「食糧を武器に利用」 米国務長官、安保理で対ロ非難

「食糧を武器に利用」 米国務長官、安保理で対ロ非難
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN19E4F0Z10C22A5000000/

『【ニューヨーク=白岩ひおな】国連安全保障理事会は19日、紛争と食糧安全保障をめぐる公開会合を開いた。演説したブリンケン米国務長官はウクライナ侵攻で同国からの穀物輸出が滞っていることに触れ「ロシアは食糧を武器として利用することで、ウクライナ人の鋭気をくじけると考えているようだ」と非難した。

ウクライナの穀物輸出再開に向け、港湾の解放と安全な運搬ルートの確保を求めた。ロシア軍が「数百万人のウクライナ人と、ウクライナの輸出に依存する世界の何百万人もの人々への食糧供給を人質に取っている」と指摘した。ロシアとウクライナは世界の小麦供給の3分の1近くを占め、侵攻に伴い穀物や肥料の価格が高騰している。

グテレス国連事務総長は「ウクライナが黒海を通じて食糧を輸出し、ロシアの食糧と肥料を制限なく市場に供給するための包括交渉を探っている」と述べた。「ウクライナとロシアの食糧や肥料を世界の食糧安全保障に再統合する必要がある」と訴えた。

一方、ロシアのネベンジャ国連大使は世界的な食糧危機の原因がロシアにあるとの指摘について「全くの誤りだ」と反論した。ロシア軍は船舶のための安全な航路を開こうとしたと主張した上で「西側の制裁がロシアの食糧と肥料輸出を冷え込ませている」とも述べた。

小麦生産で世界2位のインドは国内価格の上昇で輸出の一時停止を決めた。同国のムラリーダラン外務担当閣外相は会合で「食糧価格が不当に上昇している。買い占めや投機は明らかで、放置するわけにはいかない」と述べ、輸出停止の判断を擁護した。「世界市場の突然の変化に脆弱な発展途上国には、十分な緩和策を保証する」とも述べた。

一方、パキスタンのブット外相は19日に国連本部で開いた記者会見で「こうした(食糧輸出の)制限措置は、多国間枠組みを通じて思いとどまらせていくことができる」との考えを示した。』

スリランカ、迫る債務不履行 国債利払い猶予期限に

スリランカ、迫る債務不履行 国債利払い猶予期限に
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM1870N0Y2A510C2000000/

 ※ おそらく、「債務の全容」が見えてこないんで、「返済計画」の立案の方策が立たないんだろう…。

 ※ 某国の「融資」は、そういう「秘密条項」が多いんで、当事者以外の第三者は、手の出しようがなくなる…。

 ※ 某国の「世界戦略」からすれば、かっこうの「見せしめ」だろうしな…。

 ※ 最後は、「国有資産(領土を含む)」の切り売り(貸し出し)か…。

 ※ ハンバントタが、それだったな…。

『【ムンバイ=花田亮輔】経済危機のスリランカがデフォルト(債務不履行)に陥る懸念が強まっている。18日は一部国債の利払いの猶予期限だったが、支払いは確認されていない。支援を巡る国際通貨基金(IMF)などとの交渉は長期化するおそれがあり、現時点で支払いのメドは立っていない。

米格付け大手S&Pグローバルは4月下旬、スリランカの外貨建て国債の信用格付けを「部分的なデフォルト」にあたる「選択的デフォルト(SD)」に引き下げていた。スリランカは一部国債の利払いを期日の4月18日までに実施できなかった。30日間の猶予期間が設けられたが、S&Pは期間内の支払いは困難だとみていた。

ロイター通信によると、ウィクラマシンハ首相は16日の国民への演説で「今後の数カ月が人生で最も困難な時期になる」と述べた。財政立て直しに向けて、国営のスリランカ航空の売却なども検討しているという。

スリランカは慢性的な経常赤字に加え、新型コロナウイルスの発生によって外貨獲得の主要な手段である観光業低迷に直面した。4月末時点の外貨準備高は約18億ドル(約2300億円)と、19年末の76億ドルから大幅に減少している。

同国の対外債務は21年末時点で500億ドルを超えている。スリランカ財務省は4月中旬、IMFなどとの協議による経済再建策がまとまるまで債務の支払いを一時停止すると表明していた。IMFとの協議は現在も断続的に続いているが、具体的な支援策が早期にまとまる見通しはたっていない。

足元では輸入品を中心とした生活必需品の値上がりが国民生活を直撃している。4月のコロンボ消費者物価指数は前年同月比29.8%増という記録的な水準だった。政権への抗議デモが続き、政権支持者との衝突などによる死傷者も出ている。

政権の要職を親族で独占してきたゴタバヤ・ラジャパクサ大統領らへの批判が高まるなか、5月に入って兄のマヒンダ・ラジャパクサ首相が辞任した。ゴタバヤ氏は挙国一致内閣の設立を訴え、12日に野党の統一国民党(UNP)総裁のウィクラマシンハ氏を新首相に任命した。ラジャパクサ兄弟が親中派と目されてきたのに対し、ウィクラマシンハ氏は親インド・欧米派とされる。』

米、途上国に食糧追加支援 国務長官「侵攻で危機悪化」

米、途上国に食糧追加支援 国務長官「侵攻で危機悪化」
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN190070Z10C22A5000000/

『【ニューヨーク=白岩ひおな】ブリンケン米国務長官は18日にニューヨークの国連本部で開いた食糧安全保障に関する会合で、新興・途上国への食糧支援に追加で2億1500万ドル(約275億円)を投じると表明した。「プーチン大統領の選んだ戦争が危機を悪化させた」と述べ、ウクライナ侵攻に伴う穀物価格高騰に対する協力を各国に求めた。

ロシアによるウクライナ侵攻以降、米国は穀物価格高騰の影響を受ける各国への食糧支援にこれまで23億ドル超を投じている。ブリンケン氏は「米議会が人道支援と食糧安全保障に向けた約55億ドルの追加支出をまもなく承認すると期待している」とも述べた。米国の肥料生産の強化へ5億ドルの拠出も予定する。

「穀物や肥料を大量に備蓄する国や資金力のある国は迅速に手を打つべきだ」と呼びかけた。有数の小麦生産国であるウクライナには「推定2200万トンの穀物が眠っている」と指摘した上で「陸路や海路で出荷できるよう、各国政府と国際機関が回廊の設置をロシアに強制すべきだ」とも述べた。

ロシアとウクライナは世界の小麦供給の3分の1を担っており、ウクライナ侵攻に伴い穀物価格や肥料価格が高騰している。小麦生産で世界2位のインドが国内価格の上昇で輸出の一時停止を決めたことで、価格高騰に拍車がかかる恐れもある。

グテレス国連事務総長は「輸出を制限してはならず、余剰分は最も必要とする人々に提供すべきだ」とクギを刺した。「ウクライナでの戦争で数千万人が食糧難に陥り、飢饉(ききん)など何年も続く危機に陥る可能性がある」と警告した。価格高騰がコメなど他の食品にも及び「何十億人もの人々に影響を与えうる」とも述べた。

19日には米国が5月の議長を務める安全保障理事会の会合を開き、食糧安全保障への影響と対応を議論する。ブリンケン氏は会合後にグテレス氏と会談し、ウクライナや周辺地域での人道支援などについて協議する。』

WHO事務局長に見る、中国が国連機関を支配下に置く極意 : 世界のニュース トトメス5世

WHO事務局長に見る、中国が国連機関を支配下に置く極意 : 世界のニュース トトメス5世
https://www.thutmosev.com/archives/88177314.html

※ 今日は、こんなところで…。

『WHOを支配下に置くため中国は何世代にもわたって出身国や地域、家族、友人関係、婚姻、金銭援助などで周囲を取り囲む。
tedros-afp-1108281-1652257760
画像引用:https://www.deccanherald.com/international/who-chiefs-remarks-on-chinas-covid-policy-blocked-on-countrys-social-media-1108281.html

テドロス事務局長

世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長は2020年初頭に武漢で新型コロナが流行した時、かたくなに中国起因説を否定し、中国の手先と呼ばれていました。

当時米トランプ大統領が「中国がウイルスをまき散らした」と主張したのに対し、テドロスは「世界は中国に感謝しろ」とまで言いました。

欧米からの強い批判を受けてWHOは武漢に調査団を派遣したが、観光旅行のように中国政府がセットしたコースを歩き飲み食いや接待を受けて遊んで帰ってきた。

もちろんWHOの武漢調査結果は「中国や武漢にはなんの問題もなく、コロナ対応も素晴らしかった」と称賛していました。

これでWHOや国連機関がいかに中国に浸食されているかが明らかになり、多くの国連機関では中国政府の許可を得ないと人事ができなくなっている。

その手口は国連機関に多くの職員を送り込むことで、たとえ電話番や駐車場の整理係でも、1人1人が小さな権限を持っています。

警備員には警備員の権力があり、末端の職員であっても何かしらの権限を持っています。
中国はどんな小さな職員募集も見逃さずに応募し、表向き民間人だが実際には中国政府の指示で働いています。

日本には多くの中国人留学生や労働者が滞在しているが、全員が「政府の諜報活動に協力する」という誓約書を書いています。

これに署名しないと出国を許可されないからで、どんな諜報活動をしたかも月1回程度電話で報告しています。

国連本部はアメリカにあるので、米国滞在の中国人国連職員も全員が同様の誓約書を書いて諜報活動をしています。

中国の諜報活動は長期間に渡り濃密な関係を築くのが特徴で、例えば日本の2世政治家は生まれる前からもう接近しています。

中国の諜報活動は驚くほど長期で濃密

日本では政治家は世襲が多いので、有力政治家の息子と信頼関係を持てば一生中国の利益になります。

総理の息子や娘の政治家の多くは中国の影響下にあり、2世政治家に親中派が多いのは偶然ではない。

まして国連はコネの世界であり、家族ぐるみの人間関係があれば中国の影響下に置くことができる。

こうした事を共産主義国は得意としており、数世代に渡る人間関係を構築して支配下に置いたりします。

例えば日米関係はどんなに良好だったとしても選挙で政権が変わればすべて無効になり、ゼロから再構築しなくてはならない。

(※ ホントかよ?「条約」とは、「国と国との約束」じゃなかったか…。)

中国やソ連や北朝鮮に選挙はないので政権交代も無く、数世代に渡る親密な人間関係を築けるのです。

WHOのテドロス事務局長のそのように取り込まれた1人で、出身国のエチオピアは中国から膨大な援助を受け支配下にあるとされている。

WHOを支配する為にアフリカの小国に援助して債務の罠に落とし、事務局長になるのを支援して自分の支配下に置きました。

中国の諜報活動はこれほど用意周到で家族や地域ぐるみで支配されているので、例えば結婚相手や親友が中国の諜報員だったりもします。』

IMF、外貨調達枠の人民元比率を引き上げ 円はやや低下

IMF、外貨調達枠の人民元比率を引き上げ 円はやや低下
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN144WF0U2A510C2000000/

『【ワシントン=高見浩輔】国際通貨基金(IMF)は14日、SDR(特別引き出し権)と呼ぶ外貨調達枠の通貨構成比を見直すと発表した。人民元とドルの比率が上昇する一方で、円の比率は8.33%から7.59%に低下する。貿易や金融取引での国際的な地位が相対的にやや弱くなったことを反映している。

前回、構成比を見直したのは2015年11月の理事会で、初めて人民元の組み入れを決めた。比率は5年に一度修正する決まりだが、今回は新型コロナウイルス禍などの影響で遅れていた。新しい比率は22年8月1日から適用する。

ドルは41.73%から43.38%に、人民元は10.92%から12.28%にそれぞれ引き上げる。ユーロは30.93%から29.31%に低下する。主要通貨の順位は変わっていない。

IMFによると、構成比は2017~21年に貿易や金融の取引で果たした役割の重さを考慮して決定した。コロナ禍やフィンテックの台頭は通貨の相対的な地位に大きな影響を及ぼさなかったという。ロシアによるウクライナ侵攻を受けた金融・経済の分断や各国で進む歴史的なインフレの影響は今後のモニタリング対象となる。

次の見直しは27年7月末までに完了する。理事会では中国に対して人民元市場の開放を進めるよう努力を求める声が出た。一部の理事はデータの透明性をさらに高めるように要望した。

SDRは加盟国が外貨不足に陥った際に引き出せる調達枠だ。各国の出資割合によって配分される大きさが異なる。コロナ禍では途上国への支援策として21年8月に6500億ドル相当の追加配分が実施された。』

ウクライナ侵攻の背景にあるロシアと中・東欧・バルト諸国の「記憶をめぐる戦争」

ウクライナ侵攻の背景にある
ロシアと中・東欧・バルト諸国の「記憶をめぐる戦争」
【橘玲の日々刻々】
https://diamond.jp/articles/-/303079

