岸田首相、インド太平洋計画表明へ モディ首相とも会談

岸田首相、インド太平洋計画表明へ モディ首相とも会談
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA176JB0X10C23A3000000/

『岸田文雄首相は20日午後、インドで演説し「自由で開かれたインド太平洋」(FOIP)の推進計画を表明する。グローバルサウスと呼ばれる途上国への政府開発援助(ODA)を増やし、質の高いインフラ投資を進めると訴える。演説前にモディ首相と会談し協力を確認する。

岸田首相は20〜21日にインドを訪れる。20日にインド政府系シンクタンクのインド世界問題評議会(ICWA)主催の会合でスピーチする。東南アジアやアフリカ諸国による港湾などのインフラ整備を後押しするのが柱だ。

インフラ整備は中国の支援を受けた国が多額の債務を抱え、中国が港湾などの使用権を得る「債務のワナ」が問題視される。首相は日本が提起してきた「質の高いインフラ投資」を訴える。

海上の安全保障を巡り監視設備や巡視艇を提供し、関連技術の習得や人材育成を支えると表明する。航行の自由の確保や法の支配に基づく国際秩序の強化を呼びかける。

政府が2022年末に導入を決めた友好国の軍への安保上の無償支援を進めると提唱する。従来は非軍事に限定するODAが柱だった。途上国が抱える安保面のニーズをくみ取り、経済・安保両面で関係を深める。

ロシアのウクライナ侵攻に触れ、分断や対立ではなく協調を導くFOIPが重要だと唱える。重視するのがインドだ。インドは23年の20カ国・地域(G20)の議長国。1月には125カ国が参加する「グローバルサウスの声サミット」をオンラインで開き、影響力を示した。

モディ首相との首脳会談では5月に広島市で開く主要7カ国首脳会議(G7サミット)に向けた協力を確認する。岸田首相はG7議長国としてグローバルサウスへの関与を強める方針を伝える。

両首脳は途上国が直面する食料安保や不透明な開発金融を巡る課題解決に向けてG7とG20の連携を話し合う。法の支配に基づく国際秩序の維持や東アジア情勢についても意見交換する。

脱炭素やエネルギー分野の2国間協力も議題となる見込み。日本が受注したインドでの高速鉄道整備の推進も申し合わせる。

【関連記事】岸田首相、グローバルサウスと協力探る インド訪問へ

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柯 隆
東京財団政策研究所 主席研究員
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分析・考察

目下の国際情勢を鑑みて、インドへのODA増額についてわからないことではない。ただし、インドもASEANも同じことだが、常に利益を追っかけて動く国である。この点を忘れたら、ODAはなんの成果ももたらさない。はっきりいえば、ODAは目的ではなく、手段にすぎない。インドへのODAの増額の目的はなにか、が問われている。そして、インドが付いてくるかどうかも問題である。ODAはfree lunchであってはならない。ODAも資本効率を最大化しなければならない。そのための戦略が問われている
2023年3月20日 8:11

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渡部恒雄
笹川平和財団 上席研究員
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分析・考察

インドは1月に「グローバルサウスの声サミット」を開催し、グローバルサウスへの自らの影響力をG7諸国にアピールしようとしています。特に、グローバルサウスに強い影響力を持っている習近平主席とプーチン大統領が会談するタイミングで、岸田首相がモディ首相と米国の影響力が低下しているグローバルサウスへの援助政策を協議することは戦略的な意味があります。グローバルサウスは対ロ制裁や対中輸出規制により経済的な損失を受けることに不満と懸念を持っており、その立場をインドは十分に理解しているようです。今晩21時から、BSテレ東「日経ニュースプラス9」に出演して、岸田首相の訪印等を議論します。
https://www.bs-tvtokyo.co.jp/plus9/
2023年3月20日 8:38 (2023年3月20日 8:39更新) 』

日米豪印会合の出席容認 自・立参院国対、林外相に

日米豪印会合の出席容認 自・立参院国対、林外相に
https://www.47news.jp/politics/9004048.html

『自民党の野上浩太郎、立憲民主党の斎藤嘉隆両参院国対委員長は1日、国会内で会談し、3日にインドの首都ニューデリーで開かれる日米豪印4カ国の枠組み「クアッド」外相会合への林芳正外相の出席を容認することで合意した。

 参院は、インドで1、2日に開かれる20カ国・地域(G20)外相会合への林氏出席について、予算委員会での審議を理由に認めなかった。野上、斎藤両氏は、3日の予算委は林氏に答弁を要求せず、インド訪問を可能にする考えで一致した。』

「信じられない決定」 林外相G20欠席に批判的

「信じられない決定」 林外相G20欠席に批判的―インド主要紙
https://www.jiji.com/jc/article?k=2023030100669&g=int

『【ニューデリー時事】日本の林芳正外相が国会対応のため1日からの20カ国・地域(G20)外相会合を欠席することについて、議長国を務めるインドの主要紙は「日本の信じられない決定」(ヒンドゥスタン・タイムズ)など総じて批判的に受け止めている。

林外相、G20欠席 予算審議優先、省内ため息

 ヒンドゥスタン紙は、欠席を巡って日本国内で批判が集まっていることも紹介しながら「決定はインドを動揺させる可能性が高い」と伝えた。経済紙エコノミック・タイムズは「日印関係に影を落とすかもしれない」と指摘した。 』

G7外相、中国念頭「ロシア支援なら厳しい代償」 声明で

G7外相、中国念頭「ロシア支援なら厳しい代償」 声明で
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN220DJ0S3A220C2000000/

『【ワシントン=坂口幸裕】主要7カ国(G7)の外相は21日、24日にロシアによるウクライナ侵攻から1年になるのを前に声明を発表した。中国を念頭に、第三国がロシアへの軍事支援を実施すれば「厳しい代償に直面する」と警告した。米国は中国がロシアへの軍事支援を検討しているとの懸念を強めている。

ブリンケン米国務長官は18日にドイツ南部ミュンヘンで会談した中国外交担当トップの王毅(ワン・イー)氏に対し、ロシ…

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『ブリンケン米国務長官は18日にドイツ南部ミュンヘンで会談した中国外交担当トップの王毅(ワン・イー)氏に対し、ロシア支援を実行すれば「深刻な結果をもたらす」と伝えた。米国は「中国がロシアに殺傷力のある(兵器や武器の)支援を検討している」(ブリンケン氏)と分析。中国がロシア支援に回れば、ウクライナの戦況が変わるおそれがあると懸念する。

G7外相は21日の声明でウクライナへの侵攻を続けるロシアを「最大限の強い言葉で非難する」と強調。すべての軍隊を無条件で即時撤退させ「ウクライナの独立、主権、領土の一体性」を尊重するよう要求した。軍事を含むウクライナ支援を続ける方針で一致した。ロシアや同国を支援する国への制裁を強化するとうたった。

バイデン米大統領は21日、ポーランドの首都ワルシャワで演説し、週内に同盟・有志国とともにロシアへの追加制裁を発表すると明らかにした。

中国は2022年2月にロシアが侵攻を始めた直後にも軍事支援を検討した。バイデン氏が同年3月に中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席と電話協議し、経済制裁をちらつかせて断念を迫った。

G7の外相はロシアによるウクライナの民間人や重要インフラへの攻撃を批判した。ロシアの「戦争犯罪や残虐行為に処罰を科さないのは認められない」と指摘。国際法に沿って、ロシアのプーチン大統領らの責任を追及すると申し合わせた。

