「210兆円」の“エネルギー爆弾”が破裂寸前で、欧州がいま大パニックになっている…!

プーチンが仕掛けた「戦争」のヤバすぎる現実…! 「210兆円」の“エネルギー爆弾”が破裂寸前で、欧州がいま大パニックになっている…!
https://news.yahoo.co.jp/articles/97979adc4537fc2737e411bdcd4e068199338734

 ※ まあ、藤 和彦(経済産業研究所コンサルティングフェロー)氏情報ではあるが…。

 ※ 『電力企業は電気を販売する際、価格下落リスクを回避するためレバレッジをかけたやり方で先物を売ることが多い。レバレッジとは担保として預けた証拠金の何十倍にも相当する資金を借り入れて取引を行うことを指す。

 だが、予想に反して天然ガス価格が急騰したことで先物の損失が膨らみ、取引所に対して毎日のように担保の積み増しを迫られる電力企業が相次いでいるのだ。』…。

 ※ ここは、確かな話しなんで、気にはかけておこう…。

 ※ 「再生可能エネルギー」や、「電力自由化」に対応するには、どうしても「不確実性」の増大に対処するために、こういう「リスク・ヘッジ」対策が増大する…。

 ※ エンロン破綻も、結局は、「逃げきれずに」破綻してしまった…。

『欧州がパニック! 「エネルギー戦争」のヤバい現実

写真提供: 現代ビジネス

 欧州の電力会社がリーマンショックの再来を演出しかねないと、いま世界中で懸念が広がっていることをご存じだろうか。

【写真】プーチンが「踊る、踊る、笑う」…! 衝撃の「意外ショット」を見る…!

 「欧州の電力企業はヘッジ取引に伴う追加証拠金を少なくとも1兆5000億ドル(約210兆円)差し入れる必要があり、政府が支援しない限り、(金融)市場全体が機能を停止する恐れがある」

 このような発言を行ったのは、ノルウェーのエネルギー大手エクイノールだ(9月6日付ブルームバーグ)。

 エネルギー価格の高騰が欧州の電力企業の信用不安に飛び火し、欧州の金融市場全体を揺るがす問題になりつつあることを業界関係者が吐露した形だ。

 欧州の電力企業を苦しめているのは先物取引市場で発生する「追加担保の拠出(マージン・コール)」だ。

 電力企業は電気を販売する際、価格下落リスクを回避するためレバレッジをかけたやり方で先物を売ることが多い。レバレッジとは担保として預けた証拠金の何十倍にも相当する資金を借り入れて取引を行うことを指す。

 だが、予想に反して天然ガス価格が急騰したことで先物の損失が膨らみ、取引所に対して毎日のように担保の積み増しを迫られる電力企業が相次いでいるのだ。

「重大局面」に入った

欧州の干ばつで、ドイツでは水力発電の稼働率が低下した Photo/gettyimages

 「このままでは電気を販売して資金回収する前に手元資金がなくなってしまう」との悲鳴が聞こえてくる。

 こうした状況はロシアによるウクライナ侵攻以降続いていたが、8月下旬にかけて欧州各国の卸売電力相場が急上昇したことが災いした。

 火力発電に利用される天然ガスの値上がりに加えて、記録的な熱波によって原子力や水力などの電力の稼働率が悪化したからだ。

 天然ガスの先物価格が予期せぬ方向にシフトしたことで、欧州の電力業界全体で手元流動性が逼迫するという異常事態となってしまった。

 「弱り目に祟り目」ではないが、欧州中央銀行(ECB)は9月8日、政策金利を再び引き上げており、電力企業の資金調達コストが一層膨らむことは確実な情勢だ。

 プーチンが仕掛けた「エネルギー戦争」がいま重大局面に差し掛かっているともいえる。

 後編記事『「エンロン破綻」を上回る“ヤバい危機”になる…!  プーチンが招く「経済ショック」で、間もなく「追い証地獄」がやってくる…! 』では、いま世界で起きている危機の“ヤバすぎる現実”についてレポートしよう。

藤 和彦(経済産業研究所コンサルティングフェロー)』

本当に海より低い国・海抜 ?3.8m地点

本当に海より低い国・海抜 ?3.8m地点/Haarlemmermeerpolder
https://antonius.exblog.jp/27640265/

 ※ 『オランダは主に海面下にあります。上の図でわかるように、青い部分は海面下にあり、オランダの一部は大きな河川の水位より下にもあります。』…、ということだそうだ…。

『 2019年 06月 10日

ここを通る度に不思議な気持ちになるので今回は写真を撮ってみました。そう。この赤いトラック が走っている地点の下が海抜?3.8メートルだそう。

本当に海より低い国・海抜 ?3.8m地点/Haarlemmermeerpolder_d0337181_19430762.jpg

場所はオランダ人ですら舌を噛みそうと言いながら読んでくれた
スキポール空港を出てハイウエイを10分ほど南に走った所にある
”Haarlemmermeerplder/ハールレムマールミーアポルダー”
と言うポルダー地域

どうして不思議なのかというと、オランダはご存知のようにどこを見渡しても真っ平ら。
本当に海より低い国・海抜 ?3.8m地点/Haarlemmermeerpolder_d0337181_19324087.jpg

ドイツ・ベルギー国境に近い/リンブルフ=南オランダまで足を伸ばせば丘はありますが、オランダのほとんどの地域においてこのように見渡す限りの平野のように見える景色が広がっています

そんな起伏のない平らな場所に居たり、車で走っていると思っているせいか、海抜がゼロより低いところにいると言う感覚がありません。なので、いきなり?3.8メートルの表示を見る度に、「えええ??!!?・・・ああそうだった」と実感させられるわけでございます。

スキポール空港は世界第2位の?海抜地域にある空港で、世界1位のマイナス海抜空港は同じくオランダのロッテルダム空港だそうです。

本当に海より低い国・海抜 ?3.8m地点/Haarlemmermeerpolder_d0337181_19492132.png

オランダの地図で見ると上の方にある海に行儀よく並んだ島々を見て、

「あら。ハワイみたい。ここもかつて火山があったのね」

とDに聞きますと、

「いんや。大昔はこの島のあたりまで陸地だったけど、内地が沈んでしまったらしい

 だから、これは昔の大陸の端が残ってるんだよ」

だそうで、オランダ人のご先祖さま方の智恵と発達した高度な技術と多大な努力によりポルダーを広げていったそうです。

「水を汲み上げる(水を逃す)ためだったり農業用水に必要だったから風車がいっぱいあるんじゃないかな」

だそうで。後々、コナを引いたり・・・今では歴史的な風車達に変わり機械的な発電風車が沢山見れるのもこの地域ゆえの強風を活かした生活の知恵でありましょうか。

強風と言えば、オランダの天気予報には晴れや雨のマークと同じ感覚で「強風」のマークがあります。こちらで強風と言えば、日本の台風と変わらないくらいのように感じます。木が根っこからごっそり倒れたり、トラックが横転するくらいの強風。

「今日は風が強いよ」

と言う時は、日本では台風中継で放送があるレベルの強風で、大雨の日も結構多いのにあの大水は一体どこにと色々不思議な国でもあります。

因みに、世界一の農産物輸出大国オランダにおいて、盛んな農業、酪農。田畑が組み上げなければいけないほど、水が必要だったのならば、日本の稲作農家の田植え期、稲の成長期ように、”用水路からの水権利争奪による諍い”(=水泥棒見張り番とかいたりしたそうな)が農家同士で起きないのかと聞きますと、「少ないかもしれないが”ある”」だそうで、お国が変わっても抱える問題は同じなのかなと思ったりしました。

海抜5メートル以下の陸地の割合が55パーセントで低地世界第2位のオランダ。2050年には地球の20パーセントが水没すると言うニュースを見たのは最近。オランダは二番目に水没するのか・・それともその世界最高峰とも言われる干拓の技術を以って、最後まで水没せずに今のままをキープ出来るのか・・・。いずれにしても2050年には私は確実に存命していないけれどとても気になっている。

本当に海より低い国・海抜 ?3.8m地点/Haarlemmermeerpolder_d0337181_02564595.png
       ↑ 一番下の盲腸みたいな赤い部分がリンブルフ
丘がたくさんあります

「オランダは主に海面下にあります。上の図でわかるように、青い部分は海面下にあり、オランダの一部は大きな河川の水位より下にもあります。それでもオランダは洪水がありません。洪水でも。これは、オランダが砂丘と堤防で保護されているからです。これらの保護具を洪水防御と呼びます。

オランダでは、どの安全規格がどの地域に適用されるかが法律で規定されています。洪水の危険にさらされているオランダの部分は53堤防リングに分かれています。安全基準は1953年の洪水災害の後に各輪に設定されました。」

海抜がゼロ以下なのは、自宅すぐ近くを流れる人工的に作られた川の水面とこれまた人工的に作られた土手と、その横を走る道路を同時に見ると、実感できたりはできるけれど(道路の方が低い)、何年経ってもその実感は日常的にはとても希薄で、「海抜?3.8m」表示の文字を見る度に本当に海面より低い所にいるんだなと思った空港からの帰り道でした

オランダの干拓の説明・Wikipedia

オランダの歴史は、俗に「世界は神が作ったが、オランダはオランダ人が作った」と言われるように干拓地(ポルダー)と切り離せない。

オランダでは海岸沿いに広がる湿地や泥炭地や干潟を埋め立てて土地を広げてきた歴史がある。オランダ最古の堤防はローマ帝国時代に遡り、初期の干拓は11世紀から13世紀の間に始まった。海や湖を干上げる近代的な干拓の始まりは、1612年のベームスター干拓地であった。以来オランダでは堤防に囲まれ風車・排水路・水門で雨水や地下水を排水する干拓地が広がった。

また水管理委員会(オランダ語: waterschap、英語: water board)の長として、干拓地の周りの堤防を維持管理する「dijkgraaf」(英語では「dike-warden」)の役職が置かれた。この職は土地の存続や住民の生死に関わるものだったため、堤防維持のために人々を徴発する強力な権限があった。もっとも堤防の保全という作業はあらゆる階層の干拓地住民の協力が不可欠なため、オランダには階層を超えた協力や話し合いを重視する気風が生まれた。労使協調やワークシェアリングなどを特徴とするオランダ独特の政治・経済システムも「ポルダーモデル」の名で呼ばれる。

オランダの干拓手法はヨーロッパ、さらに世界各地にも影響を与えた。日本の干拓も、明治以降はオランダの強い影響を受けている。

オランダ地位向上委員会 』

地球を守る>消費削減>食肉広告禁止 環境先進国オランダ

北の国から猫と二人で想う事 livedoor版:地球を守る>消費削減>食肉広告禁止 環境先進国オランダ
https://nappi11.livedoor.blog/archives/5372398.html

『「2050年までにサーキュラー・エコノミーの100%実現」を宣言しているオランダ。環境先進国として知られる同国の都市が掲げた新たな取り組みが話題だ。オランダのいくつかの都市では、すでに航空、自動車、化石燃料に関する広告を禁止している。

アムステルダムの西に位置し、人口約160,000人のハールレム市。2022年9月、ハールレム市では、食肉が気候変動に影響を与えていることを理由に、消費量を削減するための取り組みの一環として、食肉広告を禁止することを決定した。禁止の対象は、市内のバスやバス停、避難所、公共スペースの広告。制定は2024年からを予定しており、持続可能な方法で生産された肉が広告禁止に含まれるかどうかはまだ決定されていない。