 ※ 『第二次世界大戦で米英仏の連合軍とソ連が、ドイツとイタリア・日本のファシズムを打ち倒したというのが、戦後の国際社会を支配した「正統な歴史観」だ。(ドイツではなく)ナチズムを「絶対悪」とすることは、西ヨーロッパ諸国にとっては自国内のナチ協力者を不問に付し、ソ連にとってはスターリンが行なった多くの暴虐行為を隠蔽できるため、すべての当事者にとって都合がよかった。

 西側とソ連は冷戦下で対立していたが、「ともにファシズムと戦った」という暗黙の前提を共有していた。だがこの「公式」の歴史観は、ソ連によって独立を奪われたり、衛星国として支配されていた国にとって、とうてい受け入れがたいものだった。

 ソ連が解体して冷戦が終わり、こうした国々が独立すると、「歴史の修正」を突きつけられたロシアだけでなく、中・東欧へと「ヨーロッパ」の境界を拡張したEUにとっても、新たな加盟国の「異議申し立て」をどのように取り扱うかが重大な問題になった。これが「記憶をめぐる戦争」の基本的な構図だ。』…。

 ※ これは、非常に鋭いところを「突いている」…。

 ※ さらには、日本国のナラティブ(神話)の文脈では、「大東亜共栄圏の大義」も語られるんで、もっと「複雑化」する…。

 ※ こないだの、ゼレンスキー政権から発信された「ヒトラー、ムッソリーニ、昭和天皇」三者の「ファシズム」三巨頭の肖像画像問題なんかも、その延長線上にある…。

『2014年にハンガリーのブダペストを訪れたとき、歴史展が行なわれていたらしく、街じゅうで「Double Occupation(二重占領)」と書かれたポスターを見かけた。最初はなんのことかわからなかったのだが、その後、ハンガリーの現代史を展示する「恐怖の館(House of Terror)」博物館を訪れて、これが20世紀におけるファシズム(ナチスドイツの傀儡政権である矢十字党=国民統一政府)と、その後の共産主義支配(ソ連の衛星国家)という「民族の悲劇」を表わす言葉だと知った。

左がファシズム、右が共産主義支配を表わす。2014年ハンガリー・ブダペスト (Photo:@Alt Invest Com)

 5月9日の(第二次世界大戦)戦勝記念日の演説で、ロシアのプーチン大統領は、「世界からナチスらの居場所をなくすために戦っている」とウクライナ侵攻を正当化した。ところがそのプーチン政権を、歴史家ティモシー・スナイダーは「ポストモダンのファシズム」だとする。

[参考記事]
●ウクライナ侵攻の背景にあるプーチンの「ロシア・ファシズム」思想。ロシアは巨大な「カルト国家」だった

 だとしたら、いったいどちらが「ファシズム」なのだろうか。マルレーヌ・ラリュエルの『ファシズムとロシア』(翻訳:浜 由樹子/東京堂出版)はまさにこの問題を扱っている。

 ラリュエルはフランス出身の歴史学者で、現在はアメリカのジョージ・ワシントン大学ヨーロッパ・ロシア・ユーラシア研究所長。ロシアおよび旧ソ連地域のイデオロギーとナショナリズムが専門だ。

 ただし、本書の主題である「ロシアとファシズム」を論じるためには、その前提として、日本ではあまり知られていない、ロシアと中・東欧やバルト諸国の「記憶をめぐる戦争」について、その概略だけでも理解しておく必要がある。なぜなら、ロシアのウクライナ侵攻はそれ以前の「歴史戦」の延長だから。なお、本稿はロシアの侵略行為に何らかの正当性があると主張するものではない。

中・東欧とバルト諸国が「ヨーロッパ」の一員になったことで「記憶をめぐる戦争」が起こった

 2020年1月、ウクライナのゼレンスキー大統領は、アウシュヴィッツ強制収容所解放から75周年の記念行事を受けて、「ポーランドとポーランド国民は、全体主義体制の共謀を最初に体感した。これが第二次世界大戦の勃発につながり、ナチが破壊的なホロコーストを実行することを可能にしたのである」と述べた。

「全体主義体制の共謀」という表現で、ナチズムとスターリニズムを同列に扱うこの発言は、「ロシア国民に大変なショックを与えた」。プーチンは、「ロシアとその前身であるソ連邦に(間接的であっても)ホロコーストの責任を帰そうとする試みを、激しく非難した」とラリュエルは書く。

 ゴルバチョフ政権でソ連が解体をはじめると、1988年から90年にかけてエストニア、ラトヴィア、リトアニアのバルト三国とジョージアが次々と独立を宣言し、91年12月には(ソ連から独立したロシア共和国の)ボリス・エリツィン大統領がウクライナとベラルーシの独立を認め、ソ連に代わる独立国家共同体(CIS)を創設した。

 ソ連が解体すると同時に、ポーランド、チェコ、スロバキア、ハンガリーなどの中欧諸国が「民主化」を達成してソ連の影響から離脱した。これらの国々は、ウクライナとベラルーシを除いてEUとNATOに加盟し、「ヨーロッパ」の一員になった。

 この大きな動乱が一段落した2000年代はじめから、旧ソ連圏の国のあいだで、これまでとは異なる歴史の語り(ナラティブ)が登場した。それに対してロシアは、これを「歴史修正主義」と見なして強く批判するようになる。

 EU創設によって、第二次世界大戦に関していえば、西ヨーロッパは共通の歴史観の構築に成功した。戦後の経済復興(アメリカの援助)と冷戦(ソ連の核の恐怖)という現実の下、フランスと(西)ドイツが勢力圏を競ったり、戦勝国と敗戦国が賠償問題で争う余地がなくなったからだ。イギリスを含め、西ヨーロッパのひとたちは、ソ連の脅威に対抗するには団結するほかないことを当然の前提として受け入れた。こうして、ユダヤ人へのホロコーストを除いて、さまざまな歴史的対立は解決済みとされた。――その後、2014年のユーロ危機のときにギリシアがドイツに対して第二次世界大戦の賠償を求めた。

 だがこの「平和」は、中・東欧諸国やバルト三国がEUに加入すると揺らぎはじめる。その事情を、ラリュエルはこう述べている(改行を加えた)。

 西欧諸国にとって終戦は、平和な戦後の再建設と30年間の実り多い経済成長に道を拓いた。中・東欧諸国にとっては、強制的な社会主義ブロックへの編入の始まりであり、バルト三国にとっては国家の独立を失うことをも意味した。

 ヨーロッパの枠組みの「外側」に置かれた40年間を経験したこれらの国々は、1989年のベルリンの壁崩壊と、その後の2000年代のEUとNATOへの加盟をもって初めて「正常」への回帰を体感した。

 だから、中・東欧諸国がEUに入ると、その10年間の後半にロシアとの記憶をめぐる戦争がエスカレートしたのは偶然ではない。彼らにとっては、20世紀のナショナル・ヒストリー、特に第二次世界大戦史を書き直すことは、「ヨーロッパの一員としての運命」を再確認し(略)、「ヨーロッパの記憶を助ける地図」に影響を及ぼすことと、密接につながっている。

 第二次世界大戦で米英仏の連合軍とソ連が、ドイツとイタリア・日本のファシズムを打ち倒したというのが、戦後の国際社会を支配した「正統な歴史観」だ。(ドイツではなく)ナチズムを「絶対悪」とすることは、西ヨーロッパ諸国にとっては自国内のナチ協力者を不問に付し、ソ連にとってはスターリンが行なった多くの暴虐行為を隠蔽できるため、すべての当事者にとって都合がよかった。

 西側とソ連は冷戦下で対立していたが、「ともにファシズムと戦った」という暗黙の前提を共有していた。だがこの「公式」の歴史観は、ソ連によって独立を奪われたり、衛星国として支配されていた国にとって、とうてい受け入れがたいものだった。

 ソ連が解体して冷戦が終わり、こうした国々が独立すると、「歴史の修正」を突きつけられたロシアだけでなく、中・東欧へと「ヨーロッパ」の境界を拡張したEUにとっても、新たな加盟国の「異議申し立て」をどのように取り扱うかが重大な問題になった。これが「記憶をめぐる戦争」の基本的な構図だ。』

国際刑事裁判所

国際刑事裁判所
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9B%BD%E9%9A%9B%E5%88%91%E4%BA%8B%E8%A3%81%E5%88%A4%E6%89%80

『国際刑事裁判所(こくさいけいじさいばんしょ、英: International Criminal Court、仏: Cour penale internationale)は、個人の国際犯罪を裁く常設の国際裁判所である。正式な略称はICCt、通称ICCと表記される。フランス語での略称はCPI。本部はオランダのハーグ。』

『概要

国際刑事裁判所(ICC)は1998年7月17日に、国際連合全権外交使節会議において採択された国際刑事裁判所ローマ規程(ローマ規程または、ICC規程)に基づき2003年3月11日、オランダのハーグに設置された国際裁判所で、国際関心事である重大な犯罪について責任ある「個人」を訴追・処罰することで、将来において同様の犯罪が繰り返されることを防止することを目的としている。

判事・検察官などは、締約国会議(ASP: Assembly of States Parties)によって選出される。公用語は英語とフランス語。

その管轄は当初、個人の刑事責任に限られて「集団殺害犯罪」、「人道に対する犯罪」、「戦争犯罪」、そして、「侵略犯罪」(いずれも国際刑事裁判所ローマ規程固有の名称)など、国際人道法に対する重大な違反のみを対象としていた。

侵略犯罪についてはその定義が明確に定められていなかったが、2010年の再検討会議 (Review Conference) にて協議が行われ、その定義とICCによる管轄権の行使を認める改正条項が採択された。同改正は30か国の批准により発効する規定となっている[1]。

国際司法裁判所(ICJ)と混同されることがあるが、国連の常設司法機関であるICJは、領土の範囲など「国家間の法的紛争(係争案件)」の解決を役割としているのに対し、国際刑事裁判所(ICC)は、あくまで「個人」の戦争犯罪などに関する刑事責任を明らかにして処罰を科し、将来の同種犯罪抑止を目的としており、全く別の裁判所である。

また、国際刑事裁判所(ICC)は国連からも独立し、その協力関係は別途、「国連と国際刑事裁判所の地位に関する合意」(国連地位協定)を締結することによって成り立っている[2]。国連との協定は2004年7月24日に発効している。

加盟国

締約国
未批准の署名国
後に脱退した締約国
後に署名を撤回した署名国
非加盟国
詳細は「国際刑事裁判所ローマ規程の締約国」を参照

締約国 - 123か国(日本、2007年7月17日加入[3])
    アフリカ - 33か国(ベナン、ボツワナ、ブルキナファソ、カーボヴェルデ、中央アフリカ共和国、チャド、コモロ、コンゴ民主共和国、コンゴ共和国、コートジボワール、ジブチ、ガボン、ガンビア、ガーナ、ギニア、ケニア、レソト、リベリア、マダガスカル、マラウィ、マリ、モーリシャス、ナミビア、ニジェール、ナイジェリア、セネガル、セーシェル、シエラレオネ、南アフリカ[4]、タンザニア、チュニジア、ウガンダ、ザンビア)
    アジア・大洋州 - 17か国(アフガニスタン、オーストラリア、バングラデシュ、カンボジア、クック諸島、東ティモール、フィジー、日本、大韓民国、モルディブ、マーシャル諸島、モンゴル、ナウル、ニュージーランド、サモア、タジキスタン、バヌアツ)
    中東 - 2か国(ヨルダン、パレスチナ)
    ヨーロッパ - 41か国(アルバニア、アンドラ、オーストリア、ベルギー、ボスニア・ヘルツェゴビナ、ブルガリア、クロアチア、キプロス、チェコ、デンマーク、エストニア、フィンランド、フランス、ジョージア、ドイツ、ギリシャ、ハンガリー、アイスランド、アイルランド、イタリア、ラトビア、リヒテンシュタイン、リトアニア、ルクセンブルク、北マケドニア共和国、マルタ、モルドバ、モンテネグロ、オランダ王国、ノルウェー、ポーランド、ポルトガル、ルーマニア、サンマリノ、セルビア、スロバキア、スロベニア、スペイン、スウェーデン、スイス、イギリス)
    北アメリカ - 1か国(カナダ)
    中南米 - 28か国(アンティグア・バーブーダ、アルゼンチン、バルバドス、ベリーズ、ボリビア、ブラジル、チリ、コロンビア、コスタリカ、ドミニカ国、ドミニカ共和国、エクアドル、エルサルバドル、グレナダ、グアテマラ、ガイアナ、ホンジュラス、メキシコ、パナマ、パラグアイ、ペルー、セントクリストファー・ネイビス、セントルシア、セントビンセント・グレナディーン、スリナム、トリニダード・トバゴ、ウルグアイ、ベネズエラ)
署名国(締約国となった国を除く。「*」印は、批准の意思がないことを表明したことを示す。) - 31か国(アルジェリア、アンゴラ、アルメニア、バハマ、バーレーン、カメルーン、エジプト、エリトリア、ギニアビサウ、ハイチ、イラン、イスラエル*、ジャマイカ、クウェート、キルギス、モナコ、モロッコ、モザンビーク、オマーン、ロシア*、サントメ・プリンシペ、ソロモン諸島、スーダン*、シリア、タイ、ウクライナ、アラブ首長国連邦、アメリカ*、ウズベキスタン、イエメン、ジンバブエ)