声明では法の支配や人権重視などの基本原則にも基づく自由で開かれたインド太平洋を維持することへの各国の関与を確認した。地域で覇権主義的な行動をとる中国を意識し、力による一方的な現状変更の試みに強く反対すると強調した。

【関連記事】バイデン氏、24年にNATO首脳会合主催 演説要旨 』

G7、「デジタル」も中ロ警戒

G7、「デジタル」も中ロ警戒 議長国日本、米国と連携
https://www.jiji.com/jc/article?k=2023011800706&g=int

『【ワシントン時事】今年の先進7カ国(G7)議長国を務める日本は、新型コロナウイルス危機をきっかけに重要性が高まっている「デジタル経済」の国際ルールづくりを主導する方針だ。民主主義の価値観に基づく世界標準を確立し、データの囲い込みを図る権威主義の中国やロシアをけん制する狙いもある。

ゼレンスキー氏の対面参加期待 広島サミットでウクライナ有識者

 年明けから岸田文雄首相や関係閣僚が相次ぎ訪米し、4月に群馬県高崎市で開かれるG7デジタル・技術相会合への協力を求めた。国境を越えたデータ通信量が過去5年間で3倍以上に拡大したことなどを踏まえ、日米首脳は13日に発表した共同声明で「信頼性のある自由なデータ流通」を目指す構想を推進すると、改めて宣言した。
 同構想は、2019年に大阪で開かれた20カ国・地域首脳会議(G20サミット)で日本が正式に提唱した。ワシントンを訪問中の松本剛明総務相は17日、「日米関係をベースに、世界各国から理解を得て組み立てていく必要がある」と記者団に説明した。
 松本総務相はG7会合を見据え、高速大容量通信規格「5G」と次世代規格「6G」を含むネットワークの強靭(きょうじん)化に向けた協力覚書を米政府と締結。河野太郎デジタル相も11日に米シンクタンクで講演し、国境を越えた個人や企業の自由なデータ流通を促すため、官民による新たな国際組織の設立を提案すると表明した。
 米国と中ロの対立が深刻化する中、サイバー空間の分断は現実味を帯びている。米国は中国における検閲や監視活動を警戒。中国通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)に対する制裁を強化し、同盟国に足並みをそろえるよう求めている。また日米欧は、ウクライナに侵攻したロシアによるインターネット制限や偽情報の拡散を問題視している。』

ダボス経済会議にキッシンジャー老人(99)がリモートで参加してスピーチ。

ダボス経済会議にキッシンジャー老人(99)がリモートで参加してスピーチ。
https://st2019.site/?p=20799

『Chris King 記者による2023-1-18記事「Henry Kissinger insists Ukraine should become a member of NATO」。
   ダボス経済会議にキッシンジャー老人(99)がリモートで参加してスピーチ。もはやウクライナの中立など問題にならない。NATOに加わるのが妥当――と語り、彼の以前の加盟反対論からポジションチェンジした。

 なぜ反対していたかの自己弁明。NATOに加盟しようとするその動きが、ロシアの全面侵攻を招くと予想したから。しかし加盟の動きと関係なくロシアが全面侵略し始めた。

 キ老人いわく。米政府は停戦がかちとられるまでキーウ政府に武器弾薬を支援し続けよ。必要なら、支援内容を拡大せよ。

 ※頭脳エリートの老人が、時におそろしく長生きするのには理由があると思う。60を越えると、日々、体調は、長い下り坂をゆっくり下る感じで微妙に変化し続ける。この変化に自覚的になれる老人は、何か適切な対策が必要であることもじぶんで理解する。而してその対策は、みずから考えて日々の行動に採り入れ、実践するしかないものだ。すなわち、センスと分析力とインプロビゼーションの三才が、日々同時に、発揮され続ける必要がある。しかも、今日の適宜な対策は、明日には有効ではなくなってしまう可能性があり、漫然と、同じことを繰り返していれば、自己防衛にならない。その常続的な前提変化を億劫だとは思わずに、日々、新事態=新体調に対処すべく三才を動員する気構えができている者が、《頭脳労働寿命》を、長く延ばして行けるのであろう。これがもし青年期であったならば、おのれの体調変化にとんと無自覚でも、体内の若々しい細胞が勝手に対応してカバーをしてくれる。たとえば歯磨きがちょっとぐらい不完全でも若い人は歯周病にはならない。が、老人の体内はそういかない。自動ではリカバリーをしてくれない。それで、たとえば、わずかな歯磨きの「隙」があったら、すぐにそこから歯周病になるだろう。そこに自覚的なセンサーを働かせられる老人が、例外的に、いるのであろう。』

ダボス会議、中国・劉鶴副首相が出席へ

ダボス会議、中国・劉鶴副首相が出席へ
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM139BR0T10C23A1000000/

『【北京=羽田野主】中国外務省は13日、世界経済フォーラム(WEF)の年次総会(ダボス会議)に劉鶴(リュウ・ハァ)副首相が出席すると発表した。15日から19日までの日程で、会場となるスイスを訪問する。

劉氏は習氏の側近で金融や通商問題などを担当している。2021年には習近平(シー・ジンピン)国家主席がWEFのオンライン形式の準備会合「ダボス・アジェンダ」で…

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『ダボス会議は各国の首脳や国際機関トップ、企業幹部など2700人以上が参加する。ロシアによるウクライナ侵攻に象徴される世界の分断と今後の協調の可能性や、インフレ、食糧危機,、気候変動といった問題について議論する。

ドイツのショルツ首相や欧州連合(EU)のフォンデアライエン欧州委員長、米ケリー大統領特使(気候変動問題担当)などが出席する予定。』

ロシアと離れる中立パワー 協調に踏みとどまった世界

ロシアと離れる中立パワー 協調に踏みとどまった世界
本社コメンテーター 秋田浩之
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCD075L40X01C22A2000000/

『通常戦力で勝てる見込みがないため、ロシアはウクライナの発電所や住宅を壊し、人々を凍えさせようとしている。人々の戦意を奪おうという狙いだ。

ロシアがやっていることはウクライナ国民に対する拷問であり、早くやめさせなければならない。そのためにはロシアをさらに孤立させ、プーチン政権側の戦意をそぐ必要がある。

その意味で最近、今後に一定の望みを抱かせるできごとがあった。11月15~16日、インドネシア・バリで開かれた首脳会議で20カ国・地域(G20)が歩み寄り、ロシアを非難する宣言を打ち出したことだ。

宣言採決にこぎ着けたG20

筆者は当初、G20がウクライナ問題で結束を示せるとは思っていなかった。ロシアによる侵略が2月24日に始まって以降、G20は複数の閣僚会合を開いてきた。しかし、米欧とロシアが鋭く対立し、結局、何も決められない状態が続いていた。

G20は、世界の国内総生産(GDP)の8割超を占め、立場が異なる国々の寄り合い所帯である。メンバーの半数は米欧日などの西側諸国・地域だが、ロシアと中国も名を連ねる。

残る8カ国は西側諸国と中ロのどちらにもくみしないアジア、中東、中南米の「中立パワー」が大半だ。ウクライナ侵略問題でも、各国の立場が大きく異なる。

ところが予想に反し、G20は首脳会議で各国の違いを乗り越え、ロシアを非難する宣言の採択にこぎ着けた。ロシアを名指しこそしなかったものの、宣言は「ほとんどのメンバーが(ウクライナ)戦争を強く非難した」と明記。「核兵器の使用や威嚇」を許さないとも強調した。