この制定の草案を作成したのは、「オランダ緑の党」とも呼ばれるGroenLinks党の議員、Ziggy Klazes氏。Klazes氏は、この政策を提案したとき、この市が世界で初めてこの政策を実施することになるとは知らなかったという。同氏はHaarlem105 ラジオ チャンネルに、「もちろん、この決定を不愉快に思っている人はたくさんいますが、それで良いと思っている人もたくさんいます。全国的に取り上げられれば、それは非常に素晴らしいことです。」と語っている。実際に、2022年9月現在、この政策についてのニュースはガーディアン紙やBBC、ニューヨーク・グローブ通信をはじめ世界中のメディアで取り上げられている。

一方で、食肉関係者からは、「行き過ぎている」という苦情が寄せられており、ハーレム市議会でも、この動きに対して「表現の自由が制限される」「政治的な動機からコマーシャルを禁止することは、独裁的だ」といった否定的な意見があるという。

2015年、カリフォルニア州のバークレーやサンフランシスコなどの都市では、肥満率抑制のために砂糖入り飲料に課税するなど、同様の取り組みが行われているが、開始当初は多くの反発を受けた。しかし、サンフランシスコでは売上にほとんど変化がなかったのに対し、バークレーでは課税後わずか1年で消費量が21%減少したと報告されている。3年後、砂糖入り飲料の消費量は50%に減少し、人々の消費習慣に影響を与えていることがわかっている。ハールレム市の食肉広告禁止は、現在の日本では、極端で非現実的な制定に感じるだろう。しかし、反発を受けながらもこうした取り組みが少しずつ広がることで、現実味を帯びてくるかもしれない。

、、、、「サステナビリティsustainability:持続可能性」を突き詰めていくと、消費を抑制し、肥満になるほど食べるのを控え、食欲をそそるような広告も禁止となる。中でも畜産は広大な牧草地が必要で、そのために自然林が消滅する結果を招くことからも抑止すべきと言う流れのようだ。連日、「うまいもの探し」の番組があふれている日本のTVにはショッキングなニュースだと思うが、「大喰い」番組などは筆者の目から見ても無用な番組にしか見えない。』

バタン発電所(インドネシア国)が商業運転を開始しました

バタン発電所(インドネシア国)が商業運転を開始しました
https://www.jpower.co.jp/news_release/2022/09/news220907.html

『電源開発株式会社(以下「Jパワー」、本社:東京都中央区、代表取締役社長 社長執行役員:渡部 肇史)は、伊藤忠商事株式会社(以下「伊藤忠商事」、本社:東京都港区、代表取締役社長COO:石井 敬太氏)、PT アダロパワー(以下「アダロパワー」、本社:インドネシア国ジャカルタ市、社長:ダルマ ジョジョネゴロ氏)と共に、事業会社 PT ビマセナ パワー インドネシア (以下「BPI」、出資比率:Jパワー34%、伊藤忠商事32%、アダロパワー34%)を通じて建設してきたセントラルジャワ石炭火力発電所(インドネシア国中部ジャワ州バタン県、100万kW×2基)2号機の試運転を完了し、すでに商業運転を開始している1号機と併せて、本年8月31日に全基での商業運転を開始しました。

同発電所は、大型発電所としてインドネシア国の急速な電力需要増に対応するため、同国財務省および同省傘下のIIGF(インドネシア・インフラ保証基金)による保証を活用した初のPPP(パブリック・プライベート・パートナーシップ)案件です。

更に、発電燃料にインドネシア国産の亜瀝青炭を活用すると共に、環境負荷が少ない超々臨界圧技術を使った大型ボイラー2基をインドネシア国において採用することで、同国の電力安定供給と環境負荷低減に貢献することが期待されます。

Jパワーグループは、2021年4月に公表した中期経営計画に基づき、海外発電事業の更なる拡大に取り組み、日本と世界の持続可能な社会の発展に貢献していきます。

なお、全号機運転開始を機に現地で広く認知されている、発電所所在県名を取り入れた「バタン発電所」をコミュニケーション用の呼称として採用しました。』

[FT]フランス交通相「プライベート機の運航規制が必要」

[FT]フランス交通相「プライベート機の運航規制が必要」
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB2515B0V20C22A8000000/

 ※ これを「規制」して、どれだけ「CO2の削減効果」があるのか…。

 ※ 『「この規制案は何かを禁止したり、自由を侵害したりするものではない」と、ある政府高官は言う。「だが政府が冬の暖房温度を下げ、照明を落とすよう一般市民に要請しているのを横目に、プライベートジェットに乗ってパリから南仏ニースに遊びに行く人々がいるとすれば本当に問題だ」』…。

 ※ 単なる、「やっかみ」にしか聞こえんな…。

 ※ マクロン政権の、「人気取り」に過ぎんだろう…。

『フランスのボーヌ交通担当相は、気候変動に大きく影響を与えるプライベートジェットの運航を規制する考えを明らかにした。フランスでは、エネルギーを節約し、地球温暖化を阻止するために必要な対策に関する議論が白熱しており、同氏の発言はそうした動向を受けてのものだ。

省エネや環境保護の観点から、フランスではプライベートジェットの運航が論議を呼んでいる=ロイター

マクロン大統領に近いボーヌ氏は、「民衆を扇動したり、人身攻撃をしたりするつもりはないが、一部の行動についてはもはや容認できない段階に来ている」と仏紙パリジャンに語った。「プライベートジェットのフライト規制に乗り出すべきだと考えている」

「個人の快適性のためだけ」に正当化できず

プライベートジェットは急な出張旅行に便利かもしれない。だが、マクロン大統領が一般の人々にどれだけの努力を求めているかを考慮すれば、プライベートジェットのフライトを「個人の快適性のためだけ」に正当化することはできない、とボーヌ氏は訴えた。

6月の国民議会(下院)選挙では、環境政党「欧州エコロジー・緑の党」などで構成される左派連合が最大の野党勢力として躍り出た。同連合の一部の政治家は、経済界のリーダーや富裕層によるプライベートジェットの利用を全面的に禁止するよう求め、今秋、法案を提出する構えだ。

短文投稿サイト「ツイッター」では最近、プライベートジェットの動きを追跡し、その利用者を公表するアカウントの開設が相次いでおり、その一つである「I Fly Bernard(アイ・フライ・ベルナール)」にはすでに6万人以上のフォロワーがいる。アカウント名は、高級ブランド最大手の仏LVMHモエヘネシー・ルイヴィトンの会長兼最高経営責任者(CEO)で、欧州一の大富豪であり、プライベートジェットで世界中を飛び回るベルナール・アルノー氏を指す。

緑の党のバイユー代表は先週、「プライベートジェットを禁止すべき時がきた」と仏紙リベラシオンに語った。「この対策は、ごく一部にすぎないプライベートジェット利用者に不便を強いる代わりに、気候に対して最大かつ最も即効性のあるプラスの効果をもたらすことができる」と同氏は主張する。

気候変動や燃料価格上昇で高まる社会意識

今夏、深刻な干ばつや森林火災に見舞われ、ガソリンおよびディーゼル価格が高騰しているフランスでは、気候変動やロシアのウクライナ侵攻が引き金となった燃料価格上昇への社会意識が高まっている。

マクロン政権は市民に省エネを呼びかけ、再生可能エネルギーへの投資を加速する法案提出の準備を進めている。政府としては、一般市民に犠牲を強いる一方で、富裕層がこれまでどおりの生活を続けるのを黙認すると思われるのは避けたいところだ。

「この規制案は何かを禁止したり、自由を侵害したりするものではない」と、ある政府高官は言う。「だが政府が冬の暖房温度を下げ、照明を落とすよう一般市民に要請しているのを横目に、プライベートジェットに乗ってパリから南仏ニースに遊びに行く人々がいるとすれば本当に問題だ」

ボーヌ氏は10月に開かれる欧州連合(EU)交通相会合でこの問題を取り上げる予定だ。同氏はフランスが単独で取り組むよりも、EU全体で炭素課税制度またはプライベートジェットのフライト規制を導入した方が効果的だとの見解を示した。

規制に関しては、フランスの気候変動とレジリエンス(回復力)に関する法律の条項が手本となるかもしれない。電車で移動した場合の所要時間が2時間半未満の区間の国内商用便のフライトを制限するという内容だ。ただし、元老院(上院)の修正案を受けて、乗客のほとんどが国際便からの乗り継ぎであるフライトに関しては除外されており、実際に適用された路線はまだない。

By Victor Mallet

(2022年8月22日付 英フィナンシャル・タイムズ電子版 https://www.ft.com/)

(c) The Financial Times Limited 2022. All Rights Reserved. The Nikkei Inc. is solely responsible for providing this translated content and The Financial Times Limited does not accept any liability for the accuracy or quality of the translation.』

米カリフォルニア州、2035年にハイブリッド車も販売禁止

米カリフォルニア州、2035年にハイブリッド車も販売禁止
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN2509E0V20C22A8000000/

『【シリコンバレー=白石武志】米カリフォルニア州の環境当局は25日、2035年にガソリンのみで駆動する新車の販売を全面禁止する新たな規制案を決定した。26~35年にかけて段階的に電気自動車(EV)などの販売比率を高めるよう各自動車メーカーに義務付ける。州内の新車販売の10%強を占めるハイブリッド車(HV)も35年以降は販売禁止とする。HVを得意とする日本車メーカーは戦略変更を迫られる。

欧州連合(EU)が35年までに域内におけるガソリン車の新車販売を原則禁止する方針を打ち出すなど、輸送分野における石油依存を減らす動きが世界的に広がっている。米国の環境規制をリードするカリフォルニア州ではニューサム知事が20年9月にガソリン車の新車販売を35年までに全面禁止すると表明。同州の大気資源局(CARB)が約2年かけて規制案を検討してきた。

CARBはガソリン車の規制案について8月25日に2回目の公聴会を開いて州民らの意見を集約し、同日の会合で可決した。各自動車メーカーに州内の販売台数の一定割合を環境負荷の少ないゼロエミッション車(ZEV)とするよう義務付けるものだ。

規制値は26年式については35%、30年式は68%、35年式は100%に高まり、段階的にガソリン車の販売比率を引き下げる。規制値を満たさなかった車メーカーには、未達成分について1台あたり最大2万ドル(約270万円)の罰金を科すという。

新たな規制案ではEVのほか、燃料電池車(FCV)や電池だけで約80キロメートル以上走れるプラグインハイブリッド車(PHV)がZEVとして認められた。CARBは原則として排ガスを出さない車の普及を目指しており、PHVを算入する場合には規制が要求するZEV販売台数の20%以下に抑えるよう各車メーカーに求めている。

カリフォルニア州新車ディーラー協会(CNCDA)によると22年1~6月に州内で販売された約85万3000台の新車のうち、EVとPHVの比率は合計約18%だった。ただ、これはEV専業の米テスラによる押し上げ効果が大きい。約4年後の26年式について販売台数の35%をZEVとするよう義務付ける新たな規制案は、多くの車メーカーにとって高いハードルとなる。

カリフォルニア州はこれまでも車メーカーに販売台数の一定割合をZEVとするよう義務付ける規制を実施してきた。従来は規制値を満たせない車メーカーは超過して達成した他社からクレジット(排出枠)を購入することで罰金などを回避できていた。CARBは26年式から始まる新たな規制案ではクレジット売買などの仕組みは用意していないと説明している。

CARBが25日に可決した規制案はすでに州議会の支持を受けており、法令案を審査する州の部局の承認などを経た上で今秋にも正式決定する。同州におけるEVの平均単価は約6万ドルと高止まりしており、一部の団体は新たな規制について「現実的ではない」と反発している。施行までには曲折もありそうだ。

カリフォルニア州は米連邦政府に先駆けて車の排ガス規制を導入した歴史的な経緯から、独自の環境規制を定めることが認められている。他の州がカリフォルニア州の規制にならうことも許されており、CARBの担当者は「多くの州で新たな規制案を採用する動きがある」と話している。