脱退した国 - 2か国(ブルンジ[5]、フィリピン[6])

2019年3月現在

日本との関わり

日本は2007年7月17日には加入書を国連に寄託し、同年10月1日正式に105ヵ国目の締約国となっている。

ローマ規程およびその協力法は、国内法において2007年10月1日に発効した[7]。日本がそれまで批准できなかった理由については、様々な複合的な要素が絡んでいたと考えられているが[8]、2007年11月30日に行われた補欠判事選挙では、初めての日本のICC裁判官候補として指名された齋賀富美子がトップ当選を果たすなど、加盟以後は積極的な参加姿勢を示している[9]。

齋賀は2009年4月、在任中に急病で死去した。

同年、11月の補欠選挙で尾崎久仁子が当選し、同裁判官は第一審裁判部門に配属された。
2018年3月には、日本人として3人目の判事に最高検察庁検事・国際司法協力担当大使の赤根智子が就任した。

日本が国際刑事裁判所(ICC)に対して人材面・財政面で様々な貢献を行う理由について、日本政府は、「日本は外交政策の柱の一つとして、国際社会における法の支配の強化を掲げ、紛争の平和的解決等を促進」するという外交上の理由を挙げており[10]、いわゆる価値観外交、人権外交の一環として位置付けられる。

活動

取扱い案件

国際刑事裁判所が扱う案件は、その取扱い状況によって大きく分けて次の5種に分類される[11]。

公判案件(一審フェーズ):公判段階にあり「公判(trial)」の取扱いとなっている案件
訴追案件(予審フェーズ):公判段階にないが「訴追(case)」の取扱いとなっている案件
捜査案件(起訴フェーズ):訴追段階にないが「捜査(investigation)」の取扱いとなっている案件
付託案件(検討フェーズ):訴追段階にないが「付託(referred )」の取扱いとなっている案件
検討案件(調査フェーズ):捜査段階にないが「検討(considered)」の取扱いとなっている案件

各案件の目安としての段階別進捗度

0. 検討開始:検討を開始した状態
1. 付託受理:付託が受理された日
2. 捜査開始:捜査開始が決定された日
3. 捜査完了:捜査完了の状態
4. 訴状発行:極秘逮捕状の発行日
5. 訴状公開:極秘逮捕状の公開日
6. 被告出廷:被告の初出廷日
7. 予審開始:予備審問が開始された日
8. 判断通告:予審判断が通告された日
9. 上訴受理:予審判断に対する上訴が受理された日
10. 上訴判断:上訴に対する上訴審の判断が通告された日
11. 一審開始:一審裁判が開始された日
12. 一審終了:一審裁判が終了した日
13. 上訴受理:一審判断に対する上訴が受理された日
14. 上訴判断:上訴に対する上訴審の判断が通告された日

段階別進捗度の目安が示すフェーズ

(0〜 1) 一般付託〜検討開始=調査フェーズ
(1〜 2) 付託受理〜捜査開始=検討フェーズ
(2〜 3) 捜査開始〜捜査完了=捜査フェーズ
(4〜 6) 訴状発行〜被告出廷=起訴フェーズ
(7〜 10)予審開始〜判断の通告=予審フェーズ
(11〜12)一審開始〜一審終了=一審フェーズ
(13〜14)一審上訴〜再審開始=再審フェーズ

主な具体案件

2005年7月8日にジョゼフ・コニーらテロ組織神の抵抗軍幹部に初のICC逮捕状が発行され、同年10月13日には逮捕状が公開され、2006年6月1日にICCから要請を受けた国際刑事警察機構(ICPO)は国際手配を行った。

ICCが初めて国際連合憲章第7章に基づく案件の付託を受けたスーダン・ダルフール案件については、2007年5月に、現職の政府閣僚を含む容疑者2名に対して初めて逮捕状が発行されている。同案件について2008年7月、ICC検察局はさらに同国のオマル・バシール大統領の逮捕状も請求し逮捕状は2009年3月4日に発行された[12]。

2008年8月には、北オセチアをめぐるグルジア事態について、グルジア・ロシア連邦両国政府の協力を得て調査を開始している[13]。

2009年1月26日にコンゴ民主共和国の案件について公判が開始された[14]

2011年2月26日にICCへの付託では初めて全会一致で採択された安保理決議1970に基づいてICC検察官によるリビアに対する捜査が開始され[15]、6月27日に当時の指導者ムアンマル・アル=カッザーフィーの逮捕状を請求[16]、ICC検察官の要請[17]に従ってICPOは国際指名手配を行った[18]。

2011年11月30日に2010年コートジボワール危機のさなか人道に対する罪を犯したとしてローラン・バグボ前大統領を逮捕・収監。元首経験者に対しはじめて逮捕状を執行した[19]。

2012年4月26日にリベリア内戦で人道に対する罪などを犯したとしてリベリアの元大統領チャールズ・テーラーがオランダのハーグで開かれたシエラレオネ特別法廷で国家元首経験者に対する国連設置法廷史上初の有罪判決を受けた[20]。なお、シエラレオネ特別法廷は、この裁判をリベリア国内で開廷した場合には治安・警備上の懸念があったことから、公判はオランダのハーグで実施したため、国際刑事裁判所で裁判があったとする報道があるが[21]、この法廷は、国連が設置したものであり国際刑事裁判所で裁判されたものではない。

2022年3月2日には、ロシアによるウクライナ侵攻に伴う戦争犯罪、人道に対する犯罪について、検察官による捜査開始の申立てを受け、日本の赤根智子判事を含む3名の裁判官による検討の段階に入った[22]。

確定案件

スーダンの旗 スーダンバハールイドリスアブガルダ(Bahar Idriss Abu Garda)

    現状:

        8.(2010年2月8日)予審打切り決定

 ケニア ケニヤッタ(Uhuru Muigai Kenyatta)、フランシス・キリミ・ムサウラ(Francis Kirimi Muthaura)、モハメド・フセイン・アリ(Mohammed Hussein Ali)

    現状:

        12.(2011年10月5日)証拠が不十分なため、告訴は取り下げ。検察官が新しい証拠を提出しない限り事件は終結。

リビアの旗 リビア ムアンマル・アル=カッザーフィー

    現状:

        被疑者死亡のため終了 (2011年11月22日)

スーダンの旗 スーダンムバルシマナ(Callixte Mbarushimana)

    現状:

        8.(2010年2月8日)予審打切り決定、14.(2011年12月23日)上訴棄却確定

リビアの旗 リビア アブドゥラアルセヌッシ

    現状:

        8.(2013年10月11日)予審打切り決定

 コンゴ民主共和国(ルバンガ裁判)

    現状:

        12.(2012年7月10日)14年の禁固刑、14.(2014年12月1日)上訴棄却確定

 コンゴ民主共和国(カタンガ案件)

    現状:

        12.(2014年3月7日)、12年の禁固刑、14.(2014年6月25日)上訴取下確定

 コンゴ民主共和国(ルバンガ裁判)

    現状:

        12.(2012年7月10日)、14年の禁固刑、14.(2014年12月1日)上訴棄却確定

 コンゴ民主共和国(チューイ案件)Ngudjolo Chui

    現状:

        12.(2012年12月18日)無罪、14.(2015年2月27日)上訴棄却確定

 ケニア ウィリアム・サモエイ・ルート(William Samoei Ruto)、とジョシュア・アラップ・サン(Joshua Arap Sang)

    現状:

        12.(2016年4月5日)公判を維持する十分な証拠がないとして打切り決定

マリ共和国の旗 マリ(アフマド・アル=ファキ・アル=マフディ裁判)

    現状:

        12.(2016年9月27日)、9年の禁固刑、14.(2018年3月8日)上訴棄却確定

中央アフリカ共和国の旗 中央アフリカ ベンバ

    現状:

        12.(2016年6月21日)、18年の禁固刑、14.(2018年6月8日)無罪

中央アフリカ共和国の旗 中央アフリカジャン・ピエール・ベンバ・ゴンボ、エイメ・キロロ・ムサンバ、ジャン・ジャック・マンゲンダ・カボンゴ、フィデル・ババラ・ワンドゥ、ナルシス・アリド

戦争犯罪そのものではなく、裁判中の虚偽の証言による有罪

    現状:

        14.(2018年9月17日)上訴棄却確定

 コンゴ民主共和国ンタガンダ(Bosco Ntaganda)

    現状:

        12.(2019年7月8日)、30年の禁固刑、14.(2021年3月30日)上訴棄却確定

コートジボワールの旗 コートジボワール バグボ、ブレグーデ(Gbagbo and Blé Goudé)

    現状:

        12.(2019年1月15日)、無罪、14.(2021年3月31日)上訴棄却確定

公判案件(上訴審フェーズ)

ウガンダの旗 ウガンダ オングウェン(Ongwen)

    現状:

        12.(2021年5月6日)、25年の禁固刑、:13. (2021年5月21日)

公判案件(一審フェーズ)

 ケニア ポール・ギチェル(Paul Gicheru)

    現状:

        8.(2020年12月11日)予審終結

 ケニア フィリップキプコエチベット(Philip Kipkoech Bett)

    現状:

        8.(2020年12月11日)予審終結決定。身柄確保まで事件は留保。

マリ共和国の旗 マリ(アルハッサンアグアブドゥルアジズ)

    現状:

        4.(2018年3月27日)、8.(2019年9月30日)、11(2020年7月14日)

 コンゴ民主共和国アルフレッド・イェカトムとパトリス-エドワード・ナイソナ

    現状:

        8.(2019年12月11日)11. (2021年2月16日)

中央アフリカ共和国の旗 中央アフリカ ヤクトム、ナグソナ(Yekatom,Ngaïssona)

    現状:

        11(2021年2月16日)

訴追案件(予審フェーズ)

中央アフリカ共和国の旗 中央アフリカ マハマト・サイード・アブデル・カニ

    現状:

        6(2021年1月28日)

スーダンの旗 スーダン アブド・アッラフマン(Ali Muhammad Ali Abd-Al-Rahman)

    現状:

        7.(2021年5月24日)

捜査案件(起訴フェーズ)

スーダンの旗 スーダン(ハルン・クシャイブ案件)

    現状:

        3.(2007年2月27日)、4.公開逮捕状の発行に踏み切った為なし

コートジボワールの旗 コートジボワール シモーネ・グバグボ(Simone Gbagbo)

    現状:

        4.(2012年2月29日)、5.(2012年11月22日)

 ケニア バラサ(Barasa)

    現状:

        4.(2013年8月2日)、5.(2013年10月2日)

リビアの旗 リビア ハレド

    現状:

        5. (2017年4月24日)

リビアの旗 リビアフムード・ムスタファ・ブサイフ・アル・ヴェルファッリ

5. (2018年7月4日)

付託案件(検討フェーズ)

ウガンダの旗 ウガンダ(LRA(神の抵抗軍)幹部案件)

    現状:

        5.(2005年10月13日)

スーダンの旗 スーダン(ハルン・クシャイブ)

    現状:

        5.(2007年4月27日)

※日本を含む41か国(2022年3月1日に、EU諸国、スイス、オーストラリア、ニュージランド等の39か国、3月11日に日本と北マケドニア)の付託[23][24][25]に基づく。

ウクライナはローマ規程の締約国ではないが、ローマ規程第12条(3)に従い、その領土で発生したローマ法に基づく犯罪の申し立てに対する裁判所の管轄権を受け入れる宣言を行っている[23]

 ウクライナ ( 2013年11月21日以降のすべての者によるウクライナ領域内における戦争犯罪、人道に対する罪、またはジェノサイド)

    現状:

        2.(2022年3月2日)

※国際連合安全保障理事会からは2つの事態がICC検察官に付託されている。

スーダンの旗 スーダン(ダルフール地方)オマル・ハッサン・アフマド・アル・バシール

    現状:

        5.(2009年3月4日)
        5.(2010年7月12日)

スーダンの旗 スーダン フセイン(Abdel Raheem Muhammad Hussein)