この意義は大きい。これまでロシアをあからさまに批判することには慎重だった中立パワーが、ウクライナ侵略に「ノー」を突きつけたことになるからだ。

プーチン政権と友好を保つ中国は当初、首脳宣言からの反ロシア色を薄めようとした。だが、最後は大勢に従い、採択に異を唱えなかった。

内情を知る複数の外交筋によると、この首脳宣言をまとめた「立役者」はインドネシアと、23年に議長国を務めるインドだった。両国が手分けし、各国への根回しに奔走したという。

両国にとって、G20は米欧日や中ロと対等に渡り合える唯一の貴重な枠組みだ。このためロシアが元凶となってG20が空中分解してしまうことは、何としても避けたかったのだ。

とりわけ議長役のインドネシアはロシアの外堀を埋めようと、周到に動いた。首脳会議に先立つ数日前、バリに先乗りしてきた加盟国・地域の高官を集め、60時間以上にわたって宣言案の地ならしを進めたという。

侵略10カ月、変わり始めた構図

このできごとはウクライナ侵略から約10カ月がすぎ、ロシアを取りまく国際社会の構図が変わり始めたことを示している。具体的には、中立パワーの間にもロシア離れの動きが広がってきた。

大きな理由の一つは、プーチン政権による侵略が一層、残虐さを増していることにある。ウクライナの民間人や社会インフラを標的にしたロシアの攻撃は「伝統的にロシアと友好関係にあった新興国にも、懸念を広げている」(東南アジアの外交筋)。

象徴的なのが、インドのモディ首相が9月、プーチン大統領と会談した際に放った発言だ。彼は「今は戦争の時ではない」と語り、ロシアにクギを刺した。この発言はG20の首脳宣言にも、そのまま盛り込まれた。

第2に、ウクライナ侵略は、世界の食料やエネルギー危機に追い打ちをかけている。この影響をまともに受ける新興国や途上国の間では、ロシアへの不満が深まっている。

12月9~11日、アラブ首長国連邦(UAE)の首都アブダビに欧州、アフリカ諸国などの要人や識者が集まり、国際会議「世界政策会議(WPC)」が開かれた。そこで議題の一つになったのも、ウクライナの戦争が食料危機にもたらす影響だ。

「ウクライナは世界の主要な食料供給国だ。同国の生産が回復しないと大変だ」。新興国からはこんな懸念が聞かれた。「せめて黒海から(ウクライナの)食料がきちんと輸出できるようにしないといけない」との意見も出た。

グローバル問題で対応急げ

西側諸国はこうした状況を踏まえ、食料やエネルギーといったグローバル問題で中立パワーと連携し、対応を急ぐときだ。それが中立パワーを西側に引き寄せ、ロシアの包囲網を狭めることにもつながる。

その意味で23年、主要7カ国(G7)の議長国になる日本が果たせる役割は大きい。日本はG20の議長国であるインドと協力し、世界の対策を主導することが期待される。

軍事面では、米欧がウクライナへの支援を強め、ロシア軍をさらに追い込むことが肝心だ。ロシア軍の苦境がより鮮明になれば、新興国・途上国のロシア離れにも拍車がかかるに違いない。

第2次世界大戦後の安定を支えてきた米国主導の秩序は終わり、国際社会は西側諸国と中立パワー、中ロ陣営という3つの勢力に割れた。こうしたなか、世界の秩序を安定させられるかどうかは、前者の2つがどこまで歩み寄り、グローバルな問題で協力できるかにかかっている。

ニュースを深く読み解く「Deep Insight」まとめへDeep Insight
https://www.nikkei.com/opinion/deepinsight/?n_cid=DSREA_deepinsight 

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深川由起子
早稲田大学政治経済学術院 教授
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別の視点

西側には価値、中ロには権威主義体制維持という求心力がありますが、中立パワーにグループとしての求心力はないでしょう。あるとすれば、イデオロギーよりも皮算用を選択する自由の維持、それも中長期ではなく短期。中国はこれを熟知しており、ロシアと違って働きかけるカードも多いはず。パワー外交に目が行きがちですが、日本の長所は災害大国故にあらゆる相手の目線に合わせられる優しさと愚直なほどの真面目さ。これを活かした鵺(※ ぬえ)外交しかないのでは。
2022年12月14日 12:02

前嶋和弘のアバター
前嶋和弘
上智大学総合グローバル学部 教授
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ひとこと解説

「中立パワーの間にもロシア離れの動きが広がってきた」とみる秋田さんの興味深いコラム。「ロシア軍の苦境がより鮮明になれば、新興国・途上国のロシア離れにも拍車」というところもポイント。将来の歴史にどう評価されるか。
2022年12月14日 12:12』

ウクライナ問題の国際化と期待されるG7 プーチンの妄想

北の国から猫と二人で想う事 livedoor版:ウクライナ問題の国際化と期待されるG7 プーチンの妄想
https://nappi11.livedoor.blog/archives/5395051.html

『ウクライナのゼレンシキー大統領は2022年12月11日、フランスのマクロン大統領と電話会談を行い、12日からのG7首脳会談を前に立場調整を行った。

ゼレンシキー氏は、「マクロン仏大統領と電話会談を行った。オンラインG7首脳会談とパリでのウクライナ支援会議を前に立場を一致させた。私たちの10項目の『平和の公式』、防衛協力、ウクライナのエネルギー安定性について協議した」と書き込んだ。過去ブログ:2022年12月スロバキア外相が言及した第二次大戦前夜と英仏の宥和策

、、、マクロン氏が、ロシア側の立場も考慮すべきとの問題発言をしていたことで、事前調整したのだろう。ゼレンスキーシは、12日からのG7に向け、欧米各国首脳と意見調整を行っている。ゼレンシキー宇大統領、エルドアン土大統領と黒海穀物回廊拡大の可能性につき協議 ゼレンシキー宇大統領、バイデン米大統領と電話会談 12日開催のG7首脳会談直前に立場調整
ef79a1c1、、、

欧米G7のみならず、北欧スウェーデンはウクライナに対するこれまでで最大の軍事援助パッケージを発表してから数日後、スウェーデンの主要防衛当局者は、NATO 加盟希望国としてストックホルムに期待されるものの例として、北欧の国の貢献を明確にし、ウクライナへ向けたポータブル対戦車兵器から大型対空システムへの援助の強化は、2月のロシアのウクライナ侵攻後のスウェーデンにとって一連の変化の最新のものに過ぎず、200 年間の非同盟の後、スウェーデンは現在 NATO の志願者であり、その防衛戦略の急速な書き直しと、新しい中道右派政府からの大幅な防衛予算の増加を促していると述べている。英文記事 

別記事では、スウェーデンの安全保障上、ウクライナ支援は必要な負担だとの見解を示している。フィンランドも同じ見解だろう。過去ブログ:2022年12月フィンランド首相、欧州の防衛力強化の必要性を強調
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17世紀末~18世紀のロシア皇帝で、領土を拡大し、ロシアを大国に導いたピョートル1世Pyotr I Alekseevichにあこがれるプーチン大統領がピョートル大帝に言及したのは、若い起業家や科学者との集まりだった。彼は18世紀の大北方戦争を取り上げ、「皆さんは、ピョートル大帝はスウェーデンと戦い、土地を奪ったのだと考えているかもしれない」と語った。だが、その地域には何世紀にもわたってスラヴ系民族が住んでいたと主張し、「大帝は何も奪っていない。奪い返したのだ!」と続けた。

この論法で、ウクライナは正統な主権国家ではなく、実際はロシア領なのだから最近の軍事行動は正当化されると示唆した。、、

ウクライナ侵攻も、こんな時代錯誤な屁理屈と誤認識で行われたのだ。思うに、プーチンは戦争の本当の悲惨さを知らないのだろう。映像:カラーで見る日本の戦争:耐えがたきを耐え 2-4 参照記事  過去ブログ:2022年6月プーチンの妄想 2013年12月ロシアは過去の歴史を反省していない 参考:「プーチン氏の終わりの始まり」 ソビエト崩壊予見の学者の言葉 参照記事

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今回のG7は、ロシアへ結束の強化を見せつけ、小論は控えて、まずは、執拗に戦争にこだわるプーチンロシアへの強固な対決姿勢を見せつける事で局面の変化を求める会議になるのではないだろうか?