【関連記事】

・米カリフォルニア州でガソリン車販売禁止へ 車産業に波紋
・NY州も35年ガソリン車全廃へ 知事が目標に署名
・EU、35年までにガソリン車の新車販売禁止 方針固まる

ニューズレター
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深尾三四郎のアバター
深尾三四郎
伊藤忠総研 上席主任研究員
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ひとこと解説

カリフォルニア版欧州バッテリー規制の導入可能性にも要注目。
米国EVシフト政策は、従来は排ガス抑制を目的とした環境対策の一環だったが、昨今は再エネの調整力や分散共有機能を持つ車載電池の普及を狙ったエネルギー政策としての新しい意味が加わった。ウクライナ戦争勃発後は車載電池に含まれる重要鉱物を囲い込むため、欧州バッテリー規制のような電池部材のリサイクル強化を促すルール作成の議論もカリフォルニア州では加速している。かつてとは次元の違うスピードと深度でEVシフト政策が強化されており、日系メーカーのドル箱市場でのZEV規制は欧州のそれ以上に厳しい規制となる。
2022年8月26日 8:16 (2022年8月26日 8:31更新)
柯 隆のアバター
柯 隆
東京財団政策研究所 主席研究員
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ひとこと解説

あと12年少々でEVしか販売できない。今の現実から推察すれば、2030年ごろから内燃エンジン車の駆け込み需要は想像できないほど爆増するだろう。要するに、それまでに電池の革命が飛躍的に進歩しなければ、EVが完全に内燃エンジン車を凌駕できない。こういう政治パフォーマンスは何をもたらすのだろうか
2022年8月26日 7:55
福井健策のアバター
福井健策
骨董通り法律事務所 代表パートナー/弁護士
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分析・考察

柯隆さんのおっしゃる通り、EVは電池問題を解決できていませんので、もっとも適した用途は短・中距離の移動であり、あらゆる用途に向く移動手段ではありません。またこうした規制は新たな買い替え需要や廃棄物を生み、それ自体が別な環境問題を生じさせるリスクもあります。
何度も書きますが環境問題にそんなに便利な打ち出の小槌はありませんので、公共交通やロード・プライシングも活用したモーダル・シフト全体の中で、位置づけるべきものでしょう。
2022年8月26日 8:43
村上芽のアバター
村上芽
日本総合研究所創発戦略センター シニアスペシャリスト
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ひとこと解説

カリフォルニア州が独自の環境規制を認められているという末尾の段落の点、トランプ政権下では取り下げられ、バイデン政権になって戻り、その後も「平等」を巡って訴訟になっていました。そうした経緯からも一筋縄ではいかない話であるとはいえ、現地で生活する人たちの山火事や熱波への恐怖を想像すると、足並みをそろえないことに現実味があります。
2022年8月26日 8:32
蛯原健のアバター
蛯原健
リブライトパートナーズ 代表パートナー
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分析・考察

今回除外対象外の50マイル/80キロ以上電気走行可能PEVは現行でも結構ある故、ハイブリッドが禁止というのはミスリーディングだろう。ただし日本勢は現行エネルギーミクスを前提にした最適化を考慮し電気走行距離は抑えており80キロには至っていない。が大きな戦略シフトとまで行かずとも対応は可能な範囲ではなかろうか。先月ベイエリアをテスラで走り回ったがハイウェイは当たり前だがまだまだガソリン車、古いピックアップトラックだらけであった。サンフランシスコ市内はホームレスだらけ、その超格差地域においてこの方向に突き進む事は、就労形態の変化や中国製EVの台頭など良きにつけ悪きにつけ大きな社会変容を産むだろう。
2022年8月26日 8:30
高橋徹のアバター
高橋徹
日本経済新聞社 編集委員・論説委員
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ひとこと解説

米国の人口の1割を占めるカリフォルニア州は「全米のトレンド・セッティング・ステート」と呼ばれてきました。1990年に最初にZEV販売義務付け規制を出したときも世界に衝撃を与えました。当時は「技術革新を法律で縛る」と批判もされましたが、いまにつながるEVの開発競争の揺り籠となったのは間違いありません。今回の決定は面目躍如といえるでしょう。ただ、かつてのZEV規制も、達成年限の先送りやHVの算入、他社からのクレジット購入など現実に即した「規制緩和」を取り入れてきました。今回はどうでしょうか。
2022年8月26日 7:18 』

ロシア制裁のブーメラン直撃 ドイツ、脱原発を延期か

ロシア制裁のブーメラン直撃 ドイツ、脱原発を延期か
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC244980U2A820C2000000/

『欧州ではウクライナ戦争への関心が薄れ始め、急速に自らの生活への懸念が高まっている。欧州最大の経済大国ドイツで今、国民の関心を最も集めるのはインフレだ。

コンサルティング大手の米マッキンゼー・アンド・カンパニーが6月、1000人以上のドイツ国民を対象に「最も懸念すること」を聞いたところ、48%が「急激なインフレ」と回答。73%は節約のためにすでに消費行動を変えているという。4月には34%が「ウクライナ侵攻」と答えたが、6月にはその割合は24%にとどまった。「新型コロナウイルス」と答えたのは4%程度だ。

実際、インフレが生活に大きなダメージを与えている。7月のエネルギーインフレ率は35.7%に達する。比較ポータルサイトCheck24によると、ガス料金はすでに過去最高水準にあり、エネルギー消費量2万キロワット時のモデル世帯では年間平均3415ユーロ(約47万円)と、1年前の1301ユーロと比べ2.6倍となっている。電気代も上昇しており、生活に不可欠なエネルギーが家計を圧迫している。

食料のインフレも深刻だ。エネルギーのインフレで輸送費などがかさみ、7月のインフレ率は14.7%になった。1年前に比べ、バターが48%、チーズが23.1%、全乳が24.2%、卵が23.9%、肉および肉製品は18.3%の値上がりとなっている。2016年にバター250グラムを買えていた価格で、今は半分以下の118グラムしか買えない。

巨額赤字のガス会社を救済するためにガス値上げを容認

もちろん、主な原因はウクライナ戦争だ。西側諸国は国際送金システムである国際銀行間通信協会(SWIFT)からロシアを締め出し、ロシアの中央銀行の海外資産を凍結するなど、ロシアに様々な経済制裁を科している。ドイツはロシアとの間を結ぶガスパイプライン「ノルドストリーム2」を建設したものの、稼働を凍結した。

こうした制裁がブーメランのようにドイツに返ってきている。ロシア国営ガスプロムがドイツと結ぶ主要パイプライン 「ノルドストリーム」の供給量を6月中旬、従来計画比で6割減らした。そのため、8月中旬には、欧州天然ガスの指標価格であるオランダTTF(9月物)が1メガワット時当たり250ユーロと、1年前の5倍以上の価格になっている。

独エネルギー大手のユニパーは、天然ガスの不足から割高なスポット市場でガスを調達しており、22年1~6月期の最終損益が120億ユーロ(約1兆6500億円)の赤字だった。同社を救済するために、10月以降スポット価格分の9割を顧客に転嫁できるようになるため、ガス価格の上昇は不可避で、インフレの懸念が強まっている。

ドイツはロシアに経済制裁を課したが、実質的には逆にドイツがロシアから経済制裁を受けているような状況だ。

こうした状況の中で、ドイツ政府はなりふり構わぬ対策を打ち出している。8月18日、10月以降にガスの付加価値税(VAT)を現行の19%から7%に引き下げると発表した。ドイツ政府は上述したように10月からガス供給業者に大幅な価格転嫁を認めるため、消費者の負担が急増する。その負担を軽減するためにVATの軽減を決めた。

また、専門家からも様々な批判がある。冬場に向けてガスの貯蔵量を増やす計画があるが、ガス価格の下落で消費が伸びる恐れがあるほか、使用量の多い高所得者層も減税の恩恵を受ける可能性があるためだ。それでもドイツ政府は、国民の不満に応えるためVATの引き下げに踏み切る。

1200円で公共交通機関乗り放題の成果は?

月額9ユーロで公共交通機関が乗り放題になるチケット

ユニークなインフレ対策が、「9ユーロチケット」の導入だ。ドイツ政府は月額9ユーロ(約1200円)で、電車やバスなど公共交通機関が乗り放題になるチケットを発売した。高速鉄道は除外されているが、ほとんどの公共交通機関を月9ユーロで乗り放題というのは破格の安さだ。

ドイツ居住者以外も購入できたので、筆者も出張時に利用してみたが、非常にお得感がある。特に都市内での移動の度にトラムやバスのチケットを購入するのは煩雑だったが、9ユーロチケットで乗り放題になるのは移動のストレスを大幅に減らした。

これも賛否があった。プラスの効果としては、破格チケットを多くの人が利用したため、インフレを若干抑制する効果があったようだ。インフレ率は5月が7.9%だったのに対し、9ユーロチケットが導入された6月以降、インフレ率は同月が7.6%、7月が7.5%と若干下がった。

自動車から電車に乗り換えてもらうことで、自動車燃料の需要を抑えるという目的もあった。だが、ドイツ交通会社協会(VDV)の調査やミュンヘン都市圏の調査では、自動車の利用抑制にはつながらず、二酸化炭素(CO2)排出量の削減に対する効果は疑問だと評価している。

連邦統計局による移動データの分析によると、22年6月における全国の鉄道交通の移動量は、新型コロナ感染拡大前の19年6月に比べて平均で42%増加した。多くの電車などで乗客が急増し、その対応などで遅延も多発した。

だがVDVは、「公共交通機関の利用の約4分の1は、チケットがなければそもそも利用していなかった、あるいはできなかった層である」と分析している。つまり、これらの移動は追加的な移動であり、自動車で移動した場合の代替移動ではなく、道路から公共交通機関へのシフト効果は2~3%程度しか確認できないという。

ヴィッシング運輸相は、9ユーロチケットは大成功だと自画自賛している。しかしリントナー財務相は「財源がない」「近くに駅がなく車に依存している地方の人々に不公平」などの理由から9ユーロチケットの延長に反対しており、8月末には同チケットの販売を終了する予定だ。

脱原発を支持した世論の今

ロシアによるウクライナ侵攻後、ドイツの混迷は深まり、「石炭も原発も」という状況になっている。まずエネルギー価格を抑制するために石炭火力の稼働を拡大する体制を整えている。電力の安定供給確保のため、22年、23年に廃止予定だった石炭火力発電所の稼働を認める政令を施行している。

そして、堅持してきた脱原発の政策も揺らいでいる。11年3月の東日本大震災による東京電力福島第一原発の事故を受け、ドイツは脱原発に舵(かじ)を切った。現在は3基が稼働しており、今年末までに稼働を停止する計画だった。

脱原発を支持していたドイツの世論は、脱原発の先延ばしに大きく傾いている。約5000人を対象にした経済誌「シュピーゲル」のオンライン調査では、78%が原発3基の23年夏までの稼働継続を支持した。また、67%は5年間の延長にも賛成しており、原発の新設に賛成する回答者は41%に上った。

ただ稼働延長には様々な意見がある。まず原料の濃縮ウランはロシアが世界生産量のシェアの5割近くを握るため、ロシア依存は変わらない恐れがある。また、原発は発電コストがそれほど低くないうえ、電源構成に占める割合が大きくないため、インフレ緩和への効果は小さいという見方がある。一方、原発の稼働で発電用ガスを暖房用に振り分けられるため、一定のメリットがあるという見方もある。

ショルツ政権はまだ稼働延長か否かの結論を出していない。8月中をメドに延長の是非を決める際の判断材料にするストレステストの結果をまとめる予定だ。脱原発に向けて10年以上準備してきただけに、ショルツ政権は苦渋の決断を迫られている。
欧州がインフレに苦しんでいる。ロシアのウクライナ侵攻でエネルギーの需給が逼迫し、物価上昇が加速している。