    現状:

        5.(2012年3月1日)

検討案件(調査フェーズ)

以下が検察官の自己発意(パレスチナは自己付託も行われている)で調査中で、フェーズ0である。

ジョージア (国)の旗 ジョージア

    現状:

        0.(2016年1月)

ブルンジの旗 ブルンジ

    現状:

        0.(2017年10月)

パレスチナの旗 パレスチナ

    現状:

        0.(2015年1月)
        0.(2018年3月)パレスチナの自己付託

バングラデシュの旗 バングラデシュ

    現状:

        0.(2019年11月)

ミャンマーの旗 ミャンマー

    現状:

        0.(2019年11月)

アフガニスタンの旗 アフガニスタン

    現状:

        0.(2020年3月)

被害者信託基金

国際刑事裁判所は、被害者のために以下の特徴を持つ被害者信託基金(Trust Fund for Victims)を設立している。

裁判所は、適当な場合に信託基金を通じての賠償を命令することができる。
信託基金は、個人と集団の双方を対象としている。
賠償金は、直接個人または援助組織などの団体に送られる。
賠償は、有罪の判決を受けた者だけが行うのではなく、政府・国際機関・個人からの補助金が使われる場合もある。

信託基金では、市民の支援や募金を求めている。

信託基金キャンペーンホームページ(米国連協会)
信託基金への支援活動(ヒューマンライツファースト

基金規模(2007年1月22日現在)[26]

基金総額:2,370,000ユーロ(EUR) = 約3億7,205万円(前年比:+約1億1,548万円)
誓約金額: 0ユーロ(EUR) = 約 0円(前年比:-約 4,328万円)

国際刑事裁判所の構成

主な出典:(英文)ICC-CPI公式サイト (和文)JNICCブログ「国際刑事裁判所(ICC)と日本」

裁判所長会議(The Presidency)詳細 - ウェイバックマシン(2013年4月14日アーカイブ分)
裁判部(The Chambers)詳細 - ウェイバックマシン(2013年4月14日アーカイブ分)
検察局(Office of the Prosecutor)詳細 - ウェイバックマシン(2013年4月14日アーカイブ分)
書記局(The Registry)詳細 - ウェイバックマシン(2013年4月14日アーカイブ分)

裁判所長会議

裁判所長会議(The Presidency)は、国際刑事裁判所全体の適切な運営に関する一切を一任されている。ただし、独立部門である検察局については、両部門が関わる事項についてのみ、検察官の承諾を得た上で管理を統括することができる。

構成

    人数:3名(裁判所長、裁判所第一次長、裁判所第二次長)
    選出:18名の判事全員の過半数の投票により選出される。
    任期:3年(1回限り再選可能)
    勤態:常勤
    裁判所長(President)

        ピュートル・ホフマンスキー(Piotr Hofmański、ポーランドの旗 ポーランド、男性 )-2015年3月11日-2024年3月10日

    裁判所第一次長(First Vice President)

        ルス・デル・カルメン・イバニェス・カランザ(Luz del Carmen Ibáñez Carranza、ペルーの旗 ペルー、女性 )-2018年3月11日-2027年3月10日

    裁判所第二次長(Second Vice President)

        アントワーヌ・ケシア-ムベ・ミンドゥア(Antoine Kesia-Mbe Mindua、 コンゴ民主共和国、男性 )-2015年3月11日-2024年3月10日

裁判部

裁判部(The Chambers)は、締約国会議(ASP)によって選出された18名の判事が振り分けられる各部門(Division)から構成され、各判事はこの部門を構成する各裁判部(Chamber)に振り分けられて配置される。

主要部門と任務

    予審裁判部門(詳細 - ウェイバックマシン(2013年4月14日アーカイブ分))
        7名の判事の計7名から構成。通常は事件ごとに3人の判事により事件を処理。
        捜査開始の可否の決定、捜査中止の判断、逮捕状の発行、公開審問の運営
    第一審裁判部門(詳細 - ウェイバックマシン(2013年4月14日アーカイブ分))
        6名の判事の計6名から構成。通常は事件ごとに3人の判事により事件を処理。
        必要な手続きの制定と実践、権利保証手続き、被害者及び証人の安全保護
    上訴裁判部門(詳細 - ウェイバックマシン(2013年4月14日アーカイブ分))
        5名の判事の計5名から構成。全員の判事で事件を処理。
        判断、判決の撤回・改訂、新たな裁判の実行(再審)

構成と概要

    人数: 18名 (2021年3月現在)、他に3名の任期満了した裁判官が継続中の事件について引き続き在任している。

    選出: 裁判官は締約国会議(ASP)における選挙によって選ばれる。各締約国が推薦できる候補者は1名である。

    任期: 9年(ただし、第1回の選挙で選出された裁判官は、抽選により3年間、6年間、9年間の職務に就く。補欠で選出された裁判官は、前任者の残余期間。再選はできないが、第1回の選挙で選出された裁判官で3年の在任期間とされた裁判官と、補欠で選出された裁判官で任期が3年以下となる場合は、1回の再選が可能。また第一審裁判部門及び上訴裁判部門の裁判官は、任期満了後においても継続中の事件について引き続き在任する。)
    裁判官の選出にあたって考慮される事項
        世界の主要な法体系の代表であること
        地理的均衡性
        男女の割合が公平であること
        女性及び児童に対する暴力などを含む特定の事項について法的専門知識を持つ裁判官を含めること

裁判官

2021年3月11日現在、国際刑事裁判所裁判官(Judges)の構成は、女性9名・男性9名の計18名。

出身地域はアフリカ地域4名、アジア・太平洋地域2名、西ヨーロッパ・その他地域5名、東ヨーロッパ地域3、ラテンアメリカ・カリブ地域4名である。

リストA(刑法や刑事訴訟法に関する知識・経験を有する裁判官)14名

ピュートル・ホフマンスキー(Piotr Hofmański、ポーランドの旗 ポーランド、男性 )-2015年3月11日-2024年3月10日
バートラム・シュミット(Bertram Schmitt、ドイツの旗 ドイツ、男性 )-2015年3月11日-2024年3月10日
チュン・チャンホ(Chang-ho Chung、大韓民国の旗 韓国、男性 )-2015年3月11日-2024年3月10日
ルス・デル・カルメン・イバニェス・カランザ(Luz del Carmen Ibáñez Carranza、ペルーの旗 ペルー、女性 )-2018年3月11日-2027年3月10日
ソロミー・バルンギ・ボッサ(Solomy Balungi Bossa、ウガンダの旗 ウガンダ、女性 )-2018年3月11日-2027年3月10日
赤根智子(Tomoko Akane、日本の旗 日本、女性 )-2018年3月11日-2027年3月10日
レイネ・アラピニ-ガンソウ(Reine Alapini-Gansou、ベナンの旗 ベナン、女性 )-2018年3月11日-2027年3月10日
キンバリー・プロスト(Reine Alapini-Gansou、カナダの旗 カナダ、女性 )-2018年3月11日-2027年3月10日
ロザリオ・サルヴァトー・レアイタラ(Rosario Salvatore Aitala、イタリアの旗 イタリア、男性 )-2018年3月11日-2027年3月10日
ジョアンナコーナー(Joanna Korner、イギリスの旗 イギリス、女性 )-2021年3月11日-2030年3月10日
ゴッチ・ロードキオアンジー(Gocha Lordkipanidze、ジョージア (国)の旗 ジョージア、男性 )-2021年3月11日-2030年3月10日
ミアッタ・マリア・サンバ(Miatta Maria Samba、シエラレオネの旗 シエラレオネ、女性 )-2021年3月11日-2030年3月10日
アルテア・バイオレット・アレクシス-ウィンザー(Althea Violet Alexis-Windsor、トリニダード・トバゴの旗 トリニダード・トバゴ、女性 )-2021年3月11日-2030年3月10日

リストB(国際法に関する知識・経験を有する裁判官)5名

マーク・ペリン・デ・ブリシャンボー(Marc Perrin de Brichambaut、フランスの旗 フランス、男性 )-2015年3月11日-2024年3月10日
アントワーヌ・ケシア-ムベ・ミンドゥア(Antoine Kesia-Mbe Mindua、 コンゴ民主共和国、男性 )-2015年3月11日-2024年3月10日
ペーテル・コヴァーチ(Péter Kovács、 ハンガリー、男性 )-2015年3月11日-2024年3月10日
ソコロ・フローレス・リエラ(Socorro Flores Liera、メキシコの旗 メキシコ、女性 )-2021年3月11日-2030年3月10日
セルジオ・ジェラルド・ウガルデ・ゴディネス(Sergio Gerardo Ugalde Godínez、コスタリカの旗 コスタリカ、男性)-2021年3月11日-2030年3月10日

任期満了で、継続中の事件について引き続き在任する裁判官 3名
リストA(刑法や刑事訴訟法に関する知識・経験を有する裁判官)2名

チリ・エボエ・オスジ(Chile Eboe-Osuji、ナイジェリアの旗 ナイジェリア、男性 )-2012年3月11日-2021年3月10日
ハワード・モリソン(Howard Morrison、イギリスの旗 イギリス、男性 )-2012年3月11日-2021年3月10日

リストB(国際法に関する知識・経験を有する裁判官)1名

ラウル・カノ・パンガランガン(Raul Cano Pangalangan、フィリピンの旗 フィリピン、男性 )-2012年3月11日-2021年3月10日

配属部署

2021年3月11日現在の各部署の配属は次の通り[27]。
予審裁判部門

現在、予審裁判部門(Pre-Trial Division)には7名の判事が配属されている。男女比は4対3[28]。

アントワーヌ・ケシア-ムベ・ミンドゥア(Antoine Kesia-Mbe Mindua、 コンゴ民主共和国、男性 )-裁判所第二次長
ペーテル・コヴァーチ(Péter Kovács、 ハンガリー、男性 )
赤根智子(Tomoko Akane、日本の旗 日本、女性 )
レイネ・アラピニ-ガンソウ(Reine Alapini-Gansou、ベナンの旗 ベナン、女性 )-部門長
ロザリオ・サルヴァトー・レアイタラ(Rosario Salvatore Aitala、イタリアの旗 イタリア、男性 )
ソコロ・フローレス・リエラ(Socorro Flores Liera、メキシコの旗 メキシコ、女性 )
セルジオ・ジェラルド・ウガルデ・ゴディネス(Sergio Gerardo Ugalde Godínez、コスタリカの旗 コスタリカ、男性)

第一審裁判部門

現在、第一審裁判部門(Trial Division)には、6名の判事が配属されている。男女比は2対4[29]。

キンバリー・プロスト(Reine Alapini-Gansou、カナダの旗 カナダ、女性 )
バートラム・シュミット(Bertram Schmitt、ドイツの旗 ドイツ、男性 )
チュン・チャンホ(Chang-ho Chung、大韓民国の旗 韓国、男性 )
ジョアンナコーナー(Joanna Korner、イギリスの旗 イギリス、女性 )
ミアッタ・マリア・サンバ(Miatta Maria Samba、シエラレオネの旗 シエラレオネ、女性 )
アルテア・バイオレット・アレクシス-ウィンザー(Althea Violet Alexis-Windsor、トリニダード・トバゴの旗 トリニダード・トバゴ、女性 )

上記の他、次の1名の裁判官が、継続中の事件について引き続き在任している。

ラウル・カノ・パンガランガン(Raul Cano Pangalangan、フィリピンの旗 フィリピン、男性

上訴裁判部門

現在、上訴裁判部門(Appeals Division)には5名の判事が配属されている。男女比は3対2[30]

ピュートル・ホフマンスキー(Piotr Hofmański、ポーランドの旗 ポーランド、男性 )-裁判所長
ルス・デル・カルメン・イバニェス・カランザ(Luz del Carmen Ibáñez Carranza、ペルーの旗 ペルー、女性 )-裁判所第一次長
マーク・ペリン・デ・ブリシャンボー(Marc Perrin de Brichambaut、フランスの旗 フランス、男性 )
ソロミー・バルンギ・ボッサ(Solomy Balungi Bossa、ウガンダの旗 ウガンダ、女性 )
ゴッチ・ロードキオアンジー(Gocha Lordkipanidze、ジョージア (国)の旗 ジョージア、男性 )

上記の他、次の2名の裁判官が、継続中の事件について引き続き在任している。

チリ・エボエ・オスジ(Chile Eboe-Osuji、ナイジェリアの旗 ナイジェリア、男性 )
ハワード・モリソン(Howard Morrison、イギリスの旗 イギリス、男性 )