ロシア国内でのプーチン支持率も低下傾向にある中、時期的にも重要である。

また、ウクライナ問題でのG7、NATOの今後の出方は、間違いなく中国の覇権主義に大きな影響を与えており、日本、アジアの将来にとっても重要である。アジア、太平洋に於いては、日、米、豪が、NATO体制を構築中である。

右は、ヒトラーの後継者とも言われたゲーリング 参照記事 参考:米豪2プラス2 日本との3カ国防衛協力強化で一致 過去ブログ:2022年12月黒海の重要性から見たウクライナ戦争と日本海海戦 12月ロシア国内からも生活困窮の不満続出 凍死者も  参考:ロシア国民の心理状態「急激に悪化した」世論調査 

ゲーリングはこんな事も言っている。「ドイツ人は一人なら、立派な人間だ。ところが二人寄ると同盟 (bund) を作り、三人寄れば戦争を始める。イギリス人は一人なら阿呆な人間だ。二人寄るとクラブを作り、三人寄れば帝国を作り上げる。イタリア人は一人ならテノールだ。二人寄ると二重奏をはじめ、三人寄れば退却する。日本人についていえば、一人の日本人は神秘だ。二人寄っても神秘だし、三人寄っても…やっぱり日本人は神秘そのものだ!」(1945年10月29日、ニュルンベルク裁判での拘禁中にアメリカ軍精神分析官ダグラス・ケリー少佐に 参照記事 参照記事)。

強硬な反ユダヤ主義者で、最後はヒトラーから忠誠を疑われてナチ党から除名され、ベルリンが陥落するとオーストリアに逃亡したがアメリカ軍に捕らえられ、ニュルンベルク国際軍事裁判に被告として出廷した。死刑判決を受け、処刑の直前に服毒自殺した男だが、今のプーチンになんと言うだろう?

1939年9月、ドイツがポーランド侵攻を起こして英仏と再度戦争状態になった時「恐ろしいことだ…。ヒトラーは気が狂った。」と言ったとあるから、「お前も気が狂ったか」と言うかもしれない。』

G7、ウクライナ復興「ロシアが負担」 気候クラブも発足

G7、ウクライナ復興「ロシアが負担」 気候クラブも発足
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR12BOG0S2A211C2000000/

『【ベルリン=南毅郎】主要7カ国(G7)首脳は12日、ロシアの侵攻が続くウクライナ情勢をめぐりオンラインで協議した。首脳声明では、破壊されたインフラ施設の復旧に向けて「ロシアが最終的に支払う必要がある」と連帯を表明。脱炭素社会の実現のため、議長国ドイツが呼びかけていた「気候クラブ」の正式発足も確認した。

【関連記事】

・ロシア、ウクライナ東・南部に攻撃 ドネツクで2人死亡
・EU、イランに追加制裁 ウクライナ支援に2900億円

首脳協議にはウクライナのゼレンスキー大統領も参加した。声明では2023年もウクライナの財政支援を続けるため、G7財務相が近く話し合うことを盛り込んだ。軍事支援も継続する構えで、防空システムなどの供与に向けた調整を続ける。

G7が12月5日から発動したロシア産原油の輸入価格に上限を設ける制裁をめぐっては、多くの国が活用するよう呼びかけた。声明では「低中所得国への経済的な負の波及を最小化する」と明記した。石油製品についても、23年2月5日に価格上限制を発動する方針を確認した。

このほか、6月のG7サミットで合意していた気候クラブの規約を取りまとめた。経済協力開発機構(OECD)と国際エネルギー機関(IEA)に暫定の事務局を設けるよう求める。温暖化ガスの削減に向けて、企業の脱炭素の取り組みを支援するなど国際社会に参加を広く呼びかける方針だ。

23年のG7議長国はドイツから日本にバトンが引き継がれる。ショルツ氏は12日の記者会見で「私たちが始めた多くの取り組みが日本の友人たちによって継続される」と期待を寄せた。ロシアの侵攻開始を振り返って「並外れた1年だった」とも語り、ウクライナの支援継続へ連帯を示した。

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地球温暖化問題は排出規制から焦点が適合性に,COP27は移住コストに焦点

地球温暖化問題は排出規制から焦点が適合性に,COP27は移住コストに焦点
http://blog.livedoor.jp/adachihayao/archives/2026431.html

『【日刊 アジアのエネルギー最前線】 地球温暖化問題は排出規制から焦点が適合性に,COP27は移住コストに焦点
http://www.adachihayao.net

2022年11月20日 日曜日 雨

30年前にもなろうか,モルジブの海岸の護岸構築プロジェクトで現地を訪ねた,モルジブの政府高官が言うには,温暖化で住めなくなるので孫子のために隣国のスリランカに土地を買ってあるという,さぞかし高い山の中に買ったのだろう,と言ったら,いや風光明媚な海岸沿いの別荘地だという,

エジプトで開かれているCOP27が大詰めを迎えているが,焦点は,従来のCOPのように温暖化ガスの排出規制ではなくて,専ら排出国から発展途上国への資金援助,正に「加害と補償」の問題に移ってきている,それも海の水位上昇による移住のコストが主題,気候変動は適応性の問題に移った,

従来の我々の主張は,米中印等のガス排出は止まらない,人類は今後の温暖化に適応して生き延びて行くだろう,杉山大志さんの「脱炭素は嘘だらけ」,人類は大丈夫生き延びて行く,の道を辿ることに,その焦点は島嶼国や海岸地帯に国のある人々の移住問題だ,国連はその数字も把握していない,』

米国の特使ジョン・ケリーがCOVID-19に感染したため、COP27は行き詰まりました

米国の特使ジョン・ケリーがCOVID-19に感染したため、COP27は行き詰まりました
https://www-aljazeera-com.translate.goog/news/2022/11/19/cop27-in-deadlock-as-us-envoy-john-kerry-contracts-covid-19?_x_tr_sl=auto&_x_tr_tl=ja&_x_tr_hl=ja

『(※ 翻訳は、Google翻訳。)

米国の特使ジョン・ケリーがCOVID-19に感染したため、COP27は行き詰まりました

「損失と損害」の問題は、COP27 での難点であり、特に気候変動の影響を受けた貧しい国をどのように補償するかが問題となっています。

2022 年 11 月 8 日、エジプトの紅海リゾート、シャルム エル シェイクで開催された COP27 気候サミットのアメリカ パビリオンの開会式に出席し、演説するジョン ケリー米国気候担当特使 [ファイル: モハメド セーラム/ロイター]

2022 年 11 月 8 日にエジプトで開催された COP27 気候サミットのアメリカン パビリオンのオープニングで、米国の気候担当特使ジョン ケリー [File: Mohammed Salem/Reuters]
2022 年 11 月 19 日公開2022年11月19日

米国の気候担当特使ジョン・ケリーは、エジプトで開催された国連気候会議でCOVID-19の陽性反応を示した.

