時点で、思想的な観点から、物事を決めつける愚かしさというのが、良く判ります。彼らは、自分達が嫌っていた石炭火力発電に当分は頼らないと、今の生活を維持できないのです。確実にエネルギー料金は、爆上げするでしょうね。50%の値上げが、既に予定されているらしいです。多分、この事は、公には批判されないと思います。それよりも、「原発を止めた。凄い」という事だけが喧伝されるでしょうね。

これの問題は、社会問題を政治課題にして、それを達成する事を目標にしてしまっている点です。その方向が正しいのであれば、問題が無いのですが、色々と新たな問題を引き起こす事が判っていたり、時期尚早だったりしても、思想的な正しさとかいうもので、ゴリ押しされるんですよね。有権者に人気な事を成し遂げれば、得票につながるからです。そして、この方向性が、私なんかからすると、単なる「集団ヒステリー」に見えるような事が動機になっている事が多い。

昔、アメリカのハリウッドで、ヘイズ・コードという自主規制がありました。昔、映画産業というのは、卑しい職業とされていて、迫害されがちだったユダヤ系の移民が興した産業だったんですね。なんで、一時期、集客の為にエロ・グロ路線に流れた事があって、社会批判が高まり、立場的に弱い人々だったので、コッケイなくらい自分たちで自主規制をして、批判の矢面に立たないようにしたのです。例えば、「夫婦でも同じベッドに寝ているシーンは駄目」「警官をおちょくるシーンは駄目」「唇を吸うキス・シーンは駄目」と、もう映像になる結果で規制されて、物語の必然性とか完全に無視して、規制をかけてた時代があります。彼らにしてみれば、少数派のマイノリティー民族なので、その当時のアメリカの大部分を占めたプロテスタントの白人からの攻撃対象になったらアウトだったわけですよ。なので、後から考えたら、笑えるくらい自主規制しまくったわけです。

この規制は、アメリカン・ニューシネマの時代に、破壊されていって完全に無くなるのですが、その先駆けになったのが「俺たちに明日はない」とか「イージー・ライダー」とかの作品です。今でこそ、古典ですが、公開された当時は、社会的なバッシングが凄くて、それにも滅気ずに応援し、劇場に通い続けた当時の若者のエネルギーが、評価を変えさせた作品群です。

で、このヘイズ・コードと同じ事をしているのが、今のポリコレだと思うわけです。明確な法的規制が無くても、「文化侵略だぁ」「LGBTQだぁ」「人種差別だぁ」と、ソーシャル・ジャスティス・ウォーリアーの皆様の合意が成立すれば、徹底的に相手をネット上でリンチにかけて、「こうなりたくなかったら、俺たちに従え」みたいな事をしているわけです。弱者とかマイノリティーと言っていますが、今や暴力を背景に圧力をかける集団になっています。実際、そうじゃない人々を「許さない」思想団体になっていますからねぇ。それが怖くて、グローバル企業は、批判されないように、多額の寄付をしていたりします。不買運動とか起こされると、商売が脅かされるからです。とても、正常な社会とは思えません。

現実的なすり合わせも無く、思想で突っ走ったエネルギー行政が、どうなるか、ドイツには是非とも、お手本としてウォッチしていきたいと思います。』

EV税優遇、米車のみ 日産「リーフ」は対象外

EV税優遇、米車のみ 日産「リーフ」は対象外
https://www.jiji.com/jc/article?k=2023041800146&g=int

『【ニューヨーク時事】米財務省は17日、電気自動車(EV)優遇制度の変更に伴い、新たに税優遇対象となるEVとプラグインハイブリッド車(PHV)を公表した。適用されるのは米ブランド車のみで、日産自動車のEV「リーフ」は優遇対象から外れた。販売が打撃を受けるのは必至だ。

EV新モデルそろい踏み 人気ガソリン車も―NY自動車ショー

 米当局はこれまで、EVなどの購入者に最大7500ドル(約101万円)の税控除を適用してきた。ただ、昨年8月に新たな優遇策を盛り込んだインフレ抑制法が成立。北米で最終組み立てされた車に優遇対象を限定した。

 さらに今月18日からは、電池の原料となる重要鉱物について、一定割合を米国か、米国と自由貿易協定(FTA)を結ぶ国から調達することを義務付けるなど、適用条件が厳格化される。

 これにより控除が適用される車種は、テスラやゼネラル・モーターズ(GM)、フォード・モーターなど米系メーカーのみとなった。
 リーフは米国内で最終組み立てが行われているが、電池に関する条件を満たせなかった。独フォルクスワーゲンやBMW、韓国・現代自動車なども今回、控除対象から外れた。 』

IEA,「天然ガス起源の水素はクリーン」,ゴールポストを簡単に動かした

IEA,「天然ガス起源の水素はクリーン」,ゴールポストを簡単に動かした
http://blog.livedoor.jp/adachihayao/

『【日刊 アジアのエネルギー最前線】 IEA,「天然ガス起源の水素はクリーン」,ゴールポストを簡単に動かした
http://www.adachihayao.net

2023年4月12日 水曜日 雨

AI適用の対話型人工知能,チャットGPTが連日大きな話題になっている,どこまで使えるか,計画がもう一つ掴めないボルネオのカヤン川開発で質問すると,前日に私が投降したツイッターがそのまま出てきた,瞬時に情報収集やってる,これからも使てみようと思う,今日はIEAのガスに注目

昨日の日経が報じたIEAの,「ガス由来の水素の環境適合」,天然ガスから生成する水素を「クリーン水素」と認定する基準設定,まさしくゴールポストを動かしたと言える,その矛盾がわからないのだろうか,ガスからの水素をクリーンとするならば,LNG火力はクリーンだ,と言う矛盾である

私が計算したように,人類が石炭を焚き続けて16年後に滅亡すると仮定したとき,石炭を天然ガスに変えて人類が生き延びることができるのはプラス4年,20年後には滅亡することになる,天然ガスの水素でよいというならば,何も水素に変えなくても天然ガスのままで使えばよい,矛盾で一杯,』

トヨタ、水素活用による福島での工場カーボンニュートラルの取り組みを加速

トヨタ、水素活用による福島での工場カーボンニュートラルの取り組みを加速
https://global.toyota/jp/newsroom/corporate/38917305.html

『トヨタ自動車株式会社(以下、トヨタ)は、2021年6月以降、福島県と共同で「福島発」の水素・技術を活用した新たな未来のまちづくりに向けた活動を進めています。この一環としてトヨタは、デンソーグループと連携して、工場におけるカーボンニュートラルの実現に向けて、再生可能エネルギーとあわせて水素の利活用に取り組んでいます。