検察局

検察局(OTP:Office of the Prosecutor)は、国際刑事裁判所を構成する4部門のうちの一つであるが、他の部門とは独立した権限を持つ。締約国会議(ASP)によって選出され、任期が9年の検察官(Chief Prosecutor)がその統括責任者を務める。人事、施設および、その他のOTPに関わる全ての資産についてその全管理運営責任を負う。

検察局には、検察官を補佐する1名の次席検察官(Deputy Prosecutor)が置かれる。次席検察官も、締約国会議(ASP)によって選出され、任期が9年であるが、検察官の指名する3人の候補者から選出されると規程されている。検察局には、訴追部門(Prosecutions Division)と捜査部門(Investigations Division)という2つの実務部門とOTP各部との連携・協力および、各国・国際機関との協力窓口業務を担う管轄、補完性及び協力統括部(JCCD:Jurisdiction, Complementarity and Cooperation Division)という1つの補佐部門の計3部門が置かれている[31]。

主要部門と任務

    捜査部門(Investigations Division)
        証拠の収集と審査、捜査対象・被害者および、証人の尋問など、捜査に関連する業務の統括・遂行

    訴追部門(Prosecutions Division)
        ICC内の各裁判部に対する起訴手続き

    管轄、補完性及び協力統括部門(JCCD:Jurisdiction, Complementarity and Cooperation Division)

        捜査部門の協力を得つつ付託案件や提供情報などの精査

        各国、各機関との協力関係の確保

検察官

検察官(The Prosecutor)

カリムAAカーンQC(Karim A. A. Khan、イギリスの旗 イギリス)

2021年6月16日-2030年6月15日

次席検察官(Deputy Prosecutor)

マメ・マンディアイ・ニアン(Mame Mandiaye Niang、 セネガルの旗 セネガル)

2022年3月8日-2031年3月8日

ナザト・シャミーム・カーン(Nazhat Shameem Khan、フィジーの旗 フィジー)

2022年3月8日-2031年3月8日

書記局

書記局(The Registry)は、国際刑事裁判所の司法的な機能以外の運営管理に関するすべてを担当する。書記局は、裁判所書記(The Registrar)と呼ばれる1人の事務官によって運営される。

構成

    人数:1名(スタッフ含まず)
    選出:判事全員による秘密投票の絶対多数を獲得したものを選出
    任期:5年(再選可能)

裁判所書記

2003年6月24日の締約国会議(ASP)において、ASP事務局(Bureau of the Assembly)の推薦により、フランスのブルーノ・カターラ(Bruno Cathala)が初代裁判所書記として任命されていたが、2008年4月9日を以って任期を満了して退任した。同年4月17日、イタリアのシルヴァーナ・アルビア(Silvana Arbia)が2代目書記として就任した。

歴代裁判所書記(The Registrar)

代 氏名 出身国 性別 任期 略歴

1 ブルーノ・カターラ(Bruno Cathala) フランスの旗 フランス 男 2003年6月24日 – 2008年4月9日 和文
2 シルヴァーナ・アルビア(Silvana Arbia) イタリアの旗 イタリア 女 2008年4月17日 – 2013年4月 和文
3 ハーマン・フォン・ヘーベル(Herman von HEBEL) オランダの旗 オランダ 男 2013年4月17日 – 2018年4月 外務省HP
4 ピーター・ルイス(Peter Lewis) イギリスの旗 イギリス 男 2018年4月17日 – 2023年4月 The Registrar

ローマ規程の主な条文

「国際刑事裁判所ローマ規程」も参照

条約正文については国際刑事裁判所ローマ規程(外務省公開の日本語訳)参照。

前文・第1条(裁判所)
国際刑事裁判所は国家の刑事裁判権を補完する。

第7条(人道に対する犯罪)第1項g
人道に対する犯罪として、「強かん、性的奴隷、強制売春、強いられた妊娠状態の継続、強制断種その他あらゆる形態の性的暴力であってこれらと同等の重大性を有するもの」が規定された。

第27条(公的資格の無関係性)
国際刑事裁判所規程は、その公的資格に関りなく、すべての者に平等に適用される。国家元首や議員、公務員であっても、規程に基づく刑事責任から免除されない。
そのため、伝統的な国際法の下では訴追できなかった現職の国家元首や閣僚であっても訴追の対象となる(このような規定は、ジェノサイド条約第4条や旧ユーゴスラビア国際戦犯法廷規程第7条にも見られる)。

第36条(裁判官の資格、指名及び選挙)8項a(iii)
裁判官の構成は、男女の割合が公平でなければならない。裁判官のジェンダーバランスが考慮された。これは、国際刑事裁判所が対象とする事態に女性に対する性的暴力が多く含まれるためである。

第43条(書記局)
書記局には、被害者及び証人部門が設置されるが、この部門には、性的暴力によるものを含む精神的外傷に関する専門知識を有する職員を置かなければならない。

第77条(適用される刑罰)1項b
適用しうる刑罰は、30年以下の有期の拘禁刑または終身刑のみで死刑はない。犯罪がきわめて重大であり、有罪とされる人の個人的事情によって正当とされる場合においても、最高刑は終身拘禁刑である。刑を執行する国は刑期終了前に受刑者を釈放してはならず、裁判所だけが減刑する決定権を持つ。

裁判所は有期刑の受刑者は刑期の三分の二、終身刑の受刑者は25年間服役した時に、減刑の可否について再審査する。裁判所は受刑者が減刑の条件に合致する場合は減刑することができる。裁判所は減刑を不許可にした場合も一定の時間ごとに減刑を再審査することができる。

国際刑事裁判所に関する議論

アメリカの姿勢

アメリカ合衆国は国際刑事裁判所規程(ローマ規程)の起草段階で重要な役割を果たしたが、ローマ規程が採択された1998年の国連外交会議では反対票を投じた。

クリントン政権時は2000年の12月31日にローマ規程に署名したものの、批准しない旨を公表していた。ブッシュ政権に移行後は、ローマ規程が発効する直前の2002年5月6日に署名を撤回している。署名の撤回は過去に例がなく、署名を撤回することが国際法上可能であるかという問題を含め、多くの議論を呼んだ。批准書の付託業務を請け負う国際連合事務局の条約局(Treaty Division)は、アメリカ政府の署名撤回の申し出を正式に受理していない[32]。

アメリカは、国際刑事裁判所(以下「ICC」)は政治的に利用される恐れがあるとして、ICCに対して強硬な姿勢をとっている。これは自国軍将兵が戦闘区域での不法行為(主として非戦闘員の殺害など)により訴追される事を防ぐ為、ひいては自国の無謬性を主張する為と見られる。対ICC政策としては、アメリカは以下の政策を実施している。

二国間免責協定(BIA)の締結:アメリカは、自国民をICCに引き渡さないことを約する二国間免責協定(BIA:Bilateral Immunity Agreement)の締結を各国に要請している。

この協定は双務的な協定ではなく、米軍兵士、政府関係者ならびにすべての米国籍保有者を保護する目的で同協定の締約国にICCへの引渡しを拒否するよう求める片務的なもの(解説)。

国際連合平和維持軍(PKO)の訴追免責の確保:アメリカは、安全保障理事会で国際連合平和維持軍(PKO)の訴追免責を認める一連の決議(決議1422を2002年[33]、決議1487を2003年[34])を採択している。2002年の決議は2003年に一度更新されたが、2004年はイラクにおけるアメリカ軍の捕虜の取り扱いが問題となり(→強制収容所、グァンタナモ米軍基地)、アメリカは決議更新の提案を断念、更新されなかった。

米国軍人保護法(ASPA)の制定:アメリカは、ICCに対する協力を禁止し、アメリカ国民にICCからの訴追免責を与える米国軍人保護法(ASPA:American Servicemembers' Protection Act)を制定している。

ASPAでは、アメリカとBIAを結ばない国(NATO諸国及び一部の同盟国を除く)に対する軍事援助を停止することも規定されている。さらに2004年には、アメリカとBIAを締結していないローマ規程の締約国に対する経済援助を停止するという修正案(ネザーカット修正, Nethercutt Amendment)が合衆国議会で可決され、12月8日、ブッシュ大統領がこれに署名した。

2008年6月20日、米国政府はBIAの締結を拒否する14のICC締約国に対する経済支援の停止措置(ネザーカット修正)の適用を免除する大統領令が発令されたことを発表。その政策面でも米国の反ICC政策の軟化傾向が明らかになってきている[35]

2010年5月31日、米国政府はICCの締約国会議に公式オブーザーバー参加し代表団を派遣。帰国後の6月15日、同会議について、とくに侵略犯罪の議論に関する特別ブリーフィングを行い、その定義及び適用について「最も非道な犯罪が行われた事態についてのみ適用されるべきであるという理解に達することができたことを評価する」とした[36]。→侵略犯罪

2020年6月11日、ドナルド・トランプ米大統領はICCがアフガニスタン戦争に従事した米兵らへの戦争犯罪捜査を承認した[37]ことへの対抗措置として、米国民への捜査や訴追に関与したICC当局者への制裁を可能にする大統領令に署名した[38]。

2020年9月2日、アメリカ大統領令第13928号による制裁対象として、ファトゥ・ベンソーダICC検察官及びファキソ・モチョチョコICC検察局管轄権・補完性・協力部長を指定。アメリカ国民を捜査する国際刑事裁判所の取組に関与する特定の個人(certain individuals)への査証発給の禁止[39]。

2021年4月3日、アメリカ政府が国際刑事裁判所関係者に対する制裁措置の解除を発表[39]。

その他の国の姿勢

1998年の国際連合全権外交使節会議でローマ規程の採択に反対票を投じた国は以下の7か国である。

アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国

中華人民共和国の旗 中国

中国は、補完性の原則を正確に反映していない条文が規程に含まれていることに懸念を示してローマ規程の採択に反対した[40]。

イスラエルの旗 イスラエル

イスラエルは、2002年8月28日に、国際連合事務総長に対して署名撤回の通知書を送付したが国際連合の条約局はアメリカ合衆国の場合と同様、この通知を正式に受理していない[41]。

イラクの旗 イラク
リビアの旗 リビア
カタールの旗 カタール
イエメンの旗 イエメン

また同会議では21か国が棄権しており、そのうち、インドとシンガポールの2か国は以下のことをその棄権理由としている[42]。

インドの旗 インド - 戦争犯罪の要素として大量破壊兵器(WMD:Weapons of Mass Destruction)を含むことを望んだが、国際刑事裁判所規程(ローマ規程)草案には含まれていたWMDを構成する生物兵器及び化学兵器が、採択の際には削除されたため。
シンガポールの旗 シンガポール - ローマ規程における最高刑が終身刑であり、死刑は科されないことについて、凶悪犯罪についても一切死刑が課されないことに疑問があるため。

1998年以後、ローマ規程の採択後も、ICCに対する反対を表明し続けているのは、イスラエル、インド、ジンバブエ、スーダンの4か国である。

ローマ規程の採択時に反対票を投じた国のうち、アメリカは国益を損なうという懸念から近年は軟化傾向にある。カタール、イエメンの両国は、近年は締約国会議(ASP)に出席するなど反対姿勢を変化させている。しかしイエメンの場合は、いったんは国際刑事裁判所規程(ローマ規程)への加盟を議会が承認することで賛成に転じたものの、後の再採決では否決に転じているため、他のイスラム諸国で同様の動きが発生することが懸念されている[43]。

2013年10月には、大統領ウフル・ケニヤッタが訴追されたケニアがアフリカ連合に対し首脳特別会議招集を要請。狙い撃ち訴追されているとの不満が連合加盟諸国にあり、ローマ規程から集団脱退すべきとの声も出ているという。議長国のエチオピア代表は特別閣僚会議で「ICCの“不公平な扱い”は受け入れられない」と批判した[44]。』

ロシア軍兵士の公判開始、戦争犯罪裁く初の事例

ロシア軍兵士の公判開始、戦争犯罪裁く初の事例
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR13F590T10C22A5000000/

『【ブリュッセル=竹内康雄、イスタンブール=木寺もも子】ウクライナの首都キーウ(キエフ)で13日、同国の民間人を殺害したとしてロシア兵、ワディム・シシマリン被告の初公判が開かれた。ウクライナに侵攻したロシア軍の戦争犯罪を裁く初の事例。有罪なら終身刑の可能性もある。

21歳のシシマリン被告は2月28日、ウクライナ北東部で車内から非武装の民間人男性に発砲し殺害した罪を問われている。自ら投降し罪を認めているという。次回の公判は18日に予定する。同国の検察当局はロシア軍による大規模な戦争犯罪について捜査しており、容疑者特定を進めている。

一方、ウクライナ軍は13日までに、同国東部ドンバス地方の掌握を狙いドネツ川を渡ろうとしたロシア軍を、浮橋を破壊することで阻止した。AP通信が伝えた。

英国防省によると、ロシア軍は渡河の失敗で重要な部隊と設備を失った。戦闘下での渡河はリスクが高いとした上で「ロシア軍の司令官がウクライナ東部での作戦を進展させるためにプレッシャーを受けていることを示している」と分析した。