例えばドイツでは脱原子力発電と脱石炭火力という難しいチャレンジを進めるがために、再生可能エネルギーと天然ガスへの依存度が高まり、エネルギー価格上昇への対抗手段が手詰まりになっている。気候変動や環境問題の解決に向けて野心的なエネルギー政策を実行した結果、エネルギー価格の上昇に直面。自らの選んだ政策によってインフレを加速させている面があり、自縄自縛のインフレともいえる。

それでは実際、欧州のインフレはどのような状況なのか。家計にはどのような負担が生じているのか。エネルギー資源を海外に頼る日本にとって、欧州の窮状は対岸の火事ではない。

(日経BPロンドン支局長 大西孝弘)

[日経ビジネス電子版 2022年8月23日の記事を再構成]』

[FT]水上供給網に気候リスク 渇水、航行を阻害

[FT]水上供給網に気候リスク 渇水、航行を阻害
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB221RT0S2A820C2000000/

『猛暑が数週間も続いたことで、フランス西部を流れるロワール川流域では乾ききった川底を散歩できるようになった。

ライン川では、水位が多くの船舶にとって操業が経済的に見合わない水準まで低下した=ロイター

欧州の重要な水路であるドナウ川も水位が下がった。流域の東欧諸国は貨物を運ぶはしけ船が航行できるように、川底の土砂を除去する浚渫(しゅんせつ)を余儀なくされた。

ドイツなどを流れるライン川では、航行の要衝において、水位が多くの船舶にとって操業が経済的に見合わない水準まで低下した。ただ、迫りくる課題のことを考えると、こうした事態はまだ準備期間にすぎないのかもしれない。

マレーシア、洪水で半導体供給に打撃

国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は、気候変動に伴い干ばつや洪水、激しい嵐といった異常気象が今後はより頻繁に発生し、規模も大きくなると明言している。そのため食料・製品の生産、製造、流通への世界的な影響は、途方に暮れるほど広範囲に及びかつ、複雑になる。

企業がまず懸念することは、高まる気候リスクに自社やサプライヤーのどの工場がさらされているかという点だ。各国政府はもっぱら食料供給に対する脅威に注目している。

だが、今年の干ばつは気候変動が激しくなるに従い、国際貿易の水上輸送インフラそのものが干上がったり、閉鎖されたりする危険性があることも浮き彫りにした。

事例は枚挙にいとまがない。アルゼンチンでは、南米の川としては全長がアマゾン川に次ぐパラナ川で、水位低下が深刻な状況がここ数年続いている。この川は穀物を輸出する際の主要水路だが、渇水が大豆の輸送に支障をきたしている。なお、アルゼンチンは大豆輸出で世界第3位だ。

マレーシアでは、昨年の洪水でマラッカ海峡沿いにあるクラン港が被害を受け、台湾製の高度な半導体の供給が深刻な打撃を受けた。こうした半導体の多くは、最終工程のパッケージングがマレーシアで施されてから世界各地に出荷される。

やはり昨年氾濫が被害をもたらしたライン川経由の貿易は今、過去5年間で2度目の深刻な渇水に苦しめられている。前に渇水があった2018年には、貨物の運搬が止まったことで、同年第4四半期のドイツの経済成長が0.4%下振れした。

炭素排出、一層増加の恐れ

オランダのデルフト工科大学のマーク・ファン・コニングスフェルト教授(港湾・水路学)は、こうした状況にもかかわらず、「輸送に対する気候の影響よりも気候に対する輸送の影響の方にはるかに大きな関心が寄せられてきた」と話す。

国際貿易の約8割はどこかの段階で船によって運ばれており、海上輸送の貿易量は20年までの30年間で3倍近くに膨らんだ。また気候変動以外の変化によっても、貿易システムは混乱に陥りやすくなっている。船舶は徐々に大型化し、問題が発生した場合の救援が困難かつ高コストになった。

干ばつが発生した場合の容易な代替ルートもない。内陸輸送用の船1隻が輸送できる量は約100~150台のトラックに相当するため、道路や鉄道では負担を背負いきれない。典型的な対応としては、船の積載量を減らすか、小型船で運航回数を増やすしかない。

河川の水位が低いと、船が進行しづらくなり、使用燃料が増えるため、二酸化炭素の排出は一層増えることになる。それだけでなく、水路と港湾システムを取り巻くコスト上昇と混雑にもつながる。

しかも、こうした対策が常に奏功するわけでもない。ファン・コニングスフェルト教授によると、18年の渇水のピーク時には、最善の努力を尽くしたにもかかわらず、輸送貨物の総量は約6割減少した。

世界3800カ所の沿岸部の港に対する気候変動の影響を研究している米ロードアイランド大学のオースティン・ベッカー准教授は、問題は「気候から生じるリスクは貿易システムのあらゆる側面に広がっているため、特定の組織が問題に対処しようとすることは難しい」と指摘する。

喫緊の課題は、こうした港の3分の1は熱帯低気圧が発生しやすい場所にあることだ。嵐の激しさの平均が少し変わっただけでも港の稼働停止期間が大幅に増えかねない。

独化学大手BASFのように、低い水位でも航行できるはしけ船を開発するなど、企業が独自に取り組んでいる事例も見受けられる。しかし、問題の大きさを考えると、こうした対応策は、技術またはコスト面から実現可能性の限界にぶつかる可能性が高いと専門家は指摘している。

より一般的に言えば、こうした異常気象は悪化し続ける構造的な問題ではなく、個別の非常事態として扱われる傾向がある。抜本的な対策が打たれないまま似たような問題が再発しがちで、国連防災機関(UNDRR)はこれを「災害・対応・復旧の繰り返し」サイクルと呼んでいる。

災害対策への投資、企業・国家レベルで増加

ビジネスにおいても同じことが言えるかもしれない。企業にはすでに、サプライチェーン(供給網)を感染症のパンデミック(世界的な流行)などで生じるような混乱から守り、高まる地政学的リスクに備えて全面刷新を迫る圧力がかかっている。

だが、サプライチェーンをより簡素にした場合、気候リスクが集中する恐れがある。レジリエンス(強じん性)を実現しようとすると、調達先の二重化や地理的な多角化、在庫の積み増しによって効率性が犠牲になる。災害に耐えられるように、各種資産への投資も必要になるかもしれない。

気候変動対策に取り組むオランダの財団グローバルセンター・オン・アダプテーションのパトリック・フェアコイエン代表は、これは「先送りして代償を払う」より望ましいと言い、気候変動に対するレジリエンスへの投資は国家レベル、企業レベルで金額が積み上がっていくと主張している。

政府と企業は今後、気候を新たなサプライチェーンが抱えるリスクとしても考慮しなければならないのだ。

By Helen Thomas

(2022年8月17日付 英フィナンシャル・タイムズ電子版 https://www.ft.com/)

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首相、次世代原発の建設検討を指示 来夏以降17基再稼働

首相、次世代原発の建設検討を指示 来夏以降17基再稼働
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA23DDG0T20C22A8000000/

『岸田文雄首相は24日午後に首相官邸で開くGX(グリーントランスフォーメーション)実行会議で次世代型の原子力発電所の開発・建設を検討するよう指示する。新増設は想定していないという現在の方針を転換し、中長期で電力確保を目指す。来夏以降に最大で17基の原発を再稼働させる。

電力不足や脱炭素の遅れといった2050年に向けた構造的な課題を解決するための対策と位置づける。年末までに時間軸ごとに複数の対応をまとめる。

30年以降の課題として将来を見据えた次世代原発の開発や建設を主要な検討項目に据えた。経済産業省の審議会は次世代原発のうち既存の原発より安全性を高めた改良型の軽水炉について、30年代に商業運転すると盛り込んだ工程表案をまとめていた。

政府はこれまで「新設や建て替えは想定していない」との立場を取ってきた。実際に建設するとなれば11年の東日本大震災後で初めてとなる。

首相は原発の運転期間延長の検討も指示する。原子炉等規制法で原則40年、最長60年と定めており、運転期間を終えれば廃炉になる。北海道電力泊原発1~3号機など審査から10年近くかかっている原発もある。安全審査にかかった時間を運転期間から除外するなど実質的に延ばす方策を探る。

電力会社が原発事業の将来見通しを立てやすくするための対策も検討する。原発から出る高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の処分など解決していない課題を巡る国の取り組み強化に向けて議論する。

今冬や来年の電力不足の懸念には再稼働を主な対策とする。

首相は7月に今冬へ原発の稼働を最大9基まで増やす方針を示していた。再稼働したことがある10基を活用する内容にとどまっており、来夏以降はあわせて17基の体制に増強する。

国内に原発は33基ある。電力会社が原子力規制委員会に再稼働を申請したのは25基で、17基が規制委の安全審査を通過した。このうち10基は地元の同意も得ていったんは再稼働した。現時点で運転している原発は6基にとどまる。

一方、規制委の審査に合格したのに稼働に至っていない原発が7基にのぼる。来夏以降の再稼働をめざし、安全対策や地元の理解を得るための取り組みについて国が前面に立って対応する。

具体的には東京電力柏崎刈羽原発6~7号機、日本原子力発電の東海第2原発、東北電力女川原発2号機、関西電力高浜原発1~2号機、中国電力島根原発2号機の7基を想定する。柏崎刈羽原発はテロ対策の不備が明るみに出て再稼働が見通せない状態が続いている。

【関連記事】

・小型原発「SMR」、エネ安保で脚光 GE日立や三菱重工
・原子力規制委に政治が圧力 安全確保と活用、両立が課題
・原発を冬に最大9基稼働 首相表明、消費電力の1割
・原発再稼働、東日本が焦点 9基900万kWは西日本のみ
・エネルギー確保に全力を 安定電源に原発が不可欠

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岩間陽子
政策研究大学院大学 政策研究科 教授
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「次世代型の原子力発電所の開発」は久々にとても良いビッグニュースです。現在様々な小型モジュール炉の提案が世界中で出されて、アメリカも力を入れています。紛争が起こる可能性が高まっている悲しい現実の中、原子炉も紛争中の安全性と気候変動対策の双方から、これまでとは全く違う視点で見直されなければなりません。是非、今後半世紀を視野に入れて、全く新しい視線で、パートナー諸国との連携も考えつつ検討作業を行っていただきたいです。来年G7に向けても、日本として積極的に国際世論をリードして行ける議題だと思います。
2022年8月24日 11:13

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竹内純子
国際環境経済研究所 理事・主席研究員
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ひとこと解説

本日こちらの会議に参加してきます。再稼働できる原発を全てしたとしても、需給ひっ迫の問題がいきなり解決する訳ではありませんが、我々が原発を稼働させてLNGの消費を減らせば、その分を欧州やその他の国が購入することもできますし、エネルギー供給にはこうしたリスクがあるので、日本は原発をやってきたわけですから、この判断は正しい。
また原発の運転期間延長は「最も安い温暖化対策」で、各国が積極的に進めているところです。米国では80年運転の許可を得る炉も6基ほど出てきています。原子力は定期検査時に予防的な機器取替を行い、格納容器などのような主要機器以外は殆ど生まれ変わっているサイボーグとも言われています。
2022年8月24日 10:17

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柯 隆
東京財団政策研究所 主席研究員
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ひとこと解説

ウクライナ戦争が続くなかで、これしかないじゃない?ただ福島の悪夢を繰り返さないために、予備電源などの対策を備えておく必要がある。ガスと電気の料金が大幅に値上げされている。円安が是正される見込みが立たないなか、輸入インフレも続く。発電できる原発を利用しない選択肢はない。ただし、福島のトラウマが残っている。苦渋の決断が迫られている
2022年8月24日 7:34 』