このほどトヨタは、「MIRAI」のFCスタックなどを流用して、水を電気分解して水素を製造する水電解装置を新たに開発し、今後の普及促進に向けた技術実装の場として、本年3月に株式会社デンソー福島の工場(以下、デンソー福島工場)において稼働を開始します。今後、この水電解装置で製造したクリーンな水素を工場ガス炉で自家消費する「水素地産地消」モデルの構築を目指して取り組みを加速させていきます。

さらに、こうした水素利活用モデルの構築に向けた取り組み内容を広く公開し、様々な業界や地域において多くの方に仲間に加わっていただき、実装の輪を広げていきたいと考えています。
デンソー福島工場における水素利活用は、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の助成事業として実施します

トヨタはカーボンニュートラルの実現に貢献するために、CO2排出量の削減を目指した取り組みを進める中で、水素を重要な燃料と位置づけています。こうして、乗用・商用のトラックやバスを含めた燃料電池自動車(FCEV)だけではなく、FC定置式発電機の開発・実証運転などFC製品の普及による水素利活用の促進を目指し、水素を「つくる/はこぶ/ためる/つかう」の各領域において、様々な業界のパートナーの方々との取り組みを進めています。

これまでトヨタは、FCEVやFC定置式発電機、工場での製造時などで水素を「つかう」とともに、水素運搬のためのFCトラックの開発・製造など「はこぶ」活動を進めてきました。今回の水電解装置の開発による水素製造に加え、今後、タイでの家畜の糞尿から発生するバイオガスを活用した水素の製造に取り組むことにより、「つくる」領域での選択肢の拡大にも貢献していきたいと考えています。
水電解装置の特徴

「MIRAI」やFCバス「SORA」に搭載しているFCスタックを流用した水電解装置は、トヨタが長年にわたるFCEV開発で培ってきた技術、世界の様々な使用環境の中で蓄積してきた知見・ノウハウを活かして新開発したものです。その特徴は、以下のとおりです。

水を電気分解するスタック(水電解スタック)に使用しているセルは、2014年12月の初代「MIRAI」発売以降、700万枚以上(FCEV約2万台分)の量産・使用実績に裏付けられた高い信頼性を確保。
トヨタは、FCEV用に開発し初代MIRAI以降搭載しているスタックのセパレーターにチタンを採用し、耐食性の高いチタンの特性を活かして水電解装置に求められる耐久性の向上を追求。長期にわたり安心してお使いいただけるよう、約8万時間の稼働を経ても初期とほぼ変わらない性能維持を目指して開発。
水電解スタックの生産過程において、FCEV用FCスタックの部品及びFCスタック生産設備の90%以上の流用/共用が可能であり、これによる量産効果により、今後、普及可能なコストレベルを追求。
さらに、長年にわたるFCEV開発で培ってきた技術・知見・経験を活かすことにより開発期間の大幅な短縮が可能。

水電解装置の概要 現在の開発段階でのイメージ
外観(デンソー福島工場での設置状況)

外観(デンソー福島工場での設置状況)

水電解装置の内部構造

水電解装置の内部構造

サイズ(縦×横×高さ) 約2.3m×約5.8m×約2.8m
水素製造能力 約8kg/時間
水素製造エネルギー 53kWh/水素製造1kg
スタック種類 固体高分子形
数値は目標値であり、変更となる場合もあります。
水電解装置の構成

水電解装置の構成

スタックの使い方 : 燃料電池(FC)と水電解

スタックの使い方 : 燃料電池(FC)と水電解

トヨタは、この水電解装置に搭載しているスタックなどを、3月15日(水)~17日(金)に東京ビッグサイト(東京都江東区)で開催される「FC EXPO(水素・燃料電池展)」に出展します。

以上 』

EU、エンジン車容認で合意 合成燃料限定で35年以降も

EU、エンジン車容認で合意 合成燃料限定で35年以降も
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA27BN30X20C23A3000000/

『【この記事のポイント】
・2035年以降、エンジン車を全く認めない方針を転換
・水素とCO2でつくる合成燃料に限り利用可能
・普及にはコストや技術に課題が残る

【ブリュッセル=辻隆史】欧州連合(EU)は28日のエネルギー相理事会で、2035年にゼロエミッション車以外の販売を原則禁じることで正式に合意した。内燃機関(エンジン)車の新車販売を全て認めない当初案を修正し、温暖化ガス排出をゼロとみなす合成燃料の利用に限り販売を認める。

【関連記事】独運輸相「技術的に中立な解決策」 EUがエンジン車容認

自動車業界の主張を受けたドイツ政府の意見を踏まえてエンジン車の部分容認に方針転換した。EUは今後、合成燃料の利用に向けた制度設計に乗り出すが、燃料の基準や利用条件などを巡って難航する可能性もある。一方でEUはバイオ燃料を利用した車については35年以降の販売を認めない方針だ。

エンジン車の販売禁止は昨秋に欧州理事会と欧州議会、欧州委員会が合意に達した。その後、フォルクスワーゲン(VW)など自動車大手を抱えるドイツが合成燃料の容認を強く主張し、内容の修正を迫られた。

EUは50年までに域内の温暖化ガス排出を実質ゼロにする目標を掲げる。電気自動車(EV)への移行を進めるための目玉政策に例外を設け、エンジン車が併存する形となった。最終合意の手前でこれまでの協議内容を覆したドイツへの他国の反発は強く、今後の他の政策でのあつれきにつながるおそれもある。

EU関係者は28日「EVへの移行をめざすEUの基本方針は変わらない。多くの自動車メーカーはEVを選んでいる」と語り、合成燃料を利用した車の販売は将来も一部にとどまるとの見方を示した。

別の関係者は「合成燃料のみで車を走らせる仕組みをつくるには技術的な挑戦がいる」と述べ、関連産業全体の技術革新が必要になると指摘した。

合成燃料は二酸化炭素(CO2)と再生可能エネルギーによる電気分解で得た水素からつくる。ガソリンと成分は同じだが、現状では生産コストが高く、乗用車向けで商用化されるかは見通せない。

自動車メーカーではVWグループ傘下のポルシェが昨年末、チリで合成燃料の生産工場を稼働させた。日本のトヨタ自動車やホンダなども研究に取り組むが、コスト面などの課題は多い。

日本の経済産業省の試算では、再生可能エネルギーが安い海外で製造すると1リットルあたり約300円、国内だと約700円でガソリン価格の2〜5倍に相当する。

独ポツダム気候影響研究所の調査では、35年までに世界で計画されている合成燃料の工場は60カ所にとどまる。航空や船舶など早期の電動化が難しい移動手段で優先的に使われ、乗用車向けの供給量は限られるとの分析もある。

【関連記事】

・EUがエンジン車容認 高価格の合成燃料、利用は限定的か
・EU、35年以降もエンジン車販売容認 合成燃料利用で
・欧州の商用車CO2規制、40年に90%減 インフラ整備が壁

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深尾三四郎
伊藤忠総研 上席主任研究員
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ひとこと解説