ケリーの病気は、金曜日に終了する予定だった交渉に懸念を追加しましたが、明確な終わりが見えずに続いています.

読み続けます
4 項目のリスト
リスト 1/4
汚染されたインドの村で、抗議者は COP27 のスポンサーを非難します。
リスト 2 の 4
COP27 で、ブラジルのルラは森林破壊の蔓延を止めることを誓う
リスト 3/4
COP27: インドの気候変動公約は熱気を帯びているか?
リスト 4 の 4
「損失と損害」の交渉がCOP27の最終日を支配する
リストの終わり

シャルム エル シェイクの紅海のリゾート地で開催された COP27 サミットでの会談は、発展途上国が気候変動の影響に対処するための「損失と損害」への資金提供という物議を醸す問題に出くわしました。

「彼は完全にワクチン接種を受け、追加免疫を受けており、軽度の症状を経験しています。彼は、COP27 の成功を確実にするために、電話で彼の交渉チームや外国のカウンターパートと協力している」と、ケリーのスポークスウーマンであるホイットニー・スミスは金曜日遅くに声明で書いた。

損失と損害は、豊かな国と貧しい国の間の主な問題点であり、特に、気候に起因する洪水、干ばつ、大規模な暴風雨、山火事によってすでに荒廃した国を補償する方法の問題です.

記者会見や本会議が延期またはキャンセルされたため、少なくとも公の場での交渉は金曜日の夜までに小康状態に陥った. 外交官は、土曜日に延長された残業に入る交渉のために航空会社の予約を変更したため、深夜の進展を望んでいると述べた.

世界資源研究所の国際気候ディレクターであるデビッド・ワスコウ氏は、「私たちは、少し長い道のりを歩んでいると思います。

「損失と損害は、これをゴールに導くために何をする必要があるかという点で中心に位置しています」と彼は言いました.

会議の最後の時間まで交渉が続く中、#COP27議長のサメ・シュークリーとガーナの気候活動家@nakeeyatは、 #ClimateActionを支持して断固として迅速に行動するよう世界に要請します。#TogetherForImplementation pic.twitter.com/tMjZRQAMns

— COP27 (@COP27P) 2022年11月18日

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200 近くの国からの代表者がエジプトの COP27 に 2 週間にわたって集まり、世界が異常気象の猛攻撃の悪化に直面する中、気候変動に対する行動を推進することを目的としています。

多くの脆弱な国にとって、損失と損害は会議の決定的な問題であり、会議の成功は特定の基金の創設にかかっていると言う人もいます.

より豊かな国々は、これまで無制限の責任を恐れて補償の問題に口を閉ざしてきたが、ますます壊滅的な気候変動による災害の照準を合わせている国々には資金援助が必要であることを受け入れている. しかし、彼らはより幅広いドナーを求め、気候変動の影響を最も受けやすい国を優先するよう求めました。

先進国はまた、他の重要な問題に焦点を当てることに熱心です。たとえば、排出量削減の野心に関する合意を見つけたり、平均気温上昇を産業革命前のレベルよりも摂氏 1.5 度に抑えるという目標を再確認したりします。最も危険な気候の影響.

パキスタンとナイジェリアの洪水から世界中の熱波と干ばつに至るまで、ここ数か月の気候に起因する極端な現象のカスケードは、温暖化が世界の新興経済国に及ぼす猛烈な影響と、台頭によって脅かされている小さな島国にスポットライトを当てています。海面。

G77 と 134 の開発途上国の中国連合は、今週、損失と損害に関する最初の作戦を開始し、COP27 で基金を設立する提案を行い、運用の詳細については後で合意する予定です。

パキスタンのシェリー・レーマン気候大臣は、G77+中国の議長国を務めており、金曜、代表団に対し、提案された基金に関して「共通点を見つける」用意があると語った。

男性が大きな棒を使っていかだを押しながら、何人かの人々が洪水の水に木製のいかだに座っています。

2022 年 9 月、パキスタンのシンド州ジャムショロ地区で、オーバーフローを抑えるためにマンチャー湖が決壊した後、村が洪水で浸水した後、高台に移動する人々 [Nadeem Khawer/EPA-EFE]

木曜日遅くに提案された欧州連合からの妥協案は、最も脆弱な国に特化した基金を提案し、資金は「幅広い資金提供者ベース」から得られるべきであると述べています。 1992年に発展途上国として。

欧州委員会副委員長のフラン・ティマーマンズ氏は金曜日の朝、記者団に対し、「これが我々の最終的な提案だと言わざるを得ない。

新たな取り組みを行っても、世界は今世紀末までに約 2.5 ℃ 上昇する見込みです。これは、科学者によると、危険な気候の転換点を引き起こすのに十分な量です。

 
出典:通信社

© 2022 アルジャジーラ メディア ネットワーク 』

ロシア外相、G20サミットから帰国 開催中に異例

ロシア外相、G20サミットから帰国 開催中に異例
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR15DGZ0V11C22A1000000/

『ロシアのラブロフ外相は15日夜、同日開幕した20カ国・地域首脳会議(G20サミット)会場のインドネシア・バリ島を出発し帰国した。ロシア通信が伝えた。開催期間中に出席者が帰国するのは異例だ。ラブロフ氏を巡っては一部メディアがバリ島で病院に搬送されたと伝えており、帰国理由を巡って臆測を呼びそうだ。

ロシア通信によると、ラブロフ氏は15日にG20サミットの会議出席のほか、中国やフランス、ドイツなど複数国の首脳や閣僚と会談するなどの日程をこなし、同日夜にバリ島をたって帰国した。

G20での首脳宣言案について、ラブロフ氏は15日にロシアメディアに対し「異なる意見があることを盛り込むよう主張した」と述べた。記者団に対して16日の会議はシルアノフ財務相が出席すると説明していた。

ロシア側はラブロフ氏が病院搬送されたとの報道について「偽情報」と述べている。』

G20首脳宣言、ロシア「異論併記」主張 採択へ調整続く

G20首脳宣言、ロシア「異論併記」主張 採択へ調整続く
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR151JP0V11C22A1000000/

『【バリ島=竹内康雄、地曳航也】インドネシアで15日開幕した20カ国・地域首脳会議(G20サミット)は、首脳宣言の採択に向けて調整が続いた。事務レベルで合意した文書案にはロシアのウクライナ侵攻を批判し、核兵器の使用を認めないことが盛り込まれた。ロシアは自国への批判に異論があることを併記するよう求めている。

【関連記事】

・G20サミット開幕、ジョコ氏「戦争を終わらせるべき」
・ゼレンスキー大統領、ロシアの撤退求める G20で演説
・習近平氏、豪首相と6年ぶり会談、関係立て直しに意欲

「テーブルを囲む多くの首脳と同じように、欧州連合(EU)はこの戦争を非難する」。食料とエネルギーをテーマにしたG20の最初のセッション。フォンデアライエン欧州委員長は、ロシアのプーチン大統領に代わって出席したラブロフ外相の前で力説した。