[FT]経済の大動脈、世界の河川の水位が記録的な低下

[FT]経済の大動脈、世界の河川の水位が記録的な低下
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB230P10T20C22A8000000/

 ※ アメリカでもか…。

 ※ 山火事騒ぎは、聞いていたが、水運にまで支障が出ていることは、知らんかった…。

『工場は操業を停止し、農作物の収穫は壊滅的な打撃を受けている。貨物船は積載量を減らして運航せざるを得ず、停電のリスクに直面する住民は数百万人にのぼる――。米国、欧州、そして中国が干ばつに見舞われ、河川の水位が記録的水準にまで低下した結果、各地で深刻な影響が出ている。

米国では、南西部で「メガドラウト」と呼ばれる大規模な干ばつが長く続いており、地域の不可欠な水資源であるコロラド川流域の水位が過去最低水準に低下した。そのため、米政府は内務省開拓局を通じて今後1年間の割当水量をアリゾナ州は21%、ネバダ州は8%削減するよう指示した。

長江、中国では水力発電への影響で工場が操業停止

中国では水力発電の出力が低下し続け、トヨタ自動車や台湾・鴻海(ホンハイ)精密工業傘下の富士康科技集団(フォックスコン)などの企業が少なくとも1週間工場の操業を停止した。アジア最長の川、長江(揚子江)が流れる四川省は水力発電に大きく依存している。その長江は8月としては過去最低の水位を記録した。その結果、同国にとって最も重要な水路による貨物の輸送にも支障が出ている。

中国・重慶を流れる長江の支流では、水位の低下で川底が見えるところも出ている=ロイター

異常な暑さと乾燥に苦しむ欧州では、ドイツ、スイス、オランダの産業界が頼みとする大動脈ライン川の水位が低下している。貨物船は積載量を減らして運航せざるを得ず、運送費の上昇と物流の停滞を招いている。一部で恵の雨が予想されていたが、その影響は限定的と見られる。
ライン川、欧州の貨物船は積み荷を減らして運航

欧州宇宙機関によると「スイスアルプスを源流として北海にそそぐライン川は、穀物から化学製品、石炭など多くの製品を運ぶ重要な輸送ルートとなっている」という。「川の水位が下がると、貨物船は座礁しないように荷重を下げて運航しなくてはならない」

ドイツ・ライン川の水位低下で操業できなくなったフェリー=ロイター

イタリアでは深刻な干ばつは農業部門に打撃となっている。経済的に重要なポー川の水位が異例の低さを記録したためだ。

干ばつは複雑な事象で、時には農業あるいは水資源分野での現象を意味するなどさまざまな定義があり、必ずしも明確に気候変動の影響と関連づけることはできない。とはいえ、2022年は世界各地で異常な高温と乾燥が長期化し、それに伴って河川の水位が低下しているため、その影響はますます顕著になっている。

例えばアルプス地方では、氷河が溶けると温暖化の影響が大きくなる。黒っぽい岩が露出して乾燥すると太陽の熱を反射するのではなく、吸収してしまうためだ。

「干ばつの定義は簡単ではないし、すべての干ばつが同じというわけでもない」と英国王立気象学会の最高責任者であるリズ・ベントレー氏は指摘する。「気候変動によって降雨の変動幅が大きくなり気温が上昇するとみられ、今後水の管理が難しくなる可能性がある」
コロラド川、米国西部の水使用は「限界近い」

米国では、干ばつが数十年続いているためカリフォルニアなどの州ではここ数年、水の使用制限を課すなど苦闘が続いている。22年は、ネバダやアリゾナ、カリフォルニア州などにとって重要なコロラド川流域の水位が低下しているため、当局は水力発電の電力不足による停電の可能性について警告を発した。

米国南西部で長く続くメガドラウトの影響で記録的な低水位となったコロラド川流域のパウエル湖=ロイター

米内務省のトミー・ボードロー副長官は「米西部地域で長く続く干ばつは我々の市民社会と国家が直面する最大の課題の一つだ」と記者会見で述べた。

「干ばつの危機が高まっているのは、猛暑や異常降雨など気候変動の影響によるもの」と指摘し、米国西部の約93%が干ばつまたは異常な乾燥状態にあるとした。

米開拓局のカミール・カリム・トゥートン長官は、現在の水使用のシステムは「限界に近づきつつあり」、コロラド川水系に依存する州は水の使用量を大幅に削減する必要があると警告した。

米海洋大気庁によると、22年1~6月は上半期としては過去6番目に暑い期間となった。欧州連合(EU)の気象情報機関「コペルニクス気候変動サービス」によると、21年までの7年間は過去最高の暑さだったという。

国連の科学者グループの報告書では、世界の平均気温は産業革命前に比べてすでに約1.1℃上昇しており、すべての国が明日から温暖化ガスの排出を実質ゼロにしても、しばらくは気温の上昇が続くという。
世界経済に大きな負担をかける異常気象の継続

科学者は異常気象が続くと予想しており、その結果として世界経済やインフラ設備は今後も大きな負担を強いられることになるとみられる。

ジェット気流が変化したことで北半球では熱波や山火事、干ばつが起こり、ラニーニャ現象が立て続けに起こるという異常気象のおかげで南半球の住民は洪水や季節外れの寒さを経験している。オーストラリアや南アフリカでは大きな洪水が起きた。ニュージーランドでは8月中旬の集中豪雨により推定1200人が避難を余儀なくされた。

スイス再保険の8月初旬の発表によると、22年上半期の自然災害による世界の推定損失補償額は350億ドル(約4兆8000億円)で、過去10年間の平均を22%上回ったという。気候変動の影響は異常気象の増加に明確に表れていると指摘した。

「過去6カ月の過酷な気象現象は、自然災害がすべての地域で、頻度及び深刻さがともに増していることを改めて示した」。同社で災害危機を担当するマージン・ベルトグ氏は結論づけている。

By Camilla Hodgson and Steven Bernard

(2022年8月20日付 英フィナンシャル・タイムズ電子版 https://www.ft.com/)

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ドイツ、エネ大手への公的支援に矛盾

ドイツ、エネ大手への公的支援に矛盾 北欧と脱原発で溝
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR300GX0Q2A730C2000000/

『ロシアからの天然ガス供給削減に苦しむドイツ。エネルギー大手ユニパーは17日発表した2022年1~6月期の連結最終損益で120億ユーロ(約1兆6500億円)超という巨額の赤字を計上した。公的資本の注入が決まったが、原子力発電を推進する親会社のフィンランド企業と同国政府、「脱原発」を掲げるドイツ政府との間で溝が残り、支援の枠組みは矛盾をはらんでいる。

16年、欧州電力大手エーオンの火力発電事業などを分社化し、設立したユニパーは数百の企業や地域電力会社を通じて一般家庭にも天然ガスを供給するドイツの重要インフラ企業だ。

ロシアのウクライナ侵攻前、輸入するガスの半分をロシア産に依存していたが、供給削減で割高なスポット市場からの調達が急増。逆ざやの赤字は1日1億ユーロに達した。

ユニパーのクラウス・ディーター・モーバッハ最高経営責任者(CEO)は17日「この状況に終わりは見えず、我々は紛争に翻弄されている」と苦境を語った。

7月下旬にまとまった救済策協議では、ユニパー、親会社フォータム、フォータム株51%を保有するフィンランド政府と独政府との間で激しい綱引きが繰り広げられた。フィンランド側が、ユニパーが手がける独国内のガス事業だけを切り出した上で公的資金を注入するよう求めたからだ。

フォータムはすでに融資などで80億ユーロを支援しており、ドイツでの事業にこれ以上の支出は避けたいとの思惑があった。それだけではない。「脱原発」を掲げる独政府がユニパーの大株主になれば、ユニパーと共同運営するスウェーデンでの原発事業が頓挫しかねないとの懸念が大きかった。

北大西洋条約機構(NATO)への加盟申請に絡んでロシアからガス供給を止められ、「グリーンエネルギーの要」として原発を拡大するフィンランド政府も、ドイツ政府の経営介入リスクを排除しようとした。

会社分割案に独政府は「ユニパーの市場価値を毀損する」と拒否した。代わりに、フォータムが株式をいつでも買い戻せるオプションを付与。救済策はあくまで一時的な措置との位置づけを明確にし、「限られた時間の中では最善の妥協点」(フィンランドの担当閣僚トゥップライネン氏)との合意にこぎ着けた。

独政府による30%出資や政府系金融機関の融資枠拡大などを柱とする救済策を金融市場は好感。S&Pグローバルは7月末、ユニパーの格付けを投資適格ぎりぎりの「トリプルBマイナス」に据え置いた。

エネルギー事業を所管する独連邦経済・気候省の担当者は日本経済新聞の取材に「独政府は出資でユニパーの(執行を監督する)監査役会の代表になる。個別の事業には影響を与えず、注入した資金が合意通りに使われているかをチェックするにとどめる」と話した。

一方、独政府が進める脱原発など環境政策については「どのような局面でも引き続き変更なく適用される」(同担当者)とも強調した。

こうした対応には疑問の声も上がる。脱原発を推進する連立与党・緑の党のホフライター議員は「救済措置であっても独国民の税金が『悪用』されてはならない」と独紙でけん制した。政府はユニパーの「止血」のため10月からガス料金値上げも認めた。国民感情の面からも原発事業の切り離しを求める声が広がる可能性がある。

ドイツ国内ではガス消費を抑えるため、22年末で原発を全廃せず、数カ月限定で稼働を延長すべきだとの声も上がるが、あくまで緊急措置という位置づけだ。ハベック経済・気候相は21日「原発を稼働し続けるのは正しい議論ではない。我々には他の選択肢がある」と強調した。

ロシアは今後も経済安保カードとしてガスの供給を絞り続ける可能性が高い。今回のユニパー救済策は基本合意にすぎず、スケジュールや詳細については政府間の協議が続く。「一時的」な状態が長引けば、矛盾への批判が強まることになる。

(フランクフルト=林英樹)

【関連記事】

・独ユニパーの赤字1兆6千億円 1~6月、ロシアガス供給減
・ドイツ政府、ガスへの付加価値税を大幅軽減へ
・ドイツ、ガス高で負担増懸念 ロシアが8割供給減

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別の視点

ドイツのエネルギー政策は、最初にイデオロギーがあり、それに現実を無理やり合わせている印象があります。連立与党の緑の党の影響力が大きいのだと思います。原子力発電をゼロにする方向性と天然ガスを大量に燃やし続ける方向性は、誰が考えても環境政策としての一貫性を欠いています。国家として、非常に脆弱なエネルギー安全保障政策を取っており、ロシアに足元を見られてしまっています。日本もサハリン2などでロシアから牽制を受けており、ドイツの窮状は他人事ではありません。ドイツの失敗から学ぶべきことは多いように思います。
2022年8月23日 7:59 』

[FT・Lex]干ばつの中国、石炭火力発電に回帰

[FT・Lex]干ばつの中国、石炭火力発電に回帰
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB18D140Y2A810C2000000/

 ※ 中国でも、「渇水」で水力発電がダウンか…。

 ※ 「再生可能発電」は、気候変動に全く脆弱だな…。

 ※ あと、残るは「地熱発電」か…。

 ※ それですら、「国立公園」内で開発に制限とか、「景勝地」で観光資源なのにそれが棄損しないかとか、問題山積だ…。

 ※ 建設費とか、補償の問題とか、巨額の資金の捻出という問題もある…。

 ※ そもそもが、「気候変動対策」なのに、その「気候変動」に見舞われて「石炭火力に回帰」とか、大矛盾だ…。

 ※ しかし、この世の全てのことは、そういうものだ…。

『中国の大河、長江(揚子江)の水位は今週、過去最低の水準に下がった。中国南部は7月から長江周辺の気温が40度を超え、干ばつに見舞われている。これは中国の水力発電にとって問題だ。石炭火力発電に回帰すれば、炭素排出を増やすことになる。
水位の下がった長江で遊ぶ住民ら(16日、中国南西部)=AP