車産業における競争力の源泉はエンジン性能から再生可能エネルギーの調達力へ移行する。
車メーカーで合成燃料の容認を歓迎しているのは、高コストの合成燃料を許容できる富裕層を客にしたポルシェとフェラーリ。当理事会でドイツに同調して反対票を投じたのはポーランドだけで、イタリアは反対という事前予想に反して棄権に回った。脱エンジンに関しては小さな逃げ道を設けたが、脱炭素の基本方針に変化はない。合成燃料で恩恵を受けるスーパーカーの台数たるや微々たるもの。欧州にとって地の利である再エネを普及させて脱炭素化を推し進めることをベースにした”2035 ICE BAN”が正式決定したという事実の重さに目を向けるべき。
2023年3月28日 22:50
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中西孝樹
ナカニシ自動車産業リサーチ 代表アナリスト
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ひとこと解説

方針が覆ったというより、既定路線の感が強いです。ただ、貴族が駆るフェラーリやポルシェはともかく、庶民の自家用車にe-Fuelが普及できるか否かは不透明です。CO2を再利用し燃焼段階ではカーボンゼロですが、NOxなどの排ガスの課題が残ります。日本にとって世界でパワーユニットの選択肢が残ることは朗報ながら、再エネ由来の水素を合成するe-Fuelとなると、コストは高く日本に十分なリソースがあるとは言えません。ドイツは国家プロジェクトとしてe-Fuelを推進し、シーメンスとポルシェはチリで巨大なハルオニプロジェクトを動かしています。年産5.5億リッターをコスト2ユーロで生産する壮大なプロジェクトです。
2023年3月28日 22:19
赤川省吾のアバター
赤川省吾
日本経済新聞社 欧州総局長
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ひとこと解説

ドイツ内政がEUの産業政策を揺さぶりました。ドイツ連立与党の一角の中道政党FDPが合成燃料にこだわり、それが採用されました。FDPは医師や弁護士、中小企業経営者などの高所得者を支持基盤とする政党。高価格の合成燃料でも払える層(ポルシェなどのオーナー)を意識した露骨な有権者対策といえます。

この件が示すものは2つ
①ドイツの中堅政党がEU全体の動きを左右するほど域内ではドイツが突出した力。
②一部高級車を除けばEU内のEV化の流れは変わらず。「内燃機関の原則禁止(ドイツ公共放送ARD)」が改めて鮮明に。

ガソリン車の時代はもう終わり。日本の自動車メーカーもEV化で遅れるべきではありません
2023年3月29日 1:13 』

EU、合成燃料限定でエンジン車容認へ独と合意と日本

EU、合成燃料限定でエンジン車容認へ独と合意と日本
https://nappi11.livedoor.blog/archives/5421318.html

『欧州連合(EU)欧州委員会とドイツ政府は2023年3月25日、2035年以降も条件付きで内燃機関(エンジン)車の新車販売を認めることで合意したと発表した。

EUでは当初、温室効果ガス削減策の一環として、全てのエンジン車を禁止する方針だったが、自動車大国ドイツが反対していた。、、

現状では多くの国で、EVへの充電に火力発電で作られた電気が供給され、より多くのCO2を発生させる矛盾を生む。

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二酸化炭素(CO2)と水素で製造する合成燃料(人工石油;e-fuel(イーフューエル)、e燃料)を使用する場合に限ってエンジン車の製造を容認することで折り合った。  

EUのティメルマンス欧州上級副委員長はツイッターで「将来の合成燃料使用でドイツと合意に達した」と表明。ウィッシング独交通相も「CO2の排出量が実質ゼロになる燃料だけを使う場合、2035年からもエンジン車が許可される」と説明した。

合意の具体的な内容は明らかになっておらず、今後、他の加盟国も交えた正式な手続きの中で示される見通し。

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独メディアによると、ウィッシング氏は2024年秋までに手続きを完了したい考えという。
 合成燃料は工場の排出ガスや大気中から回収したCO2を利用する開発中の新技術。

ガソリンの代わりに使うことができ、CO2を排出するが、再利用もすることから排出は「実質ゼロ」とされる。参照記事 右は、水素と酸素の化学反応で電気を作りモーターを回すトヨタの水素燃料電池車ミライ。現在市販ミライの水素燃料は圧縮された気体で、トヨタは、液体水素搭載車両の開発も行っているが、以前は、一般車へは不可能と言われたほどハードルが高いとされる。

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合成燃料や水素燃料と言ってもその原料や製法により種々あるが、水素燃料や合成燃料車開発に先進的なトヨタの主張が正当化されたと見ていいだろう。

すでに航空機には、これまでの燃料に合成燃料を配合することで石油消費を抑える方法が取られていて、CO2削減ばかりが強調されているが、a56b3640化石燃料消費削減の面からも一般電力や自動車のエネルギー消費は検討されるべきだろう。

EV車を優遇しても、その充電の為の電力製造過程や車両やバッテリー製造過程でCO2や化石燃料が大量に消abde50a2費されては本末転倒である。

欧米や日本でも、まだ合成燃料への理解や、水素エンジンと水素燃料電池車の違いなども十分に理解されていないと筆者は感じている。

筆者の過去のブログだけ見ても、消費エネルギーとして水素実用化の世界で、10年以上前から先駆的役割をしているのが日本で、これまでの開発への投資が大きな財産になるだろう。

過去ブログ:2023年3月水と大気中のCO2等から生成する人工石油(合成燃料)

:2023年3月東レが独で「グリーン水素」製造に100億円投資:

2月パナソニックが中国自社工場で水素燃料電池発電システムを稼働:

1月フィンランド初のグリーン水素プラント着工と日本のガスタービン:

2022年9月天然ガスから水素へ急転換のフィンランド、スウェーデンとSMR(参考2021年12月9日RWEと川崎重工は、世界に先駆けて水素燃料100%の商業規模ガスタービン建設を計画(ドイツ、リンゲン)):

8月独で世界初、水素のみで走る旅客鉄道運行開始と日本の開発:8月VWのCEO9月に交代,EV車製造でも内燃機関は捨てない方針へ:

5月マツダロータリーエンジンなぜ水素燃料と相性が良い?保存記事:

1月日豪の褐炭からの水素製造、輸送プロジェクト開始:

2021年12月北海道の洋上、陸上風力発電と水素燃料:

12月EV車の未来予測:12月日本の技術で豪州で水素製造 世界初の水素運搬船出航:

11月ペロブスカイト型太陽電池の実用化と水素製造への応用:

11月意外と低いEVのCO2削減率、電源構成で大きな差:

10月水素エンジン車の技術実用化へ向かうトヨタとその理由:

10月日本商社、海外でアンモニア製造プラント着工とメリット:

7月トヨタMIRAIの満タン水素で1040.5km走破!燃費は197km/kg!:

3月寒波で死者多数のテキサス大停電が示したEV車一辺倒の危険:

2020年12月新型液体燃料「e-fuel(イーフューエル)」開発に 日本:

11月スコットランドの小都市で水素燃料2階建てバスが運行開始:

11月洋上風力発電での水素燃料製造プロジェクト開始 ドイツ:

3月ドイツでトヨタのFCVがライドシェアで500万キロ達成:

1月中国車市場でハイブリッド車に商機到来か?:

2019年7月加速するトヨタのEV,PHV車開発:

7月トヨタが水素燃料電池車生産を10倍に引き上げ:

4月中国EV補助金削減 水素自動車にシフト トヨタ視察がきっかけ?:

2018年3月ロンドンでトヨタの水素燃料電池公用車「MIRAI」走る 英国:

2017年5月進化するEV,PHV、FCV 、バッテリー etc.:

2015年5月Audiが原料は水とCO2だけで新しいディーゼル燃料 ドイツ:

2013年6月日本で世界初の水素発電所が実用化へ CO2ゼロで低コスト:

EUがエンジン車容認 高価格の合成燃料、利用は限定的か

EUがエンジン車容認 高価格の合成燃料、利用は限定的か
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR254FK0V20C23A3000000/

『【フランクフルト=林英樹】欧州連合(EU)が2035年にガソリン車など内燃機関車の新車販売を禁止する方針を事実上撤回した。温暖化ガス排出をゼロとみなす合成燃料の利用に限り販売を認める。ドイツの反発を受け入れた格好だが、合成燃料はガソリンの2〜5倍と高額で、船舶・航空など限定的な利用にとどまる公算が大きい。

「欧州は技術的な中立を保ち(35年以降も)手ごろな価格の車を選択肢として持ち続ける」。ウィ…

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『ウィッシング独運輸・デジタル相は25日、ツイッターでこう発信し、合成燃料の利用継続でEUの欧州委員会と合意したと明らかにした。

電気自動車(EV)と燃料電池車への完全移行を進めていたEUに対し、ウィッシング氏が所属する独政権与党の自由民主党(FDP)が「選択肢を狭める」と反発。欧州議会が2月、内燃機関車の禁止を承認したものの、EUのエネルギー担当相理事会が最終決定を先延ばししていた。

同理事会は28日にも修正した法案で合意する見通し。正式決定には加盟27カ国のうち15カ国以上の賛成などが必要になる。イタリアやポーランドも修正案を支持する一方「欧州議会の合意を覆すのは意思決定プロセスの崩壊を招く」(ラトビアのカリンシュ首相)との批判もあり決定に時間がかかる可能性がある。

FDPが土壇場で反対に転じた背景には、関係が深い独自動車業界の抵抗があった。フォルクスワーゲン(VW)のオリバー・ブルーメ社長はEVシフトと合わせて「既存車両の脱炭素化では合成燃料が有効だ」と強調する。独自動車工業会(VDA)のヒルデガルト・ミュラー会長も「解決法をオープンに模索する必要がある」と合成燃料の利用を訴えていた。

急激なEV化に伴う失業懸念も後押しとなった。独公共放送ARDが3月に行った調査では、67%が内燃機関車の禁止に反対し、賛成の25%を大きく上回った。FDPは22年10月の独北西部ニーダーザクセン州議会選挙で議席を失っており、支持率回復のために動いた面も大きい。

自動車での合成燃料の利用は限定的にとどまりそうだ。工場や発電所から回収・貯蔵した二酸化炭素(CO2)と再生可能エネルギーによる電気分解で得た水素でつくる合成燃料の価格は高い。日本の経済産業省の試算では、再生エネが安い海外で製造すると1リットルあたり約300円、国内だと約700円で、ガソリン価格の2〜5倍に相当する。

ポルシェとシーメンス・エナジーが立ち上げた合成燃料の製造工場。陸上風力発電でつくる電気で水素を生成する(22年12月、チリ南部プンタアレナス)
大量生産による将来のコストダウン効果も見込みにくい。VWグループ傘下のポルシェと独シーメンス・エナジーが22年にチリで合成燃料の工場を立ち上げたが、独ポツダム気候影響研究所の調査によると、35年までに世界で計画されている工場は60カ所にすぎない。

独自動車エコノミストのマティアス・シュミット氏は「合成燃料は航空や船舶など電動化が難しい移動手段で優先的に使われ、乗用車向けにはほとんど回ってこないのではないか」と指摘。35年時点ではEVの価格が大きく下がり、車向け合成燃料はスポーツカーなど限定的な用途でしか使われないとの見方を示す。

制度の整備も課題だ。合成燃料は燃焼時にCO2を排出する。既存のガソリンとどの程度混合すれば実質的に排出ゼロとみなせるか、削減効果を企業間でどう分配するかといった具体的な指針も新たに必要になる。

日本勢が強いハイブリッド車(HV)を排除するなどEV一辺倒だったEU。課題は多いものの現実的な修正に動き出した意義は小さくない。

【関連記事】

・EU、35年以降もエンジン車販売容認 合成燃料利用で
・欧州の商用車CO2規制、40年に90%減 インフラ整備が壁
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深尾三四郎
伊藤忠総研 上席主任研究員
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分析・考察 高級車ブランドにとって都合の良いルール変更をしたに過ぎない。

合成燃料の高コストを許容できるのは高級車を買う富裕者。VWは大衆車ブランドにおいては低価格EVのラインナップを拡充し、高級車のポルシェではe-fuelの有効性を訴求する。
低コストのリン酸鉄リチウムイオン電池を積極採用するメーカーが増えたことでEVシフトの加速がより明確になった。

この状況で合成燃料を容認したとしても脱エンジンの潮流を後退させるものにはならないとEUは判断したのだろう。

グリーン水素を製造するためには依然として再エネが必要。脱エンジンで若干のブレーキをかけるだけであり、脱炭素に向けたポリシーメイキングを弱めるわけではない。
2023年3月26日 21:15 』

2035年のガソリン車禁止案巡り不支持EU8カ国が協議

2035年のガソリン車禁止案巡り不支持EU8カ国が協議
https://nappi11.livedoor.blog/archives/5418764.html

『【ブリュッセル 3月14日 時事】チェコのクプカ運輸相は2023年3月13日、2035年にガソリン車の新車販売を事実上禁imageshjh止する法案に関し、ドイツやイタリアなど欧州連合(EU)7カ国の交通相と協議したことを明らかにした。

これらの国は法案不支持の立場。

ロイター通信によれば、ドイツのウィッシング交通相はこの日、「法案は早急に変更が必要だ」と述べたという。

クプカ氏によると、協議に参加したのは独伊のほか、ポーランド、ハンガリー、ルーマニア、スロバキア、ポルトガル。

EU加盟国などは2022年、法案に合意した。しかし、加盟国による正式承認の段階になって、一部の国が不支持を表明。手続きが延期されていた。参照記事 過去ブログ:2023年3月2035年のガソリン車禁止案巡り不支持EU8カ国が協議:』