西側諸国はウクライナ支援を強化している。欧州連合(EU)のボレル外交安全保障上級代表は13日、ウクライナに5億ユーロ(約670億円)相当の追加軍事支援を供与すると表明した。ウクライナ侵攻後、EUの支援は20億ユーロにのぼる。

ウクライナ支援を巡っては、米議会下院が10日に約400億ドルの追加予算案を可決。ドイツで開催中の主要7カ国外相会合でもウクライナ支援が議題になっている。

【関連記事】
・ロシア兵が背後から民間人殺害 米報道、戦争犯罪で捜査
・ウクライナ検事総長、戦争犯罪「9000件以上捜査」
・ロシア「戦争犯罪」、試される国際連携 ICC捜査開始 』

WHO、中国のゼロコロナ規制「持続可能ではない」

WHO、中国のゼロコロナ規制「持続可能ではない」
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR10ERX0Q2A510C2000000/

『【パリ=白石透冴】世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長は10日、新型コロナウイルスを徹底して抑え込む中国政府の「ゼロコロナ規制」について「持続可能ではない」と批判した。WHOが特定の国のコロナ対策を批判するのは珍しい。

テドロス氏は記者会見で「ウイルスの振る舞いを考えると、ゼロコロナ規制は持続可能ではないと考えている。今はいい対策もそろってきている」と指摘した。「中国の専門家と議論し、規制が持続可能ではないと伝えた」ことも明らかにした。

感染力が強いが毒性が下がった変異型「オミクロン型」の拡大とともに、世界の多くの国は対策を緩めてウイルスとの共生を探った。だが中国は感染件数を限りなく減らす対策にこだわり、上海市の都市封鎖(ロックダウン)などを決めている。中国政府は反対意見をネット上から削除するなどしており、WHOの勧告を受け入れる可能性は現時点では低そうだ。

一方、WHOの欧州域内加盟国は同日特別会合を開き、ロシアによるウクライナ侵攻で公衆衛生の危機が起きていると非難する決議を賛成多数で可決した。ロイター通信が報じた。WHOのロシア拠点閉鎖や、欧州加盟国の会合へのロシアの参加禁止などを検討する内容となっている。欧州主要国が賛成し、ロシアとベラルーシ、タジキスタンは反対した。』

ルールってなんだ?超国家組織EUのルールの作り方

ルールってなんだ?超国家組織EUのルールの作り方
https://note.com/osintechofficial/n/nc9e14d4c0afb

『 *本記事は2020年に弊社ウェブサイトにて公開していた連載の再掲です*

色々なルールで世界をリードしようとしているかに見えるEU。

今日は、超国家組織EUが域内のルールをどうやって作っているのかをご紹介します。

・・・・・・・

EUは、

・加盟国の選抜官僚による『欧州委員会』という役所
・市民の直接選挙で選ばれる『欧州議会』という国会的なもの
・加盟国の政府から代表1名が出席する『閣僚理事会』

を有しています。

※なお、閣僚理事会は、トピックによって参加者を変えることができます。

なので、事実上二院制の立法と言えます。

画像1

≪立法プロセス≫
1.役所(欧州委員会)が法案を提出
2.欧州議会で修正を協議し、閣僚理事会に提出
※ 以下、理事会の修正がなければ、その時点で成立
3.閣僚理事会が修正を協議し、「共通の立場」を表明、欧州議会に戻す

  4.欧州議会は、修正を行って、閣僚理事会に再提出
5.閣僚理事会が、さらに修正を必要とする場合、欧州議会との調停へ

(ちなみに、議員立法は存在しません。)

欧州議会はEU全域のことを考える。

閣僚理事会は各国政府を代弁する、という明確な役割分担があるということですね。

国を集めて連邦制のような形になると、閣僚理事会のような「各国政府の立場」を考慮し、意見する、もう一つの代表機関が必要になってくるのでしょう。

・・・・・・

日本も二院制です。しかし、日本における衆議院の優越のような仕組みは、欧州議会と閣僚理事会の間には存在せず、対等を旨とするようです。

「民主主義は最悪の政治といえる。これまで試みられてきた、民主主義以外の全ての政治体制を除けば、だが」

とは英国首相チャーチルの言葉。

人間が集団で一つのことを決めるための試行錯誤。

組織の形は、それぞれの国や地域が少しでも良い社会をと、権力や人間のエゴと格闘してきた結果、とも言えるのではないでしょうか。

歴史も、意思決定の仕組みの変遷という切り口で見直すと、なかなか面白いものがあります。インターネットやAIという武器を持つ我々の世代は、これからどのように集団のルール作りのデザインを進化させていけるのでしょうか。

ともあれ、海外を知ることは自分を知ることとなり、面白いですね!

*参考*

日本貿易振興機構(ジェトロ)2017年3月「EU のルール形成に関する調査報告書」

藤井俊彦、『競争戦略としてのグローバルルール 世界市場で勝つ企業の秘訣』東洋経済、2012年

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EUの法律はどのように決められていますか?

EUの法律はどのように決められていますか?
https://eumag.jp/questions/f0813/

『Q1. EUの立法府は欧州議会ですか?

日本では国会が立法府で、法案は政府または国会議員によって提出され、国会(衆議院と参議院)の議決によって法律が制定されます。このため、欧州議会という呼称から、欧州連合(EU)の立法府は欧州議会ではないかと思われがちです。

しかし、EUの立法プロセスは極めて特殊で、基本的に、欧州委員会が提出した法案を、EU理事会(閣僚理事会)欧州議会共同で採択しています。

元々、法案の修正・否決・最終的な採択という立法権限を手にしていたのは、EU理事会だけで、欧州議会の役割はあくまでも諮問的なものでした。しかし、1979年から欧州議会議員が市民の直接選挙で選ばれるようになり、直接に選挙されたという正統性を得て、欧州議会は呼称に相応しい権限を求め続け、リスボン条約に至る一連の基本条約の改正過程で、欧州議会は理事会との共同立法権を大部分の政策領域で獲得してきました。

現在では、議会と理事会が立法権を共同で行使しています。このため、EUの立法府はEU理事会と欧州議会であると言えます。
Q2. 具体的にはどのような立法手続きが行われているのでしょうか?

まず、法案提出権は、特別の場合を除いて、欧州委員会独占しています。欧州議会もEU理事会も、欧州委員会に法案提出を要請することはできますが、提出するか否かは欧州委員会の裁量です。もちろん、欧州委員会は、加盟国、地方自治体、関係業界、NGOなど多様なアクターと公式・非公式のルートを使って事前に意見を聴き、協議して、法案を作成し、立法がスムーズに行われるよう配慮しています。

EUの立法手続きには、欧州議会共同決定を必要とする「通常立法手続き」とそうではない「特別立法手続き(諮問手続きと同意手続き)」との2種類があり、ほとんどの場合は「通常立法手続き」が用いられています。特別立法手続きのうち、諮問手続きは最初から欧州議会に付与されていたもので、欧州委員会の提案後、欧州議会の諮問を経て、EU理事会が法案を採択します。欧州議会の賛否表明や修正案には法的拘束力がありません。同意手続きは、1987年発効の「単一欧州議定書」(Single European Act=SEA)によって初めて導入されたもので、EU理事会が採択しようとする決定には欧州議会の同意が必要になります。ただし、欧州議会は賛否の表明はできますが、理事会の立場に修正を求めることはできません。

通常立法手続きにおける欧州議会での審議は、三読会制が採られています。まず、第一読会で法案が審議され、EU理事会に修正案が提出されます。EU理事会は賛否を決定し、法案が修正された場合は第二読会が開かれます。第二読会でも欧州議会と理事会が合意できない時には調停委員会が開催されます。ただ、実際には第一読会で、理事会・欧州議会・欧州委員会の各代表が非公式に「三者対話」を行い、なるべく第一読会での合意を目指す努力がなされており、第一読会での立法成立件数の割合は最近では約80%に上っています。

EU理事会での決定は、全会一致を必要とする少数の案件を除いて、多くが各加盟国に割り振られた加重票(票数はおおまかに各加盟国の人口を反映)を用いた特定多数決で行われ、議案の採択には国別352票中260票以上、加盟国数の過半数(15カ国以上)、EU人口62%以上(参加構成員から要請があった場合などに適用)の三重の要件を満たす必要があります。将来的には加盟国数の55%(15カ国)以上とEU人口の65%以上の二重多数決制に移行することが予定されています。※その後、2014年11月1日より、二重多数決制に移行しました。
Q3. 欧州理事会(首脳会議)は、EUの立法に関与しているのですか?

EUの最高意思決定機関として、一般的な政治方針や優先順位を決定する欧州理事会は、元々非公式会合であり、基本条約の枠外で開催されていました。1974年12月のパリ首脳会議で常設化が決定され、1975年3月のダブリン会議を第1回に、年3〜4回のペースで開催されてきました。1987年、SEAによって初めて明文化され、2009年発効のリスボン条約で初めてEUの主要機関として制度化されました。

欧州理事会は、EUの最高意思決定機関として、対外政策を含めて一般的な政治的方針を定めますが、立法的な機能は行使しません。しかし、閣僚レベルの理事会で合意できないセンシティブな立法問題に関して協議を行い、会議場の内外で妥協を探り、問題解決の場としても機能してきました。なお、欧州理事会での政治的合意は、後にEU理事会によって正式に決定されます。
Q4. 各国の議会やEU市民も立法プロセスに参加できますか?

EU法令には「規則」(Regulation)、「指令」(Directive)、「決定」(Decision)の3種類があり、「指令」であれば、国内法化を必要とし、それにあたり国内議会が立法を行います。しかし、各加盟国の国内法に優先する「規則」や対象者に直接拘束力を持つ「決定」については、国内議会はバイパスされます。つまり、EU立法において、加盟国議会が果たす役割は限定されているのです。

しかし、リスボン条約は、国内議会に対して新たに「補完性監視」権限を付与しました。各加盟国の議会は、欧州委員会から立法提案の送付を受け、それが補完性原則(「EUと加盟国は権限をどう分担していますか?」で説明しています)に適合していないと判断する場合には、送付から8週間以内に異議申し立てを行えるようになりました。加盟28カ国の国内議会には、それぞれ持ち票(一院制2票、二院制各院1票)があり、異議申立票が総票数(56票)の3分の1(19票)を超えた場合、欧州委員会に対して立法提案見直しを求めることができます(警察・刑事司法協力、自由・安全・司法領域での行政協力については4分の1以上)。欧州委員会は、再検討を行い、理由を付して提案を維持・修正・撤回を行います。国内議会が、過半数(29票)以上で見直しを提案した場合には、欧州議会およびEU理事会も関与し、立法提案が補完性原則に適合しているかどうかを審査します。

一方、EU加盟国の市民は、「EU市民権」の一部として、欧州議会議員選挙に投票したり、欧州議会へ請願したりする権利を持っていましたが、リスボン条約では「欧州市民イニシアティブ」が初めて認められました。つまりEU市民が欧州委員会に対して法案提出を要請する手続きが定められたのです。発議の条件としては①少なくとも7つの異なる加盟国に居住する7人以上が発議を取りまとめる市民委員会を組織している ②発議には少なくとも100万人の有資格署名者の支持がある(少なくとも全加盟国の4分の1からの出身者の支持、および4分の1の加盟国でそれぞれの最低人数の支持が必要になる)。

市民の発議について欧州委員会は必ず立案する義務はありませんが、案を検討しそれについてどのような行動を取るかを決定しなければなりません。正当な理由なしに無視することは政治的なリスクを伴い非常に困難な選択となります。こうした権利の獲得は、より市民に近いEUを構築するために行われた一連の基本条約の改正の結果だと言えるでしょう。

参考文献:庄司克宏『新EU法 基礎編』岩波書店、2013年

執筆=田中俊郎(慶應義塾大学名誉教授、ジャン・モネ・チェア)』

安保理、ウクライナ巡り初の声明採択「平和維持に懸念」ロシアによる侵攻から70日以上経過

安保理、ウクライナ巡り初の声明採択「平和維持に懸念」
ロシアによる侵攻から70日以上経過
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN06B8O0W2A500C2000000/

『【ニューヨーク=吉田圭織】国連の安全保障理事会は6日、ロシアによる侵攻が起きてから初めてウクライナに言及する議長声明を採択した。声明では「ウクライナにおける平和と安全保障の維持に深い懸念」を表明した。ただし、侵攻が始まってからすでに70日以上がたっている。ロシアの拒否権行使で非難決議などの対応がとれなかった安保理は機能不全に陥っていると批判されている。