世界の大河は、数千年にわたり商業と文化の大動脈だった。この夏、そのうちのいくつかで問題が生じた。ライン川、ドナウ川、ポー川、コロラド川の水位が異例の低さになっているのだ。

その影響は、物流ルートの混乱から農作物の不作まで多岐にわたる。中国の一部では水力発電所が十分な水量を確保できず、エネルギー供給が不安定になている。主要な三峡ダムから流れ出る川の水位は平年の半分の低さになっている。

トヨタ自動車、台湾・鴻海(ホンハイ)精密工業傘下の富士康科技集団(フォックスコン)、中国の車載電池メーカーの寧徳時代新能源科技(CATL)などが今週、電力危機の影響で工場を閉鎖した。

四川省をはじめとする中国の重要な省は7年以上前、主要な電源を水力発電に切り替えた。当時、中国政府は再生可能エネルギーの利用を積極的に推進していた。

友好的な政策と寛大な補助金によって、中国長江電力などの電力会社は市場シェアを急速に伸ばしてきた。営業利益率は10年以上にわたり、50%を超える。中国三峡新能源は中国長江三峡集団を親会社に持つ、同水準の利益率を誇る。

利益は垂涎の的だが、三峡新能源の株価は今年に入ってから15%下落した。予想PER(株価収益率)は20倍で、1年前の半分の水準に下がった。石炭使用の削減と再生可能エネルギーの発電容量を増やすことを義務づける厳しい政策は、中国の成長の失速に伴い、緩和されてきた。

中国では深刻な干ばつが頻繁に起こるようになった。昨年の夏、水力発電の中心の雲南省は極端な水不足に襲われ、相次ぐ停電で何カ月も工場の操業が混乱した。

今回の中国南部の熱波は、さらに2週間続くと予想される。記録をとり始めてから最長になりそうだ。この地域の降雨量は8月の平均の3分の1程度だ。

中国政府は、再生可能エネルギーの推進よりも成長の維持を優先するようになった。石炭火力発電所の1日の平均(石炭)消費量は8月の最初の2週間で8160万トンとなり、前年同期より15%増えた。

干ばつが続くと、信頼できるエネルギー源としての水力発電の地位が低下する。皮肉なことに、すでに気候変動の大きな要因になっている中国の炭素排出が一段と増えることになる。

(2022年8月17日付 英フィナンシャル・タイムズ電子版 https://www.ft.com/)

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EV先進国の都合の悪い真実

EV先進国の都合の悪い真実 : 机上空間
http://blog.livedoor.jp/goldentail/archives/29452921.html

『このブログを読んで下さっている方なら、お解りかと思いますが、私はEV懐疑派です。今は、まるで熱病に取り憑かれた患者のように、EVに傾倒している欧州ですが、いずれ雪崩をうってガソリン機関へ戻ってくると考えています。比較の対象として強引である事は、重々承知していますが、経済効率や利便性を無視して、思想から生まれて、無理矢理現実に捩じ込んだ事は、共産思想など、必ず失敗すると思っています。

自動車の歴史から言うと、モーター駆動は、内燃機関より早く開発されています。今から1世紀以上前に、EVの最も原始的なモデルというのは実在していました。しかし、後からガソリンで駆動する内燃機関のエンジンが開発されると、製造の手間や難しさにもかかわらず、エンジン駆動が主流になりました。これは、単に偶然の仕業ではなく、エネルギー効率で一度変換が必要な電気より、直接爆発させてエネルギーにするガソリンのほうが優れていたからです。また、保存・移動という面でも、電気よりも優れています。

地球環境の為に全てEVにするという主張は、過激派のビーガンの方々が、精肉店にレンガを投げて破壊したり、肉料理を提供するレストランの中で、屠殺する豚の断末魔の悲鳴の録音を大音量で流したり、スーパーの中で、陳列してある牛乳のパッケージを勝手に開けて床にぶちまけたりして、「お前達は、悪だ。直ぐに肉食を止めろ」と叫んでいるヒステリックさを感じます。つまり、思想を背景にする事で、反論を封じ、優越的な立場を表明する事で愉悦を感じているとしか思えないのですね。

私なんぞは、根が捻くれているので、「ゲームのルールを変える事で、自動車産業で主導権を取りたいだけだろ?」と思っています。仮に、短い期間で、エンジンからモーターに切り替わると、エンジンを組み立てるのに必要な、膨大な裾野の部品メーカーの雇用が危機に晒されます。つまり、今、自動車業界で強いシステムを確立している企業程、甚大な被害を受けるわけで、政治が方向性を決める前から、準備をして、地球環境を理由にルールを変えれば、先行している分、絶対的に有利です。環境問題を理由にすれば、頭が狂っているレベルの環境保護グループが、テロとか起こして、話題性も十分ですから、「自動車はEVにするのが正義」みたいな論調は、すぐに創れるでしょうねぇ。ああ、まるで、十数年前の「移民問題」みたいですねぇ。

しかし、普通に考えて、ガソリンを燃焼させるより、一回電気という形へエネルギー変換をしないといけないEVのほうが効率が悪いのは判りますし、廃棄バッテリーなど新たな問題を生む事も判っています。強引にEV化を進めようとするのは、環境問題じゃなくて、政治なんじゃないのと思うのも無理は無いですね。確かに排気ガスを出している自動車は見なくてすむかも知れませんが、今後増えるEVが必要とする電力を、どう確保するんだという問題もあります。

さて、では、EV先進国と言われるノルウェーで、今、起きている事を見てみましょう。ごちゃごちゃ理屈を語るよりも、現場を検証したほうが、意味のある問題提起になります。
ノルウェーは、政府の積極的なEV転換支援策によって、物凄い勢いでEV化が進み、現在は脅威の新規購入の自家用車の84.7%がEVになっています。何しろ、EVに買い替えると、自動車にかかる税金が全額免除されるので、結構高いレベルのEVが格安で買えます。また、購入時だけではなく、フェリーで車ごと島へ移動する時に、料金がタダになったり、EV専用のレーンが道にあったり、つまり、EVだと得する社会制度になっています。

また、売りっぱなしではなく、急速充電用の電気スタンドも、積極的に設置して、充電渋滞が起こりにくいよう、インフラの充実も、おそらく世界有数です。テスラ社専用の給電規格であるスーパーチャージャーや、ヨーロッパ最大の給電ネットワークであるIONITYの最上位規格である350kWの急速充電スタンドも、設置されています。充電スタンドと呼ばれる場所には、10台近い充電器が並んでいて、日本の充電スタンドの環境とは、天と地の差です。

ここまでやれば、一般的に言われているEVの運用面での問題は起きないように思うじゃないですか。しかし、そうじゃないんですね。これだけ、充電スタンドのインフラが充実していても、いわゆる繁忙期と言われるバカンスシーズンや、人々が活動する時間帯には、とんでもない充電渋滞が起きています。急速充電とは言っても、それなりに時間がかかるのは必須なので、ある程度台数が設置されていても、やはり捌けないのですね。それでも、長くで30分待ちの渋滞で済むのは、やはりインフラ整備の賜でしょう。

それと、故障している充電スタンドが、とても目につく事です。恐らく、酷使される上に、急速充電自体が負荷の高い作業になるせいでしょうか、故障中の表示が出ている充電スタンドを見つけるのに、さほど苦労しません。どうも、頻繁に故障する問題というのが、あるようです。半時間も待って、充電しようとしたら、故障中のランプが点灯なんぞしたら、気の短い人ならキレますよね。充電時間の短さを、カタログ・スペックで競うEVが増えてますが、充電というのは、充電させる方の機器の耐久性の問題があるようです。

かといって、家庭用コンセントから充電しようとしたら、それこそ半日とかの単位になりますし、緊急時の使用に移動できる距離に制限がかかる事になります。それと、このブログで何回か記事にしていますが、ガレージなどで、コンセントから充電していると、今のリチウム・イオン電池だと、火災を起こす可能性がゼロじゃありません。実際に事故も起きてますし、EVより外部環境の影響を受けやすい電動スクーターなどの2輪車が充電中に燃えるのは、中国あたりでは日常茶飯事です。まぁ、中国共産党の補助金目当てで、本業が酒造屋とか、IT産業とかの素人も参入していて、品質管理が甘いという事もあるのですが、言われているところでは、年間で万単位の火災が起きています。下手すると、家が無くなります。

それと、現地に行ってみないと、混んでいる充電ステーションと空いている充電ステーションが判断できない点も問題です。渋滞というのは、少ないリソースに利用者が集中するから起きるのであって、利用者が効率的に分散すれば、ある程度回避する事ができますが、予め判断する情報がありません。

ちなみに、ノルウェーは、自然環境が厳しいので、国の人口密度は高く無く、効率的に人が居住する為に、点の形で点在する都市を、道路という線で結ぶ形になっていて、道路環境は、ゴチャゴチャと無計画に増殖した都市を狭い道路で結んでいる日本より、かなり良いので渋滞問題は、同じ環境で比較するなら、日本の方が遥かに深刻になると予想できます。

そして、ノルウェーの累積の自家用車の比率で見ると、未だに純粋なEV車の数は、16%程度であり、それでも、これだけの問題が噴出しているという事です。欧州は、将来的に全ての車をEVにするとか息巻いていますが、恐らく途中で挫折すると思います。今の問題を一掃するような画期的な技術が出てくれば別ですが、今のままでは無理ですね。「~ねばならない」と現実は、違うという事です。思想で政治をやると、これがあるから最終的には国が破滅して終わるのですね。EVも適切な使い分けを考えないと、同じ道をたどると思います。』

水素は本当にCO2フリーの「夢の燃料」か、期待の中身を冷静に検証する,オルタナ編集部

水素は本当にCO2フリーの「夢の燃料」か、期待の中身を冷静に検証する,オルタナ編集部
http://blog.livedoor.jp/adachihayao/archives/2023589.html

『【日刊 アジアのエネルギー最前線】 水素は本当にCO2フリーの「夢の燃料」か、期待の中身を冷静に検証する,オルタナ編集部
http://www.adachihayao.net

2022年8月19日 金曜日 晴れ

昨日は新宝塚オープン参加で失礼,水素,メディアのオルタナ論説委員財部明郎氏が水素について論じている,全体には有料なので頭しか読めてないが,その内容を理解するには十分だろう,「CO2フリーの「夢の燃料」」,本当にそうなのだろうか,と疑問を投げかけるところから議論が始まっている

水素は地球上に存在せず,「水蒸気改質法」は天然ガスが原料となる,「水の電気分解法」は電力が必要である,と言うところから始まり,特にメタンを原料として水素を製造する過程で有毒物質COが発生し,水をぶっかけてCO2にして放出する,後者は再生可能エネルギーによる電力が必要である

国内で水素発生とその利用の試みが多く行われているが,日本の火力発電所をすっかり代替できる水素の製造方法はない,隙間産業として生き残る可能性はあるが,本格的には海外に頼るしかない,日本で再エネが出来るなら,わざわざ水素に変える必要はない,これは常々私が主張しているところだ

◆220819 Yahoo!ニュース https://ux.nu/yIcvZ
水素は本当にCO2フリーの「夢の燃料」か、期待の中身を冷静 …
CO+H2O → CO2+ H2 水蒸気改質法では石油や天然ガスから水素を取り出すだけでなく、一部は水(水蒸気)を分解して水素を得る。水の分解するにはエネルギーが必要で、その…