[FT]ドイツ、EUの内燃機関禁止案に急ブレーキ(社説)

[FT]ドイツ、EUの内燃機関禁止案に急ブレーキ(社説)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB122ST0S3A210C2000000/

 ※ EU内の対立軸の一つとして、西部の「低高度国(ベネルックス3国)」vs.「高高度国(仏・独)」というものもある…。

 ※ 「海面上昇・国土浸水の恐怖」に対する国民意識が、全然異なるわけだ…。

『これがまさに自動車関連法案で起きた「衝突事故」というものだろう。2035年までに内燃エンジンを搭載した新車の販売を禁止するという欧州連合(E U)の野心的な計画は、EUの自動車産業をけん引するドイツの反対で土壇場で頓挫した。

この合意は加盟国が昨年合意し、欧州議会も先日承認した。今週、E U閣僚理事会が承認すれば発効するはずだったが、無期限で延期されることになった。法案を人質にして自らの国益を守…

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『法案を人質にして自らの国益を守ろうとする国々にとって、ドイツは「よい」見本を示した。

それだけではなく、この一件は低炭素社会への移行(グリーントランジション)に取り組むドイツ自身とE Uの信頼性をも脅かした。この規制案は50年までにカーボンニュートラル(温暖化ガス排出実質ゼロ)を達成するというEUの目標のカギとなる施策だ。それが今、壁にぶつかってしまった。

気候変動の危機により、化石燃料からクリーンな代替燃料への転換がこれまでにないほどの規模と速さで求められている。それには最大の要因の一つを取り除く必要がある。

環境を汚染する産業での雇用減少など、痛みを伴うトレードオフ(二律背反)は避けられない。自動車産業の場合、状況は厳しい。米フォード・モーターのトップは内燃エンジンを廃止して電気自動車(E V)に切り替えると、雇用が約4割失われる可能性があると考えている。フォードは欧州で3800人の人員削減を発表したばかりだ。

ドイツでは旧来の自動車産業が国内産業全体の売上高の5分の1を占めていることを踏まえると、市民生活が物価高騰で圧迫されている今、政治家がこの業界の雇用確保になぜ熱心なのかは容易に理解できる。

実行されぬ目標にどれほど意味があるか

ただドイツ政府が首を縦に振らなければ、EUの内燃エンジン搭載車の販売禁止案は効力を持たない。フェラーリの本拠地イタリアもドイツを支持している。ポーランドはすでに禁止案への反対を表明ずみで、ブルガリアは採決では棄権すると公言している。

ドイツは欧州委員会に対し、二酸化炭素(CO2)と水素でつくる「e燃料」を使う車は例外とするよう求めている。e燃料は通常のエンジンでも使えるため、ガソリン車メーカーなどにとっては頼みの綱となるかもしれない。しかし、うたわれているような万能薬ではない。高価で効率が悪く、たとえ技術的には気候中立でも、燃やせば化石燃料と同程度の二酸化窒素を排出するからだ。

メーカー側も、バッテリー製造で遅れているとみられる部品大手のボッシュ以外は特にe燃料を推進しているわけではない。独ポルシェは看板車種の「911」には内燃エンジンを使い続けたいと考えている。フェラーリはe燃料の使用を検討中としながらも、まだ正式に取り入れてはいない。

独フォルクスワーゲン、伊フィアット、独メルセデス・ベンツなど、他のドイツやイタリアの自動車メーカーはE Vに将来を賭けており、内燃エンジンの製造を段階的に取りやめる工程表を明らかにしている。

政策の行き詰まりの背景の一つには、3党が連立を組む独ショルツ政権内の対立がある。政治家は生産性と気候変動対策という2つの観点からクリーンエネルギーの開発を優先し、結果的に生じる問題への対処法を見つけなければならない。

EUはクリーンエネルギーの目標設定では世界で主導的役割を果たしているものの、今は目標達成のための具体的な行動と、それに伴う痛みの軽減策に取り組む必要がある。今回の内燃エンジンを巡る混乱でそのことがはっきりした。

E U執行部は実行されない目標にどれほど意味があるかも考えなければならない。フランスは20年以降、加盟国の中で唯一、再生可能エネルギーの目標を達成できていない。だが欧州委はフランスに制裁を科すかどうか、科す場合はどのようにするかをまだ決められずにいる。50年までにカーボンニュートラルに移行するのは生易しいことではない。加盟国は合意した以上、目標の実現に向けて今こそ全力を尽くすことが求められている。

(2023年3月9日付 英フィナンシャル・タイムズ電子版 https://www.ft.com/)

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小山堅
日本エネルギー経済研究所 専務理事 首席研究員
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ひとこと解説 自動車産業が経済の屋台骨を支えているという点では日本とドイツには共通点があり、今回のドイツの動きはまさに注目に値するものだ。脱炭素化、排出ネットゼロを目指していく道程では、交通部門での排出削減が重要なカギの一つとなる。EVがそこで極めて重要な役割を果たすことは間違いないが、その他の手段・オプションと、様々な角度から包括的にコスト・ベネフィットを検討し。選択していく必要性に世界は気が付き始めているのかもしれない。EV推進と稀少鉱物の関係に伴う経済安全保障問題、雇用と所得を守る経済・産業政策なども含め、総合的・戦略的観点で、脱炭素化のメニューを改めて見直していく動きが現れていく可能性もある。
2023年3月11日 9:30 』

ガソリン車を「電池交換式EV」に改造 新興のFOMM

ガソリン車を「電池交換式EV」に改造 新興のFOMM
【イブニングスクープ】
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC098680Z01C22A1000000/

『電気自動車(EV)新興のFOMM(フォム、横浜市)は4月、ガソリン商用車を電池交換式EVに改造する事業を始める。電池を数分で入れ替えられる交換式EVは稼働率を高めたい物流会社に需要がある一方、電池の統一規格がないことなどを理由に事業化の動きは乏しかった。電池保管の規制緩和で市場が広がり、EV普及に弾みがつく可能性がある。

フォムは2013年、スズキの元技術者で、トヨタ車体の小型EV「コムス」の開…

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『一般的なEVの充電は通常10時間程度、急速充電でも30分〜1時間かかる。商用EVでは半日フル稼働すると残り半日を充電にあてることが多い。交換式EVは助手席後方に電池を配置し、2分程度で満充電のものと交換する。充電器は物流会社の配送拠点などに設置し、荷物の積み替え時に電池も交換して終日稼働できるようになる。