声明では、直近のグテレス事務総長のロシア、ウクライナ訪問を踏まえ「平和的な解決策に向けた(国連の)事務総長の努力に強い支持を表明する」とも強調した。声明を提案したメキシコのデ・ラ・フエンテ国連大使とノルウェーのユール国連大使は採択後に記者団に対して共同声明を発表し「安保理が一致して、国連と事務総長の外交的な解決策を探る努力を支持していると示した」と述べた。

グテレス氏は声明の採択を受け「(安保理の)支持を歓迎する。人命を救い、苦しみを軽減し、平和の道を見いだすための努力は惜しまない」とする声明を発表した。

安保理の声明採択には15理事国全ての賛同が必要となる。今回の声明についてはロシアの賛同も得た。議長声明に法的拘束力はないが、国連の公式文書として残る。

安保理外交筋によると、声明の当初案ではグテレス氏によるロシアとウクライナの「仲介」にも言及していた。だが、ロシアが文言の削除を要請し、言及部分はなくなったという。

声明の採択が安保理内の隔たりを解消する可能性は低い。ロシアは6日、ウクライナが国際人道法違反や戦争犯罪を起こしていると主張する非公式の安保理会合を開催した。各国からは「偽情報だ」との批判が相次いだ。

【関連記事】

・安保理の拒否権に説明責任 国連総会が決議採択
・国連総長「人道回廊実現へ全力」 ゼレンスキー氏と会談
・自民、首相に国連改革提言

国連総長、北朝鮮のミサイル発射批判「緊張高めるだけ」

国連総長、北朝鮮のミサイル発射批判「緊張高めるだけ」
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN043NC0U2A500C2000000/

『【ニューヨーク=吉田圭織】国連のグテレス事務総長は4日、北朝鮮による新たな弾道ミサイルの発射について「地域的・国際的な緊張を高めるだけだ」と批判した。ドゥジャリク事務総長報道官が定例の記者会見で伝えた。

グテレス氏は「北朝鮮に対し、安全保障理事会の決議に基づき、国際的な義務を完全に順守するよう要請する」と強調した。「外交は持続可能な平和と朝鮮半島における完全かつ検証可能な非核化を可能とする唯一の経路だ」とも述べ、対話を促した。

北朝鮮によるミサイル発射実験は2022年に入って13回目となった。3月には大陸間弾道ミサイル(ICBM)も発射し、米国は北朝鮮に対する国連安保理の制裁を強化する決議案を準備している。

米国のトーマスグリーンフィールド国連大使は3日の記者会見で「決議に関する行動を今月進める予定だ」と明らかにした。「北朝鮮が何度も安保理決議に違反している状況を憂慮しており、安保理が一丸となって北朝鮮の行為を非難できることを希望している」と話した。

米国は17年に採択された安保理の決議を根拠に、新たな決議案の準備を進めている。17年の決議にはICBMを発射した際には「北朝鮮への石油の輸出をさらに制限する行動をとることを決定する」と警告する文言が含まれている。』

ロシアがウクライナ首都にミサイル攻撃、国連事務総長の訪問中

ロシアがウクライナ首都にミサイル攻撃、国連事務総長の訪問中
https://nordot.app/892529997594214400?c=388701204576175201

『[キーウ(キエフ) 28日 ロイター] – ウクライナ当局によると、ロシアが28日夕、国連のグテレス事務総長が訪問中の首都キーウ(キエフ)に向けミサイル2発を発射した。

このうち1発は民間住宅の低層階を直撃し、少なくとも3人が負傷した。

爆発は、グテレス氏がウクライナのゼレンスキー大統領との会談を終えた後に発生。

グテレス氏はポルトガルの放送局RTPに対し、「キーウで攻撃があったことにショックを受けた。自分がここにいるからではなく、キーウはウクライナ国民にとってもロシア国民にとっても聖地であるためだ」と述べた。

グテレス氏とゼレンスキー氏の会談では、ウクライナ南部マリウポリにあるアゾフスターリ製鉄所からの民間人の退避実現が議題となった。グテレス氏は民間人避難に向け国連が「全力を尽くす」と言明した。

ロシア軍が包囲する同製鉄所には、数百人のウクライナ軍兵士が立てこもって抵抗を続けているほか、民間人も身動きができなくなっている。

南東部ドネツク州のキリレンコ州知事によると、ロシアは同製鉄所からの負傷兵の避難を妨げている上、人道回廊を確保する取り組みも妨害しているという。

こうした中、バイデン米大統領は28日、ウクライナ支援に向けた330億ドルの追加予算の計上を議会に求めた。追加予算には200億ドルを超える軍事支援、85億ドルの直接経済支援、30億ドルの人道・食料支援が含まれている。

これに対しゼレンスキー大統領は米国民とバイデン大統領に謝意を表明。ビデオ演説で「米議会がこの要請を速やかに承認してくれるよう望む」と述べた。』

ロシアが脱退表明 ウクライナ侵攻で資格停止採決へ―国連観光機関

ロシアが脱退表明 ウクライナ侵攻で資格停止採決へ―国連観光機関
https://www.jiji.com/jc/article?k=2022042800011&g=int

『【パリ時事】国連世界観光機関(UNWTO)のポロリカシュビリ事務局長は27日、マドリードの本部で開かれた臨時総会で、ロシア政府が脱退の意向を表明したと明らかにした。

G20サミットに招待 議長国インドネシアから―ウクライナ大統領

 臨時総会は、ウクライナ侵攻を続けるロシアの加盟資格停止の是非を採決するため、28日まで2日間の日程で開催されている。

AFP通信によれば、UNWTOはロシアの脱退表明を受けても採決を行う。決定には約160加盟国の3分の2の賛成が必要という。 』

世界銀行

世界銀行
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%96%E7%95%8C%E9%8A%80%E8%A1%8C

『世界銀行(せかいぎんこう、英語: World Bank)とは、世界銀行グループが保有する5つの国際機関のうち、国際復興開発銀行(IBRD)と国際開発協会(IDA)の総称であり、低・中所得国の政府に対して資本プロジェクトを進めるために融資や助成金を提供する国際金融機関である。1944年のブレトン・ウッズ会議で、国際通貨基金とともに設立され、1947年にフランスに最初の融資を行った。1970年代は途上国への融資が中心だったが、1980年代には途上国への融資から脱却した。この30年間は、NGOや環境保護団体も融資対象に加えている。融資戦略は、ミレニアム開発目標や環境・社会保障制度の影響を受けている。

世界銀行は、総裁と25人の専務理事、29人の副総裁によって運営されている。IBRDとIDAはそれぞれ189カ国と174カ国が加盟している。米国、日本、中国、ドイツ、英国が最も多くの議決権を持っている。IBRDは貧困削減のために途上国への融資を目的としている。また、グローバルなパートナーシップやイニシアティブに参加し、気候変動への対応にも取り組んでいる。世界銀行は多くのトレーニングウィングを運営しており、クリーンエアイニシアチブや国連開発事業とも連携している。また、オープンデータイニシアティブの中で活動し、オープンナレッジリポジトリをホストしている。

世界銀行は、インフレを促進し、経済発展に害を与えていると批判されている。その統治方法も批判されている。世銀に対する大規模な抗議運動もあった。また、Covid-19パンデミックに対する世銀の対応にも批判がある。 』

『沿革

1944年7月のブレトン・ウッズ会議で、国際通貨基金と共に設立が決定された国際復興開発銀行は、翌1945年に実際に設立され[1]、1946年6月から業務を開始した。

設立当初、国際通貨基金は国際収支の危機に際しての短期資金供給、世界銀行は第二次世界大戦後の先進国の復興と発展途上国の開発を目的として、主に社会インフラ建設など開発プロジェクトごとに長期資金の供給を行う機関とされ、両者は相互に補完しあうよう設立された。ソビエト社会主義共和国連邦は決定には賛成したものの条約を批准せず、出資金を払い込まなかったために加盟できず、冷戦終結にいたるまで、世界銀行の社会主義圏における活動は低調なものとなった。

最初の融資は、フランスをはじめとする第二次世界大戦で戦災を受けた西ヨーロッパ諸国であったが、こうした先進諸国の復興は、設立間もない世界銀行の資金力では到底追いつかず、1947年にアメリカ合衆国によるマーシャル・プランが開始されると、世界銀行は発展途上国の開発資金援助に特化した。

1948年の世界銀行の融資額は3億7800万ドル、同年度のマーシャル・プランの融資額は40億ドルを超えており[2]、アメリカが直接西欧諸国の復興に資金を供出した方がはるかに有効だったからである。またアメリカ合衆国が主導権を握っていることとソ連の不参加から、世界銀行の融資はそのまま西側の支援の一角となった。世界銀行はこの方針転換のため、一時直接的な融資よりもそのための調査を重点に行うようになり、1958年まで1948年度の融資額を越えた年が存在しないなど、1950年代を通じて融資額は低調となった[3]。

1950年代と1960年代を通じて、融資総額の半分以上がインフラストラクチャーへの投資で占められているなど、融資は大規模プロジェクトへのものが中心を占めていた。このころの世界銀行の主要貸し出し国のひとつは日本であった。1952年に世界銀行に加盟した後、1953年から日本の借り入れが始まり、合計8億6,000万ドルを借り入れ、その資金は東海道新幹線や名神高速道路・東名高速道路などのインフラの整備に充てられた[4]。

やがて、日本の経済成長とともに、途上国から順調な経済成長にもかかわらず世界銀行からの融資を受け続けていることへの批判が高まったことを受け、1967年には経済成長によって投資適格国から卒業し、以後新規融資は停止されることとなった。その後日本は世界銀行への純出資国となり、出資割合も経済の成長とともに急激に伸びていって、1971年には日本は5大出資国の1つとなって理事一人を自由に任命することができるようになった。世界銀行への残存債務も返済は順調であり、1990年7月には世界銀行からの借金を全額返済することとなった[5]。

1968年にロバート・マクナマラが第5代世界銀行総裁に就任すると、世界銀行の姿勢は大きく変化した。彼は1968年の総会で、融資の額を69年からの5年間で以前の5年間の倍にすると表明し[6]、彼の元で世界銀行は急速に貸付を拡大し、それまでの22年間の総融資額よりも、マクナマラの最初の一期四年の融資総額の方が大きくなるなど[7]大きな影響力を持つようになった。

それまでの財源の中心であった各国の拠出金に変わり、マクナマラは世界銀行債を積極的に発行することで市場から資金を調達することに成功し、以後世界銀行の独立性は高くなった[8]。この拡大路線の中で、それまで融資対象に含まれていなかった教育など社会分野にも融資が行われるようになった。

また国際通貨基金も、1970年代以降為替変動相場制を採用する国が増加したのに伴い、加盟国の国際収支から国内金融秩序安定へその監視助言業務の比重を次第に移し、途上国への融資をその任務に含めるようになっていった。この融資拡大は各途上国の債務残高を増大させ、1980年代以降、開発途上国で債務問題がしばしば発生する原因となった。また旧社会主義諸国が次々と市場経済制度に移行するに至り、開発途上国の金融制度に関する分野では、その業務にIMFと一部重複も見られるようになった。

開発途上国の債務問題に関しては、世界銀行は1980年からIMFと共同で経済危機に陥った途上国に対し、経済支援の条件として構造調整政策の実施を行うよう求めた。これは、肥大化した公的セクターの縮小や各種補助金や公務員の給与の削減によって支出の削減を行うとともに、経済を自由化させて自由競争の下で経済を成長させようというものだった。

しかし、公的部門の縮小によって失業が増大し、教育や医療などの質的低下によって社会不安が増大するなどといった悪影響が大きく、特にアフリカにおいては多くの国で構造調整後も経済の沈滞は悪化する一方で、政策は必ずしも成果を挙げていない[9]。さらに民間融資の低迷によって世界銀行及びIMFからの融資が後発途上国への融資の大部分を占めることとなってしまい、さらに先進国も融資条件として構造調整政策の実施を前提として求めたため[10]、この両機関の意向が途上国経済を左右することが可能となってしまい、内政不干渉の原則にはずれるとの批判の声も上がった[11]。

また、従来推進してきた大規模プロジェクトにおいて、その非効率性や環境への影響が指摘されるようになり、それへの対応策として世界銀行は各地のNGOと共同でプロジェクトを行うことが多くなっていった。この動きを推進したのが1995年に総裁に就任したジェームズ・ウォルフェンソンであり、またこの時期に組織改革も行われた。2005年にはポール・ウォルフォウィッツが総裁に就任したが、スキャンダルによって[12]2007年に失脚した。