極東情勢

2022年8月18日21時43分

◆220819 産経ニュース https://ux.nu/fP3Px
中国外交トップ「台湾は不可分」 日本側にクギ、日米接近を牽制
【北京=三塚聖平】中国外務省によると、外交担当トップの楊潔?(ようけつち)共産党政治局員が17日、秋葉剛男国家安全保障局長と天津で会談し、台湾問題…
.8時間前

◆220819 読売新聞オンライン https://ux.nu/GzBkR
秋葉国家安保局長、中国演習を非難…外交トップの楊氏と夕食会交え7時間会談
会談では、ロシアによる侵略が続くウクライナ情勢や、核・ミサイル開発を進展させる北朝鮮情勢などについても意見が交わされた。 楊氏、台湾問題「信義かかわる」. 【北京…
.7時間前

◆220819 読売新聞オンライン https://ux.nu/eRccI
60年で「最も暑い夏」中国で電力逼迫…四川省と重慶市が計画停電、日系企業に影響
この地域には約700の日系企業が進出しており、操業停止を余儀なくされるなど多くの企業に影響が出ているという。 中国は今年、記録が残る1961年以降の60年で「…
.47分前

◆220819 読売新聞オンライン https://ux.nu/5mMbF
中国、ロシアの軍事演習に参加へ…連携誇示し「脅威への対処能力高める」
【北京=大木聖馬】中国国防省は17日、ロシアが8月30日から9月5日にかけ、 … ロシアによるウクライナ侵略や中国の台湾周辺での軍事演習に対し、米欧を中心と…
.49分前

◆220819 読売新聞オンライン https://ux.nu/tXvZm
スリランカ 「中国の港」に懸念が膨らむ
ハンバントタ港は中国の巨大経済圏構想「一帯一路」の事業として、中国の投資 … 中国はウクライナを侵略したロシアを擁護し、台湾との境界線を侵犯する現状変更も…
.16時間前

2022年8月17日19時56分

◆220818 NHK https://ux.nu/9MJ2I
日中政府高官 近く会談で調整 台湾情勢で中国に自制促す方針
台湾海峡の緊張が高まる中、秋葉国家安全保障局長は、中国の外交を統括する楊潔※チ政治局委員と会談する方向で調整を進めています。台湾周辺で軍事演習を行った中国に…
.14時間前

◆220818 NHK https://ux.nu/eqh13
沖縄 尖閣諸島沖合 領海侵入の中国海警局の船 領海を出る
中国 アメリカペロシ議長の台湾訪問に猛反発 いったいなぜ? アメリカのペロシ下院議長の台湾訪問に中国が強硬に反発。中国と台湾の関係について詳しく解説しています。
.18時間前

◆220818 NHK https://ux.nu/ulQCN
スリランカに中国調査船入港 隣国インド「監視目的」と警戒感
船が入港したハンバントタ港は、中国の巨大経済圏構想「一帯一路」に基づいて建設が進められたものの、融資の返済が滞ったことを理由に、運営権が99年間にわたって中国側に…
.21時間前

◆220818 NHK https://ux.nu/ag9r1
中国 記録的な暑さで電力の使用制限 日系企業の工場操業停止も
中国では各地で記録的な暑さが続いていて、内陸部の四川省では電力需給がひっ迫して電力の使用制限が行われ、日系企業の工場の操業が停止するなど影響が広がっています…
.14時間前 』

地震や山火事など自然災害時…EVでは避難が困難に=米調査

地震や山火事など自然災害時…EVでは避難が困難に=米調査
https://www.epochtimes.jp/2022/08/114069.html

『気候変動対策を積極的に政策に取り入れるバイデン米政権の後押しにより、米国では電気自動車(EV)の普及が徐々に進む。2030年に販売される新車の半分をゼロエミッション車にすると政権が表明したこともあり、EVの販売台数は2030年までに2300万台まで増加する可能性があると言われている。

しかし、EVの大量導入にはガソリン車にはなかった危機管理上のリスクが高まるとの指摘も専門家から聞かれる。そのひとつは、電力を唯一の動力源とするEVが自然災害発生時の避難には脆弱であるという点だ。(※ 無料は、ここまで。)』

[FT]熱波があぶり出す労働格差

[FT]熱波があぶり出す労働格差
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB028KT0S2A800C2000000/

 ※ 『英国で観測史上最高の気温を記録した7月、スーパーの配送車はいつも通り一軒一軒、顧客に注文商品を届けていた。保冷機能が荷室にはあっても運転席にない配送車が多いのには驚く。』…。

 ※ それじゃ、運転席にも「エアコン」つければ、問題解決かと言えば、そうもいかない…。

 ※ 燃料(ガソリン、軽油)余計に消費するし、排ガス(二酸化炭素、NOx)も余計に排出される…。

 ※ それじゃ、EVに置き換えれば、問題解決かと言えば、そうもいかない…。

 ※ 今度は、その「電気」をどうやって作り出すのか、廃電池のリサイクルをどうするのかなどと言う問題が生じる…。

 ※ 事程左様に、この世の中、「彼方(あちら)立てれば此方(こちら)が立たぬ」という関係になっている…。

 ※ まあ、みんなが覚悟を決めて、「江戸の昔」の生活に戻るという手もあるにはあるが…。葦簀(よしず)、打ち水で涼を取り、朝夕の「涼しい時間帯」のみに、活動するという「原始的な生活」だ…。

 ※ しかし、そうすると、必ず「抜け駆けするヤツ」が出てくる…。

 ※ 金(かね)や、地位のあるヤカラだな…。

 ※ そうすると、「ビンボー人は、暑さで死ねと言うのか!」とか叫ぶヤカラも、生じてくる…。

 ※ どこまで行っても、そういうモンだ…。

『英国で観測史上最高の気温を記録した7月、スーパーの配送車はいつも通り一軒一軒、顧客に注文商品を届けていた。保冷機能が荷室にはあっても運転席にない配送車が多いのには驚く。

地球温暖化で熱波が起こりやすくなるにつれ、影響を受ける国や労働者、企業は増えていく=ロイター

暑い地域では以前から高温が建設作業員などの命取りになってきた。ところが地球温暖化が進んで熱波が起こりやすくなるにつれ、影響を受ける国や労働者、企業は増えていく。英気象庁によると、20世紀半ばに英国で最高気温が35度を超える確率は15年に1度だったが、今や5年に1度になった。

つまり、もっと多くの企業が安全・健康面だけでなく、生産性に関しても意識する必要がある。オランダの大手スーパー、アルバートハインは熱波のさなか「こんな時に配達員を働かせるのは無責任だ」と判断し、国内の宅配サービスをすべて一時停止した。

気温が高くなると手に汗をかいたり集中力が低下したりする。仕事場で事故が起こりやすくなるのも、おそらくそのせいだろう。米カリフォルニア大学がカリフォルニア州内の1100万件余りの労災申請について、現地の気象データと照合したところ、カ氏90度(セ氏約32度)を超えれば労働者がけがをする確率は6~9%高くなった。カ氏100度超なら10~15%も高い。

長期的な健康リスクもある。中米などでは、炎天下の農園で働く若年労働者の慢性腎臓病による死亡が異常な数に上っている。原因は特定されていないが、高温下での作業と脱水症が、どうやら農薬の影響も相まって要因ではないかと考えられている。

時給より出来高払いは熱中症リスクを高める危険

生産性の問題も忘れてはならない。国際労働機関(ILO)では気温が33~34度になると、労働強度が中程度で働いている人は能力が50%失われるとみる。暑すぎて仕事がはかどらず、2030年には世界の総労働時間の2%以上が毎年浪費されるようになるとも予想している。南アジアや西アフリカでは5%に達する恐れがあるという。

エアコンの設置といった単純な対策もあるが、簡単には解決できない問題もある。米国の農業労働者を対象にした研究では、休憩時間を増やし空調付きの休憩所を用意すれば一定の効果があるが「農場の生産性や労働者の報酬、もしくは人件費に悪影響」が及びかねないこともわかった。

英国や欧州連合(EU)の労働組合は、労働条件として働ける気温の上限を法律で定めるよう要求している。欧州では現在、ほんの数カ国しか法定上限を設定していない。それも28度から36度まで開きがある。ただ最も大きな危険にさらされているのは、雇用が不安定で労組とも縁遠い労働者たちだ。

気温の上昇が著しい地域では非正規雇用が中心で、雇用の安全網も弱い場合が多い。たとえ高所得国でも、働いた時間より作業の進捗に応じて報酬が支払われる農業労働者は熱中症にかかりやすいという調査結果がある。単発で短期の仕事に従事する「ギグワーカー」にも出来高制が浸透している。

感染症のまん延によって、仕事の世界は在宅勤務が可能な人とそうでない人に二分されたとよくいわれる。実際は既に存在していた格差が浮き彫りになった面が大きい。地球温暖化でも同じことが起きるだろう。

By Sarah O’Connor

(2022年8月2日付 英フィナンシャル・タイムズ紙 https://www.ft.com/)

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欧州猛暑、エネルギー危機に拍車 物流停滞・電力低下

欧州猛暑、エネルギー危機に拍車 物流停滞・電力低下
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR062O80W2A800C2000000/

 ※ 渇水で影響を蒙るのは、ノルウェーの水力発電だけじゃ無かったな…。

 ※ 欧州は、河川を使った水運が盛んだから、河の水位が下がれば、「物流」に支障が出る…。

 ※ こういう感じで、渇水ともなれば、航行可能な範囲が激減してしまう…。

『欧州の猛暑と干ばつが、ウクライナ危機で加速するエネルギー需給の逼迫に拍車をかけている。6月から40度を超える記録的な暑さが続くなか、ドイツではライン川の水位低下により火力発電用の石炭の水上輸送が滞り、フランスは原発の出力低下を余儀なくされた。自動車工場などの操業にも影響が及ぶ可能性があり、経済や日常生活への被害拡大も懸念される。

欧州メディアによると、今年は北極側から欧州に流れる空気の温度が例年より高く、サハラ砂漠側からの熱い空気の影響を強く受けて熱波をもたらしている。地球温暖化の影響で、近年はこうした状況が頻繁に発生しているとみられる。スペインでは6月に40度超の気温が観測されたほか、7月に入ってからはポルトガルやフランス、英国でも40度を超えた。

ドイツでは水不足が深刻だ。スイスを源流にドイツを経てオランダに流れるライン川では、フランクフルトの西側に位置するカウプで12日に水位が40センチメートルを下回った。貨物船の場合、通常は1.5メートル程度の水深だと安全に運航できる。水位は日ごとに低下しており、回復の見通しは立たない中で貨物船の運航が停滞している。

懸念されるのは、ロシアが供給を絞った天然ガスの代替電源として依存度が高まる石炭火力への影響だ。ライン川は石炭を運ぶ重要ルートだが、ロイター通信によると水位の低下で西部フランクフルト近くなどの2カ所の火力発電所への石炭輸送が滞り、9月まで発電量が減る可能性がある。
石炭輸送の重要ルートであるライン川の水位の低下など、ドイツでは猛暑の影響が深刻になっている=AP

仏電力公社(EDF)は国内の原子炉数基の出力を下げた。周辺の川の温度が熱波で上昇するなか、加熱された原発の冷却用水を流せば生態系に悪影響が出るおそれがあるためだ。仏当局は一時的に河川の上限温度の規制を緩めるなどして発電量の確保を急いでいる。

「水位の回復を優先する」。ノルウェー政府はこのほど、水力発電用ダムの水位が一定以下になった場合、近隣諸国への電力輸出を制限する方針を打ち出した。英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)によると、南部の水力発電所の水量は49%で、平均の74%を大きく下回っている。イタリアやスペインでも水力発電の発電量が減っている。