交換式EVへの改造は各地の自動車整備工場に委託する。自動車整備の業界団体と連携し、整備工場への研修も手掛ける。23年度に1000台の改造を目指す。

改造費用は180万円程度を見込む。中古車のEV改造は国や東京都が実施しているEV補助金事業の対象外で、補助金込みで新車を買うよりやや割高となる。物流会社などが繁忙期に終日稼働できる点を売り物にする。新車の供給難が続くなか、一般のEVより納期が早いのも利点だ。

交換式EVは電池の統一規格がないことや、消防法によるリチウムイオン電池の保管規制などの影響で普及が進んでいない。政府は保管規制について23年中に緩和する方針。これまで保管場所は原則、平屋に限られていたが、スプリンクラー設置などを条件に複数階の建物で保管できるようにして、電池交換スタンドを建てやすくする。』

EV普及へインフラ整備支援 バッテリー、中国依存に警戒

EV普及へインフラ整備支援 バッテリー、中国依存に警戒―欧州委高官
https://www.jiji.com/jc/article?k=2023030500250&g=int

『欧州連合(EU)は、地球温暖化対策の一環で、2035年からガソリン車やディーゼル車の新車販売の事実上禁止に踏み切る。EU欧州委員会で運輸行政を担うモビリティ・運輸総局のヘンリック・ホロレイ総局長(エストニア出身)は、5日までに東京都内で時事通信のインタビューに応じ、二酸化炭素(CO2)を排出しない「ゼロエミッション車(ZEV)」の普及加速のため、EU加盟国の関連インフラ整備を財政支援で後押しする方針だと強調した。

小型EVバスの発売凍結 中国BYDが供給―日野自

 一方、バッテリー製造では「より多くのレアメタルが必要になる」と指摘。中国を念頭に、原材料調達で一国への「強い依存」関係をつくらないよう、価値を共有する日米欧などで協力すべきだとした。

 欧州自動車工業会(ACEA)によると、EU内における電気自動車(EV)とプラグインハイブリッド車(PHV)の販売は22年に計約200万台と、16年に比べ約17倍に増えた。シェアも新車全体の約2割に達する。一方、充電施設も約48万カ所と6年間で約6倍に増えたが、電動車への需要急増に比べ遅れが目立つ。

 ホロレイ氏は、充電インフラを「一定距離ごとに設置し、支障なく利用できるようにすることを目指す」と主張。EUも総額16億ユーロ(約2300億円)の財源を確保しており、域内各国の充電インフラ整備に活用しているという。』

関西の淡路島,太陽光発電5000KWで,四国電力から発電調整を要請された

関西の淡路島,太陽光発電5000KWで,四国電力から発電調整を要請された
http://blog.livedoor.jp/adachihayao/

『【日刊 アジアのエネルギー最前線】 関西の淡路島,太陽光発電5000KWで,四国電力から発電調整を要請された
http://www.adachihayao.net

2023年2月21日 火曜日 晴れかな

関西の淡路島,太陽光発電の好適地として既に5000KWの設備が存在する,淡路島は兵庫県なので関西電力管内の筈だが,送電線は四国電力に繋がって,そこから鳴門海峡などを経て,関電や中国電力に流れているようである,四国電力から供給過剰で送電停止を要請されたことを問題にしている

太陽光を止める前に原発を止めろ,と言う議論なのだが,技術的な調整能力の問題は別として,電力自由化以前では,調整の原則論は明確で設備費は別として燃料費の高いものから止めろ,と言うことだ,太陽光はその意味で最後に止める電源だが,自由化後は設備費を含めて均等化された単価で送る

電力を買い取る側,即ち旧電力の送配電部門が独立して従量で買い取る,そうなると,恐らく最も高い燃料費の電源になるはずで,まず太陽光を止めてくれ,と言う話になる,これは恐らく自由化制度そのものに問題があるのだろう,原発優先の話は別にして,太陽光は制度の問題として議論したい,』

電力の供給過剰で出力制御、太陽光拡大の足かせに 融通の制約、原発優遇…解決策は?

電力の供給過剰で出力制御、太陽光拡大の足かせに 融通の制約、原発優遇…解決策は?
https://news.yahoo.co.jp/articles/27300ac2710a9b79f82ec5bd3aefa755fd29c97f

『丘陵のあちこちを大規模太陽光発電所(メガソーラー)が覆う淡路島。送配電会社の指示で、島内5カ所に太陽光パネル(総出力5千キロワット)を保有するマルショウ運輸(兵庫県南あわじ市)が発電を手動で止めて回ったのは、昨年春のことだ。

【写真】電力不要、雨水でピッチ冷却…神戸のエコなサッカー場

 電力は需要と供給を常に一致させないと周波数が乱れ、大停電を起こす恐れがある。天候が良く、冷暖房の需要が低い春先や初夏は、供給過剰になりやすいという。2022年4月、関西では初めて、太陽光発電の出力制御が淡路島で行われた。

 5月にかけて複数回、発電を止めた同社の損失は数百万円分に上ったという。松井規佐夫(きさお)社長(60)は「こんなことが続けば、投資に見合った収益を得られない。事業参入への意欲がそがれ、再生可能エネルギー(再エネ)の拡大にブレーキをかけてしまう」とこぼす。

   □

 30年度の電源構成で主力電源と位置付けられる再エネの4割ほどを担うとされる太陽光。だが、その出力を制限する課題の解決が進まない。その一つが送電網の問題だ。

 送電網は送配電会社の系統ごとに完結しており、淡路島南部は四国電力送配電の系統に組み込まれている。四国系統で供給が過剰になった場合、隣接する淡路島北部や神戸・阪神間で電気が不足していても、発電を止めなければならない。

 電力融通の制約を巡っては、政府もようやく解消に動き出した。都留文科大教養学部の高橋洋教授(エネルギー政策)は「政府は再エネに消極的で対応が遅れた」と指摘する。「制約解消は電力の安定供給にもつながる。いかに早くできるかが重要だ」とする。

 もう一つは、電力需給を調整する際の「原発優遇」のルールだ。供給が需要を上回る場合、出力を制御する順番が決められているが、原発は太陽光より後で、最後に設定されている。

 資源エネルギー庁は「原発は出力を短時間で小刻みに調整することが技術的に難しく、一度出力を低下させるとすぐに元に戻せない」と理由を説明する。

 一方、東京工業大環境・社会理工学院の分山達也准教授(電力システム)は「電力会社が原発に投じたコストを回収できるようにルールが設定された」とし、「欧州のように、再エネをより活用できるルールに見直すべきだ」と訴える。

   □

 石炭火力や原発など集中型発電システムは、大量生産・大量消費の時代を支えてきた。省エネ・脱炭素の時代に入り、ウクライナ危機による燃料高騰とエネルギー不安も背景に、太陽光など再エネがそれぞれの地域を支える分散型発電システムが模索される。

 分山准教授は「いろいろな電源に気を使っているのか、国がどの電源を主力にしようとしているのかが曖昧だ。50年の再エネ比率を50~60%とするのなら、再エネを育てていかなければならない。明確なメッセージが必要では」とする。(脱炭素取材班)
記事に関する報告 』