ウクライナのゼレンスキー大統領はビデオ演説で「平和は地球規模の価値だ」とロシアを除いた「G19」の首脳にウクライナを支持するよう求めた。ラブロフ氏はゼレンスキー氏の演説を聞いた上で、ロシアの侵攻の正当性を主張。会合後、同国メディアに「非常に敵対的で攻撃的だった」と演説内容を批判した。

出席者によると、ほぼすべての首脳がウクライナ侵攻に端を発するエネルギーや食料危機といった影響に触れた。ロシアへの反発を示すように、G20サミットでは恒例の開幕時の集合写真の撮影が見送られた。インドネシア政府関係者によると、ラブロフ氏は15日の昼食会を欠席した。

ウクライナ問題でG20メンバーは事実上、主要7カ国(G7)に代表される西側諸国と、対立するロシア、そして新興国を中心とする中立国の3つに分かれる。西側の対ロシア制裁と距離を置くインドのモディ首相は「停戦と外交の道に戻る道を探さなければならない」と特定の国の責任に言及することなく呼びかけた。

サミットの焦点の一つは、首脳宣言を採択できるかどうかだ。G20はサミットを前に閣僚級の会議を重ねてきたが、各国の対立から全参加国の同意を必要とする共同声明を採択できず、議長の裁量でまとめる議長総括にとどめるケースが続いた。

議長国のインドネシアはG20での首脳宣言を取りまとめることにこだわっている。ジョコ大統領は15日の冒頭演説で「世界を2つに分断すべきではない」と訴えた。G20サミットは08年の初会合以降、首脳宣言を採択しなかった例はない。

首脳の補佐役を務める「シェルパ」は14日、首脳宣言案の合意にこぎ着けた。日本経済新聞が入手した文書案によると、ロシアによるウクライナ侵攻を「戦争」と明記。核兵器の使用を認めず、平和的な手段での解決を目指すことが盛り込まれている。

ロシア軍のウクライナからの即時撤退を求めた国連総会の決議に触れることで、ロシアを非難する。モディ氏が9月にプーチン氏に伝えた「いまは戦争の時ではない」という言葉も盛り込む。サプライチェーン(供給網)の寸断やインフレといった世界規模の悪影響をもたらしていると懸念を示す。

ロシアにとっては厳しい文言が並ぶ。ウクライナとの戦いで劣勢に立たされていることで、ほかの新興国への働きかけが奏功しなかったと見る向きもある。

宣言案が採択されるには首脳による承認が必要だ。ロシア側はシェルパレベルでは宣言案を受け入れており、サミットでの対応にかかっている。ラブロフ氏は15日、ロシアメディアに「異なる意見があることを盛り込むよう主張した」と述べ、宣言案の内容で妥協したとの認識を示唆した。

ロシアや中国、一部の新興国は「戦争」という表現に難色を示した経緯もあり、宣言案には「ほかの見方や様々な評価があった」と中ロに配慮したとみられる言及も含まれる。

ロシア通信によると、ラブロフ氏は15日夜にインドネシア・バリ島を後にし帰国した。16日の会議はシルアノフ財務相が出席する予定という。

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白井さゆり
慶應義塾大学総合政策学部 教授
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世界経済は景気減速感を強めています。

日本経済は7-9月期の経済成長率はマイナス成長となり、コロナ対策と不動産開発業者の問題に直面する中国経済の減速感も明確になっており、欧州では景気後退局面に入りつつありようです。

食料・エネルギー問題に直面する新興国・途上国も経済が低迷しているようにみえます。
米国は相対的に経済はまだ堅調ですが、今後減速感は強まっていくとみられます。

気候変動危機とエネルギー危機の両方の解決を目指していくには、ウクライナ戦争をできるだけ早く終結させる必要があります。

ただ、プーチン氏が今後どのような行動にでるのか全く分からない中で対応策もみつからず閉塞感が強まっているように思います。

2022年11月15日 23:15 』

ロシアが壊したG20 もはや国連の二の舞い

ロシアが壊したG20 もはや国連の二の舞い
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA014C20R01C22A1000000/

『主要20カ国・地域首脳会議(G20サミット)が15日からインドネシア・バリ島で始まる。ロシアによるウクライナ侵攻以降では初のサミットだ。世界には物価高と景気停滞の足音が同時に迫る。かつての金融危機下で生まれた協調の枠組みにはほころびや溝ばかりが目立つ。

サミットを巡ってロシアのプーチン大統領は開催直前のいまも出席の可否を明言していない。オンラインでの参加が取り沙汰される。世界を混乱させた当事者に面と向かって注文ひとつできない。これが今回のG20にあたって最大の欠落といえる。

招待を受けたウクライナのゼレンスキー大統領は「ロシアのリーダーが出席するなら参加しない」との立場を示している。このためロシアとウクライナのどちらかが欠席する可能性が高くなる。

G20に協調や結束を示すことができた歴史はある。

2008年のリーマン・ショックを受けた金融危機の後、中国は4兆元の巨額財政出動を発表した。ギリシャをはじめ10年代のユーロ圏の信用危機の際には欧州中央銀行(ECB)が無制限の国債買い入れに動いた。

21年秋にローマで開いたG20サミットは首脳宣言を採択できた。世界経済の回復は「国ごとにばらつきがある」との認識を共有し、各中央銀行が物価動向を注意深く監視していくと確認した。

1年ほどが過ぎ、世界の安全保障環境と経済情勢はともに様変わりした。

ロシアは主権国への侵攻を8カ月以上続ける。世界経済に関しても各国で物価上昇が記録的な勢いで加速し、監視では済まない事態に陥った。米欧の中銀が大幅な金利引き上げを進める。

バイデン米大統領はそれでも「ドル高を懸念していない」と断言し、「問題は他国の成長と健全な政策が不足していることだ」とまで強調する。新興国はドル高の裏側で進む自国通貨安と金利上昇に悩み、さらにその先の債務危機へ不安を募らせる。

ウクライナ侵攻後の今年の4月、7月、10月と3回開いたG20財務相・中央銀行総裁会議はすべて共同声明の発出を見送った。肝の世界経済の現状認識で溝が埋まらない現実を前に、日本の外務省幹部は「今回は首脳宣言をまとめるのは困難だ」と話す。

もはや機能不全に近い状況は国連に似る。国連安全保障理事会は2月、ロシアのウクライナ侵攻を巡り「国連憲章違反であり、最も強い言葉で遺憾の意を表する」との決議案さえ採択できなかった。常任理事国のロシアが拒否権を発動したためだ。

弾道ミサイルの発射を繰り返す北朝鮮への対応も同様だ。安保理が緊急会合を開いても中ロが「緊張を高めているのは米国だ」と主張し、非難声明はいつも宙に浮く。G20サミットで首脳宣言が採択できなければ08年の立ち上げ以降で初めての事態だ。

議長国のインドネシアは議長声明をまとめて公表する姿勢を示す。「首脳宣言なきサミット」が現実味を帯びているからにほかならず、匿名でも各国の立場を並べるとかえって亀裂が目立つ状況になりかねない。

合意できそうな項目はないわけではない。少なくともインドネシアはエネルギーや食料問題で可能だとみる。

ロシアは首脳会議の場でどう主張するか。「G7主導の対ロ制裁が価格上昇を招いている」と繰り返すはずで、途上国にはその言い分に理解を示す所もある。一筋縄ではいかず、機能不全の汚名返上の題材にもなりにくい。