不安定な電力供給は電力価格の上昇につながっている。米ブルームバーグ通信によると、ドイツの電力価格は一時、通常の約8倍に上がった。

猛暑の影響は製造業にも及ぶ。欧州自動車大手ステランティスの労働組合は7月、工場の労働環境が過酷になっているとして休憩時間を増やすよう求めた。国際労働機関(ILO)によると、気温が約33~34度になると生産効率は通常の半分になる。熱中症などの恐れも高まり、工場などの稼働率低下につながる。

国民生活にも影響が広がる。英水道会社のサウス・イースト・ウオーターによると、7月は1935年以降で最も雨が少なかった。同社はケント州やサセックス州を対象に、12日から庭の水やりや洗車のためのホースパイプの使用を禁止した。英BBCによると少なくとも100万人が影響を受け、守らなかった場合は1000ポンド(約16万円)の罰金を科される可能性がある。

「100以上の自治体で水道から水が出なくなっている」。フランスのベシュ環境相は、国民に節水を呼びかけた。水源が干ばつに見舞われ、住民は給水車に頼って生活用水をまかなっている。仏首相府は記録に残る限り最も深刻な干ばつだと説明する。

経済への悪影響は避けられない。過去に熱波が発生した年は欧州の域内総生産(GDP)が0.3~0.5%押し下げられたとの試算がある。今年は熱波の到来が早く、過去の例を上回る被害を懸念する声が出ている。

(パリ=白石透冴、ベルリン=南毅郎、ロンドン=佐竹実)

【関連記事】

・世界の気温、7月に史上3番目の暑さ 熱波が欧米襲う
・欧州で節電規制相次ぐ 石炭火力発電も再稼働
・[FT]ガス不足と熱波の欧州 冬のエネルギー逼迫が深刻に

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志田富雄
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異常気象が影響を及ぼす商品(コモディティ)市場の分野は農産物だけではありません。昨年も水力発電の低下したブラジルなどが液化天然ガス(LNG)の輸入を増やし、相場上昇の一因になりました。
欧州市場の取引時間に入り、中国経済への不安などを材料に原油、穀物といった主要商品は大きく下落。その中で、欧州の天然ガス・スポット相場だけは上昇しています。エネルギー分野ではロシアからの供給減少や脱ロシアの動きに異常気象の影響が追い打ちをかけ、石炭も高値が続いています。
2022年8月15日 20:45 (2022年8月15日 20:51更新)

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菅野幹雄
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ひとこと解説

まさに弱り目にたたり目という状況ですね。猛暑は欧州で毎年夏の新常態となった感がありますが、今年はそこにウクライナ危機によるエネルギー供給不安が加わります。
まさに命に関わる困難が襲う中、一般市民の間から「どうにかしろ」という不満が各国政府などに寄せられかねません。地球温暖化や、侵攻で混乱を招いたロシアを恨んでも、まさにのれんに腕押し。こんな時に大衆迎合的な勢力が弾みをつける可能性もあります。欧州経済はもちろん、欧州政治にも悩ましい不安定要因となりかねません。』

米国に「超酷暑帯」出現か 南部から中西部に、米調査

米国に「超酷暑帯」出現か 南部から中西部に、米調査
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN15AW20V10C22A8000000/

『【ニューヨーク=西邨紘子】米国で温暖化の問題が深刻になっている。熱波の多発などにより、夏季に体感温度がカ氏125度(セ氏51.7度)を超える地域が今後30年間で国土の4分の1にまで広がる見通しだ。穀倉地帯を中心に甚大な影響が及びかねない。

米非営利団体のファースト・ストリート財団(FSF)が15日、報告書をまとめた。南部テキサス州からカナダ国境に近い中西部ウィスコンシン州にかけての一帯では特に影響が大きく、米国内を南北に貫く「超酷暑帯(エクストリーム・ヒート・ベルト)」が形成されつつあると指摘した。

米国各地の地表温度や湿度、水辺からの距離データ、温暖化ガス排出の予測シナリオを組み合わせ、酷暑地帯の広がり具合を予測した。人体が感じる温度でセ氏51.7度を超し、熱中症誘発など極度の危険と判断される日を「超酷暑日」とし、各地域でどれだけ発生するかを調べた。

分析によると、米国内で「超酷暑日」が年間1日以上発生する恐れがある地域の居住人口は、2023年の800万人から53年には約1億800万人に増える見通しだ。中でも体感気温の上昇が著しい超酷暑帯は南部テキサス州から米国を南北に貫くように広がる可能性があり、セントルイス(ミズーリ州)やシカゴ(イリノイ州)など中西部地域の主要都市も含む。米国の農業地帯とも重なりが大きく、関連産業にも大きな影響が出そうだ。

東海岸のサウスカロライナやノースカロライナ、バージニアなどの各州でも、53年には「超酷暑日」が発生する可能性が高まっている。

米海洋大気庁がこのほど発表したデータによると、2022年7月は過去 130 年の記録中、3 番目に暑い7月となった。FSF創業者のマシュー・イービー最高経営責任者は報告書について「わが国の4分の1が超酷暑に直面するという、避けられない事態に向けた備えを進めるべきだ」と警鐘を鳴らした。
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別の視点

異常気象が天然ガスなどの相場を押し上げる構図は欧州だけではありません。米国の天然ガス先物は液化天然ガス(LNG)の拠点が火災事故を起こした影響で輸出が減り、国内需給が緩和するとの見方で6月末には一時100万BTU(英国熱量単位)あたり5ドル台まで下落しました。
しかし、そこから酷暑で電力需要が増え、7月下旬には9ドルを超えて14年ぶりの高値を記録。足元でも9ドル近い水準を維持しています。
ラニーニャ現象の長期化もあり、世界的な天候異変が天然ガスや石炭相場の波乱を拡大する可能性があります。今冬の厳冬リスクもちらつきます。
2022年8月16日 8:01 』

中国CATL、ハンガリーにEV用電池工場 1兆円投資

中国CATL、ハンガリーにEV用電池工場 1兆円投資
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM128D80S2A810C2000000/

『【広州=川上尚志】車載電池の世界最大手、中国の寧徳時代新能源科技(CATL)は12日、ハンガリーで電気自動車(EV)など向けの車載電池の工場を新設すると発表した。投資額は最大73.4億ユーロ(約1兆円)。同社はドイツとインドネシアでも電池工場の新設計画を進めており、中国国外では3カ所目となる。

ハンガリーの主要都市、デブレツェンに設ける。経済開発区の221ヘクタールの敷地に、100ギガワット時の生産能力を持つ拠点を建設する。2022年中に着工し、5年超かけて完成を目指す。同社は同日、日本経済新聞に「欧州の中心で、自動車メーカーが集まるハンガリーに工場を設けることで、顧客の要望に速やかに対応できる」とコメントした。

独メルセデス・ベンツグループも同日、「CATLのハンガリー工場から電池の供給を受ける初のパートナーになる」と発表した。CATLは独フォルクスワーゲン(VW)など、他の欧州車メーカーにも供給を広げる計画とみられる。

CATLは中国以外では初となる電池工場を、独中部チューリンゲン州に建設しており、22年末にも量産を始める予定だ。投資額は最大18億ユーロを見込む。22年4月にはインドネシアでも工場を新設する計画を発表した。現地企業と共同で最大60億ドル(約8000億円)を投じて26年までの完成を目指している。

このほか米メディアは8月上旬、CATLが北米で数十億ドルを投じる電池工場の建設計画を9~10月にも発表する見通しだと報じている。』

エネルギーから始まる米国とメキシコの貿易摩擦

エネルギーから始まる米国とメキシコの貿易摩擦
岡崎研究所
https://wedge.ismedia.jp/articles/-/27509

『米国通商代表部(USTR)がメキシコのエネルギー政策を米墨加協定違反であるとして紛争解決手続きを開始する旨発表した背景等について、ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)紙のワシントン特派員Yuka HayashiとメキシコシティのJuan Montes特派員が7月20日付の同紙で解説している。

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 7月20日、USTRは、メキシコ政府が米墨加協定に違反して国営電力会社(CFE)と国営石油会社(PEMEX)をさまざまな形で優遇しているとして、同協定の紛争解決手続きに基づきメキシコ政府に協議を要請した旨発表した。

 具体的には、昨年の電力産業法の改正により価格等に関わらずCFEが生産する電力を民間企業が風力や太陽光発電で生産する電力よりも優先して配電すること、エネルギー産業の分野で行われる様々な米国企業の事業についてメキシコ政府が許認可手続きにおいて遅延、拒否、取消しによって妨害すること等が問題とされている。化石燃料による発電をクリーンエネルギーよりも優先することは気候変動対策にも逆行する措置である。

 エネルギー産業の国家支配をいわば国家主権の柱として位置付けている左派民族主義者のロペス・オブラドール大統領にとって、前任のペニャ・ニエト政権が石油産業立て直しのために民間投資に石油分野を開放した憲法改正を廃止することが最重要課題であった。しかし、両院での3分の2の賛成は得られず、ロペス・オブラドールは、過半数の賛成により成立する法律の改正と最高裁への自らの息のかかった判事の送り込みにより、憲法改正によらずに同様の効果を実現した。

 しかし、そのような法律や運用は、米墨加協定に違反するものであり、米国が漸く同協定の紛争解決手続きに訴えて立ちはだかったわけである。協議が整わなければ専門家パネルの決定が出るまでに1年以上はかかり、仮にこれが協定違反であるとの裁定が出ても、おそらくメキシコ側は態度を変えず米墨間の貿易摩擦が長期的に継続することが予想される。

 また、電力産業法の改正は最高裁で違憲判断は出されなかったが、合憲と認めたわけでもなく、地方裁判所レベルでは、同改正や他の法律や措置について違憲差し止めの提訴が数多く出されている。更に国際仲裁に付されるケースも出てきているようである。』

『ロペス・オブラドールが、エネルギー産業の国家による独占を意図しているのであれば、これは米国のエネルギー製品や米国エネルギー投資への依存からの脱却を意味するものでもある。もともと同人は、農業分野をNAFTAの対象としていることに反対を唱えていたこともあり、究極的には、メキシコの米国への経済依存からの脱却、更には政治的に距離を置くことも望んでいるようである。

メキシコ経済悪化の懸念

 メキシコ経済は低迷を続け、治安状況も特段改善されていないにもかかわらず、ロペス・オブラドールの支持率はこの3月にもっとも下がっても58%であり、問題の責任を全て前の政権に転嫁し多国籍企業を敵視する同人のレトリックや、最低賃金の引き上げ、貧困層や若者層への経済支援により、政権に対する国民の支持率は依然として高い。

 また、このような投資環境の悪化にもかかわらず、メキシコを製造拠点として米国市場に輸出するビジネスモデルは、他の選択に対して依然として比較優位を保っている。しかし強引なエネルギー政策の転換は、投資環境の予測可能性を損ない、メキシコ経済にとっての多くの利益や機会が失われているように思える。

 米国にとっては、南部国境の移民問題や麻薬対策もあり、ことさら対墨関係を悪化させる必要はなく、バイデン政権も表面上は、貿易紛争と二国間関係全般は切り離して是々非々で対応するのであろう。

 ロペス・オブラドールの任期は後2年半で再選は禁止されている。従って、その任期中は、政権と民間企業、米国との間で裁判や紛争解決手続きを通じて、また、議会では新たな立法措置を巡っての押し問答が続くのであろうが、メキシコの投資環境についての信頼が揺らぐことは残念であり、また問題は、その後継者が同様の路線を引き継ぐのか否かであろう。』