大量の金を産む、エモーションという商売

大量の金を産む、エモーションという商売
http://blog.livedoor.jp/goldentail/archives/30834039.html

『現在進行形で、トルコやシリアで震災被害が広がっている中、多少不謹慎かも知れませんが、起きている事実に目を瞑るのは、何か違うと思うので、敢えて書いていこうと思います。今回のトルコ・シリア大震災で、大量のデマ投稿がSNSにされています。過去に起きたビルの倒壊映像や、自然災害を映した動画、それにいわゆる、画像素材として、画像販売サイトで売っている、災害に遭って絶望する人々みたいなシチュエーションの画像を、現地で撮影したものとして投稿しているのです。

多くは単なる目立ちたがりが、アクセス数を稼ぐ為に行っているのですが、中には、こうした多くの人々の耳目を集め、共感を呼びやすい事柄を、コンテンツとして利用して、大金を産む商売として仕掛けるエモーション・ビジネスというものが存在します。皆様も何か大きな事故が起きると、その件を象徴する特定の画像やら動画が目に浮かぶと思います。もちろん、多くは本物なのですが、中には特定の社会運動を起こす為に、捏造されたのではないかと言われているものがあります。

例えば、EUで中東で発生した難民の対応を巡って、まだ確たる方針が出ていなかった頃、方向性を決めたのは、イタリアの海岸で見つかった密航を試みて、ボートから転落し、浜辺に水死体で揚がった少年の死体画像でした。イタリアの警官とおぼしき人物が、遺体を抱えあげて、泣き叫ぶ画像が大きな反響を呼び、後に「超法規的」な難民受け入れ運動に繋がります。この報道写真の力は凄まじく、この時は、「難民には慎重に」なんて、発言しようものなら、「このレイシストめ」「人間のクズ」とか言われて、社会的な立場を失う勢いでした。実際、職を失う有名人も出ました。政治家は敏感に反応して、各国で難民優遇策を巡って、競争をする状態になりました。特に、メルケル政権だったドイツが目立っていて、ほぼ難民審査の条件を無くした為、大量の難民が流入し、今では社会問題になっています。

この問題の写真なんですが、少年の遺体が本物なのは、確認されています。ただし、この写真を巡っては、流れ着いた遺体に対して、シチュエーション設定をして撮影された疑いが出ています。撮影された場所は、砂浜と言っても、海水浴場のような遠浅の浜辺ではなく、岩も確認される場所なのですが、それにしては、水死体が綺麗過ぎるのですね。密航しようとした少年の家族も確認されているので、ボート転落事故が起きて、その死体がイタリアの海岸に流れ着いたのは、確かなのですが、漂着後に遺体を動かして、ストーリーを付けて撮影したのではないかと言われています。

これでEUの方針が確定した為、難民の審査というのは、大甘のままなのですが、今では難民ビジネスは、送り出す現地や、受け入れる国のギャングの一大収入源になっています。というのは、もちろん、本当に貧乏で、着の身着のままで祖国を脱出した人もいますが、多くの難民は、現地の資産を処分して、現金を貴金属に替えて、身につけて祖国を出ています。もちろん、先の生活の保証は無いわけですが、難民になったタイミングでは、高価な物品を持っているのですね。まぁ、それを、弱みにつけこんで、ギャングが没収するわけです。

一応、密航の手助けはしますが、その扱いは貨物並に酷く、たまに欧州の道端に、コンテナに死体を満載したトラックが遺棄されているのが見つかります。それは、密航難民の成れの果てで、途中で何らかの理由で死亡して出た死体を、コンテナに詰め込んで、トラックごと道端に捨てるのです。情報というのは、遅れて伝わるものですから、欧州が押し寄せる難民の波に悲鳴を上げて、一部の国で封鎖が始まった頃でも、中東では欧州で難民は歓迎されると聞いて、密航希望者は途切れませんでした。ギャングにとって、最高に儲かるビジネスの一つになりました。

海洋汚染のマイクロプラスチックが、世界的な問題になったのも、一枚の写真が原因です。ウミガメの鼻に突き刺さった、ブラスチック製のストローが、海洋汚染問題が深刻である事を世界に知らせました。もちろん、海洋汚染問題自体は、実際に深刻ですし、マイクロプラスチックが重大な汚染問題である事は事実です。しかし、政策として、プラスチックのストローを紙のストローに変える事が、本当に問題の解決に繋がると考えている人は、どれだけいるのでしょう。この問題は、ストローの材質問題に矮小化されて、それをやる事が、環境意識が高いという人物評価と直結してしまいました。そこで、各国の政治家は、プラスチック製のストローを禁止にして、紙ストローにする法案を通します。

オキアミなどの小魚を、海水ごと飲み込んで消化するクジラなどの胃の中から、大量のゴミが見つかっているので、ゴミの海洋投棄が深刻な問題なのは、事実です。しかし、ストローのようなゴミは、まともな行政が機能している国であれば、海洋投棄されるより、ゴミ焼却場で燃やされて、海洋ゴミにならないと考えるのが自然です。むしろ、ポイ捨てが常識になっている後進国のゴミ処理状況を、改善するのが先決でしょう。これも、政治が「やってます感」を出す為のパーフォーマンスと、言わざるを得ません。ストローがターゲットになったのは、件のウミガメの画像が世界中に報道されたからです。

エモーション・ビジネスに利用される画像や動画には、必ずストーリーが付加されています。人々の憤慨や共感が、そのビジネスの肝で、そういう感情を引き起こす必要があるからです。手を加えていない、事実のままというのは、得てして、そういう感情に結びつきません。なので、脚光を浴びるには、悲惨・哀れ・悲しみなどの感情を引き起こす、構図が必要です。そして、それを閲覧した人々の合意形成がされると、巨大なビジネスと利権を生みます。感情で動くので、採算とか合理的な判断は、無視されて、通常では許されないような事が実行されます。そこに関わる産業には、莫大な資金が流れる事になります。

良く、世界の危険な紛争地に入って、真実の報道を行う欧米のジャーナリストと比して、日本には真のジャーナリストはいないなどと、したり顔で言われます。それは、真実の一面を捉えているかも知れませんが、全てではありません。欧米には、ビジネスとして、仕掛ける為の素材探しをしているジャーナリストを名乗る人達もいます。彼らは自ら考えたストーリーに人々をノセて、ビジネスを生み出す事を目的にしています。実際、うまくいけば、あらゆる制限や法規制を受けず、大量の資金や寄付が流れ込むので、恐ろしいほど儲かります。 』

日本の火力発電のカーボンニュートラル,水素化アンモニアの混焼で進めるという

【日刊 アジアのエネルギー最前線】 日本の火力発電のカーボンニュートラル,水素化アンモニアの混焼で進めるという
http://blog.livedoor.jp/adachihayao/