G20メンバーである中国には別の狙いがありそうだ。

米国が主導する国際秩序づくりに対抗する意味合いもあって、中国は経済協力や気候変動といった地球規模の課題について話し合うG20の場を重視してきた経緯がある。

中国からは習近平(シー・ジンピン)国家主席らが現地入りする見込みだ。

現状では米中首脳会談をはじめむしろG20の枠組みの「外」のほうが世界の関心度が高い。中間選挙を終えたバイデン氏が中国への圧力を一段と強めるのか。中国共産党の総書記として3期目入りしたばかりの習氏はどう対峙するか。ここでも協調より亀裂の深さがキーワードになる。

「G7の御用聞き」脱皮の時(大庭三枝・神奈川大教授)

神奈川大の大庭三枝教授(政治学)

ロシアによるウクライナ侵攻後、日米欧とロシアによって世界が2つの陣営に分断・分裂しつつあるという印象を持つ人がいる。現実は異なる。世界はもっと多様で複雑だ。

主要7カ国(G7)とロシアの中間に位置する新興国・途上国が多く存在し、彼らがどちらにも全面的に寄らない外交を展開しているからだ。

主要20カ国・地域首脳会議(G20サミット)は国際的な緊張が高まるなかで先進国と途上国の代表が顔を合わせる。各国が公に発言できる場であることに意味がある。

今回の会談で首脳宣言が出せなくとも、それぞれの参加国が相互の意見に耳を傾けて互いを理解し、歩み寄る努力が今こそ欠かせない。

議長国を務めるインドネシアは、国内向けに外交的成果を示す意図はあるものの「ロシアを国際社会から排除することが外交の解ではない」と本気で考えているはずだ。

同国を含む東南アジア諸国連合(ASEAN)諸国は米中を含む主要な域外国それぞれとの関係の維持に努めている。ASEANは中国への依存度も下げたいが米国への不信感も強い。外交的なリスクを回避して独自の地位を築いてきた。

新しい秩序、日本主導で探れるか

ASEANに限らず大国の狭間で地位を確保しようとする国、対ロシア制裁で経済的打撃を被る国など立場は様々だ。G7の主張に全面的に賛同しないのには相応の理由がある。

日本はこれまでアジア各国と対話を重ねてきた。途上国の考え方も理解できる。

もはや途上国との協力なしに、国際社会で外交力を発揮することなどできない。G20サミットの場で「G7の御用聞き」に徹するのではなく、途上国の利益も包含するような「新たな秩序像」を打ち出して存在感を示す時が来ている。

記者の目 外交は内政の延長線

「世界経済の課題解決に最も適した枠組みだ」。主要20カ国・地域首脳会議(G20サミット)の準備会合を終えた2008年、議長国ブラジルのマンテガ財務相はこう話した。当時の麻生太郎首相も「後世、歴史的なものといわれる」と見通した。

リーマン・ショックで傷ついた世界は各国の協調で救われた面がある。少なくとも立場の異なる国・地域が同じテーブルにつき対応を練った。目下のロシア発の危機への打開策はすぐには見つからない。

物価高が家計を直撃し各国首脳の目は自国に向く。外交は内政の延長線上にあり、国内で支持が揺らげば外交力は低下する。世界平和統一家庭連合(旧統一教会)問題に手間取る岸田文雄首相も同じだろう。政権基盤の品評会だとみれば今回のG20の捉え方も変わる。(今井秀和)

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・プーチン大統領、G20参加表明遅れ 欠席見通しも
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・「プーチン氏参加ならG20欠席」ウクライナ大統領言明
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プーチン氏、G20首脳会議に対面参加せず=インドネシア政府

プーチン氏、G20首脳会議に対面参加せず=インドネシア政府
https://jp.reuters.com/article/g20-summit-putin-idJPKBN2S009M

『[ジャカルタ 10日 ロイター] – インドネシア政府当局者は10日、来週バリ島で開催される20カ国・地域(G20)首脳会議(サミット)にロシアのプーチン大統領が対面参加しないと述べた。

ロシアのラブロフ外相が代理で出席する。プーチン氏はオンラインで会合の一つに参加する予定という。

インドネシア海洋・投資担当調整相の報道官がロイターに明らかにした。

インドネシアはロシアを首脳会議に招待せずG20から追放するよう欧米諸国やウクライナから圧力を受けているが、全てのメンバーの合意がなければそうする権限はないとして抵抗している。』

温暖化で途上国の損失、支援議論に初めて合意 COP27

温暖化で途上国の損失、支援議論に初めて合意 COP27
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR0642M0W2A101C2000000/

『【シャルムエルシェイク(エジプト北東部)=竹内康雄】地球温暖化対策を話し合う第27回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP27)で6日、温暖化の被害による損失について、先進国が途上国に支援する仕組みを話し合うことで合意した。具体的な論点では意見の隔たりがあり、内容を巡っては会期末の18日まで激しい交渉が続きそうだ。

地球温暖化に伴う海面上昇や干ばつなど、対策をとっても防げない「損失と被害(ロス&ダメージ)」への対応をCOPの正式議題とするのは初めて。規模が小さい途上国は排出量が少ないにもかかわらず、温暖化の被害により脆弱なため、先進国が支援する仕組みを検討する。

先進国はこれまで損失と被害を独立させて議論することに慎重だったが、途上国の強い要求や足元で異常気象が頻発していることを受けて歩み寄った。気候変動枠組み条約のスティル事務局長は6日の記者会見で、損失と被害が「議題として取り上げられたのは前進だ」と述べた。

欧州連合(EU)のティメルマンス上級副委員長はツイッターに「気候危機は脆弱な国が一国で対応できることを超えている」と書き込み、途上国との議論を進めるとの考えを示した。

もっとも個別の論点では激しい駆け引きが繰り広げられそうだ。損失と損害をどう測定するのかや、先進国が途上国にいくら支援するのかといった問題は簡単に妥協点を見いだせそうにない。米欧など先進国は具体的な金額を示すのに慎重だ。

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・世界の機関投資家、段階的な脱炭素に資金 資源高で転換
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・COP27が開幕、議長「気候変動は優先課題」 』

バイデン米大統領、G20首脳会議・COP27に出席へ

バイデン米大統領、G20首脳会議・COP27に出席へ
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN290G00Z21C22A0000000/

『【ワシントン=中村亮】米ホワイトハウスは28日、バイデン大統領が11月中旬に第27回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP27)や20カ国・地域首脳会議(G20サミット)に出席すると発表した。ハリス副大統領はアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議に参加する。

バイデン氏は11日、エジプトで開くCOP27に参加し、12~13日にはカンボジアで米国・東南アジア諸国連合(ASEAN)首脳会議や東アジアサミットに出席する。13~16日にはG20サミットを開くインドネシアに滞在する。バイデン氏はG20サミットに合わせて中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席との会談に意欲を示してきた。

ハリス氏は18~19日にタイが議長国を務めるAPEC首脳会議に出席し、経済協力について話し合う。米国は2023年のAPEC議長国に決まっており、ハリス氏は主催国としての目標も発表する。ハリス氏はタイに続いてフィリピンも訪れる。バイデン政権はフィリピンのマルコス政権と安全保障や経済分野で協力拡大を探っている。

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インドネシアの憂鬱 G20、大国対立で機能不全

インドネシアの憂鬱 G20、大国対立で機能不全
きしむ世界、揺らぐ新興国(4)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM074MU0X01C22A0000000/