世界銀行の規模が大きくなるにつれ、それを補完する機関が必要となっていき、その結果、1956年には世界銀行では融資できない民間企業に融資を行う国際金融公社が設立され、ついで1960年には世界銀行からの借り入れもできない貧しい発展途上国向け融資を目的とした国際開発協会ができ、1966年にはさらに発展途上国と外国投資家との紛争を仲裁する国際投資紛争解決センターが、最後に途上国への投資に対し保証を与え、さらにサービスや助言をも与える多国間投資保証機関が1988年に設立されて、現在の世界銀行グループが形成された。 』

『世界銀行グループ
詳細は「世界銀行グループ」を参照

世銀には関連の国際機関が5つあり、それを総称して世界銀行グループと呼ばれている。

世界銀行グループを形成する機関は、以下の5つである。

・国際復興開発銀行(英語: International Bank for Reconstruction and Development、IBRD)

主に中所得国に対して開発資金を融資する役割を持つ。開発資金の多くは金融市場にて世界銀行債を発行することによって調達される。最初に成立した世界銀行グループの機関であり、もっとも狭義の世界銀行という名称はこの銀行のみを指す。

・国際開発協会(英語: International Development Association、IDA)

国際復興開発銀行の融資基準に満たない貧しい国に開発資金を供給する。第二世界銀行とも呼ばれる。貧困国向けの融資であるため融資条件は国際復興開発銀行に比べ緩和されており、しばしば贈与も行われる。開発資金の多くは先進各国からの拠出金によってまかなわれている。世界銀行という呼び名が使用される場合、国際復興開発銀行と国際開発協会の両行を指して呼ぶことが一般的である。

・国際金融公社(英語: International Finance Corporation、IFC)

国際復興開発銀行・国際開発協会の融資は政府向けのものに限られるため、そこからは融資できない途上国の民間企業向けの融資を行う機関である。

・多国間投資保証機関(英語: Multilateral Investment Guarantee Agency、MIGA)

途上国への融資に保証を与えることで、外国からの融資を促進するための機関である。

・投資紛争解決国際センター(英語: International Center for Settlement of Investment Disputes、ICSID)

発展途上国と外国投資家との投資紛争を仲裁するための機関である。 』

『組織

世界銀行の意思決定機関は、総務会である。総務会はすべての加盟国から総務1人と代理1人が参加する。総務と代理には、各国の蔵相や中央銀行総裁が選ばれることが多い。各国は出資比率にもとづき、保有する世界銀行株1株につき1票の投票権を持つ。2010年、もっとも票数が多いのはアメリカ合衆国で、総票数の15.85%を持つ。次いで票数が多いのは日本で6.84%を占め、以下、中国4.42%、ドイツ4.00%、イギリス3.75%、フランス3.75%、インド2.91%、ロシア2.77%、サウジアラビア2.77%、イタリア2.64%の順となっている。総務会は、国際復興開発銀行と国際開発協会、それに国際金融公社をまとめたものがひとつと、多国間投資保証機関のみを統括するものがひとつある。なお、各機構への出資額が違うため、同じ総務会でも機構ごとに各国の所持する票数は異なる。

総務会はIMFとともに年に一度総会を行い、ここで各種決定を行う。総会は3回のうち2回はIMFおよび世界銀行の所在地であるワシントンDCで行われ、1回、3年に1度はそれ以外の加盟国で行われるのが慣例となっている。2012年度の総会は開催されるはずであったエジプトでアラブの春による政情不安が起きて開催を返上したため、東日本大震災からの復興をアピールするために日本が立候補し、2011年6月6日に日本開催が決定された。こうして、2012年の10月12日から10月14日にかけて東京で総会が行われることとなった[13]。

総務会は、権限のかなりを理事会に委任している。理事会は、最大出資国5カ国(2010年までは、アメリカ、日本、ドイツ、イギリス、フランス)から1人ずつと、そのほかの国から選ばれた19人のあわせて24人で構成される。この19人は加盟国を主に地域別にまとめた選挙区から選出される。中国やロシア、サウジアラビアといった拠出額の大きな国は単独の選挙区を持っているが、英語圏アフリカとフランス語圏アフリカはそれぞれひとつの選挙区となっているなど、出資額の少ない多くの国は大きな選挙区に属している。

世界銀行には各国が出資金を払い込んでいるが、実際には国際復興開発銀行は開発資金のほとんどすべてを、金融市場にて世界銀行債を発行することで調達している。これは、国際復興開発銀行の融資対象が中所得国が中心であり、創設以来黒字を上げ続けていることもあって融資の回収の見込みが立っているためである。それに対し、低所得国を融資対象とする国際開発協会は信用度が低く、資金の多くは参加国からの出資金によってまかなわれている。

国際復興開発銀行・国際開発協会ともに融資対象国のリストを作成しており、基本的に国際復興開発銀行は中所得国、国際開発協会は低所得国をその対象としているが、各国の信用度によっては中所得国が国際開発協会の対象となったり、逆に低所得国でも国際復興開発銀行からの融資しか受けられない場合が存在する。また、一定の所得水準や開発水準を満たしたと認められた国は投資適格国から「卒業」することとなり、以後新規融資が受けられなくなる。 』

『総裁

詳細は「世界銀行グループ総裁」を参照

総裁は、理事会によって選出される。総裁は世界銀行グループ5社のすべての総裁を兼任し、グループの実務をつかさどる。世界銀行の「President(総裁)」には米国出身者、国際通貨基金の専務理事には欧州出身者が選出されるのが暗黙の了解になっている[14]が、2012年の総裁選においてはアメリカ国籍のジム・ヨン・キムに対し、発展途上国からコロンビアのホセ・アントニア・オカンポ(英語版)とナイジェリアのンゴジ・オコンジョ・イウェアラが擁立され、異例の選挙戦となった。この選挙はオカンポが発展途上国の候補一本化を目指して途中で撤退を表明し、イウェアラとキムの一騎打ちとなったが、最終的には発言権の強い先進諸国の推すキムが総裁に選出された[15][16]。世界銀行の副総裁には日本人の服部正也(日本人初)、勝茂夫(生え抜きの日本人初)、西水美恵子、西尾昭彦等が選ばれたことがある。

※ 現在の総裁(2019年4月9日就任)は、デイビッド・マルパス。『デビッド・ロバート・マルパス(1956年3月8日生まれ)[ 3]は、米国の経済アナリストであり、2019年から世界銀行グループの総裁を務める元政府高官です。ロナルド・レーガンの下で財務長官補佐、ジョージHWブッシュの下で国務副次官補。彼は、崩壊前の6年間、ベアースターンズのチーフエコノミストを務めました。[4]』というような経歴の人だ。』

スリランカ、世銀が6億ドル支援 必需品不足など対応

スリランカ、世銀が6億ドル支援 必需品不足など対応
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM26EE80W2A420C2000000/

『【ムンバイ=花田亮輔】スリランカ政府は26日、世界銀行から6億ドル(約760億円)の財政支援を受けると発表した。米ブルームバーグ通信などが報じた。スリランカは主力の観光業が新型コロナウイルス感染拡大で打撃を受け、外貨準備高の減少に見舞われている。外貨不足から輸入が滞り、生活必需品の不足や価格高騰が深刻になっている。

世銀からの支援は医薬品や食料などの確保に充てる。スリランカの3月末時点の外貨準備高は約19億ドルで、1年で半減。ロシアのウクライナ侵攻に伴う国際商品市況の高騰も重なり、足元の消費者物価指数は記録的な高水準で推移している。

発電用燃料の輸入にも支障が出て停電は頻発している。国民の不満が高まりラジャパクサ政権への抗議活動が続くなか、スリランカ政府は国際通貨基金(IMF)などにも支援を要請していた。

アリ・サブリ財務相は4月上旬のロイター通信の取材に対して、今後半年で約30億ドルの支援が必要だと述べていた。スリランカ財務省は12日に、支援策がまとまるまで対外債務の支払いを一時停止すると表明した。一部国債の利払いは期日の18日を過ぎても実行されなかった。

米格付け大手S&Pグローバルは25日、スリランカの外貨建て国債の信用格付けを一部債務不履行(デフォルト)にあたる「選択的デフォルト(SD)」に格下げしたと発表していた。』

S&P、スリランカ債「一部不履行」 IMFは増税要求

S&P、スリランカ債「一部不履行」 IMFは増税要求
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM2699Z0W2A420C2000000/

『【ムンバイ=花田亮輔】米格付け大手S&Pグローバル・レーティングは25日、スリランカの外貨建て国債の信用格付けを「部分的なデフォルト(債務不履行)」にあたる「選択的デフォルト(SD)」に引き下げた。国際通貨基金(IMF)は支援の条件として増税などを求めるが、物価高騰で市民らの抗議デモが相次ぐ現状では難しい。中国、インドなどの2国間支援が焦点になりそうだ。

S&Pによると、スリランカは2023年と28年に満期を迎える総額12億5000万ドル(約1600億円)の国債の利払いを、期日の18日までに実施できなかった。猶予期間である30日以内の支払いも困難だと判断した。米ブルームバーグ通信によると、18日に期限を迎えた利払い額は7800万ドルだった。

スリランカは深刻な外貨不足に陥っている。経常収支の赤字は慢性的で、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で経済の柱である観光業が打撃を受けた。最近ではロシアのウクライナ侵攻に伴う原油や穀物の価格上昇が重なり、外貨準備が急減。3月末には約19億ドルと、1年前に比べ半減した。

輸入の停滞で品不足が生じ、エネルギー、食料を中心に物価が高騰。ラジャパクサ大統領らの辞任を求める抗議活動が最大都市コロンボを含む各地で続いている。

英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)は、国連がスリランカ政府に対し、一時的なベーシックインカム(最低所得保障)の導入を求めたと報じた。

スリランカ政府はIMFなどへの緊急融資の要請を決定。同国財務省は12日、交渉がまとまるまで債務の支払いを一時停止すると発表していた。

スリランカのメディアによると、同国の対外債務残高は510億ドル前後だとみられる。

スリランカ政府の代表団は18~22日にワシントンでIMFと協議した。IMFは22日の声明で「(スリランカ側と)実りのある技術的な議論をした」と表明し、スリランカを支援する方針を示した。

協議の後でIMFの担当者はロイター通信に対し、増税を含む財政規律の徹底をスリランカ側に求めたと明かした。だが、交渉の見通しや、金融支援の詳細などについては明言を避けた。

スリランカ政府は経済や外交で関係が深い中国やインドからの支援も模索する。同通信によると、スリランカ政府は26日、中国と債務の借り換えについての協議を始めたと明らかにした。

スリランカはかつて同国南部の港湾開発を巡り、対中債務を返済できず、99年間の運営権を譲渡した経緯がある。今後の支援交渉によっては、中国にさらに多くの権益を与える可能性がある。

インドのジャイシャンカル外相は3月下旬にスリランカを訪れ、ラジャパクサ氏と会談し、金融支援の方針について確認した。4月にはインドのシタラマン財務相が、IMFのゲオルギエバ専務理事にスリランカ支援を働きかけた。

スリランカは、中国が中東・アフリカ方面から石油や天然ガスを運ぶシーレーン(海上交通路)上のインド洋にある要衝だ。中国は広域経済圏構想「一帯一路」の一部としてスリランカのインフラ整備を支援してきた。一方、中国との間で係争地を抱えるインドは中国のインド洋進出を警戒し、スリランカへの影響力を競っている。』

IMF委も共同声明出せず、侵攻非難の記述にロシア反対

IMF委も共同声明出せず、侵攻非難の記述にロシア反対
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA21F4E0R20C22A4000000/

『【ワシントン=江渕智弘】国際通貨基金(IMF)は21日、運営方針を決める国際通貨金融委員会(IMFC)を開いた。春と秋の開催ごとに出す共同声明を見送った。ロシアのウクライナ侵攻を非難する記述にロシアが反対し、まとまらなかった。20日の20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議も声明を出せず、ロシアの存在が国際枠組みに影を落とす。

IMFCはIMFの諮問機関として1999年に設立した。IMFに理事を送る国の財務相ら24人で構成する。「ロシアの戦争が甚大な人道的影響をもたらす」などと侵攻を非難する文案にロシアの代表が反対し、全会一致を原則とする共同声明を断念した。日本の同行筋によると設立以来、共同声明を出せないのは初めて。かわりに議長声明を公表した。

出席した鈴木俊一財務相は「民間人に対する残虐な行為は戦争犯罪だ」などとロシアを非難した。ロシアの代表に「出て行け」と求める参加者もいたという。

鈴木氏は日本の新たな途上国支援も表明した。IMFから新規配分される特別引き出し権(SDR)と呼ばれる外貨調達枠の20%を途上国などに融通する。80億ドル(約1兆円)ほどに相当する。このうち10億ドル相当をまず拠出するという。』