『2023年1月31日 火曜日 晴れ

2050年のカーボンニュートラル,あくまでこの目標を実現するための最大の難関は火力発電である,車のガソリンと都市ガスと共に,火力は脱炭素の3大難関の一つ,原発と再エネで極限まで圧縮するとしても,現在の7000億KWhを何処まで圧縮できるか,水素とアンモニアが鍵という,

世界の一次エネルギーの年次変化を示す図を見ていると,カーボンニュートラルへの絶望感に打ちひしがれる,人類にとって化石燃料の頸城から逃れるのは不可能と,一次エネルギー総量154兆の中で石油42兆,ガス38兆,石炭40兆,化石計120兆,何れも単位は年KWh,絶望でしょう

日本の火力発電0.7兆を何処まで努力するのか,朝刊の電気代値上げ報道を見ると,KWh当たり37円が42円になる,先日もJERAのアンモニアへの取り組みを見てきたが,水素の調達困難と価格上昇を見ると,地球温暖化など考えていられない,問題は海面上昇だが,人類は適合するだろう』

水素 vs EVの構図は、単に自動車業界の話ではない。

水素 vs EVの構図は、単に自動車業界の話ではない。
http://blog.livedoor.jp/goldentail/archives/30625969.html

『トヨタが推進する水素自動車と欧米の推進するEVの構図は、自動車業界で先鋭化していますが、これは単に、その業界で済む話ではありません。エネルギー源で対比されるので、誤解をされやすいのですが、これは、内燃機関とモーターの争いでもあります。

産業革命以降、動力を得る仕組みとして、世界を席巻してきたのは、内燃機関です。つまり、化石燃料を燃焼させる事で、ピストンを動かす動力へエネルギーを転換し、その先に接続された、あらゆる仕組みを作動させる事で、多く事を成し遂げてきました。直接、燃料の爆発エネルギーを転換する技術の無かった時代には、蒸気という形に変換してから、動力に転換していました。いわゆる、スチーム・パンクの時代です。

しかし、内燃機関というのは、構造が複雑になる上、耐久性と高効率の動力転換を実現させるのが、難しいという課題がありました。最も身近なデータとして知る事のできる、ガソリン・エンジン車の耐久性と航続距離の改良の歴史が、その一筋縄ではいかない困難さを示しています。それゆえ、現代の環境基準を満たすエンジンを製造できる国というのは、実は数える程しかありません。それだけ、試行錯誤と創意工夫の詰まった技術という事です。

対してモーターというのは、まったく異なる進化を遂げた動力です。動力源は、電気という二次エネルギーです。電気を作り出すのに、何を使っても構いませんが、動力源としては、電気になります。モーターの機構の中で、回転する動力に変換されます。実はモーターの構造は、内燃機関の機械的な構造に比べれば、非常に単純であり、エネルギー効率の問題が無ければ、内燃機関に代わって、世界を征服していた可能性もあります。しかし、そうはなりませんでした。

実は、内燃機関VSモーターという、自動車産業における対立構造は、近年に始まった事ではなく、はるか昔に、自動車産業が立ち上がる頃に一度起きています。その構造の複雑さと、加工の困難さから、決して内燃機関というは、有利では無かったのです。モーターのほうが、断然、構造が簡単でした。では、なぜ競争に敗れたかと言えば、エネルギー効率が悪く、エネルギー源である電気を貯蔵する方法が乏しかったからです。電気というのは、そのままでは保存・貯蔵する事ができない性質のエネルギーなので、常に発電し続けるか、なんらかの方法で蓄電する必要があります。どんな方法で電気を確保しても、2次エネルギーである以上、エネルギー効率が悪かったのです。

つまり、動力としての勝敗というのは、はるか昔に決着がついています。その為、内燃機関であるガソリン・エンジン車が世界を席巻し、世の中の動力の主軸は内燃機関になったわけです。そして、最近になってEVが脚光を浴びるようになったのは、環境問題という別の角度からの評価が高まった結果です。決して、内燃機関が動力として、モーターに劣るようになったからでは、ありません。そして、このブログの単発の記事で、何回か説明したように、「EVが環境に良い」というのは、ほぼ幻想です。そういうムーヴを起こすと、既に車を所有している層にも、車を売りつける事ができるので、法規制も含めて締め上げる事で、無理矢理に需要を喚起する為に行われていると推察できます。

既に社会を支える土台になっている内燃機関の技術を、我々は守らなくてはなりません。わざわざ、環境に悪く、負荷をかけるEVに転換する事で、膨大なサプライヤー網と、たゆまぬ技術改良の努力を必要とする内燃機関の産業を潰すわけには、いかないのです。水素というのは、エネルギー源が、有害物質を出す化石燃料から、殆ど出さない水素に換えるだけなので、エンジンの機構自体は、そのまま流用できます。つまり、今の施設を、そのまま使う事ができます。そして、貯蔵・転用まで含めた、エネルギーの使い勝手も、石炭やガソリンに近いです。

結局のところ、この世界の社会を支える為にも、水素というのは、いずれ発展しないといけない技術なのです。自動車業界という狭い範疇の話ではありません。私達は、ファンタジーの世界に住むわけには、いかない生きた人間です。内燃機関の技術が途絶えて、この世の中の動力がモーターになってしまったら、どれだけの悲劇が引き起こされるか、想像力を働かせるべきです。』

熱帯のトンネルは熱いの知ってる?太陽が消滅に向かって巨大化する,地下に逃げても駄目

日刊 アジアのエネルギー最前線 : 熱帯のトンネルは熱いの知ってる?太陽が消滅に向かって巨大化する,地下に逃げても駄目 – livedoor Blog
http://blog.livedoor.jp/adachihayao/archives/2027537.html

『2022年12月29日 木曜日 晴れ

初めてインドネシアのトンネルの仕事をしたとき,熱帯のトンネル内部は熱い,と言うことに驚いた,日本では夏でもトンネル内は涼しいのに,結論,熱帯は定常的に熱いから長い時間かけて深部まで熱くなっている,太陽は残り50億年の終末に向かって巨大化する,地下で生き延びるのは不可能,

一説によると,3000万年で地球上の生物は生活できなくなる,人類は500万年程度で絶える,如何に高度に発達して地下で生きようとしても無理,火星に移住すれば寿命は延びる,ただこの熱で終末を迎える前に海面上昇の問題がある,過去100年で10センチ上昇したが,問題は氷河だ,

海面上昇で北極の氷山は解けても問題はない,90%が海中だから,問題は氷河と南極の氷床だが,やはり最初に来るのは氷河だろう,氷河が全部融解したら海面は幾ら上昇するのか,全部で氷河は約2843万立方km,地球表面積3.6億平方kmで割ればいいんだが,納得の数字にならない,』