『「20カ国・地域(G20)には橋をかけなければならない大きな溝がある」。12~13日に米ワシントンで開いたG20財務相・中央銀行総裁会議の閉幕記者会見。議長のインドネシア財務相、スリ・ムルヤニは共同声明を採択できなかったことに無念さをにじませた。

G20財務相会議で共同声明の採択を見送ったのは、4月、7月に続いて3回連続。G20はロシアのウクライナ侵攻をめぐって分断が進む世界の縮図となり、日米欧とロシアが非難の応酬をする光景がお決まりだ。世界の国内総生産(GDP)の約8割を占める「国際経済協調の第一のフォーラム」としての役割はもはや期待できない。

対立に追い打ちをかけるのが、急ピッチの米利上げを背景に加速するドル高だ。スリは世界経済について「危険な状態」と強い危機感を示したが、ドル高に端を発する市場の波乱を防ぐ政策協調は見えない。

米大統領のジョー・バイデンは「ドルの強さを懸念していない」と発言。「問題は他国の経済成長や健全な政策の欠如だ」と突き放し、自国のインフレ退治を優先する姿勢を鮮明にした。金利上昇とドル高で外貨建て債務が膨らみ、デフォルト(債務不履行)の危機に直面する新興国との溝は広がる。

G20首脳会議(サミット)は2008年のリーマン・ショック後の金融危機時に、新興国を含む主要国の首脳が集まったことを契機に定期開催されるようになった。各国が足並みをそろえて危機を回避した成功体験を持つ。だが世界が分断される今回の危機で利害はぶつかり、肝心な時に機能不全に陥る。

議長国インドネシアの大統領、ジョコ・ウィドドは11月に開くG20サミットに向け、空中分解を食い止めようと奔走する。「喜んで対話のかけ橋になる」。6日には、G20の関連会議でこう強調した。インドネシアは世界最大のイスラム教徒人口を持ち、G20の構成国として世界での発言力を高める外交戦略を掲げる。

6月下旬にはロシアのウクライナ侵攻後、アジアのリーダーとして初めてロシアとウクライナを訪問。両国の大統領、プーチン、ゼレンスキーと会談し、橋渡し役を買ってでた。大国に翻弄されながらも、国際枠組みを維持しようとするジョコの憂鬱が続く。(敬称略)
清水孝輔、木寺もも子、久門武史、地曳航也、志賀優一、宮本英威が担当しました。

【ルポ迫真「きしむ世界、揺れる新興国」記事一覧】

・「我々は米国の裏庭ではない」 中南米に左派政権相次ぐ
・トルコは曲芸師か 綱渡りの利下げ強行、通貨安打撃も
・「フランスは出て行け」 アフリカでかすむ旧宗主国

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高橋徹
日本経済新聞社 編集委員・論説委員
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ひとこと解説

東南アジアでは11月半ばに米中や日本、ロシアなど域外大国も参加する重要な首脳会議が「惑星直列」のように連なります。

カンボジアでの東アジアサミット、インドネシアのG20、そしてタイでのAPECです。

中でも重みがあるのはG20。ジョコ大統領は6月にアジアの首脳として初めてロシアとウクライナを訪問しましたが、その後にシャトル外交などの動きは伝えられていません。

単にG20への出席を呼びかけただけに終わっており、「橋渡し役」とはとても呼べない状況です。ジョコ氏は2014年の就任時から「外交は苦手」と漏らしてきましたが、残り任期があと2年に迫るなか、議長国としての手綱さばきが注目されます。

2022年10月20日 7:25 』

期待できない国連だが、改革は必要 中露締め付けは経済同盟で

北の国から猫と二人で想う事 livedoor版:期待できない国連だが、改革は必要 中露締め付けは経済同盟で
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『日米豪印4か国の(反中目的の)協力枠組み「クアッドQuad」の外相会合が2022年9月23日、国連総会が開催中の米ニューヨークで開かれた。

会合後、国連改革や国連安全保障理事会の常任および非常任理事国の拡大を支持すると明記した共同文書が発表され,文書には「われわれは、国連安全保障理事会が現在の国際的な現実を反映し、地理的により多様な視点を組み入れるために、国連安全保障理事会の常任および非常任理事国の拡大を含む、統合的な国連改革プログラムを推進することにコミットしている」と記されている。4か国は、国連への全面的な支持を表明した。4か国はまた、2015年9月の国連サミットで採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ(実施計画)」の実現に賛成した。

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図中のIPEFは、2022年5月20~24日のバイデン米大統領のアジア歴訪で実現した「インド太平洋経済枠組み(IPEF:Indo-Pacific Economic Framework)」で、現在13カ国が参加し、米国の中国への経済制裁を補強する意味合いがあると思える。 過去ブログ:2022年8月これまでにない流動的な国際情勢下の日米中 7月ウクライナ問題で米、欧州の結束強まり米中対決は陸から海上へ

「オーカス:AUKUS」締結は、国連の無力化と不信が生み出した、志を同じくするアングロサクソン海洋民主主義国家の同盟関係を強化した反中防衛同盟である。過去ブログ:2021年9月豪原潜導入からフランスとの契約破棄の舞台裏とオーカス 9月インド太平洋構想の連携強化とオーカス、CPTPP

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これに先立ち、2022年9月21日、米国のジョー・バイデン大統領は国連総会の一般討論演説に臨み、安保理常任理事国の拡大を含む安保理改革を支持した。国連安保理は現在、ロシア、中国、英国、フランス、米国の5か国が常任理事国。ロシアも拡大を支持している。(改革案のひとつである拡大は、常任理事国の議席増を指している)

、、、、、中露が国連改革を認めるうえで、中国は台湾の国家としての承認、露はウクライナ侵攻の停止、ロシアの一方的資源政策という現在進行形の問題に直面する。

これまで通りの対応であれば、中露は拒否権を発動して安保理で、自国が不利になる改革には、議題として協議されることすら反対するだろう。

また、反欧米の国家は多く存在し、国連自体が2極化し、重要な国際問題の協議が毎度「おとぎ話」で終わる状況は国連の無力化を見せつけているが、果して国連改革できるのか?中露は、自らが国際的地位の弱体化に繋がる国連改革に賛成するだろうか?

まずは、明確な国際法違反で侵略を行使する、ロシアの国連での権利停止などできないのかと思うが、これも「おとぎ話」でしかないのだろうか?恐らく、議題になる決議までに数年が掛かり、急がれるウクライナ問題の解決には、今の国連の位置は程遠いのが実際のところだ。しかし、長い目で見ていられない現状で、異端児中露を、欧米日印の種々の軍事、経済同盟が警戒、締め付けを行っているのが実情だ。

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過去、世界が領土拡張と侵略に明け暮れて居たころ、日本は鎖国政策を取り、長く(一般的に1639年から1854年)平和を維持した。

改めてそんな時期と、その後の日本を見直した。幾度かの侵略の危機を乗り越え、戦わずして国体維持は困難として打って出た時期もある。

敗戦では、米軍統治下となり、日本が世界地図から消えるかもしれない危機も経験した。
多くの犠牲を出しながら、しかし今も国と伝統は残り、資源の無い小国と言われながら存在感を維持しているのは世界が驚嘆している。 

過去ブログ:2019年5月日本軽視は「あまりにも危険」という中国記事への感想 2017年12月曖昧だが、確実に受け継がれる日本人の宗教観 2016年8月天正遣欧少年使節団の絵画天井裏で新発見 イタリー 2012年5月「鎖国」と「enclosed country」』